約 63,412 件
https://w.atwiki.jp/ohomodachi/pages/280.html
Daniel Stewart氏。カナダ生まれ。 開成英会話教師の中でもリーダー格の人物。英会話教材作成も手掛けており、彼の教材"80 CONVERSATIONS"はCD付きで、毎年声優の中に一人は聞き取りづらい人がいることで有名。また毎回の授業のプリントも彼の作と思われる。 愛読書は『Kaisei Festival Love Story』。こんなリア充がこの学校にいるわけが(ry 髭 無断複製
https://w.atwiki.jp/hachimanjinja/pages/1579.html
ゾンビの死体の山を背景にして、俺と教師は握手をしていた。 「危ないところを助けて頂いて感謝する。」 「例には及ばんさ、俺はゾンビを「狩り」に来ただけだからな。」 教師はスーツの襟を直すと、銃をポケットに仕舞った。 「私はマーク・ウルフ、ここの高校で教師をしている者だ。」 「俺はアドルフ・ガーランド、帝都で小さいギルドを経営している、こっちはエーリヒ、ギルドのメンバーで俺の相棒さ。」 「エーリヒ・・・ガーランド?どこかで聞いた名前だが・・・。」 マークは首をかしげた。 「まあ、結構仕事をしてるからな、噂くらい立つだろう。」 「ま、それはともかく生徒さんたちが待ってる、安全な場所に非難させてあげてくれ、俺たちも一緒に付いて行く。」 マークは頭を下げた 「有難う、恩に着る。」 「いいよ礼なんて、俺はゾンビを狩れてばそれでいいんだよ。」 「先生!」 向こうから生徒が駆け寄ってきた。 「大丈夫だったのか?」 「助けて!理科室に・・・」 「理科室?」 生徒らしき人は涙目でマークに言った。 「理科室にゾンビが!」 「何だって!ガーランド、すぐに行こう!逃げ遅れた生徒が襲われているかもしれない!」 「そうだな、行くぞ!エーリヒはその子を安全な場所に頼む。」 マークが向こうを指差した。 「体育館に同僚がバリケードを張っている、そこに行けば安全なはずだ。」 「分かった、とりあえずそこに向かう。」 俺はエーリヒと分かれて理科室に向かうことにした。 戻る
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/681.html
水「はぁ、また模様替え?嫌よ、面倒くさい」 真「仕方ないのだわ。校長命令だもの」 水「ほんと碌なこと言わないわねぇ」 蒼「翠星石、準備は良いかい?」 翠「いつでも良いですぅ」 蒼「それじゃ、1、2の3!」 そう言って机を運ぶ二人。 金「キャスターを使えば、楽してズルして運べるかしら~」 雛「転んでもしらな・・・」 金「きゃ~~!!」 どん! 雛「ほら転んだの」 金「痛いのかしら~」 薔「・・・また新しい気分で、お仕事できるね」 雪「そうだな。席替えを楽しみにする生徒の気持ちが少し分かった気がする」 そんな、恒例の職員室の模様替えだった。 ローゼン「はい、皆ごくろーさん。それじゃ、今日も一日頑張ろうか」 ラプラス「そう言ってる側から逃げようとしないで下さい。それでは皆さん、今日も我が校の教師として節度ある態度で臨んでください」 全員「はい(なのだわ)(ですぅ)(かしら~)(なの~)」
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/759.html
「I was born to 【 】 you」♪♪ 「 with every single beat of my heart」♪♪♪ リズム良くQueenの名曲が流れてくる。ここは誰かのプライベート? いや違う。 ここは教室で今はしっかり授業中である。 「Yes I was born to 【 】 care of you」♪♪ これは高校時代誰でも一度は体験したことがあるであろうリスニングの授業だ。 こうゆう授業はビートルズや映画の主題歌の有名曲を用いることが多く 生徒から人気の授業である。 カチッ、 音楽を止め曲を聴いて空白を埋める形式の授業だ。しかしこれが結構ツライ。 知ってる曲じゃなきゃ空白を埋めるのは案外難しいのだ。 真「それじゃあ今日は15日だから14番の坂田の次は桜田ね。 桜田君、ここの空白に入る歌詞を答えて頂戴。」 JUN「loveとtakeです。」 真「正解よ。続いて全文和訳しなさい。」 JUN「え~と、私はあなたを愛するために生まれてきました。毎日私の・・・」 これは何ら変哲のないただの授業風景。 真紅も、さりげなくJUNに好意を寄せてる巴もなに一つ変わらず授業をこなしていく。 しかしJUNにおいては少し心境が違うようだ。 みんなに悟られないようにしているが、本心は少しうやむやした気持ちが渦巻いている。 きっとこれはラブソングによるもの。 誰に言うわけでもない愛の告白。けどJUNの心の中ではある人物に向けられていた。 真紅(23)とJUN(17)は教師と生徒という関係のほかに、もうひとつみんなが 知らないような秘密があった。 JUN「うわ~んやめてよ返してよボクのおにんぎょう~」 いじめっ子「うるさいぞ男の癖に人形遊びなんて」 いじめっ子「こいついつもドッジボールとかしないで おままごとばっかしてるんだぜ」 JUN(あれ?懐かしいな、僕は夢を見ているのか・・・) 真紅「コラ!なにしてるのだわ!やめなさい!」 いじめっ子「また真紅が来た~」 いじめっ子「逃げろ逃げろ~ アッカンベーだ!」 JUN(昔から真紅はあんなだったな・・・) JUN「真紅ちゃんありがとう」 真「まったく情けないのだわ。私の下僕ならあれ位たまにはガツンとやっちゃいなさい。」 JUN「うん・・・ごめん、でもたたくのは・・・」 真「まったく、あなたは優しすぎるのだわ。使えない下僕を持つと主人も苦労が絶えない のだわ。」 真「だからこれからも主人としてあなたと一緒にいるのだわ。JUN、感謝するのだわ。」 JUN「うん。ありがとうボクもずっと一緒にいたい。ぜったいぜったい一緒だよ。」 JUN(このときの僕はまだ何も知らなかったんだよな・・・僕たちのこれからも・・・) 真「ええずっと一緒なのだわ。とりあえず喉が渇いたからジュースを持ってくるのだわJUN。ちゃんと氷も入れるのだわ。」 JUN「うん、分かったよ」 JUN「ハイ。持ってきたよ。」 真「ありがとう」 「ねぇ・・・、さっきずっと一緒って言ったよね。 ならボクを真紅ちゃんのお婿さんにしてくれる?」 真「それは紳士の言う台詞ではないわ。」 真「でも・・・あなたがこの真紅につりあうような男になったら考えてあげるのだわ。」 JUN「じゃあボクは真紅ちゃんに認めてもらえるような男になるよ。絶対なるよ」 「約束のしるしに指きりしよう」 JUN真「ゆっびきーりげんまーん嘘ついたらハリセンボンのーます指切った!」 真「絶対よ」 JUN「うん、絶対だよ。絶対絶対なr」 まッだー言わなーいで呪文めいたそのとt ♪♪ カチッ! JUNは携帯の目覚ましをとめる。 そして気づく。 JUN(しまった、今日は創立記念日で学校休みだ。ハァ・・・いつも通り目が 覚めちまった。) (それにしても懐かしい夢だったな・・・昨日の授業が原因かな・・?) JUNは鮮明に覚えている夢のせいで昔を思い出し、少し恥ずかしくなった。 仕方なく起きることにした。 JUN「お~いお茶漬けのり、朝飯できてるか~?」 JUNは半分寝ぼけながらリビングに下りている。 そして数秒後一瞬で眠気など吹き飛び覚醒した。 真「あらJUNおはよう。てっきりまだ寝てるものかと思ったのだわ。」 「休みの日でも早起きとは感心ね。」 JUN「ああ、おはようしんk!!」 ガン!!! JUN「痛ぅぅぅー」 驚きのあまり足の小指をトビラの角にぶつけたのだ。 痛みのせいかその場で丸まっている。 真「朝からせわしないわねJUN。顔を洗ってきたら紅茶を入れて頂戴。」 JUN「なななんでお前がいるんだよ!!お茶漬けのりはどうした?」 真「今朝訪ねたらのりが中に入れてくれたのよ。ちなみに彼女は部活の朝連に行ったわ。」 真「それに“お前”とは良い度胸ねJUN。」 JUN「うう、うるさい!ここは学校じゃないんだぞ!」 真「確かにここでは教師じゃないかもしれないけど、ここではあなたの主人よ。」 これが学校では明らかにされてない、いや明らかになったら確実に問題であろう。 教師と生徒ではなく、主人と下僕の関係だ。 そして学校の外では“JUN、真紅”と呼び合っている。 JUN「なんで休日の朝から来るんだよ」(最近はちっとも遊びに来ないくせに・・・) 真紅は就職してから教師と生徒の関係を考えあまりJUNとプライベートで会うことは しなくなった。まわりから特定の生徒を特別扱いしていると思われると自分にも JUNにも迷惑がかかるからだ。 それまでは年の差6つもあり性別も違えどほぼ毎日遊んでいた。 JUNは幼きころから真紅のことが好きであったが、それはあくまでお姉さんとして 好きだったのだ。 しかしJUNが15のとき真紅への恋心に気づいた。 JUNは確信こそ持ってなかったのだが、昔事実上のプロポーズもした仲だし、外ではお高く留まっている真紅もJUNの前では素直になる。だからきっと真紅はプライドが高く自分から告白なんて生涯しなさそうだが自分からすればこの恋は実ると信じていた。 だが自分は名門有栖学園の受験を控えていたし、真紅は夢である教師になるため忙しく 思いを伝えられないままでいた。 そしてJUNが17のとき真紅が教育研修期間を終えて念願の教師になれた。 これで真紅への思いを伝えられる。 しかし15のときから2年間待ち続けていた少年に神はなんて残酷なことをするのだろう。 JUNが2年生に上がり同時に新しい教師がやってくるという話を聞いた。 結構美人だと噂されていたが、正直JUNにとってはどうでも良かった。 彼の頭はいつ告白しようか、それだけだった。 トビラが開いたその先には綺麗なブロンドの髪の女性。 周りの男達からは拍手喝采。 ビシッと深紅のスーツを着こなし、優雅な大人の女性の姿。 JUNは目を疑った。それと同時に知ってしまった。 この日から恋人という関係になってはいけないということを・・・ それ以来半年ほど教師と生徒の関係が続き、実に久しぶりに二人は一緒にいられるのだ。 しかし昔のようにとはいかない。 JUNは気持ちを落ち着け真紅に今日来た意図を訪ねる。 真「今日来た意味ですって?まずはこれを見なさい。」 JUN「う・・・」 JUNは目の前に置かれたものに目をやると思わず唸ってしまう。 真「これはどういうことかしら?23点ですって?平均点は46点よ。」 「赤点ぎりぎりじゃないの。」 JUNは英語が苦手だった。ただでさえ得意でないのに真紅に質問するのが恥ずかしく 独学で勉強していたから大幅にみんなより遅れをとってしまったのだ。 真「とにかく、次のテストで良い点を取らないと進級できないのだわ。」 「だからこの私があなたに直接指導しに来たのだわ。感謝しなさい。」 JUNはドキっとした。あの真紅が自分のためだけにわざわざ足を運んできたのだと 思うと嬉しくなった。 