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重油消費 4のメインストーリー早見表 黄色はその項目でのトップ (NORMAL) 海域,番号 敵艦隊構成数 建材 マニー 鋼材 食材 樹脂 第2海域,2-1 北大西洋掃討作戦 2 42 / 45×2 / / 第2海域,2-2 北大西洋掃討作戦 3 44 / / 30 26 第2海域,2-3 北大西洋掃討作戦 4 44 44 / / 26 第2海域,2-4 北大西洋掃討作戦 2 45 / 47 31 / 第2海域,2-5 北大西洋掃討作戦 4 45 / / 32×2 / 第3海域,1-1 ジブラルタル突破作戦 2 45×2 / / / 27 第3海域,1-2 ジブラルタル突破作戦 3 46 46 / 32 / 第3海域,1-3 ジブラルタル突破作戦 3 46 46 49 / / 第3海域,1-4 ジブラルタル突破作戦 4 48 48×2 / / / 第3海域,1-5 ジブラルタル突破作戦 2 48 48 / / 29 第3海域,1-6 ジブラルタル突破作戦 3 48 / / 34 29 第3海域,1-7 ジブラルタル突破作戦 4 49 49 52 / / 第3海域,1-8 ジブラルタル突破作戦 4 49 / 52 34 / 第3海域,2-1 地中海奪回作戦 4 50 50 / / 30 第3海域,2-2 地中海奪回作戦 3 51 51 / 35 / 第3海域,2-3 地中海奪回作戦 5 51 / 53 / 30 第3海域,2-4 地中海奪回作戦 5 52 52 / / 31 第3海域,2-5 地中海奪回作戦 3 52 52 / 36 / 第3海域,2-6 地中海奪回作戦 4 53 / 56 37 / 第3海域,2-7 地中海奪回作戦 4 53 53 / / 32 第3海域,2-8 地中海奪回作戦 5 53×2 / 56 / / 第4海域,1-1 大西洋の安全確保 1 55 55 57 / / 第4海域,1-2 大西洋の安全確保 3 55 55 / / 33 第4海域,1-3 大西洋の安全確保 5 56 56 / 39 / 第4海域,1-4 大西洋の安全確保 4 56 56 59 / / 第4海域,1-5 大西洋の安全確保 5 56 / / 39×2 / 第4海域,2-1 潜水艦隊出撃せよ 4 57 57 / / 34 第4海域,2-2 潜水艦隊出撃せよ 5 57 57 / 40 / 第4海域,2-3 潜水艦隊出撃せよ 4 59 59 62 / / 第4海域,2-4 潜水艦隊出撃せよ 5 59 59 / / 35 第4海域,2-5 潜水艦隊出撃せよ 5 59 / / / 35×2 第4海域,3-1 アゾレス諸島の解放 5 60 60 / 42 / 第4海域,3-2 アゾレス諸島の解放 4 60 60 63 / / 第4海域,3-3 アゾレス諸島の解放 4 61 61 / / 37 第4海域,3-4 アゾレス諸島の解放 6 62 62 / 43 / 第4海域,3-5 アゾレス諸島の解放 5 62 / 65 43 /
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CE74、5月メサイア戦が終了し、時の議長ギルバート=デュランダルがメサイアにて死亡。 同日プラントにてクライン派がクーデターを起こし、プラントを掌握する。 そして、オーブ連合首長国代表首長カガリ=ユラ=アスハ、メサイア戦の勝利とプラント併合宣言を出す。通称「併合演説」と呼ばれるものである。 地球では、東ユーラシア地域(ガルナハン地域を含む)が一斉蜂起し東ユーラシア共和国樹立を宣言。 ユーラシア連邦は内戦が深刻化していった。また、赤道連合内部でも、権力争い、強制労働に借り出された住民の決起等内乱が起きていた。 CE74、6月プラントはオーブの直轄地として組み込まれる。またザフト兵として軍務にいたものは一旦、軍属を解除され、ある者は先の大戦で被害をうけたコロニーの復旧に向かい、ある者はプラントの為再び戦うこともあるかもしれないと一時の休息をとり、ある者はラクスの元で戦うことを選び、そして、ある者は野に下った。 同月、オーブ連合首長国より新たな国際組織「統一連合」の枠組みが提唱され、それに合わせ、統一安全保障条約機構を作成。賛同国を募る。 元々親オーブのスカンジナビア王国、親プラント派だった大洋州連合、北アフリカ共同体などが加盟する。プラントが併合されたことで、月中立都市郡も参加を表明。 ジャンク屋組合は、表立った表明は見せなかったが、もともとラクスとのパイプは強く、協力を惜しまなかった。 ユーラシア連邦、赤道連合は内戦中でそれどころではなく、大西洋連合は参加表明せず。一時期世界の中心であった大西洋連邦は、統一連合、ひいてはオーブに対して不満を募らせる。 独立国家となっていたアメノミハシラ、独立心の高いムスリム共同体や東アジア共和国、南アフリカ統一機構などは静観の構え。 CE74、8月中旬、大西洋連邦、オーブに対して宣戦布告。理由は先の対戦中、幾度無く戦時中に現れ、テロ活動をおこなってきたAAを自軍に取り込んだオーブはテロ支援国家であり、世界の平和を乱す原因であるというものだった。 裏には、オーブの復興が終わっていないこと、プラントを併合したとはいえザフト軍はオーブ体制に今だ組み込まれていなく、その数は多くないこと。 メサイヤ戦で活躍したMSは脅威だが、その支援装備は地球上では使えないこと、また宇宙の艦隊は壊滅状態にあったが、地上の大西洋連合軍は十分にそろっており、今この時に叩いておかないと、世界の覇権がオーブに移動してしまうのを恐れたことを考慮したものだった。 9月最初の週、南大西洋海戦で大西洋連邦のオーブ侵攻軍壊滅。 オーブの軍は確かに疲弊していたが、ラクスたちの率いる軍を過小評価したことが原因だった。 9月中旬、ハワイ沖会戦でも大西洋連邦軍は破れる。 9月下旬、かろうじて残っていた大西洋連邦宇宙軍をプラントへ向けて奇襲を行うが、オーブ・ザフト軍に撃退される。 10月初旬~中旬、オーブ・大西洋連邦の戦いは地上へと動き、宇宙では大西洋連邦宇宙艦隊を降伏へと追いやっていた。この時点で大西洋連邦は制宙権を完全に失った。 10月下旬、大西洋連邦政府内部でエターナリストによるクーデター勃発。臨時政府が樹立。 11月初旬、大西洋連邦臨時政府とオーブ間にて講和成立。支配圏は以前のまま。 12月初旬、南アメリカ合衆国、東アジア共和国、統一連合への参加を表明。 CE75、1月オーブ軍の一部、特にオーブ独立艦隊がNGO組織として独自の行動を起こすこととなる。名称は「ピース・ガーディアン」 指揮するのはラクス=クライン。統一連合内部に議席・発言権を持ちながらそれらは行使せず、世界平和のために行動してゆく。 1月下旬、態度を明らかにしていなかった南アフリカ統一機構、統一連合へと参加を表明。 CE75、2月ムスリム共同体、統一連合への参加は表明する。が、あくまで世界情勢を見ていただけで、積極的なものではなかった。 CE75、3月PGは赤道連合の内戦地域で活動していた。非戦闘地域を回り人々の楽しみになればとコンサートを開き、また内乱自体に介入はしないものの非戦闘員に危害が加えられそうになれば、PGを使い内乱軍を叩き返した。 各地の人々は、救難活動を行いながら、慰安コンサートを開き、危害を加えるものは排除するラクスに、平和の歌姫としての信仰を集めてゆく。 また、そうしたラクスの行動にあわせて、内乱は鎮圧化していき、3月下旬内乱が終了し、統一連合への参加を赤道連合は表明する。 CE75、4月、旧ヘリオポリスを改修したコロニー「イザナギ」が、アメノミハシラの手によって完成する。また同時に統一連合への参加を表明する。 CE75、5月PGは内乱中のユーラシア連邦地域でその姿を見ることができた。 東ユーラシア共和国、統一連合への参加を表明。それにあわせオーブ軍が内乱へと介入してゆく。PG、統一連合に参加したことで応援にかけつけたオーブ軍との連携もあり、最終的にはユーラシア連邦は、東西に分かれることとなった。また同月末、西ユーラシア連邦政府に対しクーデターがおき、政府は打倒される。西ユーラシア暫定政府樹立。 CE75、6月世界情勢に合わせるように、大西洋連邦で、統一連合加盟に対して選挙が実施される。結果は僅差で加盟賛成が上回り、加盟にむけて動き出す。 CE75、7月、西ユーラシア新政府、大西洋連合が統一連合へと加盟。 この時をもって、世界のすべての国々が統一連合へと加盟したのである。またこの時点をもって、会議にて「統一地球圏連合」へと名称を変化させる。 CE75、8月統一地球圏連合となっての、第一回総会が開催される。その中でラクス=クラインが主席に選出されるが、彼女はこれを固辞。代わってカガリ=ユラ=アスハがその任につくこととなった。 CE75、9月初旬、ラクスに何とか報いたいとするカガリと、そのカリスマ性を取り逃がしてはならないとする、各国の思惑で統一地球圏連合特別顧問の案が発表され、ラクス=クラインが就任することとなる。また、それに合わせNGO組織であったPGは、特別顧問「平和の使者」直属の近衛軍として再編される。 CE75、9月下旬、組織が形作られていく中で、新たに地球上に統一国家を作ろうという動きがでてくる。統一地球圏連合政府樹立。ようやくなった世界的平和の土壌。これを恒久的なものにしようとするものであった。率先してその礎になろうとオーブという国は統一地球圏連合政府下における国となる。 だがこれは、各国の主権返上を含む案であったために、議会は加熱する。特に、やっと独立を勝ち取った西ユーラシア新政府の反応は過激であった。 各国の代表者は、賛成派もいれば反対派もいた。反対派は、激発した 西ユーラシア新政府の結果をみて行動をしようと静観の立場だった。 CE75、10月、議会、もしくは私的な懇談会で西ユーラシア代表と議論を重ねるが、西ユーラシアは態度を硬化させ、ラクスが今、平和へと世界が変わろうとしている中で、なぜそれに参加できないのかと問うも議論は平行線のまま、ラクスが何度も話し合いの場を持つものの、西ユーラシアの統一世界連合への脱退が避けられないところまできていた。 また、その中で自国の混乱から立ち直れない赤道連合は、最初に主権返上を申し入れ受理されていた。 10月下旬、最後の西ユーラシア新代表とラクスとの会談。 「どうして、世界が平和へと向かうこの時に、そのような態度をとられるのです」 「我々は独立を旨として行動してきた。この上主権返上などといったふざけた案は参加しかねる」 「確かに改めるべき事は多いかもしれません。 ですが世界が平和へと動こうという今、何故そんなに態度を頑なにされますか?」 「平和は我々も望むところ。だが、地球規模の統一国家などいう絵空事には付き合いきれない」 「それが世界の平和を生み出すための最善の道ではありませんか?先の大戦を見てください。各国が勝手な理屈で動く限り平和はなりませんわ」 「ラクス=クライン、あなたの理想は立派だが、それでは国は動かん」 「私はもう人と人の憎しみの連鎖を見たくありません。 だから私は戦うと決めたのです。なぜ、平和への道を躓かせるようなことをおっしゃるのです」 「若きラクス嬢とは、これ以上の会談は無意味だ」 「なぜ、そんなことをおっしゃいます。そのような行動は、世界の平和を乱すこととなることがどうして分かっていただけませんか?」 「我々は我々の理想で行動してきた。誰かにきめてもらう必要はない」 「私は世界の平和を願っています」 「…我々もだ」 「では何故!?」 「これ以上の議論は不要だろう。お互いの正義にのっとって行動すればいい」 「…貴方がたの行動は世界を再び戦乱へと向かわせる一歩となりかねないのに どうして。世界がやっと一つになろうとしているのにどうして」 「…(分からないのだな、彼女には)」 「戦場で会おう」 CE75、11月、西ユーラシア新政府は、世界平和への道を乱すものとして打倒され、その地域は、統一地球圏連合政府の直轄地となる。 またこの頃、統一地球圏連合政府の諸組織は完成を見る。 西ユーラシア地域の状況をみて、反対派は表立った行動を控える。 CE75、12月、BCや旧ロゴスに連なるものが次々に逮捕、弾圧され、その中心的役割を担ったのが、後の治安警察省長官ゲイハルト=ライヒだった。 (時期的には12月~5月くらいまで) CE76、1月、正式に統一連合軍が発足し、地上軍司令にレドニル=キサカ大将、宇宙軍司令にムゥ=ラ=フラガ中将(このあと大将に昇進)が就く。 CE76、2月、戦乱を起こさないための抑止力として、統一連合軍、PGの軍備拡張が進められていく。 CE76、10月、総会がパリにて開催される。首都オロファト(ヤラファス島)以外では初の総会。 旧西ユーラシア連邦ビル、現在は統一地球圏連合政府パリ政府ビルにて爆破テロ発生。 死者153名、負傷者1200名あまりの大惨事となる。テロの翌日「ローゼンクロイツ」と名乗る組織より犯行声明が出される。 ユーラシア地域全域に影響を持つ組織であり、どうやら西ユーラシア新政府の残党が多数含まれるようであるという噂が囁かれ、75年11月の強制直轄地編入のことを思い出す者もいた。 CE76、10月下旬、パリ総会の中で、テロ打倒を訴え、治安警察省の設置予算請求をなどを含めた補正予算案が提出される。 CE76,11月中旬、補正予算案可決。治安警察省発足。長官はゲイハルト=ライヒとなる。 11月下旬、スカンジナビア王国のリンデマン外相、ペテルブルグにて爆弾テロの犠牲となる。「バルト独立同盟」より犯行声明。 CE77、1月頃、各国代表が平和への利権を求め、国内政治に目を向けない態度に南米、中東、北アフリカなど各地でレジスタンスが決起していく。 CE77、2月、治安警察省から、独自の軍部隊を持てるようにとの提案がある。これに関して、統一連合軍、国防省から軍の組織の礎をそこなうとの意見が噴出するが、最終的に治安警察省に軍部隊を持つことが承認される。ここに統一連合軍と治安警察省との間に亀裂が生まれることとなる。 CE77、3月、南アメリカの対テロ特殊部隊隊長エドワード=ハレルソン少佐、部下十数名を連れレジスタンスに身を投じる。 CE77、4月開発中であったGWE-X001Aエターナルフリーダムがロールアウト。 その力は凄まじく、初戦で最大クラスのレジスタンスであったバルト独立同盟の戦闘部隊を3日で完全に殲滅。これ以降しばらくレジスタンスは完全に沈黙し地下に潜ることとなる。 CE77、5月南半球が記録的な大干ばつによる食糧危機に陥る。統一世界連合は北半球の全国家に備蓄穀物の放出を要求。それとあわせて食料プラントをフル稼働させ、どうにか餓死者は出さずに解決する。 CE77、6月大洋州連合、大西洋連邦にて主権返上の意向を表明する。 両国家とも世論が真っ二つに割れ、大洋州連合は3ヶ月後に国民投票で決まることになり、大西洋連邦は、大統領選挙を待つこととなった。 CE77、7月、スカンジナビア王国、主権返上する意向を示し。国民は歓喜と熱狂でこれを支持。 CE77、9月、大洋州連合にて主権返上の是非を問う国民投票実施、結果は主権返上が58%となり主権返上へと向けて動き出すこととなる。 CE77、10月、今度は北半球が記録的な冷夏となり、またも食糧危機に陥る。再び食料プラントをフル稼働させ乗り切ろうとしたが、追いつかずに多数の餓死者が出る。特に東ユーラシア地域が深刻で、ここだけで飢え、感染症などで100万人以上が死亡。北半球全体で200万人以上が死亡したとされる(統一政府推計。後の史家の計算によると500万人が死亡したとも)。 これにより、統一地球圏連合政府に各国の人々に表立って、また裏で、軍備拡張に予算を費やし、生活福祉に予算の投入が足りなかったことに対する不満がでる。 CE77、11月大洋州連合の78年からの統一世界地球圏政府の編入が正式に決定される。 CE78、1月シドニーにて、爆弾テロ発生。「オセアニア解放軍」より犯行声明。 1月下旬、プラント駐留の宇宙第二艦隊の一部が叛乱。統一連合軍宇宙軍との交戦状態に陥る。 CE78、2月初旬、反乱軍、宇宙第二艦隊撃破。 また地上では東ユーラシア最大のレジスタンス組織ローゼンクロイツが再び各地で決起。 周辺の組織を吸収合併しながら進軍を開始。ローゼンクロイツ、キエフ、ワルシャワ、モスクワ占領。 2月中旬、反乱軍、宇宙軍第一艦隊、第三艦隊との決戦に敗れ全滅。 ローゼンクロイツ、ベルリン、ペテルブルグ占領。東ユーラシア政府高官はパリに亡命し臨時政府を立てる。 2月下旬、東ユーラシアへ統一連合軍地上部隊の精鋭が集結。東ユーラシア反攻作戦開始。 CE78、3月初旬、南米解放同盟、武装闘争を再開。統一連合軍はベルリン奪還。 中旬、ワルシャワ奪還。東ユーラシア政府高官帰国。 下旬、キエフ奪還。ローゼンクロイツ、占領地を手放し再び地下に潜る。 CE78、4月、ローゼンクロイツの構成員、幹部、スポンサーが次々逮捕され、壊滅的な打撃を受ける。 また4月中旬、南米解放同盟、武力闘争を再び停止する旨の声明を出す。 CE78、5月、ラクス=クラインの演説(通称:平和の演説)。テロリストに対してテロ活動の停止を、各国には統一国家樹立への協力を訴える。 CE78、6月、イラン高原で赤い三日月が独立闘争開始。 CE78、7月、大西洋連邦大統領選挙でイギリス・カナダ閥のレノン(エターナリスト)がアメリカ閥のジョンソン(穏健派反エターナリスト)に敗北。 CE78、8月北アフリカでサハラ解放の虎、再び独立闘争開始。 CE78、9月オノゴロにて統一地球圏連合政府樹立3周年記念式典。 同時に戦勝記念館も開館。 連合政府首席カガリ・ユラ・アスハ暗殺未遂事件発生。(第1話) そして、Revivalの世界へ・・・ (この時点で主権返上国は、オーブ首長国連邦、赤道連合、西ユーラシア新政府(強制返上)、スカンジナビア王国、大洋州連合。また主権返上していない国はアメノミハシラ、東ユーラシア共和国、北アフリカ共同体、南アフリカ統一機構、大西洋連邦、南アメリカ合衆国、ムスリム共同体、東アジア共和国) 年表 年号 月 出来事 CE74 5月 メサイア攻防戦終結。併合演説。東ユーラシア共和国樹立 6月 プラント併合実施。統一連合枠組み提唱。統一安全保障条約機構樹立 8月 大西洋連合、オーブに宣戦布告 9月 大西洋連合オーブ侵攻、ハワイ沖会戦、プラント侵攻全てに敗北 10月 大西洋連合エターナリストによるクーデター勃発。臨時政府発足 11月 大西洋連合臨時政府とオーブで講和成立 12月 南アメリカ合衆国、東アジア共和国、統一連合へ参加 CE75 1月 ピースガーディアン発足。南アフリカ統一機構、統一連合へと参加 2月 ムスリム共同体、統一連合への参加 3月 内戦の沈静化に伴い、赤道連合が統一連合に参加 4月 ヘリオポリスにイザナギ完成。統一連合参加 5月 東ユーラシア共和国、統一連合に参加。同時にレジスタンスに対する圧力激化 西ユーラシア暫定政府樹立 7月 大西洋連合、西ユーラシア新政府、統一連合参加 統一連合、名称を「統一地球圏連合」に改称 9月 ピースガーディアン、近衛兵化 オーブ主権返上 10月 赤道連合主権返上 西ユーラシア代表とラクスの会談決裂 11月 西ユーラシアに対する武力行使により西ユーラシアが統一連合直轄地になる 12月 旧ロゴス弾圧。ライヒ活躍 CE76 1月 統一連合軍発足 10月 統一連合総会パリにて実施。「ローゼンクロイツ」による爆破テロ 11月 治安警察省設立 ペテルブルグで「バルト独立同盟」がテロ CE77 2月 治安警察省、独自に軍備開始 4月 「バルト独立同盟」壊滅。エターナルフリーダムによる武力解決 5月 南半球の飢饉に対応するため北半球の各政府に備蓄食料調達要求 6月 大洋州連合、大西洋連邦にて主権返上に対する国民投票実施 7月 スカンジナビア王国主権返上 9月 大西洋連邦にて主権返上 10月 ユーラシアで歴史的飢饉発生。餓死者500万人 CE78 1月 大洋州連合、統一地球圏連合参加 シドニー爆破テロ。「オセアニア解放軍」 プラントで宇宙第二艦隊の反乱 2月 反乱軍鎮圧 ローゼンクロイツ、ベルリン、ペテルブルグ占領 東ユーラシア政府高官はパリに亡命し臨時政府樹立 3月 南米解放同盟、武装闘争を再開 統一連合軍がベルリン、ワルシャワ、キエフ奪還。東ユーラシア政府高官帰国 4月 ローゼンクロイツ壊滅的打撃。南米解放同盟活動停止 5月 「平和の演説」がラクスにより実施 6月 イラン高原で赤い三日月が独立闘争開始 8月 北アフリカでサハラ解放の虎、再び独立闘争開始 9月 9月オノゴロにて統一地球圏連合政府樹立3周年記念式典 連合政府首席カガリ・ユラ・アスハ暗殺未遂事件発生。(第1話)
