約 36,196 件
https://w.atwiki.jp/pawaparo573/pages/74.html
「よぉ空、久しぶりだな」 「そうね。 ……だってお互い仕事で忙しかったもんねっ」 「そうだな…」 冬の寒さが厳しくなるこの季節、俺達は今オフ、最初の再開をした。 俺はプロ野球選手。 本名…緒形児波(おがたこなみ)。 ……名前から『なみ』で慕われている。ちなみに投手をやっている。 昨年シーズン中盤から一軍で大ブレイク。 俺が登板するたびにチームが活気付く。 何故かは知らないけど。 今季は安定した成績を収め十九勝の勝ち星を、御蔭でチームは優勝を決め、俺はリーグMVPを受賞した。 前々から顔立ちは良い評判の御蔭か知らないが、声援は大きい。 同じチームで友人である矢部君に嫌味を喰らっている。 来期はエースとして期待されている。 勿論やる気十分、昨年の成績を超える自信もある。 その反面、プレッシャーも大きい。 メディアから、首脳陣から、毎回登板する試合からなどなど……昨年以上に並々ならぬプレッシャー。 これに耐えられないとやっていけない。 ストレス溜まりまくりだ。 だから俺は、こうやって彼女との一時を大切にする。 俺の彼女、藍沢空。 彼女もフライトアテンダントの仕事上の都合で忙しく、中々休みが取れないのだ。 結果、俺達が会う事が可能なのは、俺がシーズン終了し彼女の仕事が一段落ついた時だ。 僅かな時間しかない、この時間を過ごすのが俺達のオフなのだ。 「今日…何するかな」 「そうね…、何時ものようにあなたが決めてよ」 「そうだな……」 俺が日程を決めて、共に過ごすのが毎回の出来事なんだが。 何時もは簡単に空が好きそうなショッピング たまには空が決めてほしい。 だから俺はこう言った。 「今回は空が決めてくれよ。 俺は空の言うとおり付き合うからさ」 「私!? …そうね~」 空が考える間、俺は軽く煙草を吸っていた。 少し前までは吸うのを辞めていたが、昨年の一軍昇格とブレイクと共に再び吸い始めた。 理由は何となく分かると思うが、プレッシャーだと俺は思う。 何もしないとイライラするのだ。 吸わないと落ち着かないのだ。 俺は決してヘビースモーカーではないが、煙草の一日一本は日課になっていた。 「じゃあカラオケ行かない? 大声でストレス発散すると良いんじゃない?」 俺の煙草を吸う姿を気にしたのか、空は微笑みながら言ってきた。 携帯灰皿に煙草をねじ込んだ。 「OK、じゃあ行こうか」 「うんっ!」 俺は彼女の手を掴んで歩みだした。 空は少し顔を赤くして驚いていたが、直ぐに笑顔に戻り俺に寄り添った。 空が笑顔になるのは、俺も嬉しい。 俺の顔に自然と笑みが漏れた。 「あれ、姉さんとなみさん?」 「海っ?」 「えっ、海ちゃん?」 丁度カラオケ店に入店する直前、ある少女に見つかった。 藍沢海。 名字から空の妹と分かる。 空とは違い、大人しそうな子である。 海ちゃんはニコリと笑いながら、言い放った。 「成程~、姉さんがこそこそしていたのはデートのためだったんですね」 「バカ! 海、なみの前で何てこと言うのよ!」 空が顔を真っ赤にしながら海をポカポカと殴っていた。 勿論本気ではなく、本当に軽く。 微笑ましい光景に俺は苦笑した。 そんな俺に気付いた空は、今度は俺を殴ってきた。 ただ、海ちゃんとは違い本気で。 俺はその場で蹲った。 何処にも投げる事が出来ない痛みを堪えながら。 「……どうする? 海ちゃんも一緒に来る?」 「えっ、良いですよ~、姉さんと一緒に楽しんでください」 「………」 海ちゃんの少し曇った表情を感じ取った俺は、片目で空に向かってウィンクする。 空はコクリと頷いた。 そして俺より一歩前に出た。 「海、あなたも一緒に来なさい」 「えっ、姉さん、何で? 今日はなみさんとデートでしょ?」 「何でも良いでしょ。 海もストレス解消しなさいっ」 「なみさんは……良いんですかっ?」 「俺は元々、空が誘っているんだから良いんじゃないか?」 「……では、お言葉に甘えて、歌っちゃいますよ~っ」 海ちゃんはふわりと笑って、俺達の仲間に加わった。 「(ありがとう、助かったよ空。 俺は海ちゃんの哀しそうな顔を見たくないんだ)」 「(はいはい、あんたらしいわよっ)」 空は片目で笑いながら、俺の額を突いた。 ――― ――― ここは若者に屈指の人気店と言わしめているカラオケ店だ。 防音壁で、ドアを開けない限り外部に音が漏れない仕組みになっている。 曲もD○M並に揃っており、プロモーションビデオも付いている。 カラオケファンに満足できる作りになっている。 ここで俺たち三人は、最新のカラオケチャートの曲を中心に歌った。 俺はチームメイト(特に若手)に付いて行ける様にヒット曲を必死に覚えた。 御蔭で某事務所の若手人気アイドルの曲や、某オリコン一位常連有名バンドの曲などを歌えるようになった。 少し前までは、矢部君の影響でガンダーロボの曲やオタク系の曲、そして世間的に有名な曲しか歌えなかったが。 ちなみに空は流行の女性歌手の曲、海はゆったりとしたバラード中心に歌っていた。 昼間だが、テンションは上がっていき、酒も豪快に進む。 海ちゃんは遠慮がちにしていたが、空は俺と共に美味しく酒を頂いていた。 室内の盛り上がりは、最高潮だ。 「あっ、次はなみさんですよっ」 俺は意気揚々にマイクを握り、立ち上がった。 ここで少し曲をチョイス。 タイトルを見ただけでは分からない。 盛り上がりには欠かせない、エロを含む曲。 この前若手共とカラオケに行き歌ったが、大好評だった。 ただ、こいつらには女性。 通用するかは不明。 だが、大丈夫だろう。 曲が流れ始める。 俺は軽く酸素を吸い込み歌い始めた。 「………」 「………」 「…何だ二人とも、そんな鬼畜なやつを見る眼は。 と言うか、そんな眼で俺を見ないでくれー!!」 ……結果、ドン引き。 彼女達の眼は変な人を見る眼、顔はヒクヒクと引きつっていた。 やはり女性には受けが悪いのか。 抵抗と言うか、違いと言うか。 性に関しては影響の受け方が違う。 この曲、歌詞だけ聴くと変態紛いされてしまうに違いない。 「ゴメン……変な雰囲気にさせてしまってな」 「…あんたって、そんな事何時もしたかったのね……」 「ち、違う! 俺は毎日汗流して野球の事考えて……」 「……もう良いわよ。 海…、ちょっと」 「……姉さん? どうしたの?」 「…なみ、少し時間貰うわよ」 空と海ちゃんと室内から出て行った。 パタンとドアが閉じた瞬間、俺は後悔した。 頭を抱え、オフシーズン最初の絶望を味わってしまった。 (何で、あんな歌歌ってしまったんだろう……) 幾ら付き合っている空、交遊のある海ちゃんとは言え、この歌はきつかったに違いない。 これからの事を考えると、気まずい。 これ以降の時間、どうしようか……。 ぶつぶつと考えていた瞬間、二人が入ってきた。 俺は二人の方向へ向いた。 「……如何したんだ二人とも、急に出て行ったりしてさ」 「………」 「………」 俺が発言している間、二人が顔を赤くしていたことが気付いた。 如何したんだろうか。 何かあったのだろうか。 「………」 その刹那――、空が俺の方に倒れてきた。 そして、俺の唇に彼女の唇が――。 「…!!」 「んっ……」 突然の出来事に、俺は身動きが出来なかった。 空は俺の口の中に舌を入れる。 俺を味わうかのようにゆっくりと。 一分ほどのキスを終え、空は俺の口から離れた。 「……空、一体なんで?」 「…あんたが『やりたい』って言ったんでしょ? やってあげるわよ、海と一緒にね」 そう言えば、歌詞にそんな事が書いて有った様な気がする。 もう一度空がキスを交わす。 その間、海ちゃんは俺のベルトを外していた。 言葉を出そうとするが、空に遮られる。 嫌らしい音をたてながら、キスは続いていた。 「ぷはっ…、苦いわよ」 「…仕方ないじゃないか、煙草吸ってたんだから」 「それもそうね……、海、そっちは?」 俺は視線を下半身にやると、既にズボンは無くなっていた。 「姉さん凄いです、カチカチ……」 「うっ…」 海ちゃんが触ると、どうしても反応してしまう。 どうやら俺の身体は正直なようだ。 パンツ越しだが、ゆっくり擦られると気持ち良い。 空は俺の股間についているものをなぞる。その度に少しずつ硬くなっていく。 「それはそうよ。 だって私のアソコがいっぱいになって気持ち良く……って何言わすのよ!」 「……いや、それはお前が自分で言っただろうが……」 「姉さん、自爆」 「うっ……、でも本当だからね……」 真っ赤に顔を染めながら空は俺のパンツを脱がした。 そこであらわになったのは、俺のモノ。 通常は小学生並に小さいが、興奮するとかなりの巨根に変化する俺のモノ。 そして今のは、後者の状態。 角度九十度にピンと立っていた。 「半年振りに見たけど…やっぱり大きい…」 「姉さん…如何するの」 「海は玉を責めなさい、私はこっちを…」 髪を掻き揚げ、空は口の中に俺の巨根を含んだ。 少し中に入れるのに苦労しながらも、空は完全に俺のものを口に入れた。 空は口の中で下を上手く使い、ちろちろと先っぽを舐めた。 「うっ…うあっ……」 半年振りなので、気持ち良い。 空のフェラチオのテクニックは凄まじい。 時に優しく、時に激しく。 ペース配分を考えながら続ける。 多分、フライトアテンダントの仕事上、色んな男の奴としていたに違いない。 「気持ち良い? これからもっと気持ちよくなるからね……海、そっちもお願い」 「…うん、なみさん……」 すっかり忘れていたが、海ちゃんも居たのだ。 彼女は慣れない行動に戸惑っていたが、俺の玉をゆっくり舐める。 ちゅぱちゅぱと吸い付くような慣れない口先だったが、俺を責めるには十分だった。 ちゅ…んぁ…ちゅぱ、…ちゅ…… 「どう? 久しぶりの……」 「ああ…気持ち…良い…海ちゃんも、空も…」 「うふっ、嬉しいよ…、このまま出しちゃって良いからね」 調子に乗ったのか手を使いながら、俺のものを扱く。 上下に擦る空の手付きに、俺のものは限界に近付いた。 シーズン中、全く自慰などしなかった為か、興奮の度合いも高いまま。 海ちゃんは海ちゃんで、優しく玉を触ったり、舐めたり、吸ったりしていた。 「くっ……、空……海ちゃん……!」 