約 135,415 件
https://w.atwiki.jp/ewwiki/pages/269.html
キャラクター紹介 ゴブリン騎兵 シナリオや小説に登場するグランガイアのゴブリン騎兵(パイロット)について説明しています。 基本情報 主な戦闘スタイル…機械騎兵に跨ってのアクロバティックな攻撃 所属人員の性別…男のみ 代表者…特になし 機械騎兵に乗って戦う男ゴブリンたち。 乗り手はもちろん彼らの駆る鋼鉄馬も個性的なものが揃っている。 キャラクター紹介 ゴブリン騎兵 基本情報終わりの獅子騎兵隊(叫ぶ獅子騎兵隊) ブロ 黒き魔竜騎兵隊 プルナ 死を告げる魔鳥騎兵隊 ヒドゥ 鮮血の虎騎兵隊 ガシャ 赤き弾丸騎兵隊 ルグル 狂乱する狼騎兵隊(威嚇する狼騎兵隊) プラセ 赤き魔竜騎兵隊 チャプチャ 孤高の獣騎兵隊 ビンガー 終わりの獅子騎兵隊(叫ぶ獅子騎兵隊) ブロ グランガイア・男・ゴブリン・パイロット 獅子型の機械騎兵を駆るゴブリン。 無口だが、飲み仲間であるラギリに対しては饒舌な一面も見せているようで、二人でガシャとプルナの喧嘩の勝敗に賭けていた。 その後、混沌の軍勢の襲撃を受ける砦にギルドールを呼ぶためにヒドゥとともに学園へ急行した。 学園を包囲していた軍勢をなんとか突破し、二人はギルドールを招くことに成功した。 他のゴブリンと違い、体色が緑っぽいのだが、理由は不明。 黒き魔竜騎兵隊 プルナ グランガイア・男・ゴブリン・パイロット(故人) 黒い機械騎兵を駆るゴブリン。ガシャの良きライバルである。 バハムートロア進攻の際に活躍し、多大な戦果を上げた。 新入りを調練している最中に幻死病を発症。ガシャと戦い命を落とす。 彼の最後の台詞から推測するに、ライバルだったガシャのことを心の中では誰よりも認めていたと思われる。 死を告げる魔鳥騎兵隊 ヒドゥ グランガイア・男・ゴブリン・パイロット 小柄ながら機械騎兵を鳥のように操るゴブリン。偵察を得意とする。 混沌の軍勢の襲撃を受ける砦にギルドールを呼ぶためにブロとともに学園へ急行した。 学園を包囲していた軍勢をなんとか突破し、二人はギルドールを招くことに成功した。 鮮血の虎騎兵隊 ガシャ グランガイア・男・ゴブリン・パイロット 虎型の機械騎兵を駆る好戦的なゴブリン。プルナのライバルである。 バハムートロア進攻の際に多くの戦功を上げ、彼に憧れて騎兵隊に志願する者も出た。そのため新入り達の訓練に携わっていたが、教え方は下手だったようだ。 幻死病に侵されたプルナを止めるために戦い、その命を奪ってしまう。 赤き弾丸騎兵隊 ルグル グランガイア・男・ゴブリン・パイロット 若いながらも既に輝かしき戦功をあげているパイロット。「紅の陽炎」の二つ名で自分を呼ぶように周りに宣伝しているが、浸透していない。 小説版では愛機JUU号(イングリッシュの「自由」の頭文字らしいが、正しくはfreedom)のパーツを買うためにリギたち子供ゴブリンが集めた部品を強奪した。 狂乱する狼騎兵隊(威嚇する狼騎兵隊) プラセ グランガイア・男・ゴブリン・パイロット 己の乗る機械騎兵をこよなく愛するゴブリン。 混沌のもたらした混乱の中でも愛機のチューンに余念がなく、混沌勢のビンガーとも騎兵仲間としての交流があった。 が、点検を頼んだビンガーに悪趣味な改造を施されたことがきっかけで混沌と反目するようになったようだ。 小説版ではリギの捕まえようとしたマダラスナトカゲを先に捕まえてしまった。 が、そのトカゲを餌に怪鳥を捕らえ、リギたちに食べさせてやっていた。実はいい奴のようだ。 赤き魔竜騎兵隊 チャプチャ グランガイア・男・ゴブリン・パイロット バハムートロアとの交戦を経験し、ドラゴンの強さに敬意を表して機械騎兵に火炎弾発射装置を搭載したパイロット。 小説版でアルカディアとの霊薬争奪戦時に名前だけ登場する。 孤高の獣騎兵隊 ビンガー グランガイア/混沌・男・ゴブリン・パイロット 混沌の魔力の流入により奇抜な機械騎兵の開発に成功したゴブリン。混沌の影響か頭が不気味に肥大している。 グラドを従えて混沌の魔力を流し込む実験台を探していたが、グラドの反逆により一時引き下がることになる。 また、タジーヌの一行を逃したことに苛立つヴァルヴァに踏みにじられていた。
https://w.atwiki.jp/touhourowa/pages/354.html
没プロット ◆Ok1sMSayUQ このSSは行き止まりの絶望内での没プロットです。 もし、彼女と出会えていなかったら。 私はきっと、何者でもない妖怪のままだったのだろう。 * * * 息が白い。 緩やかに吹いている風は、雪の匂いを含んでいる。 空は雲ひとつない晴天なのに。 冬ではなかったはずなのに。 「冷たい……」 慣れ親しんだ感触。倒れている私を包んでいるのは紛れもない、雪だった。 十六夜咲夜の姿はどこにもない。止めを刺したと思い込んでいるのか、主の下へ馳せ参じたようだ。 或いは、今わの際、残された時間を存分に味わえという悪趣味な慈悲なのか。 皮肉げに動きかけた頬の筋肉は、しかし虚しさを感じて元に戻った。 誰かを嘲笑うことなど、もう意味がない。哀しいことだ、と私はただひとつの感想を紡いだ。 咲夜が私を殺そうとしたことではない。今までの私の生き方に対して思ったことだった。 私は冬の妖怪。短い冬の間しか出ていられない。 消滅してしまうわけではない。力を失い、人目のつかぬ場所に引き篭もっているだけだ。 けれど、だからこそ……私には苦痛だった。 あまりにも不自由だから。春の陽光も、夏の日差しも、秋の晴れ空も、ただ見つめていることしかできない。 意識がなければ。何も感じないような状態なら。私はきっと、楽しそうに四季を謳歌している皆を見ずに済んだのだろう。 羨ましかった。悔しかった。憎らしく思ったりした。どうして私だけ、と呪ったことさえある。 こんな理不尽を認めたくなかった。私が冬に、ことさら我が物顔で振る舞った理由だった。 鬱屈した心を、不自由な心を満足させるには、私が正しいのだという価値を押し付けなければならなかった。 お前らなんか羨ましくない。お前らなんかただの弱虫だ。私は強い妖怪なんだ。私がお前らを困らせて何が悪い。 全部嘘だと、最初から分かっていたはずなのに。本当は皆と一緒に、四季折々の季節を楽しみたかっただけなのに。 私は自分から、望みを突き放してしまった。荒んだ心は、私なんか誰も慰めてはくれないだろうという卑屈さに変わってしまっていたから。 一番冷たく、弱虫なのは私だった。 私は、ひとりぼっちだった。 「私は、レティ・ホワイトロック……誰も知らない、白銀の花の名前……」 指先を掠める、小さな雪の結晶。誰も気に留めない、正体さえ知ろうとしない、春が来れば消えてしまう花だった。 散々他者を遠ざけてきた妖怪の結末としては当然すぎるものだったが、納得できなかった。したくなかった。 正しい私が死んでしまうから? そんな理由なんかじゃない。 寂しい。ひとりで死ぬのは、嫌だ。 こんなにみじめで、凍りついた心を守るばかりで、生まれてきた意味さえ知らずにいなくなるのは嫌だ。 間違っていたばかりの私の命だけど、だから後悔しながら死んでゆくのが当然だなんて、正しくても嫌だ。 震えている。泣いていた。こんなことは何百年ぶりだろうか。妖怪という虚像に自分を押し込めて、もう流れないものだと思っていたのに。 もう何もなかった。妖怪という強ささえ投げ捨てて、私はただ泣くだけの存在だった。 そうして涙を流していたという事実さえ、溶けて消えてしまうのだろう。 私は、わたしは、なにの、だれの―― 「「レティ」」 暖かくて優しい指がふたつ、わたしの冷たい指を取った。 涙の滲んだ、ぼやけた視界のまま、わたしは声の主を探す。 つぶらな、子供のようなあどけない瞳があった。 気が強そうだけど、繊細な瞳があった。それは眩しくて、まるで太陽のようで、 わたしという名前が、そこにあったのだということを、教えてくれた。陽光が、陰に咲く花の名前を教えてくれた。 わたしはゆっくりと、唇を微笑みの形に変えた。 その花は、きっと次の冬にも咲くだろう。 * * * もし、彼女達と出会えていなかったら。 わたしはきっと、何者でもない妖怪のままだった。
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/3674.html