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CE74、5月メサイア戦が終了し、時の議長ギルバート=デュランダルがメサイヤにて死亡。 同日プラントにてクライン派がクーデターを起こし、プラントを掌握する。 そして、オーブ連合首長国代表首長カガリ=ユラ=アスハ、メサイア戦の勝利とプラント併合宣言を出す。通称「併合演説」と呼ばれるものである。 地球では、東ユーラシア地域(ガルナハン地域を含む)が一斉蜂起し東ユーラシア共和国樹立を宣言。 ユーラシア連邦は内戦が深刻化していった。また、赤道連合内部でも、権力争い、強制労働に借り出された住民の決起等内乱が起きていた。 CE74、6月プラントはオーブの直轄地として組み込まれる。またザフト兵として軍務にいたものは一旦、軍属を解除され、ある者は先の大戦で被害をうけたコロニーの復旧に向かい、ある者はプラントの為再び戦うこともあるかもしれないと一時の休息をとり、ある者はラクスの元で戦うことを選び、そして、ある者は野に下った。 同月、オーブ連合首長国より新たな国際組織「統一連合」の枠組みが提唱され、それに合わせ、統一安全保障条約機構を作成。賛同国を募る。 元々親オーブのスカンジナビア王国、親プラント派だった大洋州連合、北アフリカ共同体などが加盟する。プラントが併合されたことで、月中立都市郡も参加を表明。 ジャンク屋組合は、表立った表明は見せなかったが、もともとラクスとのパイプは強く、協力を惜しまなかった。 ユーラシア連邦、赤道連合は内戦中でそれどころではなく、大西洋連合は参加表明せず。一時期世界の中心であった大西洋連邦は、統一連合、ひいてはオーブに対して不満を募らせる。 独立国家となっていたアメノミハシラ、独立心の高いムスリム共同体や東アジア共和国、南アフリカ統一機構などは静観の構え。 CE74、8月中旬、大西洋連邦、オーブに対して宣戦布告。理由は先の対戦中、幾度無く戦時中に現れ、テロ活動をおこなってきたAAを自軍に取り込んだオーブはテロ支援国家であり、世界の平和を乱す原因であるというものだった。 裏には、オーブの復興が終わっていないこと、プラントを併合したとはいえザフト軍はオーブ体制に今だ組み込まれていなく、その数は多くないこと。 メサイヤ戦で活躍したMSは脅威だが、その支援装備は地球上では使えないこと、また宇宙の艦隊は壊滅状態にあったが、地上の大西洋連合軍は十分にそろっており、今この時に叩いておかないと、世界の覇権がオーブに移動してしまうのを恐れたことを考慮したものだった。 9月最初の週、南大西洋海戦で大西洋連邦のオーブ侵攻軍壊滅。 オーブの軍は確かに疲弊していたが、ラクスたちの率いる軍を過小評価したことが原因だった。 9月中旬、ハワイ沖会戦でも大西洋連邦軍は破れる。 9月下旬、かろうじて残っていた大西洋連邦宇宙軍をプラントへ向けて奇襲を行うが、オーブ・ザフト軍に撃退される。 10月初旬~中旬、オーブ・大西洋連邦の戦いは地上へと動き、宇宙では大西洋連邦宇宙艦隊を降伏へと追いやっていた。この時点で大西洋連邦は制宙権を完全に失った。 10月下旬、大西洋連邦政府内部でエターナリストによるクーデター勃発。臨時政府が樹立。 11月初旬、大西洋連邦臨時政府とオーブ間にて講和成立。支配圏は以前のまま。 12月初旬、南アメリカ合衆国、東アジア共和国、統一連合への参加を表明。 CE75、1月オーブ軍の一部、特にオーブ独立艦隊がNGO組織として独自の行動を起こすこととなる。名称は「ピース・ガーディアン」 指揮するのはラクス=クライン。統一連合内部に議席・発言権を持ちながらそれらは行使せず、世界平和のために行動してゆく。 1月下旬、態度を明らかにしていなかった南アフリカ統一機構、統一連合へと参加を表明。 CE75、2月ムスリム共同体、統一連合への参加は表明する。が、あくまで世界情勢を見ていただけで、積極的なものではなかった。 CE75、3月PGは赤道連合の内戦地域で活動していた。非戦闘地域を回り人々の楽しみになればとコンサートを開き、また内乱自体に介入はしないものの非戦闘員に危害が加えられそうになれば、PGを使い内乱軍を叩き返した。 各地の人々は、救難活動を行いながら、慰安コンサートを開き、危害を加えるものは排除するラクスに、平和の歌姫としての信仰を集めてゆく。 また、そうしたラクスの行動にあわせて、内乱は鎮圧化していき、3月下旬内乱が終了し、統一連合への参加を赤道連合は表明する。 CE75、4月、旧ヘリオポリスを改修したコロニー「イザナギ」が、アメノミハシラの手によって完成する。また同時に統一連合への参加を表明する。 CE75、5月PGは内乱中のユーラシア連邦地域でその姿を見ることができた。 東ユーラシア共和国、統一連合への参加を表明。それにあわせオーブ軍が内乱へと介入してゆく。PG、統一連合に参加したことで応援にかけつけたオーブ軍との連携もあり、最終的にはユーラシア連邦は、東西に分かれることとなった。また同月末、西ユーラシア連邦政府に対しクーデターがおき、政府は打倒される。西ユーラシア暫定政府樹立。 CE75、6月世界情勢に合わせるように、大西洋連邦で、統一連合加盟に対して選挙が実施される。結果は僅差で加盟賛成が上回り、加盟にむけて動き出す。 CE75、7月、西ユーラシア新政府、大西洋連合が統一連合へと加盟。 この時をもって、世界のすべての国々が統一連合へと加盟したのである。またこの時点をもって、会議にて「統一地球圏連合」へと名称を変化させる。 CE75、8月統一地球圏連合となっての、第一回総会が開催される。その中でラクス=クラインが主席に選出されるが、彼女はこれを固辞。代わってカガリ=ユラ=アスハがその任につくこととなった。 CE75、9月初旬、ラクスに何とか報いたいとするカガリと、そのカリスマ性を取り逃がしてはならないとする、各国の思惑で統一地球圏連合特別顧問の案が発表され、ラクス=クラインが就任することとなる。また、それに合わせNGO組織であったPGは、特別顧問「平和の使者」直属の近衛軍として再編される。 CE75、9月下旬、組織が形作られていく中で、新たに地球上に統一国家を作ろうという動きがでてくる。統一地球圏連合政府樹立。ようやくなった世界的平和の土壌。これを恒久的なものにしようとするものであった。率先してその礎になろうとオーブという国は統一地球圏連合政府下における国となる。 だがこれは、各国の主権返上を含む案であったために、議会は加熱する。特に、やっと独立を勝ち取った西ユーラシア新政府の反応は過激であった。 各国の代表者は、賛成派もいれば反対派もいた。反対派は、激発した 西ユーラシア新政府の結果をみて行動をしようと静観の立場だった。 CE75、10月、議会、もしくは私的な懇談会で西ユーラシア代表と議論を重ねるが、西ユーラシアは態度を硬化させ、ラクスが今、平和へと世界が変わろうとしている中で、なぜそれに参加できないのかと問うも議論は平行線のまま、ラクスが何度も話し合いの場を持つものの、西ユーラシアの統一世界連合への脱退が避けられないところまできていた。 また、その中で自国の混乱から立ち直れない赤道連合は、最初に主権返上を申し入れ受理されていた。 10月下旬、最後の西ユーラシア新代表とラクスとの会談。 「どうして、世界が平和へと向かうこの時に、そのような態度をとられるのです」 「我々は独立を旨として行動してきた。この上主権返上などといったふざけた案は参加しかねる」 「確かに改めるべき事は多いかもしれません。 ですが世界が平和へと動こうという今、何故そんなに態度を頑なにされますか?」 「平和は我々も望むところ。だが、地球規模の統一国家などいう絵空事には付き合いきれない」 「それが世界の平和を生み出すための最善の道ではありませんか?先の大戦を見てください。各国が勝手な理屈で動く限り平和はなりませんわ」 「ラクス=クライン、あなたの理想は立派だが、それでは国は動かん」 「私はもう人と人の憎しみの連鎖を見たくありません。 だから私は戦うと決めたのです。なぜ、平和への道を躓かせるようなことをおっしゃるのです」 「若きラクス嬢とは、これ以上の会談は無意味だ」 「なぜ、そんなことをおっしゃいます。そのような行動は、世界の平和を乱すこととなることがどうして分かっていただけませんか?」 「我々は我々の理想で行動してきた。誰かにきめてもらう必要はない」 「私は世界の平和を願っています」 「…我々もだ」 「では何故!?」 「これ以上の議論は不要だろう。お互いの正義にのっとって行動すればいい」 「…貴方がたの行動は世界を再び戦乱へと向かわせる一歩となりかねないのに どうして。世界がやっと一つになろうとしているのにどうして」 「…(分からないのだな、彼女には)」 「戦場で会おう」 CE75、11月、西ユーラシア新政府は、世界平和への道を乱すものとして打倒され、その地域は、統一地球圏連合政府の直轄地となる。 またこの頃、統一地球圏連合政府の諸組織は完成を見る。 西ユーラシア地域の状況をみて、反対派は表立った行動を控える。 CE75、12月、BCや旧ロゴスに連なるものが次々に逮捕、弾圧され、その中心的役割を担ったのが、後の治安警察省長官ゲイハルト=ライヒだった。 (時期的には12月~5月くらいまで) CE76、1月、正式に統一連合軍が発足し、地上軍司令にレドニル=キサカ大将、宇宙軍司令にムゥ=ラ=フラガ中将(このあと大将に昇進)が就く。 CE76、2月、戦乱を起こさないための抑止力として、統一連合軍、PGの軍備拡張が進められていく。 CE76、10月、総会がパリにて開催される。首都オロファト(ヤラファス島)以外では初の総会。 旧西ユーラシア連邦ビル、現在は統一地球圏連合政府パリ政府ビルにて爆破テロ発生。 死者153名、負傷者1200名あまりの大惨事となる。テロの翌日「ローゼンクロイツ」と名乗る組織より犯行声明が出される。 ユーラシア地域全域に影響を持つ組織であり、どうやら西ユーラシア新政府の残党が多数含まれるようであるという噂が囁かれ、75年11月の強制直轄地編入のことを思い出す者もいた。 CE76、10月下旬、パリ総会の中で、テロ打倒を訴え、治安警察省の設置予算請求をなどを含めた補正予算案が提出される。 CE76,11月中旬、補正予算案可決。治安警察省発足。長官はゲイハルト=ライヒとなる。 11月下旬、スカンジナビア王国のリンデマン外相、ペテルブルグにて爆弾テロの犠牲となる。「バルト独立同盟」より犯行声明。 CE77、1月頃、各国代表が平和への利権を求め、国内政治に目を向けない態度に南米、中東、北アフリカなど各地でレジスタンスが決起していく。 CE77、2月、治安警察省から、独自の軍部隊を持てるようにとの提案がある。これに関して、統一連合軍、国防省から軍の組織の礎をそこなうとの意見が噴出するが、最終的に治安警察省に軍部隊を持つことが承認される。ここに統一連合軍と治安警察省との間に亀裂が生まれることとなる。 CE77、3月、南アメリカの対テロ特殊部隊隊長エドワード=ハレルソン少佐、部下十数名を連れレジスタンスに身を投じる。 CE77、4月開発中であったGWE-X001Aエターナルフリーダムがロールアウト。 その力は凄まじく、初戦で最大クラスのレジスタンスであったバルト独立同盟の戦闘部隊を3日で完全に殲滅。これ以降しばらくレジスタンスは完全に沈黙し地下に潜ることとなる。 CE77、5月南半球が記録的な大干ばつによる食糧危機に陥る。統一世界連合は北半球の全国家に備蓄穀物の放出を要求。それとあわせて食料プラントをフル稼働させ、どうにか餓死者は出さずに解決する。 CE77、6月大洋州連合、大西洋連邦にて主権返上の意向を表明する。 両国家とも世論が真っ二つに割れ、大洋州連合は3ヶ月後に国民投票で決まることになり、大西洋連邦は、大統領選挙を待つこととなった。 CE77、7月、スカンジナビア王国、主権返上する意向を示し。国民は歓喜と熱狂でこれを支持。 CE77、9月、大洋州連合にて主権返上の是非を問う国民投票実施、結果は主権返上が58%となり主権返上へと向けて動き出すこととなる。 CE77、10月、今度は北半球が記録的な冷夏となり、またも食糧危機に陥る。再び食料プラントをフル稼働させ乗り切ろうとしたが、追いつかずに多数の餓死者が出る。特に東ユーラシア地域が深刻で、ここだけで飢え、感染症などで100万人以上が死亡。北半球全体で200万人以上が死亡したとされる(統一政府推計。後の史家の計算によると500万人が死亡したとも)。 これにより、統一地球圏連合政府に各国の人々に表立って、また裏で、軍備拡張に予算を費やし、生活福祉に予算の投入が足りなかったことに対する不満がでる。 CE77、11月大洋州連合の78年からの統一世界地球圏政府の編入が正式に決定される。 CE78、1月シドニーにて、爆弾テロ発生。「オセアニア解放軍」より犯行声明。 1月下旬、プラント駐留の宇宙第二艦隊の一部が叛乱。統一連合軍宇宙軍との交戦状態に陥る。 CE78、2月初旬、反乱軍、宇宙第二艦隊撃破。 また地上では東ユーラシア最大のレジスタンス組織ローゼンクロイツが再び各地で決起。 周辺の組織を吸収合併しながら進軍を開始。ローゼンクロイツ、キエフ、ワルシャワ、モスクワ占領。 2月中旬、反乱軍、宇宙軍第一艦隊、第三艦隊との決戦に敗れ全滅。 ローゼンクロイツ、ベルリン、ペテルブルグ占領。東ユーラシア政府高官はパリに亡命し臨時政府を立てる。 2月下旬、東ユーラシアへ統一連合軍地上部隊の精鋭が集結。東ユーラシア反攻作戦開始。 CE78、3月初旬、南米解放同盟、武装闘争を再開。統一連合軍はベルリン奪還。 中旬、ワルシャワ奪還。東ユーラシア政府高官帰国。 下旬、キエフ奪還。ローゼンクロイツ、占領地を手放し再び地下に潜る。 CE78、4月、ローゼンクロイツの構成員、幹部、スポンサーが次々逮捕され、壊滅的な打撃を受ける。 また4月中旬、南米解放同盟、武力闘争を再び停止する旨の声明を出す。 CE78、5月、ラクス=クラインの演説(通称:平和の演説)。テロリストに対してテロ活動の停止を、各国には統一国家樹立への協力を訴える。 CE78、6月、イラン高原で赤い三日月が独立闘争開始。 CE78、7月、大西洋連邦大統領選挙でイギリス・カナダ閥のレノン(エターナリスト)がアメリカ閥のジョンソン(穏健派反エターナリスト)に敗北。 CE78、8月北アフリカでサハラ解放の虎、再び独立闘争開始。 CE78、9月オノゴロにて統一地球圏連合政府樹立3周年記念式典。 同時に戦勝記念館も開館。 連合政府首席カガリ・ユラ・アスハ暗殺未遂事件発生。(第1話) そして、Revivalの世界へ・・・ (この時点で主権返上国は、オーブ首長国連邦、赤道連合、西ユーラシア新政府(強制返上)、スカンジナビア王国、大洋州連合。また主権返上していない国はアメノミハシラ、東ユーラシア共和国、北アフリカ共同体、南アフリカ統一機構、大西洋連邦、南アメリカ合衆国、ムスリム共同体、東アジア共和国) 年表 年号 月 出来事 CE74 5月 メサイア攻防戦終結。併合演説。東ユーラシア共和国樹立 6月 プラント併合実施。統一連合枠組み提唱。統一安全保障条約機構樹立 8月 大西洋連合、オーブに宣戦布告 9月 大西洋連合オーブ侵攻、ハワイ沖会戦、プラント侵攻全てに敗北 10月 大西洋連合エターナリストによるクーデター勃発。臨時政府発足 11月 大西洋連合臨時政府とオーブで講和成立 12月 南アメリカ合衆国、東アジア共和国、統一連合へ参加 CE75 1月 ピースガーディアン発足。南アフリカ統一機構、統一連合へと参加 2月 ムスリム共同体、統一連合への参加 3月 内戦の沈静化に伴い、赤道連合が統一連合に参加 4月 ヘリオポリスにイザナギ完成。統一連合参加 5月 東ユーラシア共和国、統一連合に参加。同時にレジスタンスに対する圧力激化 西ユーラシア暫定政府樹立 7月 大西洋連合、西ユーラシア新政府、統一連合参加 統一連合、名称を「統一地球圏連合」に改称 9月 ピースガーディアン、近衛兵化 オーブ主権返上 10月 赤道連合主権返上 西ユーラシア代表とラクスの会談決裂 11月 西ユーラシアに対する武力行使により西ユーラシアが統一連合直轄地になる 12月 旧ロゴス弾圧。ライヒ活躍 CE76 1月 統一連合軍発足 10月 統一連合総会パリにて実施。「ローゼンクロイツ」による爆破テロ 11月 治安警察省設立 ペテルブルグで「バルト独立同盟」がテロ CE77 2月 治安警察省、独自に軍備開始 4月 「バルト独立同盟」壊滅。エターナルフリーダムによる武力解決 5月 南半球の飢饉に対応するため北半球の各政府に備蓄食料調達要求 6月 大洋州連合、大西洋連邦にて主権返上に対する国民投票実施 7月 スカンジナビア王国主権返上 9月 大西洋連邦にて主権返上 10月 ユーラシアで歴史的飢饉発生。餓死者500万人 CE78 1月 大洋州連合、統一地球圏連合参加 シドニー爆破テロ。「オセアニア解放軍」 プラントで宇宙第二艦隊の反乱 2月 反乱軍鎮圧 ローゼンクロイツ、ベルリン、ペテルブルグ占領 東ユーラシア政府高官はパリに亡命し臨時政府樹立 3月 南米解放同盟、武装闘争を再開 統一連合軍がベルリン、ワルシャワ、キエフ奪還。東ユーラシア政府高官帰国 4月 ローゼンクロイツ壊滅的打撃。南米解放同盟活動停止 5月 「平和の演説」がラクスにより実施 6月 イラン高原で赤い三日月が独立闘争開始 8月 北アフリカでサハラ解放の虎、再び独立闘争開始 9月 9月オノゴロにて統一地球圏連合政府樹立3周年記念式典 連合政府首席カガリ・ユラ・アスハ暗殺未遂事件発生。(第1話)
