約 63,411 件
https://w.atwiki.jp/qmaevo/pages/76.html
台詞(専属教師・購買部・その他) 台詞(専属教師・購買部・その他)専属教師サツキ(ノンジャンル担当) マロン(アニメ&ゲーム担当) ガルーダ(スポーツ担当) フランシス(芸能担当) リディア(ライフスタイル担当) エリーザ(社会担当) アメリア(文系学問担当) ウィーズ(理系学問担当) ミランダ(全国大会・ワールドホウキレース担当) 購買部リエル 台詞(男子生徒1) 台詞(男子生徒2) 台詞(第一アカデミー女子生徒) 台詞(第七アカデミー女子生徒) 台詞(グリムバスターズ・EVOエネミー) 専属教師 サツキ(ノンジャンル担当) 装備アイテム獲得:このアイテムを受け取ってね。 全国大会開催時:全国大会が開催中だよ。 モード選択:それでは、モードを選んでね。 プレーモード選択確認:このモードで始めるの? 購買部選択確認:購買部に行くの? マイルーム選択確認:マイルームに行くの? モード選択時間切れ:時間だよ、急ぎましょ。 出題レベル上昇:出題クイズのレベルが上がります。 出題形式増加:新しい出題形式が増えました。 ガイド解禁:ガイド役で選べる先生が増えました。 予習ジャンル選択:それじゃまず、予習をしておきましょうか。クイズのジャンルと出題形式を選んでね。 予習ジャンル選択(協力プレー)・店内対戦クイズ選択: ガイド選択:サツキです。私が案内します。 予習・復習開始:では、始めるよ。/授業を始めます。 予習・復習正解:はい、そうだね。/その通り!/正解だよ! 予習・復習不正解:違うよ。/違うんだよう。/不正解なの。 予習・復習時間切れ:時間切れだよ。 予習・復習無回答:それじゃだめだよ。 予習合格:はい、合格です!/合格!その調子だよ! 予習不合格:迷いの気よ、消えなさい!/ビリッとするけど、我慢して! 予習全問正解:やったね、パーフェクトだよ! 予習満点:すごい、100点だよ! 予習全問不正解:この点じゃ駄目でしょ! 復習終了:はい、終了です。 検定試験テーマ選択:どの検定試験を受けますか? 店内対戦召集時:対戦者募集中だよ。少し待ってて。 店内対戦開始時:対戦者がそろいました。みんな、準備はいい? 全国大会ジャンル発表:アニメ&ゲーム!/スポーツ!/芸能!/ライフスタイル!/社会!/文系学問!/理系学問! 初プレー時:マジックアカデミーへようこそ!わたしはサツキ、この学校の教師で「ノンジャンル」の授業を担当しています。 それではまず、名前を入力してください。 (名前入力後)はい、受け付けました。 マロン(アニメ&ゲーム担当) 装備アイテム獲得:このアイテムを受け取ってね。 全国大会開催時:全国大会が開催中だぞー。 モード選択:それじゃ、モードを選んでね。 プレーモード選択確認:このモードで始めるよ? 購買部選択確認:購買部へ行くの? マイルーム選択確認:マイルームへ行くの? モード選択時間切れ:時間だよ、さあ急げー! 出題レベル上昇:出題クイズのレベルが上がるよ。 出題形式増加:新しい出題形式が増えたよ。 ガイド解禁:ガイド役で選べる先生が増えたよ。 予習ジャンル選択:それじゃあ、予習をしておきましょー。クイズのジャンルと出題形式を選んで。 予習ジャンル選択(協力プレー)・店内対戦クイズ選択:クイズのジャンルと出題形式を選んで。 ガイド選択:マロンでーす。任せてちょうだい! 予習・復習開始:授業をはじめまーす!/さぁ、始めるよ! 予習・復習正解:当ったりー!/そーなのです!/正解だ! 予習・復習不正解:間違ってる!/違うよ/ハズレなのだ 予習・復習時間切れ:時間切れ~ 予習・復習無回答:何とか言いなさいよ 予習合格:OK!合格/よし、合格だよ 予習不合格:よこしまな迷いよ、消え去れぇーい!!/えいしゃおらー!! 予習全問正解:にゃんとパーフェクトだ! 予習満点:すっごぉーい、100点だよ! 予習全問不正解:もおーっ!?何て点数なの!! 復習終了:しゅーりょー! 検定試験テーマ選択:どの検定試験を受けるのかな? 店内対戦召集時:対戦者を募集してるから、ちょっと待ってて。 店内対戦開始時:対戦者がそろったよ、準備はいいかな? 全国大会ジャンル発表:アニメ&ゲーム!/スポーツ!/芸能!/ライフスタイル!/社会!/文系学問!/理系学問! ガルーダ(スポーツ担当) 装備アイテム獲得:このアイテムを受け取れ。 全国大会開催時:全国大会が開催中だぞ! モード選択:それでは、モードを選んでくれ。 プレーモード選択確認:このモードで始めるぞ? 購買部選択確認:購買部へ行くのか? マイルーム選択確認:マイルームへ行くのか? モード選択時間切れ:時間だ、行くぞ! 出題レベル上昇:出題クイズのレベルが上がるぞ。 出題形式増加:新しい出題形式が増えたぞ。 ガイド解禁:ガイド役で選べる先生が増えたぞ。 予習ジャンル選択:まずは予習でウォーミングアップだ。クイズのジャンルと出題形式を選んでくれ。 予習ジャンル選択(協力プレー)・店内対戦クイズ選択: ガイド選択:このガルーダに任せろ! 予習・復習開始:授業を始めるぞ。/では始める。 予習・復習正解:正解だ!/その通り!/よーし、いいぞ! 予習・復習不正解:違う!/それではない!/不正解だ! 予習・復習時間切れ:遅い! 予習・復習無回答:声が小さい! 予習合格:うむ、合格だ。/良かろう、合格! 予習不合格:出直して来い!/精進が足りん! 予習全問正解:パーフェクト、見事だ! 予習満点:100点!天晴れだ! 予習全問不正解:ぶるるうぅぅぅぅぁぁ! 復習終了:そこまで 検定試験テーマ選択:どの検定試験を受けるんだ? 店内対戦召集時:対戦者を募集中だ、少し待ってくれ。 店内対戦開始時:対戦者がそろったぞ、準備はいいか? 全国大会ジャンル発表:アニメ&ゲーム!/スポーツ!/芸能!/ライフスタイル!/社会!/文系学問!/理系学問! フランシス(芸能担当) 装備アイテム獲得:このアイテムを受け取ってくれ。 全国大会開催時:全国大会が開催中だ。 モード選択:それでは、モードを選んでくれ。 プレーモード選択確認:このモードで始めるかい? 購買部選択確認:購買部に行くんだな? マイルーム選択確認:マイルームに行くんだな? モード選択時間切れ:時間だ、行くよ。 出題レベル上昇:出題クイズのレベルがあがるぞ。 出題形式増加:新しい出題形式が増えたようだ。 ガイド解禁:ガイド役で選べる先生が増えたようだ。 予習ジャンル選択:それでは、まず予習をしておこう。クイズのジャンルと出題形式を選びたまえ。 予習ジャンル選択(協力プレー)・店内対戦クイズ選択: ガイド選択:フランシスに任せたまえ。 予習・復習開始:授業を始める。/では始めよう。 予習・復習正解:正解。/知っているな。/その通りだな。 予習・復習不正解:外れだよ。/間違っている…。/違うんだが…。 予習・復習時間切れ:何やってんだ・・・ 予習・復習無回答:どういう事だい? 予習合格:よろしい、合格だ。/うん、合格だ。 予習不合格:体で覚えたまえ!/迷いの気よ…滅せよ! 予習全問正解:パーフェクト!その調子だ! 予習満点:100点とは完璧じゃないか! 予習全問不正解:実に愚かな結果だ! 復習終了:以上だ。 検定試験テーマ選択:どの検定試験を受けるんだい? 店内対戦召集時: 店内対戦開始時: 全国大会ジャンル発表:アニメ&ゲーム!/スポーツ!/芸能!/ライフスタイル!/社会!/文系学問!/理系学問! リディア(ライフスタイル担当) 装備アイテム獲得:このアイテムを受け取って。 全国大会開催時:全国大会が開催中です。 モード選択:それでは、モードを選んでください。 プレーモード選択確認:このモードで始める? 購買部選択確認:購買部に行くの? マイルーム選択確認:マイルームに行くの? モード選択時間切れ:時間です、急ぎましょう。 出題レベル上昇:出題クイズのレベルが上がります。 出題形式増加: ガイド解禁:ガイド役で選べる先生が増えました。 予習ジャンル選択:それじゃ、予習をしておきましょう。クイズのジャンルと出題形式を選んでください。 予習ジャンル選択(協力プレー)・店内対戦クイズ選択: ガイド選択:リディアです。私でいいのね? 予習・復習開始:授業を始めます。 予習・復習正解:その通りです。/正解です。/知ってますね。 予習・復習不正解:外れですね。/間違っているわ。/違いますね。 予習・復習時間切れ:時間切れです。 予習・復習無回答:わからないのね。 予習合格:合格点ですね。/合格です。 予習不合格:迷いよ、消えなさい!/もう、じっとしてなさい! 予習全問正解:ばっちり、パーフェクトね! 予習満点:すごい…、100点ですよ! 予習全問不正解:何よこれ!?ひどいわ!! 復習終了:終了です。 検定試験テーマ選択:どの検定試験を受けますか? 店内対戦召集時:対戦者募集中です。少し待ってて。 店内対戦開始時:対戦者がそろいました、準備はいいですか? 全国大会ジャンル発表:アニメ&ゲーム!/スポーツ!/芸能!/ライフスタイル!/社会!/文系学問!/理系学問! エリーザ(社会担当) 装備アイテム獲得:このアイテムを受け取りなさい。 全国大会開催時:全国大会開催中です。 モード選択:それでは、モードを選びなさい。 プレーモード選択確認:このモードで始めるのね? 購買部選択確認:購買部へ行くのね? マイルーム選択確認:マイルームへ行くのね? モード選択時間切れ:時間よ、急ぎなさい。 出題レベル上昇:出題クイズのレベルが上がります。 出題形式増加:新しい出題形式が増えました。 ガイド解禁:ガイド役で選べる先生が増えました。 予習ジャンル選択:それではまず、予習をしておきましょう。クイズのジャンルと出題形式を選びなさい。 予習ジャンル選択(協力プレー)・店内対戦クイズ選択: ガイド選択:エリーザよ。私が案内しましょう。 予習・復習開始:さあ、始めましょう。/授業を始めます。 予習・復習正解:その通りよ。/はい、よろしい。/正解です。 予習・復習不正解:違うわね。/間違ってるわ。/不正解よ。 予習・復習時間切れ:時間切れです。 予習・復習無回答:調べておきなさい。 予習合格:お見事、合格です。/はい、合格。 予習不合格:もっと精進なさい!/迷いの気よ、消えなさい! 予習全問正解:パーフェクト!上出来ね 予習満点:100点よ、言うことなしね! 予習全問不正解:これではいけません! 復習終了:はい、そこまで。 検定試験テーマ選択:どの検定試験を受けるのかしら? 店内対戦召集時:対戦者募集中です、そのままお待ちなさい。 