瑠璃之坂つぐみという少女が居る。職業はアイドル、売れてこそいないが確かな歌唱力と物事をすぐに覚えてしまう吸収力は、俗に言う《期待の新星》というやつだった。 清楚さを感じさせる黒髪に華奢な体つき、男受けもかなりいいだろうスタイル。 弱冠15歳にして有名アイドル事務所にスカウトされるあたり、その才能が窺えるというものだ。 しかしその彼女の夢――アイドルとして大成すること――はもう、叶わないかもしれない。 突如始まった殺し合いという悪趣味極まりないゲームに参加させられ、更にロクな武器も支給されず優勝を目指すことさえ出来ない。 まあどちらにしろ臆病な彼女では、人を殺めることなど出来なかったろうが。 だが、今の彼女はそれどころではなかった。 まさに生命を脅かす存在が、背後からつぐみを殺めんと迫ってきているのだから。 「……ぁ、何なの……なんで、私なの……!!」 銀に光る小さな刃――恐らくは手術などで用いるメスかーーを持った、ライダースーツの女性。 譫言のようにぶつぶつと何かを時折呟き、一向にペースを落とすことなく追いかけてくる。 思わず口から溢れる自らの不条理を嘆く言葉、幸いつぐみは体力にそれなりの自信があった。今にもへたり込んで泣き出したい心境だったが、そうすればつぐみの体は無惨に裂かれるだろう。 溢れる鮮血、裂ける肉。 神経に走る痛みと薄れる意識の霞みがどれほど恐ろしいものかなど、想像に難くない。 (や……だぁ……死にたくない、よぉ…) 涙が溢れてきて、視界が段々霞んでくる。 中学三年生の少女には、余りに過酷過ぎるスタートだったと言えよう。 しかし、神は瑠璃之坂つぐみを見放さなかった。 ダァン!と、少し離れた――恐らくは隣のエリアからの銃声が響き渡ったのだ。 背後から響いていた足音が、その音に怯んだかのように停止する。 だが無我夢中のつぐみには止まるという選択など存在せず、変わらず走り続けた。 走って、走って、走って、走って。 もう追いかけてきてはいないと知っていながらも押し寄せる恐怖に打ち勝てず、走る。 実はこの殺し合いに、瑠璃之坂つぐみの知り合いは二人だけ参加している。 一人は自分をアイドルにスカウトしてくれた人物、何事にも自信を持てずに日々を謳歌していたつぐみに生きる目標を与えてくれた恩人、相沢キリオ。 もう一人は親友でありライバルでもあるアイドル仲間の柴野美保。 二人とも殺し合いに乗るような人物ではないし、絶対に死んでほしくない人間だ。 (相沢さん……美保ちゃん……何処に居るの……?) 少女の小さな嗚咽が、響いていた。 【朝/E-2住宅地】 【瑠璃之坂つぐみ@オリキャラ】 [状態]疲労(大)、精神疲労(大)、嗚咽 [装備]なし [所持品]基本支給品一式、ランダム支給品×3 [思考・行動] 0 死にたくない。皆で帰りたい。 1 相沢さんと美保ちゃんを探す。 2 今は逃げる。 □ 「…………」 瑠璃之坂つぐみを見失ったライダースーツの女性は、何も考えていないような瞳をしていた。 彼女の名前は、桐生萌郁。 《未来ガジェット研究所・ラボラトリーメンバー》の一員であり、同時に陰で世界を牛耳る研究機関《SERN》の下っ端、ラウンダーという部隊に所属する。 本来ならば彼女は今頃、敬愛する上司《FB》の命令に従ってタイムリープマシンを開発した岡部倫太郎達を襲撃している筈なのだが、不覚にもこのような場所へと連れてこられてしまった。 最悪だ。 すぐにでも帰還し、FBの命令を遂行しなければならない。 だから彼女は殺すことにした。仲間だった者達も、見ず知らずの人間さえも。 銀に光る小さな刃を握り、彼女は静かに歩き出した。 【桐生萌郁@Steins;Gate】 [状態]疲労(小)、仲間を殺すことへの僅かな躊躇い [装備]メス [所持品]基本支給品一式、ランダム支給品×2 [思考・行動] 0 優勝して《FB》の元へ帰還する。 1 岡部くん達には……会いたくない ※第5章《時空境界のドグマ》にてラボを襲撃する前からの参加です
https://w.atwiki.jp/kuroneko_2ch/pages/27.html
長電話が気になって想像力で描いてみました 桐乃「えっ……あ、あんた今なんて言ったの」 黒猫「──あなたのお兄さんに告白してもいい?」 桐乃「あなたのお兄さんって…あいつに!? なんで、どうしてよ」 黒猫「す……」 一瞬、小さく深呼吸したのが受話器越しにわかった。 黒猫「好きに……好きになってしまったからよ」 桐乃「ちょっとタンマ! 冷静になりなよ、あいつは確かに背はそこそこ高いし太ってもいないけど、ルックスは並でデリカシーはないしお節介やきで平凡な──」 桐乃「あ……そうか、わかった。あんた今までクラスメイトとかに避けられて友達居なかったでしょ、ちょっと酷い言い方になるのは謝るけど刷り込みみたいなもんじゃないの」 桐乃「あんたの趣味を嫌わないで、一緒にいてくれる初めての男友達。それに少し優しくされたからあんたは好きになったって勘違いをしてるんだと思う」 黒猫「──否定はしないわ……いいえ、しないのではなく”できない”と言ったほうが正確かもしれないのだけど」 黒猫「私はあなたの言うとおり友達はいなかったし、今までの人生で好きになった人もこの世界にはいなかった」 黒猫「男友達も初めてで男の人を好きになったのも初めてだから……これがあなたの言うとおり勘違いなのか、それともそうではないのかを判断する経験材料が無いのよ」 桐乃「だったら!」 黒猫「──でもね」 黒猫「でもね。 あなたの言う少し優しくされたというものは、きっと──ごめんなさい、私は推測でしか言えないけれど、誰にでもできるものではなかったと思うの」 桐乃「……あたしが居なかった間のこと、ある程度は沙織やあんた達から聞いてる。でも、あたしの知らないこともまだあるってわけ?」 黒猫「あなたのお兄さんが何を話して何を話していないのかは知らないわ。でも、確かにあなたの知らない出来事もいくつかはあるのだろうけれど、それは話さなくてもあなたには解っていると思う」 桐乃「は? あたしはエスパーじゃないんだから解るわけないじゃん」 黒猫「私が他人から否定された時に本気で怒ってくれたわ。押し付けがましい。お節介だって思うこともあったけれど、困っていることがあったら自分の負担を構わずに私のために行動してくれた」 黒猫「全部──あなたが今までされてきた事で、きっとあなた以上の事をされたわけではないのでしょうけれど。誰にでもできる事ではないと思うのよ」 桐乃「……」 黒猫「私は、あなたのお兄さんともっと一緒にいたい。私のことを好きになってほしいと思っているの。告白することはとても怖くて、どちらを選んでも後悔しそうで堪らないのだけれど」 桐乃「あんたに震えながらそこまで言わせるのって、今回あたしがバカをやったから?」 黒猫「後押しはあったかもしれないわ。私も素直になろうと思ったのはあなたを見ていたからだから……でもね、半分は私本人の事情でもあるのよ」 桐乃「うまくいくって思ってんの? あいつのエロ本とかの趣味は……沙織たちの前で面白半分でバラした事はあったけどあんたとは対極のタイプだけど」 黒猫「……っ。正直なところ、自信はないわ」 黒猫「振られてしまったら、今までどおりあの人と顔を合わせて4人で遊べる精神的な自信がないのよ」 黒猫「それなら、今までどおり友達として4人で遊べる関係のままで傍にいられたらとも思うけれど。きっとそれも後悔することになると思う」 桐乃「自信はなくて、あたしたちと疎遠になっても……ね」 桐乃「……いい──よ」 黒猫「……え?」 桐乃「いいって言ったの! 今のあたしたちの関係がなくなっても良いのかとか、何であたしに許可を取るのかって問い詰めたいけど!」 桐乃「あたしだってあんたの事少しは解ってるつもりだし、返ってくる答えも想像できる!」 黒猫「ありがとう。あなたにそう言って貰えて良かった」 黒猫「もし──駄目だったら。姿を消す前にあなたには連絡するわね、笑って頂戴」 桐乃「そんな悪趣味じゃないっての。しばらく顔を合わせ辛くたって少し経ったら戻ってきたらいいじゃん! ……とりあえず、これから沙織にも謝りの電話をしないといけないの。そろそろ切るよ」 黒猫「そうね、沙織には心配ばかりかけてしまっているし私からも後で電話をしておくわ」 桐乃「──じゃあね」 黒猫「ええ…………」
https://w.atwiki.jp/ova-v/pages/276.html
