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いつか見たグラジオラス ◆EAUCq9p8Q. 君が今見ているものが 君がもう見てきたものだとするなら 君が見てきたものは今どこに 配点(四月馬鹿達の物語) ――――――――――― × 星が流れていくのが見えた。 森の中から、街の中へ。西から西へ。 中途半端な流れ星だ。昼の空を流れるというのも奇妙極まる。 そして何より、光の素が魔力だというのが、この舞台の上でNPCではない人物の―――参加者の目を引いた。 (魔法……いや、もっと陳腐な、くだらない『なにか』かな) 少女・シルクちゃんはその箒星の向かう先を見逃さないようにシルクハットのつばを持ち上げた。 その軌道を見るに、移動魔法なのだろう。 シルクちゃんの知っている世界にはそんな魔法は存在しなかった。 なにせ、彼女にとっての世界とは全て歩いていくことが出来る距離だったのだから。 黄泉の国だって、冬の街だって、遺跡だって、月だって、世界の壁の向こう側だって、全部歩いていけるのが当然なのだ。 一般的な世界に照らしあわせて便利な移動魔法など、必要が無いから存在しなかった。(例外的に『どこかにつながっているマンホール』や『入り込めるお菓子の家』はあったが) だからシルクちゃんはあえてその現象を彼女が知り、彼女も行使できるものとは全く別の『なにか』と称した。 そして、その『なにか』を見てシルクちゃんは少しだけ考えて、シルクハットを再び目深にかぶり直した。 『見に行くのか?』 頭のなかに、偉丈夫という単語に相応しい、年季の入った男の声が響く。 少女のサーヴァントであるランサーが、彼女の意思を読むまでもなく、少女の仕草だけを見てその後の行動を判断した、ということだろう。 (ちょうどいい狼煙だ。行く宛もないし、ひとまずはあれを追おう) 『で、どっちから行く?』 その問いかけでシルクちゃんはもう一度少しだけ考える。 シルクちゃんはあれを単純な移動魔法だと考えたが、ランサーの一言でもう一つの可能性に気づく。 どっち、というのはつまり箒星の始点か終点かという問いだ。 つまり、誰かが何かに魔法をかけて、始点から終点に向けて飛ばしたという物質転移魔法の類の可能性もある、ということだ。 もし移動魔法だったならば終点の方に参加者が居る。 もし物質転送魔法だったならば始点の方に参加者が居る。 仮に誰かが誰かを魔法の力で無茶苦茶にふっ飛ばしたならば、始点にも終点にも参加者が居ることになる。 ここからでは始点も終点も曖昧な位置しか分からない。 もし片方を重点的に探し、仮にそちらがハズレだった場合、魔法を発動した相手に逃げる機会を与えることになる。 じゃあどう動けばいいかと考え、すぐに答えは出た。 シルクちゃんは、この初日の段階では特に積極交戦を望んではいない。 本来ならば戦争が進むに連れて脅威になるであろう『暗殺者』や『魔術師』のクラスを潰しに動くのが定石だろうが、ことシルクちゃんに限ってはそれを急くつもりはない。 幸いなことに彼女のサーヴァントであるランサーは彼らに対して強い優位性を持っている。 気配遮断をしていようが、大仰な陣地を構えていようが、その穂先に姿を捉えて名を結んだならば斬って捨てることが出来る。隠れていようが両断し、陣地だろうと割断する。 彼らが脅威たりえないとするならば、シルクちゃんたちが心配すべきことは混戦に巻き込まれての負傷だろう。 初日で負傷し、その怪我が後々まで祟り続けるなんていうのは避けなければならない。 一対一、正面衝突なら受けて立つ。 その場で倒せるならば倒すが深追いはしない。 容姿や、技能や、スキル。真名を特定する材料が手に入れば御の字だ。 だからシルクちゃんは、頭に響く声にこう答えた。 (どっちも一緒に見に行けばいい。丁度、通り道だ) 『探す方法は』 (近くまで行ってランサーが実体化すれば、暗殺者でもないかぎり分かるだろう。 近くに居るようだったら会いに行って、戦えばいい) 『待ってる相手が暗殺者だったら? さすがの我でも気配遮断で近付かれたら反応が遅れるぞ』 (警戒を怠らなければいいだけの話だ。気配遮断ったって、いつまでだって消えていられるわけじゃない。 ランサーが実体化して、私が臨戦態勢に入っていれば、一撃目だけなら避けられるだろう。 それとも、もしかして、東国無双ってのは初撃以降も不意打ちを許すようなものなのかい) ランサーの笑い声が頭に響く。 シルクちゃんの言い回しが馬鹿にしたものではなくある程度信頼した上でのものだとちゃんと伝わったのだろう。 ランサーは興が乗ったように、一言返し、話を続けた。 『そこまで言われたなら、期待には答えてやんなきゃな。 それで、もし、どっちにも居なけりゃどうする』 (その時は当初の予定通り街に行くさ。フェイトって子が居そうな場所がどこかは知らないから、また宛もない旅になるだろうけどね) 『Jud.それが一番わかりやすい』 ランサーはその独特な切り返しで肯定の意を示す。 嬉しそうな声だ。 今度は声を上げて笑うようなことはないが、それでも調子が乗り、声が平生よりも少し上ずっている。 あのランサーに対してはしれっと口の悪い宝具が居れば「いくつになっても年甲斐のない」とでも言われてしまいそうだ。 シルクちゃんは箒星から頭のうちでやり取りをした男に意識を向ける。 ただ、まあ、年甲斐がないにしろ。 魔法に対しての着眼点もそうだし。やり取りで話題に上げる点についてもそうだし。 落ち着きはないが、こと戦闘・戦場・戦況に関してはその全てを鋭敏に感じ取り深く考えている。 これであとは、数値上は高位で表されている戦闘力の裏付けが取れれば、文句なしだ。 その辺は蓋を開けてみるまで分からない。 そうしてシルクちゃんはそのまま西の方へ、まずは箒星の始点である森林公園へと向かうことにした。 × 道を歩いていると、いろいろな人とすれ違う。 サラリーマンだったり、主婦だったり。昼間から出歩けるような人だったり、昼間でも出歩けるような人だったり、昼間しか出歩けないような人だったり。 少なくともすれ違った中にマスターが居ないということを確認しながら進んでいくと、道端に小さな本屋を見つけた。 森林公園へと向かっていた足が止まり、ふらりとつま先の向きがずれる。 シルクちゃんの頭の中に、ずっとひっかかり続けているものがあった。 『旅は続く 世界の謎その全てを解き明かすまで!』と書かれた本。 あのあかがね色の、布張りの、見覚えがないはずなのに見覚えがあった本。 シルクちゃんの失っていた記憶を呼び起こし、再び別離の悲しみを与えたあの本だ。 あれは、物語だった。 誰かの冒険の断章を、忘却されていくはずの夢を、永遠のものとしてまとめた物だった。 そして、シルクちゃんは確かに、その物語に覚えがあった。 自分が昔祖父から聞かされていた『マナみ』という少女の物語ではない。 だが、確かに覚えがあった。 シルクちゃんはいつか、どこかでこの物語を―――記憶を取り戻すよりもっと前に、読んだことがあるような気がしたのだ。 本屋で様々な物語の背表紙を眺め、どれもがあかがね色の本とは違うことを確認して、またふらりと店を出る。 歩く道すがら、財布に入れていた名刺を取り出し、眺めてみた。 『余計なもの屋 マツリヤ』 これがシルクちゃんのこの聖杯戦争におけるロールだった。 この舞台ではこの肩書が正規の仕事として存在するのか、それともNPC時代から自称していただけのものなのかは分からない。 ただ、この肩書は重要だ。 『余計なもの屋』とは、マホウ使いだ。 そうぞう力をその羽ペンの先に乗せることが出来る人間だ。世界を生み出し、新たなるマホウを生み出せる唯一の存在だ。 この名刺はそのまま彼女がマホウ使いであるという証明である。 名刺を眺め、再び例の本について考える。 不思議な事に、例の本の中にもこの肩書は登場していたのだ。 ほんのすこし、文章にすれば一文。一つのセリフだけ。 主人公がふと目覚めた時、そばに居た少女がそう名乗った、そんな描写だけ。 ただ、余計なもの屋なんてそうそうある名前じゃない、と思う。 そして、なにより。 あの三流探偵と、背丈の小さなマホウ使いと、ピー子の三人組。そして、姿も顔も描かれていないはずの『あなた』。 その四人組と余計なもの屋を名乗る少女たちの物語に、シルクちゃんはなぜか既視感を覚えたのだ。 五人の物語には続きがあるという。 それを読めば、その物語についてまた思い出せるのではないかと思って、本屋によった。 だが、どの本屋にも、あの本の続きは置いてない。 本について思惑を巡らせながら歩き続け、気づけば、森林公園の前に辿り着いていた。 いけないいけない、と頭を振る。 油断は禁物だとランサーに大言を吐いたのはシルクちゃんの方だ。 あの本については確かに気になるが、戦場でまで優先することではないはずだ。 ふと『忘却』という、少女が世界で最も憎んでいる単語が思い浮かぶ。 シルクちゃんは、話への既視感について心当たりを割り出せないことを『忘却』と関連付けているのかもしれない。 下らない感情論だ。と切り捨てる。 ルーラーと彼らの姿を重ねたように、行き過ぎた憎しみが虚像に向かって怒りを放っているだけにすぎない。 確かに『忘却』は必ず打ち倒すべき敵ではあるが、どれもこれもが『忘却』のせいというわけではない。 こじつけようと思えば、魔法少女同士の殺し合いだろうと、超高校級の学生同士の殺し合いだろうと、『忘却』とこじつけられる。 言い出せばきりがないことだ。ひとまずは戦闘に集中し、本についてはまた後々。 どうあれ19時には家に帰って来いと言われたので、家に帰ったあとにでも考えることにしよう。 一歩踏み込む。 わっとむせかえりそうになるほどの密度で森林の空気がシルクちゃんを包み込んだ。 【D-6/森林公園入り口/一日目 午前】 【シルクちゃん@四月馬鹿達の宴】 [状態]健康 [令呪]残り三画 [装備]魔法の羽ペン [道具]マツリヤの名刺 [所持金]一人暮らしに不自由しない程度にはある [思考・状況] 基本行動方針:聖杯を手に入れて、復讐する。 1.魔力の流れ星を追い、森林公園を通り抜けてD-5方向へ。 2.その場所に誰も居なければ街の方へ。 3.フェイト・テスタロッサに対しては―― 4.ルーラーへの不信感。 5.時間があれば『本』について調べる。 [備考] ※フェイト・テスタロッサを助けるつもりはありません。ですが、彼女をルーラーに突き出すつもりもありません。 ※令呪は×印の絆創膏のような形。額に浮き上がっているのをシルクハットで隠しています。 ※出展時期は不明ですが、少なくも友達については覚えていません。 例の本がどの程度本編を書いているのかは後の書き手さんにお任せします。 【ランサー(本多・忠勝)@境界線上のホライゾン】 [状態]平常 [装備]『蜻蛉切』 [道具] [所持金] [思考・状況] 基本行動方針:主の命に従い、勝つ。 1.マスターと一緒に街へ出て一暴れする。 [備考] ※宝具『最早、分事無(もはや、わかたれることはなく)』である鹿角は、D-7の奉野宅に待機しています。 BACK NEXT 020 逢魔が時に逢いましょう 投下順 022 マッド・ティーパーティー 時系列順 024 きっと世界は君のもの きっと世界は僕のもの BACK 登場キャラ NEXT 007 【>願う 何を? >幸せ 何が君の幸せ?】 シルクちゃん&ランサー(本多・忠勝) 028 三人目
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柳生九兵衛&アサシン ◆RzdEBf96bU ―強くなれ九兵衛 お前は男だ 父上やおじい様が僕を守るためだと知りながら、どこかで恨んでいた ―私 九ちゃんの左目になる 妙ちゃんの心を知っていたのに僕は目を背けていた ―みんな 自分の護りたいもの護ろうとしただけ …それだけだ 僕だけが妙ちゃんを守れると思い込んでいた 僕が皆に守られていることにも気づかずに 初めはあこがれだった。同じ女の子なのに強く生きていられる君に。 でも、その笑顔の裏に隠れるものを知って護りたいと思った。 だけど、何一つ護れていなかった。 護るどころか、君に勝手な重荷まで背負わせてしまって。 僕は…弱い。 ふと頬に一滴の涙が落ちた。 見上げると妙ちゃんが泣いていた。 僕のことをまだ親友だと言ってくれた。 男も女も関係ない。僕は僕だと言ってくれた。 君の気持ちを見て見ぬふりをした僕なんかを。 君の変わらない優しさに、堪えきれず涙が毀れそうになる。 今まで男であり続けるために堪え続けてきた涙が。 「妙ちゃん、…ごめ―――」 突然視界が歪んだ。 誰の声でもない少女の笑い声が聞こえる。 深く昏い処に意識が引きずり込まれる。 だめだ。まだ君に、謝れていないのに。 必死に手を君に伸ばそうとする。 だけどその手は届かなかった。 こんなに近くに君がいてくれたのに。 「―――九ちゃん?」 妙は先まで腕の中にいた少女を呼びかけた。 腕に残された温もりが偽りかのように、少女は世界からいなくなっていた。 ▽ 凛とした静寂に包まれた道場、一人少女の木刀が風を切る音のみが静寂に波紋を立てる。 木刀を振るたびに、少女の結んだ髪が左右に揺れる。 「随分と熱心なことね、九兵衛。」 「…アサシンか」 道場内に突然として新たな少女が現れた。 見ると対照的な姿の二人である。 九兵衛と呼ばれた眼帯の少女は男装に身を包み、女であるということを隠そうと見える。 対してアサシンの少女は、ミニスカートに足を包み女であることを前面に出した衣装である。女であることを武器にしている証拠である。 「別に熱心じゃないよ。ただ、僕はこの聖杯戦争で何をすればいいのか…わからない。 だからいつものように剣に励んでいるだけだ」 「ふうん、何か願い事とかはないの?」 「願いか…。別に聖杯に掛けるような願いは持っていない。ただ僕はみんなのところに帰りたい。 帰って妙ちゃんや新八君、父上、おじい様、みんなに…謝りたい」 九兵衛は俯きながら道場の片隅に腰を下ろし、アサシンもそのそばに座った。 「でも、怖いんだ。僕のわがままのせいで、父上やおじい様の心づかいを踏みにじって、 新八君の気持ちも下らないと言い捨てた僕が、例え帰えれても皆が赦してくれるのか…」 俯いて震える九兵衛を、アサシンは静かに頭を撫でた。 九兵衛は顔を上げアサシンの方へと顔を向けた。 まるで自分の姉であるかのように、とても優しい顔で見ていてくれた。 「大丈夫よ。アタシだっていろいろと間違ったり人をだましたりしてきた。だけど、そんなアタシにも赦してくれる人がいた。 あなたを今まで守ってきた人だもの、きっと許してくれるはずだわ」 「アサシン…それでも、僕は…」 「…そうね、あなたの恐れはあなたのものだもの。最後に乗り越えるのはあなたしかいない。 …でも、あなたが自分の弱さを、恐怖を乗り越えられるまで…アタシはあなたの傍で戦うわ」 アサシンの言葉に、九兵衛はどこか羨ましさを感じていた。 同じ女の子でありながら、強く生きるアサシンに、妙の姿を重ねて。 ふと目の前が滲んでいることに九兵衛は気づいた。 何故か涙が毀れそうになっていた。 瞳を掌で覆い、涙をぬぐった。 今はまだ、泣くときじゃない。涙を流すのはすべてが終わった時だ。 涙を心の奥にしまい、九兵衛はアサシンに仄かに笑って見せた。 【クラス】 アサシン 【真名】 ブルー@ポケットモンスターSPECIAL 【属性】 混沌・中庸 【パラメータ】 筋力E 耐久C 敏捷D 魔力E 幸運B 宝具A 【クラス別スキル】 気配遮断:C(B) サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。 完全に気配を断てば発見する事は難しい。 【保有スキル】 ポケモントレーナー:B ポケモンバトル、育成、捕獲、知識など、ポケモントレーナーとしての総合的な実力。 Bランクであれば、トップクラスのトレーナーであることを示す。 変装:C 変装の技術。手持ちポケモンのメタモンの力を利用して行う。 Cランクならば、人間であれば親しい者でも騙し通せるレベルで変装できる。 また変装中は気配遮断スキルが1ランク上昇する。 色仕掛け:E 自身の色香を利用して異性を誘惑する技術。 精神干渉耐性スキルで対処可能。 スリ:B 他者の物品を気づかれずに盗み取る技術。 化える者:A ポケモントレーナーとしての固有能力。 ポケモンの進化について、高い知識を有する。 Aランクならば、ポケモンの進化のタイミングの察知、初見のポケモンでも進化条件が推測可能のレベルである。 【宝具】 『今より化われ、獣たち(ポケットモンスター)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1 #65374;30 最大補足: #65293; ブルーと共に戦ってきた手持ちポケモンたちが宝具と化した。 それぞれがEランク相当の気配遮断スキルを有している。 自らが収まっているモンスターボールがアサシンとのパスとなっており、これが破壊されると パスが途切れて、消滅する。 手持ちポケモンは、以下の6匹である。 ぷりり(プクリン♀) 特性:メロメロボディ カメちゃん(カメックス♂) 特性:げきりゅう メタちゃん(メタモン) 特性:じゅうなん ピッくん(ピクシー♂) 特性:メロメロボディ ニドちゃん(ニドクイン♀) 特性:メロメロボディ ブルー(グランブル♂) 特性:はやあし 『水勢の激流(ハイドロカノン)』 ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:20 最大補足:80 キワメ婆との特訓でアサシンとカメックスが習得した水タイプの究極技。 激流のような水の砲撃を放ち、攻撃する。 使用後一ターンカメックスは技の使用の反動により動けなくなる。 『弱さを乗り越えて、三翼よ羽ばたけ(サ・ファイ・ザー)』 ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1 #65374;30 最大補足: #65293; アサシンが幼少時代、ホウオウにさらわれた時の弱さと恐怖を克服したことから得た宝具。 伝説の鳥ポケモン、サンダー、ファイヤー、フリーザーの3匹を召喚する。 通常のポケモン召喚よりも魔力消費は格段に高くなっている。 【人物背景】 図鑑所有者の一人である少女。ちゃっかりとした性格で、女であることも時には武器にする。 幼少期仮面の男にホウオウを利用して連れ去られ、その時の恐怖から鳥ポケモン恐怖症となる。 その後、シルバーと共に仮面の男の元から脱出する。 脱出後は、オーキド博士からゼニガメを盗む、レッドに偽アイテムを売りつけるなどの悪事を働いていたが、 ポケモンリーグにて自分の孤独、レッドやグリーンへの羨望を吐露し、オーキド博士に赦してもらい、第3の図鑑所有者となる。 第2章では、四天王に対抗するための力にイエローを見出し、彼女をサポートする。 第3章では、仮面の男との因縁を清算するために闘いに挑む。 ホウオウを操るカリンとイツキの前にトラウマに呑まれかけるが、シルバーの思いを受け止め弱さを乗り越える。 第5章では生き別れの両親を再開直前ロケット団にさらわれ、ショックに打ちのめされるが、自身の運命の決着がため戦いを決意する。 しかしサキのポケモンの攻撃により仲間たちと共に石化する。 第6章で、エメラルドの願いにより石化を解かれ、図鑑所有者10人でガイルとの決戦に挑む。 【weapon】 ポケモン図鑑 盗聴器や発信機、改造シルフスコープなどの発明品 【サーヴァントとしての願い】 九兵衛が弱さを乗り越えられるまで戦う 【マスター】 柳生九兵衛@銀魂 【マスターとしての願い】 元の世界に帰って皆に謝りたい 【weapon】 無名の日本刀 【能力・技能】 神速の剣の使い手 【人物背景】 左目に眼帯をした柳生家次期当主にして、柳生家始まって以来の天才ともいわれるほどの剣の達人。 生まれた時母親が死に、父が「後妻を迎えて九兵衛の居場所がなくなってしまわないように」と考えてあえて男として育て上げた。 女の子でありながら強く生きる妙の姿に憧れ、借金取りから妙を守るために左目を失う。 幼少のころの結婚の約束を果たすといい、妙を柳生家に嫁がせようとするが万事屋と真選組との対決で敗北。 敗北後、妙の真意を聞いて互いに涙を流しながら和解する。 その後は本人はいたって真面目だが大ボケをかますクールボケキャラになった。 キャラ被りしているとして桂からはライバル視されている。 普段は男装をしているが、ゴスロリが似合う美少女。 男に触れられるのが嫌いで、ちょっとでも触れられるとブン投げてしまう。
