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「くぁ……ねむぐおっ!」 「どうしたぜよカミやん、そんな眠そうなツラしや……まさか!」 「いってーな土御門! いきなり殴ることねーだうぎゃっ! また殴った! しかも最初より強いぞ!」 朝から眠たげにしてる上条に喝を入れた土御門だが、そこからある1つの妄想をしてしまう。 その妄想は上琴の関係を知ってる者なら怒りを覚えるもので再度上条を殴り飛ばした後で、 「ものどもであえであえーーーーっ! カミやんがとうとう自分の彼女にいけないことやっちまったぞーーーーっ!」 「はあっ! 何でそんな結論に達するんだよ! 俺は美琴と確かにイチャイチャして寝不足だが、Hはしてない! 責任取れるようにあだっ!」 「カミやん、ボクはカミやんを信じとる。せやけどな……球技大会中に寝不足になるまでイチャイチャするのはアカン! よって嫉妬ファミリーによる制裁や、かかれーーっ!」 青ピや嫉妬ファミリーと共に上条を殴り、蹴り、引きずり回し、踏みつけるなどのお仕置きを敢行した。 上条は心の中で不幸だーーっ! と叫びながら薄れゆく意識の中で確かに見た、普段は参加しそうに無い一方通行、浜面、半蔵も加わっていたのを。 「テメェは球技大会だってのにナニやってンですかァ! 今日のためにベストコンディションを作るためにこっちは打ち止めにあまり構ってやれてねェンだよォ!」 「滝壺のチームがまさかの敗北で慰めようとしたら球技大会があるから駄目って断られたんだぞ! それなのに上条お前って奴は羨ましいぞチクショーッ!」 「浜面と同じく!」 普段は参加しそうに無い3人、単に上条が羨ましいだけである。 その様子をオロオロしながら見てる翔太、その視界を見覚えのある手が遮る。 「あ、淡希? どうして僕の目をふさぐの? 上条くんを助けなくていいの?」 「いいのいいの。翔太があいつらに染まるのは私も困るし。それにあいつらも本気じゃないでしょ、多分」 「そうなの? なら僕が心配するのもはわわわわっ! あ、あわあわあああ淡希っ! む、胸がっ! 僕のこ、こここ後頭部にっ!」 「もー翔太ったら可愛い反応してくれるわねー♪ で・も。本当に嫌なら止めるけど?」 い、嫌じゃないよ……、翔太がかすかにそう言うと結標はさらに自分の胸の中に居る恋人を強く抱きしめた。 上条フルボッコの図、月結のいちゃつきを巻き込まれない所から見ているのはポリアモリーカップル。 「みんな朝から元気だね~。ま、これくらいの元気が無いと球技大会は盛り上がらないんだけど」 「そうだな。そんでもって俺達のクラスが全種目ぶえっくしょん! へっくしょん! ふぇっくしょん!」 「真昼さん大丈夫? やっぱり今日は休んでたほうがいいよ」 マスクをして盛大なクシャミを連発した真昼、実は昨日のスパリゾート安泰泉の混浴で湯冷めしてしまったのが原因だ。 ちなみに混浴といっても今回は真夜が相手側と真昼と茜川に頼み込んで、水着着用の許可を貰っていたりする。 「へへっあんがとよ真夜♪ けど心配すんな! これは花粉症だからな!」 (花粉症で熱が39度も出るなんて聞いたこと無いよ……。真昼ちゃんって時々思うけど相当……いやいや、それは上条君のデルタフォースの専売特許だし) 「お早うございます井ノ原先輩、お姉様、茜川さん」 ポリアモリーカップルに礼儀正しく挨拶したのは心理掌握で、ポリアモリーカップルもそれぞれに挨拶をした。 「今日は日頃の恩に報いる為にも私達のクラスが勝たせて頂きますわ。そちらに井ノ原先輩、お姉様、そして白雪さんが居るとしても」 「うん、楽しみにしてるよ。けど俺達だって負けない。心理掌握さんの成長、見せてもらうよ……ってレベル4の俺がレベル5の君に言うことじゃないかもしれないけど」 「能力のレベルは関係有りませんわ。私は井ノ原先輩を純粋に尊敬しているのですから。できることならアク様にも変わりつつある私を見せたかったですわね」 「きっと一方通行にも伝わるよ。じゃあ決勝で」 心理掌握と穏やかな会話と握手を交わした真夜、2人の会話を邪魔しないように離れていた真昼と茜川の所へと駆け寄った。 鼻水が垂れそうな真昼の鼻をティッシュでサッと拭ってやる茜川、恥ずかしそうに茜川に礼を言っている真昼、そんな真昼に自分のジャージを羽織わせる真夜、3人を見て心理掌握は思う。 (あの3人、まるで本当の家族のように自然な感じを作りますのね。いつも思いますがとても3人同時交際をしてるようには見えませんわ。……人というのは本当に不思議ですわね) 心理掌握は学園都市唯一のポリアモリーカップルに妙な癒しと不思議を感じながら、自分たちのクラスへと戻って行った。 ちょうどその時、上条たちの方で大きな爆発音がした。 ―――――――――― 「これ以上うちのクラスの恥を晒すのは止めなさーーいっ! というわけで久々の雪の竜巻だよ!」 「たった1人をよってたかって襲うたぁ根性入ってねーなぁ! そんなお前らに根性入れる意味ですごいパーンチ!」 「当麻さんに何ということを! たとえ天が許しても当麻さんの永遠のメイドのこの私が許しませんっ! 七教七刃!」 白雪、削板、五和の奇跡的にタイミングの合った攻撃でうぎゃー! と叫びながらベクトル変換が間に合った一方通行以外の面々は吹っ飛ばされる(上条も)。 こういう攻撃が慣れっこな上条はすぐさま復活して一方通行達の所へと戻るが、白学ランの削板と上半身メイドで下半身ブルマーの五和の姿を捉えるとすかさずツッコミを入れた。 「削板に五和!?何でお前たちがここに?つーか、何だその格好!?」 「それはこの姿じゃなければ俺の根性が8割減だからなぁーーー!!」 「ふふふ、前に聞いたのですよ当麻さん!男性は皆、メイドとブルマーに萌えるという事を!」 2人の発言に対してその場にいた全員が同じ事を思った、もうどうでもいいやと。 しかし、ふと五和の発言に疑問を抱いた白雪が五和に話しかけた。 「ねえ、五和さん」 「何ですか、白雪さん?」 「別にさ、その2つで全員が萌えるなんてことはないし、その2つを合わせたってもっと萌えるとかはないと思うよ」 「…!まさか、土御門さんとそこの青髪の方の発言は間違っているのですか!?」 五和のカミングアウトを聞いた瞬間、白雪はそのまま戦いの跡地に向かった。 そして、そこで横たわっている土御門を発見するとその真横に氷の剣を突き刺した。 「……も―とはるう♪」 「な、なな何のようですかにゃー、月夜?麦野並みにコワいにゃー…」 「ブ・チ・コ・ロ・シ・か・く・て・い・だ・ぞ♪」 次の瞬間、土御門を中心に氷の竜巻が発生し、その近くにいた仲間達をものみこんだ。 ちなみにその時の白雪の笑顔を見て、土御門は思った。 ああ、もう死んでもいいかもと。 なお、当然ながら白雪が加減していたため、巻き添えをくらったものも軽傷ですんだので試合への影響はなかった。 ―――――――――― 一方、何とか攻撃を逃れた浜面達。 その逃げた先に現れたのは覆面を被った『歩く教会』チームの面々であった。 「絹旗に麦野…何やってんだ?」 「ちょ、超人違いです!私の名前はシルクです!」 「そ、そうだぞ。私はムギムギだ。決して麦野たる人物とは何の関係もない!」 バレバレの変装をしている2人に浜面は呆れていると、向こうで姫神と謎の覆面シスター(見るからにインデックス)が口論していた。 「例え、あいさが敵でも負けないんだよ!そして私の名前はピュワシスターなんだよ!」 「バスケの主役は。私。誰にも。負けない。」 2人はいがみ合いながら火花を散らしていた。 この後、決勝がサッカーになってしまうが姫神が浜面と半蔵を使い、大活躍するのはまた別の話。 「じゃーな上条。決勝で根性入ったいい勝負しようぜ!」 「私も失礼します。決勝で私、当麻さんと愛の篭ったベースボールが出来るのを楽しみにしてます」 五和と削板に宣戦布告されて上条は気付いた、あいつらエツァリ達と同じチームなのかと。 決勝がとんでもないことになりそうだと予感した上条と一方通行がげんなりしていると、 「おはようございます、とクールビューティーは未来のだんな様と学園都市最強ぺドに丁寧に挨拶します」 友愛高校の体操服に身を包み、覆面の上に軍用ゴーグルを装着した人物が朝の挨拶をしてきた。 上条も一方通行も最初は本当に誰なのか分からなかったが特徴のある喋り方、こんな所に現れそうな人物をピックアップした結果、 「あ、あの~、もしかしてあなた様は御坂妹さんではないでせうか?」 「はい、確かにその通りなのですが今のクールビューティーはクールビューティーなのです、とクールビューティーは」 「クールビューティークールビューティーうっせェぞ! つーかまず俺に対して謝るのがスジってもンだろうがァ! 誰が学園都市最強ぺドだァ!」 「貴方以外に該当する人物が見当たりません。それに上位個体と週1で一緒にお風呂に入ってる時点で覆りようの無い事実ではとクールむぐっ」 【妹達】の中で1番関わりの深いミサカ10032号こと御坂妹だと判断できた。 その後で仲間内でも知りえない一方通行の禁断の事実を御坂妹が口にしたので、慌てて一方通行は彼女の口を塞いだ(手遅れだが)。 一方通行は目をギラギラさせながら自分と打ち止めの秘密をどうやって知ったのか尋ねると、考えれば妥当な答えが返ってきた。 「ミサカネットワークを通じて上位個体が惚気てくるから仕方ありません、とクールビューティーは聞くこっちの身になれと貴方に愚痴ります」 (あンのクソガキィ……。後で会ったら久々に説教してやらねェとなァ) 「ですがご安心下さい。上位個体もさすがにアホではないらしく番外個体の眠ってる間にミサカネットワークを使用しています、とクールビューティーは安心させてあげます」 上条は思う、『絶対能力進化』計画で関わりを持ったこの2人がいい意味で変わったなぁと。 その僅かな隙をついて御坂妹は上条の右手を両手でそっと握って自分の胸へと導こうとしていた。 「ちょ! 何してんだよ御坂妹!」 「何と言われましても同じ競技で参加できない寂しさを埋めようとしてるだけです、とクールビューティーはドキドキしながらあ、貴方に触れられ」 「何だそこに居たのかい、クールビューティー。そろそろ僕たちの試合が始まるから皆が待って……ゲッ! か、上条当麻……」 上条を救ってくれた(?)のは同じく友愛高校の体操服に身を包み、覆面をした背の大きな少年だった。 一見すると正体不明に見えるが、その少年は煙草を銜えていたので一発で上条にも正体を看破されることに。 「ステイル? お前まで何やってんだよ! しかも御坂妹と同じような覆面を被りやがっ」 「ち、違う! ぼ、僕は君の知ってるステイル=マグヌスではない! 今日の僕はそう、ピュアシスターの守護者ことシガレットさ! ではそうゆうことで」 「名残惜しいですがまた後でお邪魔させてもらいます、とクールビューティーは当麻さんにだけさよならの挨拶をします」 シガレットことステイルに連れられて去って行った御坂妹を見送った上条は、インデックスも居るのかと考えると気のせいではなく気疲れを感じ始めていた。 それは一方通行も同じだが上条が自分達の秘密に触れてこないことを受けて、内心でラッキーと思いながら準決勝前のチーム練習を始めるのだった。 ―――――――――― 「あっ、来た来た。おーいっ、飾利ー、涙子ー」 上条を中心とした騒動から少し経った頃、友愛高校正門前では美琴が初春と佐天の2人と合流していた。 今日はみんなで一緒に球技大会を見に行こうと約束していたのだが、いつも居そうな面子が居ないことに気付いた美琴が初春に尋ねる。 「今日は2人だけ? 黒子はとっくに○○さん、春上さんは土御門さんと白雪さんの所へ向かったのは分かるけどそっちのいつもの人達は?」 「建宮さんはすでに食堂に詰めていて、火織お姉ちゃんは後から合流、シェリーさんは個展会場で作品のチェックで第九学区に。とまあ、こんな感じで」 「あれ? 最愛は?」 「最愛ならいずれ分かりますよ、美琴姉さん♪」 最愛、球技大会に出てるわね、美琴は佐天が楽しげな笑みを浮かべて答えたのを見て妙な確信を得ていた。 そのことについて考えてる美琴に突然、初春が抱きついてきたことで絹旗のことは頭の中から綺麗に吹っ飛んでしまう。 「かっ、飾利? きゅ、急に何するのよ!」 「えっとですね、私考えてたんですよ。美琴お姉さんとは義理とはいえ姉妹。だから妹の私がこうやって甘えるのは普通かなって♪ ダメ、ですか?」 「まあ、あんた達なら黒子みたいに邪な気持ちは持ってないものね。分かった、飾利と涙子と最愛ならいいわよ。むしろ歓うわわっ!」 「美琴姉さんに許可貰った記念であたしは後ろからー♪」 最初は初春、2週間の渡英期間中は美琴と会えないのでちょっと甘えるだけだったが、ついでに今後も義妹トリオのハグの許可をゲットする辺りは抜け目無い。 その後、初春と佐天とのじゃれ合いもそこそこに、美琴は2人と一緒に友愛高校へと入るのだった。
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(二日目)12時00分 第一二学区。 学園都市で最も神学系の学校が集まっている学区。その修学内容は、実際にあるオカルト的なものではなく、科学的な面からアプローチしたもの。一つの通りに各種宗教施設が並び、非常に他国籍な雰囲気の街並みが並ぶ学区である。 正午を回ったというのに通りに人は誰もいなかった。 音もなく、声もなく、ただ風の音だけが空しく響いている。 車が通らない道路の中心を、一人の少年が歩いていた。 逆立った髪を風に靡かせ、右手をズボンのポケットに入れている。 制服の黒ズボン。黒の皮靴。白のワイシャツの胸元から見える赤のシャツとピンクゴールドアクアマリンのネックレス。 彼の背中に見えるのは、荒野と化した第二三学区の惨状だった。 彼はふと、足を止めた。 そこは交差点のど真ん中だった。近くには歩道橋があり、周囲には高層ビルが立ち並んでいる。歩道に植林された木々がは風で揺れていた。 『魔神』は薄く口を開いた。 「出てこい。余には隠し通せぬぞ。いくら小賢しい『魔術(ゆうぎ)』をしたところで何も変わらぬ」 ヒュン! 風の刃が『魔神』を目掛けて襲いかかった。弾丸に匹敵する、音速を超えた速度。 人であろうが鉄であろうが触れたもの全てを切り裂いてしまう刃であり、人間の反射速度を超えた不可避の斬撃。 しかし。 『魔神』に直撃する前に、それは『消滅』した。 コンクリートの道に一つの線を描き、その線の先が『魔神』の足元で止まった。 一瞬遅れて風が吹き、『魔神』の黒髪を靡かせる。『魔神』は指一本たりとも動かしていなかった。動かしたのは視線だけだった。 漆黒の眼に人影をとらえた。風の刃の先から、二人の人間が歩いてくる。 一人は長い黒髪を揺らし、左右非対称の衣装を身に纏った、刀を梓える長身の女性。 もう一人は、白と黒のコントラストの服を着た、『海軍用船上槍(フリウリスピア)』を持つ、二重瞼でショートカットの女性。 二人は歩調を緩めることなく『魔神』に近付いてきた。その二人に倣うように、周囲から統一性の無い服装をした老若男女が現れ始めた。手にはその格好に相応しくない武器を所持していた。剣や斧、槍といった武装で、その派生も古今東西多種多様である。 彼らに共通することは一つ。眼前にいる『魔神』に矛先が向けられているということである。 「此処から先は行かせませんよ。上条当麻。いや、ドラゴン」 言葉と同時に鞘から澄み切った刃が引き抜かれる。ブーツが地面を強く踏み締める音がした。同じくして、隣に連れ添っていた女もその場で足を止めた。貴金属が揺れ、小さく音が響く。 「…聖人か」 「神裂火織。若輩ながら天草式の長を務めています」 『魔神』と視線が交差した。神裂の表情に怒りは無いが、強い敵意が込められていることは感じられた。刀身が日差しを反射し、煌びやかに輝く。 「それとお前は…たいそう上条に惚れ込んでいる女だな」 「貴方に覚えてもらえるなんて光栄ですね。改めてはじめまして。建宮亡き後、天草式の副官は私です」 笑顔で『魔神』に返事をした少女だったが、その表情の下に隠れている殺気は隠せていない。 「お主は余の力が分らぬ愚か者ではなかろう。なぜそのような愚行を冒す?」 「人には、死ぬとわかっていても譲れぬ道があります」 「『今』が、その刻(とき)であると抜かすか。聖人」 返事は無い。 これ以上の会話は不要だと感じたのだろう。神裂の目が鋭くなり、腰を低くして構えたと同時に周囲の空気が張り詰めた。『魔神』が周囲を見渡すが、五〇人程度の人間が一斉に牙をむいた。いつ、彼らが動き出してもおかしくは無い。 『魔神』の顔が不敵に歪む。 「余は少々気分が良い。好きなだけかかってくるがよい。まあ、飽きれば殺すがな」 「そんな挑発には乗りませんよ。ドラゴンさん。さっさと当麻さんを返してもらいますから」 冷めた瞳で『海軍用船上槍(フリウリスピア)』を左手に持ち替える五和。 『魔神』はその行動の意図するところに思考を巡らせようとしたが、あえて無視した。それくらいの無対策でなければ彼にカタルシスは味わえない。 天草式が『魔神』を取り囲むように陣形を立てた。 『魔神』は、右手をかざした。 同時刻。 第七学区のとある場所に御坂美琴と白井黒子は訪れていた。 建設途中の大型ショッピングモールの私有地である。一般人には分厚い壁で覆われていて中を見ることはできないが、二人は『空間移動(テレポート)』で何なく侵入した。クレーンや大型車。木材や鉄筋が彼方此方に並べてあり、足元も土や泥で汚れている。鉄筋骨格の隙間から差し込んでくる日光が弱く、日中だというのに周囲は夕方のような明るさであった。 御坂美琴は首をかしげながら携帯電話を見つめていた。白井黒子も自分の携帯電話を見つめながら御坂美琴に話しかけていた。 「あれー?おっかしいなー。指定された合流ポイントはここで間違いないんだけど…」 「…確かに、ここですわね。わたくしたちのいる場所と一致してますし、座標も狂いは無いですわ」 「何の応答も無いってどういうことよ」 「やはり間違っているのではありませんか?お姉様。あの当麻さんの計画なんですし、お得意の『不幸』で今回も…」 「それは無いわ。だってこの計画の準備は『ジョーカー』のブレインが担当してるんだもの。万が一よりも間違いは無いわ」 「そうだったのですか。ならばここで間違いはありませんわよね」 その話を聞いた白井黒子は携帯を閉じて、近くにあった鉄筋に腰を下ろした。ツインテールを結わえているリボンを整え始めた。白井黒子の冷静ぶりが癇に障ったのか、時間が惜しいと痺れを切らし、御坂美琴は大声を上げた。彼女のマントが大きく靡く。 「隠れてるんなら出てこーい!!こっちは時間が無いんだからー!!」 近くで、ドサッ、と何かが倒れる音がした。その方向に目を向けると、白井黒子が鉄筋に寄りかかって倒れていた。 その近くには右手にハンカチを持ったミサカがいた。常盤台の制服は着ておらず、ジーンズにブラックとイエローのバスケットシューズ。男が舌を出している絵の入ったプリントシャツ。半袖の紺のジャケットに三日月型のシルバーネックレス。一年前の御坂美琴のショートカットの髪型をしており、可愛いガラのドクロマークのヘアピンで前髪を留めている。笑顔満点の顔で、御坂美琴と同じ声で喋った。 「んーひっひっひっー♪成功成功♪意外に簡単だったわね!実はミサカ、スパイの才能があったりしてー♪」 その姿を見た御坂美琴は、ブチッと何かがキレた。 「ゼロォォォオオオ!アンタ何してんのよおおおおおおおお!!」 彼女に青白い電撃の槍が飛んだ。 しかし、彼女は超人的な身体能力で3メートルほど飛びあがって、御坂美琴の電撃を回避した。 「うわっ!?姉貴、ビリビリやめてよおお!ミサカ、『無能力者(レベル0)』なんだから!」 「フンッ!本当に面倒ね!アンタの『体内電気(インサイドエレクトロ)』は!でも覚悟しなさい!!いくら当麻に対して無敗でも私には勝てないでしょ!!」 御坂美琴は右手に最大電圧である17億ボルトの電気を込めると、標的を彼女に向けた。 それを見たミサカは笑顔をから一転、涙目になって弁明を始めた。 「ちょ、ちょっと待ってよ姉貴!イタズラじゃないんだって!これ…」 「問答無用!」 ズドン!! 一瞬、周囲が光に包まれた。 鉄筋に当たった電撃が四方八方に流れていき、青白い光があちこちに飛び交っていく。一帯に埃が舞い上がった。御坂美琴はマントで白井黒子と一緒に煙を回避すると、眠っている白井黒子を壁に寄りかからせて、バランスを崩して地面に尻もちをついているミサカに迫った。黒のマントが揺れる。髪を逆立てたミサカは体中を震わせながら、御坂美琴を見上げていた。頭をバチバチと帯電させながら極上の笑顔で御坂美琴は言った。 「…遺言は?」 「殺す気!?殺す気ですか姉貴!?ミサカがちゃっかり当麻さんのベッドに潜り込んでた鬱憤をここで晴らす気ですか!?それならミサカ一〇〇三二号のほうがミサカより圧倒的に…」 「そう、それが遺言ね♪」 絶句するミサカ。 しかし、彼女たちの会話は唐突に後ろからかけられた声により中断させられた。 常盤台の制服を着た、今の御坂美琴と瓜二つのミサカによって。 「白井黒子への対処は私の指示です、とミサカ一〇〇三二号はミサカ『00000号(フルチューニング)』に対する処罰は私にあると事後報告してみます」 「遅っ!それに腹黒っ!」 ミサカ『00000号(フルチューニング)』がもう一人のミサカに即座に突っ込んだ後、ギロリと御坂はミサカ一〇〇三二号を睨みつけた。頭のバチバチはまだ収まっていない。口元を引きつらせながら、ミサカ一〇〇三二号に言葉を返す。 「どおういうことか、キッチリ説明してもらいましょうかぁ?」 その表情を見たミサカは大きなため息をつきながら『お姉様(オリジナル)』に返事をした。一年の月日を得て、間近で見ても区別がつかないほどまでに彼女の表情は豊かなになっている。彼女はゴーグルを外す。 「今から目の当たりにする光景に彼女は発狂する恐れがあるため、不測の事態に備えて眠ってもらっただけです、とミサカは嘘偽りなくお姉様に素直に白状します」 カッとなった御坂美琴はミサカ一〇〇三二号に掴みかかろうとしたが、周囲から聞こえる足音にその衝動を抑えた。 それも一つや二つではない。何十、何百の足音が鳴り響く。今まで気づかなかったことに恐怖を覚えるほどに。 周囲の柱や、四方八方から同じ顔をした少女が現われた。常盤台の制服を着た少女たち。顔立ちは同じだが、よくよく見ると一人一人異なる特徴がある。ショートヘアーであったり、ロングヘアーだったり、ポニーテールであったり、ツインテールであったり、前髪を留めているヘアピンのデザインが異なっていたり。 しかし、それ以外はゴーグルとアサルトライフルを装備した女子生徒に変わりは無い。 後ろから声が聞こえた。 「先ほどの電撃はいただけませんね、とミサカ一〇〇三三号は逆立った髪をなでながらお姉様に小言をいいます」 「白井黒子も連れてきたのですか、とミサカ一六七三二号は少し冷ややかな態度を隠して迎えます」 「その意見には賛同しますが全く隠せていません、とミサカ一九九九九号は更に冷ややかな態度で突っ込みます」 「銃の手入れは大丈夫ですか、とミサカ一一一九四号は予備マガジンを確認しながら皆に確認を取りたいと思います」 「レーザーサイトの標準誤差が無視できないレベルとミサカ一八九七〇号は現在調整中だと報告します」 「いつでも出撃可能だ、とミサカ一四七一一号は自信満々で初弾を装填後、マガジンを取り付けます」 「むっ。このチーズケーキは中々美味だとミサカ一一五六二号は隠れフェイバリットを発見したと主張します」 「いえ、こちらのチョコケーキも侮れないとミサカ一二三七七号は対抗心丸出しで主張します」 「こんな時にケーキを食べているのですか、とミサカ一五〇〇〇号は即席ラーメンを食べながら小言を吐きます」 「飲食をやめなさい、とミサカ一七七七五号は肥満を懸念しつつも呆れながら忠告します」 「今、避けられない睡魔が襲ってきました、とミサカ一〇六二八号は欠伸をしつつ声を震わせながら呟きます」 「そういう時はこのチューイングガムがお勧めです、とミサカ一三五八五号はさりげなく言ってみます」 「予想より30分ほど遅いのでは、とミサカ一五〇八七号は予想が外れたことに少し残念がってみます」 「長時間座りすぎてお尻が痛くなった、とミサカ一九〇九〇は若干の不満を隠さずにグチります」 そして、御坂美琴の視界が自分と同じ顔をした少女たちに埋め尽くされた頃、 一人のミサカが『お姉様(オリジナル)』に一歩前に出て、膝をついた。 右手を左肩に添えて、頭を垂れる。 その瞬間、彼女たちに物音ひとつ聞こえない静寂が訪れた。 それはまるで、王に仕える騎士たちの円卓。 「お待ちしておりました。お姉様。とミサカ一〇〇三二号は『妹達(シスターズ)』五九四七名を代表してここに宣言します」
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神の力→フリーザーorルギア?(氷の翼) 麦野沈利→クチート?頑丈で不意討ち(21巻準拠) -- (名無しさん) 2010-08-14 10 38 18 ■■の吸血殺しはヘドロえき持ちでいいんじゃなかろうか ドククラゲあたりがいいかも -- (名無しさん) 2010-10-17 12 33 17 冥土帰しはガマゲロゲでもいいと思う 能力的にはハピナスだけど -- (名無しさん) 2010-10-18 23 05 08 美琴の持ち物、第5世代なら「古代の〇貨」でよくない?(金貨推奨) -- (名無しさん) 2010-10-30 03 49 09 エツァリはキリキザンがよいと思うのだが -- (名無しさん) 2010-11-17 00 07 50 浜面はズルズキンの方がよくね? ドクロッグは半蔵に回せばスキルアウト三人衆コンプリート -- (名無し) 2010-12-13 18 57 17 神裂さんはビリジオンでは? 聖人だし準伝説っぽいし聖なる剣が唯閃っぽいと思うのだが。無論リーフブレードも。 -- (名無し) 2010-12-18 16 17 15 妹達の最大電圧は2万Vなので10万ボルトはこだわるなら合わない。 -- (名無し) 2010-12-20 11 45 22 佐天さんの性格はまじめでもいいと思う(アニメ超電磁砲15話より) あと持ち物におまもりこばん(親からもらったお守り)とか -- (名無しさん) 2010-12-20 20 57 07 ごめん14話のまちがいだった -- (名無しさん) 2010-12-21 18 17 29 垣根はロトムでしょ -- (名無しさん) 2011-01-05 19 13 13 冷蔵庫か。 -- (名無し) 2011-01-08 17 25 29 以前、妹達の最大電圧について書いた者だけど2万Vではなく5万Vだったわ。まぁ どっちにしろ10万Vは合わんけど。あとミサカ系列のとこに性別メスになってるけどライチュウ以外無理じゃん。 -- (名無し) 2011-01-12 12 50 32 エリスはゴルーグのがコンセプトがあってる気がする。 人につくられたし、足もちゃんとあるし。 -- (名無しさん) 2011-01-22 00 58 57 御坂系の所の♀表記はピチュー系でやる場合の話じゃないのか -- (名無しさん) 2011-02-01 21 18 45 ミルタンク 吹寄制理はどうだろうか 理由はおっぱいということで 孵化させる場所はもちろんフキヨセシティで -- (名無しさん) 2011-02-07 01 43 59 青髪ピアスは見た目からヒヤッキーもありかと -- (名無しさん) 2011-02-12 09 46 13 容姿が似ている、♀限定、氷の息吹ができる、歌うができる(XD限定)、そして噛み付く及び噛み砕くができる(ユキワラシ限定)のでINDEXにユキメノコはどうよ? -- (名無しさん) 2011-02-17 13 02 35 俺の絹旗がいない…だと… 窒素装甲→堅い→鋼 窒素パンチ→バレパン 元大気操作系→元飛行 見えそうで見えない→テクニシャンで ハッサムってのはどうよ -- (名無しさん) 2011-02-21 21 49 17 見た目・強さは残念だけど一方通行は攻撃反射(無効)ってことでヌケニンはどう? -- (名無しさん) 2011-03-05 12 08 50 ミコトはシビルドンのほうがいいんじゃない? 電磁砲できる、クロコに対してドラゴンテール(変態行為を拒絶)できるし さらに自販機に対してアクロバットできるぞw -- (名無しさん) 2011-03-06 17 00 51 一方さんはソーナンスだと今まで思ってたわ・・・ -- (名無しさん) 2011-03-18 03 36 21 上条さん役をタマゴで孵す場合、ヒウンシティ推奨。言うまでも無いが、ヒウン=非運→「不幸だ」。あとくっつきバリもたせりゃツンツンが再現可能。触れられたらはげる。 あと御坂役のNNはビリビリ。ミサカの場合、妹は御坂妹となるが勿論入らないから。元ネタをわかりやすくならレールガンでも良いかも。 一方通行役のNNは悪意を込めてロリコンかセロリ。 ステイルはシャンデラも良いと思う。オーバーヒート(イノケンティウス)で手から常に炎、「灰は灰に、塵は塵に」の時の状態。あと個人的にシャンデラ魔術師っぽいし。 -- (通りすがりの名無しZ) 2011-03-21 00 24 20 上条さんはヌケニンもありだと思う。幻想殺しの能力と特性があってる気が……てか上条さんはずっとヌケニンだと思ってた。 あとインデックスはミュウ。