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生徒名簿 > 鳴海雅人 >[乗馬]鳴海雅人(HR) [乗馬]鳴海雅人(HR) 攻魅力 2411 守魅力 2138 攻M 7661 守M 6794 コスト 13 卒業祝い 10000メン [乗馬]鳴海雅人+(HR) 攻魅力 2893 守魅力 2566 攻2M 11231 守2M 9959 コスト 13 卒業祝い 15000メン [お褒めの言葉]鳴海雅人(SR) 攻魅力 3617 守魅力 3207 攻4M 16878 守4M 14969 攻3M 16500 守3M 14632 コスト 13 卒業祝い 30000メン アピール 君の笑顔が見たいから、勝ってみせるよ。 └King Princeタイプの攻魅力大UP ストーリー 白馬に乗った王子様! 入手方法 乗馬フォーチュンキューピッド(2014/10/01 00 00〜2014/10/10 13 59) 台詞 ボイス +... [部分編集] ステップ1 おしゃべりタイム ここはとても景色がいいね。 おしゃべりタイム 君はどの馬に乗りたいんだい? おしゃべりタイム やあ、今日は晴れて良かったね。 デート電話コメント デートか……素敵なお誘いだね! 君と一緒に過ごすなんてとても楽しそうだ。是非付き合うよ。 カレ自慢アピール 君の笑顔が見たいから、勝ってみせるよ。 ステップ2 おしゃべりタイム 乗馬教室、楽しんでいるかな? おしゃべりタイム 疲れたかい? 少し休憩しよう。 おしゃべりタイム 気をつけて降りるんだよ。 デート電話コメント 相手は僕でいいのかい? 間違っていないならいいんだ。君とのデート、楽しみにしているよ。 カレ自慢アピール 君の笑顔が見たいから、勝ってみせるよ。 ステップ3〜8 好感度レベルMAX 君を捜していたとき痛感したよ。君がいなくなったら、僕はどうにかなってしまいそうだ。だから……ずっと傍にいてくれないかい? おしゃべりタイム(ステップ3〜4) 乗馬教室、楽しんでいるかな? おしゃべりタイム(ステップ3〜4) 疲れたかい? 少し休憩しよう。 おしゃべりタイム(ステップ3〜4) 気をつけて降りるんだよ。 おしゃべりタイム(ステップ5〜7) 慣れるまでは無理しないでね。 おしゃべりタイム(ステップ5〜7) えっ、僕に教えてほしいのかい? おしゃべりタイム(ステップ5〜7) 馬の気持ちになってごらん。 おしゃべりタイム(ステップ8) 成功したらご褒美をあげよう! おしゃべりタイム(ステップ8) ふふ、君は飲み込みが早いね。 おしゃべりタイム(ステップ8) 君と一緒にいられてうれしいよ。 デート電話コメント(ステップ2〜4) 相手は僕でいいのかい? 間違っていないならいいんだ。君とのデート、楽しみにしているよ。 デート電話コメント(ステップ5〜7) ふふ、誘ってくれてとてもうれしいよ! 大げさに聞こえるかい? でもこの喜びは本当さ! デート電話コメント(ステップ8) 喜んでお付き合いするよ。君とのデートはどれも素敵な想い出だからね。次も待ち遠しいな。 デート電話コメント(ステップ8) ああっ、バンビーナとのデートだなんて僕は夢を見ているのかな? とてもうれしいよ……! デート電話コメント(ステップ8) ほ、本当かい? もちろんOKさ! 大切な君からのお誘いだからね。僕が断るわけないよ……! カレ自慢アピール 君の笑顔が見たいから、勝ってみせるよ。 マイページ +... ステップ1 馬のたてがみって結構固いんだね。 あんな遠くのほうにまで、馬たちがいるよ。 今度は違うコースに行ってみないかい? ステップ2〜3 一緒にコースを回ってみないかい? このクラブに、バンビはいないのかな? 馬を自由自在に操れたら、楽しいだろうね。 ステップ4〜5 馬から落ちないように気を付けるんだよ。 僕たちの言葉、馬に伝わってるかな? バンビーナは動物と仲良くなれるほうかな? ステップ6〜7 はい、こうやって……手綱は短く持ってね。 バンビーナ、乗馬を楽しんでるかい? あの馬、僕たちの方を見てるんじゃない? ステップ8 おいで。こっちで一緒にひと休みしよう。 君とここに来られて、本当に良かったよ。 少し揺れるけど……大丈夫。怖くないよ。 もちろん、馬よりも君の方がかわいいよ。 乗馬を趣味にしたら、きっと素敵だろうね。 登校 +... 朝 ステップ1 気持ちのいい朝だね。馬もうれしそうな顔をしているよ。 早起きだなぁ。この馬はもう目覚めてるみたいだね。 今朝はもやがかかっていて、視界が良くないみたいだね。 ステップ2〜4 朝の散歩にでも行くかい? もちろん、馬に乗って……。 あっ、そろそろ僕たちの出発する時間じゃないかな? お昼ご飯をどこで食べるか、考えておいておくれ。 ステップ5〜7 [あだ名]のために、とっておきの馬を見つけてきたよ。 僕は少しだけコツがわかったよ。あとで教えてあげるね。 コースをひと回りしてから、朝ご飯にしようか。 ステップ8 大自然を見ると駆け回りたくなるね。僕も馬と一緒かな? ははっ、待っておくれ。バンビーナは朝から元気だね。 ははっ、[あだ名]はとても眠そうな顔をしているね。 今日は1日、ふたりきりの乗馬教室だね……。 おはよう、バンビーナ。今日も笑顔が素敵だね。 放課後 ステップ1 見てごらん。馬たちが楽しそうに遊んでるよ。 日差しが強いから、しばらくは木陰を進んでいこうか。 コースが分かれてるよ。どっちにするか迷っちゃうね。 ステップ2〜4 [あだ名]も慣れてきたみたいだね。競争でもするかい? 乗馬っておもしろいね。用具を一式揃えちゃおうかな。 乗馬教室での体験が、演技に活かせるかもしれないな。 ステップ5〜7 ああ、素敵な景色だね。[あだ名]もそう思わないかい? もっと前のほうに座ってごらん。ほら、こんな風に……。 ちょっとスピードの出しすぎじゃないかな? 大丈夫? ステップ8 大丈夫かい? ゆっくりと慣れていけばいいからね。 一緒に乗ってみようか? さあ、僕の前にどうぞ。 ロデオガールみたいなバンビーナも素敵だよ。 君と一緒なら難しいコースも越えられそうだよ。 さあ、[あだ名]。馬に乗って。僕が誘導してあげるよ。 夜 ステップ1 もう暗いね。こんな時間にコースに出るのは危ないよ。 馬は夜目が利くらしいんだ。僕らのことも見えてるかな? 乗馬って意外と体力がいるんだね。僕はクタクタだよ。 ステップ2〜4 君と話しながら馬に乗れて、今日はとても楽しかったよ。 今日は楽しかったかい? 僕はまた君とここに来たいな。 どうしたの? コース内で落し物でもしちゃった? ステップ5〜7 [あだ名]、空を見上げてごらん。星がとても綺麗だ……。 暗くて君の顔がよく見えないよ。もっと近づいておくれ。 あっちの明かりに向かってゆっくりと歩いていこうか。 ステップ8 君はふわふわしてるから、きちんと手綱を握らないとね。 今日は1日お疲れ様。夜はゆっくり休むといいよ。 明日、筋肉痛にならないようにマッサージしてあげるね。 君と過ごしていたら、時間はあっという間に過ぎるね。 次に来るときは君に教えられるくらいになっておくね。 デートの約束 +... [部分編集] ステップ1 バンビーナ、僕に電話してくるなんてどうしたんだい。相談事かな? なんだって聞くよ。 デートか……素敵なお誘いだね! 君と一緒に過ごすなんてとても楽しそうだ。是非付き合うよ。 ええっと、その日は……ああ、良かった。ちょうど空いてるみたいだね。大丈夫だよ。 ステップ2〜4 大丈夫だよ。せっかく君から電話してきてくれたんだからね、切るなんてもったいない。 相手は僕でいいのかい? 間違っていないならいいんだ。君とのデート、楽しみにしているよ。 実はほかに用事があったんだけど……バンビーナ、君のためなら特別に空けちゃうよ。 ステップ5〜7 [あだ名]からは連絡してこないかもって思っていたから……。この電話、すごくうれしいよ。 ふふ、誘ってくれてとてもうれしいよ! 大げさに聞こえるかい? でもこの喜びは本当さ! いい日を選んだね。僕たちがデートするのに、それ以上にピッタリな日はないと思うよ。 ステップ8(1) [あだ名]から電話が来るのを、ずっと待っていたよ……。今日はどんな話をしようか。 喜んでお付き合いするよ。君とのデートはどれも素敵な想い出だからね。次も待ち遠しいな。 その日は空いているよ。[あだ名]に会えたらいいなと思って、空けていた日だからね……。 ステップ8(2) ああ、僕から連絡しようと思ってたのに。わざわざ君からかけてくれるなんて……ありがとう。 ああっ、バンビーナとのデートだなんて僕は夢を見ているのかな? とてもうれしいよ……! うん、大丈夫だよ。それにしても具体的に日にちが決まると、待ち遠しくなっちゃうね。 ステップ8(3) ちょうど良かった。僕も今、[あだ名]と話したくてたまらない気持ちだったんだよ……。 ほ、本当かい? もちろんOKさ! 大切な君からのお誘いだからね。僕が断るわけないよ……! 手帳を確認するまでもないかな。だって僕にとって、君との予定は最優先事項だからね。 デートコメント +... やあ、[あだ名]。今日は乗馬教室の日だよね。僕はずっと楽しみにしていたんだ。 馬に乗れるだけじゃなくて、君と一緒に過ごせるこの日がとても待ち遠しかったんだ。 カレ自慢 +... [部分編集] 対決画面 ステップ1 僕がリーダーだね。がんばるよ。 ステップ2〜4 僕の力を見せてあげるね。 ステップ5〜7 見ていておくれ、バンビーナ。 ステップ8 ああ、すべては君のために……。 勝利 ステップ1 今日のデートはとても良い雰囲気だね。いつもこんな感じだったら素敵だと思わない? ステップ2〜3 ほら、僕たちの勝利だよ。ふたりで力を合わせれば、なんだってできるよね。 ステップ4〜5 やった! こんなに素敵な結果を勝ち取ることができたよ。みんな君のお陰だね。 ステップ6〜7 バンビーナ、本当にありがとう! 君ががんばってくれたから勝つことができたんだ! ステップ8 君が傍にいてくれたから、勝利を手にすることができたんだ。[あだ名]、ありがとう! ステップ8 この勝利は君が手に入れたものだよ。僕はただ、サポートしただけに過ぎないからね。 敗北 ステップ1 すまない、今日はちょっと調子が出ないみたいだ。僕がもっとがんばらないと……。 ステップ2〜3 あっ……僕たちの負け――? これは僕の責任だ。[あだ名]、君は悪くないよ。 ステップ4〜5 そんな……バンビーナがあんなにがんばってくれたのに、負けちゃうなんて……。 ステップ6〜7 [あだ名]のがんばりを無駄にしてしまうなんて……僕はなんて情けない男なんだ! ステップ8 ああっ! 僕が不甲斐ないばかりに、君にまで悲しい思いをさせてしまうなんて……。 ステップ8 [あだ名]はがんばってくれたのに……僕のせいですべてが台無しになってしまったね。 告白タイム +... [部分編集] 戦闘中台詞 ステップ1 ステップ2〜7 ステップ8 勝利 ステップ1 ステップ2〜7 ステップ8 敗北 ステップ1 ステップ2〜7 ステップ8 アルバイト +... ステップ1 おや、バンビーナもここでバイトをしていたんだね。一緒に働けてうれしいよ。 ステップ2〜7 こんなお店で働くなんて、お互いにいいセンスをしているって思わないかい? ステップ8 君と一緒に働けるなんて、僕はすごく幸せだよ……。バンビーナ、ありがとう。 好感度MAX +... あっ、[あだ名]……馬を下りたら、そのままそこで待っていてもらえるかな……。 何か用かって? う、うん……そうだね。どうしても君に伝えたいことがあるんだ。 押し留めていたけれど、もう我慢できないから……この胸に秘めた想いを聞いておくれ。 君を捜していたとき痛感したよ。君がいなくなったら、僕はどうにかなってしまいそうだ。だから……ずっと傍にいてくれないかい?
