約 895,892 件
https://w.atwiki.jp/hirireorikyara/pages/152.html
男は立っていた。 名を、佐々木竜也という。 前回のバトルロワイアル……「DOLバトルロワイアル」において、裏方に回っていた、所謂主催と呼べるもの。 今ロワでは紆余曲折ありながらも、こうして参加者として役回ってきた。 そんな彼は、笑っていた。凄惨に、それはもう楽しそうに、愉快そうに。 さながら今の地球は彼を中心に回ってるのではないのか、と思われるほど現状に満足した様子で、 「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」 叫ぶ。笑う。 あらん限りに。できる限りに。 危険人物が来るかもしれないという可能性すら危惧ではなくむしろ期待してそうな瞳で。 実に楽しそうに。実に愉快に。実に痛快に。 内から湧き出る、隠すにも隠せない純粋な悦楽を余すことなく享受して、 叫び続ける。 衝動を抑えることなく、本能のままに。 さて、ここで物語が進むまで、この男の紹介と行こう。 どうせそれまでは彼は笑っているだけなのだから。 というわけで、この男の名前は改めて佐々木竜也。 性別は男で、年齢は25であり、185cmと中々に長身で大抵の人間を見下すことが可能だろう。 経歴を辿るとそれはあまりに常人離れしたもので、 四歳の時に父母を殺したことを始めとして、そこからなし崩し的に始まった犯罪者生活。 今となっては、世界を股にかける有名な犯罪者。この世に知らぬ者をいないとまで言わしめる者。 生前のジャック・ザ・リッパーと肩を並べることも叶うのかもしれないほどの経歴だ。 ただ、彼の本質はそこではない。 ここで紹介すべきは――――触れるべきは、二重人格についてであろう。 ある時は、理性的な計画的犯罪者。 ある時は、猟奇的な嗜虐的極悪人。 二つに一つ。表裏一体。 主に、主催に回っていた時は……便宜的に人格Aと形容させてもらうが、その理性的な一面が表立っていた。 ――――主催に収まる人間では、本来的にはなかったのだ。 そして今も、人格A。 主に精神を抉る、人格。 なら、人格B――――つまりは主に肉体を抉る人格が顕現。 つまるところ、人を殺した時は訪れるのか、訪れないのか。 それを知るものは、やはりどこにもいなく、今ここで咆哮する彼とて知る由は無いだろう。 ウズウズした、悶々とさせた光悦の笑みを惜しげもなく周囲に晒し、 彼という人間の内側を深々と印象付ける。 「あぁ、そう言う人間なんだな」と思わせることなんて、いとも簡単に出来てしまう。 実際にそう言う人間だから救いようもないのだけれど。 さながら絶望というものを軽く踏みにじりそうな、その冷血な瞳には、何が宿っているのか。 それを理解出来るのは、それこそ本人しかいないだろう。 さて、物語を戻す。 今、たった今。一つの駒が動いたから。 物語という盤上に立った、一つの駒が、動いたから。 青髪の少年――――相川友が、動き出したから。 「なんだってんだよ……っ」 この狭き箱庭の一角、野原には二人の人間が立っていた。 一人は、片目が髪の房によって見えなくなってる長身の青年、佐々木竜也。 一人は、中学生相応の体格を有する不幸なる青髪の少年、相川友。 一方は、面白そうな、目尻の上がった明るい瞳で。 一方は、憤慨さえ起こる、鋭くなった睨みつける瞳で。 片や、奇襲を受け、なんとか受け止めきったダーツの矢を一本。 片や、一本失い、ダーツの矢を五本身に携え。 対面する。 青髪の少年は、攻撃の手も、思わず止めてしまう。 『殺し合いに乗ったものを殺す』と心に決めたはずなのに。 明らかに「敵」だとは脳内では理解している。だって前、こうして対面した時は、れっきとした「敵同士」だったのだから。 参加者と――――主催。 ここの間には、乗り越えきれない、分厚く、高く、堅牢な壁が立ち憚っているのだから。 「なんで、おまえが……! 生きてんだ!」 けれどそれでも、彼は攻撃できない。 代わりに、青髪の少年は言葉を漏らす。 吐き捨てるかのように。乱暴なそれを、投げかける。 震える声は、今の彼の心情を表すのにはうってつけだった。 対し長身の青年は冷静だった。 淡々とした、あるいは耽々とした口調で、肩をすくめながら適当に返す。 「さあ?」 その一挙一動が。 その言動、言葉の端々から、青髪の少年は怒りを募らせていく。 あったのは、綺麗なほど真っ赤に染まる純粋な苛立ち。 殺したと思ったら生きている。 名簿にいないと思ったら存在している。 明らかに人を小馬鹿にした態度で接してくる。 ラスボスだと思っていた奴が――――ここにいる。 そんな話あってたまるか。 ラスボスが序盤の草原で登場するなんて、この物語のシナリオライターもさることながら、監督も中々のクズっぷりを発揮している模様だ。 青髪の少年はその理解に遠い今のこの現状に、困惑を隠し切れず、結果として、負の感情を抑えきれなくなる。 「『さあ?』っておまえ……っ! 俺達がどんな思いをしたか知ってんのかよ!」 声を荒げて、責め立てる。 さっさと殺せばいいものを。とっとと終わらせればいいものを。 単純な疑心と、苛立ち。そして何より男の態度が――――青髪の少年の意識を今はそっちに向かわずじまいにさせる。 一人称が変わってるあたり、その感情の高まりも、すでに目一杯であろう。 しかし、それでも。 青髪の少年の気持ちなんて知ったこっちゃないのか、長身の青年の答えは呆気らかんのままで。 「知るか」 短く、それでいて事実を的確にとらえた物言いをする。 先の通り、参加者と主催者では明確な差異がある故に。 現に参加させられたところで破綻しきった彼の人格では、青髪の少年ほどは、心揺さぶられない。 心の―――芯の太さが、違うのだ。 「普通」であるところの青髪の少年と。 「異常」――――いや、彼らの世界観からしたら、「過負荷」でもいいのかもしれない。どちらにせよ長身の青年との間には、くっきりとした境界線が張られており。 長身の青年は動じない。むしろ、この上なくこの状況を楽しんでいる。 笑みを浮かべる表情に青髪の少年は、気味悪がる。気持ちが悪い、と素直に感じ取り、敵対意識は増していく一方だった。 だからこそ、言葉を吐き続ける。 「知るかってなんだよ! おまえらの所為でみんな死んだんだよ! 青木も! 先生も! おまえらの所為で全て変わったんだよ!」 怒号を浴びせる。 思ったことをありのままに。 心に決めた決意を一度だけ脱ぎ捨てて、素直な感情を露わにさせる。 だが。……という語り口も飽き飽きするほど、一貫して。 長身の青年の口調は、冷たく。されど、青髪の少年に対する興味が沸々と湧きだっているような素振りを見せる。 その怒号すらも、冷たくあしらう。 「だからなんだ。正義のつもりか」 「……違うよ、俺は正義なんかじゃない。……けど、あんたが悪だってことぐらい知ってるよ」 「ああ、そうだな。俺は悪だ。そしておまえも、悪だよ。『正義感の強“かった”』相川友くん」 「……なにを」 「人を殺している時点で、おまえも既に殺人犯だ。程度はあれど、俺と同種だよ。わかってんのか」 「――わかってるよ、わかったうえで俺は決めたんだ。殺人犯を殺すって。 いくら悪だと蔑まれようが、いくら間違いだと指摘されようが、俺はそうでいいんだよ」 青髪の少年は、語る。 自分の立ち位置を。これからの行動指針を。 覚悟に満ちたその返答は、彼の身形を知ってると不思議と説得力を帯びてくる。 ただそれでも、説得力があったからといって、彼にとっては何という話ではない。 「はん、大層なこったなあ」 嘆息まじりに、疲れた表情を浮かべ、ただ論ずる。 「けど、対しおまえは役立たずだよな。その手に握っているダーツで人を殺すことがどんだけ難しいか分かるのか。 大体、以前こうやって対面したときだっておまえの役目は、撃たれただけだ。俺にな。結果的に足を引っ張ってるおまえに何が出来る」 現に。 あの時青髪の少年はなにもやっていない。開幕早々電磁砲に撃たれた。 次いで、『幻想殺し』の動きを止めて、最終的には『射撃が得意なダメ少年』の力で打倒したのだから。 実際彼が出来たことは何一つとしてない。けれど彼はこう返す。 「……否定はしないよ。俺が足手まといだってことぐらい、理解してるよ。 だからこそ――――俺は強くなるんだ。覚悟だって決めたんだ。おまえの言葉なんて聞くかよ」 「弱くなってんな、おまえも。まあそれは自己責任であって、俺は知らねえがな」 「……確かに俺がこうして堕落したのは俺の責任だよ。――――けど」 「けど、俺たちがあんなことしなければ、ってか。笑わせるな。俺はちゃんと普段から人殺しに慣れているような奴は呼んだ覚えはねえよ。 おまえらが勝手に暴走して、狂乱して、殺し合っただけだろう。俺たちに責任があるとすれば、最初に殺したあの着物服のあの男だけだ。 まあ、言っちまえばあれを殺したのだって俺じゃあないんだがなあ。……それにおまえらの価値観はおまえらのものだろう。俺に責任転嫁を勝手にすんなよ。偽悪者が」 「……とことん悪のおまえに言われたくないな。僕は、自己中心的ダークヒーローだってごとぐらい」 「敵意もって人殺しをしている時点で。それはダークヒーローですらなれない。それはただの人殺しだ。 悪人を救えない時点で、それは俺たちとミリ単位で違わず俺たちと同じだ。たとえば俺がおまえのスタンスを取ってたら真っ先におまえを殺すぜ」 「……なんで、悪人を救わなきゃならないんだよ。悪に染まった奴は、それは十分な害悪だ」 「やっぱおまえは十分欠落しちまったね」 クックック、と嘲笑を浮かべ、嘲る。 有名犯罪者は、普通の少年を、嗤う。 「なら、今の害悪は、俺よりおまえだ。明確な敵意を抱いているおまえの方が、十分に害悪だよ。死んだ方がいい」 「……前科がある奴が言うなよ」 「前科はおまえにもあるだろう。それも三人もな」 「……」 返せない。確かに既に彼はその身を血に染めたから。 返せるわけがなかった。事実だから。否定する気はないから。――長身の青年は続ける。 「それも一人は友人の妹なんだってな。ありゃなんだ? 救ってやったつもりなのか? だとしたら畑違いも甚だしい。あれを救済だというんだったら、それこそおまえの相方の言葉を借りて『その幻想をぶち殺して』やんよ」 「……それは」 「それは正当防衛だから仕方がない。だとかほざくなよ。それを世の中では過剰防衛と言い、一応は罪に分類されるんだぜ? おまえは知ってんのかよ、殺人の重さを。三人も殺したおまえに乗せられた重しの重さを」 「知ってるよ、だからこそ」 「だからこそ」 オウム返しのように。青髪の少年が放つであろう言葉を先読みして。 長身の青年は、面白そうに、興味深そうに返す。 「ここで自分が重荷を背負って善人には生きていてほしい。――馬鹿らしい。プロからしたら何とも馬鹿らしい」 プロ、の定義がいまいちよくわからないが、それでもやはり、犯罪者でも程度というものがあるであろう。 なにも裁判は無罪か有罪かだけを決めるものではない以上、プロフェッショナルだとかアマチュアだとか、あるのかもしれない。 そして、それは、全然正義と反するものだとも、知っている。