約 61,595 件
https://w.atwiki.jp/hurrg-annex/pages/52.html
奥白滝駅 石北本線 平成13(2001)年6月30日まで営業していた駅で,現在は信号所としての機能を有する.かつては,奥白滝駅,上白滝駅,白滝駅,旧白滝駅,下白滝駅と,5駅連続で「白滝」の名がつく駅があった. 奥白滝駅の様子 駅の風景(遠軽方向を望む) 駅の風景(上川方向を望む) 駅舎ホーム側の連絡設備 奥白滝開拓記念碑 奥白滝開拓記念碑の周辺 駅情報 対向式2面2線で側線がある.かつてホームだったところはルピナスがたくさん咲いている.駅周辺に人家は全くなく,駅の前に開拓記念碑があるのみである. [2008/06/29,清水 美公(解説・写真)・松尾 善紀(写真)] 信号場前は上川から難所である北見峠を越えて遠軽・北見へと向かう国道333号線が通るが北見峠をトンネルで越える高規格幹線道路の旭川紋別自動車道路(通行無料)が比布JCTから遠軽瀬戸瀬ICまで開通してるため車通りはほとんど無い. 信号場周辺には旭川紋別自動車道路奥白滝IC及び白滝PA兼道の駅しらたきがある. [2013/09/13,山口 亮(追記)] 隣接駅 上川 ← 奥白滝 → 上白滝(廃) 駅探訪トップに戻る別館トップに戻る Copyright c 1997-2009 北海道大学鉄道研究会 (Hokkaido University Railway Research Group, Japan)
https://w.atwiki.jp/wiki6_piro/pages/2259.html
ババヘラ 主に秋田県で道路脇に立てられたビーチパラソルの下で販売されているアイス。 おばさんが金属製のヘラを用いてアイスクリームを盛りつけることに由来する。 「ババヘラアイス」の呼称は、有限会社進藤冷菓の登録商標(第4567995号)だが、一般に「ババヘラ」と呼ばれている。 歴史 1950年頃から、進藤冷菓が農家の主婦を販売員にアイスを卸始めたのが始まりとされる。 販売当初、アイスの色は白一色だったが、1960年頃から黄色一色に、1970年頃から今の黄色と赤のスタイルとなる。国道で販売され始めたのは国道7号線沿いで、1975年頃からとされ、始めは「交通安全アイス」とだけ掲示されていた。 ババヘラと呼ばれるようになったのは1980年頃のようである。 販売員である「おばさん」たちは、早朝6時半前後の時間帯に専用の送迎車に数人単位で乗り込み、秋田県ならびに隣県(主に北東北)の幹線道路の駐車スペースなどに販売機材と共に送迎される。販売時間は通常、日没までには終了し、送迎車で撤収する。 青森では、「チリンチリンアイス」「チンチンアイス」が存在する。鐘を付けたリヤカーで売り歩いていたためこの名が付いた。 高知県・沖縄県では「アイスクリン」と呼ばれ、同様に道路沿いでパラソルの下で販売している。盛り付けにはヘラではなく、アイスクリーム用のスプーンを用いる。 関連項目 食べ物一覧 タグ 秋田県 食べ物
https://w.atwiki.jp/achdh/pages/154.html
⑤*⑥*⑦ 含みを持たせた言葉にガロが冷静な返答をよこす。 中央メインモニターに都市全域への戦力配備状況が次々と舞い込み、統合司令部の指揮機能確立に従って戦線が徐々にではあるが、確立しつつある。 「此れからが本当の戦場だ。──貴様らが何を望んでいるのが、ゆっくり教えてもらう事としよう」 かつて自らが与えた叡知を使い統一連邦は何を求めているのか、この騒乱の終わりの時にどんな結末が用意されているのかを想起し、ノウラは口許を大きく歪めた。 AM08 05── * ──その戦闘は後に【ナヴラティロヴァの惨禍】と呼ばれ、30年以上に渡って戦争史に語り継がれる事となった。 『──完全な奇襲及び殲滅戦闘だ。目に映る者全てを逃すな、徹底的に蹂躙しろ』 無線を介した部隊指揮官のその声に、作戦に投入されたレイヴン達は各々返事を返す。 青白い光を放つメインディスプレイ下のコンソールに指を走らせ、強襲殲滅型に調整の施した搭乗機の機体制御態勢を第一種広域警戒態勢から第一種戦闘態勢へ移行する。 急場仕立てで用意された機体のコクピット内は埃の据えた臭いが酷く、慣らされていないシートは座り心地が悪い。搭載されている戦術支援AIもかなり旧式のもので、女性のプログラムヴォイスは割れていた。しかし、今はどうでもいい事に関して文句を垂れる状況ではなかった。 周囲は最も暗い時刻の闇夜に呑まれ、周囲で出撃命令を待つ友軍機の機影すらまともに視認できない。有視界索敵は困難であると判断し、夜間戦闘支援システムを起動した。投射型メインディスプレイに出力されている有視界が暗緑色に染まった時、再び無線を通じて部隊指揮官が口を開く。 『状況は最早詰み切った。総員、出撃──』 その号令が伝えられ、荒涼地帯に鎮座する軍艦の亡骸の影に待機していた強襲部隊は移動を開始した。その部隊の前衛として急造機体をブースタ噴射で進ませ、暗緑色の有視界前方に目標地点を捕捉する。 頭上を友軍の航空戦力部隊が追い越し、その数分後、先制攻撃としての重爆撃が制圧目標である要塞都市に対して加えられ始めた。広大な敷地面積と堅牢な防衛体制を持つ要塞都市に向けて、無数の誘導ミサイルが降下し、それを迎撃ミサイルシステムと高射砲群の弾幕が出迎える。 眼前の都市上空部にいくつもの火球が産まれ、それらの下降に従ってついに都市全域へ誘導ミサイルの戦火が齎された。瞬く間に要塞内部の各所で火の手が上がり、ようやく出撃してきた敵航空戦力が空中で交戦を開始する。混乱に紛れて荒涼地帯を縦断していた強襲部隊に航空戦力が接近し、それを旧式レーダーが捕捉。 『敵航空部隊に構うな、突出するぞ』 そう言うと指揮官は強化推力機構であるオーバードブースト・システムを起動、背部ノズルから高出力の噴射炎を吐き出して先行増速した。それに続いて後続機もオーバードブーストを起動し、上空から降り注ぐ弾幕の中を突出していく。大地に突き刺さった火線が粉塵を散らし、運悪く致命打を受けた友軍機から順にその場で爆散していく。それでも強襲部隊は止まらず、それらを置き去りにして進んでいく。 この作戦で、止まる事は許されていなかった。 一度走り出したら、全てを燃やし尽すまで止まってはならない── それが、この戦場の前線に取り残されたレイヴン達の可能性だった。 自分を含め、もとより国籍も社籍もない無色の烏達の集まった部隊だ。これからどういう戦闘を全うしようが、それを言い咎める者は居はしない。そして、そうしなければ彼ら自身が生き残れないのだ。 強行突出の中で六機が大地に散り、その犠牲を払って強襲部隊は要塞都市の外郭部全容を肉眼で捉えた。既に秘密裏に接近していた工作部隊によって仕掛けられた爆薬が外郭部を吹き飛ばし、一際大きな轟音が周囲を突き抜ける。大型掘削機が貫通痕に残った瓦礫片を取り払い、瞬く間に三ヶ所の侵入経路が構築される。 『全機止まるな。このまま都市内部へ進入、各機殲滅戦闘を開始しろ。幸運を祈る。そして願わくば、また会おう──』 まるで遺言とも取れる言葉を指揮官が残し、彼の機体が真っ先に外郭部に空いた貫通痕へ突入していく。 さらに三機、友軍機が突入までに破壊される。AC機体一機がようやく通れるほどの貫通痕をギリギリで通過し、都市内部へと進入した。 その時、否応なく実感した。 嗚呼──今、自分は死地を迎えるのだと── 市街地で展開されている戦闘は既に初めから死線を迎えており、自分は奥歯を噛みしめるとフットペダルを大きく踏み込んだ。 陽が二度上ったその日の夕刻、後に【ナヴラティロヴァの惨禍】と呼ばれる事になる戦闘は終結した。 参戦した主戦力、45人のレイヴン達によって要塞都市は完全に制圧され、非戦闘員二万人を含む敵対軍勢力は殲滅された。 戦闘終息の時を迎えたレイヴンは、わずか6名だった── 30年後──閉鎖型機械化都市【エデンⅣ】── AM07 42── 営みの軌跡が灼け墜ちていく──。誰が咎められるというのか。醜くも、また美しくもなく、ただそれは我々の生み出した産物を我々の生み出した産物が蹂躙しているというだけの事実に過ぎないのだ。 果てに迎える物が全てを無価値としてしまう灰だというのなら、我々がその是非を問う事は無為以外の何物でもない。 我々はそれを前にして、何も問えはしないのだ。 『──多数ノ動体反応、接近』 旧式も甚だしい戦術支援AIが戦況報告を極めて機械的な声で発した。ラヴィは原型を留めない残骸となって燃え盛る匡体が散らばる幹線道路を視界全面を意識しながら、メインディスプレイ上のレーダーを同時に注視した。 