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戦うことを忘れた武装神姫・番外編 ちっちゃい物研・商品案内-9 <東杜田技研・新製品のご案内-9> このたび、弊社の小型ロボット向け機器ブランド「HT-NEK」では、 新たに武装神姫向けの「競技用小型車輌」を発売いたします。なお、 第1弾としまして、シャーシ4種、ボディ8種を予定しております。 !警告! 本製品を使用する際には、必ず付属マニュアル・DVD等により、神姫 自身にも学習させ、また十分な「走行練習」を積んだ上でのご使用を お願いいたします。 なお、本製品を使用されて生じた故障・破損・事故等につきましては、 当社では一切の責任を負いかねますので、ご了承下さい。 〜武装神姫競技用小型車輌「レブリミット(仮称)」主な特徴〜 ■弊社の小型機械技術研究製作部および発動機開発検修部にて、初の 共同開発製品。精密性と堅牢性を両立させた設計となっております。 ■高効率の燃料電池(バッテリーも使用可能)を用いた電動タイプと、 より迫力のあるレースが期待できるレシプロエンジン搭載モデルを それぞれ設定。燃料には、いずれも専用アルコールを使用する安全 設計。 もちろん、各種セーフティ機構も備えております。 ■オプションには、神姫サイズのメンテナンス工具一式も設定。メカ ニック神姫を育成し、神姫だけのレーシングチームを編成すること も夢ではありません。あなたはチームの総監督に! ■ボディは1/6サイズを基本とした、国内自動車メーカー2000-2006 年頃の各社人気モデルをモデファイ。ボディコレクションとしても お楽しみいただける、ハイクォリティな仕上がりです。 ■弊社から発売予定の追加・リプレイスパーツを活用し、あなただけ の、最速の神姫マシンを! 他社パーツも続々発売予定!! 詳細は、下記を参照して下さい。また、新たな情報は随時公開いたし ますので、HPにてご確認下さい。 <武装神姫競技用小型車輌「レブリミット(仮称)」> ・対応武装神姫 現在発売中の武装神姫 ・シャーシモデル <燃料電池-電動発動機タイプ> ・SE-01(540相当モーター1基) 電 源:アルコール型燃料電池(もしくはLi-ionバッテリ) 発動機:RS-540(マブチ汎用モーター) 配 置:リアユニット・後輪駆動(2WD) 材 質:アルミ+強化ABS樹脂 ・SE-02(540相当モーター2基掛け可能構造) 電 源:アルコール型燃料電池(もしくはLi-ionバッテリ) 発動機:MT-540(東杜田技研オリジナルモーター) 配 置:リアユニット・全輪駆動(4WD) 材 質:アルミ+強化ナイロン樹脂 註)SE-02シャーシセットは、出荷時は1基掛け仕様となって おります。2基掛けにする際は、別途オプションパーツを お買い求め下さい。 <レシプロエンジンタイプ> ・GM-01(単気筒エンジン) 燃 料:専用アルコール 発動機:MA-003AT(2.5cc・単気筒) 変速機:遠心クラッチ・Vベルト無段変速式 配 置:ミッドシップエンジン・後輪駆動(2WD) 材 質:アルミ+強化ナイロン樹脂 ・GM-02(2気筒エンジン) 燃 料:専用アルコール 発動機:MA-007AT(5cc・V型2気筒) 変速機:遠心クラッチ・Vベルト無段変速式 配 置:ミッドシップエンジン・全輪駆動(4WD) 材 質:チタン+強化アラミド樹脂 ・ボディモデル(第1弾・全8種) 001:A80タイプ 002:R34タイプ 003:DC5タイプ 004:GDタイプ 005:GHタイプ 006:ZCタイプ 007:SE3タイプ 008:M312タイプ 註)一部モデルは、シャーシの都合上1/6よりも大きい縮尺 となっております。ご了承下さい。 ・対応オプションパーツ <電動発動機シャーシ> 「SE-2専用・発動機2基掛けキット」(強化型発動機ユニット ケース、MT-540モーター1基付属。) 「専用Li-ionバッテリパック」(燃料電池ユニットと置き換え て使用。急速充電器付属。SE-01・02 両対応。) 「SEシリーズ用・シャーシ強化パーツ」(アルミ製) 「ハイパフォーマンスコントローラキット」(マニュアル付属) <レシプロエンジンシャーシ> 「ターボキット」(ターボユニット、及び専用マフラー、エア クリーナーほか、周辺付属品付き。 GM-01・02両対応。) 「マルチバリエータプーリーキット」(Vベルト無段変速機用・ 高性能プーリー・スプリング・各重量のウェイトローラーを セットに。セッティングマニュアルDVD付属。) 「マニュアルミッションキット」(マニュアルミッション及び マニュアルクラッチ化するためのキット。GM-02のみ対応。) 「GMシリーズ用・シャーシ強化パーツ」(アルミ製) 「レーシングECUキット」(セッティングマニュアル付属) <共通パーツ> 「強化サスペンションキット」(各種角度・レート・ダンパー の調整が可能、セッティングマニュアルDVD付属) 「神姫・はじめてのじどうしゃ」(オーナー用教本・DVD及び 神姫用バーチャル教習DVDのセット) 「メンテナンスキット」 「神姫用工具セット」 (ほか、随時HPにて公開する予定です。) ・販売形態 全商品を単品にて発売いたします。また、補修パーツにつきましても、 出来る限り部品単位での販売を予定しております。(但し、クランクや ECUなど、一部パーツにつきましてはセットでの販売となります。) ・当社セット販売品 「SEシリーズ・スターターセット」〜初めての方はこちらを。 SE-01シャーシ、ボディ、神姫はじめてのじどうしゃ メンテナンスキット、スターターマニュアル(DVD) など (註)スターターマニュアルは、本製品の取り扱い方法や通常 メンテナンス等の基本的な部分を、実際に神姫が解説を するDVDになります。なお、こちらは本キットのみ付属 となります。別売等はありませんので、ご了承下さい。 「SEシリーズ・スタンダードセット」〜セミプロなあなたへ。 SE-02シャーシ、ボディ、神姫はじめてのじどうしゃ メンテナンスキット、神姫用工具キット、専用ケース など 「GMシリーズ・スタンダードセット」〜GMシリーズ入門用。 GM-01シャーシ、ボディ、神姫はじめてのじどうしゃ メンテナンスキット、専用ケース など 「プロフェッショナルセット」〜これでレースに即参戦可能! GM-02シャーシ(強化サスペンションキット組み込み済み) ボディ、スペアボディ(無塗装)、メンテナンスキット、 神姫用工具セット(2組)、専用大型ケース など ・発売予定価格 (現在未定) ・発売予定時期 (今夏予定) 以上 <<トップ へ戻る<<
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前へ 先頭ページへ 次へ 「バトリングクラブ」(上) 「ここか」 「……みたいですね?」 おれとマイティ――天使型MMSアーンヴァル――は、すえた臭いの立ちこめる場末の会員制クラブの入り口にいた。 なぜおれがこんなところにいるかというと、彼から招待状が届いたからだ。 彼――犬型MMSハウリン「シエン」のオーナー――は、 「いいから来い。面白いモンを見せてやんよ。来なかったら私刑」 と言って、半ば無理やりおれを呼び出した。私刑は誤字ではない。 おれは正直怖気づいていた。いや、私刑にではない。 そもそもおれはこんないかにも治安の悪そうな場所に自分から赴くような人間ではない。 なにより今はマイティを連れている事がおれをためらわせた。が、彼の「大丈夫だから」という言葉を信じてやってきたのだ。 とりあえずからまれることもなく無事に現地へ着いたわけだ。玄関先の巨漢の黒人に 招待状を見せる。 「ドウゾ、オハイリクダサイ」 片言の日本語だが、やはり威圧的な空気は篭っている。目の前にいるのはまったく場違いな人間なのだ。無表情な中から怪訝そうな感情がにじみ出ていた。 ウェイターに案内され、控え室の一つに通される。クラブであるはずなのにホールでは誰も踊っていなかった。何かを待っているようだった。そういえば真ん中のお立ち台には頑丈な金網が回されてあったが……。 「よお、来たな!」 出されたキツイ酒を飲んでいると彼が現れた。 「お前はこんなところにいても違和感ないよな」 おれは彼の茶髪やヒゲやピアスを見ながら言った。 「なんだそりゃ。まあいいや。ようこそ。バトリングクラブへ」 「バトリングクラブ?」 「シエン、入って来い」 『了解です、ご主人様』 妙にくぐもった声だなと思う間もなく、スコープドッグが入ってきた。 あのスコープドッグだ。ボトムズの。なぜか頭部が真っ赤に塗られている。 「シエンちゃん!?」 マイティが俺の懐から飛び出した。シエンが無骨な戦闘ロボットになってしまったと 思ったのだ。 「久しぶり、マイティ」 ハッチを上げて、中からシエンが出てきた。素体のままではなく、専用の対Gスーツを 着ている。頭には同梱の頭甲・咆皇にモニターゴーグルを取り付けていた。 「どうしたの、このロボット?」 「ご主人様に買ってもらったんだ」 なんだって? 「お前買ったのか、このバイクが買えるくらいのやつを?」 「買った。シエンの為だからな」 ある意味、こいつはおれ以上の神姫ラヴァーかもしれない。 「バトリングってのは、やっぱりボトムズのだったんだな」 「そうだ。オレはここで、パートナーをやらせてもらってる」 「誰と?」 「ここのチャンピオンとさ。もうすぐ試合があるんでそろそろ、……来たな」 ドアが開く。 そこには気さくそうな眼鏡の青年が立っていた。チェックのワイシャツにチノパン。おれよりも場違いな人間だった。 「やあ、君が『屍ケン』のご友人だね」 「屍ケン?」 「オレのリングネームさ」 「僕は舎幕(しゃばく)。リングネームは『青の騎士』だ。よろしく」 「あ、ああ。