約 25,199 件
https://w.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/1480.html
ソレを見てるはずなのに、ソレが何か認識できない。そんな漫画みたいなことを自分が体験するなんて、かがみは今の今まで思いもしなかった。 割れた窓から吹き込んでくる風と雪。その猛威にさらされた部屋の中は、ひどい有様だった。 その惨状の中、ベッドの上にソレはうつ伏せに寝かされていた。 「つかさ!行っちゃダメだ!戻って!廊下に出て!ゆーちゃんも!」 こなたが騒いでいる。かがみには、どうしてここにいるはずのみゆきを放って廊下に出なければいけないのか、理解できなかった。 「でも…でも、こなちゃん!ゆきちゃんが!ゆきちゃん、そこにいるのに!」 そう、アレはみゆきだ。着ている服がそうだから。夕食の時にこなたが大人っぽい服が似合うのが羨ましいと言っていた服だから。 「いいから出て!アレじゃみゆきさんはもう…!」 あれ?と、かがみは自分の考えに自分で疑問符をつけた。どうしてわたしは服でみゆきを認識しているのだろう。 気付いてみれば、答えは簡単だった。 みゆきの首から上が無いからだ。 「み、みゆき…みゆき…よね?…なんの冗談…?」 かがみはみゆきに近づこうと、一歩踏み出した。しかし、そこで誰かにお腹の辺りを押さえられ、それ以上前へ進めなかった。 「かがみも出て!それ以上行っちゃダメ!」 かがみが見下ろしてみると、こなたが必死に自分を押し返そうとしていた。 「こなた…みゆきが…」 「いいから出ろーっ!!」 かがみはこなたに思い切り突き飛ばされ、後ろ歩きで廊下まで行き、そこで尻餅をついた。周りには、同じように座り込んでいるつかさとゆたか。 最後に部屋から出てきたこなたがドアを閉め、刺さったままのマスターキーを回して鍵をかけた。 その様子を、かがみは惚けたように見ていた。 - 白雪は染まらない~推理編~ - ドアに手をかけたまま、こなたがズルズルとその場に座り込む。 「こ、こなちゃん…ゆきちゃんが…中に…早く出してあげないと、風邪引いちゃうよ…」 つかさが這うようにドアの前まで行き、こなたにすがり付いてそう言った。 「ダメだよ、つかさ…ダメなんだ」 こなたが首を振って、それを拒絶する。 「中で、何があったんだ…?」 様子のおかしい四人に、オーナーが恐る恐る聞いて来た。 「…なかったんです」 かがみがポツリと呟く。 「なかった?」 「みゆきの…首が…なかった…」 一言一言区切って、自分の見てきたものを確認するようにかがみがそう言った。 トサッと何かが倒れるような音がした。かがみがそちらを見ると、ゆたかが床に倒れ付していた。 一階のリビングに戻ってきたかがみは、ソファーに座り天井を見上げていた。隣ではつかさがソファーの上で膝を抱えている。 「なによこれ…なんなのよこれ…」 かがみが天井に向かい、ブツブツと同じ台詞を何度も繰りかえす。つかさも同じように何事かをブツブツと呟いていた。 ふと、かがみは階段から誰か降りてくるのに気がついた。 「…こなた…ゆたかちゃんも」 こなたはゆっくりと階段を降りてきた。その横には青ざめた顔のゆたかもいた。そして、二人もソファーに座る。 「ゆーちゃん、大丈夫?もうちょっと寝てたほうがいいんじゃない?」 こなたがゆたかを気遣ってそう言うと、ゆたかは首を振った。 「…もう、大丈夫だと思う…それに、二階にいたくなくて…」 「…そう」 顔色はとてもいいとは思えず、声は消え入りそうだ。それでも、あんなのと同じ二階にいるよりは、多少無理してでもここにいたいのだろう。 あんなの…かがみは友人だったものを、そう表現した自分に嫌気が指した。 「…首狩鬼だ」 膝を抱えていたつかさが、急にハッキリした声でそう言った。 「な、なに?急に…」 驚いたかがみがそう聞くと、つかさはかがみの体にすがり付いてきた。 「首狩鬼だよ。ゆきちゃんが言ってたんだ。この辺りに、人の首を狩る鬼がいるって。昔からいるんだって…だから、ゆきちゃんも…ゆきちゃんも!」 声を荒げながら自分の身体を揺すってくるつかさに、かがみは何も言う事が出来なかった。 「つかさ、落ち着いて…そんなのいないから」 つかさの後ろから、こなたが肩に手を置き諭すようにそう言った。 「でも…こなちゃん…だったら、誰が…何がゆきちゃんを…」 「それを見つけるのは警察の仕事だよ。オーナーさんが警察に連絡してくれてるはずだから、後は待ってればいいよ」 こなたの言葉を聞いたつかさは、かがみの胸に顔を埋めて泣き始めた。そのつかさの頭を撫でながら、かがみはこなたの方を向いた。 「さすがと言うか、あんたは冷静ね…」 あの部屋に入った時、パニックになりそうだった全員を、こなたは一人で部屋の外に押し出した。あのまま部屋にいれば、本当に頭がどうかなっていたかもしれない。迅速に対応したこなたに、かがみは感謝したいくらいだった。 「いやー、そうでもないよ」 こなたはかがみに、自分の右手を差し出した。よく見てみると、それは細かく震えていた。 「やせ我慢だよ…怖くて震えが止まらないんだ」 「それでも…なんにも出来ないわたしよりましよ。我慢できるってのも、強さだと思うし」 かがみがそう言うと、こなたは照れくさそうに鼻の頭をかいた。 「…かがみが普通にわたし褒めるのって、珍しいね」 「そう?…そうかもね」 かがみはそっと溜息をついた。つかさも落ち着いてきたのか、泣き声は聞こえなくなっていた。 なぜか防寒具を着こんだオーナーが部屋から出てきたのは、それから少しした時だった。 「オーナーさん、警察に連絡はつきました?…っていうかその服は?」 かがみがそう聞くと、オーナーは心底困ったような顔をした。 「いや、それが…電話が通じないんだ」 「…え?」 「どうもこの吹雪で電話線が切れたみたいでね…今からそれを確認に行くんだよ」 「そんな…」 かがみは絶句した。警察に連絡がつかない。だとすると、この吹雪がやむまで自分たちは、みゆきを殺した人間の近くで過ごさなければならないのだ。 そうだ、自分は何を考えていたんだ。あの状況が自殺や事故なんかな訳がない。みゆきは誰かに殺されてて、その犯人は近くにいる。この吹雪で、どこかに逃げられるとは思えないからだ。 かがみは玄関から出て行くオーナーを見送りながら、絶望にも似た感覚を味わっていた。 「いやだ…いやだよ…こんなのやだ…帰りたいよ…お家に帰してよー…」 つかさが再び泣き出した。かがみは慌てて、その身体を強く抱きしめた。 わたしの妹を泣かせているのは誰だ? かがみは、心の中から熱い何かが込み上げてくるのを感じた。 「…み、みなみちゃん…そうだ!みなみちゃんは!?みなみちゃんは戻ってないの!?」 突然、ゆたかが取り乱し始めた。そういえば、ボイラー施設を見に行ったはずのみなみが戻っていない。かがみも今の今までその事を忘れていた。 「こなたお姉ちゃん!みなみちゃんを探しに行かないと…みなみちゃんも高良先輩みたいに!」 「ゆーちゃん落ち着いて!今は外に出られないよ!」 玄関から出ていこうとするゆたかを、こなたが必死で止めている。 わたしの友人を困らせているのは誰だ? 心の熱さが増していく。 こんな状況を作り上げたのは誰だ?みゆきを殺したのは誰だ? わたしの大切な人たちを、こんな目に合わせているのは誰だ? 心の熱さとは裏腹に、頭の中が恐ろしいくらい冷えていく。 かがみは、自分の腕の中にいるつかさをもう一度しっかり抱きしめ、その耳元に囁いた。 「大丈夫よ、つかさ。わたしがなんとかするから」 「…え」 そして、今度はなんとかゆたかをなだめたこなたに顔を向ける。 「こなた、手を貸して。わたし達で犯人を見つけるわよ」 「かがみ、それ本気…?」 「もちろんよ」 かがみはこなたに向かい、力強く頷いた。 かがみとこなたは、ソファーに座っているつかさとゆたかから離れた位置…オーナーの部屋の前に立っていた。 「で、わたしはどうすればいいの?」 こなたが不安そうにかがみにそう聞いた。 「こなたにはわたしに見えないものが見えるはずよ。それを見逃さないで欲しいの」 「そ、そんなことできるかな…」 「できるわよ。あんたスキーで上手い人のを真似てたらしいじゃない。いくらあんたの運動神経がいいからって、あんなこと本当によく見えてないとできないわよ。それに、あんたは勘もいいしね」 こなたは少し考え込んだ後、かがみに向かい頷いて見せた。 「わかったよ。つまり、身体は子供、心は大人な名探偵になれと」 「…いや、あんたは心も子供でしょうが。ってかそこは頭脳だろ。あと、あんたはどっちかってーと助手だ」 思わず突っ込んでしまってから、かがみは気負っていた心が少し軽くなるのを感じていた。こなたの方を見ると、少しぎこちないながらも、いつもの人を食った笑顔を見せようとしていた。 かがみは、心の中でこなたに向かいありがとうと呟き、こんな友人を持てたことを神に感謝した。 「それじゃ早速だけど、こなたはどう思う?」 「どうって、何が?」 「みゆきが殺されてて、みなみちゃんがまだ戻ってないって事。そして、あの二人が不仲だったって事」 「…かがみ…まさか、みなみちゃんがって?」 「可能性の一つよ。とりあえずオーナーさんが戻ったら、少し話を聞いてみましょう」 二人がしばらく待っていると、玄関が開きオーナーが戻ってきた。防寒具についた雪を払っている最中に、部屋の前にいるかがみ達に気がつき、防寒具をおいてやってきた。 「どうしたんだい?」 「少し、お話を伺いたくて…みなみちゃんがまだ戻っていないのは知ってますか?」 「え…いや…そ、そういえば…」 オーナーはかがみの言葉に動揺を見せた。 「しかし…この吹雪だと探すのは難しいな…施設を見に行ってくれてるのだから、中にいてくれればいいんだけど…」 「みなみちゃんは『こう言う事は初めてじゃない』って言ってましたけど、今までに何度か?」 「ああ、みなみちゃんは雪に強いみたいだからね。みゆきちゃんの知り合いだし、頼みやすかったんだ…いや、でも…みなみちゃんから見に行くって言い出したのは初めてだな…」 「なるほど…」 かがみは顎に手を当てて、少し考え込んだ。 「とにかく、明日の朝には吹雪も収まるだろうから、みなみちゃんを探すのも、警察に連絡を入れるのもそれからになると思うよ」 「え、何時収まるかってわかるの?」 オーナーの言葉に、こなたが驚いてそう聞いた。 「ああ、この山にも長く住んでるからね。二日くらい先の天気なら、大体分かるよ」 「へー凄いですね…」 感心するこなたの横で、考え込んでいたかがみが不意に顔を上げた。 「オーナーさん。首狩鬼って知ってますか?この辺りの伝承かなんかだと思うんですけど」 「え?…いや、聞いたことないな」 「では、首を落とせるような得物に心当たりは?」 「…そういえば、ボイラー施設に薪を使ってた頃の斧があったかな…」 「そうですか…ありがとうございました。こなた、いくわよ」 そう言ってかがみは、こなたの手を引いてつかさ達の方へと歩き出した。 