約 24,181 件
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/312.html
総括所見:イラク(第2~4回・2015年) 第1回(1998年)OPAC(2015年)/OPSC(2015年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/IRQ/CO/2-4(2015年3月3日)/第68会期 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2015年1月21日に開かれた第1958回および第1960会合(CRC/C/SR.1958 and 1960参照)においてイラクの第2回~第4回統合定期報告書(CRC/C/IRQ/2-4)を検討し、2015年1月30日に開かれた第1983回会合において以下の総括所見を採択した。 I.序 2.委員会は、締約国における子どもの権利に関する理解の向上を可能にしてくれた、締約国の第2回~第4回統合定期報告書(CRC/C/IRQ/2-4)および事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/IRQ/Q/2.4/Add.1)の提出を歓迎する。委員会は、ハイレベルなかつ部門横断型の締約国代表団との間に持たれた建設的対話に評価の意を表するものである。 II.締約国によってとられたフォローアップ措置および達成された進展 3.委員会は、以下の文書の批准を歓迎する。 (a) 子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書(2008年6月)。 (b) 武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書(2008年6月)。 (c) 障害のある人の権利に関する条約(2013年3月)。 (d) 拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは刑罰に関する条約(2011年7月)。 (e) 強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約(2010年11月)。 (f) 1949年8月12日のジュネーヴ諸条約の、国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書I)(2010年4月)。 (g) 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する、人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書(2009年2月)。 (h) 最悪の形態の児童労働の禁止および撤廃のための即時の行動に関する国際労働機関(ILO)第182条約(1999年)(2001年7月)。 (i) 国際的な子の奪取の民事上の側面に関する1980年10月25日のハーグ条約(2013年)。 4.委員会はまた、以下の憲法上および立法上の措置がとられたことにも、評価の意とともに留意する。 (a) 家族、母性および子ども時代の保護のための規定を含む2005年イラク憲法。 (b) イラク・クルディスタン地域における家族間暴力の防止に関する法律(法律第8号)(2011年)。 (c) 人身取引対策法(法律第28号)(2012年)。 5.委員会は、以下の制度上および政策上の措置を歓迎する。 (a) 国家開発計画(2013~2017年)。 (b) リプロダクティブヘルスおよび母子保健のための国家戦略(2013~2017年)。 (c) クルディスタン地域における質の高い教育へのアクセス促進戦略(2013~2018年)。 (d) イラクにおける非識字根絶のための国家戦略(2011~2015年)。 (e) 国家教育・高等教育戦略(2011~2020年)。 (f) 国家腐敗対策戦略(2010~2014年)。 (g) 貧困削減戦略(2010~2014年)。 (h) 委員会はまた、締約国が2010年2月に行なった、国際連合の諸特別手続に対する招請も歓迎する。 III.条約の実施を妨げる要因および困難 6.委員会は、締約国で継続中の武力紛争、政治的不安定状況および武装集団の存在、宗派的および民族的分断の強化ならびに宗教的過激主義の勃興がもたらすとりわけ深刻な影響に留意する。これは子どもの権利の深刻な侵害につながっており、かつ条約に掲げられた権利の実施にとっての重大な障壁であって、とくにいわゆるイラク・レバントのイスラム国(ISIL)に所属する犯罪集団が行なうテロ行為によって悪化している。委員会は、締約国に対し、国際人権法上の義務は継続していること、および、条約上の権利は常にすべての子どもに適用されることを想起するよう求めるものである。委員会はまた、締約国に対し、住民の保護について第一次的責任を負っているのは締約国であり、したがって、民間人に対する過度なおよび致死的な実力の使用を停止し、かつ子どもに対するさらなる暴力(殺害および傷害を含む)を防止するために即時的措置をとるべきであることも想起するよう求める。 IV.主要な懸念領域および勧告 A.実施に関する一般的措置(条約第4条、第42条および第44条第6項) 委員会の前回の勧告 7.委員会は、締約国に対し、1998年に行なわれた委員会の勧告(CRC/C/15/Add.94)のうち実施されていないものまたは十分に実施されていないものに対応するためにあらゆる必要な措置をとるよう促すとともに、とくに、締約国が以下の措置をとるべきである旨の勧告をあらためて繰り返す。 (a) 第14条第1項に付した留保を撤回の方向で見直す可能性について検討すること(パラ6)。 (b) 子ども福祉庁の予算配分額ならびに条約を実施するためのその権限および権威を増大させることにより、同庁を強化すること(パラ9)。 (c) 国および地域のレベルの双方で、子どもの権利に関与しているさまざまな政府機関間の調整を強化するとともに、子どもの権利の分野で活動している非政府組織(NGO)とのより緊密な協力を確保するためさらなる努力を行なうこと(パラ10)。 (d) 条約が対象とするすべての領域を編入することを目的として、データ収集システムを見直すこと。このようなシステムは、虐待または不当な取扱いの被害を受けた子ども、働いている子ども、少年司法の運営の対象となった子ども、女子、ひとり親家庭の子どもおよび婚外子、遺棄されかつ(または)施設措置された子どもならびに障害のある子どもを含む、被害を受けやすい状況に置かれた子どもをとくに重視しつつ、あらゆる子どもをその対象とするべきである(パラ12)。 (e) とくに条約第2条、第3条および第4条を考慮にいれて、子どもの経済的、社会的および文化的権利の保護を確保するための予算配分を優先するとともに、これとの関連で、都市部と農村部との間および諸県間の格差を解消するよう努めること(パラ13)。 立法 8.委員会は、双方向的対話の際に代表団から提供された、ジャファリ人事法案は廃案とされた旨の情報、および、同法案がふたたび上程されることはない旨の表明を歓迎する。 9.委員会はまた、多くの子ども関連法案、とくに子ども保護法案、クルディスタン自治地域で提案されている子ども保護法案、子ども議会法案および子ども福祉庁法案がまだ議論および検討の過程にあることにも、評価の意とともに留意する。 10.委員会は、締約国に対し、条約の規定との全面的両立性を確保しながらこれらの法案/法律の採択手続を速やかに進めるよう促す。 独立の監視 11.2008年法律第53号によりイラク人権高等委員会が設置され、かつ2010年の法律第4号によりクルディスタン地域独立人権委員会が設置されたことは歓迎しながらも、委員会は、これらの機関が独立性を欠いており、かつその資源が限られていることを懸念する。委員会はまた、子どもの権利を監視するための具体的機構を設置する計画がまだ実現されていないことも懸念するものである。 12.委員会は、子どもの権利の促進および保護における独立した人権機関の役割についての一般的意見2号(2002年)に照らして、締約国に対し、条約の実施を監視すること、および、自己の権利の侵害に関する子どもの苦情を子どもに配慮した迅速なやり方で受理し、調査しかつこれに対応し、かつ当該侵害に対する救済を提供することを目的とする独立機関を、イラク人権高等委員会内にまたは独立の機構(たとえば子どもオンブズパーソン)として、速やかに設置するよう促す。委員会はまた、締約国に対し、高等委員会およびこのような子どもの権利監視機関がパリ原則を遵守すること、および、いかなる独立の監視機構も、適正な資源を与えられ、かつ領域全体に配置されることを確保するようにも促すものである。 腐敗 13.委員会は、国家腐敗対策戦略(2010~2014年)は歓迎しながらも、締約国で腐敗が著しく蔓延しており、かつ説明責任を確保するための機構が設けられていないこと、および、その結果として子どもの権利に有害な影響が生じていることを懸念する。 14.腐敗の防止に関する国際連合条約にのっとり、委員会は、締約国に対し、腐敗を防止しかつ根絶することならびに腐敗行為を理由として国および地方の官吏を訴追することを目的として、確固たる措置をとるよう促す。 市民社会との協力 15.委員会は、市民社会組織および人権擁護者(子どもの権利に活動をとくに行なっている組織および個人ならびに暴力から避難する女性・女子を援助している組織および個人を含む)が、恒常的ないやがらせ、恣意的監視および令状なしの捜索の対象とされていること、ならびに、その多くが違法にかつ秘密裡に活動することを余儀なくされていることを懸念する。 16.委員会は、締約国に対し、人権擁護者が民主的社会の諸原則に一致する方法で安全に活動を遂行できることを確保するための措置を速やかにとるよう、促す。委員会はまた、締約国に対し、人権擁護者または市民社会組織の構成員に対する脅迫およびいやがらせとして報告されている事案が速やかにかつ独立の立場から調査されること、および、これらの人権侵害について責任を負う者がその責任を問われることを確保するようにも促すものである。 B.一般原則(条約第2条、第3条、第6条および第12条) 差別の禁止 17.委員会は、女子が、ジェンダーを理由とする根強いかつ極度の差別を人生のもっともはやい段階から子ども時代全体を通じて経験しており、かつ、このような差別により、家族間暴力、心理的および性的な搾取および虐待、早期婚、強制婚および一時的婚姻(ムタア)、ならびに、教育にほとんどアクセスできない状況にさらされていることを懸念する。 18.委員会は、締約国に対し、女子を差別するすべての法律(遺産の処理〔に関するもの〕を含む)をこれ以上遅滞することなく廃止するとともに、明確に定義された達成目標および適切な監視機構をともなう包括的な戦略を策定することにより、女子に対する否定的な態度、慣行および深く根づいたステレオタイプを解消するよう、促す。 19.委員会は、締約国に存在するさまざまな集団の子どもに対する根強い差別について懸念を覚える。このような子どもには、民族的および(または)宗教的マイノリティ集団に属する子ども(とくに身分証明書類および社会サービスへのアクセスに関して)、婚外子、複合的な権利侵害を受けている障害のある子ども、ならびに、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルおよびトランスジェンダーの子ども、これらの集団の者に養育されている子どもおよび社会の規範と一致しない振舞いをする子どもが含まれる。 20.委員会は、締約国が、あらゆる事由に基づく差別からの全面的保護を確保し、被害を受けやすい状況に置かれているすべての集団の子どもに対するあらゆる形態の差別に対処する包括的な戦略の採択および実施を進め、かつ、差別的な社会の態度と闘うよう勧告する。委員会はまた、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 民族的および宗教的マイノリティの子どもが社会に全面的に統合されることを確保するために積極的措置をとること。 (b) 障害のある子どもが社会に全面的に包摂され、かつすべての公共サービスに平等にアクセスできることを、法律によりかつ実際に確保すること。 (c) 性的指向およびジェンダーアイデンティティの平等およびこれらの事由に基づく差別の禁止に関する公衆の意識啓発を図ることにより、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルおよびトランスジェンダーの集団に属する子どもまたはこれらの集団の者に養育されている子どもならびに社会の規範と一致しない振舞いをする子どもがいかなる形態の差別も受けないことを確保すること。 子どもの最善の利益 21.委員会は、自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利を締約国が十分に法律に統合しておらず、かつ、公的職員を対象としてこの問題に関する研修が実施されていないことに、懸念とともに留意する。 22.自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利についての一般的意見14号(2013年)に照らし、委員会は、この権利がすべての立法上、行政上および司法上の手続および決定、ならびに、子どもに関連し、かつ子どもに影響を与えるすべての政策、プログラムおよびプロジェクトにおいて一貫して適用されることを確保するための努力を、締約国が強化するよう勧告する。 生命、生存および発達に対する権利 23.委員会は、いわゆるISILが子どもをあえて標的として残忍なやり方で殺害していること、および、とくに以下のことを嫌悪しかつ非難する。 (a) いわゆるISILによって、宗教的および民族的マイノリティに属する子どもが組織的に殺害されていること(男子の一斉処刑事件が複数起きていること、ならびに、子どもの頭部切断、はりつけおよび生き埋めの報告があることを含む)。 (b) 現在行なわれている戦闘(イラク治安部隊による空爆、砲撃および軍事作戦によるものを含む)ならびに地雷および爆発性戦争残存物によって、きわめて多数の子どもが殺害されまたは重傷を負っていること。 (c) いわゆるISILによって多数の子どもが誘拐されており、その多くが、親の殺害を目撃したことにより深刻なトラウマを負い、かつ身体的および性的暴行を受けていること。 24.委員会は、締約国に対し、子どもおよびその家族の安全および保護を確保するためにあらゆる必要な行動をとること、ならびに、子どもおよび家族が紛争の影響を受けている地域を離れ、かつ基礎的な人道援助にアクセスできるようにすることを強く促す。とくに、締約国は以下の措置をとるべきである。 (a) 紛争関連の人権侵害および虐待(とくに戦争犯罪または人道に対する犯罪に相当するもの)の実行犯を裁判にかけること。 (b) いわゆるISILおよび他の武装集団に対して武力作戦を実行する際、区別の原則および均衡性の原則を尊重するとともに、民間人(とくに子ども)に敵対行為の影響が及ばないようにするためにあらゆる実行可能な警戒措置をとること。 (c) 子どもの保護のためおよび国際連合・監視および報告に関する国別タスクフォースとの情報共有のための正式な機構を確立すること。 (d) 国際刑事裁判所ローマ規程に加入するとともに、現在行なわれている紛争の始期からの同裁判所の裁判権の行使を受け入れる旨、第12条第3項に基づいて宣言することを考慮すること。 (e) いわゆるISILによって誘拐された子どもに対して適切な援助(全面的な社会的再統合ならびに全面的な身体的および心理的回復のための援助を含む)が提供されることを確保するための機構を確立すること。 (f) 送還、リハビリテーションおよび紛争後の再建において、子ども(とくに女子)の特別なニーズを考慮に入れること。 25.委員会は、女性および女子が引き続きいわゆる「名誉」の名のもとに殺害されもしくは負傷させられており、または社会的圧力を受けて自殺を図る事態になっている一方で、締約国が、いわゆる「名誉ある動機」を殺人のような犯罪に関する情状酌量の要素に位置づけている刑法(法律第111号(1969年)第409条も第128条、第130条および第131条もいまなお廃止していないことを、深く懸念する。委員会はまた、以下のことも懸念するものである。 (a) ジェンダーを理由とする差別的態度が社会のなかに根強く残っていることから、包囲された街の住民が、政府に対し、いわゆるISILによって女子および女性が収容され、強姦されかつ金銭と引き換えに性奴隷の状態に置かれている刑務所を爆撃するよう要請する事態が生じていること。 (b) 過激主義的武装集団および民兵が、いわゆる「名誉」の名のもとに、女性および女子を恣意的に断罪しかつ殺害していること。 (c) いわゆる「名誉」の名のもとに行なわれる犯罪の被害を受ける危険がある女子が保護にアクセスできないこと。 26.委員会は、締約国に対し、いわゆる「名誉」の名のもとに行なわれるジェンダーを理由とする犯罪に対して絶対的不寛容の方針を適用し、かつ、すべての事件について迅速かつ効果的な捜査が行なわれることを確保するよう促す。とくに、締約国は以下の措置をとるべきである。 (a) 刑法(法律第111号(1969年)第409条、第128条、第130条および第131条、ならびに、いわゆる「名誉ある動機」を情状酌量の要素とすることを認めるものとして利用されまたは解釈される可能性がある他のいかなる法的規定も遅滞なく廃止するとともに、いかなる事情があってもいわゆる「名誉」の抗弁を援用できないこと、および、いわゆる「名誉」の名のもとに行なわれたジェンダーを理由とする暴力および犯罪(超法規的殺害を含む)の加害者に対し、その犯罪の重大性に相応する制裁が科されることを確保すること。 (b) いわゆる「名誉」の名におけるすべての女性嫌悪的態度を解消するため、市民社会および女性団体と連携しながら、一般公衆、メディア、宗教的指導者およびコミュニティの指導者を対象とする意識啓発のための努力を行なうこと。 (c) いわゆる「名誉」の名のもとに行なわれる犯罪の被害者となるおそれまたは社会もしくは家族の圧力のために自殺を図る危険性のある女性および女子を対象として、シェルターおよび保護制度を含む効果的保護を確保すること。 27.委員会は、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルもしくはトランスジェンダーである子どもまたはそうであると疑われている子どもおよび社会の規範と一致しない振舞いをする子どもが、国の機関ではない民兵による迫害、拷問および殺害の対象とされており、かつこれに対する処罰が行われていない事案があることを深く懸念する。委員会はまた、警察および裁判所が、暴力の被害者の性的指向またはジェンダーアイデンティティを情状酌量の要因と考えることが常態化しているため、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルおよびトランスジェンダーである子どもが攻撃された事件の多くが、さらなる被害および差別に対する恐れのために通報されないままとなっていることも懸念するものである。 28.委員会は、締約国が、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルもしくはトランスジェンダーである子どもおよび社会の規範と一致しないいかなる種類の振舞いをする子どももあらゆる形態の攻撃から保護し、攻撃の加害者に全面的に責任をとらせ、かつ、被害者の性的アイデンティティまたはジェンダーアイデンティティがいかなる状況下でも酌量のための情状として認容されないことを確保するため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。 子どもの意見の尊重 29.委員会は、子ども議会法案がまだ採択されていないことを懸念する。委員会はまた、自己に関連する事柄についての子どもの意見表明を明示的に可能にするいかなる法的規定も存在しないこと、および、子どもに関する決定(婚姻に関する決定を含む)が、ほとんどの場合、子どもに押しつけられていることも懸念するものである。 30.意見を聴かれる子どもの権利についての一般的意見12号(2009年)に照らし、委員会は、締約国が、意見を聴かれる子どもの権利を積極的に促進するとともに、ソーシャルワーカーおよび裁判所が子どもの意見の尊重の原則を遵守するようにするための法律の採択ならびにシステムおよび(または)手続の確立を図ることにより、家庭、学校およびコミュニティのなかで、かつ子どもをケアする施設ならびに行政上および司法上の手続において、この原則を編入し、促進しかつ実施するよう勧告する。 C.市民的権利および自由(第7~8条および第13~17条) 出生登録/名前および国籍/アイデンティティ 31.女性がその子どもに自己の国籍を承継させることを可能にした法律第26号(2006年)の採択は歓迎しながらも、委員会は、締約国の領域外で出生した子どもが母の国籍を取得するのは父が知れない場合または無国籍である場合のみであること、および、その場合の国籍の取得は内務大臣の裁量に服するとされていることを懸念する。母が国籍を承継させることは、婚姻がしかるべき形で登録されている場合にのみ可能である。そのため、婚外子または外国籍の者とイラク国籍の母との婚姻、戦闘員との強制婚もしくは非公式な婚姻のもとで生まれた子どもが無国籍となる事態が生じている。委員会はまた、以下のことも懸念するものである。 (a) 締約国の民事登録制度が1957年の国勢調査をもとにしているため、住民のさまざまな層(とくにドム人コミュニティ)が国籍証明書および多くの権利を剥奪される状況が生じていること。 (b) 1959年の人事法でイスラム教徒の女性と非イスラム教徒の男性との婚姻が禁じられている結果、通婚カップルの子どもが身分証明書類を受領できないおそれがあること。 (c) 1970年の法律第105号でバハイ教の信仰が禁じられている結果、バハイ教との子どもが登録されていないこと。 (d) フェイリ・クルド人住民の復帰プロセスが速やかに進行していないため、フェイリ・クルド人の子どもがしばしば無国籍となっていること。 (e) 12~40歳の「処女」が旅券の発給を受けるためには親または法定代理人の同意を得なければならないという要件が設けられていること。 32.委員会は、締約国に対し、子どもがいかなる制限もなく母の国籍を取得できることを確保する目的で法律第26号(2006年)第4条を改正するとともに、以下の措置をとるよう求める。 (a) 締約国に住んでいるすべての者を含む現在の国勢調査結果をもとに現行民事登録制度を刷新するための速やかな措置をとるとともに、排除されているすべての者(とくにドム人コミュニティの構成員)に対して暫定的な国籍証明書を提供すること。 (b) 登録されていない婚姻のもとで生まれた子どもに対して身分証明書類が発給されることを確保するとともに、カップルの信仰にかかわらず、すべての自発的婚姻が登録されるようにするために法改正を行なうこと。 (c) フェイリ・クルド人住民の復帰プロセスをいっそう速やかに進め、かつフェイリ・クルド人の子どもに身分証明書類を発給すること。 (d) 女子に対し、保護者の許可なく旅券の発給を受ける権利を認めること。 (e) 無国籍者の地位に関する1954年の条約および無国籍の削減に関する1961年の条約を批准すること。 33.委員会はさらに、教育および医療ケアのような基礎的サービスにアクセスする子どもの権利を登録の有無にかかわらず保障するよう勧告する。 思想、良心および宗教の自由 34.委員会は、宗教的帰属が身分証明書類に記載されていることを懸念する。このような状況は、宗教的マイノリティに属する子どもが直面する差別を悪化させるものである。さらに委員会は、人種差別撤廃委員会と軌を一にし(CERD/C/IRQ/CO/15-21、パラ13)、民族的・宗教的マイノリティ集団の子どもの親がイスラム教に改宗した場合、子どもが元の宗教に復帰することは禁じられている旨の、市民社会から受け取った情報について懸念を覚える。 35.委員会は、締約国が、すべての子どもについて宗教の自由に対する権利を全面的に尊重し、身分証明書類における宗教的帰属の記載を削除し、かつ、すべての子どもが宗教の変更前に正当に相談されることを確保するよう、勧告する。 D.子どもに対する暴力(条約第19条、第24条第3項、第28条第2項、第34条、第37条(a)および第39条) 拷問および他の残虐なまたは品位を傷つける取扱いまたは処罰 36.委員会は、警察が子どもに対して行なう拷問および他の残虐なまたは品位を傷つける取扱いまたは処罰の行為が報告されていることを懸念する。 37.あらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利についての委員会の一般的意見13号(2011年)を参照しつつ、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a) 子どもの拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは処罰についてのあらゆる訴えを迅速なかつ独立したやり方で調査するとともに、加害者が処罰されないことを回避するため、このような行為に対して司法手続を通じた適切な対応がとられること、および、拷問の使用を通じて得られた証拠が認容されないことを確保すること。 (b) 自由を奪われた子どもがアクセスできる苦情申立て機構を設置するとともに、罪を犯した少年とともに働く要員がその役割および責任に関する適切な研修および告知を受けることを確保すること。 (c) 拷問および不当な取扱いの被害を受けた子どもに対して身体的および心理的回復の手段を提供し、その社会的再統合を確保し、かつこれらの子どもに対する補償を行なうこと。 体罰 38.委員会は、締約国で子どもが恒常的に体罰の対象とされていること、学校および代替的養護の現場において体罰が依然として合法とされていること、ならびに、拘禁施設および刑事施設では体罰が禁じられている一方で、法律に抵触した子どもを収容する他の施設(鑑別センター、思春期前の子どものための更生学校、青少年更生センターおよび少年更生センターを含む)では明示的に禁じられていないことを懸念する。