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第5話「あなたのためなら、どこまでも」 声にもならないような掠れた声を校長は発した。何とかナムレは聞き取れた。 「はい……そうです」 「君には、今から何が起ころうとしているのか、分かるのか?」 「皆目見当もつきません。ラーセマングは僕の養子先の娘さんで、何かと世話を焼いてくれる大事な人ですし、ラズィミエは入学当初からの友人です」 校長は今の体勢がきつかったのか、傷を抑えながら壁側へ移動しそこにもたれかかった。彼の傷は足に受けた銃弾一発だけに見えた。だが敵を見失っては、さすがの彼も対処できない。 「俺はこれからどうすれば……」 「こんな大切な事態を学生である君に全面委任するわけがない、荷が重すぎるだろう。すぐに王国警察を」 彼の言葉はここで止まった。すると彼は急に頭を押さえ初め、呼吸困難にでも落ちっているかのような聞き苦しいうなり声をあげて、また再び倒れこんだ。 「え、校長先生!校長先生!」 なにもされていないはずなのにいきなり倒れたなんて様子を見ては、落ち着いてみてはいられない。ナムレは彼に声をかけながら応答があるかどうか伺うが、やはり目をつむったまま起きようとしない。もうとっくに昼休みも終わり、次の授業が始まるという時間だ。いまだに誰も来ないことを心配したのか、ほどなくして一人の生徒が職員室に降りてきた――アテーマング=スリャーザだ。隣のクラスの代表として職員室の様子をうかがいに来たのだろうか。 「あ、アテーマングか」 「ん?そ、そこにいるのはナムレ君…!?なぜここに、っていうか、こ、校長先生!いったい何があったんですか?それに、このあたりに散乱している血はいったい……どういうことなの?」 予想通り、質問があまりにも多くて落ち着いていない様子がうかがえる。 「あ、アテーマング、落ち着くんだ!いいか?」 「あ、え、ええ……」 ナムレがアテーマングの両肩を持ちながらその顔を覗き込む。 「さっきまで起きたことを話すぞ。ラズィミエ=ラーオスツァンという男子生徒を知っているか?」 「え、ええ、あなたの大親友で、あなたがここに入学した当初からの付き合いを持っていて、通学路は途中まで同じだからよく話し相手になったとか」 「なんでよく話し相手になったとかまで知っているんだていうかそれを今言わなくても……まあいい、そのラズィミエが突然ここを襲ったんだ。そこで気を失っている校長もさっきあいつにやられてしまって、なかではほとんどの先生がやられて」 「そ、そんなことが……」 「信じられないかもしれないが、それが今起きたことだ……あそこにゼジュイバナル先生の頭が転がっているだろう……」 さきほど身体を分離させられた男性の教師だ。アテーマングはそれを一瞬だけ見た後にさらに不安げな表情を深めて何も言わずにうなずいた。 「べ、別に大丈夫。私はあなたのことを信じるから、だから」 「だから?」 「あの、その……いや、な、なんでもないから!」 「おやおや、君は」 誰もいないはずの後方から誰かの声が聞こえてきた、ついさっきも聞いたような気がする声色だ。はっと振り返り確認する。二人は異様な光景を見た。さっき倒れていた校長がさっき受けた傷をもろともせずに起き上がって話しかけてきたのである。 「え?」 「あれ?校長先生?」 「ん?そうだけど、どうかしたか?」 「あ、私はアテーマング=スリャーザです……それよりさっきの傷は大丈夫なんですか?」 「ん?特に痛いところは…ていうか私はなぜここにいるんだ?」 どこか校長の行動は挙動不審だ。まるでさっきまで起きたことを覚えていないかのように。覚えていないかのように? 「もしかして……先生!放送で僕を呼びましたか?」 「え、うーん、どうだったか、私は放送の担当ではないからなあ」 聞く内容が悪かった。ナムレは質問を変えた。 「ああ…でしたら、さっきラズィミエ=ラーオスツァンという生徒が来ましたか?あるいは会いましたか?」 「いや会っていない……そんな明らかに正義っぽい名前の生徒が呼ばれていたら私もさすがに覚えているはずだな」 これは困った。こんな状況で職員室の中でも見られたらどうしてくれようか。彼らからしたら何もなかったのに突然窓ガラスが割れたり銃弾が散らばっていたりしているということだ。血痕だって大量に残っているはずなのに。 ナムレはその経過を見ていないのだが、それでも今まで起きたことぐらい、さっきそこに落ちていた男性教師の頭が――ない。 「ないぞ」 「え?あ、あれ?」 アテーマングは首をかしげる。やはり彼女の目にもなくなってしまったかのように見えるらしい。いや、本当にないはずだ。 「え?どうしたんだい?そこに何かあるのか?」 「いえ、確かにある。いや、あったといった正しいんでしょうか」 あまりにも摩訶不思議な出来事だ。まるで手品でも披露されたかのように、ナムレが予想している状況とは正反対。 じゃあ職員室の中はどうなっているのかと、本当は何も起きていないなんてことはやめてほしい。ナムレは、さっき教室にいた時からずっとここからと思わしき異様な音を聞いてきたのだ。ここを疑わないわけがない。ラーセマングが姿を消したこともラズィミエがいないことも明らかに怪しい。それなのに彼ら教師はどうだろうか。見る見るうちにさっきの傷などなかったかのように起き上がっては近くにいた教師たちで安全を確認しながら、そして普通に割れた窓に驚いていくではないか。 「な……俺が寝ている間に何があったんだ?」 「いや、そもそもなぜ俺はここで寝ていたんだ?」 本当に彼らは何も起きていなかったかのように目を覚まし始めた。いつもの平和な世界から突然殺伐とした世界に引きずり込まれたように、唐突に目の前に広がる異様な光景に驚いていく。 「とりあえず通報するぞ!誰か連絡を取れ!」 「僕がとります!」 そう切り出したのは国史の先生だ。すると誰もが彼に連絡を任せ、あとの先生たちは窓の様子をみんなで伺いに来た。 「誰かが侵入した形跡と言ったらこれくらいしかないな…!」 ある一人の教師が唐突に驚いた。 「なぜここに銃弾が大量に落ちているんだ?打たれた形跡は……ないが」 なおさら彼らは状況が分からなくなっていく。校長も職員室に入っていったが大体同じような反応をしている。 「みんな、落ち着いて聞いてください。えー、まずは全員の安全の確認です。我々教職員は全員無事でしょうか」 すると先生たちは一列に並び横から番号を言い始めて人数を確認した。 「本日の欠席の連絡と照らし合わせても教職員は全員無事ということで」 「そうみたいです」 「ラルカス先生が通報してくれたので警察の到着を待つしかないですが、誰か犯人と思わしき人物を見たという人は?」 やはり先生たちは誰も証言しようとしない。まるで見ていないかのように。 「地震でもあったんじゃないですか?」 「いや……いろいろと装置を確認してみたが何もなかったです」 一時的に職員室から離れてさまざまな装置を見てきた教師がそう言い放った。ますます彼らの頭を悩ませる。 「あ、そうだ、生徒は無事か?さっきそこの廊下で生徒二人が一緒にいたみたいだが」 自分たちのことだと気が付いたアテーマングは応答した。 「教室の方には何も問題はありません。まだ担当の先生が来られないので私が見に来ただけです」 「じゃあ、君はどうしてここにいるんだ?」 「ああ、僕は放送でここに来いって呼ばれてきました」 校長は二人の話を聞いて、確認を取らせた。 「ここにいる全員がさっきまで眠っていたみたいだな、私のそうだった。では、彼を呼んだ人はここにいますか?」 校長は自分の手を挙げながら、該当者に手を挙げるように促した。そして彼らを見渡すが、誰も手を上げない。誰も放送した覚えはないということだ。 「奇妙だな……さっきまでみんなが眠っていたのに彼が呼び出されるというのは……放送部がやったのか、それとも誰かのいたずらか」 ナムレがここに来たのは聞き間違いかと思われる流れに傾いてきた。それでも彼らの間には不可解な現状がある。 「では我々はどうして眠っていたんでしょうか?しかも全員ですよ」 「そこがわからない…とにかく、今日はこの後平常通り授業を行ってください。警察は手配してあるので、あとは彼らに任せましょう。では解散してください」 するとアテーマングも切り出した。 「私たちも教室に戻りましょう?」 「……そうだな、今日のところは」 一斉に職員室を出る教師たちに紛れながら、二人もいそいそと教室に向かった。 ―― 王国警察の到着は次の授業の半分が終わったころであった。担当の者が事情聴取を行い、それに校長や国史の教師などが応じた。事件は教職員の間で解決するらしく、生徒であるナムレやアテーマングが関与することはなかった。 ただ、それでナムレが納得いったわけではない。いくわけがない。ラーセマングが姿を消しているというのはさっきから変わらない。いくらすべてを教師や王国警察に任せたからと言って、そこはナムレは非常に気になるものである。 ナムレは放課後にテルテナルに話しかけた。 「ああ、君たちは無事だったのか」 何もなかったかのようにテルテナルが気さくに応答した。 「え?別に何もなかったよ?」 「そうか、ならいいけど……でも、今日先生が来るの遅くなかった?」 「ああ、なんか問題があるって言ってたね、でもまあ大丈夫じゃないかな?会議が長引いたとかで遅くなっているとか、なんかいろいろあるんじゃない」 どうもテルテナルはあまりにもいつも通り過ぎる。それとも、ナムレの方が心配のしすぎなのだろうか……いや、それよりも二人が消えたことの方が深刻だろう。ラズィミエは完全に豹変してしまい、ラーセマングは姿を消した――いや、拉致されてしまった。彼女がどこに行ってしまって、どうなってしまうのか、分からない。彼女をどうにかして安全を確保したいが、どうすればいいのか分からない。そして、家に帰れば誰かいるのだろうか?いや誰もいない。両親は家に……両親? 「そういえばラーセマングの両親って見たことないような」 「あ?いきなりお前何言ってんだ。結婚の約束でもしてるのか?親と話をしてついに決断したのか」 「黙れ。俺は単に気になっているだけなんだ」 「じゃあ口に出すなよ……ほら、部活そろそろ行くぞ」 「いや……ラーセマングがいないんじゃあ行っても仕方ない。俺今日ちょっと調子悪いから先に帰るよ」 「んー、そうか、分かった。お大事にな」 あっさり帰らせてもらった。いそいそとテルテナルは教室を出ようとする。ナムレは空席になったラーセマングの机をラズィミエの机を交互に見ながら、静かに教室を出た。その扉を出る直後に、女子と鉢合わせになり、危うくぶつかりそうになった。 「わわっ!近い近い!」 「ああ、ごめんって……」 「え?あ、わわ、」 「なんだ、アテーマングか……」 「なんだって何よ!こちらこそ、ごめんね。これから帰るの?部活は?」 「いや、今日はちょっと調子が悪いから……」 するとアテーマングは分かりやすく頬を緩めた。 「じゃあサボるの?だったらこの後遊びに行こうよ!途中で寄り道して買い物に行こう!」 「寄り道って、君と俺じゃあ家が正反対だし、」 「ええー、そうだけれども、まあいいじゃない!思いっきり遊んじゃおう!」 周りに誰もいないからか、普段の謙虚で無表情な彼女とは思えないほどのはっちゃけぶりだ。 「まあ、いいけれど」 もしかしたら気分転換にはなるかもしれない。ナムレはアテーマングの話に乗ることにした。 二人さえもいなくなり、一人の女子が誰もいないその教室の電気を消しに行った。 「私の敵が他にもいたとは……兄上は渡さないわ」 すっと伸びた長い金髪を背中に回しながら、ネクタイを自然な位置に調節する。しまっていた帽子を再びかぶり、歩き出した。その速さはだんだんと速くなり、しまいにはもはや走る、いやそれどころか空を飛んでいた。非常に急いでいる様子で。 「見失ったらまずいわ……駆け落ちなんてさせないわ」 ―― 電車に乗ってどこまで行くのかと尋ねると、大都会までとしか答えが返ってこない。ネステルに行こうと思えば空を飛ぶ必要があり、ここから近い発展した都市と言えば、テリーン市中央の商店街が一番近いだろうが、スケニウやネステルにはやはり劣る。少し離れたスリャーザであればそんなことはないかもしれないが。 「今日は夜ご飯も一緒に食べようね。いい食事屋さんを見つけてあるんだー」 アテーマングのテンションが完全にフィルター解除をしている。ナムレは嫌な予感がした。面倒なことになる。そもそもこんなに長い時間電車に乗っているということだけでも、心配になる。なによりラーセマングが心配するのではと思うと―― 「でも俺はラーセマングを放っておいてこんなところで遊ぶなんてできないぞ」 ナムレがそうアテーマングに言うと、席に並んで座る彼女の動きが止まった。目に光がなくなり、口も半開きのまま。肩が震えだして、数秒後にようやくしゃべりだしたと思ったら、ものすごい気迫を持っていた。 「あの女は…今夜は気にしなくても大丈夫よ……?」 さっきまで車窓を見つめながら話していたのに、急に首をナムレの方に向いてずっとナムレの目を見ながら、言い始めた。 「え……?ちょ、どうしたんだアテーマング?ねえ、スリャーザさん?」 「あの女は警察に任せたんでしょう?あなたが事件に巻き込まれたら、迷惑をかけるのはラーセマングとかいう女だけではないのよ?」 「まあ、そうだが……なんだかんだであいつのことは大切にしなきゃいけないし、少しくらいは気にしたって…」 電車が止まった。するとアテーマングは何の駅に着いたかどうかを確認するまでもなく、ナムレの腕をつかんで立ち上がった。急に動かれたナムレは強制的に連れていかれるように一緒に駅を降りた。 「え、ちょ、どういうことだ?ここはどこだ?」 「スリャーザ駅よ、予約したお食事屋さんはここにあるの」 「いや、俺の話を聞いて……」 アテーマングは数秒ナムレに応答せずにいたが、少し歩くといったん止まって振り返った。 「さっきはごめんね、急に怒っちゃって。でも……」 「でも?」 ナムレが言葉の先を催促するが、どうもアテーマングは言いづらそうな感じだ。珍しくナムレが切り出した。 「とりあえず、今日はラーセマングのことは考えないでお前の相手をするから、早くその店に行こう」 アテーマングはぱあっと分かりやすい変化を示して、頬を緩めた。その様子はやはり、普段の寡黙で謙虚で物静かな彼女の第一印象を容赦なく木端微塵にしていくような可愛げがある。 「うん、ありがとう!お店はこっちだよ」 アテーマングはナムレの手を緩めた。彼を連れて行く気がなくなったのではなく、そんなことをしなくても彼はついてきてくれると思ったのである。まさにその通りとなりナムレはアテーマングに同行した。二人はビルの中に入っていく。 このハタ王国は、いくつか代表的な大都市がある。ネステルとスケニウもそれに該当するのだが、ここスリャーザも王国随一の大都会である。王国中の品物が取り揃えられ、連邦影響圏の諸国のさまざまな食品、伝統品、さらにはウェールフープ可能化剤まで売ってあるという噂まである。基本的にウェールフープは、一般人が自由に放っていいわけではないので、こんなに大きいビルで堂々と販売なんてしないだろうが。 予約している時間はまだ先なので、それまで下の階で輸入品コーナーを見て回ったりすることになる。不思議な文字が書かれた看板を見てアテーマングが立ち止まってそこに入ろうとした。ナムレはそれをすぐに発見した。 「なんだなんだ? 何を見ようとしているんだ?」 「あれだよ、あれ!」 アテーマングがさしたのは看板か。それも確かに含まれているかもしれないが、それが掲げている棚には目新しい物品がたくさん売られている。ユエスレオネ産らしいが、リパラオネというよりもラネーメという感じがする品々だ。その隣に見られるのはパイグ将棋だろうか。アテーマングがさした不思議な文字とは、これを見る限りリパーシェのことだろうか。 「ナムレ君って頭いいよね、リパライン語どれくらいできるの?」 「すごくアバウトな質問だな……テストのリパライン語ならある程度は」 「やっぱりすごいなー、私もリパライン語を流暢に話せるようになったら、ユエスレオネとかに観光に行きたいって思っているのよ」 この国の青年たちはほとんどが王国の伝統的な文化を継承して、スカルタンを常にまとい米を食べて神を信仰してスカルムレイを慕って生活している。だが、その一方で外国の文化も積極的に取り入れているのだ。リパライン語は重要な外国語として重視され、また彼らはアロアジェードや正面でボタンを留めてズボンやスカートを別にはくユエスレオネの軍服だって知っている。彼らの文化にユエスレオネ、もっと広く言えばペーセ人の文化や、アイル人の文化、パイグ人の文化、彼らの歴史でさえもこの国には混在している。これがグローバリゼーションであり、今のスカルムレイが言う国の発展だという。 そんな感じでここには、しばらく彼らが忘れていた、あるいはあまり触れることがなかった外の世界の文化が感じられるのだ。かつての世界を知る世代は高齢化したかあるいはすでにいなくなろうとしている。敏感な青年達にはこういった外来の文化は目新しいものだ。それはナムレもアテーマングにも例外ではないだろう。 はたしてラーセマングはどう思うだろうか。ナムレはそう考えていた。パイグ将棋を見れば、ただ木片を動かしているだけだとか言いそうだし、ユエスレオネ式軍服は動きづらそうだと文句をつけるのかもしれない。リパライン語も彼女は一番苦手としている。 一通り見てから、二人はエレベーターに乗り一気に上の階へ上がっていった。レストランは上の階に集中しているのだ。 巨大なイルキスのエンネが展望室から見えるほど高くまでビルを昇ると、アテーマングが言った。 「きれいな夜景ね」 普段の彼女はそんな思ったことを率直に言っていくような人物ではないが、この時はやはり雰囲気が違った。ナムレもアテーマングのことをよく知っているわけではないので、こんな一面があるとは意外に思っている。 「あの、食事は?」 「ん? ああ、行きましょうか。ユエスレオネ風料理を予約してあるの」 ユエスレオネ風。なかなか食べる機会がない料理だ。この国にも小麦粉を使った料理は存在するが、ファイクレオネではそれが主食であるということは、この国ではよく知られていることだ。 店に到着して席に着くまでのプロセスはものすごく短い。予約情報はやはり向こうで管理されているらしく、スムーズに席までたどり着いた。人はかなり多く、確かに予約していないとすぐには食べられないって感じだ。 「なんでこんな店を知っているんだ?」 「調べたら出てきたのよ、ちょっとだけ遠出するにはちょうどいいと思って」 ちょっとだけ遠出のつもりでスリャーザに来たというのか。 「でも、どうして今日だってわかったの? いつの間に予約したの?」 予約する以上、あらかじめ予定を知っていなければならない。ナムレでさえ、まさか今日部活を休んで帰っていいとは思っていなかったはずである。 「あ、ああー、あなたのところの部長さんが教えてくれたのよ。こっそりね」 「なんだと?」 「私が初めてあの女に会ったことがあったでしょう? あの後彼が、この日を空けて送って予告してくれたのよ。この日だけは参加を任意にするって」 あの部長が、そんな遊びのために部活を休ませる、そんなことがあるとは。スリャーザと言えば、常にまじめな人格の持ち主だ。何があっても冷静な人物で敬虔なトイムルクテイ。思慮深いと言った方がいいのだろうか、成績は常に優秀で非の打ち所がないといったところだ。 そんな彼が、やすやすと部活を休ませることがあるのかと、ナムレは意外に思った。 「まあ、この話は今度学校ででもしましょう。何を食べる?」 「そうだなー」 話の流れを一気に変えて、テーブルの端に立て掛けてあったメニューを取り出した。リパーシェと有字で二言語表記が為されている。ユーゲ人にはリパーシェやヴェフィス文字を読むことはそこまで困難ではない。それよりも旧有字やパイグ文字の方が読みづらい。 「そうだね、ナムレ君優柔不断だから、私が決めてあげるよ」 「俺そんなに優柔不断じゃねえよ」 「そう? まあいいよ、ゆっくり決めてね」 ナムレもメニュー表を見る。実のところ彼が特に食べたいと思うメニューは具体的には考えていなかった。ただ、言ってしまった以上はなにかを頼んでみないといけないという、謎の衝動に駆られた。自分で作ってしまった状況だというのに。 メニューを見渡していると、あるものが目に留まった。二人ともあまりユエスレオネの文化には明るくないが、そこにあるのはパンが複数並べられそこにおいしそうな色をしたスープのようなものがいくつか並べられているさまである。メニュー名を二人は読み上げた。 「パンと……チーズ…なあ、アテーマング、辞書持ってるか?」 「チーズと牛乳のスープ?さっぱりどんな料理なのか私は分からないわ」 うーん、と二人は行き詰った。語彙がわかっても果たしてそれがいったい何を意味するのか、ユーゲ人の彼らにはイマイチ伝わらないらしい。 「あ、でも聞いたことがあるかもしれない。リパラオネ料理とかなんとかでチーズと牛乳が」 「すごく抽象的な記憶だな……これはおいしいのか?」 「そんなまずい料理は出そうとはしないでしょ。ユーゲ人の口にも合うはずよ。口コミで書いてあった」 情報機器を使いこなしているという感じだろうか。 「とりあえずこれでも頼もうか」 二人は一瞬自分の声で店員を呼ぼうとしたが、ほぼ同時に呼び出しボタンがあることに気が付いて、アテーマングがそれを押した。 「私の勝ちね」 「何の話だよ」 注文を出してからしばらくたって、無事メニューに掲載されていたような外見をした料理が到着した。ナムレはそれをまじまじと見る。 「これは……確かにチーズが使われているって感じがするな」 アテーマングはカメラ付きの端末を取り出して何枚か写真を撮ってからようやく肉眼で料理を拝見した。 ―― しばらく食事を進めていた。アテーマングはなかなか食べるのが遅い様子で、先にナムレが食器を置いて、合掌をした。 「ごちそうさま」 パンをかじりながらアテーマングはその合掌された手を見た。 「ええっ、一緒にお話ししていたはずなのに、もう食べ終わっちゃったの?」 「まあ、普段はラーセマングのやつに付き纏われているから、どうしてもゆっくりになっちゃうけれど。普段はこんなもんだよ」 「むう、あの女……そう、じゃあもっと早くした方がいいかな?」 ナムレはそれを断って水を一口。氷まで降りてこないように慎重に飲んだ後それをテーブルに置いて話の続きを始めた。 「でさあ、俺のことをアテーマングがよく知っているのは分かったけれど――」 そう言いかけたところでアテーマングが少し反応したそぶりを見せた。持っていたパンから目を話してこっちをちらりと見てきた。何かに反応して顔を上げたのか、それを見てナムレは言葉を弱くした。 「今私のことをなんて……?」 「いやアテーマングだけれど……名字で呼んだらまるでスカルムレイ研究会のあいつみたいだ」 「うーん、まあ確かに紛らわしいわね。ちょっとがっかり……」 「え?」 「いやいや、なんでもないなんでもない」 パンを置いて首を左右に振る。 スリャーザと聞いて彼が真っ先に連想されるとは、親密になっても名字で呼んでしまうというのはユーゲ人というかトイター教徒の性だろうか。だがアテーマングという名前については完全に識別のための音素列となり果てている。 「パン、おいしいね」 「なんだよ急に」 まるでさっきの話を誤魔化したかのような話題の転換だ。 「え、いやだって私まだ食べているんだもん」 「まあ、お前は遅いもんな。うっ」 ナムレは急に言葉を止めた。アテーマングが急いで席を立とうとした。 「え、大丈夫? やっぱり私が毒見しておくべきだったかしら…くっ、私の失態だわ」 「ああ、あの野郎、グホッ、この俺の食事に毒を盛りやがっt……違う違う、トイレに行きたくなっただけだ」 「ああ、そういうこと? ついていこうか?」 「いやいいや、男女統一主義者ではないんでな」 トイレへの道は分かりやすく看板が知らせていた。リパーシェで書かれたリパライン語表記の上にはトイレを表す見慣れたマークが描かれている。その先に小さな入り口があり、そこははたしてトイレだった。 壁に取り付けられているタイプの便器を無視して個室に入り、便器の前に立つ。違和感を覚えた。鍵を閉めようと思ったら、すでに鍵が閉まっている。さすがに怪しいと思って、一旦開けてみようと手をかける。すると、声が聞こえた。聞いたことのある声だ。 「この後はどこまでやろうと思っているの?」 「は?」 仮にも相手の姿が見えないとしても、ここまでストレートに聞いてくるとさすがに素の反応だってしたくなる。 「てっきりあなたに興味があるのはラーセマング=カリーファテリーンだけかと思ってた…でも、そうでもないみたいね」 「人聞きの悪いな」 「あなたは家族思いの人。姉妹兄弟の面倒を常に見ていて、自分だけが得することを良しとしない。あなたの反応がそれでも、内心すごく優しいんだから、一人ぐらいは注目してくるはずよね」 「そういうものか、自分ではよくわからん」 「まあ、あの女の子とは後から考える。それよりも、ラーセマングの行方が分からなくなったみたいね。警察もラーセマングのことを探そうとしているみたいだけれど、手掛かりは見つからないとか」 「何が言いたい、俺に殺させるはずじゃなかったのか、やはりお前がどこかへやったのか」 声の主はしばらく間を置いた。 だが、その間はどこからか聞こえてくる足音と連動しているかのようだった。声に注目する傍ら、足音にも注意を払っていると、足音は自分に非常に近いところで止まり扉を開けてしまった。鍵はいつの間にか外れている。 「そんなあなたに提案があるの。あなたがどうしても私の依頼を引き受けてくれないというのなら……」 その姿はまさに、あの時見た特別警察姿の金髪の少女である。 「今夜私の家に来ない? もし来てくれれば、あなたも少しは変わるはずよ」