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少女性、少女製、少女聖杯戦争 また来ん春と人は云う しかし私は辛いのだ 春が来たって何になろ あの子が返って来るじゃない 『また来ん春……』 中原中也 現在の予約 書き手 予約キャラ 期限 現行スレ:少女性、少女製、少女聖杯戦争 二章
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歌×魔法×美少女のスタイリッシュ学園アクション! 著者:雨野智晴 イラスト:たにはらなつき A6(文庫)609円(税込)ISBN978-4-8401-3898-7 2011年4月25日発売 科学と魔法が共存する世界。魔法は女性の歌によって発動するため、魔法使いは『歌姫』と呼ばれている。そして彼女たちの能力を高めるために、パートナーとして僕たち『奏士』が存在するのだ。ただ、そのためには歌姫とキスをしなくちゃいけないので、ちょっと恥ずかしいけれど……。そんな僕こと神凪タケルは、歌姫と奏士を育成する世界唯一の教育機関・カンタトリス音楽院で、パートナーの花穂たちと訓練に励んでいる。だがそこに、離れて暮らしていた僕の妹である、日本のトップ歌姫・姫咲明日香が現れて――!? 歌の想いが世界を変える、スタイリッシュ学園アクション!「世界とかどうでもいい! キスした責任取れー!」「責任取れって言われてもさ!」 作品について ダカーポコンビの作品。 なので、妹が優遇されるのは間違いない。 内容は大体ポ○フォニカでシン○ォギアなことをしつつイチャイチャする。 設定上、戦闘前にキスの必要があり、妹以外ともキスをする。 もちろん妹もキスをする。 しかし、他のキャラと二人っきりになることもかなり多い。 また、人によっては凌辱描写とも取れる場面がいくつか出てくるので注意 +凌辱描写についてのネタバレ3巻 3巻 ・世界で中継されている舞台において、妹が相手の召喚したイカの怪物に触手攻めされる 口に触手入れられたり、開脚させられたりを放送される ・主人公の幼なじみが嫌味な上級生のパートナーになろうとしてパシられたりひどい扱いを受ける +妹ではないが、凌辱描写についてのネタバレ4巻 4巻 幼なじみが誘拐されて、数時間たった後主人公が助けに駆けつける。 何かをされた描写はないが… 妹について 異性として兄が好きなガチブラコン。 呼び方は兄さん。機嫌が悪いときは兄。 本人の戦闘スペックも作品中で最高クラス。 兄のことが一番だけど、兄を好いている友達も大切にする。 やったこと一覧 ストーカー 兄ニー 着ボイス「明日香、愛してるよ」 「兄さんの身体からわたし以外の女の匂いがする」 匂い上書き 兄の自慰覗き見 覗き見した兄の自慰をオカズに自分も自慰 世界に兄とのキスを放送 週一回タオルなしお風呂 毎日一緒に寝る ベロチュー 既成事実(描写がないがしたかもしれない) ク○ニ(描写がないがしたかもしれない) 兄について 妹のことは異性としてみてはいけないと感じつつ抑えられていない感じ。 803 イラストに騙された名無しさん [sage] 2012/07/12(木) 23 35 47.56 ID AC7xJifH とりあえず現在進行中の実妹のラノベの感想とか概要 詠う少女の創楽譜 良い点 ・妹と主人公がキスしてるし妹ENDとしては一番期待できる作品 ・妹はちょいツンデレだがほぼデレデレでめちゃくちゃかわいい ・系統としてはCANVAS2のエリスに似てる感じの妹 ・他の男と絡むだけで嫌な俺でも例の陵辱は全然大したことなかった、アンチが騒いでるだけ ・世界中に実妹とのキスシーン公開したりデートしたり実妹が主人公にベタボレで他の男とは話すことすらあんまなし ・主人公も妹を意識してる、妹は処女でファーストキスも主人公確定してる ちょい注意点 ・嫌な男の先輩が主人公のパートナーである同学年のサブヒロインをパシリに使ったりいじめたりする展開あり ・妹は全く問題ないが先輩ヒロインはチューニングとして他の人に手の甲にキスされたりする(でも他の人は先輩ヒロインのことを嫌ってるから特に嫌な感じはなし) ガチ処女厨の俺でも不快感なく見れる 妹に関しては完璧に近い 819 イラストに騙された名無しさん [sage] 2013/02/26(火) 06 55 40.34 ID 5JtRMHa0 やっぱ創楽譜はリアル妹ものの中では最高傑作かも知れん とにかく明日香の嫉妬が可愛すぎる 濡れ濡れ花穂さんが身を引いちゃったからマジで明日香ルート確定だな 1巻 152 イラストに騙された名無しさん [sage] 2011/04/30(土) 23 32 35.33 ID N+DRsU0k 創楽譜は妹のキャラはツンデレのようでデレデレで結構いいけど もう一人のヒロインも結構出番多くて設定上キスとかもするのが何とも 2巻 +ネタバレ 679 イラストに騙された名無しさん [sage] 2011/08/26(金) 19 57 28.52 ID REeYnFkc 創楽譜2 一巻と違い戦闘での妹の活躍は全くない ラブコメでは表紙の子がメインで他ヒロイン二人が軽く空気なのに妹の出番だけはそこそこあった 兄はシスコンを否定しつつも妹相手にドキドキしてたり、他人の前で妹に愛してると言わされて実行できたりするし 妹は妹で相変わらずのブラコンっぷりを発揮してるしで、それなりにニヤニヤできる内容だと思う ただ実義に関しては義理を匂わせる文章は全く無かったし 同母っぽいけどやっぱり断言なしで一巻と同じく曖昧なままでした 680 イラストに騙された名無しさん [sage] 2011/08/26(金) 23 08 37.58 ID XiTYATym 創楽譜2良かった 花穂とダブルヒロインでターン制かと思ってたんだけどそんなことは全然無かったな。明日香が完全にメイン 兄を好きな理由について明日香視点で丁寧に語ったりほっぺちゅーも巻ヒロインより先にさせたり分かってる 803 イラストに騙された名無しさん [sage] 2011/10/01(土) 15 58 01.96 ID dyJZ2OPP ・創楽譜2読了 妹が遺憾なくブラコンを発揮するも、ほとんど出番がない (略) 806 イラストに騙された名無しさん [sage] 2011/10/01(土) 19 54 26.88 ID U2Ee+9qT え…創楽譜の2巻、ヒロインの中じゃ一番出番多かったよ? 3巻 +ネタバレ 93 イラストに騙された名無しさん [sage] 2012/01/09(月) 19 00 14.53 ID yVDIK0aF 創楽譜3巻、明日香の甘えん坊描写すごくよかった 640 イラストに騙された名無しさん [sage] 2012/05/24(木) 02 25 32.05 ID OLc+Cy5O 上でお勧めされていた創楽譜3巻まで読んでみた。 妹の明日香は劣等生の深雪タイプの優等生美少女だが、そのブラコン具合は おにあいの秋子に匹敵する重症度だったぜ…最高だな! 基本ハーレムだし、いつ一線を越えてもOKなブラコン度はむしろ負けフラグ かと危惧もあるが、3巻ラストで兄貴も完全に一人の女の子として認識して 4巻 +ネタバレ 701 イラストに騙された名無しさん [sage] 2012/06/26(火) 01 09 49.63 ID HWUwTGRM バレ解禁なので創楽譜 明日香を異性として意識していちゃラブデート これだけでも4巻まで読み続けた甲斐はあったな 703 イラストに騙された名無しさん [sage] 2012/06/26(火) 06 11 59.19 ID aABLL0Hl 創楽譜良かったなぁ 久々にリアル妹とのガチ恋愛ENDが期待できる とりあえずちゅうは済ませた 704 イラストに騙された名無しさん [sage] 2012/06/26(火) 10 04 49.20 ID dXTqoNqw 創楽譜また陵辱未遂って聞いてたから呆れてもう切るつもりだったが 明日香エンドの可能性あるならまだ買ってみるかね 715 イラストに騙された名無しさん [sage] 2012/06/28(木) 22 59 12.84 ID h5cLx+OC 妹ものでは創楽譜が頭ひとつ飛びぬけてる感じだな~ 実妹で兄妹ともに相手を異性として意識してる作品は珍しいのでは。 倫理のブレーキももはやガタガタで、ついには初夜疑惑まで出てるしなw 妹が処女あげると裸で抱きつき場面暗転→翌日の妹の今日 も 一緒に寝る& 今日 も 妹おっぱい触らせる発言… ミスリードだろうが、これは疑惑も出るわw くれたから次が楽しみだ。 729 イラストに騙された名無しさん [sage] 2012/06/30(土) 05 38 20.62 ID BXZhUd0R 創楽譜は妹が本気であることがたびたび語られること、濃いエピソードがあること、 兄側もまんざらではないこと、という点がいい。 4巻の時点ではヒロインポジションとしてかなりいい位置にいると思う。 兄ちゃんとキスするしなw 815 イラストに騙された名無しさん [sage] 2012/07/13(金) 20 35 31.16 ID i+4yQePb 創楽譜の触手シーンはマジでなんてことはないぞ そして4巻のイチャラヴとジェラシーは神なので安心して嫁 857 イラストに騙された名無しさん [sage] 2012/07/30(月) 18 40 49.14 ID jGMk5KfH 創楽譜4巻一気読み完了 ダメだろこれ。妹云々より前に小説としてダメダメだろ。 ブコフ行き決定。 6巻 +ネタバレ 818 イラストに騙された名無しさん [sage] 2013/02/26(火) 00 19 55.58 ID MrJUHdI0 (略) 創楽譜6巻も相変わらずよかったな 妹ちゃんとベロチューしたっぽいけど描写がないのが残念すぎる… 今後書いてくれるんだろうか 869 イラストに騙された名無しさん [sage] 2013/03/05(火) 19 53 56.56 ID gkMqsHQF 創楽譜6巻も相変わらずだった 表紙の子のターンなはずなんだけど、冒頭と最後はやっぱり妹のターン 毎日一緒の布団で寝る、週一回一緒にお風呂もちろんタオルなし 描写がないけどついにクン○もやったっぽいね 問題点は、兄がほかの女といちゃいちゃが多いぐらい 7巻 +ネタバレ 622 イラストに騙された名無しさん [sage] 2013/08/01(木) 00 38 56.16 ID VF4l2uUf 創楽譜7巻読了。以下ネタバレ注意 ・あとがきで今巻で区切りって書かれてるし話の内容的にも最終巻 かなり駆け足展開だったから多分、打ち切り ・駆け足だけど、投げやりにならずに物語的にしっかり完結させてるのが個人的に好印象 ・恋人になりました~って展開じゃないからはっきり実妹ENDとは言えないかもしれないけど、 個人的には実妹ENDと言っても過言じゃないと思う 打ち切りなんだろうし仕方ないかなって思う。一巻でこれ以上やるのは難しいだろうし ・明日香が「実の妹」ってはっきり言ってるから実妹確定 ・以下兄妹的ニヤニヤ展開 ・明日香さん、一緒にお風呂を週一から週三に増やすことに成功 ・タケルの勃起に気付いている発言を数回 ・花穂の、妹なのに兄を好きなんておかしい、兄妹はどこまでいっても兄妹という発言に対して 「結ばれたら家族なんてものを超越した特別な関係になる」と返す ・明日香さん男湯乱入&夜這いをかける ・夜の屋上で抱き合う兄妹 タケルの「恋人は言い過ぎだけど、一番大切な女の子」発言に全力で照れる明日香さん ・一番最初の調律をゲットし、エロエロ濃密チューニング ・エピローグでタケルが「ずっと明日香の隣にいるよ」と発言。その後明日香が不意打ちキス ・最後の挿絵は兄妹のキス(唇が重なってないのがちょい残念) 明日香優遇されまくりだし、タケルの発言とかエピローグ読む限りだと打ち切られなかったら もっとしっかりした形で実妹ENDやってくれたんだと思う。だから余計に残念でならない もう一冊ぐらい出してくれないかな・・・・ 個人的に大満足でした。実妹ラノベとしては今のところ一番好き。長くなってしまって申し訳ない 関連リンク ある日、神様がスマホにおわしまして 詠う少女の創楽譜 | MF文庫J オフィシャルウェブサイト
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以下は、http //namidame.2ch.net/test/read.cgi/pet/1242736488/から引用 【フェレット】いたち好きスレッド77本目 99 :名も無き飼い主さん 2009/05/25(月) 09 14 40 ID mZZEZrRI 最近フェレットを買い始めた新参ですm(_ _)m フェレットの居る部屋でお香って焚いても大丈夫なのでしょうか? 100 :名も無き飼い主さん 2009/05/25(月) 09 46 21 ID /goEOJ1u 99 だめです。お香は喉の炎症を招きます。付け加えるならアロマオイルは精油が肝臓を悪くしますので、 アロマもだめです。両方ともフェレのいない部屋で使って下さい。 101 :名も無き飼い主さん 2009/05/25(月) 10 11 14 ID mZZEZrRI 100 了解です! 皆さん、臭い対策は何かなさってるのでしょうか?シャンプー、掃除以外で 102 :名も無き飼い主さん 2009/05/25(月) 11 09 08 ID /goEOJ1u 101 空気清浄機や脱臭機を使ってる人が多いと思いますよ。 飼い始めたばかりなら、ベビーフェレットですか? それだと慣れない匂いとベビー臭で かなり臭く感じると思います。ベビーは大人のフェレットより臭いです。お湯で絞ったぬれタオルで からだを拭いたり、ハンモックをこまめに交換することで、大分軽減できます。 匂いはフェレ本人より、布製品に染み込んでいるのが匂うことが多いですから。 104 :名も無き飼い主さん 2009/05/25(月) 12 25 58 ID mZZEZrRI 102 なるほど布ですか(^o^) こまめに洗うよう心がけます あとひとつだけ質問何ですが 放牧中に掃除機って大丈夫ですか? 106 :名も無き飼い主さん 2009/05/25(月) 15 27 29 ID rCVQ7ba7 うちも脱臭機使ってるけど匂い気にならないよ あとは週2でハンモックとかタオルとか洗濯して、置き型ファブリーズと絨毯には直接スプレー 掃除機に頭吸われるの好きなフェレいるくらいだし大丈夫じゃないかな? 107 :名も無き飼い主さん 2009/05/25(月) 17 52 34 ID CtAqEO9K 102 うちのは 初めて掃除機目の前でかけたら ダッシュでトイレに駆け込んで ウンチとおしっこ ちびってた。 103 コノコノ( ´∀`)σ)゚Д゚;) ツンデレさん 111 :名も無き飼い主さん 2009/05/25(月) 18 47 09 ID vUPOAo08 110 メール欄に小文字でsageっていれるだけだよ。 うちも置き型消臭剤とスプレー(舐めても大丈夫な動物用)。 布って匂い染み付くんだよ。 室内だと鼻慣れて、外出てから気が付くと服からフェレズのかおり〜って事があるからファブリーズも愛用。 114 :名も無き飼い主さん 2009/05/25(月) 22 01 24 ID ar7C/BHC 家の中からフェレ臭がどんどん消えていく たまに臭いが残ってる物を見つけるとシンナー少年みたいにクンカクンカ嗅いでる 洗濯しないで取っておいたフリース類の臭いも弱まってる 120 :名も無き飼い主さん 2009/05/26(火) 10 18 16 ID eaImByWC 玄関がシッコ臭い 122 :名も無き飼い主さん 2009/05/26(火) 13 07 56 ID XqMAINHs 120 IDがトイレだから しょうがない