「完全記憶能力=全ての技マシンを使える」ってことで。こせいは勿論「食べるのが大好き」で。 -- (名無しさん) 2011-04-02 11 04 30 オリアナさんにニドクインはどうかな? 技の多彩さと露出度の高さがwww -- (名無しさん) 2011-04-02 20 28 21 ハワイアンはプリン(一等身バージョン)とヒトデマン(片手バージョン)だな -- (名無しさん) 2011-04-03 10 08 51 上条当麻 -- (とある魔術の禁書目録上条当麻 / とある科学の超電磁砲 みさか) 2011-04-05 14 36 31 「魔神になり損ねた男」オッレルスにミュウツーはどうだろう。どっちもアホみたいに強いし。 -- (名無しさん) 2011-04-07 12 05 03 ヌケニンはむしろ一方通行だろう。攻撃が届かない意味で。 どちらにせよ最強(笑)のステイルに瞬殺されるからどう考えても合わないけど ところで滝壺役にねつぼうそうのフワライドとかどうよ? かえんだま≒体晶、ふわふわしてて電波系とか割とあってるんじゃないかと思うんだ -- (名無しさん) 2011-04-16 16 50 25 ネタWikiから垣根帝督型を持ってきて欲しいです。 -- (名無しさん) 2011-04-17 19 28 52 ネタを追求するなら垣根はフリーザーかフロストロトムだな。 -- (名無しさん) 2011-04-29 08 49 37 木原くンに、ゴルーグはどうでしょう? 一方さんの反射(カウンター)が聞かないし、てつのこぶし(手にはめてるグローブ)だし。 -- (名無しさん) 2011-05-05 14 36 32 Wikipedia曰く、垣根は「性格は非常に『きまぐれ』」だそうな。 -- (名無しさん) 2011-05-19 01 24 26 一方通行はミュウツーもどうだろう。 白い、最強、性別不明、知能が高い。 -- (名無しさん) 2011-05-24 20 39 23 心理掌握こと食蜂操析はテレパシー+催眠術でムシャーナでどうだろう。リモコンは脱出ボタン辺りを持たせるとか。 -- (名無しさん) 2011-06-23 12 30 21 黒子はとうそうしんオノノクスとかもいいぞ 持ち物は充電池な -- (名無しさん) 2011-06-30 10 27 56 右方のフィアンマに、アルセウスはどうですか? 聖なる右はさばきのつぶて、持ち物は火のプレートで。 -- (名無しさん) 2011-07-02 23 05 01 知らん間にていとくんがなぜかギラティナになってるけど、さすがにフリーザーなり冷蔵庫なりの方がまだマシじゃね? シャドボがそれっぽいとか書いてるけど未元物質は白いんだぞ。実際のダークマターと勘違いしてんのか? -- (名無しさん) 2011-07-03 23 50 49 白い翼ならむしろトゲキッスかな? …無理かな 一方通行の候補はサザンドラも。 赤目に翼に強さ的にも 竜の波動→風の操作 悪の波動→翼の放出 プラズマ?エフェクト的にチャージビーム、とかこの通り -- (名無しさん) 2011-07-13 23 24 51 当麻にレシラムorゼクロムなんてどうだろう。 相手の特性を無効にする特性が幻想殺しっぽいし。 -- (名無しさん) 2011-07-28 04 24 40 ヴぇントたんは、スピンロトムじゃね。 だって天罰術式は いばる>たたりめで おkだし王者の印をもたせてエアスラ打てば それだけでも凶悪 -- (名無しさん) 2011-07-30 22 27 32 美琴に「でんじふゆう」は? 限定的であっても浮くことはできるし。 -- (名無しさん) 2011-08-02 20 55 00 後方のアックアはメタグロスだろう。青くて、鋼で超攻撃力が大武器を連想させ、最強クラスの能力値で、技も多彩で、体に十字が刻まれてるし。 -- (名無しさん) 2011-08-09 18 40 05 熊みたいな大男という記述から佐久はリングマで -- (名無しさん) 2011-08-21 03 25 32 砂皿は物陰から狙うスナイパーなのでドラピオンとか -- (名無しさん) 2011-08-21 03 27 08 エイワスをヌケニンにするとかどうでしょう? 強さに問題はありますが -- (名無しさん) 2011-08-21 03 29 11 麦のんをポリゴンZにするというのはどうでしょうか ちょっと狂ってる感じとかビーム(はかいこうせん)とか 結構合ってると思うんですけど -- (名無しさん) 2011-08-27 16 44 26 フィアンマ→キングラーはどうでしょう 真っ赤+片手だけ大きい ……でも、左手なんだよなぁ…… あと、テッラはもちろんジュカインで 緑のトカゲだし -- (名無しさん) 2011-08-29 21 23 25 テッラはウツボットとかどうだろうか? 唇W -- (名無しさん) 2011-09-05 01 19 44 『鈴科』な。なんだよ鈴木って -- (名無しさん) 2011-11-20 02 36 23 土御門元春の候補にライチュウはどうかな?ライチュウを使うマチスと元春が似てる、ポケスタ2のマチスのライチュウが本来両立出来ない技を両立しているとか共通点はあると思う。ほぼマチス関連だけどね。 -- (名無しさん) 2011-11-23 00 22 40 佐天さんはケンホロウもいいと思う、特性はとむね(アニメでの描写)で風技(エアスラッシュ)も使えるので。 -- (名無しさん) 2012-02-08 00 30 26 パーティを組む際の例を考えてみました。 33 上条、インデックス、美琴のメインP 上条、青ピ、土御門の3バカP ステイル、神裂、土御門の魔術P(44ダブルでは建宮or五和も) 一方通行、打ち止め、番外固体のメインPその2 44 美琴、黒子、初春、佐天の超電磁砲P 66 上条、青ピ、土御門、姫神、吹寄、小萌のとある学校P -- (名無しさん) 2012-03-01 00 32 17 垣根帝督にフロストロトム、一方通行にスリーパーもありかも -- (名無しさん) 2012-03-19 21 37 54 打ち止めがジバコイルのほうがよくね、上位固体だし -- (名無しさん) 2012-04-10 20 35 13 上条さんにヒヒダルマ 特性ちからづく(基本殴って解決)必須 -- (名無しさん) 2012-05-26 23 38 18 一方通行はソーナンスもありだと思う -- (名無しさん) 2012-06-02 09 56 49 こんなlevel5チームは? 一方・・・サザンドラ(黒翼、あくのはどう、リフレクター(反射)) 帝督・・・フロストロトム(冷蔵庫) 美琴・・・ジバコイル(電磁砲、ミラーショット(砂鉄)) 麦野・・・ポリゴンZ(色んなビーム) 食峰・・・サーナイト(心読める、見た目) 軍覇・・・リングマ(根性、空元気、きあいパンチor気合い玉(すごいパーンチ)、オーラ) 格闘に弱い・・・。 -- (名無しさん) 2012-07-26 20 53 58 吹寄は「フキヨセ」ジムリーダーの切り札で特性はとむねのスワンナがいいと思う -- (名無しさん) 2012-07-27 17 25 09 上条さんは相性的にヌケニンもよろしくない? -- (名無しさん) 2012-07-29 20 09 11 あと上条さんにアブソルは? 特性は正義の心で技にマジックコート(効果が幻想殺しっぽい)で。 分類も災いポケモンだし 間違っても特性強運はダメですよw -- (名無しさん) 2012-08-11 16 43 07 アレイスターはアルセウスかな 流星群持ちの -- (名無しさん) 2012-08-16 00 51 26 神裂はエルレイドでもいいのでは。 -- (名無しさん) 2012-08-26 15 32 00 エンテイをステイルでも良くないか?不遇な炎使いってことでwww -- (名無しさん) 2013-09-20 20 40 51 外見年齢で3段階なら美琴はライチュウよりはピカチュウじゃね? 妹達を色違いで揃えるとか -- (名無しさん) 2013-09-27 16 45 18 一方通行はメガアブソルでどうでしょう? メガシンカで翼も生えますし。ダークヒーローの要素を持ってますし。 夢特性せいぎのこころ→メガシンカ後の特性マジックミラー 夢特性だとカウンターが使えなくなるのが難点ですが、その辺は選択で。 -- (名無しさん) 2013-10-21 17 47 07 御坂美琴はサンダースでもいいと思う。 -- (名無しさん) 2014-01-19 22 41 14 上条さんにゴロンダは? 見た目が学ランっぽい 超能力(エスパー技)が効かない 特性かたやぶりで幻想殺し なかまづくりで上条勢力 技はアームハンマーやスカイアッパーなどパンチ系で -- (名無し) 2014-02-08 22 21 34 エイワスかオテイヌスにアルセウスじゃね? -- (名無しさん) 2014-02-14 16 32 03 キャーリサはあくうせつだん使えるパルキアかね -- (名無しさん) 2014-02-14 16 38 32 レディリー タングルロードはフラエッテかな? XYのエンディング見てみたら AZと一緒に最終兵器で不死身になった♀ポケじゃんw -- (名無しさん) 2014-06-18 18 02 26 オティヌスの方がアルセウスだろ、世界創造的な意味で -- (名無しさん) 2014-10-17 23 14 13 草案 サーナイト:黄泉川愛穂 -- (ユリス) 2014-11-29 14 58 19 初春にポリ系列とかどうよ -- (名無しさん) 2014-12-02 12 04 41 上条さんにハリーセンとかどう?(BW2のヒュウに何となく似ているので) -- (名無しさん) 2014-12-25 01 26 30 後方のアックアは個人的にダイケンキだと思う。 大剣使いで水魔法が得意なキャラだから。 -- (中二の一方通行) 2015-01-21 13 18 35 マフォクシー:ステイル=マグヌス 炎の魔術師で背が高くて似てるってか完璧にこれしかないだろ。 -- (中二の一方通行) 2015-02-20 22 51 41 サン・ムーン発売後、初春にキュワワーを追加してみては? -- (名無しさん) 2016-11-04 10 02 59 御坂美琴にインテレオン(攻撃モーションが似ている)…と言いたいが電気技を覚えないのが難点だよな。 -- (名無しさん) 2019-11-25 12 05 42 図鑑説明的には御坂にゴローニャ(アローラの姿)も良いかと。 てんじほうを覚えないのが難点だが… -- (名無しさん) 2020-07-04 16 49 42 草案 スリーパー:青髪ピアス -- (ユリス) 2020-07-05 20 07 18 キレイハナorシェイミorドレディアorキュワワーorヒメンカ:初春飾利 備考:かぜおこしorぼうふうには注意しよう。 -- (お星さまになったピィ) 2022-02-26 10 05 16 草案 キレイハナorシェイミorドレディアorキュワワーorヒメンカ:初春飾利 備考:かぜおこしorぼうふうには注意しよう。 -- (お星さまになったピィ) 2022-02-26 10 09 47
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全国一斉上琴テスト はーい! 用紙は後ろの席の人に回してくださいねー!まだ表側を捲っちゃダメですよー。テスト開始はチャイムが鳴ったらですからね。えー、今回のテストは、直接成績に響くことはありません。あくまでも 「上琴」 がどこまで世に浸透しているか、その調査のためなのです。ですが、あまりに点数が悪かった人には補習が待ってますので注意してくださいね。はいはい、ブーブー言わない。それではチャイムも鳴ったところで、テスト開始!なのです。Ⅰ 基本Ⅰ‐① 上琴とはなんですか? (5点)佐天ちゃんの回答 「二人がいちゃいちゃしてることですね!」はい、その通りですね。海原ちゃんの回答 「御坂美琴さんと上条当麻さんによる…ゴフッ! カップリングの名称ですね。 二次創作の世界でも人気のカップ…ガハッ! リングであり、 とりわけ、溝口ケージ氏の『いちゃいちゃレールガン』…グバッ! シリーズや、 七積ろんち氏の…ブフォッ! 『御坂美琴の失恋』などが有名です。…ボグファ!!!」ステマ込みの完璧な回答…なのですが、血を吐くほど辛いのなら無回答でもよかったのですよ?初春ちゃんの回答 「上イン、通行止め、浜滝、数テレ(木原数多×テレスティーナ)と人気を五分する有名なカプですね。 ちなみに私のオススメは土上なんですが、最近は上一もアリかなって思ってます。 (ただし上条さんはヘタレ攻め限定)」腐女子【ホモ好き】は帰りやがれなのです……いやちょっと待って!? 数テレって何ですかその斬新すぎるカップリング!?Ⅰ‐② 上琴病とはなんですか? (5点)ミサカちゃん(Sサイズ)の回答 「あの人とお姉様のカップリングを愛するあまり、パーソナルリアリティに影響が出ること! ってミサカはミサカはニコニコ大百科で得た知識をひけらかしてみる!」はい、正解です。冥土帰し先生の回答 「恋の病というヤツだね? こればっかりは医者でも治せないね?」不治の病、ということですね。木原(数)先生の回答 「要はアレだろ? ガキ共が乳繰り合ってんのを見て喜ぶ変態って意味だよなぁ!!」う、う~ん……まぁ、そうと言えなくも…いやでも……う~ん……… Ⅰ‐③ 上条ちゃんの口癖は? (2点)土御門(元)ちゃんの回答 「その幻想をぶち殺すぜい!」自分の口癖もうつっちゃってますが…まぁ正解ですね。垣根ちゃんの回答 「俺の『幻想殺し』に、その異能は通用しねえ」……ちょっと自分の口癖がうつりすぎちゃってますね。一方通行ちゃんの回答 「『まずはそのふざけた幻想をぶち殺す』『不幸だァァァ』『心に、じゃないですか』『自分のためだろ』 『それでも、お前があいつの友達だってのには変わりないだろ』 『アイツがこれからもずっと悪くあり続けなきゃいけないなんてルールは ――― 』」 (長いので以下割愛)何か怖い! 何でそんなに上条ちゃんに詳しいんですか! どんだけファンなんですか!!Ⅰ‐④ 御坂ちゃんの好きなモノは? (2点)ミサカちゃん(Mサイズ)の回答 「ゲコ太というカエルのキャラクターです、とミサカは回答します」正解です。ちなみに、パチ商品の「どっせいゲコ太郎」には要注意なのですよ。木原(円)ちゃんの回答 「うん、うん。分かってるよ涙子ちゃん。ここは『上条さん』って答えるのが本当の正解なんだよね」確かにそれは模範解答ですが……カンニングはしちゃいけないのですよ………白井ちゃんの回答 「ワタクシ!!!」寝言は寝てから言いましょう。Ⅰ‐⑤ 二人のニヤニヤエピソードを3つ答えてください。 (各2点)雲川(芹)ちゃんの回答 「偽デート、フォークダンス、罰ゲームだけど。 ちなみに、情報源についでは企業秘密だけど」雲川ちゃんはミステリアスなのです。五和ちゃんの回答 「おしぼりを渡しました。お料理も作りました。 い、一緒にレジャーお風呂にも行ったことあるんですから!!」それは、あなたと上条ちゃんのエピソードじゃ……オリアナさんの回答 「街中や川原、それから橋の上でも激しくしちゃったんでしょ? まぁ、他の人の視線があった方が興奮するものね。お姉さんも嫌いじゃないわ」いやいやいや!! あ、あなたが言うと全く違う意味になっちゃいますから!!!/// Ⅱ 歴史Ⅱ‐① 二人が出会ったきっかけを答えてください。 (3点)浜面ちゃんの回答 「大将のことだから、彼女が誰かに襲われてるのを助けたってとこじゃねーの?」ちょっと違いますが…おまけで ○ にしておきましょう。ミサカちゃん(Lサイズ)の回答 「ナンパでもされたんじゃない?」上条ちゃんの性格からして、それはないのですよ。吹寄ちゃんの回答 「上条のいつもの手口ですね!」手口……う~ん、まぁ……Ⅱ‐② 上条ちゃんが入院している時、御坂ちゃんは手作りの何をプレゼントしようとしたでしょう? (3点)姫神ちゃんの回答 「お弁当。手作りと言えば。やっぱりこれ」惜しい! 惜しいですよ~。オルソラちゃんの回答 「その幻想を、お殺しになるのでございます」……それは4問前の回答なのです………マリアンちゃんの回答 「生きてるテーブル」怖えぇよ!!!Ⅱ‐③ 8月31日に二人が食べたのは、2000円の何でしょう? (3点)シスターちゃんの回答 「ジャンボ地獄チャーハンかも!!」それは結局食べてないのですよ。麦野ちゃんの回答 「シャケ弁」…自分が今、食べたいモノではなくてですね……フレンダちゃんの回答 「結局サバ缶が最強って訳よ!」いや…だから………Ⅱ‐④ 大覇星祭の借り物競争で、御坂ちゃんが引いた指令書には何と書かれていたでしょう? (3点)土御門(舞)ちゃんの回答 「第一種目で競技を行った高等学生だぞー」その通りですね。正解なのです。神裂ちゃん(さん?)の回答 「恩…でしょうか」…確かにそれは返さなくちゃいけないモノですが……それが紙に書かれていても困りますよね……オーレイさんの回答 「お金。利子は勿論、十日で一割ね」爽やかな学園行事で、何ちゅうモン貸し借りさせようとしてんですか。Ⅱ‐⑤ 御坂ちゃんがハワイで買った物は、キューピッドアロー社製の何でしょう? (3点)黒夜ちゃんの回答 「あぁ~何だっけ!? ここまで出掛かってんだけど……なんとかリング……イカリングだっけ!?」そんなモン、近所のスーパーで買ってください。ウィリアムさんの回答 「学生の身分でエンゲージリングなど気が早いにも程があるである。 最近の若者は早熟と言われているであるが、そもそも性の乱れが ――― 」 (長いので以下割愛)堅い堅い!! 正論ではありますが正解ではないですよ! あと、エンゲージリングでもないですからね!?ショチトルちゃんの回答 「原典」買えるの!!?Ⅱ‐⑥ 0930事件を、「罰ゲーム」、「ツーショット」、「ゲコ太」の3つのキーワードを使って説明してください。 (5点)雲川(鞠)ちゃんの回答 「罰ゲームの名目で、上条当麻をデートに誘った御坂美琴。 カップル限定のゲコ太ストラップを入手するために、ツーショット写真を撮ることにも成功した。 自分のプライドを傷つけずに目的を達成する、見事な作戦と言えるな」大正解なのです! 雲川ちゃんもお見事ですよー。ヴェントちゃんの回答 「上条当麻殺害の名目で、学園都市に乗り込んだ私。 学園都市を制圧するために、敵意で満たし天罰術式も成功した。 最終的にはローマ正教と学園都市を対立させ第三次世界大戦のきっかけを作った、 見事な作戦と言えるわね」…それ、ガチな方の0930事件じゃないですか………キーワード1つも使ってないし………削板ちゃんの回答 「男は最後の力を振り絞り、気合と根性のツーショット弾を炸裂させ、 見事、怪物ゲコ太郎を粉砕したのだった!! ゲコ太郎 『バ…バカな……この俺が…貴様ごときに……ぐふっ………』 男 『あばよ…あの世で罰ゲームでも受けるんだな……』」………もう、回答が異次元すぎて、どうツッコめばいいかも分からないのですよ……… Ⅲ 創作 次の二人の会話にセリフを入れて、台本形式のSSを完成させてください。 (30点)上条 「おーい美琴! ちょっとこの後 ( A ) ?」美琴 「えっ…いいけど、珍しいわね。アンタが ( B ) なんて」上条 「まぁ、今日は ( C ) だからな! たまにはこんなこともありますよ」美琴 「じゃあ ( D ) してくるから、ちょっと待ってて」上条 「わざわざ ( E ) するのか?」美琴 「 ( F ) ! ( G ) なんだから!!」上条 「…… ( H ) 。 そのかわり ( I ) ?」美琴 「 ( J ) !?」上条 「 ( K ) 」絹旗ちゃんの回答 「A:超映画を観に行きませんか B:B級ホラーに興味持つ C:半額デー D:超制服に着替え E:そのために帰宅 F:そうですよ G:学生割ならさらにお安くなって超お得 H:仕方ないですね。超待っててあげます I:ジュース奢ってくれますか J:何でですか K:高校生は中学生より、割引額が超少ないのです」ちょっといちゃいちゃ度が少ないので、23点ってところですかね。泡浮ちゃんの回答 「A:乗馬でも如何ですか B:お誘いになられる C:とても良いお天気 D:お弁当を用意 E:御坂様が直々にお作り F:勿論ですわ G:折角のおデートですもの。女性は愛する殿方のためなら、どんな事でもしたくなるもの H:御坂様からそんなに想われているなんて、とても光栄ですね I:僕からも一言だけ宜しいですか J:何でしょう K:僕も御坂さんの事を愛しています」若干二人の設定に違和感は残りますが…いちゃいちゃいていたのでいいでしょう! 30点満点なのです!リドヴィアさんの回答 「A:十字教に入れてくれませんか B:科学という異教を捨てる覚悟ができたのですね。素晴らしいことです C:私は目が覚めましたので D:洗礼の準備をいたしましょう E:私などのために聖水を用意してくださるので? F:勿論ですので G:例え元異教徒であっても、哀れな子羊には変わりありません。神は全てにおいて平等ですので H:あぁ…生きていて良かった I:これで私も救われるのですね J:貴方も是非! K:十字教へ!」はい、0点です。 会話も繋がってないし。Ⅳ 考察Ⅳ‐① 二人が今一つうまくいかないのは何故でしょう? (15点)建宮さんの回答 「そりゃもう、上条当麻が鈍すぎるのが悪いのよ! ヤツには少し乙女心ってモンを勉強してほしいのよな!」まさしくその通り!木山先生の回答 「主に彼女の性格に問題があるのではないかな。まずはツン…ツン……ツンドラ?を治すべきだろうね」そうですね。 でもツンドラではないのですよ。フィアンマさんの回答 「全てこの世界が悪いのさ。だから俺様が救ってやるよ」いやいやいや!! また戦争ふっかける気ですか貴方はっ!!!Ⅳ‐② ではどうすれば二人の距離が縮まるか、考えてください。 (15点)テッラさんの回答 「ツンを下位に、デレを上位に」そうですね。御坂ちゃんが素直にならないとですね。木原(病)先生の回答 「諦めればいいのです」よくねーです。結標ちゃんの回答 「彼があと、5~6年若返ればいいと思う」それは結標ちゃんの願望なのです。女性がみんなショタ好きだと思ったら大間違いですよー?……ま、まぁ先生も若い子は嫌いではありませんが……… はい! 終~了~。最後に点数の高かった人の上位グループと、低かった人の下位グループを発表して終わろうと思います。高かった人は鼻高々に、低かった人はよ~く反省してくださいね。よろしいですか? まずはよく頑張りました!ベスト5です。 一位 一方通行 101点 (問Ⅰ‐③の回答が詳しく書かれていたため、特別に+1点) 二位 海原光貴 98点 (テスト中に吐血した量0.4ℓ) 三位 ミサカ10032号 95点 三位 ミサカ10033号 95点 三位 ミサカ10034号 95点 (以下、ミサカ20000号まで全員95点)やっぱり二人に近い人が高得点を出したみたいですね。それと海原ちゃんは、この後ちゃんと病院に行くのですよ?さてさてお次は、残念でした!ワースト5なのです。(下から数えて) 五位 削板軍覇 7点 一位 青髪ピアス 0点 (小萌の補習を受けたいので白紙) 一位 木原円周 0点 (カンニングが発覚したため) 一位 御坂美琴 0点 (一問目から 「ふにゃー」 したため白紙) 一位 上条当麻 0点 (ナチュラルに全問不正解)はい! というわけで、上琴テストはここまでなのですよ。みんなは何点取れましたか? 勿論100点ですよね!それでは! またいつかお会いしましょうなのです~。あ、それと上条ちゃんには大事な話があるので、後で職員室に来るように。 お ま け ヽ、 、 、 、 \ ヽ { ヽ、 \ ヽ ヽ ヽ 、 ‐- 、ヽ \ \ ヽヽ \\ヽ \\ `゙ ミ ヽ \ \ \ \ ヽ \ lヽ、 __>ミ \ ヽ ヽ ヽ ヽ ! ハヽ― = 二 \ \ l } |、 >--== ミ 、`ヽ ヽ、\ ! // / ト、_ ̄>三二 ミ、 ,、ゝ‐- 、 |r-、/ / | 二` ミ- _ ヽ/ - 、 ` ヽ / // }/ ―= ニ ― ニ .〉,ィ‐- 、__,〉 _,, 〉 ///-. 、. _ 優 ‐ '" ヽ三 _ /〈 弋エヽ ヽ /ィェュ}.|//// `゛ ' -. .,, 先 \ミ.二 _彡, -、} /´' } l`ヽ 〉 // .`ヽ す ヽ-=ニ__ '" { ヾ `ヽ ィ ヘ / 〉彡' / | る。 `メ‐ '' ~ ヽ、lイ } _,z孑于テミx、Yr'´ ./ | .ノ//ィ _ヽ! 弋二二二二{/ _ >'" |  ̄ ` ― l\  ̄  ̄  ̄ { > ''" | ̄ " ' ― _ _ | `> -- ‐ '"_ ― ''"´ ツ \ 二 二 二 二 / ン __ _ . . -‐''" ` ‐--.、 デ を. /´ 、 ~ ‐ _ ./\ `‐-、 レ 下 / 、 ヽ \ ヽ \ 〉 } 〉 を 位./ \ ヽ ヽ .〉{ l / ヽ、 上 に、' ∧ ̄ > ''‐._ ./ ヽ―‐''" \― !/ ∧ 位 l ∠二 _ ,.x-‐‐ 、 / ̄ \__\.| / ∧ に / | | } | | }/ / | \ /. \ >. /i /. 丶、 ,... ´ /. / | ハ / ! /. >  ̄ ̄/. /l/ >| / | iハ i / j/ハ /! < ち /. .イ / でうラ'ヘ`} ト ∧ l /厶イ´. ∨ | \ー―一 ょ ー‐ァ. { 厶イ ハ/ `ニ ノ. jノ. 八/. 'でうラヽ/. | \ っ /___ ∧ (|/ 〈 //. ー一'. j/! \ ̄ 何 と /. ハ ∧ \ / { / ̄ ̄\ / } 「 ̄ 言 ∠ 八 . \ / } j\ /. / ∧ハ| 分 っ 厶イ ーヘ ´/ノ. \_/. /イ } か て ノイ /i ハ { ∧丿 ん ん |/ | |\ , -‐=' 、 / な の x≦ハ| \ ー‐. / い か / ∨//| \ `7. .イ\ っ / ∨/j \ \ ; . .< '///\ ス / ∨′ \  ̄ '/////⌒ヽ、 / >x .、 \ {'/////////\
