約 24,179 件
https://w.atwiki.jp/rebelinc/pages/20.html
民間 事業戦略は敵対者を減らす効果が大きいため最序盤に必須。 インフラ設備は主に道路に出資することにより、建設、戦闘、情報、兵士の移動が早く なるため序盤に必須。 事業戦略(事業会議を除く)5つ以上出資した場合、仕事不足に関するの抗議活動 を発生しないために3つ(開発会議を除く)開発会議を取る必要がある。 本部近くに地域の懸念になっている場合は取得しよう。(ただし、遠隔地は後回しにしてもよい) 優先度 ★★★★★ 最序盤、もしくは序盤にほぼ必ず取得。 ★★★★☆ 序盤から中盤、もしくは地域の懸念になっている場合はほぼ必ず取得。 ★★★☆☆ 中盤から終盤、もしくは地域の懸念になっている場合は取得。 ★★☆☆☆ お金が余ったり、地域の懸念になっている場合は取得。 ★☆☆☆☆ 取得する必要なし!! 事業 医療 医療用品 優先度 ★★★★★ 敵対者間での支援レベルが特に増加。 最序盤の取得におすすめ。 中心的な医療 優先度 ★★★★★ 敵対者間での支援レベルが特に増加。 最序盤の取得におすすめ。 パーソナルヘルスプログラム 優先度 ★★★☆☆ 敵対者間での支援レベルが特に増加。 とても安くあまり汚職が増えないので中盤におすすめ。 医療サービスの拡大 優先度 ★★★☆☆ 敵対者間での支援レベルが特に増加。 とても安くあまり汚職が増えないので中盤におすすめ。 ポリオ根絶 優先度 ★★★☆☆ 敵対者間での支援レベルが特に増加。 とても安くあまり汚職が増えないので中盤におすすめ。 情報がない区域でも戦略を配備できる能力がある。 反乱軍に戦略が破壊されない。 結核根絶 優先度 ★★★☆☆ 敵対者間での支援レベルが特に増加。 とても安くあまり汚職が増えないので中盤におすすめ。 情報がない区域でも戦略を配備できる能力がある。 反乱軍に戦略が破壊されない。 教育 学校再生 優先度 ★★★★★ 敵対者間での支援レベルが特に増加。展開が早い。 識字率向上活動 優先度 ★★★★☆ 敵対者間での支援レベルが特に増加。展開が早い。 なぜかインフレが上昇しない。 学用品 優先度 ★★★☆☆ 敵対者間での支援レベルが特に増加。展開が早い。 とても安くあまり汚職が増えないので中盤におすすめ。 学校拡大 優先度 ★★★☆☆ 敵対者間での支援レベルが特に増加。展開が早い。 とても安くあまり汚職が増えないので中盤におすすめ。 反乱軍に戦略が破壊されない。 水道 水の供給 優先度 ★★★☆☆ 敵対者間での支援レベルが特に増加。 医療と比べ汚職が増加しやすいのでそこまでおすすめしない。 水道が懸念になっていたら必ず取ろう。 水の供給拡大 優先度 ★★☆☆☆ 敵対者間での支援レベルが特に増加。 医療と比べ汚職が増加しやすいのでそこまでおすすめしない。 基本的な公衆衛生 優先度 ★★☆☆☆ 敵対者間での支援レベルが特に増加。 医療と比べ汚職が増加しやすいのでそこまでおすすめしない。 水道が懸念になっていたら必ず取ろう。 高度な公衆衛生 優先度 ★★☆☆☆ 敵対者間での支援レベルが特に増加。 医療と比べ汚職が増加しやすいのでそこまでおすすめしない。 仕事開発 職業訓練 優先度 ★★★★☆ 支援レベルが特に増加。敵対者の数が有効性を減少させる。 土地の所有権 優先度 ★★★★☆ 支援レベルが特に増加。敵対者の数が有効性を減少させる。 輸出代理店 優先度 ★★★★☆ 支援レベルが特に増加。敵対者の数が有効性を減少させる。 家畜開発 優先度 ★★★☆☆ 特に農村地域での支援レベルが特に増加。敵対者の数が有効性を減少させる。 作物開発 優先度 ★☆☆☆☆ 特に農村地域での支援レベルが特に増加。敵対者の数が有効性を減少させる。 農業流通 優先度 ★☆☆☆☆ 特に農村地域での支援レベルが特に増加。敵対者の数が有効性を減少させる。 開発銀行 優先度 ★★★☆☆ 特に都市部地域での支援レベルが特に増加。敵対者の数が有効性を減少させる。 商業的サポート 優先度 ★☆☆☆☆ 特に都市部地域での支援レベルが特に増加。敵対者の数が有効性を減少させる。 産業支援 優先度 ★☆☆☆☆ 特に都市部地域での支援レベルが特に増加。敵対者の数が有効性を減少させる。 遠隔地助成金 優先度 ★★☆☆☆ 特に遠隔地地域での支援レベルが特に増加。敵対者の数が有効性を減少させる。 遠隔地のみ戦略が展開でき、戦略配備が7%上昇する。 インフラ設備 砂利道1 優先度 ★★☆☆☆ 兵士の移動時間を短縮し、建設、戦闘、戦略配備にボーナス 遠隔地で戦闘するのは後になるので、序盤は微妙。 遠隔地が多い場合は取得。 砂利道2 優先度 ★★☆☆☆ 兵士の移動時間を短縮し、建設、戦闘、戦略配備にボーナス 遠隔地で戦闘するのは後になるので、序盤は微妙。 遠隔地が多い場合は取得。 主要道路1 優先度 ★★★★☆ 兵士の移動時間を短縮し、建設、戦闘、戦略配備にボーナス 序盤は必須。 主要道路2 優先度 ★★★☆☆ 兵士の移動時間を短縮し、建設、戦闘、戦略配備にボーナス 中盤は必須。 高速道路1 優先度 ★★★★☆ 兵士の移動時間を短縮し、建設、戦闘、戦略配備にボーナス 序盤は必須。 高速道路2 優先度 ★☆☆☆☆ 兵士の移動時間を短縮し、建設、戦闘、戦略配備にボーナス 高速道路1だけでも十分早い。 電気1 優先度 ★★☆☆☆ 支援レベル増加する、戦略が配備された区域には 戦略配備が7%上昇する。 電気2 優先度 ★★☆☆☆ 支援レベル増加する、戦略が配備された区域には 戦略配備が13%上昇する。 電気通信1 優先度 ★★★☆☆ 支援レベル大幅増加する、より多くの区域で実施することで有効性が大幅に上昇 ただし汚職が大幅増加するので注意。 電気通信2 優先度 ★★☆☆☆ 支援レベル大幅増加する、より多くの区域で実施することで有効性が大幅に上昇 ただし汚職が大幅増加するので注意。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/309.html
総括所見:イスラエル(第2~4回・2013年) 第1回(2002年)OPAC(2010年)/OPSC(2015年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/ISR/CO/2-4(2013年7月4日)/第63会期 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2013年6月3日に開かれた第1796回および第1797回会合(CRC/C/SR.1796 and 1797参照)においてイスラエルの第2回~第4回統合定期報告書(CRC/C/ISR/2-4)を検討し、2013年6月14日に開かれた第1815回会合において以下の総括所見を採択した。 I.序 2.委員会は、締約国の第2回~第4回統合定期報告書および事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/ISR/Q/2-4/Add.1)の提出を歓迎するとともに、部門横断型の締約国代表団との間に持たれた建設的対話について評価の意を表明する。 3.しかしながら委員会は、東エルサレムを含むパレスチナ被占領地域(以下OPT)およびシリア領ゴラン高原被占領地域に住んでいる子どもについての情報およびデータの提供ならびにこれらの子どもについて委員会が書面で行なった質問への回答を締約国が一貫して拒否しているために、報告プロセスの十分性および条約実施についての同国の説明責任に大きな影響が出ていると考える。委員会は、締約国に対し、OPTにおける「壁」の建設の法的帰結に関する国際司法裁判所の勧告的意見(I.C.J report 2004, para.163 (3) A.)にしたがうとともに、イスラエルおよびOPT(ヨルダン川西岸およびガザ地区を含む)ならびにシリア領ゴラン高原被占領地域において条約の全面的適用を確保する自国の義務を遵守するよう、促すものである。 II.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展 4.委員会は、以下の立法措置がとられたことを歓迎する。 (a) 犯罪を行なったとして申し立てられかつ(または)有罪判決を受けた子どもについて処罰よりも更生を優先させるものとし、かつ裁判所の命令なくして14歳未満の子どもの拘禁を禁ずるとした、青年(審判、処罰および処遇態様)法(法律第5731-1971号)の第14次改正(2009年7月)。 (b) 性暴力の被害を受けた子どもがクライシスセンターで即時の援助を受ける権利を確立した、性暴力軽罪被害者援助法(法律第5769-2008号)。 (c) 母性休暇を12週から14週に延長した、2006年および2007年の雇用法(法律第5714-1954号)改正。 (d) 立法が子どもの権利に及ぼす影響に関する情報の登録法(2002年、法律第5762号)。 (e) 障害のある子どもは普通教育施設に措置することを優先させるものとし、かつこの目的のための予算の増額について定めた、特別教育法(法律第5758-1998号)の2002年改正。 (f) 義務教育(身体的暴力の報告規則)規則(第5770-2009号)。 5.委員会は、障害のある人の権利に関する条約の批准(2012年9月)に、肯定的対応として留意する。 6.委員会はさらに、以下の制度上および政策上の措置を歓迎する。 (a) 自治体レベルの政策、プログラムおよび予算に子どもの権利を統合することを目指す「子どもにやさしいまち」イニシアティブ(CFCI)。 (b) いずれも教育制度の変革および改善を目的とするオフェク・ハダーシュ(新たな水平線)改革(2008年)およびオズ・ベトゥムーラ(変革の勇気)改革。 (c) アラブ系住民の言語スキルを向上させるための、就学前教育施設、小学校および高校におけるアラビア語教育プログラム。 (d) トラフテンベルグ委員会によって勧告されたように、社会経済的階層間の格差の縮減を目的として少人数による課外教育および社会教育を行なう放課後センター(就学前教育施設および小学校に通う3~9歳の年齢層を対象とするもの)を創設する「ツィーラ」プログラム。 III.条約の実施を阻害する要因および困難 7.委員会は、締約国が有する国家安全保障上の懸念を考慮する。しかしながら委員会は、パレスチナ地域およびシリア・ゴラン高原の長年にわたる違法な占領、西岸における違法入植の拡大の継続および「壁」の建設、ならびに、パレスチナ人の土地の没収ならびに住居および生計手段の破壊が、パレスチナ人の子どもおよびその家族の権利の深刻かつ継続的な侵害であり、屈辱と暴力の循環を煽るものであり、かつ地域のすべての子どもにとっての平和なかつ安定した未来を危険にさらしていることを強調するものである。委員会は、締約国に対し、OPTおよびシリア・ゴラン高原の占領を終了させること、国際連合事務総長が述べたように(A/67/375、パラ47)将来のパレスチナ国家の実現性に対する実存的脅威となっている違法に設けられたすべての入植地から撤退すること、および、シリア領ゴラン高原被占領地域への住民の移送を中止することを促す。 IV.主要な懸念領域および勧告 A.一般的実施措置(条約第4条、第42条および第44条第6項) 委員会の前回の勧告 8.委員会は、条約および子どもと武力紛争に関する選択議定書に基づく締約国のそれぞれの第1回報告書に関する総括所見に掲げられた、OPTに住んでいる子どもに関連する委員会の勧告(CRC/C/15/Add.195、パラ27(a)、37および62(2002年)ならびにCRC/C/OPAC/ISR/CO/1、パラ11、17、35および38(2010年))のフォローアップに関する情報を、締約国が一貫して提供してこなかったことを遺憾に思う。委員会はまた、条約に基づく締約国の第1回報告書に関する委員会の総括所見(2002年)の多くについて対応が行なわれていないことも遺憾に思うものである。 9.委員会は、締約国に対し、条約および子どもと武力紛争に関する選択議定書に基づく締約国のそれぞれの第1回報告書に関する総括所見に掲げられた、OPTに住んでいる子どもに関連する委員会の勧告を、何よりも優先されるべき課題として実施するよう促す。委員会はまた、締約国が、これらの勧告のうち実施されていないものまたは十分に実施されていないものに対応するためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告するとともに、とくに、締約国に対して以下の措置をとるよう求めた以下の勧告をあらためて繰り返すものである。 (a) 国および地方の行政段階においてならびにこれらの段階間で部門を横断した調整および協力を進めるための中央機関を設置すること(パラ13(a))。この点については、子ども、法律および立法の実施の分野における基本的原則の調査のためのイスラエル・ロトレビー委員会からも2003年に勧告されているとおりである。 (b) 条約が対象とするすべての分野について、もっとも不利な状況に置かれている子どもを含む18歳未満のすべての者に関するデータを収集するとともに、進展を評価し、かつ条約実施のための政策を立案する目的でこのデータを活用すること(パラ15(a)および(b))。 (c) 子どもおよび親、市民社会ならびにあらゆる部門および段階の政府機関の間で、すべての公用語により、条約およびその実施に関する情報を普及するためのプログラム(非識字でありまたは正規の教育を受けていない、被害を受けやすい状況に置かれた集団を積極的に対象とするための取り組みも含む)を強化しかつ拡大すること(パラ23(a))。 (d) 子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家集団(たとえば裁判官、弁護士、法執行官、公務員、地方行政職員、子どもを対象とする施設および拘禁場所で働く職員、教職員ならびに保健従事者など)を対象とした、子どもの権利を含む人権についての体系的かつ継続的な研修プログラムを発展させること(パラ23(b))。 10.前回の勧告(パラ13(b))に照らし、委員会はまた、締約国に対し、子どもに関する包括的政策を作成するとともに、当該政策に基づき、その適用のために必要な要素を備え、かつ十分な人的資源、財源および技術的資源を提供される戦略を策定することも奨励する。 条約の法的地位 11.委員会は、条約の原則および規定を国内法体系に漸進的に編入していくことに関する、双方向的対話の際に代表団から提供された情報に留意する。しかしながら委員会は、このプロセスがまだ完了していないことから、締約国における子どもの権利の裁判適用可能性に影響が生じる事態がもたられされていることを懸念するものである。 12.委員会は、締約国が、すべての子どもの権利が裁判で適用できることを確保するため、条約に掲げられた権利ならびに原則および規定を国内法体系に統合していくプロセスをいっそう速やかに進めるよう勧告する。 資源配分 13.委員会は、条約の実施のために配分されている資源について、予算上の決定が子どもに与えている影響について、および、子ども(もっとも被害を受けやすい状況に置かれた子どもを含む)にきわめて重要な社会サービスを提供するための具体的な予算配分額について締約国から提供された情報が不十分であることを、遺憾に思う。委員会はまた、アラブ人居住地域における子どもひとりあたりの平均支出額がユダヤ人居住地域における当該支出よりも3分の1以上少ないと推定されていること、および、締約国が、アラブ人の子どもとユダヤ人との間で根強く見られる保健指標関連の格差を説明するにあたり、2つの保健制度に提供される資源の不平等な水準を考慮していないことも、懸念するものである。 14.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a) 予算全体を通じて子どものための資源がどのように配分されかつ使用されているかを追跡するためのシステムを実施し、もって子どもに対する投資を目に見えるものとすることおよびいずれかの部門における投資が子どもの最善の利益にどのように貢献しているかに関する影響評価を可能とすることによって、国家予算の策定に際して子どもの権利アプローチを活用すること。 (b) 公的な対話、とくに子どもたちとの対話および地方当局の適正な説明責任を確保するための対話を通じて、透明なかつ参加型の予算策定を確保すること。 (c) 予算配分(とくに保健部門に対する予算配分を含む)において、アラブ系イスラエル人の家族およびその子どもに対する差別がこれ以上行なわれないことを確保するとともに、不利な立場または被害を受けやすい状況に置かれた子ども(とくにベドウィン人、パレスチナ人およびアラブ人の子どもならびに移住労働者および庇護希望者の子ども)に関する戦略的予算科目を定めること。 独立の監視 15.会計検査オンブズマンが果たしている役割は認知しながらも、委員会は、ロトレビー委員会およびペレツ委員会から勧告されたように、条約に基づく進展を恒常的に監視しかつ評価する任務を委ねられた独立の機構を設置するべきである旨の前回の勧告(CRC/C/15/Add.195、パラ17)以降、締約国によって限られた進展しか達成されていないことに懸念を表明する。 16.委員会は、子どもの権利の促進および保護における独立した国内人権機関の役割についての一般的意見2号(2002年)に対して注意を喚起するとともに、締約国が、人権の促進および保護のための国内機関の地位に関する原則(パリ原則)にしたがって、国および地方のレベルにおける条約の実施の進展の監視および評価、ならびに、子どもからの苦情に対する、子どもに配慮した迅速なやり方による対応を目的とした子どもオンブズパーソンを設置するためのプロセスを速やかに進めるよう勧告する。 市民社会との協力 17.委員会は、締約国報告書の作成への市民社会の関与について限られた情報しか提供されなかったこと、および、締約国が報告書において認めているように、子どものための政策および法律を立案する際に非政府組織の体系的関与がなされていないことを、遺憾に思う。委員会はまた、パレスチナの非政府組織およびOPTで活動している国際人権団体がますます国家安全保障に対する脅威とみなされるようになっており、かつ、とくにいやがらせ、逮捕および就労許可の拒否の対象とされていることにも懸念を表明するものである。委員会はさらに、OPTで人道機関のために働く外国人に対して就労許可が認められないこと、および、国際連合の事実調査団に協力する非政府組織への外国資金の統制が厳しくなっていることを懸念する。 18.委員会は、締約国に対し、子どもの権利に関連する政策、計画およびプログラムの立案、実施、監視および評価に際してコミュニティおよび市民社会(非政府組織および子ども団体を含む)の体系的関与を得るよう促す。委員会はまた、締約国に対し、市民社会との信頼関係および協力の雰囲気を醸成するための具体的措置をとるとともに、すべての子どもの権利を差別なく保護しかつ促進するための戦略を立案しかつ実施する目的で、市民社会の関係者(OPTにおける子どもの権利の状況を監視している関係者を含む)との継続的対話に従事することも促すものである。委員会はさらに、締約国が、非政府組織が子どもの権利の監視および促進のための資源を要請し、受け取りかつ活用できることを確保するよう勧告する。 B.子どもの定義(条約第1条) 19.委員会は、武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書に基づく委員会の勧告(CRC/C/OPAC/ISR/CO/1、パラ9)にのっとり、2011年9月に採択された軍令第1676号によって、軍事法廷における成年が16歳から18歳に引き上げられたことに留意する。しかしながら委員会は、これまでのところ、同軍令が実際には全面的に適用されているわけではないことを懸念するものである。 20.委員会は、締約国に対し、OPTに住んでいる子どもが18歳に達するまで子どもとみなされ、かつ条約(とくに少年司法の運営に関連する規定)に基づく全面的保護を効果的に享受できることを確保するよう、促す。 C.一般原則(条約第2条、第3条、第6条および第12条) 差別の禁止 21.差別に関して裁判所が言い渡してきた諸決定には留意しながらも、委員会は、差別の禁止が締約国の基本法で明示的に保障されていない旨の懸念(CRC/C/15/Add.195、パラ26)をあらためて表明する。委員会はまた、とくに人種差別撤廃委員会から指摘されたように(CERD/C/ISR/CO/14-16、パラ11、15、16、18および27、2012年)報告期間中に多数の差別的法律が採択されたこと、ならびに、これらの法律が、主としてパレスチナ人の子どもに対し、その生活のあらゆる側面において、かつ、アラブ系イスラエル人、ベドウィン人およびエチオピア人の子どもならびに移住労働者および庇護希望者の子どもに対しても影響を及ぼしていることにも、懸念を表明するものである。委員会は、異なる交通機関の設置および道路整備が行なわれていることならびに2つの異なる法体系および制度が実施されていることが事実上の隔離に相当するものであり、かつ、自己の権利の享受に関するイスラエル人の子どもとパレスチナ人の子どもとの間の不平等につながっていることを深く懸念する。 22.委員会は、締約国に対し、差別の禁止および平等原則を基本法に含めるとともに、ユダヤ人ではない子どもに対して差別を行なってる法律が遅滞なく廃止されることを確保する目的で、法律および政策の包括的見直しを実施するよう促す。委員会はまた、締約国に対し、すでに人種差別撤廃委員会から指摘されたように(CERD/C/ISR/CO/14-16、パラ24)、OPTのパレスチナ人住民に深刻かつ不均衡な影響を及ぼしている政策または実務を禁止しかつ根絶すること、ならびに、OPTに住んでいるすべての子どもが差別なく条約に基づく権利を享受できるようにすることを目的とした即時的措置をとることも促すものである。 子どもの最善の利益 23.委員会は、自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利の尊重を確保するために報告対象期間中にとられた多数の措置、とくに、新法に関する子どもの権利影響評価について定めた「立法が子どもの権利に及ぼす影響に関する情報の登録法」(2002年)を歓迎する。委員会はまた、子どもの最善の利益を考慮することなく父親に子どもの監護権を与えたシャリーア裁判所およびラビ裁判所の決定を取り消した、2006年および2008年の最高裁判所判決も歓迎するものである。しかしながら委員会は、自己の最善の利益を評価され、かつ第一次的に考慮される子どもの権利が、あらゆる立法上、行政上および司法上の手続ならびに子どもに関わりかつ子どもに影響を与えるすべての政策、プログラムおよびプロジェクトにおいて適切に統合されかつ一貫して適用されているわけではないこと、ならびに、とくに父性検査について行なわれた裁判所の決定に反映されているように、この権利が一部の裁判所による誤った解釈の対象になりうることを懸念する。委員会はまた、パレスチナ人の子どもの最善の利益が締約国によって軽視され続けていることも懸念するものである。 24.委員会は、自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利についての一般的意見14号(2013年)に対する注意を喚起するとともに、締約国が、この権利があらゆる立法上、行政上および司法上の手続ならびに子どもに関わりかつ子どもに影響を与えるすべての政策、プログラムおよびプロジェクトにおいて適切に統合されかつ一貫して適用されることを確保するための努力を強化するよう、勧告する。これとの関連で、締約国は、すべての分野で子どもの最善の利益に関する判断指針を示すための手続および基準を定めるとともに、当該手続および基準を、伝統的および宗教的指導者を含む公衆ならびに民間の社会福祉施設、裁判所、行政機関および立法機関に対して普及するよう、奨励されるところである。委員会はまた、締約国に対し、OPTに住んでいる子どもについての政策の全面的影響評価を実施するとともに、OPTにおける軍政および侵入防止法(2002年)においてこれらの子どもの最善の利益が全面的に考慮されることを確保することも促す。 生命、生存および発達に対する権利 25.武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書に基づく2010年の総括所見(CRC/C/OPAC/ISR/CO/1、パラ10)を参照しつつ、委員会は、双方の紛争当事者の子どもが引き続き殺害されかつ負傷しており、かつ、被害者のなかにOPTに住んでいる子どもが不均衡なほど多数含まれていることについて、もっとも深い懸念をあらためて表明する。委員会は、報告対象期間中に、締約国の軍事作戦の結果としてパレスチナ人の子どもが数百人殺害され、かつ数千人が負傷したこと(このような状況は、締約国が、均衡性の原則および区別の原則を軽視し、子どもが相当する存在する人口密集地帯に対して空軍および海軍による攻撃を実施したガザにおいてとくに顕著である)に、深刻な懸念を表明するものである。委員会は、以下のことを深く懸念する。 (a) パレスチナ人の子どもが、住居の再建に関して家族を支えるために建設資材を集めていた際、ガザとの境界近辺で締約国軍により銃撃されてきたこと(報告対象期間中、このような事件が30件起きたと報告されている)。 (b) 西岸の入植者による攻撃の対象とされるOPTの子どもの人数が増えていること(2008年以降4人が殺害されており、かつ、報告対象期間中に数百人が負傷している)。委員会は、これらの事件のほとんどにおいて、イスラエル軍が暴力の防止および子どもの保護のための介入を行なわないのみならず暴力を行なう側を支援していることに、懸念とともに留意する。委員会はさらに、ほとんどの事件で、加害者が裁判にかけられず、その犯罪について全面的な免責を得ていることに、懸念とともに留意するものである。 (c) 「壁」の建設および2007年以降のガザ封鎖(赤十字国際員会は、このような封鎖について、連帯罰を科すものであってイスラエルが国際人道法に基づいて有する義務に明確に違反していると判断している)、OPTに住んでいる子どもの生命、生存および発達に対する権利に破壊的な影響が生じていること。 26.委員会は、締約国が、人道法(戦時における文民の保護に関する1949年のジュネーブ条約を含む)に掲げられた均衡性および区別の基本的原則を遵守するために速やかな措置をとり、子どもを殺害しかつ負傷させるすべての行為に終止符を打ち、このようなすべての犯罪について即時的および実効的捜査を行ない、実行犯を裁判にかけ、かつ、これらの人権侵害の被害を受けた子どもが十分な補償、回復および社会的再統合のための縁jを受けられるようにするためにあらゆる必要な措置をとるべきである旨の勧告(CRC/OPAC/ISR/CO/1、パラ11(a)ならびにCRC/C/ 15/Add.195、パラ32(c)および(d))をあらためて繰り返す。委員会はまた、締約国に対し、以下の措置をとることも促すものである。 (a) 人権高等弁務官から勧告されたように(A/HRC/19/20, para.52)、過度な実力行使のさらなる発生を防止するためにあらゆる必要な措置をとり、かつ、とくに、治安部隊および軍隊による実弾の使用に関するすべての規則を見直すこと。 (b) 入植者によるあらゆる形態の暴力を明確かつ公に非難し、かつ、このような行為がこれ以上容認されることはないという明確なメッセージを発信すること。締約国は、公の秩序を確保し、さらなる暴力を防止し、かつ、入植者が子どもに対して行なったあらゆる暴力行為およびそのような暴力の共犯行為に関する捜査および責任追及を確保するための即時的措置をとるべきである。 (c) とくに人種差別撤廃委員会から勧告されたように(CERD/C/ISR/CO/14-16, para.26)、かつ、「文民である住民に飢餓または苦痛を引き起こす目的」による焦土戦術の実施を禁じたイスラエル戦争法マニュアルにのっとって、住居、教育、健康、水および衛生に対する子どもの権利の尊重を確保する目的で、パレスチナ被占領地域における「壁」の建設を中止し、かつガザの封鎖を全面的に解除するとともに、パレスチナ人家族が住居および民生設備を再建するために必要なあらゆる建設資材の搬入を緊急に認めること。 子どもの意見の尊重 27.委員会は、家事手続に関与することとなった子どもの参加を得てハイファおよびエルサレムの家庭裁判所で2007年に開始された実験的プログラムを2014年までにすべての裁判所に拡大するためにとられた措置、および、医学的治療および処置についての意思決定に子どもを包摂するハダサ大学病院の実践に、肯定的対応として留意する。しかしながら委員会は、以下のことを懸念するものである。 (a) 裁判所が、改宗または精神病院への入院に関わる手続において、意見の聴取が子どもにとって害になると思われる場合には子どもの意見の聴取を義務づけられていないこと、および、養子縁組手続において意見を聴かれる子どもの権利を保障しないことが、子どもが養子にされることを認識していない場合には認められていること。委員会はさらに、子どもの移住者および庇護希望者が、自己に関する手続においてほとんど意見を聴かれていないことを懸念する。 (b) 意思決定プロセスへの子どもたちの参加が、締約国で注目が高まっている一方でいまなお広く実践されていないこと、および、子どもたちの意見が、とくに公共政策に関する決定において、十分に求められておらずまたは考慮されていないこと。 28.意見を聴かれる子どもの権利についての一般的意見12号(2009年)を参照しつつ、委員会は、締約国に対し、この権利が、子どもに影響を与えるすべての関連の司法手続および行政手続に制限なく適用されること、および、養子縁組に関する決定においては、子どもの意見を考慮することなく子どもの「最善の利益」について判断することはできないことを想起するよう求める。委員会は、締約国が、改宗、精神病院への入院または養子縁組の事件において意見を聴かれる子どもの権利に課している制限を再検討するとともに、子どもの移住者および庇護希望者が自己に関する手続において意見を聴かれる権利を効果的に確保するための措置をとるよう、勧告するものである。委員会はまた、締約国が、意見を聴かれる子どもの権利が実際に効果的に実施されるようにするための明確な機構および指針を定めるとともに、政策立案機関によって子どもの意見が考慮され、かつ、子どもに対してその提案についての十分な反応が与えられることを確保することも勧告する。 D.市民的権利および自由(条約第7条、第8条、第13~17条、第19条および第37条(a)) 出生登録/国籍 29.委員会は、住民登録法第6条で、イスラエルで生じたすべての出生を内務省に通知する登録官の義務が定められていることには留意しながらも、以下のことについて懸念を表明する。 (a) イスラエル人である親とOPT出身の親との間に生まれた子どもへのイスラエル市民権の付与が禁じられていること、締約国の決定により、2000年以降、パレスチナ人の子どもの居住許可申請の処理が停止されていること、ならびに、東エルサレムに住んでいる者の居住許可および身分証明が恣意的に取り消されていることにより、登録されていないパレスチナ人の子ども数千人が保健サービス、教育およびあらゆる種類の社会給付へのアクセスから排除されており、かつ、数千人の子どもが親とともに住めなくさせられていること。 (b) 締約国で出生した移住者の子どもに対し、正式な出生証明書ではなく、父親の名前が記載されていない手書きの公式通知書がしばしば発給されていること。委員会はまた、入院費用を負担できない移住者家族が出生通知書の発給を拒否される場合があるという報告、および、出生通知書に父親の名前を記載するために法外なDNA検査費用を支払わなければならなかった移住者家族がいるという報告についても懸念を覚える。委員会はさらに、正式な出生証明書を取得するために自発的帰還宣言書への署名を強制された家族がいるという報告についても懸念を覚えるものである。 30.委員会は、締約国に対し、出生後直ちに登録されるパレスチナ人の子どもの権利の否定(条約第7条第1項の違反)ならびに国籍を取得する権利および親によって養育される権利の否定につながっているすべての法的規定を廃止するための即時的措置をとるよう促す。この目的のため、締約国は、住民登録をパレスチナ自治政府に移管するよう促されるところである。委員会はまた、締約国に対し、イスラエル人の子どもについて行なわれているのと同様に、移住者の子ども全員に対し、両親の名前を記載した無償の出生証明書を発給することも促す。出生証明書の発給において「自発的」帰還宣言への署名が条件とされることは、けっしてあるべきではない。 アイデンティティに対する権利 31.委員会は、子どもに対してその子どもが養子であることを隠すことを認めている子どもの養子縁組法の規定について懸念を覚える。委員会はまた、ハイファ家庭・地方裁判所が、2008年の決定理由において、父性検査を認めることは子どもがユダヤ法にしたがって「私生児」のレッテルを貼られることになる可能性があるために子どもの最善の利益にそぐわないと判断したことも懸念するものである。 32.条約第7条に照らし、委員会は、締約国が、養子または親の双方から認知されていない婚外子について、自己の親の身元を知る子どもの権利の尊重を可能なかぎり確保するよう勧告する。委員会はまた、締約国に対し、宗教法が条約に一致したものとなること、および、宗教法において婚外子に対する軽蔑的な言葉が掲げられないことを確保することも促すものである。 33.委員会は、締約国が、代理母出産の取決めに関する規制において、生殖補助医療(とくに代理母が関与するもの)によって出生した子どもの権利および利益に十分な注意を払っていないことを懸念する。 34.委員会は、生殖補助医療(とくに代理母が関与するもの)の規制にあたり、締約国が、自己の最善の利益を第一次的に考慮され、かつ自己の出自に関する情報にアクセスする子どもの権利の尊重を確保するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、代理母および親となる予定の者に対する適切なカウンセリングおよび支援の提供を検討することも勧告するものである。 E.子どもに対する暴力(条約第19条、第37条(a)および第39条) 拷問および他の残虐なまたは品位を傷つける取扱いまたは処罰 35.委員会は、軍および警察による逮捕、起訴および拘禁の対象とされたパレスチナ人の子どもの拷問および不当な取扱いが行なわれており、かつ、この点に関して条約機関、特別手続の任務受託者および国際連合機関が繰り返し表明してきた懸念にもかかわらず、締約国がこのような慣行を終わらせられていないという報告があることについて、もっとも深い懸念を表明する。