約 36,196 件
https://w.atwiki.jp/cozmixdatebase/pages/183.html
--初日/紅魔館大食堂/水橋パルスィ ……妬ましい。ああ、妬ましいわ。 どうして勇儀ってば、初対面の連中とあんなに笑顔で話せるのかしら。 どうしてお燐ってば、あんなにテンション高くできるのかしら。 ええ、どうせ私は一人よ。どうせ私はテンション低いわよ。ああ妬ましい! 「パルシーだっけ?」 私の隣に、青い子が座った。 「……チルノだっけ、名前」 「うん! あたいはチルノ! さいきょーなのよ!」 「……私、パルスィ」 「ぱるしー!」 「パルスィ」 チルノは笑顔で私を見ている。 ああ、妬ましい。この子の無邪気さが妬ましい。 「ぱるしーは地下から来たんだよね?」 「そうよ」 「いいなー、あたいも地下に行きたいなー」 「暗くて、怖いわよ」 「う、じゃあ行かない」 ……なんだろう。妬ましいのに、可愛いとも思える。 この子は恐ろしい子だ。私から妬む心を奪い去るなんて。 「チルノ」 「なに?」 「貴女が、とても妬ましいわ」 可愛くて、愛しくて、とても妬ましい。 私は、チルノのことを見れなくなった。 * --初日/紅魔館大食堂/風見幽香 「あー、私のことニートニート言うけどねぇ」 私の目の前に座る輝夜さんは、得意げな表情でそんなことを言い出した。 「ニートっていうのは、素敵な、とか綺麗な、とかそういう意味があるのよ。決して働かないとかひきこもりとかじゃないの。わかる?」 あらあら。どこからツッコもうかしら。 彼女の表情が歪むのを想像すると楽しいわ。 じゃあ、早速いきましょう。……うふふっ。 「さすがね、輝夜さん。素晴らしい知識をお持ちのようね」 「そうでしょ?」 ふふ、この蓬莱ニートが。 「NEATは確かにそういう意味ね。でもきっと、八意さんが言っているのはNEETの方ね」 「ん?」 「Not in Employment, Education or Training. つまりは勉強もしない、働きもしない、働く努力すらもしない。ふふっ、そっちではないかしら」 「な、なによ! 私がそんな風に見える!?」 「起きたら最初に何をする?」 「パソコンの電源を入れる」 「好きな食べ物は?」 「宅配ピザとポップコーン」 「履歴書はある?」 「何それ。食べれるの?」 「普段着はその服?」 「ジャージ」 「完全にNEETじゃないの」 「……あ、私そっちのニートだわ」 気づいたようね。一安心だわ。 さすがに泣きはしないけど、面白い子というのはわかったわ。ふふっ。うふふっ。 「だって私姫だもーん」 うふふ、ふふふふふっ。 この可愛い可愛い蓬莱ニートめ。うふふふふふふふふふふh(ry
https://w.atwiki.jp/83452/pages/14484.html
1 唯憂 2011/07/07 http //hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1309969537/ 戻る 名前 コメント すべてのコメントを見る 勢いで笑った -- (名無しさん) 2019-12-07 15 50 24 これはいい七夕だww -- (名無しさん) 2015-09-05 22 22 42 あっさりしてるなぁ 唯が自分の妄想を律に話してるというのも唐突だが、終わり方も唐突。 でも、何かいいんだよなぁ -- (名無しさん) 2014-07-09 01 59 47 これは良いね。 平和的な要素もあるし、律とのやり取りもいい。 -- (名無しさん) 2013-04-16 01 34 06 諸説あるがこれが一番有力だろうな えっ?1年に1度しか会えない?知らんなぁ(ゲス顔) -- (名無しさん) 2013-04-16 01 24 09 俺もそんな話だったと記憶してるよ -- (名無しさん) 2011-07-11 02 51 24 これぞ、けいおん!唯憂はほのぼの多いから安心出来るな -- (名無しさん) 2011-07-08 01 10 52 かっかっか! おもしれーな -- (安形) 2011-07-07 21 01 25 ほのぼのとした話でホッとする。 -- (名無しさん) 2011-07-07 20 38 20 仲がよろしくて良いな。 -- (通りすがり) 2011-07-07 20 21 39
https://w.atwiki.jp/83452/pages/14486.html
昔々のそのまた昔、唯という機織りの少女がいたそうな。 唯は大層上手な機織り…では無かったがユニークな機織りでその反物は都でそれなりの人気になっておった。 ある日の事。 唯「ん~、ここの織り目はこうしちゃった方がいいかな♪」 和「唯!!唯!!」 唯「わわわ、和(のどか)ちゃんどうしたの?」 和「今日が納期なんだけど…。」 唯「えっ、わ、忘れてた。テヘヘ」 和「取引先が幼馴染の私じゃ無かったら今頃契約打ち切られてニートね!!」 唯「面目ない…。」 和「もぅ、来週迄にはちゃんと用意しておきなさいよね。」 唯「了解しました。」 和「それはそうと、唯。納期に遅れたり不良品が多かったりするのは貴女がだらしないからだと思うの。だから唯、結婚しなさい!!」 唯「えっ、やだよぅ!!1人でのんびり暮らしたいよ!!」 和「ダメよ!!まぁ結婚とまではいかないけど恋人でも作って少し真人間になりなさい。唯に紹介したいコがいるの。」 唯「え~っ、面倒い。」 和「つべこべ言っても無駄よ!!憂入ってきていいわよ。」 憂「は、初めまして…////」 和「このコは憂って言って…」 唯「結婚しよう!!」 憂「うん!!」 和「えっ?」 こうして唯と憂は夫婦になったのでした。 一週間後 和「唯!!唯!!」ドンドン 和「いない…あれ、貼り紙がある。」 「新婚旅行に行ってきます。 唯 憂 P.S.