月光に照らされた黒紫色の砂漠の上に、その資源プラントはあった。 筒状の燃料タンクが立ち並び、何基かが炎を上げ、半マイル四方に広がる舗装を赤に染めている。中心には巨大な建造物が明かりを受けてもなお黒々とそびえ立ち、その物陰には重質量の影が鎮座していた。 戦車ですら踏み潰してしまえそうな無限履帯。人間の上半身を模した砲塔。シリンダー・カートリッジが特徴的な長身の砲を二挺、その両手に握っている。球体状の頭部の隙間からは緑色の光が漏れる。車両型AC〈マーヴェット〉だ。 フェオはその暗く狭苦しいコクピットの中にいた。唯一の光源であるモニターは立ち上る灼熱の黒煙柱より先、極寒の夜が落ちる広漠たる砂海を映している。 ちりり、と電子音。 不気味なマスコットが画面下から這い出てきた。マタドールの衣装を着た二頭身の骸骨が不気味な笑い声を上げる。飛び出た眼球は血走っていて、一向に視点は定まらない。悪趣味だ。 『来たぜ、雇われ』 次いで、ヘッドセットからしゃがれた声が漏れる。フェオのクライアント、市民の友のボス、エル・マタドール。彼の憎たらしいキャラクターが画面上を所狭しと走り回っている。 『あくまでも“ショー”タイムだ。分かってるな?』 「はいよ、ボス」 表示された計器を剣先で突ついて遊んでいる様子を見ながら、フェオは肩をすくめた。 「危なくなったら、さっさと逃げる。報酬額以上の仕事はしなくていい」 『へぇ、ゲロっちまいそうな顔の割には偉くお利口なんだな、“不細工男(オンブレ・フェオ)”』 「よく言われる。昔はこれでも――」 『無駄口叩いてねぇで仕事しろ』 通信が無情に切れ、コミカルな悲鳴とともにマタドールの頭が破裂した。 それから暫くして、暗闇に覆われた空に、ひとつ、一層深い影が現れた。この距離にきて初めて気づいた、と言ったほうがいいのかもしれない。 プラントのあちらこちらの物陰から赤い光弾が続々と撃ち上げられた。垂直ミサイルだ。徐々に速度を落とし、空中に制止。先端の角度を変えて、ひときわ眩しい光を吐き出すと、矢のように飛んでいった。 空中で爆発が連続する。大型の輸送ヘリと懸架されたACの姿がぬめりと浮かんでは、また闇に塗り潰される。大量のボルトが一気に抜けるような音の後、ヘリの羽音が身を翻し、遠ざかる。 遠く砂丘の上に発光が、すっと降りていった。そして、そこで青白い光が爆発し、軌跡を描いて向かってくる。 「さて、と」 フェオは指先でモニターに映る光を背負った機影を愛おしげに撫でる。そして、心に巣くう死神――遠い過去より彼を責め立て続ける罪――に微笑みかけた。 「今日こそ俺を捕まえられるかな、ヨローナ?」 グローブをはめた。その裏地を醜く焼けただれた手のひらに食い込ませる。布が擦れ、皮膚がじわりと熱を帯びる。 フェオの笑顔が動揺に曇っていく。 「俺には分からない。些細な刺激にすら火照るこの肉体と、情の流れを凍てつかせたこの魂。半ば乖離した“二つの俺”の、何を以て生きていると言えるのか。ヨローナ、お前が与えた咎は、理解すらも赦さないというのか?」 そう、ひとりごちると、かぶりを振って、溶解に努める。俺は俺だ。俺はひとつだ。魂を肉体に溶かす。 崩れた顔を隠すようにバイザーを引き下げる。黒に光る強化プラスチックがモニターに再現された戦場を映す。そして、フットペダルを踏みつける。〈マーヴェット〉が金切り声を上げながら、無限履帯の歩を進めた。 指先を振るい、通信系統に指示。回線を開く。 「ひとつ問う」 応えを待たずに、続ける。 「貴様は俺を殺せるか。俺の歩みを、止めてくれるか」 右目から膿んだ涙が零れ落ち、パイロットメットのクッションに滲んで消えた。そして、フェオはシニカルに微笑む。憂いのかげりは最早ない。 「さぁ、派手に愛し合おうぜ、ダーリン」 小気味よい閃光と炸裂音が、夜のとばりを吹き飛ばしていく。 オーダーミッションへ フェオ テルシオ・ヌーメロ 投稿者 蟻蛾 VD未対応 小説 蟻蛾 読み切り
https://w.atwiki.jp/duelrowa/pages/234.html
「……決闘とは銘打っているが、これではただの殺し合いだな」 司波達也はルールブックに一通り目を通すと、この決闘について粗方把握してそう呟いた。 決闘と言えば聞こえは良いが、その実態は殺し合いと何ら変わりない。それにルールなんて、あってないようなものだ。 それらに加えて一枚のカードから生まれたと自称する魔王や彼が話していた無数の世界。更には決闘者という単語。 色々と気になる点はあるが――。 「最優先事項は首輪の解除だな」 自分の首に嵌められた金属をコツコツと小突く。 この程度の衝撃で誤作動を起こさないことは予測済みだ。そうじゃなければ決闘の最中に爆発してしまう。 材質はおそらく金属――だが断定するにはまだ早い。金属に見せ掛けた他の何かかもしれない。 とりあえずこの首輪をなんとかしなければハ・デスに命を握られているも同然だ。 被害者を極力出さずにここから脱出するにはハ・デスの打倒が前提条件となるだろうが、彼に挑むにはまずこの首輪をなんとかする必要がある。 黒幕に挑みに行ったけど全員首輪爆破で死にました――では笑い話にもならない。 「そして俺に課せられたのは魔法の制限、か……。殺し合いを円滑に進めるためのバランス調整までするとは、悪趣味な割に凝ってるな」 司波達也はバランスブレイカーにならないように彼本来の魔法が何も発動出来ない。 CADのシルバー・ホーンも没収されており、必然的に肉弾戦が強いられるだろう。 だがそんな彼には魔法使いに相応しいウィザードライバーという変身ベルトが支給されていた。 つまり司波達也本来の魔法が封じられた代わりに、仮面ライダーウィザードとして戦うことが可能になったのだ。 達也は肉弾戦にも優れており、仮面ライダーとしての素質は元から高い。更に魔法まで扱えるウィザードとは相性が抜群だ。 しかし再成魔法まで失っているので、肉体の損傷には気を付ける必要がある。封じられてる以上、自己修復術式を前提とした動きはまず無理だろう。 そしてなによりこの場で自分が真っ先に行うことは首輪の解除だと達也は考えている。 もちろん殺人を率先して行う者を見逃す気はないが、無事に脱出するためには首輪の解除が必要。だがそんなことを成し遂げられる技術を有する者は僅かだろう。達也はその僅かのうちの一人であり、必然的に首輪の解析及び解除が最優先となる。 (問題はどうやってサンプル用の首輪を手に入れるかだが――それは後々、考えよう) 首輪を解析したり安全に解除するには当然、サンプル用の首輪が必要となる。 しかし首輪は参加者の首に嵌められたものだ。入手手段は限られている。 サンプル入手のために誰かを犠牲にする気はないし、死体や殺人を行っている者を倒した際に回収することになるだろう。 とりあえず今の達也に最も必要なものは情報だ。 首輪を解除するためにも、ハ・デスやこの決闘の謎を探るためにも情報を集めておきたい。 無数の世界――つまり並行世界が本当に存在するのなら、この決闘場には様々な能力や技術を持つ者がいるだろう。そういう情報もなるべく集めるべきだ。もしかしたら首輪解除に役立つ参加者がいるかもしれない。 そして武藤遊戯という特徴的な髪型の少年――彼は間違いなくこの殺し合いの鍵を握っていると達也は確信している 【司波達也@魔法科高校の劣等生(アニメ版)】 [状態]:健康 [装備]:ウィザードライバー&ドライバーオンウィザードリング&ウォーターウィザードリング&キックストライクウィザードリング@仮面ライダーウィザード、ディフェンドウィザードリング@仮面ライダーウィザード [道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1 [思考・状況]基本方針:まずは首輪を解除して、その後ハ・デスに挑む 1:今は出来る限り情報を集めたいな 2:武藤遊戯や様々な世界の参加者と接触するべきか……? 3:何らかの手段でサンプルの首輪を手に入れたい [備考] ※ 元々使えた全ての魔法や技術が制限で封じられています。ただし仮面ライダーウィザードなどこの決闘で得た魔法や技術は使用可能です。体術は一切衰えていません
https://w.atwiki.jp/anzrtrpg/pages/224.html
