約 25,199 件
https://w.atwiki.jp/jinrowiki/pages/498.html
前ページ次ページ村企画 ぷよっと☆人狼騒動【ぷよぷよゆる推理 RP】 [#s27c2fa6] 概要 [#ifab4403] あらすじ [#t16d836f] 村の目的 [#fc6b9fe2] ローカルルール/世界観 [#a71f0aa6] 役職設定 [#t05c9b95] 禁止事項 [#tf955207] 推奨事項 [#a2711b4c] 進行 [#b2aec0b3] プロローグ [#ba34d86f] 一日目 [#q93a33ed] 二日目 [#m6e11551] 墓下 [#r36eaa38] エピローグ [#c4c3357f] 参加募集 [#xb006546] コメント [#ja77e1bb] ぷよっと☆人狼騒動【ぷよぷよゆる推理 RP】 概要 村名 ぷよっと☆人狼騒動 村建て人 生雨 開催国 深海の予定 種別 推理もRPも 更新間隔 48h 投票方法 - 発言制限 多め キャラセット なんでも 募集人数 10~16 編成 未定 更新時刻 未定 開催時期 4月頃? 役職希望 有効 あらすじ 昔からプリンプはとてもゆたかな自然にめぐまれていました。 四方を海や砂丘にかこまれているため、まわりの国との交流にとても不便ですが、気候はおだやかで作物もたくさんみのり、まったく気になりません。 だけど…ある日、無残な死体が発見されました。 曰く、『このまちの誰かが、人の姿を借りた狼となり毎夜人々を襲い始める』と。 はやく恐ろしい人狼を見つけ出して、この街から追い出さなければなりません… 村の目的 SEGA様のぷよぷよシリーズののキャラクターで人狼騒動RPしつつ推理も楽しもうぜっていう村です。 公式とは全く関係はありません。 平和なプリンプの街に不穏な遠吠えが響きます。 仲のいいみんなと協力したり疑ったり襲撃しちゃったり。なRPをしつつ楽しみましょう ローカルルール/世界観 ぷよ勝負のやり方について。 【ぷよ勝負[[1d20]、[[fortune]】と振ってください。 0〜20ランダム[[1d20]は連鎖数 0〜100ランダム[[fortune]は1〜24の数字なら、もう一度[[1d20]を振り、初めの数字にプラスした数が最終連鎖数とできるシステム。 結果的に連鎖数多い方が勝ちです。 世界観としては、プリンプタウンです。 ナーエの森とか魔導学校とか広場とかあります。 役職設定 未定。通常編成か何か他の役を少し入れる予定 禁止事項 ぷよぷよ以外のキャラのなりきり。 白、青、秘話での中身発言。 ▼▲○●等の記号、用語等の使用。 (PCが知ってる言い方でお願いします。例)処刑、とか狼、とか狼っぽいとか。 発言PTは多めのものにしますので用語記号等使わなくても文字数は大丈夫だと思います) 推奨事項 ぷよのキャラになりきって楽しくわちゃわちゃしましょう。 友情、恋愛、などなど大歓迎。 進行 48時間進行で、前半12時間はRP。後半12時間は推理となります。 プロローグ いつも通りのプリンプの日常です。 別の世界から誰か飛んできたりするかもしれませんがいつも通りの平和なプリンプです。 一日目 前半、朝〜昼間 後半、夕方〜深夜 どこかから、不穏な噂が流れてきます。 信じて怯える者も、信じて立ち向かおうとするものも、はたまた信じない者もいるかもしれません。 さて…己の変化には気づくでしょうか? 二日目 前半、朝〜昼 後半、昼から広場に集まって会議〜処刑(深夜) …(希望のないキャラ)が無残な姿で発見されてしまいました。 みんなは、広場に集まって会議をすることになりました。 悪い狼を、追い出す為に。 墓下 処刑されたり、襲撃されて死んでしまった者たちは 会議を見たり、普通に生活しているみんなを見ています。 幽霊同士なら触れあうことも出来ますが、生きている人には触れません。 そっと声だけ聞かせることも出来ますが、それは昼の間だけ。 エピローグ 生き残るのは、狼か、人か… まあ…死んだみんなは魔法で全員生き返ります。 伝えたいことなど伝えてあげてください。 参加募集 NO ID 一言 開始時期希望 01 master だみーです。 02 wakaakatuki 多分参加可能 03 maikagi どんえーん! 4月ならOK 04 kiunon やるのか。 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 ↓希望のキャラっぽいチップとそのキャラセットを書いてください。 【キャラ希望はまだしないでください】 NO 希望キャラ 肩書き 使用チップ(セット名) 一言 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 コメント 何かありましたらコメントにて。 名前 コメント 前ページ次ページ村企画
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/123.html
2011年5月1日 2011年5月6日 ペルシア語圏について追加 大きな地図で見る 日本のミステリは西アジアでも刊行されている。 このページでは、国際交流基金が作成している「日本文学翻訳書誌」を基礎資料として、それに独自に調査した分を加え、西アジアの言語に翻訳された日本のミステリをまとめている。なお、「日本文学翻訳書誌」では現地での刊行タイトルはすべてラテン文字に転写され、アルファベットにつける特殊記号も削除されているが、このページでは現地の表記に戻している。 ※トルコ語に含まれる特殊なアルファベットおよび、アルメニア文字、グルジア文字、アラビア文字、ペルシア文字を使用しています。携帯電話等では表示されません。 Index トルコ鈴木光司 アゼルバイジャン アルメニア松本清張 グルジア松本清張 アラビア語 ヘブライ語 ペルシア語 リンク 「★追加」と注記した書籍は、国際交流基金のデータに掲載されていないものである。 トルコ トルコ語:話者数 約8300万人 鈴木光司 Halka / 『リング』 Sarmal / 『らせん』 Düğüm / 『ループ』 Doğum Günü / 『バースデイ』 4冊とも、2008年、トルコ・イスタンブールの出版社「Doğan Kitap」から刊行。著者名の現地表記は「Koci Suzuki」。翻訳者はHüseyin Can Erkin氏。 「Doğan Kitap」のサイトに掲載されている鈴木光司のプロフィール トルコのミステリが邦訳されているかは分からないが、トルコのノーベル賞作家オルハン・パムクの『わたしの名は紅(あか)』(邦訳刊行2004年)はミステリとして読める作品である。トルコ語版Wikipediaを見ると、「カテゴリ:推理作家」( Kategori Polisiye yazarları )には英米の推理作家コナン・ドイル、アガサ・クリスティ、レイモンド・チャンドラー、ダシール・ハメット、パトリシア・ハイスミス、ミネット・ウォルターズ、アレグザンダー・マコール・スミス、ローレンス・ブロック、ドナ・レオン、ヴァル・マクダーミド、英語で執筆しフランスで作品を発表していたチェスター・ハイムズ、フランスのブリジット・オベール、レオ・マレ、フランス語で書くベルギーの作家ジョルジュ・シムノンと並んで、Ahmet Ümit(1960年生まれ)、Celil Oker(1952年生まれ)という2人のトルコの推理作家の記事がある。 Ahmet Ümit(アフメト・ユミット?)は1996年にギリシャで刊行したトルコ語の推理小説『霧と夜』が代表作で、これはトルコ語で執筆されたサスペンスとしては初めて諸外国語に翻訳された作品らしい。ドイツ語には『霧と夜』ほか数作品が翻訳されている(『霧と夜』のドイツ語版はスイスで刊行、ドイツ語では『夜と霧』【書影右側】)。また、『Masal Masal İçinde』(物語は物語の中に)は韓国語版が刊行されている。ほかにスペイン語に翻訳されている作品もある。Celil Oker(ジェリル・オケル?)は1999年にデビューした推理作家で、長編4作品がドイツ語に翻訳されスイスで刊行されている(【書影左側】は、ドイツ語版『ボスポラスの雪』)。 ほかに、著作が英語やドイツ語、フランス語に翻訳されているトルコの推理作家に、メフメット・ムラート・ソマー( Mehmet Murat Somer )がいる。この作家については、catalystさん( @biotit )が英語で著作を読んで、こちらのページ(→リンク)で詳しく紹介している。この作家は、ウォール・ストリート・ジャーナル2010年7月5日の記事「米ミステリー界へ海外から新たな旋風」(日本語)で、東野圭吾や吉田修一らとともに取り上げられている。 また、トルコに出自を持つ推理作家に、現在はドイツに居住しドイツ語で執筆しているアキフ・ピリンチがいる。『猫たちの聖夜』とその続編の『猫たちの森』が邦訳されている。 アゼルバイジャン アゼルバイジャン語:話者数 約3000万人 アゼルバイジャン語はトルコ語と同系統の言語で、相互の理解度がかなり高い。国際交流基金のデータでは、日本のミステリのアゼルバイジャン語への翻訳はない。日本文学全体では、児童文学作家の松谷みよ子の『龍の子太郎』と、遠藤周作の『海と毒薬』がアゼルバイジャン語に翻訳されている。 (蛇足だが、アゼルバイジャン語ではアーサー・コナン・ドイルを「Artur Konan Doyl」(アルトゥール・コナン・ドイル)、アガサ・クリスティを「Aqata Kristi」(アガタ・クリスティ)と、ラテン文字圏であるにもかかわらず異なる綴りで書いているのが面白い。2人の名前はロシアではこのように発音されるが、アゼルバイジャン語も1990年代初めまではロシアの文字で表記されていたので、その影響でこうなっているのだろう。) アルメニア アルメニア語:話者数 約700万人 松本清張 Ստորջրյա հոսանք (1968年刊行)書影 / 『深層海流』 (著者名表記: Մացումոտո, Սեյտյո )(マツモト・セイティオ) Կետեր և գծեր (1973年刊行)/ 『点と線』 (著者名表記: Մացումոտո, Սեիտե )(マツモト・セイテ) Երկիր անապատ (2010年刊行)書影、書影 / 『球形の荒野』か? (著者名表記: Մացումոտո Ս. )(マツモト S.) (★追加) 『深層海流』は1965年にロシア語版が出ているので、アルメニア語版はおそらくその重訳だろう。『点と線』もロシア語訳があるが、ロシア語訳の刊行が1973年よりも早かったかどうかは分からない。『球形の荒野』は、1979年にロシア語訳が出ている。 『点と線』のデータは現地のネット書店等では見つからなかったが、中西印刷株式会社の中西亮氏が世界各地で集めた文字資料を国立民族学博物館がデータベース化した「中西コレクションデータベース」で書影を見ることができる。 →中西コレクション アルメニア文字資料一覧 (蛇足 アルメニア語版『点と線』やグルジア語版『黒い福音』の著者名が「マツモト・セイテ」となっているのは、松本清張のロシア語表記「Мацумото, Сэйтё」(マツモト・セイチョー)の最後の文字「ё」を「е」に置き換えてそれぞれの文字に転写したからだと思われる) アルメニア語で書かれたミステリの話題は目にしたことがない。アルメニア語版Wikipediaの検索窓で「 Դետեկտիվ ժանրի գրողներ 」(推理作家)を検索してみると、コナン・ドイル、アガサ・クリスティ、ガストン・ルルーが引っかかったが、アルメニアの推理作家の記事は見当たらない。 グルジア グルジア語:話者数 約600万人 松本清張 შავი სახარება (1975年刊行?)(国際交流基金のデータでは1972年)/ 『黒い福音』(著者名表記: მაცუმოტო, სეიტე )(マツモト・セイテ) 『黒い福音』はロシア語に翻訳されているので、おそらくその重訳だろう。この作品はほかにリトアニア語版も出ている(これもロシア語からの重訳だと推定される)。 『点と線』はグルジア語では「 წერტილები და ხაზები 」と書くようで、グルジアのミステリ関連の掲示板でタイトルが挙げられているのを見たが、グルジア語に翻訳されているのかは分からない。 グルジア語で書かれたミステリの話題は目にしたことがない。グルジア語のWikipediaを見ると、「カテゴリ:推理作家」( კატეგორია დეტექტიური ჟანრის მწერლები )には英米の推理作家コナン・ドイル、アガサ・クリスティ、ジョン・ディクスン・カー、ダシール・ハメット、ロス・マクドナルド、ディック・フランシス、チャールズ・パーシー・スノー、ヒュー・ペンティコースト、ハドリー・チェイス、ジョー・ゴアズ、シドニー・シェルダン、レイ・ブラッドベリや、ロシア語で書くグルジア出身の推理作家ボリス・アクーニン、フランス語で書くベルギーの推理作家ジョルジュ・シムノンの記事があるが、グルジアの推理作家の記事は見当たらない。 