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愛の夢◆PatdvIjTFg 少女は、誕生日会の夢を見ていた。 テーブルいっぱいに並べられたごちそうと、中央には丁度少女の年齢と同じ本数のろうそくが刺さったケーキ。 会場となる自分の家は、辺り一面紙で出来た飾りでドレスアップされ、自分の家なのに自分の家でないような、どこか不思議で――そして、素敵な気分にさせてくれる。 お父さん、お母さん、お兄ちゃん、おともだち――皆が皆、自分のことを祝福してくれる。 本当に幸せな夢を見ていた。 ジリリリリリ――と、ベルが鳴る。 少女を現実へと連れだす、機械的で冷たい音色だ。 目が覚めて、少女はほんのすこし泣いた。 記憶を――取り戻してしまった。 「さくらちゃん?起きてる?」 「うん……お、」 「お?」 「お母さん……?お母さん…………」 「まぁ、さくらちゃんはあまえんぼさんね」 二階の彼女の部屋へと入り込んだ母に抱きついて、涙で潤んだ目を隠した。 この世界の真実は、残酷だ。 いつかは覚めなければいけない夢だというのに、全てが皆偽物であるというのに、 「お母さん、聞いて……わたし」 「もう、どうしたの急に」 記憶を取り戻せない内は、なんとも思っていなかった。 ただ、他の少女達のように極平々凡々と――家族が揃っているという幸福を平然と受け入れて、そうやって過ごしてきた。 しかし、記憶は戻ってしまった。 だから――もっと話したい。母親に自分の言葉を聞いて欲しかった。 おはようも、いってきますも、ただいまも、いただきますも、ごちそうさまでしたも、おやすみも、学校であったことも、友達のことも――自分のことを、もっともっと話したかった。 「お母さん、みんなでお花見に行こう」 「うん」 「夏になったら、一緒に海水浴に行くの……秋は運動会に来てほしいし、冬はスキーに行こう」 「うん」 「みんなで、行こう……」 「うん、一緒に行こうね……さくらちゃん」 思い出だって、もっとたくさん作りたい。 アルバムに皆で一緒に撮った写真が欲しい。 思い出の写真を見て、皆であの時は楽しかったねって笑いあいたい。 たとえそれが偽物でも。死んでしまって、いるはずがなくても。 お母さんと、もっと一緒にいたい。 お父さんがいて、お兄ちゃんがいて、おともだちがいっぱいいて、だから、寂しくなんか無かった。 お母さんがいて、お母さんと話せて、お母さんが――抱きしめてくれる、この暖かさを知らなかっただけだった。 だから。 「わたし……お母さんに会えてよかった」 「……私も、さくらちゃんに会えて良かった。さくらちゃんが生まれた時から、ずっとずっとそう思っているわ」 ごめんなさい、お母さん。 「……いってきます」 「さくらちゃん?」 「さくらさん?」 「さくら?」 少女は走りだす。 行くべき場所はわかっている、そこは少女の始まりの場所だった。 薄暗い父の書庫。今の少女ではとても読むことの出来ないような本の山。 そこにいたのは、触れれば砕けてしまいそうな華奢な躰に新選組の羽織を纏った少女であった。 春先にも関わらず首元にマフラーを巻いているのは、その病的に白い肌が――より多くの温もりを欲するからか。 髪すらも色を失うほどに寒いか、日本人にありながらその髪色は天然の金に近づくほどに白い。 彼女が、少女に問う。 「問おう、貴方が私のサーヴァントか」 「はい、わたしがあなたのマスター……さくら、木之本桜です」 桜は、ふうと息を吐く。目の前の少女から発せられる気は烈しい。 意図的に威圧しているわけではないのだろう、だが己のマスターが何者であるかを見ようとするのだ。 その気は無自覚的に鋭くなろう。 「貴方は何を願う?」 「帰りたいです」 「ここが貴方の家ではないのか?」 「ここはわたしの大切なおうちです……でも、お父さんも、お兄ちゃんも、雪兎さんも、ケロちゃんも、知世ちゃんも、みんな、みんな、待ってると思うから、 それにお母さんも、お空の上のきれいなところで……見守ってくれていると思うから。 わたしはほんの少しだけ、いい夢を……見ていただけなんです、きっと、さびしいけど、つらいけど、かなしいけど……でも、帰らなくちゃ」 「わかりました」 少女がやんわりと微笑む。 「このセイバー、沖田総司。きっと、貴方を家に帰します。だから……泣かないで」 桜も微笑みながら、うっすらと――気が付かぬままに、泣いていた。 「もう大丈夫……絶対、大丈夫だよ……セイバーさん」 【クラス】セイバー 【真名】沖田総司@Fate/KOHA-ACE 帝都聖杯奇譚 【属性】中立・中庸 【パラメーター】 筋力:C 耐久:E 敏捷:A+ 魔力:E 幸運:D 宝具:C 【クラススキル】 対魔力:E 幕末に魔力とかそういうのねぇから! 神秘の薄い時代の英霊のため対魔力がほとんど期待できない。 申し訳程度のクラス別補正である。 騎乗:E 新選組が騎馬を駆って活躍、という話は寡聞にして聞かぬ。申し訳程度のクラス別補正である 【保有スキル】 心眼(偽):A 直感・第六感による危険回避。虫の知らせとも言われる、天性の才能による危険予知。視覚妨害による補正への耐性も併せ持つ。 病弱:A 天性の打たれ弱さ、虚弱体質。桜セイバーの場合、生前の病に加えて後世の民衆が抱いた心象を塗り込まれたことで、「無辜の怪物」に近い呪いを受けている。 保有者は、あらゆる行動時に急激なステータス低下のリスクを伴うようになる、デメリットスキル。 発生確率はそれほど高くないが、戦闘時に発動した場合のリスクは計り知れない。 縮地:B 瞬時に相手との間合いを詰める技術。多くの武術、武道が追い求める歩法の極み。 単純な素早さではなく、歩法、体捌き、呼吸、死角など幾多の現象が絡み合って完成する。 最上級であるAランクともなると、もはや次元跳躍であり、技術を超え仙術の範疇となる 無明参段突き 種別:対人魔剣 最大捕捉:1人 稀代の天才剣士、沖田総司が誇る必殺の魔剣。「壱の突き」に「弐の突き」「参の突き」を内包する。 平晴眼の構えから“ほぼ同時”ではなく、“全く同時”に放たれる平突き。超絶的な技巧と速さが生み出す、防御不能の秘剣。 【宝具】 『誓いの羽織』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人 幕末に京を震撼させた人斬り集団「新撰組」の隊服として有名な、袖口にダンダラ模様を白く染め抜いた浅葱色の羽織。 サーヴァントとして行動する際の戦闘服と呼べるもので、装備する事によりパラメータを向上させる。 また通常時のセイバーの武装は『乞食清光』だが、この宝具を装備している間、後年に「沖田総司の愛刀」とされた『菊一文字則宗』へと位階を上げる。 一目で素性がバレかねないあまりにも目立つ装束のため、普段はマスターが用意した袴を着用している。 『誠の旗』 ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:1~50 最大捕捉:1~200人 桜セイバーの最終宝具。 新撰組隊士の生きた証であり、彼らが心に刻み込んだ『誠』の字を表す一振りの旗。 使用者本人も魔人アーチャーとの最後の戦いまで気付いていなかったが、一度発動すると、 かつてこの旗の元に集い共に時代を駆け抜けた近藤勇を始めとする新撰組隊士達が一定範囲内の空間に召喚される。 各隊士は全員が独立したサーヴァントで、宝具は持たないが全員がE-相当の「単独行動」スキルを有しており、短時間であればマスター不在でも活動が可能。 ちなみにこの宝具は新撰組の隊長格は全員保有しており、 効果は変わらないが発動者の心象によって召喚される隊士の面子や性格が多少変化するという非常に特殊な性質を持つ。 例として挙げると、土方歳三が使用すると拷問などの汚れ仕事を行ってきた悪い新撰組、 近藤勇が使用すると規律に五月蝿いお堅い新撰組として召喚される。また召喚者との仲が悪いとそもそも召喚に応じない者もいる。 桜セイバーが召喚するのは、世間的に良く知られたメンバーで構成されたポピュラーな新撰組である。 【weapon】 『乞食清光』 日本刀『加州清光』の愛称。諸説あるが、史実通り沖田総司の愛刀。 【人物背景】 桜セイバーさんが血を吐いた!?謝れ!桜セイバーさんに謝れ! 【サーヴァントとしての願い】 不明 【マスター】 木之本桜@カードキャプターさくら(漫画版) 【マスターとしての願い】 帰る。 【weapon】 『クロウ・カード』 魔術師クロウ・リードが、自身の持つ「闇の力」の魔力を用いて生み出したカード。カードの裏面はクロウが使っていた魔法陣が記されている。地色は赤に黄色の縁。 「風」「樹」「跳」「翔」「水」「幻」「花」「剣」「雷」「影」「鏡」「盾」のカードを所持する。 『封印の杖』 クロウカードを封印・解除するアイテム。普段はクロウカードをしまう本の鍵の形をしており、さくらは紐を通して持ち歩く。 「汝のあるべき姿に戻れ、クロウカード!」と唱え、杖の先端にある赤い部分で空中を打つことで実体化しているクロウカードが封印される。 カードの魔力を引き出す際は、カードの名を呼びながら、宙に放り上げたカードを赤い部分で打つ。 【能力・技能】 魔力保有者。カードキャプターとしての能力を持つ。 チアリーティング部所属で、バトンを得意とする。スポーツも得意な模様。 家事は当番制なのでおおよそこなす事ができるが、裁縫は苦手。 【人物背景】 友枝町(東京都内に存在すると思われる)に住む小学4年生。 父の本棚の中で発見した不思議な本を開いてしまった事で、クロウ・カードを解き放ってしまい、封印の獣ケルベロス(ケロちゃん)と共にクロウ・カードを集める事になる。 性格は明るく友達想いで、どこか天然である。「ほえ~」、「はにゃ~ん」、「さくら怪獣じゃないもん!」などの可愛すぎる名言多数。 【方針】 未定 BACK NEXT OP その愛は侵食 投下順 -019 ネガティブハッピーチェーン OP その愛は侵食 時系列順 -019 ネガティブハッピーチェーン BACK 登場キャラ NEXT Happy Birthday! 木之本桜&セイバー(沖田総司) 000 前夜祭 012 燃えよ花
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崩壊ウォッチ ◆EAUCq9p8Q. ☆双葉杏 「一時停戦?」 「はい」 互いに獲物を構えたセイバーとランサーは、お互いの間合いを保ったままそう言った。 ドアが開いた瞬間、報告をしようとしていたランサーと入ってきた少女の傍に現れたセイバーは臨戦態勢を取った。 空気は一気に張り詰め、痛いほどの緊張を周囲に巡らせる。 そんな中で一時停戦を切り出したのはランサーだった。 「都合のいい話ですね、貴女は――」 「私は、大道寺知世について、少しですが知っています」 何事かを言及しようとしたセイバーに対し、先に切り札を切ったのは江ノ島盾子のランサーだ。 杏には『大道寺知世』という少女が誰かはわからない。だが、入ってきた少女たちの反応から、それが彼女たちにとって相当の意味を持つ人物である、というのは容易に想像できた。 「一時停戦を飲んでくれれば、本当に少しですが、貴女のマスターの手助けになれるはずです」 「セイバーさん!」 「……私は、貴女を信用できない」 目の高さに構えられている刀は天井を回るファンを映し、ぐるぐるぐるぐると陰を生む。 そんな中で、杏はただきらりの手を握ってことの成り行きを見守っていた。 事が起こるようであれば自身のランサーを呼び出して、きらりをつれて逃げ出せるように。 「なんで!?」 続く沈黙を破ったのは、ランサーでもセイバーでもなく、江ノ島盾子だった。 震える姿は、震える声は、子羊みたいに頼りなげ。 だが、声を張り上げた彼女は、杏とはまた別の決意に満ちていたはずだ。 「なんで皆、そうやって戦おうとするの!? 誰かを傷つけて、なんともないの!?」 「こちらは先に襲われた。だから――」 「だから、殺すの?」 口にされた『殺す』という単語で張り詰めていた空気が沈む。 沈鬱とした空気は、まるでドライアイスのように床を這い、じわりじわりと足元から熱を奪っていった。 『殺す』力がある。少なくとも、あのセイバーとランサーは、それが出来る。自然ときらりの手を握る力が強くなった。 「そんなの悲しいだけじゃない。せっかく会えたのに、疑って、戦って、そればっかりなんて! ランサーさんだって、なにかあったのかもしれない! きっとそうだよ、だから……だから……そんなに簡単に、戦おうとしないでよ!」 滲んだ化粧を洗い流せるほどの大粒の涙が、江ノ島盾子の頬を伝っていく。 悔しさ、歯がゆさ。何も出来ない自分への無力さ。そういったものが込められた涙だ。不思議なことに、杏にもそう見えた。 涙を拭いた江ノ島盾子は、顔を上げ、セイバーの奥に控えるマスターたちをじっと見つめて答えを待つ。 セイバーはかすかに眉間に皺を寄せただけで、その程度で切っ先をずらしたりはしない。 だが、江ノ島盾子の言葉は確かに届いた。 「セイバーさん」 江ノ島盾子の言葉を受けて一歩踏み出したのは、綺麗な亜麻色の髪を肩口で切りそろえた少女。小学生だろうか、喋り方はややたどたどしく、愛らしい。 名も知らぬその少女はセイバーの横を通り過ぎ、ランサーの構えていた人斬り包丁という呼び方の相応しい『槍』の前に身体を晒す。 「あいちゃん……」 「わたしは、信じられるよ。ランサーさんのこと。きっとわるい人じゃないって」 自身の胸の前に槍の切っ先を当て、柄を握る。 「ほらね?」 『あい』と呼ばれた少女と、ランサーとの間に何があったのかは杏にはわからない。 それでも、あいがランサーの槍から逃げないという覚悟の持つ意味は、セイバーと、もう一人の少女の反応から理解できた。 ◇◇◇ 注文したケーキが運ばれてくる間に、通りに面している大きな箱席に移動し、向かい合うようにして座りなおした。 片方には杏、きらり。もう片方にやってきた小学生二人。お誕生日席と呼ぶべきか、どちらの側でもない通路側に江ノ島盾子。 江ノ島盾子を頼りにこの喫茶店にやってきた二人は、共に小学生ながらこの聖杯戦争のマスターに選ばれたのだという。 聖杯戦争を開いたのが誰かは知らないが、小学生まで巻き込むなんて、そうとう性根の曲がった奴なんだろう。 「盾子ちゃん、いいかな」 あいちゃんと呼ばれていた亜麻色の少女――蜂屋あいが切り出したのは、停戦に関わる三つのことだった。 「わたしはさっき、ランサーさんにおそわれたの。でも、おそった理由を聞くと、またけんかになっちゃうかもしれない。 だからわたしは、なんでそんなことをしたのかは聞かない。だから盾子ちゃんも……セイバーさんたちも、皆、聞かないであげて」 一つは、ランサーの凶行(なんと、杏たちと別れた後にランサーはあい達を襲撃し、あいを殺そうとしたらしい)についてこの場では不問とすること。 「それと、たたかわないって決めたんだから、サーヴァントは出さないで。 でも、ランサーさんにはお話を聞かなきゃいけないし、ランサーさんが居るとセイバーさんは安心できないだろうから、二人はのこったままでもいいかな? もちろん、ぶきは持たないで」 もう一つは、ランサーとセイバー以外のサーヴァントを出さないということ。 交戦が始まってしまえばこんな約束知ったこっちゃないが、確かに、お互いが戦争の参加者でありお互いに命を狙われている不安がないというのが目に見えている方が、精神的にはよろしい。 この申し出は杏としても自身のランサーであるジバニャンを見せなくていいというのは少しだけ気が楽だった。 ただ、隣で少し身体をこわばらせたきらりの反応だけは、気になった。 「それと、桜ちゃんは知世ちゃんを探してるから、わがままかもしれないけど、知世ちゃんのことから聞かせてもらってもいいかな?」 最後の一つは、知世ちゃん(大道寺知世、もうひとりの少女・木之本桜の友人であり聖杯戦争のマスター)についての情報提供を先に行うこと。 江ノ島盾子はそれらを二つ返事で快諾したあと、慌てて杏たちにもそれでいいかと確認を取った。 きらりが頷いたので、杏も不承不承ながら頷きを返す。どうにも流れが早すぎる。『蜂屋あい』と『江ノ島盾子』にこの場の流れを決められて話を進められている気がする。 気にしすぎと言われればそれだけだ。もともと知り合いだったらしい彼女ら二人が善意から場を繋いでくれているのかもしれない。 それでも、杏の中に生まれた疑念もまた、払拭されずに残ったままなのだ。 「……大道寺知世は、アサシンのサーヴァントによって誘拐されました」 「アサシン……」そのクラス名を繰り返したのは知世の友人の桜だ。 「暗殺者のクラス、気配を絶することが出来る者が多いと聞きます」答えるのは彼女のサーヴァント、セイバー。一時停戦となった今もやはり警戒は解いていないらしく、桜の隣に腰をおろしている。 暗殺者という説明を聞いた桜の顔からすっと血の気が引いたのは、傍目にも分かった。 「誘拐されましたが、アサシンの目的は大道寺知世の殺害ではありません。 令呪の回収を目的としているようでした。中等部の方に向かっていたので、そちらにマスターが居たのだと思います」 桜の顔色から彼女の不安を読み取ったのか、ランサーはすぐに『大道寺知世の一応の無事』の根拠を口にした。 それを聞いて、桜の顔色が少し良くなったが、その代わりに少しだけ落ち着きがなくなった。 知世の無事を知り、知世の生存に希望が持てるようになり、早く動き出したいという思いが現れてるようだ。 「ランサーさんは、なんでそんなにアサシンさんにくわしいの?」 「それは……」 当然の問いを蜂屋あいが口にする。そこは杏も聞いていて気になった。 気配遮断で姿を隠せるアサシンのクラス。しかしランサーはその存在だけでなく進路や目的までしっかりと把握していた。 まるで見てきた……いや、本人から直接聞いてきたかのような説明に、卓上を交錯していた幾つもの視線がランサーに向けられる。 