「次はどうするの?」 ソファーに戻ったこなたは、隣のかがみにそう聞いた。 「うん…二階の、現場を見に行こうと思うの」 顎に手を当てて何かを考えながら、かがみがそう答える。 「…え…や、やだ…」 かがみの言葉につかさが動揺を見せた。 「お姉ちゃん、ダメだよ…殺されちゃうよ…」 すがり付いて止めようとするつかさの頭に、かがみは苦笑しながら手を置く。 「大丈夫よ。心配しないで。いざって時は、こなたもいるんだし」 「…かがみさんや。それはわたしを人身御供に差し出す腹ですか…」 「ちがうちがう、あんたなら守ってくれるって思ってるのよ」 かがみはジト目で見つめてくるこなたに、あわてて手を振って否定した。 「こなちゃん…お姉ちゃんをお願い…」 「なんか頼られてるなー…うん、まあできる限りのことはするけど」 こなたはつかさに照れくさそうに答えた。 「それじゃ、行きましょうか」 かがみは立ち上がり、階段に向かった。その途中でゆたかの方を見ると、ゆたかは動く気力もなくしているのか、ソファーに寝転んだままだった。 「つかさ。ゆたかちゃんを見ててあげてね」 階段に足をかけながら、かがみはつかさに向かいそう声をかけ、階段を登り始めた。 「さて…ここね」 かがみは、みゆきの部屋のドアノブに手をかけながら呟いた。中にあるのがなんなのか、分かってはいても躊躇してしまう。 かがみとこなたの二人は一旦自分の部屋に戻り、私服の上からスキーウェアを着こんでいた。部屋の中には恐らく吹雪いているだろうから、防寒具代わりだ。 「開けるわよ…ってあれ?」 かがみはドアを開けようとして、鍵がかかっていることに気がついた。 「あー、そういえばこなたが閉めてたっけ…しょうがない、オーナーさんに鍵借りてくるか」 かがみがドアを離れようとすると、こなたが横から鍵穴に鍵を差し込んで、ロックを外した。 「…あんた何時の間に」 「いやー、鍵閉めた後ずっと自分で持ってたみたいで…」 頭をかきながらそう言うこなたに苦笑して見せた後、かがみはドアを開け中に入った…が、一歩踏み込んだところで慌てて廊下に戻りドアを閉めた。 「ど、どしたの、かがみ?」 「床がビショビショよ。スリッパじゃ入れないわ」 しょうがなく二人は、一旦下に戻りブーツを取ってくることにした。 「吹雪、少しましになってるわね。これならオーナーさんの言ってる通り、朝には止むかも…」 「で、でも寒いよ…」 死体の乗っているベッドを避けて、部屋を見渡すかがみ。こなたは身体を震わせながらかがみにへばりついていた。 「で、かがみ。何を探せばいいの?」 「犯人がこの部屋に入った手段よ。わたし達がいたから階段からは上がれないし、この部屋には鍵がかかっていた。とすると…」 かがみは部屋の反対側。割れた窓の方を見た。 「ベランダから…しかないわね」 かがみは、できるだけベッドの方を見ないように窓へと向かった。まるで水溜りのような床がビチャビチャと音を立てる。 「雪って言うより、雨が入ってきたみたいだね…」 相変わらず寒そうにかがみにへばりついているこなたが、床を見ながらそう呟いた。そして何かに気がつき、かがみから離れて床から何かを拾った。 「どうしたの、こなた?」 「かがみ、これ」 こなたが差し出したのはガラスだった。 「割れた窓のかしら」 「うん。ガラス、全部部屋の中に落ちてる」 「そう…ってことは、窓は外から割られた…やっぱりベランダからか…あれ?でも…」 何かが引っかかる。あの時、一階で自分たちが聞いたのは、このガラスが割れる音…しかし…。 「かがみ、どうしたの?」 「え、あ、いや、ちょっとね…」 我に返ったかがみは、割れた窓をくぐりベランダへと出た。 ベランダの手すりから下を覗き込む。高さはそれほどでもないが、ベランダに飛びついて登るには少々高い。少し離れた位置にボイラー施設が見えた。 「ちょっとした密室ね…」 かがみはそう呟くと、他に何かないかベランダを見渡した。そして、こなたが端の方でしゃがみ込んでるのに気がついた。 「こなた、またなにか見つけたの?」 「うん、これ」 かがみがこなたが指差した箇所を見ると、一本のロープがベランダの端の方に括り付けられ、下へと垂らされていた。 「…いやまあ」 かがみが呆れたようにそう呟いた。 「密室がこんな単純に覆されると、なんかがっくりするわね…」 「いや、推理小説じゃないんだから、こんなもんかと…」 なぜか肩を落とすかがみを、こなたがなだめる。 「この位置、中からは見えないわね…何時からあったにしても、部屋を使ってたみゆきやつかさは気がついてない可能性が高いわね」 気を取り直したかがみが、ロープの位置から部屋の方を見ながらそう言った。 かがみがロープの強度などを確かめていると、同じようにロープを見ていたこなたが立ち上がり、突然ベランダの柵を乗り越え、外に身を躍らせた。 「ちょっ!こなた!」 かがみは、慌てて柵にもたれかかり下を見た。飛び降りたこなたが、ロープを伝って登ってくるのが見えた。 「よいしょっと」 呑気な声を上げながら、こなたがベランダの柵を乗り越えてくる。 「ちょっと!なにやってんのよ!びっくりするじゃない!」 かがみが声を荒げて非難すると、こなたは申し訳なさそうに頭をかいた。 「いやーこのロープ、ホントに登れるのかなって試してみようって…」 「飛び降りることないじゃない!危ないわよ!怪我でもしたらどうするの!?」 「あーソレは大丈夫。下が雪だし、思ったより高くなかったよ。これならつかさやゆーちゃんでも、飛び降りるくらいならできるんじゃないかな」 「それなら言ってからにしてよ…」 かがみは安堵の溜息をついて、身体を震わせた。 「ちょっと冷えてきたわね。一旦中に入りましょう」 こなたが頷くのを見て、かがみはまた部屋を横切りドアへと向かった。 ドアを後ろ手に閉めて、温かい空気にホッとする。 「ねえ、こなた。何か他に…」 かがみはこなたに話しかけようとして、誰もいないことに気がついた。 「え…ちょっと…こなた?………こなたっ!」 ここまで戻ってくるまでに、何かあったのか。かがみは慌ててもう一度ドアを開けた。 「うわーっ!さっぶーっ!!」 それと同時にこなたが部屋の中から飛び出してきて、かがみの胸に飛び込んできた。 「うおー…あったかやわらけー…」 かがみはゆっくりとドアを閉めた。 「…なにやってたの?」 「え?いや…ちょっと出る前に見ときたいものがあって…」 「だからそういうのは言ってからにしなさいって…本気で心配したのよ?」 「ごめんごめん…それにしても」 「なに?」 「…もうちょい薄着のときにこうしたかった」 かがみの胸に顔を埋めたままのこながそう言うと、かがみは思い切り呆れたように溜息をついた。 「エロ親父みたいなこと言ってないで、離れろ」 そして、こなたの額を鷲づかみにして引き剥がした。 「で、何見てきたの?」 かがみがそう聞くと、こなたは少し困った顔をして頬をかいた。 「えーっと…実は死体をちょっと…」 「…え」 こなたの答えに、かがみが絶句する。 「あーでも、さすがに怖くてちゃんと見れなかったよ。これでちょっと手の辺りをつついてみたくらいで…」 そう言ってこなたがポケットから取り出したのは、DSで使うタッチペンだった。 「いや、それでもよくやるわねとしか…で、どうだったの?」 「なんか…硬かったよ」 「硬い?」 「うん。コチコチだった。凍ってたんだと思う。吹雪の中に置き去りだったし」 「…こなた。ベッドの上はどうだった?」 「ベッド?床と同じでビチャビチャだったかな…」 「そう…」 かがみは顎に手を当てて考え込み始めた。 「あ、それとかがみ。ちょっと自信ないんだけど…」 「なに?」 「アレはホントにみゆきさんなのかなって…」 「え…」 かがみは驚いて、こなたの顔を見た。 「みゆきじゃないって、どういうこと?」 「う、うん…よく見てないけど、服が余ってる気がしたんだ。体格がみゆきさんより少し小さいんだじゃないかな…ほら、推理物でさ、死体を違う人に見せかけるために首を落としたりするじゃない。なんか、そんな気がして…」 こなたの言葉に、かがみがまた考え込み始める。 「…でも…いや…もしかして…」 そして、かがみは顔を上げた。 「こなた。ゆたかちゃんのスキーウェア持ってきて。わたしは予備のをつかさに貸すから」 「え?外出るの?」 「ええ、大筋は分かったわ。この事件にケリつけるわよ」 「えーっと…何かヒントは?」 「そうね…この事件のキーワードは『不自然』と『反則』ってところかしら」 「う、うーん…」 こなたは首を捻って考えたが、答えは出てこなかった。 「まあ、後でちゃんと説明するわ…場所は…」 かがみは、今出てきたみゆきの部屋を見た。 「ボイラー施設よ」 - つづく -
https://w.atwiki.jp/jikkyoushugi/pages/195.html
ネタバレ コナン=新一? プレイヤー:キヨ氏/男性 ゲーム:名探偵コナン(PS)(無印) パート:6回 一回の動画時間:20~25分前後 実況タイプ:垂れ流し系(カットあり) キャラゲーというのは得てしてネタゲーになりがちです。序盤からツッコミどころ満載のストーリー展開をキヨさんがハイテンションにプレイしていきます。 【実況】全く推理しない名探偵コナン Part1 yuusya2 さんの公開マイリスト 名探偵コナン キヨさんがプレイしているのは、孤島の宝物事件というやや外伝的なストーリー。推理ものというよりは冒険というかサスペンス調。テンポ良い展開なので見ていて飽きないかと思います。 劇場版 名探偵コナン 時計じかけの摩天楼(Blu-ray Disc) 【実況】全く推理しない名探偵コナン 最終回 【実況】全く推理しない名探偵コナン Part5 【実況】全く推理しない名探偵コナン Part4 【実況】全く推理しない名探偵コナン Part3 【実況】全く推理しない名探偵コナン Part2 【実況】全く推理しない名探偵コナン Part1 キヨさんの他の実況動画 キヨ氏/名探偵コナン 最高の相棒(老手品師とトランプの謎) 北のバーローが試行錯誤 - 【実況】誰も死なない名探偵コナン 作品別レビュー一覧 ゲーム実況レビュー タグクラウド タケシ クッキングママ もるひね 超魔界村 単発 ゆっくり アメリカ横断ウルトラクイズ ゆとり組 しんすけ ファイナルファンタジー4 リティナ アトランチスの謎 ドラゴンクエスト5 tiger ドラゴンクエスト3 風来のシレン ちょい キミキス クロノクロス 東方アレンジ ロックマン RPGツクール ニコニコRPG ルーツ in those days! データベース 永井先生 アイドルマスター Part1集 ドラゴンクエスト1 ドラゴンクエスト2 ドラゴンクエスト4 ドラゴンクエスト7 ドラゴンクエスト8 ファミコン探偵倶楽部 ARIA D猫殿下 東方風神録 掃除 コラム ふひきー THE推理 ドラゴンクエスト6 りこ けんじろ ファミコン っしー教授 スーパードンキーコング3 してくべ ドグマ風見 ミスピーチワールド ジャック・オ・蘭たん 幕末志士 スーパーマリオ64 はるしげ バイオハザード ゲーム攻略 フリップニック 雪割りの花 あにぃ 桃太郎電鉄 いつもひとり ドリームミックスTV のべるげ メイアン クロノトリガー ペルソナ3 ルカ 朝子 のや ペルソナ4 tpitaru スーパーマリオRPG 処女はお姉さまに恋してる obasan ひぐらしのなく頃に たろちん 突然!