約 1,954,409 件
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/4186.html
◆ロックマンエグゼ6 光熱斗:00 ロックマン:01 03 うさぎ散る 伊集院炎山:00 ブルース:00 バレル:00 カーネル:01 02 その面影を ◆CONCEPTION 俺の子供を産んでくれ! 弓削イツキ:00 粉月マヒル:00 ルカ:00 ユズハ:01 02 その面影を レオーネ:00 ◆メグとセロン シュトラウスキー・メグミカ:00 セロン・マクスウェル:01 04 危険信号~とある少年のバトルロワイアル~ ラリー・ヘップバーン:00 ナタリア・スタインベック:00 ニコラス・ブラウニング:00 ◆暗殺教室 潮田渚:01 03 うさぎ散る 茅野カエデ:00 赤羽業:00 杉野友人:00 烏間惟臣:00 ◆スーパーダンガンロンパ2-さよなら絶望学園- 日向創:01 01 希望の翼-despair- 狛枝凪斗:01 04 危険信号~とある少年のバトルロワイアル~ 終里赤音:00 弐大猫丸:00 罪木蜜柑:00 ◆サムライうさぎ 宇田川伍助:01 03 うさぎ散る 摂津正雪:00 千代吉:00 本間魯山:00 松山桐之進:00 ◆密室のサクリファイス ミキ:01 01 希望の翼-despair- アナスタシア:00 クロエ:00 オルガ:01 03 うさぎ散る イトカ:00
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/411.html
登録日:2012/12/01 (土) 03 29 23 更新日:2022/03/22 Tue 10 27 17 所要時間:約 4 分で読めます ▽タグ一覧 ジルリバーズ 日笠陽子 武装神姫 武装神姫 BATTLE MASTERS Mk.2 ジルリバーズとは、武装神姫BATTLE MASTERS Mk2に登場する神姫である。 素体デザインは黒星紅白が、武装デザインは柳瀬敬之が担当。 CV 日笠陽子 正式名称「クルーザー型MMSジルリバーズ」 コンセプトは「武装神姫にバイカー魂を」。 クルーザーとはヨットやボートではなく、ハーレー等のアメリカンバイクの事。 バイクとライダーにこだわりを持つ二つのブランドの共同開発から誕生したバイク型神姫。 素体はライダースーツを着込んでおり、神姫の中では比較的露出は少ない。 ただしあくまで比較的。胸元が大胆に開いており、エロ……いやワイルドでかっこいいイメージに仕上がっている。 ジルリバーズのデザインを依頼された黒星紅白が持ち込んだ所、「可愛んじゃね?」等と評判がよかったようで一発でオーケーを貰ったとか。 黒星本人も気に入っているようで、「ペロペロしたい」と、とても紳士的なコメントを残した。自重しろ。 【バトルマスターズのジルリバーズ】 入手可能になるのはF2クリア後。オフィシャルショップに相方のエストリルと同時に入荷される。 隠しキャラやDLCを除けば、最後に入荷される神姫である。 ワイルドな外見の通り性格はキツめ。 過程や方法などどうでもよく、ルール内ならばどんな手を使おうと勝てばよかろうなのだというポリシーを持つ、ダークヒーローのような性格。 しかしこれはあくまで基本性格である。 作中、孫を亡くした老婆を気遣い、老後のパートナーをしている者もいる。 中にはマスター共々強い相手には全力で媚び、格下と判断した相手は全力でなじるとんでもないのもいるが。 ちなみにこのジルリバーズはやけにハイテンションで声が高い。最早ただの日笠。 彼女はシナリオ中でも「勝利こそ全て。勝者こそが一番偉い」というスタンスである。 敗北を重ねるマスターに「貴様はクズだ」と言い放つシーンもあるため、イラッとする人もちらほらいるとか。 しかしそんな彼女も、主人公や色々なマスターとの交流やアブソリュートからの敗北等により、敗者の気持ちを考え始める。その辺りはゲームにて。 彼女の「だいちゅきだー!」を聞くだけで、余裕で一ヶ月エアパスタ生活ができると言っても過言ではない。 ごめんやっぱ過言だった。 専用RAは「ヘリッシュクレイドル」。 通称轢き逃げアタック。 武装をバイクに変形させ、高速で突撃し、後輪を浮かせて前輪を中心に敵を潰すように回転した後に跳ね飛ばす。8HIT。 変形中は無敵、攻撃中はスーパーアーマーが付くため潰されにくい上に威力も高い。追尾性能も高く、多少距離が開いていても全ヒットするため非常に使いやすい。 多少武装のハンデがあっても、ぶっぱしているだけでゴリ押しで倒せたりする。 ただしギリギリまで引き付けてからジャンプされたりターンをされたりしたら当たらない。 近接攻撃から繋げると即座に発動して轢き潰す。 強化版は「ヘリッシュクレイドルEX」。 基本は変わらないが威力が上がっている。また、×で右旋回ができるようになった。 ヘリッシュクレイドルと同じ感覚で使えるが、EXRAの仕様上ライドMAXにならないと使えないため注意。 また、専用RAに必要な武装にボディパーツはないため、専用RAに囚われる事なく強力なパーツを付けられる。カラーリング的にアイネスのパーツが似合うかもしれない。 ただし胸が隠れるため注意。 【フィギュアとしてのジルリバーズ】 ない。 大切な事なのでもう一度言う。ない。 なぜかエストリル共々未だに発売されていない。というか発売予定すらないらしい。 嘘だと思うならAmazonで「ジルリバーズ」か「エストリル」と検索してみるといい。バトマスmk2しか出ないから。 バトマスで神姫を知り、黒星バイク姉妹に惚れたマスター達は枕を濡らしたとか。 事実かは不明だが、発売予定がなくなったのはバイクに変形する武装が壊れたから、という説がある。 イベントにてジルリバーズとエストリルが紹介された時にバイクに変形する武装も一緒に紹介された。 その武装バイクは大切な物で、何かあった場合発売延期もあり得るというかなりヤバい物だった。 恐らく何かあったから発売予定がなくなったのではないだろうか。 あくまで憶測なので信じるか信じないかは貴方次第。 というかそんな大事な物を裸で持ってくるなよ……。 ……と、バイク姉妹のマスターは絶望したが、「当月」の発売予定はないという意味らしい(pixiv大百科より)。 とりあえず希望は見えた。ただ発売日は未定。バイク姉妹の明日はどっちだ。 余談だが、4Gamerの動画で「じるりん」という名前がつけられた。 らぷちー等、スタッフは何かを狙っているのだろうか? 追記・修正はジルリバーズがだいちゅきな方にお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] コナミが神姫在庫一斉販売イベントを行った今、発売は絶望的なんだよな… -- 名無しさん (2014-04-06 09 52 02) 巷で話題のブキヤ神姫、売り上げによっちゃバイク型まで行くつもりらしい、まあソースがソースだから信憑性には欠けるが -- 名無しさん (2015-09-27 00 50 40) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2160.html
人気者にあこがれて 「うりゃああああっ!!」 フィールドに高らかにこだまする声。 ここは神姫たちが全力を尽くして戦う場所、バトルフィールド。そこでは二人の神姫が対戦していた。 一人は天使コマンドタイプの装備をつけた緑の長髪の神姫。 そしてもう一人はフェレットタイプの神姫。 ふたりは荒野のステージで小細工なしの決闘を繰り広げていた。 「ふっ、甘いですね。これで全国制覇だなんて笑わせます」 フェレットの攻撃を余裕でかわすコマンドタイプ。しかしフェレットは必死になって拳を当てようとする。 『どうしたんだリリィ、いつもと様子が違うぞ』 フェレット=リリィのマスターが心配そうに声をかける。 「心配ないよ翔にいちゃん、リリィは負けないから」 大丈夫なことを言いつつ、リリィはコマンドタイプに攻撃を続ける。しかしその攻撃は空回りするだけだ。 「それに、ここで負けたら、あの人と戦うなんて夢のまた夢だもの」 リリィはかまわずに攻撃を続ける。彼女の決意の理由は、ある神姫の出会いによるものだった。 話は数ヶ月前にさかのぼる。学校から帰ってきた九重翔は、自分の部屋にあるパソコンのモニターにかじりついているリリィに声をかけた。 「ただいまリリィ、何見てるんだ」 「あ、お帰り、翔にいちゃん」 どうやらリリィはモニターの記事を見ていたようだ。 「これって、バトルロンドの記事じゃないか。何か気になるものでも?」 「うん、この神姫なんだけど…」 リリィは記事の画面を指差した。そこにはツガルタイプの神姫が映っていた。 「これはサンタ型のツガルだな。このタイプの神姫がすきなのか」 翔はそれを参照にツガルタイプでどの神姫がすきなのか探してみた。 「ええと、これかな?たしか、シルヴィアっていうツガル型」 ツガルタイプが載っている画面を表示し、翔はかっこよさそうなものを選んでみた。しかしリリィは首を横に振った。 「ううん、この神姫じゃないよ。同じサンタでも、もっとかわいいの」 どうやらリリィは別のツガルタイプを探しているようだった。 「じゃあ、これかな?きらりっていうけど、これじゃないかい?」 翔は別のツガルを指差したが、リリィは首を横に振るばかり。 「違うよ、もっとニコニコしてるの。何ていうか、ツガルっぽくなくて、どこかツガルっぽいの」 ニコニコねえ…。翔はそれをキーワードにツガルというツガルを探してみた。そして数十分後、リリィがあるツガルタイプを指差した。 「これだよ、このツガル。この神姫の動画を見て気になったんだ」 画面には、ホーリーベルという名前のツガルタイプが映し出されていた。 「へえ、お前も変わった奴を好きになったもんだな。たしか、この神姫は去年の記事に大々的に載ってたな」 翔はホーリーベルの詳しいデータを検索サイトで探してみた。 「ええと、この神姫は今から2年ほど前にデビューしてある大会をきっかけに有名になった。ファイトネームは、『幸せを呼ぶクリスマス』…まあ、サンタ型だしな」 「ある大会って?」 「ブラッククリスマスっていう神姫がいたんだけど、それを倒したことで実力が認められたらしい。それから年が明けた後、彼女を指名する相手が増えて、雑誌からもオファーが来たそうなんだ」 ホーリーの記事を見つつ、翔は別のウィンドウを開いた。 「転機になったのは、この大会に参加したときからだな。これは全国規模の大会だから、ホーリーベルも注目されたんだろう」 翔は記事を見つつ、試合の内容について話し始めた。 彼の話によると、この大会は1年に一度開催する『ワールドロボットフェスティバル』というイベントで、全国各地から集まる名うての神姫やバトルロボットが参加している。ここでは総勢200体以上ものロボットが集結する、国内で最大のロボットイベントで、ある大会に参加して高得点を得たものは名を残すことができるという。 