アラビア語 アラビア語:世界に約2億8000万人の母語話者 国際交流基金のデータでは、日本のミステリのアラビア語への翻訳はない。日本文学全体を見ると、クウェートやイラク、シリア、レバノン、アラブ首長国連邦、オマーン、エジプトで、夏目漱石や三島由紀夫など、日本の代表的な小説家の作品の翻訳が出ている。 ちなみに、アラビア語版Wikipediaの「推理小説」を機械翻訳で見ていたら、いまいち文意は不明だが、少年向け作品の節で『名探偵コナン』やその作者青山剛昌の名前が書かれていて、こんなところまで江戸川コナンの名声は届いているのか……と驚いた。(アラビア語版Wikipediaの「名探偵コナン」の記事も詳しくて驚く。作者の「青山剛昌」の記事もある) アラビア語で書かれたミステリの邦訳があるという話は聞いたことがない。Abdelilah Hamdouchiという人が書いたミステリの英訳版『The Final Bet』の紹介文に、「Abdelilah Hamdouchiは、アラビア語で推理小説を書く最初の作家たちの一人だ」と書かれている。調べてみると、この作品のアラビア語の原著『al-Rihan al-akhir』(الرهان الأخير)(原綴りはラテン文字転写からの推定)が刊行されたのが2001年のようなので、アラビア語でミステリが書かれるということ自体が今まであまりなかったのだろう(といっても、英語圏で日本のミステリ作家がほとんど知られていないのと同じように、アラビア語圏のミステリ作家も実際にはいるが英語圏で知られていないだけかもしれない)。Abdelilah Hamdouchiはモロッコのシナリオライターで、この『The Final Bet』もテレビドラマ用に書かれたものだとのこと(『The Final Bet』の著者紹介)。 ヘブライ語 イスラエルの人口約720万人のうち、約520万人がヘブライ語母語話者 国際交流基金のデータでは、日本のミステリのヘブライ語への翻訳はない。日本文学全体を見ると、村上春樹や夏目漱石の作品のほか、『源氏物語』などがヘブライ語に翻訳されている。 ヘブライ語から(直接・間接問わず)日本語に訳されたミステリは、バチヤ・グール『精神分析ゲーム』(イーストプレス、1994年)、『教授たちの殺人ゲーム』(イーストプレス、1996年)、シュラミット・ラピッド『「地の塩」殺人事件』(マガジンハウス、1997年)などがある。 ペルシア語 イランを中心に、約7000万人の母語話者 国際交流基金のデータでは、日本のミステリのペルシア語への翻訳はない(日本文学のペルシア語への翻訳自体が、1件も登録されていない)。 ペルシア語で書かれたミステリ、またはイランで出版されたミステリの話題は、いずれにしろ目にしたことがない。フランスに Naïri Nahapétian というミステリ作家がいて、この人はこちらのインタビュー記事で、イラン出身でイランを舞台にして推理小説を書く初めての作家だと紹介されている。ただ、彼女はイランのアルメニア系の家族に生まれ、幼少期からはフランスで暮らしているようで、執筆言語はペルシア語ではなくフランス語だし、イランの推理作家とも言い難い。彼女のデビュー作『Qui a tué l'ayatollah Kanuni?』(2009)は、オランダ語(Achter gesloten deuren)やスウェーデン語(Vem dödade ayatolla Kanuni?)に翻訳されている。 探偵作家クラブ(現・日本推理作家協会)会報第73号(1953年6月)に「インドとイランの状況報告」という記事が載っている。この記事では、アメリカ探偵作家クラブ(MWA)会報の1953年3月号にイランの探偵小説事情が報告されているとして、その内容を伝えている。それによれば、テヘラン滞在中のMWA会員が、イランのある地方雑誌にパトリック・クェンティンの作品のペルシア語訳が掲載されているのを発見したのだという。この会員もペルシア語は読めず、それ以上のことは不明とされている。 おそらくペルシア語版Wikipediaのこのページ「رده جنایینویسان」が「カテゴリ:推理作家」だと思うが、ここにある記事はコナン・ドイルとアガサ・クリスティの記事のみである。 リンク 邊見由起子「エジプトとトルコの出版事情―出張報告」(国立国会図書館 アジア情報室通報 第5巻第2号(2007年6月) 「日本ミステリの海外刊行」に戻る
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/60.html
韓国推理作家協会のソン・ソニョン氏が語る「季刊ミステリ新人賞」 (&韓国ミステリの現状) 2010年3月31日 2010年の本格ミステリ大賞(本格ミステリ作家クラブ主催)の候補にもなっている「アジア本格リーグ」から昨年刊行された、韓国の美術ミステリ『美術館の鼠』(李垠(イ ウン)、2009年11月 講談社)。先日読んだこれが、あまり…少なくとも「本格」としては面白くなかったので、「アジア本格」「アジアミステリ」についてちょっとした失望のようなものを感じていたんですが…。 そんな中、さっき読んだ韓国の推理作家ソン・ソニョン氏のブログ記事(2009年11月21日付、http //blog.daum.net/ilovemystery/27)がかなり熱く韓国の推理小説の未来について語っていて感動したので、急きょ、半年ぶりぐらいに記事を書くことにしました。 韓国の推理小説・推理小説界の状況については、これ→(ハンギョレ新聞 2008年12月26日記事(日本語)「‘殺害された’ 韓国推理小説‘ 真犯人’は誰か」、記事執筆:『季刊ミステリ』編集長 バク・クァンギュ)を読んでもらえば分かると思いますが、非常に悪い状態なわけです。韓国の国内作家が非常に少ない。そんな中、韓国で推理小説の新人賞を実施し、新人推理作家を育てているのが韓国推理作家協会が発行している『季刊ミステリ』(계간 미스터리、年4回発行)です。この雑誌では、韓国内外の短編推理小説の掲載をしており、日本の推理小説特集(2008年夏号)、綾辻行人の館シリーズ特集(2005年秋号)なんかもありました。ほかにも、韓国の推理作家の長編連載や評論、推理小説関連情報が掲載され、そして、推理小説(短編・中編)および評論を募集する「季刊ミステリ新人賞」が行われています。 で、韓国の推理作家ソン・ソニョン氏(yahooでページをweb翻訳すると「手ションヨン」と訳されてしまいますが…)によると、「季刊ミステリ新人賞」は、年に4回も新人を選んでいるが、それは多すぎなんじゃないかと、文句が来たそうなんですね。確かに、季刊ミステリ新人賞では毎季ごとの応募数が30編程度だそうですから、たとえば日本のミステリーズ!新人賞(東京創元社、2004年-)が毎回400編を超える応募作の中から受賞作を選んでいるのと比べれば、相当「ゆるい」賞と言えないこともない。ただ、韓国ミステリの現状を考えれば、そんなことは言ってられないわけです。そして、「ゆるい」というのも決して正確ではない。 ソン・ソニョン氏によれば (以下、ソン・ソニョン氏のサイト「ソン・ソニョンの推理ミステリ世界(손선영의 추리 미스터리 세상)」の2009年11月21日付記事「推理小説家を胚胎する季刊ミステリ新人賞についての断想(추리소설가를 잉태하는 계간 미스터리 신인상에 대한 단상.)」から要約) 韓国では、「本格文学」「純文学」では、1年間でおよそ300人が新人賞を受ける。ただ、そのうち10年後にも執筆している作家はといえば、10パーセント未満。それだけでは収入が得られないというのが理由だろう。 そして、季刊ミステリが1年間で選ぶのは4人。これは、韓国で1年間に誕生する新人300人の中のたった4人にすぎない。この中で10パーセントが10年後にも執筆をつづけているとすれば、その数値は0.4人ということになり、「一人」にもならない。 韓国で、2008年に刊行されたすべての本を数えると、43099タイトル(注:40099と書いてある箇所もある)になる。このうち、文学が約15.59パーセント(4700タイトル)。 このうち、韓国の作家による推理小説は27タイトル。なんとも暗鬱、切ないことである。 (※注:2008年に韓国で刊行された推理小説267冊のうち、韓国作家の作品は10分の1の27冊。しかもこれは、季刊ミステリ2008年冬号によれば、『韓国スリラー小説短編選』『韓国ホラー小説短編選』『韓国推理スリラー短編選』などを含んだ数字なので、日本で「推理小説」と呼ばれるような作品は(実際に内容を確認した訳じゃないですが)もっと少ないということになります。) このような状況で、1年間で4人というのはむしろ少ないと言える。1年間(季刊なので4冊分)で季刊ミステリ新人賞への応募数は約150編。この中から4人を選んで、推理小説を書くように奨励しているが、10年後まで執筆するのが10パーセント未満だという数値どおりに考えるのなら、10年後に彼らが推理小説を書いているという保証はない。 (要約終わり) そして、ソン・ソニョン氏は、ミステリとサスペンス、ミステリとホラーとの違いなどを説明して、(たとえばミステリは、読者と主人公がほとんど同じ情報をもって事件を解いていくもの。サスペンスは、読者がより多くの情報をもっており(たとえば犯人が分っているとか)、読書する過程での感情を重視することで創作が成り立つ)この新人賞には推理小説、ミステリを応募してほしいということを訴えます。 推理小説以外では約300の賞が設けられている。一方で、推理小説を専門に募集する賞はこの「季刊ミステリ新人賞」だけ。そう考えれば、この賞も決して易しいものではないと、ソン・ソニョン氏は言います。そして、韓国での「文学」重視の傾向の中で、「推理小説」も「文学」になりうるのであるということを、현재훈(ヒョン・ジェフン、玄在勳)氏の「누가 도요새를 쏘았나」(誰がシギを撃ったか)の前文を引用して説きます。ソン・ソニョン氏によれば、純文学の隆盛の中で、推理小説のようなジャンル小説は恥ずかしいものとされるのが常だった。だから今、季刊ミステリという、推理小説プロパーの作家のための登龍門があるということは、まさに祝福の一つである。 「多くの推理小説家たちが生まれてきて、認識の変化が生じたら、我が国も日本やヨーロッパ、アメリカのような推理小説黄金期を謳歌することができるのではないだろうか」 「さて、受賞者が多いと、コネやら賄賂の温床になるんじゃないかという質問だが、季刊ミステリ新人賞の選考委員は、推理小説などのジャンル小説で15年間筋を通してきた人たちだ。自尊心1つで劣悪な状況を耐えてきた人たちが、その自尊心を捨てるようなことがあるだろうか。雑誌に掲載されている審査過程を見れば、選考委員が応募作をすべて読み、ある作品がどうして新人賞にふさわしいのか、論理的に分析しているのが分かる。」 「『季刊ミステリ』ほど、新人賞を選ぶことに念を入れ最善を尽くすところはないと自負している。なぜかというと、推理小説家を選ぶ賞だからだ」 『季刊ミステリ』も、2009年は4月以降しばらく刊行されず、まさか休刊になってしまったのかと心配したりもしていました(その後、夏号と秋号が11月に刊行されました)。そんな、あまり明るくない韓国ミステリ界ですが、ソン・ソニョン氏のような人がいるのならば、韓国ミステリ界ももっともっと発展していけるだろう、という気がしてきます。これからの韓国ミステリに期待します。 さてここで、ソン・ソニョン氏の作品や、季刊ミステリ新人賞の受賞作なんかを紹介できればいいのですが、実はわたしは残念ながら、小説が読めるほど韓国語を知ってるわけではないので(苦笑)、どこかの出版社で、季刊ミステリ新人賞の受賞作品や、韓国の若手推理作家のアンソロジー『12人12色』(韓国のネット書店アラジンへのリンク)なんかを訳してくださいませんかという、他力本願な願いでこの項終了とさせていただきます。(…すみません) p.s. ちなみに、季刊ミステリ新人賞受賞者ソル・インヒョの短編(受賞後の作品)「そして誰もいなくなった」は、早川書房『ハヤカワミステリマガジン』2009年1月号で翻訳されているので読むことができます。この短編、『ミステリーが読みたい! 2010年版』なんかでは褒められたりもしていましたが、自分としてはあまり…。「本格」を期待しなければ、楽しめるかもしれません。 言及したソン・ソニョン氏の記事:http //blog.daum.net/ilovemystery/27 翻訳にどうぞ(yahoo web翻訳):http //honyaku.yahoo.co.jp/url ■追記■2010年4月1日 ソン・ソニョン氏が何者なのか、詳しい話を書くのをまったく忘れてました。 ソン・ソニョン(손선영)氏は、2008年に季刊ミステリ新人賞を受賞してデビューした新人推理作家です。受賞作は、季刊ミステリ20号(2008年夏号)に掲載されている「ツバメの巣城殺人事件」。 (ウクライナに実在する城で、日本語では「ツバメの巣城」というみたいです。「Swallow's Nest castle」でググれば、すぐ写真が出てきます。季刊ミステリ20号は日本の推理作家特集でもあるので手に入れたいのですが、現在品切れで入手不能) 韓国若手推理作家アンソロジー『12人12色』に載っている経歴によると、デビュー後は、「誰がわたしのラーメンを食べたんだ?」(韓国推理作家協会編『2008 今年の推理小説』に収録)シリーズなどの日常の謎ミステリを中心に書いているとのこと。また、インターネット上で8編の長編と40余編の短編を発表しているそうです。 韓国ミステリ紹介 目次へ