マッチョマン ぜろた りーちゃん スパーク マリオカート イボーン テハフ ラジオ ニコ割ゲーム 涼宮ハルヒの逆転 ピクミン 探偵神宮寺三郎 セピア スーパーマリオサンシャイン アニキ 大乱闘スマッシュブラザーズ NewスーパーマリオブラザーズWii ファイナルファンタジー9 ヤス がんばれゴエモン Forget me not -パレット- レトルト かにぱん U1 ICO ゼルダの伝説 神々のトライフォース 汗だく トワイライトプリンセス つわはす クラッシュバンディクー つわはす.ディディーコングレーシング ハローキティといっしょ! ブロッククラッシュ123! ! Rabi 青鬼 ファイナルファンタジー6 ときめきメモリアル クラッシュバンディクー2 学校であった怖い話 Revin ファイナルファンタジー3 ムク 東方神霊廟 スネークズリベンジ 最終兵器俺達 キヨ 名探偵コナン ファイナルファンタジー8 フジ 鬼畜王マリオ 改造マリオ クラッシュバンディクー3 アブ はーとふる彼氏 星のカービィ 終わらざりし物語 自作ゲーム ゲーム音楽 音楽 藤原 タカ ティタン ドラえもん やりこみ 任天堂 2ch系テキスト Multimedia Fusion 2 hsp スーパーマリオブラザーズ2 金田一少年の事件簿 宮助 大魔司教ガリウス 紫苑 せんとす スペースチャンネル5 ニンテンドーDS ソニックアドベンチャー2
https://w.atwiki.jp/holyland4/pages/365.html
でらファーマーズと推理の整理 ここは愛知県のとある農村。 バリバリ、ポリポリ、シャクシャク。 夜の闇の中、野菜を齧る音が聞こえる。畑で生野菜を齧る集団、 それはもちろん野菜泥棒。だが、彼らは人ではなかった。 体型こそ人型に近いが、見開かれた眼球はテニスボール程であり、 背中には切れ込みが入りその内側には透明な羽が存在する。 股間に生殖器も見当たらない。だが、そんな事は些細な違いだとばかりに 全身茶色一色の肌が彼らが人類でない証をアッピルしている。 この害獣は『INAGO』と呼ばれている。近年の環境破壊により 異常進化をしたイナゴが人型に進化したものであり発生原因は不明。 ザリガニが巨大化するケースも見られるこの時代だ。 発生自体は学術的に問題じゃない。 従来のイナゴより拡大した被害こそが問題視されている。 主に東海地方の農村で大量発生したINAGOは人に近づいた故にか 雑食となり、全ての農作物、そして、それを守ろとする住民をターゲットに するようになった。農薬は通じず、皮膚に見える外骨格は猟銃にすら耐える。 「すばらしい」 「どこのいぬーっどこのいぬーいみもないのについてくるー」 「わらってよろしく」 畑の野菜を食べながらINAGO達の口から意味不明の言語が発せられる。 未だ人類は奴らのこの言語を理解するに至ってはいない。 だが―、 「そこまでだみゃあ!INAGOども!」 人類は対抗策を生み出していた―! INAGOが発生してから僅か一か月、かませ犬商会は研究の副産物として 生まれたINAGO用の農薬とそれを使える人材を愛知の農家に無償で提供した。 もしかしたらINAGOの発生の原因もお前らじゃねーのかという気もしないでも ないが、農家は人命と作物の為そこに目を瞑りそれらを受け入れた。 「人・体・変・異!」 段々畑の上からINAGOを見下ろす少女は手にした農薬を自身に投与した。 みるみるうちにその肉体が変化していく。 発現スキルレベルの低い魔人の潜在中二力を変態能力として引き出す薬品、 これを投与した弱小魔人は一定時間の間自分と相性の良い別の生物との 融合体となる!! 「変異成功、いくみゃあ!」 黒い甲殻に身を包んだ少女はあぜ道を駆け下りて三匹のINAGOに突撃! 「まいにちまいにちたいやきやいているーてっぱんのほうがだめになっちゃてー」 INAGO1は手に持った棍棒でぶんなぐる!だが黒い甲殻に阻まれノーダメージ! 「どりーむじゃんぼさんおくえん」 「いいことあるぞーみすたーどーなっつ」 INAGO2と3が左右からラリアートで少女の首を挟み込む! 相手をただの人間と侮らず全力全開のクロスボンバーだ! ちぎれ飛ぶ肉片、それは少女の首?否、INAGO2の左腕だ! クロスボンバーの瞬間少女が顔面に迫る腕を食いちぎったのだ! 無論少女は無傷!! 「人類を、にゃめるにゃあ!」 INAGOを倒すために誕生した改造魔人集団。 愛知出身者が多くを占める彼らは『でらファーマーズ』と呼ばれる。 名前:海藤たまき 年齢:17 出身:愛知県 でらファーマーズランキング:16位 変異生命体:オオタニシ 元の魔人能力:爪切りが見つからなかった時に発現した、自分の歯で爪が綺麗に切れる能力 「はーはー、いいわぁ~あの子。正直変身後の見た目や口調は全くタイプじゃないけど 通常モードの見た目や名前が私の女装のモデルにぴったりじゃないのーオカマッ」 少女とINAGOの戦いを隠れて見学しているメタボなオカマオッサンがいた。 ご存じ怪盗マタンキその人である。彼はこうやって世間に知られていない美少女を 観察して好みの少女を自分の女装の際の顔として使っているのだった。 「…はっ!夢?」 たまきは廃工場の事務室で目を覚ました。 確か自分は公園でめがみを倒して、その後記憶回復薬を飲んで明日に備えて この場所で寝ていた。そしてあの奇妙な夢を見たわけだ。 「いまのは二か月ぐらい前の事でしょうかぁ~、たまきは少し自分の事を 思い出したですぅ~。あれ?何で夢がマタンキ視点?それになんで口調や能力が 今と違うんですぅ~?」 たまきは疑問を口にだし、頭を抱え数秒考え込む。 「まあ、夢ってそんなもんですぅ~。マタンキが誰か分かれば正しい記憶が 戻るはずですし、この大会を振り返って犯人捜しですぅ~」 夢の事は置いておき、たまきはこれまで戦った二名と脱落者を候補から外し、 残りの参加者から犯人候補を絞り込んだ。結果怪しいのは以下の面々となった。 1.神藤振子 胸の揺れ方や衣装が怪しいだけでなく全試合脱がせて勝利している。ご存じ四天王。 2.ラ・ピュセル 経歴が行動理念が不明。女装者が素性を隠して参加するには持って来いの設定。 3.ルガー 名前を並べ替えるとガール。女装者が安直に考えた偽名っぽい。可愛い子好きな点も怪しい。 4.宇多津泡沫 たまきに変身して下着を全世界放送させた人物。マタンキならばやりかねない戦法。 5.リオレイア希少種 全裸狙い四天王の一人、そして中にオッサンが入れそうなガタイその1。 6.ヴァッファローヴェル 中にオッサンが入れそうなガタイその2。だが他に怪しい点は少ない。 7.レズ・ナイト 中にオッサンが入れそうなガタイその3。怪しすぎて逆に怪しくない気がする。 8.魔技姫ラクティ☆パルプ 元々一番怪しかった人物、前の戦いでたまきの格好をした人物を剥いた。 9.クリムゾンロータス 経歴と素顔を隠しあからさまに真犯人から注目を外す為の人員だが一応容疑者。 10.グレイシー川井 中にオッサンが入れそうなガタイその4。言動がヤク中。 「この10人が怪しいですぅ!犯人候補は10人!残りの対戦回数は6回! 連戦も考慮にいれるしかないですぅ~。ちなみに容疑者は二回戦終了時の ランキング順の並びであり狙う優先順位とは関係ないですぅ~」 さてさて、たまきの三戦目の敵となるのは一体だれなのか? (続く)
https://w.atwiki.jp/brewwiki/pages/1602.html
従量アプリ 100円未満 ザ☆殺人事件 [4] 200円台 藍色の虚無と贄達の宴 [3] 青白き水底の小箱 [1] いづみ事件ファイルII 〜晴嵐編〜 [2] いづみ事件ファイル?〜慟哭編〜 [1] いづみ事件ファイル?〜吟遊編〜 [1] いづみ事件ファイル?〜高麗編〜 [1] しぐれ荘密室殺人事件 [1] 調査写真バラバラ事件 [2] 天使切断事件 [1] 民俗学者殺人事件 [2] 300円台 かまいたちの夜[2]スパイ篇 [1] サイコシリーズ THREE [4] Angel Cry [3] Sin ‐罪‐ [2] Innocent Noise [2] Cold Rain [1] 横浜牧師館殺人事件 [1] イザナミの花婿 [1] CHAIN 連鎖殺人事件 [1] 探偵揆生川シリーズ 仮面幻想殺人事件 [3] 海楼館殺人事件 [2] 死者の楽園 [2] 白鷺に紅の羽 [2] 昏い匣の上 [3] 対交錯事件 [2] 音成刑事の捜査メモ [2] 五月雨は鈍色の調べ [5] 【総合4.0/5.0】 永劫会事件 [4] あねの壁 [2] 探偵神宮寺三郎シリーズ 新宿中央公園殺人事件 [2] 横浜港連続殺人事件 [2] 危険な二人 [2] 時の過ぎゆくままに [2] アカイメノトラ [2] 6枚の犯行 [2] 亡煙を捜せ! [1] アオイメノリュウ [2] キトの夜 [1] 四角の罠 [1] イヌと呼ばれた男 [2] 特五捜査官雨宮 [3] 特殊犯罪対策部隊 [2] 特報!事件を解決せよ [1] ひぐらしのなく頃に [5] 【総合3.2/5.0】 二人の湯けむり殺人紀行 [1] 夜光虫 [2] 500円台 ADV御神楽少女探偵団 [2] 黄金の羅針盤 [1] オホーツクに消ゆ [2] かまいたちの夜[1]ミステリー篇 [3] 軽井沢誘拐案内 [1] 金田一少年の事件簿01 [1] 琥珀色の遺言 [1] ブルー・シカゴ・ブルース [2] ポートピア連続殺人事件 [1] マンハッタンレクイエム [1] 月額アプリ 300円台 逆転裁判 [4] 逆転裁判2 [1] ひぐらしのなく頃に〜鬼隠し編〜 [8] 【総合5.0/5.0】 ひぐらしのなく頃に〜綿流し編〜 [5] 【総合4.0/5.0】 ひぐらしのなく頃に〜祟殺し編〜 [4] ひぐらしのなく頃に〜暇つぶし編〜 [3] ひぐらしのなく頃に解〜目明し編〜 [1] ひぐらしのなく頃に解〜罪滅し編〜 [1] ひぐらしのなく頃に解〜皆殺し編〜 [1] 美少女鬼女島殺人事件 [2]
https://w.atwiki.jp/jiisan/pages/58.html
恐竜絶滅の謎について推理してみませんか? 私は風邪が最大の原因ではないかと思っているんですよ。 恐竜絶滅の謎 その1 その2 その3 その4 その5 その6? その7? その8? その9? その10? その11?