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(二日目)12時00分 第一二学区。 学園都市で最も神学系の学校が集まっている学区。その修学内容は、実際にあるオカルト的なものではなく、科学的な面からアプローチしたもの。一つの通りに各種宗教施設が並び、非常に他国籍な雰囲気の街並みが並ぶ学区である。 正午を回ったというのに通りに人は誰もいなかった。 音もなく、声もなく、ただ風の音だけが空しく響いている。 車が通らない道路の中心を、一人の少年が歩いていた。 逆立った髪を風に靡かせ、右手をズボンのポケットに入れている。 制服の黒ズボン。黒の皮靴。白のワイシャツの胸元から見える赤のシャツとピンクゴールドアクアマリンのネックレス。 彼の背中に見えるのは、荒野と化した第二三学区の惨状だった。 彼はふと、足を止めた。 そこは交差点のど真ん中だった。近くには歩道橋があり、周囲には高層ビルが立ち並んでいる。歩道に植林された木々がは風で揺れていた。 『魔神』は薄く口を開いた。 「出てこい。余には隠し通せぬぞ。いくら小賢しい『魔術(ゆうぎ)』をしたところで何も変わらぬ」 ヒュン! 風の刃が『魔神』を目掛けて襲いかかった。弾丸に匹敵する、音速を超えた速度。 人であろうが鉄であろうが触れたもの全てを切り裂いてしまう刃であり、人間の反射速度を超えた不可避の斬撃。 しかし。 『魔神』に直撃する前に、それは『消滅』した。 コンクリートの道に一つの線を描き、その線の先が『魔神』の足元で止まった。 一瞬遅れて風が吹き、『魔神』の黒髪を靡かせる。『魔神』は指一本たりとも動かしていなかった。動かしたのは視線だけだった。 漆黒の眼に人影をとらえた。風の刃の先から、二人の人間が歩いてくる。 一人は長い黒髪を揺らし、左右非対称の衣装を身に纏った、刀を梓える長身の女性。 もう一人は、白と黒のコントラストの服を着た、『海軍用船上槍(フリウリスピア)』を持つ、二重瞼でショートカットの女性。 二人は歩調を緩めることなく『魔神』に近付いてきた。その二人に倣うように、周囲から統一性の無い服装をした老若男女が現れ始めた。手にはその格好に相応しくない武器を所持していた。剣や斧、槍といった武装で、その派生も古今東西多種多様である。 彼らに共通することは一つ。眼前にいる『魔神』に矛先が向けられているということである。 「此処から先は行かせませんよ。上条当麻。いや、ドラゴン」 言葉と同時に鞘から澄み切った刃が引き抜かれる。ブーツが地面を強く踏み締める音がした。同じくして、隣に連れ添っていた女もその場で足を止めた。貴金属が揺れ、小さく音が響く。 「…聖人か」 「神裂火織。若輩ながら天草式の長を務めています」 『魔神』と視線が交差した。神裂の表情に怒りは無いが、強い敵意が込められていることは感じられた。刀身が日差しを反射し、煌びやかに輝く。 「それとお前は…たいそう上条に惚れ込んでいる女だな」 「貴方に覚えてもらえるなんて光栄ですね。改めてはじめまして。建宮亡き後、天草式の副官は私です」 笑顔で『魔神』に返事をした少女だったが、その表情の下に隠れている殺気は隠せていない。 「お主は余の力が分らぬ愚か者ではなかろう。なぜそのような愚行を冒す?」 「人には、死ぬとわかっていても譲れぬ道があります」 「『今』が、その刻(とき)であると抜かすか。聖人」 返事は無い。 これ以上の会話は不要だと感じたのだろう。神裂の目が鋭くなり、腰を低くして構えたと同時に周囲の空気が張り詰めた。『魔神』が周囲を見渡すが、五〇人程度の人間が一斉に牙をむいた。いつ、彼らが動き出してもおかしくは無い。 『魔神』の顔が不敵に歪む。 「余は少々気分が良い。好きなだけかかってくるがよい。まあ、飽きれば殺すがな」 「そんな挑発には乗りませんよ。ドラゴンさん。さっさと当麻さんを返してもらいますから」 冷めた瞳で『海軍用船上槍(フリウリスピア)』を左手に持ち替える五和。 『魔神』はその行動の意図するところに思考を巡らせようとしたが、あえて無視した。それくらいの無対策でなければ彼にカタルシスは味わえない。 天草式が『魔神』を取り囲むように陣形を立てた。 『魔神』は、右手をかざした。 同時刻。 第七学区のとある場所に御坂美琴と白井黒子は訪れていた。 建設途中の大型ショッピングモールの私有地である。一般人には分厚い壁で覆われていて中を見ることはできないが、二人は『空間移動(テレポート)』で何なく侵入した。クレーンや大型車。木材や鉄筋が彼方此方に並べてあり、足元も土や泥で汚れている。鉄筋骨格の隙間から差し込んでくる日光が弱く、日中だというのに周囲は夕方のような明るさであった。 御坂美琴は首をかしげながら携帯電話を見つめていた。白井黒子も自分の携帯電話を見つめながら御坂美琴に話しかけていた。 「あれー?おっかしいなー。指定された合流ポイントはここで間違いないんだけど…」 「…確かに、ここですわね。わたくしたちのいる場所と一致してますし、座標も狂いは無いですわ」 「何の応答も無いってどういうことよ」 「やはり間違っているのではありませんか?お姉様。あの当麻さんの計画なんですし、お得意の『不幸』で今回も…」 「それは無いわ。だってこの計画の準備は『ジョーカー』のブレインが担当してるんだもの。万が一よりも間違いは無いわ」 「そうだったのですか。ならばここで間違いはありませんわよね」 その話を聞いた白井黒子は携帯を閉じて、近くにあった鉄筋に腰を下ろした。ツインテールを結わえているリボンを整え始めた。白井黒子の冷静ぶりが癇に障ったのか、時間が惜しいと痺れを切らし、御坂美琴は大声を上げた。彼女のマントが大きく靡く。 「隠れてるんなら出てこーい!!こっちは時間が無いんだからー!!」 近くで、ドサッ、と何かが倒れる音がした。その方向に目を向けると、白井黒子が鉄筋に寄りかかって倒れていた。 その近くには右手にハンカチを持ったミサカがいた。常盤台の制服は着ておらず、ジーンズにブラックとイエローのバスケットシューズ。男が舌を出している絵の入ったプリントシャツ。半袖の紺のジャケットに三日月型のシルバーネックレス。一年前の御坂美琴のショートカットの髪型をしており、可愛いガラのドクロマークのヘアピンで前髪を留めている。笑顔満点の顔で、御坂美琴と同じ声で喋った。 「んーひっひっひっー♪成功成功♪意外に簡単だったわね!実はミサカ、スパイの才能があったりしてー♪」 その姿を見た御坂美琴は、ブチッと何かがキレた。 「ゼロォォォオオオ!アンタ何してんのよおおおおおおおお!!」 彼女に青白い電撃の槍が飛んだ。 しかし、彼女は超人的な身体能力で3メートルほど飛びあがって、御坂美琴の電撃を回避した。 「うわっ!?姉貴、ビリビリやめてよおお!ミサカ、『無能力者(レベル0)』なんだから!」 「フンッ!本当に面倒ね!アンタの『体内電気(インサイドエレクトロ)』は!でも覚悟しなさい!!いくら当麻に対して無敗でも私には勝てないでしょ!!」 御坂美琴は右手に最大電圧である17億ボルトの電気を込めると、標的を彼女に向けた。 それを見たミサカは笑顔をから一転、涙目になって弁明を始めた。 「ちょ、ちょっと待ってよ姉貴!イタズラじゃないんだって!これ…」 「問答無用!」 ズドン!! 一瞬、周囲が光に包まれた。 鉄筋に当たった電撃が四方八方に流れていき、青白い光があちこちに飛び交っていく。一帯に埃が舞い上がった。御坂美琴はマントで白井黒子と一緒に煙を回避すると、眠っている白井黒子を壁に寄りかからせて、バランスを崩して地面に尻もちをついているミサカに迫った。黒のマントが揺れる。髪を逆立てたミサカは体中を震わせながら、御坂美琴を見上げていた。頭をバチバチと帯電させながら極上の笑顔で御坂美琴は言った。 「…遺言は?」 「殺す気!?殺す気ですか姉貴!?ミサカがちゃっかり当麻さんのベッドに潜り込んでた鬱憤をここで晴らす気ですか!?それならミサカ一〇〇三二号のほうがミサカより圧倒的に…」 「そう、それが遺言ね♪」 絶句するミサカ。 しかし、彼女たちの会話は唐突に後ろからかけられた声により中断させられた。 常盤台の制服を着た、今の御坂美琴と瓜二つのミサカによって。 「白井黒子への対処は私の指示です、とミサカ一〇〇三二号はミサカ『00000号(フルチューニング)』に対する処罰は私にあると事後報告してみます」 「遅っ!それに腹黒っ!」 ミサカ『00000号(フルチューニング)』がもう一人のミサカに即座に突っ込んだ後、ギロリと御坂はミサカ一〇〇三二号を睨みつけた。頭のバチバチはまだ収まっていない。口元を引きつらせながら、ミサカ一〇〇三二号に言葉を返す。 「どおういうことか、キッチリ説明してもらいましょうかぁ?」 その表情を見たミサカは大きなため息をつきながら『お姉様(オリジナル)』に返事をした。一年の月日を得て、間近で見ても区別がつかないほどまでに彼女の表情は豊かなになっている。彼女はゴーグルを外す。 「今から目の当たりにする光景に彼女は発狂する恐れがあるため、不測の事態に備えて眠ってもらっただけです、とミサカは嘘偽りなくお姉様に素直に白状します」 カッとなった御坂美琴はミサカ一〇〇三二号に掴みかかろうとしたが、周囲から聞こえる足音にその衝動を抑えた。 それも一つや二つではない。何十、何百の足音が鳴り響く。今まで気づかなかったことに恐怖を覚えるほどに。 周囲の柱や、四方八方から同じ顔をした少女が現われた。常盤台の制服を着た少女たち。顔立ちは同じだが、よくよく見ると一人一人異なる特徴がある。ショートヘアーであったり、ロングヘアーだったり、ポニーテールであったり、ツインテールであったり、前髪を留めているヘアピンのデザインが異なっていたり。 しかし、それ以外はゴーグルとアサルトライフルを装備した女子生徒に変わりは無い。 後ろから声が聞こえた。 「先ほどの電撃はいただけませんね、とミサカ一〇〇三三号は逆立った髪をなでながらお姉様に小言をいいます」 「白井黒子も連れてきたのですか、とミサカ一六七三二号は少し冷ややかな態度を隠して迎えます」 「その意見には賛同しますが全く隠せていません、とミサカ一九九九九号は更に冷ややかな態度で突っ込みます」 「銃の手入れは大丈夫ですか、とミサカ一一一九四号は予備マガジンを確認しながら皆に確認を取りたいと思います」 「レーザーサイトの標準誤差が無視できないレベルとミサカ一八九七〇号は現在調整中だと報告します」 「いつでも出撃可能だ、とミサカ一四七一一号は自信満々で初弾を装填後、マガジンを取り付けます」 「むっ。このチーズケーキは中々美味だとミサカ一一五六二号は隠れフェイバリットを発見したと主張します」 「いえ、こちらのチョコケーキも侮れないとミサカ一二三七七号は対抗心丸出しで主張します」 「こんな時にケーキを食べているのですか、とミサカ一五〇〇〇号は即席ラーメンを食べながら小言を吐きます」 「飲食をやめなさい、とミサカ一七七七五号は肥満を懸念しつつも呆れながら忠告します」 「今、避けられない睡魔が襲ってきました、とミサカ一〇六二八号は欠伸をしつつ声を震わせながら呟きます」 「そういう時はこのチューイングガムがお勧めです、とミサカ一三五八五号はさりげなく言ってみます」 「予想より30分ほど遅いのでは、とミサカ一五〇八七号は予想が外れたことに少し残念がってみます」 「長時間座りすぎてお尻が痛くなった、とミサカ一九〇九〇は若干の不満を隠さずにグチります」 そして、御坂美琴の視界が自分と同じ顔をした少女たちに埋め尽くされた頃、 一人のミサカが『お姉様(オリジナル)』に一歩前に出て、膝をついた。 右手を左肩に添えて、頭を垂れる。 その瞬間、彼女たちに物音ひとつ聞こえない静寂が訪れた。 それはまるで、王に仕える騎士たちの円卓。 「お待ちしておりました。お姉様。とミサカ一〇〇三二号は『妹達(シスターズ)』五九四七名を代表してここに宣言します」
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(二日目)12時00分 第一二学区。 学園都市で最も神学系の学校が集まっている学区。その修学内容は、実際にあるオカルト的なものではなく、科学的な面からアプローチしたもの。一つの通りに各種宗教施設が並び、非常に他国籍な雰囲気の街並みが並ぶ学区である。 正午を回ったというのに通りに人は誰もいなかった。 音もなく、声もなく、ただ風の音だけが空しく響いている。 車が通らない道路の中心を、一人の少年が歩いていた。 逆立った髪を風に靡かせ、右手をズボンのポケットに入れている。 制服の黒ズボン。黒の皮靴。白のワイシャツの胸元から見える赤のシャツとピンクゴールドアクアマリンのネックレス。 彼の背中に見えるのは、荒野と化した第二三学区の惨状だった。 彼はふと、足を止めた。 そこは交差点のど真ん中だった。近くには歩道橋があり、周囲には高層ビルが立ち並んでいる。歩道に植林された木々がは風で揺れていた。 『魔神』は薄く口を開いた。 「出てこい。余には隠し通せぬぞ。いくら小賢しい『魔術(ゆうぎ)』をしたところで何も変わらぬ」 ヒュン! 風の刃が『魔神』を目掛けて襲いかかった。弾丸に匹敵する、音速を超えた速度。 人であろうが鉄であろうが触れたもの全てを切り裂いてしまう刃であり、人間の反射速度を超えた不可避の斬撃。 しかし。 『魔神』に直撃する前に、それは『消滅』した。 コンクリートの道に一つの線を描き、その線の先が『魔神』の足元で止まった。 一瞬遅れて風が吹き、『魔神』の黒髪を靡かせる。『魔神』は指一本たりとも動かしていなかった。動かしたのは視線だけだった。 漆黒の眼に人影をとらえた。風の刃の先から、二人の人間が歩いてくる。 一人は長い黒髪を揺らし、左右非対称の衣装を身に纏った、刀を梓える長身の女性。 もう一人は、白と黒のコントラストの服を着た、『海軍用船上槍(フリウリスピア)』を持つ、二重瞼でショートカットの女性。 二人は歩調を緩めることなく『魔神』に近付いてきた。その二人に倣うように、周囲から統一性の無い服装をした老若男女が現れ始めた。手にはその格好に相応しくない武器を所持していた。剣や斧、槍といった武装で、その派生も古今東西多種多様である。 彼らに共通することは一つ。眼前にいる『魔神』に矛先が向けられているということである。 「此処から先は行かせませんよ。上条当麻。いや、ドラゴン」 言葉と同時に鞘から澄み切った刃が引き抜かれる。ブーツが地面を強く踏み締める音がした。同じくして、隣に連れ添っていた女もその場で足を止めた。貴金属が揺れ、小さく音が響く。 「…聖人か」 「神裂火織。若輩ながら天草式の長を務めています」 『魔神』と視線が交差した。神裂の表情に怒りは無いが、強い敵意が込められていることは感じられた。刀身が日差しを反射し、煌びやかに輝く。 「それとお前は…たいそう上条に惚れ込んでいる女だな」 「貴方に覚えてもらえるなんて光栄ですね。改めてはじめまして。建宮亡き後、天草式の副官は私です」 笑顔で『魔神』に返事をした少女だったが、その表情の下に隠れている殺気は隠せていない。 「お主は余の力が分らぬ愚か者ではなかろう。なぜそのような愚行を冒す?」 「人には、死ぬとわかっていても譲れぬ道があります」 「『今』が、その刻(とき)であると抜かすか。聖人」 返事は無い。 これ以上の会話は不要だと感じたのだろう。神裂の目が鋭くなり、腰を低くして構えたと同時に周囲の空気が張り詰めた。『魔神』が周囲を見渡すが、五〇人程度の人間が一斉に牙をむいた。いつ、彼らが動き出してもおかしくは無い。 『魔神』の顔が不敵に歪む。 「余は少々気分が良い。好きなだけかかってくるがよい。まあ、飽きれば殺すがな」 「そんな挑発には乗りませんよ。ドラゴンさん。さっさと当麻さんを返してもらいますから」 冷めた瞳で『海軍用船上槍(フリウリスピア)』を左手に持ち替える五和。 『魔神』はその行動の意図するところに思考を巡らせようとしたが、あえて無視した。それくらいの無対策でなければ彼にカタルシスは味わえない。 天草式が『魔神』を取り囲むように陣形を立てた。 『魔神』は、右手をかざした。 同時刻。 第七学区のとある場所に御坂美琴と白井黒子は訪れていた。 建設途中の大型ショッピングモールの私有地である。一般人には分厚い壁で覆われていて中を見ることはできないが、二人は『空間移動(テレポート)』で何なく侵入した。クレーンや大型車。木材や鉄筋が彼方此方に並べてあり、足元も土や泥で汚れている。鉄筋骨格の隙間から差し込んでくる日光が弱く、日中だというのに周囲は夕方のような明るさであった。 御坂美琴は首をかしげながら携帯電話を見つめていた。白井黒子も自分の携帯電話を見つめながら御坂美琴に話しかけていた。 「あれー?おっかしいなー。指定された合流ポイントはここで間違いないんだけど…」 「…確かに、ここですわね。わたくしたちのいる場所と一致してますし、座標も狂いは無いですわ」 「何の応答も無いってどういうことよ」 「やはり間違っているのではありませんか?お姉様。あの当麻さんの計画なんですし、お得意の『不幸』で今回も…」 「それは無いわ。だってこの計画の準備は『ジョーカー』のブレインが担当してるんだもの。万が一よりも間違いは無いわ」 「そうだったのですか。ならばここで間違いはありませんわよね」 その話を聞いた白井黒子は携帯を閉じて、近くにあった鉄筋に腰を下ろした。ツインテールを結わえているリボンを整え始めた。白井黒子の冷静ぶりが癇に障ったのか、時間が惜しいと痺れを切らし、御坂美琴は大声を上げた。彼女のマントが大きく靡く。 「隠れてるんなら出てこーい!!こっちは時間が無いんだからー!!」 近くで、ドサッ、と何かが倒れる音がした。その方向に目を向けると、白井黒子が鉄筋に寄りかかって倒れていた。 その近くには右手にハンカチを持ったミサカがいた。常盤台の制服は着ておらず、ジーンズにブラックとイエローのバスケットシューズ。男が舌を出している絵の入ったプリントシャツ。半袖の紺のジャケットに三日月型のシルバーネックレス。一年前の御坂美琴のショートカットの髪型をしており、可愛いガラのドクロマークのヘアピンで前髪を留めている。笑顔満点の顔で、御坂美琴と同じ声で喋った。 「んーひっひっひっー♪成功成功♪意外に簡単だったわね!実はミサカ、スパイの才能があってりしてー♪」 その姿を見た御坂美琴は、ブチッと何かがキレた。 「ゼロォォォオオオ!アンタ何してんのよおおおおおおおお!!」 彼女に青白い電撃の槍が飛んだ。 しかし、彼女は超人的な身体能力で3メートルほど飛びあがって、御坂美琴の電撃を回避した。 「うわっ!?姉貴、ビリビリやめてよおお!ミサカ、『無能力者(レベル0)』なんだから!」 「フンッ!本当に面倒ね!アンタの『体内電気(インサイドエレクトロ)』は!でも覚悟しなさい!!いくら当麻に対して無敗でも私には勝てないでしょ!!」 御坂美琴は右手に最大電圧である17億ボルトの電気を込めると、標的を彼女に向けた。 それを見たミサカは笑顔をから一転、涙目になって弁明を始めた。 「ちょ、ちょっと待ってよ姉貴!イタズラじゃないんだって!これ…」 「問答無用!」 ズドン!! 一瞬、周囲が光に包まれた。 鉄筋に当たった電撃が四方八方に流れていき、青白い光があちこちに飛び交っていく。一帯に埃が舞い上がった。御坂美琴はマントで白井黒子と一緒に煙を回避すると、眠っている白井黒子を壁に寄りかからせて、バランスを崩して地面に尻もちをついているミサカに迫った。黒のマントが揺れる。髪を逆立てたミサカは体中を震わせながら、御坂美琴を見上げていた。頭をバチバチと帯電させながら極上の笑顔で御坂美琴は言った。 「…遺言は?」 「殺す気!?殺す気ですか姉貴!?ミサカがちゃっかり当麻さんのベッドに潜り込んでた鬱憤をここで晴らす気ですか!?それならミサカ10032号のほうがミサカより圧倒的に…」 「そう、それが遺言ね♪」 絶句するミサカ。 しかし、彼女たちの会話は唐突に後ろからかけられた声により中断させられた。 常盤台の制服を着た、今の御坂美琴と瓜二つのミサカによって。 「白井黒子への対処は私の指示です、とミサカ10032号はミサカ『00000号(フルチューニング)』に対する処罰は私にあると事後報告してみます」 「遅っ!それに腹黒っ!」 ミサカ『00000号(フルチューニング)』がもう一人のミサカに即座に突っ込んだ後、ギロリと御坂はミサカ10032号を睨みつけた。頭のバチバチはまだ収まっていない。口元を引きつらせながら、ミサカ10032号に言葉を返す。 「どおういうことか、キッチリ説明してもらいましょうかぁ?」 その表情を見たミサカは大きなため息をつきながら『お姉様(オリジナル)』に返事をした。一年の月日を得て、間近で見ても区別がつかないほどまでに彼女の表情は豊かなになっている。彼女はゴーグルを外す。 「今から目の当たりにする光景に彼女は発狂する恐れがあるため、不測の事態に備えて眠ってもらっただけです、とミサカは嘘偽りなくお姉様に素直に白状します」 カッとなった御坂美琴はミサカ10032号に掴みかかろうとしたが、周囲から聞こえる足音にその衝動を抑えた。 それも一つや二つではない。何十、何百の足音が鳴り響く。今まで気づかなかったことに恐怖を覚えるほどに。 周囲の柱や、四方八方から同じ顔をした少女が現われた。常盤台の制服を着た少女たち。顔立ちは同じだが、よくよく見ると一人一人異なる特徴がある。ショートヘアーであったり、ロングヘアーだったり、ポニーテールであったり、ツインテールであったり、前髪を留めているヘアピンのデザインが異なっていたり。 しかし、それ以外はゴーグルとアサルトライフルを装備した女子生徒に変わりは無い。 後ろから声が聞こえた。 「先ほどの電撃はいただけませんね、とミサカ11563号は逆立った髪をなでながらお姉様に小言をいいます」 「白井黒子も連れてきたのですか、とミサカ16732号は少し冷ややかな態度を隠して迎えます」 「その意見には賛同しますが全く隠せていません、とミサカ19999号は更に冷ややかな態度で突っ込みます」 「銃の手入れは大丈夫ですか、とミサカ11194号は予備マガジンを確認しながら皆に確認を取りたいと思います」 「レーザーサイトの標準誤差が無視できないレベルとミサカ18970号は現在調整中だと報告します」 「いつでも出撃可能だ、とミサカ14771号は自信満々で初弾を装填後、マガジンを取り付けます」 「むっ。このチーズケーキは中々美味だとミサカ12376号は隠れフェイバリットを発見したと主張します」 「いえ、こちらのチョコケーキも侮れないとミサカ12377号は対抗心丸出しで主張します」 「こんな時にケーキを食べているのですか、とミサカ15000号は即席ラーメンを食べながら小言を吐きます」 「飲食をやめなさい、とミサカ17775号は肥満を懸念しつつも呆れながら忠告します」 「今、避けられない睡魔が襲ってきました、とミサカ10628号は欠伸をしつつ声を震わせながら呟きます」 「そういう時はこのチューイングガムがお勧めです、とミサカ13585号はさりげなく言ってみます」 「予想より30分ほど遅いのでは、とミサカ15087号は予想が外れたことに少し残念がってみます」 「長時間座りすぎてお尻が痛くなった、とミサカ19090号は若干の不満を隠さずにグチります」 そして、御坂美琴の視界が自分と同じ顔をした少女たちに埋め尽くされた頃、 一人のミサカが『お姉様(オリジナル)』に一歩前に出て、膝をついた。 右手を左肩に添えて、頭を垂れる。 その瞬間、彼女たちに物音ひとつ聞こえない静寂が訪れた。 それはまるで、王に仕える騎士たちの円卓。 「お待ちしておりました。お姉様。とミサカ10032号は『妹達(シスターズ)』5947名を代表してここに宣言します」
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――#1 とある秋風の休日模様 ~10月中旬 第7学区 いつものファミレス~ 白井 「婚后さんは無事出発致しましたわね」 番外個体 「今朝見送ったから。もう着いてるんじゃないかな」 結標 「まさか。ロンドンよ? どれだけかかると思ってるのよ」 絹旗 「……私の見間違いじゃなければ、婚后さんが乗ったのって超超音速旅客機ですよね」 滝壺 「超は一個でいいよ」 白井 「音速? ということは、すごく速いということですか?」 番外個体 「ヴェネチアに一時間ちょいで到着できるオバケ飛行機だよ」 絹旗 「乗り心地が超最悪なんですよ。私もアメリカに行くのに乗ったことありますけど、 内臓ごと全部吐くかと思いました。もう金輪際乗りたくないですね」 結標 「……そんな絶叫マシーンに婚后さん積みこんで大丈夫なの?」 白井 「酔い止めの薬と飴ちゃんは渡しておきましたが」 番外個体 「意味ないんじゃないかな……」 絹旗 「一応電話してみますか」 滝壺 「こっちの携帯って海外でも使えるのかな」 白井 「多分無理かと。婚后さん携帯は国際ローミング非対応でしたし」 全員 「「「「「……」」」」」アチャー 絹旗 「ま、まあ、向こうについて超落ち着いたら連絡すると言ってましたし」 白井 「婚后さん、こんなときにやられ役体質を発揮しなくても……」 結標 「地味に非道いこと言ってるわね」 [[携帯電話]]<キミト デーアーッテカラー イークツモノ ヨルヲカタ-リーアカーシタ♪ 番外個体 「電話鳴ってるよ。誰?」 絹旗 「あ、私です……んぁ?」 白井 「どうかなさいましたの?」 絹旗 「なんですか、これ。番号通知が超空白なんですけど」 滝壺 「それたぶん国際電話」 絹旗 「お、てことは……もしもし?」ピッ ?? 『……』 絹旗 「……? もしもーし? あれ?」 結標 「何やってるのよ」 絹旗 「いや、超無言なんですよ。あの、もしもし?」 ?? 『ぐぇ』 絹旗 「!?」ゾゾゾ 滝壺 「きぬはた?」 絹旗 「いやぁぁぁ。超呪いの電話ですぅぅ。超着信ナシですぅぅ!」 結標 「着信ナシならいいじゃない」 ?? 『あ、あの……わたくしです……』 絹旗 「ひぃ!?」 番外個体 「あ、ヤバイ。絹旗さん泣きそう」 白井 「ちょっと貸してくださいまし。あの、もしもし?」 ?? 『はい……その特徴ある声は、白井さんですか……』 白井 「……婚后さん?」 婚后 『今、空港におりまして……到着したと報せようとしたのですが……』 白井 「え、ええ? もうそこまで到着しましたの?」 婚后 『酷い目に遭いましたわ……手短で申し訳ないのですが、少々休ませて頂きます……』 白井 「はい、是非そうなさってください。……はい、では失礼いたしますの」ピッ 番外個体 「で、どこの幽霊から?」 白井 「幽霊ではなく婚后さんですの」 絹旗 「はぇ? 婚后さん? でもホントに幽霊みたいな声でしたが」 白井 「なにやら衰弱しきっておりましたし」 結標 「やっぱり例の飛行機はダメだったみたいね」 白井 「今空港だそうで。とりあえずそこで休むそうですが」 番外個体 「ロンドンって今真夜中だよね。空港で夜を明かすつもりなのかな」 滝壺 「真夜中にフラフラするほうが危ないと思う」 結標 「だからって、空港で寝るのも無防備すぎない?」 白井 「外よりはマシ、という程度でしょうね」 絹旗 「タクシー使えばいいじゃないですか」 番外個体 「飛行機で磨り減った婚后さんにはトドメになっちゃうでしょ」 滝壺 「それに深夜だと別料金かかっちゃうし」 結標 (気にするのそこなの?) 絹旗 「超ちょっと心配になってきましたね……白井さん、ロンドンまで飛べますか?」 白井 「婚后さんは心配ですが、絹旗さんはふざけるなですの」 絹旗 「結標さ 「ムリよ」 絹旗 「(´・ω・`)」 ~その頃 ロンドン ヒースロー空港~ ???? 「まったく、失態だ。大失態だよ」カツカツ ???? 「日本時間で出発の時間は聞いてた。だからこっちには朝方に着くと思ってたのに」 ???? 「まさかロンドンまで1時間半で来るとは思わないだろうよ」 ???? 「さて、どこにいるのかしら」 婚后 「」ウトウト ???? 「……こいつか? 他に東洋人は見当たらないし」 婚后 「」ウトウト ???? 「ほら、起きな」 婚后 「はい……?」 ???? 「空港ロビーで微睡むなんて、タフなお嬢さんだ」 婚后 「……あ、あの、貴女は?」 シェリー 「シェリー・クロムウェル。こっちの側の担当者よ」 婚后 「シェリー・クロム……あっ、では貴女がクロムウェルさんですのね」 シェリー 「アンタが婚后さんでいいのかい」 婚后 「ええ、申し遅れましたが婚后光子と申します。滞在中はお世話になりますわ」ペコリ シェリー 「悪かったね。本当は出迎えの一つでもするつもりだったんだけど。こんな早く来ると思わなくてさ」ガシガシ 婚后 「それはわたくしも全くの想定外でした」 シェリー 「とりあえず移動するぞ。車は用意してあるから」 婚后 「あ、はい……あの、流暢な日本語をお話しになるのですね」 シェリー 「ん、まあ、仕事柄ね。アンタが望むならイングランドの片田舎風の英語でも話そうか?」 婚后 「それはわたくしにはハードルが……」 シェリー 「はっ、まあ気楽にやるこった」 婚后 「はい、そうさせて頂きます」 シェリー 「あ、それと」 婚后 「?」 シェリー 「もし身の危険を感じたら、すぐに私に言うように。いいな?」 婚后 「え……ええ、かしこまりました」 シェリー (……同じ轍は踏まない、踏ませない。そのために私はここにいるんだ) シェリー (騎士派の連中、何か仕出かしたら泥臭ぇ墓穴に沈めてやるからな) ~所戻って学園都市~ 白井 「……はい、そうでしたか。かしこまりましたの。では、失礼致します」ピッ 滝壺 「どうだって?」 白井 「一応向こうには出発時刻は伝えていたそうですの。ただ」 絹旗 「ただ?」 白井 「到着予定時刻は伝え漏れていたそうで、それは"先程"連絡したと」 結標 「先程って……向こう真夜中でしょ?」 番外個体 「非常識だよ、いくらなんでも」 絹旗 「でもまぁ、婚后さんが空港まで運び込まれたことは超伝わったんですよね」 白井 「結果論ですけどね」 滝壺 「……安心したらお腹空いた」 結標 「そろそろ店員さんの目が冷たくなってきてるしね。何か頼みましょうか」 絹旗 「え? ファミレスって水だけで5~6時間は超過ごせますよね?」 白井 「ダメに決まってますの!」 番外個体 「ツマミだされるよ。ていうかウチの店でそれやってみろ。ツマミだすから」 結標 「……ね、今ので思い出したんだけどさ」 番外個体 「ん?」 結標 「貴女、最近ショチトルに妙なこと教えてない?」 番外個体 「身に覚えはないね」 白井 「妙なことといいますと、結標さんを"お姉様"呼びして夜な夜な飛び掛かったりとか」 絹旗 「それを教えてるとしたら超白井さんじゃないですか」 滝壺 (何にしようかな)ペラペラ 結標 「貴女から護身術を教えてもらった、って話してたけど?」 番外個体 「あ、それ私だ」 白井 「淑女たるもの、自分の身ぐらいは自分で守れませんと」 絹旗 「えー、守ってくれる超強い人がいてもいいじゃないですか」 番外個体 「絹旗さんにはいらないじゃん。文字通りアイアンメイデンなんだから」 絹旗 「発電小町に言われたくないです」 滝壺 「」ポチットナ 白井 「でも、護身術なら変でもないのでは?」 結標 「中身の問題なのよ」 絹旗 「中身?」 番外個体 「だから、変なことなんか教えてないってば」 結標 「ドラゴンスクリューとか毒霧は護身術の範疇を超えてるでしょ」 絹旗 「毒霧て……」 白井 「大きいお姉様の意外な特技ですの」 番外個体 「元々は、うちの人とキスする瞬間にびっくりさせたくて覚えたんだけどね」ケラケラ 結標 「まさか、それやったの? アイツどんな顔してた?」 番外個体 「一回やったらメチャクチャ怒られたから封印推奨」 絹旗 「そりゃそうですよ。やるんだったら超浜面とかで」 白井 「いや、その理屈はおかしいですの。という訳で大きいお姉様、黒子の顔面に」 結標 「その理屈もおかしいでしょ!」 店員 「お決まりですか?」 滝壺 「シーフードドリアお願いします」 店員 「……え、えと、以上ですか?」 滝壺 「みんなは?」 番外個体 「へ?」 結標 「え? まだメニュー見てないわよ」ワタワタ 絹旗 「んーと、どうしましょうかね。どうしましょうかね」 白井 「あ、すみません。すぐに決めますので」 絹旗 「うーんと……超エビフライセット」 番外個体 「チキンステーキでいいや」 白井 「では、BLTサンドをひとつ」 結標 「……蒸し鶏のサラダ」 絹旗 「あとドリンクバーを人数分お願いします」 店員 「かしこまりました。