反物は和ちゃんのお店に届けておきました。」 和「そういえば朝荷物届いてたけどあれかしら?」 和がお店に帰ってみるとちゃんと反物は届いており、それはもう美事な出来でした。 次の週 和「唯。品物を取りに来たんだけど…。」 唯「あ、もう梱包してあって寄せてあるよ。」 和「う、うん…。(前は梱包なんて全然してなかったのに…)」 憂「和ちゃん、お昼まだでしょ?食べてく?」 和「え、ええ。頂くわ。なんか時間も空いちゃったし。」 唯憂和「いただきます。」 和「美味しい!!」 唯「そうでしょ。憂は料理の天才だからね。」 憂「そんな、天才だなんて…////」 和「前から憂の料理は美味しかったけどここまで美味しいとは…。」 憂「お姉ちゃんに食べてもらう為に頑張ってるから。」 和「お姉ちゃん?」 唯「いやぁ、憂と私ってなんかさぁ夫婦って言うよりも姉妹みたいな感じでね、あっ勿論夫婦の営みは毎晩してるよ!!昨日はローターに初…」 和「へ、へぇ。あっ私そろそろお店に戻らないと!!」 とまぁそんな事があったりして唯の反物が納期に遅れる事は無くなったばかりか以前よりも立派な出来で、都では一世を風靡する人気となった。 そして唯と憂は仲良くいちゃラブでずっと一緒に過ごしましたとさ。 めでたしめでたし ~~~ 唯「という話が七夕の話だと思うんだけど…。」 律「違ぇよ!!それにそれだったら7月7日は何の日なるんですか?」 唯「う~ん、結婚記念日!?」 律「どうしても悲劇は起こさないつもりか?」 唯「勿論、当然だよ!!」 おしまい。 戻る
https://w.atwiki.jp/isekaikouryu/pages/419.html
マストの天辺より至りて、大回転の音声とともに、甲板を断つ斧と化した何者か。 その唐突すぎる登場と退場に、アニー海賊団が擁する海賊船『DXスーパーゴージャスビューティフルワンダフルマルチプルデンジャラスアニーちゃん号ストロングエディションVer.4.29』(憑依型死徒付轟級船舶)の甲板に集う面々は、穴をただ眺めるよりほかなかった。 「・・・何だったんだ一体?」 「・・・さぁ?」 海賊団長アニーの顔面に豪快に蹴り込み乗船したディエル=アマン=ヘサー(16)と、頑健すぎるのでもはや気にするだけ無駄な団長の安否よりも船体へのダメージが気になって仕方がないアニー海賊団員は、とりあえず甲板から3層あたりまで貫通した穴を覗きながら、状況を確認しあっていた。 やがて、ぶち抜いた礫の中から 「どっせーいっ!」 との気合の乗り切らない気合とともに、可憐な衣装の娘が立ち上がる。 ふるふると首を振り、装束に纏わり付く埃と礫を払落した娘は 「むむむっ!? なにやらモフっ気を感じましたよ!」 などと意味不明な発言の後、甲板に向けて律儀に階段へ歩を進める。 一方客船側では、バーハン海賊団の面々が客船に乗り込んだアニー海賊団の死徒を退けつつあった。 解散間近だったとは言えやはり船上戦、死徒とはいえアニーの趣味に付き合わされているだけの面々と職業海賊では、勝手の知り具合が違う。 「乗り込んできたヤツらは概ね片付いた、ってとこか? さて、と・・・そういや小僧は何処行った? 誰か知ってるか!」 甲板に出てきたバーハンが、配下に確認すると、甲板担当やマスト・船上空域担当の幾人かから、死徒の海賊船へ単身乗り込んでいったとの報告が来る。 「一人で行ったのか!? いくら何でも豪級船に一人で突っ込んでどうにかなるわけがないだろ! あの規模ならどんだけの死徒が居るか分かったもんじゃねぇ!」 「御頭、意外とそうでもないかも知れないですぜ」 「会計屋、オメェが打算で物を言うはずがねぇ。 根拠はあるのか?」 「有るとも無いとも明言できないってのが現状、ってとこですな。 あの証書のサインに偽りがなけりゃ、死徒との相性という点では問題なかろう、というだけでさぁ」 「何でぇ、会計屋にしちゃ歯切れが悪ぃ答えだな。 つか小僧、向こうの蜘蛛人のネット使わずに行ったって、どんだけジャンプできんだ猫人ってのは・・・」 しげしげとアニー海賊船のほうを睨むバーハンに対し、配下の一人がおずおずと声をかけてくる。 「ねぇ、御頭・・・」 「どうした? まさか今更ブルっちまったとかじゃねぇよな?」 「いえ、結構ハデにやらかしてますけど、アレ、大丈夫でしょうかねぇ?」 「あ~・・・目ェつけられないように祈るしかないな、ソレばっかりは」 ドニーの住民としておよそ考えうる「最もめんどくさい船上現象」が訪れないことを、バーハン以下海賊団の面々は祈るより他なかった。 再びアニー海賊船上。 いい加減穴も見飽きたディエルとアニー海賊団員の面々は、あらためて向かい合う。 「さて、と。 死徒を相手に集団戦するのもずいぶんと久しぶりだな」 死徒に囲まれるディエルの脳裏に浮かぶのは、スラヴィアを訪れていた時のこと。 巻き込まれるままに死徒の群れと戦って、ヴィルヘルミナやダークエルフの女戦士と知り合って、髑髏王の邸宅で戦のイロハを仕込まれて、饗宴で勝利を収め、いざ帰宅の途へと思ったらモルテ直々にミズハ近海に叩き落されたこと。 「ヴィルヘルミナやドクロのおっちゃん、元気でやってっかな・・・? ってまぁ死徒なら病気になりゃしないんだけどさ」 ディエルは暢気に回顧するが、アニー海賊団員としてはあからさまに明後日の方向を見ながら四足のみであしらわれていく様子に、焦りと苛立ちが募り始める。 「全員で一斉にかかれ! 取り囲んで逃げ場を奪え!」 海賊団員のひとりが号令を発し、それに従い団員がディエルの周囲を包囲しだしたところで、呻き声が聞こえてくる。 「う、う~ん・・・はっ!? ここは!? 御姉様はいずこ!?」 ようやく覚醒し、首をぶんぶん振り状況を把握して、はぁ夢だったのかと肩をがっくり落とすアニーの姿に、海賊団員からは「ちっ、起きやがった・・・」「こんな肝心な時に・・・」という、慈愛と思慕に満ち溢れた暖かい声が囁かれる。 