約 156,079 件
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6215.html
特別編 side白糸台 ※京太郎は昔から照と知り合いという設定です。日記発見から中身拝見までの流れは省略します ×月○日 少し前から、尭深さんの影響かお茶に凝っている ここ最近は、尭深さんと闘茶、まぁ、利き茶ともいうけど、とにかくそれをしている 負けた方が帰りにお茶に合うお菓子を奢るという条件でやっていて、お互いに結構真剣だ ここ最近は負けっぱなしで、お菓子を奢るついでに買い物の荷物持ちに付き合わされたり、料理の試食をしたり、いいところがない 今日なんかは部活が終わってから1日付き合うことになり、尭深さんの部屋であれこれやることになった 明日こそ負けないぜ!! 誠子「尭深、料理の試食ってそんなに料理下手じゃないだろ?」 淡「うん!こないだもらった卵焼きとかすっごく美味しかったよ?」 菫「お前、さらっと部屋にまで連れ込んで……」 照「尭深?ちょっと打とっか?」 尭深「何もしてませんよ?お茶飲んで、一緒にゆっくり過ごしただけですよ?」 尭深「……少し胸の露出度が多かったかもしれませんけど」タユン 照「麻雀を楽しもうか」ギュルルルル 菫「ちょっと来い尭深。今のは挑戦と受け取った」
https://w.atwiki.jp/toarukyoutarou/pages/61.html
【京太郎の夢を見るレジェンド】 晴絵「いやぁ、やっぱり実家は良いわね」 晴絵「何処かのアラフォー実家暮らしの気持ちが分かるわー」 晴絵「日差しも気持ち良いし、眠くなるわね……」 晴絵「……」zzz ーー ーーーー ???「おーい起きろ晴絵」 晴絵「う、う~ん……」 ???「いい加減に起きないとキスするぞ?」 晴絵「キ、キス!?」ガタッ ???「ようやく起きたか……」 晴絵「あ、あれ?ここは何処?君は……須賀君?」 晴絵「なんで居るの?」 京太郎「……寝ぼけてるのか?ここは学校、今は放課後、俺は須賀京太郎、お前は赤土晴絵。オッケー?」 晴絵「こらこら年上を呼び捨てにするとは感心しないな」 京太郎「何言ってるんだ?俺とお前は同級生だろうが」 晴絵「何言ってーー」 晴絵(16)「ってこれ高校の時の制服だし!あれ?それじゃあ私本当に高校生になったの?」 京太郎「おいおい大丈夫か?」 京太郎「……まさか約束まで忘れてる訳じゃないだろうな?」 晴絵(16)「……約束って?」 京太郎「インターハイで勝ったら付き合って欲しいと言う約束だろうが」 晴絵(16)「は、はぁ!?……と言うか私インターハイ負けたんじゃ……」 京太郎「はあ……。そこまで忘れてるのかよ。無敵のチャンピオン小鍛治健夜を破って優勝したじゃねーか」 晴絵(16)「……私がチャンピオンを破った?」 京太郎「おう。それまで公式戦で跳満以上振り込んだ事の無いチャンピオンに直撃ぶち当てて逆転勝利したじゃねーか」 晴絵(16)「微妙に事実が混ざってるし……」 京太郎「それでその返事なんだけど……」 晴絵(16)「ちょ、ちょっと待って!」 晴絵(16)「スーハースーハー」 晴絵(16)「は、はいどうぞ!!」ドキドキ 京太郎「そんなにかしこまられるとやりにくいんだが……」 京太郎「あーうん。その……こんな俺で良ければ付き合って欲しいと言うか……こちらこそお願いします」ペコリ 晴絵(16)「え、えっとありがとうございます」ペコリ 京太郎「……」 晴絵(16)「……」 京太郎「ぷっ」 晴絵(16)「くっ」 京太郎&晴絵(16)「「あはははは」」 京太郎「締まらねえな」 晴絵(16)「本当だね」 京太郎「……さて恋人同士になった訳だが。具体的にどうすれば良いんだ?」 晴絵(16)「え、あ、そうそうだ。一緒に帰るとか」 京太郎「いつもやってるじゃねーか」 晴絵(16)「そ、そうだっけ?」 京太郎「んーやっぱりキスとかか?」 晴絵(16)「キ、キス!?」 京太郎「……ダメか?」 晴絵(16)「駄目って訳じゃないけど……付き合ってすぐとか///」 京太郎「晴絵」スッ 晴絵(16)(きょ、京太郎の顔が近付いて来てる……///) 晴絵(16)(えっとこう言う時は目を瞑れば良いのよね?) 晴絵(16)(あ、もうすぐ唇と唇がーー) ―――― ―― 晴絵母「まったく、この子ったらこんな所で寝て……。なんて締まりのない顔してるのかしら。おまけに涎まで出てるし……」 晴絵母「ハァ……こんなんで結婚出来るのかしら?」 晴絵「グヘヘヘヘ」zzz カン
https://w.atwiki.jp/duelvideo/pages/49.html
【呼称】弥太郎、たろちゃん、弥太郎、ダイナソー弥太郎 【使用デッキ】(使用順)(★:1000回再生、☆:10000回再生) 単体除去 ★sm12115032 ★sm12317815 ナチュル ★sm12187869 ★sm12209309 ★sm12348458 ☆sm12455772 ★sm13094645 ☆sm14189609 ☆sm16489381 ☆sm21939307 暴走フライト ☆sm12474398 3600円ドラグニティ ★sm12538353 ★sm12603941 ★sm13286659 新生?単体除去 ★sm12583540 1050円エレキ ★sm12656600 ★sm12719234 極神皇ロキ ☆sm12845921 ☆sm13513492 剣闘獣 ★sm12923500 ★sm13026781 スクラップ ★sm13203055 ★sm13552775 ☆sm13677807 植物 ★sm13376926 ★sm13661837 シンクロン ☆sm13778987 ☆sm13855313 よくわからん ☆sm14055326 お遊戯植物 ☆sm14213378 シンクロ融合 ☆sm14427372 ラビエル ☆sm14615921 ☆sm14698007 ドラグニティ ☆sm14764493 ☆sm15072759 ミラクルシンクロ ☆sm15054199 暗黒ラビエル ☆sm15430614 ☆sm15430614 ☆sm16795509 SUNコントロール ☆sm15518654 ☆sm16234590 黒庭氷結界 ☆sm15876587 ☆sm16900866 ☆sm18331783 ☆sm18652837 ガイアドレイク ☆sm16294628 ☆sm16422326 ☆sm16753783 日の出エレキ ☆sm16570157(参考動画:sm16256493) ヴェルズ剣闘 ☆sm16676811 野望のゴーファー ☆sm16727579 ジェムマグネット ☆sm17436609 聖刻エクセリオン ☆sm18008621 弥太郎フォトンスペシャル ☆sm18149380 ☆sm19533759 スナッチ帝 ☆sm18184084 聖刻BF ☆sm19136983 ガイアナイト sm19430974 フューチャーバルバよくわからん ☆sm19467626 多分ゴーファー ☆sm19536089 ガエルスナッチ帝 ☆sm19606323 ドラグセイヴァー ☆sm19697389 日の出エレキ2012 ☆sm19697389 BF ☆sm19858442 一角神竜 ☆sm20506767 ナチュルのいたずら♡ ☆sm20622611 氷結界 ☆sm21317872 ☆sm21671068 ☆sm22094050 ☆sm22181416 極星武神 ☆sm21646387 ゴーストリック弥太郎エディション ☆sm21857911 バイスリゾネーター ☆sm22237547 ☆sm23021724 極星武神(日本の夜明けver) ☆sm22583322 真紅眼ゴーズ ☆sm22746355 いきいきレミューリア ☆sm23073192 マグネットガジェトカゲ ☆sm24328733 ヴェル剣 ☆sm24574493 ファミ魔 ★sm28029787 【出演動画】ミソのデュエルのミソ 【ゲスト出演動画】決闘エンカウント 【twitter】https //twitter.com/yataaaro 【活動場所】静岡県 【ニコニコ大百科】ミソのデュエルのミソ 【備考】犬を飼っている(sm20690103)、6月20日が誕生日 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/1160.html
前話 次話 1回戦終了後、夜 京太郎「ふう、頼まれたものはこれくらいか」 京太郎「それにしてもすごかったなー、部長で終わらせるなんて」 京太郎「この店で少し休憩したらなんか買って行くかな」 ガチャ 洋榎「おかん!そこを、そこをなんとか!!」 雅枝「駄目に決まっとるやろ!それよか明日の試合のためにミーティングせなあかんのや!はよ手ぇ離し!」 洋榎「浩子にまかしとけばええって!」 絹恵「お姉ちゃん、諦めや。おかんの言う通り忘れたんが悪いって」 洋榎「絹まで言うんか!ええんか?明日うちが調子が出んで負けてもええんか!?」 雅枝「あんたはなんだかんだで勝つわ」 絹恵「大会始まってからマイナスで終わってないし」 洋榎「いやーそれほどでも……ってちゃうわ!」 雅枝「ほななー。あんまめったなことは言えんけど次も頑張りーや」 絹恵「うん。浩子ちゃんによろしくなー」 洋榎「おかーん!……娘無視してタクシーで行くなんて酷いわ」 絹恵「お姉ちゃん騒ぎすぎやって。ほら、あそこの人なんてこっち見とる、し……」 洋榎「なんや?この愛宕洋榎になんか用で、も……」 京太郎「あー、えっとですね。も少し静かにした方がいいですよ?」 洋榎・絹恵「Kちゃん!?」 京太郎「……いい加減慣れてきたな」 説明中 京太郎「という訳で俺が清澄高校1年生の須賀京太郎です」 洋榎「うちは姫松高校3年で主将、エースで中堅の愛宕洋榎や!」 絹恵「その妹で2年の愛宕絹恵です」 京太郎「じゃあさっき話してた人は」 洋榎「うちらのおかん。で、千里山で監督やってる洋榎雅枝や」 絹恵「千里山は分かる?」 京太郎「たしかAブロックで、全国2位でしたよね」 洋榎「まーうちが優勝するんやけどな!」 京太郎「いやいや、清澄も負けませんよ?」 絹恵「まーまー、2人とも今は言いっこなしやで」 洋榎「しゃーないなー。それで、須賀くんはなんでここにおるん?」 京太郎「買い出しの帰りですよ。ちょっと休憩しようと思いまして」 絹恵「確か、清澄は部員少ないんやろ?率先してやってるん?」 京太郎「まあ、他が大会出てる5人ですし、俺初心者ですからねー」 洋榎「むう、Kちゃんにこんなことさせるなんて……面白い奴やったけど、明日は痛い目みせたらなアカンね」 京太郎「部長と知り合いなんですか?」 洋榎「抽選の時になー」 絹恵「ああ、話してたね」 京太郎「そういえば入ってくるときなんか言い合いしてましたけど、なんだったんですか?」 洋榎「ああ。アレなー、おかんのせいやねん」 絹恵「お姉ちゃんのせいやから」 洋榎「ちょーっと用事のためにこずかいの追加を頼んだら駄目の一点張り。挙句に娘無視してタクシーで帰ったわ」 京太郎「ほうほう。で、こずかい追加を頼んだ理由は?」 洋榎「大阪に忘れ物取りに行きたかった」 京太郎「いや駄目でしょう」 洋榎「なんでや!」 京太郎「いくらかかると思ってるんですか。それに大会始まってるのに主将が帰るって駄目ですよ」 絹恵「その通りやでー」 洋榎「ぐぬぬ」 京太郎「それにそんな大事なものなんですか?大会始まってから少し経ってますし、本当に必要なものじゃ無い限り無理ですよ」 洋榎「大事なものやで!それは…」 絹恵「ちょっとお姉ちゃん!」 洋榎「なんや?いきなり遮って」 絹恵「本人にKちゃん忘れて大阪まで取り帰り行きたいて言うん?恥ずかしない?」小声 洋榎「……そうやん。あっぶなー、めっちゃ恥ずかしいこと言うとこやったで」小声 京太郎「あのー?」 洋榎「あ、大丈夫や!作戦タイムな?」 京太郎「なんの作戦ですか?」 絹恵「とにかく忘れた云々は適当に流そ?」小声 洋榎「分かったわ」小声 洋榎「よし!」 京太郎「あ、もういいんですか?」 洋榎「大丈夫やで!」 京太郎「で、大事なものってなんですか?」 洋榎「Kちゃんや!」 絹恵「……お姉ちゃん」 洋榎「……あ」 洋榎「ちゃ、ちゃうんやで?これは、そのな?」 京太郎「……なるほど」 絹恵「あー、その、ね?お姉ちゃんは」 京太郎「大阪でも人気なんですね、ぬいぐるみ」 洋榎・絹恵「へ?」 京太郎「へ?」 絹恵「……それだけ?」 京太郎「何がですか?」 洋榎「何がって……女子高生が自分のぬいぐるみ持ってて大事にしてます言われてそれだけの反応なん!?」 京太郎「?いや、人気なだけでしょう?」 絹恵「……この人相当鈍いんと違う?」 洋榎「そうみたいやね……清澄はやっぱ油断ならんわ」 京太郎「でも大会に必要ですか?そりゃうちの和はぬいぐるみ抱いて打ってますけど」 絹恵「必要ってか、今日の試合でやってた人いたやん?やからやってみたいって感じやね」 洋榎「調子上がるかもしれんやん?」 京太郎「そんなことしなくても元々強いでしょう?」 洋榎「まー、そーなんやけど」 絹恵「さすがお姉ちゃん」 京太郎「次に当たるだろうから調べましたけど、ここまでマイナス無しってすごいじゃないですか。そんなことに頼らなくても大丈夫ですって」 洋榎「……言いすぎやない?」 京太郎「事実じゃないですか」 洋榎「……面と向かって言われるとさすがに照れるわ」 絹恵「いいなー。私もはよお姉ちゃんみたいになりたいわー」 京太郎「絹恵さんも副将任されてるんですから強いでしょう?」 絹恵「そんな、お姉ちゃんと比べたらまだまだやって」 京太郎「初心者の俺にとっては、大会出てるって時点ですごいですよ」 絹恵「……えへへ。そんなに言われると嬉しいわ」 洋榎「む……そんなに褒めても絹はやらへんで?」 京太郎「そんなつもりないですよ。俺なんかにはもったいないですって」 絹恵「……そんなことないけどね」 洋榎「……自分がどんなもんかっちゅうのを知らんの?」 京太郎「え?初心者ですよ?」 洋榎「……ええわ」 京太郎「おっと、もうこんな時間に。そろそろ帰りますね」 洋榎「せやね。うちらも帰るわ」 京太郎「ぬいぐるみはいいんですか?」 洋榎「本人に会っといて今さらぬいぐるみどうこう言うんがアホらしくなったわ」 絹恵「せやね。あ、アドレス教えてくれへん?次は敵やけど、これもなんかの縁やし」 京太郎「いいですよー。洋榎さんもどうですか?」 洋榎「当然やね……よし」 絹恵「メールしてなー」 洋榎「清澄の情報とかな」 京太郎「じゃあ洋榎さんの弱点教えてください」 洋榎「……負けへんことやな!」ドヤァ 京太郎「言い切ったよこの人すげえ」 絹恵「お姉ちゃん……」 洋榎「……冗談やで?」 京太郎「冗談になってない成績ですしね」 絹恵「多分結構な人が納得するで?」 洋榎「うちのボケが完全に殺されたやと!?」 京太郎「あ、それじゃまた」 絹恵「うん、気付けてなー」 洋榎「そして無視するん!?」 京太郎「洋榎さんもまた。うちは負けませんからね?」 洋榎「……それはうちもや。覚悟しときや」 絹恵「メール、楽しみにしとるでー」 洋榎「予想以上やったな、Kちゃん」 絹恵「うん。アレは見た目以外でも人気出るね」 洋榎「……本人が強いって言ってくれたんや。ぬいぐるみ無しでも勝つで」 絹恵「うん!私も負けへんよ!!」 朝 京太郎「東京は空気が悪いって聞くが、慣れればどうってことないな」 京太郎「朝のすっきりした感じは変わらないし」 京太郎「お、こんなとこにラーメン屋が」 ダヴァン「ここデス!朝食べるのにちょうどいいラーメンは!」 ネリー「またラーメン?ネリー飽きたよー」 明華「というかここ開いてませんよ」 ダヴァン「ワッツ!?なぜラーメン大国日本でラーメン屋が開いてないのです!?」 明華「またハオが微妙な顔しそうなことを……」 ネリー「諦めようよー。ネリーおなかすいたし別のとこで食べようよー」 ダヴァン「私の体がラーメンを欲している……」 明華「カップラーメンは?」 ダヴァン「昨日尽きました。ここいらじゃ安いとこすら無いデス」 ネリー「コンビニでいーじゃん」 ダヴァン「コンビニのラーメン1つでスーパーのラーメン2つ買えるんデスヨ!」 明華「諦めましょう」 ダヴァン「ラーメン……」 ネリー「スーパー開いて無いし、諦めよ?ほら、吉○屋とか開いてるし」 ダヴァン「ラーメン……」 明華「聞いてないですね」 京太郎「…………」 京太郎(なんだこの面白外人集団は) 京太郎(そんなにラーメン食べたいのか?) 京太郎「……仕方ない」 京太郎「あのー、すいません」 ダヴァン「なんですか?私は今ラーメンが食べられない悲しみに包まれていマス。遺憾の意デス」 京太郎「よかったら、カップ麺でよければ譲りますよ?」 ダヴァン「……Really!?」ズイッ 京太郎「……い、いえす」 ネリー「ダヴァン日本語忘れてるよー」 明華「……この人は」 公園 ダヴァン「…………」ソワソワ 京太郎「お待たせしました。