約 95,911 件
https://w.atwiki.jp/p_ss/pages/2636.html
『N』 ずっと前からあ〜ちゃんの事が好きで好きで仕方がなかった けど、のっちたち女の子同士じゃん? 普通に引かれそうだしあ〜ちゃんの側に居れるなら ずっと友達のままでいいやって思った だから、少しでもその気持ち、想いをどこかに隠してなかった事にしようと思って 声を掛けて来て連絡先を交換して 本当あ〜ちゃん以外なら誰でも良かった 連絡を取り合って仲良くしてくれる男性、色んな人と付き合った でも、のっち自身に愛はないんだからそう長くは続かない 「彩乃は、俺がいなくても生きていけそう必要ないよな俺なんて」 毎回そう言われて 好きになる前に彼の方から離れて行く 今の彼も 合鍵を貰って 別に会いたかったわけじゃないけど あ〜ちゃんの温もりを感じられない夜は彼の部屋に上がり込んで 寂しさを紛らわすように体を重ねる日々が続いていた そんなある日の夜に、いつものように彼のアパートの一室に上がり込もうとした時 珍しく電気が消えてる でも外灯は点いてるし、寝てるのかな?そう思ってドアノブを回すと糸も簡単にがチャリ、と扉が開いた 部屋に入ってすぐわかった いつもと違う空気 彼のでものっちのでもない 甘ったるい香水の匂い 恐る恐る、部屋を覗くと彼と知らない女がベッドの上、裸で激しいキスをしていた ああ、これが浮気現場ってやつっすね 今すぐ布団を引き剥がして誰なのよその女!なんて怒鳴るとこだけど なんかそう言うのって面倒だし 彼と女に気づかれないようそっと部屋を出る 言うまでもなくドアを閉める際二人によく聞こえるようにバタン!と思い切り閉めてやった あーあ、馬鹿らしくてやってらんね〜 今度こそは上手く行くかもなんて思ってたのっちが馬鹿だった このまま自分の家に帰るのも退屈だし時間潰しにコンビニにフラフラと立ち寄った 最新の漫画やゲーム雑誌を物色しているとポンポン、と誰かに肩を叩かれる 「のっち!めっちゃ偶然じゃね。何しとるんよ」 こんな偶然ってあるんだな、今のっちの目の前に大好きなあ〜ちゃんがいる 「ん〜、暇だから寄ってみただけだよ、あ〜ちゃんこそこんなとこで何しとるん?」 「あ〜ちゃんも暇だったしお腹すいたけぇデザート買いに来たんよ」 あ〜ちゃんのカゴの中を見ると確かに、あ〜ちゃんの好きそうなデザートがいくつか入っている 「ちょっと、待っとって」 そう言ってあ〜ちゃんはレジの方へ行っちゃった しばらくして、レジ袋を下げたあ〜ちゃんが戻ってきて 「今からのっちの家行ってもいい?」 と聞いてくる。 そりゃあ、もちろんOKでしょ。 「うん、いいよ。その代わり散らかってるけど…」 「はぁ、少しは片づけんさいよー。じゃあ、のっちの部屋片付けるの手伝いに行く、ってことで」 「マジで?散らかりすぎて困ってたんよ、さすがあ〜ちゃん」 「散らかりすぎ…って、まぁいいわ。よし行こ」 「わっ」 急に、手を握られて変な声が出ちゃう あ〜ちゃんはそんなの気にせずのっちの手を握ったままのっちの家へと一緒に歩き出した。 なんとも思ってないからだよね? のっちから手を握るなんて滅多に出来ないもん そう思うと凄く胸が苦しくなった。 つづく
https://w.atwiki.jp/meidaibungei/pages/654.html
2012年10月19日(金) 18 08-鈴生れい 注:「退屈をこじらせる」の続きです。一応こちらだけでも読めるとは思いますが、「退屈をこじらせる」を先に読まれることを推奨いたします。 篠山一族は出来不出来の差が激しい。 わたしの親父、篠山鉄朗は学校での勉強がからきしだったらしい。反対に体は丈夫であり、現在は祖父とともに畑を耕す毎日だ。 その弟、篠山次郎は病気がちだったが成績優秀で、都会に出て大手の電気製品メーカーに勤めている。現在課長だそうだ。 わたしの兄1号、篠山岳秋は運動音痴で製薬会社に勤めるエリート。兄2号篠山海人は高校を卒業してから畑仕事を仕込まれ中。 弟篠山大地は華奢でひ弱だが、勉学では全国模試ランカーだった。 そしてわたし、篠山空はというと・・・・・・。 「こ、これはひどい」 来て早速罵倒。これは殴っても文句は言われまい。 とは思うものの、流石に8・・・・・・9つも年下の女の子を殴ったとあっては問題だ。これが弟の大地なら何の躊躇いもなく拳骨をかますのだが。 ぶるぶると拳を震わせているわたしを知ってか知らずか(多分知ってる)、彼女はぶるぶると肩を震わせている。 確かにわたしの大学2年生前期の成績は惨憺たる結果だった。留年には至らないものの、不可が4つ。優はなし。後は大半が可。一部良。何個かは訊いてくれるな。 だがな、小学校とは良い成績をとるのに必要な努力量が桁違いなんだよ。要するに、小学生に笑われるのは腹が立つ。 「大学で良い成績とんのは難しいんだよ。小学校と違ってな」 せいいっぱい憎たらしげに言ってみる。でも彼女は少しも意に介さず、震える声のまま、 「それにしたって、これはないでしょ」 「ティーンエイジャーには分からないことかもな」 「あら、こんにちはおばあさん」 「てめ、マジで窓から突き落とすぞ」 きゃーと棒読みで悲鳴を上げながら、どういうわけか彼女はアルミサッシの窓を開け放った。クーラー勿体無いだろ。 言っても聞かないだろうから実力行使しようとすると、さらに彼女はベランダに降り立ち、 「あ、空の成績表がー」 「やめろぉぉおお!」 何たる鬼畜。悪魔め、わたしの成績表をベランダから放り投げやがった! 後で絶対シメることを心に誓いながら、わたしはオリンピック選手も真っ青な速度(の気分)で部屋を飛出した。 わたしの部屋はこのアパートの3階だ。ともすれば成績表がどこぞへと飛ばされかねない。無風ではあるから大丈夫だと信じたい。おかげで暑いが。 半ば飛び降りるように階段を駆け下りて、わたしはアパートの裏手へ回った。表は車道に面しているが、裏は車一台がぎりぎり通れる程度の細い路地がある。その向こうは別のアパートだ。 裏手へ回り、ざっと眺めると昼でも暗いこの路地にぽつんと一人、男が佇んでいた。 その手に、わたしの成績表。 「てめ、それ返せ!」 「・・・・・・初対面の人に、そりゃないでしょ空」 「てめぇだと分かってるから言ってんだよ大地」 そう、その男は私の弟、正確に言えば双子の弟、篠山大地だった。それがわたしの成績表を見ている。というかあいつ、大地がいることを分かってて捨てやがったな。お仕置き2倍増だ。 「久しぶりだね空」 大地はなよっちい笑みを浮かべながら(曰く女子からは人気だそうだがわたしは嫌いだ)、ヘタレた声音で言った。 思わず虫唾が走ってボディーブローをかましたくなるが、ここらもまったく人通りがないわけではないし、何よりその手に持っているものだ。 ここで大地をボコすのはいとも容易いが、その後もし親に成績がバレてしまったらわたしが半殺しの憂き目にあう。今は大地のご機嫌をとるほかない。 まずは笑顔を作ってみた。 「と、とりあえず、あがっていきません?」 「わぁキモい」 率直なご感想どうも。似合わないことなど重々承知しているが、なんとなく傷ついたので後で覚えてろよ。 * こういうとなんなのだが、おそらく大地は珍しいタイプの人間だ。 腕は気持ち悪いぐらい細いし、よく風邪で寝込むし、スポーツには明らかに不向きなのだが、アウトドアを好む。 勉強は流石に屋内だが、ネットを使わなければPCすら屋外に持ち出す。本を読むときはしょっちゅう落ちるくせにハンモックを使うし、毎年一番に川に行こうと提案するのは大地だ。 とにかく、今時珍しいぐらい外を好むのだ。なよってる割には日焼けしているしな。 「空、少し色素薄くなった?」 どういう聞き方だよ。最近あまり外で遊ばなくなっただけだ。それでも周りからすれば十分日焼けしている。 「そういうお前は全然黒いままだな。大学で木登りなんかしてないだろうな」 「う、うんまぁ流石にね」 今のドモり方、明らかにやってやがる。アホか。かつては毎日のようにしていたわたしですら、こっちに来てからはたまにしかやってないというのに。 胡乱な目でじっと睨むと、ひょろりと大地の目がわたしの視線から逃げた。確定。 「・・・・・・落ちて骨折るなよ」 「心配してくれてるの?」 嬉しいというよりは苦笑い。ま、柄じゃないし、仕方ないけど。 「へぇへぇ、お姉ちゃんは可愛い弟君が心配で心配でたまらないの」 我ながら女言葉似合わないな、わたし。 「ぼくは自分のけがよりお姉ちゃんの成績の方が心配だけどなぁ」 こ、こらえろ。こらえるんだわたし。殴っちゃいけない。 ここで殴ると絶対こいつは親にチクる。チクられたら最後、わたしは本気で家を出なければならない。 「そ、その件なんだけどね、大地くん」 「分かってるよ。この成績見たら親父の雷は免れないだろうしね」 「お、恩に着るよ、ホントに」 物分りがいいのは助かる。というか、いつも助けられてきた。万が一兄貴2号にバレていたら、欣喜雀躍とばかり報告に行くだろう。一号は、どうだろうか。 「ねぇ、ちょっと!」 一号は少し得体の知れないところがあるからな。勉強が得意で、体を動かすのは苦手なのに好きだってところは大地と一緒なんだが、兄弟なのに何を考えているかいまいちわかったもんじゃない。 かといって二号や大地の考えていることが読めるかというと、特にそうでもないのだが。要は不気味なのだ、一号は。 「聞いてるの、空!」 「そういえば大地、前言ってた彼女とは仲良くやってるのか?」 そう尋ねると、大地は微妙に複雑な表情をした。悩ましげと言えば悩ましげである。 顔は整ってないこともないから、どうしてそれはよく映える。どうしてその器量が双子のわたしにもないのか、神様か誰かを問い詰めたい。 ちょっとだけ間をおいて、大地は頷いた。 「・・・・・・まぁね。姉さんの方は・・・・・・、聞くまでもなさそうだ」 成績の件がなかったら本気で窓から突き落としているところだ。今のわたしの面はさぞ苦悶に歪んでいるだろう。 沈黙したところでちょうど湯が沸いたので、わたしは茶葉を急須に突っ込んだ。さらに沸騰したばかりのお湯を、二つの湯呑へ均等分配する。ちょっと多めに注いでおくと、湯呑から急須へ移す時にこぼれても平気だ。 地獄の課題ラッシュ以来、なんとなくもったいなくて残っていた玉露を使ういい機会だ。一人だと少し手間のかかるこの淹れ方は面倒だし。 「そーらー!」 「うるさいな、黙ってろよ」 きーきーと猿のように喚く(あるいは猿の方が静かかもしれない)萌は、わたしの従妹だ。当然大地の従妹でもあるが、大地と萌の間は面識が薄い。 萌は人見知りする性質ではないと思うが、どうも大地との距離感を図りかねているようだ。ビニール紐で後ろ手に縛られ、正座させられている萌の現状を見れば、わたしよりも大地に助けを求めた方が合理的なのにな。 「なんでこんなことすんの!」 「まぁ、想像はつくけどねぇ」 大地が曖昧に笑った。それでも萌を助けようとしないのは、よくわたしを理解しているからだろう。 この際、萌を素っ裸にしてやっても良かったのだが、大地は一応男だし、マジ泣きされても困るのでやめておいた。もっと年がいっていれば確実にやっただろうけど、萌はまだ11歳である。 成績暴露の罪は重い。暴露されて困る成績をとったのはわたしだが。 「そうだ、萌ちゃんは好きな子いるの?」 それ、ほとんど互いに知らない従妹の小学生に最初に掛ける言葉か? 「そ、そんなことよりこの縄解いてよ、大地お兄ちゃん!」 わたしのことは呼び捨てるのに、大地はお兄ちゃん呼びかよ。あざとく媚うってやがるな、こいつ。お兄ちゃん呼びに、大地も満更でもなさそうだ。 すると大地は、手に持ったままのわたしの成績表を静かに机の上に置いた。 「・・・・・・これきりだぞ」 「分かってるよ」 大地の意図を汲んで、結局わたしは萌のビニール紐を解いたのだった。 * 「それで、今回はどういう風の吹き回しなんだ?」 実は、大地がわたしのアパートに来るのは初めてというわけではない。去年の夏休みにも一度あった。 その頃はまだ萌が頻繁にうちへ来ていなかったので、一泊すらしなかった大地は萌と会わなかったがそれはともかく。 前回は大地が帰省する際、その進路上にあるここへついでに寄っただけなのだ。わたしはここに来てからずっと実家には帰っていないし、大地ともそれきりである。 今回は特に大地が帰省する話は聞いてないし、一体何しにここへきたのか、少し気になった。 「要もなく来ちゃダメ?」 「ダメだ。普通に」 なよっちい笑顔がわたしの神経を逆撫でする。多分大地も分かってやってる。 「うちなら来てもいいよ」 「え、そう? ありがと、萌ちゃん」 「いやダメだって。萌のやつ、うちの合鍵持ってんだから」 ひと月ほど前、萌を部屋から追い出したことがある。それを逆手に取られて、なんやかんやと叔父さんに言いくるめられ萌に合鍵を持たされてしまった。 以来、萌がうちの来る頻度はさらに上がっている。夏休みに入ってからは予定のない日以外はほぼ毎日、知らぬ間に部屋に上がられることもしょっちゅうだ。もう慣れたが。 「あはは、仲良いんだね、空と萌ちゃん」 「仲良くない!」「んなわけないだろ」 ほら、揃ってないし。というか萌、お世辞でも仲良いって言っとけっつーの。なんだってわたしに好意を持たぬやつをわたしの部屋に上げねばならんのだ。 ごほんとわざとらしく咳払いして、わたしは大地を睨んだ。大地はおどけるばかりである。当然、睨まれるのには慣れっこだろう。 「そうそう、空に少し考えてもらいたいことがあってさ」 「わたしに?」 「というか、女の人に」 女の人、と言われると大地とはいえ少し嬉しい。今までの人生で、女子あるいは女性扱いされたことなど数えきれるぐらいしかない気がする。男子より腕っぷしが強いのだから仕方ないといえば仕方ないことなのだが。 少々機嫌を上向けたわたしはそろそろと湯呑にお茶を注ぎ、楚々として大地に差し出した。 「空、キモい」 「またシメるぞ、お前」 「まあまあ。それでね、ちょっと聞いてほしいんだけど―――」 大地には彼女がいる。名前は確か陽子とか言った。前回訪問してきた際、聞いたのだ。のろけ半分に言われたのだから、わたしも話四半ぐらいにしか聞いていない。マジ滅びろ畜生。 ・・・・・・それはさておき、一年前は大層仲睦まじいと聞いた。告白された側らしいが、大地からしても余程惚れこんでいたのはよく分かった。何度拳を振るおうかと思ったことか。 閑話休題、それで今回大地が聞いてきたのは彼女が浮気しているかもしれないということだった。 「ざまぁみろ」 今、わたしの顔は絶対満面の笑みだ。こんなに清々しく笑ったのはいつ以来だろう。なんと素晴らしい心地。 そういえばさっき、わたしが彼女のことを聞くと(ちなみに萌を無視しようと焦った挙句出てしまった問いだ)複雑な顔をしていたな。 そんなわたしを、萌は横目で見据えた。 「空、サイテー」 「そういうお前はどうなんだよ。フラれたか?」 萌は萌で保健室登校している子に惚れているませたガキだ。そして現状わたしが唯一口論で勝てそうな萌の弱点である。ちょっと泣きたくなるのは内緒。 案の定、萌は頬をリンゴのように染めた。青リンゴじゃないよ。 「そ、そんなことどうでもいいでしょ。まだ夏休みだから会えないもん・・・・・・」 後半はぼそぼそと小声だったが、ばっちり聞こえている。わたしは笑顔を深めながら続けた。 「そうかそうか、萌ちゃんは愛しの彼に会えなくて寂しいのか。あっはっは」 「むー!」 そのまま発火しそうなほど、萌は顔を真っ赤にして沈黙した。今回もわたしの勝利だ。いやっほう! 「えー、空も萌ちゃんもいいかな?」 大地の話は続いた。陽子は最近、デートに誘っても乗ってこないらしい。ちょっと忙しいからと、デートを断る理由もはぐらかされている。 そして決定的なのは、デートを断られた次の日、大地と陽子との共通の友達が大地に言ったことだった。 「陽子さんと男の人が、デパートで買い物をしているのを見たってさ」 そう言って、大地は深いため息をついた。どうやら悲嘆のようだ。そしてわたしにとってはウザイだけだ。 正直な話、大地がどこの女と付き合おうがフラれようが浮気されようが、わたしにはどうでもいい話である。 強いて言うなら、大地がフラれれば話のネタぐらいにはなるかもしれない。そうだ、フラれちゃった方が面白いかも。 「空、なんとなく考えてること、分かるんだけど」 大地が凄むが、全く怖くない。逆に凄んでみると、あっという間に委縮してしまった。 萌が呆れ顔で、 「何してんのよ二人とも。いい年こいて」 とのたまうので、思わず足をひっつかんでベランダから逆さ吊りにしてあげようとしたが、危険を察知したのか大地の後ろに隠れられてしまった。 あんなことを言われたのに、大地は後ろに隠れた萌の頭を撫でている。 「大地、そいつを引き渡せ。今すぐ」 「お、落ち着こうよ空。そういうお年頃なんだからさ」 ・・・・・・どうやら大地も、それなりに怒ってはいるようだ。いたたたと萌から悲鳴が上がる。大地に頭を締められているのだ。 胸がすくような思いを噛みしめながら、わたしは大地の話を真面目に聞いてやることにした。 「それで、わたしに何を尋ねたいんだ?」 自虐するつもりはないが、わたしは相当女らしくない。姦しさと反りが合わず、恋バナと無関係を貫くわたしは、どうにも同性との会話が下手だった。 そういう意味では、萌は貴重な同性の話し相手である。毎度毎度残念な具合ではあるけれど。 当然、大地はわたしがそんな残念女であることを知っている。小さいころからお人形遊びよりチャンバラごっこを好むわたしに、女性として何を尋ねようというのか。 大地は萌を手放して少し首を傾げた。 「いや、彼女が浮気してるって思う?」 「うん」 即答。 「そっか、やっぱりそうなのかな・・・・・・」 「そりゃ、他の男とデートしてりゃ確定だろ」 何をそんな甘ったれたことを。きっぱり諦めて独り身になってしまえ。楽だぞ、独り身。 わたしが大地をただれた暗黒世界へと誘おうとしていると、頭を抱えて黙っていた萌が涙目ながらも大地に尋ね始めた。 「大地お兄ちゃんはそれを見たわけじゃないんでしょ」 「うん、そうだけど」 「彼女に男兄弟はいる?」 「妹がいるだけで兄弟はいないって聞いたけど」 「手は繋いでたの?」 「・・・・・・さぁ、そんな話は聞いてないけど」 「デートに誘っても断られるようになったのはいつから?」 「うーん、ここ2週間ぐらいかな」 「空と大地お兄ちゃんの誕生日って今日よね?」 