約 63,412 件
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/152.html
今日はみんなが待ちに待った体育祭の日。会場は異様な熱気に包まれていた。 と言うのも、プログラムの1つである教師対抗リレーでは、先生方が何らかのコスプレをして出ることになっているからだった。 そのため、男子、そして蒼星石ファンの女子、そして外部から集まったカメラマンの方々は、目を血走らせてその瞬間を心待ちにしていた。 放送委員A「それでは、これよりプログラマナンバー23番、教師対抗リレーを行います。選手の皆さん、入場してください!」 いっせいに湧き上がる会場。そして入場する先生方。 蒼星石「…翠星石…。流石にこのカッコは恥ずかしいよ…」 翠星石「黙りやがれです!いっつもパンツスーツばっかり着てやがるんだから、ちったあ、女の子らしいカッコしないとダメですぅ♪」 蒼星石がしきりに気にするその衣装とは、なんとレースクイーンの格好であった。 恥ずかしそうにうつむき、自身のミニスカートを引っ張りながら登場する蒼星石。心底楽しそうに笑う、シンデレラのようなドレスを着込んだ翠星石。 想像するに、直前になって蒼星石が自分で持ってきた衣装を隠し、例の服を渡したようだ。 女子B「きゃ~!!蒼星石先生~!素敵~!!」 男子C「誰か!誰か予備のカメラフィルムを!!5倍で買うぞ!!」 男子D「おい!鼻血出して倒れた奴がいるぞ!保険委員、早く来い!!」 会場の熱気はどんどんと上昇していった。 その後も、着ぐるみのような格好をした雛苺、スチュワーデスの格好をした金糸雀、ナース服を着込んだ薔薇水晶、巫女さんの格好をした雪華綺晶がそれに続く。 残すところは、あと2人…真紅と水銀燈なのだが、その姿はなかなか見えてこない。 どうやら、何かもめているようだ。 放送委員A「真紅先生、水銀燈先生、競技が始められないので早くしてください!」 放送委員がせかす。そしてそれを見計らったかのように、水銀燈が姿を現した。 その姿は…なんと、ブルマと体操服という組み合わせだった。一斉にカメラのシャッター音が鳴り響く会場。そのあらわになった太ももに倒れるものも続出した。 婦警姿の真紅が、あわてて奥に引き戻そうとする。 真紅「その格好は何なの!?教育上よろしくないわ!何でもいいから着替えてくるのよ!!」 水銀燈「だってぇ…これしかなかったんだもぉん…」 全く悪びれる様子の無い水銀燈。むしろその雰囲気を楽しんでいるようだ。 真紅を引きずりながら、どんどんとリレーコースへとつき進む。 水銀燈「…でも、流石に高校の時のだからきついわねぇ…」 突如立ち止まる水銀燈。そして、おもむろにブルマのお尻の部分を引っ張り始めた。 チラッと見える水銀燈の下着の一部。望遠レンズでそれを見ていたものにとっては、さぞ幸せな光景が広がっていただろう。 真紅「水銀燈!!あ、あなた…パ、パン…」 水銀燈「あらぁ?見せパンだから大丈夫よぉ?」 その後、倒れるものが大量に出てしまったこと、そして真紅の判断により競技は一時中断されたという。 そして、再度現れた水銀燈の格好―いつもの体育の時と変わらない服装-を見たときの男たちの表情は、とても寂しげなものだったという。
https://w.atwiki.jp/ohomodachi/pages/350.html
「ま○こ!」 概要 英会話の授業でK村がこう呼ばれてしまった。悪質極まりないが教師自体に非は無く、K坂がK村の名前を勝手に書き換え、それをそのまま読んだものと思われる。 因みにK坂は後に反撃を受け、それ以後はK坂がそう呼ばれるようになった。 関連項目
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/1083.html
過去。 過ぎ去りし時に眠る記憶。 忘れてしまいそうな誉れ、忘れる事の出来ない恥、その歴史を封じ込んだ宝箱。 「金糸雀先生は、なぜ教師になられたのですか?」 「カナは…、昔からの、憧れの職業だったからかしら」 今。 今この時に眠る記憶。 先の見えない道、不安と期待、その思いに身を任せるだけのモノ。 「雪華綺晶先生はどうなのかしら?」 「……私は―――」 未来。 未だ来ぬ時に眠る記憶。 果てしなき大空、大海、大地、その終わりを目指すための旅路。 行き先は自由。 「―――過去、今、未来……。その全てを、この目で確かめたいからです」 「…カナにはよく分かんないかしら~」 「…ふふっ」 「あっ、今笑ったかしらー!酷いかしらー!」 過去よ、今よ、未来よ。 雄大なる時の流れよ。 彼女達の世界の門出に、栄光を与え賜え。
https://w.atwiki.jp/ohomodachi/pages/312.html
「じゃ~先にプリント配っておくから。」 概要 長年の経験が遺憾なく授業に発揮されているカリスマベテラン教師。 そのためか大変強い後光がさしている。 とんでもない広さの試験範囲や、発言を線で表す授業のせいで多くの生徒の反感を買っているが、自身の著書をコピーしているともいわれる懇切丁寧で明快なプリントは大変重宝がられている。 2009年度をもって退職なされた。 箴言 かんたけっ!! みやぶる 関連項目
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/1070.html
金「…ということから、二重結合は電子を二個ずつ、三重結合は電子を三個共有しているのかしら。」 現在は化学の授業中だ。その化学の担当である金糸雀は黒板に授業のポイントを書き記していく 金「例えば二酸化炭素や窒素がこれ当たるからよく覚えておくかしら。」 黒板の内容をノートに写していく生徒達 教壇から見ると、生徒達はノートと黒板を繰り返して見るため、頭が上下している。 とその中で机に突っ伏して居眠りをしている女子生徒が一人。 金「(Aさんは前も居眠りしてたかしら)」 前回の授業でも彼女は寝ていた。いつもなら軽く注意するだけで済ましていたが、 さすがに何度も居眠りとなると厳しくしないといけない。 それに他の教科の授業でも居眠りしていたらしいから、これは教師としては見逃せない。 金「(あまり説教はしたくないけど、これもAさんの為かしら)」 授業が終わった後、話があるからとその女子生徒を教壇の前に呼び出した 金「Aさん、何でいつもカナの授業中に居眠りしてるかしら?もしかしてカナの授業つまらないかしら?」 目の前の女子生徒はまだ眠たいのかボーっとしている。 何だか事務員のスィドリームに似ているなと金糸雀は思った A「いえ、金糸雀先生の授業はいつも楽しいんですけど…」 金「じゃあ、何で居眠りするのかしら?確か部活には入ってないから疲れてるってことはないと思うけど…」 A「確かに部活には入ってないんですけど、実はバイトが忙しくて…」 金「バイト?ちなみに、どんなバイトをしているのかしら?」 A「マッ○の店員とファミリー○ートのレジとローソ○と…」 金「ち、ちょっと待つかしら!?一体どれくらい働いてるのかしら!?」 聞いてみると彼女は学校が終わるとすぐにバイトに行き、午後十時まで働くという。 金「それじゃあ、疲れるのも当たり前かしら。一つくらいバイトを減らした方がいいかしら」 A「…でも、それじゃあ……あ!もうこんな時間。次の授業があるので失礼します」 金「あ……」 結局詳しくは聞けなかった。 とりあえず次の授業にでも聞いてみようと思い、その時は然程気にしなかった。 