諦観しきった長身の青年――――佐々木竜也は知っている。 「人を救うライセンスって知ってるか? 教えてやる。人を信じ続けることだ。それをもたない無能のやる殺戮はただの犯罪者。 つまりは俺たちのことだ。理解もできずに、ダークヒーローを気取ってるというのなら、それはすぐに取り下げたほうがいい。うざったらしい」 この場には、奇遇なことに正義の味方を志そうとしている者が数名いる。 たとえば「勇気凛々」《四字熟語》。彼女はとある小学生と出会い、彼女を信じることにした。故に正義の味方として歩いていけるのだろう。 たとえば「佐原裕二」《サイキッカー》。彼はとある一連の殺害現場に出くわし、そして守るべき小学生を確かに信じた。故に彼もまた正義の味方なのだろう。 他にも、『人を救うため』に動く人物は多数いる。 その中で、人を信じていない、救済者など多くはないだろう。 青髪の少年――――相川友は、人を信じきれていない。 それこそ勇気凛々のように、人は皆本質的には善人である、という生き方をしていれば、違ったのかもしれない、が。 結果的に彼は、『悪人であれば殺す』という、人間というものへの信頼もなにもない、上っ面の正義で動く。 経験論と聞けば響きはいいのだろうが、しかし裏を返せば、その程度で折れてしまうような、そんな程度の『正義』ということなのかもしれない。 どのみち、彼の言うライセンスには、相川友は合格できない――――不合格である、と。 「別におまえは、主人公でも何でもないんだ。脇役だよ脇役。多くの観衆に擁護されることもない、ネタキャラと行っても過言じゃない」 「…………おまえは」 「おまえは何が言いたいんだ。ねえ。つまんねえこと聞くなよ。この前代未聞空前絶後超特大最大級未曾有で稀代の破天荒犯罪者である俺様にそんな事を聞くのは野暮ってもんだぜ。 俺は知ってるよ。おまえのその腐りきった瞳を。淀みまくった意思を。――――同志の眼だ。だからこそ俺はおまえを『正している』」 「正す……? なに」 「なにいってんだ。僕は考えを変える気はないし、おまえに正してもらうようなことはない、か」 「……」 いい加減この割り込みもうんざりしてきた相川友。 真意の見えない遠回しな言いぶりに、苛立ちと憤怒ばかりが募っていく。 本来の目的も忘れ、眼光を光らせるにとどまる。――――きっとこれが、人格Bであればまた別だったのかもしれないけれど。 「いいや、おまえはとんでもなく間違ってるよ。大体それはおまえのやりたいことではないだろう。 役目であって役割じゃないだろう。そんなことおまえ以外にも適任がいる。さきあたっていうなら、青木林がいるだろう。 今のおまえなんかよりも、よっぽど役に立つ。おまえの覚悟は、本心を上回らない。――――現に俺に追撃を仕掛けない辺りが、殺す覚悟を得てないんだよ」 直後。 軽く舌打ちをしたのちに、相川友は手に握ったダーツの矢をそのまま喉元目掛けて投げかけた。 ――――が、まるでその動作を予想していたかのようにその矢の腹の部分を人差し指と中指で、さながら煙草を吸うかのように掴みとる。 そして呆れた口調で物申す。 「……!」 「ほら見ろ、おまえはまだまだ未熟なんだよ。直ぐ煽った程度でムキになる。そんな見え見えの攻撃程度俺だって直ぐに避けれるよ。 覚悟? 決意? んなこと知るか。おまえが何であろうとしたところで人ってもんは変わらねえんだよ。 ところで俺は何気におまえに期待してんだよ。しょっぱなから人を殺せるほどの内に秘めた、『害悪根性』を」 「僕は、違う! 何で僕が責められる立場なんだよ! おかしいだろっ! 反省の色も見せないおまえらなんかにとやかく言われる気はない!」 指を突き立て、相川友は佐々木竜也を非難する。 自分というものを正当化しようと……いや、自分の行動に矛盾があること自体はわかっていた。 けれど、それをよりにもよってこの卑劣なる最悪の男に責め立てるのが耐えきれなくて、非難する。 ……まあ、やはりというかなんというか。佐々木竜也にその言葉は通らない。平坦に答える。 「面倒だが一つずつ答えて応えていくか。 僕は違う――――本気で言ってるのか? 人の命は千差万別と言えど、価値は平等だ。屑でも天才でも殺せば同じ罪だ。 その中でおまえは三人も殺した。この事実をどう覆す気でいる。ちなみに教えてやろう。キルスコアはおまえはあの時同率二位だったぜ。 一位じゃなくってよかったと安心しているのなら、おまえは十分に既に終わってんよ。よかったじゃねえか。 何で俺に責められるのか。言っただろう。おまえはその今の立場を理解していない。その罪深き身体でなにをしたところで、それは何の足しにもならない。 殺人者には変わりない。教えてやってるんじゃないか。現実を。それにおまえの意思はどちらにしても薄弱すぎるから正してやってるんだろう。 贖罪何てやったところで意味なんてなさない。それは無為なる行為だぜ。無駄ともいえるな。 おかしいだろ、おかしくないな。 反省の色を見せない俺ら。当たり前だろう。反省してたら恐ろしくてそんな有名になるまで犯罪を繰り返してたりするか。 おまえは一々親に怒られたことを反省をするほど律義なのか? 違うだろう。つかその年ならうぜえの一言で終わらせたって違和感なんて欠片もない。 自分のやったことに誇り、プライドも、れっきとした自意識ももてない奴は、それはやはり殺害を犯すに値しない。 そんなのむしろ俺が殺してやるよ。そんな誇りなき犯罪者だなんて。同族として受け入れられねえ」 長々と。 大変長い演説にも似た科白を終える。 そこに意味があるのだとすれば、やはり人をおちょくって面白がっているという具合だろう。 もしくは――――。 「違うだろ! 人が前を見て何が悪い! 善人の為に生きて何が悪いんだ!」 「悪くはない。ただおまえにその資格がないだけだ」 「僕は人を信じている! だけどそれだけじゃ救われないぐらい僕は知ってるんだ! おまえらに叩きこまれたよ! おまえらだけには何も言われたくない。おまえら如きに僕たちは理解できないよ。おまえらとは僕は違うんだ」 「嘘こけ。おまえはさっき俺に躊躇いもなくダーツを向けただろうが。前科がある。そうだな。 ――――でも、こんな俺でも改心していた可能性だってあっただろう? おまえがいうおまえみたいにな。 おまえが前を向いたように。俺が前を向いたという可能性をおまえはバッサリ切り捨てた。どこに信頼があった。ふざけんな。 おまえは俺たちと同類なんだよ。何度も言わすな。そこまで無能じゃないだろう。そして、おまえを理解出来るのも、また俺たちだ」 手に入れた二本のダーツの矢の内一本は胸ポケットに仕舞いこんで、一本はペン回しの要領でくるくると回す。 対面する相手とは対照的に、余裕の笑みは未だ消えず。彼の瞳は嗤い続ける。 蛇足。 余談でこそであれど明かしておこう。 これが彼の言う、拷問。人格Aの齎す拷問。 正論のようで正論でない正論。肉体的拷問は、人格Bの専売特許。 故に人格Aはこちらを目一杯に愉しむ。悦びの波紋を立てに立てて立てまくる。 「……なに……いってんだ、おまえは」 「実際そうだろう。俺とおまえが同じ穴の狢である以上は、理解できる余地はある。 いや、同じ穴にすらいない他人では、おまえの背負う十字架の重さなど理解に遠いだろう。むしろおまえは拒絶されるに決まっている。 世の中とはそういうものだ。頑張ったところで無下にされることなんて多々ある。落ち込まなくたっていい」 「おまえに慰めてもらう必要なんて」 「あるな」 やはりそれはきっぱりと。 相手が言いきる前に、きっぱりと可能性を断つ。 伴い相川友の言葉はつまる。 「だいたい、俺には何故おまえが、自分の行動に矛盾を感じながらもそれに従っているのか、理解できねえ」 「そんなの、殺し合いを終わらせるために決」 相川友には、何度も言うようにわかっている。 念を押されなくとも、それが自らの道はどうしようもなく破綻していて、 そもそも前提が成り立っていない狂ったロジックの上にとんだ欠陥品として成り立っているだけの話だということは理解している。 故に何を言われたところで、彼にとってはすでにどうでもいい話なのだ。しかし、それを身で感じた佐々木竜也は、なお加速し止まらない。 「決まってないな。そんな取って付けたような理由では俺は納得できん。そもそもおまえは二度目だろ。 よく言うじゃねえか。二度あることは三度ある。――――仮におまえが生き残ったところで、優勝したところで、まち構えているのは、またこれかもしれねえぜ?」 「どちらにしたって……生き残んなきゃ」 「生き残る必要だってないかもしれねえぜ。だってよ、見てみろよ、名簿を。 青木林、青木百合。この二人は死んだはずだ。俺が名前を読み上げた以上死んでるはずだし、間違いねえよ。 それに一人に限って言うなら、おまえの目の前で死んだはずだろう? なのになんでまた名前がある? ……そう、生き返ってるからだ、俺みたいにな」 「そ、それは……」 「実際に俺がこうして生きている以上。生き返ってる以上、死者の復活など相手にとっては容易いことなんだろう。 ……仮に今おまえが死んだところで、待っているのはまたこれかもしれねえぞ。仮におまえが悪人を殺したところで、また復活するかもしれない。 殺し合いは――――終わらねえぜ。何時までも、何処までも。彼方にまで続く最果てまで。延々となぁ」 一見、いや、聞く対象の大半は、これを地獄だと感じるだろう――――相川友もまたその一人。 けれどそれでも、それを実感してなお、そりゃあもう極楽浄土にでもいるのではないかと思わせるほどに綻ぶ佐々木竜也。 ……気味が悪いを通り越して、それはすんなりと相川友の心に受け入れられた。もう常人ではないと、理解しきったために。 でも、話を受け入れるのとは、また話が違うというものだ。 「だからって! 現実逃避するとは!」 「現実逃避してんのはどっちだ。俺はすでにこの現実を受け入れてなお、修羅の道を歩くぜ。――――犯罪者らしくなあ。 理由なんてない。強いて言うなら快楽のため、私欲のため、今を生きるために。 けれどおまえのその理論には支柱が立っていない。なにが得たくて行動している。なにをしたくて戦っている」 佐々木竜也は問う。興味深そうに。 しかし相川友の返事を待たず、簡単に切り捨てる。 「ないだろ、んなもん。おまえは所詮逃げてるだけのガキだよ。だいたいダーツの矢でできることは確かに多いのかもしれないが、 それは決して殺人用の話ではないだろう。なら、危険人物に見えたであろうその瞳に俺を捕らえたならばとっとと逃げるべきだったんだよ。 またあとで再戦すりゃよかったじゃねえか。何で今来た? 何故今俺を襲った? その軟弱な武器で。仮に俺の瞳を潰したところでなんになった? むしろ俺が逆上して、なりふり構わず無差別に人を殺しまくってかもしれないぞ? 言っとくが俺は強いぞ? 少なくとも高々中学生のおまえよりは。 返り討ちにあって死んでいたのはおまえだったのかもなあ? おまえはそれを望んだか? 願ったのか?」 「……っ」 相川友は顔を歪ませる。 そうだったのかもしれない。――――この男なら、やりかねない。 自分自身がとっと行動は、考えなし過ぎたのかもしれない。と。 