「…出しちゃって下さい、なみさん……」 「……良いよ、私が全部受け止めてあげるから」 再び口の中に含む空。 そして一気に吸い込む。 俺の精液を全て吸い込むかのように強烈なバキュームフェラ。 一気に絶頂を迎える。 我慢していたが、もう限界だ。 ビクビクと俺のものがイキそうな事に気付いたのか、空は勢い良く扱き続けた。 「空ぁ……空ぁ…出る……っ!!」 遂に耐え切れず、一気に俺の中のものを空の口の中弾き出した。 自分でもドクドク脈打っているのが分かる。 「むっ…! ん……んぐ…ぐっ……」 空は外に精液を出さないために、肉棒を銜え続けその場で全て飲み干した。 飲み干し、肉棒を口から放した空はニコッと笑った。 「お、おい…大丈夫か?」 「ええ…温かくて、あなたを感じられて良かったわ……」 「姉さん良いなぁ……私も欲しかったなぁ」 「次ね、次」 「おい………」 幾ら俺でも何度もイかされると思うとげっそりした。 「…さて、今度は俺が二人を気持ち良くさせてあげるよ……」 「うんっ…お願い、なみ」 「なみさん……私も…お願いします……」 俺はゆっくりと立ち上がり、二人の服を脱がした。 二人のブラジャーを外し、乳首を優しく捏ね回した。 興奮しきっているのか、既に二人ともの乳首は勃起していた。 「二人とも…ここ、硬くなっているよ」 「だってぇ…あなたのあそこ……、舐めちゃっている間に……あっ!」 「なみさんと姉さんを見ていて……身体全体が熱くなっちゃって……ひゃっ!」 少しずつ感じている二人を見て、俺は嬉しくなった。 どうやら感度は良さそうだ。 二人とも顔がとろんとしていた。 交互に俺は二人の胸をゆっくりと舐め回した。 二人とも、下半身をくねくねさせながら俺を求めている。 空の切ない眼が、俺の事を求めていた。 俺は頷き、二人のスカートをするすると脱がした。 「…もう、濡れているね、二人とも」 「だから……、あなたのアソコを舐めていたら……」 「ううっ…、なみさんの意地悪ぅ……」 パンティー越しに二本の指で愛撫する。 少し触っただけなのに、二人の股間はしっとりと愛液で濡れていた。 くねくねと身体を動かす仕種に俺は再び興奮する。 一度海ちゃんを愛撫していた手を放す。 その途端、海ちゃんの目は潤み始めた。 「ど…どうしたんですかぁ……なみさん……」 「いや、先に空をイかしてから君をイかせようと思うからね」 「…いやですよぉ。姉さんと一緒にイきたいですよぉ」 「………」 そんな目をされると、俺は弱いんだけどなぁ。 仕方ないな。 二人同時にイかせるしかないな。 まず二人のパンティーを脱がす。 二人の秘部から愛液が漏れ出していた。 これを見るだけで俺の肉棒の体力が回復する。 一度二人の股間を舐めてやった。 二人ともビクッと反応し、感じてくれている事を確かめた。 「じゃあ海ちゃん、空の上になって」 「……こうですか?」 海ちゃんは空の上に跨った。 今の彼女達は、俺に股間を見せ付ける状態になっていた。 そこで俺はあるものを握った。 それは…… 「なみ…!それって」 「なみさぁん…」 「…二人のエッチな音、聴かせて?」 それはマイク。 ひんやりと冷たいマイクを、空と海ちゃんの足に交互にピトッと付ける。 二人ともピクッと反応した。 これだけでも感じちゃうのかな。 俺はマイクの音量を最大にして、二人の股間の間に入れた。 そしてゆっくりとマイクを回していく。 「うあッ……アッ…あうっ、んんんッ!!」 「あっ…いやぁ……ああっ、…はぁ、はぁ」 カラオケから、二人のエッチな音が聴こえてくる。 二人の間のマイクに触ると、ねっとりとした液体が糸を引いていた。 そうとう気持ち良さそうだ。 俺は更に気持ち良くさせようと、マイクの回転を素早くした。 「あっ! は、激しい…っ! ンンッ! …ぁ、うぅん…、あ、あっ…!!」 「あぁ……、なみさ…んんっ! 気持ち…良いよ……おぉ!」 くちゅ、くちゅ、くちゅ…… 二人の嫌らしい水は、マイクを通じて混ざり合う。 室内は二人のエッチな音で包まれていた。 残ったもう一本の手で、空の尻の穴に指を突っ込んだ。 「あうっ…! なみぃ…そこはぁ……」 「ねぇさん……アナルぅ…良いなぁ……」 「心配しないでも、海ちゃんにもあげるよ」 マイクの回転と共に、空のアナルに指を出し入れする。 その度に二人は喘ぐ。 特に空は その二人を見て、俺の下半身のものは巨根に復活していた。 じゅぷ……ぷ……ぐちゅ、ぐちゅ…… 「あっん…ううっ…うぁあ!! なみぃ…、私…気持ち良くなっているよぉ!!」 「はっ…、あぁ…ぃぃよぉ…なみさぁん……気持ち…良い……」 「二人とも……可愛いよ」 「うんっ! ずるいよぉ…、なみぃ…そんな言葉言うなんてぇ……」 「なみさぁん…私にも指ぃ…挿れてくださいよぉ……」 今度は海ちゃんの方に指を挿れる。 既に愛液が尻の方まで零れ落ちている。 それがとても嫌らしい。 キラキラとエロチックに輝く愛液。 ぼんやりとした蛍光灯が、更に嫌らしく照らしていた。 海ちゃんの腕が震えてきた。 そろそろ限界だろう。 十分二人のエッチな姿を堪能した俺は、マイクを捨てて指を彼女達の股間に潜らせた。 「いやぁ…! なみぃ…良い…良いっ……! 良いよぉ…このままだと……イっちゃうよぉ!!」 「なみさぁん……あっ、あ……良いです……イキそうですぉ…!」 「イって良いよ。 二人とも、二人とも愛してあげるから……」 両腕の動きを激しくさせ、ピストン運動を高速化。 愛液がぐちゅぐちゅと音を響かせながら、彼女達の秘部で溢れていた。 既にソファーのくぼみで水溜りが出来ている。 後で拭かないとな…そんな今の状況と180%違う事を思いながら、俺は二人を思いっきりイかせようとフィニッシュを決める。 「あっ、ダメェ、ダメェ、ダメェ……イクっ、イクっ、イクッぅううううううっ!!」 「ああっ! イっちゃう、イっちゃう!! あああああああ―――っ!!」 二人の股間から、大事な二人のものから温かい水が弾けた。 海ちゃんの腕がガクガクと崩れ落ち、空の上に被さった。 「はぁ…、はぁ…は、ぁ…はぁ……、イっちゃったよぉ……」 「なみさん…気持ち……良かった」 二人は見つめあい、お互い唇を重ねあう。 ちゅぱちゅぱと、ゆっくり、優しくキスをした。 空は俺の股間をまじまじ見つめると、巨根をゆっくりと擦りながらニヤニヤと笑った。 「…なみ…、本当はもう一回したいんでしょ」 「……ああ。 すまないが、もう一度したい」 「うわっ…こう正直に言われると、…もう……しょうがないなぁ、あんたは…。 良いよ、私の中でして……」 巨根を触っていた手を外すと、空は挑発的に股間を見せてきた。 見ているだけで頭の中が白くなる。 イッた直後の彼女の秘部は、愛液で濡れて綺麗だった。 空が良いなら、俺はお構いなくやらさせてもらうよ…。 俺はゆっくりと亀頭を少しずつ、優しく押し付けて行く。少し焦らしながら、挿れた瞬間、彼女を沢山感じる為に。 「なみぃ…はやくぅ……挿れて?優しくしてよぉ……」 「ああ…」 空は目を瞑ると、俺はもう我慢できなくなり、少しずつ入れていく。 彼女を感じるため、奥深く、更に奥深く、彼女の中に侵食。 根元まで入りきる。 空は目を開けて、微笑んだ。 「…入っちゃった……ね」 「…ああ。 動いて良いか?」 「……うん」 空の合図が始まりだった。 俺はゆっくり腰を動かし始める。 快感を得るために、始めはゆっくりと。 だが俺の肉棒は、空を求め暴れ始める。 腰の動きは徐々に速くなっていく。 じゅぷ…じゅぷ…じゅぷ… 「ああっ…! さっきイッたばかりなのにぃ…! イッたばかりなのにぃ…、気持ち良いよぉ!!」 「うあっ……、空の中…最高だよ……」 俺達の中を駆け巡る快楽は、更に求め、愛し合う。 どんどん腰を回数が速くなる。 まだイクことは無いが、快感を間違い無く得ている。 このまま気を抜くとすぐイキそうだ。 俺は気を引き締め空の中を味わった。 空の喘ぎ声が大きくなる。 その声が興奮しきった俺を更に引き立てる。 「…はぁ…はぁ……」 その横で海ちゃんが自慰をしていた。 切なそうで訴えかける海ちゃん。 ……だからそんな目に俺は弱いっての。 俺は腰の動きを止めた。 今度は空が切なそうな目をした。 「…にゃ…、なみぃ……どうしたの……? 早く動いてよぉ」 「海ちゃん、こっち来て。……一緒に気持ち良くなろう」 「良いんですか……? 夫婦水入らずって言うじゃないですか」 「そんな単語、辞書には無いよ……。 良いよ俺達は家族じゃないか」 「…もうっ、バカ。 まだ婚約発表していないくせに」 俺は空を起き上がらせ、海ちゃんの股間を俺の口に寄せた。つまり空は騎乗状態と言う訳だ。 「これなら…三人一緒に気持ち良くなれるよな……」 「バカ……じゃあ動くわよ…」 「ではなみさん……宜しくお願いします…」 空が動かした瞬間、俺は海ちゃんの股間を舐め始めた。 既にオナニーで濡れてきていた彼女の股間は、空と同じくらいに綺麗だった。 ちゅぱちゅぱと舐めると、どんどん海ちゃんの膣内から愛液が出てくる。 「美味しいよ……海ちゃん」 「いやぁ……言わないでくださいぃ……」 「なみ…こっちも感じてよ……」 交互に俺の巨根を動かす空。 俺も空に突き動かされ腰をガンガン動かす。 その度に空は喘ぎ声をあげた。 一度中断された反動か、一気に性欲を呼び起こす。 海ちゃんも、自らの手から俺の舌に動きが変わったため、一気に喘ぐ声質が変わった。 身体をくねらせながら、何とか二本の足で立っている状態になっていた。 じゅぷ、じゅぷ…じゅぷ……じゅ くちゅ…、くちゅくちゅ… 「アアッ…あっ! なみぃ…良いよぉ! うぁ…私の……私の中で…動いて…ああっ!!」 「良いです…なみさん…良いです…んんっ……いいっ!」 「二人ともエッチだなぁ……声がこの部屋中に響いているよ」 「そ、そんなこと言わないでぇ……あ、…はっ、ンンッ!」 「私…、私…もう来ちゃいます…もう……イッちゃいます!」 二人とも動きが激しくなるにつれて、俺も舌の動き、腰の動きを激させる。 俺は嬉しい。 二人ともこんな風に感じてくれるなんて。 もし喜んでくれるのなら、俺は毎日、毎晩でもしてあげたい。 ……まぁ、プロ野球辞めてからかな。 パンパンに膨れ上がった俺の肉棒は、はち切れんばかりに空の中で擦れ合っていた。 海ちゃんの乳首を触る。 それだけで感じてしまう海ちゃんに俺は微笑んだ。 「アアっ!! 気持ちよすぎる……! はうううっ!! んんッ…イキそうだよ!!」 「イクっ! イッちゃいます、私…! あっ、ンンっ!!」 「俺も……出る……空…中に出すぞ……!」 「良いわよ…アッ、……ドクドク出して!! あなたの精液……頂戴!」 「ああっ…イっちゃうよ! なみさぁん!!」 空も激しく俺の中で動かす。 俺もそれに答えようと、腰を動かした。 もう限界だ。 俺はラストスパートをかける。 「ああっ…イクっ、くぅ……イっちゃうーッ!」 「出ちゃう…出ちゃう、あああああっ、イっちゃう…ああぁぁああああ――!!」 「くっ…、空ぁ!!」 「来てぇ、来て! …イクッ、イっちゃう! イクううぅぅうう―――!!」 ドクッ、ドクッ、ドクッ…… ビクッ、ビクッ、ビクッ…… 三人とも、二度目の絶頂を向かえた。 ――― ――― 何でカラオケからこんな雰囲気になってしまったんだろう。 俺はぐったりと横たわる二人の真ん中で、ぼんやりと考えていた。
