約 840,487 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5287.html
前ページ次ページゼロのエルクゥ 「ん、んんっ……」 ルイズの目覚めは、それなりに心地よいものだった。 いつもは眠気にあまり働かない頭も、珍しく目覚めてすぐに動き始める。 「……知らない天井、というわけでもないけど」 見覚えはあるが、見慣れない天井ではあった。 周囲には白い簡易ベッドが六個ほど並べられ、それぞれにカーテンが取り付けられており、鼻につくような秘薬の匂いがする……ここは、学院の医務室だった。 「私……痛うっ!?」 医務室で寝かされるような事があっただろうか、と思ったところで……ジクリ、と腹部に鋭い痛みが走った。 慌てて毛布をまくると、学院の制服の腹部に、見事な穴が開いている。 「あれ。服、だけ……?」 しかし、それだけだった。ブラウスと肌着に穴は開いているが、そこから覗く肌は綺麗なものだ。 傷のようなものは見当たらず、感じた痛みは一瞬で消え失せていた。 「私……そうだ! 私、ウェールズ様をかばって……!」 気を失う瞬間の記憶が、痛みの代わりに溢れ出してきた。 耕一とワルドの決闘。途中までの息を呑む互角の攻防からの急展開。 突然ウェールズに向けられたワルドの兇刃。間一髪でウェールズを庇ったルイズは倒れ、鬼に変身した耕一がその後を―――! 「ミス・ヴァリエール! お目覚めになったのですね!」 そこに、朗らかな女性の声が響き渡った。 ハルケギニアには珍しい、耕一と同じ黒髪黒瞳のメイドは、手に持っていた水の張られた洗面器とタオルを置き、こちらに小走りに駆けてくる。 「あんたは……確か、コーイチの知り合いの……」 「シエスタと申します。ミス・ヴァリエールが眠っている間のお世話係を申し付かっておりました」 「そ、そうよ。私はこんなところで眠ってるわけないのに、何でここにっ?」 「も、申し訳ありません。私は詳しい事情は聞かされていないんです。ミス・ツェルプストーとミス・タバサのお二人が、意識のないミス・ヴァリエールを連れてこられて……」 「キュルケとタバサが?」 ますますわからない。ルイズ達がアルビオンに向かった事は、当事者を抜けば、アンリエッタ以外誰も知らないはずだ。 ましてや、事はトリステインの危機なのだ。ゲルマニア留学生であるキュルケが知れるわけがない―――。 「いえ―――そうとは、限らない?」 そう……今回の件、ゲルマニアと無関係ではない。 レコン・キスタに対抗するために同盟を組む、その相手方だ。同盟と言う名前とはいえ、その実体は、ゲルマニアからの軍事援助。だからこそ、見返りとして、第一王位継承者であるアンリエッタがわざわざ向こうに嫁がなければならないのだから。 ゲルマニアにとっても、この話がご破談に終わる事はあまり望ましくないはずだ。猿山の大将に過ぎない彼の皇帝にとっては、国内の他勢力を跪かせる『始祖縁の王家』という権威は喉から手が出るほど欲しいものだろう。 此度の同盟が国家自体の命綱であるトリステインと違って余裕はあるだろうが、進んで破棄したいとも思っていまい。 そう考えれば、ゲルマニアが協力してきたとしても不思議じゃ―――。 「み、ミス・ヴァリエール? 大丈夫ですかっ?」 「あっ? ど、どうしたの?」 思索は、シエスタが肩を揺らした事で中断された。 「ご気分が優れませんか? ぼうっとしていたようでしたが……」 「う、ううん。何でもないわ。気分は、いつもよりスッキリしてるぐらいよ」 スッキリしすぎて妙に頭が回るほど、と、ルイズは先ほどの、まるで戦記小説の軍師のような思考を思い出して、心の中だけで一人ごちた。 「それならいいのですが……あ、ミス・ヴァリエールが気が付かれた事、報告しなきゃ。あの、少々お待ちくださいね」 ぺこり、と一礼して、シエスタは医務室を出て行った。 「……とりあえずは、話が聞ける人が来るかな」 シエスタを見送ったルイズは呟き、起こしていた上半身を投げ出すように横たえると、ぽすっ、とベッドから空気が抜けた。 「……どうなっちゃったんだろ」 アルビオンはやはり滅びてしまったのだろうか。任務はどうなったのだろう。 懐を探ってみたが、そこに入れておいたはずの件の手紙はなくなっていた。 そして、アルビオンで倒れたはずの自分を、なぜキュルケとタバサが連れてきたのか。 ……ニューカッスル城で治療を受けて、眠っているまま脱出船に乗せられた。学院に連絡が行って、それを聞いたいらんことしぃのキュルケがタバサにシルフィードを出してもらって……。 「そんなところかしら」 さっきの妄想が馬鹿みたいに、それはすっと心に馴染む考えだった。 「やあ、君付きのメイドが慌てた調子で走っていったからまさかと思ったが、本当に気が付いたんだね」 「ん?」 そんな取り留めもない事を考えながら、窓からぼうっと外を見ていると、医務室にややハスキー気味な少年の声が響く。 「ギーシュ?」 「いやあ、良かった良かった。大丈夫かい? 学院に運び込まれてから、3日も寝ずっぱりだったんだよ」 現れたのは、耕一に手酷くやられて以来、妙に丁寧に接してくるようになったギーシュだった。 「私、そんなに寝てたんだ……」 「うむ。腹部への刺突なんて、暗殺でもされかかったのかい? 腕のいい水メイジに当たったようで、傷が残っていないのが幸運といえば幸運だが」 「……事情は、言えないわ」 「そうかい。あのミスタ・カシワギが命を落とすほどの事だったようだし、命があって戻ってきただけでもよしとするのがいいのだろうね」 「―――え?」 やれやれ、と肩を竦めたギーシュの言葉の中に、聞き逃せない言葉があった。 「コーイチが、なんですって?」 「……そうか、知らなかったのか」 「いいからもう一度言いなさい! ギーシュ!」 バン! とサイドテーブルを叩くルイズに、ギーシュは瞑目した。 「死んだ、と聞いている。君を傷つけられた相手を追い、相討ちになった……と、僕がキュルケから聞けたのはそれだけさ」 「なに、それ……」 死んだ? コーイチが? エルクゥが? あの地上最強の生物が? 「ところで、ルイズ」 自分を傷つけた相手……ワルドと? 相討ち? スクウェア・メイジは『アレ』すら打倒しうるというのか? 「君はいつの間に、その……そんなに体を鍛えたんだね?」 「はあ?」 思考を中断されたルイズは、杖より重いものなど持った事がないこの由緒正しき公爵家の三女に向かって何トチ狂った事を言っているのかこのヘタレナルシーはこっちは今忙しいんだ、と苛立たしげにギーシュの視線を追って―――。 「な、ナニコレっ!?」 そして、驚愕した。 先ほど拍子で叩いた鉄製のサイドテーブルが、まるで何か重いものが勢いよくぶつかったかのようにひしゃげ、潰れていたのだ。 「なにこれって、さっき君が潰したんじゃないかね」 「し、知らないわよっ! 手で叩いただけで、鉄のテーブルがこんなに潰れるはずがないじゃないのっ!」 見事にクラッシュしているテーブルを指差すギーシュに、ルイズはそんな正論を言い返す。 しかし、その心は―――『鉄などという脆い材質の』テーブル、手で叩いたらすぐに潰れるに決まってるじゃないか―――という、全く逆の感想を抱いていた。 いや、感想という意識ですらなかった。それは、ルイズにとっては、パンを食べる時にパンを指で挟んで引っぱればちぎれるじゃないか、というレベルの、誰でもわかっていてわざわざ言葉として脳裏に浮かべるまでもないような事実と同じものだった。 あまりにそれが自然だったので……自身でも気付くのに、しばしの時間が掛かった。 「やれやれ、痛んでいたのかね。しょうがない」 ギーシュが胸のポケットに挿していた造花のバラを手に取り、一振りすると、テーブルがみるみるうちに元の形に戻っていく。 材質が鉄から青銅になってしまっていたのはご愛嬌だ。 「これでよし。ふふ、僕の『青銅』は、そんじょそこらの鉄なんかより丈夫さ。ミスタ・カシワギに敗れてからというもの、研鑚を欠かしてはいないからね」 「…………」 得意げなギーシュをよそに、ルイズはじっと開いた自らの手の平を見つめていた。 「ルイズ、気を落とさない方がいい。ミスタは使い魔の本分を果たしたんだ。君が無事にここへ帰ってきた事が、何より彼への慰めになるはずさ」 「……そうね」 黙り込んだルイズを、使い魔が死んだ事への哀しみだと見てとったギーシュは慰めの言葉をかける。 確かに、それもショックではある。