委員会はまた、体罰が家庭において依然として合法とされていること、および、刑法(法律第111号(1969年)第41条によれば、夫が殴打によって妻を懲戒する法律上の権利を有していることにも、懸念とともに留意するものである。 39.体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利についての一般的意見8号(2006年)を参照しつつ、委員会は、締約国に対し、あらゆる場面における体罰を明示的に禁止するとともに、以下の措置をとるよう促す。 (a) 体罰を禁止する法律が効果的に実施されること、ならびに、子どもの不当な取扱いについて責任を負う者に対する法的手続が速やかに開始されることおよび組織的に実施されることを確保すること。 (b) 体罰に対する一般的態度を変革する目的で、この慣行の有害な影響(身体的および心理的影響の双方)に関する持続的な公衆教育、意識啓発および社会的動員のためのプログラムを、子ども、家族、コミュニティおよび宗教的指導者の関与を得ながら導入するとともに、積極的な、非暴力的なかつ参加型の子育ておよび規律を促進すること。 虐待およびネグレクト 40.委員会は、イラク・クルディスタン地域における家族間暴力の防止に関する法律(法律第8号)(2011年)は歓迎しながらも、女性および子どもを対象とする家族間暴力からの法的保護が不十分であること、ならびに、家族の恥になるという恐れ、家族またはコミュニティからの報復の危険性ならびに警察および治安部隊からのいやがらせおよび人権侵害のために暴力の通報が相当に過少となっていることを、深刻に懸念する。 41.委員会は、締約国に対し、家族間暴力に効果的に対処するための断固たる措置をとるとともに、以下の措置をとるよう促す。 (a) イラク・クルディスタン地域における家族間暴力の防止に関する法律第8号の実施を確保するとともに、締約国の他の地域についても同様の法律を採択すること。 (b) 暴力に関する苦情申立てを抑制する文化的タブーを解消するとともに、暴力および虐待はいかなる文脈においても受け入れられないことについて一般公衆を啓発するための包括的戦略を採択すること。 (c) この問題に関する教材を開発し、教員に対してしかるべき研修を実施し、かつ、暴力および虐待が受け入れられないことについて子どもが幼少期から訓練されることを確保すること。 (d) 子どもおよび女性があらゆる形態の虐待およびネグレクトならびに警察による暴力およびいやがらせについて苦情を申し立てることのできる独立の機構を設置すること。 性的搾取および性的虐待 42.委員会は、子ども(とくに女子)の性的搾取および性的虐待が広く蔓延していることを懸念する。委員会はまた、以下のことも懸念するものである。 (a) 刑法(法律第111号(1969年)第427条で、強姦の加害者が虐待した女子と婚姻する場合に免責が認められていること。 (b) 被害を受けた子どもの全面的な心理的および心理的回復のための支援が行なわれていないこと。 (c) 性的搾取および性的虐待の被害を受けた子どもがスティグマを付与されていること。 43.委員会は、締約国に対し、以下のことを目的として迅速な法的措置をとるよう促す。 (a) 刑法(法律第111号(1969年)第427条を廃止すること。 (b) 子どもの性的搾取および性的虐待のあらゆる事件が徹底的に捜査されることならびに加害者が訴追されかつ処罰されることを確保すること。 (c) 子どもの性的虐待および性的搾取の事件が義務的に通報されることを確保するための機構、手続および指針を確立すること。 (d) 防止ならびに被害を受けた子どもの回復および社会的再統合のためのプログラムおよび政策の発展を確保すること。 (e) 被害を受けた子どもが直面するスティグマおよび差別と闘うこと。 性奴隷制 44.委員会は、いわゆるISILの出現以降、子ども、とくにISILによって捕らえられたマイノリティ集団に属する子どもの性的奴隷化が継続していることを嫌悪する。委員会は、ISILが、自ら設けた「市場」において、誘拐されてきた子どもおよび女性を値札を付けたのちに売っていること、および、ISILの仮設刑務所(モスル郊外の元バドゥーシュ刑務所など)に収容されている子どもの性的奴隷化が行なわれていることに、このうえない懸念とともに留意するものである。 45.委員会は、締約国に対し、いわゆるISILの支配下に置かれている子どもを救出し、かつ加害者を裁判にかけるためにあらゆる必要な措置をとるよう促す。委員会はまた、締約国に対し、奴隷状態または誘拐から解放されまたは救出された子どもに援助を提供することも促すものである。 有害慣行 46.委員会は、女性性器切除が2011年の法律第8号で犯罪とされているにもかかわらず、締約国、とくにクルディスタン自治地域においてこの慣行が蔓延しており、かつ、この慣行と闘うためにとられた措置が不十分であることを深く懸念する。 47.委員会は、有害慣行に関する女性差別撤廃委員会および子どもの権利委員会の合同一般的勧告31号/一般的意見18号を参照しつつ、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a) 通報の義務化等の手段によって、女性性器切除を犯罪とした規定を厳格に執行するとともに、女性性器切除を施術するすべての者が法律にしたがって訴追されかつ処罰されることを確保すること。 (b) 世帯、地方当局、宗教的指導者、医療従事者ならびに裁判官および検察官を対象とした、女性性器切除の慣行を助長する根底的な社会的規範、価値体系および態度を解消するための感受性強化プログラムを発展させること。 48.委員会は、女子の早期婚、一時的(ムタア)婚姻および強制婚が広く蔓延しており、かつ報告によれば2003年以降増加していることを深く懸念する。人事法(法律第188号)第9条で強制婚が禁じられていることには留意しながらも、委員会は、同条が適用されるのは婚姻がまだ「床入りにより完了」していない場合のみであることを懸念するものである。委員会はまた、以下のことも懸念する。 (a) 女子が父方のいとことの婚姻を強制されるアルネーワ(Al Nehwa)婚の慣行が行なわれていること。 (b) 被害者が申立てを行なわなければ裁判所が強制婚についての審理を行なわず、かつ、申立て後、被害者がいかなる保護も享受できない場合があること。 (c) 法律第188号(1959年)において女子および男子について定められた最低婚姻年齢(18歳)に法的例外が設けられており、女子の婚姻は15歳で認められていること、および、少年福祉法(法律第76号、1983年)第8条で、裁判官が、一定の事情があるときは15歳の女子の婚姻を許可できるとされていること。 (d) クルディスタンにおける最低婚姻年齢が16歳であり、かつ後見人の許可があるときはさらに低い年齢での婚姻も可能であること。 49.委員会は、有害慣行に関する女性差別撤廃委員会および子どもの権利委員会の合同一般的勧告31号/一般的意見18号(2014年)に照らして、締約国に対し、早期婚および強制婚の慣行を終わらせるために積極的措置をとるとともに、以下の措置をとるよう促す。 (a) 女子および男子ともに最低婚姻年齢を18歳と定めた規定が執行されること、16歳未満の子どもはいかなる状況下でも婚姻できないこと、および、16歳の段階で婚姻の許可を得られる事由が法律で厳格に定義され、かつ、子どもの全面的な、自由なかつ十分な情報に基づく同意を踏まえた、権限のある裁判所の許可に服することを確保すること。 (b) 世帯、地方当局、宗教的指導者裁判官および検察官を対象とした、早期婚および強制婚が女子の身体的および精神的健康およびウェルビーイングに及ぼす有害な影響に関する意識啓発キャンペーンおよび感受性強化プログラムを確立すること。 (c) 申立てを行なった強制婚被害者のための保護制度を確立すること。 (d) 一時的(ムタア)婚姻の被害者のための保護措置を創設すること。 E.家庭環境および代替的養護(第5条、第9~11条、第18条第1~2項、第20条、第21条、第25条および第27条第4項) 家庭環境 50.委員会は、女性および女子の尊厳に反しており、かつその子どもに悪影響を与える複婚および一方的離縁が締約国で依然として合法とされていることを懸念する。委員会は、以下のことをとりわけ懸念するものである。 (a) 女性および女子の務めおよび役割(とくに家庭におけるもの)についての否定的なジェンダーステレオタイプが根強く残っていること、および、夫を喪った女性および離婚した女性が苛酷な差別(公的書類の取得および政府による援助へのアクセスに関する差別を含む)に直面しており、その子どもにも影響が生じていること。 (b) 母親は子どもの「身体的」監護者であって法的監護者ではないと考えられており、かつ、女性に監護権が与えられるのは、まれな例外を除き、子どもが10歳に達するまでにすぎないこと。 51.委員会は、締約国に対し、女性に対する差別であり、したがってその子どもに悪影響を及ぼすすべての規定(複婚および一方的離縁を認めるものなど)が遅滞なく廃止されることを確保するよう促す。委員会はまた、締約国に対し、以下の措置をとるよう求めるものである。 (a) 条約第18条第1項にしたがい、母親および父親がその子どもに関する法的責任を平等に共有することを確保すること。 (b) 単身の女性(夫を喪った女性および離婚した女性を含む)に対するあらゆる形態の差別を解消するとともに、このような女性およびその子どもの保護を強化すること。委員会はさらに、締約国に対し、女性世帯主に十分な金銭的支援を提供し、かつ女性世帯主が保健ケアおよび社会保障にアクセスできることを確保するよう促す。 家庭環境を奪われた子ども 52.委員会は、避難民化した際に子どもが両親から強制的に分離され、または子どもを殺すという脅迫を受けて親がいわゆるISILのもとに子どもを残していくことを余儀なくされた事案が相当数にのぼることを著しく懸念する。委員会はまた、長年にわたる紛争の間に多数の子どもが家族を失ったこと、ならびに、これらの子どもに保護および代替的養護(とくに里親養育)を提供するための措置および戦略が存在しないことも懸念するものである。 53.委員会は、締約国が、緊急の課題として以下の措置をとるよう勧告する。 (a) いわゆるISILによって捕らえられている子どもを解放し、家族と再会させ、かつこれらの子どもに対してあらゆる必要な身体的および心理的保健ケアを提供するためにすべての必要な措置をとること。 (b) 代替的養護プログラム(とくに里親養育)を強化するとともに、代替的養護施設および関連の子ども保護機関の養護を受けている子どものリハビリテーションおよび社会的再統合を最大限可能なかぎり促進する目的で、これらの施設および機関に十分な人的資源、技術的資源および財源が配分されることを確保すること。 54.委員会は、刑法(法律第111号(1969年)第377条において婚姻外の性交渉が犯罪化されていることの影響について懸念を覚える。このために、そのような交渉の結果として生まれた赤ん坊が遺棄されまたは殺害されるおそれが生じるためである。委員会はまた、締約国でシングルマザーが社会的拒絶およびスティグマの対象とされていること、ならびに、このような社会的拒絶によってその子どもに深刻な影響が生じていることも、深く懸念するものである。 55.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a) 刑法第377条を廃止し、かつ婚外子の遺棄または殺害を防止すること。 (b) 非婚の母に対し、子どもを養育できるようにするために必要な支援を提供すること。 (c) 10代で妊娠した女子、思春期の母親およびその子どもの権利を保護するための政策を策定しかつ実施すること。 (d) 婚外妊娠に付与されるスティグマと闘い、かつこれを解消すること。 (e) 男子および男性の意識啓発に特段の注意を払いながら、責任のある親としてのあり方および性行動を促進すること。 母親とともに収監されている子ども 56.委員会は、多くの子どもが母親とともに刑務所で生活しているものの、女性を対象とするほとんどの刑務所には保育施設がないこと、ならびに、衛生看護および一般看護が不十分であるためにさまざまな疾病がこれらの子どもに影響を及ぼしていることを懸念する。委員会はまた、子どもが母親の処刑後も数週間刑務所に滞在する事例があることも懸念するものである。 57.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a) 可能なときは常に、妊婦および乳幼児のいる母親の施設収容に代わる措置を追求すること。 (b) 母親とともに収監されている子どものために十分な生活条件を確保すること。 (c) 子どもの最善の利益が、その親に関わる刑事手続において考慮されること、および、自ら養育している子どもがいる母親に対して死刑が執行されないことを確保すること。 F.障害、基礎保健および福祉(第6条、第18条第3項、第23条、第24条、第26条、第27条第1~3項および第33条) 障害のある子ども 58.委員会は、障害のある子どもの状況が現在行なわれている紛争によってとりわけ悪化させられていること、ならびに、障害のある子どもに対する社会的差別およびスティグマが存続していることを懸念する。とくに、委員会は以下のことを懸念するものである。 (a) 校舎が障害のある子どもにとって十分にアクセシブルなものになっていないこと、適切な学習教材が存在しないこと、特別な資格を有する教員が不足していること、および、障害のある子どものための十分な乳幼児期発達サービスが存在しないこと。 (b) 社会サービスおよび金銭的支援への、障害のある子どもによるアクセスが不十分であること。 59.障害のある子どもの権利についての一般的意見9号(2006年)に照らし、委員会は、締約国に対し、紛争の際に負傷した子どもにとくに焦点を当てながら障害に対する人権基盤アプローチをとるよう促すとともに、具体的には以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 実効的なインクルーシブ教育を確保し、かつ、その実施のためにあらゆる必要な人的資源、技術的資源および財源を配分すること。 (b) 障害のある子どもへの差別の解消に関する意識啓発プログラムを実施するとともに、そのような差別を禁じた法律の遵守を確保するための執行機構を強化すること。 (c) 障害のある子どもがあらゆる社会サービスに平等にアクセスできることを確保し、かつ、障害のある子どもを養育している家族に金銭的援助を提供すること。 健康および保健サービス 60.委員会は、2006年以降、予防接種の普及範囲および施設における分娩が相当に増加したことに評価の意とともに留意するものの、農村部ならびに中部および南部地域において、5歳未満児死亡率が高いことならびに慢性的栄養不良および(とくに未成年の母親に関わる)妊産婦死亡が広く蔓延していることを遺憾に思う。これには、子どもの国内避難民の間で感染症および非感染性疾患の出現が増加していること(小児麻痺および麻疹の発症リスクが高いことを含む)ならびに栄養不良率が高いことが含まれる。委員会はまた、武力紛争が保健ケアの利用可能性および質に破壊的影響を与えている一方で、締約国が保健ケア制度に充てている連邦予算の割合が低いことも懸念するものである。 61.委員会は、到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利についての一般的意見15号(2013年)に対して締約国の注意を喚起するとともに、締約国が、保健予算を増加させるためにあらゆる必要な措置をとり、かつ以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 緊急産科ケアにアクセスできるようにし、かつ、訓練を受けた者による自宅分娩ケアへのアクセスおよび訓練を受けた保健ケア提供者のいる母子保健クリニックへのアクセスを確保することにより、妊産婦の死亡を減少させること。避難民コミュニティ、農村部ならびに中部および南部地域にとくに焦点を当てることが必要とされる。 (b) 予防可能な疾病その他の疾病(とくに下痢性疾患、急性呼吸器感染症および栄養不良)を減少させるための介入策に対し、あらゆる必要な人的資源、技術的資源および財源を配分すること。 (c) 病院の設備を十分なものとするためにあらゆる必要な措置をとるとともに、国際連合児童基金(ユニセフ)および世界保健機関(WHO)の援助を求めること。 62.委員会は、多くの地域が毒性水準の高い鉛汚染、水銀汚染および劣化ウラン汚染の影響を受けており、そのため高い乳児死亡率ならびに子どものガン罹患率の上昇および先天性欠損症の増加が生じていることに、懸念とともに留意する。 63.委員会は、締約国が、あらゆるタイプの戦争残存物を除去し、かつさまざまなタイプの戦争残存物に関する情報を子どもおよび一般公衆の間で普及するためにあらゆる努力を行なうとともに、保護措置をとるよう勧告する。さらに、負傷したまたいは病気になった子どもに対して、あらゆる必要な保健ケアが提供されるべきである。 精神保健 64.委員会は、相当数の子どもがさまざまな程度の心的外傷後ストレス障害に苦しんでいる懸念する。 65.委員会は、締約国が、心的外傷後ストレス障害および継続中の紛争関連のストレスに苦しむ子どもを支援するためのプログラムの立ち上げおよび専門家の養成を進めるとともに、この点に関してユニセフおよびWHOの援助を求めることを検討するよう勧告する。 思春期の健康 66.委員会は、思春期の子どもがリプロダクティブヘルスサービス(避妊手段および安全な中絶サービスへのアクセスを含む)にアクセスできていないことに、懸念とともに留意する。 67.思春期の健康と発達に関する一般的意見4号(2003年)を参照しつつ、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 10代で妊娠した女子の最善の利益が保障されることを確保するために中絶に関する法律を見直すとともに、中絶に関する決定において、妊娠した子どもの意見が常に聴かれ、かつ正当に考慮されることを確保すること。 (b) 思春期の子どもを対象とする包括的なセクシュアル/リプロダクティブヘルス政策を採択するとともに、セクシュアル/リプロダクティブヘルス教育が、若年妊娠および性感染症の予防にとくに注意を払いながら、学校の必修カリキュラムの一部とされ、かつ思春期の女子および男子を対象として行なわれることを確保すること。 薬物および有害物質の濫用 68.委員会は、思春期の子どもの間で薬物濫用が増加していること、および、思春期の薬物使用者のニーズに対応する薬物予防サービスが利用可能とされていないことを懸念する。 69.委員会は、締約国が、公的な学校プログラムおよびメディアキャンペーンを通じ、子どもおよび青少年に対して有害物質の濫用(タバコおよびアルコール〔の使用〕を含むが、とくにハードドラッグ〔の使用〕ならびに接着剤および溶剤の吸引)の防止に関する正確かつ客観的な情報およびライフスキル教育を提供するとともに、子どもを有害な誤情報およびモデルから保護するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、子どもおよび若者を対象とした、アクセスしやすく、かつ匿名で利用できる薬物依存治療およびハームリダクション(危害軽減)のサービスを発展させることも勧告するものである。 生活水準 70.委員会は、貧困下で生活する市民の人数の削減および非識字率の半減をめざす、締約国の貧困削減戦略(2010~2014年)を歓迎する。しかしながら委員会は、貧困に苦しむ子どもおよび社会サービスにアクセスできない子どもが多く、かつ相当の地理的格差が存在することを懸念するものである。さらに、委員会は以下のことを深く遺憾に思う。 (a) 締約国全域でホームレスの子どもが多数存在していること。 (b) 締約国の多くの地域で、住居、安全な飲料水、十分な衛生設備またはゴミ収集サービスにアクセスできないこと。 (c) いわゆるISILによってマイノリティ集団の家族の住居、店舗その他の財産が没収されているために、多くの家族が完全な生計維持手段を奪われていること。 71.委員会は、締約国が、貧困削減戦略に子どもの権利を含めるよう勧告する。さらに委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう求めるものである。 (a) もっとも被害を受けやすい状況に置かれた集団に特段の注意を払いながら、ホームレスの子どものニーズに対応するための包括的戦略を策定するとともに、貧困削減戦略の優先的受益者にこれらの子どもを含めること。 (b) 飲料水および環境衛生設備の提供、ならびに、食料へのアクセスならびに食料の入手可能性および負担可能性の保障に優先的に取り組むとともに、これらの問題に対処するための援助を、とくにユニセフおよびWHOに対して求めることを検討すること。 (c) いわゆるISILによって財産を奪われた家族に支援を提供し、かつその生存手段を確保すること。 G.教育、余暇および文化的活動(第28~31条) 教育(職業訓練および職業指導を含む) 72.委員会は、国家教育・高等教育戦略(2011~2020年)を歓迎する。しかしながら委員会は、学校が攻撃されてきたことおよび学齢の子どもが通学時に誘拐されてきたことの影響で、中等学校に就学すべき年齢の子どものうち現在学校に通っているのは半数にすぎないこと、ならびに、子どもの国内避難民および難民のうち学校にアクセスできていない者がきわめて多いことに、懸念とともに留意するものである。委員会はまた、以下のことも懸念する。 (a) 爆撃および破壊の対象とされ、または避難民コミュニティに占拠されてきた校舎が荒廃したままの状態であること。 (b) 教材が質量ともに不十分であり、かつ学校で清潔な飲料水および十分な衛生設備にアクセスできないこと。 (c) 教員が著しく不安定な状況に置かれており、その多くが暗殺もしくは誘拐の対象とされ、避難のために国を離れ、またはいわゆるISILの脅威のもとに働くことを余儀なくされてきたこと。 (d) 女子による学校へのアクセスが否定的な家父長制的慣習および規範によって阻害されていることから、非識字である女子が相当数にのぼっていること。 (e) 教育に対する予算配分が不十分であること。 73.教育の目的に関する一般的意見1号(2001年)に照らし、委員会は、締約国が、ノンフォーマル教育プログラム等も通じ、かつ紛争の影響を受けた地域における校舎および学校設備の再建ならびに水、衛生設備および電気の供給の確保を優先させる等の手段により、武力紛争の影響を受けた子どもを教育制度に再統合するためにあらゆる必要な措置をとるとともに、以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 実現可能なときは、国内避難民を、その安全を確保しつつ学校以外の建物に異動させること。 (b) 通学中の子どもならびに教育設備および教職員を保護するためにあらゆる必要な措置をとること。 (c) 仮設学校を設置し、かつ市民がこれらの学校で臨時職員として働けるようにする教員養成プログラムを設けることを検討すること。 (d) 貧困下で暮らしている家族への金銭的支援を増加させるとともに、子ども(とくに女子)を通学させることの重要性に関する意識を親の間で浸透させるためのキャンペーンを実施すること。 (e) パートナーに対して教育のための人道資金の増額を求めるとともに、図書ならびに十分な質を有する適切な教育用資料および学習教材を学校に十分に備えつけること。 H.特別な保護措置(第22条、第30条、第32条、第33条、第35条、第36条、第37条(b)~(d)および第38~40条) 子どもの国内避難民および難民 74.委員会は、難民および国内避難民となった家族および子ども(とくに、いかなる人道援助からも切り離されたままである家族および子どもならびに山間部で飢餓に苦しんでいる家族および子ども)の不安定な状況および劣悪な生活環境について深刻な懸念を覚える。委員会は、子どもが非国家的武装集団によって徴募されていること、ならびに、国内避難民および難民となった家族が、しばしば安全な飲料水および衛生設備、汚水処理設備、保健サービス、暖房、毛布または冬用の衣料にアクセスできないまま、過密な居留地において、絶えることのない脅威のもとで生活していることを、とりわけ懸念するものである。委員会はまた、以下のことも懸念する。 (a) 移住避難省が避難民家族を対象として実施している定住補助金の支給、ならびに、治療および予防サービスの提供の利益を享受できている子どもの国内避難民が少数しかおらず、かつ、身分証明書類(子どもの国内避難民のほとんどはこれを所持していない)を提示しなければ配給食糧、教育、政府の手当および金銭的援助にアクセスできないこと。 (b) 女子の難民および国内避難民が、家族間暴力、強制婚、一時的(ムタア)婚および強制婚ならびに「性的搾取」にとりわけさらされていること。 (c) 子どもの難民および国内避難民のほとんどが教育にアクセスできておらず、一方で児童労働が増加していること。 (d) NGOに対し、避難民へのシェルターの提供が認められていないこと。 75.委員会は、締約国に対し、子どもの国内避難民および難民の権利およびウェルビーイングを保障するためにあらゆる必要な措置をとるとともに、とくに以下の措置をとるよう促す。 (a) 国内避難民のために配分される資源を相当に増加させるとともに、子どもが清潔な水、十分な衛生設備(女子および女性のための尊厳保持用品を含む)、食料ならびにシェルター(暖房システム、毛布および冬服へのアクセスを含む)ならびに保健ケアおよび予防接種に十分にアクセスできることを確保するため、子どもを明確な対象として位置づけたプログラムを実施すること。 (b) 優先的課題として、国内避難民である子どもおよび家族を国の社会扶助制度に統合するとともに、とくに、とりわけ食料および教育へのアクセスに関わって身分証明書類の有無にかかわりなくサービスにアクセスできるようにするための登録手続を簡略化することにより、すべての公的サービスおよびプログラムがこれらの子どもおよび家族にとってアクセス可能でありかつ利用可能であることを確保すること。 (c) 子どもの国内避難民のために仮設就学設備を設け、かつ、これらの子どもを可能なかぎり早期に普通学校に再統合すること。 (d) NGOの活動に対する不必要な制限(とくにシェルターの提供にかんするもの)を直ちに解除し、国内避難民に対するNGOのアクセスを簡略化するためにあらゆる実行可能な措置をとり、かつ、パートナーに対し、空中投下による人道援助を増加させるよう求めること。 (e) 難民キャンプの治安を強化し、子どもを徴募、暴力および性的搾取から保護するためにあらゆる必要な措置をとり、かつ、女子および女性がサービスに直接アクセスできることを確保することによってその保護を増進させること。 (f) アクセスしやすい苦情申立て機構を確立し、人権侵害事案を全面的に捜査し、かつ加害者を訴追すること。 (g) 難民の地位に関する1951年の条約に加入すること。 マイノリティ集団または先住民族集団に属する子ども 76.委員会は、マイノリティ集団(とくにトルクメン人、シャバク人、キリスト教徒、ヤズィーディー教徒、サービア-マンダ教徒、カカイ教徒、フェイリ・クルド人、アラブ人シーア派、アッシリア人、バハイ教徒、アラウィット派)に属する子どもおよび家族の憂慮すべき状況に対し、このうえない懸念を表明する。これらの子どもおよび家族は、いわゆるISILによって組織的に殺害され、拷問を受け、強姦され、イスラム教への改宗を強要され、かつ人道援助から切断されているが、これは、ISILの構成員による、これらのマイノリティコミュニティを抑圧し、永久に浄化しもしくは追放し、または場合によっては破壊しようとする試みであるとされる。 77.委員会は、締約国に対し、即時的措置をとってマイノリティ集団に属する子どもにあらゆる必要な保護を提供するとともに、法的な適正手続に関する国際基準を尊重しながら、これらの子どもを迫害する者が訴追されかつ処罰されることを確保するよう促す。さらに委員会は、締約国に対し、可能なときは常に、マイノリティコミュニティが元の土地および住居に全面的に復帰できるようにすることに対して決意を示し、かつ、財産を失った者に補償を行なうよう促すものである。 78.委員会は、マイノリティ集団に属する子どもが締約国でその他の形態の差別にも直面してきていること、および、マイノリティ集団に対する攻撃が、主として国の法執行当局が加害者の責任を問うことについて消極的であること、官憲が信頼されていないことおよび報復への恐れが存在することを理由としてしばしば処罰されないまま実行されていることに、懸念を表明する。委員会はまた、以下のことも懸念するものである。 (a) マイノリティ集団に属する子どもが、サービス(とくに身分証明書類、保健ケア、教育、安全な飲料水、電気および十分な住居)へのアクセスを妨げる立法上および実際上の障壁に直面し続けていること。 (b) 黒人コミュニティおよびロマの村々の子どもが初等教育施設を有しておらず、かつ、トルクメン人学校が教育省の援助を受けていないこと。 (c) 子どもに対し、母語で教育を受けることが憲法によって保障されているにもかかわらず、マイノリティ集団の子どもについてはこの権利がしばしば尊重されていないこと。委員会はさらに、マイノリティの歴史または文化がカリキュラムでほとんど取り上げられていないこと、および、マイノリティ集団に属する子どもが教員によって疎外される事案が生じていることを遺憾に思う。 (d) マイノリティへのヘイトスピーチが恒常的に発生しており、かつヘイトスピーチからの法的保護が存在しないこと、ならびに、マイノリティ集団の子どもが日常的な社会的疎外および差別(ベールをかぶっていないことを理由とするマイノリティ集団の女子へのいやがらせを含む)に苦しんでいること。 79.委員会は、締約国が、マイノリティ集団の子どもの平等な取扱いを確保し、かつこれらの子どもに対するいかなる形態の差別も全面的に禁止するために法改正を行なうよう勧告する。委員会はまた、締約国が以下の措置をとることも勧告するものである。 (a) マイノリティ集団が攻撃から全面的に保護されること、および、官憲がマイノリティに対する犯罪を幇助したすべての事件が徹底的な捜査および訴追の対象とされることを確保すること。 (b) さまざまな民族の子どもの行政上、政治上、文化上および教育上の権利を保障した憲法第125条の実施法を制定するとともに、この憲法上の保障に矛盾するすべての法律を廃止すること。 (c) すべての子どもがその母語で教育を受けられることを確保するための監視制度を設けること。 (d) マイノリティに属する子どもに関連する差別およびステレオタイプと闘うための意識啓発キャンペーンを確立し、かつ、異なる文化、信仰および生活スタイルに対する敬意および寛容を促進すること。 経済的搾取(児童労働を含む) 80.委員会は、ILO第182号条約に一致する形で、締約国において最悪の形態の児童労働が禁じられていることに留意する。しかしながら委員会は、この禁止規定の実施が弱くかつ不十分であることを遺憾に思うとともに、報告によれば、3~16歳の相当数の子どもが児童労働に従事しており、その多くが危険な条件下で、かつ暴力および性的虐待の被害を受けやすい状態で働いているとされることを深く懸念するものである。委員会はまた、以下のことも遺憾に思う。 (a) 配偶者、父親、母親、兄または姉が経営しまたは監督する家内企業で雇用されている15歳以上の子どもには労働法の規定が適用されないこと。 (b) 雇用および職業におけるあらゆる形態のセクシュアルハラスメントからの全面的かつ十分な保護が存在しないこと。 81.委員会は、締約国に対し、子どもの労働(インフォーマル経済および家内事業におけるものを含む)が年齢、労働時間、労働条件、教育および健康に関する交際基準に全面的に一致する形で行なわれることを確保し、かつ、あらゆる形態の性的、身体的および心理的いやがらせから子どもが全面的に保護されることを確保するための法律を制定するよう、促す。委員会はまた、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) とくに児童労働撤廃国際計画およびILOの援助を求めながら、非識字であり、かつ(または)児童労働に従事してきた子どもを普通教育に再統合するためのプログラムを設けること。 (b) 労働監察(インフォーマル部門におけるものを含む)を確立することによって労働法の実施を強化するとともに、児童労働に関する法律に違反したいかなる者も責任を問われることを確保すること。 (c) 貧困根絶の努力を強化することにより、経済的搾取の根本的原因に対処すること。 路上の状況にある子ども 82.委員会は、多数の子ども(多くの子どもの国内避難民を含む)が路上で生活しかつ(または)働いており、そこでさまざまな形態の犯罪(性暴力および性的虐待を含む)、薬物および犯罪集団による利用にさらされていることを非常に懸念する。 83.委員会は、締約国が、路上の状況にある子どもを支援し、かつ十分な栄養、衣服、住居および教育機会(職業訓練およびライフスキル訓練を含む)にアクセスできることを確保するための国家的戦略を策定するよう勧告する。さらに委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 路上の状況にある子どもの身体的および心理的回復ならびに社会的再統合を目的とするプログラムを促進しかつ実施するとともに、可能なときは常に家族との再統合のための便宜を図ること。 (b) 路上の状況にある子どもが薬物依存治療にアクセスできることを確保するとともに、路上の状況にある子どもを性的搾取および性的虐待から保護することにとくに焦点を当てること。 (c) 路上の状況にある子どもとともに活動しているNGOおよびこれらの子どもたち自身と連携するとともに、とくにユニセフの技術的援助を求めること。 売買、取引および誘拐 84.委員会は、国内避難および宗派的暴力が人身取引の相当の増加にもつながっており、多くの子どもが、とくに性的搾取および家事奴隷としての使用を目的として(ただし強制労働または強制的役務、奴隷化または同様の慣行および隷属化を目的としても)、国内においても、イラン・イスラム共和国、ヨルダン、クウェート、レバノン、サウジアラビア、トルコ、アラブ首長国連邦およびイエメンにおいても、人身取引の対象とされていることを深く懸念する。委員会はまた、孤児院の子どもが職員による強制売春目的の人身取引の対象とされているという報告についても特段の懸念を覚えるものである。 85.委員会は、締約国に対し、性的その他の搾取を目的とする子どもの人身売買と闘うとともに、以下の措置をとるよう促す。 (a) 加害者が組織的に訴追されかつ処罰されること、および、人身取引の被害者である子どもがけっして犯罪者として扱われないことを確保すること。 (b) 被害を受けた子どもの身体的および精神的回復ならびに社会的再統合のための適切な政策およびプログラムを実施すること。 (c) 子どもおよび家族が国内および国外双方の人身取引の危険性について理解し、かつ保護措置について理解するようにするための意識啓発活動を実施するとともに、被害者および証人に対して人身取引事件の通報を奨励すること。 (d) 子どもの売買および取引の根本的原因に対処する目的で、国際協力を継続しかつ強化すること。 少年司法の運営 86.拘禁に代わる措置について定めた締約国の少年福祉法(1983年法律第76号)は評価しながらも、委員会は、これらの選択肢が実際には非常にまれにしか用いられていないことを遺憾に思う。委員会はまた、拘禁(とくに長期間の未決拘禁)の対象とされる子どもの数が増えていること、および、これらの子どもがとりわけ劣悪な環境に置かれていること(過密な状態にあること、身体的および性的虐待にさらされることならびに医療サービスへのアクセスが不十分であることを含む)も著しく懸念するものである。委員会は、以下のことをとりわけ懸念する。 (a) 少年福祉法では子どもに対する終身刑および死刑が認められていないにもかかわらず、死刑を言い渡された女子が、18歳に達するまでカッラーダ少年拘禁施設に収容され、その後、死刑囚監房に移送されるという報告があること。 (b) 刑事責任年齢が9歳と低く定められており、かつ少年法案における引き上げも11歳までに留まっていること。 (c) 出生登録が行なわれていないことおよび子どもの年齢の決定に困難があることにより、犯行時18歳であった者に対して死刑が言い渡される場合があること。 (d) 拘禁後、子どもが社会に再統合することを支援するための十分な更生プログラムまたは更生施設が存在しないこと。 87.少年司法における子どもの権利についての一般的意見10号(2007年)に照らし、委員会は、締約国に対し、少年司法制度を条約および他の関連の基準に全面的に一致させるよう促す。とくに委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促すものである。 (a) すべての子どもを死刑囚監房から直ちに解放するとともに、18歳未満の者が行なった犯罪について死刑または終身刑を科すことを明示的に禁止した規定が、この点に関する明確な訓令を発することにより効果的に実施されることを確保すること。 (b) 死刑囚監房に収容されておりまたは終身刑に服しているすべての受刑者の記録を速やかに再審査し、かつ、処罰対象である犯罪を行なったときに当該受刑者が18歳未満であった場合にはその死刑または終身刑が無効とされることを確保するとともに、犯罪時の子どもの年齢を確定できないときは18歳未満であったと推定すること。 (c) 子どもの拘禁の合法性について決定するため、子どもの事件が逮捕後24時間以内に裁判所に提出されることを確保すること。 (d) ダイバージョン、保護観察、調停、カウンセリングまたは地域奉仕のような拘禁に代わる措置を促進するとともに、拘禁が最後の手段としてかつ可能なもっとも短い期間で用いられること、および、拘禁がその取消しを目的として定期的に再審査されることを確保すること。 (e) 刑事責任に関する最低年齢を国際的に受け入れられる水準まで引き上げること。 (f) 少年の身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための施設およびプログラムを発展させること。 I.通報手続に関する選択議定書の批准 88.委員会は、締約国が、子どもの権利の充足をさらに強化する目的で、通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書を批准するよう勧告する。 J.国際人権文書の批准 89.委員会は、締約国が、子どもの権利の充足をさらに強化する目的で、締約国がまだ当事国となっていない中核的人権文書、とくにすべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約、ならびに、経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約、市民的および政治的権利に関する国際規約、女性に対するあらゆる差別の撤廃に関する条約、拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは刑罰を禁止する条約および障害のある人の権利に関する条約の諸選択議定書を批准するよう勧告する。 K.地域機関および国際機関との協力 90.委員会は、国際協力の枠組みのなかでさまざまなプログラムおよびプロジェクト(国際連合の諸機関および諸計画との技術的援助および協力を含む)が実施されていることに留意する。 91.委員会は、締約国が、条約、その両選択議定書および他の人権文書の実施のための独自の資源および制度的体制を強化するよう同時に努めつつ、国際協力を維持しかつ増加させるための措置を引き続きとるよう、勧告する。 V.実施および報告 A.フォローアップおよび普及 92.委員会は、締約国が、この総括所見に掲げられた勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。委員会はまた、第2~4回統合定期報告書、締約国の文書回答およびこの総括所見を同国の言語で広く入手できるようにすることも勧告するものである。 B.次回報告書 93.委員会は、締約国に対し、第5回・第6回統合定期報告書を2020年7月14日までに提出し、かつ、この総括所見のフォローアップに関する情報を当該報告書に記載するよう慫慂する。報告書は、2010年10月1日に採択された委員会の条約別調和化報告ガイドライン(CRC/C/58/Rev.2 and Corr.1)にしたがうべきであり、かつ21,200語を超えるべきではない(総会決議68/268、パラ16参照)。定められた語数制限を超えた報告書が提出された場合、締約国は、前掲ガイドラインにしたがって報告書を短縮するよう求められることになる。締約国が報告書を見直しかつ再提出する立場にないときは、条約機関による審査のための報告書の翻訳は保障できない。 94.委員会はまた、締約国に対し、2006年6月の第5回人権条約機関委員会間会合で承認された統一報告ガイドライン(HRI/GEN/2/Rev.6, chap. I)に掲げられた共通コアドキュメントについての要件にしたがい、最新のコアドキュメントを提出することも慫慂する。総会が決議68/268のパラ16で定めた共通コアドキュメントの語数制限は42,400語である。 更新履歴:ページ作成(2017年5月18日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/251.html
総括所見:ドイツ(第3回~4回・2014年) 第1回(1995年)/第2回(2004年)OPAC(2008年)/OPSC(2014年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/DEU/CO/3-4(2014年2月25日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2014年1月27日および28日に開かれた第1866回および第1867回会合(CRC/C/SR.1866およびCRC/C/SR.1867参照)においてドイツの第3回・第4回統合定期報告書(CRC/C/DEU/3-4)を検討し、2014年1月31日に開かれた第1875回会合において以下の総括所見を採択した。 I.序 2.委員会は、締約国における子どもの権利の状況についての理解を向上させてくれた、ドイツの第3回・第4回統合定期報告書(CRC/C/DEU/3-4)および事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/DEU/Q/3-4/Add.1)の提出を歓迎する。委員会は、締約国のハイレベルなかつ多部門型の代表団との間に持たれた建設的対話に評価の意を表するものである。 II.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展 3.委員会は、以下の立法措置の採択を歓迎する。 (a) 法律上の父ではない生物学上の父の権利を強化する2013年7月4日の法律。 (b) 互いに婚姻していない両親の監護権を改革する2013年4月16日の法律。 (c) 後見監護法を改正する2011年6月29日の法律。 (d) 2011年12月22日の連邦子ども保護法。 (e) 2008年12月16日の子ども支援法。 (f) 子どもの最善の利益に危険が及ぶ場合の家庭裁判所による措置を促進するための2008年7月12日の法律。 (g) 2007年1月1日の連邦親手当および育児休暇法。 (h) 2005年10月1日の子ども・青年福祉発展推進法。 4.委員会はまた、以下の文書の批准にも評価の意とともに留意する。 (a) 通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書(2013年2月)。 (b) 子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書(2009年7月)。 (c) 強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約(2009年9月)。 (d) 傷害のある人の権利に関する条約(2009年2月)。 (e) 人身取引と闘うための行動に関する欧州評議会条約(2012年12月)。 5.委員会は、以下の制度上および政策上の措置も歓迎する。 (a) 「連邦早期介入イニシアティブ」の確立(2012年)。 (b) 子どもの健康を促進する「連邦政府戦略」の策定(2008年)。 (c) 「子どもにやさしいドイツのために」(Fur ein kindergerechtes Deutschland)と題した2005~2010年の国家行動計画。 6.委員会は、締約国が、条約第40条第2項(b)(ii)および(v)に付した留保を撤回したことを歓迎する。 III.主要な懸念領域および勧告 A.一般的実施措置(条約第4条、第42条および第44条第6項) 委員会の前回の勧告 7.委員会は、締約国の第2回報告書に関する2004年の総括所見(CRC/C/15/Add.226)を実施するために締約国が行なった努力は歓迎しながらも、そこに掲げられた勧告の一部について十全な対応がとられていないことに、遺憾の意とともに留意する。 8.委員会は、締約国が、条約に基づく第2回定期報告書についての総括所見の勧告のうち十分に実施されていないもの(とくに調整、独立の監視、庇護を希望している子どもおよび移住の状況にある子どもに関するもの)に対応するため、あらゆる必要な措置をとるよう促す。 条約の法的地位 9.委員会は、ほとんどの州が州憲法で子どもの権利を明示的に認めていることに、満足感とともに留意する。しかしながら委員会は、ハンブルグ州およびヘッセン州の憲法ならびに連邦憲法(基本法)で子どもの権利が明示的に認められていないことを依然として懸念するものである。委員会はさらに、基本法第59条第2項に基づき、条約が普通連邦法の段階に位置づけられていることに留意する。 10.前回の勧告(CRC/C/15/Add.226、パラ10)に照らし、委員会は、締約国に対し、条約が、基本法に編入されることを通じ、または他のいずれかの手続により、連邦法に優越することを確保するためにあらゆる必要な措置をとるよう促す。 包括的な政策および戦略 11.委員会は、2005~2010年の国家行動計画によって子どもの権利に関する幅広い議論が開始されたことに留意する。しかしながら委員会は、同計画を実際に実施するにあたり、地方レベルで市民社会組織その他の主体の関与を得ることが十分に行なわれなかったことを遺憾に思うものである。青少年および若年成人に焦点を当てた新たな若者政策が2011年に開始されたことには留意しながらも、委員会は、子どもの権利に関するすべての問題が同政策で対象とされているわけではないように思えることを、依然として懸念する。 12.委員会は、締約国が、子どもの権利に関する包括的な政策を策定するための措置をとり、プログラムおよびプロジェクトの策定を進めるために必要な人的資源、技術的資源および財源を関連機関に提供し、かつ、これらのプログラムおよびプロジェクトの監視および評価のために、連邦および州のレベルにおける関連機関の役割および責任についてはっきりと明らかにしたシステムを確立するよう、勧告する。 調整 13.委員会は、締約国における条約の実施を連邦、州およびコミュニティのレベルで調整する中央機関が存在しないことにより、包括的かつ首尾一貫した子どもの権利政策の達成が困難になっていることを、依然として懸念する。 14.条約の実施に関する一般的措置についての一般的意見5号(2003年)に照らし、委員会は、前回の勧告(CRC/C/15/Add.226、パラ12)をあらためて繰り返すとともに、締約国に対し、条約の実施を効果的に調整するための十全な能力および権限ならびに十分な人的資源、技術的資源および財源を備えた十分なかつ常設の機関を国レベルで設置しまたは指定するよう、求める。このような調整には、連邦レベルのさまざまな省庁間、連邦と州の間および諸州間で横断的に存在する問題への対応も含まれるべきである。 データ収集 15.委員会は、締約国が包括的なデータ収集システムの設置の重要性を認識していることに留意する。しかしながら委員会は、締約国が、条約が対象とするすべての分野についてのデータを収集するための包括的なシステムを有していないことを懸念するものである。このことは、とりわけ子どもに対する暴力、傷害のある子ども、少年司法および子どもの難民(とくに保護者のいない子どもの難民)の分野において、子どものための政策、プログラムおよびプロジェクトの効果的な計画、監視および評価を行なう際の主要な障壁のひとつとなっている。 16.条約の実施に関する一般的措置についての一般的意見5号(2003年)を想起しつつ、委員会は、締約国に対し、すべての州および18歳に至るまでの子ども時代の全期間を網羅した子どもに関するデータを収集するための包括的かつ統合的なシステムを設置し、かつ、これらの権利の実現における進展を分析しかつ評価するために活用できる、子どもの権利に関する指標を導入するよう、促す。子どもの全般的状況に関する評価を容易にし、かつ、条約を効果的に実施するための政策、プログラムおよびプロジェクトの立案、監視および評価の指針とする目的で、データは年齢、性別、障害、地理的所在、民族、移住者としての地位および社会経済的背景ごとに細分化されるべきである。 独立の監視 17.委員会は、連邦、州およびコミュニティのレベルにおける条約の実施を監視するための、また子どもの権利侵害の苦情を受理しかつこれに対応する権限を与えられた独立の中央機関が引き続き存在しないことを、依然として懸念する。 18.前回の勧告(CRC/C/15/Add.226、パラ16)にのっとり、委員会は、締約国が、ドイツ人権研究所に対し、連邦、州および地方のレベルで条約の実施を監視する権限を委任するよう勧告する。委員会はさらに、同研究所に対して十分な人的資源、技術的資源および財源が配分され、かつ、同研究所の権限に、子どもの権利侵害の苦情を子どもにやさしいやり方で受理し、調査しかつこれに効果的に対応できることが含まれるべきことを勧告するものである。 普及、意識啓発および研修 19.子どもにやさしい方法で条約を普及するために締約国が行なっている努力は歓迎しながらも、委員会は、おとなおよび子ども(とくに、被害を受けやすい状況に置かれた子ども)が子どもの権利に関する情報に不満足な形でしかアクセスできていないことを懸念する。委員会は、締約国が、条約に関する普及、意識啓発および研修のための十分な活動を、とくに学校において、また子どもとともに働く専門家を対象として、体系的かつ対象を明確にするやり方で行なっていない旨の前回の懸念をあらためて表明するものである。 20.これまでの勧告(CRC/C/15/Add.43、パラ26およびCRC/C/15/Add.226、パラ20)にのっとり、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 学校カリキュラムに条約および人権一般に関する必修単位を含めるとともに、庇護希望者、難民および民族的マイノリティ等の被害を受けやすい立場に置かれた集団にこのような情報を提供するための十分な取り組みを発展させること。 (b) 子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家集団(裁判官、弁護士、法執行官、公務員、教員、心理学者を含む保健従事者およびソーシャルワーカー等)を対象とした、条約に関する体系的かつ継続的な研修プログラムを発展させること。 (c) とくにソーシャルメディアの(同時に出版、ラジオ、テレビその他のメディアの)いっそうの活用を通じ、子どもにやさしい方法による条約についての意識啓発にメディアがいっそう取り組むことを奨励するとともに、公的な積極的周知活動への子どもたち自身の積極的関与を奨励すること。 国際協力 21.委員会は、欧州連合政府開発援助目標の枠組みのなかで締約国が示している、対国民総所得比0.7%という国際的に合意された目標を2015年までに達成することについての決意を歓迎する。委員会は、締約国に対し、当該目標を達成するとともに、開発途上国との間で締結される国際協力についての取決めにおいて子どもの権利の実現が最優先課題となることを確保するよう、奨励するものである。委員会は、その際、締約国が、当該援助受領国に関する子どもの権利委員会の総括所見を考慮するよう勧告する。さらに委員会は、締約国が、関係国における緊縮政策の実施によって子ども政策のための資源配分に悪影響が生じないことを確保するよう欧州連合に求めることを勧告するものである。 