約 24,179 件
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/57.html
総括所見:イギリス(第3~4回・2008年) 第1回(1995年)/第2回(2002年)/第5回(2016年)英領香港(当時、1996年)/英領マン島(2000年)/イギリス海外領土(2000年) OPAC(2008年)/OPSC(2014年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/GBR/CO/4(2008年10月20日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2008年9月23日および24日に開かれた第1355回~第1357回会合(CRC/C/SR.1355-1357参照)において大ブリテンおよび北アイルランド連合王国の第3回・第4回定期報告書(CRC/C/GBR/4)を検討し、2008年10月3日に開かれた第1369回会合において以下の総括所見を採択した。 A.序 2.委員会は、締約国の第3回・第4回統合報告書、および事前質問事項に対する文書回答の提出を歓迎する。委員会はまた、多部門の上級職員からなる代表団との間で持たれた率直かつ建設的な対話も歓迎するものである。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書についての締約国の第1回報告書に関して同日に採択された総括所見(CRC/C/GBR/OPAC/CO/1)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 B.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展 4.委員会は以下のことを歓迎する。 (a) 対話の過程で締約国から提供された、条約第22条および第37条(c)に付された留保を撤回する旨の決定に関する情報。 (b) 2004年子ども法、2006年保育法および「イングランド子ども計画」(2007年)をはじめ、条約の規定および原則に直接言及する、子どもの権利に関わる多くの法律が採択されたこと。 (c) 平等人権委員会が創設されたこと。 (d) 子どもに影響を及ぼすイングランドのすべての政策について主たる責任を有する、子ども学校家庭省(DCSF)および子ども学校家庭大臣が創設されたこと。 (e) 締約国の国内裁判所で条約が参照された事例があること。 5.委員会は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書の批准プロセスを開始するために必要なすべての立法上その他の措置がとられた旨の締約国の発表を歓迎する。委員会はまた、第2回報告書の検討(2002年)以降、締約国がとくに次の文書を批准しまたはこれに加入したことにも、評価の意とともに留意するものである。 (a) 武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書(2003年6月24日)。 (b) 拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは刑罰に関する条約の選択議定書(2003年12月10日)。 (c) 女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の選択議定書(2004年12月17日)。 (d) 国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関する1993年のハーグ第33号条約(2003年2月27日)。 (e) 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書(2006年2月9日)。 C.主要な懸念領域および勧告 1.実施に関する一般的措置(条約第4条、第42条および第44条第6項) 委員会のこれまでの勧告 6.委員会は、これまでの締約国報告書に関する総括所見を実施するための締約国の努力は歓迎しながらも、そこに掲げられた勧告の一部、とくに以下の点に関わる勧告が全面的に実施されていないことに、遺憾の意とともに留意する。 (a) 連合王国の第2回定期報告書に関する総括所見(CRC/C/15/Add.188)については、とくに、締約国の法律への条約の編入(パラ8~9)、予算配分(パラ10~11)、条約の普及および条約に関する意識(パラ20~21)、差別の禁止(パラ22~23)、体罰(パラ35~38)、教育(パラ47~48)に関わる勧告。 (b) 連合王国・海外領土についての第1回報告書に関する総括所見(CRC/C/15/Add.135)については、とくに、子どもの定義(パラ21~22)、ドメスティック・バイオレンス、不当な取扱いおよび虐待(パラ33~34)、薬物および有害物質の濫用(パラ51~52)、少年司法(パラ55~56)に関わる勧告。 (c) 連合王国・マン島の第1回報告書〔に関する総括所見〕については、とくに、体罰(パラ26~27)および少年司法(パラ40~41)に関わる勧告。 7.委員会は、締約国に対し、これまでの報告書に関する総括所見の勧告のうちまだ――または十分に――実施されていないものおよびこの総括所見に掲げられた勧告に対応するため、あらゆる必要な措置をとるよう促す。この文脈において、委員会は、子どもの権利条約の実施に関する一般的措置についての委員会の一般的意見5号(2003年)に対して締約国の注意を喚起するものである。 留保および宣言 8.委員会は、条約第22条および第37条(c)に関する留保の撤回の発表を歓迎しながらも、締約国が、海外領土および王室属領への第32条の適用に関する留保を維持していることを遺憾に思う。 9.委員会は、締約国に対し、海外領土および王室属領との関係における第32条への留保を撤回するよう奨励する。 立法 10.委員会は、とくに2004年子ども法(イングランドおよびウェールズに適用され、とくにイングランドに子どもコミッショナーを創設したもの)および2006年保育法の採択により、自国の法律を条約と調和させるために締約国が行なっている努力を評価する。しかしながら委員会は、同国全域のすべての法律において条約の原則が正当に考慮されているわけではないこと、および、締約国が条約を国内法に編入しておらず、かつ子どもに影響を及ぼすすべての法律が条約に一致することを確保しているわけでもないことを、依然として懸念するものである。 11.委員会は、締約国が引き続き自国の法律を条約に一致させるための措置をとるよう勧告する。この目的のため、締約国は、この点に関わって北アイルランドにおける権利章典案および英国権利章典案の策定によって与えられた機会を活用し、たとえばこれらの法案に子どもの権利についての特別な項目を設けることによって、これらの法案に条約の原則および規定を編入することを考えることができる。 調整 12.委員会は、締約国が地方分権体制のもとで機能していること、および、このシステムのため条約の実施を調整する単一機関を設けるのが困難であることに留意する。これとの関連で、イングランドにおいて子ども若者家庭大臣官房室に責任を集中させたことならびにスコットランドおよびウェールズでも同様の発展が見られたことのような、調整のために行なわれてきた最近の努力は歓迎されるところである。にもかかわらず、委員会は、締約国全域(地方レベルを含む)で条約の包括的および効果的実施を調整しかつ評価する任務を委ねられた機関が存在しないことを、依然として懸念する。 13.委員会は、締約国が、とくに地方当局が優先順位の決定および予算配分について相当の権限を有している現状では地方レベルも含めて、締約国全域で条約の実施の効果的調整を確保するべきである旨の、前回の勧告を繰り返す。この目的のため、締約国は、十分な資源を与えられ、かつ円滑に機能する調整機関が各法域に設けられることを確保することに加え、締約国全域で条約の調整および評価を行なう責任を、高い地位および注目度を有する単一の機関に割り当てることを考えることができる。 国家的行動計画 14.委員会は、「イングランド子ども計画」、「ウェールズの子ども・若者のための7つの中核的目標」および北アイルランドで策定された戦略において条約への言及が見られることを歓迎する。委員会はまた、「すべての子どもが重要である」に基づいてイングランドで進められている一連の改革も歓迎するものである。しかしながら委員会は、条約が締約国全域の戦略策定の枠組みとして日常的に用いられているわけではないこと、および、条約の原則、価値および目標の全面的実現を確保するための全般的政策が存在しないことを、依然として懸念する。 15.委員会は、締約国に対し、子どもの権利の促進および保護に関与している公共部門および民間部門と協力しながら、かつ子どもの権利アプローチに基づいて、締約国全域で条約を実施するための包括的行動計画を採択するよう奨励する。その際、締約国は、2002年国連総会特別会期の成果文書「子どもにふさわしい世界」およびその中間レビュー(2007年)を考慮するべきである。委員会はまた、達成された進展を定期的に評価し、かつ存在する可能性がある欠点を明らかにする目的で、締約国が、行動計画の全面的実施のための十分な予算配分ならびにフォローアップおよび評価の機構を確保するようにも勧告する。これらの計画においては、もっとも脆弱な立場に置かれた集団に属する子どもに特別な注意が払われるべきである。 独立の監視 16.委員会は、連合王国を構成する4つのすべての社会で独立の子どもコミッショナーが設置されたこと、および、これらのコミッショナーが子どもの権利の促進および保護のために行なってきた無数の取り組みを歓迎するものの、その独立性および権限が限られていること、および、これらの機関がパリ原則に全面的に一致する形で設置されたわけではないことを、懸念する。 17.委員会は、締約国が、設置された4つのすべてのコミッショナーがパリ原則にしたがって独立性を有すること、および、とくに子どもの権利侵害について子どもまたはその代理人が行なう苦情を受理しかつ調査する任務を与えられることを確保するよう、勧告する。これらの機関に対しては、締約国全域のすべての子どもの権利が保護されるよう、その権限を効果的かつ調整のとれたやり方で遂行するために、必要な人的資源および財源が与えられるべきである。これとの関連で、委員会は、子どもの権利の保護および促進における独立した国内人権機関の役割についての委員会の一般的意見2号(2002年)に対し、締約国の注意を喚起する。 資源配分 18.委員会は、子どもに関する支出が近年増加していることに、評価の意とともに留意する。にもかかわらず、委員会は、当該増加が貧困を根絶しかつ不平等に対処するためには十分でないこと、および、一貫した予算分析および子どもの権利影響評価が行なわれていないため、締約国全域でどの程度の支出が子どもに配分されており、かつ子どもに影響を及ぼす政策および法律の効果的実施にこれがどの程度役立っているのかを明らかにすることが困難であることを、懸念するものである。 19.委員会は、締約国が、条約第4条にしたがい、かつ貧困の根絶にとくに焦点を当てながら、利用可能な資源を子どもの権利の実施のために最大限に配分するとともに、すべての法域を通じて不平等を削減するよう勧告する。このような取り組みにおいて、締約国は、「子どもの権利のための資源配分――国の責任」をテーマとして行なわれた2007年9月21日の一般的討議後に委員会が行なった勧告を考慮するべきである。予算配分額が政策上の発展の実現および法律の実施にどの程度相応するものとなっているかを評価するため、子どもの権利影響評価を定期的に実施することが求められる。 普及、研修および意識啓発 20.委員会は、条約を含む国際人権文書の原則および規定について専門家に研修を実施するために締約国が行なっている最近の努力、ユニセフの「権利を尊重する学校」プロジェクトへの締約国の支援、ならびに意識啓発活動の開発および実施におけるNGOとの連携を歓迎する。にもかかわらず、委員会は、条約に関する体系的な意識啓発が行なわれておらず、かつ、子ども、親、または子どもとともに働く専門家の間で条約に関する知識水準が低いことを懸念するものである。さらに委員会は、条約が学校カリキュラムの一部とされていないことを遺憾に思う。 21.委員会は、締約国が、とくに法定のナショナル・カリキュラムに条約を含めることによって、条約のすべての規定がおとなおよび子どもによって同様に広く知られかつ理解されることを確保するための努力をさらに強化するとともに、条約の原則および価値がすべての学校の構造および実践に統合されることを確保するよう、勧告する。委員会はまた、子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家集団、とくに法執行官、出入国管理官、メディア、教員、保健従事者、ソーシャルワーカーおよび子どものケアのための施設の職員を対象とする、十分かつ体系的な研修を強化することも勧告するところである。 市民社会との協力 22.委員会は、報告書の作成および条約の実施において締約国が市民社会組織と協力していること(報告書の作成については公式の協議も含む)に、評価の意とともに留意する。 23.委員会は、締約国が、NGOおよび子ども団体を含む市民社会が子どもの権利の促進および実施に積極的かつ系統的に参加すること(とくに政策および協力プロジェクトの計画段階における参加を含む)、ならびに、委員会の総括所見のフォローアップおよび次回定期報告書の作成にも同様に参加することを奨励するよう、勧告する。 2.一般原則(条約第2条、第3条、第6条および第12条) 差別の禁止 24.委員会は、差別の禁止に対する子どもの権利を連合王国の反差別法(提出予定の平等法案)に導入することによってその主流化を図る明確な機会を得て、平等法を整備しおよび強化しようとする締約国の計画を歓迎する。委員会はまた、差別の問題に関する行動計画の採択ならびにこの問題に関して行なわれている監視および情報収集の活動も歓迎するものである。しかしながら委員会は、実際には一部の集団の子ども(ロマおよびアイリッシュのトラベラーの子ども、移民、庇護希望者および難民である子ども、レズビアン、バイセクシュアル、ゲイおよびトランスジェンダーの子ども(LBGT)ならびにマイノリティ集団に属する子どもなど)が依然として差別および社会的スティグマの付与を経験していることを、懸念する。委員会はまた、子ども、とくに思春期の子どもに対する全般的な不寛容の雰囲気および公衆の否定的態度がメディアを含む締約国に存在しているように思われ、このことがしばしば子どもの権利のさらなる侵害の根本的原因になっている可能性があることも、懸念するものである。 25.委員会は、締約国が、以下のものを含む措置をとることにより、あらゆる理由に基づく差別からの全面的保護を確保するよう勧告する。 (a) メディアを含む社会における、子ども、とくに思春期の子どもに対する不寛容および不適切な特性の付与に対応するため、緊急の措置をとること。 (b) 差別に反対する意識啓発その他の防止活動を強化するとともに、必要なときは、脆弱な立場に置かれた集団の子ども(ロマおよびアイリッシュのトラベラーの子ども、移民、庇護希望者および難民である子ども、レズビアン、バイセクシュアル、ゲイおよびトランスジェンダーの子ども(LBGT)ならびにマイノリティ集団に属する子どもなど)のための積極的差別是正措置をとること。 (c) 社会のあらゆる部門における子どもへの差別事案が、懲戒、行政的制裁または必要なときは刑事的制裁を科すことも含めて効果的に対応されることを確保するため、あらゆる必要な措置をとること。 子どもの最善の利益 26.委員会は、とくに少年司法、出入国管理ならびに移動の自由および平和的集会の分野で、子どもの最善の利益の原則が、子どもに影響を与えるすべての立法上および政策上の事柄においていまなお第一次的な考慮事項として反映されていないことを遺憾に思う。 27.委員会は、子どもの最善の利益の原則が、条約第3条にしたがい、子どもに影響を与えるすべての法律および政策(刑事司法および出入国管理の分野におけるものも含む)に十分に統合されることを確保するため、締約国があらゆる適当な措置をとるよう勧告する。 生命、生存および発達に対する権利 28.委員会は、イングランドおよびウェールズで子どもの死亡に関する法定調査が導入されたことを歓迎しながらも、前回の審査以降6名の子どもが勾留下で死亡したこと、および、勾留されている子どもの自傷行動の蔓延率が高いことを非常に懸念する。 29.委員会は、締約国が、防止措置の実効性を再検討することも含め、生命に対する子どもの権利を保護するために利用可能なあらゆる資源を活用するよう勧告する。締約国はまた、子どもがケアを受けているか勾留中であるかにかかわらず、子どもが予想外に死亡しまたは重傷を負ったあらゆる事案について自動的に独立のかつ公的な調査が行なわれる制度も導入するべきである。 30.委員会は、締約国が暴動鎮圧手段としての円形プラスチック弾の使用を廃止したことを歓迎しながらも、それに代えて、より有害でないことが証明されていない減エネルギー弾(AEP)が導入されたことを懸念する。委員会はまた、テイザー銃の使用がイングランドおよびウェールズで警察官に対して許可され、かつ北アイルランドにおいても試験的に許可されたこと、ならびに、いずれの場合にもこれを子どもに対して使用できることも、懸念するものである。 31.締約国は、テイザー銃およびAEPを、適用される規則および制限の対象となる武器として扱うべきであり、かつ、子どもに対するすべての有害な装備の使用に終止符を打つべきである。 子どもの意見の尊重 32.委員会は、2006年保育法を歓迎するとともに、関連の指針において、子どものためのサービスを計画する際に幼い子どもの意見を考慮することが地方当局に対して求められていること、および、視学官が学校その他の施設を訪問する際には子どもと協議することが求められていることを、歓迎する。委員会はまた、イングランドおよびウェールズにおいて、学校管理機関に対し、学校における行動についての方針を策定する際に子どもの関与を得る新たな義務が課されたことも、歓迎するものである。しかしながら委員会は、教育法および教育政策に第12条を掲げる点に関してほとんど進展がないことを懸念する。さらに、委員会は、第12条に掲げられた権利が障害のある子どもに適用されることを確保するためにとられた措置が不十分であることを懸念するものである。 33.委員会は、締約国が、条約第12条にしたがい、かつ、意見を聴かれる子どもの権利についての一般的討議(2006年)後に委員会が採択した勧告を考慮に入れながら、以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 家庭、学校およびコミュニティならびに施設ならびに行政上および司法上の手続において、法律上も実務上も、子どもの意見の尊重の原則を促進し、推進しかつ実施すること。 (b) 連合王国若者議会、ファンキー・ドラゴン(ウェールズ)および若者議会(スコットランド)のような子ども参加の場を支援すること。 (c) 意味のある子ども参加の機会を増加させるため、メディアを含む市民社会組織と引き続き連携すること。 4.市民的権利および自由(条約第7条、第8条、第13~17条および第37条(a)) (訳者注)3が欠落しているのは原文ママ。 平和的集会の自由 34.委員会は、反社会的行動防止命令(ASBO)(後掲パラ79および80も参照)ならびにいわゆる「モスキート音発生装置」の使用および「解散命令対象地域」の概念の導入により、子どもの移動および平和的集会の自由が制限されていることを懸念する。 35.委員会は、締約国が、ASBOおよびモスキート音発生装置のようなその他の措置について、これらが移動および平和的集会の自由に対する子どもの権利を侵害するかぎりにおいて再検討するよう勧告する。これらの自由を享受することは子どもの発達にとって必要不可欠であり、これに対しては、条約第15条に掲げられた、きわめて限定された制約以外は課すことができない。 プライバシーの保護 36.委員会は以下のことを懸念する。 (a) 子どもが最終的に告発されまたは有罪と認定されたか否かにかかわらず、子どもに関するDNAデータが全国DNAデータベースに保存されること。 (b) 締約国が、子ども、とくにASBOを発令された子どもについて、このような子どもがメディアで否定的に取り上げられ、かつ公に「名指しして辱める」ことの対象とされることから保護するための十分な措置をとっていないこと。 (c) 子どもがテレビのリアリティ・ショーに出演することが、そのプライバシーに対する不法な干渉となる可能性があること。 37.委員会は、締約国が以下の措置をとることを勧告する。 (a) データ保護に関するより強力な規制を導入すること等により、子どもがそのプライバシーに対する不法なまたは恣意的な干渉から保護されることを、法律上も実際上も確保すること。 (b) とくに、子どもの最善の利益に反する、子どもを公に辱めの対象とするようなメッセージを発しないようにすることにより、メディアにおける子どものプライバシーを尊重するための努力を、メディアと協力しながら強化すること。 (c) テレビ番組によって子どもの権利が侵害されないことを確保するため、テレビ番組、とくにリアリティ・ショーへの子どもの参加を規制すること。 残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは処罰 38.委員会は、やむを得ない必要がありかつ最後の手段としてでないかぎり身体的拘束および独居拘禁が用いられないことを確保するため、締約国がこれらの措置の使用を見直したことに留意する。しかしながら委員会は、実際には子どもの身体的拘束がいまなお自由の剥奪の場で用いられていることを依然として懸念するものである。 39.委員会は、締約国に対し、子どもに対する拘束が最後の手段としてのみかつもっぱら自傷他害を防止するために用いられること、および、懲戒目的のあらゆる身体的拘束手段が廃止されることを確保するよう促す。 体罰 40.委員会は、「合理的懲罰」の抗弁の適用を制限する法改正がイングランド、ウェールズ、スコットランドおよび北アイルランドで行なわれたことには留意しながらも、この抗弁が廃止されていないことを懸念する。委員会は、家庭におけるすべての体罰を禁止することに対するウェールズ国民議会のコミットメントを歓迎するものの、権限委譲の条件上、国民議会が必要な法律を制定するのは不可能であることに留意するものである。委員会は、締約国が家庭におけるあらゆる体罰を明示的に禁止していないことを懸念するとともに、子どもの体罰の事案に関していずれかの抗弁が設けられていることは、一定の形態の体罰は容認されることを示唆するものであるから条約の原則および規定に一致しないという、委員会の見解を強調する。 41.委員会はさらに、実質的にすべての海外領土および王室属領において、家庭、学校および代替的養護環境における体罰が合法であることを懸念する。 42.委員会は、前回の勧告(CRC/C/15/Add.188、パラ35)を繰り返し、「体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利」についての委員会の一般的意見8号に照らし、かつ、自由権規約委員会、女性差別撤廃委員会および経済的、社会的および文化的権利に関する委員会によって行なわれた同様の勧告に留意しながら、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) イングランドおよびウェールズ、スコットランドならびに北アイルランドならびにすべての海外領土および王室属領において、あらゆる法的抗弁の廃止等も通じ、優先的課題として、家庭におけるあらゆる体罰を禁止すること。 (b) 連合王国全域ならびに海外領土および王室属領において、学校ならびにその他のあらゆる施設およびその他のあらゆる形態の代替的養護における体罰が明示的に禁じられることを確保すること。 (c) あらゆる体罰から保護される子どもの権利についての公衆の意識を高め、かつ子育てにおける体罰の使用を容認する公衆を減少させる目的で、積極的かつ非暴力的な形態のしつけおよび規律、ならびに、人間の尊厳および身体的不可侵性に対する子どもの平等な権利の尊重を積極的に促進すること。 (d) 積極的な子育てに関する親の教育および専門家の研修を行なうこと。 子どもに対する暴力に関する国連研究のフォローアップ 43.子どもに対する暴力に関する国連事務総長研究(A/61/299)について、委員会は、締約国が、ヨーロッパ・中央アジア地域協議(2005年7月5~7日、リュブリャナ)の成果および勧告を考慮しながら、子どもに対する暴力に関する国連研究の独立専門家報告書に掲げられた勧告を実施するためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告する。締約国は、すべての子どもがあらゆる形態の身体的、性的および精神的暴力から保護されることを確保し、かつ、このような暴力および虐待を防止しかつこれに対応するための具体的な(かつ適切な場合には期限を定めた)行動に弾みをつける目的で、市民社会と連携しながら、かつとくに子どもの参加を得ながら、これらの勧告を行動のためのツールとして活用するべきである。 5.家庭環境および代替的養護(条約第5条、第18条(第1~2項)、第9~11条、第19~21条、第25条、第27条(第4項)および第39条) 44.委員会は、里親養護の方が施設養護よりも望ましいとされる旨の締約国の説明に留意する。委員会はまた、ケアの対象とされている子どもにとっての成果を向上させようとする締約国の努力、および、イングランドにおける独立審査官の設置も歓迎するものである。委員会は、子どもの養育責任を果たすにあたって適当な援助を受けていない家族が多いこと、とくに貧困のために危機的状況にある家族がそうであることを懸念する。さらに、委員会は以下のことを懸念するものである。 (a) 親のケアを奪われた子どもを支援する職員および施設への投資が不十分であること。 (b) 子どもが、親の低所得の結果として代替的養護の対象とされる可能性があること。 (c) 親の一方または双方が収監されている子どもの状況。 (d) 代替的養護の対象とされる子どもの人数が増えていることとともに、とくに、このような子どもに占めるアフリカ系の子ども、障害のある子どもおよび民族的マイノリティ出身の子どもの割合が高いこと。 (e) 代替的養護の対象とされている子どものモニタリングが、処遇の再審査に関するものも含め、不十分であること。 (f) 代替的養護の対象とされている子どもがあまりにも頻繁に措置先を移動させられていること、および、このような子どもとその親およびきょうだいとがほとんど面接交渉できないこと。 (g) 代替的養護の対象とされている子どものうち苦情申立て機構にアクセスできる子どもの人数が限られていること。 45.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 親および法定保護者が子どもの養育責任を果たすにあたって適当な援助を与えるための努力を強化すること。 (b) 子どもが親の低所得の結果として代替的養護の対象とされることがないようにすること。 (c) すべての措置において子どもの意見を考慮するとともに、子どもに対し、子どもがアクセスしやすい苦情申立て機構を全国で提供すること。 (d) 親の一方または双方が収監されている子どもに対し、とくに(子どもの最善の利益に反しないかぎり)親との接触を維持するためならびにこのような子どもに対するスティグマの付与および差別を防止するための支援を確保すること。 (e) とくに定期的訪問を通じ、親族家庭、里親養護、養子縁組里親家庭および他の養護施設に措置された子どもの状況をモニターすること。 (f) これほど多くの障害児が長期の施設養護の対象とされている理由を評価するとともに、このような環境にある障害児のケアおよび処遇を再審査すること。 (g) 親およびきょうだいから分離されたすべての子ども(長期の入所型施設養護の対象とされている子どもを含む)について面接交渉手続の開始を促進すること。 (h) 子どもに成人後の人生に向けた準備をさせるための訓練教育プログラムを提供すること。 (i) 親のケアを受けていない子どもに関する一般的討議(2005年9月16日)で出された委員会の勧告を考慮すること。 養子縁組 46.委員会は、アフリカ系の子ども民族的マイノリティの子どもが、同じ民族的出身の家族によって養子とされるまで長期間待機する場合があることを懸念する。 47.委員会は、子どもが、常にその最善の利益にかなう形で、かつとくにその文化的背景を正当に考慮しながら、可能なかぎり迅速に養子とされるような状況を促進する努力を、締約国が強化するよう勧告する。 48.委員会は、締約国が、国際養子縁組に関するハーグ条約について、当該条約の適用を海外領土には拡大しない旨の宣言を行なっていることを懸念する。 49.委員会は、締約国が、国際養子縁組に関するハーグ条約の適用を海外領土に拡大するために必要な措置をとるよう勧告する。 暴力、虐待およびネグレクト 50.委員会は、子どもの暴力、虐待およびネグレクトの問題に対処するために締約国が行なっている努力を歓迎する。しかしながら委員会は、子どもの暴力、虐待およびネグレクト(家庭におけるものも含む)の蔓延率が高いこと、および、この点に関する包括的な全国的戦略が存在しないことを依然として憂慮するものである。委員会は、子どもに対して行なわれた虐待を記録しおよび分析する包括的システムがいまなお存在せず、かつ、被害者の身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための機構が締約国全域で十分に利用可能とされていないことを、遺憾に思う。 51.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 暴力、性的虐待、ネグレクトまたは搾取(家庭、学校および施設養護その他の養護におけるものも含む)の事案数および規模を監視するための機構を設置すること。 (b) 子どもとともに働く専門家(教員、ソーシャルワーカー、医療従事者、警察官および司法関係者を含む)が、子どもに影響を与えるドメスティック・バイオレンスが疑われる事案について通報しおよび適切な行動をとる自己の義務に関する研修を受けることを確保すること。 (c) 暴力、虐待、ネグレクトおよび不当な取扱いの被害者が法的手続中にふたたび被害を受けることのないようにするため、このような被害者への支援を強化すること。 (d) 締約国全域で、回復、カウンセリングおよびその他の形態の再統合のための十分なサービスにアクセスできるようにすること。 6.基礎保健および福祉(条約第6条、第18条(第3項)、第23条、第24条、第26条および第27条(第1~3項)) 障害のある子ども 52.委員会は、障害のある子どもの状況の分析および改善に関して国レベルおよび地方レベルで行なわれている締約国の取り組みを歓迎する。しかしながら、委員会は以下のことを懸念するものである。 (a) 障害のある子どもの社会へのインクルージョンに関する包括的な全国的戦略が存在しないこと。 (b) 障害のある子どもが、条約で保障された権利(保健サービスへのアクセス、余暇および遊びについての権利を含む)を享受するにあたって引き続き障壁に直面していること。 53.障害者の機会均等化に関する基準規則(国連総会決議48/96)および障害のある子どもの権利に関する委員会の一般的意見9号(2006年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 障害のある人の保護について定めた法律ならびに障害のある子どものためのプログラムおよびサービスが効果的に実施されることを確保するため、あらゆる必要な措置をとること。 (b) 早期発見プログラムを発展させること。 (c) (準)医療従事者および関連の職員、教員ならびにソーシャルワーカーなど、障害のある子どもとともに働く専門的職員に対して研修を行なうこと。 (d) 障害のある子どもの社会へのインクルージョンに関する包括的な国家的戦略を策定すること。 (e) 障害のある子どもの権利および特別なニーズに関する意識啓発キャンペーンを実施し、このような子どもの社会へのインクルージョンを奨励し、かつ差別および施設措置を防止すること。 (f) 障害のある人の権利に関する国際条約およびその選択議定書の批准を検討すること。 健康および保健サービス 54.委員会は、とくに相当額の投資を通じて保健サービスへのアクセスに関する不平等に対処するため締約国が行なっている努力にもかかわらず、最富裕層と最貧困層との間の乳児死亡率の格差が拡大しつつあることに示されているように、不平等が依然として問題であることを懸念する。 55.委員会は、すべての政府機関を横断する調整のとれたアプローチ、および、保健政策と所得不平等および貧困の削減を目的とする政策とのいっそうの調整を通じ、保健サービスへのアクセスに関する不平等に対処することを勧告する。 精神保健 56.委員会は、とくにイングランドにおける相当の財政投資にもかかわらず、締約国の子どもの10人に1人が診断可能な精神保健上の問題を有している一方で、そのうち約25%しか必要な治療およびケアにアクセスできていないこと、および、子どもがいまなお成人向け精神病棟で治療される可能性があることを、懸念する。委員会はまた、北アイルランドにおいて、紛争の遺産を理由として、この点に関する子どもの状況がとりわけ問題含みであることも懸念するものである。 57.委員会は、よりリスクの高い状況に置かれている子ども(親のケアを奪われた子ども、紛争の影響を受けている子ども、貧困下で暮らしている子どもおよび法律に触れた子どもを含む)にとくに注意を払いながら、精神保健上の問題を有する子どものニーズを締約国全域で満たせるようにするため、資源の追加および対応能力の向上を図るよう勧告する。 