金「ふぅ…。今日は遅くなったから、夕飯はお惣菜で済まそうかしら。」 そして金糸雀はスーパーに来ている。 目の前には、照り焼きチキン、手羽先、焼き鳥等がずらりと並んでいる。 金「お肉ばっかかしら…」 落胆しながら、やっぱり卵パックでも買って卵焼きでも作ろうかと悩む。 その姿は、お使いで何を買うか迷う子供そっくりだった。 とりあえず卵パックとお菓子をいくつか買い物籠に入れ、レジに向かう 金「(今日はやっぱりオムライスでも作って元気をチャージかしら♪)」 半熟のオムライスにたっぷりケチャップが乗った所を想像しながら、買い物篭をカウンターに置く。 それを店員が一品一品手に取りながら袋に詰めていく。 ?「卵パックとお菓子で合計1200円になります……って金糸雀先生!?」 金「はい…?ってAさんかしら!?ここで何してるかしら!?」 スーパーのレジを売っていた店員は、昼間金糸雀の授業で居眠りしていた女子生徒だった。 A「何ってバイトですけど…」 金「バイトってもう十時を過ぎてるかしら。十時以降のバイトは禁止されてるかしら」 A「そうなんですけど。ええっと…。」 客「あのー…。レジまだですか?」 金糸雀の後ろの客が、焦らすように言う。見れば長い列ができている。 金「す、すいません…。えっと…Aさんのバイトはいつ終わるかしら?」 A「もう少しで終わりますが…」 金「じゃあ、外で待ってるから終わったらすぐ来るかしら。」 A「……はい。」 そうして会計を済まし、買い物袋を手に下げてスーパーを出た 暫くして、スーパーから制服姿のAが姿を現す。何となく疲れが見える A「お待たせしました…」 金「制服ってことは、やっぱり学校終わってからすぐにバイトかしら?」 金糸雀の問いにこっくり頷くA 金「やっぱり…。こんな遅くまでバイトするなんて、授業中居眠りするのも無理ないかしら。」 A「…あの、その…」 何かを気にするようにおどおどするA 金「どうかしたかしら?…あ、今回は学校には知らせないかしら。」 A「…ホッ。あの…ありがとうございます」 もし問題を起こせば内申書に大きく響く。学生としてはなんとも避けたいところである。 金「でも今回だけかしら。その代わり、十時以降のバイトは止めるかしら。」 A「……はい。」 金「よろしいかしら。もう夜遅いから、送っていくかしら。」 そして二人は金糸雀の車にいる。金糸雀の愛用するMAZDA RX-8は快適に夜道を走る 助手席に買い物袋、後ろにはAが乗っている。 A「今日はありがとうございました。」 金「カナだったから良かったかしら。真紅先生だったら絶対にただでは済まなかったかしら」 真紅が憤怒する所を想像して思わずブルッと震えるA A「本当にありがとうございます。それに送ってもらえて感謝で一杯です」 前半は前の台詞に比べ何倍の感謝が込められていた。 それ程にAの想像の中の真紅は怖かったのだろうか… 金「気にすることないかしら。どうせカナの家と同じ方向だったし…。あ、ここかしら?」 MAZDA RX-8の走りを止めた場所は、質素なアパートだった。 自分の部屋は二階の端っこだとAは説明した 金「それにしても、電気が点いてないかしら?両親はもう寝てるのかしら?」 見ると端っこの部屋だけ電気が点いていない A「……いえ、親は今家にいません。」 金「そうなのかしら!?う~ん…。Aさんは夕飯はもう食べたかしら?」 A「いえ、バイトが忙しいので、いつもご飯は帰ってから食べますけど…」 金「だったら任せるかしら♪」 A「?」 今、Aの台所にはエプロンを着た金糸雀の姿があった。しかし、サイズは合っていない。 金「~♪」 台所からは美味しそうな匂いと共にジューッっという音が部屋に響き渡る。 A「それにしてもいいんですか?料理なんか作ってもらって。 それに材料はさっき金糸雀先生がスーパーで買った物ですし…」 金「気にしない気にしないかしら♪家に帰って一人で食べるより一緒に食べた方が美味しいかしら。」 茶碗に慣れた手付きで卵を割り、箸で掻き混ぜて鉄板の鍋に移す。再び卵が熱で焼かれる音がする。 それに炒めておいた玉葱、人参、ピーマン、ケチャップ等を加えたご飯を投入し、 焼けた卵でひっくり返しながら包んでいく A「わぁ……」 テキパキと料理を進めていく金糸雀に感心の声を上げるA。 その間に小さなコックは既に出来上がった料理を皿に移している 金「完成かしらー。カナ特性黄金オムライスかしら~。」 A「お、美味しそう…」 Aは完成したばかりの湯気を立てているオムライスを見た。 その黄金の卵にたっぷりと艶のあるケチャップが乗っている。 金糸雀のオムライスにはKANAの赤い文字が描かれている。 自分のにはお決まりのハートマーク。Aは急にお腹が空いてきた。 金糸雀は既によだれを垂らしそうな顔をしている。いや、垂らしているかもしれない。 金「じゃあ、いただきますかしら~。」 そう言ってスプーンでオムライスを掬い口に運ぶ。 A「………!」 金「ど、どうかしたかしら?口に合わなかったかしら?」 そう言って心配そうに顔を覗き込む。 A「美味しいです!こんなオムライス食べたことないです。」 金「それは良かったかしら。さぁ、どんどん食べるかしら」 A「こんな美味しい料理を作れるなんて、先生はいいお嫁さんになれますね。」 金「いいいいい、いきなり何を言うかしら!?ま、全く、誉めても何もでないかしら。もぐもぐもぐ」 かなりの動揺をしてから、オムライスを口につぎ込む。 A「先生は結婚しないんですか?」 金「もうっ、しつこいかしら。」 顔をぷぅっと膨らませながら言う。 金「…でも結婚なんて考えたこともないかしら。」 A「え~。女性なら誰もが一度も考えることでしょう?」 金「う~ん…まぁ、多分もう少し後の話かしら」 そう言ってオムライスをまた一口食べる。 オムライスを幸せそうに食べる金糸雀を見て、結婚はもう少し後になるかなと何となく思うAだった。 A「ふぅ…。もうお腹一杯です。ご馳走様でした。」 金「ふぅ、久しぶりに腕を揮ったかしら。」 料理の片づけを終えると、再び小さい居間に戻る。 金「それにしても、まだ両親は帰って来ないかしら。か弱い女の子を一人放っとくなんて酷いかしら。」 その言葉に顔を曇らせるA。 A「……実は、この家には私一人しか住んでいません。」 金「…え!?それじゃあ、両親はどこにいるのかしら?」 Aが上京してきたと言う話は聞いたことはない。とすると一体… A「……父親は去年交通事故で亡くなりました。」 金「…ごめんなさいかしら。変な事を聞いてしまって…。」 A「いえ、いいんです。」 金「でもお母さんはどうしたのかしら?まさか、一人になったAさんを見捨てたわけじゃないかしら?」 A「違います。…母は入院しています。」 金「え!?大丈夫なのかしら?病気かしら?」 A「いえ、過度のストレスと疲労で倒れたんです。 突然父の支えを失った母と私は、バイトで生活費を稼ぎながら過ごしていました。 特に母は私の学費もあるから、私の何倍も働いていたと思います。 疲労が溜まるのも無理は無かったと思います」 スカートを力強く握り締めるA。 金「…立派なお母さんかしら。だからAさんは自分の生活費と学費を稼ぐ為にバイトをしていたのかしら。」 A「それもあるんですけど、元々体が弱かった母は、抵抗力がかなり低くなっていたそうです。 だから風邪や肺炎を起こして、治療費がどんどん重なってきました。 でも、家にそんなお金はありません。