「もちろんそれだけが目的じゃなくて、最新のロボット技術を披露する場所でもあるし、各メーカーが全世界にアピールする場所でもある。まあ、簡単に言うと、おもちゃショーやモーターショーみたいなものだと思えばいい」 「へえ~、そんなにすごいところなの」 目を輝かせて翔の話を聞くリリィ。それほど気になる内容なのだろう、ワクワクがとまらない状態だった。 「その中のイベントに『ロボイドバトル』という異種格闘戦があってね、そこにホーリーベルが参戦したんだ。とはいっても、当時の全国レベルではまだ中の下くらいのホーリーだから、このバトルでは苦戦したらしい」 翔は別のサイトから、その大会の様子を記録した動画を再生させた。 「第8回ロボイドバトル第4試合、アジャンテVSホーリーベルの対戦が始まります。前回に続いて2回目の出場となるアジャンテは鎧を装着しての登場です。対するホーリーベルは、意外にもノーマルに近い武装スタイルで登場しています」 画面には、ロボイドバトルの第8回大会の様子が映し出されていた。そこにはホーリーの姿があった。 「あっ、ホーリーだ~」 「対戦相手は神姫じゃないな、オリハルコンシリーズ…だったかな」 オリハルコンシリーズとは、とある企業で開発した専用素体をベースにしたもので、神姫ほどではないものの、手足を交換したりアーマーを装着することによりカスタマイズできる、神姫とコンセプトが似通っているシリーズの名称である。そのうちの一体がこの大会に参加しているのだ。 「こいつは神姫を発売しているメーカーの対抗馬だろう。だからこの機会にアピールしたいんだろうな。オリハルコンを発売してるメーカーは、女性型以外にもリアルロボットなどのマシンやビークルなども発売しているところだから、神姫に対抗して新ジャンルを作ったんだろう」 「と、いうことは、ほかのメーカーも同じものを出してくるの?」 「そうだろうな、現にいろいろなメーカーからコミュニケーション機能を持つロボットモデルを販売しているからね。その先陣を切ったのが『武装神姫』といわれているんだ」 確かに神姫は美少女型ミニチュアロボットのはしりとなってはいるものの、元々のコンセプトがオーナーとのコミュニケーションが取れる『成長するフィギュア』であり、個々の自我をもつため、様々な目的に対応できる可能性を秘める『フィギュアの枠を超えた多目的ロボット』でもある。当初はそれに対抗するフィギュアは存在しなかった。もっとも、美少女型以外のロボットはいたが、どちらかというと対戦等を目的としたバトルフィギュアが主だったのである。 「神姫の登場は、今までのロボットフィギュアの考え方を変えた。今まではバトルすることは出来ても、フレキシブルに考えて行動することなんて出来なかったからね。…って、リリィにはちょっと難しすぎたかな」 翔の説明を聞いているリリィは、ちょっと困った表情になっていた。 「う~ん、リリィにはあんまりよくわからないけど、神姫があったからいろんなところから同じものが出てきてるんだね。それって、いろんなロボットが増えるっていうことだよね」 「まあ、そういうことかな。おっと、試合が始まるぞ」 それぞれがカプセルに入り、バトルの準備が完了する。そしてステージ上に二人の選手が現れた。 「それでは、ロボイドバトル、レディゴー!!」 「リリィは誓ったんだから…、ホーリーさんと会うまでは、ぜったい負けないもん!!」 力を振り絞り、リリィはコマンドタイプに立ち向かっていく。 (何て気迫なの、このままだと本気出さないといけないかも…) コマンドタイプは防御にはいり、リリィの攻撃に備える。練習試合のはずだったこの試合は、もはや両者とも本気を出しかねない空気に包まれていた。 『シラユキ、落ち着きなさい』 コマンド=シラユキの耳元からオーナーらしき声が聞こえた。 『これはあくまでお互いの実力を調べるための闘いです、もっとリラックスして挑まないと』 「ですが美由紀、相手は本気で私に攻撃を仕掛けてきます。このままではこちらが負けてしまいますよ」 シラユキはオーナーの佐和田美由紀に反論しようとする。しかしこれは練習であり、実戦ではない。あくまでお互いの利点と欠点を調べる為の試合である。それに、ある程度の実力を持っているシラユキと、バトルにおいてはまだ初心者であるリリィとではレベルが違いすぎる。それを考慮して、美雪はシラユキに手加減するように言っているのだった。 しかし今のシラユキにとって、その指示は苦痛に近かった。なぜなら、手加減するということは、彼女が思うように闘えないことを意味していたからである。 「…美由紀、リリィが闘う意味がわかりますか。今のあの子は全力で戦いたがっている。ですから、私もそれに答えてあげたいのです」 おそらく、シラユキにとってこの行為は、美由紀の指示を無視することなのかもしれない。それでも彼女は、純粋に闘いたいということを美雪に伝えようとしていたのだ。 『そうですね、リリィはあのホーリーベルと同じステージに立ちたいと思っていますものね。いいでしょうシラユキ、相手の失礼のないように、思い存分闘いなさい』 美由紀はシラユキの想いを受け入れ、パートナーに対して改めて指示を出した。たとえ、それがどのような結果であっても、お互い全力を尽くして戦うのならば後悔はしない、美由紀はそう思った。 (…そういえば、前にもそんなことがありましたね。いつのことでしたか) 美由紀は昔のことを思い出していた。 (たしか、1年ほど前のこと、ワールドロボットフェスティバルでしたかしら…) ワールドロボットフェスティバル開催の日、会場の下見にやってきた美由紀は、会場内の混雑のせいで道に迷ってしまっていた。 「おかしいですね、こんなところに出てしまうなんて…」 いつの間にか裏通路に迷い込んでいた美由紀は、近くにいる人に会場内に出るためのルートを教えてもらうことにした。 「あの…すいません、イベントブースにはどこへ行けばよろしいのでしょうか?」 美由紀は通路に歩いている男性に、思わず声をかけてしまった。 「この先は関係者以外立ち入り禁止なんだけど、もしかして道に迷ったのかい?」 美由紀は顔を赤くして無言でうなずいた。顔を上げた美由紀は、彼がどこかで見たことのある人物に似ていることに気づいた。 「もしかして、貴方はホーリーベルのオーナーの、都村いずるさん?」 「え?そうだけど、君はもしかして、ホーリーのファン?」 出会った相手とは、ホーリーのオーナーである、都村いずるであった。美由紀は雑誌などで彼のことを知ってはいたものの、実際に対面したことはなかった。もちろん、いずる本人も同じだろう。 「い、いいえ、私は、雑誌で貴方の顔を偶然見たから…」 動揺する美由紀に、いずるはやさしく声をかけた。 「そうか、私も結構有名になったんだな。2年前はそんなことなかったのに」 「2年前…って、確か、ホーリーベルがバトルデビューした年でしたよね。あの時の試合は覚えています。私もそこにいましたから」 当時高校生だった美由紀は、バトルロンドのことを詳しく知るために地方のバトルアリーナ大会まで足を運んでいた。そこでホーリーの試合を間近で見たのだ。 「ということは、君も神姫に興味があるんだね?」 「は、はい。私も神姫を購入するつもりでいます。でも…どうするのかわからないんです。確かに私は神姫に興味はありますが、いざ神姫を育てるとなると不安になるんです。もしいなくなったりしたらどうするのか…」 美由紀の顔が急に不安な表情になった。その様子を見たいずるは、当時の自分の心境を語った。 「私もホーリーを拾ったとき、どうするのかわからなかった。でも、友人の恒一や研究所の小百合さんたちのおかげでここまでくることが出来た。もちろんそれがホーリーのためでもあるんだけどね」 「拾った、って?」 「君だけに話すけど、実はホーリーは川から流されてきたのを私が拾い上げたんだ。どうして流れてきたのかというと、小百合さんが起動した直後に川へ落としたのが原因だったんだ」 美由紀はくすくす笑った。なぜなら、起動した直後に川に落とすなんて、普通ならありえないからだ。 「小百合さんって方は、どうして川原で神姫を起動したのでしょうね。普通なら部屋でするものですのに」 「まあ、小百合さんの性格ならやりかねないと思うけど。もし私がホーリーを見つけなかったら、ホーリーは流されて行方不明になっていただろうね」 二人の話ははずみ、僅かな時間も矢のように過ぎていった。 話が盛り上がっている最中に、携帯電話の着信音が鳴り響いた。 「あら、着信音」 美由紀は着信音がいずるのポケットから聞こえているのに気づいた。 「ちょっとごめん」 いずるは話を中断し、自分の携帯を取り出した。 「はい、都村ですが」 『おいいずる、もう時間だぞ、どこで道草食ってるんだよ』 どうやら電話の主はいずるの友人らしい。いずるはすぐに行くことを伝えると、電話を切った。 「ごめん、もう時間なんだ。イベントに行かないと」 「それって、ロボイドバトルのことですか?」 美由紀がロボイドバトルの名前を口にしたとき、いずるはにこっと笑った。 「そうだよ、もしよかったら君も応援に来てくれないか?ホーリーの勇姿を君に見せたいんだ」 いずるはロボイドバトルの応援に美由紀を誘った。そんなに親切にしてくれる相手に、美由紀には断る理由などなかった。 「はい、ぜひ応援に行かせていただきます」 ぎごちない美由紀の返答に、いずるは喜んだ顔で答えた。 「試合が終わったらまた会えるといいね」 いずるは美由紀が来た反対の方向へと急ぎ足で歩き始めた。 「あ、あの」 急いでいるいずるに、美由紀は何かを言おうとした。 「ん?」 「…私、必ず貴方がいる場所へ辿り着きます。いいえ、絶対に辿り着いてみせます。それまで待っていてください」 いずるはちょっと恥ずかしそうに微笑み、控え室へと消えていった。控えめに手を振る美由紀はその直後、肝心なことを聞くのを思い出した。 「…あ、道を聞くのを忘れました…」 (…結局ほかの人に通路を教えていただいてイベント会場にいくことは出来ましたけれども、試合終了後は人が多くて再びお会いすることはかないませんでした。でも、あのときいずるさんに出会うことがなかったら、今の私は存在しなかったでしょうね) 美由紀はオーナールームであのときのことを思い出して、一人微笑んでいた。彼女にとっていずるは自分を導いてくれた、かけがいのない存在なのだ。 (だから私はあのひとと同じ場所まで駆け上がって、自分の本当の気持ちを伝えたいのです。そのためにも、まずは経験をつまないといけませんね) ヘッドセットのマイクから、美由紀はパートナーであるシラユキに指示を出す。 「シラユキ、貴方の得意技、見せて御覧なさい」 シラユキはそれを待ちかねていたかのように、それに答える。 『了解、マイマスター!!』 そして、対戦相手であるリリィの下へと向かっていった。 それぞれの思い、それぞれの願い…。今はそれが叶わずとも、いつかは必ず成し遂げるときがくる。ふたつの物語は、今始まったばかりだ。 もどる 第二話へいくの!
