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仁さんを本気で止める俺と真也。俺達の本気とは裏腹に仁さんは真也のCBXで走って行く。仁さんは木刀と特殊警棒を持って、特殊警棒を真也に渡した。俺と真也がどんなに止めてもこの暴走機関車は止まらない。10分もしないうちに、3日前に俺がフルボッコにされた忌まわしいボーリング場に着いた。その頃ジローと幸雄は、格さんに電話して、俺達がどんな状況でどれだけエライ事になってるか伝えてくれてた。真也のベルに格さんから連絡がきた。珍しく番号じゃなく文章。 「ジブンデナントカシロメンドウミキレン」 と入ってた。俺達は絶望した。 ボーリング場ではやはりボーリングやりにきたって感じじゃない奴がこっちを見た。仁さんは怯むことなく、 「雹の三吉だよ。頭連れてこい!!」 と怒鳴った。すると、そいつはすぐに上に行き頭らしき奴を連れて降りてきた。東龍会の頭は俺達の一コ上で「トンカツ」ってあだ名のゴツイ奴だった。あだ名の由来は知らないが、とりあえず仁さんよか喧嘩が強そうな事だけはすぐにわかった。仁さんは、そんなトンカツの見た目にビビることなく、 「てめぇが頭か。3日前にてめぇらにやられた奴は俺の身内だ。後ろにいるのはやられた奴の後輩で、アイツの後輩って事は俺の身内って事だ。俺の身内に手を出すって事は俺に喧嘩売ってるって事なんだろ!どうすんだこのガキ!!」 ってタンカを切ってた。トンカツはめんどくさそうに、 「もーケツモチ同士で話はついてるし、文句があるならウチのケツモチに言ってください。」 って見掛けとは反比例した大人の対応をした。 だが、俺達の前にいる大人は、そんな対応されると余計に火に油になっちまうって事を、トンカツはわかってなかった。 仁さんはさらにヒートアップしていき、木刀だと思っていた日本刀を抜いた。 刃をトンカツの首につきつけて、仁さんは言った。 「ヤクザがヤクザ相手に話してどーすんだよ。俺達は暴力使うから暴力団って言われてんだよ。ヤクザが話し合いなんてするわけねぇーだろ。わかったらさっさと金包んで持ってこい。」 …どーやらこの人こんな事してるけど、立派なプロの方でした。 流石にトンカツも首に刃が食い込み血は出てくるし、目の前にいるヤクザは話が通じない肉食動物だしで踏んだり蹴ったりでちょっと泪目になってた。ここで空気の読めない真也がまさかのキラーパス。 「仁さん、ヤクザはヤクザのやり方のケジメの取り方がありますよね。」 真也、それはだめぇ!! 仁さんはその気になりトンカツに向かって、 「おし。左手の小指で勘弁してやる。左手下に置け。」 と言って、トンカツの首から刃を外して左手の小指をロックオンした。 このままじゃトンカツの小指は手からバイバイしちゃうと思った俺は、 「それが嫌なら自分の指に値段付けてみろよ。地獄のさたも金次第って言うだろ!!」 っとトンカツに言った。トンカツは最初に10万って数字を提示してきたが、お前の小指はそんなに安いのかと一蹴され、結局50万で話がついた。 仁さんは俺と真也に30万渡して、残りは飯田さんの治療費に渡すって言ったそのまま帰っていった。俺達はこの日また一歩大人になっていった。
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約束の日が来た。佐伯水源に向かう。信義に話通してこの喧嘩は俺に預けてもらった。家を出ると見たことある顔がそこにはいた。格さんだ。 「久しぶり。いまから佐伯水源行くんだろ?付き合ってやるよ。」 「…信義に聞いたんか?相変わらず情報はえーな。今日は俺の喧嘩だ。手出しすんなよ。」 「心配すんなよ。金にならねー事はしない。一応プロだし。ただちょっと崔って奴の顔が見たいだけだ。一度も見たことねーからさ。見てみてーじゃん。俺と同じぐれー強えんだろ?」 「プロがアマチュアの世界にでしゃばんなよ。テメーは卒業したんだから。まぁ立会人って事でついてきてもいいけど、邪魔はすんなよ。」 「わかってるって。でもまさかお前が崔とやるとは思わなかったよ。俺より弱いのにwwww」 「うっせーな!しょーがねーだろ!無駄口たたいてねーでさっさといくぞ!あと、帰りはお前運転だからな!」 