カップ○ードルでいいんですよね」 ダヴァン「お、おおう……ありがとう、ありがとう!私、今日本人の優しさに感動していマス!!」 ネリー「大げさな……」 京太郎「あ、ラーメン待ってるついでにタコス作ったんでどうぞ」 明華「私達に?」 ネリー「いいの?ネリー達初対面だよ?」 京太郎「俺の分作ったついでですよ。それにご飯は誰かと食べた方がおいしいですし」 明華「それじゃあ、いただきます」 ネリー「あむ……なにこれおいしい」 明華「本当においしい……タコスなのにあっさり食べれます」 京太郎「朝なんであっさり風味にしてみました」 ネリー「これをラーメン待つついでに?……日本人すごい」 明華「ええ。でも、どうしてここまでしてくれるんです?」 ダヴァン「ラーメンだからデス!」 明華「ラーメン狂いは静かにラーメン啜っててください」 京太郎「どうしてって言われても……なんか困ってたみたいですし」 ネリー「……それだけで?」 京太郎「大したことやった訳でもありませんしね。買い置きのカップ麺と作り置きのタコスごちそうしただけですから」 明華「……充分大したことやってるじゃないですか」 京太郎「?」 ネリー「……やっぱり日本ってすごいねー」 明華「ええ……なんでアメリカに負けたんでしょうか。そこの見てるとつくづく考えてしまいます」 ダヴァン「なんデスカ?ラーメンはあげませんヨ?」 明華「いりませんから」 京太郎「皆さん別々の出身なんですか?」 明華「自己紹介がまだでしたね。臨海女子高校麻雀部で2年生の雀明華(チェー・ミョンファ)です。フランス出身です」 ネリー「同じく臨海女子高校麻雀部1年生のネリー・ヴィルサラーゼ。サカルトヴェロ出身だよ」 ダヴァン「……あ、私?3年生のメガン・ダヴァン。ラーメンを愛するアメリカ人デス」 京太郎「……臨海?まさかあの!?」 明華「そうですよ?Kちゃん?」 ネリー「え?似てると思ってたけど本人だったの!?」 ダヴァン「ん?Kちゃんラーメン?」 京太郎「ラーメンじゃないです。知ってたんなら言いますね。清澄高校1年生の須賀京太郎です。Kちゃんのモデルでもあります」 明華「実は最初に見た時から察してはいました」ドヤァ ネリー「すごいすごい!写真とかいい?」 京太郎「あ、はい」 ネリー「ダヴァン!ラーメン食べてないでシャッター押してよ!」 ダヴァン「ん、はい食べ終わりましたしいいデスヨ」 京太郎「……あのぬいぐるみ、まさか世界レベルで人気あるんですか?」 明華「日本でしか売ってませんし……世界進出でも考えてみます?」 京太郎「冗談でしょう」 ダヴァン「はいチーズ」パシャ ネリー「わーい」 ダヴァン「あ、京太郎くん。連絡先とか教えてもらえませんか?」 京太郎「いいですよ」 ダヴァン「どうも……このラーメンのお礼に今度とっておきのラーメンを紹介シマス」 ネリー「あ、ネリーもネリーも。タコスのお礼したい」 明華「じゃ、私もお願いしますね」 京太郎「はい、いいですよ。でも、本当に大したことじゃないんですからお礼なんて」 ダヴァン「ノーノー。私達本当に嬉しかった」 ネリー「だからお礼は絶対するよ」 明華「あなたがいらないって言っても、やりますよ。そうですね、大したことじゃないですし」 京太郎「……分かりました。楽しみにしておきます」 明華「よろしいです」 ダヴァン「でも清澄ですかー。順調にいけば準決勝デスネ」 ネリー「ネリー楽しみになってきたよ!」 ダヴァン「あの龍門渕に勝った高校ですしね。油断できない強敵デス」 明華「試合では本気でいきますからね?」 京太郎「もちろんですよ。むしろそうじゃなきゃ困ります」 明華「ふふふ。あなたはやっぱり素敵な人ですね」 ネリー「うんうん。ここまでの人は初めてだねー」 ダヴァン「ラーメンを恵んでくれるなんて過去トップレベルで良い人デス!」 京太郎「そんなことないですって」 ダヴァン「あ、そろそろ行かないと」 ネリー「もうそんな時間?残念ー」 明華「まあまあ。準決勝で会えるんでしょう?」 京太郎「ええ。俺自身は打てませんが、あいつらはやってくれます」 ダヴァン「では、また会いまショウ」 ネリー「まったねー」 明華「楽しみにしてますね」 明華「いい人でしたね……監督が引きぬいてきてくれませんかね」 ネリー「それだ!」 ダヴァン「うち、女子高デショ」 昼 京太郎「さて、みんな練習してるし邪魔しちゃいけないよな」 京太郎「……ここまでレベルが違うと、さすがにへこむな」 京太郎「……考え込むのは止めとこう。それより昼飯だ」 京太郎「どうすっかな……とりあえずタコス以外で、ん?」 「……うん……それでな」本片手に電話中 京太郎「本読みながら電話って、前見えてないんじゃ、っておい信号赤だ!」 「……いやいや……そうやでー」 京太郎「気付いてないのか……ちょっとごめんなさい!!」 「……え?」 キキーッ!! 憩「ホンマごめんなーぁ」 京太郎「いや、無事だったんならよかったですよ」 憩「君がとっさに来てくれんかったら、うちは今頃どうなっとったか分らんよ?だから、怪我の手当てぐらいさせてな」 京太郎「かすり傷ですって」 憩「ほほう。とっさにうちを押し倒し、腕の中に押し込めて転がって、車と接触しといてかすり傷?」 京太郎「…………」 憩「ほら、結構体打ったやろ。うちのホテルすぐそこやから」 京太郎「……分かりました」 憩「うちは荒川憩。三箇牧高校の2年生や」 京太郎「須賀京太郎です。清澄高校の1年生です」 憩「あ、ここや。ついてきてな」 ホテル 京太郎「とりあえず1人部屋に残されたが、個人部屋?応援、を1人でってことは無いだろうし…」 憩「おまたせー」 京太郎「何をしてたんです、か……」 憩「ん?何ーぃ?」 京太郎「なんでナース服なんですか!?」 憩「え、治療すんならナース服やろ?どっかおかしい?」 京太郎「おかし……くないですはい。ナース服ですね」 憩「せやろ?あ、上脱いでな」 京太郎「はい」 京太郎(ナース服……アリだな!!) 憩「おー、結構鍛えとるやん」 京太郎「そうですかねー」 憩「うんうん。でも、それなりに打っとるね。ちょっとしみるでー」 京太郎「あ、つつっ」 憩「ところで、清澄高校って長野代表やろ?」 京太郎「そうですよ。俺も一応部員ですけど」 憩「あそこの宮永咲って、宮永照の親戚かなんかなん?」 京太郎「実の姉妹ですよ」 憩「そうなん?宮永照もヒトじゃないような強さやったのに、その妹もいるんか。怖いわーぁ」 京太郎「打ったことあるんですか?宮永照さんと」 憩「去年の個人戦やけどね。ちなみに今年も個人戦で出場してるで」 京太郎「ああ、どうりでホテルが個人部屋なんですね。それで、去年の成績はどうだったんですか?」 憩「宮永照に負けてもうてね。2位やったわ」 京太郎「……はい?」 憩「はい、背中終わり!」バシッ 京太郎「いってぇ!!」 憩「じゃー次は」 ドンドンドン! 憩「ん?誰やろ」 ガチャ やえ「憩!!大丈夫か!?」 憩「やえさん?どないしたんですか?」 やえ「どうもこうも、電話中にいきなりブレーキ音やら何やらが聞こえた挙句、その後は連絡がとれないんだ!心配するだろう!!」 憩「あ……すんません、忘れてました」 やえ「忘れてたって……いや、無事だからいい」 憩「まあ、上がってください。今、ちょっと治療中ですけど」 やえ「治療って一体誰の……」 京太郎(上半身裸)「あ、どうも」 やえ「…………」 憩「大丈夫ですよね?奈良の王者はこんなことじゃ動じませんよね?」 やえ「と、とと当然だな!ニワカ共と違うんだよ王者は!!」顔真っ赤 京太郎(顔真っ赤でプルプルしてるけど我慢してるって感じだなぁ) やえ「私は晩成高校3年生の小走やえだ」 憩「奈良個人1位の王者やで。去年ちょっと知り合ってからの仲や」治療完了 京太郎「奈良、って言うと団体は阿知賀が」服着る 憩「へえ、知っとるん?」 京太郎「おもちしま……松実さん姉妹と部長の灼さんとはこの前会ったんです」 やえ「ああ、松実の妹の方か。あのドラ爆は初見の事前知識無しじゃどうしようもないからな」 憩「でもやえさん結構稼いでたやないですか。見ましたよ?ドラが来ないのを誰よりも早く理解して打ってたの」 やえ「王者ならできて当然だ。いつまでも呆けているニワカとは違う」 京太郎「やっぱりお二人ともすごいんですねー」 やえ「何、まだまだだよ。慢心していては足元を救われるし、上には上がいる」 憩「うちも全国2位なんて言うけど、宮永照にはやられたしなー」 やえ「満足せず自分を磨き続けることが大事だ。そこに初心者も王者も無いのだよ」 京太郎「……すげえ一番背低いのに先輩っぽい」 やえ「コラ!私は3年生だ!!」 憩「まあまあ」ナデナデ やえ「さりげなく頭撫でるな!続けていいがな!!」 京太郎「いやでもいい話聞きました。ありがとうございます小走さん!」 やえ「う、うむ。よしアドレスを教えてやろう。『王者』で登録するといい」 憩「ちなみに私は『ニワカ』で登録しとる」 やえ「憩ー!!」 京太郎「じゃ、荒川さんのも」 憩「はいはーい。でも『憩ちゃん』って呼んでもええんやで?」 やえ「お前最近阿知賀から『ナースの人』って呼ばれてたぞ」 京太郎「結構話し込んでしまいましたね」 憩「別にええでー。お昼も皆で食べれたし」 やえ「うむ。やはり大勢で食べるといいな。普段から私の周りには人は多いが」 京太郎「そろそろ時間ですから、俺行きますね」 憩「名残惜しいなー。遊び行ってええ?」 やえ「清澄にも個人出場の選手はいるんだぞ?むやみに行くのは避けた方がいいだろう」 京太郎「すいません、荒川さん」 憩「仕方ないなーぁ。ま、ええわ。京太郎くん、今日は助けてくれてホンマありがとな」 京太郎「アレくらいいいですよ」 憩「いや、君はうちの恩人や。またお礼はするからな」 やえ「うむ。受けた恩はしっかり返すべきだ。借りっぱなしはいかんからな」 京太郎「小走さん」 やえ「君も色々あるだろうが、困ったり悩んだりしたらいつでも連絡していいぞ。この王者が助けよう」 やえ「君が、私の大切な友人を助けてくれたようにな」 京太郎「……ありがとうございます。」 憩「ほな、またなー」 やえ「応援してるぞー」 憩「……やえさん。彼ってやっぱり」 やえ「Kちゃん本人、だな」 憩「外見だけでなく中身までイケメンって……すごいなーぁ」 やえ「ああ……しかし、本当にぬいぐるみより先に本人に会ってしまった……」 憩「残念ですか?」 やえ「むしろ良い」 夜 「いらっしゃいませー」 京太郎「東京のコンビニはすげーなー」 京太郎「なんでこんなに商品あるんだ。うちのとこなんて9時に閉まってたぞ」 京太郎「ん?珍しいものあるな……買っとくか」 「ありがとうございましたー」 京太郎「さて、帰ってアイスでも……ん?」 春「……もうダメ……大会も戦えない」 初美「しっかりするですよー。大丈夫ですー」 春「……鹿児島帰る」 初美「いや駄目ですから」 京太郎「……巫女さん?そういや開会式にもいたな」 春「今の私は北家でなにもできないはっちゃんか眼鏡がない巴さんか眠れない姫様か胸がない霞さん……」 初美「色々と酷いですー!!」 春「……ああ」フラッ 京太郎「なんなんだ……おっと」ガシッ 初美「あ!すいませんー、うちのはるるが」 京太郎「いや、いいですけど……大丈夫なんですか?」 春「ううっ……ん?あなた」 京太郎「え?はい」 春「その袋の中のそれは……」 京太郎「黒糖ですが……そこのコンビニで鹿児島直送限定商品ってあったんで」 春「……神よ」パァァァァ 京太郎「うおっ、なにこの笑顔!ものっそい笑顔!!」 春「……ちょっと行ってくる」ダッシュ 京太郎「……な、なんだ?」 初美「あー、とりあえずありがとうですー」 公園 春「…………」ポリポリポリポリポリポリポリポリポリポリポリポリ 京太郎「なんでスゴイ勢いで黒糖食ってるんですか。そしてすごい良い笑顔で」 春「ん?」ニッコリ 初美「はるるは黒糖が無いと駄目なんですよー」 京太郎「なんかあやしい薬みたいになってますけど……まあうちにも似たようなのがいるか」 京太郎(あいつの場合タコスだがな) 初美「とにかく黒糖のことを教えてくれて感謝ですー」 春「ありがとう……これはお礼」 京太郎「黒糖3袋……いや、自分の分なくなるんじゃないんですか?」 春「大丈夫……あそこの店長と交渉して買占めから販売ルートの確保までやってきた」 京太郎「あの短時間で!?」 春「ふっ……東京の黒糖は私のもの」 初美「遅くなりましたけど私達は永水女子の者ですー」 春「私が1年生の滝見春」 京太郎「あ、俺は清澄高校1年の須賀京太郎です」 初美「私は薄墨初美ですー。3年生です」 京太郎「……え?」 春「残念ながら……事実」 初美「ちょっとなんですかそれ。あと残念な事実ってなんですかー」 京太郎「あー、いや、大丈夫です。似たような人知ってますから、はい」 春「もっとちっちゃいの?」 京太郎「んー、どうですかね。あ、でもその人は2年生です」 初美「それはいいですー。これから伸びるんですー」 春「…………」ポン 初美「な、なんで肩に手置くんですかー」 京太郎「…………」ナデナデ 初美「なんで頭撫でるですかー!年下のくせにー!」 春「それはそうと、清澄って、あの?」 京太郎「……あの?」 春「……次、私達と当たる」 京太郎「ああ、そうですね。でも、俺は出ませんし、いくら対戦相手だからってここでまでピリピリする必要はないですよ」 春「……それもそう。それと、同じ学年」 京太郎「?」 春「……春でいい。敬語もいらない」 京太郎「あー……分かった。俺も京太郎でいいぜ」 春「……ん」ニコッ 初美「……で、いつまで頭撫でてるですかー!」 京太郎「あ、すいません。つい小さいから」 初美「うがー!」 京太郎「そんなふうにしないでくださいよ。可愛いのに台無しですよ」 初美「む……そんなことじゃごまかされないですー」 春「すごい嬉しそうだけど」 初美「そんなことないですよー♪」 春「……喜ぶのはいいから色々としまって。霊的なのも出てきてる」 初美「はっ!」シュポンッ 京太郎「え、アレ本物!?」 初美「ふう……危ないとこでした」 春「もしあのままだったら……恐ろしい」 京太郎「うわー、すげー気になる!」 初美「知らない方がいいですよー」 春「こないだの人はうっかり人形に……」 京太郎「怖っ!」 初美「……いや、でも人形にして連れてっても怒られるですよねー」 春「一晩くらいなら……」 京太郎「怖い相談は止めて下さいよ」 初美「仕方ないですー。やめとくですー」 春「ん……京太郎がKちゃん?」 京太郎「唐突だな……そうだ、俺があのぬいぐるみのモデルだ」 初美「やっぱりでしたかー」 春「……一緒に写真いい?」 京太郎「へ?ああ、別にいいぞ」 初美「じゃ、私が撮るんで次お願いしますねー」 春「ん」ギュ 京太郎「……寄りすぎじゃね?」 春「……いい。それとも大きい胸は嫌い?」 京太郎「大好きだ」キリッ 初美「……はい撮るでーす」 パシャ 春「……じゃ、次」 初美「とーうっ」ピョン 京太郎「なんで背中乗ってるんですか」 初美「イエーイ、どうですー?」 春「…………」 パシャ 初美「いきなりは酷いですよー!?」 春「……計画通り」 京太郎「春……恐ろしい子!」 春「……まあ、Kちゃんと写真撮りたかっただけだからいいけど」 初美「いいんだ!?」 春「ぬいぐるみ、大事にしてる」 京太郎「ああ、ありがとうな。春みたいな子に大事にされてうれしいぜ」 春「……私だけじゃない、色んな人が大事にしてるから」 初美「私もですよー」 春「京太郎はそれに見合う人だった。それが嬉しい」ニコッ 京太郎「……そう言われると照れるな」 初美「おっと、そろそろ帰らないと心配されるですよー」 京太郎「じゃあ、途中まで送りますよ」 春「……すぐそばだけど」 京太郎「だからって女の子2人をそのまま返せないんだよ」 春「……お願いする」 初美「ですー」 春「やっぱり京太郎は良い人」 初美「ですねー」 初美「ただいまですー」 春「……ただいま」 巴「おかえりなさい」 霞「黒糖買えた?」 春「ばっちり」 小蒔「良かったです」 初美「あ、Kちゃんに会いましたー」 小蒔「え!?どこですか!?」 春「送ってもらった……もう帰ったけど」 霞「あらあら、次に会ったらお礼言わないと」 小蒔「そうです!次は私が会いますね!!」 春「……次も会いたい」 朝 実況「さあ、インターハイも2回戦!シード校も現れますます激しくなっていきます!」 解説「今日の試合ではシードの永水と強豪姫松も当たりますからね。どんな試合になることやら」 実況「今日の試合は上位2校が勝ち抜けとなっていますが、やはり永水と姫松でしょうか」 解説「分かりませんよ?もう2校の清澄と宮守は初出場校ですが、ここまで勝ち抜いてきた確かな実力があるでしょう」 解説「強豪だから、シードだからといっても何が起こるか分からないのがインターハイですからね」 解説「私的な意見ですが、この2校は他とはまた違う強さがあると思いますね。