理路整然としていながらも多重都市構造によって複雑な市街形態を形成する商業区画の各方面から、ラヴィの現着現場に向けて数十の熱源反応が急速接近してきていた。動体反応は各個で動いているように一見して映るが、其処にはある規則性と一切乱れない規律性が介在しているのをラヴィは一瞬で見抜いた。 「増援か──」 レーダー上で目視できる反応数は14機──純粋兵力にして機動分隊規模の機影を確認しながらも、ラヴィは彼我の戦力差に対して一切の焦りを抱いてはいない。搭載センサー群が収集する情報群とレーダー上から推測できる要素を吟味した結果、その14機から成る増援勢力がAC戦力である事を最悪、且つ不可避の可能性として挙げる。自身が搭乗する四脚機体──バーンアウトの機体状態をディスプレイで確認、ラヴィはフットペダルを踏み込んで隔壁前道路から手近な幹線道路へと滑り込んだ。頭上を多重型幹線道路と複雑に絡み合う摩天楼が埋め尽くし、区画全域の大停電状態にある地上は正しく闇の深遠に落ちていると言えた。 夜間戦闘用システムを稼働中の暗緑色の有視界に意識を払いつつ、前方多方向から突出してくる動体反応の状況をレーダーで逐次更新していたが、有効戦闘射界へと動体反応が侵入した瞬間、レーダー上から全ての動体反応が消失した。 その突然の事態にラヴィは眉を顰めてみせた。搭載センサー群の幾つかも機能不全を起こし、ディスプレイ上に[- Seach Error -]の警告メッセージが次々と出力される。 「ECM攻勢──慎重だな……」 複数の搭載電子機器が同時に機能不全を起こす理由としてそれ以外の可能性はなく、また、接近機動からECM展開までの手際の良さを鑑みるに、相当な場数を積んだ練達の戦闘部隊なのだろうとラヴィは行きつく。 動体反応を捕捉する手立ては有視界索敵と当てにならない電子索敵装置、圧倒的な戦力差を前に普通ならば諦めざるを得ないだろう。 しかし、ラヴィは動体反応捕捉から消失までの僅か十数秒の間、対向し得る手立ての欠片を見出していた。 火器管制システムを両腕部兵装へ固定維持し──主兵装である右腕武装のグレネードライフルに意識を傾注する。レーダー反応消失からの経過時間は24,5秒──思考をフルに回転させて状況のシミュレーションを行い、経過秒数が31,5秒に達した瞬間、ラヴィはフットペダルを大きく踏みつけてメインノズルから噴射炎を吐き出し、バーンアウトの機体を発進させた。ビルの影から飛び出して迷いなく向かいの影へ入り込み一区画先の車道へ機体を滑り出させる。 隠密機動を持って接近してきていた動体反応のうちの一つ──一機のAC機体とほぼ正面から対峙、グレネードライフルのトリガーを絞る直前、有視界に捕捉した敵性動体はラヴィにとって感嘆とも言える判断速度でビルの影に滑り込んでいった (やはり腕がいい──だが、些か直線的、といったところか……) 前方右舷へ姿を潜ませた目標は追わず右腕兵装の射撃態勢を維持したまま発進、機体を後進させて右舷同区画へ入り込む。 それは戦術支援AIの行う所の戦況計算と定義するにはあまりに不定形であり、少なくともラヴィにとっては意識的にやっている類のものではない。予知や予測ではなく、ラヴィの身体に刻みこまれた決して消える事のない、戦場の経験則が彼を正しい戦況へと運ばせているといっていいだろう。 その経験則は、ラヴィを現戦域に留まらせるつもりはなかった。ラヴィは投射型メインディスプレイに商業区画の 全域詳細を模した3Dマップを出力した。 「ふむ──」 遮蔽物を最大限に利用した市街戦を展開するにしても、致命的なECM環境下と明白な戦力差の前では此方が先に消耗し切る可能性が非常に高い。ならばそのあらゆる不利な複合要素を覆し、戦況をイーブンに出来る戦域を自ら選べばいい。 其処に最適な場所をマップから検索出力して最短かつ最適なルートマップを表示、ラヴィは迷いなくメインブースタを吹かした。ナビゲートシステムから外れたルートを意図的に選択肢、現区画を飛び出した。 機能復旧の見通しが立たない搭載センサー群は変わらずエラーメッセージを出力し続けている。魔天楼が頭上に林立する幹線道路を最大推力で前身し、前方120メートルに肉眼で目視できる交差路手前の角へ急速転回した。人工の要害として盾になるビルの影に紛れて正規進路であった交差路を迂回し、その間際に其処でラヴィの通過をアンブッシュしていた動体目標を有視界に捉えた。 しかしラヴィは自ら先制を加えるような真似はせず、そのまま素通りして再び人工の迷宮の中へ紛れ込んだ。 搭載センサー群による情報収集に頼らずとも、敵性動体群の動向を的確に把握する術がラヴィには備わっていた。先ほど隔壁設備前で交戦した強襲型MT部隊──帰属組織を示す部隊章などが見当たらない所属不明部隊であったが、殲滅するまでの手合わせの中でラヴィはその部隊の身元についておおよその推測を立てていた。 その手合わせの時と同様、ECM環境下に身を溶け込ませてラヴィを追う未確認AC部隊もまた、非常に洗練された戦術展開を行っている。ラヴィがECM環境下に曝されても的確に目標を捉える手腕である事を確認する手腕を持ち、また、迎撃展開に最適なポイントへルートマップに頼らず移動しようとしている事も既に把握している。 相当に練達の精鋭戦力に違いない、ラヴィは推測していた。ただ、其処にはおおよそラヴィがこれまでにくぐり抜けてきた戦場で対峙してきた敵対勢力──大手傭兵仲介企業帰属や根無し草のレイヴンのような泥臭さは一切伴っていない。 戦術展開の速度や配分、そして何よりも戦場全域を包み込む異様に無機質な気配が、敵対勢力の何たるかを伝えてきていた。 「450メートル──、来るか……」 指定現場までの直線距離は450メートル、既に軌道幹線道路に機体は乗っているためこれ以上の有効な回避行動は必然的にとれなくなる。ラヴィは前方直線道路の左右で待ち受けているであろう敵性動体数を数え、戦術支援AIに指示してオーバードブースト・システムの起動プロトコルを進行させる。 フットペダルを大きく踏み込んでメインブースタから高出力の噴射炎を吐き出し、バーンアウトの鈍重な機体を最大推力で押し出す。軌道幹線道路の六番交差路を過ぎた時、ラヴィの推測通り、過ぎ去り際の有視界両端に動体目標が二機、映り込んだ。肉眼捕捉から間髪入れずブースタを調整噴射して機体を後方へ転回させ、ラヴィはグレネードライフルのトリガーを引いた。後背から牽制射撃を行うべく飛び出してきていた動体目標二機目がけて榴弾が飛翔し、牽制射撃の弾幕に被弾して路上を一際大きな火球が埋め尽くした。時間にして数秒足らずだが、それでも後方からの追撃を遅らせる事が出来る。その大きな機会を生かす為、操縦把上部のスイッチを押し込んだ。オーバードブーストシステムが起動し、専用の後方ノズルから吐き出された過剰推力が時速500キロでバーンアウトの機体を押しだした。後方の牽制射撃の失敗を見越してさらに前方に待機していた二機の動体目標の間を切り抜けて置き去りにし、複数の車道合流点となる軌道幹線道路へ進入。 『熱源反応、急速接近。地対地ミサイルデス』 後方搭載カメラの有視界から把握した戦術支援AIが多数の熱源反応──地対地ミサイルの接近を報告し、ラヴィはバーンアウトの機体を左右へ振りまわす。いくつかのミサイル弾頭が軌道を著しく反らして左右の建築物へ衝突、大規模な爆発を起こして瓦礫片を周囲へ撒き散らす。 『熱源反応、サラニ14基捕捉──』 後方道路の空域全てを埋め尽くすミサイルが接近し、最早機体のみでの回避行動は不可能な物量が押し迫る。その時眼前に軌道幹線道路の終着点が飛び込み、ラヴィはオーバードブーストの前進推力を強引に跳ね上げた。後方から急追してくるミサイル群を従えてそのまま前方の広大な空間へ飛び込むと同時、オーバードブーストシステムを機能解除、その場で機体を転回。バーンアウトを正面に迫るミサイル群と対峙させる。余剰推力によって高速で滑走を続ける中火器管制システムを背部兵装と左腕兵装へ転換、連装型榴弾射出砲を前方展開した。さらに内部保機兵装も準備し、激しく流動する有視界の中に迫るミサイル群を捕捉、ラヴィは背部グレネードキャノンから二発の大型榴弾を射出、同時に内部保機兵装及び左腕兵装の腕部携帯型無反動砲からもロケット弾を撃ち放った。ミサイル群の前列に飛び込んだ榴弾が派手に炸裂して後続のミサイルを巻き込み、路上周囲十数メートルに在った建築物を強大な爆圧で吹き飛ばす。加えてそこへ進入したロケット弾の焼夷弾頭が誘爆して可燃性ジェルを飛散させ、周囲一帯に数千度の炎を撒き散らした。 