真「あなた意外にY君やK君のところにも行かなくてはいけなくて大変だわ。」 JUNの喜びは脆くも数秒で崩れた。 新米教師にはありがちな熱血ということだ。生徒のためなら休日も潰す。 それが今の真紅には当たり前のことなのだ。 JUN(そっか・・・生徒は俺だけじゃないもんな・・・) (俺も40人の生徒の内の一人でしかないし、真紅にとってもう俺は特別な 存在じゃないのかな・・・) JUNは胸の奥に“チクン”と針を刺されたような気持ちになった。 憧れの相手は生徒からも人気の高い素晴らしい教師になってしまった。 事実生徒から告白されたという噂も聞いたことがある。当然すべて断ってきたらしが。 気持ちを伝えることもできない。仮に伝えたとして100%実ることなく二人の 関係だけを壊してしまう・・・ 結局この日JUNは勉強にあまり集中できなかった。 そして二人の間に勉強以外の無駄な言葉が極端に少なかったのが悲しかった。 真「また時間ができたら来るのだわ。JUN、しっかり復習しておくのよ。」 JUNは内心また来るという言葉に喜びよりも悲しみの方が大きかった。 半年前とっくに諦めていた気持ちがまたぶり返してきたのだった。 この日JUNはどうにもならない気持ちと戦いながら心の中で泣いていた。 金「さてみなさん、このとき主人公はどんな気持だったのかしら~?」 日にちは代わり今は国語の時間。 金糸雀先生の授業は分かりやすく工夫も多くされているので生徒から人気だ。 だがそれはともかく、たとえどんな重い内容の話でも陽気な“かしら~”の口調なので いまいち臨場感がないのが難点である。 金「愛する人を置いて自分は旅立たなければいけない。本心はずっと愛する人いたかった けど旅立つ決心をしたのかしら~」 「このときの主人公の気持を選択肢から選んで欲しいのかしら~」 JUN「先生スイマセン、気分がすぐれないんで保健室に行っても良いですか?」 JUNは昨日殆ど眠ることができなかった。 そのうえ今国語の授業で扱ってるのは、またも純愛系小説。 JUNは嫌がらせか?などと思いながら仮病を使い授業をふけることにした。 金「それは大変かしら、じゃあ学級委員の柏葉さん連れてってほしいのかしら」 巴「ハイ。桜田くん行こう」 JUN「ああ・・、わりぃ」 少し申し訳ない気持になりながら教室を後にした。 巴「最近桜田君げんきないね、何かあったの?」 JUN「え、あ~いや別に大丈夫だよ」 巴「そう・・なら良いんだけど何かあったら私で良ければ相談にのるよ」 相談なんかできるはずはない。悩みというのは人に話せば癒されるもの。 だがJUNの悩みは相談することもできずに一人で抱え込むしかない。 JUN「もう保健室だからここで良いよ。」 「柏葉も授業戻らなきゃいけないだろ?」 巴「分かったわ、お大事にね」 JUN「ああ、ありがとう」 保健室に入ろうとしたところで呼び止められた。 巴「あ・・、桜田君・・・」 JUN「ん、?どうした」 JUNは巴の態度に首を傾げている。心なしか巴の顔が赤い気がする。 巴「ううん、ごめん別になんでもないの。じゃあね」 JUNは頭に?マークを付けて保健室の中に入っていく。 彼の鈍感さは筋金入りのようだ。 JUN「水銀燈先生いますか?ベッド借りたいんですけど」 水「あら~誰かと思ったら桜田君じゃなぁい。どうしたの?」 JUN「少し具合悪いんでベッド借りて良いですか?」 水「別に良いわよぉ、でも変ねぇ顔色は悪くなさそうだし・・あ~もしかして恋の病って やつかしらぁ?」 JUNは心臓が口から飛び出るかと思った。 女の人は鋭いというが数々の修羅場をくぐった水銀燈は誰にもまだ知られてないJUNの秘密を一瞬でつかんだのだ。 なるべく冷静を装いJUNは答える。 JUN「なーにいってんすか?別にそんなの保健室に来ても直るわけじゃないでしょう?」 水「それもそうねぇ。」 しかしJUNは思った。この人なら的確なアドバイスをくれるのではないだろうか。 水銀燈先生だって今まで生徒から告白されたことあるだろうし、この有栖学園で は間違いなくそういうことに最も長けている。 JUN(けどよりによって口の軽い水銀燈先生に言えるわけないよなぁ・・) (真紅と仲良くなさそうだし・・・) なのでJUNは極めて冷静に尋ねてみた。 JUN「水銀燈先生って今まで生徒に告白されたことってありますか?」 水「な、何よぉ藪から棒にぃ。」 JUN「いや、少し気になって。モテそうだし、そういう時ってどう対処するのかなって 思って。」 水「そおねぇ・・あまり年下に興味ないわぁ。お金を持ってるわけでもないし。」 JUN(ハァ・・・この人は・・・) JUN「じゃあ・・もしですよ、もし水銀燈先生がその生徒のことを嫌いでなくて、生徒と 教師の関係じゃなければ付き合っても良いような男に告白されたら?」 水「それって私も相手を好きってことぉ?」 JUN「・・・はい」 水銀燈はあごに手を添えて少し下を向きながら答えた。 水「そおねぇ・・それでもきっと断るわぁ」 以外だった。やはりこの人も教師なんだと初めて思った。 JUN「それってやっぱり教師と生徒だからですか?」 水「それもあるけど・・JUNは告白されたことってある?」 JUN「え?俺はまだ・・・」 水「そぉ、ほんとは今の質問はね、実は答えられないのよ。 ただ私は生徒のあなたの前では今のように答えるしかないのよ」 いつもの人を小ばかにしたような態度でなく真剣だ。 水「告白ってね、相手から突然されると正しい判断がとれなくなるの」 「たとえ好きじゃなくても突然告白されるとその場で好きになって 付き合う場合もあるし・・」 水「逆に好きな人に告白されても恥ずかしさで頭が混乱して断っちゃったりとかね」 「だから好きな人に告白されたらたとえ職を失くしても駆け落ちしちゃったりとか するかもしれないわぁ」 JUN「それって教師と生徒の恋が実ることもあるってことですか?」 水「そおねぇ・・・でもそれは相手の人生を狂わせてしまうこともあるのよ」 JUN「・・・」 水「告白した方はそれからずっと相手の人生を背負って生きていかなければダメね」 「まぁ、世間には隠れて付き合う人カップルもいるんだろうけど室外デートは不可能だし・・・やっぱり厳しいわねぇ」 「やっぱり卒業してからの方が私は無難だと思うわぁ」 JUN(それでも・・俺は・・・) 水「そんなことより早く寝なさぁい、次の授業始まるわよ」 「それとも一緒に寝て欲しいのぉ?」 JUN「いいい、いえ、ねね寝ます」 JUNはがばっと布団を被って夢のなかに落ちた。前日あまり寝ていないためか 寝つきは良いらしい。 水銀燈は“ふぅ”とため息をついた。 水(ごめんねぇ、以前教師全員の弱みを握るため雪華綺晶に頼んでみんなの過去を調べて もらったのよ・・・) (けど生徒と教師は恋人同士にはなれないの・・・これで諦めてちょうだい) 水銀燈は心の中でそう願った。 JUNは昨日の水銀燈の言葉を思い返しながら考えていた。 JUN(僕は・・・どうすれば良いんだろう・・) JUN(こんな気持で学生生活をあと一年と半年も続けることはできそうにない・・・) JUNは部屋の中でPCをいじくっている。 しかし心の安らぎである通販も今の彼には廃れて見えた。 下の方で電話の音がする。 ジリリリン ジリリリン JUN「お~いお茶漬けのり電話だぞ~」 JUNは行ってから気づく。 JUN(そうか、まだ部活の練習か。毎日毎日ご苦労なやつだ) JUNはやれやれとめんどくさそうに電話を取りに行く。 JUN「はい、桜田です・・・」 JUN「すいません、真紅先生いますか?」 雛「真紅先生?う~とね、今6時間目終わったはずだからもうすぐ来ると思うの」 JUN「じゃあ放課後用事があるんでA棟の空き教室に来てもらえるよう伝えておいて くれませんか?」 雛「了解なのー」 真「JUNいるかしら?待たせたかしら?」 JUN「ああ、いるよ。平気、僕も今来たところだから」 真「また何か分からないことでもあるのかしら?」 真「・・・JUN?」 真「話がないのなら帰るのだわ」 真紅がJUNに背を向けようとする。 真「きゃあ!」 JUNは真紅を壁に押し付けるような形で肩をつかみ自分の方へ向かせた。 真「何するのだわ!話なさい!」 JUN「ごめん・・・でも今日は大事な話があるんだ・・」 「最後まで話を聞いてほしい」 「僕は今までずっと我慢してた。でも・・」 真「やめて!・・・それ以上は言ってしまってはダメなのだわ・・・」 真紅があわててJUNの口を押さえるように手を添える。 JUN「でも・・・今話しておきたいんだ・・・じゃないと僕は・・・」 真「それより・・・私もあなたに話があるのだわ。JUN、あなたはドイツに行くべきなのだわ」 JUN「な・・んでそれを・・?」 真「昨日の夜のりから相談があったのだわ“JUNがドイツ留学を断ろうとしている。 自分はどうすれば良いの?“って」 実は昨日の電話はJUNの両親のものであり高校を卒業したら裁縫の才能を 生かしてドイツ留学をしないか? という内容のものなのだ。 とてもお金のかかることで有名な学校だが海外で働いている両親のコネでJUNが 卒業するまで学費は無利子で借りることができる。 そして卒業するまで早くて4年、とても難しく留年してずっと卒業できない人もいる。 しかし卒業することができた者は皆成功している。 特別な学校なので卒業するまでお金さえあれば何年でもいてもいい。 中には職人になるため10年間そこで修行をしているものもいるらしい。 JUNは手先が器用で裁縫の類が昔から得意なのだ。 ゆえに高校を卒業したら日本にある裁縫の専門学校に行く予定だ。 そんなJUNに突然の朗報。 普通なら断る理由はない。 しかしJUNには一人で何年も海外行くなんて考えられなかった。 JUNは目の前の女性といることを選択したのだ。 なので両親に誘いを断り無理やり電話を切ったのだが、納得できない両親は姉ののりに 説得するよう頼んだ。 のりは自分はJUNを説得できないであろうと思い、教師であり幼馴染の真紅に 相談したのだ。 真「JUN・・あなたは卒業したらドイツに行くの。それで立派な職人になるのだわ」 「それが一番あなたのためになるのだわ」 JUNはこの日自分の気持を伝えるはずだった。 しかし昨日の水銀燈の話を聞いて真紅を不幸にしてはいけないと思い “返事は卒業してから聞きたい”と言うつもりだったのだ。 つまりJUNの出した結論はあくまで自分の気持をぶつけて、それでもなお 教師と生徒の関係を平穏に続け、幼馴染という心地よい関係を続けようと思ったのだ。 これはとても卑怯な手段。本当は水銀燈の言ったように卒業してから 告白するのが正しい手段だろう。 しかしドイツ留学という人生に大きくかかわる出来事の結論を迫られ、 今のJUNはまともな思考ができなかったのだ。 だから上記に述べた卑怯な手段を選択してしまったのである。 