油断したら一気に持って行かれそうです」 実況「なるほど。目が離せない試合になりそうですね!」 放送「先鋒の選手は、速やかに…」 優希「……来たか!」ガタッ 京太郎「……そのマント、本当に着ていくのか?」 和「そうですね。あんまり恥ずかしい格好はどうかと思いますよ?」 5人「…………」 和「……なんで私を見るんですか?」 優希「だってなー?」 咲「えーっと……」 まこ「うーん、正論なんじゃがなー」 久「エトペン持ち込みの和が言うのはね……」 京太郎「恥ずかしくなるようなものがなぁ……」 和「い、いいじゃないですか!1回戦ではぬいぐるみ持ち込みの選手が他にいましたよ!」 和「それと、須賀君はどこを見ながら言ってるんですか!!」 優希「和ちゃんは私服も個性的だからな!」 和「アレは私の趣味です!!」 咲「あはは……で、京ちゃんはいつまで見てるの?」 京太郎「……はっ!目が勝手に!?」 まこ「お前という奴は……」 久「須賀君らしいじゃない」 京太郎「俺らしさ……つまり誇っていいんですね!?」 久「だからといって和の胸を凝視するのは止めなさい」 京太郎「はい……」 優希「そんなに落ち込むな。ほら、私のを見せてやろう」 京太郎「……?どこに胸が?」 優希「オラッ!!」飛び蹴り 京太郎「あだっ!!」 まこ「今のは擁護できんわ。素直に受けえ」 咲「京ちゃんサイテー」 和「全くです」 久「そうねー……事実だけど」 優希「……セイッ!!」蹴り 京太郎「いでっ!!今のは俺じゃねえだろ!?」 優希「乙女の怒り、黙って受け止めるのが男だじぇ」 京太郎「お前はタコスだろ」 優希「おお、そうだった」 まこ「漫才もそれくらいにしてさっさと行かんかい」 和「遅れますよ」 優希「分かったじぇ。では、稼いでくるじぇ!」 咲「頑張ってね」 久「優希、周りは気にせずあなたの麻雀をやってきなさい」 京太郎「頑張れよー。後半用のタコス用意して待っててるからな」 優希「おう!!清澄高校の先鋒!片岡優希!行ってくるじぇ!!」 白望「……ダルイから休んでていい?」 塞「今から出番でしょう!?」 胡桃「しゃんとする!!」 エイスリン「ン!!」旗振ってる絵 白望「……応援?」 豊音「おー、上手いよー!」 塞「ほら!立って立って!」 白望「……おぶって」 胡桃「そんなにダルイならKちゃん持っていく?1回戦でいたでしょ?」 豊音「それいいねー。私が持っていっていい?」 エイスリン「ワタシ!」 トシ「色々言ってるようだけどそろそろ時間だよ」 トシ「行っといで。あんたならいけるよ」 白望「……ダルイけど、少し頑張ってくる」 トシ「ぬいぐるみは置いていきなよ」 白望「……駄目?」 塞「シロがそんなこと言うなんて……」 胡桃「Kちゃんの効果!?」 豊音「ちょーすごいよー!」 エイスリン「ハイ!」ハートを射る矢の絵 白望「………行ってくる」 洋榎「えーか?こう、がーっときたらばーっといってがっっといくんやで?」 漫「すいません、なにひとつ分かりません」 洋榎「しゃーないなー。やからこう、がーっと…」 絹恵「お姉ちゃん、それで分かるんオカンぐらいやで?私だって分からへんもん」 洋榎「なんやて!?……やったらもっと分かりやすくいこか。……こう、ずばばっと」 恭子「主将はもうええですから。ええか漫ちゃん、まずは清澄や。アレは最初から仕掛けてくるから、気をつけるんやで?」 由子「それから永水の神代なのよー」 漫「なんか……改めてとんでもないとこにいるん実感しますわ」 恭子「大丈夫や。漫ちゃんなら、そこで上手くやれるで」 漫「末原先輩……」 郁乃「不安ならKちゃん持ってったらどう~?」 恭子「代行……」 郁乃「1回戦で持ち込んだ人おったんやろ~?反則にはならへんで~?」 洋榎「くぅ……うちが持ってきてないからてそういうやなんて……酷いわ!この鬼コーチ!!」 郁乃「あはは~。忘れたんが悪いんやで~」 洋榎「ぐぐぐ……やっぱオカンに金貸してもろうて取ってくれば……」 絹恵「今から行く気!?アカンよ!?」 洋榎「大丈夫や!試合ギリギリになってかっこよく戻ってくるんや!!」 由子「物理的に無理なのよー」 洋榎「むむむ……漫ちゃん!うちに構わず持っていくんや!!」 漫「うち!?そもそも持っていきませんよ!?」 洋榎「ここはまかせや!!」 恭子「……そろそろホンマに遅刻になるんではよ行きや」 漫「あ、はい」 郁乃「で、持っていくん?」 漫「……私は」 小蒔「いよいよですね」 霞「ええ」 初美「ですー」 春「…………」ポリポリ 巴「はい」 小蒔「ここからはどんな相手でも手は抜けません。気を引き締めて行って参ります!」 初美「姫様ファイトですー」 春「……頑張って」 巴「リラックスしていってくださいね」 霞「……うん、そうね。姫様の言う通りなんだけど」 霞「その手のKちゃんぬいぐるみは置いていきましょうか、小蒔ちゃん」 小蒔「……霞ちゃ~ん」 初美「いきなりびしっっと決めたと思ったらこれですかー」 春「……様になってた」 小蒔「本当ですか!?」 巴「ぬいぐるみさえなければ、ですけどね」 小蒔「……くすん」 霞「じゃ、ぬいぐるみは置いて行きましょうね」 小蒔「そ、そんな……」 霞「さすがに神様にぬいぐるみ持たせる訳にもいかないし、何より他の人達も真面目にやってるのにぬいぐるも持ち込むの?」 小蒔「だ、だけど持ち込んでる人いましたよ?」 霞「持ち込んでない人が勝ってたわよ?」 小蒔「ううっ……」 春「……代わりに私が持っていく」 初美「じゃ、私もいきますー」 巴「じゃあ私もいきます」 小蒔「じゃ、じゃあ私も!」 霞「…………」 4人「…………」 霞「それでも駄目よ?」 小蒔「あう……」 初美「乗ってきませんでしたかー」 春「……強敵」 巴「まー、普通は無理ですよね」 小蒔「そこをなんとかお願いします!」 霞「……そうね、じゃあ」 実況「さあ!選手が集まってまいりました!」 解説「まずは宮守の小瀬川選手に清澄の片岡選手……ん?アレは?」 実況「片岡選手は……なんと真っ赤なマントをなびかせての登場だー!!」 解説「はは、そういうの嫌いじゃないよ」 優希「ふっ」ドヤァ 白望「……ダル」 実況「続いて姫松の上重選手ですが、これはまさかー!?」 解説「ほう。強豪姫松、Kちゃんぬいぐるみを抱いての登場か」 漫「あー、ども」 優希「ぐぬぬ……負けないじぇ!」 白望「……なんで落書きされてんの?」 漫「え!?……あー、色々あったんで」 優希「物は大切にするんだじぇ!!」 漫「……ぐうの音も出ません」 洋榎「恭子ー、やっぱりぬいぐるみに落書きはやりすぎやったんちゃう?他校引いとるやん」 恭子「アレ?ちゃんと洗えば落ちるやつやったんですけどね」 郁乃「ちゃんと罰になるように油性に変えといたで~」 由子「代行のせいなのよー」 実況「さあ最後にシードの永水だー!」 解説「去年大暴れした神代選手、この先鋒戦のカギになるのは間違いないでしょうね」 実況「さあ、選手は出そろったー!!」 解説「ん?なんか神代選手の雰囲気が違うような……」 小蒔「……よろしくお願いします」 優希「おう!負けないじぇ!!」 漫(こん1年めっちゃ強気やなー) 白望「……ダル」 実況「さあ、インターハイ2回戦先鋒戦、開始ー!!」 前半戦東場 優希「この試合に次は来ないじぇ!この局だけで終わらせてやるじぇ!!」 白望(胡桃が怒りそうなこと言うなぁ……でも実際和了るな) 漫(わ、訳分からん!なんでこいつはここまで強気でいけるんや!?) 小蒔「…………」 優希「よっしゃツモ!」 実況「片岡選手、またまた和了ったー!」 解説「こりゃ冗談で終わらせるなんて言った訳じゃなく本気で終わらせる気だな」 実況「そ、そんながことできるんでしょうか?」 解説「理屈ではそうだが実際にやるならなぁ……何より、それを大人しく実行させるほどインターハイは甘くないだろう?」 白望(どーしよっかな……) 漫(全然和了れんやん……どないしよう、Kちゃん持ってってもなんも変わらんし)ギュッ 優希「……リーチ!」 白望・漫「!!」 優希「さて、まだまだ行くじぇ…」 小蒔「ロン」 優希「じょ?」 小蒔「16000」 優希「なぁっ!?」 小蒔「…………」 白望(……何が起きたの?) 漫(末原先輩話ちゃいますやん!なんでこんなにはよ神代がくるんですか!) 実況「神代選手が和了りましたー!」 解説「しばらくは片岡だと思ってたんですけどね……神代選手はこんな最初から飛ばす選手でしたっけ?」 優希(ま、まだ東場だじぇ!なんかあの巫女さんやばい雰囲気するけど、ここはガンガンいくじぇ!) 優希「ロン!」 優希(今のうちに取られた分取り返して、逃げ切れるくらいに稼ぐ!) 前半戦南場 白望「……ちょいタンマ」 漫「!」 漫(これは……末原先輩に聞いてたやつ!宮守も来るんか!?) 白望「……ん」タン 漫(やったらうちも……) 小蒔「ツモ」 漫「へ?」 小蒔「8000オール」 漫(なんなんここ!!) 実況「なんと言いますか、すごいことになってますね?」 解説「うーん、神代選手がいるとはいえ、ここまで荒れるとはなぁ……」 実況「そう言ってる中宮守の小瀬川選手が和了ったー!」 解説「ほう……なかなかのものだな」 白望(あー、ダルイけど……まだまだ和了らないとなぁ……) 漫(折れるな……先輩が言ってたこと思い出して、しっかりと打てば) 小蒔「ロン」 漫「は、はいっ!」 漫(もー、さっきからこん人怖い!なんなん!?うちなんかした!?……あ、Kちゃんは持ってきとったわ) 小蒔「…………」 巴「確か、まだ弱い神様のはずですよね?」 春「……それよりこの相手で最初から寝てた方が驚き」 霞「うーん、私のせいかしら?」 初美「そうですよー?『前半で20万点まで稼いだら後半はKちゃん持って行っていい』なんてこと言うからですー」 巴「ああ、姫様また和了った」 春「……今ので17万?」 初美「東場では清澄のが頑張ってましたからねー。一気にいくつもりでしょうねー」 霞「……大丈夫かしら」 巴「姫様がですか?相手がですか?」 霞「両方ね。特に姫松の人、Kちゃんぬいぐるみ持ち込んでるから隙があれば狙われてるわ」 初美「無事に前半戦が終わればいいですねー」 小蒔「……」タン 優希(うう……南場じゃどうしようもないじぇ) 白望(なーんか狙ってる感じするなぁ……もしかして特定の誰かを?だったら……) 漫「……」タン 白望(今までのを見る限り姫松?……シードから蹴落した相手をさらに?……ないかな) 優希「……じょ!」タン 白望(他の理由……他と違うとこ……ぬいぐるみ?) 小蒔「……」タン 白望(……考えすぎか) 漫「……ツモ!」 白望「!?」 恭子「よっしゃ!爆発きたで!」 洋榎「神代がなんかえらい暴れとるから差はまだあるけど、これはええでー」 絹恵「上重さんファイトやー!」 漫(な、なんとか大きめの和了れたでー!) 漫(でもまだ差はある、気引き締めていかんと!) 小蒔「リーチ」 漫「っ!?」 優希「じょ!?」 白望「……ツモ」 漫(あ……良かった、神代やなくて) 優希(これ以上はやばかったじぇ……後半こそ!!) 実況「前半戦終了ー!!」 解説「かなり荒れたな。東場では片岡選手が、そして全体的に神代選手が稼ぐが要所要所で小瀬川選手と上重選手が止めに来る」 実況「とんでもない試合でしたね!」 解説「大きくリードした永水だが、このまま大人しく他が引き下がるか……まだ試合は始まったばかりだ」 優希「タコスだ!ありったけ持ってくるんだじぇ!!」 京太郎「元々用意してた分しかねぇよ」 久「予想以上に永水が暴れてくれたわねー」 和「とんでもない偶然が連続してましたね」 まこ「偶然でもなんでも、今のトップは永水じゃ。このままじゃいかんな」 咲「優希ちゃん、大丈夫?」 優希「問題ないじぇ!巫女さんなんかにタコスは負けないし、ぬいぐるみ持ち込みにも負けない!後……とにかく負けないじぇ!!」 京太郎「用は誰にも負けねーってこったろ?」 優希「さすが京太郎!もっとタコス作ってきていいぞ!」 京太郎「無理だっての!」 優希「……このままじゃ、終わらせないじぇ」 白望「……ダルイ」 塞「すっごかったよ!モノクル割れるかと思った!」 トシ「私のはヒビはいったね……古いのだから予備を用意しておいて正解だったよ」 豊音「神代さんちょーすごいよー!」 胡桃「敵を褒めてどうするの」 エイスリン「シロ、ガンバッテ!!」 白望「あー……まぁ……ダルイけど負けるつもりはない」 漫「え、えらい持ってかれて申し訳ないです……」 恭子「由子、マジックある?」 漫「ひぃっ!」 恭子「と、点数的には言いたいんやけど」 漫「へ?」 恭子「さっきは爆発したんや。後半もまだチャンスある。しっかりやってくればええで」 漫「末原先輩……」 洋榎「やけど神代はえらいやっちゃなー。漫、大丈夫?」 由子「こっちから見てもかなりやばそうだったのよー」 絹恵「上重さん……」 漫「……大丈夫です!やってきます!!」 郁乃「さすがやね~。期待してるで~」 恭子「代行……」 漫「あはは……後半、取り返してきます」 小蒔「……くすん」 初美「仕方ないですよー。相手も強敵だったんですからー」 巴「そうですよ。姫様は充分すぎるくらいにやってましたよ」 春「……でも20万点は無理だったから」 霞「後半の持ち込みは無しね」 小蒔「うう……頑張りましたけど仕方ないです……」 巴「姫様……」 初美「どうしますー?」 春「……許してもいいと思う」 霞「……分かりました。この試合は駄目ですけど、次の試合からは持ち込んでいいとしましょう」 小蒔「霞ちゃん!!」 霞「ただし、今度こそ20万点稼いだらね」 初美「うわー、地味に酷いですー」 巴「でもだいぶ稼いでるし、さっきよりは楽じゃない?」 春「……他がこのまま黙ってない」 小蒔「はい。皆さん強い方でした」 霞「そうよね。それでもやる?」 小蒔「やります!Kちゃんのこともありますけど、それ以前に試合に勝つため、もっともっと稼いできます!」 実況「さあ、時間となりました。後半戦、開始です!」 解説「このまま永水が差を広めるかどうか。そこに注目ですね」 優希「ロン!」 実況「また片岡選手が和了りました!」 解説「地区大会でもそうだったが、やはりこの選手は東場では圧倒的だな」 実況「1回戦でも東場で勢いを作ってましたからね」 解説「だが、そう簡単には行かないだろうな」 小蒔「ツモ」 実況「ここで神代選手!やはりこの選手は凄い!!」 解説「かなりムラがあるが、調子がいい時は手がつけられないな」 漫(アカン、これはきついわ……神代とか去年の1番良い時並みやないか) 白望「……ツモ」 白望(簡単には、点はやらない) 優希(も、もう南場……まだまだ1位と差あるじぇ……) 小蒔(……差が、広げられない)タン 漫「それ、ロン!」 小蒔(それどころか、縮められてる!?) 漫(ま、また上がれた!これ、主将が言ってたKちゃん効果……ないか) 実況「先鋒戦終了!!1位は永水高校!!他3校と差をつけてトップに立ちました!」 実況「そして宮守、清澄、姫松となっています」 解説「だがこの3校の差はそれほどない。私は前半での永水との差を縮めた3校の選手を評価したいね」 実況「はい。前半では圧倒的だった神代選手でしたが後半では他3校が意地を見せましたね」 解説「永水は大きなリードを得たが、まだまだ分かりませんね」 まこ「よう」 優希「……染谷先輩」 まこ「ん、お疲れ」 優希「……稼げなかったじぇ」 まこ「神代が本気だった、事故じゃ事故。先輩にまかしとけ」 優希「お願いしますだじぇ」 白望「……ダルイ」 エイスリン「マカセテ!」 白望「ん……まかせた」 エイスリン「♪」 白望(どうせ、エイスリンが勝つしなぁ) 漫「すんません……取り返せませんでした」 由子「大丈夫なのよー」 洋榎「せやで!」 漫「主将!?」 洋榎「やっぱKちゃん持ってったんが効いたんかな……貸して」 漫「言われて持ってきましたけど……めっちゃ恥ずかしかったですよ?」 洋榎「む……よし、由子、持っていき」 漫「それ私のです!」 由子「遠慮しておくのよー」 小蒔「差、広げられませんでした……」 巴「いやいや、充分ですって」 小蒔「Kちゃん……」 巴「あー……試合が終わってから、また話してみましょう?」 小蒔「……はい!巴ちゃんも頑張ってください!」 巴「はい。姫様が作ったリード、守ります」 実況「インターハイ2回戦次鋒戦、開始ー!!」 実況「次鋒戦終了!清澄、姫松が永水との差をしっかりと縮めました!宮守は調子が出なかったのか差は縮めたが4位です!」 解説「永水は1位のままだが、この勢いだと追いつかれかねないな。次に来るのがあの愛宕洋榎選手だ」 実況「姫松のエースですね」 解説「さらに1回戦で相手をトビ終了させた清澄の竹井選手もいる。これは試合が動きそうだな」 実況「ところで試合時間が短かった気がするのですが」 解説「そう感じただけだろう?しっかり結果は残っているのだから、問題無いさ」 まこ「頼んだぞ、部長」 久「え、ええ」 まこ「……大丈夫か?」 