「だとしたらおまえはとんだ優秀な殺人鬼だ。俺以上のなあ。結局おまえは、自分を分からずに、逃げてるだけだ。現実から逃げようとしているだけだ。 おまえが心の中で、それを認めず、許さなかろうが、傍からみたら、それはもうみすぼらしいぐらい子供の駄々だ。 さっき言ったように、死人が生きているという状況は、名簿を見れば可能性としてぐらいなら上がったはずだ。 青木兄妹がこぞって同姓同名の別人という可能性の方がよっぽど低い。すでにおまえらはそれこそ俺らのよって常識をぶち殺されてやがるんだから、何ら不思議ではないよなあ」 「そ、それは……名簿に偽装があって、僕たちの混乱を誘うだけなのかもしれないだろう」 「名簿に偽装が入ってた可能性ぃ? はっ、アホか。それをやってどうするんだよ。向こうがなにを得る。おなじ死んだ青木兄妹の名前とかも伏せるならまだしも、 俺だけを隠す必要性が何処にある。もしくはその逆も然り。――ホワイ? ワット? わかんねえだろ。わかんねえのに要らん可能性に口出しすんな、本当にアホだったのか?」 「……」 敢えて、目を逸らしていたことだった。 考えない様に、留めておいたことだった。考えたくもなかったから。 ……もしかするとまた、あの青木百合を殺さないといけない現実に立たなきゃいけないと思うと、目を逸らしたくなったから。 相川友は――――普通の少年なのだ。ある点を除いては。 佐々木竜也と比べるまでもなく、だ。 「おまえは何を理由にしてる? 盾にしている? そんな歪み切った欠陥理論で正当化できてるとでも、擁護されるとでも思ったか? 人を殺す時点で人は人を擁護できない。そんなの小学生でも知っている。だからこそ日本にもアメリカにも法律なんつーもんがある。 法律をたとえ、法外領域で犯したところで、犯罪行為には変わりはない。罰がないだけで、罪はある。道徳なんてとうの昔にネジ伏せてるだろ。 おまえは結局のところヒーローになりたいだけのヒーロー気取りなだけだ。浮かれてんじゃねえのか? 一回生還したから、どこか心の中で浮かれてんじゃねえのか? おまえにはあの頃のような必死さがねえ。どこか余裕かましてるんだよ。本心とは時に思考を上回る。野獣みたいにな。 なにを得たいわけでも、なにをしたいわけでもない、ヒーロー気取り。もしかしたら名声でも、喝采でも欲しかったか? 讃えられたかったか? 『僕は二回もバトルロワイアルに参加させられてとても辛かったです』というのを売り文句にして苦労噺、不幸自慢をしたくて本に出すつもりだったか? そりゃ失敬したな。確かにおまえの得たいものや、したいことはそこにあったな。いやはや、これはこれは失礼なことをした。 確かに現実逃避はしてないなあ、クックック、アーハッハッハ! フフッ、いやはや、実にすまなかった。俺が悪かった」 大して謝罪の念の込められない形だけの謝罪。 否、これを謝罪というのもそもそもおかしいであろう。こんな皮肉めいた謝りがあってたまるか。 ……一方の、相川友はというと。 すでに疲弊は限度を達し、聞き流すのすら重労働。 殺意が殺がれる。殺がれ殺がれ殺がれ朽ちていく。折れていく。 これがてんで見当違いの的外れなものばっかりなら、全然違った。 けれど、妙に自分の心に突き刺さり、それでいて破壊しない。麻酔のような言葉の針ばかりを突き立てて。 それら全てを、覚悟して、受け入れたはずの心を、犯していく。穢していく。 言葉もさることながら。 この最悪の男に、その矛盾を指摘されるのが、どうしようもなく悔しくて。 全ての根源であるこの男にそれをいわれるのが、いやだったから。 ただそれだけの、幼稚でいて、明確な、一つの思いが、彼を揺さぶる。 ただでさせ脆弱であった欠陥理論が揺れる。 彼の意志でのみで固められた欠陥理論は、彼の意志なくしては成立しない。正しく言うなら、立たない。 「さて、ところで今まで俺は何の取り留めもない、順序だとか段取りだとか、そんなもののへったくれもない話し方ばっかりしてきたわけだが。 どうだ? 正しいか? おまえのやってることははたして、おまえの望むものなのか? 俺はちげえと思うがな」 「僕は間違ってるよ。わかってる。だからって正しくある必要は」 「矛盾してる。ならば俺とおまえがこうして対面している理由は何だ。正しくなくていいってんなら。おまえは俺にかまわずどっかにいけよ」 「正しくなくとも、間違ってても、生きている価値がある奴とない奴はわかるよ」 「わからないよ。おまえは神か? 天秤の螺子は、皿は俺と同じなのか? 違うだろう。 たとえば……さっきからイフの話ばっかだが、まあおまえに恋人がいたとする。よっぽどの事情がない限り、それは命に代えても守りたい存在のはずだ。 だがしかし、俺にとってはどうでもいい。余裕で殺戮対象になるな。俺の天秤はこうだ。不平等だ。じゃあおまえは違うのか? おまえの天秤は、精確に正確で正格を極めているのか? ならば俺には何も言うことはねえんだけどよ。うん、まあ、無理だよな」 「……」 「己の価値観だけで、他人の命をどうにかしていいと思ってるなら、それは十分な、害悪だ」 「……それは」 「それは?」 恒例とは異なり、敢えてここでは疑問で返す。 追い詰めるのに特化した、愉悦の為の会話術。 本領は、人を変えることに在らず。 真髄は、己を愉しむことに尽きる。 「……っ」 相川友の言葉は、続かなかった。 「さて、俺はおまえに今まで、散々言ってきたわけだけれども」 頭を掻きながら、欠伸をしながら、気だるそうに佐々木竜也は言う。 相川友は再びダーツの矢でも出そうとしたが、どうもああ見えて、案外前回の教訓を活かして警戒自体を怠ったりする節が見受けられない。 前回の死亡の間接的要因が、自身の慢心による隙となれば、改善しないわけにはいかないだろう。 相川友は、動かない。 「……」 「おまえはまだそんな曖昧模糊に偽悪を混ぜたくだらねえ理想論を掲げるのか?」 「僕はおまえらとは」 「違わねえ。おまえの掲げてるそれは一見して現実論でありそうだが、違う。 さっきも言ったように、おまえがたとえ善人以外を皆殺しにしたところで、また殺し合いだったらどうすんだ? おまえが仮に悪人を殺したところで、次の殺し合いで生き返ってたらどうすんだ? なあ、どうすんだ? どう責任取る」 「そんな可能性の話なんて、僕は聞いちゃいない。今を生きなきゃ――――始まらないだろ!」 「だからその生きた先になにもないは愚か、より深き漆黒の闇が待ってるかもしれねえ事態をどうにかしない限り、おまえのやってることはどちらにせよ生殺しに過ぎない」 「なんっ」 「死んだ痛みを知って、辛いだろうなあ。生き残ったのにまた殺し合いをさせられちゃあ、辛いだろうなあ。 おまえにはそいつらの負の感情を背負いきることができるのか? ――できねえよ。故にそれは生殺し」 「……」 「異論は?」 「……ないよ。でも、それでも」 「僅かな正義感が疼く、とでもいうのか、格好いいねえ。でもおまえがそれで得るのは自己満足に過ぎない」 「自己満足でも構わないよ。僕は僕の決めた道を歩む」 「その道がねえから懇切丁寧に教えてやってんのになあ」 「僕の道だ。茨道でもかまわないさ。指図は受けない。……さっきからおまえは何が言いたいんだよ」 「いや、ただ愉しみたかっただけだよ。……一つ言っていいか?」 「……なんだよ」 相川友の瞳の色は、怒気に染まる。 青い瞳には、真っ赤な感情が、染まる。滲む。 ――――佐々木竜也の顔色は変わらない。 平然とした、へらへらとした表情で、彼は少年に問いた。 今までの怒涛の勢いを引き継いだまま、彼は最後に、問う。 「おまえは、それを本当にするべきことだと思ってるのか?」 結局青年が何を言いたかったのか。 少年、相川友には分からない。だってなにせ、青年、佐々木竜也自体、何を伝えたかったというわけではないのだから。 だって、愉しみたかっただけなのだから。 怨敵とも呼べるであろう間柄といっても過言ではない間柄に立った少年の、苦しむ顔が。歪んだ顔を見るのが、この上なく極上の料理だったのだから。 美味しくいただけないわけがない。 不味いわけがないであろう。 別品。至極の一品。 実に面白い。佐々木竜也は、素直に感謝する。 「俺のような奴が、あそこで終わるわけがないだろう」 一見すれば、それは慢心。 ただ、本来の彼であれば、それほどの実力は持っている。 自称、前代未聞空前絶後超特大最大級未曾有で稀代の破天荒犯罪者。佐々木竜也。 ……ただの慢心で留めるには、実力は、実績はあり過ぎた。 彼の手には、拳銃が――――拳銃型の何か。 「電磁砲」なる、一丁の拳銃型の物体。 元々彼が所有していた、それと同一だ。 多少いじられ、六時間に三弾までとかなり使い勝手こそ悪くなってるが、それでも強力な部類の支給品。 放送の度に自動で充電……フルリロードされるとなれば、使い道を見極めれば、極悪な支給品なのかもしれない。 ただ、これだけでは人を殺せない。これは高圧の電流が、身体に巡るだけの、実に彼好みの一品であるだけだ。 しかし彼には、まだダーツの矢がある。ダーツの矢で、痺れる相手の瞳を奪った暁には、人格Bの彼なら狂喜乱舞の宴であろう。 次に参加者に遭った時は、彼は殺人に走ってもおかしくない。 今はまだ、殺傷能力で言えば低い彼の支給品とは言えれども、元々そのはずだったから。 相川友との、愉快痛快な談話をしたのは、その余興に過ぎず。 「クックック……」 笑い声は、野原に響く。 気味悪く、後味悪く、なかったところで何も問題のない邂逅を果たして、彼は笑う。 愉快そうに。 愉悦そうに。 その顔を愉色に染めて。 飽きるほどに描写した。それぐらいに、いつまでも面白そうに。 殺し合いが何だと言わんばかりに、面白そうに。 何の意味のなかった邂逅を果たして、彼はやはり、楽しそうに笑う。 【G-2/野原/一日目/朝】 【佐々木竜也@DOLバトルロワイアル】 [状態]:人格A、健康、歓喜 [服装]:特筆描写なし [装備]:電磁砲(3/3)@DOLバトルロワイアル、ダーツの矢×2 [道具]:基本支給品一式 、不明支給品0~2 [思考] 基本:殺し合いに乗る。場合によっては拷問する 1:とりあえず人を殺す。人格が変わった時はその時はその時 2:あてもないのでぶらぶらするか 3:相川友はどうなったかねえ [備考] ※DOLバトルロワイアル死亡後からの参戦です 膝をついて。 手をついて。 頭をさげて。 相川友の現在の状況はと言ったら、酷いものだった。 身体的な問題ではなく、精神的な問題でだ。 今回の邂逅では、さっきの邂逅とはあまりに正反対。活躍の場なんて全くなく、適当に終わる。 追い責められ追い責められ、追い責められる。 何と言っても返ってくる言葉は、否定の言葉で、それが的を外しているかと言ったら、そうではない。 中途半端に、真実を射抜く。 地に茂る雑草を毟る。 力を込めて。佐々木竜也にぶつけれなかった、怒りを込めて。 わかっていたはずだった。そんな反論は。 わかっていたはずだった。そんな異論は。 なのに受け切れなかった。 覚悟の裏にあった、現実を見つめない、幻惑の瞳がみつけた理論。 覚悟と匹敵するだけの、行動への踏み切りが足りなかったのだろうか。 