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大西洋連邦第一艦隊と、統一連合オーブ方面艦隊の最初の交戦から既に四十八時間が経過していた。 最大戦力を差し向けた大西洋連邦に対し、オーブ側は一艦隊のみ。 本来ならば、長大な補給線が兵站を圧迫したとしても大西洋連合が力押しでも撃破可能な戦力差である。 しかし、最初の交戦の後、双方睨み合いが続くのみで戦闘は途絶えていた。 オーブ側の大陸間弾道ミサイル「ヘルモーズX」の存在が、大西洋連合に攻撃を躊躇させていた。 「まだか!?まだなのかバジルール君?!」 「タイムテーブルに変更がなければ、プロメテウスが『標的』を有効射程に納めるまで後6時間を切りました…もうしばらくお待ち下さい」 執務室の3Jは焦っていた。 電撃的にオーブに打撃を与えてプレッシャーを与え、有利な状況で交渉を進める。 だが、ソレには「ある理由」から時間制限があった。 「大統領、お電話です」 補佐官の口から重々しく告げられる。 「吉報かね?」 そう問う3Jに首を振って答える。 「残念ですが、『時間切れ』のようです。東アジア共和国の李耀大将からです」 「!」 3Jは溜息をつくと電話を代わった。 『お久しぶりですね、ジョンソン大統領』 受話器から柔和な声が流れる。 「お久しぶり…何時ぞやの議会以来ですかな?李耀大将」 『ははは…今は臨時ではありますが首相になりましてね』 「それは…劉建陽首相はいかがなされましたか?」 『大変遺憾ながら、レジスタンスを名乗る賊の手に…』 (クーデターか。情報部から報告が上がっていたが、こんなに早く全権を掌握するとはな) そんなことはおくびにも出さずに続ける。 「おお、それはお悔やみを申し上げなくてはいけませんな」 『ありがとうございます。劉建陽「前」首相もお喜びでしょう』 「前」をわざわざ強調するイントネーション。早く現体制を認知して欲しい焦りか。 「正式発表は何時頃ですか?」 『近日中には。それよりも大統領、よくぞ御決断なさいましたな』 「なんのお話でしょう?」 『独裁者オーブを討つお積もりなのは現状を見れば子供でも判ります。及ばずながら我らも力を…』 「ああ!その事でしたか。いえ、ソレには及びませんよ。あくまで今回は我が大西洋とオーブの二国間の問題です」 『何を仰る?!あのウズミの馬鹿娘の無能に苦しんだのは貴方がただけではないのですよ?!』 3Jは深々と~ただし、受話器の向こうには届かぬ様に~溜息を漏らす。 本音は「自分達にも甘い汁を吸わせろ」という事か。 「李耀「大将」、私はお国のような駆け引きは苦手です」 敢えて「大将」とはっきり発音。 「はっきり言います。この戦闘は我が国がオーブから有利な条件を引き出すための外交戦術のひとつに過ぎません」 反論を許さぬ勢いでそのまま言い切る。 「東アジアまで参加されては火種が大きくなりすぎます。再び世界を煉獄の炎で焼く事は避けなくてはなりません」 『つまり、「お前達は指を咥えてみていろ」と?』 李耀の口調もなにも変わらない。しかし、その奥に隠されたドロリとした感情が仄見え始めた。 「…我が国は既にオーブの先制攻撃で少なからぬ被害を本土に受けました。貴方にその覚悟がお有りか?」 『…確かに、被害も何もない我が国を途中参加させろと言っても、感覚的に受けつけて頂けないでしょうね』 「ご理解頂けて幸いです。では、これから前線に指示を出さねばなりませんので」 『判りました。コチラこそ御忙しいのに時間を割いて頂き感謝します。御武運をお祈りします』 「何様の積もりだあの若造が!」 電話を切った李耀は毒づくとデスクを立ち、グラスとブランデーの壜を取り出すと溢れんばかりに注ぎ、一息に飲み干す。 が、それでも怒りが収まらぬのか窓目掛けてグラスを叩き付けた。 コレで窓ガラスなりグラスなりが割れたり砕けたりすればストレスの発散になり、血が上った頭も冷えたのだろうが、防弾ガラスと分厚いグラスはびくともせず、ゴトン、と間の抜けた音を立ててグラスが床に転がるだけだった。 李耀は濁った瞳で壁にかけられた地図を見ると、ばん!とオーブを平手て叩いた。まるで、そうすればオーブが消えてなくなるかのように。 「まあいい、始めてしまえばあの若造も受け入れざるを得まい…もともとあの国は我らの物だったのだ」 3Jと李耀の会談後、東アジア国営放送から臨時ニュースが世界に配信された。 「我が東アジア共和国は、オーブによる圧政に対して蜂起した大西洋連合を支持致します」 (ひとまずはこれで良い。この後に大西洋が苦戦してくれればその時に…) この放送を聴いた3Jは激怒した。 「正気なのかあの馬鹿は!この放送がどう言う状況を呼び込むか想像できんのか!」 「大統領、どうか冷静に」 「冷静?そんなものはそこらの野良犬にでも食わせたまえ補佐官!だからあんな脳ミソの中まで○○○○で××××な(ピー)野郎は…」 上品とは決して呼べない4文字言葉を呪詛の様に3Jは執務室一杯にばら撒いていたが、一頻り喚くと深々と溜息をつき、席に戻るとドッカと脚をデスクの上に投げ出した。 「南アメリカがどう出ると思う?」 「最悪、南アメリカ合衆国と南アメリカ解放同盟が手を結ぶ可能性もあります。流石に今日明日で状況が動くとも思えませんが」 だが、この予想は外れた。大西洋連合にとって最悪の形で。 その日の夕刻、突如として南アメリカ合衆国が大統領声明を行うと発表した。 そして、大統領の傍らに立つ人物を見て、会見場に居並ぶ報道陣は目を剥いた。 マルセロ=ダ=シルバ。 南アメリカ開放同盟代表が対立している南アメリカ合衆国の大統領と肩を並べて立っている。 壇上の二人は笑みを浮かべると、会場を染め上げるフラッシュの光の中、堅く握手を交わし、報道陣を見渡し、口を開いた。 「かつて、我々は袂を別った。だか、今、こうして再び手を携える事が出来る事を心から嬉しく思う」 「私は、統一連合と共に有ることがこの国を豊かにすることだと思っている。同時に」 脇に立つシルバに視線を向ける。 「この友人のようにそれは危険だ、と私に苦言を呈してくれる人達もまた、多い。だからこそ」 再び報道陣に視線を戻す。 「私達はもっと話し合わなくてはならない。暴力では物事を解決する事は非常に困難だと、認めなくてはならない」 それに合わせ、シルバが一歩前に出る。 「私達「南アメリカ開放同盟」は現時点を持って武力闘争を放棄することを宣言します」 その言葉に会場にどよめきが走った。ソレに被せる様にシルバが言葉を続ける。 「同時に、合法的政党としての与党「南アメリカ開放同盟」を結党します。なお、当方の持つ全戦力は同日付けで全て正規軍に編入される事となります」 更なるどよめきと、南アメリカ開放同盟寄りの記者から罵声が浴びせられる。が、次のシルバの一言で一斉に沈黙した。 「パックス・アトランティカーナ。この言葉をお忘れですか?かつて、私達を苦しめたこの言葉を?」 「私とマルセロ氏は、確かに方法論で袂を別ったのは事実だ。だが、私も、彼も、この国を愛していることに一切の曇りは無い!」 「オーブを倒し、現在の統一連合のシステムをそのまま大西洋連合は掌握しようとしています。東アジアを抱き込んだ上で」 「今、この国で内乱を起す余力など無い!そんな愚挙をすれば大西洋連合の思う壷だ!」 「私達はここで、大西洋連合及びオーブ双方に対し、即刻戦闘の中止を要請します。又、大西洋連合のオーブ遠征を速やかに中止する事を要求します」 「もし、大西洋連合がこれ以上オーブへの侵略行為を続行する場合、我が国にもそれ相応の行動を取る事となるだろう。そのような不幸な自体にならないことを、私達は切に願う」 後に、8カ国が入り乱れ泥沼化したオーブ沖海戦の発端であった。
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第203話 大西洋の嵐(中編) 午後3時40分 第7艦隊旗艦オレゴンシティ 「……流石に、敵の重要拠点だけあって、被害を抑える事は難しかったか。」 第7艦隊司令長官オーブリー・フィッチ大将は、たった今読み上げられた被害報告に対して、仏頂面でそう呟いた。 「被害が大きすぎます。特に、戦闘機専用空母ばかりに被害が集中した事は、大きな痛手と言えます。」 航空参謀のウェイド・マクラスキー中佐も、気難し気な顔で発言する。 第7艦隊は、午前中は一方的に戦闘を進める事が出来たが、午後に至っては立場が逆になってしまった。 午後1時頃から午後3時頃までに行われた戦闘で、TF72は空母ベニントン、ゲティスバーグ、イラストリアス、軽空母ライト、 ロング・アイランド、駆逐艦2隻が損傷し、航空機52機を失った。 損傷した5空母の内、4空母は戦闘機専用空母として戦闘機中心の航空団を搭載していた。 この4空母が被弾、損傷した結果、TF72で使える戦闘機専用空母は、僅か2隻に激減してしまった。 4空母は、機関部等の艦深部には全く損傷を受けていないため、沈没する事は無い物の、飛行甲板を使用不可能にされた今、 空母としての役割は果たせない。 マオンド側は、期せずして、TF72の戦闘機戦力を大幅に削ぐ事に成功したのである。 「使用可能の戦闘機が、一気に200機以上も減った今、敵の更なる空襲を避けるため、機動部隊は今まで以上に、 慎重に行動する必要があります。」 「長官。問題はその他にもあります。」 作戦参謀のコナン・ウェリントン中佐が、顔を引き攣らせながらフィッチに発言する。 「敵は、TG72.1を攻撃した際、あのハーピィを空母の甲板に体当たりさせて来ました。通常、ハーピィを機動部隊の攻撃に 使う事は無い筈ですが、それを躊躇いも無く使って来たとなると……極秘施設を砲撃する際にも、何か、似たような策を講じて 来る可能性は、あると考えられます。」 「ふむ。つまり、こっちの砲撃部隊の接近を察知した敵が、河の両側に自爆攻撃用のモンスターやらなんやらを用意して来るかもしれない、 と言う事か。」 「決して、考えられぬ事では無いかと思われます。」 「……しかし、マオンドの奴らが、ああいう手を使って来るとは……」 バイター参謀長は、顔をしかめつつ、頭を振りながらフィッチに言う。 「あのゾンビ作戦が行われてから、私はマオンドが狂ったかと思いましたが、戦況が進むにつれて、彼らの発狂ぶりは徐々に エスカレートしつつありますな。」 「参謀長の言う通りだな。」 フィッチは、深く頷いた。 「だが、それもここまでだ。我々は、何としてでも、あの元凶を討ち果たせねばならん。空母が損傷した事は確かに痛手だが、 作戦は続ける事が出来る。何よりも、この作戦の主役であるイラストリアス艦攻隊と、戦艦部隊は未だに健在だ。」 「はっ。確かにそうです。」 マクラスキーもフィッチの言葉に同意する。 「イラストリアスは、先の空襲で飛行甲板に直撃弾を受けていますが、流石は装甲空母だけあって、今回も発着機能を失わずに済みました。 あとは、このまま夜を待ち、夜間攻撃隊を放つと同時に、砲撃部隊を突入させるだけです。」 「そうだな。」 フィッチはそう答えながら、硬かった表情を幾らか柔らかくする。 「敵の奇策を交えた攻撃は、曲がりなりにも果たせたようだが、それは同時に、敵がどれだけ追い詰められているのかを知る いい機会にもなった。諸君、もはや、真の目標は我々の手の届く所にある。このまま一気に目標を叩き潰し、あの忌まわしき物を この世から一掃しよう。」 フィッチは、自分に言い聞かせるかのように、自らの決意を皆に語る。 幕僚達は、フィッチの言葉を理解し、誰もが無言で頷いた。 午後7時50分 ネロニカ地方南西沖180マイル地点 空母イラストリアスを含む第72任務部隊第1任務群は、24ノットの速力で僚艦ハーミズと共に、ネロニカ方面に向かって航行していた。 既に日は落ち、辺りは真っ暗になっている。 ブリーフィングを終え、飛行甲板に出て来たジーン・マーチス少佐は、真っ暗闇に覆われた空を、一通り眺め回した。 「いつも通りの暗さですな、隊長。」 彼の背後から、マーチス機のパイロットであるジェイク・スコックス少尉が声を掛けて来た。 「ああ、いつも通りだ。」 マーチスは、微笑みながらスコックス少尉に返す。 「こうしてみると、初の夜間作戦となったタラント空襲を思い出すな。」 「ええ。あの時から、早5年近くですか……うちらも随分、古株になりましたねぇ。」 スコックス少尉は苦笑しながら言う。 「もう5年も経つとはな。ホント、時の流れは早いもんだよ。お陰で、見知った顔も少なくなってしまったな。」 彼は、口調にやや悲しげな響きを交えながらそう言い放った。 スコックスの率いるイラストリアス艦攻隊は、現在10機のアベンジャーを有している。 この10機のうち、6機の搭乗員は転移前からの戦友で占められている。 部隊名がVT-9になる前、イラストリアスにはNOS-233という部隊名が付いた艦攻隊がおり、12機のソードフィッシュに 乗っていた搭乗員は、全てが開隊以来、欧州戦線の様々な戦場を渡り歩いて来た戦友ばかりであった。 マーチスは、開隊以来部隊を率いながら、多くの航空作戦に従事し、艦攻乗りの花型とも言える航空雷撃を、既に6回も経験している。 この6回と言う数字は、艦攻乗りから見れば驚異的な数字であり、通常は3度の雷撃を経験する前に死ぬか、再起不能な傷を受けて 前線を離脱する事が、艦攻搭乗員には多い。 太平洋戦線で勇名を馳せているヨークタウン3姉妹や、レキシントン級の生き残りである、レキシントンの精鋭搭乗員ですら、 やっと5回の雷撃行を成し遂げたのみである。 戦死者や、前線離脱者の多い艦攻乗り達は、前人未到の6回の雷撃行を経験したマーチスに対して、陰で雷撃の神様という渾名を付けている。 だが、そんな栄えある渾名を与えられた彼も、この5年間は決して、楽しい事ばかりでは無かった。 対マオンド戦が行われて以来、VT-9に元々在籍していた、36名の搭乗員は、今や、マーチスも含めて18名に減っている。 残りの18名中、12人は戦死し、6人は負傷して飛べない体となり、退役するか、後方に下がっている。 現在、共にペアを組んでいるスコックス少尉とスワング兵曹は、元々は第2中隊長であったボビー・パーソンズ中尉とペアを組んでいたが、 編制替えで一時的にペアを入れ替えた際、パーソンズ中尉機は雷撃後に被弾し、洋上に散華している。 そして、彼らはそのまま、マーチス機のペアとなった。 (それにしても、パーソンズも、フィッシャーも……みんな、いい奴だったな。) マーチスは、これまでの作戦で散って行った戦友達に思いを馳せたが、すぐに心を入れ替え、愛機の元へと歩み寄った。 「よう!機体の調子はどうだい?」 マーチスは、エンジン部分の最終チェックを行っている整備班長に声をかけた。 「ええ。いつもと同様、機体には異常は見られません。第1次空襲で付いた傷も塞がっていますから、通常通りに動いても、何ら問題はありませんぜ!」 整備班長は、胸を張りながら自信たっぷりの口調でマーチスに言った。 「毎度毎度、助かるよ。俺達が実戦に臨めるのも、あんた達のお陰だ。」 マーチスは、整備班長の完璧な整備に感謝し、整備班長の右肩をポンと叩いた。 「では、ちょっくら行って来るよ。」 「どうぞ、胸の空く雷撃行を。」 整備班長は、演技めいた口調でマーチスにそう言った。 マーチスは微笑みながら2度頷いた後、スコックス少尉とスワング兵曹長と共に愛機の席に乗り込んだ。 彼は電信員席に乗り組み、各種機器のチェックを行う。 (無線機、計器、レーダー機器……全て異常なしだな) チェックを終えたマーチスは、ひとまずは前準備を終えた事に満足した。 パイロットのスコックス少尉がエンジンを始動させ、愛機が轟音を上げながら機体を震わせる。 第1次攻撃から帰還後に入念な整備を行わせた事と、事前に暖気運転を済ませていたお陰で、エンジンは快調そのものである。 「隊長!エンジン快調です!」 「こちら機銃席。機銃の動作確認終わりました。旋回機銃、胴体下方機銃共に異常なし。」 「了解。」 マーチスは、素っ気ない声音で答える。 イラストリアスの艦体が、ゆっくりと回頭していく。やがて、向かい風がより強くなった所で回頭が止まった。 「こちらイラストリアス管制室。聞こえるか?」 イラストリアスのCICから、管制官の声が無線機越しに響いて来た。 「こちら指揮官機。感度良好。」 「これより作戦を開始する。これから貴隊にはソーサラーというコードネームを付ける。イラストリアスはパパグースと呼んでくれ。」 「OK。パパグース。」 マーチスはそう返しながら、ふと、自分達の隊に付けられたコードネームが、2年前のグラーズレット空襲の時に付けられた物と、 同じ物であるという事に気が付いた。 (あの時と同じコードネームとはね。偶然にしては、少し出来過ぎかと思うが) マーチスは心中でそう呟きつつ、管制室から発艦許可が下りるのを待った。 それから2分と経たぬうちに、待望の命令が下された。 「パパグースよりソーサラー1へ、発艦を許可する。」 「こちらソーサラー1。了解した!」 マーチスは、幾分張りのある声音で返した後、前のスコックスに指示を下す。 「発艦だ!」 彼の言葉を聞き取ったスコックスが頷き、機体の下で待機していた甲板要員に、車輪止めを外せと合図を送る。 車輪止めが外されたのを確認したスコックスは、愛機のブレーキを緩め、エンジン出力を上げる。 機首のエンジンが轟々と唸りを上げ、重いアベンジャーの機体が、順調に加速を付けていく。 飛行甲板を滑走し終えたのだろう、愛機が一瞬だけ、下に沈み込むが、独特の浮遊感と共に、機体が上昇して行く感覚が伝わって来る。 発艦に成功したマーチス機は、真っ暗な夜闇に向けて徐々に高度を上げていき、他の9機のアベンジャーが発艦を終えるまで、 機動部隊の上空を旋回し続けた。 10機のアベンジャーは、手慣れた動作で次々と発艦を終えた後、途中でワスプから発艦した6機のアベンジャーと合流し、 一路、ネロニカ河沿いにある目標に向かって行った。 午後8時50分 ネロニカ地方ソドルゲルグ ソドルゲルグ魔法研究所の内部にある会議室では、勤務時間外であるにも関わらず、研究所の主だった幹部達が集まり、会合を開いていた。 所長であるギニレ・ダングヴァ導師は、不死の薬制作の責任者であるリムジ・イシュリクの報告を、顔にしかめっ面を貼り付かせたまま聞き入っていた。 「所長、アメリカ軍は、夕方前に第3波の攻撃隊を放っています。我が教団と、軍のワイバーン隊があれだけ、敵機動部隊を叩いたにも関わらず、 敵は依然として、敵地を空襲できる程の戦力を残しています。もし、敵機動部隊が戦艦部隊を分派させて、グラーズレット港を徹底的に叩くとなれば 不死の薬制作に必要不可欠な、テスティツ草も、収容されている倉庫もろもと、全滅する可能性があります。」 