約 63,421 件
https://w.atwiki.jp/critic/pages/128.html
妄想体育教師 ~ブルマの筋は通してもらいます~(Heat-Soft)/2008/05/02 シナリオ:蜜村あんず/亮精類 原画:とんぷう 音楽: [あらすじ] -OHPより抜粋- シナリオ:15/30 テキスト:16/30 グラフィック:7/10 サウンド:7/10 システム:6/10 基本点:10 総合:61/100 レビューは後日
https://w.atwiki.jp/hunan3936/pages/25.html
5in1100mw 緑 レーザーポインター教師会議用多機能レーザーペン満天星グリーンレーザー 5in1満天の星レーザー: サイズφ13.5* 160mm 出力波長:532nm 出力電力:100mw 回路制御:APCライン 動作電圧:DC3V 動作電流: 450mA 働く温度:20-30℃ 保存温度:10~40℃ 緑レーザーペン 違った満点の星キャップを転換出来て、違った図ポインター出来ます。 図それぞれは満天の星、鳥の巣、時間のトンネル、方形の点点、シングルドットビーム5種で、 娯楽などの場所のロマンチック雰囲気を増加でき、ファッションなものです。プレゼントとしても最高だと思います 教師、会議用レーザーペン。 満天星レーザーポインター 100mwレーザーペン ご注意してください: ●人や動物を照らさないでください。 ●他人の住居や会社に光を照射しないでください。他人に迷惑をかける原因にもなります。 ●本品はお子様の手の届かないところに保管してください。 ●使用しないときは電池を取り外してください 5種星レーザーペン。 弊店のLINE ID:lasershoping
https://w.atwiki.jp/610696/pages/13.html
通称「ツナ」。10月14日生まれの天秤座でA型。家光、奈々を両親に持つ生粋の日本人(しかし、曽曽曽祖父である初代ボンゴレがイタリア人である)。14歳(中学2年生)時点で、身長157cm、体重46.5kg。勉強も運動も苦手で何をやらせても冴えないため、周囲からは「ダメツナ」と呼ばれている。並盛中に通う中学2年生(ロンシャン編(アニメでは黒曜編直後)までは中学1年生)。好きなゲームは音楽ゲー、落ちゲー。好きな音楽は歌謡曲。子供の頃の夢は巨大ロボになること。将来の夢は京子との結婚。非常識な出来事を受け入れてしまう人物が多い作中において、数少ないツッコミキャラである。ジャンプ誌上の人気投票では、第1回2位→第2回1位(人気キャラ部門)→第3回2位(男性部門)。 なお、本編では1人っ子だが、本編開始前に『週刊少年ジャンプ』に掲載された読みきり版では姉が居るという設定になっている。 《性格》 何かにつけて気弱で逃げ腰、諦めがちであったが、話の進行につれて次第と正義感や勇気を持つ性格に成長していく。元来争いを好まない性格であり、超死ぬ気モードでは普段とは打って変わって冷静沈着な言動が目立つが、それでも戦闘中ですら非情になることはなく、相手に対し同情することもある。その優しい性格は、穏健派と言われる9代目ですら「マフィアのボスにはあまりにも不向き」と言わしめるほどである。 《交友関係》 同じ並盛中に通う笹川京子に対し好意を抱いているが、三浦ハルから一方的に思いを寄せられている。面倒見が良く、居候であるランボやイーピン、フゥ太とは本当の兄弟のような関係を築いている。 獄寺隼人からは最初、同い年で日本人のボス候補ということで信用されていなかったが、対決した際に命を救ったことでそれ以降は「10代目」として慕われている。また、笹川了平からは死ぬ気状態のツナに負けて以来、「ボクシングの才能がある」と確信されてしまい、ボクシング部にしつこく入部を勧められている。 《マフィアのボス》 イタリアンマフィア「ボンゴレファミリー」初代ボスの末裔で、ファミリーから10代目ボスの次期後継者候補に選ばれ、そのための家庭教師としてアルコバレーノのリボーンが派遣されている。しかしツナ本人はマフィアになることを頑なに拒んでおり、また赤ん坊に教育されることに困惑しているため当初リボーンを従弟だと紹介していた。 ボンゴレファミリーのボスに必要不可欠な「ブラッド・オブ・ボンゴレ」を受け継いでおり、「超直感」という常人を遥かに凌ぐ直感力を持っている。「小言弾」を使用して超死ぬ気の状態となった時に超人的な力を発揮し超直感が研ぎ澄まされるが、死ぬ気状態でなくても超直感を見せることがある。 武器は初代と同じ死ぬ気の炎を灯すことが出来るグローブで、「X(イクス)グローブ」と呼ばれる。ボンゴレリング争奪戦で後継者争いに勝利し、正式にボンゴレファミリーの正統後継者となる。その証として「大空のリング」を持つ。 《VS黒曜編》 並盛中の生徒が黒曜中の生徒に襲われるという事件が起きた後、9代目ボスからの指令によりリボーン、獄寺隼人、山本武、ビアンキらと事件の首謀者・六道骸のアジトである廃墟「黒曜ヘルシーランド」へ乗り込む。六道骸の影武者・ランチアと対戦し、ランチアの元来の性格を見抜くなど、この頃から常人より優れた直感力を発揮するようになる。 六道骸本人と対峙した後、骸にマインドコントロールされたフゥ太の“望むこと”を直感しマインドコントロールを解く。しかし、この段階での骸自身との戦いでは、獄寺とともに駆けつけた雲雀恭弥に救われる形であった。その直後の憑依弾による骸の非道な手段に怒り、ハイパー死ぬ気モードや研ぎ澄まされた超直感により、骸に憑依された千種と犬を圧倒し、同じく憑依状態にある獄寺とビアンキを身を挺して救うなど見違えるほどの活躍を見せた。最後は骸との激戦の末、人間道のどす黒いオーラを死ぬ気の炎で浄化し、勝利を収める。 《VSヴァリアー編》 骸との戦いを終えた後、街中で戦闘に巻き込まれる。獄寺・山本らとともにスクアーロと交戦するが、通常の死ぬ気モードでは全く歯が立たなかった。ボンゴレファミリーに伝わるリングと、自分以外の10代目候補XANXUSの存在を知り、否応なくリング争奪戦に臨むこととなるツナであったが、争奪戦を通じ大きく成長していくこととなる。 リング争奪戦の雷戦では瀕死のランボを助けるが、妨害行為とみなされ大空のリングは没収されてしまう。ランボを守ったもののリングを失ったことに悩むツナであったが、「もっと強くなりたい」との思いからリボーンやバジルと零地点突破の修行を開始する。 死ぬ気の零地点突破を完成させ並盛中へ向かい、雲戦で雲雀に敗れ暴走していたゴーラ・モスカを倒すが、動力源とされていたボンゴレ9代目に重傷を負わせてしまう。自らの野望のために9代目すらも利用してボスの座を奪おうとするXANXUSに対し、10代目を継がせないことを決心する。大空戦ではXANXUSの憤怒の炎と銃の組み合わせに圧倒されるが、戦いの最中に「死ぬ気の零地点突破・改」「死ぬ気の零地点突破・初代エディション」を習得し、自身もボロボロになりつつ勝利を勝ち取る。 《未来編》 〈10年後のツナ〉 ボンゴレ10代目の道を歩んでいるようで、並盛町の地下にボンゴレファミリーの重要拠点を建造するなど手腕を振るっている。日頃からボンゴレの存在自体に疑問を持つなど争いを好まない性格は変わっていないようで、争いの火種となるという理由からボンゴレリングを破棄するよう守護者に指示している。 ボンゴレボスとなる覚悟が試される試練を乗り越えた末、Xグローブ Ver.V.R.を完成させており、10年前のツナがラル・ミルチとの特訓の末たどり着いた戦闘力を遥かにしのいでいたとされる。 ミルフィオーレファミリーによってボンゴレ本部が壊滅させられた後、交渉の場に赴くが、その場で射殺されてしまったらしい。 〈現代のツナ〉 10年バズーカに撃たれたリボーンが帰ってこないことを大人ランボに聞こうとし、10年バズーカを使わせようとするが誤って自らが当たってしまい、9年10ヶ月先の未来に飛ばされた。現代のツナが目覚めたのは棺桶の中であった。同じく10年後に飛ばされた獄寺と再会し、ラル・ミルチ、10年後の山本らに助けられ、10年後の世界の説明を受ける。その後、太猿と戦い、見事勝利。ラル・ミルチとの修行では、リボーンのアドバイスでリングに炎を灯してボックスを開け、中からおしゃぶりを取り出した。 