あの男にそれを指摘されるやりきれなさは、確固たるもので。 全ての元凶であるあいつに、当たり前のように否定された。 全ての元凶は全ての不幸を他人の不幸にだけに押し付けた。 許せるか許せないかと言ったら、許せない。文句なく心内裁判、満場一致で許せない。 なのに、言い返すことすらままならなかった。 何でだろう。 ――――自分が間違っているからだ。答えは探せば簡単だった。 明快すぎるその答えは、同時に自覚あってこそのものでもある。 空虚な現実。 彼の奔走していたものは、空虚な現実。 からっきしでいてぶっちぎりな虚空を据えた謎感覚。 誰から野次を飛ばされようが。 誰から罵倒を浴びさせられようが。 なにがなんでも、貫き通すはずだった。 「……。 ほんと、馬鹿みたいだよな」 先ほど吐いた言葉と、同じ言葉。 されど今回放たれた言葉には、失笑すらも付いてこない。欠陥理論すら、纏わりつかない。 瞳の奥は笑ってないし、怒気も含まれていない。ある――――いや、虚無に澄んだ、真っ青な瞳しかそこにはなかった。 この世界はなにかがおかしい。 その諦観を帯びた成長期の最中にあるその小柄な体は、そう訴える。 訴えたところで、まともにそれを取り扱ってくれる人こそいないけれど。 少年は孤独だ。 何時だって少年は孤独だ。 母子家庭で育てられた時点で、すでに周囲の人間とは一つ頭を突き出している。 次いで挙げるならこの青髪。特徴的なこの青髪。他の世界ならいざ知らず、彼の世界では確実に浮く存在。 物心ついた時に、彼はこの孤独感に浸りながら生きてきた。 今のこの感覚は、それに似ている。 誰も自分を理解してくれないのではないかという不安や焦燥。 いやに肌に纏わりつく、べっとりとした感じ悪い空気。 自分のこの腐りきった考えを、別に理解して欲しいわけではなかった。 けれど、突放されたくなかったのも、また事実である。 一人ぼっちは嫌だから。一人きりは嫌だから。自分が何のために戦っているか分からなくなるから。 けれど青年――――佐々木竜也は突き落とした。 奈落の外に。『外していない』理論を引っ張り、突き落とした。 あったのは、真っ暗な世界だった。 怖いぐらいに。真っ暗で。何も見えず何もない。まるで地獄のような、鬱屈。 「僕は――――」 青年は言った。 『おまえは、それを本当にするべきことだと思ってるのか?』 対し少年は心の中でこそ思えど、結果として答えることはなかった。 結論から言おう。 少年が思ったことは、やはり至極明快なもの。 ――――そんなわけが、ないだろう。 人殺しなんて、したいわけがない。 自明の理であり、人殺しは何であろうともやってはいけないことぐらいわかってる。 それでも、それでもだ。彼にはやるべき理由があったのだ。 ――――善人を守りきるという、大きな使命にも似た理由が。 だが、否定された。簡単に。いとも簡単に。赤子の手を捻るように。 『この先に在るのかもしれない、殺し合いの可能性』。 否定したかった。――――できなかった。 生還している少年、相川友の再戦。 死亡している青年、佐々木竜也の再戦。 その他もろもろ、死人含めた知人の再戦という可能性。 これらのピースを組み合せてできたパズルの完成図はたしかにそれに塗られていてもおかしくない。 むしろその可能性の方が高い、と見てもいいのかもしれない。結局この先に待っているのは、人を殺し続けなければいけないという使命。 信じたくはないが、疑えない。 中立とも言いづらい、もどかしい視点。 思い返せば、青年は立ち去る前に言っていた。 『もしかしたら、優勝して、もうこんな出来事に巻き込まないでください。とでも頼んだら、利いてくれるかもしねえぜ?』 あぁ。 確かにその通りだろう。 不思議であるがすんなりと、少年の胸に収まった。 疲弊しきったその身体とその精神には、さながら温泉に浸かったのように、沁み渡った。 もう殺し合いがウンザリだから、殺し合いに乗る。人殺しが嫌だから、人を殺す。 矛盾理論。先ほどと大差ないぐらいに、混沌な理論。……されど、要領は射てる、不思議な理論。 相川友を頷かせるのは、十分な、疲弊の極みに達した、究極理論。 気持ちいい、とすら、感じた。 もう何もかも投げ出して、放り捨てて、どうにかしたかった。 どうにもできない理論は、どうしようもなく再建不能なまでにズタズタのボロボロに叩き伏せられ。 新たな理論は心地がいい。思いの外に、しっくりくる。 ――――ああ、もしかしたら。これはそういうことだったのかもしれない。 青年が言った、『害悪根性』。 確かにあったのかもしれない。この相川友の胸の内には。 染まる。沁みる。 染まる。沁みる。 染まる。沁みる。 まっくろに、そまりあがり、しみあがる。 ――――暗転―――― 「なるほど、これが僕か」 口元は、笑っていた。――――愉快そうに 【G-4/野原/一日目/朝】 【相川友@DOLバトルロワイアル】 [状態]健康 [服装]特筆事項なし [装備]ダーツの矢×4 [道具]基本支給品一式、インスタントカメラ、ジッポライター [思考・行動] 基本 優勝するため殺し合いに乗る 1 とりあえず人を見つける。 2 あいつ(佐々木竜也)とはしばらく会いたくない [備考] ※DOLバトルロワイアル生還後数ヶ月後からの参加です 【電磁砲@DOLロワ】 別世界の科学技術で作られた侵入者撃退用の銃。 グロック19のような外見をしている。 電磁砲は軽く、反動もない為正確な射撃ができる。 高圧電流が流れるようになっているが、抵抗が占める割合が高い為殺傷能力はない。 制限により六時間に三発までしか撃てない。 放送ごとに充電される形となっている。 時系列順で読む Back パラダイムパラダイス――――たったひとつの冴えたやりかた Next たとえ死があったとしても 投下順で読む Back パラダイムパラダイス――――たったひとつの冴えたやりかた Next たとえ死があったとしても 039 パラダイムパラダイス――――たったひとつの冴えたやりかた 相川友 044:少年少女、時々老人 039 パラダイムパラダイス――――たったひとつの冴えたやりかた 佐々木竜也 052 犯物語~しかみアリス~
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5253.html
注意 虐待はありません。 賢いゆっくりがいます。 赤ゆのしゃべり方を成体と同じにしています。 読みづらかったらゴメンナサイ。 山奥のゆっくりの村の村長ぱちゅりーの話 あら、にんげんさんがめずらしい。ゆっくりのむらにようこそ。 たいしたもてなしもできないけど、かんげいするわ。 …もしかして、むらのゆっくりが、にんげんさんのおやさいさんに、おいたをしたのかしら? だとしたら、あやまるわ。え? ちがう? へ~、とおくのにんげんさんのむらの、とかいというところからきたのね。 むらがさわがしい? そうなの。 じつは、むらのはずれにすむ、ありすがなにものかに、けさ、えいえんにゆっくりさせられたわ。 そして、ありすのおちびちゃんである、ありしゅもゆくえふめいなの。 ありすは、しんぐるまざーさんなの。つがいがいたのだけれど、 ふりょのじこで、えいえんにゆっくりしてしまったわ。 くわしいはなしがききたい? そうね、ありすのしたいのだいいちはっけんゆんの まりさにはなしをきくといいわ。 まりさは、むらいちばんのかりのめいゆん、おおまりさのこどもで、 さいきんようやく、ひとゆんでかりができるようになったわ。 むらのもののはなしによると、ちちおやのなをつぐ、かりのめいゆんになれそうだわ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ありすの遺体の第一発見ゆん、まりさの話 まりさはまりさだよ。ゆっくりしてってね。 うん、まりさがありすのいたいをみつけたよ。 はなしがききたい? わかったよ。じゃあ、きのうのはなしからするね。 まりさはいつもどおりかりをして、それをありすのもとにとどけたよ。 まりさのいえのぶんは、おとうさんのかりのぶんでじゅうぶんだからね。 ありすにとどけたあとは、ありすのおちびちゃんのありしゅとあそんでいたよ。 ありすはしんぐるまざーさんで、むらのかぐなどをつくっていたから、いつもいそがしいんだ。 だから、おかあさんのかわりに、まりさがあそんであげるんだ。 かえるじかんになったときに、ありしゅからはなしがあったよ。 「ありしゅのぱぱになってほしい。」 そうおねがいされたよ。 まりさはありすがすきだったから、もんだいはないよ。 まりさのおとうさんとおかあさんが、もっとわかいゆっくりとけっこんさせたがってたけど、 そんなのかんけいないよ。 だから、まりさはありすにいったよ。 「ありすとずっとゆっくりしたい。」って。 そしたら、ありすはかなしいかおをして、かおをよこにふったよ。 「まりさは、こんなおばさんじゃなくて、もっととかいはのゆっくりといっしょになるべきよ。」 っていったよ。 でも、まりさはねばったよ。 「まりさはありすといっしょになりたいんだよ。」って。 そしたら、「ちょっとかんがえさせてほしい。」っていったよ。 まりさはとりあえずそこで、おうちにかえったよ。 つぎのひのあさ、まりさはきのうのへんじをきくために、ありすのおうちにいったよ。 そしたら、ありすがぺっちゃんこになって、えいえんにゆっくりしていたよ… あと、ありしゅもどこかにいっちゃったよ。 いっしょうけんめいさがしたけど、みつからなかったんだ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 村の警備隊長である、みょんの話 みょん! みょんはけいびたいちょうさんだよ。ゆっくりしてってね。 みょんは、まいばん、よるのみはりをしているみょん。 れみりゃや、げすゆっくりのやしゅうにそなえているみょん。 ありすのいえへのみち? きのうのよる、ひろばをとおってありすのいえのほうへいったのは、 いたいをはっけんしたまりさと、しょくりょうをはいきゅうしているちぇんだけみょん。 ありすのすんでいるところは むらのおくにあるので、ひろばをとおらないといけないみょん。 あとは、けさ、まりさがけっそうをかえて、みょんのところにきて、 ありすのおうちにいったら、もうありすはえいえんにゆっくりしてたみょん。 むらのゆっくりがそうでで、ありしゅをさがしたけど、みつからなかったみょん。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 食料配給係の、ちぇんの話 ちぇんは、むらのそうこにあるたべものを、かりのできないしんぐるまざーさんにくばってるよ。 わかってねー。 きのうのよるは、たしかにありすのところに、しょくりょうをはいきゅうしにいったよ。 でも、ありすは、むらからのしょくりょうのはいきゅうをことわったんだよ。 ありすはかぐをつくっていて、そのおれいにたべものをほかのゆっくりからもらっているし、 まりさから、かりのいちぶをもらっているからなんだね。わかるよー。 「そのぶん、となりのおなじしんぐるまざーのれいむにあげてね。」っていわれたよ。 