「……おのれぇ、ようやく、不死の薬の大量生産に移行しようとした所で、敵がグラーズレットに攻め入って来るとは……!」 ダングヴァ所長は、怒りに声をわななかせながら言う。 テスティツ草とは、マオンド西部の付近で取れる草の事である。 この草は、マオンド西部の森林地帯で良く見られる。 形は楕円形に、葉っぱの端がギザギザに尖っており、色は黒く、葉っぱの全体に赤紫色の斑点が付いている。 この草は、毒草として付近の住民から知られており、昔から、テスティツ草に似た食用のニルシビ草と間違えられて、誤食される事が多い 症状は下痢に吐き気、目眩など、毒性は余り強くないが、稀にそれらの症状が持続し、脱水症状で死に至る場合もある。 このテスティツ草は、不死の薬を作る際に触媒として最適であり、前回の作戦では大量のテスティツ草が運び込まれ、不死の薬制作に大きく役立った。 現在、テスティツ草の残りは少なくなっており、今の所、50人の人間を不死に出来る分の薬が完成しているが、テスティツ草が無い限りは、 研究所内にある大量の魔法薬を、不死の薬に変える事は出来ない。 不死の薬は、テスティツ草が無ければただの無害な水溶液でしかなく、もし、テスティツ草が入って来なければ、貯水槽に入っている魔法薬は 使い物にならない。 「テスティツ草が無ければ、いくら事前薬(テスティツ草を使う前の魔法薬を、彼らはそう呼んでいる)があろうと、宝の持ち腐れにすぎん。 本音を言うと、わしは触媒を必要とする不死の薬を作る事は、あまり気が進まなかったのだ。あのような臭い草をいちいち使うよりは、 時間をかけてでも良いから、もっと簡単な工程で作れる不死の薬を作れば良かったのだ!まったく、魔法製作部の石頭共め!時間が無い、 時間が無いといってこんな欠陥薬を作るから、いざという時に困るのだ!!!」 「所長のお怒りはごもっともです。ですが、今はこの事態に対して、どう対処していくかを考えねば。」 イシュリクは、やんわりとした口調で言う。 だが、それは却って、彼の怒りをあおる事となった。 「対処だと!?折角入手できる筈だった触媒を灰にされようとしているのに、何を対処するのだ!!グラーズレットに集めていた草は、特に 鮮度の良い物を厳選して集めて置いたのだぞ!それを、またしても、あのアメリカ人共が灰にしようとしておる!いや、一部は既に灰にされた!!」 ダングヴァは、顔を真っ赤に染め上げながら怒声を発する。 「残りも灰にされれば、我々の崇高なる執行活動に支障を来すではないか!そもそも、何故、敵の機動部隊は戦闘力を残しておる!? 空襲によって敵空母を1隻撃沈し、4隻を大破させたのであろう!!これは、敵の航空戦力の約半数に当たるぞ!」 「ですが、それでも4ないし、5隻の空母が残ります。」 第9要塞旅団の指揮官である、ムイス・ヒウケル准将が言う。 「それ以前に、航空攻撃の際は戦果の誤認が付き物です。敵に損害を与えた事は事実かもしれませんが、敵機動部隊の指揮官に揺さぶりを掛ける までには、至らなかったのでしょう。」 「将軍!君は友軍部隊の言葉が信用できんのかね!!」 ダングヴァは、狂犬のような表情を浮かべながら、ヒウケル准将に噛み付いた。 「いえ。勿論、我が優秀なワイバーン部隊の事です。挙げた戦果は事実であると思っております。ですが、相手は物量戦を仕掛ける事で 有名なアメリカ軍です。風の噂によると、アメリカ軍は、たった2年間で20隻以上もの新造空母を前線に送り込んだと言われています。 戦果が事実だとしても、後方に予備がある彼らには、壊滅寸前の重要拠点を前にして、退く、という選択肢自体、考えては無いのかもしれません。」 「馬鹿者!そのような言い訳は聞きたくない!それにもう1つ、わしは気に食わん事が他にもある。」 ダングヴァは、港の方角に顔を向ける。 「港には、海軍の巡洋艦と駆逐艦がいたが、あ奴らは、敵の位置が分かったにも関わらず、出撃しなかった!あ奴らが出撃し、敵を迎え撃たなかった せいで、グラーズレットは敵の艦載機に、好き放題されておる!このような軟弱者が軍におるとは、誠に信じ難い!!」 「……所長。ワイバーン隊の報告では、敵機動部隊にはアイオワ級戦艦をも含む、有力な水上部隊がおるのですぞ。それ以前に、航空戦力では敵が 勝っています。」 ヒウケル准将は、務めて平静な口調でダングヴァに言い返す。 「これでは、あの艦隊に死ねと言っているような物ですぞ。」 「軍人は、敵と戦う事が仕事であろうが。」 「ええ、勿論そうです。」 ヒウケルは即答する。 「だからといって、圧倒的不利な状況と分かっているのに、敵地に突っ込む事は……それも、勝算が全くないまま、戦うのは余りにも無謀です。 自分は陸軍の軍人であり、海軍の作戦は知りません。ですが、所長の言う通り、艦隊を敵機動部隊に突っ込ませても、近付く前に、航空部隊に よって容易く討ち取られる事は容易に想像できます。例え、近付けたとしても、戦艦によって一方的に打ちのめされるだけです。それでは、 彼らは無駄死にです。」 彼は、諭すような口調でダングヴァに言った。 だが、頭が完全に煮え切っている彼には、ヒウケルの言葉は全くと言っていいほど、理解できていなかった。 ダングヴァは更に言葉を吐きだそうと、口を大きく開いた。 その瞬間、会議室のドアが勢いよく開かれた。 「失礼します!!」 ダングヴァの体が、一瞬にしてドアの方向に向けられた。 「馬鹿者ぉ!!!今は会議中だ!!!!」 彼の怒声が、慌ててドアを開けた魔道士に向けられた。 魔道士は一瞬、飛び上がらんばかりに仰天したが、胆力が人一倍付いているのか、魔道士はそれに負けまいと、一方的に言葉を吐き出した! 「海軍より緊急信です!我、ネロニカ河沖南方10ゼルド付近に敵らしき艦隊を発見せり!!」 「………」 「………」 「………」 魔道士の報告は、一瞬にして、会議室に居る8人の男の思考を停止させた。 ネロニカ河沖南方10ゼルド……10ゼルド……10ゼルド…… ダングヴァの脳裏に、その言葉が反響する。 沈黙が1分ほど続いた後、ようやく、誰かが口を開いた。 「おい。それは本当なのかね?」 ダングヴァは、自分の声が裏返っている事にも気が付かぬまま、魔道士に質問する。 「はっ。事実であります。報告では、戦艦らしき艦を2隻伴った艦隊が、14リンルの速度で急行しつつあるとの事です。」 「……なんたる……事…だ」 ダングヴァの顔が、みるみるうちに青く染まって行く。 「……いや、しかし。何故こんな所に敵艦隊が来る!?ここは、表面的には何の価値も無い所だ!なのに、何故敵艦隊が!?」 彼は、ヒウケル准将に聞く。だが、陸軍軍人である彼に聞いても、意味は無かった。 「私に尋ねられても、お答えようがありません。」 「むむ……そ、それにしても、敵艦隊がここに向かっているとは……まさか、この研究所の存在が知られたからか!?」 ダングヴァがそう言った瞬間、その言葉を肯定するような出来事が、沿岸部で起きた。 窓の外から、青白い閃光が差し込んで来た。 ダングヴァを始めとする会議室の一同は、窓の近くに集まり、その閃光の方角に見入る。 閃光は、丁度、艦隊が停泊している河口の入り口付近で煌めいている。 この時になって、彼らはようやく、事態の深刻さに気付き始めたのであった。 マーチス少佐の率いるダム攻撃隊がネロニカ河の出入り口に達したのは、午後8時55分の事であった。 先頭を飛行していたワスプ隊のアベンジャーが照明弾を落とした直後、真下にいる敵艦隊が一斉に対空砲火を撃って来た。 攻撃隊の周囲に高射砲弾が炸裂し始めるが、敵は見当違いの所を狙い撃ったのか、被弾する機は1機も無い。 「少佐!第1目標のネロニカ河です!」 パイロットのスコックス少尉が、若干興奮気味になりながらマーチスに報告する。 ワスプ隊の落とした照明弾は、河口の出入り口をくっきりと浮かび上がらせていた。 光の中には、単縦陣で航行する軍艦らしき物が居る。 その姿は、すぐに機体の後ろへ消えて行ったが、それでも敵艦隊の全容を掴む事は出来た。 (船の数は14、5ほど。そのうち、巡洋艦クラスが4隻ないし、5隻といった所か。砲撃部隊はまず、あいつらを相手にしなければならんな) マーチスは心中でそう呟きつつ、目標への到達を待ち続ける。 攻撃隊は、ダムを破壊するため、雷装したアベンジャー10機と、照明弾のみを積んだ照明隊6機で編成されている。 照明隊はワスプのアベンジャー隊が引き受けてくれたため、イラストリアス隊は全機が雷装状態で出撃する事が出来た。 16機の攻撃隊は、敵の対空砲火を受けつつも、着実にダムへ向かって行く。 先行するワスプ隊は、1分進む毎に照明弾を投下し、事前に打ち合わせた、峡谷沿いの進入路へイラストリアス隊を誘導する。 イラストリアス隊は照明弾の光を頼りに、徐々に高度を下げながら、峡谷に向かって行く。 やがて、山の谷間に下がったイラストリアス隊は、周囲に注意を払いつつ、ダムへの攻撃まであと一歩の所まで迫っていた。 「あっ!ワスプ隊の3番機が……!」 唐突に、機銃員のスワングが悲鳴のような声を上げる。 ワスプ隊は、照明弾を投下しながら飛行を続けていたが、それは同時に、敵の対空砲火を引き付ける事になってしまった。 施設への航空攻撃を警戒していたためか、山頂部には対空陣地が敷かれており、高射砲や魔道銃の攻撃がワスプ隊に集中した。 その結果、ワスプ隊の3番機が撃墜されてしまった。 だが、ワスプ隊は僚機が犠牲になったにも関わらず、編隊を崩す事も無く、黙々と照明弾を投下して行く。 峡谷沿いの飛行が5分ほど続いた後、ようやく、イラストリアス隊は目標のダムを視認する事が出来た。 ダムの真上で、ワスプ隊の照明弾が炸裂する。 青白い光と共に、黒い水面と、その上に浮かぶ真っ白な壁が見えた。 「隊長!前方にダムを発見!距離1000!」 「ようし、ここから一気に行くぞ!」 マーチスは、スコックスの頭越しに目標を確認した後、無線機で攻撃隊の各機に指示を飛ばした。 「こちら指揮官機。攻撃隊各機へ。目標を視認した!後は訓練通りにやれ!以上!」 彼の短い指示は、イラストリアス隊の全機に伝わった。 開けた場所に到達するや、イラストリアス隊は5機ずつが雁行隊形で飛行し、目標であるダムに接近する。 ダムの両脇にある山や、ダム本体からイラストリアス隊目掛けて対空射撃が行われる。 5箇所から、七色の光弾が飛んで来るが、高度を下げつつあるイラストリアス隊を中々捕える事が出来ない。 それに、視界の悪い夜間と言う事もあって狙いが付けにくく、光弾は殆どが見当外れの位置に飛んで行く。 最初の第1グループである5機が、雁行隊形のまま、ダムの湖面から20メートルという超低空を時速270キロという雷撃速度を 維持したまま接近していく。 「800……700……600……」 スコックスが、目標である白い壁との距離を測り、それを口に出して逐一、スコックスに報告する。 目標視認から、射点に辿り着くまでの時間は短かった。 「300!」 「魚雷、投下ぁ!」 スコックスは、気合を入れるかのように、待望の命令を発した。 開かれたアベンジャーの爆弾倉から魚雷が投下され、音立ててダムの湖面に突き刺さる。 最初の5機編隊は、敵の対空砲火に捉われる事無く、猛速でダムの白い壁を飛び抜けて行った。 それから5秒後に、後続の編隊も同じように、ダムの堤防をフライパスした。 「と、と、と、とにかく、こ、ここから立ち去らねば!」 ワスプ隊、イラストリス隊の航空攻撃が行われている最中、ダングヴァは動揺しながら、部下達に指示を飛ばしていた。 「敵の航空機がせ、迫っておるが!ここは厳重に秘匿されておる!敵機が立ち去った後は速やかに、不死の薬や重要書類を回収して、 この場所から逃れるのだ!」 「し、しかし所長。かの敵機は、我々の退路を断つために、ネロニカ橋を落とそうと考えて居るのでは?」 「馬鹿者!それぐらい分かっておる!だが、それでは我々の退路を断つことはできん!」 ダングヴァは、緊張と興奮に顔を歪めながらも、持っていた懐の地図を広げて、部下達に説明する。 「ネロニカ橋はもともと、迂回ルートを通る時の時間が無駄なのを省くために作られた物だ!橋が落ちようが、わしらは昔から存在している、 この川沿いの道を通って行けば良い!そうなれば、敵の艦砲射撃の範囲内から逃れる事も出来る!」 「なるほど、名案ですな。」 後ろで話を聞いていたヒウケル准将が、素っ気ない口調で言う。 「それでは、私は部隊に戻って、敵艦隊との戦闘を指揮いたします。では、これで。」 彼は、見事な敬礼を決めてから、会議室から出て行った。 「ヒウケル准将も、ああ言っておる通り、ここには敵艦隊が迫りつつある。我々は、これまでの努力の結晶を無くさぬ為にも、 少しでも多くの不死の薬や関連書類等を運び出さねばならん。もはや時間が無い。戦闘執行部隊も総動員し、直ちに移送準備にかかれ!」 ダングヴァの命令を受け取った部下達は、大慌てで会議室から飛び出して行った。 「おのれ……アメリカ人共め、今に見て居れよ!」 恨み節を吐きながら、彼は執務室にある重要書類を回収するため会議室から歩み出た。 と、その時。どこからともなく、異様な爆発音が響いて来た。 その爆発音は、立て続けで鳴り響いている。 「む……早くも橋が落とされたか?」 ダングヴァは、腹に答えるような、重々しい爆発音を聞いてそう呟いたが、この時、彼はこの爆発音が、異様に近い場所から響いている事に 気が付いた。 「……にしては、妙に音が大きいな。橋はもっと遠い場所にある。」 彼は首を捻りながらも、自室の前に到達し、慌ただしくドアを開けた。 その直後、室内がまるで、大地震にあったかのように大きく揺れ動いた。同時に、今までに聞いた事も無いような音が、北のさほど遠くない場所から聞こえた。 「な、な、なっ……!」 物凄い振動と轟音が伝わる中、ダングヴァは床に伏せたまま、振動と音が収まるのを待つ。 彼が未知の恐怖を前に縮こまっている間、今度は大量の水が流れ込んでいくような音まで聞こえ始めた。 「……水が流れていくような音……どうやら、河の方から聞こえて来るが…」 その時、ダングヴァは、先程の音の正体が何であるかを、瞬時に理解できた。 「おい、誰か!誰かおらんか!」 ダングヴァは急いで起き上がると、廊下に向かって叫んだ。 「はい。何でありましょうか?」 1人の若い執行部隊の警備兵が、恐る恐ると言った様子で室内に入って来た。 「貴様の部隊長に、誰かを街道の様子見に行かせろと伝えろ!何をぼさっとしておる?早く動かんか!!」 ダングヴァは、最後には大喝を浴びせてから、警備兵を送り出した。 15分後、予想通りの報告が彼の下に飛び込んで来た。 「所長!街道の偵察に赴いた魔道士の報告によりますと、街道は、決壊したダムの破片や、大量の土砂によって完全に塞がれているとの事です!」 「うぬぬ……あの音と振動は、ダムが破壊された時に生じた物か……!」 ダングヴァは、怒りの余り、自室にあった木製の小さな本棚を、思い切り蹴飛ばした。 「脱出路を断たれたとなると……我々はただ、敵が近寄って来るのを待つだけになる……最悪だ!」 彼は、絶望に顔を醜く歪め、両手で頭を抱えた。 「しょ……所長。」 ダングヴァは、声をかけた兵士にすかさず顔を向け、悪鬼もかくやと思われるような表情を表しながら、大口を開けた。 「…!」 すぐに怒声が飛んで来る!そう確信した兵士は、姿勢を固くした。 だが、ダングヴァは怒声を発さなかった。 「………ふ……ふふふふ」 それどころか、気味の悪い笑い声を室内に響かせた。 「おい!副所長を呼んで来い!」 ダングヴァは、早口で兵士に命じる。兵士は頷くと、サッと執務室から立ち去って行った。 2分ほど経ってから、痩身の男が執務室に現れた。 「所長。お呼びでしょうか?」 「ケルニッテヴ。確か、地下には、この地が要塞であった頃に作られた脱出路があったな?」 「はい。確かにあります。あの脱出路は、元々、鉱山でもあった坑道を改造して作られた物です。ですが、作られてから既に200年以上も 経っており、老朽化のため、落盤の危険が高くなっております。それ以前に、あの脱出路を使うにしても、入口付近を塞いでいる岩や、それを 更に塞ぐように置かれている大量の不用品や保管品をどけなければ、脱出路を使うことすら出来ません。」 「だが、我々は、不死の薬という偉大なる兵器を有している今、これを再び有効活用するためにも、あの危険な脱出路を渡らなければならぬ。 苦労を掛けるが、何とか、我々が脱出出来るように出来ない物か?」 「……まずは、現場の状況を確認せねばなりませんな。脱出路がある地下の部屋は、既に5年も閉ざされたままですから。」 「人員はそなたの所に優先的に回す。これも、偉大なるマオンドと、崇高なる我が教団のためだ。何としてでも、あの脱出路を使えるようにしてくれ。」 「わかりました。それでは、これで。」 ケルニッテヴ副所長はそう返すと、足早に執務室から出て行った。 「フッフッフッフ。アメリカ人共め、ダムを破壊して道を断ったその腕前は見事であった。だが、少々詰めが甘いな。」 ダングヴァは、早くも勝ち誇ったような表情を浮かべた。 「我々がここから脱出した暁には、不死の軍団を再び作り上げ、自慢の戦車軍団とやらをも飲み尽くしてやろう。いや、貴様らにはそれでも足りん。 どんな手を使ってでも、酷く苦しめ抜いてやる。いずれは、あの忌々しいアイオワ級戦艦とやらも、乗員共を我らが不死者達の仲間入りにさせてやろうぞ。」 彼はそう言った後、愉快気に笑い飛ばしたのであった。 午後9時20分 ソドルゲルグ沖南17マイル地点 第2艦隊旗艦タリグモゴ マオンド海軍第2艦隊司令官であるミルギ・ラルヴング少将は、巡洋艦5隻と駆逐艦9隻を率いながら、前進しているであろう、アメリカ艦隊に 向かいつつあった。 「司令!本国の総司令部より緊急信です!」 「読め!」 旗艦である巡洋艦タリグモゴの艦橋で仁王立ちになっているラルヴング少将は、魔道士官に顔を振り向ける事無く、真っ暗な海上を見据える。 「第2艦隊は、重要施設の機密物資の搬送が終わるまで、いかなる手段を用いても、敵艦隊を阻止すべし。場合によっては、敵戦艦に艦艇を 体当たりさせて、敵の進撃を阻止せよ、であります。尚、この命令は、国王陛下より直々に発せられた物である」 「体当たりだと?フン。」 ラルヴング少将は、馬鹿馬鹿しいとばかりに鼻を鳴らす。 「それが出来れば苦労はせん!アメリカ人共が良く使う魚雷すら持っていない我が艦隊では、敵戦艦に近付く前に、一方的にたたきのめされて、 全滅するだけだ!」 「しかし司令。ネロニカ河沿岸には、重要な機密物資が秘匿されているようです。機密物資が搬送されるまでは、是が非でも目的を果たさねば なりません。もし、敵艦隊に敗れれば、あとは第9要塞旅団のみで敵と戦わねばなりません。確かに体当たりは無理でしょうが、上手く行けば、 砲撃のみでも敵戦艦を脱落させる事が出来るかも知れません。巡洋艦数隻で敵戦艦にかかれば、砲戦力ぐらいを失わせられる事は、既にモンメロ沖海戦で 実証されています。」 彼の側に立っていた艦隊主任参謀が、興奮で上ずった言葉を放つ。 「あの時、味方の巡洋艦が敵戦艦の砲撃に成功したのは、別の味方艦が敵巡洋艦を拘束していたからだ。だが、今回は敵も、我々と同じぐらいの 数の巡洋艦を従えているだろう。