委員会は、OPTに住んでいる子どもが以下のような取り扱いを受け続けていることに、もっとも深い懸念とともに留意するものである。 (a) 日常的に、家族に対して大声で指示をする兵士によって真夜中に逮捕され、かつ、親に別れも言えないまま、手錠および目隠しをされてどこかわからない場所に連行されていること(子どもの連行先を知っている親はほとんどいない)。 (b) 組織的に、身体的暴力および言葉による暴力、屈辱的取扱い、苦痛をともなう拘束措置ならびに頭部および顔を袋で覆う措置の対象とされ、自分自身または家族構成員に対する殺害、身体的暴力および性暴力の脅迫を受け、かつ、トイレの利用、食事および水を制限されていること。これらの犯罪は、自白を得る目的で逮捕時からならびに移送および尋問の最中に行なわれているが、複数のイスラエル兵が証言したように恣意的に行なわれることも、未決拘禁中に行なわれることもある。 (c) 時として数か月間、独房に監禁されていること。 36.委員会は、締約国に対し、OPTに住んでいる子どもの拷問および不当な取扱い(これらは子どもの権利条約第37条(a)の深刻な違反であるのみならず、ジュネーブ第4条約第32条の重大な違反でもある)を防止しかつ根絶する、回避することのできない自国の責任を想起するよう求める。委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう強く促すものである。 (a) すべての子どもを直ちに独房監禁から解放すること。 (b) パレスチナ人の子どもの拷問および不当な取扱いが疑われるすべての事件に関する第三者調査を遅滞なく開始すること。これには、指揮系統のあらゆる段階で、これらの慣行を命令し、容認しまたはその便宜を図った者が裁判にかけられ、かつその犯罪の重大性に相応する刑により処罰されることを確保することが含まれるべきである。 (c) OPTに住んでいる子どもを対象として、逮捕およびその後の拘禁時に受けた取扱いに関して苦情(審判中に申し立てられるものを含む)を申し立てるための安全なかつ子どもにやさしい機構が用意されることを確保するため、即時的措置をとること。 (d) 関連の司法当局が、自白の取得方法について疑義を抱かせる事情が存在するときは、たとえ正式な苦情が申し立てられていなくとも、拷問または他の形態の不当な取扱いに相当する行為の捜査および訴追に関して相当な注意を払うことを確保すること。 (e) OPTに住んでいる子どもであって拷問および不当な取扱いの被害を受けたすべての子どもに対して、身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための援助を確保すること。 体罰 37.委員会は、締約国であらゆる場面における体罰が全面的に禁止されていること、および、義務教育(身体的暴力の報告規則)規則(第5770-2009号)において、教育施設の長に対し、教育者と生徒との間で生じたいかなる身体的暴力についても書面で報告することが義務づけられていることを歓迎する。しかしながら委員会は、身体的および情緒的な不当な取扱いを経験したと報告する生徒の割合が高いこと、および、拘禁中の子どもに対して体罰が引き続き行なわれていることを懸念するものである。 38.体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利についての一般的意見8号(2006年)に照らし、委員会は、締約国が、公衆および専門家を対象とする意識啓発プログラム(キャンペーンを含む)の実施等も通じ、体罰およびその心理的影響を解消するための効果的措置をとるよう勧告する。締約国はまた、体罰に代わる手段として積極的な、非暴力的なかつ参加型の形態の子育てならびにしつけおよび規律も促進するとともに、子どもにやさしい苦情申立て機構を設置するべきである。 虐待およびネグレクト 39.委員会は、子どもの虐待およびネグレクトを行なう親に対して軽い制裁を宣言した裁判所の諸決定に対する国の上訴(たとえば Cr.A (Be er-Sheva) 7161/02 The State of Israel v. Z.Y. (12.2.2003))に、肯定的対応として留意する。委員会はまた、子どもが不当な取扱いを受けている証拠を福祉局が入手していたにもかかわらず、子どもを自宅から分離して虐待およびネグレクトから保護する措置をとらなかったことについてテルアビブ市を非難した、エルサレム治安判事裁判所の2007年の決定(C.C. 3970/98 Yitzhak Goldstein v. The State of Israel (14.01.2007))も歓迎するものである。しかしながら委員会は、責任のある子育てを促進するための支援およびサービスが不十分であること、ならびに、危険な状況に置かれている子どもの受け入れ先が不足しているために一部の子どもが拘禁施設に収容されていること(2012年5月には、10代の女子153人が受け入れ待ちで拘禁施設に収容されていたと報告されている)に、懸念を表明するものである。 40.委員会は、締約国が、虐待およびネグレクトから子どもを保護し、かつ積極的な子育てを促進するための努力を強化するとともに、心理社会的援助および適切なケアを享受できるべきである、危険な状況に置かれている子どもが利用可能な保護シェルターを増設するためにあらゆる適切な措置をとるよう、勧告する。締約国は、優先的課題として、危険な状況に置かれている子どもであって現在拘禁施設に収容されているすべての子どもを収容から解放し、かつリハビリテーションおよびケアのための適切な施設に措置するべきである。 有害慣行 41.委員会は、一部の伝統的な男性割礼の慣行によって短期的および長期的合併症が生じているという報告があることに懸念を表明する。 42.委員会は、締約国が、男性割礼の短期的および長期的合併症に関する研究を実施するよう勧告する。 あらゆる形態の暴力からの子どもの自由 43.委員会は、パレスチナ人およびイスラエル人の子どもが、とくにロケット攻撃、空爆および砲撃による爆発の際、暴力の雰囲気のなかで生活していることを深く懸念する。委員会はまた、親が殴打されまたは屈辱的取扱いを受ける様子および自宅が破壊される様子を目撃するパレスチナ人の子どもに対する心理的暴力、ならびに、このような暴力がこれらの子どもに及ぼす長期的影響についても重大な懸念を覚えるものである。 44.子どもに対する暴力に関する国際連合研究の勧告(2006年、A/61/299)を想起しながら、委員会は、締約国が、子どもに対するあらゆる形態の暴力の解消に優先的に取り組み、かつ、紛争の結果として生じる暴力を低減させるよりもむしろ悪化させている政策の採用および実施を行なわないよう勧告する。委員会はさらに、締約国が、あらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利についての一般的意見13号(2011年)を考慮し、かつとくに以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 子どもに対するあらゆる形態の暴力を防止しかつこれに対処するための包括的な国家的戦略を策定すること。 (b) 子どもに対するあらゆる形態の暴力に対処するための国家的な調整枠組みを採択すること。 (c) 暴力の人種主義的側面およびジェンダーに関わる側面に特段の注意を払い、かつこれに対処すること。 (d) 子どもに対する暴力に関する事務総長特別代表および他の関連の国際連合機関と協力すること。 F.家庭環境および代替的養護(条約第5条、第18条(第1~2項)、第9~11条、第19~21条、第25条、第27条(第4項)および第39条) 家庭環境 45.委員会は、親および法定保護者が子どもの養育責任を果たすにあたって援助および支援のサービスを提供するために締約国がとった措置(所得最低水準に達していない家族に対する所得支援手当の給付、および、障害のある子どもの親に対して子どものケアのための追加的休暇の取得権を認めた病休日給与法の2007年改正を含む)を歓迎する。しかしながら委員会は、庇護希望者、難民および移住労働者の子どもの状況(これらの子どもは、親が家の外で働いている間、社会サービス機関によるいかなる支援も受けることなく、多数の子どもを預かるベビーシッターに預けられ、またはアパートもしくは路上でひとりのまま放置されている)について懸念を覚えるものである。 46.委員会は、締約国に対し、子どものための民間の放課後プログラムの費用を負担することができず、働いている間は子どもをひとりにしておくしか選択肢がないすべての親に対して社会的支援が提供されることを確保するため、具体的措置をとるよう促す。庇護希望者、難民および移住労働者の子どもなど、とくに被害を受けやすい状況に置かれた子どもに対し、特別な注意が払われるべきである。 家庭環境を奪われた子ども 47.コミュニティを基盤とする入所環境および子どもの地元に設けられたグループホームなど、新たな入所型養護モデルの発展を加速させるために締約国が行なっている積極的努力には留意しながらも、委員会は、入所施設に措置される子どもに比べ、里親養育に委託される子どもの割合がごく少ないことを依然として懸念する。委員会はまた、人権高等弁務官から報告されているように(A/HRC/8/17, para.50)、イスラエル国防軍が、2008年、書面によるいかなる命令も適切な代替施設の計画もないままヘブロンにある子どものための施設2か所を閉鎖して、3192人の子どもを立ち退かせ、かつあらゆる衣料品、食料、文房具その他の物品を没収したことにも懸念を表明するものである。 48.委員会は、締約国が里親養育制度をさらに強化するべきである旨の勧告(CRC/C/15/Add.195、パラ41)をあらためて繰り返す。委員会はまた、締約国に対し、ヘブロンの児童施設の閉鎖における責任の調査を実施するとともに、立ち退かされたすべての子どもが適切な環境で保護およびケアを受けられるようにするために人的資源、財源および技術的資源が提供されることを確保するようにも促すものである。 49.委員会は、数千人のパレスチナ人の子どもが両親またはきょうだいのいる家庭環境で生活しかつ成長する権利を奪われており、かつ、数千人が、2005年および2007年に改正された市民権およびイスラエル入国法に基づく家族再統合の厳格な制限のために別離の恐怖のもとで生活していることに、懸念を表明する。委員会は、締約国の決定により、2000年以降、パレスチナ人の子どもの居住許可申請の処理が停止されており、かつ、東エルサレムに住んでいるパレスチナ人の居住許可が取り消されていることを、とりわけ懸念するものである。委員会は、親の一方を失った子どもでさえも、西岸において生存している親と再統合できなくさせられていることに、深い懸念とともに留意する。 50.委員会は、締約国に対し、家族と離れ離れになっているすべてのパレスチナ人の子どもが両親およびきょうだいと遅滞なく再統合されること、および、さらなる別離のおそれが生じないようにするため、すべての家族構成員が適正に登録されることを確保するために即時的措置をとるよう、促す。締約国は、これまでに自由権規約委員会(CCPR/C/ISR/CO/3、パラ15、2010年)、女性差別撤廃委員会(CEDAW/C/ISR/CO/5、パラ25、2011年)および人種差別撤廃委員会(CERD/C/ISR/CO/14-16、パラ18)から勧告されたように、市民権およびイスラエル入国法、および、条約第9条および第10条に違反し、かつ家族再統合を妨げるすべての政策を廃止するべきである。 G.障害、基礎保健および福祉(条約第6条、第18条(第3項)、第23条、第24条、第26条および第27条(第1~3項)) 障害のある子ども 51.委員会は、障害のある人の権利に関する条約が批准され、かつ障害のある子どもに関連する多数の法律(とくに特別教育法(法律第5758-1998号)の改正、および、中等教育施設における学習障害のある生徒の権利法(法律第5768-2008号))が採択されたこと、ならびに、障害のある子どもが普通学校に統合された際、補完的指導ならびに特別な心理学的サービスおよび医療サービスを受けられるようにするための措置がとられていることを歓迎する。しかしながら委員会は、以下のことを懸念するものである。 (a) 障害のある子どもの圧倒的多数が特別学校または普通学校内の特別学級に出席していること。 (b) 子どもを普通学校または特別学校のどちらに措置するかが、親の選択次第であり、子どもが自己の意見を表明し、かつ自己の最善の利益の評価および判断を受けられる手続によって決められるものになっていないこと。 (c) 普通学校における障害のある子どものインクルージョンのために配分される資源、とくに障害のある子どもを支援するために配置されるフルタイムの援助者の人数が不十分であること。 52.障害のある子どもの権利についての一般的意見9号(2006年)を想起しながら、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 親の選択モデルを再検討して、障害のある子どもの最善の利益を評価しかつ判断するための、厳格な手続的保障を備えた正式な手続を確立するとともに、意見を聴かれかつ考慮される障害のある子どもの権利がこの手続において全面的に尊重されることを確保すること。 (b) インクルーシブ教育の提供範囲を、その利益を享受できるすべての子どもに拡大する盲的で障害のある子どもに関する包括的な国家的戦略を策定すること。もっとも不利な状況に置かれている子ども、とくに自閉症の子どもに対して特段の注意が払われるべきである。 (c) ドーナー委員会から勧告された、いわゆる「ニーズに応じた資金拠出」制度を実施することにより、障害のある子どもに対して効果的にインクルーシブ教育を行なうための十分な人的資源、財源および技術的資源が学校に提供されることを確保すること。 健康および保健サービス 53.委員会は、締約国で、子どもを対象とする質の高い保健サービス制度が発展していることを歓迎する。しかしながら委員会は、これらのサービスへのアクセスに関して不平等が存在し、主としてベドウィン人およびアラブ人の子どもならびにエチオピア系イスラエル人コミュニティに属する子どもに影響が生じていることを遺憾に思うものである。対話の際に締約国から提供された情報にもかかわらず、委員会は、2002年に委員会が留意した、OPTにおける子どもの健康および子どものための保健サービスの状況の悪化が報告対象期間中に相当に進展していることに、深い懸念を表明する。このような悪化は、ガザの病院および診療所に対する攻撃(これらの施設の半数以上がキャストレッド作戦の際に深刻な被害を受けた)、ならびに、子どもおよび妊婦をOPT外の医療施設に移送する許可の否定および遅れ(これにより、報告対象期間中に多くの子どもおよび妊婦の死亡が生じている)によるものである。委員会はまた、以下のことを著しく懸念する。 (a) ネゲブ砂漠のいわゆる「未登録」村落に住んでおり、基礎的保健サービスを剥奪されているベドウィン人の子どもの死亡率が高いこと。 (b) ガザ地区の子どもが、高度な水質汚染に日常的にさらされていることから、血液疾患および衛生関連疾病(水様性下痢および腸チフスなど)に罹患していること(ガザにおける子どもの死亡の12%が水の質の劣悪さによるものとされる)。 54.到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利についての一般的意見15号(2013年)に照らし、委員会は、締約国に対し、すべての子どもが差別なくこの権利を享受できることを確保するためにあらゆる必要な措置をとるよう促す。委員会はまた、締約国が、OPTに住んでいるすべての子どもおよび妊婦に対し、緊急医療ケアを含む保健サービスへの安全なかつ無条件のアクセスを保障し、かつ、十分な医薬品および訓練を受けた人材が利用できることを確保するべきである旨の、前回の勧告(CRC/C/15/Add.195、パラ45)もあらためて繰り返すものである。この勧告はネゲブ砂漠に住んでいるベドウィン人の子どもについても適用される。委員会は、締約国に対し、病院および医療施設への攻撃を中止するとともに、医療インフラの再建のために必要なすべての資材のガザへの搬入を緊急に認め、かつ、OPT外で医療ケアを必要とするすべての子どもおよび妊婦の時宜を得た移送を遅滞なく確保するよう、促すものである。委員会はまた、締約国に対し、安全な飲料水および十分な衛生サービスの復旧のために即時的措置をとり、かつ、復旧が完了するまで、これらのサービスを提供する人道機関のアクセスが妨げられないことを確保することも促す。 思春期の健康 55.委員会は、締約国の青少年、とくに女子の自殺率および自殺未遂率が高いことを懸念する。 56.思春期の健康に関する一般的意見4号(2003年)を参照しながら、委員会は、締約国が、若者の自殺およびその原因についてジェンダーの視点を含む詳細な研究を実施するとともに、この情報を活用して、子ども指導センター、ソーシャルワーカー、教員、ヘルスワーカーおよび他の関連の専門家と協力しながら若者の自殺に関する国家的な行動計画を策定しかつ実施するよう勧告する。締約国はまた、心理カウンセリングサービスの利用可能性を高めることも検討するとともに、思春期の子どもに対し、訓練を受けたソーシャルワーカーの支援を学校において提供するべきである。 生活水準 57.委員会は、子どもの貧困がこの数年増加していること、および、3人に1人が貧困下でまたは貧困すれすれの状態で生活していることを懸念する。委員会はまた、社会サービスが民営化されていることおよび無償サービスへのアクセスが限定されていることにより、困窮状態にある子どもおよびその家族が直面する困難が高まっていることも懸念するものである。 58.委員会は、締約国に対し、貧困下で生活している子どもおよびその家族が十分な金銭的支援および無償のかつアクセス可能なサービスを差別なく受けられることを確保するよう、促す。 59.前回の総括所見(CRC/C/15/Add.195、パラ50および51)に照らし、委員会は、パレスチナ人の子どもの貧困が増加しており、かつ、締約国によるパレスチナ地域の占領の結果として十分な生活水準に対するこれらの子どもの権利が深刻に侵害されていること、ならびに、イスラエル人入植地の拡大、コミュニティを分断するための「壁」の建設およびガザの封鎖を加速させるための措置がとられていることを、依然として深く懸念する。委員会は、以下のことをとりわけ懸念するものである。 (a) とくに西岸および東エルサレムにおける土地の接収、パレスチナ人の住居の大規模な取り壊し、数世代にわたって占有していた住居からのパレスチナ人家族およびベドウィン人家族の追放ならびに差別的な建築規制により、引き続き、パレスチナ人家族およびその子どもが数百人単位で移動を強いられ、ホームレス化し、または立退き強制および取り壊しを常に恐れなければならない状態が生じていること。 (b) 天然資源へのアクセスの禁止、水の使用の制限および給水機構(ベドウィン人の遊牧生活様式および農業様式を維持するために不可欠な、貯水池を基盤とする伝統的な水利機構を含む)の破壊を理由として、パレスチナ人の子どもおよびその家族ならびにネゲブ砂漠のベドウィン人の子どもが危機的な水不足に直面していること。委員会はさらに、東エルサレムで下水処理施設を設けること、および、いわゆる「未登録村落」に住んでいるベドウィン人の家族およびその子どもが安全な飲料水にアクセスできるようにすることに、たとえ最高裁がこれらの村落への配管が行なわれるべきであると判示した場合(民事上告審9535/06、Abdullah Abu Musa ed, et al. v. The Water Commissioner and the Israel Land Administration事件、2011年6月5日言い渡し)であっても、締約国の当局が反対していることを懸念する。 (c) OPTの子どもがますます慢性的栄養不良に苦しむようになっていること。このような状況は、ガザ地区の封鎖およびガザで人道援助を行なっている諸機関に課される制約、農地および海へのアクセスに関する厳しい制限の維持、ならびに、パレスチナ人の生計維持のために必要な手段(イスラエル人入植者および国家当局によって損傷されまたは根元から抜かれた、オリーブの樹を中心とするパレスチナ人所有の樹木を含む)の破壊および没収によって著しく悪化している。 60.十分な生活水準に対するパレスチナ人およびベドウィン人の家族の権利との関連で国際連合事務総長、人権高等弁務官およびさまざまな条約機関が締約国に対して行なってきた多数の勧告に照らし、委員会は、締約国に対し、パレスチナ人およびベドウィン人の家族からこれ以上その土地を奪い、かつ安全な飲料水、衛生設備および食料へのアクセスを認めないいかなる行動もとらないこと、ならびに、人道機関が、迫害または他の逆襲を恐れることなく、困窮している家族および子どもに妨害なくアクセスできるようにすることを、無条件で誓約するよう促す。委員会はまた、締約国に対し、以下の措置をとることも促すものである。 (a) 西岸のうち締約国の全面的管理下にある地域(東エルサレムを含む)に関する計画立案および地区制の体制が、適用される国際法上の基準に一致するようになるまで、取り壊しおよび立退きを停止するともに、西岸のパレスチナ人が公正な、実効的なかつ参加型の計画立案制度にアクセスできることを確保すること。 (b) 没収された土地をベドウィン人およびパレスチナ人の家族およびその子どもに返還すること。 (c) 社会権規約委員会からすでに勧告されているように(E/C.12/ISR/CO/3、パラ29、2011年)、OPTに住んでいる子どもが十分かつ安全な飲料水および十分な衛生設備を利用できることを確保するために即時的措置をとること。 (d) 土地、海および生計手段へのパレスチナ人によるアクセスに関して課されている制限を見直すこと。締約国はまた、パレスチナ人の生計手段を破壊した入植者が処罰されない状況に終止符を打つとともに、さらなる暴力および破壊を防止するための積極的措置をとるべきである。 H.教育、余暇および文化的活動(条約第28条、第29条および第31条) 教育(職業訓練および職業指導を含む) 61.委員会は、義務教育の範囲を広げ、かつ無償の義務教育を15~17歳の子どもまで拡大した、義務教育法の改正(2007年)を歓迎する。委員会はまた、ベドウィン人の子どもの教育における乖離を縮小するための5か年計画(2011~2016年)、および、エイラート市でまとめられた合意(移住してきた庇護希望者の子どもは、これまでのように別の教育枠組みのもとに置かれるのではなく、最終的に普通公立学校に統合されるとするもの)にも、肯定的対応として留意するものである。しかしながら委員会は、以下のことを懸念する。 (a) 親からの授業料の徴収が広く行なわれており、義務教育法に掲げられた無償教育に対する権利が脅かされていること。 (b) ベドウィン人の子ども(これらの子どもは、利用可能ないかなる学校もないまま、または安全な通学路および学校への移動手段も提供されないまま放置されていることが多い)およびエチオピア人コミュニティに属する子ども(これらの子どもは、適正なスクリーニングおよび特別なニーズの特定も行なわれないまま、不均衡なほど高い割合で特別教育に措置されている)に対する深刻な差別が存在すること。 (c) 人種差別撤廃委員会の所見(CERD/C/ISR/CO/14-16、パラ11)で指摘されているように、ユダヤ人とアラブ人の子どもが引き続き分離された学校制度のもとで教育されていること、および、アラブ人の子どものための教育制度への投資額のほうが低いために、深刻な教室不足、水準以下の教育条件および授業の質、低い学業成績ならびに多数の学校中退が生じていること。 62.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a) 義務教育法を効果的に執行するために必要な措置をとるとともに、子どもの教育のための授業料およびその他の非公式な拠出金の支払いを親に要請する慣行を打ち切ることにより、教育が無償のままとなることを確保すること。 (b) 教育に対するベドウィン人の子どもの権利を確保するために積極的な措置をとり、かつ、特別学校に不必要の措置されたエチオピア人の子どもの措置解除を直ちに行なうこと。 (c) 学校におけるアラブ人とユダヤ人の子どもの分離に終止符を打ち、かつ、あらゆるコミュニティ出身の子どもたちの間の寛容および理解に基づく教育制度を構築すること。 (d) 真にインクルーシブであり、違いを大切にし、かつ、違いにかかわらずすべての人間の尊厳および平等を尊重する社会を建設する目的で、個人の違いもしくは困難、民族的もしくは文化的背景または社会経済的地位にかかわらずすべての子どもを対象とした、インクルーシブな教育制度を確立すること。 63.委員会は、以下のことも懸念する。 (a) 締約国の「防衛の柱」作戦の際に300か所の教育施設に被害が出たこと、および、2009年以降、西岸において軍隊による32回の攻撃が報告されていること。パレスチナ人の学校は締約国の軍隊または入植者により攻撃されたものであり、かつ、軍の前哨地点または拘禁所として使用されることもあった。さらに、とくに国際連合総会が指摘するように(A/67/375, para.23)、子どもたちは、通学路において、締約国の軍隊および治安部隊ならびに入植者によるいやがらせ、脅迫および暴力の対象とされ続けている。 (b) 双方向的対話の際に締約国代表団が強調した新たな教室の建設にもかかわらず、OPT全域で学校が深刻に不足しており(会計検査オンブズマンによる2009年の報告によれば、東エルサレムでは1000の教室が足りない状態にある)、かつ学校インフラが破損した状態にあるために、パレスチナ人の子どもが教育を奪われ、または不適切かつ過密な環境のもと、テントもしくは移動住宅で行なわれる授業に出席しなければならなくなっていること。委員会はさらに、締約国が引き続き新たな教室の建設許可を与えず、かつ学校の取り壊しを命令しているために、パレスチナ人およびベドウィン人の子どもが教育に対する権利をさらに奪われていることを懸念する。 (c) ガザの封鎖により、2010年にはUNRWA〔国連パレスチナ難民救済事業機関〕が4万人の学齢児童の就学ニーズを満たせなかったこと。加えて、壁、封鎖、検問所および許可制度によって移動の自由に制限が課されているため、一部のパレスチナ人の子どもが引き続き通学できなくなっている。 64.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a) 入植者および治安部隊の責任が問われることを確保することにより、OPTの子どもをいやがらせ、脅迫および暴力から保護すること。 (b) OPTにおける学校への攻撃ならびに前哨地点および拘禁所としての学校の使用を停止するとともに、OPTおよびネゲブ砂漠における学校の破壊の一時停止を直ちに宣言すること。 (c) ガザで学校を再建できるようにする目的で二重用途品目リストから骨材、鉄棒およびセメントを外し、仮設学校の建設を促進するためにあらゆる必要な措置をとり、かつ、東エルサレムにおける学校不足に対処するための投資計画を優先的課題として作成すること。 (d) パレスチナ人の子どもの通学を妨げている、均衡性を欠いたあらゆる移動の自由の制限を撤廃すること。 教育の目的 65.委員会は、締約国が紛争状態にあることおよび教育制度が過度に軍事化されていることに鑑み、締約国において平和教育が著しく限定的である旨の懸念(CRC/C/OPAC/ISR/CO/1、パラ26)をあらためて表明する。締約国代表団から提供された情報にもかかわらず、委員会はまた、東エルサレムのすべての私立学校および公立学校に2011年に配布された学校教科書から、パレスチナの歴史、遺産、旗および都市に関する相当の情報が削除されていることも懸念するものである。 66.委員会は、イスラエルおよびパレスチナ双方の学校制度に平和教育を体系的に包摂するべきである旨の勧告(CRC/C/OPAC/ISR/CO/1、パラ27)をあらためて繰り返すとともに、締約国に対し、イスラエルおよびパレスチナ双方の子どもたちを集めて、平和教育を推進するための合同の取り組みを行なうことをふたたび奨励する。委員会はまた、教育の目的に関する一般的意見1号(2001年)への注意も喚起し、かつ、締約国に対し、パレスチナ人の子どもが自己の文化的アイデンティティ、言語および諸価値について教育されることを確保する自国の義務を想起するよう求めるとともに、このような義務を理由として、締約国に対し、パレスチナの教科書およびカリキュラムの使用の禁止を取り消すよう促すものである。 乳幼児期の発達 67.委員会は、義務教育法が3歳以上のすべての子どもに適用されるにもかかわらず、乳幼児期教育に編入されるアラブ人の子どもの人数が引き続き不均衡なほど少ないことに、懸念を表明する。委員会はまた、締約国が、乳幼児期施設の認可および監督のために必要な法的枠組みをいまだに採択していないことも懸念するものである。 68.委員会は、締約国が、乳幼児期の教育および発達に関する包括的な国家的政策を採択し、かつ、すべての子どもが質の高い乳幼児期のケアおよび教育の機会に差別なくアクセスできることを確保するよう、勧告する。委員会はまた、締約国が、乳幼児期のケアおよび教育に適用される法的な規制の枠組みを採択するとともに、すべての施設が義務的登録を受け、かつ定められた基準に基づく監督の対象とされることを確保することも勧告するものである。 I.その他の特別な保護措置(条約第22条、第30条、第38条、第39条、第40条、第37条(b)~(d)、第32~36条) 子どもの庇護希望者および難民ならびに移住労働者の子ども 69.委員会は、2011年、ニツァーナで保護者のいない子どものための「ユースビレッジ」が創設されたことを歓迎する。委員会はまた、法的地位を得ていない子どもの状況に対し、最近、会計検査オンブズマンおよびクネセト(議会)の子どもの権利委員会が注意を向けていることにも、肯定的対応として留意するものである。しかしながら委員会は、締約国において庇護希望者および移住労働者の子どもならびに保護者のいない子どもがますます周縁化されていること(これらの子どもは公的福祉機関によるいかなる支援も受けられないままでいることが多い)を懸念する。委員会はさらに、これらの子どもが保育所、教育および保健センターへのアクセスをしばしば否定されているため、親が家の外で働いている間ひとりのままであり、またはさまざまな形態の搾取にさらされていることを懸念するものである。委員会はまた、以下のことについて懸念を表明する。 (a) 2012年1月に制定された侵入防止法により、締約国に不法に移住してきた子ども(搾取、拷問および人身取引の被害を受けた子どもを含む)の長期拘禁が認められていること。 (b) 2011年8月以降、移住労働者の子ども(締約国で出生した子どもを含む)の、著しくストレス度の高い条件下で行なわれる逮捕(夜間に実施されるものなど)が増えていること。これらの子どもおよびその母親はその後、ベングリオン国際空港にあるヤハロム拘禁施設で家族にとって適切ではない狭い房に収容され、父親または他のいかなる家族構成員にも連絡できず、かつ保健サービス、ソーシャルワーカーまたは法律相談にもアクセスできないまま、退去強制を待つことになる。 (c) サハロニム拘禁センターにおける子どもの拘禁環境について、護民官が、2011年8月の報告書のなかで、苛酷かつ過密であると判定していること。2011年にはマタン拘禁施設(ハレラ)およびギボン拘禁施設で19人の男子が自殺を図っており、また女子は成人とともに収容されている。虐待、拷問または人身取引の被害を受けた子どもに対し、適切な心理社会的ケアおよび支援は提供されていない。 (d) 2012年、スーダン人の子ども(親による暴力および重度のネグレクトを理由として保護的ケア機関に委託されていた子どもを含む)が、親が苛酷な環境下で逮捕および収監の対象とされたのに続いて逮捕され、苛酷な環境下で収監され、かつ退去を強制されたために、これらの子どもに深刻な情緒面の被害が生じたこと。 70.委員会は、出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いについての一般的意見6号(2005年)に対して注意を喚起するとともに、締約国に対し、国際的移住に関与しているまたはその影響を直接受けているすべての子どもに、年齢、性別、民族的または国民的出身および経済的地位または在留資格にかかわらず、自発的移住および非自発的移住のどちらの状況においても、保護者の同伴の有無、移動中であるかもしくは何らかの形で定住しているかの別、在留資格を有しているか否かまたはその他のいかなる状況に置かれているかにかかわらず、その権利を享受する資格があることを想起するよう求める。委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促すものである。 (a) 子どもの庇護希望者および移住労働者の子どもを保護しかつ十分に支援する目的で、公立学校、寄宿学校、幼稚園、保育所および保健サービスへのアクセスをこれらの子ども全員に保障するとともに、責任を有する政府機関間の調整を確保すること。 (b) イスラエルの庇護手続を規制するための国家的な法的枠組み(ノンルフールマンの原則を含む)の策定および制定に優先的課題として取り組むとともに、子どもの長期拘禁を認めている侵入防止法の規定を廃止すること。 (c) いかなる形態のネグレクト、搾取、虐待、拷問または他のいずれかの形態の残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いもしくは処罰の被害を受けた子どもについてもその身体的および心理的回復ならびに社会的再統合を促進するために、あらゆる適切な措置をとること。 (d) 出入国管理上の地位に基づく子どもの拘禁を、即時的効果をともなう形で停止すること。 (e) 子どもに影響を与える移住手続のすべての決定段階で、かつ子どもの保護の専門家、司法機関および子ども自身の関与を得ながら、子どもの最善の利益に関する個別の鑑別および評価を実施すること。また、子どもまたはその親の拘禁、送還または退去強制につながるいかなる手続においても、子どもの最善の利益が第一次的に考慮されるべきである。 (f) 無国籍の削減に関する1961年の条約の批准を検討するとともに、国籍法制および現行の諸手続を、無国籍の防止および削減に関する国際基準との一致を図る目的で見直すこと。 武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書のフォローアップ 71.委員会は、パレスチナ人の子どもが人間の盾および密告者として使用され続けていること(2010年1月から2013年3月までの期間だけでこのような事例が14件報告されている)、ならびに、締約国が、この点について委員会が2010年に勧告したように(CRC/OPAC/ISR/CO/1、パラ25)、Adalah et al. v. Commander of the Central Region et al.事件における最高裁判所判決(HCJ 3799/02、2005年6月23日付判決)を遵守していないことに、深い懸念を表明する。委員会は、以下のことに深い懸念をもって留意するものである。 (a) テロ対策における人権および基本的自由の促進および保護に関する特別報告者が指摘しているように(A/HRC/6/17/Add.4, para.48)、締約国の兵士がパレスチナ人の子どもを利用して、危険な可能性がある建物に自分たちよりも先に入らせ、かつ軍用車両への投石をやめさせる目的でこれらの車両の前に立たせていること。 (b) 子どもを人間の盾および密告者として使用した者のほぼ全員が処罰されないままであること、および、9歳の子どもに対して銃を突きつけ、爆発物が入っている疑いのあったカバンを強制的に捜索したことを理由として有罪判決を受けた兵士らに対し、執行猶予付きの3か月の刑および降格処分しか科されなかったこと。 72.委員会は、締約国に対し、Adalah et al. v. Commander of the Central Region et al.事件における最高裁判所判決に直ちにしたがい、人間の盾および密告者としての子どもの使用を禁止するための積極的措置をとるとともに、人間の盾および密告者としての子どもの使用の禁止を実効的に執行し、かつ、加害者が裁判にかけられかつ犯罪の重大性に相応する制裁によって処罰されることを確保するよう、促す。 少年司法の運営 73.委員会は、法律に抵触したイスラエル人の子どものための広範な保障および保護措置を擁する同国の少年司法制度に相当の改善が見られたことについて、締約国を称賛する。しかしながら委員会は、締約国が、パレスチナ人の子どもの逮捕および拘禁ならびに拘禁環境について委員会が2002年および2010年に行なった勧告を完全に無視しており、かつ、依然として軍令の対象とされたままであるOPTに住んでいる子どもに対し、これらのあらゆる保障および保護措置を否定し続けていることを懸念するものである。委員会は、報告対象期間中に推定7000人のパレスチナ人の子ども(12~17歳、ただし9歳という幼さの子どもが含まれているときもある)が締約国の軍隊によって逮捕され、尋問されかつ拘禁されており(平均1日あたり2人の子ども)、かつ、国際連合事務総長が指摘するように(A/67/372, para 28)、2011年9月以降この人数が73%増加していることに、重大な懸念を覚える。委員会は、以下のことに深い懸念を表明するものである。 (a) 逮捕されたパレスチナ人の子ども(複数のイスラエル兵が証言したように、このような逮捕はしばしば恣意的に行なわれている)のほとんどは投石について罪を問われており、これは20年の収監刑を言い渡される可能性のある犯罪であること。 (b) 現在、236人の子どもが治安上の理由によるとされる拘禁の対象とされており、そのうち数十人は12~15歳であること。 (c) 逮捕されたパレスチナ人の子どもを、裁判官の前に引致するまで4日間(2012年8月までは8日間)拘禁することができ、かつ、これらの子どもに対し、親の立会いを受ける権利(親が自分の子どもの拘禁場所を知らないことさえしばしばある)および弁護士にアクセスする権利を含む権利の告知がほとんど行なわれていないこと。 (d) 締約国の軍隊および警察によって逮捕されたパレスチナ人の子どもが、品位を傷つける取扱い(およびしばしば拷問行為)を組織的に受けており、自らが理解できないヘブライ語で尋問され、かつ、ヘブライ語の自白調書に署名しなければ釈放されていないこと。 (e) 子どもが、刑務所の制服を着用し、かつ足鎖および手錠をかけられたまま軍事法廷に連行され、かつ、そこで強迫されて行なった自白が主たる証拠として使用されていること。子どもがここで初めて会う弁護士は、子どもに適用される軍令のアラビア語訳にアクセスできない。 (f) 成人に適用される量刑関連の規定が16~17歳の子どもにも適用されること。 (g) 拘禁されているパレスチナ人の子どもの多く(2009年以降215人)が、戦時における文民の保護に関するジュネーヴ第4条約第76条に違反する形で、OPT外への移送およびイスラエル国内での拘禁および服役の対象とされていること。これらの子どもの多くは、換気が不十分で自然光も入らない劣悪な環境下で、過密な収容房に成人とともに拘禁されている。食料の質の悪さおよび量の不十分さ、刑務所吏員による苛酷な取扱いおよびいかなる形態の教育も受けられないことが、これらの子どもの苦境に拍車をかけている。 74.委員会は、締約国に対し、少年司法に関する基準がすべての子どもに差別なく適用されること、および、裁判が、公正な裁判に関する最低基準にしたがって迅速かつ公正なやり方で行なわれることを保障するよう、強く促す。委員会はまた、締約国に対し、パレスチナ人の子どもを対象として制度化されている拘禁ならびに拷問および不当な取扱いの使用のシステムを、司法手続のあらゆる段階で解体することも促すものである。この違法なシステムに関与してきた者を全員裁判にかけ、かつ、有罪と認められたときには処罰することが求められる。委員会はまた、締約国に対し、委員会が2002年および2010年に行ない、かつすべての人権機構、国際連合事務総長および人権高等弁務官から一貫して繰り返されている勧告を遵守するとともに、とくに以下の措置をとることも促すものである。 (a) 投石を理由としてパレスチナ人の子どもに20年の収監刑を言い渡すことを認めているすべての法律について見直しおよび改正を進め、かつ、このような理由で収監されているすべての子どもを拘禁から解放すること。 (b) 拘禁された子どもが、逮捕から24時間以内に、逮捕および拘禁の合法性に関する独立の司法審査に実効的にアクセスでき、かつ、逮捕直後から十分な、無償のかつ独立した法的援助を提供されること、および、親または近親者に連絡できることを確保すること。 (c) 治安に関わる犯罪を行なったとして罪を問われている子どもの拘禁が、最後の手段として、その年齢および脆弱性に応じた十分な環境下で、かつ可能なもっとも短い期間でのみ行なわれることを確保すること。刑事責任年齢に達しているか否かについて疑いがあるときは、子どもは当該年齢未満であると推定されなければならない。 (d) ヘブライ語で書かれ、かつパレスチナ人の子どもが署名しまたは承認したすべての自白調書が裁判所によって証拠として認容されないこと、および、今後、子どもの自白のみを根拠とする決定が行なわれないことを確保すること。 (e) 拘禁されているすべてのパレスチナ人の子どもが成人から分離され、かつ、OPT内に設けられた施設において、適切な環境下でかつ教育へのアクセスを保障されながら収容されることを確保すること。これらの子どもの拘禁について、定期的かつ公正な再審査が実施されるべきである。 (f) 拘禁されている子どもが独立した苦情申立て機構にアクセスできること、および、不法に拘禁され、かつ拷問および不当な取扱いを受けたすべての子どもが救済および十分な補償(リハビリテーション、賠償、満足および再発防止の保障を含む)を得られることを確保すること。 J.国際人権文書の批准 75.委員会は、締約国が、子どもの権利の充足をさらに強化する目的で、まだ当事国となっていないすべての中核的人権文書、とくに通報手続に関する子どもの権利条約の第3選択議定書、強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約、ならびに、市民的および政治的権利に関する国際規約、経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約、女性差別撤廃条約、拷問禁止条約および障害のある人の権利に関する条約の諸選択議定書を批准するよう勧告する。 K.フォローアップおよび普及 76.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を国家元首、クネセト(議会)、関連省庁、国防軍および治安部隊、最高裁判所ならびに地方当局に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 77.委員会はさらに、条約およびその選択議定書ならびにそれらの実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、第2回~第4回統合定期報告書および締約国による文書回答ならびに関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれに限るものではない)、公衆一般、市民社会組織、メディア、若者グループ、専門家グループおよび子どもが同国の言語で広く入手できるようにすることを勧告する。 L.次回報告書 78.委員会は、締約国に対し、次回の第5回・第6回統合定期報告書を2018年11月2日までに提出し、かつ、この総括所見の実施に関する情報を当該報告書に記載するよう慫慂する。委員会は、2010年10月1日に採択された委員会の条約別調和化報告ガイドライン(CRC/C/58/Rev.2 and Corr.1)に対して注意を喚起するとともに、締約国が、今後の報告書は当該ガイドラインにしたがうべきであり、かつ60ページを超えるべきではないことを想起するよう求めるものである。委員会は、締約国に対し、当該ガイドラインにしたがって報告書を提出するよう促す。2012年12月20日の総会決議67/167にしたがい、ページの制限を超えた報告書が提出された場合、締約国は、前掲ガイドラインにしたがって報告書を見直し、かつ再提出するよう求められることになる。委員会は、締約国に対し、締約国が報告書を見直しかつ再提出する立場にないときは、条約機関による審査のための報告書の翻訳は保障できないことを想起するよう、求めるものである。 79.委員会はまた、締約国に対し、2006年6月の第5回人権条約機関委員会間会合で承認された調和化報告ガイドライン(HRI/GEN/2/Rev.6, chap.I)に掲げられた共通コアドキュメントについての要件にしたがい、最新のコアドキュメントを提出することも慫慂する。 更新履歴:ページ作成(2017年4月25日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/322.html
総括所見:中華民国/台湾(第1回独自審査、2017年) 台湾・子どもの権利条約実施法 CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) 原文:英語 日本語訳:平野裕二(翻訳にあたっては台湾政府による中文訳も適宜参照した)〔日本語訳PDF〕 子どもの権利条約の実施についての中華民国/台湾の第1回報告書に関する総括所見 I.はじめに 1.2014年6月、中華民国(台湾)の立法院は、子どもの権利条約実施法(「実施法」)を可決した。同法は2014年11月20日に施行され、CRCの国内法上の調和化の枠組みを提供している。2016年4月22日、台湾の立法院はCRCの採択を支持する法案を可決し、これを受けて総統は2016年5月にCRCへの加入書に署名した。 2.行政院は、実施法にしたがって2016年11月に第1回国家報告書を発表し、その英語版は2017年3月に利用可能とされた。第1回国家報告書の審査を行なうため、台湾政府は、子どもの権利に関する国際的な独立専門家5名を招聘して独立審査委員会(「審査委員会」)を設置した。5名の専門家とは、ヤープ・ドゥック(委員長・オランダ)、ジュディス・カープ(イスラエル)、ナイジェル・カントウェル(英国/スイス)、ローラ・ランディ(北アイルランド)およびジョン・トービン(オーストラリア)である。 3.審査委員会は、2017年3月に審査委員会に提出された台湾の第1回報告書を検討した。審査委員会は、子ども団体および子どもたちのグループを含む市民社会組織から報告書を受領した。審査委員会は、2017年6月に台湾に対する事前質問事項を提出し、2017年9月に詳細な文書回答を受領した。審査委員会はまた、事前質問事項および事前質問事項に対する国の回答を受けて市民社会から提出された多数の追加報告書も受領した。 4.審査の一環として、2017年11月20日、審査委員会は子どもたちおよび市民社会のメンバーと非公開の会合を持った。審査委員会は、2017年11月21日および22日、政府代表団と公の対話を行なった。審査委員会は、2017年11月24日にこの総括所見を採択して発表した。 5.審査委員会は、CRCを実施するために台湾政府が行なっている真剣かつ誠実な努力を認知する。審査委員会は、関連するすべての省庁および政府機関の代表が出席した審査における政府との建設的対話に、大いなる謝意を表明するものである。市民社会およびとくに子どもの積極的参加も、審査プロセスにとって必要不可欠であった。 6.審査委員会は、審査委員会に実質的支援および後方支援を提供してくれたことについて、衛生福利部(およびとくにそのCRCチーム)に謝意を表明する。 II.国際人権条約の承認 7.審査委員会は、CRCのみならず次の国際人権条約も採択する旨の台湾の決定を歓迎する。 (a) 経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約 (b) 市民的および政治的権利に関する国際規約 (c) 女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約 (d) 障害のある人の権利に関する条約 III.主要な懸念領域および勧告 A.実施に関する一般的措置(第4条、第42条および第44条(6)) 立法 8.審査委員会は、CRCが留保なしに接受されたことおよびCRCの実施のための特別法が採択されたことに、評価の意とともに留意する。審査委員会は、政府が、国内法を条約の規定と調和させることを目的として国内法の見直しを継続するなかで、子どもの権利影響評価のプロセスを実行するよう勧告する。 9.審査委員会は、実施法を改正し、国内法の規定との抵触がある場合にはCRCの規定が優先されることを明示するよう勧告する。 10.審査委員会は、政府に対し、武力紛争への子どもの関与ならびに子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関するCRCの両選択議定書を採択するよう奨励する。 包括的な国家的行動計画 11.審査委員会は、政府が、広域行政圏および地方の当局、市民社会組織、関連の専門家、子どもおよび親の関与を得ながら、CRCの実施のための国家的かつ包括的な行動計画を策定しかつ実施するよう勧告する。 調整 12.審査委員会は、子どもおよび若者の権利と福祉に関する政策の調整および促進を任務とする「子どもおよび若者の福祉および権利促進チーム」が設置されたことおよび行政院の「子どもおよび若者の福祉および権利の促進のための委員会」が設置されたことを歓迎する。審査委員会は、政府が、これらのチームおよびグループに対し、その任務を遂行するための十分な権限が与えられ、かつ十分な人的資源および財源が提供されることを確保するよう勧告する。 13.審査委員会は、立法院に子ども委員会を設置するよう勧告する。同委員会は、子どもおよびその人権に影響を与える立法提案の作成にあたり、子ども、関連の職能団体および市民社会と協議するべきである。 独立の監視 14.審査委員会は、台湾がまだ独立の国内人権機関(「NHRI」)を設置していないことに懸念とともに留意する。 15.審査委員会は、CRC委員会が一般的意見2号(2002年)で行なっている勧告にしたがい、子どもの権利を監視するための専門部署を有するNHRIまたは子どもオンブズマン事務所もしくは子どもの権利コミッショナーのいずれかを、遅滞なく設置するよう勧告する。このような機関はパリ原則を遵守するものであるべきであり、かつ、官民の部門に関連して子どもからまたは子どもに代わって提出される苦情申立てを、子どもに配慮したやり方で、申立人のプライバシーおよび保護を確保しながら受理し、調査しかつ処理することができるべきである。 苦情申立て手続 16.審査委員会は、教育、社会福祉、保健および少年司法の現場で子どもに提供されている苦情申立ての機会についての情報に、評価の意とともに留意する。 17.審査委員会は、苦情申立ての機会および手続に関する情報をすべての子どもが受け取るべきであることを勧告する。政府は、これらの手続が子どもにやさしいものであること、子どもに対して十分な支援(適切なときは親または権限のあるNGOによる支援を含む)が提供されること、および、子どものプライバシーが保護されることを確保するべきである。さらに審査委員会は、政府が、苦情を申し立てた子どもおよび子どもに代わって苦情を申し立てた者を報復、脅迫または他の悪影響から保護するために必要な措置をとるよう勧告する。苦情申立て手続は独立の再審査に服さなければならない。 資源配分 18.審査委員会は、第1次子ども予算を提出したことについて政府を称賛する。審査委員会は、公共予算編成に関する子どもの権利委員会の一般的意見19号(2016年)にのっとり、政府が、公の対話(子どもたちとの対話を含む)を通じて透明なかつ参加型の予算編成を確保するとともに、資源の配分および使用の十分性、有効性および公平性を監視しかつ評価するための機構(地方当局レベルにおけるものを含む)を設置するよう勧告する。 データ収集 19.審査委員会は、家庭環境および代替的養護、保健および福祉、教育ならびに特別な保護措置などの分野における子どもの権利の実施に関わる統計情報の提供を評価する。 20.実施に関する一般的措置についての子どもの権利委員会の一般的意見5号に照らし、審査委員会は、政府が、データ収集システムをさらに改善するとともに、中央データ収集部署の設置を検討するよう勧告する。収集される情報は、条約のすべての分野を網羅し、かつ、ジェンダー、年齢、都市部/農村部の別ならびに先住民族的背景および民族的背景ごとに、ならびに、妥当かつ適切な場合には障害、国籍および性的指向ごとに、細分化されるべきである。 意識啓発および研修 21.審査委員会は、子どもの権利に関してさまざまな省庁が中央レベルで提供している研修および地方レベルで提供されている研修に留意する。しかしながら審査委員会は、研修の質および有効性に関する情報がないこと、および、焦点が主として公務員に当てられているように思われることを懸念するものである。 22.審査委員会は、政府が、子どもとともにまたは子どものために働くすべての専門家(教員、ソーシャルワーカー、医療専門家、施設養護および里親養護の仕事をしている専門家ならびに子どものための特別な保護措置の分野で働いている専門家、警察、裁判官および検察官ならびに少年司法の分野で働いているその他の者など)を対象として、子どもの権利に関する研修を確保するよう勧告する。すべての研修において、CRCの一般原則(差別の禁止に対する権利、第1次的考慮事項としての子どもの最善の利益、生命、生存および発達に対する権利ならびに意見を聴かれる権利)および発達しつつある能力の原則に、特別な注意が向けられるべきである。すべての研修を継続的な監視および評価の対象とすることが求められる。親に対しても、学校、地方政府、福祉・保健サービスおよびメディアを通じて子どもの権利に関する情報が提供されるべきである。 市民社会および企業セクターとの協力 23.審査委員会は、政府と市民社会組織との肯定的関係および開かれた対話を称賛する。審査委員会は、台湾における子どもの権利の実現をさらに進めていく手段として、このような協力を奨励する。 24.企業セクターが子どもの権利に及ぼす影響に関わる国の義務についてのCRC委員会の一般的意見16号(2013年)を参照しつつ、審査委員会は、政府が、とくに子どもの就労および労働条件、メディア(ソーシャルメディアおよびインターネットを含む)ならびに環境保護の分野で企業セクターが子どもの権利を遵守することを確保するための規則を定めかつ実施するよう、勧告する。 B.子どもの定義 25.審査委員会は、台湾における成人年齢が20歳であることに留意する。審査委員会の任務は18歳未満の者に限定されている。しかしながら審査委員会は、台湾におけるCRCの実施が、18歳または19歳の若者に対する権利の適用可能性に関する不整合および混乱を生み出す可能性があることを強調したいと考えるものである。 26.審査委員会は、政府が、国際条約機関の勧告にしたがって最低婚姻年齢を男女ともに18歳と定めることにより、現行の最低婚姻年齢の調和を図る法律の制定を公約としていることに、評価の意とともに留意する。 C.一般原則 差別の禁止(第2条) 27.審査委員会は、とくに被害を受けやすい立場に置かれた子ども(先住民族の子ども、LGBTIの子ども、障害のある子どもおよび無国籍の子どもなど)に対する差別を防止し、かつこれらの子どもを差別から保護するためのさまざまな法的規定に関して提供された情報に、評価の意とともに留意する。しかしながら審査委員会は、これらの規定を確保し、かつ性別平等教育法の実施への抵抗に対処するための政策およびプログラムの有効性に関する情報がないことを懸念するものである。 28.審査委員会は、国が、子どもたち、子どもとともにまたは子どものために働いている専門家および市民社会と継続的に協議しながら、引き続き、とくに被害を受けやすい立場に置かれた子どもの差別を受けない権利に関する意識啓発キャンペーンの促進および支援を図り、かつ、子どもの差別を禁じたさまざまな法的規定の全面的実施を確保するために必要な措置をとるよう勧告する。 第1次的考慮事項としての子どもの最善の利益(第3条第1項) 29.審査委員会は、子どもの保護に関連する立法および民法により、裁判所その他の公的機関による決定は子どもの最善の利益に基づいて行なわれなければならないとされていることに留意する。審査委員会は、政府が以下のことを確保するよう勧告するものである。 (a) この権利が、子どもの最善の利益に関する〔CRC〕委員会の一般的意見14号と一致する形で解釈されること。 (b) この権利が、立法上、行政上および司法上のあらゆる手続および決定ならびに子どもに関連しかつ子どもに影響を及ぼすあらゆる政策、プログラムおよびプロジェクト(出入国管理および少年司法に関する法令を含む)において一貫したやり方で統合されかつ解釈されること。 生命、生存および発達に対する権利(第6条) 30.審査委員会は、子どもの自殺率および自殺未遂率の高さを国が認知していることに留意するとともに、国が、子どもおよび若者の自殺の原因を評価しかつこれに対処し、かつきわめて高い水準にある子どもの自殺を減らすために現在行なっている努力を拡大するよう勧告する。 意見を聴かれる子どもの権利(第12条) 31.審査委員会は、学校および地方政府の委員会の委員に子どもを含めるためにとられてきた措置を歓迎するとともに、とくに国民教育課程綱要審議会に子どもが含まれていることを称賛する。しかしながら審査委員会は、社会文化的態度により、子どもが家庭、学校およびより広いコミュニティにおいて自由かつ安全に意見を表明することが制約され続けていることに、懸念を表明するものである。 32.審査委員会は、意見を聴かれる子どもの権利に関するCRC委員会の一般的意見12号に対して政府の注意を喚起するとともに、政府が条約第12条にしたがってこの権利の実施を強化するための措置をとるよう勧告する。審査委員会は、政府が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 子どもたちにとってもっとも重要な問題およびこれらの問題に関する子どもたちの意見をあらゆる場面でもっともよい形で聴ける可能性がある方法を特定するための調査を実施すること。 (b) 家庭、学校およびコミュニティにおいてすべての子どもが意味のある形でかつエンパワーされながら参加することを促進するため、親、教員、ソーシャルワーカー、裁判官および子どもとともにまたは子どものために働くその他の者を対象とする研修プログラムおよび意識啓発活動を実施すること。 (c) 立法および政策立案の過程で子どもたちの意見が聴かれることを可能にする機構を設置することにより、国レベルでの子ども参加を強化すること。 (d) 子どもが意見を聴かれる自己の権利について情報を提供され、かつその権利を意味のある形で行使するための支援を受けられることを確保する等の手段により、関連の行政手続および法的手続において意見を聴かれる子どもの権利を認めた法律の効果的実施を確保するための措置をとること。 D.市民的権利および自由 国籍を取得する権利(第7条第1項) 33.審査委員会は、養子とされていない無国籍の子どものうち中華民国(台湾)の国籍を取得できる子どもを増やすために政府が行なっている努力を歓迎する。審査委員会はとくに、子どもの母親が移住者であり、かつ父親が知れない場合に、母親が子どもを連れずに帰国したときに生ずる子どもの資格および地位関連の問題についての報告に留意するものである。審査委員会は、これらの子どもが無国籍のままにならず、または台湾の他の子どもが受ける資格を有しているいかなるサービスまたは給付も奪われないことを確保するため、政府があらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 表現の自由に対する権利(第13条) 34.審査委員会は、大人が否定的態度を有していることおよび子どもが処罰への恐怖心を抱いているために、表現の自由に対する権利の行使が、とくに学校において実際には制限される場合があるという報告について懸念を覚える。審査委員会は、政府が、子どもがあらゆる場面で表現の自由に対する権利を享受できることを確保するとともに、たとえば学校内外における生徒新聞または生徒通信その他の刊行物の制作および配布を促進しかつ支援するよう勧告する。 結社の自由および平和的集会の自由に対する権利(第15条) 35.審査委員会は、20歳未満の子どもおよび若者が自分たち自身の結社を設立できず、かつ親または保護者の許可がなければ既存の結社の構成員にもなれないことに、懸念とともに留意する。このような立場は結社の自由に対する子どもの権利と両立せず、かつ子どもの発達しつつある能力を尊重していない。 36.審査委員会は、子どもが、その年齢、成熟度および発達しつつある能力にしたがって、いかなる差別もなく、結社の自由および平和的集会に対する権利(平和的抗議に対する権利を含む)を全面的に享受できることを確保するため、政府が必要な立法上その他の措置をとるよう勧告する。 プライバシーに対する権利(第16条) 37.審査委員会は、教員が、法律に定められた理由以外の理由で生徒の私物の検査を行ない、かつ秘密とされるべき子どもの情報を開示してきたという報告に、懸念とともに留意する。審査委員会は、プライバシーに対する権利へのこのような不法かつ恣意的な干渉から子どもを保護するため、政府があらゆる必要な措置をとるよう勧告するものである。教員に対しては、関連の規則に関する情報を提供し、かつこれらの規則に違反した場合には懲戒手続の対象とすることが求められる。 拷問または他の残虐な、非人道的なおよび品位を傷つける取扱いを受けない権利(第37条(a) 38.審査委員会はまた、矯正施設その他の入所施設における独居拘禁および抑制手段の使用についても懸念を表明する。審査委員会は、政府が、独居拘禁の使用および独居拘禁が行なわれる条件を規律する規則が条約第37条および自由を奪われた少年の保護に関する国連規則(「ハバナ規則」、パラ67)と全面的に一致することを確保するとともに、これらの規則が尊重されることを保証するためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告する。さらに審査委員会は、政府が、抑制手段の使用を規律する規則がハバナ規則に掲げられた基準(パラ63および64)に一致することを確保するため、当該規則の見直しを行なうよう勧告するものである。 E.家庭環境および代替的養護(第5条、第9~11条、第18条第1項および第2項、第20条、第21条、第25条ならびに第27条第4項) 家族支援 39.子どもの養育責任に関して金銭的その他の形で親を支援するためにさまざまな措置が用意されていることを歓迎しながらも、審査委員会は、ひとり親世帯(離婚後の世帯を含む)および低所得かつハイリスクの一部世帯が十分な支援にアクセスできていない可能性がある旨の報告に留意する。審査委員会は、政府に対し、このようなすべての世帯を包摂する目的で適切かつ必要な支援へのアクセスを拡大するため、あらゆる実現可能な措置をとるよう促す。 不法移送および不返還(第11条) 40.審査委員会は、子どもの不法移送の通報が義務的なものとされておらず、かつ通報件数は不法移送の被害者である子どもの人数の一部しか反映していない可能性があるという情報に留意する。さらに、法律上の規定はこのような移送を防止するのに不十分であるように思われる。 41.審査委員会は、台湾が、子どもの不法移送および(不)返還の事案に対応するための拘束力のある文書として、国際的な子の奪取の民事上の側面に関するハーグ条約(1980年)を採択するよう勧告する。 家庭環境を奪われた子どもおよび代替的養護(第9条第1項および第20条) 42.審査委員会は、入所型養護の使用およびその運用のあり方について懸念を覚える。審査委員会は、親/家族から分離されているまたは分離されなければならない子どもの入所型養護施設への措置を削減するための措置を政府がとってきたことに留意する。審査委員会はまた、入所型養護を受けている子どもの人数が顕著に減少しつつある一方、入所型養護を行なう国以外の提供機関の数が増加し続けていることにも留意するものである。審査委員会は、認可、査察および監査のために現在設けられている制度のもとで、質の保障が効果的に行なわれていない可能性があることを懸念する。審査委員会の理解によれば、、私立施設に対して現在提供されている資源では、資格のある十分な人数の職員を採用しかつ雇用し続けることができない可能性がある。審査委員会は、過剰定員のために、家庭を基盤とする養育ではなく入所型養護施設に子どもを措置するインセンティブが生じる可能性があることを懸念するものである。審査委員会は、政府が、この過剰定員の理由を検討するとともに、子どもの代替的養護に関する国連指針に一致する、代替的養護を必要する子どものもっとも適切な措置を確保するようなやり方で資源を配分するよう勧告する。 43.審査委員会は、公式な親族養育を受ける子どもの割合を高めるという政府の目標を歓迎する。審査委員会は、政府が、親族養育者になれる可能性がある者についての資格および補助金に関わる負担の大きい一部の要件を緩和することによって、現在進んでいる親族養育の増加をどの程度促進できるか検討するよう提案するものである。 44.審査委員会はまた、里親養育(特別なニーズを有する子どもの養育に関連するものを含む)を促進する政府の政策、ならびに、このことが含意する里親養育者の研修および支援の強化も歓迎する。審査委員会は、政府がこの政策を継続しかつ強化するよう勧告するものである。 45.審査委員会は、政府が、子どもの代替的養護に関する国連指針にのっとり、とくに措置が必要になることを防止するために家族を支援しかつ強化すること、および、このような子どもを対象として家庭を基盤とする養育の利用を推進しかつ促進することによって代替的養護制度の脱施設化を図るための、包括的なかつ予算の見積もりをともなう戦略を作成するよう、勧告する。 46.さらに審査委員会は、代替的養護への子どもの措置があらゆる場合に家庭裁判所の決定に基づいて行なわれること、そのような措置の期間が法律で定められること、および、措置期間の延長は裁判所の決定によって、かつ法律の定める基準を満たす形で行なわれることを確保するため、政府が必要な立法措置をとるよう勧告する。審査委員会がとりわけ懸念するのは、措置が必要でありかつ子どもの最善の利益にのっとっているか否かの評価に裁判所がまったく関与することなく、親が自己の子どもの措置を手配できるようになっていることである。 47.審査委員会は、不当な取扱いを受けている子どもおよび差し迫った重大な危険に直面している子どもが72時間を上限とする保護的措置の対象とされうること、および、この措置が裁判所の決定により3か月間繰り返し延長できることに留意する。審査委員会は、公的機関が、子どもが家族のもとに復帰できない場合の長期処遇計画の作成を、緊急入所施設に2年間滞在した後でなければ要求されないことを懸念するものである。 48.審査委員会は、政府が、CRC第25条および子どもの代替的養護に関する国連指針にしたがい、代替的養護を受けている子どものあらゆる措置を定期的に再審査する効果的システムを確立するよう勧告する。緊急施設および入所型施設への措置の再審査に特別な注意を払い、当該措置が子どもの最善の利益に照らしていまなお必要であるか否か、および(または)、家庭を基盤とする形態の代替的養護に子どもを措置することが可能か否かを、最低でも毎年評価することが求められる。政府はまた、子どもがある代替的養護現場から他の現場へと頻繁に移動させられることを防止するために必要な措置もとるべきである。 49.最後に、子どもの代替的養護に関する国連指針にのっとり、審査委員会は、代替的養護制度から離脱する子どもを対象として、このような子ども(および該当する場合にはその家族)が養護から離脱するプロセスに向けて準備できるようにし、かつ、適切な期間、あらゆる必要なアフターケア支援を提供する、効果的かつ適正な政策およびプログラムを整備することの重要性を強調する。 国内・国際養子縁組(第21条) 50.審査委員会は、年間の国内養子縁組件数が国外における台湾の子どもの養子縁組件数よりも少ないことに留意するものの、近親間養子縁組および継親養子縁組の解消率が高いことに、懸念とともに留意する。