前へ /次へ Dod: 点呼 千秋: 1 デレク: 2 ミーナ: 4 五右衛門: 5 Dod: 何が、あったんだ、2と4の間に…!! Dod: あらすじ Dod: マリーさんの提案 Dod: いじょ Dod: 依然、喫茶ヒマラヤ Dod: マリーが紅茶のカップを傾けた後、ふう、と息をついて言いますね Dod: 「私達の世界には、アルマレグナムというものが存在します」 ミーナ: インフィニティコードのあれか ミーナ: オーヴァード喰 デレク: 輪廻の獣だね Dod: 「それが、その」 Dod: 「貴方達の持っているものと、非常に、性質が似ています」 デレク: 「ん? どういう事だ?」 Dod: 「命を喰らい生き延びる」 Dod: 「そして、憑依すら可能」 Dod: 「こうして二つの世界の境目が崩壊しつつあり、尚且つ。そのアルマレグナムの一人がここに飛び出しました」 Dod: 「私達の世界に紛れ込んだ奴が垂れ込んだ内容と照らし合わせて、本当に、これ」 Dod: 「何もかも滅茶苦茶にしようとしか思えないんです」 デレク: 「厄介な話だ」 Dod: 『ああー、まだあんな異世界探索とかしてたのねぇ、あいつ』 Dod: と、デス代が ミーナ: 「あいつ?」 デレク: 「異世界探索ってのも気になる」 Dod: 『うん? 私達の生みの親、とでも言うべきかね』 ミーナ: 「ああ、パパ上か」 Dod: 『何かしら火種を見つけようと必死なのよ。自分の楽しみの為に』 Dod: 『そうしてボクらを使うのさ。慣れたとはいえ、文句の一つも出るってものさ』 Dod: と、千早 ミーナ: 「そういえば」 ミーナ: 「三女が切って、デス代が繋ぐと言っていたな。では、お前の役割はなんなのだ、千早よ」 Dod: 『聞きたい?』 ミーナ: 「ああ」 Dod: 『千秋、どうする?』 Dod: ここで意思判定 千秋: 2d6+4 (Dice_kin) Chiaki_M - 2D6+4 = [4,5]+4 = 13 Dod: 余裕っすね デレク: 全員? Dod: うん、全員 デレク: 2d6+4 (Dice_kin) Derek_C - 2D6+4 = [6,4]+4 = 14 デレク: 余裕だね ミーナ: 2d6+4 (Dice_kin) M_Guy - 2D6+4 = [4,5]+4 = 13 千秋: もっと熱くなろうぜ! Dod: なんなんですかこれー!! デレク: すげえ、鉄の意志軍団w デレク: 五右衛門はどう考えても余裕だし Dod: 世界はハッピーエンドの一択なんですかぁーー!選択肢ー! 五右衛門: ごめ、退席してた 五右衛門: 2d6+8 (Dice_kin) Goemon - 2D6+8 = [3,5]+8 = 16 Dod: 精神的重圧に犯される事なく 千秋: 「たまに流されてしまうのも楽しいんじゃないかなあって思うんだけどやっぱり千早とずっと一緒にいるためには我慢も必要だからね」 Dod: 皆平然とした状態ではある ミーナ: SAN ミーナ: チェック成功しすぎだろ…… Dod: 『じゃあ、教えてあげるよ、筋肉達磨』 Dod: 『ボクの力は、留めるというものさ』 ミーナ: 「ほう」 Dod: 『切って繋いで留める。はい、三姉妹としては分りやすいんじゃない?』 ミーナ: 「そして、それぞれの機能を発揮するのに、人の魂を必要とする、といったところか」 Dod: 『そうだね』 Dod: 『だから、ボクは封印されてたってわけ』 ミーナ: 「まあ、そんなところだろうとは思ったが……相変わらず悪趣味なことだ」 デレク: 「まったくだ」 Dod: 「悪趣味が過ぎる人物とはどうしても縁が切れませんね」 Dod: と、マリーが デレク: 「人どころか神だから質が悪いのさ……」 Dod: 「あ、元の世界の人から連絡があったみたいです」と、携帯のメール画面をみんなに ミーナ: なんて書いてあります? Dod: 『マリーさん、どうやら世界の危機の予感だ。私も動いて、面倒ごとをさっぴいてやりましょう!』 Dod: by春日恭二 ミーナ: …… Dod: 苦笑いを浮かべるマリー 千秋: 「なんだか親近感を覚える名前だな、僕みたいな小心者とは気が合いそうな人だよ多分」 ミーナ: 向こう側からの解決は無理か…… デレク: 酷いw デレク: 我々の卓の春日恭二は比較的まともじゃあないですか!比較的ですが Dod: 『五右衛門さん! 小生と似た空気を覚えました!』 ミーナ: 性格的には割とまともだけど、有能ではないよ、絶対に!w Dod: 「と、とりあえず、向こう側からの助力もありそうですし」 デレク: 「ああ、心強いな」実体を知らないから素直にそう思ってるよw デレク: 「こちらでもやれる事はやっておこうじゃないか」 ミーナ: 噛ませの呪いを看破したので、こちらで頑張らないとナと覚悟を決めたYO Dod: 「ここに来てる、大食漢をなんとか、っていうことで」 Dod: マリーは苦笑いが崩れない! 五右衛門: 大変だなぁ ミーナ: 「まずはそこからか」 ミーナ: 「最終的には世界の境界線を再確定しなければならんがな」 Dod: 「そういえば」 Dod: と、マリーが前置いて Dod: 「ラグナロクって言葉があった気がしますね」 Dod: 「何か、話してる内容で」 ミーナ: 「ほう……」 デレク: 「おいおい、どうしようもなく厄介な臭いがするな」 デレク: 「俺達クエスターにとっては聞き流せない言葉だ」 Dod: 「ええ、と、うぅん思い出しても、ああ、あれです! 『大ラグナロクなら、いっそ他所も巻き込め』 だったかしら」 千秋: 「はた迷惑だなぁ」 ミーナ: 「本当にな」 五右衛門: 「厄介というレベルですらないな」 デレク: 「デス代、お前のパパンは本当に迷惑な奴だな」 Dod: 『だーから言ったっすよ、小生、あいつ糞だって』 五右衛門: 「限度がある」 デレク: 「今それを嫌というほど実感してるところだ」 Dod: 「私達の戦力はかりんちゃんと茜さん、後ははじめちゃんです」 ミーナ: はじめちゃんもかい Dod: マリーが呟きます Dod: はじめちゃんもだよ デレク: 見事なまでに近接パワー系揃い Dod: 「ああ、会った事無い人ばかりですよね、これ、かりんちゃん、はじめちゃん、茜さんの写真」 Dod: と、写メを ミーナ: だってあっちは逃げ撃ち戦法されなきゃそれで問題ないんだもん。<近接パワー系 ミーナ: メイドアイで記憶しておこう<写メ Dod: 「で、悠ちゃんなんですけどね? ほら、可愛いでしょ?」 Dod: と、暴走しつつのマリー ミーナ: 「落ち着け」 Dod: 「はうっ、すいません!」 Dod: 『ともあれ、近づいて来た奴をぶった切ったりブッ刺したり、その上で撃ったらいいのさ、千秋』 Dod: と、千早が 千秋: 「良心の呵責がない相手が居てくれるのは有り難い話しだよね。悪い事してない人とかは中々怖くて出来ない物、あ、そうそう」 千秋: 「皆さんこれを持っておいて下さい、お守りですよ」と、なんの変哲もないシルバーアクセサリーを人数分出してギミックフォージを事象拡大機 ミーナ: わーい 五右衛門: 「呪われてそうだな」 Dod: うん、ここでまた判定するよ デレク: ウェーイ 千秋: で、別に装備とかして無くても持っているだけでマインドロックが使えるようになります、このシナリオ中ね! 千秋: 酷い特技だろ ミーナ: 全員? デレク: 酷いね! ミーナ: <意思判定 千秋: 大賞:単体を事象拡大機で範囲(選択)だから全員 Dod: この意志判定は2d6のみです デレク: 2d6 (Dice_kin) Derek_C - 2D6 = [5,4] = 9 千秋: 2d6 (Dice_kin) Chiaki_M - 2D6 = [6,4] = 10 デレク: ヒュー! ミーナ: 2d6 (Dice_kin) M_Guy - 2D6 = [5,2] = 7 五右衛門: 2d6 (Dice_kin) Goemon - 2D6 = [5,2] = 7 Dod: なんなのこれ、なんなの!! デレク: 神は言っている……全てを救えと Dod: 『正直、思った事を言うわ』 Dod: と、デス代が ミーナ: nn ミーナ: ん? Dod: 『やり遂げるかもしれない。ってね』 デレク: 大団円ルートへのフラグが立ったか…… Dod: ここで今日は終了しよう ミーナ: 「フ……」 千秋: 「買いかぶりだと思うけどなぁ」 ミーナ: おつー デレク: 乙 千秋: と、最後に 五右衛門: オツ 千秋: ブーストフォージをみんなに配っておくよ、ついでだ デレク: 了解ー 千秋: 効果:シーン終了まで武器なら命中修正を+2、ダメージ修正を+8。防具なら防御修正全てを+7。ヴィークルなら行動値修正を+12する。<これにブラッドエンチャントでシナリオ終了まで持続が2箇所 ミーナ: いつも済まないねぇ…… 千秋: で、後はアトリビュートフォージもブラッドエンチャント 千秋: こっちの効果はブーストフォージと重なって「シーン終了まで武器ひとつのダメージ属性を神以外の選択した属性に変更し、ダメージ修正に+10する。」 千秋: 光属性指定しておくよ 五右衛門: 前回忘れてたんだよなこれw デレク: こんなごっついものまであるとは ミーナ: それは千秋のみの効果ですよね? 千秋: いえ 千秋: 事象拡大機なので全員です ミーナ: なん……だと…… デレク: ダメージの固定値が3桁行ったよ。凄いね Dod: そうまでして勝ちたいか!’(CVディルムッドオディナ Dod: 聖杯に災いあれ!! ミーナ: あ、ミーナも固定値が三ケタ行った 千秋: ブラッドエンチャントの効果がシーン持続の補助魔法をシナリオ終了まで延長でこれが3回まで使えるんでね、2回がブーストフォージで1回がアトリビュートフォージ 千秋: それら全部を事象拡大機で単体から範囲(選択)さ! Dod: 俺さあ Dod: エターナルチャンピオンシリーズみたいなキャラに貶めてもいいんじゃね? とか思ってきた 前へ /次へ