だが、キュルケからギーシュへの又聞きであるそれに現実感はあまりなく(どうせキュルケが適当こいたのだと思っていた)……それよりも、自らに起こった変化にルイズは気を取られていた。 「…………」 手の平から目を離し、今しがた再生されたばかりのテーブルに視線の先を変える。 「ルイズ?」 そして、おもむろに手を振り上げ―――自然な力加減で、その台の部分をはたいた。 めぎっ。どごん。 「どぉぅわっ!? な、何をするんだねっ!?」 平手を見舞われた一本足のテーブルは、その足のなかばから耳慣れない金属の潰れる音を立てて綺麗にヘシ折れ、台の部分が吹き飛んでいった。 自分の方に飛んできたそれをギーシュは慌てて避け、台は潰れながら壁にめり込んで止まった。 「―――どうなってるの?」 「それは僕が聞きたいよ……」 手を振り切った格好のまま呆然と呟いたルイズの声に、尻餅をついたギーシュの声がかぶさった。 § 「……何やってるのよ、ギーシュ」 「……ちょっと、レディのお世話をね」 しばらくして医務室に入ってきたキュルケは、壁に向かって杖である造花を振っていたギーシュに、何か可哀想なものを見るような生暖かい視線を向けた。 吹き飛ばされたテーブルがめり込んだ痕を修理していました、とはルイズに口止めされていて言えず、ギーシュは力無く肩を竦めただけだった。 「ふぅん。ま、頑張ってね。で、色男にお世話されてるラ・ヴァリエール嬢、ご機嫌はいかがかしら?」 「誰かさんが勝手に人様の使い魔を殺してくれたせいで最悪よ」 「……ギーシュに教えた事は、嘘じゃないわよ。私達がニューカッスルのお城に着いた頃には、もう全部決着が付いていたの」 そう、楓と一緒に帰ってしまった耕一の事を、キュルケとタバサは、耕一自身の話した内容から、吶喊したまま討ち死にしたのだと改竄した。 恋人が迎えにきて元の世界に帰ってしまった、などと真実を知れば、またルイズが癇癪を起こしてうるさいだろうから、というのがキュルケの言い分である。 あの時城に残っていた王党派の生き残りに話を聞けばバレてしまうだろうが……これから先そんな機会が訪れる事などそうはあるまい、という判断は、なるほど妥当なものだと言えた。 「そう……コーイチ、本当に死んじゃったのね」 「ええ。最期は、これが看取ったらしいわ」 「ちょっ、これ扱い? ちょっと扱い悪くね? 伝説の剣なんだぞーえらいんだぞー、あっやめて鞘に押し込まないでむきゅん」 もっともらしく脚色されたキュルケとデルフリンガーの話を聞いて、ルイズは今度こそ悲しみと喪失感を覚えた。 目を閉じ、思いを馳せる。彼はどこか一歩退いたところにいたから、泣きじゃくって呆然とするほどの強い衝動ではない。滴る水がゆっくり布に染み込んでいくように、心に悲しみの色が広がっていく。 それは、厳しく鍛えてくれた長姉とも、慈愛で包み込んでくれた次姉とも違う……そう、そっと見守ってくれる兄のような。そんな存在だった。 「……どうせそのうち、次の使い魔は召喚する事になるんだぜ? 無駄だと思うんだがねえ」 「もう、2回目の『サモン・サーヴァント』でも、同じものが召喚されるって決まってるわけじゃないんでしょ?」 「普通の系統メイジならね。それぞれの系統と実力に合った奴が選ばれるが……相棒は虚無の使い魔で、ってことは娘っ子はおそらく虚無の担い手で、使い魔が選ばれる基準は謎に包まれてる。運命、なんて言われてるぐらいでな」 「虚無、ねえ。ルイズが虚無の系統ってのがいまだに信じられないけど、タバサもそんな事言ってたしね。そうだとすれば、もう一度呼ばれる可能性が高い、か」 「ま、一度体験した身だ。開いたゲートに入るかどうかはあっち次第だろうけどな」 その横で、キュルケとデルフリンガーが小声で言葉を交わしあう。 耕一達が帰っていってしまったその帰途、事実を誤魔化すかどうかで散々話し合った事だった。 「あの様子だと、お嬢ちゃんが行かせないっぽいがねえ」 「もしかしたら、二人一緒に来るかもよ?」 「はは、有り得そうだ。んで『コントラクト・サーヴァント』でキスするときに一揉めあったりしてな」 「きっと見ものよ、それ」 くすくす、と剣と女が密かに笑いあったのを見咎めて、ルイズの眉が釣り上がった。 「何笑ってんのよ」 「んーん、何でもないわよ。で、あなた体調の方はどうなの? もう起きても平気なの?」 「ん……たぶん大丈夫よ。何だか体が軽いくらい」 ぐるぐると腕を回したルイズが、身軽にベッドを抜けてしゅたっと床に降り立った。 ギーシュはその様子を見て冷や汗を顔に貼り付けている。 「そ。じゃあ来てくれる? 色々と学院長に報告しなくちゃね」 並の男だったらそれだけで陥落させられる、流れるようなウィンクを飛ばしながら、キュルケはドアを開いた。 デルフリンガーを肩に担いだその姿は、妙に似合っている。そのままスラリとその長剣を抜いて、妖艶な剣舞でも踊り出しそうであった。 「はぁ。もう、ツェルプストーは野暮しか知らないのかしら。少しぐらい悲しみに暮れさせてくれてもいいじゃないの」 憮然としながらも、傍らの椅子の背にかけてあったマントを羽織るルイズ。 「……服がごわごわするわ。お風呂入ってきていい?」 「我慢なさいな。報告が終わったらご一緒致しますから」 「結構よ。あんたの風船みたいな体なんて見たくもない」 「うふふ、洗濯板よりは殿方を満足させられましてよ?」 「あーはいはい。色ボケも大概にしとかないと刺されるわよ」 「うーん、まあ確かに挿されてはいるけど。そんな逆恨みをするような男は最初から相手に―――」 「す、少しは自重しなさいよ! さすがに下品すぎるわよ!?」 小気味よく言葉を応酬させながら連れだっていく二人の背中を見送って、部屋に残された一人はぽりぽりと頭を掻いた。 「あー……随分と、こう……図太くなったねえ。あれはホントにルイズなのかい?」 ゼロだ無能だと蔑まれ続けた環境からか、本来の繊細でナイーブな面が、癇癪やヒステリーとして表に出てしまっていた少女。 それが今は……なんだか、酸いも甘いも噛み分けた傭兵メイジのようだ、などと突飛もない事をギーシュは感じていた。 § 「目が覚めたばかりだと言うのに、わざわざご足労願ってすまんの、ミス・ヴァリエール」 「いえ、オールド・オスマン。私も話を聞きたいと思っていましたので」 「うむ。現在の時点でわしが知っている事は伝えよう」 腕を広げてルイズを歓迎したオスマンは、椅子に座り直して水ギセルをふかした。 「君がミス・ツェルプストーとミス・タバサによって学院に運び込まれてきたのは、3日前の事じゃ。腹部に傷を負っていたようじゃが、既に完璧に近い治療が施されておった。それからずっと眠り続け、今しがた目を覚ました、というところじゃな」 「はい。それで、学院長は、その……私が外出していた、理由については?」 「姫殿下より、委細聞き及んでおる」 「では、私が懐に入れておいたはずの手紙は……」 オスマンは、首を横に振った。 「ワシ等は見ておらん。持っていたのになくなっておるというのなら、果たして奪われたか落としたか。君が深手を負った状況が不明じゃから、何とも言えんが―――」 「そこは、私が説明させていただきますわ」 ドアが開き、外で待っていたはずのキュルケが入ってくる。 「キュルケ! 機密の話よ!」 「こちらも機密の話よ。―――先日、ゲルマニア皇帝アルブレヒト三世からトリステインに、正式に遺憾の意の表明がありましたわ。内容は、婚約していたアンリエッタ王女の不義について」 「っ! そ、それは!」 「そ。アンリエッタ姫からウェールズ王子へのラブレターは見事奪われて、皇帝の下に、ってワケね。まったくあのヒヒオヤジったら見栄張っちゃって。始祖の血が欲しかったら、ここで手紙を握り潰せばいいのにねえ……」 自分の国の皇帝をヒヒオヤジ呼ばわりしたままの不遜な態度で、キュルケはやれやれと肩を竦めた。 「ミス・ツェルプストー。その話、本当かね?」 「ええ、間違いなく。先ほど私の実家から連絡がありましたの。トリステインの王宮は、今必死に使者を飛ばしてる頃じゃないかしら。一両日中には、ここにも連絡がくるかもしれませんわね」 「ふぅむ……」 目を閉じて髭を撫で、オスマンは考えにふける。 「それじゃあ、私の任務は、失敗したのね……」 「あら。てっきり、『なんでアンタが手紙のこと知ってんのよ』とか言い出すかと思ったのに」 「……別に。