ドリンクバーのコーナーはあちらになりますのでご自由にお取りください」 結標 「……はー、びっくりした」 絹旗 「あの店員さん、超空間移動能力者ですか」 番外個体 「いきなり目の前にいたよね」 滝壺 「ごめん。みんなもう決めてるんだと思って呼んじゃった」 白井 「いえいえ、さっさと決めなかったほうに責がございますので」 番外個体 「ていうか淡希はまた葉っぱだけかい。牛のマネすんのはこれだけにしといてよね」ツンツン 結標 「牛みたいな体系にならないようにってつつかないでよバカ!」 絹旗 「浜面ー、メロンソーダ」 白井 「浜面さんはおりませんが」 絹旗 「いけね。浜面=ドリンクバーという超潜在意識が」 滝壺 「はまづらはミスタードリンクバーだから」フンス 番外個体 「どうなんだろう、それ」 結標 「そういえば浜面くんはどうしたの?」 滝壺 「家にいるよ。一緒に行こうって誘ったんだけど、なんか宅配便受け取らないといけないらしくて」 白井 「ではフレメアも一緒ですのね」 滝壺 「一緒に遊んでると思う」 絹旗 「海原さんは?」 結標 「ショチトルが定期健診だから、その付き添いにね」 番外個体 「ありゃ? じゃ海原さんたちも病院なんだ」 滝壺 「も?」 番外個体 「今日、うちの小さいのが病院に用事あるからさ」 白井 「第一位さんが付き添っておられると」 番外個体 「そういうこと」 結標 「妹さん、どこか悪いの?」 番外個体 「うーん……頭?」 滝壺 「みさわ妹は頭いいよ。この間もはまづらに将棋で勝ってたし」 番外個体 (それ多分MNWアシストだよ) 絹旗 「とりあえず、ドリンクバーとってきましょうよ」 結標 「そうね、じゃ行ってくるわ。ほら、貴女も来て」 番外個体 「へ? なんで?」 結標 「通路側に座ってるからよ」 絹旗 「超メロンソーダをお願いします」 滝壺 「私はあの白いの」 結標 「アンバサね」 白井 「お願いしてもよろしいんですの?」 番外個体 「まー……しゃぁない」 白井 「ではアイスティーで」 結標 「オッケー。じゃ、ちょっと待っててね」 <ねー。2人で5人分運べるの? <往復するしかないんじゃない? 絹旗 「ところで、滝壺さん。今日は超ちょっとオシャレですね」 滝壺 「うん。なんとなく気合い入った」フンス 白井 (? いつものピンクジャージでは) 絹旗 「前回お会いしたときはアレな服装だったんで、家事疲れとか超心配しちゃいましたよ」 滝壺 「違うの。あれは雨が続いてて洗濯できなくて服がなかったの」 白井 「あの、前回というのは?」 絹旗 「超ペットショップに行ったときですよ」 滝壺 「しらいも一緒だったよね」 白井 「ああ、はいはい。あの時の……って」 白井 (あの時もピンジャーでしたのぉ!) 絹旗 「滝壺さんは超こだわり派ですからね」 滝壺 「これは譲れない」 白井 (そこそこ長い付き合いなのに見分けられないとは、わたくしも修業が足りませんわね……) 滝壺 「二人はいつも制服だよね」 絹旗 「そりゃまぁ」 白井 「校則ですし」 結標 「お待たせー」カチャカチャ 番外個体 「ど、どうにか3つ持ってきた……」ゴトッ 絹旗 「お、超ありがとうございます」 滝壺 「ありがと」 白井 「大きいお姉様のジュース、ありがたく頂戴しますの」 番外個体 「その言い方なんかヤダ」 結標 「なんか盛り上がってたわね。なんの話してたの?」 絹旗 「超ファッションの話です」 番外個体 「略して?」 滝壺 「ふぁばな?」 白井 「語呂が悪いですの」 結標 「ファッションねぇ」 番外個体 「それはあれだね。淡希はノーブラ主義者とかいうあれだね」 結標 「ちょっ、ウソ教えないでよ!!」バチコーン 番外個体 「いたっ」 滝壺 「」ゴクリ 絹旗 「さすが超結標さん」 白井 「その大きさで且つノーブラとは……本物は違いますの」 結標 「なんで普通に信じてるの! おかしいでしょ!」ムキー 番外個体 「え、なんで? 寝るときとか外してるって前言ってたじゃん」 結標 「寝るとき限定の話よ」 番外個体 「じゃここで証明すればいいんだ。さあ、脱げ」 結標 「それ以上続けるなら、能力を駆使して貴女を今ここで全裸にしてあげる」 番外個体 「すみませんでした」 店員 「お待たせ致しました。シーフードドリアのお客様」カチャカチャ 滝壺 「」ノシ 店員 「BLTサンドのお客様」 白井 「あ、はい」 店員 「ごゆっくりどうぞ」 結標 「先食べてて。冷めちゃうしね」 滝壺 「いただきます」モシュモシュ 番外個体 「あー、シーフー・ドドリアも美味しそう」 結標 「そこで切らないでよ」 絹旗 「超ミサワさんのせいでシーフー・ドドリアとしか発音できなくなりました」 白井 「大体シーフーってなんですの?」モギュモギュ 滝壺 「SEA風」アチチ 番外個体 「海の食べ物を使ってるからSEA風なんだ。目から天鱗だね」 結標 「なんで目からレアアイテム落ちてくるのよ」 絹旗 「それで、何の話してましたっけ?」 白井 「たしかファッションかと」 結標 「そういえば、貴女っていつも白とか黒よね。彼の影響かしら?」ニヨニヨ 番外個体 「……好みが似てるのは否定できないな。アイツの私服も似たようなモンだし」 絹旗 「一方通行も超モノトーンが多いですよね」 滝壺 「うなばらはいつもパリィッとしてるよね」 白井 「ええ。いつでも清潔感が出てて素敵ですの」 結標 「アイツ、家でもあの調子なのよ。疲れないのかしら」 絹旗 「慣れじゃないですかね」 番外個体 「あ、そういえば聞いてみたかったんだけどさ。浜面さんが いつも着てるジャージってもしかしてビンテージ?」 滝壺 「ううん。古いだけの安物」 絹旗 「超浜面ですから」ケラケラ 店員 「お待たせいたしました、チキンステーキのお客様」 番外個体 「はいはーい」 店員 「蒸し鶏のサラダのお客様」 結標 「こっち」 店員 「超エビフライセットのお客様」 絹旗 「私でーす」 白井 「超エビフライセットってきぬはた語じゃなくてそういうメニューでしたのね」 店員 「ご注文は以上でお揃いでしょうか」 黒夜 「追加でメキシカンピラフ」 絹旗 「へ?」 店員 「かしこまりました」ペコリ 滝壺 「あれ? ドリンクバー足りない?」 結標 「人数分持ってきたわよ?」 番外個体 「でもグラス5個しかないね」 黒夜 「誰か飲めないってワケだな」ズチュー 白井 「あら、これは困りましたわね」 絹旗 「ちょっとちょっと! なんでいるんですか! それ私のメロンソーダ!」 黒夜 「いや、暇でフラフラしてたら店にいるのが見えたからさ」 番外個体 「あ、黒イルカじゃん」 白井 「ご無沙汰しておりますの」 滝壺 (誰?) 結標 (誰?) 黒夜 「初対面の人もいるし、一つ名乗っておくかな。絹旗ちゃんと再会した幼馴染の黒夜だ」 滝壺 「きぬはたがいつもお世話になってます」ペコリ 黒夜 「これはご丁寧に」ペコリ 結標 「もしかして、絹旗さんがいつも"あの狂犬"とか"妖怪窒素女"って言ってる人?」 白井 「妖怪はあんまりですの」 番外個体 「ていうか、絹旗さんも窒素女じゃん」 絹旗 「超一緒にしないでください」ムスー 黒夜 「なんだよ、そんな言い方してるのか。エビフライにレモンかけるぞ」 絹旗 「なんですか、その超地味ながらも高ダメージな嫌がらせhってかけるな!」ボカッ 黒夜 「ふごっ」 絹旗 「あ、あとこれ返してくださいよ! 私の超メロンソーダですよ!」パシッ 黒夜 「分かった、分かったよ。……ところで、なんでストローの曲がる方を下にしてんだ?」 絹旗 「え? あっ……」 番外個体 「」プルプル 絹旗 「ミサワさーん!」ウガー 番外個体 「すっ、すぐ気付くかと、思ってたのに」ケラケラ 結標 「よくやるわね、貴女も」ハァ 白井 「……よく見たらわたくしのも。今日日曲がらないストローなんて珍しいとは思いましたが」 絹旗 「もー……とりあえずみんなの前では超暴れないで下さいよ」 黒夜 「分かってるって。私だって最低限のTPOは弁えてるさ」 番外個体 (一緒にいるお兄さんもいつもTPOって言ってるよな) 黒夜 「ところで、私はピンクジャージときょぬーの名前がわからないんだけど」 滝壺 「たきつぼだよ」ハイ 結標 「消去法でいくときょぬーって私よね……結標よ、ヨロシクね」 番外個体 「私はいいよね、店で顔合わせてるし」 白井 「わたくしも決闘に巻き込まれておりますし」 黒夜 「マスターと風紀委員は何回か会ったことあるな」 絹旗 「超驚きの瞬間ですね。黒夜に友達が増えるなんて」 黒夜 「オイ、どういう意味だ」 店員 「お待たせ致しました。メキシカンピラフになります」 黒夜 「お、きたきた」 滝壺 「ところで、くろよるときぬはたって同じ能力なの?」マフマフ 結標 「そうね。窒素女の絹旗さんに窒素女呼ばわりされてるし」ポイポイ 番外個体 「いや、あのさ。蒸し鶏のサラダ頼んでおいて、なんで鶏を私の皿に寄越すかな」 白井 「わたくしが決闘に立ち会ったときは、なにやら見えない何かを飛ばしてるような感じが」 黒夜 「自分の手の内についてペラペラ喋るワケないだろ?」キシシ 絹旗 「じゃ私が説明しましょうか。超黒夜の能力はですね」 黒夜 「きーぬはーたちゃーん。これうまいぜ、一口食えよ」グイ 絹旗 「モガ」 結標 「ジュースの回し飲みに、食事もあーんして分けあって」 番外個体 「本当に仲良しだよねぇ、あなたたち」ニヨニヨ 絹旗 「超一方的に口にねじ込まれてるだけですぅ!」 白井 「絹旗さん、口に一方的にねじ込まれるなんて過激な……」 絹旗 「は? 何言って…………っ!? ちょ、超滅びろ!」ポカポカ 黒夜 「」ケラケラ : : : 滝壺 「ごちそうさま」 番外個体 「はー、食べた」ケフ 結標 「はしたないからやめろって言ってるでしょ」 白井 「そうですの、大きいお姉様。人前でケフッなどと」 黒夜 「いいんじゃないの? 食後ぐらいゆっくりしたってさ」ズチュー 絹旗 「だから私のを飲むなと超言ってるんですよ!」ムキー 結標 「ここが家だったらとやかく言わないけどね」 番外個体 「嘘だね。淡希は一緒に住んでたころからとやかく言ってた」 結標 「貴女がだらしなさすぎだからよ」 黒夜 「まあ、ホラ、赤子が泣いても食休みって言うじゃん」 白井 「なにか違くないですか?」 黒夜 「ん? 間違ったかな?」 滝壺 「赤子が泣いても蓋とるな、だよ」 番外個体 「実際赤子が泣いたら食休みどこじゃないだろうね」 黒夜 「じゃ食休みのペアは?」 白井 「親が死んでも食休み、ですの」 絹旗 「親が死んだら超食休みどこじゃないんじゃないですか?」 結標 「まあ、あくまで昔の知恵みたいなものだからね」 滝壺 「ところで、みんなはこの後どうするの?」 黒夜 「私は絹旗ちゃんと」 絹旗 「何を前提に話してるんですか、あなたは」 白井 「予定もございませんし……散歩と警邏を兼ねて少し歩こうかと」 絹旗 「私も行っていいですか?」 黒夜 「私も私も」 白井 「かえって騒ぎが起こりそうなのですが」 滝壺 「私はどうしようかなー……スピー」 番外個体 「目開けたまま寝ちゃったよ」 結標 「この寝つきの良さはたまにうらやましいわね」 ~その頃 第7学区 浜滝邸~ フレメア 「ねー、浜面」 浜面 「どうした」 フレメア 「大体ヒマ」 浜面 「お、気が合うな。俺もヒマだ」 フレメア 「せっかくお天気がいいんだから、どっか行こうよー」 浜面 「どっかってどこだ?」 フレメア 「大体ここではないどこか」 浜面 「いや、だからどこだよ」 フレメア 「ねー、どーこーかー、にゃあ」グイグイ 浜面 「引っ張るな。って、おい何でもうリュックしょってんだよ、出かける準備万端じゃねえか」 フレメア 「ふんぬー」グイー 浜面 「分かった分かった! ちょっと待て、滝壺に出かけるって言っておくから」カチカチ フレメア 「♪」 浜面 「あ、もしもし? 俺だ、俺。……いや、オレオレ詐欺じゃねえよ、あなたのための浜面ですよ!」 フレメア 「」ウロウロ 浜面 「フレメアがヒマだって言うからさ、どっか連れてフラフラしてくるわ」 フレメア 「」ゴソゴソ 浜面 「迷子に? ああ、分かって……あ、俺が!? 俺が迷子になる心配してんの!?」 フレメア 「ふぃー」 浜面 「夕食の時間にゃ戻るから。はい、失礼します」ピッ フレメア 「終わった? 終わった?」 浜面 「おお、んじゃ出かけるとしますか!」 フレメア 「大体どこいくの?」 浜面 「そうだなぁ。とりあえずデカイ公園でも行くか」 フレメア 「どこかな」 浜面 「ほら、病院の横に広ーーい公園あっただろ。あそこだ、あそこ」 フレメア 「じゃあ出発ー、にゃあ」トテテテ 浜面 「おい、転ぶなよ」 ~第7学区 いつものファミレス~ 滝壺 「」ピッ 結標 「電話、浜面くんから?」 滝壺 「うん」 黒夜 「浜面ってあの浜面?」 絹旗 「はい、犬です」 滝壺 「違うよ」ムー 番外個体 「滝壺さんのワイフだよ」 白井 「それはもう、仲がよろしいんですのよ」 結標 「二人がいたら固有結界が出来上がるぐらいね」 滝壺 「固有結界張るのはむすじめとみさわもだよ」 黒夜 「ふーん……つまり、姐さんたちはもう売約済みだと」ズチュー 白井 「お姉様のみならず、大きいお姉様までとられるとは……」ギギギ 絹旗 「超諦めたほうがいいと思いますけどね」 黒夜 「ま、私には絹旗ちゃんが」 絹旗 「やめてください。超気色悪いです。あとジュース返してください」 番外個体 「黒イルカだって、ちょくちょく超絶イケメン連れ回してるじゃん」 結標 「あら、そうなの? 最近の子は進んでるわね」 白井 「オバちゃんみたいな発言ですの」 結標 「」グリグリ 白井 「いや、あの、テーブルの下で足を踏まないでくださいまし」 結標 「私じゃないわよ」グリグリ 白井 「他におりませんの!」ムキー 滝壺 「そんな進んでるくろよるも応援してる」 黒夜 「やめてくれ、アレはそんじゃないから」 絹旗 「あ、もしかしてあの長髪のお兄さんですか」 黒夜 「そうだけど、そうじゃないから!」 絹旗 「あーんな超イケメンといつも一緒なんですか。超羨ましいですねぇ」ニヤニヤ 黒夜 「あんな不良債権、欲しいんだったらくれてやる」 絹旗 「聞きましたか。これが超ツンデレテンプレです」 黒夜 「違うっつーのぉぉぉ!!」 結標 「気になるわね。写真とかないの?」 番外個体 「ほら、ツーショット写真」パカ 滝壺 「あ、いけめんさんだ」 結標 「すれ違った女の子が10人中9人は振り返る容姿よね」 黒夜 「なんであんの!? ねえ、なんで!?」 白井 「このそっぽを向いてるながらも照れを隠しきれてない表情、ツンデレの鑑ですの」 黒夜 「これ盗撮だよ盗撮! ほら風紀委員、取り締まれよぉ!」グイグイ 白井 「わたくし、今日は非番でございますので」 絹旗 「ぶふぃー」 黒夜 「笑ってんじゃねぇ! とっ、とにかくマスターは携帯は没収……」 絹旗 「超させませんよ!」ガッチリ 黒夜 「はーなーせーよー!!」 滝壺 「」カシャッ 絹旗黒夜 「「えっ?」」 滝壺 「きぬはたとくろよる、愛の抱擁を激写」 絹旗 「たっ、滝壺さーん!?」 黒夜 「何してんのぉ!?」 結標 「これ、すごいタイミングね。本当に抱き合ってるように見えるじゃない」 番外個体 「絹旗さんが悪戯っぽい笑顔で腰に抱き着いて……」 白井 「黒夜さんは"何してんだよ。ったくしょうがねぇヤツだなぁ"って顔ですの」 黒夜 「」 絹旗 「」 滝壺 「二人に送信するから、待ち受けにしておくといいよ」カチカチ 絹旗 「いや、超いらないですよ」 黒夜 「待ち受けにはしねぇし……待ち受けには」 滝壺 「あっ」 白井 「どうかされましたか?」 滝壺 「間違えて電話帳の"ともだち"グループに一斉送信しちゃった」 絹旗黒夜 「( ゚A゚)( ゚A゚)」 : : : 黒夜 (……よく見たら悪くない写真じゃん)カチカチ 絹旗 「そうだ、ミサワさん。誰か超腕のいい医者を知らないですかね」 番外個体 「腕のいい医者? 私の主治医の先生はカエルに似てて凄腕だと思うけど」 白井 「カエル……あぁ、あの先生は確かに凄腕ですわね」ウンウン 結標 「カエルは余計でしょ……」 滝壺 「何かあったの?」 絹旗 「(ユリコに)子どもができたかもしれないんですよ。それで診せようかと」 番外個体 「」ブーッ 滝壺 「」ズルッ 結標 「」ポカン 黒夜 「」ガシャン 白井 「」 番外個体 「なっ、なな、ななななっ」 滝壺 「きぬはた、侮れない」 結標 「だっ……誰の子どもよ」 黒夜 「」 絹旗 「超分かりません」 4人 「「「「!?」」」」 絹旗 「いや、だって。私が知るわけないじゃないですか」 白井 「きっ、絹旗さん! いろいろ言葉が足りてませんの!!」 滝壺 「あ、もしかしてきぬはたとしらいの子?」 番外個体 「滝壺さん、まずは落ち着こうか。お茶でも飲んで」コポコポ 結標 「お茶にソース入れてどうするのよ」 白井 「み、みなさん! まず落ち着いて話を」 黒夜 「」グビ 白井 「ソース茶飲まないでくださいましぃ!」 結標 「絹旗さん妊娠なう……」カチカチ 白井 「お願いだから落ち着いてくださいぃぃ!」 ~白井による決死の説明後~ 結標 「なるほど、ユリコがね」 番外個体 「いや、びっくりしたぁ」 滝壺 「きぬはたとしらいの子じゃなかったんだね」 白井 「いくら学園都市でもそれはないかと……」 黒夜 「おい、誰だこの変な味のお茶もってきたの」 絹旗 「みなさん、発想が超ぶっとびすぎですよ」 白井 「そもそもは絹旗さんの説明不足が原因ですの」 番外個体 「んでも、ユリコって室内飼いじゃなかった? 父親は誰なの?」 絹旗 「それが超分からないんですよね……」 白井 「でも、外に一歩も出さないかというと、そうでもないでしょう」 絹旗 「ですね。昼間は超預けてますし、私自身が散歩に連れていくこともあるし」 黒夜 「つまり飼い主に隠れてコッソリヒッソリ」 絹旗 「ユ、ユリコはそんな子じゃありません!!」 結標 「まあ、それはそれとして。そうすると、一つ問題があるわね」 絹旗 「な、なんですか……?」 結標 「いくらカエル先生が凄腕でも、人間の体が専門ってことよ」 番外個体 「いや、でもあの先生ならもしかしたら……」 滝壺 「素直に動物のお医者さんに連れていったほうがいいと思う」 黒夜 「猫でも予防接種とか定期健診とかしてんだろ? そこ行きゃいいじゃん」 絹旗 「あー……そうですね。そうしましょうか」 白井 「病院が開いてるときですから、学校が終わった後ですわね」 絹旗 「ユリコのためなら超しょうがないですね」 滝壺 「子猫生まれたら見せてね」wktk 絹旗 「超もちろんです」 白井 (子猫……それも考えなければなりませんの) 番外個体 「にしても、あのユリコが母親か」 結標 「時間の流れを実感するわね」 ~しばらくして~ 滝壺 「それじゃ、私そろそろいくね」 絹旗 「どっか行くんですか?」 滝壺 「はまづらとフレメアのところ。で、帰りに一緒に夕飯の買い物しようと思って」 番外個体 「丁度いいし、適度に解散するとしよっか。結構居座っちゃったしね」 結標 「みんなはどうするの?」 白井 「先程お話した通り、散歩と警邏を兼ねて歩こうかと思ってますの」 絹旗 「で、私も行くと」 黒夜 「私も私も」 白井 「贅沢は言いません、くれぐれも騒ぎは起こさないでくださいまし」ハァ 絹旗 「不埒な輩を見つけたら問答無用で超成敗すればいいんですよね?」 黒夜 「楽勝楽勝、任せとけって」 白井 「ダメですの!」 結標 「ねえ、真琴。貴女この後ヒマよね」 番外個体 「なんで断言してるの。いや、ヒマだけどさ」 結標 「ちょっと付き合いなさいよ。私も空いてるし」 番外個体 「まあ、いいけども」 白井 「では清算をいたしますの」 黒夜 「……絹旗ちゃん、万札くずれないか?」 絹旗 「はあ……超しょうがないですね」つ【お金】 黒夜 「ひい、ふう……おい、9000円しかないぞ」 絹旗 「超手数料です」 黒夜 「ふざけんな」 結標 「はい、置いとくわね」 番外個体 「これ私の分ね」チャリン 滝壺 「じゃ私がまとめて払っておくよ」 白井 「お願い致しますの」 結標 「ほら、二人とも。行くわよ」 黒夜 「あれ? イルカみなかった?」 絹旗 「あ、すいません。超クッション代わりにしてました」つ【イルカ】 黒夜 「オイ、てめェ何してくれちゃってるンだコラ」 ~同日 第7学区 とある公園~ フレメア 「着いたー」トテテテ 浜面 「」キョロキョロ 浜面 (すぐ横が病院だからなぁ。散歩に来てる患者さんとかも結構いるな) 浜面 「おーい、フレメア。他の人の迷惑にならないように、もうちっと広いとこいくぞ」 フレメア 「大体らじゃー」 浜面 「さて、広場はどっちかな、と……」キョロキョロ ドンッ ???? 「キャッ!?」コテッ 浜面 「あ、すいません! 余所見してた……って」 打ち止め 「あいたたた、ってミサ……あ」 浜面 「ありゃ? 小さい方の姐さんじゃないか。大丈夫か?」 打ち止め 「何かにぶつかったと思ったら三下2号さんだった!」 フレメア 「あ、みさわ妹だ」トテテテ 打ち止め 「フレメアも一緒だったんだねー」 浜面 「……ん、待て。お前さんがいるってことは」 打ち止め 「うん、あの人も一緒だよ。今はあなたの後ろでコーヒー飲んでるよ」 浜面 「へ?」クルッ 一方通行 「よォ」 浜面 「おぉぉ!? お、驚かすな! いきなり現れてるんじゃねぇよ!」 一方通行 「オマエが真後ろガラ空きだから気付かなかっただけだろォが」ケッ 浜面 「あのね、普通の人は日常生活でそこまで気を張って生きてるわけじゃないからね」 フレメア 「シロも来てたんだね」 一方通行 「そこの病院にちと用事があってな」 フレメア 「用事終わったんだよね? ねー、大体遊ぼうよ」グイグイ 一方通行 「ンで俺なンだよ。クソガキと遊ンでやってくれ」 フレメア 「ごー♪」 打ち止め 「あ、待ってよ!」 一方通行 「オイ、オマエもだ。行って来い」ゲシゲシ 浜面 「い、いてぇよ。なんだよ、おい!」 一方通行 「ガキ二人だけ放し飼いにするつもりか? 危機感なさすぎだろ」 浜面 「あぁ、そういうことな。分かった分かった、行ってきますよ」タッ <おーーーい、待ってくれぇぇぇ。 一方通行 「……ジュース2本追加、か。やれやれ」カツッ : : : フレメア 「ねえねえ、大体これで遊ぶ」スチャ 打ち止め 「これなに? レコード?」 浜面 「これはな、フリスビーってんだ。うん、いいんじゃないか?」 打ち止め 「これ、どうやって使うの??」 フレメア 「大体、私がお手本みせてあげる、にゃあ」 打ち止め 「」wktk フレメア 「私が投げるから、浜面は地面に落ちないようにキャッチしてね」 浜面 「よしきた!」 フレメア 「じゃいくよ。そーーー……れっ!」ブンッ ヒュルルルル 浜面 「おいおい、どこ投げてんだよ」 フレメア 「ほら、浜面」 浜面 「……え?」 フレメア 「行った、向こう」 浜面 「あ、そういうこと!? これ、そういうルールなの!?」 打ち止め 「三下2号さん、頑張ってー!」ピョンピョン 浜面 「くっそぉ、フレメアお前素質あるよ、アイテム女子の素質がよぉ!」ダダダダ <うぉぉぉ、届けぇぇぇぇ! 打ち止め 「すごい! ダイビングキャッチだ!」 フレメア 「浜面、大体かっこいー!」 浜面 「ゼェゼェ……み、見たか! これが俺の実力よ!」フンス 打ち止め 「次やらせてやらせて!」 フレメア 「大体OKにゃあ!」 打ち止め 「いっくよー……」ブンブン 浜面 「ちょ、気合い入れすぎ」 打ち止め 「跳べーーーー!」ブォン ギュルルルルル フレメア 「おー、すごい」 浜面 「うぉぉぉ、やってやらぁぁぁぁ!」ダダダダ <もらったぁ!(バシィ)いってぇぇぇぇ!? 打ち止め 「?」 フレメア 「フリスビーが浜面の指弾いたね」 打ち止め 「ありゃりゃ」テヘ ~その頃 とある病院 自販機コーナー~ 一方通行 「」コツコツ 一方通行 (ン? ありゃ確か……) ショチトル 「……やっぱりブラックは苦いな」チビチビ ショチトル 「なぜマスターは平気な顔して飲めるんだろう」 一方通行 「よォ」 ショチトル 「ぴゃ!」ビクッ 一方通行 「なンだなンだ、今日はよく驚かれる日だなオイ」 ショチトル 「真後ろからいきなり声を掛けられれば驚くに決まっているだろう……」ドキドキ 一方通行 「そりゃすいませンねェ」 ショチトル 「で、誰かと思えば白い人だったか。久しいな」 一方通行 「オマエ、今日はどォしたンだよ。まさかうちの性悪に限界超えて働かされて」 ショチトル 「ち、違う! 経過観察! マスターにいびられたわけではない!」 一方通行 「あ、そう。ならいいけどよ」ピッ ガコン ショチトル 「そういう白い人はどうしたんだ」 一方通行 「付き添いだ、クソガキのな。あ、先に言っておくがクソガキも定期健診みてェなもンだ」ピッ ガコン ショチトル 「なるほどな……う」チビチビ 一方通行 「……オイ。ンな不味そうに飲むぐらいなら寄越せ」 ショチトル 「え、でも」 一方通行 「お前は黙ってこっち飲ンどきゃいいンだよ」つ【いちごおでン】 ショチトル 「……それはちょっと」 一方通行 「だったら自分で選べ、メンドくせェ」チッ ショチトル (怒ってるんだか優しくしてくれてるんだか……) ショチトル 「じゃあ、これを頂く」 一方通行 「はいはい、どォぞ」ピッ ガコン ショチトル 「杖をついてる身ではそんなに持てないだろう。礼の代わりに運ぶのを手伝わせてもらう」 一方通行 「……好きにしろ」 ショチトル 「これで全部なのか?」 一方通行 「あァ、全部だな」 ショチトル 「どこまで運べばいい」 一方通行 「ついてこい」 ショチトル 「よっと……」 一方通行 「さすが本職のウェイトレスってところか」キシシ ショチトル 「バイト中でも大量の缶ジュースを運ぶことなどない」 一方通行 「……どォなンだ、最近は。大分慣れたか?」 ショチトル 「まあ、どうにか」 一方通行 「アレはいつだっけなァ。オマエがコケて、頭からナポリタンをぶっかけられたことがあったなァ」 ショチトル 「そっ、そ、それについては死ぬほど謝罪したじゃないか!!」 一方通行 「オマエの上司であるマスターは笑い転げてたぞ」 ショチトル 「それは……マスターと白い人の間柄があればこそだし」 一方通行 「つまり、俺が相手じゃなければアイツもそれなりの対応をしたってことか」 ショチトル 「その筈だ」 一方通行 「まァ、ならそれでよしってことにしといてやる」 ショチトル 「それに、あんな失態は二度と犯さない……たぶん」 一方通行 「その言葉、間に受けといてやるよ」 一方通行 「そォいやオマエ、愛しのお兄ちゃンとは一緒じゃねェのか」 ショチトル 「愛しは余計だ! ……まあ、後から追いついてくるだろう」 一方通行 「いいのか、そンなンで」 ショチトル 「あの男はどういう訳か、人を見つけるのが得意だからな」 一方通行 「あー……なンか分かる気がするわ」 ショチトル 「それで、どこまで行くんだ」 一方通行 「もォそこだ。……オイ、ちと一本寄越せ」ヒョイ ショチトル 「?」 一方通行 「」シャカシャカシャカシャカシャカシャカ ショチトル 「え」 一方通行 「オーイ、戻ったぜェ」 打ち止め 「あ、お帰りー」トテテテ フレメア 「あれ? ショチトルのお姉ちゃんだ」 ショチトル 「お前たちも一緒だったのか」 浜面 「」ゼェゼェハァハァ ショチトル 「なぜそんな疲れてるんだ」 浜面 「いやー、最近ちと運動不足だったみたいだな」 一方通行 「お疲れさン。まァ、飲め」つ【ヤシの実サイダー】 浜面 「おっ、この汗かいたところにヤシの実サイダーとか、気が利きすぎだろ」 ショチトル 「ほら、お前たちもこの中から選んで」 フレメア 「3倍コーヒー牛乳もーらい」 打ち止め 「じゃ私はきなこ練乳」 一方通行 「ぬるくなる前に飲めよ」ニヤニヤ 浜面 「おお、悪いな。いただきます!」カシュッ ブシュワーーーー 浜面 「」ポタポタ 一方通行 「悪ィ悪ィ、それさっき落としたヤツだわ」 浜面 「そ、そうか。ならしょうがないよな」 ショチトル (イタズラ好きなところはマスターにそっくりだな……) <あ、ここにいましたか。 ショチトル 「ん、やっときたか」 海原 「探してしまいましたよ」 浜面 「なんだ、お兄ちゃんも一緒だったのか」 海原 「これはこれは、想定外の賑やかさですね」 フレメア 「海原お兄ちゃんこんにちはー」ピョンピョン 打ち止め 「お久しぶりー」ミョンミョン 海原 「お二人とも、ご無沙汰してます」 浜面 「お前も病院に来てたのか?」 海原 「ええ、付き添いで」 ショチトル 「一人でも大丈夫だって言ってるのに……」 浜面 「そう言うなよ。心配してもらえる内が華ってもんだ」 一方通行 「オイ、最後の一本だ。飲ンどけ」つ【いちごおでン】 海原 「おや、では折角なので頂きますね」ニコニコ : : : ショチトル 「」ポケー 海原 「すごしやすい季節になったものですね」 一方通行 「まあな」 フレメア 「」orz 打ち止め 「」orz 浜面 「」orz 海原 「彼女らはなにを?」 ショチトル 「四葉のクローバーを探してるそうだ」 一方通行 「くだらねェ……見つけてどォにかなるもンでもねェだろ」 海原 「こういうのは気の持ちようです。存外バカにできませんよ?」 一方通行 「そンなもンかねェ」 ショチトル (私も小さいころはよく探したものだ) 打ち止め 「うーん、全然見つからない……」 フレメア 「」モジモジ 打ち止め 「フレメア? どうしたの?」 