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20 58 (bee_GM) IVが高い順で自己紹介お願いします! 20 58 (bee_GM) 20 58 (bee_GM) 21 00 (B12_Swertia) 【スウェル】「スウェルです。魔物相手の戦闘は任せて。」 21 00 (B12_Swertia) 【スウェル】「…マフラーに触らないで。…依頼人の命令なら仕方ないけれど。」 21 00 (B12_Swertia) 【スウェル】「………。」(マフラーをとってカラーズ・バーの首輪を見られると少し不機嫌) 21 00 (B12_Swertia) 21 00 (B12_Swertia) 基本的に対魔忍者としての仕事時は上の感じ! 21 00 (B12_Swertia) しかしながら、スイッチを入れられると下っぽい感じに。 21 00 (B12_Swertia) 21 00 (B12_Swertia) 【スウェル】「ぱぱぁ、スゥに、今日も色々教えてくださいっ…♪」 21 00 (B12_Swertia) 21 00 (B12_Swertia) 基本は冷静だけど、クジ教官のせいでアナルドハマリした妹忍者の未来はいかに! 21 00 (B12_Swertia) 21 00 (B12_Swertia) http //www.usagi-o.sakura.ne.jp/TRPG/wiki/wiki.cgi/HC?page=%A1%DA%A5%E9%A5%F3%A5%C9%A5%EA%A5%E5%A1%BC%A5%D5%A1%DB%A5%B9%A5%A6%A5%A7%A5%EB%A5%C6%A5%A3%A5%A2 21 00 (B12_Swertia) 21 00 (bee_GM) ありがとう! えろい! 21 01 (bee_GM) んじゃフレアさんどぞー 21 02 (B10_Frea) はーい! 21 02 (B10_Frea) 【フレア】「私の名前はフレア、ま、大概の事ならこなせるから大船に乗ったつもりでいてよ」 21 02 (B10_Frea) 【フレア】「こんな子供は信じられない? 外見で侮るのはいいけどね。それで痛い目を見ること 21 02 (B10_Frea) もあるよ? ふふっ」 21 02 (B10_Frea) 【フレア】「で、ね。納得したかどうかは別にして仕事の話をしようか。何をすればいいわけ?」 21 02 (B10_Frea) 21 03 (B10_Frea) かつて奴隷調教された対魔忍、その時の影響が大きくて全身がエロエロになっています 21 03 (B10_Frea) だから本来の姿を封印して、ロリ体型になって過ごしているという異色の姉忍者 21 03 (B10_Frea) 今回は大人モードは封印されているので、どこまでエロくなるのか乞うご期待です 21 04 (B10_Frea) 21 04 (B10_Frea) http //www.usagi-o.sakura.ne.jp/TRPG/wiki/wiki.cgi/HC?page=%A5%D5%A5%EC%A5%A2%A5%EA%A1%BC%A5%CD 21 04 (B10_Frea) 以上! 21 04 (bee_GM) あい! ありがとうごぜます! 21 08 (bee_GM) 21 08 (bee_GM) 21 08 (bee_GM) [][][] ランドリューフ戦記 (シナリオ名未定) 21 08 (bee_GM) 21 08 (bee_GM) 21 08 (bee_GM) 東方から移植した桜が舞う、クレスフレウの春日。対魔の里に伝わる秘文通信によって、フレアはスラム街のとある酒場に呼び出された。 21 08 (bee_GM) 里の上位の者しか使えぬ通信に、忍びである彼女が逆らうことは許されていない。取るものもとりあえず根城にしていた街を発ち、その日のうちに指定された酒場にやってきた。 21 08 (bee_GM) 店の名前は薄汚れて見えないが、その横には「SMバー」と書いてある、風俗街の只中にある店だった。 21 08 (bee_GM) ▽(現在フレアのみ。店に入る描写をお願いします。 21 11 (B10_Frea) 【フレア】「いや、そりゃーね。こういう場所が潜み安いのは判るよ。でもある意味リハビリ中の人間をこんな所に呼び出す?」 風俗街の中にいるにはそぐわない髪の長いロリ少女がため息を付きます。着衣は東方ふうなので、この中ではかなり目立つかもしれませんね。ここまで歩いてくる中で何度も奇異の視線を向けられたりしましたが平然としており、どこか超然とした態度で店に入っていきます 21 14 (bee_GM) 店に入ったフレアを包み込むのは、まるで粘り着くような男の汗の臭い。「いらっしゃい」と渋い老年のマスターが声を掛けてくるが、フレアの視線は店の中、お立ち台の周囲を囲んでいる男性客の背中に吸い寄せられる。彼らは店に入ってきたロリ少女には目もくれず、お立ち台の上の何かを見つめているようだが、背の低いフレアからは窺えない。 21 16 (B10_Frea) 【フレア】「……こういう扱いなのが、いいのか悪いのか」 こんな場所には慣れている、という感じで肩を竦めてカウンターの方に向かいますね。そして背が低いのでちょっと苦労して椅子に座ると、ジンを頼んでからお立ち台の方に目をやります 21 21 (bee_GM) 店に入ったフレアを包み込むのは、まるで粘り着くような男の汗の臭い。「いらっしゃい」と渋い老年のマスターが声を掛けてくるが、フレアの視線は店の中、お立ち台の周囲を囲んでいる男性客の背中に吸い寄せられる。彼らは店に入ってきたロリ少女には目もくれず、お立ち台の上の何かを見つめているようだが、背の低いフレアからは窺えない。 21 21 (bee_GM) フレアがカウンターに座ると、のそり、という風に男たちの一人が巨大な身体を揺らしてやってくる。退魔の里の村長の弟、教官のクジだった。 21 21 (bee_GM) 【クジ】「早かったな、フレアリーネ」彼はマスターにフレアの分も飲み物を頼むと、さっそく用件を切り出した。彼にしては珍しい性急さだ。「依頼がある。スウェルティアに来たものだが、同年代の少女がもう一人必要になってな。ペアで依頼を受け、ティスタル家に潜入して欲しい。いや、して欲しい、という言い方はあたらないな。これはあくまでスウェルティアの我が儘だ」 21 24 (B10_Frea) 【フレアリーネ】「……うげ、今回の仲介はあんたですか。クジ教官」 見知った顔を見つけて露骨に苦手そーな顔をします。というのも昔色事の関係を叩きこまれた上に、今はエロ関係のことから離れたいので、そっち担当のことはできるだけ避けたいのですね。とは言え忍である以上命令には逆らいません。、そのへんが解ってるので相手も露骨に嫌そうなのはスルーしているのでしょう 21 25 (B10_Frea) 【フレア】「しかもスウェルティアも一緒とか……妹の成長を喜べばいいのか、楽しめばいいのか。とものすごい不安そうな顔になりつつ、グラスに入れられた酒をくいっと煽ります」 21 27 (bee_GM) 【クジ】「あの娘は命に代えてもオエノセラを救い出したいのだよ」口元を笑みの形にゆがめてぎしり、とフレアの隣に座った。「これは里の任務ではない。受けるかどうかはお前次第だ」 21 30 (B10_Frea) 【フレア】「ああもう、これだから嫌になる。その名前を出されたら私だって引けなくなるって解ってて言ってるんだから。こっちにとっても姉なのは同じなんだしね……で、ティスタル家っていうのはどういう所なわけで?」 さらに盛大に溜息をつきながらグラスで酒を煽ります。その仕草は胴に入っており、物憂げな表情は外見が年端もいかない子供のものでありながらちょっとした色気すらも漂わせていますね 21 33 (bee_GM) 【クジ】「女を料理の器程度にしか思っていない貴族だよ。我らを持ってしてもガードが堅く、オエノセラの行方は分からない。あとは直接聞いてみろ」と、お立ち台の方を指さす。 21 35 (B10_Frea) 【フレア】「そういう貴族には腐るほど心当たりがありますけどね。この間の相手もそんなのだったし、お陰で私がえらい目に……ん?」 直接聞いてみろ、と言われたのでお立ち台の方の方を見てみます 21 36 (bee_GM) クジが「そこ開けろ」と短く言うと、客の人垣が開いた。その上では―― 21 36 (bee_GM) ▽(スウのロールおねがいしまーす) 21 39 (B12_Swertia) 【スウェル】「ふぁぁ…vぱぱのおちんぽ、掃除、終わりましたぁ…♪んんっっ♪っぁ♪またスゥの、ケツマンコ、イきますぅっっ♪」 革製のボンテージを身に着け、革目隠しをつけた黒髪の少女が、そこにいた。しかしその様子はフレアがかつて知るような冷静沈着なものではなく、周囲の男性に媚びながら尻穴においしそうにペニスを貪る淫婦の様子となっており。…さらに、両手に唾液で濡れたペニスを握り、扱きながら髪の毛を操り複数人のペニスを髪コキ 21 39 (B12_Swertia) 奉仕している。 21 40 (B10_Frea) 【フレア】「……あれ、あんたの仕込み?」 途中からぞんざいながらも、多少敬語らしきものを見せていたのですが、それが一気に剥がれて冷たい声になりますね>クジ 21 42 (bee_GM) 【クジ】「スウが望んだことだ。ティスタル家に進入する際の仕込みだよ」フレアの眼光にあながち演技でもなさそうな苦笑をして。「ああまでなっても、オエノセラを救い出したい、ということさ」そして酒を唇に吸い込ませる。「フレア、もう一度聞く。あれを見ても協力するかね?」 21 44 (B10_Frea) 【フレア】「できるなら今すぐにあんたをたたっ斬りたい気にはなってるけれど、協力するしかないの解ってるんじゃない? 私があんなになってるスウを放っておけないって」 割と本気で無表情で冷たい目になっていましたが、表情を戻して半分諦めたように大きく息を吐きます。 21 45 (bee_GM) 【クジ】「では明後日、この地図だ。仕事装束で来い、との先方のお達しだよ」フレアに紙片を手渡し、クジは残った酒を一息で飲み込んだ。 21 45 (bee_GM) 21 45 (bee_GM) 21 47 (bee_GM) 仕事の当日。あの場でスウに声を掛けることをためらったフレアは、この待ち合わせが久しぶりの顔合わせとなる。退魔忍の装束で貴族街を歩き、巨大、という形容が生々しいほどの貴族の屋敷の塀を辿る。門の前に着いてみれば、すでにスウはそこにいた。 21 47 (bee_GM) ▽(では少しの間二人で会話お願いします。できれば服の説明をいれてください) 21 52 (B10_Frea) 【フレア】「どんな方法で稼いでるんだか。あー、あんまり考えたくない……と、いうわけでスウ久しぶり、元気してた?」 その小さな体を包むのは青い東方の忍者装束です。ただし胸元は大きく開いており、ちょっと動いただけでで小さな胸が見えそうですね。下も同じような感じで、スカートのような形で下半身を覆っているのですが、脇に長く深いスリットがあります。明らかに『見られること』を意識したものですね。で、そんな格好ですが表面 21 52 (B10_Frea) 上は木にした封を見せず、久しぶりにあった妹の方をポンっと叩きます 21 55 (B12_Swertia) 【スウェル】「ねーさま、お久しぶりです」 ざっ、と近くの木から飛び降りて門前にやってきて。肩を叩かれたスウェルは、フレアの記憶にある彼女のように、少し冷たい雰囲気のある…しかし、家族にあえて嬉しい喜びが僅かに混ざった声で。 「今日は、よろしくお願いします。その…ねーさまの手を、煩わせたくなかったですが…」 色々な意味で、と少し眉根を寄せて後悔を見せながら。 21 57 (B12_Swertia) そんなスウェルの格好は、フレアが以前みたものと同じ。己の白い魔髪で自分を切り裂かないよう、対刃防御特化のボディスーツ。さらに防弾。防水。防術と様々な保護を取り入れた結果、ぱんつまるだしになるように股間がくり抜かれてしまったその格好。――ただ、今そこには金色に輝くクリリングがつけられており、そのリングを飾るような白布が、恐らく下着代わりにであろう、垂らされている。リングのせいでクリトリスと尿口は露出しているのだが、今の 21 57 (B12_Swertia) スウェルにはそれが自然にも見えて。 21 59 (B10_Frea) 【フレア】「何言ってるの私にとってもあれは姉、それはスウと一緒じゃない。そ・れ・にね……こっち関係のことを受けるようになったらなったで、一言こっちにいうくらいはしろっていうの!」 昔やっていたように、髪を掴んでワシャワシャと掻き回して答えますね。ですが下着が丸見えになっていたり、淫核にリングがついていたり、と明らかに今回のターゲットのような貴族がきにいるような格好をしている妹を見て、一瞬だけ目が氷のように鋭 21 59 (B10_Frea) くなります。それはスウに対する怒りではなく里やクジや、ティスタル家などへの怒りですね 22 01 (B12_Swertia) 【スウェル】「ぁぁぅ、ねーさま、すいません、ありがとうございます…♪」 頭をわしゃわしゃと撫でられると、その手にはさらりと昔と変わらぬしなやかな髪質を感じさせ。嬉しそうに頬を僅かに染めながら目を閉じて姉に撫でられる幸せをかみしめ。 「――では、行きましょう。今日はどんな目にあうやら…ですが」 そして目をひらき、目の前の館に視線を向けます。…言葉と同時に、わずかに露出した割れ目に蜜が滲みますが…夜の闇に見える事はないで 22 01 (B12_Swertia) しょう。 22 03 (bee_GM) 【メイド】スウには見覚えのある背の高いメイドが、通用門から出てきます。「お揃いになったようですね。それでは、ご案内します」メイドは感情を感じさせない声で言うと、通用門に入っていく。屋敷に入ると、正面の大階段の脇の扉を開ける。そこに現れた地下へと続く暗い階段を、二人を先導してゆっくりと下りていく。 22 03 (B10_Frea) 【フレア】「はいはい、お仕事だから仕方ありませんってね。ま、元の姿でやれって言われないだけましだと思うことにするわ」 元の体だと日常生活にすら支障をきたすほどに調教されてしまったフレアは、スウのそんな変化すら敏感に感じ取ってしまいます。しかしあえて何も言わずに、中に入っていきますね 22 06 (B12_Swertia) 【スウェル】「しかし…前の時も思ったけれど、対魔忍としての格好で来る必要性を感じられない…」 姉に気付かれてるとは思いもせず、姉の前をあるき階段を下りていく。前もとおった道だけに、不安はない。…別の不安はあるが。 22 07 (bee_GM) スウの記憶では、この先には貴族たちが饗宴を繰り広げる地下室があったはず。しかし前とそっくり同じに見える扉を開いた先には、使用人室らしい無骨な石造りの部屋があるばかり。中には数名のメイドが控えていた。 22 07 (bee_GM) 【メイド】「では、下着を脱いでこちらをお召しください」差し出されたのはゴムのパンツだ。ちょうど肛門の所に穴が開いていて、その周囲に金具が付いている。 22 11 (B12_Swertia) 【スウェル】「…あの。これ、前をカットしてもらったりはできない?」 渡されたパンツをみて、なんとなく用途を察しつつ。このまま穿けばクリピアスが圧迫されて快感刺激でキツそうだと思い、そう尋ねてみて。 22 11 (B10_Frea) 【フレア】「なんとも素敵な趣味だことで、スウ、大丈夫?」 前に聞いていた評判通り、いやらしい仕掛けを強要されて皮肉めいた台詞が口をつきますね。ですがこんな所でメイドを相手に言っても仕方ないので、一瞬妹のほうを向いて心配そうな顔を見せた後僅かに頬を染めながら忍服のスカートの下に手を入れてソロソロとストライプのショーツを降ろし……代わりに。お尻全体を締め付けるゴムショーツをつけようとします。 22 12 (bee_GM) 【メイド】「申し訳ありませんが」と一言でスウの懇願を拒絶する。 22 14 (B10_Frea) 【フレア】「スウ、気持ちはわかるけどこういう所では従っておいたほうがいいわ。とりあえず。こーいう場所では、ちょっと拒否したらかえって厄介なことになるんだから」 と、お尻の周辺が開いていることにちょっと違和感を覚えた様子で、スカートの中に手を入れて調整したりしながら、妹にアドバイスです。まぁどうやっても、アヌスは晒されてしまったままなのですが 22 16 (B12_Swertia) 【スウェル】「…わかった。…そうだね、ねーさん。」 はぁ、と首輪を隠すためのマフラーの下でため息をついてから、クリリングにつけた白い紐を外し。そのまま、渡されたゴムショーツを穿いていき… 「ん…きつ…ん、ん、っぅうっっ…!」 少し、無理やりに穿いていったためやや股間に食い込ませながらアナル丸出しゴムショーツを穿き終える。その股間にはクリリングの丸い金属がくっきりと浮かび上がり、さらにクリ肉が中の金属とゴムで圧迫されて 22 16 (B12_Swertia) 目が眩むような快感が走りぬけてしまい。 22 19 (bee_GM) 【メイド】「では、穿き終えましたらこちらへ。くれぐれも、中にいる方々の仰ることには従順に従うようお願いいたします。皆様、スウェルティアをことのほか気に入られたようで御座いますので、今回も粗相のないようにご注意ください」 22 20 (B10_Frea) 【フレア】「ほら、大丈夫?」 淫核が圧迫され、股間を中心に快楽信号が走り抜けているであろう、妹の身体を後ろからそっと抱きとめます。最も、今は背丈も同じくらいなのですが 22 21 (B10_Frea) 【フレア】「……お気に入りとか、厄介なのに目をつけられてるかぁ……はぁ」 そしてメイドの声を聞いて、なんとも言えない微妙な顔になったりしますね 22 21 (B12_Swertia) 【スウェル】「大丈夫…」 忍的にはあまり大丈夫じゃなさそうな声色で姉に返事をしつつ、少し抱かれる力にもたれかかり。 「…気に入られて、あまり嬉しさを感じないのも、なんだか。」 はふ、と息をはき、姉と手を繋いで一緒に歩いていき。 22 23 (B10_Frea) 【フレア】「全くの同感、表面上は従っても、気を許さないようにしなさいよ」 と、妹の手を引いて奥に進んでいきます 22 24 (bee_GM) 扉を抜けると、スウがいたぶられたあの部屋だった。ねっとりとした貴族たちの視線が、二人の少女に突き刺さる。その最も上座にいるでっぷりと太った男が、この屋敷の主であるティスタル公だ。 22 24 (bee_GM) 【ティスタル公】「やあやあ、今日の器がやってきたようですな」むくんだ手を打つと、部屋中を拍手が包み込んだ。 22 24 (bee_GM) 【メイド】あっけにとられる二人の耳にそっと囁く。「テーブルに上がって、自己紹介をしてください」 22 26 (B12_Swertia) 【スウェル】「…。」 ごくり、とティスタル公を見て内心に浮かび上がるいくつかの激情をけし。目を一度閉じ、開くと命じられるままテーブルに上がって。 「…主様、用命に従い、スウェルティア参上致しました。」 テーブルの上で膝をつき、頭を垂れて挨拶を行い。 22 28 (B10_Frea) 【フレア】「フレアリーネよ、よろしく。なんだか随分とスウを気に入っているみたいだけど……姉である私の方が色々と凄いって教えてあげるわ」 素早く中の人数を確認してからテーブルの上に上がります。そして重巡な妹とは違いむしろ傲然と、胸を張るようにして宣言して、相手の興味を少しでもこっちに向けようとしますね 22 29 (B10_Frea) あ、従順ね 22 32 (bee_GM) 【ティスタル公】「さて、今日の卵料理は少々特殊です。解説が必要ですな」鷹揚に両手を叩くと、メイドが大きなテーブルに上がってくる。手に持っているのは……パイプ、か? 22 32 (bee_GM) 【メイド】「まずはスウェルティア様。失礼いたします」手早くスウの腰を掴むと、シルクの手袋にぬらりとしたローションを絡めてアナルをほぐしはじめる。そして適度にほぐれたのを確認すると、柔らかい素材で出来た透明なパイプをスウのアナルに突き入れた。浅めに入ったところで金具を使ってしっかりと固定する。 22 34 (B12_Swertia) 【スウェル】「…?っっ、ちょっと…っっふきゅぅんっ…♪」 いきなりメイドさんに腰を掴まれ、その手が尻に回された事であわてた声をあげ。そして、そのままローションまみれの指を尻穴に。――毎日ペニスで掘削され、すっかり性器になったケツマンコに入れられるとすぐに甘ロリ声を上げてしまい。ほんの1、2往復で十分にほぐれると、その透明バイブをぐぼぼぼ…と飲み込んでしまって。 22 35 (bee_GM) 【ティスタル公】「今日のメニューは『暴れ卵』です。この卵、女性の腹で熟成されるのはいいのですが、どういう作用なのか激しく振動することで有名です。おかげで栓をして熟成すると、女性の腹が破れてしまう……ほとほと困りましてな。それで開発したのが、今回の『器』というわけです」にんまりと好色な笑みを浮かべる。 22 35 (bee_GM) 【メイド】「フレアリーネ様、こちらへ」スウをテーブルの中央に立たせておいて、今度はフレアの尻穴をローションをまぶした手袋でほぐしていく。ローションには弱い媚薬が含まれているようで、殺したはずの性感帯が刺激されていく。ほどよくほぐれると、スウの尻穴から伸びたパイプを突き入れ、同じようにがっちりと固定した。 22 36 (bee_GM) 二人の姉妹退魔忍は、テーブルの中央で背中合わせになって、長さ30cmほどの短いパイプで繋がれてしまう。 