ニューカッスルまで私を迎えに来たんでしょう? どういう風の吹き回しかは後で聞かせてもらうけど、だったら知ってても不思議じゃないもの」 落ち込んだ様子はあるものの、らしくなく冷静なルイズに、キュルケはニヤニヤと興味深げに視線を送る。 「……ああ、姫さま、申し訳ありません」 「別に謝る必要はないと思うわよ? ある意味、それ以上の働きをしたと思うけど」 「余所者は黙ってなさい」 瞑目するルイズをからかうようなキュルケの口調に、ルイズの声が厳しくなった。 「だって、もう同盟なんてする必要がなくなったんですもの」 「どういう意味よ」 「ハルケギニア統一を掲げる『レコン・キスタ』に対抗するための軍事同盟―――いや、始祖の血脈を差し出す代わりの軍事援助だったんでしょ? その『レコン・キスタ』がなくなっちゃったのに、する必要ないじゃない」 「は?」 ルイズの目が、呆気に取られて丸く開いた。 「ど、どういう事よ?」 「アルビオンの内戦は王党派が勝利。反乱軍である『レコン・キスタ』は消滅して、ジェームズ一世陛下もウェールズ皇太子も健在。今は元鞘に戻りつつあるってところかしら」 「ちょ、ちょ、ちょっ! なにそれ!? 王党派が勝利って……!」 「聞いた通りの意味よ」 「そ、そんな事あるわけないじゃない! 負ける寸前だったのよ!?」 あの絶望的な状況を、300対50.000の戦いを勝利したというのか? どれほどの奇跡が起こればそんな事が可能なのか? 祝宴前の余興と称されたワルドと耕一の決闘を楽しげに観戦していた王党派のメイジ達。滅亡を前にしても揺るがないその覚悟に感じた物悲しさを思い出し、ルイズは声を荒げた。 「あなたが否定してどうするのよ。言ったでしょ? 『ある意味、それ以上の働きをした』って。王党派が勝てたのは、ルイズ、あなたのおかげなのよ?」 「な、何の話よ」 「コーイチよ。あなたの使い魔が、『レコン・キスタ』軍を一人で壊滅させたの。まぁ実際に倒したのは五千か一万かってところでしょうけど、それで完全に士気は崩壊。その混乱に便乗した王党派軍が、見事『レコン・キスタ』の総司令官を討ち取った、ってわけ」 「は―――」 息を呑む。あり得ない、と驚く心と、なるほど、と納得する心がキッチリ半々に溶け合い、ルイズは目を見開くばかりだった。 「……一度君から報告を聞いてはおるが、今聞いても荒唐無稽な話じゃな」 「事実ですわ。全て見ていた証人……いえ、証"剣"がいますから」 と、担いでいる長剣を掲げてみせる。 「デルフリンガーを発見出来たのは、本当に偶然でしたわ。タバサの使い魔である風竜でニューカッスルに向かっている途中、死屍累々の戦場の中に不自然に光るものがありました。不審に思って降りてみるとコーイチの死体があり、持っていたこの剣が光を放っていましたの」 デルフ、と声をかけて少しだけ鞘から抜くと、その刀身が強く光を放って消えた。 自らを錆びさせていたのを元に戻す時に光ったのと同じ原理だ。話を合わせ、光ってもらったのだった。 「誰かに気付いてもらえないかと光っていたそうですわ。近くには、トリステイン魔法衛士隊の制服を着た死体もありました。デルフリンガーの話では、密命を帯びたルイズの護衛だったらしいのですが、ニューカッスル城で豹変し、ウェールズ皇太子の命を狙ったと」 「うむ……」 そして、デルフリンガーと、その裏切り者の兇刃からウェールズ皇太子を庇って傷を負い、治療を受けていたルイズを回収し、戻ってきた―――そう締めくくり、キュルケは一歩下がった。 帰ってきたばかりの時に報告した内容と同じものだ。概ね今の言葉は、ルイズに対する説明だった。 「……あれだよな。結局、『なんで最初ニューカッスルに行こうとしてたのか』って部分には触れてねぇんだよな」 「学院長は、頭が回りすぎて勝手に想像してくれるわよ。ルイズは、さて今までのルイズだったら、そんな事気付きもしなかったでしょうけど……ふふ、今のルイズには、後で説明しなきゃいけないみたいよ? 面白いと思わない?」 「あくどい女だねえ」 「要領がいいと言ってちょうだいな」 そんなひそひそ話に気付いているかいないか、オスマンがうぉっほん、と咳払いをした。 「さて、ミス・ヴァリエール。使い魔を失った悲しみは理解するのじゃが、君には一つやってもらわなければならない事がある―――王宮への報告じゃ」 「……はい」 「うむ。じゃが、今からというのも急じゃな。今日は大事を取って休むといい。明日、面会が出来るよう手配をしておこう」 「お気遣い、ありがとうございます」 頷いたルイズに、オスマンはキセルを一服して髭を撫で、嘆息するように言葉を搾り出した。 「……ともすれば、君の言葉一つで、トリステインがこれからどう動くのかが決まるやもしれぬ。心してかかりなさい」 § 時刻は午後に入ってしばらく。学院長室を出たルイズとキュルケは、ゆっくりとした足取りで、自分達の部屋のある寮塔に向かっていた。 今日の授業を終えた生徒たちは、それぞれの広場で昼下がりの社交を楽しんでいる。 目覚める前は戦場真っ只中の城にいた事もあってか、ルイズはどこか現実感のない眼差しでそれを眺めながら、頭を悩ませていた。 「私の言葉一つで、か」 「そんな気にするもんじゃないわよ。甘言で王女様を操って国を自在に動かしたい、とか言うなら別だけど」 「……自分の国の行く末を気にしない貴族なんていないわよ」 「ご忠臣ですこと」 そんな二人を見て、近寄ってくる影があった。 「やあ、ゼロのルイズじゃないか。お強い使い魔様に逃げられて追っかけてたから休んでたってホントかい?」 でっぷりとお腹の出た、小太りの少年―――ルイズ達のクラスメートである、マリコルヌ・ド・グランドプレだった。 「……下手を打てば、面子を潰されたゲルマニアとの戦争になるわ。何とかそれだけは防がなくちゃ」 「そうね。ま、必要以上に刺激しなきゃ大丈夫よ。まだ内が固まりきってないから、他んちの庭に援軍出すぐらいならまだしも、単騎で他国の首都を攻めるような戦争やる余裕はないはずだもの」 「……あんた、ツェルプストーでしょ? そんなホイホイ自分とこの内情ばらさないでよ」 「いーのよ。これであのジジイが失脚したら、それはそれでうちには儲けものだわ」 「まったく、野蛮な国ね」 「自由と言ってちょうだい」 「ゼ、ゼロのくせに僕を無視するなあ!」 風どころか空気の扱いで、ルイズとキュルケはマリコルヌを通り過ぎていく。 「殿方が何か御用みたいよ、ルイズ」 「虫が足元にいるからってわざわざ踏み潰すなんて大人気ない事しないわよ」 「あら、気が合うわね」 あからさまな無視であった。虫扱いで無視である。 残念ながら今のマリコルヌは、汚い物を見下すような視線を受けて悦ぶような特殊な性癖は持ち合わせていなかった。 「きっ、きっ、貴様ぁ! ゼロの分際で僕を侮辱するか!」 マリコルヌは健全な男子として、顔を真っ赤にして杖を抜き放った。 「目下の者にしか威張れないかぜっぴきがナマ言ってんじゃないわよ。潰すわよ」 「や、やれるものならやってみろ! 僕の『風』の前で、ゼロがそんな事出来るもんか!」 いつものヒステリーとは違う、妙な迫力を持ったルイズの言葉にマリコルヌは少々たじろぐが、魔法成功確率ゼロにそんな力は無いと判断している理性は、なんとか応酬を続けさせた。 「……あたしにもケンカ売ってるってわからないのかしら」 キュルケが呆れた表情で、袖の中に忍ばせてある杖をそっと指に掴む。 この剣幕が続けば、一悶着ありそうだ、と直感したのである。この太っちょがトチ狂って一発撃つ事でもあれば、自分の『火』で収めよう、と思っていた。 ―――結論から言えば、その直感は当たっていたが、その必要は全くなかった。 「そちらこそやってみなさいな。そんなガラガラ声じゃ、羽虫だって飛ばせないわ」 「こ、声は関係ないだろ声はぁ!」 「声は空気の震え。風の力よ。お偉いかぜっぴきのメイジ様は、『サイレント』も満足に使えないのかしら?」 「つ、使えるさ! お前なんて、何にも使えないだろう! このゼロめ!」 「何も使えなくても、あんたのを潰すぐらいわけないけど」 「こ、このお……! 少し教育してやる必要があるみたいだな……!」 顔を真っ赤にしたマリコルヌが、とうとうルイズに向かって杖を振るった。 「『エア・ハンマー』!」 ドット・スペルとはいえ、訓練していない人間なら軽く吹き飛ばせる風の鎚がルイズを襲う。 ルイズは、それを興味なさげに横目で見やると、酷く無造作な手付きで、キュルケの担いでいたデルフリンガーを掴み、抜き、振った。 