対炎熱装甲を持たない機体では到底乗り越えられない、超高温の炎の海が前方軌道幹線道路にたゆたい、その境界線を越えて飛び込んで来ようとする動体反応は見受けられない。 その事実を確認してから、ラヴィは自身が飛び込んだ広大な施設空間を見渡した ──商業区画第8ターミナルエリア。 理路整然にして複雑怪奇な都市形態を持ち、それに合わせて同様の構造となった数十の交通形態が共有する交通施設の要衝のひとつである。多くの幹線道路やリニアレールが合流する場所でありその為だけに一区画分が各ターミナルエリアに用いられている。周囲には乗り捨てられた自動車やリニアモーターが鎮座している。適度な遮蔽物と回避機動、及び目視戦闘を行うに十分な広さである。 各兵装の次弾装填の完結を確認した時、前方数十メートルに広がっていた炎の海が不意の轟音と共に弾け飛んだ。続けざまに数発の爆発が響き、砕片と共に赤々しい炎が周囲へ散らばっていく。飛散した炎が散乱し、周囲の大気が醜く歪曲した幹線道路の奥から、そいつらは現れた──。 十四機から編成される未確認AC部隊──最前衛の一機が飛散した炎の残り火を踏み砕き、一糸乱れぬ統率力を持ってターミナルエリアへと進入してくる。 その無機質な気配は、まるで戦場の死神のようであった。 やが十四機のAC部隊は前方に二重横列重体を形成し、約数十メートルの間合いを隔てて停止した。 そして最前衛の一機からオープンチャンネルで通信要請が入る。 なんと行儀のよいものだと胸中で頷き、先の一連の攻防に対する称賛も含めてラヴィは回線を接続した。 『何とも手際の良いものだな、レイヴン──?』 ひどく落ち着きのある、悪く言えば機械じみた声だった。 「エスタブリッシュメントにしては中々やるものだよ、お前達も……」 『野烏如きがそんな言葉を吐くとは……』 随分と賢しげな言葉をのたまうその側面から、前衛機に搭乗しているのだろう指揮官格のパイロットの気質を推し量ることができた。しかし、ラヴィの意識の方向は其処ではなく、パイロットの吐いたその言葉の意味に向いていた。 「──随分と古い身の上を語ってくれるのだな」 その要点のみを端的に表現した返答を聞き、発声音からまだ若年だと推測できる指揮官は素直に関心の声を上げる。 『全く、光栄な事だ。──貴君の様な死神と、こうして戦火を交える機会に恵まれたのだからな?』 ターミナルスフィアへ参入する以前のラヴィの記録を直接知る者は、すでに少ない。五年前に発生した兵器災害では多くの人類が死滅し、それ以前に関する戦場の記憶などは多くが保存文献などを残して人々の記憶から抹消されている。ラヴィがフリーランスのレイヴンとして戦場に在ったのはそれ以前の話であり、一連の交戦から此方の身元を割り出したとしても、それ以前の記録について知る者はなかなかいないはずだった。 その言葉に対しては返答を遣さず数秒の空白のみが過ぎると、再び指揮官格の男が言葉を紡ぐ。 『──とはいえ、此方にも規律は在る。速やかに武装解除し、投降するのであれば生命の保障は利くが?』 慇懃とは程遠い口調にラヴィは軽く口許を歪めた。投降するよりもなによりも、統一政府の精鋭部隊が何故この混乱に乗じてエデンⅣへの武力行使を仕掛けてきたのか、その事について軽い興味を抱いていた。 だが、それも先方が応えなければ無意味な話であり、またそういった類の問題はノウラのような人間が担うべき仕事に過ぎない。その分水嶺を理解していたが故に、ラヴィは、 『笑わせるなよ、──灼け堕ちろ』 それはラヴィからの明らかな宣戦布告。その言葉に応じて、横列隊形を取っていた敵性目標が同時に戦闘態勢へと移行する。戦術支援AIが既に整理出力してきていた敵性部隊の詳細情報は把握済みであった。 ──統一連邦政府標準規格のアーマードコア兵器。その機体性能については、長く戦場に居座り続けているラヴィにとっては特筆すべきものはなかった。 両手に操縦把を握り込み、ラヴィはかつて死神の眼と呼ばれたその双眸に獰猛な戦意を滲ませた。 AM07 55── * 手足が自分の物だと、夢に見る意識が自分の物だと、そう確信できた頃には五日が経っていた。 目を覚ました時に傍に立っていた、気崩した黒スーツを着こんでいたその男は言った。 『アンタは運が良い。また、戦場に戻れるんだからな……』 AM08 25── 『敵性目標、沈黙──。当該戦域の全敵性動体の沈黙を確認』 搭乗機体【シックフロント】搭載の戦術支援AIが、自らプログラム生成して設定した女性の合成音声を発して周囲戦況を更新する。 閉鎖型機械化都市商業区画──特にグローバルコーテックス支社周囲の戦域は強固な防衛戦線が展開され、ガロと同じく依頼を受けたかなりの数のレイヴンが作戦に投入されていた。その為に、彼我の兵力差で侵攻にかかってきていた旧世代兵器群を相手取りながらも、一機の戦力的消耗すらなく該当戦域の第二次制圧を完了した。だが、既に侵攻勢力の第三波が接近しており、周囲へ展開して散らばっていた友軍戦力が統合司令部の召集に応じて防衛戦域へと再び集う。 統合司令部によって構築されているデータリンクを通じ、友軍部隊の展開状況を確認。作戦遂行に当たって致命的な損傷を受けた機体はまだない。しかし、第三波を切り抜けた時、どの程度の戦力が残っているかを考えると其処はガロにとっても疑問だった。 商業区画該当戦域に投入されているAC機体は十機──今回の騒乱に参戦したAC戦力の半分近くに当たる。その十機中半数はグローバルコーテックス専属のレイヴンであり、彼らは恐らく作戦遂行不能になるまで戦闘行為を続行するだろ。だが、他はどうだろうかとガロは考えた。 他のAC戦力は閉鎖型機械化都市【エデンⅣ】に駐留する独立勢力のモノであり、その大半は素性の知れない有象無象だ。何機かはエデンⅣで主催されているコーテックスアリーナでも見かける名だが、それでもアリーナ下位に過ぎない。 戦力を以下に温存して第三波を乗り切るか──それが次の戦闘の要諦になってくるだろうと見たてを立てたところで、ガロはようやく自身が最も素性の知れない類の人間だという事に気付いた。端から見れば自身も独立勢力の一レイヴンに過ぎない。 コンソールを叩いて機体状態を確認する傍ら、僅かに自嘲の笑みを浮かべた。 支社建築物群周囲の空域防衛網を飛行中の広域偵察機から転送されてくるレーダー情報をメインディスプレイに出力し、商業区画外の敵性目標の動向を戦術支援AIに収集させる。都市内部全域は無論の事、どうやら都市外部シェルター周辺でも戦闘行為が散発しているらしい。商業区画には第三波の後方に、第四波第五波の攻勢反応が展開しており、区画全域が動体反応で紅く染まっているといえる。 他の管理区画はそれ程でもないのかと思っていたが、興行区画の一点にのみ動体反応が異常な密度で集中している箇所があった。 「何だ此処は──」 その赤く染まった動体反応の渦中に一機、友軍機反応を捕捉する事ができた。どうやら敵性反応は全てその友軍機に向けて侵攻しているようであり、その異様な光景にガロは眉をひそめた。 まるで、その友軍機が興行区画の敵対勢力を全て引き寄せているように見える。 そう自分で言葉にしてみて、ようやくあり得ない話ではない可能性にガロは自分が言っている事に気付いた。 (まさか、生体CPUが其処に……) 出撃前にメインシステムへノウラから転送されてきたデータファイルの件に思考を巡らした。自身がラヴィを増援によこした先で、不明襲撃勢力と交戦していたアザミ──その傍に何故か居合わせていたのが、コーテックス帰属のランカーレイヴン・ソリテュードという男と、その存在を公式に確認されていない凍結資材の生体CPUだった。 ノウラはそれら幾つかの事案に関して安易な推察を述べはしなかったが、今回の騒乱について最悪の可能性を考えるならば、恐らく彼女でなくても、早かれ遅かれその事実関係に行き着くだろう。 コーテックスアリーナ施設からの脱出を図る際に旧世代兵器と接触したリサも、その事実関係について信憑性の在る報告をしてきていた。 ──旧世代兵器群をエデンⅣ失陥の混乱材料に、統一連邦内の不明勢力が武力行使を仕掛けてきた。 その目的が何であるか、アザミからの報告事項から鑑みれば予測するに難くない。 有機体戦術支援機構──生体CPUの簒奪── 何故この時期に、この規模を持ってなのか、それは迎撃勢力である此方側には現時点では知るべくもない。 ただ、この騒乱の鎮圧が失敗した時、どういった結末をエデンⅣが迎えるかについては想像力を働かせなくとも分かる。 第二種狭域索敵態勢で稼働中のレーダーが、外周経済区画へ侵入してきた侵攻勢力第三波の機影を捕捉する。統合司令部から速やかな排撃命令が通達され、ガロは戦術支援AIに指示してレーダー展開を第一種戦闘態勢へ移行させた。 