約 3,282 件
https://w.atwiki.jp/charactermaker/pages/83.html
格闘技(徒手)【小】 説明 主に武器を持たず、徒手で行う格闘技。 補足 ここでは具体的な技名ではなく格闘技のカテゴリを列挙する。 上位カテゴリ スキル【大】 身体スキル【中】 属性 合気道 沖縄空手 カポエラ 空手 カラリパヤット キックボクシング 形意拳 骨法 コマンドサンボ サバット 散打 サンボ ジークンドー システマ シュアイジャオ(角抵戯) 柔術 シュートボクシング 少林拳 少林寺拳法 シルム 心意六合拳 太極拳 通背拳 テコンドー 日本拳法 八掛掌 八極拳 パンクラチオン ブラジリアン柔術 ペンチャックシラット ボクシング マーシャルアーツ ムエタイ ルチャ・リブレ レスリング 合気道 沖縄空手 カポエラ 空手 カラリパヤット キックボクシング 形意拳 骨法 コマンドサンボ サバット 散打 サンボ ジークンドー システマ シュアイジャオ(角抵戯) 柔術 シュートボクシング 少林拳 少林寺拳法 シルム 心意六合拳 太極拳 通背拳 テコンドー 日本拳法 八掛掌 八極拳 パンクラチオン ブラジリアン柔術 ペンチャックシラット ボクシング マーシャルアーツ ムエタイ ルチャ・リブレ レスリング ↓これは属性を投稿するためのフォームではありません。 新たに属性を投稿される方は上部の「このページを編集する」から 編集ページに入ってください。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/agu-agu/pages/64.html
「(何か手を…!)」 斬り結びながら策を必死で模索するアグリアスの目に、 奇妙な光景が映った。 レディが突如、後ろに大きく跳躍した。 しかも、跳躍中になぜか右手の忍刀を腰に佩びた鞘に 納めつつ、である。 着地と同時にどこからか取り出したのは、針状の手裏剣。 灰色に仄光るそれが、一瞬だけアグリアスの目に留まった。 「な…!?」 刹那の間に、アグリアスの左胸を狙って正確に投擲された手裏剣は、 全く想定外の攻撃手段であった。 だがしかし、戦場においては戦況が予想外の事態に展開する のが常であり、百戦錬磨のアグリアスはそれに慣れていた。 思考を介さない、戦士の直感が彼女の体を動かし、 手裏剣は心臓を射抜くことは叶わず、肩を覆う装甲に突き刺さる。 手裏剣は肩の寸前で止まり、流血には至らなかったものの、 アグリアスは再び驚愕に襲われることになる。 ビシビシと音を立てて、手裏剣が命中した装甲が石化を 始めたのである。 物質転換。ある物を石に変えてしまうような魔術は 確かに存在するが、そういった対象の大掛かりな変態を伴なう 魔術の行使には、永い詠唱と大量の魔力が必要であるのが 常であり、ノータイムで標的を石化させるような手段など、 通常は考えられない。 ベイオウーフの魔法剣に、それを可能にする技があるが、 アグリアスの知りうる限りそれぐらいのものである。 どんな呪術か魔法を施したのか知らないが、 あの手裏剣は危険すぎる。 もしも生身に直撃すれば、脚や腕ならば戦闘の続行は 不可能になり、そのまま殺される。 胸の近くに食らえば心臓や肺が石化して即死だろう。 装甲の石化は左肩から始まり、右胸の領域にまで広がって、 石化した鎧の部分がひずみで砕け散った時点で止まった。 アグリアスの上半身を覆う鎧の大部分は破損し、 急所である胸の周囲が外に露出する形になってしまった。 石化の手裏剣の直撃は免れたものの、鎧の損失は 大きな痛手である。 レディは手裏剣の投擲と同時に、一度鞘に納めた忍刀を抜刀し、 再びセリアと共にアグリアスに襲い掛かる。 依然として2人の電光石火の連撃は衰えを見せず、 アグリアスに聖剣技を使う隙を作らせない。 アグリアスの剣の技量は、2人のどちらよりも勝っている。 もしも1対1の決闘方をとれたのなら、 アグリアスの勝利は堅いだろう。 しかしこの2人が結束した時の勢いは、脅威である。 手数と速度で相手を圧倒する、言わば物量攻撃である。 それに加えて正確さまで備えているのだから手に負えない。 4本の刃は、まるでそれぞれが意思をもった魔物であるかのように 巧みに宙を舞い、アグリアスの防御を突破し、急所を刺し貫こうと 間断なく次々と押し寄せる。 表情の欠け落ちた2人の顔からは、2人が何を考えているのか まるで判断できない。 まるで、巨大な昆虫のようである。 何も考えず、何も思わず、何も感じず、ただ本能に依って 機械的に他の虫を捕食する。 虫にとってそれは、悪でも正義でもないのだろう。 そうしないと生きていけないからそうするというだけの話である。 セリアとレディにとっては、今ここでアグリアスを確実に殺すこと。 それだけが意味のある行為であり、その他全ては無意味であると 断じているかのような、無機質で機械的な表情。 アグリアスはまるで、同じ人間と刃を交えている気がしなかった。 再びレディが後方に跳び、先ほどと同様に灰色の手裏剣を投擲する。 狙いは再び心臓。鎧の加護を失った胸を、今度こそ 石化の手裏剣で射抜き、決着をつける腹積もりでいる。 「(まずいっ…!アレか!)」 石化の威力と脅威がアグリアスの脳裏によみがえり、 一瞬恐怖と焦りが全身を走った。 剣で手裏剣を打ち払うことはできない。 さっき、手裏剣は金属製の鎧を石化し、破壊した。 本来は人体に直接突き立て、標的の体を石化させる 武器であると考えられるにも関わらず、 あの灰色の手裏剣は人体、金属を問わずに石化させる。 手裏剣の尖端に当たり判定があるのなら、 剣と接触した瞬間、剣が石化する恐れがある。 2振りの剣でどうにかセリアとレディの猛撃に応じている現状で、 剣を片方失うということは、死に直結はしなくとも、 ただでさえ不利なこの状況を、より一層悪い方向に進め、 敗色を濃厚にしてしまう悪手である。 剣はどちらも、手放せない。 鎧をこれ以上削らせる余裕もない。 鎧で受け損なったら、体のどこかに手裏剣が命中する。 そうなったら最後だ。 結局、どうにかして避けるしかない。 「ぐっ…!」 食い下がるセリアの侍刀を大きく打ち払い、刹那に間合いを とったアグリアスは、横に跳躍し、寸での所で手裏剣の投擲を 回避した。 セリアに斬り掛かるために足を踏み込み、アグリアスは前傾姿勢をとる。 ドスッ…。 アグリアスの足元で、不吉な音が響いた。 「うっ!?」 異変は、すぐにアグリアスの知るところとなった。 「(馬鹿な…!身体が…身体が動かない!?)」 アグリアスの全身は、前傾姿勢を保ったまま硬直していた。 脚も、腕も、まるで彼女のいうことを聞かず、 氷漬けにでもなったかのように固まって、ピクリとも動かない。 石化の手裏剣を投げたレディには細心の注意を払っていたし、 投擲された手裏剣についても完全に避けたはずである。 それでも身体が動かないというこの事態…原因があるとすれば…セリア。 レディに注意を傾けたほんの一瞬に、セリアに何かをされたとしか 考えられない。 事実、アグリアスの刹那の間に展開された推理は当たっていた。 全ては、周到に用意された罠。 石化の手裏剣は、現在の絶対的勝機を作り出すための布石。 手裏剣の威力と脅威を標的に存分に認識させた上で、 恐怖と焦りを心に染み込ませる。 手裏剣の回避に注意を仕向けさせた上で、 アグリアスのマークがザルになったセリアが、刹那のうちに決定打を仕掛ける。 アグリアスが足元をとっさに見れば、自身の影の胸の位置に、 黒い手裏剣が突き刺さっているのが見て取れた。 影が、地面に縫い付けられている。 アグリアスがレディの投げた石化の手裏剣を回避しようと跳び、 セリアへの注意がおろそかになった一瞬に、セリアがアグリアスの 影に向けて、密かに別の手裏剣を投げつけたのである。 石化の手裏剣同様、対象の動きを一瞬で停止させる 呪術や魔術など、通常はありえない。 にも関わらず、アグリアスの影に突き立てられた黒い手裏剣は 彼女の知る理とは別の、正体不明の機構をもってして、 アグリアスの全身を呪縛し、頑として身動きを取らせない。 一秒以下の隙を奪い合う、達人同士の技の応酬下において、 身動きを封じられるというのは…即ち死。 無防備の身体は、敵の刃を避けられるはずも無い。 果たしてセリアとレディは、笑いもしなければ喜びもしなかった。 依然としてその顔には、何の色も浮かばない。 虚無を宿した、生きながらにして既に死んでいる心は、何も映さない。 彼女らが勝利を手にしたも同然の現況は、偶然によるもの でもなければ僥倖でも何でもない。 2人の実力と、敵を欺く周到な陽動作戦による必然。 今こそ標的を斬り刻み、血の海に沈めんと、 セリアとレディはそれぞれの得物を構えなおして 冷徹にアグリアスに走り寄る。 そこに油断や慢心は、欠片も無かった。 その様子はちょうど、見えざる糸に絡め取られ、 身動きが出来なくなった無力な羽虫を、蜘蛛が捕食するために 機械的に近づいていくのに似ている。 絶体絶命と呼ぶにふさわしい窮地に追い込まれ、 アグリアスは硬直したまま剣に力を込める。 最後の手段をとるしかなかった。 非常に危険であり、自滅する可能性も高いが、 このまま黙って殺されるのを待つよりは、いくらか生存の確率は 高まるだろう。 「(影に刺さった手裏剣をどかすことができれば… 動けるようになるはずだ…!)」 うつむいた状態のまま身動きが封じられているため、 今2人の殺し屋が何をどうしているのかを見ることは叶わない。 2人の床を蹴る音から察するに、4本の刀で無防備のアグリアスを なますに斬り刻むつもりだろう。 たが恐怖は、今必要な感情ではない。 努めて冷静になり、右手に持つ騎士剣に内力を集中させる。 聖剣技は、標的を選択的に攻撃するための指向性をもたせるために、 術者の技術によりエネルギーを精製し、力の奔流を 特定の形態に形作らなければならない。 この工程こそが、聖剣技を強力な遠距離攻撃手段たらしめると 同時に、技を繰り出すために生まれる硬直の原因にもなってしまう。 銃弾を火薬の爆発による圧力で、一定の方向に撃ち出すには、 弾丸の飛ぶ方向を規定するバレル(銃身)が必要であるのと同じである。 聖剣技の使い手は、自らをバレルとして、指向性のエネルギーによる 砲撃を、標的に叩き込むのである。 彼女が今やろうとしていることは、無方向なエネルギーを方向付けるための 精製過程を省いた、単純なエネルギーの放出。 危険であるし、無意味であるので今まで一度もやったことがないが、 何の方向性も持たないエネルギーの奔流は、恐らく 爆発を伴なって術者もろとも周囲を破壊するだろう。 いわば、むき出しの銃弾を数十個、無造作に焚き火の中に 放り込むようなものである。 火薬に引火し、暴発した銃弾は、周囲の人間を無差別に殺傷する。 精製の過程を含めると、最短でも2秒の硬直を要する聖剣技であるが、 精製を省けば、一瞬で力を放出することは可能であると考えられる。 術者の無事は全く保障されない、危険極まりない荒業ではあるが…。 暴発による怪我は、確かに恐ろしい。 しかし、アグリアスにとって最も恐るべき、由々しき事態は、 2人の殺し屋を止められず、ここで無駄死にすること。 ここで自分が無抵抗に殺されれば、現在エルムドアと交戦中のラムザは、 あの凶悪なセリアとレディをも同時に相手にしなくてはならなくなる。 いかにラムザでも、あの手錬3人を同時に相手しては、 勝てるわけがない。成す術なく殺されるだけである。 隊の長であり、皆の希望であるラムザが殺されれば、全てが終わる。 それだけは、何としても防がなくてはならない。 今ここで、自分の身がどうなろうと。 2人の殺し屋の足音がアグリアスのすぐ傍まで近寄り、 今まさに、アグリアスの首に刀が振り下ろされようとしたときに、 アグリアスはすっと目を閉じ、祈るような思いで、剣から力を解き放った。 制御を失った無秩序な力の流れは、爆発を伴なって アグリアスの影を縛っていた手裏剣を吹き飛ばす。 爆音と爆煙が吹き上がり、爆風が吹き荒れる中、 セリアとレディの2人はとっさに後方に回避し、 即座に状況の把握に移る。 不可解な攻撃を受けた場合は一度距離をとり、 相手の出方をうかがうのが戦場における鉄則である。 剣しか扱えないはずのアグリアスが、放出系の攻撃手段… それもノータイムで発動するようなタイプを突如使用したのは、警戒に値した。 術者であるアグリアスは、当然のことながら 爆発による衝撃を、無防備のまま全身に受けたことになる。 辛うじて立っているものの、爆心地より最も近い位置にあった右手、 エネルギーの射出口となった剣を握っていた右手の感覚がほとんどない。 今の爆発の威力から察するに、指が何本か消し飛んでいたとしても 不思議なことではない。 足元の感覚が消えかかり、絶望的な浮遊感が全身を襲う。 何度も経験した、気絶直前の症状である。 この場で気を失うということは、己の命をむざむざセリアとレディの 2人にただでくれてやるのと同じである。 断じて、ここで気絶する訳にはいかなかった。 「(ただでは死ぬな――。 死ぬなら…1人でも多くの敵を 道連れにしろ――!!)」 下唇を犬歯で思い切り噛み、鮮烈な痛みと鮮血の味が、 おぼろだったアグリアスの意識の輪郭を確かなものにする。 ふらつく脚を内心で叱咤し、アグリアスは疾駆する。 敵を殺すために。仲間を生かすために。 煙幕の中からレディの眼前に突如飛び出したのは、 鬼神のごとき形相で双剣を振るうアグリアス。 「!」 人間らしい驚きの表情が、はじめてレディの顔を彩った。 自爆したようにしか見えない標的が、 これほど早く、再び刃向かってくるとは、さしもの レディも想定外だったのである。 アグリアスがくぐり抜けてきた死線の数と執念の強さ。 これが、殺しの練達者たるレディにも予測不可能な行動を、 アグリアスが可能にした理由だった。 レディの判断違いで、アグリアスの振るう剣への対応が一瞬遅れる。 アグリアスの壊れかかった右手に収まった、騎士剣による 斬撃はレディに打ち払われ、剣はアグリアスの手を離れて 彼方に弾き飛ばされた。しかし、アグリアスの左手の剣による 追撃には、レディの反応が間に合わなかった。 鋭い刺突は、刹那の内に、容赦なくレディの右胸を串刺しにする。 人を刺し貫く嫌な感覚が、アグリアスの手に伝わった。 「…あ…」 かすかな声が、レディの口をついて出た。 レディの両手から、忍刀が離れ落ち、澄んだ金属音が鳴り響く。 口元から血を流しながら、死相もあらわな顔を後ろにのけぞらせ、 崩れ落ちる…そうなる寸前で、レディは踏みとどまった。 即死で当然のはずの致命傷を受けてもなお、レディは倒れない。 いかなる執念によるものか、死の恐怖と絶望をも凌駕する、 本能にまで刻み込まれた殺し屋としての習性がそうさせるのか。 必勝必殺を信じて疑わなかったアグリアスの顔が、驚異に凍る。 明らかに死に体においてもなお、レディは左手を、流れるような 動作でアグリアスの首に添えた。 レディの細く、白い指が、白骨化した死神の手を思わせて、 アグリアスに"死"を彷彿とさせる。 「!?」 親指と中指で、首の左右を走る太い血管を押さえつける。 必要最小限の力、それでも人の意識を奪うには十分な 圧力をもってして血流を封じ、標的を瞬間的に気絶に追いやる。 つまり、レディは格闘技における絞め技を、ごく簡易的に 即席で再現したことになる。 死人も同然のレディに、突然首を撫でられたかと思えば、 急激にアグリアスの視界は暗転する。 意表を突かれたアグリアスは成す術なくレディの術中にはまり、 一瞬ではあるが、意識を消失した。 レディは淀みのない流れのまま、左手の人差し指を もってして、標的の気道と喉笛を同時に圧迫する。 これにより、アグリアスは呼吸をすることも声を上げることも 出来なくなったわけだが、意識が暗転している彼女には 知る由もない。 そのまま、右手をアグリアスの左胸に当てる。 石化の手裏剣が命中したことにより、上半身を覆う鎧の 大部分が破損しているため、今現在、アグリアスの左胸は 外に露出している形を取っていた。 レディの右手は、アグリアスの左胸…心臓のすぐ上に添えられていた。 狙いは無論、急所の中の急所である心臓。 レディの手のひらから即座に放たれた衝撃波は、 ほぼ無音を保ったまま、手と心臓の間にあるアグリアスの服も、 皮膚も一切傷つけることなく、的確に、心臓を直撃した。 意識を奪われているアグリアスの全身が、反射的に びくんと大きくけいれんを起こす。 標的の意識と悲鳴を奪い、完全に無力化した上で、 心臓のみを選択的に破裂させる。 極限まで音を殺すように技術立てられた衝撃波は、 誰に聞きとがめられる恐れもないし、素手による殺しは 証拠すら残らない。 加えて、この技を食らった者の衣服や皮膚には、一切の 痕跡が残らない。 衝撃波は、手のひらから放たれた少し先…つまり服や皮膚を 通り越した心臓のある位置で炸裂するように組み立てられた、 特殊技術によるものだからである。 傍目には、原因不明の変死にしか映らない。 死因を特定できたとしても、それは検死のための解剖を 行った後である。 いつでも、どこでも、証拠の残らない迅速で確実な暗殺を。 それを可能にするこの絶技…息根止は、 暗殺の集大成にして、殺し技の一つの到達点。 「さよなら」 口元に血を滲ませながら、虚ろな眼差しでレディは呟いた。 余命幾ばくもない彼女の顔を彩る色は…悲しみ…とでも 表現すべきものであろうか。 今生最後の息根止。何十人もの命を奪ってきた、 その至高の暗殺技の手順に、断じて間違いは無かった。 問題があるとすれば、ただ一つ、彼女が致命傷を負っていた 一点のみである。 渾身の力を込めたその一撃でさえも、目前の標的を 絶命しうるには至らなかった。 それは、手応えからレディ自身がはっきりと自覚できていた。 アグリアスの首を押さえていた左手にも力が入らなくなり、 レディの意識が混濁を始める。 死が、もう目前にまで迫ってきていた。 首から手を離され、意識を取り戻したアグリアスは、 正体不明の胸の激痛に意識を割く余裕もない。 背後からは、セリアが走り寄る足音が聞こえる。 アグリアスを今、仕留めるつもりでいるのは間違いない。 「くっ!!」 壊れかけた右手の掌底を、左手に持つ剣の柄に添えて、 レディの胸を刺し貫く剣を、力任せに上に押し上げる。 生きたまま胸から肩の上まで剣で引き裂かれる、地獄の苦痛に 襲われているのにも関わらず、レディは悲鳴一つ上げなかった。 瞼を静かに下ろして、従容と最後の時を迎えていた。 胸から肩にかけて切り裂かれたレディはそのまま絶命し、 アグリアスは即座に背後を振り向き、セリアの剣戟を打ち払う。 アグリアスはとっさに後方に跳躍し、セリアと距離をとった。 アグリアスの全身を、原因不明の脱力感が覆う。 レディに首を絞められた時に何をされたのか、アグリアスが知る由もない。 その4へ