もうすぐふゆさんもちからいからね。ちょちくがひつようなんだねー。わかるよー。 ちぇんはそこでありすからそうだんをうけたよ。 ありすはまりさから、ぷろぽーずされたんだけど、まよっているってね。 ちぇんはりゆうをきいたよ。そしたら、 「まりさのりょうしんから、まりさにちかづかないようにいわれたし、 ありすも、まりさはわかいゆっくりといっしょになったほうがいいとおもう。」だってさ。 だからちぇんはこたえたよ。 「わからないよー。ぜんっぜんっわからないよー。いいとおもうってなんだよ? まりさのおやとか、わかいとかわかくないとか、そんなのぜんぜんだいじじゃないよ。 ありすじしんのきもちがたいせつだよー。わかってねー。」 そしたらありすはいったよ。 「そうね。ちょっとよるに、かんがえてみるわ。」って。 ちぇんはうまくいきそうなきがしたよー。 だから、ありすがえいえんにゆっくりしたってきいたとき、とてもかなしかったよー。 わかってねー。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 再び、村の警備隊長である、みょんの話 たしかに、ありすはきようだったみょん。 ありすは、どうぶつさんのけがわをかこうして、みょんにこーとさんをくれたみょん。 これをきると、とってもあたたかくて、よるのけいびもさむくないみょん。 ありすのとなりのれいむ? となりといってもすこしはなれているけど、ひろばをとおらなくても、 ありすのところへいけるみょん。 れいむはおうたがすきで、よくおうたをうたっているみょん。 でも、おうたじゃ、おなかはいっぱいにならないし、 せいかつがべんりになったりしないみょん。 だから、れいむのところには、ごはんさんはあんまりないみょん。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ありすの隣に住んでいる、子ゆっくりのれいみゅの話 れいみゅはね。いつもおなかがすいていたよ。 でもそれはしかたないって、おかあさんがいっていたよ。 おかあさんが、かりがへただからっていってたよ。 だから、がまんしていたよ。 でも、けさはごはんさんがいっぱいあったんだよ。 だから、ひさしぶりにおなかいっぱいたべたよ。 となりのありしゅとは、よくあそんでいたから、はやくみつかってほしいよ。 おかあさん? ひろばでおうたをうたっていると思うよ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ありすの隣に住んでいる、れいむの話 ゆ~、ゆ~、ゆっくり~ ん? にんげんさんだ。れいむはれいむだよ。ゆっくりしてってね。 ゆ? となりのありす? しらないよ? きのうのよる、ありすのところにはいったけど、しらないよ? ゆゆゆ? ちがうよ。ころすつもりはなかったんだよ。あっ… れいむには、ごはんさんがいつもなかったよ。だからおちびちゃんもおなかすいたーだったよ。 ありすは、きようだから、かぐさんをつくったりできたけど、 でも、れいむはおうたをうたうことしかできなかったよ。 だから、ありすがわかいまりさとなかがいいのも、しかたないことだとわかっていたよ。 きのう、ちぇんがはいきゅうさんをとどけてくれたよ。 それは、いつもよりおおかったよ。なぜかってちぇんにきいたら、 「これは、となりのありすがれいむにって。あとでおれいをいってねー。わかってねー。」 れいむは、そんなものいらなかったよ。 たしかに、れいむもおちびちゃんも、いつもおなかすいたーだったけど、 りあじゅうのありすのほどこしは、ほしくなかったよ。 れいむのなけなしのぷらいどさんだよ。 だから、ごはんさんをありすにかえしにいったんだよ。 でも、ありすはうけとらなかったよ。 「わたしたちのぶんは、だいじょうぶだから、これはおちびちゃんとたべてね。」 そして、 「いっしょに、ふゆさんをのりこえようね。」って。 そのときのありすのめは、れいむをあわれるめ、だったよ。 そのしゅんかん、あんこさんがまっしろになったよ。 なにがなんだか、よくおぼえていないよ。 きがついたら、ありすがぺったんこになっていたよ。 なにがおきたか、わけがわからなかったよ。 だから、れみりゃがきたんだとおもって、おうちにかえったよ。 やっぱり、れいむはありすをころしてはいないよ。 だって、なにもおぼえていないんだもん。 ありしゅ? さいしょから、ありすのおうちにはいなかったよ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ありすにプロポーズした、まりさの話 にんげんさん、たいへんだよ! ありしゅがみつかったよ! ありすのおうちのうらは、がけになっているんだけど、そのとちゅうにいたよ。 でも、まりさではとどかないよ。にんげんさんだったらとどきそうだよ。 だから、おねがいします。どうか、ありしゅをたすけてください…。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 再び、村長ぱちゅりーの話 むきゅ、にんげんさん。まずはありしゅをたすけてくれて、ありがとう。 にんげんさんのてあてによって、いのちにべつじょうはなさそうよ。 あのこがたすかったのは、もちろんにんげんさんのおかげだけど、 あとは、あのこがもうふさんにくるまっていたせいもあるわね。 たぶんそれは、ありすがむすめにってつくったものでしょう。 もうまもなく、めがさめるわ。そうしたらはなしをききましょう。 あとは、ありすをころしたはんゆんを、みつけてくれたこともありがとう。 え? れいむ? むきゅ。かくしてもしかたないわね。 れいむは、こんや、しょけいっされるわ。 ゆっくりごろしは、しょけいっ。これがこのむらのおきてよ。 ほんゆんはひていしているけど、どうみてもれいむがはんゆんだからよ。 しかも、ありすのしょくりょうをぬすんでいるわ。 ざんねんながら、れいむはまっくろよ。 まりさは、けいをかるくするようにいってきたけど、ざんねんながら、それはできないのよ。 それがたとえ、にんげんさんのたのみでもね…。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ありすの娘のありしゅの話 にんげんさん、ありしゅをたすけてくれてありがとう。 みつけてくれたのは、まりさだってきいたよ。まりさもありがとう。 ありしゅは、きのうのよる、れいむがおうちがきたときに、 ままに、おくにいくようにといわれたの。 おくにいたら、なんだかゆっくりできないおとがきこえてきたから、 ままがつくってくれた、ひみつのつうろをつかってそとににげたの。 ねるときにつかう、もうふさんといっしょににげたの。 おそとはくらくて、ひみつのつうろから、がけにおちてしまったの。 とちゅうでとまって、けがはなかったけど、みうごきがとれなかったの。 おそとはさむかったけど、もうふさんのおかげで、なんとかがまんできたの。 あさがきて、おなかもへったけど、なにもできなかったの。 いつかだれかがたすけにきてくれるとおもっていたから、がまんしたの。 それで、ままはどこにいるの? ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 村の入り口まで送ってくれた、まりさの話 にんげんさん、ほんとうにきょうはありがとうだよ。 ありしゅには、まりさからはなすことにするよ。 あと、れいみゅにもおはなしをしないといけないね。 まりさは、ありしゅとれいみゅをひきとりたいとおもってるよ。 もちろん、ほんゆんたちにもきいてみるよ。 そうだね。そうなったら、まりさは、いっきにしんぐるふぁーざーさんだね。 そうしたら、かりもいままでいじょうにがんばらないといけないよ。 きょうは、かりをやすんでしまったから、あしたからがんばるよ。 そして、ありしゅをとかいはなありすに、 れいみゅも…えっと…りっぱなれいむにそだてたいよ。 だから、またにんげんさんにあいたいよ。 だから、またここにきてほしいよ。 え? きてくれる? いまからたのしみだよ。 じゃあ、ここまでだよ。さよならだよ。 にんげんさん、また、ゆっくりしてってね! このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2141.html
■ゆっくりボールのあそびかた なんとなく暇だったので外をぶらぶら歩いていたら一匹のゆっくりが居た。 ちょっと小ぶりだな……まだまだ遊び盛りの子れいむかな? 「ゆっくりしていってね!!」 「はいはい、ゆっくりね~」 適当に返事を返したその時、俺の脳裏に電流走る……ッ!! 「おーい、ゆっくりー」 「ゆゆ?れいむはゆっくりじゃなくてれいむだよ?」 「お前で遊ぶわ」 そう言いながら片手でれいむのおさげを掴んで吊るし、家まで連れて帰ることにした。 「かみのけをひっぱるとゆっくりできないよ!!ゆっくりやめてね!!」だの 「ゆっくりはこんでね!!いそいではこばれるとゆっくりできないよ!!」だのと 微妙なニヤケ顔で文句を言っていたが、家に帰って居間に置くと 「ゆわ~、とてもゆっくりしたおうちだね!!おじさんはゆっくりできるひとなんだね!!」 「ゆっゆ~♪ゆっくりいっしょにあそぼうね!!ゆっくりんぼであそぶ!?それともゆっくりぽん!?」 などと、とても嬉しそうにはしゃいでいた。 俺は押入れから工具箱を取り出し、その中の目的の物を探しながら 「おー、ゆっくり待っててくれよー。今遊んでやるからな~」 「ゆっくりまってるよ!!ゆっくりじゅんびしてね!!」 などと他愛の無い会話をしつつ、道具の準備をした。 「じゃあゆっくり、ちょっと目を閉じてじっとしててな~」 「おめめをぎゅー、だね!!ゆっくりりかいしたよ!!」 思いっきり目を閉じたれいむの目の上から、ガムテープの端をペタリと貼る。 「ゆゅん!!ひんやり~♪」 「おお、そーかそーか。んじゃじっとしててくれよ~」 いきなり拒絶される事は無かったようだ。 そのままガムテープでグルグルをれいむの全身を巻いていく。 髪はなるべくデコボコにならないように、もみあげやおさげも軽くバラして…っと。 リボンと口は最後の仕上げにまだ巻かないで…… 「ゆっふっふ~、おにいさんくすぐったいよ!!」 「ゆっくりひんやりしてるよ!!とってもゆっくりできるね!!」 何やらご満悦な様子なのでそーっと床に置く。 今のれいむの姿はガムテープでぐるぐる巻きにされた茶色い球体そのものだ。 口の所が大きく開き、頭のリボンがわずかな隙間からぴょこんと飛び出している。 底の部分もガムテープで巻かれて補強されている為、まだ俺が持ち上げていると思っているのか 「うわぁ~、おそらをとんでるみたい!!」 「れいむ、ゆっくりふわふわするよ~ゆらゆら~」 などと楽しそうだ。 じゃあ、そろそろ本番に入るか。れいむを部屋の端から端まで転がしてみるとしよう。 「そーれ、こっちからごろごろー」 「ゆっ!?ゆっ!?ゆっ!?お、おにいさん!!なんだかぐるぐるするよ!!」 「ほーら、あっちからごーろごろー」 「ぐるぐるするよ!!せかいがまわるよ!!