目にも止まらぬ速度で振られた、少女の身長と同じほどの刃を持つ長剣は、寸分の狂い無く風の鎚の真芯を捉え―――ぽしゅう、と気の抜けるような音が鳴って、それだけだった。 「へ、へあ?」 何も起こらず、軽いそよ風がルイズの桃色のブロンドを小さく揺らした。 「こんなそよ風のハンマー、浴びてたら風邪を引いちゃいそうね」 「くううっ! 何をしたのか知らないが、絶対にその小憎らしい顔を吹き飛ばしてやる! 『エア・ハンマー』!」 振られる杖と剣。 結果は、先ほどと同じく、ルイズの長い髪の先端を揺らすだけ。 2回、3回と呪文は繰り返されるが、全て同じ結果に終わった。 「はあ、はあ、はあ、はあ……な、何なんだ、何なんだよお! どうしてこんな……!」 「現象が目の前にあるのに、理解しようとしないからよ。人間なら、頭を働かせなさい」 「ひ、ひいいいいぃっ!」 ルイズは、まるで歴戦の剣術家のように素早い一歩を踏み出すと、へたりこんだマリコルヌの首元めがけ、処刑人のように無造作に、デルフリンガーを振り下ろした。 「ひぃっ!」 びゅん! と風を切る音に目を閉じる。しかし、予想されていた衝撃や痛みはなかった。 おそるおそる目を開けると、首筋薄皮一枚のところでぴたりと、その剣は止まっていた。 「あう、あう、ああ、あ……」 斬鉄の勢いで振られた長剣を寸止めする。 マリコルヌは、自らのあまり美しくはない肉体を少しでもマシにしようとかつてしていたトレーニングを思い出し、それを成す為の尋常ならざる膂力を理解してしまった。 鉄の塊を振り回す事よりも、振った鉄の塊を止める事の方が、ずっとずっと難しいのだ。 「杖を抜いた狼藉は不問に付すわ。下がりなさい、豚」 「あひっ!」 ガキン! と剣を進め、切っ先を地面まで突き刺すと、わたわたとマリコルヌは逃げ出していった。 「はあ。まったくもう……行きましょ、キュルケ」 ルイズは、デルフリンガーをひゅんひゅんと片手で軽快に振って土を払い、鞘に収めると、ぽいっとキュルケに投げ渡した。 「…………」 「何よ、何か文句あるの?」 「な、何でもないわよ。行きましょうか」 歩いていくルイズの背中を見やりながら、キュルケはそっと鞘から剣を抜く。 「……デルフ、今のは」 「……たぶん、間違いねえよ。握られた感触がソックリだった」 「そう……」 「娘っ子には自覚がねえっぽいけどね」 「そこが一番の問題よね……はあ、貧乏クジばっかりだわ」 「お疲れさん」 「ありがと」 そして、一瞬だけ痛ましそうな表情を浮かべると、早足でルイズの後を追っていった。 § 「あひ、あひっ」 夢中で逃げ出したマリコルヌは、人のまばらなヴェストリの広場の隅に転がるように倒れこんだ。 「豚、豚だって……僕の事を豚だって……!」 今なら誰も見ていない。マリコルヌは押し留めていた感情を解放し、ひくひくとしゃくりあげた。 「豚、豚ぁ……ひっ、あひいっ! 豚、豚っ! 豚ぁっ!」 ぼろぼろと涙とよだれを流しながら、ズボンに失禁の染みが広がっていく。 「ああっ、あああっ……! あんな小憎たらしい女の子に豚と罵られる事が、こんなに、こんなに……!」 そして、マリコルヌの中には、恐怖や、劣等感や、恥辱や……様々な感情がはちきれんばかりに溢れ――― 「気持ちいい事だったなんてッ!!!!!」 ……開眼した。 「ああ、たまらないッ! 豚と呼んでくださいッ! 豚にしてッ! 僕はつるぺた少女の豚ですうぅッ! 乗って! つるつるおまたで跨ってくださいッ! 鞭! 鞭イイッ! ちっちゃなおててに持った鞭で、醜く膨れた豚めの尻をキツくお仕置きしてッ! ぶひぃぃぃん!」 ……濡れたズボンからは、ほのかに栗の花の匂いがしていた。 前ページ次ページゼロのエルクゥ
https://w.atwiki.jp/sentai-kaijin/pages/470.html
浩二「嫌だ、死にたくない!助けて、誰か!」 【名前】 マンティスロード プロフェタ・クルエントゥス 【読み方】 まんてぃすろーど ぷろふぇた・くるえんとぅす 【声】 土屋トシヒデ(旧:土屋利秀)(アギト) 【登場作品】 仮面ライダーアギト仮面ライダーディケイド 【登場話(アギト)】 第34話「呼び逢う魂」 【登場話(ディケイド)】 第28話「アマゾン、トモダチ」第29話「強くてハダカで強い奴」第31話「世界の破壊者」 【分類】 アンノウン 【特色/力】 両手の鎌による斬撃 【生物モチーフ】 カマキリ 【名前の意味】 残忍な予言者 【仮面ライダーアギト】 カマキリに似た超越生命体。 エルロードに仕える用心棒的な役割を担い、自身を挺して相手に立ち向かう程の忠誠心を抱いている反面、性格は血に飢えた残忍さに満ちている。 「慙愧の呉鉤」と呼ばれる2本の手鎌を武器とし、徹底的に相手を切り刻む事に喜びを感じるという。 客船「あかつき号」の乗客だった真島浩二を狙って行動するが、G3-Xとギルスの妨害によって阻止される。 水のエルの助力でG3-Xとギルスを退けるが、バーニングフォームの力を得たアギトになす術もなく、最期はバーニングライダーパンチを受け爆散した。 【仮面ライダーディケイド】 「アマゾンの世界」で大ショッカーの怪人として登場。 クウガと戦うも、鎌の1本奪われそれをタイタンフォームにフォームチェンジした際にタイタンソードに作り変えられてしまい斬撃を受け爆散した。 「ライダー大戦の世界」ではスーパーアポロガイストのライフエナジーによって数多くの怪人と共に復活し、すぐにバッファローロード タウルス・バリスタに吸収された。 【余談】 劇場版『PROJECT G4』に登場予定だったが、未登場に終わっている。 『特別編集 仮面ライダーアギト』によれば、「アギトと一騎打ちをする刺客のような存在になる予定だった」らしい。 『アギト』で声を演じる土屋氏は平成仮面ライダーシリーズでの出演は今作が初となり、第31~33話のアンノウンと第44~46話のアンノウンの声も演じている。
https://w.atwiki.jp/bemani2sp/pages/2270.html
GENRE TITLE ARTIST bpm notes CLEAR RATE HARD SYMPHONIC 煉獄のエルフェリア 猫叉Master+ 183 m% (yyyy/mm/dd) 攻略・コメント 序盤は12分譜面なのでニューガバの要領でリズムを刻みながら叩くといい。中盤の8分押しを越えればクリアも同然…だが、曲が終わるまで油断は禁物。 -- 名無しさん (2014-12-13 02 11 50) 中盤のシロフォン地帯が非常に難しい☆8下位レベルかもしれない しかし、そこを超えたら後は楽でイージーノマゲは☆7適正レベルなら楽勝だろう -- 名無しさん (2016-01-10 03 11 48) ぶっちゃけシロフォン地帯でゲージ吹っ飛んでも☆7がある程度捌ける実力があればイージーは余裕。救出は期待しないでおこう。 ただし先述のように、ハードは適正レベルでは厳しいので注意。 -- 名無しさん (2016-11-11 00 19 42) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4530.html
前ページ次ページゼロのエルクゥ 「……あの」 「なんだい?」 ちーちちち……と小鳥の囀りが響き渡る昼下がりの陽光の中を、二人は馬車でゆったりと進んでいた。 御者台で手綱を引いているのは、草色の髪を風に揺らすマチルダ。後ろに乗っているのは、物珍しい漆黒の髪を同じく風に流す楓だった。 「本当に、良かったのですか?」 「いいって言っただろ? 元々少しの骨休めのつもりだったんだし、どうせトリスタニアぐらいまでは行かなくちゃいけなかったんだしね。ついでさ、ついで」 かっぽかっぽ、という蹄の音が、なんともうららかな風景であった。 「ま、それに、あの子があんなに必死に頼み事をするなんて、初めてだったからね」 苦笑とからかいが半々に混じり合ったようなマチルダの言葉に、楓は少し頬が熱くなってしまう。 それは、昨夜、その『あの子』と友人の契りを交わした後の事だ。 『マチルダ姉さん、お願い! カエデさんを恋人さんのところまで案内してあげて!』 魔法学院には戻れない事を言うに言えず、承諾させられてしまった。 先ほどまで馬車に揺られながら、『学院長のセクハラに耐え切れず放り出してきたから戻るのはバツが悪い』というある意味真実な事情を楓に話したところだ。 「人の事情も知らないで無茶言うんだから、まったく……」 当の魔法学院でフーケ扱いされていないという事実はトリスタニアで情報を集めた時に知る事になるのだが、今はそうぼやくしかない。 