その後、ラルが家庭教師となり、リボーンから任された雲雀相手に特訓を行う。雲雀との修行の最中、異例の若さでボンゴレボスとなる覚悟が試される試練を乗り越え、XグローブをVer.V.Rへと進化させる。また、感覚が掴み易い通常のXグローブの炎(「柔の炎」と例えられる)と、爆発的なエネルギーを持つが扱いにくいver.V.R.の炎(「剛の炎」と例えられる)を組み合わせた新必殺技「X BURNER(イクス バーナー)」を修得する。 ミルフィオーレの基地に突入した際には、遭遇したデンドロ・キラムと戦闘し、未完成のX BURNERで圧勝する。その後、ジンジャー戦で消耗したラル・ミルチに代わりストゥラオ・モスカを押さえるための囮となるが、スパナ操るキング・モスカの前に絶体絶命のピンチに陥る。自身最強の技であるX BURNERを万全の体制で放つことを狙うもままらず、リボーンの助言で捨て身で空中X BURNER「X BURNER AIR(イクス バーナー エアー)」を放ちモスカを破壊するも、反動に耐え切れず壁に激突し気絶してしまうが、X BURNERに興味を持ったスパナによって助けられ、スパナからX BURNERの完成のための協力を受ける。 《関連項目》 特殊弾 死ぬ気弾(死ぬ気モード) 小言弾(ハイパー死ぬ気モード) 死ぬ気丸 死ぬ気の零地点突破 零地点突破 改 零地点突破 初代エディション Xグローブ Xグローブ Ver.V.R(Xグローブ バージョン・ ボンゴレ・リング) リング 大空のボンゴレリング ランチアのリング X BURNER(イクス バーナー)、 X BURNER AIR(イクス バーナー エア) キャラクタートップへ トップページへ
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/956.html
ここは朝の職員室。いつものように賑やかな職員会議が行われている・・・ はずだった。 水「それ・・・ほんとなの?」 真「あんまりなのだわ!」 薔「・・・いっぱい思い出・・あるんだよ?」 雪「・・・許せない・・。」 金「それは流石に酷すぎるかしら~・・。」 翠「ななな何かの間違いじゃねぇんですか?!」 蒼「翠星石落ち着いて!それと雪華綺晶先生はバズーカ下ろして(汗」 雛「学校が無くなっちゃうなんて嫌なの~(グスン」 廊下で話を聞いていた巴は固まっていた。 巴(学校が無くなる?どういうこと?) ロ「無くなるって言っても会えなく成る訳じゃないから・・・ね・・・?」 ラ「市の決定なら仕方ありませんね・・・」 どうやら市の命令で有栖学園が取り壊されるらしい。 教師陣にいつもの明るさは無い。 水 真 薔 雪 金 翠 蒼 雛 「私達で・・・阻止してみせる!(わぁ)(のだわ)(かしら)(ですぅ)(のー)」 水「ここを取り壊されたらめぐと毎日会えないじゃない!そんなの御免だわぁ!」 薔「皆の思い出・・壊させない・・・!!」 雪「バラシーの為にも・・・!」 雛「巴との時間が消えちゃうのー!そんなの嫌なのーーー!!!!」 巴「先生・・・」 巴は教室に走った。 巴「皆聞いて!!」 巴は事の経緯を話し始めた。 ローゼンの騒ぎっぷりが市民の反感を買ったこと、銃を乱射する先生の存在 サボリ魔、悪戯、ブッチャケ兎。 市民の不満は相当な物のようだ。 JUM「だからって廃校は・・・」 めぐ「先生がそんな事を・・・(ポ」 オディール・コリンヌ「・・・なめやがって・・・」 巴「ちょ!めぐちゃん?突っ込む所違うんじゃ? オディールさん達何武装始めてんの!!?」 巴の必死の静止によってとりあえず市民の安全は確保された。 めぐ「でもどうすれば・・・」 巴「とにかく生徒皆に協力を仰ぎましょう!新聞部集合!!」 クラスに居た新聞部が集まった。 巴「話は聞いたわね?早速作業お願い!」 新聞部A「わかった!BはDとCに手伝ってもらえるよう頼んで来い!俺は紙と道具を用意する!」 新聞部B「OK!」 カリカリ カリカリ 巴「デキタ!A!コピー!!」 A「はいな!」 巴「新聞部にできるのはこれぐらいかな・・・」 その日の朝、生徒に一枚の手紙が配られた。 「 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |号外 有栖学園廃校の危機! | | | | ○月×日 | |単刀直入に言います。 | |有栖学園は市の決定により廃校の危機に立たされ| |ています。 | |生徒と教師、一丸となってこの危機を乗り越える| |策を考えましょう! | |各クラスから数名の代表者を出し会議を開きます| |ので、ご協力の程宜しくお願いします。 | | | | 柏葉巴 他 |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 生徒一同「・・・これ・・・マジだよな?」 薔「柏葉さん・・・何でこの事を・・?」 巴「そんな事はどうでもいいです。 今は何故?よりどうすれば?でしょう?」 薔「柏葉さん・・。そうだね・・・!・・・皆でなんとかしよう!」 -その日の午後- 雪「会議を始める!面倒な事は一切抜きだ!何か案があるヤツは手を上げろ!」 射撃部A「ハイ!!」 雪「自信有りげだな・・・A、言ってみろ」 A「射撃部・剣道部で殴りこ「却下」」 A・・・orz 雪「貴様はアホか?余計評判悪くしてどうする!」 薔「・・・皆で町のゴミ拾い活動・・・とかわ?」 一同「おぉぉぉぉ」 雪「反対意見は?無いな。受理!他!!」 水「水着でデモ行進なんてどぉ?男は一発よぉ?」 雪「却下」 水「どうしてよぉ!?」 雪「デモのような直接的な活動は反発も呼ぶ可能性が有るからだ。他!!」 翠「町を花だらけにして廃校にするなんて物騒な考えを消し去るですぅ!」 雪「ふむ・・・後日検討ということで」 ちなみにこの会議は夜中まで続いたという・・・。 -同時刻の校長室- ロ「コレだけは使いたくなかったんだけどなぁ・・・。」 手には何やら携帯電話の様な物が握られている。 ラ「仕方ありません。廃校の危機ですから。」 ロ「だってこれ使うとあっけなさ過ぎるよ?読者の皆がガッカリするよ?」 ラ「アナタが撒いた種でしょう?」 ロ「そうだけどぉ・・・」 ラ「早いほうがいいですからとっとと使ってください」 ロ「あ!!そうだ!やっぱりさ」ラ「ウッサイダマレ!使えばいいんだよ、この馬鹿校長!!!」 ロ「わ・・・わかったよ・・」 -翌日- ロ「というわけで!これからもヨロシクね⌒☆」 水 真 薔 雪 翠 蒼 金 雛 「昨日の努力はなんだったの・・・(よぉ)(だわ)(かしら) END
https://w.atwiki.jp/ohomodachi/pages/14.html
教科別に書き込んで下さい。 大賢者(校長) パワーポイント(校長) 一般教師 長老(現代文・古文) ビブリオ(古文・現代文) 5点(古文) ばう~(漢文・古文) ありやなしや(漢文) 下ネタ伝道師(厨2漢文) Cube(英語1) パヤノ神(英語1) あっちゃん(英語2) イナニー(英語2) ATG(英語) ともちゃん(英語) 柴GAY(英語2) 河童(数学α・数学β) しみてつ(数学α) たわし(数学β) きべちゃん(数学βΩ) てるお(地理) ふっち~(地理) ターミネーター(公民) 無神論者(公民) いしい(倫理) なま田(地域学習) 全手動バイブ(地学) 若造(地学) 師範代(化学) Dr.和田重(生物) キノジロー(物理) ワンリキー(体育) キャッツアイ(体育) 速攻だ(体育) 海の家(体育) コーラ爆弾(保健) 鶴瓶師匠(美術) ワクワクさん(技術) できちゃった(技術) 全反射(音楽) St(英会話) Db(英会話) Vc(英会話) Ed(英会話) 研修生 ラリ岡(多教科) 残念賞(公民) パワータイプ(歴史) その他 東大僧侶(講演)
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/66.html