審査委員会は、これらの解消の原因を分析すること、解消率を低下させるための是正措置をとること、および、当事者であるすべての子どもに適切な養育を確保するためにあらゆる必要な努力を行なうことを勧告するものである。審査委員会は、国内で養子縁組を行なおうとする者がしばしば特別なニーズを有する子ども(障害のある子どもおよび年長の子どもを含む)を引き取りたがらない場合があり、したがってこのような子どもにとっては国際養子縁組が唯一の解決策と見なされる場合があることを認識しながらも、政府に対し、意識啓発を図り、かつこのような子どもの国内養子縁組を促進するよう促す。 51.審査委員会は、政府による国際養子縁組手続の監督(民間養子縁組斡旋機関の認可および監視を含む)の水準および実効性について懸念を覚える。審査委員会は、台湾が、台湾からのおよび台湾への国際養子縁組の事案に対処するための拘束力のある文書として、国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約(1993年)を採択するよう勧告するものである。 F.子どもに対する暴力(第19条、第24条第3項、第28条第2項、第34条、第37条(a)および第39条) 52.審査委員会は、子どもに対する暴力に対処する為に政府がとったさまざまな行動(とくに体罰およびいじめに関するもの)、および、ハイリスクの子どもおよび若者ならびに不利な立場に置かれた6歳未満の子どもにサービスを提供するプログラムを歓迎する。 53.審査委員会は、政府が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) これらの活動その他の活動を継続しかつ強化するとともに、CRC委員会が一般的意見13号(2011年)で示した指針および勧告を考慮しながら、あらゆる場面(家庭を含む)におけるあらゆる形態の暴力を防止しかつこれらの暴力から子どもを保護するための、複数年次にわたる包括的な国家的行動計画を策定しかつ実施すること。 (b) 子どもに対するあらゆる形態の暴力を2030年までに終わらせること(持続可能な開発目標の目標のひとつ(ターゲット16.2))に貢献する国および地方ならびにNGOの活動を含む同行動計画の実施のために、必要な人的資源および財源を提供すること。 54.審査委員会は、「学校でのいじめ防止指針」を歓迎するものの、その実施に関する具体的情報がないこと、ならびに、被害者その他の者による通報およびフォローアップ機構が実効性を欠いていることを懸念する。審査委員会は、政府が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 監視および通報のための手続が実効的なものとなることを確保するため、子どもたちと協議しながらこれらの手続を見直すこと。 (b) いじめが被害者である子どもおよび学校共同体に与える悪影響についての、教員および生徒双方の理解および意識を増進させること。 (c) 安全な教室づくりのための教員の能力を強化するとともに、被害者および目撃者に対していじめの事案を通報するよう奨励すること。 (d) 被害者および加害者である子どもならびにいじめの影響を受けている可能性があるその他の子どもを対象として、実効的なカウンセリングおよび修復的実践を行なうこと。 55.ネットいじめとの関連で、審査委員会は、政府がプラットフォーム運営者に対し、防止およびネットいじめに関する苦情申立てのための適切なサービスおよび機構を発展させかつ強化することを促すよう勧告する。 56.審査委員会は、学校および施設で体罰が法律で禁止されている旨の情報を歓迎する。しかしながら、家庭における体罰は禁止されておらず、かつ学校における体罰の使用は続いている。 57.審査委員会は、政府が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) CRC委員会の一般的意見8号に一致する形で、家庭における体罰を明示的に禁止する規定を採択すること。 (b) 体罰ならびにその他の形態の品位を傷つける取扱いおよび屈辱的な取扱いの悪影響に関する意識啓発および教育キャンペーンを実施するとともに、肯定的行動を促進するための代替的手法に関する情報を提供すること。 (c) 公立・私立の学校および施設で働くすべての者が体罰を使用しないことを確保するため、あらゆる適切な措置をとること。 (d) 子どもに対する暴力が疑われるすべての事案を適切な機関に通報することの重要性について、子どもとともにまたは子どものために働くすべての専門家を教育すること。 G.障害、基礎保健および福祉(第6条、第18条第3項、第23条、第24条、第26条、第27条第1項~第3項および第33条) 障害のある子どもの権利(第23条) 58.審査委員会は、政府に対し、障碍者権利条約に関する審査委員会の勧告を実施するよう促す。審査委員会はさらに、政府が、障害のある子どもに関する正確なかつ細分化されたデータの収集を確保するとともに、以下のことを確保するための適切な措置をとるよう勧告するものである。 (a) これらの子どもが農村部で適切な学校教育にアクセスできること。 (b) これらの子どもが、学校教育の修了後、意味のある就労に移行できること。 (c) これらの子どもが、たとえば共融〔障害の有無等にかかわらずすべての子どもが利用できる〕遊び場の開発を通じ、遊び、余暇およびレクリエーションのための意味のある機会を享受できること。 (d) これらの子どもが、自分自身およびその家族のための適切な支援サービスを受けられること。 59.審査委員会は、入所型施設で暮らしている障害のある子どもの人数が多いことを懸念する。審査委員会は、政府が、コミュニティを基盤とする環境で暮らし、かつインクルーシブな普通学校にアクセスできる障害のある子どもの人数を増やすための5か年戦略を採択したことを歓迎するものである。 健康に対する権利(第24条) 60.審査委員会は、すべての子どもが、その能力にかかわらず、医学的治療を受けるために親の同意を得なければならないことを懸念する。このような立場は、十分な理解力を有する子どもは、親が同意を与えることに消極的な場合を含め、医学的治療に同意する能力を有していると説明する子どもの権利委員会の見解と一致しない。 61.審査委員会は、子どもの医学的治療のために必要とされる同意〔に関する規定〕がCRC、とくに第5条および第12条と一致することを確保するため、政府が関連の法律を改正するよう勧告する。審査委員会はまた、CRC委員会が一般的意見12号(パラ102)で行なっている、各国は同意権が子どもに移行する特定の年齢を定めた法律を採択するべきである旨の勧告の実施を政府が検討することも勧告するものである。 62.審査委員会は、子どもに対して専門的な精神保健サービスを提供するために政府が行なっている努力(地域メンタルヘルスクリニック、精神保健を専門とする専門家および子ども向けホットラインの提供を含む)を歓迎する。しかしながら委員会は、精神保健上の問題を経験する子どもの発生(とくに高い自殺率)および提供されるサービスの有効性について懸念を覚えるものである。 63.審査委員会は、政府が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 精神保健上の課題を有する子どもおよび若者の自殺に関するデータを引き続き収集すること。このようなデータは、可能かつ適切である場合には、課題の性質、年齢、ジェンダー、農村部/都市部の別、先住民族としての地位および性的指向ごとに細分化されるべきである。 (b) 子どもに提供されるサービスの有効性について、ヘルプラインにアクセスした子どもの付託率および付託の結果に関するデータも含めて監視および評価を行なうこと。 (c) 精神保健サービス(子どもにやさしい予防サービスを含む)が、健康に対する権利についてのCRC委員会の一般的意見15号に一致する形で利用可能性、アクセス可能性、需要可能性および適切な質を備えていることを確保すること。 (d) 子どものための精神保健サービスの開発、実施および監視に役立てるため、CRC第12条に一致する形で子どもたちの意見を積極的に求めること。 64.審査委員会は、子どもの肥満の問題に対処するために政府が行なってきた一連の取り組みを歓迎する。しかしながら審査委員会は、以下のことを勧告するものである。 (a) 政府がこのような取り組みの有効性の評価および監視を行なうこと。 (b) 学校で子どもの体重測定を実施する際、プライバシーに対する子どもの権利が保護され、かつ子どもに屈辱を与えないようなやり方で測定が行なわれることを確保するために慎重な配慮をすること。 65.審査委員会は、政府が、2011年以降、セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスに関する教育を子どもに提供するためのプログラムを漸進的に導入してきたことに留意する。審査委員会はまた、このプログラムの有効性および適切性についてさまざまなグループが相当の懸念を有していること、性感染症の発生率が高いこと、および、いまなお10代の妊娠が相当数発生していることにも留意するものである。 66.審査委員会は、政府が現行のプログラムを見直し、その有効性を向上させかつ適切性を確保するために何らかの修正が必要か否かを評価するよう勧告する。このような見直しにおいては、子どもおよび青少年、親のグループ、保健専門家および教育者を含むすべての関係者との協議が行なわれるべきである。 67.審査委員会はさらに、当該見直しにおいて、セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスに関する現行プログラムが以下の要件を満たしているか否かの評価を行なうよう勧告する。 (a) 社会権規約委員会がセクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスに関する一般的意見22号で行なった思春期の子どもに関する勧告、ならびに、CRC委員会が思春期の健康と発達(一般的意見4号)および思春期における子どもの権利の実施(一般的意見20号)についての一般的意見で行なった勧告に一致していること。 (b) 年齢相応であり、かつエビデンスに基づいていること。 (c) セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスに対する、LGBTIを自認している子どもおよび障害のある子どもを含むすべての子どもの権利の保護が目的とされていること。 (d) CRC第12条に一致する形で、プログラムの立案、実施および評価において子どもたちの意見が取り入れられていること。 (e) 尊重しあう関係についての情報、および、性的活動を行なうようになる前に子どものエンパワーメントを図るための措置が含まれていること。 (f) 妊娠した女子に対し、適切な情報および支援サービスを提供していること。 (g) 親を対象として、セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスに対する子どもの権利を理解するための教育を実施していること。 68.審査委員会は、環境の質およびこれが自己の健康に及ぼす危害の可能性に関する懸念を子どもたちから聴取しており、政府が、環境が子どもたちの健康に及ぼす影響を監視するための措置をとるよう勧告する。審査委員会はまた、政府が、子どもの権利と環境に関する2016年の一般的討議を受けてCRC委員会が行なった勧告を考慮し、子どもたちが環境に関してまたは子どもの健康に関連するその他の事柄に関して政府に懸念を表明できるようにする制度または手続を発展させ、かつこれらの懸念に対して十分な立法上その他の行動で対応することも勧告するものである。 H.教育、余暇および文化的活動(第28~31条) 教育に対する権利(第28~29条) 格差の縮小 69.審査委員会は、6~15歳の義務教育において学費が無償とされていることを歓迎する。にもかかわらず、審査委員会は、私立の職業学校および高級中学校に通う生徒が、学費その他の学習費用および生活費を払うために融資の申請を行なわなければならない状況が拡大していることを懸念するものである。 70.審査委員会は、教育部(「MOE」)が、私立の職業学校および高級中学校の学費に関する全般的検討を行なうとともに、この点に関して、経済的に不利な立場に置かれた生徒を私立学校による過度な請求から保護するための審査制度を設けるよう、勧告する。審査委員会はさらに、政府が、債務の返済について困難を経験している生徒を援助するための適切なプログラムを導入するよう勧告するものである。 就学前教育施設 71.審査委員会は、公立および非営利の幼児園が不足しており、かつ、私立幼児園に子どもを入園させる親の金銭的負担が重いことを懸念する。委員会はまた、幼児教育保育法第7条を遵守できるようにするためには地方当局が追加の人的資源および財源を用意しなければならないことも懸念するものである。 72.審査委員会は、地方政府が公立幼児園を増設し、より多くの親が子どものための質の高い教育および保育にアクセスできるようにすることを援助するための「公的教育・保育サービス最大化事業(2017~2020年)」を歓迎する。 73.審査委員会は、政府に対し、公立幼児園の増設および訓練を受けた幼児園教員数の増加との関連で同事業の実施の有効性を評価し、かつ、離職率の高さに対処するためこれらの教員の賃金を改定するよう、奨励する。審査委員会は、政府が、公立幼児園の学費を無償化し、かつ私立幼児園の学費を負担可能なものとすることを目指すよう勧告するものである。 遠隔地および農村部における教育のための予算配分 74.審査委員会は、政府が遠隔地および農村部の子どもの教育に追加的資源を配分する決意を示していることを認知する。しかしながら審査委員会は、このような資源の配分が、これらの地域の子どもに対して質の高い教育を確保するうえでは必ずしも十分ではない可能性があることを依然として懸念するものである。審査委員会は、政府が、農村教育および遠隔地教育のために引き続き追加的資源を配分するとともに、子どもがCRC第28条および第29条に一致する形でどの程度教育に対する権利を享受できているか監視するための措置をとるよう、勧告する。 子どもの権利と公民教育 75.審査委員会は、人権およびとくに子どもの権利を、あらゆる形態のおよびあらゆる教育段階におけるカリキュラム(国民教育課程綱要を含む)の必修項目とすることを勧告する。審査委員会はさらに、年齢および能力を問わずすべての子どもを対象としたアクセスしやすい資料を制作すること、および、子どもの権利に関する知識および訓練を教員の必須要件とすることを勧告するものである。審査委員会はさらに、MOEが、公民教育および市民性教育における子どものエンパワーメント関連の活動を支援するよう勧告する。 校務に関する生徒代表の参加 76.審査委員会は、高級中等教育法が生徒の自治団体の創設について規定していることを認知するものの、同法が効果的に実施されていないことを懸念する。審査委員会は、MOEが、私立学校を含むあらゆる学校における、選挙または運営に学校職員が介入することのない生徒の自治団体の設立をモニタリングするよう勧告するものである。審査委員会はさらに、校務および生徒の教育上の関心について扱うすべての学校委員会に、自治団体の代表が実質的に参加するようにすることを勧告する。 カリキュラム指針改革 77.審査委員会は、試験がきわめて重視され、かつカリキュラムが柔軟性を欠いているために生徒が自分自身の教育上の関心を追求できる範囲が限定された状況下で生じている、高い学業成績を収めることへの圧力の結果、生徒に引き起こされているストレスについて懸念を覚える。審査委員会は、カリキュラムをより柔軟で、生徒の関心により合致した、かつ生徒にとってストレスがより少ないものとする目的でMOEが現在進めているカリキュラムの見直しを歓迎するものである。審査委員会は、MOEに対し、生徒の効果的参加を得ながらこの見直しのプロセスを継続するよう奨励する。 中退した生徒 78.審査委員会は、学校を中退した生徒を対象とするすべてのサービスが統合されているわけではないことを懸念する。審査委員会は、政府がこれらのサービスを統合し、かつ、このような生徒を支援するために十分な資源が配分されることを確保するよう勧告するものである。 懲戒措置 79.審査委員会は、学校が生徒の懲戒に関する独自の指針を作成できることに留意するとともに、このために子どもが連座罰のような恣意的かつ不法な懲戒措置の対象とされる可能性があることを懸念する。審査委員会は、政府が、子どもの権利と両立する懲戒措置の概要を示した通知を学校に対して発し、かつこれを公開するよう勧告するものである。 80.審査委員会は、学校で軍訓教官が雇用されていることを懸念し、このような慣行を可能なかぎり速やかに漸次廃止するよう勧告する。 体罰 81.審査委員会は、学校における体罰の禁止が十分な監視および執行の対象とされていないことを懸念する。審査委員会は、禁止規定の効果的実施を確保するためにMOEがあらゆる必要な措置をとり、かつこの措置を用いた教員に対して適切な制裁を科すことを勧告するものである。 不服申立て機構 82.審査委員会は、生徒の苦情申立てに関して現在設けられている不服申立て手続の実効性について懸念を覚える。審査委員会は、政府が、あらゆる学校(私立学校、輔育院、矯正学校および中途学校を含む)が行なった不法な管理上の決定または措置に関する個別の不服申立てに対応するための、秘密が守られかつ安全な通報手続を用意する独立の機構を設置するよう、勧告するものである。生徒は、そのような審理において意見を聴かれ、かつNGOによるものを含む独立の代理人をつけることを認められるべきである。 休息、遊びおよび余暇に対する子どもの権利(第31条) 83.審査委員会は、子どもが学校またはその他の学校外教育機関で非常に長い時間を過ごしていることを深く懸念する。審査委員会は、政府が、学業成績に関連して子どもに加えられる圧力を軽減することにつながるのではないかという思いから、国の試験制度改革を進めてきたことに留意するものである。 84.審査委員会は、学校が子どもに対して十分かつ定期的な自由時間を提供することを確保するため、学校の1日のあり方を見直しかつ規制するよう勧告する。さらに審査委員会は、政府が、十分な睡眠をとらないことならびに遊びおよび余暇にアクセスできないことが子どもの学習および発達ならびに身体的および精神的健康に及ぼす有害な影響について、親および教員を教育するための措置をとるよう勧告するものである。 85.審査委員会は、安全な遊び場の提供を通じ、都市環境において子どもが遊びの空間にいっそうアクセスできるようにするために政府が行なっている努力を称賛する。審査委員会は、政府が、障害のある子どもを含むすべての子どもが遊びにアクセスできること、および、子どもが自然環境のなかでこの権利を享受できることを確保するべきであることを強調するものである。休息、余暇、遊び、レクリエーション活動、文化的生活および芸術に対する子どもの権利についての一般的意見17号(2013年)を参照しつつ、審査委員会は、政府および地方当局が、十分かつ持続可能な資源をともなった遊び・余暇政策を採択しかつ実施する等の手段により、休息および余暇に対する子どもの権利ならびに子どもがその年齢にふさわしい遊びおよびレクリエーション活動に参加する権利を保障するための措置を実施するよう、勧告する。審査委員会は、政府が、コミュニティ、地方および国の各段階で、遊び政策ならびに遊びおよび余暇に関連する活動の企画、立案および監視において子どもたちの全面的関与を得るよう勧告するものである。 86.審査委員会は、先住民族の文化および言語を含む多様な文化についてすべての子どもが学べるようにするために行なわれている努力に留意する。審査委員会は、政府に対し、子ども、その家族およびマイノリティ・コミュニティと協議しながらこれらの活動を見直しかつ拡大するよう奨励するものである。 I.特別な保護措置(第22条、第30条、第32条、第33条、第34条、第35条、第36条、第37条(b)~(d)および第38~40条) 先住民族の子ども(第30条) 87.審査委員会は、先住民族の子どもの権利を保護するために政府がとっている多数の措置および国家原住民族委員会が果たしている重要な役割を歓迎する。 88.審査委員会は、政府が、先住民族コミュニティ(当該コミュニティ出身の子どもを含む)と連携しながら、先住民族の子どもの権利を保護するための特別措置を引き続き実施し、監視しかつその有効性の評価を行なうよう勧告する。審査委員会はさらに、政府が以下の点に特別な注意を払うよう勧告するものである。 (a) 先住民族の子どもの乳児死亡率を削減するための措置。 (b) 先住民族の子どもが、適切な資格を有する教員により、自己の先住民族言語で教授を受けることができること。 (c) 先住民族の子どもが教育のため農村部から都市部に移転した際に提供される援助。 (d) 部族協同組合による就学前教育施設の設置を支援するための措置(十分な資源の配分、ならびに、そのような就学前教育施設の設置、職員配置および運営への先住民族コミュニティの関与を含む)。 (e) 先住民族コミュニティにおける慣習的な代替的養護体制の支援。 (f) 親を対象とする文化的に適切な教育および支援サービスの提供。 児童労働(第32条) 89.審査委員会は、低年齢の子どもを含む子どもが、しばしば長時間労働をともなう条件および(または)子どもの健康および発達にとって有害となる可能性がある条件のもとで働いているという報告に、懸念とともに留意する。審査委員会は、政府が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 仕事の性質、年齢、ジェンダーおよび子どもの背景(先住民族出身、農村出身または都市部出身)別に細分化された、働いている子どもの人数についてのデータを収集すること。 (b) このような子どもの権利を保護するために適切な措置をとること。 薬物濫用(第33条) 90.審査委員会は、薬物濫用の防止のためにとられているさまざまな措置(地方における濫用防止センターの設置および「ドラッグにノーと言おう」プロジェクト、ならびに、薬物依存の子どもの治療のための医療施設の指定など)を歓迎する。しかしながら審査委員会は、これらの措置の有効性に関する情報がないことを懸念するものである。 91.審査委員会は、必要に応じてこれらの措置を調整しまたは強化する目的で、政府が、薬物使用者である子どもおよび青少年の関与を得ながら、これらの措置の実施およびその有効性に関する評価を定期的に実施するよう勧告する。加えて、審査委員会は、政府が薬物の使用を犯罪ではなく健康問題として扱うよう勧告するものである。 性的搾取および性的虐待(第34条) 92.審査委員会は、子どもおよび若者の性的搾取防止法が2015年に採択されたこと(2017年1月1日施行)、ならびに、子どもが巻きこまれる性売買の防止および性犯罪の捜査の強化を目的とした関連の諸計画が採択されたことを歓迎する。しかしながら審査委員会は、性的搾取または性的虐待の被害を受けた子どもの緊急措置が長期間にわたって延長されうる一方、延長の根拠が明確でないことを懸念するものである。さらに審査委員会は、性的虐待の被害を受けた子どもが、司法(刑事)手続において、加害者とされる者にとって不利な証人となる場合に、人権に関する国際的な基準および勧告を全面的に遵守した保護が必ずしも提供されていないことを懸念する。 93.審査委員会は、政府が、性的搾取または性的虐待の被害を受けた子どもの緊急措置の延長の根拠を法律で具体的に定めるとともに、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書第8条、および、子どもの犯罪被害者および証人に関わる事項における正義についての国連経済社会理事会決議2005/20の勧告に掲げられた規則を遵守する目的で、司法手続における証人としての子どもの被害者の保護に関する現行規定を見直し、かつ必要な場合には改正するよう、勧告する。 拘禁環境(第37条) 94.審査委員会は、子どもが自由を奪われている間に不当な取扱いを受けているという報告があることを懸念し、政府が以下のことを確保するための効果的な措置をとるよう勧告する。 (a) 条約第37条および自由を奪われた少年の保護に関する国連規則が全面的に遵守されること。 (b) 自由を奪われた子どもとともに働くすべての職員に対し、このような子どもの権利に関する情報が提供されること。 (c) 自由を奪われた子どもの不当な取扱いに関するすべての訴えが全面的に調査されること。 少年司法(第40条) 95.審査委員会は、少年非行の防止のために政府がとっている措置について、また少年事件処理法に基づいて優れた構造の少年司法制度が設置されていることについて、評価の意とともに留意する。しかしながら審査委員会は、以下のことを懸念するものである。 (a) 少年事件処理法でさまざまな年齢制限および分類が用いられているため、7~12歳の子どもが少年(刑事)司法統計で扱われることにつながっていること、および、刑事責任に関する最低年齢(MACR)が14歳とされていることから12歳および13歳の子どもの扱いが明確ではないこと。 (b) 子どもの問題行動を地位犯罪として刑法に含めることにより、このような行動が犯罪化されていること。 (c) ほとんどの場合に法的援助が有償であるため、事実上、少年司法手続全体を通じ、刑法に抵触した子どもおよび少年に対して法的その他の援助が提供されていないこと。 96.少年司法における子どもの権利についてのCRC委員会の一般的意見10号に照らし、審査委員会は、政府が少年司法制度をCRCおよび他の関連の基準に全面的に一致させることを勧告する。とくに審査委員会は、政府が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 刑法に違反したとして申し立てられ、罪を問われまたは認定された14歳未満の子どもには、少年事件処理法ではなく子どもおよび若者の福祉および権利保障法に基づいて対応するとともに、その目的で必要な立法上その他の措置をとること。 (b) 地位犯罪を廃止するとともに、問題行動を有する子どもに対し、子どもおよび若者の福祉および権利保障法の文脈において必要な支援および保護を提供すること。 (c) 刑法に抵触した子どもに対し、法的手続の最初からおよび全体を通じ、資格のある者による独立の法的援助が提供されることを確保すること。 (d) 審判前拘禁が厳格に必要とされる期間を少しでも超えて続けられないことを確保する目的で、裁判所/裁判官による審判前拘禁の再審査が定期的に(2週間おきに行なうことが望ましい)行なわれなければならない旨、法律により定めること。 (e) 自由の剥奪をともなう刑が最後の手段であることを確保すること。 97.審査委員会は、少年司法制度内に修復的司法のための機構が設けられておらず、かつダイバージョンのための措置も限られていることに留意する。審査委員会は、政府が、修復的司法のための措置を導入する可能性を模索し、かつ、裁判手続の開始前にとられる真正なダイバージョンのための措置を促進するよう、勧告するものである。 J.普及 98.審査委員会は、第1回報告書、事前質問事項に対する文書回答およびこの総括所見を、同国の言語で広く利用可能とするよう勧告する。 更新履歴:ページ作成(2019年10月12日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/311.html
総括所見:イラク(OPAC・2015年) 第1回(1998年)/第2~4回(2015年)OPSC(2015年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/OPAC/IRQ/CO/1(2015年3月5日)/第68会期 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2015年1月22日に開かれた第1962回会合(CRC/C/SR.1962参照)においてイラクの第1回報告書(CRC/C/OPAC/IRQ/1)を検討し、2015年1月30日に開かれた第1983回会合において以下の総括所見を採択した。 I.序 2.委員会は、締約国の第1回報告書および事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/OPAC/IRQ/Q/1/Add.1)の提出を歓迎する。委員会は、ハイレベルなかつ部門横断型の締約国代表団との間に持たれた建設的対話に評価の意を表するものである。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、2015年1月30日に採択された、子どもの権利条約に基づく締約国の第2~4回統合定期報告書についての総括所見(CRC/C/IRQ/CO/2-4)および子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書に基づく第1回報告書についての総括所見(CRC/C/OPSC/IRQ/CO/1)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 II.一般的所見 積極的側面 4.委員会は、締約国が、国際的な武力紛争における犠牲者の保護に関する、1949年8月12日のジュネーブ諸条約の追加議定書(第I議定書)を批准しかつこれに加入したこと(2010年4月)を歓迎する。 5.委員会は、軍隊への入隊に関する最低年齢は18歳とされており、かつ入隊は真に自発的な意思に基づくものでなければならない旨の、選択議定書の批准時に行なわれた宣言を歓迎する。 III.一般的実施措置 法的地位 6.委員会は、選択議定書が国内法にまだ十分に統合されていないことを遺憾に思う。 7.選択議定書第6条に照らし、委員会は、締約国に対し、選択議定書を国内法に全面的に編入するよう促す。 包括的な政策および戦略 8.委員会は、現在のところ、子どもの徴募および武力紛争における使用の増加に対処するためのいかなる包括的な政策および戦略も存在しないことを深刻に懸念する。 9.委員会は、締約国が、締約国で活動している武装集団による子どもの徴募および使用を停止させるための包括的なかつ期限を定めた政策および戦略を緊急に採択し、かつその実施を確保するよう勧告する。 調整 10.委員会は、情報がないことを遺憾に思うとともに、締約国が、選択議定書上のすべての犯罪と効果的に闘うための調整機構を迅速に設置するよう勧告する。 資源配分 11.委員会は、情報がないことを遺憾に思うとともに、選択議定書の普及および実施を目的とする具体的予算の配分を勧告する。 普及および意識啓発 12.委員会は、選択議定書の規定に関する意識啓発のために締約国が行なっている努力には留意しながらも、議定書の原則および規定に関する意識が全体として低いことを遺憾に思う。 13.委員会は、締約国が、選択議定書の原則および規定を公衆一般に対しておよびとくに子どもに対して広く知らせるための努力を強化するよう勧告する。 研修 14.委員会は、子どもの権利を含む人権についての研修が、国家人権研究所によって、政府職員、教員、児童生徒、人権活動家および非政府組織のメンバーを対象として実施されていることに、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、選択議定書に関する具体的研修が実施されていないことを懸念するものである。 15.委員会は、締約国が、子どもとともにおよび(または)子どものために働いているすべての関連の専門家(とくに軍関係者、国境管理および出入国管理関係者、ソーシャルワーカーならびに医療専門職)を対象とした、選択議定書の規定に関する義務的研修プログラムを組織化するよう勧告する。 データ 16.委員会は、情報がないことを遺憾に思うとともに、選択議定書に掲げられているすべての問題に関する具体的かつ詳細なデータベースの設置を勧告する。 学校および病院への攻撃 17.委員会は、学校、レクリエーション区域および病院がしばしばあえて攻撃の対象とされていることに、このうえない懸念とともに留意する。委員会はまた、いわゆるイラク・レバントのイスラム国(ISIL)による教員および保健従事者の処刑も憂慮するとともに、複数の異なる非国家的武装部隊が、この数年間、とくに農村部の学校を占拠していることに留意するものである。 18.委員会は、締約国に対し、学校も病院も国際人道法上の保護対象民用物であり、したがって区別の原則および均衡性の原則を享受すべきであることを想起するよう求める。委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促すものである。 (a) 児童生徒および教員、学校、レクリエーション区域ならびに病院の特別な保護を確保し、かつ、防止措置および攻撃の際の迅速対応システムを整備すること。 (b) 病院、学校およびレクリエーション区域への攻撃を速やかに犯罪化し、捜査しかつ訴追すること。 (c) 校舎および学校施設の再建を優先的に進めるとともに、軍事的占領によって損傷した学校インフラが迅速かつ完全に復旧されることを確保すること。 性暴力 19.委員会は、いわゆるISILによって子ども、とくにマイノリティの子どもに対して組織的な性暴力(とりわけ子どもの誘拐および性奴隷化)が行なわれていることを深く懸念する。 20.条約に基づく総括所見で行なった勧告(CRC/C/IRQ/CO/2-4、パラ46〔パラ45〕)に照らし、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a) 性暴力の被害を受けた子どもに専門的医療ケアを提供し、性感染症(とくにHIV)のリスクを低減する目的で72時間以内に時宜を得た医療ケアを確保し、かつ、被害者が緊急避妊および中絶のためのサービスにアクセスできるようにすること。 (b) 性暴力の被害を受けた子どもに特別な心理的ケアを提供するとともに、その身体的および心理的回復ならびに再統合を確保するためにあらゆる必要な措置をとること。 (c) 加害者の訴追および処罰を確保すること。 (d) 適切な国際連合機関の技術的援助を求めることを検討すること。 IV.防止 年齢鑑別手続 21.委員会は、締約国で(とくに農村部および遠隔地において)出生登録制度が弱体なままであるために、軍隊への採用時における年齢の判断が阻害される可能性があることを懸念する。 22.