https://w.atwiki.jp/newani4/pages/292.html
変態ではない!変身だ! ◆45MxoM2216 平和島静雄は、暴力が嫌いである 「臨也じゃ…ない!?」 平和島静雄が学生の割には老け顔の大男、蒲郡苛と合流してしばらく 互いに情報交換をするうち、静雄にとっては寝耳に水な事実が判明した 「ああ、あの折原という男、越谷小鞠が殺された時間帯はずっとラビットハウスという喫茶店にいた。この俺自身も一緒にいたのだから間違いない。 さらに言えばこの殺しあいが始まった直後、折原は先ほど話した空条承太郎と一条蛍の二人と合流している。 普通の少女である一条はともかく、空条は中々の使い手のようであった。 折原も中々小賢しいようだが、空条に隠れて誰かを殺せるとは思えんぞ」 言われてみれば不自然な点は多くあった 詳しく思い出そうとすると暴れたくなってしまうので朧気だが、あの妙な館内放送では臨也の声はしなかった あの耳障りな声がしなかったおかげ…いや、せいでキレる寸前でありながら小鞠を巻き添えにしないために隠して行く程度の判断力は残ったのだ 考えてみれば、臨也にはわざわざ自分の声を誤魔化す必要はない あの声で「シズちゃん」なんて呼ばれたら、それだけで静雄がキレると知っているのだから、それをしない理由もない さらに、臨也はああ見えて直接凶器を持って静雄以外の誰かを殺そうとしたことはなかった 女の子を殴る趣味はないと言って笑いながら女の子の携帯電話を踏みつけるような人間だが… 普段からナイフを隠し持っていて初めて会った時も(静雄の方から殴りかかったとはいえ)斬りかかってくるような人間だが… 折原臨也は、人間を直接殺すような人間ではない 「じゃあ…誰なんだよ…!クソが…!」 蟇郡苛は、平和島静雄を評価していた 誰かを失った悲しみを背負う者同士、一種のシンパシーがあったのかもしれない 先ほどの一瞬の衝突の際、生身でありながら極制服着用者を凌駕するような一撃を放ってきたこともあり、これから共に戦う者として頼りになるとも思っていた 短気で熱くなりやすいようだが、直情型なのは自分も同じだ だからだろうか… 彼は余計なことを言ってしまった 「うむ、あのキャスターという外道を討伐した後、衛宮殿に話を聞こう」 「衛宮?」 「うむ、ゲームセンターの様子を確認しに行ったのは彼だからな。 俺が平和島を越谷小鞠殺しの下手人だと思ったのも――」 そして、蟇郡は説明してしまった ラビットハウスで香風智乃が腕輪探知機を使ったこと その結果、ラビットハウスのあるG―7エリアに蟇郡苛と香風智乃含め八人もの参加者がいたこと その後折原臨也を含む四人組と合流したこと その四人組の中の衛宮切嗣が残る二人――平和島静雄と、越谷小鞠を探しに行ったこと 衛宮切嗣が越谷小鞠の死体を発見し、平和島静雄が犯人の可能性が高いと話したこと バキ、と何かが折れる音がした 蟇郡が驚いて横を見ると、なんと平和島静雄が車の縁を手で砕いていた 「何をする!」 車を止めて蟇郡は思わず叫ぶ 「衛宮…衛宮切嗣…」 「おい、平和島?」 ただならぬ雰囲気で呟く平和島静雄に、蟇郡は困惑する 平和島静雄は、決して頭の良い人間ではない 小学生の頃、同級生である岸谷新羅が言っていた「一世代での進化」という推察も、未だによく理解できていない(これに関しては静雄が馬鹿というよりは新羅が天才すぎただけなのだが) だが、物を一切考えられないような能無しでもない あの時G―7エリアにいた八人 空条承太郎 一条蛍 折原臨也 香風智乃 蒲郡苛 衛宮切嗣 越谷小鞠 そして自分―――平和島静雄 そのうち、自分と小鞠を除いたら六人 その六人のうち、折原臨也を含む五人がラビットハウスにて待機 越谷小鞠を殺せるのは…唯一単独行動をとっていた、衛宮切嗣だけだということが分からないような能無しではない 「ええええぇぇぇぇぇぇえ゛みいいいいいいぃぃぃぃい゛や゛あああああああああああああ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛!!!!」 喉も裂けよと言わんばかりの絶叫をあげる平和島静雄 車から素早く降りたと思ったら、なんと車を持ち上げだしたではないか! 平和島静雄は、暴力が嫌いである 「落ち着けぇ!!!確かに状況証拠的には衛宮殿が怪しいかもしれんが、彼はこの便利な乗り物を快く俺に譲ってくれた!とても悪人には見えん!」 持ち上げられた車から飛び降りて着地した蒲郡は、持ち前の大声で一喝した後に静雄に説得を試みる 蟇郡にとって衛宮切嗣という男は、物欲しげな視線を送ってきた自分に対して快くコシュタ=バワーを譲ってくれた上に、気遣う言葉さえかけてくれた恩人だ さらに言えば蟇郡はこの殺し合いに巻き込まれてから、パラレルワールドといった「なんだかよく分からない」現象に遭遇した そんな「なんだかよく分からない」中で、状況証拠だけで恩人を殺人者だと決めつけるほど短気ではなかった だが… 「あああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 平和島静雄の暴力には、理屈も理論も通用しない 激情を抑えきれない静雄は、とうとう車を空高く放り投げてしまった 数瞬の後、大きな音を立てて落下した車は、いつかの壊惨総戦挙でサバイバル自動車部に襲撃された時のようにボロボロになってしまった そしてなんと、静雄は南東…ラビットハウスの方面へ行こうとしているではないか! (平和島静雄という男…見誤ったか!) 短気なところもあるが、信用できる男だと思っていた しかし、あまりにも短気すぎてすぐに我を忘れるほどの怒りを見せる男だったようだ 完全に回りが見えなくなっているようで、あれではもしラビットハウスに行ったら衛宮だけでなく周りの人間も巻き込んで暴れるだろうことは容易に想像できた これでは、折原臨也の言った『誰であろうと喜び勇んで暴力を振るう悪いやつ』というのも、ある意味的を射ている 本人に悪気はなくても、結果的にそうなってしまうのだ 「行かせんぞ!!」 蟇郡は静雄の前に立ちふさがる 「三ツ星極制服、最終形態…!」 (だが!!そんな人間だからこそ、風紀部委員長として手綱を握らなければならん!) 蟇郡の身体を光が包む なんか全裸になってるようにも見えるが、光で局部は隠れているのでよしとしよう 「縛の装・我心開放!!極戦装束!!!」 そして、蟇郡は『変身』した そこに先ほどまでの制服の面影はない 顔には防具のような戒めがあり、腹部は大きく開いている さらに両腕が金属質の布で覆われており、右腕には炎を纏っている これが縛りの装・我心開放 伊織糸郎が四天王に繕った最後の極制服―――戦極装束の一つである 「さぁ、気が済むまで俺を殴れ!」 蟇郡は静雄の激情を受け止めることにした 言葉での説得が通じないなら、肉体言語で臨むまでだ 「邪魔だああああああ!!」 完全に我を失っている静雄は、全力で腕を振りかぶる (我心開放に変身した以上、多少殴られようがかまわん!俺の胸を貸してやる!) 自らの防御能力に絶対の自信を持つ蟇郡は、静雄が落ち着くまで彼の攻撃を受けきることにした 「こい!平和島静雄!」 平和島静雄の拳が縛りの装の腕に当たり… 「ああ~いいぞぉ、もっとだ、もっと責めろ、俺を責めてみろ~!」 蟇郡の甘い声が周囲に響き渡った… 「お前、変態だったのか…」 余りにも予想外の出来事に怒りが霧散した静雄は、複雑そうに呟く 平和島静雄は、暴力が嫌いである 折原臨也以外には好んで暴力を振るわない彼は、一度激情が収まると、とりあえず話を聞く気にはなった 「変態ではない、変身だ!」 『変態』などという言いがかりをつけられた蟇郡は『変身』を解いて断固抗議するが、とにかく今は平和島が冷静なうちに話をするべきだと判断した 「先ほどの情報交換でも話したように、この島にはなんだかよく分からないものが溢れている 状況証拠だけでは犯人と断定はできん!なにより今は、あのキャスターという外道を成敗するべきであろう!!」 キャスター討伐が本来の目的だった以上、静雄もこれには反論できなかった 「しかし!お前が彼を疑うのもまた道理! キャスター討伐を終えた後、改めてもう一度彼に話を聞く! それで構わんな!!?」 「…ああ」 渋々といったように返事をする静雄 完全に納得したわけではないようだが、ひとまず落ち着かせることができたようである 一息付いた蟇郡は、コシュタ・バワーに元の形に戻るように念じる 元通りになったオープンカーを見て、こんな便利な物を快く渡してくれた人物が殺人者だと疑いたくはないという思いを強くする蟇郡 だが、今はそれよりも優先すべきことがある 「さぁ、時間を浪費してしまった 乗れ!!放送局へ急ぐぞ!!」 示される通りに助手席へ乗り込めば、蟇郡の運転でオープンカーは走り始める かくして、今度こそ衝突は必至であった筈の二人は一人の男の甘い嬌声によって再び道を同じくした 静雄は、老け顔の変態の大男と二人きりたぁうすら寒いな、と内心で愚痴をこぼした それから、本当ならばこの車の後部座席に、小さくて怖がりなメイド服の少女が一人乗るかもしれなかったと考えて 犠牲者は俺だけで充分かもな、と遠くの空を見た 【E-4 T字路/朝】 【蟇郡苛@キルラキル】 [状態]:健康、顔に傷(処置済み、軽度)、左顔面に少しの腫れ [服装]:三ツ星極制服 縛の装・我心開放 [装備]:コシュタ・バワー@デュラララ!!(蟇郡苛の車の形) [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10) 黒カード:三ツ星極制服 縛の装・我心開放@キルラキル [思考・行動] 基本方針:主催打倒。 0:放送局に行き、外道を討ち、満艦飾を弔う。 1:平和島静雄の手綱を握る 2:キャスター討伐後、衛宮切嗣から話を聞く 3:皐月様、纏との合流を目指す。優先順位は皐月様>纏。 4:針目縫には最大限警戒。 [備考] ※参戦時期は23話終了後からです ※主催者(繭)は異世界を移動する力があると考えています。 ※折原臨也、風見雄二、天々座理世から知り合いについて聞きました。 【平和島静雄@デュラララ!!】 [状態]:折原臨也およびテレビの男キャスターへの強い怒り 衛宮切嗣への不信感 [服装]:バーテン服、グラサン [装備]:なし [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10) 黒カード:ボゼの仮面@咲-Saki- 全国編 不明支給品0~1(本人確認済み) [思考・行動] 基本方針:あの女(繭)を殺す 0:テレビの男キャスターをブチのめす。そして臨也を殺す 1:蟇郡と放送局を目指す 2:犯人と確認できたら衛宮も殺す 3:こいつ(蟇郡)、変態だったのか… [周辺への影響]: E-4エリアのT字路にて、平和島静雄がコシュタ・バワー@デュラララ!!を空高く放り投げました 近隣エリアにいれば、コシュタ・バワーを目撃できたかもしれません 時系列順で読む Back 進化する狂信 Next 女はそれを我慢できない 投下順で読む Back 進化する狂信 Next Trouble Busters 095 あげたかったのは、未来で 蟇郡苛 132 One after another endlessly 095 あげたかったのは、未来で 平和島静雄 132 One after another endlessly