https://w.atwiki.jp/viptndr/pages/759.html
822 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/08/22(月) 22 10 43.73 ID XP6M8j9WO [13/13] ツンデレと海に行ったら(かなみさんVer.) 女「んー、潮風が気持ちいー!」 男「ちょっと遅くなった気がしたが、やっぱり海はいいな!」 女「隣にいるのがあんたっていうのだけが不満だけど、まぁこの際いいわ」 男「何をぅ。こんないい男を連れて歩いて不満があるだとぅ?」 女「自惚れもそこまで行くと多芸の一つね……じゃあ、着替えてくるからちょっと待ってなさいよね」 男「更衣室混んでないか? そこの物陰で着替えて、ロッカーだけ使った方が早くね?」 女「またあんたは馬鹿なことを……女の子が物陰でなんか着替えられるはずないでしょ!」 男「どうせ服の下に水着着てんだろ? だったら脱ぐだけなんだから一緒じゃん」 女「だからデリカシーが無いって言うの! これだけ人が多いと、いつ誰が来るかなんて分からないんだから」 男「んなら、見られないように俺が体で垣根作ってやるから、それならいいだろ?」バッ 女「きゃ…!!」ドキッ 男「どうした?」 女「な、何でもないわよ……脱げばいいんでしょ脱げば!」 男「そんな自棄にならなくてもいいのに……」 女「うぅ……こっち見ないでよね!」ババッ 男「……脱いだか?」 女「脱いだわよ……早く行くわよ!」 男「はーい」 女(うぅ……見られた。タカシに私の着替えるとこ見られちゃった……///) 916 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/08/23(火) 03 25 38.78 ID XC0zZkalO [2/3] ツンデレと海に行ったら(ちなみさんVer.) 男「あー、楽しかったなー」 女「うん……また来たい……」 男「今年中にもう一回来れたらいいんだけどな」 女「……」 男「……ちなみ? もしかしてもうおねむか?」 女「……寝てなんかない……ちょっと、遊び疲れただけ……」 男「無理すんな。バス停までで良かったらおぶってやるぞ?」 女「ぅゅ……仕方ない……今日だけはタカシの言葉に従う……」ハシッ 男「よしこい」ハシッ 女「……タカシ……汗臭い……」 男「そうか? 面と向かって言われると地味にショックだ」 女「だが……それがいい……」クンクン 男「お、おい。人の臭い嗅ぐなよ」 女「……いつもの変態行為の仕返しだから……止めたげない……」クンクン 男「そんなことしてるとお前が変態みたいだぞ?」 女「……それで……いいのだ……」クンクン 男「いいのかよ」 女(……タカシの背中、暖かくて良い匂い///) ここから620スレ 86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/08/23(火) 19 13 09.02 ID XC0zZkalO [6/18] ツンデレと海に行ったら(かつみさんVer.) 女「おっす、待たせたなタカシ」 男「おっせーよ。着替えるのに何分かかってんだ?」 女「うっせぇ。十分もかかってねーだろ。イライラすんな」 男「こちとらその十分を首を長くして待ってたんだからなっ!!」 女「どんだけ海が好きなんだよ、お前」 男「海がというか、かつみがどんな水着着てくるのか楽しみで仕方なかった」 女「こんな水着だよ。似合わないとか言ったらコロスぞ?」 男「いやすごく似合ってるが、強いて難点を上げるならパレオが邪魔かな」 女「あん? 水着とセットなんだからこれだけ外せるかよ」 男「そんな! せっかく露出度の高いビキニなのにお尻と太ももを隠すなんて勿体な……」 女「……アホ」ゴスッ 男「うごふっ」 女「あーあ、卸したての水着なのに返り血ついちまった。まぁ泳いでれば落ちるか」スタスタ 男「……」ピクピク
https://w.atwiki.jp/tukinohazama/
「落ちこぼれ織姫とバイトの彦星」製作wiki 概要はこちら このウィキの使い方 ~4つのステップ~ ■ログインしてみよう! デザインを変えたり、サイト名を変えたりするためには、ログインしないといけないよ。 ログインの方法は、下の手順でログインしてみよう! わからない場合はこちらのページも参考にしてね。 画面の右上にある「ログイン」をクリック! ユーザ名に「tukinohazama」、パスワードには、登録の時に設定したものを入力しよう。 画面の右上に「tukinohazama」と表示されればログイン完了! ■サイト名を変更しよう! サイト名はどこから変えれるの?下の手順にそえばサイト名を変えれるよ! わからない場合はこちらのページも参考にしてね。 ログインしたら、右上にある「設定」をクリック! 表示されたページの左メニューにある、「基本設定」をクリックしよう! そうすると、一番上の「サイト名」と書かれた右側に、今のサイト名が書かれています。 ここを好きな名前に書き換えよう! 書き換え終わったら、一番下にある「設定変更」ボタンをクリック! 右上の 「(設定したサイト名)」へ戻る をクリックすると、サイト名が変わったことが確認できるよ! ■新しいページを作成しよう! 新しくページを作成するにはどうすればいいのか、下の手順にそってやってみよう! わからない場合はこちらのページも参考にしてね。 画面の左上にある「@メニュー」にマウスを持って行くと、さらにメニューが表示されます。 表示されたメニューから「新規ページ作成」をクリック! 表示されたページで、作りたいページの名前を入力して、 編集モードは 【初心者向け】ワープロモード を選択しよう。 真ん中の枠の中に、自由に書き込めるよ! 作り終わったら、「ページを保存」をクリックすれば、新しいページの作成は完了! ■このページを編集しよう! 最後に、このトップページを編集しよう! ページ編集の方法がわからない場合はこちらのページも参考にしてね。 左上にある「編集」にマウスを持って行くと、さらにメニューが表示されます。 表示されたメニューから「ページ編集」をクリック! 編集画面が表示されるので、自由に書き換えてみよう。 書き換え終わったら、「ページを保存」をクリックすれば、トップページの編集は完了! もし、wikiで議論する場や掲示板が欲しい場合は? @wikiの姉妹サービスである@chsをご利用ください。 登録はこちらから ← ここをクリックしてください。 分からないことは? @wiki ご利用ガイド よくある質問 無料で会員登録できるSNS内の@wiki助け合いコミュニティ @wiki更新情報 @wikiへのお問合せフォーム 等をご活用ください その他お勧めサービスについて 大容量1G、PHP/CGI、MySQL、FTPが使える無料ホームページは@PAGES 無料ブログ作成は@WORDをご利用ください 2ch型の無料掲示板は@chsをご利用ください フォーラム型の無料掲示板は@bbをご利用ください お絵かき掲示板は@paintをご利用ください その他の無料掲示板は@bbsをご利用ください 無料ソーシャルプロフィールサービス @flabo(アットフラボ) バグ・不具合を見つけたら? 要望がある場合は? お手数ですが、お問い合わせフォームからご連絡ください。
https://w.atwiki.jp/turezurenushi/pages/56.html
共に実装済み レア度 武将名 兵種 武家 特技系統 レア度 武将名 兵種 武家 特技系統 R 茶々 足軽 浅井 兵糧 R 初 足軽 浅井 回復 SSR 淀殿 忍者 豊臣 兵糧 SSR 常高院 弓兵 浅井 回復 R江=SSR崇源院 Rまつ=SR芳春院 片方のみ実装済み 10/9~天樹院実装←new Rねね=SSR北政所=高台院 SR千姫=天樹院 SRお大の方=伝通院(特技で実装) R豪姫=樹正院 洗礼名「マリア」のほうが有名 R築山殿=西光院 徳川家康正室 R阿茶局=雲光院 R愛姫=陽徳院 R義姫=保春院 R彦鶴姫=陽泰院 R虎御前=青厳院 R亀姫=盛徳院 R千代=見性院 R小松姫=大蓮院 綾姫=R千桃院 共に未実装 光姫=照福院 官兵衛の室 長政の母 大井の方=瑞雲院 太田お梶=英勝院 太田康資の娘 お利世=竹林院 真田信繁の室 千世=寿福院 金沢藩主利常の母 まつの親友 珠姫=天徳院 江の次女 朝日姫=南明院 徳川家康継室 山手殿=寒松院 真田昌幸の室、信之・幸村の母 蔭山殿=養樹院 家康の晩年の側室 冬姫=相応院 蒲生氏郷の正室 お万の方=長勝院 家康の側室 辰姫=壮厳院 石田三成の三女 お冬=相応院 信長の次女 蒲生氏郷の室 お永=玉泉院 信長の四女 前田利家の室 嶺姫=嶺松院 今川義元の娘 雪窓=雪窓院 島津貴久の正室 江戸鶴姫=蓮乗院 神尾お静=浄光院 松平秀田忠の室 熊谷新庄=慈光院 吉川元春の室 瑠璃姫=黄梅院 北条氏政の室 伊達芳姫=宝寿院 佐竹義重の室 正姫=正洞院 佐竹義宣の室 満天姫=葉縦院 福島正則の室 登久姫=峯高院 小笠原秀政の室 水野かな=清浄院 加藤清正の継室 村井はる=慈光院 佐々成政の室 過去ブログ http //blog.livedoor.jp/tenkatori2/archives/32019935.html 合計: - 今日: - 昨日: -