治療費は普段のバイトでも追いつかないくらいの値段でした。 私は日に日に弱っていく母を見るのが耐えられませんでした。だからバイトの時間を増やしたんです。 そして何とか治療費を払うことができましたが、母をまだ病院で療養中です。」 金「…………」 A「だから…。家に帰るといつも一人…。 友達にこんな質素な部屋も見られたくないので、呼んだこともありません。 だから、この家に私以外の人が入ったのは久しぶりです。 それに、人に作ってもらった料理を食べるなんて母が作ってもらった時以来です。 だから…だから…母の料理の味を思い出して……ひっく…ぐす…」 ポロポロと大量の涙を流すA。そのAにガシッと僅かな衝撃が伝わった。 金「ごめんなさいかしら…。もっと早く知っていれば…カナがもっと早く知っていれば…。こんなに… こんなに寂しい思いをしている生徒を見つけられなかったなんて…教師失格かしら…。」 金糸雀は泣いていた。Aにも負けないくらいに泣いていた。 そして抱きしめた。強く強くAを抱きしめた。 その小さな体に身を預け、Aは大きく、子供のように泣いた。 チュンチュン…… 小さな居間にカーテンの隙間から太陽の光が差し込む。 金「どうやら、寝てしまったみたいかしら…」 少し寝ぼけた様子で隣を見る。 それは目をパンパンに腫らせて眠るAだった。しかし今はすやすやと眠っている。 その顔を見て思わず笑顔が零れる。しかし、昨日のことを思い出すと胸が痛んだ。 ふと自分の足元を見ると、毛布が掛けられていた。Aが掛けてくれたのだろう。 その毛布をそっとAに掛けてあげる。ふと時計に見をやると五時を回っていた 少し時間が有るので、卵焼きでも作っておこうと思い台所に向かった。 そして、テーブルに『朝ご飯を作ったから食べるかしら~』と言うメモを残して、金糸雀は学校に向かった 金「おはようかしら~。」 職員室に入り、挨拶をする。少し眠いのかボーっとしている。 翠「おはようですぅ。って金糸雀、昨日の服と変わってねーですね?……ハッ!まさか…!!」 金「ち、違うかしら。昨日はちょっと…色々あったかしら。」 まさか生徒の家に泊まっていたとは言えず、言葉を濁す 翠「色々ですか~。ま、今回はそういうことにしとくです。~♪」 当分はこのネタでからかわれそうだな…と覚悟した所で、自分のデスクに座る。 そして今朝見た生徒のことを思い出す 金「(それにしても、あんなに辛い思いをしている子がいたなんて…。)」 辛い現実を突きつけられて、沈み込む金糸雀 金「(カナにできることは何かないのかしら?……あ!)」 雛「ねぇ、金糸雀~?」 金「ひぃ!?」 突然後ろから声を掛けられて、びっくりする。 雛「さっきから呼んでるのに、返事しないの~。」 金「あぁ、ちょっと考え事してたかしら。…で、何か用かしら?」 雛「えっと…来週の件のことなんだけど…」 金「来週?あぁ、教育委員会の調査のことかしら?」 雛「そうそう、それなの~。昨日から良い授業をしなきゃって考えてたんだけど、 ちっとも良いアイデアが思いつかないの…。」 金「う~ん…。そんなに拘らないで、いつも通りにやればいいんじゃないかしら? 少なくともカナはそうするかしら」 その言葉に暫く考え込む雛苺。 雛「うー…。やっぱりそれが一番なの~。生徒達と仲良く授業ができればそれが一番なの~。 えへへー、やっぱり金糸雀に相談して良かったの~。」 満面の笑顔を見せる。いつ見ても眩しい笑顔だと金糸雀は思った。 まぁ、その笑顔が周りを元気にさせてくれるのだが 金「どういたしましてかしら。…あ、雛苺、カナからも質問してもいいかしら?」 雛「うぃ?もちろんなの~。何でも聞いてなの~」 A「ふぅ…。今日も遅くなっちゃったな。」 今日のバイトを終えたAは、スーパーの買い物袋を持ちながら、自宅前にくる。そして、鍵を差し込んで中に入る。 A「ただいまー…って誰もいないけど…。」 ドアを開けると見えるのは真っ暗な暗闇だけ。虚しい気持ちになりながらも電気を点け、居間の小さなテーブルで買い物袋を広げた A「さて、お腹も空いたし…」 ピンポーン 突然インターホンの音が小さな居間に響き渡る A「誰だろうこんな時間に…」 まさか不審者だろうか…。時間が時間なので警戒心を強める。 そして恐る恐るドアの覗き穴から外を見ると… A「……金糸雀先生?」 金「どうせ一人でご飯食べると思って、色々買ってきたかしら。」 そう言ってテーブルにAと同じように袋の中身を出していく。シーチキン缶詰、卵、ネギ等種類は様々だ A「それより何か用ですか?…まさか、昨日のことで何か問題でも…」 顔を青ざめて尋ねるA 金「大有りかしら。」 A「え!?」 金「生徒が一人で寂しい思いをしているのに、ほっとくなんて教師として見捨てられないかしら。 だからカナと一緒にご飯を食べるのかしら。…駄目かしら?」 予想していたこととは違っていたのでホッっとした。同時に嬉しさが込み上げてくる。 A「金糸雀先生……。いえ、とっても嬉しいです」 金「なら、ボーっとしてないで手伝うかしら。今日の卵は上質かしら。」 台所には昨日と同じく、台所に立つ金糸雀。やはりエプロンのサイズはあっていない。 そして隣では、卵、シーチキン、木綿豆腐、片栗粉を掻き混ぜているA。こちらはよく似合っていた。 こうして見ると、姉妹のようにも見える。 特に兎の絵がプリントしてあるエプロンを着る金糸雀はAの妹と言ってもばれないだろう。 金「さて、後はこの掻き混ぜた材料を揚げるだけかしら。」 何やらメモのようなものを見ながら そーっと、先程の材料を油の中へと入れていく。 それと同時にジュワーという音と同時に、材料から大量の泡が出てくる。 A「それにしても、今回は卵料理がメインじゃないんですね。」 金「今回は雛苺に教えてもらった栄養満点の料理のレシピを教えてもらったかしら。 これで楽してズルして栄養ゲットかしら♪ Aさんは疲れが溜まっているから栄養付けないと体もたないかしら」 そう言って揚げている途中の材料を菜ばしで裏返す。 A「先生…。でもどうして私なんかの為に?」 金「教師は生徒が頑張っている所や苦しんでいる所を見ると、応援したくなるものかしら。 Aさんはカナが見てきた中で一番の頑張り屋さんなのかしら」 A「…(///)そんなことないですよ。」 金「学校では苦しんでいる生徒や頑張る生徒が沢山いるのかしら。 授業だけでなく、それ以外の所でも生徒を助けたり、応戦するのも教師の仕事ってカナは思うのかしら。 だから今のカナにできること、それはAさんの苦しみを少しでも無くすことかしら。」 そう言ってAを見る。その時の金糸雀はとても優しい目をしていた。なんだか落ち着く瞳だった。 何だかじっと見られていたのでAは照れた A「私ってそんなに苦しんでいるように。こんなに元気なのに~」 そう言って、力瘤を作る動作をして照れ隠しをする。 A「……でもうれしいです。正直家に一人でいるのって心細いんです。 だから今日は本当に金糸雀先生が来てくれてよかったです。」 金「まぁ、教師としては生徒に頼ってもらうのは嬉しいことかしら。だからいつでも頼ってかしら。」 胸を張って、どーんと来るかしら!と意気込む。 A「ふふっ、それじゃあ、頼らせて頂きます。…って先生一個焦げてます!」 金「かしらーっ!」 A「うわぁ…、美味しそう…」 目の前に並ぶのはなんとも美味しそうな料理だった。 シーチキンナゲット、卵スープ、サラダ、そしてご飯である 金「えっと…、卵に含まれるたんぱく質は虚弱体質を防ぐかしら、そしてスープのワカメは貧血防止かしら。 