フレメア 「う、うん、えっとね」 浜面 「はー、ちと休憩するか」 フレメア 「ねえ、浜面。大体お手洗い行きたい」 浜面 「トイレか? ここからだと、病院の借りるのが早いか?」 海原 「クローバーは見つかりましたか?」 打ち止め 「全然だめー」 ショチトル 「今日は日も傾いてきたし、また別な日に改めたらどうだ?」 打ち止め 「ぶー」 一方通行 「簡単には見つからねェから、幸運のシンボルとか言われてンだろ」 フレメア 「」モジモジ 浜面 「じゃ、今日はそろそろおうちに帰るとしますか」 打ち止め 「ちぇー……」 一方通行 「またその内、探しにくりゃいいだろ」 打ち止め 「みんなで来るんだよ! 約束だからね!」 フレメア 「約束にゃあ」モジモジ 海原 「では、行くとしましょうか」 浜面 「悪ぃ、先行っててくれ。ちょっとトイレ寄ってくからよ」 フレメア 「は、浜面、大体早く」 一方通行 「ン、じゃここでな」ノシ 打ち止め 「フレメア、また遊ぼうねー!」ノシ フレメア 「」ノシ 海原 「では、またその内に」 浜面 「おう。よし、行くぞフレメア。もうちょいの辛抱だ」 ショチトル 「おい」 浜面 「なんだ?」 ショチトル 「付き添っていいのはお手洗いの入り口までだからな」 浜面 「わかっとるわ!」 ~とある病院 1階ロビー~ 浜面 「ここで待ってるからな。行ってこい」 フレメア 「いてね、大体ここにいてよね」トテテテ 麦野 「あー、なんかクマができてる……」 19090 「しずりんは昨夜夜勤でしたからね、とミサカはお疲れ気味のしずりんをねぎらいます」 麦野 「夜中の見回りってさー、すごい怖いのよ……昨日もさ、地下2階の霊安室の前で」 19090 「やっ、やや、やめてください!」ガクブル 麦野 「なーにビビってんだか、なんもないっての」ケラケラ フレメア 「うー」 19090 「おや?」 麦野 (えっ……?) フレメア 「あ、こんにちは」ペコリ 19090 「こんにちは」ペコリ 麦野 「」 フレメア 「おトイレおトイレ」トテテテ <バタン 19090 「礼儀正しくて可愛い子ですね、とミサカは……」 麦野 「」 19090 「? しずりん?」 麦野 「嘘……違う……」 19090 「あれ? しーずりーん?」 麦野 「違う……だって、私……!」フルフル 19090 「???」 麦野 「……っ!」フルフル 19090 (な、何事ですか?) 19090 (あの少女の顔を見た途端に……?) 19090 (一体なにが……) 麦野 (さっきの子、似すぎだろ……) 麦野 (まさか、フレンダの……) 麦野 (いやいや、まず落ち着け) 19090 「あの、しずりん?」 麦野 「あ、ああ、ゴメン、なんでもないの」 麦野 (まず、あの子が何者か確かめる。話はそれからね) <ジャーーーー <バタン フレメア 「ふぅ」 麦野 (……似てるなんてレベルじゃない。じゃ、やっぱり……) フレメア 「♪」バシャバシャ 麦野 「ねえ、あなた」 フレメア 「看護婦さん? どうしたの?」 19090 「正確には看護婦さんではなく看護助手さんですよ、とミサカは訂正を求めます」 麦野 「どうでもいいわ、黙ってろ」ベシッ 19090 「いたいっ」 フレメア 「?」 麦野 「あなたのお名前って、もしかして、フ……フレ……」 フレメア 「あれ? お姉ちゃん、なんで私の名前知ってるの?」 麦野 「!? じゃ、じゃあやっぱり生まれ変わりなの……!?」 フレメア 「?」 19090 「?」 麦野 「そうよね、私に言いたいことあるのよね。それであなたは…… ええ、もちろんどんな言葉でも受け入れるわよ。 私はあなたにそれだけのことを」 19090 「おっ、落ち着いてください!」ズビシッ 麦野 「ふぎゃ」 フレメア 「???」 19090 「しずりん、あなた疲れているのです」 麦野 「え、あ、アンタまで……!」 19090 「そ、そうでなければ更年期障害」 麦野 「」ガシッ 19090 「ぴぎゃ!? い、痛いです痛いです!」メリメリ 麦野 「誰が更年期だ、誰が!」 フレメア 「大体ケンカはだめーーー!」 麦野 「」ピタッ 19090 「あ、頭が割れるかと……」ズキズキ 麦野 (はー、今のでちょっとほぐれたわ……落ち着いてもう一回) 麦野 「ね、あなたのお名前教えてくれるかな」 フレメア 「フレメア。フレメア=セイヴェルン」 麦野 (セイヴェルン……) フレメア 「」ジー... 麦野 「?」 フレメア 「むぎ、の……?」 麦野 「えっ?」 フレメア 「お姉ちゃんの名札、大体むぎのって読むの?」 麦野 「あ、これ? ええ、むぎので正解よ」 19090 「ちなみにミサカのはミサカと読みます、とミサカは名札を天高く掲げて」 麦野 「アンタのは片仮名で書いてあるでしょうが」 フレメア 「もしかして、フレンダお姉ちゃんがいつも自慢してた人?」 麦野 「お姉ちゃん……フレンダの妹なの……?」 フレメア 「うん」 麦野 「……」 フレメア 「お姉ちゃん、たまに電話でお話してたんだけど」 フレメア 「自分の周りには強くて綺麗な人がたくさんいるんだ、っていつも自慢してた」 フレメア 「ちょっぴり羨ましかった、にゃあ」 麦野 「あいつ、そんなこと……」 フレメア 「でね、でね」 フレメア 「お姉ちゃんがいつも言ってたの」 麦野 「どんなこと?」 フレメア 「もしお姉ちゃんに何かあったら、麦野ってお姉さんを頼りなさい」 フレメア 「麦野は喧嘩がすごく強いから助けてくれる訳よ、って」 麦野 「ほかにセールスポイントあるだろ……」 19090 「腕っ節の強さは本物ではないですか、とミサカは」 麦野 「アンタちょっと黙ってろ」 フレメア 「麦野お姉ちゃんはすっごく綺麗だけど、大体強いの?」 麦野 「……弱いわよ、すっごく弱い」 フレメア 「?」 麦野 「あなたのお姉ちゃんの方が、ずっと強かったんじゃないかしら」 フレメア 「そうなの?」 麦野 (信じ続けることができたか、できなかったか) 麦野 (あの時、フレンダはそれができて私はできなかった) 麦野 (結局私が弱かったから) フレメア 「ねえ、麦野お姉ちゃん」 麦野 「ん?」 フレメア 「…………ええとね、麦野お姉ちゃん」 麦野 「どうしたの?」 フレメア 「…………」 麦野 「黙ってても分からないわよ」 フレメア 「大体、メールアドレス教えてほしい」 麦野 「あ、えっと……」 19090 「仕事中は携帯を持ってないのです、とミサカは致命的な問題を指摘します」 フレメア 「」ムー 麦野 「じゃあ、携帯貸して。打ち込んであげるから」 フレメア 「にゃあ」つ【携帯電話】 麦野 「」カチカチ 19090 「次ミサカです」 麦野 「なんでよ」 フレメア 「そっちのお姉ちゃんも入れて。大体電話帳が増えると嬉しい」ピョンピョン 19090 「ええと、19090アットマ-ク……」カチカチ 麦野 「覚えやすくていいわよね、アンタのアドレス」 ~その頃~ 浜面 「」ソワソワ 浜面 「なんだ随分長いな」 浜面 「まさか、中でなんかあったのか?」 浜面 「突入……していいものかどうか……」 <あ、いたいた。 浜面 「?」 滝壺 「いぇい」 浜面 「おお、滝壺か。よくここがわかったな」 滝壺 「AIM……じゃなくてGPS発信機」 浜面 「そういえばそんなのも持たされてましたね、俺……」 滝壺 「フレメアは一緒じゃないの?」 浜面 「あ、そうそう。フレメアなんだけどよ。どうもトイレが長いんだ、ちょっと見てきてくれねぇか」 滝壺 「そうなの? ちょっと見てくるね」 滝壺 「フレメアー? フレ……あっ」 フレメア 「あっ、滝壺お姉ちゃんだ」トテテテ 麦野 「えっ、滝壺?」 滝壺 「むぎのだ。久しぶりだね」 麦野 「ああ、1か月ぶりぐらい?」 フレメア 「大体登録完了、にゃあ」カチカチ 滝壺 「フレメアと話してたの?」 麦野 「うん、そんなところ」 滝壺 「……そっか。仲良くしてあげてね」 麦野 「もちろんよ。ところで、今は……」 滝壺 「私とはまづらと、3人で一緒に住んでるよ」 麦野 「なるほど。なら安心だな」 フレメア 「滝壺お姉ちゃんは優しいし、浜面は面白くて楽しいよ」 麦野 「ふふ、よかったわね」ナデナデ フレメア 「今度お姉ちゃんも遊びに来てほしい」 滝壺 「うん、ご飯でも食べてって」 麦野 「そうね、そういえば新居にはまだ行ったことなかったわね」 フレメア 「大体来てね、約束だからね!」 麦野 「ええ、約束ね。あ、そうだ」 フレメア 「?」 麦野 「フレメア、もしあなたに何かしようするおバカさんがいたら」 フレメア 「うん」 麦野 「私に連絡しな。すぐにやっつけてやるからさ」 滝壺 「むぎのはすっごい強いから頼りになるよ」 フレメア 「浜面より強いの?」 滝壺 「どっちだろう」ウーン フレメア 「……でも、考えてみたら浜面は滝壺お姉ちゃんより弱かった」 麦野 「相変わらず尻に敷いてるのね、滝壺は」 滝壺 「浜面が優しいだけだよ」 : : : フレメア 「お待たせー」トテテテ 浜面 「遅いっ! トイレするだけなのにどんだけ時間かけてるんだ!」 麦野 「はーまづらー。女の子相手にその発言はちょっと頂けないにゃー」 浜面 「げぇっ、麦野!?」 滝壺 「むぎの、はまづらは悪気はないんだよ。デリカシーもないけど」 浜面 「滝壺まで! ひどい!」 麦野 「浜面にそこまで期待するのが酷ってもんよね」 19090 (ミサカすっかり空気です、とミサカは己の過酷な境遇を嘆きます……) 浜面 「遅かったのは麦野と話し込んでたからか」 フレメア 「メルアドももらったんだよ」フンス 浜面 「そうかそうか、よかったな。麦野はすげぇ力持ちだから、心強いぞ」 麦野 「なんでみんなそう言うんだ……」 19090 「事実ですし」 浜面 「よし、じゃ帰るとするか。麦野も仕事中みたいだしな」 滝壺 「むぎの、またね」 フレメア 「またねー」ノシ 麦野 「気をつけてな」 <あ、帰りに夕飯の買い物していこう。 <大体カレーが食べたい! <俺、麻婆豆腐! <じゃ、混ぜてみようか。 19090 「家族とはああいうものなのでしょうか、とミサカは感慨深げに語ります」 麦野 「……」 麦野 (今更許されるとは思わないし、何をしてもこの後悔は消えないけど) 麦野 (せめて、あの子の……いや、あの3人の日常を壊そうってヤツがもしいるなら) 麦野 (私が真っ先にそのおバカさんを懲らしめてやる) 19090 「しずりん、そろそろ戻りましょうか」 麦野 「そうね。よしっ、もう一頑張りといくか」 ~同日夜 第7学区 海原結標邸~ 結標 「はぁ……どうしよ」 ショチトル 「どうしたんだ?」 結標 「今月ちょっと出費が多いなーと思って」 ショチトル 「そうなのか」 結標 「外出が多かったから、外食も多くなっちゃったしね」 ショチトル 「……こういってはなんだけど」 結標 「なに?」 ショチトル 「1回の食事を作るのに、3日分の食材が犠牲になるのが」 結標 「ま、前に比べればマシになったじゃない! 前は5日分が犠牲になってたんだから!」 ショチトル 「それはそうなんだけど」 結標 「この間だって、どうにかコロッケ作ったでしょ」 ショチトル 「お兄ちゃんが"ダイナマイトコロッケ"と名付けたアレか。見た目はともかく、味はまともだったな」 結標 「でしょ? 前は見た目は酷くて味はもっと酷かったんだから」フンス ショチトル 「威張ることではない」 結標 「分かってるわよ。じゃ、さっさと夕食の準備しましょうか」 ショチトル 「といっても兵糧が若干不足しているが」 結標 「買い物もしてないし、あるものでどうにかするしかないわね」 ショチトル (ありあわせって、義姉さんにはハードル高いんじゃ……) 結標 「さーて、何があったかしらね」ガチャ ショチトル (まあ、どうにかなるよね) 結標 「……うん……親子丼ね」 ショチトル 「親子丼?」 ショチトル (あれ? 鶏肉なんてあったっけ?) 結標 「じゃ、始めましょ。今日はサクッと作れるわよ」 ショチトル 「……義姉さん、それをどう使うんだ」 結標 「まあ見てなさいって」クスッ ~30分後~ ショチトル 「お兄ちゃん、夕食にするぞ」 エツァリ 「ああ、はい。今向かいます」 ショチトル 「」ハァ エツァリ 「いやぁ、お腹が空きました。今日のメニューはなんですか?」 ショチトル 「親子丼らしい」 エツァリ 「らしい?」 ショチトル 「見ればわかる」 結標 「あ、来た? じゃ食べましょうか」 エツァリ 「お米の上に……これは子持ちししゃもですか。なるほど、親子丼ですね」 ショチトル 「済まない、食材があまりなくて」 エツァリ 「いやいや、独創的でいいと思いますよ。では、頂きます」 ショチトル 「いただきます……」 結標 「今日は……そんなに失敗してないと思うんだけどな」 ショチトル (焼いてのせただけだからな) ~その頃 第7学区 番外通行邸~ 番外個体 「ごち」 一方通行 「ごち」 打ち止め 「ちゃんとごちそうさまって言わなきゃダメなんだよ! ってミサカはミサカは指摘してみたり!」 番外個体 「ごちそうさまでした」 一方通行 「ごちでェす」 打ち止め 「もぉー、何度も言ってるのに! ってミサカはミサカは憤慨してみるんだけど!」プンスコ 番外個体 「はいはい、もう言ってもムダだから。それより今日はあなたの番でしょ」 打ち止め 「むー……とりあえず、洗い物してくる」カチャカチャ 番外個体 「」ハフー 一方通行 「なあ、コーヒー飲みてェ」 番外個体 「最終信号のお仕事が終わったらね」 一方通行 「しょォがねェな……」 番外個体 「早く飲みたいんだったら手伝っておいで」 一方通行 「待ちますよ。……ンで、ワースト」 番外個体 「ん?」コキコキ 一方通行 「オマエ、溜まってンだろ」 番外個体 「……なんでバレたし」 一方通行 「見てりゃわかるっての。来いよ、ほぐしてやる」 番外個体 「えー、今ここで? 最終信号が見たらどう思うかな?」 一方通行 「今更どォもしねェだろ。いいからこい」グイ 番外個体 「あふ」 打ち止め 「Butterfly♪ 今日は いままーでーの♪」ジャブジャブ 打ち止め 「どんな 時よーりすばーらしい♪」カチャカチャ <いたっ! いたたたた! <これぐらいで叫ぶンじゃねェ。 打ち止め 「赤い糸で むすばーれて……?」ジャブ 打ち止め 「今何か聞こえたような……」 <や、あぁっ……痛いってば! <こンななるまでほっとくほうが悪ィンだろ。 打ち止め 「!?」ドタタタ 打ち止め 「ふっ、二人して何してるの! ってミサカはミサカはリビングに突入してみたり!」バン 番外個体 「ん、マッサージ」 一方通行 「溜めすぎだろ、ガチガチじゃねェか」グニグニ 番外個体 「うひゃーぁう……」フニャー 打ち止め 「ずーるーいー! ミサカもミサカも!」 番外個体 「あなた肉体的には全然若いんだからいらないでしょ」 打ち止め 「でもでもミサカだって疲れるもん!」 一方通行 「後でやってやるから、まず食器かたしてこい」 打ち止め 「約束だからね! 絶対だからね!」ドタタタ 一方通行 「ったく、騒々しい」 番外個体 「悪い気はしてないクセに素直じゃない(ゴリッ)いぎゃわぁぁ!?」 一方通行 「おっ、悪ィ悪ィ。なんか変なツボに入っちまったみてェだ」 ~その頃 第7学区 常盤台新寮~ <ガチャ バタン 白井 「……」 絹旗 「あ、超おかえりなさい」 白井 「きーぬーはーたー」 ヒュンッ 白井 「さん!」カッ 絹旗 「うひゃぁぁぁぁ!?」ズザザザ 白井 「」ヒクヒク 絹旗 「な、なんですか! キスまであと超少しの距離に突然テレポしてこないでくださいよ!」 白井 「貴女と言う人はぁぁ! ぐぉぉぉ!!」 絹旗 「え、この人なんでこんな怒ってるんですか」 白井 「分かりませんか! 分かりませんか!」ブンブン 絹旗 「頭振り回さないでくださいよ! ツインテールが当たって超地味に痛いんですよ!」 ユリコ 「ノシ・ω・)ノシ」 絹旗 「ユリコ! 今の白井テールにじゃれちゃ超ダメです!」 白井 「そもそも! わたくしがなぜこんな時間に帰宅したのかは分かっておられますの?」 絹旗 「超風紀委員の支部に寄ってたんですよね」 白井 「なぜ寄る必要ができたのしょう」 絹旗 「?」 白井 「貴女と黒夜さんの姉妹ゲンカの後始末をしてましたの!」 絹旗 「なんで姉妹ゲンカなんですか! 超違いますよ!」 白井 「しかも往来のど真ん中で暴れた挙句、二人して姿を消して……お陰で事態がややこしくなりましたの」 絹旗 「いや、あれはですね。真正面から超ぶつかり合った結果でして、つまり超不可抗力なんですよ」 白井 「どういうことですの」 絹旗 「超圧縮した窒素の塊同士がぶつかり合って、その際に発生した衝撃に二人して吹っ飛ばされました」 白井 「吹っ飛ばされたと……ああ、あの突風のタイミングですのね」 絹旗 「ええ。軽く数百メートルほど、ノーバウンドで」 白井 「絹旗さんだからほぼ無傷で済んで……おや? では黒夜さんは……」 絹旗 「自分の能力で超逆噴射でもして助かってると思いますけどね」 白井 「あれから連絡はとっておられないので?」 絹旗 「ええ、用事もないですし」 白井 「向こうからも?」 絹旗 「ないですね。疲れ果てて帰って超不貞寝でもしてるんだと思いますよ」 白井 「はあ……念のため、無事を確認しておいてくださいまし」 絹旗 「いいですよ、黒夜ですし」 白井 「やれ」 絹旗 「はい」 白井 「あと、あまり派手に立ち回らないように一言釘を」 絹旗 「え、なんで私が」 白井 「わたくしが言うよりは絹旗さんから言ったほうが通じるでしょう」 絹旗 「まあ……超ついでに言っておきますよ」 白井 「お願い致しますの」 絹旗 「んーと、あれ? 携帯、携帯……」 白井 「どうかされましたか」 絹旗 「私の携帯、知りません?」 白井 「存じませんの」ゴソゴソ 絹旗 「いや、さっきまで超あったと思うんですけど、あれ?」 白井 「絹旗さん、シャワーは?」 絹旗 「あ、超お先にどうぞ」 白井 「ではお先に頂きますの」 <バタン 絹旗 「ないですね……ユリコ、見ませんでした?」 ユリコ 「(・ω・ )」フモー 絹旗 「あ、これですこれ! ユリコ、超お手柄です!」ピャー ユリコ 「(*・ω・)」 絹旗 「さて、メールメールと」カチカチ 件名:今日のことについて 日付:20yy/m/d 21 15 ─────────────── 生きてますか? あなたが超暴れまわったお蔭で白 井さんが超ご立腹ですよ。いい加 減、能力をすぐぶっぱするクセを 超どうにかしてください。 絹旗 「こんなもんですかね。超送信」ピッ ユリコ 「((( ・ω・)」スリスリ 絹旗 「まったく、黒夜にも超困ったものですね」 絹旗 「ユリコもそう思いますよね?」 ユリコ 「(・ω・)」オミャー 絹旗 「ですよねー」 絹旗 「黒夜もあのバトル癖さえなければ、超普通にゲーセンとかに行く仲ですのに」 [[携帯電話]]<キミト デーアーッテカラー イークツモノ ヨルヲカタ-リーアカーシタ♪ ユリコ 「( ・ω・)ノシ」バコバコ 絹旗 「ユリコ、超ダメですよ」 絹旗 「さっそく返信ですか。反省文の一つや二つ……」カチカチ 差出人:窒素女 kuro-iruka@comodo.ne.jp 件名:Re 今日のことについて 日付:20yy/m/d 21 19 ─────────────── . ヽ(´・∀・`)ノ くく 273 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2011/08/09(火) 00 20 20.64 ID 3TNHgbV7o 絹旗 「……」 絹旗 「」バキン ユリコ 「(・ω・)」ビクッ 絹旗 「あんの狂犬がぁ……!」 : : : 白井 「ふぅ……」ホコホコ 絹旗 「」ゴロゴロ 白井 「絹旗さん、また制服のまま横になって」 絹旗 「だって超ダルかったんですもん」 白井 「はぁ、まったく……ッ!? い、いたっ!?」 絹旗 「どうしたんですか!?」ガバッ 白井 「これは……撒菱!? まさかこの寮に忍者が侵入して……」 絹旗 「あ、あー……超違いますよ、それ携帯電話です」 白井 「……た、たしかによく見たらボタンやら基盤やら……」 絹旗 「さて、私もシャワーを」イソイソ 白井 「お待ちなさいな。どうしてこんなことを」 絹旗 「超、勢いで」 白井 「困るのは絹旗さんですのに。もっと大事に扱いませんと」 絹旗 「超反省してまーす」 白井 「それともう一つ」 絹旗 「なんでしょう」 白井 「人が通るところに破片をバラまくなんて、何事ですか!」ポイポイポイ 絹旗 「あ、超やめてくださいよ! なんで私のベッドに投げるんですか!」 白井 「踏んづけたおかげで軽く出血しましたの!」 絹旗 「だからって、やめてくださいよ! 私が寝れないじゃないですか!」 白井 「ご自分で片づけてくださいまし!」 絹旗 「後で超片付けるつもりだったんですよ!」 ユリコ 「?( ・ω・)」クンカクンカ 絹旗白井 「「あ、ユリコダメーー!!」」 ~絹旗入浴中~ 白井 「ええと、バンドエイドは……もう、なんでわたくしがこんな……」ペタ 白井 「しかし絹旗さんも。あそこまで粉々だとデータ復旧もできませんのに」 白井 「どうなさるおつもりなのでしょう」 ユリコ 「(・ω・ )」ピトッ 白井 「ユリコ、今のわたくしは火照っていて熱いですのよ?」クスクス ユリコ 「(・ω・)?」 白井 「……ちょっと失礼いたしますの」ダッコ 白井 「やっぱり……重いですわね」 白井 「まさか貴女が新しい命を身に宿す日がくるなんて」 ユリコ 「(*・ω・)」 白井 「とりあえず、今度きちんと病院で診てもらいましょうね」 白井 「そうそう。絹旗さんにそのこともちゃんとお話しませんと」 白井 「……そのことも」 <ガチャ 絹旗 「はひ~……」 白井 「随分長風呂でしたわね。いつもは10分少々で出てきますのに」 絹旗 「お湯の中で超寝ちゃってました……んで、超のぼせて……」 白井 「風邪ひきますわよ」 絹旗 「気を付けまーす……」バタッ [[携帯電話]]<ヒビキアウー ネガイガイマ メザメテクー♪ 絹旗 「ほらほら、携帯が超鳴ってますよぅ~」 白井 「聞こえてますの。あら? 番号通知が空白……このパターンは」ピッ 白井 「はい、白井ですの」 婚后 『あ、わたくしでございます』 白井 「わたくしわたくし詐欺なら間にあってますの」 婚后 『ちっ、違います! 婚后です!』 白井 「もう落ち着かれました?」 婚后 『ええ、どうにか。そちらはそろそろ就寝時間でしょうか?』 白井 「ということは、そちらはそろそろお昼ですのね」 婚后 『ええ、先程済ませました……あの、ところで』 白井 「はい?」 婚后 『今、絹旗さんはご不在ですか?』 白井 「絹旗さんならわたくしの隣におりますが」 絹旗 「はいはーい……」ノシ ユリコ 「( ・ω・)ノシ」 婚后 『左様で……先程、絹旗さんの携帯電話に掛けたのですが、繋がらなかったので』 白井 「あー……色々ございまして」 婚后 『?』 絹旗 「」ショボン ユリコ 「( ・ω・)っ」ナデナデ 白井 「それで、そちらでの生活はいかがですの?」 婚后 『まだなんとも』 白井 「あら、存外タンパクですのね」 婚后 『まだ起きてからあまり時間も経っておりませんし』 白井 「では慣れたところでまたお話を聞かせてくださいまし」 婚后 『ええ。楽しみにしていてくださいな。……あっ』 白井 「?」 婚后 『そろそろ出かける準備をいたしませんと』 白井 「出かける? こんな時間に?」 婚后 『こちらはまだ真昼間ですわ』クスクス 白井 「そうでしたわね」クスクス 婚后 『では、失礼致します』 白井 「くれぐれもお気をつけて」ピッ 絹旗 「」フニャー 白井 「ほら、絹旗さんも。そろそろ寝る準備をしてください」 絹旗 「今の電話、婚后さんですかー?」 白井 「ええ。元気そうでしたの」 絹旗 「そりゃ超良かったですねー」 白井 「婚后さんはああ見えて器用ですから、何だかんだでやっていけるかと」 絹旗 「」ハニャー 白井 「絹旗さん、いつまでも下着姿でのびてないで」 絹旗 「超メンドイですー」 白井 「ちょっとオープンすぎですの」 絹旗 「どうせ私と超白井さんしかいませんしぃ」 白井 「……では、わたくしの知る限りの超絶テクを絹旗さんの肢体に」 絹旗 「さあ、パジャマはどこにしまいましたかね」シャキッ 白井 「」ハァ 絹旗 「あ、そうだ。ユリコ、明日の夕方に超病院行きますよ」 白井 「あら? 随分手早いですのね」 絹旗 「こういうのは早い方が超いいですからね」 ユリコ 「ノシ・ω・)ノシ」 ~その頃 ロンドン~ 婚后 「ふぅ……」 婚后 「この紅茶。やはり本場の味は違いますわ……」ズズ... <コンコン ガチャ シェリー 「よう、極東。メシは済ませたか?」 婚后 「あら、ミス・クロムウェル。ごきげんよう」 シェリー 「あ、ああ、ごきげんよう……ダメね、このテの挨拶は慣れなくて」 婚后 「逆に言えば、慣れるか慣れないかだけの問題ですわ」 シェリー 「あとさ。ミス・クロムウェルとか、そこまでしなくていいから」 婚后 「え? ですが」 シェリー 「いいって。適当にファーストネームで呼んでくれりゃ」 婚后 「で、では次回からはそうさせて頂きます」 シェリー 「よろしい。さて、直近の予定について確認しましょう」ドサッ シェリー 「しかしまあ、留学ではあるんだけど」ガリガリ 婚后 「はい」 シェリー 「傍から見たら、修学旅行にしか見えないかもね」フー 婚后 「そ、そうなのですか?」 シェリー 「今回の短期留学の目的は2つ。こっちの文化に触れることと、語学学習なんだけど」 婚后 「はい」 シェリー 「極東は日常会話程度の英語なら問題ないみたいだし」ガリガリ 婚后 (それにしてもニックネームが極東というのも……) シェリー 「文化に触れるって言ったって、それ結局観光名所巡りか私の授業受けるかどっちかだからな」 婚后 「シェリーさんの授業と言うのは?」 シェリー 「美術史とか芸術論とかね」 婚后 「あ、やはりそちらの分野の方でしたのね」 シェリー 「やはり?」 婚后 「あ、いえ。どうぞお気になさらず」 シェリー 「……まあいいや。とりあえずー……」ガリガリ 婚后 「とりあえず」 シェリー 「大英博物館とかナショナルギャラリーでも見てもらって感想文かなんか書いてもらえばいいのか?」 婚后 「わたくしに聞かれましても」 シェリー 「まあ、色々やってみましょうか。どうせ模索段階なんだしな」ガリガリ 婚后 「は、はあ」 シェリー 「それで何か得るものがあればそれでいいだろ」 婚后 (存外アバウトなのですね……) シェリー 「以上。質問は?」 婚后 「先ほどからガリガリと何を彫ってらっしゃるのですか?」 シェリー 「あ、これ? あなたにお土産代わりに贈ろうと思ってさ」フー 婚后 「そこまでして頂かなくても」 シェリー 「そう言うなよ。趣味も兼ねてるしね」 婚后 「では楽しみにしておきますわ」 シェリー 「さて、とりあえず出ましょうか」 婚后 「どちらに?」 シェリー 「本格的に動き出すのは明日からだとして。今日はこの辺の案内だな」 ~ロンドン近郊 日本人街~ 婚后 「」キョロキョロ シェリー 「あまりキョロキョロしてると異国人だと思われるぞ」 婚后 「そこは否定できませんし」 シェリー 「まあ、こっちでその黒髪は目立つでしょうしね」 婚后 「シェリーさんの髪も違う意味で目立ちそうですが」 シェリー 「ほっとけ」 婚后 「それにしても意外でした。ロンドンにもこんなところがあるのですね」 シェリー 「日本にだって中華街とかあるでしょう? 似たようなもんだ」 婚后 「言われてみれば、確かに」 シェリー 「あ、そうそう。夜の食事はここいらで済ませようと思うから、気になる店があれば」 婚后 「え?」 シェリー 「ん?」 婚后 「せっかくですし、こちらの食事を頂いてみたいと思うのですが」 シェリー 「あ、そうか? そろそろ故郷の味が恋しくなる頃かと思ったんだけど」 婚后 「いえ、さすがにそこに至るほど時間は経っておりませんわ」 シェリー 「じゃ、夜は安くて脂っぽいフィッシュ&チップスでも噛じるとするか」 婚后 (それジャンクフードでは……?) ???? 「あら? シェリーさん?」 シェリー 「ん? アンタか、真昼間から何フラフラしてんの」 婚后 (シスターさん? お知り合いのようですわね) シスター 「ええ、今日はすごしやすい陽気でございますね」ニコニコ シェリー 「うん、そうね。で、なんかしてたの?」 シスター 「シェリーさんはお昼はもう済まされましたか?」 シェリー 「さっき食べたわよ」 シスター 「はい、今日の炊飯当番はわたくしでございますので買い出しにでも行こうかと」 シェリー 「あれ? アンタだったっけ?」 婚后 (……なぜ日本語で会話を?) シスター 「こちらの方とは初対面ですね。はじめまして、オルソラ=アクィナスと申します」ペコペコ 婚后 「はっ、はい、はじめまして。シェリーさんにご厄介になっている婚后と申します」ペコリ オルソラ 「綺麗な黒髪でございますね。お手入れはさぞ大変なのでしょう?」 婚后 「人並みには気を使っておりますが」 オルソラ 「はい、今日の当番はわたくしでございますよ」 婚后 (あれ?) シェリー 「おい、せめて会話する相手は一人に絞れ。