店内対戦開始時:対戦者がそろいました、準備はいいかしら? 全国大会ジャンル発表:アニメ&ゲーム!/スポーツ!/芸能!/ライフスタイル!/社会!/文系学問!/理系学問! アメリア(文系学問担当) 装備アイテム獲得:このアイテムを受け取ってね。 全国大会開催時:全国大会が開催中よ。 モード選択:それでは、モードを選んでね。 プレーモード選択確認:このモードで始めるのね? 購買部選択確認:購買部へ行くのね? マイルーム選択確認:マイルームへ行くのね? モード選択時間切れ:時間よ、ほら行くわよ! 出題レベル上昇:出題クイズのレベルが上がるわよ。 出題形式増加:新しい出題形式が増えたわよ。 ガイド解禁:ガイド役で選べる先生が増えたわよ。 予習ジャンル選択:それじゃまず、予習をしておきましょう。クイズのジャンルと出題形式を選んでね。 予習ジャンル選択(協力プレー)・店内対戦クイズ選択: ガイド選択:アメリアよ。私に任せなさーい! 予習・復習開始:授業開始よ。/はっじめるわよー! 予習・復習正解:正解!/その通りよ!/It s good! 予習・復習不正解:不正解です~。/間違いよ。/ああ、違う違う。 予習・復習時間切れ:時間切れよ~。 予習・復習無回答:何やってんの!? 予習合格:よろしい、合格。/オッケー、合格。 予習不合格:迷いの気よ…飛んでけー!/気合い入れなさーい! 予習全問正解:パーフェクト!完璧ね! 予習満点:Marvelous!100点よ! 予習全問不正解:0点って、何じゃーい!! 復習終了:終了よ。 検定試験テーマ選択:どの検定試験を受けるのかな? 店内対戦召集時:対戦者募集中よ、少し待ってて。 店内対戦開始時:対戦者がそろったわ、さあ準備はいい? 全国大会ジャンル発表:アニメ&ゲーム!/スポーツ!/芸能!/ライフスタイル!/社会!/文系学問!/理系学問! ウィーズ(理系学問担当) 装備アイテム獲得:このアイテムを受け取るがいい。 全国大会開催時:全国大会開催中だ。 モード選択:それでは、モードを選ぶがいい。 プレーモード選択:このモードで始めるぞ? 購買部選択確認:購買部へ行くのか? マイルーム選択確認:マイルームへ行くのか? モード選択時間切れ:時間だ、もたもたするな。 出題レベル上昇:出題クイズのレベルが上がるぞ。 出題形式増加:新しい出題形式が増えたぞ。 ガイド解禁:ガイド役で選べる先生が増えたぞ。 予習ジャンル選択:ではこれより予習の時間とする。クイズのジャンルと出題形式を選ぶのだ。 予習ジャンル選択(協力プレー)・店内対戦クイズ選択:クイズのジャンルと出題形式を選ぶのだ。 ガイド選択:このウィーズが導いてやろう。 予習・復習開始:では、始める/授業開始だ 予習・復習正解:正解だ!/その通りだ!/そうだ! 予習・復習不正解:違う!/駄目だ!/間違い! 予習・復習時間切れ:何をしている! 予習・復習無回答:何の真似だ! 予習合格:合格だ!/うむ、よかろう! 予習不合格:光よ、迷いと惑いを浄化せよ!/不合格、これを受けよ! 予習全問正解:そうだ、それでいい。 予習満点:見事。認めてやろう。 予習全問不正解:この…愚か者! 復習終了:そこまで! 検定試験テーマ選択:どの検定試験を受けるのだ? 店内対戦召集時:対戦者を募集中だ、しばし待て。 店内対戦開始時:対戦者がそろったな、準備はいいか? 全国大会ジャンル発表:アニメ&ゲーム!/スポーツ!/芸能!/ライフスタイル!/社会!/文系学問!/理系学問! ミランダ(全国大会・ワールドホウキレース担当) 装備アイテム獲得:このアイテムを受け取って。 全国大会開催時:全国大会開催中よ。 モード選択:それでは、モードを選んでね。 プレーモード選択確認:このモードで始めるの? 購買部選択確認:購買部に行くの? マイルーム選択確認:マイルームへ行くの? モード選択時間切れ:時間ね!行きましょう! 出題レベル上昇:出題クイズのレベルが上がるわよ。 出題形式増加:新しい出題形式が増えたわ。 ガイド解禁:ガイド役で選べる先生が増えたわよ。 予習ジャンル選択:それではまず、予習をしておきましょうか。クイズのジャンルと出題形式を選んで。 予習ジャンル選択(協力プレー)・店内対戦クイズ選択: ガイド選択:ミランダよ。さあ、案内するわね。 復習開始:では、始めます。 復習正解:正解!/当たりよ。/そうですね。 復習不正解:違うわね。/間違いよ。/外れよ。 復習時間切れ:時間切れよ。 復習無回答:それじゃあいけません! 復習終了:終了です。 検定試験テーマ選択:どの検定試験を受けますか? 店内対戦召集時:対戦者募集中よ、少し待ってね。 店内対戦開始時:対戦者がそろったわね、準備はいいかしら? 全国大会ルール説明:全国大会のルールについては、こちらを読んでね。 全国大会前半戦:前半戦開始! 全国大会後半戦:後半戦開始! 全国大会ジャンル発表:アニメ&ゲーム!/スポーツ!/芸能!/ライフスタイル!/社会!/文系学問!/理系学問! 全国大会終了後に順位確定後初プレー時(入賞者のみ):入賞したわ!おめでとう! 購買部 リエル 来店時:いらっしゃいませ!/購買部へようこそ! 退店時:ありがとうございました!/行ってらっしゃいませ! 時間切れ5秒前:まもなくお時間ですよ! 時間切れ:時間です。行ってらっしゃいませ! 購入アイテム選択時:ご購入ですか? 購入アイテム選択時(マジカ不足):マジカが足りませんよ アイテム購入後:毎度どうも! 購入後装備確認:すぐに装備しますか? リエルのセリフ後一定時間経過(踊りだす・「PASELIで購入」のみ):ふ~んふ~ふふ~ん♪/にゅ~にゅにゅ~♪ 胸タッチ(「PASELIで購入」のみ):はうっ!?/ひゃあっ!?/ぁぅぁぅ~/やめてくりゃしゃいよぉ~
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/1003.html
「そういえば、水銀燈先生ってなんで先生になろうとしたの?」 こんな、質問がめぐの口から漏れた。 いつもなら、教える理由なんてないわぁ~。などと言ってはぐらかすのだが…… めぐのこの質問は、実に二万四千二十七回目だった。 多分、また教える理由なんて無い。など言ってしまったら明日もまた聞いてくるだろう。 私は、ため息をついた。 そもそも、教師になった理由なんて無いのだが…… はて……待てよ? 【本当に】無かった? いや……誰かに…… そう、誰かに教師になれば良いと教えられたんだ…… 小さい頃、アルビノとして生まれ虐められていた時に、私と同じアルビノの大人に助けてもらった。 それを思い出せば、こう髪を伸ばしているのもその助けてもらった大人を真似てだった。 顔は思い出せない……でも、髪の色と瞳の色は覚えている。 私と同じ銀色で紅の瞳。 そして、今の自分と同じような「~よぉ」などと、言葉を伸ばしていた。 あぁ、そうか憧れて私はあの人と同じような癖をつけたんだ。 私は、その人に「なんで私は虐められるの? なんで?」と、聞いた。 その人は「人間と言うのは、少しでも違う所があれば、同じ人間にもつらくあたるのよぉ」と答えた。 どうすれば虐められなくなるの? と、尋ねるとその人は 「教師になりなさい」と、簡素に言った。 何故? 「教える立場になれば、虐められる可能性は低くなるわぁ。まぁそれだけじゃなくて精神的にも強くなりなさぁい」 そう、この言葉で私は教師になろうと思った。 実に、【それだけ】の理由だ。 その後も、その人は私を助けてくれた。 「いい? アナタが、【私はか弱いの】なぁんて雰囲気だしてるから虐められるのよぉ? だから、凛とした態度をとりなさぁい」 「虐められたのなら、虐めかえしなさぁい。ほめられた事じゃないけどぉ……良い諺があるわぁ……やられたらやりかえせ」 「アナタは、見目も美しいし可愛いのだから男の子を味方につけなさぁい。方法は教えてあげるわ」 よくよく考えたら、今の私を作ったのはあの人じゃないか? と、思う。 効率の良い男の落とし方とか、やられたらやりかえすなんて絶対そうだ。 あの頃の私は、もうナヨナヨとした【お嬢様】だったのだから。 初めて、虐めを精神的にも肉体的にも跳ね除けた日、あの人に「勝った」と伝えた。 そうしたら、あの人は笑って「じゃぁ、もう私が教える事はないわねぇ~」などと言って私の頭を撫でてくれた。 お母さんやお父さんとは違った【あたたかさ】を感じて、嬉しかった。 その後、あの人は最後に「教師になった未来。アナタは本当の意味で親友って呼べる人たちに出会うわぁ……」 そういって苦笑を一つした後「嫌だって言っても、無理よぉ? 絶対できちゃうから」 私は、その言葉に首を傾げたが……今できなくても未来にできるなら嬉しいな。と思った。 まぁ、今の今まで忘れていた事なんだけどね? そうそう、ここまで思い出せばあの人が去る時に言ったあの人の名前を思い出した。 【水銀燈】 そう、あの人の名前は【水銀燈】だった。 あの人は私で私があの人。 何て事は無い。あの人は、どう言う訳があの時の【私】にであって未来に起こる事を少し教えてくれたのだ。 お礼を言いたかったが、言う必要は無いと言う事か。 とりあえず、めぐには適当に教師になった理由を答えて私は、珍しく公務を全部終わらせた。 そして、昔あの人【水銀燈】に出会った場所へ行く事にした。 「あなたたちぃ~ なぁにしてるのかしらぁ? 虐めならぁ……赦さないわよ?」 そして、私はアルビノの少女と出会う。
https://w.atwiki.jp/ohomodachi/pages/232.html
腕力教 ワトリック 保守派。教師の一言一言を深く研究し、考察する。また、最も排他的な勢力である。病的な探究心故、ウンテル・デン・リンデンゲームではSランクを取るような実力派が多い。 (主要人物)朱匠/零崎伽識/トゥーリオ ワロテスタント 革新派。教師の性格や境遇と言動をリンクして考える。特定の教師にはかなり精通すると言われるが、すこし探究が浅いとも言われる。 (主要人物)しょうい/まいける/タピオカ ↓ ↓ ↓堕 ↓落 ↓ ↓ ワディスト・・・人を私情で電気椅子に送る。
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3842.html