https://w.atwiki.jp/maid_kikaku/pages/747.html
(投稿者:フェイ) * 静かな廊下に足音を残しながらスィルトネートは歩く。 グレートウォール戦線より帰還した兵士達の休憩所を通り過ぎ、一人静かに休む場所を探して。 「…あら? あれは…」 ふと、ある部屋に座る人影を見つける。 こちらに背をむけて座る姿は見覚えがある――1年先輩のメード、シュヴェルテ。 見たところ電灯はついているものの、椅子に腰掛けて頭はうつむいているように見える。 二、三歩戻り、その部屋の中を覗き込んで。 「なにしてますの、シュヴェルテ?」 「ひゃあ!?!?」 椅子が揺れややオーバーリアクション気味に投げ出されたシュヴェルテの両手から何かが零れ落ちる。 「あーっ、あ、あっ……!!」 「す、すみません…驚かせてしまいまして?」 「だ、大丈夫ですよ!? って、あ、あ、玉が玉がー」 コロコロとシュヴェルテの膝の上を離れて転がっていく毛糸玉。 スィルトネートはそれを拾い上げると頭を下げながらシュヴェルテへと手渡す。 「申し訳ありません、集中の邪魔をしてしまったようで」 「ううん、大丈夫……ま、またやり直しだけど…」 「これは…」 手元には、編み掛けの何か。 色とりどりの糸が絡み合い――――なかなかカオスな編み模様で。 まっすぐ編めてもいないし、幅が取れていないだけになんだか細い。 「これは……なんです?」 「……………ま、まふらー………」 「…………」 思わず沈黙。 語彙を必死で検索、なんとか傷つけないような言葉を探して。 「……不器用ですのね?」 失敗した。 「……………自覚はしてます…でも別に不器用なだけじゃなくて誰にも習ったことがないからであって…」 「し、失礼しました。…でも、何故マフラーを?」 聞いた途端、シュヴェルテの顔が真っ赤に染まる。 そういえばこの勇猛果敢なメードに、こんな顔をさせる『男』の話を聞いたことがあった。 確か――。 「もしかしてゼクスフォルト少佐関連ですの?」 「わー!!!!」 またしても転がる毛糸玉。 慌てることなく再び拾い上げるとシュヴェルテの膝の上へと戻して、スィルトネートはその隣に腰掛ける。 落ち着くために深呼吸を繰り返したシュヴェルテはまだ紅潮の残る頬のままスィルトネートを見る。 「スィルトネート、この、この事は、その…」 「他言無用?」 「う、うん………」 真っ赤な顔のまま頷くシュヴェルテを見て思わず笑みが浮かぶ。 あまり接触のない相手ではあったが、こうやって照れている様子は先輩とは思えないほど可愛らしい。 それに――――そういった、人を慕う気持ちはわからなくもない。 「かしこまりました。誰にも言いません」 「あ、ありがとう…」 「ただ…」 「?」 改めて、そのマフラー……マフラーらしき物体を確認する。 編みあがっている量は大体15cmほどといったところで、まともなマフラーになるには大分足りない。 「そのペースで間に合います? ……少佐へのプレゼントなのでしょう?」 「……うん。もう冬になるし…グレートウォール戦線はただでさえ寒さが厳しいから、戦闘中はともかく待機中にでもと思って…。でも冬に間に合わなきゃ意味ないですよね…」 喋れば喋るほどに段々とシュヴェルテの笑顔はくもって若干うつむき加減になっていく。 ふぅ、とため息を一つ。 「そこまで焦らなくとも…。まだ、本格的な冬まで二ヶ月はありますのよ?」 「そうじゃないの。……今月末がアシュ……少佐の誕生日なの」 「別に隠さないで名前で呼んでもよろしいのに」 「…ま、まだ慣れてないの!」 シュヴェルテの顔が再び赤くなる。 その様子を楽しそうに見ながら笑うスィルトネートはその手からひょい、と棒針を取る。 「あ、スィルトネート…」 「急ぐのでしたら、あまりカラフルにすると難易度が上がってしまいますから。…今からなら、解いても新しく編みなおした方が時間がかかりませんもの」 「そう…なの?」 「はい、最初は一色で編むのをお勧めします。味気ないとお思いでしたら二色編みでも構いませんけど…」 「…う…ん………。…ううん、間に合わせたいし…あまり欲張りは言ってられないから」 「かしこまりました」 少しばかり仰々しくお辞儀して見せてからマフラー(らしき物体)を解く。 スィルトネートは改めて一つの毛糸玉から糸を取り、手際よく、しかしゆっくりとシュヴェルテに見えるように作り目を編んでいく。 「こう……です。わかります?」 「…上手ね、スィルトネート」 「糸と棒針の動かし方は、私の武器の関係上中々興味深いものがありまして。研究がてらやっていたら…はまってしまいました」 照れたように笑うスィルトネートに、シュヴェルテも自然と笑みを浮かべた。 「ありがとう。…自分でやってみる」 「はい。何か分からないことがあったら、いつでも」 スィルトネートはしっかりと笑みを浮かべて答えた。 激しい物音を立て、扉が開かれる。 メードの力で思い切り開かれたドアは、軋みをあげひびが入る。 椅子に腰掛けていたギーレンはその様子を見て、小さくため息を一つ。それをなした相手へ声をかける。 「なんだ、騒々しいぞスィルトネート」 「淑女としての嗜みのことでしたら、後ほどいくらでもご叱責を賜ります」 スィルトネートはらしくもなく激昂したまま、ギーレンの前の机へと手に持った新聞をたたきつけた。 一面の大々的な見出しには、大きく太字で『ジークフリート、ヴォ連スパイを断罪!』。 大きく映し出された写真にはジークフリートの宝剣――バルムンクを突き立てられ、串刺しとなったシュヴェルテの姿。 「……ご報告は?」 「受けている。ジークフリートが直接手を下したという事実はない。皇帝派を通し、実行犯はエメリンスキー旅団、目的はシュヴェルテの排除…奴らの事だ、拉致をしたシュヴェルテを人身売買にでも使うつもりだろう。……一通りの情報は抑え、今は証拠の確保に奔走させている」 「………シュヴェルテの件は、どう…対処、されますか?」 「遺憾には思うが、今は何も出来ない。異人どもとはいえ、現状奴らは我が国の正規部隊だ。何の確証もなく攻撃をすれば内紛へと発展しかねない」 「…………っ」 二つに割れた自分の心のうち、異論をあげ掛けた一つを、俯き唇をかみ締めることで喰いとめる。 ギーレンには、確かに優先するべきことがある。 それに、シュヴェルテはいずれ戦うことにもなったかもしれない相手だ――予め障害が無くなったのならよいではないか。 そう考えようとしても、もう一つの思考は止まらない。 何故、自分は皇帝派の暗躍に気づけなかった。 何故、自分はシュヴェルテの周囲の様子に気づけなかった。 何故、あのシュヴェルテがこんな目にあわなければならないのか。 何故、何故、何故。 「…感情は抑えろスィルトネート。感情を処理できんのなら…」 「………いえ、大丈夫です。お見苦しいところを…失礼いたしました」 身住まいを正し、唇から垂れた血を拭う。 冷静に―――自分では、冷静となったつもりの顔を上げる―――いつの間にか、ギーレンは目の前に立っていた。 厳しく引き締められた顔とは裏腹に、優しく、手がスィルトネートの頭へと置かれる。 「いずれ皇帝を降す際には奴らの悪事も暴かれるだろう。それまでは耐えろ」 「――――はい……」 その温もりによって、スィルトネートはようやく自分の心が落ち着いていくのを感じる。 笑みを浮かべられるくらいに自らの心を落ち着けると、失礼にならないようにギーレンの手から一歩下がる。 「……ありがとうございます、ギーレン様」 「良い。これからも頼むぞ」 「はい」 悲しみが引いたわけではない。 シュヴェルテがいなくなった事実に――その悲しみに変わりはない。 だがそれでも、自分の道は一つ―――ギーレンの為、尽くす、それだけだ。 一礼して、スィルトネートは部屋から出た。 ――――あのマフラーは、どうなったのだろうか…。 それを思い、一筋、涙が零れ落ちた。 本日、ゼクスフォルト少佐。もとい、ゼクスフォルト元少佐が除隊、及び国外追放となった。 シュヴェルテというメードと、ゼクスフォルト元少佐の力を失えば戦力が落ちることぐらい分かるはず。 なのに、何故あの人たちは暢気にジークに…それも、あんな辛そうなジークに笑顔で勲章を与えられるのか? 戦力の方は、アイゼナとベルゼリアがようやく前線に出せるようになったとのこと。 あの子達は、護っていかないといけない。決してシュヴェルテと同じような目には、遭わせてはならない。 それが、私がシュヴェルテにできるせめてもの償い。 そしていつか、ギーレン様と共に無念を晴らしてみせる。 必ず。 関連
https://w.atwiki.jp/sing-sh/pages/112.html
Biancaneve bruno 〜 白雪姫と8人の小人 〜 < > 《聖夜》 → クリスマス 01 05~ “Dopey, Grumpy, Sneezy, Sleepy, Happy, Bashful, Doc and Augustus...”[※1] 現在 → いま 《義体》 → わたし 理由 → わけ 《敗北》 → 負けること 《許容》されない → 許されない 《恐怖》 → 闇 《脆弱い》 → 弱い 《光》 → ぬくもり 《兄妹》 → fratello(フラテッロ) 05 40~(バックコーラス) 01 05~と同じ 06 03~ 「褐色の白雪姫」 ⇒ Biancaneve bruno(ビアンカネーヴェ ブルーノ) ※1:作中に出てくるテディベアの名前 Dopey~Docまでは白雪姫に出てくる七人の小人の名前 Augustusはローマ帝国初代皇帝の名前 ※:イタリア語特有のアッチェント記号などは除いています。 コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/hanasakuiroha/pages/122.html