ワケが分からなくなる」 オルソラ 「それで、日本からおいでになったのでしょうか」 婚后 「…………あ、あっ、わたくしですか!? はい、日本から参りました」 オルソラ 「まあまあ、遠路遥々よくお越しくださいました」ペコリ 婚后 「いえいえ、そんな」 オルソラ 「仰るとおり、多人数との会話は混乱しがちですね」ニコニコ 婚后 「?」 シェリー 「人数の問題じゃないのよ、アンタの場合は」 婚后 (あ、わたくしに振った話ではないのですね) オルソラ 「あ! もしよろしければ……」 : : : 婚后 (いつの間にか一緒に買物する流れになってしまいました) シェリー 「おい、オリーブ買いすぎでしょ。一生分買うつもり?」 オルソラ 「いえいえ、あくまでも必要分でございますよ」 シェリー 「何に使うんだよ……」 オルソラ 「それで、ええと……あら?」 婚后 「?」 シェリー 「極東」 オルソラ 「極東さんは何か食べたいものはございますか?」 婚后 (シェリーさん、恨みますわよ) 婚后 「ご馳走して頂く身でリクエストなどできませんわよ」 シェリー 「そう言わないの。こういうときは素直に甘えときゃいいんだ」 オルソラ 「そうですよ。こうして出会えたのも何かの縁なのですから」ニコニコ 婚后 「はあ……では、そうですわね……」 婚后 「こちらでの家庭料理など、頂いてみたいですわ」 オルソラ 「」ウーン シェリー 「言ってなかったけど、こいつイタリア育ちでイギリスに来たのは割と最近だぞ?」 婚后 「えっ、あ、そうだったのですか?」 オルソラ 「家庭料理でございますか……」ウーン 婚后 「あの、ここはやはり作りやすいもので」 オルソラ 「!」ピンポン シェリー 「?」 婚后 「?」 オルソラ 「かしこまりました。家庭料理でございますね」 婚后 「あっ、あの」 オルソラ 「それでは材料を調達致しましょう」トテテテ 婚后 「」 シェリー 「慣れてないと疲れるでしょ?」 婚后 「ええ、まあ……」 ~30分後~ オルソラ 「これで全部でございますね」 シェリー 「あとは会計ね。ここは歓迎会代わりに私が出してやるよ」 婚后 「そんな、申し訳ないですわ」 シェリー 「学生の身分なんだから、下手に遠慮するな」 婚后 「す、すみません」 オルソラ 「これが日本で流行している"つんでれ"でございますね」 シェリー 「アレってまだ流行ってんのか?」 婚后 「わたくしもそちらの分野には明るくないので」 オルソラ 「それではシェリーさん、ごちそうになります」 シェリー 「作るのはアンタだけどね」 婚后 「それにしても、みなさん日本語がお上手ですのね」 オルソラ 「私はすこし前まで仕事で世界中の国に赴いておりましたから」 婚后 「まあ、すごい……」 シェリー 「ああ、イタリアにいたときの話か」 オルソラ 「いえいえ、そんな大それたことはしておりませんし」 婚后 「オルソラさんは、シェリーさんのご友人ですか?」 オルソラ 「そうですね……敢えて申し上げるならパートナーでございましょうか」 婚后 「まあ、パートナー……素敵ですわね」ハゥ シェリー 「いつからそうなったんだ!」 オルソラ 「素敵だなんて、とんでもないことでございます。 私などマイペースですから、シェリーさんを怒らせてばかりで」 シェリー 「あ、自覚あったのね」 オルソラ 「二人で膨大な書物に立ち向かったあの日から」 婚后 「書物ですか?」 オルソラ 「はい、たしかあの時はクローチェ・」 シェリー 「やめやめ! 話していいことと悪いことがあるだろ!」 オルソラ 「あら、私としたことが」ニコニコ シェリー 「」ハァ 婚后 「やはりパートナーですわね。息があっておりますわ」 シェリー 「そりゃどうも……」 ~ロンドン近郊 とあるアパートメント~ 婚后 「どうぞ。まだ荷解きをしていないので散らかっておりますが」 シェリー 「しかしすげぇな。2週間ちょいの滞在のためにアパート借り上げるなんて」 オルソラ 「お邪魔いたしますー」ペコリ 婚后 「どうぞ、おくつろぎになって」 オルソラ 「まあ、素敵な部屋でございますね」 シェリー 「」ガリガリ 婚后 (シェリーさんは創作活動中ですか……) シェリー 「そういえばアンタ、炊事当番の方は大丈夫なのか?」 オルソラ 「ではキッチンお借り致します」ペコリ 婚后 「何か手伝えることはございませんか?」 オルソラ 「女子寮の方は夕食はまだ先なので、大丈夫でございますよ」 婚后 (焦らない、ここで待つ) シェリー 「あ、そう」ガリガリ オルソラ 「いえいえ、手伝って頂くのも申し訳ないですし」 婚后 「それではわたくしの気が済みませんもの」 シェリー 「極東がこう言うんだから、なんかやってもらったら?」ガリガリ オルソラ 「では……オリーブを洗って刻んでいただけますか?」 婚后 「任せてくださいな」 : : : オルソラ 「♪」ジャッジャッ 婚后 「……」 婚后 (手際が鮮やかすぎて、手伝うスキもございませんわ……!) オルソラ 「ここでお塩さんを♪」パッパッ 婚后 (結局わたくしはオリーブを切っただけ) シェリー 「喉乾いたな」ガリガリ 婚后 「あっ、ではお茶でも淹れますわね」 シェリー 「あ、悪い。催促したつもりじゃなくてさ。これやってると独り言多くなっちゃって」 婚后 「わたくしも手持無沙汰でしたし」コポコポ シェリー 「手伝うことなんてなかっただろ?」 婚后 「……もしや分かってて」 シェリー 「うん、なんか像がブレるな」ガリガリ 婚后 (英国というのは良くも悪くもクセ者ばかりですわね)ズズ... オルソラ 「♪」ジュワジュワ ~完成~ オルソラ 「完成です。それでは頂きましょう」 婚后 「スパゲティですか。まあ、美味しそう」 シェリー 「ボロネーゼね。んじゃ頂きます」 婚后 「頂きます」 オルソラ 「はい、どうぞ」ニコニコ シェリー 「料理の腕は一級なんだよな」ムグムグ 婚后 「これはプロ並……」 オルソラ 「」ブツブツ 婚后 「?」 オルソラ 「」ゴニョゴニョ 婚后 「あの……」 シェリー (気にすんな。食事の前のお祈りよ)ヒソヒソ 婚后 (そういえばシスターさんでしたわね)ヒソヒソ シェリー (そういうこと)ヒソヒソ オルソラ 「……」 婚后 「……」カチャ... シェリー (? おい、合わせる必要ないのよ)ヒソヒソ 婚后 (郷に入れば郷に従えと申しますし。日本式ですが、形だけでも)ヒソヒソ シェリー (……これ私もやる流れじゃねぇか) オルソラ 「それでは頂きます」ペコリ 婚后 「改めて、頂きます」 ~その夜~ オルソラ 「それでは、お邪魔いたしました」ペコリ シェリー 「あ、私今日は寮に帰らないんで」 オルソラ 「お仕事でございますすか?」 シェリー 「王立芸術院に仕事残ってるんだ。下手すりゃ徹夜ね」 婚后 (王立……! シェリーさんもすごい方ですのね) オルソラ 「まあまあ……では、徹夜明けにいい食事を用意しておきますね」 シェリー 「頼むわ」 オルソラ 「では、失礼いたします」ペコリ 婚后 「今日はありがとうございました」ペコリ <バタン シェリー 「私ももうちょいしたら出るからね」ガリガリ 婚后 「心得ました」 シェリー 「一日目、どうだったよ。やっていけそう?」 婚后 「ええ。これからが楽しみですわ」 ~翌日~ 婚后 「ヒマですわ」 婚后 「シェリーさんは……今日になってからアクションがないですわね」 <アッアー。マイクノテストチュウ。 結婚 「!?」 <オーイ、キコエテルカ? 婚后 「なっ、な、え……!?」 婚后 「声……ど、どなたですか!」 <コッチヨ、コッチ。 婚后 「?」クルッ 婚后 「ひっ……!?」 目玉 「あ、やっと見つけてくれた?」ギョロリ 婚后 「いっ……は……やぁぁぁぁぁ!!」ガクブル 目玉 「何ビビってんのよ。私よ、シェリー・クロムウェル」 婚后 「シェ……シェリー、さん……?」 目玉 「うん。つかビビりすぎだろ」 婚后 「壁に生えた目玉と目が合えば誰だって驚きますわよ!」ムキー 目玉 「なんだよ、意気地なし」 婚后 「そ、それで……これは……なんとも面妖な……」ツンツン 目玉 「おいやめろ、つつくな。くすぐったいから」モゾモゾ 婚后 「なんなのですか、この目玉さんは」 目玉 「たぶん説明してもピンとこないわよ。まあ、テレビ電話みてぇなもんだと思っとけ」 婚后 (なら電話を使ってくださいな……) 目玉 「それでね。予告通り、私徹夜明けだからさ。今日は付き合えない」 婚后 「はあ、お疲れ様です」 目玉 「だから今日は適当に過ごしといて」 婚后 「適当にと申されましても」 目玉 「あ、暗くなったらさっさと家に戻るようにな」 婚后 「それは心得ておりますが」 目玉 「やべ、限界。それじゃ、気を付けてな」 婚后 「あっ、あの」 シュワシュワシュワ 婚后 「……霧のように消えてしまいました。なんだったのでしょう……?」 婚后 「あら?」 婚后 「目玉さんがあったところに落書き? こんなの、前からありましたかしら」 婚后 「……」 婚后 「消しておきましょう」ゴシゴシ <アッ、コラ!ナニシテンノヨ! 婚后 「ひゃぁ!?」ビクッ ~ロンドン市内~ 婚后 「気の赴くままに出てきてしまいましたが……」コツコツ 婚后 「なんでしょうか、この既視感は」 婚后 (どこか懐かしい……) 婚后 「……ああ」 婚后 「街並みがどこか、学び舎の園に似ているからですね」 婚后 「まさか、始めて来る異国の地で郷愁にかられるとは」 婚后 「なんだかおかしいですわね」クスクス 婚后 「よし、目的地を決めずに気ままに歩いてみるとしましょうか」 : : : 婚后 「さて、何やら荘厳な建物が見えてきましたが」 婚后 「あれはなんでしょうか……?」 ※『』は英語での会話です。 じじい 『ありゃロンドン塔だ!』 婚后 「わっ!?」ビクッ じじい 『よう、お嬢ちゃん。日本から来たのかい?』 婚后 『え、ええまぁ……』 じじい 『暇人のおっさんが案内してやろう! さあ、おいで!』グイグイ 婚后 『ちょ、ちょっと! 離してください!』 ~ロンドン塔~ 婚后 (旅は道連れといいますが、これでは……) じじい 『ここがどういうところは知ってるかい?』 婚后 『少しばかりは』 婚后 (たしか……重たい歴史がある場所なのですよね) じじい 『なら話が早いな。ここにはな、亡霊が出るんだ』 婚后 『まさか』クスクス じじい 『ホントなんだな、それが』 婚后 『何か奇妙な出来事でも?』 じじい 『たまにな、魔女の釜の底から響いてくるようなおっそろしい叫び声が聞こえてくんだよ』 婚后 『それはぜひ聞いてみ』 <ぶるわぁぁぁぁぁぁぁ!! 婚后 「」ビクッ じじい 『おい、まただ。くわばらくわばら』 婚后 『いっ、今の声が……?』 じじい 『そうだ。ロンドン塔に住まう亡霊だよ』ニヤリ アイテム <七つ道具に頼るか!異教のサァルどもがぁ! 婚后 「……?」 婚后 (これ、人間なのでは?) じじい 『こんなところにいたら亡霊に吸収されちまう。行こうぜ』 婚后 (ご好意はありがたいのですが、どうにか逃げ道は) 婚后 (しかたないですわね。本当はいけないのですが) 婚后 『おじいさん、ありがとうございました。わたくしはここまでで結構ですわ』ニコニコ じじい 『お? そういうなよ。これからバーガーが上手い店を教えてやるから』 婚后 『申し訳ございません。ご好意だけ頂きますわ』ペコリ 婚后 (エアロ噴射)ヒュパッ 婚后 『それではおじいさん、ごきげんよう♪』ノシ シュパァァァァン じじい 『』ポカーン じじい 『最近のジャパニーズスクールガールは飛ぶような速さで移動すんのか?』 じじい 『いや、まさかあれは……』 青年 『じいさん、何呆けてんだよ』 じじい 『おい、見たか!? 俺はついさっきまで、地上に舞い降りた天使と一緒にいたんだぜ!』 青年 『はあ? もうお迎えがきたってのか?』 ~タワーブリッジ~ 婚后 「少々つれなかったでしょうか」 婚后 「でもわたくし決めたんです。今日は一人旅を満喫するって」フンス 婚后 「さて……これはまた有名な景色ですわね」 婚后 「ロンドン塔のすぐ近くだとは存じませんでしたわ」 婚后 「せっかくですし、渡ってみましょう♪」トテテテ : : : 婚后 「まあ、すごい綺麗……」 婚后 「カメラを持っておいて正解でしたわね」カシャカシャ 少年 「」ススス 婚后 「?」 少年 「」ピースピース 婚后 「あらあら」クスクス 婚后 「」カシャ 少年 「」b グッ 婚后 「」b グッ 少年 「」ノシ タッタッタッタッ... 婚后 「フレンドリーな少年ですこと」クスクス 婚后 (それにしても、こちらの子供は美男美女ばかりですわね) 婚后 (隣の芝は青く見えるとはいえ……) 婚后 「さっきの子も、きっと将来有望ですわね」 婚后 「さて、お腹も空いてきましたし」 婚后 「橋を渡り切ったところでお昼にいたしましょうか」コツコツ 婚后 (といっても、こちらの食事はあまりいい評判をきかないですわね) 婚后 「ま、お腹に入ってしまえば同じですわ」 ~1時間後~ 婚后 「信じられませんわ!」プンスコ 婚后 「なんなのですか、あの食事は! あれでお金を取るなんて!」 婚后 「アレなら結標さんの手料理の方がまだマシですわよ」 婚后 「……はあ。結局半分以上残してしまって」 婚后 「お腹空きましたわね」 婚后 「そういえば、怒りに任せて歩いてしまいましたが……」 婚后 「ここはどこでしょうか?」 【Southwark Park】 婚后 「サザークパーク……?」 婚后 「公園ということはわかりましたし、行ってみましょうか」コツコツ 婚后 「」グゥゥゥ 婚后 「こ、こらっ。しずまりなさい!」 ~サザークパーク~ 婚后 「いかにも公園、といった感じですわね」 婚后 「いいですわね。こういうところも」 婚后 「」スンスン 婚后 「こ、この香りは……!?」 婚后 (ああ、いけません。いけませんわ。このままでは……) 婚后 (意識が持っていかれる……!) 婚后 「」フラッ 婚后 「今のわたくしでは……抗えませんわ……」フラフラ : : : ?? 「♪」ジュワジュワ 婚后 (やはり! この香りの正体は、あのやきそばの屋台!) 婚后 (なぜこんなところにあるのかは疑問ですが) ?? (さっきから、木の陰から顔を覗かして凝視してる少女は何者なのよな……?) 婚后 「あの……」 ?? 「はっ、はい! しゃせ!」 ?? (ありえんのよな! 術式構築のために焼きそば屋やってるのに、売る羽目になるなんて!) 婚后 「お一ついただけますか?」 ?? 「はい、えーと、200円なのよな!」 婚后 「? 円?」 ?? 「はい!」 婚后 「は、はあ」チャリチャリ ?? 「はい、まいど!」 ?? 「むむ、まずいぞ。手元が狂い始めてる」 ?? 「建宮さん、何焦ってるんすかね」 ?? 「まさかこれほどまで自然に買おうとする者が現れるとは思ってなかったんだろう」 ?? 「諫早さん、どうします?」 諫早 「さあ、香焼くん行ってくるんだ!」 香焼 「まじっすか!」 婚后 「」チョコン 建宮 (なぜすぐ近くのベンチに落ち着くのよな! どっかいけ! あ、やっぱ行かないで!) 婚后 「あ、おいしい」 建宮 (しかしなんという隠れ巨乳に脚線美! 日本人離れした体系の割に日本人の象徴である黒髪ロング!) 香焼 「お姉さん、隣いいすか?」ニコニコ 婚后 「え? あ、どうぞ」 香焼 「失礼するっす!」 香焼 (建宮さん、今にうちに!) 建宮 (恩にきるのよな!) 婚后 (日本人の男の子なんて珍しいですわね) 香焼 「お姉さんは旅行すか?」 婚后 「いえ、留学ですわよ」 香焼 「りゅ、留学! すごいっす!」 婚后 「そんな大したことはしてませんわ」クスクス 香焼 「……あの、もしかしてなんすけど。その制服って、学園都市の?」 婚后 「あら? ご存じなのですね」 香焼 (ビンゴォ!? 諫早さん情報ヒットォ!?) 婚后 「ご察しの通り、学園都市から来ましたのよ」 香焼 「すっごいすね! 自分も一度でいいから行ってみたいんすよ!」 香焼 (行ったことはあるけど、ゆっくり見たことはないんすよね) 婚后 「ぜひおいでなさいな。その時には案内してさしあげますわ」 香焼 「まじっすか! 約束すよ! 何年経っても忘れないくださいよ!」 婚后 「心得ました」クスクス 香焼 「」チラッ 香焼 「じゃ、自分もう行くっすね! ありがとうございました!」 婚后 「ええ、またいずれ」 タッタッタッ 婚后 「……あ、名前を聞きそびれましたわね」 婚后 「あら?」 婚后 「焼きそばの屋台が消えてる……いつの間に?」 ~同日夕方 とあるアパートメント~ <ガチャ バタン 婚后 「はー……」 目玉 「おはよーう」 婚后 (なぜだか、これにも慣れてしまいましたわね……) 婚后 「おはようって、もう日も暮れてますわよ」 目玉 「さっき起きたのよ」 婚后 「お忙しいのですね」 目玉 「まあね。あなたのこともあるし」 婚后 「ほったらかしだったではないですか」 目玉 「」ウルウル 婚后 (えー……) 目玉 「で、どうだったよ。今日は」 婚后 「ロンドン市内を歩いて回ってましたわ」コポコポ 目玉 「なんか面白いもんはあったか?」 婚后 「ええ、それはもう色々と。あ、お茶いかがですか?」 目玉 「どうやって飲めってのよ」 婚后 「これは失礼しました」クスクス 目玉 「ったく……で、他になんかあったか?」 婚后 「ええ。とりあえず、食事は極力自炊すると誓いましたわ」 目玉 「地雷踏んだわね」 婚后 「あとはそうですわね……面白い出会いでしょうか」 目玉 「出会いねぇ」 婚后 「ええ、退屈しませんわね。この街は」クスクス 目玉 「分からなくもないけどさ」 婚后 「次はどんな出会いがあるか、楽しみですわね」 目玉 「……ちょうどいい。とびっきりのを用意しといてやる」 婚后 「?」 目玉 「じゃ、また明日な」シュワシュワシュワ 婚后 「とびっきり……どんなのでしょうか」
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/こぼれ話 気付かれてしまった事、気付いてしまった事こぼれ話 美琴「(ね、ねえ!)」 上条「(何だよ? まだ駄々コネてんのか? 今回は14巻途中~16巻ってのは規定事項だぞ)」 美琴「(ほほほほほほ本当にいいのかな!? だってほらアンタ記憶喪失のこと隠してるんでしょ!? あの二人にバレちゃっていいの!?)」 上条「(あ、そうか)」 美琴「(でしょでしょ? だからさ、16巻を飛ばしても!!)」 上条「(ん~~~~~~~~~~~~~まあ別にいいや)」 美琴「(え、えええええええええええええええええええええええ!!?)」 上条「(だって、このこぼれ話に出てきたゲストにゃ、白井、佐天さん、初春さん、あと一方通行には話してるから、クラスメイトや両親と関わらないあいつらならいいだろ。特に五和と出会ったのは『記憶喪失後』だし。まあ神裂はビックリするかもしれんけどこのこぼれ話は二次創作だし)」 美琴「(それって究極のメタ発言じゃない!?)」 五和「さて、と――上条さん? 御坂さんと仲睦まじげにヒソヒソ話するのを止めてそろそろ中編を始めませんか?」 上条「な、なあ五和? 何かあるごとに槍の切っ先を突き付けるのは止めようぜ……背後だから見えないけど延髄に当たってる感覚は分かるんだからさ……って、ん? 神裂? 何お前目逸らしてんの……?」 神裂「い、いえ……単に映像がなくて良かったと思ったまでです……」 上条「ん? 御坂お前も……?」 美琴「そ、そうね。では早速始めましょうか。」 上条(レベル5と聖人が恐れ戦くって……? 見たいけどやっぱ見ない方がいいんだろうな……) 五和「……」 「……あれ。そういやインデックスはどうしよう」 彼女を危険な場所へ連れていくのは反対だが、かと言ってご飯のない部屋に放ったらかしというのもまずそうな気がする。 「舞夏がカミやんの部屋に行ってるから大丈夫だよ。多分いつもの食いしん坊より三割近くツヤツヤしてるはずだにゃー」 その言葉を聞いてホッとする反面、自分の存在意義はもう『ご飯を作ってくれる人』しかないのか、と上条はやや呆れる。 神裂「ふむ。あの子を危険な場所に連れて行かないという姿勢は評価できるのですが上条当麻。この発言からですと貴方の方も、どちらかというとあの子の身の安全よりも食の心配しているように感じるのですが?」 上条「そりゃ、まあ……」 美琴「まあ、あの子が満腹のときって見たことないしね。確か大覇星祭のときだって、朝食後2時間くらいでもう空腹で行き倒れてたし。アンタが貧乏というかいつもお金がないのは貰ってる奨学金の大半をあの子の食費に回してるからなんでしょ? いくら普通校でも趣味や娯楽を我慢すれば二人分の食費くらい出るはずなのに、ホントあの子の胃袋はどうなってるのかしら」 神裂「飢えさせている、という訳ではなさそうなので安心しました」 上条「なあ。今まで聞いたこと無かったんだけど、あいつが神裂と一緒に居た頃の食欲ってどんなだったんだ?」 神裂「さあ?」 上条「さあ、って……」 神裂「彼女の食事は別の担当が居ましたし、相伴という事もありませんでしたから答えようがないのです。食事以外の時間はほとんど一緒に居ましたけど」 上条(…………当時のコックだか調理師は大変だったのか……それとも必要悪の教会は相当裕福なのか……) 五和「でしたら上条さん! 私が毎日作りに行きましょうか!!」 上条「何でそんな話になるのか分からんし、別に作りに来てもいいけど毎日って一体どこに住み込むつもりだ? さすがにイギリスからは来れんだろ」 五和「そ、それは……その……やはり上条さんの部屋……に……/// って、あれ? 上条さん? 上条さん? どこ行ったんですか? あ。女教皇様と御坂さんも居なくなってます。はて?」 上条は少し考えてから、やがて携帯電話の登録メモリを呼び出した。そこにある番号の一つに電話をかける。 「御坂!!」 『な、何よ』 電話の相手は御坂美琴だ。 五和「……」 上条「な、何でせうか……? そのジトー……っとした眼差しは……」 五和「えっとですね上条さん……これ、カットされているから分かり辛いんですけど、いくら学園都市の駆動機だからって、すぐ傍に私が居るのに意見を求めることなく御坂さんに電話したのは何故ですか……?」 上条「え? 俺間違えてる? だって、学園都市製のモノなら学園都市の人間に聞くのが当然じゃね? これが魔術のことだったら俺、御坂じゃなくてインデックスに聞いてるぜ?」 五和「………………………………ちょっと待ってください………………私がすぐ傍に居るのに、ですか? この際ですから駆動機のことは納得しますけど……」 上条「いやだから何でそこで俺が恨みがましい視線を向けられなきゃいけないんだって。戦闘中だよ? 適切な判断だと思うけど違うの?」 神裂「上条当麻……五和の矛先が変わった事にも気付かないくらい鈍感だとは……」 美琴「そりゃー、科学サイドならまだしも魔術サイドのことをすぐ傍に居る魔術師に聞かないんじゃね。科学サイドで例えるなら、私が傍に居る時に妹達に電話するようなものよ」 上条「あ。」 「ちょっと聞きたいことがあるんだけど、今大丈夫か?」 『へ、へえ。それって私じゃないとダメな訳? 他の人でも別に良いんじゃないの? 例えばウチの母とか』 「ん? ……そうか、そうだよな。別に御坂じゃなくても、美鈴さんとかに尋ねても――――」 『ノンノンノンノン!! ちょ、アンタ私に何か聞きたいことがあったから掛けてきたんじゃなかったっけ!?』 「??? まあ、美鈴さんよりも、学園都市内のヤツの方が良いか」 神裂「御坂美琴さん。敵に塩を送るという訳でもありませんが、もう少し素直に対応しては如何でしょう?」 美琴「んな!? そそそそそそれはですね!!///」 神裂「素直に返事しておけば、別の誰かに連絡されそうになることもなかったのではないでしょうか?」 美琴「いやそうなんだけどさ!!///」 五和「ああ! なんと素晴らしい!! 女教皇様が寛大にもサルバーレ000(救われぬ者に救いの手を)なところを見せてらっしゃいます!!」 上条「ところで神裂。『敵に塩を送る』って、どういう意味だ? いや言葉自体の意味は知ってるよ。けど、ここで使った理由が分からなくてさ」 神裂「んな!? そそそそそそれはですね!!///」 上条「まあ御坂は科学サイドで、神裂は魔術サイドだから敵味方と言えなくもないか」 神裂「いや……そうなんですけど……」 五和「……上条さんって相変わらず上条さんです」 美琴「デスヨネー」 上条「え? 俺間違ってないよね?」 美琴「うん。間違ってないわよ。ただ、私たちとアンタの間に『敵』という言葉の意味の捉え方でかなりの乖離はあるけどね」 神裂「ですよねー」 上条「???」 『――――テレビなんてどこを点けても臨時ニュースしかやってないじゃない。アビニョンってフランスの街でしょ。――――』 『――――……つか、アンタ今どこにいる訳? むしろこの情報が入ってこない場所を探す方が難しいんじゃないかしら』 美琴「で、その中心にいたと」 上条「ま、まぁ結果的にはそうなりますよね」 美琴「アンタねぇ! そうならそうってちゃんと言いなさいよ! 心配するじゃない!」 上条「いや、言えなかった理由も分かるだろ!? それに言ったら言ったで、結局心配かけちまうし!」 五和「……つまり上条さんは、御坂さんに心配をかけたくなかった訳ですかそうですか」 神裂「五和。何でもかんでも病んでしまうのはやめなさい」 御坂美琴は携帯電話を手にしたまま硬直していた。 スピーカーの向こうから聞こえてきた、雑音混じりの言葉を聞いて身動きが取れなくなっていた。 五和「ん? あれ? 随分とシリアスというか深刻な展開に? 随分飛びましたけど、ここら辺だと左方のテッラを退けた後なのに?」 神裂「一体何があったのでしょう?」 美琴「……」 上条「……あー…OPトークの時は思わんかったけど、いざ、このシーンが来ると結構緊張しちまった、な……」 彼女の胸を締め付けているのは、たったの一言だ。 「……、」 口に出そうとして、美琴は声が出ないことに気づいた。 ――――体の震えが収まるまでじっとしていようと思ったのだが、いつまで経っても収まる様子はなかった。 ――――意図していないのに、不気味なくらい掠れた声が自分の口から放たれるのが分かる。 彼女が放ったのは、小さな声だ。 「……忘れて、いる……?」 言葉に出してから、御坂美琴はその意味についてもう一度考えてみる。 記憶喪失ですって? 神裂「な……!」 五和「え……?」 上条「……そういう反応になるよな。けど五和は心配するな。俺がお前と初めて会ったのは記憶喪失になった後の話だから」 五和「そ、そうですか……それは良かったです、でいいのでしょうか……」 神裂「ちょ、ちょっと待ってください! それでは私は!? 私と初めて会ったのは……!?」 上条「……悪い。今まで黙ってたけど、今の俺が神裂と初めて会ったのは御使堕しのときだったんだよ……あん時はまだ誰にも、というか……アイツに知られたくなかったからな……」 神裂「そう……ですか……あ、アイツとはもちろんあの子の事ですよね……?」 上条「まあな」 神裂「……でしたら仕方がありませんね……って、今はどうなのですか!? 今でもあの子は知らないのですか!?」 上条「いや、もう知ってる。アイツも受け入れてくれたっぽい。本心はさすがに分からないけど、表面上は今までと何ら変わりないぜ」 神裂「……それならばいいのですが……ところで原因は何なんです……?」 上条「知らん」 神裂「はい?」 上条「だって俺、原因を聞いてねえもん。分かっているのは七月二十八日以前の記憶がないから、記憶喪失になったのは七月二十八日ってことだけだ。原因を知ってるのは多分あいつだろうから聞けねえだろ?」 神裂「な、なるほど……」(とすると原因は竜王の殺息によって生み出された光の羽……ッ!!) 五和「女教皇様?」 神裂「い、いえ……何でもありません……」(これはさすがに私からも話せませんね……永久に記憶の奥底に封じ込めておかなくては……) ??「優先する。――――――記憶を下位に、秘密を上位に」 上条「わざわざ生き返ってまでシリアスブレイクすんなよ」 「――――それより十二月のスケジュールが決定しました。時期が時期ですから、最大主教にはサンタクロースの格好をして四三ヶ所の児童養護・福祉施設を回ってもらいます。これも公務ですので、どうかご了承ください」 「うむ。鼻血必至の悩殺ミニスカサンタセットはすでに調達できたるのよ」 「ッ!!!??? 今、自信満々にウムとか頷いて変なことを言いませんでしたか!?」 上条「はい!? 最大主教って一番偉い人ですよね!? イギリス清教って厳格な十字教ですよね!? いったい何言っちゃってんのこの人!!」 神裂「……そういう反応になりますよね……はぁ……」 五和「あ、あの……女教皇様……我々はこんな淫らな輩の下に居るのでしょうか……」 神裂「世の中にはどんなに理不尽なことでも受け入れなければならないというときがあるのです……それにロシア成教・殲滅白書のトップよりはマシでしょう」 美琴「ふーん。珍しくアンタにしては『ミニスカ』サンタに喰いつかなかったわね」 上条「いや御坂さん!? 『珍しく』って何ですか!? 紳士で硬派たる上条さんは『いつも』そういったモノには喰いついていないはずですよ!?」 五和「女教皇様、ちょっと左足をこの台の上に乗せてもらえます?」 神裂「? こうですか? と、随分高い台ですね。膝が腹部に付きそうな……って、上条当麻? 