『反面教師』 14KB 愛で 思いやり 愛情 自業自得 差別・格差 妬み 育児 野良ゆ 姉妹 子ゆ 都会 現代 具体的な暴力行為はありません。 教授あきの作品です 直接的な虐待・制裁はしていません 漢字を使うゆっくりがいます お兄さんの行動を理不尽ないし不可解と思う方がいるかもしれません 飼いゆっくりとお兄さんの関係がすこぶる良好です 以上の点に違和感を覚えた方は、ご遠慮ください。 「おねがいしますうううううう! おちびちゃんをゆっくりさせてあげてくださいいいいいいいい!」 大学からの帰り。駅前の広場でゆっくりれいむがさけんでいた。 どこから持ってきたのか、ダンボールの上で子ゆっくりと一緒に並んでいる。 よくある光景だ。構うのも面倒なので、誰も彼もがれいむを無視して歩き続けている。 俺もそんな一人“だった”。 過去形になったのは、そのでいぶの次の台詞が理由だ。 「おねがいしますううううう! れいむににだ、ゆっくりしたおチビちゃんをゆっくりさせてくださいいいいいい!」 自身に似たおチビ。確かに、そのでいぶはそう言った。 何故その台詞に興味が出たのかと言うと、そのでいぶと一緒に並んでいる子ゆっくりは、れいむ種だけではなかったからだ。 親でいぶから一番離れ、他の姉妹からも離れたところに、今にも死にそうなまりちゃがいた。 他のゆっくりは、野良らしい汚れ方をしていたが、まりちゃだけは特段汚れていた。 奴ら風に言うならば、まったくゆっくりしていなかった。 「おい」 「ゆゆっ! にんげんさん、れいむににたおチビちゃんをかいゆっくりにしてあげてください!」 話しかけた途端、でいぶがまくし立ててきた。 今まで無視されてきて、ようやく話かけてきた人間だ。 こいつの頭の中では、既に俺がこのチビどころか、でいぶまで飼うことになっているのだろう。 自分から面倒に巻き込まれておいてなんだが、さらに面倒な事になる前に、本題に入る事にする。 「テメェに似たチビをって、そこのまりちゃはどうすんだよ」 「ゆゆ?」 なぜこいつはそんなことをいいだしたんだろう、とでいぶの顔に出ていた。 「ゆふん! こいつはれいむのどれいなんだよ!」 「はぁ? だが、どう考えてもこいつはお前の子供だろ」 まりちゃは他のゆっくりと同じくらいの大きさで、かつ、一緒にいることから、このでいぶの子であると判断できる。 「ばかなこといわないでね!」 何故怒られにゃならんのか。 「れいむのつがいのまりさは、れいむたちをゆっくりさせてくれなかったゲスなんだよ! まだまだおチビちゃんはちいさいのに、さっさとくたばっちゃったんだよ! だから、まりさににたクズゆっくりがまりさのぶんまではたらかなくちゃだめなんだよ!」 「お前がゆっくりさせてやればいいだろ」 「はああああああああああああ? どうしてれいむがそんなゆっくりできないことをしなくちゃいけないの? ばかなの? しぬの? れいむはしんぐるまざーなんだよ!」 つまり、こいつは番のまりさを死ぬまでこき使った挙句、死んだら死んだでゲス扱い。 そしてまりちゃはそのとばっちりを受けて、まりさの代わりとして奴隷になってる。 さらに親のでいぶは、働くつもりがまったくない、と。 他の子ゆっくりから離れているのを見ると、子でいぶも親でいぶと同じように思っていると見ていいだろう。 腹がたった。 あまりに腹がたって、このでいぶに一泡吹かせてやりたいと思った。 「そうか。なら、そのまりちゃなら飼ってやる」 「ゆゆっ!?」 俺の予想外の言葉に、でいぶが驚いた。 「だめだよっ! そいつはれいむのどれいだよっ!」 「ならこれと交換してやる」 カバンの中からチョコレート菓子を取り出して、でいぶに見せつける。 「あまあましゃん! さっさとそのあまあましゃんをれいみゅによこちぇ!」 でいぶより先に、子れいむが反応した。 「さあどうだ。そのまりちゃを奴隷にしたところで、お前はこのお菓子を手にれることはできまい?」 醜いまりちゃと、とてもゆっくりできるあまあま。 でいぶの判断は、ゆっくりという名に反して早かった。 俺はお菓子をほうり投げ、まりちゃを掴み上げると、まりちゃを近くにあったガチャガチャのカプセルに閉じ込めた。 さり際に一度だけ、でいぶ一家に振り向いたが、そこにはお菓子を下品に食べてる土饅頭がいくつかあるだけだった。 それから2ヶ月程して、俺は飼いゆっくりと共に、例の駅前に足を運んだ。 「おねがいじまずううううううう! おぢびぢゃんをがいゆっぐりにじでぐだざいいいいいいいいい!」 案の定、あのでいぶ一家がいた。 台詞が濁っているあたり、2ヶ月前よりも状況は悪いと見ていいだろう。 にも関わらず、まりちゃの姉妹達は…… 「かわいいれいみゅがちーちーするよ!」 「おいくしょにんげん! さっさとあまあまもっちぇこい!」 ……などと、言いたい放題だった。 しかも、2ヶ月前と比べて何匹かいなくなっている。 生き残っている子でいぶは、大きさに反して赤ゆ言葉で話していることから、相当甘やかされて育った事が分かる。 「おちびちゃああああん! どうじでぞんなごどいうのおおおおおおおお!」 などと、親でいぶが泣き叫んでいるが、同情する余地は一切ない。 大方、頭の中では「番に先立たれ、愛しの子を失い、泥に汚れながら、自分よりもゆっくりしていない人間に頭を下げる可哀想なれいむ」と思っていることだろう。 あまりに予想通りの結果に、俺はため息を吐いた。 「ゆ、あのときのにんげんさん!」 ため息を耳ざとく聞きつけたでいぶが、俺の足に擦り寄ってきた。 「おねがいじまず! ぼがのおぢびぢゃんもがいゆっぐりにじであげでぐだざいいいいいいいいいい!」 奴隷を好き好んで引き取った馬鹿な人間なら、二つ返事で飼いゆっくりにしてくれるはず。 恐らく、それに近い事を考えているのだろう。 だが、俺の答えはひとつだ。 「いやなんだぜ」 そのたったひとつの簡単な答えを、俺が言う前に言い放ったモノがいた。 まりちゃ――いや、まりさが、俺に代わってでいぶを拒否した。 「そんなゲスと一緒に暮らすなんて、まっぴらごめんなんだぜ」 「おチビちゃんはゲスじゃないいいいいいい……ゆゆっ? おまえはでいぶのどれい!」 実の親でさえ気づくのに遅れたのは仕方があるまい。 今のまりさは胴付きだ。 皮や髪の毛は清潔に保たれ、傷だらけだった帽子も修繕され、金色のバッジがつけられている。 さらに、野良まりさが喉から手が出るほど欲しがるであろう箒型のすぃーに乗って、悠然と浮かんでいる。 「どうじで……どうじでええええええええええええええ!」 「こいつが頑張ったからに決まってるだろ。お前の言う、この“ゲスの番に似ているクズゆっくり”が」 「ふざけるなあああああああああ! どれいがでいぶよりゆっぐりじでいいわげあるがああああああああああああ!」 そうは言うものも、飼い主としての贔屓を抜きにしても、まりさの方が格段にゆっくりしている。 その現実を、でいぶが認めるのは辛いだろう。 なにせ、俺が引き取るまで、自分よりもヒエラルヒーが格段に低い位置にいたまりさが、かつて自分が奴隷として扱っていたまりさが、今の自分よりもはるかにゆっくりした姿でゆっくりしているのだから。 「おいどれいいいいいいいいい! でいぶだちもゆっぐりさぜろおおおおおおおおおおおおおお!」 「ゆっきゅりさせりょ! このゲスどりぇい!」 「どりぇいのくせになまっいきだよっ!」 いつのまにかまりさの姉妹も加わって、俺達に迫ってきた。 「近寄るんじゃねーよ」 それを、俺は一蹴した。 いくら鬼気迫る勢いで来ようが、所詮はゆっくり。簡単に吹っ飛び、 「おそらをとんでるみたいーぶべっ!」 空中で一回転して顔面から着地した。 「うんやああああああ! でいぶのようっきひもうらやむびがおがああああああああああ!」 楊貴妃に謝れ。 ちなみに子でいぶは数メートル先に落下し、餡子を吐き出している。 そんなに強く蹴り飛ばしていないが、着地の仕方がまずかったらしく、地面で体が削れたようだ。 そんな一家の様子を見て、俺は思わず鼻で笑った。 「まぁ、お前らには感謝している。お前らのお陰で、まりさがいい子に育ってくれたからな」 「ゆ……ゆゆ? どーいうこと?」 理由はわからないが、とりあえず感謝された事で少しだけ泣き止んだ。 「簡単な話だ。お前らがあまりにもゲスだったらか、こいつが善良になったんだよ」 ―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※― 場面をまりちゃを拾った日まで戻す。 家に帰り、カプセルの中からまりちゃを出すと、俺は開口一番こう言った。 「お前は親に売られたゆっくりだ」 目の前でやりとりしたのだから、言わずともわかっているだろうが、あえて口に出した。 「俺はお前をチョコレートで買った。つまり、お前は俺のものということだ。理解できるな?」 「ゆっくり……りかいしちぇりゅじぇ」 もともと体力のなかったまりちゃは、悟っているかのような口ぶりだった。 「俺がお前を虐待しても、問題はない。なにせ、お前の所有者は俺だからな。 お前の目をアマギろうが、あなるとまむまむに火を点けようが、帽子を目の前で切り裂こうが、問題はない。理解できるな?」 「…………りきゃいしちぇるのじぇ」 死んだ魚のような目をしているまりちゃ。 そんなまりちゃの姿を見て、俺は一言、 「それでいいのか?」 「……ゆ?」 「ゆっくりしてない親や姉妹にこき使われ、少しのあまあまで売られた挙句、理不尽に殺される。そんなんでいいのか?」 「もう、いいのじぇ。これいじょうわるくなることはないんだじぇ」 達観したまりちゃの言葉に驚きつつ、話を進める。 「あのでいぶ――お前の親な、あいつやお前の姉妹に仕返ししたくないか?」 「……どうするんだじぇ?」 半信半疑ながらも、しっかりと食いついてきた。 「お前はあいつらがゆっくりしてると思うか?」 「ゆ……ゆっくりしてなかったんだじぇ。いっつもおなかをぺーこぺーこさせてて、まりちゃをいじめたんだじぇ」 「なんであいつらがゆっくりしてなかったか、お前は分かるか?」 「そんなの、のらゆっくりだからなんだじぇ」 まりちゃの言うとおり、奴らがゆっくりしてない理由は、野良という、圧倒的に不利な立場であろう。 「確かに、野良はゆっくりできない。だが、野良でもゆっくりしてる奴はいるぞ? そいつらと何が違う?」 「ゆゆ……わからないんだじぇ」 「それはな、奴らがゲスだったからだ」 「…………!」 青天の霹靂とばかりに、まりちゃが声にならない驚きを全身で表した。 「でいぶは、番のまりさがゲスだと言っていたが、それは違う」 まぁ、あんなでいぶを番にした馬鹿ではあるだろうが。 「お前の家族の中で一番のゲスは、あのでいぶだ。どうせ、野良生活で一番面倒な食料の確保をまりさに押し付けていただろう? 自分はおチビちゃんを育てなきゃいけないんだよ! とか言って、何をするでもなく、日がな一日怠けているだけなのに」 「ど、どうしてしってるんだじぇ!?」 テンプレートなでいぶ像を述べただけだが、まりちゃの反応を見るかぎり、あのでいぶもその例に違わなかったらしい。 