委員会は、締約国が、とくに、とりわけ遠隔地および農村部において病院に民事登録のための機構を設けることおよび移動登録班を設置しかつその利用を奨励することにより、子どもが出生後直ちに登録されることを確保するためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告する。さらに委員会は、締約国が、出生証明書がない場合の新規採用兵の年齢の判断は、当該新規採用兵の尊厳を尊重する他の信頼できる手段(医師による検査を含む)によって行なわれることを確保するよう勧告するものである。 志願入隊 23.委員会は、国防省の統制下で活動している覚醒評議会に子どもが関与していることを示す報告について深い懸念を覚える。委員会はまた、未成年の子どもが、偽装された身分証明カードに基づいて同評議会によって採用され、かつバグダード外の地域に設けられた検問所の配置要員として利用されていること、および、この問題に対処するための措置が不十分であることも懸念するものである。 24.委員会は、締約国が、18歳と定められた最低年齢が全面的に尊重されることを確保するためにあらゆる必要な措置をとり、かつ、入隊が真に自発的に行なわれることを確保するための保障措置を整備するよう勧告する。とくに、締約国は、これまで覚醒評議会と関係していたすべての子どもを特定するために徹底的調査を実施するとともに、これらの子どもがその後解放され、かつ心理社会的リハビリテーションおよび職業的再統合のための十分な援助を提供されることを確保するべきである。 非国家的武装集団による徴募の防止 25.委員会は、武装集団による子どもの徴募を防止するためのいかなる保障措置もとられていないことを深く懸念する。委員会はまた、武力紛争への子どもの関与における主要な要因(とくに貧困ならびに教育および経済的機会の欠如ならびに一部の民族的および宗教的マイノリティに対する差別)に対処するための措置の不十分さが証明されてきたことも懸念するものである。 26.委員会は、締約国に対し、自国の領域にいるいかなる子どもも非国家的武装集団によって徴募されないことを確保するためにいっそう積極的な措置をとるとともに、以下の措置をとるよう促す。 (a) 子どもの徴募および武力紛争への関与の根本的原因に対処するとともに、コミュニティが子どもの徴募の危険性について理解し、かつ子どもを保護する方法について理解することを確保するための公的広報キャンペーンを開始すること。 (b) 被害を受けやすい状況に置かれている子どもの徴募および再徴募の防止に特段の注意を払うとともに、とくに国境管理を効果的に実施し、かつ、子どもの帰還および子どもが再徴募されないことの確保を目的とするトルコとの国境を越えた協力および情報交換の枠組みを強化することにより、難民キャンプ内外における民間人の安全および保護を増進させること。 (c) とくに国際連合人権高等弁務官事務所、国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)および国際連合児童基金(ユニセフ)の技術的援助を求めることを検討すること。 人権教育および平和教育 27.委員会は、初等中等学校のカリキュラムに人権教育が含まれていることには評価の意とともに留意しながらも、学校カリキュラムに平和教育が設けられていないことに懸念を表明する。 28.教育の目的に関する一般的意見1号(2001年)を参照しながら、委員会は、締約国が、選択議定書上の犯罪にとくに言及しつつ、平和および寛容に関する教育を学校カリキュラムに体系的に含めるための努力を行なうよう勧告する。 V.禁止および関連の事項 現行刑事法令 29.委員会は、武力紛争への子どもの関与がいまなお禁止されていないことを懸念する。委員会はまた、イラク高等法廷法(2005年法律第10号)第13条で、15歳未満の子どもを国の軍隊および非国家的武装集団に徴集しもしくは入隊させることまたは国の軍隊もしくは非国家的武装集団がこのような子どもを敵対行為への積極的参加者として使用することが戦争犯罪とされている一方で、当該規定が1968年7月17日から2003年5月1日までの期間に行なわれた犯罪にしか適用されないとされているため、その後に行なわれた犯罪には適用されないことも懸念するものである。 30.委員会は、締約国に対し、国の軍隊または非国家的武装集団による18歳未満の子どもの徴募および敵対行為における使用が締約国の法律で明示的に犯罪化され、かつ2003年5月1日以降に行なわれた犯罪の実行犯が裁判にかけられることを確保するため、迅速な措置をとるよう促す。委員会はまた、締約国が、国際刑事裁判所ローマ規程の批准を検討し、かつ、現在進行している紛争状況に関わって同裁判所の裁判権の行使を受託することも勧告するものである。 非国家的武装集団による子どもの徴募および使用 31.委員会は、非国家的武装集団、とくにいわゆるISILおよびイラクのアルカーイダによって多数の子ども(とくに、子どもの難民、障害のある子ども、親を失った子ども、路上の状況にある子どもならびにトルコ国境経由で締約国に入国したシリア・アラブ共和国およびトルコその他の国の出身の子どもなど、被害を受けやすい状況に置かれた子ども)が徴募されていることを深刻に懸念する。委員会は、以下のことについてこのうえない懸念を表明するものである。 (a) 子ども(障害のある子どもまたは家族によって武装集団に売られた子どもを含む)が自爆攻撃要員として使用されていること。 (b) 子どもが、空爆からISILの施設を保護するための人間の盾として使用されており、かつ、残忍な拷問行為および殺害行為の目撃をしばしば強要されていること。 (c) 子どもが、家族を支えるために密告者、検問所の要員または武装集団のための爆弾製造要員として使用されており、かつ、徴募されて誘拐の訓練を受けさせられる子どももいること。 (d) 12歳または13歳という低年齢の子どもが、いわゆるISILによってモスルで行なわれている軍事訓練を受けさせられていること、ならびに、報告によれば、いわゆるISILが子どもに対して個人の見張りおよび逮捕の任務も与えているとされること。 (e) シリア・アラブ共和国から逃げてきた子ども(とくに男子)に対し、帰還して自由シリア軍と戦うよう圧力がかけられていること。 (f) 政府の支援を受けた民兵によって子どもが徴募されていること。 32.委員会は、締約国に対し、あらゆる形態の子どもの徴募および武力紛争における使用を解消するためにすべての必要な措置をとるとともに、とくに以下の措置をとるよう強く促す。 (a) あらゆる形態の子どもの徴募または武力紛争における子どもの使用ならびにいかなる形態であれこのような徴募および使用を幇助する行為(誘拐または売買によるものを含む)が徹底的に捜査され、訴追されかつ処罰されることを確保すること。 (b) 子どもが人間の盾として使用されているいかなる施設も攻撃されないことを確保し、かつ、子どもをその他の形態の重大な人権侵害から保護すること。 (c) 安全保障理事会決議1539(2004年)、1612(2005年)および1882(2009年)を効果的に実施する目的で、子どもと武力紛争に関する事務総長特別代表との協力を強化すること。 (d) 適切な国際連合機関の技術的援助を求めることを検討すること。 VI.保護、回復および再統合 テロ容疑を理由とする子どもの拘禁 33.委員会は、多数の子どもが、テロ関連の容疑でまたはテロ犯罪容疑者とのつながりが報告されていることを理由に起訴されまたは有罪判決を言い渡され、かつ拘禁施設、警察署およびいわゆる「更生センター」に収容されていることを深刻に懸念する。委員会はまた、テロ容疑者の親族である子どもが違法に逮捕され、容疑がないままに収容され、またはテロ行為の隠蔽の罪を問われていることも懸念するものである。委員会は、以下のことに深刻な懸念とともに留意する。 (a) テロ容疑で拘禁されている子どもが、拘禁中に不当な取扱いおよび拷問に相当する行為を受けているとされ、かつきわめて劣悪な(基礎的インフラを欠き、衛生および換気が不十分であり、かつ食事、水および医療ケアの質も貧弱な)拘禁環境に直面していること、および、子ども(とくに女子)がしばしば成人とともに拘禁されていること。 (b) テロ関連の容疑をかけられた子どもが超法規的施設(たとえばイラク国家情報局が運営する施設)に拘禁されているという報告があること。 (c) 子どもが、18歳に達すると同時に死刑囚監房に移送されていること。 (d) 子どもの家族に対し、子どもの拘禁に関する通知が常に行なわれているわけではないこと。 (e) 子どもが収容されている拘禁施設への国際連合関係者によるアクセスが、許可されているとはいえ、当局によって課される煩雑な官僚的手続のために相当に阻害されていること。 (f) テロ容器で拘禁されている子どもが教育および適切な心理社会的援助または専門的援助にアクセスできていないこと。 34.委員会は、締約国に対し、テロ関連犯罪を理由として訴追された子どもが少年司法関連の基準にしたがって取り扱われること、および、いかなる審理も、犯罪が行なわれたとされる時点での子どもの年齢を考慮しながら、公正な裁判に関する国際基準にしたがい、迅速かつ公平なやり方で実施されることを確保するよう、促す。委員会はまた、締約国に対し、以下の措置をとることも促すものである。 (a) 拘禁されている子どもが独立の苦情申立て機構にアクセスできること、拘禁されている子どもの残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いの通報が公平なやり方で迅速に捜査されること、および、加害者が裁判にかけられ、かつ有罪と認定されたときはその犯罪の重大性に相応する刑罰によって制裁を受けることを確保すること。 (b) 18歳未満の者が行なった犯罪に対し、死刑および終身刑がけっして適用されないことを確保すること。明確な証明によって年齢を確定できないときは、若年者は子どもと推定されるべきである。 (c) いあかなる子どもも超法規的施設に拘禁されないこと、および、子どもの拘禁が最後の手段として、かつ可能なもっとも短い期間でのみ行なわれることを確保するとともに、拘禁に代わる措置を検討すること。 (d) 親または近親者に対して子どもの拘禁場所が通知されることを確保し、かつ、国際連合機関および市民社会が子どもの被拘禁者にアクセスするための便宜を図ること。 (e) 子どもの拘禁が人道的な環境のもと、成人から分離される形で行なわれること、ならびに、子どもが清潔な飲料水および衛生設備、質量ともに十分な栄養ならびに身体的および心理的回復、教育ならびに社会的再統合のための措置にアクセスできることを確保すること。 (f) 少年司法制度において働くすべての専門家を対象として、条約、その両選択議定書、他の関連の国際基準および少年司法における子どもの権利についての委員会の一般的意見10号(2007年)に関する研修を実施すること。 武装解除、動員解除および再統合 35.委員会は、相当数の子どもが依然として武装集団の支配下にあり、条約および両選択議定書に違反するさまざまな行為の対象とされていることに、もっとも重大な懸念とともに留意する。 36.委員会は、締約国に対し、誘拐された子どもおよび子どもの戦闘員全員の解放および動員解除を確保するよう促す。委員会は、締約国に対し、被害を受けやすい状況に置かれた子どもの特有のニーズをとりわけ考慮に入れた、援助、リハビリテーション、再統合および和解のための長期的かつ包括的なプログラムを、可能なかぎり早期に策定するよう求めるものである。 身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための援助 37.委員会は、締約国が、武力紛争の被害者に対して心理的支援および社会的再統合のための援助を提供する目的で国際連合機関および市民社会と協力していることに、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、現在のところ、武装集団によって徴募されまたは使用されていた子どもに対し、いかなる形態の援助または支援(その心理社会的および身体的回復または社会的リハビリテーションおよび再統合のためのものを含む)も提供されていないことを懸念するものである。委員会はまた、隣国のシリア・アラブ共和国で武力紛争が生じていること、および、締約国が、とくにドホーク、アルビールおよびスレイマニヤにおいて、子どもを含む相当数のシリア難民を受け入れていることに鑑み、武装集団による徴募もしくは敵対行為における使用または性的虐待の対象とされた可能性のある子どもの難民またはその対象とされるおそれがある子どもの難民に対してケアおよびサービスを提供するための措置および資源配分が不十分であることに、懸念とともに留意する。 38.委員会は、締約国に対し、徴募されもしくは武力紛争で使用された子どもまたは他のいずれかの形で武力紛争に関与させられた子どもが、その身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のためのあらゆる必要な援助を提供されることを確保するため、あらゆる努力を行なうよう促す。委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 紛争の影響を受けている子ども(とくに子どもの戦闘員、女子、保護者のいない子どもの国内避難民ならびに難民、帰還民および地雷被害サバイバー)を対象とする心理社会的支援および援助のための包括的プログラムを、非政府組織、国際機関およびコミュニティと連携して、かつ、トラウマ性の戦争経験後にこれらの子どもが有する特別な回復上のニーズに対応しながら発展させること。 (b) これらのサービスが、紛争の影響を受けているすべての地域でアクセス可能とされることを確保すること。 (c) 子どもの難民および庇護希望者ならびに移住の状況にある子どもであって、武装集団によって国外で徴募および(もしくは)敵対行為における使用ならびに(または)性的虐待の対象とされた可能性がある子どもまたはその対象とされるおそれがある子どもを可能なもっとも早い段階で特定するための包括的機構を確立するとともに、国際連合の関連の機関および計画(UNHCRおよびユニセフを含む)の技術的援助を求めること。 (d) 非公式の教育プログラム等も通じて、かつ紛争の影響を受けた地域における校舎および学校施設の復旧ならびに水、衛生設備および電気の供給に優先的に取り組むことにより、徴募されまたは敵対行為で使用された子どもが教育制度に再統合できることを確保するための効果的措置をとること。 (e) 難民の地位に関する1951年の条約および1967年の同議定書を批准すること。 VII.国際的な援助および協力 国際協力 39.委員会は、締約国に対し、子どもに対する重大な人権侵害に関する恒常的な情報の共有および当該人権侵害への対応を促進するため、子どもと武力紛争に関する高級レベル省庁間委員会を設置するよう奨励する。 40.委員会はまた、締約国が、赤十字国際員会および子どもと武力紛争に関する事務総長特別代表との協力を継続しかつ強化するとともに、選択議定書の実施におけるユニセフその他の国際連合機関との協力の強化を模索するよう勧告する。 41.委員会は、締約国が以下の文書を批准するよう勧告する。 (a) 非国際的な武力紛争における犠牲者の保護に関する、1949年8月12日のジュネーブ諸条約の追加議定書(第II議定書)。 (b) 追加の特殊標章の採択に関する、1949年8月12日のジュネーブ諸条約の追加議定書(第III議定書)。 (c) 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する、銃器、その部品および構成部分ならびに弾薬の不正な製造および取引の防止に関する議定書。 VIII.フォローアップおよび普及 42.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を議会、関連省庁(国防相を含む)、最高裁判所および地方の公的機関に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 43.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、第1回報告書、締約国が提出した文書回答および委員会が採択した関連の総括所見を、インターネット等も通じ(ただしこれに限るものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが広く入手できるようにすることを勧告する。 IX.通報手続に関する選択議定書の批准 44.委員会は、締約国が、子どもの権利の充足をさらに強化する目的で、通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書を批准するよう勧告する。 X.次回報告書 45.選択議定書第8条第2項および条約第44条にしたがい、委員会は、締約国に対し、議定書およびこの総括所見の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約に基づく次回の定期報告書に記載するよう要請する。 更新履歴:ページ作成(2017年5月18日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/48.html
総括所見:アメリカ(OPSC・2008年) OPAC:第1回(2008年)/第2回(2013年) OPSC:第2回(2013年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/OPSC/USA/CO/1(2008年6月25日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2008年5月22日に開かれた第1320回会合(CRC/C/SR.1320)においてアメリカ合衆国の第1回報告書(CRC/C/OPSC/USA/1)を検討し、2008年6月6日に開かれた第1342回会合において以下の総括所見を採択した。 序 2.委員会は、選択議定書を実施するためにとられた立法上、行政上、司法上その他の措置に関する相当の情報を与えてくれる、締約国の第1回報告書(ただし委員会の報告ガイドラインにしたがって書かれてはいなかった)および事前質問事項に対する文書回答の提出を歓迎する。委員会はまた、ハイレベルな部門横断型代表団との開かれたかつ建設的な対話も歓迎するものである。 3. 委員会は、締約国に対し、この総括所見は、武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書に基づく第1回報告書に関して同日に採択された総括所見(CRC/C/OPAC/USA/CO/1)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 I.全般 積極的側面 4.委員会は、人身取引を監視しかつこれと闘う目的で行なわれている広範な国際援助活動(人身取引(TIP)局が行なう技術協力、研修、意識啓発および被害者援助も含む)を歓迎する。 5.委員会は、司法省犯罪局、連邦捜査局および「行方不明の子どもと搾取された子どものための全国センター」の提携によって国内の児童買春と闘うために行なわれている「イノセンス・ロスト(失われた無垢)」イニシアチブを歓迎する。 6.委員会はさらに、以下のものを含む無数の法律が成立したことを歓迎する。これは、子どもの商業的性的搾取との闘いにおける締約国のコミットメントを実証するものである。 (a) 児童買春について責任を負う者を訴追するための州のプログラムを強化し、かつ合衆国および他の国々の人身取引被害者に対する援助を増進させた、人身取引被害者保護法(2000年)ならびに2003年および2005年の同再授権法。 (b) 国外で子どもに対する性犯罪を行なった締約国市民を訴追する域外裁判権を拡大したPROTECT〔今日の子どもの搾取を終わらせるための訴追的救済措置その他の手段〕法(2003年)。 (c) 子どもを対象とする性犯罪者の処罰をより厳しくし、かつ子どもに対する犯罪の公訴時効を撤廃した、アダム・ウォルシュ子どもの保護および安全法(2006年成立)。 7.委員会はまた、締約国が以下の文書を批准したことも歓迎する。 (a) 最悪の形態の児童労働の禁止および撤廃のための即時の行動に関する国際労働機関(ILO)第182号条約(1999年2月12日)。 (b) 武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書(2002年12月23日)。 (c) 国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関する1993年のハーグ第33号条約(2007年12月12日)。 II.データ データ収集 8.委員会は、子どもの商業的性的搾取に関するデータの収集および研究の実施に関する締約国のコミットメントおよび努力に留意しながらも、選択議定書が対象とする問題に関する機能的なデータ収集システムが存在しないことを主たる理由として、締約国における子どもの売買、児童買春および児童ポルノについての利用可能な情報が不十分であることを懸念する。さらに委員会は、人身取引の定義が、国際連合組織犯罪条約を補足するパレルモ人身取引議定書に掲げられた定義を広く解釈する人身取引被害者保護法(2000年)に基づいていることに留意する。これとの関連で、委員会は、子どもに対する広範な犯罪活動を相互に差異化することなく人身取引と定義することで、選択議定書が対象とする活動についての細分化されたデータおよび分析的情報を収集すること、ならびに、被害者を特定し、かつ国内的および国際的レベルでこれらの犯罪を防止しおよびこれと闘うための適切な戦略を特定することに困難が生ずる可能性があることを、懸念するものである。 9.委員会は、締約国が、選択議定書が対象とするあらゆる問題についてのデータを収集し、分析しおよび監視するための、包括的かつ体系的機構を発展させかつ実施することを検討するよう、勧告する。データは、とくに犯罪の性質ならびに〔被害者の〕年齢、性別、民族、社会経済的地位および所在ごとに細分化されるべきである。データ収集および研究の対象範囲には、合衆国本土および島嶼領域ならびに合衆国が主権を行使しているその他の海外自治領のすべてを含めることが求められる。委員会はまた、締約国が、選択議定書が対象とするすべての分野におけるプログラムおよび活動の策定に際し、選択議定書で用いられている定義または締約国が締結した他の国際基準に掲げられた定義を使用することを検討するようにも、勧告するものである。 III.実施に関する一般的措置 国家的行動計画 10.委員会は、人身取引、とくに国境を越える人身取引と闘うためにいくつかの計画およびプログラムが採択されかつ実施されてきたとはいえ、選択議定書の実施ならびに子どもの売買、児童買春および児童ポルノの根絶のための全般的戦略が存在しないことに留意する。 11.委員会は、締約国が、選択議定書が対象とするすべての問題に包括的に対処するための国家的行動計画を策定し、かつその実施のために十分な人的資源および財源を提供するよう勧告する。 選択議定書の実施の調整 12.委員会は、司法省、国務省および保健社会福祉省など、選択議定書の実施を担当するいくつかの政府省庁があることには留意しながらも、これらの省庁間ならびに連邦、州および地方の公的機関間の調整水準が不十分であることを懸念する。委員会はまた、政府機関と、選択議定書が対象とする分野で活動している非政府組織との調整がしばしば不十分であることにも、懸念とともに留意するものである。 13.委員会は、締約国が、連邦および州のいずれのレベルにおいても、選択議定書が対象とする分野で活動するさまざまな機関および政府省庁間の調整を強化するよう勧告する。締約国はまた、選択議定書の実施および評価に関する非政府組織との調整を強化することも奨励されるところである。 普及および研修 14.委員会は、締約国が全般的に質の高い研修資源および研修施設を有していることに留意し、かつ、「行方不明の子どもと搾取された子どものための全国センター」が裁判官、検察官および法執行官に対して提供している、子どもの性的搾取の捜査および防止に関する研修を歓迎する。しかしながら委員会は、連邦および州のいずれのレベルでも選択議定書の体系的普及および選択議定書に関する体系的研修が行なわれておらず、また選択議定書およびそこで対象とされている事柄に関わる諸問題があまり知られていないことを、懸念するものである。 15.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) あらゆる関連の専門家集団(法執行官、裁判官、弁護士、ソーシャルワーカーおよび保健ケアワーカー、出入国管理官および税関職員、宗教的指導者およびコミュニティの指導者、市民社会組織ならびに養子縁組に関する認証団体を含む)を対象とする、選択議定書の規定についての体系的な教育および研修を継続しおよび強化すること。 (b) 学校カリキュラムおよび子ども向けの適切な資料を活用することにより、住民、とくに子どもおよび親の間で選択議定書の規定を普及するための措置を強化すること。 (c) 選択議定書第9条第2項に照らし、市民社会およびメディアと協力しながら、あらゆる適当な手段による情報提供、教育および訓練を通じ、選択議定書に掲げられたすべての犯罪の防止措置および有害な影響に関する公衆一般(子どもを含む)の意識を促進すること。そのための手段には、適切な言語への翻訳を行なうとともに、このような情報提供プログラム、教育プログラムおよび研修プログラムに対するアクセスへの、コミュニティならびにとくに子どもおよび被害を受けた両性の子どもの参加を奨励することも含まれる。 資源配分 16.委員会は、相当量の財源が人身取引の防止のために配分されていることに留意しながらも、そのうち人身取引の被害を受けた子どもおよび選択議定書が対象とする他の犯罪の被害者にとくに配分される資源はごく少ない割合に留まっていることを懸念する。 17.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 選択議定書の実施のための予算配分額、とくに選択議定書が対象とする犯罪の被害を受けた子どものためのサービスに充てられる配分額について、次回報告書でいっそうの情報を提供すること。 (b) 犯罪の防止、被害を受けた子どもの保護およびリハビリテーションならびに議定書が対象とするすべての犯罪の加害者の訴追を目的とするプロジェクトおよび計画を、とくに地方のレベルで発展させかつ実施するために必要な人的資源および財源を提供すること。 (c) 子どもにとくに焦点を当てた予算編成に対し、人権アプローチをもって臨むこと。 国内人権機関 18.必要な法律およびサービスのほとんどは州の管轄事項であることから、選択議定書の実施を監視するための独立機関を連邦レベルで創設するのが困難であることは認識しながらも、委員会は、選択議定書の実施を監視するオンブズマンのような機関が連邦または州のレベルに設けられていないことを懸念する。 19.委員会は、連邦政府および州政府が、パリ原則にしたがって、選択議定書を監視しおよび促進するための人権機関を創設することを検討するよう勧告する。これらの機関に対しては、その権限を履行するのに必要な人的資源および財源が提供されるべきである。 IV.子どもの売買、児童買春および児童ポルノの防止 20.委員会は、児童虐待およびネグレクトを防止するための締約国の取り組みには留意するものの、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに対して依然として焦点が当てられていないことを懸念する。委員会はまた、防止のための努力が主として国の特定地域に限定されており、締約国に存在する、脆弱な立場にあって選択議定書が対象とするすべての犯罪の被害をとりわけ受けやすい相当に大規模な集団の子ども(貧困下で暮らしている子ども、移民の子ども、先住民族の子どもおよび困難な家族状況で暮らしている子どもなど)が対象とされていないことも、懸念するものである。 21.委員会は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノの根絶はその助長要因に対応するホリスティックなアプローチをとることによって促進されるという見解に立ち、締約国が、貧困および周縁化のような、子どもが子どもの売買、児童買春、児童ポルノおよび児童セックス・ツーリズムの被害を受けやすくなることを助長する根本的原因に対応するための努力を強化するよう勧告する。防止のための努力においては、このような慣行の被害をとくに受けやすい子どもを締約国全域で保護することに、特段の注意が向けられるべきである。 22.委員会は、子どもの搾取をともなう性的サービスへの需要を減少させることに焦点を当てたプログラム(意識啓発キャンペーンを含む)が少ないことを懸念する。 23.委員会は、防止措置および訴追措置の両方を通じ、子どもの搾取をともなう性的サービスへの需要に対応するよう勧告する。防止措置には、とくに、子どもの性的搾取に対する需要を生み出している個人および集団を対象とした公衆意識啓発キャンペーンが含まれるべきである。 児童買春 24.委員会は、被害者中心アプローチに焦点を当てたプログラムによって児童買春に対応しようとする締約国の努力に留意する。しかしながら委員会は、子どもの買春の現象が締約国において広範に広がっておりかつ増加しつつあるという情報を懸念するものである。委員会はまた、児童買春法の執行が州レベルではきわめて低調であり、かつ保護プログラム、研修および教育のために配分される資源が十分ではないという情報も懸念する。 25.委員会は、締約国が、児童買春(人身取引によって同国に連れてこられた外国の子どもを関与させるものおよび「国内」児童買春の双方)と引き続き闘うよう勧告する。これとの関連で、委員会はとくに、締約国が、州レベルの児童買春法の執行および実施を監視するとともに、意識啓発キャンペーンおよび研修を含む保護プログラムのための人的資源および財源を増加させることを検討するよう、勧告するものである。 児童ポルノ 26.委員会は、国内的にも世界規模の現象としても児童ポルノと闘うために締約国が行なっている努力(この点に関わる無数の捜査および訴追も含む)を評価しながらも、締約国が世界最大の児童ポルノの製造国、配布国および消費国のひとつであること、ならびに、新たな技術の台頭によって促進される子どもがらみのサイバー犯罪の発生件数が増加していることを、懸念する。 27.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 児童ポルノに関する現行法の枠組みの執行を向上させること。 (b) 技術の日進月歩の性質に対応するために必要な措置をとる努力を強化すること。 (c) 児童ポルノの被害を受けた子どもを特定しかつ援助するための措置を強化すること。 (d) 児童ポルノを防止しかつ処罰するための国際協力を引き続き強化すること。 セックス・ツーリズム 28.委員会は、「旅行および慣行における性的搾取から子どもを保護するための行動規範」の運用が2004年に開始されたこと、および、PROTECT法(2003年)の採択により、国外で児童セックス・ツーリズムに関与した締約国の国民について50件以上の起訴および29件の有罪判決がもたらされたことを歓迎する。委員会はまた、カンボジア、コスタリカ、ブラジル、ベリーズおよびメキシコのような国々における、合衆国の児童セックス・ツーリストを対象とした抑止キャンペーンおよび広報キャンペーンへの資金拠出も評価するものである。しかしながら委員会は、締約国が依然として児童セックス・ツーリストの主たる送り出し国のひとつであるという情報を懸念する。 29.委員会は、締約国が、外国で貧困下で暮らしている子どもを虐待しおよび搾取することは容認されるという考え方のような態度に対抗するための意識啓発も含め、セックス・ツーリズムと闘うためにとっている措置を引き続き強化するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、とりわけ、観光客をとくに対象とする意識啓発キャンペーンを通じて責任ある慣行を促進し、かつ、旅行および慣行におけるあらゆる形態の子どもの商業的性的搾取と闘うために旅行業者、メディア、NGOおよび市民社会組織と緊密に協力することにより、セックス・ツーリズムを防止するためのさらなる措置をとるようにも勧告するものである。 違法な養子縁組 30.委員会は、国際養子縁組に関するハーグ条約が最近批准されたことを歓迎するとともに、国務省が中央当局として特定されたことに留意する。これとの関連で、委員会は、利益目的の者が、ハーグ条約第22条第2項(a)および(b)に掲げられた要件および資格(清廉性、専門的能力および説明責任を含む)を遵守しなければならないとはいえ、中央当局の権能の行使を認められる可能性があることを懸念する。委員会はまた、現行規則によれば、国外の生母に対する産前費用その他の費用の支払いが依然として可能であるという情報も懸念するものである。 31.養子縁組目的の子どもの売買に対する保護措置を強化するため、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 養子縁組目的の売買の発生件数を抑制するため、国際養子縁組に関するハーグ条約を十分にかつ効果的に実施すること。 (b) 認証機関のみならず承認を受けた個人も非営利の目的のみを追求することを確保すること。 (c) 子どもの積極的勧誘となる可能性があるあらゆる形態の行為(産前費用その他の費用の支払いを含む)を明示的に禁ずること。 (d) 売買の目的に関わらず、子どもの売買、とくにインターネット経由で行なわれる売買のすべての事案を防止しかつ処罰するための努力を強化すること。 (e) 子どもの最善の利益の原則およびハーグ条約で保障されている保護措置が、ハーグ条約に加盟していない国からの養子縁組の場合にも平等に尊重されることを確保するよう努めること。 (f) アメリカ人である子どもが第一次的には合衆国で養子とされることを確保するため、国際養子縁組法(2000年)第303条(a)(1)(B)に掲げられた補完性の原則を実効的に適用すること。 V.禁止および関連の事項 現行刑事法令 32.委員会は、締約国において、児童ポルノ、不法な性的目的による子どもの州際輸送および子どもの人身取引に関するおおむね発展した十分な法律が連邦レベルで設けられていることを歓迎する。しかしながら委員会は、州法と連邦法との間に若干の不一致があることにより、議定書が対象とするあらゆる犯罪の定義および禁止に関して一定の空白が生ずる可能性があることを懸念するものである。