あらすじ 放送日時 制作者 声の出演 17話 19話 Web配信 Q A こちら あらすじ 夜、次男をおぶりながら台所で夕食を作っていると、長男と次女の「お腹空いたー」という声が響き、 居間からは小学校の教師である両親の討論が聞こえてきた。 「そういう話は学校で!」と、弟妹の面倒を見ながら両親をたしなめる菜子。 そこには家の外では見られない力強くしゃべる姿があった。 翌日、菜子はお客から見ごろの花を聞かれるも、すぐに答えられず落胆する。 家でのように振舞いたい、やっぱり今の自分を変えたと思い始めていた。 放送日時 放送地域 放送局 日 曜日 放映時間 備考 東京 TOKYO MX 7月31日 日曜 22時00分~ 埼玉 テレビ埼玉(TVS) 25時35分~ 千葉 チバテレビ(CTC) 8月1日 月曜 25時30分~ 富山 北日本放送(KNB) 25時30分~ 近畿広域 読売テレビ(YTV) 25時44分~ MONDAY PARK1部 中京広域 中京テレビ(CTV) 8月2日 火曜 27時44分~ 石川 テレビ金沢(KTK) 8月4日 木曜 25時49分~ 日本全域 キッズステーション 23時30分~27時30分~※ ※リピート放送14話から時間変更 富山石川福井 北陸エリア CATV 8月6日 土曜 22時00分~22時30分~※ ※Net3のみ 日本全域 ニコニコ動画 8月6日 土曜 Web配信 制作者 脚本 岡田麿里 コンテ 篠原俊哉 演出 作画監督 川面恒介 原画 P.A.WORKS 菅沼芙実彦 戸谷賢都 天野和子 阿部ゆり子 奥佳奈絵 佐藤孝一 秋山有希 川口千里 植木中美 伊藤大翼 井村学 中村真悟 小園菜穂 谷口元浩 小澤和則 浜津武広 第二原画 八島祥子 遊歩堂 アニメーション・プラネット C-Station 動画検査 三田由起子 花谷智佳子 色指定 中野尚美 仕上げ検査 越田侑子 担当制作 松田純治 声の出演 松前緒花 伊藤かな恵 鶴来民子 小見川千明 押水菜子 豊崎愛生 和倉結名 戸松遥 輪島巴 能登麻美子 四十万スイ 久保田民絵 四十万縁 浜田賢二 宮岸徹 間島淳司 次郎丸太郎 諏訪部順一 富樫蓮二 山口太郎 助川電六 チョー 押水民夫 新垣樽助 押水佳代子 新井里美 押水智也 水原薫 押水麻奈 慶長佑香 ナンパ男 赤羽根健治 -
https://w.atwiki.jp/ercr/pages/696.html
発売日 2003年8月29日 ブランド BaseSon タグ 2003年8月ゲーム 2003年ゲーム BaseSon キャスト 青山ゆかり(姫岸唯緒),大波こなみ(黛叶子,昴),吉川華生(真咲花,真咲碧),北都南(一ノ瀬明星,慧来),鷹月さくら(小西朋絵) スタッフ シナリオ:青山拓也,前田辺 原画:片桐雛太,かんたか 音楽:O-Parts,下地和彦,ようづきわたる,YUZ プログラム:T.Hal スクリプト:MEGA CG:とーかい林檎,とにゃー,月織祐二,和泉,こめっこ☆ジャンキー,忍冬,森金,バインド・パイン,藍,はるさめ,翠珂,神代ゆうき,kumi,有限会社草薙,日陰影次 ムービー製作:タナカードwithダムダム団 ディレクター:阪本海老人 スペシャルサンクス:NEXTON ALL STAFF presented by BaseSon オープニングテーマ 「世界が終わるまで」 VOCAL:青山美砂 エンディングテーマ 「ただ、キミといるために」 VOCAL:青山美砂
https://w.atwiki.jp/princess-ss/pages/182.html
ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン……… 僕が向かうのは戦場。 僕と同じ貨物馬車に乗っているのは、西部で未だ抵抗を続ける勢力を平定する為に徴兵された若者ばかりだ。 戦況は予想外に激戦らしく、ろくな訓練もなしにこの貨物馬車に押し込められた。 装備はない。戦地で支給されるのだろうか? ガタン…ゴトン……ガタン………ゴトン……馬車の列が止まった。 ガララッ、薄暗い貨物馬車の扉が開き、まばゆい光と共に――― 「ぐあっ」 「うっ!?」 「ぎゃ!」 ――矢が雨のように降り注いだ。 「全員、降車!急げ!!」 矢が次々と貨物車に乗っていた者達に突き刺さる中、僕は転がるように貨物車から飛び出した。 その眼に飛び込んできた光景に僕は唖然とした。 枯れ果てた木々と泥と湿気にまみれる大地が一面に広がっていた。 その時、凛とした声が遥いた。 「貨物馬車を守れ!防盾隊は何をしている!」 一頭の馬に乗った黒い甲冑の騎士が叫んだ。 その一喝と共に、貨物馬車と補充兵の周りに大きな盾を持った兵が駆け寄ってきた。 ほどなくして矢が飛んでこなくなり、僕はほっと息をついた。 「ルージュ様、敵の残存部隊に我が軍の騎兵が突撃を開始致しました。まもなく状況は回復しましょう」 後から駆けてきた魔術師がさっき叫んだ黒い甲冑の騎士に言った。 (……ルージュ?) どこかで聞いた名前だと思っているとその黒い騎士が僕の前に馬を進めてきた。 「少年、名は?」 「えっ…あ…?」 「名は何と言う?」 「は、はい。ラメルと言います」 「年齢(とし)は?」 「はい……12です」 「そうか。私の侍従が先刻、戦死した…本日付けをもって私付きの侍従に命ずる」 「え………!?」 「返事は?」 「は、はい!」 数時間後。 「よろしいのですか?」 「………」 軍陣営の将校用のテントの中でティゴルは言った。 「何がだ?」 「彼は弟君によく似ている」 「…………」 「容姿も声も……ですが彼は弟君ではない」 ティゴルは一呼吸おき、言った。 「そして……弟君の代わりでもないのです」 「―――っ!」 ルージュはキッとティゴルを睨んだ。 「………ソレが私が侍従を選んだ理由だというのか?」 「僕の眼にはそう映りました」 ルージュはティゴルの視線を逃れるように踵を返した。 その背に縋るようにティゴルは続けた。 「ルージュ、貴女らしくありません。侍従を選ぶのは構いませんが、僕の―――」 「少し疲れた……一人にしてくれ」 「ルージュ」 なおも食い下がるティゴルに僅かに振り向き、ルージュは言った。 「出ていけ………これは命令だ」 「…………わかりました………失礼します」 ティゴルは目を伏せ、頭を垂れるとテントの外へと出て行った。 「………」 甲冑のままルージュは簡易ベッドに腰をかけた。 そしてふぅと息をつくと両手で身体をゆっくりと抱いた。 「…………」 震える肩を押さえながら、ルージュは自分に言い聞かせるように何度も呟いた。 「わかっている……弟は…ルリエスはもうこの世にはいない………わかっているんだ」 翌朝、僕は陣営の本部に呼び出され、正式にあの騎士の……いや王国騎士団長であり、 騎士団長でもあるマリアルージュ=クロスティリア様の侍従に任ぜられた。 よかった、ツイてる…と僕は思った。 元々、口減らしの為に兵隊に出された僕だ。 帰っても迎えてくれる家はない。 王女付きの侍従であればまともな食事にありつけるだろうし、前線で戦うよりマシだろう。 と命令書を持ち、思案していた。 が……どうやらそれは甘い考えだった。 「あ…あの、マリアルージュ様」 「私を呼ぶときはルージュでいい」 「あ、は…はい、あのルージュ様、これはなんですか?」 「朝食だ」 侍従になってからの初仕事はルージュ様の食事の用意。献立は……… 「……冷めた豆のスープに肉の塩漬け、この黴びたパンが?」 「ああ」 「コックが間違えたんでしょうか、これがルージュ様のお食事とは―――」 「補給が乏しいのでな、仕方がないんだ。パンの黴びた部分は削って食え。 水は飲料水も含め、優先的に医療班にまわしているから我々の分はない。 だからといって川の水は飲むな、バクテリアが多い、死ぬぞ。喉が渇いたらビールを飲め、傷んでいるが軽い腹痛程度ですむ」 これが女性の台詞か?ああ、なんかパンをナイフで削って食べてるよ……をいをい。 それにこのテントの中……なぜか…ものすごく臭い。 大量の生ゴミが腐ったようなひどい臭いが……自然と僕の眼は朝食をとるルージュ様の方へと移った。 ……まさかな…… そんな考えを見透かしたかのように我が主君は答えた。 「酷い臭いだろう?」 「えっ……?」 「汗と土と血と女の臭いだ……まるで家畜小屋だな。まぁ……一月もろくに身体を洗っていない…許してくれ」 「…………」 僕は何も言えずただ下を向いていた。 「これでも前線の兵士よりはマシだというのだから……戦場というのは本当に酷い場所だよ。 貴族どもは一日ともたんだろう。」 鼻で笑って、削ったパンをスープに付けて口に運ぶルージュ様。 口とは裏腹に、その眼光は野生の狼のようだ。 「お前も覚悟しておけ。戦場がどんな場所か直にわかるはずだ」 ルージュ様はふふっと不敵に笑い、干し肉を囓りビールを一気に煽った。 今日は本陣の作戦本部テントで作戦会議、戦況は昨日の戦闘で対岸に敵軍を追いやったことで王国軍が優勢になったという。 対岸の後方には広い草原があるのみ、そこが決戦の場になるのだそうだ。 相手は王国軍の併合策を『侵略』と称して抵抗するこの小国『ラトゥカ』の王とそれに従う一部の国民。 それはそうだ、併合されれば王家はどうなるかわからない。 小さいなりにも独立した国の王ならば、抵抗するだろう。 きっかけは小さな反乱だったらしい、それを鎮圧に向かった王国軍警備隊が破れ、 勢いづいた民衆が続々と集結し、それを聞いた王が決起しクロスティリア王国と対決するに至ったらしい。 「ルージュ様、敵は疲弊しております。戦力差はこちらの3分の1、我が軍の騎士団で踏みつぶしてやりましょう」 会議の中、若い上級騎士が言った。 「………」 ルージュ様は腕を組んだまま、じっと机の上の戦況板を見ている。 「敵の装備はどうだ?騎馬は?」 「は、ラトゥカ軍には正規の軍組織がありません。民兵が主で、武器は剣に斧や槍、はては鉈や鋤で武装しているそうです。 騎馬は20騎程度のようであります」 皆がどっと笑う。 「昼間の戦闘で敵の弓兵隊はほぼ壊滅させました。所詮は農民の軍隊、烏合の衆です」 「その烏合の衆相手に我が軍の補充兵達に被害が出たのだ。それはどう説明する?」 