よろしく」 俺はごく自然に舎幕と握手していた。細い手だった。 「僕の神姫とATを紹介しよう。ライラ、入っておいで」 入ってきたのはスコープドッグよりもひとまわり大きな、青いロボット。 「僕のAT、ベルゼルガだ。パイロットは兎型MMS『ヴァッフェバニー』のライラ」 ハッチが開いて、中から完全武装の――とおれが思ったのは、その神姫がガスマスクとゴーグルを付けていたからだ――神姫が出てきた。 『コーホー、コーホー……』 「ライラ、控え室にいるときぐらいはマスクを取りなさい」 『……ラジャー、オーナー』 渋々その神姫が素顔を見せた。 「……ライラです」 それだけか。愛想の無い神姫だ。 しかし人懐っこいマイティはすぐに寄っていって挨拶をしている。 「舎幕、時間だぜ」 彼――屍ケンが呼ぶ。 「ああ、そうだね。挨拶だけですまない。これから試合なんだ」 「いや、いいんだ」 「オマエには特等席を用意してあるぜ。楽しみにしてな」 そうして俺たち一人と一体は、その特等席とやらに通された。 思ったとおりあのお立ち台はバトルリングであり、特等席とはそのまん前、最前列であった。 「レィディースえ~んどジェントルメェン! ようこそ、クラブサンセット、武装神姫in装甲騎兵ボトムズ・バトリングマッチへ! 今宵もクラブチャンピオンの座を賭けたアツいバトルの始まりだ!」 司会のスタートコールにホールに集まった観客が歓声を上げる。 「まずは我らがチャンピオンタッグの紹介だ。」 リングの東方、おれのいた控え室の方向へ司会が手をかざす。 「チャンピオンの愛弟子! 幾度と無く敗れてなお、立ち上がってきたアンデッドマン。屍ケン&「ハウリン」シエン!」 フードを被った彼が、プッシング・ザ・スカイのBGMとともに登場。肩に立ったシエンが観客に手を振る。彼女のファンらしいグループが「シエンちゃーん!」と黄色い声。 「シエン‘sAT、ムダな装甲を限りなくそぎ落としたライト・スコープドッグ、『クリムゾンヘッド』!」 彼の後ろからハッチを開けた無人のスコープドッグがローラーダッシュで入場。彼の肩にいたシエンは跳躍、コックピットに見事着地し、ハッチを閉め、そのままリングへ登壇した。 「そして我らがクラブチャンピオン。並み居る挑戦者を華麗に撃破し続けるハンサムボーイ。青の騎士・舎幕&「ヴァッフェバニー」ライラー!」 青年舎幕が控え室そのままの姿で登場する。やっぱりどこかの理系の大学生にしか見えない。 ライラはどこだ? 「ライラ‘sAT。どんなATもその巨体にはかなわない。ヘヴィ級アーマードトルーパー、『ベルゼルガ』!」 ブルーの巨体が舎幕の後方からローラーダッシュしてくる。もうライラは乗り込んでいるようだ。 どうやら彼女は人前で素顔を見せたくないらしい。 挑戦者の紹介が始まった。 「今宵のチャレンジャー。都内各地のバトリングクラブを潰しまわって十二件。息のぴったり合ったユニゾン攻撃は相手を混乱の渦へと叩き込む。バックス兄弟、そして「ストラーフ」マリア&ミソラ!」 バックス兄弟? どう見ても日本人じゃないか。屍ケンより格段にガラの悪そうな連中だった。 たとえるなら、徒党を組んでカツアゲでもしていそうな連中だ。おれなら絶対に関わらない。 連中の神姫はそろってストラーフだったが、おれは妙な違和感を覚えた。 目に神姫特有の生気が宿っていないのだ。 「あのストラーフたち、感情回路を外されてます」 マイティが寒そうに胸をかき抱きながら言った。 「どうなるんだ?」 「ただのロボットになってしまうんです。マスター、あの、少し抱いていてください」 「ああ……」 おれはマイティを両手で包んだ。 無理もない。あのストラーフたちの姿は、彼女らにとっては脳みそをいじくられているも同義。 痛々しい姿をマイティは見ていられないのだ。おそらくシエンとライラも同じ気持ちだろう。 「おい、舎幕」 「ああ。分かってる。倒すさ」 二人はそう打ち合わせた。 挑戦者のATは、黒いストロングバックスの背中にストラーフのアームユニットを二対も取り付けていて、さながら阿修羅のような格好だった。カメラは人間の目のようなステレオスコープ。 ルールは白兵戦武器も使わない肉弾戦のみの限定ブロウバトル。 ゴングが鳴った。 つづく 「バトリングクラブ」(下) ◆viewpoint change… “おれ”→”3rd person” リングは正八角形の平面で、直径は10メートル前後。1/12のATが悠々と走り回れる広さになっている。 「どちらかのATがすべて行動不能になった時、試合終了とします。それでは、レディー……ファイッ!!」 ゴングが鳴らされた途端、四体二組のATはそれぞれローラーダッシュを全力でかけ突進した。 いち早く飛び出たのは屍ケン、シエンのクリムゾンヘッド。頭部が真っ赤に塗りたくられたライトスコープドッグは、異常なまでに良好な出力重量比をもって機動する。 コックピット周辺を中心に可能な限り殺ぎ落とされた装甲は、駆動限界ギリギリまで迫る。重量軽減のために左腕のアームパンチさえオミットしているのだ。 「そんなにガリガリで、俺様のマリアに真正面から挑むのか、死にたがりめ」 ほくそ笑む、バックス兄弟の兄。 「ぶっ潰しちまえ、マリア!!」 『了解』 ひどく無機質な応答があり、「ストラーフ」マリアの阿修羅ストロングバックスがステレオスコープの両目を真っ赤に光らせ相対する。本体のと合わせ計六対のアームユニットが開かれ、迫るクリムゾンヘッドを殴り潰さんとランダムに飛来した。 さながら他弾頭ロケットの着弾である。掛け声を付けるなら「オラオラオラオラ」あるいは「無駄無駄無駄無駄」だが、あいにくパイロットの神姫は感情回路が無いためそんな気の利いた気合は出さない。 しかし、クリムゾンヘッドは当たらない。超軽量のボディはATらしからぬアクロバットな回避を簡単にこなすことができる。スウェー、ステップ、側転を織り交ぜ、機関銃のように繰り出されるパンチの雨を避け続ける。避けられたパンチはリングの床をえぐった。 「こりゃ負けたほうが弁償だぞ」 カウンターのバーテンダーがぼそりと呟いた。 『遅い!』 クリムゾンヘッドはついにマリア阿修羅STBの懐へ到達。唯一の武装である右手のアームパンチに気爆薬を装填、相手の胸部装甲へまっすぐに叩き込んだ。 マリア阿修羅STBが吹っ飛ぶ。が、すぐに体勢を整え着地。ストロングバックスは通常のスコープドッグよりも前面装甲が分厚い。1/12といえどその特性は変わらない。ダメージが思ったほど通っていない。 『ちっ』 シエンはコックピットの中で舌打ちした。 「ドン亀が! やっちまえミソラ!」 『了解』 ミソラ阿修羅STBはベルゼルガにターゲットを合わせた。ローラーダッシュでもさほどのスピードしか出ないへヴィ級ATベルゼルガを捉えるのは容易い。 あっという間に間合いを詰め、二対のアームでがっしりと青い巨体をホールド。両のアームパンチを連打する。 「はぁっはっはっは! さすがの青の騎士もこいつはキくだろう!」 「ベルゼルガを甘く見ないで欲しいね」 舎幕はふふと笑うと、自身の神姫に命令を下した。 「ライラ、思いっきり痛めつけてやりなさい」 『ラジャー、オーナー』 ベルゼルガの図太い腕がミソラ阿修羅STBを挟み込んだ。 「何ィ!?」 そのまま、なんとベルゼルガはストロングバックスを軽々と持ち上げたのだ。 『ふんっ』 気張って一発。投げ飛ばした。マリア阿修羅STBの方向へ。 二体の阿修羅は激突し、リングのすみへ転がった。 ベルゼルガの装甲は擦り傷さえあれ、少しのへこみも見当たらなかった。 ウォォォォォォォォ ギャラリーの吼えるような歓声。スタンディングオベーション。 「すごいな」 「はい……」 マイティたちは唖然としてリングの攻防を見つめていた。 「もう君たちの負けだ。僕らには勝てないよ」 冷静な顔で舎幕が言った。こんな台詞なのに、決して気取らない、チャンピオンの風格。 「こンの小僧があぁ……」 「兄貴、やっちまおうぜ」 バックス兄弟はリングの中へ何かを次々に投げ込んだ。 阿修羅たちがそれをキャッチ、六本のうでに装備する。 スコープドッグの標準装備、ヘビーマシンガンだった。それぞれ六丁ずつ。大型のマガジンを搭載してある。 「リアルバトルに変更かい」 「そうくると思ったぜ」 舎幕、屍ケンも投げ込んだ。ただしそれぞれ一つずつ。 クリムゾンヘッドが肩に背負ったのは、見覚えのあるキャノン砲。 ハウリンの同梱武装、吠莱壱式だ。 ベルゼルガのもとには、胴体部分をくまなく覆えるような大盾が落ちてきた。中心部分には針のようなものが通っている。 「出たぞ! ベルゼルガの必殺武器、パイルバンカーだ!」 司会が待ってましたとばかりに叫ぶ。 リングをリアルバトル用の強化透明プラスチック壁が覆う。ルールはリアルバトルに変更された。 銃火器使用可能、実戦さながらの無制限バトルである。銃火器と言ってももともとはマーキング弾が飛ぶおもちゃだが、リアルバトル用の銃器はだいたいATの装甲を貫けるように改造されている。小口径と言えど銃弾が飛んでくるようなものだから、リアルバトル時にはこのような専用の防護壁がリングもしくはバトルエリアを覆うのだ。 「シエンちゃんたち、大丈夫かな……」 マイティが心配そうにマスターに聞く。 「まあ、問題は無いと思うが。あの二人の表情を見てみろ」 マスターは屍ケンたちを指差した。 「楽しそうじゃないか」 バックス兄弟は声をそろえて自らの神姫に命令した。 「蜂の巣にしてやれァ!」 『了解』 合計十二丁の銃口が向けられた。 爆音。 目がくらむほどのマズルフラッシュがリングの一角を支配した。 ベルゼルガは大盾を構えて防御の体勢をとる。クリムゾンヘッドはローラーダッシュを最大出力にし、真横に避けた。 クリムゾンヘッドの通った壁にペレットの雨あられが着弾する。壁は二重構造で絶対に貫通することは無いが、その後ろにいる観客は恐怖にかられてのけぞった。 吠莱壱式が文字通り吠える。