https://w.atwiki.jp/testest-umigamedb/pages/2604.html
2022年5月28日 出題者:げんげん タイトル:「名推理」 【問題】 女の合図の後、同じ姿勢を同時に取る2人の男を見た小五郎は、片方だけ秘密を見抜くことができた。 いったい、なぜ? 【解説】 + ... 片方は帽子を被った男、もう片方は帽子を被っていない男。 「まもなく電車が参ります」という女性のアナウンスの後、電車が来る際に男は2人とも、頭を押さえる姿勢を取った。 それを見ていた小五郎は、帽子を被っていない方はカツラなんだろうなと思い、実際カツラだったのだ。 小五郎は「毛利(名前に毛がある)」と「桂(カツラ)」が有名なので、登場人物名に抜擢しました。 公式生配信切り抜きチャンネル(ゆいさん) 配信日に戻る 前の問題 次の問題
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/155.html
2011年2月3日 2011年8月4日増補(詳細はページ最下部の「第一章 更新履歴」参照) 「中国ミステリ史」は、19世紀末から現代(2011年)までの中国の探偵小説(偵探小説)/推理小説/ミステリの歴史を、第一章から第六章の全6ページに分けて紹介するものである。 『中国ミステリ史 第一章』では、そのうち19世紀末から1910年代まで(清末)を扱っている。 目次 『中国ミステリ史 第一章』 19世紀末~1910年代 はじめに 第一章 19世紀末~1910年代: 欧米探偵小説の受容と国産化の試み第一節 東アジア・東南アジアでのホームズの受容 第二節 裁判小説から探偵小説へ(1)中国初の創作探偵小説 (2)中国古来の裁判小説 (3)翻訳探偵小説とその国産化の試み 参考文献 第一章 更新履歴 『中国ミステリ史 第二章』 (1910年代~1940年代) 第二章 1910年代~1940年代: ホームズ、ルパンからフオサン、ルーピンへ第一節 中国ミステリ草創期: 上海の「青」と「紅(あか)」(1)程小青(てい しょうせい)/名探偵フオサン (2)孫了紅(そん りょうこう)/怪盗紳士ルーピン (3)同時代の中国探偵作家 第二節 1940年代の探偵小説雑誌の隆盛 第三節 同時代の日本から見た当時の中国探偵小説界 第四節 邦訳された19世紀末~1940年代の中国探偵小説 『中国ミステリ史 第三章』 (1940年代末~1970年代) 第三章 1950年代~1970年代: 社会状況の変化による中国ミステリの転変第一節 中華人民共和国の成立と旧ソ連探偵小説の流入 第二節 中国の推理作家とソ連の推理作家の交流(1956年) 第三節 ソ連の探偵小説の変化(アルカージイ・アダモフ『雑色事件』(1956)) 第四節 文化大革命期の"写本"現象 第五節 邦訳された1950年代~1970年代の中国探偵小説 『中国ミステリ史 第四章』 (1970年代末~1990年代) 第四章 1970年代末~1990年代: 翻訳ブームと中国ミステリの多様化第一節 日本の社会派推理小説が中国でもブームに 第二節 中国ミステリの多様化 第三節 1990年代末の中国翻訳ミステリ事情 第四節 邦訳された1980年代~1990年代の中国推理小説 『中国ミステリ史 第五章』 (1990年代末~21世紀初頭) 第五章 20世紀末~21世紀初頭: 新たなミステリの潮流第一節 インターネットという新天地/新たな創作の場 第二節 ネット上で活躍していたミステリ執筆者が紙媒体へ/雑誌『歳月・推理』創刊 第三節 邦訳された21世紀の中国ミステリ 『中国ミステリ史 第六章』 (現代) 第六章 現代の中国ミステリ界第一節 北京偵探推理文芸協会の活動 第二節 現代の中国ミステリ作家 第三節 賞・ランキング・雑誌・その他 おわりに はじめに この「中国ミステリ史」は、『中国科学幻想文学館』(上巻、下巻)(武田雅哉・林久之著、大修館書店、2001年)という中国SFの歴史を紹介する本に触発されて作成したものである。このような書籍が出ていることからも分かるように、日本では、中国のSF小説の紹介は少ないながらもそれなりになされてきた。早川書房の『S-Fマガジン』で中国SF特集が組まれたこともある(2008年9月号)。一方で、中国の推理小説については、日本ではほとんど知られていない。「中国には推理小説はほとんどないらしい」とさえ言われることがある。そこで、ここに中国の推理小説の歴史をまとめ、紹介することにした。中国の20世紀以降のミステリ史を日本語でまとめたものは、あるいは学術論文などではあったかもしれないが、ミステリファンの視点でミステリファンがまとめ、ネット上で公開するのは初めてではないかと思う。 当初は、今までに収集した数少ない中国ミステリ関連資料をメモ書き程度にまとめるつもりだったが、まとめている途中で「百年華文推理簡史(ひゃくねん かぶん すいり かんし)」つまり「中国語圏ミステリ百年略史」という詳細かつ信頼できる資料を見つけたので、基本的にここでの中国ミステリに関する記述はこの資料に大部分を拠っている。 「百年華文推理簡史」の執筆者は、中国最大手のミステリ総合サイト「推理之門(すいり の もん)」の管理人・老蔡(ラオツァイ)氏と、中国のミステリ雑誌『歳月・推理』などで作品を発表している推理作家の杜撰(ずさん)氏である。現段階では「推理之門」や『歳月・推理』と言われてもピンとくる人は少ないと思うが、この「中国ミステリ史」を読めば、これらのWebサイトや雑誌が中国ミステリ界においてどのような地位を占めるものかが分かるはずである。なお、「百年華文推理簡史」ではふんだんに写真が使われているので、この「中国ミステリ史」とあわせて、ぜひそちらも参照してもらいたい。 個人的な興味から、中国ミステリ史を略述すると同時に、同時代のアジアでの動きにもしばしば触れている。 【注】 中国語の「偵探 zhentan」という語について 中国初の探偵小説雑誌は、1923年創刊の『偵探世界(ジェンタン シージエ)』である。この雑誌名は、日本語の文献ではそのまま『偵探世界』と書かれる場合もあるし、日本語にあわせて『探偵世界』とされる場合もある。混乱を避けるため、このページでは書籍・雑誌のタイトルや団体名などに使われている中国語の「偵探(ジェンタン)」という語は、そのまま「偵探(ていたん)」とする。 【注】 中国語の「華文 huawen」という語について 中国語の「華文(ホアウェン)」という語は「中国語」という意味である。賞の名前などに使用された際に、「華文(ホアウェン)」を「中国語」と直すと非常に座りが悪くなってしまうため、このページでは中国語の「華文(ホアウェン)」はそのまま「華文(かぶん)」とする。 「偵探(ていたん)」も「華文(かぶん)」も本来日本語にはない語だが、「ミステリ」や「アリバイ」などと同じ外来語だと思って、覚えてもらえれば幸いである。 第一章 19世紀末~1910年代: 欧米探偵小説の受容と国産化の試み 第一節 東アジア・東南アジアでのホームズの受容 【日本で最初にホームズものが訳された年代について誤りがありました。資料を手に入れたら直します。失礼いたしました】 「推理小説的な物語」の起源は探ればきりがなくなるが、現代にいたるミステリの流れを考えるにあたっては、各地でのシャーロック・ホームズシリーズ(発表時期:1887年~1927年)の受容とそのローカル版の成立を見ていくのが分かりやすいと思う。日本では、1899年4月から7月にかけて『A Study in Scarlet(緋色の研究)』(1887)の翻案『血染の壁』が毎日新聞に連載されたのがホームズシリーズの最初の紹介だとされる。翻案者は「無名氏」。この『血染の壁』では、ホームズは「小室泰六」、ワトソンは「和田進一」とされていた。『緋色の研究』のみに着目してその後の流れを見ると、この作品は翌1900年には『新陰陽博士』、1901年には『モルモン奇譚』、1906年には『神通力』というタイトルで翻訳(翻案)されている。『神通力』では、ホームズは「堀見猪之吉」、ワトソンは「和田真吉」とされているという。 その後、1917年には岡本綺堂が「江戸探偵名話」シリーズの連載を開始。このシリーズの主人公は、その第1作で「彼は江戸時代に於ける隠れたるシャアロック・ホームズであつた」と紹介されている。ホームズシリーズの影響下に誕生したこのシリーズは、1924年の単行本刊行時より「半七捕物帳」の名で広く知られている。また1923年には江戸川乱歩がデビューし、翌年には探偵・明智小五郎が初登場している。 中国では、1896年に張坤徳(ちょう こんとく/チャン クントー)がホームズシリーズ4編を翻訳し、上海の新聞『時務報』に掲載。これが中国語になった最初のホームズシリーズとされる。最初に訳された作品は、「海軍条約文書事件」(1893)(中国語タイトル:「英包探勘盗密約案」)である。ホームズの最初の翻訳は中国よりも日本の方がわずかに早かったが、ホームズ全集の刊行は、日本より中国の方が早かった。中国で最初にホームズ全集が出たのは1916年であり、一方、日本でホームズ全集が最初に出たのは、1931年末から1932年末にかけてであった。 19世紀末から20世紀初めにかけて中国(清および中華民国)では翻訳小説ブームが訪れており、ホームズなどの欧米作品のみならず、黒岩涙香や押川春浪などの日本の作品(翻案作品含む)も中国語に訳されていたという。 タイでは1912年に「第二の汚点」(1904)がルアン・ナイウィチャーン(筆名シースワン)によって翻訳され、『パドゥン・ウィッタヤー』に掲載されたのが最初である。1915年には、ルアン・サーラーヌプラパンにより『バスカヴィル家の犬』が翻訳刊行され、その後もホームズシリーズは次々と翻訳された。同時期に、タイ人の手による最初の探偵小説『トーンイン物語』が発表されている。主人公のトーンインがホームズばりの活躍をするストーリーで、執筆したのはシェイクスピアの翻訳やミステリ小説の翻訳もおこなっていた国王のラーマ6世(Wikipedia)である。(宇戸清治(2009)) 現在のマレーシア・インドネシアに当たる地域では、1910年ごろ(確実なのは1914年)にホームズが初めて翻訳された(「マレー語」(現在のマレーシア語・インドネシア語)への翻訳)。(柏村彰夫(2010)) 朝鮮半島ではホームズものの最初の翻訳は1918年の「三人の学生」(1904)だった(bookgram(2009))。また、それ以前から黒岩涙香の翻案作品を再翻案したものが人気を得ていた。代表的なものに、黒岩涙香の翻案小説『巌窟王』(1901)を再翻案したイ・サンヒョプの『海王星』(1916)がある。 第二節 裁判小説から探偵小説へ 【主要参考文献:老蔡(ラオツァイ)、杜撰(ずさん)(2009)「百年華文推理簡史 引言」、老蔡(2009)「百年華文推理簡史 一、中国偵探小説的起源」】 【2011年8月4日追加】 (1)中国初の創作探偵小説 中国では、1885年発行と推定される知非子(ちひし)「冤獄縁(えんごくえん)」が初の創作探偵小説だとされている。ただし、中国で初めて欧米の探偵小説が翻訳されるのより11年も早く、またシャーロック・ホームズが登場する最初の作品『緋色の研究』より2年も早いことから、その発行年に関しては議論がある。 日本の最初の創作探偵小説は、1888年の須藤南翠(1857-1920)「殺人犯」、または1889年の黒岩涙香(1862-1920)「無惨」(青空文庫)とされるので、「冤獄縁」の発行年の1885年というのが正しければ、中国では日本よりも早く創作探偵小説が誕生していたことになる。なお韓国では、イ・ヘジョ(李海朝、1869-1927)が1908年末から1909年初めにかけて新聞に連載した『双玉笛(そう ぎょくてき)』が初の創作探偵小説とされている。 (2)中国古来の裁判小説 1890年には、作者不明の長編探偵小説『狄公案(てきこうあん)』【注1】が刊行されている。この作品は、オランダの推理作家・東洋学者のロバート・ファン・ヒューリック(1910-1967)が英訳し、また自らそれに題材を採った推理小説〈狄(ディー)判事シリーズ〉を執筆したことで、欧米ではよく知られている。江戸川乱歩はヒューリックによる英訳で『狄公案』を読み、「一本を求め帰って読んで見ると、棠陰比事(とういうんひじ)【注2】などの短篇と違い、長篇本格探偵小説の体をなしていて西洋のガボリオやボアゴベイに比べても、大して見劣りしないほどで、その上、長篇探偵小説として西洋にも例のない面白い構成になっている。日本の小説家は棠陰比事の類ばかり輸入して、こんな優れたものを、なぜ注意しなかったのかと、不思議に思われる」(探偵作家クラブ会報第33号(1950年2月))と、この作品をフランスの探偵作家ガボリオやボアゴベの作品と並べて称賛している。