JUN「僕は・・・僕は・・・なんで・・なんで真紅はそんなこと言うんだよ」 「ドイツに行ったらいつ日本に帰るかも分からないし・・僕の気持が分からない わけじゃないだろう・・」 真「・・分からないわ」 「今の私に分かるのはあなたの気持じゃなくてあなたの幸せのためにはドイツに 行って修行してくること・・言葉に出されてない気持は伝わらないわ」 「そして言葉に出してしまってもダメなの・・・それは私のわがままなの・・」 「私のいいたいこと分かるわね?JUN」 JUN「うぅ・・・ちくしょう!」 バン!! JUNはその場から走って逃げてしまう。 JUN「ハァハァ・・ハァ・・・」 JUN(真紅・・・真紅・・・ なんで留学を進めるんだよ・・) (僕とずっと一緒にいてくれるんじゃないのかよ・・・僕とはもう離れちまっても 良いのか・・・僕は真紅と一緒に居られればそれで良い・・・なのに・・・) タン、タン、タン ドスン! ?「きゃあ!」 JUN「えっ」 JUNは走っていたため曲がり角で誰かにぶつかってしまった。 JUN「あっと、ゴメン・・・柏葉か?」 巴「桜田君、こんなとこにこんな時間どうしたの?」 JUN「えっと、ちょっと用事があって・・そっちは委員会か?」 巴「え、あ、・・うん//////」 (こんなとこで会えるなんてついてるかも・・/////あれ?桜田君泣いてる?・・・) 巴「桜田君何かあったの?」 JUN「ううん・・何もないよ気にしないでくれ」 巴「気にするよ。だって凄く悲しそうな顔してるもん」 JUN「い、いいから僕のことはほっといてくれ!柏葉にはかんけいないだろ・・」 巴「・・・なくないよ」 JUN「え・・」 巴「関係なくないよ!だって・・その////」 巴(桜田君・・今弱ってる・・・) (人の弱みにつけこむなんて・・・私はなんて卑怯で最低な女なんだろう・・・) (でも・・でも今しかない) 巴「私は・・私は桜田君のことが好きだもの」 (ついに言っちゃった////) 「私は桜田君のことが好きだから悲しいときは私が慰めてあげたいし、ずっと一緒に いたいって前から思ってた」 JUN「柏葉・・・////」 突然の女の子からの告白に酷く動揺しているようだ。 JUN(でも僕にはずっと好きな人がいて・・・柏葉が僕を好きで・・・僕はその人と 一緒にいたくて柏葉は僕とずっといっしょにいたくて・・・) JUN(あれ・・?僕は何を考えてるんだ? 頭が混乱する心臓が破裂しそうだ) (なんで僕はこんなに緊張してるんだ?だって僕は真紅が好きなんだろ? 僕がドキドキしてるのは柏葉が僕を好きだからで・・でも違う・・ 僕が好きじゃなきゃドキドキなんてしない、でも僕は真紅のことが・・・) 巴「桜田君」 JUN「は、はひ」 緊張で変な声をあげてしまう。 巴「返事聞かせて欲しい・・・」 JUN(そうだよ返事しなきゃ・・・可哀想だけど断ろう・・・僕はまだ真紅のことが 諦めきれない・・) JUN「良いよ・・僕も付き合いたい」 巴「本当に!・・・嬉しい」 巴は顔を真っ赤にしながらとても嬉しそうに微笑んでいる。 JUN(あれ?どうして僕はOKの返事を出したんだ?僕は断ろうと思ったのに・・・) (僕は・・・柏葉のことが・・・好き・・・??) 巴「じゃあ・・桜田君・・・ううん、これから二人のときはJUN君って呼んで良い?」 JUN「うん、じゃあ僕もこれから二人きりの時は巴って呼ぶよ」 巴「じゃあ一緒にかえろっか?」 JUN「ああ」 巴「ねぇ・・この時間誰もいないし、手・・繫いで良い?」 JUN「ああ、はい」 巴「JUN君の手・・・あったかいね///」 JUN「巴の手もあったかいぞ」 僕はこの日真紅に拒絶された。 そして柏葉と付き合うことになった。 冷え切った僕の心を暖めてくれるものにすがるように、僕は柏葉の暖かさに包まれ ながら家に着いた。 それからの3週間僕の日常が変わった。 お昼は柏葉とみんなに見つからないように校庭の裏で食べ、 下校は時間を見計らい、手をつないで帰る。 平日はお互いの家で過ごし、休日はみんながいないように少し遠出をして デートをする。 柏葉は口が堅いからまだ誰にもばれていない。 真紅はあれから学校での事務的な会話以外話しかけてこない。 けれど僕はきっと幸せなんだと思う。 僕のことをこんなに好きでいる人と一緒にいられる。 けど僕はまだその真実を隠したがる。 それは何故?別にみんなに知られてもいいじゃないか。 多少冷やかしを食らうかもしれないが平気なはずだ。 なのに何故?僕は誰にこの関係を隠したがってるんだ。 僕は自分の問いかけの答えをすぐに出せるはず。 しかし出さない。出したくはない。 巴「ねぇJUN君、今日は楽しかったね」 今日もまた遠出にデートだ。 雨が降っていたが明日は日曜なので多少疲れても問題ない。 JUN「ああ、また行こうな」 巴「うん///」 キキィー バシャァ! JUN「うわ!」 巴「きゃあ!」 突然車が飛び出してきて水溜りの水が思い切りかかってしまった。 JUN「大丈夫か?」 巴「うん、JUN君が道路側歩いてくれてからそんなに濡れてないよ」 JUN「でもこのままじゃ風邪引くぞ。今日姉ちゃん合宿でいないけど 服勝手に借りても平気だから一旦うち来いよ」 巴「うん、ありがとう。そうさせてもらうね」 JUN「あがって」 巴「お邪魔します」 巴「JUN君、シャワー借りても良いかな?」 JUN「かまわないぞ。はい、服とタオル持っていって」 巴「ありがとう」 JUNは自分も着替えをする。防水性のある服を着込んでいたため 予想以上に濡れてなかったので身体を綺麗に拭いて着替えをすませていた。 “がちゃり”ドアの開く音がする。 風呂上りの女の子の匂いが部屋に充満する。 姉の風呂上りで慣れているはずのJUNもたまらず振り向いた。 そして驚愕する。 JUN「てっ!えっえっ??」 それもそのはず巴は確かに服を貸したはずなのにバスタオル1枚だけ巻いて 出てきたのだ。 JUN「なっななんだよその格好は」 巴「服のサイズが合わなくて・・・」 そんなはずはない。確かにのりの方が多少背が高いが体格的には大差ないはずだ。 JUN「い、今すぐ別の着替えを持ってくるよ」 ふわ・・・ 不意に後ろから抱き疲れて固まる。 JUN「は、離して・・・着替え持ってくるから・・・」 巴「離さなきゃダメなの?」 JUN「まずいよ・・・」 巴「どうして・・?私達恋人どうしなんだよ。これは普通のことだよ」 かすかに震えてるのが分かる。 JUN「と・・もえ・・・」 更に強く抱きしめられる。 巴「私は大丈夫だから・・・・」 巴「ねぇ・・気持良かった?」 JUN「ああ・・巴は大丈夫だった?」 巴「少し辛かったけど大丈夫だよ・・それに嬉しかったし・・・」 「JUN君も嬉しかった・・かな・・・?」 JUN「当たり前だろ。好きな人と一緒になれたんだし」 巴「・・・・良かった・・・ずっと不安だったから」 JUN「え・・・?」 巴「だって・・JUN君初めて“好き”って言ってくれたから」 JUN(・・そうか・・・僕はずっと不安にさせてたのか・・・こんなに良い子なのに・・・) JUN「ごめんよ・・・不安にさせて」 巴「ううん、もう大丈夫だよ」 そういって巴はJUNの腕の中で包まれて眠った。 JUNもそれに続けて眠りに入った。 次の日の朝巴は親が心配するからと早くに家を出た。 ちなみに昨日は女友達の家に泊まると電話越しに言ったらしい。 時間は朝の11時、のりもいないしJUNはまだ布団の中で包まっている。 ピンポーン チャイムがなる。 無視することにしよう。 ピンポンピンポンピンポン JUN(うるさいな~誰だよ~) 仕方がないので玄関に出た。 JUN「あ・・・」 そこには真紅が立っていた。 あの告白の日から初めて家に来たのだ。 二人になるのもその日以来である。 JUN「・・・なんの用?」 真「あなたに勉強を教えようと思って来たの」 JUN「英語ならもういいよ。前に教わったので十分だから」 真「いえ、今日は英語じゃないの」 そういうと真紅はバッグからたくさんのプリントを取り出した。 真「JUNがドイツに行っても困らないようドイツ語のプリントを作ってみたの」 「大学に居た頃はドイツ語を学んでいたから教えられるわ」 「行って挨拶もできないんじゃ大変でしょう・・だから・・」 JUNはふつふつと怒りがこみ上げてきた。 まるで早く日本を旅立てと言われてるみたいだからだ。 真「どうしたの?JUN、あがらせてもらうわ」 JUN「ダメだ・・・」 真「どうして?・・・」 JUN「俺は今日これから柏葉とデートなんだ。 だから勉強なんかしてる暇はない。」 JUN「まだ誰も知らないと思うけど実は最近俺達付き合い始めたんだ。 だから今日は家にあげられない」 本当は前日デートをしたので今日は何も予定がないのだが JUNはあえて嘘をついた。 JUNは俯きながら話したのでこのとき真紅がどんな顔をしていたか知らない。 真「そう・・・分かったのだわ。ならプリントだけ置いておくから暇なとき 目を通しておいてちょうだい」 真「それじゃあまた来週ね」 そういって真紅は玄関を出て行った。 貰ったプリントをクシャクシャにしてテレビのゴミ箱に放り投げた。 だが方向がずれテレビの裏に入ってしまう。取り出すのがめんどくさいので そのままにしてJUNはもう一度寝なおすことにした。 真「どうしよう・・・クンクンのお人形が壊れてしまったのだわ」 JUN(また夢・・・?) JUN「ほんとうだ・・真紅ちゃんのおきにいりだったのに・・・」 JUN(こんなボロボロになるまでどうやって遊んだんだ?こんなの捨てるしかないな・・・) 真「うぅ・・・ぐすっ・・・この子はジャンクになってしまったわ」 JUN「泣かないで真紅ちゃん・・・そうだ、ちょっとまってて」 JUN(僕は何をするつもりなんだ?) く~ん・・・ JUNく~ん朝だよ~ JUNく~ん起きて~ JUN(夢・・・?真紅が尋ねて来たからまた昔の夢を見たのか・・・) (あの後ボクは泣いてる真紅をどうしたんだっけ・・・) 巴「おはようJUN君、月曜の朝なのに遅刻しないで偉いね」 JUN「僕は小学生かっての」 巴「あらぁ、JUN君って月曜日が一番遅刻率高いんだよ」 「これでも学級委員だから先生に報告してるの」 JUN「そうなんだ、なら彼氏の特権でこれからは遅刻し放題だな」 「先生には内緒ね」 巴「ダーメ、ちゃんと報告しちゃうもんね」 JUN「でも巴が激しすぎたせいで疲れて眠いんだ」 巴「///ちょっ///// なに言ってるのよ朝から」 JUN「ハハハ、冗談冗談」 真紅が僕の家に訪ねてからまた10日ほどたった。 あれ以来みんなにも僕たちの関係をばらすことにした。 だから朝はいつもラブラブモードで登校してるので周りの視線が痛い。 はたから見れば幸せなカップルだろう。 真紅のプリントなんか忘れて僕たちは充実した毎日を過ごしていた。 巴「じゃあ今日はもう遅いから寝るね。お休みなさい。 それと・・・愛してるよ////」 また長電話をしてしまい料金が不安だ・・・ 電話越しに別れをつげ布団に潜る。 JUN「真紅ちゃん僕に貸して。直してあげる」 JUN(これは・・・夢の続きか?) 真「うわぁ・・・すごいのだわ」 指はまるで踊り子のように舞 針は生命を与えられ意思を持つかのごとく動く 作業が終わると 一度ジャンクになってしまったその人形はまた新たな命を吹き込まれたようだ 真「すごいわJUNまるで魔法よ」 JUN「そんなのおおげさだよ~」 真「そんなことはないわ。