大口径の砲弾は連射能力こそないが、移動間射撃にもかかわらず相手のマシンガンを一丁ずつ、的確に撃ち落してゆく。 最後の一丁になったとき、弾丸が切れた。吠莱壱式の方だった。このときの間合いはAT二体分しかなかった。 「ぶっ殺せ!」 容赦なく、マリア阿修羅STBは撃った。照準はコックピット。 「シエンちゃん!!」 マイティが乗り出して悲鳴を上げる。 撃たれたとほぼ同時にコックピットハッチが開放された。マシンガンの弾は誰もいないシートに穴を開けた。 ほとんど素体のままのシエンが飛び出していた。右手には同梱武装の十手が逆手に握られている。 「うおおっ!」 シエンはマリア阿修羅STBの頭頂部めがけて、十手を突き刺した。落下の勢いが加算され、刃物でないはずの十手が頭部装甲を貫通した。シエンはマリアのコアユニットをつぶす手ごたえを感じた。シエンは哀れむべき同族を楽にしてやった。 ミソラ阿修羅STBの一斉射は、ベルゼルガの大盾に勝てなかった。 「くそう、くるな、くるなよお!」 バックス弟は涙目でがなりちらす。 ゆっくり、ゆっくりと、大盾を構えたベルゼルガは近づいてゆく。 ついに六丁のマシンガンが沈黙した。 ベルゼルガは緩慢な動作で大盾を引く。中心のパイルが後退してゆく。 『許せ』 一撃。 ストロングバックスの胸部装甲を、ベルゼルガのパイルバンカーが貫いた。斜め下方から侵入したパイルは、ミソラのコアユニットを破壊しながら、ATの後頭部まで到達した。 「試合終了! 勝者は屍ケン&青の騎士、チャンピオンチーム!!」 今迄で一番大きな歓声が上がった。マスターとマイティは耳を押さえた。 試合終了後にブチ切れた兄弟がナイフを振り回して舎幕らを襲おうとしたが、門番の巨漢の黒人、ボビーに「きゅっ」と締め落とされ、放り出された。 「ありがとう、ボビー」 「オ仕事デスカラ」 ボビーは門番に戻っていった。 ◆ ◆ ◆ 「やっぱり、こっちには来ないのか?」 屍ケンが寂しそうに言った。 「悪いがあんな危険な試合はできない。マイティを戦わせるのは神姫だけで十分だ」 マスターは答えた。 「そうか……。まっ、そう言うとは思ってたけどな」 「だがいい試合だった。あのストラーフの二人も浮かばれるだろうな」 「へっ……」 「じゃあな。おれはこれで」 「なあ」 「ん?」 「お前ぇ、リベンジするんだろうな。あの片足の悪魔に」 「……」 マスターはあごに手を当てて空を見ていたが、ややあってこう言った。 「考えておくよ。マイティ、帰るぞ」 「は、はい。……じゃあね、シエンちゃん」 「ああ。またな」 こうして二組のオーナーはそれぞれの戦いへと身を投じることになる。 それはまた、別のお話。 了 前へ 先頭ページへ 次へ
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東京ブリーチャーズ主題歌『東京妖魔戦記』 https //img.atwikiimg.com/www65.atwiki.jp/tokyobleachers/pub/tokyoyoumasenki.mp3 煌めく都の夜の【橘音】 闇の中に生きる【尾弐】 人の想いより生まれし 者達よ【橘音&尾弐】 (間奏) 【1番:橘音&ポチ&尾弐】 闇が彩る舞台で 影の歴史紡ぐ者 知られざる物語 語りませう なんでもない日常の 隣り合わせの戦いに 誰しもみんな 気付かずに暮らしてる 神代の時は終わり 追いやられた奴ら 街の空隙に潜んで 爪を研ぐ 人の浮世に紛れ 存在許された我ら 居場所守るため 旧き同胞(なかま)を討つ 果てなき 欲望 渦巻く 摩天楼の都市 狙われた 我らの都を 守り抜け ―――― 【2番:祈&ノエル&ムジナ】 星の彩る舞台で 現代の神話語る者 新しき伝説を 紡ぎませう 過ぎ去りゆく雑踏の 背中合わせの非日常 誰もがみんな 振り向かず通り過ぎる 科学の時代が進み 忘れ去られた奴ら 時の狭間に潜んで 牙をむく 人の街に魅入られ 人を粧(つくろ)う我ら 故郷守るため 遠き縁者(えにし)を討つ 人と 妖が 共存する(住まう) まほろばの国よ 奪われた 我らの平和を 取り戻せ (間奏) 希望と絶望が渦巻く【祈】 優しくて残酷な世界【ノエル】 遠い記憶の果てから聞こえてくる【ポチ】君の声【ムジナ】 【全員】 あの日 交わした約束 忘れはしないよ 百年千年 永久(とわ)に君を守り抜く 全ては信じたままに なると気付けたから もう何も怖いものはない『かくあれかし』 CAST 橘音:VY1を少年風に調整 ノエル:KAITOを中性的に調整 祈:鏡音リン 尾弐:VY2 ポチ:鏡音レン ムジナ:MEITO(MEIKOを男声に調整したやつ) 作中ではみゆき(ノエル)が第7話の冒頭にて失意の祈を励ますために作った曲という設定。 以下祈による鑑賞レポ それは雪野みゆきが言う通り、正しくヒーロー達の歌だった。 一番は、現代の暗闇に潜む脅威を人知れず取り除く、“彼ら”の姿が描かれている。 妖怪でありながら人と同じ姿で生き、新たな居場所を得た彼ら。 彼らは自分達の居場所を守る為、同胞に刃を向けなければならない。その悲哀が感じられた。 ところが二番に差し掛かると、今度は話が大きくなっていく。 彼らが守る対象が自分の居場所ではなく故郷となり、 更に、奪われた我らの平和を取り戻せ、と変化するのである。 自衛の為の戦いはやがて故郷や誰かを守る為の戦いへシフトし、 しかし脅威は余りに強く、彼らは力及ばず追い詰められていった、というところだろうか。 そしてラストへ。追い詰められ、希望と絶望の狭間で揺れながらも、 彼らは“君”との誓いがあるからと巨大な脅威に立ち向かう覚悟を決めたようだった。 ヒロイックな歌詞と聴く者を魅了する歌声に祈が聞き入っていると、 聞き逃せないフレーズが耳に飛び込んできた。 「全ては信じたままになると気付けたから――もう何も怖いものはないかくあれかし」 ――『かくあれかし』。 歌の結びに使われたこのフレーズは、妖怪にとって重要な意味を持つ言葉だ。 妖怪が存在していられるのは、人々がそう在って欲しいだとか、 そうであろうだとか、――『かくあれかし』と思っているからなのだ。
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パイソン(ギャグです) 永倉辰由(ながくらたつよし)。 近隣を支配する極道。伊藤組組長、伊東観柳斎の懐刀とまで呼ばれる男である。 実質、伊藤組のナンバー2と言っても過言ではない。 誰が呼んだか通称“パイソンの辰”。 先祖代々極道で、古くは江戸の賭博を取り仕切っていた顔役、永倉興三郎まで遡れる由緒正しい生粋のヤクザ者である。 「おう、伊藤の所の永倉じゃねぇか?」 不意に背後でした男の声に、辰由は懐に手を入れて振り返る。 「………これはこれは、四課の原田刑事。お久しぶりです」 声の主は原田大介。 捜査四課、暴力団対応の刑事で荒事のプロだ。 「今日は如何なさいました? 界隈は平和そのものですよ?」 顔見知り相手なので、彼の二つ名の由来となった懐の中の凶器は出さずにおく。 「確かにここの所は何処も大人しいもんでな、逆に俺は何かの前触れじゃねえかって踏んでるんだがよ?」 「ははは、原田刑事のカンですか?」 苦笑する辰由に原田は一歩近づいた。 「おう、永倉? てめぇ、何かヤバイ山企んじゃいまいな? あぁ?」 「ご冗談を、自分は真っ当な会社員です」 「…けっ、よく言うぜ。パイソンとまで呼ばれた男がな」 「お恥ずかしい限りです」 「今も持ってるんじゃねぇだろうな?」 「まさか、流石にアレを持ち歩くほど界隈は荒んでいませんよ」 平然と言い切る辰由。 実はしっかりと懐にはソレを隠し持っている。 だが、流石の原田も見せてみろとは言わない。 それを見たときが自分の死ぬときだと分かっているからだ。 「けっ、まあいい。何か起こして見やがれ、その時は観柳斎の野郎もろともブタ箱にぶち込んでやる!!」 「では、それまでに夜道で事故になど遭われませぬよう、お気を付けを………」 そう言って辰由と原田は互いに背を向けた。 「…って所で仕事おしまい。んで、最近調子はどうでぇ辰よう?」 くるっと振り返る原田。 辰由も再び振り返り、再度原田と向かい合う。 「…相変わらずですが、先日ウチのシマに粉持ち込んだ外人が居ましてね。…締め上げて背後関係を吐かせたんで、後で引き渡します」 「で、流れたのはどれ位だ?」 「二、三件際どかったようですが、一応回収には全て成功しています。モノは処分してしまいましたのでお引渡し出来ませんが………」 「そうか、相変わらずの手並みだな。しかし、ココに粉持ち込むたぁ馬鹿な外人だぜ」 「最近はそういう輩が増えましてね、こちらは結構大変です」 「…悪いな、警察ってのは防犯にゃあ、あまり役にたたねぇからな。お前らの尻拭いしか出来んのが歯痒いぜ」 タバコを取り出し火を着ける原田。 「原田さん、ここ、路上喫煙禁止区域です」 「んあ? ちっ、しゃーねぇな。ったく、ウゼェ法律作りやがって」 「刑事の言葉じゃありませんね…」 辰由は苦笑した。 「そういや、最近辰の字は吸わねぇのな?」 「ええ、お嬢が『辰はタバコ臭いから嫌い』と言って以来10年吸ってません」 「ああ、伊東ん所の美空譲ちゃんか? ちったぁでっかくなったのか?」 タバコを仕舞いながら原田が尋ねる。 ちなみに、タバコを捨てないのはポイ捨て禁止だからではなく、勿体無いからだ。 後でもう一度火をつけて吸うつもり満々である。 「そうですね、お嬢も高校に上がってからは随分と元気になられまして」 「そいつは良かった。…小学の最後ら辺か? あんときゃ随分酷かったからな………」 「フェータさんのお陰ですよ」 お嬢、伊東美空の神姫の名を辰由は口にした。 「…ああ、嬢ちゃんが連れてる人形か。―――そう言やぁ、武装神姫って言うのはアレのことか?」 「ええ、アーンヴァルですね。原田さんも神姫に興味がお有りで?」 