しかしその言葉は、呆れと共に確かな慈愛が感じられるものだった。 「……すいません」 「別にあんたが謝る事じゃないさ。逆に感謝してるぐらいだよ」 「えっ?」 「良くも悪くも他人の事ばっか気にして生きてきたあの子が、少しでもワガママ言えるようになったって事だからね。大進歩さ」 「マチルダさん……」 「はは。私がこんな事言ってたなんて、テファには言わないどくれよ?」 「はい」 微笑み合う二人を乗せた馬車は街道を外れていく。 「道を外れていくみたいですけど、いいんですか?」 「ああ。急いで行きたいんだろ? 明日の夜はスヴェルの月夜って言ってね。二つの月が重なるんだ。そして、アルビオンが一番ハルケギニアに近付くのがその翌日なのさ。船乗り達は風石を節約するために、ここ数日辺りはあんまり船を出さないんだよ」 「ふうせき?」 マチルダは首を傾げた楓に、彼女はハルケギニアの外から呼ばれたらしいという妹の説明を思い出した。 「風の魔法の力が篭った石でね。ものを浮かしたりする力があるんだ。それを使って、船を空に飛ばすんだよ」 その説明に、燃料のようなものかな、と楓は納得した。なるほど輸送業にとって燃料代は大事な問題だろう。 「ありがとうございます。魔法の事はよく知らなくて」 「遠くから来たって話だけど、そこには魔法がないのかい?」 「はい。物語や、空想のお話の中だけの存在でした」 「ふぅん……」 馬車はどんどんと道から遠のき、荒れた地を進む。ごろごろ転がっている大きめの石に車輪が取られ、揺れが酷くなる。 マチルダが舌打ちしながら小さなタクトのようなものを振るうと、揺れが少なくなった。 「歩くならいいけど、馬車で通るのは億劫だねえ。まあ、モグリだからしょうがないか」 口振りからすると、魔法で道をならしたらしい。 それよりも楓には、マチルダの言葉の中の一つが気になった。 「モグリ?」 「ああ。今向かってるのは、モグリの竜籠屋さ。値段は張るけど、対応の速さは信頼できるとこだよ。……ああ、竜籠ってのは、風竜の手に人が乗る座席を持たせた乗り物の事。竜が目立つもんだから、街ん中には作れないんだ」 楓は、時代劇で見るような『籠』を思い浮かべて、納得した。 「驚かないんだね」 「……そういうのを否定する気はありません」 「そういうのを利用するマチルダ姉さんは、もしかしたら、このままあんたをさらって遊郭に売り飛ばしちまうかもしれないよ?」 「あなたの……ティファニアさんに対する思いを、信じていますから」 「……やれやれ。テファもとんだ奴をお友達にしちまったもんだ」 降参、とマチルダは両手をあげた。 § 夕方頃に到着したその竜籠屋というのは、地下に作られていた。 容易には発見できないようにカモフラージュされた入り口をマチルダは難なく開け、地下に下りていくと、大きな空間が広がった。 鍾乳洞のような洞窟だった。それも、かなり大きなもの。少なくとも数十メートルの高さはあるその中に、何頭もの大きな竜が羽を休めていた。 奥には、浮遊大陸の側面に開いていると思われる外に続く大穴があり、雲が垣間見える真っ青な光景が覗いている。 耕一が見ていたアニメの、ロボットが発着する為の格納庫というかカタパルトというか……そんなものを思い出させた。 マチルダが近くにいた男に二、三言話し掛けると、竜籠はすぐに用意された。 座席を広くした観覧車のような『籠』に乗り込むと、器用に竜の足がそれを掴み、大穴からその翼をはためかせた。 「…………すごい」 籠には、四方に窓がつけられていた。後ろを見ると、雲が高速で流れ、巨大な岩の塊のような陸地が、みるみる遠ざかっていくのが見える。 一度、耕一のところに行くとき、能登から飛行機で羽田まで行った事がある。その離陸時に見た地上が遠ざかっていく速度と比べても、遜色ないように感じられた。 そうして半日ほど飛んだだろうか。夕方から夜を通り越して早朝と呼べる時間に、竜籠は地上へと降り立った。 そこは、ダングルテールと呼ばれるトリステインの辺境一帯の山中だという。あまり人の住んでいない地域らしく、裏組織のアジトなんかが多いらしい。 そこからさらに乗用の風竜と御者を一騎チャーターし、首都トリスタニアまで一日。この世界の金銭感覚がわからない楓でも値段が張る事ぐらいは理解できたが、マチルダは自分の為でもあるから気にするなと言うだけだった。 『土くれ』のフーケ包囲の為の検問が怖い故に陸路を使わないというのがその理由だった。今こうして風竜で飛んでいる際にも、直線では向かわず、巡視をかいくぐるようなルートを通っている。 これまでと違って魔法学院では、束ねた髪と伊達メガネで誤魔化していたとはいえ、自分の顔を多くのメイジに晒している。少し腕の立つ土メイジなら、覚えた顔の人相書きを作る事ぐらいは十分可能だ。 さすがに何百枚も作るのは金も骨も折れる作業だろうが、あの魔法学院から宝物を盗み出したのだ。面子を何よりも気にする貴族連中の事、数日経てば国中に手配書が行き渡ると考えるのは妥当な判断と言えるだろう。 結論から言えばそれは杞憂だったのだが、そのおかげで通常三日はかかる道程を一日で踏破できたのだから、楓にとっては幸運だった。 そして、一つに重なった大小蒼紅の双子月が煌々と照らす夜を過ぎ、徐々に空が明るみ始めた早朝。それまで地上に垣間見えていた小さな集落ではなく、外れに大きな宮殿を構えた立派な街並が見えてくる。トリステイン王国首都、トリスタニアであった。 正面門ではなくその裏手に降り立った風竜は二人を降ろし、そそくさと飛び去っていく。 「正面門から出てすぐの交差を西にいけば魔法学院さ。私はこれ以上ついていけないけど、ま、うまくやりなよ」 「はい。本当にありがとうございます」 「落ち着いたら、コーイチ君を連れてテファのところに顔を出しておあげ。きっと喜ぶだろうからね」 そう笑い、楓に宿代と馬の賃料だと言って金貨の詰まった袋を渡すと、マチルダはばさっとフードを目深に被り、足音無く朝もやの中に消えていった。 楓はもう一度マチルダの消えた方向に向かって深く頭を下げ、街の外周を回って正面門へ辿り着くと―――そのまま自らの二本の足で走り出し、馬と見紛うようなスピードで街道沿いに西へと向かい始めた。 § そこに到着した頃には、気持ちの良い朝の空が広がっていた。 高い城壁。立ち並ぶ塔。まさに中世ファンタジーという趣のトリステイン魔法学院は、既に活動を始めているようだった。 「……耕一さん」 城壁の外から塔を見上げながら、その存在を感じてみる。 「…………?」 なんとなく、遠い感じがした。すぐそこの建物にいるというのに、以前と変わらないぐらいの、おぼろげな存在感。 異世界故の精神ネットワークの異常だろうか、と不安を抱えながらも、楓は正門に立っている衛兵に、マチルダに教えられた通りの言葉をかけた。 「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢に面会をしにきました。カシワギカエデ、と言えばわかると思います」 少し眠たげな顔をした衛兵が少々お待ちください、と詰め所に声をかけると、使いらしき別の衛兵が学院内に走っていくのが見えた。 「申し訳ありません。ヴァリエール嬢は外出中らしく、現在学院にはいらっしゃらないとの事です」 しばらくして戻ってきた衛兵は、戸惑った顔を隠さずにそう告げた。 楓は軽く途方に暮れかけるが、目的がここにある事は間違いない。このまま退散する道理はなかった。 「……どこに行ったとか、いつ頃戻るとかは わかりますか?」 「いえ、そこまでは……」 「……そうですか」 言葉を濁す衛兵に、楓は落胆を隠せなかった。 これからどうしようか、と正門から中央にそびえる巨大な塔を何ともなしに見上げる。マチルダの話によると、あの中に男子寮、職員寮、食堂、浴場、図書館、宝物庫等々主要な施設が詰まっているそうだ。大きいはずである。 そんな楓の視界に入る朝の光が、さっと何かに遮られた。 「あなたが、ミス・カシワギ?」 「……あなたは?」 それは、背の高い女性だった。燃え盛る炎のような、軽くウェーブがかった長い赤の髪が、よく陽に焼けた艶やかな肌にまとわりついている。 ボタンを意図的に外しているらしいブラウスからは、豊満な谷間が覗いている。自分か初音と同じぐらい線の細い体に不似合いな爆弾がくっついているティファニアと比べると、体のバランス自体は非常に健康的なものだった。