https://w.atwiki.jp/gamemusicbest100/pages/10092.html
少女首領の推理領域 -黄金島の密約- 機種:NS,PS4,PC,iOS,And 作曲者:SAKUMAMATATA 開発元:オレンジ 発売元:オレンジ 発売年:2021 概要 『Gothic Murder -運命を変えるアドベンチャー-』に続いてオレンジが開発した女性向けミステリーアドベンチャー。 マフィアのボスである父を殺された主人公が、対抗勢力のマフィアからの協力を求めてその跡を継ぎ、事件の真相を追う物語が展開される。 音楽は国内で活動しているフリーの作曲家・SAKUMAMATA氏が担当している。 収録曲(サウンドテスト順) 曲名 作曲・編曲者 補足 順位 タイトル 追及 思考 緊迫 深刻 日常 調査 しとやか 疑惑 決意 探索 ミステリアス 会話 しとやかPiano エンディング 動画 PV
https://w.atwiki.jp/ez-appli/pages/10.html
あ行 音成刑事の捜査メモ か行 かまいたちの夜 さ行 新宿中央公園殺人事件 ひ行 ひぐらしのなく頃に や行 夜光虫
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/115.html
2011年11月9日 『韓国ミステリ史 第二章』では、1940年代から1960年代までを扱っている。 目次 金来成(キム・ネソン)簡略紹介 第二章 1940年代~1960年代: 金来成(キム・ネソン)後の忘れられた作家たち第一節 戦前~戦後の読書事情 第二節 日本や欧米の作品の翻訳・翻案(1)金来成による翻訳・翻案 (2)パン・イングン(方仁根)による翻案 (3)その他の翻訳・翻案 第三節 1940年代~1960年代の創作探偵小説(1)金来成が戦後に発表した探偵小説 (2)1960年代に活躍したホ・ムンニョン(許文寧) (3)1960年代の『週刊韓国』長編推理小説公募 (4)推理小説を積極的に執筆した文学作家のヒョン・ジェフン(玄在勲) 第四節 邦訳された1940年代~1960年代の韓国推理小説 参考文献 金来成(キム・ネソン)簡略紹介 韓国ミステリ史 特別編 - 金来成(キム・ネソン)(1909-1957)【1】 韓国ミステリ史 特別編 - 金来成(キム・ネソン)(1909-1957)【2】 以上の2つの記事を未読の方は、金来成についての以下の簡略紹介をご覧になってから第二章にお進みください。 金来成 (きん らいせい、キム・ネソン、1909-1957) 1909年、平壌(ピョンヤン)近郊に生まれる。平壌の学校で英語教師(後に翻訳家)の龍口直太郎(たつのくち なおたろう)の授業を受け、探偵小説の魅力を知る。21歳から26歳まで日本に留学。早稲田大学法学部独法科在学中の1935年、探偵雑誌『ぷろふいる』(1933-1937)に「楕円形の鏡」が掲載されデビュー。同年には、同誌の創刊二周年特別懸賞募集に投じた「探偵小説家の殺人」も入選し掲載された(ほかの同時入選作は、光石介太郎「空間心中の顚末」など)。日本語で発表した創作はほかに、雑誌『モダン日本』(1930-1951)の懸賞ショートストーリー募集に入選したユーモア掌編「綺譚・恋文往来」(こちらで全文公開している)がある。 『ぷろふいる』でのデビュー後は、探偵作家の光石介太郎が同誌デビューの作家に声をかけて結成したYDN(ヤンガー・ディテクティブ・ノーベリスト)ペンサークルの会合に出入りした。また、江戸川乱歩を師と仰いでおり、乱歩邸を訪れたことも二、三度あった。乱歩によれば、金来成は「非常な感激屋で、情熱家で、文学青年であった」(「内外近事一束」『宝石』1952年9・10月号)という。 金来成が日本で発表した2編の探偵小説は本格謎解きもので、中島河太郎も『ぷろふいる』から出た新人の中で金来成には特に注目していたようである(『日本推理小説史』第九章「ぷろふいる」五年史)。しかし、金来成はデビュー1年後の1936年春、早稲田大学を卒業すると朝鮮に戻る。以降は金来成は朝鮮語(韓国語)で作品を発表し続けたが、その作品は一作も邦訳されておらず、彼がどのような作品を書いていたのかは日本ではほとんど知られていない。 朝鮮に戻った金来成は、日本で発表した「探偵小説家の殺人」を翻訳改題した「仮想犯人」(1937)を皮切りに、「狂想詩人」(1937)、「復讐鬼」(1938)、「異端者の愛」(1939)、「屍琉璃(しかばねるり)」(1939)、「白蛇図(はくじゃず)」(1939)、「霧魔」(1939)(こちらで翻訳公開している)、「第一夕刊」(1940)、「秘密の扉」(1941)などの短編探偵小説(多くは変格物)や、ベストセラーとなった長編通俗探偵小説『魔人』(1939)、『台風』(1943)、さらには少年向けの探偵小説『白仮面』(1937-1938)、『黄金窟』(1937)などを発表。また同時期に、『赤毛のレドメイン家』の翻訳や、ホームズ物、ルパン物の翻案を行った。朝鮮半島に探偵小説を広めるため、まさに韓国の乱歩と言っていいほどの八面六臂の活躍をしたのである。 金来成の作家生活は約20年だったが、後半の10年は主に大衆文学を執筆しており、探偵小説の創作は少ない。戦後の探偵小説作品としては、日本語で執筆したまま未発表だった長編探偵小説『血柘榴』を原型とする『思想の薔薇』(1955)や「罰妻記(ばっさいき)」(1949)などのほか、『巌窟王』、『鉄仮面』、『ルルージュ事件』の翻案などがある。 金来成は朝鮮に戻ってからも乱歩に手紙を送っていた。それは戦争で一度途切れるが、1952年からは再び乱歩と文通を開始している。金来成は旧友と会うことや探偵作家クラブ(現・日本推理作家協会)の見学を望んでいたが当時の情勢では渡航は難しく、探偵作家クラブが韓国政府に金来成の来日を認めるよう手紙を送ったが、結局来日は実現しなかった。また、金来成は自作を翻訳して日本の探偵雑誌に掲載することを望んでいたが、これもどうやら叶わなかったようである。 金来成は1957年、脳溢血のため死去。人気作家として大衆文学のベストセラーを連発しているさなかのことだった。生誕100年となる2009年を迎えて以降、韓国では長編『魔人』の復刊や新編集の短編探偵小説集の刊行などがあり、金来成の探偵作家としての再評価が進んだが、日本ではほとんど知名度がないというのが現状である。 第二章 1940年代~1960年代: 金来成(キム・ネソン)後の忘れられた作家たち 第一節 戦前~戦後の読書事情 1952年に金来成(キム・ネソン)が江戸川乱歩に送った手紙で、韓国の当時の推理小説事情を知ることができる。おそらく、金来成が韓国(朝鮮)に帰った1930年代後半~1940年代初頭のころの状況を説明したものだと思われる。 江戸川乱歩(1952)「欧亜二題」 次に現代の朝鮮探偵小説については、金君は左のように書いている。 「結局一般読者が探偵小説を認識しはじめたのは、欧米からではなく、日本から輸入されたものにあったと思います。それには欧米のものの翻訳と創作とを含みますが、ポー、ルブラン、ドイル、ガボリオなどをはじめ、江戸川乱歩、森下雨村、水谷準、大下宇陀児、横溝正史、小酒井不木等の諸氏の作品が入って来ました。中にもルパン(ルブランではないのです)と、江戸川乱歩(明智小五郎ではないのです)と、ホームズ(ドイルではないのです)が大いに受けました。昔の黒岩涙香を知っていたのは私一人であったかも知れません」。 ポーやルブラン、ドイル、ガボリオなどは確かにこの時期にすでに韓国語に翻訳されていたようだが、引用中に名前が挙がっている日本の作家、江戸川乱歩、森下雨村、水谷準、大下宇陀児、横溝正史、小酒井不木らの作品が韓国語になっていたのかは分からない。1930年代以降、朝鮮半島では、日本の大衆雑誌『キング』(Wikipedia)や少年向け雑誌『少年倶楽部』(Wikipedia)などが日本語のままで若者の間で広く読まれていた(南富鎭「『キング』と朝鮮の作家」(2005))。おそらくは、日本の探偵作家の作品は翻訳されたのではなく、そのまま日本語で読まれていたのだろう。たとえば江戸川乱歩は、『キング』には『黄金仮面』(1930-1931)、『鬼』(1931-1932)、『妖虫』(1933-1934)、『大暗室』(1936-1938)を連載し、『少年倶楽部』には1936年から1940年にかけて少年探偵団シリーズを連載しているが、これらは日本のみならず朝鮮半島でも読まれていたことになる。【注1】 なお、金来成は1937年に少年向け探偵小説『白仮面』と『黄金窟』の連載を始めている。金来成にこのような少年向け探偵小説の依頼が来たのは、あるいは江戸川乱歩の少年探偵団シリーズの人気を受けてだったのかもしれない。また、江戸川乱歩が少年探偵団シリーズ第二作『少年探偵団』を『少年倶楽部』に連載したのは1937年だが、翌1938年には韓国を代表する文学作家のパク・テウォン(朴泰遠)(박태원)(1910-1986)(Wikipedia)が、少年向け探偵小説『少年探偵団』(소년탐정단)を雑誌『少年』に連載している。 戦後の韓国では正式なルートで日本の本や雑誌が入ってくることはなかったようだが、闇で入ることがあり、金来成は1946年に創刊された日本の推理雑誌『宝石』などを韓国で読んでいた(江戸川乱歩「内外近事一束」(1952))。 南富鎭(なん ぶじん)氏は戦後の韓国の読書環境について以下のように書いている。 南富鎭(2011)「松本清張の朝鮮と韓国における受容」 松本清張文学の韓国での受容を論じる際に不可欠な要素になるのが翻訳の問題である。しかし、日韓においてはこれ以外の大きな問題がある。植民地期の日本語教育、あるいは自発的な日本語の習得から、翻訳を通さずに原文をそのまま読める層が幅広く存在しているからである。【中略】松本清張が活躍しはじめる一九五〇年代、あるいは一九六〇年代には、日本とほぼ同時で清張の作品に接した日本語読者層が韓国にかなり存在していたと言える。翻訳の必要性はなく、日本語のほうがかえって理解しやすいという読者層である。当時の読者層を支えた知識人層が一般的にそうであったと思われる。後にハングル世代が増えていくに従って、また彼らが読者層の主流を占めることになるに従って翻訳の必要性が生じてくる。 また、韓国推理作家協会のチョン・テウォン氏は1950年代の韓国について、日本語からの重訳でルパンやホームズ、ポーが訳されたと紹介した後で以下のように書いている。 鄭泰原(チョン・テウォン)(2000)「韓国ミステリ事情」 日本の推理小説自体は反日感情があり、ほとんど出版されることはなかった。かろうじて韓国作家による翻案という形で出版されていただけだった。 少なくとも1950年代までは、以上のような要因から、日本の推理小説の翻訳は韓国では出版されなかったようである。韓国の作家による日本の探偵小説の翻案にどのようなものがあったのか気になるが、それについての資料は見つけられなかった。 注1:少なくとも雑誌『キング』は台湾でも読まれていたようである。中島利郎「日本統治期台湾の「大衆文学」」(2002)参照。 第二節 日本や欧米の作品の翻訳・翻案 (1)金来成による翻訳・翻案 1935年に日本の探偵雑誌『ぷろふいる』でデビューした金来成(きん らいせい/キム・ネソン、1909-1957)は、1936年に韓国(朝鮮)に戻ってから探偵作家・大衆小説作家として活躍した。金来成は戦後になると一般向けの創作探偵小説はほとんど発表しなかったが、少年向け探偵小説や翻案探偵小説は発表した。 金来成についての記事と重複するが、金来成による翻訳・翻案小説のリストを掲げておく。 金来成が翻訳・翻案した作品(韓国での単行本刊行順) 【韓国の国文学研究者パク・チニョン(박진영)氏のブログ記事「金来成略年譜(간추린 김내성 연보)」および「金来成著書目録(김내성 작품집 목록)」を参考にしている。