22 38 (B10_Frea) 【フレア】「スウ! んんっ! ふ……いい趣味、しているじゃない……大丈夫?」 メイドにお尻の穴を触られた瞬間、反射的に振り払いそうになりますが堪えます。そして尻穴を指先でほぐされるわけですがおどろくほど簡単に指が飲み込まれていきますね。どうやらロリモードで緩和したとはいえ調教による悪影響は随所に出ているようです。なので人差し指のほとんど付け根まで排泄穴に突っ込まれ、たっぷりとローションを塗られると後ろの穴に 22 38 (B10_Frea) バイブを入れられて、妹とお尻で突き合うほど近くで拘束されてしまいますね 22 41 (B12_Swertia) 【スウェル】「ふっっ…ふくっっ…ねーさま、ご、めんっ…」 テーブルの上で背中合わせに立つ姉妹。姉の手を恋人握りにしながら片や黒髪、片や白髪、しかし共に床につきそうな程に長い2色の髪が混ざりあいつつ…スウェルティアの腰は尻をきゅ、っと占めた上で腰を前後に揺らし、それで姉のアナルを僅かに、しかし確実に刺激してしまう。 22 43 (B10_Frea) 【フレア】「あー、大丈夫。これくらいどうってことない……から」 何でもない風を装って、妹が腰を動かしてしまうのを受け止めますね。しかしスウはその声音に僅かに違う色が混じっていることに気づいているかもしれません。平気なように見えて、前後に揺れるお尻は確実に姉の排泄穴を刺激してしまっているようです。 22 43 (bee_GM) 【ティスタル公】「それでは、実演を始めましょうかな」膨れた顎をなで回し、巨体を揺るがして指を鳴らした。 22 43 (bee_GM) 【メイド】「それでは失礼いたします」取り出したのはずっしりと重たい革袋。それをパイプの中央に付いた複雑な弁につなげる。すると―― 22 43 (bee_GM) メイドが革袋を押し込む動きにつれて、パイプの中に指先よりなお小さな卵が大量に注ぎ込まれていく。その卵は弁の動きですべてスウの方へと向かい、尻穴を割ってゆっくりとスウの腸内に注ぎ込まれていくのだ。卵の量は凄まじいもので、さんざん調教されたスウですらかすかな苦痛を感じるほど、腹が醜く大きく膨れてしまったところでようやく止まった。スウは膨れた腹にまともに立っていられず、自然と腰が落ちてがに股になってしまう。そうなれば自然とフレ 22 43 (bee_GM) アも引っ張られる。 22 46 (B12_Swertia) 【スウェル】「ふっぁ、ぁっっ、っぉ、っっぅ、っくっぅ、んふ、っぅんっっ…♪」 ざららら…と音をたてて直腸に入ってくるナニカの流れ。それが卵だと気づいていても、口から甘いトロ声を漏らす事をこらえきれず、背後の姉に妹の喘ぎ声を聴かせてしまいながらどんどん下腹部を膨らませていき。最近ではすっかり膨らむ事に慣れてしまった下腹部を重くかんじながら、ガニ股に少しずつ膝を屈していって。 22 49 (bee_GM) 【ティスタル公】「さて、これからですぞ」公の言葉に、貴族たちの視線が腹を無様に膨らませた少女に集まる。それから数分……不意に、スウの腸内で卵が振動を始めた。震える卵は次々と増え、その震えがスウの腸を本能的に蠕動させる。その結果訪れるのは……味わったことがないほどの強烈な便意。卵は間断なくスウの内臓を責め立てる。しかし、いま卵を排泄すれば、背中合わせの姉への無慈悲な浣腸となるのは目に見えている。 22 49 (B10_Frea) 【フレア】「スウ……! 全く、こっちにはしてくれないの?」 互いに背を向けるようにして拘束されているので、妹のお腹がどうなっているかはわかりません。ですが卵が入れられるところは横目に見ていたため。それがお尻の穴に入り込むことは予想がつきます。あんな大量の卵塊で排泄穴をかき回されたら……と、想像するとかつての調教の記憶か、キュンっと下腹部が収縮してゴムショーツの中でとろりと愛液を零してしまいますね。そしてスウ 22 49 (B10_Frea) の腰が落ちたぶん、シーソーの容量でより深く、自分の尻穴にパイプが入り込むのを感じながら、貴族たちを挑発しますね。 22 51 (B12_Swertia) 【スウェル】「っふっぅ、っくっぁぉ、っぁっひ、っきっぁっっ!?っひ、んっぎ、っぁ、っぐうう、っぃああぎっっっ!?」 ティスタル公の言葉に合わせ、膨れあがった腸で歪んだボテ腹となったスウェルの腹が内側からの刺激でぼこぼこと暴れ。内蔵を内側から激しく乱打される刺激は今までに味わった事がなく、姉の手をぎゅうううう、ときつく握りながら苦悶の混じった悲鳴を上げて。 22 53 (bee_GM) 【ティスタル公】「これが栓をしていれば、内臓が振動に耐えきれず女体は死に至ります。ですが、逃げ場所を用意しておけば……」腸の蠕動はすでにスウの意志で止められる域を超えていた。耐えられるのは決壊までのほんの数秒。 22 54 (B10_Frea) 【フレア】「スウェル! ……いいからこっちに回して、それくらいなんでもないから」 自分の背中で苦しげな声を上げる妹の手を握り返して、このままでは卵がこっちに流れないので自分から腰を落として引っ張られて、尻肉同士を押し付けますね。で、こっちによこすように呼びかけます 22 54 (B12_Swertia) 【スウェル】「ひいっぎ、っぃあああっっっ!?っねーさ、まっっ、ごめ、ごめんっっ、なさい、っっっ!!!」 あまりにも暴れ、内蔵を攻める卵の刺激。それに便意に似たものを刺激され続けた結果――ついにスウェルの身体は我慢の限界を超え、尻穴から汚い音を立てつつ透明なバイブに向けて卵をヒリ出していく。そしてそれは、そのままつながる姉の腸へ―― 22 56 (bee_GM) 排泄音は微かに。透明なパイプの中をスウが排泄した卵が駆け抜ける。それはフレアの肛門を割り、腸内に容赦なく注ぎ込まれていく。 22 57 (bee_GM) 貴族たちがどよめき、がに股になった二人のロリ少女の強制完了を、食い入るように眺めていた。 22 58 (B10_Frea) 【フレア】「は……う……く、き……た……っああ……く、ぁ……!」 自ら妹の尻穴に下半身を押し付けたため、先程よりも深くパイプが入ってきます。振動しながら尻穴に入り込む卵の感覚に、抑えて入るもののやはり苦しげな声を上げてしまいますね。この程度なら慣れている……と言いたいところですが、まだ年端もいかない少女にしか見えないフレアの腹部が、妹動揺膨れ上がってしまうほどに卵を詰め込まれると、全身から脂汗が噴出しますね 22 58 (B12_Swertia) 【スウェル】「んひっぁああああっっっ!!ねーさま、ねーさま、あぁっっっっ!!」 排泄による快感と、苦痛から解放される快感。忍びとして痛み、苦しみにも忍ぶ訓練を受けていたスウェルですら、我慢できずに姉が苦痛を味わうと知りながら卵をどんどんどんどんヒリ出して姉の腸内に詰め込んでいく。その量は凄まじく、10秒たってもただただ透明バイブはスウェルの尻からフレアの尻へ流れる卵を透けて見せつけ。 22 59 (bee_GM) 一度排出された卵は振動を止めるが、フレアの腸内に収まってまた数分経つと激しく暴れ始める。強制的にわき起こる蠕動と排泄感。二人のロリ退魔忍はガニ股で手を繋ぎ、お互いを励まし合いながら苦痛に喘いだ。 23 00 (B10_Frea) 【フレア】「く……ひ……あ……!」 押し殺しているだけに、ギャラリーである貴族たちにはフレアが必死でこらえている様子が伝わるかもしれません。少しでも妹が苦痛から開放されるように、とさらに腰を落として卵を受け入れるのですが、時を追うごとにその腹部が膨れ上がり非常に倒錯的な眺めになってしまいます。 23 02 (bee_GM) フレアの腸内に卵がすべて収まると、おそいくるのは「抵抗」の文字もむなしい強烈な排泄感。お腹は重く垂れ下がり、足がガクガクと震え出す。 23 04 (B12_Swertia) 【スウェル】「っは、っはぁぁ…っひ、っぁ…ねーさま、大丈夫です、休みました、から…っっ、ねーさまの、お腹のなかの、スウに、出してっ…」 お互いが交互に腰を落とすため、浅く埋められた透明バイブが尻肉の周りをローションをぬりたくりながらえぐり。それにより身体を発情させられながら、最近連日でアナルプレイに励むスウェルが、姉から再び受け取ろうと腰をくい、っとついて姉の尻穴を刺激し。 23 05 (B10_Frea) 【フレア】「あ……ふぁ……ごめん、スウ、少しだけ、お願い……! ふぁ、ぁ、やめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」 本当なら妹の苦痛を全て引き受けるつもりでいました。しかしこのような責めは完全に予想外で、貴族たちの趣味に歯噛みしながらも、妹に対して少しだけ卵を戻してしまいます。とは言え、ほんの少しだけにしようと思っていたのですが……皮肉にもスウの腰が排泄穴を刺激すると、それで穴が緩んでしまい、一気に卵塊を逆流さ 23 05 (B10_Frea) せてしまいます 23 07 (bee_GM) 【ティスタル公】「とまあ、こういう訳でございます」フレアの排出した卵がスウに注ぎ込まれるのを見ながら、得意満面の笑みで一座を見渡すティスタル公。完成された『器』の芸術に、貴族達が賞賛の言葉を述べながら、二人の少女の相互排泄の様子をいやらしい視線で眺めている。 23 09 (B12_Swertia) 【スウェル】「ふにゃぁあぁああああ♪イク、イっく、っっっ♪っぁ、っぁぉおおおおおおっっっっ!!」 フレアの背後で、乱暴に再び注がれた卵の衝撃に絶頂を迎えた声を上げてしまい。クジ教官との連日のアナル開発のせいで、この衝撃を最初は快感だと思えるほどに開拓されてしまっているのは、フレアにこれで知られてしまうだろう。だが、その声も長く続かず再び苦痛に悶える声に変質していき。 23 11 (B10_Frea) 【フレア】「う……スウェル、ごめん。きついならすぐにこっちに渡して!」 はぁはぁ、と荒い息をつきながら背後の妹が絶頂したことに気づきます。それはクジが色々したのだろう、と想像できるわけですが。こういう場で生き残るためには、むしろ開発されていた方がいい、というのを経験的に知っていますので、複雑な顔になりつつ、妹に尻たぶを押し付けていきます 23 11 (bee_GM) 注ぎ込まれては数分で排泄し、愛しい相手に心ならずも浣腸をしてしまう。それを繰り返すうちに括約筋は緩み、ペースが上がっていく。そのうちに圧力に耐えきれず卵が一つ、スウの腸内で弾けた。それは濃厚な痛み止めと媚薬の成分をスウの腸内にまき散らす。そして震え、フレアの腸内にも注ぎ込まれれば、同じように媚薬と痛み止めの効果が少女の尻穴を変えていく。 23 13 (B12_Swertia) 【スウェル】「っふっぁ、っはぁぁっっっ♪っひ、っぅっくぁ、っだめ、ねーさま、痛いの消えて、また、イっちゃうううっっ…♪」 何度か腸内で卵が破裂し、腸内全体にべっとりとその痛み止め兼媚薬が塗り広げられると、もはや排泄されれば即座にイって排泄し帰すユル穴になってしまい。ぎゅうう、とフレアの手を握りしめたまま、再び姉に排泄された卵をイき排泄してお返ししていく。 23 17 (B10_Frea) 【フレア】「ちょ、ちょっとスウ感じすぎてないっ!? ひはっ!? な……これ、お尻に流れ込んで……やふぁっ! だめっ、お尻熱くなって、ひぁっ、我慢できな、ふぁあああああああああああああああああああああああああああっ!?」 スウェルの方で割れた卵液がパイプ使って流れ込み、腸圧のせいでフレアの中でも弾けると強力な媚薬が尻穴に飛び散りますね。吸収率のいいアヌスはそれに即座に反応し、劇的に後ろの穴を発情させて、妹から 23 17 (B10_Frea) の卵逆流を受けながら我慢しきれずに愛液をゴムショーツの中にこぼしてイってしまいます 23 20 (B12_Swertia) 【スウェル】「だ、って、凄いの、っぉ、この卵、っが、中で、割れて、っひっきっぁっっ♪っは、っぁぅんっっっ!!」 もはや卵はお互いの腸内で何個炸裂したか分からない。恐らく透明な連結バイブも、その内側を卵の媚薬粘液にべっとりと濡れてしまっているだろうか。それほどに痛み止め媚薬を腸内で吸収しあった姉妹は、お互いの腸孔を生み出した卵で攻める、という行為に倒錯しながらイき、そして排泄していって。 23 23 (B10_Frea) 【フレア】「た、確かにこれはすごい、けどっ、こんなのずっと入れてたら、あんなおかしくなって……んひぃぃぃぃぃぃぃぃっ!? ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」 今までの経験から、こんな強烈な薬ををずっと柄てったら、それこどおかしくなると直感してしまいます。なので腰を落として卵をうけいて、お腹に力を込めて尻穴で卵を潰そうとするのですが……フレアの肉体でも、この薬を 23 23 (B10_Frea) 受けきる事はできなくて。卵液が流れ込み、朝の中で弾けるたびにお尻の中で快感が暴れ狂い、愛液を巻きちさしながら悶えてしまいます 23 24 (bee_GM) 23 24 (bee_GM) 23 24 (bee_GM) ではお待たせしました! 戦闘開始です! 23 24 *bee_GM topic [振動する卵(IV4)/フレア][連結パイプTP78(大型)][スウ/振動する卵(IV4)] 23 24 (bee_GM) 開幕ある方どうぞー! 23 24 (B10_Frea) う~ん、開幕はなしで! 23 25 (B10_Frea) きゃー、わな強いw 23 25 (bee_GM) 大型なので二人とも解除に挑めますにょー 23 25 (B12_Swertia) にゃんですとう! 23 25 (bee_GM) ただし攻撃は二人に入る! 23 25 (B12_Swertia) ハイドっていける? 23 25 (bee_GM) いけますよ! 23 25 (B12_Swertia) じゃあとりあえずハイド! 23 25 (bee_GM) 運動判定どぞ! 23 25 (B10_Frea) 頑張って、妹! 23 26 (B12_Swertia) 1d6+7 そういえば常時[催淫]だったてへぺろ 23 26 (B12_Swertia) だいすないちゃん? 23 26 (bee_GM) あ、呼ぶ? 23 26 (B12_Swertia) 2d 23 26 (B12_Swertia) B12_Swertia - 2D = [5,4] = 9 23 26 (bee_GM) ほいほい! 23 27 (B12_Swertia) 1d6+7 ていさー 23 27 (B12_Swertia) B12_Swertia - 1D6+7 = [2]+7 = 9 23 27 (B12_Swertia) ぐふぅ 23 27 (bee_GM) 知力……? 23 27 (bee_GM) 2d6+2 23 27 (B12_Swertia) bee_GM - 2D6+2 = [5,6]+2 = 13 23 27 (B12_Swertia) こいつほんきすぎた 23 27 (bee_GM) 卵さん本気出した 23 27 (B12_Swertia) ハイドれない!アナルイキでびくびくしちゃってた! 23 27 (bee_GM) では奇襲は失敗で、そちらの行動ですね 23 27 (bee_GM) スウさんどうぞ! 23 27 (bee_GM) なにせ内側から攻撃してるもんな…… 23 27 (B12_Swertia) ハイドって使用が特殊なんだけど、使ったMP回復しないまま初ターンだっけか… 23 28 (bee_GM) そうですねー 23 28 (bee_GM) 成功すれば奇襲ターンの終わりに回復するんだけどね 23 28 (B12_Swertia) ぐふう マジックインパクトだけでアタック。どうせMP残り3だから1回しか防御できない 23 28 (bee_GM) あい! 23 28 (B12_Swertia) 2d6+4 てぇい!>たまご 23 28 (B12_Swertia) B12_Swertia - 2D6+4 = [2,6]+4 = 12 23 28 (bee_GM) けっこう良いダメージ(食らう 23 29 (B10_Frea) 妹が拙い……! 23 29 (bee_GM) ではフレアさんどうぞ! 23 29 (B10_Frea) では、卵にツイスター+ピアシング! 23 29 (B10_Frea) 4d6+12 23 29 (B12_Swertia) B10_Frea - 4D6+12 = [5,6,1,3]+12 = 27 23 29 (bee_GM) かもん! 23 29 (B10_Frea) 結構良いダメージ! 23 29 (bee_GM) 通常攻撃とは思えん・・・ 23 30 (bee_GM) ではこちらだな・・・(ゆらあり 23 30 (bee_GM) まずは卵が二人を内側から責め立てるよ! 23 30 (B12_Swertia) ふぁい! 23 30 (B10_Frea) きゃー!w 23 30 (bee_GM) 2d6+13 オーラブレイド+七色の淫毒>スウ 23 30 (B12_Swertia) bee_GM - 2D6+13 = [3,1]+13 = 17 23 30 (bee_GM) 2d6+13 オーラブレイド+七色の淫毒>フレア 23 30 (B12_Swertia) bee_GM - 2D6+13 = [3,2]+13 = 18 23 30 (bee_GM) 防御どうぞー 23 31 (B12_Swertia) 17をアヴォイドで10にして腰AP残り6だな![催淫]指定ってことで! 23 31 (bee_GM) くっ、その手があったか 23 31 (B10_Frea) 侵食がないなら……18をその他に当てて弾け! 23 32 (B10_Frea) BSはミルクでお願いします! 23 32 (bee_GM) 了解! 吹いちゃう! 23 32 (bee_GM) ではアクトはターン終了時にまとめて聞きますね 23 33 (bee_GM) 罠の攻撃先にいっちゃう 23 33 (B12_Swertia) そういえばですよ。ごむぱんつ穿いたシーンアクトで「淫肉の真珠」とか宣言できませんでしたかね(ふと 23 33 (B12_Swertia) わなこい! 23 33 (bee_GM) あ、これまでのシーンで1つずつ指定してOKですよー 23 33 (B12_Swertia) わぁい、真珠せんげんしとこ! 23 33 (B10_Frea) あ、じゃあ淫らなる緊縛で。これからも縛ってください!(まて 23 34 (bee_GM) 2d6+10 浸食攻撃+充填+異形の託卵 23 34 (B12_Swertia) bee_GM - 2D6+10 = [6,4]+10 = 20 23 34 (bee_GM) 二人に20点! 浸食ね! 23 34 (B12_Swertia) あ、まった、一番最初のシーンで<肉桃を這う手>にしとこう。あのシーンで尻撫でまわされてたし!(なんか今後尻なでられない気配 23 34 (B12_Swertia) Σ侵食ぅ 23 35 (B12_Swertia) 侵食だったら半減だから10点だよね? 23 35 (bee_GM) ですね 23 35 (B10_Frea) ダメージでかっ! えーとアヴォイドをしても2点しか減らないから、18もらって半分の8で托卵! 23 35 (bee_GM) 受動するなら引いてから半分 23 35 (B10_Frea) 9か 23 36 (bee_GM) んでは託卵状態になってもらいまして 23 36 (bee_GM) アクト宣言どうぞー! 23 36 (B12_Swertia) <強制絶頂><肉便器><突き刺さる視線><過敏な突起> にしとこう! 23 36 (B10_Frea) 体内孵化、強制絶頂、射乳を使用! 23 37 (B10_Frea) 強制絶頂 23 37 (bee_GM) 了解ですー 23 37 (B10_Frea) 2d6+6 23 37 (B12_Swertia) B10_Frea - 2D6+6 = [5,6]+6 = 17 23 37 (B10_Frea) せーふ 23 37 (bee_GM) 二人とも判定どうぞんぐ 23 37 (B10_Frea) 托卵 23 37 (B10_Frea) 2d6+6 23 37 (B12_Swertia) B10_Frea - 2D6+6 = [6,3]+6 = 15 23 37 (B10_Frea) 成功! 23 38 (bee_GM) くっ…… 23 38 (B12_Swertia) 2d6+7 とう! これは催淫関係なかったよね 23 38 (B12_Swertia) B12_Swertia - 2D6+7 = [4,3]+7 = 14 23 38 (B12_Swertia) Σあうと 23 38 (bee_GM) ですです 23 38 (B12_Swertia) HP11/26 AP20/6/1 [催淫][託卵] 23 38 (B12_Swertia) あぶい 23 38 (B10_Frea) 妹がどんどん追い詰められてーーーー!?Σ 23 39 (B12_Swertia) あー、びーさま 23 39 (B12_Swertia) さっきの補助ターンで<自慰>使った事にしててもいいかな…! 23 39 (bee_GM) ・・)b 許可ー! 23 39 (bee_GM) まあ催淫は消えないけどな…… 23 40 (B12_Swertia) わぁい! 23 40 (B10_Frea) 装備関係だからねぇ……仕方ないです 23 41 (bee_GM) 二人を囲む貴族たちは、まるで涎を垂らしそうな顔でにたりにたりと笑っている。 23 41 (bee_GM) 【貴族】「すばらしい『熟成』具合ですなあ……♪」節ばった手がガクガク震えて今にも崩れ落ちそうな少女の足をなで回す。膨れあがった腹にも、歯を食いしばった端から涎を垂れ流す顔にも、貴族たちのいやらしい視線を感じてしまう。 23 41 (bee_GM) ▽ほいではアクトロールお願いします! 23 43 (B12_Swertia) 【スウェル】「っひあ、っはぁっ、っふ…っくうう…♪ねぇ、さまぁ…っぁんっっ…♪」 がくがくと膝を振るわせながらもガニ股で立ち続けるスウェル。その尻からぶりゅりゅ、と音をたてて卵と卵粘液をフレアの腸内に流し込みながら再びイってしまい。す…っと姉とつないでいた手を外すと、腸内でたらふく飲んだ媚薬に抗えず、貴族たちの視線を浴びながら右手は自分の股間へ、左手は慎まやかな胸に向かい、貴族たちに見せつけるオナニーを開始してしまっ 23 43 (B12_Swertia) て。 23 47 (B10_Frea) 【フレア】「ひぅっ! あぁぁぁっ! スウェル、頑張って……あひっ!? 胸が、熱くなって、そんな、きゃふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?」 背後でオナニーを始めた妹を止めたい、と思うもののこちらにも余裕などありません。自分から卵と媚薬卵液を受け入れたため、おしりののかがドロドロになってしまい、イアまでに経験したことがないほどに感じてしまいますね。しかもそれだけでなく体質なのか、あるいは薬液を吸収しすぎ 23 47 (B10_Frea) たのか、胸にまで影響が出てしまい、貴族たちの前で、ほとんど這いつくばるような四つん這いの体勢になりながら、小さな膨らみかけの胸から母乳をまき散らしてイってしまいます 23 47 (bee_GM) 【ティスタル公】「美味い料理にはそれ相応の『器』が必要です。見てください、この珍味にふさわしい素晴らしい『器』の媚態を。