侵攻勢力の純粋兵力は大隊規模から成る対機動兵器戦用個体のパルヴァライザー──単純な兵力比では第二波とは比べ物にならない増援である。 恐らく第三波防衛戦闘からが、この騒乱の本番といえるだろう。そうなれば、誰も無傷では済まされない。つまり、今回の統合司令部主導による防衛戦闘は最初から一定量の人的消耗を視野に入れたものであり、それをわずかにでも軽減する為にエデンⅣ全域から駐留勢力の素性を問わずAC戦力が招集された。 それであっても、この都市に押し寄せる数千以上の鋼鉄の波を押しとどめられるかどうかは今後の状況次第によるが…… 興行区画はセントラルタワーに異常集中している侵攻兵力の質量とその原因も憂慮すべき事実だが、それと比較して劣らない物量の旧世代兵器群が、コーテックス支社へ向けて商業区画を侵攻してくる。 騒乱鎮圧の失敗──其れは閉鎖型機械化都市【エデンⅣ】を実質統治してきたグローバル・コーテックス支社の失陥、そして同時にエデンⅣという人類最後の庭園そのものの陥落をも意味する。 ──それが統一政府が最後に望む今回の騒乱の結末であり、すべてが灰に葬られる事で統一政府の事実関係も消え去ることになるだろう。そうまでして彼らを果断に踏み切らせたのが何なのか、ターミナルスフィアに長らく関与してきたガロにはある程度の推測が経っていたが、それを敢えて思考の海から追い落とした。 今は眼前に迫る死の影に向きあわねばならないのだ── 『敵性部隊第三波、前衛個体を捕捉しました』 戦術支援AIの報告に沿って視点を動かし、区画設備の緊急照明群によって照らし出された待機中の航空施設から滑走路の方を見やった。粉砕した設備防壁の瓦礫を踏み砕き、青白い眼光をカメラアイに湛えた極めて人型に近い群影が通常歩行で迫る。 『統合司令部より現場各機へ、現在商業区画第五避難ラインより一般市民の避難誘導を通常歩兵軍が展開中だ。地下シェルターへの避難が完了するまで、敵第三波の侵攻を食い止めろ』 その指令にレイヴンが各自返答を遣す。つまり、いくら戦力消耗を招こうともAC戦力は決して防衛ラインを割って退避する事は許されないことを意味している。 人型機動兵器:アーマードコアに乗って戦場に臨み始めてから、ガロは既に二〇余年が経つ。その中で経てきた戦場と今回は比ぶべくもない。遍く在る戦場の一類に過ぎない。死地に臨む事に慣れるとはどうしようもない話だが、ガロには最早他の道で生きる場所が残っていないことを自らが良く悟っていた。 だからこそ、それを良しとしなかったのであれば──かの財団から放逐された際にノウラの誘いに乗らず、戦場の一線から引退できたのだ。 とどのつまり、自分は戦場という世の最前線と果てに取り置かれたどうしようもない人間なのだ── 市街戦闘に当たって各レイヴンに、明確な戦術展開は通達されていない。だが、戦場を日頃の常とする人種であるからこそ彼らは、そういった事態にあっても最大限の戦果を発揮する事を求められるのだ。そして、失敗しない限りその要求にこたえるのが烏の名を持つ兵士達の特質だった。 搭載センサー群から得られた情報によると、敵性部隊の主武装は市街戦に適した実弾兵器群である。 搭乗する機体【シックフロント】は閉鎖環境下における射撃戦、特に前衛戦闘を主眼に置いており機体構造中外部装甲に優れている。搭載兵装──右腕のリニアライフルと左腕レーザーライフル、及び背部兵装のミサイルコンテナの使用状況を確認。継続戦闘に仔細なく、ガロは一瞬の逡巡もなく管制塔の影からシックフロントの機体を飛び出させた。 →Next… ⑦ コメントフォーム 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/fuchi-photo/pages/15.html
伊丹駅 1番のりば 作例 アクセス レンズ 食料 トイレ 定員 被りやすさ 備考 2番のりば 作例 アクセス レンズ 食料 トイレ 定員 被りやすさ 備考 A(1)地点(イオンモール伊丹跨線橋) 作例 アクセス レンズ 伊丹駅を出て北方向の出口からイオンモール伊丹へ続く跨線橋の上から撮影 自由 順光時間 撮影対象 午前中 上り列車 食料 トイレ 改札口外にキオスク・コンビニあり 改札口内にあり 定員 被りやすさ 多い なし 備考 作例中央右の木が生長しているため編成後部が隠れる場合あり A(2)地点(イオンモール伊丹跨線橋) 作例 アクセス レンズ 伊丹駅を出て北方向の出口からイオンモール伊丹へ続く跨線橋の上から撮影 自由 順光時間 撮影対象 午前中 上り・下り列車 食料 トイレ 改札口外にキオスク・コンビニあり 改札口内にあり 定員 被りやすさ 多い なし 備考 流し撮りに向いている B地点 作例 アクセス レンズ 伊丹駅を出て東側の線路沿いを北方向へ、緩い左カーブ付近で撮影 望遠~ 順光時間 撮影対象 午前の早い時間 下り列車 食料 トイレ 伊丹駅かイオンモール伊丹で 伊丹駅かイオンモール伊丹で 定員 被りやすさ 少ない 低い 備考 C地点(宝剣堂踏切) 作例 アクセス レンズ 北伊丹駅南改札口を出て駅前の道路を南方向へ。幹線道路を横断し左折。ミドリ電化の角を右折して道なりに行くと踏切が見えてくる 自由 順光時間 撮影対象 午後の早い時間 上り列車 食料 トイレ なし なし 定員 被りやすさ 少ない 低い 備考 障検をかわすには中望遠以上が必要
https://w.atwiki.jp/kouteieki2010joho/pages/256.html
西日本新聞社の記事へ飛ぶ (魚拓) 2010年5月15日 01 05 カテゴリー:九州 熊本 宮崎県で家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)が拡大していることを受け、熊本県は15日午前9時半から、県境に近い人吉市大畑町の国道221号で、宮崎県側から人吉市に入る一般車両にも消毒措置を始める。畜産関係トラック向けの従来の噴霧消毒とは異なり、道路上に消毒液を浸したマットを敷き、徐行してもらう簡易型の消毒にする。一般車両への消毒措置は県内で初めて。 熊本県内には現在計9カ所の消毒ポイントがあり、畜産農家に出入りするトラックへの消毒を実施している。このうち国道221号は、口蹄疫が4例発生した宮崎県えびの市と人吉市を結ぶ幹線道路のため、万全の対策をとることにした。 現地では、人吉市方面に向かう国道上で、一般車両向けの簡易消毒を行うほか、道路沿いのスペースで畜産関係トラックに噴霧器による消毒を継続。消毒措置には強制力がないため、協力を得られない車用のレーンも設ける。24時間態勢で誘導員を置く。 県球磨地域振興局によると、現地では宮崎県方面から1日約2千台の車が通る。宮尾尚局長は「被害拡大を防ぐため協力を」と呼び掛けている。 県はまた、17日から新たに人吉市木地屋町の国道267号と、山都町塩原の同265号の2カ所に消毒ポイントを設置すると発表した。 =2010/05/15付 西日本新聞朝刊= 5月 防疫関係
https://w.atwiki.jp/achdh/pages/158.html
⑨*⑩*⑪ 変わらず抑揚を欠いた言葉。しかし、ガロはその口調の裏側に僅かな焦りの介在を感じ取っていた。 統合制御体がファントムヘイズとの近接対峙を前に、機体制御態勢の速やかな移行を推奨する。 「知らんだろうな。貴様が世界の裏側でのんびりとしている間に、この地上世界は大きく変容した──」 意思判断し、左腕部に携えた適合兵装を持ち上げる。それに合わせてファントムヘイズも狙撃銃の銃口を動かした。長鑓を思わせる長大なひとつの銃身を基軸とし、レールシステムの搭載によって多種兵装の搭載を可能にした実働試験機体:マルシアの為のみに製造された大型の適合兵装。 『貴様に見せてやる。この五年間、世界がどう動いたのかをな──』 その言葉を最後とし、一方的に通信回線を解除。 統合制御体に指示し、機体制御態勢の速やかな移行を指示する。 その間際、再びハルフテルが最後に言い残した言葉が脳裏をよぎった。 ──悪ければ、それはアンタの速やかな死を意味している その言葉通りだった。機体制御システムと搭乗者を物理接続する事によって、従来の機動兵器とは一線を画す戦闘能力を発揮するネクスト兵器は、本来AMS適性を持つ搭乗者一人のみで制御するものではない。 だが、それこそがエンシェントワークスが推進するネクスト研究の本質だった。 ──生体CPUを一体切り刻んだ 狂っている。そうでなければ辿りつけない場所を、彼らは目指しているのだ。 