敵戦艦に近付く前に阻止されるのは、容易に想像が付く。」 「し……しかし。」 「主任参謀!」 ラルヴング少将は叩き付けるように言ってから、主任参謀に顔を向ける。 「貴様の言いたい事は分かる。我々海軍は、アメリカ海軍相手に負け通しだ。本国では、同じ役立たず同士なのに、陸軍の連中から使えんと 言われている。まだそれだけならいい。だが!軍人でもない、宗教連中にすら馬鹿にされる始末!ここは我々が奮戦し、マオンド海軍を蔑んで いる奴らを見返したい!と、そう思っているのだな?」 ラルヴング少将の、心を見透かしたかのような言葉を聞いた主任参謀は、何も言う事が出来なかった。 「その様子では、図星と言う所だな。」 「は……その通りでございます。」 「ふむ……実を言うとな、内心は俺も同じ気持ちだ。」 ラルヴング少将は微笑する。 「本国の司令部から送られてきた命令文は、実に気に入らんが、それ以上に、私はマオンドの内庭であるグラーズレット海に、アメリカ人連中が 我が物顔で乗り込んで来ている事がもっと気に入らん。」 彼は、不敵な笑みを浮かべた。 「勝算は無きに等しいが、ここは1つ、我々の姿を敵戦艦に見せ付けて、マオンド海軍ここにありと、連中に知らしめてやろうではないか。」 ラルヴング少将の発した何気無い言葉は、主任参謀の胸に深く食い込んだ。 主任参謀は、しばらくの間呆然としていたが、やがて、ゆっくりと頷いた。 「艦長!南西方向6ゼルド付近に生命反応を捉えました!」 唐突に、伝声管越しに魔道士官から報告が入った。 それまで、主任参謀とラルヴング少将のやりとりと黙って見ていた艦長が、すかさず伝声管に飛び付いた。 「その生命反応は敵艦か!?」 「方角からして、敵艦隊に間違いありません!反応の度合いからして、敵は7、8隻ほどです。反応は尚も増えつつあります!艦種は今の所不明です!」 「艦種が分かり次第、至急報告せよ!」 艦長はそう言って、魔道士官との会話を一旦終えた。 「司令。我が艦の魔道士が敵艦隊を探知しました。距離は南西6ゼルド。敵艦の数は約8隻で、尚も増えつつあるようです。」 「艦種はわからないかね?」 「いえ、まだ不明ですが、間も無く分かると思われます。」 彼がそう言った直後、先程の魔道士官から追加報告が入った。 「艦長!聞こえますか?」 「こちら艦長だ。艦種が分かったのか?」 「はい。敵艦隊の陣容は巡洋艦4隻、駆逐艦8隻のようです。」 「戦艦はおらんのか?」 「いえ、戦艦らしき反応は捉えておりません。」 「……わかった。引き続き、探知を続けろ。」 艦長は、首を捻りながらも、ラルヴンク少将に振り向いた。 「司令。魔道士官の話によりますと、どうも、敵艦隊には戦艦らしき艦はおらんようですな。」 「何?戦艦がおらんだと?ベグゲギュスの報告では、敵艦隊には、戦艦らしき艦が2隻含まれているとあったぞ。」 「おかしいですな。」 ラルヴングと主任参謀は、共に怪訝な表情を浮かべた。 「もしかして、ベグゲギュスの報告に誤りがあったのでは?」 「……それも考えられない事は無いが。それにしてはおかしい。敵は、あの秘密施設の場所を突き止めているのであれば、当然、秘密施設を 守っている第9要塞旅団の存在も知っている筈。第9要塞旅団は、戦艦並みの重砲も揃えている。それなのに、巡洋艦主体の艦隊で突っ込んで 来る事は、自殺行為に等しい。敵は必ず、戦艦を従えている筈だが……」 「ですが、もし、敵が戦艦を連れていた場合。我々はとっくに、敵から砲撃を受けている筈です。現在、我々と敵との距離は既に6ゼルドを 切っています。敵に戦艦が居れば、7ゼルドを切る辺りで主砲を撃ってもおかしくありません。なのに、敵からの砲撃が無いという事は、 敵が戦艦を伴っていないという証拠になりませんか?」 主任参謀の言葉を聞いたラルヴングは、確かにそうだと思った。 「主任参謀の言う通りだな。となると、ベグゲギュスの報告はやはり、誤報と言う事になる。ならば、敵戦艦の大口径砲弾に怯える必要は無いな。」 ラルヴングはニヤリと笑い、即座に命令を発した。 「全艦に通達。これより、敵艦隊を迎撃する!相手は我々と同じ巡洋艦だ!モンメロ沖の雪辱を果たせ!各艦、速力15リンルに上げ!」 彼の指示が、魔法通信で艦隊全艦に伝わり、旗艦を始めとする14隻の艦が、28ノットから30ノットに増速する。 程なくして、全艦が30ノットの速力で海上を驀進し始めた。 第2艦隊に所属する巡洋艦5隻の内、旗艦タリグモゴと2番艦イレドモド、3番艦シタヴコレバは、同じタリグモゴ級巡洋艦に属しており、 残りの2隻、リシュギとミーリンボゥはツポルグム級に属している。 この5隻の巡洋艦を主体とする第2艦隊が、マオンド海軍が有する唯一の海上打撃部隊である。 モンメロ沖海戦後、残存艦艇は敵機動部隊の艦載機にやられるか、潜水艦の餌食になる等して、急速に数を減らして行った。 11月現在では、マオンド海軍に残る巡洋艦は、新旧合わせて9隻しかなく、そのうち2隻は、未だに修理中という有様で、残り2隻は、 偽大型竜母1隻と小型竜母ミカルで編成された、“釣り餌”機動部隊の護衛艦として第1機動艦隊に配属されている。 困窮を極めるマオンド海軍の中で、唯一、第2艦隊だけは比較的新しい巡洋艦や駆逐艦が多く配属されており、戦闘力も高い。 確かにアメリカ海軍は強力無比ではあるが、同じ巡洋艦部隊ならば、今度こそはという者も相当数居た。 艦長が再び、魔道士に呼び出され、しばしの間会話を交わす。 「司令!敵艦隊が面舵に変針しました!どうやら、我々を避けようとしているようです。」 「ほほう、この期に及んで、我々との戦いを避けようとするか。となると、敵は相当慌てていると見える。」 ラルヴングは、小声でそう呟いてから、新たな指示を下す。 「艦隊進路変更!取り舵一杯!」 「針路変更、取り舵一杯!」 彼の命令を聞いた艦長が、すかさず航海長に命令を送る。 やがて、タリグモゴの艦体が左に回頭を始めた。 タリグモゴに習って、後続の艦も次々と回頭する。 「この先は絶対に通さんぞ。覚悟しろ、アメリカ人!」 第72任務部隊第4任務群の2番艦として、旗艦ドーセットシャーの後を追う重巡洋艦ロサンゼルスの艦橋で、艦長のシア・ローランド大佐は、 CICからの報告を聞くなり、敵がこちらの策に嵌った事を確認した。 「敵はうまく食い付いて来たようだな。」 ローランド艦長は、単調な口ぶりで呟いてから、脳裏に各隊の位置を思い浮かべた。 砲撃部隊は、夕刻前の午後4時頃に機動部隊から抽出した艦艇で編成され、一路、目標であるソドルゲルグに向かった。 砲撃部隊は、急遽編成された第72任務部隊第4任務群と、第74任務部隊第5任務群に別れている。 TG72.4は、巡洋艦ドーセットシャーに座乗するヘンリー・ハーウッド少将が指揮を取り、本隊であるTG72.5の10マイル前方を、 前衛部隊として28ノットのスピードで航行していた。 ジェイムス・サマービル中将が直率するTG72.5は、現在、TG72.4の南10マイル付近を航行中である。 TG72.4は、重巡洋艦ドーセットシャー、ロサンゼルス、ロチェスター、ウィチタ、駆逐艦8隻から成り、 TG72.5は戦艦プリンス・オブ・ウェールズ、巡洋戦艦レナウン、軽巡洋艦ケニア、ナイジェリア、セント・ルイス、マイアミ、駆逐艦10隻で 編成されている。 今回の作戦は、まず、夜間攻撃隊がダムを雷撃し、破壊した後、砲撃部隊が現地に接近する。 その際、前衛部隊が本隊の前方に進出し、敵艦隊の有無を確認、敵艦隊が居た場合はこれを釣り上げて捕捉撃滅し、居なかった場合は単独で 沿岸部に接近し、敵の要塞砲と短時間交戦した後に引き上げる。 その後、前衛部隊より敵の要塞砲の大まかな位置を知らされた本隊は、要塞砲を制圧しながら極秘施設に艦砲射撃を加え、これを完膚なきまでに破壊する。 これが、今回の作戦のおおまなか流れである。 作戦の第1段階であるダムの破壊は成功している。次は、前衛部隊の出番である。 「旗艦より通信。ロサンゼルス目標、敵2番艦!」 「敵2番艦か。」 ローランド艦長がそう呟いた直後、敵艦隊から発砲炎と思しき閃光が煌めいた。 やや間を置いて、TG72.4の上空に照明弾が炸裂し、赤紫色の光が艦を照らし出した。 「照明弾か。今度は実弾をぶっ放して来るな。」 ローランドは小声で呟きつつ、艦内電話でCICに居る砲術長に指示を送る。 「砲術長!本艦の目標は敵2番艦だ!」 「アイ・サー!」 砲術長は威勢の良い声でローランドに返した後、すぐに受話器を置いた。 左舷側に指向されている9門の8インチ砲が、目標である敵2番艦に向け直される。 CICのレーダーでは、敵艦隊がくっきりと映し出され、砲術長は、PPIスコープに移る敵2番艦を見据えつつ、各砲塔に細かい指示を伝えていく。 唐突に、敵艦隊で動きがみられた。 巡洋艦群に後続していた敵駆逐艦が隊列から離脱し、30ノット以上の高速力で米艦隊に向かって来る。 「味方駆逐隊、隊列より離脱します!」 すぐさま、TG72.4からも、迎撃のため、8隻の駆逐艦が敵駆逐艦部隊に向かう。 ローランド艦長が砲術長に命令を下してから丁度1分が経った時、砲術長より連絡が入った。 「艦長。砲撃準備完了!いつでも撃てます!」 ローランドは、それに返事を送ろうとした。その時、見張り員から報告が飛び込んで来た。 「敵艦隊発砲!」 その言葉を聞いたローランドは、内心舌打ちをした。 (先手を取られたか。) 彼は心中でそう呟く。先頭を航行している旗艦ドーセットシャーが発砲を開始した。 「砲術長。目標、敵2番艦。撃ち方始め!」 「アイ・サー!」 ローランドの指示を受け取った砲術長は、即座に砲撃始めの号令を発した。 その直後、ロサンゼルスの主砲から、3発の8インチ砲弾が放たれた。 最初は、各砲塔の砲1門ずつのみで行う交互撃ち方からである。 ロサンゼルスの艦橋で見張りに付いている黒人兵のニッキー・ヒルトン1等水兵は、ロサンゼルスが第1射を放った後、 上空から敵弾の物と思しき飛翔音が聞こえている事に気付いた。 飛翔音が極大に達した時、ヒルトン1等水兵は咄嗟に、張り出し通路の防盾に身を隠した。 音はロサンゼルスの真上を通り過ぎた、と見るや、反対の右舷側海面に落下して、水柱を噴き上げた。 「ふぅ、外れてくれたか。」 ヒルトン1等水兵は、いかつい顔をひょっこりと出してから、そう呟く。 すぐに体を起こして、見張りの任に戻る。 ロサンゼルスが第2射を放った時、敵艦隊の方角からも発砲炎と思しき閃光が煌めいた。 程なくして、再び砲弾の飛翔音が響いて来た。 「う、また来た!」 ヒルトンは、今度ばかりは隠れてなるまいと思い、足を踏ん張った。 砲弾はロサンゼルスを飛び越える事無く、ロサンゼルスの左舷側海面に着弾した。 ロサンゼルスが第3射を放った。 8インチ砲の放つ轟音が、夜の海上を圧し、左舷側海面がにわかに明るくなる。 敵巡洋艦も砲撃を行うが、この第3射も、敵艦の艦体に命中する事は無く、敵艦の砲弾も再びロサンゼルスを越え、虚しく水柱を上げるだけに留まった。 しばらくの間、敵2番艦もロサンゼルスも空振りを続けた。 ロサンゼルスが第8射目を放った時、敵艦隊の方角で発砲炎とは異なる光が見えた。 光はすぐに消えたが、その代わりに、おぼろげながらも、オレンジ色の淡い火が灯った。 オレンジ色の火は、いつまでたっても消える事は無かった。 「ドッセットシャー、敵1番艦に命中弾を与えた模様!」 ヒルトンは、艦橋にそう報告する。 その直後、敵弾がロサンゼルスに落下して来た。 敵弾は、左舷側海面に至近弾として落下し、水柱が噴き上がる。 その水柱は、ロサンゼルスの艦体に降りかかり、大量の海水が左舷側甲板に流れ落ちる。 「うわっ!濡れるっ!!」 海水の飛沫を浴びたヒルトンは、素っ頓狂な声で叫びながら、両手で海水を振り払う。 「畜生、マイリーの奴らめ!俺を濡れ鼠にするつもりだな!」 彼は、自分を濡れさせようとした敵2番艦に対して、恨み節を言い放つ。 敵艦隊は、主砲弾を放ちながら、定期的に照明弾を打ち上げて、米艦隊の姿を捉え続ける。 最初は幾らか雑に思えた砲撃の精度も、徐々に良くなりつつあった。 そんな中、旗艦ドーセットシャーが最初に、敵に痛手を負わせたが、残りの3隻の重巡は、命中弾どころか、狭叉弾すら与えていない。 「ちっとも当たりやしねえな。交戦距離がまだ17000メートル以上もあるから、仕方ないと言えば仕方ないかも知れんが。」 ヒルトンはぼそりと呟きながら、もう少し早く、距離を縮めれば良いのにと思った。 砲撃戦は、常に照明弾を打ち上げて敵情を確かめる必要があるマオンド軍に対して、レーダーが使えるアメリカ側にやや有利な形で推移しているが、 砲戦距離が未だに17000メートルと開きがあるのが災いしてか、米側の成績はあまり芳しくは無い。 一応、彼我の距離は徐々に縮まっており、砲撃精度もこれから良くなる筈であるが…… 「もう少し、テンポ良く行きたいもんだな。」 ヒルトンは、小声でそう呟いた。その時、またもや敵艦隊の方角で命中と思しき光が灯った。 光の位置は、重巡ウィチタが撃ち合っている敵4番艦の辺りだ。 砲弾命中の光の後、ひときわ大きな閃光が敵艦隊の辺りから煌めき、その後、敵1番艦が生じた火災よりも、明らかに大きい火災が敵巡洋艦の艦体で 発生していた。 (あれは、砲塔か可燃物の収納庫か……そういったような場所に当たったような火だ。なかなか、いい場所を撃ち抜いたのかも知れんな) ウィチタが得たラッキーショットを、ヒルトンは羨ましく思いつつも、艦橋に報告を送る。 「ウィチタ、敵4番艦に命中弾を与えた模様!」 報告を終えた直後に、ロサンゼルスが第9射を放った。 轟音と震動と共に、3発の砲弾が砲身から撃ち出され、敵艦目掛けて飛んで行く。 敵2番艦からも発砲炎が灯るが、そのすぐ後に、第9射が敵艦の周囲に落下した。 ヒルトンは、敵2番艦の艦体に、砲弾が命中した時の閃光が発せられたのを、確かに見た。 「命中!命中です!!」 ヒルトンは、思わず感激にしながらも、上ずった声音で報告を伝えた。 ロサンゼルスは、今回が初めての水上砲戦となる。 先のモンメロ沖海戦では、ベグゲギュスの攻撃を受けて中破し、決戦を前にして戦線を離脱せざるを得なかったが、今回の作戦は、 その時の雪辱を晴らす絶好の機会であった。 そのロサンゼルスは、ようやく、自らの主砲弾を敵艦に叩き付ける事が出来た。 「おっと、ここで興奮している場合じゃねえ。戦いはこれからなんだ。落ち着け、自分!」 ヒルトンは、そう呟きながら興奮を無理やり押さえ、再び敵2番艦に視線を送り続ける。 その時、敵2番艦から放たれた砲弾が、ロサンゼルスに降り注いで来た。 砲弾の飛翔音が極大に達したと思いきや、唐突に、2度の異音がロサンゼルスの艦体に伝わった。 「む、この振動は……!」 ローランドは、艦橋内で揺れに耐えながらも、ロサンゼルスの艦体に何かが起きた事を悟った。 「本艦左舷中央部舷側と後部甲板に命中弾!中央部の被害は軽微!後部甲板からは火災が発生しました!」 「ダメコン班!至急後部甲板の被弾個所に向かえ!」 ローランドはすかさず、艦内電話でダメージコントロール班に指示を飛ばす。 「しかし、こっちがやっとで1発叩き込んだのに、あっちは2発も撃ち込んで来やがった。敵巡洋艦は、砲の数からしてタリグモゴ級。 ボルチモア級重巡として就役したロサンゼルスと同じく、新鋭艦の部類に入る。相手も7インチ相当の砲戦力だから、性能的には対して差は無い。」 (ぶち当てた砲弾の数で判断すれば、相手の艦長の方が、俺よりも腕が良い、てことになるかも知れんな) ローランドは、言葉の最後の部分は心中で呟く。 「しかし、舷側に砲弾が当たったといのに、損傷軽微で済むとは……流石は新鋭艦だ。条約型巡洋艦と違って、いい防御力を持っている。」 ロサンゼルスは、ボルチモア級重巡洋艦の8番艦として竣工している。 ボルチモア級重巡は、米海軍では初の条約明け後に設計、建造された艦であり、艦体には条約型重巡ではほぼ成し得なかった防御力の強化が ふんだんに行われている。 この結果、防御力は条約型重巡と比べて格段に向上し、基準排水量が条約型重巡よりも大きい13600トンに増大した。 敵巡洋艦が命中した舷側の装甲には152ミリの装甲板が張られており、装甲は見事にその役割を果たしたのである。 「あちらの腕前が、俺よりも良いかもしれんが、こっちは防御には自信があるんだ。その腕前の差、すぐに埋めさせて貰うぞ。」 ローランドは誰にも聞こえぬような小声で呟く。 直後、ロサンゼルスが最初の第1斉射を放った。 55口径8インチ砲9門が放つ斉射音はなかなかに凄まじく、ローランドは空気の塊で体を殴られたかのような振動を感じた。 ロサンゼルスの斉射弾が降り注ぐ前に、敵2番艦も発砲する。 敵2番艦の発砲炎は、これまでのよりも明らかに大きい。 (敵さんも斉射弾を放ったな) ローランドはそう確信した。 飛来して来る砲弾の数からして、敵2番艦も、ロサンゼルスと同様に交互撃ち方を行っていた事は分かっている。 敵2番艦の艦長は、命中弾が出た事で精度は良いと判断し、斉射に移ったのであろう。 第1斉射弾が敵2番艦に降り注いだ。 この時、敵1番艦はドーセットシャーとの撃ち合いで艦のあちこちから火災を発していたため、その火が、おぼろげながらも、敵2番艦の姿を 映し出していた。 蜃気楼のような敵2番艦の姿が、一瞬だけ、幾つもの細長い黒い塊に覆われて見えなくなる。 細長い黒い塊の正体は、ロサンゼルスが放った第1斉射弾が着弾した事によって生じた水柱である。 ローランドは、林立した水柱の中に、命中弾と思しき閃光をはっきりと確認する事が出来た。 「よし、1発は命中したな。」 彼は小声で呟いた。 その刹那、砲弾の飛翔音が聞こえたかと思うと、金属的な叫喚が鳴り響き、ロサンゼルスの艦体が一際激しく揺れた。 「ぐっ、あっちも当てて来たか!」 ローランドは、振動に耐えながら、半ば感嘆した口調で呟く。 「艦長!左舷1番両用砲に直撃弾!両用砲座は全壊!被弾個所から火災発生!」 艦橋に見張り員の声が飛び込んで来る。 「こちら艦長!左舷1番両用砲に命中弾だ!すぐに対処に当たれ!」 ローランドは、艦内電話でダメージコントロール班に指示を飛ばす。 最初の第1斉射を放ってから15秒後に、ロサンゼルスが第2斉射を放つ。その直後、敵2番艦も第2斉射を放った。 (敵2番艦の奴、先の斉射から12、3秒しか経っていないのに砲を撃ちやがった。タリグモゴ級は、ボルチモア級よりも発射間隔が 短いようだ。となると、純粋な打ち合いではこちらがやや不利ってことか) ローランドは、心中で状況を確認する。 「ドーセットシャー被弾!後部砲塔1基、使用不能の模様!」 見張りが新たな報告を知らせて来る。 旗艦ドーセットシャーは、敵1番艦と撃ち合いを演じていたが、それまでは、技量が勝るドッセットシャーが敵に打ち勝っていた。 が、ここにきて敵1番艦の射撃精度も向上しており、ついにドーセットシャーに命中弾を与えた。 敵1番艦の射弾はドーセットシャーの第3砲塔を粉砕し、砲戦力の25%を奪ってしまった。 敵1番艦は、ドーセットシャーに散々叩かれていた物の、主砲は1門も破壊される事は無く、全て健在であった。 