「あ、そういえばそうだね」 「忘れてたのか、お前」 「いやぁ、ちょっとこの件が気になっててさ、すっかり」 「ってことは・・・・・・。大地お兄ちゃん、ちょっと携帯貸して」 「え、いいけど」 マシンガンのように質問を連射した萌は、何を考え付いたのか大地の携帯電話をむんずと掴み、小学生らしからぬ速度でメールを打ち始めた。 大地が目を見開いて驚いている。 「うわ、僕より速いや」 「まぁこいつ、携帯持ってるしな」 いわゆるGPS携帯というやつだ。持ってるだけで文字を打ち込む速度が速くなるわけじゃなし、使い込んでいるんだろうけど、小5でこの速度とは。 わたしが小5のころなんて小学生が携帯持っているなんてありえなかったのに。ジェネレーションギャップか。 「空」 「なんだよ」 呼ばれて振り向くと、萌はこちらに携帯を向けていた。1秒経って、パシャリと音がする。どうやらカメラ機能を使ったようだ。 「・・・・・・なんの真似だ?」 「後で説明するよ」 素っ気なく聞き流して、萌はいくつかの操作を終えた後、ぱちんと携帯を二つ折りに戻して、大地に差し出した。 大地は不可解と顔を歪めているが、萌は何も言わずだんまりを決め込んでいた。 一体萌が何をしたのか、その結果が出たのは、およそ2時間後、夕暮れ時になってからだった。 * 「大地くんっ!」 わたしが夕ご飯をどうするか悩んでいると、鍵を掛けていなかった玄関の扉が勢いよく開いた。 びっくりしたわたしと大地が同時に振り返ると、見慣れぬ女性が立っていた。少なくともわたしは知らないし、大地を呼んでいたのだから大地の知り合いだろう。 「よ、陽子さん?」 目を白黒させながら、大地が立ち上がった。どちらかと言えば、警戒して立っているらしい。走れるように、重心がいつもより低い。 確かに警戒に足る突飛な事態だ。何しろなんの前触れもなく浮気疑惑のあった彼女が目の前に現れたのだ。しかも彼女が知りえないはずの姉の家で。 ・・・・・・だが、わたしには予想がついていた。つい先ほど帰るといって部屋を出て行った萌が、陽子の後ろに見える。 つまり、これは萌が仕掛けたことだ。 陽子がわたしを見つけて、改めて目を見開いた。 「ど、どういうことなの。大地君、その人、誰なの・・・・・・?」 この台詞で、萌が何を仕組んだのか、そのあらましを理解した。萌も中々の策士かもしれない。 だらりと下げた両の腕がぶるぶると震えている。陽子はショックを受けた表情のまま続けた。 「浮気、してたの?」 「浮気?」 わたしの考えは夕飯のことに戻っていた。もしかすると、二人ほど人数が増えるかもしれない。 大地も負けじと言い返す。 「浮気、してたのは陽子さん方じゃないか・・・・・・」 「わ、わたしがいつ浮気なんて」 「聞いたんだ。男の人とデートしてたって」 「そ、それは、その・・・・・・」 「いいんだ、もう。分かってるから・・・・・・」 「ああもう、人んちで痴話喧嘩してんじゃねぇよ」 うじうじしているのが鬱陶しくなってきたため、仕方なく出張ることにした。恋路を邪魔したわけじゃないんだから、馬に蹴られることはないだろう。 というか、うじうじぐちぐちしている大地は見るに堪えない。まじウザキモい。 「わたしは篠山空。そこの大地の双子の姉だ」 「え、お姉さん・・・・・・?」 「そんであんたに大地が浮気してるってメールした、あんたの後ろにいる萌はわたしと大地の従妹。そんであんたをハメたのも萌だ」 事態が呑み込めないようで、陽子は呆然としていた。そりゃそうか。怒るならあんたの後ろでほくそ笑んでる生意気なクソガキにやってくれ。 「誕生日プレゼント、持ってきたんだろうな? とりあえず中に入れ。後、萌は覚悟しておきな」 陽子の背後から、げっという悲鳴が響いた。 * 今更説明する必要もない気もするが、一応言っておくと、陽子は浮気をしていたのではなく、ただ男友達と大地の誕生日プレゼントを選んでいただけである。 それを運悪く共通の知り合いに見られて、誤解が生じたというわけだ。 「ご、ごめんなさい。わたしすっかり信じちゃって」 「謝るなら大地に謝っときな。後、怒るなら萌にな」 陽子は節目正しく、わたしとは正反対に大和撫子であった。一途に大地を想い過ぎて、かえって今回の事態を招いたようだ。 これだけ聞けば、いい話である。仲直りのきっかけとなったのが、小5のクソガキがセッティングした茶番でなければ。 「なんで萌がこんな目に遭うのよ!」 現在、萌は昼間と同じ体勢に加え、そのふとももの上に辞書が積まれている。大人をなめた罰だ。 大地は先ほどからちらちらと気の毒そうに萌を見ているが、今のわたしに進言できるほどの無謀さは持ち合わせていないらしい。目を背けるばかりだった。 とりあえず陽子と大地を座らせて、わたしは一通りの説明をした。ったく、何が悲しくて自分の誕生日に弟の世話を焼かにゃならんのだ。まったく、まったく。 段々苛立ちが募っていって、説明の声にもドスが効いていたらしく、陽子と大地が怯えている。ちなみに怯えているのに気付いたのは、説明が終わってからだった。 苛立ちを呑み込んで、努めて明るい声を出した。 「と、まぁうちのガキが迷惑掛けたな」 「い、いえ、迷惑なんてとんでもない。萌ちゃんのおかげでわたしたちすれ違わずに済んだのですから」 「ほんとだよ、ありがとね、萌ちゃん」 「感謝するなら助けてよ!」 同時に目を逸らす二人。なるほど結構お似合いではないか。 萌が本気で泣き始める前にお仕置きを解除し、わたしは改めて提案することにした。 「もし良ければ、このままうちでパーティやっていかないか? せっかくわたしら揃ってんだし」 「あ、それいいかも。いいよね、陽子さん?」 「じゃあお手伝いしますね」 そう、ここまでは。ここまでは良かった。和やかな雰囲気の中、のんびりとした誕生日パーティを過ごせると思っていた。 陽子の料理の腕はわたしのそれを遥かに上回っていたし、萌がわたしをからかったわけでもない。 陽子の指揮のもと、ちゃくちゃくとわたしたちは準備を終え、大学生にしてはそれなりに豪華な夕食が机の上に出揃ったところで、わたしたちは乾杯した。 そう、二十歳になった記念にと大地が買ってきたのだ、ビールを。(余談だが陽子は22歳で大学3年生。一浪したらしい) 嫌な予感センサーが、あの雰囲気にあてられていたのか、あるいはそんなもの幻想なのか、いざ知らず。 「大地くぅん、ごめんねぇ!」 泣き上戸。 「いいんだよぉ、陽子さぁん!」 泣き上戸。 「いい話ねぇ!」 泣き上戸(場酔い)。 わたしはどうやらザルのようで、それが何を意味するのかというと、素面と変わらぬ状態のままこの鬱陶しい3人を相手にしなければならず。 楽しい想像を粉微塵へと砕かれ、泣きじゃくりながらいちゃつく2人を見ていたら、思わず、叫ばずには居られなかったのだ。 「う、」 「「「う?」」」 「うぜぇぇぇえええ!」 なんとなく続きました。そしてまだ続きます。たぶん。 今回はどこまで行ったら恋愛関係と呼べるのかというのが主題でした。大地や空はデートすれば恋愛関係、萌はもっと違う考えを持っています。萌の方が今時の女の子っぽく描けていればと思います。
https://w.atwiki.jp/xxxx2100/pages/21.html
海上自衛隊の情報流出問題で、秘密情報を持ち出した2等海曹の妻が不法滞在の中国籍の女性だったことを受け、海自が内部調査した結果、外国籍の妻がいる隊員が約100人いることが分かった。 自衛隊員が外国人と結婚する場合、特別な許可は必要なく、法的にも問題はない。 しかし、「結婚の自由は尊重するが、自衛官という立場上、脅威の対象になっている周辺国籍の人との結婚は慎重にすべきだ」とする自衛隊幹部もいる。 海自は情報流出問題を重視し、海自の隊員約4万人について調査したところ、妻が外国人の隊員は約100人おり、東南アジア系と中国系が大半を占めているという。 陸上自衛隊、航空自衛隊は「現時点では掌握していない。今後調査する予定もない」としている。 海自隊員の場合、長期の航海、行動日程の秘匿、航海中の連絡途絶などが要因で、結婚難が背景にあり、外国人との結婚も増える傾向にあるとされる。 現職自衛官を対象にしたアンケート調査では、結婚平均年齢は陸、空に比べ海自が一番高い。 海自各部隊では若い独身隊員を対象にした「お見合いパーティー」や「合コン」を開催しているが、「横須賀は若い日本人女性が集まらず、飲食店などで働く外国人が参加し、その結果、結婚というケースがあるのは事実」(海自幹部)という。 防衛省では「配偶者が外国人の隊員に特別なことはしていない」としているが、久間章生防衛相は今月11日の講演で「秘密にかかわる人物については、奥さんが外国出身では絶対にだめとは言わないが、疑わしい者はタッチさせないようにしている」と特定の部署にかかわる隊員については調査の上、特別に配慮していることを明らかにしている。 防衛省では「情報保全教育の再徹底、外国人と結婚する際の自覚などを促すことから始めたい」と対策を模索しているのが実状だが、今後、プライバシーなどに配慮した上で、隊員教育など対応策が必要かどうか検討する方針だ。 (2007/04/13 07 48) http //www.sankei.co.jp/shakai/wadai/070413/wdi070413000.htm ソース http //news22.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1176420068/l50 -
https://w.atwiki.jp/toho_yandere/pages/2003.html
「ねーえ○○、何か私に言うことはなぁい?」 夕食を食べ終わって縁側でのんびりしている時に、そんな甘ったるい声を出した紫が背中から抱きついてきた。 久しぶりに聞くこの声に、俺の背中からは冷や汗が滝のように流れ、震えも止まらなくなった。 この声を出す時の紫は間違いなく怒っているし、今回紫が怒っている理由に心当たりがあったからだ。 「き、今日も綺麗だよ紫」 「他にはぁ?」 「…晩飯、美味かったよ。いつもありがとうな」 「他にはぁ?」 「あー、えーっと…」 いつもなら多少怒っていても、先程の様に褒めてあげると機嫌を直してくれるのだが、今回はどうやら駄目らしい。 声のトーンは変わらず、俺を抱き締める腕の強さがどんどん強くなっていき、今ちらと後ろを見た時の紫は怖い程に笑顔だった。 なので、俺は観念して白状することにした。 「ご、ごめんなさい。浮気、しました…」 そう、俺は紫という恋人がいるにも関わらず浮気をしてしまったのだ。 ひと月程前の宴会の席で一緒に飲んでいた東風谷と外の世界の話で盛り上がり、実は同じ高校に通っていた事や、密かに片想いされていたこと等を聞かされ、そのまま雰囲気に流されて途中で抜け出して致してしまった。 翌日、自分達が何をしたかを把握した俺達はお互いに謝り倒し、酒のせいとして昨夜のことを無かった事にした。 その後、紫にバレる事を恐れて内心ビクビクしながら過ごしていたが、紫は気づく様子がなく、ひと月が経ってようやく安心してきた所にこれだ。 しかし、紫に隠し事、それもこんな事を言わずにいることは正直心苦しかったので、バレて良かったのかも知れない。 愛想を尽かされてしまっても自業自得、最悪殺されても仕方が無いだろう。 そんな事を考えながら折檻に備えて歯を食いしばっていたが、いつまでたっても体に痛みが感じられず、代わりに俺を抱き締めていた腕や背中にあった温もりを感じなくなった。 恐る恐る振り向くと紫は床にぺたりと座り込み、自分を抱き締めて震えていた。 聞き取れないが、何かを呟いているようだ。 「ゆ、紫?」 呪詛や何かの詠唱でもしているのかと思い近づいて耳を澄ましてみて、俺は改めて浮気などという行為をした事を後悔した。 「う、嘘。嘘よ、嘘。だって、○○の恋人は私だもの。○○は、私の事を好きって言ってくれたもの。大丈夫、大丈夫…捨てられたりしない、○○は私を捨てたり、しない…嫌、嫌…捨てないで…」 嗚咽で聞き取りにくいが、紫は泣きそうになりながらこのようなことを何度も繰り返し呟いていた。 紫は俺が浮気をした事に対し、俺に怒りを向けるのではなく、俺が自分を捨てるのではないかと恐れていたのだ。 それを知り、俺はひどく胸が痛んだ。 「紫、ごめん。本当にごめん」 俺は紫の前に立ち頭を下げ、誠心誠意の謝罪をした。 紫の信頼を裏切り彼女を傷つけたのだ。 謝って済むことではないが、俺にはそうする他なかった。 「ど、どうして、そんな事を言うの?嘘、まさか、本当に…?」 「え?」 思いも寄らない紫の言葉に意味が分からず、間抜けな声と共に顔を上げて俺は驚いた。 そう言う紫の顔は真っ青を通り越して白くなっており、堪えていた涙は溢れ出していた。 そこで俺は漸く理解が追いついた。 どうやら紫は、俺の謝罪を深読みし過ぎて変な意味で…つまり俺が自分を捨てるというように捉えてしまったらしい。 「嫌、嫌嫌!捨てないで!お願い!貴方がいないと私…私ぃ!!お願い!お願いします!!何でもしますから!本当になんでも!だから!!捨てないで!!嫌!嫌あああああ!!!」 耳を劈くような絶叫だった。 紫は俺の足に縋り付き、必死の形相で泣き叫びながら懇願しだした。 いつも冷静な紫からあまりにも掛け離れたそんな姿に俺は目眩を覚えた。 しかし、これは自分の蒔いた種であり、ここで俺まで狼狽えているわけにはいかない。 「落ち着いてくれ紫。それは勘違いだ、俺がお前の事を捨てるなんて有り得ない」 「嘘!だ、だって、私の知ら、ないところで!女を、だ、だ、抱いたんでしょう!?」 「う…そ、それはそうだけど、誓って東風谷とはその一度きりだ」 「…こ、東風谷…早苗?山の…巫女の…?」 動揺して浮気相手の名前を出してしまったのは間違いだったようだ。 こちらを見上げる紫の表情が怯えから怒りに変わる。 どうやら、俺に抱かれた女に対する怒りが俺に捨てられるのではないかという懸念を上回ったようだ。 それは、それなりに長く付き合いがある俺でさえ見た事のない、ゾッとするような、静かな憤怒だった。 「…そうよ、○○が浮気なんてするはずが、私を捨てるはずがないもの。あの巫女が下品に誘ったに決まってる。売女が…私の○○に手を出してタダで済むと思わないことね」 その場を満たす程の強大な妖気を放ちながらゆらりと立ち上がった紫は、慣れた動きでスキマを作り出し、そこに入ろうとする。 「ま、待ってくれ紫…」 「大丈夫よ、○○。直ぐ終わるわ」 紫は自信たっぷりに言うが東風谷には二柱の神様がついていて、そんなに簡単に終わる筈がない。 神と対峙すれば紫もタダでは済まないはずだが、紫は頭に血が上っていてそれが分かっていないようだ。 だから俺は、妖気に当てられて気を失いそうになりながら呼び止めるのだが、紫は恐ろしい笑みを浮かべるだけで止まってはくれない。 だが、絶対に止めなくてはならない。 俺は紫を失いたくなかった。 「○○、待ってて…」 「紫!待てって言ってるだろ!行かないでくれ!俺から離れないでくれ!俺の傍に居てくれぇ!!」 「!」 俺の渾身の叫びに紫の足が止まり、同時に放っていた妖気もピタリと消えた。 それにより体が動くようになった俺は、力がはいらず震える体で紫の元へ駆け寄り彼女を後ろから抱き締めた。 「行くな紫!東風谷に何かすれば二柱の神様が出てくる。いくらお前でも、あいつら相手じゃ無事じゃ済まないぞ!」 「…私を心配、してくれるの?」 「当たり前だろ!大切な人が、恋人が危険な目に遭うのを黙って見過ごせるか!」 「…でも、あの女がいたら、貴方は私を捨て…」 「有り得ない!俺が愛しているのはお前だけだ!」 「………」 「金輪際東風谷とは会わない、浮気なんて二度としない、お前だけを愛し続ける。だから、どうか許してくれ。どうか、俺の隣に居てくれ…」 言いながら自分勝手な話だと思った。 紫が東風谷の所へ行こうとしているのは元はといえば俺のせいで、俺がこんな事を言うのはおかしな話だ。 だが、紫がいなくなってしまうと思うと言葉が勝手に口から溢れたし、それは心からの想いだった。 「…うん、わかった」 「本当か紫!」 「ええ。私も、○○と一緒に居たいもの…でも、代わりに、私のお願いを聴いてくれる?」 「もちろん!」 俺の説得でわかってくれたのか、紫は思いとどまってくれたようだ。 それが嬉しくて紫のお願いとやらを俺が二つ返事で了承をすると、紫は身をよじってこちらに向き直り、嬉しそうに抱きついてきた。 「本当?嬉しい!…じゃあ、さっそくお願いを叶えてくれる?」 「ああ、俺に出来る事ならなんだって叶えるよ」 「ふふ、では目を閉じて下さる?」 悪戯っぽく笑いそう言う紫を愛おしく感じながら言われたとおりに目を閉じ …俺の意識はそこで途絶えた。 「ふむ、いくつか質問してもよろしいですか?」 俺が話を終えると、横でメモを取りながら相槌を打っていた天狗の少女、射命丸文がそう言い詰め寄ってきた。 「それは良いけど、死にたくなかったらもう少し離れてくれ」 「…おっと、これは失礼しました」 俺の言葉に首を傾げていた射命丸だが、少し離れた所にいる紫からの視線に気づいたのか後ろに数歩下がる。 「紫さん、些か心配症が過ぎるのでは?」 「…まあ、俺は前科があるからな」 本当はこの取材の間も俺の横に居ると言っていたのだが、射命丸が人間視点の話を邪魔されずに聞きたいと言うので頼み込んで離れてもらったのだ。 まあ、紫と藍さんと散策をしている時にいきなりやって来て取材をさせろと言ってきた挙句にこれなので、紫が怒るのも無理はない。 とはいえ、射命丸には幻想郷に来た当初色々と世話になった恩があるので、今回だけということで紫は引き下がってもらったのだ。 しかし、藍さんが紫に傘で叩かれながらなんとか宥めてくれているが、紫から妖気が漏れ出しているため限界は近いらしい。 「ということで、聞きたいことがあるなら早くしてくれ」 「すみませんね。それでは1つ目ですが、紫さんが始めに怒っていたのは本当に浮気が原因だったのですか?」 「と、いうと?」 「○○さんに捨てられる事をあれ程までに恐れていた紫さんが、浮気を知っていてあの態度を取れるとは思えません」 「あー、それはだな…」 初っ端から痛い所を的確に突く鋭い質問だった。 そしてこれは女性には出来れば言いたくないことなのだが、射命丸を言いくるめられる気がしないので諦めて素直に答えることにする。 「実は、その日が俺と紫が付き合い始めて1年の日だったんだよ」 「…それはまた、盛大にやらかしましたね」 そう言う射命丸は所謂ドン引きをしていた。 