母乳育児 58.委員会は、母乳育児の促進および支援に関して締約国で近年達成された進展は評価しながらも、「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」の実施が引き続き不十分であること、および、母乳代替品の攻撃的宣伝が依然として一般的に行なわれていることを懸念する。 59.委員会は、締約国が「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」を全面的に実施するよう勧告する。締約国はまた、赤ちゃんにやさしい病院をさらに促進し、かつ保育者研修に母乳育児を含めることを奨励するべきである。 思春期の健康 60.思春期の子どもに影響を及ぼす分野で締約国が行なっている努力には留意しながらも、委員会は、とくに下層の社会経済的背景を有する女子の間でおよび海外領土(とくにタークス・カイコス諸島)において10代妊娠率が高いことを依然として懸念する。 61.委員会は、締約国が、思春期の子どもに対して十分なリプロダクティブヘルス・サービス(学校におけるリプロダクティブヘルス教育を含む)を提供するための努力を強化するよう、勧告する。 62.委員会は、締約国(海外領土を含む)の青少年によるアルコール、薬物その他の有害物質の使用件数が多いことを懸念する。 63.委員会は、締約国が、以下の措置をとることも含め、締約国全域の青少年による有害物質の使用の問題に引き続き対応することを勧告する。 (a) 焦点の明確な防止措置を提供するため、これらの問題の根本的原因を研究すること。 (b) 精神保健サービスおよびカウンセリング・サービスを、これらのサービスがすべての法域(海外領土を含む)の青少年にとってアクセスしやすく、かつ青少年に配慮したものであることを確保しながら強化すること。 (c) 有害物質に関する正確かつ客観的な情報を子どもに提供するとともに、その使用をやめまたは依存から脱しようとしている子どもに支援を提供すること。 生活水準 64.委員会は、2020年までに子どもの貧困に終止符を打つという政府の決意、および、2006年保育法が地方当局に課した乳幼児間の貧困削減要件を歓迎する。委員会はまた、この目標は立法措置を通じて反映されおよび執行されることになる旨の代表団の情報にも、評価の意とともに留意するものである。しかしながら委員会は、子どもの貧困がここ数年で削減されてきたことには留意しながらも、貧困が連合王国全域(海外領土を含む)に影響を与えている非常に深刻な問題であること、および、子どもの20%以上が持続的貧困下で暮らしているとされる北アイルランドにおいてこれがとりわけ問題となっていることを、懸念する。さらに委員会は、政府の戦略においてもっとも厳しい貧困下で暮らしている子どもの集団に十分な焦点が当てられていないこと、および、トラベラーの子どもの生活水準がとりわけ劣悪であることを懸念するものである。 65.委員会は、十分な生活水準は子どもの身体的、精神的、霊的、道徳的および社会的発達にとって不可欠であり、かつ子どもの貧困は乳児死亡率、保健および教育へのアクセスならびに子どもの生活の日常的な質にも影響を及ぼすことを強調したい。条約第27条にしたがい、委員会は締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 目標達成のための測定可能な指標を確立することも含め、2020年までに子どもの貧困に終止符を打つという目標を達成するための法律を採択し、かつ十分に実施すること。 (b) この法律およびフォローアップの措置においては、支援をもっとも必要としている子どもおよびその家族を優先させること。 (c) 必要な場合には、親および子どもに責任を負う他の者に全面的支援を与えることに加え、とくに栄養、衣服および住居に関して子どものための物的援助および支援プログラムを提供するための努力を強化すること。 (d) トラベラーに安全かつ十分なキャラバン基地を提供する地方当局の法定義務を再導入すること。 7.教育、余暇および文化的活動(条約第28条、第29条および第31条) 教育(職業訓練および職業指導を含む) 66.委員会は、条約に掲げられた目標を保障するために締約国が教育分野で行なっている膨大な努力に、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、経済的苦境にある親とともに暮らしている子どもの学校の成績に関して相当の不平等が根強く残っていることを懸念するものである。一部の子どもの集団、とくに障害のある子ども、トラベラーの子ども、ロマの子ども、庇護希望者の子ども、さまざまな理由(病気、家庭の義務等)で中退した子どもおよび不登校の子どもならびに10代で母親となった子どもは、普通学校か代替的教育施設かを問わず就学または教育の継続もしくは再開について問題を有しており、教育に対する権利を全面的に享受できていない。さらに、委員会は以下のことを懸念する。 (a) 子どもは協議の権利をごくわずかしか有しておらず、とくに停退学に対して異議を申し立てる権利または特別な教育的ニーズ裁定委員会の決定に異議を申し立てる権利を有していないため、学校生活のあらゆる側面への子どもの参加が不十分であること。 (b) 教育内容等に関して苦情を申し立てる権利が親に限定されていること。このことは、とくに地方当局の育成下にある子ども(このような子どもについては地方当局が親の権威を有しているが、それが用いられることはほとんどない)にとって問題となる。 (c) いじめが深刻かつ広範な問題となっており、そのため子どもの通学および学習の成功が阻害されている可能性があること。 (d) 停退学件数が依然として多く、とりわけ全体として学校の成績がよくない集団の子どもに影響が生じていること。 (e) 分離教育の問題がいまなお北アイルランドに存在すること。 (f) 委員会の前回の勧告にもかかわらず、北アイルランドで11歳の時点での成績選抜が続けられていること。 67.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもの社会的背景が学校の成績に及ぼす影響を減少させるための努力を継続しおよび強化すること。 (b) 不利な立場にあり、周縁化されており、かつ学校から離れているあらゆる集団の子どもに対して〔権利の〕全面的享受を確保する真にインクルーシブな教育に対するすべての子どもの権利を確保する目的で、相当の追加的資源を投入すること。 (c) 学校に通っていないすべての子どもが良質な代替的教育を受けることを確保すること。 (d) 懲戒措置としての停退学を最後の手段としてのみ用いるようにし、停退学の件数を減少させ、かつ、学校との紛争を抱えた子どもを援助するため学校にソーシャルワーカーおよび教育心理学者を配置すること。 (e) 親のケアを受けていない子どもが、その最善の利益を積極的に擁護する代理人を確実に任命されるようにすること。 (f) 人権、平和および寛容に関する教育によるものも含め、学校におけるいじめおよび暴力に対処するための努力を強化すること。 (g) 学校、教室および学習に関わる事柄であって自己に影響を与えるあらゆるものについての子ども参加を強化すること。 (h) 自己の見解を表明することのできる子どもが、停退学に対して異議を申し立てる権利および(とくに代替的養護を受けている子どもについて)特別な教育的ニーズ裁定委員会に異議を申し立てる権利を有することを確保すること。 (i) 北アイルランドにおける分離教育に対応するための措置をとること。 (j) イレブンプラス進学先決定試験を廃止することによって北アイルランドの二層化文化に終止符を打つとともに、すべての子どもが初等学校後の就学受入れ体制に含まれることを確保すること。 余暇および遊びに対する権利 68.委員会は、「イングランド子ども計画」において、子どもの遊びに対する中央政府の投資としては過去最大の額が計上されていることを評価しながらも、ウェールズを唯一の例外として、遊びの権利が締約国のすべての子どもによって全面的に享受されているわけではないことを懸念する。これはとくに遊びのためのインフラが充実していないことによるものであり、またとくに障害のある子どもにとって当てはまる。委員会はまた、近年生じている遊び場の着実な減少により、子どもが公共のオープンスペースで集まらざるを得ない状況に押しやられる効果が生じていることも懸念するものである。しかし、このような行動は、ASBOにしたがって反社会的と見なされる可能性がある。 69.委員会は、締約国が、子どもが休息し余暇を持つ権利、その年齢にふさわしい遊びおよびレクリエーション活動を行なう権利ならびに文化的生活および芸術に自由に参加する権利を保障するための努力を強化するよう勧告する。締約国は、障害のある子どもを含む子どもに対して遊びおよび余暇活動を行なうための十分かつアクセスしやすい遊び場空間を提供することに、特段の注意を払うべきである。 8.特別な保護措置(条約第22条、第30条、第38条、第39条、第40条、第37条(b)~(d)ならびに第32~36条) 子どもの庇護希望者および移民 70.委員会は、締約国が第22条に対する留保を撤回する決意を示していること、および、2007年3月に新たな庇護手続が導入されたこと(この手続のもと、子どもによるすべての庇護申請は、特別訓練、とくに子どもの事情聴取に関する訓練を受けた「専任担当者」によって検討される)を歓迎する。委員会はまた、締約国にやってきた保護者のいない子どもの庇護希望者に関わる広範な改革プロセスを連合王国国境局(UKBA)が進めていること、および、連合王国国境局に対し、子どもを保護する具体的な法定義務を課す立法の計画があることも歓迎するものである。しかしながら、委員会は以下のことを懸念する。 (a) 自由権規約委員会も最近認知したように、アセスメントが進行中の者も含む子どもの庇護希望者が引き続き収容されており、アセスメント終了まで数週間にわたって収容され続ける可能性があること。 (b) 庇護を希望している子どもの人数に関するデータが存在しないこと。 (c) 保護者のいない子どもであって送還されなければならない者の一時受入れ状態を評価するための、後見人制度のような独立した監督機構が設けられていないこと。 (d) 2004年庇護および出入国管理法第2条で、連合王国入国時に有効な渡航書類を有していない10歳以上の子どもの訴追が認められていること。 71.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 条約第37条(b)にしたがい、子どもの庇護希望者および移民の収容が常に最後の手段として、かつもっとも短い適当な期間で用いられることを確保するための努力を強化すること。 (b) 連合王国国境局(UKBA)において、スクリーニング目的の子どもの事情聴取を行なう、特別訓練を受けた職員が任命されることを確保すること。 (c) 保護者のいない庇護希望者および移民の子どものために後見人の任命を検討すること。 (d) 庇護を希望している子ども(年齢について争いがある者を含む)の人数に関する細分化されたデータを次回報告書で提供すること。 (e) 保護者のいない未成年者が庇護を希望している事案で年齢について争いがある場合、疑わしきは申請者の利益にという原則にしたがって対応するとともに、年齢の決定方法について専門家の指導を求めること。 (f) 子どもの送還が行なわれる場合、送還後の環境(家庭環境を含む)に関する独立のアセスメントを含む、十分な保護措置をともなって行なわれることを確保すること。 (g) 有効な入国書類を持たずに連合王国に入国した保護者のいない子どもに抗弁を保障できるようにするため、2004年庇護および出入国管理法第2条の改正を検討すること。 武力紛争における子ども 72.締約国は武力紛争への子どもの関与に関する条約の選択議定書に関する第1回報告書を提出しているので、委員会は、読者に対し、この項目に関する勧告については当該報告書に関わって採択された総括所見(CRC/C/OPAC/GBR/1)を参照するよう要請する。 性的搾取および性的虐待 73.委員会は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する条約の選択議定書の批准が行なわれる予定である旨の発表を歓迎するとともに、子どもの商業的性的搾取と闘うために締約国が行なっている無数の活動(被害を受けた子どもが犯罪者として扱われることを防止するための措置および子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議で掲げられた方針を実施するための措置を含む)に留意する。委員会は、性的搾取の被害(海外領土におけるものも含む)を受けた子どもに関するデータが存在しないことを懸念するものである。 74.委員会は、締約国が、子どもの性的搾取および性的虐待に対する十分な対応を準備しかつこれと闘うために必要不可欠であるこれらの現象の規模に関するデータを、海外領土におけるものも含めて収集するための努力を強化するよう勧告する。締約国は常に、法律上も実務上も、児童買春を含むこれらの犯罪行為の被害を受けた子どもを犯罪者ではなくもっぱら回復および再統合を必要とする被害者と見なすべきである。委員会はまた、締約国が、性的搾取および性的虐待からの子どもの保護に関する欧州評議会条約を批准するようにも勧告する。 売買、人身取引および誘拐 75.委員会は、締約国が人身取引と闘う行動に関する欧州評議会条約を批准するつもりである旨の情報に、評価の意とともに留意する。連合王国反人身取引行動計画の採択は歓迎しながらも、委員会は、これを実施するために必要な資源(人身取引の対象とされた子どもに良質なサービスおよび安全な居住環境が提供されることを確保するために必要なものを含む)が提供されていないことを懸念するものである。 76.委員会は、締約国が、反人身取引行動計画の効果的実施のために必要な資源を提供するよう勧告する。委員会はまた、締約国が人身取引と闘う行動に関する欧州評議会条約を批准するとともに、人身取引の対象とされた子どもの保護に関する基準が国際基準を満たすことを確保することにより、自国の義務を実施するようにも勧告するものである。 少年司法の運営 77.委員会は以下のことを懸念する。 (a) 刑事責任年齢が、スコットランドにおいては8歳、イングランド、ウェールズおよび北アイルランドについては10歳と定められていること。 (b) 海外領土のアンティグア、モントセラト、バミューダおよび王室属領マン島におけるものも含め、子ども、とくに16~18歳の者が成人裁判所で審理されうる事案がいまなお存在すること。 (c) 自由を奪われる子どもの人数が多いこと。このことは、拘禁が常に最後の手段として適用されているわけではないことを示すものである。 (d) 再拘留される子どもの人数が多いこと。 (e) 拘禁されている子どもが教育に対する法律上の権利を有していないこと。 (f) 海外領土において、法律に触れた18歳未満の者を成人用のものと同一の自由剥奪施設に収容する実務が行なわれていること。 (g) 最近発表された「青少年犯罪行動計画」(2008年7月)に、「青少年司法制度の透明性を高める目的で」刑事手続に処された16歳および17歳の者についての報道規制を廃止する旨の提案が含まれていること。 (h) テロ対策法案の規定が、テロ関連犯罪の容疑をかけられまたは当該犯罪で告発された子どもにも適用されること。委員会はとくに、告発前の勾留機関の延長および通告要件に関する規定について懸念するものである。 (i) タークス・カイコス諸島で自由を奪われた子どもが、子どものための拘禁施設が存在しないために最終的にジャマイカで拘禁される可能性があること。 78.委員会は、締約国が、少年司法に関する国際基準、とくに条約第37条、第39条および第40条、ならびに、「少年司法における子どもの権利」に関する一般的意見10号、少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)、少年非行の防止のための国連指針(リャド・ガイドライン)および自由を奪われた少年の保護に関する国連規則(ハバナ規則)を全面的に実施するよう、勧告する。 委員会はまた、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 委員会の一般的意見10号、とくにパラ32および33にしたがい、刑事責任に関する最低年齢を引き上げること。 (b) 法律に触れた子どもの拘禁に代わる広範な措置を発展させること。また、拘禁は最後の手段として、かつもっとも短い期間で使用されるべきであるという原則を法律上の原則として確立すること。 (c) 法律に触れた子どもが、告発されている犯罪の重大性にかかわらず常に少年司法制度において対応されるものとし、けっして通常裁判所において成人として審理されることがないようにすること。 (d) 条約第37条(c)に対する留保の歓迎すべき撤回を受けて、自由を奪われた子どもが、その最善の利益にしたがって別段に判断される場合を除き、自由の剥奪が行なわれるすべての場所において成人から分離されることを確保すること。 (e) 自由を奪われたすべての子どもに対し、教育に対する法律上の権利を認めること。 (f) 子どもに対するテロ対策法案の適用を見直すこと。 (g) 海外領土の子どもが他国で自由を剥奪される場合に、条約第40条に掲げられたすべての保障が尊重され、かつその尊重状況が適正に監視されることを確保すること。締約国はまた、これらの子どもが、接触を維持しないことが子どもの最善の利益にかなうと判断される場合を除き、定期的訪問を通じてその家族との接触を維持する権利を有することも確保するべきである。 (h) 刑事司法手続のすべての段階において犯罪の被害を受けた子どもまたは犯罪の証人である子どもの権利および利益を保護するための適当な措置をとること。 79.委員会は、子どもの集まりを制限する民事上の命令であり、違反の場合は刑事犯罪に移行する可能性もある反社会的行動防止命令(ASBO)が子どもに適用されることを懸念する。委員会はさらに以下のことを懸念するものである。 (a) 当該命令の発令が容易であること、禁止される行動の範囲が広いこと、および、命令違反が刑事上の犯罪であって重大な結果につながる可能性があること。 (b) ASBOが、子どもの最善の利益にかなう措置であるどころか、実際には子どもが刑事司法制度の対象となることを助長する可能性があること。 (c) 命令の対象となる子どものほとんどが不利な立場に置かれた背景を有する者であること。 80.委員会は、締約国が、子どもに対するASBOの適用を廃止する目的で、ASBOに関する独立の見直しを実施するよう勧告する。 9.国際人権文書の批准 国際人権文書の批准 81.委員会は、締約国に対し、まだ加盟国となっていない国際人権文書、すなわち、すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約、障害のある人の権利に関する条約、および強制失踪からのすべての者の保護に関する条約の批准を検討するよう奨励する。さらに委員会は、締約国が、委員会との対話中に発表されたように、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書の批准を迅速に進めるよう勧告するものである。 10.フォローアップおよび普及 フォローアップ 82.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を議会ならびに中央政府および地方分権政府の関連省庁に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 普及 83.委員会はさらに、条約、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第3回・第4回定期報告書および文書回答ならびに委員会が採択した関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループおよび子どもが関連の言語で広く入手できるようにすることを勧告する。 11.次回報告書 84.委員会は、締約国に対し、第5回定期報告書を2014年1月14日までに提出するよう慫慂する。報告書は120ページを超えるべきではない(CRC/C/118参照)。 85.委員会はまた、締約国に対し、2006年6月の第5回人権条約機関委員会間会合で承認された「国際人権条約に基づく報告についての統一指針(共通コア・ドキュメントおよび条約別文書についての指針を含む)」(HRI/MC/2006/3)に掲げられた共通コア・ドキュメントについての要件にしたがい、最新のコア・ドキュメントを提出するよう慫慂する。 更新履歴:ページ作成(2011年8月29日)。/前編・後編を統合(2012年10月20日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/121.html
総括所見:スウェーデン(第3回・2005年) 第1回(1993年)/第2回(1999年)/第4回(2009年)/第5回(2015年)OPAC(2007年)/OPSC(2011年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/15/Add.248(2005年3月30日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2005年1月11日に開かれた第1001回および第1002回会合(CRC/C/SR.1001 and 1002参照)においてスウェーデンの第3回定期報告書(CRC/C/125/Add.1)を検討し、2005年1月28日に開かれた第1025回会合において以下の総括所見を採択した。 A.序 2.委員会は、条約第44条1項(b)に基づいて締約国によって提出される定期報告書の形式および内容に関する一般指針(CRC/C/58、1996年11月20日)にしたがって、参加型の方法で作成されかつ期限どおりに提出された、締約国の第3回定期報告書の提出を歓迎する。委員会は、事前質問事項(CRC/C/Q/SWE/3)に対する締約国の文書回答により、スウェーデンの子どもの状況についての理解をいっそう明確なものにすることができたことも歓迎するものである。委員会はさらに、省庁横断型の代表団の構成員による率直な対話および提供された回答を歓迎する。 B.締約国によってとられたフォローアップ措置および達成された進展 3.委員会は、締約国の第2回定期報告書(CRC/C/65/Add.3)の検討を受けて行なわれた委員会の前回の勧告(CRC/C/15/Add.101)を実施するために締約国がとったフォローアップ措置を、高く評価する。これには議会における公開討議の開催も含まれ、その後、委員会の勧告を実施することを目的とするさまざまな立法上、行政上その他の措置がとられたことにより、とくに以下のような成果につながった。 (a) 子どもの権利条約の実施のための国家戦略(1999年)、議会への通告(Comm. 2003/04 47)によるその更新および継続。 (b) 国家障害政策行動計画(2000年)、および、障害のある子どもの権利の実施を向上させるための関連法の改正。 (c) 虐待からの子どもの保護を向上させるための社会保障法改正(2002年)。 (d) 2004年5月1日に施行された法律による、早期婚および強制婚の不承認。 (e) 国際養子縁組に関する改正法(Bill 2003/04 131)の施行(2005年1月1日)。 (f) 性的虐待および搾取からの子どもの保護を向上させるための、さまざまな立法上の措置。 C.主要な懸念領域および勧告 1.実施に関する一般的措置 委員会の前回の勧告 4.委員会は、締約国の第2回定期報告書の検討を受けて行なわれた委員会の勧告が実施されていることをあらためて歓迎する。しかしながら委員会は、一部の懸念表明および勧告、とくにパラ11(「隠れた子ども」に対する差別)、16(無償の家族カウンセリング・サービスの提供)、18(経済格差)および19(いじめ)に掲げられたものへの対応が不十分であることを遺憾に思うものである。委員会は、これらの懸念および勧告がこの総括所見で繰り返されている場合もあることに留意する。 5.委員会は、締約国に対し、第3回定期報告書に関するこの総括所見に掲げられた懸念に対応するためにあらゆる努力を行なうよう促す。 独立の監視 6.委員会は、子どもオンブズマンの役割を強化する2002年法案の制定を歓迎するとともに、子どもの権利の実施のために子どもオンブズマンが行なった多くの活動に、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、さらなる改善が達成可能であるという見解に立つものである。 7.委員会は以下の措置を勧告する。 (a) 締約国が、子どもオンブズマンに対し、個別の苦情申立てを調査する権限を与えることを検討すること。 (b) 子どもオンブズマンの年次報告書を、子どもオンブズマンの勧告を実施するために政府がとろうとしている措置についての情報とともに、議会に提出すること。 実施、調整、評価および国家的計画 8.委員会は、スウェーデンにおける子どもの権利条約の実施のための戦略が1999年に議会によって承認されたこと、および、その後、同戦略の実施に関する調整機関として保健社会問題省が指定されたことに、満足感とともに留意する。しかしながら委員会は、条約の実施に関わる政策の調整が自治体、県および省庁間においてしばしば弱いことを懸念するものである。 9.委員会は、総括所見を含む条約の実施をすべてのレベルで確保するためにあらゆる主体間の行動を調整する目的で、非政府組織ならびに関連省庁、県および自治体が参加する常設の体制を設置するよう、勧告する。 データ収集 10.委員会は、以下の点に懸念とともに留意する。 (a) 障害のある子どもの総数に関するデータが入手可能とされていないこと。 (b) 虐待の被害を受けた15~18歳の子どもに関するデータが入手可能とされていないこと。 (c) 性的搾取の被害を受けた子どもの総数が精確でないこと。 11.委員会は、締約国が、子どもに関するデータを収集するあらゆる機関間で調整のとれたアプローチを確立するとともに、条約が対象とするすべての分野を編入した包括的なデータ収集システムを導入するよう、勧告する。とくに、委員会は以下のことを勧告するものである。 (a) 障害のある子どもに関するデータを収集し、かつ障害種別に細分化すること。 (b) 虐待の被害を受けた子どもに関するデータを成人に関するデータから分離すること。 (c) 性的搾取の被害を受けた子どもに関するデータをいっそう精確なものとすること。 研修/条約の普及 12.委員会は、条約の普及に関して締約国報告書で提供された情報、ならびに、条約について知らせるために子どもオンブズマン、さまざまなNGOおよび教育庁がとった措置を歓迎する。しかしながら委員会は、子どもたち自身ならびに子どもとともにおよび子どものために働く専門家によって、とりわけ司法制度内、政治家間および自治体レベルで、条約の精神が十分に知られかつ理解されていない可能性があるという見解に立つものである。 13.委員会は、締約国に対し、子どもならびに子どもとともにおよび子どものために働く専門家集団(とくに法執行官および必要に応じて議員、裁判官、弁護士、保健従事者、教員、学校管理者その他の専門家)を対象として子どもの権利に関する十分かつ体系的な研修および(または)感受性強化措置を行なうための努力を継続するよう、奨励する。 市民社会との協力 14.委員会は、NGOとのすばらしい協力関係について締約国を称賛する。にもかかわらず、委員会は、この協力関係がしばしばその場限りのものであることに留意するものである。 15.委員会は、NGOとの協力関係を体系的かつ構造的なものとするよう勧告する。 国際開発協力 16.委員会は、国際協力および国際開発援助の分野における締約国の傑出した業績に、評価の意とともに留意する。これとの関連で、委員会は、締約国が国内総生産の相当割合を対外援助に配分しており、かつ、その60%は子どもに対して、または子どもとともに、子どものためにもしくは子どもに代わって活動しもしくは子どもの利益を保護する専門家等に対して支出されていることに、留意するものである。 17.委員会は、締約国が、とくに開発途上国との二国間協力において当該国に関する委員会の総括所見および勧告を考慮し、かつその実施のための支援を提供することによって、子どもに関わる国際開発協力プロジェクトにおける指導的役割を引き続き果たしかつ強化するよう、勧告する。 2.一般原則 差別の禁止 18.委員会は、とくに子どもとの関連で人種主義と闘い、かつ、条約第29条1項にしたがい、子どもの教育が、自己の文明と異なる文明の尊重および諸人民間の友好の発展を目的として行なわれることを確保するために締約国がとった措置を歓迎する。しかしながら委員会は、とくに学校における人種主義および13歳未満の子どもを勧誘する人種主義的団体についての報告があることを懸念するものである。 19.委員会は、締約国が、人種主義および外国人嫌悪と闘うためにとられる措置(教育分野におけるものを含む)を引き続き強化するよう勧告する。 20.委員会は、2001年の「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択されたダーバン宣言および行動計画をフォローアップするために締約国がとった措置のうち条約に関わるものについての具体的情報を、条約第29条1項(教育の目的)に関する委員会の一般的意見1号(2001年)も考慮にいれながら、次回の定期報告書に記載するよう要請する。 子どもの最善の利益 21.委員会は、子どもの最善の利益の原則を編入した新たな立法上の措置およびプログラム、とくに1998年の親法改正、保健福祉庁に与えられた指示、社会サービス法の1998年改正および青少年ケア法を歓迎する。にもかかわらず、委員会は、庇護希望者および移民である子どもの最善の利益が庇護手続において十分に考慮されていないことを懸念するものである。 22.委員会は、とくにスウェーデン移民庁の指針および手続を改革することにより、子どもが関わる庇護事件において子どもの最善の利益の原則が基盤とされかつ手続および決定の指針となることを確保するため、締約国が適当かつ効果的な措置をとるよう勧告する。 子どもの意見の尊重 23.委員会は、自己に関わるすべての事柄について自由に意見を表明し、かつその意見を正当に考慮される子どもの権利を強化するために締約国が行なった、「影響力フォーラム」および法手続・学校問題について意見を聴かれる子どもの権利のような、さまざまなプログラムおよび法改正を歓迎する。しかしながら委員会は、このような注目すべき取り組みにも関わらず、社会で自己の生活に関わる事柄についての真の影響力を何ら有していないと感じている子どもおよび若者がいることを、依然として懸念するものである。 24.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもに関連する行政上その他の決定に、子どもの意見がどのように引き出され、子どもの意見がどの程度採択されたかおよびそれはどのような理由によるものかについての情報が記載されることを確保すること。 (b) 監護権および面接交渉権をめぐる、争いの非常に激しい紛争の当事者である子どもへの、適切な援助の提供を検討すること。 3.市民的権利および自由 情報へのアクセス 25.委員会は、子どもがインターネットでアクセス可能な暴力および夕方の早い時間にテレビで放映される暴力の度合いについて懸念を覚える。委員会はさらに、児童ポルノおよび暴力的なコンピューターゲームからの子どもの保護が不十分であることを懸念するものである。 26.委員会は、締約国が、インターネット、テレビおよびコンピューターゲームにおける暴力ならびに児童ポルノの表示から子どもを効果的に保護するためにあらゆる必要な措置(適切な法律の執行、親教育の提供および子どもの意識啓発によるものを含む)をとるよう勧告するとともに、この点に関する国際協力を奨励する。 4.家庭環境および代替的養護 不法な移送および不返還 27.委員会は、不法に移送されまたは返還されない子どもを取り戻す際に個人が負担した費用を補償するための金銭的援助が利用可能であること、および、国際的な子の奪取の民事上の側面に関するハーグ第28号条約(1980年)の実施状況の検討が進められていることに、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、国際結婚の子どもが関与する事案で係争中のものがいまなお多いことに留意するものである。 28、委員会は、締約国が、子どもの最善の利益を正当に考慮しながら、子どもの不法な移送および不返還を防止し、かつ係争中の事案を解決するための措置を引き続き強化するよう、勧告する。 代替的養護 29.委員会は以下のことを懸念する。 (a) 里親ホームではなく施設に措置される子どもの人数が増えていること。 (b) 外国の背景を有する子どものうち施設に措置される子どもの割合が、スウェーデン国籍の子どもの割合よりも高いこと。 (c) 施設養護庁が自主規制の役割を担っていること。 30.委員会は以下のことを勧告する。 (a) 子どもの養護措置が必要となる段階まで事態が発展する前に援助を提供できるよう、締約国が、外国の背景を有する家族をとくに対象とする防止措置(社会サービス機関内における、文化的背景および移民としての地位の関連性に関する意識啓発を含む)をとること。 (b) 子どもがその意思に反して養護の対象とされる事案の規制が施設養護庁とは別の組織のもとで行なわれるようにし、かつ当該規制において養護の質も確保されるようにすること。 5.基礎保健および福祉 健康および保健サービス 31.委員会は、母親、乳児および学童の保護に関して締約国報告書に記載された情報を歓迎する。