「ふざけんな、俺が単車なんか転がしてんの兄貴に見つかったらえらい事になんの知ってんだろ!?お前運転しろよ!」 「かてー事言うなよ。たのむかんな。」 格さんはうなずかないけどいつもなんだかんだでやってくれる。そんな奴だ。 「じゃー行こーぜ。帰りは病院経由でwwww」 緊張はなくなった。コイツの前でカッコ悪い姿なんて見せらんねーしな。 いまはキツくてもあと10年もしたら笑い話になんのかな。俺達みたいなガキの喧嘩に理由なんてない。目があった、肩がぶつかったですぐに喧嘩になる。そんなくだらねー理由で喧嘩できんのなんていまだけだ。そんな事考えてたら佐伯水源に着いちまった。崔も一人だけ連れて来てた。 「…遅かったな。逃げたのかと思った。」 「ちゃんと日本語しゃべれよコノヤロー。キムチ臭え奴なんかにビビる訳ねーだろ。さっさとはじめよーぜ。」 「もう一人は誰だ?タイマンじゃなかったのか?」 「こいつは立会人だ。プロだから気にすんな。ガキの世界に首突っ込む程暇じゃねーって。」 「テメーが格田か。こっちも立会人一人つけるから。いいよな?」 「勝手にしろ。じゃーそろそろはじめよーぜ。」 崔はくわえてたタバコを投げ捨てた。ゴングがなった。
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ゲーセンに着くと、他のチームも集まっていた。ナイト(近隣で一番大きいチーム)と雹(仁さんがいたとことは別。雹は色々事情があって、二つに割れてる。)も集まっていた。他にも何チームか来ていて、単車と車合わせて約120台ぐらいだ。駐車場は族車で埋め尽くされた。 基本的に追悼だから揉め事なんかは御法度だが、小競合い程度はあちらこちらで始まっていた。 「よそのチームと仲良くするな。周りは全て敵だ。万が一乱闘になったら、旗の下に集まれ。」 そう言うと格さんは主催のマイク先輩に挨拶しに行った。 しばらくすると、一人でこっちに近ずいてくる奴がいる。雹の頭のみっ君だ。みっ君は俺の単車を見てる。 「へー、お前もKH乗ってんだ。俺、SSなんだ。」 と屈託のない顔で笑う。 「今度一緒に走ろうぜ。」 そう言ってみっ君は谷先輩の方に行ってしまった。 やる事がないのでボーっとしていると、前の方に人だかりができた。 マイク先輩が拡声器でしゃべってる。 「キョウハウチノジモトノセンパイノタメニドウモアリガト。センパイキットヨロコンデルカラ。」 どう聞いても片言の日本語にしか聞こえない。演説は続く。 「キョウハケンカトカナシダカラ。ケンカシタヤツハオレガコロス。」 言葉はコメディだが内容はシリアス。 「ソレジャーイーグルセントウデデルカラ。ヨロシク!」 そう言ってろくにルートも言わずに拡声器を谷先輩に渡す。 「事故現場に着いたら1分間黙祷するから。ルートは各チームの先頭に伝えてある。それじゃもう出るから準備ができたら俺達の後ろに並んで。」 120台が一斉にエンジンかける音はジェット機よりもうるさい。イーグルが出て次がナイト。ウチのチームは一番最後で、後ろに谷先輩がいる。谷先輩が今日のケツモチらしい。 全員出るのに10分かかった。 お祭はまだ始まったばかり。
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すべてが終わり、俺達は新しいチームを作った。 誰からも文句を言われない、俺達が初代のチームだ。 頭は一平って奴がやる事になった。コイツは口ばっかりの調子いい奴で、俺と真也と同じ高校に入ってたけど、喧嘩にも参加しないし、女の前でだけ格好つけるために大きい事を言う、ちょっと友達にはなりたくないタイプの奴だった。なぜこんな奴が頭になったかと言うと、格さんがバカだから、アミダで頭決めようぜなんて言い出したからこんな事になっちまった。だけど、実質、格さんが頭みたいな感じだったから、一応飾りだけど頭として置いてみた。俺は特攻隊長になった。喧嘩や暴走でいつも一番最初に突っ込んでいく役。信号止めたり、検問に突っ込んだりは俺の仕事になった。特攻隊は、俺と信義の二人だけだったから、隊長って言っても名前だけだったけどな。真也は親衛隊長。真也の下にはマッキーってあだ名の奴がついた。こいつらの仕事はケツモチ。パトカーやヤクザがきたら死にもの狂いで奴らを止めなきゃならないって言う、なんとも損な役回りだ。 他にもメンバーはいたけど基本的に格さんと真也と信義と俺でチームのことは決めてた。 俺達はまず名前を売らなきゃならないから手近なチームを潰す事にした。標的は暴弾ってチームでけっこう昔からある、由緒正しいチームだ。人数は20人くらいだから、けっこうお手軽な相手だと思ってたのが間違いの始まりだった。