れいむ、おほしさまになったみみみみたたたたいいいい!!」 おー、段々加速する度に反応が微妙に変わっていくな~ よし、じゃあ今度は急停止、と。 「ゆぎゅえ!!いまぐわんってした!!ぎゅるんって!!ゆえっぷ」 「ゆえぇ……しゅっごいぎゅるぎゅるしゅるよ……ゆっぎゅりゆえぇ……」 いきなり回転を止められた事で中身の餡子がズルッと滑ったらしい。 呂律の回らない口調で苦痛を訴えるものの、伴った吐き気のせいでままならないようだ。 とりあえずれいむが落ち着くのを待ってから庭に運び、今度は上に投げてそーっと受け止めてみる。 「そーら、たかいたかーい」 「ゆゆっ!!からだがまんぷくだよ!!ずっしりー!!」 「ほーら、ひくいひくーい」 「ゆぅ~ん、ゆっくりふ~わふわ~!!」 ご満悦のようだ。それじゃ、徐々に高く、更に高く。天まで届けー!! 「うおおおおお!!貫けええええええええええ!!!」 「ゆっっびゅうううう!!からださんがゆっくりしすぎだよおおおおおお!!!!」 ヒュウウウウウウウウウウウウ…… あ、落ちてきた。 「ふわああ~、ヘブンじょうたい~。とってもゆっくりしたきもちだよー」 「あー、無重力だしね。よっと……」 ベチィッ!! 「ぴぎゅるっ!!」 あ、しくじった。 「ゆっぱあああ!!ぱぴぷぺぽおおおおお!!」 ブピュッ!ブババババ!!ベチャベチャベチャッ!!エレエレエレ…… 落下時の圧量で餡子が口から垂直に吹き上げられた。 まるでスイーツの間欠泉やー!! おっと、現実逃避してる場合じゃないな。 急いで巻き散らかされた餡子を綺麗なとこだけ回収して口の上に盛り、 緊急用の餡子パックの分も上乗せして、思いっきり腕を突っ込んで餡子を全部押し込んでから急いでガムテープで封をした。 餡子こそ戻したものの、ビクビクと痙攣する様は痛々しい。 「ゆぶっ!!ゆびゅっ!!ごくん、ゆびゅる!!ゆびゅっ!!」 「ゆばぁ!!ゆべぇ!!ごくり、ゆぶぇっ!!ゆぎゅっ!!」 あー、口塞いだから吐いてるけど吐ききれずに圧力で飲み込んでるのか。 餡子が流出こそしないから死にはしないだろうけど……こりゃ地獄の苦しみだろうなぁ。 口の上辺りのガムテープの隙間から砂糖水ダラダラ流れてるし。ビクンビクン痙攣してまるでマッサージ機みたいだ。 なんとなく誘惑に負けた俺の取った行動は…… 「よっこらしょっと」 「ゆびゅぶきゅるびゅっくん!!ごぶぁっ!!ゆぎゅるぐぱぁっ!!」 ブブブブブブブブブブブブ…… おー、凄まじい振動が腰に~。ダイエットに最適だなー。 振動が徐々にゆっくりに……って大丈夫か?これ? 「ゆばっ……がばっ……ごびゅんっ……ごくっ……」 「…………………………………………………げぷっ」 うん、振動止まっちゃったな。口元のガムテープを剥がしてっと。 いくらかの餡子がまだ残っていたものの、噴出現象は止まってるな。よかったよかった。 ぺちんぺちん。ぺちんぺちん。 「おーい、ゆっくりー。いきてるか~?」 「ゆっ……ゆっくり……ゆっくりさせてね……」 「返事が出来るって事は大分落ち着いたな、これなら助かるかもしれないぞ」 「お、おにいさんたすけてくれてありがとね……もうすこしでゆっくりしすぎるところだったよ……」 「そーかそーか、それじゃ落ち着いたら仲間の所に返してやろうな~」 とりあえずは大丈夫なようだ。様子が落ち着くまでゆっくり待つとしよう。 「ゆぅ……?ゆっ?ゆゆっ!?おにいさん!!たいへんだよ!!まえがみえないよ!!はやくあかりをつけてね!!」 「それにうごけないよ!!あしさん、ゆっくりしてないではたらいてね!!うごいてよぉおお!!」 ああ、今頃になって拘束されてる事に気付いたのか。気付くの遅すぎだろ……さすがゆっくり。 「よーし元気になったなー、それじゃ帰ろうか~」 「お、おにいさん!!おめめもあんよもおかしいよ!!ゆっくりたすけ 「はーい、ちゃんとキレイキレイしましょうねー」 「んー!!んーんー!!んんんー!!!」 口と飾りも完全にガムテープで塞いでっと。んじゃお帰りになってもらいますかね。 お、いいところにゆっくりが二匹居るな。大き目のれいむとまりさ……夫婦かな? 「やあ、ゆっくりしていってね!!」 「「ゆっくりしていってね!!」って」 「おにいさん、ゆっくりしてるばあいじゃないんだぜ!!まりさとれいむのこどもがいなくなっちゃったんだぜ!!」 「もうおやつのじかんなのにかえってこないよ……おにいさん、このへんでゆっくりしたこどものれいむをみなかった?」 「いーや、見てないよ。そっかー、君達には子供が居るのか~」 「とてもゆっくりしたじまんのこどもなんだぜ!!きっとおにいさんもきにいるとおもうんだぜ!!」 「れいむとまりさのこどもだもん、ゆっくりしてるのはとうぜんだよぉ~!!」 「そーかそーか、お兄さんは子供探しには協力して上げられないけど変わりにいいものをあげよう」 「ゆっ?なんなんだぜ?」 「ほーら、ボールだよ。子供が居るなら玩具にするといい。よくはずむよー」 「ゆゆっ!!とてもゆっくりできるおもちゃなんだぜ!!こどもたちもよろこぶんだぜ!!」 「ほら、帽子の中に入れておいてあげるよ。これなら落とさないだろう?」 「ありがとうなんだぜ!!それじゃおにいさん、ゆっくりしていってね!!」 「いろいろとありがとうね!!ゆっくりしていってね!!」 「気にしなくていいよ、じゃあねー」 ふぅ、これであの子ゆっくりも両親の所に帰れるだろう。 今日はよく遊んだ充実した日だったな、めでたしめでたし。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2962.html
※登場する人間達に名前があります。嫌な人は注意。 ※あまりいじめてません。 ※世界観・設定の描写がだるいので斜め読み推奨です。 要するに近代の田舎にゆっくりがいる設定です。 ゆっくりと小学校(前) U市郊外に位置するこの町は多くの山と川に囲まれ、自然を色濃く残している。 都市に近く、閑静な住宅街と綺麗な空気に恵まれた土地は人間にとっても、 数年前から現れだした生物風にいえば「ゆっくりできる」場所であった。 だが、町の開発が進んだ為か、環境問題の影響か 近頃では麓でも大型の鳥獣を見かけることは無くなった。 代わりに山に棲み付いたのが、「ゆっくり」と呼ばれる生物(ナマモノ)である。 「ゆ?」 「ゆっくりしていってね!」 何の前触れも無く全国に現れたこの「ゆっくり」の生態は不可解極まる。 「ゆっくりしていってね!」に代表されるように、ある程度の人語を操る。 出来の悪い生首のような体を持ち、不思議な力で跳ねて移動するが運動能力は低い。 そして、驚くべきことにその体は饅頭で出来ている。 「ゆっくり」が現れて以来、様々な議論が飛び交ってはいるが 殆ど皮と餡子で構成された生物がどうして生きているのか、 そもそもナマモノではなくイキモノとして扱うべきかという問題すら解決していない。 「「ゆっくちしていってね!!!」」 が、普通のの人にとってはそんな難しい話はどうでもよかった。 最初こそ大騒ぎになったがゆっくりが珍しい存在ではないと分かり、 それぞれがそれぞれの付き合い方を見つけていった。 畑を荒らされ踏み潰す者、一緒に遊んだりゆっくりする者、 食料として扱う者、ペットとして飼う者、人には言えない趣味に使う者、 ゆっくりと関わる人向けのビジネスに携わる者など、多種多様である。 「うん、ゆっくりしていってね。やっぱりかわいいなぁ。でもそこにいると・・・」 「えっへん! おねえさんはゆっくりできるひとd ゆっくりは主に自然が豊かな土地に棲む。 都市部はゆっくりにとってあまりにもゆっくりできない場所であった。 ゆっくり出来ない人や鉄の獣が飛び交い、潰されずにいるだけでも精一杯。 おいしい食べ物、きれいな水、ゆっくりできるおうち、どれも手に入らない。 全てが手にはいるゆっくりぷれいすを見つけたゆっくりは燃えるゴミと成り果てた。 自然豊かな土地に棲むというより都市で生き残れなかっただけかもしれない。 「ゆびゅっ!?」 そこに何も無かったかのように少女の目の前を車が通り過ぎて行った。 親れいむがいた所に残されているのは、親ゆっくり1匹分の餡子と皮。 ゆっくりが現れてからは珍しくない光景だ。 後に残されたのは子ゆっくり2匹と、登校中の少女が一人。 ソフトボール大の子れいむと子まりさは目の前の状況に頭が追いついていないようだ。 「「・・・ゆ?」」 「・・・」 いくら郊外とはいえ、道路の上に饅頭がおいてあればこうなる。 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! おかあさんがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 「ゆうううう!!? どお゛ぢでえええええええええ゛え゛え゛え゛!!!!?」 「・・・・・・ごめんね、気づいてあげられなくて」 「ゆっぐ、ゆっぐ」 「ゆうぅうぅ・・・」 落ち着いたようなので、話を聞いてみることにした。 「どうして道路でゆっくりしてたの? 危ないよ?」 「どうろなんてしらないんだぜ! ・・・ゆっくりおやについてきただけなんだぜ・・・」 どうやらこの家族は車道についての知識がなかったらしい。 詳しく聞けば、以前は親まりさとたくさんの姉妹がいたが、 今日までに親れいむ1匹に子ゆっくり2匹の3人家族までに減ってしまったらしい。 あ、もう2匹か。 山でゆっくりできなかった家族が、ゆっくりを求めて降りてきたといった所か。 ゆっくりという生物は人間は元より、同サイズの野生動物と比べても脆弱であり、 子ゆっくり2匹がこの先生きのこるのは絶望的といえた。 「まりさ・・・。これからどうしよう?」 「ゆ・・・。ごはんのとりかたもわからないんだぜ・・・」 状況を察した少女が声を掛ける。彼女には当てがあった。 「ねね」 「「ゆ?」」 「良かったら私たちの学校に住まない? クラスで2匹、ゆっくりを飼う予定なの 君たちが来てくれれば、ちょうどいいんだけどな~」 「かうってなんなのぜ?」 「ゆっくりできる?」 少女が通う学校では命の尊さを学ぶため、学級毎に動物を飼うことが推奨されている。 彼女の学級では担任の愛子先生の強い希望で、近々ゆっくりを飼う事になっていた。 「うーん、毎日いっぱいご飯もらえて、みんなにかわいがってもらえると思うよー」 「「ゆゆ!!」」 途端に目を輝かせる子ゆっくり達。 明日からどうやってエサを確保すればいいのかも分からないゆっくりにとって、 これ以上ないほどゆっくり出来る条件に思えた。となれば乗らない手は無い。 「「ゆっくりつれていってね!!」」 「うん、任せて」 この子たちだけはゆっくりさせてあげよう。 そう思って少女は子ゆっくり達を力いっぱい抱きかかえた。 あの車のような理不尽な暴力から守ってあげる、と言わんばかりにきつく・・・。 「・・・!」 「・・・!」 「・・・・・・!!」 「・・・・・・!!」 「愛子先生なんていうかな~?」 「愛で子先生っ!おはようございますー!」 「おはよう。早いわね梨香さん。