委員会は、保健ケア開発国家行動計画(1999/2000 149)を心強く思うものである。しかしながら委員会は、保健ケアおよび保健サービスのこの側面が県の担当とされていることに留意するとともに、これとの関連で、諸地域間で不平等が生じうることを懸念する。委員会は、とくに、ストレスの影響を感じている生徒の人数が増えていること、自殺、過食症、拒食症、体重過多および肥満の発生件数が増加していること、ならびに、子どもの精神保健に関するプログラムが設けられていないことを懸念するものである。 32.委員会は、締約国が、以下のことのために必要な措置をとるよう勧告する。 (a) 生徒のストレス水準を低減させ、かつ生徒がストレスの影響に対処するのを援助すること。 (b) 自殺を防止すること。 (c) 過食症および拒食症の問題に対応すること。 (d) 体重過多および肥満の問題に対応すること。 (e) 子どものための精神保健プログラムを、防止プログラムおよび介入プログラムのいずれについても強化すること。 思春期の健康 33.委員会は、学校における性教育、薬物およびタバコの使用ならびにアルコール濫用に関して行なわれている努力を歓迎する。しかしながら委員会は、10代の妊娠中絶が2002年に急増したこと、ならびに、タバコおよび薬物の使用ならびにアルコール濫用が蔓延していることを依然として懸念するものである。 34.委員会は、締約国が、思春期の健康政策を促進し、かつ学校における健康教育プログラムを強化するための努力を増強するよう勧告する。委員会はさらに、とくにリプロダクティブヘルスに関わる健康教育訓練プログラムの有効性を強化し、かつ、子どもの最善の利益にかなうときは親の同意を得ることなくアクセスできる、若者に配慮した、かつ秘密の守られるカウンセリング、ケアおよびリハビリテーションのための便益を発展させるための措置(十分な人的資源および財源の配分を含む)を勧告するものである。委員会はまた、締約国が、タバコおよび薬物の使用ならびにアルコール濫用を防止しかつこれと闘うための努力を継続することも勧告する。 6.教育、余暇および文化的活動 いじめ 35.委員会は、教育法(Skollagen - 1985 1100)および全国カリキュラムへのいじめ対策規則の編入および「ともに」(Tillsammans)と題された2001~2002年のいじめ反対キャンペーンのような、いじめ根絶のために行なわれている努力を歓迎する。しかしながら委員会は、当該規則がいまなお全面的に実施されなければならない状態にあり、かつ、障害のある子どもおよび外国系の子どもに対するいじめが引き続き懸念事項となっていることに留意するものである。 36.委員会は、締約国が、いじめを防止しかつこれと闘うための努力において障害のある子どもおよび外国系の子どもに対して特段の注意を払うこと、および、いじめ対策規則が、子どもの関与を得ながらすべての学校その他の施設で全面的に実施されるべきことを、勧告する。 教育 37.委員会は、無償の義務的学校教育を16歳まで(4~5歳のすべての子どもを対象とする無償の就学前教育を含む)提供しようとする締約国の努力を歓迎する。にもかかわらず、委員会は以下のことを懸念するものである。 (a) 在留許可を受けていない子ども、とくに「隠れた」子どもが教育にアクセスできていないこと。 (b) 諸地域間で成績に相当の偏差があること。 38.委員会は、締約国が、以下のことを確保するための努力を追求するよう勧告する。 (a) 在留許可を受けていない子どもおよび「隠れた子ども」を含むすべての子どもが教育に対する権利を享受すること。 (b) 学校間および地域間の成績偏差および差異が根絶されること。 (c) 職業訓練が利用可能とされ、かつ学校から職業への移行が支援されること。 7.特別な保護措置 保護者のいない子ども 39.委員会は、保護者のいない未成年者が置かれた状況に対応し、かつ子どもの庇護希望者の受け入れおよび事情聴取の質を高めようとする締約国の努力を歓迎する。しかしながら、委員会は以下のことを懸念するものである。 (a) スウェーデン移民庁の監護者のいない子ども担当特別部局のもとから行方不明になる、保護者のいない子どもの人数が多いこと。 (b) 庇護申請の処理に非常に時間がかかり、子どもの精神保健に悪影響が生じる可能性があること。 40.委員会は、締約国が、この分野における努力、とくに以下のことを目的とする努力を追求するよう、勧告する。 (a) 情報および統計の収集に対する調整のとれたアプローチを確保し、ニーズに応じた対応がとれるようにすること。 (b) 子どもが失踪したときに効率的にかつ時宜を得たやり方で対応するため、さまざまな主体間、とくに警察、社会サービス機関およびスウェーデン移民庁間の調整を強化すること。 (c) 保護者のいない子どもそれぞれについて到着後24時間以内に一時的後見人を任命することを検討すること。 (d) 子どもとともにおよび子どものために働く専門家を対象とする、これらの子どもの権利に関する研修を継続しかつ強化すること。 (e) とくに、子どもの申請を優先し、かつ、難民の地位に関する条約(1951年)に基づく子どもの庇護希望者の申請を評価する際に子ども特有の形態の迫害を考慮することにより、子どもに関する難民認定手続を子どもに配慮したやり方で実施すること。 家族再統合 41.委員会は、認定難民の家族再統合手続に過度の時間がかかることを懸念する。 42.委員会は、締約国が、認定難民の家族再統合手続への対応が積極的、公正、人道的かつ迅速なやり方で行なわれることを確保するためにとられる措置を強化するよう、勧告する。 性的搾取および人身取引 43.委員会は、1996年にストックホルムで開催された第1回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議後、子どもを性的な虐待および不当な取り扱いから保護するための国家行動計画が採択され、かつ、横浜(日本)で開催された第2回世界会議に向けて当該計画が2001年に改訂されたことに、評価の意とともに留意する。委員会はまた、性犯罪に関して提案されている、採択されれば性的搾取からの子どもの保護の向上につながる刑法改正も歓迎するものである。しかしながら、委員会は以下のことを懸念する。 (a) スウェーデンにおいて、かつスウェーデン市民の手によって国外で、子どもの人身取引、買春および関連の問題が発生していること。 (b) インターネット経由の接触の結果として性的虐待を受ける子どもの事案が報告されていること。 (c) 児童ポルノに関わる刑法上の子どもの定義が主観的かつ不完全であることも理由として、スウェーデン法による保護がほとんど提供されていないこと。 44.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) サービスプロバイダ、親および教員と協働すること等の手段も用いながら、インターネットを利用している子どものための保護措置およびインターネットの否定的側面に関する子どもの意識啓発プログラムを強化すること。 (b) メディア・キャンペーンも含む教育を通じ、子どもの性的虐待および人身取引の問題に関する専門家および一般公衆の感受性を強化すること等の手段も用いながら、性的搾取および人身虐待の発生を削減しかつ防止するための措置を強化すること。 (c) サービスプロバイダによるインターネット上での児童ポルノの表示を禁止し、かつ、児童ポルノに関わる刑法上の子どもの定義を改正して18歳という明確かつ客観的な年齢制限を定めること等の手段により、児童ポルノの所持および製造を禁ずる法律を強化すること。 (d) 保釈金の供託後に釈放された者へのパスポートの再発行を禁ずる等の手段も用いながら、国外で子どもの性的搾取に関与したスウェーデン市民の訴追を認めた法律を強化すること。 (e) 第1回・第2回子どもの商業的性的搾取に反対する会議(それぞれ1996年および2001年に開催)で採択された宣言および行動綱領ならびにグローバル・コミットメントを考慮に入れながら、非政府組織との協力を増進させることも含む調整のとれたやり方で、性的搾取および人身取引の被害者に対して提供される保護(防止、証人保護、社会的再統合、保健ケアへのアクセスおよび心理的援助を含む)を増強すること。 少年司法 45.委員会は、犯罪の有害な影響を低減させる目的で、刑法上の犯罪との関連における調停についての法律(2002年)が制定されたこと、ならびに、罪を犯した若者に対する制裁として監護ケア(1999年)および青年地域奉仕活動が導入されたことを歓迎する。にもかかわらず、委員会は、子どもの問題に対応する専門の検察官および裁判官が存在しないことを懸念するものである。 46.委員会は、締約国が、委員会が1995年に開催した少年司法の運営に関する一般的討議を踏まえながら、少年司法に関する基準、とくに条約第37条(b)ならびに第40条2項(b)および(ii)~(iv)および(vii)、ならびに、少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)、少年非行の防止のための国連指針(リャド・ガイドライン)、自由を奪われた少年の保護に関する国連規則および刑事司法制度における子どもに関する行動についてのウィーン指針の全面的実施を確保するため、法律、政策および予算を見直すよう勧告する。これとの関連で、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう、とくに勧告するものである。 (a) 子どもの問題に対応する検察官および裁判官全員が適切な訓練を受けることを確保すること。 (b) 懲罰的措置が、適正手続および法的援助をともなう形で司法機関によってのみとられることを確保すること。 (c) 非行および犯罪のような問題につながる社会的条件の解消の一助とするため、家族およびコミュニティの役割を支援することのような防止措置を強化すること。 8.条約の選択議定書 47.委員会は、武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書の、締約国による批准を歓迎する。委員会はさらに、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書を早期に批准する意図を締約国が明らかにしたことを歓迎するものである。 48.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書を批准すること。 (b) 武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書に基づく第1回報告書を期限どおりに、すなわち2005年3月20日に提出すること。 9.フォローアップおよび普及 フォローアップ 49.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を閣僚評議会もしくは内閣または同様の機関の構成員、議会ならびに適用可能なときは州の政府および議会に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 普及 50.委員会はさらに、条約、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第3回定期報告書および文書回答ならびに委員会が採択した関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが広く入手できるようにすることを勧告する。 10.次回報告書 51.委員会は、条約第44条の規定を全面的に遵守した報告実践の重要性を強調する。条約に基づいて締約国が子どもに対して負う責任の重要な側面のひとつは、委員会が条約の実施における進展を審査する定期的機会を持てるようにすることである。これとの関連で、締約国による定期的なかつ時宜を得た報告はきわめて重要であり、委員会は、この点に関する締約国の実績を評価する。委員会は、締約国に対し、2007年9月1日までに、120ページを超えない範囲で(CRC/C/118参照)第4回定期報告書を提出するよう慫慂するものである。 更新履歴:ページ作成(2011年12月7日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/86.html
総括所見:インドネシア(第1回・1994年) 予備的所見(1993年)/第2回(2004年)/第3回・第4回(2014年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/15/Add.25(1994年10月24日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、1993年9月22日および23日に開かれた第79回~第81回会合(CRC/C/SR.79-81)においてインドネシアの第1回報告書(CRC/C/3/Add.10)の検討を開始した。同会期中には多数の質問を全面的に明確にする充分な時間がなかったことを踏まえ、委員会は同報告書の検討を終了しないことに決定した。締約国は、第7会期における委員会の検討に供するため、委員会の予備的所見に掲げられた懸念(CRC/C/15/Add.7、パラ7~18)への回答として1993年12月31日までに追加的情報を提供するよう要請された。委員会は、1994年9月28日および29日に開かれた第161回および第162回会合(CRC/C/SR.161 and 162)においてインドネシア政府から提供された追加的情報(CRC/C/3/Add.26)を検討した後インドネシアの第1回報告書の検討を終了し、以下の総括所見を採択した(注)。 (注)1994年10月14日に開かれた第183回会合において。 A.序 2.委員会は、第1回報告書への追加的情報を提供し、かつ同報告書の検討を第7会期に再開するという委員会の要請にしたがった点について、インドネシア政府の協力に評価の意を表する。しかしながら、委員会は、締約国における条約の実施に関して以前に提起した懸念のいくつかは、いまなお効果的に対応されないままであると考えるものである。 B.積極的な側面 3.委員会は、子どもの権利の実施を向上させるためにとるべき措置についての委員会の助言および援助を締約国が重視していることに満足感とともに留意し、かつ、子どもの状況を増進させることを目的とした政策およびプログラムを見直しかつ発展させるため、締約国が委員会、他の国際連合機関および非政府組織との協力に決意を示していることを歓迎する。 4.委員会は、条約にもとづく義務に照らして国内法を見直すことについて締約国が前向きな姿勢を表明したことに留意する。委員会は、とくに、ウィーン宣言および行動計画に一致する形で、かつ1993年国家政策基本指針および国内人権プログラムにしたがって、子どもの権利が国家開発プログラムに統合されたことを歓迎するものである。子どもの権利に関するさらなる意識および子どもの福祉を草の根レベルで促進する目的で「村プログラム」を導入する決定がなされたこと、および人権分野でセミナーおよびワークショップが開催されていることは、その他の積極的な進展である。 5.委員会は、条約第1条、第14条、第16条および第29条に関して批准時になされた留保(締約国の代表団は宣言と見なしている)を撤回するという締約国の決定を歓迎する。委員会はまた、条約のすべての規定が締約国において適用可能と見なされる旨をまもなく事務総長に通告するという、締約国の発言にも留意するものである。 C.条約の実施を阻害する要因および困難 6.委員会は、締約国における条約の迅速な実施を阻害する困難、とりわけ、360の民族集団が存在すること、人口がインドネシア群島全域に散らばっていること、締約国一般およびとくにインドネシア住民の一部の層がいまなお経済的問題に直面していることに、留意する。 D.主要な懸念事項 7.批准時に行なわれた留保、とくに条約第17条、第21条および第22条に関する留保の地位が、現時点では全面的に明確ではない。しかしながら、委員会は、締約国が、近い将来これらの規定に関わる留保の撤回を構想することに前向きな姿勢を見せていることを、心強く思う。 8.委員会は、国内法を条約の規定と一致させ、インドネシアの管轄下にあるすべての子どもが条約で保障されている権利によって充分に保護されることを確保し、かつ、具体的に目標を定めた戦略および達成された進展の監視の基盤を提供するため、国内法の包括的見直しが必要であると考える。 9.委員会は、子どもが婚姻できる年齢に関わる国内法が、条約第2条に反映された差別の禁止規定と両立しないことを懸念する。 10.委員会は、子どもも含む一般公衆および子どもに直接接して働いている職員のあいだで条約の規定および原則に関する意識水準が低いように思えることに懸念を表明する。 11.委員会は、条約の一般原則、とくに第2条、第3条および第12条の実施に対していまなお適切な注意が向けられていないことを懸念する。委員会は、これらの原則の実施は予算の制約に依存するものではないということをあらためて指摘するものである。 12.委員会は、経済的、社会的および文化的権利は利用可能な資源を最大限に用いて実施されるべきであると強調した条約第4条の規定に反して、社会部門、とくにプライマリーヘルスケアおよび基礎教育に対してわずかな割合の予算しか振り向けられていないことを、依然として懸念する。委員会はさらに、締約国において社会部門に配分されている資源の現行水準を国際機関が問題にしてきたことに留意するものである。 13.委員会は、条約第14条および第15条の実施に関して懸念を表明する。委員会は、公式な認定を一部の宗教に限定することは差別の慣行を生ぜしめる可能性があることをあらためて指摘するものである。委員会はまた、宗教、表現および集会の自由の行使の「合法的目的」による制限を公的機関が幅広く解釈しているように思え、それによりこのような権利の全面的享受が阻害される可能性があることも懸念する。 14.委員会は、少年司法制度が第37条、第39条および第40条を含む条約の規定およびこの分野における他の関連の国際連合基準、とくに「北京規則」、リャド・ガイドラインおよび自由を奪われた少年の保護のための国際連合規則の規定と両立していないことを、とくに憂慮するものである。 15.締約国は、ディリにおいて平和的にデモ行進していた子どもに対して治安部隊が過度の暴力を振るった1991年11月の事件と同様の侵害は二度と起こらないことを保証した。しかしながら、委員会は、集会の自由への権利の侵害が一貫して行なわれていること、および、とくに逮捕および身柄拘束の状況下における警察、治安部隊または軍隊要員による子どもの不当な取扱いの苦情申立てが多数行なわれていることに、依然として深刻な不安を覚えるものである。委員会はまた、そのような侵害で有罪とされた者を処罰し、かつそのような行為の被害者のリハビリテーションおよび補償を行なうために、公的機関が効果的な措置をとっていないことにも不安を覚えるものである。 16.委員会は、生き残るために路上で暮らしかつ/または働くことを余儀なくされた子どもが多数にのぼることを憂慮するものである。 17.委員会は、児童労働に関する国内法にいまなお深刻な乖離または欠落が存在することを遺憾に感ずる。とくに、委員会は、法第1/1951号が全面的に制定されまたは実施されたことがないこと、および働く子どものために必要な保護を1987年行政規則が提供していないことに留意するものである。委員会はまた、法律で規定された罰則が寛大であること、および人材省の査察官による監督が行なわれていないことも懸念する。 E.提案および勧告 18.委員会は、インドネシア政府に対し、子ども関連の法律と条約の規定との一致を確保するためにその見直しを完了させるよう奨励し、かつ、これとの関連で、国際連合人権センターの助言サービスおよび技術援助のプログラムによって発展させられてきた活動にあらためて注意を促す。子どもの最善の利益および子どもに関わる差別の禁止の原則は国内法に編入されるべきであり、かつ裁判所での援用も可能であるべきである。 19.政府は、条約に掲げられた規定の尊重および効果的な実施を確保し、かつそれによって児童労働に関するものも含む国内法に条約の規定が反映されることを確保するために、あらゆる必要な措置をとるべきである。あらゆる子ども関連の法律または規則の実施を国および地方のレベルで監視するため、関連の機構が設置されるべきである。条約の実施およびその監視に携わる非政府組織との協力が強化されるべきである。 20.委員会は、締約国が少年司法制度の包括的改革を行なうこと、および、その見直しにあたっては条約、および「北京規則」、リャド・ガイドラインおよび自由を奪われた少年の保護のための国際連合規則のようなこの分野における他の国際基準を指針と見なすことを、勧告する。条約第39条にしたがい、社会復帰および社会的再統合のための措置にも注意が向けられるべきである。 21.公的機関は、子ども、とくに貧困下で暮らしている子ども、路上で暮らしかつ/または働いている子ども、ならびにマイノリティ・グループに属している子どもおよび他の傷つきやすい立場に置かれている子どもに対して充分な資源が配分されることを確保するため、利用可能な資源を最大限に用いてあらゆる適切な措置をとるべきである。 22.委員会は、もっとも傷つきやすい立場に置かれたグループに属している子ども、とくに貧困下で暮らしている子ども、路上で暮らしかつ/または働いている子ども、へき地で暮らしている子どもおよびマイノリティに属する子どもに対する差別と闘うため、ジェンダーにもとづくもののような差別的態度および偏見を解消するための措置も含む緊急の措置をとるよう勧告する。 23.委員会は、働く子どもおよび青少年の保護に関わって充分な基準を採択しかつ規制を実施するために現在進められている努力を奨励する。条約の実施を評価し、かつ法律と運用との乖離を狭める目的で、働く子どもの状況を監視するために設置された機構が強化されるべきである。委員会は、とくにILOの技術的助言がこれらの問題に関して適切ではないかと考える。 24.委員会は、締約国が未成年者の失踪、拷問、不当な取扱いおよび違法なまたは恣意的な拘禁を防止するためにあらゆる必要な措置をとり、そのような行為の容疑者を起訴するためにそのようなあらゆる事件を制度的に捜査し、かつ、有罪とされた者を処罰しかつ被害者に補償を行なうよう促す。 25.委員会は、一般公衆、ならびにとくに教員、ソーシャルワーカー、法執行官、矯正施設職員、裁判官および条約の実施に関わる他の職業従事者のあいだで条約の規定を広く広報するよう勧告する。 26.委員会は、第1回報告書および追加的情報を、関連の議事要録ならびに委員会が採択した予備的所見および総括所見とともに、非政府組織を含む公衆一般が広く入手できるようにするよう勧告する。 27.最後に、委員会は、条約第44条4項に照らし、前掲パラ18~20で構想された法改正およびその実施に関わる進展についての追加的情報を2年以内に委員会に提出するよう勧告する。 更新履歴:ページ作成(2011年9月28日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/265.html
総括所見:インドネシア(第3~4回・2014年) 予備的所見(1993年)/第1回(1994年)/第2回(2004年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/IDN/CO/3-4(2014年7月10日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2014年6月5日に開かれた第1890回および1891回会合(CRC/C/SR.1890 and 1891参照)においてインドネシアの第3回・第4回統合定期報告書(CRC/C/IDN/3-4)を検討し、2014年6月13日に開かれた第1901回会合において以下の総括所見を採択した。 I.序 2.委員会は、インドネシアの第3回・第4回統合定期報告書(CRC/C/IDN/3-4)および事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/IDN/Q/3-4/Add.1)の提出を歓迎する。これにより、締約国における子どもの権利の状況についての理解を向上させることが可能となった。委員会は、締約国のハイレベルな多部門型代表団との間に持たれた建設的対話について評価の意を表する。 II.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展 3.委員会は、以下の立法措置がとられたことを歓迎する。 (a) 社会保障庁に関する2011年法律第24号。 (b) 少年司法制度に関する2012年法律第11号。 (c) 人種差別および民族差別の撤廃に関する2008年法律第28号。 (d) 義務教育に関する2008年政府規則第47号。 (e) 「長期国家開発計画2005」(2005年)に関する2007年法律第17号。 (f) 2006年法律第23号を改正する、人口管理に関する2013年法律第24号。 (g) インドネシア市民権に関する2006年法律第12条。 (h) 国家社会保障制度に関する2004年法律第40号。 (i) 憲法裁判所決定第46/PUU-VIII/2010号による、「婚外」子の法的地位を拡大した婚姻法(法律第1/1974号)第43条(1)の改正(2012年2月17日)。 4.委員会はまた、以下の点について評価の意とともに留意する。 (a) 武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書の批准(2012年9月)。 (b) 子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書の批准(2012年9月)。 (c) すべての移住労働者およびその家族構成員の保護に関する国際条約の批准(2012年5月)。 (d) 障害のある人の権利に関する条約の批准(2011年11月)。 (e) 経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約への加入(2006年2月)。 5.委員会はまた、多数の制度上および政策上の措置がとられたことも歓迎する。 6.委員会は、締約国が、条約第1条、第14条、第17条、第21条、第22条および第29条に関する宣言を2005年に撤回したことも歓迎するものである。 III.主要な懸念領域および勧告 A.一般的実施措置(条約第4条、第42条および第44条(6)) 委員会の前回の勧告 7.第2回定期報告書に関する委員会の総括所見(2004年、CRC/C/15/Add.223)をフォローアップするために締約国が行なった努力は歓迎しながらも、委員会は、そこに掲げられた勧告の一部について十分な対応がとられていないことに、遺憾の意とともに留意する。 8.委員会は、締約国に対し、条約に基づく第2回定期報告書に関する総括所見に掲げられた勧告のうち未実施のものまたは部分的にしか実施されていないものに対応するため、あらゆる必要な措置をとるよう促す。委員会はとくに、締約国が以下の措置をとるべきである旨の勧告(CRC/C/15/Add.223、パラ23、25、44、52および72(a))をあらためて繰り返すものである。 (a) 条約のすべての分野を網羅する目的でデータ収集システムを引き続き改良し、すべてのデータおよび指標が、条約の効果的実施を目的とした政策、プログラムおよびプロジェクトの立案、監視および評価のために活用されることを確保し、これらの統計および情報を広く配布し、かつ、この点に関してとくに国際連合児童基金(ユニセフ)との連携を継続すること。 (b) 条約の普及および関連のすべての専門家を対象とした条約に関する研修についての措置を強化し、かつ当該措置を継続的かつ体系的に実施するとともに、条約をすべての子ども(とくに民族的マイノリティに属する子ども)に対して利用可能としかつ周知するために具体的措置をとること。 (c) 体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利についての委員会の一般的意見8号(2006年)ならびに条約のとくに第19条、第29条第2項および第37条に照らし、家庭、学校および子どものケアの現場を含むすべての場所で体罰を禁止するために現行法を改正すること。また、子どもの不当な取扱いの悪影響に関する公衆教育キャンペーンを実施するとともに、体罰に代わる手段としての積極的かつ非暴力的な形態の規律およびしつけを促進すること。 (d) 養子縁組に関する現行法が条約第2条および第3条に一致することを確保するためにその改正を行ない、子どもの最善の利益の原則にしたがって子どもの養子縁組制度を効果的に監視しかつ監督するために必要な措置をとり、かつ、国際養子縁組における子どもの保護および協力に関するハーグ条約に加入すること。 (e) 紛争の影響を受けた子どもに対し、そのプライバシーも確保しつつ心理社会的支援および援助を提供する包括的システムを、NGOおよび国際機関と連携しながら発展させること。 B.子どもの定義 〔訳者注/本来はパラ19の前に置かれるべき内容だが、原文ママ〕 9.委員会は、委員会の前回の勧告(CRC/C/15/Add.223、パラ27)にもかかわらず、女子の法定婚姻年齢がいまなお16歳であり、かつ、締約国の法律上、既婚の子どもは成人とみなされることに、懸念とともに留意する。 10.委員会は、締約国が、国内法を改正して女子の婚姻年齢を18歳に引き上げるとともに、さまざまな法律で定められた年齢制限についても、これらの制限が条約の原則および規定に一致し、かつ、いかなる状況においても18歳未満の子どもが成人とみなされることにつながらないようにすることを確保する目的で見直すよう、勧告する。 〔訳者注/以下、一般的実施措置の続き〕 立法 11.委員会は、条約の規定が締約国の国内法に全面的に編入されているわけではないことに、懸念とともに留意する。さらに委員会は、公共サービスの提供についてそれぞれが責任を有する新たな州および地区の編成をもたらした地方分権化プロセスに加え、州または地区のレベルで採択されたいくつかの条例が条約の規定および原則に一致していないことを懸念するものである。 12.委員会は、締約国に対し、以下のことのためにあらゆる必要な措置をとるよう促す。 (a) 条約の規定が国内法に全面的に編入されることを確保すること。 (b) 子どもに関わる地方および州の法令の起草および採択を緊密に監視する特別政府機関を設置する等の手段により、州および地区のすべての法律が条約の規定と一致することを確保すること。 調整 13.委員会は、条約および「子どものための国家行動計画」の調整および実施を担当する女性エンパワーメント・子ども保護省が、あらゆるレベルで条約の実施を適正に調整するために必要な州および地区の政府機構に対する権限を有していないことに、懸念とともに留意する。 14.委員会は、締約国に対し、条約の実施に関連するあらゆる活動をあらゆるレベルで調整しかつ評価するための十分な権限を女性エンパワーメント・子ども保護省に与えるよう促す。さらに委員会は、締約国が、条約の監視および実施における国、州および自治体の公的機関の協力を確保するためにあらゆる必要な措置をとるよう、勧告するものである。 資源配分 15.委員会は、締約国の保健支出総額が国内総生産の2.7%に過ぎないこと(2011年)を懸念するとともに、この割合は低いと考える。さらに、年間教育予算が相当に増額されたことは歓迎しながらも、委員会は、当該予算が締約国のすべての子どもに教育を確保するのに十分ではないことを遺憾に思うものである。 16.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 保健に対する予算配分を相当に増額し、十分な水準に達せしめること。 (b) 条約の実施に割り当てられる資源の配分の十分さ、有効性および公平性を監視しかつ評価するための機構を設置すること。 独立の監視 17.子どもの保護委員会に苦情を受理する資格があることには留意しながらも、委員会は、同委員会が限られた委任権限しか有しておらず、かつ苦情についての調査を行なう明示的権限を持たないことを遺憾に思う。 18.独立した人権機関の役割に関する一般的意見2号(2002年)に照らし、委員会は、締約国が、子どもによる苦情を子どもに配慮したやり方で調査しかつこれに対応し、被害者のプライバシーおよび保護を確保し、かつ事案のモニタリングおよびフォローアップを行なう資格を子どもの保護委員会に与えることによってその権限を強化するため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。さらに委員会は、締約国が、パリ原則との全面的一致を確保するため、同委員会の独立性(資金、権限および免責特権に関する独立性を含む)を確保するよう勧告するものである。このような趣旨にのっとり、委員会は、締約国が、該当する場合にはとくに国際連合人権高等弁務官事務所(OHCHR)、ユニセフおよび国際連合開発計画(UNDP)の技術的援助を求めるよう勧告する。 C.一般原則(第2条、第3条、第6条および第12条) 差別の禁止 19.締約国のジェンダー主流化プログラムは歓迎しながらも、委員会は、以下の点を含め、国内法にいまなお差別的規定が残っていることおよび事実上の差別が蔓延していることを深く懸念する。 (a) 相続権に関して女子が差別されており、かつ、多数の女子がいまなおさまざまな差別的規制および日常的差別の対象とされていること。 (b) 保健ケアおよび教育へのアクセスについて障害のある子どもに特段の差別が行なわれていること。 (c) 特定の宗教的マイノリティに属する子どもに対する深刻な差別が継続しており、かつ締約国が攻撃を阻止できていないこと。 (d) 教育および保健ケアへのアクセスが不十分であることなど、先住民族コミュニティに属する子どもに対してさまざまな形態の差別が行なわれていること。 20.