子どもの権利と企業セクター 22.委員会は、締約国が発電のために相当量の石炭を用いていることに留意するとともに、石炭からの放出物が子どもの健康に及ぼす悪影響について懸念を覚える。委員会はまた、国外で事業を行なっており、かつ子どもの権利その他の人権を侵害しているとの報告があるドイツ企業に対して締約国が十分な措置をとっていないことも懸念するものである。 23.企業セクターが子どもの権利に与える影響に関わる国の義務についての一般的意見16号(2013年)にのっとり、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 締約国で操業する産業を対象とした、その活動が人権に影響を及ぼしまたは環境その他の問題に関する基準(とくに子どもの権利に関わるもの)を脅かさないことを確保するための明確な規制枠組みを確立すること。 (b) 子どもの権利に影響を及ぼす企業への補助金の配分といった予算措置をとる際、子どもの最善の利益を考慮すること。 (c) 締約国の領域で操業しまたは締約国の領域から経営されている企業およびその子会社が、子どもの権利および人権のいかなる侵害についても法的に責任を問われることを確保する目的で、民法上、刑法上および行政法上の枠組みを検討しかつ修正すること。 (d) 人権理事会が2011年に採択した「ビジネスと人権に関する指導原則:国際連合『保護・尊重・救済』枠組みの実施」にのっとり、企業活動から生じるいかなる悪影響からも地域コミュニティ(とくに子ども)を保護する目的で、ビジネスと人権に関する国際基準および国内基準を遵守すること。 B.一般原則(条約第2条、第3条、第6条および第12条) 差別の禁止 24.委員会は、締約国がとった反差別のための措置、とくに理解および寛容の文化の促進を目的とした措置を歓迎する。しかしながら委員会は、障害のある子どもおよび移住者としての背景を有する子どもが、とくに教育および保健ケアサービスに関わって、締約国において引き続き差別に直面していることを依然として懸念するものである。 25.委員会は、締約国が、教育、保健および発達へのアクセスにおける不平等を縮小するためのプログラムおよび政策を通じ、差別(とくに障害のある子どもおよび移住者としての背景を有する子どもへの差別)と闘うための措置を増進させるよう、勧告する。委員会はまた、締約国が、学校および子どものためのその他の空間において差別に関する意識を高め、かつインクルーシブで寛容な環境を醸成するための努力を継続することも勧告するものである。 子どもの最善の利益 26.子どもの福祉が締約国の法体系における指導原則のひとつであり、かつますます適用される原則となっていることには留意しながらも、委員会は、子どもの最善の利益の原則がまだ連邦法に全面的に編入されておらず、かつ、子どもの最善の利益の優先がまだ立法府、行政府および司法府のすべての分野に統合されていないことにも、懸念とともに留意する。とくに、教育面および社会経済的側面で不利な立場に置かれている子ども(子どもの難民および庇護希望者を含む)に関わる事件で、子どもの最善の利益が無視されることが多い。 27.委員会は、自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利についての一般的意見14号(2013年)に対して締約国の注意を喚起する。前回の勧告(CRC/C/15/Add.226、パラ27)にのっとり、委員会は、この権利が、すべての立法上、行政上および司法上の手続、ならびに、子どもに関連し、かつ子どもに影響を及ぼすすべての政策、プログラムおよびプロジェクトに適切に統合されかつ一貫して適用されることを確保するための努力を、締約国が強化するよう勧告する。これとの関連で、締約国は、すべての分野で子どもの最善の利益について判断することおよび子どもの最善の利益を第一次的考慮事項として正当に重視することについての指針を、権限を有する立場にあるあらゆる関係者に対して示すための手続および基準を策定するよう、奨励されるところである。このような手続および指針は、私立の社会福祉施設、裁判所、行政機関、立法機関および公衆一般に対して普及されるべきである。 C.市民的権利および自由(条約第7条、第8条および第13~17条) 出生登録 28.委員会は、国民および外国人であるすべての子ども(難民および庇護希望者を親とする子どもを含む)の出生登録についての締約国における発展を歓迎する。しかしながら委員会は、証明書の発行を担当する登録官が在留資格を確認し、かつその結果を出入国管理機関に通知しなければならないことに鑑み、在留資格が非正規である新生児のための出生証明書の取得に関して実際上の困難が残っていることを懸念するものである。 29.委員会は、締約国に対し、出生登録が、親の法的地位および(または)出身にかかわらず、すべての子どもにとって可能なかぎり早期に利用可能とされることを確保するために適切な措置をとるよう、促す。委員会は、その際、締約国が、教育施設の職員について2011年に行なったように、登録担当官について、出入国管理機関に情報を通知する義務を免除するよう勧告するものである。 アイデンティティに対する権利 30.委員会は、新たな赤ちゃんボックスを設置しない旨の決定が行なわれたことおよび匿名出産の規制が計画されていること、ならびに、遺棄される新生児の人数を減らすことを目的として妊婦および最近出産した女性への支援が提供されていることに留意する。しかしながら委員会は、赤ちゃんボックスが規制されておらず、かつ使用され続けていること(これは、とくに条約第6条~9条および第19条に違反する)を遺憾に思うものである。 31.委員会は、締約国に対し、匿名で子どもを遺棄する慣行を終了させるために必要なあらゆる措置をとり、かつ、可能なかぎり早期に代替的選択肢を強化しかつ促進するよう、強く促す。委員会はまた、締約国に対し、新生児の遺棄の根本的原因を研究し、かつこれに対処するための努力を増進させることも促すものである。このような対応には、家族計画およびリプロダクティブヘルスのためのサービスの提供、計画外の妊娠の場合の十分なカウンセリングおよび社会的支援、高リスク妊娠の防止、困窮している家族への支援、ならびに、最後の手段としての、病院における匿名出産の可能性の導入を含めることが求められる。この点に関して、締約国は、条約のすべての規定を全面的に遵守する義務を考慮し、子どもが将来的にアクセスできる、親に関する秘密の記録を保存しておくべきである。 D.子どもに対する暴力(条約第19条、第24条第3項、第28条第2項、第34条、第37条(a)および第39条) 体罰 32.委員会は、子どもが暴力を受けない養育に対する制定法上の権利を有していることに、評価の意とともに留意する。にもかかわらず、委員会は、相当数の子どもが家庭においてさまざまな形態の暴力を経験していることを、依然として懸念するものである。 33.委員会は、締約国が、暴力を受けない養育に対する権利がいっそう効果的に実施されることを確保するため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。さらに委員会は、締約国が、体罰に代えて行なう積極的な、非暴力的なかつ参加型の形態の子育ておよびしつけを促進するために現在実施されている意識啓発プログラムを発展させかつ強化するよう、勧告するものである。 性的搾取および性的虐待 34.委員会は、性的搾取および性的虐待を防止し、かつ性犯罪の被害者に援助および支援を提供するための措置が不十分であることを懸念する。これには以下のことが含まれる。 (a) 学校および子どもが通っているその他の施設における防止措置が不十分であること。 (b) 同国の一部でカウンセリングサービスが不十分であり、かつ性暴力の被害を受けた子どものための治療施設が不十分であることから、とくに東部の州および農村地域において欠落が生じていること。 (c) 専門的サービスに対する資金拠出が不十分であること。 (d) とくに男子、障害のある子どもおよびドイツ語をまったくまたは十分に知らない移住者の子どもにとって、支援およびカウンセリングサービスへのアクセスが不平等であること。 (e) 子どもの性的虐待問題に関する独立コミッショナーに恒久的地位が認められていないこと。 35.委員会は、締約国に対し、以下のことを確保する目的で、すべての保護制度関係者間の調整を強化し、かつあらゆる必要な人的資源、技術的資源および財源を配分するよう促す。 (a) 学校および障害のある子どものための施設ならびに青年福祉施設その他の施設(宗教部門、スポーツ部門および文化部門の施設等)における、子どもに対する性暴力の防止。 (b) 性的搾取および性的虐待の被害を受けた子どもを対象とする、十分なカウンセリングサービスおよび治療施設への無制限のアクセス。 (c) 専門的サービスに対する資源配分。 (d) 外国語および手話による通訳の提供を通じた、カウンセリングサービスおよび治療施設へのバリアフリーなアクセス。 (e) 子どもの性的虐待問題に関する独立コミッショナーの恒久的地位。 36.教会職員が行なった児童虐待事件を捜査するために締約国がとった措置には留意しながらも、委員会は、複数の事件について捜査が行なわれていないことを懸念する。 37.委員会は、締約国が、教会職員が行なったとあsれる児童虐待事件の捜査および訴追を速やかに進めるため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。 有害慣行 38.委員会は、締約国に住んでいる相当数の女子が、性器切除の影響を受けており、または性器切除が実行されている国へ一時的に送られもしくは締約国内で性器切除の対象とされる危険性にさらされていることを懸念する。委員会はまた、医師、助産師および病院職員が性器切除ならびに防止措置および保護措置について十分な情報を得ていないことが多く、そのため助言および援助ができないことにも、懸念とともに留意するものである。 39.委員会は、前回の勧告(CRC/C/15/Add.226、パラ47)をあらためて繰り返すとともに、締約国に対し、女性性器切除を禁止する国家的な政策および戦略を作成し、かつ以下の措置をとるよう勧告する。 (a) すべての関連の専門家集団(とくに医師、助産師、病院職員、教員、ソーシャルワーカーおよび子どもヘルプライン相談員)を対象として、女性性器切除の防止およびこれへの対応に関する研修を実施すること。 (b) とくに市民社会およびメディアの関与を得ることにより、この慣行を防止するための情報普及・意識啓発キャンペーンをさらに強化しかつ組織すること。これとの関連で、危険な状況に置かれた女子を対象とする、援助および助言へのアクセスに関する情報を提供するキャンペーンにとくに焦点が当てられるべきである。 (c) とくに、女性性器切除が実行されている国に対する財政的および技術的援助を拡大することにより、国際協力プログラムにおける女性性器切除の撤廃のための措置をさらに強化すること。 あらゆる形態の暴力からの子どもの自由 40.委員会は、学校その他の施設において子どもが経験している継続的な暴力(身体的暴力、いじめおよび増加しつつあるネットいじめを含む)について懸念を覚える。さらに委員会は、この問題に対応する十分な資格を有する教員およびスクールソーシャルワーカーが一部の学校で存在せず、かつ他の施設でも資格を有する職員が存在しないことを懸念するものである。 41. 子どもに対する暴力に関する国連研究(A/61/299)およびあらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利に関する委員会の一般的意見13号(2011年)を想起しつつ、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもに対するあらゆる形態の暴力を防止しかつこれに対応するための、包括的な国家的戦略を策定すること。 (b) 子どもに対するあらゆる形態の暴力に対応するための国家的な調整枠組みを採択すること。 (c) 暴力の発生を認識し、かつこれに効果的に対応できるようにするための学習を目的とした、教員およびソーシャルワーカーを対象とする全国的な意識啓発・研修プログラムを実施すること。 (d) 子どもに対する暴力に関する事務総長特別代表および他の関連の国際連合機関と協力すること。 E.家庭環境および代替的養護(条約第5条、第9~11条、第18条第1~2項、第19~21条、第25条および第27条第4項) 42.親の関係の規制について締約国が行なった重要な変更、とくに子どもの共同監護権の確立に向けた大きな流れは歓迎しながらも、委員会は、締約国が、法律において、条約でおよび子どもの権利条約の発効後に採択された国際文書のいくつかで用いられている「親の責任」(parental responsibility)ではなく「監護権」(custody)という用語をいまなお用いていることに留意する。 43.委員会は、締約国が、条約の趣旨および目的にのっとり、「監護権」という用語に代えて「親の責任」を用いる可能性を検討するよう勧告する。 家庭環境を奪われた子ども 44.委員会は、家族再統合に関する締約国の厳格な規則について懸念を覚える。当該規則では、残された子どもが欧州連合市民ではない場合に締約国で親とともに暮らすことを認められるのは、その子どもが16歳未満であり、かつその生計維持手段が保障されている場合に限ると規定されている。 45.自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利についての一般的意見14号(2013年)に照らし、委員会は、締約国が、家族再統合に対する外国人の子どもの一般的権利を制定法により18歳まで確保するよう勧告する。 46.親としての義務の履行に関して親を支援するために締約国がとった立法措置は歓迎しながらも、委員会は、以下の問題について懸念を覚える。 (a) 家庭環境を奪われて公的ケアの対象とされる子どもの人数が増えていること。 (b) 危険な状況に置かれた家族を支援するための公的青年福祉サービスに十分な資源が配分されておらず、かつ、親の言語によるサービスまたは通訳を提供している地方当局の数が少ないこと。 (c) 行動障害のある子どもを、適正な監督および評価を行なうことなく、欧州連合の他の国で里親委託する慣行が行なわれていること。 47.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 家族支援制度を向上させ、かつ、子どもの里親委託が子どもの最善の利益にかなう場合にのみ用いられることを確保すること。 (b) 社会的および経済的困難に直面しているすべての家族(とくに言語の障壁の克服に関して困難を有している移住者家族を含む)が福祉サービスを利用できるようにするため、福祉サービスに十分な人的資源および財源を提供すること。 (c) 子どもを欧州連合の他の国に措置する政策を修正するとともに、十分な監督、フォローアップおよび評価を行なうこと。 48.乳幼児期の教育およびケアを拡大するために締約国が行なっている努力は歓迎しながらも、委員会は、一部の州で、とくに3歳未満の子どもが利用できる乳幼児期の教育およびケアのためのサービスが少ないこと、ならびに、乳幼児期の教育およびケアのための施設の質的基準に関して州の間で格差があることを、依然として懸念する。委員会はまた、脆弱な状況に置かれた家族(とくに移住者家族)にとってそのようなサービスへのアクセスが困難であることも懸念するものである。 49.委員会は、締約国が、欧州2020年成長戦略にしたがって乳幼児期の教育およびケアに関する包括的な国家的政策を採択するとともに、すべての子どもが差別なく質の高い乳幼児期の教育およびケアにアクセスできることを確保するよう、勧告する。 F.障害、基礎保健および福祉(条約第6条、第18条第3項、第23条、第24条、第26条、第27条第1~3項および第33条) 障害のある子ども 50.委員会は、障害のある子どもの状況を分析しかつ向上させるために締約国が行なっている取り組みを歓迎する。しかしながら委員会は、教育が、とくに中等学校段階でインクルーシブな性質を有していないことを懸念するものである。この文脈において、委員会は以下のことにも懸念とともに留意する。 (a) 教育部門において連邦レベルと州のレベルとの間の協力が不十分であること、および、カリキュラムの適合が図られておらず、または、教育に対するインクルーシブなアプローチについての、すべての教員および学校職員を対象とする体系的な研修が実施されていないこと。 (b) 教育分野における個別支援および合理的配慮の必要性が認識されておらず、かつ、手話に関する規則が州によってさまざまであること。 (c) 一部の州で、初等段階の子どもがその親の意思に反して特別学校に就籍させられていること、障害のある児童の圧倒的多数が特別学校に通っていること、および、障害のある子どもの多数が修了証を得ないまま学校を離れていること。 51.条約第23条および障害のある子どもの権利に関する委員会の一般的意見9号(2006年)に照らし、委員会は、障害に対する人権基盤アプローチをとるよう締約国に促すとともに、具体的に、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 全国的なインクルーシブ教育の確立を追求するとともに、特別学校で利用可能な資源を活用すること等も通じ、必要な資源が利用可能となることを確保すること。 (b) インクルーシブ教育に対する権利が障害のある子どもに保障され、かつ、教育分野における個別支援および合理的配慮への権利が当該権利に包含されることを確保するため、あらゆる必要な法改正および構造的改革を行なうこと。 (c) 障害のある子どもおよびその家族が、当該の子どもが特別学校に通うべきか否かについて決定が行なわれる際に発言権を有することを確保すること。 52.委員会は、締約国が実施した最近の研究における、障害のある女子がしばしば性暴力を含む暴力の危険にさらされている旨の知見について懸念を覚える。 53.委員会は、締約国が、障害のある女子の安全に特段の注意を払いながら、障害のある子どもに対するあらゆる形態の暴力を防止するためにすべての必要な措置をとるよう、勧告する。これとの関連で、委員会は、締約国が、暴力の被害者となった障害児を対象とする、保護および苦情申立てのための特別な機構を設けるよう勧告するものである。 54.委員会は、移住者家族の障害児が、情報がないために、または親が必要な書類および申請書になかなかアクセスできず、かつ(もしくは)障害について無知であるもしくは意識を欠いているために、移住者としての背景を有さない他の障害児と同一の支援を得られないことが多いことに、懸念とともに留意する。 55.委員会は、締約国が、移住者としての背景を有する障害児がいる家族に対して支援へのアクセスに関する十分な情報および援助が提供されることを確保するため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。 健康および保健サービス 56.委員会は、以下の問題について懸念を覚える。 (a) 愛着障害(これは完全母乳の減少と関連している可能性がある)、ならびに、学校でよい成績を収めなければならないというプレッシャーを理由とする子どもの情緒的問題および行動上の問題と関連した、子どもの新たな不健全状態への対応が不十分であること。 (b) 庇護希望者である子どもおよび非正規移住の状況にある子どもが、急性疾患の治療、予防的保健ケアおよび心理社会療法を含む保健サービスに十分にアクセスできていないこと。 57.委員会は、締約国が、運動ならびに健康的な食習慣およびライフスタイルの重要性を強調しながら、学校および家族を対象とする働きかけおよび意識啓発のプログラムを実施するよう勧告する。締約国はまた、保健上の成果に関して存在している格差に対応するためにもあらゆる必要な措置をとるべきである。脆弱な状況にある子どもおよび若者、とくに社会的に不利な立場に置かれた背景または移住者としての背景を有する子どもおよび若者に、特段の注意を払うことが求められる。さらに委員会は、到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利についての委員会の一般的意見15号(2013年)に対して締約国の注意を喚起するとともに、締約国が、母乳代替品の販売促進を規制し、かつ、新生児と母親との絆の向上を促進するはずである母乳育児を行なうよう締約国内の母親に奨励するため、あらゆる必要な立法上および制度上の措置をとるよう勧告するものである。 精神保健 58.委員会は、子どもに対する精神刺激薬の処方が増加しており、かつ注意欠陥多動性障害(ADHD)および注意欠陥(ADD)の診断が過剰に行なわれていること、ならびに、とくに以下のことを懸念する。 (a) 精神刺激薬であるメチルフェニデートが過度に処方されていること。 (b) ADHDまたはADDであると診断/誤診された子どもが家族から強制的に分離され、かつ、その後、里親委託または精神病院への措置の対象とされていること(精神病院に措置された子どもの多くは向精神薬による治療の対象とされている)。 59.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもの里親委託または精神病院への措置が、適正な診断後、最後の手段としてのみ用いられることを確保すること。 (b) 家族が心理カウンセリングおよび情緒的支援にアクセスできるようにすること。 (c) ADHDおよびADDの診断ならびに子どもを対象とする薬物治療の使用に関する、独立の専門家による監視制度を設置すること。 (d) 関連の保健機関が教室における注意欠如の根本的原因について判断し、かつ子どもの精神保健問題の診断を向上させることを確保すること。 (e) 医学的証拠によって確認されていない事案で子どもが「精神医学上の問題を有している」というレッテルを貼る慣行に終止符を打つこと。 思春期の健康 60.青少年の喫煙が減少していることは歓迎しながらも、委員会は、アルコールの消費が相当に増加していることを依然として懸念する。 61.思春期の健康と発達に関する一般的意見4号(2003年)を参照しつつ、委員会は、締約国が、薬物、アルコールおよび有害物質の濫用の悪影響に関する正確な情報が子どもに提供されることを確保するよう、勧告する。締約国は、このような濫用の有害な影響に関する当該情報が学校カリキュラムによりよい形で統合され、もってこのような濫用を防止するためのライフスキルが教えられることを確保するとともに、有害物質濫用を防止するためのメディアによる報道の増加を奨励するべきである。委員会はさらに、締約国が、秘密が守られる依存症のカウンセリングおよび治療に子どもが十分にアクセスできることを確保するよう、勧告する。 母乳育児 62.委員会は、締約国における母乳育児率の低下に留意しつつも、調製粉乳および離乳期用調製粉乳に関する欧州委員会指令(2006年)の採択のような、母乳育児を促進するための取り組みを歓迎する。しかしながら委員会は、生後6か月間の完全母乳育児率を上昇させるために行なわれている努力が十分ではない可能性があることを懸念するものである。 63.委員会は、締約国が、資料にアクセスできるようにし、かつ母乳育児の重要性および調製粉乳の利用のリスクについて公衆の教育および意識啓発を図ることにより、完全母乳育児および母乳育児の継続を促進するための努力を強化するよう勧告する。委員会は、締約国に対し、「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」を厳格に執行するよう促すものである。 生活水準 64.委員会は、子どもの貧困率および貧困リスク率が高く、かつ、ひとり親家族、大家族および民族的マイノリティの背景を有する家族の子どもが(とくに成人が失業しておりまたは不安定な就労状況にある場合に)とりわけ影響を受けていることを懸念する。さらに委員会は、失業扶助と関連する義務の不遵守があった場合に制裁を課すという、制定法により定められた慣行が、家族または失業中の青少年に対して制裁が課された場合には子どもの生活水準に影響を与える可能性があることを懸念するものである。 65.委員会は、締約国が、子どもの貧困の根本的原因に取り組むために必要な資源の配分および追加的努力を行なうとともに、家族がとりわけ貧困に陥りやすい地域の包括的評価を実施し、かつ適切な是正戦略の策定および実施を進めるよう勧告する。委員会はさらに、締約国が、すべての子どもが十分な生活水準を享受することを確保する目的で、経済的に不利な立場に置かれた家族への物質的援助および支援を増強するよう勧告するものである。 G.教育、余暇および文化的活動(条約第28条、第29条、第30条および第31条) 教育(職業訓練および職業指導を含む) 66.委員会は、教育分野についての責任がほぼ完全に州にあることに留意する。しかしながら委員会は、さまざまな制度の調和が図られておらず、重要な分野で州による差異が生じていることを懸念するものである。委員会はまた、ほとんどの州で学校制度が初等学校、中間学校および進学学校に分類されていることにも留意するとともに、選択を非常に低い年齢で行なわれなければならず、かつその後に進路を変更するのは難しい場合があることを懸念する。委員会はまた、民族的マイノリティの背景を有する子どもの学校における成績が他の子どもよりも相当に低いことも遺憾に思うものである。民族的マイノリティの背景を有する子どもは、民族的マイノリティの背景を有しない生徒と比較して、修了資格を得ないまま学校を離れる人数が2倍にのぼる。 67.教育の目的に関する委員会の一般的意見1号(2001年)、および、2006年のドイツ訪問についての報告書(A/HRC/4/29/Add.3)のなかで教育への権利に関する特別報告者が行なった勧告を考慮しつつ、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 州の間で生徒が移動することの便宜を図るため、すべての州の間で学校プログラムをいっそう調和させるために必要な措置をとること。 (b) 生徒が非常に早い段階でさまざまな進路に分離させられる現行教育制度の見直しを実施し、かつ教育制度をいっそうインクルーシブなものとすること。 (c) 民族的マイノリティの背景を有する子どもに対して学校施設のなかで追加的支援を提供するための十分な人的資源、技術的資源および財源を配分すること。 