蒼「……で、ここでは様々な解き方ができるんだ。今回は、帰納法というものを使って……」 「…ホント分かりやすいよねー」「マジいいよね~。美人だし~」 「しかも運動も出来るんでしょ?完璧だよね」「あー私も蒼星石先生みたいな人になりたいなぁ………」 蒼「………皆、お疲れ様~」 ボクはいつもそう言って帰る。ある部活の顧問もやっているけど、今日は翠星石先生に代わってもらった。 かなり不安だけど…大丈夫だよね。 紅「あら今日は早いのね」 蒼「少し用事があるからね」 苺「お疲れなのー」 金「お疲れ様かしらー」 そう。少し用事があるんだ。ほんの少し用事が… …翠星石先生の心配をしている場合じゃないのかもね。ボク自身の事も心配しなきゃならない…のはわかってる。 「先生、さよならっす」 「蒼星石先生さよなら!」 「先生またわからないとこ出来たから教えてください!」 蒼「さようなら。悪いけどまた明日でいいかな?」 帰り際生徒達に会うと、どんな生徒でも必ず挨拶をしてくれる。ボクを慕ってくれてるのかな? …確かによく先生のようになりたいと言われる。他の先生からも羨ましい、凄いと言われている。 でもボクはそんなに目立つわけじゃないし、特別美しいわけじゃない。ただの一教師だと思ってる。 だけど、ただの一教師だからこそ生徒のことを大切に思って、愛して、真剣に彼等と向き合っている。 …そんな事を考えながら帰路に向かう。 「あら、蒼星石さん。今日はもうお帰りですか?」 蒼「はい。今日は少し用事があるので」 「そう。いつも頑張りすぎてるからたまにはゆっくりお休みなさいね。 あなたの評判は町中の噂ですよ」 蒼「ありがとうございます」 いつもの帰り道を歩く。夕焼けが紅く染まって美しい。まだ肌寒い風が頬を撫でる。人々が笑いあう。話し合う。 いつもの帰り道。いつもの町並み。いつもの光景。 ふと、小学生の軍団が前を走り抜ける。と、小学生達はおいかっけこをやめ、彼女を見、蒼星石先生だ!とはしゃぎ始めた。 蒼星石はにっこり笑い、危ないからあまりはしゃぎすぎちゃだめだよ。と応える。 小学生達はは~い!と言い、また走って行ってしまった。 蒼星石は街の人々にもとても信頼され、人気がある。まさに理想の教師、いや理想の人と言えるのかもしれない。 蒼星石は、その小学生達が見えなくなるまで彼等の後ろ姿をじっと見ていた。 …何てのどかで良い街なんだろう、と思う。それぞれが豊かな表情をしている。「生きる事」を堪能している。 蒼星石はそんな街で暮らしている自分が喜ばしく、誇らしげに思う。 そしてまた歩き出す。 自宅に向かって。 蒼「ただいま」 誰もいない部屋に向かって呟く。 学校から25分ほど歩いて行ける、ちょっと色褪せたアパート。 彼女はそこに一人で住んでいた。 部屋の中は殺風景…と言うわけではない。少し古風な感じが漂う。いっさい散らかることなく綺麗に整えられている。 目につくものと言えば、やはり書物の多さ、だろう。そこには漫画などの娯楽雑誌は一切ない。 数学の教材や、年季の入った分厚い本、読み込んでいるのであろう小説。様々な本がある。 蒼星石は着替えもせず、部屋の中心にあるこたつの中に入り寝転ぶ。 あれ?用事は?そう思う方も多いだろう。今に分かることなのだが。 少しうとうとしつつも、彼女は何かをじっと待っていた。天井を見る目は何故か少し辛そうな目をしていた。 ━━━光る風を追い越したら~ 静かな空間に突如として鳴り響く着メロ。 蒼「………きた」 蒼星石は体を起こし、少し深呼吸、さらに一息おいて電話に出た。 蒼「………もしもし。蒼星石です」 『よお。俺だ』 蒼「……わかってるよ」 顔が少しこわばりながらも応える。 『…分かってるだぁ?分かってるんだったらさっさと返してくれんかのぉ!?』 蒼「……先月の分はちゃんと払ったはずだよ」 『…はぁ…聞いてないのかよ。足りてねぇんだよ!親御さんの分がよぉ!』 蒼「……そんなはずはないよ。両親はちゃんt」 『足りてねぇもんは足りてねぇんだよ!!とにかく明日までに振り込め。借りたもんはきっちり返してもらわんとなぁ』 蒼「…わかったよ。いつもの口座でいいんだね?」 『ああ。払わなかったらお前の家のもん全部売り払っちまうからな。それかお前を』 蒼「わかってるよ……じゃ」プツッ 蒼「ふぅ…」 蒼星石は溜め息をつき、ずっと握った携帯電話を放り投げ、青を基調としたベッドの上に寝転がった。 手が少し汗ばんでいる。もう馴れているはずなのに、まだ恐怖しているのだろうか。 …いや、馴れてなどなかった。あの時の恐怖は今でも忘れられない。 そして恐怖からかベッドの横の壁にもたれ座り、膝を抱え、首を屈めた。 そっと目を閉じ、この脳に染み付いた恐怖から逃れようとしていた…。 ━━━突如、蒼星石はハッと目を覚ました。もう部屋は暗闇に包まれて時計の秒針の音だけが響いている。 蒼「やっぱり思い出しちゃったな…」 蒼星石は思い出していた。 昔のこと。両親の経営していた会社が倒産したこと。 昔のこと。莫大な借金を抱え、今まで優しくしてくれていた人々が離れていったこと。 昔のこと。借金取りが家に乗り込んできた時のこと。 昔のこと… 蒼「…『むかしのこと』それで済ませることが出来ればいいのにな。 でもそれで済まされるはずもないよね。帳消しなんかできないもんね。 …ボクの選択は間違ってないよね。やりたいことをやらないといけないよね… 『いきること』を堪能しなきゃ駄目だよね…」 膝を抱える腕に自然に力が入る。暗闇の部屋の中一人、そう呟いていた。 何故両親の借金であるはずなのに、蒼星石も返済しているのか。 理由は一つ。教師になる直前、蒼星石自身が、自ら全額返済したいと言ったからだった。 …当然両親は反対した。これは自分達の問題だと。お前に今まで迷惑かけたのにこれ以上迷惑はかけられないと。 だが蒼星石は頑としてその意見を曲げなかった。 親への恩義、そして親の苦労をずっと見てきた彼女には自分だけのうのうと暮らしていくのは嫌だったのだろう。 そして話し合いの結果、両親と蒼星石で負担して返済していくことになった。 父親、母親は何度も泣いて謝っていた。だが蒼星石はボクが決めた事だからと笑って応えていた。 そうして時は流れた今。毎月蒼星石決まった額をきちんと返済していた。 今回の電話はどうしても両親が払えなかったのだろう、少々金額が足りなかったらしい。 それだけだ。別に困るほどの生活はしていない。そう思っている。 だが、この住んでいるアパート。ふるびていて、他の部屋の住人も好い人、というわけでは決してない。 食事も裕福に食べているとはあまりいえないだろう。 節約にあれこれ頭を捻り、どうにかして無駄金を減らそうと努力している。 ふと思う。両親に自分が返済するなどと言わなければもっと学校に近い良いマンションが借りられるのではないか? もっと外食にも行け、自分の好きな本を買うことが出来るのではないか? …そう思ってしまう。 蒼「ボクの選択は間違ってないよね…。お父さんお母さんが苦しんでるのはもう見たくないもんね… 自分だけ幸せに暮らしても心が晴れるわけないよね…」 涙が溢れる。悲しくないはずなのに。 一層腕に力が篭る。膝を抱き締めすぎて震えている。それとも体の震えか。 そうして一人、暗闇の中にいた瞬間。 ━━━な~つがすぎ~かぜあざみ~ 携帯の着メロがなった。 蒼星石は体をビクッと震わせ、光っている携帯を見た。 また彼からだろうか。そう思ったが、その考えはすぐに消えた。 着信のはずなのに先程とは曲が違う。特定の相手だけ着メロが変えられると言うものだ。 そしてこの電話の先が誰であるのかと言うことも分かった。 蒼星石は涙を拭い、そっと携帯電話を手にとり、話始めた。 蒼「……もしもし。ボクだよ。何か用かい?」 …ちょっと前の出来事。蒼星石が職員室でいつも通り仕事をしていた時だった。 ―――みかんみかんみかーん!! その当時の彼女の携帯電話の着メロが鳴り始めた。 その瞬間、蒼星石は突然携帯電話を手に取り職員室を飛び出してしまった。 他の先生は?マークが浮かんだだけであまり気にとめなかった。 借金取りからの電話が急になったのだ。 人の通らない場所でいつものように対応する蒼星石。 でも顔にははっきりと恐怖が写っていた。 そして電話も終わりほっとしていた時、そこにたまたま彼女が通りかかった。 蒼星石は逃げようとしたが、彼女がそれを許すはずもなかった。 仕事が終わった後、二人で飲みに行って事情を説明すると言う約束を無理矢理取りつけた。 そして仕事も終わり、飲みながら事情をぽつりぽつりと話した。 その話を聞き終わった後、彼女は何故今までそんな大切な事を話してくれなかったのかと泣き始めた。 