委員会は、締約国に対し、あらゆる形態の法律上および事実上の差別に精力的に対処し、かつ以下の措置をとるよう促す。 (a) とくに相続との関連で女子を差別するあらゆる法律を、これ以上遅滞することなく廃止すること。また、達成目標を明確に定めた包括的な戦略を策定し、かつ適切な監視機構を設置すること、ならびに、社会的および文化的変革を促進しかつ平等の推進に資する環境づくりを促進する目的で当該戦略の調整に広範な関係者(女子および社会のあらゆる部門を含む)が関与することを確保することにより、女子に関わる否定的な態度、慣行および深く根づいたステレオタイプを撤廃すること。 (b) 障害のある子どもがすべての公共サービス(とくに保健ケアおよび教育)に平等にアクセスできることを確保するため、あらゆる必要な措置をとること。 (c) 子どもに対してその宗教に基づいて行なわれる差別を撤廃し、かつ特定の宗教的マイノリティに対するあらゆる形態の暴力に終止符を打つため、あらゆる必要な措置をとること。 (d) 先住民族コミュニティに属する子どもが公共サービスに平等にアクセスできるようにするため、あらゆる必要な措置(とくに関連のインフラを改善すること)をとること。 子どもの最善の利益 21.委員会は、前回の勧告(CRC/C/15/Add.223、パラ33および34)にもかかわらず、子どもの最善の利益の原則が締約国のほとんどの子ども関連法に統合されていないことを遺憾に思う。委員会はまた、養子縁組および監護権に関わる決定が子どもの最善の利益ではなく子どもの宗教に基づいて行なわれることが多く、かつ、イスラム教徒に適用されるシャリーア法にしたがい、離婚手続において子どもの監護権に関わる決定が子どもの年齢に基づいて行なわれること(CRC/C/15/Add.223、パラ45)にも、懸念とともに留意するものである。 22.自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利についての一般的意見14号(2013年)に照らし、委員会は、締約国が、自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利が、締約国の国内法で明示的に定められ、かつすべての立法上、行政上および司法上の手続ならびに子どもに関連し、かつ子どもに影響を及ぼすすべての政策、プログラムおよびプロジェクトにおいて一貫して適用されることを確保するための努力を強化するよう、勧告する。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、すべての分野で子どもの最善の利益について判断することおよび子どもの最善の利益を第一次的考慮事項として正当に重視することについての指針を、権限を有する立場にあるあらゆる関係者に対して示すための手続および基準を策定するよう、奨励されるところである。委員会はまた、このような手続および指針を、公立および私立の社会福祉施設、裁判所、行政機関、立法機関ならびに宗教的指導者を含む公衆一般に対して普及することも勧告する。 生命、生存および発達に対する権利 23.委員会は、十分な補償または代替住居を提供しないまま、子どもを含む家族の強制立退きが行なわれていることを懸念する。さらに委員会は、締約国の法律上、強制立退きはそれがホームレス化につながる場合でさえ行なえることを深く遺憾に思うものである。 24.委員会は、締約国に対し、強制立退きが常に十分な代替住居の提供を条件として最後の手段としてのみ行なわれること、および、いかなる状況下でも立退きがホームレス化につながらないことを確保するため、あらゆる必要な措置をとるよう促す。 子どもの意見の尊重 25.「全国子ども参加フォーラム」「ティーン議会」「インドネシア子ども会議」「子ども評議会」「ヤング・リーダー選挙」および「全国子ども協議」の設置は歓迎しながらも、委員会は以下のことを懸念する。 (a) これらのフォーラムが完全にインクルーシブなものとなっているわけではないこと。 (b) これらのフォーラムで表明された子どもの意見が意思決定プロセスにおいて十分に考慮されていないこと。 (c) 意見を聴かれる子どもの権利を定めた法律第23/2002号においてこの権利が「道徳性および品位」にしたがって適用されなければならないとされていることにより、効果的かつ透明な実施が阻害されていること。 26.意見を聴かれる子どもの権利についての一般的意見12号(2009年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) さまざまな子どもフォーラムにおいて、被害を受けやすい状況に置かれた子ども(とくに障害のある子どもおよび宗教的または民族的マイノリティに属する子ども)の参加を確保すること。 (b) これらのフォーラムで子どもが表明した意見を子どもに関わるすべての意思決定プロセスにおいて考慮するための明示的手段を整備すること。 (c) 意見を聴かれまたは自己の意見を表明する子どもの権利に対するいかなる制限も回避するために法改正を行なうこと。 (d) 子どもが意見を表明できる種々のフォーラムに対してあらゆる必要な資源が常に提供されることを確保すること、ならびに、家庭、コミュニティおよび学校において、すべての子どもの、意味のある、かつエンパワーメントに基づく参加を促進するためのプログラムおよび意識啓発活動を実施することによってこの権利を実施するために、あらゆる適切な措置をとること。 D.市民的権利および自由(第7条、第8条および第13~17条) 出生登録、名前および国籍 27.民事行政に関する2014年法律第24号、および、インドネシア人である母とインドネシア国民ではない父との子にインドネシア市民権の取得資格を与えた法改正は歓迎しながらも、委員会は、法律の実施をあらゆるレベルで監督する機構が存在しないことを懸念する。委員会はまた、子どもの宗教をその身分証明証に記載しなければならないことが差別につながる可能性があることにも、懸念とともに留意するものである。さらに、国内法に基づく無償の出生登録は歓迎しながらも、委員会は以下のことを懸念する。 (a) 新法にもかかわらず地方政府が出生登録料を請求することのないようにするために中欧レベルで行なわれる監督について不確実さがあること。 (b) 両親とも外国人であり、かつ自国の法律を理由として子どもに自己の市民権を継承させられない場合に、子どもが無国籍となるおそれがあること。 28.委員会は、インドネシアで生まれたすべての子どもがその国籍、宗教および出生時の地位にかかわらず登録されかつ出生証明書を発行されること、ならびに、出生登録がすべての場所でかつあらゆる状況下で促進されかつ無償とされることを、締約国が確保するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、身分証明証における宗教的所属の記載を削除し、かつ、一部の子どもが無国籍のままとなることにつながる可能性のある法律上の欠陥を是正することも勧告するものである。委員会はさらに、締約国が、無国籍者の地位に関する1954年の条約および無国籍の削減に関する1961年の条約に加入するよう勧告する。 思想、良心および宗教の自由 29.委員会は、1965年法律第1号に掲げられていない宗教的マイノリティに属する子どもの宗教の自由に対して政府がとっている抑圧的措置、とくに以下のものを深く懸念する。 (a) 1965年法律第1号に掲げられた6つの宗教のいずれかに関して学校で行なわれる宗教授業に出席する義務があること。 (b) 1965年法律第1号に掲げられていない宗教的マイノリティに属する者(その子どもを含む)を訴追する目的で涜神および改宗の働きかけを禁ずる規則が利用されていること、および、「宗教的調和」に関する法案に差別を強化するおそれがあること。 (c) イスラム教徒でない者に対し、シャリーア法にしたがうことがアチェにおいてあからさまに要求されていること、または、締約国が明らかにするように、イスラム教徒でない学生に対し、学校でイスラム教徒の服装をするよう社会的圧力がかけられていること。 30.委員会は、締約国に対し、思想、良心および宗教の自由に対するすべての信仰の子どもの権利を効果的に保障する目的で法律を改正するとともに、宗教またはその他の信条を理由とする不寛容と闘い、社会における宗教的対話を促進し、宗教教育においてあらゆる共同体出身の子どもおよびあらゆる宗教的または非宗教的背景の子どもの間の寛容および理解が促進されることを確保し、かつ、自らが属していない宗教の規則を遵守するよう子どもに要求するあらゆる種類の社会的圧力と闘うために、意識啓発および公衆教育のためのキャンペーンを含むあらゆる必要な措置をとるよう、促す。さらに委員会は、締約国に対し、イスラム教徒でない者がもっぱら世俗法によって規律されることを確保するためにあらゆる必要な措置をとるよう促すものである。 E.子どもに対する暴力(第19条、第24条(3)、第28条(2)、第34条、第37条(a)および第39条) 性的搾取および性的虐待 31.委員会は、子どもの被害者のための防止措置、回復措置および再統合措置が十分に効果的でないこと、および、これらの子どもが司法へのアクセスに関していくつかの障壁に直面していることを遺憾に思う。さらに委員会は、性的搾取の被害を受ける子どもの人数が増えており、かつ、性的虐待の被害を受けた子どもが被害者ではなく犯罪者として扱われる可能性もあるという報告について深く懸念するものである。 32.委員会は、締約国が、性的虐待および性的搾取からの子どもの保護および防止のための努力を強化するとともに、以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 性的搾取および性的虐待の被害を受けた子どもの特別なニーズに対応し、かつこれらの子どもがシェルター、保健サービス、法律サービスおよび心理サービスにアクセスできることを確保するための戦略を策定するとともに、これらのサービスで働く専門家に対して十分な研修を行ない、アクセスしやすく、秘密が守られ、かつ子どもにやさしい通報経路を確保し、かつ、被害を受けた子どもが司法にアクセスするための便宜を図ること。 (b) いずれかの形態の性的搾取の被害を受けたすべての子どもが常に被害者として扱われ、刑事制裁の対象とされないことを確保する目的で法律を改正すること。 有害慣行 33.委員会は、2014年の保健省規則第6号によって女性割礼に関する2010年の規則第1636号を廃止する旨の締約国の決定に留意する。しかしながら委員会は、いわゆる女性割礼の慣行を含む女性性器切除(FGM)が明示的に禁じられていないことに留意するものである。委員会は、女性性器切除(FGM)の被害を受けた女子が多数にのぼることについて重大な懸念を覚える。 34.委員会は、締約国に対し、あらゆる形態のFGMを全面的に禁止する法律を採択するとともに、以下の措置をとるよう勧告する。 (a) FGMの被害者に対して身体的および心理的回復のためのプログラムを提供するとともに、当該慣行の被害を受けた女子または被害を受けるのではないかと恐れている女子がアクセス可能な通報および苦情申立ての機構を設置すること。 (b) 市民社会ならびにFGMの被害者である女性および女子の全面的参加を得ながら、FGMが女子の身体的および心理的健康に及ぼす有害な影響についての意識啓発キャンペーンおよび教育プログラムを立ち上げるとともに、当該キャンペーンおよびプログラムが制度的にかつ一貫して主流化され、かつ、社会のあらゆる層(女性および男性の双方)、政府職員、家族ならびにすべての宗教的指導者およびコミュニティの指導者が対象とされることを確保すること。 (c) 当該慣行を全面的に犯罪化し、かつ当該慣行が犯罪であることについて施術者が認識することを確保するとともに、当該慣行の放棄を促進するための努力に施術者を関与させ、これに代わる所得および生計手段の源を見出すことについて施術者を援助し、かつ、必要なときは施術者の再訓練を行なうこと。 35.委員会は、締約国で早期婚および強制婚が多数行なわれていることを深く遺憾に思う。 36.委員会は、締約国に対し、早期婚または強制婚の慣行を防止しかつこれと闘うための効果的措置(必要なすべての立法措置、ならびに、早期婚から生じる弊害および危険についての意識啓発キャンペーンおよび広報キャンペーンを含む)を追求するよう促す。 あらゆる形態の暴力からの子どもの自由 37.ドメスティックバイオレンスに関する2004年法律第23号および「子どもに対する暴力の防止および根絶に関する国家行動計画(2010~2014年」は歓迎しながらも、委員会は以下のことを深く懸念する。 (a) 拘禁中および裁判のあらゆる段階において子どもに対する暴力事件が多数発生していること。 (b) 女子が頻繁に暴力を受けており、かつ司法へのアクセスを含む保護を得るうえで相当の困難に直面していること。委員会は、これとの関連で、正規の司法制度は利用が妨げられるほどの費用負担のためにしばしばアクセス不能であり、かつ、女性および女子が、女性および女子を差別しかつ意思決定プロセスから排除することの多い代替的紛争解決機構(とくに宗教裁判所)の利用を促されていることに留意するものである。 38.あらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利に関する委員会の一般的意見13号(2011年)を想起しつつ、委員会は、締約国に対し、以下の目的のためにあらゆる必要な措置をとるよう促す。 (a) 法律に抵触した子どもに対する暴力を効果的に解消するための十分な監視機構を設置すること。 (b) 女子が、あらゆる形態の暴力から十分に保護され、かつ、正規の司法制度に全面的にアクセスできるようにするための金銭的および法的援助を提供するプログラムによって支援されることを確保すること。 ヘルプライン 39.締約国が国内NGOおよび国際NGOと協力して子どもヘルプラインを設置したことは歓迎しながらも、委員会は、すべての州が網羅されていないこと、ヘルプラインについて公衆一般が知らないことおよび十分な相談員が存在しないことを懸念する。 40.委員会は、すべての州の子どもがヘルプラインのことを知り、かつヘルプラインに24時間アクセスできることおよびこれらの子どもに対して十分なフォローアップが行なわれることを確保するために、締約国が、ヘルプラインのための人的資源、技術的資源および財源を増加させるよう勧告する。さらに委員会は、相談員に対して十分な研修を行なうよう勧告するものである。 F.家庭環境および代替的養護(第5条、第9~11条、第18条(1および2)、第20条、第25条および第27条(4)) 家庭環境 41.委員会は、複婚がいまなお認められていることを深く懸念する。この状況は、そのような婚姻関係を持つ女性および女子の尊厳に逆行し、かつ、そのような婚姻から生まれた子どもの福祉に悪影響を与えるものである。 42.委員会は、締約国に対し、女性を差別し、ひいてはその子どもに悪影響を及ぼす法律上のすべての規定(複婚を認める規定など)が廃止されることを確保するよう促す。 家庭環境を奪われた子ども 43.委員会は、貧困削減を目的とするいくつかのプログラムの導入を通じて子どもの養育における家族の役割が強化されていること、および、とくに家族支援システム〔および〕家庭基盤型の代替的養護を促進し、かつ施設養護の基準を定めた「子どもの養護に関する国家基準」が2011年に採択されたことを歓迎する。しかしながら、委員会は以下のことを懸念するものである。 (a) その子どもの基本的ニーズをいまなお満たせない場合があり、かつ子どもの養育の放棄を余儀なくされている貧困家庭があること。 (b) 家庭基盤型の子どもの措置件数が少なく、かつ施設措置が引き続き広く活用されていること。 (c) 代替的養護施設の運営に関する許可取得要件がきわめて限定的であること。 (d) 「子どもの養護に関する国家基準」で導入された基準をほとんどの施設が遵守しておらず、遵守状況の監視が行なわれておらず、施設内でしばしば暴力事件が発生しており、かつ、施設で生活している子どもがその家族と会えないこと。 (e) 施設で生活している子どもについて細分化されたデータを収集する十分なシステムが存在しないこと。 44.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 生みの家族への支援をさらに強化するとともに、家族に対し、コミュニティを基盤とする子育て援助(訓練を受けたソーシャルワーカーによるものも含む)を提供すること。 (b) 子どもの施設措置を削減する目的で、家族のもとに留まることのできない子どもに対し、可能なときは常に家庭的養護を提供すること。 (c) 代替的養護施設の運営に関する許可取得要件を強化すること。 (d) 子どもの施設措置の定期的再審査を確保するとともに、子どもの不当な取扱いを監視しかつ是正するためのアクセスしやすい経路を設ける等の手段によって施設における養護の質を監視し、かつ、子どもがその家族と会えることを確保すること。 (e) 施設で生活している子どもについて、年齢別、男女別および経済的背景別に細分化されたデータを収集するための中央集権化されたシステムを設置すること。 G.障害、基礎保健および福祉(第6条、第18条(3)、第23条、第24条、第26条、第27条(1~3)および第33条) 障害のある子ども 45.「障害に関する国家行動計画(2013~2022年)」は歓迎しながらも、委員会は、障害のある子どもの状況、とくに以下のことについて深刻に懸念する。 (a) 障害のある子ども(とくに女子)が、教育および保健ケアに対する権利を含む権利の行使に際して複合的形態の差別に直面していること。 (b) 社会的スティグマまたは養育にかかる経済的負担を理由として、障害のある多くの子どもが隠されまたは施設に措置されていること。 (c) 障害のある子どものうち通学している者ならびに保健ケア、特別サービスおよびリハビリテーションセンターにアクセスできている者が少数であること。 (d) 障害のある子どもに関する体系的なデータ収集が行なわれていないこと。 46.障害のある子どもの権利に関する一般的意見9号(2006年)に照らし、委員会は、締約国が「障害に関する国家行動計画(2013~2022年)」を実施するためにあらゆる努力を行なうよう勧告するとともに、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a) 障害を理由とする差別が明示的に禁じられることを確保し、かつ障害のある人の事実上の差別を生じさせているすべての規定が廃止されることを確保するため、法律を改正すること。 (b) 障害のある子どもに対するあらゆる種類の事実上の差別(とくに態度上および環境上の障壁)を解消するための意識啓発キャンペーンおよび教育キャンペーンを実施し、障害のある子どもの権利および特別なニーズに関する公衆への情報提供および感受性強化を進め、かつ、障害のある子どもが十分な金銭的支援を提供されることならびに社会サービスおよび保健サービスに全面的にアクセスできることを確保すること。 (c) 障害のある子どもが教育に対する自己の権利を全面的に行使できることを確保するとともに、普通学校制度において障害のある子どものインクルージョンを図るためにあらゆる必要な措置をとること。 (d) 政策およびプログラムを障害児のニーズに適合させるため、障害のある子どもに関する具体的なかつ細分化されたデータを収集すること。 健康および保健サービス 47.委員会は、「ヘルシー・ビレッジ」開発政策、コミュニティ保健センターの数の増加、「出産準備および合併症対応体制」プログラム、疾病および栄養不良を削減するための努力ならびに1990年以降の乳児死亡率および5歳未満児死亡率の低下を歓迎する。しかしながら委員会は以下のことを非常に懸念するものである。 (a) とくに下痢および肺炎を原因とする新生児、乳児および5歳未満児の死亡率がいまなお高く、かつ、発育阻害および低体重に苦しむ5歳未満児が多数にのぼること。 (b) 妊産婦死亡率が依然としてとりわけ高いこと。 (c) 州によって妊産婦死亡率および乳児死亡率に格差があること。 (d) 予防接種等の予防保健問題に関する具体的な公衆衛生規則が定められておらず、かつ予防接種プログラムが満足のいく形で実施されていないこと。 (e) 保健ケア施設のためのインフラおよび支援が不足し続けていること、ならびに、ヘルスワーカーのスキル水準が低くかつ就業が不規則であること。 48.到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利についての一般的意見15号(2013年)に照らし、委員会は、締約国に対し、保健予算を増加させ、かつすべての州全域でプライマリーヘルスケア・サービスへのアクセスを拡大するよう促す。締約国は、これらのサービスが、都市部および農村部双方の住民にとって、その経済的背景とは独立にアクセス可能でありかつ負担可能であることを確保するとともに、以下の措置をとるよう求められる。 (a) プライマリーヘルスケア・サービスが、産前ケア、安全な分娩のためのケア、緊急産科ケアおよび産後ケアへのアクセスを含めてすべての妊婦に対して、かつ予防可能な疾病その他の疾病、とくに下痢、急性呼吸器感染症および低栄養を削減するための介入に焦点を当てながら子どもに対して提供されることを確保するとともに、乳幼児への栄養の与え方に関する望ましい実践を促進すること。 (b) すべての妊婦および子ども(とくに乳児および5歳未満児)を対象とする予防保健ケアおよび治療サービス(すべての子どもを対象とする予防接種サービス、経口補水療法および急性呼吸器感染症の治療を含む)を強化し、かつこれらのサービスへのアクセスを拡大すること。 (c) 遠隔地および農村部も含め、出産前および出産時に専門家による十分な援助を無償で提供するとともに、妊産婦死亡率の削減のためにあらゆる必要な努力(緊急産科介入を含む)を行なうこと。 (d) さらに多くの保健ケア提供者を募集し、訓練しかつ監視し、保健ケアのインフラを向上させ、かつ、保健ケアサービスに衛生設備および清潔な飲料水へのアクセスが含まれることを確保すること。 思春期の健康 49.リプロダクティブヘルス・プログラムの一環としての「10代のリプロダクティブヘルスおよび青少年にやさしい保健サービスに関する国家行動計画」は歓迎しながらも、委員会は、人口家族開発法および保健法に基づき、セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスに関するサービスへのアクセスを認められるのが法律上の婚姻をしている夫婦に限られていて青少年の大多数が排除されていることから、青少年がリプロダクティブヘルスに関するケアおよび教育へのアクセスに際して困難に遭遇していることを懸念する。委員会はまた、人口家族開発法および保健法においてリプロダクティブヘルス・サービスに関する規定が置かれているにもかかわらず、婚姻していない女性および女子にはこれらの保健上の利益を享受する資格がないことも懸念するものである。委員会はさらに以下のことを懸念する。 (a) リプロダクティブヘルスに関連する一部のサービスで親または夫の同意が要件とされていること。とくに、婚姻していない思春期の女子が、政府が運営している保健施設から一定のタイプの避妊サービスを受けるために夫の許可を求めなければならないこと。 (b) 婚姻していない思春期の女子(強姦被害者を含む)が、資格があることを知らないためにまたはスティグマを恐れるためにリプロダクティブヘルス・サービスにアクセスできない場合があり、そのために、とくに性感染症、思春期の高い妊娠率、安全性を欠いた中絶の危険、若年での強制婚および学校中退が生じていること。 50.子どもの権利条約の文脈における思春期の健康と発達についての一般的意見4号(2003年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 思春期の子ども(とくに女子)が、親または夫の同意を必要とすることなく、セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスならびに避妊についての情報およびサービスに完全かつ無条件にアクセスできることを確保する目的で法律を改正するとともに、その要請が秘密の守られる形で扱われることを確保すること。 (b) 妊娠した10代、思春期の母親およびその子どもの権利を保護し、かつこれらの者に対する差別と闘うことを目的とした政策を策定しかつ実施すること。 HIV/AIDS 51.委員会は、2000年から2009年にかけてHIV/AIDSの有病率が増え続けており、かつ、この全国的流行に効果的に対処するために締約国がとった措置が不十分であることを、深く懸念する。委員会は、全体としてはパプアにおけるHIV/AIDS罹患者数の増加が、かつとくにHIV/AIDSに罹患した女性の人数の増加が子どものHIV感染の増加につながってきたことに、懸念とともに留意するものである。 52.HIV/AIDSと子どもの権利についての一般的意見3号(2003年)に照らし、委員会は、締約国に対し、HIV/AIDSの蔓延を予防することならびにHIV/AIDSに感染しまたはその影響を受けている子どもにケアおよび支援を提供することを目的とした政策およびプログラムを策定しかつ強化するよう、促す。さらに委員会は、締約国に対し、HIV/AIDSの母子感染予防のためにとられている措置を維持し、カウンセリングの体制を整え、かつ、早期の診断および治療開始を確保する目的でHIV/AIDSに感染した母親およびその乳児のフォローアップ治療を向上させるよう、促すものである。 薬物および有害物質の濫用 53.委員会は、近年、若者による薬物の消費が相当に増加していることに、懸念とともに留意する。 54.委員会は、締約国が、とくに有害物質濫用(タバコおよびアルコールを含む)の回避および防止を目的とした正確かつ客観的な情報を子どもおよび青少年に提供することによって子どもおよび青少年による薬物の使用に対処するためにあらゆる必要な人的資源、技術的資源および財源を配分するとともに、アクセスしやすく、かつ若者にやさしい薬物依存治療およびハーム・リダクションのサービスならびにライフスキル教育を発展させるよう、勧告する。 母乳育児 55.委員会は、締約国における母乳育児率が低いことを懸念するとともに、とくに、インドネシアの子どもの42%しか生後6か月間の完全母乳育児の対象とされていないことに留意する。 56.委員会は、締約国が、母乳育児の利点を広報し、かつすべての母親がその乳児に対して生後6か月間の完全母乳育児を行なえるようにするためのプログラムを設ける等の手段により、母乳育児の促進を強化するよう勧告する。委員会はさらに、締約国が、世界保健機関(WHO)「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」を採択するよう勧告するものである。 生活水準 57.委員会は、貧困根絶および社会扶助に関して締約国がとった措置、とくに地域間格差の削減を目的とした全国コミュニティ・エンパワーメント・プログラム(PNPM)および村落に関する2014年法律第6号を歓迎する。しかしながら委員会は、以下のことについて深く懸念するものである。 (a) 推定で1億3800万人の子どもが国の定めた貧困線以下の生活を送っており、かつ8400万人の子どもが極度の貧困下で生活していること。 (b) 地方分権化のプロセスによって多くの新たな州および地区が形成され、かつ、そのために公共サービス(出生登録、基礎教育および清潔な飲料水等)へのアクセスに関して地域間格差が生じてきたこと。 (c) 貧困に関して都市部・農村部の格差、民族的格差およびジェンダーの格差が存在しており、かつパプアの子どもがとりわけ不利な立場に置かれていること。 (d) 教育に関する社会扶助プログラムが、学校に行っていないために社会保護制度にアクセスできない最貧層の子どもを対象に含められていないこと。 (e) 農村部および先住民族の女性が特段の貧困に直面しており、そのためこのような女性の子どもが十分な成果を享受できていないこと。 58.委員会は、締約国が、ホリスティックな貧困大綱戦略を策定するとともに、子どもの貧困の根本的原因の理解およびこれへの対処ならびに子どもの貧困の解消のためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告する。委員会はまた、締約国が以下の措置をとることも勧告するものである。 (a) 農村部および遠隔地に特段の注意を払いながら、あらゆる段階で貧困削減のための戦略およびプログラムを確立するとともに、基礎的サービス(とくに十分な栄養、住居、水および衛生設備ならびに教育サービス、社会サービスおよび保健サービス)への公平なアクセスを確保し、かつ、経済的に不利な立場に置かれた家族に物的援助を提供すること。 (b) 教育に関する社会扶助プログラムを、学校に行っていない子どもがアクセスできるようにする目的で修正すること。 (c) 農村部および先住民族女性およびその子どもが貧困に陥らないことを持続可能なやり方で確保する目的で、これらの女性の状況を向上させるための十分な支援プログラムを確立すること。 (d) 危険な状況にある家族および子どもを特定する能力がある、十分な訓練を受けたソーシャルワーカーを十分な人数で確保するための体制を整備するとともに、社会的援助のための諸制度を効果的に運用し、かつその実施のフォローアップを行なうこと。 H.教育、余暇および文化的活動(条約第28~31条) 教育(職業訓練および職業指導を含む) 59.18歳までを対象とする普遍的教育プログラムは歓迎しながらも、委員会は、とくにジャワにおいて学校に行っていない義務教育学校年齢の子どもの多さ、ならびに、教育へのアクセスを妨げる障壁の存在および教育の質について非常に懸念する。委員会は、とくに以下のことを懸念するものである。 (a) 教育にアクセスできるのが市民に限られており、出生証明書を持っていない子ども、子どもの難民および移住労働者の子どもが排除されていること。 (b) 相当数の子ども、とくに貧困家庭の子どもが、高額な教育費用またはその他の負担(教科書および制服等)のために学校に行かなくなっていること。 (c) 思春期の女子が妊娠した場合に中退することを防止するための措置がとられておらず、妊娠した女子が退学させられ、または妊娠中の教育の継続を思いとどまるように言われており、かつ、婚姻した子どもがしばしば教育の継続を断念していること。 (d) 学校において高い水準で暴力(教職員によるものを含む)が生じており、政府によって要求されている最低限の資格を有していない教員が多く、かつ、教員がしばしば仕事に行っていないこと。 60.前回の勧告(CRC/C/15/Add.223、パラ63)を踏まえ、委員会は、締約国に対し、締約国のすべての子どもが質の高い教育にアクセスできることを確保するために速やかな措置をとるよう促す。委員会はさらに、締約国に対し、以下の措置をとるよう促すものである。 (a) すべての子どもの庇護希望者および難民、移住労働者の子どもならびに出生証明書を有していない子どもに対して教育を利用可能とすること。 (b) 再貧困下および最遠隔地で暮らしている家族にとくに焦点を当てながら教育資金を増額するとともに、学校教育を終了できない原因に効果的に対処するための具体的行動をとること。 (c) 婚姻した青少年、10代の妊婦および思春期の母親が、普通学校における教育の継続について支援および援助を提供され、かつ子育てと教育の修了を両立できることを確保すること。 (d) 教員を増員し、教員に対して十分な研修を提供し、かつ、教員が仕事に行くことを確保すること。 (e) 体罰および学校におけるその他の形態の暴力(いじめを含む)に終止符を打つため、学校別の行動計画の策定および定期的な学校査察を含むあらゆる必要な措置をとること。 乳幼児期の発達 61.委員会は、就学前教育プログラムへの出席に関して経済的格差および都市部・農村部間の格差が存在すること、乳幼児期のケアおよび教育に対する予算配分が不十分であること、制度的基盤が十分でないこと、ならびに、遠隔地で乳幼児期のケアおよび教育を担当する十分な要員が存在しないことを懸念する。 62.委員会は、締約国が、乳幼児期のケアおよび教育が無償とされること、ならびに、諸施設がアクセス可能であり(遠隔地に住んでいる子どもにとってのアクセスを含む)、十分な職員および設備を備えており、かつ、ホリスティックなやり方(全般的な子どもの発達および親の能力の強化との関連を含む)で乳幼児期のケアおよび教育を提供できることを確保するよう、勧告する。 休息、余暇、レクリエーションならびに文化的および芸術的活動 63.子どもの保護に関する2002年法律第23号第11条において休暇、レクリエーションならびに文化的および芸術的活動に対する子どもの権利が定められていることには留意しながらも、委員会は、この権利に十分な注意が向けられておらず、かつその実施のために十分な努力が行なわれていないことを懸念する。 64.休息、余暇、遊び、レクリエーション活動、文化的生活および芸術に対する子どもの権利についての一般的意見17号(2013年)に照らし、委員会は、締約国が、子どもの身体的および心理的発達を考慮に入れながら子どものための余暇および文化的活動を計画することに十分な注意を払うとともに、親、教員およびコミュニティの指導者の間でこれらの権利を促進するよう、勧告する。委員会はまた、締約国が、この点に関して国際連合教育科学文化機関(UNESCO)およびユニセフの援助を求めるようにも勧告するものである。 I.特別な保護措置(第22条、第30条、第32条、第33条、第35条、第36条、第37条(b)~(d)、第38~40条) 子どもの庇護希望者および難民 65.委員会は、子どもの庇護希望者および難民の保護が不十分であることについて、とくに保護者のいない子どもが後見を受けないままに放置され、かつ無償の弁護士代理人もつけられていないことを著しく懸念する。