H.特別な保護措置(条約第22条、第30条、第32~33条、第35~36条、第37条(b)~(d)、第38条、第39条および第40条) 子どもの庇護希望者および難民 68.委員会は、条約第22条について締約国が行なった宣言の撤回を歓迎するとともに、締約国が、多くの国からやってきた数千人の子どもの庇護希望者および子どもの難民を受け入れていることに留意する。しかしながら委員会は、以下のことを依然として懸念するものである。 (a) 庇護手続法において、16歳の子どもは自ら庇護手続を開始する行為能力があると定められていること。その結果、実際には、16歳以上の子どもが、青年福祉サービスによる全面的保護の利益をしばしば享受できず、かつ成人の庇護希望者を収容するために設計されたセンターに措置されていること。 (b) 締約国における年齢鑑別手続で、品位を傷つけるおよび屈辱的な慣行が行なわれる可能性があり、かつ正確な結果が出ていないこと、および、子どもの庇護希望者および難民の相当数が成人と判断されていること。 (c) 子ども兵士または強制徴募を逃れてきた子どもの特定に欠陥があり、かつこのような事案で庇護申請が却下されるために、これらの子どもの保護のニーズに関して十分な評価が行なわれず、かつこれらの子どもに適切な注意が向けられないこと。 (d) 子どもに言い渡された退去強制が実行されるまでの収容が最長18か月まで継続しうること。これは、自己の最善の利益を第一次的に考慮される権利を直接侵害するものである。 69.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 18歳未満のすべての子どもに対し、平等のかつ子どもにやさしい取扱いを確保すること。 (b) 出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する一般的意見6号(2005年)で勧告されているとおり、子どもの庇護希望者および難民に適用される年齢鑑別手続が、科学的に承認された手法を基盤とし、かつ子どもの尊厳を全面的に尊重するものであることを確保すること。 (c) 子ども兵士および徴募される危険がある子どもの保護のニーズの評価を向上させ、かつこれらの子どもが十分な心理的および社会的支援を得られることを確保する目的で、このような子どもの特定を向上させ、かつこれらの子どもに難民資格が付与されることを確保すること。 (d) 子どもの庇護希望者および移住者の収容が、条約第37条(b)にしたがい、常に最後の手段としてかつもっとも短い適当な期間で用いられること、および、当該収容が期間の制限および司法審査に服することを確保すること。 移住の状況にある子ども 70.委員会は、締約国のさまざまなサービス施設が、その知るところとなった者であって在留許可を得ていないすべての者(子どもを含む)について出入国管理機関に通知する、連邦法上の義務を負っていることを懸念する。実際上、これにより、在留資格が非正規な状態にある子どもが、とくに退去強制につながる可能性がある非正規な地位が発覚することを恐れて、サービス事務所への接触をためらうことになっている。 71.委員会は、締約国に対し、すべてのサービス施設に対して課された、非正規移住の状況にあるいかなる子どもについても出入国管理機関に通知する制定法上の義務を廃止するよう促す。 人身取引 72.委員会は、在留法において、子どもを含む人身取引被害者への在留許可の付与について法執行機関への協力が条件とされていることを懸念する。 73.委員会は、締約国が、人身取引の被害を受けた子どもに対する在留許可の付与と結びついたいかなる条件も撤廃するため、在留法を改正するよう勧告する。 少年司法の運営 74.委員会は、拘禁中の子どもを24歳以下の者とともに収容することを禁じた法改正に、満足感とともに留意する。しかしながら委員会は、すべての州が「最後の手段としての自由剥奪」の原則を適用しているわけでないことを遺憾に思うものである。 75.前回の勧告(CRC/C/15/Add.226、パラ61)にのっとり、委員会は、自由の剥奪があらゆる場合に最後の手段として、かつ可能なもっとも短い期間で用いられるべきことを勧告する。これとの関連で、委員会は、締約国が、保護観察または地域奉仕命令のような代替的刑の可能性を拡大するため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告するものである。 武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書に基づく締約国の第1回報告書に関する総括所見(CRC/C/OPAC/DEU/CO/1)のフォローアップ 76.委員会は、武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書に関わる委員会の前回の勧告を実施するために締約国が行なった努力を歓迎する。しかしながら委員会は、以下の問題について懸念を覚えるものである。 (a) 訓練目的での軍への志願入隊に関する最低年齢が17歳であること。さらに、志願入隊した子どもは、試用期間終了後に脱退を決めた場合に訴追の対象とされるおそれがある。 (b) 軍のための広告キャンペーンの一部がとくに子どもを対象としており、かつ、軍の代表が時として学校の場にいて生徒に話をしたり活動を組織したりしていること。 (c) 子どもが徴募されもしくは敵対行為において使用されていることがわかっているまたはその可能性がある国が最終目的地である場合における武器の販売を明示的に禁止する法律上の規定がないこと。 77.委員会は、前回の勧告(CRC/C/OPAC/DEU/CO/1)をあらためて繰り返すとともに、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 軍への入隊に関する最低年齢を18歳に引き上げること。 (b) 子どもを対象とした、ドイツ軍のためのあらゆる形態の広告キャンペーンを禁止すること。 (c) 武器の移転に関して最大限の透明性を確保するとともに、子どもが徴募されもしくは敵対行為において使用されていることがわかっているまたはその可能性がある国が最終目的地であるおそれがある場合の武器の販売を法律で明示的に禁止すること。 78.委員会は、締約国刑法第8条に掲げられた戦争犯罪に関する規定、および、15歳未満の子どもが軍隊または武装集団に徴募された場合は域外裁判権を行使できる旨の締約国の発言に、満足感とともに留意する。委員会は、15~17歳の子どもについても裁判権を設定できることには留意しながらも、これが双方可罰性の条件に服することを遺憾に思うものである。 79.委員会は、締約国が、子どもの徴募および敵対行為における子どもの使用の防止を目的とした国際的措置をさらに強化するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、子どもを徴募することおよび敵対行為に関与させることに関する犯罪についての域外裁判権を、双方可罰性の条件に服させることなく拡大することを検討することも、勧告するものである。 I.国際人権文書の批准 80.委員会は、子どもの権利の充足をさらに強化する目的で、締約国が、まだ当事国となっていない中核的人権文書、とくに経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約の選択議定書およびすべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約を批准するよう、勧告する。 J.地域機関および国際機関との協力 81.委員会は、締約国が、締約国および他の欧州評議会加盟国の双方における子どもの権利条約その他の人権文書の実施に向けて、欧州評議会と協力するよう勧告する。 K.フォローアップおよび普及 82.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を国家元首、議会、関連省庁、最高裁判所ならびに連邦、州および地方の公的機関に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 83. 委員会はさらに、条約および選択議定書ならびにそれらの実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、第3回・第4回定期報告書、締約国の文書回答およびこの総括所見を、インターネット等を通じ(ただしこれに限るものではない)、公衆一般、市民社会組織、メディア、若者グループ、専門家グループおよび子どもが同国の言語で広く入手できるようにすることを勧告する。 L.次回報告書 84.委員会は、締約国に対し、次回の第5回・第6回統合定期報告書を2019年4月4日までに提出し、かつ、この総括所見の実施に関する情報を当該報告書に記載するよう慫慂する。委員会は、2010年10月1日に採択された委員会の条約別調和化報告ガイドライン(CRC/C/58/Rev.2 and Corr.1)に対して注意を喚起するとともに、締約国が、今後の報告書は当該ガイドラインにしたがうべきであり、かつ60ページを超えるべきではないことを想起するよう求めるものである。委員会は、締約国に対し、当該ガイドラインにしたがって報告書を提出するよう促す。2012年12月20日の総会決議67/167にしたがい、ページの制限を超えた報告書が提出された場合、締約国は、前掲ガイドラインにしたがって報告書を見直し、かつその後再提出するよう求められることになる。委員会は、締約国に対し、報告書を見直しかつ再提出することができないときは、条約機関による審査のための報告書の翻訳は保障できないことを想起するよう、求めるものである。 85.委員会はまた、締約国に対し、2006年6月の第5回人権条約機関委員会間会合で承認された統一報告ガイドライン(HRI/GEN/2/Rev.6, chap. I)に掲げられた共通コア・ドキュメントについての要件にしたがい、最新のコア・ドキュメントを提出することも慫慂する。 更新履歴:ページ作成(2014年5月6日)。/パラ18の「ドイツ人権機関」を「ドイツ人権研究所」に修正(2019年5月14日)。
https://w.atwiki.jp/monosepia/pages/3472.html
最近のお勧め記事 / イーグルヒット CLUB G-1 昨日、こんな報道があった。 ソロス氏、「通貨戦争」懸念は的外れでない-中国は国際金融で責任を 資産家ジョージ・ソロス氏は、「通貨戦争」への懸念を自分も抱いているとし、中国は国際金融システムにおける責任を自覚し一段の措置を取る必要があるとの見解を示した。 ソロス氏は英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)への寄稿で「通貨の不均衡をめぐって高まりつつある懸念をわたしも共有している」とし、「ブラジル財務相が潜伏期の通貨戦争に言及したが、発言は的外れではないと思う。外為市場はさまざまな経済政策と異なる経済・政治システムがかかわりあい衝突する場だからだ」と書いている。 また、「意識しているかどうかにかかわらず、中国は世界のリーダーの一国になった」として、中国が「リーダーとしての責任を果たさなければ、外国為替システム崩壊の恐れが生じ、世界経済もともに崩壊するだろう」としている。 一方で、対中制裁法案可決などの米国の行動については、単独の行動は逆効果を生む可能性があるとして、「為替相場の調整は、世界の不均衡を是正する国際協調に基づく計画の一環でなければならない」と論じた。【ブルームバーグ 10/08 20 27】 ソロスの発言のポイントは、<中国が「リーダーとしての責任を果たさなければ、外国為替システム崩壊の恐れが生じ、世界経済もともに崩壊するだろう」>ということである。 単純な味方では、人民元をあげろ、ということであるが、むしろ後半の文脈である「為替相場は破綻し、世界経済は破綻するだろう」という予言である。 中国がリーダーになるということは米国がその座を降り、ドル体制は終わりを迎えるということである。 再三述べてきていることだが、中国がリーダーになろうがならまいが、この既存の体制が限界にきていることを露呈しているのが、現在の世界経済の状況である。 中国が主導する為替や通貨体制がモデルとなるとするならば、それは管理型の通貨体制となり、もはや自由主義的市場はなくなることを意味する。 世界経済の破綻は一度、そのような過程を経て、再構築されていくものであろう。 場合によっては、通貨戦争が、本当に戦争になることを覚悟しなくてはならない時期に来ているのである・・・。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/135.html
総括所見:ウクライナ(第1回・1995年) 第2回(2002年)/第3回・第4回(2011年)OPSC(2007年)/OPAC(2011年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/15/Add.42(1995年11月27日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、1995年11月2日および3日に開かれた第239回、第240回、第241回および第242回会合(CRC/C/SR.239-242)においてウクライナの第1回報告書(CRC/C/8/Add.10/Rev.1)を検討し、下記の所見を採択した(注)。 (注)1995年11月17日に開かれた第259回会合において。 A.序 2.委員会は、ウクライナ政府に対し、第1回報告書の提出および開かれたかつ実りのある対話に関して謝意を表する。委員会は、議論が率直かつ協力的な雰囲気で行なわれ、その中で、締約国の代表が、政策および事業の方向性のみならず、条約の実施の過程で直面した問題点についても明らかにしたことに、心強さを感ずるものである。 B.積極的な側面 3.委員会は、現在の政治的移行期における子どもの状況に政府が関心を払っていることに留意する。 4.委員会は、子どもの問題および子どもの権利に関する問題に対処するための機構、とくに、「保健、母親および児童福祉に関する議会委員会」およびその下部機関ならびに地域支部、および、「女性、母親および子どもの問題に関する大統領委員会」の設置を歓迎する。 5.委員会は、子どもの権利の促進および保護を狙って法改正の分野で政府が行なっている重要な法改正の取組み、とくに、子どもの権利の導入を目的とした憲法改正、および、家族法ならびに刑法のような法律の改正の取組みに、評価の意とともに留意する。 6.委員会は、また、締約国で子どもの権利を効果的に実施することを狙った多くの国家的事業を政府が採択したこと、および、「保健、母親および児童福祉に関する議会委員会」の提唱によって子どもを支援する任意基金が設置されたことも歓迎する。 C.条約の実施を阻害する要因および困難 7.委員会は、現在の政治的移行期にあって、かつ、社会的変化および深刻な経済危機にあってウクライナが直面している問題点に留意する。委員会は、また、移行期にある経済に関わる諸問題、および、貧困の増大および失業の増加にともなって多くの子どもの状況が悪化していることにも留意する。委員会は、締約国がチェルノブイリ原発事故の悪影響、とくに環境に対する悪影響および子どもを始めとする民衆の身体的および心理的健康に取り組むに当たって、大きな困難を経験していることを認識する。 D.主要な懸念事項 8.委員会は、国内法、措置および事業が条約の規定および原則と全面的に両立するかどうかという点に関して、懸念を表明する。このことは、とくに、婚姻年齢が男女によって異なるという点も含めた差別の禁止の原則(第2条)、子どもの最善の利益(第3条)、および、自己に関わるすべての決定において意見を表明する子どもの権利(第12条)の諸原則に関していえるものである。委員会は、また、義務教育の修了年齢(15歳)および最低労働年齢(16歳)との間に立法上の格差があることにも留意する。 9.委員会は、子どもの経済的、社会的および文化的権利の実施のための予算配分が不充分であることを懸念する。 10.委員会は、調整および監視のための効果的な機構が必要であることに対して充分な関心が払われていないことを懸念する。このような機構は、条約が対象とするあらゆる領域、ならびに、ひとり親家族の子ども、離婚した父母の子ども、遺棄された子どもおよび施設に措置された子どもを含むあらゆる集団の子どもに関するデータおよび指標を体系的かつ包括的に集積することのできるものであるべきである。このような機構は、政府が懸念される領域を特定することを可能にし、かつ、それに取り組む戦略を決定する一助となるであろう。 11.委員会は、子ども、とくに新生児の遺棄率が高いこと、および、弱い立場に置かれている家族を援助するための包括的な戦略が存在しないことを心配する。このような状況は、不法な国際養子縁組または他の形態の子どもの人身売買につながる可能性がある。この流れで、委員会は、また、子どもの人身売買を禁止する法律がまったく存在しないこと、および、アイデンティティを保全する子どもの権利が法律によって保障されていないことも懸念する。 12.委員会は、子どもの健康状況、とくに、チェルノブイリ原発事故以後の子どもの健康状況、幼児死亡率が高いこと、予防保健よりも事後の治療の方が優先されているように思えること、母乳育児の普及率が低いこと、中絶の数が多いことならびに家族計画に関する保健、教育およびサービスが不充分であること、および、都市部と非都市部の間で保健システムに格差があることに、懸念を表明する。 13.委員会は、ソーシャルワークを導入したプログラムがウクライナに存在しないことを懸念する。とくに、委員会は、障害児の施設措置、処遇および保護に関する状況について懸念を表明するものである。施設措置に代わる選択肢は充分に考慮に入れられていない。障害児を家で育てている親に対する支援サービスも不充分である。 14.委員会は、学校または子どもが措置される可能性のある施設における子どもの不当な取扱いを効果的に防止し、かつ、それと闘うための適切な措置がとられていないことに遺憾の意を表明する。委員会は、また、家庭内における児童虐待および子どもへの暴力が大規模に存在すること、および、現行の法律およびサービスではこの点で充分な保護が与えられていないことに、深い懸念を抱くものである。子どもの性的搾取の問題も特段の関心を必要とする。 15.委員会は、子どもの権利条約に関して、全国的な広報および普及の戦略が存在しないことを懸念する。 16.少年司法の運営の分野における現在の状況は、委員会の懸念するところである。 E.提案および勧告 17.委員会は、ウクライナ政府に対し、法的枠組みの見直しを続行し、そのことによって、条約を全面的に反映し、ウクライナの管轄下にあるすべての子どもに関して子どもの権利が実現されるようにし、かつ、子どもの権利条約の規定および原則、とくに差別の禁止(第2条)、子どもの最善の利益(第3条)、生命、生存ならびに発達への権利(第6条)、自己に関わるすべての決定において意見を表明する子どもの権利(第12条)の諸原則との全面的両立を確保するよう奨励する。委員会は、義務教育年齢および最低雇用年齢に関する法律を修正すること、および、婚姻年齢を男女とも同じにすることを提案する。 18.委員会は、締約国が、子どもに関する包括的な政策を発展させ、かつ、締約国における子どもの権利条約の実施状況を効果的に評価できるようにすることを目的として、全国および地方のいずれのレベルでも、子どもの権利に関わるさまざまな政府機関間の調整を強化するよう勧告する。 19.委員会は、締約国が、もっとも脆弱な立場に置かれた集団の子どもに関するものを始めとして、条約が対象としているさまざまな領域について、子どもの状況に関するあらゆる必要な情報を集めるよう勧告する。 20.委員会は、ウクライナ政府に対し、条約第4条を全面的に実施することに特段の関心を払うよう、かつ、中央、地域および地方のレベルで資源の公正な配分が行なわれるようにするよう奨励する。経済的、社会的および文化的権利の実施のための予算配分は、市場経済への移行期にあたって、入手可能な資源を最大限に用いることにより、かつ、子どもの最善の利益を踏まえて確保されるべきである。 21.委員会は、条約の規定および原則が大人によっても子どもによっても同様に広く知られ、かつ、理解されるようにするためには、条約を踏まえて、系統的かつ継続的な措置が必要であるとの見解をとるものである。ウクライナのマイノリティによって話されているすべての言語で子どもの権利条約が入手できるようにするべきであり、かつ、子どもとともに働いているすべての専門職集団(裁判官、教師、ソーシャルワーカー、法執行官など)に対して具体的な研修が行なわれるべきである。国連人権教育の10年を踏まえ、条約を学校のカリキュラムに導入することにも関心が払われるべきである。委員会は、締約国に対し、子どものためのオンブズマン、またはそれに類する苦情申立ておよび監視のための恒久的かつ独立の機構を設置することをさらに検討するよう奨励する。子どもの権利の促進に子ども自身が参加することは、とくに地域レベルではきわめて重要である。 22.条約第2条を踏まえ、マイノリティ集団に属している子ども、農村部で暮らしている子ども、ロマの子どもおよびHIV/エイズに感染している子どもに対する差別的な態度または偏見の悪化を防止するための措置がとられるべきである。 23.委員会は、とくに農村部において、プライマリーヘルスケア活動にもっと力点が置かれることを希望するものである。この活動には、家族教育、家族計画、性教育および母乳育児の利点などの問題を対象とした教育的プログラムの発展などが含まれることになろう。 24.委員会は、チェルノブイリ原発事故の悪影響に対処するための措置、とくに社会分野、健康分野および環境分野の措置に対する国際的な支援を奨励する。 25.委員会は、家族の重要な役割および両親の平等の責任に関する意識を発展させるために、さらなる取組みが必要であると考えるものである。子どもの養育責任を果たすにあたって両親を援助するシステムを強化するため、さらなる措置がとられるべきである。 26.子どもの遺棄および中絶の発生率が高いことを踏まえ、委員会は、締約国が、脆弱な立場に置かれている家族がその子どもを支える援助をするための戦略および政策を採択するよう勧告する。現行の社会保障制度および家族計画事業が充分かどうか、評価が行なわれるべきである。委員会は、また、地域の強化および人的資源の動員を目的として、ソーシャルワーカーの研修を行なうよう勧告する。 27.委員会は、締約国に対し、たとえば指導ならびに相談、里親託置および教育ならびに職業訓練プログラムを通じて、施設措置に代わる可能な選択肢を構想しかつ利用できるようにする方向で、施設の子どもの状況に取り組むよう奨励する。委員会は、また、施設に措置されている子どもの権利の実現を効果的に監視する機構の設置も勧告する。 28.子どもの人身売買に関して、委員会は、政府に対し、この不法な活動を明確に禁止し、かつ、アイデンティティを保持する子どもの権利が全面的に保障されるようにするよう奨励する。委員会は、また、締約国が、国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約の批准を検討するよう勧告するものである。 29.委員会はさらに、拷問または他の残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いもしくは刑罰の明確な防止および禁止、および、家庭内の体罰の禁止が国内法に反映させるよう提案する。委員会はまた、過程の内外を問わず、虐待および残虐な扱いの苦情申立てを監視する手続および機構を発展させるようにも提案するものである。条約第39条を踏まえ、いかなる形態であれ放任、虐待、搾取、拷問または不当な取扱いの犠牲となった子どもの身体的ならびに心理的回復および社会的再統合が、子どもの健康、自尊心および尊厳を促進するような環境下で行なわれるようにするために、特別プログラムを創設することが求められる。 30.委員会は、締約国が、少年の矯正労働収容所の管轄を、内務省から、子どもの権利の促進および保護を確保するために最もふさわしいと考えられる機関に移す可能性を検討するよう勧告する。 31.少年司法の運営の分野では、委員会は、現在行なわれている法改正において子どもの権利条約、とくにその第37条、第39条ならびに第40条を全面的に考慮に入れること、および、北京規則、リャド・ガイドラインおよび自由を奪われた少年の保護に関する国連規則など、この分野の他の関連国際国際基準を改正の指針とすることを勧告する。少年非行の防止、自由を奪われた子どもの権利の保護、少年司法制度のあらゆる側面における基本的権利ならびに法的保護の尊重、および、少年裁判官の全面的独立および公正に関して、特段の関心が払われるべきである。少年司法制度に関わるすべての専門職、とくに裁判官、法執行官、矯正施設職員およびソーシャルワーカーを対象に、関連の国際基準に関する研修プログラムが組織されるべきである。 32.委員会は、締約国に対し、締約国報告、委員会における同報告の議論の議事要録、および、報告の検討の結果委員会が採択した総括所見を、広く普及するよう奨励する。委員会は、また、これらの文書に議会の注意を促し、かつ、そこに掲げられた行動のための提案および勧告をフォローアップするよう提案したい。これとの関連で、委員会は、非政府組織との協力を追求するよう提案する。 更新履歴:ページ作成(2011年1月4日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/219.html