https://w.atwiki.jp/rayvateinn/pages/249.html
イイ男はどこでも優しい(男にだけ) 「戦人君。大丈夫なのか?体調が悪いみたいだが」 「ああ平気だ。……もし悪くてもジッとはしていられない。 今は、親父達を殺した犯人と殺し合いの主催者への怒りが有頂天だ」 情報交換をしたあれからも暗い洞窟を歩き続けている。 その内容は戦人が直面した最悪な殺害現場、阿部さんがいた場所。 道下という大切な人物。どんなにクソ親父でも大切な家族。 色々と失われた二人の気分でもまるで現わしてるかのような暗い道。 ………だが、本当に気持ちを表す洞窟であるなら色は黒ではなく赤だろう。 戦人が言った通りに、今は怒りの気持ちの方が上。 でも阿部が言った通りに戦人の体調も良くはなかった。 当たり前だろう。殺人現場を見た後にさらには殺される瞬間を見せられた。 嫌でも記憶には強く残る。それを思い出すと怒りと共に吐き気もするだろう。 阿部が出来る事といえば戦人の気分を良くはいかなくとも落ち着かせることだ。 以前の環境とは違う。だからどんな男でも簡単に掘る事にはいかない。 本当なら無理矢理でも頼みたいところでもあるのだが………。 「辛いようなら、休憩を挟んでもいい。どうする?」 阿部が戦人を気にしてそう言葉を放つ。 返答は礼の言葉と共に戦人は遠慮した。 のんびりする時間さえも使用して今は何とか行動を起こしたい。 そんな戦人の強い想いは阿部にしっかりと伝わった。 ならばと、阿部は戦人に話し掛ける。 「これは一つ、俺の予想ではあるんだがいいだろうか?」 「………どうぞ」 「では簡単に言う。戦人の家族を殺害した犯人がこの殺し合いの主催者かもしれない」 「んなっ……!」 これはただの予想。阿部が考えた一つのパターン。 戦人はまさかと思いつつも、その線も考えれる事は考えれると納得。 成程と口にして戦人は少しは考えた後に言葉を発した。 「確かに、その線は良いと思います。……だけど、じゃあ何故俺以外の人を連れなかったか? 人材が欲しかったのなら自分以外にも生存者はいた筈……。やっぱり不自然な気も……」 「それは簡単だ。戦人君は選ばれたのだよ」 えっ、と戦人が驚くのも無理は無い。 かなりの暴論でもあるが、選んだのなら戦人が連れられて他の者がいないのも納得。 ………いや、その前にあの場にいた人物が全員いないという訳じゃないかもしれない。 本当は朱志香とか譲治兄貴もこの殺し合いという悪夢を見せられてるのかもしれない。 そうだ。自分だけがここにいるという保障は無い。 それならここに連れた犯人が殺人の犯人というのもアリだ。 ……でもそんなに都合良く話が出来てるとも考え辛い。 わざわざ人を集めて殺し合いを開催させる。どう見ても悪人しか見えないこの行動。 犯人がこんな事をしてしまっては、自分がやりましたと言ってるようにも見える。 阿部さんみたいな認識の無い人達までも集めたのならこの殺し合いの意味は何? ただ単に人が殺し合う姿を見たいだけではない筈。何か意味が込められている筈。 何だ……?…………っく、悔しいが読めない。 チェス盤をひっくり返して考えてみれば、自分を悪人と見せたいからこんな事をしたという論も……。 悪人と見せる事で参加者の内でも自分みたいな殺し合いをせずにただ主催者を倒すか脱出する意見の者も出るが、 そんな善人のような存在の自分達の何かを知りたいか。量っているのか? ………駄目だ。全然駄目だ。まったく意図が読めない。 「……しかし、出口が見えないな戦人君」 「……そうっすね」 言う通り、出口の一つも前に現れない。 無限にでも続いてるかのような洞窟だ。 本当にそんな魔法でもかけられてるんじゃないだろうか? ………信じる気にはならない。魔法なんてありはしない。 長いだけか迷っている。現実的に考えればそうとしか考えられない。 「こんなに暗い所でヤるのも………」 阿部さんが何か言ってるが気にしないことにした。 魔法………本当にあるなら真里亞の奴はどうするんだろうな……。 あれ程に好きなものが実在してるなら相当に喜ぶのは目に見える。 もし真里亞がこの殺し合いにいれば、どう感じているのだろうか? 魔女に連れてこられたとでも言い出すのだろうか? ………そうか、他の皆もいるかもしれないのか。 真里亞だけじゃない。朱志香も譲治兄貴もいるのかもしれない。 殺し合いをしろと言われて、賢いなら本当に乗ってしまうんだろうか? 俺は別に頭良い訳じゃないから軽く考えた末にこうやって一緒に行動している。 いや、考えたかも分からない。即決というより決定していたかのようだ。 自由、この殺し合いは自由である。するかしないかも自由。 それが恐ろしい。あんな頼れる兄貴でも殺し合いに乗る可能性がある。 人を信じる事が怖くなってしまう。疑心暗鬼に陥れさせるこの悪魔のゲーム。 本当に魔女が主催していそうな悪趣味なゲームだ。 犯人が見せたあの殺し方も悪趣味だ。もし主催者と別人なら気が合いそうだ。 やっぱり主催者と犯人は一致するのか……?こうも悪趣味同士だと可能性がある。 その線でこれから考えてみるのも良いかもしれないな……。 「阿部さん。俺、決めました。主催者と親父達を殺した犯人……。 この二つの存在が同一人物と仮定することにする。」 「……そうか。戦人君、君はその犯人と出会ったらどうするつもりかな?」 阿部さんの質問。当然、そんなの………。 ……いや、正直考えていなかった。 捕まえるっていうのなら簡単にはいかないから作戦が必要だ。 それ以外の選択なんてない。間違っても殺すなんてことだけは絶対……。 「捕まえます。……で、親父達を殺した動機とか方法とか色々訊きます。 俺……絶対にそいつのこと許せないから…………」 「……ふむ。戦人君の想いは強いみたいだな。よし、俺も協力しよう。 困ってる男を放っておく訳にはいかないからな」 「阿部さん…………」 戦人は感謝する。阿部の善人さにも驚く。 男に限るのは内緒だが………戦人はとにかく感謝した。 これ程、頼れる肉体を持っていてイイ男なのだ。 阿部がいれば何とかなる。そんな気すらしてくる。 「さあ、丁度良い所に見えたぞ」 「………出口っすね」 そう、出口。 周りが暗く外も暗い為に分かり辛いが確かに出口だ。 ようやく念願の出口に出会えた喜びが沸き上がってくる。 直ぐに出ようと思った矢先の事であった。 連打音かのような足音が別の方向から聞こえてくるのであった。 明らかに人とは思えない連打音の足音。 二人は危険信号を出す。この存在は危険に違い無いと。 阿部と戦人は直ぐに脱出はせず、近くの岩に身を潜めて様子を伺う事にした。 足音の音量は近付いて来て、そして姿を一瞬前に表した。 翼の生えた女の子と、小さな女の子が目の前を通った。 二人共異常なまでの速度で走っていた。 戦人は人間とは思えないその動きに固まっていた。 一体あれは何だったのか? 「……阿部さん、今のは………って、あれ?」 振り返って阿部さんにさっきの物体について聞こうとした。 ………だがそこに阿部の姿は無く、今ここにいるのは一人。 もしかして道でも戻ったのかと思って、戦人は戻ってみることにする。 そんな行動をした途端、目の前から少女が現れた。 緑髪の高校生くらいの女の子。背はそれなりに高い方だと思う。 「あの………」 戦人は声を掛けたが無視して緑髪は出口へと向かう。 何だよアイツと戦人は小声で言いつつ来た道の方を見た。 そこには阿部さんがいた。何をしていたかは少し予想出来た。 あの少女と何かあったんだろう。詳しい事は分からないが。 「阿部さん。さっきの子と何があったんですか?」 「ん、俺達を殺そうと企んでいたらしい。後ろから襲いかかられる所だったんだ。 まあ対処は出来たから良いんだが………」 「へぇ……そうっすか」 驚いた。あんな子が殺し合いをしているなんて………。 やっぱり狂っているようにしか見えない。 こんなゲームはやるだけ最悪だ。直ぐに中止しないとならない。 そんな想いが高まるが今は取り敢えずやる事が一つ。 直ぐそこにある出口へと向かって歩くのみであった。 ◆◇ 「……………」 何故、気付かれたのか良くは分からなかった。 