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登録日:2018/09/02 (Sun) 02 10 51 更新日:2024/06/06 Thu 16 27 49NEW! 所要時間:約 8 分で読めます ▽タグ一覧 16年クラシック世代 G1馬 サラブレッド ステイゴールド産駒 トッキュウジャー←は関係ない レインボーライン 天皇賞馬 岩田康誠 水かきのついた馬 種牡馬 競走馬 競馬 虹 馬 鹿毛 サトノダイヤモンドの光に圧され、キタサンブラックの影に隠れたレインボーライン 七色の光を解き放つ 岩田康誠 ──2018年 第157回天皇賞・春(GⅠ) 本馬場入場 実況 吉原功兼アナ(関西テレビ) ■誕生~初重賞制覇 2013年4月1日、名門ノーザンファームの生まれ。 父は黄金旅程ことステイゴールド、母レーゲンボーゲン、その父はフレンチデピュティという血統。半姉(異父姉)にローズステークス(秋華賞トライアル、GⅡ)を勝ったアニメイトバイオがいる。 2歳になった2015年8月、四位洋文騎手を鞍上に2番人気でデビューしたが、1番人気に推された後の重賞馬プロフェットに2馬身差をつけられ2着。続く未勝利戦も2番人気で2着に敗れたが、単勝1.9倍の1番人気に推された3戦目で2馬身半差をつけ勝利。なお、彼が1番人気に支持されたのはこの1度きりであった。 続けて岩田康誠騎手とのコンビで臨んだ荻ステークス(OP特別)を5頭立て4番人気で3着とし、蛯名正義騎手とのコンビで重賞初挑戦となった東京スポーツ杯2歳ステークス(GⅢ)では11頭中9着と大敗したものの、500万条件に戻った次戦は幸英明騎手の手綱でアタマ差の勝ち星を得て、6戦2勝で2歳シーズンを終えた。 3歳シーズンの2016年は、年明けのシンザン記念(GⅢ)から始動し6着。騎手がミルコ・デムーロ騎手に変わった次戦、2月末のアーリントンカップ(GⅢ)では4番人気に支持され、5着までタイム差なしの接戦となったが、父譲りの勝負根性が発動したかハナ差で辛勝した。 しかし、ここから彼は長いトンネルに入ることになる……。 ■長い長い曇り空 アーリントンカップの次戦、ニュージーランドトロフィー(GⅢ)では、内田博幸騎手が騎乗したが前に届かず掲示板がやっとの5着。鞍上が福永祐一騎手に変わってGⅠ初挑戦となったNHKマイルカップでは、12番人気の低評価に反発するかのように中団からよく追ってメジャーエンブレムの3着となったが、続けて挑戦した東京優駿(日本ダービー)ではマカヒキの8着に敗退した。 しばらく休養して挑戦した8月の札幌記念(GⅡ)では、前々年のオークス馬ヌーヴォレコルトこそ交わしたが、ネオリアリズムと前年年度代表馬モーリスの壁に阻まれ3着。初古馬対戦で、しかも上位は香港でも実績を残す名馬であることから悲観する内容ではないと思われたが、9番人気で挑戦した次走の菊花賞(GⅠ)は先に抜け出たサトノダイヤモンドに届かず2着、続けて鞍上をクリストフ・ルメール騎手に変更して挑戦したジャパンカップ(GⅠ)でも逃げ切ったキタサンブラックの6着に敗れた。 4歳になった2017年は、デムーロ騎手が久しぶりに手綱をとった始動戦の日経賞(GⅡ)でシャケトラの4着、天皇賞・春(GⅠ)では名手・武豊騎手をもってしても「破られないと思っていた」と語るディープインパクトのレコードを一気に0.9秒更新した現役最強馬キタサンブラックの常識外れの走りに完敗の12着に終わった。6月の宝塚記念(GⅠ)は1年8ヶ月ぶりに岩田康誠騎手とのコンビで出走したが5着に終わり、秋へ向けて英気を養うことになった。 ■水かきのついた馬 ここから先を綴る前に、少し彼の血統について触れておきたい。 1993年の天皇賞・秋(GⅠ)ではハナ差2着に敗れたセキテイリュウオーを兄に持つ彼の祖母・レインボーファストの父に、レインボーアンバーという馬がいる。 1986年生まれで、生涯成績は9戦3勝、芝で勝ったのは皐月賞トライアルの弥生賞(GⅡ)のみ。 しかし、この馬が勝った弥生賞は一言で言えば「とんでもねえレース」だったのである。 この日、前夜から降り続いた雨で、馬場は不良。まさしく「最悪」としか言いようがない状態であった。 そんな中で行われたレースは、単勝1.4倍の断然一番人気サクラホクトオーがノメり倒して沈没するわ、逸走する馬は出るわでメチャメチャな状態になってしまったのであるが、そんな中でレインボーアンバーは後続を1.7秒も突き放し、まるで水かきがついているかのような走りを見せて圧勝したのである。 レインボーアンバーはその後、菊花賞2着を最後に故障で引退。7年間で残した産駒はわずか25頭であり、繁殖入りした産駒はなんとレインボーファストを含めて2頭しかいなかった。 しかし、その「水かき」のような走りが、28年の時を越えてその片鱗を見せることになるのだから競馬は面白い。 ■兆し 話をレインボーラインに戻そう。6月の宝塚記念で敗れた彼は、10月29日の天皇賞・秋で復帰することとなった。騎手は変わらず岩田騎手である。 しかしこの時期、折しも日本には台風22号が接近していた。その猛威は、前週の菊花賞で既にその片鱗を見せ始めており、同レースではレコードから17.9秒遅れとなる3分18秒9という凄まじいタイムが記録されていた。このため中止すら懸念される事態となったが、結局レースは予定通り開催されることとなった。 余談ながら菊花賞のタイムは近10年で最も遅いタイムより12秒7遅い、これより遅いタイムは1946年まで遡ると言うとんでもない物である。 台風による降雨による馬場の悪化のみが原因でこうなっているのだから、その翌週でさらに雨が続いていた天皇賞・秋が中止の懸念が浮かんだのも無理もない。 迎えたレースは26年ぶりの不良馬場となり、レインボーラインは父ステイゴールド・母父フレンチデピュティ・母母父レインボーアンバーということで不良馬場適性が一部から期待されてはいたものの、それでも単勝59.6倍の13番人気。 スタートでいきなり隣の1番人気キタサンブラックが出遅れ波乱を思わせる中、スッと出たレインボーラインは後方を追走。最後の直線でただ一頭内側を抜けてきたキタサンブラックと宝塚記念優勝馬サトノクラウンが前方で叩き合いを繰り広げる中、レインボーアンバーから受け継いだ水かきが目覚めたか、両雄を2馬身半差まで追い込んで3着に入る健闘を見せた。4着以下を5馬身ちぎっていたことを考えれば、異次元の戦いを見せた上位2頭を2馬身半差まで追いつめた彼の道悪適性がよく分かるというものである。 続くジャパンカップはキタサンブラックに借りを返したキタサンの同期シュヴァルグランの後ろで6着、有馬記念(GⅠ)もキタサンブラックの有終の美の前に8着に終わった。 しかし、彼を取り巻いていた雲は、確実に晴れようとしていたのである。 ■七色の虹がかかった日 2018年、5歳になった彼の始動戦は3月の阪神大賞典(GⅡ)。 前年の台風の菊花賞で2着に入り、京都記念(GⅡ)を勝ったクリンチャーと、ステイヤーズステークス(GⅡ)を3連覇した長距離の強者アルバートに続く3番人気に支持されたこのレースで、レインボーラインは後方から運ぶと直線入り口で先頭に立ち、そのまま真っ先にゴールに飛び込んだ。 2年にわたる長い長いトンネルを、ようやく脱した瞬間だった。 その勢いに乗って、前年12着と涙を呑んだ天皇賞・春に挑戦。NHKマイルカップから数えて、10度目のGⅠ挑戦だった。 1番人気は、前年ジャパンカップ勝者シュヴァルグラン。レインボーラインはそれに続く2番人気だった。 スタートが切られ、レインボーラインはいつもどおり後方からの競馬。向こう正面で一気に流れが変わると、息もつかせぬ戦いが始まった。 レインボーラインの4コーナー通過順位は11番手。このレースでは追い込み馬は全くと言っていいほど勝てておらず、10度目もダメかと思われた。しかし──。 内からレインボーライン!内からレインボーライン! レインボーライン!岩田か、岩田だ! 七色の虹がかかった京都競馬場です!! ──実況 吉原功兼アナ(関西テレビ) 岩田騎手の信頼に応え、彼は内からものすごい勢いで並み居るライバルを交わすと、ゴール前でシュヴァルグランを捉え、わずかの差で先にゴール板を通過した。 10度目にしてGⅠの悲願がかなった瞬間だった。 そしてこの勝利は、岩田騎手にとってもレッツゴードンキで勝利した2015年の桜花賞以来、実に3年・54戦ぶりのGⅠタイトルだった。 もう勝てないのでは、という思いに襲われ続け、眠れない日々を送った岩田騎手と、諦めずに走り続けたレインボーラインのコンビがようやく掴んだ栄光に、スタンドからは歓声が起こった。 しかし、大歓声に包まれたスタンドは、数十秒後、静寂に変わった。 岩田騎手がウイニングランを行わず、1コーナーで下馬したのだ。 JRAのルール上、下馬するということは何らかの異常があったことに他ならない。 そこにあったのは、右脚を気にするレインボーラインとそれを心配そうに見つめる岩田騎手の姿だった。 しばらくして、レインボーラインは馬運車に乗り込んでターフを後にした。 低迷から久しぶりの勝利の美酒を味わった岩田騎手だったが、勝利インタビューに応じる彼の表情に笑顔はなかった。 ■虹のあとに 診断結果が出るまでにはしばらく時間を要した。 余談ではあるが、その結果を待つ間、同じ地で散ったライスシャワーにイメージを重ねた人が多かったのか、京都競馬場のライスシャワー碑は参拝者で溢れかえっていたという。 サラブレッドは脚の筋肉が血液を送る「第二の心臓」のような役割を果たしている。 また、500kg前後ある馬体は、4本の脚がしっかり機能していなければ支えることができない。 これらのことから、脚の怪我の程度があまりに酷い馬は、まず助からないのだ。 ライスシャワーもその例に漏れなかった。 やがて、レインボーラインに下された診断は「右前脚跛行(はこう)」。 精密検査の結果、腱・靭帯の損傷が疑われたが、命に別状はないこともわかり、ファンや関係者は胸を撫で下ろしたことだろう。 その後、1ヶ月にわたる懸命な治療が続けられたが、良化が見られず、6月6日に競走馬を引退。 レースへの復帰を目指した陣営の願いは叶わなかったが、種牡馬として遺伝子を次世代につなぐ仕事へ移ることとなった。 7月、種牡馬としての繋養地となる優駿スタリオンステーションに到着。 彼の「水かき馬の血」と「不屈の闘志」を受け継いだ産駒の登場に、期待が持たれる。 が、初年度産駒デビュー直後の2022年9月に種牡馬も引退。2022年12月現在は去勢され、2008年天皇賞・春馬アドマイヤジュピタ等名馬達が住むノーザンホースパークに移り余生を過ごしている。 それでも、私達は忘れることはないだろう。 「天皇賞・春で追い込み馬は勝てない」という常識を覆した、あの乾坤一擲の3ハロンを……。 追記・修正は虹を見た方にお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] トッキュウジャー関係なかった -- 名無しさん (2018-09-02 08 47 06) ステゴの後継は上手くいくのかな -- 名無しさん (2018-09-02 09 31 37) 水かき馬の血族が永遠に続かんことを -- 名無しさん (2021-12-05 19 13 31) ステゴ産駒だけど大人しくて賢いって言われてたね -- 名無しさん (2023-02-16 22 17 47) イエデゴロゴロがレインボーライン産駒初の勝ち星をあげたとか -- 名無しさん (2024-06-06 16 27 49) 名前 コメント
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発言者:カレン・キリシマ 対象者:秋月 凌駕 夢の中――しかし同時に不思議と現実感のある再会。 アポルオンとの激闘を経て、意識を闇に落とした凌駕は、大切な人だったカレンと再び言葉を交わしていた。 彼女らしい大胆な発言から始まり、やがて話の中心はジュンの影装覚醒……それに伴う傷の重さ深さへと移る。 凌駕との接触、内的存在となったカレンとの同調深化をきっかけに、ジュンは新たな位階へと昇った、が。 「今、ジュンの心にはその反動で大きな傷が生じている…… 本来、こんな簡単に次の段階へ到達できる器じゃないのよ。彼女も、そして私も」 「礼の苦しみ様を見たでしょ? 君やジュンよりかなり早く刻鋼人機と化していた彼でさえ、 その入り口に立つだけで制御に神経を削られていた。あれが普通で……いいえ、それでもきっとまだ早いんでしょうね」 「実際、到達方法を知った今でも、私は自分が影装を制御できるとは思えない。 ジュンも本来ならそうなのよ。真に独力で影装の制御を成し遂げたのは、間違いなく敵味方まとめて凌駕君一人しかいないわ」 「───君が抱えていた、無意識の不安通りに」 熱相転移、終滅の魔拳。俺と共に生きられる者など誰もおらず、故に触れられる存在など何もないという不安の具現。 それを手に入れられたのは、そういう異端異物であるという闇あっての事だった。 ……改めて自分のどうしようもなさに自嘲する。 それでも凌駕は、目の前の心配そうなカレンを悲しませたくなく……何でもないよう表情を取り繕う。 「……ごめんね、責めたかったわけじゃないの。ただ、本来なら僅か数日でそれだけ強くなるってことは困難過ぎるっていうことを、ちゃんと認識してほしかったから」 「私が言いたかったのはたった一つ。ねえ凌駕くん、それを踏まえた上でジュンが覚醒した事実を鑑みてちょうだい」 ―――影装に達することに必要な日数、そして本来なら不可能な早過ぎる覚醒。 ―――当然ならば、得たものあれば失うものあり……というのが世の真実。 ならば、間違いなくジュンはあの死闘を切り抜ける代償に何かを支払っている、という解に行き着くのは当然の流れで…… 「……だから今も心が痛んでいると? 早熟な俺と繋がったせいで、影装に引っ張られたことの異常事態(イレギュラー)が発生した?」 「私が背を押しちゃったせいでもあるけどね。