旧世代ですら成し得なかった境地へと、ネクスト兵器を持って行こうとしている。 モラルも既存の理念も何もかもを置き去りにして、彼らは生み出そうとしている。 ──彼らが望む、真のネクスト兵器を ──何故、志願したか? ──戦場から降りられなくなった兵士に残された道だったから? ──その礎になることが望みだったのか? ──私は ──戦場で生きる事でしか、自分を認められないのだ。 ──この計画の末に、きっとその終わりが待っているはず。 一瞬瞼を下した後、迷いなくコンソールキーを叩いた。 『AMS接続制御態勢、第一種戦闘態勢へ移行します──』 ──理性が灼かれ、溶け出した。自らの願いを戦場で達する為に、私は彼女と一体となった。 溶けゆく意識の中、私の外側で誰かが獣のような咆哮を上げた。 それは、私だったかもしれない。もしかしたら、一体となった"彼女"だったかもしれない── 行こう── AM09;33── * AM08;50── 街が灼け堕ちていくその光景は、決して気分の良いものではない。 住み慣れた古郷を幾度も失ってきた私には、それが耐えられないのだ── ──止められない ヴァネッサの脳裏にそんな焦燥感が過り始めたのは、興行区画で戦線確立の為の防衛戦闘に武力介入し始めてから一時間ほどが過ぎた頃だった。 無尽蔵とも言える兵力差で迫りくる旧世代兵器群の侵行は大きな波となって第三波、第四波ととめどなく続き、途中からヴァネッサはそれを数える事を止めていた。旧世代兵器群の進撃を辛うじて遅らせる事しかできず、反転攻撃の為の戦線確立などは望むべくもない。そして、ヴァネッサの焦りを一層増長させていたのは前方から迫りくる旧世代兵器群の潮に対し、後方でまだ避難誘導により弾雨の中を搔い潜りながら地下シェルターへと一心不乱に逃げ往く一般市民の群だった。 今回の騒乱自体が旧世代兵器群による一方的な奇襲攻撃に端を発していた為、エデンⅣ全域に戦火が拡大するまでに避難シェルターへ退避できた一般市民はおそらく、全体の三割にも満たないはずだ。辛うじて退避に成功したのは主権企業をはじめとする各政財界の官僚や重鎮達のみで、危機管理体制などが行き渡っていない一般市民レベルなどは出動軍の避難誘導を頼って徒歩でシェルターまで向かうしかない。 その一般市民の誘導数が膨大な数に上って後方防衛ラインで衝突し合い、それが返って戦線確立の妨げとなりつつあるのが、現在の戦況の致命的な箇所だった。 興行区画は二十四時間体制で昼夜関係なく栄えるエデンⅣの一大都市区画であり、その集約人数の割合は他区画と比較すべくもない。それが仇となったのだ。 戦線確立のための後退戦闘もまともに行えず、いたずらに友軍戦力のみがじわじわと消耗していく。 現にたった今、興行区画の防衛戦闘に当たっていた友軍AC部隊のうちの一機が旧世代兵器による攻撃で決定打を受け、前線から急速離脱していった。 「また一機やられた……! 後方避難誘導はまだ終わらないのっ?」 『急くな、ヴァネッサ──。増援部隊の到着まで堪えるんだ』 広域防衛区画からのその増援部隊も、後方の混乱に邪魔されて当該戦域への到着がいつになるかは分からない。戦況は確実に悪化修正されているといえる。 決定的な打開策が見当たらない今、最悪の可能性だけが頭の中で反芻される。 「──! 危ないっ」 前衛に展開し、正面の敵の攻撃に囚われていた友軍機の右舷に別の旧世代兵器が姿を現し、ヴァネッサはその敵性動体に向けて右腕兵装であるグレネードライフルの榴弾を撃ち込んだ。 「突出してはダメ、早く下がって!」 『す、すまん──。だが、これではキリがないぞっ……』 搭乗機体である重量逆脚型の機体をラピッドタイドと同一ライン上へ下げながら、グローバルコーテックス帰属のそのレイヴンは、他の例と同じように焦燥感を滲ませた言葉を吐く。 「増援部隊がすぐに到着する。それまでこの防衛ラインを維持するのよ」 統合司令部から通信技官として、戦術支援に当たってくれているリサの言葉をそのまま繰り返す。だが、実際にはその間にも確実に友軍戦力は消耗され続けており、一方的なダメージレースとなる展開は避けられない。 確実に忍び寄る死の影に、誰もがその戦域から遠のきたかった。 しかし、ヴァネッサは震える奥歯をぎりっと噛みしめて抑え込み、操縦把を握り込み直す。無尽蔵に思える敵性兵力にも必ず限界がある。そこまで耐え切らなければこの騒乱を生きて、生き延びることは難しいだろう。 同一ライン上に展開する友軍機と連携して前方から迫り来る旧世代兵器群の侵攻を何とか押しとどめ、その間にも地上に展開していた通常戦力部隊が戦火の煽りを受けて吹き飛ぶ。 瓦礫片と共に飛散した肉片交じりの血雨がラピッドタイドの外部装甲を叩き、ヴァネッサはその光景にわずかに目を細めた。 左腕部と背部の多砲身式回転機関砲で高密度の弾幕を張っていたが左腕部機関砲の残弾数が尽きた。補給部隊の作業用MTが予備弾倉を抱えてラピッドタイドの機体に取りつき、砲身と機体付随のマガジンラックにそれぞれ弾倉を補給する。 『此方補給機、装填を完了した──!』 「助かった、サンキュー──」 その直後、短い悲鳴と共に作業用MTからの無線が途絶える。機体のすぐ傍で起こった爆発を搭載センサー群が捉えたことから、MT機が攻撃の余波を受けて爆散したのだと気づいた。 「ちくしょうっ……!」 作業用MTを一瞬で吹き飛ばしたと思しき旧世代兵器の四脚型パルヴァライザーを捕捉、背部兵装のリニアキャノンを展開、即座にトリガーを絞る。強化推力を与えられた徹甲弾がパルヴァライザーの頭部を過たず消し飛ばす。が、機能停止したその残骸を踏み越えて後方から旧世代兵器群が押し寄せる。 『止むを得ん、防衛ラインを後退するぞ』 「それじゃあ一般市民に被害が及ぶ可能性があるわ……」 『では他にどうするというのだ。我々が此処で撃破されては、護れるものも失ってしまうんだぞっ』 当該戦域のAC戦力の中で便宜上指揮機体のような役割を担っていたコーテックスのレイヴンが、若干の冷静さを欠いた声で言う。しかし、その言葉は戦場に臨む者としての説得力に満ちた声であり、ヴァネッサも異議を申し立てはしたものの同種の人間である事に変わりはなく、それ以上の追及はできなかった。 今此処で、戦力消耗を少しでも遅らせなければ、増援部隊の到着まで防衛ラインをすら守り切ることはできない。 『此方フロント、此れより防衛ラインを後退する──』 指示に従い、友軍機同士で後退支援を行いながら幹線道路上を移動、インターチェンジ付近まで後退した時、其処に駐留していた地上後衛部隊と接触。 指揮機のレイヴンが外部拡声器を用いて、インターチェンジで防衛ラインを構築していた一般部隊に後退を促す。 『お前達も早く下がれ、此処も突破されるぞ──』 その逼迫した声に押されて一般部隊が下がり始めるのもそこそこに、幹線道路上に構築された重バリケードを破壊して友軍機が進入、その時ウエストインターチェンジ方面から装甲輸送車の部隊が此方へ向かってきた。 『逃げ遅れか、急げ──!』 その声が聞こえたのかどうかは分からないが、装甲輸送車はインターチェンジのカーブへ速度を緩めず曲がり込む──しかし、破壊した重バリケードの隙間を縫って飛び込んできた榴弾の弾幕が路上に着弾し、その衝撃波が前衛の装甲輸送車を容易く吹き飛ばした。鋼鉄の匡体が横倒しになって路上を滑走し、その事態に巻き込まれた後続車両が次々と玉突き状に衝突を起こす。 「追いつかれた──」 今しがた後退してきた進入口に早くも追いついてきた旧世代兵器の侵攻部隊が現れ、インターチェンジへ向けて迫撃戦術を展開し始める。友軍AC機が一斉に迎撃弾幕を張るが、それをすり抜けた榴弾群が重バリケードからインターチェンジ内へ降り注ぐ。 走行不能になった輸送車から降り、徒歩での避難を始めていた一般市民と兵士達が榴弾の爆発に巻き込まれて爆煙の中に消え去り、友軍機もまた榴弾による損傷を負う。 「私達が防ぐから、早く市民の避難掩護をお願い!」 悲鳴と断末魔が行き交う地上の様子を視界の隅に収め、ヴァネッサはラピッドタイドの機体を重バリケードの突破口前に移動させた。侵攻部隊の軽い弾幕を分厚い装甲で弾いていなし、御返しとばかりに多砲身式回転機関砲による一斉掃射を浴びせかける。 その文字通り捨て身を賭したヴァネッサの行動に呼応した友軍機達が、重バリケードの上から応対射撃を取り始める。バリケードから一歩突出したラピッドタイドに旧世代兵器群の攻撃が集中し、それを脇から友軍機達が叩き潰す。重戦車であるが故の分厚い外部装甲が幸いし、ラピッドタイドは正面からの被弾にも何とか耐える事が出来た。 