今夜の一品は、忘れられぬ味となるでしょうなあ」鷹揚に両手を広げて一座を見渡し、ほっほっ、と笑うティスタル公。 23 48 (bee_GM) ではターンを回します。 23 48 (bee_GM) 開幕はなさそうなので、スウのターン!! 23 50 (B12_Swertia) おうさ!ツイスターインパクトだ! 23 51 (B12_Swertia) 4ar+4 てぇい! 23 51 (B12_Swertia) B12_Swertia - 4D+4 = [2,6,4,5] MAX 1個 +4 = 21 23 51 (B12_Swertia) ちぃ。クリらねぇ・・・ 23 51 (bee_GM) ひぃこわい 23 51 (bee_GM) では食らいまして、フレアどうぞ! 23 51 (B10_Frea) ではツイスター+ピアシング、ポテ3ぶちこみ! 23 52 (bee_GM) あい! 23 52 (B10_Frea) 7d6+12 23 52 (B12_Swertia) B10_Frea - 7D6+12 = [5,1,3,1,5,3,3]+12 = 33 23 52 (B10_Frea) そこそこ? 23 52 (bee_GM) けっこう来たか…… 23 52 (bee_GM) では攻撃いきまっす 23 52 (bee_GM) 2d6+13 オーラブレイドのみ>スウ 23 52 (B12_Swertia) bee_GM - 2D6+13 = [2,1]+13 = 16 23 53 (bee_GM) 2d6+13 オーラブレイドのみ>フレア 23 53 (B12_Swertia) bee_GM - 2D6+13 = [4,1]+13 = 18 23 53 (bee_GM) 今度は気合いが足らないな! 23 53 (B10_Frea) どっちみち壊れるんで腰に当てて弾けます! 23 53 (B12_Swertia) 同じく腰が砕けます!ひゃー! 23 53 (B10_Frea) アクとはなしで! 23 54 (bee_GM) では本命のパイプだ……! 23 54 (bee_GM) 2d6+14 《浸食攻撃》《充填》>二人 23 54 (B12_Swertia) bee_GM - 2D6+14 = [4,1]+14 = 19 23 54 (bee_GM) さっきより低い、だと…… 23 54 (B12_Swertia) あぼいど!7引いて12/2で6! 23 54 (B12_Swertia) HP5 AP20/0/1 23 55 (B10_Frea) アヴォイド! 6点費って13で6.5だから切り捨てて7? 23 55 (B12_Swertia) ここでいにしえの秘薬ぺかー 23 55 (B10_Frea) あ、6か 23 55 (B12_Swertia) 3d6 23 55 (B12_Swertia) B12_Swertia - 3D6 = [1,5,5] = 11 23 55 (B12_Swertia) 16になりました 23 55 (bee_GM) ですね! 23 55 (bee_GM) まだまだって感じだな…… 23 55 (bee_GM) ではアクトの宣言どうぞー 23 55 (B10_Frea) アクトは抜け透け、菊辱、汚された肢体、つけられた種……ですけど、今回前使われない? 23 56 (bee_GM) 使われないな……処女調教! 23 56 (bee_GM) あれ処女なかった 23 56 (B10_Frea) こっちは処女じゃありませんが!w 23 56 (bee_GM) きっといま汗と涎でどろどろじゃないかな 23 56 (B10_Frea) となると付けたねはなしでー 23 56 (B12_Swertia) アクトは淫肉の真珠とおもらし、を宣言しとこう! 23 57 (B12_Swertia) ごむぱんつのなかでおもらしじょろろろ イイかしら 23 57 (bee_GM) おっけー! 23 57 (bee_GM) んじゃロールは戦闘後でいいかしら? 23 57 (B10_Frea) はーい! 23 58 (B12_Swertia) あいさ! 23 58 (bee_GM) ではスウのターン!! 23 59 (B12_Swertia) そういえば罠のステータスどんなだっけ?主に突破能力 23 59 (bee_GM) あ、ごめごめ 23 59 (bee_GM) 体力/運動です 00 00 (B12_Swertia) じゃあ運動で突破かけよう 00 00 (B12_Swertia) CP14あるのでポテンシャル14! 00 00 (B12_Swertia) 15d6+7 てい。 00 00 (B12_Swertia) B12_Swertia - 15D6+7 = [4,4,3,3,3,4,4,2,1,4,3,6,4,3,1]+7 = 56 00 00 (bee_GM) !? 00 00 (B10_Frea) 妹頑張った!? 00 00 *bee_GM topic [振動する卵(IV4)/フレア][連結パイプTP22(大型)][スウ/振動する卵(IV4)] 00 00 (bee_GM) 一気に……! 00 00 (B12_Swertia) がんばったよ・・・! 00 00 (B10_Frea) ではこちらも突破、ポテ5をつぎ込んで運動突破! 00 01 (bee_GM) おう! 00 01 (B10_Frea) 7d6+6 00 01 (B12_Swertia) B10_Frea - 7D6+6 = [3,2,2,4,1,4,3]+6 = 25 00 01 (B10_Frea) せーふっ 00 01 (bee_GM) いった・・・! 00 01 *bee_GM topic [振動する卵(IV4)/フレア][連結パイプTP×(大型)][スウ/振動する卵(IV4)] 00 01 (bee_GM) では攻撃いっきまーす 00 01 (bee_GM) ここで隠していた魔技を使う時……! 00 02 (B12_Swertia) Σにゃんと!? 00 02 (bee_GM) 2d6+13 《オーラブレイド》《クラッシュ》>スウ 00 02 (B12_Swertia) bee_GM - 2D6+13 = [2,2]+13 = 17 00 02 (bee_GM) 2d6+13 《オーラブレイド》《クラッシュ》>フレア 00 02 (B12_Swertia) bee_GM - 2D6+13 = [4,4]+13 = 21 00 02 (B12_Swertia) あ、はい、その他AP1が飛びます 00 02 (B10_Frea) それは……防御しても意味が無いのでそのまま食らって全裸! 00 02 (bee_GM) (じだんじだん 00 02 (bee_GM) ではターンを回しまして…… 00 02 (bee_GM) スウのターン! 00 03 (B12_Swertia) 4ar+4 再度、ツイスターインパクト!こい! 00 03 (B12_Swertia) B12_Swertia - 4D+4 = [3,1,4,5] MAX 0個 +4 = 17 00 03 (B12_Swertia) ぐふぅ 00 03 (bee_GM) 貧弱ゥ! 00 03 (bee_GM) ではフレア! 00 04 (B10_Frea) では卵に残りCP5をぶち込んで、ツイスターピアシング! 00 04 (B10_Frea) 9d6+12 00 04 (B12_Swertia) B10_Frea - 9D6+12 = [6,6,2,2,5,5,6,3,5]+12 = 52 00 04 (B12_Swertia) ぱない 00 04 (B10_Frea) でかっ 00 04 (B12_Swertia) ん? 00 04 (B12_Swertia) あ、そか、ピアシングだった。インパクトじゃないいいんだ 00 05 (bee_GM) それは……落ちた! 00 05 (B10_Frea) よしっ、これで妹の支援に行ける! 00 05 *bee_GM topic [フレア][連結パイプTP×(大型)][スウ/振動する卵(IV4)] 00 05 (bee_GM) ではスウに攻撃ィ 00 06 (bee_GM) 2d6+13 《オーラブレイド》《クラッシュ》 00 06 (B12_Swertia) bee_GM - 2D6+13 = [6,6]+13 = 25 00 06 (B12_Swertia) 6軽減で19かー 胸AP20なんだよねー 00 06 (B12_Swertia) 1のこっちゃった! 00 06 (B10_Frea) 殺意高いΣ 00 06 (B10_Frea) よしっ!w 00 06 (bee_GM) うぎぎ!! 00 06 (bee_GM) ではスウの攻撃! 00 06 (B12_Swertia) 4ar+4 ついすたーいんぱくとの猛威! 00 06 (B12_Swertia) B12_Swertia - 4D+4 = [3,2,4,2] MAX 0個 +4 = 15 00 06 (B12_Swertia) ひんじゃくぅ! 00 07 (B12_Swertia) アナル攻めされてるから攻撃がイけない! 00 07 (bee_GM) フレアさんどうぞ。移動はしてね! 00 07 (B10_Frea) ではステップで移動して、ピアシングのみ! 00 07 (B10_Frea) 2d6+12 00 07 (B12_Swertia) B10_Frea - 2D6+12 = [2,1]+12 = 15 00 07 (B10_Frea) 低い……w 00 07 (B12_Swertia) ねーさまにスパンキングされた(あくめ 00 08 (bee_GM) では攻撃ィ! 00 08 (B10_Frea) スウは叩いてないヨ!?w 00 08 (bee_GM) 2d6+13 《オーラブレイド》《クラッシュ》>スウ 00 08 (B12_Swertia) bee_GM - 2D6+13 = [2,6]+13 = 21 00 08 (B12_Swertia) はい、AP0です! 00 08 (bee_GM) はい! 00 08 (bee_GM) ではスウ! 00 08 (B12_Swertia) 4ar+4 1度くらい…いけ! 00 08 (B12_Swertia) B12_Swertia - 4D+4 = [6,4,6,5] MAX 2個/クリティカル +4 = 25 00 08 (B12_Swertia) いった! 00 08 (bee_GM) ごっふ 00 08 (B10_Frea) くりった! 00 08 (B12_Swertia) +12で37点! 00 09 (bee_GM) うおお瀕死 00 09 (bee_GM) ではフレアさん! 00 09 (B10_Frea) ツイスター+ピアシング! 00 09 (B10_Frea) 4d6+12 00 09 (B12_Swertia) B10_Frea - 4D6+12 = [1,3,4,2]+12 = 22 00 09 (bee_GM) ……おや、2点残ったぞ 00 10 (bee_GM) スウにぱんち! 00 10 (B12_Swertia) Σにゃん!? 00 10 (bee_GM) 2d6+13 《オーラブレイド》《クラッシュ》 00 10 (B12_Swertia) bee_GM - 2D6+13 = [3,3]+13 = 19 00 10 (B10_Frea) む、それは……姉がかばう! 00 10 (B12_Swertia) 13Hitで残り…おおう!? 00 10 (bee_GM) OK! 00 10 (B10_Frea) で、その前に輝石! 00 10 (B10_Frea) 3d6 00 10 (B12_Swertia) B10_Frea - 3D6 = [3,3,6] = 12 00 10 (B10_Frea) HPが21になって、そこに19! 00 10 (B10_Frea) HP2で生存! 00 11 (bee_GM) うおおうおお…… 00 11 (bee_GM) これで終わったかな。スウさん、決めておくれ……! 00 11 (B12_Swertia) 4ar+4 そうだね、とう! 00 11 (B12_Swertia) B12_Swertia - 4D+4 = [3,6,6,1] MAX 2個/クリティカル +4 = 20 00 11 (B12_Swertia) 最後まで殺意たかかった 00 11 (B12_Swertia) 32点! 00 11 *bee_GM topic [フレア][連結パイプTP×(大型)][スウ] 00 11 (B12_Swertia) 16-3d6 たくらん! 00 11 (B12_Swertia) B12_Swertia - 16-3D6 = 16-[1,1,4] = 10 00 11 (bee_GM) 戦闘終了……!! 00 11 (bee_GM) では卵のダメージをどうぞ! 00 11 (B12_Swertia) 残りHP10点! 00 11 (B10_Frea) 2d6 00 11 (B12_Swertia) B10_Frea - 2D6 = [2,4] = 6 00 11 (B10_Frea) 1d6 00 11 (B12_Swertia) B10_Frea - 1D6 = [5] = 5 00 12 (B10_Frea) HP-9でおちた! 00 12 (B10_Frea) 致命表! 00 12 (B10_Frea) 1d6 00 12 (B12_Swertia) B10_Frea - 1D6 = [1] = 1 00 12 (B10_Frea) 1以下 胸に宿る消えない炎。倒れかけた身体に力が入る。 00 12 (B10_Frea) 【HP】が1にになり戦闘を続行する。 00 12 (bee_GM) いきかえりよった…… 00 12 (B10_Frea) あ、凄い、持ち直した 00 13 (bee_GM) ではでは。 00 13 (bee_GM) あとはまったりロールして終わりましょうかね 00 14 (B12_Swertia) ふぁい! 00 14 (B10_Frea) 了解! 00 16 (bee_GM) そして1時間ほどだろうか。二人の退魔忍の相互浣腸は続き、二人は全身にびっしょりと汗を掻き、括約筋は開ききってしまって腸の蠕動だけが卵を送り出し続けている。 00 16 (bee_GM) ▽(ズタボロになったロールを1回ずつくださいな) 00 18 (B12_Swertia) 【スウェル】「っふっぉ、っぉぅう、っくぁ、ねーさま、また、産むの、また、ねーさまに、出しちゃうぅっっ…♪」 割れずに残った卵は、もはやさっきから透明バイブの中を行ったり来たりの往復状態。共に括約筋が媚薬漬けでトロユルになってしまい、さっきからイき排泄して大切な姉妹に卵を送りつける事に夢中になっている。スウェルはさらに、ゴムパンツに浮かぶクリリングを貴族たちの前で指先でかりこりひっかきながらオナニーを続けており、ゴムシ 00 18 (B12_Swertia) ョーツの間から蜜と尿が溢れでてきてテーブルをよごしてしまってもいる。 00 18 (B10_Frea) 【フレア】「いひぃぃぃぃぃぃぃっ! ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! きゃううううううううううううううううううううううっ!?」 途中から積極的に卵と卵液を受け入れていたため、お尻の穴が恐ろしく感じやすくなってしまっています。小さい、けれどガチガチに張り詰めた乳首からミルクをまき散らしながら、ただれるほどに熱くなった尻穴を妹の動きと連動したパイプで擦られる度に、悲鳴を上げてイき、愛液をぶちまけていますね 00 21 (bee_GM) 【ティスタル公】「――それでは、そろそろご賞味いただきましょうか」指を鳴らすと、メイドが受け皿を持って現れた。そして別に持ってきた革袋を、パイプの間中に繋ぐ。注ぎ込まれるのは、味の付いたこってりとしたゼリーだ。それを、二人の腹がパンパンになるまで注ぎ込み、パイプを引き抜いた。ゆるゆるになった括約筋に、手首ほども太いプラグを強引に差し込む。 00 24 (B12_Swertia) 【スウェル】「っひ、あおおうう、っくっぉ、ん、っぉいいっふうっっっ♪♪」 卵がちょうど、スウェルとフレアで半々になるところでその間をせき止められ。そしてお互いの腸内にゼリーを流し込まれ、『器』に仕立てられながらびくびくと背筋を反らし快感に震えてしまい。 「っひ、っぁ、っや、抜いたら、出ちゃ…っぅううううっっっ!?」 そして、無慈悲にもバイブが引き抜かれてしまうと、バイブ型にひらきっぱなしのアナルから注がれたゼリーがこ 00 24 (B12_Swertia) ぼれそうになり。そして、それをメイドに手際よくプラグでせき止められると背筋を震わせ再び絶頂してしまった。 00 25 (B10_Frea) 【フレア】「あ……ふぁ……今度は、何をする、つもりで……ひぅぅっ!? あふっ! やめっ! もうはいらな、っあああああああああああああああああああああっ!?」 妹に比べてフレアの穴は大きくなっています。それはより多くの卵と卵液を受け付けた結果なのですが、そんなお尻の穴にゼリーを詰め込まれると、またゴムショーツの中に愛液をぶちまけ、自分の忍装束にミルクで汚してしまいますね。そして下腹部はまるで妊婦のように膨れ上 00 25 (B10_Frea) がり、外から異物を流し込まれる、その感覚で何度も達しながら、最後にプラグをはめられると、それで全身をビクビクと痙攣させながら、一際深い絶頂に震えます 00 30 (bee_GM) 【ティスタル公】「それでは最終熟成です。皆様、今しばらく『器』の手触りと麗しい鳴き声をご堪能ください」公が手を叩くと、我先にと貴族たちがテーブルに乗り出す。そのほとんどは男性器をむき出しにし、雄の臭いを少女たちに突きつけた。そして手で、肉棒で少女の肌触りを味わう。 00 30 (bee_GM) そして、30分後。公が大きく手を叩いた。 00 32 (bee_GM) 【ティスタル公】「皆様、お待たせいたしました。本日のメインディッシュは『暴れ卵の二段熟成、少女の腸液とコンソメゼリー固め』で御座います」メイドが二人、テーブルに上がってきた。そして、料理の紹介と共に、二人の身体を抱き上げる。M字に足を開かせて、居並ぶ貴族たちの皿の上に、プラグをもってくる。「プラグの栓をひねってください。すると、一食分の料理がわき出します」得心した貴族がプラグをひねると、括約筋が思い切り広がってかき回され 00 32 (bee_GM) 、見事に攪拌された暴れ卵がゼリーに包まれて皿の上に美しく盛りつけられた。 00 35 (B10_Frea) 【フレア】「あ……ふ……っ! 触らないで欲し……ひゅあっ!? や、ぁ、お腹押したらっ! 出なのにっ、お尻っ、あああああああああああっ!?」 お尻に肉棒を擦り付けられて射精され、胸から分泌されたミルクを全身に塗りこまれます。そしてお腹を押し込まれると、アナルプラグのおかげでどうやってもゼリーや薬液を出すことができないのに、強烈な排泄欲求が襲いかかって悶ますね。 00 35 (B12_Swertia) 【スウェル】「はひ…っひぁ…はひぁ…」 すっかり30分のお触りタイムで『対魔忍スウェル』ではなく、『コスモスのスウ』の顔にさせられたスウェルティア。幼い身体つきに似合わないトロ牝顔のまま、股を開かされ、その尻に刺さりっぱなしのプラグのスイッチを入れられると… 「っひっか!?っはい、っきあ、っや、またイく、イくイクううううううううっっっ♪♪」 びくんびくん、と腰を跳ねさせ強制的に励起させられた排泄衝動のまま、尻から 00 35 (B12_Swertia) ゼリーと卵を一食分だけ生み落し。 00 36 (B10_Frea) 【フレア】「ひゃ……く……うう……っひ!? っぁ、来た、出る、お尻から、きゃひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!? ……はぁ、ふ、え、あ……そんな、まだ、殆ど出してない、のにっ!」 そんなのを繰り返された挙句三十分も弄ばれると、さすがにぐったりしています。抵抗もできないままにアナルプラグを捻られると、ようやく待ち望んだ排出をスルことができるのですが……その程度では膨れ上がったお腹の中身を出すことができず、さっきよりも強 00 36 (B10_Frea) くなった衝動に悶ますね。 00 38 (B10_Frea) 【フレア】「は……はやく、栓を開けて、出させてっ! ふぁ、ぁぁぁっぁぁぁぁぁっ!?」 そしてそんなことを繰り返されながら、さらに一食分ずつゼリーを産み落として行くと、さらに排出欲求は強くなり、最後の方になるととうとう自分からお尻をつきだして、栓を開けるのを願うようになってしまいます 00 40 (bee_GM) 二人のヒリ出したゼリーを、貴族達は美味そうに食べ、めいめいに舌鼓を打つ。美食に括られた、信じられないほど和やかな空気が地下の一室を包み込んだ。 00 41 (bee_GM) そして、すべての卵をヒリ出して精も根も尽き果てた二人に、メイドが酷薄な笑みでスプーンを突き出す。その上には、暴れ卵が一つ。 00 41 (bee_GM) 【メイド】「お上がりください。ご主人様のご命令です」 00 43 (B12_Swertia) 【スウェル】「っふあ、あっひ、ぁ…っは、はひ、あむ、あ、むっっ…♪」 自分の穴からヒリ出された卵を、目の前でフレアねーさまの口元へ運ばれ。同じように、フレアねーさまの卵を口元に差し出されると、それを口に含み。芳醇な香りと味、そしてどことなく感じるいやらしさに、美味しさを覚えながら無心にそれを貪っていって… 00 44 (B10_Frea) 【フレア】「……ぅ……あ……」 妊婦並みに膨れ上がったお腹のもの全てを食べるには、何度もおかわりをされないといけません。和やかな食卓の中でフレアは妹と一緒に雌の悲鳴を上げ続けました。中途半端に出されて閉じられるというのを繰り返されると際限なく排出衝動が上がってしまい、最後の方にはぐったりとして身体も殆ど動かせなくなってしまいます。なので口元に卵を近づけられると、スウが産んだそれを抵抗することもなく食べて、ゴ 00 44 (B10_Frea) クリと飲んでしまいますね 00 46 (bee_GM) 最後のパフォーマンスまで完璧にこなし、疲れ果てた二人の『器』を、拍手の渦が包み込むのでした。 00 46 (bee_GM) 00 46 (bee_GM) 00 46 (bee_GM) [][][] ランドリューフ戦記「ティスタル家グルメリポート『暴れ卵の二段熟成、少女の腸液とコンソメゼリー固め』」 終幕です。 00 46 (bee_GM) 00 46 (bee_GM) 00 46 (bee_GM) おつかれさまー! 00 46 (B10_Frea) おつでしたー 00 46 (B10_Frea) びーさんえろい! 00 46 (bee_GM) マニアックすぎるシチュについてきてくれてありがとう! 00 46 (B12_Swertia) ふぁぁぁい!おつかれさまでした! 00 47 (B12_Swertia) とても えろ かった です 00 47 (bee_GM) 経験値:40+(40/2)=60 +CP 00 47 (bee_GM) その他:ミアスマ4点、名声1点、人脈:ティスタル公(任意)、お互いへの人脈 00 47 (bee_GM) 以上おおさめくださいませー 00 47 (bee_GM) ・・)b 産卵って奥が深いネ! 00 47 (B12_Swertia) 74点経験と4ミアスマ1名声、1ティスタル1フレア! 00 47 (B12_Swertia) ・・)b ふかすぎるね!