女性は記念日をやたらと作りたがり重要視する、という価値観は幻想郷でも例外ではなかった。 要するに、俺は記念日をすっぽかした挙句に浮気したという事実を紫に突きつけるという最悪のコンボを決めてしまったのだ。 後日それについて改めて怒られ、色々と買わされ 、一日中甘えられるという事もあったのだが、長くなるので今回は省略させてもらう。 射命丸は今までにない速さでメモ帳に何かを書いているが、多分そこには俺、または外の世界の男についてのマイナス方面の記述がされているのだろう。 だから言いたくなかったんだ、と内心うんざりする。 「…まあ、このことについては言及はしないでおきます。時間が無いので次の、というか最後の質問です」 俺の心の内を読んだのか、あるいは紫を恐れてか、射命丸にしてはあっさりと次へと話を移した。 まあ、質問の内容は聞かなくても分かるのだが。 「紫さんのお願いとは何だったのですか?」 「そうなるよな」 俺の意識が無くなったという所で話が終わったのだから当然の質問である。 しかし、 「お前なら気づいてるんじゃないのか?」 「あー、お会いした時から違和感は有ったんですが、その言葉で確信が持てました。その妖気…○○さん、貴方、人間じゃなくなりましたね?」 「うん、正解」 そう、今の俺は人間ではない。 紫のお願いとは、俺を自分の式にする事だった。 式になると主の力を分け与えられる事で相当強くなれるし、寿命も伸びる。 俺はただの人間だったが、紫の式になったことで紫と同等程度の寿命を得たらしい。 また、式は主が命令した事には基本的に逆らう事が出来ない。 主が望めば生死さえ自由だろう。 寿命を伸ばす為か、もう自分を裏切らせない為か、あるいはその両方か。 何故俺を式にしたのかは聞いてはいないが、多分そんな理由だろう。 「むむむ…しかし、恋人が主人というのはどうなのでしょうか」 俺の返答を聞いた射命丸が腕を組み難しそうな顔をする。 恋人でありながら主従関係であることに疑問があるようだ。 「主従関係って言っても、俺は紫の式になってから何かを命令されたり強制されたりした事はないぞ。あいつもそんな事するつもりはないみたいだし。まあ形式的なものだ」 「念の為の保険という事ですかね?」 「ああ、それが一番近いかも」 有り得ない事だが俺が万が一もう一度浮気をするような事があれば、紫は確実に躊躇い無く主の権力を行使する。 まあ、有り得ない事だから保険は保険のまま終わるだろうけど。 「あー、あと一つ」 「なんだ?」 「○○さんは、紫さんの式になって良かったのですか?」 「ああ、人間であることにそんな執着はなかったし、なにより俺は紫を愛しているからな」 紫の隣に並んで歩けるのなら式になるというのはむしろ最高の選択だろう。 射命丸は俺の言葉を聞いて驚いた顔をしたが、やがて満足そうに頷いた。 「ふふ…いやはや、それはどうもご馳走様です。なるほど…どうもありがとうございました。記事…にするかは分かりませんが、貴重な話を聞けました」 「おう」 「では、紫さんが飛び掛ってくる前に私は退散しますね」 そう言うと、射命丸は一礼をして山の方へ飛び去って行った。 飛んでいく射命丸を見送っていると、背中に軽い衝撃が走る。 見ると紫が抱きついていた。 「長いですわ」 「まあ、そんなに短い話でもなかったし」 「そんなの知らないわ!○○は私のなのに!」 少し離れただけだというのに泣きそうな声で紫は拗ねていた。 なんというか、紫のこういう所は本当に愛おしい。 藍さんもそう思っているのか、少し離れた所で微笑ましいものを見る目で俺達を見ていた。 ああ、そう言えば後で紫を引き受けていてくれた事に礼を言わなきゃな。 「ほらほら紫、藍さんも見てるし取り敢えず帰ろう」 「…抱っこ」 「あー、うん」 外でお姫さまだっこを強請る事に少しでも恥じらいを持ってほしくて言ってみたのだが、藍さんが見ているということは紫にとって取るに足らないことらしい。 紫が俺の腰に回していた手を離したので、紫の方に向き直って紫を抱きかかえる。 お姫さまだっこというものは案外抱いている側も抱かれている側もしんどいのだが、紫が嬉しそうに俺の首に腕を巻き付けているのでまあ良いだろう。 「○○」 「なんだ?」 「好きよ」 「奇遇だな、俺もお前が好きだ」 「…そういうのは私がいない所でやってほしいのですがね」 そうして俺達は、そんないつものやり取りをしながら、自分達の家へと帰るのであった。
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/1834.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1370070429/ ―― 結局、事情聴取にはかなりの時間を取られてしまいました。 調書を書いていた警察官の方が言うには捕まった男性の証言が滅茶苦茶で裏を取るのに忙しいとの事。 それに被害者である私を付きあわせないで欲しいとは思いましたが、あの男性は決して許せません。 そう思って根気強く同じ事を聞かれる事に付き合っていましたが、解放された時にはもう日付変更間近でした。 ―― その後は…迎えに来てくれた両親に泣かれて…。 ストーカー事件という大きなものに巻き込まれた私が心配だったのでしょう。 二人共、忙しいにも関わらず、仕事を切り上げ、私のことを抱きしめてくれました。 久しぶりに感じる両親の暖かさに私もまた涙を流してしまいます。 そんな私の事を心配混じりに「どうして相談してくれなかったんだ」と叱ってくれる両親に…私は愛されている事を実感したのです ―― でも…結果として私は須賀君の付き添いに行けませんでした。 勿論、今から病院に走ったところで須賀君の病室に案内してもらえるはずがありません。 もう病院の受付時間は過ぎており、お見舞いすら出来ないのですから。 しかし、それでも…私は何とか頼み込んででも…彼の傍にいたかったのです。 須賀君が目覚めた時に…一番にお礼を言えるように…その傍についていたかったのでした。 ―― ですが…それを両親が許してくれるはずがありません。 ストーカー事件に巻き込まれているのを黙っていた私はただでさえ心配を掛けてしまっているのです。 そんな私が怪我をした人の付き添いに行きたいと言っても素気無く却下されてしまいました。 夜も遅いし、面会時間も終わってるから、また明日、行けばいいじゃないか。 そんな両親の言葉は正論で…だからこそ、私は項垂れながらも頷くしかありませんでした。 ―― でも…次の日も私は気が気じゃなくて…。 私がストーカー事件に巻き込まれていたという噂は一夜にして清澄の中に広がっていました。 ゆーきやここ最近少しずつ仲良くなってきたクラスメイトの女の子たちは朝早くから心配し、私の傍にいてくれたのです。 けれど、私はその最中も、須賀君の事が気になって、殆ど上の空に近い状態でした。 そうやって心配してくれる彼女たちには感謝していましたが…今の私にとって最優先事項は須賀君の事だったのです。 ―― だからこそ…放課後、部活にも行かずにすぐに病院へと走って…。 その途中でスーパーへと寄った私の手にはお見舞い用の花と桃の缶詰が入ったビニール袋がありました。 病院へと入院している人へのお見舞いなんて行った事がないので、一体、どんなものを差し入れすれば良いのか分かりません。 ドラマなんかの知識から選んだそれらが正しいのか疑問ではありましたが、流石に何も買わないのは味気がなさ過ぎるでしょう。 ―― 警察の人から聞いた話によれば…もう須賀君は目が覚めているみたいですし…。 どうやらあの傷は意識不明になるほどのものではなく、食欲も旺盛でピンピンしているとの事でした。 それでも検査の為に数日は入院しなければいけないらしいので、花や缶詰も無駄にはならないでしょう。 彼が目覚めた時に傍に居たかったという欲求をそう言い聞かせる事で誤魔化しながら、私は受付にて彼の病室を聞きました。 ―― えっと…312…はここですね。 三階の西側へと位置するその部屋は個室でした。 普通、長期入院の為に空けられているその部屋に須賀君がどうして運ばれているのかは私には分かりません。 そもそも私にとって重要なのは、その扉の向こうに須賀君がいるという事だけ。 とりあえず彼の安否をちゃんと自分の目で確認するまではその他の事は些事に過ぎません。 ふと浮かぶ疑問をそう切り捨てながら、私は大きく深呼吸して、その扉に手をかけようとし… ―― 「…え?」 瞬間、中から聞こえてきた声に私は小さく声をあげてしまいました。 だって、中から聞こえてきたそれは…女性の声だったのです。 聞き覚えのないそれは、勿論、ゆーきの声などではないでしょう。 だって、彼女は授業終了と同時に我慢できずに飛び出してしまった私の代わりに先輩たちに事情を説明してくれているはずなのですから。 ―― 誰…でしょう。 扉の前でそう疑問を浮かべる私の耳に聞こえるそれは若々しいものでした。 張りのあるその声は恐らく私達とそれほど年の差が開いている訳ではないでしょう。 そう思った瞬間…私の胸に浮かんできたのは…顔も知らない『宮永咲』という女性でした。 須賀君の幼馴染であり、今は疎遠になっているという彼女が…どうして真っ先に浮かんできたのかは分かりません。 しかし、一方的に意識してる彼女の影を感じて冷静でいられるほど…私に余裕はなかったのでしょう。 ついつい扉の前で立ち尽くしながら、中の会話に耳を傾けてしまうのです。 「どうしたんだよ、ずっと黙って」 最初に私の耳に届いたのは須賀君の声でした。 何時も通りの軽い調子な、でも、少しだけ緊張を滲ませる声。 私と最初に会った時でさえ感じさせなかった須賀君の感情に、私は今、彼の前にいる女性がそれだけ気まずい相手である事を悟りました。 「…京ちゃん…私…怒ってるんだからね」 ―― き、京ちゃん!? 瞬間、聞こえてきた言葉に、私は驚きに身を竦めてしまいました。 姉弟でも今時しないような親しげな呼び方は年若い女性の声で紡がれたのですから。 正直に言えば信じられない気持ちが強く、何かの聞き間違いでないかと思ってしまうのです。 「またこんな無茶して…京ちゃんってば…もう…本当に馬鹿だよ…」 けれど、そんな私の気持ちを裏切るようにして、再びその親しげな呼び方が私の耳を突くのです。 さっきのそれが決して偽りでもなんでもない事を教えるようなそれに私はギュッと拳を握りしめました。 しかし、それが一体、どういう感情によるものか自分でも分からず、私は定義する事の出来ない感情を持て余していたのです。 「おばさんから怪我して病院に運ばれたって聞いた時…私がどれだけ辛かったか分かる…?」 「…それは…」 責めるような口調に、須賀君は言葉を詰まらせました。 それは相手が辛いと感じるほどに心配を掛けてしまった事をその言葉から感じたからなのでしょう。 実際、扉越しに聞いている私にも…彼女の辛さが伝わってきて…胸が小さく痛みました。 ―― でも…それは私も同じです…。 心配していたのは何も彼女だけではありません。 私だって、須賀君の事を心配していましたし…昨夜だってマトモに眠れなかったのです。 正直、早退して病院に駆けつけたいと思ったのは一度や二度ではありません。 そこまで考えた瞬間、どうして自分が名も知らぬ相手と張り合っているのかが分からなくなり、そっと肩を落としました。 「…気まずいまま京ちゃんがいなくなっちゃうかもって思ったら…私…」 「…咲…」 「…っ!」 瞬間、聞こえてきたその言葉に、私は反射的に自分の胸を抑えました。 痛みがズキズキと駆け抜けるそこをかばうようなそれに、けれど、痛みが消える事はありません。 締め付けられるような強い痛みに私は息苦しささえ感じました。 けれど、私はどうしてそんなものを自分が感じているのかまったく理解出来ません。 だって…それは私の予想が当たっていた事を示すだけの言葉に過ぎないのですから。 今、彼の目の前にいるのが『宮永咲』さんであった所で…私に不利益等一切ないはずなのです。 「京ちゃんのバカ…アンポンタン…スケベぇ…」 「…ごめんな」 しかし、そう思う私の心とは裏腹に嗚咽混じりの咲さんの言葉は私の胸を抉ります。 いえ…より正確に言えば、その後に布擦れの音がしたのが…一番の原因なのでしょう。 それと同時に声のトーンが変わった辺り…もしかしたら二人は抱き合っているのかもしれない。 そう思うだけで私の胸はまた痛みを強くして…目尻に熱い感覚を残すのです。 「でも…ほら、俺は元気だからさ」 「そんなのは当然だもん!…元気じゃなかったらこんなものじゃ済まさないんだからぁ!」 「はは…そりゃ怖いな」 張り詰めるような咲さんの言葉に須賀君は気まずそうにそう返しました。 それはきっと本気で怒った彼女の恐ろしさを誰より彼が良く知っているからなのでしょう。 『京ちゃん』『咲』と呼び合う二人の関係が一朝一夕ではない事を感じさせる言葉に私は思わず歯を噛み締めました。 お陰で胸の息苦しさはさらに強くなり…私はぎゅっと制服を握りしめてしまうのです。 「もう心配掛けないからさ。泣き止んでくれよ」 「嫌だもん…また絶対…京ちゃん無茶するの分かってるんだから…」 必死に咲さんを泣き止まそうとする須賀君の言葉に、けれど、咲さんは機嫌を直しません。 時折、しゃっくりを混じらせながら、拗ねるように口にする彼女は、それが護られるはずのない約束である事を知っているからなのでしょう。 でも…逆の立場であった時、私がそれを見抜けるか自信がありませんでした。 最初に約束した事なんてまったく護ってくれなかったにも関わらず…私は多少、機嫌を治していたでしょう。 細やかなその言葉一つにも私と咲さんの間に決定的な違いがあるような気がして…私は無性に惨めな気持ちになったのです。 「俺だって好きで無茶やってる訳じゃないんだけどな」 「後ろから殴られたのに犯人追いかけるなんて無茶以外の何だって言うの!?」 怒声に近い咲さんの言葉は、正直、私も同意出来るものでした。 携帯を奪われるほど傷めつけられたのにも関わらず、犯人を追いかけるなんて無茶にもほどがあるのですから。 警察の人にも呆れられるほどのそれは無茶以外の何物でもないでしょう。 その御蔭で助かった私が言える事ではないのかもしれませんが…しかし、あんな事はもう二度としてほしくないのが本音でした。 「でも、それは俺の所為でのど…いや、友達が危険になったからで仕方なく…」 「分かってる。分かってるよ…そんなの…」 須賀君の言葉に急にトーンを落とすのは、それが仕方のない事だって理解できているのでしょう。 実際、そうやって須賀君が後を追いかけてくれたお陰で、私はあの人に穢される事はなかったのですから。 しかし…それで幼馴染が死んでもおかしくないような無茶をしたという事に納得する事は出来ません。 私だって…ゆーきがそんな無茶をしたら、納得する事が出来ませんし、小言の一つでも言いたくなるのでしょう。 「京ちゃんが…正義感の強い人だって言うのは私も知ってるよ。でも…そんな自分を犠牲にするようなやり方は止めてよ…」 「…何の事だ?」 「とぼけないで。私…おばさんに全部聞いて知ってるんだから」 尋ね返す須賀君に咲さんは強い語気のこもった声でそう返します。 さっきの怒声のように荒上げるものではなく、静かな怒りを込めたそれは迫力さえ感じるものでした。 きっと今の咲さんは、須賀君を強い視線で睨めつけているのでしょう。 しかし…それが一体、どうしてなのか、私の頭では理解が追いつかなかったのです。 「…京ちゃん…わざと犯人挑発していたんでしょう?」 その言葉は強い確信に満ちていました。 まるで証拠が揃っているかのようなそれに、私は内心、首を傾げました。 だって…彼女は事件の全容をまったく知らない部外者なのです。 それなのに…須賀君の母親から聞いただけでこうも確信を得られるでしょうか。 二人のように幼馴染という存在を持たない私にとって、それは強い疑問を感じるものでした。 「…仕方ないだろ。そうしないと事件になんないんだから」 「だからって!死んだらどうするの!!相手はストーカーなんだよ!何するか分からない相手なんだから!」 しかし、その確信混じりの言葉は正しかったのでしょう。 須賀君はそれを認めるようにポツリと言葉を漏らします。 それに再び強い言葉を放つ咲さんに…私はどうして彼女がこれまで追い詰められているかを理解しました。 咲さんは…須賀君が自分から囮になったとそう知っていたからこそ…こんなにも感情を顕にして、さっきまで泣きじゃくっていたのでしょう。 ―― でも…どうして…? 勿論…それは私も考えていない訳ではありませんでした。 いえ、忘れ物をしたと言って家を出た時の彼の様子を思い返せば、それは当然の帰結と言えるでしょう。 ですが…それは宮永さんの言う通り、とても危険な行為なのです。 一歩間違えれば帰らぬ人になっていたかもしれないそれを…どうして須賀君がしてくれたのか。 それが私にはどうしても理解出来ず、私はそれを馬鹿な考えだと胸の奥底にしまいこんでいたのです。 「今までずっと警告ばかりで手を出して来ないような奴に人一人を殺すような度胸はないって」 「そうかも…しれないけど…」 しかし、須賀君は私が思っていた以上に冷静だったのでしょう。 犯人を一刀両断に切り捨てるような言葉に迷いは一切ありませんでした。 けれど、だからと言って、暴力事件を引き起こさせる為に囮になるなんて普通では出来ません。 幾ら襲撃がわかっていても無事で済ませられる確証なんて何処にもないのですから。 「それに…分かってたらこっちで取り押さえる事も出来るなってそう思ったんだよ。まぁ…実際は返り討ちなんて無理だった訳だけどさ」 何処か自嘲気味に告げるその言葉は、あの日の事件が彼の思い通りになっていた訳ではない事を伝えます。 幾ら彼が尋常ではない覚悟を決めていたとしても、単純に犠牲になるつもりなんてなかったのでしょう。 勿論、そうなるかもしれないと思っていたのは確かでしょうが、捨石になんてなるつもりはなかった。 それを思わせる言葉に私は一つ安堵しながら…けれど、怒りを抑える事が出来ません。 「でも…そこまでする必要はあったの?」 自分の事ながら…私は胸中で宮永さんに同意しました。 確かに須賀君が囮になったお陰で犯人も捕まり、起訴が決まっています。 それに私は心から彼に感謝しなければいけないのでしょう。 しかし、それは着実に証拠を集めていけば…決して不可能ではない事だったのです。 何も須賀君が大怪我をしてまでなさなければいけない事ではなかったでしょう。 少なくとも…最初の約束を完全に反故にされた怒りは私の胸の内でメラメラと燃えていました。 