君が秒針の譜面(リズム)担当、私が出力(エネルギー)の向上担当、ってところだけど」 「その手助けのせいで、あの子は今覚醒に引き摺られているわ。手綱を握りきれていないのに、乗り回せる状態にまで達している」 神妙な表情でカレンが告げたその事実に、 凌駕もあの快活な少女に待ち受ける未来が決して明るいものではない事が想像できてしまい…… 「皮肉にも、マレーネのお兄さんって問題があったからね。 自分より弱っている少女を助けてあげたいって思えたこと、相手が純粋に強くて余裕がなかったこと。 この二つがジュンの不安を後回しにしてくれた。けど、一度緊張が解けて落ち着ける時間が出来てしまったら……」 速さを追求した結果、全ての過程(努力)を飛ばしてしまえる瞬間移動に目覚めてしまった己の影を。 傷付いた身体を癒しながら、その心の毒を真正面から受け止めるしかなくなってしまうと―――― 目覚めた後……それを見つけて、己はジュンを支えてやるべきなのだろうと考えこむ凌駕の横顔に、 カレンは眩し気な視線を向ける。そうしてくれてありがとうと、告げるように。 「で、お姉さんとしましては、そんな一足飛びに強くなったもう一人の男の子を心配しておりましたが……」 「御覧の通り、あっさりしてるんだよねえ。たまには年上ぶらせてほしいなぁ、と思うんだけど」 「……それくらいでいいのかもね。もう少しで、こういう会話もできなくなると思うから」 軽口の中に入り込んだ、寂しげな微笑みを前に、凌駕は思わず訝しむ。 そんな顔は見たことがないと。知っている限りの彼女からは想像できない、 夢幻のはずのカレンが今浮かべているのは、本当にただ寂しいという、初めて見る表情だった。 これが――捉えどころのない風ではなく、隠すもののないカレン・キリシマの素顔だと伝えるかのように。 切なくこぼし、微笑んでいた。 「あくまで私はあの子の一部になった身だから。 永久機関に残ってはいるけど、それは少しずつ欠片となって溶けていっているようなもの」 「最後まで進行すると……そうね、ほんの少しだけ大胆になる(・・・・・)ってくらいかな? こうして言葉を交わしたり、想いを告げたりすることはもう無理で」 「だからね、凌駕くん───」 そのまま向けられた笑みは何故か、一瞬ジュンと重なるように見えて…… 「彼女のことを支えてあげて。男の子なんだから。 そして教えてあげてほしいの、あなたはいつだって一人なんかじゃないってこと……」 「たとえこれから先、どんな困難が待ち構えていても……私は、ずっと同じ命を歩んでいくって」 瞬間、「夢」から引き戻されようとする凌駕には、もう彼女が己の想像した幻だとは思えない、思いたくはなくて。 「忘れないで、私はずっと二人を傍で見守ってるから」 その優しい風が吹き抜けると共に、彼ら二人の不思議で、素敵な邂逅は終わりを告げたのだった――― 名前 コメント
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発売日はいつ? [#mb024b97] 文字の大きさは大丈夫ですか? [#h975bfe7] 3D酔いしやすい体質でも楽しめますか? [#s0121ed5] プレイ時間はどれくらいですか? [#ic2f8515] 読み込み時間はどうですか? [#g1ecbcd8] 処理落ちはありますか? [#kf3014b7] エンカウントの方式は? [#ma468d80] フルボイス対応ですか? [#caa395cd] イベント/ムービーのスキップ、または一時停止はできますか? [#fee2762a] やり込み要素はありますか? [#d3b3b8ec] Lvの上限は? [#z729209f] 2周目はありますか? [#x9ab89c2] コクーンとパルスの関係って? [#wd4d425e] パージするって日本語でいうと何? [#r5118b14] 用語がよくわからない [#ud9f78cd] オプティマ、クリスタリウムって? [#hc7bfb62] ロールは何種類? [#bba94ce1] 何章まであるの? [#q178bc68] パーティ変更できないんだけど? [#be3131d6] 改造が・・・ [#p272ecd5] オーディンが・・・ [#wcf62677] 武器LVが★に・・・ [#k9634f6e] スモーク・・・ [#m6aee608] 全然ブレイクでないんだけど [#ya0e084f] 全然自由じゃないし、乗り物やミニゲームはないの? [#m31a271b] ライブラでエネミーリスト?のままだけど [#o546f3e0] 敵が倒せません [#f8cca0b7] チョコボの乗り方 [#f63169b7] 発売日はいつ? 2009年12月17日。海外は2010年3月予定。 文字の大きさは大丈夫ですか? ブラウン管ではかなり見難いと思います。 液晶30型以上推奨します。 接続端子はHDMI>(デジタルの壁)>D>S>赤白黄 3D酔いしやすい体質でも楽しめますか? カメラの回り方が結構激しいので酔う。 また、フィールドカメラが滑るので苦手な人は注意。 プレイ時間はどれくらいですか? 40〜60時間 もちろん寄り道すればもっとかかる。 読み込み時間はどうですか? セーブデータロード後に長めのロードあり。 その後はエリアチェンジ時に若干ロードがあるが気にならないレベル。 処理落ちはありますか? 特にありません。 エンカウントの方式は? シンボルエンカウント フルボイス対応ですか? はい イベント/ムービーのスキップ、または一時停止はできますか? できる。スキップはスタート→セレクト やり込み要素はありますか? トロフィー機能はある。 Lvの上限は? クリスタリウムLV10 ロールLV5まで確認されています。 2周目はありますか? 無い クリアー後セーブで継続プレイ可能。クリア後クリスタリウムLV10開放 コクーンとパルスの関係って? 最先端都市とその外界 パージするって日本語でいうと何? 切り捨てること。 用語がよくわからない 徐々に理解できるように話がつくられているから心配する必要は無い。 オートクリップ読め。 オプティマ、クリスタリウムって? オプティマ=ドラクエの「さくせん」 クリスタリウム=スフィア盤 ロールは何種類? 6つ キャラによって内容は変わってくる 何章まであるの? 13章 パーティ変更できないんだけど? 序盤は変更できない 改造が・・・ 動物系EXP小、重ねて使っていくとEXP取得倍率上昇(1.25 1.5 1.75 2 3倍) 機械系EXP大、使うと個数に応じて取得倍率ダウン オーディンが・・・ 1.雷の指輪を装備する 2.ふたりヒーラー、ふたりブラスターのオプティマを用意する 3.オーディンが攻撃しているあいだはふたりヒーラーで耐える 4.オーディンがウルの盾を使用している間はふたりブラスターで攻撃する 武器LVが★に・・・ ★状態の武器を選択すると素材に対応する鉱石があればそれが使用可能になります。 スモーク・・・ フィールド移動中にL1 全然ブレイクでないんだけど アタッカーとブラスターを1人ずつセットする事をお勧めする。 アタックはゲージ溜まりにくいが継続が長い、 ブラストはゲージの溜まりは早いが継続力が弱い(継続の優先順位はアタック>ブラスト) 全然自由じゃないし、乗り物やミニゲームはないの? 11章まで頑張って進めろ ライブラでエネミーリスト?のままだけど 今のところ最初からやりなおすしかない。 どうやらクリア後にリポップする場所があるもよう 敵が倒せません シェルやプロテスなどの強化やデシェルやペインなどの弱体を使う。 今作は強化弱体の影響が極めて大きいので有効に使うべし。 それでも倒せないなら成長と武器強化する。 チョコボの乗り方 場所:アルカキルティ大平原 ミッション12「六死将・暴虐なる破壊者」(難易度C)を受託しクリアする先に進むとチョコボの楽園、イベントもあるが現時点では騎乗不可能。マップ各地に羽マークと共にチョコボ出現。 ミッション14「チョコボの守り人・決意」(難易度C)を受託しクリアする 2のミッションクリア報酬でギサールの手綱を入手、チョコボに騎乗可能(冥碑の場所) 12→メディア峡谷入口を南に見て、平原到着時のセーブポイントから壁沿いに西に進んだ細い路地の先 14→メディア峡谷入口を南に見て、平原到着時のセーブポイントから北北西にある湖。枯草模様の川の真北。
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544:635:2022/10/29(土) 16 22 27 HOST 119-171-248-234.rev.home.ne.jp 銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの向こうには(ry・超大陸日本クロス 神崎島おウマさんVS日本ウマ娘 第三話「ウマと馬は出走準備するようです」 超大陸となった日本の総理官邸危機管理センターは混乱に包まれていた。 「何が起きた!!」 「正体不明飛翔体が大気圏外から落下!西ノ島付近に落下した模様!」 「落下!?ヤルバーンや軌道上の艦隊は探知出来なかったのか!?」 「突如として軌道上に出現、重力子魚雷による破壊を試みましたが失敗した模様!」 「どっかの文明がワープでもさせた隕石か…?兎に角Jアラート流せ!兎に角太平洋沿岸部に津波警報発令!」 気象庁や防衛省の職員が慌ただしく動き出す。 「特危の偵察機が落下地点の西ノ島付近へ到着!映像流します!」 「センサーに感!これは落下じゃない降着だ!!何かが動いてる。」 その言葉に全員がモニターに目をやる。 立ち昇る土煙の中蠢く影、ソレは立ち上がる。 なんだアレは…モニターを通して感じる威圧感、怒気。 背筋がゾワゾワする。 Ah―――!(ヒメちゃああああああん!?どこぉぉぉぉぉぉ!?) 実際はシリアルである。 馬とウマ娘のレースが開催される様になって以降トレセン学園に配備された馬とウマ娘両方が入ることの出来るゲート、通称発馬バ機。 それがコース上にウマ娘達の手で設置される。 なお馬が先かウマ娘が先かで野党が政府糾弾したとか良く分からんことがあったり。 その間、武勇と竹内は騎乗し併せ馬を行い馬の癖を見ていた。 「しかしこの子こっちの指示をちゃんと聞きますね。安定感もある」 「…ああ。」 竹内は名も知らぬ馬(ライスシャワー)の操縦性と安定性に驚いていたが武勇はそれどころでなかった。 自身の騎乗する栗毛の馬の癖も走り方も武勇は知っていた。 容姿含め似通り過ぎというレベルではない武勇の知るあの【彼】そのもの、いや【彼】がその後順当に歩み続けた頂点こそがこの馬なのではないかと錯覚する。 そんなことは騎乗する馬にも【彼】にも失礼であったが武勇の脳と情緒はグチャグチャにされていた。 なおそのおウマさんの正体…。 「武勇さん。」 そしてそんな武勇の目に入るのは自身があの日纏っていたものに似た勝負服を纏う少女、サイレンススズカ。 これ程の皮肉もあるまい。 【彼】の魂と名を継いだ少女の前で全く関係のない馬に【彼】を感じるなんて。 「貴方もお互いに頑張りましょうね。」 サイレンススズカは目の前の彼女にとっての大切な人の一人の乗る【自身にそっくりな】栗毛の馬を撫でる。 気持ちよさそうに撫でられながらその馬はとても深い優しい、安心した様な瞳でスズカを見ていた。 何に安心しているのかは分からない、だがスズカは目の前の馬が他人の様な気がしない。 ウマソウルが同じ血筋、腹違いの兄弟であり無念を晴らしたスペシャルウィーク、 ウマソウルがライバルであったエアグルーヴやマチカネフクキタルとは違う。 もっと深い関係だと自分の心…いやウマソウルが訴え叫ぶ。 眼前の馬の前で走れと大欅を乗り越えたサイレンススズカの走りを見せるのだとどうしようもない程に。 そしてスズカは思う、この馬と、騎手のあの人の乗るこの子と共に走った先頭の景色は違うものが見えるのではないかと。 545:635:2022/10/29(土) 16 23 28 HOST 119-171-248-234.rev.home.ne.jp 「着いていく…着いていく…。」 並走する片方の黒鹿毛の馬の後ろを黒いドレス(勝負服)を纏うライスシャワーはただひたすらに追っていた。 何故か着いていかなければ、ここに馬が居ること確認しなければという使命感にライスシャワーは襲われたいた。 すると馬が突然こちらを向く。 「ひゅい!?」 それに驚き変な声が出て尻餅をつく。 「あーあんまり走ってる馬の後ろに着いてきちゃ駄目だよ。馬が驚いて蹴られる恐れがあるからね。」 「ご、ごめんなさい。ライスはやっぱり悪い子だ。」 ライスシャワーのその声に気づいた鞍上の竹内がライスシャワーを諫める。 するとライスシャワーの大きな耳はへにょへにょと萎れ自身を責める。 