さらに委員会は、子どもが、数か月または数年の間、むさ苦しく暴力的な環境のもと、司法審査を受けることなく、入管収容施設に収容されることを深く懸念するものである。委員会はとくに以下のことを懸念する。 (a) 入管職員および看守による重度の陵虐事案を子どもが経験しかつ/または目撃していること。 (b) 過密状態、不十分な衛生設備および不十分かつ質の悪い食事を含め、収容施設の環境が著しく劣悪であること。 (c) 保護者のいない子どもがしばしば親族ではない成人とともに収容されており、かつ家族と連絡をとる可能性を否定されていること。 (d) 教育にアクセスすることができず、かつレクリエーションおよび保健ケアへのアクセスが限られていること。 66.出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いについての一般的意見6号に照らし、委員会は、締約国に対し、出入国管理および庇護に関する法制を子どもの権利条約その他の国際基準に全面的に一致させるよう促す。委員会はさらに、締約国に対し、子どもの庇護希望者が置かれた状況に十分に対処するためにあらゆる必要な措置をとるとともに、とくに以下の措置をとるよう促すものである。 (a) 出入国管理および庇護に関するすべての手続において子どもの最善の利益が常に第一次的に考慮されること、ならびに、保護者のいない子どもの庇護希望者に対して十分な後見および弁護士による無償の代理が提供されることを確保すること。 (b) 子どもの庇護希望者および難民を収容する行政慣行をやめること。 (c) 収容施設の看守および職員を対象とする厳格な行動規則を定めるとともに、これらの施設が独立の監視機関によって定期的に評価の対象とされることを確保すること。 (d) あらゆる状況下で、子どもが親族ではない成人から分離され、かつ、十分な食事、清潔な飲料水および衛生設備ならびに保健ケア、教育およびレクリエーションにアクセスできることを確保すること。 (e) 難民の地位に関する1951年条約および同条約の1967年の議定書に加入すること。 マイノリティまたは先住民族集団に属する子ども 67.委員会は、宗教的マイノリティが直面している困難、とくに以下のことについて深く懸念する。 (a) 宗教的マイノリティに属する者(子どもを含む)への暴力的攻撃からの保護および当該攻撃の捜査が不十分であること。 (b) 被害者への援助が不十分であること。これらの被害者の多くは攻撃の際に家を失い、清潔な飲料水および衛生設備、食料または保健ケアに十分にアクセスできない状態で、数年間に渡って一時的シェルターに滞在することを余儀なくされてきた。 (c) 1965年法律第1号の一覧に掲げられていない宗教的マイノリティに属する子どもが、身分証明書、婚姻証明書または出生証明書のような法的文書の発給およびさまざまな公共サービスへのアクセスをしばしば否定されていること。 68.委員会は、締約国に対し、宗教的マイノリティに属する者へのあらゆる形態の暴力と闘いかつこれを解消し、必要なあらゆる効果的保護および賠償を被害者に提供し、かつ、加害者を裁判にかけるためにあらゆる必要な措置をとるよう促す。委員会はさらに、締約国に対し、法律を改正して、1965年法律第1号の一覧に掲げられていない宗教的マイノリティに属するすべての子どもが、これまで否定されてきたすべての公共サービスおよび法的文書にアクセスできることを確保するよう促すものである。 69.委員会はさらに、貧困、軍事化および土地の天然資源の採収の対象とされ、かつ教育および保健ケアへのアクセスも劣悪である先住民族コミュニティに属する子ども、とくにパプア人の子どもの状況について懸念する。 70.先住民族の子どもとその条約上の権利についての一般的意見11号(2009年)に照らし、委員会は、締約国に対し、先住民族コミュニティの貧困を解消するためにあらゆる必要な措置をとり、かつこの点に関わる進展を監視するとともに、先住民族コミュニティがあらゆる公共サービスに平等にアクセスできるようにすること、脱軍事化の努力を追求すること、および、先住民族の伝統的領域における天然資源の利用については、先住民族の、十分な情報に基づく事前の同意を確保することを促す。 経済的搾取(児童労働を含む) 71.委員会は、「最悪の形態の児童労働撤廃のための国家行動計画」および「児童労働削減プログラム」を歓迎する。しかしながら委員会は、締約国で児童労働が広く蔓延しており、蔓延率は都市部よりも農村部のほうが相当に高いことを深く懸念するものである。委員会は以下のことをとくに懸念する。 (a) 多数の子どもが採鉱場、沖合漁業、建設現場および採石場でならびに家事労働者またはセックスワーカーとして働き、危険な条件または最悪の形態の児童労働にさらされていること。 (b) 強制労働に関する規定および16~18歳の子どもの労働を規制する法律が定められていないこと。 (c) 子どもの家事労働者(そのなかにはわずか11歳の子どももいる)が多数存在していること、これらの子どもが学校を早期に中退し、かつ暴力および搾取(身体的、心理的および性的虐待、子どもの人身取引および強制労働を含む)の被害を受けやすい状態に置かれていること、ならびに、これらの子どもが基本的労働権を付与する人的資源法の適用から除外されていること。 (d) 「最悪の形態の児童労働撤廃のための国家行動計画」の実施が、労働は教育プロセスの一環であり、成人としての生活に向けて子どもを準備させるものであり、かつ親に対する奉仕であるという一般的見方、子どもは「家庭の資産」であるという見方、および、地方自治の導入後の調整上の困難によって妨げられていること。 72.委員会は、締約国に対し、働く子どもが国際基準にのっとって働くことを確保するためにあらゆる努力を行なうよう促す。とくに委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促すものである。 (a) いかなる子どもも、いかなる危険な条件または最悪の形態の児童労働にもさらされないこと、および、労働への子どもの従事が、真正かつ自由な選択に基づき、国際基準にのっとって、合理的な時間制限に服することを条件として行なわれ、かつその子どもの教育をいかなる形でも阻害しないことを確保すること。 (b) 強制労働を犯罪化し、かつ16~18歳の子どもの労働を規制するために法改正を行ない、最低年齢に関するすべての基準の執行を厳格に追求するとともに、十分な人数の労働査察官を任命し、かつ、これらの査察官に、労働基準の実施をあらゆる段階で、国のあらゆる地域でおよびあらゆる種類のインフォーマル労働について監視するために必要なすべての資源(児童労働に関する専門知識を含む)を提供すること。 (c) 法律を改正することにより、家事労働者が、現行のすべての労働権を享受でき、かつ、これらの労働者が服させられている特定の条件および危険(セクシュアルハラスメント等)との関連で特別な保護(無償の法的援助を含む)を受けられることを確保すること。 (d) 労働法に違反した者の徹底的捜査および断固たる訴追が行なわれ、かつ、十分な有効性および抑制効果を有する制裁が実際に科されることを確保すること。 (e) 労働に関連する子どもの条約上の権利についての情報を国、広域行政圏および地方のレベルで積極的に普及するとともに、その際、関係者および指導者層の積極的参加ならびにメディアの関与を確保すること。 (f) 労働に従事する子どもについての第三者的検証が可能なデータを取得するため、中央集権化されたデータ収集システムを設置すること。これらのデータは、労働種別、年齢、性別、地域、民族および社会経済的背景ごとに細分化されるべきである。 (g) 家事労働者の適正な労働に関する国際労働機関(ILO)第189号条約を批准しかつ実施すること。 (h) この点に関してILO・児童労働根絶国際計画の技術的援助を求めること。 路上の状況にある子ども 73.防止および回復に関する締約国のプログラムは歓迎しながらも、委員会は、路上で働きかつ生活している子どもが相当数にのぼっており、かつ、このような子どもが、蔓延しているさまざまなリスク(薬物の使用、性的虐待および経済的搾取を含む)の影響を受けやすい状況に置かれていることを懸念する。委員会はまた、地方条例において、路上の状況にある子どもを被害者としてではなく犯罪者として扱う法的アプローチの唱道が支配的となっていること、および、このような子どもが、とくに麻薬の一斉摘発の際に法執行官による重度の暴力を受けていることも、深く懸念するものである。 74.委員会は、締約国が、路上の状況にある子どもへの対応について子どもの保護を基盤とするアプローチを包括的に適用するためにあらゆる必要な人的資源、技術的資源および財源を配分するとともに、とくに以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 根本的原因および規模を正確に把握する目的で、路上の状況にある子どもの状況に関する体系的評価を行なうこと。 (b) 路上の状況にある子どもを犯罪者として扱うすべての法律を改正するとともに、これらの子どもを暴力、とくに法執行にともなう暴力から保護するためにあらゆる必要な措置をとること。 (c) この現象の防止および削減を目的としてその根本的原因に対処する包括的政策を、これらの子どもたち自身の積極的関与を得ながら策定しかつ実施すること。 (d) 非政府組織(NGO)との調整のもと、路上の状況にある子どもに対して必要な保護を提供すること。このような保護には、栄養およびシェルターへのアクセス、家庭環境、十分な保健ケアサービス、通学できるようになることならびにその他の社会サービスへのアクセスが含まれる。 (e) 家族再統合プログラムを、それが子どもの最善の利益にのっとったものであるときは支援すること。 売買、取引および誘拐 75.委員会は、締約国が子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書を最近批准したことを歓迎する。しかしながら委員会は、締約国において人身取引が多数発生していること、および、未成年の多数の子どもがセックスワークに従事していることを非常に懸念するものである。人身取引根絶に関する2007年の法律第21号は歓迎しながらも、委員会は、同法が子どもの人身取引に関する包括的定義を定めていないため、子どもの人身取引の多くの事案が法律上はそのようにみなされない危険性があることを懸念する。さらに委員会は、政府によって設置された人身取引対策特別委員会が十分に効果的なものとなっておらず、かつ多くの地区がまだ同特別委員会の活動対象とされていないことに、懸念とともに留意するものである。 76.委員会は、締約国に対し、人身取引対策特別委員会の改善および拡大を図って国のすべての地域を対象とするとともに、子どもの人身取引を効果的に解消するために精力的措置をとるよう、促す。とくに委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促すものである。 (a) あらゆる形態の子どもの人身取引が包括的に定義されかつ犯罪化されることを確保するために法律を改正し、人身取引を防止するために対象の明確な政策およびプログラムを策定し、かつ、子どもの売買、取引および誘拐の加害者を裁判にかけるために十分な法執行措置がとられることを確保すること。 (b) 子どもの人身取引を解消する目的でその根本的原因に関する調査研究を実施し、人身取引の対象とされるおそれおよび(または)子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書上の犯罪の被害を受けるおそれがある子どもを特定し、かつ、被害を受けた子どものために、再統合およびリハビリテーションのための質・量ともに十分なサービスを整備すること。 少年司法の運営 77.委員会は、刑事責任に関する最低年齢を引き上げ、かつ修復的司法の活用を優先するものとした、少年司法制度に関する2012年法律第11号の採択を歓迎する。しかしながら委員会は、刑事責任に関する最低年齢がいまなお12歳という非常に低い年齢に留まっていることに、懸念とともに留意するものである。さらに委員会は、たとえ軽微な犯罪を理由とするものであっても多数の子どもが収監刑を言い渡されており、かつ、これらの子どもがしばしば成人とともに劣悪な環境下で拘禁されていることを懸念する。委員会はまた、法律に抵触した子どものための社会的再統合措置が存在しないことも懸念するものである。 78.少年司法における子どもの権利についての一般的意見10号(2007年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 刑事責任に関する最低年齢の、最低でも14歳への引き上げを検討すること。 (b) 少年司法法の実施を担当するすべての専門家が同法について必要な研修を受けることを確保すること。 (c) 法律を効果的に実施できるよう、あらゆる適切な人的資源、技術的資源および財源が配分されることを確保すること。 (d) 自由の剥奪が最後の手段としてかつもっとも短い期間でのみ用いられること、子どもが成人とともに収容されないこと、および、拘禁環境が国際基準に一致したものとなること(栄養、清潔な水および衛生設備、教育ならびに保健サービスへのアクセスとの関連を含む)を確保すること。 (e) ダイバージョン、調停、カウンセリングまたは地域奉仕活動のような拘禁に代わる措置をさらに促進し、かつ、更生および再統合のための十分なプログラムにアクセスできるようにすること。 J.国際人権文書の批准 79.委員会は、締約国が、子どもの権利の充足をさらに強化する目的で、まだ当事国となっていない中核的人権文書、とくに通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書、強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約、経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約の選択議定書、市民的および政治的権利に関する国際規約の選択議定書、死刑の廃止を目指す市民的および政治的権利に関する国際規約の第2選択議定書、女性に対するあらゆる差別の撤廃に関する条約の選択議定書、拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いまたは刑罰に関する条約の選択議定書、および、障害のある人の権利に関する条約の選択議定書を批准するよう勧告する。 K.地域機関および国際機関との協力 80.委員会は、締約国が、とくに東南アジア諸国連合(ASEAN)・女性および子どもの権利の促進および保護に関する委員会と協力するよう勧告する。 L.フォローアップおよび普及 81.委員会は、締約国が、とくにこの総括所見に掲げられた勧告を国家元首、議会、関連省庁、最高裁判所および地方当局に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 82.委員会はさらに、第3回・第4回統合定期報告書、締約国の文書回答および関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、メディア、若者グループ、専門家グループおよび子どもが同国の言語で広く入手できるようにすることを勧告する。 M.次回報告書 83.委員会は、締約国に対し、統合された第5回・第6回定期報告書を2019年10月7日までに提出し、かつ、この総括所見のフォローアップに関する情報を当該報告書に記載するよう慫慂する。報告書は、2010年10月1日に採択された委員会の条約別調和化報告ガイドライン(CRC/C/58/Rev.2 and Corr.1)にしたがうべきであり、かつ21,200語を超えるべきではない(総会決議68/268、パラ16参照)。定められた語数制限を超えた報告書が提出された場合、締約国は、前掲決議にしたがって報告書を短くするよう求められることになる。締約国が報告書を見直しかつ再提出することができないときは、条約機関による検討を目的とした報告書の翻訳は保障できない。 84.委員会はまた、締約国に対し、2006年6月の第5回人権条約機関委員会間会合で承認された統一報告ガイドライン(HRI/GEN/2/Rev.6, chap. I)の共通コアドキュメントに関する要件にしたがい、最新のコアドキュメントを提出することも慫慂する。共通コアドキュメントの語数制限は、総会が決議68/268(パラ16)で定めたとおり、42,400語である。 更新履歴:ページ作成(2015年10月21日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/298.html
総括所見:南アフリカ(OPSC・2016年) 第1回(2000年)/第2回(2016年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/OPSC/ZAF/CO/1(2016年10月26日)/第73会期 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2016年9月20日に開かれた第2143回会合(CRC/C/SR.2143参照)において南アフリカの第1回報告書(CRC/C/OPSC/ZAF/1)を検討し、2016年9月30日に開かれた第2160回会合(CRC/C/SR.2160参照)において以下の総括所見を採択した。 I.序 2.委員会は、締約国の第1回報告書および事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/OPSC/ZAF/Q/1/Add.1)の提出を歓迎する。委員会は、ハイレベルなかつさまざまな部門から構成された締約国代表団との間に持たれた建設的対話を評価するものである。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、子どもの権利条約に基づく締約国の第2回定期報告書に関する総括所見(CRC/C/ZAF/CO/2、2016年9月30日採択)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 II.一般的所見 積極的側面 4.委員会は、締約国が以下の条約を批准したことに評価の意とともに留意する。 (a) 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(2004年批准)。 (b) 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する、人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書(2004年批准)。 (c) 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する、陸路、海路および空路により移民を密入国させることの防止に関する議定書(2004年批准)。 (d) 国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約(2003年批准)。 (e) 国際労働機関(ILO)・最悪の形態の児童労働条約(1999年、第182号)(2000年批准)。 5.委員会は、選択議定書の実施に関連する分野で締約国がとった、以下の法律の採択を含むさまざまな措置を歓迎する。 (a) 人身取引の防止およびこれとの闘いに関する法律(2013年法律第7号)。 (b) 刑法(性犯罪および関連の事項)改正法(2007年法律第32号)。 III.データ データ収集 6.委員会は、選択議定書で対象とされている犯罪(子どもの売買、児童買春および児童ポルノを含む)を網羅した信頼のできるデータおよび養子縁組に関するデータが存在しないことを懸念する。同様に、委員会は、このような犯罪にさらされるおそれが高い子ども(家族間暴力の被害者である女子、路上の状況にある子ども、子どもの移住者、難民および庇護希望者、施設で暮らしている子どもならびに非公式な慣習的養子縁組を通じて養子とされた子どもなど)の全般的状況に関するデータが存在しないことを懸念するものである。 7.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 選択議定書で対象とされているすべての分野に関するデータ収集およびデータ分析(選択議定書上の犯罪を理由とする訴追および有罪判決の件数に関するデータを含む)のための、包括的な、調整のとれた、かつ効果的なシステムを発展させかつ実施すること。 (b) 選択議定書上の犯罪の被害を受けるおそれがある子どもに特段の注意を払いながら、とくに性別、年齢、国籍および民族的出身、地域ならびに社会経済的地位ごとにデータを細分化すること。 (c) 収集された情報を、選択議定書の実施に関する政策決定、影響評価および進捗状況の監視のために積極的に活用すること。 IV.一般的実施措置 立法 8.委員会は、国内法で児童買春、児童ポルノおよび子どもの人身取引が対象とされていることに留意する。しかしながら委員会は、現行刑法において、たとえば利得を目的とした子どもの臓器移植、強制労働に子どもを従事させること、または養子縁組に関する適用可能な国際法文書に違反し、仲介者として不適切な形で子どもの養子縁組への同意を引き出すことなど、選択議定書第2条および第3条で定義された子どもの売買に関連するすべての行為および活動(当該犯罪が国内でもしくは国境を越えて行なわれたか、または個人的にもしくは組織的に行なわれたかを問わない)が効果的に扱われていないことを懸念するものである。 9.委員会は、締約国が、選択議定書に掲げられたすべての行為および活動(あらゆる形態の子どもの売買を含む)が刑法で全面的に対象とされることを確保するよう勧告する。 包括的な政策および戦略 10.委員会は、選択議定書の実施に関連する多くの法律および政策が、多部門にわたる介入を調整するための十分な政策枠組みの策定を必要としていることに留意する。しかしながら委員会は、関連のさまざまな政策を調整するための、そのような全般的政策枠組みが定められていないことを懸念するものである。 11.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 選択議定書のすべての規定の実施に特段の注意を払い、かつ子どもの商業的性的搾取に反対する一連の世界会議で採択された成果文書を考慮に入れながら、子どもの権利に関する包括的な政策および戦略に、選択議定書で対象とされているすべての問題を含めること。 (b) 子どもたち、コミュニティおよび市民社会組織の、政策立案への積極的かつ意味のある参加を確保すること。 調整および評価 12.委員会は、選択議定書の実施に関連する法律および政策の実施をいくつかの政府部局が担当していることに留意する。しかしながら委員会は、選択議定書の実施のために必要な、部門横断型の効果的な調整を可能とする調整機構が設けられていないことを懸念するものである。 13.子どもの権利条約に基づく総括所見(CRC/C/ZAF/CO/2参照)のパラ9および10を参照しながら、委員会は、締約国が、国家子どもの権利部門横断調整委員会に対し、さまざまな部門を横断して、かつ国、広域行政圏および地方のレベルで条約およびその選択議定書の実施に関連するすべての活動を調整するための明確な任務および十分な権限が与えられ、かつ、その活動のために必要な人的資源、技術的資源および財源が提供されることを確保するよう、勧告する。委員会はまた、締約国が、コミュニティを基盤とする団体および非公式なコミュニティ体制との活動の調整を強化することも勧告するものである。 研修 14.委員会は、選択議定書を実施する政策、法律およびプログラムについての、業務運用指針の策定および関係者を対象とした集中的研修(法執行官、検察官、裁判官、ソーシャルワーカー、ならびに、メディアで働いている専門家および出版物制作についての専門家を対象とするものを含む)を歓迎する。しかしながら委員会は、選択議定書の効果的実施のための、警察および裁判所といった主要な関係機関の能力および専門性の構築が十分ではないことを懸念するものである。 15.委員会は、締約国が以下のことのための努力を引き続き行なうよう勧告する。 (a) 選択議定書で対象とされている犯罪についておよびこのような犯罪の被害を受けた子どものために活動している専門家および機関(家族間暴力、子どもの保護および性犯罪の担当部局、警察の人身取引対策班およびサイバー犯罪担当課、性犯罪裁判所ならびに子ども裁判所を含む)を対象として、選択議定書に関するさらなる研修を実施すること。 (b) これらの専門家および機関に対し、選択議定書の実施に関連する法律、政策およびプログラムの効果的実施のための業務用ツール(指針および標準業務要綱など)を提供すること。 資源配分 16.委員会は、選択議定書の全面的実施のために必要な多くのサービス(子どもの保護および支援のためのサービスならびに子どもを対象とする専門の警察および裁判所によるサービスを含む)に対し、いまなお十分な資源が配分されていないことを懸念する。 17.委員会は、以下のことを確保する目的で、選択議定書の全面的実施のために十分な技術的資源、人的資源および財源を配分するよう勧告する。 (a) 子ども法および人身取引の防止およびこれとの闘いに関する法律の実施。 (b) 子ども裁判所、性犯罪裁判所および映画出版物委員会の効果的運営。 (c) 性的暴行の被害者に対して複合領域的サービスを提供する、トゥトゥゼラ・ケアセンターおよびワンストップセンターの効果的運営および拡大。 市民社会 18.委員会は、子どもの保護および福祉のための法定サービス(選択議定書で対象とされている犯罪の被害を受けた子どもに関連するサービスを含む)の提供に市民社会がおおいに関与していることに留意する。しかしながら委員会は、このような市民社会組織に対して政府が拠出している資金が、良質なサービスの提供にともなう費用をまかなうためには不十分であることを懸念するものである。 19.選択議定書で対象とされている犯罪から子どもを保護するために必要な、子どもの保護および福祉のためのサービスを提供する第一次的責任は国にあることに留意しながら、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 政府によるサービス提供についての予算配分額および市民社会組織によるサービス提供のための資金拠出額が十分であるかどうか再検討すること。 (b) 補助金に関する決定の透明性(受給者の選択基準に関する透明性を含む)を向上させること。 (c) 子どものためのサービス提供に関する予算の策定およびその実施状況の監視に際して、市民社会組織との積極的かつ意味のある協議および市民社会組織によるそのような参加を確保すること。 V.子どもの売買、児童買春および児童ポルノの防止(第9条(1)および(2)) 議定書で禁じられた犯罪を防止するためにとられた措置 20.委員会は、子どもに対して虐待を行なった犯罪者に子どもが接することを余儀なくされないようにすることを目的とした、全国子どもの保護登録制度および全国性犯罪者登録制度が設置されたことに留意する。委員会はまた、子どもの人身取引および誘拐を防止するため、締約国が強力な国境管理措置を導入したことにも留意するものである。しかしながら委員会は、2つの登録制度の機能が重複していることにより、その有効性が阻害される可能性があることを懸念する。委員会はまた、導入された国境管理措置の有効性および比例性についても懸念を覚えるものである。 21.委員会は、締約国が、全国子どもの保護登録制度および全国性犯罪者登録制度、ならびに、子どもの人身取引および誘拐の防止を目的とした国境管理措置の有効性を再検討するよう勧告する。その際、締約国は、あらゆる関係者(子どもたちならびに子どもとともにおよび子どものために活動する市民社会組織を含む)を協議するべきであり、かつ、目的達成のための効果的かつ比例的な措置を特定するため、客観的なデータおよび情報を積極的に活用するべきである。 養子縁組 22.委員会は、非公式な養護の取決め(慣習的養子縁組の一環として行なわれるものを含む)が締約国で一般的であることに留意する。このような非公式な養護の取決めは、拡大家族およびコミュニティにおける代替的養護の選択肢としての可能性を有している場合もあるものの、委員会は、このような慣習的養子縁組が規制および公的監視の対象となっていないため、養子縁組を目的とする子どもの売買のおそれがともなうことを懸念するものである。 23.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 政策的対応を発展させるための基礎として、非公式な養護の取決め(慣習的養子縁組を含む)の状況に関する細分化されたデータの収集および調査研究の実施を進めること。 (b) 子どもたち、家族、コミュニティならびに子どもとともにおよび子どものために活動する市民社会組織の積極的かつ意味のある参加を得ながら、慣習的養子縁組を規制する枠組みおよびそのような養子縁組を監視するための制度を発展させること。 児童セックスツーリズム 24.委員会は、刑法(性犯罪および関連の事項)改正法(2007年)に基づいて児童セックスツアーの宣伝が犯罪化されたことを含め、児童セックスツーリズムに対処するために行なわれてきた努力に留意する。にもかかわらず、委員会は、締約国が、アフリカにおける児童セックスツーリズムの主たる中心地のひとつであるとされていることを懸念するものである。 25.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a) 規制の枠組みの実施を強化するとともに、児童セックスツーリズムの防止および解消を図るために必要なあらゆる立法上、行政上、社会上その他の措置をとること。 (b) 児童セックスツーリズムの事件が捜査されること、および、加害者とされる者が訴追され、かつ有罪判決を受けたときは適正な制裁を科されることを確保するためにあらゆる必要な措置をとること。 (c) 児童セックスツーリズムの有害な影響に関する観光業界へのアドボカシーを強化するとともに、旅行代理店および旅行業者の間で世界観光機関の世界観光倫理規範および選択議定書の規定(法律上の制裁に関する情報を含む)を広く普及すること。 (d) 観光業界の企業に対し、「旅行・観光業における性的搾取から子どもを保護するための行動規範」の署名企業となることを引き続き働きかけること。 (e) セックスツーリズムに関する細分化されたデータが体系的に収集されることを確保すること。 (f) 児童セックスツーリズムの被害をうけるおそれが高まっている子ども、とくに路上の状況にある子どもに対して正当な注意を払うこと。 オンラインにおける子どもの性的搾取および性的虐待を防止しかつこれに対処するためにとられた措置 26.委員会は、オンラインにおける子どもの性的搾取および性的虐待の事件の増加が報告されていることを懸念する。 27.情報通信技術と子どもの性的虐待について取り上げた、子どもの権利に関する人権理事会決議31/7、ならびに、2014年(ロンドン)および2015年(アブダビ)で開催された「We Protect」(私たちは保護する)サミットの成果を参照しつつ、委員会は、締約国が、関連の業界および組織と緊密に連携しながら、オンラインにおける子どもの性的搾取および性的虐待を防止しかつこれに対処するための国家的対応策をとるよう勧告する。このような対応策は、最低限、以下の要素から構成されるべきである。 (a) 適正な法的枠組み、調整および監督のための専門機関ならびに具体的な分析、調査研究および監視の機能を通じて、オンラインにおける子どもの性的搾取および性的虐待を防止しかつこれに対応していくための国家的政策。 (b) 訓練を受けた警察、検察機関および司法機関をともなう、専門の、積極的な、反応性が高くかつ被害者に焦点を当てた刑事司法制度、国内的および国際的に再犯を防止するための犯罪者管理、ならびに、インターポールのデータベースと連携した全国データベース。 (c) 子どものための適切な支援サービス(捜査、訴追およびアフターケア時の統合的サービスを含む)、子どもとともにおよび子どものために働く訓練を受けた専門家、ならびに、苦情申立て、賠償請求および救済のためのアクセスしやすい手続。 (d) オンラインにおける子どもの性的搾取および性的虐待を防止するための戦略(意識啓発のための公衆教育プログラム、オンラインでの行動および安全に関する学校での必修教育、ならびに、オンラインにおける子どもの性的搾取および性的虐待をともなう犯罪に関する知識およびその通報を含む)、政策および実践の発展への子ども参加、子どもの性的搾取および性的虐待をともなうオンライン・コンテンツをブロックしかつ削除し、事案を法執行機関に通報し、かつ革新的解決策を発展させていくことについての業界への働きかけ、オンラインにおける子どもの性的搾取に終止符を打つために活動している団体との緊密な協力、ならびに、十分な情報に基づく倫理的なメディア報道。 VI.子どもの売買、児童ポルノおよび児童買春の禁止ならびに関連の事項(第3条、第4条(2)および(3)ならびに第5条~7条) 現行刑事法令 28.委員会は、締約国の刑法で、選択議定書で対象とされているすべての形態の犯罪が定義されかつ犯罪とされているわけではないことを懸念する。 29.委員会は、締約国が、選択議定書第2条および第3条にしたがって子どもの売買を定義しかつ犯罪化するとともに、当該定義を子どもの人身取引事件に限定しないことを勧告する。とくに、締約国は以下の行為を明示的に定義しかつ犯罪化するべきである。 (a) 不法な養子縁組を通じた子どもの売買。 (b) 利得を目的とした子どもの臓器移植。 (c) 子どもを強制労働に従事させること。 30.委員会は、映画出版物法および刑法(性犯罪および関連の事項)改正法において罪を犯した成人と子どもが区別されておらず、かつ、自分自身の画像を同意に基づいて共有した子どもが児童ポルノの製造、所持および配布を理由に有罪とされる可能性があることを懸念する。