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その日から俺は団員集めを始めた。どーせやるなら中途半端はしたくない。真也と幸雄に声かけたけど奴らは拒否した。当然だ。俺だって進んではやりたくない。付き合いがいいジローだけはなんとか引っ張りこむことができた。1コ下の後輩達は強制参加だ。ちなみに奴らは入ったばっかりの時に俺に喧嘩売ってえらい目にあってる。1コ上の暴君に逆らう奴はいない。 「先輩命令は?」 「絶対です!」 これで決まった。あと一人前に出てやる奴が欲しい。でも周りの奴らは無理だ。俺は隣のクラスの博史って奴に声かけた。博史は悪いとかじゃないけどなんかクラスの中じゃ浮いてる奴だ。世間を斜めに見てるってかちょっとした変わり者だった。俺とは真逆の人間。コイツの事は1年の時にぶっ飛ばした記憶がある。たしか肩が当たったとか当たらないとかくだらない理由だ。とりあえず勧誘してみた。 「お前、応援団やらねー?」 「…嫌だ。」 愛想がない。きっとコイツ俺の事嫌いだ。 「なんで?やってみたら楽しいかもしんねーじゃん。やる前から否定すんなよ。」 「馴れ合うなよ。俺は一人が好きなんだ。」 「…お前変わってるね。友達とかいらねーの?」 「…いらない。一人が好きなんだからほっとけよ。」 ひねくれてやがる。でも俺は大人だからそんぐらいじゃ怒らない。 「じゃーわかった。悪かったな。でも気が変わったらいつでも来いよ。今日の放課後視聴覚室で待ってるから。」 博史はなんか言いたそーだったけどわざと無視してみた。放課後、俺は全員を集めた。 「応援団って言えば長ランだろ。お前らのサイズ書いてけ。」 もちろん通販だ。お代は学校持ち。チャンプロード片手に好きな奴を次々に注文用紙に記入した。いきなり視聴覚室のドアが開いた。博史だ。 「…いや、ちょっと様子見にきただけだから。すぐに帰るよ。」 やっぱり思った通りだ。コイツは友達作りがヘタな奴できっと自分をうまく表現する事ができない。だから人間嫌いを装おってただけでホントは友達が欲しい。要するに不器用な奴。俺はそんな奴を見つける事がうまい。寂しいのが嫌いで必ず誰かと一緒にいたがりだから。 「待ってたぞ!さっさと服のサイズ教えろ!!長ラン頼むんだから。」 博史は苦笑いしながら教えてくれた。まさかコイツとの付き合いがこんなに長くなるとはまだその頃の俺は思いもしてなかった。
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ここまでなめられたらもー引けない。俺は特殊警棒を握った。平和主義者の真也も同じ気持ちだ。真也はテーブルの上にあるガラスの灰皿に手を伸ばす。阿弥陀なんか関係ねぇ。俺達は徹底的にぶっ叩いた。ラリってふらふらの奴らに負けるわけない。10分もすると動かなくなった。 「日丸連合だ。喧嘩してぇんならいつでも来い。叩き潰してやる。」 俺はそー言って意識のほとんどない陸を担いで単車に向かった。 「さっさと地元戻ろーぜ。囲まれると面倒だ。このバカも連れて帰る。」 「飛ばすぞ。陸の事落とすなよ。」 俺達は阿弥陀の地元をあとにした。 「ごめん、やっちまった。多分、阿弥陀と戦争になる。」 俺は格さんに電話した。今回だけはミスった。感情に流されて思うがままに行動しちまった。 「…やっちまった事はしょーがねーよ。お前らは大丈夫なのか?陸はちゃんと帰ってきたか?」 「…俺達は全然大丈夫だ。陸はアンパンやっててラリってた。いまクイーンに着いた。みんな集めといてくれ。」 陸にはケジメをつけてもらう。真也は便所からバケツに水をくんできて陸にぶっかけた。