ご飯は玄米を使ったからカルシウムたっぷりかしら」 雛苺に教えてもらった知識を疲労して天狗になる。正に虎の威を借る金糸雀である A「へぇ~。昨日に比べて随分健康に良さそうな料理ですね。」 金「雛苺先生はAさんのこと心配してたかしら。全く家庭科でも居眠りしてたなんて相当疲れてたかしら。 レシピのことを聞いた時に 『だったらいい料理があるの~。絶対食べさせてなのー』って何度も言ってたかしら」 結構生徒のこと見てるんだなと感心しつつ、明日ちゃんとお礼を言おうと思うAだった 金「さて、冷めるといけないから早く食べるかしら。」 既に準備万端な体制にある金糸雀。口もその気持ちを表している。 A「わかりました。だからよだれは拭いてください。」 金「(フキフキ)それじゃあ、頂きますかしらー」 料理はとても美味しかった。さすが家庭科の先生が薦めることはある。 二人は料理を食べながら、互いに話し手と聞き手の交代を繰り返していた 金「――それでその時翠星石先生が…」 A「えー!何て大胆かつ恐ろしい悪戯を…」 金糸雀の話題は主に教師達の普段の様子だった。 少し秘密的な事も話していたが、金糸雀は然程気にしなかった。 聞いているAも、これは聞いていいものなのか…と思うところもあったが、 『黙っていれば大丈夫かしら』という金糸雀の言葉に仕方なく頷いた A「あ、そういえば今日母が来週中に退院する事が決まったんです。」 金「本当かしら!良かったのかしら。」 思わずAの手を取りブンブンと振る金糸雀 A「はい!やっと…やっと元気な母を見れると思うと、嬉しくて…」 金「Aさんが一生懸命頑張ったからかしら。お母さんもきっと感謝してるかしら。」 A「はい。もう一度母と一緒にご飯を食べるのが楽しみです。その時はオムライスにしようかな~。」 金「お!Aさんは卵の魅力がわかってきたかしら?」 A「はい!何だか好きになっちゃいました。だから今度卵料理教えて下さいよ?」 金「もちろんかしら!」 そうして卵同盟(?)を結んだ二人は再び料理を口に運ぶのだった 料理を全て食べ終わり、料理の後片付けも二人で一緒に片付けた 金「じゃあ、カナはそろそろ行くかしら。」 その言葉を聞いてドアまで送るA。 A「今日はありがとうございました。帰りは気をつけて下さいよ。」 金「カナは常に安全運転かしら。 それより、もうすぐお母さんに会うから、体には気をつけるかしら。後バイトも程々にかしら」 A「はい。気をつけます。」 それじゃあ、バイバイかしら~と言って去る金糸雀を名残惜しそうに見送るAだった 一週間後 翠「いよいよですね…」 蒼「うん。何か緊張するね…」 いよいよ今日は教育委員会学校が有栖学園に訪れる日である 真「服もOK!化粧OK。これで準備は万端なのだわ。」 水「あーら。授業中紅茶を飲むの我慢するって本気なのかしらぁ?」 真「ふふふ…。この日の為にずっと特訓してきたのだわ。」 不気味な笑みを浮かべる真紅。相当自信があるらしい。 一方、真紅と水銀燈から少し離れた場所では雪華綺晶が何やらそわそわしている。 雪「むむむ…。落ち着かない…。薔薇しぃー?やっぱり駄目?」 薔「…駄目…スタンガンとか銃持ってるの見られたら…クビだけじゃ済まないよ…?」 勿論銃などを所持しているのを見つかれば、即逮捕である。 薔「…逮捕されたら、ご飯もお腹一杯食べられないんだよ……?」 その言葉が聞いたのかうなだれる雪華綺晶。 雪「むぅ…わかった。…orz」 雛「そういえば、金糸雀は今日の一校時に教育委員会の人達が来るの~。一番最初なの~」 金「うぅ……緊張するかしら。…でも頑張るかしら。」 昨日も金糸雀はAの家に行っていた。その時、『明日は頑張ってくださいね』と応援も受けた。 だから緊張なんかしている場合ではないのだ。 金糸雀が気合を入れた時、一本の電話が鳴る。 蒼「はい、もしもし有栖学園職員室ですけど。………え!?」 大きな声に注目が集まる。 蒼「……はい。…はい。わかりました。すぐに行きます。」 そう言って静かに受話器を置く 真「何かあったの?」 真紅が心配そうに訊ねる その問いに蒼星石は重々しく口を開く 蒼「実は…ウチの生徒が近くのコンビニで車に引かれたらしいんだ」 教師一同「!!!」 教師達は皆驚きの表情を隠し切れないでいる 真「それで、その生徒の容体は?」 真紅が冷静に聞く 蒼「かなりの重体みたいだ。大量の血を流している。…今夜が峠かもしれないって」 再び教師に驚きの表情が走る 翠「…そういえば、その生徒の名前は何ていうですか?」 翠星石がおどおどしながら聞く 蒼「確かAって女子生徒だって聞いたけど…」 金「!!!」 目を大きく開き、思わず手に持っていたプリントを落とす。 蒼「何でも、信号が赤なのに横断歩道を渡ろうとしたんだって、 傍にいた目撃者によると何だかボーっとしてたらしいんだ。」 話を聞いた職員達は、皆困惑の表情を顔に出している。 とにかくこれからのことを話し合おうと蒼星石が切り出そうとしたその時 ガラガラ― 見ると金糸雀が職員室の扉を開けた所だった 真「金糸雀!どこに行くの!?」 金「…有栖病院まで行ってくるかしら!」 蒼「ち、ちょっと待って!君はこれから教育委員会の調査があるんだよ?」 金「大切な生徒が苦しんでいる時に、そんなことに構ってられないのかしら!」 そう言って、職員室を飛び出していった。 今、金糸雀はできる限りのスピードで車を走らせている。 金「(お母さんに会うって楽しみにしてたかしら。 卵料理教えるって約束したかしら。だから…だから…死なないでかしら)」 そして有栖病院に着くと、既に手術が始ろうとしていた 金「先生!Aさんは助かるのかしら!」 医者「分かりません…。しかし、全力を尽くします」 そう言って手術室に入る。金糸雀はそれを黙って見送るしかなっかた 何時間たったのだろうか。時計を見ると、もう午後三時を回っている。 ということは六時間以上ここにいることになる。 手術室の前には金糸雀しかいない。そこで顔を俯きながら待っている。 その時である ?「あの…もしかして金糸雀先生ですか?」 金「あ…はい。そうかしら」 見ると、病院の服をきた40代くらいの女性が立っていた ?「私…Aの母です。いつもAがお世話になっています。」 金「…!Aさんのお母さんかしら!?でも何で私の名前を知ってるかしら?」 素朴な疑問を口にする 母「いつもAが私の所を訪れた時に金糸雀先生のことをよく話してくれたので。」 金「Aさんが…?」 母「はい。あの子があんな楽しそうにしゃべるのは久しぶりに見ました。でも…」 そこまで言って言葉が途切れる。 母「でも…ひょっとしたら、あの笑顔は二度と見れないかもしれません…。」 金「そ、そんなことないかしら。医者は全力を尽くすって言ってたかしら。だから…絶対に助かるかしら!」 そう言って手術室のランプを見つめる。 母「そうですね。そう信じます。あなたが支えてくれた娘ですもの。」 金「…カナが支えた?」 母「Aが私の部屋に来た時、いつも言うんですよ。金糸雀先生が来てから毎日家に帰るのが楽しみだって。 支えてくれる人がいて安心だって」 金「そんな…カナは何も…」 母「自信持ってください。少なくとも私もAも貴方を最高の先生と思っています。」 金「でも…本当に偉いのはあの子かしら…。あんな良い生徒は中々いないかしら」 母「Aは本当にいい子です。私の為に治療代も払ってくれて。 多分今回の事故もバイトの疲れでボーっとしていた所を車に引かれたと思います。