というかむしろアレが異常すぎるのだ。 「私はキュルケ。キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーよ。お見知りおきを」 長い。長い上に、なんだかそこらじゅうからそれらしい名前をちぐはぐにくっつけたような、不思議な名前だった。 「……柏木楓です。あの」 「ええ。存じておりますわ、ミス・カシワギ。あなたが用があるのは、ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールではなく、その使い魔。コーイチ・カシワギなのでしょう?」 余裕綽々、という言葉を体現したかのような微笑みで言葉を続ける、キュルケと名乗った女性。 「…………」 楓は、事情を知っている人に会えたという僥倖に喜ぶよりも、警戒心を先に持った。 鋭く細められる楓の瞳に、キュルケはどこか懐かしいものを見るように目を細め、そのままさっと頭を下げる。 「ごめんなさいね、そう身構えないで。さっきそこの衛兵に話を聞いて、ちょっとお話したいと思っただけなのよ」 「……あなたは……?」 「うふふ。あなたの恋敵、ですわ」 「っ!?」 ばさぁっ、と髪をかきあげて、キュルケは余裕の笑みを妖艶なそれに変えて再び笑った。 § キュルケに連れてこられたのは、城壁にある小さな塔の一つだった。 そこは女子生徒の寮らしい。しかし案内された一室は、『寮』と呼ぶにはいささか豪華な部屋だった。部屋は広く、家具には豪奢な飾りがつき、なんと大きな浴槽がでんと一つ置かれている。どこからか、ふんわりと香水の香りが漂っていた。 「お掛けになって」 楓は警戒を緩めないまま、手近にあった椅子に腰を下ろす。 「さて、これからちょっとお話を聞きたいと思うのだけど……その前に」 キュルケはベッドに腰かけ、男を誘うような仕草で脚を組んだ。 「あなたは、どうやってここまで来られたの?」 「どうやって……?」 「彼は、とても遠くから来たと聞いているわ。とても歩いていけないようなところからと。さて、彼と同じ名前をもつあなたは、一体どこからいらしたのかしら?」 「…………」 話すべきだろうか、と迷った。キュルケは何かしら事情を知っているようだが、その意図が読めない。『話を聞きたい』などというのは理由になっていないし、何より……恋敵、という言葉だ。 耕一が浮気をしているなどとは思わないが、目の前の女性から漂う色気を間近に見ると、一抹の不安を覚えてしまうのも仕方のない事であっただろう。 ただスタイルがいいだけではなく、それを最大限に活かして男を誘う術を身につけている。そんな雰囲気を纏っていた。 「ああ、あまり深い意味は無いの。実はこの近くに住んでいたのか、本当に遠くから彼を探しにきたのか、その程度でいいのよ」 「……?」 まだ意図が掴めず、首を傾げて先を促す楓。 「残念ながら、ヴァリエールとコーイチは、本当にどこかに出かけていていないの。彼を探してここまで旅をしてこられた、というなら、帰ってくるまで泊まるところが必要でしょう?」 「……そう、ですね」 「お話を聞く代価として、私のお客様として学院の客室に部屋を用意してあげようと思っただけなのよ。タダで人を動かそうなんて、ゲルマニアの誇りに傷がつきますもの」 帝政ゲルマニア。トリステインの東に位置する、始祖を縁とする古い王権から独立した新興国家。 貴族ではなく商人の国、とも揶揄されているぐらいの、実力(拝金)主義の国だと、道行く雑談でマチルダが言っていた。魔法の使えない平民でも、お金で領地を買えば貴族として扱われるとか。 つまりは、これも取引、という事だろうか。しかし、恋敵、と称した自分の話にそこまでする価値があるとは思えなかった。自分という恋人から耕一自身の話を聞いて、簒奪の参考にするとか、そういう事だろうか? 「どうかしら?」 なんだかやりかねない雰囲気の女性ではあるが、確信は持てなかった。小さな頃から耕一一筋だった自分には、色恋の駆け引きなんて全く経験がないのだ。 それに……そういう方向に考えが向くように、わざわざ女の自分相手に色気を振りまいているようなフシが無いわけでもない。 おいしい話には裏がある。が、その『裏』を看破する事は、楓にはまだ出来なかった。 「……あなたは、なぜ私から話を聞きたいのですか?」 だから、聞いてみる事にした。どうせ交渉なんて出来ないのなら、真正面からぶつかるしかない。 ……なんだか、ティファニアの時にも同じような事を思ったような気がする。元の世界に戻ったら少しは人見知りを直そう、と密かに決意した。 「興味があるから、じゃダメかしら?」 「……何に、興味を?」 「色々、よ。彼の事も、あなたの事も、故郷の遠いところっていうのも。私の二つ名は『微熱』。好奇心という微熱から、身を焦がすような情熱は生まれますの」 「好奇心?」 「そう。本当に単純な興味よ。未知の場所から召喚された未知の異邦人。興味がないなんて言ったらゲルマニア貴族の名がすたるってものですわ」 腐った伝統を廃し、革新を取り入れ、ゲルマニアは力を付けてきたのだから、とキュルケは笑った。 それは、おそらく嘘ではない。しかし……全てを語っているとは到底思えなかった。 「……では、恋敵、というのは?」 「あら、鋭いのね」 キュルケは笑みを崩さない。楓は知らず、眉を寄せて睨みつけてしまう。 「そう怖い顔をしないで。そうね、素敵な殿方でしたから一度誘ってはみたのですけど、恋人がいるからってすげなく断られてしまいましたのよ。さて、奪い取るのも悪くはないかなって思ってたんですけれども……」 じっと、眉を寄せた楓を見つめて。 「身を引きますわ。勝てない戦はしない主義ですの」 そう、にっこりと笑った。 「…………」 その明け透け過ぎる笑顔に、楓は呆気に取られてしまった。 絶妙な距離で纏わりつくように思わせぶりな事を言っていると思ったら、あっという間に手の届かないところまで一直線に退却。なんとも自由奔放だった。 「ふふ。奪うのも奪われるのも世の常と思っていますけれど、誰かの『一番』には手を出さないようにしてますの。さ、お返事を聞かせてくださる?」 キュルケの邪気の無い笑顔に、楓は知らず張っていた肩をそっと下ろした。 なんというか……言葉で抵抗しても無駄、という気がした。どれほどの向かい風を与えても平気な……いや、向かい風を吹かせれば吹かせるほど、煽られて燃え上がる炎を相手にしているような。 「……わかりました。お言葉に甘えさせていただきます。ありがとうございます」 「いいのよ。ギブアンドテイクですもの」 キュルケは、まるで理想の男を口説き落としたかのような笑顔で、にっこりと笑った。 「さて、お返事がそうという事は、本当に遠くからいらっしゃったのかしら?」 「はい。おそらくこのハルケギニアとは別の世界から、ある人の唱えた召喚魔法に便乗してやってきました」 「……はい?」 それまで常に余裕を保っていたキュルケの眼が点になる。楓は少しだけ溜飲が下がり、小さく微笑みを浮かべた。 § 「……本当の未知っていうのは、未知である事すら未知、って事なのねぇ」 楓の話を全て聞き終えたキュルケは、肩を揉み解しながら一言だけぼやいた。 彼と彼女は、魔法の存在しない月が一つの別の世界から来たという事。 精神感応能力で召喚ゲートの波動を感じ取り、それに乗ってきた事。 この学院に耕一らしき人物が使い魔として召喚されたことを聞き、訪れた事……。 「自分で言うのもなんですが、信じるとは思いませんでした」 「それが全部嘘だとして、誰が得をするのよ?」 「……さっき散々あなたにやり込められた私が、あなたの驚く顔を見て」 真偽は利害で見抜ける。そう言い切らんばかりのキュルケの声に、楓は少し悪戯っぽい声を出した。 話すがら、この人は取引だと言いながら、実のところ善意で協力してくれているのだとわかったから。 「あっはっは! そりゃ一本取られたわね!」 笑い転げるキュルケに、騙されたという感じは見受けられない。 「ま、事情はわかったわ。というわけで、ルイズ達が帰ってくるまで、あなたは私のお客様。好きなだけここにいてくれていいから」 「ありがとうございます」 「いいのよ。それじゃ、適当な空き部屋貸してもらえるように言っておくわね」 楓はもう一度頭を下げた。思えばこの世界に来て以来、人の善意に甘えてばかりだ。 素性が不明な自分の面倒を見てくれたティファニア。 その頼みでここまで案内してくれたマチルダ。 