「いや、そうじゃなくてな。なんでも最近神姫センターに幽霊が出るって言うんで、二課の武田が動いてるんだよ」 「―――幽霊、ですか?」 「ああ、何でもバトルロイヤルって言うのか? アレに参加していない奴が乱入してくるらしい………。俺には良く分からないんだがな?」 「バトルロイヤルに乱入………。不可能だとは思いますが………」 「ああ、武田もそう言ってたぜ。まあ、とにかく美空嬢ちゃんにも気をつけるように言っといてくれや」 「心得ました」 「さて、それじゃあ俺は聞き込みに行くとするか」 そう言って原田は再度背を向ける。 「原田さん。パチンコ屋で遊ぶ事を聞き込みとは言いません」 「良いんだよ、あれはパチンコ台と俺との会話なんだ、立派な聞き込みじゃねぇか?」 「………何時もの店でしたら、パチスロ神姫の2列目、右端がお勧めです」 「何時もすまねぇな」 「いえ、それではまたいずれ………」 そう言って辰由も背を向ける。 「そう言や辰よう? お前ぇ、武装神姫に詳しいのか?」 「………ご冗談を、風俗の仕切りの関係で身についた知識です。………仕事ですよ」 「そうか」 そう言って原田は今度こそ歩み去った。 「ふぅ」 マンションの玄関で電子鍵を開けてロビーに入った。 他ならぬ永倉辰由の住居である。セキュリティは水準以上を保っている。 エレベーターのボタンは『5』最上階の一室が彼の住まいであった。 「帰ったぞ」 「お帰りなさいませ、だんな様」 帰宅した辰由を、見目麗しい少女が三つ指を着いて出迎える。 「お風呂とお食事の用意は整っておりますが、如何なさいますか?」 「先に風呂にしよう。ビールを用意しておいてくれ」 「畏まりました」 そう言って少女は部屋の奥へと消える。 「ふ」 アレを拾ってからもう随分になる。 最近は色々な事を学習し、辰由を驚かせることもしばしばあった。 皮靴を脱いで、女物のローファの横に並べると、辰由は風呂場に向かって歩き出す。 「あ、辰由~。お帰り~」 「ぶぼおぉっ!!」 いきなり居間から顔を出した少女に辰由は吹き出した。 「おっ、おおおお」 「オリビアを聴きながら?」 「じゃなくて、お嬢が何でココに!?」 「辰由居るかな~って思って来て、ピンポ~ン鳴らしたさ。そしたらあの子が鍵開けてくれた」 「~~~~~~。 \(@O@)/」 永倉辰由(ながくらたつよし)。 近隣を支配する極道。伊藤組組長、伊東観柳斎の懐刀とまで呼ばれる男である。 実質、伊藤組のナンバー2と言っても過言ではない。 誰が呼んだか通称“パイソンの辰”。 先祖代々極道で、古くは江戸の賭博を取り仕切っていた顔役、永倉興三郎まで遡れる由緒正しい生粋のヤクザ者である。 そんな彼が神姫を保有していることが発覚した瞬間であった。 「プリンちゃんって言うんだ~、可愛いねぇ~」 辰由の同居人である神姫を手に乗せ、頬ずりする美空。 そんな彼女に縋り、額を床に擦り付ける“パイソン”辰由。 「お嬢、如何かこの事は内密に!!」 「ど~しようかな?」 「お嬢ぉ!!」 「あはは、おっけーおっけー。でもその代わり一つだけお願い聞いて?」 「分かりやした。何なりと」 返答は即答。 今の辰由は必殺のパイソンでべ○ータとかフ○ーザだって素で倒せる!! しかし、美空の要求は彼の思考の斜め上を音速飛行して行った。 「それじゃあ、今から対戦しに行こう」 「ぶぼおぉっ!!」 再び吹き出す辰由。 …如何でも良いが、さっきまでの渋い極道の面影は欠片もない。 もはや単なるギャグキャラと化した辰由は思考回路をオーバードライブさせる!! (プリンを連れて外に出る!? 馬鹿な、そんなことは不可能だ!! しかし、お嬢は本気だ。逆らえば間違いなく言いふらす!! お嬢はそういうお人だ、間違いない!! ならば如何する!? 考えろ!! 考えるんだ!! クールになれ、永倉辰由っ!!) 上記の思考が、彼の脳を通過するのにかかった所要時間、僅かに0.0275秒っ!! それは最早光すら超越した高速思考!! 今の辰由は光速拳のライトニ○グプラズマとか余裕で見切るっ!! そんな彼の努力に天啓が報いた。 (そうだ、俺にはコレがある!! 俺にはこの“パイソン”があるじゃないか!!) そう、それは実に簡単な回答だったのである。 (俺とプリンちゃんが出歩く姿を見た奴を、全部このパイソンでぇ!!) ソレを美空に使うという発想が無いあたり、観柳斎が全幅の信頼を置くだけのことはある。 だがしかし、それは大量殺人ルートです。 「いや、辰由。恥ずかしいなら変装でもすれば良いじゃない?」 連れ出すのを勘弁するという思考が無いあたり、美空は何処まで行っても美空だった。 「…変装?」 「そうそう。グラサン変えてマスクでもすれば誰も辰由だとは分かんないわよ?」 「なるほど、変装ですか………」 そう言って辰由は大きく頷いた。 その日、ゴスロリドレスを着込んだヒゲ面オカマが、神姫センターに現れたという。 武装神姫、“シュメッターリング”のプリンちゃんを引き連れて。 おしまえ 二段オチ 美空「そう言や辰由って、何で“パイソン”って呼ばれてるんですか?」 フェータ「拳銃のコルトパイソンが武器だからですか?」 辰由「いえ、殺人ジョークが武器だからです」 美空「モンティ・パイソンかよ!?」 こんどこそおしまえ
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春夏秋冬の日々 駄文著者 3スレ目70改め 永眠者>のifな(ご都合主義とも言う)武装神姫のお話し 登場する人&神姫の紹介 平日 プロローグ 一日目 二日目午前 二日目午後 三日目午前 三日目午後 休日 一日目 ご来店有難う御座います 本日 - 昨日 - 総計 - またのお越しをお待ちしています 07/09/09現在 初めての方、いらっしゃいませ 以前からの方、本当にご無沙汰しています。申し訳ない。 本当に久しぶりの更新でございます。 バトロンやったり、バトロンやったり、仕事でテンぱったり、バトロンやったり・・・ 複数の事が同時にこなせない量になって少し現実逃避したり。 あれからさらに新たな方達が増え毎日のチェックが楽しみな日々。 そして次の更新は年内に出来るのであろうか・・・では。
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第二十話:道行姫 「僕はイリーガルマインドに苦しむアーンヴァルの声と施設の事を聞いて迷っていたよ。施設がどうなるのか、この先の武装神姫もどうなるかと」 結に支えられながら輝は俺に自らの迷いを語り始める。その顔は施設の真実を晒される事を恐れていない覚悟の決まった顔だった。 ついさっきとはまるで違っている。 「でも、こうも考えられたんだ。もしかしたら神姫も施設も両方救えるんじゃないかって」 「何をする気だ?」 「僕は証人に加わる。その代わり、施設の何も知らない人々は無関係だって事を証明して、施設が存続できるようにする」 「……一番困難な道だぞ? しかもすぐに解決できる事じゃねぇ。施設を存続させたとしても後の偏見の目だって消さなけりゃならん」 輝の選択は最も難しいものだった。 施設からイリーガル技術流出の汚名を拭い去る、言葉にすればそれだけの意味だが、実際にやるなら様々な問題が発生する。それは俺にだって列挙し切れるものじゃない様々な難題、他者の思惑が絡んでくる。 まさに茨の道、輝も思い切ったものである。 「わかってる。これは僕の戦いだ。君の手出しは無用だよ。君はイリーガルにだけ集中していればいい」 「やれるのか? 一人で」 「一人じゃないよ。僕には結がいる。石火に早夏もいる。施設のためなら何だってやってみせるよ」 その言葉を迷いなく言ってみせる。結も、石火に早夏もそれについていこうという顔をして、輝の語る姿を見届けていた。どうやらその言葉は四人で考えた真実のようだ。 俺が止められるようなものじゃない。 「ははっ。なるほどなぁ。初代チャンピオンって名がさらにサマになってきた気がするぜ」 彼らの覚悟に負けた俺は少し笑って、それを認めた。そこまで言うなら進んでもらおう。俺はその覚悟を見届けてやる。 「わかったよ。俺はイリーガルを叩いて、目の前の小さな奴らを助ける。お前は施設って大きなものを助けてやんな。足下は俺に任せろ」 「ああ」 俺は輝に敬意を表して、彼の手を取り、握手した。輝はその感触を感じ取って握り返し、それを交わした。 「いいね。男の友情っていうのは熱い! 僕も及ばずながら力になるよ。まぁ、ただというわけにはいかないけど、代金を割引サービスしてあげちゃおう」 話のキリのいい所で日暮が拍手で話を持ちかけた。ちゃっかりしているのか、本気で感動しているからそうしているのかといえば……おそらく後者だ。 その辺はしっかり『正義の味方』といった性格をしていた。 「今の声の人は?」 「正義の味方の日暮さんだ。彼に手を借りれば結構やれると思うぞ。『ハイスピードバニー』の風俗神姫騒動も解決にも貢献したからな」 「あの大事件を!? それは凄いな……」 「どうだい? 僕に君の手伝いをさせてくれないか?」 「お願いします。対価なら払います。どんな事をしてでも施設を救いたいんです」 「わかった。代金はそうだな。尊君。君に払ってもらおう」 「え?」 話が進む中、唐突に代金の話が俺の方に向いて驚いた。何をどうすればそういう話になるというのだろうか。 「そう難しい事じゃないさ。代金は君がイリーガルマインドなどの装備を押収して、それを僕に渡す事を約束してくれ。つまり、君が今やろうとしている事さ」 「なるほど。それならいいでしょう。僕がやる事は輝と違って自己満足だ。それに価値がつくなら喜んで」 「商談成立だね。じゃあ、輝君に結ちゃんだっけ? 二人で奥まで来てくれ。これからの事を話そう」 「はい」 長期戦となるであろう施設の話について打ち合わせがかなり時間がかかるのか、日暮は輝にそう言って店の奥へといなくなる。