その指は魔法の指よ」 「あなたはいつか世界一のマエストロ(神業級の職人)にだってなれるわ」 JUN「まえすとろ?なあにそれ」 JUN(そういえばそんなことを言ってたな・・・) 真「マエストロとは世界に認められた偉大な職人のことよ」 「あなたの指はいずれ世界で羽ばたけるわ」 JUN「じゃあボクが“まえすとろ”になったら真紅ちゃんのウエディングドレスを 作ってあげるね」 「そしたらボクのこと前に言ってた真紅ちゃんにつりあうような男って 認めてくれる?」 真「ええ、そしたら私はあなた以外に沢山の男が追いかけてくるような、 とても美しく気高く最高の女性になるのだわ。そしてあなたと一緒にいるわ」 JUN「うん!約束だよ」 JUN(そうか・・・思い出した。) (僕はマエストロになって真紅にウエディングドレスを作ってあげるんだ。 だから僕にドイツ留学をあんなに進めたのか・・・僕のため、自分のため・・・ そして子供の頃からの約束を果たすために・・・) (真紅は今でもあのときの約束を守ってるんだ。とても美しく気高く最高の女性になることを・・・) ガバッ! 僕は飛び起きた。 JUN(なんでこんな大事な事を僕は忘れていたんだ・・・) のり「JUNく~ん、ちょっと~」 JUN「どうしたんだよ?」 のり「今ね、部屋のお掃除してたらテレビの裏から変なプリント見つけたの」 「でもお姉ちゃん全然読めなくって~・・・」 JUN「ちょっとそれ貸せ!」 のり「あ~ん・・・」 JUNは部屋でクシャクシャのプリントに目を通す。 文法から発音、日常生活における様々なシチュエーションを想定した 対応方法、さらにはチャンク(日常生活に良く使う意味のあるまとまり)まで 沢山のプリントに沢山のアドバイスやポイントごとに一口メモなど とても手が込んだ作りだ。 グッ・・・ JUNはそれを胸に抱きしめるとある決意をして2本の電話をかけた。 彼の目にもう迷いはなかった。 巴「やっほぅJUN君。どうしたの急にこんな人気のない公園に呼び出して? 今日はどこ行く?」 JUN「今日は・・大事な話があってきたんだ」 巴の顔がこわばる。 何かを感じ取ったようだ。 巴「えっと・・・ねぇ今じゃなきゃダメかな?とりあえず遊びに行かない?」 JUN「いや今じゃきゃダメなんだ。それに・・・僕には時間がない・・・」 「僕は明日ドイツに行くよ。学校は辞める、向こうで裁縫の修行をするんだ。」 「昔大切な人と約束したんだ・・・だからごm」 巴「いや!!そんな話聞きたくない!私は・・・私はJUN君とずっといっしょに いたいの!」 「昔の人がなによ、JUN君の好きな人は今は私でしょう・・・」 「前に“好きな人”だっていってくれたじゃない・・・」 JUN「あの言葉は嘘じゃないよ。今でも巴のことが好きだ」 「けど・・・僕は永遠を誓った人がいる・・・最近まで忘れてた」 「僕は酷い男だ・・・好きな人を2人も傷つけてしまった・・・最低な男なんだ」 巴「違う!JUN君は悪くない 私は告白した日JUN君が弱ってるのを知ってた」 「そこを助けて自分がJUN君の彼女になったの」 「本当はずっと知ってた・・・JUN君が他に好きな人がいるってことを・・・ でも諦め切れなかった・・・だから身体を重ねたの」 巴「私のことを好きになってほしかったの・・・」 「お願い!私のことを捨てないで」 「絶対JUN君を幸せにするから・・・もっと良い女性になるから・・・」 JUN「ごめん・・・僕は大切な人を待たせてるんだ・・・」 「だから行かなきゃいけないんだ・・・今までありがとう」 「そして・・・ゴメン・・・」 巴「ううぅ・・・ああぁぁ・・・」 JUNは巴の悲痛な叫びと泣き顔に胸が張り裂かれそうな思いになる。 けどこれはダメな自分への戒めなんだ。 愚かな自分への戒め。うまく言葉を繕えば巴を泣かさずにすんだかもしれない。 けど、これ以上彼女に嘘をつきたくなかった。 だから自分の本当の気持をすべて話した。 これからも彼女のことを思い出して胸が苦しくなるかもしれない。 けど決してその苦しみから逃げずに受け止める。必ずだ。 僕は走った。 愛する人の所へ。 永遠を誓ったあの人のところへ。 彼女は時間にうるさいから遅刻はできないな。 JUN「ハァハァ・・・ごめん、待った?」 真「レディを待たせるとは感心しないわねJUN」 「でも息を切らしてるからまぁ勘弁してあげるのだわ」 JUN「真紅、僕はドイツに行くよ。明日から」 「もうすべての手配は終わった。いつ帰ってくるかは分からない」 真「そう・・・」 JUN「けど・・・僕は絶対に帰ってくる」 「たとえ何年かかろうとも絶対にマエストロになって帰ってくるよ」 「そしたら君にウエディングドレスをプレゼントするんだ」 「そして深紅のヴァージンロードを君と歩くよ」 「ずっとずっと・・・一緒だ・・・」 真「まったく・・・思い出すのが遅すぎるのだわ・・・」 「こんなにレディを待たせるんですもの。針千本飲まされても 文句は言えないのだわ」 JUN「ごめん・・・」 真「けど・・・あなたの指は魔法の指よ」 「私は待ってるわ・・・あなたが世界一のマエストロになって 白馬の王子様のように私を迎えに来てくれることを・・・」 JUN「真紅指切りしよう」 真「ええ・・・」 JUN真「指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ます。指切った」 バチッバチバチ! 豪華な西洋風の建物をイメージした室内の一部屋でもう夜も遅いが まだ暖炉に火が灯ってる。 薄暗い部屋の中、暖炉の明かりで照らされたその部屋は実に幻想的だ。 その中でロッキングチェアーに座った老婆と作りかけの人形を手に床に座っている 子供が居る。 子供「ね~え、おばあちゃん続き聞かせて。僕もっと亡くなったおじいちゃんの お話聞きたいよ」 老婆「そおねぇ・・・でも今日は時間も遅いからまた明日聞かせてあげるわ・・・」 子供「うん分かった。絶対約束だよう」 「そうだ、指切りしようよ」 老婆「いいわよ・・・指を貸して・・・」 子供「うん!」 子供「じゃあおばあちゃんおやすみなさい」 老婆「ああ・・・おやすみ・・・」 子供「あっ!ねぇおばあちゃん」 老婆「なんだい・・・?」 子供「僕も“まえすとろ”っていうのなれるかなぁ?」 作りかけの人形に目を通し子供が尋ねる。 老婆「ええ・・・絶対なれるわ・・・私が保証するわ・・・」 子供「やったーじゃあまた明日ね。おばあちゃん」 老婆(あなたならきっとなれるわ・・・) (だって・・・あなたは世界一のマエストロ(神業級の職人)の血を 受け継ぐものなのだから・・・) ~~Fin~~
https://w.atwiki.jp/nappolove/
+.+*家庭教師ヒットマンリボーン大好き倶楽部へようこそ.+*+. このサイトの主なイベントは↓↓ ・イラスト ・画像 ・キャラの事で語り合い 位ですかねw最初はこの位にしておきますw 最初からハードル上げると後々からつらくなるんでw なので、徐々に増やしていこうと思いますw たまに更新が遅くなる場合もありますので ご了承下さい。 ※無断転載、無断持ち帰りは禁止です。※ 今日、貴方は - 人目のお客様です -
https://w.atwiki.jp/kagakyon/pages/805.html
「で、その部活動申請書を受け取ったのか」 「俺は受け取りましたが、発足させる気はさらさらありません」 泉こなた、柊姉妹、みゆきに加え、柊妹が引っ張ってきた白石少年。五名がそろったことにより、SOS団は動き出した。 ――が、そうは問屋が卸さない。正式な部活として認められるために必要な手続きを、全て俺が塞き止めているのだ。 桜庭教諭だって、受験生に無駄な活動はさせたくないと思っているはずだ。 「んー、別にいいんじゃないか?」 「……そんな投げやりな」 「しょっぱい話だが、どう過ごすかは連中が決めることだろ。ま、その代わり受験失敗しても知ったことじゃないがな」 そこまでぶっちゃけなくてもいいじゃないですか。 それが大多数の教師の心持ちだとしたら、俺は岡部を恩師として仰がねばなるまい。熱心に面談してくれてありがとう。 「これからどうるんだキョン先生。いつまでも隠し通せるわけでもないだろ」 「しばらくはやらせときます。そのうち飽きるでしょうし」 「そうか……ところでな。健康な身分で保健室に来るとは何事かね?」 俺に「あんたが言うな」と言わせたいのだろうか。 桜庭教諭の居場所を尋ねたら「どうせ保健室だろ」と答えられたのでのこのこやって来たまでだ。 具合が悪いのかと多少の心配をした俺がバカという結論に至ってしまったのだが。 「ご心配をおかけしてすみません。どうぞ持っていってください」 「薄情だぞ、ふゆき。ン十年来の付き合いだろー」 「ン十年来の付き合いだからこそ、冷たくするべきときがわかるんですよ桜庭先生」 保健の天原教諭は桜庭教諭といわゆる幼馴染の関係にあるらしく、彼女らの夫婦漫才は保健室名物になっているとか。 ……果たして、この保健室で心休まる時などあるのだろうか。いや、単に桜庭教諭が邪魔―― 「失礼なモノローグはペナルティだと言ったろーが」 「スンマセンでした」 ミニマムサイズの体から放たれる渾身のローキックが、かつて弁慶にさえ泣きを見せたとされる急所を捉えていた。 天原先生、少しベッドで横になってもいいでしょうか。 「ええ、どうもすみません――こんな人ですが、どうか桜庭をよろしくお願いします」 ご無体な相談に俺は、人の良さそうな天原教諭と御本人の目前である手前、曖昧に笑うことしかできなかった。 高校時代の放課後といえば、部室にまっしぐらだった記憶しかない。 SOS団発足以前は谷口なんかとゲーセンに寄ったものだが、それにしたって暇を持て余していたのに違いはない。 そこのところを思えば、泉こなたの言うところの「面白いこと」を求める気持ちも若干理解できる。 しかし、だ。わざわざ3年という大事な時期に始動することはないだろうに。SOS団は現実逃避の手段ではないのだ。 「でも、先生の話を聞く限りでは現実逃避以外の何者でもない気がしますけど」 さっきまで参考書に向けられていた柊姉の目が、白さを帯びて俺を射抜く。 楽しい放課後も受験勉強の時間に充てるという受験生の見本たる柊姉は、泉版SOS団の暫定部室でもやることは変わらない。 むしろ何かと心配な泉に勉強のいろはを叩き込む口実ができたと喜んでいるのではなかろうか。 「……喜んでません」 フイと顔を背けて再び数字が支配する参考書の世界へ。 今現在、部室(仮)には柊姉と俺しかいない。俺との会話を打ち切れば、あとは学生の本分をまっとうするしかないのだ。 そうして暗記作業に没頭する柊姉。俺の存在を滅却したのか、ブツブツと独り言をし始める。 「たまには遊べよ」 俺としては気遣ったつもりなのだが、柊姉はきょとん顔で見詰めてくる。どうして、と言わんばかりに。 「そこは頑張れって言うもんじゃないですか?」 