この2つはパク・チニョン氏の研究の成果であり、2009年に韓国で刊行された金来成の翻案小説『真珠塔』(パク・チニョン編)に付録として掲載された】 年 著者 一般的な邦題 韓国語タイトル 1940年 イーデン・フィルポッツ(英) 『赤毛のレドメイン家』 『赤毛のレドメイン一家』(홍두 레드메인 일가) 翻訳 1947年 アレクサンドル・デュマ(仏) 『巌窟王(モンテクリスト伯)』 『真珠塔』(진주탑) 翻案 1947年 コナン・ドイル(英) (ホームズ物5編) 『深夜の恐怖』(심야의 공포) ※短編集 翻案・翻訳 1948年 モーリス・ルブラン(仏) 『奇巌城』 『宝窟王』(보굴왕) 翻案 1948年 エミール・ガボリオ(仏) 『ルルージュ事件』 『魔心仏心』(마심 불심) 翻案 1949年 フォルチュネ・デュ・ボアゴベ(仏) 『鉄仮面』 『秘密の仮面』(비밀의 가면)【少年向け】 翻案 1954年 ジョンストン・マッカレー(米) 『黒星(くろぼし)』 『黒い星』(검은 별)【少年向け】 翻訳? 『真珠塔』はラジオドラマの脚本として書かれたもので、放送翌年の1947年に単行本化された。これは『モンテクリスト伯』の翻案作品であるが、おそらく『モンテクリスト伯』(1844)を翻案した黒岩涙香の『巌窟王』(1901)を再翻案したイ・サンヒョプ『海王星』(1916)をさらに翻案したものだと思われる。この『真珠塔』は大ヒットし、のちに漫画化されたりテレビドラマ化されたりもしている。2009年には約50年ぶりに再刊された(『真珠塔』2009年版)。 金来成の訳業についての詳細は、「韓国ミステリ史 特別編 - 金来成 第一章 第三節 (2)翻訳・翻案」を参照のこと。 (2)パン・イングン(方仁根)による翻案 パン・イングン(方仁根)(방인근)(1899-1975)は戦前から恋愛小説などで有名だった文学作家。日本の中央大学卒業。戦前には探偵小説に近い長編小説『魔都の香火』(1934)を発表しているほか(韓丘庸「翻訳時評 「韓国ミステリー」の課題と展望(1)」参照)、ルブランの『813』等の探偵小説の翻訳もしていた。 1940年代後半から1960年代半ばまで、チャン・ビホ(張飛虎)(장비호)探偵シリーズを断続的に発表した。これは李建志氏によれば、「実はコナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」を翻案したもので、残念ながら独自の作品とはいいがたい」という(李建志2006)。パン・イングンは戦後も多数の作品を発表しているが、すべての作品がホームズ物などの翻案だったのか、それとも創作も含まれていたのかは分からない。 韓国国立中央図書館の蔵書探偵小説『復讐』(복수)(1948) 探偵小説『放火殺人事件』(방화살인사건)(1949) 探偵小説『悪魔』(악마)(1949) etc... (3)その他の翻訳・翻案 1950年代半ばから人気を集めた大衆雑誌には創作推理小説だけでなく翻訳の推理小説も多く掲載された。 南富鎭(なん ぶじん)氏の調査によれば、松本清張作品の最初の韓国語訳は1961年の『点と線』と『ゼロの焦点』である【注2】。また、韓国推理作家協会のチョン・テウォン氏によれば、それと同時期から佐野洋、黒岩重吾、水上勉、南條範夫、西村京太郎、多岐川恭らの短編が紹介されるようになった。(日本と韓国の国交回復は1965年) 欧米の推理小説の翻訳では、1962年にルパン全集、世界名作推理文学全集(全10巻)、世界推理傑作選(全6巻)など全集の刊行が相次いだ。また、1960年代には映画とともに007シリーズが高い人気を得ていたという。 注2:松本清張の作品は1961年から次々と翻訳されたが、「無節操に重複翻訳され、時には翻案され、しかも題目も原題を大きく変えられている作品が多いため、清張の原作と翻訳作品の対応関係はいまだに明らかにされていない」(南富鎭2011)という。清張作品は2012年1月から30作品ほどが韓国語訳されることが決まっている(参照:「日本‘社会派推理小説’元祖作品 異例的にコンソーシアム通じ翻訳出版」)。 第三節 1940年代~1960年代の創作探偵小説 (1)金来成が戦後に発表した探偵小説 金来成(キム・ネソン)は戦後には、探偵小説の短編集『狂想詩人』(1947)(のちに『怪奇の画帖』に改題)、『秘密の扉』(1949)(乱歩の蔵書にあり)などを刊行し、短編「罰妻記(ばっさいき)」(1949)などを発表してはいるが、1949年に連載を始めた『青春劇場』を機に大衆文学作家へと転身し、以降は少年向け探偵小説(翻案含む)は発表したが、一般向けの新作探偵小説は発表しなかった。 1954年には、1936年に日本語で執筆した長編探偵小説『血柘榴』を『思想の薔薇』として連載開始。1955年に上巻、1956年に下巻を刊行した。この作品は金来成が最初に書きあげた長編探偵小説であり、また最後に発表した探偵小説となった。戦後、少年向け探偵小説としては、『夢見る海』(꿈꾸는 바다)、『黄金蝙蝠』(황금 박쥐)、『二重の虹がかかる丘』(쌍무지개 뜨는 언덕)、『おばけ敢闘』(도깨비감투)などを発表している。 (2)1960年代に活躍したホ・ムンニョン(許文寧) 活動期間は短かったものの、この時期に推理小説専門作家として活躍した作家にホ・ムンニョンがいる。 ホ・ムンニョン(許文寧)(허문녕 or 허문영)は1960年代に登場【注3】。ホ・ムンスン(허문순)、ソンゴル(성걸)などの筆名も使った。金来成と日本の推理小説の影響を受けている(パク・クァンギュ2008)。1963年より短編シリーズ「暗行御史(アメンオサ)朴文秀(パク・ムンス)」(암행어사 박문수)を連載【注4】。ほかにも歴史ミステリやエロティックハードボイルド、サスペンスなど様々なミステリ作品を発表した。短い期間で長短編合わせて約200編を発表したが現在では忘れられた作家になっており、新刊書店ではホ・ムンニョンの作品を見つけることはできない。 韓国国立中央図書館の蔵書1961年:『白雪領』(백설령) - 時代探偵小説 1964年:『明洞夫人』(명동부인) 1965年:『稲妻二丁拳銃』(번개 쌍권총、번개 雙拳銃) - エロティックハードボイルド、稲妻シリーズ 1966年:몽당비 마귀(몽당비 魔鬼) - 稲妻シリーズ 1965年:『君を狙う』(너를 노린다) - サスペンス小説 1965年:『魔の女体』(마의 여체、魔의 女體) 1965年:『黒い禿鷲』(검은 독수리) etc... 韓国国立中央図書館の蔵書を検索すると、石坂洋次郎『雨の中に消えて』の翻訳『비속으로 사라지다』(1964)の訳者が「許文寧」となっているが、推理作家のホ・ムンニョンと同一人物かは分からない。 注3:「許文寧」という名前は「ホ・ムニョン」と発音される場合もある。ここでは仮に「ホ・ムンニョン」としておく。 注4:パク・ムンス(朴文秀/박문수、1691-1756)は暗行御史(アメンオサ/암행어사)という役職に就いていた実在の人物である。日本でいえば、名裁判官として知られる大岡忠相に相当するような人物である。パク・ムンスを主人公にしたファンタジー漫画『新暗行御史』(しん あんぎょうおんし、全17巻)が小学館の漫画雑誌に2001年から2007年まで連載されていたので、名前を聞いたことがある人もいるだろう。パク・ムンスを主人公とする物語は文献として伝わるものだけでなく、口承伝承としても韓国全土に分布している。 (3)1960年代の『週刊韓国』長編推理小説公募 【2012年6月11日、加筆修正】 ホ・ムンニョンが作品を発表していたのと同じ時期の1965年、韓国日報社の雑誌『週刊韓国』(주간한국)で第1回長編推理小説公募が行われている。この時の当選作はムン・ユンソン(文允成)(문윤성)(1916-2000)の『完全社会』(완전사회)。ただ、これは純然たるSF小説で、韓国SF史上初の長編SFとされる記念碑的な作品でもある。東亜日報2007年4月13日付の記事「SF小説は未来社会の問題を解くカギ - 韓国SF小説100年」(リンク先韓国語)によると、この作品はコールドスリープで眠りについた男性主人公が100年後の女性しかいない時代に目覚めて苦しむというストーリーで、「単性」社会の問題点を指摘するものだという。同記事で書影も見られる。この作品は1985年に『女人共和国』(여인 공화국)というタイトルで再刊されている。 1968年にはキム・ハビン(金瑕彬)(김하빈)の『君とその人が痛みをともにするとき』(너와 그가 아픔을 같이 했을 때)が入選している。キム・ハビンは雑誌『少年中央』(소년 중앙)1977年1月号に連載第1回が載ったA・A・ミルンの『赤い館の秘密』(붉은 벽돌 집의 비밀)の翻訳などをしているが、詳しいことは分からない。 『週刊韓国』の推理小説公募がいつごろまで実施されていたのかは分からない。 (4)推理小説を積極的に執筆した文学作家のヒョン・ジェフン(玄在勲) 純文学作家としてデビューしたものの、早くから推理小説も積極的に執筆した作家にヒョン・ジェフン(玄在勲)(현재훈)(1933-1991)がいる。1957年、高麗大学哲学科を卒業。1959年、『思想界』新人賞で短編「憤怒」が入選しデビュー。推理小説の手法を用いることで主題の重さを強化した。1958年には『夜』。1977年、世界の推理小説を集めた叢書《河西推理選書》(全36巻)が韓国で刊行された際には、韓国の作家でただ一人収録作家に選ばれ、『熱い氷河』、『流れる標的』が収録された。《河西推理選書》には、日本の推理作家の作品では、江戸川乱歩『孤島の鬼』『陰獣』、横溝正史『本陣殺人事件』、松本清張『ゼロの焦点』『点と線』『砂の器』、森村誠一『高層の死角』『人間の証明』『野性の証明』が収録されている(→ラインナップ)。 1985年には推理小説の短編集『絶壁』で韓国推理作家協会主催の韓国推理文学賞(後述)の第1回大賞受賞者となった。この短編集は主に1970年代後半から1980年代初めまでの作品を集めたもので、12編収録。松本清張などの日本の社会派の影響が見て取れるという。(韓国推理作家協会のソン・ソニョン氏による「ヒョン・ジェフン紹介記事」(2009年4月18日)参照) ハン・サンジン氏によるヒョン・ジェフン『絶壁』のレビュー(ブログ「極限推理 hansang's world」、2009年9月11日) ほかにも、純文学作家が散発的に推理小説を執筆することがあった。クァク・ハクソン(郭鶴松)(곽학송)の「白色の恐怖」(백색의 공포)(1963)、チョ・プンヨン(趙豐衍)(조풍연)の『深淵のアンテナ』(심연의 안테나)(1966)、ソン・サンオク(宋相玉)(송상옥)の『死後に話す女』(죽어서 말하는 여자)(『幻想殺人』(환상살인)に改題)(1971)などがある。 第四節 邦訳された1940年代~1960年代の韓国推理小説 この章で名前を挙げたパン・イングン(方仁根)(1899-1975)、ホ・ムンニョン(許文寧)、ヒョン・ジェフン(玄在勲)(1933-1991)は韓国でも現在では忘れ去られた作家であり、彼らの推理小説を韓国の新刊書店で手に入れることはできない。この時期の韓国の推理小説で日本語に翻訳されたものは見当たらない。 韓国ミステリ史に組み込むのは無理があるが、この時期には日本とソビエト連邦で、朝鮮半島に出自を持つ小説家が推理小説を発表していた。野口赫宙(かくちゅう)とロマン・キムである。 野口赫宙(1905-1997)は当初のペンネームは張赫宙(ちょう かくちゅう/チャン・ヒョクチュ/장혁주)。1932年に張赫宙というペンネームで文学作家としてデビューし、1950年代から野口赫宙というペンネームを使用した。1950年代末から1960年代初めにかけて『宝石』や『探偵実話』で推理小説を発表。推理小説の単行本は『湖上の不死鳥』(東都書房、1962年)のみである。 ロマン・キム(1899-1967)は朝鮮名は金夔龍(きん きりゅう/キム・ギリョン/김기룡)。両親とも朝鮮人だがソ連で生まれ、1950年代から1960年代にかけてソ連でロシア語でスパイ小説を発表した。邦訳に『切腹した参謀たちは生きている』(長谷川蟻訳、晩聲社、1976年12月)がある。 ロマン・キムの生涯については、「ソ連/ロシア推理小説翻訳史/ロマン・キム」を参照のこと。 参考文献 韓国ミステリ史 参考文献 (新しいウィンドウで開きます) 『韓国ミステリ史 第一章』(20世紀初頭~1930年代) 『韓国ミステリ史 特別編 - 金来成(キム・ネソン)(1909-1957)【1】』 『韓国ミステリ史 特別編 - 金来成(キム・ネソン)(1909-1957)【2】』 『韓国ミステリ史 第二章』(1940年代~1960年代) ←今見ているページ 『韓国ミステリ史 第三章』(1970年代) 『韓国ミステリ史 第四章』(1980年代~20世紀末) 『韓国ミステリ史 第五章』(1990年代末~21世紀初頭)(未公開) 『読書案内』