……馬鹿な子です」 金「……本当に馬鹿かしら。」 その瞬間、一緒にご飯を食べたこと、お互い笑いながら話し合ったこと、昨日自分を応援してくれたこと、彼女の笑顔。 この数日間で彼女と過ごした出来事が一気に頭に浮かんできた 金「Aさん…死なないでかしら…ひっく。 また一緒に卵焼き作るかしら……ぐす…お母さんも待ってるかしら。だから…死なないでかしら…」 母「金糸雀先生…」 そっとハンカチを金糸雀に渡す。 金「すみませんかしら…ぐす。」 とその時手術室のランプが消え、扉が開いた。Aの母と金糸雀が同時に駆け寄る 金「先生!Aさんは…Aさんは助かったのかしら!?」 病院から戻った金糸雀はすぐに、校長室に呼ばれた。 ロ「全く、生徒を心配する気持ちはわかるけど、授業を放り出すなんて…。 教育委員会の人達もびっくりしてたよ。待っていても肝心の教師が来ないんだから。」 金「……すみませんかしら。」 ロ「…とにかく、今回の処分は後ほど知らせるからね。それから教育委員会の人が君に話があるみたいだから、 、会議室に行くようにね」 金「…はいかしら。」 失礼しますと言って校長室を出る 金「(もしかしてクビかしら?・・・きっと、そうかしら。 教育委員会の調査であんなことすれば当然かしら)」 そう思いながら廊下を歩いて会議室に向かう 金「(でも悔いは無いかしら。だって…あんな素敵な生徒に出会えたんだから…)」 そして会議室のドアに手を掛ける 金「し、失礼します」 会議室に入ると、50代くらいの男性が椅子に腰掛けていた。 教育委員会(以下教)「君が金糸雀君かね?」 金「…はい。この度は申し訳ありませんでした。」 頭を深々と下げる。 教「いや、今は謝らなくていい。今回は個人的な話で君を呼んだのだから。」 そういえば他にも何名かいるはずだが、会議室には目の前の男しかいない 金「…えっと…個人的な話とは何でしょうか?」 教「いくつか聞きたいことがある。まず、君が授業を放り出したことで多くの人に迷惑がかかった。 皆それぞれ忙しいにも関わらずだ。そのことを自覚しているかね?」 金「…はい。自覚してます。」 シュンとする金糸雀。今回のことで真紅達に大きな迷惑を掛けただろう。申し訳ない気持ちで一杯だ 教「ふむ…。二つ目だが、どうして大事な教育委員会の調査対象の授業を放り出したのかね? もしかしたら君の将来が狂うかもしれないのにだ」 金「…例え自分が処分を受けようとも、大切な生徒が苦しんでいる時に、自分の将来のための授業なんて 私には…私にはできません。例え、クビを言い渡されても私は、大切な生徒の傍で支えてあげたい。 …そう思ったからです。」 その答えに目の前の男性は、鋭い眼光で睨みつける。終わった…。そう金糸雀が思った時、男が口を開く 教「…合格だ。」 金「………へ?」 思いがけない言葉に思わず素に戻ってしまう 教「合格だと言ったのだよ。ローゼン校長はいい部下を持ったようだ」 金「あのー…。状況が飲み込めないのですが…」 教「すまんね。ちょっと興味を持ったのでどんな先生か見たかったのだよ。 自分の将来も犠牲にしてまで、瀕死の生徒に駆けつける教師なんてそういないだろうからな。」 そう言って盛大に笑う男。その行動に金糸雀は口をあんぐり開けている。 金「(何かキャラ変わったかしら…?)……でも、悪いのは私です。処分は受けるので…」 教「いや、今回はいいだろう。」 金「え!?」 教「私は生徒一人一人を思える教師こそ、真の教師と思っている。それに生徒も応えて頑張ろうとするからだ。 君が来ないと聞いた生徒は、授業中に自習をしっかりしていた。 しかも授業が終わった後に『金糸雀先生をクビにしないで下さい』 と頼み込んで来た。…こんなに生徒に思われている教師をクビにするはずがない。ありえないことだ。」 金「みんなが……?」 大きく目を開いて驚く 教「ということだ。さて、最後の質問だ。君はこれから教師として、どう生徒と接していきたいかね?」 その問いに暫く考え込む。そして考えがまとまったのか静かに口を開く 金「私は…この学校の生徒を支えていきたい。そして、支えながら生徒の成長を見守っていきたい…です。」 教「…その気持ちを大事にしたまえ、それはきっとこの学校で活かせることだろう。」 金「……はい!」 大きく返事をする。男はそれを見て頷く 教「では、外で皆を待たせているので、失礼する。」 金「…あのー…、お願いがあります。」 教「……なんだね?」 三日後 真「それにしても、あんな事態を起こしたのに、よく処分を免れたわね」 デスクで何やら袋にまとめている金糸雀に言う 金「も、もちろんこの有栖学園一の策士金糸雀に不可能はないのかしら」 水「ふ~ん。…それにしても、あんな授業はしたくないわぁ。」 そう言って、茶菓子を一口 真「ふっ…。愚かね。まさかあんな授業をするなんて」 金「?」 一体水銀燈がどんな授業をしていたのか金糸雀は知らない。しかし、後から雛苺から聞いて密かに笑うのであった とその時金糸雀のデスクの電話が鳴る 金「もしもし…。……え!?本当かしら!すぐに行くかしら」 そう言ってガチャリと電話を切る。 金「ちょっと用事ができたからこれで失礼するのかしら。」 真「用事?一体どこへ行くというの?」 たくさんの荷物を抱えている金糸雀に問い掛ける真紅。 金「もちろん。支えてあげなきゃいけない大切な生徒の元に、かしら♪」 パチッっとウィンクしてから、職員室からタッタッタと出て行った 水「何か嬉しそうだったわねぇ…。」 真「そうね。ま、私たちには関係ないことなのだわ。」 水「それもそうね。あ!真紅ぅ?私の分の茶菓子食べたわねぇ?」 真「もぐもぐもぐ…。ふぃららいのらわ」 数秒後職員室が騒がしくなったのは言うまでも無い 金糸雀は有栖病院に来ていた。病院独特の匂いがする。清潔な香りに戸惑いながら一つの病室で足を止める ガラガラ― 金「失礼しますかしら~。」 A「あ、金糸雀先生!」 そこには三日前手術を終えたばかりのAだった。傍で退院したばかりのAの母が会釈する 金「目を覚ましたって聞いたからすぐに飛んできたかしら」 Aは三日間意識不明だった。自分も聞いてびっくりしたとAは語った A「……それより先生ごめんなさい。私のせいで色々迷惑掛けちゃって…。」 金「え?何の事かしら?」 余計な心配をさせたくないので、この間の件は伏せておいたはずだが… A「雛苺先生が、さっき来て全部話してくれたんです。私のせいで偉い人に怒られたんでしょ?」 どうやらばれているらしい 金「全く、雛苺は余計な事言いすぎかしら。少しはAさんのことを考えてほしいかしら」 ぷぅっと頬を膨らませる。少し怒っているらしい A「…でも嬉しかったです。」 金「……へ?」 膨らんだ頬がプシュ~と空気が抜ける A「先生が私の為に病院に来てくれた事、そして…私の為に泣いてくれた事」 金「え…何故それを…ハッ!」 傍で母がすいません…といった表情で見ている。 何だか恥ずかしくなって顔を赤らめる A「先生顔真っ赤~。可愛いー」 金「お、大人をからかうなかしらーっ」 子供っぽい金糸雀が大人と言ったのでAはますます笑い声を上げた 金「もうっ、そんなに笑うならせっかく作ってきた。これあげないかしら」 さっきより頬を膨らませて袋から何かを出す。 A「こ、これは…!」 それはオムライスだった。半熟でたっぷりケチャップが乗っている。 金「せっかく作ってきたのに。もうあげないかしら。」 A「先生ゴメン。このとーりだから!」 両手を合わせて頼むしぐさをする 金「ふっふーん。