「咲は知らないだろうけどさ。和…いや、その被害にあっていた子はすげぇ綺麗で…可愛くて…」 ―― ふぇっ!? けれど、それは宮永さんの疑問に応えるような須賀君の言葉に一気に鎮火してしまいます。 まさかこのタイミングでそんな風に褒められるとは欠片も思っていなかった私は思わず狼狽を浮かべてしまいました。 意味もなく視線を彷徨わせる私の胸はドキドキと鳴ってうるさいくらいです。 ですが、そんな鼓動にむず痒さこそ感じるものの、決して不快感はありません。 寧ろ、それは…正直…悔しいですが…嬉しいと言っても良いようなもので… ―― 「京ちゃん!!」 「はは。悪い」 けれど、その言葉は宮永さんの不機嫌そうな声で遮られてしまいます。 それにドキドキも少しずつ収まって、感情の波も緩やかになっていくのを感じました。 そんな自分に安堵を浮かべる一方で…私は残念さを感じていたのです。 それは微かで…ほんのちょっぴりで…欠片ほどのものではあれど…私は恐らく…心の何処かでその続きを聞きたがっていたのでしょう。 盗み聞きをしているにも関わらず浅ましい自分の欲求に、私はさっきとは違う感情で頬を赤く染めてしまいました。 「まぁ…勉強も出来て、クールで…家事も万能でさ…ちょっと意地っ張りなのも可愛くて…」 「……」 「と、とにかく…女の子らしい女の子で凄い奴なんだよ」 そこで言葉を纏めるのは、恐らく宮永さんから睨みつけられたからなのでしょう。 どうやら二人の間の力関係は完全に宮永さんに分があるようです。 長年、培われてきたであろうその関係に、再び胸の痛みを湧き上がらせながらも…私はまた可愛いと言われた事に内心、喜んでいました。 「でも、そんな子が俺に助けてって言ったんだ。まだ知り合って…一ヶ月も経ってない俺に…助けてって」 瞬間、トーンを低めて言葉を紡ぐ須賀君は…きっと真剣そうな表情をしているのでしょう。 何時もの冗談めいた軽いものではなく、真剣で引き締まった顔を。 それを見たいという欲求が胸の中から湧き上がりますが、けれど、今、この扉を開く訳にはいきません。 そんな事をすれば…私はこの話の続きを…私の前では決して聞けないであろう須賀君の本心に触れる事が出来なくなるのですから。 「俺みたいな奴の前で泣くくらい怖かったのを…ずっと一人っきりで…誰もいない家で我慢してたんだ」 ―― 須賀君…。 そんな私の耳に届いたその声は…私の心を鋭く突くものでした。 当時の私の恐ろしさを理解するそれに私の目尻が滲むのを感じます。 勿論…その結果、彼が怪我をしてしまったのですから、それを喜ぶできではありません。 けれど…あの時…誰にも頼る事の出来なかった辛さを… 須賀君だけは分かってくれているという歓喜は…そんな言葉ではかき消せないものだったのです。 「だったらさ。男の俺が頑張らなくてどうするんだよ」 「格好…つけすぎだよ…」 「そうかもな。でも、男ってのはそういう生き物なんだって」 なんでもなさそうに言うその言葉は…決して真実ではないでしょう。 だって…世の男性全てが須賀君のように親身になってくれるとは思えないのですから。 いえ、自分が怪我をするかもしれないのに…囮になって犯人と立ち向かえる人の方が少数派でしょう。 少なくとも…もし、私が男性であったとしても同じ事が出来るとは到底思えません。 「可愛い女の子の前じゃ格好つけたがるのが本能みたいなものだからな」 「それで怪我してたら…世話ないでしょ」 「痛っ!」 何処か冗談めかした須賀君の言葉に、宮永さんは呆れるように言葉を紡ぎます。 しかし…そこには何処か嬉しそうなものが滲んでいるように思えるのは私の気のせいでしょうか。 いえ…きっと彼女はこうして須賀君を何気ないやり取りが出来る事を喜んでいるのです。 数ヶ月…下手をすれば数年ぶりのそれを宮永さんは待ち望んでいたのでしょう。 「本当…京ちゃんは私がいないとダメなんだから」 「それはお前の方だろ。つーか、お前、ここまで来るの大丈夫だったのかよ」 「ちゃーんとタクシー使いましたー」 「それ自慢でも何でもないからな?」 そして…それは須賀君もまた同じです。 だって、その言葉はまったく遠慮がなく…そして嬉しそうに跳ねているのですから。 ゆーき以上に気の置けない…幼馴染独特の関係に戻りたいと、彼も思っていたからなのでしょう。 そして…それを…私も祝福するべきなのです。 ―― なのに…どうしてでしょう…。 こうして扉越しに二人の掛け合いを聞いていても、胸が痛くなる一方でした。 旧交を暖めるように嬉しそうにする二人を感じて…まったく嬉しくないのです。 私の為に頑張ってくれた須賀君に齎されたその幸運を喜ぶべきなのに…胸が押しつぶされそうなほどに痛いまま。 それに目尻から一つ熱いものが零れたのを…私はしっかりと感じました。 「その…ごめんな」 「…何が?心配させた事なら当分、許さないけど」 「いや…そっちじゃなくて…気まずくて避けてた事だよ」 その瞬間、須賀君は自分の中で向き合う覚悟を決めたのでしょう。 気まずそうに言葉を詰まらせながらも…そうはっきりと言い切りました。 ストレートに謝罪するそれを…一体、彼がどれだけ抱え続けていたのかは分かりません。 しかし、それでも須賀君の中で一区切りついた事を感じさせるそれに…私はやっぱり喜ぶ事が出来なかったのです。 「…そんなの気にしてないよ」 「気にしてないって顔じゃないだろ」 そう告げる須賀君の言葉から、今の宮永さんの表情が普通ではない事が伝わって来ました。 恐らく…その頬は膨れて、拗ねているのをアピールしているのでしょう。 扉越しに伝わってくる声音も、その想像を肯定していました。 「だって…京ちゃん…あの時…何時までも友達だって…そう言ってくれたのに…私の事避けるし…」 「あの時は…大丈夫だって思ったんだ。…だけど…」 ―― …? けれど、そんな宮永さんが漏らす言葉に私の理解は追いつきませんでした。 だって、それはただ疎遠になっただけでは言わない言葉であったのです。 まるで…疎遠になる前にもうワンクッションあるようなそれに私は内心、首を傾げました。 けれど、どうにも対人関係の経験が薄い私にはそれが一体、何を指しているのか分からなかったのです。 「分かってる。…分かってるから…気にしてないってそう言ってるの」 「でも…本当は怒ってるんだろ?」 「……それは…」 「だったら…ついでだし、それを丸ごとぶつけてくれよ」 理性と感情が乖離しているであろう宮永さんの言葉。 そんな彼女の中の感情を肯定するような須賀君の言葉に、宮永さんは沈黙を返しました。 お陰で私は中の様子がまったく分からず、そわそわとしてしまいます。 一体、二人は今、何をしているのか。 見つめ合っているのか…抱き合っているのか。 まったく物音が聞こえてこない病室からは何も伝わってこず、私は思わず扉に耳をつけてしまうのです。 「…私…京ちゃんと疎遠になるなら…あんな事言わなかったもん…」 「ごめんな」 「ううん…悪いのは…子どもだった私の方」 その御蔭…という訳ではないのでしょうが、中から再び二人の話し声が聞こえて来ました。 それに一つ安堵しながら私はそっと扉から耳を離します。 流石に人通りもそこそこある病院内で扉を耳をつけていたら、不審者として見咎められる事でしょう。 こうして病室の前で棒立ちになっている時点でかなり怪しいですが、それでも幾分、今の状態の方がマシなはずです。 「…仲の良い幼馴染である事と…恋人になるって事がまったく違うって…想像せずに…付き合おうって言っちゃったんだから」 ―― …え…? そう思った瞬間、聞こえてきた声を…私は正常に咀嚼する事は出来ませんでした。 その言葉の意味を私はちゃんと理解し、整理する事が可能です。 ですが、それが一体、どういう立場でどういった過去があったからこそ紡がれたものなのかが…私には理解が及びません。 まるで頭がそれを理解するのを拒否しているように…私は呆然としてしまうのです。 「それに…変にギクシャクしちゃって…別れを切り出したのも私の方だし…」 「それは咲だけの問題じゃない。意識してたのは俺の方も同じなんだからさ」 「でも…結果的に…私がそんな事言っちゃったから…京ちゃんは避けてたんでしょ?」 「それは…」 けれど、そんな私を打ちのめすように…再び宮永さんが言葉を紡ぐのです。 悲しみと後悔を強く感じさせるそれは…紛れも無い事実なのでしょう。 こんな状況で嘘を吐くメリットなんてありませんし、何よりそこに込められた感情に嘘偽りなどなかったのですから。 須賀君と同じく、長い間彼女が抱き続けていたその感情は…聞いているだけの私の足元が思わず揺れるくらいだったのです。 「だから…本当は悪いのは…私の方。自分から告白したのに途中で耐え切れなくなって… 京ちゃんに追いすがる事すら怖くて出来なかった…弱い私」 「咲…」 しかし、それでも宮永さんの独白は止まりません。 今までずっと抱え込み続けていた感情を吐露するように…ポツリポツリとゆっくり漏らしていくのです。 きっとその表情はとても暗く、落ち込んだものなのでしょう。 それは心配そうに彼女の名前を呼ぶ須賀君の言葉からも伝わって来ました。 「振られたってのが気まずくて逃げた俺が一番、悪いんだからさ。そう自分を責めるなよ」 「でも…」 「そうじゃないと、俺が情けなさ過ぎるだろ」 何処か自嘲気味に告げる須賀君の言葉に…私はズキリと胸が痛みました。 だって、私はそんな弱ったような声音を見せる彼の姿なんて見たことがないのです。 私の知る彼は軽くてお調子者で…でも、肝心なときには助けてくれるまるでヒーローみたいな人なのですから。 けれど…きっと須賀君の恋人であった宮永さんには違うのでしょう。 そう思ったら…また目尻が熱くなって…一粒の涙が溢れるのでした。 「それは本当?」 「…嘘じゃねぇよ。咲の事意識してギクシャクしてたってのもあるけど…大事だってのは本当だ」 「じゃあ…許してあげる」 クスリと笑う宮永さんの言葉にはもう暗いものはありませんでした。 恐らく、大事だって言う須賀君の言葉に気分を上向かせたのでしょう。 それはきっと…宮永さんが普通よりも強い感情を…須賀君に向けているから。 いえ…もっとはっきり言うのであれば…それは恐らく… ―― 「私もね。色々と急ぎすぎてたかなって思うんだ。少なくとも…周りから囃し立てられて…恋人になろっかなんて言うべきじゃなかった」 その言葉に込められた感情を私は全て読み取る事が出来た訳ではありません。 過去を思い返し当時の感情を呼び起こすような言葉は、きっと宮永さん本人でなければ理解しきる事は出来なかったでしょう。 ですが…それでも私にはその根幹にある彼女の感情がはっきりと伝わってくるのです。 例え、軽率であったとしても…恋人になっても良いと思う…感情が。 そして当時を振り返って…『失敗だった』ではなく『急ぎすぎた』と告げる感情が。 今も…彼のことが好きだという彼女の気持ちが…私の胸を揺さぶるのです。 「だから…京ちゃんさえ良ければ…もう一回、幼馴染をやってくれないかな?」 「そんなの…俺のセリフだろ」 宮永さんのその言葉が微かに震えていたのは、彼女が恐らく怖がっていたからなのでしょう。 ずっと須賀君に逃げられ続けていた過去を持つ宮永さんにとって、それは拒絶されるかもしれないと思ってもおかしくはないものなのですから。 けれど、須賀君はそんな彼女を安心させるようにして…明るい声で答えました。 「寧ろ…咲と仲直りするのに色々と画策してたくらいなんだぜ?」 冗談めかしたその言葉は、彼女の不安を取り去ろうとする意図を感じさせるものです。 彼の本心を知る私にはそれが決して偽りでない事を知っていました。 実際、彼は私にその手伝いを頼むほどに切羽詰まっていたのです。 その上、昨日は私にその心の一部を吐露していたのですから…彼がそれに対してよほど心を痛めていたのでしょう。 「え…例えばどんなの?」 「あー…例えば、親父さんに咲がブックカバー欲しがってるって聞いたから機嫌治して貰うのにプレゼントするつもりだった」 「えー…それならその時まで仲直り待っておけばよかったかも」 そんな須賀君に応える宮永さんの言葉もまた冗談めかしたものになっていました。 明るく元気なその声にはさっきの怯えはもうありません。 代わりにあるのはそうやって冗談の応酬が出来る事への安堵と…そして嬉しさ。 きっと今、この病室の中で彼女は綻ぶような笑みを浮べている。 そう思わせるその声音に…私の痛みは大きくなりました。 「じゃあ、今度一緒に見に行くか?」 ―― …え…? 瞬間、聞こえてきたその声に私は足元がグニャリと崩れていくのを感じます。 まるでこんにゃくか何かを踏んでしまったかのようなその感覚に、私は思わず蹲りたくなってしまいました。 それを堪えようと私は反射的に壁に手をつき、自身の身体を支えます。 ですが、グニャグニャと足元がおぼつかないその感覚は収まらず、私は強い不快感を覚えました。 「良いの!?」 「まぁ、これくらいはな。咲を寂しがらせたお詫びって事で」 ―― 待ってください…! そんな私に構わずに明るく進行する二人の話題。 それに心の中で叫んでも…それが須賀くんに届くはずがありません。 だって、扉の外で盗み聞きをしている私の事など二人が知る由もないのですから。 ようやくかつての蟠りを乗り越えた二人は、今、再び幼馴染として一歩を踏み出す事に夢中なのです。 しかし、そうとわかっていても…私は須賀君に置いていかれたような気がして…再び涙を漏らしてしまうのでした。 ―― それは…私との約束だったじゃないですか…っ! あの日、私と須賀君が仲良くなる切っ掛けとなった日。 お礼をしたいと言った私に、須賀君は買い物に付き合ってくれとそう言ってくれたのです。 ソレ以降、色々あった所為で、結局、具体的な日時をどうするかを決める事は出来ていませんでした。 かつてはアレほど執着していたそれを須賀君との他愛ないやり取りの中で忘れていたのです。 だからこそ、それはきっと私が言える事ではないのでしょう。。 ですが…ですが、それでも…それは私と交わしていたはずの約束だったのです。 ―― 勿論…須賀君の選択が間違っていない事くらい私にだってわかっていました。 結果的に話題にもならなくなった相手との口約束よりも、それを贈ろうとしていた相手と見に行った方が遥かに良いはずです。 特に今の二人に必要なのは冷えかけた旧交を暖める時間なのですから。 その為に一緒に出かけるというのは二人にとって一番の特効薬でしょう。 しかし…そうと分かりながらも…私は裏切られたような感覚を否定する事が出来ませんでした。 「じゃあ、出来るだけ高いの買わなきゃ!」 「ちょ…やめろよ。俺の小遣い少ない事くらい知ってるだろうが」 「こんなに可愛い幼馴染を寂しがらせた罰なんだから、ちょっとくらい貧しくなっても我慢するべきでしょ」 そんな私の耳に届く楽しげな声。 それに私は…ムカムカとした感覚を抑える事が出来ませんでした。 様々な負の感情の上澄みだけを集めたその感情が…一体、どんなものなのか私には分かりません。 ですが、そこから感じる辛く…悲しく…そして寂しい感覚は私の心を暗く沈めていくのです。 そんな感情を私はどう処理すれば良いのか分からず…ポロポロと涙を漏らしながら扉の前に立ち尽くしていました。 「あの…大丈夫ですか?」 「え…?」 そんな私に声を掛けてくれたのは白衣の女性でした。 その手にバインダーを抱えた彼女は心配そうに私を見つめてくれています。 けれど…そんな女性の姿を見ても、私の感情はまったく晴れる事はありません。 そうやって心配してくれて申し訳ないという気持ちさえも湧き上がらず…ただただ、暗い心地のまま沈み続けていました。 「いえ…何でも…ありません」 「あ…」 その女性にそう答えながら、私はそっとその場を後にしました。 その背中に気遣うような声が向けられましたが、私はそれに振り返る気力さえもありません。 今にも自分の中から漏れだしてしまいそうな重苦しい感情に意識の殆どを持っていかれていたのです。 それでも…時折、後ろを振り返ったのは…私のことに気づいた須賀君が追いかけてきてくれないか期待していた所為なのでしょう。 ―― 私…何をやっているんでしょう…。 勿論、そんな事はありません。 今の彼は宮永さんとの会話を楽しむので手一杯なのですから。 お見舞いに来た私の事など気にしていないどころか…その存在に気付けたはずがありません。 それがとても惨めに思えた私は…何度手の甲で目尻を拭っても、涙を湧きあがらせてしまうのです。 そんな私に怪訝そうな目を向ける人たちの中には私を心配して話しかけてくれる人もいました。 けれど、今の私にはそれさえも億劫で…途中から逃げ帰るようにして…家へと走りだしたのです。 「…あ…」 バタンと扉を締めてから…私はようやく自分が握りしめていた花束の存在に気づきました。 けれど、それはもう花弁も散った滅茶苦茶なものになっていて…到底、須賀君に渡せるような状態ではありません。 本当ならば、それを須賀君に手渡した時に…色々と言いたい事があったはずなのです。 有難うとか…何であんな無茶をしたんですかとか…それこそ…数えきれないくらいに。 けれど、滅茶苦茶になった花のようにそれらは散って…一言だって伝える事が出来ませんでした。 それが無性に悲しくなった私は…そのままゆっくりと玄関に崩れ落ちて… ―― ―― そして私は両親が帰ってくるまで玄関先で泣き続けたのでした。 …… ………… ……………… ―― 次の日、私は朝から落ち着きませんでした。 泣いているのを両親に知られた私は二人をとても心配させてしまったのです。 つい先日までストーカー被害を受けていたのですからそれも当然でしょう。 しかし、私は自分でもどうしてこんなに悲しいのか分からず、また事情の説明も出来ませんでした。 一人で出歩くなと両親から言い含められて居たのに我慢出来ずに須賀君のお見舞いに行ったなんて言えないのです。 ―― 結局…私は殆ど気持ちの整理もつけられなくて…。 お陰で昨夜もまた殆ど眠れませんでした。 かと言ってゆーきとメールする気分にもなれず、私は成果を尋ねる彼女のメールにもぼかした返事しか出来なかったのです。 突然、部活を休むと言い出した私の為に、事情を説明しに言ってくれたゆーきに対して、それはあまりにも不誠実な行為でしょう。 しかし、須賀君の代わりに迎えに来てくれた彼女は何かを察したのか、それに対して突っ込む事はありませんでした。 それが有難い反面、とても心苦しいですが、自分でも整理しきれていない現状でゆーきに説明する事は出来ないのです。 ―― そんな私にとって唯一の救いは須賀君が今日から登校出来るという事でした。 父が改めて謝礼を伝える為、向こうの親御さんと連絡した際にそう教えて貰えました。 どうやら検査の結果はまったく問題なく、日常生活に支障はないそうです。 又聞きではあるものの、命に別条はないと聞いて、私がどれだけ安堵した事か。 これまで生きてきた中で文字通りの意味で胸を撫で下ろした事なんて今までありませんでした。 ―― 実際…こうして見る限り、彼の様子に違和感は感じません。 教室で一緒になってから、彼は常に他の人へと囲まれてアレやコレやと質問責めにされていました。 彼が事件に巻き込まれて怪我をしたという事は学校の中でも噂になっていたのです。 それを私のストーカーと結びつける人は少なからずいましたが、須賀君はそれをやんわりと否定していました。 それは恐らく私の所為なのだとクラスメイトに思わせない為のものなのでしょう。 ―― だけど、お陰で私は須賀君のところに近づけなくて… 彼がぼかした態度を取るから、クラスメイトたちも気になってしまうのでしょう。 休み時間が訪れる度に須賀君は人の輪に囲まれ、私が話しかける隙なんてなかったのです。 その上、私にも興味本位で似たような質問をする人がいるのですから、近づけるはずがありません。 結果、私は彼に色々と言いたい事があるのにろくに挨拶すらする事が出来ず、ズルズルとお昼休みまで自分の席に釘付けにされていました。 ―― でも…流石に…大丈夫ですよね…? 私のカバンの中には今、一つ余分にお弁当が入っていました。 普段使っているそれよりも1.5倍ほど大きなそれは勿論、須賀君のものです。 事件に巻き込まれたお礼をそんなもので出来るとは思いませんが、昨日、お見舞いに行けなかったお詫びくらいにはなるかもしれない。 そう思って普段よりも時間を掛けて作ったそれはかなりの自信作でした。 ―― きっと…これなら須賀君も喜んでくれるはずです。 男の子の好きなおかずをこれでもかとばかりに詰め込んだのですから。 普段、学食やパンなどで昼食を済ましている須賀君はきっと喜んで受け取ってくれるでしょう。 まぁ…その…その際に夫婦だとか色々とからかわれる事になるかもしれませんが、それくらいは我慢しなければいけません。 彼に誠意を見せる為にも、ここは思い切って足を踏み出すべきなのです。 ―― それに…まぁ…夫婦だとか言われるのは最近はそれほど嫌じゃありませんし…。 自分の中でそういったものをさらりと流せる余裕が出来てきたからなのでしょう。 最近はそう囃し立てられるのはそれほど嫌じゃありません。 いえ、寧ろ、まんざらでもなさそうな須賀君の表情を見る度に私の顔も綻びがちになってしまうのです。 勿論、恥ずかしいので頬を赤くしてしまいますが、それだって決して嫌なものではありませんでした。 ―― 問題は…タイミングです。 今の時刻は四限目の終業時刻の二分前です。 今、教鞭を執っているのは授業時間ギリギリまで使う事で有名な先生ですが、そろそろ終わる事でしょう。 そうなれば皆が皆、気を抜いて昼食の準備を始める事でしょう。 その一瞬の隙をついて、私は須賀君の元へと移動し、このカバンの中のお弁当を手渡さなければいけない。 そう思うと緊張で胸がドキドキして先生の言葉さえも右から左へと抜けていってしまうのです。 ―― 大丈夫…私になら出来るはずです。 何せ、私は朝からこの時の為のシミュレーションを欠かさなかったのですから。 終了の宣告を聞いてから須賀君の席へと近づくまで、しっかり思考した私にミスはあり得ません。 お陰で午前中の授業が一体、どんな内容だったのか思い出せませんが…それは些細な事です。 それよりもこのまま須賀君にお礼すら言えない方がよっぽど大事なのですから。 ―― ピーンポーンパーンポーン 瞬間、聞こえてきたチャイムの音に私の肩が強張ります。 ピクンと微かに震えるそれはきっと緊張なのでしょう。 しかし、それはあくまでも許容範囲であり、私の計画を阻害するものではありません。 今の私に精神的動揺によるミスはあり得ないのです。 「お…もうこんな時間か。それじゃ号令」 「きりーつれーい。ありがとうございましたー」 その言葉が聞こえた瞬間、私はそっと腰を屈め、脇にぶら下がったカバンを手に取りました。 瞬間、視界に飛び込んできた青色の包をぎゅっと握り締めるのです。 そのまま包を持って顔をあげれば、須賀君は昼食を買いに席を立とうとしているところでした。 その周りには人はおらず、私と須賀君の間にも人一人が通れるラインがあったのです。 予想通り…いえ、それ以上の結果に私は内心、浮かれながら、彼を呼び止めようとして… ―― 「あの…し、失礼しまーす…」 「…え?」 瞬間、聞こえてきたその声に私は意識をそちらへと向けてしまいました。 須賀君へと渡すべきお弁当をそのままに立ち尽くすそれは計画にはなかったものです。 それに私の理性が警鐘を鳴らしますが、しかし、身体が動く事はありませんでした。 だって、その声は…聞いた覚えのある…もっと言えば、昨日聞いたはずの声だったのですから。 「その…須賀君はいますか?」 ほんのすこし緊張を混じらせて紡がれる可愛らしい声。 それを放つのは黒髪の小柄な女の子でした。 ショートに切り揃えたその雰囲気は大人しく、まさに文学少女と言った風体です。 何処か小動物めいたその雰囲気はきっと男性の庇護欲を擽るでしょう。 決して華やかな何かがある訳ではないけれど、人の心を惹きつける少女。 私にとって彼女の第一印象はそんなものでした。 「あれ?咲」 「あ…京ちゃん」 そんな二人のやり取りに教室がざわめいたのは決して私の気のせいではないのでしょう。 私だって病室で二人のやり取りを聞いていなければ、かなりの動揺を浮かべていたのですから。 しかし、渦中の二人はそんな教室の変化に気づく事はなく、不思議そうな表情を浮かべながら近づいていくのです。 まるで二人だけの世界にいるかのようなそれに私の胸は張り裂けそうな痛みを覚えました。 ―― 行かないでください…! その痛みを泣き叫ぶような言葉が私の胸の中で響きました。 まるで二人の世界がそこにあるかのようなその姿に…私は後ろから縋り付いて止めたかったのです。 しかし、思わず口から飛び出してしまいそうなそれを私は理性と体面という言葉で抑えこみました。 だって、そんな事を口走ってしまえば…今もざわめきいているこの教室がより一層、動揺を広げる事になるのですから。 それは私も須賀君も…そして宮永さんも望むところではないのでしょう。 「はい。お弁当」 「って本当に作ってきたのか。有難うな」 「約束した事くらい護りますー」 ―― お弁…当…? しかし、そう思いながら成り行きを見つめる私の前で、宮永さんが須賀君に緑色の包を手渡しました。 私の持ってきたそれよりも一回り大きなそれを須賀君は嬉しそうに両手で受け取ります。 お礼と共に告げるその言葉から察するに私が逃げ帰った後、お弁当を作ると約束したのでしょう。 頭の中ではそう理解しながらも、私はその光景を信じる事が出来ませんでした。 ―― 私だって…作って来たのに…。 そう。 私の手の中には彼に食べてもらう為に作ったお弁当があるのです。 眠れないからと朝早くから厨房にこもったそれは自信作で…須賀君も喜んでくれるはずでした。 そして…私はそんな須賀君に無茶をした事を責めながらも…ちゃんとお礼をするはずだったのです。 しかし、そんな私の計画は今、目の前で無残にも打ち砕かれ…粉々になっていったのでした。 「のどちゃん…大丈夫?」 そんな私の隣にいつの間にかゆーきが近寄ってきてくれました。 心配そうに私を見上げるその表情に私の胸はズキリと痛むのです。 しかし、私はそんな彼女に空元気を見せるところか、ろくに返事一つ返す事が出来ません。 ただ、身体の反応としてそっと頷きながら、私はじっと須賀君たちの様子を見つめ続けるのです。 「ちゃんと後で洗って返してね。前みたく忘れたなんて言ったら許さないから」 「はいはい。分かってるって」 そう言葉を交わす二人に教室のざわめきが再び膨れ上がります。 だって、それは二人が以前からそういったやり取りをしていた事が分かるものなのですから。 高校生活開始から一ヶ月、大体の人となりがわかりはじめた時期に投下されるその爆弾に皆が驚くのも無理ないでしょう。 この一ヶ月の間、そういったやり取りを見る事がなかったのですから尚更です。 「じゃあ…私もう行くから」 「おう。また後で…いや、ちょっとまってくれ」 「え…?」 「ん?」 そこで宮永さんを呼び止める須賀君の表情は微かに強張っていました。 微かにその頬を引き攣らせるそれは恐らく教室の雰囲気に気づいたからなのでしょう。 チラリと背中を伺うその視線には「失敗した」と言わんばかりの表情が浮かんでいました。 その表情に彼と特に中の良い一部の男子がゆっくりと近づき、包囲を始めます。 「…やっぱ俺も一緒に行くわ」 「逃がすな!追い込め!!」 「全てゲロって貰うぞ背信者京太郎!!」 「女子の弁当とかうらやまけしからん!俺にもちょっとよこせ!」 「ふざけんな!誰がやるか!!」 「…あ…」 そう言ってドタドタと駆け出す数人の男子から逃げ出すように須賀君が教室を飛び出して行きました。 そんな彼を追いかけて数人の男子も教室から出て行くのを、何人かの女子は呆れたように見送ります。 その他の女の子は大人しそうな外見からは想像もつかないほど大胆な事をした宮永さんを興味深そうに見ていました。 そんな彼女たちに気圧されるようにして小さく声をあげながら、宮永さんはそっと扉を閉めようとして… ―― ―― ふと一瞬…視線が合ったような気がしました。 真っ直ぐに私の方を見つめるようなその視線はきっと気のせいなのでしょう。 だって、私と彼女はまったく面識がないのですから。 一方的に私だけが面識のある今の状態で、彼女に見られる理由なんてありません。 だからこそ、それはきっと…私が宮永さんを意識しているが故の誤解なのでしょう。 ―― 意識…?私が…? 瞬間、浮かんできた自分の思考に私は疑問の声を返しました。 私にとって宮永さんは須賀君の幼馴染であるというだけで、意識するような対象ではないはずです。 確かに私の作ったお弁当が無駄になってしまいましたが、それは何も宮永さんの所為という訳ではないのですから。 私が事前に彼に伝えておけば、こんなブッキングが起こる事はなかったのです。 全ては…昨日、私があの場から逃げてしまった所為でしょう。 ―― そう…宮永さんは…何も悪くはありません。 そう。 悪いのは弱かった私の方であり…彼女も須賀君も何も非などないのです。 しかし…どうしてでしょう。 さっきから私の胸は『取られた』という気持ちで一杯で…他の感情が割って入る余地がなかったのです。 まるで自分の事を棚に上げるようなそれが悪い事だと理解しながらも…私は自己嫌悪すら感じる事はありませんでした。 その分の嫌悪を、さっき会ったばかりの何の非もない少女に向けながら…私はぎゅっと包を握りしめたのです。 「のどちゃん…?」 「あ…ごめんなさい…」 そんな感情から私が開放されたのは伺うようなゆーきの言葉のお陰でした。 何処か怯えるようなそれに私は小さく謝罪しながら、そっと頬に手を当てます。 微かに強張るそこからまださっきの暗い感情が蠢いているのを感じました。 ゆーきのお陰で幾分、冷静になった思考が、そんな自分に自己嫌悪をわきあがらせます。 しかし、それでも胸の奥底に根付いた暗い感情を消し去る事は出来ず…私は胸の痛みを強くしました。 「ゆーき。これ食べますか?」 「え…?でも…」 それから逃げるように努めて明るく紡いだ私の声に、ゆーきは逡巡の言葉を返します。 一瞬、チラリと扉の方を見たそれは私がこのお弁当を作ってきた意図を察してくれているのかもしれません。 ですが…もう私が作ってきた意味は…なくなってしまったのです。 それを食べて欲しかった人はもう別の人のお弁当を手にしているのですから必要ないでしょう。 「遠慮しなくて良いんですよ。ゆーきにも色々とお世話になってしまいましたし」 「のどちゃん…」 「まぁ、タコスは入っていないので、ゆーきが良ければ…ですけれど」 そう言う私の声にゆーきは小さく笑いました。 元々、学食のタコスがあるという理由で清澄を選んだ彼女は筋金入りのタコス好きなのです。 そんな彼女に男性向けのお弁当は気に入って貰えないかもしれない。 そう思う私の不安を吹き飛ばすような明るい笑みに私はほんの少しだけ自己嫌悪を緩ませる事が出来ました。 「のどちゃんの料理は何時だって最高だ。お嫁さんにしたいくらいだじぇ!」 「もう…ゆーきったら…」 ぐっとガッツポーズしながら明るく言う彼女に、私は呆れるような言葉を紡ぎます。 しかし、その内心はゆーきへの感謝に溢れていました。 彼女がいなければ…私は病室の前に居た時のように泣きだしていたかもしれません。 ですが、努めて明るく振舞ってくれている彼女のお陰で、私はギリギリのところで踏みとどまる事が出来たのです。 「…有難うございます」 「何の事か分からないな!」 それに御礼の言葉を放つ私の前で、ゆーきはとぼけるような言葉を口にします。 そんな彼女に私も小さく笑みを浮かべてから…机を移動させ始めました。 その頃にはもう教室内のざわつきも収まり、各々がそれぞれに昼食を摂り始めます。 まるで最初から…何もなかったかのようないつも通りの雰囲気。 けれど、どれだけ見渡しても須賀君や彼の友人たちがいない事が私の心に突き刺さりました。 ―― …私は……。 ドラマの話なんかの他愛ない話に移っているクラスメイトたちにとって、それはもう気にする事ではないのでしょう。 実際、さっきのそれは今までの日常からはかけ離れたイベントではありましたが、それを話題にするのにはあまりにも情報が少なすぎるのです。 須賀君がまた帰ってきた頃になると話は違うのかもしれませんが、今はまだ気にするようなものじゃない。 恐らくは皆そう思っている事なのでしょう。 ―― さっきから…味がしません…。 ですが、そうやって私が口にする料理は殆ど味がしないものでした。 須賀君が喜ぶように何時もよりも濃い目の味付けにしたのは何度も味見で確認したのです。 故に私が味付けを失敗したなんて事はあり得ないでしょう。 ですが、そう思っても私の舌は麻痺したように味を感じず、ゆーきの話題にも気のない返事しか返せませんでした。 ―― 須賀君は…今頃、何をしているでしょうか…。 追いかける友人たちから逃げ切れたのか、或いはもう捕まってしまったのか。 流石に未だに逃げているなんて言う事はないでしょう。 もしかしたら、もう宮永さんのお弁当に口をつけて、『美味しい』なんて言っているのかもしれません。 そう思っただけで私の目はジュッと潤み…悔しさに似た感情が胸の底から沸き上がってくるのです。 「のどちゃんのお弁当はすっごい美味しいじぇ!」 「ゆーき…」 そんな私を励ますような彼女の言葉に、私はほんの少しだけ救われました。 あぁ、私がやった事は無駄ではなかったのだと…そう思えたのです。 須賀君に手渡す事は出来なかったけれど、美味しいと言って貰えたんだって…自分の心を慰撫する事が出来たのでした。 ―― ですが…それはほんの少しだけ。 勿論、そうやってゆーきに美味しいと言って貰えるのは嬉しい事です。 けれど…それは本来…須賀君から言ってもらえるはずの言葉だったのです。 少しだけ照れながら、けれど…嬉しそうにはにかみながら…そう褒めてくれるはずだったのでした。 ですが…それは今、私の目の前にはなく…代わりにその人は誰かのお弁当を『美味しい』と言っているのかもしれないのです。 ―― …止めましょう。こんなのは…不毛です。 どう足掻いても、それは出口のない感情なのです。 思えば思うほど心が沈み込むだけの想像でしかありません。 そんなものに暗く沈むよりもゆーきの振ってくれている話題に少しでも良い返事をした方が有意義でしょう。 そんな事は…私にだって分かっていました。 ―― でも…なんでなんでしょう…。 ただ…ほんの少しだけ行き違いになってしまっただけ。 それが刺のように胸の奥に突き刺さり、ズキズキとした痛みを走らせるのです。 そこから湧き上がる嫌な想像に…私はどれだけ目を背けようとしても出来ません。 まるでそれが今にも起こっている事実のように、胸中を浮かぶのを止められず… ―― 結局、私はろくに味が分からないまま昼食を終えたのでした。 ―― その暗い気持ちは結局、放課後まで続きました。 結局、須賀君は昼休み終了ギリギリになって教室へと戻って来ました。 その周囲を友人たちに囲まれながらのそれは、途中で彼が捕まってしまった事を伝えます。 体育の授業を見る限り、須賀君の運動神経は悪くないはずですが、それでも数人がかりで逃げ切れるほどではなかったのでしょう。 うなだれる彼を時折、友人がからかう様を見る限り、幾らかお弁当を食べられてしまったそうです。 ―― でも…それが私の胸に突き刺さって…。 だって、それは須賀君がそうやって落ち込むくらいに宮永さんのお弁当を楽しみにしていたという事なのですから。 もしかしたら…美味しい美味しいと言ってくれた私の料理よりも楽しみにしていたのかもしれない。 そう思うと胸の痛みが強くなり、感情がまた暗く沈み込むのが分かります。 結果、私は放課後までその感情に揺さぶられ続け、授業にも集中出来ていませんでした。 ―― これから…どうしましょう。 勿論、これから先は部活の時間です。 昨日、いきなり休んでしまった分、今日は部室に顔を出さなければいけないでしょう。 しかし、今の私にとって、それは憂鬱な事でした。 何せ、部室に行くという事は須賀君とも顔を合わせなければいけないという事なのですから。 もし、彼から宮永さんのお弁当が美味しかった…なんて言われたら私はまた暗く沈んでしまう事でしょう。 「おい!京太郎!」 「ん?」 そう思う私の耳に須賀君を呼ぶゆーきの声が届きました。 ふとそちらに目を向ければ、そこには箒を手に持ちながら仁王立ちする彼女の姿があります。 カバンを持つ須賀君の前に立ちふさがるようなその姿は迫力に満ちていました。 まるでここから先は通さないと言わんばかりのゆーきはそのまま須賀君に指を向け、力強く唇を開きます。 「私、今日掃除当番だから、ちゃんとのどちゃんを部室までエスコートするんだじぇ」 「そうだな。昨日の今日じゃ不安だし」 「えっ!?」 そんな二人のやり取りに私は驚きの声を漏らしました。 私の知らないところで勝手に決まるそれに理解が追いつかないのです。 