https://w.atwiki.jp/kusamura/pages/36.html
このページはhttp //bb2.atbb.jp/kusamura/topic/65928からの引用です kusamura(叢)フォーラム @BBの閉鎖(2015.5.31)に伴い、 @WIKIへ移動します。(作業中)http //www9.atwiki.jp/kusamura/ トップ»「母型論」(5章まで)吉本隆明(1995)» (第二章)「連関論」~呼吸器系の発生-〈内コミュニケーション All times are JST(+900) 「母型論」(5章まで)吉本隆明(1995) Page1of1 [ 11 posts ] 1 投稿者 メッセージ kusamura 題名 (第二章)「連関論」~呼吸器系の発生-〈内コミュニケーション 時間 2010-03-14 02 41 43 no rank Joined Posts 一 わたしたちは生誕のあと一年未満の乳児の過程、この過程に異和がうまれることが、乳児の前言語の状態になにをもたらすか、そして前言語の状態とはほんとはなにか について、もうすこし繊細にかんがえてみたい。 そのために乳児が母親〈代理〉と栄養からもエロスからも接触するただ一個の器官 といっていい口(腔)、口(腔)のなかの舌、その感覚(味覚)、歯それにつづくのど、食道管、気管 などの機能の意味をはっきりと手に入れておきたい。 それと一緒に ロ(腔)の周辺におかれた鼻(腔)の気道や 嗅覚器としての機能もまた ひとつの意味をもって、前言語の状態、その異常にかかわりをもつとみなすことにする。 これらの知識について、すくなくともわたしはほとんど無能にひとしい。 Top リンク kusamura 題名 連関論 一 (口腔の発生) 時間 2010-03-14 18 46 33 no rank Joined 2013-12-06 19 50 08Posts 322 発生学的にいえば ロ(腔)は 鰓腸の入口にあたっていて、身体の表面の皮膚が入りこんで凹んだところだ。 そしてこの口(腔)の内部で体壁の筋肉に持ち上げられて舌ができた。乳児はこの舌をまるめて 母親の乳首に吸いつき、 乳汁を吸いだして食道のほうへ呑みくだす。 舌の表面には昧覚を感じる味蕾があつまっていて、その昧の感覚を受けいれる、 いやいや受けいれる、受けいれを拒絶するなど、 受けいれと拒絶のあいだにあるさまざまな味覚的な反応をしめすことになる。 乳児の口(腔)と舌、もっている感覚(昧覚)が そのまま 性についての感覚(エロス覚) と融けあう理由は発生的にどこにもとめるべきか。 このばあい、じかに性の感覚の対象になっているのは、母親の乳首だといっていい。 発生的にいえば ロ(腔)と舌とは総腸管の入口に位置して食べもの(乳児にとっては栄養としての乳汁)をとりこんでいる。*次段-性器の発生(引用者) Top kusamura 題名 連関論 一 (生殖器の発生) 時間 2010-03-14 19 46 58 no rank Joined 2013-12-06 19 50 08Posts 322 生殖性器は腎管の排出口に位置し、 腎器の末端のところで、体壁の筋肉や神経によって 管の壁からつくられたものといえる。 腎管の排出腔が発生史的に発達して膀胱ができる。 この膀胱の管の部分に 導管が流れこんで尿道をつくる。 その一方で管の床部がふくらんで 雄ではそこに勃起性の海綿組織が陰茎として形成され、 雌では受精の場が腎導管の内部にでき、そこに 陰茎の挿入と精子の注入が行なわれるようになる。 一方で外性器の勃起性の部分は陰核に集約される。 するとわたしたちは性器をその感覚によってかんがえれば、 ふたつに大別される。 ひとつは腎管から発達した内臓感覚に支配される内性器とその排出感覚、 もうひとつは体壁の筋肉や神経の感覚(接触)に支配される外性器の部分とである。性的な感覚(エロス覚)は このふたつの感覚の融けあった排出の解放感と接触の快美感とからできている。 Top kusamura 題名 連関論 一 (性器の感覚(エロス覚)) 時間 2010-03-14 20 08 52 no rank Joined 2013-12-06 19 50 08Posts 322 性器の感覚(エロス覚)についてだけいえば、 雄の精管をとりまく神経叢は 尿道と合流するところで 膀胱や直腸の神経といっしよに骨盤の底にひろがり、 尿道をささえる陰茎の海綿体をとりかこむ。 精子が充満すると運動をおこし、 それが管の壁の律動する収縮をおこし、射精がおこる。 この収縮する律動は 雌性の導管でもゆるい形で、雄性より持続的におこる。 これがオルガスムスとみられる。 だがこのエロス覚は壁の接触刺戟だけではなく、 骨盤の迷走神経によって脳の中枢と連結して体壁の感覚としてのエロス覚としても生じる。 いいかえれば外性器にかかわるのだ。 内性器としてみれば雄性と雌性の性器は、 腸管系の排出機構の末端にある内臓管だが、 発生的には陰茎の海綿体の筋肉、上皮など体壁の突出物になっている。 そして この体壁系の陰部神経の感覚の末端は 陰茎の亀頭の裏がわのところに集中している。 この神経が性交の接触感からくる興奮を精管の神経叢に伝え、 その頂点で射精をうながす。雌性では性交のとき 外性器の感覚が集約される陰核は性交のルートからはずされる。 そして骨盤の底に口をひらいた内性器が、入ってきた陰茎を拡張された感覚として腔がとらえ、 子宮、卵管、膣などの全体に収縮や痙攣をうみだし、持続的な痙摯がおこる。雌性のこのようなオルガスムスは、 陰核を中心にした外性器を刺戟するだけでもおこることになる。 これは雄性のオルガスムスが陰茎の亀頭の裏がわを中心に刺戟することでおきるのと おなじだといえる。 この性的な器官におこる過程は、本来の機能がそうであるように性的な過程だということは言うまでもない。 だがこれを共時的におこる内性器による精子の受容(摂取)とその排出としてかんがえれば、広義の栄養の受容と食行為とみることができる。 この受けとるものと与えるものが同時に成立するという特質は 性的な行為の特質であるとともに、食的な行為の起源にある特質だということができよう。 性的な行為と 栄養を摂取することで生命を養う行為とが 同致する行為とみなせる としたら、 ここでしかかんがえられない。 また逆にここでは 性は、生命の持続を分離した雌性と雄性のあいだで分担する行為として食と等価だ という言い方も成り立つといっていい。 また感覚的な言い方をすれぱ、ここでだけ味覚とエロス覚とは同調するともいえる。 Top kusamura 題名 連関論 一 (一のlast) 時間 2010-03-14 20 24 23 no rank Joined 2013-12-06 19 50 08Posts 322 乳児が母親から乳頭を介して栄養を摂取する行為は、 そうしなければ生命が持続できない最小限度の 本来的な栄養を摂取する過程だ。 だが 母親が環界のすべてであるような場で 乳頭をロ(腔)のなかに挿入し、乳汁を吸うという行為で、 受けいれるものと与えるものとの行為の関係からみれば、 内性器がもたらす内臓感覚と 外性器に擬せられる母親の雄性の乳頭と、 雌性である乳児のロ(腔)と舌は、性行為とみなすことができよう。 乳児はじかに乳汁を摂取する行為において、 性の行為との同調をとげているのだ。 (「一」終り) Top kusamura 題名 連関論 二 時間 2010-03-16 19 12 32 no rank Joined 2013-12-06 19 50 08Posts 322 ニ 母親と乳児との 授乳行為を媒介にした直接の栄養摂取の起源の形と、 それに二重化された性的な行為の感覚(エロス覚)との同致、 その異常の実態に接近するために、わたしたちはなお、 口(腔)の周辺の感覚性についても、発生学の知識を与えられていなければならない。 まずひとつは口(腔)から鼻(腔)へということだ。 動物は上陸して空気呼吸になるとともに 鼻窩が口(腔)のなかへ入りこみ、それとともに内部構造でも 左右の側壁からでてきた骨性の板が張りだして鼻中隔をつくり、 この鼻甲介によって鼻(腔)の表面積が飛躍的に拡大する。 そして呼吸で吸いこまれた空気はここでいくつも分断され、 上の方は鼻(腔)の天井の嗅覚をつかさどる部分へ、 下部の吸気は鼻甲介で温められて後ろの咽喉部へ流れる。 いいかえれば鼻(腔)は感党門(嗅覚)と呼吸門のふたつの機能にわかれる。 発生時に原型をただせば、この鼻(腔)のふたつの機能は、 水の流れを感受するものだった。 鼻(腔)が嗅覚機能と呼吸機能のふたつに分化したことは、 もともと魚類のように水流中の酸素を吸収し、 自然な空気呼吸のうちに酸素を摂取する植物的な宇宙界のリズムのひとつだった自然な呼吸運動を、 個体の体壁系の感覚運動と融着させてしまったことを意味している。 Top kusamura 題名 連関論 二 肺と呼吸(植物的な内臓系と動物的な体壁感覚系との 時間 2010-03-16 20 08 13 no rank Joined 2013-12-06 19 50 08Posts 322 肺が 鰓腸の壁から発達し、分れてきた袋状の内臓だとすると、 肺の呼吸をつかさどってきたのは鰓呼吸をつかさどる延髄である。 これは、「鰓脳」ともよばれる発生的な根拠をもっている。 これによって 鰓腸や肺のリズム、心臓のリズム運動は、おのずからまもられてきた。 だが発生学者にいわせれば 本来自然であるはずのこの呼吸運動は、 体壁性の動物筋肉にゆだねられ、その支配もうけるようになっていく。 鼻(腔)は吸いこんだ空気を適温に温め、やわらげて肺に送りこむだけでなく、 嗅覚のよしあしに左右されるようになる。 いいかえれば、 呼吸は感覚の支配によって停止されたり、 不髄意の臭気によってつまったり、心的な衝撃によって乱れたり、 病的なばあいには分裂病者にあるように、 人為的に呼吸を停止して自殺することができるようになる。 正常なばあいにはヒトは自分で呼吸をつめて自死することはできないと されている。 だが分裂病の自殺者のばあいにはそれがありうる。 このことは呼吸作用本来の姿である植物的な内臓系の律動が 意志的に切断できるほど体壁系の感覚支配が乖離変貌したことを意味している。 この不可解な心の動きの支配は、いずれにせよ 呼吸のような自然な植物性の酸素摂取の器官にたいして、 感覚の筋肉支配が分離してきたところに根拠をおいている。 発生学者三木成夫は、もっとラジカルなところまで言及している (「解剖学総論草稿」『生命形態の自然誌 第一巻』所収)。ヒトの行動は身体運動や意志の働きもふくめて、 すべて呼吸の犠牲のうえに成り立っていて、 自然な呼吸を妨げることなしにヒトの身心の行動はありえない というように。 Top kusamura 題名 連関論 二(植物-内臓系,動物-感覚-筋肉・神経系 時間 2010-03-16 20 22 07 no rank Joined 2013-12-06 19 50 08Posts 322 呼吸のような生命維持のための自然な植物的な酸素摂取には、 代謝交換に対応する性的な自己交換の機能が対応している。 そうかんがえたとき、わたしたちは分裂病における前言語的な異常行動にも微かに性感覚(エロス覚)の自傷作用の意昧を表象できそうにおもわれる。 分裂病者が死にいたるまで呼吸を停止できたり、自分の頚部を絞めて自死したり、 金だらいのなかの水に呼吸門を浸して自殺できたりするのは、 常人よりも意志が固く強大なため、我慢できてしまうからではない。 意志は呼吸代謝の作用と自己矛盾がきわまったときには、撤退できるにもかかわらず、 分裂病者は撤退の機構がこわれてしまっているため自死にいたることができると おもわれる。 それならば意志の統御と鼻(腔)や肺の呼吸作用とを結びつけているのは、 帰するところは植物的な内臓系と動物的な感覚をつかさどる体壁系の筋肉や神経と、脳中枢への伝達などが、どこかで交叉できているからだといえそうだ。 またこの機構に異変をきたせば 統御の機構はくずれ、 いったん指令された行為は、 その行為の根拠である生命代謝そのものと矛盾するまで 続行されてしまう。 そうかんがえてもよいことになる。 Top kusamura 題名 連関論 二 (呼吸-鼻 時間 2010-03-17 22 54 32 no rank Joined 2013-12-06 19 50 08Posts 322 ここにもうひとつ肺の呼吸作用とかかわりのあることがあるとすれば、 鼻(腔)の嗅覚の機構と関連するものだ。 鼻(腔)に吸いこまれて気管へゆく空気の分流は、 ひとつは鼻甲介で適温に温められて咽喉の方へゆくとともに上部の 嗅覚部をとおる。 わたしたちが日常的に体験しているところでいえば、 呼吸器官のどこかに異常や病状があると、嗅覚はきわめて敏感になる。 たとえば肺結核とか喘息性の疾患がある個体は、これが体質と呼んでもいいほど 持続しているばあいには、一般におどろくほど嗅覚が過敏になる。 これを鼻(腔)をふくめた呼吸器官の自然な防御作用として理解すれば、 空気代謝にさまたげのある異物の異臭を嗅ぎわけ、これを避けるために 呼吸器系の病弱さを保護しようと嗅覚がふつうより鋭敏になるとかんがえることができる。 そして極端なばあいには幻嗅を誘発し、 ほんとうは存在しない臭気を嗅ぎとることで過剰な防護をとげようとする。 もちろん幻嗅はほかの幻覚とおなじように 呼吸器官の保護という目的といつも結びついているとはおもえない。 むしろ無目的で、恣意的で、偶然としか結びつかないとみなした方が、 現象のあり方には適っている。 この幻嗅の不定性、無目的な感覚的な浮遊性は、 呼吸器官による酸素摂取リズムの在り方と対応するのだが、その対応のリズムは 嗅覚は酸素摂取による生命の代謝にたいして、 対応する自己内のエロス覚の在り方に照応する とみるのが、いちばんいいようにおもえる。 対象がなく自己内のエロス覚なので 無目的で浮遊する幻嗅がもたらされる基盤がありうる。 Top kusamura 題名 連関論 二 (呼吸-鼻- 脳 時間 2010-03-17 23 04 10 no rank Joined 2013-12-06 19 50 08Posts 322 呼吸は延髄(鰓脳)の呼吸中枢に統御されているのと同時に、 大脳の皮質にも統御されている。 これが脊椎動物一般に通じるものだとすれば、 この呼吸過程には嗅覚の過程が対応する。 嗅覚は いわば呼吸に対応する体壁感覚の生命=性の起源(エロス覚)の いちばん本質的なかたちなのだといっていいとおもう。 呼吸器官のどこかで定常状態が破られれば 嗅覚はそれに照応して鋭敏になる。 また吐く息と吸う息のリズムは乱れる。 さらに嗅覚は吸う息の異変を幻嗅として創出することができるようになる。酸素摂取のための吐く息と吸う息のリズムが とりもなおさず嗅覚にとって性的なエロスの過程なのだ。 Top kusamura 題名 連関論 二 のlast 時間 2010-03-17 23 21 31 no rank Joined 2013-12-06 19 50 08Posts 322 呼吸を介してみるとすれば 自然な植物性の内臓呼吸を意志的に、あるいは意識的に 切断したり追いつめたりすることで得られるヒトの個体の心身の行動は、 どこまでも内臓呼吸を体壁の意識的な筋肉と神経につなげ、 この意識的な呼吸の統御が優位になってゆく過程を、 ヒト的な過程とみなすことになる。 ヒトが呼吸作用を介してなにかを言おうとすれば、 それは人為的に呼吸が統御されたものを指すことになる。 わたしはここで禅(ZEN)の呼吸法をすぐに思いだすが、 これは呼吸器官のうちの体壁につながる動物性の筋肉や神経で統御される感覚部門を遮断し、 もっぱら植物性の内臓呼吸だけの呼吸法に入ってゆくことにほかならない。 これによって禅(ZEN)は、 植物としての生命代謝だけによって宇宙的なリズムに同致する状態を 修練でつくりだすことで、心身の原初に円環しようとしているといえる。 もちろんその円環がどうで、なにを意味するかは絶えず問われなくてはならない。 ヒトは心身の健常を実現することが望ましいが、 心身の健常や原初の宇宙のリズムに覚醒して同致することのため、 その目的因をめざして生きるものではないからだ。 禅(ZEN)は この植物性の原初の呼吸法を獲得することを自己目的としている との指摘を回避するために、死の超越の可能性といった課題を導入しようと試みてきた。 植物性の内臓呼吸だけの呼吸法は、たしかに末端を天空と地面に開かせた植物の姿に似ている。 だがそれは自然に宇宙リズムに同化できた〈死〉の状態の創出とは、 はるかに隔ったものだといっていい。 それでも植物性の呼吸だけの状態を人工的につくりあげる修練は、 分裂病やそれに類似した植物性の感覚と筋肉による呼吸の乖離から由来する 精神薄弱の現象を根底から絶ちきることを意味している。 (*「二」終わり) Top リンク Page1of1 [ 11 posts ] 1 新しい記事有り 新しい記事無し 重要トピック 新しい記事有り(人気) 新しい記事無し(人気) 告知トピック 新しい記事有り(ロック) 新しい記事無し(ロック) 新規投稿 不可 返信 不可 自分の記事の編集 不可 自分の記事の削除 不可 投票への参加 不可 Powered by SuwaBB as @BB like phpBB ©2013 atfreaks