蒼星石は彼女に迷惑がかかるし、やたらとお節介をかけられるのも悪い気がするので言いたくなかった、と答えた。 すると彼女は蒼星石の頬をはたいた。さっきよりもさらに泣きながら彼女は言った。 迷惑かかってもいい。お節介なんかでいいならいくらでもする。だから一人で何でも抱えこむな。と。 いつもはどこか素直じゃない彼女が本気で泣いて怒って、自分を叱ってくれた。 真剣に自分のことを心配して、泣いてくれたのだ。 蒼星石も自分のこと、考え、感情を隠さず話し………泣いてしまった。 彼女はそれを全て受けとめ理解して、慰め、励ましてくれた。 …それから二人は親友となった。 蒼「……もしもし。ボクだよ。何か用かい?」 『何か用かい?じゃないですよぅ!バカにしてるんですか!?』 蒼「うるさいよ…そんなに叫ばないで…」 『うるさくなんかないです!人がどんだけ心配したと思ってるんですか!?』 蒼「あれ、素直に心配してくれてたのかい?」 『うっ…うるせーです!とっ、とにかく大丈夫ですか!?涙声ですよ!?』 蒼「まっ…まずは落ち着いてよ…。………うん。大丈夫だよ」 『嘘です!全然大丈夫じゃねーです!私の耳に間違いはねーです!』 蒼「いや…大丈夫だよ。特に何もなかったよ」 『ぅぅ~……信じていいですか?』 蒼「うん。心配かけてごめんね」 『ほんっと迷惑なやろーです!…でもまた何かあったら私に相談するですよ?』 蒼「うん。本当にありがとう」 『…また明日です』 蒼「…また明日」プツッ 蒼「ふぅ……」 また先程のように溜め息をつく。握り締めていた携帯電話を放り投げる………などということはしなかった。 両手で携帯電話を包み、そっと胸に当てる。 何の温かさもない機械。でも確かに伝わってきた温かさ。 その機械の向こうから伝わってきた温かさ。素直じゃないけれど伝わってくる想い。 先生達の中で唯一自分の事情を知っていて、なおかつそれを理解してくれている大切な友人からの想い。 機械は媒介でしかない。だが蒼星石はそれをぎゅっと握り締めていた。 目頭が熱くなってくる。涙が頬を伝い、手に当たっては弾ける。 蒼「本当に素直じゃないのはどっちだろうな…」 そう、泣きながらかすれた声で言った。鼻水をすする音が辺りに何度も響く。 すると突然蒼星石は立ち上がり、カーテンをあけ窓から空を見上げた。 窓から優しく差し込む月明かり。それが、蒼星石の陰を描き出す。 蒼「月……綺麗な満月だ……」 蒼星石は吸い込まれるようにじっと月を見つめていた。 自分の事を真剣に考えてくれている人がいる。何て幸せなことなんだろう。 良いものを食べるだとか、良い場所に住みたいだとか、そんな幸せはこの事に比べたらどんなにちっぽけだろう。 愛でるべき生徒達に囲まれて、素晴らしい教師達、友人達と働き、のどかな街に暮らし、大切な親友がいて… 十分なほど幸せな生活をしている。少しでも今の生活が嫌だと思った自分が嫌だ。 頑張ろう。自分で決めた道だ。後悔するはずがない。 蒼星石はまだ窓の前に立ち尽くし、空を見上げていた。 「ありがとう」 そう、呟いた。 ~Fin~
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/1000.html
はじめに…この作品は暴力表現、軽いレイプ表現、性格まる変わりの裏蒼星石がでます。 そのようなものに嫌悪感を抱く方はお気をつけください。 それはある雨の日のことだった。 ラ「では朝の職員会議を始めます」 いつものようにラプラスが一日の始まりを告げる。 しかし、一人の教師が声を上げる。 真「教頭!翠星石と蒼星石がいないのだわ」 その真紅の発言に他の教師もうなずく。 銀「翠星石はともかく蒼星石は遅刻なんかしないわぁ」 金「そうなのかしらー。休むにしたって連絡がくるのかしらー」 薔「でも、連絡はない…」 雛「ということはなにかあったのかしらー」 雪 コクリ ムシャムシャ(トーストをほおばる) 教師たちに一瞬にして詰め寄られたじろぐラプラス。 しかし、一つ咳払いをして落ち着きを取り戻す。 ラ「コホン。落ち着きなさい。まずそのことから話すつもりだったのです。 今、蒼星石先生は自宅に居ます」 真「なら迎えにいきましょう!」 金「かしらー」 雛「なのー」 そういって飛び出そうとする3人を水銀燈が呼び止める。 銀「待ちなさぁい、お馬鹿さんたち。蒼星石の居場所がわかっているなら この教頭が何にもしないわけないわぁ。でしょう、教頭?」 ラ「何かひっかかる言い方ですが、そのとおりです。 先ほど翠星石先生に迎えに行かせたところです」 薔「…いったい何が?」 ラプラスの話し方から尋常ではない事態が起きていることを悟った一同は 神妙な面持ちでラプラスを見る。 ラプラスはゆっくりと口を開く。 ラ「昨日の放課後のことです…」 『蒼星石先生ー、さようならー』 蒼『気をつけて帰るんだよ』 蒼星石は生徒たちに別れを告げ帰路に着いた。 その途中信号待ちをしていると、ある人影が目に入った。 蒼『ん、あれは…』 それは蒼星石のクラスの女子生徒だった。しかもなにやら様子がおかしい。 ひどくおびえた様子で歩いている。 蒼『何かあるな…』 そう思い声をかけようとした時、 パッパー!! 後ろからクラクションを鳴らされた。慌てて信号を見る。 すでに信号は青になっていた。バイクを発進させ適当なところに止める。 辺りを見回すも、すでに女子生徒の姿はなかった。 蒼『くっ!手遅れにならないといいけど』 そうして走り出す蒼星石。人目がつきにくいところを中心的に探す。 そして、 蒼『ハァハァ……っ!!』 ついに狭い路地の奥で女子生徒を見つけた蒼星石。 そこには蒼星石の理性を吹き飛ばすのに十分な光景が広がっていた。 『…せん…せぇ…』 女子生徒は胸と下半身を露わにして横たわっていた。 蒼『大丈夫かい!?』 といったものの大丈夫でないことは一目瞭然だった。 まぶたは腫れ、首には絞めつけられた痕があり、全身に殴られたであろうアザがあった。 蒼『誰がこんなひどいことを!?』 怒りを露わにする蒼星石。すると、 『オレだよ。センセ♪』 後ろから声がかけられた。 その声の主を敵意のこもった眼差しで睨み付ける蒼星石。 その眼差しに全くひるむことなくケラケラ笑いながら男は話す。 『そいつはオレの資金源なのよ。 だが、そいつ今日は払えねぇとかぬかしやがった』 蒼『…れ』 『だからお仕置きをしてやったのよ』 蒼『…黙れ』 『そいつの泣き喚く声といったら……!!』 そこで男は異変を感じた。異常なまでの寒気を感じているのだ。 その原因はすぐにわかった。 それは蒼星石から発している殺気のような威圧感のせいだと。 蒼『貴様の言い分はどうでもいい。 重要なのは貴様がボクの生徒に手を出したという事実だけだ』 そう冷たく吐き捨てる蒼星石。いつもの蒼星石とはあきらかに違う。 そのことに女子生徒も気付いていた。 (蒼星石先生…どうしちゃったの…) 普段の蒼星石はどんなときも感情をこめてものを言うが、 この時は全く感じられなかった。 蒼『貴様は重罪に値する。よって私刑を執行する』 『あ、ああん!ちょ、調子乗ってんじゃねぇぞ!!』 男は喉を震わせながら精一杯の強がりを見せた。 蒼『賢いものは引き際をわきまえる。それが出来ない貴様は屑ということだ。 最も、逃げたとしても貴様の結末は変わらない』 『う、うるせぇー!!ブッ殺す!!』 蒼『寝ぼけるな、殺すのはボクの方だ』 そうして駆け出す蒼星石。その眼は一片の感情も持ち合わせていなかった。 先に仕掛けたのは男の方だった。大振りの右ストレートだ。 しかし、蒼星石はそれをあっさりかわしそのまま男の懐にもぐりこみ、 強烈なボディブローをお見舞いした。男は嗚咽とともにその場にひざをついた。 一撃。一瞬で勝負は決まった。男はもう立つ力すらないようだ。 『せんせ……』 蒼星石に駆け寄ろうとした女子生徒は自分の目を疑った。 蒼星石が倒れている男にさらに攻撃を加えようとしていたのだ。 『先生!やめてぇぇぇー!!』 女子生徒の悲痛な叫びも届かず、蒼星石は男に蹴りを入れた。 バキッ そこから始まったのはまさに私刑。倒れている男に一方的に暴力を加える蒼星石。 蒼『痛いだろ。これがボクの生徒に手を出した報いだ。ハハハッ』 蒼星石は先程とは違い感情を露わにしていた。 