『市民の避難距離を稼いだ、下がるぞ──』 コーテックスのレイヴンが指示し、先行して周囲の友軍AC機を下がらせる。そして、最後まで最前衛に残っていたヴァネッサに無線を遣し、 『レイヴン、スイッチだ──』 ヴァネッサの後退戦闘を支援すべく指揮機のレイヴンが代わって前衛へ突出し──その交差の隙を、運悪く旧世代兵器群に突かれてしまった。 その一瞬の隙の間に飛来した徹甲弾が指揮AC機の頭部を粉砕し、その破砕片がラピッドタイドの装甲に降り注ぐ。機体制御を著しく搔き乱され、そこへさらに数発の砲弾が食いついて指揮機の左腕部その他、外部装甲を吹き飛ばしていく。 『くそ──君は早くいけ!』 「でも、貴方はっ──?」 応対姿勢を継続しながら後退するラピッドタイドの前に立つレイヴンは、致命的な被弾を自ら甘んじて受け止め、両背部に搭載した連装型ミサイルコンテナを展開する。 『俺はコーテックスのレイヴンだ。与えられた任務は全うする──幸運を、レイヴン』 ──その言外に含まれた意図にヴァネッサは口許を手で覆った。 旧世代兵器群の追撃がさらに指揮ACの機体に致命打を与え、後退推力をすら失ったレイヴンは至近距離に迫った旧世代兵器群に向けて背部コンテナから大型ミサイルを連続射出した。 ──インターチェンジを含む周囲施設を大きく揺るがす爆炎が前方幹線道路を呑み込み、巨大な噴煙が立ち上る。決死の応対攻撃を行った指揮ACの機体もその爆発に呑み込まれ、その姿はラピッドタイドからは一切確認できない。 『──今のうちに早く下がれ、ヴァネッサ』 リサのその冷静さを欠かない指示にヴァネッサはようやく気を取り戻し、フットペダルを踏み込んでラピッドタイドをインターチェンジから幹線道路後方へ進ませる。 ラピッドタイドの後退を待っていた友軍機がそれに合わせて応対機動を再開するも、その情報を搭載センサー群で捕捉したのだろう、赤々しく燃え上がる爆炎の向こう側から旧世代兵器群が一斉に突出を展開してくる。 「そんな──」 旧世代兵器群は各々の機体を炎に包まれながらも、それには一切構わず追撃戦闘を継続。実弾兵器群による弾幕がラピッドタイドの外部装甲の上を跳ねまわり、徐々に機体損耗率が上昇していくのを戦術支援AIが無機質なヴォイスで報告していく。 やっぱり、止められない──けれど── 一切の怖れを知らず他の感情をも持ち合わせていない旧世代兵器群は、正確な数値判断から導き出される合理的行動に従い、味方機がその場に崩れ落ちようと構わずそれらを踏み越えて侵攻してくる。そんな容赦のない敵を相手に、絶対的に不利な状況下では長く持つはずもなかった。 だが、其処で継続戦闘を放棄する事だけは、ヴァネッサの猛る矜持が一切許そうとしなかった。 ──10年前、先生もそうやって私達を護ってくれた かつての前例があり──その彼女が事実として遣り遂せてくれた。その実力が伴っていない中で自ら速やかな死を所望するのは愚行以外の何物でもない。しかし、それが間違っているとは思うな── 自ら師と仰ぐ彼女は、ヴァネッサにそう諭した。 ふと、ヴァネッサは行き着いた── 「そっか。此処が、私の──」 私の、死線か── 戦場の一線に在り続けるのなら、何れ誰もが直面する時。少年兵の時分だった頃から、そんなモノには慣れ親しんできた。あの頃は恐ろしくすらなかった。護るものが何もなく、ただ自身が憎むモノ全てを灰に変えてしまうだけでよかった。 護るモノが在ると、人は恐れを抱くのだ。 此処は、先生のおかげで生まれ変わった私の、初めての死線── 後方を先行後退する友軍機から届く弾幕がラピッドタイドの周囲を飛び過ぎ、旧世代兵器群の前衛機を破壊すると共にラピッドタイドの後退を同時支援する。 『ぐあ──……!』 その悲鳴と共に友軍機が路上へ崩壊し、その傍をラピッドタイドで通り過ぎる。両脚部と片腕を粉砕されて移動能力を失った友軍機を落下爆雷群が襲い、外部装甲を焦がす。 旧世代兵器群の侵攻速度が確実に増し、それに合わせて友軍部隊も次々と撃破されていく。インターチェンジを出てから数分を待たず、その頃に後退戦闘を継続していたのはラピッドタイドを含めて三機のAC機のみとなっていた。 搭載兵装の弾薬消耗率が30%に近づき、応対戦闘に用いていた主兵装を機関砲群から背部兵装のリニアキャノンへ換装。一撃必殺の砲弾が狙い通り前衛のパルヴァライザーを撃破、しかし後方から瞬く間にスイッチしてきた二機のパルヴァライザーが背部に搭載したコンテナから地対地ミサイルを垂直発射し、計十二基から成る弾頭がラピッドタイドの頭上を越えて後方へ飛んで行く。 一拍後、後方から轟いた崩壊音を搭載センサー群が捕捉、後方視界用のサブカメラから転送されてきた映像をメインディスプレイに映し出した。 後退進路の高架幹線道路が崩落し、そこから奈落の底の闇がのぞいていた。其処にいた二機のACは辛うじて回避機動をとったらしいが、致命的な損壊を受けて分断された幹線道路の先で機能を停止していた。 「分断された──」 崩落距離は目測で約55メートル──爆発の衝撃派に巻き込まれて崩落距離が伸びたのだろう。旧世代兵器群が前方百数十メートルに迫り、ヴァネッサはブースタ用フットペダルに足をかけようとし、そこで踏み込むのを躊躇した。 『増援部隊が間もなく到着する、耐えろヴァネッサ──!』 リサが珍しく感情を表出させた口調で言う。統合司令部のヴァネッサから転送されてくる広域索敵レーダーに、自機後方から複数の動体反応が接近してきていた。 操縦把を握り込みなおし、崩落した幹線道路の断崖ギリギリまでラピッドタイドの機体を近づける。 重戦車型機体にも基本、強化推力用のブースタ機構は搭載されている。しかし、それらは緊急機動用の推力機能として扱われる事が多い。その為長距離移動用や巡航用機能としての調整は成されておらず、極めて短距離でしかブースタ機構は使用できない場合がほとんどである。 ラピッドタイドもその例に漏れず、実働試験の際にブースタ機構を用いた時の最大航続距離は僅かに直線距離50メートル程度であった。 ギリギリだが、行けない距離ではないかもしれない。後退飛行中に応対行動を行いながらでないと渡り切れる可能性は低く、しかし、射撃反動や被弾による推力低下を鑑みると、ブースタ機構を用いる選択肢はどうにも無理があった。 リニアキャノンによる精密な遠距離砲撃で一体一体を確実に撃破──計5,6機を前方に沈め、増援部隊の到着が残り約二分に迫っていた時だった。 ──旧世代兵器群の攻撃が不意に止み、やがて奴らの群列が左右に別れて中央から一機の機影が姿を現した。 軽量二脚型を模り、両腕部マニピュレーターに既存の実弾型機関砲とレーザーブレードと思しき発振機構を備えたパルヴァライザー──。 戦術支援AIに詳細解析を進行させるが、データバンクから当該情報は検出されなかった。 「まさか、新型機──。此処でそんな隠し玉を出してくるなんて……」 取り捲きの旧世代兵器群は一切の進撃行動を停止しどうやら待機状態へと移行しているようであった。どうやら、新型機と思しきパルヴァライザーの戦術展開を邪魔しないためであると、ヴァネッサは推測した。 相手から先制攻撃を行う予備動作は見受けられない。その分増援部隊の到着までの時間稼ぎにはなるだろうが、その事実を旧世代兵器群が捕捉していないはずはない。 その事に疑問を呈した瞬間の事だった。まるで空間を切り貼りするかのようなブースタ推力でパルヴァライザーが正面から突進を仕掛け、ヴァネッサは一拍遅れて応対射撃を取った。 左腕部の短機関砲で牽制の意味合いを含んだ弾幕を張り、それに紛れて精密に狙いすましたリニアキャノンの砲弾を撃ち放つ。強化推力を得た砲弾は狙った頭部へと吸い込まれていくが着弾の刹那、パルヴァライザーは圧倒的な機動力で事も投げに強化推力の砲弾を回避して見せた。 (なんて早さなの──他とはまるで違う!) それはこれまで相手にしてきたパルヴァライザーとは全く性質を異にしていると、ヴァネッサは直感した。これまでの敵は圧倒的な兵力差で迫ってきはしたものの、いずれもが突出性のない画一的な機能であった為になんとか数機の友軍ACのみで対応する事が出来た。 だが、これは違う──! これまでのパルヴァライザーとは違う、そいつだけ全く桁違いの高性能な戦術判断AIを搭載しているとしか思えないほどの戦術展開能力である。 制圧射撃を旨とする高密度火力で圧倒しているつもりが、それを最大限の機動展開で回避し、残りは外部装甲のみで弾いていなされる。ものの数秒で距離を目前にまで詰められ、背部から展開した大型グレネードキャノンの砲口がラピッドタイドを捉えた。 重装甲による高度な防弾能力を持つラピッドタイドとはいえ、度重なる被弾で消耗した外部装甲ではどこまでその攻撃を無力化できるか分からない。