幾分緩和されたとはいえあのミホノブルボンの三冠阻止での大ブーイングで負ったトラウマというのは容易く克服出来るものではない。 彼女の走る理由がみんなに幸せを届けたいというだったのだからなおさらだ。 そんなライスに馬が近づくと。 「あ、くすぐったい…!」 頬寄せ慰める様にライスの顔に頬ずりをする。 擽ったさに笑顔になるライスの姿を確認するとその顔を戻した。 ライスはその黒い馬の瞳を見つめる。 自身に似た黒い鹿毛に黒い瞳は無言の問いを放つのがライスには分かった。 もう大丈夫?淀の坂も超えて走る理由は見つけの?ライスシャワー? 「うん、もうライスは大丈夫だよ。ブルボンさんや応援してくれる人達の為に走るって決めたから…! 全国のお兄様やお姉様とかっていう人達は良く分からないけど…。」 お兄様、お姉様いるの…。 「うん居るんだよ。」 どけ!俺が(私が)お兄様(お姉様)だぞ? 「うん、良くなんか叫んでる。」 「会話成り立ってる…!?」 アドマイヤベガは目の前の馬から目を離せなかった。 銀の髪の艦娘が軽快に走らせる馬、自身のウマソウルの大本"アドマイヤベガ号に良く似た"馬の姿。 心配さが心を支配する、怪我などしないか病気ではないかとまるで家族の心配でもするように。 「どうして…?」 目の前の馬を見るのは初めてだ。間違いない。 だけど目の前の元気な馬の軽快な足取りを、銀の艦娘に撫でられ嘶く姿を見るとひどく泣きそうになる。 無くしたものが戻ってきた様な不思議な感覚。 そして艦娘に撫でられ嬉しそうな馬を見てギリッ!と奥歯を強く噛む。 馬に嬉しそうに嘶かれる銀の艦娘に嫉妬を覚える。 (何故お前がそこにいる。そこは私の場所だ。どけ!私はお姉様だぞ!!) そこでハットする。あれが妹な訳ないじゃないかと自身に言い聞かせる様に。 「何を思ってるのアドマイヤベガ…。あれは名も知らぬ馬、あの子な訳ないじゃない…馬のあの子もウマ娘のあの子はもう…。」 そうきっと思い違いだ。あの馬がアドマイヤベガ号に似すぎているのが原因だ。 後、あのモフモフ。そうあのモフモフが原因なのだ。手触りの良さそうなあの毛並みが自分を狂わせたのだ。 「そう気の迷い。あのモフモフが私を迷わせているのよ…。」 546:635:2022/10/29(土) 16 24 37 HOST 119-171-248-234.rev.home.ne.jp 「スペチャン!!ドウシタノサ!?」 「スペ先輩!?」 「スペ大丈夫か!!」 心配するスピカの面々の言葉も耳に入らない。 紫色の勝負服を纏うスペシャルウィークはただその瞳よりだくだくと涙を流し続けていた。 スペシャルウィークの視線の先にはじっとこちらを見つめ続ける背に鹿毛の艦娘乗せた馬の姿。 既視感を感じ一目見た時から視線を離せなかった。 係留場のその馬の隣にいた自身の髪同じ黒鹿毛と流星持つ馬に嫉妬すら覚えた。 分からない、全てが分からない。何でそんな感情を抱いたのか、何故既視感を抱いたのか。 その馬は今、ただ静かに自分を見つめる。ただそれだけで感情が爆発しそうだ。 心の中はグチャグチャだ。 悲しくて切なくて嬉しくて楽しくて目の前の馬に抱きつきたい。 自分の成長を見て欲しい、目一杯甘えたいという感情が生まれる。 その様子を見て鞍上の艦娘はフゥと溜息を吐く。 「スペシャルウィークさん。」 「……。」 「スペシャルウィークさん?」 鞍上の艦娘の声に反応しないスペシャルウィークにトレーナーの沖野は肩を揺さぶった。 「おいスペ!」 「ふぇ…は、はい!」 そこで漸く正気に戻る。 「心ここに非ずといった様子なのです…スペシャルウィークさんは出走取りやめるべきなのかもです…。」 「そうかもなあ。これじゃレースにならんかもしれん。こんな状態じゃ怪我の元にもなっちまうだろうし。」 出走取りやめ、その艦娘の言葉にひどく動揺する。 走れない。何よりも眼前の馬と走れないという事実に何よりも感情が動き膝と手をつき号泣する。 「い"や"て"す"!は"し"ら"せ"て"く"だ"さ"い"!!」 スペシャルウィークは泣きべそをかきならが訴える。 ただただ走らせて欲しいと涙を流すスペシャルウィークにどうしたもんかと頭を掻く沖野やスピカの面々。 その時鞍上の艦娘はふわりと地面に降りるとスペシャルウィークに近づくと…そのまま抱き上げた。 「ふえ?」 「はい!?」 「まあ…!」 ウマ娘でない、ヒト娘にしか見えずスペシャルウィークより一回り小さい、にも関わらずスペシャルウィーク一人を軽々と持ち上げた。 沖野は呟く。 「そういや艦娘ってのは見た目ニシノフラワーくらいのカイボウカンって艦娘でも2500バ力(りき)出せるって話だったな…。」 「「「2500バ力(りき)!!?」」」 「あー、私だと駆逐艦という艦種に分類されて5万馬力なのです。」 「「「ご、ごまん…。」」」」 そして艦娘はスペシャルウィークを抱えたまま馬に乗るとそのまま鞍に座らせ手綱を握らせると自身は馬のから離れる。 547:635:2022/10/29(土) 16 25 18 HOST 119-171-248-234.rev.home.ne.jp 「そのまま少し走ってくるといいのです。」 「ふえ…?」 「おい!スペは馬に乗ったことなんて!」 「大丈夫なのです。さ、行ってくるのです。」 艦娘が促すと馬は嘶きスペシャルウィークを乗せたまま駆け出す。 「あのおウマさんなら大丈夫なのです。ボソッ(お母さんですし)。」 艦娘の呟きに眉を動かす沖野。 「(オカアサン…おかあさん…お母さん!?)」 走る馬と鞍上のスペシャルウィーク、その姿を見たスピカの面々は呆然とする。 「なあスペ先輩って…。」 「馬に乗ったことはないはずよ…。」 「何故初めてでああも乗れますの…?」 おっかなびっくりで手綱を握り固まっていたスペシャルウィークであったが数分もしない内に馬の走りになれ速歩で走っていた。 そんなスペシャルウィークを見ながら艦娘は呟く。 「それに多分ウマ娘としては知らなくても覚えているのですよ。」 「何を…。」 「ウマソウルが…人を乗せターフを駆け抜けた記憶と経験を。」 私達艦娘の様に…意図せず溢れた言葉を沖野は聞いた。 そしていつの間にかスペシャルウィークは泣き止みその顔には満面の笑顔を浮かべる。 「あれなら大丈夫なのです。」 「…だな。」 沖野は自分の髪をワシャワシャと掻いた。 548:635:2022/10/29(土) 16 25 54 HOST 119-171-248-234.rev.home.ne.jp 以上になります。転載はご自由にどうぞ。 残弾はこれにて打ち止めです。
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風が一陣過ぎる。 全てを撫でて通り抜ける。 後には何もない。 吹き抜けたその余韻だけが残る。 風が一陣、過ぎていく。 夜明け方。紫のにじむ天空高く、小さな飛行影が巡っている。 真下に広がる、朝靄に包まれた深緑の森と、大河から分かれ浅く穏やかに水音を湛える川と、空そのものと。 そこにある全ての息遣いを眼下に見張るように、大きな円を描いて、流れる彩雲よりも高く飛んでいる。 その足元の森で、別の影が身じろいだ。 ゴブリンや小鬼(コボルト)の類かと見紛いそうな場所から、しかし樹々の合間に隠れるよう張った天幕から這い出てきたのは―――よくも収まっていたと思える体躯を、のそりと持ち上げる長身の男だ。 下草の露を踏んで濡れた革長靴の底で、川べりのくすぶる焚き火の跡を崩し、火種を確認するとあくびを一つ。頭を掻いて、そのまま水流の淵へと入ってゆく。清水は夜露を集めてきたように冷たく、手にした布を浸して絞りもそこそこに顔をぬぐうと、鞘を外した剃刀を顎にあてがい洗う。 一通り身奇麗になった心地良さに、大きく伸びをしたその緩慢な動きで、額に落ちる長さのある黒髪。それを後ろに流して、白み始めの空を見上げ、自然と出る溜息と共に眼を細めた。 遠く十字点のようなシルエットを睨んで笑う。 「もう、飛んでいたか。」 呟き、薄ら照らされた表情は精悍で穏やかだ。 青年と呼ぶにはやや過ぎた逞しさのある顔つきに、残る若さを湛えた瞳が、背後の深緑に似た優しい色で静かに瞬いている。その間近で、左の耳に留められた銀環が鈍い光で閃いた。 そうして朝の空気の中、雲の向こうで影が大きく頭上を一周するのを眺めて一時。 ふいに指笛を形作ると、口元へと運んで大きく息を吸った。 キ ィ ――――― … 吹き出された音は、無骨な手指に反して、細く、細く。鳥の声よりも高く小さい。 何処にも届かぬまま、森や水に吸い込まれ消えてしまうのではないかと思えるほどか細い金属音にも似たその「呼び声」に、遥か向こうで応えるよう影が翻った。 “風”が一筋、地上に吹く。 そして緩やかに。音もなく。しかし大気を切るような速さで。 昇り始めた朝日を背負って、それは降りてくる。 鳥ではない。 陽光を反射して、翠(みどり)と真鍮の鈍金に煌く、全身の鱗。 宙で広げた体長の倍はある翼膜は、蒼い血管が見えるほど薄く磨硝子のように透けていながら、そこにある空気を全て受け止めるように力強く重厚な身を減速させる。 そのまま滑るように川下から川上へ、水流を一閃して削りながら着水する、両脚の白く鋭い爪。 水飛沫が、中空に届くほど、真っ直ぐ、長く尾を引いて。 朝の光に飛散して輝いた。 舞い降りたのは一匹の、竜。 ただしそう呼べるのか定かでない程に小柄だ。 馬と同程度の体躯をしている。 身を震わせ、長い首を上げると角の生えた細面の頭をすぐさま水に落として、足元を突付いているその生き物に男が歩み寄っていく。 「あまり大きく飛びすぎるなよ。ペルシェ。 いくら街から離れていても、見つかれば近場で蜥蜴(とかげ)の魔獣が出たと騒ぎになるぞ。」 彼がからかうように[木漏れ日(ペルシェ)]と呼んだその「蜥蜴」は、捕らえたばかりの川魚をくわえたまま、瞳孔の細い眼を見開いてきょとりと振り返った。 そして爪よりも更に鋭い牙に、びちびちと跳ねる白腹を引っ掛けて丸呑みすると一声。 『 ケェッ ! 』 馬鹿にするな、とでも答えたような。あるいは男の方を馬鹿にしたのか。 そんな響きの返事を受けて、しかし彼はからからと笑った。 「さぁ、魔物と間違われる前にさっさと鞍を着けよう。今日は久々にお前も連れて行くぞ。 手綱さえ掛けていれば、獅子でも闊歩できるのがあの街だ。」 言うが早いか、天幕から乗用具一式を担ぎ出す。銀の留め金のついた鞍を載せ、銜(はみ)を牙の奥まで銜えさせ肩首に結べば、立派な乗用竜の様相になった。 引き手当人はというと、寝床を整え畳めば荷を全て竜に担がせ、後は髪だけ紐で纏めると着たままの簡素な街着に手ぶらの軽装で、手綱を掴んで歩き始める。 再度、頭上を振り仰いだ。 行き先の空は、消え行く明けの彩雲よりも鮮やかな虹色を浮かべている。 迷う余地のない目標を確認して、一人と一匹は街を目指した。 ―――― 七虹都市、アルコ・イリスの朝は早い。 そも日没の間中ずっと、七色の“虹蛇の導き(ユルング・ライン)”に照らされているこの街が、眠りというものを知っているかすら怪しいという点はさて置いて。 どんな不夜の城にも朝は訪れ、煌々とした街の灯はさんざめく日の光に取って代わられる。 そして朝一番を告げる鐘は、どこの街でも鶏の声より高らかに鳴り響くのだ。 特にここ、柘榴石(ガーネット)通りの下町に長らくそびえる、“時謳う教会”にある赤銅鐘(あかがね)の塔は別格である。 食事もそぞろにせわしく働く職人達、家族のため掃除洗濯に駆けずり回る主婦、時間厳守の宿の下働き。日常を全力で生きるそんな人々を愛した神の宿は、彼らに休まず時の移り変わりを伝えるべく、日が昇ってから沈むまで半時に一度、実に一日二十四回もけたたましく巨大な鐘を鳴らす。半時間と一時間とを告げる音にはそれぞれ緩急と規則があり、市場も問屋も音に合わせて店が開かれるため、この通りの毎日の生活を測るには欠かせないものだ。 ただし前日に酔い潰れた二日酔いの日雇い人や、朝寝坊がしたい夜働きの女などには大不評らしいが、それも神の御心の範疇らしいので問題無いのだという。 見目にも白い素朴な漆喰肌に、通りのシンボルである赤煉瓦を階段状に飾ったその塔は、街の中央塔"虹星の叡知"(アルマゲスト)と比べてしまえば工場の煙突のようなものだ。 しかし通りの人々からは文字通り、虹の女神の“赤子”だとまるで親子のように扱われ親しまれている。 そんな塔の鐘が今日もまた、青く抜ける空に朝を謳う頃。 響く鐘の低音に震える老朽化した塔の壁面で、縄一本で宙ぶらりんに下がった、幾人かの男達の姿が見える。 「―――悪ぃなぁウィド。お前さんはもうこの仕事にゃ携わる義理もねーのによぉ。」 渋い顔で肩を怒らせる壮年の職人に、ウィドと呼ばれて笑い返すのは、黒髪を無造作に結んだあの男だ。 「義理ならありすぎる位だよ。