「こんなに集まって、一体何事よ! って、あああああああああああ!!!!! 私の大事なDXハイパーエキセントリックミラクルグレイトフルマッドネスアニーちゃん号Ver.0.2983 宇宙《そら》を翔ける初回限定エディションの甲板に穴がぁぁぁぁ!!!!」 「・・・なんだそりゃ」 「坊主、気にしちゃいけねぇ」 「そうだぜ、この船の名前だって、もう何度改名したか分かったもんじゃねぇ」 「ああ、お嬢バカだから、勢いだけでよくわかんねぇ長ったらしい名前考えては、思い出せないからまた新しい名前を付けるんだ」 「大変だな、お宅ら」 「まぁ、もう慣れたがな」 和やかムードのディエルと団員達。 そちらにキッと向き直ったアニーは、ディエルに向かって叫ぶ。 「そうか、アナタがやったのね! よくも私の船にこんな大穴を!」 「いやちげーよお嬢。 お嬢の顔面に思いっきり蹴り込んではいたけど、穴は開けてねぇ」 「あらそうなの? って、それでも十分にアレよ! 何してるの、さっさと簀巻きにして海に放り投げちゃいなさい!」 「えー・・・」 「何よ!船長の命令が聞けないっての?」 「お嬢、あのナマモノ何か強そうっすよ。 簀巻きにする前に俺らが魚の餌にされちまっちゃあかなわんっすわ」 「だったらアイツを連れてきなさいよ! アイツも大概なんだし何とかなるでしょ!」 アニーが手下に客人を連れてくるよう言いつけた当にそのとき、船室へと繋がるドアが、ドバァン!と轟音響かせて、蹴破るかの如くに勢いよく開かれる。 「とうちゃくなのです~! あ、アニーちゃんだ! お~い!」 「ナイスタイミングだわミーナ! さぁ、甲板に穴をあけてくれたあの生意気なナマモノに、ドカンといっぱつキッツイのをお見舞いしてやりなさい!」 「ふみゅ・・・ごめんなさい、お船に穴あけちゃったのはワタシなの。 ごめんね、アニーちゃん」 「だぁぁぁぁ! 何しくさってくれちゃってんのよアンタはぁぁぁぁ!」 「ふぇ~~ん! ごめんなさぁ~~い!」 場の空気に更なる和みムードが蔓延ったところで、船員とディエルは 「何か、白けちゃったな・・・なぁ、ここいらでお帰り頂けるとこっちとしても助かるんだけど、何とかならね?」 「そうしたいのは山々なんだが、お嬢もいろいろあってな・・・。 憂さ晴らしさせてやらんと、また面倒なことになりそうで・・・」 「ホント大変なんだな、お宅ら」 「ええ、まぁ・・・」 などと話し込むのであった。 ひとしきり客人を叱り終えたアニーは、ディエルらのほうに向きなおり高らかに宣言する。 「まぁいいわ! 船はまたあとで直せばいいし! 今はとりあえずあのナマモノを簀巻きにしてやるわよ!」 「がってんだ!」 客人は豪斧を振りかざし、死徒の群れをかき分けてディエルの許へ間合いを詰め 「どっせぇぇぇい!」 縦真一文字に豪斧を振り下ろす! 「ちぃ! さすがに隠し玉のひとつも用意してたってわけ・・・か?」 ディエルは豪斧を躱しつつ、手近な死徒を蹴散らして立ち位置を確保するが、どうにも聞き覚えのある声、見覚えのある豪斧に記憶を詮索する。 「ちょっとぉぉぉ! また穴が出来たぁぁぁ! ミーナ、縦は禁止! 横! 横!」 「あいさー!」 アニーの懇願を受け止めた客人が周囲の船員にも構わずぶんぶか横に豪斧をスイングし始めたところで、ディエルは得心し、客人に話しかける。 「・・・オマエ、ヴィルヘルミナか?」 「はいそうです! そういうあなたは誰ですか?」 「俺だよ俺! ディ・・・じゃなかったニャゴ=キングだよ!」 つい本名を言ってしまいそうになったところで踏みとどまり、ディエルはスラヴィア滞在時の偽名でヴィルヘルミナに呼びかける。 「むー・・・『名前を言う前に『オレオレ』っていう人は信用しちゃだめだぞ』ってパパ言ってました」 「ちぃ! ドクロのおっさんも要らん知恵を授けやがって! よしわかった、これでどうだ」 ディエルは戦装束《ヴァルカ・トラジェ》の耐寒帽を脱ぎベルトのホルダーに括り付け、耳をぴこぴこと動かす。 「むむ、むむ、むむむむむむ・・・!」 「ちょ、何やってるのミーナ! 早くそのナマモノに自慢のパワーを見せつけてやりなさいよ!」 「ほれほれ、どうよヴィルヘルミナ、モフモフしたく、なってきただろう?」 「むむむむむむむむむむむ!!」 「ちょ、アンタ何やってんの! もういい、お前たち、とっととやってしまいなさい!」 ヴィルヘルミナの様子を見かねたアニーが部下に檄を飛ばしたとき、ついにヴィルヘルミナが爆発する! 「うぉーーーーーーー! モフモフさせてほしいのーーーーーーーーーーーー!!!!!」 ヴィルヘルミナは床板を踏み抜かんばかりに踏み込み、ディエルに向かって一直線に駆け出し、 「うわぁーーーい! もっふもっふ~♪ もふもふもっふもふ~~♪」 至福の表情でディエルの耳をモフモフするのに夢中になる。 「ちょ、アンタ、ヴィルヘルミナに何をしたの!」 「いやコイツ、やたらと屁理屈捏ねたり駄々捏ねたりして人の耳モフるのが好きみたいだから」 「どこまでお子様なのよぉぉぉ!」 「だって、ニャゴさんのお耳、モフモフするときっもちいいんですよぉ♪ アニーちゃんも一緒にモフろうよ!」 地団駄を踏むアニーを見つつ、流石に二人からモフられたら敵わんなぁとディエルが思っていると 「ちょっと待ちなさい? えっと、あれ、どっかで聞いたような気が・・・?」 「お嬢、アレですよアレ。 ニャゴ=キングっつったら、ナマモノのくせにお客人と一緒に饗宴に出て」 「阿呆男爵を消滅させたっていう」 「最近お嬢を連れまわしてる御姫様のそっくりさんが『ひっ捕らえて来たら褒美に望みのものを何でも、なんでも、な・ん・で・も!くれてやる』っつってた」 「ああああああああああああああ!!! そうよそうよ! ソレソレ!」 突如大声で絶叫しだしたアニーに、船上の全員が注目する。 