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/715.html
戦うことを忘れた武装神姫・番外編 ちっちゃい物研・鳳凰カップ編-01 鳳凰カップ特別編便乗企画(マテ <東杜田技研・イベント出展のご案内> このたび、弊社では鳳凰カップにおきまして、企業ブースとして 出展することとなりました。 出展内容は主に武装神姫向け機器 (HT-NEK)のご紹介となりますが、他にも各種機器や製品の展示 やデモを予定しておりますので、ご来場の際にはぜひお立ち寄り いただきたく存じます。 また、物販コーナーも設置いたします ので、一部商品はその場でお買い求めいただけます。(十分な数 を用意いたしますが、品切れの際はご容赦ください。) 出展予定内容は下記のとおりです。 ~鳳凰カップ・企業ブースへの出展内容(予定)~ ■HT-NEK・武装神姫向け製品の展示 >現在までに発売した製品の展示・デモを行います。 和(なごみ)壱型 さわやかしんさつしつ ぬくぬくこたつ ふたごのおひめさま デラックスふにふに抱き枕型診断機 神姫といっしょ・神姫用端末 ・・・ほか >今後予定製品の試作品展示をいたします。 おっきいぬくぬくこたつ DMH-SP(オプションパーツも同時展示) レブリミット(仮称)シリーズ各種 ポケットスタイル 和(なごみ)弐型 ・・・ほか ■弊社各部門の紹介(企業案内) >リクルートコーナーも設置する予定です。 ■物販コーナー >弊社製品と、一部提携ブランド商品のの販売をいたします。 (販売予定商品) 和(なごみ)壱型 さわやかしんさつしつ ぬくぬくこたつ ふたごのおひめさま(直送になります) 各種オプション・周辺機器 TODA-Design・プリンセスドレス エルゴ・DXベッド型クレイドル ・・・ほか ■神姫メンテナンス相談 >小型機械技術研究製作部をはじめとした、弊社スタッフがあなた の神姫の日常メンテナンスから、リアルバトルによる損傷の補修 まで、ありとあらゆる質問にお答えいたします。 (時間枠あり・整理券方式、無料です。) ※内容は、随時HP等で更新いたしますので、ご確認ください。 ※弊社は協賛企業としまして鳳凰カップに協力いたしております。 今大会の副賞を、弊社より提供いたしました。 優 勝:クレイドル・ふたごのおひめさまフルセット および小型機械技術研究製作部による1年間 メンテナンスプログラム利用権(2体分) 準優勝:クレイドル・さわやかしんさつしつフルセット および小型機械技術研究製作部による1年間 メンテナンスプログラム利用権(1体分) 3 位:弊社・小型機械技術研究製作部による1年間 メンテナンスプログラム利用権(1体分) ほか、リザルトによる副賞に、下記の副賞を提供しました。 ぬくぬくこたつ、デラックスふにふに抱き枕型診断機、など 参加者全員に「神姫みかんストラップ」を用意いたしました。 以上 ※追加案内※ 本イベントにおきまして、クレイドル「ポケットスタイル」を先行 限定販売いたします。 数量限定となりますので、整理券方式にて 販売をさせていただきます。ご了承ください。 <<トップ へ戻る<<
https://w.atwiki.jp/infinitas/pages/17.html
主題歌 あちゃさんが知り合いに頼んで貰えるらしいので詳細待ち
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/686.html
「クイントスの理由」 「おかえりセロ・・・大会は楽しめたかい?」 そういって、二ヶ月ぶりに帰ってきた親友に話しかける私 「かなりの刺激になった。私もまだまだ未熟だということが良く判ったよ、キャロ」 マントを外しながら座る蒼い鎧姿。彼女の指定席は神姫の箱が並ぶ棚の真正面だ 「相変わらず自分に厳しいんだから・・・アンタは」 「いや・・・完全にコピーされた自分の技を見れば、厭でも謙虚になるさ」 「『ミラー・オブ・オーデアル』・・・だっけ?」 「あぁ、凄まじい強さだった」 マントを受け取り、ハンガーに掛ける 「良い闘い」について語る彼女を見る事が既に久しぶりだった もとよりこんな田舎のリーグの女王に収まっている様な器ではない 「・・・まだ、私と闘ってはくれないか?」 そうだ、彼女をここに縛り付けているのは私なのだ 「・・・最近の槙縞ランカーの動向さ。見るかい?」 聞こえない振りをして、最近のランキングのデータを渡す。我ながら下手糞で、強引な話題のすり替えだ 不承不承、データに目を通す。その表情には落胆は無いが、歓喜も無い感じだ 「『ウインダム』が順位を落としている様だが・・・成程、装備を丸ごと取り替えたのだな。慣らし運転と言った所か。『リフォー』は少しは腕を上げたのかな?」 「・・・新人が3人か『ヌル』『G』と・・・これは・・・カスミと読むのか?」 頷く私 「厳密に言うと『G』は新人じゃないがな。『メイ』が改名・・・というか登録名を変更したんだ」 「『メイ』?岡田さんの所の、あの気の弱い限定版アーンヴァルだったと記憶しているが・・・?こんなに力があったのか」 「こいつは・・・凄いな、殆ど一気に6位に駆け上がっている」 「闘ってみたい・・・って?」 「・・・その『問い』に対する私の答えは常に一つだ、キャロ」 「『私は闘いを望むパーソナリティだ』?」 彼女の口癖・・・その前半分 「『中でも特にキャロ、お前との再戦を望んでいる』だ」 一瞬 駄々をこねる子供の様な表情が、『完璧な女王』の顔に浮かぶ 「何度も言わせるんじゃないよ。あれは私の力じゃないし、アンタはこんな所で燻ってていい戦士じゃない・・・私の事なんて忘れて、とっととファーストにでも何にでも昇格しちまいなよ。また大きい大会があるんだろ?」 「鳳凰カップ・・・か」 2035年から始まった鳳条院グループ主催の武装神姫バトルカップだ。武装神姫の公式大会としては、冬に行われるファースト選出全国大会・・・つまりこの間まで彼女が出場していた大会より、ある意味大きなタイトルだ 「アンタより強い奴なんていくらでも居るさ。中には必ず、アンタの願望を満たしてくれる神姫も居る」 「私がお前と、きちんとした形でもう一度闘いたいという願望は・・・お前にしか満たしえないだろう?」 「・・・私は・・・もう闘いたくはないのさ・・・」 「嘘だッ!」 俯く私にぴしゃりと反応する 「私は女王で居たい訳じゃない・・・私は戦士で居たい。お前だって本当はその筈だ・・・!私には・・・判る・・・」 「・・・」 肩をつかまれ、揺さぶられる。真正面から彼女の顔を見つめることが出来ない 「戦士で居たいというなら私が相手になるわよ?『クイントス』」 入り口あたりからかかった声に振り向く・・・ランカー9位『ジルベノウ』。背負った二本の折りたたみ式実砲とジャンプ戦術が特徴のストラーフ 「貴女の望み通り、引き摺り下ろしてあげるわ。女王の座からね」 「・・・いいだろう、君の挑戦、受けよう」 私は、ツイてる 殆どこの店に来ない上に、滅多な事では闘わないといわれる『クイントス』と勝負が出来るなど (フッ!噂の女王の力、どれ程の物か見せてもらおうじゃないの) 実質、データを見た限りでは『ジルベノウ』と『リフォー』の差は大したものでも無い。今は9位に甘んじているが、それはチャンスが無かっただけの筈。ここで『クイントス』を倒して一気にポイントもランクも稼がせて貰おう 「『ジルベノウ』、準備はいい?」 『イエス、マスター』 種々の非公式パーツで強化した「サバーカ」、リアユニットに「チーグル」の代わりに装備した射撃向きの大型腕とキャノン、それらを装備したジルベノウの戦力は、決して『クイントス』に遅れを取らない自信があった 『バトル・スタート』 機械的なアナウンス、同時に跳躍するジルベノウ (『クイントス』は・・・?) フィールドの真ん中で突っ立っているだけだ・・・こちらの出方を伺っているのか?馬鹿め、砲撃で粉砕してやる 「ジルベノウ、ファイアー!!」 爆音、火を吹くキャノン。狙いたがわず、砲弾は真っ直ぐ『クイントス』へ向かう・・・何故か動く様子の無い『クイントス』 (粉々だ!) だが、そこには粉砕された鎧の残骸すらなく、傷一つ無く刀を構えた姿で『クイントス』は健在だ (バリヤか?しかしそういった形跡は無いが・・・) 『くっ!おのれ』 もう一度発砲するジルベノウ 回避しておらず、バリヤでもない・・・ないという事は・・・? 『・・・今度はこちらの番だな・・・』 呟き、走り始める『クイントス』・・・速い、が、一般のサイフォスの域を出るものではない。今度こそ砲弾の餌食だ 迫る砲弾、『クイントス』は それを事も無げに「切り裂いた」 「な・・・!?」 即座にキャノンを畳み、手持ちの機銃を発砲するジルベノウ・・・濃紺のマントにいくつもの弾痕が刻まれる・・・? マントだけ・・・? 『アーンヴァルの様に無限に飛んでいられる訳では無い様だな』 跳躍の最頂点を過ぎ、落下するジルベノウの背中側に跳び、刀を振り下ろす・・・例え改造刀であってもジルベノウの装甲はそうそう容易に切り裂けるものではない ない筈なのに・・・ ジルベノウの装甲が砕け散る。凄まじい鋭さで切断された面の周りから、粉砕されてゆく 一撃だったらしい・・・らしいというのは、私には『クイントス』の剣閃が見えなかったからだ たった一撃刀を打ち込まれただけで、まるで超高速の戦闘機同士が衝突したような無残な姿に、ジルベノウはなっていた 『勝者クイントス』がコールされるまで、私はジルベノウが負けた事にすら気付いていなかった 私は・・・ツイてたんじゃなかったのか? すごすごと帰ってゆく主従を、セロは無表情に見つめていた いつも通りの、どこか取っ付き辛い硬さのある『クイントス』として 「アドバイスはしてやらないのかい?」 「・・・した。聞こえていたかどうかは判らないがな。ただ・・・」 「ただ?」 「本当に強い者ならば、私が何も言わなくても勝手に強くなるし、どうしようもない者には何を言っても無駄だ」 「手厳しいね、ホントに」 「かもな・・・。だが強くて妬まれるのならば、悪い気はしない」 その正直さ、飾らなさが、私の好きな彼女だ 「戦いを望む性状を否定しない・・・良くも悪くも、それが偽らざる私という人格なのだ」 そしてそれが、彼女の足を止めている 自らに嘘をつけない事、私と・・・否、『G』(注)を纏った私ともう一度闘いたいと願う余りに 私の好きな彼女の部分が、私の好きな彼女の翼に枷を嵌めている・・・ 「ままならないもんさね・・・」 私は二本目の煙草に火をつけた 剣は紅い花の誇り 前へ 次へ 注.ランカー6位の『G』=『メイ』のGでは無い・・・が、全くの無関係でもない