「あのでいぶのように、自分の事しか考えず、面倒事を回りに押し付けるだけ押し付けて自分だけゆっくりするゆっくりの事をなんていうかわかるか?」 「ゲス……なのじぇ」 「そう、ゲスゆっくりだ。ゲスがゆっくりしてないのは当然だ。自分だけでゆっくりしようとするから、ゆっくりできなくなる。 人間も、一人で味わう幸せより、その幸せを誰かと共有したほうが、何倍も幸せになれるからな。 ゆっくりが言う『ゆっくりは分け合わなくちゃいけない』ってのは、あながち間違っていない」 もっとも、大抵は他人がゆっくりしてるのを羨ましがって言っているだけのゲスの台詞なので、大して意味がなくなってしまっているが。 「さて、お前はそんなゲスゆっくりの子な訳だが、お前はゲスか?」 「ゆゆっ……わからないんだじぇ……」 ゲスではない、と言い切りたいのだろうが、何せ今まで自分をゆっくりさせてくれなかったゲスの餡を受け継いでいるのは事実。 「さっきも言ったように、俺はお前を好き勝手しても問題無いわけだが、ただ殺すのは面白くないと思っている」 「じゃあ、どうするんだじぇ?」 「お前をまともな、ゆっくりしたゆっくりに育て上げて、あのゲスの鼻を明かす」 ―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※― 「俺もここまで上手く行くとは思っても見なかった。お前たちのようにはなりたくないと、必死だったぞ」 その証拠に、産まれた直後から親から引き離され、厳しい勉強をしたゆっくりですら取れない金バッジを、僅か2ヶ月程で取得してしまった。 俺の言う“ゆっくりしたゆっくり”になるための向上心は、そそのかした俺が舌を巻く程だ。 まぁ、事あることに「でいぶみたいなゲスになるぞ」と言っていたこともあるだろうが。 「お前たちという反面教師のおかげだな。それに関しては感謝している」 「だったらでいぶをゆっぐりざぜろおおおおおおおおおお! でいぶのおかげでどれいがゆっぐりできでるなら、でいぶもゆっぐりざぜろおおおおおおおおおお!」 「……でいぶ“達”じゃなくて、でいぶを、か。救いようがないな」 さっきまで可愛がっていた子でいぶは、もはや関係ないらしい。 「なんでえええええええええええ! ゆっぐりじだおチビちゃんをうんだんだから、でいぶもゆっぐりするけんっりがあるでしょおおおおおおおおおおおお!」 「まりさがゆっくりしてるのは、まりさとおにいさんが頑張ったからだぜっ! お前みたいなゲス親のおかげなんかじゃないぜ!」 「おまえはだまっでろおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! 」 みっともなく泣きわめく親でいぶを見て、思わずため息が出る。 まりさに至っては、憐れみの目で、自分の親を見下ろしていた。 そんなれいむを見て、俺はまりさに教えるように語りかけた。 「まりさ。これが、自分のゆっくりしか考えていないゆっくりの姿だ。最後になるだろうから、目にしっかりと刻みつけておけ」 「ゆっくり、わかったのぜ」 「ゆっぐりざぜろおおおおおおおおおお! ゆっぐりざぜろおおおおおおおおおお!」 もはや、でいぶの耳に俺たちの言葉は聞こえていないらしい。 ゆっくりさせろとひたすら連呼するだけだ。 「待ってるだけでは駄目だ。ねだるだけでは駄目だ。お前がゆっくりしているのは、努力して、そのゆっくりを勝ち取ったからだ」 「違うのぜ、お兄さん」 突然否定され、足元ですぃーに乗って浮かんでいるまりさに「どうしてだ」と聞いた。 「まりさがゆっくりしてるのは、お兄さんと一緒にゆっくりしてるからだぜ」 「……ああ、そうだな。それでいい。“一緒にゆっくりする”。それが、一番大切だ」 俺の教育の賜物か、それとも、自分だけでゆっくりようとするゲスな親を見たからか、まりさの成長には度々驚かされる。 なんにせよ、これで俺の“でいぶを一泡吹かせる”という目的を達成出来た訳だ。 「行くぞまりさ」 「ゆっくりわかったよ、お兄さん」 「そういやミスドの携帯クーポンが来てたな。帰りにポンデリング買ってくか」 「ゆ! ポンデさんはゆっくりしてるよ!」 「までえええええええええええ! でいぶもつれてけええええええええええええええええ!」 後ろででいぶが叫んでいるが、まりさにゲスの姿を再確認させた以上、こいつには用はない。 まりさの姉妹も、あそこまでゲスになった以上、手の施しようないだろう。 だが、こいつらのおかげで恐らく、いや、確実にこいつはゲスにならないだろうし、子供を産んでも、いい親になれるだろう。 「そろそろ番を探してやるか……」 「ゆ? お兄さん、何か言った?」 「お前とは末永くゆっくりできそうだと思っただけだ」 「ゆん! まりさもお兄さんと一緒にゆっくりしたいよ!」 ゆっくりと笑うまりさに、思わず俺の頬も緩む。 「までどれいいいいいいいいいいい! でいぶをおいでくなああああああああああああああ!」 「れいみゅもちゅれちぇけえええええええええええええ!」 「あまあま! あまあまよこちぇええええええええええ!」 後ろででいぶ達が叫んでいるが、知った事ではないが、最後と言うことで、一言だけ言い残そうと思う。 「じゃあな、“ゲスなまりさに似たクズゆっくり”よりもゆっくりしてない、ゲスでいぶども」 駅前の広場には、一瞬だけ呆けて、すぐにゆんやーと泣き叫ぶでいぶ一家だけが残った。 あとがき やっと文章化出来そうなネタが生えてきました。 ゆっくりの虐待を望んでいる方だと、最後にまりさを捨てる展開を望んでいるのではないかと思います。 しかし、その経緯はどうであれ、私としては努力した者は人であれ、ゆっくりであれ報われるべきだと考えています。 幸せの絶頂にいるまりさを叩き落す、というのがゆ虐として正しいのかもしれませんが、個人的に、それはどうかと思い、まりさが幸せなままで終わらせました。 ちなみに「ゆっくりは共有すべき」という文中の言葉ですが、でいぶ達は共有しようとせず、ただ寄生しようとしてるだけなので、適用されませんのであしからず。 前回に引い続き、努力したゆっくりが胴付きになっていますが、胴付きはよほど優れたゆっくりでないとなれない、というのが私の認識です。 以前書いたハウスキーパーのみょんは、あれはあれで納得しているのだけだと思います。 最後に、読了ありがとうございました。 追伸 前々作の「ゆっくりとぶす」において、すっぱいとしょっぱいについて指摘を受けた件について、お騒がせして申し訳ありませんでした。 この件に関しては、私がイメージしていたのが熱中症対策のレモンキャンディーだったにも関わらず、塩キャンディーと書いた、私のミスであります。 誠に、申し訳ありません。 教授あきの過去作品 http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/3754.html 教授あきの感想掲示板 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1314547340/l50
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3368.html
第十三章 家庭教師 ハルヒ達からの贈り物を目の前に「一年間頑張る」と決意を新たにした俺は、翌週行われた全校全教科試験という第一の難関に挑んだ。が……俺は試験中に絶望していた。 問題の意味が、どういった回答をすれば良いのか解らないのだ。 俺ってこんなレベルだっけ?とあらぬ方向へ行ってしまおうとする頭を無理矢理試験に集中させ、何とか全教科試験の日程をクリアした帰り道。がっくりと落ち込んだ俺を引き連れながら、佐々木と朝倉は「今日の試験簡単だったわね」「1年2年の総括問題だしね」などと和やかな会話をしていた。くそ、忌々しい。 こいつらの頭のレベルは半端じゃない事は十分解っている。聞けば朝倉は昨年一年間学年トップの座を譲り渡すことはなかった(と言うことになっている)そうだし、佐々木は言わずもがなだ。二人とも俺とはレベルが違いすぎる。これほど自分が無力に感じたことはなかったね。 これじゃあ、一緒に受験勉強をしようとは、おこがましくて言えないじゃないか。せめてもう少しレベルが上がってから……なんてことを俺は考えていた。 「キョン」 どうやったら「赤点スレスレ低空飛行」どころか「急速潜行深度100宣候」なこの自分の頭と成績をせめて海上まで浮上させる事が出来るかを考えていたとき、佐々木から声が掛かった。 「そう言えば、キミの志望大学を聞いてなかったね。どこなんだい?」 俺は、常の頭の中にある志望大学を答えた。もちろん、それはハルヒの志望大学でもあったわけだが。 「……キョン、偶然だな。僕もそこなんだよ」 は?何だと? 「キミと僕の志望大学は同じだと言ったんだよ。それにしても、君が北高に行っていた2年間で、そこまで学力を上げていたとはね。例のSOS団の活動とやらで、勉強する暇など無かったと思っていたのだが」 いや……あくまでも志望だからな?入れるとは言ってないぞ? 「キョンくん、大丈夫なの?あそこは日本の大学の中でも上位の大学よ。あたしの知っているキョンくんの成績だと、かなり無理があると思うんだけど……」 そんなことは百も承知だ。でもな、朝倉よ。理想は常に高く持たなきゃいけないんだ。 「キョン?それは理想じゃなくて妄想だよ。今のこの時期に妄想しているのはどうかと思うぞ。現在の自分が志望校に入れるかどうかを客観的に判断できないようではね」 佐々木の言葉が胸に刺さる。今回の試験の手応えだとスタートラインに立つことさえ出来ないだろうな。 「佐々木、朝倉」 俺は決心した。こうなったら、土下座でも何でもしてやる。世界のためなんて戯けたことは言わない。 俺のわがままと取って貰っても構わん。ハルヒの志望大学に受かりたいんだ。 「俺に勉強教えてくれ」 全教科試験の解答用紙が返却された日の放課後、俺たちは朝倉のマンションにいた。 長門の部屋とは違い、女の子らしい装飾のカーテンや小物など、一般的女子生徒の部屋だった。ただ、どことなく生活感というか生活臭が感じられないのは長門と一緒だな。 などと現実逃避をしている俺の前には、信じられないといった表情で返ってきた答案用紙と俺の顔とを交互に見比べる二人がいる。もちろん佐々木と朝倉だ。 「……キョン?」 佐々木はまるで、為す術もなく濁流に押し流されていく自宅を見ているときのような顔で俺に問いかけた。 「キミの志望大学のことなんだが、変更した方が良いんじゃないか?」 顔から火が出るほど恥ずかしい。 