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第2話「私だけを見ててよ」 実験室の前に立ちながら、さっき起ったことが非常に気になりながらドアに手を掛けた。すると中から声が聞こえた。 「おっと、新入部員のお出ましだ、皆、クラッカーを準備しろぉ!」 「うぉ、マジか。待ちくたびれたぜ」 待たせたと言っても五分くらいしか経っていないはずだが。 「あら、やっぱりナムレも来てくれるのね、期待した甲斐があったわ」 その声にナムレは再び驚かされた。なぜラーセマングの声が聞こえるんだ?まさかあいつも入部したのか?気になって仕方がない。声に反応してつい勢いよく扉を開けてしまった。その瞬間爆竹というにもふさわしいほどのクラッカーの音が聞こえた。 「よっ、ナムレ!入部おめでとう!歓迎するぜ!」 「うわっ、ちょっと待っ・・・」 いきなりテルテナルがナムレに襲い掛かった。肩を手でたたき、向こう側へと引きずりこんだ。壁にポスターはないが、テーブルにはすでに歴代スカルムレイの肖像画が入った額縁が大量に並べられていた。時代的にはスステ政治より後、ハタ王国の文化が最も栄えた時代のものである。 「はっはっは、ナムレ君、ようこそスカルムレイ研究部へ。俺が代表のパシュ=スリャーザだ」 テーブルの主役席で偉そうに座っていたのはナムレがよく知っている隣のクラスの友人、スリャーザだった。あいつがまさかこの謎サークルの代表だったとは。代表のあの偉そうな座り方を見ているうちに、いつの間にかテルテナルとツェッケナルに肩を持たれて席に座らされた。なんと驚くべきことにラーセマングもそこにいたのである。 「ってラーセマング!なんでここにいるんだ!?帰ったんじゃ…」 「いえ?スカルムレイ陛下のことを研究するのっておもしろそうだったから、つい来ちゃったのよ。本入部も済ませてあるし、大体の活動内容もたった今おさえたところよ」 そう言いながらスカルムレイが描かれた小さい肖像画を手に持った。そのスカルムレイはスステ=スカルムレイである。 「ナムレもここに入ってくれるんでしょ?」 「そりゃあもう、ナムレに関してはこの部屋に入った時点で本入部確定だろ」 「いや、勝手に決めるなよ」 今のこいつらにはユーゴック語は通じない。ナムレも諦めた。何よりラーセマングまでここにいるというのが驚きなのだ。帰ったんじゃなかったのか。 誘われるがままに座らされ、ラーセマングの隣に来させられた。その隣にはテルテナル。反対側にラズィミエとツェッケナル、そして主役席にはスリャーザが座っている。 「それで、この部活は何をするんだ?」 するとスリャーザが乗り気になって答えた。 「はっはっは、今から見せてやろう、新入部員のナムレ君よ」 スリャーザは何処からか肖像画を再び取り出してテーブルの中心に置いた。そこそこの大きさである程度離れていてもその顔が確認できる。やはりいつかの時代のスカルムレイの肖像画だった。 「さあ、古参部員の君たちにはもうすでに彼女が誰かは分かるかもしれないが、まずはナムレ君に訊いてみよう。ナムレ君、このお方も歴史上に実在したスカルムレイだが……名前は分かるかな?」 「名前……」 そのスカルムレイは黒髪を伸ばしており、前髪はギザギザに整えられている。スカルタンを着ているのだが、かなり古い時代の質素なものだ。そしておでこにしわが寄っており、いかにも悩み事を抱えてそうな顔をしている。そして大人びた顔立ち、薄い唇などをじっくりと眺めた。 「さあ、誰かわかったかな?このお方の名前が答えられないとヤバいぞ」 「簡単すぎるだろう。このお方はテイカ=スカルムレイだ」 スリャーザが拍手をすると、その時部屋にいた部員全員が拍手をした。ラーセマングも交じって。 「簡単だとまで豪語して当てて見せるとは、さすがはパンシャスティの人間だな。君の言う通りこのお方はこのハタ王国初代スカルムレイのテイカ=スカルムレイ様だ。あの預言者トイターの実の妹で、トイターの死後は軍や後継者を率いてユーゲ平野をついに統一したと言われている。あのユーゲ国や第二帝国を滅ぼしたのも彼女の指揮のおかげだ」 普段は見せないような明らかな上から目線と自信に満ちた声色で解説を入れてきた。 「ちなみにラーセマング君、彼女の生没年を言えるか?」 「もちろんよ、紀元前89年生まれで紀元後30年没。当時のハタ王国の生活水準にしてみればそこそこ長かったわよ」 そしてここでスリャーザが一気に目つきを変えてきた。 「さてここからが本題だ!」 テーブルを叩いて肖像画を一瞬だけ浮かせる。ナムレはびっくりしてスリャーザの方を向いた。 「ここで当時のトイター教の教義を思い返してほしい、ナムレ君ならすぐに察しがつくはずだ。彼女の肖像画が現代に存在するのは“どう考えても”おかしいってな」 「どう考えても?」 ナムレはとりあえず考えてみた。だが皆目見当もつかない。ラーセマングは答えを言ってほしそうな顔をしている。ずっと期待の目でこちらを見ている。異常なほどに目を見開いてこちらを見ながらずっと回答を待っているのだ。 「ほらほらー、ラーセマングちゃんが答えてほしそうな顔をしているぞ~?」 「うるさいぞテルテナル、そういうお前は分かるのか?」 「えー、答え言っていいのかー?スリャーザ~」 「いやいや、だめだ。いいな、明日のこの部屋でもう一度答えを聞くから、今夜はひとまず考えてこいよ。よし、今日の活動はナムレの歓迎と最初の課題ということでお開きにしよう!」 「いぇーい、お疲れー!ナムレ帰ろうぜ!」 みんなが一斉にカバンを持ち始めた。ラーセマングも帰る用意をはじめた。その様子をじっと見ていたナムレもようやくカバンを持ち始めた。当然、部室から出るのは最も遅くなった。 「早く出てくれよー、この部屋さっさと閉めて職員室に鍵を返しに行かなきゃならない」 スリャーザは急かしてきた。ナムレはおかしいと思っていた。普段はあんなに真面目なスリャーザがこの部室にいる時だけ、この三人と同レベルにまで堕ちてしまうとは。校門を出るともう夕日すら薄くなり、夜の闇が待ち構えていた。普段は三人がサークルに行ってしまうので一人で帰り、そして最寄りの駅でラーセマングが迎えに来てくれていたのだが、今日からは様子が違う。いつもの三人とスリャーザ、そしてラーセマングがここの時点ですでに揃っている。ナムレは違和感を覚えた。この道はいつもは一人で歩くはずなのにと。 駅に到着し、定期を通す。電車はすぐに来たので、それにみんなで並んで座った。何かにつけて男子たちが気を遣ってラーセマングとナムレが並ぶように席を譲るのである。ちなみに、ラズィミエとスリャーザは同じ方向だがツェッケナルとテルテナルは方向が違うので、改札のあたりで別れてしまう。 「ほらナムレとラーセマング、ここに座れ」 偉そうにスリャーザが指示してきた。どうせ席はガラガラなのだが。 「なあ、明日も来ないといけないのか?」 「当たり前だろ。これでも毎日集まってスカルムレイ陛下について議論しているんだぞ」 そうか、とナムレは適当に聞いていた。 「そういえばラーセマングはあの後どうやって実験室に行ったんだ?ていうかなんで入ったんだ?」 これについてはスリャーザが答えた。 「なんてことはない、シャスティを誘わない手はないだろう」 笑いながらラーセマングの方を見た。 「私が入った方が、ナムレも入る気になるものね」 またしても誤解を招くような発言ではないか。まるでラーセマングが行くところについて行こうとしているみたいで。ナムレはやはりラーセマングとよりによってスリャーザが一緒に話すことを避ければよかったと後悔した。 「まあとにかく、明日は絶対に実験室に来いよ」 「ああ、分かっt――」 ここまで言いかけて止まった。そういえばナムレはそれ以前に約束を持ちかけられていた。姿も見えない女性の声に、全く同じ時間に同じ場所に来るように言われていたのだ。しかし、そのことを包み隠さず話すのはどうもまずい気がした。相手は一切姿を隠して声のみで語りかけてきたのである。このことをおおっぴらに話すことはまずい。だが、何とか切り抜ける必要があった。 「ああ、でもちょっとまて、俺は明日のその時間には予定が入っているぞ」 「あー?そんなこと気にしなくていいんだよ、自分がどうでもいいと思った予定はその辺に捨てておけよ」 「いやそんなことしたらまずいだろ。大事な奴だったらどうする?」 「大事な奴だったら捨てなくていいだろ。だがその件については別にどうでもいいんだろう?」 「いや、別にどうでもいいとは言い切らないけれど、とにかく行かなきゃいけないんだ。サークルよりも優先で!」 「はあ、分かったが、ちなみに時間帯はいつだ?場所は何処だ?」 場所と時間。今日のサークル活動と完全に被ると言ったら怪しまれるだろうかと、ナムレは危惧した。ここは適当なことを言うしかない。また明日どう行動するかは考えなおさねばならないが。あの人はまた現れるのだろうか。 「放課後の屋上だよ。もういいだろ?予定があるってだけだから、それが終われば部活にすぐ戻る」 ―― イルキスに着いた。 「はーっ、疲れたわー」 ナムレは呆れながら言った。 「何を言っているんだ。これが明日もだぞ」 「はえーっ、でも楽しいわね。学校って。いろんな人がいて、いろんな人が私と相手してくれたり、私を受け入れてくれたりしてくれるもの」 いくつかの祈祷の依頼があったが、それを押し退けてとりあえず普段の生活スペースに入り、カバンを置いたり制服からスカルタンに着替えたりした。 「やっぱり、この服装が一番落ち着くわね…」 ナムレが後ろを向くと既にスカルタンに着替え終わっているラーセマングの姿があった。相変わらず着替えるのだけは早い。 「まずは風呂に入りましょう?」 「あー、先に入ってていいよ。俺はちょっと先生に言いつけられた奴を片付けなきゃ…」 カバンの中から筆記用具などを取り出そうとすると、カバンはどこかに行ってしまった。突然の出来事にナムレが焦る。 「ふふっ、この程度の強奪も逃れられないなんて、また今度ウドゥミトも教えてあげなきゃね」 「いや、カバン何処へやったんだよ。返せよ」 「んー?返してほしい?」 なんともイラつく物言いだ。ナムレの眉間にしわが集まり始める。 「じゃあ、今から一緒にお風呂に入るわよ」 「は?」 「え?だからお風呂よ。姉弟で親密になった方がいいでしょ?」 「いやいや、流石に年頃の男女はまずいだろ……変な冗談はやめてくれ」 そういうもラーセマングは全く納得いっていない模様。なぜこいつはそう言うことを平気でいるんだ?こんな状況でもしあいつらがいたら絶対まずかった。 「ん?何がおかしいの?家族でお風呂に入るんだから別にいいじゃないの。背中洗ってあげるから」 「いや、そういう問題じゃないから」 「分かった、そこまで言うならカバン返してあげないわ」 ナムレは究極の決断を迫られた。だが、この場合はどう考えても選択肢が無慈悲だとまずは疑ってかかるだろう。だが相手のラーセマングはそういう常識とかそういった思考能力が皆無な奴だ。あまりにも常識が無さ過ぎて、おそらく恥じらいというものすら希薄なんじゃないか。養子とはいえ仮にも同年代の男子とお風呂に入ることを「家族とお風呂に入るのは別に大丈夫」と言い切るとは。 「ん?黙っているってことは入るってことかな?じゃあ後でカバン返してあげなくちゃね」 ナムレは何も言えなかった。 ―― ようやく汗を流して居間に戻ってきた。テーブルの前で正座をしながらラーセマングはそこに座っていた。 「お、やっと上がったね」 「ほら、カバン返してくれよ」 するとラーセマングは割に合わない、納得いかないというような顔をして見せた。 「えー、でも結局一緒に入ってくれなかったでしょ」 「そもそも何も言わずにカバンを取ること自体がおかしいだろ?」 「ふーん」 いかにも余裕そうな顔をしながら例の表を諸々取り出した。 「じゃあ、旧暦覚える?これに付き合ってくれたらカバンを返してあげる」 そして机にばらまかれる旧暦のカレンダー。しかも大事なところは赤い文字で書かれており、ついでに赤く透明なシートも一緒にテーブルの上に出されていた。 「お前いつの間にそんなものを…」 「今日先生に教えてもらったんだよ、皆これを使って暗記しているってさ」 ―― 翌朝。ナムレは昨日と同じように朝の6時ごろに起床した。今日も何気ない日常が始まるのである。いや、昨日から始まったと思われる日常である。また一時間強の時間が確保され、引き続きラズ・ププーサ体を詰め込まされた。ラーセマングは、昨日は学校で満足に取り組めなかったからだと言う。 ラーセマングはやっぱり昨日と同じように準備を始めた。高校の制服に身を包み、教材類を入れたカバンを手に持った。 「さ、行こっか。今日もラズィミエは来るのかしら?」 「どうだろうねえ」 昨日あんなことがあった以上、絶対に来るとは言い切れない。が、別段心配はいらなかった。ラズィミエはいつも通りドアから乗車してきてナムレに加えてラーセマングにまで挨拶をかわしてきた。 「おはようお二人さん、今日も仲がいいねえ」 「ええおかげさまでね。でもこの子ったら昨晩一緒にお風呂に入ってくれなかったのよ」 その言葉を放った瞬間、ラズィミエの体が動かなくなり、そのまま何も言わずに電車から降りて行った。猛スピードでホームを走りながら階段を下りて行った。 「あ、おい、ラズィミエ!」 行ってしまった。あれから一日たって割と平常心を取り戻してきたかと思ったら、全くそんなことはなかった。何が別段心配はいらなかっただ。折角余計な反応されなくなったかと思ったらラーセマングの余計なひと言のせいでさらに面倒なことになってしまったじゃないか。 「あら、ラズィミエ君今日もお母様が心配なのかしら?」 「お前に教えることは俺からもいっぱいありそうだな…」 そう小声でつぶやいた。だがラーセマングは聞く耳持たずに座っていた。 学校に着くといつもの二人がいた。ラズィミエもあとから到着した。今度は大丈夫そうだ。だがそういう察知能力が皆無なラーセマングはどうもラズィミエが心配でならないらしい。おもに母親が。 「ラズィミエ君、大丈夫だったのかしら?」 「ん?何がだ?」 「お母様、大丈夫だったのかしら?ずいぶんと大変だったみたいだけれど」 「ああ、大丈夫だ。今日はちょっと熱を測るのを忘れていてだな。それを急に思い出して家に飛んで帰ったんだ」 おそらくすべて嘘だ。 「ところであれはどうしたんだ、あれ」 「ん?あれってなんだ?」 どもりながらツェッケナルの必死の説明が始まるがとても伝わりそうにない。その状況を一瞬にして救ったのがテルテナルだ。 「ツェッケナルが言いたいのは昨日の国史の宿題のことだろ?」 「ぬうぉお?それだ!なぜ俺より先に分かった?」 「いや、お前国史苦手だから大体俺らに聞いてくるだろ」 ツェッケナルは喜びながらカバンから国史のプリントを取り出した。簡単な復習穴埋めプリントだ。もちろんナムレやテルテナルは済ませてある。 「ラズィミエ、お前はプリントやったのか?」 「あっ、あっ」 「やってないのか?」 「いや、やってある。ただまだ答えが何も書かれていないだけだ」 ラズィミエは解答欄が空白のまま放置されている国史のプリントを提示した。 「ってことはお前ら二人はやっていないんだな?」 「そうだよ、だからうつさせてほしいなって思って頼んだんだよ」 しかし、そこへラーセマングが一喝。 「あなたたち駄目よ!勤勉に対しては人一倍に真剣であり続けなさい。国史の事であれば私に任せて。すべて教えてあげるわ、さあプリントを見せて」 その圧力にラズィミエは押されてすぐにプリントを差し出した。たしかにシャスティだったらそういうのには詳しそうだ。しかし、ツェッケナルはそれほど正直な人間ではなかった。 「へえ、そうなのか?じゃあ、ここの問題を教えてくれよ」 提示したのは一問目である。このあたりは一問一答形式で、初めて教育制度を整えたスカルムレイは誰かという問題だ。 「なっ、おいお前この問題くらい答えられないとスカルムレイ研究会メンバー失格だぞ!」 テルテナルがそう言った。それに同意するよう、ラーセマングも付け加えた。 「ええまったくそのとおりね。答えはマフ=スカルムレイ。あの御方はイブエ帝国の政治体制を学び、それをこの国にも導入しようと試みた。しかし、その革新的な体制は数多くの批判を浴びた…ううっ、ひっく」 なんだ、ラーセマングが突然泣き出した。こう見えて情に熱いのか。 「ウオオオン!分かるぜ!」 分からないんじゃなかったのかと突っ込みたくなるほどに調子に乗り始めるツェッケナル。ラズィミエもまるで黙祷しているかのようになった。しかし、それに全く気付けなくなるほどにラーセマングとツェッケナルの号泣は激しい。テルテナルは腕を組みながら、その不当な批判を同情するように、口元を閉めて下を向いた。 「当時のハタ王国のトイター教学は、幾つもの教派が独立し始めて全く統制も取れてなかったの…意見の食い違いによる戦争が国の学問の発達を遅らせたのよ。それを食い止めようと外国に学び始めた彼女の判断は、良くも悪くも偉大な結果を生み出した…!」 泣きながらラーセマングが続きを語った。ナムレは、スカルムレイ研究会は意外にも怪しいサークルなのかとも思い始めた。 「ふう、ズビーッ、ねえナムレ、あなたはどうして泣いていないの?」 ラーセマングが不思議に思って問いかけた。 「確かに陛下の偉大なる歴史的な話だが…今実際に泣いているのは君たち二人だけだぞ」 ―― 昼休み。ナムレが昼食をとり終わるのを見越して、すぐにラーセマングは旧暦学習体制を整えた。 「ラーセマング、そういえば俺はあんたの占いしている様子を見たことがないのだが」 「あら、見たいの?別にいいけど、今はあなたの勉強が先よ」 二人っきりで机で向かい合っているのを見た例の仲良し三人は、様々な感情を抱きながら相変わらず陰で噂をしていた。 「俺は二人は相当仲がいいもんだと思っているぞ。多分あいつがここに引っ越してきたのは半年ほど前でラーセマングとの付き合いもそんなもんだろうが、なかなか二人は楽しそうにやり取りしてやがる」 偉そうに二人を評価したのはテルテナルだ。ラズィミエも同意した。 「全くだ、なんだかんだで今のところ二日間、二人で登校しているからな。あんな感じだとこれからも仲よく二人で登校するだろう。ツェッケナルはどう思う?」 話題を振られるのを待っていたかのように、ツェッケナルは自信満々にして答えた。 「まだ今日で二日目だが、少なくともラーセマングの接し方についてはあらかた分かってきたな。ラーセマングはおそらく推しが強くて、養子に入ってきた弟のナムレをあれほどにまで可愛がってしまうんだろう。まるで親子みたいな関係だ。俺たちに対してもまるで『我が子と遊んでくれてありがとう』とでも言わんばかりの手厚い関わり方だ」 テルテナルが不意に笑い始めた。軽くツェッケナルが声を掛けた。 「ん?どうした?」 テルテナルが笑いをこらえながら言った。 「いやあ、そのうちあいつもダメになるんじゃないかなって」 と、その時、不意に教室の後ろのドアが開いた。廊下から教室に掛けて、三人組が入ってきた。三人はよく見知った隣のクラスの男子である。 「おお、スリャーザが三人そろっているじゃねえか」 「教室に誰もいなかったから退屈していたんだよ、ってヌワァ!?」 隣りのクラスの『三人スリャーザ』とは彼らのことである。名前の由来は単純で三人とも名字がスリャーザだからである。 一人目のスリャーザはパシュ=スリャーザ。昨日のスカルムレイ研究部の部長をしている。その分国史に関してはトップの成績をとっており、これからラーセマングとの対決が楽しみである。普段は優等生として人気を集めているが、実際は国史、特にスカルムレイのマニアである。そこまで悪い奴でもない。 二人目のスリャーザはフーグレイ=スリャーザ。スリャーザとは対照的な脳筋で、運動神経が抜群なのに勉強の成績はかなりの下位に位置している。陸上部に属しており走るのが速い。 そして三人目のスリャーザはアテーマング=スリャーザ。三人スリャーザのうち唯一の女子である。長く黒い少し茶色がかかった髪を後ろで一本に束ねており、目つきが悪く睨んでいるように見える。あだ名は「視線」らしい。 そして、今教室に入るなり奇声を上げたのがフーグレイである。 「な、おいおい、その子って確か絶世の美少女で有名な転校生じゃねえか!」 「え、そんな噂があったのか!?」 話していた三人の内、テルテナルが答えた。 「ああ、俺らのクラスでは『隣に絶世の美少女が転校してきた』ってニュースが今頃入ってよお」 ツェッケナルが同意する。 「はっはっは!確かに、そう言うにもふさわしいなあ!」 「だろう?確かラーオスマングって言ったか。ずっと教室に引き籠っていてなかなかお目に掛かれないって聞いていたんだが、普通に教室で楽しそうに話していたんだな。おいおいアテーマング!パシュ!お前もこっち来て見てみろよ!」 するとアテーマングとパシュが出てきた。 「彼女の名前はラーセマングだ。騒がしいぞフーグレイ、俺はスカルムレイ陛下にしか興味はない。あの御方を俺は敬愛しているんだ。他の女について如何わしい感情を抱くことはない」 「エエー?面白くねえ奴だ。あいつたしかお前のところのサークルにも来たって噂もあったぞ?おいおいアテーマング、お前はどう思う?」 「別に私だってどうでもよい。それよりナムレは何処にいる?」 ラズィミエが答えた。 「お、アテーマングも来てるのか。ナムレならあそこでラーセマングと話しているぜ」 すると、アテーマングの目の色が一気に変わった。若干優しくなっていた眼がより一層鋭くなった。 「あ、おいちょっとアテーマング?何をするんだ?」 「介入か?介入か?