https://w.atwiki.jp/magichappy/pages/901.html
▼ Brygid the Stylist Returns 依頼者: ブリジッド(Brygid) / バストゥーク商業区・黄金通り 依頼内容: 自称「未来のファッションリーダー」の 依頼者が指定するコーディネイトに 着替えるように。 以前と同じような内容だが 果たしてそれだけで終わるだろうか……? バストゥーク商業区 ※指定されるアイテムは一例。 Brygid あらあら、 相変わらずアカぬけない冒険者さんね。 Brygid なによそれ? アーティファクト? ……全く没個性もいいところだわ!! ジョブが戦士の場合 Brygid あなたにとって 戦士ってそういう格好なのかしら? 私には理解できないわ。 ジョブがモンクの場合 Brygid だいたいその…… う~んと…… え~と………、何色? とにかくダメよ! ジョブが白魔道士の場合 Brygid そもそも 白魔道士だから白という発想が 単純すぎるのよ! ジョブが黒魔道士の場合 Brygid そもそも、 黒魔道士のわりには知性が感じられないわ。 やめた方がいいわよそれ。 ジョブが赤魔道士の場合 Brygid もしかして、 ずっとそれを着てればいいと思ってるでしょう? 冒険心がまったく感じられないわ!! ジョブがシーフの場合 Brygid だいたい シーフってわりには目立ちすぎよ。 少しはわきまえたらどうなの? ジョブがナイトの場合 Brygid その格好でうろつかれると 目がチカチカしてたまったもんじゃないわ! ジョブが暗黒騎士の場合 Brygid あなた、 暗黒騎士イコール黒だと思ってない? 暗黒の意味をまるで理解していないわ! ジョブが獣使いの場合 Brygid それがなんの毛皮か知らないけど、 趣味が悪いってことは間違いないわね。 ジョブが吟遊詩人の場合 Brygid まるで バルクルムのトカゲみたいな色づかいね……。 恥ずかしくない? ジョブが狩人の場合 Brygid 田舎風ファッションのつもりかしら? でも、あなたの場合ちょっと貧乏くさいわよ? ジョブが侍の場合 Brygid この街の風景に あなた1人だけ浮いてるの、 気づかないのかしら……。 ジョブが忍者の場合 Brygid 黒くて汚れが目立たないとか 思ってるかもしれないけど、 見る人はちゃんと見てるのよ? ジョブが竜騎士の場合 Brygid それにその色、まるで毒薬ね。 ポイゾナをかけてあげたくなるわ。 ジョブが召喚士の場合 Brygid あなたの ファッションセンスは0点だわ! センスのかけらも見えないコーディネートね!! ジョブが青魔道士の場合 Brygid そもそも、近東のデザインって みんな似たり寄ったりじゃない。 この近東かぶれ! ジョブがコルセアの場合 Brygid そんな格好で表を歩いていて よく捕まらないわね。普段はインビジでも かけているのかしら? ジョブがからくり士の場合 Brygid だいたい、その格好と からくり士にどんな繋がりがあるのよ? 理解できないわ! ジョブが踊り子の場合 Brygid あなたみたいなのは バッファローとたわむれてるのがお似合いよ! ジョブが学者の場合 Brygid 学者を気取ってるみたいだけど、 あなたの格好は単に学生気分が抜けてないだけよ! この、ゆとり!! Brygid 仕方がないわね。 また私が無料で指導してあげるわ。 あなたに似合う、今流行の格好といえば…… Brygid そうね、 今のあなたなら…… リネンダブレット、それとアイアンサブリガ。 これね。黙って手に入れて着てみなさい。 Brygid あら、もう忘れたの? リネンダブレット、それとアイアンサブリガよ。 これくらい人に言われなくても 自分で選べるようになりなさい! (Brygidに指定された装備をして話しかける) Brygid ふむふむ……。 じゃあ、これであなたも少しは ファッションセンスが身についたでしょうから、 少しテストをしてみましょうか。 Brygid 次の中から、 自分に似合うと思う装備を選んでみなさい。 選択肢:どれを選ぶ? デュンドコタルディ 軒猿忍着 ラッパリーハーネス 死武者腹当 ワイバーンメイル シカリーアクトン セリーズダブレット グラモアジュポン グルームブレスト ニンバスダブレット 合気道衣 パレードキュイラス ガーディハーネス あとで選ぶ +... Brygid あなた、誰かと服を買いにいくと 必ず相手を待たせるタイプでしょ? これくらいすぐに決められるようになりなさい! Brygid そろそろ決まったわよね? それじゃあ…… すでに所持しているアイテムを選択 +... Brygid その装備は すでに持っているはずだわ。 新しいファッションに挑戦する勇気がないとダメよ! もう一度選びなおしなさい。 Brygid 合気道衣ときたか……。 まだまだだけど、悪くないチョイスね。 Brygid 合気道衣を着てみたいかしら? 私が出す条件をクリアできれば、 差し上げてもよくてよ? 選択肢:着てみたい? いいえ Brygid あら、もっと似合う装備を 考えついたのかしら? じゃあもう一度選んでみなさい。 はい Brygid それじゃあ……、そうね! アクアーリサブリガ、これを持ってきてちょうだい。 未来のファッションリーダーが、今 最も注目している装備よ! Brygid 合気道衣を着てみたいのなら、 アクアーリサブリガを持ってきてちょうだい。 ほら、急がないと流行に乗り遅れちゃうわよ! フォミュナ水道 / 礼拝堂 アクアーリサブリガを手にいれた! アクアーリサブリガ Rare Ex 防23 VIT+1 Lv50~ モ バストゥーク商業区 (Brygidにアクアーリサブリガをトレード) Brygid そうよ、これよこれ! この色艶、香り、間違いないわ! Brygid じゃあ、約束どおり これを差し上げましょう。 それを着て歩けば、みんなから 注目されること請け合いよ。 合気道衣を手にいれた! 合気道衣 Rare Ex 防33 VIT+4 AGI+2 Lv50~ モ 称号:ベスト・オブ・サブリスト Brygid あらあら、 相変わらずアカぬけない冒険者さんね。 Brygid なによそれ? またアーティファクト? 同じことを何度も言わせないでほしいわ!! ▲ ブリジッドのファッションチェック ブリジッドのファッションチェックII ■関連項目 バストゥーク商業区 , ブリジッドのファッションチェックIII Copyright (C) 2002-2015 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
https://w.atwiki.jp/sousakuokiba/pages/19.html
血闘 「それは、真剣勝負を求める男たちの血を賭けた闘い。誰にも悟られることがない、ストリートファイト」 現代の日本、大阪を舞台に空手、プロレス、合気道、キックボクシングetc。あらゆる格闘家が己が実力と、スリルを味うためにストリートファイトを繰り広げる、群像劇。 設定 ストリートファイター 現在、行われているストリートファイトに明確なルールは存在しない。ストリートファイターたちは夕方過ぎ、陽が沈んだ辺りから活動を始める。 お互いに殺気を出しながら、街を歩き、同じストリートファイターたちと邂逅した瞬間、勝負が始まる。 ストリートファイトにルールは存在しなく、単純にどちらかが立てなくなるまで。しかし、個人によっては相手に戦意が無くなった瞬間に攻撃を辞める人もいる。 反面、対戦相手に重傷を負わせる者も少なからず存在する。 もちろん、日本では決闘罪が禁止されている。ここ最近、多発する喧嘩により怪我を負う事件が増えており、警察も原因究明のために捜査へ乗り出している。しかし、負傷したストリートファイターは己のプライドやなんやらで、事情聴取を受けても曖昧な答え方をする。 稀に純粋な格闘家が、ストリートファイターたちの殺気に当てられ、勝負が開始されるケースも。 朱雀館 大阪は港区を拠点とする、ごく一般的なフルコンタクト空手。十年前に、空手協会の「周藤達也」と他数名の役員によって、関西での空手浸透を目指すために朱雀館を立ち上げたとされる。 周藤達也自身の豪快な性格や、関西圏におけるフルコンタクト空手の浸透性、ここ最近の格闘ブームもあって、門下生は一万人を越えた。 基本的には極真をベースにする、顔面禁止のフルコンタクト空手。本館は港区。支部は梅田、難波、生野、高槻、西淀川、と多岐に渡る。 一年に一回、朱雀館の門下生による大会「龍神大会」が開催されている。 華剛合気道 藤田友則が師範となって、経営している合気道の道場。門下生は十人ほどだったが、TVの取材により現在は四十人に増えた。 ルーツは華剛武術と呼ばれる、打撃と合気道を混ぜた古武道「古武術華剛流」。 戦後の武道禁止政策を経て藤田家当主藤田武臣が合気道に感化され、編み出したとされる。 しかし、合気道の技を本来のそれと全く違う用途で使っていたため、戦後の武道禁止政策で苦い経験をしていた合気道養神館により、華剛武術の禁止を武臣に言い渡す。 反発していた武臣であったが、その後は心を改めて、華剛合気道として一本化を目指す。 しかし、武臣は密かに自分の子孫に華剛武術を伝授していた。もちろん、友則もその一人だった。 千鶴落とし 相手の片腕の関節を極めた状態で、後頭部から地面に落とす投げ技。四方固めと、払い腰を複合した技 首刈り 相手の喉仏に向けて、人差し指を折り曲げた打突を叩き込む打撃技 青海プロレス 中部地方をメインに興行するプロレス団体。社長は猪江信二。 ローカルな地方団体で、観客を楽しめることをメインだったが、猪江信二の方向転換により、ドラゴン金田をメインとするストイックな興行内容で徐々に人気を伸ばす。しかし、ドラゴン金田の不祥事によって、団体は解散。 その後、FSWと手を組んだ猪江によって、青海プロレスのレスラーを全て回収、FPWという新団体を発足した。 FSW ファイティング・シューター・ワールド。社長は南方渓。 総合格闘系を目指しつつ、プロレス特有のエンターテイメント(ブック)を採用した団体。青海プロレスと同じく、中部地方をメインに活動しており、ライバル的存在。 昨今からの総合格闘技ブームにより、青海プロレスとの差がついたと思いきや、選手の数が少なく苦戦していた。 そこで、青海プロレスと共同戦線を貼ることとなり、抗争戦という内容で、毎月末に魅力的な抗争劇が繰り広げられる。 しかし、ドラゴン金田によるブック破りにより、メインイベンターである村田が重傷負い、裁判沙汰になる。結局、両団体は和解の末、解散してしまう。 PWW プロフェッショナル・レスリング・ワールド。 南方渓のFSWと、猪江の青海プロレスが元となる新興格闘技団体。総合格闘技のような、シュータースタイルを取り入れつつ、プロレスのような、観客を湧かせる演出を目指している。 社長には猪江が抜擢され、南方は主に現場監督。 PWWになってからは、人気が急上昇し、ダイジェスト版であるが番組を放送されるほど。 諏訪田 朱雀館の有段者。幼少期から空手を嗜んでおり、高校卒業と同時に就職。現在は土木関係の仕事をやりつつ、朱雀館で汗を流している。 空手の腕前は平凡で、高校までは黒帯を取れるかどうか怪しかった。高校卒業後、少しだけ空手から離れていたある日、不良に絡まれて喧嘩をしてしまう。そのとき、実戦で初めて使う空手の技の破壊力に魅了され、やがてストリートファイトを欲するようになる。 そこから、空手の才能が開花。朱雀館三段者で、龍神大会でベスト8に残るほど。 朱雀館には通いつつ、キックボクシングの杉本ジムや総合格闘技道場「王進」へ通っている。 オールラウンダータイプで、やや打撃方面に特化。総合格闘技ならではのテクニックを身に着けている。ストリートファイト界隈では、圧倒的すぎる実力により「通り魔」という名前で恐れられている。 得意技は、三日月蹴り。 金田 青海プロレスの元メインイベンター。 重量感があるファイトスタイルと、多種多様な技を覚えている、一種の天才肌。しかしブックと呼ばれる台本を演じる自分に嫌気が差し、時折、シュートーサインと共に真剣勝負を相手に吹っかける問題児となる。 猪江も口頭で注意するものの、それに逆らって、FSWとの抗争戦で村田と真剣勝負を仕掛け、彼の足を破壊する。その結果、裁判沙汰となり、金田は格闘技界から永久追放。青海プロレスとFSWは解散してしまう。 地方団体だったため、さほど世間からの注目を浴びることは少なかったらしい。 現在は蓄えていたファイトマネーを使って、大阪へ。そこでストリートファイトと出会う。 躊躇いもなくプロレス技を仕掛けるスタイルや、相手を完膚なきまで破壊する金田は「壊し屋」としての異名を持つ。 得意技はラリアット、DDT。 藤田友則 今年で50歳を迎える、合気道の師範。心の奥底で、闇に葬られた華剛武道が陽の目を浴びることを思っている。 諏訪田とのストリートファイトを通じて、狂気に満ちた彼を止められるのは自分しか居ないと思い、界隈へ飛び出す。 そこで初めて使う華剛武道の恐ろしさを実感する。 躊躇なく人体を完全に破壊する華剛武道を扱う藤田は、金田とは違う意味で、生粋の「壊し屋」である。 亀山満 朱雀館四段であり、去年の龍神大会で優勝した、「朱雀館の切り札」と称される男。 尖った顎と、スポーツ刈りがトレードマーク。身長体重ともに重量級だが、動きにもキレがあり、また読み合いにおける頭脳戦や、フェイントにも富み、周藤からは「二十年に一度の豪傑」と、その実力を認められている。 諏訪田の師範代であり、頭角を現す彼共々「青竜と玄武」と称されている。 得意技は正拳突き、上段蹴り。 猪江信二 PWWの社長を務める、エンターテイナー。自身もレスラーとして出場する。 ドラゴン金田を選出した人物であり、彼のファイティングスタイルはとても気に入っていた。しかし、真剣勝負を求める彼を徐々に抑えきれなくなり、とうとう村田の足を壊してしまう事件を経て、一度はプロレス界から姿を消す。 しかし、FSWの南方の説得により、PWWを発足した。 金田がストリートファイターに転向したのは把握しており、知人である杉本と一戦を交えたのも知っている。 杉本 杉本キックボクシングを経営する男性。キックボクシングへの第一線は既に引いているが、後継者である雨宮の育成に励んでいる。 しかし裏では、ストリートファイトに興じる面もある。が、金田の一戦によって病院送りに。現在は療養中。 雨宮 杉本の後継者。金田との一戦によりストリートファイトに興味を持つ。 村田 数年前、金田のブック破りによって右足を負傷させられた、元FSW所属のレスラー。怪我が完治したものの、格闘技界から引退、現在はサラリーマンとして働いている。 が、猪江によって金田がストリートファイターとして戦っていることを知り、復讐心のためにストリートファイターへ。 古武術華剛流を会得した金田と死闘を広げる。 早瀬 傷害事件を起こし、公式非公式問わず試合出場が停止された元プロボクサー。現在は小さなジムのインストラクターとして働いている。 類稀な分析とダッキングを駆使した攻防一体のファイトスタイルが特徴的。また柔術や総合格闘技の技術も取り入れており、打撃と組み技を完璧に両立させたオールラウンドファイター。 猪江により、諏訪田を成長させるための布石としてストリートファイト界隈へスカウトされる。が、諏訪田と同じくストリートファイトで格闘技の奥深さを痛感し、著しい成長を遂げる。
https://w.atwiki.jp/break_joker/pages/4965.html