確かに他言無用な話になるのだからそうなるのも当然と俺は納得した。 その輝は入り口から結に導かれながら歩みを進めていく。その足取りは目が見えないため、周りを探るような歩き方をしているが、進むことには一切のためらいがない。 その中で俺の近くまでたどり着くとそこで輝は足を止め、気配でそうしているのか、俺の方を向いた。 「尊。ありがとう。この一歩を踏み出せたのは君のおかげだ」 「尾上辰巳だ」 「え?」 「お前等の頑張ってんのに変なプライドで本名を名乗らないわけにはいかんなと思ったんでな。改めて自己紹介さ」 「そうか。僕は天野輝だ。改めてよろしく。辰巳」 「ああ。……一歩を踏んだ後は輝次第だ。俺は俺の道、お前はお前の道をそれぞれ行こう。目が見えなくたって、もう見えてるだろ?」 「うん。行ってくる」 「おう」 短い会話が終わると輝は再び歩き出し、店の奥へと消えていった。そして代わりの店番として神姫のコアを飾るための胸像ディスプレイにヴァッフェバニータイプのコアがくっついたもの……うさ大明神様がレジの隣に現れた。 それを見届けた俺はここでの用事が終わって彼らとの約束を果たすために蒼貴と紫貴と一緒に店を出て行った。 一週間後、日暮から視覚データによる結果と輝からの連絡が来た。 あれから日暮は輝を伴って、決定的な証拠を施設の研究者に突きつけ、彼らを一網打尽にしたのだという。 これによってリミッター解放装置の販売ラインを、根元を断ち切った事になる。リミッター解放装置はこれ以上、増えることはない。後は日暮が既に流通したものを回収し、俺が既に使ってしまった、或いは買わされてしまったオーナー達から押収すれば、何とかなるはずだ。 使った後でも杉原のワクチンプログラムで何とか助けられるだろう。 施設に関しては義肢を開発していた研究所の独断として施設と研究所で切り離され、研究所のみが罪に問われる形となった。しかし、そこの神姫は改造前のは何とか解放したものの、手を付けられてしまった神姫に関しては証拠品として警察に押収されてしまったらしい。 これを聞くと神姫はまだまだ物として扱われているという事の様だ。 俺達は神姫オーナーにとっては、神姫は物ではなくパートナーだが、この日本での法では神姫は個人として認めてもらえていないのだ。所詮はロボット。物であるという訳だ。 昔の本や物語で繰り広げられているロボットの存在意義の上での答えがこれだとするなら少々悲しいものを感じる。 しかし、可能性はある。そう。輝だ。 日暮経由の彼の連絡に施設の神姫が押収された現場に居合わせたらしく、何とか説得を試みて失敗に終わり、自らの力の未熟さを痛感させられた事が書かれてあった。 後悔の思いがあったが、それには続きがある。輝はその神姫達や施設を助けるためには自分自身がそれを制するだけの力が必要と考え、弁護士として猛勉強することを決心したらしい。結と彼らの神姫もまた輝の決意についていくことにしている。 神姫で何とかするというだけではなく、大人としての力を得る事で両方を救う。どうやら、これが輝なりの答えという事の様だ。 これはすぐに解決することではないし、俺が足掻いた所で変わりはしない。せいぜい輝の相談に乗ったり、宣言したとおりに、バーグラーを狩ったりするのが関の山だ。 だが、こうして未来に続いていると感じることができるのは悪い気がしない。輝を信じる。それだけで今回の自分のやったことが無駄ではないと思えた。 「解決はしたわけじゃねぇが、いい風には終われた……か」 連絡を受けた事を思い出しながら俺は神姫センターに入っていく。今回来たのは真那と会ってしまういつもの場所ではない。そこからさらに四駅ほど進んだ先にある別の神姫センターである。 今回の事件によってばら撒かれたイリーガルマインドの流通も広範囲に渡るものになってしまっており、警察や日暮も捜索しているものの、発見するのが難しい。 俺個人でどれだけ発見できるかはわからないが、様々な場所を回って多くのオーナーや神姫を見てみたいという気持ちもあったため、こうしてイリーガルマインド回収も兼ねたセンター巡りをしてみる事にしたのだ。 秋葉原を中心とするその周辺には多くの神姫センターがある。探そうと思えば、ゲームセンターや公認ショップ含めていくらでもあるため、自分の縄張りだけでは飽き足らないオーナーと神姫達は様々な場所で修行する際には秋葉原を中心とするこの激戦区を回るのが通例だという噂を聞いたことがある。 俺は……『異邦人(エトランゼ)』の真似事をするのだからその噂通りのことになるかもしれない。素性を明かす気はない点では異なるがな。 「ミコちゃん、本当にここにイリマイあるの? イリマイがある割にはここの噂が小さい気がするんだけど……」 「……日暮さんの教えてくれた噂じゃ、ここにイリーガルみたいな神姫が破竹の勢いで勝ちまくっているってことらしい。あの人の情報網は信頼できる」 神姫センターの奥へと進む俺に紫貴が話しかけてきた。今回は日暮の情報からここに来ている。俺の蒼貴を大破に追い込んだバカ者共と似たようなクチであり、イリーガルマインドの予感しかしない。が、紫貴の言う通り、噂が小さく、それが目立たない。そこがおかしな所である。 「しかし、ここはその噂の人以外の人も強いようですね。だから、大きな騒ぎになることもないという事なのでしょうか。あの試合の人達もすごいです」 蒼貴が指差す先を見ると、大きなスクリーンがあり、それに非常に高いレベルの対戦が映し出されていた。 対峙しているのは黒い外套と身の丈はあろう化け物の様な太刀を力任せに振り回し、叩き潰すような戦い方をするストラーフタイプとスカートアーマーの内側から隠している暗器を取り出して一定の距離を保ったまま、翻弄してみせるアルトアイネスタイプの二機だった。 「You re going down!(くたばれッ!)」 翻弄されていることにプライドを傷つけられているのか、少々怒り気味のストラーフが太刀を力任せに振り回してアルトアイネスに襲い掛かる。 「それは勘弁して~。噂に聞くバラバラ戦術は痛いしさ~」 彼女は軽口を叩きながらサブアームで受け流し、そのままアーマーを展開することで飛んで爆弾による爆撃を仕掛ける。 ストラーフは太刀で着弾する前に弾き飛ばして自らのダメージを減らし、大きく跳躍して、反撃に出る。 銃を連射し、それに続いて一戦しようというオーソドックスな攻め手だ。銃の弾はアルトアイネスの翼を形成するスカートアーマーを弾いて体勢を崩させ、動きを硬直させるとそのまま太刀の一閃を放つ。 「危ない危ない」 いつの間にか取り出した大剣ジークフリートでそれを防御する。ストラーフはそのまま、力を入れて叩ききろうとしたが、いかんせん空中にいるため、力を入れられず、そのまま地面に着地し、次の一手を打つために追撃を仕掛けてこようとしているアルトアイネスに向かって太刀を構えた。 「確かにレベルが高いな。これからこういう奴らと戦うのも悪くない」 拮抗状態の続く戦いに俺は感心した。ここまでのバトルが見られる上に互いに隙を見せずに攻撃を繋ぎ続けているだけ実力を持っていた。あれだけの力があれば万一、イリーガルマインド装備が出ても何とかできるかもしれない。 どういう奴らなのかと対戦の映像の隣の対戦者のデータを見てみる。ストラーフタイプはフランドールという名であり、オーナーは三白眼と長めの黒髪をサイドテール、黒いパンク調の服とシルバーアクセが特徴的なガラの悪そうな咲耶という名の少女だった。 彼女は噂を聞いたことがある。何でも相手が弱いと判断すると、弄んで潰すという戦い方から非難の声が上がるという悪評である。しかし、ランクに反して強いことから有望であるという見方をする人もおり、注目されているらしい。 一方、アルトアイネスタイプはメルという名前だった。オーナーは祥太という気さくな印象のある青年だった。特に噂を聞いていないため、未知数だが、フランドールを翻弄することができるという点では彼らもそれだけの実力をつけ始めていると見ていいだろう。 「ねぇ。ミコちゃん、あれ」 「あ?」 対戦を観戦している時に紫貴が俺に声をかけて指をさす。その先を見ると甘ロリ系な女の子が二人の青年に囲まれているのが見えた。 「おい。梨々香ちゃんよ。遠野のチームメイトだったよな?」 「な、何よ……」 「俺達は最近、三強を倒して調子に乗ってる『ハイスピードバニー』のチームを狩ってるのさ。遠野や『異邦人』を引きずり出すためにまずは弱そうなお前からやろうって話になったんだよ」 どうにも彼らは『ハイスピードバニー』……恐らくは遠野貴樹のチームを潰そうと考えているらしい。事情はよくわからんが女の子を男二人で襲おうとするその現場は見苦しいことこの上ない。 「やめてよ! 二対一なんて……」 「関係ないね。『玉虫色』を倒したのも初心者だ。ここで勝ちまくったが、油断はしねぇ」 「そうそう。やるなら全力ってな。ははは」 「そうだな。やるなら全力……二対二だな」 傍まで近づいた所で俺は男二人の話に割って入る。 「あ? 誰だてめぇは」 「俺はただのオーナーだ。……覚えておかなくていい。どうせお前らが負けるんだからな。トラウマになりそうなものがなくなっていいだろ?」 「ふざけるな! こいつは後回しだ。この野郎をやるぞ!」 「おう! そこのバーチャルバトルに来い!」 「そうこなくっちゃ……」 挑発をするとすぐに釣れた。さすがはチンピラ。単純で助かる。 そう、ほくそ笑むと俺は彼らの言うことに従ってバーチャルバトルなるものに向かう。今回のはエルゴにおいてあったシミュレーションバトルによる戦闘という事になるようだ。 自分のブースに着くと蒼貴と紫貴を二つのアクセスポッドに乗せて接続する。向こうでは俺が一人で二体操ろうとしている事をバカにしているのか、笑いながら各々の神姫をセットした。 それによってバーチャルシステムは起動し、オフィシャルバトルの準備が完了し、ディスプレイの向こう側にそれぞれの神姫が出現する。 相手はヴァローナタイプとガブリーヌタイプだ。