アテーマングはナムレのこと好きだもんなあ」 「う、うるさいぞ!」 そう言い残してアテーマングは二人の間に入ろうとした。 アテーマングはナムレの肩を叩いた。 「ねえ、ナムレ。今日放課後私と寄り道しない?」 「ああ、アテーマングか。今日は、というか俺サークルはじめたからあまり放課後遊べないんだよ」 その言葉を聞いて、アテーマングは一瞬思考が停止した。ナムレといえば、永久の帰宅部、そして自由人。かならず家に帰り、友人と遅くまで遊んでいることはない。それこそ誘いでもすればノコノコとついてくる。そんな人だと思っていたのに、今初めて断られた。豆腐メンタルの彼女はこれに心底傷ついたことがバレないように、慎重に会話を進めた。 「い、いいい、うう、うん、そう、そうなのね。そう、分かったわ。貴方がサークルを始めるなんて意外だわ」 「まあ、流れだけどね」 「それより、どこのサークルに所属したのかしら?」 「スカルムレイ研究会ってところ。ラズィミエ達もそこにいるらしいから、そこに強制的に引き込まれたよ」 「す、すすすす、スカルムレイ…」 アテーマングは困惑している。ナムレは少し心配しながら言葉を探した。 「いや、まだ入ったの昨日の話だよ。本登録もしているわけじゃないしまだ仮入部だよ」 「あ、あらそう…じゃあ、いつならいけるかしら?」 「分からない。あのサークルは何気に毎日やっているらしいからいつ空くかどうか…じゃあ今度の休日でいいかな?」 「全然大丈夫!楽しみにしているわね」 楽しみにしていることが伝わりすぎていてすでに今から髪型を整え始めた。一本結びの髪をいったん解いてもう一度結び直したり、串を取り出して前髪を調整し始めたり。とにかく落ち着きがない。 「あのー、もういいかしら?」 と、ここで乱入してきたのはラーセマングだ。持っていたラズ・ププーサ体が書かれた紙を再び強く持ち直して、二人の会話に終止符を打とうと試みた。 「もうナムレったら。私だけを見ててよ。今は大事な話をしているのよ。他のお友達とのお約束なら、これが終わってからとか、休憩時間とかにしてね」 「え、いやあ、でも常に勉強していたらさすがにもたないだろ」 ナムレの言葉を聞くまでもなく、今度はアテーマングに言葉をぶつけた。 「アテーマングと言ったかしら?あなたこそいきなり入ってきて一体何の用かしら?」 アテーマングは、いきなり話しかけてきた得体のしれない点講師に物申されて、気に食わない顔をした。 「や、あなたこそ、いきなり転校二日目でいきなりクラスメイトの男子と仲良くお話ししているのよ」 また辺に勘違いされているかもしれない。と察知したナムレは言葉に注釈を加えた。 「いやー、ラーセマングは俺の住んでいる家の実の娘なんだ。家の事情のことでひとまず彼女に諸々のことを教えてもらっている」 「だからナムレ、私のことはお姉様って呼びなさいって言ったじゃないの。私たちの繋がりはそんなもんじゃないんだから」 アテーマングは衝撃を受けた。え?そんなもんじゃない?実質的な血のつながりがないのをいいことに本当は同棲生活に近いことをやっているとでもいうの?それなのに相手の学校にまで転入してきてさらに時間を縛ろうと…こんなヤンデレは遊ばせては置けないわ。私のナムレがどれだけ迷惑を被ることか…―― 「あのー、アテーマング?口も空いているし目も見開いているが、どうしたんだ?大丈夫だって、そんな変なことはやっていない。仲良くやっているよ」 え、仲良くやっている?それはどこからどこまで?いや、でもナムレはそう言うことに関しては本当に疎くむしろ避けたくなるレベルのはず。そんなこと私相手以外にはとてもできそうにないことだわ。だから、せいぜい家では食事で同席するレベル。部屋は別個にあって、あくまで一緒に住んでいる面白くない姉弟みたいな、そんな関係なんだわ。常識人ナムレの言うことだし間違いない。こんなヤンデレ女信じておけないわ。 「そ、そう。でもラーセマングさんと言ったかしら?あなたこそ私とナムレの密接な関係を侮らないでくださる?なんならここで勝負をしても…」 と、その光景を見た三人スリャーザの一人、パシュ=スリャーザが介入した。 「はいはい、お二人さんそこまでだ。暴力沙汰になったら生徒会にどう報告するつもりだ?ひいては俺らのサークル活動にまで支障をきたすことになるぞ」 いや、それはさすがに関係ないだろ…とナムレはひとりでに考えた。だが一方の二人は深刻な顔をしながら、どうにもやりきれないという気持ちでいっぱいのようだ。 「とりあえず、私にはシャスティとしての義務があるので、アテーマングさんには引き下がっていただきたいのですが」 「しゃ、シャスティの義務ですって…!」 アテーマングはさっきから落ち着きがない。シャスティの義務。もしかしてあんなことやこんなこともシャスティの権利だとでもいうのだろうか。これは大問題だ。こんな女放っては置けない。 「しゃ、シャスティなら何でもしていいとでも思っているの!?」 「神の法に逆らわなければね。私たちシャスティは神の使徒、迷えるトイター教徒を導く役目を背負っているの。そのために私たちは日々修行して神の子として生を全うできるように様々なことをやっているってわけ」 「様々なこと……!」 「ほらほらほら!またケンカになっているぞ。よせって。ここで問題を起こせばナムレにも大迷惑だ。もしかしたら、ユエスレオネに強制移住になるかもしれない」 「!!!??」 「なんですって…!!??」 テルテナルは呆れながら言った。 「いや、それはさすがに言いすぎだろ」 しかし、スリャーザはあまり否定の意を示さない。その理由を小声でテルテナル他二人に言った。 「いや、それくらいのことを言わないと二人ともまだ続ける気だぞ」 「それでもその二人がセットでそこにいる限りはまだ争いつづけるんじゃあ…」 ツェッケナルはそう危惧した。スリャーザはその通りだと思いアテーマングの右腕を掴んだ。 「そろそろチャイムもなる。面白いもんも見れたし教室に戻るぞ」
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「あ、犬だ、迷い込んだのかな」 少女は犬の前に行き、しゃがんだ 「かわいいなぁ・・・きゃあ!」 少女は犬の顔を見て驚き、しりもちをついてしまった さらに手をついた衝撃で穴が開き手が挟まってしまった 「なんだ、人の顔をみた瞬間に驚くとは失礼だな」 少女は突然犬が喋った驚きで声がでなかった 「ほう、ピンクとはいいものをはいているな、眼福、眼福」 少女が脚の方を見るとスカートがめくれ、下着が丸見えになっていた 「な、なに見てるの、変態犬、覗かないでよ」 「変態だと、そんな短いスカートをはいておいて、パンツぐらいいいではないか どれ、少しお仕置きをしてやる」 犬はそういうと少女の股間に襲い掛かかった 「やだっ、この!」 犬の身体を太ももで挟み、動けないようにする しかし、犬は太ももを味わうかのように顔をうずめ、舌で舐め始めた 「すべすべしててなかなか気持ちいいじゃないか」 一方少女は犬の毛が太ももを刺激され、むずかゆい感覚に襲われてしまう 「やっ、くすぐったい・・・あっ」 ほんの一瞬力をぬいた拍子に犬は少女の股間に顔をうずめる 犬は少女の股間の匂いを鼻で嗅ぐ 「いい匂いだ、これこそ少女臭というものだな・・・」 「この・・・変態!!」 人面犬は怒った少女に顔を挟まれ、窒息死してしまった
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着色白紙/ヘアー 作者名:公式 配布形式:公式 備考:公式着色白紙 関連アイテム:
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悪魔の少女 07 亜細亜日本とある山 二人の男女がいた。一人は「悪魔憑き」の少女、もう一人は「ツングースカ大爆発」の男。 「能力を使わずだぁ?はっ、出来るもんならやってみろ!」 男が右手を突き出す。瞬間、少女のいた場所が爆発する。だが、そこに少女はおらず。既に男に向かって走り出していた。 男は、少女に手を向け、能力を発動しようとし、少女が左にまがった事に気付く。 すぐに手を左に向け爆発を引き起こす。が、爆発は少女よりも遥か遠方で起こる。 男が慌てて少女に狙いを定めようとする間に、既に少女は、男の前に立っていた。そして、男の喉に少女の拳が突き刺さる。 男は一瞬息が出来ず動きがとまるが、すぐに前方を爆発させる。だが、それは二つの事で無意味であった。 一つ、その爆発は、明らかに無関係な場所で起こった。一つ、その爆発が起きた時、少女は男の左横にいたのだ。 少女の回転する様に繰り出された蹴りが、男の腹へと入る。 男の体が、くの字にまがり、その顔を挟み込む様に、少女の肘と膝が打ち込まれる。 男は、既に少女のいる方向もわからぬまま、爆発を起こす。だが、至近距離で起きた爆発に、男を巻き込まれ、吹き飛んだ。 少女は知っていた。だが、男は知らなかった。いや、勘違いしていた。ただ、それだけの事。 「ツングースカ大爆発」 それは、1908年ロシアで起きた謎の爆発である。 半径約30キロメートルにわたって森林が炎上し、約2,150平方キロメートルの範囲の樹木がなぎ倒された。 地球に落下した天体の爆発が原因とされているが、隕石の残片等は見つかっていない。 その為、落下した物は、マイクロブラックホールや反重力物質、異星人の宇宙船等様々な説が存在している。 もっとも、男の契約した「ツングースカ大爆発」は、何が爆発したかなど関係のない話である。 なぜなら、男の能力は「爆発」部分に焦点を当てているからである。「爆発を起こす能力」その威力は最大で広島型原爆以上になる。 その意味で、確かに「ツングースカ大爆発」は最強であった。警察は当然のことながら、軍隊にすら勝つ事が出来る。 どれだけ大勢の都市伝説や契約者であろうと蹴散らし、どれだけ巨大な都市伝説であろうと吹き飛ばす。 だが、その能力が最強であるのは、遠距離或は中距離に限られていた。 近距離において、爆発の威力はかなり抑えなければ、自分も巻き込んでしまう。まして、接近戦ともなれば尚更である。 広範囲攻撃によって必要のなかった狙いの精密さのなさが、自分を巻き込まないように気にし続けなければならない威力が、男の足を引っ張った。 だからもし、少女が男を殴った時、能力ではなくその手で、反撃していれば結果は変わった、かもしれない。 「さて、お仕置きで、すむと思うなよ。」 ボクは男が嫌いだ。ボク自身も男の恰好をしているけど、べつに好きでこんな恰好をしているわけじゃない。 この前、男を女に変えているガスマスクの都市伝説を見たが、あいつが全ての男を女に変えてくれればいいのに。 もう一度言うが、ボクは男が嫌いだ。死んでしまえばいいと思う。だってあいつらボクにあんな事……、もし警察が来るのが遅かったら……。 とにかくあいつらは、死んでしまえばいい。けれど、結局あいつは死ななかった。 あいつが脱走したと知って、ボクは恐怖した。それだけならまだよかった。その後、あいつが脱走時に起きた爆発が、前にボクがいた町に向かって続いていた。 一人では殺される。そう思って、ボクはあの女に助けを求めた。契約者相手に警察は無意味だし、放火のせいで「組織」からは狙われていたから。 女はあっさり、了承してくれた。 結果、あいつは女に倒された。どうせなら殺してしまえばよかったのに。 でも、これでボクはあいつに怯える必要も無くなった。 「本当にありがとうございました。」 「いいよ、気にすんな。ああでも、忘れんなよ。次放火したら、またあそこのきまぐれ料理食わすぞ。」 「絶対、やりません。」 ちなみに、爆発でかなりぐちゃぐちゃになった山が大丈夫かと不安になったが、山は女の知り合いの私有地だと知るのはかなり後の事である。 前ページ次ページ連載 - 悪魔の少女
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少年は涙を忘れ去り、少女は涙を拭い去る 深夜の森の中は予想していた以上に怖かった。 直は暗いところは人並み程度には苦手だし、たった一人でまったく知らない場所に行くのも嫌いなほうだ。もちろん、肝試しなんてもってのほかだ。 だがこの状況は、今まで普段生活していた時に感じていたそれらとは比べ物にならないほどの恐怖だった。 孤独であることそれ自体は慣れているから大丈夫だと最初は自分に言い聞かせていたものの、これは普段のただ人と触れ合わないだけのものと違い、圧倒的な実感をもって直の心を支配していた。 どこまでも続く暗闇、その中で頼りなく揺らめくライトの光、湿った空気、自身が地面の枝を踏み折る音……それら諸々全てが直の感じている恐怖を容赦なく煽り立てる。 誰かに会いたい、せめてこんな森の中ではなくもっと安全な場所に移動したい、できれば秋山さんに助けてもらいたい…… 直の頭にはずっとこれらの思考が渦巻いていたが、時間が経つとむしろこの頃のほうがマシだったと彼女は思い知ることになる。 最初は誰かに会いたいという一心だけだったが、次第にそれだけでなく――誰にも会いたくないという気持ちも同時に湧き出てきたのだ。 勘違いしてはいけない。これはわけもなく放り出されたわけじゃなく、殺し合いという目的が趣旨とされているのだ。 ライアーゲームのような多額の金を賭け、負ければ人生が破滅してしまうというものもごめんだが、これはもっと根源的な……直接命をやり取りする場。 以前の自分は、どこかでまだ余裕を持っていたのかもしれない。 負けるとその時点で人生は破滅だが、まだ命まではとられることはないと。 たとえ外国に売られることになろうともそこには自分と同じような境遇の人がたくさんいて、辛くてもその人たちと友情を育んだり、ささやかな幸せを手にしたり…… それが平和ボケした甘っちょろい想像だということはわかっているが、そんなことをどこかで思っていたことは否定できない。 あの時は未来があるというだけで、わずかだがたしかにまだ希望を持つことができたのだ。 ……だが、今は違う。 だって死ぬのだ。未来も何もない、人生は破滅すらすることなく強制的にそこで見知らぬ第三者の手によって打ち切られる。 よく死んだほうがマシだという言葉を聞くが、今の自分にとって死ぬことよりもマシなことなんてとても想像できない。 もし誰かと遭遇してしまったら、襲い掛かられて殺されるかもしれない。いや、それだけでは済まずにもっと酷いことをされる可能性だって…… 「うう……秋山さん……秋山さぁん……」 歩き続ける気力も失い、もう何度流したかもわからない涙を零しながら直はその場にへたり込んだ。 地面の草がちくちくと足に刺さってくるのも気にならない。 ただそこで泣き続けていれば何かが変わってくれるんじゃないか、などと馬鹿なことを期待すらして直は嗚咽をあげ続ける。 どうしてこんなことになったのか、まるで理解できない。 ここに送られてきたという事実は認識できる。世の中の不条理というものも今まで何度だって見てきた。 でもやっぱり、どんなに頑張っても完全に納得することなんてできなかった。 ライアーゲームの時といい今回のこの殺し合いといい、よりにもよってなんで自分がいつもこんなことに巻き込まれる羽目になるのだ。 もっとそれに見合った人なら他にたくさんいるだろうに、こんな何の変哲のないただの大学生である自分が、何故。 秋山さんはここに呼ばれていないのか。 今までどんな苦境に立たされても、最後の最後で必ずあの人は来てくれた。 あの人なら信用できる。きっと自分を助けてくれる。あの天才的な知能を駆使して、簡単にみんなを脱出させてくれる。 「うあぁ……うううぅ……秋山さぁん……」 なのに今、彼はここにはいない。 どんなに泣いても喚いても、決して自分の前に現れてくれない。 頼れる人がどこにもいないというのが、こんなにも辛いものだとは思わなかった。 「私、どうしたらいいんですか? ここで死んじゃうしかないんですか? そんなの嫌……嫌です……」 死にたくない。 これまでせいぜい18年かそこらの平凡な人生しか送ってきていないけど、それでもこんなところで終わりたくない。 元の世界には、末期ガンでもうあまり先の長くない父親もいる。ここにきて彼を悲しませるようなことはしたくない。 故に直は、その場でただ泣いて助けを求め続ける。 「誰か――誰か助けて……」 秋山さんじゃなくてもいい。それがフクナガさんでも誰でもいい。 お願いだから、自分を―― 「あれ?」 ――その誰かがあげた声を、たしかに直の耳は聞き取った。 瞬間、自分でも驚くほどの早さで地面に転がっているライトを手探りで拾い当てると、声のした方へと向ける。 その先には……見間違いでもなんでもなく、たしかに人がいた。 「わっ、眩しいなあ」 その直の前に現れた人物は、突然自身を襲ってきた光を遮ろうと片手を眼前にかざしたようだった。 性格の問題なのか、直は彼のその言葉を聞いて反射的に「ご、ごめんなさいっ」と謝ると顔に向けていたライトを少し下に落とす。 すると光は彼の胸あたりに移動して、それと同時にかざしていた手をどけた彼の顔がさらされる。 最初は何か違和感を感じていたものの、彼の表情を見た瞬間から直はそのことを忘れた。 (優しそうな人……) それが、直がその少年に抱いた感想だった。 年は自分と同じくらいだろうか、もう少し下にも見えないこともないが、いずれにせよそう変わらないだろう。 何故か和服を着ているが、さして気にならなかった。現代日本でも平時から和服を着ている人はいないことはない。ただ、若い人で和服姿はたしかに珍しいが。 そんなことはどうでもよく、何よりその柔和な笑顔からにじみ出る雰囲気が恐慌に陥りかけていた直を心底安堵させた。 「よく知りませんけど、最近は提灯も発達したんですねえ。南蛮のものかな?」 妙なことに感心しながら、少年は一歩ずつこちらに近づいてきた。 それにより、だんだん彼の表情がよく見えるようになる。 遠くからでもわかったその笑顔の印象は近くで見ても変わることはない。やっぱり、優しそうな顔立ちだ。 よかった――直は心底そう思った。 この人は、きっと大丈夫だ。こんな柔らかな雰囲気を持った人が殺し合いになんか乗るわけない。 頼れる人がいなくて不安に思っていたが、最初にこんな人と出会えるなんて自分はついている。 「お姉さん、泣いていたんですか?」 「え?」 突然、少年――瀬田宗次郎は直にそんなことを聞いてきた。 言われて初めて、直は自分の顔が涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていることに気づく。 途端に赤面し、汚れを拭おうとあげていた顔を慌てて下げた。 そんな直の様をどこか可笑しげに宗次郎は眺めていたが、やがてしゃがんでいる直のすぐ側までたどり着くとようやく歩みを止めた。 いつまでも頭を下げていては、彼に失礼だと思われるのではないだろうか。 そんなどこか場違いなことを考えていると、宗次郎は……やはりいつもと変わりのない、まったく邪気のない声で続ける。 「涙はあまり流すものじゃないですよ、お姉さん」 顔を下げているために少年の声しか聞こえない。早く顔を整えなければ。 「泣くってことは、自分が弱者だってことを他の人に明かしているのと同じですからね」 心なしか、彼の声のトーンが少し落ちた気がする。 注意深く聞いていないとわからないような、微少な差異にすぎないが。 だけど彼の表情を確認しようにも、まだ顔をあげることができない。あともう少しだ。 「強ければ生きて、弱ければ死ぬ……これがこの世の理だって、ある人が僕に教えてくれたんです」 さっきから少年がしきりに話しかけてくれている。早く返事をしないと、気分を害してしまうかもしれない。 「あっ、あのっ、それ知ってます。『弱肉強食』ですよね」 「はい、その通りです」 ようやく顔をあげて立ち上がった直を見て、宗次郎はにっこりと笑った。 なんで彼がこんな話をしているのか直にはよく理解できなかったが、とりあえず笑っているのだからこれでいいのだろう。 場にそぐわぬなごやかな空気が深夜の森に流れ……そして宗次郎はその空気を少しも壊すことなく、そのまま言葉を続けた。 「ですから、あなたはここで死んでくださいね」 ◆ 最初は、かん高い鳥の鳴き声かと思った。 だが、それにしてはどうも様子がおかしい。 声のあとに続いて聞き取れるこの音は、明らかに何者かが地面を踏みしめて走っていることを示している。 となれば恐らく今のは鳥ではなく、女性の悲鳴か。 そう判断すると男は事実を確かめるべく、自分もまた森の中を駆け出していった。 ◆ ――何故彼女を仕留め損なったのかと聞かれれば、特に理由はない。 殺そうと思えばいつでも殺せた。 たとえば彼女を見つけた瞬間に手に持ったくないを投げつける。 出会ってすぐ、反応し切れない内に素早く近づいて喉を掻っ切る。 そうでなくともしゃがみこんでいたのだから、その隙を狙って脊椎あたりを刺突することだってできた。 それなのに自分はその機会を全て、自らの意思で逃がした。 強いて言うなら、いつでも殺せるからこそ逆に何もしなかったのかもしれない。 「……いや、違うか」 宗次郎は笑った。 それ以外の表情はあの場所に全て置いてきた。 だから彼は何があろうとも笑い続ける。 「あのお姉さんはきっと、あの時の僕なんだ」 だからなのかもしれない。 あのよく涙を流していた昔の自分を、まだまだ弱かった時の自分を、もう少しだけ見ていたくて。 そして、確実にそれを殺したという実感が欲しくて。 だからこそ、自分は彼女を一時的に逃がしたのかもしれない。 彼女は必死に逃げるだろう。それ以外に自分のできることを知らないから。 追い詰めた先で命乞いをするかもしれない。