ルージュ様の低い声に騎士達が言葉に詰まった。 「……姫、敵の動きは非常に巧妙です。兵の質は低いかもしれませんがそれを組織している王。 もしくは幹部に、よほど兵法に長けた者がいると考えるべきです。」 ルージュ様の後ろに控えていた老軍師が言った。 その後ろには、若い魔術師が控えている。 あ、ルージュ様と初めて会った時にいた人だ。 「爺、私もそう思う……が、対岸に渡った奴らは河を渡る我らに攻撃はしてこなかった。 覚悟を決めたとは考えれぬか?」 「ご冗談を。彼らはこの戦に『勝つ』つもりでしょう。」 おじいさんがふふふっと笑った。 「シャレール殿、それは我らを騎士団を愚弄しているのか!?」 勇んでいた若い騎士がすごい形相で睨んだ。 「そんなつもりはない。が、現にただの民兵相手にここまで苦戦しているのは事実。 それでも強引に攻めるというのなら、お主の騎馬隊で明日、敵の歩兵を攻撃すればよい。 100もあればたやすく突破できるだろう?」 「言われなくとも!ルージュ様、明日の先方は私に務めさせて下さい。 見事、ラトゥカ王の首を討ち取って御覧に入れましょう」 「……わかった。そなたの直属の部隊に先陣を務めてもらおう」 「はは」 そして作戦会議は終わり、本部にはルージュ様と僕。 おじいさんと若い魔術師だけが残った。 「爺……100の騎馬、潰す気か?」 「姫、民衆の『乱』というモノは時として最も強い軍隊となります。 その恐ろしさを将来、王国を統べる貴女様の眼にしっかりと焼き付けていただきたい。 その為なら100の騎馬、惜しくはありません。」 「……軍師たるヴァレリアス=ムスムリ=シャレール殿の言葉であっても…… 100の騎馬は騎士団の一部、それをむざむざ―――」 「姫、王となる者は大局を見極めねばならぬ時もございます」 「それでは父上と変わらぬではないかっ!」 ルージュ様が吼えた。 「父上は己の敵には容赦のない方。謀反の疑いをかけられ処罰された臣下も1人や2人ではない。 それ故に一昔前は内からは『魔王』と、外からは『クロスティリアの覇王』と呼ばれていた…… 私はそのような王にはなりたくはない!」 「ならばなおのこと。王であろうと思うのであれば、まず民の恐ろしさを知らねば………。 そのために『情』を捨てねばならぬ時もございます」 「今がその時だと?」 「左様、1500の騎士団の内の100、残りの1400と歩兵5000の為に……」 「……承知した。爺、任せるぞ。」 「御英断、この爺は嬉しく思います。姫はやはり王となられるお方です」 「……下がって休め。明日は決戦だ。ティゴル、お前も明日は存分に働いてもらうぞ」 「はい、お任せを」 そう言っておじいさんとあの魔術師……ティゴルさんは出て行った。 「ラメル、私は身体を清める。手伝え」 「え…あ、はいっ!」 眠くて立ったままウトウトしていた僕はルージュ様の声にびくっとした。 …って身体を清めるって? 僕は今、ものすごく緊張している。 鼓動が高ぶり、息苦しい。 それはそうだ…この一枚のしきりの布を隔てて向こうは裸のルージュ様が湯浴みをされているのだから。 「ふぅ……生き返る……補給が間に合ってよかった。決戦の前は身体を清めるのは王家のしきたり… だからと言って濁った河の水で洗うのはごめんだからな」 「は……はぁ」 ……そんなことを言われてもな…… 「ラメル、こっちへ来て背中を流してくれないか」 ええええええ!? 「で、ですが……ぼ、僕は…」 「気にするな、お前に己の裸体を見られたからといってどうと言うことはない」 「し、しかし……」 「お前も脱ぐんだからな?」 ……お許し下さい、ルージュ様…観念して、僕は服を脱ぎ失礼しますと言って しきり用の布を抜け、中へと入っていった。 そこには栗色の髪の女神が座っていた。 ほんのりと紅ののった白い肌に蒼い眼、均整の取れた年相応の女性が 湯を張った簡易浴槽の中からこちらを見ていた。 「何を固まっている、こっちへ来い」 「は…はひ!?」 あんまりの衝撃に僕の声は上ずっていた。 「その石鹸を泡立てて、タオルで背中を頼む」 そう言って僕に背を向け、ルージュ様は前を向き鏡を見ながら髪を洗い始めた。 浴槽に入り、僕は指示された通りにルージュ様の背を洗い始めた。 ……僕の未熟なアソコも知らず知らずのうちに催している。うう…情けない……あれ…? しばらく洗っている内に僕はルージュ様の背に大小の傷があることに気がついた。 いや…背中だけじゃない、腕にも足にもいたるところに擦り傷や切り傷、打撲の後がある。 「……気がついたか?」 「えっ?」 「この傷跡は……私がお前ぐらいの年齢には父上に剣術をたたき込まれていた。 容赦なく模擬剣で朝から夜遅くまで打ち据えられてな」 「………」 「そして次の年には戦場にいた。父上の傍らで戦を見ていたよ。 恐ろしかった、矢が飛んできて腕に刺さった時は死ぬかと思った」 ルージュ様は己の過去を淡々と語った。 「……そうして父上の命で初めて人を殺めたとき、震えが止まらなかった。 苦悶の声と表情をしながら倒れる敵の捕虜…あの肉を斬る感触と血のにおい、 斬られた腹部から飛び出す臓物は今でも覚えている……」 「………ルージュ……様?」 「だが父上は『すぐ慣れる』と言った。そうして私は人を殺めることに慣れた私は……… こうして今、また人を殺めるためにここにいる」 僕はうまく返事が返せなかった。 何と返せばいいのか思いつかなかったけど……こう返した。 「……どうして僕にそのようなお話を?」 「………ふむ……どうしてかと問われると……」 ルージュ様は少し考える素振りをした。 「あ…す、すみません」 「ふふ、謝ることはない。…そうだな…ただ聞いてほしかった……そう答えておこうか」 「あ、は、はい」 そう言ってルージュ様はクスっと笑った、つられて僕も笑う。 初めは怖いイメージがあったけど……本当は…優しい人なんだ……こんな人が僕の姉さんだったらいいのにな。 そう思った僕は言ってみた。 「あ…あの…」 「うん?」 「お…お姉ちゃん!」 「―――!?」 あ、あれ?ルージュ様が眼を見開いたまま固まってる…あ、こ、言葉使いか。 もっと上品に言わないと。 「じゃなくて……え、えーと…あ、姉上!」 「ル……ルリエス……?」 「…え?」 「ルリエス!!」 え、えええええっ!?ル、ルージュ様がぼ、僕にがばっとだ、抱きついて―――!? 「ル、ルージュ様っ!?ルージュ様っ!落ち着いて下さい!ぼ、僕に、そ、そんな―――僕はラメルです! 貴女の侍従のラメルです!」 「ラメル―――あ、す、すまんっ!」 ルージュ様はハッと我に返り、僕から離れた。 「い…いえ、ですがルリエスって―――」 そう言いかけた僕をルージュ様はギロッと睨んだ。その眼をみた瞬間、僕は殺されると思った。 「あ…あの…ご、ごめんな……」 震えて声が出ない、蛇に睨まれた蛙みたいだ。 そんな僕にルージュ様は詰め寄り、噛みつくように言った。 「聞くな。二度と。誰にも……わかったな?」 「ティゴル……」 陣営の中を二人の影がゆっくりとした足取りで歩いていく。 「はい、お祖父様」 「儂は姫が男であったなら……と思うことが時々ある」 「はい……それはよくわかります」 「だか……姫は王になれる力量は十二分にある。 臣下を見る良い眼と耳と人徳を持ち合わせておる。王譲りの覇気と武も」 「はい……」 老人は陣営の前に広がる河を見ながらふいに呟いた。 「―――『女』に戻してはならんぞ」 ティゴルはその言葉に口元を引き締めた。 「……お祖父様」 「そのためにお前を姫の側につけた」 老人は足下の石を拾い、河の中に軽く投げ込んだ。 「……はい」 そして老人はゆっくりと屈み、腰を大きな石の上におろした。 「姫が『女』の心を取り戻せばこの強大な王国を統べる事は誰もできなくなる……」 老人の老いた眼には河ではなく、王国の行く末が映っているのかもしれない。 「………」 「よいな、己の使命を全うせよ。これはお前の祖父ではなく師として命ずる。」 老人の眼が鋭く光った。 「お任せ下さい、我が師よ」 よく晴れた晴天の空の下、ラトゥカ国の言葉で『ヴェラ』という平原に各々の武器を持った民達が立っていた。 それぞれの顔は土と血に汚れ、粗末な衣服を纏っている。 その姿はまさしく王国の圧政に決起した農民という言葉がふさわしい。 ラトゥカ王は騎乗し、民兵の集団の先頭にいた。 王家に伝わる武具を身につけ、頭には略式の鉄製の王冠をかぶっていた。 ルージュより五つほど年上だろうか、年若い青年だがその姿には『王』たる風格は十分に備わっている。 その王の元に馬に乗った斥候が駆け寄る。 「敵の数は?」 「およそ5倍です」 「騎馬は?」 「2000騎ほど。それとは別に100騎が先陣を務めています。歩兵は3000は超えるかと」 「……そうか……」 その言葉に王の表情が曇る。 「貴方がそんな顔をなされては民達が動揺してしまいますよ。」 王の後ろに控えていた軍師が言った。 「……そうだな、すまぬ。」 「明らかに劣勢ですが、逆にこれを打ち破れば国は独立国として認められます。 心配は無用です、僕の言った通りにして頂ければ必ず勝てます。」 長身の軍師はにこやかにそう言った。 「ああ。貴方には感謝している、ヴィナード殿。この国の為に尽力してくれた恩、必ず―――」 「その言葉、この戦を勝利した折りに―――来ましたよ」 地鳴りを思わせる騎馬の蹄の音と共に平原の向こうに見えるランスの先端。 そして金属音をきしめかせ、槍、斧、弓、剣を装備した歩兵が隊列を組み、行進してきた。 「爺……あれがラトゥカの残存軍か」 「左様でございます」 決戦の日、僕はルージュ様の後ろに控えていた。 侍従者には武器はない、とりあえず腕を前で組み、指示を待つ。 それにしても壮観だ……整列した槍兵に、歩兵、弓兵。 ひらめく軍旗に色とりどりの指示旗。 特に騎士団は蒼色の鎧で統一されているので格好いい。 「歩兵のみの軍など……姫様、シャレール様、よろしいですか?」 昨日、勇んでいた騎士が兜を片手に言った。 よろしいですか…というのはもちろん騎馬で突撃していいですか?と言う意味だろう。 「待て、とりあえず国王の条件を伝える」 ルージュ様が若い騎士に言った。 「は?……し、しかし―――」 若い騎士が口ごもった。 