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2718.html
レバー一回転+C 7月27日(水) 三回目であっても、やはり慣れないものはなれないらしい。私はこの煙草の臭いが嫌いだ。 「慣れてるあたしはもう終わってるってことかしらね?」 「そうとは言ってない」 笑いながら、今日も私はゲームセンターへとやって来ていた。昨日華凛に言われたのもそうだが、私もここで神姫バトルをするのは好きだった。私もなんだかんだ言って私も終わってるのかもしれない。 「今日もやってるわねー」 モニターには、現在プレー中のバトルが映し出されている。 今やっているのは、アーク型とミズキ型のバトルだった。ミズキは忍者のような神姫だった。鶴をイメージされているらしいが、ものすごい旧型らしい。 対するアークはトライク(三輪のバイク)になれるらしく、現在ハイウェイを疾走している。 ミズキの名前はミヤビ。そしてアークの名前は…… 「『紅葉』……?」 「どしたの樹羽?」 「ううん、なんでもない」 もしかしたら、あの人なのだろうか? 思わず筐体を見回してしまう。 「シリア、紅葉って名前のアーク型がバトルしてる」 バックの中にいるシリアに話かける。シリアは顔だけバックから出した。 「それって、もしかして楓さんの?」 「かもしれない」 私はもう一度モニターを見た。たった今、バトルが終わったらしい。画面には『winner アーク型 紅葉』のテロップ。重要なところを見逃したみたいだ。 「見損ねた」 「すごかったよ。こう、ギュイギュイってやって、ズバズバっていって、最後にギュガァァァってえげつなかった」 よくわからないが、フィニッシュは総大だったらしい。 その時、一台の筐体が空く。一人は中年のおじさん、たぶんミズキのマスターだろう。もう一人は、昨日見た長ラン姿だった。 「すいませんね、手加減が効かなかったもんで」 「く、お嬢ちゃん強いね」 「あったり前だ! 姉貴とあたしのコンビは最強なんだよ!」 「紅葉、それは相手に失礼だ」 落ち着いて紅葉に注意した楓さんは、相手に軽く会釈した。 「すいませんね、熱くなるといつもこうで……」 なんだか、口調や物腰が服装とはマッチしているんだが、何か違う気がする。『けっ、話にならねぇな』とか言いそうなのに。 「いや、構わんよ。それより……」 中年マスターは楓さんに近付く。なんだか目が怪しい。 「この後、一緒に食事でも……」 そう言って、肩に手を伸ばす。 「ば、ちょ、待っ!」 紅葉が何か言おうとするも、その手は肩に触れ 「あたしに……」 た。 「触るなぁっ!!!」 次の瞬間、中年マスターはダクトが露出していた天井すれすれまで飛んだ。 手をバタバタさせもせず(たぶん失神しているのだろう)背中から地面に落下する。 周りからはため息混じりの声。 「あーあ、今のはおっさんが悪いな」 「だよな、ていうか姉さんに手ぇ出そうってのがなぁ……」 「ま、初見の奴はみんな飛ぶさ。今のはむしろダクトに突っ込まなかっただけましだぜ?」 どうやら、今のはもはや日常らしい。人ひとり投げ飛ばしてもスタッフの一人も出てこないというのは、そういうことだろう。 「くそ、遅かったか。ミヤビさん、だっけ? ごめんね、姉貴、男性恐怖症でさ、触れられただけでああなるんだよ」 「いえ、問題ありません。今のはマスターが悪いのですから、謝るのはむしろ私たちの方です。マスターに代わりまして、不快な思いをさせてしまって、申し訳ありませんでした」 ミヤビさんは利口だったらしい。 その後ペコリと頭を下げると、失礼しますと一言断り、その小さな手で中年マスターの首筋にパシッと手刀を当てた。 「は、私は何を?」 「帰宅しますよマスター。後、そちらの楓さんにはちゃんと謝ってくださいね」 「? なにやら無礼があったようで、申し訳ありませんでした」 落下の衝撃で記憶が飛んだのか、中年マスターはあまり理解がいかない様子で頭を下げる。その後、観客をかきわけ帰っていった。 「シリア、やっぱり楓さんだよ」 「みたいだね、あんな豪快な投げっぷりは、間違いなくあの人だ」 シリアは去っていく中年マスターを見送りながら呟いた。 「相変わらずね、楓さん」 気付けば後ろに華凛がいた。腕を組んで、一人頷いている。 「知ってるの?」 「そりゃ、あんだけ派手に人を飛ばしてりゃ有名にもなるわよ」 聞けば2年程前からいるマスターらしい。現在大学2年生。極度の男性恐怖症で触られただけでああなるそうだ。 「樹羽も知ってたんだ」 「うん、昨日知り合った」 不良の件は伏せた。華凛のことだ、下手をするとその場で卒倒しかねない。 楓さんがバトルし終えると、次は私の番だった。楓さんは私を見るとすぐに声をかけてくれた。 「ああ、昨日の女の子! 確か名前は……あれ、なんだっけ?」 「樹羽です。奏萩樹羽」 言っていなかったから、知らなくて当然だ。 「樹羽ちゃんか、大丈夫だったかい? あの後は」 「はい、大丈夫でした。紅葉もこんにちは」 「はいよー、樹羽ちゃんもゲーセン来るんだねぇ。なんかイメージと違うや」 「こら紅葉、そういうことは思っても言うんじゃないよ」 どっちかと言えば、楓さんの方がイメージと違う。もっとこう、我が道を行く番長のような感じかと思ったら、その実礼儀正しい人だ。なんだってこんな格好をしているんだろう。 「バトルするんだろ? じゃ、さっそく用意しようか」 互いに筐体を挟んで座る。華凛は私の右後ろに立っていて、なんだかセコンドみたいだった。 「樹羽、あの人は強いからね。油断しないように」 「わかってるよ、華凛」 元より相手を舐めてかかったことなど一度もない。 シリアが筐体に滑り込む。それを見て、私もヘッドギアをつけた。 『準備完了、いつでもいけるよ樹羽』 「わかった」 さっそくボタンを押す。アナウンスが流れ始めそして―― 『……3、2、1、0、RideOn―――』 今日はあたしが口を挟む余裕はなかった。昨日知り合っていたらしいとはいえ、やっぱりこれは快挙だったと言えるだろう。 (着実に樹羽は人との付き合い方を覚えてる) いや、もしかしたらただたんに自分に自信が持てなかったり、無意識に相手を遠ざけていただけかもしれない。なんにせよ良い方向に向かっているのは確かだ。このまま行けば、遠からず樹羽は人付き合いを覚える。出来れば定着が望ましいが、あまり欲を言っていられない。 (時間は限られてる……この夏休みの間に、なんとか……) 時間は容赦なく迫り来る。私たちはそれに乗り、流されるしかないのだ。 第七話の2へ トップへ戻る
https://w.atwiki.jp/kakiterowa4/pages/187.html
未来への系譜/仮面ライダーミライは、悲しみに沈んでいた。 ホラゲロワで活動している書き手達を救えなかったこと。彼らが死ぬ未来を変えられず、それどころか命を奪ってしまったこと。宇宙戦艦内部で起こった悲劇が、ミライの心に悲しみを植えつけていた。 もっと力さえあればこんなことにはならなかった。平成ライダーロワでも、天の道を継いだ擬態天道はみんなを守った仮面ライダーになれたのに、その姿をした自分は守れなかった。 これではホラゲロワの書き手達だけでなく、未来を変えた彼すらも愚弄していることになってしまう。 あの時、もしもハイパーゼクターさえあればこんな未来にはならなかったはず…… (いや、違う。ハイパーゼクターがあってもなくても関係ない。オレが、オレ自身の力でホラゲロワのみんなを助けなければいけなかった……こんな弱音を吐いたら、ハイパーゼクターがあったとしても……力を貸してくれる訳がない) 仮面ライダーカブト本編におけるハイパーゼクターは、絶対なる強さを持つ天道総司を認めた。彼はどんな絶望的状況を前にしても決して弱音を吐かず、世界総てを守るという揺るぎない信念を持ったからこそ、カブトになれた。 平成ライダーロワの擬態天道も数えきれない絶望を味わったが、仲間達を信頼して立ち上がった。だからこそ、天道とゼクター達は擬態天道を認めたのだ。 だが、今の自分は何だ。ホラゲロワの書き手達を守れなかったのを、違う何かのせいにしようとしている。そんな男が仮面ライダーとして未来を変えるなんて、出来る訳がない。 今、自分にできることは何か? これ以上、犠牲を増やさないことだ。書き手がいなくなってしまっては、同じロワで活動している書き手……更には、そのロワの読み手達も悲しむ。 だからこそ、これから起こる悲劇を変えなければならなかった。 