「頑張ってるやつに頑張れとは言わないさ」 それは実際の経験に因る。何気なくかけられる「頑張れ」が負担に感じられるときだってあることを俺は知っている。 といっても、当時の俺は単なる強がりでそう思っていただけのような気がしないでもないのだが。 「受験生に『遊べ』はないでしょ、まったく」 言葉こそ俺をなじるものだったが、少しだけ困ったような笑みを浮かべている柊姉。 ここ最近はキツく当たられている気がするから、関係改善のきっかけになればよいのだが。 「なに2人でいいムード作ってんのさ」 その後の展開は実にスピーディだった。いつの間にか部室に来ていた泉こなたの発言を受け逆上した柊かがみは、 「フラグなんか立ってないわよ」と喚きながら参考書を振り回しそれが俺の顔面にクリーンヒット。 昏倒した俺は、その場に全員が揃うまでの記憶がない。なんでこうなるの。 「土曜探索だ」 意識回復後、例のごとく泉にSOS団の活動について尋ねられた俺は、懐かしき唯一の定例行事を明かした。 「タンサク? 七夕の?」 「それは短冊だ」 泉のボケにすかさずツッコむ柊姉。やはりツッコミ役がいると、俺も気楽にやってられるなあ。 それはともかく、ここに来て「不思議発見ツアー」なる名実共に無意味な行事を提案したのには意味がある。 恩着せがましい言い方になるが、柊姉のためだ。根詰めているようだったし、ここらで一つ息抜きでも、ということで。 「2人組と3人組に別れて、不思議を探す――というのは名目で、実際はぶらぶらするだけだ」 泉は2人組という節に何やらひっかかりがあるらしく、しばらく顔を伏せたあと「ああ、なるほどね」とニヤケ面を見せた。 ここ数日で元祖SOS団に関する基本的な情報は粗方搾り取られていた。 メンバー構成、活動理念――ぶっちゃけ、それぞれの正体は伏せてあるので取るに足らないものばかりだが。 泉がどこまで知っているのかが懸案事項だが、今のところ深くは言及して来ていない。 いつか手持ちのカードを全部晒してガチンコ対談をしなければならないのかもしれないが、まだ先の話で済みそうだ。 「てなわけで、土曜は勝手にやってくれ」 「キョンキョンも来るよね?」 「……いやだ」 休みの朝ぐらい寝床でグーグーしてたい年頃なんだよ。 「初めてだからさー、経験者が一緒にいてくれないと困るんだよ。ほら、初体験同士だとスムーズにいかないっていうし――」 「このっ……変な話にもってこうとするな!」 ふと面子を見回してみると、今の泉のセクハラ発言を受けて赤面しているのは柊姉と白石少年のみ。 柊妹は何もわかっていなさそうで、みゆきも平然としていたが柊姉の暴走の理由を悟ったのか、次第に赤くなっていった。 「まあまあかがみ、ちょっと聞いてよ」 呼び寄せて、こしょこしょ、と耳打ちする泉。怪訝そうだった柊姉の顔は関心を示し出したものになり、 泉以外のメンバーをぐるりと一瞥し終わったときには悪戯心に満ち溢れた顔つきに変わっていた。 「先生、是非来てください。引率役も顧問の仕事ですよ?」 「私からもお願いします、キョンさん」 みゆきにまで頼まれては、無碍に断るのも難しい。こうして俺に、土曜に早起きという過酷なミッションが課せられた。 任務失敗。 見事に寝過ごしたが、みゆきが電話をかけてくれたため遅刻はせずに済んだ。 時間通りに参じたはずなのに俺以外のメンバーが勢揃いなのは元祖と同じで、妙な縁を感じ……るわけないか。 集合場所は泉が指定した喫茶店。オタクな彼女のオススメとはどんなもんぞやと思っていたが、割とまともで驚いた。 「キョンキョンが来る前にくじ引き済ませちゃったよ」 何を勝手な、とは言えない。最後に来た者が何かしらの痛い目を見るのは高校時代に経験している。 すでに泉と柊姉、柊妹と白石少年のペアが成立しているらしい。 「じゃあ俺は?」 「みゆきさんと組んでもらうよ」 土曜探索初回は俺も交えて6人で行うにあたって、2人ずつのペアにすることは事前に決まっていた。 その時点で女性陣の様子は毛色の違いはあれどどこかしたおかしかったのだが、俺は見当がついていた。 当事者である白石少年もここに来てようやく理解したらしい。まるっきりデートじゃないか、良かったな。 「しかし、モテるな君は」 他の誰にも聞こえないよう、こっそり囁く。白石少年は縮んでいた身を戻し「へ?」と俺の顔を見返す。 ははあ、彼は最近流行りの鈍感というタイプなのか。皆、こんなにも分かりやすい態度をとっているというのに。 泉と柊姉は何やら画策しているようだったし(おそらくくじびきのイカサマについてだ)、 柊妹とみゆきもそわそわしていた理由は期待によるものに違いない。 実際、白石少年とのデート券をゲットした柊妹は緊張でガチガチだ。みゆきには申し訳ないが、俺の相手で我慢してもらおう。 「……俺、先生のことがわかり始めてきました」 「そいつは嬉しいな。仲良くやっていこうじゃないか」 そう、かつて鈍感と呼ばれていた俺だからこそ、白石少年のことを理解できるのだ。 現時点で彼を導けるのは鈍感からの更生を果たした俺しかいない。だから、これからよろしくな。 ……おい、何だその呆れ果てた目は。 喫茶店の支払いは一応の保護者である俺が済ませ、いよいよ探索が始まる。 俺としては柊姉たちのリフレッシュの手伝いになれば万々歳だ。最も効率的な気分転換ってのは「時間の無駄」らしいからな。 だが、面白いことを求めると公言する泉は納得するだろうか。 まあなるようになれ、と念じながら新生SOS団は3組に離散し、限りなく無為な活動を開始した。 どこへ行きたいかとみゆきに尋ねると、どこでも構いませんよ、とその辺の男ならあっさり釣られそうな笑顔で返してきた。 兄貴分としてはワガママでないのは助かるのだが、こういうときくらい年上に甘えて然るべきだろう。 「具体的な場所は後回しでいい。何がしたい?」 「そうですね……キョンさんとお話がしたいです。久しぶりにお会いするものですから」 久しぶり、とは言ってもたかが二年だ。いや、時間の経過をそう捉えているのは俺が老けたからかもしれない。 みゆきのような若々しい学生とは時間への感覚が違うのだろう。 「じゃあ……散歩ついでに、この辺を案内してもらえるか?」 「はい、任せてください」 お嬢様育ちだというのに、まことに謙虚で安上がりで出来た娘だ。我が妹もこう育ってほしいものだ。 できればマンツーマンで指導してほしいくらいだぜ。 「お望みなのでしたら引き受けますよ?」 「冗談だよ。そこまで迷惑はかけられん」 もう、と困ったように笑うみゆきは、少しだけ膨れているようにも見えた。 道中、みゆきに俺の話をするだけじゃなく、みゆきの話も聞くことが出来た。 俺が割と気にかけていた、泉たちとどう知り合ったのかということも。 「みなさん、本当にいい方ですよ。泉さんからSOS団の話を持ちかけられたときも、この方々となら是非やりたいと思いました」 「意外だな。みゆきはこういうガキっぽいの、苦手だと思ってた」 「確かに得意というわけではありませんが――」 みゆきは穏やかな表情に真剣さを含めたそれを俺に向ける。 「でも、やらなくて後悔するよりはやって後悔した方がいいとも言いますよね?」 「……よく言うかどうかはわからないが、まあそういうこともあるかもな」 「なら、そういうことです」 泉たちのことを語るみゆきはえらく楽しそうで、少しだけ羨ましさを覚えた。 こんな風にSOS団の真似事なんか始めなくても、みゆきたちの学園生活はたいそう居心地のいいものなんだろうな、と。 そこに宇宙的未来的超能力的要素を持ち込んでも、蛇足というか、欲張り過ぎな気は否めないね。 「――キョンさんのため、でもありますけど」 「俺?」 「泉さんにSOS団のことを話しているときのキョンさん、とても楽しそうですよ」 それは……みゆきの勘違いじゃなかろうか。 確かに今となっては、とても楽しい三年間だったと割り切ってはいるさ。 しかし傍目には極めて異常な日常を送っていたであろうことぐらい俺だってわかっている。 関係者と酒でも飲み交わしながら笑い飛ばすならともかく、第三者相手に語る際には辛酸を舐め尽くした表情であるべきで―― 「うふふ。ほら、その顔です」 「マジか?」 「私、キョンさんのことなら大体わかってしまいますから」 我がはとこは、恐るべき能力を秘めているらしい。 悪用しないでくれよ、と冗談交じりに言うと、やはり困ったように微笑むみゆきであった。 二時間ほどぶらぶら歩き回って、もとの喫茶店に戻った。 久しぶりに博識なみゆきと語らえたのは俺の人生にとって大きなプラスになったが、他の面子はどうだったのだろうか。 特に懸念していた柊姉は――半笑いで妹に平謝りしていた。 一体何が。 「お姉ちゃんてば、私とセバス――白石くんの後をつけてきてたんですよ!」 そういうことか。 「だからごめんってば。……にしてもあんた、あんな小学生が考えるみたいなデー」 「い、言わないでってばー!」 わずか1ターンで攻守が逆転した。柊妹にデュエリストの道は向いていないということだ。 それにしても、本当にモテるな白石少年。双子の血で血を洗う争奪戦が始まらなければいいのだが。 最悪の事態を想定していると泉が寄って来た。 「かがみはつかさが心配でついてっただけですよ。セバスチャンを好きなわけじゃなくて」 「ん? そうなのか?」 「……やっぱキョンキョンはダメだね」 失礼な。俺はとっくに鈍感は卒業している。今回はちょっと勘が狂っただけだ。 「その勘が年中狂いっぱなしじゃあねえ。みゆきさんの先が思いやられるよ。今日だって――」 やば、と両手で口を塞ぐ泉。そのわざとらしいアクションに、俺やみゆきが気づかないわけがなかった。 「――泉さん?」 このとき、我がはとこは微笑みながらプレッシャーをかけるという芸当ができることを知った。 すべてはくじ引きの時点から仕組まれていたことらしい。 柊妹と白石少年、俺とみゆきにペアを組ませ、泉と柊姉が二手に分かれてあとをつける。 なんという悪趣味。というか、あちらの学生ペアはともかく俺とみゆきは何のために組ませたんだ。 泉から聞き出そうにも、みゆきにこってり絞られ憔悴している今ではまともな回答は期待できない。 柊姉妹は白石少年を巻き込んだ微笑ましいトムとジェリー的ケンカの最中だし、俺に答えを教えてくれる者はいないのか。 ここで〆るのも心苦しいのだが、この後しばらくはこの状態が続くのであえて報告の必要はないと判断してのことだ。 稜桜学園版SOS団の初出動は、見事グダグダに終わったのであった。 今回の活動を通して、俺にもわかったことがある。 泉こなたは、言うほどに変革を望んでいるとは思えない。 現状でも充分に楽しんでいるように見える。かつてのハルヒに漂っていた危険なオーラの類が一切感じられない。 泉はSOS団のもたらす「面白いこと」をオマケ程度にしか考えていない。メインは、あくまでこの面子なのだろう。 ――これは、高校生活終盤におけるハルヒの思考と似ている。 だとしたら、無理に不思議を割り込ませる意味はない。俺の出番なんて、回って来ないということだ。 やれやれ。 そういうことなら、しばらくはこのSOS団ごっこを手伝ってやっても構わない。