そこまで言うなら特別にくれてやってもいいかしら。」 A「やったー。」 そのままで冷たいので、看護婦に暖めてもらうようお願いした。 金「さて三人分作ってきたから。お母さんも一緒にどうかしら?」 母「いいんですか?じゃあ、ご馳走になります。」 食事の為、小さいテーブルを持ってきてAの左に母、右に金糸雀という感じで Aのベットを囲むように座る 金「あ、そういえばこれを渡しとくかしら。」 そう言って一枚の書類らしきものを渡す A「何ですか?これ」 金「それは収入が困難な家庭に授業料を一部免除してくれる人が申し込む書類かしら。 本来有栖学園にない制度だけど、教育委員会に頼んで作ってもらったかしら。」 昨日教育委員会から電話があり、この制度を導入して良いと許可が出たのだ。 A「先生……本当に、本当にありがとうございます」 母「私からもお礼を言わせて下さい。本当に色んな事まで面倒見てもらって、感謝の言葉も足りません」 金「あ、頭を上げてくださいかしらー。、教師として当然のことをしたまでかしら」 いきなり頭を下げられ、おろおろする。とその時に看護婦が入ってきた 看護婦「失礼します。先程のオムライスが暖まりましたよ」 看護婦が暖めたオムライスをそれぞれのテーブルに並べる A「わぁ、金糸雀先生のオムライス…何時見ても美味しそう。」 母「本当ね。私はこんなの作れないわ。」 二人が感嘆の声を上げる 金「今度細かい作り方を教えるかしら?」 母「はい!ぜひお願いします」 二人目の卵同盟をゲットすると、売店で買ってきたジュースを配る。これで準備は整った 金「さて、それでは皆々様、準備はよろしいかしら?」 母「先生…。よだれは拭いた方が…」 またもや、よだれを出現させている金糸雀 金「(フキフキ)……親子揃って痛いツッコミかしら…」 A「………」 Aも以前の事を思い出して笑いを堪えている 金「とにかく…頂きますかしらぁーっ!」 A「はーい。もぐもぐもぐ…美味しいー」 母「本当。これはぜひともマスターしないとね」 金「当然かしら~。あぁ~ほっぺが落ちるかしら~」 この時Aは、今の状況は以前自分が望んでいた事と似ているなと思った 母と一緒にオムライスを食べたいと…言う望みに しかし、場所は病院、それに人物が一人多い。 だが、今の状況こそが自分にとって最高に望んでいた事と思った なぜなら、自分の大好きな母と卒業まで自分を支えてくれる大好きな先生が一緒にいるのだから…
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/338.html
職人登場のSSには基本的にノータッチです。 名前は出てますが、書き込みは一切してません 水銀燈 水銀燈保健体育1 水銀燈体育 くんくんと型抜 誕生日 金糸雀 金糸雀と衣装 親子 金糸雀と死闘 金糸雀とプリント 翠星石 翠&雛の調理実習 翠星石の家庭科(おあ部分 翠星石と弁当 翠&蒼とスーパーにて 翠星石と花壇 翠星石の弁当と転校 桜 蒼星石 蒼星石と女子生徒(おあver 蒼星石と耳 蒼星石と保健室 蒼星石と駐車場 蒼星石と恩師 蒼星石とアイスキャンディー リストカット ゲームセンターの蒼星石 蒼星石と催眠術 飛行機雲 真紅 くんくんと型抜 真紅と面談と模試 笑顔、約束 雛苺 翠&雛の調理実習 雛苺の裁縫 雛苺とコロ 雪華綺晶 号令 薔薇水晶 薔薇水晶のホームルーム 薔薇水晶と三者面談 薔薇水晶の生活指導 薔薇水晶の家庭教師 えろ時代 向き、不向き 複数 食事会 花見
https://w.atwiki.jp/ohomodachi/pages/56.html
「手話っち!!」 数ある教師の中でもずば抜けたつまらなさを誇る。 河童先生みたいに中途半端につまらないんじゃなくて、圧倒的安定感がある。 一部から高い人気を誇る。 助手の姉ちゃんと上手くいっていない御様子。 無修正モザイク無し e-ma喉あめ 天才テレビ君 ノーベル賞 位置について・・・ 復活 挙手 参考 和田重雄
https://w.atwiki.jp/mitudomoe_eroparo/pages/235.html
教師になるのが夢だった。 数年前の僕は、ただひたすらに教師という存在に理想を抱き、教師になるため、毎日勉強に勤しんだ。 学力も中の下だった僕は人よりも長い時間机に向かい、高校、大学のレベルを下げ、必死に底辺にしがみついていた。 やがて、僕は就職活動の甲斐あってか、念願の小学校教諭になった。 正直、うれしかった。当たり前だ。昔からの夢が叶ったんだから。 しかし、その頃には当初僕が抱いていた教師の理想は実習、その他諸々の体験を経て、悲しき幻想へと形を変えていた。 楽しさも早々に消え、後に残されたのは、子どもにからかわれ、自尊心を傷つけられる毎日と教師としての事務的ハードワークをこなす虚しきパッチワークだけだった。 そんなある日の事だ。 僕のクラスには三つ子がいる。そこそこに可愛らしいが、毎日僕をからかって遊ぶ悩みの種の一つだ。 その三つ子の内の一人──丸井ひとはという──が放課後の教室に残っている僕に出会した。 ……いや、“出会した”というより“見つかった”と言った方が正しいだろう。 その時の僕の手。その中には“丸井ひとは”と銘打たれたリコーダーが握られていた。 偶然手に取ったわけじゃない。リコーダーの袋と体操着が机の上に散乱している。明らかに“故意”だった。 今思うに、僕は疲れていたのだろう。その矛先が、偶々僕の近くをいつも付きまとっている少女に向いたのだろう。 「せ、先生……?」 やはり、いくら肝が据わっていようが小学生ということだろうか。 ひとはちゃんは、僕を見て目を見開いて驚いている。 僕は言い訳すらせず、心の中で短い教諭人生にさよならを告げた。 目をつむり、脈打つ心臓を無視し、ひとはちゃんの次の言葉を待った。 多分、どんな言葉でも最悪な結末になるだろうが。 しかし、次にひとはちゃんの口から出た言葉はおよそ僕が予想していた言葉とは大きく違っていた。 スッ、と腰を落とし、上目遣いで僕を見つめてくる。 「先生、それで何をしてたんですか?」 いたずらっ子の笑みを浮かべ、ひとはちゃんは訪ねてきた。 なんだ、それを聞いてどうするつもりだろう。 「えぇと、口を……付けようとした、よ……」 僕は正直に言った。怒るかと思ったが、ひとはちゃんは意外にも微笑んでいた。 「どんな風に?」 やってみせて、と言うようにひとはちゃんが見つめる。 それを悟った僕は、或る種の諦めからか、自棄になり、手に持ったままだったリコーダーをくわえた。 口の中に入れたリコーダーは最初冷たかった。 鼻腔をくすぐるこの甘い匂いは、目の前に居るひとはちゃんからだろうか? それとも、このリコーダー? 答えのでないまま、僕は飴のようにリコーダーを舐める。 「おいしいの?先生?」 「う、うん……」 変態だ……。自分で自分をそう思ったが、しかし、興奮が勝った今では、止める事はもう不可能だった。 気づけば、僕はむしゃぶるように、リコーダーを舐り、必死にくわえ込んだ。 「変態ですね」 ひとはちゃんは呟く。 そして、優しい手つきですっかり膨らんだ僕の股間を撫でた。 「ひ、ひとはちゃん……!?」 座り込み、僕の足に寄りかかるひとはちゃんは、人差し指と親指でGパンのチャックを下ろし、柄パンのボタンを外す。 乱暴な勢いで僕の竿が起立した。 小さいと言えど、小学生のひとはちゃんの顔くらいはあるソレを、一瞬躊躇した後、口の中に含んだ。 