これとの関連で、委員会はとくに以下のことを懸念する。 (a) 児童買春そのものを定義しまたは禁ずる連邦法が存在しないこと。 (b) 児童ポルノに関わる活動は連邦レベルでは重罪であるのに対し、一部の州では軽罪でしかない可能性があること。 (c) 選択議定書が対象とする犯罪の未遂または当該犯罪へのあらゆる形態の参加が連邦法および州法において必ずしも処罰の対象とされていないこと。 33.委員会は、刑法がもっぱら各州の管轄事項であることから、締約国が、選択議定書が対象とするすべての犯罪が全国で選択議定書第2条および第3条にしたがって定義されかつ禁止されることを確保するよう、勧告する。委員会はさらに、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 連邦および州の両方のレベルで、選択議定書第2条および第3条にしたがって児童買春を定義しかつ禁止すること。 (b) 選択議定書上のすべての犯罪を、連邦および州の両方のレベルで、その重大な性質を考慮した適切な刑罰によって処罰できるようにすること。 (c) 選択議定書が対象とするいずれかの犯罪の未遂および共謀または当該犯罪への参加が選択議定書第3条第2項にしたがって処罰されることを確保すること。 34.委員会はさらに、子どもの権利の保護をさらに向上させるため、アメリカ合衆国が続いて子どもの権利条約の締約国となるよう勧告する。 裁判権および犯罪人引渡し 35.委員会は、合衆国外で行なわれたセックス・ツーリズムおよび児童ポルノ関連の犯罪について締約国が域外裁判権を設定できることは歓迎しながらも、一部の連邦法(18 U.S.C., paragraphs 1585 and 1587など)で定められている犯罪者の国籍に基づく締約国の域外裁判権が、選択議定書が対象とするすべての犯罪に及ぶわけではないことを懸念する。委員会はまた、連邦法に、被害者が締約国の国民である場合の域外裁判権の主張について一般的定めが置かれていないことにも留意するものである。 36.委員会は、子どもの売買、児童買春、児童ポルノおよび児童セックス・ツーリズムをともなう行為の責任者を訴追しおよび処罰するための枠組みを強化する目的で、締約国が、第4条に列挙されたすべての事案について裁判権を設定するよう勧告する。さらに委員会は、選択議定書が対象とするいずれかの犯罪を国外で行なった容疑がある者が自国の領域内にいる場合であって、締約国がその者を他の締約国に引渡さないときは、犯罪が行なわれた国が選択議定書の締約国ではない場合または国内法でこれらの行為を犯罪としていない場合であっても、締約国が当該容疑者を訴追できるようにすることも勧告するものである。 VI.被害を受けた子どもの権利の保護 選択議定書で禁じられた犯罪の被害を受けた子どもの権利および利益を保護するためにとられた措置 37.委員会は、選択議定書が対象とする犯罪の被害を受けた子どもを刑事司法制度において保護するためにとられた措置(支援者にアクセスできること、子どもが証言を行なうべきではないと判断されるときは法廷における直接の証言に代わる手段が認められること、閉鎖回路テレビ(CCTV)による子どもの証言が多くの州で活用されていること、子どもの事情聴取の専門家が存在することおよび発達の観点から適切な質問方法が用いられていることを含む)を歓迎する。しかしながら委員会は、州法において子ども、とくに売買春に関与した子どもの逮捕および訴追を免除することがまだ統一的慣行となっていないことから、被害を受けた子ども、とくに合衆国内における人身取引の被害者である子どもおよび売買春に利用された子どもが処罰されまたは犯罪者扱いされる事例がある旨の情報を懸念するものである。 38.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 選択議定書に基づくいずれかの犯罪の被害を受けた18歳未満のすべての者が、そのこと自体を理由として、連邦または州のレベルで犯罪者にも処罰の対象にもされないことを確保すること。この目的のため、委員会は、締約国が、被害を受けた子どもの保護に関する上限年齢が全国的に18歳と定められることを確保するよう勧告する。 (b) 選択議定書に掲げられた犯罪の被害を受けた子どもが刑事司法制度において取り扱われる際、子どもの最善の利益が第一次的に考慮されることを確保するため、あらゆる必要な措置をとること。 (c) 選択議定書第8条第1項に照らし、連邦および州の両方のレベルで、刑事司法手続のあらゆる段階における、18歳未満のすべての被害者および証人の保護を確保すること。締約国はまた、これとの関連で、子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての国際連合指針(国連経済社会理事会決議2005/20参照)を指針とするべきである。 被害者の回復および再統合 39.委員会は、人身取引被害者保護法により、合衆国において、市民でない者であって重大な形態の人身取引の被害を受けた者(商業的性的行為を行なうよう誘導された18歳未満の者を含む)が同国での在留を認められ、かつ一定の公的扶助を難民と同一の程度で受給する資格を有することに、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、他国からの人身取引の被害者である子どもは一定のサービスを利用可能であるものの、国内の商業的性的搾取の被害を受けた子どもに対しては十分なサービス(身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のために必要な一時避難シェルターを含む)が用意されていないことが多いことを、懸念する。委員会はさらに、場合によって、性的搾取目的の人身取引の被害を受けた外国人が身元の明らかでない人身取引被害者として退去強制させられる可能性があるという情報を懸念するものである。 40.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 選択議定書第9条第3項にしたがい、選択議定書が対象とする犯罪の被害を受けた男女すべての子どもに対し、十分なサービス(全面的な社会的再統合ならびに全面的な身体的および心理的回復のためのサービスを含む)が利用可能とされることを確保すること。 (b) 議定書が対象とする犯罪の被害を受けた外国人の子どもが、退去強制されるのではなく、その身体的および心理的回復のために必要なサービスを与えられることを確保すること。出身国への帰還が子どもの利益に照らして最善の選択肢であると考えられるときは、出身国の状況に関わる十分なアセスメント(可能であれば家族環境に関するものも含む)が行なわれるべきである。 (c) 選択議定書第8条第4項にしたがい、議定書で禁じられた犯罪の被害者とともに活動する者を対象とする適切な研修、とくに法律および心理学に関する研修を確保するための措置をとること。 (d) 選択議定書第9条第4項にしたがい、この議定書に掲げられた犯罪の被害を受けたすべての子どもが、法的に責任のある者に対して差別なく被害賠償を求める十分な手続にアクセスできることを確保すること。 VII.国際的援助および協力 41.委員会は、締約国が、人身取引との国際的闘いに相当の貢献を行なってきたことを歓迎する。委員会はまた、ニューメキシコ州とメキシコのチワワ州との協力に関して対話中に提供された情報も、人身取引との闘いにおける望ましい実践例を確立するものとして歓迎するものである。 42.委員会は、締約国が、選択議定書にしたがい、子どもの売買、児童買春、児童ポルノおよび児童セックス・ツーリズムをともなう行為の防止、摘発、捜査、その責任者の訴追および処罰に正当な注意を向けながら、多国間、地域間および二国間の取決めによる国際協力を強化するよう勧告する。これらの取決めは常に、子どもの最善の利益にかない、かつ国際人権基準を尊重するものであるべきである。 43.委員会は、締約国に対し、選択議定書を十分に適用するための措置の策定、実施および評価における国際連合の機関およびプログラム(地域間プログラムを含む)ならびに非政府組織との協力を継続するよう、奨励する。 44.委員会はまた、締約国に対し、貧困、低開発および脆弱な制度的能力のような、子どもが子どもの売買、児童買春、児童ポルノおよび児童セックス・ツーリズムの被害を受けやすくなることを助長する根本的原因に対応するための国際協力の強化を促進することも奨励する。 VIII.フォローアップおよび普及 (a)フォローアップ 45.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を政府省庁、連邦議会、上院および州当局に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 (b)普及 46.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を促進する目的で、締約国が提出した報告書および文書回答ならびに委員会が採択した総括所見を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが広く入手できるようにすることを勧告する。 IX.次回報告書 47.第12条第2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、2010年1月23日を提出期限とする次回報告書に記載するよう要請する。 更新履歴:ページ作成(2011年8月20日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/293.html
総括所見:ポーランド(第1回・1995年) 第2回(2002年)/第3回・第4回(2015年)OPAC(2009年)/OPSC(2009年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/15/Add.31(1995年1月15日)/第8会期 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、1995年1月16日および17日に開かれた第192回~第194回会合(CRC/C/SR.192-194)においてポーランドの第1回報告書(CRC/C/8/Add.11 HRI/CORE/1/Add.25)を検討し、以下の総括所見を採択した(注)。 (注)1995年1月26日に開かれた第208回会合において。 A.序 2.委員会は、締約国に対し、その報告書に関して、かつハイレベルな代表団を通じて委員会との建設的かつ率直な対話に携わったことに関して、評価の意を表する。委員会は、事前質問票(CRC/C/8/WP.4) への回答としてポーランド政府が提供した、文書による情報を歓迎するものである。その情報は会期前に委員会に届けられた。 B.積極的な側面 3.委員会は、閣僚評議会が報告書を正式に採択したことを歓迎する。 4.委員会はさらに、条約の批准時に行なわれた留保および宣言の内容を、その撤回の可能性を検討する方向で見直す意思を代表団が表明したことを歓迎する。 5.委員会は、条約で規定された権利の実施を阻害するさまざまな問題を特定しかつそれに取り組み、かつ、とくに子どもの保健の領域で適切な解決策を求めることに対して、政府が前向きな姿勢を示していることに心強い思いを感ずる。 6.委員会は、子どもの権利に関する意識を促進するために政府がとった措置を歓迎する。委員会はまた、ユニセフ・ポーランド委員会および子どもの権利保護委員会が条約の条文を刊行したこと、ならびに、いくつかのワークショップおよびセミナーが組織されたことも歓迎するものである。委員会は、条約の権利および原則についての教員の研修に関してとられた措置ならびに裁判官のために行なわれた同様の活動に、心強い思いを感ずる。 7.委員会は、市民的権利コミッショナーが行なった活動、ならびに、子どもの権利も含む人権および基本的自由の保護のために女性家族問題政府全権事務所を再設置するという最近の決定に、満足感とともに留意する。 8.委員会は、ポーランドが、現在の財政的困難にも関わらず、発展途上国の学生の教育の領域におけるものも含めて国際協力活動に参加しようとしていることを評価する。 9.委員会は、同国の危機的な政治的および経済的変化の時期にあって、締約国が、子どものための前向きな変化を導入することおよび子どものニーズを考慮に入れた政策を継続することを重視していることを、認識する。これとの関連で、委員会は、とくに、委員会の総括所見に閣僚評議会の注意を促し、適切な行動を求めることを代表団が保証したことを、歓迎するものである。 C.条約の実施を阻害する要因および困難 10.委員会は、現在の政治的移行期にあって、かつ社会的変化および経済的危機の雰囲気のなかで、ポーランドが直面している困難に留意する。委員会は、多くの子どもたちの状況が、進行しつつある貧困および増加する失業の影響を受けていることに留意するものである。 12.委員会はまた、条約の一般原則と矛盾する偏見、非寛容および他の社会的態度によって引き起こされてきた困難にも留意する。 D.主要な懸念事項 12.委員会は、同国に広がっている困難な経済状況が子どもたちに与える影響に心を痛める。これとの関連で、委員会は、条約第3条および第4条に照らし、子ども、とくにもっとも被害を受けやすい状況に置かれた集団に属する子どもを保護するために適切な措置がとられているかどうかについて、とくに懸念するものである。 13.委員会は、同国にいまなお広がっている伝統的態度が、とくに第2条(差別の禁止の原則)、第3条(子どもの最善の利益の原則)および第12条(子どもの意見の尊重)を含む条約の一般原則の実現に資していないのではないかと懸念する。 14.委員会は、最低婚姻年齢、家族法および少年司法の領域の場合のように、既存の立法を条約と全面的に一致させるための法改正の枠組みにおいてとられた措置が、条約の一般原則等に照らしても不十分であることを懸念する。 15.委員会は、子どもの権利の促進および保護のための政策を実施するにあたって、さまざまな省庁の間で、かつ中央の公的機関と地域および地方の公的機関との間で十分な調整が行なわれていないことを懸念する。 16.委員会は、子どもの権利の分野で体系的な監視機構が存在しないこと、および、子どもの状況に関するデータ収集のための包括的なシステムが存在しないことに、懸念を表明する。このような状況は、条約の実施において蔓延している経済的および社会的格差を十分に克服することができない結果をもたらしている。 17.委員会は、子どもの権利の分野における国家的戦略がまだ採択されておらず、かつ、被害を受けやすい状況に置かれた子どもの権利の悪化を防止するためにセーフティ・ネットが設けられることを確保することを目的とした、このような子どもを保護するための具体的プログラムが、国内行動計画の採択によるものも含めてまだ確立されていないことを、懸念する。 18.委員会は、条約の原則および規定に関する意識が、市民のさまざまな層の間で不十分であることを懸念する。これとの関連で、委員会は、HIVまたはAIDSに感染した子どもおよびロマの子どものような、とくに被害を受けやすい状況に置かれた子どものニーズおよび状況に、社会が十分に敏感になっていないことも懸念するものである。委員会は、専門家集団、とくにソーシャルワーカー、法執行官および司法職員に対して十分な研修が行なわれていないことを懸念する。 19.委員会は、学校または子どもが措置される可能性のある施設における体罰および子どもの不当な取扱いを効果的に防止しかつそれと闘うために適切な措置がとられていないことを、遺憾に思う。委員会はまた、家庭における子どもの虐待および暴力が大規模に存在すること、および、この点で現行法による保護が不十分であることにも、心を痛めるものである。 20.少年司法の運営に関わる状況、ならびに、とくにそれが条約第37条および第40条ならびに北京規則、リャド・ガイドラインおよび自由を奪われた少年の保護に関する国際連合規則のような他の関連の基準と両立するかどうかという点は、委員会にとって懸念の対象である。これとの関連で、委員会は、「少年の堕落」に関する規定が条約と両立しないように思えることを遺憾に思う。 21.委員会は、犯罪活動に子どもがますます利用されかつ関与させられるようになっていること、ならびに、子どもが性的虐待、薬物濫用、アルコール依存ならびに拷問および不当な取扱いにさらされやすくなっていることに、懸念とともに留意する。 E.提案および勧告 22.委員会は、ポーランド政府に対し、条約第12条~第16条に定義された権利の行使に関わって行なわれた留保および宣言を、撤回の方向で見直す可能性を検討するよう奨励する。 23.委員会は、子どもに関する包括的な政策を発展させ、かつ同国における子どもの権利条約の実施の効果的な評価を確保する目的で、締約国が、人権および子どもの権利に携わるさまざまな政府機構間の調整を全国および地方のいずれのレベルでも強化し、かつ、非政府組織とのより緊密な協力を確保するよう勧告する。これとの関連で、委員会は、市民的権利コミッショナーおよび最近再設置された女性家族問題政府全権事務所が現在有している権限および責任の強化を検討するよう提案するものである。 24.委員会はさらに、締約国が、もっとも被害を受けやすい状況に置かれた集団に属する子どもとの関わりも含めて、条約が対象としているさまざまな領域における子どもの状況に関するあらゆる必要な情報の収集に着手するよう勧告する。委員会はまた、条約で認められた権利の実現にあたって達成された進展および直面した困難を中央、地域および地方のレベルで評価し、かつ、とくに経済的変化が子どもに与える効果を定期的に監視するために、分野横断的な監視システムを確立するようにも提案するものである。そのような監視システムは、締約国が適切な政策を立案し、かつ蔓延している格差および伝統的偏見と闘うことを可能にしてくれよう。 25.委員会は、ポーランド政府に対し、条約第4条の全面的実施に注意を向け、かつ、中央、地域および地方のレベルで賢明な資源配分を確保するよう奨励する。経済的、社会的および文化的権利の実施のための予算配分は、利用可能な資源を最大限に用いて、かつ子どもの最善の利益に照らして確保されるべきである。 26.委員会はさらに、政府に対し、子どもの権利の分野における国内行動計画の採択を考慮し、かつ、子どもを保護すること、および、経済的移行の流れの中で彼らの権利が悪化することを防止するセーフティネットの確立を確保することを目的として、具体的なプログラムを発展させるよう奨励する。 27.委員会は、条約第42条に照らし、大人および子どもの双方によって条約の規定および原則が広く知られかつ理解されるようにするために、さらなる努力が必要であるという見解に立つものである。 28.条約第2条に照らし、被害を受けやすい状況に置かれた子ども、とくにロマの子どもおよびHIV/AIDSに感染した子どもに対する差別的態度または偏見の増加を防止するためにも、さらなる措置がとられるべきである。 29.委員会は、教員、法執行官および裁判官を含む、子どもとともにまたは子どものために働く専門家集団を対象として子どもの権利に関する定期的研修プログラムを組織し、かつ、人権および子どもの権利をこれらの専門家の養成カリキュラムに含めることを勧告する。 30.委員会は、締約国が、子どもの権利条約の規定と国内法との全面的一致を確保する目的で法改正を継続し、かつ、差別の禁止、子どもの最善の利益および子どもの意見の尊重を含む条約の一般原則を明確に反映させるよう提案する。これとの関連で、委員会は、1968年家族法を見直すこと、および、国際養子縁組に関して現在設けられている保障措置を向上させることを勧告するものである。これとの関連で、委員会は、ポーランド政府に対し、国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約の批准を検討するよう奨励する。 31.委員会はさらに、拷問または他の残酷な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いもしくは処罰の明確な禁止および家庭における体罰の禁止を、国内法に反映させるよう提案する。この分野について、委員会はまた、家庭の内外における不当なまたは残酷な取扱いに関する苦情を監視するための手続および機構を発展させるようにも提案するものである。さらに、あらゆる形態のネグレクト、虐待、搾取、拷問または不当な取扱いの被害を受けた子どもの身体的および心理的回復ならびに社会的再統合を、子どもの健康、自尊心および尊厳を助長するような環境のなかで促進するための特別プログラムが設けられるべきである。 32.委員会は、政府が、法改正の枠組みのなかで、子どもの権利条約の規定および原則に照らし、保護者のいない子どもおよび難民認定を拒否されて送還を待っている子どもの状況への対応を構想するよう勧告する。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、UNHCRの技術的援助を求めることを検討するよう奨励するものである。 33.少年司法の運営の分野について、委員会は、包括的な改革を行なうこと、ならびに、当該改革において、子どもの権利条約(とくに第37条、第39条および第40条)ならびに北京規則、リャド・ガイドラインおよび自由を奪われた少年の保護に関する国際連合規則のようなこの分野の他の関連の国際基準を指針とすることを、提案する。少年非行の防止、自由を奪われた子どもの権利の保護、および、公的援助という名目のものも含めた少年司法制度のあらゆる側面における基本的権利および法的保障措置への尊重に、とくに注意が向けられるべきである。少年司法制度に携わるすべての専門家、とくに裁判官、法執行官、矯正施設職員およびソーシャルワーカーを対象として、関連の国際基準に関する研修プログラムが組織されるべきである。委員会は、この領域における技術的援助を、人権センターおよび犯罪防止刑事司法局に対して求めるよう勧告する。 34.委員会は、家族教育を提供し、かつ社会における家族の役割および親の平等責任に関する意識を発展させるために、さらなる努力が行なわれるべきであると考える。とくに条約第18条および第27条に照らし、両親が子育ての責任を遂行する際に援助を提供するシステムを強化するため、さらなる措置がとられるべきである。さらに、ひとり親となることの問題に関して研究を行なうこと、および、ひとり親の特別なニーズに対応するため関連のプログラムを確立することが、提案されるところである。 35.委員会は、締約国に対し、施設養護に代わる可能性のある手段を構想しかつ利用できるようにし、かつ施設に措置された子どもの権利の実現を効果的に監視する機構を確立する目的で、施設における子どもの状況に対処するよう奨励する。 36.委員会は、締約国に対し、条約を実施する努力、とくに国内法を条約に調和させ、子どもの権利に関する調整機構および監視機構を発展させ、かつ子どもの権利を明確な優先順位として位置づける包括的な社会政策を採択する努力について、とくに人権センターおよびユニセフの国際的な技術的援助および助言を求めるよう奨励する。 37.最後に委員会は、条約第44条第6項に照らし、政府が提出した報告書を公衆一般が利用できるようにし、かつ、関連の議事要録および委員会がここに採択した総括所見とともに同報告書を刊行することを検討するよう、勧告する。 更新履歴:ページ作成(2017年2月28日)。
https://w.atwiki.jp/monosepia/pages/12578.html
地方自治 + ニュースサーチ〔地方自治法〕 国の指示権拡大、成立 改正自治法、非常時行使 - MEDIFAX web 改正地方自治法が成立 - 福井経済新聞 改正地方自治法が成立 - 川崎経済新聞 改正地方自治法が成立 - 下北沢経済新聞 改正地方自治法が成立 - 松山経済新聞 改正地方自治法が成立 - ヨコハマ経済新聞 改正地方自治法が成立 - 金沢経済新聞 改正地方自治法が成立 - いわき経済新聞 改正地方自治法が成立 - 水戸経済新聞 改正地方自治法が成立 - au Webポータル 全国の地方議会から廃案や慎重審議を求め意見書20件 地方自治法改定案受け|信濃毎日新聞デジタル 信州・長野県の ... - 信濃毎日新聞デジタル 改正地方自治法が成立 (時事通信) - Yahoo!ニュース 改正地方自治法成立 感染症の大流行など発生時 国が指示可能に - nhk.or.jp 国の指示権拡大 改正地方自治法成立 非常時に迅速対応可能に - 産経ニュース 改正地方自治法が可決、成立 大規模災害や感染症蔓延など非常時に自治体に対する国の指示権拡大認める - MSN 国の指示権拡大、改正自治法成立 非常時行使、「不当介入」懸念 - nippon.com 国の指示権拡大、改正自治法成立 非常時行使、「不当介入」懸念 | 共同通信 - 共同通信 【速報】自治体への国の関与強化 地方自治法改正案が参院本会議で可決・成立 立憲「国の恣意的な行使の恐れ」 - goo.ne.jp 改正地方自治法が可決、成立 大規模災害や感染症蔓延など非常時に自治体に対する国の指示権拡大認める - au Webポータル 改正地方自治法が可決、成立 大規模災害や感染症蔓延など非常時に自治体に対する国の指示権拡大認める|FNN ... - FNNプライムオンライン 改正地方自治法が成立 非常時、国が自治体に指示 - 日本経済新聞 改正地方自治法が成立=非常時、国が自治体に指示 (2024年6月19日) - Excite Bit コネタ 改正地方自治法が成立=非常時、国が自治体に指示 - 時事通信ニュース 【速報】自治体への国の関与強化 地方自治法改正案が参院本会議で可決・成立 立憲「国の恣意的な行使の恐れ」 | TBS ... - TBS NEWS DIG Powered by JNN 【速報】自治体への国の関与強化 地方自治法改正案が参院本会議で可決・成立 立憲「国の恣意的な行使のおそれ ... - Yahoo!ニュース 【速報】国の指示権拡大、改正地方自治法が成立 - 47NEWS 国の指示権拡大、改正地方自治法が成立 - 佐賀新聞 国の指示権拡大、改正地方自治法が成立 - 沖縄タイムス 国の指示権拡大、改正地方自治法が成立(共同通信) - Yahoo!ニュース 【国の指示権拡大】「主従関係」に強い疑念 自治体の姿勢問題視も - あなたの静岡新聞 〈社説〉地方自治法改定 国との関係は一層ゆがむ - 信濃毎日新聞デジタル 国の指示権拡大、成立へ 改正自治法、非常時行使 「不当介入」懸念 - 北海道新聞 国の指示権拡大、改正自治法成立 非常時行使、「不当介入」懸念 - 新潟日報デジタルプラス 国の指示権拡大、改正自治法成立 非常時行使、「不当介入」懸念 - 日本海新聞 国の指示権拡大、改正自治法成立 非常時行使、「不当介入」懸念 - 西日本新聞 非常時に国の指示権拡大、地方自治法改正案19日成立 野党「国の不当な介入誘発する恐れ」|【西日本新聞me】 - 西日本新聞 非常時、国の指示権拡大 地方自治法改正案成立へ 行使は必要最小限と国に求める付帯決議採択|信濃毎日新聞デジタル ... - 信濃毎日新聞デジタル 国の指示権、非常時拡大 改正地方自治法19日成立、立民「歯止め不十分」 - 北日本新聞社 webun 非常時、国の指示権拡大 改正地方自治法成立へ|四国新聞WEB朝刊 - WEB朝刊(四国新聞) 非常時、国の指示権拡大 改正地方自治法成立へ 行使最小限と付帯決議 - 山陰中央新報社 改正自治法も成立見通し 参院 行使最小限と付帯決議 - 沖縄タイムス 「国が一律指示への違和感」指示権拡大に地方から示す意思 長野県内10市町村議会が意見書 地方自治法改定案成立へ ... - 信濃毎日新聞デジタル 国と地方の「対等」どこへ 改正地方自治法 「非常時」名目に強まる中央集権 - 北海道新聞 国の「指示権」拡大、不当な運用や現場混乱の恐れは消えず 地方自治法改正案が19日成立の見通し :東京新聞 TOKYO ... - 東京新聞 地方自治法改正案が可決した参院総務委員会=18日午前、国会(春名中撮影) - 産経ニュース 非常時、国の指示権拡大 地方自治法改正案成立へ - @S[アットエス] by 静岡新聞 非常時、国の指示権拡大 地方自治法改正案成立へ - nippon.com 非常時、国の指示権拡大 地方自治法改正案成立へ | 共同通信 - 共同通信 非常時、国の指示権拡大 地方自治法改正案成立へ - 新潟日報デジタルプラス 非常時、国の指示権拡大 地方自治法改正案成立へ - 日本海新聞 非常時、国の指示権拡大/地方自治法改正案成立へ - 四国新聞 地方自治法改正案、参院で可決 - 北海道新聞 国に非常時の「指示権」地方自治法改正案に懸念 「国に任せて問題解決」ではない - 文化放送 特例を盛り込んだ地方自治法の改正案 参院総務委で可決 - nhk.or.jp 地方自治法案が参院委可決 非常時、国が自治体に指示 - 日本経済新聞 地方自治法改正案を可決した参院総務委=18日午前 - 自治体への国指示権拡大、可決 参院委、野党批判「分権が後退 ... - 西日本新聞 自治法改正案が参院委可決=19日成立へ - 時事通信ニュース 地方自治法改正案が可決 大規模災害など重大な事態が発生した際に、国が自治体に対して必要な指示が可能に 参議院 ... - Yahoo!ニュース 地方自治法改正案を可決 - 佐賀新聞 地方自治法改正案を可決 - 沖縄タイムス 地方自治法改正案を可決(共同通信) - Yahoo!ニュース 地方自治法改正案を可決 - 高知新聞 非常時「指示権拡大」で地方自治法改正案 全国知事会担当者・阿部知事に聞く:中日新聞Web - 中日新聞 地方自治法改定案/伊藤議員の質問(要旨)/参院本会議 - しんぶん赤旗 阿部守一氏「限定的な運用なら反対までする必要はない」 地方自治法改正案 「十分な意思疎通」を国に要求:東京新聞 ... - 東京新聞 国が強力な権力関与/伊藤氏追及 地方自治法改定案/参院総務委 - しんぶん赤旗 地方自治法改正案「地方自治の根幹崩さないか」 山口祥義知事が懸念 - 佐賀新聞 国の指示権拡大に「歯止め設けて」「拡大いらない」「地方分権の考え方を否定」地方自治法改正案の参考人質疑 ... - 東京新聞 地方自治法改正案めぐり参考人質疑 参院総務委 - nhk.or.jp 地方自治法改正案 川崎市議アンケート 市民団体「危険性の認識は?」 一部で回答なく批判も:東京新聞 TOKYO Web - 東京新聞 政府が「判断を誤る可能性も」…危うい地方自治法の改正案 礒崎初仁・中央大教授「市民の安全に逆効果」:東京新聞 ... - 東京新聞 「非常時、国は指示ではなく人やカネを」 地方自治法改正「廃案」を求める4団体、国会前で訴え:東京新聞 TOKYO ... - 東京新聞 「国の指示なくても自主的に対応できるのでは」 疑問が尽きない地方自治法改正案、参院で審議入り:東京新聞 ... - 東京新聞 【参院本会議】岸真紀子議員、「地方自治法の一部を改正する法律案」について代表質問 - 立憲民主党 重大事態での特例盛り込んだ地方自治法改正案 参院で審議開始 - nhk.or.jp 【談話】地方自治法の一部を改正する法律案の衆議院通過にあたって - 立憲民主党 国から自治体へ指示権拡充 地方自治法改正案が衆院通過 - 日本経済新聞 国が自治体に「指示」できるのは…基準示されないまま衆院通過 地方自治法改正案、維新と国民民主も「賛成」:東京 ... - 東京新聞 国に「指示権」、地方自治法改正案が衆院通過 今国会成立の見通し - 朝日新聞デジタル 災害時などに国の「指示権」拡大 地方自治法改正案が衆院通過 - 毎日新聞 特例を盛り込んだ地方自治法の改正案 衆院本会議で可決 - nhk.or.jp (社説)自治法改正案 疑問は残ったままだ - 朝日新聞デジタル 【声明】地方自治の本旨を侵害する地方自治法改正に反対する(れいわ新選組 2024年5月28日) - れいわ新選組 地方自治法改正案 国に事後報告義務づけ修正 衆院総務委で可決 | NHK - nhk.or.jp 地方自治法改正案、衆院総務委で可決 「指示権」の必要性あいまい [岸田政権] - 朝日新聞デジタル 「国の指示権」拡大に18地方議会が反対・懸念 地方自治法改正案「対等な関係が損なわれる」:東京新聞 TOKYO Web - 東京新聞 「自治体は改正を求めてない」地方自治法改正案に首長ら危機感 国の指示権は範囲が曖昧、歯止めなし:東京新聞 ... - 東京新聞 地方自治法改正案 自民 公明 維新 国会へ報告義務づけの修正案 - nhk.or.jp 地方自治法の改正案をめぐり衆院総務委で参考人質疑 - nhk.or.jp 地方自治法改正案 衆院総務委で実質的な審議始まる | NHK - nhk.or.jp “重大事態発生時の特例”地方自治法改正案 衆議院で審議入り | NHK - nhk.or.jp 政府 地方自治法改正案を決定 重大事態発生時の特例設ける | NHK | 国会 - nhk.or.jp ■ 国の「指示権」拡大、不当な運用や現場混乱の恐れは消えず 地方自治法改正案が19日成立の見通し 「」より / 非常時に自治体に対する国の指示権を拡大する地方自治法改正案は、18日の参院総務委員会で自民、公明両党や日本維新の会などの賛成多数で可決された。立憲民主党や共産党などは反対した。19日に開かれる参院本会議で成立する見通し。 ◆「指示は必要最小限に」付帯決議を採択 改正案は、大規模災害や感染症まん延時などに、国が自治体に必要な措置を指示できる内容となっている。しかし、指示権が発動できる基準は曖昧で、自治体との事前協議や調整を義務付けていない。国会の承認も不要で、政府が閣議決定だけで指示権を行使できる。国の不当な介入や、将来的に拡大解釈される恐れがあるとも指摘されている。 委員会採決に先立つ反対討論で、立民の小沢雅仁氏は「国が常に正しいとの前提で、一方的に指示に従う義務を自治体に課すものだ」と批判。非常時に「自治体の主体性や自発性を損ない、現場の的確な判断や対処を妨げかねない」と懸念を示した。 共産の伊藤岳氏は「国が『国民の安全に重大な影響を及ぼす事態』と判断する類型も基準も極めて曖昧で、さらに発生の恐れがある場合でも(指示権行使が)できる」と指摘。賛成した維新の高木佳保里氏も指示権の発動要件の曖昧さに言及し、指示権以外では目的を達成できない場合に限定して行使するよう求めた。 改正案の採決後、国から自治体への指示は必要最小限にとどめ、自治体の意見や実情を踏まえることなどを政府に求める付帯決議を採択した。(三輪喜人) .