その為にもカブトエクステンダーのハンドルを強く握りしめるが、やはり罪悪感を拭いきることはできない。疑似宇宙空間から脱出してから時間が経つが、心の中に宿る悲しみは消えなかった。 (自分に負けちゃダメだ。自分の弱さから逃げて、全てを諦めるなんてあっちゃいけない。彼らだってこの辛さを乗り越えた! だから、俺も戦わないといけないんだ!) それでも、ミライは折れたりしない。 ウルトラマンコスモスの主題歌には『自分にだけは決して負けない』という歌詞があった。 仮面ライダーキバに登場する名護啓介のキャラクターソングには『強さのため、自分の弱さから逃げるな』という歌詞があった。 これら以外にも、心の強さを示すような歌詞が多く使われているヒーローソングがたくさんある。そんな歌が使われている番組に登場したヒーロー達を書いたのだから、彼らのような心を持ちたかった。 自分自身の悲しい運命を変えた、平成ライダーロワに登場した彼らのように。 自分が書いたキャラクター達の活躍を脳裏に思い浮かべながら、ミライはハンドルを握り続ける。その最中だった。 突如、雷鳴のような轟音が鼓膜を刺激する。それに驚いてカブトエクステンダーを急停止させて、ミライはそちらを振り向いた。すると、ここから数メートル先に離れた場所で黒煙が立ち上っているのが見える。 空気を震わせるほどの爆発音が鳴り止むことはない。それにより、すぐ近くで戦いが起こっていることをミライは察した。 「そんな……! 書き手同士で戦うなんて駄目だ!」 ミライはハンドルを握り直して、戦いが起こっている場所に向かって走る。 パロロワ書き手は物語の中でキャラクター同士の殺し合いを書くことはあっても、実際に書き手同士で争うことなんてあってはならない。ロワ書き手同士で殴り合っては、ロワにとってダメージになる。書き手一人の行動が原因で議論になり、ロワのイメージが下がってしまうケースが多くあった。 だから、書き手同士の戦いなんて止めなければならない。そんなことをしたって、何かが生まれる訳がないのだから。 このままでは、悲しい未来が生まれてしまうだけ。それを変える為にも、彼は走り続けていた。 【1日目・黎明/B-2】 【未来への系譜/仮面ライダーミライ(◆MiRaiTlHUI)@平成ライダーロワ】 【状態】健康、一人称“オレ”、深い悲しみと怒り、30分カブトに変身不可 【外見】天の道を往き、全てを司る男を継ぐ者@平成ライダーロワ 【装備】エクスカリバー・ガラティーン@二次聖杯、カブトエクステンダー@平成ライダーロワ 【持物】不明支給品0~1(ハイパーゼクター以外)、パロロワメモリについての考察メモ 【思考】基本:主催者の思惑も、変えられてしまった自分自身も、自分の手で変えてみせる 0:この先で起こっている戦いを止めて、悲しい未来を変えてみせる。 1:未来を変えるためにも主催者の思惑を探りたい 2:爆弾機能もだが、自他のメモリによる精神汚染をどうにかしたり、警告することを最優先 ※変身制限により10分間しか変身できず、同じ変身アイテムを使えるのは二時間ごとです。 ※作品再現によりタキオン粒子を魔力の代わりに使用出来ます ※パロロワメモリについての考察・体感まとめ ※使い回し不可。ただし同じトリップなどの同一の書き手なら、別ロワ所属でも使いまわせるかも。ただし別ロワの記憶は曖昧になっている ※マキシマムブレイクなどの必殺技によるメモリブレイク、強制排出不可。適合者死亡時に共に消滅 ※強度の精神汚染あり。書き手としてのエゴや信念に飲み込まれがちに。一般人離れした物語の登場人物のような精神状態に ※過剰適合により、チート能力を使えうる反面、使えば使うほど、精神汚染及びメモリの一体化・強化が進行 ※ある種、書き手たちは常時キャラクターへと変身状態なため特殊能力を使わないでも徐々に汚染は進行 ◆ 今から、ほんの少しだけ時間が遡る。 多ジャンルバトルロワイアルに参加している【ライダー】エウーゴという名の書き手は、北岡修一の姿になってニヤリと笑っていた。 つい先程、ミラーワールドで戦っていた35人の参加者に向かってエンド・オブ・ワールドを放ったことで、その大乱戦を強制的に終了させられたのが大満足だった。 恐らく、現時点でのキルスコアはトップだろう。ランキングでは全員分のカウントがされているかはわからないが、それでもたくさん殺せた。 そこでふと【ライダー】エウーゴは考える。他の多ジャンルロワの書き手達は、どれだけ殺せているのだろうかと。 多ジャンルロワから他に参加しそうな書き手は誰か? ジェレミア・ゴットバルトの姿になりそうな【誓約者】ダブルエックス。後藤の姿になりそうな【寄生獣】イーボゥ。狭間偉出夫の姿になりそうな【魔人皇】ジーヴ。枢木スザクの姿になりそうなU1。そして、シャドームーンの姿になりそうな【世紀王】K.K.……この5人が有力候補かもしれない。 恐らく、多ジャンルロワ書き手の大半がマーダーとなるだろう。彼らのほとんどは殺る気とロワへの熱意に溢れているので、会場は血の海になるのは火を見るより明らかだ。 実際に【ライダー】エウーゴ自身だって、ここに来てから多くの書き手を殺した。もっとも、それはこれからも変えるつもりはない。正統派のマーダーになる為にも殺し合いを更に加速させる気だ。 そう考える【ライダー】エウーゴは今、ここから少し離れた場所でバイクが走っている音を察知していた。それはどんどん大きくなっていくので、参加者が近づいてきていると考えている。 今は絶好の機会だと確信して、【ライダー】エウーゴは懐からゾルダのカードデッキを手にして構えを取った。 「変身!」 その力強い掛け声と共に、彼の周囲には人型の虚像が幾つも現れる。それらは【ライダー】エウーゴの身体を包みこむと、一瞬で緑と銀に彩られていった。 変身を終えた彼の手元に一丁の銃が顕在する。そうして【ライダー】エウーゴは仮面ライダーゾルダへの変身を果たしたのだった。 ゾルダに変身した彼はカードデッキに手を伸ばして、そこから一枚のカードを取り出す。 『SHOOT VENT』 それをマグナバイザーに読みこませると、電子音声が響き渡る。距離が離れているおかげで、この声は標的に聞こえていないだろう。 案の定、相手には気付かれていない。向こうから近付いてくる中、虚空より巨大な大砲・ギガランチャーが現れる。ゾルダはそれを掴み、標準をバイクの持ち主に向けた。 「あんたには悪いけどこれもロワだからね。ここで華々しく散って貰うよ?」 ギガランチャーのAPは2000。変身もしていない状態でその一撃を受けては、細胞一つ残らないだろう。バイクや支給品も吹き飛ぶだろうが、キルスコアが稼げるならば構わない。 パロロワでは『ズガン』と同意義に捕えられやすい狙撃による死。それを、これからゾルダはやろうとしている。 最近のロワでは煙たがられるかもしれないが、昔はよく行われていた。それにゾルダだって、さっきエンド・オブ・ワールドをやって何人も殺している。 マーダーをやるなら手段なんて選んでいられない。ロワは殺さなければ話が進まないのだから、罵られようとも受け止めなければならない時がある。 ならば、ここで彼を不意打ちで仕留めるのもロワの定め。文句を言われる謂れなどない。殺されたくないなら、最初からロワに出さなければいいのだから。 「それじゃ、さようなら……!」 「影から大砲で不意打ちしようなんて、随分といい度胸してるのね?」 ギガランチャーの引き金を引こうとした瞬間、後ろから声が聞こえてくる。 気付かれた!? そんな思考が芽生えたことで、心臓が跳ね上がるような衝撃をゾルダは感じた。 一人の書き手を殺すことに集中しすぎて周囲の注意を怠りすぎた。そんな迂闊さをゾルダは呪うが、もうどうにもならない。 「その姿は仮面ライダーゾルダ……もしかして、ライダー系のロワ書き手かしら? あるいは多ジャンルロワかロワイヤル×ロワイヤルの書き手。でも、何処の書き手にしてもあなたはマーダーであることは確実のようね」 仮面ライダーオーズに登場するグリードの一人・メズールのような声から感じられるのは、確かな敵意。 現れた書き手は全てを察しているのだ。ゾルダに変身して、そこから遠くにいる書き手を不意打ちで殺そうとしていたことを。こうなっては言い逃れなど難しいだろう。いくら原作の北岡秀一がどんな裁判でも勝ってきたスーパー弁護士でも、こんな状況を見られた上で善人だと言い張るなんてできない。 いや、もしかしたらできるのかもしれないが、それは相手が城戸真司のような超が付くほどのお人好しで馬鹿な人間だけ。秋山蓮のように疑わしかったら、速攻でバレてしまう。 ここに現れたのはメズールのようなキャラだとすると、切り抜ける方法はただ一つしかない。 「大正解……ってことで、ご褒美をあげるよ!」 素早く振り向いたゾルダは、ギガランチャーのトリガーを引いて弾丸を放つ。 すると刹那の時間もかからずに大爆発が起きて、辺りの木々を容赦なく吹き飛ばした。それだけでは飽き足らず、ギガランチャーの砲弾を発射して破壊を続ける。 ここは書き手バトルロワイアル。一発の砲弾だけでは死なない書き手もいるかもしれない。幹部怪人のメズールもその一人だから、念には念を入れる必要があった。 連鎖的に起こる爆発の炎がどんどん広がっていき、周囲が煉獄の赤で染まっていく。凄まじい熱気がアーマーとスーツに突き刺さるが、中にいる【ライダー】エウーゴは表情を顰めたりなどしない。 ただ、燃え盛る炎を仮面越しから見つめているだけだった。 「メズール……ってことは、オーズロワの書き手だったのかな? そういや、俺も最近あそこで書き始めたっけ。