ランサーは少し考えた後で、意を決したように、その手品の種を明かした。 「……私のスキルの一つに、『困った人の心の声が聞こえる』というものがあるからです。 相手が内々の策を練っており、それを見抜かれては困ると相手が思っているなら、私はそれを聞き取ることが出来ます」 読心術。その答えも一応は納得の行くものだった。 確かに心の声が聞こえたならばアサシンの動向を筒抜けにすることも出来る。 一番疑って掛かりそうなセイバーが得心言ったように見つめているのを見ると、あい達の襲撃の際にもその読心術を思わせる行動はあったらしい。 一応は本当のことを言っているのだろうと杏も判断し、心の中にとどめておく。 「私から提供できる情報は以上です」 ランサーは語るべきは語り終えたとばかりに席についた。セイバーと違い武器を消している。 それは、『襲撃者』である彼女なりのあいたちへの心配りなのかもしれない。 「じゃあ、次は……普通の情報交換でいいかな?」 ショートケーキ、チョコレートケーキ、ラズベリーケーキ、フルーツタルト、プリンアラモード。 戦争には似合わない、綺麗なものたち。芳しいほどの平和たち。 運ばれてきたケーキと紅茶を配りながら、お誕生日席の江ノ島盾子がきらりの隣にランサーが座ったのを確認して切り出した。 「普通のって、なにするの」これは杏。別に江ノ島盾子に噛み付くわけではなく、何を話せば良いのかがまったくわからないからの質問だ。 「えっと……今日のこと、とか。話したくないならいいけど……駄目かな?」 悪いことではない。 ランサーについては不問と約束したが、他の情報については別だ。 例えば、杏たちが目撃した光の槍。あの場に居た桜やあいならばあれがなんだったかを知っているはずだ。 危険ならば備える必要がある。仲間になれるようならばきらりとともに一考する必要がある。 「いいんじゃない。別に」 「本当!? あ、じゃあ……杏ちゃんから聞いてもいいかな?」 「えー、めんどい」 話の流れで最初を任されそうになり、即座に拒否する。 先陣を切るなんてのはいつもの杏は絶対に嫌だ。 「そんなこと言わずに」なんて江ノ島盾子は言うが、面倒なものは面倒なんだ。 「そうだ。きらり、杏の代わりに説明しといてよ」 「んもう、杏ちゃん! きらりとさっき会ったばっかりでしょ! ちゃんとやろうよぉ!」 ちょっとだけ良くなった空気の中、きらりが笑ってくれるなら悪くないかと思い次は杏の手の内を明かす。 と言っても、聞かれて困ることはなにもない。本当に、きらりを探す以外はなにもやっていないのだから。 「はいはい、あーめんど。今日のことねえ……朝はゲームして、昼前にタクシー乗って……って、そんなこと聞きたいわけじゃないよね。 杏はなんもしてないよ。聖杯戦争についてはなーんにも。あーでも、きらりに会うために結構歩き回ったね」 「……ありがとにぃ、杏ちゃん」 「いいって。あーでも、あとで飴買ってよ。ほら、なんだっけ、あの、通知のときに配られたお金でさで」 「ねえ」 かちり。かちん。聞こえた音はなんだったんだろうか。 聞きなれないその音を鳴らしたのは、杏か、きらりか。それとも杏たちの会話に割り込んできた蜂屋あいか。 「ずっと気になってたけど、そっちの子が『諸星きらり』ちゃんなの?」 かちり。かちん。もう一度。脳裏に浮かぶのはぐるぐる回るファンの陰。 きらりの纏っている雰囲気が、明るいものから暗いものへ変わったのが、強く感じられた。 「あいちゃん、知ってるの?」 「つうたつで教えられたけいじばんにね、書いてあったの。 高校でたくさん人が死んだんだって……」 かちり。かちん。 杏としても、きらりとしても、触れてほしくない部分だった。だが、掲示板を読まれていたのならば避けては通れない話題だった。 杏も、いつかきらりが落ち着いたら事の真相を知らなければならないとは思っていたことだ。 当座はきらりのために聞かないでおこうと思っていたが、掲示板の書き込みからきらりに対して不信感を抱いている他参加者がそこを正しておきたいというのもまた当然のことだろう。 「ね、ねえ!! あいちゃんたちはどうだったの!!」 かちり。かちん。 漂いだした不穏な空気を吹き飛ばすように、いつもよりも大きな声で江ノ島盾子が割って入る。 その様子は、きらりのために必死という他ない様子。 あいたちはその様子から触れてはいけないなにかを察したのか、ちょっとだけ息を呑んで、きらりに向けていた目線を申し訳なさそうに伏せた。 きらりもまた、顔を伏せたままだ。 大きくため息をついて、人差し指でぽりぽりと頭を掻く。 「あのさ」 備え付けのソファーにぐでぐでにもたれかかっていた姿勢から、背を起こして姿勢を正し、あいと桜を見つめる。 杏がきらりのために出来ることは何か。 正答かどうかは分からないが、やっておくべきことは分かった。 「掲示板に色々書いてあるみたいだけど……杏の知ってるきらりはあんなことするわけがない優しい子だから。 ……だから安心してよ、なんて言えないけどさ。もう少し――」 それは当たり前の言葉だった。当たり前の返しだった。 長々話すのは面倒だが、百回同じ場面に出くわせば、百回同じことを口にするはずだ。 当たり前過ぎて、見逃してしまった。目の前を揺れている糸についていた小さな蜘蛛を。 「――きらり?」 きらりの大きな瞳は固く瞑られ、目の端には大きな真珠みたいな涙が浮かんでいた。 彼女の触れてはいけない部分に触れてしまったようで、少しバツが悪くなる。 なんてのは、 かちり。 振り返ってみればわかる。 あの時聞こえた音は、撃鉄を上げる音と引き金を絞る音だったのだと。 四人で回していた目には見えないリボルバー。 杏の前に置かれたそれが放つのは、軽い音ではなかった。 友情に火が灯る。優しさの弾丸は、運悪く引き金を引いた少女目掛けて飛び出した。 ◇◇◇ 双葉杏は、最後の最後まで心の何処かで事実に抗っていた。 なぜなら、双葉杏は過去の諸星きらりを知っていたから。 優しい子だった。小さな子とも仲がよく、面倒見がよく、真面目で、見た目に似合わないくらい乙女趣味。 優しさからバチをかぶることはあっても、笑顔を絶やさない。 いつでもおひさまの方を向いてにっこり笑っている、背の高いひまわりみたいな子だった。 だから、双葉杏は考えなかった。考えたくなかった。 まさかあの高校での惨劇を演じた狂気のヒロインが本当に諸星きらりだったなんて思っていなかった。いや、彼女がそんなことをするはずがないと信じていた。 全部が嘘じゃないとしても、一部が本当であったとしても。 いじめのことが本当だったとか、学校内で襲われて逃げ出したとかそれだけで、彼女が『殺人』に関わっている事実だけは別。 心の何処かで、そうあって欲しいと願っていた。 だから、口に出してしまった。「きらりはあんなことをする子ではない」と。 当事者であるきらりがどう感じるのかをまったく考えずに。 その言葉が、遠因的にとは言え『あんなこと』を起こしてしまったきらりをどれだけ傷つけるかを考慮せずに。 信じる心の持つ力は強い。 積み重ねた時間が産んだ正当なる信頼は、『いつもの諸星きらり』という理想は、ねじ曲がってしまった少女の日常を押しつぶしてひびを入れるには十分な圧力だったのだろう。 信じる心が圧を掛け、優しい心が放たれる。 トリガーが引かれた。 トリガーを引いたのは、この聖杯戦争でもっともきらりを思う双葉杏だった。 トリガーを引いたのは、ニートな少女がそのために駆け回ろうと思うほどの強い信頼だった。 放たれる弾丸もまた優しさだった。 狂い乱れる憤怒を媒介とした、少女を守りたいと願った小さな優しさだったものだ。 二人はともに信じていた。 諸星きらりという少女の善性を信じ、諸星きらりを救いたいと願っていた。 信じる心、優しい心。 とっても素敵な二つの願い。 そんな綺麗なものによって、世界は、色を変えていく。 ◇◇◇ 一瞬にして空気がドス黒く染まる。 そのドス黒い空気が殺意だと理解した瞬間、双葉杏は大声で叫んでいた。 「ランサー!!」 「■■■■■■ーーーーー!!!!」 怖気が人の形をしたような異形がそこに現れ、拳を振るう。 一打、目の前に現れた鈍色のメカニカルな猫が天井目掛けて叩き上げられる。 二打、振り下ろされる拳は着撃の寸前に人影に遮られる。轟音と風圧に伏せてしまった目を開いた時、杏の前には輝くような美貌の少女が立っていた。 ☆セイバー 憎悪を身に纏った僧兵風の男――おそらく、バーサーカーが現れるその瞬間、最も早く動いたのは双葉杏だった。 「ランサー!!」 一瞬、使い魔のような存在が宙に現れるが、僧兵のバーサーカーはその存在をアッパーカットで即座に排した。 しかしその存在の稼いだ一瞬のおかげで杏は命を繋いだ。彼女に振るわれるはずの圧倒的暴力の前に、一人の少女が立ちはだかったのだ。 魔法少女のランサーだ。杏の声に答えるように、彼女は立ちふさがり、当然のように不正だ。 そのランサーに釣り出されるようにセイバーもまた乞食清光を手にする。鞘はない。丁度いい。 すべきことの優先順位は定まっていないが、確実にやらなければならないことは判明している。 魔法少女のランサーは、少なくとも現在は停戦しており、敵対しないという約束だ。 こんな場所でバーサーカーを召喚し、戦闘を始める危険人物が潜んでいる。それも、桜たち二人と、襲われた双葉杏以外の二人のうちに。 いや、下手人はわかっている。蜂屋あいが口にしていた。『高校での殺人事件』とその犯人と思わしき人物について。 彼女が何故一時停戦の約定を破ってまで双葉杏と……いや、ここに居る彼女以外と敵対の道を選んだのかはわからない。 分からないが、ここで暴れられれば下手人――諸星きらり以外の全員が死ぬことになりかねない。 「伏せてください、マスター!」 座席の背もたれを足場に一歩踏み出し、きれいなもので彩られているテーブルに二歩目を踏みしめる。 ランサーは、セイバーの動作に一切視線をくべることもなく、まるで『そうくることを当然理解していた』かのように、バーサーカーの拳を往なして一歩退いた。 どこへやったのか、気がつけば、双葉杏も煙のように消えている。 追撃の拳からくるりと身を躱し、薙刀のような武器の柄で喫茶店の窓を叩いてガラスを砕き、喫茶店から退場する。 ランサーを追う・追わないの戸惑いが脳裏をかすめるが、それも一瞬のこと。バーサーカーの憤怒に満ちた瞳がセイバーの方に向いた瞬間に消え失せた。 セイバーの動作には少しの淀みもない。ただ、それまでがそうであり、ただ、これからもそうあるように、自身の魂を刀に乗せた。 化け物じみた身体能力で突き出されようとしているバーサーカーの右腕の内側に潜り込み、左肩に担ぐように構えていた乞食清光を返し、正眼に構える。 切っ先が時間という概念を切り裂き、切り捨てられた因果が捻れて狂う。刹那の間に三撃の突きが重なる。 無明三段突き。残像すら生まぬ、まったくの『同時』で突き出された、突きの極地と呼ぶべき三連攻撃。 交錯の直後に吹き出した鮮血は、当然バーサーカーのものだった。 僧兵のバーサーカーの胸元に突き刺さった乞食清光の切っ先と、自身の手に残る感触がセイバーの脳内に警鐘を鳴らす。 重心をずらすのが間に合ったのは、その警鐘に従えていたからに他ならない。 だが、ずらすのが精一杯。殺意は既に牙を剥こうとしていた。 「■■■■■■■■■■■■――――――――ッ!!!!」 「なっ……!?」 バーサーカーの咆哮とともに手で感じていた感触が一気に軽くなる。その瞬間に警鐘の原因を理解した。 無明三段突きが完全に決まったのであればさしものバーサーカーと言えど胸に風穴を開けるくらいは可能なはずだが、どうやったのか、バーサーカーの身体はまだ形を保っている。 いや、原因はわかっている。百錬の末に体得した無明三段突きに失敗したのだ。セイバーは誰に言われるまでもなく、その事実を認識していた。 ――セイバーの知らぬところではあるが、無明三段突き不発の原因は魔法少女のランサーが初撃を耐えたことにあった。 セイバーはその一撃でバーサーカーの拳撃を通常の打撃と誤認してしまったのだ。 実際には違う。バーサーカーの拳撃は全て『二重の極み』という特殊な技法によって繰り出されている。 二重の極みとは、対象にほぼ同時に打撃を叩き込むことで一打目で反動を出し切らせ、二打目で防御を出し切った部分に渾身の一撃を叩き込むという単純明快な技術が宝具の域まで高められたものである。 魔法少女のランサーの場合、魔法の国によって作成され耐久性において絶対無敵・『絶対に壊れない』という逸話を誇る『華麗なる偉大な女王』で受けたためにその『二打目による必壊必殺』の特性を無効化出来ていたのだが、それが災いした。 だが、乞食清光はただの刀だった。 バーサーカーの拳とセイバーの刀が一瞬だけすれ違った。触れるか触れぬかの交錯。その際、バーサーカーは当然のように拳以外の場所――腕で二重の極みを発し、無防備な刀身に一撃を食らわせていた。 それ以降乞食清光は突きの速さに任せて刀としての形を保っていただけで、すれ違うその瞬間にはすでに刀としての機能を全うできない状態にあった。 結果としてセイバーは砕けかけの無明三段突きを放つことになり、その負荷に耐えきれなかった乞食清光は破砕。必殺の三撃も破片をちらして空を切るのみで終わってしまったのだ。 仮に『二重の極み』のからくりに気づいていたならば、セイバーは決して不覚を取らなかったはずだ。 閉所での戦闘でマスターが危険に晒される可能性の高さ、拳撃を受けきった魔法少女のランサーの姿。どちらかが欠けていればもっと慎重に攻められたはずだ。 彼女はひたすらに間が悪かったと言う他ないだろう。 「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!」 店中を揺るがすような咆哮とともに右腕ががむしゃらに振り抜かれる。 その動作は攻撃というにはあまりに直線的。技術ではなく闘争本能から出されたと断じられる、狂戦士らしい一撃。 セイバーはずらした重心に更に足を乗せ、大きく後ろに身を反らしてその闘争本能を回避する。 胸元を掠めたが、先の警鐘が功を奏し直撃は避けた。 瞬時に『誓いの羽織』を身に纏う。ダンダラの裾がはためき、沖田総司としての本来の力へと近づく。 現れた菊一文字を手に、乞食清光を襲った謎の崩壊に知恵を巡らせようとするが。 「かはっ……!?」 刀を振るよりも速く襲ってくる、肺の内側からナイフが突き破ってくるような激痛。引き起こされる喀血。 激痛のあとに胸全体に染み込むように広がっていく鈍痛。 持病のものではない。それは長年付き合い続けてきたセイバー自身がよく理解している。 ならばこの痛みの理由は何か。心当たりは一つしかない。 セイバーが受けた身体接触は一度だけだ。先程の、胸元をかすめた一度だけだ。 もしや、あの拳の一撃で、かすっただけの攻撃とも言えない攻撃で、これだけのダメージが押し付けられたというのか。 菊一文字を床に挿して自身の身体を支え、消えてしまいたくなるほどの痛みに耐えながらなんとか顔を上げれば、既に僧兵のバーサーカーは拳を構えていた。 来ると分かっていても身体は痛みに縛られたように動かない。 「風 ウィンディ !!」 割れた窓から吹き込んできた風が意思を持ってうねり、喫茶店内のものを巻き上げる。声と魔力から、桜がクロウカードのうちの一枚を使ったというのは想像出来た。 生まれた風が鎖となってバーサーカーの体を絡め取り、その動きを制限する。 が、バーサーカーが一度体を揺すればその風の鎖はすべて霧散した。 バーサーカーの足元の床板が割れて大きくめくれ上がる。テーブルが跳ね上がり、机に並んでいた綺麗だったものはすべて砕け散ってしまった。 バーサーカーは視界を遮るそのテーブルすらも邪魔というように腕を大きく振るってテーブルを殴りつけた。 「盾 シールド !!」 いまだ体勢整わぬセイバーと桜の前に巨大な盾が展開される。だが、その盾も憎悪の一撃によって容易く割られてしまう。 狂気に支配された暴力の化身の前に再び姿が晒されてしまう。砕けた盾の向こうの矛先は、セイバーではなく桜の方を向いていた。 だが、尽きぬと思われた暴力の嵐は突然止む。 振り上げられた拳が止まった理由は、桜とバーサーカーの間に立ちはだかる人物以外にはありえない。 蜂屋あいだ。彼女が、桜を抱きとめるようにして庇ったのだ。 バーサーカーは、まるでその少女の無防備な背中によって思考にエラーが発生したように、振り上げた拳を浮かせたまま立ち止まっている。 まるニ秒は止まっていたか。セイバーが胸の痛みから立ち直れるほどには間が空いたあとで、バーサーカーは桜に向けて放とうとしていた拳をがむしゃらにふるい、セイバーを攻撃した。 今度は刀で受けるような真似はしない。床を蹴って飛び上がり、壁を蹴り、天井を蹴り、三角飛びの要領で上空からバーサーカーを狙う。 攻撃を放った瞬間に分かった。自身が想定していたよりも動きが鈍い。仕留めきれなければ反撃を受けると。 だがセイバーの奇襲もバーサーカーの反撃も不発に終わった。 地面から生えたアイアンメイデンがバーサーカーを閉じ込め、結果的にセイバーの刃も防いだのだ。 これもまた、バーサーカーの身震い一つで粉々に砕かれてしまうが。 「遊びましょう、お兄さん。今だけは貴方がアリス、そしてワタシがウサギさん。おいかけっこの始まりよ」 可愛らしい少女の声。 一人の少女によってばら撒かれた無数のトランプが宙を舞い、幻惑によって喫茶店を埋め尽くし、その場に居た人物全員の姿を一瞬隠す。 紙吹雪にも似たトランプの霧が晴れれば、数人に増えた蜂屋あいのサーヴァント・キャスターが喫茶店を縦横無尽に走り回っていた。 「■■■■■■■■■ーーーー!!!」 バーサーカーの巨体が弓のように反り、天井を突き破るほどの咆哮を上げる。 そして、目の前に居たキャスターの一人を拳の一撃で叩き潰した。彼の拳の下からは、くしゃくしゃに潰されたトランプが一枚落ちているだけ。 「鬼さんこちら、手のなる方へ」 キャスターたちが笑いながら空中を舞っているトランプに触れる。するとたちまち、ギロチンやゼンマイやブリキの馬やコーヒーカップに生まれ変わった。 そしてそれぞれが空中を散歩するように飛び回り、障害物として、あるいは武器としてバーサーカーに迫った。 