それぞれ純正装備だ。ただし、両方が首にイリーガルマインドを装備している。何とかこれを回収しなくてはならない フィールドは草原。遮蔽物もないその場所は純粋な戦闘力が試されるだろう。 『Ready……Fight!!』 ヴァローナが先行し、ガブリーヌが援護射撃しつつ、前進する普通の戦法を取ってきた。 「蒼貴、紫貴。すぐに沈める。まずはヴァローナをやる。蒼貴は苦無で拘束、紫貴は射撃からブレードで斬り捨てろ」 対して俺は速攻の指示を出す。女の子を再び襲うのをためらわせるほど、速やかに倒す必要がある。圧倒的な力の差という恐怖。それがこの戦いのテーマだ。 蒼貴と紫貴はそれを聞き、行動に移す。蒼貴は接近してくるヴァローナの四肢に苦無を、紫貴はアサルトカービンをそれぞれ放つ。飛んでいく苦無は足を止め、弾丸がひるませ、ヴァローナを無防備状態にする。 「はっ!」 そこをすかさず紫貴がエアロヴァジュラで切り裂く。ヴァローナは何がおきたのかもわからずに声を上げることもなく地面へと倒れた。 その直前、蒼貴は首からイリーガルマインドを奪う。これでヴァローナのイリーガル化は防げる。 「この野郎!!」 早くも相方を失ったガブリーヌはイリーガルマインドの力を使った。それにより彼女の額からユニホーンが生え、紫色のオーラを放ち始める。 「これで決まりだ。紫貴、バトルモードで接近して拘束。蒼貴、紫貴に乗って塵の刃の用意」 「はい!」 「了解」 予想通りの展開からの次の指示につなげる。ヴィシュヴァルーパーに変形した紫貴に蒼貴が騎乗し、接近の間に塵の刃を鎌と苦無にまとわせる。 ガブリーヌは重装備に物を言わせて接近してくるまで拳銃を撃ち続け、接近したらいつでも殴れるようにナックルを構える。 銃撃を避けながら、紫貴が接近するとガブリーヌはナックルで紫貴本体を狙った一撃を仕掛ける。 しかしそのとき、違和感に気づいた。そう。蒼貴がいない。 攻撃を紫貴に仕掛けながらも目だけで蒼貴を探していると……上にいた。 「なっ!?」 ガブリーヌは驚きながらも紫貴に攻撃を続けようとするが、彼女は変形解除をして、サブアームで受け止め、拘束する。 「今よ! 蒼貴!」 「せいやっ!」 気づいた時には既に遅く、宙を舞う蒼貴が塵の刃をまとった苦無でユニホーンを切断し、鎌で腹を引き裂く。そしてとどめとしてイリーガルマインドを奪った。 その瞬間、それの効果が失われ、ガブリーヌは効果が切れて砕け散る塵の刃のかけらが舞う中で地面に伏す。 『You Win!!』 ディスプレイに勝利画面が表示される。それが表示されるまでのタイムは一分とかかっていない。一蹴とも言うべき戦果だ。向こう側にいる男二人はイリーガルマインドを使っているのにこうなってしまった事に動揺していた。 それもそうだ。神姫のせいとかそういうレベルではない。実力を発揮する前に終わってしまったのだから。 「ど、どうなってんだよ!? てめぇ! チートでも使ってんじゃねぇのか!?」 「そりゃお前らだろ。そのイリーガルマインド、俺が追っている違法パーツなんだよ。わかってて使ってるのか?」 「なんだと!?」 「すぐにそれを外せ。お前たちの神姫が苦しんでいるぞ」 チートと騒ぐ男二人にイリーガルマインドの副作用について指摘すると彼らは自分たちの神姫を見た。神姫達は例によって副作用で苦しんでいる。バーチャルバトルではどうなるのかと思ったが、どうにも架空も現実も同じであるらしい。 「な……」 「どうなってんだよ!?」 やはりというべきか彼らは知らず、副作用に驚いていた。この装置の副作用は全くと言っていいほど、説明されないケースが多い。このパターンはよく見る。 「それが原因だ。そのまま捨ててしまえ。でもってホビーショップエルゴにいきな。有料で直してもらえるからよ」 「お、覚えてろ!!」 「由愛~~!?」 自分の神姫を持って逃げるように去っていった男二人を見送ると置かれた二つのイリーガルマインドを拾う。見ると本当に本物のイリーガルマインドに見える。これがただの演出で済めばどんなに良いことか。 「こんな下らねぇもん使ったって、強くなんてなれねぇのに何やってんだか……」 ため息を付きながらそう呟く。 こんな調子でイリーガルマインドを狩っているが、それを持っているやつは大抵がその性能に魅入られている馬鹿か、知らないアホ、あるいはその両方の三択だ。 二番目なら救いようがあるが、それ以外なら話にもならない。痛い目を見るまで使い続けてくれるから困る。少しはうまい話なんてないことぐらい考えてほしいし、それで神姫が犠牲になったらどうするのかを考えていただきたいものだ。 これ、あるいはこれに類する違法パーツが横行したらどうなるかを考えると今の武装神姫は危ういラインにいるのだろうか。 「あの……助けてくれてありがとうございます」 「気にすんな。こっちもこいつを回収するのが仕事なんでね」 考え事をしていると瞬く間に倒した俺達に助けた梨々香という甘ロリ系の女の子が話しかけてきた。肩にはポモックタイプの神姫が乗っている。見た感じは特に目立った改造もない純正装備だった。このまま、絡まれていたらまず間違いなく、手痛い目にあわされていただろう。 「あの……オーナー名の尊ってもしかして双姫主の尊さん?」 「いや、俺は……」 「その通りです」 何とか名乗ることを避けようとしたが、蒼貴に肯定されてしまった。 墓穴を掘らされていつものこのザマだ。困っている奴らをほっとけないだけにこのパターンは引っかかりすぎる。 「そうよ。ミコちゃんはね。双姫主として雑誌にも載っちゃった超かっこいいオーナーなのよ? すごいでしょ?」 「やっぱりそうなんですか! あの戦いがデュアルオーダーの……遠野さんのやってた通りなんだなぁ……」 紫貴が無茶苦茶脚色を付けた事を言うと梨々香は感激したらしく、紫貴の言葉に頷く。 「おい。こら。何、勝手に晒してんだ。しかも尾ひれを付けすぎだろ」 「雑誌に載った時点でアウトでしょ?」 「うるせぇ! 素性が載ってねぇからまだ何とかなるはずなんだよ!」 「いいじゃない! 減るもんじゃないし!!」 「あんだと!?」 「あの……!」 すっかり正体をバラされて怒る俺とかっこつける紫貴が口喧嘩を始めようとするとなにやら勇気を振り絞ってる様子の梨々香が口を挟んできた。 「どうした?」 「私に戦い方を教えてください! さっきみたいなことになって、チームの皆の足手まといになりたくないんです!」 「遠野さんってのに教えてもらえばいいんじゃねぇか?」 「遠野さんにはもう弟子がいるし……。勝ち負け関係なく楽しんでるけど、こんな事、情けなくって周りに言えないよ……」 話から察するに梨々香は遠野のチームに所属はしているものの、勝ち負け関係なくバトルロンドを純粋に楽しんでいる奴であるらしい。しかし、この一件で自分でも戦えるようになりたいと思ったらしいが、周りにはそういう奴だと思われていて言いにくい。だから、見ず知らずの俺にまずは教えてもらおうと考えているらしい。 ぶっちゃけ、恥をかなぐり捨てて知り合いに教わった方が進歩が早いと思うのだが、どうしたものか……。 「……オーナー、教えてあげてはいかがでしょう?」 「ミコちゃん、そうしようよ。真那にだっていつも教えてるんだし、慣れっこでしょ?」 「……仕方ねぇなぁ。わかった。その代わりといっては何だが、『ハイスピードバニー』の事を知っている範囲でいいから聞かせてくれ。興味があるんでな」 「ありがとうございます!」 「梨々香ってんだったか? 俺は厳しいぞ?」 「はい!」 梨々香の真剣な態度に感心する蒼貴と紫貴にも逃げ場を塞がれた俺は逃げることを諦め、梨々香に俺のバトルの経験を教えることに決めた。デュアルオーダーは無理でも普通の戦い方ぐらいは教えられるだろう。……真剣な気持ちを無碍にできんしな。 まぁ、こうやって動き回れば梨々香のような良い奴にも会える。こういう奴らがいるからこそ、武装神姫という舞台がマシな方向にも向かうことができる。 その可能性を1%でも高めてやるのが俺らにできることなのかもしれない。 それで武装神姫が良くなるなら俺の行動も無駄じゃないし、輝や別の場所で戦っている誰かもまた頑張っていられるだろう。 この手ほどきも何かの役に立つことを願って、やってみるか……。 第三章『深み填りと盲導姫』-終- 戻る トップへ
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こちらは樫坂家の事情!の設定集となっています。 更新、追加等々があれば日時を表記しようと思ってます。 各情報にはリンクからどうぞ。 キャラ設定 樫坂家(序幕終了時まで掲載) 中央・緑木通り高校(序幕終了時まで掲載) ゲームセンター「フェザー」(無し) その他(無し) バトルロンド関連 施設・用語関連 以下余白