でも、今の俺は多ジャンルロワの書き手だから関係ないか……あちらさんには悪いと思うけど」 【ライダー】エウーゴこと◆ew5bR2RQj.は、何も多ジャンルバトルロワイアルだけで執筆している訳ではない。仮面ライダーオーズバトルロワイアルを始めとした、様々な余所のロワにも参加しているのだ。 同郷の書き手を殺してしまった。その結果に若干の蟠りが芽生えるも、すぐにそれを振り払う。今の自分は多ジャンルロワの書き手なのだから、他のロワに配慮する必要などない。奉仕マーダーをやるにしても、その対象は多ジャンルロワ書き手だけだ。 オーズロワの書き手には悪いが、ここは書き手ロワだから仕方がない。戦わなければロワじゃないのだから。 「もしかして、◆l.qOMFdGV.だったのかな? 今となっちゃ、確かめられないけど」 「……正解よ、◆ew5bR2RQj.」 「何っ!?」 燃え上がる炎の勢いが増す中、ゾルダの耳に声が響く。 次の瞬間、視界の外側から空気を裂くような音が発せられ、その方向より何者かが接近してくる気配を感じた。反射的に振り向くと、紅く彩られた装甲を纏った少女が二本の剣を構えながら突貫してくるのを見る。 ギガランチャーの砲口を向けて引き金を引こうとするが、遅い。一瞬の間で懐まで迫った少女が剣を振るい、そのままゾルダの胸部は切り裂かれた。 斬撃によって装甲から火花が飛び散らせながら、呻き声を漏らすゾルダは吹き飛ばされていく。しかしそれだけで終わることはなく、少女は同じ箇所を狙うように刀を振るい続けてきた。 やがてゾルダはその衝撃に耐えることができなくなってしまい、勢い良く吹き飛ばされてしまう。受け身も取れないまま地面に激突してしまい、ギガランチャーを手放してしまった。 数回ほど土の上をバウンドするが、ゾルダは素早く立ち上がって相手を見据える。この時、ようやく現れた書き手の姿を目に収めることができた。 「いいえ、もしかしたら今のあなたはこう呼ぶべきかしら……? 【ライダー】エウーゴ」 「ご名答だよお嬢さん……いや、◆l.qOMFdGV.」 不敵に笑いながらも、視線に敵意を込めている少女の姿はオーズに出てくるメズールと同じ。やはり、オーズロワの書き手だった。 その華奢な体に纏われている重厚な武装は、オーズロワに参戦しているIS〈インフィニット・ストラトス〉という作品に登場するスーツだ。向こうのロワにも参加しているので、ISという武器の詳細を知っている。だからこそ、ゾルダは溜息を吐いた。 (これはちょっと、厄介な相手に見つかっちゃったかな……?) ゾルダは己の不運を呪う。 不意打ちで他ロワの書き手を殺そうとしたら、更にまた別のロワ書き手に見つかってしまった。しかもその書き手すらも殺せず、それどころか真っ向から戦う羽目になる。 だがこうなってしまった以上、嘆いていても仕方がない。むしろ、マーダーとしてのスタンスを全うできると喜ぶべきなのだ。 厄介な相手だからこそ殺す価値がある。最初に出会った麻雀超人という新々漫画ロワの書き手みたいに、楽しい戦いができるかもしれない。 そうだ。それがいい。それでこそ、王道マーダーのあるべき姿なんだ! どんな手段を取ろうとも、邪魔な奴らは殺しまくる……これこそ、マーダーだ! 「さあ……思いっきり戦おうじゃないの!」 仮面ライダーゾルダに変身した【ライダー】エウーゴの叫びが、◆l.qOMFdGV.との戦いのゴングとなった。 ◆ (あまりバトル系の話を書いてなかった私が、まさか本当にバトルをすることになるなんてね) オーズロワで見せしめにされた(厳密に言うと、後から実は生きていて主催陣営によって人質にされてしまった)篠ノ之箒というヒロインの武器・紅椿を装備した◆l.qOMFdGV.は、浮遊しながら仮面ライダーゾルダを睨んでいる。 彼女は◆MiRaiTlHUIと◆z9JH9su20Qのコンビを目撃してから、単独行動を選んだ。あそこで声をかけてチーム結成もできたが、そんなことをしたら惨劇が起こってしまう。 前話でも言ったように、パロロワでは同作キャラのジンクスというものが存在する。その法則が書き手ロワでも作用するなら、こんな序盤から同ロワ書き手同士で固まるのは得策ではなかった。そういう意味ではあの二人を放置するのは危険だったが、だからといって◆l.qOMFdGV.に何かができるわけでもなかった。 別れてと言っても聞いてもらえるかどうかわからないし、それ以前に姿を見せた時点で危険だ。だから今できることは、気付かれないように別れるしかない。 それから単独行動を続けていたら、仮面ライダーゾルダが遠くにいる書き手を狙撃しようとしているのを見つける。そんな不躾なことをしている彼の正体は、やはり【ライダー】エウーゴだった。 【ライダー】エウーゴは、ついこの間からオーズロワに参加するようになった書き手の一人。だから義理はあるものの、よりにもよって不意打ちで余所のロワの書き手を殺すという外道行為を行おうとしている。 このまま黙っていたら、もしかしたらオーズロワの書き手達も殺そうとするかもしれない。例え、彼が同じロワで書いている◆ew5bR2RQj.であろうとも、断じて許す訳にはいかなかった。 だから、ギガランチャーの砲弾が発射された直後、支給された紅椿を装備してゾルダを斬った。そういえば、オーズロワでもメズールには紅椿が支給されていたなと、◆l.qOMFdGV.は思い出す。 (案の定、彼は私を殺そうとした。違うロワで一緒に書いている私だろうとも……でも、素敵だわ。それが彼なりの「愛」なんだから) ギガランチャーの砲弾を放ち、殺害という形で口封じをしようとしたゾルダを責めるつもりなどない。むしろ、褒めてすらいた。 マーダーとして戦うことで、多ジャンルロワにはこんな凄い書き手がいるんだというアピールになる。その結果、多ジャンルロワはもっと色んな人に読んでもらえるかもしれない。 それもまた「愛」の一種。「愛」という感情を求める本物のメズールが【ライダー】エウーゴを見たら、きっと歓喜するだろう。 無論、◆l.qOMFdGV.も興味を持っていて、出来ることなら【ライダー】エウーゴを応援したい。しかしだからといって、黙って殺されるわけにはいかなかった。 (決めたわ。私は仮面ライダーオーズバトルロワイアルを守り、イメージアップをする……そして、そのイメージを下げる奴らを倒してみせる! それこそが私の「愛」よ!) ◆l.qOMFdGV.の中で、そんな想いが燃え上がっていく。 原作のメズールだったらこんなことを考えないかもしれない。もしもオーズロワでメズールがこんなことを考えるようになったら、それはただキャラ崩壊だ。説得力のある描写を書けば別だが、そうでないなら100%叩かれてしまう。 でもここは書き手ロワ。メズールであってメズールではない。仮面ライダーオーズバトルロワイアルという企画の為に動く、◆l.qOMFdGV.というトリップを持つ一人の書き手だった。 その途中でオーズロワ書き手と出会うかもしれないが、出来るなら中盤以降が望ましい。出会ってしまったら、それはそれで仕方がないが。 今は【ライダー】エウーゴを倒し、それからオーズロワのイメージアップをする。その為にも、負けるわけにはいかなかった。 ◆l.qOMFdGV.と【ライダー】エウーゴは睨み合う。多ジャンルロワとオーズロワ……強い因縁で結ばれているかもしれない二つのロワ書き手が、こうしてまた出会った。 ここにいる二人は知らないが、数時間前にも多ジャンルロワとオーズロワの書き手による戦いが起こっていた。【世紀王】K.K.と◆QpsnHG41Mgによる戦いが。 その戦いは圧倒的な実力を誇る【世紀王】K.K.の勝利で終わったが、この二人の戦いがどんな結果で終わるのかはまだ誰にもわからない。どちらかが勝つのか、両者相打ちで終わるのか、それともまた違う結末が待ち構えているのか。 『綿棒』というキーワードによって芽生えた因縁による戦いが、こうして始まった。 【一日目・黎明/B-3 市街地】 【【ライダー】エウーゴ(◆ew5bR2RQj.)@多ロワ】 【状態】肩に傷、仮面ライダーゾルダに変身中 【装備】仮面ライダーゾルダのデッキ@多ロワ、仮面ライダー王蛇のデッキ@多ロワ 【持物】基本支給品×4、麻雀牌セット@新々漫画ロワ 四次元トートバッグ@川崎宗則ロワ、パニッシャー@TRIGUN×13、バット、グローブ、ボール、不明支給品1~8 【思考】 基本:マーダーをやっちゃおうかな。 0:◆l.qOMFdGV.を倒す。 1:無差別か扇動かステルスか奉仕か……まあ、後は流れで。 2:だが、乱戦には嬉々として、混ざる。 [備考] ※変身についての制限は後続の書き手に任せます。 【◆l.qOMFdGV.@仮面ライダーオーズバトルロワイアル】 【状態】健康、紅椿を装備中 【装備】紅椿@仮面ライダーオーズバトルロワイアル 【持物】基本支給品、不明支給品0~1 【思考】 基本:仮面ライダーオーズバトルロワイアルというロワのイメージアップをする為に動く。 1:【ライダー】エウーゴを倒す。 2:ジンクスを避ける為にも同じロワの書き手と出会うのは、出来れば中盤以降がいい。でも会った時は仕方がない。 ※外見はメズール@仮面ライダーOOOです。 094 鯖味噌昇天 ◆時系列順に読む 096 ライブ感が大事な話 094 鯖味噌昇天 ◆投下順に読む 096 ライブ感が大事な話 060 When They Cry 未来への系譜/仮面ライダーミライ 088 End of World 【ライダー】エウーゴ 056 欲望と絆と集う書き手達 ◆l.qOMFdGV.