これ以上ないくらい無様に。みじめに。 それでいい。その姿は全て、かつての自分なのだから。 強ければ生き、弱ければ死ぬ。 この世で一番弱い者……すなわち昔の自分であり、今の彼女だ。 ――最も殺さなければならない相手だ。 「さて、行こうかな」 逃げる時間は十分にくれてやった。あとは追い詰めるだけだ。 宗次郎はだらりと垂らしたくないをしっかりと構えなおすと、過去との決裂をするために森の中を静かに走り出した。 ◆ 直は必死で逃げていた。 時折、木々の枝が自身の顔や服を小さく切り裂いてくるがそんなことはどうでもよかった。 なりふりなんて構っていられない。今逃げなければ、確実に自分は殺される。 後ろを振り向くのが怖い。 そうすることで走るスピードが落ちる可能性があるし、何よりすぐ側まであの少年が近づいてきているのが目に入ったらと思うととても振り向けない。 思えば最初から違和感はあった。 自分が泣き崩れていて、そして初めて彼の声を聞いた時。 あの時、たしかに声は聞くことができた――だが逆に言えば、『声しか聞くことができなかった』のだ。 近づいていたのなら何故、彼が草木を掻き分けたりする音が聞こえなかったのだろう。 いくら泣いていたからといって、それを聞き逃すほど注意力は散漫じゃなかったつもりだ。 それはつまり、彼がそれほどの達人で……かつ、意識して忍び寄っていたからに他ならない。 たしかにそれだけじゃ殺し合いに乗った人間と決め付けるには根拠が薄い。だが、警戒するには十分すぎる理由だ。 ……なのに自分は、彼の顔を見た瞬間に何の根拠もなく彼を信じる心地になってしまっていた。 秋山さんの言葉が思い出される。 多くの人間が信じるという名の下にやってる行為は実は他人を知ることの放棄……つまり思考停止であり、だからこそ人を疑って疑って、そしてその心の中をじっと見つめることこそが大事なのだと。 さっきの自分はまさに、他人を知るということを放棄していたのだろう。 ただ一人でいるということの不安から逃れたい一心で盲目にこの人なら助けてくれると思い込み、そして何の警戒心もなく……殺されかけた。 「ハッ、ハッ、ハッ……ゼハッ……あ、あき、やま……さんっ!」 息絶え絶えながらも、直はまた秋山の名を呼んだ。 怖い。死にたくない。誰かに助けを求めたい。秋山に頼りたい。 だけどここに、秋山はいない。そう……いないのだ。 自分と同様に島には送り込まれているかもしれないが、それでも今この場には、彼は決して現れない。 『だったら、どうする?』 彼がいつもの不敵な笑みを浮かべながら話しかけてきたような気がした。 『だったら今、お前が生き抜くために必要なことはなんだカンザキ? このまま逃げ続けることか? それとも無謀を承知で殺し合いに参加することか?』 (私……私は……) 木の根に躓いてしまったことで、直の思考は強制的に中断された。 全力で走っていたために勢いを止めることができず、敢え無く直は顔から地面に突っ込む。 「痛っ……だぁ」 急いで起き上がると、ぼたぼたと鼻血が滴り落ちた。 思わず手の甲で拭うが、そこについた大量の赤を見ると痛みよりもむしろ、敢えて意識しないようにしていた今の自分のみじめさが思い出されてまた泣きそうになってくる。 しかもさらに悪いことに、顔だけじゃなく今ので体のそこかしこを打撲したらしく、手足を動かそうとすると激痛が襲いかかり、走りたくても走れない。 だけど、ここで止まるわけにはいかない。今は這ってでも前に進まなくちゃ、あの人が…… 「案外早く追いついちゃいましたね」 ――今一番聞きたくない声が、直の後方から飛んできた。 壊れたブリキ製のおもちゃかそれ以下の緩慢な動きで、直は倒れたまま身体ごと後ろを振り返った。 そこにはたたずまいも表情も、先の優しげな雰囲気も何もかもが先ほどと一切変わった様子のない少年が立っていた。 「あれれ、お姉さん顔ぶつけちゃったんですか? せっかくかわいいのに台無しですよ」 そんなことを指摘される……が、今度は鼻血を拭う気にもなれなかった。 ただ直の顔は青ざめ、今までそうならなかったのが不思議とばかりに身体が震え始めた。歯の根がガチガチと音をたてて、まるでくるみ割り人形のようだ。 彼が一歩こちらに向かってくるごとに後ろに後ずさろうとするが、思ったよりは自分の身体は進んでくれなかった。 怖い……どうしようもないほどに、怖い。 あんなに優しそうな顔をしているのに、今はそれが何よりも怖い。 「どうします、命乞いでもしてみますか? 僕は別に構いませんけど」 「……!」 宗次郎のその言葉に、直は目を一瞬大きく見開いた。 不思議と彼はすぐに自分を殺そうとはしていない。 獲物をいたぶる趣味があるようには見えないが、とにかく喋る機会が与えられたのは自分にとって幸運なことだ。 覚悟を決めなければ。怖いけれど、もう逃げ場はないのだから。 「あ……」 背中を冷や汗が伝い、喉がカラカラだ。声というものはこんなにも出しにくいものだったか。 あ、そういえば今鼻血が出ているんだった。それなら声が出にくいのも当然だ。 そんなこともわからないくらいに自分は今、焦っているのだろうか。 「あなた、は……わ、わた、私が弱者だって言って、い、いって、言ってましたよね?」 「はい」 「た、たし、たしかに私は、弱いです。馬鹿だし、運動神経もそんなによくないし、ひ、人を殺したことだってありませんし……で、でも――」 「……?」 てっきり命乞いをしてくるのかと思いきや妙なことを口走り始めたため、不思議に思ってそうな顔だった。 自分でも驚いているくらいだ。 言葉はしどろもどろながらも、逃げ場所がなくなったここにきてやっと、自分の意思がこんなにも明確な形で目に見えてきたのだから。 本当なら、秋山に助けてもらいたい。 だけど彼はここにはいない。 だったら自分のするべきことはただ一つ…… 「私は、戦います」 その一言だけは言いよどむことなくはっきりと告げることができたことに、直は若干嬉しさを覚えた。そんな場合でないことはわかってはいるのだが。 ――すると目の前の少年は……笑顔そのものは変わらないまでも直のその言葉に何故か落胆と、そして若干の嬉しさが混ざったような複雑な表情になった。 ゆっくりとしゃがみこみ、直の顔を覗き込むようにして問いかけてくる。 「戦うって、それはつまり僕と戦うってことですか? 殺し合いに乗って、優勝を目指すと」 「い……いえ、違います」 身体の震えは治まらない。相手はいつでも自分を殺せるのだと思うと、恐怖で吐き気すらしてくる。 だが直はそれらを必死に押さえつけ、決して逸らすことなく宗次郎の、底の見えない目を直視した。 「私は、殺し合いそれ自体を止めるんです。なるべく犠牲は最小限に抑えて、ここからみんなで脱出するんです。そのためには、一人でも多く仲間が必要なんです。それはもちろん……あなたも含めて」 秋山だったら、きっとそうするだろう。ここから脱出するための、現状考える上で唯一の道。 そしてその秋山がいないとなれば、自分がその役割を担ってみせる。みんなを脱出させてみせる。 「――助かりたくてそんなことを言っても無駄ですよ。それに、仮にそれができたとしても誰が信じますか? そんなただの理想論を」 「い、いいえ理想論じゃありません! 脱出はできるんです……それに誰だって、無事生き残って元の世界に戻りたいという気持ちはあるはずです! ですから、耳くらい傾けてくれるはず――」 「…………」 もう話を聞く価値もないと判断したのか、宗次郎は右手に持ったくないの刃を直に向けると、空いた左手で彼女の首根っこを優しく掴んだ。 少年の手はひやりとして冷たかった。そしてそれ以上の冷たさをもった凶器の刃が、直の頚動脈に押し当てられる。 鳥肌が全身に立っているのが、自分でもわかった。 「さっきの話……」 その時不意に、宗次郎は口を開いた。 「断言してもいいですが、絶対に誰もその話には乗りませんよ。結局、最後に信じられるのは誰でもなく自分だけなんですから」 「そ、そうかもしれません。けど……それが、わた、私の戦いですから。私にはそ、それしかできませんから――」 刃が押し当てられた部分から、血が伝って落ちているのが感覚でわかった。 震えが止まってくれない。押し留めていたはずの涙も、タガが決壊したかのように溢れてくる。ああ、やっぱり自分はダメだなあ、と直は深く思う。 やっぱり自分はどう頑張っても、秋山さんのようにはなれない。 ――秋山さんのようには、なれないけれど。 「それでも……それでも私は、戦います!」 「よくぞ吼えられた」 ――その時、一陣の風が吹いた。 ◆ 「!?」 唐突な男の登場に、宗次郎は反射的に左足で地面を蹴って後方へ跳んだ。 すると次の瞬間、彼がさっきまでいた場所が……凄まじい音と共に陥没した。 「ひっ!?」 何が起きたのか把握できないのは直も同じ。 命が助かったという実感もなく、ただ突然の出来事に頭をついていかせることができず、呆然としているだけだ。 もうもうと巻き起こる粉塵。その中に巨大な影を確認した時、得体のしれないものへの不安と恐怖で直の心臓はけたたましく鐘楼を鳴らす。 自分もまた、さっきの少年のようにこの人間らしき影から離れたいのだが身体が痛くて無理だ……というより、情けない話だが腰が抜けてしまった。 「どなたですか?」 宗次郎が、まるで気後れしていないように気軽な声をその男にかける。 その時ようやく土煙が晴れ、乱入者の姿が露となった。 「ひっ……」 その姿を見て、直はさっきとそう変わらない悲鳴をあげた。 自分を助けてくれた(のだと思う)その人は隆々とした肉体と鋭い目、なまずを思い起こさせる髭を持った偉丈夫で、きれいに剃りこんだ頭に『大往生』という三文字の刺青を彫っていた。 学生服を着ているが、その顔はとてもそうは見えない。強いて言うなら、大学の応援団団員を直は連想した。 ……そしてその腕には妙な形状の鉄甲を身につけていた。全面に傾斜が施されて丸みを帯びており、防御に徹することを目的として作られたような。 正直、圧倒されて言葉が出なかった。 いつもの自分なら、先ほどまで自分を殺そうとしていた少年とこの男性なら、ほぼ間違いなく少年のほうについていくことだろう。 「拙者は男塾三面拳が一人、雷電」 大男は口を開くと、直をかばうように宗次郎の前に立ちはだかった。 猛々しい外見とは裏腹に、どこか知性を感じさせる声だった。 「其処にいる婦人の中に男の魂を見たが故、彼女の手足となりて己が命を捧ぐ者! 故に……貴様には、大往生あるのみ!」 その男――雷電は宗次郎だけでなく、この島に送られてきた者たち全てに宣言するかのごとく叫んだ。 あまりの気迫に当の直本人が気圧されてしまい、口を金魚のごとく開閉させるしかない。 だが宗次郎はというと柳に微風が吹いただけのようにまるで動じた様子もなく、冷静に雷電の姿を観察していた。 ――やがて。 「……いえ、せっかくですけどやめておきます。僕の手持ちの武器じゃ敵いそうにありませんからね」 存外あっさりと、宗次郎は退くことを選択した。 くないを手早く懐に入れると、後ろから狙われる可能性だって考慮しているだろうにくるりとこちらに背を向ける。 だがそれを見ても、雷電のほうは拳を収めるわけにはいかない。 「逃さぬ!」 宗次郎の背中を目指し、駆け出そうとする。 ……が、その時雷電は自身の足元に何か妙な感触があることに気づいた。 「待ってください!」 見ると、直がへばりついた状態のままで雷電の右足を両手で抱きかかえるようにしてしがみついていた。 さすがに彼女を蹴り払ってまで走れるはずもなく、雷電は仕方なくその動きを止める。 すると何の気まぐれか……去ろうとしていた宗次郎もまた直のその言葉に立ち止まり、こちらを向いてきた。 彼が話を聞いてくれたことに安堵を覚え、直は宗次郎に向かって声をはりあげる。 「あ、あの……お名前は何と言いますか!?」 「あれ、まだ名乗っていませんでしたっけ? 瀬田宗次郎と申します」 「私は神崎直です――瀬田さん、私が先ほど話したこと。あれは本当なんです。ですから、私と一緒にきてくれませんか?」 その言葉に驚いたのは宗次郎ではなく、雷電だった。 驚愕に目と口を大きく開くと、地面の直に向かって抗議の声をあげる。 「な!? 直殿と申されたか、あまりにそれは――」 「甘いですよ、神崎さん」 雷電の言葉に被せるように宗次郎は告げる。 「強ければ生き、弱ければ死ぬ。それがこの世の理です。ですから僕には、あなたのその話は必要ないんです。たとえ死ぬことになっても、それは僕が弱かっただけのことですから」 「でも――」 直の返事は待たず、踵を返すと再び森の中へ消えようとする……が、ふと何かを思い出したように、宗次郎は一度だけ振り返った。 「……ああそれと、あなたは僕が思っていたよりもずっと強かった。その点に関してだけは、お詫びします」 予想はしていたがやはり最後まで屈託のない笑みを浮かべ、宗次郎はぺこりと直に向かっておじぎをすると、それを最後に今度こそ音もなく走り去っていってしまった…… ◆ 「何故、あのようなことを?」 宗次郎の去ったあと、直は雷電と共に木の根に座り込んでいた。これは主に直の体力が限界に近かったためであるが。 夜が明けようとしているためか、森の木々の間から見える空が白み始めている。それに伴って暗かった森の中も徐々に明るくなってきた。 たったそれだけのことなのに、どうして人の心というものはこんなにも不安から解放されるのだろう。 ……と言いたいところなのだがこの雷電という男は特に朝だろうが夜だろうがまったく変わった様子はなく、直はそれと比べてつくづく自分が凡人であることを自覚させられることになる。 「敵に情けをかけるも結構。しかし、時と場合を考えなければそれは己の命を失うことになりかねませぬぞ」 休んでいる間、雷電はずっとこの調子で直にくどくどと説教じみたことを聞かせ続けていた。 普通なら落ち込むところだろうが……直は何故か、彼のその様子に安心感を覚えていた。 本当にこちらを心配してくれていることが伝わってくるからだ。 だがそれでも、人は疑うべきだという秋山の言葉を忘れたわけではない。 これまで自分はなんとなく、人を疑うということは悪いことだと思っていた。 だが、違うのだ。本当に悪いのは、他人に対して無関心になること。そうなればそこには決して信頼関係というものは生まれない。 だからこそ疑う。疑うということは逆に、徹底的に相手のことを知ろうとする努力なのだから。 「あの……」 長々と続く彼の説教を途切れさせることに少し罪悪感を覚えつつも、直はおずおずとその間に口を挟んだ。 とはいっても雷電は別に気を悪くした様子もなく、その言葉の続きを促すように直の目をじっと見つめてきた。 ……普段一対一で話すときにあまり目を合わせたりはしないため、少々怯む。 「あ、あの、なんで雷電さんは私を助けてくださったんですか?」 「…………」 その問いかけは、直にしてみればかなり踏み込んだものだった。 せっかくの雷電の善意を、いわば踏みにじる行為をしているような気がしたからだ。 案の定雷電は目を閉じると、なにやら考えているように黙り込んでしまった。 やはりまずかっただろうかと直は強い焦りを覚える。 もしかして今ので機嫌を損ねてしまったのではないだろうか。 今からでも遅くはない、すぐに謝ってさっきの質問を取り消してしまったほうが…… 「あ……」 「勘違いめされるな」 直が口を開いたと同時、雷電は重々しい口調で彼女に告げた。 「拙者は、直殿をただ助けたわけではござらん」 「!」 あんなことを聞いたくせに、雷電のその答えは直にとって予想していないものだった。 まさかこの雷電も、さっきの瀬田宗次郎のように……? そんなことを考えていると、雷電は既に鉄甲を外した両手で直の肩を力強く掴んだ。 一瞬彼が何をしようとしているのか理解ができず、直は思わず悲鳴をあげかけた。 ……だが雷電はそれ以上何もすることなく、ただ直の顔を正面から見据えたまま口を開く。 「直殿……そなたはあの時、瀬田という少年の手により己の命が失われようとしている際に断固として吼えられた。『自分は戦う』と…… 故に拙者はそなたの前に現れた。いつまでも逃げ続けているようであれば、いっそ見捨てていたやもしれぬ」 「……!」 「だが、そなたは戦うことを選択なされた。さればこそ、我らはこの時より対等なる関係。どちらが上も下もない、共に戦う同志にござる。 直殿にそうなる価値を見出したからこそ、助け申した……それだけのこと。もしこれからまた、直殿が逃げ出すようなことがあれば、拙者は再びそなたを見捨てかねませぬぞ」 その言葉からは、隠しようもない強い意志が感じられた。 直は元来、『馬鹿正直の直』と呼ばれるほど人を信じやすい性格だ。 だからこそ他人に騙されやすいというものもあるが、ともあれ今の雷電の言葉に嘘偽りは見受けられなかった。 彼は誠心誠意、魂をぶつけるように語り掛けている。 「ただし直殿が戦うことを放棄さえしなければ、拙者は命を賭してそなたを護ろう。たとえ何があろうとも」 「は……はい」 自分はそれほどまでに重い責任を背負っていたのかと、内心直は驚く。もちろん、逃げるつもりはない。 隅でガタガタ震えているだけでは、決して生き残ることはできないのだから。 生き抜くためには、自分から動かなくては。この雷電が手足だとすれば、頭は自分の役目だ。 正直知能には自信がないが、それでもライアーゲームや秋山と共にいることで培ってきた経験が自分の唯一の武器だといえる。 ……その時、雷電はようやく両肩を掴んでいた手を放すと自身もまた直に対して問いかけてきた。 「では、こちらも聞かせてもらいますぞ直殿。そなたはあの瀬田という少年をも我らの同志に引き入れようとなされた。それは、ただの慈悲からきたものでござろうか?」 雷電の疑問はもっともだった。 いくら直が心優しい少女だからといって、ついさっきまで殺そうとしていた男を仲間にしようなどとは、正直ただの馬鹿としか思えない。 「いいえ……それは絶対というわけではありませんが、そうすることが必要だと思ったからです」 「?」 直のその答えに、雷電は片眉を吊り上げた。 たしかに瀬田宗次郎は十分な戦力にはなるだろうが、それでも仲間に引き入れる意義は見出せない。 ……すると直は、今度は自分のほうから雷電の目を見据えてきた。 「雷電さん、先ほども言いましたが、私の戦いはこの殺し合いを止めることです。では具体的に、どうしたら止められると思いますか?」 「む……」 逆に問い返されて、雷電は言葉に詰まった。 直にはあんなことを言ったが、実際は襲われている者を見過ごすことなどできるはずがない。 弱者を護り、殺し合いに乗った者を倒す……いつもならそれだけで済むのだが、今回はそういうわけにもいかないのだ。 これは殺し合い。最後の一人になるまで続けられる、最低最悪の遊戯なのだから。 「私、考えたんです。どうしてあのワポルさんという方がこんなものを開いたのか。ただの娯楽にしては、あまりにもリスクが高すぎるんです」 「……どういうことにござろう?」 「だって、最初に全員が集まった場所を見たでしょう? あんなに大勢の人たちを集めるということはつまり、元の世界では一斉にあの人数が失踪したということになります。一人や二人ならともかく、五十人以上が同時に消えたとなるとマスコミに隠しきれるはずがありません」 「!?」 「にも関わらず、私達はこうして集められている。それなら、たとえ本当の目的が何であろうともワポルさんは絶対にこれを成功させたいはずなんです。二十四時間以内に誰も死ぬことがなければこの首輪が一斉に爆発すると言っていましたが、 あれは殺し合いを促進させるためのブラフで、実際はそんなことないと思うんです。そうなればこの催しは確実に失敗ですからね……では、現実に二十四時間以内に誰も死ななそうな場合、主催の観点から見てどういう手を打つか――」 「主催者本人の、何らかの形での殺し合いの直接的な介入……?」 「……恐らく、そうだと思います。ですからそこを狙うことができれば、私達は最低限の犠牲で元の世界に帰ることができるんです」 「しかし、そのようなことが実際にできるものでござろうか? 今我らがこうしている時にも、きっとどこかで殺戮は行われているはず」 すると、直はどこか沈痛な面持ちになる。 「はい……ですから、明らかに失敗だと思われる残り人数――全体の数を五十人と考えれば残り二十人から三十人を目安に全ての人を仲間にすることができれば、きっと成功します」 「…………」 再び雷電は黙り込む。 実際、直のこの計画は可能なのだろうか? たしかに、この島にいるほとんどの人間は元の世界に戻りたいだけだろう。それは殺し合いに乗っている者も同様だ。 そういった人々に、帰れる方法があると説けば話に乗ってくる可能性は決して低いとは言えない。 あのワポルという主催者の言っていた、なんでも願いを叶えるという言葉を鵜呑みにして優勝しようとしている者もそうはいないはずだ。 そんな本当かどうかもわからないことを信じるよりは、具体的な道の示されているこちらに乗ってきてもおかしくない。 そのためには、少しでも多く仲間が必要だということは理解できる。 ……しかし。 「直殿、そなたの申されることは拙者にもわかる。だがこの世界には、そなたの想像もつかないような異常者がいることも念頭に置かれた方が良い。たとえばあの、瀬田宗次郎のような……」 「…………」 あの男は間違いなく、自分たちとは違う存在だ。己の命よりも先に、独自の価値観で動いている。 それは雷電とて同じだが、その価値観のベクトルがあまりに外れすぎている。あのような手合いには、何を説いても無駄だろう。 それ以外にも、一旦こちらの仲間に入った上で内部分裂を狙う者もいるかもしれない。 