バーサーカーはその一つ一つを叩き潰し、殴り飛ばし、走り回るキャスターのうちの一つの影を追う。 「わあ、素敵。ワタシが本物だって分かるんだね」 「すっごーい!」「ずるーい!」「まぜて!」「こっちよ!」「わーい!」「たーのしー!」「さあ、遊びましょう」 きゃいきゃい言いながらキャスターたち(おそらく、分身の方だ)がトランプをおもちゃや武器に変えてバーサーカーへと向かわせた。 セイバーは胸の痛みに耐えながらバーサーカーの死角を取る。 ぜいぜいという自身の息遣いが、痛みでブレる切っ先が、死角という優位性になんの意味もないことを何度も何度もセイバーに伝えてきた。 この状態で無明三段突きは放てない。相手の攻撃を見切れず反撃を許せば今度は菊一文字が無残に折られる。セイバー自身も無事で済むとは思えない。 「桜ちゃん、こっち!」 砕かれた残骸が店内を蹂躙するように乱れ飛び、建物が悲鳴を上げるように破砕音が四方八方から起こる。少女たちの笑い声と男の雄叫びが練り混ざりになり世界の空気を染め上げる。 その中で、その少女の声だけは、まるで綺麗なピアノの音のように綺麗に澄み渡って響いた。 「でも、キャスターさんが!」 「キャスターなら大丈夫。だから、行こう!」 蜂屋あい。キャスターのマスター。窮地の桜の命を救った少女。桜を救おうとする声の主は、当然のように彼女だった。 「でも!!」 「桜ちゃん! 知世ちゃんはいいの!?」 その場に残ろうとしていた桜の瞳に影が差す。 それを見逃さず、あいは言葉を続けた。 「……キャスターなら大丈夫。でも、知世ちゃんを助けられるのは桜ちゃんだけなんだよ」 諭すような言葉で、桜の心を誘導していく。 あいの言葉を受けた桜は、答えを求めるようにセイバーを見上げた。 セイバーはこれからどうするか。答えは出ていた。 「退きましょう、マスター」 敗走だ。傷を負い、ほうほうの体で逃げ出すのだからそれ以外に言いようがない。それでもセイバーは退くことを選んだ。 魔法少女のランサー、僧兵のバーサーカー、大道寺知世を融解したアサシン。そして……未だ正体不明と言って差し支えない蜂屋あい。 セイバーがここで消えれば、桜はそのすべてに一人で立ち向かうことになる。 ほんの些細な少女の願いを叶えるには、この地は敵が多すぎる。 だからセイバーは、今は敗者の誹りを受けようとも生き抜くことを選んだ。 「……うん」 気がつけば、お誕生日席の江ノ島盾子の姿も消えていた。 ランサーがぶち破った窓から飛び出し、 背を向けた喫茶店から爆発音と、破砕音と、その他色々な『死んでいく音』が生まれては消え、消えてはまた生まれていく。 走れば走るだけ、その音たちはだんだんだんだん小さくなり、最後には聞こえなくなった。 これが、僅かな休息と一時休戦の顛末だ。 ☆ 「パーティは終わり?」 「そう、終わり。楽しいダンスもこれにて終了。そんじゃ、二次会行っとく?」 舞台を回す二人の獣が、客の帰りを見届けて。 そうしてようやく、幕を引いた。 ぱちんとひとつ。手が打たれる。 すると、夢から覚めたみたいに歪んだ世界はもとに戻って。 一時休戦。 少女たちの休息。 戦争に添えられたささやかながら美しいものたち。 あとに残ったのは。 泣きじゃくる女の子と。 怒りに狂うバーサーカーと。 冗談みたいにボロボロになった喫茶店と。 踏みにじられた美しいものたちだけだった。 ☆双葉杏 後ちょっとのところまで手繰り寄せられたはずの糸は、手をすり抜けて離れていってしまった。 双葉杏には、変わっていく状況をどうにもできなかった。 どこで何を間違ったのか、杏にはわからない。 ただ、わかったのは。バーサーカーが現れたあの瞬間、杏の方を向いたきらりが泣いていたこと。 そして、杏がきらりを泣かせてしまったということ。 最後に、きらりを泣かせてしまった杏に、バーサーカーは激怒していたということだ。 「むっちゃ痛かったニャン……」 アニメみたいなたんこぶをこさえたランサーが、シクシク泣いている。 ランサー曰く、防御面で優れたロボニャンが最初の一撃でぶち壊されたのだという。 そんな状況でランサーが助かったのはせめてもの救いとしか言えないだろう。 気がつけば袋の中にランサーともどもしまい込まれていて、数分くらい経ったあとで袋から出れば、そこは見ず知らずの公園だった。 どうやら助けてくれたらしい魔法少女のランサーは、ノックダウンしていた杏のランサーを腰に下げた袋から出した。 「ねえ……あのサーヴァントってさ」 「……私は、蜂屋あいのサーヴァントを知っています。青い洋服を来た少女でした」 思った通りの答えに、ため息をつく。 そして、ようやく自身の間違いに気づく。 高校での殺人事件の犯人はあのバーサーカー。他ならぬきらりが呼び出した怪物。 きらり自身に罪があるかどうかは分からない。杏は今もきらりの潔白を信じている。 だが、きらりが自身に罪があると感じてしまってもおかしくない。 そこを理解できずに、地雷を踏んでしまったというわけだ。 あまりの悲惨さに自嘲したくなる。 きらりを救うと息巻いて、きらりのために戦うんだと決心して、きらりを傷つけていたんじゃ意味がないじゃないか。 あまりにも無神経で。無知で。そして無力で。 きらりの友達を自称しながら、きらりを追い詰めてしまったのが情けなくなる。もう何もかも投げ出してしまいたい。 それでも杏が自暴自棄にならなかったのは、きらりの涙があったからだ。 きらりを泣かせたまま、自暴自棄になる訳にはいかない。 なによりもまず、謝って。わけを話して、それからだ。 自暴自棄になって、家に引きこもって、自己嫌悪に陥るのはそれからにする。 だから杏は顔を上げた。 眼の前に居る、江ノ島盾子のサーヴァントと向き合った。 「なんで杏を助けたの」 「……」 江ノ島盾子のサーヴァント――魔法少女のランサーと杏は救い救われするような利害関係にはなかった。 あの瞬間に助けてもらえる理由はないはずだ。 「最初に会った時、きらりさんは泣いていました。 ……私は彼女をなんとかして助けてあげたいと思ったんです」 魔法少女のランサーは、ぽつぽつと語りだす。 杏と出会う前のきらりのことと、彼女が杏を助けた理由と。 「だから、きらりさんの知り合いの貴女には死んでほしくなかった。 貴女がきらりさんのサーヴァントに殺されてしまったら、きらりさんはもう笑えなくなるから」 「……そっか」 嬉しい話だった。これが江ノ島盾子のサーヴァントでなければ握手の一つでもしたいくらいに。 杏自身の命を救ってくれたこともそうだし、きらりのためを思ってくれているというのもそうだ。 だが。 息を吸い、魔法少女のランサーの目を見つめて伝える。杏の中のありのままの気持ちを。 「先に言っとくと、杏はアンタのこと、まったく信用してないから。 だってアレのサーヴァントなんでしょ、アンタ」 アレ、が指すのは当然江ノ島盾子だ。 杏を救ってくれた。きらりのために動いてくれた。それはありがたい。 だが、それでも彼女は江ノ島盾子のサーヴァントだ。理由はないが、杏はやはり江ノ島盾子のことを信用できない。 疑ってかかる杏に、魔法少女のランサーは憤慨するでも悲哀するでもなく、驚くべき一言で返した。 「私のことは信用してくれなくて結構です。そして、江ノ島盾子のことは絶対に信用してはいけません。 彼女は、この聖杯戦争を加速させて楽しんでいる。戦火を……絶望を広げて面白がっている」 「え……マジ?」 「信じるかどうかは貴女に任せます。でも、私ではなく、『きらりさんを助けたい』という思いだけは信じてほしい」 唐突に告げられる、自身の仮説の肯定。 『きらりを助けたい』。そう言い切った魔法少女のランサーの目に一点の陰りもない。 これが読心術を用いた演技ならば、杏にはもう太刀打ちできない。 そういう逸話があれば、そういうスキルを持って顕現しているのだろうから。 杏のそんな困った心の声を聞き届けてか、魔法少女のランサーはまた言葉を継いだ。 「信用に足るかはわかりませんが、私の真名を教えておきます。 私の真名は――『魔法少女狩り』スノーホワイト……姫河小雪です」 年相応の少女のように礼をする魔法少女のランサーに、杏のランサーは「オレっちはジバニャンだニャン!」と迷わず返事したのでたんこぶとは別の位置を殴っておいた。 たいした痛みでもないだろうにサッカー選手のように大げさににゃあにゃあと騒ぐランサーの姿に、魔法少女のランサーは呆れたように笑う。 真名が分かれば、逸話を知ることが出来るし、スキルを知ることも容易だろう。 これは本当に、本当のことを言っているのかもしれない。 杏のことを信頼して、きらりを助けるための手助けをしようとしてくれているのかもしれない。 だから杏は大きなため息をついて、いつものように口にした。 「……はあ、面倒くさいなあ」 「いてて……ってかマスター、それ言っちゃうのかニャン」 「面倒なものは面倒じゃん。やんなくていいことばっかり増えて。 杏はさ、ただ単にきらりには笑っててほしいだけなのに」 高等学校での殺人事件の真実とは。 きらりのバーサーカーが杏を襲った理由とは。 江ノ島盾子がきらりを付け狙う意図は。 きらりに感じた違和感の正体は。 それら全部がわかったとして、杏がきらりにできることとは。倒さなければならない本当の敵とは。 やらなきゃいけないことが多すぎる。 世界は、双葉杏にもっと戦えと囁いている。 どれもこれも、小さなニートの小さな手には大きすぎるものばかり。 「……どれから手を付けようかなあ」 それでも、助けたいと思うから。ニートな少女は自発的に面倒事に立ち向かう。 猫の手を借りて。困った人の心の声を聞いて駆けつけた魔法少女の力を借りて。 ☆ランサー 火蓋の切られるあの瞬間、狙いすましたように江ノ島盾子は囁いた。 (ぼーっとしてていいの、ランサー) (何がですか) (杏ちゃんが死ぬよ) 彼女がそう判断した理由は分からない。だが、ランサーは彼女の言葉の信憑性については一考の価値があると思っていた。 与太話は多い。煽りも多い。だが、彼女が本気でそうなると言ったならばそうなる。それは諸星きらりを見つけ出した時の経験則から それを裏付けるように、ランサーが身構えた瞬間殺意を持って憤怒の化身が顕現した。 ランサーが杏の救出に間に合ったのは、江ノ島盾子の一言があったからだ。 その腕力はルーラで受けたにもかかわらず相当なもので、長期戦になればなるだけランサーは不利になるだろう。 どうするか、考えるより早く身体が動いた。 声を聞き取るのも困難な強い憎悪の向こう側で敵意がランサーと双葉杏、そして双葉杏のランサーのみに向いていることを察し、双葉杏と彼女のランサーを回収して離脱する道を選んだ。 どういうきっかけかは知らないが、三人が狙われているというならば、三人が去れば敵は追ってくるか、戦闘を止めるかで被害の拡大は防げる。 木之本桜を蜂屋あいと江ノ島盾子の元に置いてくるのは気が引けた。 だが、木之本桜が蜂屋あいに対して一片の疑心も抱いていない現状ならばまだ安全であると判断し。 また、彼女が強く気にかけていた大道寺知世の情報を渡したので大きく行動を操作されることはないはず。 そして、ずっとランサーから警戒を解かずに居たセイバーならば、桜を本当の意味で救ってくれるはずと、半ば祈りながら脱出した。 (会いたくなったら呼ぶから、それまでせいぜい、楽しんどきな) 喫茶店から離れていく時、最後に聞こえた念話で、江ノ島盾子はそう言っていた。 双葉杏と話しながらも、考えるのは江ノ島盾子のことだった。 これまでの幾つものやりとりで、ランサーはようやく彼女の真意が分かってきた。 彼女はランサーに嫌がらせをしたいわけでも、ランサーを押さえつけて好き勝手に生きたいわけでもない。 いや、そういう一面もあるのだろうが、それは二の次・三の次にすぎない。 きっと、江ノ島盾子は試している。 ランサーの、姫河小雪の正義を……『希望』の強さを試している。 だから、あえてあの場でランサーに杏の死に抗わせた。 だから、杏を連れて逃げたランサーに対してなんのアクションも起こさない。 きっとこの後も、ランサーの正義に対して命題を突きつけ、その答えをランサーの隣で見続ける。 ランサーの『希望』と江ノ島盾子の用意した『絶望』、どちらが強く、正しいのかを比べたがっている。 そしてその上で、ランサーの示した『希望』を叩き潰す。そういう目論見なのだろう。 彼女の手のひらの上で踊るようで不快だが、それでもランサーは戦わなければならない。 何が正しいのか、今のランサーは果たして正しいのか。 正解は見えないが、ランサーは自身の選んだ道を進むことしか出来ない。 だがせめて、この瞬間の選択に悔いを残さぬように。 ランサーはまず、双葉杏と向き合った。 現在彼女が知る中で最も大きな『絶望』の種である諸星きらりを救うために。 (……『絶望』の種) ふと、喫茶店で聞いた心の声を思い出す。 今日の出来事を話題にしようと江ノ島盾子が提案した時、セイバーはある戦闘を思い描いた。 『病弱スキルを知られては困る』『薔薇のアーチャーとの戦闘でも発生した。長期戦に構えられれば苦戦は必至』。 『薔薇のアーチャー』。敵の肝となる部分を的確に聞き取る力が、セイバーの心からついでのように聞き取ったその名前。 その名に彩られた真っ赤な花は、ランサーにとって、決して許してはならない罪を背負い死んでいった少女のシンボル。 ランサーが英雄として祀られたならば、その少女が反英雄として歴史に残されていてもおかしくはない。いや、実際に残っているはずだ。 もしも、その『薔薇のアーチャー』が、彼女の知る人物だったならば…… 「私の真名を教えておきます。私の真名は――」 必ず倒す。 これから危険に晒される多くの人々と。 これまで救えなかった多くの魔法少女と。 選べなかった過去に報いるために。 「『魔法少女狩り』スノーホワイト……姫河小雪です」 【C-4/小さな公園/1日目 夕方】 【双葉杏@アイドルマスターシンデレラガールズ】 [状態]精神的疲労(大)、魔力消費(小) [令呪]残り三画 [装備] [道具]携帯ゲーム機×2 [所持金]高校生にしては大金持ち [思考・状況] 基本行動方針:なるべく聖杯戦争とは関わりたくなかったが 0.きらりの情報を整理。その後、なんとかしてきらりを助ける方法を探る。 1.ランサー(姫河小雪)の話を聞く 2.きらりの奪還と江ノ島盾子の打倒……? 3.CDに対する発言によるきらりへの複雑な感情 [備考] ※木之本桜&セイバー(沖田総司)、江ノ島盾子&姫河小雪、蜂屋あい、諸星きらり&バーサーカー(悠久山安慈)を確認しました。 ※『今からきらりちゃんと一緒に小学校に行きます』と書き込んだのは江ノ島盾子ではないかと考えています ※江ノ島盾子はクロ認定、ランサーは半信半疑です。 ※自身がなんらかの理由からきらりのサーヴァント(悠久山安慈)の標的になっていることを理解しました。 【ランサー(ジバニャン)@妖怪ウォッチ】 [状態]ダメージ(大)、魔力消費(小) [装備]のろい札 [道具]なし [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:なんとなく頑張る 1.めっちゃ痛いニャン! バーサーカー(悠久山安慈)とはもう会いたくない。 2.ランサー(姫河小雪)は味方……? [備考] ※『猫に九生あり』のうち、ロボニャンが『二重の極み』で大破しました。 暫くの間ロボニャン状態への変身が上手く行かない可能性があります。 【ランサー(姫河小雪)@魔法少女育成計画】 [状態]疲労(中)、絶望(小)、ストレス [装備] [令呪] [道具]ルーラ、四次元袋 [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:出来る限り犠牲を出さずに聖杯戦争を終わらせる。 0.江ノ島盾子の思惑を破壊する。 1.…… 2.出来ることなら、諸星きらりに手を貸してあげたい。 3.幸子はことはしばらくそっとしておく [備考] ※木之本桜&セイバー(沖田総司)、フェイト・テスタロッサ&ランサー(綾波レイ)、双葉杏&ジバニャン、 蜂屋あい&キャスター(アリス)、キャスター(木原マサキ)、バーサーカー(チェーンソー男)、輿水幸子を確認しました。ステータスは確認していません。 アサシン(クロメ)の存在も知覚しています。(姿は見ていません) ※江ノ島盾子がスキル『困った人の心のが聞こえるよ』に対応していることに気づきました。蜂屋あいの心の声が聞こえません。 ※諸星きらりの声(『バーサーカーを助けたい』『元いた世界に帰りたい』)を聞きました。 彼女が善人であることを確信しました。 ※セイバーのスキル:病弱を知りました。長時間の戦闘で発生する可能性が高いことも知っています。 ※『薔薇のアーチャー』の存在を知りました。 ☆諸星きらり どうしてこうなってしまったのか、諸星きらりには分かっている。 すべては粉々に砕けてしまった。バーサーカーの手によって、砕かれてしまった。 あとに残ったのは、ぼろぼろのお店とまた一人ぼっちのきらりだけ。 桜ちゃんも、あいちゃんも、いい子だったはずだ。 盾子ちゃんも、杏ちゃんも、きらりの大切な友達だ。 うまくいくはずだった。 それでも、どうにもならないことがあった。 それは過去だ。 いい人が集まって、上手くいくはずでも、きらりの過去は変わらない。 あの日、きらりをいじめていた子たちをバーサーカーが殺した事実は変わらない。 いつかのままの杏ちゃんの笑顔を見るたびに、良心が痛んだ。 サーヴァントという単語が出るたびに、胸が苦しくなった。 学校の三人は、きらりのせいで死んでしまった。 きらりがあの三人を殺したのと一緒なのだ。 そのことを杏ちゃんに知られて、杏ちゃんに嫌われるのが、どうしようもなく怖かった。 だからきらりは願っていた。サーヴァントのことに触れられず、何事もなくお話が終わることに。 杏ちゃんは、そんな駄目駄目なきらりを心の底から信じてくれていた。 その信頼が、きらりにとって申し訳なかった。辛かった。苦しかった。 杏ちゃんがきらりを庇ってくれた時、お腹の奥が刺すように痛み、悲しくないのに涙が出た。 ごめんね、ごめんねと、誰にでもなく、皆に、心の中で謝ることしかできなかった。 