「ご褒美・・・ごほうび・・・えへ、えへへ、ぐへへへへ・・・」 またしてもピンク色の思考に身を埋めていくアニーに、モフること以外何も考えてないヴィルヘルミナ以外ゲンナリ顔である。 「どうせまたロクでもない妄想にふけってるんですぜ、お嬢」 「ああなるとしばらく帰ってこないぞ? どうすんだ?」 アニー海賊団員一同は、別段褒章とか興味もないし、夜明けも近くなってきたので早いとこ引き上げたいというムードが蔓延し始めていた。 その様子を見逃さなかったディエルは、延々耳をモフり続けるヴィウヘルミナの様子を伺う。 「もっふもっふ~♪ やっぱりニャゴさんのお耳もモフモフ具合はさいっこ~ですね!」 「さよかさよか。 で、だ。 ヴィルヘルミナ、ちょっとその辺の奴らをさ、こう、どばーん!とやってくれると助かるんだが」 「がってんしょうちのすけでござるよ!」 「何処でそんな言葉覚えたぁ!?」 ディエルの疑問を華麗にスルーしたヴィルヘルミナは、豪斧を構えなおしてアニー海賊団員に向き直る。 「モフモフパワー満タンなので、はりきっちゃうですよー! うぉぉぉりゃああああああ!」 「待て、待つんだお客じnうわらば!?」 フルパワーフルスイングで繰り出される豪斧の旋風が、アニー海賊団員を次々と粉砕し、海に叩き落していく。 「んじゃあとは任せたぜ~」 「あいあいさー!」 アニー海賊船のことはヴィルヘルミナに任せディエルが客船へ戻ろうとしたとき、ざわつくような、ヒリつくような悪寒が背筋を駆け登る。 「何だ、この感覚・・・神気《オーラ》に近いが・・・?」 <これほどの神気ともなれば、神か、あるいはそれに近しい者とも考えられましょう> 神霊コロナの返答だけに、信憑性は高いとみて間違いない、そう踏んだディエルはさらに警戒を強める。 と、その時 「へ? わ、ふ、ふにゃああああ!?」 ヴィルヘルミナが豪斧ごとぶん投げられる声を聞きつけ、 「ちぃ! 何だってんだ!」 ディエルは落下予測地点である海上へ向けて、迷いなく翔け出す! (前略)アニー号の甲板上では、頭頂から股間にかけて縦に縫い目のある鬼人が、ヴィルヘルミナを投げ飛ばした振りかぶりの動作から、ゆっくりと姿勢を戻し、また動きを止める。 「ちょ、アンタ何してんの!?」 髑髏王の客人を投げ飛ばすなんて!後でどうなっても知らないから!と罵倒するアニーのことなど意にも解さない様子の鬼人は、 「━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━!!!!!!!!」 ヒトには理解し得ない言語で吼え、甲板をぶち抜く程の震脚から、ヴィルヘルミナとディエルを追撃する形で海上に飛び出す。 「何なのよもう! もういい、なんかすっごいお宝があったよな気がしたけど忘れたわ! 夜明けも近いし、ミーナが帰ってきたらすぐ引き上げるわよ!」 「アイサー!」 やっと帰れる、という思いに生気を取り戻した死徒達の足取りは軽やかであった。 「うぉあったぁっとと! よし間に合ったぁ!」 「にょわわぁ! ニャゴさん、ありがとうございますです!」 着水までには多少の余裕をもってヴィルヘルミナの飛翔する体躯をキャッチすることに成功したディエルだが、 「つか何だありゃぁ!?」 「すごいです! 海の上を走ってますよ! 私にもできるかなぁ?」 「無理だから止めとけ! っつかどういう原理だ!?」 神気で火炎熱風《ファイアストーム》を発生させて強引に浮かんでいるディエルが言える立場ではないのだが、鬼人の両足は確かに水面に足をつけ、それでいて沈むことなく、確かな足取りと水飛沫を伴い、ディエルらに向けて疾駆し迫る。 「夜明けが近いな・・・それにこのまま抱きかかえてたら反撃できんし、ヴィルヘルミナの身も持たないか」 ディエルが発揮できる力の根源はラーの神気に基づくもの。 死徒作りの最優たる髑髏王渾身の傑作ヴィルヘルミナと言えども死徒である以上、ディエルが力を発揮した状態で傍に居れば身体の損壊に至る影響を与えかねない。 「かといってアレがそう簡単に逃がしてくれるとも思えないしな!」 そう、突如発狂にも似た状態に陥った死徒もまた、どういう仕掛けか海を蹴り空を蹴り、ディエルとヴィルヘルミナに肉薄しては得物の大剣を振り回し切りつけようとしてくる。 「このままじゃ埒が開かん! ハリム、ヤツを頼む!」 ディエルの右肩に乗るボンボンがウニャス!と鳴くのに合わせて、ボンボンは縮小版ヴァズハリムバズルの姿へ変遷し、触れる傍から氷塊と化す海面を足場に発狂する鬼人死徒へ氷撃の弾幕を降らせる。 「今のうちに、飛ばすぞ!」 ディエルは両足に陽・熱の神気を集中させ、ロケットスタートでアニー海賊船へとヴィルヘルミナを運ぶために飛翔する。 「あらよっ出前一丁!」 「とうちゃくです!」 アニー海賊船へと舞い戻ったディエルだが、海上の発狂鬼人とハリムの戦況が気になるあまりに、ブレーキ代わりになる何かを踏んだような感触を気に留める余裕もない。 「ほれ、行けヴィルヘルミナ」 「うー・・・ニャゴさん、もう行っちゃうの?」 「行くとか行かないとか以前に、オマエら夜が明けたら終わりだろうが!」 「うみゅぅ・・・」 「また今度、暇が出来たら遊びに行ってやるから。 な?」 「ぜったいですよ! ぜったいのぜったいのぜったいにですよ!」 「分かった分かった。 約束するよ」 「うわーい!」 大喜びのヴィルヘルミナが離れたところで、ディエルは甲板で状況を伺っていたアニー海賊団員へ向けて怒号を飛ばす。 「とっとと行け! 夜明けが近い、消滅したくないならとっとと潜るなり隠れるなりしろ!」 「言うことは御尤もだが、ナマモノに従う義理までは流石にないっつーか」 「お嬢二度も足蹴にされて黙ってるわけにもいかないっつーか」 変なところで義理堅いアニー海賊団員に対し 「・・・あの糞男爵と同じ目に、合わせちゃろうか?」 先ほど事情を共有しているアニー海賊団員は一同に「ひぃっ!」と声を上げて帰港準備に取り掛かる。 