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/578.html
前へ 先頭ページへ 次へ ? コンタクトイエロー~第一ラウンド終了 1312時 諸島沖合 B3甲板上(VR空間) 「そんなに私の貞操が奪いたいんですかっ!?」 乱れた髪をなおしつつ素っ頓狂な内容で声を裏返して、途端に自分の言った言葉にマイティは顔を真っ赤にして口元を押さえた。自分はまだ混乱したままなのか。それにしても貞操がどうのとか、そんな言動がでてしまうなんて、自分は変人、いや変神姫なんじゃなかろうか? 「やっぱりマイティはシュリーク(金切り声)だよね」 ねここと一緒に正座して小さくなっていたシエンがおずおずと申し出て、マイティは再び叫んだ。内容は覚えていない。 オービルのおかげでフルコンディションになった装備を纏って、その場から逃げるように再出撃。クリムゾンヘッドに乗り込んだシエンと、簡易装備のシューティングスターのねここが僚機として後方についた。 ◆ ◆ ◆ 同時刻 11番コンソールルーム 誰が見ても一連の光景は単なるコメディにしか受け取れない。 だがマスターだけは、素直に笑えない状況にあった。 マイティはまだこの状況に適応し切れていないのではないか。その上にねこことのドタバタやシエンのどさくさにまぎれた告白が重なって、彼女は不安定になっているに違いない。そんな状態で、いま戦場で幅を利かせているという黄色い翼の五体と戦えるのだろうか。疲労は問題にならないほど回復しているし、装備もオービルという優秀なメカニックのおかげで新品同様になった。一見なにも不都合は無い。 アクセス直後に垣間見せたマイティの新たな問題。おそらく、新しい環境に適応するのに時間がかかる、という問題。これは自分が感じている以上に深刻なのではないだろうか? 神姫としてプリセットで含まれている人間そして人間空間との交流行動、武装神姫としてプリセットされているバトルという環境。 それら以外の部分で、マイティは戸惑う。今まで体験したことの無いほど多くの神姫がいる空間、同じ神姫から間接的にとはいえ「好きだ」と告白された状況。出てくればまだまだあるだろう。バトル自体に問題は無くとも、それ以外の混乱要素がバトルに影響を与えることは十分にありうる。 棄権、という選択肢がマスターの脳裏に現れかかった。 「――とにかく、まずは戦ってみる、か」 誰にともなく呟いて、マスターは椅子にもたれて画面を見つめる。 判断材料が足りない。危ないが――ここは様子を見ることにしよう。 ◆ ◆ ◆ 1315時 諸島上空(VR空間) レッド、ブルーどちらのチームも、すでにその戦力の半分を切っていた。 さっきより閑散としている。もう目と鼻の先に迫っている戦闘空域を望遠で眺めて、マイティは無感動にそう思った。 かといって、先ほどよりも戦いやすくなったわけではないだろう。後に残った者ほど、つまりは運が良い、強いということなのだから。それに双方ともにターゲッティングするべき敵が少なくなった分、自分が狙われる割合も高くなる。 結局、こうむる手間はそれほど低減しない。 しかしあと十五分ちょっとだ。 さすがに、もう過労でぶっ倒れることなどないだろう。 件の五機はすぐに見つかった。戦場の真っ只中で悠々と飛んでいる。うち一機がスノーボウを追いかけている。翼のマーキングまで判別できる距離に近づいていた。白い文字で大きく「4」。 シーカー、ターゲッティング。 「散開。黄色を狙うときはなるべくツーマンセルでやりましょう」 素直にシエンとねここが揃って離れる。二体とも重攻撃戦闘スタイルだが、コンビならその速度の遅さもカバーできるだろう。 マイティはぐんぐん距離を詰めて、イエローの後ろにつける。 BGM Sitting Duck(エースコンバット04・シャッタードスカイ オリジナルサウンドトラックより) 1317時 コンタクトイエロー 「サレンフェイス、援護します」 スノーボウのTACネームを呼ぶ。しかしどうしてサレンフェイス(仏頂面)なのだろうとマイティは疑問に思う。マイティは彼女の普段の性格を見たことがない。マイティと接したときだけ、スノーボウの感情は若干豊かになる。口数も増える。その事実をマイティはまだ知らないし、ましてやなぜスノーボウが感情を表に出さないのかなど思い当たるはずも無い。 《ラジャー、シュリーク。そいつは後ろに撃ってくるわ。マニューバーに気をつけて》 「了解・・・・・・」 といい終える間もなく、そのイエローの顔がこちらを向いた。 いや、全身ごと真後ろにくるりと反転しているのだ。航行軌道を変えずに。 「うっ!?」 ミサイルと機銃弾の雨あられが真正面から殺到してくる。推進力を前方に返して急激なエアブレーキ、武装神姫であるがゆえの機動。慣性を利用し機首を真下に振り向け、ブースト。ぎりぎりのところで射線から逃れる。 アラートが止まない。放たれた四発のミサイルのうち、二発が執拗に追いかけてきている。避けられた二発はノーマルのスティレットミサイルらしかったが、追いかけてきたほうは姿かたちは似ていても高機動にチューンされたまるきりの別物だった。以前の巡航装備ならその推力で振り切れるほどの速度だが、今の機動重視構成では逃げることはできない。迎撃するかミサイルの燃料切れを待つしかない。 が、迎撃しようにもマグネティックランチャーを後ろに向けることができない。自分の最大推力プラス大G旋回でなんとか相対距離を維持できるのである。頭を傾けて後ろを確認しようとすれば空気抵抗が増して危ない。シロにゃんに後ろを向かせてロックオン。スティレットミサイルを迎撃にあてる。 ガラガラガラガラン。翼に出ている四発を全部後ろ向きに落として断続的に発射。 しかし、 「だめです、全然当たってません」 シロにゃんが報告する。 今度はハンドガンで牽制射撃。アルヴォは速射性、カロッテは威力で補い合う。両方、ワンマガジンを撃ち切る。だめだ、当たっていない。 マガジンチェンジはしない。セミアクティブのサイドボードから直接、銃へ装弾される。銃の中からチキ、チキ、と弾が「生えて」くる。バーチャルだからこそできる芸当。 さらに撃つ。撃ち切る。当たらない。急旋回。一瞬ミサイルは目標を見失うが、すぐに振り返って追いかける。 再装弾。撃つ。撃ち切る。当たらない。 追いかけながら回避運動もしている、あのミサイルは。 特殊装備の絶対的な性能アドバンテージ。 マイティの意識に影が差す。 いやな感覚を振り切って、もう一度、再装弾。撃つ。 五発目で一発に命中、迎撃。間を置いて撃ち切る寸前で、もう一発に命中。ミサイルは爆散。 その間にシロにゃんが黄色の4を探し当てていた。推力全開、インメルマンターン。イエロー4は執拗にスノーボウを追い掛け回している。自分が寝ている間に敵から恨みでも買ったのだろうか。 再びイエロー4の後方につく。さすがのスノーボウといえど、そろそろ引き剥がさなければまずい。 《・・・・・・チッ》 通信混戦。それを分かっているかのような舌打ち。まん前の黄色から。 今度は目を離さない。相手がくるりと体をこちらに向けるのが分かった。 その回転している一瞬が大きな隙だった。 この距離ならば当たる。 スティレットミサイルを四発全弾発射。 黄色はちょうど背中を見せている。 当たった。マイティは確信した。 その確信を打ち砕く信じられない光景が、マイティの目の前で繰り広げられた。 相手の反転速度がいきなり上がった。あの速度ではこちら、真後ろで止まれない。止まる必要が無いのだとすぐに分かった。 イエロー4の両手から赤い光条が伸びたかと思うと、迫り来るミサイルをひと撫でした。ライトセイバーだった。 あっけなく四発のミサイルが真っ二つに切られ爆発。 炎の合間から、鬼のような形相をした色黒のアーンヴァルの顔が覗いた。 背筋が凍った。 同時にマイティは、不思議なことにイエロー4の顔を事細かに捉えていた。 インド系に整形されたマスク。つややかなブルーブラックのウィッグ。よく手入れされた整形。オーナーの愛情が込められている。 が、マイティはその愛情がイエロー4自身ではなく、どこかあさっての方向を向いているような気がしていた。 相対距離が同調し、二体の間がぴたりと止まる。 しまった、隙を与えた!? 気づいたときにはイエロー4は赤いライトセイバーを振りかざして、マイティの目前にいた。 やられる! 間に何者かが割り込んだ。 ヘッドセンサー・アネーロの後ろに白い猫の耳が隠してあった。彼女がねこみみを付けていることを、マイティはいまさら知った。 セイバーの熱。切り裂かれる音。マイティは間近で感じた。あまりにもリアリティのあるエフェクト。VRの高性能。 スノーボウがマイティの目の前でポリゴンの塵と化し、消えた。 マイティの瞳から戦意が消えた。 もはや倒す価値も無い。そう判断したらしいイエロー4は、フンと鼻を鳴らして飛び去った。 その後のことは、マイティは覚えていない。ただ、生き延びたことは確かだった。第一ラウンド終了の合図がけたたましく鳴って、われに返った。 世界が消失する。次に出るのはまたあのブリーフィングルームだろう。だがマイティは、このまま消えてしまいたい心持ちだった。 1330時 第一ラウンド終了 中間制空権報告 レッドチームの若干有利 第二ラウンドフィールド選定 「海岸線」 前へ 先頭ページへ 次へ ?
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2272.html
2nd RONDO 『そうだ、神姫を買いに行こう ~1/4』 「隠してたわけじゃないんだけど、その…………ね?」 「ね?」 と言われても、俺には何のことだか皆目見当がつかない。 キィキィと軋むオフィスチェアの上で体育座りをした姫乃は、苦笑いのような、バツの悪そうな、形容し難い顔を俺の目から背けた。 服装は昨日と似たり寄ったりの、というか年間を通してカッターシャツにロングスカート(夏は半袖、冬は野暮ったいダッフルコートを追加装備。 日ごとに色が変わるだけ)、肩甲骨のあたりまで伸ばした髪は後ろで一つにまとめ、細身のシルエットによく似合っている。 姫乃がこの狭く汚くボロく散らかった六畳一間 (フロ・トイレ別!) にいてくれるだけで空気が綺麗になったように思う。 いや、事実姫乃がいると、玄関からベランダの窓際まで幸せな香りで満たされる。 小説やドラマでよく見かける 「風に運ばれてくる彼女のいい香り」 とはこのことだったのか。 付き合い始める前から度々、講義と部活を終えた後はこうして俺の部屋を訪ねてきてくれるわけだが、未だこの幸香(造語)に飽きることはない。 それとも、慣れることはない、とでも言おうか。 人間、己が身に過ぎた幸せを恐れるものである。 手を伸ばせば触れられる所に姫乃がいることが、怖いのである。 だってそうだろう? 晴れて大学生となって一人暮らしを始めて、借りたボロアパートの隣室に俺と同じ新入生の女の子が越してきて、しかもその子は可愛さと美しさを足して二を掛けたような容姿で、さらに目が眩むほどの笑顔で俺に微笑んでくれて、そんな子が友人になってくれて、今は俺の部屋で体育座りをしてくれているなんて、今この瞬間も 「これは究極の悪夢じゃなかろうか」 と自分の正気を疑ってしまうほどだ。 ――幸福が過ぎる夢は、目覚めてしまえば重荷にしかならないのだから。 「そうか。 ならば私がその重荷を降ろしてやろう」 いつの間にか俺の肩によじ登っていた姫乃の神姫 『ニーキ』 はそう言うや俺の頬を抓った。 いや、神姫の手のサイズだと、抓るというよりは、 「痛い痛い痛い痛い痛い痛いっての!! お前のサイズでほっぺつねりやるとなあ、蟹に挟まれるみたいに痛いんだぞ!!」 