「っ……!」 反射的に腰を浮かした。 温かな粘膜が竿を包み込み、先の方をぎこちなくなぞる感触があった。 舐めている、と分かったのはすぐだ。 「ひ、ひとはちゃん……!?」 驚きと喜びと快楽が混ざり、混沌とした思考の中、僕は叫んだ。 なぜこのような事になったのだろうか。 「んむっ……ぷはっ。おいしい……」 口から竿を離し、手でしごきながらひとはちゃんは見つめる。 「ひ、ひとはちゃん……何でこんなこと……」 「こんなこと……?こんなことがしたかったんじゃないの?先生は」 「いや、それは……でも」 言葉に詰まる。確かにそうだが、こんな展開になるとは思えなかった。 教諭としての立場からか、否定的な考えが浮かぶ。 「じゃあ、止めますか?」 ひとはちゃんが言った。 「……っ」 僕は答えられない。 なぜ? 止めるのが惜しいからだ。出来るなら、ひとはちゃんを抱きしめたい。舐め回したい。その小さな体躯を壊れるくらい犯したい。 「……」 ひとはちゃんは、僕を見つめる。薄く、微笑みを浮かべ、おもむろにワンピースを脱ぎ始める。 白いパンツが露わになった。子どもらしい、小さなリボンが真ん中に付いたモノだ。 そして、次はTシャツを脱いだ。 未発達の乳房に、触れると壊れそうな程華奢な、雪の結晶のような、白い肌が現れる。 その時点でひとはちゃんの頬は赤くなっていた。 しかし、真っ直ぐに僕を見つめている。 ゴクリッ。教室内に響きわたったかと思うほど大きく、生唾を飲み込んだ。 僕はもう我慢ができず、ひとはちゃんに襲いかかった。 「ひ、ひとはちゃんっ!!」 「きゃっ!!」 聞いたことのないような悲鳴をあげるひとはちゃんを、僕は仰向けにして、両手を抑えて強引にキスをした。 これには泣くかな、と呑気に考えていたが、ひとはちゃんはそれにも動じず、むしろ受け入れるように、自ら唇を動かしていた。 ……そして、その時に自分が泣いていることに気づいた。教師という未練からだろうか。それとも自分に対する情けなさからだろうか。 この無垢な少女はなぜこんな最低な僕を拒まないのだろう。軽蔑しないのだろう。それこそ、いつもならゴミを見るような目で僕を見てくれるのに、こんな時だけ優しくしてくれるなんて、何かズルい……。 「先生……」 ぎゅっ。 ひとはちゃんはそんな僕を両手で強く抱きしめた。 「大丈夫ですよ、先生」 ふわり、と柔らかい掌で頭を撫でられる。 「怖がらないでください。大丈夫ですから」 「で、でも……」 それでも僕は不安になる。暗闇の中に一人残されたような、どうしようもない焦燥感に駆られる。 「ひとはちゃんには、分からないんだよ……大人は、色々な規則に縛られているんだ。社会が敷いたレールの上でしか走れない。だから一度脱線してしまった僕は……、僕は……!!」 「よしよし」 頭を優しく撫でられる。 「今は二人ですよ、先生。だから、脱線してるのも二人です。まだ、怖いですか?」 優しく撫でられながら、僕はまた泣いた。 そして、子どもみたいに抱きつく。 その拍子に、ひとはちゃんが倒れ、僕はまたひとはちゃんを押し倒す形になった。 「あ……ごめんね、ひとはちゃん」 「先生……きて、ください」 ひとはちゃんの左手が僕の頬をなぞる。愛おしそうに。 僕は、盛った猿のようにひとはちゃんのパンツを破き、自分の竿をあてがった。 「先生……」 目をつむり、両手を背中に回して、ひとはちゃんは僕に抱きつく。 「私が、先生の初めてですよ……。忘れないでくださいね……」 そして、僕は一気に貫いた。確か、そうした方が良いと本に書いてたから。 「あぁああ……っ!」 腰をよじり、痛みを表すように僕の背中に爪が刺さった。 涙を浮かべ、歯を食いしばる様子は本当に痛々しかった。 僕は結合部を見る。皮肉なことに、まだ先が少し入っただけだった。 腰にグッと力を入れる。 「いっ……!!」 痛がるひとはちゃんを無視して、僕は限界まで突き入れた。 「ああああッッ!!?」 結合部から床にかけて、血が一筋の運河を作る。 「はぁはぁ……、はぁ……っ」 軽く痙攣しているひとはちゃんを抱きしめ、僕は猫の交尾のように腰を振った。 「きもちいい……っ!きもちいいよっ、ひとはちゃん!!」 夢中で腰を振る。 ひとはちゃんは歯をかみしめ、涙を流しながら、声を押し殺す。 伸びた足の指先は丸まり、息を、苦しそうに吐き出していた。 「んっ、……はぁ、ん、ふぅぅ……いっ!あ!んっ、んっ、んっ、んっ!」 リズミカルな喘ぎ声に気持ちも高揚し始める。 「気持ちいいっ、気持ちいいよ、ひとはちゃんっ!」「んっ、せっ、ん……せっ、いっ……!あ!?」 ゴリゴリと、膣壁をほぐし、かき回す。 その痛みを紛らわすためか、時折首を左右にふったり、足の指先をピンっと伸ばす。 「った……っ、まっ、まっれっ……せんっ……ん!」 快楽に従い、徐々に腰の速度が早まる。 「ひとはちゃん!ごめん、先生、もう、限界かもっ!」 「はぁっ、いいですよ、先生っ!いつ、でもっ……はぁうッッ?!」 腰を打ち付ける。ひとはちゃんの中へ何度も突き入れる。 艶っぽく濡れた瞳が吸い込まれそうなほど綺麗で、髪の毛が頬に張り付いている幼さと相まって、その可愛らしさを一層引き立てていた。 柔らかい。小学生の女児に抱きつく二十歳過ぎ……。滑稽だが、今は妙に温かい気持ちに満ちていた。 「ひ、ひとはちゃんっ!も、もう出るよ……!?イク、イク、イクイクイクイクイクイ……っ!!」 びゅるるっ……!!びゅるっ!どぴゅっ……。 「ふあぁぁああああぁあああああ……!!?」 中に、ひとはちゃんの中に大量の精を注ぎ込む。 粘着質な質感が僕の竿をより強く包み、温かく受け入れた。 びゅるっ……、びゅっ……。 「あっ……まだ、出て、る……」 ひとはちゃんの身体が軽く跳ねる。 僕はひとはちゃんの中の余韻を堪能した後、ゆっくりと竿を引き抜いた。 「…………あっ……」 こぽっ。血が混じった、ピンク色の精が外気に触れる。 「……先生、」 うっとりした瞳で僕を見つめる。 情事を済まし、少し冷静になった途端、罪悪感が一気に沸き上がる。 「ひとはちゃん……」 震える手で頬に触れると、ひとはちゃんは両手で優しく包み込む。 「私も、先生のリコーダー舐めましたね」 「え……?」 「お互い、秘密ですよ?」 ひとはちゃんは、恥ずかしそうに僕に言う。 教師で良かった……、と不謹慎ながら僕はそう思うのだった。 ~おしまい~
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/360.html