「何だか、以前よりも酷くなってない?」 朝倉、お前もそう言うか。考えてみれば、北高での授業は殆ど睡眠学習だったからな。一応、定期試験での赤点は免れてはいたが。 とはいうものの、一応進学クラスでこの点数はまずかったらしい。いや、マズイのだ。 他の一般クラスを含めた学年全体では赤点ギリギリクリアなのだが、Sクラスではかなり下の方……早い話が最下位だったのだ。 さすがSクラス、他の一般クラスに比べれば赤点ボーダーラインが平均で20点も上なのは予想外だったぜ。 「しかし困ったな。この点数では志望大学どころか、卒業できるかどうかも怪しいよ」 「それに、Sクラスの平均点が下がってるわ。クラス委員としても、何とかしないといけないわね」 「キョンに勉強を教えるのは吝かではないが、僕も塾があるし、受験生でもあるしね。全教科を教えるのは難しいし……」 「それはあたしも……」 捕らえた魔女をどのように処刑してやろうかと議論する、スペイン宗教裁判審問官のような会話を聞き流しながら、俺は人ごとのように朝倉の部屋の中を見回していた。 「キョン、キミの受験勉強計画が決まったよ」 佐々木の声で我に返った。 「朝倉さんと相談したんだけど、僕たち二人でキミの家庭教師をすることにした」 家庭教師?いや、分からないところを教えてくれるだけでいいんだが。 「それなんだけどね、キョンくん。あなたの答案用紙を見ていて思ったんだけど、どの科目も基礎を理解していないようなの。基礎が理解できなければ、応用もダメでしょ?」 あー、つまりどういうことだ。もっと分かり易く言ってくれ。 「具体的に言うと、夏休み前までに高校1年2年の全教科をやり直すってことさ」 な?? 「大学進学の第一関門であるセンター試験は、大学進学の基礎学力を計るものだから、その対策として基礎学力である高校1年2年の復習をやって貰うんだ」 え、ちょっと待て?えーと、2ヶ月半でそんなこと出来るのか? 「もちろん死に物狂いでやってもらうよ。でないとキミの希望は叶わないのだからね。ただ、僕も朝倉さんも自分の勉強があるから、それぞれ担当を決めてキミの勉強を見ることにする。現時点ではこれがベストの方法だと思うが、キミはそれでいいかい?」 待ってくれ。その、何だ。俺も進学塾とか言った方が良いんじゃないか?この答案用紙をお袋に見せたら、進学塾行きはほぼ確定なんだし。それに、俺の1年2年の復習に付き合わされることになるんだが、お前らはそれでいいのか? 「さっき僕が言ったことをもう忘れているのかい?センター試験は、高校1年2年の基礎学力試験だって。 僕たちだって、試験対策で復習をしなければならないことを忘れないでくれ。あと、教えられる方より教える方が何倍も理解が深くないといけないから、その点でもキミの家庭教師は最適なんだ」 なるほど、よく分かった。だが、塾の件はどうする? 「その件についてだが、僕が直接キミのお母様に説明するよ。塾通いは夏休みが始まってからでも遅くないと思う。基礎が出来てないのに、理解できない勉強を更に追加したくないだろう?」 そりゃそうだ。基礎工事が出来ていない所に建物は建てられないからな。 「科目の振り分けだが、特にキミは理数系が弱いみたいだからそっちは僕が担当する。文系は朝倉さんに担当してもらう。僕は今のところ火木金曜日が塾の日だから、月水土曜日だね」 「じゃあ、あたしが火木金曜日ね」 色々と迷惑掛けて済まん。ってあれ?日曜日はどうするんだ?休みか? 殺意すら感じさせる4つの瞳。 スイマセン、ヤスムヒマナンテナイデスヨネ。 「日曜日はここで一週間の成績を見る、理解力テストをすることにしよう。朝倉さん、いいわよね?」 「ええ、いいわよ」 毎週、日曜日に理解力テスト? 日曜日だと、それぞれ予定がある場合もあるだろうし……イイエ、ナンデモアリマセン。 更なる殺人光線を浴びたくなかった俺は、言葉を途中で飲み込んだ。 「じゃあ、これで決まりだ。今日は水曜日だから僕の番だね。早速キミの家に行くことにしようか」 答案用紙を俺に返却した佐々木は、そそくさと立ち上がった。 これから俺の家に行くのか?まだ、何の準備もしてないぜ? 仁王立ちになった佐々木は、呆れたような目で俺を見下ろしていた。 「……キョン。キミはやる気があるのか、無いのか?どっちなんだい?」 こうして、俺の受験勉強生活が始まった。 第十四章 前日1へ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3538.html
第十三章 家庭教師 ハルヒ達からの贈り物を目の前に「一年間頑張る」と決意を新たにした俺は、翌週行われた全校全教科試験という第一の難関に挑んだ。が……俺は試験中に絶望していた。 問題の意味が、どういった回答をすれば良いのか解らないのだ。 俺ってこんなレベルだっけ?とあらぬ方向へ行ってしまおうとする頭を無理矢理試験に集中させ、何とか全教科試験の日程をクリアした帰り道。がっくりと落ち込んだ俺を引き連れながら、佐々木と朝倉は「今日の試験簡単だったわね」「1年2年の総括問題だしね」などと和やかな会話をしていた。くそ、忌々しい。 こいつらの頭のレベルは半端じゃない事は十分解っている。聞けば朝倉は昨年一年間学年トップの座を譲り渡すことはなかった(と言うことになっている)そうだし、佐々木は言わずもがなだ。二人とも俺とはレベルが違いすぎる。これほど自分が無力に感じたことはなかったね。 これじゃあ、一緒に受験勉強をしようとは、おこがましくて言えないじゃないか。せめてもう少しレベルが上がってから……なんてことを俺は考えていた。 「キョン」 どうやったら「赤点スレスレ低空飛行」どころか「急速潜行深度100宣候」なこの自分の頭と成績をせめて海上まで浮上させる事が出来るかを考えていたとき、佐々木から声が掛かった。 「そう言えば、キミの志望大学を聞いてなかったね。どこなんだい?」 俺は、常の頭の中にある志望大学を答えた。もちろん、それはハルヒの志望大学でもあったわけだが。 「……キョン、偶然だな。僕もそこなんだよ」 は?何だと? 「キミと僕の志望大学は同じだと言ったんだよ。それにしても、君が北高に行っていた2年間で、そこまで学力を上げていたとはね。例のSOS団の活動とやらで、勉強する暇など無かったと思っていたのだが」 いや……あくまでも志望だからな?入れるとは言ってないぞ? 「キョンくん、大丈夫なの?あそこは日本の大学の中でも上位の大学よ。あたしの知っているキョンくんの成績だと、かなり無理があると思うんだけど……」 そんなことは百も承知だ。でもな、朝倉よ。理想は常に高く持たなきゃいけないんだ。 「キョン?それは理想じゃなくて妄想だよ。今のこの時期に妄想しているのはどうかと思うぞ。現在の自分が志望校に入れるかどうかを客観的に判断できないようではね」 佐々木の言葉が胸に刺さる。今回の試験の手応えだとスタートラインに立つことさえ出来ないだろうな。 「佐々木、朝倉」 俺は決心した。こうなったら、土下座でも何でもしてやる。世界のためなんて戯けたことは言わない。 俺のわがままと取って貰っても構わん。ハルヒの志望大学に受かりたいんだ。 「俺に勉強教えてくれ」 全教科試験の解答用紙が返却された日の放課後、俺たちは朝倉のマンションにいた。 長門の部屋とは違い、女の子らしい装飾のカーテンや小物など、一般的女子生徒の部屋だった。ただ、どことなく生活感というか生活臭が感じられないのは長門と一緒だな。 などと現実逃避をしている俺の前には、信じられないといった表情で返ってきた答案用紙と俺の顔とを交互に見比べる二人がいる。もちろん佐々木と朝倉だ。 「……キョン?」 佐々木はまるで、為す術もなく濁流に押し流されていく自宅を見ているときのような顔で俺に問いかけた。 「キミの志望大学のことなんだが、変更した方が良いんじゃないか?」 顔から火が出るほど恥ずかしい。 「何だか、以前よりも酷くなってない?」 朝倉、お前もそう言うか。考えてみれば、北高での授業は殆ど睡眠学習だったからな。一応、定期試験での赤点は免れてはいたが。 とはいうものの、一応進学クラスでこの点数はまずかったらしい。いや、マズイのだ。 他の一般クラスを含めた学年全体では赤点ギリギリクリアなのだが、Sクラスではかなり下の方……早い話が最下位だったのだ。 さすがSクラス、他の一般クラスに比べれば赤点ボーダーラインが平均で20点も上なのは予想外だったぜ。 「しかし困ったな。この点数では志望大学どころか、卒業できるかどうかも怪しいよ」 「それに、Sクラスの平均点が下がってるわ。クラス委員としても、何とかしないといけないわね」 「キョンに勉強を教えるのは吝かではないが、僕も塾があるし、受験生でもあるしね。全教科を教えるのは難しいし……」 「それはあたしも……」 捕らえた魔女をどのように処刑してやろうかと議論する、スペイン宗教裁判審問官のような会話を聞き流しながら、俺は人ごとのように朝倉の部屋の中を見回していた。 「キョン、キミの受験勉強計画が決まったよ」 佐々木の声で我に返った。 「朝倉さんと相談したんだけど、僕たち二人でキミの家庭教師をすることにした」 家庭教師?いや、分からないところを教えてくれるだけでいいんだが。 「それなんだけどね、キョンくん。あなたの答案用紙を見ていて思ったんだけど、どの科目も基礎を理解していないようなの。基礎が理解できなければ、応用もダメでしょ?」 あー、つまりどういうことだ。もっと分かり易く言ってくれ。 「具体的に言うと、夏休み前までに高校1年2年の全教科をやり直すってことさ」 な?? 「大学進学の第一関門であるセンター試験は、大学進学の基礎学力を計るものだから、その対策として基礎学力である高校1年2年の復習をやって貰うんだ」 え、ちょっと待て?えーと、2ヶ月半でそんなこと出来るのか? 「もちろん死に物狂いでやってもらうよ。でないとキミの希望は叶わないのだからね。ただ、僕も朝倉さんも自分の勉強があるから、それぞれ担当を決めてキミの勉強を見ることにする。現時点ではこれがベストの方法だと思うが、キミはそれでいいかい?」 待ってくれ。その、何だ。俺も進学塾とか言った方が良いんじゃないか?この答案用紙をお袋に見せたら、進学塾行きはほぼ確定なんだし。それに、俺の1年2年の復習に付き合わされることになるんだが、お前らはそれでいいのか? 「さっき僕が言ったことをもう忘れているのかい?センター試験は、高校1年2年の基礎学力試験だって。 僕たちだって、試験対策で復習をしなければならないことを忘れないでくれ。あと、教えられる方より教える方が何倍も理解が深くないといけないから、その点でもキミの家庭教師は最適なんだ」 なるほど、よく分かった。だが、塾の件はどうする? 「その件についてだが、僕が直接キミのお母様に説明するよ。塾通いは夏休みが始まってからでも遅くないと思う。基礎が出来てないのに、理解できない勉強を更に追加したくないだろう?」 そりゃそうだ。基礎工事が出来ていない所に建物は建てられないからな。 「科目の振り分けだが、特にキミは理数系が弱いみたいだからそっちは僕が担当する。文系は朝倉さんに担当してもらう。僕は今のところ火木金曜日が塾の日だから、月水土曜日だね」 「じゃあ、あたしが火木金曜日ね」 色々と迷惑掛けて済まん。ってあれ?日曜日はどうするんだ?休みか? 殺意すら感じさせる4つの瞳。 スイマセン、ヤスムヒマナンテナイデスヨネ。 「日曜日はここで一週間の成績を見る、理解力テストをすることにしよう。朝倉さん、いいわよね?」 「ええ、いいわよ」 毎週、日曜日に理解力テスト? 日曜日だと、それぞれ予定がある場合もあるだろうし……イイエ、ナンデモアリマセン。 更なる殺人光線を浴びたくなかった俺は、言葉を途中で飲み込んだ。 「じゃあ、これで決まりだ。今日は水曜日だから僕の番だね。早速キミの家に行くことにしようか」 答案用紙を俺に返却した佐々木は、そそくさと立ち上がった。 これから俺の家に行くのか?まだ、何の準備もしてないぜ? 仁王立ちになった佐々木は、呆れたような目で俺を見下ろしていた。 「……キョン。キミはやる気があるのか、無いのか?どっちなんだい?」 こうして、俺の受験勉強生活が始まった。 第十四章 前日1へ