この作品は、欧米探偵小説の影響を受ける以前の中国古来の探偵小説、すなわち公案小説(こうあんしょうせつ)の形式で書かれたものである。残念ながら現在にいたるまで日本語の完訳は出ていないが、有坂正三氏による抄訳『狄仁傑(てきじんけつ)の不思議な事件簿』が2007年に刊行されている。 公案小説は、中国の明の時代の末期(16世紀末 - 17世紀初め)ごろから多く書かれるようになったジャンルで、名裁判官が事件の謎を解き、真犯人を明らかにするというものである。裁判官役としては、包拯(ほうじょう)や狄仁傑(てき じんけつ/ディー・レンチエ)などの実在の人物があてられる。代表的なものに、『包公案(ほうこうあん)』【注3】(別名:龍図公案(りゅうとこうあん))や、『施公案(しこうあん)』【注4】などがある。これらは現在のミステリと必ずしも同じものではなく、やはり現在のミステリは欧米ミステリ(及びその伝播)に始まると言って差し支えないが、公案小説は中国のみならず、日本や韓国を含む東アジア諸国が欧米探偵小説を受容する際にその基層となったものなので、まったく触れないというわけにもいかないだろう。(中国の公案小説が日本や韓国に与えた影響については、のちに「東アジアミステリの源流」(未完成)で簡単にまとめる予定) その後、1896年に上海の新聞『時務報』にホームズシリーズ4作の中国語訳が掲載され、中国に初めて欧米の探偵小説が紹介されると、『時務報』のほかに『新小説』、『月月小説』、『礼拝六(The Saturday)』などの雑誌も探偵小説を掲載するようになる。 上海の小説家・呉趼人(ごけんじん、1866-1910)は、欧米探偵小説を手本に公案小説の改造を試みた『九命奇冤(きゅうめいきえん)』(1903年連載開始)や、中国の古書から34の事件簿をとりまとめた『中国偵探案』(1906年出版)などを発表しているが、これらは欧米探偵小説のファンの好評を得ることはできず、1910年の彼の死をもって、中国の伝統的な探偵小説である公案小説は終焉を迎えることになった。 注1:『狄公案(てきこうあん)』の成立年代はよく分かっていない。書籍として刊行されたのは1890年(井波律子(2003))とのことだが、物語自体はそれ以前からあったようである。ロバート・ファン・ヒューリックが英訳に際して使ったのは、古典籍を扱う東京の琳琅閣(りんろうかく)書店(公式サイト)で手に入れた写本だが、その写本は17世紀か18世紀ごろのものだとヒューリックは言っている。中国文学者の辛島驍(からしま たけし)氏は、ヒューリックや乱歩を交えた座談会で、どんなに早いとしても1798年に出版された『施公案(しこうあん)』よりはさかのぼらないだろうと述べている(このとき、辛島氏は『狄公案』の英訳を読んだだけで、『狄公案』の写本には目を通していない)。 注2:『棠陰比事(とういうんひじ)』(桂万栄(けい ばんえい)編、1207年)は、中国の宋の時代に成立した裁判エピソード集。「棠陰」(とういん)は"梨のこかげ"転じて「裁判所」という意味、「比事」は「事件・案件を比べる」という意味であり、『棠陰比事』というタイトルを分かりやすく和訳すれば『名裁判くらべ』となる。似通った2つの事件を一対として、七十二対、計144のエピソードが収録されていることからこのタイトルがつけられている。収録されているエピソードはすべて実話とされている。日本では、1649年に『棠陰比事物語』というタイトルで翻訳出版され、人気を博した。その後日本では、井原西鶴が1689年に、「棠(なし)」を日本風の「桜」に変えた『本朝桜陰比事(ほんちょうおういんひじ)』(裁判エピソード全44編を収録)を刊行。日本初の創作探偵小説とされる黒岩涙香「無惨」の発表のちょうど200年前、有栖川有栖や北村薫のデビューのちょうど300年前に刊行されたこの『本朝桜陰比事』は、「日本の推理小説の源流」と見なされることもある。なお、『棠陰比事』は岩波文庫版の表紙によれば、「推理小説ファンにとって見のがせぬ一冊」であるとのこと。 注3:『包公案』のエピソードのいくつかは、有坂正三『包青天奇案―中国版・大岡越前の物語』(文芸社、2006年)で読むことができる。北村薫は、『包公案』のエピソードの翻案だと推定される都賀庭鐘(つが ていしょう、Wikipedia)の「白水翁(はくすいおう)が売卜(まいぼく)直言(ちょくげん)奇(き)を示(しめ)す話(こと)」(『古今奇談 英(はなぶさ)草子』、1749年)を、日本初の本格ミステリだとしている。 注4:中国文学者の辛島驍(からしま たけし)氏は、1798年に出版された『施公案(しこうあん)』を中国初の長編探偵小説だと見ている。これは辛島氏の言を借りれば「折り畳み式長編、螺旋階段式長編」であり、1つの事件が解決しないうちに次の事件が起き、エピソードが200回、300回と重ねられていくタイプの長編である。 (3)翻訳探偵小説とその国産化の試み 【未完成。加筆予定】 1907年に出版された呂侠(吕侠)の『中国女偵探』(中国女侦探)は、収録作3編のうち2編が『新青年』に訳載されている(詳細は「第二節第三節」で改めて述べる)。 参考文献 中国ミステリ史 参考文献 (新しいウィンドウで開きます) 第一章 更新履歴 2011年2月3日:公開 2011年8月4日:「第二節 公案小説から探偵小説へ」を新設。 『中国ミステリ史 第一章』(19世紀末~1910年代) ←今見ているページ 『中国ミステリ史 第二章』(1910年代~1940年代) 『中国ミステリ史 第三章』(1940年代末~1970年代) 『中国ミステリ史 第四章』(1970年代末~1990年代) 『中国ミステリ史 第五章』(1990年代末~21世紀初頭) 『中国ミステリ史 第六章』(現代)
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/63.html
2010年5月24日 韓国版リストに続いて、2009年に台湾で刊行された日本の推理小説のリストを作りました。自分の好きな作家さんが翻訳されているか、また、どんな表紙絵で刊行されているのか、興味がありましたらどうぞ見ていってください。 以下のリストは、台湾のネット書店「博客来網路書店」で「懸疑/推理小說」を表示し( http //www.books.com.tw/books/bl/bl0506_1.php 日本・欧米・オリジナル含め、推理小説が新しいものから順に表示される)、その中から日本のものを探していくという単純作業によって作られています。 このネット書店で「推理小説」に分類されているものを機械的に拾っているので、中には「何でこれが?」というのも入っているかもしれませんが、そういうものも含めて下で示しました。 ただし、「推理小説」とされているもののうち、日本のライトノベルレーベルから出版されているものは、作者名50音順ではなく、リストの下に一括で示しました。 そのような作り方をしているため、このリストには漏れが少なからずあると思います。 ■最近3年間の台湾でのミステリ刊行状況 2007年(9月まで) 台湾オリジナル4 ? 欧米作品87 日本75 2008年(9月の時点で) 台湾オリジナル8 ? 欧米作品74 日本73 2009年(10月末までで) 台湾オリジナル7 欧米作品72 日本67 (刊行数のデータは、ミスターペッツ氏による『本格ミステリー・ワールド』掲載の台湾ミステリ記事によります) 最近は、欧米作品と日本の作品の翻訳数が拮抗しているようです。オリジナル作品は、島田荘司推理小説賞の開始による刺激などがありますが、やはりまだ少ないです。 ■2009年の刊行作品数ランキング (日本の作家のみ挙げる) 7作品 東野圭吾(+新装版2点) 6作品 松本清張(短編集『黒い画集』(3分冊)は3作品としてカウント)、森村誠一 4作品 島田荘司、宮部みゆき 3作品 伊坂幸太郎、米澤穂信 韓国と同じでやはり上位に東野圭吾、宮部みゆき、松本清張がきます。島田荘司は、韓国ではまだ4、5作品ほどしか刊行されていませんが、台湾では次から次へと翻訳が進んでいっており、2009年にも4作品が翻訳されています。 中国語のタイトルが大幅に変わっている場合は、その直訳も示す。 【初訳】と書いたものは、その作者の台湾での最初の単行本。(ただし、それ以前に雑誌掲載などはあったかもしれない) ミステリ以外の作品が期間内に翻訳されている場合はなるべく注記したが、すべては網羅していない。 (未完成: まだ日本語のタイトルを付けていません…) あ行 赤川次郎<2作品> 『國境之南』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010424733 『聖誕老人的悲歎』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010429000 天城一『密室犯罪學教程』 【初訳】 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010435897 綾辻行人『殺人驚嚇館』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010442576 鮎川哲也<2作品> 『碑文谷事件』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010424731 『不完全犯罪』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010432923 伊坂幸太郎<3作品> 『Golden Slumbers-宅配男與披頭四搖籃曲』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010431756 『魔王』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010449521 『終末的愚者』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010454591 石田衣良『G少年冬戰爭:池袋西口公園7』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010430222 内田康夫<2作品> 『消逝於虛無道中』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010427161 『不歸路』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010447504 大阪圭吉『銀座幽靈』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010453371 逢坂剛『遙遠的斜影之國』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010451634 大沢在昌『打工偵探』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010443111 折原一『異人們的館』 【初訳】 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010436573 か行 貴志祐介『鬼火之家』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010454717 岸田るり子(岸田瑠璃子)『沒有出口的房間』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010453419 北村薫<2作品> 『夜蟬』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010424843 『秋花』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010446167 京極夏彦『絡新婦之理』(上下巻) http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010424844 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010424845 栗本薫『我們的無可救藥』(ぼくらの時代) http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010439338 ↑1987年にも台湾で翻訳が刊行されている。 