しかし、カバンを持った須賀君はそんな私にはお構いなしというようにこちらへと近づいてくれました。 「それじゃ…行こうぜ」 「あ…」 そうやって私に向けられる言葉は…一体、何時ぶりのものでしょう。 いえ、私にだって…それが2日ぶりだと言う事くらい理解できているのです。 しかし、その言葉に喜ぶ心の震えは、到底、2日ぶりとは思えません。 まるで一ヶ月ぶりにそうやって言葉を交わしたように…胸の中が喜びに溢れているのです。 ―― 存外…単純なものですね。 そうやって声を掛けられただけで、あっさりと喜んでしまう自分に胸中で自嘲の言葉を浮かべます。 しかし、そうやって自嘲気味に言葉を漏らしても、私の感情は揺らぎません。 勿論、その奥底に暗い感情が横たわっているのは変わりませんが、今はまったく気にならないのです。 さっきまで重苦しくて仕方がなかったそれかた開放された所為でしょうか。 須賀君に並び立つ私の足はここ数日で一番、軽いものになっていました。 「……」 「……」 けれど、そうやって並び立って教室を出ても、私達の間には沈黙が降りていました。 お互いに距離を測っているようなそれに、けれど、私はあまり気まずさを感じません。 そうやって須賀君が宮永さんではなく…私の傍に居てくれるのが嬉しいからでしょうか。 こうして並んで歩いているだけで私の心は喜び…暗い感情から解き放たれるのです。 ―― でも…何時までもそうしてはいられません。 私の方は今でも十分、満足出来ているとは言え、須賀君の方はとても気まずそうにしているのです。 まるで何か言いたいような、けれど、どうにもそのきっかけを掴みかねているような様子をさっきから見せ続けているのですから。 普段は頻繁に話題を振ってくれている彼とは思えないその姿に、私はここが恩返しする場面だとそう心に決めたのです。 ―― でも…何を話しましょうか…。 勿論、言いたい事は沢山ありました。 聞きたい事だって一杯一杯あったのです。 しかし、こうして須賀君の傍にいるだけでそれらは揺らぎ、思考の向こうへと消え去ってしまいました。 まるで彼の傍にいるだけで満足してしまっているような自分の奥底を私は必死に探ります。 ですが、何が言いたかったのかをどうしても思い出せない私は少しずつ狼狽を覚え始めました。 「その…ごめんな」 「え…?」 そんな私の耳に届いたのは須賀君からの謝罪の言葉でした。 ポツリと、けれどはっきりと紡がれるそれに私は思わず彼の顔を見返してしまいます。 そこにあったのは気まずそうな、そして、恥ずかしそうなものでした。 けれど、一体、それがどうしてなのかまで理解が追いつかず、私はそのままじっと彼の顔を見つめてしまうのです。 「ちょっと調子に乗ってた。心配させてごめん」 「そんな…」 そう漏らす言葉に、私はようやくその謝罪が自分が囮になった事だと言う事を理解しました。 あの病室での様子から察するに彼は確信犯であったものの、私に心配かけた事を申し訳なく思ってくれているのでしょう。 ですが、それは全て事件を早期に解決する為のものだったのです。 勿論、それに対して言いたい事はありますが…謝って欲しかった訳ではありません。 寧ろ…それに関しては私の方が彼に謝らなければいけない事が沢山あるのです。 「私の方こそ…ごめんなさい。須賀君の言う事を聞かなかった所為であんな…」 「それこそ俺が調子に乗って携帯取られた所為なんだから。謝るのは俺の方だ」 そう思って紡いだ私の言葉を須賀君は首を振りながら答えます。 どうやら彼の中ではもう自分が悪いという事で確定しているようでした。 首を振る彼の表情は固く、申し訳なさに染まっています。 私がどれだけ自分の非を並べ立てても、それを変える事は出来ないでしょう。 ならば、ここで私がするべきは自分の非を訴える事ではなく… ―― 「ありがとう…ございました」 「えっ」 そう謝礼を述べる私に須賀君は信じられないような表情を見せました。 まるでそう言われるのを欠片も想像していなかったようなその表情に私は小さく笑ってしまいます。 きっと彼はそうやってお礼を言われるような事をしたとは思ってはいなかったのでしょう。 あの気まずそうな様子から察するに、きっと些細な失敗で自分の事を責め続けていたのです。 「須賀君のお陰で、私は凄い助かりました」 「でも、俺は…」 「…そう自分を責めないでください。須賀君は…何度も私を助けてくれたじゃないですか」 初にストーカーのことを打ち明けてから今日までの間、彼は数えきれないほど私を助け、そして支えになってくれたのです。 それをこの場で忘れてしまうほど私は恩知らずではありません。 寧ろ、重視されるべきはあの事件が起こった日よりもそれまでに彼が積み重ねてくれたものでしょう。 幼馴染と仲直りしたいという自分の都合を曲げてまで私の事を支え続けたその献身性にこそ私は強い感謝を感じるのでした。 「百歩譲って須賀君が失敗したとしても…私は須賀君に…感謝しています」 勿論、それはあの日の彼の行動を悪いと思っている訳ではありません。 彼があの日に行動してくれなければ、もしかしたら私はあの人にひどい目に合わされていたのかも知れないのですから。 それは仮定の話ではありますが、決してあり得ないものではなかったのでしょう。 実際、ああやって事件になるまでの間に警察は何もしてくれず、警告はエスカレートしていくばかりだったのですから。 「有難うございます。私は…須賀君に救われました」 「和…」 そう言いながら頭を下げる私に須賀君はポツリと言葉を漏らしました。 それが一体、どんな感情によるものなのか私は判別する事が出来ません。 しかし、そこにはさっきまでの自責の色はあまり感じられませんでした。 恐らくは…私の言葉は彼が自分を許す為の材料になれたのでしょう。 そう思うと少しだけ誇らしくなり、胸を張りたい気分になったのです。 ―― 彼を勇気づけたのは…宮永さんではなく、私なんですから。 そう対抗心を抱くそれはきっと情けないものなのでしょう。 私が一人で勝手に…意識しているだけなのですから。 しかし、頭をあげた瞬間に彼が見せた安堵するような表情は…私の…私だけの手柄なのです。 そう思うと少しだけ『取り返せた』ような気がして…私はつい笑みを浮かべてしまうのでした。 「…はは。ホント、格好悪いな。こういう時…洒落た言葉の一つも出てこないや」 「いいえ。須賀君は…何時だって…格好良いです」 いえ、須賀君が格好悪かった時なんて殆どありません。 私の傍に居てくれる彼は…何時だって頼もしいものだったのですから。 あの時、意識が朦朧としながらもストーカーを抑えてくれた姿だって…最高に格好良いものだったのです。 そんな私にとって気恥ずかしそうに、けれど、何処か嬉しそうにその頬を掻く須賀君の姿は可愛らしく思えても格好悪くは映りません。 いえ、寧ろ、そうやって視線をそらす姿さえも何処か愛嬌のある魅力的な仕草に見えるのです。 「…え?」 「あっ…」 けれど、それはそう簡単に口にして良い言葉ではない。 それに気づいたのは私の目の前で須賀君が驚いたように私を見つめるからです。 まるで信じられないような言葉を聞いたかのようなそれに私の頬は一気に紅潮していくのが分かりました。 「ご、ごご…誤解しないで下さいね!そ、そういう意味じゃなく…お、お世辞!お世辞なんですから!」 「お、おう…」 それと共に湧き上がる羞恥心に私はついついそうやって可愛げのない言葉を放ってしまいます。 格好良いと思った事全てをまるごと否定するようなそれに須賀君は気圧されるようにそう頷きました。 恥ずかしすぎてその顔をはっきりと見る事はできませんが、もしかしたら変な女だと思われているのかもしれません。 ―― わ、わわ…私ったら…な、なんて事を…! 本来ならお礼を言わなければいけない相手に、向けるその言葉は最低も良い所でしょう。 自分で口走っておいて、お世辞だと誤魔化したのですから。 正直、そうやって取り繕うよりはウソじゃないと言っていた方が幾らかマシだったでしょう。 けれど、時間はもう戻りはせず…その機会も失われて… ―― ―― いえ…そういうのがいけないんです。 そう引っ込み思案に陥りそうな思考を、私はそう叱咤しました。 そうやってすぐさま内側へと閉じこもってしまうからこそ、対人関係をちゃんと構築出来ていないのです。 悪いと思ったならば、或いは間違っていると思ったならば、機会云々なんて言わず…ちゃんと訂正すべきでしょう。 少なくとも…友達だと思っている相手にはそんな不義理をしたままにはしたくありません。 「あの…でも…私を助けてくれた時の須賀君は…ちょ、ちょっぴり…格好良かったです…」 「そ、そっか…」 そう思いながら紡いだ言葉に、須賀君は再び明後日の方向に視線を飛ばしました。 チラリとその顔に目を向ければ、そこには私に負けないくらいの紅潮が朱となって現れています。 視覚的に訴えてくるほどの恥ずかしさに、言った私の方も恥ずかしくなるくらいでした。 結果、私達の間にはまた沈黙がそっとその手を差し込み、何とも落ち着かない雰囲気になってしまうのです。 「で、でも…須賀君は私との約束破りましたよね?」 「う…それは…」 それを何とか打開しようとする私の脳裏に浮かんできたのは『危ない事はしない』という須賀君の約束でした。 私の信頼の根拠であり前提であったそれをあっさりと破られた事を私は決して忘れてはいません。 幾ら、格好良かったとは言っても、そのことについて一言くらい言ってやらないと気が済まないのです。 「私…アレだけ言ったのに…」 「いや…アレは不可抗力で…」 「…それを今更、信じられるとそう思っているんですか?」 気まずそうに言葉を紡ぐ須賀君に、もしかしたら私は騙されていたかもしれません。 しかし、彼は知らない事ですが、私は病室での二人のやり取りを聞いてしまっているのです。 彼自身が語った言葉を盗み聞きした私がそれを鵜呑みにするはずがありません。 寧ろ、そうやって誤魔化そうとする彼についついジト目を向けてしまうのです。 「い、いや…本当だって!俺もまさか襲われるなんて思ってなくてさ」 「……じゃあ…忘れものってなんだったんですか?」 そんな私に言い訳じみた言葉を並べる須賀君に私は冷たくそう言い放ちます。 実際、私は警察署で事情聴取の一環として、須賀君の荷物をチェックするのにも付き合わされているのです。 その中にはパジャマから制服から一式が揃えられ、忘れ物らしいものは見当たりませんでした。 少なくともあの場でわざわざ取りに戻らなければいけないようなものなんて一つも思いつかないくらいしっかりと準備されていたのです。 「枕だよ。俺、実は枕が変わると眠れなくてさ」 「それ…須賀君のお母様に聞いて良いですか?」 「う…」 それでも誤魔化そうとする須賀君に私は携帯を取り出します。 勿論、それはただのブラフでしかありません。 事件が起こった後、須賀君の両親とも連絡先を交換していますが、それは両親だけなのです。 私にまでそのデータが回ってくる事はなく、携帯の電話帳は一つたりとも増えていません。 しかし、それでも須賀君を追い詰める効果はあったようで、その表情を苦しそうに歪ませました。 「…どうしてですか?」 「…いや…その…」 「…どうして…私にそこまでしてくれるんですか?」 そんな須賀君に尋ねる言葉は、詰問するような強いものになっていました。 どうやら私は自分でも思っていた以上にその事について怒っていたみたいです。 一歩間違えれば私の所為で友人が…しかも、始めて出来た男友達が死んでしまっていたかもしれないのですから。 しかし、折角、私を護ってくれた人に…そうやって問い詰めるべきではありません。 「…女の子が怖がっているってのに男の俺が何かしない訳にもいかないだろ」 「だからって…何も自分から危険に飛び込むような真似をしなくても良いでしょう!」 そう言い聞かせながらも、次の言葉は大声になってしまいました。 心の中に押し込めていた苛立ちをそのまま声にするようなそれに下校途中の生徒の何人かがこちらを振り返ります。 それに気恥ずかしさを感じながらも、しかし、ようやく蓋が開いた感情は収まりません。 昨日、病室でぶつけられなかったそれが私の胸の中を埋め尽くし、胸を苦しくさせるのです。 「そうやって須賀君を犠牲にしたやり方で助かっても…私…全然、嬉しくないです…」 その言葉に浮かぶ一番の感情は恐ろしさでした。 もし…須賀君が私の所為で死んでいたら私はきっと自分のことを一生、許す事が出来なかったでしょう。 間接的にではありますが…須賀君が死ぬ原因を作ったのは私なのですから。 結果、今回のように事件となって犯人が逮捕されても喜ぶ事なんて出来ません。 寧ろ、失った物の大きさに打ちのめされ、私はトラウマを抱えていた事でしょう。 「私の事を助けてくれるって言うのなら…ちゃんと…最後まで面倒見てください…」 「…ごめんな」 そこまで言った時にはもう私の声は震え…目尻には濡れたものが浮かび始めていました。 それを反射的に手で拭い去ろうとする私の視界にハンカチが映ります。 そのままゆっくりと目尻を拭ってくれるそれは優しく、そして暖かなものでした。 それに須賀君が生きてここに居てくれる事を遅ばせながら、ようやく理解した私から…ポロポロと大粒の涙がこぼれ始めます。 「…もうあんな真似はしない。約束する」 「約束したのに破ったじゃないですか…っ」 そんな私の顔を飽きずに何度も拭い去ってくれる須賀君の言葉を私は信じる事が出来ません。 何せ、あの病室でのやり取りを聞くに彼がこうした無茶をしたのは何も今回が始めてではないのですから。 流石に日常的にとは言わなくても、前科は一回や二回ではないのでしょう。 それを思うと彼の言葉をどうしても信じる事が出来ず、涙に濡れた目できっと睨んでしまうのでした。 「いや…もう絶対にそんな真似はしないって」 「どうして…そう言い切れるんですか…?」 しかし、須賀君はそんな私に怯むような様子は見せず、淡々と顔を拭いてくれるのです。 そうしながら絶対と断言するそれに私はそう尋ねました。 もし、特に根拠のないものだったら思いっきり泣いて困らせてやろう。 そんな前向きに後ろ向きな事を考えながら、彼を見つめる私の前で、須賀君はゆっくりと口を開くのです。 「そもそも…俺はそうホイホイ自分を囮に出来るようなヤツじゃない。本当は小心者で臆病者なんだ」 「そんな事…」 何処か自嘲気味に口にするその言葉を一体、誰が信じる事が出来るでしょう。 彼がやった方法というのはとても愚かではありますが、けれど、効果的で…勇気がなければ決して出来ない事だったのですから。 そもそも、彼が自分で言う通り小心者で臆病者だとすれば、私に関わらず距離を置いていた事でしょう。 それなのにこうして自分が怪我をするのも厭わずに助けてくれた彼がそうだとは到底思えません。 「いや、マジだって。実際、直前まで俺は実行に移すか迷ってたからな」 そう自嘲気味に笑う須賀君の言葉は当然のものでしょう。 誰だって怪我をするかもしれないと思えば、二の足を踏んでしまうものなのです。 それを気にせずに突っ切ってしまえるような人は、危険や怪我に慣れすぎて頭の中が麻痺しているだけでしょう。 安全な場所で生きていれば極自然なその反応に臆病だとは言えないはずです。 ―― 何より…須賀君はそれでも実行に移してくれたのです。 そうやって迷って苦しんでいるのを表に出さず、最後まで私を気遣ってくれた彼。 それを臆病だと言う人がいるのだとすれば、それはきっとその人の方が間違っているのです。 普通の人の領域にありながら、誰かの為に傷つく事を厭わないその精神は寧ろ、優しいと称されるべきでしょう。 その行為そのものを私は心から喜ぶ事は出来ませんが、さりとて、迷いながら決断を下した彼を悪く言われるのは我慢出来ません。 それをして良いのは…世界でただ一人、彼に助けてもらった私だけのはずなのですから。 「何より…俺は誰相手にでもこんな事するほど酔狂じゃねぇよ」 「え…?」 ポツリと呟かれるその言葉に私は思わずそう聞き返してしまいました。 だって、その言葉はまるで私が特別だと思ってくれているように聞こえるのですから。 勿論、そんな事はあり得ません。 私はあまり可愛げのない女で…ついこの間まで須賀君ともギクシャクしていた間柄なのですから。 仲の良さで言えば、恐らく彼の友人の誰一人 ―― それこそ宮永さんどころかゆーきにさえ勝てないであろう私が、特別だなんてあり得ないでしょう。 「その…凄いエゴなんだけどさ。和は…どうしても俺の手で護ってやりたかったんだ」 けれど、そう言い聞かせても…須賀君のその言葉にドキドキするのは否めませんでした。 理性よりも自分の一時の感情を優先するようなそれは…私にある言葉を彷彿とさせるのですから。 彼の価値観を感じさせるそれを…私が忘れるはずがありません。 「…誰よりも傍で…ですか?」 「お、覚えてたのかよ…」 あの修羅場と言っても良いような騒動の中、はっきりと聞こえたその言葉。 それを口にする私に須賀君が気まずそうに視線を背けました。 その頬に再び朱色を混ぜるその姿はまるで拗ねた子どものようです。 それが可愛らしく映りますが…けれど、私にはそれに笑みを浮かべる余裕はありませんでした。 それよりも彼が次に何を言うかにその意識の全てを傾け、注視していたのです。 「まぁ…その…何て言うか…」 「……」 「そう…言う…事…なんだよな」 ポツリと、けれど、はっきりと口にする須賀君の言葉は愛の告白も同然でしょう。 だって、彼はあの騒動の中で、『愛しているなんて誰よりも傍で護れるようになってから言え』とそうはっきり口にしていたのですから。 勿論、それはあの騒動の中で犯人の敵意を自分に向ける為の言葉に過ぎなかったのかもしれません。 しかし、その漏らすその顔には…余裕めいたものなんてありませんでした。 まるで本当に告白してくれたようなそれに…私はトクンと胸を沸き立たせてしまうのです。 ―― わ、わわ…私は…。 けれど、私はその言葉に答える事が出来ませんでした。 だって、私はそうやって告白された事なんて初めての経験だったのですから。 小中と女子校で育った私にとって異性とは程遠い存在だったのです。 勿論、最近だとあの犯人に愛を囁かれていますし、 須賀君にはこれまで告白めいた言葉を何度も聞かされていますが、それはカウントに入らないでしょう。 犯人のアレは愛とは程遠いものでしたし、また彼も私を『可愛い』という時にこんな表情をした事はないのですから。 ―― ど、どどどどどどどうしましょう!? 結果、私にもたらされたのは困惑に近い狼狽でした。 