と、そこへ風精経由と思しき声が聞こえてくる。 「坊主、聞こえるか?」 「あ、ああ(左目閉じてると風精見えないから、声だけ飛んできてるようにしか思えんのがなぁ・・・)。 と、この声、船長か?」 「とりあえずこっちは全員無事だ。 坊主も無事そうで何より」 「そりゃどうも。 で、船は出せそうか? 客船の護衛も頼んであるはずだが」 「ああ、それだが・・・今は無理だ。 気紛《カプリーズ》が発生している以上、俺らはまともに動けねぇんだ」 「何だそりゃ?」 「海上のアレのこったよ。 俺たちドニーの民が信奉するウルサの御加護がありすぎちまうと・・・ああなるんだ。 で、俺らドニーの海の男としては、アレに多少なりとも付き合う義務がある。 故にここから離れられねぇ」 「んなアホな!?」 「そういう決まりなんだよ! 約定がどうあれ、俺たちが海の漢である以上、そこは譲れねぇ」 「・・・分かった。 ならアレは俺がどうにかする。 要はウルサが飽きるまでアレに付き合えばいいわけだろ?」 風精経由で聞こえてきたディエルの発言に、バーハンは驚きを隠せない。 「おいおい、『どうにかする』ったって、アレがどんだけ海の漢にとって驚異的なのか分かってるのか?」 「でもやらなきゃ終わらないんだろ?」 「お前バッカじゃねえのか! ただの気紛とは言え、中級船程度なら一人で一隻叩き潰すようなバケモン相手に『どうにかする』とか・・・吼えるのも大概にしとけよガキ!」 「どうこう言ったところで、向こうが逃がす気ないんだからやるしかないだろうが!」 今はどうにかハリムの氷撃弾幕で抑え込んではいるが、それすらも単なる「前進の阻害」でしかないほどに、気紛の力を得た鬼人は凄まじいものとなっている。 「出航準備よし! これより日出に備え沈降準備に入る! 総員持ち場につけ!」 「アイサー!」 (前略)アニー号は、再びカラの頭蓋を豪快にシェイクされて前後不覚に陥った船長を物置部屋に片付けつつ、副長の指示の下海底沈降の準備に入る。 「さて、と・・・そろそろ行くか!」 沈降を始めるアニー号から飛び翔けるディエルは、早々に両手の太陽牙《ゾン・ブレザ》と獅子牙《ジンガ・ブレザ》を抜き放ち、ヴァズハリムバズルに加勢するべく海上に躍り出る。 「あのバカ、本当に気紛に向かって行きやがった! 適当に遠くから術士や導師が遠距離攻撃仕掛けて適当にあしらえば十分だってのに!」 「ふむ、そうさのう。 前々からそれは詰まらぬと思うておったのじゃ。 むしろあそこまで真っ向勝負を挑んでくれるほうが、わらわとしては嬉しいぞえ」 狼狽顔のバーハンが部下に援護指示を出す間に、甲板にはしれっと妙な身なりの少女が厚顔不遜な態度で現れる。 「何だ、このガキ? おい嬢ちゃん、とっととお部屋に帰んな!」 近くに居たオーク水兵が少女に船内へ戻るよう凄みを効かせて詰め寄るが 「喧しいわ、フニャチン雑兵風情が。 己が腕に誇りを賭けられん愚図如きがわらわに指図とは、蒙昧甚だしいぞ?」 「な、む、ムカつくガキだな・・・!」 「ま、愚鈍な小物は無視して、と。 久々の気骨者じゃ、存分にわらわを楽しませるがよいぞ?」 少女は好奇の目で、海上の闘いに目を向けていた。 両刀抜き放ち海上の発狂鬼人へ迫るディエルは、ヴァズハリムバズルが氷結させた海面を足場に切りかかる。 「・・・ありゃ一体どうなってる。 死徒の海賊船から出てきたヤツのくせに、睨みつけても何の効き目もありゃしねぇ」 <憎きモルテ以外の神の加護、恐らくは戦神ウルサのものが身を護っているのではないかと> 「なるほどね、『気紛』とは良く言ったものだな、っと!」 鬼人の振り下ろす刃が足元の氷を叩き割り、海を割る。 その現象に漲る力は、明らかに膂力を超えた力。 「受け止めようものなら海の底まで突き落とされる、ってか! さすがにもう遠泳する気はねぇぞ!」 すでに左目の虎目石《タイガーズアイ》を見開き神気煥発状態にて相対するディエルだが、ラ・ムール砂漠の大甲虫《メガクロウラー》や氷壁牢獄の氷原龍《ジメジテーハ》に匹敵するかあるいはそれ以上の強大かつ粗暴な力に、加えて足場は海面に浮かぶ氷のみで安定感ゼロ。 「唯一の救いは、飽きるまで逃げてりゃいいってことだけだな、全く!」 <えー・・・元々は死徒、滅殺されるのがよろしいと進言いたしますが> 「じゃあテメェがやれよクソッタレがぁ!」 コロナの無茶振りに悪態を吐くものの、余裕がそれほどあるわけでもないディエルとしては、この嵐が過ぎるのを待つしかない。 「おいバカ! もうそろそろ充分遊んだ頃だろ! お前さんが死徒どもをひっこめてくれたおかげでこっちもようやく準備が出来た。 ウチの術士隊で掩射してやるから引き上げてこい!」 「すまねぇ、助かる! 引くぞハリム!」 今はしっかり捉えられる風精を経由して伝えられるバーハンからの申し出を受諾したディエルは、バーハンの船や客船からの魔弾の照射が飛来するのを確認し、ヴァズハリムバズルの特大の氷塊一発を置き土産に即座に客船まで引き上げる。 「ぜぇ・・・はぁ・・・死ぬかと、思った・・・!」 「やっぱりバカだろお前! 何はともあれ、気紛と直接殺り合って、よく帰ってきたな!」 「むちゃくちゃにも、程ってもんが、あんだろ・・・!」 這う這うの体で引き上げてきたディエルを出迎えたのは、客船に残り陣頭指揮を執っていたバーハンと 「はぁっはっは! 良きかな良きかな! 小僧、愉快であったぞ!」 喝采と共に現れた厚顔不遜の少女である。 「さて、アレはもう要らんな。 これ以上は何よりわらわが面白くないでな」 そう告げた少女の手が振り上げられた刹那。 星と月が燦然と輝く宵闇の海上にあって、その場に集ったすべてのものが、ただ一つの事象から、目を離すことが出来なくなっていた。 その場に満ちるのは、海を激しく波立たせるに飽き足らず、割らんとするほどに迸る、神威の力。 