「敵もやるな。」 ローランドはぼそりと呟いた。その直後、敵の第2斉射弾が降り注いで来た。 またもや艦体に異音が鳴り響き、ロサンゼルスの13600トンの体が揺さぶられる。 「左舷中央部に命中弾!40ミリ機銃座2基破損!」 「後部甲板に命中弾!火災、更に広がります!」 ローランドは、その被害報告に素早く答えながらも、目は敵2番艦を捉え続けていた。 その敵2番艦に、ロサンゼルスの斉射弾が降り注いだ。 敵2番艦が、先程と同様に艦の周囲を至近弾で覆われる。その中で、命中弾と思しき閃光が灯る。 閃光は、中央部と後部辺りから煌めき、特に後部付近からは、一際激しい閃光が灯り、微かながら、細長い破片のような物が吹き飛んで行く様子も見て取れた。 ロサンゼルスの第2斉射弾は、少なめに見積もっても、2発が敵2番艦の艦体を捉えていた。 「敵2番艦にも火災が発生したか。」 ローランドは、敵2番艦の中央部と後部に生じた火災炎を見つめる。 (特に後部付近の火災が激しいな……あの位置は、敵の第3砲塔がある辺りだ。もしかして……) ロサンゼルスが第3斉射を放つ前に、敵2番艦が第3斉射を放って来た。 その時、後部付近からは発砲炎と思しき物は、全く無かった。 (やはり……第2斉射弾は、上手い具合に砲塔を叩き潰したようだ) ローランドは、やや満足げな表情を浮かべた。 ロサンゼルスが第3斉射弾を撃ち放った直後、敵の第2斉射弾が降り注いで来た。 周囲に砲弾が落下し、水中爆発の衝撃がひっきりなしに、ロサンゼルスの艦体を叩く。 艦橋のスリッドガラスの前でピカッと、白い閃光が放たれたと思いきや、強烈な爆裂音が鳴り響き、破片と思しき物が多数艦橋に当たり、 艦橋内にはスコールが降り注いだような音が響いた。 「艦首甲板に被弾!錨鎖庫付近に火災発生!」 「見張り員1名負傷!衛生兵を呼びます。」 2つの報告が、ほぼ同時に艦橋に飛び込んで来た。 敵の第3斉射弾は、1発がロサンゼルスの艦首甲板に命中した。 18センチ口径の砲弾は、薄い艦首甲板を突き破って左舷側錨鎖庫に達し、そこで炸裂。 爆発エネルギーは左舷側艦首部分をざっくりと引き裂き、爆風が錨を海中にはたき落とした。 爆発の際の破片は、被弾個所から後方にある第1、第2砲塔や、艦橋部に流れ込み、破片を食らった見張り員1人がその場に倒れた。 「レーダーに異常は無いか!?」 ローランドは、真っ先にレーダー機器の方を心配し、CICにすかさず確認を取る。 「こちらCIC!今の所、レーダー機器に異常はありません!」 「了解。」 ローランドは冷静に答えつつ、内心ではホッとしていた。 レーダー機器は防備が施されていない分、被弾には非常に弱く、破片をもろに受ければレーダー機器が丸ごと全損という事もあり得る。 現に、過去の戦闘では、レーダー機器を失ったため、戦闘行動が行えなくなったという艦もおり、ローランドはレーダー類がいつ 使えなくなるか、気が気でなかった。 (今の所、電波の目は使えるな) ローランドは心中でそう呟いた。 ロサンゼルスの第3斉射弾が敵2番艦に着弾する。 敵2番艦の周囲に三度、水柱が林立する。その中に、命中の閃光が煌めいた。 閃光は、前、中、後部と、ほぼ均等の位置に灯った。 (前部にも命中したか。もしかしたら、また砲塔を潰したかも知れんな) ローランドは、命中弾の位置から、敵の前部砲塔を潰したかと思った。 しかし、彼の予想はすぐに外れと分かった。 敵2番艦が第4斉射を放った。光量は、先程とほぼ同じである。 「うぬ……いらん期待をしてしまったか」 彼は、淡い期待を抱いた自分を恥じながらも、敵2番艦から目を離さず、監視を続ける。 敵2番艦が第4斉射を放った5秒後に、ロサンゼルスも第4斉射を放つ。 それから間を置かぬ内に、敵2番艦の射弾がロサンゼルスに殺到して来た。 異音が2度、ロサンゼルスに鳴り響く。異音は艦橋の後ろ側と、前の方から聞こえてきた。 「左舷2番両用砲損傷!火災発生!」 「第1砲塔に命中弾!されど、損害なし!」 この2つの報告が、前後して艦橋に届けられた時、ローランドは一瞬、複雑な表情を浮かべた。 (流石は新鋭巡洋艦だ。砲塔部の守りは固い……だが、一方で左舷側に向けられる両用砲は、先の被弾で半減してしまった。これはちと痛いぞ。) ローランドは、ボルチモア級独特の重防御さに感心する半面、向けられる砲が減った事にやや落胆する。 ボルチモア級重巡は、クリーブランド級軽巡と同じように、舷側に2基の38口径連装両用砲を装備している。 艦首前部、並びに、後部の軸線上に配置されている連装両用砲も合わせれば、片舷に対して計8門の5インチ砲を向けられる事が出来るのだが、 敵巡洋艦は、舷側の両用砲座を悉く粉砕している。 この結果、ロサンゼルスは、左舷側に向けられる砲戦力が減ってしまった。 両用砲の口径は5インチと、艦砲にしては小さい部類であるが、発射速度は良好であり、5インチ砲も交えた全力射撃は、敵に対して間談の無い 砲撃を浴びせる事が可能であり、これによって、敵に与えられるダメージも無視できない。 それが出来なくなるのは、地味に痛かった。 敵2番艦が第5斉射を放つ。 ロサンゼルスも、お返しだと言わんばかりに、第5斉射を放った。 着弾は敵2番艦の斉射弾の方が早かった。 またもや、艦の前方で異音が鳴り響く。先とほぼ同様な衝撃が艦に伝わり、ローランド以下の艦橋職員は、足を踏ん張って揺れに耐えた。 ロサンゼルスが斉射を放った2秒後に、敵2番艦は第6斉射を撃ち放った。 その返礼に、ロサンゼルスは第6斉射を放つが、この時、ローランドは自分の艦に異変が起きている事に気付いた。 「……第2砲塔が沈黙している。まさか……!」 その時、艦内電話が鳴り響いた。 「こちら艦長!」 「砲術長です!第2砲塔が被弾で砲撃不能に陥りました!」 「やはりか……砲員の安否は?」 「砲台長とその他2名が衝撃で重傷を負い、3名が軽傷です。第2砲塔からの報告では、砲の装填装置が故障した他、砲身に歪みが生じているようです。 敵の砲弾はどうやら、砲塔の真正面から当たったようです。」 「……了解。引き続き、残る主砲で砲撃を続行しろ。」 ローランドは、冷静な口調で砲術長に命じ、電話を置いた。 (クッ……これで使える砲塔は、互いに6門のみ、か。悔しいが、本当にいい腕だ。お前達もやってくれるじゃないか) 彼は、心中で敵2番艦にそう語りかけた。 ロサンゼルスの第6斉射弾は、敵2番艦の後部甲板に命中した。 砲弾が、破壊された第3砲塔を粉砕し、敵2番艦の火災をより一層拡大させる。 「敵2番艦の火災、更に大きくなります!」 見張りの絶叫めいた報告が聞こえて来るが、敵2番艦がそれに刺激されたかのように、第7斉射を放って来る。 ロサンゼルスは、それから12秒後に斉射弾を放つ。 敵弾が降り注ぐ前に、敵2番艦は更に第8斉射を放った。 「くそ、発射速度が勝っている方と戦うと、あまり良い気持ちにはなれんな。ブルックリン級やクリーブランド級と戦った敵の艦長の気持ちが、 少しは分かった気がするな。」 ローランドは、呻くような口調でそう呟く。 その直後、新たな砲弾がロサンゼルスに突き刺さった。 艦橋に、異音が3度伝わって来た。 今度の振動は、これまでの物と比べても大きく、聞こえて来る音も、どこか激しさが感じられた。 (何かが派手に壊れる音がしたな) ローランドが心中で思った時、艦内電話がけたたましく鳴り響いた。 「こちら艦長!」 「こちらダメコン班です!敵弾は左舷側中央部と後部甲板に命中!中央部は更に機銃座が破壊され、火災が延焼。後部甲板では水上機収容クレーンと カタパルトが破損しました!」 「了解。引き続き、任務に当たれ。」 ローランドは、素っ気なさを感じさせる声音で返してから、受話器を置いた。 (カタパルトとクレーンがやられたか。これで、水上機は使えなくなったな) 敵弾は3発中、1発が中央部命中し、2発が後部甲板端にある水上機収容クレーンとカタパルトに命中した。 中央部に命中した砲弾は、更に20ミリ機銃2丁と40ミリ機銃座2基を吹き飛ばし、左舷側の対空火力を更に減らした。 クレーンとカタパルトは、砲弾炸裂によって夥しく破壊され、クレーンはお辞儀をするように後部甲板に倒れ込み、カタパルトは2本ある内の1本が くの字に折れ曲がり、もう1本は設置部分が根こそぎにされて、中央から後ろ、約3分の1の部分がやや浮いたようになっていた。 ロサンゼルスの第7斉射弾が敵2番艦に降り注いだ。 6発中、1発が敵の艦首甲板に命中し、火災炎を上げた。 ロサンゼルスが第8斉射弾を放つ前に、敵の斉射弾が着弾する。 2発がロサンゼルスの艦体を叩いた。 「後部両用砲に被弾!両用砲損傷!」 「後部艦橋にも命中弾!死傷者が出ています!」 その報告が艦橋に届いた直後、ロサンゼルスが負けじとばかりに、第8斉射を放つ。 その時、敵艦隊の後方で派手な爆発が起こった。 ローランドはすかさず、敵4番艦に視線を移す。敵4番艦が居ると思しき位置から、火柱が天を衝かんばかりに噴き上がっている。 敵4番艦は、後部部分から大爆発を起こしていた。位置からして、何らかの原因で、主砲弾薬庫の誘爆が引き起こされたのであろう。 その原因が何であるかは、容易に想像が付いた。 「ウィチタ、敵4番艦に致命弾を与えた模様!」 「ウィチタか……流石は、大西洋艦隊随一の重巡だ。」 ローランドは、敵4番艦を大破炎上させたウィチタの腕前に感心した。 ロサンゼルスの第8斉射弾が降り注ぐ直前、敵2番艦が第10斉射を放つ。 その直後、敵2番艦に第8斉射弾が殺到し、敵艦の周囲に水柱が立ちあがり、命中弾の閃光が煌めく。 この時、彼我の距離は15000メートル以下に縮まっているため、砲戦開始当初と比べて、敵の状況が確認し易くなっている。 敵2番艦の後部艦橋と思しき場所に命中弾の閃光が煌めき、何かの破片と思しき物が空高く舞い上がる。 その直後、マストらしき物が崩れ落ちて行くのが確認できた。 ロサンゼルスが与えた命中弾はこの1発だけであった。 敵2番艦の第10斉射弾が、ロサンゼルス目掛けて殺到して来る。 ロサンゼルスは、敵弾が降り注ぐ前に第9斉射弾を放つ。その直後、敵弾がロサンゼルスの艦体を叩いた。 敵弾は2発が、ロサンゼルスに命中した。 砲弾は艦首甲板と後部甲板に突き刺さった。 艦首甲板に突き刺さった砲弾は、損傷した錨鎖庫に飛び込み、爆発によって右舷側の錨までもが海中にはたき落とされてしまった。 後部甲板に命中した砲弾は、先の被弾個所であるクレーンとカタパルトの近くに命中した。 砲弾は最上甲板を貫通し、格納庫に達してから炸裂した。 格納庫には、2機のOS2Uキングフィッシャーが、翼を折り畳んだ状態で保管されていたが、砲弾はこの2機を完璧に粉砕した他、 格納庫内にあった整備用の機械や工具類を目茶目茶に破壊し、格納庫を鉄屑集積所に変えてしまった。 「畜生!敵にも打撃を与えている筈なのに……こっちの方が、いいようにやられているような気がする!」 ローランドは、悔しげな口調で呟く。 ロサンゼルスに命中した砲弾は、既に17発を数えている。 それに対して、ロサンゼルスが敵に与えた砲弾は10発である。 成績は、明らかに敵の方が良い。 「早い内に勝負を決めねば、形成は不利になって行く。せめて、敵の砲塔をあと1基、使用不能にできれば……!」 ローランドは、第9斉射弾が敵の砲塔を、最低でも1基は潰してくれる事を願った。 ロサンゼルスの第9斉射弾が敵2番艦に降り注いだが、結果はローランドが期待した物とは、異なる物になった。 敵2番艦が水柱に覆われ、その中から2度、命中弾の閃光が煌めく。 命中弾は、後部と中央部の辺りであった。 残念だったなと嘲笑するかのように、敵2番艦が第11斉射を放った。 「クッ、やはり、思い通りにはならんか!」 ローランドは、自分の期待が外れた事に内心苛立ったが、それでも平静さを忘れまいと努力する。 敵2番艦の砲弾が降り注いで来た。 ロサンゼルスは、被弾前に第10斉射を放つ。その直後、これまでのよりも激しい衝撃がロサンゼルスを襲った。 今度ばかりは、ローランドも耐えきれず、床に転倒してしまった。 砲弾は、ロサンゼルスの艦橋真横の左舷甲板と後部甲板に命中した。 このため、衝撃がもろに艦橋に伝わり、艦橋職員は、全員が例外なく、床を這わせられる事になった。 「艦橋横の左舷側甲板、並びに後部第3砲塔横の甲板に命中弾!」 ダメコン班からの報告が艦橋に飛び込んでくる。その後に、CICからも報告が伝えられた。 「艦長!こちらCIC!先の被弾で、レーダーがブラックアウトしました!」 「何!?レーダーがブラックアウトだと!?」 ローランドは、とうとう恐れていたい事態が起きたかと確信したが、彼は被弾個所からどのレーダーがやられたかを推測した後、 すかさず、CICに聞き返した。 「どれだ?どのレーダーがやられた?」 「……破損したのは対空用のSKレーダーです!水上用のSGレーダーはまだ生きています!」 その返事を聞いたローランドは、僅かながらも安堵する事が出来た。 「OK。SGレーダーが生きていればまだ大丈夫だ。まだレーダー射撃は続けられる。引き続き、敵艦隊の監視を怠るな。」 「アイ・サー!」 ローランドは、受話器を置いた。 レーダー機器は、マスト1本に集中している訳ではなく、前部マストには対空用のSKレーダーを、後部マストには対水上用のSGレーダーを、 という具合に分散させてある。 ロサンゼルスは、先の被弾で前部マストにも被害が及んだが、幸いにして、破損したレーダー機器はSKレーダーのみで済んだのである。 もし、SGレーダーも前部マストに設置されていれば、今頃はレーダーの情報無しに光学照準射撃を行うハメになっていただろう。 ロサンゼルスが第11斉射を放つ。それと同時に、敵巡洋艦も第12斉射を放った。 彼我の放った砲弾が上空ですれ違い、互いの艦めがけて殺到して行く。 ロサンゼルスと敵2番艦の放った砲弾は、ほぼ同時に着弾した。 ロサンゼルスの後部と中央部に、それぞれ1発の砲弾が命中する。中央部に命中した砲弾は更に対空火器を粉砕して被害を拡大させていく。 後部に飛来した砲弾は、第3砲塔の天蓋に命中したが、砲塔を貫通する事が出来ず、その場で炸裂した。 ロサンゼルスの砲弾も敵2番艦に命中する。 今度は3発が敵2番艦に命中した。命中個所は、敵2番艦の右舷側舷側と艦橋の後ろ側と、敵艦の後部甲板である。 砲弾が命中した後、敵2番艦は前部部分と艦橋の後ろ側から黒煙を噴き上げた。 ロサンゼルスが第12斉射を放つ前に、敵2番艦が第13斉射を放つ。 それから3秒後に、ロサンゼルスが第12斉射を放った。 ロサンゼルスに敵弾が落下し、新たに左舷中央部舷側に1発、後部甲板に1発が命中する。 「中央部並びに後部甲板に被弾!火災、尚も拡大します!」 「クソ!こっちの方が、総合性能は上の筈なのに……!」 相次ぐ被弾によって、痛めつけられていく自艦を前にして、ローランドの心中には、焦りが芽生え始めていた。 ロサンゼルスの斉射弾が、敵2番艦に落下する。 今度は2発が敵2番艦に命中した。2発中1発は、奇しくも、先程命中した右舷側舷側の被弾個所に突き刺さり、喫水線下の傷口をより拡大させた。 もう1発は、敵の第2砲塔がある辺りに命中した。命中の瞬間、夥しい破片が噴き上がるのが確認出来た。 「よし!今度こそ、砲塔を潰したかも知れんぞ!」 ローランドは、声を弾ませながらそう確信する。敵2番艦が更に斉射を放ってくるが、発砲炎が明らかに小さかった。 「やったぞ!これで、残る主砲塔はあと1基だ!」 ローランドは興奮を抑えきれずにそう言い放った。 散々叩かれて来たロサンゼルスであるが、これで、ようやく優勢となった。 後は、残る砲塔を叩き潰して、勝ちを決めるだけだ。 ローランドは心中でそう決意した。 だが……彼の決意は、意外な形で空振りに終わる事となった。 敵2番艦の砲弾が落下してきたが、どういう訳か、砲弾は全て、ロサンゼルスの左舷側海面に着弾していた。 「ん?この期に及んで、砲弾を外すとは……何かあったのか?」 敵2番艦の突然の射撃精度低下に不審に思ったローランドは、双眼鏡で敵2番艦の様子を見ようとした。 そこに、見張りからの報告が耳に飛び込んで来た。 「敵2番艦、速力落としています!」 「何?」 首をかしげたローランドは、双眼鏡越しに敵2番艦を凝視した。 敵2番艦は、先程と比べて、急激に速力を落としつつある。それに加えて、敵2番艦は右舷側に傾斜していた。 それでも、敵2番艦は尚も砲撃を行って来た。 敵2番艦の斉射弾は、すぐにやって来たが、その砲弾は先程と同様、ロサンゼルスを飛び越える事すら叶わなかった。 「傾斜しているせいで、艦のトリムが狂い、それが射撃精度の低下に繋がったのか…… あの傾斜の仕方からして、喫水線下の被弾個所に相当の海水が流れ込んでいるのかも知れんな。」 ローランドは、敵艦の状況をそう分析した。 「敵1番艦、沈黙。」 見張りから新たな報告が入る。ローランドは、視線を敵2番艦から敵1番艦に移す。 敵1番艦は、艦の各所から火災を起こし、急速に速度を下げつつある。 ドッセットシャーは、敵1番艦から15発の命中弾を受け、第3砲塔と第2砲塔を使用不能にされたが、逆に23発の命中弾を浴びせて 敵1番艦を戦闘不能に陥れていた。 ローランドは、視線を敵1番艦から、再び敵2番艦に向け直す。 敵2番艦もまた、敵1番艦と負けず劣らず、艦の各所から火災を起こしている。 特に後部の火災は酷く、今にも後部艦橋が炎に飲み込まれそうになっている。 敵2番艦の第1砲塔からは、もはや、発砲炎が煌めく事は無い。 敵2番艦の状態から見て、戦闘能力を失った事は、誰の目から見ても明らかであった。 それから10分後。最後の敵巡洋艦が、ドーセットシャー、ロサンゼルス、ロチェスターの前に屈した。 「撃ち方やめ。」 ローランドは、最後の斉射が行われた直後に、砲術長にそう命じた。 最後の敵巡洋艦は、3隻の重巡に滅多打ちにされた影響で、全艦火達磨となっている。 この敵巡洋艦が、じきに水面の底に導かれる事は容易に想像が付いた。 「しかし……俺のロサンゼルスに関しては、新鋭重巡ゆえの、防御のお陰で勝ったようなもんだな。これが、やや古いタイプの重巡…… ニューオーリンズ級とかの重巡だったら、今頃どうなっていた事やら……」 ローランドはそう呟きながら、ロサンゼルスがボルチモア級重巡の1隻として生まれた事を、深く感謝した。 ロサンゼルスは、敵巡洋艦に21発の砲弾を叩き込まれている。 それに対して、ロサンゼルスは敵に16発を命中させた。 砲の口径から見れば、ロサンゼルスの方が、敵に与えたダメージは大きい事になるが、射撃に関しての成績を見れば、明らかに敵巡洋艦の方が 上だと言う事が分かる。 もし、ロサンゼルスに重防御と言う加護が無ければ……そして、敵巡洋艦に与えた砲弾の当たりどころが、敵にとって良い物となっていたら、 戦闘不能に陥れられたのは、ロサンゼルスであっただろう。 「この船を設計してくれた技師に感謝しなくてはな。」 ローランドはそう言った後、今度こそ、心の底から安堵する事が出来た。 午後10時 ソドルゲルグ沖南西17マイル地点 臨時にTG72.5を率いている、第72任務部隊司令官ジェイムス・サマービル中将は、通信将校から報告を聞いていた。 「前衛部隊は、先の戦闘で駆逐艦2隻沈没、重巡ウィチタ大破、駆逐艦2隻大破、重巡ドーセットシャー、ロサンゼルス、ロチェスター中破、 駆逐艦3隻中小破の損害を受けましたが、敵巡洋艦2隻撃沈確実、3隻撃破。駆逐艦4隻撃沈確実、5隻撃破の戦果を与え、敵艦隊を打ち破る 事に成功しています。」 「前衛部隊は、本当にご苦労だったな。」 サマービルはそう言ってから、先程から抱いていた懸念を、参謀長のシャンク・リーガン少将に話した。 「しかし、前衛部隊の殆どの艦が損傷を受けたとなっては、敵の要塞陣地に対する威力偵察は、控えた方が良いかもしれんな。」 「司令官の言う通りです。」 リーガン少将は頷いた。 「TG72.4は、戦闘開始前と比べて戦力の低下が激しいですからな。ここは、退かせてやるのが得策かと、思われます。」 「……参謀長、実を言いますと、TG72.4司令部からの報告には続きがあります。」 「続きだと?」 「はい。」 通信将校は頷くなり、持っていた紙片の内容を読み始めた。 「我、これより、敵要塞陣地の威力偵察を行う。敵陣地の情報は、必ずや、貴艦にもたらす物なり……であります。」 「な……馬鹿な!」 リーガン参謀長が驚いたように叫んだ。 「司令官!TG72.4は、敵艦隊との交戦でボロボロです。それ以前に、敵の極秘施設には、戦艦並みの威力を持つ要塞砲もあると言われています! TG72.4を突っ込ませるのは、余りにも無謀かと思われますが……」 「ふむ……君の言う通りだな。」 サマービルも、リーガンの言葉を聞いて、深く頷く。 「だが、参謀長。ハーウッドの部隊は、もう既に動き出しているだろう。今更戻れと命令しても、手遅れかもしれん。」 「し、しかし、司令官!」 「まぁ参謀長。少しは落ち着きたまえ。」 サマービルは、尚も食い下がるリーガン参謀長、諭すような言葉で制した。 「TG72.4の指揮官は、ラプラタ沖で活躍したあのハーウッドだぞ。奴は常に合理的で、危な気のない方法を考えてくれる。恐らく、今回も、 何か考えがあって、ボロボロになった艦隊を敢えて前進させたのだろう。」 「考え……ですか。」 リーガン少将は、尚も納得しがたいといわんばかりに、渋面を張り付かせる。 この時、上空に航空機の物と思しき爆音が通り過ぎていく事に、彼は気付いた。 その爆音は、南から北に向かって行った。 「……なるほど、そう言う事ですか。」 リーガンが納得すると、サマービルは人を食ったような笑みを浮かべた。 「だから言っただろう。ハーウッドは、常に良い考えを持っていると。」