https://w.atwiki.jp/shinmanga/pages/383.html
【スパイラル ~推理の絆~】 鳴海歩(12話) 話数 タイトル 作者 010 Twin Sword ◆9L.gxDzakI 038 電波は電波にのって ◆lDtTkFh3nc 057 夜間潜行 ◆L62I.UGyuw 068 指し手二人 ◆UjRqenNurc 077 銀の意志Ⅰ銀の意志Ⅱ銀の意志Ⅲ銀の意志Ⅳ ◆JvezCBil8U 091 盤上の駒 ◆9L.gxDzakI 107 Eingeweide Schwert Gelegenheit (前編)Eingeweide Schwert Gelegenheit (後編) ◆JvezCBil8U 113 未来視たちのアンガージュマン未来視たちのアンガージュマン(状態表) ◆L62I.UGyuw 122 この世の果てで恋を唄う少女YU-NO(上)この世の果てで恋を唄う少女YU-NO(中)この世の果てで恋を唄う少女YU-NO(下) ◆JvezCBil8U 137 Bottom of the dark ◆23F1kX/vqc 152 雪が降る ◆L62I.UGyuw 170 消灯ですよギャシュリークラムのちびっ子たちこの病は死に至らず ◆JvezCBil8U 結崎ひよの(12話) 話数 タイトル 作者 020 それでもなお、あきらめを踏破するのなら ◆lDtTkFh3nc 044 地獄とは神の在らざることなり(前編)地獄とは神の在らざることなり(中編)地獄とは神の在らざることなり(後編) ◆JvezCBil8U 073 情報遊戯 ◆L62I.UGyuw 093 パロロワ版スパイラル~ひよのの電脳開拓史~ ◆9L.gxDzakI 114 白壁の緑の扉 ◆L62I.UGyuw 124 扉の向こうへ ◆Yue55yrOlY 127 PP -ピアニッシモ- 操リ人形ノ輪舞(前編)PP -ピアニッシモ- 操リ人形ノ輪舞(後編)PP -ピアニッシモ- 操リ人形ノ輪舞(CONDUCTOR) ◆JvezCBil8U 139 ガラクタの魂を鳴らす者(上)ガラクタの魂を鳴らす者(中)ガラクタの魂を鳴らす者(下) ◆RLphhZZi3Y 149 お約束の大切さは一度なくなってみないとよくわからないお約束の大切さは一度なくなってみないとよくわからない(状態表) ◆Yue55yrOlY 159 キャラクターはセリフだけで見分けがつくように書き分けよう ◆L62I.UGyuw 163 明日の朝日がないじゃなし ◆RLphhZZi3Y 172 己が選択に悩んだ軌条の上不可逆の螺旋軌道 ◆L62I.UGyuw 竹内理緒(5話) 話数 タイトル 作者 019 殺伐フレンズ ◆L3YPXWAaWU 053 それは小さな小さな『棘』 ◆Fy3pQ9dH66 083 繰り世界のエトランジェ ◆JvezCBil8U 094 運命の螺旋乗り越えて(前編)運命の螺旋乗り越えて(後編) ◆UjRqenNurc 097 Spiral of Fortune ~ Reverse Position ~ ◆L62I.UGyuw 浅月香介(6話) 話数 タイトル 作者 031 たった2つの冴えないやりかた ◆H4jd5a/JUc 048 ぶっちゃけありえない ◆9L.gxDzakI 072 そして俺達にできること ◆28/Oz5n03M 076 学校へ行こう ◆8dU0BT3JbM 095 浅月香介は二度死ぬ ◆lDtTkFh3nc 101 ちだまりスケッチ ~酒池肉林編~ ◆yuVy4gPLQo 高町亮子(7話) 話数 タイトル 作者 021 その口はあまたの灯 ◆9L.gxDzakI 033 Overture ~序曲~ ◆T0ldTcn6/s 051 殷の太師 ◆UjRqenNurc 065 贖罪のラプソディー原罪のレクイエム原罪のレクイエム(後編)追憶のノクターン ◆JvezCBil8U 094 運命の螺旋乗り越えて(前編)運命の螺旋乗り越えて(後編) ◆UjRqenNurc 097 Spiral of Fortune ~ Reverse Position ~ ◆L62I.UGyuw 101 ちだまりスケッチ ~酒池肉林編~ ◆yuVy4gPLQo カノン・ヒルベルト(9話) 話数 タイトル 作者 028 真夜中のティータイム ◆LQx8BgACjE 042 Destiny/Justice ◆H4jd5a/JUc 067 電気羊の夢 ◆JvezCBil8U 090 マリオネットラプソディー ◆28/Oz5n03M 102 Should Deny The Divine Destiny of The DestiniesThe Destinies mend rifts in time as Man etches fate anew ◆JvezCBil8U 125 「あの未来に続く為」だけ、の戦いだった ◆L62I.UGyuw 135 To be, or not to be that is the question ◆JvezCBil8U 152 雪が降る ◆L62I.UGyuw 170 消灯ですよギャシュリークラムのちびっ子たちこの病は死に至らず ◆JvezCBil8U
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/2003.html
このページではPS3用ソフト『うみねこのなく頃に ~魔女と推理の輪舞曲~』『うみねこのなく頃に散 ~真実と幻想の夜想曲~』と、移植版であるPSP用ソフト『うみねこのなく頃に Portable 1 / 2』を紹介しています。 うみねこのなく頃に ~魔女と推理の輪舞曲~ うみねこのなく頃に散 ~真実と幻想の夜想曲~ 概要 特徴・評価点 問題点(システム) 問題点(ストーリー) 総評 うみねこのなく頃に Portable 1 うみねこのなく頃に Portable 2 概要(Portable) その後の展開 うみねこのなく頃に ~魔女と推理の輪舞曲~ うみねこのなく頃に散 ~真実と幻想の夜想曲~ 【うみねこのなくころに まじょとすいりのろんど / しんじつとげんそうのやそうきょく】 ジャンル アドベンチャー 対応機種 プレイステーション3 販売・開発元 アルケミスト 発売元 加賀クリエイト 発売日 魔女と推理の輪舞曲 2010年12月16日真実と幻想の夜想曲 2011年12月15日 価格 各7,980円(税抜) レーティング CERO D(17才以上対象) 判定 なし ポイント 原作を声優付きで完全移植 演出強化ただし追加要素はほとんど無し なく頃にシリーズ 概要 同人ゲーム『ひぐらしのなく頃に』でゲーム界に衝撃を与えた竜騎士07のシリーズ第2弾『うみねこのなく頃に』のコンシューマ移植版。 『魔女と推理の輪舞曲』は原作のEpisode1から4、『真実と幻想の夜想曲』はEpisode5から8を収録している。 移植にあたり立ち絵及び背景画像の一新やイベントスチルの挿入、前年に放送されていたアニメ版の声優(*1)を起用したフルボイス化が行われている。 内容は、大富豪・右代宮家が所有する孤島「六軒島」に集まった人間たちを襲う恐怖の連続殺人事件が、人間の手によるものか、それとも魔女が魔法で起こしたものかを、神の視点から考察するものとなっている。 + 主要登場人物・軽度のネタバレを含むため注意 右代宮 戦人(うしろみや ばとら) 本作の主な主人公。右代宮家当主・右代宮金蔵の孫の1人であり、父の再婚に反発して家を出ていたが、6年ぶりに六軒島での親族会議に参加することとなる。本作の物語の前半は、六軒島で起こる様々なパターンの事件を「ゲーム」として俯瞰する不思議な世界に「プレイヤー」として招かれた戦人が、「ゲームマスター」として「全ての惨劇は魔女の仕業」と嘯くベアトリーチェに抗う様子を描いている。 ベアトリーチェ 六軒島のどこかに住まうと実しやかに語られる「黄金の魔女」で、金蔵にとって最愛の人物とされ、金蔵の子たちは金蔵に莫大な金を与えた愛人を「魔女」と呼んだのだろうと解釈している。戦人が「プレイヤー」として招かれた世界(通称:上位世界)では堂々と姿を現し、「全ては魔女の仕業」と主張し戦人に対決を挑む。 ラムダデルタ 上位世界で戦人の前に姿を現す「絶対の魔女」で、その姿は『ひぐらしのなく頃に』に登場するとある人物の幼少期に瓜二つ。 ベルンカステル ラムダデルタと愛憎入り乱れた関係にある「奇跡の魔女」で、その姿はやはり『ひぐらしのなく頃に』に登場するとある人物に瓜二つ。 特徴・評価点 全体的なプレイの快適化 原作ではシーンのスキップや巻き戻しができなかったが(*2)、本作ではボタン一つでシーンをスキップできる他、バックログから好きな場所を指定してジャンプすることができるようになっている。 原作ではセーブすることで好きな場所から物語を始められるようになっていたが、その代わりとしてブックマーク機能が搭載されている。 また、既読であればバックログに現在位置より先のシーンも表示されるため、未来に飛ぶことも可能。好きな場所から物語を読み返すことができる。 また、原作ではスキップ不可能だったエンドロールがスキップ可能になっている。 立ち絵の一新 原作は絵柄の癖がかなり強く人を選ぶが、本作ではある程度、万人受けするものとなっている。 2人いる原画担当のうち1人は原作でも作中に登場する肖像画の作画を担当していた江草天仁であり、原作の雰囲気もある程度残されているため、原作ファンからも概ね受け入れられた。 特に『散』から登場するキャラクターの一部は原作の立ち絵を強く意識した作画となっており、違和感が少なくなっている。 「原作の立ち絵の方が表情が豊かでいい」「なんだか綺麗になり過ぎていて違和感がある」などの意見ももちろんあるが、これは個人の好みの問題になるだろう。 原作では表情差分の多さで多彩な表現を可能にしていたが、本作では表情差分の数こそ原作には及ばないものの、ポーズ差分を増やすことで表現の幅を広げている。 アニメ版の声優陣による熱演 アニメ版は原作のEP4までしか放送されておらず、EP5以降を声優による演技で楽しめる。 登場人物の台詞だけではなく、要所要所でモノローグなどにもボイスが付加されている。 特に「六軒島に住まう魔女」として語られる女性・ベアトリーチェを演じる大原さやか氏は、作中に数多く登場する「『ベアトリーチェ』に関係する女性たち」をほぼ1人で演じており、1人7役を担当している。 残虐さと無邪気さを併せ持った魔女、まだ魔女になる前の無垢な少女、緊張を強いられる環境でも明るく振る舞う健気な女性、自らの存在意義に思い悩む女性など、それぞれのキャラクターがきっちりと演じ分けられており、ファンからも評価は高い。 演出の大幅強化 舞い飛ぶ黄金蝶のエフェクトや赤き刃などの魔法描写における演出を中心に、原作の画像を参考にした動画への差し替えが行われている。 特に、EP3における魔法大戦やEP8におけるラムダデルタとベルンカステルの魔法は、大幅に動きが追加され非常に迫力あるものになっている。 原作を忠実に移植している点 やむなく表現が差し替えられたり削られた部分(*3)や、小説版における加筆修正が反映された部分はあるが、基本的に原作の文章を忠実に移植している。 BGMも、CS版OP曲が追加された以外は原作と同じものが使用されている(*4)。 『ひぐらしのなく頃に』の移植作である『ひぐらしのなく頃に祭』では、一本道のサウンドノベルである『ひぐらし』にゲーム性を持たせようと前半エピソードを共通パートから選択肢で分岐する方式へ変更した結果、描写が矛盾だらけになるなどして原作ファンから批判される結果となった。 さらに、権利関係などの問題があったかもしれないとはいえ、原作のBGMを使わなかった点も大きな不満点として挙げられることが多く、その点では、今回は『祭』における反省を上手く活かしていると言える。 『散』では各EPのOPムービーとして、原作のOPムービーをコンシューマ版の立ち絵及び背景画像を使って再現したものが使用されている。 ほぼ唯一のコンシューマオリジナル要素は、新規デザインされた魔女エンジェ・ベアトリーチェ。 原作におけるエンジェ・ベアトリーチェは元となった右代宮縁寿と同じ姿だったが、今作ではコンシューマオリジナルの魔女衣装を着用している。 デザインにはエヴァ・ベアトリーチェの衣装や喪服の要素が取り入れられており、竜騎士07氏がデザインした他の魔女たちと比べても違和感の少ない仕上がりとなっている。 問題点(システム) ボイスの質 折角のフルボイス化なのだが、台詞が終わった後の残響が消える前に次の台詞が入るなど、音声の繋ぎ目が不自然でぶつ切りに聞こえてしまう部分がある。 