委員会はまた、現行刑法で、ポルノ的資料の処分も対象とする、ポルノグラフィーの包括的定義が定められていないことも懸念するものである。 31.委員会は、締約国が、以下のことを目的として刑法を見直すよう勧告する。 (a) 子どもが自ら作成した画像を同意に基づいて共有することを非犯罪化すること。 (b) 児童ポルノに関して罪を犯した成人と子どもを区別し、かつ、罪を犯した子どもが、尊厳に関する子どもの意識の促進に一致する方法で、かつ子どもの権利条約および選択議定書の規定を全面的に遵守しながら取り扱われることを確保すること。 (c) ポルノグラフィーに関する現行の定義を、ポルノ的資料の処分も対象とするために改正する方向で見直すこと。 (d) デジタルメディアおよび情報通信技術を通じた自己作成コンテンツの使用に関わるリスクについての、子どもを対象とした意識啓発プログラムを発展させかつ強化すること。 不処罰 32.委員会は、トゥトゥゼラ・ケアセンターで提供されるサービスによって性犯罪の通報手続が改善され、性犯罪の有罪判決率が高まったことに留意する。しかしながら委員会は、選択議定書上の犯罪を行なった者の訴追率および有罪判決率が非常に低いままであることを深く懸念するものである。 33.委員会は、締約国に対し、子どもの売買、児童買春および児童ポルノのあらゆる事件が捜査されること、および、実行犯が訴追され、かつその犯罪の重大性に相応する適切な制裁によって処罰されることを確保するために必要なあらゆる措置をとるよう勧告する。 域外裁判権 34.委員会は、子ども法第291条により、南アフリカの国民、永住者または南アフリカに登記されている法人が国外で行なった子どもの人身取引事件を訴追する国の裁判権が認められており、かつ、性犯罪法第61条において、南アフリカの国民、永住者または南アフリカに登記されている法人が国外で行なったいかなる犯罪についても裁判権が及ぶ(当該犯罪が南アフリカの領海で、または南アフリカで登記されているもしくは登記されなければならない船舶もしくは航空機のなかで行なわれた場合を含む)と規定されている旨の、締約国報告書(CRC/C/OPSC/ZAF/1, paras. 124-126参照)に記載された情報に留意する。しかしながら委員会は、これらの規定によっても、選択議定書第3条第1項に掲げられているすべての犯罪について、かつ選択議定書第4条第2項の規定に一致する方法で締約国が裁判権を設定することはできないことを懸念するものである。 35.委員会は、締約国が、選択議定書第3条第1項に掲げられている諸犯罪および選択議定書第4条第2項に定められているすべての場合(とくに、罪を犯した疑いのある者が締約国の国民または締約国の領域に常居所を有する者である場合および被害者が締約国の国民である場合)について明示的に裁判権を設定するために、適切な措置をとるよう勧告する。 犯罪人引渡し 36.委員会は、南アフリカは1962年に犯罪人引渡し法(法律第67号)を制定しており、かつ、選択議定書の批准以降、いくつかの二国間および多国間の相互司法共助協定を批准し、これに調印しまたはこれに関する交渉を行なってきた旨の、締約国報告書に記載された情報(paras. 186 and 187)に留意する。委員会はまた、締約国が、犯罪人引渡し条約の存在を犯罪人引渡しの条件としていることにも留意するものである。 37.委員会は、締約国に対し、犯罪人引渡し条約が存在する場合にしか犯罪人引渡しを認めていない条件を撤回し、かつ、選択議定書に定められた子どもに対するすべての犯罪についての犯罪人引渡しの法的根拠として選択議定書を活用することを検討するよう、奨励する。 VII.被害を受けた子どもの権利の保護(第8条ならびに第9条(3)および(4)) 選択議定書で禁じられた犯罪の被害を受けた子どもの権利および利益を保護するためにとられた措置 38.委員会は、買春の被害を受けた子どもが犯罪者として扱われていること、ならびに、性的搾取および性的虐待の被害者および証人が刑事司法制度および保健制度において再被害に直面していることを懸念する。 39.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 選択議定書で対象とされている犯罪の被害を受けた子どもの権利を保護するための機構および手続を確立し(刑事司法制度における明確な訴追免除義務の確立を含む)、かつ、これらの子どもが法執行機関および司法機関によって犯罪者ではなく被害者として取り扱われることを確保すること。 (b) 選択議定書上の犯罪の被害を受けた子どもまたは証人である子どもが再被害を受けず、かつ、証言の録画のような証拠が司法手続で常に認容されることを確保すること。 刑事司法制度における保護措置 40.委員会は、罪を犯した子どもが全国性犯罪者登録制度のもとで登録される可能性があることを懸念する。 41.委員会は、締約国が、性犯罪を行なった子どもを全国性犯罪者登録制度の対象とすることを再検討するとともに、性犯罪を行なった子どもに適用される手続において、自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利が全面的に尊重されることを確保するよう、勧告する。 被害者の回復および再統合 42.委員会は、性的攻撃の被害者に対して医学的、心理的その他のサービスを提供するトゥトゥゼラ・ケアセンターが設置されたことを歓迎する。しかしながら委員会は、選択議定書上の犯罪の被害を受けた子どもの回復および再統合のためのサービスの利用可能性、アクセス可能性および質が依然として限られていることを懸念するものである。 43.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) トゥトゥゼラ・ケアセンターおよびワンストップセンターの数を増やして全国が網羅されるようにすること。 (b) ソーシャルワーカーを増員し、かつ、選択議定書上の犯罪の被害を受けた子どものニーズを満たすための能力構築を図ること。 (c) 選択議定書で対象とされている犯罪の被害を受けた子どもを援助するための、とくにそのような子どもの特定ならびに警察および必要な支援サービスへの付託を可能とする業務運用機構または業務運用ツール(標準業務運用基準など)を開発すること。 (d) シェルターおよびセーフハウスの数を増やすこと。 VIII.国際的な援助および協力(第10条) 多国間、二国間および地域間の取り決め 44.選択議定書第10条第1項に照らし、委員会は、締約国に対し、選択議定書が対象とするすべての犯罪について防止、摘発、捜査ならびに当該犯罪のいずれかについて責任を負う者の訴追および処罰を向上させる目的で、とくに近隣諸国との多国間、地域間および二国間の取り決めを通じ、引き続き国際協力を強化する(当該取り決めの実施を調整するための手続および機構を強化することによるものも含む)よう、奨励する。 IX.フォローアップおよび普及 フォローアップ 45.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を関連政府省庁、議会ならびに国および地方の公的機関に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 総括所見の普及 46.委員会は、選択議定書ならびにその実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した報告書および文書回答ならびにこの総括所見を、インターネット等も通じ、政府、議会、裁判所、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが広く入手できるようにすることを勧告する。 X.次回報告書 47.選択議定書第12条第2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書およびこの総括所見の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく次回の定期報告書に記載するよう要請する。 更新履歴:ページ作成(2017年3月6日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/125.html
総括所見:スウェーデン(OPSC・2011年) 第1回(1993年)/第2回(1999年)/第3回(2005年)/第4回(2009年)/第5回(2015年)OPAC(2007年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/OPSC/SWE/CO/1(2012年1月23日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2011年10月3日に開かれた第1662回会合(CRC/C/SR.1662参照)においてスウェーデンの第1回報告書(CRC/C/OPSC/SWE/1)を検討し、2011年10月7日に開かれた第1669回会合において以下の総括所見を採択した。 序 2.委員会は、豊かな情報を含み、分析的かつ自己批判的である締約国の第1回報告書、および事前質問事項(CRC/C/OPSC/SWE/Q/Add.1 and Add.2)に対する文書回答が提出されたことを歓迎する。委員会は、部門横断型の締約国代表団との建設的対話を評価するものである。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、子どもの権利条約に基づく締約国の第4回定期報告書について採択された総括所見(CRC/C/SWE/CO/4)および武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書に基づく第1回報告書について採択された総括所見(CRC/C/OPAC/SWE/CO/1)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 I.一般的所見 4.委員会は、選択議定書の実施に関連する分野でとられたさまざまな積極的措置、とくに性的目的で子どもと親しくなろうとする行為を犯罪化した刑法第6章第10条aの採択(2009年7月1日)を歓迎する。 5.加えて、委員会は、人身取引と闘う行動に関する欧州評議会条約(2005年)が締約国によって2010年5月に批准されたことに、評価の意とともに留意する。 II.データ 6.委員会は、包括的なデータ収集システムが設置されていないことを懸念する。委員会は、締約国における児童買春および人身取引の被害を受けた子どもに関する全国的な統計データが存在しないことを、とくに遺憾に思うものである。 7.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 選択議定書の実施に関わるあらゆる分野で体系的データ収集を行なうための機構をさらに発展させかつ中央集権化すること。 (b) 議定書上の犯罪にとくに関連し、このような犯罪のすべての被害者および加害者を網羅し、かつ年齢、性別、地理的所在および社会経済的背景ごとに細分化されたデータを収集するための、調整のとれたシステムを設置すること。 (c) 選択議定書上のすべての犯罪の根本的原因および蔓延の度合いならびにこれらの犯罪に対応するために実施されている政策および提供されているサービスの効果に関する、質的および量的な研究および分析を行なうこと。 III.実施に関する一般的措置 宣言 8.委員会は、第2条(c)について、同条の「あらゆる表現」(any representation)という文言は児童ポルノの「視覚的表現」に関連するものとしてのみ解釈すると述べる締約国の宣言により、あらゆる形態の児童ポルノに対応するための選択議定書の全面的実施が阻害されることを懸念する。 9.委員会は、あらゆる形態の児童ポルノへの対応に関して選択議定書を全面的に実施するため、締約国が第2条(c)に関する宣言の撤回を検討するよう、勧告する。 立法 10.委員会は、条約およびその選択議定書が締約国の法律に全面的に編入されていないことを遺憾に思う。委員会は、とくに以下のことを懸念するものである。 (a) 締約国の法律で、選択議定書第1条、第2条および第3条に定められたすべての犯罪が具体的に定義されかつ禁じられているわけではないこと。 (b) 性的搾取がそれにふさわしい刑事的制裁の対象とされていないこと。 (c) 締約国の判例および法律が、15歳以上の子どもの被害者に対し、一貫して十分な保護を提供しているわけではないこと。 (d) 未成年者の性的行為の購入および性的姿態をとらせる目的での子どもの搾取のような犯罪が「子どもに対するそれほど重大ではない性犯罪」に分類されていること。 11.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとること等の手段により、条約およびその選択議定書を自国の法律に全面的に編入するよう勧告する。 (a) 商業的性的搾取が刑事司法制度においてそれにふさわしい制裁の対象とされることを確保すること。 (b) 子どもの虐待の被害者全員、とくに15歳以上の被害者に対して十分な法的保護が提供されることを確保すること。 (c) 未成年者の性的行為の購入および性的姿態をとらせる目的での子どもの搾取に関する、「子どもに対するそれほど重大ではない性犯罪」という評価を再検討するとともに、このような犯罪が領域外で行なわれた場合の双方可罰性要件の削除を検討すること。 (d) 選択議定書第1条、第2条および第3条に基づく、子どもの売買のあらゆる事案を定義しかつ禁止する義務と全面的に一致する法律を制定すること。 委員会は、締約国に対し、議定書に掲げられた子どもの売買に関する規定を十分に実施するためには、立法において子どもの売買(この概念は人身取引に似てはいるものの同一ではない)に関わる義務が充足されていなければならないことを想起するよう求めるものである。 国家的行動計画 12.委員会は、〔子どもの性的搾取に関する〕締約国の国家的行動計画および売買春と性的目的の人身取引に対抗する行動計画に留意する。しかしながら委員会は、国家的行動計画の更新が2012年に延期されたことを遺憾に思うものである。さらに委員会は、選択議定書の実施のための全般的戦略を締約国が定めていないこと、および、選択議定書上の犯罪につながる根本的な需要要因に対応するためにとられた措置が依然として不十分であることを、懸念するものである。 13.委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施のための包括的枠組みを定めるよう促す。その際、委員会は、締約国が、以下の手段をとることにより、選択議定書の違反につながる需要要因に対処するための措置を考慮に入れるよう、勧告するものである。 (a) 犯罪者(女性および少年の犯罪者を含む)についてさらなる調査研究を行なうこと。 (b) キャンペーンを含む意識啓発措置を増やしかつ向上させること。 (c) 防止措置の活用を増やしかつ強化すること。 調整および評価 14.委員会は、選択議定書の違反に関する機関間の連携および能力が依然として不十分であることを懸念する。この文脈において、委員会はさらに、締約国が、選択議定書の実施および関連する広域行政圏および地方の公的機関間におけるこのような努力の調整を担当する諸機関の監視および評価のための制度を設置していないことを、懸念するものである。 15.委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施および関連する広域行政圏および地方の公的機関間におけるこのような努力の調整を担当する諸機関の監視および評価のための制度を設置する等の手段により、選択議定書上の違反に対応するための機関間の調整を強化する実際的措置をとるよう、促す。 普及および意識啓発 16.委員会は、一般公衆および子どもとともにまたは子どものために働く専門家の間で選択議定書に関する意識が低いままであることに、懸念とともに留意する。 17.委員会は、締約国が、選択議定書第9条2項にしたがい、適切なメディア・キャンペーン、教育キャンペーンおよび専門家研修キャンペーンをとる等の手段により、その規定を公衆、とくに子どもとともにまたは子どものために働くすべての専門家の間で広く知らせるために必要なあらゆる措置をとるよう、勧告する。 研修 18.売買春と性的目的の人身取引に対抗する行動計画との関連で行なわれている締約国の研修プログラムには積極的取り組みとして留意しながらも、委員会は、選択議定書が対象とする犯罪に関わるリスク要因の特定およびこれへの対処ならびにこのような違反の事案(外国人被害者が関わるものを含む)を通報しかつ処理する方法および機関についての知識が、子どもとともにまたは子どものために働く専門家の間で低いままであることを懸念する。 19.委員会は、締約国が、子どもとともにまたは子どものために働くすべての専門家を対象として、選択議定書に関する研修プログラム(選択議定書に関連するリスク要因の特定ならびにそのような違反に対応するための関連のフォローアップ手続、および、そのような犯罪の発生が疑われる事例に具体的に関連するものを含む)を体系的に行なうよう、勧告する。委員会はまた、外国人被害者が関わる事案に関連の専門家が効果的に対応できるようにするため、当該研修プログラムに社会文化的感受性に関する内容を含めることも勧告するものである。 子どもの権利と企業セクター 20.委員会は、4つの国民年金基金が共同で設置している倫理評議会が、基金の投資先である国外企業の、環境および人権に関する国際条約に関わる環境上および倫理上の配慮について検討していることに、関心とともに留意する。 21.委員会は、海外投資を行ない、または国外企業の子会社もしくは関連会社を通じて活動する国営法人(国の年金基金を含む)が、条約および選択議定書の精神にしたがってこれらの文書に基づく犯罪を防止しかつ当該犯罪からこれらの国々の子どもを保護する要件を、相当な注意をもって遵守するよう勧告する。委員会はさらに、締約国が、国外におけるすべてのスウェーデン企業の投資および活動を、同様に、適切な形で規制するよう勧告するものである。 IV.子どもの売買、児童買春および児童ポルノの防止(第9条1項および2項) 選択議定書で禁じられた犯罪を防止するためにとられた措置 22.委員会は、以下の点との関連も含め、議定書上の犯罪を防止するための措置が不十分であることを懸念する。 (a) 犯罪者を対象とするケアおよび更生のためのサービスを利用できるのが収監された犯罪者のみであり、かつ、その結果、拘禁をともなわない経済的処罰の対象にしかされない大多数の犯罪者に対してそのような防止措置が適用されないこと。 (b) 学校カリキュラムでインターネット上の安全に関する訓練が義務化されていないこと。 (c) 有罪判決を受けた性犯罪者が、子どもとともに働くことを一貫して禁じられているわけではないこと。 (d) 脆弱な立場に置かれた、保護者のいない未成年の庇護希望者および非正規移民の子どもまたは在留資格証明書のない子どもが保護されていないこと。 23.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 議定書上の犯罪を行なった加害者(収監刑の対象とされなかった者を含む)全員に対し、更生措置およびカウンセリングが提供されることを確保すること。 (b) 学校カリキュラムに、インターネットの安全な利用に関する義務的訓練を含めること。 (c) 有罪判決を受けたすべての性犯罪者が子どもとともに働くことを禁ずるための措置をとること。 (d) 子どもの養護を委託された者の管理を増強すること等の手段により、保護者のいない庇護希望者または移民の状況にある子どもを対象として十分な保護措置が提供されることを確保すること。 子どもセックス・ツーリズム 24.委員会は、子どもセックス・ツーリズムと闘うための締約国の取り組みの向上に留意する。しかしながら委員会は、旅行・観光業における性的搾取から子どもを保護するための行動規範への、締約国における企業の署名率が低いままであることを懸念するものである。委員会はさらに、子どもセックス・ツーリズムならびに前掲行動規範および世界観光機関(UNWTO)の世界観光倫理規範に関する公衆の意識水準が低いことを懸念する。 25.委員会は、締約国に対し、子どもセックス・ツーリズムを防止しかつ根絶するため、効果的な規制の枠組みを定めかつ実施するとともに、あらゆる必要な立法上、行政上、社会上その他の措置をとるよう、促す。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、子どもセックス・ツーリズムの防止および根絶のための多国間、地域間および二国間の取り決めによって国際協力を強化するよう、奨励するものである。委員会はさらに、締約国に対し、子どもセックス・ツーリズムの有害な影響に関する観光業界への働きかけを強化し、旅行代理店および観光業者の間でUNWTOの世界観光倫理規範を広く普及し、かつ、旅行・観光業における性的搾取から子どもを保護するための行動規範への署名を奨励するよう、促す。 V.子どもの売買、児童ポルノおよび児童買春の禁止ならびに関連の事項(第3条、第4条2項および3項、第5条、第6条ならびに第7条) 現行刑事法令 26.児童ポルノの多くの側面(このような資料の閲覧など)が犯罪とされていること、および、児童ポルノについての刑法上の規定における子どもの定義がより幅広いものとなっていることは歓迎しながらも、委員会は、締約国の刑法で選択議定書に掲げられたすべての犯罪が網羅されているわけではないことを、依然として懸念する。とくに、委員会は以下のことを深く懸念するものである。 (a) 子どもの性的虐待を描写した文字情報および音声が禁じられていないこと。 (b) 子どもの第二次性徴期の発達が終了しているとき、または子どもが未成年であることが写真および付帯状況から明らかでないときは、児童ポルノの描写、配布、購入、譲渡等が犯罪とされないこと。 (c) 児童ポルノ関連の犯罪が、スウェーデン刑法第6章の性犯罪ではなく同第16章の「公の秩序」犯罪と見なされていること。 (d) あらゆる種類のポルノ的画像が禁じられているにも関わらず、個人的閲覧用のクラフトスケールの制作およびその後の描画の所持については例外が認められていること。 (e) 子どものポルノ的描画の輸入および輸出が法律で明示的に禁じられていないこと。 (f) 処罰が犯罪の重大性に比例しておらず、しばしば罰金および短期の収監しか定められていないこと。 (g) 性犯罪の被害を受けた子どもに関わる事件で、とくに子どもを対象にしようとした加害者の故意が、裁判所が考慮する一貫した要素となっていないこと。 27.委員会は、締約国が、刑法を改正して選択議定書第2条および第3条と全面的に一致するようにするとともに、刑法が実際に執行されること、および、不処罰を防止するために加害者を裁判にかけることを確保するよう勧告する。とくに、締約国は以下の行為を犯罪化するべきである。 (a) 売買春目的で子どもを提供し、入手し、周旋しまたは供給すること。 (b) 児童ポルノを製造し、流通させ、配布し、輸入し、輸出し、提供し、販売しまたは所持すること。 (c) これらのいずれかの行為の未遂および共謀またはこれらのいずれかの行為への参加。 (d) これらのいずれかの行為を広告する資料の製造および配布。 裁判権および犯罪人引渡し 28.締約国の法律でそこに定められた犯罪についての域外裁判権が認められていることは歓迎しながらも、委員会は、未成年者の性的行為の購入および性的姿態をとらせる目的での子どもの搾取の犯罪について双方可罰性要件が残っていることを遺憾に思う。 29.委員会は、締約国が、国内法によって域外裁判権(選択議定書上のあらゆる犯罪に関する、双方可罰性の基準を課されない域外裁判権を含む)を設定しかつ行使できることを確保するための措置をとるよう、勧告する。 30.委員会は、議定書上の犯罪を行なった者の引渡しについては犯罪人引渡し協定が必要とされないことに留意する。しかしながら委員会は、このような犯罪人引渡しに制限が課されていること、とくに議定書上の犯罪の一部について双方可罰性要件が設けられていることを懸念するものである。委員会はさらに、1年以上の収監刑をともなう犯罪のすべてについて犯罪人引渡しが行なわれるわけではない可能性があること、および、締約国の国民はほぼ例外なく犯罪人引渡しの対象にできないことを、懸念する。 31.委員会は、締約国に対し、議定書上の犯罪に関する犯罪人引渡しの制限、とくに双方可罰性要件および刑法上の最低刑要件を削除するよう勧告する。委員会はさらに、議定書第5条5項にしたがい、締約国が、犯罪人引渡しの請求を拒否した場合に当該事件を自国の権限ある機関に付託して訴追するために適切な措置をとるよう、勧告するものである。 法人の責任 32.委員会は、締約国が、条約およびその議定書に基づく犯罪に関する法人の責任の確立についてさらなる措置をとっていないこと、および、法人に対する制裁が依然として金銭的処罰に限定されていることに、懸念とともに留意する。 33.委員会は、締約国が、金銭的処罰に加え、これらの犯罪の再発を効果的に防止するための措置がとられることを確保するための法律および相応する刑事上、民事上または行政上の制裁が設けられることを確保するよう、勧告する。委員会はさらに、締約国に対し、企業に対して以下のことを奨励するよう慫慂するものである。 (a) 子どもの商業的性的搾取に関する倫理方針を定めること。 (b) 供給業者との契約にそれぞれの条項を含めること。 VI.被害を受けた子どもの権利および利益の保護(第8条ならびに第9条3項および4項) 選択議定書で禁じられた犯罪の被害を受けた子どもの権利および利益を保護するためにとられた措置 34.性的搾取の被害を受けた子どもを保護するための措置は歓迎しながらも、委員会は以下のことを懸念する。 (a) 子どもの性的搾取の実効的訴追率が低く、この10年では事件の85~90%がまったく訴追に至っていないこと。 (b) 犯罪被害者ポータルサイトが十分に子どもにやさしいものではないこと。 (c) 在留許可の取得がしばしば認められないために、人身取引被害者の脆弱性が悪化させられていること。 (d) 被害者に対する出廷の強制を禁ずる規定が存在しないため、国連・国際組織犯罪防止条約を補足する人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書(パレルモ議定書)が遵守されていないこと。 35.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a) 性犯罪者をより組織的かつ効果的に訴追するための機構を設置すること。 (b) 犯罪被害者ポータルサイトを子どもにやさしくかつアクセスしやすい形で利用可能とすること。 (c) 人身取引によってスウェーデンに連れてこられた子どもが在留許可を受けられるための便宜を図ること。 (d) 立法上および手続上の規定がパレルモ議定書と全面的に一致することを確保すること。 被害者の回復および再統合 36.委員会は、性的搾取および売買春を目的とする人身取引の被害者のためのリハビリテーション・プログラムの開発がストックホルム市に委託されたことを歓迎する。委員会はさらに、ストックホルム市が、締約国の資金提供および委託を受けて安全な帰還プロジェクトも運営していることを歓迎するものである。しかしながら委員会は、外国人の子どもが締約国の子どもと同一の質的水準を有する援助および保護サービスを受けていないことを懸念する。委員会はさらに、リハビリテーション・プログラムおよび安全な帰還プロジェクトのいずれもがストックホルム地域に限定されていることを懸念するものである。 37.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) とくに、性的搾取および売買春を目的とする人身取引の被害者のために計画されているリハビリテーション・プログラムを迅速に実施することにより、選択議定書上の犯罪の被害を受けた子ども(とくに外国出身の子ども)に対し、その全面的な社会的再統合ならびに身体的および心理的回復のための援助を含む適切な援助が提供されることを確保するため、あらゆる必要な措置をとること。 (b) 選択議定書第9条4項にしたがい、被害を受けたすべての子ども(締約国の国民または定住者ではない子どもを含む)が、法的に責任のある者に対して差別なく被害賠償を求める十分な手続にアクセスできることを保障するとともに、加害者から被害賠償を得られない事案のために被害者補償基金を設置すること。 (c) リハビリテーションおよび安全な帰還のためのプログラムを領域内の全域で利用可能とするための措置をとること。 ヘルプライン 38.児童ポルノ、性的目的の子どもの人身取引および子どもセックス・ツーリズムを通報するためのホットラインが設けられていることには留意しながらも、委員会は、このホットラインが締約国による資源面での十分な支援を享受していないこと、および、このホットラインに関する一般公衆の意識(子どもの間における意識も含む)が低いことを懸念する。さらに委員会は、行方不明の子どもに関する欧州共通ホットライン番号「116 000」が締約国でまだ実施されていないことを懸念するものである。 39.委員会は、締約国が、ホットラインに対し、その効率性、継続性および可視性(子どもの間におけるものおよび締約国の国民が領域外で行なった議定書上の犯罪の発生に関するものも含む)を確保するために必要な人的資源、技術的資源および財源を提供するよう、勧告する。委員会はさらに、締約国が、行方不明の子どもに関する欧州共通ホットライン番号「116 000」を領域内で迅速に運用するために必要な措置をとるよう、勧告するものである。 VII.国際的な援助および協力 40.選択議定書第10条1項に照らし、委員会は、締約国に対し、選択議定書が対象とするいずれかの犯罪の防止、摘発、捜査ならびに当該犯罪に責任を負う者の訴追および処罰を向上させる目的で、とくに近隣諸国との多国間、地域間および二国間の取り決めを通じ、引き続き国際協力を強化する(当該取り決めの実施を調整するための手続および機構を強化することによるものも含む)よう、奨励する。 VIII.国際的および地域的人権文書の批准 41.委員会は、締約国が署名しながらまた批准していない、関連する多数の国際的および地域的人権文書があることに留意する。これには、とくに、親責任および子の保護措置についての管轄権、準拠法、承認、執行および協力に関するハーグ第34号条約(1996年)、子どもの権利の行使に関する欧州条約(1996年)、性的搾取および性的虐待からの子どもの保護に関する欧州評議会条約(2007年)、サイバー犯罪に関する欧州評議会条約(2001年)、および、コンピュータ・システムを通じて行なわれる人種主義的および排外主義的性質の行為の犯罪化に関するサイバー犯罪条約の追加議定書(2003年)が含まれる。 42.委員会は、締約国に対し、同国が署名したあらゆる関連の国際的および地域的人権文書を速やかに批准するよう促すものである。委員会はまた、締約国に対し、同国がまだ加盟していない国際人権文書、とくにすべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約、強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約、および、経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約の選択議定書の批准を検討することも、奨励する。 IX.フォローアップおよび普及 フォローアップ 43.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を議会、関連省庁および地方当局、司法府、ならびに、それぞれ県および地区のレベルに設けられた子どもの保護に関する委員会および小委員会に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 総括所見の普及 44.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第1回報告書および文書回答ならびに委員会が採択した関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループ、コミュニティおよび子どもが広く入手できるようにすることを勧告する。 X.次回報告書 45.選択議定書第12条2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書およびこの総括所見の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく次回定期報告書に記載するよう要請する。 更新履歴:ページ作成(2011年12月7日)。/国連の正式文書に基づき、先行未編集版に基づく訳を修正(2012年2月26日)。旧パラ20および40が分割されたことによりパラグラフ総数が43から45になったが、「年齢に関する加害者の故意」が「とくに子どもを対象にしようとした加害者の故意」に修正された(パラ25(g))ほかは、基本的に技術的修正に留まる。
https://w.atwiki.jp/catreport/pages/12.html