「■■■■■■■■■■■■■■■■■■――――――ッ!!!!」 バーサーカーは一人、紅く染まった空に向かって吠えている。 わかっている。 バーサーカーはきらりを助けようとしてくれただけだ。 あの時と一緒で、きらりを助けるために、きらりの代わりに戦ってくれただけなのだ。 誰も悪くない。杏ちゃんも、バーサーカーも、誰も。 悪いのはきっと、きらり一人だ。 こうなってしまったのはきっと、きらりのせいだ。 「バーサーカーさん」 令呪は切れない。もう残りは二つだけ。 杏ちゃん、杏ちゃんのランサー、盾子ちゃんのランサー、桜ちゃん、セイバー、キャスター。 その怒りは、二つではきっと収まりきれない。 「もういいんだよ。ごめんね、ごめんなさい。もういいの」 バーサーカーを抱きしめる。 逞しい体は、きらりを守ってくれた時のまま。 悲しげな顔も、きらりを守ってくれた時のまま。 涙が彼の修験着を濡らす。赤熱した鉄のような怒りに、少し、また少しと静かな雫が落ちていく。 彼の咆哮は、千切れそうなきらりの心を表すみたいに、かすれて、宵闇の雲のむこうに飛んでいった。 【D-3/崩れた汚い喫茶店/1日目 夕方】 【諸星きらり@アイドルマスターシンデレラガールズ(アニメ版)】 [状態]精神的疲労(大)、絶望(中)、呆然、魔力消費(中) [令呪]残り二画 [装備]なし [道具]なし [所持金]不明 [思考・状況] 基本行動方針:バーサーカーを元に戻し、元の世界へと戻りたい 1.茫然自失 2.双葉杏、江ノ島盾子と合流したい。でも、杏には会えない……? [備考] ※D-4に諸星きらりの家があります。 ※木之本桜&セイバー(沖田総司)、江ノ島盾子&ランサー(姫河小雪)、双葉杏、蜂屋あい&キャスター(アリス)を確認しました。そして、その全員を信用しています。 ※三画以上の令呪による命令によって狂化を解除できる可能性を知りました(真実とは限りません) ※フェイト・テスタロッサの捕獲による聖杯戦争中断の可能性を知りました(真実とは限りません) ※ルーラーの姿を確認しました ※掲示板が自分の話題で賑わっていることをしりました ※バーサーカー(安慈)がルーラーと同じような怒りを杏、ランサー(ジバニャン)、ランサー(姫河小雪)、セイバー(沖田総司)、木之本桜に向けていることを知っています。 令呪二画ではその怒りすべてを鎮めることはできないと理解しています。 【悠久山安慈@るろうに剣心(旧漫画版)】 [状態]魔力消費(小)、強い怒り、憎しみ、胸元に傷(小) [装備]なし [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:??? [備考] ※雪華綺晶の存在を確認しました、再会時には再び襲いに行く可能性があります。 双葉杏、ランサー(ジバニャン)、ランサー(姫河小雪)、木之本桜、セイバー(沖田総司)、キャスター(アリス)を敵と認識しました。 標的が増え、標的が多方に散っているため自分から襲いに行くことはありません。ただしある程度接近した場合は襲撃します。 ※江ノ島盾子&ランサー(姫河小雪)を確認しました。 スキル『こころやさしいひと』の効果できらりの精神の安定に江ノ島盾子が役に立っていると察知しイレギュラーが発生。 狂化中ですが敵意を向けられない限り江ノ島盾子を襲いません。 [地域備考] ※汚い喫茶店が崩壊しました。そのうち警察等の出入りが始まります。 ☆セイバー 走って、走って、もっと走って。 気がつけば夕日は落ち、あたりは薄暗い闇に包まれ始めていた。 喫茶店からだいぶ離れたのを確認し、桜とあいは一息つき、セイバーもまた警戒を少しだけ緩めた。 キャスターの足止めが成功したらしく、バーサーカーが追ってくる気配はない。 「あいちゃん、キャスターさんは……」 「大丈夫だよ」 いつの間に持っていたのか、あいはポケットの中から一枚のカードを取り出した。 桜の持っているクロウカードと同じくらいの大きさのそれは、トランプ――ハートのクイーンのカードだった。 「これ、キャスターが作ってくれたの」 大切な物を見せるように、二人が身を寄せてそのカードを見合う。 サーヴァントが消滅したならば、そのサーヴァントの作り出した物も消滅する。 このトランプが無事な限りはキャスターは無事と思って過言ではないだろう。 「そっか」 桜の顔色はすぐれない。 知世のこと、きらりのこと、バーサーカーのこと、色々あった。仕方のないことだろう。 色々あった。そしてこれから、もっと色々あるだろう。 当座の目標は出来た。大道寺知世を攫ったというアサシンを探すことだ。 「知世ちゃん、無事だよね」 「……大丈夫。きっと無事だよ」 身を寄せ合って励まし合う桜とあいを見ながら、アサシンについて考える。 中学校の方に走っていったと言うが、相手が中学生かどうかは分からない。 ひょっとしたら令呪を奪われたあとで家に帰されているかもしれないが、可能性は低いだろう。 令呪を奪うということは、マスター同士が姿を見せ合うということ。 脱落したとは言え情報拡散の方法はある、知世が桜のことを思ってアサシンのマスターの情報を拡散する可能性もある。 相手がそれを懸念すれば、口封じのために軟禁か、記憶操作か、あるいは令呪奪取後始末か。 いずれにせよ、五体無事というわけにはいかないかもしれない。 桜にどこまで伝えるべきか迷ったが、一応『中学校に残っている可能性や家に居る可能性は低い』『人目につかない場所に隠されている可能性がある』ということだけ伝える。 隠したつもりだが、どこまで隠せたか。桜の顔は疲れの色を濃く見せたままだ。 桜は少し考えたあとで、頭の中の悩みがそのまま溢れだしたように言葉を溢した。 「これからどうしよう……」 これからどうするか。 小学生のマスター二人に手負いのセイバー一人、襲撃されれば最悪の事態もあり得る。 可能ならば誰かの庇護を受けた状態で夜を越えたいものだが、あいにくこれまで出会ったマスターにろくな者が居ない。 諸星きらりは危険だ。襲撃された以上、体勢を整えるまで近づくわけにはいかない。 双葉杏。彼女も警戒は必要だ。あの魔法少女のランサーがあいの命を狙ったのは事実だ。ランサーが救った杏もその襲撃になにか関与している可能性はある。 ならば、江ノ島盾子を頼るべきか。それもやや決め手に欠ける選択肢だった。彼女は何か不穏な気配を感じた。例えるなら…… 「なあに?」 「いえ、何も」 蜂屋あいと目が合う。江ノ島盾子の身に纏う雰囲気の奥に、蜂屋あいに似たものを感じたのは、セイバーの思い過ごしだろうか。 蜂屋あい。 桜を救い、桜のために戦ってくれている少女。 だが、この少女についてもまた、潔白ではない。 大道寺知世が攫われた時、校舎裏で彼女が見せた表情を、セイバーはまだ覚えている。 懐に入り込まれているこの距離で、蜂屋あいが何かを起こせば、セイバーは対応できるだろうか。 自身への問いの答えの代わりに、セイバーは桜に、今後のことについて進言した。 「今日はもう日も落ちました。これ以上帰宅が遅れれば、ご家族が心配なさります。 それに……恥ずかしながら、私もダメージを負っているため、これから暫くの間、戦闘で十全の成果をあげられるとは限りません」 「……そうだね。一回帰ろうか」 その笑みは弱々しい。 セイバーは、少女の笑顔一つ守れない自分の不甲斐なさに、拳を固く握るしかできなかった。 ☆蜂屋あい 身体が動いたのは、バーサーカーの暴走の直後に江ノ島盾子がこちらを見て微笑んでいたからだ。 バーサーカーの暴力から逃げようともせず「さあどうぞ」というように、あいに向けて微笑んで、ぱちりとウインクを飛ばしたからだ。 少なくとも彼女はあの事態が発生することを知っていたし、その結果がどうなるかを理解していた。 理解した上で、あいに向けて微笑んだ。あいが一番望んでいることの答えがそこにあると見抜いていた。 結果は上々だ。あいはまた、桜の色を楽しむことが出来た。 あの場で見たいくつもの色を反芻する。 少し濁ったけど暖かさは変わらない橙色。 諸星きらりは、誰よりも強い暖かさを持っていたはずの少女だった。 でも、江ノ島盾子が喋るたびに、色は濁り、澄み、また濁りを繰り返していた。 ある程度濁るとバーサーカーが現れたところから、彼女はきっと繊細なんだなあと思った。 誰にも負けないピカピカのピンク。 双葉杏は、一生懸命に光っていた。 それでも、その光は、飲み込まれていくだけの光で、せっかくきれいなのにもったいないなあと思った。 真っ黒。 江ノ島盾子は、真っ黒だった。吸い込まれるほどの綺麗な、今まで見てきた中で一番きれいな真っ黒。 橙色にそっと黒を混ぜ、ピカピカのピンクの光を塗りつぶす。他の人まで黒くしてしまうほどの黒。 でも、真っ黒なのに他の真っ黒な人たちとは違い、元気で、よく笑っていて、他人を拒まず惹きつける。そして皆に少しずつ黒を渡していく。 宇宙の何処かにあると聞いたブラックホールは、ひょっとしたら江ノ島盾子の形をしているのかもしれない。 図工の時間を思い出す。 パレットの上に二つ三つと綺麗な絵の具を選んで混ざっていくと、最後にはどんな色を混ぜても黒になってしまった。 あいにとって黒は人が消える直前の色。なぜ全部を混ぜたら黒になるか不思議だったけど、なんとなく分かった。あれは江ノ島盾子だったんだ。 最後は、氷雨に濡れたような少し寂しげな桜色。 一番見たかった人の色。 隣を歩く桜を見る。 桜色は、やはり迷うように淡い色合いに変わっている。 大道寺知世について、桜が知ってしまったのがいいことか悪いことかは分からない。 大道寺知世と出会われるのはなんだか嫌だけど、大道寺知世について考えている桜はとても素敵な心の色をしている。 桜色は、時に激しく、時に繊細に、色々なパターンを見せてくれていた。 会わせてみるのも面白いかもしれないけれど、それはまたあとで。 そのまま会わせるのは、少しだけ気が引けるから。 具体的な案はないけど、もし会わせるのならば何かとびきりのサプライズを用意してあげたい。 例えば、大道寺知世が固執していた『死神様』で。 あるいは、『死神様』に似た新しい『何か』で。 大道寺知世のクラス皆で大道寺知世『で』遊んでもいい。 大道寺知世諸共キャスターの『オトモダチ』にするのも楽しそうだ。 それらを見た時、あいの隣の桜は、一体どんな色を見せてくれるのだろう。 考えると、とても心が弾んだ。 時計を見る。 江ノ島盾子との再会にはもう少し時間がかかりそうだ。 まずは桜とともに、何か行動を起こすべきだろう。 桜はきっとアサシンについてあいと情報を交わす。 だからあいは、そこで桜に少しだけ知恵を貸してあげる。 あいが望むように桜が動いてくれる、そうなるための知恵を。 桜を家まで送り届けるか、桜に家まで送り届けられるか。 その後に、江ノ島盾子に会って、一度お礼を言おう。 それからは……他の人の前では出来ない内緒のお茶会を開く。 ポケットから取り出したトランプ、キャスターの置き土産に変わりはない。 キャスターは果たして帰ってくるのか、それとも小学校の陣地作成に取り掛かるのか。 覗き込んだハートのクイーンは、ただ静かに笑っている。 【C-3/歩道/夕方】 【木之本桜@カードキャプターさくら(漫画)】 [状態] 疲労(中)、魔力消費(中) [令呪]残り三画 [装備] 封印の杖、 [道具] クロウカード [所持金] お小遣いと5000円分の電子マネー [思考・状況] 基本行動方針:知世ちゃんを探す 0.知世を探す。午後には中学校に居た。 1.一度帰宅……? 2.知世を攫ったアサシンの手がかりを探す。 [備考] ※双葉杏、江ノ島盾子&ランサー(姫河小雪)、諸星きらり&バーサーカー(悠久山安慈)を確認しました。 ランサー(ジバニャン)に関しては現れたのが一瞬であったため「何かが居た」としか把握できていません。 【セイバー(沖田総司)@Fate/KOHA-ACE 帝都聖杯奇譚】 [状態] 疲労(中)、胸部への重大なダメージ [装備] 折れた乞食清光 [道具] なし [思考・状況] 基本行動方針: さくらのために 1.諸星きらり、双葉杏を警戒。江ノ島盾子、蜂屋あいは……? 2.今後どう動く? 3.鞘はもう、必要ないか。 [備考] ※江ノ島盾子、双葉杏、諸星きらり&バーサーカーを確認しました。 ランサー(ジバニャン)の魔力を確認・姿を視認していますが、形態変化した状態であったため正確な情報は掴めていません。 ※二重の極みによる胸部への強いダメージによって喀血が起こりやすくなっています。時間経過で回復します。 ※乞食清光は鍔から先が粉砕しています。宝具ではないので魔力を用いれば復元は可能でしょう。 【蜂屋あい@校舎のうらには天使が埋められている】 [状態]疲労(小)、魔力消費(小) [令呪]残り三画 [装備]なし [道具]ハートのクイーンのカード [所持金] 小学生としてはかなり多めの金額 [思考・状況] 基本行動方針: 色を見る 1.さくらの色をもっと見たい。 2.江ノ島盾子に強い興味。一段落したら小学校で江ノ島盾子と会う。 [備考] ※双葉杏、諸星きらり&バーサーカーを確認しました。 諸星きらりの『色』を見ることで、今後バーサーカーの出て来るタイミングが察知できるかもしれません。 ※アリスが江ノ島盾子についていっているのは知っています。自身に特別危険が及ばない限りはほうっておきます。 ハートのクイーンのカードからアリスの分身を呼び出すことが出来ますが、分身のスペックはアリスより大きく劣ります。 ☆キャスター セイバーと木之本桜を助けた理由なんて特にない。ただ、そうした方がマスターが喜ぶだろうと思ったからだ。 あのバーサーカーと戦ったのだって、特に理由はない。オトモダチにするのは難しいかなと思ったけど、マスターの大好きな桜を連れて行こうとしたし、遊ぶには丁度いい相手だと思ったからだ。 だったら、キャスターが今マスターの側を離れたのは? これには理由がある。マスターがキャスターに念話で「小学校で待ち合わせと伝えておいて」と言ったからだ。 「へえ、あいちゃんがねえ」 あの場に残っていたマスターは二人。そのうち一人は顔見知り。もう一人は誰かも知らない人。 だったら伝えるべきは当然、顔見知りの方だと判断した。 顔見知りの少女はというと、顎に手をやり神妙な顔をしてみたり、両手の人差し指でこめかみをぐりぐりしたりと考えるような動作をひとしきり繰り返した後で胸の前で手を打った。 「多少段取りは狂っちゃったけど、一応あっちも気にしてくれてるってことかな」 ニカニカと笑いながら、ぽっかぽっかと道をゆく。 途中何人かの女性とすれ違ったかと思うと、どこから取り出したのか、少女はすごくたくさんの化粧道具を両手に抱えていた。 それらをちょちょいと動かすと、汚れていた彼女の顔はとても綺麗に作り変えられた。 お化粧が終わると、もう必要ないと言わんばかりに化粧道具を捨てながら歩いて行く。 その様子がなんだか面白かったから、キャスターはあいの元に帰る前に少女の後を追ってみた。 どうせ集合場所は小学校なのだからいいかなあと思ったし、それに、きっと面白いことが起こるならあいはキャスターを呼んでくれるだろうと思った。 少女は常に上機嫌だ。笑顔を絶やさず、携帯端末を弄っている。 「ねえ、何がそんなに楽しいの?」 「知らない? 積み木ってさ、崩すための準備をするのも楽しいけど、やっぱり崩す時がいーっちばん楽しいんだよね」 キャスターが見ていない間に積み木でも遊んでいたらしい。本当に、色々と遊びの多い少女だ。 周囲を見ても積み木が捨てられてないのを不思議に思っていると、少女は突然振り向きキャスターの顔にぐいと顔を寄せて、キャスターの頬に優しく触れた。 ぼんやりと頬に伝わる熱。キャスターのオトモダチにはない、こそばゆい命の灯火の証。初めてか、久しぶりかの生の印。 そっと手に手を重ねてみる。熱はキャスターの手にも伝わってきた。 重ねられた手のひらの向こうで、少女は、今度は優しく微笑んだ。 「それに、いっぺんあんたとも二人きりで話してみたかったんだよね。死神様」 「二人きり? ワタシとお姉ちゃんで?」 「そう、二人きり。現在話題沸騰中のご存知死神様と、そんな死神様とお話できる世界一のラッキーガールとでね」 「お姉ちゃんはだあれ?」 「私が誰かって?」「我輩が誰かと聞いたか?」「そんなことも知らないなんておっくれってる―!」 「あら、もしかして自己紹介がまだでしたかしら」「それともオレっちのこと忘れっちまったかい?」 「うぉれのことか!?うぉれのこと知りたいのか!?助兵衛か!?破廉恥か!?」「せばわもすべな」 「そう、聞かれたからには答えなければなるまい! 業界期待、新進気鋭のニューフェイス!! 絶望、絶望、絶望、すべての絶望の生みの親!! 本年度ノーベル絶望賞最有力候補にして、ビューティーマジハマリ絶望コスメランキング三年連続第一位!! 私様は……そう、私様こそが!!」「あの!」「あの!!」「あの!!!」 「江ノ島あああああああああああああああああ!!!! 盾子ちゃあああああああああああああんんんんん!!!!! 【絶望 エノシマジュンコが一体出た!】 「ってな感じで、よろしくね」 少女――江ノ島盾子が自身の名前を口にする際、アリスは不意に、自身のいつかの記憶を幻視した。 彼女の記憶に残る悪魔たちと同じような空気を、江ノ島盾子は身に纏っている。 江ノ島盾子は、ひょっとしたらいいオトモダチになれるかもしれない。 そう思うと、なんだかウキウキした。 ◇◇◇ 「にしても、大掛かりにやったねえ」 夕暮れ、逢魔が時に紅く染まる小学校。今まさにオカルトの一部へと変貌を遂げている空間に、幻影の遊園地が重なって見える。 夜が迫ったことで異界と現世が近くなっている。 いや、それだけでは説明できないほどに、遊園地の存在は濃くなってきている。 人がたくさん死んだのか、それとも他の理由からか。 どうあれ、まるで世界全体がキャスターの方に近づいてきてくれているみたいで、とてもうれしくなった。 「『死神様』についてもそうですけどぉー、これってぇー、どう見てもそれだけじゃないじゃないですかぁー?」 「それだけじゃないってなあに? どれだけがあるの?」 「思ってたよりオトモダチが多いんじゃい! あたしゃちょっとビックリしちまったよ!!」 