特にオートモードでは音声再生のタイミングが速すぎる部分が多々あり、この点は『ひぐらし』のコンシューマ移植の際にも意見が出ていたのだが、あまり改善されていない。 膨大な台詞の1つ1つに対して再生タイミングを調整するのは現実的ではないため、ある程度は仕方ない部分もあるのだが。 追加エピソードは未収録 『ひぐらし』のコンシューマ移植シリーズ(『祭』及び『ひぐらしのなく頃に 絆』)とは異なり、本作には追加エピソードが無い。 原作の頒布の際に会場購入特典として竜騎士07執筆の短編などを掲載した小冊子が配られ、後に大部分が本編と同じゲーム(*5)として纏められたのだが、そうした短編の類もコンシューマ版には一切収録されていない。 小冊子の内容には本編の謎に対するヒントと取れる描写を含んだものもあり(*6)、コンシューマ化されればフルボイス化やイベントスチルの挿入といった追加要素も望めるため、コンシューマ化を望む声も少なくない。 ただし、『ひぐらし』移植作での追加エピソードは竜騎士07本人が直接執筆していないことなどが原因で非常に賛否が大きく、追加エピソードがないことを好意的に受け止めるユーザーも少なくないことも述べておく。 フルボイス化に伴う演出の変更 音声が追加されたため、エンドロールに突入する直前の台詞が長い場合はボイス再生に掛かる時間とED曲の長さを考慮し、エンドロールを先に流して曲が終わった後に台詞が流れるようになっている。 この演出変更により、本来はED曲をバックに表示されていた台詞の一部(*7)がBGMなしの状態で流れることとなるため、テンポが原作と変わったことに対する不満の声も上がった(*8)。 問題点(ストーリー) 本作の原作となる『うみねこのなく頃に』は、シナリオの流れについて批判的な声も多く、賛否両論の傾向が強い作品である。 上述の通り本作は細部の変更はあれど原作の忠実な移植と呼べるものであるため、そういったシナリオ面での問題点もそのまま引き継いでいる。 + (以下、ストーリーの核心的なネタバレ。未プレイの方は見ないことを推奨します。) 「推理ゲーム」概念からの逸脱 本作のシナリオは基本的に、出題者(多くの場合はベアトリーチェ)が六軒島を舞台に作成した「事件」を、回答者(多くの場合は戦人か縁寿)が謎を解くという形で破る、という形式で行われるメタ構造的な推理バトルであり、一般的な推理ゲームとは一線を画している。 本作に前後して清涼院流水や綾辻行人など、「推理小説」という概念の枠組みを超越した作品を発表する作家たちが生まれたが、本作もその流れと考えて良いだろう。 しかしそれ故にあまりにも人を選ぶ作品となっている。推理作品に無くてはならないとされる「探偵」も「謎」も不明瞭な本作は、そもそも「推理ゲーム」と呼んで良いのかすら疑問なのだが、にもかかわらず本作は「本格推理もの」であることを宣伝しているため、ユーザーにしてみれば「騙された」という感じを抱く。 一部の荒唐無稽なトリック 本作では無数の密室やトリックが発生し、それを回答者が「現実的な方法(*9)で」回答していくのだが、その解き方が相手の言葉尻を捉えた屁理屈や机上の空論に満ちており、真面目に考えたプレイヤーが馬鹿を見る結果になってしまっている。 「『絶対に真実だと保障されている』物事は『赤い文字』で表示する」というシステムを使い、「『赤い文字』の内容に反さない回答を(時には屁理屈を使って)ひねり出す」という内容はどちらかと言うと論理パズルに近い。 このゲームの話題で最も取り上げられる事例が、「四方を壁に囲まれた密室殺人」の例。回答者の答えは「出題者は死体の状況や死因、壁面や窓・扉の状態について『赤い文字』で詳細に語った一方、天井については『赤い文字』での言及を避けた。従ってこの部屋に天井はなく、犯人は天井から出て行った」というもの。 もっとも、この出題は「2人の人間が、それぞれが考えた『密室殺人』をぶつけ合い対決する」という流れで行われたもので、「『六軒島』と『右代宮家』を巡る物語」として語られるメインの謎とは無関係。 人間関係や動機といったものが一切排除された、いわば推理クイズに近いものであるが、いくらおまけの推理クイズとはいえ真面目に考えた結果の解答がこれでは、脱力感すら覚える人がいることも致し方ない。 ゲームボリュームが大きすぎる 一般的にはゲームに於けるボリュームはあればあるだけ良いとされるが、本作はADVであるのに加え推理ゲームということで少々事情が変わってくる。 つまり、あまりにもボリュームがあり、多数の事件が発生するため、プレイしているうちにどれがどのEPの何夜目の事件だったのか、整理と理解が追い付かなくなってくるのである。 これに関してはプレイヤーごとの理解力の差も関係しているが、劇中で発生する事件の登場人物が全て同じであること、そしてトリックがその場で解決されず、後のEPで解説されるような構造が多いことなど、ゲーム側が理解をややこしくしている部分もある。 本作の移植元の同人ゲームは、8月・12月のコミックマーケットに合わせて8回に分けて販売されたため、同人で発売された当時はEPごとにじっくりと考察する時間が与えられていたのだが、本作のようにいくつかのEPをまとめてプレイすると確実に訳が分からなくなる。 この膨れ上がったボリュームは、プレイ感覚の冗長さにも繋がっている。 「ノックスの十戒」「ヴァンダイン二十則」の多用 推理小説に詳しくない方に説明すると、これらは「推理小説でやってはいけない展開」や「望ましくないトリック・顛末」を述べた、推理作家向けの一連の法則のこと。詳細はこちら。本作の舌戦ではこれらの法則が「ノックスの十戒に違反しているからその理屈は通らない」という風に多用される。 しかしこの規律が提唱されたのは90年近く前であり、現代ではこの法則を守っておらずとも優れた作品は多数存在している。また、この法則には一部内容が不適当な記述も存在し(*10)、そもそもこれを提唱したノックス自身、この法則を守っていない。 つまり、この法則に信憑性はほとんど存在しないというのが推理小説界の常識なのだが、本作ではこれを真に受けてしまっているため、「何を今更」感がかなり強い。 ちなみに、『うみねこ』という作品を推理作品として見た場合、当然「ノックスの十戒」を守ってはいない。 ただし、作中で「『十戒』を破った作品を異端と批判する原理主義者がいる」「本来、『十戒』とは思考を助ける杖のようなもの」と語られている。 本作での「十戒」や「二十則」はどちらかと言えば「あまりに際限のなさ過ぎる屁理屈合戦に一定の縛りをかけるための舞台装置」としての役割が強い。前述した荒唐無稽なトリックを見る限り、すでに屁理屈合戦になってしまっているような気もするが…。 プレイヤーに解かせる気が無い「ベアトリーチェの碑文」の存在 本作のキーアイテムとして「ベアトリーチェの肖像画の下に設置された碑文」というものがある。 これは右代宮家現当主・右代宮金蔵が「この碑文を解いた者に右代宮の家督と10tの黄金を与える」と宣言したもので、それぞれ金策に困っている登場人物たちはこの碑文を巡り骨肉の争いを繰り広げることになる。 当然プレイヤーもこの謎の碑文について思考するのだが、実はこの碑文は碑文の文面だけからでは絶対に解けないようになっており、完全に解読できるのは実際の六軒島を調べられる人間(≒右代宮家の人間)のみ。 つまり、現実世界にいるプレイヤーにはどうあがいても完全解読は不可能であり、作中でいくつか提示された情報から推測を重ねることで8割程度解読するのが限界である。 設定からして右代宮家の人間とその関係者を対象とした謎かけであることは明白とはいえ、暗号文としてはアンフェア感が否めない。 まずこの謎を解くためには、よほど台湾の地理に精通した人間でない限り「台湾の地図」が必要。つまり資料もしくはネット環境が必須。 ただし、EP3で登場人物の1人が碑文を解くシーンでは書斎に入って本を探しているため、「地図が必要、つまり地名に関係した謎なのでは」という推測も多かった。 ちなみに、ネット上では前半部分の謎解きにほぼ成功していた人物がいたが、その人物は台湾への留学経験があった。 碑文の一行目、「懐かしき故郷」という語が金蔵の故郷「台湾」を意味するという話が語られるのは終盤のEP7。 これ以前の時点では、「金蔵の『故郷』が日本国外であることを匂わせるシーン(EP3)」や「金蔵はビンロウ(*11)を好んでいた(EP5)」という話があるのみであり、ここから「金蔵の『故郷』は日本ではなく台湾である」とまで推測するのは難しい。 碑文の四行目から後は、実は「礼拝堂に設置されたレリーフの文字を動かす手順」を述べているのだが、その操作の基となる「礼拝堂のレリーフ」がはっきり登場するのはEP7の暗号が解読される直前の場面。 一応、「登場人物が英文があしらわれた礼拝堂のレリーフに目を留め、内容を和訳して読み上げようとする(EP2)」「独自に暗号解読に挑んでいたという故人が、六軒島の礼拝堂の写真を遺していたことが語られる(EP4)」といったシーンはある。 だが、レリーフのデザインなどの情報に一切触れられないため、「レリーフの文字が操作可能」だと気付くのはほぼ不可能。この点が「実際の六軒島を調べない限り完全解読が不可能」という最大の問題点となっている。 真犯人が結局良く分からない 本作では幻想世界と現実世界がうやむやになって終了するため、どこまでが現実で何が真実なのかという問題については様々な解釈があるにしろ、六軒島で起こる殺人事件の犯人が明言されることはない。 EP8の終盤では、唯一六軒島の事件に巻き込まれずに生き残った少女・縁寿が「私は何があっても『誰も死んでなんかいない』と信じる。誰もそれを否定することはできない」という旨の発言をし、六軒島の事件をネタに右代宮家の人間を弄ぶ「魔女」を退ける。 これは捉えようによっては「真犯人が誰だったのかなんてどうでもいい」という意味にもなり、真犯人を真面目に考えていたプレイヤーを馬鹿にするのかという反発を生むこととなった。 終盤になって明かされるが、本作の物語は、「(作中の)現実世界の六軒島で起きた事故とも事件とも取れる出来事に惹かれた多くのアマチュア作家たちが、六軒島を舞台とした推理小説めいた『偽書』と呼ばれる創作物を創り出すようになった」という設定をベースとしており、現実世界と作中の現実、そして作中の創作(作中作)が複雑に入り組み重なった入れ子構造となっている。 そして、作中作の登場人物が最終的に「現実に起こった哀しい事件を面白おかしく謎解きするのは不謹慎だ」と推理しようとする人々を拒絶し真相を隠した一方、現実世界の作者(竜騎士07)は「諦めずに謎を解いてください、模範解答は示しませんが解けるようには作ってあります」と推奨している。 しかし、現実の作者からのメッセージと創作物のキャラクターの主張の境界線が非常に曖昧なままエンディングを迎えるために、「作者は『諦めずに推理しろ』と煽った挙句に『謎を解くなんて不謹慎だ』と読者を罵倒した」という誤解(*12)が生まれることとなってしまった(*13)。 イベント時に限定配布された小冊子に掲載されたミニストーリーの中には、「『後期クイーン問題(*14)』を語っていた『竜騎士07』のコメントが、途中から読者を挑発する『ベアトリーチェ』のコメントに変化する」というものがあり、作品全体の方向性として現実世界と作中世界の境界線をあえて曖昧にしていたとも取れるのだが、いずれにせよその曖昧さが多くの読者に悪い方向に受け取られてしまったのは間違いないだろう。 一応、作中の現実に起こった事件と作中作の事件の双方で、「作中の描写や『赤い文字』の情報を素直に解釈すればこの人が真犯人なのだろう」というのは分かるようになっている。 ただし、前述のようにこの作品における推理自体が「『赤い文字』の情報にさえ反さなければなんでもありの屁理屈合戦」の様相を呈していたため、「『赤い文字』の解釈次第でいくらでも(屁理屈とは呼べない程度に現実的な)他の説を提示することが可能で、思考・議論の材料が不足している」という意見も多い。 作者は「真剣に推理に挑戦してくれた人々とネタバレ情報を漁っただけの人々が同じ真相に辿り着けるのでは不公平なので、簡単にネタバレできるような解答の出し方はしない」という意図だと述べているのだが、「自分の解答が正しいかどうか確かめる術がないのでは意味がない」と大ブーイングが起こることとなった。 そのため、原作及び本作発売後に連載された漫画版のEP8では、序盤のストーリーが大幅に改変され、過去のEPで起こった事件の「模範解答」と取れる描写が各所に挿入されることとなった。 本作独自のシナリオ面での問題として、一か所だけ規制による設定変更で物語に影響が出てしまっている部分がある。 + (以下ストーリーの重大なネタバレ注意) 右代宮家当主である右代宮金蔵には「愛人を亡くした悲しみから彼女との間に生まれた娘に異様な愛を注ぎ、ついには近親相姦の関係となって子供まで生ませてしまった」という過去がある。 