電灯の消えた職員室をパソコンのモニターが淡く照らす。それまで断続的に続いていたキーボードを叩く音が途切れた。 金「つ、ついに完成かしらー!!」 震える指で保存ボタンをクリックする。今さっき完成したばかりのデータがメディアに保存される。 金「三ヶ月という長い期間を経て、遂に秘密兵器の完成かしら…!!これで生徒の…」 夜中の職員室に金糸雀の高笑いが響く。 蒼「金糸雀先生、なんか嬉しそうだね」 翌日の職員室で、軽快に鼻唄を歌っていた金糸雀に声をかけた。 金「うふふふ、分かってしまったかしらぁ?」 特に否定することもなく、にんまりと笑う。そしておもむろに鞄から厚めのファイルを取り出した。 蒼「それは・・・?」 金「これは、カナが研究の末に完成させた問題プリントかしらー!!」 ふふんと鼻を鳴らしてファイルを突き出す。 蒼「そういえば、金糸雀先生は以前から何かの問題を一生懸命に作っていたね。もしかしてそれがそうなの?」 金「その通りかしら!過去数年の数々の学校の入試過去問や、全国模試の問題などをかき集め、カナの長年の研究と経験から作り出した珠玉の問題プリントかしら!! 全部で3部にも及ぶこれを全てこなせば、生徒の偏差値アップ間違いなしかしらー!!」 ついに堪えきれずに高笑いをする金糸雀。周りの教師が迷惑そうな視線を投げかける中、蒼星石は優しく微笑みかけた。 蒼「うん。金糸雀先生はすごい頑張ってたからね。生徒たちもきっと喜んでくれるよ」 金「きっとそうなのかしらー!!」 そう言うと、問題プリントの入ったファイルを大事そうにギュッと抱きしめた。 この問題プリントには、自分の努力の成果と生徒たちへの想いが詰まっている。 金糸雀ははやくこれを授業で使いたくて仕方がなかった。この日の授業は3時間目だったが、それまでの間、他の仕事が手につかなかった。 何度もファイルからプリントを取り出しては、ニヤニヤしていた。 そして遂に授業の時が来た。いつもより早い時間に職員室を出た金糸雀は、足取りがスキップになってしまいそうなのを必死に堪えながら、教室へ向かった。 金「皆々様―!ご機嫌麗しゅうかしらー!!」 意気揚々と教室へ入る金糸雀を迎え撃つように号令が響く。 号令が終わり、生徒たちが着席するのを確認するなり金糸雀はファイルからプリントを取り出した。 「先生、なんですかそれは?」 金「気付いてしまったかしらぁ?」 さぁどうだと言うかのようにプリントを目の前に出されたのだから、なにか気付かない方がおかしい。 恐らく生徒が何か言うまでそのままでいたかもしれない。 金「これは、カナが作った問題プリントかしらー!!」 プリントを高々と掲げる。生徒は誰一人として反応しなかったが、金糸雀は続けた。 金「次の模試までの授業、これをやれば偏差値を楽してズルして頂きかしらー!」 えぇーと言う声を無視して、プリントを前の列に配ってゆく。 自分の全てが詰まったプリントが生徒に行き渡る。 金「なにか分からないことがあったら遠慮無く質問に来るかしらー。回答と解説のプリントは授業終了の時に渡すかしら」 「あのー、先生」 一人の生徒が手を上げる。既にその生徒の机には先程配ったはずのプリントはなく、変わりに分厚い参考書が置かれていた。 金「なにかしらー?」 「俺、参考書のほうやっても良いっすか?」 金「えっ・・・?」 一瞬何を言われたのか分からなかった。そんな金糸雀にさらに追い討ちをかけるように次々と生徒が僕も、私もと手を上げた。 金「で、でもこのプリントはカナの長年の研究と経験が…」 「学校の授業なんかよりこっちの方が良いしぃ」 学校のテストで一度も満点を取ったことのないような生徒たちが口々に「たかが学校の授業」と言う。 それは即ち、金糸雀を否定しているのと同じだった。 「と、言うわけで参考書の方やらせてもらいまーす」 金糸雀は足の力が抜けるのを感じた。なにも言うこともできず、椅子にぺたんと座りこんでしまった。 生徒たちの持っている参考書は、有名予備校の講師によるものが殆どだった。 受験を控えた生徒たちは、この類の参考書が最も良いという定説を信じてこぞって買い漁る。 確かに、その類の参考書は人気なだけあり分かりやすい。だが、金糸雀は自分の作ったプリントはそれに負けないくらいのものだと思っている。 せめて、一度は使ってから判断して欲しかった。 結局、一度も授業中に質問に来る生徒はいなかった。金糸雀は来た時とは打って変わって重い足取りで教室を出た。 ふと、教室の後ろに置かれたゴミ箱に目が行った。ゴミ箱の中身を見て、金糸雀は見てしまったことを後悔した。 ゴミ箱の中には、金糸雀の作ったプリントが一つも回答されないまま押し込まれていた。 頭に殴られたような衝撃が走る。一瞬視界がぐらついた。 気付いた時には職員室のデスクに戻っていた。しかしまだ足が震えている。 プリントを入れたファイルにまだ厚みがあることに気付いた。そういえば、回答と解説のプリントを配り忘れていた。 だが、そんなもの必要ないだろう。配ったところでどうせ・・・・・・。 金糸雀はその場に突っ伏し、誰にも見られないように涙した。 放課後になるまで、金糸雀は誰とも話さなかった。普段は誰とも構わず話しかけるだけあり、その変化は顕著だった。 金糸雀一人が沈むだけで、職員室全体の空気が沈んだ。 そんな空気に耐えられなくなった真紅が、金糸雀に話しかけた。 真「どうしたの、金糸雀先生?そんなに沈んで…。あなたらしくないわね」 金「真紅先生・・・」 真紅を見つめるその目は、赤くはれていた。 金「カナ、教師に向いていないのかな…?」 真「・・・どうして?」 突然の質問にうろたえることなく続きを促す。 金「だって、カナはドジでおっちょこちょいだし…」 そう言ってうつむく金糸雀に、真紅は軽く溜め息をついた。 真「そうね。貴女程ドジでおっちょこちょいで間抜けで五月蝿い教師はいないわね」 金「そ、そんなに言ってないかしら…」 金糸雀が今にも泣きそうな表情になる。目には既に涙が溜まっており、流れ落ちるのを今か今かと待っている。 真紅はその涙を指でそっと拭った。 真「でも、貴女ほど生徒にひた向きな教師もいないわ。私たちも、そこは見習うべきね」 金「え・・・?」 真「ほら、貴女の気持ちに応えてくれた生徒が、貴女を待っているわ」 そう言って金糸雀の後ろに視線を送った。金糸雀が振り返ると、そこには今日プリントを渡したクラスの生徒が数人立っていた。 手に何か持っていた。それは、まさしく金糸雀が作ったプリントだった。 金「あ、あなたたち…?」 「あのぉ、今日のプリントについてなんですけど」 まさか職員室にまで文句を言いに来たのだろうか?金糸雀は思わず身構えた。 ゴミ箱に捨てられたプリントを思い出し、嫌な汗をかいた。喉が急に渇きだした。 「ちょっと教えて欲しいんですけど」 金「え?」 思わず塞ごうとした耳に、思いも寄らない言葉が投げ込まれた。 「だって先生、解説のプリントをくれるって言ってそのまま出てっちゃったんだもん」 その後ろで数人の生徒が同じく批判の声を出した。 金「カナのプリント、やってくれたの・・・?」 「え?やりましたよ」 さも当たり前のように返事をする生徒たち。 金「参考書じゃなくて、いいの…?」 「そんなのより金糸雀先生のプリントのほうが良いですよ」 その言葉は、金糸雀の心を覆っていた雲を一瞬にして消し去った。 どれだけこの言葉を待ち望んでいたのだろうか。例え全ての生徒に受け入れられなくても、この一言で頑張れるような気がした。 いつの間にか、金糸雀の目からは先程までとは違う涙が流れていた。 「え!?金糸雀先生なに泣いてるんですか?」 金糸雀の突然の涙に戸惑う生徒たち。金糸雀は慌てて涙を拭って誤魔化した。 金「ちょ、ちょっと埃が目に入っただけかしらー!!」 そこには、いつもの金糸雀がいた。金糸雀の甲高い声が職員室に響く。 職員室に、再び活気が満ち溢れた。
https://w.atwiki.jp/ohomodachi/pages/224.html
「あー、先週末に東京湾をぐるっと一周、自転車で走って来たんですよ。」 ドラクエと自転車を愛する、童貞国語教師。 そこそこ面白い授業をなさるが、性根が真面目なためあまりネタを放出しない。 時々放たれる下なネタからは、男子校出身者の哀れな性が垣間見える。 箴言 シコシコ(ビブリオ) 男の基本 童貞率 棒倒し 害児オーラ 残念でした~ 訳 フライドポテト メイン装備 チン子(武器)…未使用。大変貴重なモデル。