久「あら?私が心配?大丈夫よ。しっかりやってくるわ」 まこ「……ま、いいわ。こっちでなんとかするか」 洋榎「っしゃあ!ついに来たで!!うちの出番や!!」 由子「落ち着くのよー……って言っても意味ないのよー」 洋榎「じゃ、行ってくるでー!!」 由子「……あれ?洋榎、何か持ってった?」 エイスリン「……ゴメンナサイ」涙目 胡桃「エイちゃん悪くないよ!あの眼鏡……2人いたか」 エイスリン「……こっち」ワカメの絵 胡桃「……とにかく、その人と相性が悪かっただけだって!私達がなんとかするよ!!」 トシ「……しかし相手の力を使わせないどころか何もさせない……いや、まさか……時間を消し去った?」 エイスリン「?」 トシ「ああ、いや、いいさ。胡桃達を信じよう」 エイスリン「…………」コク 巴「……ごめん、守り切れなかった」 春「……大丈夫、私が次に繋げればいい」 巴「ハッちゃんまで?でも、次の相手強敵だよ?」 春「……黒糖とKちゃんがあるから大丈夫」 巴「その判断基準は何?……でも、まかせるね」 春「……うん」 まこ「戻ったぞー」 京太郎「お疲れ様です」 まこ「おう。開始時間までまだあるな」 咲「……なんか、部長の様子がいつもと違う気がする?」 優希「あー……なんかくじ引きの時っぽくなってるじぇ」 和「抽選会ですよ。確かに緊張してるように見えなくもないですが、全国の舞台で緊張するというなら1回戦では?」 京太郎「有名な強豪校が相手で改めて自覚した、とかじゃないのか?」 まこ「いかんな……よし、聞いてくれんか」 久(あー……やっばいわ。今さら緊張してくるとかないわよ……) 胡桃「よろしくお願いします」 久「あ、ああ。よろしく」 胡桃「?」 洋榎「またせたな!姫松高校のエース、愛宕洋榎の登場や!!」 胡桃「…………」 洋榎「抽選会ぶりやな、竹井。負けへんで?」 久「……私だって、負けないわよ?」 洋榎「なんか勢いがないで?駄目やなー。こういう場はノリが大事や!そのためにこういうものまで持ってきたんや!!」 Kちゃんぬいぐるみ(落書きアリ) 久「あら?それって」 洋榎「ふっふっふ。流行りに乗ってみたんや」 胡桃「……それ、先鋒の人のじゃないの?」 洋榎「……細かいことはいいんや!縁起物みたいなもんやし」 胡桃「借り物の縁起物って……そもそも公式戦の場によけいな物持ち込むなんて…」 春「……遅れました」黒糖&Kちゃんぬいぐるみ持ち込み 胡桃「…………」 洋榎「よけいな物が、なんやって?」 胡桃「……いい」 洋榎「ふ……負けへんで。特に清澄!」 久「わ、私?」 洋榎「1回戦は飛ばして終わらせるとか派手なことやっとったけど、そうはいかんで!」 洋榎「今、持ち物ではKちゃん持ってきたうちが勝っとる。後は試合でも勝って……」 京太郎「部長ー!」 洋榎・胡桃・春「!?」 久「す、須賀くん!?どうしたのよ?」 京太郎「なんか、染谷先輩に頼まれまして」 久「まこから?」 京太郎「はい。これを渡すようにって」 久「手紙?」 『緊張してるようなので、京太郎を送った。まあ、これに意味はないわ。適当に楽しんでくるとええ』 久「……まこったら」 京太郎「あのー、大丈夫ですか?なんか、緊張してたみたいですけど」 久「……大丈夫よ。部長である私を信じられないの?須賀くんは帰ってお茶でも入れて待ってなさい」 久「それとも……心配で私に会いに来てくれた?可愛いわねー、このこの」頭ナデナデ 京太郎「ちょ、こんなとこでやめてくださいよ!」 久「そうねー。須賀君は頭撫でられるより胸撫でる方がいいもんねー」 京太郎「そうですけど……って何言わせるんですか!」 久「あら、嫌だった?残念ねー、撫でさせてあげようと思ったのに」 京太郎「マジですか!?」 久「ええ。マジよ……副会長のだけど」 京太郎「男じゃないですか!!」 久「あはははは……ありがと」 京太郎「はい?」 久「なんでもないわ。戻って待ってなさい。勝ってくるから」 京太郎「……はい。じゃ、戻りますね」 久「ふふふ……あ、待たせちゃったわね。ごめんなさい」 洋榎・胡桃・春「…………」 久「?」 洋榎「負けへんでー!!」 胡桃「つぶす……!!」 春「…………」ボリボリボリボリボリボリ 実況「インターハイ2回戦中堅戦、開始ー!!」 洋榎「リーチや!」 春「…………」タン 洋榎「ロン!!」 春「!!」 洋榎「神代が稼いだからて、安心しとるんか?そんなんすぐ持ってくでー?」 春「……次」 胡桃「はい。ふるよー」 洋榎「う……うちがひっくり返すからな!」 胡桃「うるさい!関係ないことなら静かに!!」 洋榎「あ……ハイ」 実況「まずは愛宕洋榎選手が滝見選手から和了りました!」 解説「さすがといったところですね」 洋榎「ロン!!そんなん通用せえへんで。格が違うわ!」 胡桃「そーゆーのいいから点数申告!」 洋榎「あ……ハイ。5200です」 実況「賑やかに打ちますね」 解説「わざとやって相手のペースを乱すやり方もあるが、あれは素だな。全力で楽しんでいる」 実況「楽しんで、その上で勝っているということですか?」 解説「いるんだよ……ああいう単純に"強い"のが」 春「……リーチ」 久「ごめんなさいね。それ、ロンよ」 春「…………」ポリポリ 胡桃(……何その待ち) 洋榎「ほう……やるなぁ」 実況「清澄も和了った!というかこんな待ちで本当に和了った!?」 解説「悪待ちか……こいつは面白いな。どう転がるか楽しみだよ」 実況「楽しむのもいいですけど解説して下さいよ?」 解説「お、前半戦終了だな」 胡桃「ただいまー。充電充電」 白望「……ダルイ」 豊音「どうー?大丈夫そうー?」 胡桃「……正直厳しいかな。うるさいけど強いし」 塞「まー仕方ないよ。胡桃は胡桃の麻雀をやるしか」 エイスリン「ファイト!」 春「……黒糖、補充」 小蒔「だ、大丈夫ですか?」 春「…………じゃ」 初美「あ、逃げたですー」 霞「これは終わったらお説教かしら」 巴「まだまだこれからですって」 洋榎「どや!?」 絹恵「戻ってくるなりそれー?」 洋榎「そりゃーなー?」 漫「何言ってるんか分かりませんて……後、ぬいぐるみ返して下さい」 洋榎「あ、ほい」 由子「どうだったのよー?」 洋榎「んー、やっぱ借り物じゃアカンかなー?何より本人来よったし」 恭子「いや、試合ですって」 洋榎「あー……ま、なんとか1位とったるわ」 絹恵「お姉ちゃんお姉ちゃん!」 洋榎「なんや?」 絹恵「またKちゃんが来とるよ!」 京太郎「部長、お疲れ様です」 久「ん、わざわざ来てくれてありがと」 京太郎「いやいや、俺はこれくらいしかできませんし」 久「やっぱり、長野に帰ったら胸撫でる?」 京太郎「……男はいいっす」 久「女の子よ?」 京太郎「本当ですか!?」 久「心は」 京太郎「アウト!!」 久「何よー、いい子よ?少女趣味で手先が器用で家事全般が得意で……後、マッチョ」 京太郎「最後!最後で台無しですよ!?」 久「私より胸あるし?」 京太郎「それはもはや別物でしょう!?」 春「……失礼」 久「あ、永水の」 京太郎「あ、さっきは言えなかったけど昨日の黒糖どうだった?」 春「問題ない」 久「知り合い?」 京太郎「ええ。昨日の夜たまたま会って」 春「……食べたら分かる。どうぞ」 久「あら、ありがとう」 京太郎「俺も?じゃ、ありがたく」 久「……風味があっていいわね」 京太郎「黒糖だけなのに食べやすい……こないだのもっと買っとけばよかったか」 春「後で分ける?」 京太郎「いいのか?」 春「うん……住所教えてくれれば本物を送れるけど」 京太郎「本物?まさか、これ以上のものが!?」 久「……黒糖でどんだけ盛り上がってるのよ。そろそろ時間よ」 京太郎「あ、はい。じゃ、部長頑張って下さい」 久「まかせなさい」 京太郎「春も、敵だけど頑張れよ」 春「!!……うん」ニコッ 久「……天然タラシだったかしら?」 洋榎「待たせたな!!」 春「姫松の人」 久「待ってないし、あなたも待たないといけないわよ?」 洋榎「……それよか、京太郎は?おったん見て来たんやけど」 春「もう帰った」 洋榎「…………」 胡桃「お待たせー。どうかしたの?」 洋榎「……あんたんせいや!!」 胡桃「いきなり何!?」 実況「さあ、後半戦です」 解説「だいぶ削られた永水と追いつこうとする姫松と清澄。そして守りが固い宮守」 実況「宮守はこの状況で守りは厳しいんではないでしょうか?」 解説「下手に振り込むよりいいが、さてどうなることやら」 胡桃(別に、これが私の打ち方だからいいし) 胡桃(何より相手がこうも強いんじゃ慣れてない打ち方したら逆に火傷しそうだし) 胡桃(ここは後の塞と豊音を信じて) 胡桃「ツモ!」 胡桃(私の打ち方で打つ!) 春「…………」 春(厳しい……相手が強すぎる……素直にここは負けて) 春「ロン」 春(信じよう) 実況「後半戦終了!!永水は1位は守りましたが、点差をかなり詰められました!」 解説「後半、相手が格上だと分かった上で失点を少なくする方向に変えたのが良かったな。前半のままなら1位じゃなかった」 実況「そして2位は姫松!愛宕洋榎選手がかなり稼ぎました!」 実況「3位は清澄!プラスで終わらせましたが愛宕洋榎選手に追いつけませんでした!」 解説「この2校の選手は相当のものだよ」 実況「4位は宮守!点数自体はあまり変動していません!」 解説「一見地味に見えるがこの状況で点数が変わらないというのはなかなかできるものじゃない。この選手も上手いね」 実況「後半の宮守に攻める様子があまり見られませんでしたが、どうなんでしょう」 解説「それは団体戦だからだな。仲間を信じたんだろう」 久「はー……疲れたわ」 洋榎「ふっ、うちはまだまだいけるで?」 春「……強がり?」 洋榎「ちゃ、ちゃうわ!」 胡桃「終わってからもうるさい……」 和「何やっているんですか部長」 久「早いわねー。やっぱりエトペン持ってきたの。Kちゃんじゃなくて」 和「か、からかわないでください」 初美「はーるーるー?」ズイッ 和「きゃあああああ!!な、なななんですかこれ!?」 久「永水の副将よ。知らない?」 和「……本当に人ですか?」 初美「失礼ですー」ズズイッ 和「ちょ、怖い……あ」ポトッ、コロコロ 絹恵「……?」目の前にエトペン 和「あ、エトペン……」 絹恵「……ボール」 和「え?」 絹恵「……!!」ドカッ!! 和「!?エトペーーーーン!!!」 久「……大丈夫よ和、エトペンは無事よ」 和「本当ですか!?」 絹恵「ホンマにすいません!丸いもんがあったんで、つい」 洋榎「すまんなぁ清澄。お詫びっちゅう訳やないけど、絹の胸を…」 和「?」ドドーン 洋榎「…………」ぺターン 絹恵「お姉ちゃん!?もう、また人の胸勝手に触らそうとして!」ドーン 洋榎「……絹……負けたわ」 絹恵「は?何言うてんの?」 洋榎「せやけどなぁ!絹は他の副将の奴と比べたら…」 塞「胡桃、お疲れー」バーン 胡桃「塞、後よろしく」 洋榎「…………」チラッ 初美「?」ぺターン 洋榎「この場で味方は永水だけか……」 絹恵「いやだから何言うてんの!?」 和「何なんでしょうね?」 久「あー……和には分からないことよ」 初美「……胸なんて飾りですよー」 胡桃「そこは同感。ていうか、早く私達は帰った方がいいんじゃないの?もう始まるよ?」 実況「さあ、副将戦です!遂に、インターミドルチャンピオン、原村和選手がインターハイデビューです!!」 解説「インターミドルの強さがインターハイで通じるかどうか、だな」 実況「また、個人戦出場も決め、さらに県予選では大将に回すことなく終わらせた薄墨初美選手」 実況「1回戦で沖縄代表を完封した臼沢塞選手、愛宕洋榎選手の実の妹、愛宕絹恵選手など、注目の選手が揃っています!」 解説「また面白い試合になりそうだ」 実況「インターハイ2回戦、副将戦開始ー!!」 絹恵(お姉ちゃんから引き継いだ点数、なるべく守って…) 和「ロン」 絹恵「は、はい!」 絹恵(っていきなり!?……やっぱぬいぐるみ蹴ったん怒ってるんかなー) 実況「まずは原村和選手だー!!」 解説「まだまだ序盤だよ……お、薄墨選手が北家か」 実況「はい?何かあるんですか?」 解説「県予選で大暴れしていたが、北家の時によく和了ってるんだよ」 実況「つまり今回も?」 解説「可能性はある。さて、分かってて止められるようなものかな」 絹恵(永水が北家……字牌を切らんようにしとけばええって末原先輩が言ってたし……)タン 和「……」タン 北 絹恵「!」 塞「!」 初美「ポン!」 絹恵(え……何しとるん清澄!?永水の薄墨やったら普通に分かるやろ!?なんでなん!?) 塞(ちょ……やばいって!!何なの!?) 和「…………」 和(部長……四喜和に気をつけろ、っていうのはさすがにオカルト過ぎです。私は私の打ち方を貫きます) 初美(チャンスですー……インターミドルチャンピオン、潰れちゃえ!) 初美(さーて、いくですよー。1位とはいえ追いつかれかねない点差ですからねー) 初美(一気に引き離しますよー) 初美(ここで鳴いて……アレ?鳴けない?) 絹恵「ツモ!」 初美(な、なんでですか!?私がこんな……) 塞「…………」じーっ 初美(まさか……宮守!?) 霞「封じられちゃった?……これはちょっと大変かもね」 巴「ハッちゃん、大丈夫でしょうか」 春「……分かんない」 小蒔「だ、大丈夫ですよ!まだリードしてます!」 霞「でもねぇ……初美ちゃん、素直に引き下がらないからね」 塞(きっついなー……1回戦よりきつい。でも、上手くいってる。そして) 塞「ロン!」 初美「っ!!」 塞(永水から和了れる。このままリード縮めて豊音に繋ぐ!) 実況「薄墨選手、和了りませんでしたね?」 解説「うーん、大沼プロも言ってたんだがな……やっぱり宮守の臼沢選手か?」 実況「臼沢選手ですか?特に目立ったことはしていないように見えますが」 解説「周りから見えなくても、本人達にしか分からないものもあるからな」 初美(わ、私が北家で和了れない?……ないない!!) 塞(さて、全員分かっててくれたら少し楽できるんだけど) 和「…………」タン 塞(これだよ。なんなの?ネト麻でCPUの設定最強にして打ってるみたい。やっぱ、やらないといけないよね) 塞「…………」じーっ 初美「……うーっ」タン 塞「ロン!」 初美「うううっ……点棒ですー」 塞「……どーも」 実況「前半戦終了ー!!まさかの永水の薄墨選手が大失点で永水はついに1位陥落です!」 解説「これまでの試合でも稼いでいる薄墨が封じられていた、ということは大きいな」 実況「現在の1位は清澄高校!2位は僅差で姫松!そして3位に永水、4位に宮守です!」 解説「だが、宮守はその差をじわじわ削っている。ここに来て大幅な差はなくなった。こりゃ結果が分からなくなってきたな」 塞(あー……しんどいなー、もつかなこれ)座りこむ 塞(ていうか清澄なんなんだよ……空気読めてないにも程があるでしょ) 白望「……大丈夫?」 塞「……シロ!?」 白望「……立てる?」 塞「……大丈夫だって、それよりシロがわざわざ来たことが驚きだね」 白望「……トイレこっちだし」 塞「ついで!?……まあ、いいけどっと」立ち上がる 塞「まぁ、らくしょーってことで」 白望「……持ってって」Kちゃんぬいぐるみ 塞「え?」 白望「次は豊音に渡して……じゃ」 塞「ん、いっちょやってきますか!」 絹恵「……ふう」 恭子「お疲れ絹ちゃん」 洋榎「お疲れさん」 絹恵「お疲れ様です……はあ、清澄に1位もってかれてすんません」 由子「いいのよー」 漫「充分やってるって」 洋榎「せやで。絹、自信持ってやりや。うちの妹なんやから、絹もいける!!」 絹恵「お姉ちゃん……うん!私、後半で1位になってくるわ!」 初美「ひっく……ぐすっ」 霞「うーん、正直どうしようもないわね」 巴「ハッちゃんがどうこうできるものじゃないですしね」 春「……黒糖、いる?」 初美「いただくですー……ぐすっ」 小蒔「初美ちゃん……」 初美「姫様、持ってかれた点は必ず取り返してくるですー」 小蒔「……はい。頑張ってください」 初美「……このまま終わるなんて、させないですよー」 咲「お疲れ様和ちゃん!」 久「見事にアドバイス無視してたわね。あそこまでされたら逆に清々しいわ」 和「そんなオカルトありえませんよ。実際に四喜和なんてありませんでした」 まこ「まーな。やけに宮守のが疲れとるように見えたが、なんだったんじゃろな」 優希「タコス不足だじぇ!」 京太郎「お前だけだっての……3人とも大丈夫かな」 久「あら、あの3人もひっかけてたの?」 咲「京ちゃん……」 和「須賀くん……」 優希「京太郎……」 まこ「もうなんも言わんわ……」 京太郎「違いますって。たまたま会って仲良くなっただけですって」 咲「……こっち来てから多すぎるよ」 優希「発情したか」 京太郎「タコス作らねーぞ」 まこ「でも、各校にいる気がするんじゃが」 京太郎「たまたまですよ。困ってたから手を貸した、とかそんなんですって」 久「まあ、須賀くんのタラシ疑惑は置いといて」 京太郎「違いますって!」 久「この後もまかせるわよ和。