しかし、CS版では近親相姦に関する表現規制の影響か「金蔵が過ちを犯してしまったという『娘』は彼の実子ではなく、愛人と別の男性との間に生まれた義理の娘である」ということになっている(原作で「金蔵と愛人との間には娘が生まれたが、産後の肥立ちが悪く愛人は亡くなってしまった」となっていた部分が、「愛人は病気で亡くなったが、彼女には金蔵と血の繋がらない忘れ形見がいた」という表現に差し替えられている)(*15)。 六軒島の事件において(限定的な意味ではあるが)「真犯人」と呼べる人物がこの「金蔵と『娘』の間に生まれた子供」なのだが、この設定変更によって金蔵とその人物の血縁関係は「父であり祖父、子供であり孫」という関係から「普通の父子」になっている。 「自分は近親相姦の末の子である」という事実はその人物の主たる動機ではないとはいえ、密接に関係してくる要素なのだが…。 + (以下、さらにストーリーの核心に迫る重大なネタバレ注意) 漫画版EP8では、原作では明確に描写されなかった動機の1つとして「自分が近親相姦の末に生まれた子であった上に、初恋の相手や現在の恋人など愛する人が悉く近親であったという絶望」が詳細に描かれている。 原作でも明かされている事件を起こすことを決意したきっかけ(主たる動機)はまた別の出来事なのだが、大きな要因であることは間違いない。 総評 そもそも、『うみねこのなく頃に』という作品は原作からして非常に賛否両論の激しい、いわゆる人を選ぶ作品である。 その原作を忠実に移植している以上、人を選ぶという点も本作に継承されているわけだが、少なくとも『うみねこのなく頃に』を愛する人間にとっては名作と言えるだろう。 流石に原作よりは値が張るものの、フルボイス化と強化された演出の数々を踏まえれば、原作が好きな人であるなら(絵柄の好みさえ合っていれば)迷わず買って損はない。 うみねこのなく頃に Portable 1 うみねこのなく頃に Portable 2 【うみねこのなくころに ぽーたぶるわん/つー】 ジャンル アドベンチャー 対応機種 プレイステーション・ポータブル 販売・開発元 アルケミスト 発売元 加賀クリエイト 発売日 1 2011年10月20日2 2011年11月17日 価格 UMD版 各3,800円(税抜)DL版 各2,800円(税抜) レーティング CERO D(17才以上対象) 判定 なし 概要(Portable) PS3版をPSPに移植したもの。『1』はEP1とEP2、『2』はEP3とEP4を収録している。PS3版との違いはエピソード収録数のみ。 その後の展開 EP5・6を収録した『3』と、EP7・8を収録した『4』が出る予定になっていたが、その後一切音沙汰がないまま2016年に開発元のアルケミストおよび発売元の加賀クリエイトが倒産してしまった。 発売されなかったのは、上記の「問題点(ストーリー)」で述べられたような批判意見が噴出した原作終了後の発売であったことや、PS3版がリモートプレイに対応していることなどもあって売り上げが伸び悩んだ影響と思われる。 なお、2015年8月に発売された漫画版EP8の最終巻には、『うみねこ』原作のメディアミックスがこの漫画版で最後であることを匂わせるような原作者のコメントが掲載されている。 2019年10月4日に同人サークル07th Expansionからシリーズ全部入りに追加要素のある『うみねこのなく頃に咲』が発売された。 2021年1月29日にはエンターグラムから『うみねこのなく頃に咲 ~猫箱と夢想の交響曲~』のタイトルでPS4/Switchへの移植版も発売された。 PS3版2作の合本にあたるが、『咲』からのシナリオ収録も含まれている。 なお、ボイスは新シナリオ分のみ新規収録されており、その部分のみ一部のキャラの声優が変更されている。
https://w.atwiki.jp/nobita_in_pokemon/pages/428.html
前へ PM1 40 事件発覚から10分 プツッ 「警察は三十分で来るそうだ」 「そうですか…」 ノートは1人、頭の中で今の状況をまとめる。 『事件発覚が1 30。 俺が血を見たのが25分だと考えると……』 「ジャイアン、確かに四時間目まではワタリは生きてたんだな?」 「ああ。そう言えば……ワタリに話しかけていた女子が…」 「私です…」 一斉に振り返る三人。 そこには黒髪でショートのオドオドした少女が立っていた。 「私が……ワタリ君に…一緒にご飯を…グスッ」 泣き出す少女。 そんな少女に焦ったノートは、とりあえず質問をしてみることにした。 「確かお前…メグミだよな。お前とワタリは付き合ってたのか?」 メグミは恥ずかしそうにうなづいた。 「じゃあ…メグミの前からワタリが居なくなったのは何時頃?」 「ちょっと待てよ!」 ジャイアンが会話に割り込む。 「メグミが犯人って可能性は考えないのかよ!」 思わずため息をつくノート。 「昼食が始まったのが45分で、血が見えたのが25分。 この40分間で、ワタリの首を切断して理科室に置く何て荒業、 こんなか弱い女の子に出来るわけ無いだろ? 犯人は男、そしてこの40分間にアリバイが無く、ワタリに相当恨みがある人物さ」 PM2 00 メグミが言うには、ワタリは昼食の時間に入りすぐ、何処かへ行ってしまったらしい。 そして聞き込みから、アリバイが不正確な五人が集められた。 赤髪 その名の通り赤い髪の不良。 あまり学校に来ず、ワタリとの交流は不明。 ルビーと新カントー 仲良し二人組。 DPその2 美術室へ行ってたらしいが… ジャイアン ケータイで体育館に呼び出されらしい 「って何で俺が居るんだよ!」 「まぁまぁ。俺がすぐ疑いを晴らしてやるからさ」 「何やってんだ、ガキ共!」 「警察か…」 警察が数人こちらへやって来た。 「おい、ガキ共。 素人の分際で勝手に事件を調べるんじゃねぇぞ!。 ここからは俺たち警察が全て調べる。お前らは家へ帰れ!」 「くっ、でも…」 「黙れ!これ以上邪魔すると公務執行妨害だぞ!」 「まぁまぁ警察さん」 そう言ったのはドラーモン先生。 そして、先生はさらに話を続けた。 「今素人ならダメと言いましたよね? じゃあこのノートなら捜査はして良いってことだ。 …過去にいくつもの事件を解いた、伝説の高校生探偵、ノートならな」 「な、何だってぇー!?」 PM2 40 「調査終わりました!」 「ありがと、刑事さん。で、どうでした?」 「鍵は被害者の口の中から発見されました。そして、窓は全て閉まっていました」 「完全な密室ってことか……」 鍵は外からしか掛けられないない様になっている。 つまり…犯人は一度外から鍵を掛け、もう一度中に入ってワタリの口に入れたのだ。 『ドアは横へ動くスライド式…… もしかしたら犯人はドアを一度外して……いや違う。 そんな目立つ行動したら、誰か1人くらいは見ているはずだ』 「ノート大変だ!」 「先生、どうかしたのか?」 「コンピュータ室に犯行予告が…」 場所は代わり、容疑者が集められた教室。 「何で俺が犯人何だよ!」 「落ち着け、赤髪!」 怒った赤髪が側の机を蹴り飛ばす。 他の容疑者3人は逃げてしまったが、 ジャイアンだけは部屋に残り赤髪と格闘を繰り広げていた。 「お前は悔しく無いのかよ!人殺し扱いされて!」 「ああ、平気だ。 俺には最高の味方、ノートがついてるんだからな!」 「お前……ちっ、勝手にしろ!」 「待て、赤髪!」 そう吐き捨て教室を去る赤髪。 その赤髪をジャイアンは、走って追った。 この行動が自分を追い詰めることを知らずに…… PM3 10 「クソッ、赤髪は何処だ…」 「ジャイアン!」 「ノート。すまん、赤髪を見失っちまった」 「そうか…不味いな」 「何がだ?」 「さっきコンピュータ室の一台のパソコンにある文字が映されてらしいんだ。 《…次は赤髪、お前をここで殺す》って文字がな」 「なっ!?」 「コンピュータ室には今警察が待機してる。 それより赤髪のことが心配だ。早く探しだそう!」 ノートがそう言ったその時だった。 「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」 「この声は…」 「間違いない、DPその2の声だ!」 「ノート、急ごう!」 声がしたのは美術室だった。 「……何だよ、これ」 ゴォオォォォオオォ…… 二人が見たのは、炎に包まれた美術室だった… 微かに漂う肉が焦げる様な異臭と、炎の熱。 この日……生まれて初めて、ノートは地獄の光景と言うものを見た… 『次回予告』 深まる謎 ジャイアンに掛かる疑い そして…急展開を見せる事件 そしてノートが叫ぶ!「犯人はあんただ!」 ドラポケ学校殺人事件 推理編に続く…… PM3 40 「美術室の中から焼死体が発見されました。 死体は首と両手足が切り取られていましたが、 焼け残っていた携帯電話から見て、間違いなく赤髪の死体だと思われます」 「そう…ですか」 ついさっきまで生きていた人物が死んだ。 今まで何度も経験してきたことだが、やはり何度経験しても気分が悪いものだ。 「ノート、大丈夫か?」 自分も気分が悪そうなジャイアンが、そうノートに尋ねる。 「ああ、平気だ。 それよりも……DPその2から話を聞きたい」 「…そこに居るぜ」 ジャイアンの指さした方には、青ざめたDPその2が立っていた。 「なぁ…」 「お、俺はやってねぇよ!、近寄るな!」 「落ち着け!俺はお前の無実を…」 「うるさい!」 DPその2は手を振り払い、廊下の奥へ走り去っていった。 「あいつの言うことは信用しない方が良いぞ」 DPその2に代わり、DP3と出木杉未来が現れる。 「アイツはワタリに恨みを持ってたんだからな」 「おい、DP3!」 「もう我慢の限界だ!ノート、これは生徒会で最近噂の話何だが、 アイツの家は、ワタリの会社に何百万もの借金があるらしいんだよ」 「そっか、アイツの家貧乏だからな…」 納得するジャイアン。 だが、ノートはその噂に納得がいかなかった。 『確かに……ワタリがアイツをイジメていたのは確かだ。 だが…人を殺すのは相当覚悟がいる。 ワタリを殺しても借金は無くならないはずなのに何故……それに赤髪は…』 「おい、お前!ちょっと話を聴かして貰うぞ!」 「えっ…俺ぇ!?」 警察に呼ばれたのは意外にもジャイアンだった。 「何で俺が疑われるんだよ!」 「さっきお前と赤髪が言い争ってるのを見たという奴が、名乗りを上げたんだ! しかもその後、お前は赤髪を追いかけたんだよな? どうせ追いかけた拍子に、勢い余って殺してしまったんだろ?」 「何だよそれ!じゃあ理科室の密室の謎は解けたのかよ!」 「ぐっ、うるさい!俺は警察だ!俺が言うことは絶対だ!」 無理やりジャイアンを連れていく警察。 そんな光景を、ノートはただ眺めることしか出来なかった。 「くっ、ノート!絶対謎を解けよ!俺は信じてるからなぁ!」 「……任せろ、ジャイアン!この事件は絶対に俺が解いてみせる!」 PM3 50 「ノート…俺達も手伝うよ」 「俺もだ。ジャイアンが殺しをやる何て思えないからな」 「……二人共ありがとう。 よし。まずは密室の謎を解くか!」 『くっ、予想外だ!何とかしなくては…』 犯人も予想外なことが、今のやり取りに隠されていることを、 まだノートは知らない…… PM4 00 「うっ…」 理科室はまだ血の海の状態で、到底直視出来る状態では無かった。 だが、時間はあまり無い。 「ジャイアンが犯人にされる前に謎を解かなきゃな…」 二人はノートの言葉にうなずいた。 捜索開始から10分。 DP3が三度目の嘔吐をしたその時だった。 「大丈夫か?」 「ああ……お前は凄いな。 俺の体が弱いってのもあるけど、この状況で顔色1つ変えない何て…」 「そんな威張れるもんじゃないさ…… 俺はおかしいんだよ……人が死ぬのにもう、慣れてんだからな…」 「そろそろ一旦外に出ないか? ここには何も残っていないみたいだし……売店でジュースでも買おう」 ノートとDP3も、その意見に賛成し、外に出ることにした。 「はぁ…(ジュースか、甘い物を飲むのも良いかもな)」 「しかしさぁ…どうやってこの部屋に入ったんだろうな? 普通無理だろ?密室の部屋に入る何てさぁ」 「確かにDP3の言う通りだな。 ノート、お前事件何個も解決してるんだろ? 他の事件の密室のトリックはどんな感じ何だよ?」 「まぁトリックって言うか、人の心理を逆を突くのが多いな。 例えば、どうやって入ったかじゃなくて、どうやって出たか…とか……!? そうか!問題は、どう入ったかじゃなくて、どう出たかだったんだ!」 「はぁ?」 意味が分からない二人。 そんな二人を無視し、ノートはドアを調べ始めた。 「やっぱりだ…ドアに何かが挟まってた様な傷があるし、そばに木屑が落ちてる。 分かったぞ、この密室の謎が!」 PM4 30 「後は証拠と犯人だ」 三人は理科室を後にし、美術室へ向かった。 「ちぇっ。何でノートは俺達にトリック教えないんだよ」 「まぁしょうがないよ、DP3。 