拘束の状況と拘留中の死亡 12. 委員会は、刑務所での拘束の状況に関する中国政府からの情報を認識した上で、拷問や虐待との関連が考えられる死亡者数がおびただしいことや、これらの拘留中の虐待や死亡の調査の欠乏など、拘留中の虐待に関する報告について依然として憂慮している。「拷問に関する国連特別報告者」が拘留施設内の医療の可用性は、概して満足のいくものだとしていることを委員会は認識した上で (E/CN.4/2006/6/Add.6, para. 77) 、とりわけ麻薬常用者やHIV・エイズ感染者への治療の不備という新情報を問題視し、拘束者の健康に関する統計的データの欠乏を遺憾に思う。(項目11) 中国政府は、効果的な措置を取り、既存の提供されている公共医療サービスも含めた全拘束施設の組織的な再調査をしなければならない。さらに、中国政府は、早急の措置を取り、全ての拘束中死亡例が第三者によって調査され、拷問、虐待、あるいは故意の怠慢による死亡の責任者が起訴されるようにするべきである。委員会は、このような調査の結果に関する報告、結末、および与えられた処罰と治療に関する報告を期待する。 「労働による再教育」などの行政上の拘束 13. 委員会は、全ての形態における行政上の拘束の廃止を促す中国政府への以前の提案 (A/55/44, para.127) を繰り返す。委員会は、事件や行政上の拘束への異議申し立てを、起訴されていない個人に課される「労働による再教育」などの行政上の拘束の全形態が広範になされていることを依然として懸念している。また、委員会は、とりわけ特定の宗教団体および少数民族に属する人々に対する「労働による再教育」機構での拷問やその他の虐待に関する申し立てに関する調査不足についても懸念している。中国政府は、「労働による再教育」システムが最近改良され、更なる改良が現在想定されていると述べているが、中国の知識人たちによってシステムの廃止が要求されているにも関わらず、延期され続けているのを委員会は懸念している。(項目2、11) 中国政府は、「労働による再教育」を含む行政上の拘束の全形態を即座に廃止するべきである。中国政府は、現行統計を含む現在行政上の拘束を課せられている人々に関する情報、拘束の理由、拘束に異議を申し立てる手段、および「労働による再教育」機構での拷問や虐待を抑止する保障措置の導入などに関するさらなる情報を提供しなければならない。
https://w.atwiki.jp/intellipedia/pages/253.html
ヤホントとはロシア製の超音速地対艦ミサイルである。射程300キロ。懸念される配備場所としては、北方領土に配備計画がある他、シリアにも配備されているとされる。 北方領土の軍備強化開始へ=沿岸防衛に対艦ミサイル―ロシア(2011/05/11) 「北方領土に巡航ミサイル配備」 国防相に軍備増強計画を提出(2011/03/01) 露、シリアにミサイル 米・イスラエルが懸念 「軍事バランス崩れる」(2010/09/23) ※その他の報道はニュース系サーチエンジン2003~(ヤホント)でチェック。 北方領土の軍備強化開始へ=沿岸防衛に対艦ミサイル―ロシア(2011/05/11) 【モスクワ時事】ロシア軍のマカロフ参謀総長は11日、北方領土の軍備強化のため、今年後半から択捉、国後両島に駐屯する第18機関銃・砲兵師団に新装備の配備を開始すると述べた。インタファクス通信が伝えた。 マカロフ参謀総長によると、北方領土の軍備強化計画は2014~15年までに完了する予定。沿岸防衛のため、対艦ミサイル「ヤホント」の発射装置「バスチオン」も配備するとしている。ヤホントは射程300キロの超音速ミサイルで、標的を自動追尾する能力があるとされる。 「北方領土に巡航ミサイル配備」 国防相に軍備増強計画を提出(2011/03/01) インタファクス通信によると、ロシア軍参謀本部は1日、北方領土に対艦巡航ミサイル「ヤホント」や新型対空ミサイル「トールM2」を配備することを柱とした軍備増強計画をまとめ、セルジュコフ国防相に提出した。択捉、国後両島には機関銃砲兵師団の約3500人が駐屯しており、軍は兵員の増加や部隊再編でなく、新鋭兵器の投入で軍事力の強化を図る方針だ。ヤホントの射程は約300キロで性能に定評がある。トールM2は1度に4つの標的を攻撃可能という。(モスクワ 遠藤良介) 露、シリアにミサイル 米・イスラエルが懸念 「軍事バランス崩れる」(2010/09/23) 【モスクワ=佐藤貴生】ロシアが対艦巡航ミサイルをシリアに売却する方針を明確にし、米国やイスラエルが「中東の軍事バランスを崩しかねない」と懸念を強めている。欧米の反発を考慮してメドベージェフ露大統領は22日、イランへの高性能対空ミサイルシステム「S300」の供与を禁止する大統領令に署名したものの、引き続き中東諸国の安全保障に関与する姿勢を鮮明にした。 4月の米露による新核軍縮条約調印後も、ロシアは欧州における米国のミサイル防衛(MD)計画の進展に対し警戒を緩めておらず、シリアとの軍事協力強化を対米交渉のカードにする狙いもありそうだ。 「シリアへの兵器供与がもたらす結果を考えてほしい」とロシア側に自制を求めたゲーツ長官に対し、セルジュコフ国防相は、「シリアとの売買契約は2007年に交わしたもので、停止する必要はない。テロリストの手に渡る危険性などない」と反論、契約を履行する考えを強調した。 20日にはイスラエルのバラク国防相も、「レバノンの民兵組織ヒズボラの手に渡り、イスラエルに対して使われる可能性がある」とロシアの動きを牽制(けんせい)した。ヒズボラは06年夏にイスラエルと軍事衝突した際、イスラエル軍艦艇をミサイルで大破させた。 バラク国防相は今月上旬、訪露してプーチン首相らロシア側高官と会談、軍事協力強化で合意したばかり。イスラエルの対露接近の背景には、ロシアにはない高度な軍事技術を提供する引き換えに、中東の反イスラエル諸国の軍備強化を思いとどまらせる狙いがにじんでいる。 モスクワの軍事評論家コロトチェンコ氏はロシア国営通信に対し、「シリアの港タルトゥースには、地中海をにらむロシア海軍の最重要拠点がある。シリアへの巡航ミサイル供与にはロシア海軍を守る意味合いもある」と述べている。巡洋艦や空母も寄港できるよう、ロシアが同港で港湾整備を進めているとの情報もあり、ロシアの対応には未知数の部分も残っている。 関連項目 関連ページはありません 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/monosepia/pages/12689.html
広島・長崎の原子爆弾投下 + ニュースサーチ〔長崎〕 8/10(土)長崎戦 当日券販売に関するご案内 - 横浜FC 【速報中】首相「厚労相に調整指示」 被爆者認定訴え「一歩前進」 - 朝日新聞デジタル 【長崎】「私たちは地球市民、核廃絶は絶対条件」被爆79年 長崎原爆の日 G7とEU大使が平和祈念式典欠席(長崎文化放送) - Yahoo!ニュース イスラエル不招待の波紋 市民・専門家の受け止め | 長崎のニュース | 天気 | NBC長崎放送 (1ページ) - TBS NEWS DIG Powered by JNN 平原綾香、長崎県・県民祈りの日に思い寄せ「今なお、悲しみの中にいる方々を想う」 - ニッカンスポーツ 【長崎】岸田総理が被爆体験者と初面会 「解決への具体策を」厚労大臣に指示(長崎文化放送) - Yahoo!ニュース 長崎の原爆犠牲者、広島市で追悼 大使に出席求める声も - 中国新聞デジタル 【長崎】泉代表が平和祈念式典に参列 資料館視察や平和を願うイベントにも参加 - 立憲民主党 被爆79年 8月9日 | 長崎のニュース | 天気 | NBC長崎放送 (1ページ) - TBS NEWS DIG Powered by JNN 長崎への原爆投下から79年 戦争根絶と平和願う【岩手・盛岡市】(IAT岩手朝日テレビ) - Yahoo!ニュース 長崎の平和祈念式典、大使の不招待や欠席 被爆者らも意見割れる(毎日新聞) - Yahoo!ニュース 「長崎県で人気のバイキング(ビュッフェ)」ランキング! 2位は長崎の街を一望できる稲佐山展望台のレストラン「稲佐山レストラン ITADAKI」、1位は?【2024年8月版】(ねとらぼ) - Yahoo!ニュース 長崎 原爆投下から79年 平和祈念式典 “最後の被爆地に” - nhk.or.jp 長崎 原爆投下から79年 群馬県内でも慰霊式 前橋 - nhk.or.jp 長崎「原爆の日」、諫早市で開催中のインターハイ・ローイング会場でも競技中断して黙とう - 読売新聞オンライン 米大使、長崎の平和式典を欠席 イスラエル非招待理由に(AFP=時事) - Yahoo!ニュース 長崎原爆の日 広島でも黙とう G7大使は欠席(HOME広島ホームテレビ) - Yahoo!ニュース 長崎の原爆投下から79年 高松でも追悼式典 - nhk.or.jp 政府、長崎市に懸念伝達 イスラエル招待見送り - 東京新聞 被爆体験者救済を要望 岸田首相「一生懸命やる」―長崎 - 時事通信ニュース 被爆体験者救済を要望=岸田首相「一生懸命やる」―長崎 - 時事通信ニュース 政府、長崎市に懸念伝達 イスラエル招待見送り - 北海道新聞 長崎 平和祈念式典にイスラエル人とパレスチナ人の女性が参列 - nhk.or.jp 政府、長崎市に懸念伝達 イスラエル招待見送り - goo.ne.jp 政府、長崎市に懸念伝達 イスラエル招待見送り - 信濃毎日新聞デジタル 政府、長崎市に懸念伝達/イスラエル招待見送り - 四国新聞 長崎「原爆の日」を登校日に 中学校で平和討論会「自分がどんな行動ができるか考える」広島・府中町 - FNNプライムオンライン 長崎・平和祈念式典を欠席する駐日米大使が「米紙に語ったこと」 | イスラエル不招待の波紋 - courrier.jp 長崎 原爆の日「平和祈念像」の原型がある東京・武蔵野市で追悼 被爆79年 - nhk.or.jp 核廃絶「人類の絶対条件」 6カ国大使欠席、式典に影―79回目、長崎原爆の日 - 時事通信ニュース エマニュエル米大使、都内の長崎原爆殉難者追悼会に参列 英イスラエル大使と共に慰霊 - 産経ニュース 長崎に原爆が投下された日 平和を願う原爆展開催中 とある女性の思いは…若いうちに戦争の悲惨さや恐怖心を感じることが大切(山形) - TBS NEWS DIG Powered by JNN 長崎市の平和祈念像 原型の前で追悼 東京 武蔵野市 - nhk.or.jp 「核兵器の廃絶を」決議採択 長崎で原水禁2大会が閉幕 - 西日本新聞 「核兵器の廃絶を」決議採択 長崎で原水禁2大会が閉幕(共同通信) - Yahoo!ニュース デーモン閣下、長崎原爆の日迎え思い「『忘れない』を怠る者たちによって脅かされる」 - ニッカンスポーツ 【全文】長崎 被爆者代表 三瀬清一朗さん「平和への誓い」 - nhk.or.jp スポーツ選手が発信する “PEACE” とは? V・長崎 高木琢也CROと平和を考える《長崎》(長崎国際テレビ) - Yahoo!ニュース 長崎原爆の日 | 長崎のニュース | 天気 | NBC長崎放送 - TBS NEWS DIG Powered by JNN 米大使、長崎市に「政治的な決断」 イスラエル大使「増上寺に感謝」 [核といのちを考える] - 朝日新聞デジタル 米国大使「政治上の理由だ」 招待しない長崎市に“反論” - テレビ朝日 被爆79年の「原爆の日」、平和へ祈り…米英など6か国やEUの大使は異例の欠席 - 読売新聞オンライン 長崎平和祈念式典 中継 - Yahoo!ニュース 「長崎平和宣言」トレンドに 祈念式典イスラエル不招待判断の鈴木市長の言葉に「読むべき一文」(日刊スポーツ) - Yahoo!ニュース 「平和は人類共有の世界遺産」 長崎被爆者代表、平和への誓い - 毎日新聞 ナガサキを最後の被爆地に「長崎原爆の日」過去最多101の国と地域の代表ら約3100人参列《長崎》 - 日テレNEWS 西側諸国の駐日大使、長崎の平和式典に出席せず イスラエル不招待が理由と - BBC.com G7大使欠席、コメントせず 長崎原爆忌で林官房長官 - 時事通信ニュース 令和6年8月9日 長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典挨拶 | 総理の演説・記者会見など - 首相官邸 「『最後の被爆地に』訴え続ける」 長崎平和祈念式典 首相あいさつ - 毎日新聞 米英などG7大使が長崎平和祈念式典をボイコットした理由とは(朝鮮日報日本語版) - Yahoo!ニュース 「核兵器廃絶は人類が生き残る絶対条件」 長崎平和宣言、鈴木市長(毎日新聞) - Yahoo!ニュース 「核兵器廃絶は人類が生き残る絶対条件」 長崎平和宣言、鈴木市長 - 毎日新聞 中継 長崎「原爆の日」の平和式典 - Yahoo!ニュース 政府、長崎市に「外交問題化も」と懸念伝達 米大使ら式典欠席 - 朝日新聞デジタル 長崎平和宣言が引用の詩 作者は52歳で死去の「闘う被爆詩人」 - 毎日新聞 長崎 きょう被爆79年 - しんぶん赤旗 世界大会長崎交流フォーラム /核禁条約 国際共同行動を/核なき世界実現へ - しんぶん赤旗 「イスラエル招待されるべき」 大使の長崎式典欠席で―米国務省:時事ドットコム - 時事通信ニュース 長崎の式典欠席 核軍縮へ影響懸念 - Yahoo!ニュース 長崎への原爆投下から79年 「長崎を最後の被爆地に」 - nhk.or.jp 平和式典めぐる混乱 識者「長崎市、もっと正面から理由を言うべき」 - 朝日新聞デジタル 祈りの朝 長崎、原爆投下から79年 [写真特集1/10] - 毎日新聞 政府、核軍縮への影響懸念 G7大使の長崎式典欠席―原爆忌:時事ドットコム - 時事通信ニュース きょう首相と面会 救済求め、長崎の被爆体験者が見せる絵は… - 毎日新聞 長崎原爆79年 核保有国含む101カ国・地域が平和祈念式典参列へ - 毎日新聞 長崎「原爆の日」 平和祈念式典で世界に向けて市長が核兵器廃絶を訴えへ - TBS NEWS DIG Powered by JNN 長崎「原爆の日」 平和祈念式典で世界に向けて市長が核兵器廃絶を訴えへ(TBS NEWS DIG Powered by JNN) - Yahoo!ニュース [社説]長崎式典 G7大使欠席 受け入れ難い「圧力」だ - 沖縄タイムス 【声明】「長崎・原爆の日」(れいわ新選組 2024年8月9日) - れいわ新選組 (世界発)長崎原爆投下ルポ、変わる評価 「広報担当」務めたNYT記者 - 朝日新聞デジタル 【一問一答】長崎市長 平和祈念式典にイスラエル不招待を説明 - nhk.or.jp イスラエルと歩調あわせる米欧の「いびつな正義感覚」 長崎式典問題 - 朝日新聞デジタル イスラエル不招待、上川外相「長崎市に国際情勢説明」 - 日本経済新聞 米欧6カ国大使、平和式典欠席へ イスラエル不招待に変更なし―市長「政治的理由でない」・長崎 - 時事通信ニュース 「歴史繰り返さぬ気持ちが問われている」 長崎市の判断に被爆者は - 毎日新聞 岸田外交へのイメージダウン懸念 長崎・平和祈念式典、一線引く政府 - 毎日新聞 長崎・平和祈念式典巡り波紋 背景に米とイスラエルの「特別な関係」 - 毎日新聞 「二度と来なくていい」「原爆投下への無反省」長崎平和式典 米・英はじめ相次ぐ出席拒否…“イスラエルへの配慮”に殺到する怒り - Yahoo!ニュース 駐日米大使、長崎市の平和祈念式典を欠席へ イスラエル招待しなかったため - CNN.co.jp 【速報】長崎県内で最大震度3 島原市と南島原市の状況【長崎】|ニュース - KTNテレビ長崎 【試合観戦情報】8/21長崎バス観光株式会社様主催 日帰り応援バスツアー開催のお知らせ - V・ファーレン長崎 長崎市長「むしろ紛争当事国を呼ぶべきだ」 平和祈念式典で一問一答 - 毎日新聞 長崎市長、イスラエル不招待を釈明 米英大使の欠席表明は「残念」 - AFPBB News 米ユダヤ人団体、長崎市を事前に繰り返し批判 「原爆の日」式典イスラエル不招待で(産経新聞) - Yahoo!ニュース 長崎原爆の日を前に 犠牲者にささげる「献水」くみ上げられる - nhk.or.jp 米ユダヤ人団体、長崎市を事前に繰り返し批判 「原爆の日」式典イスラエル不招待で - 産経ニュース イスラエル招待せず 長崎市長が市の立場を改めて説明 - nhk.or.jp 長崎市 イスラエル不招待変更せず - Yahoo!ニュース イスラエル招待しなかった長崎市長「苦渋の決断」…6か国大使の欠席「理解求めたが平行線だった」 - 読売新聞オンライン イスラエル不招待に長崎市長「政治的理由でない」 対応は変更せず(毎日新聞) - Yahoo!ニュース 「原爆の日」の平和祈念式典にイスラエル不招待 長崎市長「判断に変更はない」 - 産経ニュース 原爆慰霊式を政治化するな 長崎市のイスラエル招待撤回は犠牲者に対する冒瀆 宮家邦彦 宮家邦彦のWorld Watch - 産経ニュース 長崎の被爆遺構 発見も保存されず - Yahoo!ニュース 大使欠席に長崎の被爆者「非常に残念」…イスラエル招待の広島市には意見3200件、大半が批判的 - 読売新聞オンライン 9日長崎の平和祈念式典 「大使欠席」なぜ? G7の6か国が手紙で懸念も… - 日テレNEWS 9日長崎の平和祈念式典 「大使欠席」なぜ? G7の6か国が手紙で懸念も…(日テレNEWS NNN) - Yahoo!ニュース 長崎式典欠席「把握せず」 米ホワイトハウス - 時事通信ニュース 長崎原爆で全壊の捕虜収容所 遺構を発見も、保存されず - 毎日新聞 長崎市での平和祈念式典、6か国の駐日大使が出席見合わせへ…イスラエルの不招待理由に - 読売新聞オンライン 「なんで長崎に出ない?」長崎の平和式典欠席の米国大使、広島式典後「日本は親友」と投稿していたのに…SNSのコメント欄は大荒れ(中日スポーツ) - Yahoo!ニュース <独自>G7各国駐日大使、長崎平和式典を異例の欠席へ イスラエル〝排除〟を問題視 - 産経ニュース 長崎 平和祈念式典に米駐日大使欠席へ イスラエル不招待受け - nhk.or.jp 主要6カ国とEU、長崎市に書簡「イスラエル除外なら高官参加困難」 - 朝日新聞デジタル 米大使、長崎の平和式典欠席 イスラエル招かれず「政治化したくない」 - 時事通信ニュース アメリカやイギリスなど少なくとも6か国の駐日大使、長崎の原爆式典を一斉に欠席へ イスラエル不招待を受け - TBS NEWS DIG Powered by JNN 米国大使が長崎の平和式典を欠席へ イスラエル招待されず英も欠席 - 朝日新聞デジタル 「V・ファーレン長崎」が長崎市のサッカースタジアム視察 - nhk.or.jp イスラエル駐日大使、原爆の日の式典めぐり長崎市を批判 「市長が式典乗っ取った」 - CNN.co.jp 断言するけど長崎市長はこのままいくと暴力団による暗殺か辞任させられる。恐らくパワハラやら汚職やら下半身ネタやらで文集砲等でメディアがすっぱぬく。確実に水面下で検察が動いてるだろう。 — Hanuman (@ANurikov7) August 7, 2024 NEW - Israel not invited to Japan s Nagasaki peace ceremony https //t.co/iRdfRw6d4s pic.twitter.com/GCkcESllvc — Insider Paper (@TheInsiderPaper) July 31, 2024 「原爆の日」にイスラエル招待せず=長崎市長 🕊️ 米国による長崎への #原爆 投下から79年を迎える8月9日の「原爆の日」式典について、主催者の鈴木史朗・長崎市長は3日、現時点ではイスラエルを招待しないと明らかにした。ロシア・ベラルーシも3年連続で招待を見送る。 イスラエルはパレスチナ・… pic.twitter.com/nJQW9Y2j5E — Sputnik 日本 (@sputnik_jp) June 3, 2024
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/292.html
総括所見:ナウル(第1回・2016年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/NRU/CO/1(2016年10月28日)/第73会期 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 I.序 1.委員会は、2016年9月13日および14日に開かれた第2134回および第2135回会合(CRC/C/SR.2134 and 2135参照)においてナウルの第1回報告書(CRC/C/NRU/1)を検討し、2016年9月30日に開かれた第2160回会合において以下の総括所見を採択した。 2.委員会は、締約国における子どもの権利の状況についての理解を向上させてくれた、締約国の第1回報告書の提出を歓迎する。委員会は、締約国のハイレベルな部門横断型代表団との間に持たれた建設的対話に評価の意を表するものである。 II.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展 3.委員会は、以下の文書の批准またはこれへの加入を歓迎する。 (a) 女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(2011年)。 (b) 障害のある人の権利に関する条約(2012年)。 (c) 拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは刑罰に関する条約(2013年)。 (d) 拷問等禁止条約の選択議定書(2013年)。 4.委員会はまた、以下の立法措置がとられたことも歓迎する。 (a) 子どもの保護および福祉法(2016年)。 (b) 犯罪法(2016年)。 (c) 教育(改正)法(2015年)。 (d) サイバー犯罪法(2015年)。 5.委員会は、以下の制度上および政策上の措置に評価の意とともに留意する。 (a) 国家障害政策の採択(2015年)。 (b) 子ども保護サービス局の設置(2015年)。 (c) 国家若者政策(2009~2015年)の採択。 (d) ナウル・ジェンダー国別計画の採択(2014年)。 III.主要な懸念領域および勧告 A.実施に関する一般的措置(第4条、第42条および第44条(6)) 立法 6.委員会は、条約の規定との一致および調和化を確保するために現行法の包括的に向けた努力が行なわれていることを歓迎するとともに、子どもの保護および福祉法の採択(2016年)および家族保護法の提案に、肯定的対応として留意する。委員会はまた、憲法でとくに子どもの権利を保障する手段として憲法再検討プロセスを再開しようとする努力も歓迎するものである。しかしながら委員会は、一部の法律について条約との調和を図る必要性が残っていることを懸念するものである。 7.委員会は、締約国に対し、条約の国内法化を確保するとともに、国内法と条約の原則および規定との調和を図る努力を引き続き行なうよう、奨励する。とくに委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 関連の法律に掲げられている規定が子どもの保護および福祉法(2016年)と調和することを確保するための措置をとること。 (b) 家族保護法の成案の採択を、優先的事項として速やかに進めること。 (c) 国レベルで採択されるすべての新法を対象として子どもの権利影響評価を導入すること。 (d) 憲法再検討プロセスを再開し、かつ、子どもの権利が憲法でとくに保障されることを確保するための措置をとること。 包括的政策 8.委員会は、子どもの権利をとくに促進しかつ保護するための包括的政策が定められていないことを懸念する。委員会は、子ども保護サービス局の職員が子どもの保護および福祉に関する訓練を受けておらずまたは正式な経験を欠いていることを示す報告があることに、懸念とともに留意するものである。 9.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもの権利を促進しかつ保護するための包括的政策を策定し、かつ、当該政策が十分な人的資源、技術的資源および財源によって裏づけられることを確保すること。 (b) 子どもの保護政策を策定し、かつその実施の有効性を定期的に評価するため、子どもを含むすべての関係者との協議を確保すること。 (c) 新たな子ども保護サービス局に十分な人的資源、技術的資源および財源を配分すること。 (d) 社会福祉部門を対象とした能力構築戦略(内務省およびその諸部局を対象とした、子どものウェルビーイング、福祉および保護に関する教育・能力開発プログラムを含む)を発展させること。 調整 10.委員会は、部門を横断する形でならびに国レベルおよび地方レベルで、条約の実施に関連するすべての活動の調整が不十分であることを懸念する。 11.委員会は、締約国が、部門を横断する形でならびに国レベルおよび地方レベルで条約の実施に関連するすべての活動を調整するための効果的機構を発展させ、かつ必要な人的資源、技術的資源および財源を配分するよう勧告する。 資源配分 12.2015~2016年度の予算配分で条約の規定を実施するための対応がとられていることには留意しながらも、委員会は、編成過程において、関連部門および関連機関における子どものための予算配分額(指標および追跡システムを含む)ならびに被害を受けやすい状況に置かれた子どものための予算配分額が定められていないことを懸念するものである。 13.子どもの権利実現のための公共予算(第4条)に関する一般的意見19号(2016年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもの権利の視点を含んだ予算編成手続を確立するとともに、関連部門および関連機関における、子どものための明確な配分額(具体的指標および追跡システムを含む)を定めること。 (b) 条約の実施に割り当てられる資源の配分の十分性、効率性および公平性を監視しかつ評価する機構を設置すること。 (c) 公的対話、とくに子どもたちとの対話を通じて、かつ公的機関(地方レベルの公的機関を含む)に説明責任を適正に履行させる目的で、透明なかつ参加型の予算編成を確保すること。 (d) 子どもの予算上のニーズに関する包括的評価を実施するとともに、十分な予算資源を配分し、社会部門に配分される予算を増額し、子どもの権利に関連する指標に基づいて格差に対応し、かつ、とくに、教育および社会的援助の分野における配分額を十分な水準まで増やすこと。 データ収集 14.委員会は、体系的なデータ収集機構が存在しないために、子ども(とくに障害のある子ども、周縁化された状況で暮らしている子どもならびに子どもの庇護希望者および難民)に関する細分化されたデータが欠乏していることを懸念する。 15.条約の実施に関する一般的措置についての一般的意見5号(2003年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 条約のすべての分野を網羅するためにデータ収集システムを速やかに改善するとともに、データがとくに年齢、性別、障害、民族、国民的出身および社会経済的背景ごとに細分化されることを確保すること。 (b) データおよび指標が関連省庁の間で共有され、かつ、条約の効果的実施を目的とする政策、プログラムおよびプロジェクトの立案、監視および評価のために活用されることを確保すること。 (c) 統計的情報の定義、収集および普及を行なうに際し、「人権指標:測定・実施ガイド」(Human Rights Indicators A Guide to Measurement and Implementation)と題する国際連合人権高等弁務官事務所(OHCHR)の報告書に掲げられた概念上および手法上の枠組みを考慮に入れること。 独立の監視 16.委員会は、人権の促進および保護のための国内機関の地位に関する原則(パリ原則)にしたがって国内人権機関を設置するべきである旨の、2015年の普遍的定期審査の際に行なわれた勧告を締約国が受け入れたこと(オンブズマン事務所の設置の可能性を含む)に、肯定的対応として留意する。しかしながら委員会は、これまでのところ何ら進捗がないこと、および、子どもの権利を監視する具体的機構が整備されていないことを懸念するものである。 17.子どもの権利の促進および保護における独立した国内人権機関の役割についての一般的意見2号(2002年)に照らし、委員会は、締約国が、子どもによる苦情を子どもに配慮したやり方で受理し、調査しかつこれに対応し、被害者のプライバシーおよび保護を確保し、かつ被害者のためのモニタリング、フォローアップおよび検証の活動を行なうことを任務とする、子どもの権利の監視のための独立機構を速やかに設置するよう勧告する。委員会はまた、当該機構に対して十分な人的資源、技術的資源および財源を配分することも勧告するものである。 普及、意識啓発および研修 18.委員会は、裁判所における子どもの権利について地域的状況に合わせた資料の開発とともに、条約に関連する意識啓発プログラムおよび研修の発展が進められていることに、肯定的対応として留意する。しかしながら委員会は、これらの資料にアクセスできず、かつ条約に掲げられた自己の権利を知らない、被害を受けやすい状況に置かれた子ども(とくに子どもの庇護希望者および難民)を対象とした、条約についての研修および意識啓発が不十分であることを懸念するものである。 19.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもとともにおよび子どものために働く専門家集団(法執行官、裁判官、弁護士、保健従事者、教員、学校管理者、ソーシャルワーカー、メディア専門職などおよび他の必要な集団)を対象として、子どもの権利に関する十分かつ体系的な研修を実施するための努力を強化すること。 (b) 寛容および多様性を強調しながら、あらゆる段階の学校カリキュラムに条約の原則および規定に関する教育を含めること。 (c) 子どもの権利に関する情報の普及への子ども参加に特段の注意を払うこと。 (d) 子どもの保護担当官および子どもの福祉を担当するその他の官吏を対象とした研修・業務マニュアルを開発すること。 (e) メディアに対し、子どもの権利に対する配慮を確保し、かつ、番組等の制作の際に被害を受けやすい状況に置かれた子どものことが含まれるようにするよう、奨励すること。 (f) 非政府組織その他の関係者と緊密に協力しながら、条約、その原則および規定に関する意識を国全体で高めるための努力を強化すること。 市民社会 20.委員会は、国際的な市民社会組織およびジャーナリストが、とくに地域対応センター(Regional Processing Center)における子どもの庇護希望者および難民への対応との関連で、子どもの権利に関して調査する能力を制約されていることを深刻に懸念する。委員会はまた、一部の国際的組織が脅迫を受けているという報告、および、同国を訪問するジャーナリストを対象とする返金不可の査証申請手数料が200米ドルから8000米ドルに引き上げられたという報告があることも懸念するものである。 21.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a) 子どもの権利の擁護者およびその活動を正当に承認するための即時的かつ具体的な措置をとること。 (b) 国際的および国内的な非政府組織およびジャーナリストとの信頼および協力の環境を構築すること。 (c) 子どもの権利、とくに障害のある子どもおよび周縁化された状況で暮らしている子ども(子どもの庇護希望者および難民など)の権利に関連する政策、計画、プログラムおよび進展の計画、実施、監視および評価に市民社会の関与を得ること。 B.一般原則(第2条、第3条、第6条および第12条) 差別の禁止 22.締約国の憲法で、とくに人種、出身地および政治的意見に基づく差別の禁止が定められていることには留意しながらも、委員会は、あらゆる分野、とくに水、衛生設備、教育、保健ケアおよび十分な住居との関連で、子どもの庇護希望者および難民に対する差別が根強く存在することを深く懸念する。委員会は、障害のある子どもも、とくに学校環境において差別に直面していることに、懸念とともに留意するものである。 23.条約の実施に関する一般的措置についての一般的意見5号(2003年)に照らし、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a) 条約第2条にしたがい、憲法第3条を改正して国籍その他の地位に基づく差別への言及を含めること。 (b) 子どもの庇護希望者および難民ならびに障害のある子どもに対する社会の否定的態度に対処するための公衆教育キャンペーンを強化する等の手段により、差別を禁止する関連現行法の全面的実施を確保すること。 (c) すべての子どもが十分な食料、水、衛生設備、良質な教育、十分な保健ケアおよび住居にアクセスできることを確保すること。 (d) 子どもの庇護希望者および難民に対して特段の注意を払いながら、子どもに対する差別事案に対応するための具体的機構を子ども保護サービス局の主導のもとで導入するとともに、そのための十分な人的資源、技術的資源および財源が利用可能とされることを確保すること。 子どもの最善の利益 24.ナウル法の一部分野で子どもの最善の利益の原則が支持されていることには留意しながらも、委員会は、当該権利を確保するための包括的保障が何ら存在しないことを遺憾に思う。とくに委員会は、子どもの庇護希望者および難民が、その最善の利益を考慮されないまま、締約国によってオーストラリアから受け入れられているという報告があることに、深甚な懸念を表明するものである。 25.自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利についての一般的意見14号(2013年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 権限のある立場にあるすべての関係者に対し、あらゆる分野で子どもの最善の利益について判断し、かつそれを第一次的考慮事項として正当に重視することに関する指針を提供するための手続を発展させ、かつそのための基準を定めること。 (b) 子どもの最善の利益の原則が、すべての立法上、行政上および司法上の手続および決定、ならびに、子どもに関連し、かつ子どもに影響を与えるすべての政策およびプログラムにおいて適切に統合され、かつ一貫した解釈および適用の対象とされることを確保するための努力を強化すること。 生命、生存および発達に対する権利 26.委員会は、1990年以降、乳児および子どもの死亡率が全般的に低下してきていることを、肯定的傾向として歓迎する。