しかし、それも普段見せたことのない感情だった。 まるで殺人快楽者のような、そんな感じだ。 男はすでに気絶していた。 蒼星石の足は真っ赤に染まり、どれだけの蹴りを入れたのかが見てとれる。 痙攣している男を一瞥し蒼星石は女子生徒の方へ踵をむける。 蒼『終わったよ、さぁ病院へ行こうか』 そういって女子生徒に歩み寄ろうとする蒼星石。しかし、 『来ないで…』 蒼『え?』 『来ないで…。私は先生も怖い…。だから来ないで』 その目は恐怖に支配されていた。それを見た蒼星石は再び辺りを見渡す。 その目に映ったのは気絶している男と血塗れの自分の足。 蒼『…これを…ボクが?ボクはただ生徒を… うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!!!!!』 ラプラスから事件の全容を聞いた真紅たちは声が出せなかった。 愕然とする真紅たちを見やりラプラスは続ける。 ラ「その後駆けつけた警察に蒼星石先生は連れて行かれ事情聴取をされ、 自宅に帰されました。そして今日学校で校長を交えてもう一度事情聴取を 行うはずだったんですが…」 銀「肝心のあの娘が来てないってワケねぇ」 ラ「はい、それで翠星石先生を迎えに行かせたのです」 銀「で、あの娘はどうなるの?」 雪「相手のケガの程度にもよります…。 正当防衛か過剰防衛かは微妙な所です…お姉様」 銀「そう、学校的にはどうするのぉ?」 ラ「まだ決めかねているところです。すべては校長次第ですが…」 銀「そうねぇ、ってあなた達!!何放心状態になってるの!?」 水銀燈と雪華綺晶以外は完全に心ここにあらずという感じだった。 真「だって蒼星石がそんなことをするなんて…」 金「信じたくないのかしらー…」 雛「蒼星石どうなるのー!?」 薔「………グスッ」 銀「何しんみりしてるの!あなた達が心配しても始まらないのよぉ。 翠星石と校長に任せましょう。私たちは生徒達に悟れないようにするのよぉ」 真「…わかったのだわ」 金「かしらー」 雛「なのー」 薔「…はい」 雪「了解…」 銀「じゃあいきましょう」 そうして職員室を後にする一同。 銀(頼むわよぉ、翠星石…。…校長もね) 外は冷たい雨が降っている。
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/108.html
真紅は学校が終わったので歩いて家に帰っています。 真紅(早く帰らないとくんくん探偵(再)がはじまってしまうのだわ) すると後ろから声をかけてくる人が。 警官「おや、真紅(しんぐ)先生。今日はもうお帰りですか?」 真紅「ええ。本官さんはパトロール。」 警官「もちろんであります!この町の安全が本官の勤めでぃすから。」 十数年自転車に乗っているが、相変わらず危なっかしいです。 真紅「ご苦労様」 警官「学校のほうはどうでぃすか真紅先生?不良生徒なんかいたりするとが?」 真紅「不良生徒より教師のほうが問題だわ。」 東北弁訛りが激しいこの警官のイントネーションが真紅は嫌いではないようです。 警官「そこは、真紅先生がガツーンといえばなんとがなりまずよ~。」 おや、まえを歩いていた生徒たちが喧嘩を始めました。 警官「こら~!そごの生徒たち!喧嘩をやめんかー!」 警官は自転車を力強く漕ぎ出すも、それに気づいた生徒たちも走って逃げます。 ガッシゃーン! 警官が転んでしまいました。「いででで。こらー!までー!」 真紅はというと家路に一直線。警官ともすでに別れていました。 真紅(くんくん・・・) しかし真紅は大変なことにまだ気づいていなかったのです。nのフィールドに迷い込んでいるという大変なことに。 そしてそのnのフィールドの主は 「3ね~んBぐみ~! き~んぱちせんせ~~! わーーーー」 FIN
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/565.html
金糸雀のデスクに一通の便箋があった。 だが、その便箋には切手も貼られていないし住所も書かれていない。 ただ真ん中に大きく 『みっちゃん』 と言う5文字が書かれているだけだった。 真「金糸雀、これ貴方が書いたの?」 ちょうどデスクに戻ってきた金糸雀に真紅が尋ねる。 金「うん」 真「名前はともかく、住所がないじゃない。 それに切手もないし」 当然の指摘をする。 宛先がないと、届くものも届かない。 だが金糸雀は少し寂しげに笑って首を横に振った。 金「いいのかしら……。この手紙は、これだけで届くのかしら」 ――――想いは空へ 金「お疲れさまかしら~」 金糸雀は職員室をあとにする。 真「…………」 その背を真紅は黙って見つめる。 放課後、金糸雀はいつもとは違う道を歩いていた。 あの便箋はしっかりと手に握られている。 金「この辺りも………変わったかしら」 ぽつり、と呟く独り言。 それもいつからか自分の癖になってしまっていた。 『……でもそんなアンニュイなカナも激萌!』 金糸雀はハッと後ろを振り向く。 そこには幼い自分がいた。 泣いている。 泣きながら誰かに謝っている。 彼女の手には壊れたアンティークドール。 金『ごめんなさい!ごめんなさいかしらぁぁ!!』 もはや叫び声に等しい謝罪は、『誰か』の腕に消えていった。 『いいのよ、カナ』 『あの人』と過ごした日々は決して忘れる事のできない、心の一部。 優しい温もりが、金糸雀に伝わる。 金「………」 手をのばす。幻影へ。 でも、突如、鏡が割れたかのようにその過去は崩れていった。 手は孤空を掴む。 目の前に残るのは冷たいアスファルト。 金「……あるわけないかしら」 可笑しくて、金糸雀は自嘲した。 視界が霞んで見える。 その原因に最初金糸雀は気付かなかった。いや、気付かない振りをした。 ――急に霧がでてきたのかしら 気付かないまま先に進みたくて、金糸雀は足を必死に前に進めようとする。 だが、その真実への拒絶も長くは続かなかった。 真「金糸雀……貴方、どうしてこんなところで泣いてるの?」 思わぬ人物の登場に、金糸雀は思わず後ろに倒れそうになる。 金「しっ……真紅!?何やってるのかしらこんなところで!」 真「散歩よ」 きっぱりと言い切った。 だが真紅の格好は学校の時に着ていたスーツのまま。 そして、自慢のブロンズの長髪も少し乱れていて、額にはうっすらと汗が浮かんでいる。 金糸雀の瞳に映る彼女が散歩中とは到底思えない。 視線が気になったのか、真紅はそのブルーの瞳で金糸雀を逆に睨んだ。 真「……貴方こそこんな見知らぬ土地で何してるのよ」 聞かれ、金糸雀は思わず口籠もる。 金「カナは………」 金「……………」 真「……………」 少しの間、沈黙が二人へ降りた。 真紅の視線は、ゆっくりと金糸雀の手に移る。 学校で見た手紙。 それを見て真紅は少し複雑な表情を浮かべる。 金「………真紅?」 静寂を破る。 どうしたの、と彼女を呼んだ瞬間、 真紅は黙って金糸雀の腕を引いた。 バランスを崩しそうになり金糸雀は中姿勢を取る。 金「な、何するのかしら真紅!!」 何が起こったのかわからずに声を荒げながら真紅を見上げた。 だが真紅は呆れたような表情で金糸雀を見つめ返すだけ。 真「さっさと行くわよ」 金「……え?」 最初、金糸雀には真紅が何を言っているのかわからなかった。 対する真紅は、少し苛立った様子で言い放つ。 真「早くしないとくんくんが始まってしまうじゃないの」 言うと真紅はふいっと顔を向ける。 その表情はいつも通り無表情である。 金「真紅…………」 真紅の意志に気付き、金糸雀は少しぽかん、とする。 思わず嬉しくなったが、お礼を言ったところで 今の真紅には突っぱねられるだけだろう。 なので金糸雀は姿勢を正すと敢えて何も言わずに、ただ微笑んだ。 ○ やはり、と言うべきか。 数分かけて2人が辿り着いた場所は古びた寺。 本堂の前を通り過ぎ、細い道を少し歩くと そこにたくさんの墓石が広がっているのが見えた。 真「…………」 金「………あと少しかしら」 墓地の入り口へ足を踏み入れる。 見るとここは高台に位置しているせいか、 階段の長さが半端でない。 金「一番上かしら。……大丈夫?」 真「愚問よ」 2人は上っていく。 しかし、決して表情には出さないが 真紅は、高低の激しい墓地に少し疲れ気味だった。 金糸雀を伺うと、全然疲れた様子を見せていない。 