きっとノートは俺達のこともまだ疑ってるんだ」 「そっか。そういやお前、昼食の時どこに…」 「着いたぞ!」 二人の会話をかき消すノートの声。 「よし、それじゃあまた調査を始めるか」 開始から五分。 DP3がこの日五回目の嘔吐をした時だった。 「これは…」 ノートの声に二人が反応する。 「どうした、ノート?」 「これが…焼け残ってたんだよ」 「これ、ホウキじゃないか」 「掃除道具なら、全部廊下の掃除道具入れに入れてあるはずだけど…」 「きっと、これがこの事件の犯人を示す鍵何だよ……間違いなくな」 「ノート、ここに居たか!」 教室にドラーモン先生が飛び込んで来た。 「先生!どうかしたのか?」 「コンピュータ室で自殺したんだよ……DPその2がな」 「なっ!?」 《この事件の犯人はこの俺DPその2です。 俺はワタリに借金のことで毎日イジメを受けていました。 それが原因で、今回この様な犯行に及だんです。 赤髪を殺したのも同じ理由。あいつは貧乏な俺から何度も金を奪っていたんです。 先生方やクラスのみんな、迷惑かけて本当にごめんなさい。 俺はこの事件のトリックが見破られない自信があります。 だけど俺はさっき美術室前で、ジャイアン君が犯人と疑われてると知りました。 これ以上みんなに迷惑を掛けることは出来ない。 だから俺は死を選ぶ。 さ よ う な ら 》 哀しい最後の言葉。 そして……その言葉が映し出されたパソコンの前で息絶えたDPその2。 その遺体は顔を机に着け、力無く両手をキーボードの上に乗せていた…… 「教室の犯人のカバンの中から、 自殺に使われたと思われる一輪のトリカブトの粉(猛毒)が発見されました」 「犯人はDPその2で解決か…」 「全く。誰だよ、俺が犯人とか言ったポリ公は…」 「まぁ、DPその2もかわいそうだよな」 「ああ。最後は死を選ぶってのが、あいつらしいけど…」 事件解決の安堵の空気に浸る面々。 みんな、死人が出たと言うことも忘れて雑談をしている。 『まだ事件は解決してない!』 ノートの中の何かがそう訴える。 ノートは信じられないのだ。 DPその2が犯人だと言うことが…… 《俺はやってねぇよ!》 あの時聴いたDPその2の叫び。嘘をついてる様には聴こえなかった。 『DPその2……無念だよな。…殺されて……犯人扱いまでされて…… 安心しろ!必ず犯人は突き止めてやるよ、この俺がな』 「おいノート、どこに行くんだ?」 「トイレだよ」 「じゃあ俺も一緒に…」 「ジャイアン…悪いけど少し一人にさせてくれ」 そう言ってノートはコンピュータ室を後にした。 「ジャイアン、ほっといてやれ」 「でも先生…」 「あいつが本気になったら、俺達じゃ足手まといになるだけだ」 PM5 00 ついに事件は解決へと動き出した。 バシャッ… 顔を洗い鏡を見るノート。 「クソッ…アリバイが無いのはルビーと新カントー、ジャイアン。 ジャイアンのアリバイは俺が一番分かってる。 ルビーと新カントーにアリバイが無いのは、お互いがお互いのアリバイを話すからだ。 と、なると他の奴らのアリバイを崩すしか無いな……」 ピューン! 「よっしゃぁ、また俺が一番だ!」 トイレに響く書こうかの声。 ガチャン! ドアを開けると、そこにはDSを持ちトイレに座る書こうかが居た。 「ノ、ノート!?」 その声と同時に、他の2つのドアが開く。 「やっぱりお前らか…」 「何だ、ノート。 お前も一緒にマリオカートやりたかったのかー」 ミュウの言葉を無視し、ノートは話の核心を突いた。 「……ふんふん。つまり俺達が犯人じゃないかと言いたいのか。 あっ、クソッ!また赤コウラかよ!」 『こいつらが犯人な訳無いか…』 自分に呆れるノート。 そして、ノートはトイレを出ようと腰を上げた。 「うわぁっ、このアイテムボックス偽物かよ!」 「はははっ。またか携帯獣。良く見りゃ本物と偽物の区別くらいつくだろw」 「でも……本物だと思ってた物が偽物だとショックが大きいよ…」 《本物と思ってた物が偽物》 「本物だと思っていたのが……偽物? もしかしたら……ありがとう、マリカ三人組み!」 直ぐ様トイレを出るノート。 ノートが言葉が気になった三人だったが、 とりあえずレインボーロードが終わった後、ノートを追うことにした。 美術室の掃除道具入れを開けるノート。 「やっぱり……間違いない、犯人はあいつだ!」 AM0 00 キィッ… 静かに響く校門が開く音。 何者かが、校門を開けようとしているのだ。 パチッ 「!? うっ!」 突然光る懐中電灯。 その懐中電灯を持っているのは… 「やっぱりここに来たな…他の門は夜中は鍵が閉まってるもんな」 「ノート!」 「俺達も居るぜ!」 ジャイアンとマリカ三人組み。 そしてルビーと新カントーが後方から現れる。 「お前のせいで俺達が犯人になる所だったろ!早く顔を見せろ!」 新カントーとルビーが同時にそう叫んだ。 「クソッ!」 逃げようとする犯人。 だがその瞬間、校庭の周りを赤いライトの光が囲んだ。 「無駄だ。すでに周りにはパトカーが待機している。もう逃れられないぞ。 ……この残酷な殺人事件を引き起こした真犯人は……あんただ!」 暗闇を懐中電灯の光が切り裂いた! 『次回予告』 ついに犯人が暴かれる。 だが、その犯人は意外な人物だった。 「な、何だってぇー!!!!」 ドラポケ学校殺人事件 解決編に続く… 自分でよく推理して、答えが導き出せたら次へ進もう
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/140.html
2011年5月9日-28日 ※未完成 ユリアン・セミョーノフ (Юлиан Семёнович Семёнов, 1931-1993, 英語版Wikipedia(9言語)) 長編『ペトロフカ、38』 抄訳『会長用の爆弾』(ソ連大使館広報部刊行『今日のソ連邦』1973年第1号(1月1日)~第7号(4月1日)、全7回連載) 『春の十七の瞬間(とき)』 短編「一九三七年の夏」 言及飯田1965、飯田1972、ベスーグロフインタビュー1991、深見1991、沼野1999 『ペトロフカ、38』(早川書房、1965年)刊行前後 『エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン』1965年4月号に、飯田規和「ソ連の探偵小説」 「ソ連の推理小説はわが国にはまだほとんど紹介されていない。しかし、このことは、一部で言われているように、ソ連には推理小説がないということを意味するものでは決してない。むしろ、事実はその逆で、ソ連でも、他の国と同じように、推理小説は読者の間に大きな需要を持ち、今までかなりの量の作品が書かれていると言うことができよう。」 「ソ連の推理小説界の第一人者で、ソ連の推理小説の歴史に新しい道標を築いたのは、何と言っても、レフ・シェイニンであろう。ソ連では彼ほど人気のある作家はほかにはいないと言われている。」 ユリアン・セミョーノフ『ペトロフカ、38』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ、1965年) なお、ソ連の推理作家として日本でもある程度知られているユリアン・セミョーノフは、作家生活を始める以前の1955年、『ともしび』(アガニョーク)の記者となっている。 『世界ミステリ全集』第12巻(『ペトロフカ、38』収録)刊行前後 飯田規和「ソ連の推理小説」(『世界ミステリ全集12』早川書房、1972年 月報に掲載)「ソ連で年々発表される推理小説の数は、大方の予想に反してかなりの数にのぼっている。」 「ソ連の推理小説の読者は推理小説の古典が好きだし、犯罪者側の巧妙なトリックと探偵の側の機知にとんだ推理によって事件が展開するという、いわゆる本格的な推理小説が好きらしい。ソ連で翻訳されている外国作家は相変らずポー、ドイル、チェスタートン、クリスティ、シムノンなどである。」 「中国には推理小説はない」「ソ連には推理小説はなかった」とまことしやかにささやかれることがある。共産圏では推理小説は育たないというのだろう。しかし以前に紹介したように、中国では推理小説が、政治の影響を受けて形を変えながらも常に存在していた。ということは、ソ連に推理小説がない(または少ない)という説も、疑ってかからなくてはならない。 上に引用した文を見ると、今まで想像していた状況とはかなり異なり、ソ連でも推理小説は多く書かれていたようである。飯田氏がこの記事で「ソ連の推理小説界の新人三羽烏」として挙げているのが以下の3人(2人+1組)である。飯田氏が挙げている作品名も示す。 ヴィクトル・スミルノフ(Виктор Васильевич Смирнов, 1933 - (存命), ロシア語版Wikipedia)『五番目の男』(??年)、『不安な月、九月』(1972) ニコライ・レオーノフ(Николай Иванович Леонов, 1933-1999, ロシア語版Wikipedia)『逮捕に踏み切る』(1968) アルカージイ・ワイネル(Аркадий Александрович Вайнер, 1931-2005, ロシア語版Wikipedia) ゲオルギー・ワイネル(Георгий Александрович Вайнер, 1938-2009, ロシア語版Wikipedia)『真昼に手探りで』(Ощупью в полдень(1970))、『ミノタウロスを訪ねて』(Визит к минотавру(1972)) ほかに、ニコライ・トマン(綴り前掲)、アルダマツキー(Василий Иванович Ардаматский, 1911-1995, ロシア語版Wikipedia)、ブラグンスキー リャザノフ(『自動車に御用心!』、『図書館の殺人』)の名が挙げられており、いずれも紹介に値する作家たちだということだが、その後残念ながら、邦訳の機会には恵まれなかったようだ。 ――と書いたが、『ソビェート文学』1974年夏季号に抄訳が載ったという『ミノトール訪問』は、ここで『ミノタウロスを訪ねて』とされている作品とおそらく同一のものだろう。 〈座談会〉「F・デュレンマット、Ю・セミョーノフ、G・シェルバネンコについて」(出席者:石川喬司、稲葉明雄、小鷹信光、(ゲスト)福田淳、および編集部)(『世界ミステリ全集12』早川書房、1972年 巻末に収録)編集部「次にセミョーノフですが、ソヴィエトの推理小説は、これが世に紹介されている唯一のものではないかと思います。」 編集部「ソヴィエトの推理小説はこれが日本で紹介された唯一の作品なので、これをもとに論じてもらうより仕方がないのですけども。」 石川喬司「中薗英助氏が、ソ連へたびたび行っていて、そのときにソ連のミステリの状況なんかをいろいろ調べてもらったところによると、やはりわれわれの考えるような本格推理小説はないということです。」「逆に向こうで、日本の推理作家の横綱格として評価されているのが、松本清張と中薗英助なのです。それをみれば、向こうの推理小説観というのがわかると思うのです。つまり社会派――権力のからくりをあばくような作品が受けている。」 早川書房が1972年から1973年にかけて刊行した『世界ミステリ全集』は全18巻。そのうち、非英語圏にあてられたのは第9巻と第15巻(ともにフランス語圏の作家)および、この第12巻である。第12巻は、ドイツ語で書くスイスの作家デュレンマットとイタリアの推理作家シェルバネンコの作品、それからハヤカワ・ポケット・ミステリで刊行されたセミョーノフの『ペトロフカ、38』の再録で構成されている。編集部の発言からすると、この時期には、1950年代に袋一平氏がソ連の推理小説を翻訳していたことはすっかり忘れ去られていたようである。1950年代に翻訳されたソ連の推理小説が書籍にまとまることがなかったことと、その主な掲載誌だった『探偵倶楽部』が1959年に廃刊になってしまっていることが、その要因かもしれない。といっても、座談会には以下のような発言もある。 稲葉明雄「以前よく、友人でロシア語をやっているのがいますと、おもしろいミステリがないか、ないかと聞いたわけです。六三年より、もっと以前でしたが、ぜんぜんないというんです。わずかに、楽天的な未来を目指す型のSFが、『技術青年』とか、そういう雑誌にのっていたらしい。袋一平さんがよく多少ともましな作品を捜しだして翻訳しておられたが、ずいぶん苦労だったろうなと思いました。」 これを見ると、袋一平氏の業績はまったく忘れ去られていたわけでもなかったようだ。それから、引用した石川喬司氏の発言内容は飯田氏が月報で書いている内容と食い違っているようにも見えるが、ロシアで松本清張や中薗英助、森村誠一らの作品が翻訳されていたのも事実なので(特に中薗英助や森村誠一作品は、2011年現在にいたるまで、ほかの欧米圏では刊行されていない)、これもまたソ連の推理小説界の一面をとらえているのだろう。 ソ連/ロシア推理小説翻訳史に戻る