あの男は一体何者?人間なのか疑わしい。 ……いや、人間。少し勘か反射神経が優れているぐらいに違い無い。 でも一切の攻撃もしていないのに気付かれるなんて……。 更には中で考えてる事すらバレている。あの男は野放しには出来ない。 とにかく危ない。直ぐに排除しなくてはならない。 守る。大切な友達に触れさせない為に守る。 大切な友達………そう、ゆたか。 あんな優しい子、騙されてしまうかもしれない。 だから出来るだけ自分が何とか支えてあげなくちゃいけない。 ………みなみは願う。強く、願う。 どうかあの子だけは、ゆたかだけは無事でいて、と。 【F-2 - 洞窟出口】 【右代宮戦人@うみねこのなく頃に】 【状態】健康 怒り 【服装】白のスーツ 【装備】なし 【道具】基本支給品 不明支給品1~3 【思考】基本思考:主催者を捕まえ、ここから脱出する。 1、阿部さんと共に取り敢えず洞窟から抜ける。 2、主催者と親父達を殺した犯人は同一人物の筈……。 ※参戦時期はEP1で第一の晩に直面している時です。 ※阿部と情報交換しました。 ※緑髪の女の子(みなみ)を警戒。 【F-2 - 洞窟出口】 【阿部高和@くそみそテクニック】 【状態】健康 【服装】青のツナギ 【装備】なし 【道具】基本支給品 不明支給品1~3 【思考】基本思考:戦人君の手助けをする。 1、戦人君と共に行動。 2、洞窟からの脱出。 ※戦人と情報交換しました。 【F-2 - 洞窟外】 【岩崎みなみ@らき☆すた】 【状態】健康 【服装】陵桜学園制服 【装備】なし 【道具】基本支給品 不明支給品1~3 【思考】基本思考:ゆたかの為に参加者を減らして行く。 1、あの男(阿部)は直ぐに殺さなくては………。 ※戦人、阿部の情報交換を盗み聞きしました。 「まさかこのTASと互角とはな……驚いた」 「嬉しいようで嬉しくありませんねぇ。同等の実力がいるよりも、 自分より上がいない方が気持ち良いですからねぇ。そうは思いません?」 「当然だ。TASよりも上回る者など誰もいない。気持ち良いものだ」 洞窟から出ても二人の勝負は続いていた。 TASと文。最速同士の最速争いは終わりを見せない。 このような会話を交わし続け、何分経っているのか? そんなの数えてたら追いつかれるか追いつけなくなる。 とはいえ、そろそろこの勝負にも決着をつけたい頃ではあった。 二人の速度は最速級。洞窟からある方へ暫く進めば見えるのは一つの建物。 この殺し合いにて最大に大きい中心となるその建物。 アニメでも舞台となり易い、そう……School。学校。 (ここを利用する他、ありませんね……) 文とTASの競争はどんどんと学校の方へと近付いて行った。 ………だがその計画はとある存在によって変更された。 前から見える人影。これを見て利用せざるを得ない。 自分の生存の為なら何だって利用する。それが文のやり方。 方針が定まっていない今はそれがやれる事だ。 「ひっ―――」 前の人影がそんな声を上げた。構わない。 文は風を起こして速度を上げる。 能力制限で使用しなかったが今ここで使用して速度を上げる。 少し、ほんの少しだけTASとの距離が開いた今だ。 その人影を追い越して直ぐ、文は後ろへと風を起こした。 精一杯の強風を起こして人を飛ばす。TASの方へと。 「っ!」 TASも突然の物体に困惑して動きを止めざるを得ない。 今が逃げるチャンス。文は一気に学校へと急いだ。 後ろも振り返らずに、ただどうなったかなんて想像はつく。 あれだけ最速を言い張った相手。邪魔された存在を許せる筈は無い。 おそらくは利用したあの人は………まあ仕方ない。 学校の内部へ入ろうとした時、何かを踏んだ気がするが気のせいだったに違い無い。 ◆◇ 「チッ………」 突然前へと降りかかってきた存在を蹴散らせば姿は無し。 最速と名乗ったあの少女に、最速勝負で敗北した。 TASにとってこれ程悔しい事は無い。屈辱だ。 目の前の地面に転がる惨殺死体。 これだけじゃつまらない。せめてデイパックは回収したが……。 もっとだ。もっと行動を起こさないとならない。 幼女は、静かにその場から移動した。 読みで次の目的地を決める事にした。 向かう先は一つ。あの建物……学校だった。 【初春飾利@とある科学の超電磁砲 死亡確認】 【F-4 - 学校内 校舎外】 【射命丸文@東方project】 【状態】背中に打撃 疲労(小) 【服装】文の服 【装備】なし 【道具】基本支給品 不明支給品1~3 【思考】基本思考:自己保守しつつ、どうするか考える。 1、真っ暗な此処から抜け出す 2、TASからとりあえず逃げる 3、あの人間がどうなったかなんてもう分かりきったこと。 ※幻想郷の住人としては、レミリア・フラン・天子・幽香・こいし・咲夜・藍を警戒 ※八雲紫が幻想郷からこの殺し合いに参加させたと推測しています。 同時に、八雲紫が主催者側に潜んでると推測しています。 ※此処が幻想郷ではないと推測しました。 ※能力制限に気がつきました。 ※TASを危険人物だと認識。 【F-3 - 学校内 校舎外】 【松田桃太@DEATH NOTE】 【状態】頭から血 気絶 【服装】スーツ 【装備】なし 【道具】基本支給品 不明支給品1~3 【思考】基本思考:一般人の保護と、計画の打破。 0、……………。 1、このゲームはキラが絡んでるに違いない。 2、この学校は一般人の収容に使おう。 【F-3 - 学校外】 【TAS@TAS動画シリーズ】 【状態】健康 服に血 【服装】??? 【装備】??? 【道具】基本支給品×2 不明支給品1~3 初春のデイパック(不明支給品1~3) 【思考】基本思考:???(殺し合いには乗っている) 1、文は後々見つけたら必ず殺す。 2、取り敢えずあの場所(学校)へと向かう。 ※初春のデイパックを回収しました。 sm060 もう何も見えない 投下順 sm062 とっにかっくつれていこっ sm039 遙かな夢へと 右代宮戦人 sm000 [[]] sm039 遙かな夢へと 阿部高和 sm000 [[]] sm039 遙かな夢へと 岩崎みなみ sm000 [[]] sm007 The velocity 射命丸文 sm000 [[]] sm007 The velocity TAS sm000 [[]] sm030 黒酢アイス先進国まっつぁんつぁん 松田桃太 sm000 [[]] sm030 黒酢アイス先進国まっつぁんつぁん 初春飾利 死亡
https://w.atwiki.jp/storyteller/pages/2087.html
月夜の夜道でJKが追いかけられるお話 part72-422~426 422月夜の夜道でJKが追いかけられるお話 1/52020/06/27(土) 16 53 29.28ID xIMJQMaE0 PC用フリーゲーム『月夜の夜道でJKが追いかけられるお話』のストーリーを投下します。 ジャンルはホラーADVです。 ■■主な登場人物 ・黒髪女子高生 :???? ・黒づくめの男 :???? ・金髪ギャルJK:???? ■プロローグ(操作キャラ:黒髪女子高生) 薄暗い夜道で歩く黒髪女子高生…その後ろから黒づくめの男が忍び寄る。 黒髪女子高生は必至で逃げ回るが、ついには袋小路に追い詰められてしまう。 黒づくめの男は黒髪女子高生に詰め寄り、覆いかぶさるように抱きしめた。 その瞬間、黒髪女子高生の様子がおかしくなり世界が暗転、明滅しはじめた… ■異変(これ以降の操作キャラ:黒づくめの男) 壁や床の模様がプログラムエラーじみた色彩を放ち、迷路状になっていく。 それでも黒づくめの男は黒髪女子高生に歩み寄るが、黒髪女子高生の容姿に異変が起こる。 目鼻の位置が顔面からズレ、次の瞬間には首が90度曲がり、さらに次の瞬間には生首状態になり… その生首がさらに成人男性を大きく超えるサイズまで巨大化し、黒づくめの男に襲い掛かる。 黒づくめの男は歪んだ床や壁を回避しながら必死に逃げつつ、行く先々に現れる正常な黒髪女子高生の幻影を追いかける。 しかしついには袋小路に追い詰められ…窮地に陥ったその時、謎の金髪ギャルJKによって助け出された。 ■金髪ギャルJK登場 金髪JKは男口調で、自分の名は「カブラギ」だと名乗る。 この世界は「槍鯛町(やりたいちょう)でヤりたいぞう」という 高精度な仮想空間ヘルス(VRエロゲー)の作品内であり、 黒髪女子高生は「ストーカーに強姦される」という役割をもったNPCだった。 カブラギは省コストの都合で汎用キャラの外見をしているものの運営スタッフであり、妻子持ちの中年である。 現在は槍鯛町に発生している謎のバグを調査・修正する業務中であり、バグの発生源として黒髪女子高生を突き止めた。 