親父さんには随分と世話になった、臨時雇いでも何でも、声をかけて貰えるなら何時でもすっ飛んで来るさ。」 出立時と変わらぬ軽装も、逞しい体躯も、さばけた職人達に混じってしまえば何の違和感もない。あるとすれば左耳のカフスの銀だけが、飾り気のないその空気の中でやや浮いていた。 会話を交える男達の手には、まだ柔らかい漆喰を載せた板と、塗りナイフが握られている。壁の煤けた灰白を、目新しい貝白に塗り替えながら、親父と呼ばれた男の愚痴は続いた。 「左官の職人に、手が足りない訳じゃ無ぇんだぜ…若ぇのがどいつもこいつも、此処だけはビビッちまって誰も手がつけらんねぇのさ。不甲斐ないねぇ全く…」 舌打ちと共に見下ろした、その目線の先では「不甲斐ない若手」とやらが別働で働いているらしいが。この高さから見た地上の人々はまるでケシ粒で、誰が誰だか判別できているとは断言し難かった。 工場の煙突のようなもの、とは言われようが曲がりなりにも鐘突き塔である。 周囲の家々の二~三倍は余裕で超える背の高さ、振り返れば赤煉瓦の町並みはミニチュアのように広がっている。遮るもののない風が吹き抜け、白い鳩の群れが羽ばたく。 その景色は色んな意味で実に壮観である。 男達を支えているのは命綱一本。 否。それすらも飾り煉瓦に鍵爪で引っ掛けているだけの、保障もへったくれもない代物だ。 「俺らの頃は、この街の職人はまず年に一度、赤銅の鐘突き塔を世話できて一人前だ!なんつったのによ。時代かねぇ…いっそ中央塔みたく箒のガキどもを手伝いに寄越せと、どっかのお上に言ってみるべきか?」 この道の玄人は愚痴の合間に、突風に煽られながら器用にナイフを動かして、壁面に薄く白を伸ばしていく。 「魔術の学徒に学び舎は磨けても、職人の真似事までは出来んでしょう。むしろ親父さんなら、自分が中央塔の壁面をまっさらに塗り替えてみたいんじゃないか?」 「かっか、とんでもねぇな!我らが偉大な“虹星の叡知”様を塗り替えるなんざ、それこそ雨風どころか槍が飛んできてもおかしくねぇわ!しがない下町の左官職人に手なんて出せるもんかよ、おーっかねぇ!」 けたけたと笑う親父につられて談笑しながら、やがて手の届く範囲を綺麗に塗り終えた男達は、紐でまとめた漆喰道具を腰に下げ命綱を付け替え、横に移動していく。使える五体は全て使わなければ、一瞬の気の緩みイコール真っ逆さまなのがこの仕事であり、こんな一時だけは皆の口数も減る。間近で鐘が鳴り響いて、その音量の凄まじさに塔ごと震える瞬間など尚更だ。 そんな中でも一際軽々と、ウィドは他の職人の分まで器用に鍵爪の位置を入れ替えて、大きな猿のように身体をスライドさせて動く。綱を離した瞬間はいわゆる宙吊り懸垂の状態だ、腕にも足腰にもよほど自信がなければ本来そう易々とは動けない。 作業は手際よく進み、昼前には眩いほどの白でほぼ塗り替えられた塔が、十一回目の時を高らかに謳った。 「頼りになるねぇ。力仕事も度胸も元から申し分無い、塗りの腕前だけどうしても、短期間じゃあ真似事までしかお前さんに教え込めなかった。それが惜しいんだよ、俺ぁ。」 「はは、褒めるフリで皮肉ですか?不甲斐ない事に真似事までしか出来ないモンで、得意でカバーさせて貰えるなら御の字だ。何度も言うが俺は高いのに慣れてるだけで…腕前なら若い奴らの方がよっぽど上だろう?」 「へっぴり腰とプラマイゼロすりゃあいい勝負だぜ。お前さんさえその気なら、いつでも本職になれるだけ鍛えてやるのによ。大体この高さに慣れてるってのも不思議なモンだぁ…お前さんこそ実は、中央塔の壁磨きでもやった事があるんじゃないのか?」 「冗談を、俺に魔術の心得なんて、――― …! 」 苦笑いでからかいを一蹴しようとした、その表情が一転。 険しい形相で、眼下の街並みを振り返った。 まるで何かを聞きとがめたように耳元の銀に触れながら辺りを見回すが、当然ながら周囲に男達の声と風の嘶き以外はない。黙り込んで眉根を潜めるウィドの様子に、親父が首を傾げて声をかける。 「どうしたぁ?ぁー、そろそろ終わりだぜ、上がる準備しな。」 「…悪い親父さん、急用ができた。」 言うが早いか、男は頭上の煉瓦を掴むと命綱をあっさりと外し、腕だけで塔をさっさと登りつめた。鐘突き場の柵を跨ぎながら、首だけ振り返って叫ぶ。 「先に上がらせて貰います、後始末の分は給金から引いといてくれ!」 「お、おぉ?ちょっと待てよ、一体何だってぇ…」 尋ねるより先にその姿は視界から消えて、後には青空と赤銅鐘だけが残る。 「…相変わらず鐘よりも忙しない奴だな、あのお人好しは。」 呆れた職人の呟きに、盛大な正午の鐘だけが答えるよう謳って響いた。
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前ページスナイピング ゼロ 「ルイズ~!」 始祖の祈祷書に目を通していたルイズに自分の名を叫ぶ声が聞こえたのは、敵軍の艦隊「レキシントン号」に向けて ヘリが急行している時だった。 何事かと思いながら、右側の窓から外を見る。そこには、見知った人物の姿が見えた。 「あれは!?」 そこに見えたのは、幻獣のグリフォンを操り、羽付き帽子と魔法衛士隊の制服を身に付けた男の姿。義手となった左手で 手綱を握り締め、右手でレイピア型の杖をコルト・シングル・アクション・アーミーのようにクルクルと回している。 「オセロッtじゃなくて、ワルド!」 「まだだぁっ!」 ワルドは杖を腰に仕舞うと、手綱を両手で握り猛烈な勢いでヘリに接近してきた。勢い良く回転するメインローターを 気にする様子は、全く無い。ルイズは操縦桿を握る二人に、大声で叫ぶ。 「ワルドが来たわ! 右方向、距離20メイル!」 「ワ、ワルドさんがですか!?」 即座にセラスが、遅れてリップが右方向に視線を向ける。デルフがボソリと「あのオッサンも頑張るねぇ」と呟いたが、 ローター音に掻き消された。 「早く離脱して、撃墜されるわ!」 「ヤ、ヤー!」 操縦桿を倒し、機体を大きく左へカーブさせる。だがワルドは離されること無く距離を詰めてくる。 ルイズは始祖の祈祷書を後部座席に置き、ドアの下部に取り付けられているハンドルに手をかけた。 「マスター、何を!?」 「セラスは前を向いてて!」 力を込めて、ハンドルを90度回転させる。ガチャッと言う音が響き、ドアのロックが外れた。 「せーの~!」 天井に走るパイプを両手で掴むと、ルイズは思いきりドアを蹴り飛ばした。 「何!?」 突然ヘリのドアが飛んできた事に、ワルドは驚いた。だが持ち前の腕前でドアを避けると、再び接近する。 ヘリの後部では、悔しそうに地団太を踏むルイズの姿があった。それを見て、ワルドは苦笑いを浮かべる。 「まさか元許嫁に、扉を蹴り飛ばされるとは思わなかったな……」 ぼやきながらも、ワルドは両足をグリフォンの背に乗せた。ヘリを操っている二人が銃器を使おうとしているが、操縦桿 を握っているため動きが遅い。その隙を逃す事無く、ワルドはヘリに飛び移ろうと背を蹴った。 「外したわ!」 ドアをぶつける作戦が失敗し、ルイズは床を踏みつける。リップは地表に向けて落下していくドアを見下ろしながら、 「後で回収しなきゃ」と呟いた。セラスはハルコンネンで攻撃しようと銃器に弾を装填しようするが、操縦桿から手を 離せないため手間取っている。 「どうすんだ、どうやら敵さんはヘリに飛び移る気だぜ」 デルフの声に、ルイズは足を止めて外を見る。ワルドがグリフォンの背中に座るような格好で近付いていることから、 明らかに飛び移ろうとしているのが分かる。 「何してんのよセラス、早く撃ちなさい!」 「ヤー!」 そう言ってセラスが銃口を窓から外へ突き出すと同時に、ワルドは飛んだ。 「あーッ!」 ルイズが叫ぶと同時に、ワルドはヘリ内部への侵入に成功。そのまま勢いよく回転し、左のドアにぶつかって 「あ」 ドアがガタンと言う音と共に外れ、ワルドは 「うわぁあああ~!」 雄叫びをあげながら、地表へ向けて落下して行った。その後を、グリフォンが雄叫びをあげながら追いかけて行く。 ルイズとセラスは、予想外の事に呆然としている。リップはアホ毛を指先で弄りながら、呑気な声で答える。 「ロックするの忘れてたわ」 それからしばらく、ヘリにはデルフの笑い声が響き続けた。ルイズは落下していくワルドに 「良いセンスよ……」と、フォローの言葉を送った。 ◇ タルブ村の南部に位置する森の中で、ワルドは仰向けの状態で倒れていた。帽子やマントには、木の葉や小枝などが 幾つも付着している。空の上では、見失った主人を求めてグリフォンが回りながら飛び続けている。 「うぐぉぉ……」 膝に手を乗せ、痛む体を立ち上がらせた。傍に生えた大木に背を預け、息を整える。 「なんとか、墜落死は免れたか……」 痛む背中を撫でながら、苦悶の表情を浮かべた。帽子を脱ぎ、葉や枝を掃い落とす。 ヘリの飛び移りに失敗したワルドは、そのまま地面に向けて真っ逆さまに落ちてしまった。 フライの呪文は唱えたが落下の勢いを抑えきれず、大木の枝に接触しながら背中から地面に落ちた。 前日に降った雨で地面が柔らかくなっていたのは、不幸中の幸いと言えるだろう。 「まったく、私とした事がとんだ失態だな」 そう言って空に向けて口笛を吹こうとした時、ふと足元に目を向けた。 「ん?」 そこに見えた奇妙な物に気付き、唇に伸ばしかけた指を下ろす。 「なんだ、これは?」 そこに見えたのは、弁当箱のような形をした白い塊だった。木の根元に細い糸で結ばれており、動かないよう固定 されている。他にも数本の糸が伸びており、周りの木に真っ直ぐ繋がっていた。不思議に思いながら白い塊に顔を 近づけた時、ワルドは凍り付いた。 「まさかこれは!?」 白い塊に印字されている二つの文字を、しっかりとした声で呟く。 「C4爆弾!」 「そうだ、そのワイヤーに触れると貴様ともどもC4が爆発する」 ワルドは即座に杖を抜き、声のした方へ向ける。そこには、馬に乗った一人の女騎士がいた。短く切り揃えた金髪と、 トリステイン軍を示すマントが風で揺らいでいる。 「お前がクロムウェルとか言う皇帝のお気に入りか?」 「お前は!?」 ワルドは鷹のような眼で、相手を睨みつける。だが、女騎士に怯む様子は無い。 「私はアニエス・シュヴァリエ・ド・ミラン」 右手に持ったマスケットを、真っ直ぐワルドへ向ける。 「貴様が噂どおりの男かどうか試してやる」 女騎士の名前に、ワルドは心当たりがあった。 (任務でアルビオンに向かった頃に新設された部隊の隊長か。確か、平民の女だけで組織されていたはず……ん?) そこでワルドは、アニエスの腰に付けられている袋が動いている事に気付いた。 「貴様、その動いている袋は何だ?」 「コレのことか?」 アニエスは袋の紐を解き、中身を掴み出す。それは、胴体が膨らんだ蛇らしき生物。ワルドは、その生物に 心当たりがあった。 「それは、まさか!?」 「どうやら貴様は、この生物を知っているようだな」 アニエスは、左手を高く掲げた。尻尾を掴まれた生物は、頭を左右に振りながら悶える。 「貴様が空から落ちて来たのを見て、ここへ来るまでにキャプチャーしたものだ」 幻の生物と言われるツチノコを揺らしながら、アニエスは当然のように言った。 「そのツチノコは必要だ!」 ワルドが叫んだ。 「お持ち帰りはさせん」 馬から降りると、アニエスは挑発するかのように手招きする。 「来い!」 その言葉を合図に、ワルドは駆けた。 向かって来るワルドに対し、アニエスは微塵の躊躇も無く引き金を引いた。黒色火薬が破裂すると同時に、大きな煙が 薬室から吹き出し視界を奪う。即座に左手で煙を払うが、ワルドの姿は見えない。 「どこだ!?」 周囲を見渡し警戒していると、上空から枝の折れる音が響いた。前方へ飛び伏せると同時に、先ほどまで立っていた場所に ワルドが降り立った。レイピア型の杖が、地面に深く突き刺さっている。 マスケットを捨て、剣を握り一直線に立ち向かう。ワルドが杖を抜くと同時に、剣を勢いよく振り上げた。 「貰った!」 一刀両断するほどの威力で、剣を振り下ろす。だが接触する寸前で、ワルドは左腕だけで剣を防ぎ止めた。 「な!?」 予想していなかった防御の仕方に、アニエスは目を見開く。その隙を逃さず、ワルドはレイピアをアニエスの腹部に向けて 突き出した。鎖帷子が軋む音が響く。二人は互いを武器で払い、距離を取るため後ろへ飛び下がった。 互いを睨みながら、膠着状態が続く。しばらくして、アニエスは言った。 「もう一度いこうか……」 「良いのか?」 ワルドの問いに、アニエスは不敵な笑みを浮かべながら懐に手を入れた。回転式の拳銃を取り出し、撃鉄を起こす。 「六発以上、生き延びた奴はいない」 銃口をワルドに向ける。 「怪しいものだ」 ワルドは杖を握り締め、身構える。アニエスは立ち上がり、ポケットからオロシャヒカリダケを取り出し口に 放り込んだ。短く切り揃えられた金髪が発光しはじめる。 