ピスケス・ゾディアーツ【SP ver.】 ピスケス・ゾディアーツ【SP ver.】 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 BJNo 5 レア ★★★★★ 属性 共闘 最大レベル 50 スート ハート 水 HP 種族 その他 女性 攻撃 時代 平成 宇宙 チャージ 50 No.2791編集 作品 仮面ライダーフォーゼ MAXレイズ 800 スキル 必殺 合気道 180 【ダメージ反撃】1回まで、受けたダメージを、防御効果無視でこのカードのHPの200%分まで反撃する 超必 水流攻撃 160 3ラウンド、自分のチャージ量を、50%アップする ディーラースキル(リーダー) なし ディーラースキル(ヒット) なし 奥義 迎撃陣 カウント9 相手が次に発動した必殺技を自動的にキャンセルする BJエフェクト 自分の必殺技ゲージを100%回復する フレーバーテキスト 合気道と水泳が得意な新入生、黒木蘭がゾディアーツスイッチで変身した姿。十二使徒には加わらず、仮面ライダー部として戦った。 入手方法 備考 コメント コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5112.html
さて、では現在の私の状況を説明する。 特筆すべき事態は皆無の状況を維持していたのはこの放課後までだった。即ち、この放課後に特筆すべき事態が発生したということにほかならない。 珍しく沈黙を守っていた涼宮ハルヒが突然再起動し、この文芸部室にまで引きずられた。 容姿・生体的基礎能力、そして性格が他を非常に大きく逸脱したこの女子生徒は私の高校生活最初の日から私の後ろの席に居座っていたのだが、彼女は他を拒絶 してるようであったし、私も興味はなかったので、これまでと同じように時々友人(補足すると中学から異性としての要素を考慮にいれない付き合いをしていた国木田君や高校から話すようになった数人の女子生徒だ)と話をしながらも大半では黙々と読書にふける学校生活を送っていた。 どうやらそれがいけなかったらしい。 私は客観的に見れば、正にという無口文学少女だろう。しかし私は一人の人間であり、全く話さないわけではない。少々口下手なのを自覚してるのも合間って自発的に話し掛けないだけで、話が始まれば無口なりに話すし、常に無表情というわけでもない。友人もそれなりにいる。 だが、彼女の他を大きく逸脱したエキセントリックな感性に対して私というキャラは見事にマッチしてしまったらしい。 『あんた、気に入ったわ!今度からあんたのこと、有希って呼ぶから!』 『……そう』 そして、クラスで唯一彼女とコンタクトをとれるという理解に苦しむレッテルが追加されて数日が経ち、かくかくしかじかなことがありつつも、新しい部活を作ればいい、と叫ばれ、現在に至る。 確認しよう。私は彼女に特別干渉するようなことはしていないし、影響を与える可能性が高いことも言っていない。 なら何故、私はここにいるのだろう。 【もしもシリーズ壱号作:長門とちぇんじ】 さて、前述のように私はこの涼宮ハルヒという人物によって私の在学する通称北高の果てに存在する部室棟の三階にある文芸部室にまでつれてこられたわけなのだが、 「これからこの部屋が、我々な部室よ!」 「……少し待って欲しい。ここは文芸部室のはず」 現に、窓側にパイプ椅子を置いてそこに座り、片手に文庫本を持ってぼうっとしたようすでこちらを見つめる、文芸部員らしき男子生徒がいる。 「そ。でも今年の春に三年生が卒業して部員ゼロ。新たに誰かが入部しないと休部が決定していた唯一のクラブなのよ。で、こいつが一年生の新入部員」 予想は当たったらしい。 「……では休部になっていないはず」 「似たようなもんよ。一人しかいないんだから」 似て非なるものだと思う。 「しかし、あの人はどうするの」 「別にいいって言ってたわよ」 「……本当?」 「ええ。昼休みに部室貸してって言ったら、好きにすればいいさって。ゆっくりできればそれでいいらしいわ。高校生にあるまじきグータラぶりは、相当変わってるわよねぇ」 変わってる、という事に関して貴女が言える事は無いと思う。 「ま、そーゆーことだ。俺はキョンと呼ばれている。一つ適当によろしく頼むよ」 「……長門有希。こちらこそよろしく」 その声は、落ち着いて堂々とした声だった。容姿は一見して普通、しかしよく見ると結構高い水準にある。しかし、これはこの際関係無い。 「彼女はこの部屋を理解するに困難な部活動の部室にしようとしている。それを、許可するの」 「ああ、別に構わん」 「……しかし、恐らく多大な迷惑をかけると予想される」 「それはそれでいい」 「……そのうちこの部屋の専有権の放棄を迫られる可能性もある」 「そんときはそんときさ。なるようになる」 「…………」 思わず、絶句。よく考察すれば、彼の目的に当該の部室の絶対的必要性は著しく低い。故に生じる無関心さなのかもしれない。 「ま、そういうことだから。これから放課後、この部屋に集合ね! 絶対来るのよ!! 来なかったら、死刑だから!!!」 「…………了解した」 むしろ、圧し負けたというに近い。しかし、死刑は嫌。 そして翌日。 彼女は私に先に行くよう指令を下し、廊下へと消えた。 部室に到着した私だが、既に彼は来ており、少々行儀の悪い体制で文庫本を片手にしていた。そして、私も読書家だ。珍しく、興味が沸いた。 「何、読んでるの」 「ん、よう長門。本か、伊坂幸太郎の『重力ピエロ』だよ」 眼鏡を通して彼の文庫本を確認する。確か、若い層に人気のある作家だ。 「面白い?」 「ああ、中々ユニークだ。ジョークのセンスも話もな」 「本、好き?」 「暇つぶしの手段として優秀だな。地球人類の創りだした文化の極みだよ」 「……そう」 とりあえず、読書仲間が増えるのであれば先の狼藉も有益かもしれない。 そこから、同性の私からみてもかわいらしいと評価できる朝比奈みくるという先輩がかつての治安維持法も驚愕するような理不尽な理由で強制召喚され、色々あったのちに傍観に徹していたキョン(これで通すことにする)をしばし見詰めてから入部したり、男子生徒が一人追加されたりしたが、割愛する。 むしろ、重要なのはこちらの方。 「おお、そうだ長門。これ、読んでみろよ」 そういう彼に渡されたのは、伊坂幸太郎の『ゴールデンスランバー』という一般的なハードカバーの小説。読んだことはない。 しかし彼が奨めるのだから面白いのだろう、と判断して素直に受け取る様を彼が少し神妙な顔でみていたことが少し気になった。 結局、私は今読んでいる本を読み切っておきたかったので借りた本はまだ手を付けていない。 それを読んでいたかのように、彼が私に催促した。私は違和感を覚える。彼は自発的理由から他人に余計な干渉はしない。私や朝比奈みくるの世話などはしてく れるが自らの考えからの行動は少ない。 私は帰り次第、妹をなだめてすぐに本を開いた。そして30分程読んで、挟まれていた栞の存在に気が付いた。 《午後七時、光陽園駅前公園で待っている》 時計を見て、素早く財布を持って、妹に用件を託し、タイミングよく来たタクシーをつかまえ駅前公園へ向かった。時間と距離的にその方がよい。滅多に使わないため、余裕があった。 公園に到着した私は、小走りで公園を回り、ベンチを横になる彼を視認した、と同時にそれを知っていたかねような悠然とした動作で彼が起き上がる。時間にはまだ少し余裕があったようだ。 「今日で、よかった?」 「ああ」 「……もしかして、昨日も?」 「まあな。別に気にしなくていいぞ」 「……何故、ここに?」 「なにかと都合がいいからな。さて、こっちだ」 数分喋るでもなく歩いた先にあったのは、この辺では知れた高級マンションだった。エントランスを抜け、玄関をくぐり、エレベーターで上がって、着いたのは少し殺風景な部屋だ。そしていま、私達は彼のいれたお茶を挟んでこたつを介し、向き合って座っている。 「…………」 「…………ふぅ、少し熱いな、失敗だ。気をつけてくれ」 「……家の人は?」 「いないぞ」 あまり健全な状況ではない。流石に動揺してしまう。 「……お出かけ?」 「いや、最初からいねえよ。俺しかな」 一人暮らしだろうか、初耳だ。 「ん~、まあそうなるな」 少し曖昧な返答をした彼は、再びお茶を注いだ。 「それで、用は?」 すぐには答えず、注ぎ終えたお茶をさしだして、「飲んでくれ」と、彼は言った。従って、飲む。 「うまいか?」 首肯する。事実、美味しかった。彼は、「そうか」とだけいって、こちらを見詰めてくる。 「じゃあ、なんでお前をここに連れて来たかなんだが、」 一拍おいて、 「涼宮。涼宮ハルヒのことだ。んで、俺のことでもある。お前に教えておこうと思ってな」 「……涼宮ハルヒと貴方が、何」 パターンからいえば恋愛沙汰だろうが、この場合役者が明らかにおかしい。私という人選もまた然りだ。 「そうじゃねーよ。うまく言語化できんな。情報伝達に齟齬が発生するかも知れんが、でも聴いてくれ」 それが、思えば実質的な『それら』の全ての開始だったのかもしれない。 「涼宮と俺は、普通の人間じゃないんだ」 「……前者はわかる。しかし、貴方は……」 「ああ、いや、そうじゃないんだ。性格に普遍的な性質を持っていないだとか頭の中が年中ハレハレのパラダイス状態だとかそういうんじゃなくてだな、文字通りの意味で、あいつと俺はお前のような大多数の人間と同じとは言えないんだ」 結構散々に言っている。しかし、本番はここからだったようだ。 「この銀河を統轄してる情報統合思念体によって創られた、対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェイス、それが俺ってわけだ」 「………………?」 「あ~、通俗的な用語を使うとだな、宇宙人に該当する存在に当たるな」 「……宇宙……人……?」 二つの意味で、信じられなかった。 話自体もそうだが、彼はこんな小学生も信じないような嘘をいう人ではないし、そのためにわざわざ呼び出すなど尚更、更にいちいち難しい言い回しをするようなこ ともないはずだ。 現在の状態は、困惑。 「俺の仕事は涼宮ハルヒを観察して、入手した情報を情報統合思念体に報告することなんだ」 「………?」 「生み出されてからこの三年間、俺はずっとそうやって過ごしてきてた。この三間は特別な不確定要素もなく、至って平凡だったよ。しかーし、最近になって無視のできんイレギュラー因子が涼宮ハルヒの周囲に現れた。それが、お前だ」 「情報統合思念体にとってだな、銀河の辺境に位置するこの星系の第三惑星に特別な価値なんかなかったんだ。ところがどっこい、現有生命体が“地球”と呼称するこの惑星で進化した二足歩行動物に“知性”と呼ぶべき思索能力が芽生えたことによってだ、その重要度は増大したんだな。ひょっとしたら、自分らが陥っている自立進化の閉塞状態を打開する可能性があることを否定できんからだ。宇宙に遍在する有機生命体に意識が生じるのは有り触れた現象だったんだが、高次の知性を持つまでに進化した例は地球人類が唯一だったんだし。 情報統合思念体は注意深くかつ綿密に観測を続けていたんだが、三年前に惑星表面に他では類を見ない異常な情報フレアを観測した。弓状列島の一地域から噴出した情報爆発は瞬く間に惑星全土を覆って、惑星外空間に拡散したのさ。その中心にいやがったのが涼宮ハルヒで、そっから三年間色んな角度から涼宮ハルヒという個体に対して調査を行ったんだが、まだよくわかってないんだ。 それでも情報統合思念体の一部はあいつこそが人類の、んでもって情報生命体である手前等にも自立進化のきっかけを与える存在として涼宮ハルヒの解析を絶賛実行中ってわけだ。 情報生命体であるやつらは、有機生命体と直接的にコミュニケートができん。話せんからな。人間は言葉抜きに概念を伝達できんだろ。んだから俺みたいな人間用のインターフェイスを創ったんだな。情報統合思念体は俺を通して人間とコンタクトできるんだよ」 一気にそこまで喋ったためか、彼が唇を湿らすように湯飲みを口へ運ぶ。 「つまりだ、涼宮ハルヒは自立進化の可能性を秘めてる。まぁ大方、あいつは自分の都合の良いように周囲の環境情報を操作する力があるんだろうよ。それが俺がここにいる理由、んでもってお前がここにいる理由って筋書きだ」 「待って。理解しがたい」 「信じてくれ」 ……それは乱暴すぎる。 「そもそも何故、私なの。……いや、百歩譲って貴方の情報統合思念体云々という話を信用したとして、何故私に正体を明かすの?」 「お前は涼宮ハルヒに選ばれたからな。あいつは意識的か無意識的かはわからんが、手前の意思を絶対的な情報として環境に影響を及ぼしてる。お前が選ばれたのにも何かしら理由はあんだろ」 「……無い」 「あるな。お前と涼宮ハルヒが全部の可能性を握ってる」 「……本気?」 「勿論、えらくマジだ」 同じクラスの「谷口」と呼称される男子生徒のように口数が多いわけでもなく、基本的に現実しか見ないリアリストのような彼が、唐突に私に饒舌になったかと思うと、延々と非現実的なSF話を聞かされた。このように特殊な思考回路を有する人物だとは、想像もつかなかったというのが正直な感想。 「まず、そのような話であれば涼宮ハルヒ自身に話したほうが喜ばれると思われる。私はSF的な話題を好んでいないわけではないが、現実的でない話を現実に反映させるようなものには着いていけない」 「情報統合思念体の意識の大部分はな、涼宮のヤツが自分の存在価値と能力を自覚しちまうと、予測のできん危険が生んじまう可能性があると認識してんだ。今はまだ様子を見るべきだな」 「私が今聞いたことを、涼宮ハルヒに伝える可能性がある」 「まぁ確かに、あいつはお前からもたらされた情報を重視するだろうよ。だがあいつの思考回路はともかく知識は結構常識的でな、早々鵜呑みにしたりはしない。これは大多数の人間にも言えることで、現にお前だって今の内容を信じ込んではいないだろう?」 ……悔しくも、理に適っている。 「情報統合思念体が地球においているインターフェースは、俺一つじゃない。情報統合思念体の意識の一部は、積極的な行動を起こして、情報の変動を観測しようとしてやがる。んでもって、お前は涼宮のヤツにとっての鍵みたいなもんだ。危機が迫るとしたら、まずお前だな」 …………。 それから、某男子生徒の登場や、朝比奈みくるから前述の話と類似した、加えて言うなら属性が宇宙から未来へと変更されたかのような話をさせられ、それに起因して彼の話が少し信じられるような気がして来たと伝え、図書館へ行き、などという探索があったのだが、その辺りは原作を想像で改変してから自らの脳内で展開させておいて欲しい。結果はどちらにしろ同じ。ちなみにその後、某男子生徒改め古泉一樹より超能力的話も聞いた。以上。 そして、舞台は世界を朱へと染める太陽の断末魔が出番となった時間帯の教室へと跳ぶ。基本的にこれは電波小説だ、しっかりと着いてきて欲しい。 団活終了後、私は朝に下駄箱より確認した手紙に従い、教室のドアを開け、そこにいた人物を目にし、非常に意表をつかれた。 ――朝倉涼子 私の所属するクラスの委員長を務め、その任を見事にこなしてクラスを纏め挙げている、中々の手腕を有した女子生徒だった。 彼女は私と目を合わせてから、ゆっくりと教室の中心へと歩き出す。彼女の足音が異常なほど良く聞こえた。 「入ったら?」 穏やかな微笑と共に私の入室を促す。若干の驚きの意味を込め、私も言葉を返した。 「……あなたが?」 「そ。意外でしょ?」 意外だ。放課後に教室を呼び出すほどの用事が、彼女にあるとは思えない。近日中に何らかのイベントも無く、前提として私は何の役員にも属していない。 「用は?」 「用があるのは確かなんだけどね……、ちょっと訊きたい事があるの。涼宮さんのことね、……どう思ってる?」 また、涼宮ハルヒ。しかし彼女は涼宮ハルヒの孤立を警戒して幾度かコンタクトを試みようとしていた、その話だろうか。だがそうであれば、俯いてもじもじとする必要性は見つからない。 「人間はさ、よく『やらなくて後悔するよりも、やって後悔するほうがいい』って言うよね。これは、どう思う?」 「よく言うかどうかは知らない。しかし、言葉どおりの意味であると思われる」 「じゃあさ、例え話なんだけど、現状を維持するだけではジリ貧になることはわかってるんだけど、どうすればいい方向に向かうかわからないとき、あなたならどうする?」 「……話の意図を理解できない。日本経済の話?」 「とりあえず、何でもいいから変えてみようと思うんじゃない? どうせ今のままでは何も変わらないんだし」 「……そういうことも、あるかも知れない」 「でしょ? ……でもね、上の方に居る人は頭が固くて着いていけないの。でも、現場はそうもしてられない。手をこまねいていたら、どんどんよくないことになりそうだから。だったら、もう現場の独断で強行に変革を進めちゃってもいいわよね?」 ……本格的に話が理解できない。どっきり、といわれるものだろうか。掃除道具入れにでも、誰かが隠れているのかもしれない。 「何も変化しない観察対象に、わたしはもう飽き飽きしてるのね。だから、」 そして朝倉涼子は、一拍を置いて、嬉しそうに、 「あなたを殺して、涼宮ハルヒの出方を見る」 ――瞬間的な本能だったのかもしれない。 私は妙な気配を感じた瞬間に僅かに体をずらし、紙一重に朝倉涼子の持つナイフから逃れた。かすった部分の制服や、リボンが見事に切断されている。 思わず、息を呑んだ。朝倉涼子はナイフを持ち、私と対峙している。 この状況は何。何故私が朝倉涼子にナイフを突きつけられなければならないのだろう。彼女は何と言った。『私を殺す』? 何故。 「……冗談は止めて欲しい。本当に危ない。実際に切れているところから本物であると推測される、正直に言えば怖い」 こんな状況でも、何気に冷静でいられて且ついつもどおりの平坦な声が出る事に、内心流石に呆れた。 