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俺はチョン高前にいた。どーせ喧嘩すんなら拐ったりよりタイマン張りたい。自分のわがままだけど俺が始めた喧嘩だ。テメーのケツぐらいテメーで拭きたい。迷ったけどこれが一番だ。信義、ごめん。ワラワラと奴らが出てきた。 「崔出せ。俺一人だ。」 「日本人なんて信用できる訳ねーだろ!素直に頭だすと思ってんのか!」 予想はしてたけどやっぱりそんなに甘くない。その日もボコボコにされた。でも次の日も俺は一人でチョン高に行った。また同じ事の繰り返しだ。次の日も、また次の日も。さすがに5日も繰り返すと奴等も気味悪がって近付いて来ない。おかげで顔中腫れてすごい事になってる。 「…テメーが5日も俺の事待ってた奴か。」 やっと崔が現れた。長かった。 「タイマン張れよ。元々は俺が原因の喧嘩だ。俺とそっちで一番強え奴で決着つけるのが筋だろ。それとも日本人が怖くて喧嘩できねーか?」 わざと逆上するような言葉で言った。だけど崔は至って冷静だった。 「…怪我が治ったら来いよ。それまで停戦しといてやるから。いまお前と喧嘩してもただの弱い者いじめになっちまう。俺達は日本人と違うからそんなカッコ悪い事はしねー。出直してこい。」 なめた事言いやがって。 「じゃー10日後。場所は佐伯水源でどーだ?」 佐伯水源はナイトがよく使う集合場所。チョン高からも近い。 「わかった。ビビって逃げんなよ。」 「テメーこそだ。怖かったら国に逃げ帰ってもいいぜ。」 そー言って俺達は別れた。正直、この崔って奴は当時のヤクザドラフトに引っかかるくらい喧嘩が強くて有名だった。イーグルのマイク先輩、雹のみっ君、ウチの格さんとそしてチョン高の崔。その4強の一人。神風でも吹かない限り勝てそうーもない。我ながらバカな事したと思ったけど俺達みたいなのはマグロと一緒で動いてないと死んじまう。なめられたままじゃー終われない。この頃の俺達、つまんないプライドに命懸けてた。母ちゃん、ごめんな。アンタの息子は想像以上に大バカだ。
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10時になった。久しぶりの喧嘩だ。テンションが高い。 「今日はナイトがくるから。寿連合ぶっ叩いたら浜で合流すっから気合いれてけよ!」 格さんが言った。 寿連合は今日走るらしい。その辺はリサーチ済みだ。奴らも浜に向かってくるから51号線でかち合う。弱小暴走族が。ぶっ潰してやる。 みんな一斉にエンジンかける。緊張するけどこの瞬間が一番好きだ。 「いくぞーウラァ!!」 格さんの掛け声で俺達は走り出した。 俺と信義が持ってる特攻隊も奴らの地元に入らせてる。後と前から挟みうちだ。 10分も走ると前から群れが来るのがわかった。寿連合だ。奴らも気付いたらしく、止まった。 51号線は完全に封鎖された。 向こう側から木刀が飛んでくる。開戦の合図だ! 前から俺と信義が行く。 喧嘩のときは精一杯キレてる奴を演じる。腕力が強い奴よりも金属バットで頭に向かってフルスイングできる奴の方が怖えぇ。誰だってそーだ。 最初は威勢のよかった奴らもさすがにキレてる奴らは相手にしたくないらしい。しかも後ろからも挟まれてる。 あっと言う間に奴らは単車を置いて両側に散っていく。でも頭だけは逃がさない。俺と信義は頭を捕まえて徹底的にフルボッコにして拐った。 ウチのカンバンなめてた奴だ。見せる地獄は少しじゃ済まない。奴らの乗り捨ててった単車とチームの旗に火をつけて喧嘩は終りだ。寿連合の頭は裸にして浜の真ん中に縛ってきた。これで二度と俺達にはたてつけない。 ナイトが合流した。このチームも今年代替わりして、格さんの友達が頭になった。 夜の浜は無法地帯だ。夜はまだ長い。俺達の時間は終わらない。