もし当たり所が悪ければ── そんな可能性が脳裏をよぎった時、こちらを完全に捕捉したパルヴァライザーが背部大型グレネードキャノンから榴弾を射出した。 「くそ──!」 まっ直ぐに飛来してくる榴弾の直撃は避けられないと直感的に悟ったヴァネッサだった──が、外部装甲に衝突するその刹那、後方上空から不意に一筋の光線が榴弾を巻き込んで眼前の幹線道路上へ突き刺さった。 圧倒的熱量で焼かれた榴弾が誘爆し、わずかな破片が軽くラピッドタイドの外部装甲を叩く。 『増援部隊が到着したぞ──!』 続けて、 『遅くなってすまない、ヴァネッサ──』 リサとは異なるその声に驚いて言葉を発しようとした時、ひとつの機影が頭上を通り越してラピッドタイドとパルヴァライザーの間へ降り立つ。──クレスト社純製パーツで構成された純白の軽量二脚機体、それはたった数時間前にアリーナ予備大会決勝で対戦した知己のものだった。 「ジェリー……!」 『戦況が芳しくないって聞いてね。統合司令部に直接掛け合って許可してもらったんだ』 「──怪我は大丈夫なの?」 その気づかいにジェリーは搭乗機体ブルーマーレの右腕を軽く持ち上げて見せる。 『そんなにひどくはなかったよ。──それよりも行けるな、ヴァネッサ?』 先行して現場合流したブルーマーレに続いて広域防衛区域から派遣されてきた通常部隊が到着し、分断された幹線道路の先に重防衛用バリケードを構築し始める。 『──追加部隊もすぐに到着する。此処までよく戦ってくれたな──ありがとう』 獰猛な意思を湛え、ジェリーはブルーマーレの機体に突進体勢を取らせる。 『一気に押し返すぞ』 その最も古い戦友の言葉にヴァネッサは口許に淡い笑みを浮かべ、操縦把を改めて握り込んだ。 「ええ。やりましょう──」 ──まだ、生きて戦える AM09 25── * AM09 15── 【Client Kelly Altman──地下核部に不正侵入した旧世代兵器群の排撃、及び当該戦域の第二種武装制圧】 素性の定かでない不定勢力であっても、依頼に仔細ないと判断すれば受諾し業務履行は此れを全うする。一部例外はあるにせよ、基本的にはフリーランスの傭兵であるファイーナは、自らにその活動領分を課していた。 商業区画当該戦域の第六次防衛戦闘までを単機で完結した後、ファイーナは戦線確立に成功した増援部隊に継続作戦を一任、自らは戦域を離脱して現在搭乗機体のゼクトラを新たな作戦領域へ向けて疾駆させていた。 統一連邦政府駐留軍からの依頼業務はこの騒乱がエデンⅣ存続という形で無事終息した場合、当該戦域を作戦途中で離脱した事実から依頼不履行となり、発生報酬の減額はおそらく避けられない。 だがその不名誉を差し引いたとしても、第六次防衛戦闘の最中に舞い込んできた不定勢力からの緊急依頼に応えねばならない理由がアザミにはある。 状況が状況である為、不定勢力からのその緊急依頼をアザミは受諾するつもりは毛頭なかった。 ──が、その依頼ファイルの受信先、ファイル文書の文末に加えられていた古い言葉を見咎めた時、その判断はアザミの中で180度転換することとなった。 緊急依頼の送信された受信媒体はアザミが平時使用する業務アドレスではなく、かなり以前に継続使用を破棄しそのまま放置していた個人アドレスのひとつであった。それは五年前よりも以前──ミラージュ社陸軍は機械化空挺部隊に所属していた頃の専用個人アドレスであり、それを現在に至っても記録している人間は本人を除いてごく限られている。 その事実へ瞬時に行き当たった時、アザミは浅く息をついた。明らかな偽名──或いはワークネームを騙るクライアントは過去の素性を深く知る何者かであり、アザミの鋭利な直感はその存在が覆面依頼を持って自身を誘っていると悟ったのである。 そして、依頼詳細の文末に添えられた言葉を見た時、クライアントがかつて非公式のうちに抹消されたミラージュ社の五年前の致命的な汚点を知る者であり、それがかつての身内の誰かである事に気付いた時点で、アザミは当該戦域の制圧戦闘に区切りがついた時点で速やかに戦線離脱する事を逡巡なく判断していた。 添えられた言葉は、かつての帰属部隊──機械化空挺部隊【レッド・シーカーズ】が共有していた唯一無二の標語── 「ノウラの通り、唯では終われんな……」 統合司令部で陣頭指揮を執るノウラと最後に無線通信を行ったのは約90分程前だが、その時既に彼女はこの騒乱が唯では終わらないであろう事を示唆していた。 ──人類最後の庭園と謳われた絶対要塞の閉鎖型機械化都市【エデンⅣ】へその広域警戒網をすり抜け、大胆にも都市天蓋部に大穴を空けて侵入。続いて製造元が未確定である紅い亡霊の武力介入──彼女は統一政府との関連性を疑い、この騒乱終息までの間に判断材料を収集して何らかの行動を起こすつもりらしい。 その矢先に、この緊急依頼だった。もしクライアントの素性が推測通りならば、騒乱終息後の事後事態は混迷化を深めるだろうとアザミは思考を巡らす。 この騒乱の暗部は、表面的に見るより遙かに深い場所にある── 今だ明白にならない事態推移の中、アザミの豊富な経験則は常に彼女へそう伝え続けている。 その最も深く暗い部分へとクライアントは誘おうとでも言うのか、依頼場所へのルートマップも添付しておりそれの事実詳細を戦術支援AIに解析させた後、アザミは一部改変を加えたルートマップに則って作戦領域へと進行していた。 途中、商業区画他戦域で防衛戦闘に当たるAC部隊と接触したがそのまま戦域を素通りし、一直線に向かう。アザミが単機で制圧した当該戦域はまだマシな方らしく、他の戦域は思ったより戦線確立に苦戦しているらしかった。 ──それも無理はないか。都市全域から戦力をかき集めたとはいえ、大半は有象無象と変わらん エデンⅣ防衛に当たって統一連邦管理局は、都市内部に駐留するAC保有勢力の全てに依頼を投げかけた。無論、エデンⅣ最大の企業体であるグローバルコーテックスからもAC戦力が派遣されてはいる。しかし、それをしても多くはアリーナ下位ランクや予備ランカーのレイヴンであり、加えて独立勢力系の有象無象が多く参加していては、そう防衛戦闘が上手くいくはずないというのが、軽く考察したアザミの結論である。 商業区画当該戦域を抜けて移動を開始してから約15分後、アザミは隣接する工業生産区画の重隔壁施設を有視界前方に捉えた。下降する幹線道路の直線上に重厚な造りの隔壁扉が聳え、其処を基点として両区画を分断する隔壁の高度限界の先からは、赤々しい炎と黒煙が噴き上がっていた。 侵入した敵性勢力が工業設備に手を出した為に、火の手が上がったのだろう。都市天蓋部へ向けて立ち昇る災禍は単純な火災規模で片づけるには大き過ぎ、その事から工業区画が受けている被害の甚大を容易に窺い知る事が出来る。 アザミはフットペダルを強く踏み込み、正面に高く聳える重隔壁扉へ向けてゼクトラの機体をブースタ推力で進ませた。幹線道路の下り坂を弾丸の様な早さで駆け下りる最中、前方右舷の角から一機の四脚型パルヴァライザーが滑り出してゼクトラの進路上を完全に塞いだ。この後に及んでも、侵攻の手を一切緩めようとしない旧世代兵器群の徹底振りに軽く息をつく。眼球動作に追従したフレームシステムが敵性目標を捕捉、同時に左腕兵装の短機関砲を跳ね上げてバースト射撃による牽制射撃を撃ち込む。 持ち前の重装甲でその軽い弾を弾いたパルヴァライザーが背部グレネードキャノンの砲身を前方展開、その光景を冷えた視線で追いながら、戦術支援AIにオーバードブースト・システムの起動を口頭指示した。 直後、前方拡視界に捉えた敵性目標の得物の砲口が轟然と火を噴く。そのタイミングを計っていたアザミは大きく吹かしたブースタ推力で射線上から真横へ移動、操縦把上部カバーを弾き上げて中の起動スイッチを押し込んだ。 開放された背部大型ノズルから高出力の噴射炎が噴き出し、圧倒的な速度を持ってゼクトラの軽量機体を前方へ弾き出す。その感じ慣れた強いG負荷を身体に受け止めながら瞬く間にパルヴァライザーの頭上を通過、転回される前に単純距離にして百メートル近い間合いを取る。 最優先すべきは作戦戦域への速やかな到着であり、無駄な接触戦闘やそれに伴う弾薬浪費は抑えるべきである。その為、アザミはパルヴァライザーの追撃が背後から迫ってもオーバードブーストを解除せず、そのまま隔壁境界に急速接近した。 戦術支援AIの情報処理を介して隔壁制御システムへアクセスしようとした直前、何をした訳でもなく重隔壁設備が自らその扉を両側へ押し開く。そのあまりにタイミングの良すぎる事態に、右腕兵装の短機関砲を開いた隔壁扉の隙間へ向けるが、其処から何者かが飛び出してくる様子は一切ない。 