しかしながら委員会は、ナウル国民ではない子どもおよび先住民族であるナウル国民の子どもの5歳未満児死亡率が高いことを懸念するものである。委員会はまた、子どもの庇護希望者および難民が、地域対応センターにおける狭小な、湿度の高い、かつ生命への危険がある環境下での生活のために、相当の身体的リスクおよび発達上のリスクに直面しているということがあることも懸念する。委員会はさらに、このような環境下で長期間過ごすことは子どもの精神的および身体的ウェルビーイングにとって有害であり、かつ、そのために11歳という低年齢の子どもまで自殺未遂およびその他の形態の自傷行為を行なってきたことを懸念するものである。 27.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a) 十分な保健ケアおよび栄養へのアクセスが、もっとも被害を受けやすい状況に置かれた家族、とくにナウル国民でない家族および先住民族であるナウル国民の家族ならびに庇護希望者および難民である家族に対しても保障されることを確保するための努力を直ちに強化すること。 (b) 子どもの庇護希望者および難民に関連するすべての環境が、その健康的な身体的および精神的発達ならびに生存に資するものとなることを確保すること。 (c) 地域対応センターで働く職員が、とくに被害を受けやすい状況に置かれた子どもおよび自傷行為を行なう潜在的おそれがある子どもを特定するための十分な訓練を受けることを確保するとともに、事案が特定された場合に、適切なサービス機関への十分な付託およびフォローアップが行なわれることを確保するためのシステムを発展させること。 子どもの意見の尊重 28.委員会は、新たな子ども保護サービス局内で、虐待の被害を受けた子どもの意見がその生活の手配に関する選択との関連で考慮されることを確保するための進展が見られることに、肯定的対応として留意する。しかしながら委員会は、全般的に、とくに家庭、学校、社会環境および司法現場における伝統的な慣行および文化的態度のために、自己の意見を自由に表明する子どもたちの権利の全面的実現が阻害されていることを懸念するものである。 29.意見を聴かれる子どもの権利についての一般的意見12号(2009年)に照らし、委員会は、締約国に対し、家庭、学校、裁判所および子どもに関わるあらゆる関連の行政上その他の手続において子どもの意見が正当に考慮されることを、とくに学校における具体的な学習活動の確立および一般的な意識啓発を通じて確保するよう奨励する。委員会はまた、締約国に対し、子どもが公共政策に影響を及ぼせるようにする意味のある空間の創設を強化するため、関連の専門家と連携しながら取り組みを進めることも奨励するものである。 C.子どもに対する暴力(第19条、第24条(3)、第28条(29、第34条、第37条(a)および第39条) あらゆる形態の暴力からの子どもの自由 30.委員会は、とくに新たな子ども保護サービス局、子どもの保護および福祉法(2016年)、ならびに、家族間暴力および子どもの保護に対応するための統合的ケースマネジメントモデルの創設を通じて、子どもの保護制度を発展させるために締約国が行なってきた努力に留意する。このような進展にもかかわらず、委員会は以下のことを深く懸念するものである。 (a) 子どもに対する性暴力の訴えに関するナウル警察の捜査能力が限定されていること。 (b) 捜査その他の手続において救済の保証が行なわれておらず、かつ子どもにやさしいアプローチが欠けていること。 (c) 関連機関間の協力および情報共有が十分に行なわれておらず、かつ苦情のフォローアップも不十分であること。 (d) モス・レビュー(Moss Review)で明らかにされたとおり、地域対応センターで生活している子どもの庇護希望者および難民に対して非人道的なかつ品位を傷つける取扱い(身体的、心理的および性的虐待を含む)が行なわれていること、ならびに、島の周辺の難民居留地で暮らしている家族に対して脅迫、性的攻撃、虐待および暴力の脅しが行なわれており、いずれもその子どもの心理的ウェルビーイングに有害な影響を与えているという報告があること。 (e) ナウル到着前にトラウマを経験していた子どもの身体的および精神的回復のための援助が利用可能とされていないこと、ならびに、到着後、拘禁のような環境下で長期間暮らすことの影響により、自殺未遂、焼身自殺、自傷行為および抑うつの事案が多数発生していること。 31.あらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利についての一般的意見13号(2011年)および持続可能な開発目標のターゲット16.2(子どもの虐待、搾取、人身取引ならびに子どもに対するあらゆる形態の暴力および拷問の廃絶)を参照しながら、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a) 子どもがあらゆる形態の暴力および虐待(性的攻撃を含む)から保護されることを保障するための措置を直ちに確立すること。 (b) 不当な取扱いの被害を受けた子どもに対してケアおよびリハビリテーションのためのプログラムが用意されることをかくほとともに、いかなる種類の再被害も回避されることを確保すること。 (c) すべての関連の専門家を対象とした、子どもに対する暴力についての義務的研修講座を開設するとともに、関連部門で働く専門家に対し、子どもの虐待の通報を義務化すること。 (d) 関連省庁間で効率的な協力、調整およびデータ共有を確保するとともに、子どもに対する暴力に関わる支配的態度を変革する手段として公衆意識啓発キャンペーンを発展させ、かつゼロトレランスに向けた取り組みを開始すること。 (e) 子どもの庇護希望者および難民に対する不当な取扱い、虐待および性的攻撃のあらゆる訴えを独立の立場から捜査するための即時的措置をとり、これらの子どもが安全なかつ子どもにやさしい苦情申立て手続にアクセスできることを確保し、かつ、子どもに対する暴力の事案について適正な捜査および加害者への制裁を確保する目的で警察および司法機関の捜査能力を強化すること。 (f) 子どもの庇護希望者および難民に対し、その子どもが経験しているトラウマおよびその他の精神保健上の問題に対処するための十全かつ十分な支援および治療が与えられることを確保する目的で、精神保健上の問題を有する子どもを専門とする要員の能力を高め、かつその増員を図ること。 (g) 以上の問題に対応していく手段として、国際連合児童基金(ユニセフ)および国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)の技術的協力を求めること。 虐待およびネグレクト 32.委員会は、以下のことを深刻に懸念する。 (a) 締約国から提供された情報によれば、女子の約30%が15歳までに性的虐待の被害を受けていること。 (b) 強姦およびその他の性的暴行事件における量刑が、法律で定められた最高刑をはるかに下回っていること。 (c) 暴力の被害を受けた子どもまたは暴力を受けるおそれがある子どもの事案に対応するための調整機構が設けられていないこと。 (d) 虐待された子どものための避難施設およびカウンセリングサービスが不十分であること。 (e) 家庭内虐待を私事または家族の問題とみなす社会的態度が蔓延していること。 33.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a) 子どもに対する性的虐待のあらゆる事案を優先的に捜査するとともに、加害者が迅速かつ速やかに裁判にかけられることを確保すること。 (b) 子どもに対する家族間暴力のあらゆる事案に関する全国的データベースを設置するとともに、そのような暴力の規模、原因および性質に関する包括的評価を実施すること。 (c) 子ども保護サービス局が暴力および虐待の根本的原因に対処する長期的プログラムを実施できるようにするため、同局に対して十分な人的資源、技術的資源および財源が配分されることを確保すること。 (d) 元被害者、ボランティアおよびコミュニティの構成員の関与を得ることならびにこれらの者に研修および支援を行なうこと等の手段により、家族間暴力、子どもの虐待およびネグレクトを防止しかつこれに対応することを目的とした、コミュニティを基盤とするプログラムを奨励すること。 (e) 児童虐待を防止しかつこれと闘うための包括的戦略を策定する目的で、子どもたちの関与を得ながら、意識啓発および教育のためのプログラムおよびキャンペーンを発展させること。 体罰 34.学校および刑事施設における体罰を禁止する規定が教育法(2011年、第37条)および矯正役務法(2009年、第33条)に設けられていることには肯定的対応として留意しながらも、委員会は以下のことを懸念する。 (a) 最近の法改正にもかかわらず、体罰が、子どものしつけおよび規律のための手段として社会で引き続き広く受け入れられており、かつ、家庭、代替的養護および保育の場面で全面的に禁じられていないこと。 (b) 学校および刑事施設において体罰が明示的に禁じられているにもかかわらず、拘禁のような環境(地域対応センターを含む)で暮らしている子どもに関して行なわれるようになった報告で、体罰が引き続き行なわれていることが示唆されてること。 (c) 一部の法規定、とくに犯罪法(2016年)第78条が、子育てにおける体罰の使用を正当化する根拠として解釈される可能性があること。 35.体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利についての一般的意見8号(2006年)に照らし、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a) あらゆる場面における体罰を法律で明示的に禁止すること。 (b) 子育てにおける体罰の使用を正当化する根拠として解釈されうるすべての法規定、とくに犯罪法(2016年)第78条を廃止すること。 (c) 体罰の禁止規定が十分に監視されかつ執行されることを確保すること。 (d) 意識啓発キャンペーンを通じて、積極的な、非暴力的なかつ参加型の形態の子育てならびにしつけおよび規律の維持を促進すること。 (e) 犯罪者が権限のある行政機関および司法機関のもとに連れてこられることを確保すること。 D.家庭環境および代替的養護(第5条、第9~11条、第18条(1)および(2)、第20条、第21条、第25条および第27条(4)) 家庭環境を奪われた子ども 36.親族養育がナウル文化の不可欠な一部になっていることは評価しながらも、委員会は、拡大家族の構成員による代替的養護に措置された子どもの地位および状況の監視が不十分であることを懸念する。 37.子どもの代替的養護に関する指針(総会決議64/142付属文書参照)に対して締約国の注意を喚起しながら、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 家庭を基盤とする子どもの養護を監視するための法的枠組みを定め、かつ、家族のもとに留まることができない子どものための里親養育制度を確立すること。 (b) 家族および代替的家族養護者に対し、あらゆる必要なサービスおよび支援を提供すること。 (c) 利用可能なあらゆる形態の代替的養護に関して質の高い基準を定めるとともに、拡大家族による代替的養護の取決めに関して行なわれるいかなる決定においても子どもの意見を考慮すること。 (d) 拡大家族による代替的養護への子どもの措置に関する定期的再審査を確保するとともに、子どもの不当な取扱いを通報し、監視しかつ救済するための回路を提供する等の手段により、当該措置における養護の質を監視すること。 (e) 介入のための機構を確立し、かつ、拡大家族内の非公式な養子縁組システムの監視能力を強化すること。 (f) 親からの子どもの分離が、それが子どもの最善の利益にかない、かつ子どもの保護またはウェルビーイングのために必要な場合に、最後の手段としてのみ行なわれることを確保すること。 養子縁組 38.かつてナウル国民以外の者によるいかなる養子縁組も禁止していた子どもの養子縁組令(1965年)第9条が2015年5月に廃止されたことには肯定的対応として留意資ながらも、委員会は、公式な養子縁組制度との関連で用意されている登録および介入のための機構について利用可能な情報がないことを懸念する。 39.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) この慣行の広がりを理解し、かつ十分な政策および措置を採択する目的で、養子縁組に関する国家的研究の実施およびデータ収集の強化を図ること。 (b) 養子縁組を登録し、規制しかつ監視するための機構を確立すること。 (c) 国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約(1993年5月29日)の批准を検討すること。 E.障害、基礎保健および福祉(第6条、第18条(3)、第23条、第24条、第26条、第27条(1)~(3)および第33条) 障害のある子ども 40.この点に関する締約国の努力には留意しながらも、委員会は以下のことを懸念する。 (a) 障害のある人へのサービスの提供または公共建築物、公共空間およびあらゆるサービス提供地域へのアクセスの保障を義務づける明示的な法規定が定められていないこと。 (b) 知的障害および心理社会的障害のある子どものインクルージョンが、訓練を受けた専門家(言語療法士、精神保健専門家および心理学者を含む)の不足のために依然として満足のできる水準に達していないこと。 (c) 社会的態度を原因として、親が、子どもの最善の利益を考慮することなく、インクルーシブ教育を実施している学校に障害のある子どもを通学させないという決定をすることがあり、そのため障害のある子どもの大多数がエイブル・ディゼイブル・センター〔特別学校の名称〕に通っていること。 41.障害のある子どもの権利についての一般的意見9号(2006年)に照らし、委員会は、締約国に対し、 障害に対する人権基盤型アプローチを採用し、かつ、障害のある子どものインクルージョンを確保するための包括的戦略を定めるよう促す。委員会はまた、締約国に対し、以下の措置をとることも促すものである。 (a) 障害のあるすべての人が、他の者との平等を基礎として、公共建築物、公共空間およびあらゆるサービス提供地域にアクセスできることを確保するための法規定を定めること。 (b) 余暇活動、コミュニティを基盤とするケアおよび合理的配慮のなされた社会住宅の供給など、公的生活のあらゆる分野における障害のある子ども(知的障害および心理社会的障害のある子どもを含む)の全面的インクルージョンを促進するための措置を優先的にとること。 (c) 障害のあるすべてのこども(知的障害および心理社会的障害のある子どもを含む)に対し、親の同意から独立した、普通学校におけるインクルーシブ教育への権利を保障するとともに、普通学校において資格のある者による援助が利用できることを確保すること。 (d) 学習障害のある子どもに対して個別支援および適正な配慮を提供する統合学級で活動する、専門の教員および専門家を養成しかつ配置すること。 (e) 障害のある子どもに関するデータ収集を強化するとともに、条約ならびに現行の法律および政策の実施の有効性に関する研究および分析を実施すること。 (f) 障害のある子どもに対するスティグマおよび偏見と闘うための意識啓発キャンペーンを実施すること。 健康および保健サービス 42.委員会は以下のことを懸念する。 (a) 新生児および母親のための出産直後のケアが限られた形でしか提供されておらず、かつ家庭訪問政策が整えられていないこと。 (b) 5歳未満児の予防可能な死亡および罹病を減少させかつ解消するための政策およびプログラムの実施において、人権を基盤とするアプローチがとられていないこと。 (c) 完全母乳育児政策が定められていないことから、哺乳瓶による人工栄養が同国で非常に一般的になっていること。 (d) 子どもの肥満が高水準にあり、かつ、その結果として子どもの健康に影響が生じていること。 (e) 子どもの庇護希望者および難民(その多くは過密かつ非衛生的な環境における生活のために慢性的病態を有している)に対して保健サービスが提供されておらず、かつ、地域対応センターにおける主な医療提供者に小児科医が含まれていないこと。 43.到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利についての一般的意見15号(2013年)に照らし、かつ持続可能な開発目標のターゲット3.2(2030年までに新生児および5歳未満児の予防可能な死亡に終止符を打つこと)に留意しながら、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 新生児および母親のための十分な産後ケアを確保するために十分な人的資源および財源を配分するとともに、保健相談員を任命して家庭訪問を実施させること。 (b) 5歳未満児の予防可能な死亡および罹病を削減しかつ解消するための政策およびプログラムの実施に対する人権基盤型アプローチの適用に関するOHCHRの技術的指針(A/HRC/27/31)を実施しかつ適用すること。 (c) 「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」を全面的に実施するとともに、包括的キャンペーンを通じて母乳育児の保護、促進および支援を図るための国家的プログラムを策定すること。母親に対し、病院、診療所およびコミュニティにおけるカウンセリング体制を通じて適切な支援が提供されるべきであり、また「赤ちゃんにやさしい病院」イニシアティブが全国で実施されるべきである。 (d) 世帯栄養水準、とくに新生児および5歳未満児の栄養状態ならびにビタミンおよび微量栄養素の十分な摂取について評価するための調査を実施すること。 (e) 健康的な食料の選択肢が負担可能な価格で利用可能とされることを確保するための政策を策定するとともに、子どもにとっての健康的な食習慣の利点を広報するための意識啓発キャンペーンを強化すること。 (f) すべての子ども、とくに社会的および経済的に不利な立場に置かれた集団の子ども(子どもの庇護希望者および難民ならびに障害のある子どもを含む)を対象として、良質なプライマリーヘルスケア、専門的保健ケアおよび歯科ケアが提供され、かつ公平にアクセス可能とされることを確保すること。 (g) 適切な資格を有する医療スタッフを任命し、地域対応センターおよび難民居留地における子どもの全般的健康状態のモニタリングを行なわせること。 精神保健 44.委員会は、資格のある専門家(とくに児童精神医学者および心理学者)が存在せず、かつ、すべての子どもを対象とする、コミュニティを基盤とする精神保健サービスが提供されていないことを懸念する。 45.委員会は、締約国が、コミュニティを基盤とする精神保健サービスが容易に利用できるようにし、かつ、学校、家庭およびケアセンターにおける予防活動を強化するよう勧告する。 思春期の健康 46.委員会は、10代の妊娠率が相対的に高いことを懸念する。委員会はまた、包括的な国家的プログラムが定められておらず、かつ機関間の調整も行なわれていないことから、若年妊娠予防のための戦略的かつ持続可能な対応を発展させていく可能性が阻害されていることも懸念するものである。加えて、委員会は、子どもおよび若者の間でタバコおよびアルコールの濫用が著しく多く行なわれていることに、懸念とともに留意する。 47.条約の文脈における思春期の健康と発達についての一般的意見4号(2003年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 家族計画および避妊法、若年妊娠の危険性ならびに性感染症の予防および治療に関する情報を含む、セクシュアル/リプロダクティブヘルスについての包括的かつ年齢にふさわしい教育を提供すること。 (b) 思春期の女子および男子を対象とした秘密が守られるカウンセリングおよび現代的避妊法を含む、セクシュアル/リプロダクティブヘルスサービスを発展させること。 (c) 子どもおよび青少年によるタバコおよびアルコールの使用に対し、とくに、子どもおよび青少年に対し、このような物質の濫用に関する正確かつ客観的な情報ならびにライフスキル教育を提供することにより、直ちに対応すること。 生活水準 48.貧困および社会的排除に対処するために締約国が行なっている努力には肯定的対応として留意しながらも、委員会は以下のことを深く懸念する。 (a) 周縁化されたコミュニティの子どもが貧困の影響を不均衡に受けている一方、難民家族および障害のある子どものいる家族が多面的な貧困を経験する危険性の高い状況に置かれていること。 (b) 住宅環境が不十分であること(過密状態を含む)、および、住宅が必要な法的基準を満たすことを確保するための適正な規制が行なわれていないために子どものウェルビーイングに悪影響が生じていること。 (c) とくに、湿度の高い地域対応センターにおいて、清潔かつ安全な飲料水および衛生設備を含む基礎的サービスへのアクセスが限られており、かつ、1人が1日ごとに摂取できる水の量に制限があり、子どもおよびその家族が脱水症状およびその他の深刻な健康上の問題に直面しやすい状況に置かれている旨の報告があること。 49.委員会は、持続可能な開発目標のターゲット1.3(すべての者を対象とした、全国的に適切な社会保護制度および社会保護措置の実施)への注意を喚起するとともに、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもの貧困削減のための戦略および措置の強化を目的とする焦点化された協議を、家族および子どもたち(被害を受けやすい状況に置かれた子どもたちを含む)ならびに市民社会組織との間で持つことを検討すること。 (b) 貧困線以下の生活を送っている子ども(とくにひとり親家族、3人以上の子どもがいる家族および障害のある子どもがいる家族の子ども)に提供される支援を強化するとともに、社会的保護措置において、人間にふさわしい生活水準を子どもに保障するためにかかる現実の費用(健康、栄養のある食事、教育、十分な住居、水および衛生設備に対する子どもの権利に関連する支出を含む)が対象とされることを確保すること。 (c) 子ども(子どもの難民および障害のある子どもならびにその家族を含む)の特別なニーズを考慮に入れながら、住宅に関する法律、政策およびプログラムを見直すこと。 (d) 清潔な水および衛生設備へのアクセスをすべての子どもに保障するための即時的措置をとるとともに、地域対応センターで課されているいかなる水の摂取制限も直ちに解除されること、ならびに、衛生設備の見直しおよび改善が行なわれることを確保すること。 F.教育、余暇および文化的活動(第28条~31条) 教育(職業訓練および職業指導を含む) 50.委員会は、教育向上のために締約国が行なっている努力を歓迎する。委員会はまた、締約国が、職業訓練の促進を目的とした若者政策の策定を考えていることにも、肯定的対応として留意するものである。しかしながら委員会は、以下のことを依然として深刻に懸念する。 (a) 怠学対策がとられているにもかかわらず、不登校の水準が高く、かつ、学校からの早期離脱が依然として問題になってること。 (b) 子どもの難民および庇護希望者がフルタイムの教育に十分にアクセスできておらず、かつ、当初は通学していた子どもも、友人および教員による言葉の虐待および身体的虐待を理由としてすぐに脱落する傾向があること。 51.教育の目的に関する一般的意見1号(2001年)に照らし、かつ持続可能な開発目標のターゲット4.1および4.2(すべての女子および男子が、無償の、公平かつ良質な初等中等教育を修了し、かつ乳幼児期の良質な発達、ケアおよび就学前教育にアクセスできることを2030年までに確保すること)に留意しながら、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) すべての子どもを対象として、就学前教育、中等教育および高等教育を含む良質な教育へのアクセスを向上させるための努力を、さらに強化すること。 (b) 中退率を削減するためのプログラムを策定し、かつ、そのようなプログラムの監視および評価を実施すること。 (c) 子どもの庇護希望者が、同国の他のすべての子どもとの平等を基礎として、教育に対する権利を全面的に享受できることを確保すること。 (d) すべての子どもに対するいじめおよび暴力を防止するための学校内キャンペーンを開始すること。 G.特別な保護措置(第22条、第30条、第32条、第33条、第35条、第36条、第37条(b)~(d)および第38~40条) 子どもの庇護希望者および難民 52.締約国がUNHCRと協力していることは歓迎しながらも、委員会は、以下のことについて重大な懸念を覚える。 (a) 庇護事案の処理に関してナウルとオーストラリアとの間で交わされた了解覚書において、全般的に子どもの最善の利益が考慮されていないこと。 (b) 子どもの庇護希望者および難民の事案が、子どもの最善の利益の原則にしたがって迅速に処理されていないこと。 (c) 地域対応センターの生活環境が、子どもの庇護希望者および難民の双方にとって将来の見通しが不確実であることとあいまって、精神保健上の問題を生起させかつ悪化させていて、絶望感およびしばしば自殺念慮を生じさせていること。 (d) 子どもの難民またはその家族を対象としたいかなる統合プログラムも実施されていないこと。 (e) 庇護希望者(保護者のいない子どもを含む)に対して無償の法的援助を確保するための行政上または財政上の体制が整備されていないこと。 (f) 地元のナウル人コミュニティからの敵意およびヘイトスピーチが広がっているという報告があること。 53.委員会は、締約国に対し、以下の措置を直ちにとるよう勧告する。 (a) オーストラリアからの子どもの庇護希望者または難民の移送に関連するすべての決定および取決めにおいて、子どもの最善の利益が第一次的に考慮されることを確保すること。 (b) 条約第10条第1項にしたがい、保護者のいない子どもの庇護希望者および難民が関わる事案を、恒久的解決策を特定する手段のひとつとして積極的、人道的かつ迅速なやり方で処理すること。 (c) 子どもの庇護希望者およびその家族を地域対応センター外に直ちに移送する作業を優先的に進めるとともに、難民(とくに子どもおよびその家族)を対象として、これらの者が合法的滞在を認められ、かつ就労その他の機会に合理的にアクセスできることを確保する目的で恒久的かつ持続可能な第三国定住の選択肢を設けること。 (d) 条約第6条、第22条および第37条、ならびに、出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する委員会の一般的意見6号(2005年)にのっとり、国際的保護を必要とする子どもに対し、庇護制度へのアクセスの便宜を図ること。 (e) 身体的および精神的健康のための保健サービス、教育および警察・司法部門等において、子どもに対するサービス(とくに保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもに対する無償の法的援助の提供を含む)に関わる付託およびケース管理のための包括的枠組みを策定すること。 (f) 庇護希望者および難民(とくに子ども)に対するヘイトスピーチに対抗するためのキャンペーンを発展させること。 (g) 難民の地位に関する条約(1951年)、無国籍者の地位に関する条約(1954年)および無国籍の削減に関する条約(1961年)の批准を検討すること。 性的搾取および人身取引 54.締約国が子どもの保護に関する政策および法律の増進および向上を図る措置をとっていることは認知しながらも、委員会は、出入国管理法(2014年)で子どもの売買、取引および誘拐がとくに犯罪とされていないこと、ならびに、売買、取引または誘拐の対象とされた子どもの保護、リハビリテーションおよび支援のために設けられている指針および措置が不十分であることを懸念する。 55.委員会は、締約国が、子どもの売買、取引および誘拐に関連する具体的犯罪について定義し、かつこれらの犯罪に対して十分に厳しい刑罰を定めた、包括的な人身取引対策法を採択するよう勧告する。 少年司法の運営 56.委員会は、全般的に、少年司法の運営に関する情報が締約国から提供されなかったことを遺憾に思う。しかしながら委員会は、子どもの権利に関する適切な訓練を受けた専門の判事および職員が存在しないこと、ならびに、法律に抵触した子どもに対応する際の、承認された少年司法原則の適用が不十分であることを懸念するものである。委員会はまた、締約国の矯正機関が著しく対応能力を欠いており、国際的に承認された少年司法基準を満たしていないことを示す報告があることについても懸念する。委員会はさらに、子どもを含む被拘禁者の不当な取扱いの報告があること、および、罪を犯した子どものための独立した拘禁施設が存在しないことを懸念するものである。 57.少年司法における子どもの権利についての一般的意見10号(2007年)に照らして、委員会は、締約国に対し、少年司法制度を条約および他の関連の基準に全面的にしたがったものとするよう促す。とくに委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 子どもに対応する裁判官が少年司法基準に関する適切な研修を受けることを確保すること。 (b) 法律に抵触した子どもに対し、手続の早い段階で、かつ法的手続全体を通じて、独立の有資格者による法的援助が提供されることを確保すること。 (c) 可能なときは常に、ダイバージョン、保護観察、調停、カウンセリングまたは地域奉仕のような拘禁に代わる措置を促進するとともに、拘禁が最後の手段としてかつ可能なもっとも短い期間で用いられること、および、拘禁がその取消しを目的として定期的に再審査されることを確保すること。 (d) 拘禁が避けられないときは、子どもが成人とともに拘禁されないこと、および、拘禁環境が国際基準(教育および保健サービスへのアクセスに関するものを含む)を遵守したものとなることを確保すること。 (e) 少年司法に関する機関横断パネルが開発した技術的援助ツールを活用すること。 犯罪の被害者および証人である子ども 58.委員会は、子どもの虐待および子どもに対する性的暴行をともなう事案であって訴追段階まで進んだものの多くが、金銭的困難および家族の評判が傷つけられる危険性に対するおそれから被害者によって取り下げられていることに、懸念とともに留意する。 59.委員会は、締約国が、社会的スティグマを取り除く手段のひとつとして、性的虐待およびネグレクトの事案の通報を子どもたちに奨励する意識啓発キャンペーンを発展させるよう勧告する。委員会はまた、再被害およびトラウマを防止する目的で、事情聴取が適切なやり方で、被疑者のいない場で、かつ十分な訓練を受けた警察官その他のスタッフによって実施されることを確保するための、子どもに配慮した手続および機構を確立することも勧告するものである。委員会はさらに、司法機関、保護観察担当官、被告人弁護士および司法手続に関与するその他のスタッフが研修を受けて子どもにやさしい手続への配慮を身につけるようにすることを勧告する。 H.通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書の批准 60.委員会は、締約国が、子どもの権利の充足をさらに強化する目的で、通報手続に関する条約の選択議定書の批准を検討するとともに、その全面的実施を確保するための適切な機構が整備されることを確保するよう勧告する。 I.国際人権文書の批准 61.委員会は、締約国が、子どもの権利の充足をさらに強化する目的で、まだ締約国となっていない以下の中核的人権文書を批准するよう勧告する。 (a) 市民的および政治的権利に関する国際規約。 (b) 経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約。 (c) 経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約の選択議定書。 (d) 市民的および政治的権利に関する国際規約の第1および第2選択議定書。 (e) 女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の選択議定書。 IV.実施および報告 A.フォローアップおよび普及 62.委員会は、締約国が、この総括所見に掲げられた勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。委員会はまた、締約国の第1回定期報告書およびこの総括所見を同国の言語で広く入手できるようにすることも勧告するものである。 B.次回報告書 63.委員会は、締約国に対し、第2回~第6回統合定期報告書を2021年8月25日までに提出し、かつ、この総括所見のフォローアップに関する情報を当該報告書に記載するよう慫慂する。報告書は、2014年1月31日に採択された委員会の条約別調和化報告ガイドライン(CRC/C/58/Rev.3)にしたがうべきであり、かつ21,200語を超えるべきではない(総会決議68/268、パラ16参照)。定められた語数制限を超えた報告書が提出された場合、締約国は、前掲決議にしたがって報告書を短縮するよう求められることになる。締約国が報告書を見直しかつ再提出する立場にないときは、条約機関による審査のための報告書の翻訳は保障できない。 64.委員会はまた、締約国に対し、国際人権条約に基づく報告についての調和化ガイドライン(共通コアドキュメントおよび条約別文書についてのガイドラインを含む)に掲げられた共通コアドキュメントについての要件(HRI/GEN/2/Rev.6, chap.I参照)および総会決議68/268のパラ16にしたがい、最新のコアドキュメントを、42,400語を超えない範囲で提出することも慫慂する。 更新履歴:ページ作成(2017年2月22日)。