この計画に穴があるとすれば……まず、そういった者たちの見極めだろう。 「直殿。拙者はあくまでもそなたの手足に過ぎぬ。故に、相手を仲間に引き入れるかどうかは全て直殿に一任する……だがもし本当にそのような者と相対した場合、いっそその場で屠ることこそ犠牲を最小限に食い止められる一番の手だということを覚えていてもらいたい」 「……はい」 本当は、直は宗次郎も含め全員を無事に元の世界に帰したかった。 根っからの悪者なんて、この世に一人もいない。ただ環境が悪かったせいで捻じ曲がってしまっただけなのだ。 できれば全員を救いたい……しかしそうもいかないだろうことは彼女にもわかっている。 今まで何度も何度も騙されてきたのだから。 その時、雷電は立ち上がると再び外していた鉄甲を身につけ、先ほどの重い雰囲気を一掃するように殊更明るい口調で直に話しかけた。 恐らく気を遣ってくれたのだろう。 「……さて、休憩も終わりにしてそろそろこの森から出ることにしよう」 「はいっ」 雷電にとっては明るい口調のつもりでも実際は大して変わりはなかったのだが、直はその些細な違いに気づくと笑顔で返事をした。 【E-5 ジャングル /一日目 黎明】 【神崎直@LIAR GAME】 【装備】:なし 【所持品】:支給品一式 懐中電灯 支給品1~3(本人確認済み) 【状態】:健康 【思考・行動】 1:殺し合いを止めるため、一人でも多く仲間を増やす 2:人の見極めは慎重にする 【雷電@魁!男塾】 【装備】:無敵鉄甲@るろうに剣心 【所持品】:支給品一式 【状態】:健康 【思考・行動】 1:直の手助けをし、外敵から彼女を護る 2:人の見極めは直に一任するものの、自身も警戒は怠らない ◆ 「痛たた……やっぱり縮地を使うにはまだ無理があるよなあこりゃ」 宗次郎は最初に自分の休んでいた場所まで戻ると、そこに放置していた自分のもう一つの支給品である医療箱を開いた。 とはいえこれが本当に自分だけに配られたものなのか、それとも食料などのように全員に配られている基本的なものなのかは宗次郎には判断つかなかったが、まああるに越したことはない。ありがたく使わせてもらうとしよう。 幸い弾は貫通していたため、手当てにさほど手間はかからない。 袴をめくり負傷した右足を露にすると、包帯でまかれたところが血に赤く染まっていた。 普通に走る程度なら……それでも常人に比べればはるかに速いのだが……まだ支障はないかと思ったのだが、この調子では縮地を扱えるまでにはもう少し時間がかかりそうだ。 少なくとも、傷口が塞がるまでは。 「安静にしてろってことかな? もちろんそんなつもりはないんだけど」 それにしても、さきほどの女性……神崎直はとんだ見込み違いだった。 昔の自分と同じ、弱い存在だとしか思っていなかったのに、最後の最後で立派にこちらに牙を剥いてみせた。 彼女は自分とは違う存在なんだと気づいた時、落胆と同時に……どこか、羨望のようなものを抱いている自分がいたことを宗次郎は知っていた。 とはいえ、精神的にいくら強かろうとも実際に力がなければ何の意味もないのだが。 「まあ、どうせ長くは生きられないでしょうけど頑張ってくださいね……神崎さん」 あの女の人が雷電という『力』を手に入れて、果たしてどこまでやれるのか。 さして興味があるわけでもないが、とりあえず宗次郎は直へと激励の言葉を呟いた。 【E-6 南・ジャングル / 一日目 黎明】 【瀬田宗次郎@るろうに剣心】 【装備】 クナイ@るろうに剣心 【所持品】 支給品一式 クナイ×19@るろうに剣心 チョッパーの医療セット@ONE PIECE 【状態】:右足負傷(応急手当て済み) 【思考・行動】 1 包帯を貼り変える 2 弱肉強食の言葉に従い弱い者を殺す。 021 笑えよ 投下順 023 聞く耳持ちません 018 鬼 時間順 023 聞く耳持ちません 003 クライモリ 神崎直 002 どうでもいいことに限ってなかなか忘れない 瀬田宗次郎 初登場 雷電
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『Contentolino』 部屋の隅で震える少年に、少女は無遠慮に近付いていく。 「何をしているの?」 少年は怯えるように目を泳がせ、少しでも少女の視線から逃れるようにと自らの身体を隠す。 真っ暗な部屋では何も見えないはずなのに、少女には何故だか見透かされているような気がして怖かった。 「怖い事でもあったの?」 怖い。全てが怖い。 この部屋を包む闇も、少女の存在も。 「大丈夫よ。外には皆がいるもの。だから守ってくれる。私だってちゃんと頑張るから平気!」 少女が朗らかに笑っているような気がして、ようやく少年は顔を上げた。 この暗闇では何も見えないのに、少女の表情が本当に笑みなのか確かめたくて。 すると、思っていたよりも近くで少女の気配を感じた。 頬に何かが触れたように感じる。柔らかくて温かい何か。 それが少女の手だと気付き、少年は怯えるように身を竦ませた。 それ以上逃げ場はない。それでも、逃げ出してしまいたかった。 「……傷痕……怪我をしているの? 痛い?」 少年は震えるだけで、答えようとはしなかった。否、答えられなかった。 少女の手が少年の身体を滑るようにして進む。 気付かれてしまった。 気付かれてはならないのに。 「傷痕がいっぱい……髪にまで血が付いちゃってる……手当てをしなくちゃ。ちょっと待っててね! 今、手当てが出来る人を呼んでくるから!」 少女が立ち上がり、少年は咄嗟にその腕を掴んで制止する。 「……?」 「ま……て。ひと……よば……で……」 何年も言葉を発していないのだろう。酷く掠れた声。 「誰も呼んで欲しくないの?」 少年の頬に手を添えて問い掛けると、ほんの僅かだが頷く感覚があった。 「見られたくないのね……その傷痕」 怯えるように身動ぎながらも、少年は頷いた。 すると、少女は徐に自らの服を脱いだ。 「ちょっと大きめだったからあげる」 自らが着ていた長いコートを強引に少年の上から被せる。 そして、少年の手を自らの腕に触れさせた。 「私もね、怪我をしちゃったの。小さいんだけど、いっぱい。ここではちゃんと治せないんだって」 確かに、少年よりは軽症だが少女の肌にも無数の傷痕が走っていた。 「じゃあ……」 「気にしないで良いよ! 私は別に良いのに、女の子なんだからちゃんと隠しておきなさいって無理やり着せられただけだから。あっついのにねぇ」 本心なのだろう。少女の声は楽しそうに弾んでいた。 「だから、それで隠すと良いよ。隠したら人前に出ても良いんだって!」 「でも……」 言いよどむ少年の髪を、水を含ませた布で丁寧に拭う。 「大丈夫だよ。私の仲間は強いの! もう怪我する心配ないよ! 外はもう怖くないの」 少女は少年の手を引いて立ち上がらせると、有無を言わさず扉を開く。 外の明かりで呆然と立ち竦む少年が浮かび上がった。 この人種ではあり得ないはずの銀色の髪、服の隙間から見える醜い傷痕。 見られたと気付いて慌ててしゃがみ込む少年の髪を、少女は優しく撫ぜる。 「綺麗な髪ね。隠しちゃうのが勿体無いくらい。髪の毛を見られるのも嫌い?」 頷く少年の髪を問答無用で短く切り揃える。 「本当は私より藤司朗や政宗の方が上手なんだけどね。よし、完成!」 フードを被せると、僅かに覗き見る事も出来ないほどだった。 「私ね、沙鳥って言うの。小さい鳥っていう意味なんだって。貴方の名前は?」 「幸成……幸せに成ると書いて……」 「それじゃあ、幸せに成らなくちゃいけない人なのね!」 少年は躊躇いがちに顔を上げる。 「幸成は幸せになる方法を知ってるんでしょう? それならまず、人より先に自分を幸せにしなくちゃ」 もう一度少年を立たせ、ちゃんとコートを着せ直す。 「私はね、小さくても自由に飛び回る鳥になるために鳥篭を出たの。だから幸成も幸せに成るために、酷い事した人たちに報復しなくちゃダメなの。絶対。勝手につけられた名前に負けてるだなんて言われたらムカつくでしょ?」 きちんと銀髪と傷痕が隠れたのを満足そうに確認し、少女は少年の手を引いて外へと連れ出す。 「さあ、悪い人たちをやっつけに行きましょ! こんな綺麗な子を閉じ込めて独り占めするだなんて、それだけで大罪だもん! さっさとこんなとこ消してしまいましょ!」 少女の言葉に、扉の奥で待機していた少年たちが苦笑しながら承諾する。 彼らが少女の言う強い仲間なのかとぼんやり眺めていると、少女は少年の背を押した。 「幸成も一緒に行こ? 空ってね、とっても大きいんだよ! 初めて外で見た時、ビックリしちゃった! それだけでも幸せに成れるんだよ!」 その時の光景を思い出しているのか、心底幸せそうな笑みを見て、少年は小さく頷いた。 僅かだが、笑みを浮かべて
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ツンデレ盗賊がいかに萌えるかの検証 2 登録タグ【恋愛】 Counter - 少女の耳に、石畳の上を歩く音が聞こえてきた。 奴隷の売買はもう終わったはずなのに聞こえてきたそれに、 少女はもう感じないと思っていた落胆を感じていた。 奴隷商人である富豪は、どうやら自分のことを気に入ったらしい。 売るのはやめて、自分のものにすると言っていたからだ。 この足音は、恐らく自分を連れにきたものの足音だろうと少女は思った。 また、自分の意思とは関係なく連れて行かれる。 そんな想いが少女の心をよぎる。 ここにつれてこられたときも。 その前も。 少女の思い通りになることはほとんど無かった。 言うことさえ聞いていれば、食べるものには困らない。 そういわれて富豪に売られてきたときのことをなんとなく思い出す。 奴隷となる前は、たべることもままならなかった。 昔のことを考えれば、飢えないだけ今はいい。 食べ物があるだけ、幸せなのだ。 諦めればいい。 少女は心の中で小さくつぶやいた。 仕方がない。 そう思えばいい。 どんな目に合わされるかは、良くわかっている。 それでも、自分にはどうしようもないことも、良くわかっている。 ソンナ目に合わされるから、食べ物がもらえる。 十分だ。 今までも、何度も自分に言い聞かせてきた言葉を再び繰り返す。 そうするうち、どんどん自分の中で何かがさめていくのを感じていた。 そしてそのうち、何も考えられなくなる。 早くそうなればいい。 何も考えなければ辛くない。 何も感じなければ、辛くない。 鍵が開く音がして、ゆっくりと扉が開いた。 抵抗すると言う考え自体起こらなかった。 手かせも足かせもされている訳ではない。 それでも、何をする気力も起きなかった。 細く細く入ってくる外からの明かりをまぶしがることも無く、 ただぼうっと少女はドアの方に顔を向けた。 まっくらな部屋に光が差し、白い人影が浮かび上がった。 髪は乱れ、きるものはぼろぼろで、体は土に汚れていたが、 それでもそうと分かる透けるような真っ白な少女がいた。 まぶしい光の中に、黒い人影が浮かび上がった。 黒髪に、口元は黒いマスクで覆い、指先まで黒尽くめの青年がいた。 ぼんやりと自分を見上げる目は、なんの感情もこめられていないように見えた。 うつろで、いましたがまでいたであろう闇の中に溶け込んだ物の様だった。 ただ、光の中に浮かび上がった少女を見た盗賊は、我知らずナイフを構えていた 手を下ろしていた。 光の中に浮かび上がった黒い人影は、まるでぽっかりと空いた穴のように見えていた。 マスクで隠された顔からは表情は読み取れなかったが、 その目元は少し震えているようだった。 ついさっきまで闇の中にいたせいか、少女はその青年に僅かな親しみを覚えた。 こんな目をどこかで見たことがある。 そう、盗賊は気が付いた。 どこでだっただろう。 思い出そうかと思ったが、すぐにどうでもよくなってしまった。 少女の目が、諦めた者の目であることを思い出したからだ。 希望を失ったとか、そういうことではない。 元々そんなものを期待していない、そういう類の目だ。 生きることも、死ぬことも。 苦しいことも楽しいことも。 何もかも諦めているような、そんな目だ。 盗賊はそんな目が嫌いだった。 何度も何度も見てきた、そういう目が。 青年の目が少しずつ険しくなっていくのを、少女はぼんやりと眺めていた。 こういう目を、少女は良く知っていた。 嫌いなものを見る目。 嫌なものを見る目だ。 こういう目をする相手の反応は、いつも大抵決まっていた。 蔑みの言葉を吐きかけて去っていくか、自分を打つか。 それがイヤだと言う感情はわいてこなかった。 いつものことだ。 当たり前のことだからだ。 慣れてしまった。 それがいやだと思ってもどうにもならない。 助けてほしいと思うことも諦めてしまっていた。 諦めてしまえば、失望することも落ち込むこともない。 苦しいと思うこともない。 それが当たり前なのだから。 一瞬、少女に見入っていた盗賊は、離れた場所から聞こえる足音で我に返った。 まだ距離はあるものの、自分のところに来る恐れがある歩調だ。 少しの間乱れていた頭の中が、瞬く間にいつものものに切り替わっていく。 早い足音ではない。 警戒している様子も無いところから考えて、まだ進入はばれていない。 あわてず、すぐに逃げ出せばまったく問題なく仕事が終えられる。 問題は目の前の少女だ。 声を出されたらそれで終わり。 外の様子に目を走らせて、改めて少女に目を向ける。 叫ぶ様子はおろか、逃げる様子もない。 ただ、ぼんやりと自分を見つめているだけだ。 盗賊の中に少しの苛立ちが走る。 まるで人形のように、何もかもされるがままのように佇む少女。 盗賊は少女に近づくと、その腕を掴んで引き上げた。 抵抗も無くされるがままに立ち上がる。 見た目以上に、少女の体は軽かった。 掴んだ腕は、そのままぽっきりと折れてしまいそうにか細い。 見つかったカラには口を塞がなければならない。 盗賊の頭にそんな言葉が浮かぶ。 少女の口を手で塞ぎ、後ろに回ってナイフを首筋に押し付ける。 見つかったことのない盗賊ではあったが、殺しに慣れていないわけではなかった。 むしろ暗殺はお手の物。 ふと、いつもの違う感覚に襲われた盗賊は、ナイフを持った手を止めた。 違和感。 簡単なことだった。 少女はまったく抵抗しないのだ。 そっと、少女の顔に目をやる。 ぼんやりと虚空を見つめる目に、ナイフを持つ手が震えた。 ああ、殺されるのかな。 それでも、まあ、いいか。 そんな感想しかもてない自分に改めて驚きながらも、少女は抵抗する 気にならなかった。 生きていても死んでも、あまり変わらないと思っていたからだ。 死ぬのは別にこわくなかったし、嫌でもなかった。 どうせ生きていても今までとあまり変わらない人生だろうから。 ただひとつ、なるべく痛くなければいいな。 そう、ぼんやりと思った。 願い事を普段しないせいか、少女にはそれがひどく贅沢な願望に思えた。 自分の手が震える理由が、盗賊には分からなかった。 頭では一刻も早くこの少女の首を切らなくては考えているのに、手が動かない。 早く、早くしなくてはと思うが、ナイフを引くことが出来なかった。 焦りが募る。 せめて抵抗されれば、止むを得ずのどを掻き切ることも出来ただろう。 だが、少女は何の抵抗もしない。 口を塞ぐ手にかかる息は、穏やかでか細い。 後ろから見える表情は、まるで何も無いようなぼうっとしたもので。 虚ろでどこを見ているのかわからない目は、くすんだガラス玉のようだ。 盗賊はマスクの下で歯を食いしばった。 訳が分からなかった。 こんな事は初めてだった。 感じたことのない感覚が頭の中を支配して、考えが一向にまとまらない。 ただ、手が動かない。少女の顔から、目が放せない。 不意に、上のほうから聞こえる足音が駆け足のものに変わるのを感じた。 どうやら盗みに入ったことが発覚したらしい。 急いで抜け出さなくては。 そう思いながらも、やはりナイフが動かせない。 「ちっ…!」* 盗賊は小さく舌打ちすると、少女の首に押し付けたナイフを離した。 口に当てた手も離すが、少女が声を出す様子は無かった。 どうしようか一瞬考え、盗賊はそのまま逃げることにした。 扉を出る瞬間、ちらりと少女の方に目を向ける。 少女は不思議そうに、盗賊を見上げていた。 先ほどまでの、くすんだガラス玉のような。生命感のあまり感じられない目。 黒い青年を、少女はぼんやりと見上げていた。 何で突然ナイフを離したんだろう。 気にせず、きってくれれば良かったのに。 そんな言葉が頭の中をよぎる。 部屋を出て行こうとする青年が、少女を振り返った。 入ってくるときと変わらず、目元しか見えない。 けれどなぜか、少女にはその目が今にも泣き出しそうな、 寂しくて仕方がなさそうな目に見えた。 気が付くと、盗賊は少女の手を取っていた。 扉のすぐ近くのある桟橋から水に飛び込み、建物の外に続く石造りのトンネルを 水の中にもぐって進む。 なるべく音を立てないために、水の上に出るわけには行かなかった。 ふと、少女の息が続くか気にかかったが、今はそれどころではない。 少女の手を掴み、屋敷の外へ。 必死に手と足をかきながら、消して少女の手を離さないように強く掴んで。 只管に、外を目指して泳ぎ続けた。 突然目の前に広がった世界に、少女は戸惑っていた。 平地の農村部に暮らしていた少女にとって、水の中を泳ぐと言うのは初めての 体験だったからだ。 体を洗うときさえ、たらいに汲んだ水を体にかける程度だった。 川のような大きな水の流れに入ったことなど、一度も無かった。 そのせいだろうか。 今自分が居るのは水の中だと、少女は気が付かなかった。 きらきらと輝きながら上り立つ水泡。 重力の鎖から解き放たれたように揺らめく布。 ふわふわと、空を飛んでいるかのような感覚。 すべてが新鮮で、綺麗で。 ずっと忘れていた気持ちを思い出すには十分すぎるものだった。 楽しい。 全身をさすような水の冷たさも、青年に握られた手の熱さでまったく気にならなかった。 少女は無抵抗に青年に手を引かれながら、水の中の景色と不思議な浮遊感を 楽しんでいた。 青年に引かれた手に伝わる痛みは、混乱する頭を沈めてくれるようで心地いい。 ゆらゆらと視界が揺らめくのは、恐らくは水の中でものを見るのに 慣れていない性だろう。 うすぼんやりと輪郭がぼやけた世界は、まるでまどろみの中で夢の続きを 見ているようだ。 ゆらゆらと揺れる光の玉のような水泡が後ろに流れてゆく。 青年が吐き出したものだろうそれも、少女にとってはまったく未知のものだ。 生命があるかのように手や服にまとわりつき、くるくると回りながら四散する水泡。 それが不思議でたまらず、少女は掴んでみようと手を伸ばす。 すると、その指先が突然輝きを放つように煌いた。 顔を上げた少女の目に飛び込んできたのは、何本もの光の柱がそびえ立つ 風景だった。 昔、窓がついた部屋に居たころに何度か、雲の切れ目から刺す日の光を 見たことはあった。 だが、これはそれとはまったく違う。 触れることが出来る位置にある光の柱に、少女は触れてみようとする。 柱の表面は何の抵抗も無く、少女の手は何にも触れることなく柱の中へ。 帰ってそれが、触れることの許されない世界へ来たような、不思議な気持ちを 加速させる。 気が付けば、司会は先ほどよりもずっと鮮明になっていた。 暗がりであるトンネルから月明かりの見える外へ抜けたのだが、少女には それは分からなかった。 水の冷たさで少しずつ麻痺していく全身の感覚を、返って今までの世界から 離れていく感覚のように思いながら。 ただ、上に見える不定形に揺らめく網目のような輝きと。 現れては膨れてはしぼみ消えていく何十本もの美しい光の柱に見とれていた。 夢でも見ているかのような感覚を味わいながら、少女の意識は徐々に薄れていく。 元々、体も心も衰弱していたのだ。 それでも薄らいで行く意識の中で、少女は始めて感じる気持ちを楽しんでいた。 少女の中で、小さな想いが膨らんでいく。 もっとこの世界を見ていた。 そんなささやかな、楽しい未来を願うものではなかった。 もう少し。ほんの少し。 楽しい今が続けば。 瞬きする間で良い。 次に目を閉じたときには、また石畳の上で良い。 少し、ほんの少し、せめて記憶にこの風景が残るまで。 少女のそんな願いは、すぐに消え去ってしまう。 段々と光がうすらぎ、視界が端から暗幕がかかったように暗くなっていく。 弱っていた少女の意識は、水に溶け込むようにあっけなく途切れてしまった。
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あめふりしょうじょのゆううつ【登録タグ あ いのっぴ 初音ミク 曲】 作詞:いのっぴ 作曲:いのっぴ 編曲:いのっぴ 唄:初音ミク 曲紹介 いのっぴ氏 の10作目。 今回はあす缶さんのイラストから曲を作らせていただきました。(作者コメ転載) イラストを あす缶氏 が、マスタリングを 7c氏 が手掛ける。 歌詞 また雨が降って 下を向くの 私は雨降り 傘を差した 待ち合わせ (一時間) 一人きり (待ってても) 泣きそうな (来ないなら) 顔してる (諦めよう) そんなこと (人ごみを) 気に留めず (見つめながら) 音楽を聴くの (イヤホンで雨音を塞いで) 三拍子で歌いながら 君を待つ お気に入りの (せっかくの) 長靴も (日曜日) 今日だけは (泣きそうな) 喜んでる (その顔も) 明日から (しばらくは) 晴れるから (もういいや) さようなら (傘をしまって笑おう) 三拍子で歩きながら 君の事探すよ 嘘みたいな本当のこと期待して コメント 追加おつ! -- 名無しさん (2012-11-22 23 49 22) 名前 コメント