「良し生き返った、さあ行くぞ!」 アニエスが両手で拳銃を構えると、ワルドは杖を振り呪文を唱えた。自分と瓜二つの姿形をしたワルドが5人も現れ、 アニエスを円形状に取り囲む。 「良いセンスだ、そろそろ本気を出していこうか」 そう言うと、アニエスは片足を軸にして回転しながら銃を撃ち始めた。回りながらも狙いを外す事無く、分身した ワルドの内の2体の心臓や頭部を撃ち抜いていく。そして3体目を撃とうとした時、分身に変化が生じた。 「何!?」 分身したワルドの姿が、じょじょに消えていく。他の2体も同じように消えていき、やがて見えなくなった。 「ステルス偏在か!?」 回転を止め、近くの大木に背を合わせる。銃を握り締めながら、周囲を警戒する。 「どこだ、どこから来る?」 その時、視界に自身が仕掛けたトラップが見えた。 「……そうだ!」 銃を構え、20メイルほど離れた木の根元に固定されているC4に向けて発砲した。 発砲音と爆発音、二重の轟音が鼓膜を振るわせる。一つのC4が爆発したため、ワイヤーで繋がれている他のC4も次々と 爆発していく。あっと言う間に、周囲は爆風で舞い上がった砂埃で覆われた。 「姿を消されては、標的を狙う事は出来ない。だが……」 一点に向けて、銃口を向ける。その地点を漂う煙が、微かに動いた。 「どこを動いているか分かれば、狙う事は可能だ!」 狙った場所に、銃弾を撃ちこんだ。即座に遍在のワルドが2体、姿を現わすと同時に砂のように消滅する。 銃口の向きを変え、残り一発を撃つ。残り1体の偏在が消え失せると同時に、煙も消え失せる。 「偏在は全て倒した、後は張本人である貴様だけだぞ!」 アニエスの叫びが、森に轟く。すると、上空から羽ばたきの音が降りてきた。 「流石だ、平民の女騎士と侮ったのは間違いだったようだな」 幻獣のグリフォンに跨り、ワルドは楽しそうに言った。銃口を向けられた状態のまま、アニエスの正面に降り立つ。 「どうする。まだ続けるか?」 「いや、続けている時間は無い」 ワルドは呟き、遠くの空を指差す。アニエスが視線を移すと、そこには燃え盛るアルビオン軍の艦隊が見えた。数秒ほど 経つと、轟音と衝撃波が二人にも伝わって来た。 弾が切れた銃を懐に仕舞い、アニエスは口笛を吹く。走り寄ってきた馬に乗り、ワルドに顔を向ける。 「邪魔が入った、まあ会おう!」 そう言うと、背を向けて走り去って行った。ワルドはハァっと息をつき、腰をトントンと叩く。 「新型のスニーキングスーツが欲しい所だな……」 そうボヤくとグリフォンに跨り、戦場へと飛び去って行った。 前ページスナイピング ゼロ
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タグ一覧 まだらに隠した愉悦シリーズ 阿求 「○○様、何人かの奉公人達から、報告書でしょうか?そのような物を預かっております。持ってきたとき朝が早かったので、側役の私に預けて行きました」 朝食の後、依頼の事は忘れていない物の。情報収集にやった件の奉公人達待ちであるから、ひとまずは愛犬の散歩でも行って時間を…… そう思っていたら、老齢の奉公人から本当に絶妙の間と言う奴で、次の段落を与えてくれた。 「ご依頼の件は存じております。依頼人の息子は、私も老人ですから、小さい時分を知っておるので心配でございます」 ふっと、少しだけ話した老奉公人の思い出話に。その老奉公人が親身に、そして本気で依頼人の息子の事を心配している様子がうかがえた。 「ふふふ」 阿求の笑い声も聞こえた。 阿求にとって、ここ最近の一番の楽しみと言うか。求めている物は。 自分の夫が頼られている、敬われている、評価されていると言った場面を確認する事だから当然と言えば当然ではあるのだが。 ……阿求は隠してこそいるけれど、○○が逆玉に、自分と一緒になってくれた事自体は喜んでいるが。 ○○が財産目当てなどと思われることを絶対に回避したがっていた。 だが今のところは、阿求の目論見通りに事は運んでおり。阿求が怯えるほどにまで避けたい事象は、随分遠かった。 「その、○○様。言ってみれば私は今回のご依頼では部外者でございますが。 あの息子が悪くならい為ならば、この老体も喜んで差し出します」 それはこの老奉公人の態度を見れば、火を見るより明らかである。 何度も何度も、頭を下げて。それだけにとどまらず何か言いつけがあれば、すぐにご下知を、即座に動きますとまで行ってくれた。 演技ならばそれはそれで、底知れない心中に怖くなる位であったから。真実以外の何物では無さそうである。 「うん、まぁ。今はそうそう状況が一気に動きそうでは無いから……報告書は俺の机に置いといて。 俺の愛犬が紐をくわてえグルグル庭で回ってるから、散歩の後にちゃんと確認するよ」 「ははっ」 老奉公人は、驚くほどの平身低頭でその場を後にした。 きっと言いつけどおり、○○の私室に報告書を置きに行くのだろう。 あの様子では、無人の私室にはいる時でも一礼して入りそうだ。 しかし鬼人正邪の影が見えるだとか、遊郭がまた絡みだした事など言えるはずも無く。 そもそも後者の遊郭が絡んでいる事実は、阿求の機嫌を悪化させる一番の要因だ。 昨日も二人きりでだと言うのに、状況に対する意見交換の時。彼女は明らかに危なかった。 少し心配になったので、阿求の顔を見たが。 「今回も上手くいくと良いですね。今回の場合は内々の物ですが……でも悪くなさそうで。ふふふ。 これも上手くいけば、あなたは名実ともに何でも好きに出来る存在ですよ」 長年勤めている老奉公人にあそこまで恭しく頭を下げてもらっている○○、それを確認する事が出来た事がことのほか嬉しそうで。 さすがに先ほどの老奉公人がいた時は、微笑程度の笑いに抑え込んでいたが。 件の人物がいなくなって、二人きりになると。そうなるともう、タガが完全に外れてしまっていた。 「何でも好きに出来るね。まぁ事実が知りたくて窓から侵入位はやっちゃうかもしれないけれど……」 それ以上となると、○○が理想としている名探偵もたまに無茶をやるが。さすがに申し開きが出来なくなってしまう。 けれども阿求からすれば、まだまだ些末であるらしい。 「ふふふ。私が許します」 短い一言で、ほとんどすべての事に対する免除の印を。 ○○は別に寄越せとも、必要だとも言わなかったし。これから先もねだることは無いけれども。阿求の方が無理矢理、くっつけてくれた。 押し付けるですら多分ない。無論阿求は完全なる善意でそれをやっているのだろうけれども。 感覚的には、後光が勝手に設置されてしまったかのような物だ。 幸いな部分は、まだこの存在をしっているのは。稗田夫妻に限られるという事ぐらいか。 「……はは」 むしろどこまでやったら、流石の阿求も。上白沢の旦那のように苦言を呈してくれるかなと考えたが。 どこまでやっても苦言の1つもやってこなかったら、それはそれで怖い。 こうなると自らを強力に律して、同時に自分の真実の求め方に良い顔をあまりしない友人を大事にせねばならない。 同じように、外の名探偵の事を案外好きで。自分が愛犬にわざわざトビーと言う名前を付けている意味も理解している。 東風谷早苗の事も思い出されたが……アレは頼ったらだめだ。 東風谷早苗自身が一線の向こう側という事もあるけれども、それ以前に妻である阿求が一線の特に向こう側だ。 それと仲良くするのは、無謀な行為だ。 向こうも向こうで、稗田阿求と言う一線の向こう側と付き合うのはおっかなびっくりなはずだから。 東風谷早苗に関してはそう問題では無い、おたがいが距離を取ろうとしているから、案外均衡が取れている。 少なくとも偶発的な事態はほとんどなさそうだ。 けれども東風谷早苗のように思慮と分別のある存在ならば、存外安心できる。 愛犬トビーと遊んでいる時の方が……無論気にしすぎかもしれないが、阿求が今どんな顔をしているか怖くなることがある。 幸いまだ、怖いと思った事は一回も無いが。一度感じた疑念はそう簡単には拭えない。 「あら……あなた、飼い犬が鳴いていますよ。紐を加えたまま、庭を走り回っていますし。待たせすぎでは?」 愛犬トビーが不意に鳴いたり、吠えたりしても。飼い主である自分の事を呼んでいるのではと言う。 至極全うな感想しか、今まで出してこなかった。 うるさいとすら言った事が無かった。実に、実に慈愛に満ちた感想しか出てこないのだ。愛犬トビーに対しては。 何処に出しても恥ずかしくない、誰に聞かれても大丈夫な感想しか出てこない。 こういっては何だが、トビーの事を愛犬だと即答できる○○ですら。 1日二回の散歩をねだって走り回る愛犬の姿には、広場で離してやったら。戻って来いと言っても30分以上走り回った前科のあるこの愛犬に対しては。 飼い主である○○ですら、たまにため息が出てくるのだと言うのに。愛犬に対して何回か、少し黙れ落着けと言ってしまった事があるのに。 阿求からは、そう言うめんどくさいと言う感情が一切見えてこない。不自然なほどに。 無論、考え過ぎだと言われるであろう。だから誰にも、この事は話していない。 「元気ですよねぇ、うちの飼い犬は」 でも、疑念はある。確たる証拠が無いだけで、無視できない疑念は存在している。 「うちの飼い犬に、疲れるっていう概念はあるのかしら」 阿求は○○の愛犬トビーの事を、一貫して『飼い犬』と呼んでいる。 少なくとも阿求がトビーの事を、ちゃんと名前で呼んだ記憶が一切ないのだ そこに頭脳明晰な才女であるが故の、歴史書の編纂を生業とするが故の、言葉と文字に対するこだわりを見てしまったような気がするのだ。 「夕方の散歩は、奉公してくれてる人に頼もうかな……また調べ物があるかもしれないから」 出かける際に、考えすぎかもしれないけれども阿求に対して、夕方は多分散歩に行かない旨を伝えておくと。 「そうですね、あなた!いろいろと今回の依頼も、裏で絡んでいる内容が多くて濃そうですからね!」 弾んだ声であった。 いや、もちろん。阿求は何よりも、以来の解決のために東奔西走する○○を見るのが。 そして依頼を解決して、名声を上げていく○○を見るのが何よりも興奮できる遊びであるのは理解しているが。 「いってらっしゃい、あなた」 阿求が○○にばかり出かける際の挨拶をして、手を振り続ける阿求の姿は。 どうしても気になってしまう。 「あー……考え過ぎだと誰かに思いっきり言ってもらおうかな。いっそのこと、そっちのが落ち着く」 愛犬トビーを散歩に連れて行きながら、阿求に対して感じているわだかまりを。 罪悪感もあるから気にしながら歩いていたら、愛犬も飼い主の気分がすぐれない事を察したのか。 今日のうちの愛犬は、飼い主の気持ちを煩わせないようにと気を回してくれたのだろうか。 いつもは結構はしゃぐ性質なのに、今日に限ってはおとなしかった。 家の愛犬にも気を使わせているような恰好は、阿求に対して妙に感じている違和感から発展した罪悪感も合わさり。 早めに解決しようと言う考えにまとまり、落ち着いてくれた。 いつもよりもはしゃがずに散歩をしているから、普段通りの道を歩いていてもいつもよりずっと早くに周りつつあった。 「確かここで、昨日はトビーが騒ぎ出したんだよな」 そして依頼とは関係あるか分からないが……鬼人正邪が倒れている場所につながる、小道の真ん前にまでさしかかった。 さすがに思うところや、考えたい事もあるから。○○は愛犬トビーの手綱をしっかりと握りながら、昨日愛犬が走って行った道を見やっていた。 その先に、鬼人正邪が昨日は倒れていた。 飼い主である○○が更に真面目で固い面持になったのを、手綱を握られていれば感じ取れるのか。 愛犬の殊勝さは更に増した。 その、騒がない様子が。多分○○の中で思索にふける時間と精神的余裕をもたらし。 依頼人の息子を調べていたら、鬼人正邪を見かけてしまったと言う。 偶然にしては若干出来過ぎているつながりを見つけてしまった。 そうしているうちに○○は、昨日鬼人正邪を見つけた場所に対する興味と言うか。 事態が動くとすればまたここかもしれないと言う、推測にまでたどり着いたのだ。 あてずっぽうと言われるかもしれなかったが……鬼人正邪はお尋ね者だ。 そして嫌われ度数と言うのも高い。そんなのをボコボコに出来たら…… 誰かが自慢するはずだ、追い打ちに掛ける物がいるはずだ。 そんな様子も無く、あの広場に打ち捨てられていた。人の目の届かない場所に。 鬼人正邪と喧嘩をした人物は、どうやら事態が表に出るのを嫌がっていたようにすら考えられる。 「見るだけ見てみるか、何も無ければそれで構わない。と言うよりもそれが一番いいが……野営とかしてたりして」 ○○は少しだけ確認してみる事にした。 心中では、あの場所に何らかの意味があるのではと考えていたが。あてずっぽうだろうと言われたら反論の余地は無いので。 何も無ければ、笑い話にしてしまえばいい。 出来れば、笑い話にしてしまえると言う、そっちの方が良かったのだけれども。 「何てことだ」 また誰か倒れていた。性格には、今回は気の幹に立てかけられている男性で。 何故か女物の着物が。本来この男性が来ている衣服の上から、掛け布団のように掛けられていた。 「ああ、クソ!!」 思わず駆け寄ったが。すぐに○○は、何故だか悪態を付くような声を出してしまった。 しかしここに上白沢の旦那はいないけれども。彼だって同じような声は出さずとも、今の○○の感情を理解できるはずだ。 倒れているのが、依頼人の息子なのだから。 依頼人から、自分の息子が悪い習慣を背負い始めているから。どうか調べてくれと、助けてくれと。 そう、今回の依頼における中心人物が、倒れていたのだから。 しかもその場所は、昨日に置いて鬼人正邪が倒れていた場所でだ! 感想 名前 コメント