不覚にもそう思っちまった。 本当に不覚だった。 まさか、彼女らの活動から「ごっこ」が取れる日が来るとは、このとき微塵も思っていなかったからな。 らっきー☆ちゃんねる あきら「おは☆らっきー! みんなのアイドル、小神あきらは今日も元気でーす」 小野「全国の女子高生のみなさん、お待たせしました。アシスタントの小野だいすけです」 あきら「さてさて、3話目にして、ようやく不穏な空気が漂って参りましたね!」 小野「本当にようやくという感じですね。書いてる人が遅筆なのにも原因があるのですが」 あきら様「特にここ3週ほど現実世界にかまけてサボってやがったからな」 小野「はて、かまけるという言葉は重要度の低い方に使うべき単語ですが」 あきら様「どうせ現実じゃろくな人生送ってねーんだから、こっちに集中しろってことよ」 小野「……おや、いつもより黒化が長いようで」 あきら様「知らないの? 新しい板では1レスに60行も使っていいんだよ」 小野「……それは……まことに、鬼に金棒で……」 あきら「さあさあ、本日の伏線チェックに参りましょう!」 小野「といいましても、大したものは張られていないのですけどね。強いて挙げるなら――」 あきら「やっぱり、あの人が言ったあのセリフにつきますよね~」 小野「あからさまに使いましたからねぇ」 あきら「その他には人間関係も気になるところでしょーかっ?」 小野「目下のところ、白石くんとつかささんに要注目、というところですかね」 あきら「その割には2人とも出番がないですけどねっ。これも白石さんの呪いかしらぁ~……きゃっ☆こわ~い!」 小野「小神さん?」 あきら「本編のみなさん気をつけてくださいね~。白石みのると絡むと出番がカットさーれまーすよー!」 小野「ら、らっきー☆ちゃんねるは役者・白石みのるを応援しております」 あきら「えっ、もうお時間ですかあ?」 小野「それではまた次回お会いしましょう。サボった分だけ、なるべく早く書かせるように致します」 あきら・小野「ばいにー☆」 あきら様「……とりあえずさあ」 小野「はい?」 あきら様「恋愛からめときゃなんとかなる、って主義が気に食わないんだけど」 小野「ははあ……それはあれですか。白石くんにジェラシ」 あきら様「 な ん だ っ て ? 」 小野「はっ……あー……ね、猫ジェラシー」 あきら様「…………」 小野「ま、マッガ(ry」 次回予告 かがみです。 サンタクロースをいつまで信じていたかなんて、世間話にもならないくらいのどうでもいいような話だけど、 そんなことよりうちは神社なのにサンタが来ていいのか、などと言っていたのが真面目伝説の始まりだと家族は言ってる。 私としては純粋な子供としての素朴な疑問だったんだけど、そんなにズレてるかしら? というか、サンタの正体にいつ気づいたかなんていきなり問われても困るのよね。じっくり考えろ、って言われても微妙だけど。 親も親で、どうして小学生のうちはサンタを信じてるものだと思い込んでるのかしらね。 小学生だったころに何度かサンタ=親という真実を知りながら何食わぬ顔でプレゼントを受け取っていた記憶があるわ。 でも、確信を持ったきっかけが何だったのか……それが思い出せないのよね~。 え? これ次回予告だったの? 先に言ってよ、もう……コホン。さあて次回の教師キョンキョン物語は―― サブタイトルがない? 何よそれ、グダグダじゃないの! 次回は『やれせん』! お楽しみに! もう、まともに終わりなさいよ! キョン「お前たちのやったことはまるっとお見通しだ! ――何? シリーズが違う? バんなそカな」 作品の感想はこちらへどうぞ
https://w.atwiki.jp/youtubeani/pages/224.html
家庭教師ヒットマンREBORN! 78話 動画 Veoh Online Videos by Veoh.com 【動画ランキング】 【人気ランキング】 動画を見たらクリックをお願いします。 このクリックでサイトが成り立っています。 画質評価 選択肢 投票 ◎ (4) ○ (0) △ (0) × (2)
https://w.atwiki.jp/medicinethreeanothe/pages/4.html
中学受験に際しては、知識の記憶と創造性向上の両面を配慮して指導する必要があります。 知識の記憶とは、有り体にいえば記憶力・暗記力です。詰込み教育の弊害は古くから主張されています。しかしインプットがないところにアウトプットはありえません。したがって詰込み自体は悪ではないといえ、問題は何を詰め込むか、ではないでしょうか。とくに児童の記憶力は優れたものがあります。生涯を通じて最もこの作業に向いている可能性があり、例えば得意分野や興味がある分野には、大人顔負けの知識を有する児童が存在します。この時期にインプットを怠るべきではありません。 しかし中学受験をターゲットにするという意味だけでの暗記ものは、むしろ勉強することへの意欲を削ぐことになります。理解できた喜び、知り得た喜びは、暗記力だけに依存するものではもちろんありません。したがって労せずして覚えやすい技術を、教師と一体になって開発し、その技術を生涯に渡って利用できるようでなくてはなりません。中学受験だけのための暗記力とは不毛です。当然理想的な勉強法は、記憶力・暗記力と同時に、創造性を育み、学ぶ喜びを感じる方法でなくてはならないでしょう。中学受験家庭教師チョイス※相場は?評判は?気になる費用対効果
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/379.html
「と、言うわけでカラオケ大会をしたいと思うのだが!どうだろう?」 いきなり職員室に入ってきたローゼンの第一声がこれだ。 どういうわけなのか誰にも伝わっていない、いつものことなのだが・・・。 「ぼ、僕は遠慮しておこうかな、歌はあまり得意じゃないしね」 「蒼星石がしないなら翠星石もしないですぅ、おとといきやがれですぅ」 「ヒナも遠慮しておくのー」「カナもかしらー!」 「誰か、紅茶を入れて頂戴」 「もしもしぃ?今欲しいものがあってぇ・・・」 「訓練しないと」「・・・怪我しないように・・・」 半数の教師は校長の話すら聞いていない始末。 「優勝者は・・・3ヶ月間給料2倍」 ローゼンがポツリとそう呟く。 「たまには歌もいいかな、やっぱり僕は参加するよ」 「翠星石も参加するですぅ」 「うにゅーも倍なのー」「卵焼きも倍かしらー」 「紅茶も倍なのだわ」「もしもしぃ?ごめんねぇ?やっぱり自分で買うわぁ」 「優勝はいただく」「・・・私は・・・」 こうして、教師陣は今、カラオケボックスの中にいる。 一番大きな部屋を選び、それぞれ喉慣らしをしたり、飲み物を飲んだりと思い思いの行動を取っている。 そして、ジャンケンで歌う順番を決め、椅子に座る。 「ここでルールを紹介しよう、勝負の方法はカラオケの採点だ。 歌う人は舞台の上で歌ってもらうぞ、ちなみに・・・採点の厳しさはMAXにしてもらったのでよろしく」 ローゼンのどうでもいい説明を適当に聞き流しながら、第一歌手、雛苺の登場だ。 「じゃあ歌うのー!聞いて欲しいのー!」 雛苺の歌を聴いてる者は、色々な事を考えているだろう。 これなら勝てると思う者、これはヤバイかもしれないと思う者。 そして曲はついにサビまで来ていた。 「こなぁぁぁぁぁぁぁうにゅぅぅぅぅぅぅ!!なのー、心までうにゅ~」 その瞬間、おそらく雛苺以外の全ての人間の思考は一致しただろう。 何故、替え歌なのだろうか。 真紅は飲んでいた紅茶を噴いてしまっている。 曲も終わり、得点がディスプレイに表示される。 「ヒナは69点なのー!まずまずなのー!」 雛苺の歌は決して下手ではなかった、ただ、替え歌を歌ったのが勝負の分かれ目というやつだ。 本人はそれに気付くことなくとても満足している、おそらく給料2倍の事も忘れているのだろう。 次は雪華綺晶の番だ。 一体何の曲なのだろうか、知らない者はそう思うだろう。 だが、知っている者は・・・。 「だめですぅ、笑いが止まらねぇですぅ」 翠星石に至っては机をバンバンと叩きながら笑っている。 「だ、だめだよ、翠星石、雪華綺晶は真面目に歌ってるんだから・・・ふふふっ」 翠星石を注意しながらも笑いを堪えきれない蒼星石。 そして、雪華綺晶の歌もラストに近くなってくる。 「だるいぞ体!だるいぞ体!そんなに若くない~」 いつの間にか雪華綺晶もノリノリである、こんな姿、薔薇水晶すら見たことないようだ。 何故雪華綺晶はこんな曲を知っているのだろうか。 曲が終わり、ディスプレイに得点が表示される。 「75点・・・まぁ悪くない」 出てきた点数に少々不服だったようだが、雛苺には勝っていたので良しとする。 「そういえば雪華綺晶はどうしてこの曲知ってるですかぁ?」 「薔薇水晶の持っていたDVDを見ました」 薔薇水晶にそんな趣味があったなんて・・・。 その場にいた全ての人間は驚きを隠せなかった。 そして、次は・・・真紅の番だ。 真紅が曲を入力しようとした、その時。 「待ちなさい、次は私です」 突如部屋に侵入してきたラプラスによってマイクを奪われる真紅。 「何をするの!?」 「事情は聞かせていただきました、ここは私が百点を取って給料2倍・・・ じゃなくてこんな馬鹿げたことを終わらせるのです」 そう言って曲を入力するラプラス。 ラプラスの歌は予想以上にうまかった。 本当に百点を取れるぐらいの勢いだ。 「R.N恋するウサギちゃん~」 そして・・・とても鬱陶しい歌声がボックス内に響く。 耐えかねた翠星石が演奏解除ボタンを押す。 「な、何をするのです!こんな事をすれば貴方は失格ですよ!?」 「うるせぇですぅ!てめぇの歌声を最後まで聞くぐらいなら失格になった方がマシですぅ!!」 そう言って翠星石はラプラスをそのまま部屋の外へ放り出す。 「開けるのです!私は続きを・・・」 「うるせぇって言ってるですぅ!真紅、歌っちゃってくださいですぅ」 真紅はそれを聞き、曲を入力する。 この時、誰もが思った、優勝したら翠星石に何か奢ってあげようと。 真紅の歌は英語の教師をやっているだけあって微妙な発音などもしっかりしている。 「白馬の王子様なんて信じてるわけじゃない~」 しばらくすると曲が終わり、ディスプレイに得点が表示される。 「89点なのだわ」 ご満悦な様子の真紅、それもそのはず、現在一位なのだから。 そして次は・・・水銀燈である。 「私は敢えて替え歌でいくわよぉ」 この発言にその場にいる全員はビックリした。 「ちょっと、私に勝てないのならおとなしくリタイアするのだわ」 「違うわよぉ?替え歌は時として凄いってところを見せてあげるぅ」 そう言って水銀燈は曲を入力する。 「ススス、ススス、水銀燈ぉ~!」 またしても真紅は紅茶を噴出してしまう。 「ちょ、ちょっとどういう事なのだわ、自分の名前を出すなんてふざけないで頂戴」 水銀燈は真紅に対してOKサインをだした。 おそらく、心配しなくても大丈夫と言いたいのだろう。 曲が終わり、ディスプレイに得点が表示される。 