まさか須賀君にそんな風に思われているとは欠片も思っていなかった私にとって、それは予想外もいいところだったのです。 正直、呆然と須賀君を見つめる胸中には夢ではないかとさえ思っている私がいるくらいなのですから。 寝耳に水と言う言葉が相応しいそれに、私はどうすれば良いのか分からなって完全にその思考を固めてしまいました。 ―― でも…少なくとも…嫌じゃない…です…。 それでもゆっくりと自分を振り返るその思考に私は胸中で小さく頷きました。 確かに驚きこそしましたが、今の私には厭うものなんて何もないのです。 困惑に満たされているはずの胸もさっきからトクントクンと脈打って全身に喜びを広げるのですから。 それが始めて告白された所為か、或いは須賀君に告白された所為なのかは…私にはまだ分かりません。 けれど、気まずそうな顔をしている彼にせめてそれだけは伝えなければと口を開き… ―― 「わ、私は…」 「あ、いや、返事は良いんだ。あの事件の後でまだまだそういう事考えられない状態だって言うのは分かってるし」 そんな私の言葉を遮るように言いながら須賀君はそっと首を振りました。 まるで私の返事を拒絶するようなそれにほんの少しだけ私は悲しくなってしまいます。 けれど、今の私は困惑が強く、返事を今すぐ求めらていないというのは正直、幸いではありました。 さっきの言葉はあまりにも予想外過ぎて自分の中でろくに結論は出ていないのですから。 何をするにしてもまずは自分と向き合って答えを出す時間が必要でしょう。 「ただ、俺は和が思っているような立派なヤツじゃないって事を説明したかっただけなんだけど…あー…どうしてこうなるかなぁ…」 そう言いながらそっと肩を落とす須賀君に、私は何を言ってあげれば良いのかわかりません。 有難うというのは何処かズレている気がするし、ゴメンナサイだと誤解を招きかねないのですから。 しかし、私が変に突っ込んでしまった所為で、まるで事故のような告白が起こってしまったのは事実でしょう。 そう思うと申し訳なさが胸をつき、私の肩もそっと落ちるのです。 「…あ」 そうやって気まずい沈黙を交わす私達に部室の扉が現れました。 どうやらそうやって私がためらっている間にかなりの時間が過ぎていたみたいです。 それに安堵とも落胆とも言えない感情を抱く私の前で須賀君がそっと扉に手を伸ばしました。 恐らくその向こうには先輩方がいて…扉を開いたら最後…もういまみたいに二人っきりで話す事は出来ないでしょう。 「あの…須賀君」 「ん?」 そう思った瞬間、私の口は自然と開いていました。 まるでこの時間をまだ終わらせたくはないと言うように…はっきりと言葉を放ったのです。 しかし、その後に続く言葉なんて私が考えているはずがありません。 ついさっきの告白から未だ立ち直りきれていない私にとって自分で話題を探すというのはハードルが高い事だったのです。 ―― で、でも…な、何か言わないと…須賀君が…! そんな私に振り返る彼の表情はとても複雑なものでした。 期待しているような、それでいて不安が溢れそうな…矛盾したものだったのです。 私の言葉ひとつでどちらにも転びそうなその表情は、さっき私に告白したが故のものなのでしょう。 きっと彼は私から返事が貰えるのかもしれないと…そう内心、思っているのです。 ―― …でも…私は勿論、そんな事出来なくて…。 少しは頭も回るようになりましたが、それは結局、問題の先送りをしているが故のものでしかないのです。 今の私は須賀君の告白に答えられる状態ではなく、そのつもりもありませんでした。 それなのに期待をもたせるだけもたせて、こうして黙っているのはあまりにも不誠実な状態でしょう。 けれど、ただ、彼と二人きりの時間がもう少しだけ欲しかっただけの私には…話題なんて… ―― 「あ、あの…っ!今度…一緒に出かけませんか…?」 「え…?」 そう思った瞬間、私の口は勝手に動き出していました。 まるで須賀君と一緒にいたいという気持ちをそのまま顕にするそれに彼は驚いたように私を見つめます。 微かに目を見開いたそれに私は自分が口走ってしまった事の重要さを自覚しました。 だって…それは…半ば告白を受け入れるも同然の言葉なのですから。 告白されて…返事は良いと言ってくれた人に対して…デートに出かけるなんて…OKだと受け取られても仕方のないものでしょう。 「ち、違いますよ!こ、今回のお礼に色々としてあげなくちゃって思って…そ、それに…約束破ったお詫びだってしてもらわなきゃいけませんし!」 「そ、そうか。そうだよな…」 瞬間、耐え切れなくなった私の口からそんな言葉が漏れだしました。 必死になって須賀君の期待を打ち砕こうとする自分の言葉に内心、嫌気が沸き上がってきます。 しかし、気づいた頃にはもう遅く、須賀君は気落ちした様子でシュンと肩を落としました。 まるで希望が打ち砕かれたその様子に、私の胸は痛みますが、 けれど、勢いのまま口にしてしまった言葉をどう取り繕えば良いのか私には分かりません。 下手をすればさっきよりも傷つけてしまったであろう彼にどうフォローすれば良いのかなんてまったく思いつかないのです。 「あ…あの…」 「まぁ…それならそれで俺なりに頑張るだけだけどな」 「…え?」 それでも何とか彼を励まそうと声をかける私の前で彼はそっと顔をあげました。 その顔はまさにケロリとしたと言うものが相応しく、私は呆然としてしまいます。 一体、さっきまでの気落ちしていた姿は一体、何だったのか。 思わずそう思うほどのそのギャップに困惑で滞った私の理解は追いつかなかったのです。 「デートコースしっかり考えてくるからな!」 「で、デートありませんってば!」 それでもぐっと握り拳を作る須賀君に言い放つのは、半ば反射的なものでした。 私にだってそれがデートという意識くらいはあるのですから、ウソもいい所なのです。 しかし、長年、染み付いた可愛げのない性格がそうやって意地を張り、須賀君の言葉を否定しました。 けれど、彼はニヤニヤとその頬を緩めて、私のことを見返してくるだけなのです。 「もう…心配して損しました…!」 そんな彼に言い聞かせるように言いながらも、私は内心、胸を撫で下ろしていました。 だって、彼の様子は私の言葉にまったく傷ついていない事を知らせるものだったのですから。 いつも通りの冗談めいた明るいその仕草に頬を膨らませながらも、ついつい嬉しく思ってしまうのです。 ―― 何より…関係が変わらないのが…嬉しかったです。 何だかんだ言いながらも、こういうやり取りを嫌ってはいないのでしょう。 だからこそ、告白しても関係そのものは変わらないんだと告げるようなその様子に、私は嬉しく思うのでした。 これなら…きっと…関係がどう転んでも大丈夫。 そう思いながら、私は浮かれる須賀君の代わりにそっと扉を開き、久しぶりの『日常』を謳歌したのでした。 …… ………… ……………… 今から思えば…全ての歯車はここから狂っていたのでしょう。 私がここでちゃんと自分と向き合っていれば… 或いは彼が必要以上に明るかった事をちゃんと考えていれば…後のすれ違いはなかったはずなのです。 けれど…当時の私にとって状況に流され過ぎないようにするのが精一杯で、他の事を考える余裕なんてありませんでした。 この当時に私にとって、後に大きな破滅が待っている事なんてまったく想像もしておらず… ようやく帰ってきたその『日常』が永遠に続くと思っていたのです。 ―― 永遠に続く関係なんて…決してないと…分かっていたはずなのに。
https://w.atwiki.jp/yuri_memo/pages/701.html
889 :ライアン ◆wW8NnNBQkVtg :2011/12/15(木) 22 08 02.67 ID mmoc0NCIO 退社なう! 今週は一転して社内ニートの日々を満喫しております、ライアンです^^ 中途入社して日が浅いので、戦力にならないってのもあるけど…orz あー、やる気が出ないよー! 男だらけの職場で、目の保養になる素敵女子もいないしさー 可愛い子入ってこないかな? 890 :以下、三日土曜東R24bがお送りします [sage]:2011/12/15(木) 22 14 58.50 ID j1lrjChSO 姉さんお疲れ様! 889 > 可愛い子入ってこないかな? 浮気、駄目!絶対!! byアイリ 890 浮気はもうしない>< でも!でも!目の保養が欲しいよおおおおおおおおおお 891 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2011/12/15(木) 22 15 08.30 ID 3liF6rDvo 贅沢言うなー!!!wwwwwwwwww 891 だって見事に男だらけの職場なんだもん>< あー、吉高翌由里子とかガッキーみたいな子がいいなー そしたら仕事頑張れるのにねwww そうだ、馴れ初め書いてて思ったんだけど、あの頃みたいに出会ってすぐに仲良くなるって最近ないなぁ 同僚との付き合いもドライだしね あれが若さというやつか!! 894 :以下、三日土曜東R24bがお送りします [sage]:2011/12/15(木) 22 24 19.11 ID F8fT4v2Zo >あー、吉高翌翌翌由里子とかガッキーみたいな子がいいなー 分かってるじゃないか!! 894 翌が入ってるwwww パー速仕様か、スペースで回避出来るかな? 吉高 由里子みたいな子好きだわwwww 895 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2011/12/15(木) 22 25 07.14 ID 3liF6rDvo アイリと出会って満足しちゃったんだろ 心が 895 それもそうかwwwwww 896 :以下、三日土曜東R24bがお送りします [sage]:2011/12/15(木) 22 28 11.87 ID wiud9l8Qo キャー!ライアン来てた!イケメン!キャー! 896 だから、イケメンじゃねえしwwwww 899 :以下、三日土曜東R24bがお送りします [sage]:2011/12/15(木) 22 33 02.64 ID z+Ox0xHJo 浮気はもうしない>< MOU? 899 え?牛? うううううう浮気なんて私がする訳ないじゃん>< 903 :以下、三日土曜東R24bがお送りします [sage]:2011/12/15(木) 22 42 24.19 ID z+Ox0xHJo 君だけをICEとかいうなよ 信用ならん 903 浮気じゃありません>< 一歩手前で踏みとどまったもん! あとでアイリにバレて大喧嘩になったけどな…orz 900 :ライアン ◆wW8NnNBQkVtg :2011/12/15(木) 22 34 11.03 ID mmoc0NCIO それにしても、すっかり書くネタが尽きてしまったwww 元々、プロポーズの案や経験談を聞きたくて立てたんだけどさwww プロポーズするまではスレ残したいけど、どうしようかなぁ 904 :以下、三日土曜東R24bがお送りします [sage]:2011/12/15(木) 22 48 28.73 ID KfUhVwiI0 そうゆう時の百合カフェ 904 ああ、スレ落としてもその手があるかwww 905 :以下、三日土曜東R24bがお送りします [sage]:2011/12/15(木) 22 50 04.61 ID j1lrjChSO ライアン姉さん!! このままスレ落ちたら、プロポーズ結果&夜の営みが知りたくて知りたくて、夜も寝れないですよwww 出来ればこのまま続けて欲しいなwww 905 夜の営みwwwww 休日の真昼間の営みも意外と好きだぞwwwww 907 :以下、三日土曜東R24bがお送りします [sage]:2011/12/15(木) 22 52 00.11 ID skMsUSZDo えー落とさないで>< 907 このスレが埋まりそうになったら考えるわ どっちにしろ、プロポーズの結果は報告するよ おまえらにはアドバイスや励ましや勇気を貰った恩義があるからなwwww 909 :以下、三日土曜東R24bがお送りします [sage]:2011/12/15(木) 23 01 02.86 ID wiud9l8Qo ( ゚∀゚)o彡°スレ続投!続投! と無責任に言ってみる 出来れば続けて欲しいが、仕事も性活もあるし無理だけはしないでくれー 909 性活wwww そうねwwwwwww大事だねwwwww 前向きに善処します>< ていうか、プロポーズまでの間、おまえらが何かネタくれればいいんだよwww 何か質問とかネタあるー? まぁ、今日はもうお風呂入って寝るけどなwwwwww 911 :以下、三日土曜東R24bがお送りします [sage]:2011/12/15(木) 23 07 19.67 ID yksTulMO0 じゃあ初めての彼女の馴れ初めオナシャス 911 暗黒歴史の封印は解きません>< 912 :以下、三日土曜東R24bがお送りします [sage]:2011/12/15(木) 23 18 07.29 ID wiud9l8Qo 性活について色々kwsk書いてもいいんだよ!よ! 912 セクロスはもう書いたろwwwww 913 :以下、三日土曜東R24bがお送りします [sage]:2011/12/15(木) 23 28 00.89 ID F8fT4v2Zo 8年も付き合ってんだからねぇ ライアン姐さんなにか色々出し惜しみしてんじゃありませんか? 913 出し惜しみっていうか、色々あったからなwww 914 :以下、三日土曜東R24bがお送りします [sage]:2011/12/15(木) 23 45 18.59 ID 3A2P5wZgo まあスレは多分来るの週一や月一なっても落ちないよ 913 それがパー速の特権かwwww 915 :以下、三日土曜東R24bがお送りします [sage]:2011/12/15(木) 23 50 02.34 ID z+Ox0xHJo 915ならライアン一日ネコ 915 ねぇよwwwww アイリと付き合ってリバったのは数える程だぞwwww なのに、最近アイリが目覚めちゃってさ… Lの世界を見せるんじゃなかった>< 916 :以下、三日土曜東R24bがお送りします [sage]:2011/12/16(金) 01 56 43.66 ID GEjGlCHAO じゃあライアンの人生を語ってみたら? 916 つまらないぞwwwww じゃあ、行ってきます! 917 :ライアン ◆wW8NnNBQkVtg :2011/12/16(金) 06 59 04.47 ID j6Lk4VdIO おはよう! 今日は金曜日だな、諸君! テンションwwwwあwwwがwwwるぜwwwwwww スレの今後だけどさ、プロポーズまでは私のチラウラスレって事でお願いします>< 適当に思い出話とか書くわwwww 918 :以下、三日土曜東R24bがお送りします [sage]:2011/12/16(金) 07 02 12.54 ID Xp9yYjlGo いってらいあん セクロスはもう書いたって・・・ライアンにはもっと引き出しが・・・あるはず・・・! いやまあぶっちゃけセクロスより人生の方が気になってたりする 918 そんなに気になるのかよwwww 分かった、考えとく 919 :以下、三日土曜東R24bがお送りします [sage]:2011/12/16(金) 07 10 38.61 ID my9oj0zLo いってらいあん 浮気一歩手前までいって大喧嘩kwsk 919 旦那さんの事で相談受けてた既婚の女友達に迫られたwwww アイリに黙って会ってたのがバレて大喧嘩です>< アイリ、その友達の事警戒してたからなー 920 :以下、三日土曜東R24bがお送りします [sage]:2011/12/16(金) 09 19 16.23 ID GEjGlCHAO 919 確かにそれ聞きたいな あと2人の喧嘩ってどんな喧嘩するか知りたい! イメージはアイリが泣きながら暴れてるのをライアンがボコボコにしてる感じかな? 919 ちょwwww節子、それケンカちゃう!DVやwwwww 暴力とかあり得ない 弱い人に暴力振るうクズは死滅すればいいのにねー うちらの喧嘩は、不機嫌になってお互い口を聞かなくなる感じだな 大したことなさそうだけど、同棲して常に一緒にいる状態だと、結構キツイんだぜ… あとは、稀に口論になるくらい まぁ、すぐに私が謝るから仲直りも早いんだけどねーwwwフヒヒヒwwwww 921 :ライアン ◆wW8NnNBQkVtg :2011/12/16(金) 17 53 08.42 ID ERqwtrlIO スーパー定時間日で上司に会社を追い出されたwwwww 巡回の偉い人が、 ヽ(^o^)丿おらー!おまえらとっとと帰れや!! って言ってるのを見てワロタwwwww 922 :以下、三日土曜東R24bがお送りします [sage]:2011/12/16(金) 18 31 34.92 ID 1kTOoE6SO おかえらいあん 喧嘩してもすぐ謝れるライアンはやっぱりイケメン キャー!イケメン!キャー! 922 ただのヘタレとも言うwwww 923 :以下、三日土曜東R24bがお送りします [sage]:2011/12/16(金) 18 58 53.45 ID 0KMv6aauo 口聞かないって言い合いよりキツそうだな ライアン先生、人妻に迫られた話をkwsk 925 :以下、三日土曜東R24bがお送りします [sage]:2011/12/16(金) 19 46 39.37 ID ai0JMcWdo 人妻!? まさか、昼下がりの… 923-925 人妻って書かれるとなんかエロいなwww じゃあ、近いうちにな! →続き
https://w.atwiki.jp/soyokaze/pages/133.html
Excellent カラー未確認 クール ユニーク シンプル セクシー レア コーデ なし 【評価】8436P(レア+ジャンル) 【報酬】3640G オーダー主 ヨウコ オーダーLv 3 欲しいもの チュニック、ショートパンツ 概要 セクシーなチュニックとショートパンツ チュニック 型紙 ブラウス:02 ☆2 色 パープル:05 ☆1 パターン ダイヤ柄A:01 ☆1 プリント - - パーツ リボンA:01 ☆1 フリー1 - - フリー2 - - フリー3 - - ショートパンツ 型紙 ブラウス:02 ☆2 色 パープル:05 ☆1 パターン ダイヤ柄A:01 ☆1 プリント - - パーツ リボンA:01 ☆1 フリー1 - - フリー2 - - フリー3 - - (・ω・)