カブラギは黒づくめの男に、今すぐログアウトしてしばらくゲームに関わらないよう忠告する。 423ゲーム好き名無しさん2020/06/27(土) 16 54 03.38ID xIMJQMaE0 ■黒髪女子高生の呼び声 しかし黒づくめの男はカブラギの忠告を無視し、再び黒髪女子高生を追いかける。 黒髪女子高生の幻影はそこかしこにあり、黒づくめの男は奥へ奥へと誘われていく 黒髪女子高生『…おとうさん……』 黒づくめの男は最初に黒髪女子高生と出会った袋小路に再びたどり着き、一人たたずむ。 カブラギも黒づくめの男がまだログアウトしていないことに気が付き、説得を試みる。 ■黒づくめの男の正体 カブラギが黒づくめの男の顧客情報を調べると、彼は「カンノミヤ ジョウイチロウ」という73歳の男性だった。 カンノミヤという苗字、男の年齢、そして槍鯛町の黒髪女子高生シチュエーションから凄惨な事件を思い出すカブラギ。 20年前に起こった、「カンノミヤ ジュン」という女子高生が通り魔に刺殺された事件。 カブラギは嫌な予感を覚え、黒髪女子高生のモデリングを担当したスタッフに詰め寄った。 実は黒髪女子高生の強姦イベントは、カンノミヤ ジュン殺害事件の記録を見たスタッフが 実在の犯行現場・実在の被害者を再現し、VR世界内に公開した極めて悪趣味なイベントだった。 カンノミヤ『娘はこの袋小路で刺し殺された…刺し殺された“だけ”なんだ…』 現実のカンノミヤ ジュン殺害事件はただの通り魔事件であり、性的暴行の痕跡は一切無かった。 それは警察が被害者の名誉のために証明していたにも関わらず、事件後にゴシップ記事の歪曲報道によって 「強姦殺人事件だった」「犯人は元カレの一人で痴情のもつれ」「本当の犯人は父親」といった 根も葉もない噂であふれ、カンノミヤをノイローゼに陥れた。 カブラギも妻子を持つ身であり、カンノミヤの気持ちが痛いほど分かった。 一スタッフとして会社の不手際を詫び、ログアウト用の端末へと誘導する。 424月夜の夜道でJKが追いかけられるお話 3/52020/06/27(土) 16 54 49.24ID xIMJQMaE0 ■バグの正体 端末への道すがら、カブラギはカンノミヤに「なぜ槍鯛町に来たのか?」と質問する。 事情を考えれば悪趣味な企業に苦情を言いに来たようにも思えたが、 カンノミヤのログイン後の挙動からはそう言ったものを感じられなかった。 カンノミヤ『ただ、会いたかった…抱き締めたかった…』 その言葉を聞き、カブラギは一連の事件に合点がいった カンノミヤが親とし優しく抱き締めたことで黒髪女子高生にエラーが生じていた。 過激な「プレイ」ばかり想定して、「優しく抱き締める」という初歩的な行為への対応を プログラミングし忘れる開発陣の体たらくに呆れるしかなかった。 カブラギはカンノミヤに、この後ほぼ全てのデータをリセットして 槍鯛町を作り直すので今度こそログアウトするよう忠告する。 「もちろん娘そっくりのNPCも削除するので安心してくれ」というカブラギに、 カンノミヤは「娘ともう一度会いたい、だから出たくない」と心中を吐露する。 カンノミヤ『あの子は「お父さん」と呼んでくれたんだ!』 カブラギ『御老公、いい加減に現実を見てく…… ちょっと待て…“お父さん”と…“呼んだ”…だと?』 驚愕するカブラギの隙をついてカンノミヤは逃走し、黒髪女子高生の幻影を追いかける。 再びVR世界がバグだらけになり、例の袋小路で黒髪女子高生のバグに囚われるカンノミヤ カンノミヤは昏睡し、娘が殺害された当時の記憶を悪夢として再体験し始める。 初めは誠実な新聞記者の取材であったが、次第に横柄な報道陣まで押し寄せ、 カンノミヤ本人だけでなく周辺住民へも迷惑行為を繰り返す。 カンノミヤはマスコミの被害にあった住民から一方的な八つ当たりを受けるようになる。 連日、心無い投書や暴言を浴びて座礁するカンノミヤ。 …そこまでは現実に起こったことだったが、さらに追い打ちをかけるように 「娘が元カレに強姦され、父に助けを求めながら苦痛の末に死ぬ」という虚像を延々と上映され、 カンノミヤは絶望の淵に立たされる。 425月夜の夜道でJKが追いかけられるお話 4/52020/06/27(土) 16 55 14.47ID xIMJQMaE0 ■カブラギの決断 VR外で観測中のカブラギの同僚によると、黒髪女子高生のバグはプレイヤーの思考を読み取り、 ついには自我を得て加速度的に増大・狂暴化しているという。 このままではカンノミヤはバグの宿主と化し、植物人間になってしまうだろう、とも。 管理者権限でカンノミヤの場所へ座標転移を試みるが、バグ空間は高速移動しており、 管理者権限をもってしても数秒しか固定できないため追いつくことができない。 そこでカブラギは人体に悪影響を及ぼすため封印された「感度3000倍」モードの使用を決断する。 同僚『なぜただの客にそこまでしてやれるんだい?!』 カブラギは地元の新聞記事にカンノミヤの記事が載っていたことを思い出していた。 カンノミヤは事件後、昼夜を問わず地域パトロールのボランティアに熱心に取り組んでいた。 悪ガキに絡まれても、デマに踊らされた人間に中傷を投げかけられても、止めることはなかった。 もう二度と悲しい事件の『娘』を、そして『親』を生まないために… カブラギ『こんな立派な人の最期が、「子供に見せられないお店で植物人間になった」? …そんなことあってたまるかよ!』 カブラギの熱意に折れ、同僚も転送精度を上げるために尽力を約束する。 同僚に頼まれてカンノミヤのVR機体を確認しにいったカブラギは、 悪夢にうなされるカンノミヤを見て外から激励の声をかける。 カブラギ『負けるな御老公!嘘っぱちには本物をブツけてやれ!』 426月夜の夜道でJKが追いかけられるお話 5/52020/06/27(土) 16 56 21.93ID xIMJQMaE0 ■カンノミヤの決断 外からの声に呼応し、カンノミヤは僅かながら正気を取り戻す。 数々の嘘の思い出を上映して精神を揺さぶってくるバグに対して、 カンノミヤは「真実」の思い出を突き付けることで論破していく。 窮地に立たされたバグは最後のあがきでカブラギに化けて油断させ、 カンノミヤを殺害しようとするが…その瞬間、 本物のカブラギがカンノミヤの居場所を発見・突撃し、 感度3000倍のオーラを纏って黒髪女子高生のバグに一撃を加える 3000倍の身体能力から放たれたエネルギーは、バグを跡形もなく消し飛ばした。 ■エピローグ 事件後、カブラギはゲーム制作会社上層部に直訴し、 「槍鯛町(やりたいちょう)でヤりたいぞう」の大規模改修を行った。 カンノミヤ ジュンのような実在人物をモチーフにした要素を削除したほか、 全プレイヤー向けに「性的以外の用途での機能拡張」「カメラ機能」を追加した。 カブラギはVR上でカンノミヤと再会し、近況を報告しあう。 事件現場である袋小路が区画整理事業でなくなってしまうため、 今後はVR内の同じ場所に定期的に花を供えることにしたカンノミヤ。 年頃の娘を持つ父親、という共通点を持つ友人として談笑する二人。 そして特別に残しておいたカンノミヤ ジュンのアバターを纏ったカブラギは カメラ機能を使って「娘との記念撮影」というカンノミヤの希望を叶える。 その写真を見てカンノミヤは『本物のジュンの方が3000倍かわいいぞ』と笑うのであった。 月夜の夜道でJKが追いかけられるお話/了。
https://w.atwiki.jp/ova-v/pages/456.html