https://w.atwiki.jp/oblivion1mako/pages/16.html
クエストログ:アミュレットを届けよ ※攻略「アミュレットを届けよ」 !以下ネタばれ注意! ・皇帝ユリエル・セプティムが暗殺されるのを目の当たりにし、 絶命間際の彼から王者のアミュレットなる一品を託されてしまった。 ジョフリーなる人物に渡してほしいとのことで、 そのジョフリーなら唯一人生き残っている皇帝の跡継ぎの居場所を 知っているはずだそうだ。 皇帝は、暗殺者たちが破壊の王の差し金だとも言っていた。 ・皇帝の護衛の一人であったボーラスの話によると、ブレイズとは代々の皇帝を守ってきた 騎士団のことで、その長はジョフリーなる人物だそうだ。 ・王者のアミュレットをジョフリーなる人物に届けなければならない。 コロールの街の近くにあるウェイノン修道院にいるはずとのことだ。 ・ウェイノン修道院に到着した。王者のアミュレットをジョフリーに渡さなければならない。 ・ジョフリーを探し出して王者のアミュレットを渡した。 亡き皇帝の残した言葉を伝えると彼は強い懸念を示した。 メエルーンズ・デイゴンとは魔界オブリビオンの王の一人で、 破壊の王の異名をとる魔族のことだ。 ジョフリーは皇帝の座が空いていしまった今、オブリビオンのデイドラどもが 我々の世界を侵略することが可能になっているのではないかと懸念しているようだ。 [クエスト完了:帝位継承者の捜索」へ]
https://w.atwiki.jp/pardei_lustalie/pages/162.html
目次 概要 経緯国境管理を巡る代表総議会の混乱 管理手法を巡るイドゥアム政府の懸念 内容管理統一協定 各国との合意事項ユミル・イドゥアム連合帝国 関連記事 概要 衛生措置に関する管理統一協定は、共立公暦348年.ツォルマリア政府の主導により締結された。感染対策枠組み。 経緯 国境管理を巡る代表総議会の混乱 過去の感染拡大を受け、かねてから国際社会の対応に懸念を表明していたツォルマリア政府は、転移者対策を柱として統一的なルールを設けなければならないことを主張し、共立機構による同意のもと、パルディステルにおける演説を開始した。この一連の提案に対して、多くの加盟国が静観を保つ中、セトルラーム政府は国境管理の効率化を提案し、ジャンプ航法を制限、その上で当議題に賛成する意向を述べたのだという。同国に反感を持つカルスナードは、フリートン政権による交通の利益独占に反発。ツォルマリア代表はセトルラームのワープ航法に問題があることを指摘し、代表総議会における議員諸氏の公正な判断を求めたのである。キルマリーナ等の一部のゲート航路国家は一定の配慮を要求。一方、イドゥニア諸国の殆どが賛成の意を表明し、セトルラーム代表はやむなくジャンプ航法の制限案を撤回した。結果的には賛成多数の議決を経て本議案が成立。以後は政府間における具体的調整が進められた。 管理手法を巡るイドゥアム政府の懸念 イドゥアム帝国は、唯一皇帝を神として奉る絶対君主制国家である。従って領域管理に困難が生じるジャンプ航法の浸透は必ずしも好ましいことではなく、時の執政院議長はセトルラーム政府と協議の上、ゲートルートを堅持する方針を再確認した。更に独自の隔離措置制度を導入。国際社会の基準に照らし合わせると人権侵害にあたる内容であり、この事案は即座に是正されるべきであるとして共立機構による交渉の試みが始まった。会議の場において、イドゥアム政府は「国内の安全を保障できない」と表明。不法入国者の取り締まりを理由に隔離措置の正当性を主張したが、その実、現場レベルの処刑を可能とする内容であり、しかも冤罪による連行の可能性まで現実味を帯びている以上、共立機構にとっては受け入れがたいものであった。また、オクシレインの躍動を懸念した共立機構は、かねてから用意していた折衝案を受け入れない場合、全ての責任は帝国にあることを主張して執政院議長の妥協を促したのである。デッドラインを確認した両者は折衝案に若干の修正を加えることで合意。共立機構による管理のもと、適正に感染対策を進めていく方針を確認した。 内容 管理統一協定 各国主要航路における管理措置の統一・義務化。これにより、世界規模でのパンデミック防止に務める。 共立機構によるワクチン配布体制の強化。各加盟国から供出される分担金から予算案の策定を行う。 入国審査に係る衛生面の措置強化。然るべき検査体制においてワクチンを提供し、適切な措置を講じる。 感染者の取り扱いに関する人道上の措置強化。共立機構の名のもと、平和維持軍が保護活動の執行責任を担う。 感染当事国が平和維持軍との連携を拒否した場合、ただちに周辺の国境を閉ざし、権利凍結の制裁対象とする。 各国との合意事項 ユミル・イドゥアム連合帝国 1,入国審査に係る衛生面の措置強化に対して、感染者の入国は完全に禁止とする。 2,感染者の取り扱いに関する人道上の措置強化に対して、発見後、共立機構が国内に設立した隔離施設へ収容後感染経路を調査。 一定の脅威が上がった場合は仮設都市に隔離の上、共立機構と協議を行う。 3,防止措置に関する執行責任と免責事項の明確化に対して、そもそも入国出来ないよう国境にて追加で共立機構による検閲を要請する。 意図的に・共立機構の検閲を潜り抜けた事が分かった場合は厳罰化する。 関連記事 @Freeton2(執筆者) 共立世界における国際法 文明共立機構
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/57.html
総括所見:イギリス(第3~4回・2008年) 第1回(1995年)/第2回(2002年)/第5回(2016年)英領香港(当時、1996年)/英領マン島(2000年)/イギリス海外領土(2000年) OPAC(2008年)/OPSC(2014年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/GBR/CO/4(2008年10月20日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2008年9月23日および24日に開かれた第1355回~第1357回会合(CRC/C/SR.1355-1357参照)において大ブリテンおよび北アイルランド連合王国の第3回・第4回定期報告書(CRC/C/GBR/4)を検討し、2008年10月3日に開かれた第1369回会合において以下の総括所見を採択した。 A.序 2.委員会は、締約国の第3回・第4回統合報告書、および事前質問事項に対する文書回答の提出を歓迎する。委員会はまた、多部門の上級職員からなる代表団との間で持たれた率直かつ建設的な対話も歓迎するものである。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書についての締約国の第1回報告書に関して同日に採択された総括所見(CRC/C/GBR/OPAC/CO/1)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 B.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展 4.委員会は以下のことを歓迎する。 (a) 対話の過程で締約国から提供された、条約第22条および第37条(c)に付された留保を撤回する旨の決定に関する情報。 (b) 2004年子ども法、2006年保育法および「イングランド子ども計画」(2007年)をはじめ、条約の規定および原則に直接言及する、子どもの権利に関わる多くの法律が採択されたこと。 (c) 平等人権委員会が創設されたこと。 (d) 子どもに影響を及ぼすイングランドのすべての政策について主たる責任を有する、子ども学校家庭省(DCSF)および子ども学校家庭大臣が創設されたこと。 (e) 締約国の国内裁判所で条約が参照された事例があること。 5.委員会は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書の批准プロセスを開始するために必要なすべての立法上その他の措置がとられた旨の締約国の発表を歓迎する。委員会はまた、第2回報告書の検討(2002年)以降、締約国がとくに次の文書を批准しまたはこれに加入したことにも、評価の意とともに留意するものである。 (a) 武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書(2003年6月24日)。 (b) 拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは刑罰に関する条約の選択議定書(2003年12月10日)。 (c) 女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の選択議定書(2004年12月17日)。 (d) 国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関する1993年のハーグ第33号条約(2003年2月27日)。 (e) 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書(2006年2月9日)。 C.主要な懸念領域および勧告 1.実施に関する一般的措置(条約第4条、第42条および第44条第6項) 委員会のこれまでの勧告 6.委員会は、これまでの締約国報告書に関する総括所見を実施するための締約国の努力は歓迎しながらも、そこに掲げられた勧告の一部、とくに以下の点に関わる勧告が全面的に実施されていないことに、遺憾の意とともに留意する。 (a) 連合王国の第2回定期報告書に関する総括所見(CRC/C/15/Add.188)については、とくに、締約国の法律への条約の編入(パラ8~9)、予算配分(パラ10~11)、条約の普及および条約に関する意識(パラ20~21)、差別の禁止(パラ22~23)、体罰(パラ35~38)、教育(パラ47~48)に関わる勧告。 (b) 連合王国・海外領土についての第1回報告書に関する総括所見(CRC/C/15/Add.135)については、とくに、子どもの定義(パラ21~22)、ドメスティック・バイオレンス、不当な取扱いおよび虐待(パラ33~34)、薬物および有害物質の濫用(パラ51~52)、少年司法(パラ55~56)に関わる勧告。 (c) 連合王国・マン島の第1回報告書〔に関する総括所見〕については、とくに、体罰(パラ26~27)および少年司法(パラ40~41)に関わる勧告。 7.委員会は、締約国に対し、これまでの報告書に関する総括所見の勧告のうちまだ――または十分に――実施されていないものおよびこの総括所見に掲げられた勧告に対応するため、あらゆる必要な措置をとるよう促す。この文脈において、委員会は、子どもの権利条約の実施に関する一般的措置についての委員会の一般的意見5号(2003年)に対して締約国の注意を喚起するものである。 留保および宣言 8.委員会は、条約第22条および第37条(c)に関する留保の撤回の発表を歓迎しながらも、締約国が、海外領土および王室属領への第32条の適用に関する留保を維持していることを遺憾に思う。 9.委員会は、締約国に対し、海外領土および王室属領との関係における第32条への留保を撤回するよう奨励する。 立法 10.委員会は、とくに2004年子ども法(イングランドおよびウェールズに適用され、とくにイングランドに子どもコミッショナーを創設したもの)および2006年保育法の採択により、自国の法律を条約と調和させるために締約国が行なっている努力を評価する。しかしながら委員会は、同国全域のすべての法律において条約の原則が正当に考慮されているわけではないこと、および、締約国が条約を国内法に編入しておらず、かつ子どもに影響を及ぼすすべての法律が条約に一致することを確保しているわけでもないことを、依然として懸念するものである。 11.委員会は、締約国が引き続き自国の法律を条約に一致させるための措置をとるよう勧告する。この目的のため、締約国は、この点に関わって北アイルランドにおける権利章典案および英国権利章典案の策定によって与えられた機会を活用し、たとえばこれらの法案に子どもの権利についての特別な項目を設けることによって、これらの法案に条約の原則および規定を編入することを考えることができる。 調整 12.委員会は、締約国が地方分権体制のもとで機能していること、および、このシステムのため条約の実施を調整する単一機関を設けるのが困難であることに留意する。これとの関連で、イングランドにおいて子ども若者家庭大臣官房室に責任を集中させたことならびにスコットランドおよびウェールズでも同様の発展が見られたことのような、調整のために行なわれてきた最近の努力は歓迎されるところである。にもかかわらず、委員会は、締約国全域(地方レベルを含む)で条約の包括的および効果的実施を調整しかつ評価する任務を委ねられた機関が存在しないことを、依然として懸念する。 13.委員会は、締約国が、とくに地方当局が優先順位の決定および予算配分について相当の権限を有している現状では地方レベルも含めて、締約国全域で条約の実施の効果的調整を確保するべきである旨の、前回の勧告を繰り返す。この目的のため、締約国は、十分な資源を与えられ、かつ円滑に機能する調整機関が各法域に設けられることを確保することに加え、締約国全域で条約の調整および評価を行なう責任を、高い地位および注目度を有する単一の機関に割り当てることを考えることができる。 国家的行動計画 14.委員会は、「イングランド子ども計画」、「ウェールズの子ども・若者のための7つの中核的目標」および北アイルランドで策定された戦略において条約への言及が見られることを歓迎する。委員会はまた、「すべての子どもが重要である」に基づいてイングランドで進められている一連の改革も歓迎するものである。しかしながら委員会は、条約が締約国全域の戦略策定の枠組みとして日常的に用いられているわけではないこと、および、条約の原則、価値および目標の全面的実現を確保するための全般的政策が存在しないことを、依然として懸念する。 15.委員会は、締約国に対し、子どもの権利の促進および保護に関与している公共部門および民間部門と協力しながら、かつ子どもの権利アプローチに基づいて、締約国全域で条約を実施するための包括的行動計画を採択するよう奨励する。その際、締約国は、2002年国連総会特別会期の成果文書「子どもにふさわしい世界」およびその中間レビュー(2007年)を考慮するべきである。委員会はまた、達成された進展を定期的に評価し、かつ存在する可能性がある欠点を明らかにする目的で、締約国が、行動計画の全面的実施のための十分な予算配分ならびにフォローアップおよび評価の機構を確保するようにも勧告する。これらの計画においては、もっとも脆弱な立場に置かれた集団に属する子どもに特別な注意が払われるべきである。 独立の監視 16.委員会は、連合王国を構成する4つのすべての社会で独立の子どもコミッショナーが設置されたこと、および、これらのコミッショナーが子どもの権利の促進および保護のために行なってきた無数の取り組みを歓迎するものの、その独立性および権限が限られていること、および、これらの機関がパリ原則に全面的に一致する形で設置されたわけではないことを、懸念する。 17.委員会は、締約国が、設置された4つのすべてのコミッショナーがパリ原則にしたがって独立性を有すること、および、とくに子どもの権利侵害について子どもまたはその代理人が行なう苦情を受理しかつ調査する任務を与えられることを確保するよう、勧告する。これらの機関に対しては、締約国全域のすべての子どもの権利が保護されるよう、その権限を効果的かつ調整のとれたやり方で遂行するために、必要な人的資源および財源が与えられるべきである。これとの関連で、委員会は、子どもの権利の保護および促進における独立した国内人権機関の役割についての委員会の一般的意見2号(2002年)に対し、締約国の注意を喚起する。 資源配分 18.委員会は、子どもに関する支出が近年増加していることに、評価の意とともに留意する。にもかかわらず、委員会は、当該増加が貧困を根絶しかつ不平等に対処するためには十分でないこと、および、一貫した予算分析および子どもの権利影響評価が行なわれていないため、締約国全域でどの程度の支出が子どもに配分されており、かつ子どもに影響を及ぼす政策および法律の効果的実施にこれがどの程度役立っているのかを明らかにすることが困難であることを、懸念するものである。 19.委員会は、締約国が、条約第4条にしたがい、かつ貧困の根絶にとくに焦点を当てながら、利用可能な資源を子どもの権利の実施のために最大限に配分するとともに、すべての法域を通じて不平等を削減するよう勧告する。このような取り組みにおいて、締約国は、「子どもの権利のための資源配分――国の責任」をテーマとして行なわれた2007年9月21日の一般的討議後に委員会が行なった勧告を考慮するべきである。予算配分額が政策上の発展の実現および法律の実施にどの程度相応するものとなっているかを評価するため、子どもの権利影響評価を定期的に実施することが求められる。 普及、研修および意識啓発 20.委員会は、条約を含む国際人権文書の原則および規定について専門家に研修を実施するために締約国が行なっている最近の努力、ユニセフの「権利を尊重する学校」プロジェクトへの締約国の支援、ならびに意識啓発活動の開発および実施におけるNGOとの連携を歓迎する。にもかかわらず、委員会は、条約に関する体系的な意識啓発が行なわれておらず、かつ、子ども、親、または子どもとともに働く専門家の間で条約に関する知識水準が低いことを懸念するものである。さらに委員会は、条約が学校カリキュラムの一部とされていないことを遺憾に思う。 21.委員会は、締約国が、とくに法定のナショナル・カリキュラムに条約を含めることによって、条約のすべての規定がおとなおよび子どもによって同様に広く知られかつ理解されることを確保するための努力をさらに強化するとともに、条約の原則および価値がすべての学校の構造および実践に統合されることを確保するよう、勧告する。委員会はまた、子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家集団、とくに法執行官、出入国管理官、メディア、教員、保健従事者、ソーシャルワーカーおよび子どものケアのための施設の職員を対象とする、十分かつ体系的な研修を強化することも勧告するところである。 市民社会との協力 22.委員会は、報告書の作成および条約の実施において締約国が市民社会組織と協力していること(報告書の作成については公式の協議も含む)に、評価の意とともに留意する。 23.委員会は、締約国が、NGOおよび子ども団体を含む市民社会が子どもの権利の促進および実施に積極的かつ系統的に参加すること(とくに政策および協力プロジェクトの計画段階における参加を含む)、ならびに、委員会の総括所見のフォローアップおよび次回定期報告書の作成にも同様に参加することを奨励するよう、勧告する。 2.一般原則(条約第2条、第3条、第6条および第12条) 差別の禁止 24.委員会は、差別の禁止に対する子どもの権利を連合王国の反差別法(提出予定の平等法案)に導入することによってその主流化を図る明確な機会を得て、平等法を整備しおよび強化しようとする締約国の計画を歓迎する。委員会はまた、差別の問題に関する行動計画の採択ならびにこの問題に関して行なわれている監視および情報収集の活動も歓迎するものである。しかしながら委員会は、実際には一部の集団の子ども(ロマおよびアイリッシュのトラベラーの子ども、移民、庇護希望者および難民である子ども、レズビアン、バイセクシュアル、ゲイおよびトランスジェンダーの子ども(LBGT)ならびにマイノリティ集団に属する子どもなど)が依然として差別および社会的スティグマの付与を経験していることを、懸念する。委員会はまた、子ども、とくに思春期の子どもに対する全般的な不寛容の雰囲気および公衆の否定的態度がメディアを含む締約国に存在しているように思われ、このことがしばしば子どもの権利のさらなる侵害の根本的原因になっている可能性があることも、懸念するものである。 25.委員会は、締約国が、以下のものを含む措置をとることにより、あらゆる理由に基づく差別からの全面的保護を確保するよう勧告する。 (a) メディアを含む社会における、子ども、とくに思春期の子どもに対する不寛容および不適切な特性の付与に対応するため、緊急の措置をとること。 (b) 差別に反対する意識啓発その他の防止活動を強化するとともに、必要なときは、脆弱な立場に置かれた集団の子ども(ロマおよびアイリッシュのトラベラーの子ども、移民、庇護希望者および難民である子ども、レズビアン、バイセクシュアル、ゲイおよびトランスジェンダーの子ども(LBGT)ならびにマイノリティ集団に属する子どもなど)のための積極的差別是正措置をとること。 (c) 社会のあらゆる部門における子どもへの差別事案が、懲戒、行政的制裁または必要なときは刑事的制裁を科すことも含めて効果的に対応されることを確保するため、あらゆる必要な措置をとること。 子どもの最善の利益 26.委員会は、とくに少年司法、出入国管理ならびに移動の自由および平和的集会の分野で、子どもの最善の利益の原則が、子どもに影響を与えるすべての立法上および政策上の事柄においていまなお第一次的な考慮事項として反映されていないことを遺憾に思う。 27.委員会は、子どもの最善の利益の原則が、条約第3条にしたがい、子どもに影響を与えるすべての法律および政策(刑事司法および出入国管理の分野におけるものも含む)に十分に統合されることを確保するため、締約国があらゆる適当な措置をとるよう勧告する。 生命、生存および発達に対する権利 28.委員会は、イングランドおよびウェールズで子どもの死亡に関する法定調査が導入されたことを歓迎しながらも、前回の審査以降6名の子どもが勾留下で死亡したこと、および、勾留されている子どもの自傷行動の蔓延率が高いことを非常に懸念する。 29.委員会は、締約国が、防止措置の実効性を再検討することも含め、生命に対する子どもの権利を保護するために利用可能なあらゆる資源を活用するよう勧告する。締約国はまた、子どもがケアを受けているか勾留中であるかにかかわらず、子どもが予想外に死亡しまたは重傷を負ったあらゆる事案について自動的に独立のかつ公的な調査が行なわれる制度も導入するべきである。 30.委員会は、締約国が暴動鎮圧手段としての円形プラスチック弾の使用を廃止したことを歓迎しながらも、それに代えて、より有害でないことが証明されていない減エネルギー弾(AEP)が導入されたことを懸念する。委員会はまた、テイザー銃の使用がイングランドおよびウェールズで警察官に対して許可され、かつ北アイルランドにおいても試験的に許可されたこと、ならびに、いずれの場合にもこれを子どもに対して使用できることも、懸念するものである。 31.締約国は、テイザー銃およびAEPを、適用される規則および制限の対象となる武器として扱うべきであり、かつ、子どもに対するすべての有害な装備の使用に終止符を打つべきである。 子どもの意見の尊重 32.委員会は、2006年保育法を歓迎するとともに、関連の指針において、子どものためのサービスを計画する際に幼い子どもの意見を考慮することが地方当局に対して求められていること、および、視学官が学校その他の施設を訪問する際には子どもと協議することが求められていることを、歓迎する。委員会はまた、イングランドおよびウェールズにおいて、学校管理機関に対し、学校における行動についての方針を策定する際に子どもの関与を得る新たな義務が課されたことも、歓迎するものである。しかしながら委員会は、教育法および教育政策に第12条を掲げる点に関してほとんど進展がないことを懸念する。さらに、委員会は、第12条に掲げられた権利が障害のある子どもに適用されることを確保するためにとられた措置が不十分であることを懸念するものである。 33.委員会は、締約国が、条約第12条にしたがい、かつ、意見を聴かれる子どもの権利についての一般的討議(2006年)後に委員会が採択した勧告を考慮に入れながら、以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 家庭、学校およびコミュニティならびに施設ならびに行政上および司法上の手続において、法律上も実務上も、子どもの意見の尊重の原則を促進し、推進しかつ実施すること。 (b) 連合王国若者議会、ファンキー・ドラゴン(ウェールズ)および若者議会(スコットランド)のような子ども参加の場を支援すること。 (c) 意味のある子ども参加の機会を増加させるため、メディアを含む市民社会組織と引き続き連携すること。 4.市民的権利および自由(条約第7条、第8条、第13~17条および第37条(a)) (訳者注)3が欠落しているのは原文ママ。 平和的集会の自由 34.委員会は、反社会的行動防止命令(ASBO)(後掲パラ79および80も参照)ならびにいわゆる「モスキート音発生装置」の使用および「解散命令対象地域」の概念の導入により、子どもの移動および平和的集会の自由が制限されていることを懸念する。 35.委員会は、締約国が、ASBOおよびモスキート音発生装置のようなその他の措置について、これらが移動および平和的集会の自由に対する子どもの権利を侵害するかぎりにおいて再検討するよう勧告する。これらの自由を享受することは子どもの発達にとって必要不可欠であり、これに対しては、条約第15条に掲げられた、きわめて限定された制約以外は課すことができない。 プライバシーの保護 36.委員会は以下のことを懸念する。 (a) 子どもが最終的に告発されまたは有罪と認定されたか否かにかかわらず、子どもに関するDNAデータが全国DNAデータベースに保存されること。 (b) 締約国が、子ども、とくにASBOを発令された子どもについて、このような子どもがメディアで否定的に取り上げられ、かつ公に「名指しして辱める」ことの対象とされることから保護するための十分な措置をとっていないこと。 (c) 子どもがテレビのリアリティ・ショーに出演することが、そのプライバシーに対する不法な干渉となる可能性があること。 37.委員会は、締約国が以下の措置をとることを勧告する。 (a) データ保護に関するより強力な規制を導入すること等により、子どもがそのプライバシーに対する不法なまたは恣意的な干渉から保護されることを、法律上も実際上も確保すること。 (b) とくに、子どもの最善の利益に反する、子どもを公に辱めの対象とするようなメッセージを発しないようにすることにより、メディアにおける子どものプライバシーを尊重するための努力を、メディアと協力しながら強化すること。 (c) テレビ番組によって子どもの権利が侵害されないことを確保するため、テレビ番組、とくにリアリティ・ショーへの子どもの参加を規制すること。 残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは処罰 38.委員会は、やむを得ない必要がありかつ最後の手段としてでないかぎり身体的拘束および独居拘禁が用いられないことを確保するため、締約国がこれらの措置の使用を見直したことに留意する。しかしながら委員会は、実際には子どもの身体的拘束がいまなお自由の剥奪の場で用いられていることを依然として懸念するものである。 39.委員会は、締約国に対し、子どもに対する拘束が最後の手段としてのみかつもっぱら自傷他害を防止するために用いられること、および、懲戒目的のあらゆる身体的拘束手段が廃止されることを確保するよう促す。 体罰 40.委員会は、「合理的懲罰」の抗弁の適用を制限する法改正がイングランド、ウェールズ、スコットランドおよび北アイルランドで行なわれたことには留意しながらも、この抗弁が廃止されていないことを懸念する。委員会は、家庭におけるすべての体罰を禁止することに対するウェールズ国民議会のコミットメントを歓迎するものの、権限委譲の条件上、国民議会が必要な法律を制定するのは不可能であることに留意するものである。委員会は、締約国が家庭におけるあらゆる体罰を明示的に禁止していないことを懸念するとともに、子どもの体罰の事案に関していずれかの抗弁が設けられていることは、一定の形態の体罰は容認されることを示唆するものであるから条約の原則および規定に一致しないという、委員会の見解を強調する。 41.委員会はさらに、実質的にすべての海外領土および王室属領において、家庭、学校および代替的養護環境における体罰が合法であることを懸念する。 42.委員会は、前回の勧告(CRC/C/15/Add.188、パラ35)を繰り返し、「体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利」についての委員会の一般的意見8号に照らし、かつ、自由権規約委員会、女性差別撤廃委員会および経済的、社会的および文化的権利に関する委員会によって行なわれた同様の勧告に留意しながら、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) イングランドおよびウェールズ、スコットランドならびに北アイルランドならびにすべての海外領土および王室属領において、あらゆる法的抗弁の廃止等も通じ、優先的課題として、家庭におけるあらゆる体罰を禁止すること。 (b) 連合王国全域ならびに海外領土および王室属領において、学校ならびにその他のあらゆる施設およびその他のあらゆる形態の代替的養護における体罰が明示的に禁じられることを確保すること。 (c) あらゆる体罰から保護される子どもの権利についての公衆の意識を高め、かつ子育てにおける体罰の使用を容認する公衆を減少させる目的で、積極的かつ非暴力的な形態のしつけおよび規律、ならびに、人間の尊厳および身体的不可侵性に対する子どもの平等な権利の尊重を積極的に促進すること。 (d) 積極的な子育てに関する親の教育および専門家の研修を行なうこと。 子どもに対する暴力に関する国連研究のフォローアップ 43.子どもに対する暴力に関する国連事務総長研究(A/61/299)について、委員会は、締約国が、ヨーロッパ・中央アジア地域協議(2005年7月5~7日、リュブリャナ)の成果および勧告を考慮しながら、子どもに対する暴力に関する国連研究の独立専門家報告書に掲げられた勧告を実施するためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告する。