真「………慣れてるのね」 金「………まぁね」 エメラルドの髪を揺らしながら金糸雀は前を歩く。 その背を真紅は追う。 上まで上り切ったのはその数十分後の事だった。 この墓地の頂上は有栖学園周辺の町並みを全貌できる位置にあった。 いつきてもいい景色かしら、と金糸雀は言った。 もちろん真紅はそれに同意する。 と、突然金糸雀はある場所で足を止めた。 金「……ここかしら」 雪花石膏のような白さをした墓石が、そこにはあった。 金糸雀はまず、墓の前にしゃがみこむと ハンドバッグの中からお香を取出し、焚く。 金「今日はお花がないかしら、ごめんね」 墓石に優しく語りかけながら、金糸雀は手を合わせた。 倣って真紅も手を合わせる。 金「ありがとうかしら、真紅」 真「いいえ……」 普段からよく人が来るのだろうか、その墓はとても綺麗にされている。 金糸雀はそっと墓の傍の椅子に腰をかける。 真紅も金糸雀の隣に座る。 しばらく無言が続く。 耳を通り抜けるのは森林の騒めき、烏の会話だけ。 二人の背を橙色の光が照らす。 でも、話を促す気には到底なれなかった。 金糸雀が話してくれるまで、いや、話してくれなくても。 真紅は待つ。 その時そっ、と。自然の音に交えて金糸雀が呟く。 金「………カナが教師になった理由は、ここにあるのかしら」 金糸雀は懐かしみながら天を仰いだ。 忘れられないあの日が、金糸雀の脳裏を走る。 公園のブランコに二人、座って話していた。 『カナは将来何になりたいの?』 『もちろんバイオリニストかしら!』 『みっちゃんは?みっちゃんは何になりたいの?』 少女は金糸雀の質問にくすり、と笑う。 『私はね………学校の先生になりたいんだ』 ―――――みっちゃん 物心つく頃からずっと傍にいた。 悲しいときも、つらいときも、嬉しいときも。 一緒に泣き、笑い、励まし合ってきた。 親に言われるまで本当の姉と気付かなかったほど、 姉妹のように接してきた。 それがみっちゃん。 金糸雀にたくさんのモノを与えてくれた少女。 そして金糸雀を導いた少女。 『先生?どうして?』 幼い金糸雀は純粋に理由を知ろうとする。 みっちゃんは少し考えたあと言葉を選びながら話はじめた。 『うーん………』 みっちゃんは学生ながらドールコレクターだった。 可愛いもの好き、がエスカレートした結果だろうか。 それが災いしてか、クラスの皆からは、 《変人・オタク》のレッテルを貼られ 彼女に対するイジメも頻繁に行なわれていた。 ―――彼女が登校拒否になるのも時間の問題だった。 『“とうこうきょひ”?』 『学校に行きたくなくて、ずっとお部屋にいることよ』 『みっちゃんも“とうこうきょひ”だったのかしら?』 『うん』 そう明るく速答する彼女にそんな時期があったことなんて 金糸雀には想像できなかった。 『でもね、そんな私を変えてくれた人がいたんだ』 それが、当時の担任。 毎日自分の部屋からでてこないみっちゃんを案じ、 一日も休む事無く通い続けた男気の強い女の先生。 でも決して無理に学校へ連れていこうとはしなかった。 先生はみっちゃんのドールの自慢話を、真剣に聞き、 みっちゃんの想いを尊重してくれた。 そんな彼女にみっちゃんも段々心を開いていった。 彼女の熱い心に打たれ、みっちゃんは学校に復帰したのである。 『……先生だけだったんだ。私の事をわかってくれたのは』 みっちゃんは、ふっ、と微笑み金糸雀に向かい合う。 『私も先生のように子供たち一人一人の自由を大切にしてあげたいの。 そして慕われる先生になりたい』 と語って、ふと金糸雀を見苦笑した。 『ごめん、難しすぎたかな?』 金糸雀はぶんぶん、と首を振る。 『そんな事ないかしら!みっちゃんは絶対いい先生になるかしら!』 言うとみっちゃんは急に飛び付いてきた。 『―――あぁーん!ありがとうカナァァァァァ!』 『キャァァァァみっちゃん!ほっぺがまさちゅーせっちゅー!』 いつも通りの光景がそこにあった。 金糸雀もみっちゃんも、心から笑った。 まさか それがみっちゃんとの 最後の会話とは思いもしなかった みっちゃんと別れ、家に帰りついた時に届いた 突然の訃報。 ―――みっちゃんが、死んだ その後何があったかは覚えていない。 気が付けば、金糸雀の目の前には普段より肌の白さが目立つ みっちゃんが横たわっていた。 白い着物に身を包んだ彼女は、微動だにせず、ただ、堅く目を閉じていた。 『みっちゃん………?』 震える声でみっちゃんを呼ぶ。 普段ならすぐに返ってくるだろう返事は、 どれだけ経っても返されることはなかった。 『みっちゃん、どうしたの?』 再び問う。 『ねぇ、みっちゃん』 『金糸雀』 母が肩を押さえる。 それでも金糸雀は話し掛け続けた。 『みっちゃん、なんでこんなところで寝てるのかしら?』 『早く帰るかしら。みっちゃんの卵焼き、また食べたいかしら』 『みっちゃ………』 最後まで言うことができなかった。 金糸雀の頬を一筋の涙が伝う。 泣いたら、自分は彼女の死を受け入れることになるから、 泣いてはいけない、 そう思っていたのに。 『―――――――』 薄暗い部屋に、金糸雀の絶叫が響いた。 声が、涙が枯れるまで、彼女の声は途切れることはなかった。 その日を境に金糸雀は自身を忘れ、 学校へも足を向けなくなった。 外へ出るときは決まって『彼女』のいる所。 当時の金糸雀の背丈より高い石の前で、ただ何をするまでもなく ぼんやりとたたずむ。 『みっちゃん、今日は天気がいいかしら』 ぽつりと呟いた言葉は白い石へ吸い込まれる。 『みっちゃ……』 『景色がいいねぇ、ここは』 誰かの声が、金糸雀の声を制した。 声の方向を見ると、 そこには腰まで長い赤み掛かった髪をもった スレンダーな女性が、風を受けながら立っていた。 『……こんなところに建ててもらえて、こいつも幸せだろうね』 女性が墓へ近づく。 金糸雀は瞬間的に彼女の侵入を拒否した。 ここは、金糸雀のただ一つの領域であった。 過去に捉われた自分の。 が、そんな力すらなく、金糸雀はただ 女性の成り行きを見守るだけしかできない。 女性は墓の前で手をあわせると、何かを一言二言呟く。 金糸雀はじっとその人を見ていた。 『……おまえ、昔のこいつみたいな顔してるなぁ』 ふ、と自然にいわれ、金糸雀は顔をあげた。 『………みっちゃんと知り合いなんですか』 『こいつはな、昔あたしが受け持ってた奴なんだ。 しばらくは学校に来れてなかったんだけどな』 その時金糸雀は漠然と理解した。 ――この人が、みっちゃんを救った先生 『……あいつも今のお前みたいな顔してたよ。 生きることに疲れた、飽きたってな』 『……………』 『だからかな、あいつが生き生きしながらあたしに 夢を語ってくれた時は、本当にうれしかったな』 『……夢?』 金糸雀は一言聞き返す。 彼女は笑って言った。 『あたしみたいな先生になりたい、ってさ』 ○ 『…………先生』 金糸雀は彼女を先生と呼ぶ。 みっちゃんに会いに行くと、彼女がいる時がある。 金糸雀も、領域侵入を嫌がる事もなくなった。 今の金糸雀の中では唯一、心を許している人かもしれない。 呼ばれ、彼女はそっと金糸雀の側に座った。 『……なんだ?』 言葉こそぶっきらぼうではあったが、 優しい口調で聞いた。 『決めたかしら』 彼女はふぅ、と息をつく。 この後金糸雀が発する言葉を見通したように。 『……カナは、教師になるかしら』 風が、そっと彼女の頬を撫でる。 まるで、みっちゃんが側にいるような錯覚に捉われた。 『どうしてだい?』 先生は静かに聞いた。 『もう、みっちゃんはいないかしら』 『でも、わかった』 『カナがみっちゃんを忘れない限り、 みっちゃんはカナの中にいるって』 『みっちゃんはカナに数えきれないほどたくさんのものをくれたかしら』 『カナはそれを返すことができなかった』 『だからカナは、教師になる』 『教師になって、みっちゃんの夢を叶えたいかしら』 先生は、黙って金糸雀の話を聞いていた。 『それに……』 金糸雀は彼女を見て言う。 『カナも、先生みたいな教師になりたいかしら』 ありがとう。 彼女は呟いたあと、金糸雀を胸に抱いた。 ○ 金「………手紙はね、近況報告。 来る度にここに置いていくかしら」 そう言って金糸雀は立ち上がると、 雨等に濡れてよれよれになった以前の手紙を取り出した。 そして、新しい手紙を置く。 金「………変でしょ。