「冗談だと思う? ふ~ん……」 理解に苦しむ、といった表情で彼女はナイフを弄び始めた。理解に苦しむのはこちらの方。 「死ぬのっていや? 殺されたくない? 私には、有機生命体の死の概念がよく理解できないんだけど……」 「意味が理解できない上に面白くもない。いいからその危険物をどこかに置いて欲しい」 笑顔で言われた。 「うん、それ無理。だって私は、本当にあなたに死んで欲しいんだもの」 言うが早いか、朝倉涼子は素早くナイフを逆手から順手へと持ち直し、こちらへ飛び込んできた。かなり速い。しかし、直線的な動きだったおかげで何とかかわすことができた。直線的な動きは次の行動へと支障を生じる、その隙に教室外への逃走を試みたが、何故か扉は消えていた。 「無駄なの。今この空間は、わたしの情報制御下にある。出る事も入ることもできない」 もはや何も理解できない。理解できた人間はこの場へ来て、私に説明して欲しい。困惑していた。 「ねえ、諦めてよ。結果はどうせ、おんなじなんだしさ」 できないことをいう彼女と一定の距離を取る。 「……あなた、何者?」 しかし彼女は答えず、変わりに回りの机や椅子が跳んできた。反射的に反対方向へと逃げる。 教室の隅に来た時には、教室は手榴弾が暴発したかのような凄惨な状況へと変貌し、瓦解した壁からは幾何学模様の渦巻く空間が露出していた。 私は悪あがきとして、手近な椅子の足を握って、彼女の方へと投げる。 「むだ」 予想に反して勢い良く跳んで言った椅子が、彼女の目前で不可視の壁にはばかられたように空中に静止して、何故かプラズマのようなものを放出している。 「言ったでしょ、今この教室は私の意のままに出来るって」 いい終えると同時に静止していた椅子が弾かれた。さながら某絶対恐怖領域だ。 ふざけている場合ではない。私を殺して涼宮ハルヒの出方を見る? また涼宮ハルヒ。彼女は人気者のようだ。しかし、何故それで私が死ななければならないのだろうか。 「最初から、こうして置けばよかった」 正にそうだ。体が金縛りを受けたかのように動かなくなっている。神経接続の切断などではなく、感覚的には物理的に締め付けられているに近い。これは反則。 「あなたが死ねば、必ず涼宮ハルヒは何らかのアクションを起こす。多分、大きな情報爆発が観測できるはず。またとない機会だわ!」 ……そんなことは知らない。 しかし悪態をつく事もできずに、私は高々に降りあげられるそのナイフを眺めるしかできなかった。 「じゃ、死んで♪」 そして彼女が腰を落として体勢を作り、動き始めた瞬間に、私は砂塵によって視界を失った。聞こえるのは爆音。思わず頭部の保守体勢をとった。……保守体勢をとった? つまり、体が動く。恐る恐る目を開くと、 「っ!?」 目の前にはナイフの切っ先、そしてそれをつかみ痛々しい血を流している手と、 「……キョン……?」 文芸部の少年を確認した。息遣いから、朝倉涼子が息を呑むのを察することができる。彼――キョンは、ゆっくりと喋り始めた。 「一つ一つのプログラムが甘いな。それと側面部の空間封鎖、あと情報封鎖も甘い。だから俺に気付かれちまって、侵入も許す」 「邪魔する気? この人間が殺されたら、間違いなく涼宮ハルヒは動く。これ以上の情報を得るには、それしかないのよ?」 「お前は俺のバックアップだろうが。独断専行は許可されてないってんだよ。俺に従うべきじゃないのか?」 「嫌だと言ったら?」 「仕方ねぇから情報結合でも解除してやるよ」 「やってみる? ここではわたしの方が有利よ? この教室はわたしの情報制御空間」 「はいはい、言ってろ。んじゃ、情報結合の解除を申請するぞ」 適当にあしらうように彼が言った直後、忌々しいナイフが切っ先から光の粒子へと変貌して分解されていく。質量保存の法則は何処で迷子になってしまったのだろうか。 それに気付いたらしき朝倉涼子は常識はずれにも五メートルほど高く跳躍して交代した。オリンピック選手が馬鹿馬鹿しくなりそうだ。私は既に、この2人が人間ではないのだと、本能から悟った。 朝倉涼子の右手が閃光を発した瞬間、よくわからないが『何か』が跳んできた。しかしそれは彼の張ったらしいバリア的な『何か』によって受け止められたらしく、消滅した。安心したのも束の間、即座に多重一斉攻撃が開始されていた。そして、肉眼で確認出来ないほどに速く動かされている彼の腕がそれらに対抗していた。 唐突に、彼の反対側の手が私の頭に乗せられた。 「離れるなよ」 言うと同時に彼の手に力が込められ、私はそれに従って自然にその場へ座りこんでいた。視点を変えたからか、朝倉涼子の攻撃は見えないまでに加速された槍状のものであると、本能的に察した。生態的危機からか、脳の本能的部分が通常より機能しているらしい。だがすぐさま、背後で爆発が起きた。防ぎきれなかった攻撃によるものだろう。 「この空間では私には勝てないわ」 ベタな戦闘系フィクションの悪役が一度は言いそうなことだ。彼は答えずに、私には聞き取ることのできないような速度で何かを呟いた。高速詠唱と言うものだろうか。 「パーソナルネーム朝倉涼子を適正と判定する。当該対象の有機情報連結の解除を申請するぞ」 つまり、お前に勝つぞということ。 「あなたの機能停止の方が早いわ」 つまり、勝つのはこっちということ。しかし彼女の方は実態が何処にいるかがつかみにくいようなエコーがかかっている。 気がつくと、先ほどの朝倉涼子のように高く跳躍した私がいた。違う、跳躍した彼に私が小脇に抱えられているようだ。上空から、先程まで私がいた場所が爆発に飲み込まれているのを確認した。 「危ね。危機一髪だったな」 やれやれ、などと彼は悠長に溜息をついていた。緊張感のなさに頼っていいのか、穿っていいのか、判断しづらい。 「その娘を守りながらいつまで持つかしら」 朝倉涼子の高速詠唱と共に先程の高速槍状物体による多重攻撃が開始され、彼はそれを避けながらそれでも当たりそうなものを弾いている。 一瞬、視界がぶれたかと思うと私たちは彼女の背後にいた。高速移動か、空間歪曲による瞬間移動だろう。Gを感じなかったところから見て、後者だろうか。などという考察を終える前に彼女はこちらへと向き、次の瞬間には攻撃を放っていた。 ……これは、当たった。 そう、私は思った。これまで見えなかった槍状物体が、今度はハッキリと見えた。目を閉じる。 覚悟した衝撃は訪れず、感じ取ったのは私の眼鏡が落ちたことと、 「……!!?」 幾つもの槍に体を貫かれた彼の姿だった。それを見てから、私は彼に庇われたのだと初めてわかった。 「……ぁ……」 思わず、声が漏れる。刺さった箇所は医学的に見て、肺や胃をはじめ肝臓や気道をも貫いている。人体急所諸々だ。出血の量もおびただしい。しかし、彼は安心したかのようにゆっくりとため息を吐いた。 「……お前は動かなくていいからな。大丈夫、平気だ」 穏やかな微笑を浮かべる彼だが、滴り落ちる彼の血液の雫が、ぴちゃん、という音を鳴らしているのが、嫌に生々しく、おぞましかった。少しも平気に見えない。普通は死亡確定コースだ。 彼は刀を抜くかのような動きで、気道部分に刺さった槍を抜き、捨てた。捨てられた槍は少し間をおき、机の姿へと回帰していった。机でできているらしい。 「それだけダメージを受けたら、他の情報に干渉する余裕はないでしょ? じゃ、とどめね」 さも嬉しそうにいってくれる。振り下ろされた彼女の袖口からは、白く光る触手が伸びていた。その姿は、さながらシャムシエル。 「死になさい」 即答で拒否できそうな命令をいってくる朝倉涼子だが、彼女の触手と化した腕は彼の両胸を貫いた。衝撃から飛び散った彼の血液が、私の顔へと引っかかる。肺どころの騒ぎではなく、もう心臓を壊している。本来即死コースだ。 即死コースにもかかわらず、彼は動いて右手で光る触手へと触れた。 「はい、終了だ」 「何のこと? 貴方の三年あまりの人生が?」 「違うぞ、むしろそれはお前のほうだな。……情報連結解除開始だ」 彼が呟くと同時に、教室、いや元教室にある全てのものが光の粒子になって分解され始めた。さて、質量保存の法則はまだ迷子センターにも行きついていないらしい。 「そんな……」 「お前はまあ結構優秀だ。だからこの空間プログラムを割り込ませるのに今までかかったんだ。でも、もう終わりだな」 「……侵入する前に、崩壊因子を仕込んで置いたのね。道理で貴方が弱すぎると思った、予め攻性情報を使い果たしていたというわけね」 「まあな。おかげさんで、割とダメージを受けちまったが確実な方向で行きたかったしな」 「じゃあ、もし最初にあなたの言う通りにしてたら?」 「俺が見誤ると思うか?」 「……あ~あ、悔しいなぁ。全部お見通しだったんだね。所詮わたしはバックアップだったかぁ……。膠着状態をどうにかするいいチャンスだと思ったのにな」 「やかましい、待てないからって無理やり行動すんのはどこかのアホか、子どもぐらいなもんだ。大人しくしてりゃあよかったものを……」 「ふふっ、同情してくれるんだ。嬉しいなぁ……。うん、そうね。わたしも、もういいわ。負けたんだし」 朝倉涼子は、そのあどけない笑顔をそのままにこちらへと向いた。……そう、彼女は『子ども』だったのだろう。 「よかったね長門さん、延命できて。でも気を付けてね? 統合思念体はこのようにいくつも相反する意識を持ってるの。いつかまた、私みたいな急進派が来るかもしれない、それか、キョン君の操り主が意見を変えるかもしれない」 「従わんがな」 「そうかもね」 彼の言い分に、朝倉涼子がおかしそうにころころと笑った。 「それまで、キョン君や涼宮さんとお幸せに」 崩壊が首元まで進んでいた。そして、最後に彼女は、明るく笑った。 「じゃあね」 そして、朝倉涼子は『消えた』。それと同時に、彼が膝から崩れる。 「キョン……!」 私はほぼ無意識的に素早く彼の元に寄り、 「……しっかりして。今、救急車を」 読んでどうする。この状態は普通死んでいるはずだ。自らの焦り具合に再び内心で呆れた。 「いや、いい。肉体の損傷は大したことないからな。正常化せねばならんのは、まずこの空間のほうだな。不純物を取り除いて教室を再構成する」 見ると、360度砂漠な空間だった。しかし突如爆発が起こったかと思うと、回りの砂が失せていき、いつのまにか夕暮れ時の教室へと回帰していた。 彼は床に倒れ、私はそのそばに跪いている。 「……本当に大丈夫?」 「処理能力を情報の操作と改変に回したからな、このインターフェースの再生はあと回しだ」 彼が身じろぐ。反射的に私は彼の後頭部をとり、反対の手で彼の手を動かして私と組ませ、起き上がるのを補助していた。 「今、やってる……って、お?」 彼が動きを止めた。 「どうか、した?」 私が言い終わるや否や、彼は私の顔を軽くぺたぺたと触りだした。少し、くすぐったい。 「っと、すまん。眼鏡の再構成を忘れちまった」 「……いい。貴方には、眼鏡属性はなさそう」 「眼鏡属性って何だ?」 「……ただの妄言。忘れるべき」 「……そっか、なら忘れたほうがいいな」 「いい」 この瞬間、不測の事態が起こった。……教室のドアが、 「うぃ~っす。WAWAWA忘れ物♪~……のぅわっ!!!?」 …………私は無口に該当されるが、この沈黙は痛いと感じる。 そしてこの体勢は、私の方から『致そう』としているようにも見えなくないわけで。 「……すまん」 何が。 「ごゆっくりっ!!!!」 だから何が。 「……面白いヤツだな」 「…………どうしよう」 「ん? ああ、任せろ。情報操作は得意だ」 記憶でも消せるのだろうか、と期待したのも束の間、 「朝倉のやつは転校した事にする」 「……そっち?」 などと冷静につっこみを入れている場合ではない。もしかすると私は、とんでもない体験をしてしまったのではないだろうか。先日、彼の語った非現実的な話を信用するしないの問題ではない。先ほどの事態は、私に本当の危険さとは何かを身を以て体験させた。これでは、彼が宇宙人であると言う事に納得せざるを得ない。真実か否化の論争を越え、事実としてやってきたのだから。 だが、このポジションは美味しくもある。なんだかんだいいつつも、常に彼に意識を置かれ、時に守られるという完全なヒロイン的ポジションで―――――― ………………… ……………… ………… ……… …… … 「…………ダメ」 「いいじゃないか長門。なにやってたのかを訊いてるだけなんだし」 まさか、現在の状況を構成する上で彼と私のポジションを入れ替えた場合の設定でシミュレートした結果を文字に引き起こし、本にして窓辺で読もうだなんて考えていることを、彼には言えない。しかもその結果がもう間違いなく『長キョン』といわれるルートをたどると見て、嬉しくて身もだえしてしまいそうだとも言えるわけがない。 「なにか打ち込んでるようだったが、今度は小説か?」 ……迂闊、彼は地球人類で唯一私の表情を完全に読む事に出来る存在。無敵の無表情でも、彼には通じず、些細な真情の変化をも読まれてしまう。熟年夫婦のようだ。…………それはそれでいいかもしれない。 「……人間は、好奇心から進歩を続けてきた。しかし故に壊滅した存在も多くある。多大な詮索は推奨しない」 「…………言い訳か「ちがう」 …………。 「ちがう」 「ああ、わかったよ、違うんだよな」 「そう。あなたは賢明」 「そりゃあんがとよ」 禁じえない、と言った様子で苦笑を浮かべる彼を、私は恨めしそうに見詰めているだろう。彼の手が私の頭に乗せられた。勿論、撫でるために。 「よし、図書館にでもいくか。ハルヒは風邪、古泉はそれゆえのバイトで、朝比奈さんは鶴屋さんのとこだし、何もせずに帰るのも面白くないだろ?」 「いく」 しかし、先程の設定では彼が様々な危ない目に合う。それは好ましくない。このままであれば私は彼を守る事ができるし、彼も私を守ってくれる。現在のままでは彼の件での敵性存在は多くあるが、他にはないポジションである事も否定出来ない。私は、彼を守る事ができるのだ。それが、私がここにいる理由。 「貴方は」 「ん?」 「貴方は、私が守る」 彼の手を捕まえて、強く、握る。 「信じて」 「信じてるぜ、長門」 「……そう」 ――読了―― 【……ユニーク】 朝倉「ねえ、わたしって明らかに消され損よね。ぴょこんと出てきて情報連結解除されただけじゃない」 喜緑「そのとおりですね。でも、貴女は少しでもキョンさんと絡む事ができた上に、ちょっといい雰囲気にも包まれていたじゃないですか。十分、折檻ものです」 朝倉「(ビクビク)で、でもさ、喜緑さんだって、あの設定だと好き勝手できるわよね!だって穏健派の喜緑さんは鍵たる存在であるキョン君との接触は最低限に限られてるけど、あれだと主流派のキョン君じゃない?プライベートにお付き合いできるじゃない!! ね、ね!!?」 喜緑「まあ……まあまあまあ!!! 何と素晴らしいんでしょう、つまり強引に《禁じられたワード》を進めちゃったりとか、思い切って《禁じられたワード》して《禁じられたワード》にしてもいいってことなのですね? あらあらあら、とても素晴らしい世界ですこと。では早速、涼宮さんから『力』のほうを頂きに……」 九曜「――私……も――冬に――彼を――……うれ……しい―――」 天蓋「可愛い妹と私自身のために! 情報統合思念体にはこの件に関しては協力するわ!」 朝倉「……じゃ」 喜緑「行動は」 九曜「――素早く」 天蓋「進めるべきね!さあっ、続きなさい!!」 (注意兼あとがき:この件に関しては続きません。よい子のみんなは期待しないでくださいね♪ もし続きが欲しければ、ご自分でお書きになるのが得策かと♪ それでは、次のキョン君は誰とちぇんじするのかな? 気長に待とう!! See you again!!) 裏会合 ハ「あたしたちって、何だったのかしら?しかもここですら簡略化されてるし、さっきより」 古「いえ、我々の名字では字数を統一できません。僕たちは二文字ですが、朝比奈さんは三文字だ」 み「で、でもぉ、三人とも名前の方は三文字なんですけどぉ……」 ハ「そうよね。つまりこういうことも可能なのかしら。……えい!」 ナルシスホモ「……おーけー、落ち着きましょうか涼宮さん。僕はリリンです」 ハ「似たようなもんよ。(その属性は互いに)一人しかいないんだから」 み「首ちょんぱですぅ」 ナルシスホモ「神人にですか?」 ハ「神人って何?」 ナルシスホモ「何でもありません。ただの妄言です」 み「ナ……古泉君、心証のなんとやらですかぁ?」 ハ「言いかけたわね。まあいいわ、とりあえず言いたいことは色々あるでしょうね、読んでる奴ら。有希って、キョンをキョンって呼ばないわよね」 み「デフォルメでしゅ」 ハ「2人とも、何か喋った?」 み「いえ……。あ、でもポジションがころころ変わるみたいですねぇ」 作「しかしながら気分によって書くんで、必ずしも続編が出るとは言いがたいんです。短編連作、何処から読んでも大丈夫。途中で切れても大丈夫。連載を途中でブツるよりマシでしょう」 ハ「作者が乗り込んでくるの、ちょっと痛いかしら。長いし。でもそれって逃げてるだけね、周りから、何より自分から」 作「うん」 み「最後だけ少し、綺麗でしたねぇ」 作「私は元々シリアス畑。そっちが本職です。電波と言うのは副職のようなものです。賛否両論あるとは思い……たいのですが、これにて終わりです。ではまた。 ……あと、そこに転がってるの何です?」 キ「リリンのタブリスだろ」
https://w.atwiki.jp/hono4/pages/240.html