幸い永水は県予選ほど暴れられないみたいだしね」 和「はい。相手がどうこようと、私は私の麻雀をするだけです」 咲「和ちゃん、頑張って!」 優希「のどちゃんファイトだじぇ!」 まこ「しっかりやってきんさい」 京太郎「和、頑張れよ!」 和「はい……行ってきます」 実況「後半戦、開始ー!!」 和「…………」タン 絹恵「…………」タン 塞「…………」タン 初美「…………」タン 絹恵(永水、動かんな。それならそれでええんやけど、このままじゃ2位。ここは) 絹恵「ツモ!」 絹恵(攻める!) 塞(別に、豊音がやってくれるだろうからそこまで無理して攻める気は無いけど) 和「…………」タン 東 塞(これがな……塞いでなけりゃえらいことになってるよ) 初美「うー……」 塞(親だけど永水が北家だし、このままやりすごして……) 初美「…………」タン 塞(え?) 塞「ろ、ロン!」 初美「はい」 塞(何今の明らかな差し込み!?) 初美「…………」タン 塞(ま、まさか……自分が上がれるまで親の私に振り込む気!?リードもないんだからボロボロになるよ!?) 初美(姫様達には悪いですけど、このまま素直に引き下がれないです) 絹恵「…………」タン 初美(絶対、絶対和了ってやるですー!) 塞「ロン!」 塞(うわー、和了れるのはいいけど、このままじゃ持たないって!なんとかしないと……) 和「ツモ」 塞(よっしゃ!空気読めないけどナイス!) 実況「後半戦も南場です。ここまで永水の薄墨選手がまさかの大量失点で清澄と姫松にリードを許しています」 解説「薄墨選手が北家で和了れないのが気になるな……このまま終わることはないと思うが」 実況「それはなぜ?」 解説「勘だな。そんなに素直に終わるほどここは甘くないんだよ」 塞(はぁ、永水が北家か。どうしよっかな。どうせ親の清澄に振り込むんだろうし) 塞(親が清澄?……だったらいっそこのまま塞がないで親被り狙うのもありかな) 塞(あの調子でやられたら体力もたないし……清澄には振り込んでもらおう) 初美(これは……いけます!今度こそいけるですよー!!) 和「…………」タン 南 初美「ロン!!」 実況「決薄墨選手の役満小四喜炸裂ー!!」 解説「県予選と同じものがやっと来たか」 実況「これはまた薄墨選手が和了りますか?」 解説「こっからか……とか言ってる間に終わってるぞ」 実況「え!?本当だ!最後は愛宕絹恵選手が和了って副将戦終了しました!」 実況「最終的な順位は、1位姫松、2位清澄、3位永水、4位宮守となっています!」 解説「清澄は永水の役満が痛かったな」 実況「ですが永水は点を取り戻すことはできませんでしたね。ここからどうなるでしょうか」 解説「さてな。永水の大将はこれまで攻めているところが無かった。個人的にここがどうくるかが気になる」 絹恵「後は、お願いします」 恭子「まかしとき。しっかり守りきったるわ」 洋榎「恭子ー!いったれー!」 由子「ファイトなのよー」 漫「先輩!」 恭子「何や?」 漫「持っていきませんか?」Kちゃんぬいぐるみ(落書きアリ) 恭子「気持ちだけもろうとくわ。さすがに人の持ってく訳にもいかんし…」 郁乃「やったら、末原ちゃんの持っていきや~。はい」 恭子「あ、ども……ってなんで代行が私の持ってるんですか!?」 郁乃「はっはっは~企業秘密や~」 由子「もう気にしたら負けだと思うのよー」 洋榎「せやな。とにかく恭子!いってきや!!」 恭子「……はい!」 恭子(実は持っていきたかったしな) 郁乃「昨日も抱いて寝とったもんね~」 恭子「やからなんで代行が知ってるんですか!?」 4人(……否定はしないんやね) 塞「あー……疲れた」 豊音「お疲れ様ー。ちょーすごかったよー」 塞「もう勘弁して欲しいけどね。はい、これ」Kちゃんぬいぐるみ 豊音「え?持ってっていいの?」 塞「珍しくシロが自分から持ってきたんだよ。頼むよ、トヨネ」 豊音「うん!ちょーがんばるよー!!」 豊音「みんなのお祭り、ここで終わらせないから!!」 初美「ひっく、すみません姫様―。ぐすっ。わ、私のせいでー」 小蒔「初美ちゃんは頑張ってましたよ!!」 初美「姫様~」 春「……1位から3位」ボソッ 初美「うわあああああああん」 巴「こら、ハッちゃんいじめない」 霞「そうよ。でも、2回戦でここまで追い詰められるなんて思いもしなかったわ」 小蒔「霞ちゃん」 初美「ううっ、ひっく。どうするですか?」 霞「久しぶりに、攻めるわ」 霞「初美ちゃんの分、たっぷり返してあげましょう」 春「……なんか怖い」 霞「え!?」 初美「ぐすっ……胸もあって威圧感倍増ですー」 霞「そ、そんなことないわよね!?」 巴「えっと……」 小蒔「ぬ、ぬいぐるみとか持っていけば、少しは和らぐんじゃないでしょうか?」 春(否定してない……) 巴(むしろ追い打ちかけてる……) 霞「……まあ、持っていきましょう。でも、終わったらお話があるからね?」 初美「……事実だから仕方ないですー」 霞「初美ちゃんは戻ってくるまで正座ね」 初美「私だけ!?」 和「すいません……あんな大きいものが来るなんて」 まこ「最後のすごかったな」 優希「ああ。でも、のどちゃんはしっかりやってたじぇ!」 久「そうね。結果オーライよ、和」 京太郎「ああ。後は頼んだぜ、咲」 咲「ひゃ、ひゃい!」 京太郎「……大丈夫かー?トイレ行ったか?あ、道迷ったのか」 咲「だ、大丈夫だよ!」 京太郎「今まで何回迷子になったら言ってみろ」 咲「……道が悪い」 京太郎「目逸らしながら照さんみたいな真似すんな」 咲「お姉ちゃんの真似……こう?」ギュルルルルルル 京太郎「なんでできるんだよ!?」 久「咲、大丈夫そうね」 まこ「うむ。緊張とかしてたらどうしようかと思ったがな」 優希「こういう時こそ京太郎の出番だな。のどちゃんはいらなかったが」 和「私はいつも通り打っただけですし」 久「ほら、咲。いつまでもイチャついてないで行ってきなさい」 咲「い、イチャついてなんかないですよ!京ちゃんの馬鹿!」タタタタタ 京太郎「おい咲ー!そっち反対だー!!」 まこ「……和、連れてってやりんさい」 和「……はい」 優希「……しまらないじぇ」 実況「泣いても笑っても最後!大将戦です!」 実況「まずは姫松高校末原恭子選手!」 解説「今までは逃げ切りが多かったが、この相手でこの点差だから逃げ切りは難しいか。なんだ?この選手もぬいぐるみ持ち込みか」 実況「次は宮守高校姉帯豊音選手!」 解説「現状4位でそれなりの点差があるなか、逆転できるかね。おや、またぬいぐるみか」 実況「そしてシードの永水高校岩戸霞選手!」 解説「これまで守ってばかりだったこの選手がどう攻めにでるか、それがどうなるかな。……この選手もか」 実況「最後は清澄高校宮永咲選手!」 解説「全国初登場の選手か。宮永照と同じ名字ということが少し気になるな。親戚かなにかだろうか。お、この選手は手ぶらか」 実況「大将戦4人中3人がぬいぐるみ持ち込みですか。何か持っていると有利になることでもあるんでしょうか」 解説「まあ選手のモチベーションを維持するためや、リラックスさせるためだろうな。ここまで来たら打てる手は打っておきたいだろうし」 実況「では、唯一持って来ていない宮永選手は不利、ということなんでしょうか?」 解説「さてな。単純に持っていないか、持ってなくても大丈夫という自信か、それ以外の何かか」 実況「さあ、インターハイ2回戦大将戦、開始ー!!」 霞「よろしくお願いします」 恭子「……よろしくお願いします」 恭子(なんやこのおっぱいオバケ……絹ちゃんが小さく見えるわ) 豊音「よろしくお願いします」 豊音(わー、すごそうな選手ばっかだよー。楽しみー) 咲「……よろしくお願いします」 豊音「ポン」 恭子(来るか宮守。気付けなあかんな) 豊音「ポン」 豊音「チー」 豊音「ぼっちじゃないよ~」 霞(裸単騎……ここから?) 豊音「お友達が来たよー、ツモ!」 恭子(やっぱりかー……やっかいな相手や) 実況「最初の和了は姉帯選手ー!」 解説「裸単騎から和了るか……この選手もとんでもない選手みたいだな」 恭子(確かにすごそうやけど……うちかて負けへんで!) 恭子「リーチ!」 豊音「じゃ、とおらばリーチ!」 恭子(おっかけリーチ……やって来るか) 恭子「……」タン 豊音「ロン!」 恭子(これ以上はやれんな……やけどもっと稼がんと) 霞「リーチ」 恭子(永水!?やけどこれは) 豊音「……おかっけるどー、とおらばリーチ!」 恭子(やっぱりか……宮守の、予想以上や) 霞(ふんふむ……やっぱり早めに行かなきゃ追いつけなくなるかしらね) 霞(まだ前半戦だけど、苦手分野、いかせてもらおうかしら) 豊音(うわ、これ) 恭子(絶一門か……) 霞「ツモ」 恭子(しかもなんやこれ……ピンズがうちに来んだけやなくて他の捨牌にも無いやん) 恭子(ここは怪物しかおらんのかい……メゲるわ) 咲「……カン」 3人「!」 霞(清澄……やけに大人しかったわね) 豊音(なんか、ちょー怖いよー) 恭子(前半戦ももう少しで終わるっちゅうとこやで?なんで今まで大人しかったんや?) 恭子(まさか……嵐の前の静けさ、とかやないよな?点差、今全員があんま変わらへんのに、でかいの来たら) 咲「……もいっこカン」 霞(まさか、予選でよくやってた) 咲「ツモ、嶺上開花」 豊音(……ちょーすごいよー) 恭子(……メゲるわ) 実況「前半戦終了!遂に姫松が1位から2位に!!」 解説「なんというか、大将戦はとんでもないのばっかりだな。またどこが勝つか分からなくなってきた」 実況「最後まで目が離せませんね!」 解説「全く、何が起きても不思議じゃないな」 実況「さて、後半戦開始です!」 豊音(先生もみんなもいつも通りにって言ってくれた……いつも通りにやって、勝つ。まだ、終わらせないよー)ギュッ 霞(このまま一気に攻めて、押しきろうかしら。……小蒔ちゃんじゃないけど、ぬいぐるみがあって落ち着くわね)ギュッ 恭子(おいおい……永水のKちゃん、おっぱいに埋もれてるやん。冗談みたいな光景や) 恭子(宮守も結構……こっちで負けても、麻雀は負けへん!) 咲「…………」 塞「え?モノクルが……」カタカタ トシ「これは……」 優希「うお……京太郎がおっぱいに埋まってるじぇ」 京太郎「ぬいぐるみの方な。代わって欲しいが」 和「咲さん、どうしたんでしょう?」 まこ「うーん、なんかやりそうな雰囲気じゃな」 久「そうね……なんか、怒ってる?」 照「…………」 菫「照、ここにいたか。ん?妹の試合か?」 淡「あー、噂のテルーの妹じゃん。どんな感じ?」 照「……少し、荒れてる」 菫「は?まだ後半戦が始まったばかりだろう?」 照「……咲が」 淡「……何これ、なんかやっばい感じがする」 照「……うん、気持ちは分かるよ咲」 咲(京ちゃんのぬいぐるみは確かにいい。だけど、やっぱり他の人と京ちゃんが一緒にいるみたいで嫌だよ) 咲(そもそも京ちゃんも京ちゃんだよ!なんであんなにあっさりぬいぐるみの許可とか出してるの!) 咲(で、他の人が持ってると嬉しそうにしてるし!胸が大きな人だとさらに嬉しそうだし!) 咲(鹿児島の人も岩手の人も私より大きいし……なんか見せつけるようにしてるし!!……絶対に負けない!!) 咲(そういえば……昔お父さんが他の人の胸に見惚れてた時、お母さんもやってたな、こういうの) 咲「…………」ゴゴゴゴゴゴ 咲「…………」ギュルルルル 霞(え?宮永照?じゃないわよね?) 豊音(な、なんかチャンピオンっぽく見えるよー?) 恭子(…………メゲるわ)カタカタカタカタ 咲「……カン」ゴッ 咲「もいっこカン」ゴゴッ 咲「さらにカン!」ギュルルルル 咲「カン!!」ギュルルルルルルル パリィン!! 塞「も、モノクルが割れて……」 トシ「いや、あまりに強く割れて…」 塞「レンズ部分が砂状に!?」 胡桃「嘘!?」 エイスリン「トヨネ……」 白望「…………」 小蒔「!!」ガタッ 初美「……霞」 春「……お祓いの準備」 巴「うん……ちょっと普段よりしっかりやろうか」 漫「末原先輩……」 洋榎「恭子……大丈夫やろか」 郁乃「うーーーん……これはアカンね」 咲「……ツモッ」 実況「し、試合終了ー!!1位は清澄高校です!!」 解説「後半の清澄、すごかったな……まさかあれだけカンするとは」 実況「はい!そしてその清澄のスキを付くように和了った姫松が2位です!」 実況「これにより、清澄高校と姫松高校が準決勝進出です!」 前話 次話 前話のリンクが三話じゃなくて四話に繋がってるで~ -- 名無しさん (2013-07-30 09 08 33) こづかい -- 名無しさん (2016-07-09 21 56 06) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/wakiyaku/pages/512.html
【作品名】立体忍者活劇 天誅弐 【ジャンル】ゲーム 【共通・世界設定】 『天誅』世界内では攻撃による『攻撃力』とそのダメージに耐えうる許容量である『体力』が全て数値化されている <例>矢、仕掛け槍…5 竹を一太刀で切断する斬撃…7 火縄銃…20 刺さった後直径4mの爆発を起こす火矢…25 【名前】虎太郎 【属性】白虎 【大きさ】虎並み 【攻撃力】爪:なぎ払うように攻撃 攻撃力は9 飛びかかりながら勢いをつけた一撃だと攻撃力21 牙:噛み付き攻撃 攻撃力は12 【防御力】世界設定欄の火矢に5発耐える 火縄銃なら7発耐えられる 世界設定欄の斬撃なら20発は耐え、防御すれば無傷で防げる 眠り薬に抵抗力あり 【素早さ】虎並み 【長所】描写の無い虎よりは強いだろう 【短所】それだけ 3スレ目 553 :格無しさん:2009/06/05(金) 15 37 06 虎太郎考察 ○○○○景陽岡の人食い虎~肥肥 タフさが違う 勝ち △ザンダー 倒せない倒されない ×レタンデビル 相手はこちらに負けないくらい速く動ける ×陰沼京次郎 内臓えぐられ負け ×ヴィクトール 流し斬り負け ×ブラッキー 撲殺負け ザンダー=虎太郎
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/1851.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1362666103/ あの長野県大会から少し時間が経った。 私はあの後まこに引きずられるようにして控え室に戻り、須賀君に言い過ぎたことを詫びた。 須賀君はそれに対して首を振り、私にもう一度詫びてこれからも頑張ると笑顔で告げた。 その笑顔が私を責めているようで、また心が痛んだ。 「久、どうした?」 隣の席に座ったまこが話しかけてくる。 長野4校での合同合宿へ向かう車内で、私は大会後の出来事を思い出してボーっとしていたようだ。 「え、なぁに?」 「いや、食べるか、と聞いたんだが……」 その手にはチョコレートの箱。話しかけられていたことに全く気づかなかった。 「ごめんなさい。貰うわ」 「なぁ、本当に大丈夫なのか?」 私の様子を見たまこが心配そうに尋ねてくる。 空き部屋でへたり込んでいた私を見つけたまこはあれ以来、ことあるごとに私を心配してくる。 まぁ、無理もない話なんだけど。 「大丈夫。ちょっと寝不足だっただけ。合宿前でちょっと興奮して眠れなかったのよ」 そう言いながらチョコレートを口に含む。 甘さが心に染みた。 「……わかった。まぁ、あまり溜め込まんようにな」 まこはまだ何か言いたそうだったが、不承不承と言った感じで言葉を飲み込んだようだった。 するとちょうどそのタイミングで咲が声をあげた。 「あっ、京ちゃんからメールだ」 びくり、と体が反応する。そして何気なく、咲のほうを向いた。 咲の横から優希が覗き込んでいる。 「『合宿頑張って来いよ。俺もちゃんと勉強してるから。皆によろしく』だって」 「咲ちゃーん。正しく伝えないといけないじょ。『追伸:咲はふらふら出歩いて迷わないように』って最後に書いてあるじぇ」 「もう、優希ちゃんやめてよー」 固まって座っている1年生3人組が楽しそうに笑いあっている。 「でも、残念だなー。京太郎一人お留守番ってのもかわいそうだじぇ」 「仕方なかろう。うちだけならまだしも他校も来るしな。特に風越は女子高じゃけぇ、気を使わねば」 「あの犬がそんな大それたことなんて出来っこないのになー」 「いえ、須賀君も男ですからここぞと言うときには牙を剥きますよ、きっと」 「男は狼なのよ、って歌もあったよね。そう言えば」 「咲ちゃん、チョイスが古いじぇ」 3人はここに居ない須賀君をからかいつつも、これからの合宿への期待などを楽しそうに話している。 私はそれをぼんやりと眺めていた。 先ほどまこが言ったように、須賀君は合宿には不参加となっている。 他校の生徒も寝泊りすると言う関係上、やはり男子生徒が参加するのは難しい。 そのため、今頃は部室か自宅でネト麻に勤しんでいるだろう。 まこや和からいくつか課題も与えられているので、頭を悩ませているかもしれない。 