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/212.html
ずっと彼方と共にありたかった。だけど、もうソレは叶わない夢。 だから、私は前を行くわ。彼方を忘れた訳ではないし忘れようとしている訳でもない。 私は、彼方と言う存在を失礼な言い方だけど糧として前に進むわ。 だって、彼方はもう居ないのだから……その場にとどまる事などしない。私は私である為に 私が私である様に、前を進むの。だから、彼方は空でも地でも何処でも良い。私を見守ってて。 空は清々しいほどに蒼く。雲ひとつ無い晴天の空。 そんな空の下を、金色と紅が印象的な女性が歩いていた。女性の名前は真紅。 有栖学園の英語教師であり、茶道部顧問である。ただ茶道は茶道でも、欧米式簡単に言えば紅茶。 まぁ、そんな事は置いておこう。 真紅は、少々難しい顔をして道を歩いていた。原因は、今日見た夢。 久々に見たあの人の笑顔。最後に見たあの人の顔は、ただ青白く無表情で目を瞑っていただけ。 なんで、あの人の夢を見たのか分からなかった。まだ心のどこかで引き摺っているのか? と考えたが 直ぐにその事について考えるのをやめた。考えるだけ無駄と思ったからだ。 さぁ、今日も生徒達相手に頑張ろう。と、空を一度見上げて歩き出す真紅。 「で、あるから。この単語はこの文法の終了にあっても変じゃないのだわ」 英語の時間。いつもの様に授業をこなす真紅であったが、やはり夢の事が頭から離れないのか 何処か、違和感が其処にあった。生徒達もその違和感を何処と無く感じてはいたが明確にはわからないので 心の中で首をかしげていただけだが……そして、授業が終わると真紅は、今度小テストするから。と告げて教室を後にした。 次の時間に英語は無いわね。と、真紅は職員室の自分のデスクで予定表をしばらく眺めた後職員室から出て行った。 屋上。相変わらず空は青い。まだ初春ゆえか、少々肌寒い風が真紅の頬をなでた。 屋上に設置された、ベンチに座り特に何をする訳でもなくただぼぅっと座っている真紅。ふと、真紅の隣に誰かが座る。 「辛気臭い顔してるわねぇ? 真紅せんせぃ?」 そう真紅に声をかけたのは、同僚の水銀燈。どうやら、彼女も授業が無い為に屋上に来たようだ。 「あの人が死んでから、もう十年だっけぇ?」 くすくすと、笑いながら水銀燈は真紅にそう言う。真紅は、短くそうね。と答えただけ。 水銀燈は、胸ポケットからタバコを取り出すと一本口に咥え火をつける。そして、手にしていたタバコの箱をそのまま真紅に向ける。 真紅は、何も言わずにタバコを一本手に取ると口に咥える。水銀燈からライターを受け取りタバコに火をつけた。 紫煙が二つ、風にながれ薄れ消える。二人はしばらく無言。 「あの頃が懐かしいわね」 「もう既に終わった事だわ」 そう漏らす水銀燈に、淡々とそう答える真紅。極端に会話の数が少ないが、嫌な雰囲気では無い。 時々、下の教室から生徒達の声が聞こえてくる。 「あの人の夢見たわ」 水銀燈の言葉に、真紅はそう。と漏らし……私もよ。と答えた。 「死んでからも美女二人に思われるあの人は、幸せもんよねぇ?」 水銀燈は笑ってそう言うと、また紫煙を吐く。不規則な形を描いて紫煙は昇り薄れ消える。 「まったくなのだわ……なんで死んだのか。なんでなんで……馬鹿」 「そうねぇ。馬鹿だわ」 二人の脳裏にあの人の笑顔が浮かんで消えた。 「墓参りいってないわねぇそういえば」 「来いって事かしら? 私達の夢に出てくるのだもの」 違いないわね。と、苦笑する水銀燈。あの人は意外に寂しがりやだったと思い出す。 「来週あたりにでも行く?」 「そうね……あの人が好きだった芋羊羹でも供えてやるのだわ」 もう、フィルターの近くまで燃えているタバコの火を消す水銀燈。同じく真紅もタバコの火を消した。 そして、二人は立ち上がり屋上を後にしようとした時、一陣の風。 その風は、まるであの人待ってるぞ。といっているみたいで、二人は顔を見合わせて苦笑した。 昔の話。教師になる前の話。自分が生徒でその人が教師だった時の話。 実に教師らしくない人だった。不良していた自分を、心から叱ってくれたが「ばれない様に吸うのが上級テクニックだ」と教えてくれた。 教師であり教師でなく憧れの人。自分はその人に恋していた。だけど、もうその人は居ない。 そんな、昔の話。
https://w.atwiki.jp/legends/pages/3025.html
それは、中央高校2年B組にて、宮定 操がメイド服を着せられたり、無自覚褒め殺しで褒め殺されそうになっていたりしたのと、同時刻 「あぁ、荒神先生。こちらにいらっしゃいましたか」 職員室にて、何をするでもなくだらだらしていた荒神に、高元が声をかけてきた 学園祭の準備期間と言うものは、教師も忙しいものだ。特に、クラス担任を持っている教師は 何せ、生徒達の手伝いもあるのだから……まぁ、手伝わない教師もいるが、そう言う教師は基本的に生徒からはあまり好かれていない教師が多い 世の中、そんなものだ 荒神の場合、あまり手伝ってはいないが、頃合を見計らってジュースなりアイスなりを奢って機嫌を取る事でどうにかしている 「…何か、用か?」 声をかけてきた高元に、荒神は短くそう答える ……元々、愛想などと言うものは持ち合わせていない 幼い頃は、「母親の腹の中で、愛想を全て弟に譲ってしまったのか」などと言われるような、可愛げのない子供だった その愛想のなさは、荒神自身が改善しようとしなかったせいもあり、今でも変わらない それによって何らかの誤解を受ける事があったとしても、彼はそれを気にする事はない 他人と馴れ合うこと事態、元々苦手なのだ ……とまれ 荒神のそんな性分を知ってか知らずか、そっけない対応にも高元はあまり気にする様子なく、続ける 「荒神先生のクラスの……獄門寺君が、荒神先生を探していましたよ」 「…獄門寺が?………わかった」 立ち上がり、職員室の外で待つ獄門寺の元に向かう …そこには、確かに獄門寺と、それにくっついている花子さんの姿があった だが 「……何だ、その姿は」 「花房から、宣伝を兼ねくるよう言われたから」 獄門寺は、制服姿ではなく、執事服姿だった 目立つ はっきり言って、目立つ 獄門寺自身、目立つ事を好まない性格だからか、やや居心地が悪そうだ 花子さんは、無邪気にみーみーと獄門寺にくっついていて、それである程度精神衛生面がよくなっているといった様子だ 「…それで、何の用だ」 「先生用の執事服を作るので、サイズを測りたいと女子が言っていたので」 ………… ……………… 沈黙 あまり、聞きたくない単語が聞えたような 「…誰の執事服を、作るって?」 「先生のです。荒神先生の」 ……… 認めたくない事実に、荒神はかすかに頭痛を覚えた 「……何故、俺まで執事服を着なければならない」 「せめて、呼び込みくらいはやれって事では?」 淡々と告げてくる獄門寺 確かに、学園祭当日は特にやる事もないし、ゆったりしているつもりだったが… ……少しくらいは手伝ってやっても、いい だが 「………せめて、執事服なしで」 「そう言われたら「却下と答えろ」と花房から言われています」 ……… ………… …………… っだ!!と 荒神は、即座に逃げ出した 何が悲しくて、今年で28歳になる男が、そんなコスプレなどしなければならないのか …が そんな荒神の行動など、お見通しだったのだろうか 「逃がしませんっ!」 っがし! 潜んでいた小鳥遊が、荒神に組み付いてきた ……ちなみに、こちらはメイド服姿である 宣伝を兼ねて着せられたか 小鳥遊は、荒神の逃亡を阻止するようにしがみ付き… 「………」 むんず ぺいっ 「あ」 が あっさりと荒神に引き剥がされて 荒神は、再び逃亡を開始した 「……体格差、か」 「ご、獄門寺君っ!?悟ったように言わないでっ!?」 ちょっぴり、傷ついた様子の小鳥遊 悪かった、と獄門寺が淡々と謝る …そう 身長180超えの荒神と、身長が150㎝あるかないかの小鳥遊 ……たとえ、組み付いたとしても、力の差は歴然で とりあえず、逃がすつもりはないのだろうか 獄門寺と小鳥遊は、そのまま荒神を追いかけ始めた 「………あ、あのクラスの担任だったら、私があの恰好をさせられたんだろうか…」 そのほのぼのな様子を見送りながら 思わず、高元はそう呟いたのだった 続くかどうかわからない 前ページ連載 - 花子さんと契約した男の話
https://w.atwiki.jp/totsukawiki/pages/140.html
ワンボックスを杉小路に取られた教師 杉小路と清村のPK勝負で杉小路が壁に使ったワンボックスの持ち主。 ワンボックスにボールをぶつけられるわ清村に殴られるわ散々な人である 参考 清村くんと杉小路くんと、よ:キャラ名
https://w.atwiki.jp/kagakyon/pages/1150.html