小酒井不木『烏鴉美人』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010453364 さ行 桜庭一樹『不適合少女的職業』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010443974 渋沢龍彦『Horror Dragonia少女小說總集【肆】狐媚記』 (リンクなぜかひらけず) 島田荘司<4作品> 『犬坊里美的冒險』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010432697 『俄羅斯幽靈軍艦之謎』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010437895 『開膛手傑克的百年孤寂』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010446150 『利比達寓言』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010446148 不知火京介『擂台化妝師』(マッチメイク) 【初訳】 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010452434 た行 拓未司『禁斷的貓熊』 【初訳】 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010442941 柄刀一『OZ的迷宮』 【初訳】 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010443184 な行 夏樹静子<2作品> 『午夜的賀電』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010432929 『沒搭上車的女人』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010447502 西澤保彦<2作品> 『啤酒之家的冒險』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010424782 『羔羊們的聖誕夜』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010454980 法月綸太郎『二的悲劇』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010432443 は行 畠中恵『會動的怪影(娑婆氣第四部)』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010436490 東野圭吾<7作品+新装版2点> 『迴廊亭殺人事件』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010427281 『放學後』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010427816 『流星之絆』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010428194 『分身』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010436010 『瀕死之眼』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010448509 『惡意(09新版)』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010448797 『伽利略的苦惱』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010454440 『偵探伽利略(09新版)』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010454490 『美麗的凶器』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010455699 日向まさみち(日向正道)『本格推理委員會』 【初訳】 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010426234 平山夢明<2作品> 『世界橫麥卡托投影地圖的獨白』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010441599 『導彈人』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010450486 藤田宜永『轉轉』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010453341 ま行 松本清張<6作品> 『埋伏』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010424737 『黑色畫集1遇難、坡道之家』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010427162 『黑色畫集2:繩、天城山奇案、證言、寒流』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010432920 『黑色畫集3:凶器、濁日、草』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010435089 『壞傢伙們』(上下巻) http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010446719 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010446721 『影之車』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010453506 道尾秀介『獨眼猴』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010430660 三津田信三『如無頭作祟之物』 【初訳】 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010450445 湊かなえ(湊佳苗)『告白』 【初訳】 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010445221 宮部みゆき(宮部美幸)<4作品> 『火車』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010424308 『樂園』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010422933 『鄰人的犯罪』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010424859 『終日』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010441483 森博嗣『紅綠黑白』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010454974 森村誠一<6作品> 『純白的證明』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010429003 『搜查線上的詠嘆調』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010435088 『棟居刑事之花的狩獵人』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010442072 『棟居刑事之殺人交叉路』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010444927 『棟居刑事之殺人的間隙』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010451627 『狙擊者的悲歌』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010455302 や行 山田真哉<2作品> 『女大學生會計師事件簿 DX.1創新企業的王子』 【初訳】 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010449122 『女大學生會計師事件簿 DX.2不安寧的偵探與怪盜們』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010455558 (小説以外の会計の本は、2005年から↑この刊行までに7冊翻訳されている) 山村美紗<2作品> 『新娘嫌疑犯』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010444917 『黑色環狀線』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010455305 横山秀夫<2作品> 『震度0』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010424747 『第三時效』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010437183 米澤穂信<3作品> 『春季限定草莓塔事件』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010432523 『夏季限定熱帶水果聖代事件』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010442578 ↑上記2つは、日本と同じ表紙イラストを使用している。日本版は「期」、台湾版は「季」。 『算計』(インシテミル) http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010445522 関連書 島崎博(傅博 名義、評論集) 『謎詭.偵探.推理:日本推理作家與作品』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010427809 『謎詭4:日本推理情報誌』(日本のミステリについての情報誌、年1回刊行) http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010449225 日本のライトノベルレーベルで刊行されたもの アサウラ(朝浦)『香草追擊 A sweet partner』(バニラ A sweet partner) http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010452249 大迫純一 『神曲奏界黑(05)闇黑決心』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010426781 『神曲奏界金 復活者.雷歐(01)』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010451167 『神曲奏界黑(06)闇黑患者』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010456299 上遠野浩平 『靜流姊與無底的密室群』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010442473 『靜流姊與無言的公主們』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010452957 久住四季 『trickstersC PART1魔學詭術士 5』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010444334 『trickstersC PART2魔學詭術士6』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010448058 深沢美潮 『超感應美少女─ IQ探偵團01』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010451305 『會回家的玩偶─ IQ探偵團02』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010456420 椹野道流 『貴族偵探愛德華8 獵殺紅蓮火焰的異國人』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010435804 『貴族偵探愛德華9 記憶的搖籃』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010448733 漫画の小説化 東山彰良 『魔人偵探腦嚙涅羅 蝴蝶在世界盡頭飛舞』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010426644 平良隆久 『小說 名偵探柯南特別篇:工藤新一的復活 與黑衣組織的對決』 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010455679 関連記事 2009年に中国で刊行された日本の推理小説 2009年に韓国で刊行された日本の推理小説 台湾ミステリ紹介 目次へ 日本ミステリの海外刊行へ