常人であれば、遠くにあって正気を失い、近くにあれば狂死しかねない、濃密にして濃厚、絶大なる破壊の意思の発露。 逃げなくてはならない。 己の、そして仲間の持ちうる力の全てを以ってして、この場から立ち退かねばならない。 その意思はあっても、肉体と本能が「それは不可能だ」と諦観に縛られる。 先ほどまで大剣を狂気の速度で振り回し魔弾の数々を打ち落としていたはずの鬼人が、突如剥製の如くに動かなくなってより、時間にすれば僅かな間だが、その場に居た者からすれば永劫にも感じられた時間の果て。 剥製に皹が入り、内より破られる。 闘神の顕現。 ヒトは己の死を覚悟した。 「さて、と。 これで暇つぶしに地上へ落としたわらわの神気のかけらも回収したでな。 待たせたな小僧。 ここからが本番じゃて」 少女は突如どこからともなく、妖精種の翠翼にも似た緑色に輝く刀身を持った、柄を長くして小型の鉄巨人にでも持たせるべきだと言わんばかりに巨大な剣を取り出し担ぐ。 「なんじゃ、そりゃ・・・!」 「よくぞ聞いてくれたわヘタレ船長! コイツはな、『じぃえぬそぉどふぁいぶ・ばすたぁそぉど』という、異界の業物を複製したものじゃ。 どうじゃ、中々の美しさじゃろう? 我が愛機の『むらまさぶらすたぁ』とどちらにするか悩んだんじゃが、やっぱりこのクリアな刀身の美しさ、遠近両用のポテンシャル、『そーどびっと』の万能性は素晴らしいでな! うむうむ、この見事なフォルムといい、機能の再現度といい、ヌダのヤツは本当にいい仕事をしよるな」 もはや意味が分からない。 刀身に頬擦りしつつ高らかに得物の自慢をする少女以外に、その剣がいかなものであるかを理解できるものは、その場には一人たりとも居ない。 「・・・むう、誰もコレの素晴らしさを理解出来ぬとは。 詰まらんのぉ・・・まぁ良いわ。 逝く前にちょいと和ませてやろうかと思うただけじゃからの」 状況についていけない、というだけではない。 その場を支配するモノに、少女以外のすべてが完全に飲まれている。 「充分に呆けたかえ? ならば・・・嬉々として死ね、己が腕に誇りを欠片も持たぬ蒙昧の愚図めらが」 「つぇりゃぁぁぁぁあああああああああああああああ!!!!!!!」 激昂と共に再度コロナを左目に宿したディエルが、全力の一撃を少女に叩き込む! 凄まじい撃音とともに少女は船上とり放り出されるが 「船長、もういいだろ! とっとと船を出せ!」 「な、あ、え?」 「バカはどっちだ! あれはマジモンだ! 混じりっ気なし、掛け値なし、ガチの戦神ウルサ当人が着やがったっつってんだよ!」 「え、いや、だが」 「いつまで呆けてるんだよ! さっきのは『わざと当たって吹っ飛んでくれた』だけだ! いいからとっとと船を出せ! ここからならミズハの領海に行くのが近いだろ!」 「で、お前はどうすんだよ・・・?」 「死ぬなら全員雁首揃えてここで死ぬより、一人でも死ぬ人間が少ない可能性に賭けるべきだろ! 違うか?」 そう告げる間に、ウルサが飛び離れた方角より、緑光放つ刃が飛来し迫る。 「四の五の言わずにとっとと行けよ! 国境街の祀族院に駆け込んで・・・くそ、しゃあね、『ラ・ムール王が近海でウルサに喧嘩売られたって乙姫様に伝えてくれ』って言えば確実に伝わる!」 「は? お前何言って」 「証拠ならここにある! これでも嘘だってんなら好きにしろ! 俺は行くからな!」 ディエルはバーハンに向けて色彩放つ虎目石を見せつけ、飛来する刃を弾きつつ再度海上へ踊り出る。 「御頭、気は確かですかい?」 「あ、ああ・・・会計屋か。 とりあえず、船は出すぞ。 だが・・・」 「事実でさぁ。 証文の躍字が示す『太陽の王』、並の武侠でもそう手に入れられない数の日長石《ヘリオライト》、オマケに王の証。 疑うほうが無理ってもんでさぁな」 「そう、か・・・とりあえず、言われたとおりにするか」 「あいさー、でさぁ。 そいじゃ、手近なところから気付けと緘口を厳命して、出航準備に取り掛からせまさぁ」 バーハン海賊船と客船は、一路ミズハ領海へと向けて進行を開始する。 「ほれほれどうした? これだけ手抜きしてやっちょるというのに、ヌシの力はそんなものかえ?」 手抜きとあからさまなまでに言われたところで、ディエルが挑発として反応することはない。 「遊びに来るんなら、もうちょっと、違う場所に行けよなぁ!」 「そうは言うがの、無二の友から芋代オゴリの代わりに『ちょいと試練してやってくれ』と頼まれたからの」 「またヤツか! ヤツの仕業か! 畜生、あの野郎絶対ぶん殴っちゃるからなぁ!」 「その意気じゃぞ小僧! ま、じゃが、まだまだ手抜きしてやらんと、試練にも、ならんが、な」 所詮ヒトの身では、遊びのつもり、手心を加えてもらって手抜きしていただいているという状況でもない限り、戦神と剣戟を交わすことすら敵わない。 ヴァズハリムバズルに霊獣としての力をすべて解放させた上で両面攻撃を仕掛けたところで無駄な徒労に終わる、それどころか双方まとめて首を刈り取られる可能性も十分理解しているが、あの場に居た全員の抹殺を仄めかした時点で、ディエルとしては引くわけにはいかない。 今は多少なりとも時間稼ぎが出来ればいい。 そのためには関心を引くことが出来るギリギリのところで戦い続けるしかない。 「ま、意気と意欲と腕っぷしの程は認めてやらんでもないぞ? 流石は我が友が最も愛して止まぬ玩具だけのことはあるのぉ」 「・・・最大級に嬉しくない賛辞をどーも、ありがとーごぜーますよ」 「はっは、そう不貞腐れながら言うても、ただの虚勢にしか聞こえぬぞ?」 実際のところディエルとしては、どれだけ手抜きと向こうが誇張したところで、これまで戦ってきたいかなる相手よりも遥かに強く、このままでもいずれ自分が討ち果てる以外の結末は訪れないことは容易に想像できていた。 「だったらひとつ、こっちも異界の業、試してみるか・・・どうせ死ぬなら、やりきってからだな」 「ほう、何か面白いことを考えておるようじゃな? どれ、見せてみぃ。 