世界は、灰色に包まれていた。 それだけで俺は、ここが閉鎖空間なのだと直感する。古泉の言っていた「肌でわかる」とはこういうことか。 この空間あちこちで光のうねりが生まれ、青色の巨人が次々と立ち上がっていた。 それを尻目に、俺は寝転がっていた。道路のど真ん中に。 「先生!」 寝転がったまま、首だけを声のする方に向けると、新生SOS団の名だたる面々が。 「このままだと世界が危ないよ!」 力強く主張する泉を筆頭に、次々と頷く少年少女たち。それだけしかしない。 そうか、彼らは神人と戦えないのだった。唯一その力を持つ者は、彼らとは反対方向から俺に歩み寄り、 「先生、私ね、変身できるようになったよ!」 赤い光に包まれた柊妹は、早着替えを披露した。これが一部で噂の魔法少女というものか。 猫の頭に尻尾だけついたような「にゃもー」とか鳴いている謎の生物を肩に乗せ、柊妹は空へと舞い上がる。 俺はそれらの奇跡を目の当たりにしながら、起き上がる気力がなかったので再び後頭部を地につけた。 翌朝、俺は三十九度という高熱にうかされていた。 いくら熱を出したとはいえ、なんとタイムリーで縁起の悪い夢を見たものだろう。変身て。 体温計に示される数字に若干引きつつ、脳裏に残る蛆の湧いたかのような妄想にサヨナラした。 「しかし、なぜこの時期に風邪なんか……」 そういえば昨晩、確かに微かな眩暈を感じていた。知恵熱だと放っておいたのだが、甘く見ていたらしい。 風呂上りに外出したのもいけなかったか。騙されたり、風邪引いたり、踏んだり蹴ったりだ。 学校に電話で病欠の旨を告げて、覚束ない足取りで布団に戻る。 自分の動作が酷くスローに感じられる。まるで、少年漫画のワンシーンような錯覚。 「くそっ……感覚に体がついていかない、これが俺の、覚醒した力……ッ!」 部屋は、とても静かであった。 「…………」 学生時代だって風をひいて、自宅に一人で篭ることはあった。だが、待っていれば必ず家族が帰ってきた。 今は、ここに帰る者は俺しかいない。破られることのない静寂。 ――風邪を引くことがこんなに寂寞を感じさせるものだとは。 「このまま一人で死んでいくんだな……」 冗談のつもりだったが、笑えないことのように思えてきた。 とりあえず飯を、と思い立ったのはいいが、一体何を食えばいいのだろう。 風邪といえばおかゆだが、俺はレシピなど知らない。得意料理はカップラーメンです。 ……て、カップラーメンは明らかに体に悪いよな。 「このまま一人で死んでいくんだな……」 さっきも同じことを呟いたが、切実さは段違いだ。この先生き残れるかの瀬戸際である。 なんとかせねばと一念発起するも、だるいのはどうしようもない。 どうしようもないので、俺は意識を失うことにした。 「――キョン先生」 呼ばれたので、かすれ声で返事しつつ目蓋を開けると、ツリ目と視線が合った。 ツリ目でショートヘアの女性だった。何だか、見覚えのあるようなないような、不思議な気持ちになる。 視覚情報を頼りにすれば、俺の知っている中で最も見た目の近い女性は、 「……柊、かがみ?」 言い切るより、そんなバカなと思う方が早かった。どう見ても高校生ではない。 「もしかして、柊いのりさん?」 昨日知ったことだが、あの双子には姉が二人いた。柊かがみにそっくりな方は、そんな名前だったはずだ。 微笑んだところを見ると、間違いではないと思う。笑い方が曖昧だったのは少し引っかかるが。 「何も食べてないんですよね? 今、おかゆ作りますから待っててください」 はて。昨日は柊姉妹を自宅まで送り届けたときに二言三言交わしたが、親しくなったというわけではない。 それなのに、いきなり部屋に上がって、なおかつ手料理まで振舞ってくれるとは、どういうことか? 「少なめにしておきました。この後のこともあるし」 そうこう考えているうちに、おかゆが完成してしまった。どうも今日は時間の流れが早い。 いや、熱でぼーっとしているから頭が回らないだけか。 「美味しいですか?」 「ええ、とても」 「私にだって、これくらいのことはできるんですからね」 その挑発的な言葉に引っかかりを覚えながらも、俺は誰かの作ったおかゆを食べられる幸せを噛み締めるのに忙しかった。 忙しすぎて、食べ終わるまでの記憶がほとんどないほどだ。何か言葉を交わした気もするが、覚えているのは、 「困ったときは、うちの神社に来てください。花があるから、悩みを聞いてもらうといいですよ」 どこかで見たようなコマーシャルを彷彿とさせるアドバイス。花の種類も尋ねたが、答えは忘れた。 「じゃあ、お大事に」 それだけ伝えると、いのりさんは出て行った。することのなくなった俺は静寂の中で再び目蓋を閉じた。 「――キョン先生」 呼ばれたので、かすれ声で返事しつつ目蓋を開けると、ツリ目と視線があった。 「……いのりさん?」 「違います、柊かがみです」 目を凝らしてみれば、制服も着ているし髪も長い、確かに柊かがみであった。 その後ろには、柊つかさ、高良みゆき。俺が昨晩に選抜したメンバーだ。 「お見舞いに来ました」 これが普通の教師と生徒なら涙、涙の感動的な逸話となるのだが。 昨日限りで「普通」の域を脱してしまったことが非常に悔やまれる。 「さあ、話を聞かせてもらいましょうか」 いやにノリノリな柊姉が、仁王立ちでにやりと笑った。 かくして、門外不出を心に決めていた俺の高校時代は、三人の高校生に流出してしまった。 俺がどういう形で涼宮ハルヒの冒険譚を語ったのか、それを事細かに語るのはまたの機会ということにしておこう。 向き合わなければならないのは、過去でなく、今だ。 「――さて、俺の代のSOS団についての話は終わった。次は、お前たちの代についてだ」 後輩どもを見回して表情を窺う。みゆきと、本来一般人のはずの柊姉は、どこか決心を固めたような顔をしている。 むしろ当事者のはずの柊妹がいつもと変わらずほわほわなのが心配になったくらいだ。 まずは、宇宙人について。 「初めまして、高良みゆきと申します」 『うん、知ってる』 エクトプラズムに丁重なご挨拶、それを囲って見守る仲間たち。そこそこにシュールな光景だ。 『わたしは朝倉涼子。有り体に言うと宇宙人です。キョンくんにはお世話になりました、いろんな意味で』 「そうでしたか。こちらこそお世話に――」 お前は俺の身内か、とツッコミそうになったが本当に身内だった。似なさ過ぎて当事者も間違いそうになる。 みゆきに朝倉のことを伝えるのは、この期に及んでも躊躇した懸案事項だ。 言うなれば侵略を受けているようなものだからな。異常は異常でも、自己制御できる柊妹とはわけが違う。 「黒井先生のお見舞いに行ったとき、助けてくれたのも朝倉さんなの?」 『うん、そう』 積極的に、それこそ最も向かい合うべきみゆきよりも興味津々に見える柊姉。 いざとなったらノリが良くなるところは、ついつい親近感を覚えてしまう。 『そんなことよりさ、キョンくん、いい加減にわたしが自由になれる方法考えてよ』 「みゆきに知らせたから、意識的にお前を排出しやすくなる。一歩前進だ」 『……ひとを余分なものみたいに』 助けてもらったのは事実だが、普通の人間にとってはそれ以外の何者でもないだろう。 『だから、みゆきちゃんは普通とはちょっと違うのよ。わたしだって情報として吸収されたんだもん』 「し、失礼いたしましたっ」 「いや、みゆきが謝ることはない。わざとじゃないんだから」 『そうかしら? 無意識レベルで、わたしをキョンくんから引き離そうとしたのかもよ?』 何だそりゃ、どういう意味だ。 『この子、キョンくんに他の女がまとわりついてるのが我慢で』 そこまで言いかけて、いやそれよりも早く、朝倉の連結は解かれ砂となってみゆきの中に戻っていった。 「…………」 沈黙が場を支配する。今のは、自分の意思とか時間切れとかでもなく、強制的に戻されたように見えた。 「キョンさん、次のお話をお願いします」 真相は闇の中である。 次に、超能力者について。 「最初はね、夢だと思ってたんだ」 ほわほわとした様子で、柊つかさは語り始める。 「授業中にうとうとしてたら、いつの間にか周りの人がいなくなっちゃってたから」 教師の立場を貫くなら授業中に寝るとは何事かと注意をすべきだが、この場は黙って話しの続きを促す。 「そしたら、空が灰色で。何だか怖くなったからその場でじっとしてたの。そのうちに戻ってきちゃった」 しばらくすると、出入りするときのスイッチ的な役割を果たすのが意識の切り替えであることに気づき、 それからは自由に能力を使えるようになったとか。大した順応力である。この柊妹、意外に大物かもしれん。 「そ、そうかな?」 それはともかく、柊つかさの体験談において、心に留めておくべきことは一つ。 この度に発生している閉鎖空間は、かなりの時間をかけて出来た大規模なものであるらしいこと。 大して移動もせず、意識を切り替えただけで侵入できたというのが一番の証拠だ。 ほとんど現実と重なりあっていると見ていいだろう。それこそ、すぐに取って代われるような。 そのイメージから、俺は佐々木の閉鎖空間を思い出していた。 長い年月の間、鎮座していた白い空間は、灰色に変わり、世界を押し潰そうとした。 その原因を作ったのは、不本意極まりないが、俺だ。 「今度の閉鎖空間の主が、ガス抜きが下手な奴でないことを祈るばかりだな」 その主は、俺の目の届く範囲にいるはずだ。 運命という言葉は好きじゃない。だから俺は、それを必然と呼ぶ。 ――仕組んだ奴がいるなら、何も不自然な表現じゃないだろう? 最後に、未来人について。 宇宙枠は、朝倉涼子の依代となってしまった高良みゆき。 超能力枠は、意外に正統派な手順で覚醒した柊つかさ。 「だが、未来人はこの場にいないし、他でもお目にかかっていない」 「それじゃあ、未来人を探せばいいの?」 あっけらかんと言ってのける柊妹である。 「何がどうなってその結論に達したんだ?」 「だって、何かパズルの残りピースが一つだけ欠けてるみたいで気持ち悪いかなー、なんて」 何じゃそりゃと口では言いつつも、俺も探せばきっと見つかるだろうと思っていた。 こうなった以上、未来人が出てこなければ約束を破られたような気分になる。 「そういうものなんでしょうか?」 「俺が高校生のころは、まかり通っていた理屈だ。今ではどうだか知らん」 それが通るのと通らないのとどちらの方が幸せなのか、俺には甲乙つけがたい。 ミーティングの後、連中はおかゆを作ってくれた。 主に調理場に立っていたのは柊妹とみゆきで、柊姉は所在なさげにしていた。 「……料理が苦手なんて女らしくない、とでも?」 「誰もそんなことは言ってない」 「それにしてもおかゆが作れないのは正直ないわとか思ってますよね?」 「思ってないから。必要最低限の料理ができるだけで十分尊敬の対象だ」 実はおかゆは本日二度目とはさすがに言えなかったが、いのりさんが少なめに作ってくれて助かった。 