総括所見:スペイン(第2回・2002年) 第1回(1994年)/第3回・第4回(2010年)OPAC(2007年)/OPSC(2007年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/15/Add.185(2002年6月13日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2002年6月4日に開かれた第798回および第799回会合(CRC/C/SR.798 and 799参照)において、1998年10月12日に提出されたスペインの第2回定期報告書(CRC/C/70/Add.9)を検討し、以下の総括所見を採択した(注)。 (注)2002年6月7日に開かれた第804回会合において。 A.序 2.委員会は、報告ガイドラインにしたがった締約国の第2回定期報告書の提出を歓迎するものの、事前質問事項(CRC/C/Q/SPA/2)に対する文書回答の提出が遅れたことは遺憾に思う。さらに委員会は、さまざまな省庁および部門を代表する大規模なかつ高位の代表団が締約国によって派遣されたこと、ならびに、議論の際に行なわれた提案および勧告に対して前向きな反応があったことを、歓迎する。 B.積極的側面 3.委員会は、委員会に提出された第1回報告書の審査(1994年)以降に締約国によって行なわれた大いなる進展および達成を歓迎する。委員会は、締約国が、子どもの権利の保護および促進を社会における一般的原則としたことに、評価の意とともに留意するものである。 4.委員会は、前回の勧告(CRC/C/15/Add.28(1994年10月24日)、パラ18)にしたがい、国内法が条約の規定にいっそう一致することを確保するために国および自治州のレベルで採択された新法を歓迎する。とくに委員会は、未成年者の法的保護に関する1月15日の組織法第1/1996号、民法および民事訴訟法の部分改正(未成年者保護法)、未成年者の刑事責任に関する1月12日の組織法第5/2000号、ならびに、性的不可侵性に対する犯罪(法律第11/1999号)および不当な取扱いの被害者の保護(法律第14/1999号)に関わる刑法改正に留意するものである。 5.委員会は、調整機構に関する前回の勧告(前掲パラ12)にしたがい、締約国が1999年に子どものための監視機関を設置したことに、満足感とともに留意する。委員会はさらに、いくつかの自治州が子どもについてとくに責任を負う機関またはサービスを設置し(とくに、アンダルシア州の子ども問題評議会、バレアレス諸島の子どもの権利擁護事務所、カスティーリャ=ラ・マンチャ州の州子どものケア調整委員会およびマドリード州の子ども家族機関)、かつ、子どもの権利のための自治体ネットワークが1996年に設置されたことに、留意するものである。 6.委員会は、国および自治州のレベルで実施されている子どものためのさまざまな社会プログラムおよび社会政策、社会サービスの提供および貧困根絶のためのプログラムおよび政策、特別な状況に置かれた家族を支援するためのプログラム、ならびに、前回の勧告(前掲パラ21)にしたがって策定された国家社会的包摂行動計画(2001年)および包括的家族支援計画(2001~2004年)に留意する。 7.委員会は、子どもに関連する問題を担当し、かつ苦情を受理する子どもできる、護民官(オンブズマン)補佐の職が設置されたことを歓迎する。委員会はさらに、子どもの権利侵害に対応するさまざまな独立機関が自治州レベルで設置されていることにも留意するものである。 8.前回の勧告(前掲パラ20)にしたがい、委員会は、法律第1/1996号に掲げられた国際養子縁組事案における保護措置が改善されたこと、および、国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約(1993年)が批准されたことを歓迎する。 9.委員会は、締約国が、前回の勧告(前掲パラ15)にしたがい、子どもの分野における開発途上国への援助を増額したことに満足感とともに留意し、かつ、とくに、2000~2001年の期間、スペインが国際児童労働撤廃計画(IPEC)への第3位拠出国であったことに留意するものである。 10.委員会は、スペインが欧州諸国では初めて子どもの権利条約の選択議定書を双方とも批准したことに、評価の意とともに留意する。委員会はさらに、スペインが最悪の形態の児童労働条約(1999年、第182号)を批准したことに留意するものである。 C.主要な懸念領域および勧告 1.実施に関する一般的措置 委員会の前回の勧告 11.委員会は、締約国の第1回報告書(CRC/C/8/Add.6)の検討後に委員会が行なった懸念表明および勧告の一部、とくにパラ12(調整)、18(立法)、22(子どもの庇護希望者および保護者のいない子ども)および23(すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約の批准)に掲げられたものへの対応が不十分であることを遺憾に思う。これらの懸念および勧告はこの文書においてあらためて繰り返されているところである。 12.委員会は、締約国に対し、第1回報告書に関する総括所見に掲げられた勧告のうち未実施のものに対応し、かつ第2回定期報告書に関するこの総括所見に掲げられた一連の懸念に対応するため、あらゆる努力を行なうよう促す。 立法 13.委員会は、子ども法の分野における今後の進展は、法的文書で宣明された権利の行使の真の保障の分野で見られなければならない(条約が実体法の一部であることをより明示的に承認すること、および、法的手続における条約の引用がさらに広がることを含む)という、締約国が表明した懸念(CRC/C/70/Add.9、パラ103)を共有する。 14.委員会は、締約国に対し、権利基盤アプローチを用いながら、かつ条約に一致する形で、法律を全面的に実施するよう奨励する。 調整および包括的戦略 15.委員会は、子どものための監視機関の活動等を通じて調整を向上させるために締約国が行なった努力は認めながらも、国および自治州の双方のレベルで統合的な行動を確保するために、子どもに関する部門横断型の政策を策定し、かつ調整を向上させる必要があるという、締約国が提起した懸念(前掲パラ128-129)を共有する。委員会はさらに、子どもに関する包括的政策が定められていないことにも、懸念とともに留意するものである。 16.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 前回勧告されたとおり(CRC/C/15/Add.28、パラ12)、子どもの〔権利の〕促進および保護のための政策の実施における、国、広域行政圏および地方のレベルの政府機関内およびこれらの政府機関間の効果的調整を強化すること。 (b) 条約の原則および規定に基づき、子どもに関する包括的政策を立案すること。 (c) 子どもに関する部門横断型の政策を策定しかつ執行すること。 子どものための資源 17.委員会は、均衡のとれた資源の再配分が中央、広域行政圏および地方のレベルにおいてまだ行なわれていないこと、ならびに、社会でもっとも周縁化された集団(とくに貧困家庭、ひとり親家庭、ロマの子どもおよび移民家族の子ども)に対し、すべての自治州が同一水準の社会政策および社会サービスを提供しているわけではないことに、懸念とともに留意する。委員会は、保護者のいない子どもの移民との関連でセウタおよびメリリャの両自治市に影響を与えている予算上の問題に、特段の懸念とともに留意するものである。 18.条約第4条に照らし、かつ前回の勧告(前掲パラ14)にしたがって、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう奨励する。 (a) とくに保健、教育およびその他の社会福祉サービスの分野において、条約の規定の実施に関する全国的な最低基準および当該実施への資源配分を確立することにより、すべての子どもが、たとえばその居住地に関わらず同一の水準のサービスに平等にアクセスできることの保障が可能となる方法を検討すること。 (b) とくに社会でもっとも脆弱な立場に置かれた集団に属する子どもを対象として、子どもの経済的、社会的および文化的権利の全面的実施のために、利用可能な資源を最大限に用いて資金が配分されることを確保する目的で、子どもの権利に関わる問題についての優先的課題を明確に特定すること。 (c) 子どもに関する支出の影響および効果を評価する目的で、国、広域行政圏および地方のレベルで子どもに支出されている予算の額および割合を明らかにすること。 データ収集 19.委員会は、子どもの保護に関する基礎統計および子どもに関するデータベースの創設、ならびに、システムを自治州と調和させるために子どものための監視機関が行なっている努力は歓迎しながらも、各自治州でさまざまなシステムおよび指標が用いられていることもあって情報が断片化していることを、依然として懸念する。 20.前回の勧告(前掲パラ13)にしたがい、委員会は、締約国が以下の措置をとるべきである旨の勧告をあらためて繰り返す。 (a) もっとも脆弱な立場に置かれた集団(ロマの子ども、移民家族に属する子ども、保護者のいない子どもの移民ならびに経済的および社会的に不利な立場に置かれた世帯の子どもを含む)をとくに重視しながら、条約が対象とするすべての分野について、18歳未満のすべての子どもに関する細分化されたデータを体系的に収集しかつ分析する機構を強化すること。 (b) 条約の実施および監視を目的とする政策およびプログラムの立案および評価のために、これらの指標およびデータを効果的に活用すること。 普及 21.NGOおよびメディアの間で条約を普及するための努力には評価の意とともに留意しながらも、委員会は、とくに条約の法的義務に関する理解を向上させるため、子どもの権利に関する、子どもおよび公衆一般を対象とした教育ならびに専門家集団を対象とした研修活動に対して継続的注意を払う必要があると考える。 22.前回の勧告(前掲パラ16)にしたがい、委員会は、締約国が以下の措置をとるべきである旨の勧告をあらためて繰り返す。 (a) スペインで話されているさまざまな言語(移民の子どもの言語を含む)に翻訳された、とくに子どもを対象とする適切な資料を含め、子どもおよびより広範な公衆の双方に対して条約を普及するための努力を継続しかつ強化すること。 (b) 子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家集団(裁判官、弁護士、法執行官、公務員、教員、保健従事者およびソーシャルワーカーなど)を対象とした、条約の原則および規定に関する体系的な教育および研修プログラムを実施すること。 2.子どもの定義 23.委員会は、最低婚姻年齢が低い(裁判官の許可により14歳とされる場合もある)こと、および、さまざまな自治州で身分事項に関する最低年齢がまちまちであることに、懸念を表明する。 24.委員会は、締約国が、最低婚姻年齢を引き上げ、かつさまざまな自治州における身分事項関連の最低年齢を調和させる目的で、法律を見直すよう勧告する。 3.一般原則 一般原則 25.委員会は、差別の禁止、子どもの最善の利益、子どもの生命、生存および発達に対する権利ならびに子どもの意見の尊重の原則が、締約国の法律ならびに行政上および司法上の決定、ならびに、子どもに関連する国および地方双方のレベルの政策およびプログラムに、全面的には反映されていないことを懸念する。 26.委員会は、締約国が以下の措置をとるべきである旨の前回の勧告(前掲パラ11)をあらためて繰り返す。 (a) 条約の一般原則、とくに第2条、第3条、第6条および第12条を、子どもに関わるあらゆる関連の法律に適切な形で統合すること。 (b) 政治上、司法上および行政上のすべての決定、ならびに、すべての子どもに影響を及ぼす可能性があるプロジェクト、プログラムおよびサービスにおいて、これらの原則を適用すること。 (c) あらゆるレベルの計画および政策立案、ならびに、社会保健福祉機関、教育機関、裁判所および行政機関によるあらゆる行動において、これらの原則を適用すること。 差別の禁止 27.委員会は、差別の禁止の原則が、ロマ系の子ども、移住労働者の子ども(とくに合法的移民ではない場合)および保護者のいない外国籍の子どもを対象として、とくに十分な保健ケアおよび教育のための便益へのこれらの子どもによるアクセスとの関連で全面的には実施されていないことを、懸念する。 28.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 差別にさらされている子ども、とくに脆弱な立場に置かれた前掲の集団に属する子どもの状況を監視すること。 (b) このような監視の結果に基づき、あらゆる形態の差別の解消を目的とした、具体的かつ十分に的を絞った行動を掲げる包括的戦略を策定すること。 29.委員会は、2001年の「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択されたダーバン宣言および行動計画をフォローアップするために締約国がとった措置およびプログラムのうち子どもの権利条約に関わるものについての具体的情報を、条約第29条1項(教育の目的)に関する委員会の一般的意見1号も考慮に入れながら、次回の定期報告書に記載するよう要請する。 4.市民的権利および自由 体罰 30.前回の勧告(前掲パラ18)に照らし、委員会は、親は「その子に対して合理的にかつ適度に罰を与えることができる」と述べた民法第154条がまだ改正されていないことを深く遺憾に思う。委員会は、事前質問事項に対する締約国の回答で提供された、第154条を改正するための法律案が現在作成されている旨の情報を認知するものである。 31.委員会は、合理的懲戒への言及を削除するために第154条を改正するべきであるという前回の勧告をあらためて繰り返す。委員会はさらに、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 条約第19条に一致する形で、子どもの養育におけるあらゆる形態の暴力(体罰を含む)を禁止すること。 (b) 意識啓発キャンペーンを実施し、かつ家庭における代替的形態のしつけを促進すること。 5.家庭環境および代替的養護 家庭環境を奪われた子ども 32.委員会は、17の自治州で子どもの保護に関する異なる手続が定められていること、および、これらの手続が、とくに里親家庭に措置される子どもとの関連で、子どもの最善の利益と常に両立しているわけではないことに、懸念とともに留意する。委員会はさらに、法律に抵触していない子どもの保護を取り扱う家庭裁判所の数が不十分であること、および、司法手続への対応に時間がかかることに、留意するものである。 33.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どものための保護手続が最低限の共通の水準を有し、かつ子どもの最善の利益と両立することを確保すること。 (b) 家庭裁判所がその業務への対応をより迅速に行なえるよう、家庭裁判所にいっそうの人的資源および財源を提供すること。 家族再統合 34.委員会は、認定難民の家族再統合手続、とくに外務省による必要な査証および旅行証明書の発給手続に遅れが見られることに懸念を表明する。 35.条約第10条に照らし、かつ前回の勧告(前掲パラ22)にしたがって、委員会は、家族の再統合のための庇護の申請が積極的、人道的かつ迅速なやり方で扱われるべきである旨の勧告をあらためて繰り返す。 虐待およびネグレクト 36.委員会は、「社会的に困難な状況にある子どもの社会的ケア制度」が果たしている重要な役割を認知しながらも、ドメスティックバイオレンスが大規模に発生していること、ネグレクト、不当な取扱いおよび虐待の事案の発見および通報について標準化された手続が設けられていないこと、ならびに、被害者支援のためのサービスが限定されていることを、依然として懸念する。 37.条約第19条に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) これらの慣行の規模および性質を評価する目的で、ドメスティックバイオレンス、子どもに対する暴力、不当な取り扱いおよび虐待(性的虐待を含む)についての研究を行なうとともに、子どもに対する身体的および精神的暴力ならびにネグレクトの発生件数を記録するために創設された統計システムを実施すること。 (b) 十分な措置および政策(公的キャンペーンを含む)を採択して効果的に実施し、かつ態度の変革を奨励すること。 (c) 被害を受けた子どもの保護(プライバシーに対する権利の保護を含む)を向上させる目的で、ドメスティックバイオレンスならびに子どもの不当な取り扱いおよび虐待(家庭における性的虐待を含む)の事案を、子どもに配慮した調査手続および司法手続において効果的に調査すること。 (d) 条約第39条にしたがい、子どもに対し、法的手続における支援サービス、ならびに、強姦、虐待、ネグレクト、不当な取り扱いおよび暴力の被害者の身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための支援サービスを提供するための措置をとること。 (e) 「家庭および学校における子どもへの暴力」(CRC/C/111参照)ならびに「子どもに対する国家の暴力」(CRC/C/100参照)に関する一般的討議の際に採択された委員会の勧告を考慮すること。 6.基礎保健および福祉 思春期の健康 38.委員会は、薬物(とくに合成薬物)、アルコールおよび喫煙に依存する子どもおよび青少年の人数が多いこと、ならびに、アルコールおよびタバコの消費が社会的に容認されており、リスクとして認知されていないことに、懸念とともに留意する。委員会はさらに、10代の妊娠件数が増えていることに懸念を表明するものである。 39.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 防止措置ならびに合成薬物、アルコールおよびタバコの危険性に関する意識啓発に焦点を当てながら、国家薬物計画(2002~2008年)および自治州レベルのプログラムのような現行プログラムを執行すること。 (b) とくに性教育(コンドームの使用のような受胎調節措置を含む)を通じて、10代の妊娠および性感染症を含む思春期の健康問題に対処するための措置をとること。 (c) 精神保健サービスおよびカウンセリングサービスを、これらのサービスが青少年にとってアクセスしやすく、かつ青少年に配慮したものであることを確保しながら強化すること。 有害な伝統的慣行 40.委員会は、サハラ以南のアフリカ出身の女子に対し、スペインで女性性器切除が行なわれているという報告があることに懸念を表明する。 41.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) スペイン在住の女子に対してスペインまたは国外で行なわれている女性性器切除の規模および性質についての研究を実施すること。 (b) この慣行を防止するため、当該研究の結果を考慮しながら情報提供および意識啓発のためのキャンペーンを組織すること。 (c) これを禁止するために必要な措置をとること。 7.教育、余暇および文化的活動 教育 42.委員会は、以下のことに懸念とともに留意する。 (a) ロマの子ども、移民家族に属する子どもまたは劣悪な社会経済的状況に置かれた地域で暮らす子どもの怠学率および学校中退率が高く、かつこのような子どもの学校への統合が困難であること。 (b) 移民家族に属する一部の子ども(とくに女子)が、義務教育を修了しておらず、または通学に多大な困難を抱えていること。 (c) 学校でいじめがやや広範に行なわれていること。 (d) テロリズムが子どもの発達に悪影響を及ぼしていること。 43.委員会はさらに、良質教育法が策定中であることに留意する。 44.条約第28条および第29条に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) とくにロマの子どもおよび移民家族に属する子どもとの関連で、学校への定期的出席ならびに怠学率および中退率の削減を確保すること。 (b) 「家庭および学校における子どもへの暴力」についての一般的討議の際に採択された委員会の勧告に照らし、学校におけるイジメその他の形態の暴力を防止するための措置をとること。 (c) 教育過程において平和および寛容の文化が促進され、かつテロリズムが子どもの身体的および心理的ウェルビーイングに与える悪影響への対処が行なわれることを確保すること。 (d) 良質教育法の策定に際し、教育の目的に関する委員会の一般的意見1号を考慮すること。 8.特別な保護措置 保護者のいない外国籍の子ども 45.委員会は、とくにセウタおよびメリリャの両自治市における、保護者のいない外国籍の子ども(ほとんどはモロッコ人)の状況について深い危惧を覚える。とくに委員会は、以下のような報告があることに懸念を表明するものである。 (a) 出身国への強制送還の際、警察による子どもの不当な取扱いが行なわれており、かつ、子どもが法的援助および通訳にアクセスできないまま送還される場合があること。 (b) 法定後見人である社会福祉局が申請を行なわないため、これらの子どもに対し、法律で権利が認められている合法的な一時滞在資格が与えられていないこと。 (c) 入所センターが過密であり、かつその環境が良好ではないこと、ならびに、入所センターの職員および他の子どもによる不当な取扱いの事案が生じていること。 (d) 法律で保障されているのに、保健ケアおよび教育へのアクセスが否定されていること。 (e) 子どもが出身国の家族または社会福祉機関に実質的に戻されることを確保しないまま、子どもの即決追放が行なわれていること。 46.委員会は、締約国が、以下のことのために必要な措置を緊急にとるよう勧告する。 (a) 保護者のいない外国籍の子どもに入所型ケア、教育、緊急サービスその他の保健ケアおよび一時在留許可証を与えることにより、組織法第4/2000号その他の法律の実施を確保すること。 (b) セウタおよびメリリャの両自治市に対し、これらの子どものケアのために必要な財源および人的資源を提供すること。 (c) 子どもがスペインからモロッコに送還される場合、その子どもの養育に積極的な家族構成員または適切な社会サービス機関に戻されることを確保するため、モロッコ政府との調整を図ること。 (d) 保護者のいない外国籍の子どもの追放における不正規な手続を防止するためにあらゆる措置をとること。 (e) これらの子どもの不当な取扱いが報告された事案を効果的やり方で調査すること。 (f) 保護者のいない外国籍の子どもに対し、スペイン法および国際法上の権利(庇護を申請する権利も含む)についての情報を提供すること。 (g) 入所センターの環境および安全を向上させるためにあらゆる必要な措置をとり、かつ入所センター職員に対して十分な研修を実施すること。 (h) ケアを受けている子どもからの苦情を受理しおよびこれに対応し、ケアの水準を監視し、ならびに条約第25条に照らして措置の定期的再審査を確立するための効果的機構を設置すること。 (i) 前回勧告されたとおり(前掲パラ23)、すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約の批准を検討すること。 経済的搾取 47.委員会は、とくに家族事業および農業部門における児童労働の報告があることならびにこの問題に関する情報が欠けていることに、懸念を表明する。 48.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) スペインにおける児童労働、とくに家族事業および農業部門における児童労働の性質および規模を評価するため、「スペインにおけるさまざまな態様の少年の搾取に関する診断」について社会労働・社会問題省およびユニセフ・スペイン国内委員会が実施したもののような研究を行なうこと。 (b) これらの研究の結果に基づき、児童労働の防止および解消を目的とする具体的なかつ十分に的を絞った措置を掲げた、包括的な戦略を策定すること。 (c) 意識啓発活動および原因となる要因の発見を通じた、児童労働の防止および解消を目的とするプログラムを引き続き実施すること。 性的搾取 49.委員会は、大都市郊外および行楽地において、社会の外縁で生活している脆弱な立場に置かれた子どもを巻きこんだ児童買春が行なわれているという報告があることに懸念を表明する。 50.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) たとえ子どもが金銭もしくは脅迫による圧力のもとでまたはいわゆる「自由意思」によりそのような行為に同意した場合であっても、18歳未満のすべての者をあらゆる形態の性的搾取から保護すること。 (b) 性的虐待、売買春および児童ポルノからの保護のためのキャンペーンを組織すること。 (c) 子どもの商業的性的搾取に反対する国家行動計画(2002~2003年)を実施すること。 マイノリティ集団に属する子ども 51.「ジプシー住民のケア、排除の防止および統合に関する包括的な社会的介入」のためのプロジェクトおよび「ジプシー開発計画」のような、ロマの具体的ニーズに焦点を絞った締約国の政策には留意しながらも、委員会は、ロマの子どもが困難な社会的状況に置かれており、かつこれらの子どもによる教育制度へのアクセスが不十分であることを、依然として懸念する。 52.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう強く促す。 (a) ロマの子どもの状況に特段の注意を向けながら、マイノリティ集団のすべての子どもの権利の保障に関わる現行の法律および政策を改善し、かついっそう効果的に実施するための措置をとること。 (b) これらの政策の起案および実施に際し、マイノリティ出身者(子どもを含む)の参加を引き続き確保すること。 少年司法の運営 53.委員会は、未成年者の刑事責任に関する1月12日の組織法第5/2000号の採択およびその教育的性格を歓迎するものの、その効果的実施のためには追加的な人的資源および財源が必要であることに留意する。委員会はさらに、テロリズムに関する組織法第7/2000号により、テロリズムの罪に問われた子どもの警察留置期間および収監刑期(最長10年)が延長されたことに、懸念とともに留意するものである。委員会はまた、自由の剥奪が最後の手段として用いられているわけではないこと、および、拘禁センターが過密状態である場合があることにも、懸念を表明する。 54.第37条および第40条ならびに他の関連の国際基準に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 組織法第5/2000号の全面的実施を確保するため、十分な人的資源および財源を配分すること。 (b) テロリズムの罪に問われた子どもの警察留置期間を同法の規定にあわせて調整するとともに、テロリズムの罪に問われた子どもの収監刑期を見直すこと。 (c) 少年司法の運営に責任を負う者を対象として、新たな少年司法制度に関する研修を実施すること。 (d) 自由の剥奪に代わる措置の利用を奨励すること。 9.文書の普及 55.最後に、委員会は、条約第44条6項に照らし、締約国が提出した第2回定期報告書および文書回答を広く公衆一般が入手できるようにするとともに、関連の議事要録および委員会が採択した総括所見とともに報告書を刊行することを検討するよう、勧告する。このような文書は、政府、議会および一般公衆(関心のある非政府組織を含む)の間で条約ならびにその実施および監視に関する議論および意識を喚起するため、広く配布されるべきである。 10.報告書の定期的提出 56.委員会が採択し、かつ第29会期の報告書(CRC/C/114)に掲載した報告の定期性に関する勧告に照らし、委員会は、条約第44条の規定を全面的に遵守した報告実践の重要性を強調する。条約に基づいて締約国が子どもに対して負う責任の重要な側面のひとつは、委員会が条約の実施における進展を審査する定期的機会を持てるようにすることである。これとの関連で、締約国が定期的にかつ時宜を得た報告を行なうことはきわめて重要である。委員会は、例外的措置として、締約国が条約を全面的に遵守してその報告義務の履行の遅れを取り戻すことを援助するため、締約国に対し、第3回および第4回の報告書を、単一の統合報告書として、第4回報告書の提出期限である2008年1月4日までに提出するよう慫慂する。委員会は、締約国に対し、その後は条約で予定されているとおり5年ごとに報告を行なうよう期待するものである。 更新履歴:ページ作成(2012年11月26日)。