「あらぁ?89点だわぁ・・・おっかしいわねぇ」 一人で意外そうにしてる水銀燈。 替え歌と同じ得点だったので落胆の表情を隠せない真紅。 次は・・・金糸雀だ。 「カナの本気を見せてやるかしらー!」 曲を入力する金糸雀。 それに伴い耳栓を用意する翠星石。 歌い始める金糸雀。 耳栓を蒼星石に付ける翠星石。 「巫女みこナースかしらー!!」 もはや歌というよりも絶叫に近いものがあった。 蒼星石以外の皆は全員耳を押さえて苦しんでいる。 やがて、曲が終わり、得点がディスプレイに表示される。 「測定不能ってどういうことかしらー!?」 マイクを床に叩きつけて地団駄を踏む金糸雀。 卵焼きを用意する薔薇水晶。 「ありがとーかしらー」 どうやら薔薇水晶のおかげで金糸雀の機嫌は直ったようだ。 そして、次は薔薇水晶の番である。 「・・・私はいいです・・・」 そう言ってリタイアする薔薇水晶。 そのままマイクは蒼星石へとまわっていく。 「さて、最後は僕だね、翠星石の分まで頑張らないと」 慣れた手つきで曲を入力する蒼星石。 隣でニヤニヤしている翠星石。 (優勝は絶対蒼星石ですぅ) 歌い始める蒼星石。 (あ、ありえないのだわ) (うまいわねぇ) (どうしてメニューにうにゅーがないのー!) (むすぅ~かしらー!) (お腹空いた・・・) (・・・プロデビューできそう・・・) 「一億と2千年経っても愛してる~」 少しして曲が終わり、ディスプレイに得点が表示される。 「う~ん、99点か、まぁまぁかな、やっぱり基本は大事だよね」 微笑みながら蒼星石が席につく。 待ってましたとばかりに翠星石が蒼星石に抱きつく。 「流石蒼星石ですぅ!」 「ちょ、ちょっと・・・恥ずかしいよ」 今まで暇だったローゼンの最後の役目の時がきた。 「優勝は蒼星石君だ、ちなみに以下の順位はこうなっている」 2位真紅、水銀燈 4位雪華綺晶 5位雛苺 6位金糸雀、薔薇水晶、翠星石、ラプラス こうして、カラオケ大会は幕を閉じる。 後日談・・・ 「皆、今日も行くよね?」 「もちろんですぅ!」 「いくのー!」「かしらー!」 「行くのだわ」「行くわぁ」 「行く」「・・・私も・・・」 蒼星石は給料が2倍だった3ヶ月間の間、他の教師達に奢ったり、生徒達のために部費に当てたりしていた。 そのせいで蒼星石は自分のために使えたお金は結局他の月と変わらなかったようだ。 雪華綺晶と軍歌
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/98.html
「それでは、これからもよろしくお願いします」 薔薇「はい…今日はお忙しいところ、ありがとうございました…」 「先生、さようならー」 生徒とその保護者が、何度も頭を下げながら教室を出て行く。 薔薇水晶も、その度に頭を下げ二人を見送る。 薔薇「次で・・・最後…」 生徒の名簿を見て、安堵の息を漏らす。1週間にも及ぶ三者面談も、次の生徒で最後だ。 生徒にとって、普段の自分を親に晒される三者面談は恥ずかしく、できれば避けたいイベントである。 しかし、それは教師にとっても同じである。保護者と面と向かって話をすることは、生徒と話す時とは別次元の緊張がある。 次の面談までのわずかな時間の間に、体を伸ばし最後の気合を入れる。 F「どうも・・」 面談の時間になった。しかし、そこに現れたのは生徒のF一人だけだった。 薔薇「…F君…?保護者の方は・・?」 F「すいません、母さん、なんか五分くらい遅れるらしくって…。本当にもう…」 Fはさも自分が遅れたかのように申し訳なさ気にしていた。 薔薇「いいですよ…それじゃあ、待ってましょう…」 生徒を椅子に座らせる。Fは椅子につくなり深い溜息をついた。 遅れている母への不満だろうか、それともこれからの面談に対する不安なのだろうか…。 結局、Fの母親が教室へ来たのは、面談開始時間から15分ほど経ってからだった。 F「母さん、遅いよ!!先生をどれだけ待たせてるんだよ!」 母「だって、しょうがないじゃない。買い物が思ったより時間かかっちゃったんだもん。 先生、ごめんなさいねぇ」 薔薇「いえ、大丈夫です…。これが最後ですので、時間はたくさんありますので…」 Fの母親は、自分の汗を拭き取るばかりで、薔薇水晶の話は聞いていないようだった。 母「それじゃあ、始めましょう」 遅れてきたのにも関わらず、開始を促す。腕時計を見る、時間を気にしているようだった。 薔薇「あ、はい…。まずは普段のF君の様子から…。F君は授業にも熱心に取り組んでますし、 クラスでもその明るい性格で、常に中心的人物となっています・・・」 Fが恥ずかしそうに頭をかく。酷いことを言われるのかと思っていたのか、どこかホッとしたような表情だった。 薔薇「それに・・・」 母「そんなことはいいんです」 Fの母親が話を遮る。 薔薇「え・・・?」 母「そんな、普段の生活についてはどうでもいいんです」 母親として、息子の学校での生活ぶりは気にならないのであろうか。 母「私は、Fくんの成績を聞きに来たんです。しかもこんな忙しい時間に…」 恨みがましく言う。Fの表情が、途端に曇った。 薔薇「…すいません…。では、こちらが先日の模試の結果です…」 模試の結果を差し出すと、Fの母親はそれをひったくるように受け取った。 そして、なめ回すようにそれを見た。 母「まぁ!なんなのいったいこの結果は!?」 悲鳴が教室に響いた。 母「なにこの判定は!?去年はAだったじゃない!それなのに、今回はCって…!!」 Fの目の前で、模試の結果を叩く。Fは、反論もできずうなだれていた。 確かに、Fの模試の希望校判定は去年よりも悪い結果となっていた。しかし、それはFに限ったことではない。 模試というのは、一つ学年が違うだけで難易度が大きく変わる。 FのA判定からC判定という結果は、むしろ良い方である。ほとんどの生徒はE判定になったりする。 そして多くの生徒たちはこれに危機感を持ち、今まで以上に勉強に励むのである。 言ってしまえばこの時期の模試は生徒のやる気を引き起こす手っ取り早い起爆剤なのである。 薔薇「けれど、F君の結果はクラスでも優れています…。F君も授業には真剣に取り組んでいます…。 なのでこのまま頑張って勉強すれば、判定も良くなるはずです…」 薔薇水晶に庇ってもらったことで、Fの表情にほんの僅かだが明るさが戻った。 しかし、Fの母親は薔薇水晶の弁解を鼻で笑ってあしらった。 母「つまり、先生のクラスはこの程度ということですか…?」 薔薇「え…!?」 頭を鉄製の棒で殴られたような気がした。 Fの顔から、一気に血の気が引いた。 母「Fくんは去年は別の先生のクラスでしたけど、その時はしっかりA判定を取っていましたよ」 薔薇「あ・・・」 F「母さん、やめろよ…!」 母「Fくんは黙ってなさい!」 息子の制止を振り切り、さらに続ける。Fはどうしようもなく、黙り込んでしまった。 母「それが今年に入って、急にこんなに結果が悪くなったんですよ?」 模試の結果を薔薇水晶に突き出した。C判定という字が、目に飛び込んできた。 薔薇「…申し訳ありません…」 母「申し訳ありませんじゃないですよ!Fくんの人生がかかっているんですよ? 先生には、それが分かっているんですか!?」 もちろん分かっている。生徒の将来を、何よりも考えて指導してきたつもりだ。 薔薇「・・・はい・・・」 母「本当かしらねぇ…」 その口調はまるで薔薇水晶が嘘をついているかの如きだった。 教室の空気が、一気に息苦しくなった。 F「母さん、もうやめてよ・・・」 母「これはFくんの将来に関わることなの!!」 机を叩く。乾いた音が教室に響き、母親の怒号と混ざり合う。 もはや母親の怒りを鎮めることはできなかった。 母「先生には生徒のために全力を尽くしてもらわないと困るんですよぉ」 今まで指導に手を抜いたことなど一度も無かった。常に全力で生徒たちと向き合った。 薔薇「生徒の指導には、常に尽力しています…」 強気に言ったつもりだったが、声はうわずり、震えていた。 母「こんな結果を出させておいて、よくもまぁ!ねぇFくん」 嫌味たっぷりにおどけて見せる。Fは母親の問いかけに対し、ただ歯を食いしばって下を向いていた。 薔薇水晶は、この場から逃げてしまいたかった。だが、蛇に睨まれた蛙のようにその場を動くことができなかった。 母「先生、お綺麗でいらっしゃいますけど、自分を磨く前にまず生徒を磨かないと…」 やめて、やめて!!どうしてそんなことを言うの?私は、何よりも生徒のことを…。 薔薇水晶が心の中で叫ぶ。 母「先生教師になって間もないんでしょう?」 やめて!!もう、これ以上言わないで!! 心の中で耳をふさぐ。だが、Fの母親の言葉は矢となって、容赦なく薔薇水晶を貫いた。 母「それでいきなりこんな大事な時期の生徒を受け持つのは、力不足なんじゃないですか?」 薔薇「……!!!!」 Fの母親の言葉の矢が、薔薇水晶の心の盾を打ち砕いた。 薔薇「あ…あ…」 視界が揺らぐ。息が荒くなる。 心の盾を打ち砕かれた薔薇水晶は、自分の中で何かが崩れる音を聞いた。 母「先生にとっては生徒の将来なんてどうでも良いかも知れませんが 私たち親にとっては愛する子供の将来は何より大切なんですよ?」 私だって…生徒のことを・・・愛して…。なのに…なのに… 母「このままFくんが駄目になるのは見ていられないわ…。校長先生に頼んでFくんだけでもクラスを変えて・・・」 F「うるさい!!!!」 さっきまで黙らされていたFが、立ち上がった。母親を睨みつける目が震えていた。 母「Fくん・・・?何を言ってるの?」 息子の激変に驚いた母親が、目を丸くする。 F「・・・帰ってよ…」 拳が震えている。 母「なに言ってるの!?お母さんはまだ先生とお話を…」 F「帰れって言ってるだろ!?」 母親の言葉を遮るように叫ぶ。 薔薇「F、君…?」 F「ほら!もう帰れって!!」 母親の反撃を封じるかのように、もう一度叫ぶ。 母「こんなにも私が真剣になってるって言うのに…。もうしりません!!」 母親は、鞄をひったくるように出て行った。 母親のいなくなった教室に、静寂が訪れる。だが、息苦しさは少しも変わらなかった。 薔薇水晶もFも、下を向いたまま黙り込んでいた。 F「・・・・・・・・」 薔薇「・・・・・・・・・」 F「・・・・薔薇水晶先生・・・」 沈黙に耐え切れず、下を向いたまま声をかけた。何かを言わないと、おかしくなりそうだった。 薔薇「・・・・・・・・・」 だが、薔薇水晶はFの呼びかけに答えず、ただ黙っていた。 F「・・・先生?」 見上げると、薔薇水晶の目からは大粒の涙が流れていた。 Fは、罪悪感に引き裂かれそうになった。 薔薇「・・・ごめん・・・なさい…」 薔薇水晶の口から、微かに声が漏れた。 F「え・・・・?」 薔薇水晶は、それだけ言うと目を伏せたまま教室を出て行った。 F「せ、先生!!」 追いかけようとすると、薔薇水晶は走って行ってしまった。 一人残されたFは、力なくその場にへたり込んだ。 気付いた時には、部屋の前に立っていた。どの道を通って帰ってきたのか、記憶が定かでなかった。 鍵を開けようとしたが、手が震えてなかなか差し込むことができなかった。 