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11話「永井先生のバトルロワイアル」 E-3に存在する雑居ビルの一つ。 ビルには喫茶店、生命保険会社、精神科、ダンス教室など様々な店舗や会社が入っている。 「うおわっ! 何ぞお前! そんなんで殴られたら死ぬだろ普通に!」 「殺すつもりでやってるんだ。死んでもらわなきゃ困るんだよ」 4階のダンス教室のホールで、二人の参加者が対峙していた。 一人は頭にタオルのような物を巻いた20代後半の男。 もう一人は白い着物に身を包んだ20代前半の青年。 男――永井浩二は丸腰だった。自分の支給品を確認する前に、青年――曽良に襲われたのだ。 曽良の手にはネイルハンマーが握られている。 「あんたに恨みは無いけど、少しばかり大切な人がこの殺し合いに参加させられている。 その人を生かすために、俺はこの殺し合いに乗る」 「い、いや、そんな事言っても、悪いけど俺には全然カンケーねぇし! だからって殺される理由になんねぇだろ!」 「確かにそうだな。だが、あんたや、他の参加者が納得するしないは、それこそ俺に関係無い。 ……お喋りが過ぎたな……死ね!」 ネイルハンマーを振り被り、浩二に襲い掛かる曽良。 しかし振り下ろされたネイルハンマーを浩二は間一髪で避ける。 「くっそおおおおボケがカスが! 死んでたまるかよ!!」 「チッ、逃がすか!」 ホール入口に向かって駆け出す浩二を、曽良が追いかける。 浩二はとにかく必死でこのハンマーを振り回す着物姿の男から逃げ延びようとする。 同じ頃、同ビルの1階にある喫茶店のカウンター席に、一人の学生服姿の少女の姿があった。 白いボブカットの髪に猫の耳、尻尾を持った、猫族ハーフ――シルヴィアである。 「全く、また殺し合いなんて……」 彼女は今参加させられているのとは別の殺し合いで、一度命を落としたはずだった。 しかし再び意識を取り戻した時には、セイファートと名乗る狼獣人の女性が主催する、 この殺し合いの参加者となっていた。 「だけど……やり直せるかもな、今なら」 シルヴィアは前回の殺し合いではゲームに乗っていた。 猫族ハーフである彼女はその容姿や出生で人間、獣人の両方からからかわれ続け、いじめにすら発展した事もあった。 そのため、自らを鍛え、喧嘩で勝ち上がる事で、それらは中学生の頃には無くなったが、 それから常に周りを寄せ付けない殺気を周りに振り撒いていたため、結局彼女は孤立していた。 高校生になった時、サーシャという自分と同じ猫族に、臆する事無く接っしてこられたが、 サーシャは自分と違い、外見は純粋な獣人、しかも家は裕福で、自分とは正反対の境遇である事から、 シルヴィアはサーシャに対してトラウマのようなものを持っていた。 そして始まった前回の殺し合いは、シルヴィアのクラス全員が参加者だった。 シルヴィアはゲームに乗った。 自分を見下した連中、自分を守りもせず嘲笑っていた連中が憎かったから。 しかし、途中で殺そうとしたクラスメイトの一人――森屋英太に危機を助けられ、 徐々に自分の気持ちに変化が現れていくのを、シルヴィアは感じていた。 これじゃ駄目だと、迷いを捨てろと、自分自身に言い聞かせるが――結局、襲い掛かったクラスメイトの一人に返り討ちにされた。 そして今、自分の身体の傷は全て癒え、体力も十分、まさにベストコンディションでシルヴィアはこの殺し合いの場にいる。 名簿を確認すると、何人かのクラスメイトの名前があった。 特に「サーシャ」「森屋英太」の名前には目を引かれた。 彼女にはもう殺し合いをするつもりは無い。 それまで自分が拘っていた憎しみやトラウマ。だが、それを乗り越えなければならないと、 もっと大切な事があると、サーシャと森屋英太の二人が気付かせてくれたから。 シルヴィアは二人には感謝していた。 「……ん?」 シルヴィアの猫の耳がピクリと動く。何かの音を察知したようだ。 よく耳を澄ませ音の正体を探る。獣人の血を受け継いでいる彼女の聴力は普通の人間よりも鋭い。 「男? 二人……一方が襲って、一方がそいつから逃げてる……みたいだな。 階段を伝って下りてきている……よし」 シルヴィアはカウンターの上に置いてある自分のデイパックから何かを取り出すと、 デイパックを背負い取り出したそれを装備し、喫茶店の入口付近で待ち構えた。 この喫茶店は雑居ビルのメイン階段のすぐ傍にあり、 メイン階段へは喫茶店前の廊下を通る必要があった。 つまりここで待ち伏せしていれば、上から下りてくる二人と確実に遭遇する事が出来る。 「……ろ! ……!」 「待……!」 階段を下りる音と、男二人が言い争う声がどんどん大きくなっていく。 シルヴィアは声を殺し、ドミネーター――麻酔銃を構え、静かにその時を待った。 息を切らせながら死の物狂いの形相で永井浩二は一階に降り立つ。 背後から迫る魔の手からとにかく逃げるために。 ズルッ 「ちょおおおおお!?」 ところが、廊下を数メートル走った所で、悪魔の悪戯か、足を滑らせ転倒してしまった。 前のめりになり思い切り床に身体を叩き付けてしまう浩二。 だが、激痛に悶えている暇も無く、追いかけてきた曽良が浩二に馬乗りになり、 手にしたネイルハンマーで撲殺しようと試みる。 だが、浩二もただで殺される気は無い。 即座に曽良と向き合う形になり、ネイルハンマーを振り下ろそうとする曽良の腕を掴み、必死に抵抗する。 「いい加減諦めろ」 「ふざけんなや! 殺されようとしてんのに、諦めろって言われて諦める奴なんかおるか!!」 「あまり手を焼かせ――」 その時だった。曽良は背中に小さな痛みを感じた。 何か針のような物が突き刺さった、そんな感じの痛みだった。 そして直後に、強烈な眠気が襲ってくる。 「な……」 「?? 何ぞ?」 突然攻勢を止めた曽良に目を丸くする浩二の目の前で、曽良は意識を失い、 浩二に覆い被さるように倒れ、そのまま深い睡眠状態に陥った。 「え? え?」 「大丈夫?」 状況が飲み込めない浩二の耳に、若い、少女の声が入る。 見れば、前方の喫茶店入口の扉が開き、学生服姿の白髪の少女が、銃らしき物を構えて立っている。 少女の頭の猫耳や尻尾が気にはなったが、それを考える暇も与えず少女が続ける。 「これ麻酔銃だから、その内目覚めるわ。その前に、別の場所へ移動しましょう。立てる?」 「あ、ああ。何とか……」 浩二は眠っている曽良の身体をどかして立ち上がり、床に落ちている自分のデイパックを拾い、 改めて少女と向き合う。 「私はシルヴィア。あなたは?」 「あー、俺は永井浩二って言うんだけど」 「そう、永井さん、とりあえず安全そうな場所を見つけてから、そこで色々話をしましょう。 要は情報交換ね」 「おう。分かった……」 浩二とシルヴィアは麻酔の力で完全に熟睡している曽良を残し、 雑居ビルの正面玄関へと向かった。 【一日目/深夜/E-3市街地雑居ビル1階】 【永井浩二@永井先生】 [状態]:肉体的疲労(中) [装備]:無し [所持品]:基本支給品一式、ランダム支給品1~2個 [思考・行動]: 0:殺し合いなんかしたくねーよ。死にたくも無いし。 1:シルヴィアについていく。って言うか、猫耳? 尻尾!? 2:博之とかもおるのか? 3:着物の若い男(曽良)を警戒。 [備考]: ※2007年当時からの参戦です。 ※支給品の確認をまだ行っていません。 【曽良@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和】 [状態]:健康、麻酔による深い睡眠状態 [装備]:ネイルハンマー@SIREN [所持品]:基本支給品一式、ランダム支給品(本人確認済) [思考・行動]: 0:芭蕉さんを生き残らせる。そのために他参加者を殺す。 1:(睡眠中) [備考] ※単行本第八巻第145幕「怪談奥の細道」より後からの参戦です。 ※20分~40分後に目覚めるはずですが、麻酔の効果には個人差があるので、 数時間かかる可能性もあります。 【シルヴィア@自作キャラでバトルロワイアル】 [状態]:健康 [装備]:ドミネーター(0/1) [所持品]:基本支給品一式、麻酔弾(4) [思考・行動]: 0:殺し合いはしない。ゲームを潰す。 1:永井浩二と共に安全そうな場所を探し、そこで情報交換。 2:クラスメイト(特にサーシャ、森屋英太)との合流を目指す。 3:もう少し強力な武器が欲しい。 4:着物の若い男(曽良)を警戒。 [備考]: ※本編死亡後からの参戦です。 ≪支給品紹介≫ 【ネイルハンマー@SIREN】 釘抜きにも使える金槌。 ゲーム本編において打撃武器屈指の威力を誇り、使用者である宮田司郎は、 白衣姿から「撲殺天使宮田」の異名を持つ。 【ドミネーター】 いわゆる麻酔銃。拳銃タイプで単発式。 使用する専用麻酔弾は対象をおよそ20分~40分(個人差がある)、深い睡眠状態にする事が出来る。 BACK:勇者(?)の旅立ち 時系列順 NEXT:Cruel, unjust execution BACK:勇者(?)の旅立ち 投下順 NEXT:Cruel, unjust execution GAME START 永井浩二 NEXT:猫族ハーフと愛媛のチンパン GAME START 曽良 NEXT:DEMENT GAME START シルヴィア NEXT:猫族ハーフと愛媛のチンパン
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登場人物 三河 宗司 26歳 結のマスター。 神姫関係の工場に勤めている。因みに班長。 仕事柄知識が豊富で持ち前の器用さを駆使し自作パーツの制作を趣味としている。自作パーツの制作サークルを立ち上げていて名前は「万屋」。 基本的に凝り性でパーツの制作の為に有給休暇を取ったりしている。更に装備には趣味性が高く遊び心に溢れている。でも無駄に高性能だったりするので侮れない。 性格は流れるままに在るようでちゃんと自身は現している。わりと熱いところがある。未婚、彼女もいない。 普段は適当に生活している。そんな人。 近藤 直子 21歳 春音、綾季のマスター。 同じ区にある神社の巫女さん。美大学生でもう直ぐ卒業。 基本的に学生をしているが時間があれば実家で巫女をしている。一応本職らしい。 三河家とは親同士が親友の為家族ぐるみで付き合いがある。宗司とは幼馴染。 「万屋」のメンバーで主にアクセサリーを制作している。美大生故に前衛芸術な物もある。 性格は穏やかで人当たりが良い。知恵が良く回り策略に長けている面もある。時折天然。 現在サードランクとセカンドランクの境目にいる。 泉谷 隆一郎 17歳 チロルのマスター。 礼儀正しい高校生。腰が低い。 チロルvs結戦を切っ掛けに宗司と交友を持つ事に。 パーツの自作に興味があり簡単な物や既存品に手を加える事はできるが一からの制作には技術不足。勉強中。 性格は努力家でチャレンジャー。ハングリー精神の下結構な博打にでる場合もある。とは言えちゃんと上限はわきまえているからヤケドはしない。 