遊園地/小学校でキャスターたちを出迎えてくれたのは、オトモダチとオトモダチ予定の子たち。 オトモダチ。ずっとキャスターと一緒に居てくれる子。『死神様』事件や、そうでない何かで死んでしまった人々。 そして、そのうちオトモダチになってくれる子たち。魅了魔法(マリンカリン)によって一時的にアリスのそばに居てくれている人々。 その人数は、もう教室一クラス分では収まらない。合唱の時は音楽室じゃなくて体育館を使う必要がある。 「そう! オトモダチをいーっぱいに増やすの! すっごく楽しいでしょう?」 「ふーん……ねえ、アンタはなんでそんなことすんの?」 「なんで……って、どうして?」 不明な問い。オトモダチを作るのに理由なんてない。オトモダチが居れば楽しいからだ。 「聞き方が悪かったね。アンタはオトモダチを作って何がしたいの?」 不明な問い。オトモダチを作ってしたいことなんてない。オトモダチが居ればそんなもの後からいくらでも考えられる。 大切なのはオトモダチを作ることだ。今、ひとりぼっちではなくなることだ。 「分かんない」 「分かんないの?」 「だってオトモダチと一緒にいれば、なんだって出来るもの! 何がしたいなんてないわ」 一人じゃダメだ。一緒に遊ぶことも、一緒に踊ることも、一緒にお茶を飲むことも出来ない。 あるいは刹那、あるいは悠久に近い時間の牢獄の中で、キャスターはずっと一人ぼっちだった。 だからオトモダチを作って遊ぶ。だから何よりもまず、オトモダチを作るのだ。 「ワタシ(アリス)はね、オトモダチがほしいの。ずっと一緒にいられるオトモダチが」 「……へえ、そういうこと。いいじゃん、分かりやすくて! じゃあ、作るべきだね。オトモダチ。それももっとたくさん」 江ノ島盾子は笑いながら肯定してくれた。きっといい人だ。 そう、オトモダチは多いほうが楽しいに決まっている。だから―― キャスターが江ノ島盾子に言葉を返すよりも早く、江ノ島盾子はキャスターに一歩歩み寄って、真剣な顔でこう続けた。 「でもさ、それ、足りないものがあるよね」 「足りないもの?」 「そう、決定的に足りてない! 私様は知っている、オトモダチってのは質より量!! ……だが、唯一量を上回るその存在の名を知っている!!!」 オトモダチが増える。とてもうれしい。とても楽しい。仲良しでいられる。 それに足りないものがあるとすれば…… 「親友だよ」 江ノ島盾子はとても楽しそうに笑っていた。だからキャスターは、その『親友』というものがとても素敵なものなんだろうと分かった。 江ノ島盾子はくるりと踵を返し、ツインテールを揺らした。その背中は幻影の遊園地のどんな遊具や拷問器具よりも大きい。 「親友ってなあに?」 「友達の中でも、いちばん大事な友達。 みんな大事なオトモダチ、でもその中でも一番大事。世界で一番大事なオトモダチ」 「世界で一番?」 「そうそう、世界でいっちばん。特別に大事。全部を投げ捨ててでも……命を投げ捨ててでも助けてあげたい人。 つまり、アンタのためにすげー頑張ってくれる、いい感じの友達ってやつ」 友達に優劣がある、というのはあまりにも斬新な概念だった。 少なくともアリスは今までのオトモダチに優劣をつけたことはない。皆仲良し、皆一緒だった。 「分かんない? じゃあ、こう言い換えようか。親友ってのは、深い絆で結ばれてて、心の奥でシンクロしてて、言葉がなくても分かり合える、自分の半身みたいなオトモダチ。 アンタはこの遊園地でいっぱいオトモダチを作った。でも、いっぱいいるオトモダチの中に、そんな素敵なオトモダチがどんだけいる?」 その説明で、ふと思い当たる光景が浮かんだ。遠い昔のような、はるか未来のような、いつ見たかもわからない光景だ。 赤い伯爵と黒い男爵。二人はいつも一緒。そしていつでも、何も言わずにわかり合って、アリスを迎えに来てくれていた。 きっと彼らみたいな関係が親友なのかもしれない。 それに対して、アリスの今のオトモダチはどうだろう。 何も言ってくれない。何も分かってくれない。仲良く遊ぶこと、お茶会を開くことは出来ても、一緒になにをやるかを考えてくれることはない。 いつか消えてしまう。聖杯戦争が終われば彼らもまた今までのオトモダチ同様アリスをおいてまたどこかに消えてしまう。 途端に、なんだか『親友』にとても興味が湧いてきた。 たとえ聖杯戦争が終わっても一緒に居られる『親友』が居れば、きっとこの先アリスがどうなっても、寂しい思いはしなくなる。 「ねえ、死神様。欲しくない? 大事な大事な、大親友」 「それって、きっととっても素敵なことね!」 大親友。 キャスターのためにとても頑張ってくれる、いい感じの友達。 キャスターの脳裏に浮かんだのは、当然、一人の少女の姿だった。 そういえば、考えたことがなかった。何故失念していたのだろう。 あんなに素敵な少女をお友だちにしようとしないなんて、ちょっとおかしくないだろうか。 考えてみる。素敵な話だ。 オトモダチをたくさん増やすのと一緒に、親友の作り方を考えてみたほうがいいかもしれない。 「ねえ、エノシマジュンコチャン。オトモダチって他にもいっぱい種類があるの?」 「いっぱいあるよ。あたしはね、オトモダチにだけは恵まれてきたから。 世界を変えちゃうくらい、素敵なオトモダチをたーっくさん、作ってきたからね。 オトモダチの中には『好敵手』と書いて『とも』と呼ぶようなやつも居た気がするし、『気に食わないアイツ』と書いて『ダーリン』と呼ぶようなやつも居た気がするし」 江ノ島盾子の言葉は止まらない。 そのすべてが、キャスターにとっては初めての知識ばかりだった。 その全てを吸収しながら、キャスターは江ノ島盾子とともに小学校を歩いて行く。 静寂の中夕日に照らされた廊下は、地獄に続く道のように真っ赤に染まっていた。 ☆ 喫茶店での一件、江ノ島盾子は何をしたのか。 何もしていない。他のマスターたちの命懸けの立ち回りに比べれば、彼女は姫河小雪の真似をして場をスムーズに進行させた程度だ。 では、江ノ島盾子は喫茶店での一件に何も関与していなかったのか。 そんな訳はない。 すべては彼女の手のひらの上で踊らされていただけにすぎない。 江ノ島盾子はあの場に至るまでに何をしたのか。 それを説明するには今朝よりもずっと前、予選時点で諸星きらりの事件を知った時まで遡る。 ランサーが危険人物の犯行とだけ断じた高校での一件。江ノ島盾子はすでにそこから彼女についてかなりの可能性を論じていた。 何故三人を殺したのか。諸星きらりの前評判を聞けば、彼女にジェノサイダー翔のような二面性があったとは考えづらい。 隠れて何かをするサイコパスだったとしても江ノ島盾子の情報収集能力を持って尻尾もつかめないなら相当のものだ。 何故『三人だけ』殺したのか。トイレを出れば数十数百という人間が居たのに、被害者は三人だけだったのか。 諸星きらりが犯人ではないとして、諸星きらり自身が被害者にならなかった理由はなにか。意志の統制が取れているのか。 諸星きらりについて考えれば考えるだけ、つまらない積み木は華麗に積み上がっていき、驚くほど容易に結論を導き出せた。 そこから、諸星きらりは結局『被害者』であり、その三人殺しの一件に関しても傍観していたのみであると考察した。 本人が学校に現れなくなったこと。予選期間以降事件が続かなかったこと。その他色々な要素で真実を組み上げていく。 結果、江ノ島盾子はきらりの召喚したサーヴァントがバーサーカーあるいは危険思考を持つサーヴァントであるとまず推論し。 そしてきらりの召喚したサーヴァントの凶行の原因が『諸星きらりへの敵対行動』であると見抜いた。 ここで言う敵対行動が『どのライン』かはわからない。だが最初の現場を何度も頭のなかで検証し直した結果、興味深いことに、『諸星きらりの絶望』が関与しているということは掴んだ。 それが彼女の用意した、この喫茶店での崩壊劇の最初のコマだ。 そこから彼女は当然のように諸星きらりの居場所を割り出し、当然のように諸星きらりの懐に入り込んだ。 そこから江ノ島盾子の方針はまず『諸星きらりの味方になり、安全圏から彼女のバーサーカーを誘導する』ことに焦点を定めた。 相手は誰でも良かった。諸星きらりに敵対させて、諸星きらりの正体をもう少し詳しく把握できるならば、誰でも。 そこで運が味方をした。天から次のコマが降ってきたのだ。 掲示板に現れた諸星きらりの友人を名乗る人物。 彼女を利用すれば、諸星きらりの運用法を知ると同時に、友人と、ついでに江ノ島盾子の不肖のランサーに絶望を味合わせることが出来る。 それは、いかにも素敵で無敵で絶望的なストーリー。 後のことは既に語られている。特に語ることはない。 こと喫茶店に至って彼女が特にやったと言えることは、最後のバランス調整くらいだ。 あいという特級の毒物を受け入れ、話題誘導を行い、杏を使いつつきらりの精神状況を操作する。 とっておきのタイミングまで諸星きらりが壊れてしまわないように、でも立ち直ってしまわないように。 時々彼女の支えとなり、時々他者を利用しながら彼女を傷つけて。表面張力によって溢れないくらいギリギリの『絶望』に保つ。 そして、最も愛すべき隣人・双葉杏に崩壊の引き金を引かせる。 結果はご覧のとおり。 双葉杏の優しさに溢れた心無い一言で諸星きらりの精神は一定レベルを超過。 バーサーカーが現れて、あの場の全てをめちゃくちゃにした。 だが、バーサーカーは江ノ島盾子を狙わない。なぜなら江ノ島盾子はあの瞬間『何もしていない』のだから。 荒れ狂う状況の中で諸星きらりの携帯端末を片手に、鼻歌交じりでキャスターの本体と喫茶店を悠々と出ていけたくらいだ。 バーサーカーは蜂屋あいを狙わない、というのも予測の範疇。蜂屋あいは諸星きらりとほとんど敵対せず、木之本桜を守るためだけに身を晒した。 無辜の被害者を増やさないという特性上、明確に敵対さえしなければ敵にならない。その行動原理のある種の穴をついたわけだ。 きらりの影に隠れ、バーサーカーの影に隠れ、戦闘の煙に紛れ、行った悪事は皆無。 だが、彼女は扇の要だった。あの瞬間のすべては、江ノ島盾子によって操られていた。 演出家・江ノ島盾子はその場で自身の創り上げた物を前に、いつものようにこう呟くのだ。 「ああ、やっぱり世界は絶望的なまでに美しい」と。 ……江ノ島盾子はそんなこと呟いたことがない? そんなこともあるだろうね。私様はとても飽きやすいから。 彼女の立場は明白だ。 諸星きらりの一番の理解者だが、彼女という爆弾を利用して生まれるはずの和平の芽を焼き払った。 バーサーカーが暴走しないように手綱を取れる唯一の人物だが、彼を陰から操り無辜の被害者を増産する。 双葉杏の身の安全を保証するが、その代わり彼女の信頼で諸星きらりをぶち壊した。 ランサーに対して彼女の正義を肯定するが、肯定した上で絶望で叩き潰す。 木之本桜から当座の敵を引き離す代わりに、彼女にとって最大の敵への警戒心を消した。 セイバーの窮地を救う手助けをするも、眼前の情報を捻じ曲げて後の大爆発の布石を討つ。 蜂屋あいの道楽のために助力するが、一方で蜂屋あいに対しても大きな爆弾を背負わせた。 キャスターに最も輝かしい夢を与え、その夢のためという建前で彼女を使い潰す。 諸星きらりとバーサーカーの味方であり敵。 ランサーの味方であり敵。双葉杏の味方であり敵。 木之本桜とセイバーの味方であり敵。 蜂屋あいとキャスターの味方であり敵。 理解不能なスタンス。だが、なんとも江ノ島盾子なスタンス。 全人類の敵であり、あるいは全人類の味方。 広義的な意味で言えば、すべての人間に対して絶望的に平等で、絶望的なまでの中立。 貧富貴賤上下左右老若男女関係なく、分け隔てなく、みんな仲良く破滅へと導く。 江ノ島盾子とは、超高校級の絶望とは、ヒトの形をした災害と言った方がいいのかもしれない。 そして、江ノ島盾子の絶望的に強大で凶悪で狂気じみた絶望は、いつか江ノ島盾子すらも飲み込む。 きっと江ノ島盾子の最大の味方も江ノ島盾子であり、江ノ島盾子の最大の敵も江ノ島盾子なのだ。 「いいねえ、世界がドロドロのグチャグチャになってきた。 もっと過激に、もっと素敵に、キラキラぴかぴかのはっぴはぴに輝かせたいにょわねぇ #65374;!」 だが、それがいい。 理不尽だから、不条理だから、不透明だから、非常識だから、絶望的なまでに混沌であり予測不可能だから、江ノ島盾子は絶望が大好きなのだ。 結末としてその絶望が江ノ島盾子を飲み込んだとしても、それもまた、彼女の願うところに変わりはない。 だって、こんなに世界は絶望に満たされているのだから。 「んで、どうしましょうかねえ。きらりちゃんを回収するのいいかしらねえ」 「確かに諸星きらりを手元に置いておけば鉄砲玉として使えるのは利点ですもの」 「それに、小雪が居ない間僕を必ず守ってくれる人を側に置いておくっていうのはいい話だ」 「でも、あの状態のきらりんを放っておくのもとってもとーっても楽しいことになる気がするよぉ #65374;♪」 再び諸星きらり爆弾を回収するのも手。あれほど使いやすい爆弾はない。しかも江ノ島盾子は安全圏から絶望を操作できる。 諸星きらり爆弾を放置するのも手。今のきらりはニトロと一緒だ。NPC・マスター問わず少しのストレスで大爆発する。放っておけば血の雨が降って戦争を加速させるだろう。 道を探る。最適解は見えそうで見えない。 だがそれでいい。最適解ばかりではなく、時にはびっくりするほどの愚策も織り交ぜる。 きっと双葉杏は諸星きらりのためにこれから幾つもの策を弄することだろう。 その道中で杏は江ノ島盾子を最大の敵と認識するだろうし、ランサーとともに江ノ島盾子を倒すためにあの手この手を考えるだろう。 だが、双葉杏が研ぎ澄まして江ノ島盾子を追えば追うほど、途中に挟まれるなまくらな一撃は彼女の頭の中の江ノ島盾子の姿を隠す。 ◇◇◇ 「ど・ち・ら・に・し・よ・う・か・な……うーん、実際どっちもいいんだけど」 キャスターと話しながらの楽しい道中も終わり、一つの部屋の真ん中で椅子に座って足を揺らす。キイキイという背もたれの軋む音は、楽しげなお茶会の声。 入るのにはやや苦労したような気もするし、まったく楽勝だった気もする。 ドアを開けた瞬間、NPCが何かを言っていたが、そんなのすぐに聞こえなくなった。江ノ島盾子には既に彼らよりも大切なものしか見えていない。 だからキャスターにすべてを任せて、江ノ島盾子は自身の目的に邁進した。 「きらりんよりも面白そうなことも起こってんだよねえ」 江ノ島盾子は忘れていない。自身の起こした行動の他に舞台を動かす大きな力があったことを。 喫茶店できらりと杏と三人で見た光る空を。爆発を。 小学校周辺で大規模な戦闘。諸星きらりと同行していたことで参加できなかった本日のメーンイベント。 彼女はその様子を今しがたほぼ全て確認した。小学校中に備え付けてある監視カメラと、それと連動しているレコーダー・モニターを使って、だ。 モニターの向こう側に広がっていたのは、江ノ島盾子とはまた別の絶望の火種たち。 フェイト・テスタロッサによって引かれた引き金に、蜂屋あい・木之本桜と自身のランサーの闘争。 校門前での無防備な少女と不敵な男、助けに入った素敵な素敵な私様のランサーに、襲撃してきたサーヴァント、もう一人増える少女と、乱入してくる未確認飛行物体。 そこで小学校周辺の騒動は終わり。警察や消防が現れて現場を調査するも驚くほどあっさりと捜査を切り上げて帰っていく。 調査が杜撰すぎる。主催者による何らかの情報操作が超常の力で行われた可能性は高い。 例えば……ランサーの記憶の中にあった『感情を伝播する魔法』のような力。江ノ島盾子の暮らしていた世界には存在しなかったそんな力で、主催が介入したと見ることも出来る。 NPCが人間を真似た偽物であるがゆえに本物のような危機意識を持っていない、と言ってしまうのも簡単だが、見ず知らずのことが多いこの世界ではすべての可能性が肯定される。 考えれば考えるだけ、世界の闇は晴れていき、壁のように広がる底に近づいていく。 しばらくすれば録画した映像の再生は終わり、現在の映像が映し出される。 そして、また一つ、重要なものが見える。 「成程、白坂小梅ちゃんね」 その姿には見覚えがある。NPC時代にテレビや雑誌でよく見た顔によく見た姿だ。 情報も頭に入っている。白坂小梅。13歳。中学一年。霊感の強さと電波系に片足を突っ込んだキャラクターで業界の最前線を攻めているアイドルだ。 そんな少女が、何故ここに居るのか。 キャラ付けのためにちょっと爆発現場によってさっと死体を見て帰るというふうではない。忘れ物を取りに来たにしては小学校前に固執している。 どちらかと言えば。 「行ったり来たり、探してるのはどっちだろうね」 左手に握るのは携帯端末。諸星きらりと双葉杏の絆の証の入ったもの。自称アイドルであるきらり・杏と顔見知りという線は捨てがたい。 右手に握るのはリモコン。輿水幸子と星輝子の絆の証を映すもの。仲良し三人組、なんらかの情報を共有している可能性はある。 どちらかか、あるいはどちらもか。 どちらにしろ、そこから広がる未来は見え透いている。再会し、抱き合ってお互いの傷を舐めあい、身体を寄せ合って戦い、幸せな未来に夢をはせる。 反吐が出るほどに陳腐なストーリーだ。予定調和に溢れた『希望』の物語、これほど見ていてつまらないものはない。 江ノ島盾子の中でスイッチが入る。そのスイッチに動機はない。理屈はない。意味はない。 ただ、水が高いところから低いところに流れるみたいに。軽い気体が部屋の上に集まるみたいに。使い続けたコップが汚れるみたいに。 全く自然の道理として。江ノ島盾子の視界に入ってしまったがゆえに、白坂小梅も今、江ノ島盾子の標的になった。 何か理由が必要だったとするならば、白坂小梅が諸星きらりや双葉杏や木之本桜や蜂屋あいと同じく、江ノ島盾子と同じ時代を生きる人間だったというだけで説明はつくだろう。 小梅の存在と江ノ島盾子の気まぐれが、双葉杏が諸星きらりについて最大限の思考を巡らせているであろうこの瞬間に諸星きらりへの対応をひとまず置いておく、という愚策中の愚策を突っ込ませた。 「ねえ、死神様」 「なあに、エノシマジュンコチャン」 「死んでる人と仲良くなれるアイドルに、興味はない?」 