「……たとえ国王が守らぬ条件であっても合戦の礼儀というものはあろう」 「ですが、ルージュ様自らは危険です。相手は蛮族、礼儀など―――」 若い騎士の声はおじいさんの笑い声に遮られた。 「よいよい、そなたは英気を養っておれ。姫、面倒ごとはこの爺とティゴルにお任せ下さい。」 「この軍の指揮官は私だ。爺、ティゴル、ラメルついてこい」 そう言うとルージュ様はクロスティリア軍旗と停戦軍旗を持った騎手を伴って馬を走らせた。 「……やれやれ…ティゴル行くぞ」 「はい」 ティゴルさんはにこにこと笑っている。こうなることがわかっていたようだ。 そして僕達は馬を走らせた。 「おや……めずらしく使者が来ましたね……どうしますかアルガス様?」 「会おう……戦にも礼儀はある」 「まぁ……そうですね」 ラトゥカ王と軍師は手綱を握った。 「ラトゥカ王、アルガス=フィリア=ラトゥカだ」 驚いた、ルージュ様と同じくらいに若い人が敵の王様だったなんて。 「アルガス殿、初めてお目にかかる。私はクロスティリア王国第一王女、 マリアルージュ・ティクラ・クロスティリアだ。」 ルージュ様が名乗り、続けておじいさんとティゴルさんが名乗った。 「国王の条件を伝える。『軍を引き、王国に忠誠を誓い、従属するならこの領土の統治権を与え、 王家の世襲を認める』との事だ。」 ルージュ様が書状を見せた。 「マリアルージュ殿、申し出はありがたいが我らは貴女の父王に屈しません」 「アルガス殿、今一度お考えを。これ以上、両軍の血を―――」 ルージュ様が口を開いた時、ラトゥカ王の後ろに控えた軍師らしい人が言った。 「今度はこちらの条件です」 「口を慎め。マリアルージュ様の御前であるぞ」 おじいさんが厳格な口調で怒鳴った。びっくりした……怖い声。 「そちらの条件は聞きましたよ。今度はこちらの条件では?」 「貴様、名は?」 全く動じていない敵の軍師にルージュ様は鋭い口調で言った。 「申し遅れました、僕はヴィナードと言います」 「それでそちらの条件とは?」 「姫―――」 おじいさんが口を挟んだ。 「よい。そちらの条件を申してみろ。」 「ありがとうございます。では、こちらの条件です。」 何か……ルージュ様を前にして笑顔で言うなんて緊張感にかけるな…この軍師さん。 「旗を降ろして、数十年に及ぶ圧政、略奪、暴行を民に謝罪しながら王国に帰って下さい」 「…………」 「承知すればよし、承知しなければ今日ここで皆殺しにします」 ………笑顔ですごいこと言う軍師さんだな。 でもルージュ様はそれを黙って聞いている。 「………ほう、なかなかの条件だ。だが―――」 ルージュ様が口を開こうとした時――― 「まだ条件は終わってませんよ、黙って聞いて下さい」 ………すげえや、この軍師さん。 「帰る前に指揮官であるマリアルージュ様には隊列の前に進み出て頂き、 両足の間に頭を突っ込み、ご自分のケツにキスしていただけますか? その方が我が軍の眼の包容になるでしょうし、僕も大変嬉しいです」 敵の王様は目を閉じ、ふぅ…とため息をついている。こっちのおじいさんはなぜかにやにや。 ティゴルさんは眉をひそめ、ルージュ様は―――切れていた。 「……アルガス殿、貴方はよい軍師をお持ちだ。戦場で会いましょう」 「……光栄です、マリアルージュ殿」 そうして両軍の交渉は決裂した。 「品のない条件だな、ヴィナード殿」 苦笑しながらラトゥカ王アルガスは言った。 「そうですか?是非、承諾してほしい条件だったんですけど………」 残念ですね…と言った感じで答える軍師。 「貴方は長生きしますよ」 「ええ、僕もそう思います。では、作戦通りに―――」 「心得た」 「ははは、なかなか愉快な軍師でしたな」 おじいさんが大きな声で笑った。 「ふふふ……あの条件……そうなればさぞ嬉しかったろう、ティゴル、ラメル?」 「いえ」 「とととととんでもない」 あ、あの……ルージュ様……眼が笑ってません。 「では……騎馬の援護をしますか……姫」 「わかっている、弓だ。」 その言葉と共に、矢の刺繍が入った指示旗を持った騎手が隊列の前を駆け抜けた。 「弓兵隊!」 「弓兵隊、前へ!」 「弓兵隊戦闘準備!」 隊列の指揮官が次々と声を張り上げた。 一列に並んだ先陣の騎馬隊の前に弓と矢筒を担いだ弓兵が駆け足で整列した。 「弓ですか……マニュアル通りの効果的な戦術ですね」 「あれだけの弓兵……さすがはクロスティリアだな」 ラトゥカ軍の民兵達がどよめき始めた。 「では、よろしくお願いします」 「ああ」 アルガスは短く答えると剣を引き抜き、天に掲げた。 「案じるな皆の者!この戦、我らは勝つ!鬨の声を上げよ!」 よく通る声でアルガスは高々に宣言した。 ウオオオオオォォォォォォォォ!! 民達が王に負けまいと声をあげ、叫んだ。 「王国に負けるな!!」 「ラトゥカ王万歳っ!!」 「王国軍は皆殺しだ!!」 「王国の魔女を殺せ!!」 雄叫びを上げ、剣の柄で盾をならし、挑発するように音頭をとる民兵達。 ……すごい士気だ……僕はチラッとルージュ様を見た。 「勢いづいていますな……士気は上々といったところですか。 あの若い王に人徳は十分あるようです」 おじいさんが感心したように言った。 「そうでなければ張り合いがない……特にあの軍師……ふふふふ」 我が主君はまだ切れてる。 「弓兵隊!」 その声を共に弓に矢をつがえ、敵陣に届くよう角度を調節し構える弓兵達。 「放て!」 矢が風にのり、雨のように敵陣に降り注ぐ。あの角度から落ちれば、盾も貫通するだろう。 「そのまま3連射。先陣隊、敵陣に突撃せよ!」 「は!ラトゥカ王の首、必ずや討ち取ってみせます!」 あの若い兵士が兜をかぶり、100名の騎馬で横一列に突撃を開始した。 風のように疾走する騎馬兵団。 「我が方の損害は?」 矢が降り注ぐ中、アルガスが騎乗している側近に問う。 「は。盾で防いでいますが歩兵1500の中、100は―――ぎゃ」 側近の首に矢が突き刺さった。 「さすが……といった所ですか…」 盾で頭を保護しながらヴィナードが言った。 「次は―――」 「本命のご登場です」 軍師の言葉と共に轟音を立てながら甲冑を纏った騎兵が突撃してきた。 さすがに士気の高い民兵も動揺を隠せない。 「待て―――」 アルガスは馬から降り、剣を上げ声を張り上げる。 「騎馬隊突撃!!」 「ウラアアアアアアアアアアッ!!」 100の騎兵が喊声を上げ、一斉にランスを構えた。 「待て―――」 騎馬隊まで残り20メートルをきった。 風のように迫り来る騎馬兵。 「待て―――」 残り10メートル、9、8、7、6,5――― 「今だ!!」 「上げろ!!」 「突き出せ!!」 アルガスは叫び、足元に草をかぶせ偽装してあった木製の長槍を騎馬に向かって 一斉に立ち上げた。それはまさしく槍の壁であった。 「な、何っ―――ぎゃああ!」 「ぐぎっ!?」 「うわあああああっ!」 完全に突撃の体勢に入っていた騎馬兵達に馬を止める術はない。 勢い余った騎馬は自ら串刺しになり、騎馬兵は重い甲冑を纏ったまま騎馬の断末魔と共に 敵兵の中に放り出された。 「な……―――」 「どうですかな、姫。あれが民の力、知恵、そして怒りというものです」 おじいさんは対峙する敵陣でよってたかって叩き殺されている味方の騎馬兵と敵兵を 指さし、ルージュ様に言った。 「爺……まさか最初からこれを―――!?」 「敵がろくな騎馬や武器もなしに対峙している敵陣……頭をひねればすぐ察します。彼らには 我ら王国軍の常識は通じませぬ。」 「………許せ」 ルージュ様は唇を噛み、全滅した100の騎馬隊に目をつむった。 「さて、こちらは歩兵を出しますか、おい」 おじいさんが騎手に合図した。剣の刺繍が入った指示旗が隊列の前を横切った。 「槍兵、斧兵、歩兵隊前進!」 「歩兵前進!!」 「全歩兵隊前へ!」 騎馬隊の横から槍兵を先頭に歩兵が駆け足で前進を開始した。 「待て、先頭は私が―――」 「恐れながら……姫様はしばしお待ちいただけますかな」 「爺、まだ何かあるというのか?」 「おそらくは……」 「ん〜良い感じに勢いつきましたね。これで敵の歩兵が前進してくれば……」 騎兵の骸と共に串刺しになった騎馬や、叩き殺された騎兵を眺めながらヴィナードは言った。 「………我が軍の弓の出番か…」 返り血にまみれ、荒い息をつくアルガスが馬上の軍師を見上げ問う。 「そうです。その後、こちらの総攻撃に移ります。王は騎乗してください」 「わかった。弓兵に火矢を放つよう命じろ」 アルガスは側近に命じた。 「わかりました。弓兵、火矢準備、目標、敵歩兵群中央―――」 数少ないラトゥカの弓兵が油を染み込ませた布で鏃をくるみ、火をつけた。 「放て!!」 数十本の矢が前進する王国歩兵群の中央めがけて降り注ぐ。 「火矢だと―――敵の弓兵は全滅したはずではないのか?」 「準備のよろしいことで……予(あらかじ)め草原に『油』ですかな……」 眉をひそめるルージュ様に余裕の表情をするおじいさん。 ティゴルさんは眼を背けた。 そして次の瞬間、ボゥという音と共に歩兵群が炎に包まれた。 「ああああああっ!」 「火がっ!火がああああっ!?」 「ぎゃあああっ!!」 草原にまいてあった油に火が引火し歩兵群を十字に裂くように火の手が広がり、 運の悪い兵士は火だるまになり転げ回った。 隊列を組んで前進していた歩兵は4つに分断され、混乱と共に完全に孤立した。 「では王、総攻撃をお願いします」 「ラトゥカの民達よ!突撃!!」 「うおおおおおおおっ!」 「突っ込めええええ!」 地鳴りのような声と共にラトゥカの民が武器を掲げ、分断された王国軍に襲いかかった。 ラトゥカの騎馬隊も王と共に続き、歩兵の隊列に斬り込んでいく。 「全歩兵隊、迎撃!」 「敵を迎え撃て」 ラトゥカの歩兵も王国軍と接触し、壮絶な白兵戦が始まった。 「民兵風情が!死ね!」 ラトゥカ兵士は王国軍兵士の頭を木槌で潰し、棍棒で殴りつけ、首にナイフを突き立てる。 王国軍もまけてはいない、槍で相手の腹を貫き、剣で頭をなぎはらい、斧で腕をたたき落とす。 「蛮族が!くたばれ!」 草原は強烈な血のにおいと絶叫に包まれた。 「王国軍め、親父の仇だ!!」 ある兵士は鍬を王国兵の足につきたて、よろめいたところに跳びかかりナイフで喉元を切り裂いた。