そんな風に彼のことを考えると、かさぶたの上から指を押し当てるような、ジクジクとした痛みを感じる。 あれ以来、私は表面上平静を装っている。装えていると思う。 だが、あまり須賀君と話ができていなかった。 彼は相変わらず私に話しかけてくれるし、部のために働いてくれている。 むしろ私の言葉が効いたのか、雑務をこなしつつも合間合間に必死に学習している。 だが、私はそんな姿を見ていることが出来なかった。 飽きられた「おもちゃ」がそれでも持ち主に尽くしているように見えて 捨てられた「おもちゃ」が必死に持ち主の機嫌を取っているように見えて 私を、責めているように見えて 無論、こんなものは私の被害妄想だ。須賀君を責めるのはお門違いだ。 わかっているが、思考は止まらなかった。 ここのところこんなことばかりを考えており、正直部に顔を出すのが憂鬱な気持ちもあった。 そのため、今回の合宿は須賀君と顔を合わせずに済み、幾らか気が楽だった。 とにかく、今は全国。 全国で勝つことだけを考えよう。 須賀君のことは、「おもちゃ」のことは、一旦、忘れよう。 それでいい。 合宿は始まってしまえばあっという間に過ぎていった。 各学校のエースと打ち、語り合い、ひたすらにお互いを高めあっていく。 手前味噌だが、この試みは大成功だった。 まこも咲も和も優希も、得るものは多かったようだ。 私自身、鬱屈した気持ちを忘れ、麻雀に打ち込むことが出来た。 「はー、今日も打ったわねぇ」 合宿も残すところ今日を含めて2日。もうじき夕方となる時間帯に私は対局を追えて清澄の部屋に戻ろうとしていた。 郊外から外れに外れたこの合宿所は周りに殆ど何もない分、非常に静かだった。 「……あら?」 そんなことを考えていると、清澄の部屋の前でまこと涙目の咲がなにやら話していた。 何事かと、私は二人に小走りで近づき事情を聞いた。 「どうしたの?」 「あ、部長……ごめんなさい! わ、私、大会の牌譜、忘れてきちゃって」 「えっ? 今夜の検討会で使う予定だった、あの牌譜?」 「はい……。出発前に部室で京ちゃんから受け取ってたんですけど、置いてきちゃったみたいで」 「あっちゃあ……」 思わず頭を押さえた。 今日の夜に県大会決勝の牌譜を使って合同検討会をする予定を組んでおり、 その中で使用する牌譜はうちが持ってくる段取りになっていた。 「か、紙袋に入れてて。でも、部室に他の忘れ物してるのに気がついて、慌てて引き返したときに、多分……」 「置いてきちゃった、と」 咲はすっかりしょげ返っている。 「とにかく、まずは本当に部室にあるのかどうか確認しないと……」 必然的に、彼に連絡を取ることになる。 負の感情がまた鎌首をもたげてきそうになるが、それを振り払い、携帯を取り出して須賀君に電話をかけた。 『もしもし?』 数回のコールの後、いつもの彼の声が聞こえた。 痛む心を抑えながら、私は口を開いた。 「須賀君、今どこに居る?」 『今ですか? 部室で本片手にネト麻を……」 「ちょうどよかった! 須賀君が用意してくれた大会の牌譜、部室のどこかにない? 咲が忘れてきちゃって……」 『えっ、マジですか!? ちょ、ちょっと待ってくださいね』 電話の向こうからバタバタと音がする。 そのタイミングで私は電話をスピーカーフォンに切り替え、2人にも会話が聞こえるように設定した。 それと同じタイミングで須賀君の慌てた声が電話から聞こえてきた。 『ありました! 入り口の脇に置いてありました!』 「あったのね?」 その声が聞こえてくると、咲はしょげ返りながらも少し安心した様子だった。 『すみません、部長たちが出発してから今日まで部室には顔を出してなかったから……』 「須賀君のせいじゃないわ……しかし、どうしましょう」 そこまで言うとまこが何かを閃いたように声をあげた。 「そうじゃ! 龍門渕の沢村が確かノートパソコンを持っておった。電子データを送って部室から送ってもらえば」 「その手があったわね。須賀君、その牌譜の電子データってある?」 『はい、PDF化したものがありますが……』 「よかった。じゃあ、メールアドレスを聞いてくるからちょっと待ってて。その電子データをこっちに……」 そこまで言ったところで須賀君が何か気まずそうな感じで私の話をさえぎった。 『部長、送るのはいいんですけど……プリンタとかプロジェクタって、そっちにあるんですか?』 「あっ」 私は思わず声を漏らす。 まこも気まずそうにその問いに対して答えた。 「……プリンタやプロジェクタはさすがに持ち込んではおらんかったな」 『やっぱり、そうですか。さすがにそっちの人数でノートパソコンの画面を見ながらってのは無理、ですよね』 「えぇ、20人は居るからね……」 そこまで言うと咲は今にも泣きだしそうな顔になった。 須賀君はそれが見えてないはずなのに、そうはさせないとばかりに声を出した。 『わかりました。俺が今からそっちまで牌譜を持って行きます』 「えっ?」 『わかってます。合宿所の中には入りません。合宿所の前まで行って、そこで受け渡しするぐらいだったら問題ないですよね?』 「そ、それなら、まぁ」 『場所は一応把握してますから、1時間ちょっとあればいけると思います。ちょっと待っててください』 須賀君がそこまで言うと、咲が携帯に向かって震えた声で言った。 「ごめんね、ごめんね京ちゃん。私のせいで。本当にごめんね」 そう言うと須賀君はいつものように明るい声で答えた。 いつもの笑みが、頭に思い浮かぶぐらいの。 『いーんだって、別にこれぐらい。めそめそすんなよ』 「でも……」 『お前だって俺が苦しいときに助けてくれただろ? お互い様だ』 「……うん。ありがとう、京ちゃん」 なぜかそのやり取りが、私の心に刺さった。 何かを言おうとするが、口が動かない。 『ついでに陣中見舞いも兼ねてなんか買ってくよ。なんか欲しいものがあったらメールで連絡くれ』 「本当にありがとう京ちゃん。また後でね」 「すまんのう京太郎。頼んだぞ」 「……よろしくね、須賀君」 私は2人に続いてそうやって言葉を返すのが精一杯だった。 『うぃっす。それじゃあ、また後で』 それを最後に、電話は切れた。 須賀君はそれから1時間半ほどしてやってきた。 合宿所の前では連絡を受けた清澄高校一同と、各学校から何事かと見物に来た物好き数名が合宿所の前で待ち構えていた。 須賀君は両手に大荷物を抱えながら、よたよたと坂道を登って合宿所の前に到着すると、荷物を下ろして息を切らせながら言った。 「す、すみません。遅くなりました」 「まったく、遅いじぇ!」 たどり着くなり一番に口を開いたのは優希だった。 口では憎まれ口を叩いているがどこか嬉しそうな表情だった。 「あのなぁ、優希。お前がメールで送ってきた欲しいものリストに書かれたものを揃えるのに持間がかかったんだよ!」 「そうか? いたって普通の食べ物やら飲み物やらのリストだったはずだじぇ?」 「微妙に指定が細かかったりよく分からないものが多いんだよ! なんだよ、プロ麻雀せんべいだのエビフライが食べたいだの……」 「いやー、各学校からそれぞれリクエストを聞いたらなんだかカオスなことになっちゃってなー。悪いな」 優希と須賀君のいつものやり取り。 遠巻きに見ている他校の生徒は届けに来るメンバーが男子だとは認識していなかったようで口々になにやら話している。 「おっと、本題。念のため確認したけどちゃんと揃ってたから安心しろ」 そう言いながら片手に持っていた紙袋を咲に差し出した。 それを受け取ると咲は壊れ物を扱うかのように大事に受け取り笑みを浮かべた。 「遠いところ本当にありがとう京ちゃん」 「お疲れ様です。ここは最寄から少し歩きますし、その荷物じゃ大変だったんじゃないですか?」 「全く。言ってくれれば迎えぐらい行ったぞ?」 私を除く清澄高校の4人に囲まれて須賀君は楽しそうに話している。 私はそれから少し離れたところでそれを見ていた。 須賀君を労わなければならないのに、足が動かない。 口元だけが軽く動くが、声が出ない。 「清澄って男子部員も居たんですね。知らなかったです」 そんな葛藤を抱えていると誰かから声をかけられた。 顔を向けるとそこには福路さんが立っていた。 若干言葉に詰まるものの、少し間を置いて頭を落ち着かせながら答えた。 「えぇ。彼は初心者で、たった一人の男子部員だから大会では目立った活躍してなかったし、知らなくても無理はないわ」 「そうなんですか。……ふふ、皆仲良さそう。うちは女子高だから新鮮です」 「確かに、男の子一人っていう環境なのにみんな仲良くやれてるわね」 「うちの子がいろいろ買い出しお願いしちゃったみたいだからお礼を言いたかったんですけど……今は邪魔できないですね」 見つめる先には楽しそうに話す5人の姿があった。 私もその姿を遠くから見ていた。 「……混ざらないんですか?」 少々の沈黙の後、福路さんがそんなことを聞いてくる。 「えっ?」 「あの男の子と話したそうな顔をしてましたよ? 喧嘩でもしているんですか?」 「喧嘩……ではないわ」 そう、私が勝手に彼と距離を取っているに過ぎない。 須賀君はずっと変わらないままで居るのに。 勝手に利用しようとして、勝手に落ち込んで、勝手に距離を取っているだけ。 私は自分の「おもちゃ」をどうすればいいのかわからず、それから目を逸らしているに過ぎないのだ。 「あの……」 そんなことを考え込んでいると福路さんが恐る恐ると言った感じて声をかけてきた。 「私でよければ、相談に乗りますよ?」 「えっ?」 「すごく、つらそうな顔をしてますよ。事情はよく分かりませんが、せめて話を聞くことぐらいはできます」 本当に心の底から心配するような顔を私に向けてきた。 確かに、誰かに吐き出したいという気持ちはあったが、誰にも言うことはできずこうして過ごしてきた。 だが、福路さんなら問題ないだろう。 学外の人間であり、かつ相談の内容を人に言いふらすようなタイプでもないだろう。 なにより、この世界で最も綺麗な物を集めて作ったようなこの子が、私のような人間の話を聞いてどう考えるのか、興味もあった。 ちらりと須賀君の方向を見ると他校の人も交えていろいろ話をしていた。 どうやら須賀君は固辞しているがお茶ぐらい飲んで行くように誘われているようだった。 何か、後ろ髪を引かれるものがあったが私と福路さんはその場から離れた。 「そんな、ことが……」 合宿所の中の一室で私と福治さんは向かい合って話をした。 一通り、これまでのことを話したら言葉を詰まらせていた。 須賀君を「おもちゃ」として見ていたこと 彼を利用しようとしていたこと でも彼は私に憧れてくれたこと その真っ直ぐさに耐えられなくなたこと 自分の醜さに耐えられなくなったこと これから彼にどう接せばいいのかわからなくなったこと 多少オブラートに包んだところもあったが、一通り話した。 「どう、幻滅した? 私ってこういう人間なの。嫌な女なの」 「……いえ、そんなこと、ないです」 見るからにショックといった面持ちだが福路さんは首を振っていた。 しばらく、沈黙が流れた。 福路さん何を言えばいいのか迷っているようだったが、何か意を決したように私に向き合って言った。 「あの子……えっと、須賀君のこと、好きなんですか?」 いきなりそう切り出されたが、不思議と動揺はなかった。 自分自身、そのことについてはここ最近よく考えていた。 だが、どれだけ考えても、結論は出なった。 「……正直、わからないの。今まで意図してそういう目で見ないようにしてたから」 そう、自分の「おもちゃ」としてみていた。 だから「おもちゃ」として好きか嫌いかとしか考えていなかった。 だから、わからない。 私が須賀君を須賀君として見た時、どう思っているのかがわからなかった。 「そう、ですか」 「でも……」 私はぽつりと、反射的に呟いた。 喜怒哀楽がはっきりしていて 子供っぽいところもあって エッチなところもあって そこまで物覚えがいい方でもないし そこまでカッコいいわけでもない だけど ひたむきで まっすぐで 努力家で 人のために力を尽くせて 私のことを、想ってくれる だから 「きっと、嫌いじゃない……とは、思う」 そんな私の呟きを聞いた福路さんは何か嬉しそうに笑った。 パチン、と手を叩いてまるで夕食のメニューを提案するかのように優しげに言った。 「じゃあ、きっと大丈夫です」 「えっ?」 「やり直しましょう、もう一度」 「やり、直す……?」 私は福路さんの言っていることが理解できなくて思わずそのまま言葉を返した。 「はい。その、「おもちゃ」とかじゃなくて。今度は先輩として、後輩としての彼に向き合えばいいんです」 「そ、そんな。今更そんな、都合のいいこと……」 想わぬ提案に思わず動揺した声を漏らすが、福路さんは首を横に振って続けた。 「えぇ。なら、彼が尽くして、想ってくれた分を今度は彼に尽くして、想ってあげましょう」 「私……が、須賀君に?」 「はい。彼が一人前の麻雀打ちになれるように、彼が楽しい学校生活を送れるように、 彼が卒業するときに笑って楽しい高校生活だったって言えるように」 その言葉を聞いて ――昔の話する部長、つらそうで、悲しそうでしたから―― ――部長には、報われて欲しかったんです―― 彼の言葉が、脳裏によみがえった。 「確かにそういうことって、足し算引き算で考えられるものじゃあないのかもしれません。 けど、それでも、お互いに思いあうって、素晴らしいことだと思います」 「でも、もう、取り返しのつかないことが……」 私は彼の好意を利用してろくに麻雀も打たせず、彼に勝てた勝負をドブに捨てさせることをしてしまった。 自分で選んだことだと言い訳することもできたが、ほんの少し、もうほんの少し目を向けてあげれば、止められたことなのだ。 そんな私の心の声を強く否定するように福路さんは続けた。 「まだ、大丈夫です。まだ、取り戻せます。まだ終わりじゃありません! まだ、先はあります!」 なぜか、相談に乗っている福路さんの眼に涙が浮かんでいた。 「そうです、絶対に取り戻せるはずです。これからもう一度彼と向き合えば……きっと」 思う、で結んでいるくせに反論を許さないような強い言い方だった。 私はため息を吐きながら目の前の福路さんを見た。 「できる、かしら。私に?」 「できます。きっと……きっとできますから……」 目じりに浮かんだ涙をぬぐって福路さんは真剣な顔で、言った。 「これからは「おもちゃ」とかじゃなくて須賀君として、彼のことを考えてあげてみてください。 きっと、見えてくるものがあります。きっと、取り戻せますから、絶対に……」 後半は感情が高まりすぎて取り留めもなくなってきた。 だが、言いたいことは痛いほど伝わった。 「よく、わかったわ。ありがとう、福路さん」 「いえ、ごめんなさい。大した力になれなくて……」 福路さんはそう言ってポケットからハンカチを取り出して目元を抑える。 あぁ、これは、慕われるわけだな。 私は目の前の風越キャプテンを見ながら、そんなことを想った。 「そんなことないわ。ありがとう……ついでに、もう1つ相談に乗ってほしいことがあるんだけど」 「……なんですか?」 思いがけない話だったせいか、若干きょとんとしながらも福路さんは佇まいを直した。 私は苦笑しながら、尋ねた。 「初心者の育成について。うちのメンバー、経験者ばっかりだから育成経験がある人が少なくて」 そう、これからの私に必要なこと。 相談するにはうってつけの人間が目の前にいた。 「大所帯の風越をまとめるキャプテンさんに是非アドバイス、頂けるかしら?」 「は、はい! 私でよければ!」 私の言葉の裏に気が付いたのだろう。本当にうれしそうに福路さんは笑った。 それからしばし、私たちは育成について話し込むことになった。 彼が私にしてくれたことを 私が彼にしてあげる 単純な話だけど、できるだろうか? 人を動かすことに快感を覚えるような人間にできるだろうか? 散々彼を利用してきた私に、できるだろうか? 不安はある。 それでも 都合がいいと思われるかもしれない 今更と思われるかもしれない 神様がいるとしたら間違いなく天罰が下るだろうけど もう一度、やり直してみたい 普通の先輩後輩として、もう一度 だから、私ができることをしてみよう 彼だって手さぐりで私にできることをしてくれたのだ やってみせる 私が彼に、できることを、頑張ってみよう 彼の好意や憧れに対して、胸を張って誇れるように。 最近、私こと竹井久の生活はとても充実している。 インターハイで全国まで進み、いい成績が残せたこともある。 強豪の大学からいい条件でお誘いを受けたこともある。 プロチームのスカウトから声をかけられたこともある。 そして何より 「うっ、く、くっ……ぷっ」 「……笑いたきゃ笑ってもいいんですよ」 「わ、笑ってなんていないわ。ちょっと、さ、寒くて」 「今日はこの夏最高の暑さだそうですけど?」 「そ、そう? あ、あれよ。ちょっと冷房が……き、効きすぎ」 「……お帰りなさいませ、お嬢様」 「ぷっ、あはははははははははは!」 須賀君のために力を尽くしているこの現状が、とても楽しい。 