あえて邪魔はせんといてやるのがこういう場での流儀だと弁えておるぞ。 何せわらわは戦神じゃからな!」 「そりゃどうも。 そいじゃ・・・来いハリム!」 ハリムを素霊状態に戻し、 「やれるかどうかは俺次第だが・・・力を貸してくれよな」 ウニャス!と元気よく鳴く声に後押しされ 「宿れ、霊獣の力!」 要はコロナを虎目石に同化させるのと同じ要領、と意識を集中。 霊獣ヴァズハリムバズル自身を素霊状態から神気を介して霊力に還元。 右手の虎氷の護りを介して、全身を包む戦装束へ流し込む。 「ほう・・・なるほど、武仙が編み出した技法『霊身装具』に独力で行きつくとはのう。 じゃが、それは熟練の武仙とて易々と至れるものではない極致の一端。 年端も行かぬ小僧に、その力が御しきれるかの?」 「こういうのは、要は、慣れと、気合と、根性、なんだよぉ!」 「はぁっはっはっはぁ! これは愉快ぞ! この事実、史上の武仙どもが知ったら修行を辞めるか首吊るかも知れんなぁ! たかが『慣れ』と精神論だけで伝承の技法を一発でモノにするとはなぁ!」 「割と、普段から、こういうコト、してんだよ、こっちはよぉ!」 「はっは、そうかそうか。 貴様はそもそも、精霊風情よりも遥かに高格な神霊を霊身装具しておるようなものじゃからな。 たかが霊獣一匹如き、御せるのも然り、か。 ほれ、わらわは優しいからの、ヌシの精神論の勝利に免じて、初太刀を許してやらんでもないぞ?」 「ずいぶんと、寛大なことで!」 正直な話、ディエルとしては、既に限界などとうの昔に通り越している。 発狂鬼人を食い止めるために放ったヴァズハリムバズルへ供給する神気の消耗、火炎熱風で飛翔するための神気の消耗、発狂鬼人と直接対峙した際の心身の消耗、船上にてウルサが総員を覆い尽くしていた絶対低頭の神気波動を相殺するために放った陽気の波動による消耗、そしてウルサとの直接戦闘で心身の限界まで削り落とされた。 もはや、ディエルには、初太刀を放つことも危うい程度にしか力は残されていない。 それが知れているからこその「初太刀を譲る」なのだろうことも、ディエルとしては理解できている。 それが意味するのが賛辞であろうと嘲笑であろうと、ここは乗るしかない。 冷・氷・結の霊力が割り振られるヴァズハリムバズルの力と、陽・光・熱の神力が割り振られるラーの力では、明らかにつり合いが取れない。 小細工なしの一撃に賭ける以上、獅子牙にありったけの神気と霊力を注ぎ込み、 「だったら、この初撃、」 海水を引き上げ氷と為し、鋭い刃に磨き上げつつ伸ばし、 「せいぜい甘えさせて、」 獅子牙を芯にウルサの得物に匹敵する巨大な刃を 「もらうぜぇぇぇぇゃりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」 全力でただ振り上げ、振り下ろす! 「その決断、その度胸、その心意気、賞賛とまでは言わぬが評価するには値するぞ! ならば、それを真っ向から叩き潰すのがわらわの仕事じゃあぁぁ!」 ウルサは振り下ろされる氷塊の剣に対し、緑光の剣を振り上げて真っ向から叩き折りにかかる! 「たかがヒトの相手かと半ば片手間のつもりであったが、余興の割には楽しかったぞ小僧! 我が元に召されると誓うなら、わらわの園で飼ってやっても良いぞ!」 「ぜってぇお断りだぁぁぁぁ!」 「ならば、そのまま死ぬが良い!」 氷塊の剣は爆裂四散、海は海底が見えよう程に割れ、高々と波が打ち上げられる。 が、その津波は一瞬で収まり、ち先ほどの荒れが嘘のように、海は静寂を取り戻す。 「オイてめぇ、ウチのシマの近くで何してやがる!」 「なんじゃ、嫁の座布団野郎が何しに来おった? 貴様のせいで追撃しそびれたではないか」 すっかり興が削がれたという顔で得物を仕舞い込むウルサに相対するのは、ミズハミシマ主神たるシマハミスサノタツミノミコト。 「ふざけた事言ってんなよ? テメェが遊んでるっつーだけでこっちはいい迷惑なんだ。 遊ぶならテメェのシマでやれや!」 「やっかましぃのぉ、座布団の分際で・・・それとも何か、ヌシがわらわの相手を続けてくれるのかえ?」 「それこそ愚問だ戦闘狂《ジャンキー》が。 かわいいかわいい俺のオトヒメが、貴様がさっきまで遊んでた相手を連れてこいって言うから来ただけだ」 「それならあっちにぶっ飛んで・・・いや~景気よく飛んで行ったのう・・・あ、はっぴーにずっぼりと」 「何だとう!?」 「ふんふんふふ~ん♪ わらわは、なーんにも、知らんぞえ~? ヌシが来なけりゃ今頃ずんばらりとおっ死んで終ってたんじゃからな? 我が友からはぶっ殺してもOKと許可貰うておるから、ま、問題なかろ。 じゃ、わらわは帰るでな」 「あ、おいテメェ! ・・・チッ、行っちまいやがった。 しゃあね、俺も帰るか」 明けの海はただ、静寂を湛えていた。 【まえのおはなし】 【おまとめはこちら】 【つぎのおはなし】 場面ごとの流れがしっかりしているので戻らずに読んでいけるのがいいですね。アニーのごっこのような海賊団も全員一致でのスラヴィアンとしての生き甲斐なんじゃないかなとも思いました。そろそろディエルに本当の大ピンチが降りかかるとかも読んでみたいです -- (名無しさん) 2013-11-16 17 19 03 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/2111.html
https://w.atwiki.jp/souku/pages/4956.html