でも、メデコじゃなくてアイコ先生って呼びなさい」 「えー、でもその方が愛で派っぽくて先生らしいですよ~」 「・・・・・・出目金みたいでかわいくないじゃない(ボソ)」 「? なにかいいました?」 「なんでもないわ。ところで、さっきから抱えてるのって・・・」 「あ、はい! 実は・・・ってわあ!青くなってる!?」 慌ててホールドを解く少女。 「お゛ね゛え゛ざん゛の゛ゆ゛っぐり゛ごろじい゛い゛い゛ぃぃぃ!!!!」 「どぼじでごんなごどじだの゛お゛お゛お゛お゛!!?」 「ゆ゛っぐり゛あ゛や゛ま゛っでね゛ええ゛え゛え゛え゛!!!?」 「ご、ごめん、ごめんね? わざとじゃないの、ごめんなさいっ」 理不尽な暴力から開放されたゆっくりは梨香に罵詈雑言を浴びせ 少女・・・梨香はひたすら謝った。 「なるほど、それで拾ってきたのね」 「はい、ちょうど2匹ですし、他に家族もいないみたいで・・・」 「分かった。そういう事情なら野良ゆっくりを捕まえるより良いわよね」 「ありがとうございます!」 「じゃ、予定通りとりあえずはウサギ小屋に連れて行きましょう」 「あれ? 教室には連れて行かないんですか?」 「教室でおうち宣言されると困るからね。ウサギ小屋じゃ満足出来なくなるわ」 「なるほど。さすが元ブリーダーですね!」 これからのゆっくりライフに思いを馳せる2匹は、 頭上の会話などこれっぽっちも耳に入っていなかった。 「はい、ここが今日からあなたたちのおうちでーす」 「ゆー! ひろいね! ゆっくりできそう!」 「ゆゆ! わらさんがいっぱいあるよ!」 「まだ夜は寒いから寝るときはそれを使ってね。水のみ場はこっち」 「「ゆっくりりかいしたよ!!」」 「気に入ってくれたみたいね」 「ええ、よかったです」 「ゆっ? ごはんがないよ? ごはんがないとゆっくりできないよ!」 「おねえさん! まりさたちにごはんをもってくるんだぜ!!」 「後で係りになった子が持ってきてくれるから、その時にね」 「「ゆぐぐ・・・ゆっくりりかいしたよ!」」 「じゃあ、それまで3人で仲良くね!」 そう言って教師と生徒は去って行った。 「ゆゆ? さん? れいむたちはふたりだよ? おねえさんばかなの?」 「れいむ! おねえさんはいのちのおんじんなんだぜ! ばかなんていうなだぜ!」 「ゆゆっ! れいむがわるかったよ!」 「わかればいいんだぜ! れいむはゆっくりした子なんだぜ! すーりすーり♪」 「ゆゆー♪ おかあさんのぶんまでゆっくりしようねぇ! すりすりー♪」 すりすりする2匹の背後で、藁の山が、音を立てた。 「・・・そういうわけで、今日予定していたゆっくり取りは中止して、・・・」 子ゆっくりが最初に会った人間が梨香だったことは、幸運だった。 この町に限らず、山間の町村では愛で派の人間は少ない。 特に農家の人間には嫌われている。 現在でこそそれなりに対策されているが、 かつては田畑や「おうち宣言」の被害が数多くあった。 もしゆっくりが出会ったのがその被害者であったなら、最悪潰されていたかもしれない。 「梨香も物好きね~。わざわざゆっくりを拾ってくるなんて」 「久美ちゃんはゆっくり嫌いだっけ?」 「別に嫌いじゃないけど・・・。轢かれたのが猫とかじゃなくて良かったわ」 今月のゆっくり飼育係は、先生の話を聞いていなかった2名に決まった。 がさがさっ 「「ゆ!」」 「・・・」 白い体に赤い目を持った生き物が、こちらを見つめていた。 「ゆゆ? どこから入ってきたの!?」 「ここはれいむとまりさのおうちだよ!!」 「ゆっくりでていってね!」 「でていってね!!」 白い生き物-この小屋の先住民であるウサギは、だまってゆっくりを観察していた。 ひくひくひくひく 「きいてるの!! ゆっく・・・ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛!?」 「どうしたのまりさ! ・・・ゆああああああ゛あ゛あ゛!?」 ウサギの鼻は結構高速で動く。 ゆっくりからしてみれば、とてもゆっくりしていない。 直視に耐えられる光景ではなかった。 ひくひくひくひくひくひく... 「ゆっくりしてね! ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりやめていってね!! もっとゆっくりうごいてね!!」 ヒクヒクヒクヒクヒクヒクヒクヒクヒク... 「「どぼじてゆ゛っぐりじでぐれない゛の゛お゛お゛お゛お゛!?」」 ウサギにゆっくりの言葉が通じるはずもない。 目を逸らせば良さそうなものだが、全く気づいていないようだった。 「ゆっくりー、どうしたの?」 「ゆっくりしてないなー」 心配そうにウサギ小屋を覗き込む少女と、どうでもいいと言わんばかりの態度の少女。 「お゛ね゛え゛ざん゛ん゛ん゛!! どういうごとな゛の゛おおおお!?」 「しろいのがいでゆっくりできないよお゛お゛お゛お゛!!!」 「ここからだして!! おうちかえる!!」 「あれ、言ってなかったっけ。ゆっくりを飼える大きい部屋がここしかないの」 ここから出ても生きていけないことを知っている少女達はゆっくりをなだめる。 「落ち着いて、ウサギさんは怖くないよ」 「ほら、エサ持ってきたよ」 「ゆ! やさいさんだ!!」 嘘泣きをしている子供よりも切り替えが早い。 「すごくゆっくりできるたべものだよー!!」 どうやら野菜の味を知っているらしい。 他の家族が全滅した理由と関係があるのだろうか。 「はい、どうぞ」 金網越しに、小屋の中へ細長く切った野菜を差し入れられる。 「ゆー! ゆっくりたべりゅぶっ!?」 「れいぶう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!?」 野菜の前で待機していたれいむを踏み台に、ウサギが野菜にかじりついた。 「あ、ウサギさんにたべられちゃった」 「どおしでごんなことする゛の゛おおおおお!?」 「いや、もともとウサギのえさだし。喧嘩すんなよ」 「ごめんね、でも大丈夫。いっぱいもってきたから」 「ゆぐぐ・・・。おねえさん! つぎはまりさたちにちょうだいね!!」 「ゆ゛・・・はやくおりてええぇえ゛ぇ!」 「うさぎさんはあっちいってね!!」 「まりさのごはんとらないでね!! とらねいでねえええ!?」 「ゆぎゃ!!」 「いつまでたべてるの゛お゛お゛お゛お゛お゛!!?」 それから、何度えさを差し入れても、全てウサギが食べてしまうのであった。 「えさ、なくなったね」 「うー、こんなはずじゃなかったんだけどな。ごめんね?」 「ゆっぐりでぎな゛い゛い゛い゛い゛い゛!!」 「たべさせてよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!」 「次から小屋の中で直接あげよっか」 「そうする・・・」 元ブリーダーの先生がいれば、もっとうまく面倒を見ることが出来る。 しかし、これは生徒達が命の尊さを学ぶ為に与えられた機会。 生徒達が試行錯誤し、自ら成長することこそが重要で 結果的に生き物が死んでしまったとしても、有意義な経験になる。 そのため、愛子先生を含めた職員達は、基本的に手を出さないことになっているのだ。 「じゃあ、また放課後に来るね」 「ゆ゛!? おいでがないでね゛え゛え゛え゛え゛!?」 「ほんとにうるさいなー。あんなののどこが好きなの?」 「まだごはんたべでないよお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!?」 「んーとねー・・・」 「「ゆ゛っぐりざせでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!」」 2匹の叫びを聞くものは同居人のウサギだけだった。 つづく このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/poorbook99/pages/81.html
しょく・しょくへん【 食 2-92-44.png】 6. 2-92-53.png → ※[#「食+銭のつくり」、第4水準2-92-53] 7. 2-92-54.png → ※[#「求/食」、第4水準2-92-54] 8. 2-92-57.png → ※[#「食+尭」、第4水準2-92-57] 9. 2-92-63.png → ※[#「飮のへん+曷」、第4水準2-92-63] 9. 2-92-64.png → ※[#「飮のへん+昜」、第4水準2-92-64] 10. 2-92-66.png → ※[#「飮のへん+羔」、第4水準2-92-66] 10. 2-92-67.png → ※[#「飮のへん+氣」、第4水準2-92-67] 10. 2-92-68.png → ※[#「飮のへん+稻のつくり」、第4水準2-92-68] 12. 2-92-71.png → ※[#「飮のへん+善」、第4水準2-92-71] 13. 1-94-10.png → ※[#「飮のへん+亶」、第3水準1-94-10] 14. 2-92-73.png → ※[#「厭/食」、第4水準2-92-73] 18. ※[#「飮のへん+巉のつくり」]u995E 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/amizako/pages/393.html
鳥羽のつくり道というのは・鳥羽殿が応徳三年に建てられて以来にできたのではない。昔からの名前である。元良親王が元日の奉賀の声がすこぶるすぐれていたので式場の大極《だいごく》殿から鳥羽のつくり道まで聞えたということが、式部卿重明親王の記録にあるということである。
https://w.atwiki.jp/butsurigakuto/pages/18.html
以下は、物理学ではなく、○○がくに興味のある人が集う団体へのリンクです。 名前は似ていますが、別団体です。 関西すうがく徒のつどい このつどいを始めるきっかけになったのが、この「関西すうがく徒のつどい」です。数学好きな人が集まってわいわいお話をする場だそうです。数学を専門としている人だけでなく、物理や工学、医学や文学、高校生から社会人まで様々な人が参加されています。いずれ、何かコラボレーションできればいいですね。 ごがく徒のつどい ぶつりがく徒のつどいと同時期に発足したのが、この「ごがく徒のつどい」です。こちらもまだ新しい団体で、企画を構想中とのことです。こちらの団体ともいずれコラボレーションができればと思います。 しんりがく徒のつどい さらに、空前のつどいブームにのって発足したのが、「しりがく徒のつどい」です。公式によると完全に勢いで作ったらしいですが、折角なのでつどいが開催されるといいですね。 ろんりがく徒のつどい こちらは「数学基礎論(集合論/証明論/モデル理論/計算論),記号論理学,数理哲学ならびにそれらの周辺分野」を対象にしたつどいです。現在は準備中とのことですが、今後に期待です。
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/14520.html