、 また別の民兵は斧で足を叩き落とし、そして転げ回る王国兵の顔に再び斧を振り下ろす。飛び散る脳漿。 「王国兵は皆殺しだ!ぶっ殺してやる」 またある者はその腕で王国兵を投げ飛ばし、その上から胴体目掛け鍬を何度も振り下ろす。 王国兵のはらわたが飛び出し、絶叫した。 「この野郎、この野郎!」 積年の恨みを晴らすように瀕死の王国兵の身体に何度も剣を突き立てる者。 既に絶命している王国兵の身体にまだ斧を振り下ろす者、様々だ。 憎悪の炎を眼に宿した民兵の襲撃に孤立した王国兵は各個撃破されつつあった。 アルガスは騎馬軍とともに歩兵軍の間を駆けめぐり、馬上から剣を振り下ろし、王国歩兵の 隊列を突き崩し始めた。 「な……何なんだ…これは…。わ、我がクロスティリア王国軍が―――」 「おわかりになりましたかな姫?これが民の反乱をいうものです……まさに地獄絵図ですな」 ……さすがにこの光景は僕に耐えられなかった。 人の血みどろの戦い、手足がもげ、頭や身体が鈍器で潰され、貫かれ、切り裂かれる。 あふれるはらわた、血、骨、脳漿………草原一帯は血の海と化していた。 「さて……茶番は終わりましょうか。王国軍をここまでコケにした者を生かしてはおけませんからな」 おじいさんの目付きが変わった。 「爺―――?」 「弓兵に矢が尽きるまで射かけろと命じろ。」 おじいさんが弓兵隊の隊長に命じた。 「し、しかし―――それでは味方の兵を傷つけてしまいます」 おじいさんはその隊長の言葉に首をかしげた。 「それがどうした?」 「は……?」 おじいさんの意図をつかみかねたのか弓兵の隊長が言葉に詰まった。 「別働隊の兵がいくらでもおるのだ。攻撃しろ、二度は言わんぞ」 「は、は!了解しました!」 「爺!やめろ!命令を撤回しろ!」 「お言葉ながら姫―――私の独断で待機中の騎馬500と2000の歩兵を敵の後方へ移動させました。 これより殲滅戦を開始します」 「………爺、これも…味方の兵が味方の矢によって倒れることも耐えろと言うのか?」 「左様でございます」 兜をかぶったルージュ様の目が狼のように鋭くなった。 「ラメル、お前はここに残れ!爺、私はこちらの騎馬兵を率い、先陣をきる。よいな?」 「よろしくお願い致します。弓兵隊、放て!」 「ぐっ!?」 「ぎゃ!」 「味方の―――うぐ!」 「やめろっ!やめてくれ俺たちは味方―――ぐあ!」 乱戦の中、後方から再び矢が降り注いだ。敵味方関係なく矢が突き刺さる。 背中に、胸部に、腹部に、頭部に、顔面に……。 「くっ…王国軍め敵味方関係なしか…ヴィナード殿は。ヴィナード殿はどうした!」 盾で矢を防ぎながらアルガスは叫んだ。 「先ほどから見あたりません!」 アルガスの近くにいた側近が叫び返す。 「乱戦に呑まれたか……」 「王!こ、後方から敵の騎馬隊が!!」 「さらに前方より突撃する騎馬隊を確認!」 「何だと!?まさか―――王国軍は最初からこれを…」 矢の雨がようやく止んだかと思うと今度は後ろからランスを構えた騎馬兵の一斉突撃。 虚を突かれた民兵は反応が遅れ、突進してきた騎馬にはね飛ばされ、あるいはランスの餌食になった。 その一斉突撃の後、さらにルージュ率いる騎兵の再突撃、前後から騎兵に踏み倒され、 バラバラに分断され、突き崩された民兵達の後ろから王国兵が喊声を上げ大挙して押し寄せた。 再び激突するラトゥカ民兵と王国兵。 が、多勢に無勢、騎馬兵の馬上からの剣や歩兵の剣槍の前に次々と倒れていった。 「…ここまでか……」 アルガスは馬上から周囲の戦況に唇を結んだ。 「そして貴方の命も―――ラトゥカ王」 アルガスはその言葉に瞳を閉じ、その声の主に振り向いた。 「さすが百戦錬磨のクロスティリア王国軍……このアルガス、兜を脱ぎました。」 「我が軍をここまで苦戦させたアルガス殿の讃辞、光栄です」 「それに栗色の髪に蒼の甲冑…マリアルージュ殿、貴女はまるで神話の戦乙女(ヴァルキリー)のようで………」 「ならば降伏されよ。悪いようにはしない、民の命は保証する」 ルージュは剣の切っ先をアルガスに向けた。 「貴女の父上……『クロスティリアの覇王』にそのような慈悲があるとは思えません」 「―――っ……」 ルージュはその言葉を聞き、僅かに眉をひそめた。 「それとも………今までそうやって諸国を滅ぼしてきたのですか?」 「違う…」 「覇王に従わぬ諸国を討ち滅ぼす魔の戦姫として?」 「違う…私は―――」 「これ以上、言葉は不要のようですね……マリアルージュ殿」 「聞いてくれ、アルガス殿」 「否、いざ勝負!」 「アルガス殿―――!」 「ルージュ様……」 僕は最後方におじいさん、ティゴルさんと共に馬に乗ったまま待機している。 「心配する必要はありませんよ、ラメル君」 「え…で、でも…」 「少し馬から降りてもらえますか?」 ティゴルさんが馬から降り、続けて僕にも降りるように言った。 「あ、は、はい……」 ティゴルさんは僕の脇に立った。 「心配する必要はない―――そう言ったはずです」 「ひっ―――」 僕の後ろ……おじいさんや弓兵の人達から見えないようにティゴルさんは 僕の背中にナイフを当てた。 「ティ…ティゴルさ―――」 「黙って前を向いて下さい。向かないと殺しますよ?」 「そ、そんな……な、なんで―――」 「死にたくなかったら僕の質問に正直に答えて下さい。」 僕は急な展開について行けず、言われるままに前を向いた。 「君はルージュからルリエスという弟君の話を聞きましたね?」 「…は、はい……」 「そして君はルージュに『姉』、もしくは君が『弟』だと思わせるような発言をしましたか?」 「………」 「答えて下さい。殺しますよ?」 「は……はい!」 僕の背にグィと当たる冷たい刃に戦慄した。 「そうですか……ラメル君、君にとっては関係ない話をしますが動かないで聞いて下さい」 「……はい…」 「ルージュにはルリエスという弟がいました。公には発表されてませんから君が知らないのは当然ですが…… もともと身体が弱く、才にも乏しかったルリエス王子は病死した―――子に恵まれなかった王に残されたのはルージュのみ ……そして王はルージュを『王子』として扱うようになり、君くらいの年齢には剣術、体術、兵法…… おおよそ王子に必要な教育を叩き込みました。 ルリエスと違い、才に恵まれていたルージュは優れた王国の後継者として、武将として、そして王国軍の象徴に……」 ティゴルさんの声が僕の頭の中でルージュ様の言葉と重なる。 (『この傷跡は……私がお前ぐらいの年齢には父上に剣術を ―――容赦なく模擬剣で朝から夜遅くまで打ち据えら―― そして次の年には戦場に――父上の傍らで――父上の命で初めて人を殺めたとき、震えが止まら ―――あの肉を斬る感触と血のにおい、斬られた腹部から飛び出す臓物は今でも覚え ――だが父上は『すぐ慣れる』と言った。そうして私は、人を殺―――』) ティゴルさんの話は続く。 「君はルリエス様と瓜二つ……君が側にいればルージュは『優れた王国の後継者』からただの『姉』に戻ってしまうのですよ…… ただの『女』にね」 そして震える僕は昨夜と同じ質問をした。 「ど…どうしてその話を僕に…?」 「そうですね―――ただ聞いて欲しかった―――とでも言いましょうか。」 「え―――?」 「死んでいく君にせめてものの手向けとして―――」 「え、そ、そんな殺さないって―――」 「嘘ですよ、死んで下さい」 ティゴルさんが何か呪文を唱える、すると僕の胸の前に矢が現れ始めた。 「物質転移の魔法です……今この戦場に飛び交っている矢の1本をここに」 「い、いやだ、やだっ!死にたくない!死にたくないよ!!」 「飛んでいるところを―――」 「僕はまだ生きたいんだ!こんな年齢で死にたくない!いやだ、いやだよぉぉぉ!!」 僕は精一杯、もがき何とかおじさんの方を振り返った。 「た、助け―――」 その時、おじいさんはフッと口元を上げ、笑った。そして言った。 「ああ…そういえばルリエスも死ぬ前にそう言っておったな」 こ、このおじいさんもティゴルさんと―――ぐっ!?痛い…痛いよ… ル、ルージュさ………まし、…死に……た……く…な…………」 「な……なんだと……ラメルが…そんなバカな!」 アルガスを討ち取ったルージュが本陣に戻った時、怒鳴った。 「飛んできた矢に……一瞬でしたので……」 「我々の弓兵隊の者にも被害が出ております、敵の弓兵の最期の抵抗でしょうな」 震えるルージュにティゴルとヴァレリアスが報告した。 「〜〜〜っっっ―――――――っっ!!」 ルージュは兜を地にたたきつけた。 言いようのない怒りは時に人を鬼に変えていく。 「ルージュ様、ラトゥカ王の城にて捕らえた皇女にございます」 「……后はどうした?」 「は、ラトゥカ后は服毒にて既に――――」 ルージュは縄に拘束された皇女に歩み寄った。 年齢はルージュより1つか2つ、下だろう。 「そなた、名は?」 「―――――ラ、ラトゥカ第一王女、シャンレナと申します」 震えるその王女にその言葉にルージュは微笑み、縄を解いた。 「私も王国の第一王女だ」 多少、安堵したのかシャンレナの表情が幾分柔らかくなった。 「王女を捕らえた部隊は?」 「は、第二十七歩兵小隊にございます」 「その者達の褒美はこの王女だ、連れて行け。存分に楽しめとな」 「ひ、い、いやっそんな―――――――」 シャンレナの顔色が一気に青ざめた。 「姫、よろしいのですか?」 ヴァレリアスが控えめに問う。 「このような蛮小国の王族など家畜同然だろう?捕らえた貴族の娘や女官も褒美として同様に扱え、わかったな」 「は、は……了解致しました。」 END
https://w.atwiki.jp/siroumi/pages/2.html
掲示板 白騎士物語と海@BBS メニュー メンバー表 白騎士ダンジョン部 海事の基本事項 対人戦の基本事項 幽霊船白兵上げ修行 回避上げ 収奪の基本事項 乙鯖模擬情報 大海戦参加法 冒険の基本事項 冒険の応用事項 地図からアイテム 南蛮の基本事項 南蛮の応用事項 商会開拓街MAP 商会開拓街投票場 リンク 公式 公式ツイッター まとめwiki 交易MAP@Web Goodol バザール価格調査 スキル効率-能力検証 カウンター 合計: - 今日: - 昨日: - ここを編集