何とか部屋へ入ると、薔薇水晶はそのままドアに背をもたれて、ズルズルと座り込んだ。 薔薇「私じゃ…力不足…」 Fの母親の言葉を思い出す。その途端、強烈な吐き気が襲う。 トイレへ駆け込み、便器に向かって口を開けると、まるで水道の蛇口をひねったかのように胃の中のものが逆流した。 薔薇「はぁ・・・はぁ・・・」 胃が空っぽになるまで吐いた。胃が痙攣している。 Fの母親の言葉も一緒に吐き出せたらどれだけ楽だろうと思ったが、薔薇水晶にしがみついて離れなかった。 水道水で口をゆすぐと、部屋の隅へ行き、膝を抱えるようにして座り込んだ。 今までの自分を思い返す。 自分は、生徒のことを一番に思って教師をしてきた。常に生徒のことを考えてきた。 生徒に愛されるよう、生徒を愛してきた。 だが、それは単なる自己満足だったのだろうか?実際は、誰一人として幸せにできていないのだろうか? 再びFの母親の言葉が蘇る。その声は、いくら耳を塞ごうとも頭の中から響いてきた。 薔薇「私は…力不足…私は…」 膝を抱える力が強くなる。深い絶望感が涙となって頬を伝った。 薔薇「私は……うぅ…」 薔薇水晶の嗚咽が、部屋に響き渡る。 昨日は、玄関に入った途端、待ち構えていた母親と口論となった。塾に行かせると言う。 猛烈に反発した。結局、靴を脱ぐことすらせず家を飛び出した。あんなに母親に反発したのは初めかもしれない。 その足で友達の家へ転がり込み、泊めてもらった。 その日の夜、夢を見た。目の前に薔薇水晶がいた。しかしFがいくら声をかけても、 薔薇水晶は反応することなく前へ進んでいく。 必死に追いかけたが、いつの間にか薔薇水晶の周りに濃い霧が立ちこめる。 薔薇水晶は霧に飲み込まれ、姿を消してしまった。 そこで目を覚ます。時間はまだ夜中の2時だったが、それ以降は眠れなかった。 胸騒ぎを抱えたまま、朝を迎えた。自宅へは帰らず、友達の家から登校をした。 朝のチャイムが鳴る。いつもだったら、ほぼそれと同時に薔薇水晶が入ってくるのだが、ドアは開かなかった。 その数分後、ドアを開いたのは副担任の水銀燈だった。 銀「薔薇水晶先生は風邪でお休みだから、今日は私が出席を取るわよぉ」 男子生徒が歓声をあげる中、Fは一人沈んでいた。 その日の午前中の授業は、全く集中できなかった。教師の指名にも上の空で、2回ほど立たされた。 昼休み、友達に一緒に昼飯を食べようと誘われたが、それを無視して職員室へ走った。 F「し、失礼します!!」 やはり薔薇水晶のデスクは無人だった。 F「水銀燈先生・・・」 副担任の水銀燈なら何か知っているかもしれない。 銀「あらぁ、F君、どうしたのぉ?」 F「先生、薔薇水晶先生は風邪なんですか?」 銀「そ、そうよぉ」 水銀燈の表情に一瞬だけ浮かんだ困惑を見逃さなかった。 F「本当のことを言って下さい!!」 必死に食い下がった。Fの迫力に押された水銀燈は、諦めの溜め息をついた。 銀「本当のことを言うと、今朝から先生の携帯に電話してるんだけど、繋がらないのよぅ。 先生からも連絡が無いし…」 頭の中で、霧に飲み込まれた薔薇水晶が遠くへ行ってしまう気がした。 心臓の鼓動が速まる。耳鳴りがする。いてもたってもいられなくなった。 F「先生・・・薔薇水晶先生の住所を教えてください…」 銀「え?どうするのぉ?」 F「今から行ってきます」 銀「何言ってるの!?薔薇水晶先生の家はここから歩いていける距離じゃないわよぉ!」 F「それでも、行きます!!」 銀「薔薇水晶先生の所へは、放課後に私が行くから、その時一緒に行きましょう?」 なだめるように言う。だが、気持ちは収まらなかった。 F「今じゃないと駄目なんです!!」 霧に包まれた薔薇水晶がどんどんと遠くへ行ってしまう。手の届かない所へ…。 銀「ふぅ、しょうがない子ぉ」 水銀燈が大袈裟に溜め息をつく。 銀「ほら、行くわよぅ」 F「・・・え?」 銀「歩いていったら日が暮れちゃうわよぉ。本当、お馬鹿さぁん」 車のキーをジャラジャラと鳴らし、意味ありげな視線を送る。 銀「ほら、早くぅ。昼休みが終わっちゃうじゃない」 F「は、はい!!」 銀「昨日、なにかあったの・・・?」 ハンドルを握ったまま尋ねる。 F「実は・・・」 助手席に座っていたFは、昨日の三者面談でのことを全て話した。 自分の母親が薔薇水晶に酷いことを言ったこと。自分はそれに対して何もできなかったこと。 そして、薔薇水晶が出て行ってしまったこと…。 銀「なるほどねぇ」 ハンドルをきりながら呟く。 F「だから俺、先生に謝らなくちゃ…」 銀「あなたが謝る必要なんて無いのよぅ」 水銀燈が笑う。 F「でも…!!」 銀「教師をやっていれば、そんなこと何度も言われるわぁ。私だって何度も言われた…」 その時を思い出したのか、少し苦しげな表情になった。 銀「でもね、こんなこと言っちゃ駄目なんだろうけど、そう言う苦情はある程度聞き流さないと教師なんてやってられないのよぅ?」 こんな所で水銀燈の本音を聞けるとは思わなかった。 銀「でもあの子は、純粋だから全てを受け止めてしまったのね…」 その口調はまるで、妹を心配する姉のようだった。 F「薔薇水晶先生…」 不意に、車が止まった。 銀「ここよぉ・・・ここの2階の一番奥の部屋」 F「あ、ありがとうございます」 車を出る。だが、水銀燈は運転席に座ったままだった。 F「水銀燈先生?行かないんですか?」 銀「私が行っても無駄よぉ。電話しても出なかったんだもの…。 今あの子を助けられるのはあなただけ…。ほら、行きなさぁい」 F「はい…。水銀燈先生、ありがとうございます」 薔薇水晶の部屋へと向かうFを、水銀燈は運転席から複雑な笑顔で見送った。 F「先生!!薔薇水晶先生!!俺です、Fです!」 呼び鈴を鳴らす。だが、反応がない。 F「先生!!開けてください!!先生と話がしたいんです!!」 続けて扉を叩く。近所迷惑など、今は関係ない。 暫くして、ドアノブが内から回り、扉が開いた。 薔薇「F・・・君?」 F「薔薇水晶先生…?」 昨日の服のままだった。目は真っ赤に泣き腫らしていた。 かなりげっそりとしていて、いつもの薔薇水晶とは別人のようにも思えた。 薔薇「入って、下さい…」 Fを部屋に通す。カーテンは締め切ってあり、昼間だというのに暗かった。 薔薇「ここに…」 座布団を指し示す。Fは言われた通りにそこに座った。 薔薇「何か、飲みますか…?」 F「いえ、いいです」 飲み物など飲む気になれず、断った。だが、コップに注がれたオレンジジュースが目の前に置かれた。 F「あ、ありがとうございます…」 渡された手前、飲まないわけにも行かない。一口だけ飲み込む。 粘っこい甘さが喉に張り付く。 薔薇水晶がFの前に座る。 F「先生…俺、あの…」 薔薇「……」 F「薔薇水晶先生に昨日のこと謝ろうと思って…」 薔薇「先生…」 Fの声を無視して独り言のように語り始めた。 F「え?」 薔薇「先生、教師を辞めようと思います…」 F「!!!!!!!???????」 霧に包まれた薔薇水晶が、何処かへ行ってしまう足音が聞こえた。 F「先生…今なんて…?」 薔薇「昨日、面談の後、ずっと一人で考えていました…」 ポツリ、ポツリと出される声は震えていた。 薔薇「私、今まで生徒の為に全力を尽くしてきたつもりでした… 生徒のことを誰よりも想ってきたつもりでした…けど…」 薔薇水晶の目に涙が溜まる。声は既に涙声だった。 薔薇「それらは全て私の思い込みでした…」 F「そんなことないです!!」 薔薇水晶の部屋に入ったとき、本棚が目に入った。 本棚は『良い教師になろう』や『慕われる教師とは』といった指南書と、日本史の資料で埋め尽くされていた。 そのどれもが背表紙がボロボロだった。何度も読み込んだに違いない。 図書室に置かれた古い本でも、ここまでボロボロではなかった。 薔薇「私は、教師として力不足です…」 瞳から溢れた涙が頬を伝った。 F「そんなことない!!」 Fが力の限り叫んだ。まるで水門を閉めたかのように薔薇水晶の涙が止まった。 薔薇「F君・・・?」 F「俺、ずっと母さんに勉強しろ勉強しろって言われ続けてました…。 それで今年に入るまで学校に行くことすら嫌になってしまいました…。 けど、薔薇水晶先生が担任になってくれて、薔薇水晶先生の授業を受けて、だんだん学校へ行くのが楽しみになってきたんです…」 薔薇「……」 霧の中で、必死に薔薇水晶を探した。手探りをしながら、何度も名前を呼ぶ。 F「急に勉強が難しくなって悩んだ時も、先生が『頑張って』って言ってくれるだけで元気が出ました…。 薔薇水晶先生は、去年までなかった勉強の楽しさを教えてくれました。 薔薇水晶先生は、僕にとって最高の先生なんです!!」 薔薇「私が…?」 霧の中で『助けて』と聞こえた。それは、紛れも無く薔薇水晶の声だった。 薔薇「でも私は、あなたのお母さんに…」 F「先生の授業を受けたこともない、薔薇水晶先生のことを何にも知らないヤツの言うことなんて気にしちゃ駄目です!! そんな奴等が例えどんなことを言おうとも、先生が僕にとって最高の先生であることには変わりありません!! これは、俺だけでなく、みんなそうです!!みんなにとって先生はかけがえのない存在なんです!!」 薔薇「私で…いいんですか…?」 さっきまで周りを取り囲んでいた霧が蜘蛛の子を散らすように晴れた。 その中心に、薔薇水晶がいた。 F「先生じゃないと駄目なんです!!」 肩を掴む。もう逃がさない。もう遠くへは行かせない。 薔薇「F君…」 F「俺、昨日家に帰ったら母さんに塾へ行かせるって言われました…」 薔薇水晶の肩を掴んだまま話す。 F「でも俺、絶対に塾へは行きません。塾へ行かずに、A判定を取って見せます…。 それで、言ってやるんです…。薔薇水晶先生のお陰だって…だから…」 肩を掴む手に力が入る。 F「だから…辞めるなんて言わないで下さい!!」 薔薇「……F君」 薔薇水晶の手がFの目を優しく撫でた。いつの間にか泣いていたらしい。 薔薇「ありがとう…」 そっと微笑む。涙に濡れたその笑顔は、まるで輝いているかのようだった。 F「先生…?」 薔薇水晶は立ち上がると、カーテンを開けた。久しぶりの光が眩しい。 そしてクローゼットへ移動すると、ふと動きを止めた。 薔薇「向こう、向いてください…」 F「え…?」 Fが聞き返す間もなく、薔薇水晶は服を脱ぎ始めた。 F「うわぁ!!」 慌てて窓の方を見る。だが、ガラスに反射して薔薇水晶の服を脱ぐ姿が見えてしまう。Fは目を閉じた。 薔薇「もう良いですよ…」 着替え終わった薔薇水晶が立っていた。 薔薇「急ぎましょう…」 F「え…?」 薔薇「5限目は、日本史ですよ…」 そこには、いつもの薔薇水晶がいた。 F「は、はい…!!」 外に出ると、水銀燈がけたたましくクラクションを鳴らした。 銀「遅いわよぉ!なにやってたのぉ?早く乗りなさぁい」 運転席から怒鳴ったが、その顔は笑っていた。 F「すいませーん!!今行きます!!」 2階の廊下から返事をし、薔薇水晶の方へ振り返る。 F「さ、薔薇水晶先生。行きましょう」 手を差し伸べる。薔薇水晶が、ゆっくりと、しかししっかりとそれを握った。 薔薇「・・・はい…!」