狭域索敵態勢のレーダーにも動体反応は見られなかった。 残り百数十メートルに迫った所でオーバードブーストを解除、ゼクトラの機体を背後へ急速転回させる。充分な残余推力を用いて幹線道路上を滑走しつつ、背後から追撃してくるパルヴァライザーに対していつでも応対射撃を取れるよう短機関砲を突き付けながら、そのまま隔壁扉の隙間へ機体を滑り込ませた。 そしてまたもやそれを確認した隔壁設備が起動し、追い付かれる前に閉鎖を完了した隔壁扉がゼクトラとパルヴァライザーの前に完全に立ち塞がった。 警戒灯が激しく明滅する重隔壁設備内に侵入したアザミは、動体反応の見当たらない設備内を速やかに移動して大型資材運搬用の昇降機を発見すると、そこの昇降台へゼクトラの機体を搭載させる。戦術支援AIへの口頭指示を思いとどまり、しばし待っているとアザミの予測通りに、昇降機はアザミ以外の機器制御指示を受けて自動起動、警報音がひとしきり鳴り響いた後、地下への下降を開始した。 ゆっくりと昇降台が下降していく中、アザミはその奇妙なエスコートに歪んだ笑みを浮かべた。 「此方の接近は常時把握済みという訳か──」 作戦領域となる当該戦域は都市地下核部──その存在を知る者自体が限られている閉鎖空間である。 それを知っている事と先に言葉にした事実と併せてエデンⅣの内部事情にある程度詳しい事から、此処まで諸々の設備制御システムに介入するに際して、かなり手練の電子情報技術員を運用している可能性を読み取れる。 既に外部データリンクは切断してあるが、干渉工作の痕跡がないかどうかを戦術支援AIに解析処理させた結果、幸いというべきか機体制御システムに異常は発見されなかった。元より、機体制御システムには高性能の電子防衛システムが標準搭載されている為、先方が余程のハッカーでもない限り発見できないという事はない。 『想定作戦領域、約30秒で到着します──』 →Next… ⑪ コメントフォーム 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/lrt-sagamihara/pages/4.html
津久井方面の現状 城山町・旧津久井町にはいままで鉄道がなく、バスが唯一の公共交通機関でした。橋本と両地区を結ぶ幹線道路、国道413号は片側一車線の道路で、主要なバス路線は国道413号を経由するのですが、相模原市寄りでの渋滞が発生しやすいという問題点があります。 かつては京王電鉄が橋本から相模中野(旧津久井町役場付近)までの延伸計画をしていましたが、すでに路線免許は失効し、京王相模原線橋本駅の行き止まりの先には大きなマンションが建っていて、今後の延伸は確実にないと思われます。 橋本-城山間路線案 橋本駅南口から城山町役場までのルート案には、現在の(神奈中)橋27系統(橋本駅-原宿五丁目)が通るルート(原宿五丁目案)と、橋本高校前-城山間を国道経由にする国道案の2つが持ち上がりました。なお、城山から西は国道413号経由を想定。 原宿五丁目案 橋本駅南口の前に伸びる道路をまっすぐ西に向かうルートです。国道16号-北警察署付近は片側2車線に拡張され、その付近には高層マンションがそびえ建っています。北警察署-住宅前は工場の裏をとおり、道路幅も2車線道路になります。住宅前から西は住宅地で、大型車の通過は多くはありません。 国道案 橋本駅南口-北警察署は、道路幅の広い原宿案と同様ですが、北警察署の先から国道413号を経由するものです。国道沿いには商業施設もあり、人の流れは期待できますが、国道という性格上交通量が多く、神奈中バスの路線と区間が重複するため、調整の難しい案です。 城山から先は… 城山から先は「どこまで伸ばすか」が焦点になります。スレッドにあがったのは城山高校までの案。そこから先は津久井町役場、三ヶ木(神奈中のターミナル兼操車場)、相模湖駅というあたりがキリのいい場所です。しかし相模湖まで伸ばすという案は採算や地形の面から見ても厳しいものがあります。
https://w.atwiki.jp/fwal/pages/31.html
空港都市ネモ ホルスの翼に存在する都市。 第三紀のソル・シエールで最も大規模で、 同時に最多の人口(53万2000人@パーフェクトガイド)を抱える都市でもある。 トネリコ湾に面した巨大な空港が存在し、各地の町への定期便が運行されている。 作中ではほたる横丁航路のみが見られるが、設定では 後にイム・フェーナやプラティナへの定期便(スタンドライン航路)も設けられるようだ。 それらスタンドラインの中枢港として交通の要衝である為、人や物資が集積され商業や産業も栄え、ホルスの翼の中心都市となっている。中心部では重工業も盛ん。 町の構造はすり鉢を半分にしたような形で、底に当たる部分に空港が存在する。 空港を中心に放射状に幹線道路が走りっており、 ほしのせ(星乃瀬)通り、しののめ(東雲)通りや、たそがれ(黄昏)通りなどでは 路面電車も走っている。 設定資料集にはうたかみ(詩神)通りの名も確認できる。 またエル・エレミア教会の本拠地であり、大規模な教会が存在する。 そしてネモの町は教会の騎士によって重点的に護られている。 第三紀の技術グラスメルクは第三紀初頭にこの地から広がっていった。 そしてそれを支援したネモの地主峰姪は、櫻商店、第三紀現在の天覇を起こしており、 つまりネモは天覇の発祥地でもある。
https://w.atwiki.jp/k-project/pages/81.html
天属性(Pent Kīvom,Pent Ki vom(ペント・キーヴォム))とは、十三国世界シリーズにおけるニンゲンの属性のひとつ。 概要 揚力と密度に関する属性。能力傾向として、殆どの人物が飛行術を身につけている点がある。民間人レベルでも徒歩と同じ感覚で飛行を行う為、交通機関に頼る事は少ない。事実、ミ・キーヴォムにおいてはたとえ国内有数の大幹線道路であっても農道程度のものである場合が少なくない。 属性を有する種族 鳥人間 この項目は、まだ書きかけの項目です。加筆、訂正などをして下さる協力者を求めています。 ミ・デア 地理 大陸 - ポミア島 - クラージュ島 ルピンタ山脈 - ルベディア山脈 国名 ミ・ロクーネ - ミ・ミン - ミ・ディヴィア - ミ・クオン - ミ・ソラン - ミ・ニケーラ - ミ・ベディア - ミ・チューヴォス - ミ・キーヴォム - ミ・ルーフェ - ミ・ピンタ - ミ・シュティーラック - ミ・ゲダーイ 文化 ミ・デア語 - ローン神 属性 無属性 - 草属性 - 石属性 - 炎属性 - 風属性 - 全属性 - 闇属性 - 土属性 - 天属性 - 水属性 - 光属性 - 金属性 - 氷属性 能力 ニンゲン 猿人間 - 牛人間 - 熊人間 - 羊人間 - 猫人間 - 外界人 - 蝙蝠人間 - ??? - 鳥人間 - 亀人間 - 馬人間 - ??? - 狗人間 関連 シャルベニア 作品 十三国世界騒乱記 - 十三国世界活劇録 - 十三国世界天翔傳 - 十三国世界邂逅譚
https://w.atwiki.jp/post_map/pages/56.html
瀬谷郵便局 郵便番号:〒246 集配地域:神奈川県横浜(よこはま)市瀬谷(せや)区全域。 瀬谷郵便局局舎 瀬谷郵便局取集時刻掲示(事業会社時代) 達成状況[2011年11月**日現在] 普通のポスト ●マッピング済86本。撤去**本。 コンビニポスト ●マッピング済3本。撤去**本。 ポスト考察 ●二口、一口混在。 ●二口か一口小型かという選択がなされているようで、一口中型は全く見つかっていない。 ●12号は瀬谷駅および瀬谷郵便局前。12・13号では一部に方面別差出口となっているポストがある。 ポスト番号考察 ●瀬谷郵便局前は番号設定なし。 ●コンビニポストに番号設定なし。 設置傾向考察 ●幹線道路沿いにあるなと思いきや町内の狭細道路に設置というかなり悩ましい設置をしている。裏道は個人商店前(跡)や民家前の設置。 取集時刻考察 ●普通のポストは「平日」「土曜」「休日」の3区分。ただし時刻設定自体は土曜と休日がまったく同じ。毎日、午前・午後の1日2回取集。 ●平日に限り17時以降の局巡回便が存在する。 ●コンビニポストは毎日昼前と夕方の2回の取集。 取集ルート考察 ●普通のポストは2ルート。 1-1~1-44 相鉄線・中原街道・環4をつないだ線より北西 2-1~2-42 相鉄線・中原街道・環4をつないだ線より南東 ●コンビニポストは普通のポストとは別扱い。 時刻などの掲示 ●編集中