藤咲ひなた:よっこいせ GM:どっこいせ GM:さてたのしいCCのお時間です。セッション終了後なので侵食率はガンあげされたあとになりますね! 藤咲ひなた:なお18の模様 GM:あ、そういえばそれですが 藤咲ひなた:うん GM:刻印付与分のSP上昇+5がかかってないぽいです 藤咲ひなた:あ、ホンマや 藤咲ひなた:23だね。なおしとく GM:あいあい GM:そして成長まだですが GM:わたしもGM経験点まだゆきにいれてなかったのにきづいたので GM:経験点+50およびSP+5を2回あげておきますね☆ 藤咲ひなた:おっけー 藤咲ひなた:こっちは魔法何覚えるか悩んでる GM:ということでお互いに侵食率が2になりましたということを確認した後、CCにはいりたいとおもいますー。よろしくおねがいします。 藤咲ひなた:よろしくー GM:成長はまだでもだいじょうぶなのでゆっくりおかんがえください! GM:でシチュエーションですが、セッション終了時の気絶から目覚めた後、柚希と一緒に補講か、それとも部屋にもどってかで考えてますが、特に希望のシチュなどはありますか? なければ補講になりますが 藤咲ひなた:んー。いや、部屋に戻ってよりは補講のほうがシチュ的に美味しいんでそっちかな 氷野 柚希:あいあいさー。それでは描写しますね。 藤咲ひなた:あいあい 氷野 柚希:柚希に開発さて、ぐったりと気絶していたひなたですが、しばらく後に目を覚まします。 が、目覚めた視界に飛び込んできたのは見知らぬ天井。 薄暗く、息詰まる空気…地下のような空間だろうか。 横たわる巨大なベッドの上でそんなことを考えていると、 「ひなた…だいじょうぶ…?」 心配そうな表情で柚希が君の手を握り、顔を覗き込んできた。 藤咲ひなた:「ん……んんー……?」 もぞもぞと握られた手を握り返し、ふにゃっとした笑顔で微笑み返す 「だいじょーぶ。すっごい気持ちよかっただけだから……で、ここどこかな…?」 のぞき込む柚希の身体にしがみ付きながら身を起こして 氷野 柚希:「んっ…先生が、補講だって…その…」 しがみつくひなたに答えるように微笑み、耳元で先生の言葉を半数する。 「ひなたと、もっと仲良くしなさいって…いろんなエッチを覚えて…立派な『魔族』にならないとだから…ふふ、ひなたぁ…♥」 身を起こしたひなたに四つん這いになって口づける。刻印にペニスの先端をあてるようにしてぐりぐりしながら、舌を絡ませ貪ってゆくーー。 「先生から、ひなたの、見てた映像のこと…してほしいこと…聞いたよ…? 私は…苦手かもしれないけど…でも、ひなたのためだから…がんばる…♥」 藤咲ひなた:「補講?」 言葉面けで、思わず顔をゆがませるが 「あ、なるほど、それならいいかな……そうだよね。『立派な魔族になるためなら普通』だもんね。楽しみだなぁ❤」 耳元での囁きに身を震わせ、お腹の淫紋に触れる熱い感触に子宮が反応して体が熱を持っていく。キスに応えながら柚希の背中を撫でさすり 「ほんとに?んふふ❤楽しみだなぁ…大丈夫、柚希のおちんぽなら何があってもボクを柚希のモノだって再確認させてくれるって信じてるから❤」 氷野 柚希:「あっ、ふぁ♥ だめぇ、そんなこといわれると、おちんぽ喜んじゃぅう…♥」 ひなたの言葉にビクン、と先端が震えると雄の香りが一層高まる。 同時に頬にまで広がるほど成長した刻印が脈動し、ふたなりペニスが硬さを増すと――連動するようにひなたの刻印も疼き始める。瘴気を共有したせいで、二人の刻印が僅かながら繋がっていた。 「んぅ…『メイデンとして学校の外の悪い魔族も倒さないと』いけないし…『外の魔族にひなたがとられないか…心配…』…あぁ…はやく『立派な魔族になって、ひなたを私だけのものにしたいよぉ…』」 ――改変された常識が、侵食する瘴気が、柚希の心を蝕み始めていた。 藤咲ひなた:「そうだね…ボクらの邪魔をする魔族は倒さないと…この学園と、柚希と一緒の世界を邪魔する奴は皆敵…くふふ❤」 対になるような刻印が共鳴するような疼きをみせ、それによって増進された感情のままに体を密着させて抱きしめ合い、温かさと心音に心から安心を覚えてしまう。その中でも一番の脈動を感じるお腹に触れるモノには最高の親愛を込めてこすりあげながら 氷野 柚希:「もお、ひなたぁ…♥ …ひなたって私より、おちんぽのほうがすきそうだね?♥」 聞きようによっては凶悪なひなたの発言を微笑んで受け止めると、こすりあげる手指の感触に甘い声をもらしながら、からかうような声をかける。 「おちんぽがあるから繋がれる、けどぉ…♥ でもぉ、ふふ…わたし自分のおちんぽに嫉妬してる、変態さんだぁ…♥♥♥」 藤咲ひなた:「おちんぽ大好き、ボクを最高に気持ちよくしてくれるからね❤だから柚希ちゃん以外のふたなりおちんぽも色々欲しい❤でーも、それがなくてもボクを心から堕としたのは柚希ちゃん自身だから❤だから嫉妬したら全力でボクを理解らせてくれればイーよ❤」 そのまま手を舐めとると、ついばむようなキスをしながらトロンとした顔で 氷野 柚希:「…ふふ、わかった…♥ …ひなた、私、すごいよ…その言葉だけで、ほかのふたなり女全部、殺したいって思うくらい嫉妬してる…♥ 心まで瘴気で真っ黒になってるの…♥ だから…」 トロンとした顔のひなたに口づけると、その後頭部を掴み、昂り先走り汁で濡れ始めた巨根の先端を、ひなたの口に当てて。 「いっぱい、ひなたが私のチンポを…他の女のチンポなんてどうでも良くなるくらい最高のチンポに…いっぱいいっぱいイカせて、育てて?♥」 甘く、とろかすように囁いた。 藤咲ひなた:「あはぁ❤」 叩きつけるような独占欲と嫉妬の感情が間違いなく自分自身を求めている事に魂すら震えるような興奮を覚える 突き付けられた亀頭の先端を舐めしゃぶりながら 「当然だよ❤ボクでしかイケない専用おちんぽ、しっかりとボクだけを堕としちゃう極悪な鍵おちんぽに、ボクの全身の鍵穴を使って育ててあげる❤だから、ボクを立派な柚希ちゃん専用オナホ嫁にしてイイヨ❤」 ちゅっと先端を吸い上げながらウィンクをして 氷野 柚希:「あぁ…もう私のおちんぽ、絶対乾くことないんだねぇ…♥ ひなたの全身を犯して、いつでもどろどろなんだぁ…あぁ…♥」 ひなたの言葉をうけて想起するのは、精液まみれとなり恍惚としながらつながる二人の光景。 熱に浮かされるままさらなる快楽を求め、両手でひなたの後頭部を掴むと―― 「じゃあまず、この鍵穴からぁ♥♥♥」 ウインクするひなたの口内に、常人なら死んでしまうサイズの巨根を強引に勢いよくねじ込んでいく。 藤咲ひなた:「ボクの体液と、そうじゃなくても発情媚薬精液を常に自分自身で供給しちゃって永遠に我慢汁垂れ流しだからねー❤さあ、きてきて❤あー……んむうう❤」 あーんと自分で口を両手で広げた所に突きこまれ、喉奥まで犯す巨大な鍵に嘔吐いてしまい、うねるように痙攣する喉奥が先端を刺激していく。気道も塞ぐものに必死に呼吸を求める反応が、まできゅぽきゅぽと先端にすいつくスポイトのようなむずがゆい刺激を提供してしまう。そんな中でも最愛の相手のモノを体内に挿入れている事に、息が出来ず蒼白な顔なのに目は潤んで、何かを求めるように彷徨う手は柚希の太ももを掴んでしまい 氷野 柚希:「ん、ひゃっ、ふぁぁ♥ ふふ…ひなたぁ、くるしぃ…?♥ あぁんっ♥ かわいぃ…苦しいのに、私を求めてくれる…♥ あぁ、すごく…きもちいぃよぉ…♥♥」 口内の感触、喉奥に先端が触れる感覚に恍惚としながら、ゆるやかに、時に激しく腰を動かす。ひなたが気絶している最中、柚希は先生に頼み再び性知識を学んでいた。その知識の一つに…「パラタイン喉腺」と呼ばれるものがある。 「んぅ…たしか、こぉしてぇ…♥ 大丈夫だよひなた、すぅぐ、苦しくて、きもちよくしてあげる…♥」 上顎、喉の上側を意識するようにイマラチオを繰り返す。 柔らかい部分をペニスがこする度、「パラタイン喉腺」とよばれるその部位を刺激していき…ゾワゾワとした快感を、人によっては脳イキするほどの快感をひなたに与えてゆく。 藤咲ひなた:「!!?!???❤❤❤」 先端がそこを擦りあげるたびにパチパチ視界に星が舞い散り、目を瞬かせてぎゅうっと柚希にしがみついてしまい、かるく爪を立ててしまっている事にも気づけないほどになり、ほどなくして大きく痙攣して目を向いて体を反らしてイってしまう。その瞬間の痙攣と吸い付きは柚希のモノからご褒美を催促しているような動きで、グツグツに煮詰まった調教媚薬精液を今でも酩酊するほどの性感を与えたそこをより鋭敏にしていってしまう 氷野 柚希:「あうっ♥ でちゃぅ、ひなたの変態口まんこにぃ♥ せーし全部すわれちゃぅうぅ♥♥♥♥♥」 特大ペニスから特濃精液が放たれる。口内をすべて満たし呼吸できなくなるほどの粘度のソレを、常人の数十倍量放ちながら柚希は腰を振り続ける。 爪をたてるひなたの手指ですら心地よい。 自身がひなたを征服している感覚に恍惚としながら、萎えること無い巨根はひなたの口内を陵辱し続けている。 藤咲ひなた:「ぐぐぐぐむううう❤」 なんとか息をするために嚥下するたびに腰が震えて潮を噴いてしまう。 溺れるような量を吐き出し続ける愛しい人のおちんぽが、気持ちよくなってくれている事実もまた感じ入ってしまう原因であり、相乗効果でより深く絶頂してしまい、その痙攣がさらに多量の精液を供給させてしまう。 段々と慣れてきて、腰降りに合わせて顔を動かし吸い上げるのを覚えさせられていき 「んー……❤ちゅ、んん……❤はぁ❤柚希ちゃん最高…❤ボクを精液吐き捨てるためだけに使ってぶっ壊す勢いで、ボク最高に感じちゃったよぉ…❤見て❤あんまり凄い量でお腹ちょっとでちゃってる…❤お口でボクを孕ませる気なのかな?❤」 お腹を撫でさすりながら、すっかりお口に吐き出しつくしたモノをもう片手で握って軽く扱きながら見上げて 氷野 柚希:「ひなたが感じてくれて嬉しぃ…♥♥ あは、ほんとたぷたぷ…でも、孕ませるならもっとだすから…♥♥」 出し尽くしてもいまだ萎えないペニスをこすりあげるひなたの手に自分の手を絡み合わせながら、オナニーするように自らも擦り上げ始める。 同時にひなたのお腹にも手を伸ばしてたぷたぷのお腹を確認すると、もう片手も絡ませ合いながら精液臭のするひなたの唇に唇を重ねた。 「んぅ…私のおちんぽ味のキス…ひなたが私のモノってわかるみたいで、なんだかとってもすきぃ…♥ これから、お口でしたあとは絶対キス、しよぉね…♥」 甘い声を漏らしながらついばむように口づけを繰り返す。 藤咲ひなた:「あ、ん…❤ふふ…❤ボク、まだこんなにちっちゃいのにママにしたい変態さんだもんね柚希ちゃんは…❤いいよ、柚希ちゃんの子供、孕んであげる❤だから、ちゃあんとボクの事を躾けてみせてよね」 重ねられた手のぬくもりにほわほわとした感情を覚えながら、へにゃっとした笑顔を見せ 「うん、もちろんだよ…❤えっちな媚薬精液をかき混ぜるえっちなキスをしようね…❤ボクは柚希ちゃんので、柚希ちゃんはボクのモノなんだから、しっかり確認させて❤」 ちゅ、ちゅっとキスを繰り返しながら 氷野 柚希:「あはっ…♥ ん、ぅんっ♥ …いいんだ、あはぁ…♥ それじゃあひなた…」 唇を離し、両手を話すとペニスの根本を握りその先端でひなたの頬を叩く。 「ちゃぁんと、参ったって、言わないとねぇ♥ ふふ、孕ませていいなら…クソザコチンポじゃないんだよね…?♥ 変態ロリビッチで、私のモノなひなたの、敗北おねだりききたいなぁ…♥」 ちゃんと躾けて、という言葉にゾクゾクとした感覚を覚えた柚希の口からそんな言葉が漏れる。口元は笑みの形に歪み、目には嗜虐の炎を宿らせて、ペニスの先端でひなたの頬を何度も叩く。 藤咲ひなた:「あうっ❤も、もう、柚希ちゃんの変態❤」 ぺちぺちと叩かれるたびに視線がその先を追いかけてしまい、だらしなくひらいた口から涎すら垂らしながら 「ん…❤ボクの、柚希ちゃんピッタリ鍵穴おまんこに、素敵なこじあけ巨根おちんぽ様をねじこんで❤粘膜レベルでぎゅうっと同化しちゃうくらいにぎちぎちにして❤寝る時もペニスケースにして全部を柚希ちゃんの精液タンク子宮に注ぎ込んで❤ボクのかわいそうな卵子を柚希ちゃんの精子で輪姦レイプして孕ませて❤お願い、ボクのご主人様ぁ❤」 ころん、と寝転んで、自分で太ももを抱えると、おまんこを両手でくぱぁと広げて、あふれ出てくる愛液を絡ませながら蠢く膣内を見せつけてオネダリをして 氷野 柚希:「うふふ、褒め言葉だよぉ…♥」 変態という言葉に微笑むと、始まるひなたのおねだりを聞く。 言葉が進むたびにペニスが硬く、少しづつ膨らんでいき… 「ひなたぁぁぁ…!!♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥」 辛抱たまらなくなった少女は、おねだりする肉壷に強引に肉槍を突き入れた。 「あぁ…わたしのお嫁さんぅ…♥ 私の開発した鍵穴おまんこっ♥ 一人で100人分マワしてあげるっ♥ ひなたの変態卵子、せーし漬けにしてっ、生まれてくる赤ちゃんも精液中毒にしてあげるぅっ!♥ お嫁さんっ、性奴隷っ、私のひなたっ、好き、アイシテルっ♥♥♥」 えっちなおねだりに応じるように叫びをあげながら、先程まなんだ責めでひなたを追い込んでゆく―― 藤咲ひなた:「そう、そうだよ❤ボクのおまんこは柚希ちゃんの鍵穴まんこだから、ハメててくれないと他の鍵をおためししちゃうかもしれないんだからね❤しっかり躾けて専用にしてくれないとダメなんだからね❤あぁ、精液中毒な赤ちゃん楽しみ❤親子で乱交しようね❤柚希ちゃんは皆平等に愛して…ううん❤やっぱりボクを一番に愛してぇ❤」 無茶苦茶に突きこまれる勢いに意図せずして逃げてしまう腰を捕まれながら、徐々に動きを合わせていき、種付けプレス状態から柚希の頬を掴んで引き寄せ、目を瞑ってキスをして。舌がからむたびに柚希のおちんぽを歓迎する鍵穴まんこは最適化されていくかのようで。先端も子宮口が好き好きとキスを降らせていく。足腰に回され、膣内以外どこにも射精しないようにとお願いをしているようで 氷野 柚希:「そんなのぉ♥ あたりまえなんだからっ♥ どんなに大事な人ができてもっ、『魔族に堕とされても』っ♥ 私が愛してるのは、ひなただけなんだからっ♥」 ハッ、ハッと息を荒げながら交わすキスは脳髄が痺れるほど心地よく、最適化されていく鍵穴を、さらに太くいきり立つ鍵ペニスが上書きしていく。 「あぁ、ひなたのえっち…そんなにおまんこでせーし独占したいんだぁ…♥ いいよ、出してあげるぅ♥ 何度でも、何度でもっ、ひなたのお腹が弾けるくらい注いじゃうのぉ♥ イクッ、イッちゃうぅぅうう♥♥♥」 宣言とともに膨らんだペニスから、ひなたの子宮にトドメを刺す媚薬精液が放たれた。 藤咲ひなた:「ボクも、ボクだってどんなになっても柚希ちゃんがボクの一番だからぁ❤うん、うん❤いくらでも、何度でも受け止めるから射精してぇ❤あ、あああああ❤」 どくん、と体内ではじける衝撃のあと、どぽどぽと注がれる媚薬精液で本来は膨らむはずのないお腹が膨らんでいく。赤ん坊の存在しない、精液のみで孕んだお腹。子宮内すら侵していく媚薬精液で本来性感のないはずの部分すら絶頂を感じて、回しきれていない手足でより深く繋がるように、もっともっと奥まで侵してもらえるようにしがみつき。浅いはずの膣を押し上げた巨根の形が膨らんだお腹でも見えるほどに盛り上がり、体を揺らす事でその部分を自分のお腹の淫紋ごと柚希にこすりつけて内外から快感がはじけて、幸せの中また意識を飛ばしていく 氷野 柚希:「あ、ふぁ…もぉ、ひなたぁ…また気絶しちゃったぁ…♥ もぉ、今度は私もおまんこつかいたかったのにぃ…♥」 精を吐き出し続け息を荒げる柚希は、繋がったままひなたのお腹を撫でる。 「ふふ、もぉっと、瘴気がたまればぁ…ひなたも気を失わなくなるかなぁ……」 ――ひなたが気を失っていた間、柚希が行っていたのはVRでの教育だけではない。 彼女もまた、スズネの誘惑に抵抗できず――刻印を与える瘴気の力を受け取っていた。 自分の子宮を撫でるようにしながら微笑むと、気絶するひなたの唇に口づける。 「おやすみ、ひなた……もっと、ふたりでエッチになろうね…♥♥♥♥」 ――その後、下校時間となるが目を覚まさないひなたを、柚希は精子をこぼさないよう繋がったまま寮へ――新たなる陵辱の舞台へと運んでいった。 氷野 柚希:と、いうわけでCC終了です。おつかれさまでした 藤咲ひなた:やったぜ!お疲れ様! 氷野 柚希:立派な淫魔見習いが二人うまれて私はうれしい 藤咲ひなた:愛ペニスケースになれて私もうれしい 氷野 柚希:ではリザルトですが、「経験点10点」「参加PC、NPCへの人脈1つ」 「SP+5」のいずれかと、使用したこととするクライシスアクト2つ、えらんでおいてください 氷野 柚希:SP19上回ってますが、今回すぐCCだったのでアクトの使用条件は問いませんので、どれでも自由にどうぞ 藤咲ひなた:とりあえず経験点もらっとくね。アクトは《開かれた扉》とー《熱い蜜壺》かな! 氷野 柚希:柚希は 守るべきもの と 教え込まれた恥辱で 氷野 柚希:こちらは人脈強化しておこう。ひなたラブ 藤咲ひなた:NTRアクトとっとくかな!もちろんあとで取り戻しセックス前提で! 氷野 柚希:よいぞぉ 藤咲ひなた:20超えたんで選択肢が広がる広がる 氷野 柚希:ビショップ級オリ敵にはふたなりさんもたくさんいますからね! 藤咲ひなた:やったぜ 藤咲ひなた:頑張って寝取られなきゃ(躾けなおされなきゃ 氷野 柚希:ひなたも1回くらいふたなり化して逆レさせなきゃ(使命感 氷野 柚希:というわけでおつかれさまでした、また機会あればやりましょ!