締約国は、すべての子どもがあらゆる形態の身体的、性的および精神的暴力から保護されることを確保し、かつ、このような暴力および虐待を防止しかつこれに対応するための具体的な(かつ適切な場合には期限を定めた)行動に弾みをつける目的で、市民社会と連携しながら、かつとくに子どもの参加を得ながら、これらの勧告を行動のためのツールとして活用するべきである。 5.家庭環境および代替的養護(条約第5条、第18条(第1~2項)、第9~11条、第19~21条、第25条、第27条(第4項)および第39条) 44.委員会は、里親養護の方が施設養護よりも望ましいとされる旨の締約国の説明に留意する。委員会はまた、ケアの対象とされている子どもにとっての成果を向上させようとする締約国の努力、および、イングランドにおける独立審査官の設置も歓迎するものである。委員会は、子どもの養育責任を果たすにあたって適当な援助を受けていない家族が多いこと、とくに貧困のために危機的状況にある家族がそうであることを懸念する。さらに、委員会は以下のことを懸念するものである。 (a) 親のケアを奪われた子どもを支援する職員および施設への投資が不十分であること。 (b) 子どもが、親の低所得の結果として代替的養護の対象とされる可能性があること。 (c) 親の一方または双方が収監されている子どもの状況。 (d) 代替的養護の対象とされる子どもの人数が増えていることとともに、とくに、このような子どもに占めるアフリカ系の子ども、障害のある子どもおよび民族的マイノリティ出身の子どもの割合が高いこと。 (e) 代替的養護の対象とされている子どものモニタリングが、処遇の再審査に関するものも含め、不十分であること。 (f) 代替的養護の対象とされている子どもがあまりにも頻繁に措置先を移動させられていること、および、このような子どもとその親およびきょうだいとがほとんど面接交渉できないこと。 (g) 代替的養護の対象とされている子どものうち苦情申立て機構にアクセスできる子どもの人数が限られていること。 45.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 親および法定保護者が子どもの養育責任を果たすにあたって適当な援助を与えるための努力を強化すること。 (b) 子どもが親の低所得の結果として代替的養護の対象とされることがないようにすること。 (c) すべての措置において子どもの意見を考慮するとともに、子どもに対し、子どもがアクセスしやすい苦情申立て機構を全国で提供すること。 (d) 親の一方または双方が収監されている子どもに対し、とくに(子どもの最善の利益に反しないかぎり)親との接触を維持するためならびにこのような子どもに対するスティグマの付与および差別を防止するための支援を確保すること。 (e) とくに定期的訪問を通じ、親族家庭、里親養護、養子縁組里親家庭および他の養護施設に措置された子どもの状況をモニターすること。 (f) これほど多くの障害児が長期の施設養護の対象とされている理由を評価するとともに、このような環境にある障害児のケアおよび処遇を再審査すること。 (g) 親およびきょうだいから分離されたすべての子ども(長期の入所型施設養護の対象とされている子どもを含む)について面接交渉手続の開始を促進すること。 (h) 子どもに成人後の人生に向けた準備をさせるための訓練教育プログラムを提供すること。 (i) 親のケアを受けていない子どもに関する一般的討議(2005年9月16日)で出された委員会の勧告を考慮すること。 養子縁組 46.委員会は、アフリカ系の子ども民族的マイノリティの子どもが、同じ民族的出身の家族によって養子とされるまで長期間待機する場合があることを懸念する。 47.委員会は、子どもが、常にその最善の利益にかなう形で、かつとくにその文化的背景を正当に考慮しながら、可能なかぎり迅速に養子とされるような状況を促進する努力を、締約国が強化するよう勧告する。 48.委員会は、締約国が、国際養子縁組に関するハーグ条約について、当該条約の適用を海外領土には拡大しない旨の宣言を行なっていることを懸念する。 49.委員会は、締約国が、国際養子縁組に関するハーグ条約の適用を海外領土に拡大するために必要な措置をとるよう勧告する。 暴力、虐待およびネグレクト 50.委員会は、子どもの暴力、虐待およびネグレクトの問題に対処するために締約国が行なっている努力を歓迎する。しかしながら委員会は、子どもの暴力、虐待およびネグレクト(家庭におけるものも含む)の蔓延率が高いこと、および、この点に関する包括的な全国的戦略が存在しないことを依然として憂慮するものである。委員会は、子どもに対して行なわれた虐待を記録しおよび分析する包括的システムがいまなお存在せず、かつ、被害者の身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための機構が締約国全域で十分に利用可能とされていないことを、遺憾に思う。 51.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 暴力、性的虐待、ネグレクトまたは搾取(家庭、学校および施設養護その他の養護におけるものも含む)の事案数および規模を監視するための機構を設置すること。 (b) 子どもとともに働く専門家(教員、ソーシャルワーカー、医療従事者、警察官および司法関係者を含む)が、子どもに影響を与えるドメスティック・バイオレンスが疑われる事案について通報しおよび適切な行動をとる自己の義務に関する研修を受けることを確保すること。 (c) 暴力、虐待、ネグレクトおよび不当な取扱いの被害者が法的手続中にふたたび被害を受けることのないようにするため、このような被害者への支援を強化すること。 (d) 締約国全域で、回復、カウンセリングおよびその他の形態の再統合のための十分なサービスにアクセスできるようにすること。 6.基礎保健および福祉(条約第6条、第18条(第3項)、第23条、第24条、第26条および第27条(第1~3項)) 障害のある子ども 52.委員会は、障害のある子どもの状況の分析および改善に関して国レベルおよび地方レベルで行なわれている締約国の取り組みを歓迎する。しかしながら、委員会は以下のことを懸念するものである。 (a) 障害のある子どもの社会へのインクルージョンに関する包括的な全国的戦略が存在しないこと。 (b) 障害のある子どもが、条約で保障された権利(保健サービスへのアクセス、余暇および遊びについての権利を含む)を享受するにあたって引き続き障壁に直面していること。 53.障害者の機会均等化に関する基準規則(国連総会決議48/96)および障害のある子どもの権利に関する委員会の一般的意見9号(2006年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 障害のある人の保護について定めた法律ならびに障害のある子どものためのプログラムおよびサービスが効果的に実施されることを確保するため、あらゆる必要な措置をとること。 (b) 早期発見プログラムを発展させること。 (c) (準)医療従事者および関連の職員、教員ならびにソーシャルワーカーなど、障害のある子どもとともに働く専門的職員に対して研修を行なうこと。 (d) 障害のある子どもの社会へのインクルージョンに関する包括的な国家的戦略を策定すること。 (e) 障害のある子どもの権利および特別なニーズに関する意識啓発キャンペーンを実施し、このような子どもの社会へのインクルージョンを奨励し、かつ差別および施設措置を防止すること。 (f) 障害のある人の権利に関する国際条約およびその選択議定書の批准を検討すること。 健康および保健サービス 54.委員会は、とくに相当額の投資を通じて保健サービスへのアクセスに関する不平等に対処するため締約国が行なっている努力にもかかわらず、最富裕層と最貧困層との間の乳児死亡率の格差が拡大しつつあることに示されているように、不平等が依然として問題であることを懸念する。 55.委員会は、すべての政府機関を横断する調整のとれたアプローチ、および、保健政策と所得不平等および貧困の削減を目的とする政策とのいっそうの調整を通じ、保健サービスへのアクセスに関する不平等に対処することを勧告する。 精神保健 56.委員会は、とくにイングランドにおける相当の財政投資にもかかわらず、締約国の子どもの10人に1人が診断可能な精神保健上の問題を有している一方で、そのうち約25%しか必要な治療およびケアにアクセスできていないこと、および、子どもがいまなお成人向け精神病棟で治療される可能性があることを、懸念する。委員会はまた、北アイルランドにおいて、紛争の遺産を理由として、この点に関する子どもの状況がとりわけ問題含みであることも懸念するものである。 57.委員会は、よりリスクの高い状況に置かれている子ども(親のケアを奪われた子ども、紛争の影響を受けている子ども、貧困下で暮らしている子どもおよび法律に触れた子どもを含む)にとくに注意を払いながら、精神保健上の問題を有する子どものニーズを締約国全域で満たせるようにするため、資源の追加および対応能力の向上を図るよう勧告する。 母乳育児 58.委員会は、母乳育児の促進および支援に関して締約国で近年達成された進展は評価しながらも、「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」の実施が引き続き不十分であること、および、母乳代替品の攻撃的宣伝が依然として一般的に行なわれていることを懸念する。 59.委員会は、締約国が「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」を全面的に実施するよう勧告する。締約国はまた、赤ちゃんにやさしい病院をさらに促進し、かつ保育者研修に母乳育児を含めることを奨励するべきである。 思春期の健康 60.思春期の子どもに影響を及ぼす分野で締約国が行なっている努力には留意しながらも、委員会は、とくに下層の社会経済的背景を有する女子の間でおよび海外領土(とくにタークス・カイコス諸島)において10代妊娠率が高いことを依然として懸念する。 61.委員会は、締約国が、思春期の子どもに対して十分なリプロダクティブヘルス・サービス(学校におけるリプロダクティブヘルス教育を含む)を提供するための努力を強化するよう、勧告する。 62.委員会は、締約国(海外領土を含む)の青少年によるアルコール、薬物その他の有害物質の使用件数が多いことを懸念する。 63.委員会は、締約国が、以下の措置をとることも含め、締約国全域の青少年による有害物質の使用の問題に引き続き対応することを勧告する。 (a) 焦点の明確な防止措置を提供するため、これらの問題の根本的原因を研究すること。 (b) 精神保健サービスおよびカウンセリング・サービスを、これらのサービスがすべての法域(海外領土を含む)の青少年にとってアクセスしやすく、かつ青少年に配慮したものであることを確保しながら強化すること。 (c) 有害物質に関する正確かつ客観的な情報を子どもに提供するとともに、その使用をやめまたは依存から脱しようとしている子どもに支援を提供すること。 生活水準 64.委員会は、2020年までに子どもの貧困に終止符を打つという政府の決意、および、2006年保育法が地方当局に課した乳幼児間の貧困削減要件を歓迎する。委員会はまた、この目標は立法措置を通じて反映されおよび執行されることになる旨の代表団の情報にも、評価の意とともに留意するものである。しかしながら委員会は、子どもの貧困がここ数年で削減されてきたことには留意しながらも、貧困が連合王国全域(海外領土を含む)に影響を与えている非常に深刻な問題であること、および、子どもの20%以上が持続的貧困下で暮らしているとされる北アイルランドにおいてこれがとりわけ問題となっていることを、懸念する。さらに委員会は、政府の戦略においてもっとも厳しい貧困下で暮らしている子どもの集団に十分な焦点が当てられていないこと、および、トラベラーの子どもの生活水準がとりわけ劣悪であることを懸念するものである。 65.委員会は、十分な生活水準は子どもの身体的、精神的、霊的、道徳的および社会的発達にとって不可欠であり、かつ子どもの貧困は乳児死亡率、保健および教育へのアクセスならびに子どもの生活の日常的な質にも影響を及ぼすことを強調したい。条約第27条にしたがい、委員会は締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 目標達成のための測定可能な指標を確立することも含め、2020年までに子どもの貧困に終止符を打つという目標を達成するための法律を採択し、かつ十分に実施すること。 (b) この法律およびフォローアップの措置においては、支援をもっとも必要としている子どもおよびその家族を優先させること。 (c) 必要な場合には、親および子どもに責任を負う他の者に全面的支援を与えることに加え、とくに栄養、衣服および住居に関して子どものための物的援助および支援プログラムを提供するための努力を強化すること。 (d) トラベラーに安全かつ十分なキャラバン基地を提供する地方当局の法定義務を再導入すること。 7.教育、余暇および文化的活動(条約第28条、第29条および第31条) 教育(職業訓練および職業指導を含む) 66.委員会は、条約に掲げられた目標を保障するために締約国が教育分野で行なっている膨大な努力に、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、経済的苦境にある親とともに暮らしている子どもの学校の成績に関して相当の不平等が根強く残っていることを懸念するものである。一部の子どもの集団、とくに障害のある子ども、トラベラーの子ども、ロマの子ども、庇護希望者の子ども、さまざまな理由(病気、家庭の義務等)で中退した子どもおよび不登校の子どもならびに10代で母親となった子どもは、普通学校か代替的教育施設かを問わず就学または教育の継続もしくは再開について問題を有しており、教育に対する権利を全面的に享受できていない。さらに、委員会は以下のことを懸念する。 (a) 子どもは協議の権利をごくわずかしか有しておらず、とくに停退学に対して異議を申し立てる権利または特別な教育的ニーズ裁定委員会の決定に異議を申し立てる権利を有していないため、学校生活のあらゆる側面への子どもの参加が不十分であること。 (b) 教育内容等に関して苦情を申し立てる権利が親に限定されていること。このことは、とくに地方当局の育成下にある子ども(このような子どもについては地方当局が親の権威を有しているが、それが用いられることはほとんどない)にとって問題となる。 (c) いじめが深刻かつ広範な問題となっており、そのため子どもの通学および学習の成功が阻害されている可能性があること。 (d) 停退学件数が依然として多く、とりわけ全体として学校の成績がよくない集団の子どもに影響が生じていること。 (e) 分離教育の問題がいまなお北アイルランドに存在すること。 (f) 委員会の前回の勧告にもかかわらず、北アイルランドで11歳の時点での成績選抜が続けられていること。 67.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもの社会的背景が学校の成績に及ぼす影響を減少させるための努力を継続しおよび強化すること。 (b) 不利な立場にあり、周縁化されており、かつ学校から離れているあらゆる集団の子どもに対して〔権利の〕全面的享受を確保する真にインクルーシブな教育に対するすべての子どもの権利を確保する目的で、相当の追加的資源を投入すること。 (c) 学校に通っていないすべての子どもが良質な代替的教育を受けることを確保すること。 (d) 懲戒措置としての停退学を最後の手段としてのみ用いるようにし、停退学の件数を減少させ、かつ、学校との紛争を抱えた子どもを援助するため学校にソーシャルワーカーおよび教育心理学者を配置すること。 (e) 親のケアを受けていない子どもが、その最善の利益を積極的に擁護する代理人を確実に任命されるようにすること。 (f) 人権、平和および寛容に関する教育によるものも含め、学校におけるいじめおよび暴力に対処するための努力を強化すること。 (g) 学校、教室および学習に関わる事柄であって自己に影響を与えるあらゆるものについての子ども参加を強化すること。 (h) 自己の見解を表明することのできる子どもが、停退学に対して異議を申し立てる権利および(とくに代替的養護を受けている子どもについて)特別な教育的ニーズ裁定委員会に異議を申し立てる権利を有することを確保すること。 (i) 北アイルランドにおける分離教育に対応するための措置をとること。 (j) イレブンプラス進学先決定試験を廃止することによって北アイルランドの二層化文化に終止符を打つとともに、すべての子どもが初等学校後の就学受入れ体制に含まれることを確保すること。 余暇および遊びに対する権利 68.委員会は、「イングランド子ども計画」において、子どもの遊びに対する中央政府の投資としては過去最大の額が計上されていることを評価しながらも、ウェールズを唯一の例外として、遊びの権利が締約国のすべての子どもによって全面的に享受されているわけではないことを懸念する。これはとくに遊びのためのインフラが充実していないことによるものであり、またとくに障害のある子どもにとって当てはまる。委員会はまた、近年生じている遊び場の着実な減少により、子どもが公共のオープンスペースで集まらざるを得ない状況に押しやられる効果が生じていることも懸念するものである。しかし、このような行動は、ASBOにしたがって反社会的と見なされる可能性がある。 69.委員会は、締約国が、子どもが休息し余暇を持つ権利、その年齢にふさわしい遊びおよびレクリエーション活動を行なう権利ならびに文化的生活および芸術に自由に参加する権利を保障するための努力を強化するよう勧告する。締約国は、障害のある子どもを含む子どもに対して遊びおよび余暇活動を行なうための十分かつアクセスしやすい遊び場空間を提供することに、特段の注意を払うべきである。 8.特別な保護措置(条約第22条、第30条、第38条、第39条、第40条、第37条(b)~(d)ならびに第32~36条) 子どもの庇護希望者および移民 70.委員会は、締約国が第22条に対する留保を撤回する決意を示していること、および、2007年3月に新たな庇護手続が導入されたこと(この手続のもと、子どもによるすべての庇護申請は、特別訓練、とくに子どもの事情聴取に関する訓練を受けた「専任担当者」によって検討される)を歓迎する。委員会はまた、締約国にやってきた保護者のいない子どもの庇護希望者に関わる広範な改革プロセスを連合王国国境局(UKBA)が進めていること、および、連合王国国境局に対し、子どもを保護する具体的な法定義務を課す立法の計画があることも歓迎するものである。しかしながら、委員会は以下のことを懸念する。 (a) 自由権規約委員会も最近認知したように、アセスメントが進行中の者も含む子どもの庇護希望者が引き続き収容されており、アセスメント終了まで数週間にわたって収容され続ける可能性があること。 (b) 庇護を希望している子どもの人数に関するデータが存在しないこと。 (c) 保護者のいない子どもであって送還されなければならない者の一時受入れ状態を評価するための、後見人制度のような独立した監督機構が設けられていないこと。 (d) 2004年庇護および出入国管理法第2条で、連合王国入国時に有効な渡航書類を有していない10歳以上の子どもの訴追が認められていること。 71.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 条約第37条(b)にしたがい、子どもの庇護希望者および移民の収容が常に最後の手段として、かつもっとも短い適当な期間で用いられることを確保するための努力を強化すること。 (b) 連合王国国境局(UKBA)において、スクリーニング目的の子どもの事情聴取を行なう、特別訓練を受けた職員が任命されることを確保すること。 (c) 保護者のいない庇護希望者および移民の子どものために後見人の任命を検討すること。 (d) 庇護を希望している子ども(年齢について争いがある者を含む)の人数に関する細分化されたデータを次回報告書で提供すること。 (e) 保護者のいない未成年者が庇護を希望している事案で年齢について争いがある場合、疑わしきは申請者の利益にという原則にしたがって対応するとともに、年齢の決定方法について専門家の指導を求めること。 (f) 子どもの送還が行なわれる場合、送還後の環境(家庭環境を含む)に関する独立のアセスメントを含む、十分な保護措置をともなって行なわれることを確保すること。 (g) 有効な入国書類を持たずに連合王国に入国した保護者のいない子どもに抗弁を保障できるようにするため、2004年庇護および出入国管理法第2条の改正を検討すること。 武力紛争における子ども 72.締約国は武力紛争への子どもの関与に関する条約の選択議定書に関する第1回報告書を提出しているので、委員会は、読者に対し、この項目に関する勧告については当該報告書に関わって採択された総括所見(CRC/C/OPAC/GBR/1)を参照するよう要請する。 性的搾取および性的虐待 73.委員会は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する条約の選択議定書の批准が行なわれる予定である旨の発表を歓迎するとともに、子どもの商業的性的搾取と闘うために締約国が行なっている無数の活動(被害を受けた子どもが犯罪者として扱われることを防止するための措置および子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議で掲げられた方針を実施するための措置を含む)に留意する。委員会は、性的搾取の被害(海外領土におけるものも含む)を受けた子どもに関するデータが存在しないことを懸念するものである。 74.委員会は、締約国が、子どもの性的搾取および性的虐待に対する十分な対応を準備しかつこれと闘うために必要不可欠であるこれらの現象の規模に関するデータを、海外領土におけるものも含めて収集するための努力を強化するよう勧告する。締約国は常に、法律上も実務上も、児童買春を含むこれらの犯罪行為の被害を受けた子どもを犯罪者ではなくもっぱら回復および再統合を必要とする被害者と見なすべきである。委員会はまた、締約国が、性的搾取および性的虐待からの子どもの保護に関する欧州評議会条約を批准するようにも勧告する。 売買、人身取引および誘拐 75.委員会は、締約国が人身取引と闘う行動に関する欧州評議会条約を批准するつもりである旨の情報に、評価の意とともに留意する。連合王国反人身取引行動計画の採択は歓迎しながらも、委員会は、これを実施するために必要な資源(人身取引の対象とされた子どもに良質なサービスおよび安全な居住環境が提供されることを確保するために必要なものを含む)が提供されていないことを懸念するものである。 76.委員会は、締約国が、反人身取引行動計画の効果的実施のために必要な資源を提供するよう勧告する。委員会はまた、締約国が人身取引と闘う行動に関する欧州評議会条約を批准するとともに、人身取引の対象とされた子どもの保護に関する基準が国際基準を満たすことを確保することにより、自国の義務を実施するようにも勧告するものである。 少年司法の運営 77.委員会は以下のことを懸念する。 (a) 刑事責任年齢が、スコットランドにおいては8歳、イングランド、ウェールズおよび北アイルランドについては10歳と定められていること。 (b) 海外領土のアンティグア、モントセラト、バミューダおよび王室属領マン島におけるものも含め、子ども、とくに16~18歳の者が成人裁判所で審理されうる事案がいまなお存在すること。 (c) 自由を奪われる子どもの人数が多いこと。このことは、拘禁が常に最後の手段として適用されているわけではないことを示すものである。 (d) 再拘留される子どもの人数が多いこと。 (e) 拘禁されている子どもが教育に対する法律上の権利を有していないこと。 (f) 海外領土において、法律に触れた18歳未満の者を成人用のものと同一の自由剥奪施設に収容する実務が行なわれていること。 (g) 最近発表された「青少年犯罪行動計画」(2008年7月)に、「青少年司法制度の透明性を高める目的で」刑事手続に処された16歳および17歳の者についての報道規制を廃止する旨の提案が含まれていること。 (h) テロ対策法案の規定が、テロ関連犯罪の容疑をかけられまたは当該犯罪で告発された子どもにも適用されること。委員会はとくに、告発前の勾留機関の延長および通告要件に関する規定について懸念するものである。 (i) タークス・カイコス諸島で自由を奪われた子どもが、子どものための拘禁施設が存在しないために最終的にジャマイカで拘禁される可能性があること。 78.委員会は、締約国が、少年司法に関する国際基準、とくに条約第37条、第39条および第40条、ならびに、「少年司法における子どもの権利」に関する一般的意見10号、少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)、少年非行の防止のための国連指針(リャド・ガイドライン)および自由を奪われた少年の保護に関する国連規則(ハバナ規則)を全面的に実施するよう、勧告する。 委員会はまた、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 委員会の一般的意見10号、とくにパラ32および33にしたがい、刑事責任に関する最低年齢を引き上げること。 (b) 法律に触れた子どもの拘禁に代わる広範な措置を発展させること。また、拘禁は最後の手段として、かつもっとも短い期間で使用されるべきであるという原則を法律上の原則として確立すること。 (c) 法律に触れた子どもが、告発されている犯罪の重大性にかかわらず常に少年司法制度において対応されるものとし、けっして通常裁判所において成人として審理されることがないようにすること。 (d) 条約第37条(c)に対する留保の歓迎すべき撤回を受けて、自由を奪われた子どもが、その最善の利益にしたがって別段に判断される場合を除き、自由の剥奪が行なわれるすべての場所において成人から分離されることを確保すること。 (e) 自由を奪われたすべての子どもに対し、教育に対する法律上の権利を認めること。 (f) 子どもに対するテロ対策法案の適用を見直すこと。 (g) 海外領土の子どもが他国で自由を剥奪される場合に、条約第40条に掲げられたすべての保障が尊重され、かつその尊重状況が適正に監視されることを確保すること。締約国はまた、これらの子どもが、接触を維持しないことが子どもの最善の利益にかなうと判断される場合を除き、定期的訪問を通じてその家族との接触を維持する権利を有することも確保するべきである。 (h) 刑事司法手続のすべての段階において犯罪の被害を受けた子どもまたは犯罪の証人である子どもの権利および利益を保護するための適当な措置をとること。 79.委員会は、子どもの集まりを制限する民事上の命令であり、違反の場合は刑事犯罪に移行する可能性もある反社会的行動防止命令(ASBO)が子どもに適用されることを懸念する。委員会はさらに以下のことを懸念するものである。 (a) 当該命令の発令が容易であること、禁止される行動の範囲が広いこと、および、命令違反が刑事上の犯罪であって重大な結果につながる可能性があること。 (b) ASBOが、子どもの最善の利益にかなう措置であるどころか、実際には子どもが刑事司法制度の対象となることを助長する可能性があること。 (c) 命令の対象となる子どものほとんどが不利な立場に置かれた背景を有する者であること。 80.委員会は、締約国が、子どもに対するASBOの適用を廃止する目的で、ASBOに関する独立の見直しを実施するよう勧告する。 9.国際人権文書の批准 国際人権文書の批准 81.委員会は、締約国に対し、まだ加盟国となっていない国際人権文書、すなわち、すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約、障害のある人の権利に関する条約、および強制失踪からのすべての者の保護に関する条約の批准を検討するよう奨励する。さらに委員会は、締約国が、委員会との対話中に発表されたように、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書の批准を迅速に進めるよう勧告するものである。 10.フォローアップおよび普及 フォローアップ 82.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を議会ならびに中央政府および地方分権政府の関連省庁に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 普及 83.委員会はさらに、条約、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第3回・第4回定期報告書および文書回答ならびに委員会が採択した関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループおよび子どもが関連の言語で広く入手できるようにすることを勧告する。 11.次回報告書 84.委員会は、締約国に対し、第5回定期報告書を2014年1月14日までに提出するよう慫慂する。報告書は120ページを超えるべきではない(CRC/C/118参照)。 85.委員会はまた、締約国に対し、2006年6月の第5回人権条約機関委員会間会合で承認された「国際人権条約に基づく報告についての統一指針(共通コア・ドキュメントおよび条約別文書についての指針を含む)」(HRI/MC/2006/3)に掲げられた共通コア・ドキュメントについての要件にしたがい、最新のコア・ドキュメントを提出するよう慫慂する。 更新履歴:ページ作成(2011年8月29日)。/前編・後編を統合(2012年10月20日)。