《公開済》SNM002737 シナリオガイド 公式掲示板 海からエロダコが蘇る 担当マスター 西里田篤史 主たる舞台 パラミタ内海 ジャンル バトル 募集スケジュール 参加者募集開始日 参加者募集締切日 アクション締切日 2014-08-01 2014-08-03 2014-08-07 リアクション公開予定日 募集時公開予定日 アクション締切後 リアクション公開日 2014-08-19 - 2014-08-18 サンプルアクション (シナリオ参加者の方にお願い、サンプルアクションの具体的な内容を補完していただけないでしょうか)(サンプルアクション名の下の四角をクリックするとでてくる「部分編集」をクリックすると登録できます)(もしくはサンプルアクション登録用掲示板へお願いします。) 雅羅と絡みたい。 + ... [部分編集] ▼プレイヤーの意図 雅羅を助ける。 ▼キャラクターの目的 雅羅と絡みたい。 ▼キャラクターの動機 まずは雅羅を助けないと。 ▼キャラクターの手段 とりあえず、雅羅を助けないと被害が増す一方になりそうだ。水で落とせるなら話は早い。さっさと海に投げ込もう。 タコに捕まって触手に弄ばれる。 + ... [部分編集] ▼プレイヤーの意図 タコに襲われる。 ▼キャラクターの目的 タコに捕まって触手に弄ばれる。 ▼キャラクターの動機 わ、私のことはいいから早くみんなを助けるんだ。 ▼キャラクターの手段 タコの触手の劣りになれば、その分他のみんなはタコの身体を集中攻撃出来るはずだ。そうなれば、私たちの勝ちだからな。 タコと一緒になって暴れる。 + ... [部分編集] ▼プレイヤーの意図 タコと共闘する。 ▼キャラクターの目的 タコと一緒になって暴れる。 ▼キャラクターの動機 リア充爆発しろッ! ▼キャラクターの手段 タコと一緒になって暴れまくります。リア充は家に帰れッ! お前らの仲を見せつけられるこっちの身にもなってみろ! タコに彼女を取られてしまえばいいんだ! その他補足等 [部分編集] 【タグ:SNM バトル パラミタ内海 正常公開済 西里田篤史】
https://w.atwiki.jp/rozenmaidenhumanss/pages/117.html
https://w.atwiki.jp/pcro/pages/190.html
基本情報(公式) 泳ぎ方一覧 泳げる場所一覧 [部分編集] 基本情報(公式) [部分編集] 泳ぎ方一覧 平泳ぎ 浮き輪を使う 仰向けで寝る 溺れる [部分編集] 泳げる場所一覧 アナナス海岸(66,113) タルトランド遺跡近海(244,493) 南サブリーナ平原西方(85,457) コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1284.html
人物紹介 鴻乃ゆかり&海棠卯月 人物紹介 鴻乃ゆかり&海棠卯月鴻乃 ゆかり(こうの ゆかり) アリエス クラリス 海棠 卯月(かいどう うづき) 耿(アキ) 邏貴(ラキ) 鴻乃 ゆかり(こうの ゆかり) 性別:女 年齢:17(満18) 血液型:O 主役をさらっと掠め取っていった人A アリエス・クラリスのマスターであり、黒髪長髪の女子高生 性格は明るく結構好き勝手に生きている自由人 今日も今日とて卯月を引き摺りまわして東へ西へ 神姫との出会いは卯月に 「ちょっと絵書いて」 と、手渡されたマオチャオとハウリンからである その後、天使型と悪魔型の存在を知り二人に一目惚れをし今に至る 最近の悩み事は何かにつけて卯月がぷにってきたり、頭撫でたりすること アリエス タイプ:アーンヴァル CSC:ジルコン・ダイヤモンド・オパール ランク:C ゆかりの趣味でふりふりだったりひらひらな衣装を着てる事が多い しっかりしているようで少し天然、基本的に誰に対しても敬語で話す 基本的に兵装は純正装備を装備し、至近距離での攻撃を得意とする クラリスとのタッグマッチ時は射撃武器を用い中~遠距離からの援護に切り替えている クラリス タイプ:ストラーフ CSC:ガーネット・サファイア・トパーズ ランク:C ゆかりが双子設定萌えな為アリエスと同時に起動 至る所にトラップを仕掛けたり悪戯大好き アリエスが後でフォローしてるとか 戦闘では基本的に純正装備をし、近接及び近距離での戦いを得意とする また、フィールドに対し自作のトラップ(落とし穴や地雷など)を仕掛けていることもある アリエスとのタッグマッチ時は近接武器を使い接近戦を行っている 海棠 卯月(かいどう うづき) 性別:男 年齢:20 血液型:A アキとラキのマスターであり、ホビーショップ『雪ノ下』でバイト中の大学生 性格は明るく真面目で三枚目を地でいく人 意外と熱血直情馬鹿な所もあり、密かにGを尊敬してる節アリ 耿(アキ) タイプ:ハウリン CSC:サファイア・エメラルド・ダイヤモンド 利き腕:左 ランク:C 起動順は邏貴より早いが、実際は数秒程度の差しかないのでほぼ双子と同じである 一人称は「ボク」で話し、気さくでボーイッシュな性格である 面倒見も良く、邏貴の姉として仲良くやっている 戦闘に関しては、基本的にプチマスィーンを牽制に使い吠菜壱式とカロッテP12で近距離~中距離での戦闘を得意としており、邏貴とのタッグ戦の場合は、接近戦は完全に邏貴に任せ自分は遠距離からの支援に徹している 邏貴(ラキ) タイプ:マオチャオ CSC:ルビー・エメラルド・ダイヤモンド 利き腕:右 ランク:C 起動順は耿より遅が、実際は数秒程度の差しかないのでほぼ双子と同じである 一人称は「私」で話し、明るく元気であるが喜怒哀楽が激しい 基本的に口調は丁寧であるが、猫型故か語尾に「にゃ」が付く事がある 因みに、猫型らしく炬燵で丸まるのが好き 戦闘に関しては、基本的に遠距離の敵にはプチマスィーンで牽制しつつ機動力を生かして近距離もしくは白兵戦に持ち込む戦法を取っている 武器は主に右腕にガルガンテュア、左腕に研爪or旋牙or防壁を装備していることが多く、耿とのタッグ戦の場合は、耿とプチマスィーンに射撃支援を任せ自分は接近戦に徹している 戻る
https://w.atwiki.jp/baragakuen-highschool/pages/85.html