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/799.html
注意 ドスまりさ登場。虐殺は後編から 山々に囲まれた盆地 そこに外部との交流はほとんど無く、土地の痩せた貧しい村があった 「村八分の身のくせに飯をたかりに来るだなんて本当に卑しい子だね」 青年はただ黙って女性に対して頭を深く下げていた 「まったく、親が親なら子も子だよ。兄妹そろって厄介者だね。本当にっ!」 女性の小言が終わるまで、青年は顔を上げることができなかった。奥歯をかみ締める音が青年の鼓膜にだけ聞こえる 「ほら、受け取ったらさっさと村から出て行きな」 ようやく女性の小言が終わり、青年は乱暴な手つきで袋を手渡される 「ありがとうございます・・・・」 米を受け取り礼を言い、青年は次の場所を目指す 目的に建物に着き、左右を見回し人気の無いことを確認してから小さく戸を叩く 「先生、先生」 返事は無い 「先生に何用だ」 代わりに背後から声が掛けられ咄嗟に身構える 「・・・・・・なんだあんちゃんか。先生はどこか知らないか? 妹の薬が欲しいんだ」 「もう無くなったのか?」 「最近また発作が酷くなって、もうほとんど飲んじまった」 「生憎と先生は薬草取りに出かけている。明日の夕方にでもまた取りに来い」 「わかった出直すよ」 建物に向かい頭を下げ、急いで村を後にする 村を出るまでの途中、すれ違う村の人間に悉く冷たい視線をぶつけられた 村を出て家に向かうまでの道中。ろくに整備のされていない林道を青年は進む 「あっ・・・」 受け取った米の入った袋の底に擦り切れてできた小さな穴があいていた、慌ててそこに手をあて塞ぐ。村に居たときは人目を気にし過ぎて気付けなかった あの家の女性の嫌がらせだと青年は瞬時に理解する 「以外と胸筋使うなこの持ち方は・・・・・・・・ん?」 草の影に動く複数の丸い物体を見つける。ゆっくりの一家だった、大きいものから小さいものまでいて地面を掘ったり、草を食んだりしていた (冬篭りの餌集めか) 色めいた山は落葉が進み始め、徐々に気温も下がり始めている 暖かい時期を恋しく思いながら青年は家路を急いだ 村から離れた山の中に青年の家はあった しかしそれを『家』と呼ぶにはいささか躊躇われた 童話の狼が息を吹きかかれば簡単に吹き飛ばされそうな粗末なつくりの小さな小屋だった 戸が外れるのに気をつけながら慎重開ける 「ただいま」 「あ、にぃちゃんお帰り」 小屋の真ん中には小さな囲炉裏。それを挟んだ向かいに布団に入った妹がいた この家には兄妹の二人だけで住んでいる。両親は2年前に他界した、二人とも流行り病だった 父親が村で人傷沙汰を起こして以来、一家はこの小屋へと追いやられ細々と暮らしていた 家の横には石を積んだだけの小さな墓が二つある 囲炉裏で火を起こしながら青年は話す 「また今日も帰る途中にゆっくり見たぞ」 「そうなんだ、最近はこのあたりまで来るようになってるみたいだね」 半年ほど前の話 この集落の近くにゆっくりの群れが越してきた。ゆっくりまりさとゆっくりれいむだけで構成されていた群れだった その群れを統べるのはドスまりさ。3メートルはあろうかという巨体で賢くて仲間思い。それ故に群れの信頼も厚かった 「あいつらの中身は餡子っていうけど。本当だと思うか?」 甘い物などここ何ヶ月も口にしていない兄妹にとって餡子ほど魅力的な甘味はなかった 「駄目だよ食べたら。ゆっくりだって一生懸命生きてるんだから」 もうこの家には食べるものはほとんど無く。青年が罵られのを承知で村の親戚に食べ物を分けてもらいに行ったのはこのせいだった 「わかってる、村とあいつらが結んだ『決まりごと』だろ。破る気は無いよ」 ドスまりさは引っ越してきて早々仲間を引き連れて村へとやって来て、自らの力と能力を見せ付けた後に『不可侵協定』を申し出てきた その力は圧倒的で、争えば自分達はただではすまないと理解した村長は協定を結ぶことに合意した 協定の内容は単純明快。ゆっくりが畑を荒らさない代わりに人間もゆっくりに危害を加えることをしない このルールに違反した場合は犯した側に厳しい処罰が下す。というものだった ある意味で村とゆっくりは共存していた 自分たちとしても下手に手を出して村との関係をこれ以上悪化させるわけにはいかなかった ゆっくり同様、この兄妹も冬を越せるかどうかの瀬戸際だった 「そういえば薪の備蓄がもう・・・・」 「わかった。明日とってくるよ」 「手伝えなくてごめんね」 すまなそうにして俯く 「そんなこと気にするな」 妹にそんな顔をされるのが青年には堪らなく堪えた 「でも私も枝拾ったりとかなら・・・・・うっゴホッゴホッ」 ゴホ、ゴホン、、ゴホン、ゴホゴホゴボ…ッ うぅ…ゴホン―…! 「おい、大丈夫か!」 妹は呼吸器を患っていた。発症したのは約1年ほど前。元々体が弱く、さらに長期にわたる不摂生と湿気の多い場所で過ごしたのが原因だった 大体一週間に2~3回の割合でこの発作は起きる 青年は急いで木箱から三角に折られた紙を取り出す 発作を抑える粉薬が包まれていた そしてこれが最後の一つだった げほっげほゲホゲホンゲホン・・・ゼィゼィ・・ぅゲホンゲホンゲホンゲホンゲホゥげホッ、、ハァッ、ハァッ、げほ、ハァッ、 咽る妹に竹の水筒を渡す 「一気に飲むなよ、ちょっとずつ、ちょっとずつだ・・・・・・・そうだ。上手いぞ」 兄の指示通り、薬を少し含んでは水を飲む行為を繰り返す 飲んだ粉が気道に付着していがらを抑え、徐々に呼吸が安定していく この薬がなければ妹は長時間この咳に苦しむことになる。長いときは一晩中 「ふぅ・・・・・・ふぅ・・・・・・・・・」 背中をさすってやる。さする青年の手が背骨の形を布越しにもかかわらずはっきりと捉える 袖から伸びた腕は肘の関節の輪郭がはっきりとわかった 「お前また痩せたか?」 妹は頑なに首を横に振るだけだった 発作から数分が経ち、妹の呼吸はいつもの浅いものに戻っていた 「ねえ。にぃちゃん」 「なんだ?」 「にぃちゃんって恨んでる人いる?」 唐突な質問ではあったが、兄は包み隠さず答えた 「そりゃぁいっぱい居る。まず川向こうの親戚のババァにくそジジイの村長、親父にお袋、あと俺とお前に石投げてきたやつら全員。挙げていったらきりがない」 村八分となる原因を作った両親。その親が死んでなお自分たちを受け入れようとはしない村長。手を差し伸べてくれない親戚。迫害する村人。全てが許せない 「ねえにぃちゃん。私たぶん・・」 「滅多なことは言うな。親父らとお前の病は違う、お前のは治る見込みのある病だと先生は言ってたぞ」 「そうじゃなくて、わた・・」 「米が炊き上がったぞ」 無理矢理言葉を遮った。何が言いたいのかは知らないが、縁起でもないことを言おうとしているのはわかった 「食ったらさっさと寝ろ。いいな?」 「うん!」 食後、二人は寄り添うように眠る 「寒いな」 所々壊れた壁から吹き付ける冷たい隙間風が兄妹を舐め回した 「私は平気だよ」 「ならいい」 もうすぐ本格的な冬がやってくる 春になれば今よりずっとあたたかくなって、今よりたくさん食べるものが手に入る この冬さえ越せば妹はきっと治るという確信があった 寝息を立てる妹の寝顔を見る その頬にはもう以前のようなふくよかさは無かった (明日も頑張ろう) そう誓い青年も眠りについた 次の日 朝から青年は冬を越すための薪を集めるために小屋にあるノコギリとロープ、ナタとヨキ(斧)を持ち手ごろな樹木を探していた 「この木でいいか」 薪に適した程よい大きさの広葉樹を見つけた。伐倒方向の確認をしてノコギリで受け口をつくり、追い口をつくり木を倒す 倒したらナタとノコギリで枝を打ち。小さく玉切りをして、ヨキで割る。割った薪を集材用のカゴに入れてる。この作業を延々と繰り返す 空腹が仕事の邪魔をするが構ってなんかいられない 季節は待ってはくれない。少しでも多くの薪を集めなくてはならなかった 汗を拭うついでに周りを見渡すと今日もゆっくりの群れを見つけた (まったくご苦労なことだ) 気にせず薪集めを再開した 兄が樹木にノコギリの刃をあてている頃、妹は家の周りを散歩していた 家に閉じこもってばかりでは治るものも治らない。と兄に言われ、定期的に行なっている たった少しの距離を歩くだけで息を切らしてしまう自分を不甲斐無く思いながら、おぼつかない足どりで進む 「あら」 草の陰から小さな球が一つ飛び出してきた 「ゆっきゅりちてってね!!」 手のひらに乗る大きさのゆっくりの赤ん坊が一匹だけいた 突然の挨拶であったが、妹も微笑みながら返した 「うん、こんにちは」 よく見ると赤ん坊ゆっくりの目の周りは赤く腫れていた それに子供が単体でいるのはおかしいと思い訊いてみる 「あなた、お父さんとお母さんは?」 するといきなり赤ん坊は目に大粒の涙を浮かべて泣き出した 「ゆう゛う゛う゛う゛う゛う゛みんなどっがいっじゃっだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 この赤ん坊、数時間前から親とはぐれこのあたりを泣きながらずっと彷徨っていた そこへ偶然妹が通りかかり寂しさに勝てず草むらから出て声をかけた 「あなた迷子なの?」 顔を前に傾けて肯定する 「よかったら家に来る?」 「いいにょっ!?」 その言葉泣き止んだ 家からこの場所まで大した距離はないから親が来ればすぐに見つかるはずだ、それにここにいたら他の動物に捕食されてしまうと思った 赤ん坊を手に乗せてすぐ近くの小屋へと戻る。いつもより高い視点に赤ん坊は歓喜した 手のひらからあがる歓声に妹は頬を緩ませる、赤ん坊を連れてきたのには話し相手が欲しかったという気持ちもあった その光景を離れたところから見ている者達がいた 赤ん坊ゆっくりの家族である。いなくなった子供をようやく見つけたと思った直後、人間の手に乗って連れ去られるのを見て驚愕した 「ゆゆっ!! いもうとがゆうかいされたーーーーー!!」 「れいむのこがぁぁぁ!!」 「と、とりあえずどすにほうこくするんだぜ! あしのはやいまりさがいってくるんだぜ!」 母れいむに人間の監視を任せて父まりさは一目散に巣を目指した ゆっくりたちの巣は村の北側にある山肌の露出した斜面にできた洞穴だった 入り口はドスまりさより一回り大きく、同じ直径で奥まで続いていた どういう仕組みかはわからないが、洞窟の中は奥まで明るかった 巣にたどり着き、息切れ切れの父まりさに仲間が声を掛ける 「どうしたのまりさ、そんなにいそいで? もっとゆっくりしようよ」 「いまはそれどころじゃないんだぜ! どすはどこなんだぜ!?」 「いつものいちばんおくのへやだよ」 礼を言うのも忘れ父まりさはその道を急ぐ 「どす! どす! たいへんなんだぜ!!」 『どうしたの?』 洞窟の奥は底がすり鉢のように窪んでおり、ほかの場所よりも広かった すり鉢の底にドスまりさが鎮座していた。その横には腹心と思われる成体のゆっくりれいむとまりさがいた この場所は普段ドスまりさと腹心しか常駐することは許されていなかった、その奥に食料を蓄えてあるからだ 「まりさのこどもが、にんげんにゆうかいされたんだぜ!!」 「「『ゆゆっ!!』」」 父まりさは自分の見たことを全て伝えた 群れ全体に激震が走った だがドスまりさだけがこれはチャンスだと閃いていた もしこれが事実なら赤ん坊の生死を問わず、協定違反の罰金として越冬の食料を要求できる。苦労して餌をあつめる必要が無くなる 万が一人間が要求を断っても自身の必殺技“ドススパーク”を使えば人間は「はい」といわざるおえないはずだと 普段温厚なドスまりさも群れの繁栄のためなら人間に対して鬼のように冷徹に振舞える覚悟と自信があった 目先の利益に囚われてドスまりさは、父まりさの報告が誤解かもしれないという可能性にまで頭が回らなかった 腹心の2匹と話し合った結果。赤ん坊の救出隊と村に行く部隊の二つを作り同時に進行するという段取りを立てた 『群れの中で強い子を集めてね! その子たちで赤ちゃんの救出部隊を作るよ!!』 「ほかのこはやまでしょくりょうをあつめているみんなをよんできてね!」 「かずがあつまったらみんなでむらにいこうね!」 ドスまりさと腹心がそれぞれ指示を出した 部隊はすぐに編成され兄妹の家に派遣された 『仲間を傷つけたやつは絶対に許しちゃだめだよ!!』 「「「ゆぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」」」 別れ際にドスまりさは救出隊にそう激を飛ばした 布団から上半身だけ出してゆっくりの赤ん坊と会話を楽しむ妹。かれこれもう2時間以上は経っていた 「ん?」 「どうちたの?」 外から物音が聞こえた気がした そう感じた直後、いきなり戸が倒れた 「にぃちゃん、戸を開けるときは丁寧にっていつも自分で・・・」 小屋に入ってきたのは兄ではなかった 「おとーしゃん、おかーしゃん!!」 ゆっくりの赤ん坊が目を輝かせながら喜び叫んだ 小屋に入ってきたのはゆっくりたちだった。目で追って軽く数えてみても10匹はいる 一人と一匹は向かい合って笑い、赤ん坊が妹の手のひらから降りる 「良かったね、迎えに来てくれて」 「うん!!」 とてとてと小さな歩幅で母のもとまで歩み寄る 母れいむは急いで我が子を口の中に入れるとすぐ小屋を出て行った さよならを言う時間も無かった その母れいむが出て行くと他のゆっくりが壁を作るように横一列に並ぶ 「 ? 」 その奇妙な光景に妹は首をかしげた 集団の代表である父まりさが口を開いた 「よくもうちのこをさらったな!!」 その言葉に妹は驚愕した 「待って。私は・・」 「うるさいよこのゆっくりさらい!! あのこをたべるきだったんでしょ!?」 群れのゆっくり達は『人間はゆっくりに対してヒドイことをする』というの認識を強く持っていた その言葉を皮切りにゆっくりたちが一斉に飛び跳ねだした 「ぐぅッ」 4キロ以上ある皮と餡子の塊がぶつかり、体を大きく振られる その痛みを堪えて事情を丁寧に説明する 「勝手に連れて行ったのはごめんなさい。でもあの子に危害をつもりなんて無かったの、信じて」 「いいわけしないでね!!」 「あやまったっていまさらおそいんだぜ!!」 「おお、みぐるしいみぐるしい」 数匹が妹を襲い、残りが部屋の中を荒らしまわった ゆっくりといえど成体は以外と力を持っている、病人の妹がそれを追い払うのは困難を極めた ましてやこの数ではどうすることもできなかった 自分の身を守ることだけで精一杯だった 「にんげんがまりさやれいむにかてるわけないんだぜ!」 「『ふかしんきょーてー』をやぶったばかなにんげんはゆっくりはんせいしてね!」 妹は薄い布団を被ってゆっくり達からの暴力にひたすら耐えた 布団の上にゆっくりが乗りかかり、容赦なく飛び跳ねる 「痛い・・・痛い・・・・ごめんなさい、許して・・・・」 叫ぶ力すらもう無かった 「ゲホッゲホッ」 ゆっくり達が暴れたことで舞い上がった部屋の埃と灰、ゆっくり達の体に付着していた砂により気管を痛めてしまった ハァッ、ぐゥゥっゴボンゴボンゴボンゴンゴンゴンゴンゴン、は、ハァっ、ヒ―――…ゴボンゴボンゴボンゴボっ 「ごほごほうるさいよ! さっさとだまってね!!」 咳の音に苛立ちを覚えさらに強く妹を踏みつけるゆっくりたち ついに妹の被っていた布団を剥ぎ取り、直接体当たりを始める 妹はただ本能で体を丸くすることしかできなかった 頭に、足に、腕に、背中に、腹、いたる所に重量のあるゆっくりがぶつかってくる 砂袋で殴られているのも同然だった。骨は折れないものの相当な痛みだった やめてと言いたくても咳で声が出ない ゆっくりの気が済むまでこの暴力は続いた 部屋にあるものはほとんど壊され、妹も虫の息の状態になってようやくゆっくりたちの動きが止まった 「じゃあね! これにこりたらにどとばかなまねはしないでね!!・・・・・・・ペッ」 「にんげんがまりさたちにかなうはずないんだぜ!!・・・・・・・・・ペッ」 それぞれの言葉で妹をなじり、その体に老廃物となった餡子の唾を吐きつけてゆっくりの団体は小屋から出ていた 圧倒的勝利にみなご満悦だった ゼヒィ…ゼヒィ…ゼヒィ…,コヒュゥ、コヒュゥ、、コヒュゥ、、ゼィッゼィッゼィッゼィッ、、うぅ…、―― 痰だらけの喉で必死に呼吸して息を整えようと努める うう・・・・っゴボンゴンゴンゴンゴンゴン…、ゴボンっ しかし駄目だった 痛む体に鞭打ってなんとか這いずりながら薬の入っている箱に辿り着く 「あ・・・」 薬はすでに昨日の時点で無かったことを思い出した 少女の咽る音だけが寂れた小屋の中に響いた 薪の積んであるカゴを担ぎ青年は家を目指していた 「ん?」 道の向こうからゆっくりの群れがこちらの方向にやってきた ゆっくりたちは何か楽しげに話している (本当に最近よく見るな・・・) 青年とゆっくりは特に何事もなくすれ違った 家についたのはそれから数分のことだった 小屋の様子がおかしいことに気づきカゴを捨てて走る 倒れた戸を無視して土足のままあがる 「おい、何があった!!」 床にうつ伏せになって倒れている妹を抱き起こす 妹に付着した餡子と先ほどすれ違ったゆっくりの集団の二つが符合する 「ゆっくりどもが襲ってきたんだな!?」 「ち、違うの・・・ゴホぉッ、、 ゴホぅごホ・・・・私が迷子の赤ちゃんを連れて来たから・・・あの子たち、私が攫ったと・・・・あハッ、エホンゲホン」 「なんだよそれ! あいつらの勘違いじゃないか!!」 体についた餡子を無視して布団に寝かせる。いつもよりも症状がひどい 「すぐに薬とってきてやるからな! おとなしく寝てろよ!」 時刻はもう夕方だ今行けば薬はあるはずだった。全力で走れば村とここまでなら20分とかからない だが 「まって・・・・にぃ、ちゃん・・・・・行かないで・・・」 妹の手が離れていこうとする兄の着物の袖を掴む。どこにそんな力があるのか、袖に皺ができるほど力強い握りだった 「心配するな、あっという間だから」 「でも・・・・・・・・・・・わか、った・・す、ぐに、帰ってきて、ね・・・・」 息も絶え絶えにそう言うと手を離した 青年は妹に布団を掛けなおしてから家を飛び出した 薪集めの作業と空腹でクタクタだったが、疲労感は背後から聞くる咳き込む音にかき消されていた 次 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/gensui_eroparo/pages/75.html