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/134.html
2011年5月9日-28日 ※未完成 Index 1955年 日本でのソ連推理小説紹介の動向 S・アレフィエフ (С. Арефьев)「万年筆殺人事件」?「深い雪」?(『政界往来』1955年8月号) 「赤い小箱」(『探偵倶楽部』1957年1月号) 「試射場の秘密」(日本初のSF商業誌『星雲』創刊号(1954年)) L・サモイロフ=ヴィリン 1955年 日本でのソ連推理小説紹介の動向 『政界往来』1955年8月号に、アレフィエフ「万年筆殺人事件」(訳:袋一平)(未見) / С. Арефьев "Глубокий снег"(深い雪) 『探偵倶楽部』1955年10月号および11月号に、L・サモイロフ=ヴィリン「夜の雷雨」(訳:袋一平) / Лев Самойлов-Вирин "Майор милиции" http //www.ozon.ru/context/detail/id/5469630/ この作品は原典の情報が掲載時に示されている。原題(不明)の直訳は「警部」で、『ともしび』(アガニョーク)1955年6月19日号、6月26日号、7月3日号に連載されたもの。 10月号の目次:「ソ連誌連載・最近の探偵小説!!本誌の特ダネ!」 11月号の巻頭:「ソヴエト作家の長篇探偵小説の完訳が発表されるのは、恐らく本篇が最初であろう。」 『探偵倶楽部』1955年10月号に、袋一平「ソヴエト推理小説の動向」(p.271)「ソヴエトでも近来は科学空想小説、冒険小説、そして推理小説が非常に盛んになってきました。ジュール・ヴェルヌやコナン・ドイル、ジャック・ロンドンやアラン・ポーなどはいわゆるベストセラーの中にはいっております。またモスクワでは作家ロマン・キム氏などを中心として推理・探偵もの専門の雑誌を発行する、というような計画も聞いています。ソ連としては真に破天荒な話といわなければなりません。(改段落)したがって、ソ連独自のものも続々と創作されてきました。なかでも科学空想ものは大きなシリーズとして、いずれも百万単位の部数で発行されています{。}推理・探偵ものははじめスパイものの形で出発し、ごく最近になって本格的な創作がヒノキ舞台にあらわれてきました。現在のところアレフィエフとサモイロフ=ヴィリンの二人がその先頭を切っています。その経歴は目下モスクワに問い合わせ中ですが、おそらく、この方面の新進作家ではないかと考えられます(。)(改段落)なお、ソヴエトの推理・探偵小説がふつうの芸術小説と同格にみられて、第一級の雑誌に掲載され、また第一級の出版として取扱われ、高い地位をもっていることは注目されていいと思います。」 『宝石』1955年12月号に、袋一平「ソヴエトの推理小説」(pp.122-123) 『探偵倶楽部』10月号に「本誌の特ダネ!!」として突如掲載されたソ連の推理小説は、やはり探偵小説界の注目を集めたのだろう。当時の探偵小説の牙城たる『宝石』の12月号に、翻訳者の袋一平氏によるソ連の推理小説の略史がすぐに掲載されている。 そもそも、この「ソ連/ロシア推理小説翻訳史」をまとめはじめたのが、このページで扱うアレフィエフとサモイロフ=ヴィリンの作品を雑誌『探偵倶楽部』誌上で見つけたからだった。 S・アレフィエフ (С. Арефьев) 作家の詳細不明。ファーストネームがなんなのかも、生没年も分からない。ソ連の雑誌『アガニョーク』に掲載した短編3編をまとめた単行本『赤い小箱(Красная шкатулка)』(ネット書店リンク)が1956年に刊行されている。 「万年筆殺人事件」?「深い雪」?(『政界往来』1955年8月号) アレフィエフ「万年筆殺人事件」の掲載誌は実見していない。袋一平「ソヴエトの推理小説」によれば、アレフィエフは1954年にソ連最大の週刊誌『アガニョーク(ともしび)』に短編「試射場の秘密」を発表。1955年の春、同誌に2作目の短編「深い雪」を発表した。この「深い雪」は、敵のスパイが万年筆に仕込んだ特殊な銃で人を殺し、情報官がそれを捜査するというスパイもの(反スパイもの)だとのこと。 「ソヴエトの推理小説」では、『政界往来』1955年8月号に掲載された作品は原題・邦題とも「深い雪」とされているが、中島河太郎氏が作成していた翻訳作品リスト(会報102号、1955年11月)では、1955年8月号に掲載された作品は「万年筆殺人事件」とされている。「深い雪」のあらすじからみて、いずれにしろ同じ作品を指しているのだろうが、なぜ食い違っているのかは分からない。どちらかが副題のような扱いだったのだろうか。なお、さすがの中島河太郎氏も『政界往来』という雑誌まではチェックしていなかったようで、「万年筆殺人事件」がリストに加えられたのは、『宝石』で袋一平氏がこの作品について紹介した後だった。 アレフィエフの「試射場の秘密」、「深い雪」、「赤い小箱」(『探偵倶楽部』1957年1月号に訳載)の3編は、ソ連では1956年に短編集『赤い小箱(Красная шкатулка)』(ネット書店リンク)にまとめられ、シリーズ「アガニョーク図書館(Библиотека "Огонек")」の1冊として刊行されている。 「赤い小箱」(『探偵倶楽部』1957年1月号) 「試射場の秘密」(日本初のSF商業誌『星雲』創刊号(1954年)) ソ連の推理小説の邦訳について調べ始めてしばらくは、アレフィエフ作品の邦訳は袋一平氏が翻訳した2作品「万年筆殺人事件」(深い雪)、「赤い小箱」しかないと思っていたが、何かの参考になるかと思って深見弾(1978)「ロシヤ・ソビエトSFはこんなに訳されている(戦前)」を読んでみたところ、1954年に創刊号のみ刊行された日本最初のSF商業誌『星雲』になんとS・アレフィヨーフ「試射場の秘密」というのが載っているらしい。これは、袋一平(1955)「ソヴエト推理小説の動向」で「試射場の秘密」というまったく同じタイトルで触れられているアレフィエフの作品だと見ておそらく構わないだろう。 L・サモイロフ=ヴィリン アレフィエフ「万年筆殺人事件」の原典は、『探偵倶楽部』1957年1月号にアレフィエフ「赤い小箱」が掲載されたときに名前と原題がキリル文字で示されていたので、それとの関連であっさり見つかったが、サモイロフ=ヴィリンは綴りが分からず、ロシア語が分からない自分からすると原典探しはちょっと苦労した。分かってみればなんのことはない、ネット書店で「Библиотека "Огонек"」(アガニョーク図書館)で検索して出版年度順にソートをかければ、アレフィエフの短編集『赤い小箱』のすぐ横に並んでいたのである。『夜の雷雨』は雑誌『アガニョーク』1955年6月19日号、6月26日号、7月3日号に連載され(これは『探偵倶楽部』に書いてあった)、翌1956年に「アガニョーク図書館」の1冊として単行本が刊行されている。 「夜の雷雨」掲載時に袋一平氏が書いた「ソヴエト推理小説の動向」にソ連の推理作家のロマン・キム氏の名前が見られるが、江戸川乱歩は翌1956年に知人を通じてこのロマン・キム氏と連絡を取り、文通を開始している。ロマン・キム氏が江戸川乱歩にあてた手紙で、『探偵倶楽部』にソ連の推理小説が翻訳されたことについての現地の反応を知ることができる。 『宝石』1957年8月号、ソ連の推理作家ロマン・キムが江戸川乱歩にあてた手紙(第三信)(訳:木村浩)より 小生は、木村浩氏が送ってくれた雑誌「探偵倶楽部」(五六年一月号)をソヴェトの探偵作家に見せました。この号には、サモイロフ・ヴィリンの「夜の雷雨」(ロシア語の原名は「民警少佐」)がのっていますが、これは実際の事件をもとにして書かれたもので、原作者は自分の作品が日本語に訳されたことを非常によろこんでいます。もっともこの中篇はそれほど成功した作品ではありません。これよりもずっとすぐれた作品が沢山あらわれている現在、われわれはそれらが日本語に翻訳されることを非常に期待しています。(改段落)ソヴェトの探偵作家たちは、先生及び日本の探偵作家クラブに熱烈な挨拶を伝えてくれるよう小生に申出ました。 「夜の雷雨」についてはばっさり切り捨てているので苦笑するしかないが、ソ連の推理作家たちは日本の探偵小説界に好意を持ってくれたようである。ソ連の推理作家たちは、幼少期を日本で過ごしたロマン・キム氏を除けば日本語はまったく読めなかっただろうが、「夜の雷雨」は挿絵も『アガニョーク』から転載しているので、ソ連の作家たちも、遠い異国の地でソ連の推理小説が翻訳され読まれていることを実感できただろう。 さて、袋一平氏によるこのソ連の新人推理作家たちの紹介はまさに先駆的な試みだったが、アレフィエフとサモイロフ=ヴィリンの両氏は残念ながらその後ソ連の文芸界で活躍することはなかったようで、どちらも単行本が1冊出ているだけである(短編の雑誌掲載はほかにもあったかもしれないが)。ロシアではおそらく忘れ去られているこの作家たちが、異国の日本では「最初に訳されたソ連の推理作家たち」として名前が刻まれているというのはなかなか面白い。 ソ連/ロシア推理小説翻訳史 目次に戻る
https://w.atwiki.jp/nobita_in_pokemon/pages/436.html