できたてのおかゆをすすりながら、俺を囲む団員たちに、本日もう一つの本題を投げかける。 「泉と白石に、この話をしても大丈夫だと思うか?」 みゆきには朝倉の存在を伝え、柊姉妹にも謎の空間の正体を明らかにした。 俺としては、生徒と共に考える覚悟はできている。問題は、未だ正体が明らかでない彼女らだ。 名前だけでもSOS団の団員である以上、何か裏がある……考えすぎとは思わない。 「……先生はどう思ってるんです?」 「秘密にしておきたい」 奴らの正体が何であれ、スタンスが分からない以上は下手にこちら側に触れさせたくない。 これは、人のメンタル面に通じるとてもデリケートな問題だ。石橋を叩いて渡らないくらいでちょうどいい。 みゆきと柊姉からは反論はなかったが、柊妹だけは納得のいかない顔をしていた。 「何だか、仲間外れにしてるみたい」 「そういう問題じゃないのよ、つかさ」 いや、そうとも言い切れない。 卒業式の夜、ハルヒに三年間守り通してきた秘密を俺が喋ってしまったのも、その罪悪感からだった。 可愛げのないガキだった俺ですらそうだったのだから、柊つかさにとってはより重大な問題なのだろう。だが、 「秘密、だなんて思わなけりゃいい。訊かれたこと以外教えないのは普通だろ?」 全面的な賛成は得られなかったが、ここは多数決に従うということで場を収めてもらった。 数の暴力に頼らざるを得なかったのは、俺の不徳とするところである。以後、精進したい。 食器の片付けが終わり、極秘ミーティングはお開きとなった。 見送りながら、帰り際になって柊姉妹に伝えておくべきことがあったのを思い出した。 「あ、そうそう。いのりさんによろしく伝えておいてくれ」 「え?」 「看病しに来てくれたんだ」 「……どうして?」 どうして、と言われても、俺の方が言いたい気分だ。 「まあ……とりあえず、伝えておきます」 腑に落ちない、といった表情を隠そうともしない柊姉。 対する柊妹は、さっきまでの煮え切らない様子が嘘のように活き活きとして、 「いのりお姉ちゃん、キョン先生のこと好きになっちゃったとか?」 「あるわけないわよ」 本人の前でばっさり断定して、彼女たちは去っていった。一目ぼれされて何が悪い。 「昨日はお楽しみだったようだな」 「そんなわけないでしょう。ずっと寝てましたよ」 出勤早々、出会い頭にローキックをかましてきた桜庭教諭に涙目で抗議する。理不尽な。 一時は三十九度を越えた熱は、一晩明かすとすっかり引いていた。人間の生命力も捨てたものじゃない。 「自宅に女子高生を三人もはべらせて、督促いかなかったとでも?」 「そういう言い方はよしてください、本当に首が危なくなりますから」 いつにも増して横柄な桜庭教諭のもとから命からがら逃げ出して、黒井教諭に助けを求める。 あの、今日の桜庭先生、なんだか機嫌悪くないですか? 「昨日は退屈そうにしとったからなあ。その憂さ晴らしとちゃう?」 「……俺はサンドバッグですか」 「ええな、それ。今度から嫌なことがあったらキョン先生をいじることにするわ」 勘弁していただきたい。黒井教諭は「冗談や」と気風良く笑ったが、全く安全というものを感じられないのは何故だろう。 さすがに社会人なのだから、風邪を引いたぐらいで心配されるのは気恥ずかしいが、この扱いもあんまりだ。 やっぱり、仕事は休むものじゃないな。 待ちに待った昼休み。桜庭教諭と黒井教諭の魔の手から逃れられる時間の到来である。 今日はみゆきから弁当を作れないと予告を受けていたので、俺は迅速に食堂へと移動した。 そこで、一人で弁当をつついている柊つかさと出くわすのであった。 「今日は一人か」と、ごく自然に同席する俺。特別なつながりを持つと多少遠慮が薄れるものだ。怪しい意味ではない。 俺としては、食堂で何も買わずに弁当を食べるのも居心地が悪いだろうと思い、助け舟を出したつもりだ。 「いつもはみんなとお昼を食べてるけど、私、隠し事が下手だから」 「それでか」 おそらく自主的に席を外したのだろう。脳天気に見えて、思いつめる癖のある少女。 柊妹のみと話すのは初めてだと思う。彼女の傍にはいつも姉や友人がいたり、白石少年がついていた。 前者は柊妹の危うさを周囲が無意識に放っておけなくなるからだろうが、後者は―― 「SOS団結成の数合わせのとき、どうして白石を連れてきたんだ?」 柊妹は一旦手を休め、眉を顰めて小さく唸るといったいかにも「考え中」のポーズをとる。 それらの動作にわざとらしさがまったく感じられないというのは、すごい才能なのかもしれない。 「理由はないけど……なんだかこう、グッときた! って感じがしたから、かな」 グッとでガッツポーズするのが可愛らしかったので、「グッとか」「うん、グッと」ともう一度やらせてしまった。 「先生は、白石くんも何か変な力があるんじゃないかって思ってるんだよね?」 「……あくまで、そういうこともあるって程度には」 「じゃあさ、」 このときの俺の懸念は、未だ扱いに困っている泉と白石少年に集中していた。 その姿勢は甘かったと言わざるを得ない。既に能力が判明している者には、説明しただけで満足していたのだから。 「私が白石くんを選んだのも、その変な力のせいなのかな」 彼女は、ハルヒを巡る裏の世界に関わった人間が皆抱く疑心暗鬼にかられているのだった。 長門は「そういうふうに」造られていたし、朝比奈さんも全てを承諾の上で任務に当たっていた。 元凡人・古泉も、様々な紆余曲折があったことを仄めかしていたが、結局は割り切ってSOS団に参加していた。 柊つかさは、俺が知らないころの古泉と同じ問題を内に抱えている。その少女と、俺は今向き合っている。 「先生、私って、変なのかな?」 どう答えればいいのか、俺はその術を持ち合わせてはいなかった。 高校時代に顔を合わせた超能力者たちは、自分の存在に疑問を持っているそぶりなどなかった。 おそらく、機関で過ごしていたころに通った道なのだろう。答えを出したから外に出られた。 だが、目の前にいる、この少女は。 「……変じゃない、と言ったら、嘘になるな」 謎の空間に侵入できる謎の能力を持っていることを、普通と言い切れるはずがない。言ったとしても気休めだ。 「だけど、お前に変な力があるのはお前のせいじゃない」 しまった……これじゃ暗に「恨むなら力を与えた奴を恨め」と言っているようなものじゃないか。 「というより――いいか柊、すべての事象には理由がある」 「理由?」 「この先、お前の変な力が役に立つときが必ず来る。だから、今は気にするな」 もっと気の利いたことは言えないものか――この職に就いてから、事あるごとにそう思うようになった。 就職の本音が「なんとなく」だというのに、一端の教師になろうと思い始めている自分に驚きを隠せない。 「それに、グッとくるのは、別におかしなことじゃない」 「そうなの?」 「ああ、柊ぐらいの年頃にはよくあることさ」 直感による人選なんて、うちの団長が最も得意にしていたことだ。 いや、出会いなんてそんなもんかもしれない。誰が何と言おうと、俺がハルヒと出会ったのは偶然だった。 全て決められた必然より、自分で選び取った偶然。どっちの方がグッとくる? 「そういえば、いのりお姉ちゃんは知らないって言ってましたよ」 知らないって、何を。 「先生の看病なんかしてないって。照れてるのかな?」 「……え?」 それは、いったいどういうことだ? さらに柊妹は頭上に電球を光らせんばかりの表情で、 「もしかして、キョン先生の夢だったのかも。夢に出るほどいのりお姉ちゃんが好」 「それはない」 本人の前でばっさり斬る柊姉、本人はいないが実の妹の前でばっさり斬る俺。どっちもどっちだな。 そっかー、と残念と無関心の入り混じったような相槌。女子って、なぜかこういうの得意だよな。 昼食を食べ終わった時点で柊妹とは別れたが、いのりさんの矛盾は解消できず残った。 俺は昨日いのりさんの言っていた花の名前がどうしても気にかかり、思い出そうと頭を捻って一日を過ごすことになった。 らっきー☆ちゃんねる あきら「……」 みなみ「……」 あきら「……お、おは☆らっきー! ちょっと無言入っちゃってごめんなさーい、小神あきらでーす!」 みなみ「……アシスタント代理の、岩崎みなみです」 あきら「えーと、『今日は小野さんが体調不良で』? 『予告の実現も兼ねて』? みなみさんに来てもらっています!」 みなみ「ど、どうも……」 あきら「……えー……」 あきら様(話がもたねーっつーの! ムチャぶりすぎだろプロデューサーよぉ!) みなみ「……あの、私はどうすれば」 あきら「えっ!? あ、あーそーですねー何か何か仕事はーっと」 みなみ「……」 あきら「つ、ついに! キョン先生が秘密を共有する道を選んでくれましたね!」 みなみ「……そ、そうですね」 あきら「やっと他の登場人物が話の本筋に絡めるわけですねー。みなみさんはどう思います?」 みなみ「良いことだと思います」 あきら「なるほどー。実はみなみさんもメインキャラ入り狙ってたりします?」 みなみ「い、いえ……私は、今の位置でも充分ですから」 あきら「えー、まったく出番がないのにですかー?」 みなみ「………」 あきら「………」 みなみ「…………」 あきら「な、なんかすみません! ほんとすみません!」 あきら様(やり辛ぇぇぇぇぇ! 本当に傷ついちゃってるじゃんこの人! 冗談のつもりだったのに!) みなみ「……あ、時間みたいですよ」 あきら「え? あっあっじゃあ今日のらっきー☆ちゃんねるはここまで! ……みなみさん、いいですか?」 みなみ「え?」 あきら「あの、私がばいにーって言いますから、いっしょにばいにーお願いします」 みなみ「は、はい。がんばります」 あきら「では、いきますよー……せーの!」 あきら・みなみ「ばいにー☆」 みなみ「お疲れさまでした……」 あきら「お疲れさまでしたー」 小野「いやーすいません回復したんでちょっと顔出しに来ま」 あきら様「ガッシ! ボカ!」 小野「ギャッ! グッワ!」 次回予告 ひよりです。 サンタクロースをいつまで信じていたかなんていうのは、世間話にもならないくらいのどうでもいいような話スけど、 そんな話の中にもネタを求めてしまうあたり、自分の職業病を感じるっス。 いや、職業なんていえるほど誉められた実績は挙げてないんスけど、やっぱり心だけはプロ意識というか。 着地点がどこになるかわからないけど、目指す道があるってのはいいもんです。 私の場合はたまたまそれが世間様に顔向けできないようなもんだったってだけでして――って自重しろ私! ま、まあ私事はおいといて次回の教師キョンキョン物語は! 第8話『GTK』――お楽しみにッ! キョン「生涯一教師!」 こなた「ぐだぐだ ティーチャー キョンキョン」