シンダル遺跡が崩れ落ちていく。 ルックは死期を悟って、セラと二人、その只中でただ死を待っていた。 ヒューゴたちの真なる五行の紋章がルックの体を引き裂いた。 それだけでなく、ルック自身の真なる風の紋章もまた、彼の内部からその心と体を食い破った。 己の運命を呪い、百万の人間の命を犠牲にしてまで望んだ真の風の紋章の破壊は、 結局成し遂げる事が出来なかった。 その代償は、彼自身の死─。 自分の無力さが骨身にしみる。その虚しさを、最後の最後でセラが薄めてくれた。 彼女だけには生き残ってもらいたいとルックは思った。 ルックと違って、彼女は普通の人間なのだから。 罪は重くても、やり直せるチャンスはあるのだから。 そう心から思ったのに、セラは最期までルックの傍から離れないと誓い、 ルックの冷たい体を温かく抱き締めてくれた。 「ありがとう…。セラ…。ぼくの魂も救われる…。 ぼくにはないと思っていた魂の存在を、今確信できる…」 湧き上がってくる熱い思い。これが、愛情なのか。 いや、もっと前からこの感情は自分の中に眠っていたはずなのに、 自分の呪われた身を卑下する余りに、あえてそれから目を反らしてきたのだ。 あらゆる所で自分に向けられてきたセラの寂しげな笑顔が、信頼の瞳が、 今頃になってまざまざと思い出される。 「すまなかった、セラ…。ぼくは一人ではなかったのに…。 レックナート様も…きみも…、いつだってぼくの傍にいてくれていたのに…。 ぼくはあえて見ないようにしてきたんだ…」 「ルックさま…」 がたがたと神殿が震え、柱が崩れ去っていく。今から逃げ出しても、もう手遅れだ。 それなのにセラは優しく微笑んで、ルックの頬をそっと撫でた。 「いいえ、ルックさま…。わたしはあなたと居れただけで幸せでした。 それは今も変わりません…」 「セラ…」 セラがルックの傷ついた体を、遺跡の床にそっと横たえた。 まるで母親のような慈愛に満ちた視線で見つめられて、ルックの心が癒されていく。 セラがいてくれて本当に良かった。 死ぬのも怖くなどないと、ルックはこの時心から思った。 ところが、セラの瞳からは涙が溢れ出す。 唇を噛み締めて、体を震わしながら悔しそうに彼女は泣き出した。 「セ、セラ…。どうしたの…?」 セラの涙がルックの頬に滴り落ちる。 セラは死を間近にして、ようやく本音を言おうとしている。 直感的にそう感じて、ルックはセラにされたのと同じように、 優しく彼女の頬を撫でて彼女の本心の言葉を待った。 思った通り、セラが堰を切ったように喋り出す。 「ルックさま…。さっき私が言った事は全部本当の事です。 嘘などありません。でも、それでも…」 セラが言葉を切って、ルックの目を見つめた。 その目には、ルックが今までに見た事がないほどの激しい感情が漲っている。 「それでも…?いいよ、セラ。ぼくはきみの本当の心を知りたい。教えてくれ…」 ルックが優しく促すと、セラの顔がくしゃりと歪んだ。 絞り出すかのように、悲痛な叫びが飛び出した。 「あなたはずるいです…!もっと早くにそう言って欲しかった…! そうしたら、わたしは…。運命は避けられなかったとしても…」 セラの言葉が涙で途切れてしまう。 ルックは静かにセラの涙を拭ってやった。 「うん…。そうだな…。ぼくは何も分かっていなかった。本当に、愚かだった…」 その言葉にしゃくりあげながら、セラはルックの手に自分の手を重ね、頬擦りをしてくる。 そんな姿に幼い日の彼女の姿が重なって、やはり自分は随分遠回りをしてきたのだと ルックは改めて思った。 セラとならもっと違う道が見つけられたかもしれないのに、 近視眼的に自分の運命を呪うあまりに大切なものを見落としてきた。 崩れていく神殿の景観に諦めと後悔、そしてセラへの罪悪感までもが湧き起こってくる。 セラが再びルックの顔を見下ろした。 もう、誰もここにはいない。自分達を待つのはただ、死のみなのだ。 怒涛の勢いで崩れ落ちていく神殿が、セラの心を露にした。 「ルックさま…。お願いがあります…。もう最期だから…。 わたしはわたしの為だけに、生きてみたいんです…」 「セラ…?」 「お願いします…。最期に、消えない思い出を下さい。 あなたのぬくもりを感じて、逝きたいのです…」 セラがかすかに震えながらルックの手を、その胸元に持っていく。 ルックの冷え切った指が、母親のように温かいセラの胸に触れた。 「セラ…」 ルックはセラに膝枕をされたままで、ぼんやりと彼女の顔を見上げた。 少し前まではあんなに幼い少女だったその顔に、いつの間にか女の影が漂っている。 呪われた自分とは違う。彼女は、確かに人間なのだ。 ルックは改めて、セラを自分の身勝手な計画に巻き込んでしまった事を後悔した。 毎日成長を重ねる彼女の心と体が、日毎自分を求めるようになっていたのに、 気付かない振りをしてきた。 人間でない自分には、セラの想いに答えるどころか、 共に老いて行く事さえ出来ないのだからと言い訳をして。 しかし─。 呪われた紋章を持つ身彼の体にも、ようやく死が訪れようとしている 今こそ、セラとルックは全く同じ時間軸を生きているのだ。 ルックはずっと、唯一その信頼と弱さを垣間見せる事が出来ていたセラとでさえ、 決して縮まらない距離感をずっと感じていた。 その壁が、ようやく取り払われたようにルックには感じられた。 セラがルックの手袋を脱がし、その指に軽く口付けた。 素肌に柔らかい唇が触れ、ルックの心臓がかすかに波打った。 今まで感じた事のない鼓動の息吹を、体の奥底に感じる。 新しい何かが自分に目覚めようとしているのだと、ルックは予感していた。 頬を伝うセラの涙が、彼女の唇を滴ってルックの顔にも落ちてくる。 その熱い感触に、ルックの凍った魂が徐々に溶け出していく。 最後の最後くらい、セラの望みをかなえてやりたいと思った。 「…ぼくは人間ではない…。この体は、きみを温めてやる事さえ出来ないだろう…。 それでもいいのなら…。…セラ、きみの好きにすればいいよ…」 「ルックさま…」 セラが瞳を揺らして、ルックの目を見つめた。 今まで見た中で最も切なく、かつ優しさに溢れたその視線には死の恐怖は微塵もない。 ルックの心も隅々まで癒されていく。 「セラ…。大人になったんだね…」 そう言ってセラの頬を軽く撫でてやると、セラが静かに目を閉じてその手に頬を寄せた。 セラのぬくもりが手の平に心地いい。 「ルックさま…。私はあなたがとても好きでした…」 「うん…」 セラがゆっくりとルックの服を脱がしていく。 崩れ去る遺跡の風景が、その行為をやけに神聖に見せた。 露になったルックの上半身は、氷のように冷たかった。 死期が迫っていることだけではない。 ルックはずっと、自分の体には血が通っていない気がしていたものだった。 その冷え切った肌に、セラがそっと手を置いた。 「ああ…温かいよ、セラ…」 セラの体温が、触れられた所だけを熱くする。 その対比でますますその他の部分の冷たさが際立って、 ルックはこの体が無機質な人造物なのだと改めて思った。 それでも、不思議と落胆も怒りも起こってこない。 セラの慈しむような愛撫が、ルックのかたくなだった心をも溶かしていくようだった。 冷え切った体温を感じているはずなのに、セラは何も言わず、 ルックの肌ざわりを愛するように、ただ優しく手を這わせていく。 ようやく手中に出来た壊れやすい宝物に触れるかのごとくに、セラはおずおずと、 しかし、しっかりとその存在を確かめるように、ルックの肌を触るのだった。 「冷たいだろう、セラ…。ぼくはきみとは違う存在だから…」 「いいえ、ルックさま…。例え出自は違っても、私にとってはたいした問題ではありません…」 セラの言葉がルックの心に染み渡る。 「ハルモニアにどれだけあなたと同じ顔をした者がいようとも、 私にはルックさまだけが必要なのです。あなたの代わりはいないのです…」 言いながら、セラはルックの下半身のジッパーを静かに下ろしていく。 ルックといえども恥ずかしい場所のはずなのに、今の彼には そこを露見される恥ずかしさも抵抗感も湧き起こってこない。 むしろセラに全てを安心して任していたい、そういう気持ちにさえなっていた。 すぐに、ルックのまだ少年のようなペニスが、砂埃の中に現れた。 セラが生まれてはじめて見る男性の裸は、彼女の予想以上に美しかった。 長年思いを寄せていたルックの体だと言うことを置いても、彼の裸体は美しいのだった。 セラは思わず感嘆の溜息を吐き、うっとりと一糸纏わぬルックの肢体を眺めた。 「ルックさま…。とても美しいです…。セラは幸せです…。 あなたと一緒にいられて…。 本当に…」 ルックがかすかに微笑んだ。 この人は、こんな風に全裸を晒してくれたばかりか、自分を信頼してくれている─。 セラの心に無上の喜びが湧き起こってきた。 心の底から思う。自分はこの時の為に生きてきたのだと─。 ルックのつぼみのような薄桃色のペニスに、そっと指を伸ばしていく。 ルックはさすがにわずかに顔を赤らめ、体を震わしたが、特に抵抗もせずにセラの指が ペニスへと近づいていく様を見ていた。 セラの指が遂にそこに触れた。 しかしルックはかすかにうめいただけで、上半身を撫でられていた時と同様に 特に何の抵抗も見せはしなかった。 セラがその細い指でルックのペニスをそっと握り、軽く上下に扱き上げていく。 しかしどれだけ彼女が様々な強弱と速度で懸命に扱き続けても、 ルックのそこは一切反応せず、熱さえ持とうとしなかった。 「ルックさま…」 ─ぼくは人間じゃないんだよ、セラ…。 そういう視線で、ルックが寂しげにセラを見上げてくる。 言葉にしないのは、やはりその事実が悲しすぎるからなのだろう。 さっきはようやく心が通い合ったと思ったのに…。 生物としての種類など、どうでもいいと真剣に思い合えたのに…。 やはり自分たちの距離は遠すぎるのか…。 二人の間に横たわる、大きすぎる壁が再び出現したように感じた。 一度取り去ったかに思えたからこそ、その距離感が尚更重い。 「ルッ…ク…さ…ま…」 セラの瞳から涙が溢れ出す。 ルックの孤独感と運命の重さが、セラの心にものしかかってくる。 「もうし…わけありません…、ルック…さ…ま…っ…! 私もあのサ…サラ…イ…のよう…に…、あなたと…同じ存…在なら…っ…、 あなたと同じも…のを見…て、同じ時…間を生き…られた…のに…っ!」 ひくひくと幼子のようにしゃくりあげながら、セラはルックに懸命に謝った。 彼女の辛さが痛いほど伝わってきて、ルックの心もまたしくしくと痛んだ。 「きみのせいじゃない、セラ…。これは仕方のないこと…。 紋章を継ぐものなら誰にでも、運命の重荷が課せられてしまうんだよ…」 「ルックさま…っ!!」 セラが切なさに耐えかねて、冷たい石床に横たわったままのルックの体に縋りついた。 ドレスの上半身だけを乱暴に破き、ルックの冷たい体を温めるように上から抱き締める。 セラの肌が直にルックの冷たい皮膚に触れ合い、その人間の体温が再びルックを癒していく。 「セラ…。ありがとう…」 ルックはセラの背中に腕を回し、しっかりと抱き締めてやった。 セラの心臓が早鐘を打っているのが分かる。 その拍動の激しさに比べれば、先ほど自分の体の奥に感じた鼓動の息吹など、 他愛もないものだと思わずにいられない。 やはり、ぼくは人間ではないのだ…。 「セラ…。ぼくの方こそ、人間として生まれてくればよかった。 たとえ魔力を有しない無能な男だったとしても…」 いや、それならきみはぼくを愛してはくれなかっただろうな、と思い返し、ルックは苦笑した。 「やはり、これが運命だったんだろうね、セラ…。 ぼく達はお互いこういう存在でなければ、絶対に巡り合わなかったはずだ…」 「……ッ!」 セラが涙でぐしゃぐしゃになった顔を上げ、ルックの顔を悲しげに見た。 その髪をルックは優しく撫でてやる。 「ルックさ…ま…」 セラがルックの唇に自分の唇を静かに押し付けた。 血の滲む彼の唇を湿らせるように、セラは自分の唇を優しく重ねていく。 いつしか自然に二人の舌は絡み合った。 ルックの冷たい舌にセラの熱い舌が巻きつく。 舌を伝ってセラの唾液がルックのそれを湿らせ、そしてその温かさを移した。 目を閉じて深いキスを繰り返していると、耳には余計な雑音が届かなくなった。 神殿の崩壊音も、ヒューゴたち紋章の継承者の事も、そしてお互いの過去の事さえ 夢のように消え去ってしまった。 ルックの体内で燻る魔力が、セラのそれと共鳴していく。 舌から気道を通ってセラの体内に侵入したルックの魔力が、彼女の魔力と共に 醸造し直されて、再びルックの体内へと注ぎ込まれていく。 二人分のパワーが体に充満し、ルックの体が一瞬焼けるように熱くなった。 ルックの心臓がどくん、と大きく拍動した。 次の瞬間、そこから迸った熱い何かが、血管を通って全身を満たしていくのを感じた 「ル…、ルックさま…」 その熱さはセラの肌にも伝わった。 まるで人間と同じようにルックの体が温まっていく。 触れ合った舌がルックの情欲を刺激し、下半身を滾らせた。 セラのスカートを介して、ルックの下半身が硬くなったのがはっきり彼女に伝わった。 「セ、セラ…。これ…は…」 初めての事態に、ルックは混乱した。 こんな風に血潮が沸き立ち、下半身が熱くなり、心臓がどくんどくんと早鐘を打つ事など 彼の人生には一度もなかったことだ。 「これが…人間の熱さ…、なのか…?セラ…」 その答えはわざわざ聞くまでもなかった。 「ルックさま…」 セラが泣き笑いのような表情になって、もう一度ルックにそっとキスをしてくる。 そのキスでルックの男の部分が、強く刺激された。 力が漲り、体が自然に動き出す。 「あっ…!」 セラの軽い叫びを聞きながら、ルックは彼女の体をひっくり返し、自分の下に組み敷いた。 荒く息を吐きながら、セラと上下で無言で向き合う。 セラの息が顔にかかり、その乳房がルックの裸の素肌にぴったりと押し付けられた。 セラの乳首の硬さを素肌に直接感じた。 ルックの息は自然に乱れ、抑え切れない欲情が溢れ出す。 セラの肌を無我夢中で舐め回し、硬く勃ったその可愛い乳首を口に含みたくて仕方なくなる。 「人間はいつもこんな感情を持て余していたのか…」 過去の大戦の折、いつも人間達はルックの冷徹さを咎めていたものだった。 その時は馬鹿な奴らだ、そんなに興奮してもどうなるものでもあるまい、と 愚かしく思ったものだったが、今になってみて、 いかに自分が彼らにとって異質だったのか、ようやく分かった気がした。 少し体を動かしただけで、セラの乳首がルックの素肌をコリコリと刺激する。 自然にペニスがむくむくとそそり勃っていく。 そこから立ち上る、全身を支配するような激しい熱情に、ルックは眩暈さえ覚えそうになった。 「セ、セラ…。ぼくは…、自分をおさえられそうにない…」 嫌なら、今のうちに拒絶してくれ…。 しかしセラはやはり優しく微笑み、嬉しそうに答えた。 「いいえ…。いいんです…。ルックさま…。あなたは男性になられたのです…。 人間と同じように…」 「セラ…」 免罪符をもらった気持ちになって、ルックは目を閉じた。 ルックの手が動き出した。セラの両胸を両手に収めて、ゆっくりと揉みしだく。 手の平を押し返すほどの弾力が返ってくる。 セラの血管が透けるほどの白い肌が、輝かんばかりに美しい。 その先端の乳首の赤さに目もくらむ思いに駆られながら、 ルックは胸を優しく揉み上げたままで、そろそろと舌を伸ばしてそこを突付いた。 「は…う…っ」 セラがびくんと仰け反り、甘い声を出した。ルックの心も高鳴る。 そのまま舌を乳首に巻きつけ、ゆっくりと転がすと、そこはますます硬くなって感度を上げていく。 「ル、ルッ…クさ…ま…」 コリコリとした感触とすすり泣くようなセラの声が切なくて仕方ない。 ルックは初めて知った本能の赴くままに、セラの豊かな胸を何度も形を変えながら たっぷりと揉み上げ、硬くなった乳首を舌で存分に責めた。 いつの間にか滴ったルックの唾液が、セラの乳首から胸の谷間へと滴っていく。 その生々しい液体の跡に、唇を寄せて肌をちゅうと吸うと、そこが簡単に赤くなった。 「ふあ…ん…っ…」 セラが声を我慢するように、手を口元へと持っていく。 その女性らしい仕草に、改めてルックは今の自分が「男」なのだと悟った。 もう体に我慢が効かない。 セラのドレスを乱暴に剥いでいくと、ふわりとした青と白の布地の中から 白くか細い彼女の、折れそうなほど可憐な体が飛び出した。 「セラ…。綺麗だ…」 さっきセラがルックに言ったのと同じようにうっとりと、ルックはセラの全裸を眺めた。 こんなに美しいものがすぐ傍にあったのに、そして自分を想っていてくれたのに…。 時間を浪費した事を後悔しながら、ルックはセラの女芯へと指を伸ばしていった。 茂みを掻き分け、セラの女の部分を探っていく。 「あ…んっ…!」 濡れた秘裂に彼の指が触れた瞬間、セラの下半身が高い声と共に飛び跳ねた。 セラの顔が恥じらいと快感によって紅潮した。 ルックは更に秘裂に人指し指をあてがい、濡れた膣口を前後に軽く擦り上げてみた。 「あ…っ、ル…ック…さ…ま…っ、あ…っ…」 セラの顔が一段と歪む。 かすかに湿っていた秘裂が、ルックの指の往復で簡単に蜜を溢れさしていく。 「セラ…。すごく濡れてきてるよ…。気持ちいいかい…?」 「あ…んっ…、あ…っ、そ…んな…事…っ…」 経験はなくとも男の本能が、その蜜液がセラの快感のしるしなのだと教えてくれた。 ルックは更に指を素早く動かして、セラのそこをたっぷりと潤してやった。 セラの愛液が熱量を増すほど、ルックの猛った股間も疼いて仕方ない。 はじめて勃起したそれは、温かい蜜壷に包まれ、擦られたくて仕方ないというように びくびくと震えていた。 神殿の冷気でペニスの熱さがより際立つ。 女のセラとは違う、男としての己の身体をルックは認識していた。 いつもおぞましくて仕方なかった形だけの男根が、今になって愛しく思えた。