大人になった今でも こんなことしてて」 真紅は黙って首を振った。 外はすっかり夕方で、そろそろ7時になろうか、と言う時間だった。 金「ありがとう、付き合ってくれて」 真「……謝る必要はないのだわ」 金糸雀は哀しげにほほえんだ。 普段の彼女からは想像できない大人の笑み。 今の彼女の背丈は、墓石より高い。 成長したかしら、と金糸雀は呟く。 しばらく石の前で佇む彼女の肩を真紅はそっ、と抱いた。 真「……貴方の想いは、きっと彼女に届いているわ」 金「………ありがとう」 真「彼女のためにも、しっかり頑張りましょう」 金糸雀は柔らかく微笑んだ。 悲しみではない、希望の笑みで。 どちらが言うわけでもなく、その場を離れ、帰路につこうとする。 その時、金糸雀の頬を風が撫でた。 足を止め、振りかえると、そこには『彼女』がいた。 『私はずっと見てるからね』 そう聞こえた気がした。 「―――カナは、これからも頑張るかしら」 言うと、金糸雀は振り返らずに先に進む真紅まで駆け足で追い付き 再び歩きだした。 二人の背を、オレンジ色の夕日が照らしていた。 TO.みっちゃん しばらく来れなくてごめんね。 カナは相変わらず元気にやってます。 いろいろ大変だけど、充実した毎日を送っています。 最近、なぜみっちゃんが教師を目指したのか わかってきた気がします。 生徒達に自分の得た知識を捧げ、糧として社会に飛び立ってもらえることは とても嬉しいこと、と身を以てわかったからです。 カナは先生になれてよかったと思います。 ありがとう、みっちゃん。 返しきれないほどたくさんのものをくれて 本当にありがとう。 FROM.金糸雀
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3155.html
昼間にも姿が見えていた月は、夜になりその威容を濃紺色の夜空に横たえていた。 赤と青のその姿は、やはり、アティには見覚えのないものだ。 その姿の大きさから見るに、随分とハルケギニアから近い位置にあるらしいが、これだけ大きな衛星を2つも持つと言う事は、ハルケギニアというこの世界は、リィンバウムよりも遥かに規模の大きな世界なのかもしれない。 と島の守人の1人である女性の語っていた、潮汐力と重力場についての講義を思い出した。彼女の言う科学の講義は興味深いものがあった反面、難解に過ぎるそれの大半を、アティは理解できなかったが、 成る程。学問というものは、例えそれが異世界であっても、役に立つものは多いようだ。 宛がわれた居室に備え付けられていた、やけに座り心地の良い椅子に腰掛け、窓から見える月を眺めていたアティは、改めて今日1日の間に起こった事を思い返していた。 ハルケギニア側での、召喚された記憶は未だにはっきりと思い出せるが、リィンバウム側で召喚された記憶は、殆どない。学校に向かう前、普段の習慣で島の外周をパトロールしていた事は覚えているが、 いつ、どのタイミングで呼び出されてしまったかについては、どうにも記憶が曖昧である。 これがリィンバウム世界の召喚術であれば、誓約の儀式をであれ召喚事故であれ、召喚される際にはそれだ。と分かる瞬間があるらしい。島民の大半が召喚獣である為、そういった情報には事欠かなかったので、 ルイズの起こした召喚事故がリィンバウムで使われている召喚術による事故である可能性が低い事は、考慮の端に追いやって問題はないだろう。 例外的な召喚に関しては、その例の範疇には入らないかもしれないが、4界でもない名も無き世界に呼ばれた時点で、既に異常事態なのだ。いくら場慣れしているアティとは言え、できれば召喚術そのものまでが異常動作を起こしているとは考えたくなかった。 それにしても、随分と落ち着いている。 どこか他人事のように、この異常事態を把握できるのは、果たして場慣れしているからという理由だけなのだろうか。 正直な所、どうしようもない事態に対し、開き直っているんだろうな、とため息交じりに考える。 召喚事故と聞いたばかりの時は、未だ自分がリィンバウムに居るものだとばかり思っていたので、さほどの驚きも感じなかった。全く驚かないと言えば嘘になるが、嵐の夜の海に飛び込み、見知らぬ土地に放り出される事に比べれば、まだ今の状況はマシというものだ。 それが、完全に見知らぬ、未発見の名も無き世界に呼ばれたとあって、内心どれだけ驚いた事か。これだけ驚いたのは、もう随分と久しぶりのような気がした。 島の皆は、心配しているだろうか。 当然しているに違いない。本来なら、パトロールが終わったら、すぐに学校に向かい、同僚の青年と授業について話し合い、子供達相手に教鞭を揮い、ふらりと現れる島の大人達の相手をして、友人達とお茶を飲みながら雑談を交わして、夕方になったら別れて。 そんな1日を過ごしていた筈だったものが、突然居なくなってしまったのだ。 きっと、突然居なくなった自分を探し回ってくれているのだろう。 考え始めると良くない考えや、不安ばかりが思い浮かんでしまうが、頬を強く叩くと、アティはテーブルの上に広げた所持品を見詰め、明日の授業に備える事に決めた。 どれだけ考えても、現状が好転する事はありえない。 それならば、やれる事を精一杯の力でやるのが、自分らしいと思えたから。 アティの初授業は、彼女の希望から授業のうちの1つを借り受ける形で、まずはアティの最初の目撃者でもある、2年生の生徒達に自己紹介と、簡単な講義をする事となり、現在教壇にはアティとコルベール、そして快くアティに授業の時間を譲ったシュヴルーズが並び立っている。 コルベールとは、前日の夜に授業内容や生徒達についての説明、魔法学院と島の学校の差異からくる、授業進行の方針等を話し合い、しばらくの間、アティの授業にはコルベールが立ち会う事となった。 シュヴルーズは、授業時間をアティに譲った為その時間が空いたのと、未知の魔法の存在への興味から、授業を観覧する事に決めたようだ。 アティの授業の内容は、初授業もあってか自己紹介とリィンバウム(ここではそれを国名とした)についてが大半を占めた。島の学校であれば、初授業は生徒達の喧騒との戦いだったのだが、そんな事を思っていたアティからすると、魔法学院の生徒達は少々物足りない程に静かで、 拍子抜けしてしまうくらいであった。アティについて、リィンバウムについては質問が多く見られたが、発言の際にしっかりと挙手が伴うのも、島の子供達とは違う点だ。そもそも同じ生徒でも年齢差が大きいので当然と言えばそうだろうが。 自己紹介に関しては、前日の内に質問内容を想定した回答を用意しておいたので、不自然な点があったとは思えなかった。リィンバウムについては、東の世界という設定も幸いしてか、召喚獣や召喚術については説明は避けたものの、未知の世界の話という点が良かったのか、 アティの一人語りも概ね好評を得ていた。 召喚術の授業は、それらの話の終わった最後のほんの少しの間に、簡単な説明と実演を交えて終了した。 やはりこれも前日の内にコルベールと相談した結果、召喚術は無属性と呼ばれる、名も無き世界の召喚術のみを授業として教える事に決めた。理由としては、無属性の召喚術が、確認されている限り、非生物の召喚術しか存在しない点が重視された。 アティは黙っていたが、無属性の召喚術に限定した理由は、召喚術とは、召喚した対象との関係が、術の出来に大きく関わる問題である為、サモン・サーヴァントから来る術者と召喚された側の関係が、とてもではないが良いものと考えられないと思えたからだ。 サモナイト石の所持数が少ない為、初めから誓約の儀式については実技を教える気はなかったが、元々召喚術において最も危険なものが、誓約の儀式だ。 召喚術にとって、召喚するという結果を導き出すのは、比較的簡単な問題だ。誓約済みのサモナイト石さえあれば、術の難易度にもよるが、術者と相性の合う世界の召喚術はそれこそ術師でもない人間でも行使は可能だ。勿論その効果や威力は術師とは比べるべくもないが、 既存の術を扱うという点に関して言えば、召喚術とはとても使い勝手の良いものなのだ。 しかし、誓約の儀式は未だに真名の刻まれていない無印の召喚石に、それを刻むという行為から始まる。 新しく呼び出した召喚獣の多くは、術者に対して敵意を持っている。突然見知らぬ世界に呼び出されたのだから仕方のない事だが、中には獰猛な獣や、そもそも最初から人間に対して害意を持つ悪魔や魔物などを呼び出す事もある。 