事情を知って(本人は取引だと嘯いてはいるが)協力してくれるキュルケ。 もし自由に会う事が出来るのなら、友人として付き合いたいと思う人達ばかりだ。 でも、帰らなくてはならない。大切な姉妹達を放っておくわけにはいかないのだから。 ……相談もなく勝手にこっちに来てしまった自分が言える事じゃないのかもしれないけど。 「ふぅ……」 主が出ていった部屋は、どこか寂しげだった。 手持ちぶさたに窓の外を眺めながら、ため息を一つ。 「……耕一さん」 耕一とその主人が何処に出かけたか、誰も知らないらしい。 公休扱いになっている事から学院長の許可は得てあるようだけど、それ以上の事はわからない、とキュルケは話してくれた。 一昨日の朝、朝早く馬に乗って出かけていくところは見ていたという。こんな事なら後を追っかけておくんだったわ。あぁ、でもそうしたらカエデと会えなかったわね。などとわざとらしく肩を竦めていたキュルケを思い出し、楓は微笑みを浮かべた。 ―――そして、それは急激に訪れた。 「あ、ぐうっ!?」 がくん、と楓の体が波打ち、椅子から投げ出され、床にくずおれた。 「あ、あ、あ、あ……っ!」 例えるなら、ドアノブを握って静電気が火花を散らしたショックの万倍のそれが、体の中心を貫いたような、途方もない衝撃。 それは、以前にも感じたことのある物だった。 「こ、耕一さん、耕一さん、耕一さんっ!!」 そう、それは―――『エルクゥ』が覚醒した時の、悦びの咆哮。 一年前、千鶴の鬼氣を受けて目覚めさせられた耕一の鬼が顕現した時と同じ―――いや、その何倍、何十倍もの衝撃と、激情。 どんな距離も無意味に、世界中に響き渡る怨嗟。同じエルクゥであれば、否応無く叩きつけられる衝動。 それは、遥か記憶の彼方、次郎衛門がエディフェルを看取った際のそれに似ていて……。 「だ、ダメえっ! 耕一さあんっ!!!」 「カ、カエデっ!? どうしたのっ!?」 楓が叫んだ瞬間、ドアが開き、慌てた様子のキュルケともう一人、小柄な女の子が部屋に走り込んでくる。 「耕一さんが、耕一さんがっ!」 「ど、どうしたのよ? コーイチがどうしたの? あのテレパシーってやつなの?」 楓の性格を、だいぶマシとはいえタバサのそれと同類と見ていたキュルケは、その今にも泣きそうな必死の表情に面食らっていた。 届けられる慟哭。直接楓に向けられているわけではなく、ただ全てに振りまいているだけの波紋でありながら、その場所まで特定できそうなぐらいに強いそれは、楓を強く焦燥に駆り立てていた。 「あ、アルビオン……!?」 「アルビオン? アルビオンがどうしたの? もしかして、アルビオンにいるっていうの?」 感じ取ったその場所は、楓が最初に降り立った場所……アルビオンの方向だった。 「う、あ、ああっ……!」 「ほら、しっかりなさいっ!! 何か異変が起こってるなら、助けに行かなきゃいけないでしょっ!?」 「っ!? あ……?」 キュルケの一喝に、楓の瞳に理性の光が戻る。 「落ち着いた?」 「は、はい」 「そう。それで、ルイズ達はアルビオンにいるのね?」 楓は、ためらいがちに頷いた。 「あなたが行って、どうにかなりそうなの?」 「……わかりません。でも」 耕一が、『エルクゥ』の力を解放した。 自分は、その傍に行かなければならない。居なければならない。 「そ。タバサ?」 言葉を続けなかった楓の目からその決意を読み取ったキュルケが、一緒に部屋に飛び込んできた少女に声をかける。その少女は無言で頷き、さらりとその蒼い髪を揺らした。 タバサと呼ばれた少女は、指を口元に当て、ピィー、と甲高い口笛を鳴らす。 「行くわよ、カエデ!」 「え、ええっ!?」 タバサが窓を開け、そのまま空中に向かって何のためらいもなくジャンプを敢行した。 楓を抱きかかえたキュルケもそれに続く。 何かを考える間もなく、三人の体は、思ったより遥かに小さな衝撃と共に着陸した。 「え……?」 ばさあっ、と大きな翼が風を凪ぐ音。 そこは見覚えがあった。つい数時間前まで乗っていたようなところ……風竜の背中だ。 「さあシルフィード! 目標アルビオン! 全速前進っ!」 キュルケが空の向こうに向かってびしぃっと指を差し、タバサは無言で背びれに背を預け、本を広げて読み出した。 三人を乗せた風竜、タバサの使い魔シルフィードは、きゅーい! と一鳴きして、ぐんぐんと空を昇っていった。 前ページ次ページゼロのエルクゥ
https://w.atwiki.jp/palla_knights/pages/47.html
月曜スペシャルクエスト「エルフの里」 クエストリスト 炎のエルフ 消費体力 15 バトル数 5 水のエルフ 消費体力 15 バトル数 5 風のエルフ 消費体力 15 バトル数 5 光のエルフ 消費体力 15 バトル数 5 闇のエルフ 消費体力 15 バトル数 5 出現・ドロップクルー一覧(非固定) 以下、レアリティ順 名前 レアリティ 属性 ノワルマシラ ☆3 闇 ブレウマシラ ☆3 水 ジュネマシラ ☆3 光 ルジェマシラ ☆3 火 ヴェルマシラ ☆3 風 ヴェラマシラ ☆4 風 ジュネルマシラ ☆4 光 ルジェルマシラ ☆4 火 ブレイマシラ ☆4 水 ノワラマシラ ☆4 闇 ノワルグレマシラ ☆5 闇 ヴェルグレマシラ ☆5 風 ルジェグレマシラ ☆5 火 ジュネグレマシラ ☆5 光 出現・ドロップクルー一覧(固定) 名前 レアリティ 属性 ルジェグロスマシラ ☆6 火 ノワルグロスマシラ ☆6 闇 ブレグレスマシラ ☆6 水 ヴェルグロスマシラ ☆6 風 ジュネグロスマシラ ☆6 光
https://w.atwiki.jp/heisei-rider/pages/319.html
第3回放送までの投下順SS NO. タイトル 作者 登場人物 114 更ける夜 ◆.ji0E9MT9g 橘朔也、志村純一、フィリップ 115 喪失 ◆cJ9Rh6ekv. 小野寺ユウスケ、一条薫 116 対峙(前編)対峙(後編) ◆.ji0E9MT9g 津上翔一、城戸真司、三原修二、間宮麗奈、擬態天道、リュウタロス、名護啓介、左翔太郎、ン・ダグバ・ゼバ、浅倉威、紅渡 117 time――tricktime――linertime――rebirthtime――out 乾巧、村上峡児、橘朔也、志村純一、野上良太郎、門矢士、フィリップ 118 師弟対決♭キミはありのままで(前編)師弟対決♭キミはありのままで(後編) ◆gry038wOvE 紅渡、名護啓介 119 可能性の獣 ◆cJ9Rh6ekv. 葦原涼、キング 120 Bを取り戻せ/フィアー・ペインBを取り戻せ/切り札は俺の手にBを取り戻せ/闇切り開く王の剣 ◆.ji0E9MT9g 津上翔一、擬態天道、名護啓介、左翔太郎、ン・ダグバ・ゼバ、紅渡 121 全て、抱えたまま走るだけ 芦原涼、相川始、キング 122 夢よ踊れ(前編)夢よ踊れ(後編) ◆MiRaiTlHUI 城戸真司、浅倉威、三原修二、間宮麗奈、リュウタロス 123 決める覚悟 ◆.ji0E9MT9g 村上峡児、橘朔也、野上良太郎、門矢士、フィリップ 124 紅涙(前編)紅涙(中編)紅涙(後編) 一条薫、津上翔一、擬態天道、紅渡、名護啓介、小野寺ユウスケ、左翔太郎 125 魔・王・再・臨 葦原涼、相川始、乃木怜治(角あり)、乃木怜治(角なし) 126 ステージ・オブ・キング(1)ステージ・オブ・キング(2)ステージ・オブ・キング(3) 村上峡児、橘朔也、キング、野上良太郎、門矢士、フィリップ 127 What a wonderful worms 城戸真司、三原修二、間宮麗奈、乃木怜治(角あり)、乃木怜治(角なし)、三島正人、リュウタロス 128 忘られぬmelody! 一条薫、津上翔一、擬態天道、名護啓介、左翔太郎 129 レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕(1)レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕(2)レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕(3) キング、紅渡、小野寺ユウスケ 130 居場所~place~ 城戸真司、三原修二、間宮麗奈、乃木怜治(角なし)、リュウタロス、門矢士 131 飛び込んでく嵐の中(1)飛び込んでく嵐の中(2)飛び込んでく嵐の中(3)飛び込んでく嵐の中(4) ◆JOKER/0r3g ン・ダグバ・ゼバ、葦原涼、村上峡児、橘朔也、相川始、フィリップ 132 Diabolus 乃木怜治(角あり)、乃木怜治(角なし)、三島正人 133 未完成の僕たちに(1)未完成の僕たちに(2)未完成の僕たちに(3)未完成の僕たちに(4) 一条薫、津上翔一、キング、擬態天道、名護啓介、門矢士、左翔太郎 134 第三回放送 神崎士郎、オルフェノクの王、ビショップ、死神博士、ラ・バルバ・デ、水のエル、地のエル、風のエル、オーヴァーロード・テオス