前へ 「早朝からすいません、ノート警部」 「気にするな、お前らの方がずっと辛いんだ」 出木杉未来が、現場の指揮を取っているノートと会話をしている。 「今、部下達がこの樹海の周辺を調査している。 もしかしたら、殺人犯が潜んでいるかもしれん」 ノートの言葉を聞き、皆、安堵する。 「警部さん、私達のことは疑わないのですか?」 Lがノートに話しかける。 「て、てめ、なんて事を言うんだ!」 ギンガが、Lに突っかかろうとする。 「………実は、お前らも容疑者の中に入っている……」 ノートの言葉で、場は凍りつく。 「嘘だろ……警部さん!?」 「仕方が無いだろ、俺だってできればこんなことはしたくない だがな、考えてみろ…… もしお前らの中に殺人犯が居たとする。 そこで俺らが何もしなかったら、そいつは絶対に改心しない それはお前らにとっても、そして犯人にとってもいいこととは言えないだろ…… ……だから、俺たち警察に強力してほしい」 ノートは、皆に頭を下げている。 年上の人間が年下の人間に頭を下げる。 普通はなかなかできないものを、この警部は平然とやってのけた。 それに対し、皆は心を打たれたのか 全員の答えは、Yesだった。 「その代わり、こちらにも条件があるわ」 「なんだ、言ってみろ」 「私達にも、この事件を調査する権利が欲しい。できるかしら?」 Lの発言に、その場に居た全員が驚いている。 ノートは、少し悩んだ後にこう言った。 「いいだろう。その代わり、現場を下手に荒らすなよ」 Lは、ノートの発言に歓喜した。 「調査の前に、まずは事情聴取だ 聞いたところ、赤髪の死亡推定時刻を出すのは難しいそうだ。 そこでお前らに、赤髪がいつまでは生存していたかを教えて欲しい」 「確か、赤髪は薪拾い競争の時までは生きていた」 挑戦者がノートにそう言う。 「つまり、薪拾い競争以降は、姿が見えないわけだ 薪拾い競争が始まった時間と、終わった時間を教えて欲しい」 「16時20分くらいに始まって、ちょうど30分ぐらいで終わったんだよな、アクアマリン?」 「僕が時間を計っていたから、間違い無いね」 「すると、被害者のおおよその死亡推定時刻は16時20分~17時くらいか」 「薪拾い競争に参加していた奴は誰だ?」 「僕と、ギンガとドラAAモンと赤髪の四人です」 「薪拾い競争をしている間、他の人間は何をしていた?」 「皆、広場に集まって、それぞれ別の仕事をしていました」 アクアマリンの言葉を最後に、ノートはメモ帳を閉じた。 「悪いが、薪拾い競争をしていた3人には、少しは話を聞かせてもらうことになる」 「ちょ、なんでだよ!?」 「お前ら3人は、赤髪の死亡推定時刻時にアリバイが無いからだ」 「……分かったよ」 ギンガは、反論しようとしたが、さっきのノートの言葉を思い出し、静かになった。 「だが最初に言っておく、俺はやってない」 ギンガはそう言い放った。 「俺もだ」「……僕も」 続いて、ドラAAモン、DPその2も同じことを言う。 「信じてるぜ、L……」 3人は、ノートと一緒にどこかへと行ってしまった。 「どうします、Lさん?」 「決まってるでしょ?事件を調べるのよ」 Lと活劇が、廊下を歩きながら、会話をしている。 「とりあえず、ルビーの死体が発見された場所に行きましょう」 ――地獄の炎の部屋 数人の警官が居たが、ノートの言葉が通っていたようで、すんなりと入ることができた。 「あの後あの部屋を調査したけど、扉の鍵も掛かっていたし 窓も閉まっていた、どうやら密室だったみたいね……」」 「密室って……じゃあルビー先輩はどうやって!?」 「さあ……まだ死因すらも分かっていないのよ……」 「原因は不明ですが、窒息死だそうですよ」 近くに居た警官がLにそう告げた。 思わぬ人物からの情報、これにLは感謝した。 Lは警官に礼を言い、再び調査に戻る。 「……何かしらこれは?」 Lが注目したのは、ゴミ箱に捨てられていたガムテープの塊だ。 「ガムテープ……ですかね?」 「そんなこと分かってるわよ、何でこんなものがここにあるかよ」 「さぁ……」 Lと活劇の会話は、それ以降、途絶えてしまった。 Lと活劇は、地獄の炎の部屋を出て、廊下を歩いていた。 「Lさん、ちょっといいですか……?」 「何かしら?」 活劇は、何か後ろめたそうにLに尋ねる。 「赤髪先輩の死体が見つかったときに、ギンガ先輩が この部はどんどんと人が死んでいくと、言いましたよね?」 《何でこの部は、どんどんと人が死んだり居なくなったりするんだよぉ……》 「……えぇ」 「それって、つまりこの部で過去にもう一人 失踪したり、あるいは亡くなったりした人が居るということですか?」 「……随分と勘が鋭いわね……」 「演劇部には1年前に、キョーコという先輩が居たの 彼女は、有名な劇団からオファーが来るほど素晴らしい人だったわ……」 活劇は、神妙な顔をしてLの話を聞いている。 「しかし、ある日突然失踪したのよ……」 Lの顔が暗くなった。 「あの人は、とても明るい人で誰にも言わずに失踪するような人じゃなかった……」 「ここからは"噂"だけどね、キョーコ先輩の失踪の原因がワタリ達にあると言われてるのよ」 ワタリ達……ワタリ、ルビー、赤髪の三人のことだ。 「ワタリ達が、キョーコ先輩の女優として生きる道を なんらかの方法で断ち切った……これが演劇部内で伝わっている噂よ」 「でも、それってただの噂じゃ……」 「皆はワタリ達なら、やりかねないと言っているわ」 ワタリ達三人は、演劇部内に留まらず 学校内でも有名な不良である。 「実際にキョーコ先輩も居なくなっているわけだし、 私はこの噂は真実だと思っているわ……」 「それなら、実際に確かめていてはどうでしょうか?」 「……どういうこと?」 「ワタリ先輩に、聞いてみればいいんですよ 今回の事件で、手下の二人が亡くなっていますし 既に身の危険を感じたりしてるかもしれませんよ」 「……今のワタリなら喋るかもしれないわね、行ってみましょう」 Lと活劇は、ワタリの元へと向かった。 ワタリは、挑戦者と一緒に劇場の舞台に腰を掛けていた。 「なんだよ……何か用か?」 ワタリは、Lと活劇に冷たい視線を送る。 挑戦者は無反応である。 「用があるからあんたに話しかけたのよ そろそろ聞かせてもらうわよ……キョーコ先輩のこと」 "キョーコ"この単語が出てきたときに ワタリの顔は青ざめ、瞳孔が見開いた。 「お、俺は知らねぇ、俺は何もやってないぞ!!」 狂ったようにワタリは、暴れだした。 これに反応して、挑戦者がワタリを取り押さえた。 「何するんだ挑戦者!?離しやがれ!!」 ワタリは必死に抵抗するが、その拘束は解けることはない。 「今、ワタリを刺激しないでくれよ」 挑戦者が、ワタリを押さえつけながら叫ぶ。 「す、すいません!!」 「分かったなら、どこかへ行ってくれ!」 Lと活劇は、劇場から出て行った。 劇場を追い出された二人は、再び廊下を歩いていた。 「結局、キョーコさんの情報は手に入りませんでしたね」 「そうでもないわよ」 「どういうことですか?」 「あそこまでワタリが真っ青になって暴れだす、無関係とは言い難いと思わない?」 Lの眼が鋭く光る。 「そ、そうですね」 「いや、実際そうだよ」 奥のほうから声が聞こえる。 声の主は、出木杉未来。 「部長!」 「事件の調査をしているみたいだね、僕も考えているけどさっぱりなんだ」 「そう、それよりもどういう意味かしら?実際そうだよって…」」 「言葉の通りだよ、キョーコ先輩の失踪にワタリが関わっているんだ」 出木杉未来の言葉で、Lは僅からながら動揺する。 「僕の父が、医者だっていうのは知っているよね?」 「ええ、あなたも少しは医学を勉強しているみたいね?」 「どうしてそんなことが分かるんだい?」 「ルビーの死体が発見された時に、あなたはルビーが死亡したのを確認していた 脈を計る程度は一般人にでもできるけど、死体のを計るのはなかなか勇気がいるわ」 「そんなことで見抜くとは…君は本当に凄いよ…… 誰にも言わないでくれよ、キョーコ先輩の情報を…」 【次回予告】 ―ワタリ達の悪事、それがついに暴かれる。 事件はゆっくりと光へと近づいていく。 ゆっくりと……確実に…… 次回、推理編2に続く キョーコ先輩は、出木杉未来の父親の勤める病院に入院していた。 入院の理由は手足の複雑骨折。 原因は不明――ただ体に打撲の痕があることから おそらくは高いところから落ちた、または落とされたかのどちらかだと思われる。 本人に聞いても、何も喋らない―喋れないのかもしれない。 結局のところ、原因は誰も知らない。本人でさえも…… 「これは病院の関係者しか知らないんだ、本当は君にも喋っちゃいけない しかし、あの噂と今回の事件が関係しているなら 僕は君に教える義務があるのだと思う……」 出木杉未来は、今までに見たことも無いような険しい顔をしている。 「そしてもう一つ、この情報は隠蔽されているんだ… 上からの圧力によって……」 「上からの圧力?」 「おそらくワタリの父親だ……あいつの父親はその筋の人間とそれなりに親しいみたいなんだ 父の病院になんらかの圧力を掛けているんだ」 「それって…つまり……」 「ああ、おそらく間違いないだろうね、あの"噂"は……」 この言葉に活劇は唾を飲み込み、Lは拳を強く握る。 「この情報は君達二人だけの心の中に秘めていて欲しい、じゃあ」 出木杉未来は乾いた足音をたてながら去っていった。 「Lさん……」 「分かってるわ…」 Lは怒りを隠せないようだった。 シュゥゥゥゥゥン 「俺は二番かよ……」 「けっきょくおれがいちばんはやくてすごいんだよね?」 「デボンの御曹司っすかwwwwww」 賑やかな声が聞こえるのは、炭水化物の部屋。 マリカ四天王が宿泊している部屋だ。 「また……マリカやってますね……」 「こんな時に……本当に呆れるわ……」 「昨日の夜はミュウが一番だっただろ……」 「寝る時間削ってまでマリカをやってるとは……」 活劇が間抜けな顔をしながら、Lの顔を見る。 しかし、Lは活劇とは違い厳しい顔をしていた。 「ど、どうしたんですか?」 「分からないの!?昨夜起きていたとしたら ひょっとしたら、事件の音とかを聞いているかもしれないじゃない!」 Lの言葉を聞き、活劇は間抜けな顔から、真剣な顔に戻る。 そのまま二人は、炭水化物の部屋の中に飛び込んだ。 「な、何なんだよお前ら!?」 ミュウが、顔を引きつらせながら二人を見ている。 「昨夜あなたたちはずっと起きてたの!?」 「は?」 「いいから答えなさい!」 「は、はいぃ!ずずっとじゃないけど……そうだ二時ごろまでは起きていたよ」 怯えながらミュウは、Lに話しかける。 「その間に、何か物音とかは無かった?」 「俺たちゲームやってたしなぁ……」 「ゲームやってたりすると、雑音は聞こえなくなるしね」 ミュウと書こうかは、難しい顔をしている。 「あっ!そういえばいつだか忘れたけど、外で1回だけ川に何かが落ちたような音がしたよ」 「本当!?」 「ああ、そういえば大きな音がしたなぁ、いつだったっけミュウ?」 「えぇーと……ちょうど12時前ぐらいだったと思うよ」 「ああ、そうだな……それよかL、いきなり人の部屋に入ってくるな!」 「悪かったわね、それよりも随分眠そうな顔してるわね皆…」 「なんせ12時から2時までゲームやって、その後早く起きてたからね」 「呆れた……ゲームもほどほどにしておきなさいよ」 「はいはい、分かったよ……」 Lと活劇は、炭水化物の部屋を出た。 「12時前の大きな音……怪しいですね。Lさんは正体分かりますか?」 「それをこれから調べに行くのよ」 Lと活劇は、下駄箱に向かって走り出した。 「早くしなさい、活劇!」 「そ、そんなこと言われたってぇ」 Lと活劇は、廊下を走っている。 だが、二人の足の速さの違いで、かなり差が広まっている。 しかし、活劇の足が遅いのではなく、Lが速すぎるのだ。 「ったく……遅いわね……」 Lは、不機嫌そうな顔をしながら、下駄箱にある自分の靴に手をかける。 その時に、ある物に目が行った。 「これは……赤髪の靴……?」 Lが手に取っているのは、真っ赤な色をした靴だ。 「ハァ……ハァ……やっと追いついた……Lさん何をやっているんですか?」 「まさか……でも、これなら何もかも辻褄が合う」 「あ、あの……どうかしたんですか?」 「赤髪殺しのトリックが分かったわ」 「ど、どんなトリックなんですか!?」 「後で説明するわ、それよりも屋上へ行くわよ!」 「ちょ、ま、待って」 活劇が、次の言葉を発しようとしたときは 既にLの姿は見えなかった。 ――屋上 Lは、無言である物を見ている。 「やっぱり、そうだったのね」 「犯人も分かったんですか?」 「ええ、後はルビー殺しのトリックだけよ とりあえず、再び現場に行ってみましょう」 Lと活劇は、また地獄の炎の部屋へと向かった。 ――地獄の炎の部屋 数人居た警官も、今は居ないようだ。 「そういえば、大量のガムテープは何に使われたか分かったんですか?」 「それを調べるために、ここの部屋に来たんでしょう」 Lは、ゴミ箱の中に入っていたガムテープの塊を手に取った。 「……埃……が付着してるわね」 ガムテープには、他にも糸くずなどが付着していた。 「これは……多分、この部屋のどこかについていたものね」 Lの言葉で、活劇は辺りを見回した。 しかし、そのような痕跡のある箇所は見つからなかった。 「分かりませんね……」 「犯人の意図が分かれば、不思議と答えは見えてくるわ」 Lと活劇は、再び調査を開始した。 「ルビーは下のベッドで寝ていたのね……」 下のベッドには、ルビーの所持していたDSが置かれていた。 「Lさん、ちょっとこっちに来てください」 活劇が突然Lを呼ぶ。 「どうしたの?」 「何か、ここが湿っているみたいなんですよ」 活劇が、部屋の中央の床を叩き続けている。 「……分かったわ、ルビー殺しのトリックが」 「ほ、本当ですか!?」 「お手柄ね、活劇。 これから、私はノート警部に自分の考えを話してくるわ あなたは他の皆を集めておいてちょうだい……この部屋にね」 「わ、わかりました!!」 活劇は、心の底から嬉しそうな顔をして部屋を出て行く。 そして、Lもゆっくりと立ち上がった―― その顔は、厳しくもあり、悲しくもあるようだった…… 【次回予告】 「わざとじゃないんだ……わざとじゃないんだ……うわぁあああああああああああああ」 複数の散らばった証拠品―― それが今ここに結集し、一つの道を開く。 そして、次回……ついに殺人者の正体が暴かれる 「……あなたがこの殺人事件の犯人よ…」 次回、解決編1に続く 自分なりに推理して、答えが見つかったら、次に行きましょう