https://w.atwiki.jp/saltation/pages/385.html
#blognavi +転載+ 世界の食料事情が大きく悪化するのではないかとの懸念が広がっている。中国などの経済成長や発展途上国の人口増で食料需要がどんどん増えているうえ、環境問題や資源枯渇への懸念を背景に穀物をバイオ燃料に振り向ける動きが強まっているためだ。地球温暖化が食料生産に与える影響も心配で、食料自給率が低い日本は将来に向け安定供給のための戦略を迫られている。【位川一郎、ワシントン木村旬】 http //headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070503-00000032-mai-bus_all だから言ってるじゃん。 今、賞味期限がどうだの言ってられる状況じゃないんだってば。 以前書いた日記。(2月12日) どうして、あんな報道する前に、この報道をしないの。 新聞だってネットだってテレビだって ニュースなんて、全部斜めに読まないと、 真理は見えてこないもん。 http //www20.atwiki.jp/saltation/pages/131.html カテゴリ [期限切れどころじゃないでしょう] - trackback- 2007年05月04日 01 20 56 名前 コメント #blognavi
https://w.atwiki.jp/matu_summer/pages/14.html
匿名予想家M氏による予想参考動画 順位予想コメント Ka氏 「たにしさん脚の仕上がり見て確信してした、あのすね毛は優勝する。 うすぐもさんのランボルギーニの猛追を振り切ってたにしさんの優勝。 山手線一周を歩いた健脚は伊達じゃない。 豪脚炸裂ランボルギーニのうすぐもさんが2着、静岡は山が多く厳しい環境のむかどんさんは3着まで」 Ry氏 「まず、高齢の選手と馬体重が重い選手は膝故障の懸念があるので、頭は若いあめちん固定。うすぐもさんは軽量を活かしたフットワークに期待、ワクチン接種日の影響懸念で2番手。3着は秘密。」 Mu氏 「たにし:最年長にもかかわらず、毛艶の良さはカレンミロティックにも勝るもの。やややる気がかかり気味に思うが、抑制できるメンタルを持っているだろうと期待値を込め頭固定にしようかな」 「うすぐも:中39週の故障明けと不安材料が重くのしかかるが、馬体重は現役騎手と変わらぬ身のこなし。出走馬唯一の10000m経験者。ここはベテラン勢の経験値を認め2着までとしようかな」
https://w.atwiki.jp/syukensya1990/pages/332.html
有料道路の料金収受を行っていた公団。全国5箇所の国道を有料化して管理していたが、07年までに無料化開放が進められ解散した。80年にリゾート施設等につながり、交通量の多い道路を有料化したが、迂回路が混雑する問題や一方的に有料化を進めたことに反発する地方自治体の反発で3度に渡って料金の値下げが行われた。管理・維持は基本的に公団が行っていたが、一部は道路局に委託していた。 概要 所在地 〒000-0000 新都府水田区2丁目7-1 水田センタービルディング 総裁 横田 多度輔 副総裁 石川 元伸 内部組織 総務部 財務部 道路管理部 技術部 料金 当初は700円だったが反発から3度に渡って値下げが行われ、最終的には300円になった。 管轄道路 当初は交通量の多い道路の有料化を進める計画だったが迂回路の渋滞などの懸念から中止となり、リゾート施設などの観光地を結ぶ一部の道路のみになった。選ばれた道路のある地方自治体は、観光客の減少を懸念して反発したが、政府は強行し自治体によっては迂回路の整備を進め対抗した。
https://w.atwiki.jp/kokusekikai/pages/46.html
ニュースまとめサイト 新聞記事画像:jpg データが消えたニュースソース ニュースまとめサイト ニュースまとめサイト 「Not too late !」 ↑新聞等マスコミ・政党発信ニュース・議員等ブログ・関連記事 があります クリックしてください 新聞記事画像:jpg ※緑文字はコンビニプリント予約番号方法はこちら 新聞の内容を見るには、画像か日付をクリックしてください 産経新聞 11/22 朝刊記事54693342 「内容把握されぬまま国籍法は成立へ:改正案参院も審議入り」 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 産経新聞 11/21 朝刊記事53470229 「国籍法改正:不正排除へもっと議論を」 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 産経新聞 11/21 朝刊記事 5面】65533563 「国籍法改正案 閣僚も議員も内容把握せず 参院も審議入り」 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 産経新聞 11/20 朝刊記事13490998 「衆院通過「稚速」の声:偽装認知懸念、採決前退席も」 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 産経新聞11/19 朝刊記事 3面40283214 「国籍法改正案 参院通過 偽装認知 誘発の懸念 与野党から慎重論相次ぐ」 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 産経新聞 11/15 朝刊記事21958882 「国籍法改正案審議入り:不正認知横行の懸念も」 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 ※その他のニュースソースはこちら→ニュースまとめサイト「Not too late !」 データが消えたニュースソース 読売新聞 11/0818231662「国籍法案正案、今国会で成立へ・・・民主が賛成方針」 記事の当時のURL:http //www.yomiuri.co.jp/politics/news/20081107-OYT1T00941.htm オリジナル記事ページのコピー(魚拓) imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/266.html
総括所見:スウェーデン(第5回・2015年) 第1回(1993年)/第2回(1999年)/第3回(2005年)/第4回(2009年)OPAC(2007年)/OPSC(2011年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/SWE/CO/5(2015年3月6日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 I.序 1.委員会は、2015年1月13日および14日に開かれた第1936回および第1938回会合(CRC/C/SR.1936 and 1938参照)においてスウェーデンの第5回定期報告書(CRC/C/SWE/5)を検討し、2015年1月30日に開かれた第1983回会合において以下に掲げる総括所見を採択した。 2.委員会は、締約国における子どもの権利の状況についての理解を向上させてくれた、スウェーデンの第5回定期報告書および事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/SWE/Q/5/Add.1)の提出を歓迎する。委員会は、締約国のハイレベルなかつ多部門型の代表団との間に持たれた建設的対話に評価の意を表するものである。 II.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展 3.委員会は、以下の立法措置の採択を歓迎する。 (a) スウェーデン社会サービス法および青年ケア(特別規定)法に対して加えられた立法上の修正(2013年1月)[1]。 (b) 子どもに対する性犯罪に関する法律の改正(2013年7月)[2]。 (c) 社会のより多くの層を含めるための法改正によって強化された、差別禁止法における年齢差別からの保護。 (d) 2011年7月の教育法。 [1] CRC/C/SWE/Q/5/Add.1、パラ108参照。 [2] 前掲パラ112参照。 4.委員会はまた、締約国による以下の条約の批准にも、評価の意とともに留意する。 (a) 性的搾取および性的虐待からの子どもの保護に関する欧州評議会条約(2013年6月)。 (b) 親責任および子の保護措置についての管轄権、準拠法、承認、執行および協力に関するハーグ条約第34号(2012年9月)。 (c) 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する、銃器ならびにその部品および構成部分ならびに弾薬の不正な製造および取引の防止に関する議定書(2011年6月)。 (d) 人身取引と闘うための行動に関する欧州評議会条約(2010年5月)。 5.委員会はまた、以下の制度上および政策上の措置も歓迎する。 (a) 反ジプシー主義対抗委員会の創設(2014年3月)。 (b) 子どもの人身取引、搾取および性的虐待に反対する国家行動計画(2014~2015年)(2014年2月)。 (c) 性的指向、ジェンダーアイデンティティまたはジェンダーの表現にかかわらず平等な権利および機会を促進するための長期戦略(2013年12月)。 (d) PRIO精神的健康障害行動計画(2012年5月)。 (e) ロマ包摂戦略(2012~2032年)。 (f) 開発協力における民主主義および人権に関する方針(2012年)。 III.主要な懸念領域および勧告 A.実施に関する一般的措置(条約第4条、第42条および第44条第6項) 委員会の前回の勧告 6.委員会は、締約国が、締約国の第4回定期報告書の検討(2009年)時に行なわれた前回の勧告(CRC/C/SWE/CO/4)のうち実施されていないものまたは不十分にしか実施されていないもの、ならびに、とくに締約国における条約およびその選択議定書の法的地位(前掲パラ10参照)、子どもの庇護希望者および難民(CRC/C/SWE/CO/4、パラ61)ならびに児童ポルノを含む性的搾取(前掲パラ67参照)に関する勧告に対応するため、あらゆる必要な措置をとるよう促す。 立法 7.委員会は、条約が引き続きスウェーデン法として正式に承認されていないことに関する委員会の前回の懸念に対応するために締約国が行なった努力、および、とくに、法律その他の規則の適用において条約がどのように遵守されているかを分析するための調査が2013年3月に開始された旨の文書回答において提供された情報に、留意する。 8.委員会は、締約国に対し、2013年3月に開始された調査を速やかに進めることとともに、国内法を条約と全面的に一致させるためにあらゆる必要な措置をとること、および、国内法の規定が条約に抵触する際には条約が常に優先されるべきことを、促す。 資源配分 9.委員会は、国家予算に条約実施のための具体的世再配分額が含まれていないことに、懸念とともに留意する。 10.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 委員会に対する次回の定期報告書において、条約の実施に関連する国家予算についての具体的情報を金額および割合で提供すること。 (b) 予算全体における子どものための資源の配分および使用を追跡するシステムを実施することにより、国家予算の策定において子どもの権利基盤アプローチを採用すること。 (c) あらゆる部門における投資または予算削減との関連で「子どもの最善の利益」がどのように考慮されているかについての影響評価を実施するとともに、当該投資または予算削減が女子および男子の双方に与えている影響を測定すること。 調整 11.委員会は、市町村、県および広域行政圏における条約の実施に関して格差が残っており、子どものための支援およびサービスへのアクセスの不公平につながっていることを懸念する。 12.委員会は、締約国が、広域行政圏および地方のレベルであらゆる権利への平等なアクセスを確保する明確な権限および権威をもったハイレベルな機構を設置するとともに、その効果的運用のために必要な人的資源、技術的資源および財源を提供するよう勧告する。 独立の監視 13.委員会は、子どもの権利の実施のために子どもオンブズマンが行なっている多くの活動への評価をあらためて表明する(CRC/C/SWE/CO/4、パラ14参照)ものの、同事務所が子どもからのまたは子どもに代わって行なわれる個別の苦情を受理できないという懸念もあらためて繰り返す。 14.子どもの権利の促進および保護における独立した国内人権機関の役割についての一般的意見2号(2002年)に照らし、委員会は、締約国が、オンブズマンに対し、子どもによる苦情を子どもにやさしいやり方で受理し、調査しかつこれに対応すること、被害者のプライバシーおよび保護を保全することならびに被害者のためのモニタリング、フォローアップおよび確認活動を行なうことの権限および適切な資源を与えるため、あらゆる適切な措置をとるよう勧告する。委員会はまた、締約国がオンブズマンの独立性を強化することも勧告するものである。 B.一般原則(条約第2条、第3条、第6条および第12条) 差別の禁止 15.委員会は、包括的な差別禁止法、性的指向、ジェンダーアイデンティティまたはジェンダーの表現にかかわらず平等な権利および機会を促進するための長期戦略および反ジプシー主義対抗委員会を含め、さまざまな形態の差別に対応するうえで締約国が行なっている努力について締約国を称賛する。しかしながら委員会は、以下のことを懸念するものである。 (a) 一部の集団の子ども、とくに不利な立場におかれた家庭および周縁化された家庭の子どもならびに移住者家庭の子ども(アフリカ人の子どもおよびアフリカ系スウェーデン人の子どもを含む)が引き続き差別に直面していること。 (b) 「人種」の語が新たな差別禁止法および統治法典から削除されたこと、および、人種差別撤廃委員会から以前指摘されたように(CERD/C/SWE/CO/19-21、パラ6および13)、人種的憎悪を助長しかつ煽動する団体を違法であると宣言しかつ禁止する明示的な法規定が存在しないこと。 (c) ロマの子どもが他の児童生徒から差別される事案があること。 (d) レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルおよびトランスジェンダー(LGBT)の子どもがいじめ、脅迫および暴力を経験する事案があること。 16.委員会は、締約国に対し、あらゆる形態の差別と効果的に闘うための努力をいっそう進め、かつそのための措置を強化するとともに、以下の措置をとるよう奨励する。 (a) とくに民族と関連した差別の禁止を執行するために法律を改正し、かつ、人種的憎悪を助長しかつ煽動する団体を違法であると宣言すること。 (b) 差別防止活動にとくに焦点を当てるとともに、必要なときは、被害を受けやすい状況にある子ども(周縁化された家庭および不利な立場に置かれた家庭の子ども、移住者としての背景を有する子ども、ロマの子どもおよびLGBTの子どもを含む)を保護するために積極的差別是正措置をとること。 (c) あらゆる形態の差別を解消するための意識啓発プログラム(青少年を含む子どもをとくに対象としたキャンペーンを含む)を実施すること。 子どもの最善の利益 17.自己の最善の利益を考慮される子どもの権利が一部の法律で取り上げられていることに評価の意とともに留意しながらも、委員会は、とくに子どもが関わる庇護手続において、この権利が不十分にしか重視されていないことを依然として懸念する。委員会はまた、以下のことも懸念するものである。 (a) 子どもに関わるすべての措置について子どもの権利影響評価が義務化されていないこと。 (b) 最善の利益判定に関する関連の専門家の研修が不十分であること。 18.自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利についての一般的意見14号(2013年)に照らし、委員会は、締約国が、子どもの最善の利益の原則の意味および実務的適用に関する意識を高め、かつ条約第3条が立法および行政措置に適正に反映されることを確保するための措置を強化するべきである旨の、前回の勧告(CRC/C/SWE/CO/4、パラ28)をあらためて繰り返す。委員会はまた、締約国が以下の措置をとることも勧告するものである。 (a) 子どもおよびその権利の享受に影響を及ぼす政策、立法、規則、予算、国際協力その他の行政決定のいかなる提案についても、その影響を判断するために義務的な子どもの権利影響評価を行なうこと。 (b) 移民委員会および社会福祉機関のスタッフを対象として定期的研修を行なう等の手段により、子どもの最善の利益の原則が、とくに子どもが関わる庇護案件におけるあらゆる決定の基盤および指針とされることを確保するとともに、最善の利益判定に関する研修を強化すること。 子どもの意見の尊重 19.委員会は、意見を聴かれる子どもの権利を実施するために社会サービス法および教育法に基づいてとられた措置には積極的措置として留意しながらも、とくに監護、居所および面会交流ならびに社会サービス調査との関連でまたは庇護手続において、この権利が実際には不十分にしか実施されていないことに、懸念とともに留意する。委員会はまた、外国人法(第1章第11条)上、子どもが意見を聴かれるのはそれが不適切でない場合に限られていることも懸念するものである。 20.意見を聴かれる子どもの権利についての一般的意見12号(2009年)に照らし、委員会は、締約国が、条約第12条にしたがってこの権利を強化し、かつ、ソーシャルワーカーおよび裁判所がこの原則を遵守するようにするための制度および(または)手続を確立する等の手段により、意見を聴かれる子どもの権利を認めた法律の効果的実施を確保するための措置をとるよう、勧告する。委員会はまた、締約国に対し、外国人法第1章第11条を修正し、不適切性の例外を廃止し、かつ、自己の影響を与える決定が行なわれる際に子どもが常に意見を聴かれることを確保するため、速やかに法的措置をとることも求めるものである。 生命、生存および発達に対する権利 21.委員会は、障害者権利委員会から以前指摘されたように(CRPD/C/SWE/CO/1、パラ29参照)、締約国において、障害のある人(子どもを含む)の自殺率がますます高まっていることを懸念する。 22.委員会は、締約国に対し、障害のある子どもの自殺の原因を防止し、特定しかつこれに対処するため、あらゆる必要な措置をとるよう促す。 C.市民的権利および自由(条約第7条、第8条および第13~17条) 適切な情報へのアクセス 23.「デジタルツーリスト」ツアー会議または毎年の「インターネット安全性強化デー」など、情報通信技術(ICT)の利用について子どもおよびその親に情報提供を行なうために締約国がとった措置には評価の意とともに留意しながらも、委員会は、ICTの利用に関連するリスクについて、学校の児童生徒および親を対象として不十分な訓練しか行なわれていないことを懸念する。 24.デジタルメディアと子どもの権利に関する一般的討議の勧告に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どものプライバシーを保護するための規則を策定する努力を強化するとともに、ICTの安全な利用(とくに、子どもが小児性虐待者、自己の福祉に有害な情報および資料への接触ならびにネットいじめから身を守るための方法)について、子ども、教員および家族を対象とした十分な訓練を行なうこと。 (b) ネットいじめが他の子どもに及ぼしうる深刻な影響について、子どもの間で意識啓発を行なうこと。 (c) ICT関連の子どもの権利侵害を監視しかつ訴追する機構を強化すること。 D.子どもに対する暴力(条約第19条、第24条第3項、第28条第2項、第34条、第37条(a)および第39条) 拷問および他の残虐なまたは品位を傷つける取扱いまたは処罰 25.委員会は、法律に抵触した子どもを留置刑務所および警察の留置房で独房拘禁の対象とする実務が行なわれており、かつ後者に拘禁される子どもが多数にのぼっていること、および、精神保健ケアの現場で障害のある子どもに強制的かつ非任意的な取扱いが行なわれていること(とくに、革の紐またはベルトによる最長2時間の拘束が利用されていることおよび隔離措置がとられていること)を、深刻に懸念する。 26.体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利についての委員会の一般的意見8号(2006年)およびあらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利についての一般的意見13号(2011年)を参照し、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a) すべての子どもを独房拘禁から直ちに解放するとともに、あらゆる状況下で独房拘禁の利用を禁止するために法律を改正すること。 (b) 精神保健ケアの現場および他のいかなる施設においても革の紐またはベルトおよび隔離措置の利用を法的に禁止すること。 (c) あらゆるケア施設の子どもが独立の苦情申立て機構にアクセスできること、そのような施設の環境が定期的かつ効果的に監視されること、および、拘禁された子どもに対する残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いの報告が速やかにかつ公平に調査されることを確保すること。 (d) 医療スタッフおよび非医療スタッフを対象として、非暴力的かつ非強制的なケア方法についての研修を行なうこと。 (e) 警察の留置房に拘禁されている子どもについての警察の報告機構を統一すること。 虐待およびネグレクト 27.委員会は、家族間暴力と闘う全国調整官が2012年に任命されたことを歓迎する。しかしながら委員会は、とくに6歳までの子どもの児童虐待が相当に増加していることを懸念するとともに、そのような虐待の通報の数件しか訴追に至っていないことに失望するものである。さらに委員会は、以下のことに懸念とともに留意する。 (a) とくに締約国の多くの場所で一連のケア制度が明確なものになっていないことを理由として、虐待およびネグレクトの被害を受けた子どもが、リハビリテーションサービスおよび精神保健ケアにアクセスする際に困難を経験していること。 (b) 学校および施設の職員が虐待およびネグレクトの初期の徴候を認識する適正な訓練を受けておらず、このような状況によってごくわずかな事案しか社会サービスに通報されない事態が生じていること。 28.委員会は、締約国が、一貫したかつ調整のとれた子ども保護システムを創設し、かつ、子どもの虐待および子どもに対する暴力の事案の通報を奨励する目的で子どもの関与を得ながら意識啓発プログラムおよび教育プログラム(キャンペーンを含む)をさらに強化するとともに、子どもの虐待およびネグレクトを防止しかつこれと闘うための包括的戦略を策定し、かつ以下の措置をとるために、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。 (a) 暴力および虐待の根本的原因に対処するための長期的プログラムを実施するため、十分な人的資源、技術的資源および財源を配分すること。 (b) 学校および施設の職員を対象として、子どもの不当な取扱いの徴候を発見しかつ認識する方法についての定期的かつ継続的な研修を行なうこと。 (c) 元被害者、ボランティアおよびコミュニティの構成員の関与を得ることならびにこれらの者に研修および支援を行なうこと等の手段により、家族間暴力、子どもの虐待およびネグレクトを防止しかつこれに対応することを目的とした、コミュニティを基盤とするプログラムを奨励すること。 (d) 子どもに対する家族間暴力のあらゆる事件の全国的データベースを設置し、かつ、このような暴力の規模、原因および性質についての包括的評価を行なうこと。 (e) 暴力および虐待を受けた子どもが十分な身体的および心理的ケアに十分な形でアクセスできることを確保すること。 性的搾取および虐待 29.委員会は、性的搾取および虐待に対して締約国が措置をとってきたこと、ならびに、とくに、子どもに対する重大な性的虐待の犯罪の範囲が拡大され、刑罰が強化され、かつ子どもの性的搾取に関する時効が延長されたことを評価する。しかしながら委員会は、締約国において児童買春および児童ポルノが根強く存在しており、かつ、子どもの性的搾取に関するデータ(性的目的で人身取引により締約国に連れてこられた子どもおよび締約国内で取引された子どもまたはスウェーデン国民により国外で性的虐待もしくは搾取を受けた子どもに関するデータを含む)が存在しないことを懸念するものである。 30.