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前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 空を飛ぶ竜の背で感じる風は一時も休まることなく頬を叩き髪をなびかせる。 目に入りそうになった髪の一筋をかき上げたキュルケは指の間から見えるひときわ大きな雲の中におぼろげに光る何かを見つけた。 髪に当てた手をそのままに目をこらしていると、それは横に広がる輪郭を雲の中に映していき、なんの支えも無く宙に浮くその姿を見せていく。 「見つけたわ。あれ」 それこそがアルビオン。霧のベールをまとうが故に白の国とも呼ばれる浮遊大陸である。 その大陸にそびえる山に積もった万年雪が日の光を照り返し、まるで自らの内から発していたかのように輝いていたのだ。 キュルケが見たものと同じ光を見たタバサが、自らの使い魔である風竜の耳元で囁くと、それは翼を大きく羽ばたかせ首をアルビオンに向けた。 アルビオンの周りを囲む雲が後ろに流れるたびに、それまで淡い影だった大陸は徐々にはっきりとした輪郭と色を得ていく。 「ギーシュ、出番よ」 「ふふん。ぼくのヴェルダンデにまかせたまえ」 シルフィードの背に乗りラ・ロシェールから飛び立ったものの、キュルケ達はルイズがアルビオンのどこに行ったかは全くわからない。 それを見つけるための決め手こそギーシュの使い魔ジャイアントモールのヴェルダンデなのだ。 「さあ、頼むよ。ヴェルダンデ」 ギーシュが使い魔に命令する、と言うより麗しい女性のように頼まれたヴェルダンデは鼻を少し上げて左右に振り始めた。 モグラは元々嗅覚に優れた動物である。ジャイアントモールの嗅覚はさらに優れており、地中深くにある宝石を探し出し、嗅ぎ分けることすらできる。 それならヴェルダンデの嗅覚を使って水のルビーを見つければ、それをつけたルイズも見つけることができる。 ギーシュはそうラ・ロシェールでヴェルダンデと再会した後に蕩々と語ったのだ。 「ふんふん、なるほど」 「どう?ルイズはどこにいるの?」 ギーシュはさらさらの髪をかき上げ、ふっと鼻で笑うと答えた。 「わからない、だってさ」 「タバサ、ちょっと宙返りして。余計なもの捨てるから」 それを聞いたタバサは全く躊躇することなく真顔で頷く。 「わ、わ、わー、ちょっと待ってくれたまえ」 ギーシュの必死の叫びに何か思うことがあるのか、タバサはシルフィードの傾きかけた体を水平に戻す。 ただ、後ろを向いてギーシュを見る目は一見いつもと変わらないものであったが、被告人の言葉を聞く冷酷な裁判官のようでもあった。 「いいかね。いくらヴェルダンデの鼻が優れていると言ってもアルビオン全部の宝石の臭いが分かるほどじゃないんだ」 「それで?」 キュルケの二つ名は微熱。 だが、その言葉は吹雪よりも冷たい響きを秘めていた。 ──つまらないことだったら落とす とでも言いたげに。 「アルビオン全部はムリだけど見える範囲くらいなら十分嗅ぎ分けられる。それでも目で探すよりはずっと早いし確実なはずさ」 ギーシュはさらに説明を続ける。 ここで落とされたらメイジといえどもたまったものではない。 フライやレビテーションの魔法を使うにも限界はあるのだ。 「だからアルビオン上空をくまなく飛んで欲しい。必ず見つかる。いや、見つけてみせる」 「それしかないわね」 もう一度アルビオンを見たキュルケは溜息を一つついた。 ヴェルダンデが現れた時にはアルビオンが見つかればすぐにわかるというように聞かされていたのに随分と話が違ってしまった。 だからといってキュルケはここでルイズ探しをやめる気はない。 それどころか絶対に見つける気でいた。 「あなたが起きていればもっと別の方法もあったかも知れないわね」 キュルケは胸に抱いていたフェレットのユーノの背を毛並みに沿って撫でる。 まだ死んではいない。 しかし血を流しすぎた白い獣からは温かさよりも冷たを感じる。 「思ったとおりにはいかないものね」 シルフィードが雲の中に滑り込んだ。 視界が一瞬だけ白く覆われ、すぐに晴れる。 雲を抜けるとその下にはもうアルビオンの大地が広がっていた。 ──思ったとおりにはいかない まさしくその通りだ。 キュルケとギーシュは竜に乗り慣れていない。 タバサもシルフィードの主人ではあるものの未だ竜の乗り手として熟練しているとは言いがたい。 特に移動するアルビオンまでの航路の知識は船乗りには及ばないし、フネとの速度差も実感してはいなかった。 故に彼女らが思ってもいないことが起こっていた。 窓の外を見るルイズの目に映るいくつもの雲は流れては消え、また消えては流れる。 だが、それは瞳に映るのみで心は全く違う二つのものを見ていた。 1つは彼女の婚約者、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。 手を引かれてラ・ロシェールの港に走っていくのはまるでおとぎ話の1シーンのようでもあり、夢のようでもあった。 彼がいればこの任務を必ず果たせると確信できる。 それに彼は魔法も満足に使えない自分のことを覚えていてくれたし、結婚まで申し込んでくれた。 その時のことを思いだし、ルイズは頬を赤らめ、ほうと溜息をついた。 もう一つは彼女の使い魔、ユーノ・スクライア。 剣と魔法を操り、無数の傭兵の前に立つ彼の後ろ姿は自分よりもずっと年下なのにとても頼もしく見えた。 彼は今一番近くにいて欲しい人。 だけどその後ユーノは追いかけては来なかった。 その時のことを思いだしたルイズはレイジング・ハートを固く握りしめた。 (ユーノ、私はここよ。こっちよ) 声は届かなくても念話なら届くかも知れない。 届けば空を飛べるユーノなら必ず追いかけてくるはず。 (早く来て) ワルドの申し出にどう答えるか。 その答えはもう決まっていた。 だけど、どうしても言えずにいた。 ワルドの前に行こうとする足は止まり、答えを伝えようとすれば喉がつまる。 ──ユーノならきっと喜んでくれるわよね そうすればきっと答えられるような気がした。 ルイズは再び外を見る。 青い空が見えた。流れる白い雲が見えた。眼下には大地が見えた。 アルビオンはまだ見えなかった。 ユーノはどこにも見つからなかった。 これはシルフィードがアルビオンの大地に影を落としたのと同じ時刻のこと。 ルイズの乗るフネは未だアルビオンを離れた空にあった。 ヴェルダンデの鼻があるとはいえ、どこにいるかわからないルイズを見つけるにはアルビオン中を飛び回るしかない。 しかしシルフィードの背に乗り、空を飛ぶギーシュ達はルイズを見つける前に逆に見つけられていた。 「うわああ、来た、来た、来た!」 酷くうろたえてギーシュはちらちらと後ろを伺う。 「ちょっとは落ち着きなさい」 「そりゃそうだけど」 アルビオン大陸中央部に入ってからすぐの事だ。 たまたま後ろを見ていたギーシュは雲間に小さな影を見つけた。 何かと考えているうちにどんどん接近してくるそれを見続けていたギーシュは思わずそれはもう情けない顔──モンモランシーには見せなくない──をしてしまった。 それは風竜だったのだ。 ただの風竜ではない。背中に人を乗せている。つまりは竜騎士だ。 アルビオンはほとんどレコン・キスタの勢力下にあるという。 だったら、こんなところを飛んでいるのは間違いなくレコン・キスタ側の竜騎士だ。 杖を振りかざして「降りろ」と合図を送っているのが見えるほどに近づいたが、冗談ではない。 アルビオン王家に接触しようとしているトリステイン貴族が捕まってただですむはずがないではないか。 ルイズと一緒にいるワルドがレコン・キスタに着いていると予想されている今ならなおさらだ。 「もっとスピードは出ないのかい?このままじゃ追いつかれる」 「無理」 完結に答えたタバサの後ろでまたもギーシュは情けない声を上げる。 シルフィードも風竜ではあるがまだ子供。しかも、こちらは3人乗りで向こうは軽装の1人だけ。 どう見ても向こうの方が速い。 「ど、ど、ど、どうするんだよ」 追いつかれるのも時間の問題だ。 これ以上速度が上げられないシルフィードの下を村が通りすぎ、街道が通りすぎる。 草原を通り過ぎた後は森が広がっていた。 タバサは握りしめた杖の頭を上に向ける。 「私に考えがある」 タバサがあの時──学院で大砲を持ったゴーレムと戦った時──と同じように呟いた。 サウスゴータ地方に配属された竜騎士である彼はいつもの通り哨戒を続けていた。 すでに王国軍が一掃されたこの辺りの任務で退屈をしていた彼は、大あくびの途中で思いがけないものを見つけた。 こんなところを風竜が飛んでいたのだ。 しかもその背に乗っているのはレコン・キスタに参加しているとは思えないどこかの学生らしき人だ。 つまりは不審竜と不審者である。 ぴしゃりと頬を叩いて眠気を晴らした彼は手綱を操り、風竜の速度を上げ不審な風竜を追った。 近づいて合図を送るが速度をゆるめる気配はない。 それどころか速度を上げて逃げようとまでしたのだ。 当然彼も任務を果たすべく速度を上げて追う。 逃げられるはずがない。風竜の大きさもさることながら乗っている人数の差から考えても無駄なことだ。 そうしてサウスゴータ近くの森林上空まで来た時だ。 逃げる風竜の周囲にいくつかの光点が突如発生したのだ。 「なんだ?」 彼もメイジだ。 その光点が何かはすぐに知れた。 魔法で作られた火球がカーブを描きながら飛んでくる。 自動的に目標を追いかける火の魔法、フレイムボールだ。 「くっ」 この風竜は残念ながら使い魔ではないが彼も竜騎士になったばかりの新米ではない。 音に聞こえた無双ともうたわれるアルビオンの竜騎士なのだ。 普段の訓練通りにマジックアローを飛ばし、一つずつ火球にぶつけ相殺していく。 「やるな」 その火球の起こす爆発に彼はいささか舌を巻いた。 火球の速度、大きさから考えても腕の悪いメイジではない。 おそらくトライアングル以上のメイジだ。 爆風が晴れると逃げる風竜が急激に上昇を始めていた。 「これを狙っていたか」 上空には折り重なった分厚く、濃い雲があった。 「しっかり捕まって」 タバサはそうぽつりといつものように言うと、キュルケの返事も聞かずにシルフィードの首を真上と見まごうくらい高く上げた。 「ひっ」 後ろからのギーシュの悲鳴を聞きながらキュルケはシルフィードの背びれに両手でしっかりとしがみついた。 途端、目の前に厚すぎて灰色になった雲が迫る。 その分厚さにキュルケは目の中に雲が入ってくるような錯覚を覚えて思わず目をきつく閉じた。 それは手ばかりでなく足でもしがみついているギーシュや不思議な掴まり方をしているジャイアントモールのヴェルダンデも同じだった。 逃げ続ける風竜が雲の中に隠れても彼はまだ余裕があった。 相手の風竜を操る乗り手の腕は悪くない。いや、彼の所属する竜騎士団の中でも中の上には位置するだろう。 まるで風竜に言い聞かせるように自在に操っている様子から考えると、あの風竜は使い魔なのかも知れない。 だが、いかんせんあの風竜には荷物が多すぎたし、乗り手は空戦の経験に不足しているようだ。 分厚い雲に隠れるという発想はいいが、入り方がいかにもまずい。あれでは飛ぶ方向がはっきりわかってしまうではないか。 先ほどの魔法の応酬で距離は開いてしまったが追跡に問題はない。 彼もまた手綱を引いて竜の首を上げ、雲に飛び込んだ。 ──このままやつの頭を押さえる 視界が雲に覆われても焦りはなかった。むしろ余裕すらあった。 このような時には経験がものを言う。 その差を確信したが故に彼は目前にぼんやりとした竜の影を見つけた時、笑みさえその顔に浮かべた。 首の後ろをひんやりとしたものが掴んだ それが何かを確認する暇さえなく、突如無数の針に首を刺されたような痛みを感じた瞬間、彼の心と体は力を失い自らの竜の背に身を横たえた。 前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