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/10138.html
登録日:2012/02/11(土) 17 55 27 更新日:2023/11/05 Sun 14 57 45 所要時間:約 8 分で読めます ▽タグ一覧 (^q^)わたしです お前だったのか この花はわたしです エロ ギャグ漫画 サンデーGX バカ漫画 喜国雅彦 国樹由香 変態 夫婦 小学館 漫画 花 花言葉 「皆さん、こんにちは。 花言葉博士『花咲 薫』です。 皆さんは花言葉を知っていますか?」 「ん、ひとつも知らない? はい、野郎には聞いてないですよ」 『この花はわたしです』とは、 ギャグ漫画家の「喜国雅彦」と嫁の「国樹由香」が描いた学園ラブコメ(?)漫画。サンデーGXに連載。全3巻。 絵柄を見ればわかるが、嫁の「国樹由香」がメインで描いており、夫の「喜国雅彦」は原作とアシスタントを担当した。 毎回「花言葉」をテーマに描いており、登場する女子高生は全員花の名前で花言葉通りの行動をする。 内容は結構エロい。 所謂「バカ漫画」であり、メインで描いてる嫁の「国樹由香」の右手が麻痺した際には、 絵が似ても似つかない夫が代打で描くという「漫☆画太郎」ばりの荒業を成し遂げた。 作者曰く「途中から絵が変わっても許されるギャグマンガでよかったよかった」 タイトルは恐らく、70年代活躍したアイドル桜田淳子が1973年に発表したシングル「花物語」冒頭の台詞からだと思われる。 【メインキャラクター】 花咲 薫 自称「花言葉博士」で、この漫画の主人公。 「金髪で知的な眼鏡のイケメン」という、 腐女子の理想が凝縮された様な外見で、実際に女性読者に人気。 趣味は花壇の手入れ。 花にムラムラする変な性癖もある。 主人公ではあるが、作中の役割は花言葉の説明をするだけ。 早い話がアウターゾーンのミザリー的なポジション。 流れガン無視で無理矢理出て来る事もある。 【女性キャラクター】 基本的に1話完結なので、1話限りの登場ばかり。 全員が花の名前をしているが、ちょっと有り得ない名前も多い。 ほぼ全員が美少女で、大半がバカ。 すみれ 花言葉は「無邪気な愛」。 女子高生だが子供っぽく、無邪気な遊びを好む。 「お医者さんごっこ」もやる為、結構エロい。 くるみ 花言葉は「知性」と「謀略」。 好きな男を取り込む為に、あらゆる手段を使う。 さりげなくパンツを見せたり、ジュースに睡眠薬を入れたり、いきなり脱ぐなど何でもあり。 桃井かすみ 花言葉は「楽しくて踊りたい」。(ピンクのかすみの花言葉) 嬉しくなるといきなり踊る。 嬉し過ぎて全裸で踊る事もある。 せり 花言葉は「貧しくても高潔」。 貧乏なので制服がボロボロ。 でも高潔なので気にしない。 家もボロボロで盗撮の被害に遭う事もあった。 でも高潔なので気にしない。 あざみ 花言葉は「復讐」。 過去に自分の着替え中の姿を見た同級生に復讐する。 その同級生は砲軽手術をしており、勃起すると傷口が開く。 そんな男に対する復讐法は…まあ、考えるまでも無いだろう。 ぼたん 花言葉は「恥じらい」。 恥ずかしがり屋なので、性交中であっても触れられるのを嫌がる。 えにしだ 花言葉は「きれい好き」。 靴下に少量の泥が付いたくらいで洗濯する程の綺麗好き。 カンナ 花言葉は「妄想」。 妄想がかなり激しい女子高生。 主な妄想は「女体盛り」。 ひなぎく 花言葉は「お人よし」。 頼まれると断れない性格。 盗撮野郎のリクエストにすら応える程。 赤大根 草子 花言葉は「セクシーなファッションモデル」。(赤い大根草の花言葉) セクシーなコスプレが好きな女子高生。 「フツーの女子高生の服」と聞いて、スクール水着を着るバカ。 ひめはぎ 花言葉は「雲隠れ」。 登場してすぐに居なくなった。 くり 花言葉は「私を罰して」。 罰を受けるのが好き。 わかりやすく言えばドM。 その為にわざわざ罰を受ける様な事をする。 みずほおずき 花言葉は「私は病気がちです」。 登場してすぐに入院して居なくなった。 まつばぎく 花言葉は「なまけもの」。 極度の面倒臭がり屋で、自室で転んでから起きるのが面倒で、 そのまま3日間も寝そべっていた猛者。 トイレ? ペットボトルに済ませた。 本人曰く、「だってこの道10年のベテランだもの私」 にしきぎ 花言葉は「危険な遊び」。 パンツをはいてない。 てんじくあおい 花言葉は「真の友情」。 友情を大切に考えており、相手が男ならそれに合わせて男の付き合いをする。 「背中の流しっこって、ものすごく友情だよね」 チューリップ 花言葉は「深い友情」。 ただそれだけ。 西洋かえで 花言葉は「好奇心」。 男性の性器に強い好奇心を持つメガネっ子。 健康な男性を研究材料として見ており、どうにかして勃起させようと努力する。 らっぱすいせん 花言葉は「ナルシスト」。 愛せるのは自分だけ。 他人と会話するのに鏡を見ながら喋る。 ぶどう 花言葉は「慈善」。 好きなタイプは「可哀相な男性」。 モテない男性が可哀相で、付き合ってあげる優しい性格の女子高生。 但し、その男性に少しでも長所があると、安心して去ってしまう。 ほうせんか 花言葉は「私にさわらないで」。 男性に触れられると、反射的に攻撃してしまう。 だが本人は触れて欲しいと思っている。 ゆうがお 花言葉は「悪夢」。 毎晩悪夢に悩まされている。 寝相が悪く、悪夢から逃げる為に突然服を脱ぐ事がある。 ぎょりゅう 花言葉は「犯罪」と「罪悪」。 テスト対策の為、試験問題のデータを盗みに学校に侵入する。 「自分に好きな事をして良い」という条件で、同級生を1人助っ人に呼んでいる。 ラベンダー 花言葉は「疑い」と「不信」。 恋人が浮気をしないか疑っており、恋人が自分以外の他人に勃起されるのを嫌がる。 その為、様々な手段で恋人が勃起しないか試すバカ。 メロン 花言葉は「潤沢」。 ラベンダーの姉。 妹に頼まれたのか、様々な手段で妹の恋人を勃起させようとする変態。 とけいそう 花言葉は「聖なる愛」。 何故かレズ。 フリージア 花言葉は「慈しみの愛」。 犬好き。 犬の格好をした彼氏に、犬を飼うレッスンと称して色々な事をされる。 くまつづら 花言葉は「魔法」。 作中で唯一、魔法を使える。 好きな同級生が別の女とデートしているのを発見し、魔法で邪魔をする。 わらび 花言葉は「妖術」。 作中で唯一、妖術を使える。 彼氏とデートしている最中に、くまつづらに魔法で邪魔をされ、闘いになる。 まんさく 花言葉は「魔力」。 ただそれだけ。 りんどう ほたるぶくろ ふきのとう ルドベキア ひえんそう これらの花言葉は全て「正義」。 5人で「ジャスティスフラワーズ」というチームを作っており、街の正義の為に活動している。 (超能力や変身はしない) 攻撃がちょっとエロい。 黄ばなコスモス 花言葉は「野性美」。 船が事故に遭い、無人島に遭難する。 しもつけ 花言葉は「親を想う」。 小さな頃に父親を亡くした為か、老け顔の男が好き。 ファザコン。 しそ 花言葉は「良い家風」。 母親の再婚相手の息子と、同じ部屋に住んでいる。 山田ざくろ 花言葉は「結合」。 どこぞの漫画の様に、恋人と常に手を繋いでいる。 ※作者の国樹が手を負傷した時に夫の喜国が代打で描いた話で、この話だけ絵柄が違う。 八重ざくら 花言葉は「豊かな教養」。 書道部に所属しており、好きな先輩に書道を習っている。 先輩の教え方が非常にエロいが、素直に従っている。 ゆうすげ 花言葉は「媚態」。 数学が苦手で、試験問題を教師から教えてもらう為に様々な手を使う。 だが途中で改心し、真面目に勉強をする様になった。 エロいポーズで勉強するのが癖。 ゆり 花言葉は色々あるが「軽率」。 その名前の為に花咲にフラれた。 らん 花言葉は「優雅」。 その名前の為に花咲にフラれた。 りんご 花言葉は「誘惑」。 その名前の為に花咲にフラれた。 すみれ 花言葉は「貞淑」。 その名前の為に花咲にフラれた。 遠藤 真奈美 花ではない名前だったので、花咲に告白されるが、 苗字が「エンドウ」だった為、花咲にフラれた。 エンドウの花言葉は「永遠の楽しみ」。 犬山バラ美 名前を英語にして「ドッグローズ」。 花言葉は「苦痛と快楽」。 テニスをやっており、身体のあちこちを故障している。 マッサージされるのが好き。 アンスリウム 花言葉は「煩悩」。 毎日いやらしい事ばかり妄想している。 妄想内容が凄まじい。 シスタス 花言葉は「私は明日 死ぬ」。 その宿命故か、毎日危険な目に遭う。 しろつめくさ 花言葉は「約束」。 幼なじみとエロい約束をしていたが、忘れてしまった。 ジャスミン 花言葉は「愛の通夜」。 既に死んでおり、幽霊になって登場。 恋人がくれたイヤリングを探している。 アカシア 花言葉は「秘密の愛」。 宇宙人に捕われ、身体の色々な所を調べられる。 クリスマスローズ 花言葉は「スキャンダル」。 姉の彼氏が浮気している現場を発見し、ラブホテルに侵入する。 浮気の証拠を突き止める為には手段を選ばない。 トマト 花言葉は「完成美」。 体重が少し増えた事に悩む姉ちゃんキャラ。 怒ると体重計を投げ付ける。 ルピナス 花言葉は「母性愛」。 母親の居ない女の子の為に、同級生とパパママごっこをする。 ジギタリス 花言葉は「あなたの導くまま」。 同級生に不思議な手袋を貰うが、本人は普通の手袋だと思ってる。 なずな 花言葉は「全てを捧げます」。 花咲の事が好きで告白するが玉砕。 後に花の格好をしてまた告白する。 アニヲタWiki ネット言葉は「追記と修正」。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/feelsgood/pages/102.html
#blognavi SONYに浮気したわけじゃなく(アレは嫁さんのカラオケ練習用。あんまり嬉しがってなかった。orz)、nanoには新しくソフトレザーケースを買いました(エレコムのAVD-LCANNWH。RadioRemoteが使えるのが決め手。ていうか、コネクタをケースでholdしたかった。)。 それとオーテクのATH-CK32を(結局純正イヤホンは音に不満があった。)。聴いてみると結構シャリシャリしてるんですな。iBuds付けた純正イヤホンがこもり気味だったので、その分なれないのかも。けど、音全域が聞こえる気はするので、少し様子を見てみます(aging??)。 しかし、RadioRemote付ける前提でケース買ったくせに、イヤホンのケーブル長は1.2mって何だよ?! なんか疲れてるなあ。>俺 カテゴリ [日記] - trackback- 2006年11月02日 23 47 43 名前 コメント #blognavi
https://w.atwiki.jp/suka-dqgaesi/pages/3256.html
991 :名無しさん@HOME:2009/04/27(月) 17 09 11 O 梅ついでに母が義実家にしたプチプチDQN返し。 先日父に聞いたのだが私が小さい時、母VSトメコトメがあったらしい。 母がアパートのママ友数人を招いていた時に、ウトメコトメがアポ無し凸。 コトメが「1時間かけて来たんだから~。」とズカズカ侵入。ママ友は解散の流れに。 腹を立てた母はウトメに用事があろうと、アポ無し凸を義実家にし続けたらしい。 その数年後、母は男を作って出て行った。 母は本物のDQNだった。 992 :名無しさん@HOME:2009/04/27(月) 17 13 40 0 991 お父さんがエネだったんだろうよ。 993 :名無しさん@HOME:2009/04/27(月) 17 42 03 0 母が男を作って出て行くまで数年間あったのに 何もしなかった父がエネ 994 :名無しさん@HOME:2009/04/27(月) 17 47 50 0 お似合い夫婦。 嫁を非常識な姑と小姑から守らなかった糞夫。 そこまで夫が嫌なら離婚してから他の男と付き合えば良いのに 子供がいるのに不倫するビッチ妻。 995 :名無しさん@HOME:2009/04/27(月) 17 56 05 0 991が誰からその話を聞いたかで、お母さんの家出の理由の信頼度が変わらない? 全くの第三者から聞いたのなら別だけど、父方親戚とか父親から直に聞いたとかじゃ ちょっと素直に信用できない気がするけどね~。 996 :名無しさん@HOME:2009/04/27(月) 18 00 03 0 991 オゥフ…! アポなし凸をし続ける根性は素晴らしい。w 最後は切ないんだが。 997 :名無しさん@HOME:2009/04/27(月) 18 02 00 0 男と出て行ったが弁護士連れて離婚調停して別れたのすり替えかも。 向こうの味方に性別男がいれば間男作ったって言われるのはある。 母方の親戚にも照会取った方がいいよ。 998 :名無しさん@HOME:2009/04/27(月) 18 03 10 0 991母GJ! 35 :名無しさん@HOME:2009/04/27(月) 20 41 07 O 前スレ991です。 プチプチだったのにレスありがとうございます。 父がエネ夫だったとは…orz でもアポ無し凸の話を聞いた時に、私がありえないと言ったらコトメを庇う発言をしていたのでエネ確定ですorz 祖父母と同居になった時に、口うるさい祖父から日々守ってくれていたこと 母が浮気をする前から娘ラブで、5歳の私が父を選ぶくらい懐いていたので私にとっては良父ですが…。 離婚までの数年は、私と兄を浮気相手に手なずけさせるための時間だと思います。 気持ち悪かったので全く懐きませんでした。 母の浮気理由は 若くして結婚したため、遊び尽くして結婚した友達が羨ましくなって男漁りを始めてしまったらしいです。 父が言ったので定かではありませんが。 携帯からなので読みづらかったら申し訳ありません。 36 :35:2009/04/27(月) 20 52 59 O 連投すみません。 父は母の浮気に気付いてからは毎晩説得していたらしいです。 離婚を知らなかったわたしには、夜中目が覚めると話をしている2人を見て仲がいいと思っていました。 スレチになってきた気がするので名無しに戻ります。 37 :名無しさん@HOME:2009/04/27(月) 20 54 59 0 35母はたとえお父上の言うとおりのDQNであったとしもGJあげたいが 母の話が聞けたらだいぶん話が違うんじゃないかという悪寒もする 38 :名無しさん@HOME:2009/04/27(月) 20 58 07 0 女の不倫は免罪されますwww 39 :名無しさん@HOME:2009/04/27(月) 21 10 09 0 エネ夫がこじつけそうな理由だよねw>男漁り 子供にとっての母親を愚弄するようなことは仮に事実であっても言わないよ普通。 まあ前スレの 994 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/04/27(月) 17 47 50 0 お似合い夫婦。 嫁を非常識な姑と小姑から守らなかった糞夫。 そこまで夫が嫌なら離婚してから他の男と付き合えば良いのに 子供がいるのに不倫するビッチ妻。 でFAじゃね? 40 :名無しさん@HOME:2009/04/27(月) 21 13 40 0 35 なーんだ、父親からだけの話で判断してるのか。 真実はそこから遠いところにありそうだな。 いない人のことは何とでも言えるし、 父親が母親を追い詰めたと反省してる風でもないのなら、 実は 35がエネ娘で、祖母に迎合して嫁いびりの加勢してたとか。 子どもを置いて出てくなんて、よっぽどのことがないとしないよ。 子どもに対して絶望していなければ、まず絶対離さない。 やられた以上にやり返す根性がある人ならなおさら。 今になっても連絡がないのは、 35に会いたくないからだろうし。 ほんとのDQNなら、成人した子どもにすり寄ってこないはずがない。 浮気も、捨てられたオヤジの脳内変換かもね。 41 :名無しさん@HOME:2009/04/27(月) 21 22 11 0 まあ、生き別れた母が良母なら自分が悪者になったとしても それで娘が健やかに生きていてくれればおkと思うもんよ。 35にとって良父で35が幸せならそれでいいんじゃね。 42 :名無しさん@HOME:2009/04/27(月) 21 35 53 0 父は口うるさい祖父から娘は守るけれど、母は祖父とトメコトメとも一人で戦っていたんだろうな。 52 :名無しさん@HOME:2009/04/27(月) 22 29 58 O 名無しになると言ったのにすみません。 手なずけさせるのは幼稚園から帰ってきた後、父が帰るまでの時間デートに兄と連れて行かれました。 小学校中学年の兄より、幼い私の方が懐くだろうと思っていたんだと思います。 最後の別れの時に私に手を差し出しましたが、浮気相手が気持ち悪いのと 兄と父と離れたくなくて父にしがみついていたのは覚えてます。 小さい時のことなのでほとんど覚えてませんが、嫁いびりはしてないと思います。 最後の別れの後、母方の祖母から電話で何回も謝られたので 母が悪いことをしたんだと認識しました。 高校生の時に父の部屋で母からの謝罪の手紙を発見し、 遠方へ引っ越すことが書いてありました。 私たちも引っ越していたのでもう会うことは無いんだな、と納得していたので私から会うことはありません。 57 :名無しさん@HOME:2009/04/27(月) 22 50 34 P 前スレ991は、本人が、自分は間男にはなつかなかった、と言っているのだから不倫は確定でしょ 不倫の話自体をエネ夫の嘘だとゲスパーしてるやつらは何を読んでたんだ? 60 :名無しさん@HOME:2009/04/27(月) 23 12 11 0 52 嫁いびりが原因で外に癒しを求めて出て行ったら 母方の親はそりゃ謝ると思うよ。 >ウトメコトメがアポ無し凸 これがすでに嫁いびりだと思うけどなぁ 67 :名無しさん@HOME:2009/04/27(月) 23 54 14 0 浮気はやっぱりルール違反だもんね。 でも我が子であっても、エネ父と毒トメコトメにダブルで3文安にされて 母親を見下すような子供に育ってしまったら、連れて行きたいとは思わないだろうな。 やっぱり3文安いと、大人になっても物事の一面しか見られないのかも。 次のお話→132-19