氷炭のハイドレート UC 水/火文明 (2) クリーチャー:スピリット・クォーツ 1000 ■マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。 ■スピードアタッカー ■このクリーチャーはブロックされない。 作者:808 ブロックされない速攻獣。ややオーバースペックか…? 名前の元ネタは次世代燃料と言われている固形物質「メタンハイドレート」から。 カードリスト:808 フレーバーテキスト 凍てつくように燃えろ。 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1884.html
家に帰る途中で、四匹のゆっくりが一匹のゆっくりを囲んでいるのを見つけた。 囲んでいる側は体当たりをしている。笑っているようなので楽しんでやっているようだ。 基本的にゆっくりは仲間意識が強い。 飢えれば子供を食うし、髪飾りをなくせば仲間から殺されるが、意味もなく同じゆっくりに攻撃するのは珍しい。 興味を持った俺は饅頭共に気づかれないよう静かに近づき、どんなゆっくりがいるのかを確認する。 体当たりをしているのはれいむにまりさ、そして争い事に滅多に関わらない病弱なぱちゅりーとゆっくりレイパーのアリスだ。 そして、囲まれているゆっくりは星形マークの入った緑色の帽子に赤い髪… 見たことのないゆっくりだ。 大きさはどれもソフトボール程、同じ大きさの四匹から体当たりを受けているあれは皮はまだ破けずに体が汚れているだけ。 同じ大きさのゆっくり四匹に囲まれているのに、いまだに皮が破れていないのは凄い。 それとも相手が痛めつけるのを目的に手加減でもしているのだろうか? とりあえず一気に近づいて、四匹から髪飾りを奪い取る。 こうすれば逃げないので俺はゆっくり話ができる。向こうはとてもゆっくりなんてできないけどね。 「おじさんなにするの!」 「まりさのぼうしをいそいでゆっくりかえすんだぜ!」 「むぎゅぅぅぅぅぅぅ!」 「ぼうしをうばうなんてほんとうにいなかものね!とかいはのありすにあやまってね!」 案の定騒ぎだすゆっくり達。これがないと大変な事になると本能で理解しているから必死である。 「ごめんごめん、ちょっと君達から話を聞きたくてね。ちゃんと話が終わったら帽子は返すからね」 「そんなのしらないよ!」 「ぼうしをかえさないおじさんはゆっくりしね!」 「ばかとはなしてもじかんのむだよ!」 「いなかものはさっさとぼうしをかえしてどっかいってね!」 「ちゃんと話してくれたらお菓子をいっぱいあげるから駄目かな?」 「「「「ゆっ!?」」」」 「ほんとうにおかしをくれるの!?」 「おかしほしいんだぜ!」 「ついでにほんもほしいわ!」 「しょ、しょうがないからきいてあげるわよ!」 「いいかな?」 「「「「ゆっくりしつもんしてね!」」」」 「うん、ありがとう。じゃあ早速だけど、君達はなんでその子を虐めてたのかな?」 「これのこと?」 俺が指さしたゆっくりをれいむが踏んづける。踏まれている奴は怖いのか、先程からずっと目を閉じて震えている。 「こいつはクズだからいじめていいんだぜ!」 「クズって… 君達と同じゆっくりじゃないか」 「こんなクズととかいはのありすをいっしょにしないでね!ありすのまむまむにまったくかんじないふかんしょうのやつといっしょにされるなんてふゆかいだわ!」 黙れよレイパー。 「ばかなおじさんのためにせつめいしてあげるわ。それはめーりんていってね、からだがじょうぶなだけのやくたたずよ」 「役立たず?」 「しゃべれないしいっつもねてばかりいるんだよ!」 「まりさがみつけたやさいをたべようとしたらじゃましてくるいやなやつなんだぜ!」 「かわがじょうぶだかられみりゃにもたべられないからおとりにさいてきなのよ!」 「ま、かこうじょうにすらみすてられてるからそれだけでくずってよくわかるわ」 「加工場にねえ…」 加工場は捕獲及び持ち込まれたゆっくりを研究し、様々なゆっくり関連の商品を作っている。 最近では数が足りないのでゆっくりの養殖までしているようだ。 とりあえずそれが本当かどうかを確かめる為に、れいむに踏まれているめーりんを帽子を持っていない左手で抱き抱えた。 「おじさんそんなのどうするの!」 「はやくぼうしとおかしをもらいたいんだぜ!」 「とりあえず加工場にすら見捨てられたっていうのが気になってね。こいつを連れていこうと思うんだ」 「そんなことしてもむだなだけよ!」 「いなかものはじかんをむだにするのがすきなのね」 「ま、すぐ終わるさ。君達も一緒にくるといい。これを連れていったら帽子を返してお菓子をあげるよ」 加工場の名前を出したらついてこないと思ったのだが、帽子の為かすぐに四匹は一緒に来ると言った。 加工場への道中は、わりと大変だった。 体の弱いぱちゅりーは普通に歩く速度だとついてこれず合わせねばいかなかった。 それでも何度か中身のクリームを吐き出し、大丈夫かと聞くとその度に「自分は馬鹿で体が丈夫なめーりんと違って頭がいいから仕方がない」と言い訳をした。 れいむとまりさは足にまとわりつき、ニヤケ顔で「「かこうじょう!かこうじょう!」」と連呼していた。こいつを怯えさせたいのだろう。 そしてありすだが、こいつは自分がどれ程素晴らしいのかを語っていた。 自分の子供を授かる事のできたゆっくりは幸せだの、どれだけ素晴らしいテクニックを持っているのか見せてやりたいなど。 そしてそのテクニックで感じないめーりんは不感症のクズだと何度も言っていた。 そして、左手に収まるこいつは何度か暴れた。叩かれようがつねられようが、何度も何度も。 それは周りにいる四匹に対して、付いてこないでと伝えてるように思えた。 もしかしたら俺の狙いに気づいているのかもしれない… ぱちゅりーに合わせた為に予定よりも時間がかかったが、漸く加工場に着いた。 「これでクズとおわかれだね!」 「でもクズだからすぐおいだされるんだぜ!」 「そうしたらまたわたしたちのあそびどうぐにすればいいのよ!」 「それでしかやくにたたないからしかたないわね!」 そう言いながらゆっくり達は楽しそうに笑った。 俺は職員に指定された場所に髪飾りを置き、声をかける。 「ここに髪飾りは置いとくから自由に取ってな。お菓子を今持ってくるから」 「わかったよおじさん!」 「はやくおかしをよこすんだぜ!」 「ほんももってきてね!」 「とかいはのありすにふさわしいおかしをもってきてね!」 四匹がちゃんと入ったのを確認して、加工場の職員と一緒に檻を閉めた。 「「「「ゆ!?」」」」 「おじさんなんでしめるの!?」 「ゆっくりだすんだぜ!?」 「おかしは!?ほんは!?」 「いなかもののくせにだましたの!?」 すぐに騒がしくなるゆっくり達。これでやっと俺の苦労も報われる… 「はい、そうです。俺は君達を騙しましたよ」 「なんでそんなことするの!」 「なんでって、良いじゃないか。君達は加工場に引き取ってもらえるクズじゃない優秀なゆっくりなんだろう?ならこうやって役に立てよ」 「い゛や゛だよ゛ぉぉぉぉぉ!!」 「ごっがら゛だじでぇぇぇぇ!!」 「嫌です。諦めて死ぬまで加工場で暮らしてね~」 抱えてるめーりんは悲しそうに檻の中の四匹を見つめている。あいつらに虐められてたというのに、優しい奴だ… 「わかったわ!めーりんがぜんぶわるいのよ!」 はい? 「めーりんがわたしたちをわなにはめたのよ!」 目の前で展開される超理論。俺は何も言えずに黙って聞くしかなかった。 「ほんとうにしょうねのくさったやつだぜ!」 「わなにはめたクズめーりんはしね!」 「このゆっくりのかざかみにもおけないクズ!」 「ゆっくりのたれじんでね!!」 ひたすら続く罵詈雑言に、こいつは泣いていた。 声を出せないから、必死に行動で逃げるように伝えていたのに… 俺に叩かれつねられ、痛い目にあってもこいつらを逃げるように伝える為に暴れた。 何度も何度も、暴れる度に痛い目にあい、四匹に悪あがきと笑われ、それでもこいつは危ないから付いて来るなと伝える為に暴れたのだ。 そして、今は責められている。 助けようとしたこいつに、あいつらは全てこいつが悪いと言っている。 だから、俺は… 檻を蹴り飛ばした。 中にいたこいつらにとっては恐ろしかっただろう。 逃げ場のない檻で、何度も何度も蹴られる。 振動、音、全てが恐怖を伝える。 「や゛め゛でぇぇぇぇ!」と叫ぶ声も聞こえた。 「だずげでぇぇぇぇぇ!」と叫ぶ声もちゃんと聞こえた。 それでも止めない。ずっと、ずっと、俺は蹴り続けた。 やめたのはこいつらが中身を吐き出し、気絶してからだ。 近くにいた加工場の職員に謝ると、気にしなくていいと言ってくれた。 めーりん種と他のゆっくりを連れてくる人間は大抵同じことをするらしい。 そして、抱えていためーりんは… 眠っていた。 先程れいむが言っていたよく眠るというのは本当らしい… なんでこいつの為に怒ったのか馬鹿馬鹿しくなったが、起こすのもあれなのでそのまま寝させておく。 そして、加工場の職員にこいつについて簡単な特徴をいくつか聞いた。 喋れない代わりにゆっくりとは思えない程知能が発達しているとの事。 やってはいけない事をちゃんと教えさえすればちゃんと守るらしい。 また、人間の畑から野菜を盗もうとするゆっくりを邪魔をしたりする事もある。 その事からゆっくり業界からはブリーダー泣かせという異名があるらしいが、 それ程数がいないため飼っている人間は極僅からしい。 まぁ、そこら辺は飼ってみればすぐにわかるだろう。 あと、めーりん種はゆふらん種を育てることが多いとの事でゆふらんの子供を貰った。どんな風に育つのかが楽しみだ。 最後に、めーりん種はどこでも寝るわけではないらしい。 安全で、安心できる場所でしか寝ないそうだ。 ずっと眠っているこいつを抱えたまま、俺は家を目指す。 同じゆっくりから嫌われているこいつとの生活はどんなものになるか、結構楽しみだったりする。 家に帰ったらまずはこいつを守るために柵を作ってやらなきゃな… ちなみに加工場の人がめーりん種を捕獲しなり最大の理由は、ゆっくりから見捨てられた可哀想な奴だからやめようという理由らしい。 あそこの責任者の発案らしいが、不思議に納得できる理由だと思った。 fin ゆっくりれいむやまりさに虐められてる奴がいてもいいんじゃないかなぁって思って書いてみました。御目汚し失礼。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/touhoukeitai/pages/502.html
基本データ 説明 せんしゃ ぎじゅつしの しょうじょ。れいりょくを もちいて ゆうれいをつくりだす ことも できる。 タイプ ほのおはがね 特性 がんじょう タマゴグループ ひとがたこうぶつ 種族値 HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 合計 80 40 100 70 40 30 360 獲得努力値 HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 0 0 2 0 0 0 分布 場所 階層 Lv 備考 なし その他の入手方法 なし 進化系統 ちびりか ┗Lv25でりか 育成例