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506: トゥ!ヘァ! :2017/01/22(日) 11 46 13 大陸seed アナザーストーリー その6 攻勢 さて、前回宇宙に上げていたGシリーズをザフトにまんまと奪われた大西洋連邦は連合の各国からはもうこれでもかというほど冷ややかな目線を向けられた。 その目線の中には幾分以上の同情も混ざっていたが。 これが既に配備されている機体や旧式機ならまだしも、大西洋連邦の威信をかけて開発した新型だということが今回の風聞の悪さを助長した。 このため国内外において国と軍の信用が紐なしバンジー状態に突入。 軍の人事においても主に警備と奪還を担当していた宇宙軍の高級将官の多くが更迭されることとなり、代わりにそのポストへは今まで非主流派だった人物や穏健派ブルーコスモスシンパなどが入り込み穴を埋めることとなった。 一方そのころ地上では大西洋連邦の陸海空軍が全力を持って南米攻略への準備を進めていた。 流石にこのままでは国の面子が丸潰れなので汚名返上のため本来二月半ば以降を予定していた攻勢時期を速め、1月の半ばも過ぎないうちから一国で南米の攻略に乗り出すという予定である。 国力や兵力といった点でも問題はない。 事実ミノフスキー式核融合炉が十分普及し始めている昨今ではむしろ電力という点では末に戦前規模と同等レベルであり、遠からず総電力量では戦前を超える見込みすら見えている。 そのため初期と違ったスムーズな戦力集結から同時並行での復興作業まで行われており、更に言えば今まで国内の救援と復興を優先していたため小競り合いばかりでストレスを貯めていた軍部にとってもこのたびの攻勢は望むところであり、士気旺盛であった。 無論この連合というより大西洋連邦の大々的な動きはザフト側も掴んでいたが如何せん南米戦線の戦力は昨年の決戦の際に少なくない数がアフリカ戦線へと取られてしまっており、更に言えばその決戦に敗れたためザフト地上軍全体で根本的な戦力が不足していた。 宇宙から援軍を期待しようとも、こちらも昨年の世界樹における決戦にて大敗を喫しておりまとまった数の援軍は期待できなかった。 結局のところ宇宙からは幾つかの新型装備と地上からは欧州戦線から少数の潜水艦部隊が送られてきただけであった。 地元の南アメリカ合衆国軍の戦力に関してはMSの解禁から今までの増産により数は揃っているがだからと言って勢力を取り戻した大西洋の数と比べれば心許ない。 しかも練度に関しては初期から教導を行ってきた部隊は一端の腕前を持つようになったが、戦争初期から活躍しているベテランのザフト兵から見れば大半はひよっこのままであり、更に言えばザフト自信に関手も南米方面軍は多くのベテランが先のアフリカ決戦のために引き抜かれており、総数としては実戦経験の少ない新米が多数。 一番救いがないのはそんな南米方面軍でも、宇宙・地上両方の一大決戦にザフトが敗れた今となっては最も熟練兵の数が多い軍団となってしまっているところである。 結局のところ現地の生産ラインにてMSやその他兵器の増産を行い、金銭を積み上げ傭兵を引き込み、南米・ザフト問わず新兵達を扱き上げるくらいしかできないと南米方面軍司令官や参謀たちを悩ませていたがそんな中でザフトの上層部から一報が届く。 それはもしもの時のためにアフリカへの脱出準備を進めておけという命令であった。 507: トゥ!ヘァ! :2017/01/22(日) 11 46 43 CE71年1月15日。 奇しくも原作でカオシュン攻撃が開始された日にちであった。 戦力の終結を済ました連合軍はパナマ基地を起点として南米への本格的な侵攻を開始。 これに対し微力ながらも戦力を増強させていたザフト南米方面軍とそれに共同する南アメリカ合衆国軍が迎撃。 ここに南米侵攻/防衛戦が開かれた。 連合軍(大西洋軍)は予備パーツを組みあげ数を増やしたGシリーズを中心にザニーやガンキャノンの改良タイプと鹵獲したザフトMSを効果的に運用し、電撃戦を仕掛けた。 ザフトはこれに対し、アンデス山脈まで後退し、事前に構築していた防衛陣地を展開。 頑強な山岳要塞を活かした防衛戦を行う。 またカリブ海の制海権さえ取られなければカリブ方面からの上陸攻撃を気にせずに済むためこの山脈防衛線は中々の頑強さを誇った。 カリブ海方面に関しては海上戦力では劣るが、水陸両用MSを始めとする水中部隊に関してはザフトも南米軍もこのために増産を続けてきたため纏まった数が揃っていたからだ。 いささかばかり練度には不安が残っているが、水中MSへの有効的な兵器が存在していない大西洋海軍相手には十分渡り合える算段である。 ザフト…というより南米の諜報網からの情報で大西洋連邦は未だ大洋のアクアジムのような水中に対応したMSを持っていないということがわかっていたためである。 このためザフト・南米の両司令官は数で劣れど負けるわけではないと心中の不安を押し殺しながらも部下の手前、表面上はこの防衛線に自信を持った発言をしていた。 しかし、そんなザフト陣営側へ思わぬ悲報が届く。 1月20日 ザフト水中艦隊半壊。南米合衆国海軍カリブ方面艦隊旗艦を含めた多数の艦船が撃沈または大破。同じく南米MS隊の敗退。 更に紅海の鯱ことマルコ・モラシムの弟であり、カリブ海の怪物の異名を持つザフトのエース、カルロ・モラシムの戦死。 最後にザフトと南米の艦隊を打ち破った大西洋によるベネズエラ方面への部隊上陸である。 これは単純なことで大西洋側も新型を投入したからである。 水中戦闘用のディープストライカーパックを装備したストライク4機とガンキャノンを改修したガンキャノン・アクア部隊の活躍とBUと大洋からもたらされた、アラビア海の戦いのデータをフィードバックした対潜部隊との連携によりザフトご自慢の水中部隊は壊滅したのである。 本来ならば数を活かせばどうにかなりそうなものであったが、隊長クラスや一部ベテランを除きザフトや南米のMS部隊の多くが新兵かそれに毛が生えた程度の腕前だったこと、連合のストライクの性能とそれに乗るパイロットたちの腕前が高すぎたこと、ガンキャノン・アクア部隊もMS新人とはいえ必要なだけの技量は揃っていたことが重なった結果である。 水中装備ストライクが優先して隊長と思しきベテラン勢を狩り、それにより指揮官を失った新兵達は拙い連携を断たれ各個撃破されてしまった。 無論ザフト・南米側のベテラン達も少数ながら奮戦したが、如何せん真っ先に狙ってくるストライクとの性能差によりゾノでは太刀打ちできず、撃破されていった。 カルロの乗るゾノ・ハイマニューバが単機で奮戦したものの結局は数に押され、最後は四方から魚雷を撃ち込まれ爆散した。 そして水中で負けたのならもとより数で劣っている水上艦隊の方でも勝てるはずもなく、ザフト・南米の水上艦隊はあえなく敗退。 これを第二次カリブ海海戦と称する。 508: トゥ!ヘァ! :2017/01/22(日) 11 47 14 ザフト・南米軍を退けた大西洋海軍はベネズエラ方面への上陸作戦を敢行。 無論ザフトや南米軍も航空戦力を差し向けこれの妨害に当たったが、大西洋の空母より発信した航空部隊により地上への攻撃を阻まれ中々上陸部隊へは効果的な攻撃を行えなかった。 ベネズエラに駐留していた少数の陸上部隊も攻撃を試みたが、主力をアンデス山脈要塞へ貼り付けていた状況では、数の差もあり上陸してきた部隊を留めることはできなかった。 これに対しザフト南米方面具司令官アロイス・クルーガー(ゾイド)は山岳要塞防衛線の放棄を決定。 防衛線をコロンビアからブラジルまで引き下げることとした。 これはパナマから侵攻してきた部隊とベネズエラに上陸した部隊に挟み撃ちにされることを避けるためである。 幾ら強固な山岳要塞といえば、挟み撃ちにされてしまってはそう長くは持たないからだ。 結局制海権を取られたことと山岳要塞線へと主戦力が出払っていたことからベネズエラの海外線一体は大西洋連邦の手に落ちた。 1月25日 ベネズエラに上陸した大西洋軍はトリニダード・トバゴを拠点化しながらもベネズエラを通りコロンビア方面へと殺到。 これに対し、ザフトはバクゥ部隊を中心として機動部隊による攪乱を仕掛け、その足を鈍らせる作戦に出る。 同時並行でパナマから攻め上げてきた大西洋の部隊も山岳要塞へ攻撃を繰り返し、ザフト軍の撤退の邪魔をした。 ザフト・南米軍においては撤退のための工作として要塞を爆破。 人為的な土砂崩れを起こし、それに巻き込まれた大西洋連邦軍は一時的にせよ戦力が削れ、指揮系統が混乱。 ベネズエラ方面の大西洋軍も地上における大規模なMS運用経験が少ないため、バクゥ部隊の動きに翻弄されその足が鈍ることとなる。 この隙にとザ・南両軍はペルー方面かブラジル方面へとその大多数が撤退に成功した。 MSの性能で負けていようとも運用においてはまだザフト側に一日の長があることを証明した。 なお錯乱作戦を仕掛けたバクゥ隊であるが、本体を撤退させる代わりに大西洋軍の執拗な追撃に晒され、ブラジル方面へと撤退する際にはその数を半減させることとなる。 この帰還できた半数の中には後にアフリカにて獣王の二つ名を持つこととなるバン・フライハイトとフィーネ・エレシーヌ両名のコンビが確認されている。 戦局はブラジルを中心とした地域へと移ることとなった。 509: トゥ!ヘァ! :2017/01/22(日) 11 48 02 2月4日 ブラジルの広大な熱帯雨林地帯(アマゾン)を中心にゲリラ戦を繰り広げるザ・南軍相手に大西洋連邦軍は苦戦を強いられていた。 全体的な戦況では大西洋軍優位ではあるが、地元に精通した南米軍の先導のもとザフト軍のMS隊がゲリラ的な攻撃を繰り返していたためである。 対するザフト・南米の両軍は大西洋の出血を強いりながらも、徐々に削られている自軍の戦力を鑑みて遅かれ早かれ敗北は免れないとの考えが強くなっていた。 中には勇ましいことを言い放つ者もいるが、その手の者たちすら内心ではそれが不可能なことが理解している状況である。 状況は膠着し、両軍ともに消耗戦となっているのが現状であった。 しかし、2月13日に自体は一変する。 奇しくも原作にて第二次ビクトリア攻略戦が起きた日。 業を煮やした大西洋連邦は前々から開発中であった量産機ストライクダガーを大々的に投入。 また同時並行で開発を進めていたダガーシリーズの各バリエーション機も大量投入し、新型機による状況の挽回を図った。 それと同時にコロンビア、ベネズエラ、ペルーなどの三方面からの一斉攻撃を開始。 ここにアマゾン大侵攻戦と称される戦いが幕を開けた。 もとより正面から大西洋を相手にする気がないザ・南両軍はゲリラ戦にてこれに対応。 G強奪事件の雪辱を晴らすことへ燃える大西洋軍は新型機の力もありながら犠牲を顧みずに進撃。 大西洋連邦軍はゲリラ一個中隊に攻撃されたと聞けばその周辺地域一帯を数個師団を用いて更地にする勢いで攻撃を加え、徹底的に殲滅するという数と火力の暴力に打って出た。 ビーム兵器を標準搭載してきた量産機やそのバリエーション機を前にザフト・南米両軍の部隊は立ちどころに戦力がすり減らされていくこととなる。 不意打ちならばともかく、真正面から相手にするにはビーム兵器搭載の量産機というのは非常に厄介である。 初戦から活躍したGシリーズも増産され、戦線へ投入。 PS装甲による実弾兵器の無力化、ビーム兵器標準搭載による高い火力、そして既存のどのMS(大洋は除く)よりも高い基礎性能とGシリーズの各機はザフト、南米の兵士からは死神の如く恐れられた。 そして、その気風からか連携を重視しない新兵が多いザ・南軍と違い、大西洋のMS乗りは新兵ながら相互における連携がよく訓練されており、同じ数と状況下でぶつかり合った場合は火力の差も合わせてザ・南軍の被害が目に見えて大きくなっていった。 このことから開戦当初のコーディネイターの身体能力と高度な連携能力を併せ持ったザフト兵の姿はこの時点で既に少数派となっていたことがわかる。 ここに至って大西洋の大攻勢を防ぎきれないと判断した現地のザフト南米方面軍、南米合衆国上層部は戦力を集めての大逆劇を仕掛け、その隙に部隊をアフリカへ脱出させる方針へと切り替えた。 ザフトからしてみれば前々から計画していたことであり、南米合衆国のクーデター派からすればこのままでは首吊りは避けられないため臥薪嘗胆とアフリカへ脱出する思惑が働いていた。 両者の意見は一致し、まだ戦線が保てているうちにと戦力と物資の終結を急いで進めることとなる。 2月22日 ザフト・南米軍による逆襲作戦「南米に吹く熱風」通称サンタナ作戦の開始である。 大西洋軍は突然の反転攻勢に混乱する部隊が続出。 戦力の増強と共に経験の少ない新兵が増えたという弱点がここになって響いてきたのである。 結果的にであるが、ザフト、南米の両軍は攻勢に転用した部隊のうち約1割を失うという損害と引き換えに僅かながらの時間を確保することに成功した。 これは奇襲の混乱によって打撃を与えたはいいが、Gシリーズを始めとするビーム兵器搭載MSによる反撃によって出た被害であった。 大西洋軍に至っては目に見える損害が出たものの指揮官であるレビル大将の指揮のもとで迅速な立て直しと後方からの援軍による補充にて一週間ほどで数的な戦力は回復することとなる。 ザフト・南米軍はその一週間足らずを使いできる限りの戦力をブラジル、バイーア州サルバドルへ集結。 殿となる部隊を残し、準備していた船や潜水艦へと人員や物資、機材を詰めて順次西アフリカ・リベリアへと出港させた。 しかし、大西洋もこの動きを黙ってみているわけではなく、海軍を動員し、この撤退する船団を撃滅しようと試みる。 ザフト、南米の両軍はなけなしの海上、海中部隊を投入し、これを防ぐこととなる。 510: トゥ!ヘァ! :2017/01/22(日) 11 48 33 2月26日 南大西洋海戦勃発。 攻撃されたからでは遅いとザ・南両軍の艦隊が先に仕掛ける戦いとなった。 西アフリカへ向かう船団は幸運にも偵察に出ていたAWACSディンが大西洋艦隊を先に発見。 一度大西洋に攻撃に入られたら船団へ確実に被害が出ると考えたザ・南両軍は先制攻撃を 試みることとなる。 船団へは最低限の護衛を残し、艦隊そのものを分離。 まずは水中部隊による先制攻撃の後に時間差で航空部隊、そして最後に艦隊ごと突撃し、混戦に持ち込むという狙いである。 当の大西洋撃艦隊ではザフトの偵察機に艦隊を発見されたことから防衛体制に移行。 空中・海中への警戒を強めることとなる。 そして迎える両者の会敵。 水中戦ではガンキャノン・アクアのほかにダガーのバリエーション機であるアクアダガーを投入。 残念ながらストライクはいなかったが、ザフトの水中部隊と熾烈な戦いを繰り広げることとなる。 空ではスカイグラスパーを始めとした大西洋の艦載機部隊とザフト、南米のディンや戦闘機部隊と戦闘に突入。 空と海がどうにか戦えている間にとザフトと南米の海上艦隊は大西洋艦隊へ向けて突撃。 流石の大西洋艦隊もこれには驚き、脱出船団どころではなく目の前の敵艦隊への対応へと迫られた。 結局のところザ・南の連合艦隊はその戦力の7割を失う代わりに脱出船団の大半を西アフリカへ送り届けることへと成功した。 大西洋艦隊も少なからず被害を出したが、何より弾薬と兵士の精神的、体力的な消耗から追撃を断念。 死に物狂いで向かってくる敵の恐ろしさを再三再認識した戦いであった。 ザフト、南米の脱出船団は3月4日にザフト、北アフリカ共同体による護衛の下で西アフリカのリベリアへと辿り着くこととなる。 そして未だ抵抗の続く南米では決着が迫っていた。 3月3日 現地に残る決断をした南米合衆国クーデター派の幹部と一部部隊、そして流石に全員脱出しては体面が悪かろうと南米へ残り抗戦することを選んだアイロス・クルーガー南米方面軍司令官とその指揮下の殿部隊。 半ば意地で抵抗を続けていた両者であったが、戦力の大半を消耗するか、脱出させた今では大西洋の圧倒的な戦力相手に戦い続けることも敵わず、最後にはアルゼンチンのメンドーサ近郊に存在する山岳要塞へと追い詰められた。 降伏勧告も拒否し、大西洋軍の総攻撃の中を粘り強く耐え続けていたが、3月4日の西アフリカへの船団到着を報を持って要塞司令部は幾らかの大西洋部隊を道ずれに自爆。 アイロス・クルーガー司令は南米クーデター政権幹部と共にこの自爆にて死亡。 残存部隊は武装解除の後に投降し、ここに約2か月にわたって繰り広げられた南米攻略戦は終了した。 その後は散発的な抵抗を続ける集団を地道に排除しながらも、大西洋連邦へと亡命していた正統派政府を政権へと復帰させ、ここに南アメリカ共和国の正当な復興を宣言した。 