https://w.atwiki.jp/bemani2dp/pages/2594.html
GENRE TITLE ARTIST bpm notes CLEAR RATE HARD SYMPHONIC 煉獄のエルフェリア 猫叉Master+ 183 1265 n%(yyyy/mm/dd) 攻略・コメント まず12分螺旋階段から始まり、12分に縦連打が混じり、DB16分階段に、最後は12分片手階段と逆サイド同時押しと、嫌らしい要素がふんだんに盛り込まれている HARDもノマゲも☆10では結構上位だろう -- 名無しさん (2014-05-05 00 22 46) 右鏡で右側の縦連が押しやすくなり、HARDを有利に進められる。ただ、癖のある押し方が多いので粘着は禁物。 -- 名無しさん (2014-05-26 15 50 05) ラストの片手階段が難所だが、片側の1357同時は絶対に外さないようにしたい。 -- 名無しさん (2014-07-30 12 21 40) 色々な要素が盛り込まれている譜面だが、ラスト以外の配置は割と素直な方なので、認識力と打鍵の正確さこそが攻略の鍵。 -- 名無しさん (2014-09-07 01 34 39) HEROIC VERSE八段2曲目に抜擢。かなりゴツい譜面なので七段には辛そう -- 名無しさん (2019-10-16 21 11 29) 侍、明日香、ポゼなどに比べればマシになったが、ゲージを死守したいなら軍手使うと最も効率良い。特に螺旋はスライド、同時押しは掌でゴリ押す、トリルは餡蜜、縦連はやや遅めに取るなど、要はタイミング次第だけど。 -- 名無しさん (2019-10-17 00 03 26) BP40台であればHARDが狙える DB地帯で生き残れば後は難所らしい難所はないためクリアは近い 一度ノマゲで試してみよう -- 名無しさん (2020-07-27 11 07 07) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/heisei-rider/pages/318.html
第3回放送までの時系列順SS 深夜 NO. タイトル 作者 登場人物 114 更ける夜 ◆.ji0E9MT9g 橘朔也、志村純一、フィリップ 115 喪失 ◆cJ9Rh6ekv. 小野寺ユウスケ、一条薫 116 対峙(前編)対峙(後編) ◆.ji0E9MT9g 津上翔一、城戸真司、三原修二、間宮麗奈、擬態天道、リュウタロス、名護啓介、左翔太郎、ン・ダグバ・ゼバ、浅倉威、紅渡 117 time――tricktime――linertime――rebirthtime――out 乾巧、村上峡児、橘朔也、志村純一、野上良太郎、門矢士、フィリップ 118 師弟対決♭キミはありのままで(前編)師弟対決♭キミはありのままで(後編) ◆gry038wOvE 紅渡、名護啓介 119 可能性の獣 ◆cJ9Rh6ekv. 葦原涼、キング 120 Bを取り戻せ/フィアー・ペインBを取り戻せ/切り札は俺の手にBを取り戻せ/闇切り開く王の剣 ◆.ji0E9MT9g 津上翔一、擬態天道、名護啓介、左翔太郎、ン・ダグバ・ゼバ、紅渡 121 全て、抱えたまま走るだけ 芦原涼、相川始、キング 122 夢よ踊れ(前編)夢よ踊れ(後編) ◆MiRaiTlHUI 城戸真司、浅倉威、三原修二、間宮麗奈、リュウタロス 黎明 NO. タイトル 作者 登場人物 123 決める覚悟 ◆.ji0E9MT9g 村上峡児、橘朔也、野上良太郎、門矢士、フィリップ 124 紅涙(前編)紅涙(中編)紅涙(後編) 一条薫、津上翔一、擬態天道、紅渡、名護啓介、小野寺ユウスケ、左翔太郎 125 魔・王・再・臨 葦原涼、相川始、乃木怜治(角あり)、乃木怜治(角なし) 126 ステージ・オブ・キング(1)ステージ・オブ・キング(2)ステージ・オブ・キング(3) 村上峡児、橘朔也、キング、野上良太郎、門矢士、フィリップ 128 忘られぬmelody! 一条薫、津上翔一、擬態天道、名護啓介、左翔太郎 早朝 NO. タイトル 作者 登場人物 127 What a wonderful worms ◆.ji0E9MT9g 城戸真司、三原修二、間宮麗奈、乃木怜治(角あり)、乃木怜治(角なし)、三島正人、リュウタロス 129 レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕(1)レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕(2)レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕(3) キング、紅渡、小野寺ユウスケ 130 居場所~place~ 城戸真司、三原修二、間宮麗奈、乃木怜治(角なし)、リュウタロス、門矢士 131 飛び込んでく嵐の中(1)飛び込んでく嵐の中(2)飛び込んでく嵐の中(3)飛び込んでく嵐の中(4) ◆JOKER/0r3g ン・ダグバ・ゼバ、葦原涼、村上峡児、橘朔也、相川始、フィリップ 132 Diabolus 乃木怜治(角あり)、乃木怜治(角なし)、三島正人 133 未完成の僕たちに(1)未完成の僕たちに(2)未完成の僕たちに(3)未完成の僕たちに(4) 一条薫、津上翔一、キング、擬態天道、名護啓介、門矢士、左翔太郎 【第3回放送】 NO. タイトル 作者 登場人物 134 第三回放送 ◆JOKER/0r3g 神崎士郎、オルフェノクの王、ビショップ、死神博士、ラ・バルバ・デ、水のエル、地のエル、風のエル、オーヴァーロード・テオス
https://w.atwiki.jp/mtgflavortext/pages/1083.html
ムル・ダヤのエルフはタジュールの一族を、梢に根が仕えていると考える尊大な樹の束縛者として拒絶している。 The Mul Daya elves reject their Tajuru kin, calling them arrogant tree-binders who think the roots serve the canopy. ワールドウェイク 「おとなしくしていれば、森はその生命でお前を包み込むだろう。」 "The forest will surround you with its life if you are still and calm." 基本セット2013 【M TG Wiki】 名前
https://w.atwiki.jp/mahougakkou/pages/123.html
https //picrew.me/ja/image_maker/1387003 基礎情報である 名前 エルグリド・ヘルズゲート 性別 女 所属/学年 基礎魔法科/1年 身長 135センチ 出身 魔界 好き 知らないものを知ること、掃除 嫌い 汚いもの 備考 竜人とエルフのハーフと上位悪魔の間に生まれた子。かなり珍しい血をしている。ロリ体型。 概要なのだ 愛称はエル。 くいしんぼうニーアの姉で色欲のお兄ちゃんの妹。ものすごい知的好奇心の持ち主で、気になることを知るためならどんな手段も厭わない気質。頭はいいが、ちょっとポンコツなのか発明品や研究結果はどれも意味の無いものばかり。たまに詐欺まがいの発明品を売っている。 潔癖症という程では無いが、散らかった部屋や汚いものはそれなりに許せないらしく、研究室として陣取っている教室はいつも整理整頓が行き届いている。 どんな性根の人間であれ、自分に知らないことを教えてくれた者は全て「同志」として扱う。 研究資金をよく身内に強請っているが、ラストールの寄越してくる金(賭博で稼いだ汚い金)は絶対に受け取らない。 背中に小さな竜の翼がある。が、ニーア同様空を飛ぶことは不可能。 長姉が決めた婚約者がいる。エルは結婚に乗り気では無い。