そういった召喚獣を御し、思いのままに操る為に、術者は召喚されたものの真実の名前を探し出し、サモナイト石に刻むのだが、それが誓約の儀式と呼ばれるものだ。 誓約の儀式は失敗するのが当然とも言われるもので、現在存在している召喚術は、そういった失敗の果てに辿り着いた一種の到着点でもある。専門の術者であっても、未知の存在を召喚する事が困難であるのは、 召喚獣の真名が知られていないという点からきているが、既存の召喚獣であっても、誓約の儀式には多大な知識と、膨大な魔力を必要とするのだ。 そういった理由から、意識ある生物を召喚する4界の誓約の儀式を含む、一切の召喚術は、サモナイト石を所持していないという理由で説明までに留めたが、どうやら無属性の召喚術、 それも初歩の初歩の術であっても、どうやら生徒達の心を掴むには十分だったようだ。 サモンマテリアルと呼ばれるそれは、術として成立したものでありながら、召喚される物体が術を使う度に異なるという変り種の召喚術だ。最初は何故か土鍋が召喚され、次には船の錨が、 剣に鉄塊、果てはフライパンやおたままで無差別に呼び出す様は、召喚術というよりも奇術師の手品じみていたが、それが生徒達には興味が引かれるものだったようだ。 実技に関しては、初授業という事もあるが、サモンマテリアルのサモナイト石が1つしかない所為もあって、座席の順に試してみる形になり、全員が試せた訳ではないが、成功者は1人も居なかった。 その中に、ルイズが居なかったは単純に、彼女の座っていた席が室内の後方だったという理由だが、その事に室内に居た、アティと才人、そしてシュヴルーズの3名以外の全員が、安堵の息を漏らしたのを、彼女達は知らない。 そうして、授業が終わってしばらく。 昼食までの少しの間に、アティは召喚術に興味を持った、主に今回の授業で召喚術の実技を行えなかった生徒達に対して、補講と称した座談会のようなものを行う運びとなった。 座談会のような、とは言ったが、その内容は授業時間では及ばなかった召喚術についての説明の追加。、更に生徒達からの要望もあり、サモンマテリアル以外の召喚術の実演も行う事となった。 「では、ミス・アティのおっしゃるマナ、でしたか。 それを収束させる技術が私達には無いから、誰もサモン・マテリアルが成功しなかったのですか?」 アティが、杖を手にし召喚術の実演を踏まえた説明に対し、挙手と共に質問した赤い髪をした少女、キュルケに対しアティは首肯し、 「はい。私達の扱う召喚術には、こちらの魔法のような、ルーンの呪文や術の固有名は存在しないですね。 召喚されるものの名前はありますが、それを唱える必要はありません。 例えば、今から使う術は一般にシャイン・セイバーと呼ばれていますが……召喚っ」 鋭い声と共に、杖を頭上にかざした。 かざした杖の先には、名も無き世界の魔力を帯びた白い輝きがあった。その光が周囲を覆い、召喚石によって開かれた扉から、速やかに召喚対象を呼び寄せる。 シャイン・セイバーの名の通り、光をまとった剣が数本、アティの頭上に浮かびながら、その輝きを周囲に振りまいている。 「このように、召喚術には呪文らしいものは存在しません。人によっては無言で術を行使する事もありますが、召喚術の種類によっては広い範囲に広がるものもありますし、 何より周囲の味方に、今から召喚術を使いますよという宣言をした方が良い為、それぞれ個人が思う言葉を使う事が普通ですね」 送還もまた同じ事です。と呟くと、その言葉と共に頭上に浮かんでいた剣は、光の粒子となって消え去った。 「マナ、というものは世界のどこにでもある、空気のようなものだと考えられています。 それを杖やサモナイト石を触媒として収束し、収束したマナの力異界の扉を開ける。それが召喚術の基礎なのですが……」 「私達は、ルーンを紡ぐ事と、あとは精神力や集中力で魔法を行いますから」 「そうですね。多分、皆さんの魔法はルーンという特殊な呪文、呪印でマナをコモン・マジックや系統魔法に変換してるのだと思います。 私達は意識的にマナを制御していますが、皆さんは言葉によってマナを制御しているから、まずは、意識的にマナを制御する事がまず初めになりそうですね」 アティの説明に、質問をしたキュルケを含む、出席していた生徒達は首を傾げながらも、丁寧な説明には納得できるものがあったのか、各々が臨席の親しい友人と初めて耳にした、 マナというものに対しての憶測や、アティの召喚した剣について、子供らしい賑やかさを伴って話し始めた。 アティもこれが補講である為か、生徒同士の会話を好きにさせつつ、鋭い憶測を思い浮かんだ生徒にはフォローを与え、とにかく召喚術を試してみたいという生徒には、丁寧な説明を加えながら、失敗する生徒を励ました。 そうしてしばらくして、召喚術を未だに試していない生徒、ルイズが挙手をすると、そんな和やかな雰囲気は瞬時に冷めた空気へと変貌する。 「ミス・アティ。私にも召喚術を試させて頂けませんか!」 普段のような、周囲に緊張感と怒気を振りまく彼女しか知らない生徒は、溌剌とした彼女のそんな表情に驚きながら、しかし、 「やめろやめろ。ここに居る奴が誰もできなかったのに、ゼロのルイズが出来る訳ないだろう」 いつものように、彼女のやる気に釘を刺す者がそう囃し立てる。 それに対し、ルイズも反論するが、彼女に対する辛辣な言葉は中々止まない。 そんな空気に耐え兼ねて、アティにしては珍しく声を荒げ、生徒達の口論の仲裁に入る。生徒達もまた、出会ったばかりのアティに悪印象を残す事を恐れたのか、それでも最後にルイズに対して嘲笑を浮かべた。 「それじゃあ、ルイズさんも試してみましょう」 召喚石を持ち、未だに小声でルイズを野次る生徒を注意しつつ、彼女の席に近寄る。近寄ったルイズの机の上には、この僅かの時間の授業にも真剣に取り組んでいたのだろう、 びっしりと文字の書き込まれたメモ書きが置いてあるのが見えた。文字の書けないアティの授業は板書を利用しないものだが、メモには文字だけでなく、簡易ながら図を用いた、恐らくは彼女なりに分かりやすくまとめた説明らしきものも書かれていた。 アティを見る目には、期待と不安の入り混じったものがあった。 そんなルイズの肩に手を置き、優しく頭を撫でる。 「大丈夫。ルイズさんならきっと出来ます」 私の勘はよく当たるんですよ。微笑みながらそう言うアティは、ルイズにサモン・マテリアルの召喚石を手渡し、石を手にしたルイズの手を両手でそっと包んだ。 「頑張って」 そう言って離れるアティに、ルイズは笑顔で返す。 何故か、あれほどあった不安が薄れ、冷静に頭が働いているのを、ルイズは感じていた。普段であれば、あれだけ騒がれた後は、集中力も切れ切れになり、 半ば自棄になって魔法を使おうとしていたのに、召喚石を手にした今、彼女の頭は冴え渡っている。 授業中メモにまとめ、彼女なりに考えた召喚術を、改めて頭の中で反芻する。 それは、唯一自分が成功した魔法、サモン・サーヴァントとコントラクト・サーヴァントの事だ。2つの魔法はコモン・マジックと呼ばれる基礎魔法の分類されるもので、コモン・マジックには共通して、 それらの行使にルーンを必要としない特性がある。 例えばルイズがアティや才人を呼んだ呪文と、キュルケが自身の使い魔となったサラマンダーを呼び出した呪文は違う。それぞれが、思い思いの言葉を紡ぎ、集中した何かで思い描いた結果を出す。 それがコモン・マジックだ。その中には、ランプの魔法のように、言葉ではなく、動作で起こすものもある。 それは、アティの言う召喚術に近いものなのではないだろうか。 キュルケとの会話にもヒントはあった。 自分達は、言葉でマナを制御していると。 「私は心より求め、訴えるわ」 右手に杖を、左手にサモナイト石を持ち、サモン・サーヴァントの際に使った呪文に手直しを加え、集中する。 元々、自分には系統魔法の成功した感覚なんて知らない。 私が知っているのは、彼女と彼を呼び出した、この感覚だけだ。 「異界の果てより、我が導きに応えなさい!」 不意に、左手に持つサモナイト石を熱を帯び、ルイズの身体をサモン・サーヴァントの際に感じた説明し難い感覚が襲った 成功する! そうルイズが確信すると同時に、 「ギーシュが決闘するぞ! 相手はルイズの平民だ!」 そんな叫び声が、学院中に響き渡った。