キャスターの笑顔は、暗闇の中でもはっきりと分かるくらい、眩しく輝いていた。 【D-2/小学校・警備員室/夕方】 【江ノ島盾子@ダンガンロンパシリーズ】 [状態]健康、絶望的にハイテンション [令呪]残り三画 [装備]諸星きらりの携帯端末 [道具]なし [所持金]大金+5000円分の電子マネー(電子マネーは自分の携帯を取り戻すまで使用できません) [思考・状況] 基本行動方針:絶望を振りまく 1.次なる絶望の仕込み。ここらで一発スペシャルなオシオキとかどっすか? 2.諸星きらりをプロデュース……は、一旦後回しとかどうにょわかねえ。 [備考] ※諸星きらりを確認しました。彼女の自宅の位置・電話番号・性格なども事前確認済みです。 ※自身の最後の書き込み以降のスレは確認できません。 ※数十分、もしくは数時間、あるいは数日、ひょっとしたら数年は同じキャラを演じ続けられるかもしれませんし、続けられないかもしれません。 ※ランサーのスキル『困った人の心の声が聞こえるよ』に対して順応しています。順応に気付いているかいないかは不明です。動揺しない限り尻尾を掴まれることはないかもしれません。あるかもしれません。 ※バーサーカー(悠久山安慈)の敵対のきっかけが『諸星きらりの精神・身体に一定以上の負荷をかけた相手(≒諸星きらりを絶望させた相手)』と見抜きました。 そのラインを超高校級の絶望故に正確に把握しています。彼女自身が地雷を踏むことは(踏もうと思わない限り)ありません。 ※小学校校門前での闘争を確認しました。 その過程で輿水幸子、星輝子がマスターであると確認済みです。現在白坂小梅が小学校前をうろついているのも確認済みです。 【キャスター(アリス)@デビルサマナー葛葉ライドウ対コドクノマレビト(及び、アバドン王の一部)】 [状態] 魔力消費(中)、陣地とオトモダチのMAGにより魔力回復中 [装備] なし [道具] なし [思考・状況] 基本行動方針: オトモダチを探す 0.あいが呼ぶのを待つ。 1.面白そうなのでしばらくエノシマジュンコチャンに同行する。 2.知世をオトモダチにしたい。 3.さくらに興味。 4.サーヴァントのオトモダチが欲しい。 5.親友って素敵なこと? [備考] ※学校には何人か、彼女と視界を共有できる屍鬼が存在します ※学校の至る所に『不思議の国のアリス』への入口が存在しています ※不思議の国のアリス内部では、二人のアリスが遊園地の完成を目指して働いています ※エノシマジュンコチャンとは魔力パスがつながっていないため念話は使用できません。 ※学校に残っていたNPCをオトモダチにしました。 BACK NEXT 040 外へ 投下順 042 遊園地で私と握手 039 ああ、あの愛の喜びに満ちた 時系列順 033 青春にさようなら BACK 登場キャラ NEXT 032 友情に火を点けて - Friendly Fire - 江ノ島盾子 042 遊園地で私と握手 キャスター(アリス) 双葉杏&ランサー(ジバニャン) 047 夜の向こうで待つ人へ ランサー(姫河小雪) 木之本桜&セイバー(沖田総司) 043 帰宅 蜂屋あい 諸星きらり&バーサーカー(悠久山安慈) 053 ヒトリノ夜
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imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 森の竜と少女の物語 ドラゴンナイトの起こりを物語調に編纂したユグドラシルの童話。 この著の作者バイモン・ドラコイヤーは、本の編纂に際して女子供を主役とした故事の多さに驚愕したと同時に、 人身御供として魔物である竜に捧げられ、結果として見染められて竜乗りになった、 といった類の故事の多さに心を痛め、著の出版後に自費で慰霊碑を建てている。 国も興らぬ昔のある年、魔物被害が頻発するようになり近隣の町は大きな被害を受けた。 男たちは自警団を組織して対抗したが、戦い慣れぬ彼らでは魔物に手も足も出ず、大層困り果てた。 悩みに悩んだ挙句、町の者たちは力ある森の竜のいる湖に赴き、町を護ってもらえないかと懇願した。 森の竜は拒んだが街の者たちがあまりにしつこいので、追い返すためにある条件を出した。 「お前たちの町で一番美しい少女を一人差し出せば、願いを聞き入れよう」 森の竜はわざと無理難題を吹っ掛けて町の者たちを諦めさせようとした。 町の者たちは「わかった」とだけ言い、とぼとぼと帰って行った。 これで諦めるだろうと胸を撫で下ろした森の竜だったが、 翌日、村の者たちと話した湖に行ってみると、そこには約束通り一人の少女がいた。 足枷を填められた少女は森の竜に気付くとひどく怯えた表情で、こう告げた。 「森の竜さま。わたくしの命と引き換えに、どうか町を御救いください」 森の竜は落胆した。 保身のためならば弱きものを平気で切り捨てられるニンゲンの醜さと、 軽はずみに条件を提示した自分自身に心の内で静かに憤怒した。 それと同時に、このような理不尽を前にし恐怖に身を震わせながらも 自分を生贄に捧げた町の者たちのために犠牲になろうとする少女の優しさに、森の竜は心打たれた。 元々少女をどうにかしようと思っていなかった森の竜は、少女に契約を交わさせ、 その身滅びるまで共に在らんことを誓わせた。 こうして少女は竜乗りとして大空へ飛び立ち、森の竜は古巣を捨て新天地を目指し、 何処かへと旅立っていった。 数日が経ち町の者たちが湖へ現れたが、当然そこに森の竜の姿はなく、 一様に騙された、と喚き散らしていたが、その声に引き寄せられてきた魔物に食べられてしまい、 少女を見捨てた町にも相応の報いが下ったそうな。 ―――バイモン・ドラコイヤー著 森の竜と少女の物語より一部抜粋 era2 era3 ユグドラシル 物語
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Q -Question- ◆EAUCq9p8Q. ☆ 輿水幸子 悪夢を見ていたんだと思う。目が覚めてしまえば思い出すことも出来ない、影のような悪夢を。 どろりとしたものから意識が抜け出す。 ぐわりぐわりと頭の中が伸び縮みする感覚は、あまり良くない睡眠を取った時特有のものだ。 頭のてっぺん寄りの部分がじくじく痛む。 痛みに従い、鼻の奥と喉の奥に違和感が広がる。 口の奥が水分を求めあい、お互いにべったりとひっつく感覚で、喉が乾燥してしまっているんだと分かった。 そこから、意識がだんだん明らかになる。 水が飲みたい。喉が乾いたままだとアイドル活動に支障が出そうだ。 体を動かそうとしても、思うように筋肉が動かない。凍えてしまったみたいにカチコチだ。 うんうん唸りながらようやく身を起こすと、傍に何かがガバッと動いた。 「お、起きた!?」 少しだけ、聞き覚えのある声だった。 声の主はどたばたと動き回り、なにをひっくり返したのかガッシャンという轟音を響かせ、そして静寂が戻ってきた。 一秒、二秒、三秒。 「おいおい、すごい音だけどなにがあった」 「たすけて」 「うーむ、芸術的な生花だ。オブジェとして飾っておこう!」 「たすけて、たすけて」 「おっと、この大根喋るぞ!」 「ひょっとしてだけど、これ、玲の姉ちゃんなんじゃ……」 「はっはっは、まさかだよ。あの玲ちゃんがこんなドッグゴッドハウスなポーズでイェイイェイしてるものかね」 「じゃあ試してみるよ。えい」 香ばしいソースの匂いが漂う。 ぐー、と大きなお腹の音が鳴る。 「なんと、玲ちゃん! 何故生花の真似なんかを!」 「たすけて」 「よーし、うら若き乙女の両足をしっかり握って自分の方へ引き寄せるプレイだ!」 喉の乾きより気になる会話に、自然と目が開いてしまう。 開けた視界の先では、どうやったのか棚に上半身が突き刺さった少女と、彼女の下半身を引っ張る人だかりがあった。 ヤイサホーヤイサホーという叫び声。びくともしない少女の下半身。 悪夢がどうとか喉の乾きがどうとかそういう言葉を飲み込んでしまうよくわからない状況に、流石の幸子もただ見つめ続けることしか出来なかった。 ☆ 「先ほどは、お肉欲しいところを見せまして」 「……お見苦しい、なのでは?」 「うーん、惜しかった!」 「言うほどだと思いますよ」 無事にはちみつ色の髪の毛の少女(玲、と呼ばれていた)の救出に成功し数分。 アレク輔と呼ばれたリーダー格の青年率いるマルサというらしいグループの少年少女は、玲を引っこ抜いたあとで棚からお菓子をいくつか取って遊びに行ってしまった。 秘密基地に残ったのは、幸子と玲だけだった。 幸子はぼんやりと、玲を見つめる。 泣いていた幸子を見つけてくれて、幸子の手を引いてくれた少女。聖杯戦争の参加者の少女。 聖杯戦争について考えると、頭の中でいろいろな情景がよぎっていく。 他の参加者とのやり取りのこと。戦闘のこと。戦闘とは全く関係のない日常のこと。 どんな情景を浮かべても、最後に思い出すのは輝子のことだった。 この先どれだけ後悔を重ねても埋めることの出来ない不完全な別離と、望まぬ結末のことばかりだ。 「……なにか、あったんだよね」 「……」 答えられない。 口に出せば、その言葉が幸子の胸を刺し、その場に縫い止めてしまうと思ったから。 黙る幸子を見て、玲はうーんと考え込んで、ゆっくりゆっくり話し出す。 「私もさ、なにかがあったんだと思うんだ」 『なにか』というぼかした単語がもう一度口にされる。 だが、幸子が抱きしめて泣いていた『なにか』に対して、玲が抱いている『なにか』は随分おぼろげなものだった。 「目が覚めて、ここに居て。それが普通だった。 ここは、暖かくて、楽しくて、安心できて、とっても素敵な町で。ずーっと、ここで暮らしていければ、それが一番の幸せかもって思うんだ。 ……でもね、私の心のどこかがね、時々ふっと、『なにか』を探すの」 人々の行き交う大通りに。 逆さまの町並みに。 力の集う坂のどこかに。 渦巻く海の奥深くに。 葉桜並ぶ道のその先に。 紅葉舞う神社の流れ星に。 夕暮れの商店街の向こう側に。 どこかにあるかも知れない『なにか』を、玲の心が探し、玲自身がぼんやりと目で追ってしまうのだと言う。 あまりに鮮烈でどこまでも痛切な幸子の喪失とは真逆の、穏やかで、緩やかで、なだらかな、夢の中に置いてきてしまったような喪失。 玲もまた、『なにか』を失い、迷っている。 「そして、私の心が『なにか』を探すそのたびに、頭によぎる言葉があるんだ」 ゆっくりと、静かに、しかし確かに紡がれるのは、楔。 「『これでいいのか』」 安寧の町で暮らす玲に、彼女の心は問いかける。 「優しい男の人の声が、そう、聞いてくるの。 玲、君はこれでいいのか、って」 薄く笑みを浮かべるみたいなのんびりとした表情と、のんびりとした語り口。 でも、そこには、幸子よりも随分大人な横顔があった。途方に暮れる幸子の一歩先で、佇む少女の顔だった。 ☆ 振り返ってみれば。輝子を失い、幸子もまた、ひたすらに、『なにか』を探していた。 歌を聞かせてくれた歌姫にも手を引き守ってくれた玲に問い、自身の心に渦巻く後悔や憤怒や憐憫や絶望の奥に隠れている『なにか』を探していた。 目の前の少女の笑みが、陽光のように輝いて見えるのは、きっと、幸子が探す『なにか』に一歩だけ近いから。 その『なにか』は、きっと、答えだ。 自分の向かう先、たどり着く場所の、答え。 ひっくるめた過去の、広がる未来への、どうしようもない現在での、答え。 幸子が得た答えは希望もなにもない喪失だった。輝子を失ったという結果だけが墓標のように突き刺さる、無骨な答えだった。 「これでいいかどうかなんて、誰が教えてくれるんですか」 思わず口を突いて出た問いは、幸子の胸の内で暴れる傷跡が放つもの。 「結局、答えなんてないんですよ! 誰かの出した答えが正解だとは限らない! 誰かの答えが、誰かを傷つけるだけかも知れない! だったら、本当にこれでいいかどうかなんて、誰にも―――!」 輝子は、きっとあの時、迷わず答えに向かっていたんだろう。 幸子を守るというその一点に向けて、迷わず飛んでいけたのだろう。 でも、その答えは正解だったのか。輝子にとっての答えは、幸子にとっての正解だったのか。 誰かを守るために散らす命は尊いのか。 そんなわけがない! 誰かを守れなくたって、泥まみれだって、生きて、笑って、横に居てくれる方が絶対にいい。 失われた命では、この胸に空いた穴が埋まることはない。少なくとも、輝子の答えは幸子にとっての正解からは遠い。 納得も、理解も、追いつかない。 「私も、なにが正解かなんて分かんないなぁ」 「じゃあ……ッ!」 「でも、分かんなくてもいい……んじゃないかな?」 玲の言葉に、次いで吐こうとしていた幸子の言葉が止まる。 てっきり、玲は答えを見つけ、その答えに従って進んでいるのだと思った。なのに。 「これから先、いつかどこかで『なにか』に出会って。『玲、君の答えは間違ってたんだよ』って言われても。 ここで食べたご飯が美味しいこととか、桃本やマルサの皆と一緒に居たのが楽しいことまでは変わんないから。 昔のことはわかりませんが、今は幸せなので! きっと明日の私から見ても、昨日の私は幸せです!」 それは、先に出た言葉で言うならば、答えではなく納得だった。 玲は納得している。答えのない世界で、自分の今に納得している。 幸子が輝子のことを後悔し続けるのは、納得していないからだ。 あの場面で手に入れたかった正解は、二人で生き延びることだった。 でも、もしも幸子が戦うことを選んでいて、たどり着いていた結末がそれでも輝子を守れなかったり、逆に幸子が倒れたり、二人共倒れだったり、そんな正解から外れた結末だったとしても、きっと幸子は今ほど自分に問うては居なかった。 幸子がひたすらに責めているのは、結局、『あの時自分に従い行動できなかった自分』だ。 『これでいいのか』。 胸の内の問い。この場の答えがその場で正解かどうかなんて分からない。でも、そこに納得がアレば。 「正解じゃなくても、間違いじゃない」 「うん、たぶんそれ!」 玲は幸子の呟きににっこり笑って答えた。 玲が自分にぽっかり空いた穴のことまで晒して幸子に伝えたかったことと、幸子が受け取った答えが合っているかは分からない。 ひょっとすると玲はくよくよすんなよと言いたかっただけかもしれない。 深い意味などなく、自身の傷と同調させることで幸子の傷を一緒に背負おうとしてくれていただけかもしれない。 この答えは、幸子が勝手に組み上げた理論で、玲の本心とはちぐはぐかも知れない。 でも、玲を問いただし実際の答えを求めようとは思わない。今の幸子には答えなんてどうでもいいと思えたから。そこに納得があったから。 そして、どうすれば失ってしまった輝子に報いることが出来るのか、その尻尾が掴めたように思えたから。 だから、幸子は涙を拭き、玲を見つめる。 「ね、一緒に見つけに行こうよ!」 玲は屈託なく笑いながら、片手に焼きそばを持ち、もう片方の手を幸子に差し出す。 「正解じゃなくても間違いじゃないものを、ですか?」 「そうだよ。どこにもないものでも、この町ならどこかにあるかもしれないから!」 まるで禅問答みたいな誘い文句。 幸子が立ち上がったのは、握られた手が優しかったから。 輝子のこと。聖杯戦争のこと。クリエーターのこと。今だけは、そんな全てを横に置き。 この場の答えは、それだけで良かった。 「どこに行くんですか?」 「そう言えば、おなかが減ったよね! まずは購買部に行こう!」 「焼きそば食べながら言うんですか、それ?」 「焼きそば食べながら言うんですよ、これ!」 きっとこの選択を、明日の幸子も納得すると信じていたから。 【???/さいはて町 ヒノモト学園裏秘密基地/2日目 早朝】 【玲@ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス】 [状態]健康、魔力消費(小)、『開拓者』 [令呪]残り三画 [装備]『戻す力』 [道具] [所持金] [思考・状況] 基本行動方針:街で日常生活を楽しむ。聖杯戦争を終わらせたくない。 1.幸子とさいはてを歩く [備考] ※聖杯戦争についてはある程度認識していますが、戦うつもりが殆どありません。というか、永遠に聖杯戦争が続いたまま生活が終わらなければいいとすら思っています。 ※原作で玲の使えるスキルを使用できますが、開拓者としての『戻す力』を似た形で行使しているだけです。 ※『これでいいのか?』という声が聞こえています。 【輿水幸子@アイドルマスターシンデレラガールズ】 [状態]魔力消費(大) [令呪]残り一画 [装備]なし [道具] [所持金]中学生のお小遣い程度+5000円分の電子マネー [思考・状況] 基本行動方針:『納得』を得る 1.玲に連れられ、さいはてを歩く 2.輝子に報いるために――― [備考] ※一気に極大の魔力を消費したことによって一時的に気絶しています。 魔力がある程度回復すれば自然に目覚めます。 ※ランサー(姫河小雪)、フェイト・テスタロッサ&ランサー(綾波レイ)、 キャスター(木原マサキ)、バーサーカー(チェーンソー男)、玲&エンブリオ(ある少女)を確認しました。ステータスは確認していません。 ※商店街での戦闘痕を確認しました。戦闘を見ていたとされるNPCの人となりを聞きました。 ※固有結界内のため通達の配達が遅れています。 BACK NEXT 055 新しい朝が来た、絶望の朝だ 投下順 057 演者は集う 時系列順 BACK 登場キャラ NEXT 037 思い出が窮屈になりだしたこの頃の僕らは 玲 057 演者は集う 輿水幸子
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・Kanonより #少女の檻 新KEY参入 ◆KEY5dKgTdw あああ ぞいあ ぐけあ むせげ そぐき あびを かがぶ えつふ ざぎず ねずえ たぐげ あんち ほしち んおお ちきぬ ひばと ろずへ やみろ みごに どぜわ ぜんそ けじよ おじあ をえた しけや みもむ べてぼ あひぎ べかま けりぐ あなお みせば がすと ぐゆめ すなつ がごが うらげ どぎひ ごぐの りのね 三連符 鳴り物・掛け声有り