何、凝視しているのです……?」(ジト目) 上条「はっ!!」 美琴「やっぱり太股に喰いついてんじゃんかゴルァァァァアアアアアアアアアアアア!!」 上条「すすすすすすんませぇぇぇえええええええんんんん!! 男の性なんですぅぅぅぅぅぅううううううううううううう!!」 「やかましいこのド素人が!!」 「ッ!?」 「さっきっから黙って聞いてりゃベラベラとと!! ――――」 「かっ、神裂? 神裂さーん……? あの、ええと、先程から先ほどから口調がおかし―――」 「言葉遣いに関してテメェにゴチャゴチャ言われる筋合いはねぇこのクソ野郎!!」 上条&美琴&五和「「「……………」」」 神裂「う゛う゛んっ! ごほんごほん!」 美琴「えっと…もしかしてハンドル握ると性格が変わるとかそういうアレですか神裂さん?」 上条「いや、これは普通にキレるとこうなるってだけだろ。そうですよね神裂さん?」 神裂「な、なぜ急に敬語なのですか!?」 五和「女教皇様は怒ると恐いですから…」 神裂「五和に言われたくはありませんよ!!?」 美琴「キレると性格が荒くなるのも、キレると病んじゃうのも、どっちも恐いと思うけど…」 神裂&五和「「うっぐっ…!」」 上条「まぁ、御坂はいつも軽く怒ってるけどな」 美琴「なっ! そ、それはアンタが…その…いつも無意識で私に変な事するから……///」 上条「変な事って?」 美琴「そ、そそそ、そんなの言える訳にゃいじゃない!!!///」 五和「…ちょっと目を離した隙に、す~ぐそうやって……うふふふふふふ…」 神裂「イチャイチャしてんじゃねぇよド素人共がっ!」 上条「病んでる病んでる。荒くなってる荒くなってる」 「わ、私は、それだけじゃないと思いますけど……」 「?」 ごにょごにょ言う五和に上条が首を傾げると、彼女は慌てて両手を振ってごまかした。 五和「………///」 美琴「へー。ほー。ふーん」 上条「え、な、何? ミコっちゃんから何やらやたらと痛い視線が突き刺さるのですが…」 美琴「べーつーにー!? アンタがそういう奴だってのは、よ~~~~~く知ってるし!?」 上条「だから何がだよ!? 俺が…どういう奴だって!?」 美琴「何でもないって言ってんでしょ!? バーカバーカ!」 上条「なっ!? 古来より、馬鹿って言った方が馬鹿だって相場が決まってんだぞ!?」 神裂「…何ですかコレ。ただの痴話喧嘩にしか見えないのですが…」 五和(おかしい…私が上条さんと……ごにょごにょ…する流れのはずだったのに……) 「五和の野郎……さっきから業務連絡ばかりで、ちっともアタックしませんね」 「まったくよな。せっかく上条当麻にゼロ距離攻撃できるチャンスを与えてやったというのに――――」 五和「ううう牛深さんも建宮さんも何言ってんですか!!!///」 上条「…なぁ五和」 五和「あっ! ひゃ、ひゃいっ!!?///」 上条「五和ってアックアから俺を守る為に学園都市に来たんだよな? なのに何で建宮達は、五和に俺を襲わせようとしてんの? アタックしないとか、ゼロ距離攻撃できるチャンスとか」 五和「………デスヨネー」 美琴「うん。分かってた分かってた」 神裂「上条当麻ならば、そう言うだろうと予想はしていました」 上条「よくは分かんないけど君達、そこはかとなく馬鹿にしてるね?」 「――――そう、それは『五和隠れ巨乳説』ッッッ!!」 五和「………」 神裂(建宮ェ…) 上条「大声で何言ってんだこのクワガタ」 美琴「くっ」 上条「あれ!? でも何か御坂一人だけ大ダメージ受けてる!」 ――あの少年は身近なところにいるように見えて、実は良く分からないことがかなり多かった。 美琴「あー……そう言えばこの時点でもうすでに私、何周くらい周回遅れだったのかしら……」 上条「なあ御坂? あの僧正のときのことなら気にしなくても良いと思うぞ? アレはそういう存在なんだから多分、五和どころか神裂だって歯が立たないと思うぜ」 美琴「だからなんじゃない!! 東京湾の時にやっとアンタと同じステージに立てたと思ってたのに、それなのにアンタはもっと先に行っちゃってて……」 上条「いやあのな? 俺だってできればあーゆーのと関わり遭いたくないわけで、たまたまお前より先に関わっちゃってたってだけで」 美琴「……何かアンタのフォローはフォローじゃなくてトドメっぽいわよ……はぁ……」 上条(ううん……どうやって御坂を元気づければ良いものか……) 五和「上条さん! 何やら聞き流せないようなことをサラッと言いませんでしたか!!」 神裂「その通りです。確かに私にだって太刀打ちできない相手は多々存在することは認めますが、だからと言って『歯が立たない』とまで言われるのはどこか心外ですね」 上条「…………魔神って知ってる、よな?」 神裂&五和「!!!!!!!!!!!!!?!」 美琴(え? この二人も魔神って存在が分かるの? だったら私ってもしかしてこの人たちよりも周回遅れ??) 上条「お、おい御坂! お前なんだかさっきよりも精神的なダメージを受けてないか!?」 ??「優先する。――――――プライドを下位に、メンタルダメージを上位に」 上条「だから、わざわざ生き返ってまでシリアスブレイクすんなっての」 (知り合いの精神系能力者に相談するって選択肢もあるんだけど) 常盤台中学には、美琴の他にもう一人、第五位の超能力者がいる。 上条「ああ、噂には聞いた事あるな。まだ会った事はないけど」 美琴「…? ねぇ。前々から思ってたんだけど、アンタあいつの事忘れすぎじゃない?」 上条「へ? あいつって?」 美琴「だから、その第五位の事よ。何だったら、こぼれ話にもゲストで来てたでしょ」 上条「えっ!? いつ!?」 美琴「……本当に覚えてないの? …ま、まぁ私的にはそっちの方が都合がいいけど」 神裂「……………」 五和「あの、女教皇様? どうかなされましたか? 何だか難しい顔して…」 神裂「…ああ、いえ。何でもありません」(科学サイドの力を借りれば、もしかしたらあの子の記憶も…なんて、この少年の前で言える訳はないですね) (だぁーっ!! くそ、そもそも何で私があの馬鹿の事でこんなに頭を悩ませなくちゃならないのよ! なんか下手に焦って頭が回らなくなってるし、そのせいで余計に焦りまくってるし――――) 美琴「そ、そうよ! 何で私がアンタなんかの為に悩まなくちゃなんないのよ!」 上条「いや何でって聞かれても…それを一番知りたいのは上条さんなのですが?」 美琴「っ! いや、だから、それは、そのっ!///」 神裂「…墓穴を掘りまくっていますね」 五和「あの…女教皇様。一応確認いたしますが、この巻って私がヒロインなんですよね?」 神裂「諦めなさい五和。この『すれっど』には、何か見えない力が働いているようですから」 バゴン!! という良い音と共に、上条当麻の側頭部にボールが激突する。 しかもその勢いに押され、上条の頭が隣を歩いていた少女の胸の谷間へと突っ込んだ。 五和「ききき、来ました! これは流石に私のターン///」 美琴「へー。ほー。ふーん」 上条「え、な、何? ミコっちゃんからの何やらやたらと冷たい視線で凍りつくのですが…」 美琴「べーつーにー!? アンタがこういう奴だってのは、よ~~~~~く分かってたし!?」 上条「だから何がだよ!? 俺が…どういう奴だって!?」 美琴「何でもないって言ってんでしょ!? バーカバーカ!」 上条「なっ!? 古来より、馬鹿って言った方が馬鹿だって相場が決まってんだぞ!?」 五和「なん…だと…?」 神裂「だから言ったでしょう。何か見えない力が働いているのですよ。この二人をくっ付けさせようとする、謎の力が」 ――ツンツン頭の少年は、なんだかんだで未だに少女の胸にめり込みっ放しだ。しかも『うっ、ううん……』と言いながら、寝ぼけて少女の膨らみをわし掴みだ。 美琴「……」 神裂「……」 五和「……///」 上条「い、言っておくが、この時の記憶が俺には無いから、な……?」 神裂「上条当麻。ちょっと、これを左手で持って天に突き上げてくれますか?」 上条「ん? 抜刀状態の七天七刀、だな。こうか? って、神裂? お前何俺の左手をぐるぐる巻きにして刀から手を離せないようにしてんの?」 神裂「はい。それでよろしいかと。では御坂美琴さん。よろしくお願いしますね」 美琴「うん。おっけー」 上条「って、おい! これってアレだろ!? この刀に雷落とそうって腹だろ!? お前ら何打ち合わせもなく息ぴったりに俺を抹殺しようとしてんだよ!?」 (……お、女の子のお料理風景だ) 上条「や~、やっぱ自分ちの台所に女の子が立って料理するっつーのは男の夢だよな~」 五和「あ、ありがとうございます…嬉しいです……///」 美琴「…わ…私だって料理くらいできるし!」 上条「いや常盤台で教わるのって、大体が聞いた事のないようなオシャレ料理だろ? オリーブオイルドバァの野菜ザクザクーの塩コショウファサーの。そういうのとは違うんだよな」 美琴「どこ Sキッチンの話してんのよ! 家庭料理くらい作れるわよ! ご家庭にない物は使わないわよ!」 神裂「ちなみに私も料理は得意です。和食が特に」 五和「私は…ご覧の通りです!」 上条「え? え? 何みんなして。何この料理得意自慢大会。これはアレですか? 三人で食戟して上条さんが審査するフラグですか?」 美琴「お望みならやってもいいわよ」 神裂「公平に判断してくださいね?」 五和「三人とも旨い、なんてのは無しですから」 上条「……何故だろう? 相当旨そうな料理が出てくる予感は漂ってくるののに、どんな判定をしても上条さんの身の危険しか感じないのは……」 「……湯上りゲコ太ストラップ……」 上条「……………」 美琴「な、何よ! 言いたい事があるならハッキリ言いなさいよ!」 上条「…じゃあ言うけどね。お前、俺とペア契約した時に同じ奴もらってたじゃん。何でわざわざもう一回もらおうとしてんの?」 美琴「は…はああああ!? 全っ然同じのじゃないし! アンタと一緒にもらったのはペアゲコ太でしょ!? こっちは湯上りゲコ太なのよ!? 全然違うじゃない!」 上条「だから違いが分かんねっつの!」 五和「……………この短い会話の中に気になるワードがてんこ盛りだったんですけど…」 神裂「ああ、変温動物のカエルが銭湯のような高温のお湯に浸かっても大丈夫なのか…という所ですね?」 五和「いえ。そこは全く気になってないと言いますか考えもしなかった所です」 美琴「て言うか! ゲコ太はカエルじゃないわよ!?」 上条「…天然神裂さんのおかげでツッコミが錯綜してるな」 ――――脱衣所に入って手早く衣服を脱ぐ。淡い色のタオルを体に巻き、ロッカーの鍵をかければ突撃準備完了だ。 (……意外に短いのがネックなのよね) バスタオルの端、太股の辺りをやや気にしながら、美琴は大浴場への扉を開く。 美琴「目潰しっ!///」 上条「ぎいいいやああああ!!! な、なな、何をしますか急に!!!」 美琴「ううう、うっさい馬鹿! 人の着替えをまじまじ見ようとしてんじゃないわよ!!!///」 神裂「それにここから先は五和やあの子の入浴シーンもあるのでしょう? まさか貴方は、そこも覗くつもりだったのですか…?」 五和(私は…別にいいんですけど……///) 上条「ううぅ…ちくしょう不幸だ……どうせ規制がかかって湯気で見えないクセに…」 美琴「そういう問題じゃない!!!///」 実はあんまり熱いお風呂が好きではない美琴は、三分割された浴槽の内、一番子供向け方へと足を進めていく。 美琴「ち、ちち違うわよ!? 私はただ脳卒中とか心筋梗塞の危険があるから熱いお風呂に入りたくないだけで別に子供だからとかそういうんじゃないからね!?」 上条「…何も言っておりませんが」 五和「女教皇様は熱いお風呂お好きですよね?」 神裂「そうですね。比較的好きな方かと思います」 上条「まぁ…大気圏に突入しても平気だもんな。そら熱いのも大丈夫だろ」 美琴「えっ!? た、大気圏!?」 神裂「そ、それはこの話と関係ないでしょう!?」 (意外とデカそう……) 素直に負けを認めるしかない状況だと気付いて舌打ち。 美琴「くっ」 上条「また御坂が大ダメージを!?」 五和「一体どうしたんですか!?」ポヨン 神裂「ご気分でも悪くなりましたか?」ボイン 美琴「アンタら、わざとやってんじゃないでしょうねっ!!? てか、何でアンタの周りには胸のデカイ奴ばっかりなのよおおおおおおおお!!!」 上条「美琴さんが血の涙を流しながら怒りを爆発させていらっしゃる!?」 神裂「このようなモノ、あっても日常生活には邪魔なだけなのですが…」 上条「神裂さん!? その台詞、絶対に言っちゃダメなやつ!」 美琴「うわああああああああああん!!!」 上条「落ち着けミコっちゃん! 女性の価値は胸だけじゃないって! それにほら、今のミコっちゃんだって充分魅力的な訳だしさ!」 美琴「うわああああああああああん!!!」 五和(今…上条さんがサラッととんでもない事を仰ったような気がしましたが……き、気のせいですよね…?) 上条「そ、それにだな! 俺の周りに居る奴でもミコっちゃんより胸小さいのは結構いるぜ!! インデックスとかオティヌスとかバードウェイとか白井とか」 美琴「あ。」 上条(ふぅ~~~やっと御坂が泣きやんだ……って、あれ? どうしてだろう? 今度は俺が泣きたくなって来たような……背後から猛吹雪のような冷たくて射殺されそうな視線を感じるんだが……) ??「……」(歯がギラリと光っている娘) ??「……」(槍を掲げている体長15cmくらいの娘) ??「……」(槍を掲げている娘その2) ??「……」(金串を構えている娘) 他人に心配をかけさせるような事は全部内緒にしているから、誰かに声をかけてもらう事なんて絶対にありえないと、何も言わなくても誰かが自分のピンチを察して助けに来てくれるなんて都合の良い事は起こる訳がないと、本当のそう信じている顔。 その小さな事が頭にきた。 心の底から。 「何で……言わないのよ」 気がつけば、美琴はポツリと呟いていた。 後戻りはできなくなると分かっていながら、言葉を止めることはできなかった。 美琴「アンタ、本当に馬鹿でしょ」 上条「何おう!? じゃあ何か? お前が俺のピンチに颯爽と登場してくれるってのか? んな都合の良い偶然あるわけねえだろうが!! 幸運の塊のような神裂ならあるかもしれねえけど不幸体質の俺に『都合が良い偶然』なんて起こるわけねえんだよ!!」 五和「ううん……こういうことになると上条さんって本当に卑屈になりますね」 神裂「くっ……私が『幸運』を引くから上条当麻は『不幸』を引き当ててしまうのでしょうか……」 五和「女教皇様? それは考え過ぎですよ?」 「助けてほしいって、力を貸してほしいって! ううん、そんな具体的な台詞じゃなくて良い! もっと単純に!! 怖いとか不安だとか、そういう事を一言でも言いなさいよ!!」 「御坂……。なに、言って……」 「知ってるわよ」 この期に及んでまだごまかそうとするように……いや、美琴を巻き込ませないように演技を続ける上条に、美琴は切り捨てるようにこう言った。 「アンタが記憶喪失だって事くらい、私は知ってるわよ!!」 その瞬間、上条の肩がビクンと大きく動いた。 大きな――――それこそ人生を左右するほど大きな『揺らぎ』が見えた気がした。 戸惑っている上条を見て、美琴の方にも衝撃が走る。 だがそれがどうした。 神裂「あー……正直申し上げまして私には上条当麻の気持ちが少し分かる気がします……」 五和「でしょうね。でもまあ女教皇様は上条さんよりも早く、自分の過ちに気付いていただきましたから、もう私たちは女教皇様に対して何のわだかまりもありませんよ」 神裂「ありがとう五和」 上条「けどなー。俺は『助けが来てくれる』ってのは『幸運』に分類されると思ってるから、『不幸体質』の俺だから、『助けが来る』なんてどうしても思えないんだ」 美琴「はぁ。アンタのは『不幸体質だから助けが来ない』んじゃない、って何で分かんなかったのかしら。現実、東京湾まで気付きもしなかったもん」 神裂「ですね。なぜなら現実として言いますと、この時でさえ御坂美琴さんが『偶然』あなたを見つけているのに、どうしてそれを『都合の良い偶然』と思えないのでしょうか」 上条「あ。」 ――――上条当麻は現れたのだ。全てを一人で抱えて死のうとしていた美琴の心の奥底へ、土足でズカズカと踏み込んでくるようなやり方で。 確かにそれはデリカシーの欠片もない、ともすればプライバシーすら侵害するような意地汚い方法だっただろう。しかし御坂美琴という少女は、――――そういう方法で救われたのだ。 そのやり方を、上条当麻だけには否定させない。 この少年だって、そういう方法で救われたって良いはずだ。 美琴「アンタ覚えてる?」 上条「もちろんだ、と言いたいところだけど、ここまで罵倒されるやり方だったか俺?」 美琴「当然でしょ。私の居ない間に私の部屋に入り込むわ、そこで私が隠していた秘密を盗み出すわ、挙句の果てに、それを私に突き付けるわで、どこをどう考えてもえげつないやり方だったと思うわよ」 五和「か、上条さん? いくら非常事態だったからと言ってもちょっと酷いような……」 神裂「いえ、逆に上条当麻らしいとも言えるのではないでしょうか?」 美琴「ん?」 神裂「女心に誰よりも鈍い上条当麻が『女の子の繊細な心』を理解できるはずもないから、このような行動に出られたのではないかと」 五和「あー」 美琴「なるほど」 上条「うわ。何その『納得』って表情は。俺だってあん時は一生懸命だったんだぜ!?」 「私だって戦える」 「私だってアンタの力になれる!!」 それは学園都市第三位の『超電磁砲』があるからではない。そんな小さな次元の話ではない。たとえこの瞬間に全ての力を失ってただの無能力者になったとしても、それでも美琴は同じ事を言えると絶対に誓える。 「アンタが一人傷つき続ける理由なんてどこにもないのよ! だから言いなさい。今からどこへ行くのか。誰と戦おうとしているのか!! 今日は私が戦う。私が安心させてみせる!!」 「み、さか……」 「人がどういう気持ちでアンタを待っているのか、そいつを一度でも味わってみなさい! 病院のベッドに寝っ転がって、安全地帯で見る事しかできない気持ちを知ってみなさい!! アンタ、妹達を助けた時もそうだったじゃない!! こっちには相談しろって言っておきながら、自分だけ学園都市最強の超能力者に挑んで!! 何で自分の理論を自分にだけは当て嵌めないのよ。どうしてアンタ一人だけは助けを求めないのよ!!」 上条「……うん。こん時は意識が朦朧としていたから気付かなかったけど、確かに御坂の言ってる事は、そのまま俺が御坂に言ったことだな」 美琴「でしょー。なのにアンタはこの時も結局は私に何も言わないいでフラフラ消えちゃったんだから。あのね、今思い返してみても本気でアンタに説教したくなるんだけど」 五和「(プ、女教皇様……この時って、ひょっとしなくてもアックアと我々が対峙していた時なのでは?)」 神裂「(ま、まあ、御坂美琴さんが来てくれたら来てくれたで相当有難かったかもしれませんけれども、曲がりなりにも彼女は科学サイドの方です。魔術サイドのいざこざに巻き込むのはどこか心が痛むと言いますか……)」 五和「(それを言ったら上条さんも、なのですが?)」 神裂「(いえ。正直言って五和も上条当麻が来るとは思っていなかったはずですよ)」 五和「(それはそうですが……)」 美琴「で? これからはどうなの?」 上条「分かった分かった。つーか、東京湾のときもそうだったし、この前の僧正ん時もお前を巻き込んだろうが。これからもああいった事があるかもしれんが、そん時は側に居て一緒に戦ってくれるんだろ?」 美琴「ふっ! モチのロンよ!!」 五和(あれ? 何だか上条さんと御坂さんが良い雰囲気?) 美琴(と、言いたいところなんだけど、ちょっと自信失くしてんのよね。コイツは相当先に行っちゃってるだけに……) 神裂(おや? 御坂美琴さんの表情が何だか急に曇ったような……) 上条「じゃあ、遠慮なく呼びつけるからな。あとから文句言うなよ?」 美琴「わ、分かってるわよ!!」 (……そう、なんだ) 知らず知らずに内に、彼女は自分の胸に手を当てていた。 御坂美琴という一人の少女は気づいた。 美琴(…ん? ここって……………) 上条「ちょっと飛んでるから説明するけど、ここで俺は、御坂が俺の記憶の事を知ってるって聞かされたんだよ」 神裂「貴方がボロボロの体で病院を抜け出してきた時ですか」 五和「あの時の上条さん、とても…その……カッコ良かった…です…///」 上条「いやあ、あん時は必死だっt」 美琴「ああああああああああああぁぁぁぁぁっ!!!!!!!///」 神裂「っ!? ど、どうしたのですか急に!?」 五和「て、敵襲ですか!?」 上条「あれ!? 前回もこんな事なかったっけ!!?」 美琴(おおお、思い出したああああああ! この後じゃないのよ『あのシーン』!!! どどどどうしようこのままじゃコイツに私の気持ちがふにゃああああああああ///) 御坂美琴は知る。 自分の内側には、こんなにも軽々と体裁を打ち破るほどの、莫大な感情が眠っている事を。 学園都市でも七人しかいない超能力者として、『自分だけの現実』という形で自分の精神の制御法を熟知しているにも拘らず、それらを全て粉砕するほどの、圧倒的な感情が。 美琴「にゃああああああああああああああ!!!!!!!! ちちちち違うからこれはアンタの事が好!!!…って事に気付いたとかそういうんじゃなくてただあのあれよほらそのつまりだから違うのよおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!!!///」 上条「」 美琴「だからアンタも勘違いしないで/// ……ってアレ? 何か白目むいてぐったりしてるのは気のせいかしら?」 神裂「いえ。彼は今まさに気絶をしています」 美琴「え、えっと……なんで?」 神裂「当て身です。あなた方の言葉で言うならば、確か『腹パン』…でしたか」 美琴「えっと…誰が何の為に?」 五和「私がやりました。何だか本能的に、上条さんに聞かせてはいけない気がしましたので。…あっ! ご心配しなくても、すぐに目が覚めますのでご安心を」 美琴「う、うん。そこは別に心配してないんだけど……」 五和「私もよくは分からないんですが、急に頭の中に『御坂さんの話を上条さんに聞かせちゃ駄目なんだゾ☆ アナタのその当身力でぇ、上条さんを気絶させちゃってくれないかしらぁ? 私の超能力で上条さんの記憶を操作する事もできるんだけどぉ、幻想殺しがある限り一時的にしか効果力がないしぃ』と謎の声が流れてきたもので」 美琴「しいたけェ…」 神裂「他にもおへそを出したカチューシャの女性、巫女服の似合いそうな女性、御坂美琴さんにそっくりな女性、ツインテールな女性、高飛車でワイルド口調な女性等々、数多くの女性から同様の意見が出ている模様です」 美琴「あっ、そう…ですか……」 上条「………ハッ! 俺は一体何を!? 何だかとてつもなく人生で最大の損をしたって気がするけど気のせいなのかなどうなんだろ!?」 五和「え? 上条さんはいつも何だかとてつもなく人生で最大の損をしてるじゃないですか。口癖が『不幸だー』なんですから」 神裂「ですよねー」 美琴「まあ……言われてみればそうよね……」 上条「えええええええ!? 今のはいつもの『不幸』で済ませられるの!? 済ましちゃっていいの!?」 ――――呆然と戦いを眺めていた現天草式の面々は、その瞬間、確かにその声を聞いた。 「―――、……を」 世界で二〇人もいない、本物の聖人の声を。 「……、して、ください」 かつて天草式を率いていた、元女教皇の声を。 「力を貸してください、あなた達の力を!!」 神裂火織の声を。 五和「おお! ついに来るのですね! 天草式十字凄教の一番の見せ場が!!」 神裂「い、五和……そのように興奮しなくても……というか、このこぼれ話でどうして私たちのシーンがクローズアップされるのですか!? 確か、上条当麻と御坂美琴さんのシーンだけを切り取られるのではなかったのでしょうか!?///」 上条「いやまあ……さて何ででしょうね……?」 美琴「……」 あれだけ絶対に届かないと思っていた神裂火織が、所詮は生まれた時から持っているものが違うのだと思っていた神裂火織が、大切な仲間を傷つけたくないと言って貧弱な自分たちに背を向けた、あの神裂火織が。 協力を求めている。 自分一人では倒せない敵を倒すための協力を。 「――――あ」 震えている自分に気づいた者は何人いたか。 涙を流しかねない表情を浮かべていることに気づいた者は、何人いたか。 上条「え? 神裂お前って、そんな風に考えてたん? それって五和たちに悪くね?」 神裂「し、仕方ないでしょう……/// わ、私だってこうなるまでは分からなかったのですから……///」 五和「ですよね。そう! 強い弱いじゃないんです!! 才能の有無じゃないんです!! 同じ目的を持った者同士であればどんなことだって力を合わせられるんです!!」 美琴「――っ!!」 あの女教皇様が認めてくれた。 単なる重荷としての仲間ではなく、共に肩を並べる戦力という意味での仲間として。 五和「いやーほんと、この時は嬉しかったですよ。正直、女教皇様を少し恨んだ時期もあったんですが、それは自分たちが弱い所為だって決めつけてたことが全部晴れたみたいで、あの時の感動は今でも忘れません」 神裂「いえ、あのだからですね……///」 上条「おぉ! あの神裂を五和が圧倒してる!!」 美琴(……そっか。そういうことなのね……) 「行くぞ! 我ら天草式十字凄教のあるべき場所へ!!」 叫び声と共に、我先にと――――戦場へと突き進む。 無力である事など百も承知。 それでも戦うべき理由は揺らがない。 だからこそ、天草式十字凄教は束になって強敵へ立ち向かう。 美琴「なるほど。これを入れてきたのはそういう事だったのね」 上条「御坂?」 美琴「本編の私はどうなるか分からないけど、ここに居る私は、今回、どうしてこの件【くだり】を入れてきたのか理解できたわ。おかげでちょっと楽になったかな?」 上条「?」 美琴「クス。アンタは分からなくても良いわよ。私の中であの時の魔神のことで納得できる答えが見つかった、ってだけだから」 神裂「そ、そう言えばちょっと待って下さい御坂美琴さん。貴女は上条当麻と共に魔神に立ち向かったんですよね?」 美琴「……アレって立ち向かったって言えるのかしら?」 上条「まあな。どっちかつーと逃げ回ってた、だよな?」 神裂「ま、まあこの際どっちでもいいですが、重要なのはそこではなくて、今、この場に上条当麻と御坂美琴さんが居ることなのです。正直申し上げまして、魔神と関わって生き残れただけでも奇跡という言葉すら生易しい事象なのですが……」 上条「あの魔神の力が一兆分の一まで落ちてたからじゃね?」 五和「あの……魔神の力が一兆分の一まで落ちていたとしても、地球を文字通り瞬間で丸ごと壊せる力はあるのですよ……?」 美琴「なら力が落ちてたプラスあの魔神が遊んでたからでしょうね」 神裂「そ、そんな簡単な話でもないのですが……いえ、むしろ知らぬが仏だからこそ生き残れたのでしょうか……」 上条「な、御坂。あの時、一緒に居たのがお前だったから助かったって俺の言葉、間違いでも気休めでも無く純然たる事実だっただろ? 下手に魔術サイドの奴(インデックス、オティヌス含む)だったらアイツに委縮して俺もろともやられてたってことになるんじゃねーの? この神裂と五和の反応からすると」 美琴「う、うん……そうだね……///」(な、なんか嬉しい……///) 上条「っと、今回はここまでだな」 神裂「次回はイギリス清教王室派編ですね」 上条「キャーリサがクーデター起こす話だよな。…って事は神裂は関係してる回だから、次回もゲストで出るのか」 神裂「ええそのはず…」 ??「ふっふっふ…そうだと思ったら大間違いだぜい。まっ、せいぜい次回を楽しみにしているがいいにゃー!」 ??「女教皇様のアレに触れないとか、有り得ないのよな!」 神裂「っ!!? な、何だか悪寒が…」 上条「…? まぁ、いいか。五和は?」 五和「私も少しだけ出演してますので、多分次回も。……予定ではですけど」 神裂「ですがやはり、お二人が出ているシーンがメインなのでしょうね」 五和「はぁ……そうなんでしょうねぇ…」 上条「何故に溜息?」 美琴「そう言えばさ、アンタ英語とかからっきしなのにイギリスとかよく行けたわね」 上条「まぁ何だかんだで、みんな日本語が通じてくれたからな。ありがたい事に」 美琴「ふぅん? でも毎回そうとは限らないんだし、今度海外に行く時は通訳くらい連れて行きなさいよ? た、例えばその…私とか…///」 上条「そうだな。御坂って何ヶ国語も喋れるもんな」 五和「わ! 私だってそれくらい!」 上条「いや、五和は学園都市にいないし。御坂なら一緒に行けるし」 美琴(一緒に…///) 神裂「ですがこれからの事を考えると、英語くらいは勉強した方が良いかと」 上条「う゛っ…!」 五和「だ! だったら私が! 教えてさしあげます!」 上条「いやだから、五和は学園都市にいないじゃん? 一緒に勉強するなら近場にいる御坂の方が」 美琴(一緒に…///) 五和「………もう、この話はやめましょう。で、さっさと締めましょう」 上条「おおう!? 五和は急激に不機嫌に! ま、まぁダラダラ話してても仕方ないしな。つー訳で、今回のこぼれ話はここまで。また次回会いましょう、さような………あっ! ちょっと待って」 神裂「? どうかなされましたか?」 上条「んー、さっき寝る…って言うか気絶?する直前にチラッと耳に入ったんだけど、御坂の内側にある体裁を打ち破るほどの莫大な感情って、一体何だったのでせう?」 神裂&五和「「!!!!?!!?!??!?!!!?」」 美琴「!!!!?!!?!??!?!!!?///」 上条「あっ、あれだろ? 大覇星祭の時に御坂の内部から生み出されてた莫大な力。レベル5を越えるものだったし、俺や軍覇も太刀打ちできなかったし――――って、違うの?」 美琴「……」 五和「……なるほど、これだから私のおしぼり作戦が通用しないのですね」 神裂「……さすがにアレを作戦と呼ぶのはどうかと思いますが、まあそういう事です」 美琴「アンタって奴は~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!! 『感情』って言ってんでしょうが!! このどアホォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」(9巻巻頭イラストののジェットアッパーをご想像ください) 上条「なんでぇぇぇぇぇええええええええええええええええええええええええええ!!!」(車田飛びをご想像ください) 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/こぼれ話