彼のために力を尽くして、今まで知りえなかった一面が見えてくるのが、とても楽しかった。 ……この状況じゃあ、あまり信じてもらえないだろうけど。 私は悪くない。 執事服を着込んだ、本人なりにキリッとした顔をしたであろう須賀君が悪い。 まだまだ貫禄やら渋さやらそう言ったものとは程遠い須賀君がそんな格好をしているのが悪い。 どうしても服に着られている感がある須賀君がそんなことを言うから悪い。 そう、私は悪くない。 インターハイが終わり、後始末もようやく片付いて夏休みも残り少なくなった。 私はその残り少ない夏休みを須賀君をまこの店に武者修行へ出すことに決めた。 須賀君が着ている執事服は、まこがこれが店の制服だと持ってきたものだった。 そのまこは電話のためちょっと席をはずしているが、私はどうしても我慢できずに須賀君に着てみるように言って、この状態である。 「やっぱ染谷先輩に言ってこの格好はやめてもらいます……」 須賀君はため息をついてげんなりとした顔をしている。 「えー、いいじゃない。似合ってるわよ」 「散々笑った後でそれじゃあ全然説得力ないですよ」 「あら、そう? でも、ほんといいと思うわよ。なんていうかこう、背伸びしている感じが出てて。おば様方に人気が出そうな感じ」 「そんな風に褒められても嬉しくないです。あーあ、ハギヨシさんはあんなにかっこよく着こなすのになぁ」 須賀君は首もとに指を差し込み少し窮屈そうに首を振った。 「ふふっ。まこからいろいろ話は聞けた?」 「あ、はい。メンバーの仕事とかマナーの話とか、後は接客についてとか……」 「よろしい。明日からだっけ? とにかく、打って打って打ちまくってきなさい」 「正直、結構不安なんですけど……」 「大丈夫。もちろん強い人も居るけど弱い人も居るのが町の雀荘よ。須賀君が一方的にやられるってことはそうそうないわ」 「そう、ですか?」 先ほどから自信なさげな言葉を繰り返す須賀君がその格好とのミスマッチさもあって思わず笑いがこみ上げてくる。 さすがにここで笑っちゃうのはかわいそうなので必死に堪える。 「やっぱ、インターハイを見続けてきたから須賀君の感覚麻痺しちゃってるわねぇ……」 「えっ?」 須賀君が私の言っていることがよく分からないとばかりにきょとんとした顔をする。 そんな須賀君を見て私は思わず苦笑しながら続けた。 「やっぱりよく分かってなかったわね……。一度、自分がどの程度の実力なのかをいろんな人と打って確かめてみるといいわ」 須賀君を別の環境で打たせてみる。 これは福路さんと相談した中で考えたことであった。 『ごめんなさい。正直、いまの清澄の環境はあまりにも初心者には辛すぎると思います』 『うちの部にも初心者の子は入ってきますけど、初心者が1人だけってことはまずないですから。 そういう子達はお互いを励ましあいながら頑張っています』 『でも清澄のように初心者の男の子1人を除いて残りの女子が全員が全国レベルじゃ、同じ学年でもあまりに違いすぎて……』 『これから麻雀を本格的にやるにつれて須賀君はレベル差を感じて苦しむと思います』 『でも、多分それはどうしようもないことで……』 『他にもこれから先にどうしようもない部分って、出てきちゃうと思うんです』 『私たちの部にも、初心者で入ってきたけど、ついていけなくてやめちゃう子は居ましたから』 『本当に、本当に悲しいことですけど』 『だからせめて、須賀君がなるべく嫌な思いをせずに済む環境を作ってあげましょう』 福路さんの言葉が蘇る。 さすが大所帯をまとめるキャプテンとあって、私が目を逸らしていたことをズバズバと指摘してきた。 私はそれを聞いて今更ながらもう少し勧誘活動を頑張るべきだったと後悔し、 出来るメンバーが5人集まって満足してしまったことを自分を責めた。 ともかく、彼はまだまだ対局経験が足りない。 座学は自分なりにちゃんと勉強して、ネト麻はそこそここなしているようだった。 だけど、やはり卓について実際に打つ際にそれらが生かせなければ意味がない。 かといって私たちとただ闇雲に対局しても、須賀君が潰れてしまうかもしれない。 そう考えた上での結論だった。 残りの夏休みは元々活動日にはしておらず、他の部員は休みだ。 その間、須賀君には麻雀を楽しんでもらおう。 「戻ったぞー。っと、もう着とるとはやる気満々じゃな」 携帯を片手に部室に入ってきたまこはにやにやとした顔で須賀君を茶化した。 「染谷先輩……この格好何とかなりませんか? びっくりするほど似合わないと思うんですけど」 「何を言う。うちは女子の制服はメイドときまっとる。ならば男子は執事服になるのは当たり前じゃろう?」 「マジですか……。しかしこれ、結構窮屈で落ち着かないんですけど」 須賀君は首もとの蝶ネクタイを指でいじりながらなにやら落ちつかなそうに体をもぞもぞと動かした。 「以前のバイトのお古だがサイズはあっとるじゃろ? なぁに、すぐに慣れる」 須賀君はまだ何か言いたげだったけど、そうはさせぬとばかりに私はまこに向き直って話題を切り替えた。 「そう言えば、須賀君のシフトは決まったの?」 「あぁ。なるべく多めに入れるように調整したぞ」 まこはポケットからメモ帳を取り出して私と須賀君に見せる。 須賀君はそれをしばらく見つめていたが納得したように大きく頷いた。 「はい、この日程なら問題ないです。お願いしたどうしても駄目な日はちゃんと外してもらえましたし」 「そうか。じゃあ、早速明日からじゃな。遅刻せんようにな」 まこの言葉に返事をする須賀君を見ながら、私は何とか話がまとまったことに安堵の息を漏らした。 急な私の申し出だったが、まこは私の案に賛成してくれたようで何とか都合をつけてくれた。 須賀君も雀荘に興味がなかったわけではなく、実際に打てるということもあり結構乗り気なようなのが助かった。 執事服というのは、想定外だったようだけど。 「須賀君、私が思うに今あなたに一番足りないものは実戦経験よ。 実際に牌を握って打って、そのうえで課題や足りないものが分かってくると思うわ」 そこまで言って私は須賀君の前に立ち肩を軽く叩いた。 「だから、頑張ってね。私もちょくちょく様子は見に行くから」 「……はい、ありがとうございます」 どこか嬉しそうにお礼を言う須賀君を見て私は不思議な充足感に包まれた。 須賀君からの感謝の言葉に胸を張って応えられるというこの、とても心地よかった。 そんなことを考えながら、私はまこと話している須賀君を伺いながら携帯を操作してメールを打ち、カメラを起動して須賀君に向けた。 「須賀くーん?」 「はい?」 こちらを向いたタイミングで即座にシャッターを押す。 とっさに撮った割にはきれいに撮れた。 すぐに保存して、1年生3人娘に一斉送信する。 「どわっ、何撮ってるんですか! 消してください!」 「ざーんねん、もうみんなに送っちゃったっ」 「……他のメンバーには黙ってようと思ったのに」 やっぱりからかうのだけはやめられない。 私は頭を抱えた須賀君を見ながらそんなことを思った そうこうしていると携帯が震えてメールの着信を告げた。 「あっ、早速優希から返事が来たわよ。えっと、須賀君が合同合宿で知り合いになった人たちにも送信しておいた、だって」 「優希ぃぃぃぃぃ!」 須賀君はふらつく足取りで制服に着替えに出て行った。 携帯に続々届く写真へのレスポンスメールを見ながらニヤニヤしているとまこがどこか不思議口を開いた。 「最近、楽しそうじゃな」 「そう?」 「あぁ、一時は時折ボーっとすることも多かったから心配しとったんじゃが、もうそんなこともなさそうじゃな」 「うーん、そうね。まぁ、充実はしている、かな」 「不思議な話じゃのう。インターハイ終わって気が抜けてもおかしくないのに充実しとるとは」 もっともな話だ。 高校に入ってからそれだけのためにと言っていいぐらい力を尽くしてきたことが終わったのだ。 大なり小なり、気が抜けてもおかしくなさそうなものだが不思議とそういうことはない。 むしろ新人戦に向けて須賀君をどうするかと言うことに頭を悩ませる日々だ。 「そうね、まだ仕事が残ってるから。大きな大きな仕事が」 ちらり、と須賀君が出て行った扉に目線をやる。 まこは大体を察していたようで腕を組みながら難しい顔をした。 「なにもあんただけが背負うことはあるまい。わしだって京太郎の先輩じゃぞ?」 「わかってる。それでも部長として、あの子に殆ど教えてあげることが出来なかったことに」 そして、彼を利用していたことに 「責任を、取りたいの。だからせめて、11月の新人戦までは私に任せてもらえるかしら?」 「……あんたも受験やら何やらで忙しいじゃろ? 大丈夫なんか?」 「大丈夫よ、ちゃんと自分なりにやっているから」 まぁ、そもそも受験するか分からないけど、と言葉を付け足すとまこは腕を組んだままなにやら考え込んだ。 まこも大概世話焼きな性格だ。ほぼ渡し一人に任せているという状況が腑に落ちないんだろう。 将来はいいお嫁さんになるだろうな、と正直あまり関係ないことを思った。 「お願い。卒業する前に、須賀君にも何かを残していきたいの」 「……わかった。とりあえず新人戦まで京太郎の教育はあんたに一任しよう。ただ、くれぐれも」 「わかってるわ。無理はしないし、助けて欲しいことがあったら必ず言うから」 そこまで言って、まこはようやく納得したようだ。不承不承と言った感じだけど。 「しかし、そこまで京太郎のことを考えておったとはな」 「あら、意外?」 「……正直、全国で勝つこと以外は眼中にないと思っておった」 鋭い。 と言うより真実なのだが。 いや、ここは真実「だった」と言いたいところ。 「まぁ、否定しないわ。つい最近まで、そう思っていた。だけど」 後悔の念が胸に刺さるが振り払う。 悩んでいる時間は、ない。 「部のために……自惚れが強いかもしれないけど、私のために力を尽くしてくれた分、私が彼に何かをしてあげたいって思ってね」 それを言うと何が面白いのか、口元に笑みを浮かべた。 「確かに京太郎の働きぶりはまるで忠犬じゃったな。あんたに褒められる時なぞ尻尾があったら千切れんばかりに振っておったぞ」 まこにそう言われて褒められているときの須賀君の姿を思い出してみる。 ……確かに、そんな感じだった。 「しかし、それだけか?」 「えっ?」 「京太郎のために頑張ろうと思うのは、感謝とか責任とか、本当にそういうものだけか?」 からかうような言い方に私の心はざわめいた。 言いたいことは、なんとなくわかる。 「……ないわよ、そんなこと。私と彼は、ただの先輩後輩で、そういうのじゃないから」 「そうかのう?」 「そうよ。そうに決まってるじゃない」 そのことについては自分でもまだよくわからなかった。 嫌いではないと思う。人間として好ましい。 いい子だ。欠点もあるけど美点もたくさん。 でも、私は彼を「おもちゃ」として扱って、それを言いように利用していた人間だ。 そんな彼と私が、恋人として付き合う。 そんなことありえるのだろうか? わからない。 そこに行き着こうとすると思考にブレーキがかかり、先に進まない。 だから、わからない。 「……なんともまぁ。もうちょっと器用な人間じゃと思っとったが」 「何よ」 私の返答を聞いて、私の顔を見つめていたまこはなぜか呆れ顔だった。 ため息をひとつついてやれやれと首を振っている。 その仕草が若干憎たらしい。 「久、おんしは麻雀では悪形待ちが得意じゃな?」 「えぇ、そうね」 何をいまさらと言った感じだが素直に返答を返す。 「何も生き方までそんな悪く狭く窮屈に、ひねくれる必要があるんか? もうちっと視野を広く、素直に生きてみてもええじゃろ?」 「えっ?」 言っていることが、よく理解できない。 そんな私を無視してまこは続けた。 「どうも、ひとつの意識にとらわれすぎてる感があるのう。一度、感謝とか責任とか、そう言う物を捨ててゆっくり考えてみるとええ」 そこまで言うとまこはカバンを手に立ち上がった。 「わしはこれから店の手伝いで戻らねばならん。先に失礼させてもらう」 まこは扉を開けて、外に出る直前に私に手を振りながらにやりと笑った。 「じゃあ、京太郎によろしくな。ひねくれ者」 「戻りましたーってあれ? 染谷先輩は?」 まこが出て行って5分ほどしてから須賀君は執事服を片手に戻ってきた。 「えっ? ……あぁ、お店の手伝いがあるから先に帰ったわよ」 私はまこが出て行ってから椅子に座り込んでボーっとしており、須賀君に話しかけられたときとっさに反応できなかった。 気恥ずかしさから私は話題を変えた。 「ところで、ずいぶん着替えるのに時間がかかったわね?」 「あぁ、咲から電話がかかってきてまして。執事服についていろいろ聞かれましたよ」 「あぁ、なるほどねぇ」 須賀君は私の返事を聞きながら荷物を置き、カバンの中から牌譜を取り出した。 「言われたとおり、ここ最近で大きなラスを引いたときの牌譜を持ってきました」 「ありがとう。じゃあ、ちょっと確認させてもらうからこのテストをやりながら待ってて」 私は須賀君から渡された牌譜に視線をやりつつ、あらかじめ用意しておいた何切るや状況判断の問題が記載されたテストを差し出した。 「……あれ? このテストってもしかして、部長が作ってくれたんですか?」 受け取ったテストを見て須賀君は驚きの声を漏らした。 まぁ、例題に出てくる人間が咲や和じゃ気づかないわけがないのだが。 「えぇ、一応須賀君のレベルを考えて作ったつもりだけど?」 「……すみません」 須賀君はテストを持ったまま頭を下げた。 「これから受験だ何だって忙しいのに、俺のためにこんなに時間割いてもらって」 暗い顔をする須賀君を見て私は慌てて口を開いた。 「大丈夫よ。進路にことについてもちゃんとやってるわ。そっちも疎かにしてないから」 「でも、全国大会終わってからずっとこんな感じじゃないですか? いろいろ教えてもらえるのはすごい嬉しいんですけど」 須賀君は顔を伏せて、消え入りそうな声で続けた。 「その、部長の負担になってるんじゃないかって……」 何故だろう。 彼が遠慮して、申し訳なく感じているのが 私の負担になっているのかと心配する姿が そんなことないのに、そういう風に思われるのが、悲しい。 私がしたくて、そうしたくしているのに、そういう風に思われて、悲しい。 私が須賀君の立場だったとき、私は彼の負担だとかそんなこと一切考えなかったのに。 彼は、私のことを考えてくれる。 言いようのない感情に、手が震え、叫びだしそうな気分だった それでも、手を握り締め、叫びだしそうな声を飲み込み、私は口を開いた。 「負担じゃないわ。これは、私がしたくてしてることなの」 そう、これはあの時彼が私のかけてくれた言葉。 「須賀君が私の勝利を願ってくれたように、私も須賀君が今度の新人戦で勝ってくれる事を願ってる」 何故ここまで頑張れるのか、と聞いたときに須賀君が言ってくれた言葉。 「だから、私もできる限りのことはしてあげたいの」 それを、私が須賀君に言う日が来るとは当時の自分では思いもしなかっただろう。 「で、でも」 なかなかに強情な子だ。 そんな性格だから、私のような人間に付け込まれるのだろう。 くすり、と微笑む。そして彼の言葉をいつかの彼の言葉でさえぎった。 「それでも申し訳ないと思うんだったら、新人戦で勝ってちょうだい。そうすれば、私も報われるわ」 あのときの須賀君の気持ちがようやく分かった。 どういう気持ちであの言葉を言っていたのか、ようやく分かった。 あまりにも遅すぎたのかもしれないけど、須賀君ともう一度向き合い直して。 相手のことを想って、自分なりに考えて、ようやく、気付けたのだ。 須賀君の目が潤んでいることに気づく。 私だって涙を流したい気分だったけどちょっとした見栄で、それを堪えた。 須賀君は目じりを押さえ、しばらく上を向いた後、真剣な瞳で私を見た。 悔しいけど、その目には少し、ほんの少しだけ……ドキリとした。 「俺、頑張ります。絶対、絶対勝ってみませます。頑張ります、ほんと、頑張ります!」 「うん、よろしい。では手始めにそのテスト、頑張って解きなさい」 「はい!」 須賀君は元気に返事をすると真剣な表情でテストを解き始めた。 私はそれを見て満足感を覚えながら須賀君のネト麻での牌譜をチェックする。 一通りチェックしてみるが、かなり落手も減ってきていた。 須賀君の教育でインターハイが終わってからすぐに取り組んだのがこの牌譜チェックだ。 これであればインターハイ後のドタバタの合間でも出来るし、どうしても孤独感に陥るネト麻にも多少の張り合いが出るだろう。 そう考えて続けてきているが、インターハイ中でもホテルで1人頑張っていたのだろう。 以前よりずいぶんと立派な打ち筋になっている。 うん、やっぱりここまで打てるんだったら雀荘でもそうそう負けないと太鼓判を押せる。 そんなことを考えつつ牌譜にコメントを書き入れながら、テストに頭を悩ませる須賀君を見た。 ――感謝とか責任とか、取り巻くその辺を捨てて―― ふと、まこの言葉がなんとなく思い出された。 言うとおりにするのも癪だが少し考えてみる。 