部屋の中、男が一人、電話をしていた。 何か良い事でもあったのか、とても上機嫌な様子で、饒舌に電話をしている相手に語りかけている。 それで内容も微笑ましいものであれば、平和なものだったのだろうが、残念ながら、とてもではないが穏やかには済まなそうな話である。私は知っている。この男が楽しそうに話をしているのは、誰かの祝福を喜ぶ話ではないという事を。この男が、喜んで笑っている時は、誰かを永遠に救われぬ暗い底へとたたき落とした時にしか見せない、吐き気を催すような、人の道から外れた話であると、理解していた。 分かっていてなぜ止めないのか、と言われるかもしれないが、私には無理だ。私はまだ死にたくはない。蛮勇だけで遥かに上の存在に対して喧嘩を売るような真似は出来ない。 臆病者め、と罵られてもいい。私には護るべきものがあるのだ。その為であればなんだってしてやる。あの悪魔と取引でも何でもしてやる。それだけの覚悟が私にはあった。 「済まん、時間が思った以上にかかっちまったよ」 私の前で、電話を切り上げて男が話しかける。酷く嬉しそうな声だった。聞いているこちらとしては、腹が立つほどに、陽気さを感じられる。 「いえ、そこまで待ってませんから」 「そう言ってくれると、助かる」 男が笑う。この男の笑みは、多くの意味を持つことがある。それを見逃してはならないというのを、皮肉にも長く付き合っている私は分かっていた。こんな男と長く付き合っていても、良かったと思えることなど一つもなかったというのに、だ。 男が椅子から立ち上がり、こちらへと歩いて来る。男が歩みを進めていくたびに、かつかつと、無機質な部屋に無機質な音が響いていく。熱の一つも感じられぬ部屋の中で、男と私は向き合った。 ――怖い。 ただ向き合っただけだというのに、私は既に恐怖を覚えていた。男は、笑顔のままでいるというのに、私には、その笑みが、拷問をする前にして、悦びを堪えきれぬ異端審問官にしかみえないのだ。 「おいおい、怖がるなよ」 男が、迷子になった子供を落ち着かせるような甘い声を出す。その優しい声が、私を縛り付けていく。蛇に睨まれた蛙。今の私はまさにそれだった。男が、くくっと嗤う。 「今度の依頼については俺が行く。あいつは忙しいらしくてな。俺の方が適任なんだとよ。そう言われたら行くしかねえよな」 よくそう言えたものだ。この男は、面白ければ、構わないのだ。自分さえ楽しめればそれでいいとすら思っている男だ。今回の依頼とて、内容がこの男にとっては愉快なものだったから引き受けただけだろう。 ああ、またか、と思う。 この男が依頼に行くという事であれば、新たな犠牲者が出るということだ。男女問わず、この男は徹底的に嬲るのだ。心が折れるまで、徹頭徹尾責め続けるのだ。悪趣味などというものではない。近くで見ているだけで、私は嘔吐した挙句、這々の体で逃げ出したくらいだ。助けを求める悲鳴、家族の誰かを呼ぶ声、徐々に小さくなっていく喘ぎ声。どれも、私の耳の奥深くに強く刻み込まれている。 人知れず、神に向かって懺悔した事だってあった。その程度で、あの男に協力したという大罪が消えるはずもないが、そうでもしなければ、自分の心が狂ってしまいそうだったからだ。狂気に堕ちてしまえば、どれだけ楽だっただろうかとは考えるが、思考の隅に追いやる。無駄な時間だからだ。 「そうですね。では私は何をすればいいでしょうか」 「標的の弱み、もしくはされたら嫌がりそうなもんでも調べといてくれ。駄目で元々だからな。気楽にやってくれや」 男が、顔面に不自然な笑みを張り付けたまま答える。よく言うものだ。気楽になど、とても出来はしない。自分が使えないと分かった時点で、躊躇いなく斬り捨てるつもりだというのに、白々しく言葉を吐き出せるものだと、感心する。この男の基準は、長年付き合わされている私ですら、把握しきれていないのだ。特に対人関係については、この男の内面を覗かなければならないのである。それだけは御免被る。ならば、まだ自分でこの男に都合のいい道具だから利用されていると思い込んだ方が気楽だ。この男とこれ以上親しくもしたくない。この男は、悪逆という言葉では収まりきらないからだ。悪党でもない。外道とも言い切れない。その不確かさが、私は無性に怖いのだ。 悪意が凝縮され、人の形を成していると言ってもいいだろう。そして、何よりも貪欲である。貪欲と言っても、ただ貪欲なのではない。物欲もあるだろうが、この男が最も貪欲なのは、己の趣味に関してであろう。 中でも、人が顔を歪める瞬間がたまらなく好きだというのは、この男の悪趣味な嗜好であるというのは知っている。 端金で、ささやかな幸せを掴んだ親子に対して、歪められた感情の復讐の依頼を請負い、父親の目の前で母親を犯し、幼い娘を犯し、発狂しそうになる父親を縛り付けてニヤニヤとして嘲笑い転げていたことすらあるのだ。 そして、顔が見事に、悪鬼を思わせるほどに歪んだ家族達を直視して、言い放ったのだ。 ――必ず殺しに来い。 当時の私は、この男が毒物でも食ったのかと思ったが、そうではなかった。冷静になれば、この男の頭の中には、どれだけ最低な事が詰まっているか、すぐに分かったというのに、私はそれを拒否していただけだ。 答えは、実に簡単なものだ。 自身の尊厳を蹂躙された娘は、父親と、あれだけされても奇跡的に狂わずにいられた母親が止めたのにも関わらず、傭兵になっていたのだ。 そして、ある程度実力をつけたところで、あの男を抹殺する依頼を請け負ったのだ。あの男の、当時の傭兵ランクは下位。復讐者は既に、男よりも上位ランクにいた。実力も高く、ある程度の評価もされていた。女だからと、舐められるの嫌っていたのもあるだろうが、依頼をきっちりと完遂させ、裏切りには落とし前をしっかりとつけることも高評価に繋がっていたのだろう。同僚からの評判も良かった。 そして、依賴の日、男は笑顔で戻り、女は消えた。 何があったのかなど、聞きたくもない。男が上機嫌で帰ってきて、笑い転げていたのだから、察するべきであろう。ただ一つ、男にとって残念であったのは、己を抹殺しようとする依賴が激減したという事態だろう。自分の命ですら、気軽に趣味に注ぎ込める。命が趣味に使えなくて、嘆く男など、この男ぐらいしかいないだろうし、そんな人格破綻者はこの男だけにしてほしい。 無論、傭兵というものが、人格破綻者の行き着く所でもあるというのは、仕事上、よく知っているから、この願いは無駄にしか過ぎない。 「なんだ、随分と考えこんでいるな。良い仕入先でも思いついたのか?」 長く思考の海の中を彷徨っていたせいだろうか。男が笑みを崩さないまま、長考していた自分に対して、指摘する。 「ああ、そんな所です。情報としては対象者の弱みだけでいいのですか?」 「あいつが行くならもっと細かく聞くだろうがな。今回は俺だ。だからそれだけで十分だ。お前の仕事は評価しているからな」 評価されてなければ、既にここにいないだろうが、と言いたくもなったが、素直にここはありがとうございます、と礼を述べておいた。 「それで、あの人は今回の依賴には出ないのですね?」 もう一度、確認をする為に問いかけ、男は肯定するかのように頷いた。それだけを確認すると、私は足早に背を向けて、この男と私しかいない、無機質な牢獄の如き部屋から退出する。 あの男――ラフストックについての正しい情報を持っているのは私だけだろう。ラフストックとは、一人ではない。二人いるのである。表に出ているのは、あの男の方で、表に出てきていない男がいる。電話をしている相手がそうなのだと思うが、未だに微かな情報すら確認出来ていないのだ。余程警戒心の高い人物なのだろう。何せ、拠点の一つを教えてもらっている自分にすら姿も声も自ら聞かせようとはしないのである。それだけ周到な人物であれば、騙しの依賴をわざと引き受けて、皆殺しにすることも容易いのかもしれない。あの男自身も、相当な実力者であるのは身を持って味わっているが、電話の向こうの相手はそれ以上なのだろうか。 「……好奇心は猫をも殺す、か」 止めておこう。情報屋としての欲求を無理矢理心の中で押し殺す。 あの男達は危険すぎる。裏表問わずに、触れるべき相手ではない。深淵を覗き込み、そのまま吸い込まれて帰ってこれなくなる。 長く情報屋として生きて、培ってきた経験と本能が警鐘をけたたましく鳴らしている。 これに逆らうと碌な事がない。 私は、警告に従って余計な思案を振り払い、あの男の拠点を後にした。 「で、今度は俺の好きなようにしていいんだな?」 男は、他に誰もいない部屋の中、一人、電話をしていた。生を感じさせない部屋の中で相変わらず誰に見せるわけでもなく、嘲笑っていた。 「ああ、そうだな。今回はアンタの番だろうさ、俺は十分に楽しませてもらったし、今度は兄弟の番だろうさ」 もう一人の男の声が、部屋の中に響く。不可解な事に、電話からではなく、男の部屋から声が聞こえてくる。 「助かるぜ、兄弟。アンタと俺は唯一無二の兄弟であり、家族であり、仲間だ。まさに一心同体だな」 「言うな、兄弟。男色に思われるぞ。まあ俺たち以外には誰も居ないがな」 声が言うように、部屋の中は男だけしかいなかった。男がそれの何がおかしいのかは知らないが、盛大に笑い出す。それから一度黙ると、もう一人別の男の笑い声が響いた。 「そういえば、あの女はどうしてる?」 「離したよ、兄弟。あの女の憎悪はいいものだからな、次が楽しみさ」 「飼ってても面白かったがな。まぁ次があるか」 「そうだよ、兄弟。次を楽しもう。それじゃあそろそろ俺は行くぜ、兄弟」 「ああ、良い狩りを、兄弟」 男が電話を置くと、声はぴたりと聞こえなくなっていた。男が上機嫌で歩き出していくと、部屋の中に無機質な音が響く。 電話は、よく見てみれば、破損していた。 投稿者:ニーベル 登録タグ:ニーベル 小説 読み切り