「ニ、ニーキ駄目! どうしたのよいきなり弧域くん攻げ……あああああほら内出血してる!」 椅子から転げ落ちそうになるくらい慌てふためく姫乃とは対照的に、ニーキはあくまでクール(?)に 「そんなもの唾でも付けておけば――ヒメ、君の唾である必要はないんだぞ」 と言い放った。 くそ、もう少しだったのに余計なセリフを吐きやがる。 というかハナコといいニーキといい、神姫ってやっぱり読心機能ついてないか? 「いくらコアセットアップチップが高性能だからって、人の心が読めるわけないだろう。 それと弧域、君はヒメに舐められたいのか?」 「ばっちり読んでるじゃねぇか!!」 姫乃の神姫だから持ち主に似て可愛らしいものだとばかり思っていたのだが、よくよく考えると “神姫は持ち主に似ない” ことは貞方とハナコが一片の矛盾も無く証明していた。 「しかし、どんな男かと思えばこんな奴だったとはな。 ヒメが毎日のようにこ――」 「あー! わー! もうニーキ、少し大人しくしてて!」 姫乃に掴み上げられ、パソコンを常備している机の上に降ろされたニーキは言いつけ通り、澄まし顔で大人しくなった。 黙ってさえいれば、悪魔型神姫・ニーキは武装がなくとも神姫としての魅力に溢れている。 空色の髪をツインテールにして、身体は黒を基調とした悪魔色が鈍く光る。 引き締まった顔に尖った耳がよく似合い、バトルの時は氷のような眼差しと凄惨な微笑みが鉄槌を下すのだろう。 フィールドに立つ、ただそれだけでストラーフ型はオーディエンスへのパフォーマンスとなる。 ……それを姫乃が分かっているかは別の話だが。 「なあ姫乃。 なんで神姫を買おうと思ったんだ?」 「それはもう可愛いもの。 すんごく可愛いんだもの。 工大駅前のヨドマルカメラで電球探してたら、おもちゃコーナーの前でストラーフ型神姫がこう、手を振ってくれてね、一目惚れしちゃったの」 貯金はだいぶ減っちゃったけどね、にはは。 と苦笑いする姫乃に、ニーキを買ったことを後悔する素振りはまったく無い。 「ヨドマルなら神姫に呼び込みさせたりもするだろうな。 ――誰かに誘われて買ったり、じゃなくて?」 「ん? 私の周りはホイホイさんばっかりよ。 神姫持ってるのは鉄ちゃんくらいかな」 「ふうん、そうかそうか。 うん、そうだよなあ」 「?」 ツマラナイことで頭を抱える必要など無かったのだ。 姫乃が浮気? 無い無い無い無い断じて無い。 先程までの杞憂は、そう、ちょっと貞方に遅れを取った焦りから生まれたものだったのだ。 ……と強がってみても、心配など皆無、と言えば嘘になる。 一ノ傘姫乃の魅力があれば男なんて選び放題好き放題だろうに、何故俺なんかを選んだのか、姫乃が隣にいる時はそんな不快な考えばかりが頭を過ぎってしまう。 たかが人形一体で勘繰ってしまうほどに。 姫乃の裏の顔を想像してしまうほどに。 「どうしたの弧域くん。 顔が怖くなってるよ?」 そんな俺の一人相撲を知ってか知らずか、姫乃はまた椅子の上に戻って体育座りしている。 裏の顔、ね。 そんなものがあっても俺はすべてを受け入れる、なんて歯の浮くような台詞を吐くつもりはないけれど、ドス黒い姫乃というのも、それはそれで悪くない。 「しかし姫乃も神姫マスターだったとはね。 俺も買おうかなあ。 んでもってニーキと勝負してみたりさ、楽しそうだぜ」 「え? ……あ、うん、そう……かな」 姫乃の顔が再び、なんとも形容し難いものに戻った。 さっきからどうも様子がおかしい。 分かり易過ぎるほど神姫の話題を避けているようだが、その割にはヨドマルでの出会いをあっさりと白状(告白?)してみせたし、目を逸らすのは決まってどうでもよさそうな話の時ばかりだ。 思えば、俺が神姫の話をしようとした時も、興味がないフリをして話題を避けているようだった。 俺が小一時間ほど “不出来なCDほどフリスビーに向いているのは何故か” を語った時も話に乗ってくれた (というより説教された) 姫乃が、何故こんな話題に口ごもる必要がある? 思い当たるふしは……あー、カツカレーの食べ過ぎだろうか。 「カツカレーで何かが変わると思っているのか。 ヒメ、君の彼氏は馬鹿だぞ」 「心を読むな! そしてもうちょっとオブラートに包めよ!」 「否定はしないんだな」 「お前、人の揚げ足取るの大好きだろ」 「君が見下げ果てた野暮天だからヒメが困っているんだ」 「ちょ、ちょっとニーキ、あんまり――」 「たまには言葉で真っ直ぐ伝えてやるのもこの男のためだぞ、我がマスターよ」 「~~~~っ」 ニーキは言いたいことを言い終えたのか、再び元の寡黙な人形に戻った。 その隣で椅子をキイキイと揺らす姫乃は自分の膝に顔を埋めて――黒髪の間からのぞく耳を真っ赤にしていた。 「言い難い事、あるのか?」 こくり。 頭を縦に動かした。 「怒ってる、とか?」 ふるふるふる。 頭を左右に振った。 「悲しい事だとか」 ふるふるふる。 「あー、じゃあ恥ずかしい事だとか」 こくりこくり。 恥ずかしいこと? 今までの会話のどこに恥ずかしがる要素があった? ますますわけがわからない。 一人で混乱していると、くぐもった声が聞こえてきた。 「……だって、神姫なんだもの」 「うあん?」 「弧域くん、神姫――欲しい?」 「え、くれるの? でもなあ、ニーキはちょっとキツいしなあ、」 「ニーキは駄目。 そうじゃなくて、自分の神姫、買いたい?」 欲しいかと問われれば、そりゃあ欲しい。 着せ替えのように武装させてみたいし、バトルだってさせてみたいし、この隙間風が寂しい部屋に神姫がいれば少しは寒さも和らぐのかもな。 だが、物はいつか壊れる。 熱力学第二法則(第一だったか?)がある限りどんな物でも例外ではないし、神姫だってもちろんその例に漏れない。 負担が掛る可動部はメンテナンスをしていても取り替えが必要になるし、バッテリーも技術が進んだとはいえ充電を繰り返すごとに容量が減っていく。 これらはまだ取り替えが効くからいい。 だがCSCなんて、外部からの衝撃でどんな影響を受けるか分かったものではない。 ――ホイホイさんになぶり殺しにされたマオチャオがそうだったように。 未だあのマオチャオが、持ち主だった弓道部部長の泣き叫ぶ顔が、頭から離れないのだ。 ……あんな別れ方をするくらいなら、最初から神姫なんて持たないほうがいい。 「どうだろうな。 欲しいような気もするし、欲しくないような気もする」 「どっちよ。 欲しい? 欲しくない?」 「俺にもよく分からないんだ。 神姫で遊びたくもあるし、なんつーかほら、犬とか猫とか、死に別れが嫌だから飼いたくないってよく聞くだろ。 あんな感じ」 「弧域くんっていつもはハッキリしてるのに、たまにものすごく優柔不断になるよね」 何故俺は責められてるんだ? 「いいだろ別に。 ハッキリさせなきゃいけないことでもないし」 「よくない」 「いいだろ」 「よくない」 「なんで」 「だって…………よくないんだもん」 姫乃が何を言いたいのか分からないが、少なくとも二人の間うっすらと見える溝をゼネコンが本腰を入れて掘り始めたことだけは確かだった。 俺にどうしろってんだよ、ゼネコンは誰の命令を受けて着工したんだ。 国か? 国なのか? 国土交通省のせいで俺達は付き合ってから初となるケンカをしようとしているのか! 「何がよくないんだよ。 俺が神姫を買っちゃ駄目なのか?」 「駄目っ! ……じゃない、けど……」 「なら買わないほうがいいのか? そりゃあ神姫は高いからな、そう簡単には買えないけどさ」 「そうじゃなくて、そうじゃないの!」 「どっちだよ! 俺は買うべきなのか、買っちゃ駄目なのか!」 「だって! ……だって……」 「だってだって、さっきからそれば――」 言いかけて無理矢理口を噤んだのだが、もう遅かった。 さっきよりも顔を真っ赤にした姫乃が、目に涙を浮かべて俺を……敵のように、睨んでいる。 怒った顔も可愛いんだなあ、なんて考えてる暇があれば謝罪の言葉の一つでも出せばいいものを。 何が悪かったのか皆目見当もつかない俺はどう謝っていいかも分からない。 言葉が出ない。 ぐぅの音も出ない。 希望も何も出てきやしない。 ああ、こりゃもう駄目だ、嫌われたな…………短い春だったな………… 「だって…………だって…………神姫だって、女の子なのよ!!」 「……………………は?」 「神姫はずっと持ち主の側にいるのよ! 弧域くんがもし神姫買ったら、弧域くんはずーっとその神姫と一緒なのよ! わ、私がいない時も!!」 「……………………」 「そんなの! ……そんなこと………………嫌なの」 「……………………」 「ごめんね。 幻滅したよね。 私、すごく嫉妬深いんだ」 「……………………」 「嫌いに、なったよね」 「ンナワケねぇだろおおぉぉぉおおがあぁぁぁああぁぁああああ!!!!」 椅子の上で丸くなっていた姫乃を抱え、ベッドに放り投げた。 「きゃっ!?」 ああもう、悲鳴も可愛い! あっけにとられた顔も可愛い!! こんなに可愛いのに? こんなに愛くるしいのに? 頼まれても嫌いになれるものか!! 「ちょ、ちょっと、弧域くん? 落ち着こう、ね?」 「安心しろ。 俺の頭は今、一面のコバルトブルーだ」 「晴れてる! 頭が晴れてる!」 目を丸くした姫乃に覆い被さるように手をついた。 アルミ製のベッドがギシギシと今にも崩壊しそうな音を立てた。 このベッドもついにシングルからダブルに昇格する時が来たか(?)。 自分の呼吸がどんどん荒くなっていくのが、他人事のように感じる。 体が、心臓の鼓動が、自分のものでないような感覚。 だがそれでも俺は、自分を見失うわけにはいかない。 俺は今、姫乃の目やら唇やら何やらを凝視するのに忙しいのだ! 「あ、あの、私まだ心の準備といいますか、心臓がドキドキして苦しいんですけど……」 「安心しろ、俺もだ。 だがそんなもの、勢いだろう?」 「い、勢い? そ、それにね……その……」 「まだ何かあるのか。 そうだな、今の内に全部言っておくといい」 「まさかこうなるなんて思ってなかったから……」 「うん、そうだな」 「………………今日の下着、あんまり可愛くないの」 「さらば理性ィ!!」 カッターシャツのボタンを一つ一つ外すのも間怠っこしい!! 安心しろ姫乃、今直ぐ全ボタンを引きちぎって、その可愛くない下着とやらを拝んで―――― 「獣め、そんなに規制されたいか。 レールアクション『血風懺悔』」 ずっ。 そんな音が眉間の辺りから聞こえたかと思うと、勢い良く赤いものが飛び出してきた。 「うおおおおおおお!?」 なんだこれ、なにがあった、興奮しすぎて血管が切れたか!? とにかく止血しようと、ベッドに頭を押し付けた。 「きゃあああああああ!? 弧域くん大丈夫!? え~っと、え~っと、そうだ、頭より心臓を高くしないと!」 「『血風懺悔』――受けた者は血風を撒き散らしながら許しを乞うように頭を地になすりつける」 私の得意技だ。 と勝ち誇るような声が聞こえる。 腹立たしいくらいニヒルに笑っているのだろうが、今は視界一面が血で濡れたベッドカバーだ。 「ニーキ!! 弧域くんに恨みでもあるの!? 初対面でしょ!?」 「ヒメも案外野暮天なのかもな。 君達は君達が思っているよりもずっとお似合いの仲だ」 「おいコラ、マジで血が止まらねぇぞ!」 「どういうことよ」 「さっき自分で言っていただろう、 “神姫だって、女の子なのだよ”」 「こ、このやろう人様の眉間に穴空けといて無視かよ……上等じゃねぇか、この借りは神姫バトルで返してやる!!」 叫んだことで穴が広がり、ベッドのシミはさらに広がっていった。 このとき俺は、絶対に武装神姫を買ってニーキを同じ目に合わせてやることを、固く心に誓った―――― NEXT RONDO 『そうだ、神姫を買いに行こう ~2/4』 15cm程度の死闘トップへ