私はこの目の前の男の子をどう考えているのだろうか。 ……いい子だとは思う。うん、いい子だ。 それは間違いない。 後輩として大好き。 それも間違いない。 じゃあ男の子としては? そもそも私のタイプとはどんな人だろう? 漠然と芸能人で誰それがかっこいいなどと話すことはあるけど、好みのタイプと言われるとぴんとこない。 なんとなく、須賀君が恋人になっているところを想像してみる。 …… 顔が熱くなってきた。気恥ずかしさに逃げ出したくなる。 まこめ。 へんなことを私に考えさせ、動揺させてどうするつもりだ。 大体、須賀君は私のことをどう思っているのだろうか。 ずいぶんと私になついているのはわかる。 少なくとも嫌われては居ないだろう。 ただ、具体的にはどう見られているのだろう? 先輩として? 女性として? ……もし、女性としてだったら、どうなのだろうか? 部のために頑張ってくれたのも、私を好きだったから。 どんな労力もいとわずに働いてくれたのも、私が好きだったから。 私の打ち方を真似したのも、私が好きだったから。 全部全部、私が好きだったから。 そういうことに、なる。 もし、もしそうだったとしたら もし、須賀君に好きと言われたら私はどう答えればいいんだろう? そんな状況を想像してみる。 …… さらに顔が熱くなった気がする。 これはまこの陰謀だろうか。 おのれまこ。この前卵焼きをとった事に対する恨みだろうか。 そうだったとしたらまこはなかなかの策士だ。やってくれる。 「部長?」 どこか遠いところへ旅立っていた思考が須賀君の一言で引きずり戻された。 「あー、えっと、何?」 「いや、テスト出来ましたけど……」 きょとんとした顔で私にテスト用紙を差し出してくる。 その何も知らないお気楽そうな顔に私は内心腹を立てた。 まったく、私の気も知らないで。 「な、なんでもないわ。じゃ、答え合わせしましょっか」 とにかくまた後で考えよう。今は須賀君の教育だ。 私は先ほどまで考えたことを心の隅に追いやり、気持ちを切り替えた。 このことはゆっくり考えればいいのだ。 まこだってそう言っていた。 ただまこに言われてちょっと考えて、妙にリアルな想像になったから照れているだけなのだ。 たまたま、たまたまなのだ。 生来のひねくれもの気質から、私はそんなことを考えていた。 ――それでも、後から思えばその日確かに私の心に「種」が植えられたのだと思う。 「須賀くーん、遊びに来たわよー。執事服も大分様になってきたわねー」 「勘弁してくださいよ……。昨日は咲と和が遊びに来て、さんざんからかわれたんですから」 ――その「種」は毎日少しずつ成長していった。 「新学期以降もバイトを続けたい?」 「はい、土日だけでもやろうかと思いまして。常連さんに大分気に入ってもらえましたし、結構楽しいんですよ」 「なるほど、じゃあ須賀君の執事服はまだまだ見られるってことね」 「……変えるように頼んでるんですけどね」 ――「種」から芽が出て、根を張ってくると私は「それ」を自覚し始めてきた。 「だー! 改めて咲の引きは何なんだ! 全然勝てねぇ!」 「まぁあの子は規格外だから。いまは難しいかもしれないけど、須賀君もきっとなにか武器が見につけられるようになると思うわよ」 「そうですかねぇ……」 「えぇ、そうすればきっと、勝負になるわ」 ――最初は戸惑った。目を逸らしたりもした。 「須賀くーん、眠そうね」 「す、すいません。常連さんとセット麻雀で朝まで打ってたものですから……」 「あらら。あんまり無理はしないようにね。コーヒーでも淹れてあげるわ」 「ありがとうございます。打った人の中にはインターハイ経験者とかも居て結構勉強になるんですよ」 「へぇ……」 ――でも、意外と「それ」は悪くないように思えてきた。 「須賀君、そんな大げさなものじゃないけど他校の人たちが集まって打とうって言う機会があるんだけど、須賀君も来ない?」 「いいんですか? 是非!」 「そう? えっとね、日程はここと、ここと……」 「あぁ、この日はどうしても外せないんですけどこっちの日なら……」 ――前以上に彼が喜んでいると私も嬉しい。彼が笑っていると私も笑みがこぼれる。 「須賀君は仕掛けに対する意識がまだ甘いわねぇ」 「やっぱ、ネットみたいに進行が止まらない分どうしても……」 「バイト中ももう少し鳴きを意識してみなさい。親の第1打から勝負は始まってるのよ」 「はい、やってみます」 ――「種」から芽がでて花を咲かせると、私ははっきりと「それ」を意識した。 「メンタンピンツモドラ1! 裏はっ……乗らねぇ。2,000-4,000でラスト……」 「あ、危なかったじぇ」 「うむ、乗ったら逆転じゃったからな」 「でも2位には上がりましたね。まくられてしまいました」 「惜しかったけど、すごいよ京ちゃん。後ろで見てたけどすごく上手くなってた!」 「おっ、そうか? まぁ、なんたってコーチが優秀だからな」 ――私は 「竹井先輩! どうでしたか!?」 ――須賀君に 「うん、100点満点よ。よく打てました」 ――恋をしている 「……来ちゃったわね。我ながら、なんというか」 新人戦前日。 私にはほとんど関係ない行事なのに酷く落ち着かなかった。 3人娘には特に心配していないがここ最近面倒を見続けていた須賀君についてはどこまでいけるのか未知数だった。 居てもたってもいられず、以前須賀君が言っていた言葉を思い出し、 「人のこと言えないわね、まったく」 こうやって諏訪大社まで必勝祈願にやってきた。 「いつ振りに来るかしら?」 日本でも有数の神社仏閣にあたるとは思うのだが、地元の人間がそれほど立ち寄るかと言われるとそういうわけでもない。 やはり多少なりと距離もあるし、移動もなかなかに大変だ。 だが、須賀君がお参りに来てくれたおかげ、とまでは言わないが、結果として優秀な成績を残した。 だったら担げるゲンは担いでいこうと思い立った。 まったく、晴れの舞台のために人知れず神頼みとはこんなに健気な人間だっただろうか。 自分に呆れながらも神前に立ち、財布から500円玉を取出し、賽銭箱に入れた。 私的には結構奮発したのだからぜひともご利益が欲しいところである。 頭を下げ、柏手を打ち、もう一度頭を下げる。 (うちの1年生が新人戦に勝てますように) (特に須賀君は初心者ながらに一生懸命頑張ったので勝たせてあげてください) 強く念じて、目を開けた。 これを建御名方様が叶えてくれるかどうかはわからないが、少し気持ちが軽くなった。 苦しい時の神頼みとはよく言ったものだと感心する。 「さて、用事が終わっちゃったんだけど」 ひとり呟く。 流石にここまで来て即とんぼ返りというのも馬鹿馬鹿しいのでふらふらと境内を歩き回った。 休日なので当然人でもそこそこあるが、私みたいな女子高生1人というのはいなかった。 ちょっとした寂しくなる。まこでも誘えばよかったか、とちょっと後悔した。 そんなことを思いながら特に目的もなく歩いていると何となく目についたものがあった。 「すごい量ねぇ……」 それは大量に結えられた絵馬だった。 私はこういうものを書いたことはないが何となく気になった。 結えられた絵馬のいくつかを手に取って見てみる。 子供が描いたであろうほほえましいもの 意外と重い内容で思わず目を逸らしたもの はいはいバカップルバカップルと言いたくなるようなもの いろいろな絵馬があった。 いろんな願いがあった。 それを見て私も書いていこうか、と思った時だった。 私はその絵馬を手に取った時動きが止まった。 私は重ね重ね悪運がいいようだ。 この境内地が4箇所あるこの諏訪大社の中にある大量の絵馬の中からそれを見つけてしまった。 最初は、自分の目を疑った。だけど、それはどうしようもなく見覚えのある字だった。 ここ最近、よく見ている字で、よく見る名前だから間違えようがなかった。 『目指せ、公式戦1勝! 須賀京太郎』 同姓同名の別人じゃない。どう見ても須賀君の字だった。 それだけならいい。 だが、女性らしい丸文字で一緒に書かれているものが、私の心を酷く揺さぶった。 『京ちゃんが今度の新人戦で勝てますように。あと、ずっと仲良くいられますように。 宮永咲』 絵馬に書かれた日付を見る。つい最近だ。 ――あぁ、この日はどうしても外せないんですけど―― 彼が、そう言っていたその日だ。 休日に2人でここまで来たのだ。 そして一緒の絵馬に願い事をしたのだ。 頭が、痛い。 手が、震える。 「違う……」 心の中の葛藤を否定するように私はそれを口に出していた。 「ほら、須賀君と咲は長い付き合いだから、いっしょに、たまたま、いっしょ、に、来た、だ……け」 だが、それも弱弱しく消えていく。 嘘だ 嘘だ、こんな 須賀君がもう、誰かのものだなんて そんなこと 「嘘……」 そう、嘘だ そんなこと、ない。 ないんだ。 たまたま 本人から、聞いたわけじゃない。 嘘 嘘だと 嘘だと、言ってほしい 私はひどく震える体を引きずるように、その場を離れた。 それから家に帰るまでの記憶が殆どない。 気が付けば自分の部屋で携帯を前にして、震えていた。 須賀君に、聞きたい。 本当の話を、聞きたい。 そう思うのに、携帯に手が伸ばせなかった。 何度も手を伸ばそうと思ったのに、それができなかった。 結局私は、ほとんど眠れないまま新人戦を迎えた。
https://w.atwiki.jp/sinnerei/pages/565.html
【作品名】劇画・オバQ 【ジャンル】藤子・F・不二夫のSF短編漫画 【名前】Q太郎 【属性】十五年ぶりのQちゃん 【年齢】15歳 【長所】オバケの一生は五百年らしい 【短所】「正ちゃんはもう子どもじゃないってことだな…………な……」と言い残して黙って去る 【備考】『オバケのQ太郎』本編で誕生しているので、それから十五年ぶりという台詞があるので15歳 vol.4
https://w.atwiki.jp/toragaku2/pages/47.html
IDdata Name 蔡麻 勇太郎(さいま ゆうたろう) Alias 【ナイトメアNoⅦ(悪夢七号)】 Class インダストリアリスト&サイキッカー Rank ロード&ロード++ Money 479,430,884,300W¢ Point 3216774899pt Ranking 13/6473226 OOPARTS Link クレイドルオブフィルス(汚物共の揺り籠)所属 Age 15 学年 五十年度入学 予科程三年修了 本科三年目 職業 クレイドルオブフィルスの皇帝 人種 日系米人 所在地 アンダーヤード カイザーストリート 連帯保証人 ハル・エバー PROFILE ABILITY ヒュプノシス(催眠)系最高峰の力として、三段階の能力を持つ。 一つは、最大で七分間に七通りの悪夢を体感させる能力である。 条件として、相手の額に自身の額を付けて、思念波を送らなければならない。 悪夢の内容は、ランダムに選出されるが、勇太郎自身が弄ることも可能である。 ただし、その場合は、肉体から意識を切り離さなくてはならないため、現実的には無防備を晒すことになる。 【ラディカルドリーマー(過激な夢追人)】 唯一能力名を持つ勇太郎の夢奥義である。 自身が見せている他者の夢を弄るだけでなく、その夢に対して勇太郎がダイブする行為こそが、【ラディカルドリーマー】状態であり、過激な夢追い人とは、そのままダイブ状態の勇太郎を表す言葉でもある。 勇太郎が形成した能力世界の夢の中では、彼こそが無敵と考えられているが、実際にはそうではない。 問題は精神力なのだ。夢世界では、自身の力を信じ、空想を形にできる精神力を有した者が勝つ。そこには、現実世界での戦力差は関係がない。 現実で苦戦する場合は、夢に引きずり込み倒すという戦法を好む。精神力が勝敗を決する世界に、わざわざ引きずり込むということは、それだけ勇太郎の精神力が強靱であることを裏付けている。 普段はこれら二つの能力を用いることなく、夢世界の構築やダイブなどはせず、現在の状況を踏襲した覚醒夢を見せることが多い。 覚醒夢状態では、能力を掛けられた対象者自身が、夢と現実を区別することが出来ず、勇太郎の後ろを取った筈なのに、なぜか勇太郎に後ろを取られていた。勇太郎の右ストレートを受け止めた筈なのに、なぜか左フックを喰らっていたなどの怪現象が起こる。 これは、勇太郎の後ろを取ったというのと、右ストレートを受け止めたという状況こそが、勇太郎が対象者に見せた覚醒夢であり、この覚醒夢を受けて身体が停止した刹那を利用して、勇太郎が逆に後ろを取ったり、攻撃に転じたりしているのだ。 この能力で見せる夢は、半分覚醒していることもあって、現実と大差ないほどのリアルを内包しており、現実と夢を区別することは容易ではない。 覚醒夢は、対象者の精神防壁しだいで効果が発揮されなかったりするなど脆弱な面もあるが、その分発動が容易く、視線を合わせただけで行使することができる。 ただし、一回の覚醒夢につき、必ず一度視線を合わせる必要がある。 三種の能力の精神力消費は、すべて微量であるが、肝心なのは量よりも、むしろ精神の強靱さである。
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/4319.html
京太郎(拝啓蝉の泣き声が大人しくなった晩夏の季節お父さんの方は如何お過ごしでしょうか? こちらは今俺の目の前で二人の女性が激しい口論が繰り広げられております) ゆみ「須賀は聡明な女の子の方が好みに違いない」 ゆみ「いっつも私に麻雀を教わりにくるんだしな」 哩「ハッなんば言うちょるか思たらそげなこと」 哩「こっちはもうお互いタメ口をきく仲とよ?」 哩「そっちはいつまでも敬語っちゃもんね~?」 ゆみ「ふん、それはそっちが2浪して同じ学年になったからだろ?」イラ 哩「あぁん?確かに2浪ばしたばってん、最初はバイトでのれっきとした先輩後輩で始まってからのタメ口けんそんじょそこらのタメ口と一緒やなかよ」 ゆみ「私は春先図書館で寝てたら知らぬ間に須賀の服をかけて貰ってな」 哩「ま、まさか…」 ゆみ「ああ、菅野服の臭い嗅ぎ放題だ!」ドヤァ 哩「せ、せこかあああああああ」 京太郎(あ、忘れてた)ポン 哩「でも、冷静に考えて返すんが普通っちゃなかと?」 ゆみ「え、持ってちゃダメか」ウルウル 京太郎「や、やー俺の服一枚でいいなら別に良いんじゃないすかねー」メソラシ ゆみ「ほ、ほら!」 哩「ばってん人間としてどうか思うとよ…」 ゆみ「そそ、それを言ったらそっちだって休み中の部室で二人身体を重ねていたじゃないか!」 ゆみ「そっちのがどうかと思うぞ!」 哩「ああああ、あれは事故ったい!」 ゆみ「いーや、いくらもつれたからって普通あんな恰好になるわけないだろ」 ゆみ「どうせ色目使ってワザとあんな態勢になったってとこじゃないのか?」 哩「ど、どーせワザとするなら私が下になって色々してもらいたいけん…」ボソ ゆみ「えっ…」 京太郎(何て言ったんだろう?) ゆみ「まぁそんなことはいい」 ゆみ「だが」 ゆみ「私は須賀のことがメチャクチャ好きだ!」 ゆみ「この気持ちは変えられない!」 哩「そったこつ言うなら…」 哩「私は須賀にメチャクチャにされたいくらい好きとよ!」 京太郎(あれ?何か微妙に違う気がする…?) ゆみ「あーもうじれったいな」 哩「こうなったら…」 ゆみ「須賀はどっちが好きなんだ!」 哩「須賀はどっちば好きと!」 カン!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/528.html
【咲 -Saki-】 須賀京太郎カプ統合スレ 6 h6-1 京太郎×清澄 【お祭りに行こう】 h6-2 京太郎×咲 h6-3 京太郎×貴子 h6-4 京太郎×貴子(h6-3の続き) h6-5 京太郎×エイスリン h6-6 京太郎×エイスリン(h6-5の続き) h6-7 京太郎×まこ h6-8 咲,優希,久,和(h6-7の続き) h6-9 京太郎×睦月 h6-10 京太郎×睦月(h6-9の後日談) h6-11 小ネタ h6-12 京セラ h6-13 京蒔小ネタ 【寝たふり眠り姫】 h6-14 和京 停車禁止 h6-15 京太郎×穏乃 h6-16 紅茶ブレイク【あたっか~い】 h6-17 京×咏 →長そうなの h6-18 京×優希 【花柄のお人形】 h6-19 京×衣 h6-20 須賀家の日常(うpロダ投下) h6-21 京あわ h6-22 京菫小ネタ 【ロン】 h6-23 京×衣 h6-24 【おまつりころも】 h6-25 洋榎さんss(うpロダ投下) h6-26 洋榎さんss h6-27 2ちゃんネタ h6-28 洋榎さんss h6-29 椅子取りゲーム h6-30 健京 h6-31 竜華と怜とイチャイチャするだけの話 h6-32 竜華と怜とイチャイチャするだけの話2 h6-33 竜華と怜とイチャイチャするだけの話3 h6-34 病スレ h6-35 竜華と怜とイチャイチャするだけの話4 h6-36 京宥 【おこた充電】