委員会は、締約国が、性的搾取および虐待を解消するための努力を強化するとともに、以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 年齢別、男女別、民族的出身別、国民的出身別、地理的所在別および社会経済的地位別に細分化されたデータを体系的に収集するための機構を設置すること。 (b) 子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議で採択されてきた成果文書にしたがい、防止、被害を受けた子どもの回復および社会的再統合のためのプログラムおよび政策の発展を強化すること。 あらゆる形態の暴力からの子どもの自由 31.委員会は、いじめと闘うために締約国がとっている措置は評価しながらも、いじめに関する学校行動計画がニーズ調査に基づいていることは稀であるとされること、他の児童生徒による何らかの形態のいやがらせ(ネットいじめを含む)を受ける児童生徒の人数が増えていること、および、ソーシャルメディアの国内対応窓口がネット上のいじめおよびいやがらせとの闘いに十分に関与していないことに、懸念とともに留意する。 32.委員会は、締約国が、あらゆる形態のいじめおよびいやがらせ(ネットいじめおよび携帯電話によるいじめを含む)と闘うための努力を強化し、かつ、とくに以下の措置をとるよう勧告する。 (a) ソーシャルメディアの国内対応窓口の関与を強化し、学校における多様性を受け入れる教員および学校で働くすべての専門家ならびに生徒の能力ならびに生徒の紛争解決スキルを向上させ、かつ、いじめの解消を目的とする取り組みに子どもの関与を得ること。 (b) すべての学校が、いじめおよびいやがらせに関連した経験に関する生徒、職員および親の定期的調査を実施し、かつ、いじめと闘うための行動計画をこれらの調査に基づいて策定することを確保すること。 ヘルプライン 33.委員会は、締約国の自治体の多くが資格のあるソーシャルワーカーをスタッフとする24時間のヘルプラインを開設していることに評価の意とともに留意しながらも、日中しかヘルプラインサービスを提供できていない自治体が相当数にのぼることに留意する。 34.委員会は、締約国に対し、全国的に24時間のサービスを提供する目的でヘルプラインへの人的資源、技術的資源および財源の配分を増やすよう奨励する。 E.家庭環境および代替的養護(条約第5条、第9~11条、第18条第1~2項、第20~21条、第25条および第27条(第4項)) 家庭環境を奪われた子ども 35.委員会は、子どもと収監された親との接触を促進するために締約国がとったさまざまな措置(一部の刑務所における面会用居住施設の設置を含む)を評価する。しかしながら委員会は、「近接性の原則」が義務的なものではなく考慮される種々の要素のひとつにすぎないことを懸念するものである。このことは、親と面会するために子どもが長距離を移動し、また家族によっては経済的制約のためにそのような移動を行なえないということを意味しうる。委員会はまた、一部の刑務所において、長距離を移動しなければならないことが面会期間を延長する正当な事由として自動的に認められていないことも懸念するものである。 36.委員会は、締約国が、親が刑務所にいる子どもが親との個人的関係および直接の接触を維持できるようにするためにあらゆる必要な措置をとるとともに、近接性の原則を制度的に適用するよう勧告する。委員会はまた、締約国に対し、刑務所における子どもにやさしい面会施設を引き続き増やすことも奨励するものである。 37.委員会は、アフリカ系の人々に関する専門家作業グループが締約国への訪問後に以前指摘したように、アフリカ系スウェーデン人およびアフリカ人の家族生活への恣意的干渉の事例が報告されていることならびに社会福祉機関による子どもの分離が行なわれていることを懸念する。 38.委員会は、締約国が、家族からの子どもの分離に関する実務を全面的に規制するとともに、分離が、常に徹底した調査の対象とされ、子どもの最善の利益にしたがって行なわれ、かつ最後の手段として用いられることを確保するよう勧告する。 F.障害、基礎保健および福祉(条約第6条、第18条(第3項)、第23条、第24条、第26条、第27条(第1~3項)および第33条) 障害のある子ども 39.一部の障害者を対象とする補助金およびサービスに関する法律第1993:387号の新たな規定で、障害のある子どもは自己に影響を与えるいかなる行動についても自己の意見を提示する機会を有すると定められていることは歓迎しながらも、委員会は、障害者権利委員会が強調したように(CRPD/C/SWE/CO/1、パラ19)、障害のある子どもが自己に関わる問題について制度的に意見を聴かれておらず、かつ自己の意見を表明する機会を有していないことを懸念する。委員会はまた、以下のことも懸念するものである。 (a) 障害のある子どもに対する犯罪について個別の統計が作成されていないこと、および、障害のある子どもが障害のない他の子どもよりも高い割合で暴力に晒されていること。 (b) インクルーシブ教育にアクセスできている子どもの人数は非常に多いものの、教育法において、学校は、障害のある子どもを受け入れることに「相当の組織的または財政的困難」をともなうときは、自治体が同等の代替的選択肢を提示できることを条件として、障害のある児童生徒の入学を認めないことができるとされていること。 (c) 教育法で、、障害のある子どもは「最低限の知識要件」を達成しなければならないと定められていること。 (d) 親を対象としておよび障害のある子どもと働く職員を対象として、これらの子どもの特別なニーズに関する十分な情報提供および訓練が行なわれていないこと。 40.障害のある子どもの権利に関する委員会の一般的意見9号(2006年)に照らし、委員会は、締約国に対し、障害に対する人権基盤アプローチをとるとともに、とくに以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 自己に関わるあらゆる事柄について協議の対象とされる障害児の権利について現在設けられている保障措置が効果的に実施されることを確保すること。 (b) 犯罪の被害を受けた障害児に関するデータを収集し、かつ次回の報告書でその知見に関する情報を委員会に提供すること、障害のある子どもに対する暴力についての調査研究ならびにデータおよび統計の収集を行なうこと、ならびに、親を対象としたおよび子どもとともに働く職員を対象とした感受性強化および訓練ならびに一般公衆の意識啓発のための戦略および取り組みを強化すること。 (c) すべての子どもが差別なく学校にアクセスできることを確保するとともに、この目的のため、障害のある子どもの受入れについて一定の要素を条件としている教育法の規定を廃止し、かつ、いかなる学校も完全にインクルーシブな教育を阻害する組織的または財政的困難に直面しないことを確保するために十分な人的、技術的および財政的支援を行なうこと。 (d) 障害のあるすべての子どもがその個別の能力を踏まえて可能なかぎり最高の教育水準に達する機会およびあらゆる必要な支援を与えられることを確保するため、速やかに法的措置をとり、かつあらゆる必要な資源を配分すること。 (e) 障害のある子どもの特別なニーズを認識しかつこれに対応する方法についての、親および教員を対象とした意識啓発プログラムおよび教育プログラムを発展させること。 健康および保健サービス 41.子どもの庇護希望者を対象として公平な保健ケアが提供されていることは歓迎しながらも、委員会は、経済的背景が異なる子どもの身体的および精神的健康に相当の格差が存在し続けていることを懸念する。 42.委員会は、到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利についての委員会の一般的意見15号(2013年)に対して締約国の注意を喚起するとともに、締約国が、不利な立場に置かれた集団および周縁化された集団の子どもの健康状態を向上させるための努力を強化し、かつ、健康に対するこれらの子どもの権利を差別なく保障するために十分な財源、人的資源および技術的資源を配分するよう、勧告する。 精神保健 43.委員会は、以下のことに懸念とともに留意する。 (a) いわゆる学習障害または行動障害、とくに注意欠陥・多動性障害(ADHD)と診断される子どもの人数が相当に増加していること。 (b) 副作用を適正に考慮することなくアンフェタミンおよびアンフェタミン様精神刺激薬(ほとんどはメチルフェニデートの形態をとる)が処方される事案が増加しており、かつ、そのような薬を服用することによる依存症が生じていること。 44.委員会は、締約国に対し、ADHDおよびその他の行動上の特異性の診断ならびに診断された子どもを対象とする薬物治療の使用について独立した専門家による監視を行なうシステムを設置するとともに、以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもの精神保健上の問題の判定において使用されている診断手法について独立の調査研究を行なうこと。 (b) 子ども、その親および教員を対象とする適切なかつ科学的基盤を有する心理カウンセリングおよび専門的支援が、ADHDおよびその他の行動上の特異性に対応する際の薬物の処方よりも優先されることを確保すること。 45.委員会は、精神保健障害および心理社会的障害の発生率が若者の間で高い一方で、学校保健サービスに対し、これらの障害に時宜を得た適切なやり方で対応するための十分な資源が与えられていないこと、ならびに、学校心理学者および心理社会的支援システムにアクセスするために長期間待機しなければならないことを懸念する。 46.委員会は、障害者権利委員会から以前指摘されたように(CRPD/C/SWE/CO/1、パラ18参照)、締約国が、子どもが適切な心理社会上および精神保健上の支援ならびに精神医学的保健ケアに時宜を得たやり方でアクセスしかつ当該支援およびケアを受けられることを確保するため、学校保健サービスに対して利用可能とされる資源を増やすよう勧告する。 生活水準 47.委員会は、以下のことに懸念とともに留意する。 (a) 相対的に多数の子どもが貧困下で生活していること。 (b) 移住の状況下にある子どもが締約国の住民である子どもよりもいっそう経済的困難に服している一方、庇護希望者を対象とする日額手当の額が依然として低く、かつ1994年から変わらないままであること。 (c) 一般の子ども手当とは異なり、庇護希望者の家族を対象とする子ども手当は第3子以降減額されること。 (d) 2013年に、とくに家賃滞納の結果として、数百人の子どもが強制立退きの影響を受けたとされていること。 48.委員会は、締約国が、以下のことを目的とする戦略および措置を強化する目的で、人的資源、技術的資源および財源の配分を増やし、かつ貧困の根本的原因を検討するよう勧告する。 (a) 困窮している家族、とくにひとり親家族および困難な社会経済的その他の状況にある家族を支援するためのプログラムを強化しかつ増やすこと。 (b) 庇護希望者を対象とする日額手当を増額するとともに、2子以上の家族を対象として手当が減額されないことを確保するために速やかに法的措置をとること。 (c) 家族が移転または立退きを強制されないこと、および、十分な住居に対する子どもの権利が常に尊重されることを確保すること。 G.特別な保護措置(条約第22条、第30条、第32~33条、第35~36条、第37条(b)~(d)、第38条、第39条および第40条) 子どもの庇護希望者および難民 49.委員会は、子どもの庇護希望者がノンルフールマンの原則に違反して出身国に送り返される事案が報告されていることを懸念する。委員会はまた、以下のことにも懸念とともに留意するものである。 (a) 保護者のいない子どもおよび庇護希望者である子どもが性的搾取および(または)性的虐待をとくに受けやすい状態に置かれていること、ならびに、保護者のいない子どもの失踪事案が毎年多数発生しており、かつその多くについて不十分な調査しか行なわれていないこと。 (b) 強制労働、児童婚、人身取引、女性性器切除または子ども兵士としての徴募の危険性など、子どもに固有の形態の迫害が、外国人法で庇護を得るための事由として明示的に挙げられていないこと。 (c) ネグレクトおよび(または)家族間暴力を理由として家庭外養護に措置された子どもが、外国人法にしたがい、親とともに退去強制の対象とされる可能性があること。 (d) 保護者のいない子どもの後見人に関する法律第3条で、子どもの後見人が「可能なかぎり早期に」任命されると規定されていて期限の定めがないことから、場合によっては後見人の任命まで子どもが数週間待たなければならないこともあること。 (e) 後見人が常に適正な訓練を受けているわけではなく、かつ、子どもと面会するときに常に通訳者をともなっているわけではないこと。 (f) 庇護申請の決定までに子どもが長期間待機しなければならない事案が報告されていること。 (g) 報告によれば、保護者のいない子どもおよび庇護希望者である子どもの多くに冬服、個人衛生用品または学校用品が支給されていないこと。 50.委員会は、締約国に対し、子どもが出身国に送還されることになっている場合にノンルフールマンの原則が常に尊重されることを確保するための措置を速やかにとるよう促す。さらに委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 保護者のいない子どもが失踪したあらゆる事案を調査するとともに、これらの子どもの保護を強化するためにあらゆる必要な措置をとること。 (b) 外国人法の改正により、庇護を得るための事由として、強制労働、児童婚、人身取引、女性性器切除または子ども兵士としての徴募の被害を受ける危険性など子どもに固有の形態の迫害を明示的に含めること。 (c) いかなる子どもも、親または保護者による養育中に暴力および(または)虐待の被害を受けたという理由で分離された当の親または保護者とともに退去強制の対象とされないことを確保するとともに、そのような子どもに関わるいかなる決定についても最善の利益判定を実施すること。 (d) 保護者のいない子ども1人ひとりについて、十分な訓練を受け、かつ定期的かつ継続的な研修を受けている後見人が直ちに任命されること、子どもが自己の後見人と定期的に面会すること、および、言語上の問題があるときは子どもと後見人間の効果的コミュニケーションを可能とするために通訳者が任命されることを、法律で要件とすること。 (e) 庇護申請の処理を早めるとともに、庇護希望者であるすべての子どもに対し、基礎的必需品(とくに十分な衣服および個人衛生用品)ならびにあらゆる必要な学校用品が全面的に支給されることを確保すること。 移住の状況にある子ども 51.委員会は、「通過滞在」であるとみなされる子どもが教育へのアクセスに関して困難に直面していること、および、移住者としての背景を有する子どものほうが学校脱落率が高いことに、懸念とともに留意する。 52.委員会は、締約国が、「通過滞在」であるとみなされる子どもが教育への全面的アクセスを認められることを確保するために法律を改正し、そのような子どもの脱落率を効果的に減少させるためにあらゆる必要な措置をとり、かつ、学校から脱落した子どもに学校への再アクセスの機会を提供するよう、勧告する。 武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書についての委員会の前回の所見および勧告のフォローアップ 53.委員会は、ジェノサイド、人道に対する犯罪および戦争犯罪についての刑事責任に関する法律(2014年7月)が採択され、15歳未満の子どもの徴募および武力紛争における使用が戦争犯罪とされたことを歓迎する。しかしながら委員会は、志願制防衛組織の全体防衛青年活動に参加する18歳未満の志願隊員が火器の訓練を行なうことを依然として懸念するものである。さらに委員会は、以下のことに懸念とともに留意する。 (a) 子どもが徴募されまたは敵対行為において使用されている国またはその可能性がある国にいかなる武器も輸出されないことを確保するために設けられている保障措置が不十分であること。 (b) 子どもの難民、庇護希望者および移住者であって国外で徴募されまたは敵対行為において使用された者に関する体系的なデータ収集を行なうための機構が設置されていないこと。 54.委員会は、締約国が、選択議定書の精神を全面的に尊重しかつあらゆる状況において子どもに全面的保護を提供する目的で、志願制防衛組織が行なう火器訓練に参加する志願隊員の最低年齢を16歳から18歳に引き上げるべきである旨の前回の勧告(CRC/C/OPAC/SWE/CO/1、パラ15)をあらためて繰り返す。委員会は、締約国が、18歳未満の者に火器訓練および軍隊式訓練を行なうすべての志願制防衛組織に対し、選択議定書および他の関連の国際基準に関する十分な情報提供および研修を行なうよう、あらためて勧告するものである。委員会はまた、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a) 子どもが徴募されまたは敵対行為において使用されていることがわかっているまたはその可能性がある国が最終目的地国である場合の武器(小火器および軽火器を含む)の輸出を完全に禁止すること。 (b) 自国の管轄内にある子どもの難民、庇護希望者および移住者であって国外で徴募されまたは敵対行為において使用された者に関する体系的なデータ収集を行なうこと。 子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書についての委員会の前回の所見および勧告のフォローアップ 55.委員会は、子どもの人身取引、搾取および性的虐待に反対する国家行動計画(2014~2015年)ならびにストックホルム国境管理警察が策定した共通行動計画は歓迎しながらも、以下の懸念をあらためて繰り返す(CRC/C/OPSC/SWE/CO/1参照)。 (a) 締約国の法律で、選択議定書第1条、第2条および第3条に定められたすべての犯罪が具体的に定義されかつ禁じられているわけではないこと、および、選択議定書に含まれているすべての犯罪が締約国の刑法で対象とされているわけではないこと。 (b) 締約国の判例および法律が、15歳以上の子どもの被害者に対し、一貫して十分な保護を提供しているわけではないこと。 (c) 選択議定書が対象とする犯罪に関わるリスク要因の特定およびこれへの対処ならびにこのような違反の事案(外国人被害者が関わるものを含む)を通報しかつ処理する方法および機関についての知識が、子どもとともにまたは子どものために働く専門家の間で低いままであること。 (d) 選択議定書第2条(c)に関する締約国の宣言において、同条の「あらゆる表現」(any representation)という文言は児童ポルノの「視覚的表現」に関連するものとしてのみ解釈すると述べられていることにより、あらゆる形態の児童ポルノに対応するための選択議定書の全面的実施が阻害されること。 56.委員会は、締約国に対し、刑法を選択議定書の規定を全面的に一致させるためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告する。このような措置には以下のものが含まれる。 (a) 前回勧告されたように、選択議定書第1条、第2条および第3条に掲げられたすべての犯罪ならびにあらゆる形態の児童ポルノを犯罪化するとともに、性的搾取を犯罪の重大性にふさわしい制裁で処罰できるようにすること。 (b) 子どもの虐待の被害者全員(15歳以上の被害者を含む)に対して十分な法的保護を提供すること。 (c) 未成年者の性的行為の購入および性的目的での子どもの搾取は「子どもに対するそれほど重大ではない性犯罪」という評価を再検討するとともに、このような犯罪が領域外で行なわれた場合の犯罪人引渡しに関する双方可罰性要件を削除すること。 (d) 子どもとともにおよび子どものために働くすべての専門家を対象として、選択議定書に関する体系的研修を実施すること。 (e) 選択議定書第2条(c)に関する宣言を撤回すること。 少年司法の運営 57.委員会は、法律に抵触した子どもの権利を保障するために行なわれている努力は認識しながらも、以下のことを懸念する。 (a) 拷問禁止委員会から以前指摘されたように(CAT/C/SWE/CO/6-7、パラ7)、自由を奪われた子どもが、自己の権利についておよび自己に課された制限の理由について常に告知されているわけではなく、かつ、自由の剥奪が開始された時点からすべての基本的な法的保障(弁護士にアクセスする権利、独立の医師による検診を受ける権利および親族または自ら選択した者に通知する権利など)を与えられているわけでもないこと。 (b) スウェーデン子どもオンブズマンの2013年版年次報告書で提起されたように、拘禁に代わる措置を見出すための十分な努力が行なわれないまま子どもが引き続き審判前拘禁の対象とされていること、および、審判前拘禁の対象とされている子どもの取扱いについて一般的かつ正式な定型的手順が定められていないこと。 (c) 審判前拘禁を含む自由の剥奪の期間が法律で帰省されていないこと。 (d) 教育へのアクセスに関して留置刑務所間で格差があること。 58.少年司法における子どもの権利に関する委員会の一般的意見10号(2007年)に照らし、委員会は、締約国に対し、少年司法制度を引き続き条約および他の国際基準と全面的に一致させるよう促す。とくに委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促すものである。 (a) 拘禁された子どもが、拘禁の理由および自己の権利(とくに弁護士に直ちにアクセスする権利、可能であれば自ら選んだ独立の医師による検診を受ける権利、ならびに、親族および適当なときは領事機関に通知する権利)について、その子どもが理解できる方法で直ちに説明されることを確保するとともに、法的助言者のいない状態で行なわれたいかなる陳述も法的手続において使用できないことも確保すること。 (b) 勾留および拘禁に代わる措置を促進するとともに、勾留および審判前拘禁を含む拘禁が最後の手段としてかつ可能なもっとも短い期間で用いられること、および、当該拘禁が、その中止を視野に入れて裁判官によって定期的に再審査されることを確保すること。 (c) あらゆる場面における自由の剥奪の期間の上限をすべての関連法に編入すること。 (d) 拘禁されたすべての子どもが、教育に対する平等な制定法上の権利を有することを確保すること。 犯罪の被害者および証人である子ども 59.委員会は、親密な関係における暴力その他の形態の虐待を目的した子どもが犯罪被害者としての地位を有していながらも、法的手続においては被害当事者としての地位を認められておらず、そのため自分自身の被害者弁護人を提供されず、後見人の許可なくして警察による聴取の対象となることができず、かつ賠償を受けるうえで困難に直面していることを懸念する。さらに委員会は、被害を受けた子どもが関与する多くの法的手続が長期化していることに、懸念とともに留意するものである。 60.委員会は、締約国が、刑事司法制度が子どもの被害者および証人を取り扱う際に子どもの最善の利益が第一次的に考慮されることを要求するとともに、以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもの被害者および証人に対し、法的手続全体を通じて、弁護士による代理、情報および損害賠償へのアクセスとあわせて適切な支援サービスを提供するとともに、法的手続上の被害当事者としての地位を認められる権利を子どもに与えること。 (b) 子どもの被害者が関与する手続の長期化を防止するためにあらゆる必要な措置をとること。 H.通報手続に関する選択議定書の批准 61.委員会は、締約国が、子どもの権利の充足をさらに進める目的で、通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書を批准するよう勧告する。 I.国際人権文書の批准 62.委員会は、締約国が、子どもの権利の充足をさらに進める目的で、まだ当事国となっていない中核的人権文書、とくにすべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約、強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約ならびに経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約の選択議定書を批准するよう、勧告する。 J.地域機関との協力 63.委員会は、欧州評議会および欧州連合との間で締約国が行なっている協力を評価するとともに、締約国が、締約国および他の欧州評議会加盟国の双方における子どもの権利の実施に関して引き続き欧州評議会と協力するよう勧告する。 IV.実施および報告 A.フォローアップおよび普及 64.委員会は、締約国が、この総括所見に掲げられた勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。委員会はまた、第5回定期報告書、事前質問事項に対する締約国の文書回答およびこの総括所見を同国の言語で広く入手できるようにすることも勧告するものである。 B.次回報告書 65.委員会は、締約国に対し、第6回・第7回統合定期報告書を2021年3月1日までに提出し、かつ、この総括所見の実施に関する情報を当該報告書に記載するよう慫慂する。報告書は、2010年10月1日に採択された委員会の条約別調和化報告ガイドライン(CRC/C/58/Rev.2 and Corr.1)にしたがうべきであり、かつ21,200語を超えるべきではない(総会決議68/268、パラ16参照)。定められた語数制限を超えた報告書が提出された場合、締約国は、前掲ガイドラインにしたがって報告書を短縮するよう求められることになる。締約国が報告書を見直しかつ再提出する立場にないときは、条約機関による審査のための報告書の翻訳は保障できない。 66.委員会はまた、締約国に対し、国際人権条約に基づく報告についての統一ガイドライン(2006年6月の第5回人権条約機関委員会間会合で承認された共通コアドキュメントおよび条約別文書に関するガイドライン(HRI/GEN/2/Rev.6, chap. I)および総会決議68/268(パラ16)を含む)に掲げられた共通コアドキュメントについての要件にしたがい、42,400語を超えない範囲で最新のコアドキュメントを提出することも慫慂する。 更新履歴:ページ作成(2016年1月10日)。