チロルに甘いサードランカー。 管原 信也 26歳 風魅のマスター。 秋葉原の片隅で神姫関係の店を営んでいる。奈良県生まれの東京育ち。 両親が田舎暮らしに憧れ東北の山に移住したのを切っ掛けに自宅を譲り受け店舗に改装している。公式店の申請中。 宗司とは工業高校からの付き合いで悪友。思い立ったが吉日と即実行に移すアクティブな奴。「万屋」立ち上げメンバー。防具から武器までなんでも造る。そして商品になる。その為平日の夜半は篭って制作に勤しんでいる。休日はバトル。 性格は陽気で結構面倒見が良い。嫌いな奴が造った物でも良品ならちゃんと褒めるし評価するところ仕事には真面目。私生活はグズグズ。 基本的にいい奴な為近所で好評。特に子供に。 金髪にピアスがトレードマークの気の良いお兄さんといったところ。セカンドランカー。 向島 明 28歳 湖幸のマスター。 名前は「あかし」と読む。 職業体育教師で剣道家。7段の段位を持っている。 出雲地方出身で教師になってから上京した。現在は中学の教師。 性格は大らかでスポコンに良くあるような熱血・・・ではなくオタク気質。でも頼られると頑張る。そんなの。 上京前から神姫を始めていて最近ファーストランカーになったそうだ。 佐々木 望 20歳 霜霞のマスター。 宗司、信也の高校の後輩で直子の大学の後輩。一人暮らししている。 宗司とは遠縁で偶に現れては寛いでいるらしい。直子、信也とも仲が良く可愛がられている。 帰国子女で6歳までドイツに住んでいた。そのわりには日本食が好き。でもビールがとても好き。向こうに居た時は未成年だった筈なのに。 性格は控えめでボーとしていて能天気でどこかズレている。見掛けによらずマニアで武装に詳しい。 「万屋」のメンバー。造るのではなく制作されたパーツに装飾を施している。その為皆から依頼が来るそうな。美大生故か装飾に作品名を付けている。 公式戦よりも草バトルばかりしているサードランカー。 斉藤 陽子 20歳 翔のマスター。 直子の高校の後輩。成人だが見た目が子供(中学生くらい) レストランで調理師をしている。店は街の洋食屋さん的な所。 勤め先の店主の要望で神姫共々職場にいる。ってか店主の神姫もいる。 性格はしっかり者で努力家。時々頑固な一面を見せるが協調性を大事にしている。 友達がとんでもなく多いらしい。「万屋」メンバー。衣装を造っている。 サードランカーだが草バトルでは結構強いらしい。 古賀 尚人 18歳 流のマスター。 泉谷の先輩にして神姫を始める切欠を与えた男。 頭は良いが使い方を間違っている。突発的に何かをしたりとか。 性格は明るく社交的。 泉谷とは中学からの付き合いで仲が良い。 バイトで稼いだ分を本と神姫に全て注ぎ込んでいるナイスバカ。 長谷川 眞澄 17歳 トルテのマスター。 泉谷の同級生の娘さん。ネットで見たバトルで興味を持ち必死のバイトを経て最近始めた。少し前に始めていた泉谷のチロルに惚れてマオチャオに決めたそうな。 性格は天然。素でボケをかます。突っ込み役は泉谷。幼馴染は伊達じゃない。 始めた記念にと友人から貰った装備で頑張っている。が、「先ずは練習!」とトレーニングばかりしている。 チロルの限定色を羨ましがったトルテの為にまた必死のバイトをして黒猫カラーにしたりと猫可愛がりしている。 谷川 逞 30歳 アロエのマスター。 寿司屋の大将。名前は「たくま」。 名前は逞しいが見た目は線の細いおっさん。 関西出身でノリが良い。担当はボケ。 ネタに気合が入るのは寿司でも神姫でも同じ。(意味合いが全く違うが) 性格は明るく楽しませるのが好き。 そんなファーストランカー。 泉谷友人ご一行 隆一郎の友達。 熱い奴が多く隆一郎達を応援している。 神姫をやっているが殆ど。 でも公式戦より草バトルばかりらしい。 その内個々に出るかも。出ないかも。 (可能性はスクラッチくらいです) 三河ご夫妻、近藤ご夫妻 神社の宮司ながら神姫バトルのファン。 結が大会などに参加するのを心待ちにしている三河家。春音、綾季を応援する近藤家。 そんな初老のおしどり夫婦達。 両家共にのほほんと生活している。平和だ。
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剣は紅い花の誇り 用語解説 「槙縞玩具店」 田舎の玩具店 武士達が住んでいる町の中で唯一、武装神姫のバトルが行える店である 店員は本来、皆川と店長の二名、時々店長の娘も手伝っていたらしいが、現在その娘は失踪しており、店長は恐らくそれを探す間皆川に店を任せているものと推測される 「槙縞ランキング」 「槙縞玩具店」に集まる神姫の間で自然発生した地元リーグであり、順位は皆川達がサードのレギュレーションに併せて評価したものの模様 基本的にバーチャルバトル ランカーは華墨、ヌルを含めて初期で21人。強さのレベルには相当なばらつきがあり、特に、一位のクイントスはセカンド中上位級の実力だが、17位以下はエルギール曰く「通常神姫に毛が生えた程度」らしい 傾向として、本来の製品の属性を半ば喪失した様な神姫が多い(合気めいた技を使うジルダリアの『エルギール』や、最早素体が何であったのかを推し量る事にすら意味が見出せない変形MS神姫の『ズィータ』、どんな距離でもほぼ万能に闘える上に、公式のパーツが一切使われていないアーンヴァルの『リフォー』等・・・) 皆川が店長代理になってから、年一回だった「チャンピオンカップ争奪戦」の開催は年二回に増えており、その他イベント大会も多数催されている 「ナイン」 「槙縞ランキング」一桁ナンバーの9人のランカー達を総称して使われる(厳密には、『クイントス』は別格扱いで、それ以外の8名を指して使われる事が多い) セカンドランカーが多数含まる事、マスター自作の改造武装や強化武装を施されている者が多く、現時点の「ナイン」である『ジルベノウ』『リフォー』『ズィータ』の武装には公式パーツが一切装備されていない 「ナインブレイカ-」 「槙縞ランキングチャンピオンカップ争奪戦」の変則的なルールによって、ランキング二桁以上のランカーは全て同列に扱われ、その中で勝ち上がった8名のみが、「ナイン」と対戦する権利を得る・・・言わばナインはシード選手の様な扱いなのだが、それにしても不自然な程に「上位ランカーが保護されて」いる体制である 「ゆらぎ」 神姫の個体差 神姫が身長15センチの人間として作られた以上、同じタイプでも身体能力、性格等にある程度の個性が存在し、製造段階でそういったものが発現する様に、神姫の設計にはある程度のファジーさが設けられている 必ずしも戦闘向きの能力が突出しているとも限らないが、「悪い癖」にあたるゆらぎを減少させる修行、「タクティカルアドバンテージ」にあたるゆらぎを伸ばす修行を行なった神姫は、それだけで結構な強さを発揮する事がある 以上の事から、神姫自身の持って産まれた「資質」そのものを「ゆらぎ」と呼ぶのは明らかに間違った用法なのだが、本作ではその様な表現が多用される 「オップファー」 ドイツの銃器メーカー。神姫用ではなく、普通の拳銃を主に手掛けている エルゴノミクスデザインの優美なデザインのハンドガンが有名で、代表作は.40口径ダブルカァラムの「G40」や、その小型版で、380ACP仕様の「G380d」 「ホーダーアームズ」 東杜田技研の様な、本来人間用のモノを神姫サイズにダウンサイジングしているメーカーのひとつ 主に銃器を手掛けており、12分の1「パイソン」や「エボニー アイボリー」等、実銃フィクションを問わずにやっているようだ 神姫の拳銃は本来、形はリボルバーでもオートマチックでも、使用する弾は変わらない(とどこかの設定でみた)のだが、ホーダーは12分の1「.45ACP弾」とか12分の1「5.56mmコンパクト弾」とか、訳の判らない拘りの元にモノを作っている様だ ニビル達がここの銃を愛用している 「鬼奏(キソウ)」 神浦琥珀作の刀剣を扱っている、神姫用の刃物専門店 経営は実質琥珀の家族が行っているといわれるが、その姿を見た者は居ない(いつも琥珀が店番で、居ない時は閉まっている) ルートは不明だが、世界中の殆どの(神姫用)実刀剣が手に入ると豪語する 琥珀作の刀剣は、彼女にコネが無いのであれば(あっても達成値が足りなければw)正規ルートではここで展示してある一振りずつしか手に入らない クイントスはここで武器を打って貰う事が多い様だ 現在の琥珀作品の在庫状況はこちらから 「オーバーロード」 通常では持ち得ない何らかの超常的能力を備えた神姫、またはその能力妄想神姫 通常、能力に見合った『何か』の代償もかかえており徒然続く、そんな話。 「ゆらぎ」の強烈なものというには過ぎた代物である事が多く(というよりも、「ゆらぎ」の範疇であるものは「オーバーロード」とは呼ばれないだろうが・・・)本作ではしばしば「異能力」等とも表記される事になる 華墨の脚力はオーバーロードではないが、「オーバーロード」の神姫も本作には登場する 「Gアーム」 某正義のヒーローでも、黒光りする昆虫でもない、言わば第3の「G」で現される何かw その力を使った強化武装である 武装と言っても武器の形をしているとは限らない キャロとクイントスの因縁の源、「槙縞ランキング」の真の目的、「バニシングフォー」の秘密・・・いずれのピースとしても非常に重要 「バニシングフォー」 本編第壱幕以前に、マスター共々消息不明になった四体の武装神姫 うち3体は「ナイン」であり、さらにその内2体は所謂「ランキング黎明期のランカー」である 槙縞玩具店では公然の秘密というか、タブー視されている いずれも、「槙縞ランキングチャンピオンカップ争奪戦」の開催中、開催後に消息を絶っている 「人形遣い」 神姫を素体のまま操り、相手を倒すという伝説のマスター レギュレーションから考えると本来不可能な筈なので、都市伝説の一種であろうと推測されるが・・・ 剣は紅い花の誇りTOP?