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格さんが引退して信義が頭になった。元々、変なカリスマ性を持ってた信義はチームをまとめるには最適な奴だ。ただ、イケイケな面が多くて少し心配になる。揉め事は前より少し増えたけど本格的な戦争はなかった。退屈な日々。そんな時、格さんから電話がきた。 「前に言ってた引越しなんだけど今週の日曜来れるか?」 「いいよ。真也と二人で行くわ。」 「ありがとな。そしたら朝、7時頃に俺んち回ってきてくれ。遅れんなよ!」 「OK。テメーこそちゃんと起きてろよ!んじゃ、日曜な。」 …忘れてなかったのか。ちょっと憂鬱だ。真也は全然わかってないと思うけど、ヤクザの事務所の引越しなんて怖えぇしやりたくねー。ただ金受け取っちまった手前、断れないからたちが悪い。なんもなきゃいいけど。 日曜日。ちゃんと早起きして格さんちに向かった。土曜の夜、走ってたからねみぃ。格さんはジャージ姿で表で待ってた。 「ぶはっ、なんだその頭wwww」 パンチパーマになってた。 「うっせーなー!強制なんだからしょーがねーだろ!そんなに笑うな。悲しくなるから。」 強制パンチ。格さんは俺達の中ではモテた方だ。でもいまはパンチ。 「彼女なんも言わなかったのかよ!そんな頭、中坊の時以来見てねーよwwww」 「幸子にはまだ見せてねーよ。見せられる訳ねーだろ!こんな極短パンチ!」 「朝からいいもん見せてもらったわ。じゃー帰っから。またな。」 「ふざけんな!今日は1日強制労働だ!帰るならお前もパンチな。」 こんな笑える頭した奴と一緒に引越ししたくない。けどしょーがねー。 「わかったよ。とりあえずどーすりゃいい?」 「兄貴んち行ってそっから車だ。あと兄貴の手を見ても絶対突っ込むなよ。一昨日詰めたんだ。」 一気に現実に戻される。詰めたって事はなくなったって事だ。 「…何かやったの?」 「俺もくわしくはわかんねーけど、1時間ぐらいのたうちまわって詰めたらしいよ。だから絶対突っ込むなよ!」 「…わかった。じゃーさっさと行こーぜ。なるべく早く終わらせたいからさ。」 なんかわからんけどヤクザって大変だ。問題起こしたら指詰めるなんて都市伝説だと思ってた。俺達は智光先輩んちに向かった。
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一平の葬式が終わって1週間。香織は相変わらず口を聞いてくれない。 みんな必死にいつもと変わらない日常を演じようとしてる。でもふとした瞬間にあいつらを思い出して切なくなったりはする。 ある日警察から電話がかかってきた。 「森島だけど。斎藤か?西山(一平)と金村(ヤマト)の件で聞きたい事あるんだけど。明日、署の方にこれるか?」 「…別にいいですよ。明日、何時ですか?」 「じゃあ10時でどうだ?」 「10時ですね、わかりました。」 そー言うと俺は電話を切った。 次の日俺はみんなに内緒で警察署に行った。こんな事が続いてばっかりでみんなに心配かけたくなかった。 「おう、よく来たな。とりあえず座れ。」 前来た時と違い、やけにフレンドリーだ。 「今回は残念だったな。西山と金村。」 「そーですね。」 「相手の運転手は起訴されたよ。」 「そーっスか。言っといて下さい。外で会ったら殺すって。」 「そんな物騒な事言うなよ。それよりお前ら運転手の事殴ったんだってな。事故の相手でも殴っちまったら立派な傷害事件だぞ。」 「じゃー捕まえて下さいよ。俺が一人で殴ったんで。」 「…被害届は出てないよ。相手も良心ってもんがあるだろ。」 「じゃー今日は何で呼んだんですか。別に用なんてないじゃないですか。帰りますよ。」 「待てよ。コーヒー1杯くらい付き合え。今回の事でお前はどー思った?西山と金村が死んで何も感じなかったか?」 森島が続ける。 「俺はお前らみたいなの何人も見てきた。だから言う。もうやめろ。いつかお前らも死んじまうぞ。いまなら引き返せる。また誰かが死んでからじゃ遅いんだよ。」 「…誰かに説得してくれって頼まれたんですか?」 どーやら図星だ。 「西山のお母さんとお前の彼女からな。西山の葬式の時に頼まれた。いい彼女じゃねーか。本気で心配してたぞ。」 「…そーですか。でもまだやめらんないですよ。俺達にはこれしかないから。」 「…そうか。いまなら分かりあえると思ったんだけどな。しょうがない。また敵同士だ。でも俺にじゃなくて彼女にでいいから約束してやれよ。絶対死なないって。」 「…わかりました。森島さんって案外、女にはやさしいんですね。」 「バカな事言ってないで帰れ!あと次は必ず捕まえてやるからな。覚悟しとけ。」 「捕まえられるもんならどーぞ。俺達は絶対捕まらないし、死なねーから。」 俺はそー言って警察署を後にした。