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある不幸な都市伝説 4日目 佐天+その他大勢編 その1 佐天は第7学区の公園のベンチに、ホットココア片手に一人で腰掛けていた。 初春から遊びの誘いはあったのだ。なんでも昨日の事で、面白い話が聞けるらしい。 昨日の事。つまりは上条と御坂の事だ。 そして面白いという事は、二人に何かしらの進展があったのだろう。 しかし佐天は聞きたくなかった。 何故かは分からないが、聞くのが怖かった。 昨日からモヤモヤが晴れない。胸が苦しくなり、溜息ばかりついている。 「はまづら、もっとギュッとして。」 「け、けどみんな見てるぞ? いや、むしろそれが二人を燃え上がらせるってのも分からなくはないが、 まだビギナーカップルの俺達には、そのステージは早くないか?」 「……ぐーすかぴー……」 「ね、寝てるぅーっ!! つーかさっきまで会話してたよね!? なにその寝つきのよさ!! あなたの前世はのび太くん!?」 隣のベンチでいちゃついている(?)カップルが、よけいに佐天をイラッとさせる。 というか日曜の午前中から公園でいちゃつくなよ。子供達ガン見してんぞ。 佐天は持っていたココアの空き缶を捨て、公園を出た、 出る前にカップルの方をチラッと見ると、ふわふわした茶髪のお姉さんが、男になにやらビームを浴びせている最中だった。 ちょっとだけスッとした。 が、直後に再びテンションの下がるイベントに遭遇する。 「ヘイヘイ! 姉ちゃん、一人かい?」 「よかったら俺らと遊ばね?」 アレッ!? デジャヴかな?三日前も同じような事があった気がする。 「あー…えっと、そういうのはちょっと……」 「おっと! へたに断らないほうが身のためだぜ!? こちらの内臓潰しの横須賀さんは今、気が立ってんだ! なにしろさっきナンパに失敗した上に、買い物袋まで吹き飛ばされたんだからなぁ!!」 「よけいな事まで言うんじゃねぇ!!」 さてどうしよう。 前にも言ったが、佐天に戦う力はない。 相手は自称内蔵潰し(他称モツ鍋ナントカ)と、舎弟数名。 逃げる事はできず、従えば親に言えないことをされてしまうだろう。 しかも佐天は知る由もないが、あのとき助けてくれた王子様は、現在自分の部屋で古文と戦っている真っ最中である。 イチかバチか、「あっ! あんな所にUFOが!!」作戦を決行しようとした瞬間、 「やめなさい! その子が困ってるじゃないですか!」 助けが入る。 佐天はとっさに「あの人」かと思ったが違う。そもそも声が違う。 「誰だテメェは!!」 「人に名乗る前に自分が名乗るのが礼儀……ですがまぁいいでしょう。 なんだかんだと聞かれたら、答えてあげるが世の情け。 自分は海原光貴といいます。」 爽やかさ100%な男だった。むしろ爽やかさからできてますって感じである。 王子様度は、はっきり言って上条よりもはるかに高い。 しかしその爽やかさは、どことなく胡散臭さが滲み出ており、 風早くんよりは、どちらかといえば古泉に近い。 下の名前も似ているし。 「やれやれ、困ったものです。」 まんまじゃねーか。 「そうか、だがまずい所へ首を突っ込んでしまったようだな。 対能力者戦闘のエキスパート、この内蔵潰しの横須賀サマの前に」 「あっ、すみません。 長くなるなら攻撃してもいいですか?」 「話、最後まで聞けよ!! 何で俺と戦うやヤツはいつも聞いてくれないんだよ!!」 「えい」 「だから話をって、え~~~!!?」 海原は「えい」の掛け声とともに、手に持っていた黒い石のナイフをモツ鍋さんに向けた。 何かが光った瞬間、モツ鍋さんはパンツ一丁になっていた。 「またつまらぬものを斬ってしまった」の状態である。 覚えてやがれ!と、三流の捨て台詞を吐きながらモツ鍋さんたちは逃げていった。 このあと彼らは一般人の通報により、ツインテールの風紀委員に捕まるのだが、まぁどうでもいいことである。 「いやー、ありがとうございます! 助かりましたよ。」 「いえ、困っている女性を見たら放っておけない性分でして。それに……」 「? それに?」 「………あぁ、何でもありません。」 それに御坂さんの御友人を見捨てるわけにもいきませんから、と言いたかったのだろう。 実はこの男、ある理由で御坂の周辺を徹底的に調べ上げた経験がある。 当然、その友人である佐天の事も知っているという訳だ。 もっとも、こうして面と向かって話すのは初めてなのだが。 「それにしても今のすごかったですね!! どんな能力者なんですか!?」 海原が使ったのは能力ではない。魔術である。 金星の光を反射し、あらゆるものを解体するというものなのだが、そんなことを科学サイドで、しかも一般人である佐天に言える訳がない。 なので海原はこんな時のために用意しておいた、とっておきの言い訳【うそ】をついた。 「自分の能力は『等価交換【アルケミスト】』といって、 物質の構成元素を『理解』し、物質を『分解』し、『再構築』することで別の物質に作り変える、というものです。 先程のはその『分解』の段階で止めたという訳ですね。」 「へぇ~……(じゃあゴミを木に変えたり、手ぬぐいを鉄に変えたりとかもできるのかな?)」 佐天さん、それは天界力だ。 「それよりも気をつけてくださいね? またああいうのが来るかも分かりませんから。」 「あはは! 確かに危機感がなかったかもですね。反省してます。 ……まぁこの前も同じような事があったもんで。」 「それは大変でしたね。大丈夫だったのですか?」 「はい! そのときも助けてくれた方がいたので……」 そう言ってほんのり赤くなる佐天。その様子を見て海原は一人の少年の顔を思い浮かべた。 いや、彼を知る人間なら誰もが頭に浮かぶだろう。 ピンチのときに現れ、助けたついでにフラグを建て去って行くあの男を。 「それはひょっとして、ウニのような髪型の人ではありませんか?」 「えっ!? 海原さんも知ってるんですか!?」 「やはり…ですか。(どうやら自分との約束は守ってくれているようですね。……しかしまぁなんと言うか、建てすぎ【やりすぎ】では?)」 「上条さんも、あっ! その人上条さんっていうんですけどね!? すごかったんですよ!! こう、飛んできた火の玉をパキーンって消して! なんか能力を消せる能力者みたいですよ? それで―――」 上条のことを楽しそうに話す佐天。 先程の様子も含め、ある確信をした海原は、実にシンプルでストレートな質問をした。 「好きなのですか? 彼のことが。」 「え………」 それは考えた事もないことだった。 いや、考えないようにしていたのかもしれない。 自分が上条のことをどう想っているのか、そしてどう想われたいのか。 「な、何言ってるんですか! も~、あたしが上条さんと会ったのってついこの前ですよ? そんなわけないじゃないですかー。」 佐天は否定する。しかし否定すればするほど苦しくなる。 海原の一言で、気付かされてしまった自分の気持ち。 「……人を好きになるのに時間は関係ありませんよ。自分もそうでしたから。」 「…海原さんも?」 「ええ…ただその人には、別の好きな人がいるんです。 まぁどこにでもある話ですよ。」 「そう…ですか……」 「しかしその上条という方には彼女がいないのでしょう?」 「どうして分かるんですか?」 「いえ、話を聞く限り、ずいぶん鈍感そうな印象を受けたもので。」 「あはは! 確かにそうかもしれませんね!」 「つまり、貴方にはチャンスがあるということです。」 「でも……あたしの友人も上条さんのことが好きなんです。 あたしなんかよりずっと前から上条さんが好きだった人なんです。 あたし、その人のことも大好きだし、恩人でもあるんです。だから……」 「だから自分は身を引こうと? それで貴方はいいんですか?」 「……………」 「…確かにデリケートな問題ですから、じっくり考える時間も必要でしょう。……っと、すみません。」 海原のポケットが振動する。どうやらメールのようだ。 (土御門から…? グループが解散してから初めてですね……) そして海原はメールを開いて後悔する。 見なければよかったと顔をしかめる。 「あの、どうかしたんですか?」 「どうやら…あまり考えてる時間は無さそうですよ……?」 時間は数分前に遡る。 「どうだ舞夏、隣の様子は。」 「むー……どうやら上条のヤツ、また違う女を部屋に入れたみたいだぞー。 全く、昨日は御坂にあんな事しておいて、とんでもない男だなー。」 「この後、帰ってきたインデックスと血みどろの争いが起こるのが目に浮かぶぜい。 こりゃーきっついお灸をすえる必要があるにゃー。」 「何をする気だー?」 「戦争ですたい!!!」 そう言うと土御門はケータイを取り出した。 メールの件名に「緊急事態発生」と打ち、本文に昨日こっそり撮っておいた上条と御坂のキスシーンの写真を貼る。 「にゃはははは!! カミやん! 今回こそはお前さんも年貢の納め時だにゃー!! ブラックメ~ル、一斉送信 ズキュン!だぜい!」 土御門の放ったブラックメールは、海原以外の場所にも届いていた。 小萌のアパート内 「あれっ? あの子はもう帰ったの?」 「あっ、インデックスちゃんなら、ちょうど今かえったところなのです。 それにしても上条ちゃんには困ったものなのですよー……」 「ずっと愚痴言ってたわね。」 「そういえば結標ちゃんはどこで上条ちゃんに会ったのです?」 「まー…色々あって、ちょっと助けられただけよ。」 「……本当に上条ちゃんは………」 「ねぇ、あの人って小萌の生徒なんでしょ? 何年?」 「上条ちゃんは一年生なのです。」 「へぇー…年下かぁー……(イケルかも。)………あっ、メールだ。」 「先生もです。」 (土御門? 珍しい…………なんだ…脈ないじゃん……) 「な、な、な、何なのですかこれは~~~~!!?」 黄泉川のマンション内 「ねぇ見て見てー、ってミサカはミサカはおニューの服を着てあなたを誘惑してみたり!」 「うるせェな……そもそもさっき一緒に風呂入って裸見てンのに、今更誘惑もクソも無ェだろォが………」 「えっ!!? あなたはミサカの産まれたままの姿を見て、欲情しちゃってたの!? ってミサカはミサカはあなたの社会的抹殺を心配するとともに、これからの展開にwktkしてみたり!」 「ぶっ潰すぞクソガキィ!! 色気づくには10年…いや5年くらいかァ? 早ェンだよ!! ………あン? メールか…ちっ!土御門かよ……って、その前に三下から着信あったンじゃねェか!!誰だよ勝手に出たヤツ!!! …クソッ! まァいい。 で、メールの内容は……………」 「どうしたの?ってミサカはミサカは興味津々!」 「…見るか?」 「なになに………って!ミサカはミサカはくぁwせdrftgyふじこlp!!!」 「バグってンじゃねェ!! 三下とオリジナルがどォなろォと関係無ェだろォがァ!! (どォすりゃいいンだ!? やっぱここは、おめでとうメール的なモン送ったほうがいいンじゃねェか!? 友達として、そう友・達・として!!)」 某パン屋内 「嘘や! こんなん嘘にきまっとる!! 嘘って言うてくれーーー!!!」 吹寄の寮内 「か~み~じょ~~~!!!」 上条の寮近く 「………これは。さすがにショック……………」 第8学区のマンション 『…どうかしたのかね?』 「…別に。ただ不愉快なメールが届いただけだけど。」 『不愉快?』 「……………」 そして土御門のメールは、海を越えイギリスの地にまで届いていた。 イギリス清教 女子寮 「こ、これはきっと何か訳があるはずです!! あの少年がこんなことをするとは思えません!!」 「諦めろよ神裂。あいつだって高一だろ? 普通するだろこれくらい。」 「し、しかし!」 「まぁまぁ、シェリーさんも神裂さんも、お茶でも飲んで落ち着くのでございますよ。」 「熱っつう!!? これ煮えたぎってるぞ!!」 「あらあらまぁまぁ…」 (オルソラも相当動揺しているようですね……) イギリス清教 女子寮 アニェーゼ部隊 「このままでいいのですか? シスター・アニェーゼ。」 「な、何のことですか?」 「分かっているでしょう。あの少年ですよ。」 「あ、あぁ…例の事ですか。 けど私には全く関係無え話ってな訳ですよ。」 「そ、そんな事無いはずです!! シスター・アニェーゼはあの人の事………」 「シスター・アンジェレネまで何言っちまってるんですか!! 私は彼の事なんざこれっぽっちも! …これっぽっちも………」 日本人街 天草式 隠れ家 「ぅおらーーー!!! もっと酒持ってこんかいコンチクショーーーーー!!!!!」 「俺の菊姫が! 黒龍が!! 十四代がーーー!!!」 「た、建宮さん! 早く五和を止めてください! 牛深さんのお酒が無くなる前に!!」 「無茶言わんでほしいのよ!! 今の五和は、女教皇様と後方のアックアと範馬勇次郎が束になっても敵わないのよ!!!」 「そんなの人間じゃねー!!」 王室派 「おやキャーリサ。清教派からあのことを聞いてからずいぶん大人しくなったじゃないか。 そんなにあの少年の事が気になるのかい?」 「……気にして無いし、いつも通りだし。」 騎士派 「件の少年に好い人ができたらしい。 …ふむ。 これは神裂火織嬢を振り向かせるチャンスかもしれないな。 お前はどう思う?」 「………色恋の話は苦手である。」 新たなる光 レッサーの隠れ家 「あーもー!! 人がさんざん誘惑したってのに!!!」 「……もう諦めたほうがいいのでは?」 「いーや! あの少年にはイギリスの為に馬車馬のように働いてもらいます!! こうなったら…」 「こうなったら?」 「ふっふっふ……」 そしてこの話題はミサカネットワーク内でも騒ぎになっていた。 『上位個体の情報などアテになるのですか、とミサカ10404号は間違いであってほしいという願いを込めて確認を取ります。』 『番外個体からも同様の情報が得られました。どうやら真実のようです、とミサカ11122号は残酷な事実を告げます。』 『しかし彼にもお姉様にもそんな度胸はありません、とミサカ10050号は断言します。』 『いや、彼のフラグ能力を侮ってはいけません、とミサカ12399号は冷静に判断します。』 『今、問題視するべきは、なぜそうなったかではなくこれからどうするべきか、ではないでしょうか、 とミサカ18000号はあえて客観的立場で意見を言います。』 『それは確かに、とミサカ13131号は同意します。』 『ではこれからの事について話し合いましょう、とミサカ16677号はおもむろに仕切りだします。』 世界のあらゆる場所でこのことは物議を醸していた。 それだけフラグを乱立させたという事だろう。 はたして無意味にフラグを建てられた彼女達は、この後どう動くのだろうか。 土御門の言った「戦争」とは何を意味しているのか。そして佐天の出した答えとは? 騒動の中心である上条と御坂を置いてけぼりにしたまま、物語は大きく動きだした。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある不幸な都市伝説
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そんなことを話していたら、店長が上琴の個室に入ってきた。 「初春さん、準備が出来ましたので地下の多目的ホールに来てください。」 「分かりました。じゃあ、みんなを連れてきますね。」 と言うと、店長は個室を出た。 「飾利、準備が出来たって何のこと?」 「今日、当麻お兄ちゃん達がやった罰ゲームのビデオ上映会のことですけど?」 「え、こんな所で見せていいの?」 「いえ、見せるのは関係者だけですけど。まあ、白井さんとかにも見せますが。」 「黒子とかに見せていいの?」 「それはこちらで何とかしますので大丈夫ですよ。」 「そうなの。当麻、じゃあそっちに行かない?」 「そうしますか。」 「じゃあ私はみんなを呼んでから行きますね。」 という事で、上琴は先に地下の多目的ホールへ、初春とヴィリアンはみんなを呼ぶ為に隣の個室に向った。 「みなさーん! 見せたいものがありますので地下に行きますよー♪」 「見せたいもの?」 「午前中に行われた当麻お兄ちゃん、土御門さん、白雪さん、一方通行さん、巻き込まれた浜面さんの愉快痛快罰ゲームです♪」 この個室のカオス状態も、初春の面白そうなイベント発表に解除されることに。 しかし中には見せても大丈夫なのかと思う面々も居たが、そこは木山が小声でフォローする。 「心配は要らないさ。シェリーという魔術師のゴーレムだが、サイコキネシスの応用ってことで誤魔化しは効く。大事にはならないさ」 「う~ん、そう言ってしまえば納得出来るんですけど……分かりました。ここにいる皆さんご案内ってことで行きますね」 木山の言うことを信じて、魔術と無関係の人間も巻き込んでの罰ゲーム上映会を決意する初春。 初春は皆を先導中、青黒、その場にいた婚后、泡浮、湾内にも声をかけて合流することに。 「飾利、心配はいりません。万が一が起きたらお姉ちゃんが力技で誤魔化しますから」 「ケッ、聖人サマともあろうお方が力技とか言うなよ。こんな脳筋に任せなくても飾利の憂いは私が全部払ってやるからさ♪」 「……本来、私は人を殺しはしませんが貴女だけは別にします、今決めました。シェリー、遺言を今すぐ書きなさい。そうしたら」 「ダメですーーーっ! シェリーさんも火織お姉ちゃんも喧嘩しないで下さーーーいっ!」 初春と両サイドから手を繋いで喧嘩をするという器用な真似をする神裂とシェリーを、いとも簡単に止めた初春。 小さな少女に感心を示したのはウィリアム、そして妙に目を輝かせてるヴィリアンだった。 「ふむ、あの少女、魔術師二人を上手くコントロールしているのである。将来が有望と思わんかヴィリアン……ヴィリアン?」 「ウィリアム、私、生まれて初めて『妹』が欲しいって心から思いました!」 「……ヴィリアン、どうしたのであるか? もしかして『妹』とはあの少女を指しているのか?」 「当たり前です! そもそも私は末っ子でしかも姉達はあんなんですよ! 初春のような『妹』に癒しを求めたっていいじゃないですか!」 ウィリアムはヴィリアンの二人の姉(特にキャーリサ)を思い出し、彼女がそんなことを言うのも分からなくは無いと考えることに。 初春飾利、二人目の『お姉ちゃん』が出来ることになるのだが、それは上映会後のことである。 「あなたの愉快痛快な所が見られるなんてうれしいなーってミサカはミサカはワクワクしてみる!」 「そンなにはしゃいでっと身ィ持たねェぞ。編集してねェだろうから4時間の長丁場だ。ところで黄泉川と芳川はどうしたァ?」 「あの二人なら酔いつぶれて個室で寝てるよってミサカはミサカは報告した後で4時間もあるの! って驚いてみたり!」 ウィリアムの肩から降りた(決して飽きてはいない)打ち止めは一方通行と手を繋いで歩いている。 黄泉川と芳川、教師なのに昼間っから酔い潰れてすでに夢の中である。 「当麻兄さん達の罰ゲームかー。どんなのか楽しみだね最愛♪」 「確かにお兄ちゃんの活躍も超興味ありますが、それよりも浜面がどんな面白いことをやってくれたのかも超楽しみです」 佐天と絹旗は純粋に罰ゲームがどんなものか興味があるのでとても楽しみにしている。 「半蔵様、私達はあの化け物が倒される所からしか見てませんから、その前に何があったのか気になりませんか?」 「まあな。しっかし外の能力者ってのはどいつもこいつもデタラメだよな……」 郭も佐天や絹旗同様に、純粋に罰ゲームに興味を持っていたが、半蔵はエリハル弐号機を直接目にし、闇咲とも交戦したので学園都市以外の能力者に興味を持つ。 「インデックス、僕は皆と地下に行ってさっきの罰ゲームを見ようかと思うけど君はどうする?」 「わたしはもう少しお腹を満たしてから行くんだよ。そもそもその罰ゲームは一度見て、完璧に記憶してるからもう一度見る必要は無いかも」 「ステイルちゃん、シスターちゃんのことは私に任せてください。この子を連れて後で行きますから」 インデックスは『完全記憶能力』のおかげで罰ゲームの一部始終を完璧に記憶しているので、地下には皆と一緒ではなく後で行くことに。 ステイルはインデックスが残るなら残ろうと思ったが、小萌が残ることを受けて先に向かうことに。 「上条は俺が脱臼させちまったせいで遠泳やんなかったからな。あれくらいキツイ罰ゲームじゃねえと俺は納得しねーぞ」 「真昼ちゃん、私達ずーっと真夜君のウエイト代わりやってたから遠泳やってないでしょ……。真夜君、私達のせいで大変じゃなかった?」 「全然そんなことないよ。赤音さんも真昼さんも軽かったし、その、や、柔らかかったし」 照れながらも素直な感想を言った真夜に嬉しくなった真昼と赤音、絡めてる腕にさらに力を入れる。 そのトライアングルカップルの後ろを歩いているのは土白、そして木山だがここは真面目な話をしている、意外にも。 「木山先生、いいんですか? あの3人って魔術と無関係ですよ。それでシェリーさんのゴーレムを見せるのって……」 「ここは学園都市、ああゆう能力者が少数は居るのだと納得して終るはずだ。それに私はあの三人には見せておきたくてね、彼らの後学の為にも」 「やれやれ、こんな時でも教え子のことを思うなんざ、木山先生はホントに立派だぜい(ま、ゴーレムなら誤魔化しはいくらでも利くから問題無いぜよ)」 その後ろには料理を持って歩いている青黒の姿が。 「どのような罰ゲームが見られるのか楽しみですわね○○様」 「せやな。ま、ボクが参加せんでもええような罰ゲームやったら更にええんやけど」 最後尾には婚后、泡浮、湾内が歩いているが、ここでちょっとした事件が起きることに。 「湾内さん、お急ぎになって。早くしないて置いていかれますわよ」 「待ってください婚后さん。ちょっとテーブルに忘れ物をキャッ!」 「いってーなー! どこ見て歩いてんだおじょーちゃんよー! ゲッ、服が汚れちまったじゃねーか! 責任取れよコラァ!」 「ひっ……! ご、ごめんなさい!」 湾内が柄の悪い客とぶつかって、一悶着起きてしまう。 泡浮がオタオタする中、婚后は勇敢にも助けに入る。 「ちょっとそこのあなた。この婚后光子の友人にいちゃもんを付けるとはいい度胸ですわね。わたくし見てましたのよ。あなたの方からわざとぶつかって来たことに」 「んだとこのガキ! ってよく見たらその制服、常盤台じゃねぇか! こいつはめっけもんだぜ!」 男がそう言うといつの間にか近くまで来ていた仲間が婚后の左腕をひねり上げる。 「あうっ! こ、この、卑怯ですわよ!(右手の自由は残ってますわ。これなら『空力使い(エアロハンド)』も使えますわね。隙を見て……)」 「何とでも言いやがれ。俺に左腕極められてて何か出来るとか思ってウガッ!」 婚后が隙を窺っている内に、自分の腕を締め上げている男が突然崩れ落ちた。 後ろに立っていたのは騒ぎが気になって戻っていた真夜だが、まだ安心していないのか真昼にあることを尋ねる。 「真昼さん! こっちに敵意を持って来てる人って何人こっちに向かって来てる?」 「3人だ! 3人ともバカ正直に真夜の後ろから狙って来てるぜ。真夜に向けられた『敵意』のベクトルが丸見えだっつーの!」 真夜と赤音の特訓に付き合っていたおかげで、真昼も『線形視認(ベクトルドライバー)』が磨かれて『相手の感情』のベクトルが見えるように。 真昼の言葉を受けて、同じく残っていた土御門、黒子、月夜が迅速に動き、それぞれ人に見えないように武器を突きつける。 「はーいお客さーん。ここは店内ぜよ。騒ぎを大きくするのはいただけないにゃー。……それとも胃に風穴開けられたいか?」 「ジャッジメントとしてではなく彼女達の友人として忠告します。これ以上ふざけた真似をするならこの金属矢を脳天にテレポートしますわよ♪」 「ねえ、君。みんなが楽しくご飯を食べてるのにそんなことしちゃいけないよ。大人しく帰ってくれるなら刺したりしないから安心して♪ 暴れるなら……分かるよね?」 男達は拳銃、金属矢、氷の短剣という脅しにびびり、気絶してる仲間、そして湾内にインネンを付けていた男と一緒に逃げ出すのだった(料金は律儀に払って)。 泡浮、湾内は助けてくれた土御門、黒子、月夜にお礼を言っていたが、婚后だけは頼んでもいないのに助けられたことに腹を立てて真夜に突っかかる。 「ちょっとそこのあなた、助けてくれって言ってませんよ。」 「別に助かったんだからいいだろ。」 「そうですけど、私はこれを仮だと思いませんわよ。」 「そんなことどうでもいいんだよ。お前が無事ならば。」 「はいはい、そこで喧嘩してないで行きますよ。」 と白雪に言われたので婚后は突っかかるのをやめて、多目的ホールに向った。 そのころ、先に向かっていた上琴はと言うと… 「当麻、どこに座る?」 「とりあえず見やすい所がいいかな。」 「じゃあ、あそこにしましょ。」 上琴は、自分達が座る席の場所を決めていた。 そして、上琴が席を決め終わって数分後、みんなが入ってきた。 地下の多目的ホールだが、色々と凄いことになっていた。 シートもシングル専用、カップル専用、グループ専用と客層に合わせてほぼ一通り揃っている。 一番の驚きは天井から『ゴゴゴゴ……』と音を立てながら降りてきた料理の数々だ。 「なんか何でも有りって感じがするな、この店」 「そうね……」 上琴はカップル専用シートに座りながら(当麻の膝の上に美琴状態)『喰わせ殺し』の底知れないポテンシャルに驚いていた。 ちなみにシングル専用シートを使ってるのは木山と建宮(泣く泣くだが)とステイルだけで、後はカップル専用もしくはグループ専用シートに座っていた。 カップル専用シートではそれぞれにいちゃつけるように座り方を工夫しているのだが、その中でトライアングルカップルはやはりちょっと変わっていた。 「じゃあ俺が真夜の膝の上で、赤音が真夜に抱きつく形で座るとすっか」 「賛成ー♪ 本当は真夜君の膝枕で寝転がりながら見たかったけどそれじゃあ迷惑だもんね」 「(本当はこの時点で結構周りに迷惑かかってるって言えないよな……)二人とも、あんまり暴れないようにね」 「「はーい♪」」 トライアングルカップルで舵を上手く取っている真夜をイライラしながら見てるのは先ほど助けられた婚后。 「何ですの、あの方は! あのように人前でベタベタされるままになさってるだなんて! この婚后光子を仮にも助けた殿方があのような……!」 「あの~婚后さん、他にもいちゃつかれている方々もいらっしゃるのですから気になさらない方がいいと思いますわよ?」 「き、気になどしておりませんわ! わたくしはあの殿方にもっとシャンとして欲しいというだけで、別に、き、気になってるとかそんなのでは……」 婚后が一人であたふたしてると多目的ホールに初春の声で放送が入る。 実は初春、この多目的ホールではなく『喰わせ殺し』の管制室で罰ゲーム内容上映会の運営に当たっているのだ。 『ようこそみなさんおいでくださいました。ただ今から『とある高校の愉快痛快ときどき残酷罰ゲーム♪』上映会を始めまーす!』 『この映像は編集もしていないので4時間の長丁場ですのでリラックスして、料理を食べながら、カップルの方達はいちゃつきながら観て下さい』 初春の仕切りっぷりを知っている面々は驚かずに聞いているが、初めての面々は彼女の見た目に反した仕切りのテンションに驚いていた。 『上映前に注意事項をいくつか挙げます。この映像、結構過激なシーンとかありますので心臓の弱い方は注意して下さいねー。怖いものが苦手な方も覚悟して下さい♪』 罰ゲーム体験者と観戦していた者達は初春の言っていることに納得していたが、これが初見の者達は期待半分不安半分な気持ちに。 『最後にここで暴れたり、店内破壊をしないで下さいねー♪ 分かってる人は分かると思いますけど、やっちゃった人はお仕置きですから。ちなみに今回はこの二人です♪』 『皆さん、くれぐれも店側への迷惑になる行為、ならびに飾利を怒らせるような行為は控えるようにして下さい。五体満足では帰しませんよ?』 『いいかてめぇら、私の芸術を笑ったら半殺し。飾利を困らせたらミンチにするぞ。静かに見ろとは言わねぇが、大人しくするんだぞ』 お仕置き担当が神裂とシェリーだと分かるとクリスマスパーティーに参加した者達は前よりは少しはマシだと思うことに。 『では今から罰ゲーム上映を開始します。最後までお付き合い下さい』 初春がそう言うと部屋の中が少し暗くなり、前方に映画館クラスのスクリーンが現れると罰ゲームのもようが映し出された。