大西洋連邦は受けた被害も多く、脱出船団を取り逃がしたのは痛かったが、今回の攻略戦により面子の回復に成功。 連合諸国に未だ大西洋連邦は健在なりと宣伝し、見事汚名返上となったのである。 そして、この南米の戦いの間にも世界は動いていた。 新ソ連、東アジアが主力を務めるコーカサス方面、そしてBU、AEUが主力の欧州方面である。 これらの戦場にも各国のMSが姿を現し、今まで苦しめていたザフトへと逆襲を開始する。 511: トゥ!ヘァ! :2017/01/22(日) 11 49 03 ○諸々の設定 登場人物 ザフト アイロス・クルーガー モデルはアニメゾイドに登場したヘリック共和国のクルーガー大佐。 もとは大西洋連邦の軍人であったが、退役し友人の住むプラントへと身を寄せていた変わり者。 もと大西洋軍人のため大西洋における戦術、戦略に明るく南米戦においては散々に大西洋連邦軍を苦しめた。 最後はメンドーサ近郊の山岳要塞にて自爆。 プラントやザフトの上層部からは必ずアフリカへと脱出することと厳命されていたが、本人は現地に残ることを選んだ。 彼曰く「誰かがやらなきゃいけないこと」だったという。 なお後に獣王の二つ名で呼ばれるバン・フライハイトの亡き父ダン・フライハイトの友人であった。 彼が亡くなってからはバンの面倒は彼が見ており、バンからは父親のように慕われていた。 バン・フライハイト 元ネタはアニメゾイドに登場する主人公。 大陸seed本家では霧の咆哮さんが設定を書いて登場。ゴブ押しさんの作品にも登場している。 こちらではアフリカの決戦の前に補充として南米に派遣されてきた新兵であった。 父親代わりのクルーガーの薫陶を受けていたため他の新兵よりも比較的マシであり、将来のエースとして期待されていた。 後にアフリカ戦線において専用のカスタマイズされた愛機のラゴゥ・ハイマニューバと相棒とフィーネと共に獣王の二つ名を得ることとなる。 戦争をどうにか生き残り、戦後では相棒であったフィーネと結婚。二児の子供に恵まれている。 フィーネ・エレシーヌ こちらも元ネタはアニメゾイドに登場するヒロイン。 バンと同じく霧の咆哮さん設定で登場。ゴブ押しさん作品でも活躍している。 適性の少ないガンバレル使いの一人であり、高い空間把握能力を持つ。 NT的には感応型。良くも悪くも人の感情や思念を感じやすく、また思念を送り込みやすい。 戦後はバンと結婚し二児の母に。 フィーネ・エレシーヌ改めフィーネ・フライハイトである。 カルロ・モラシム 本作オリジナルキャラ。 原作にて活躍した紅海の鯱ことマルコ・モラシムの弟。 兄は強面だったが、こちらはハンサム系。女性にもてる。本人も割と軟派であった。 戦争序盤においてカリブ海海戦などで活躍。カリブ海の怪物(クラーケン)の二つ名を得る。 ザフトの誇る水中部隊のエースであるが、面倒見がよく部下の信頼も厚かった。 また部隊においての連携を重視しており、彼の率いる部隊は特に練度が高いことで有名。 第二次カリブ海海戦では愛機のゾノ・ハイマニューバを駆りながら部下達と共に奮戦。 しかし、新兵を庇いながらの戦いは流石の彼も厳しく櫛の歯が欠けていくように部下たちも脱落していき、ジェーン・ヒューストンの乗るストライクに致命傷を負わされる。 それでも、なお奮戦するが最後は大西洋の水中部隊に囲まれ四方から魚雷を撃ち込まれ愛機諸共爆散した。 512: トゥ!ヘァ! :2017/01/22(日) 11 49 35 大西洋連邦 ヨハン・イブラヒム・レビル 大西洋連邦陸軍大将。ユダヤ系。 御存じレビル将軍…の同位体。宇宙(空)が銀英伝なら陸はガンダム系である。 残念ながら陸軍の人なので宇宙に上がってジェネシスで吹き飛ばされる…なんてことにはならない。 この調子でアフリカ戦線における大西洋連邦アフリカ派遣軍の司令官になる予定。 一件優しそうな好々爺に見えるが、その実態は大西洋連邦でも指折りのタカ派である。 MS開発推進派の一人であり、宇宙のGを強奪せしめたザフトへは内心怒りを溜め込んでいたため今回の戦いで随分とハッスルした模様。 戦後は諸々の仕事をし終えるとさっさと引退。本人曰く「老人がいつまでも偉い椅子に座っていては若人が育たない」だそうな。 今回Gシリーズに乗っていた皆様。 大体は大西洋の誇るエース達である。 ムウ・ラ・フラガ、グラハム・エーカー、エドワード・ハレルソン、ジェーン・ヒューストン、レナ・イメリア、ステファン・ウィルシャー、テネス・A・ユング、バラニック・ジニン、イルムガルト・カザハラ、テンペスト・ホーカー等々。 513: トゥ!ヘァ! :2017/01/22(日) 11 50 15 ○兵器設定 ザフト 新型装備 パークスⅡ 携行型レールガン マイウス・ミリタリー・インダストリー謹製の超電磁兵器。 原作では開発が間に合わず、ビーム兵器に取って代わられた次期主力兵装。名称はオリジナル。 威力は艦船に搭載されているレールガンには劣るが、既存のどの実弾兵器よりも高い貫通力を発揮する。 高い威力を持ちながらMSの主武装としても扱える低燃費を実現したことへはマイウス社の執念が感じられる。 去年のアフリカ・世界樹決戦前ほどからザフトでは新型の大容量バッテリーが採用されたことも合わさり、戦闘中においての燃費というものは殆ど許容範囲に収めることに成功している。 ジンやシグー、ディンなどの既存のMSでも運用可能であり、火力の底上げが期待できる。 優秀な兵装なのは間違いないのだが、初めて投入された実戦が宇宙においての世界樹決戦であり、主な相手となった大洋のMSがビーム兵器標準搭載のジムであったため如何せん分が悪かった。 そして地上においては南米でその威力をいかんなく発揮できたが、実弾兵器が通用しないPS装甲持ちのGシリーズ相手にはこれまた分が悪く、今一活躍の場に恵まれない不遇な兵器である。 90mm重突撃機銃 76mm重突撃機銃に代わる新しいアサルトライフル。 単純に口径が増しただけではなく、機構や弾倉の改良により連射速度や弾数なども上回ることに成功している。 M74 800mm無反動砲 度重なる連合の新型MS投入を警戒し、キャットゥス500mmを更に発展大型化させた武装。 弾数は低下したが一撃の威力と射程で勝る代物。 ソリティウス 狙撃型レールガン マイウス社製の電磁狙撃銃。 既存のスナイパーライフルに代わる兵装であり、パークスシリーズの狙撃銃版。 レールガン相応の射程と威力、命中率を誇り、評判の良い一品。 M71 バッカス特化重粒子砲 バルルス改特化重粒子砲を大型化、改善した兵装。 大型化した恩恵として威力と弾数が上がっており、大型兵装らしい攻撃力を持つようになった。 その反面ただでさえ悪かった取り回しが更に最悪になったため、運用する際には注意が必要である。 514: トゥ!ヘァ! :2017/01/22(日) 11 50 58 MSその他 ゾノ・ハイマニューバ ゾノを高機動化させた機体。機体各所へウォータージェットを追加しており、水中における機動性を格段に上昇させている。 また背部へ展開式のミサイルポッドが用意されており、MS形態ではよく見られる肩武装のように両肩の上へせり上がって正面へと射線を確保する。 このポッドは対空、対地のほかに装填すれば魚雷も撃てる優れものである。 両手のクローはヒート化機能が追加されており、敵を切り裂く時には威力の底上げができるようになった。ただし多様するとクローの耐久が低下するので注意が必要である。 なお単純な出力不足によりビームサーベルとの鍔迫り合いは極短時間しかできず、基本厳禁となっている。 グーン・ハイマニューバ こちらはグーンを高機動化させた機体。何でもかんでも高機動化すればいいってものじゃないが、手っ取り早い強化がこれくらいなのである。 ゾノと同じく各所にウォータージェットを追加し、水中における機動性を高めることに成功した機体。 両手の魚雷発射管を取り除き、ヒート化機能が付いている接近戦クローを装備。 足りない火力は背部への多目的ミサイルポッドで補うこととなった。 なおこのポッドは機体の形状の関係上、MS形態では正面に撃てず頭上に撃ちだし、その後降り注ぐ形式となる。もしくはズゴックのように腰を曲げて無理矢理射線を正面に向けるか。 ディン・ハイマニューバ ディンの高機動型モデル。連合が繰り出してくる高性能戦闘機に対抗する形で改修された。 もとより単純な速度では敵わないためスラスターの追加などによって空中においての運動性を上げた。 操縦性はよりピーキーになっているが、今までのディン以上の動きを、より突発的にこなせるようになったため、連合の戦闘機乗りからは予測できない動きをする機体として注意されている。 最近ではザフトにおいても真っ当な戦闘機開発が進んできたため、ディン共々制空任務よりも対地攻撃、援護任務などへの割りあいが多くなった。 ジン・アサルト ジンへ追加装備のアサルトシュラウドを装着させた機体。 全体的に火力と防御力が上がっており、パージ機能も有する。 また各所に追加装甲と共にスラスターも装備されており、重装備らしからぬ機動性も発揮する。 代物自体は単純なため割と初期から運用されており、初めての投入は月のグリマルディ戦線であった。 地上では重力により単純な機動性が下がるため余り使用されておらず、もっぱら宇宙軍にて使用されている。 今まで出そう出そうと思いながら忘れていた機体。 515: トゥ!ヘァ! :2017/01/22(日) 11 51 28 メッサ― ザフトの開発した戦闘機。 地上に降りた際に自軍のインフェストゥスが余りにも非力すぎたために連合のスピアヘッドを基にして開発した。 割と早期に開発されており、初期の地上戦6月頃から戦線へ投入されている。 スピアヘッドの設計を流用したマイナーチェンジ機のような機体ではあるが、それに準じた性能は獲得しており、ザフトのみならず南米やアフリカ共同体、親プラントな中東諸国においても生産されている。 現状では滞空でき、運動性が高くドッグファイト能力に優れるディン、ボズゴロフ級などへも折り畳み収納できるインフェトゥスと折り畳みはできないが、単純な制空戦闘機としてのメッサ―という住みわけがなされている。 性能的には悪くないのだが、昨今は如何せん連合側もスカイグラスパーやセレイヴンソードなどの次世代戦闘機を繰り出してきているため性能的にも分が悪くなってきている。 元ネタはスパロボOGに登場するF-28メッサ―。 シュヴェールト ザフトの開発した新型戦闘機。 完全埋没式コックピットに移動速度を調整しやすくするためのフレキシブル翼(可変翼)、内臓式兵装と既存の戦闘機とは全く違う設計の戦闘機。 少々お高くつくが、その性能は連合のスカイグラスパーやレイヴンソードなどとも互角に渡り合えるなど中々のものである。 こいつの開発、投入により制空機としてのディンは完全にお役御免となり対地攻撃機に転向することとなる。 投入がアフリカ・世界樹決戦以降というザフトが押され始めた時期のため様々な戦線にて八面六臂の活躍をしたが、結局のところ数の差に押されて戦局を覆すまでにはいかなかった。 しかも、アッシマー投入後は火力面でも太刀打ちできなくなるため、なおのこと劣勢を強いられることとなる。 南米やアフリカの空ではこいつが活躍しており、劣勢という状況も相まってザフト、アフリカ、南米残党、中東残党兵問わず多くのエースパイロットが生まれ、消えていった。 ここは円卓。どこでも円卓。死人に口なし。 もとネタはスパロボOGに登場するF32-シュヴェールト 516: トゥ!ヘァ! :2017/01/22(日) 11 52 00 連合兵器 ディープストライカーパック アズラエルの鶴の一声で開発された水中専用パック。 アニメの水中戦回を思い出し、専用のストライカーパックさえあればストライクでもそこそこ水中戦を行えるのでは?との考えから生み出された。 両足や背部に推進用のウォータージェットが取り付けられており、両肩には魚雷発射も可能な多目的ミサイルポッド。 携行武器としてはディープフォビドゥンが装備するようなモリ(トライデント)やアクアジムが持つようなマルチミサイルランチャーである。 投入された第二次カリブ海海戦では練度に不安の残るガンキャノン・アクア部隊の代わりにエドやジェーンの乗ったディープストライクが率先してザフトのベテランと思しき機体を撃破し、戦いを勝利へと導いた。 なお上陸後は武装を換装して地上部隊の一員として参戦している。 ガンキャノン・アクア ガンキャノンの頑強な装甲に注目して改修された水中仕様。 脚部や背部などに推進用のウォータージェットを装備し、両肩のキャノンはマルチプルランチャーへと改修され魚雷を撃つことができる。 また武装も手持ちには魚雷の発射できるミサイルランチャーなどに変えており、水中戦に特化した仕様となっている。 本来は水中機を開発するためのデータ収集を目的として開発された機体であったが、南米攻略戦が前倒しされたことにより急遽増産され、投入する羽目になった機体。 乗っていたパイロットたちの腕はいささか不安を覚える程度であったが、元前の重装甲のため多少の被弾ではびくともしなかったからか被撃破率は低い。 もとネタはガンダムサンダーボルトに登場したガンキャノン・アクア。 アクア・ダガー ダガーの水中戦仕様機。流石にガンキャノン・アクアのみでは不味いということで開発されていた機体。 フォビドゥンブルーやディープフォビドゥンまでの繋ぎ兼ローを兼ねる機体という目論見もある。 脚部や背部のウォータージェット、携行武器や肩には魚雷も撃てる多目的ミサイルランチャー。 右手に折り畳み式の近接戦用クロー、左手に盾兼用のハンドアンカー。 そして接近戦用にはトライデントと無難な装備と性能を持つ。 ザフトのグーンやゾノ相手には良い戦いをするが、ハイマニューバタイプ相手には機動性で分が悪いため数と連携を活かして戦った。 南米へ投入されたダガータイプ。 ストライクダガーのほかには105ダガーやデュエルダガー、バスターダガーなど。 他にもキャノンダガーやらダガーストライカーやら試作機と兼用されているような機体も幾つか投入されている。 517: トゥ!ヘァ! :2017/01/22(日) 11 52 37 大西洋「成し遂げたぜ」 BU「やればできるやん。ほんじゃその調子で今度はアフリカに逝ってみようか」 大洋「ままええやろ。及第点や。次はアフリカ期待してますね」 大西洋(´・ω・`)「はい…」 518: トゥ!ヘァ! :2017/01/22(日) 11 54 07 投下終了 大西洋エース大集合。 そして戦闘機を開発してディンが対地攻撃機になるザフトという… こんなザフト前代未聞ではないだろうかw 次は欧州やロシアあたりの戦いの描写ですかね。 同時期にそこらで何が起こっていたかの。
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連邦軍MS0079 MS名 SP 入手条件 制限 備考 ガンダム 格闘 プレイヤーが伍長になり、さらに「荒野の迅雷」をクリア プロトタイプガンダム 格闘 「ニュータイプの脅威」をSランク以上 ガンダム(MC) 一斉射撃 「星一号作戦」をクリア G-3ガンダム 格闘 「星一号作戦」をSランク以上 ガンダム4号機 超射撃 「強行突破作戦」をSランク以上 宇宙 ガンダム5号機 一斉射撃 「チェンバロ作戦」BルートをSランク以上 宇宙 マドロック 一斉射撃 「ジャブローに散る!」をSランク以上 地上 ホバー 陸戦型ガンダム 超射撃 「荒野の迅雷」、「黄昏の島々」、「雨のベルファスト」をクリア 地上 陸戦型ガンダム(GH) 一斉射撃 「ラスト・リゾート」をクリア? 地上 ガンダムEz-8 一斉射撃 「ラスト・リゾート」をSランク以上 地上 アレックス 一斉射撃 「ポケットの中の戦争」Sランク以上 フルアーマーガンダム 一斉射撃 「光る宇宙」をSランク以上 ガンキャノン 一斉射撃 「追撃!トリプルドム」、「ランバ・ラル特攻!」、「大西洋、血に染めて」のうちふたつをクリア ガンタンク 一斉射撃 「追撃!トリプルドム」、「ランバ・ラル特攻!」、「大西洋、血に染めて」のうちひとつをクリア。もしくは「ランバ・ラル特攻!」をAランククリア キャタピラ ブルーディスティニー1号機 特殊 「大西洋、血に染めて」をSランク以上、又は陸戦型ガンダムで10回出撃 OT/地上 EXAM ブルーディスティニー3号機 特殊 「裁かれし者」をSランク以上、又はブルーディスティニー1号機で10回出撃 OT EXAM ジム 格闘 初期ユニット ジム(WD) 格闘 「黄昏の島々」、「雨のベルファスト」のどちらかをクリア 陸戦型ジム 格闘 初期ユニット 地上 ジムコマンド 一斉射撃 ジムコマンド(S) 一斉射撃 ジムスナイパーⅡ 超射撃 「追撃!トリプルドム」、「ランバ・ラル特攻!」、「大西洋、血に染めて」をクリア ジムスナイパーⅡ(WD) 超射撃 ジムWDとジムスナで5回ずつ出撃(連邦ルートのみ) ボール 一斉射撃 宇宙 スラスター
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Atlantic-Congo languages【alv】 大西洋=コンゴ諸語 *Retired This page has been retired. Niger-Congo Atlantic-Congo languages【alv】 Atlantic —大西洋諸語* Ijoid —イジョイド諸語* Volta-Congo —ボルタ=コンゴ諸語*
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220: 657 :2017/12/23(土) 00 40 49 時間になりましたので投下させていただきます。 大西洋連邦特機ネタ グラントルーパー 動力 プラズマジェネレーター 武装 グラヴィティアロー(一号機) グラヴィティラング (一号機) グラヴィトンビーム (二号機) グラヴィティランチャー(三号機) グラヴィティボール(四号機) ドリル・ブリンガー(五号機) ミサイルランチャー(共通) ビームソード(共通) 必殺技 ライトニング・デトネイター 大西洋連邦が開発した試作型特機群、コンセプトとしては5機のエレメントで運用を行う機体である。 大洋のDGGシリーズなどの強力な特機群、特にDGGシリーズ一号機であるゴッドグラヴィオンに危機感を抱いた大西洋連邦が、 イェーガーとは別で試作していた特機を流用し重力兵器搭載試作機として開発された機体である。 参考にされたのは勿論大洋のゴッドグラヴィオンであり鋼龍戦隊に派遣されている大西洋連邦組から齎されたデータから開発された。 一号機から五号機にはグラヴィオンの武装を模倣し、パイロットの得意分野に合わせ装備されている。 しかし人工筋肉システムなどは未だ未熟でありビアン博士も開発に協力したゴッドグラヴィオンの性能には未だに届いていないのが現状である 主武装はリーダー機である一号機には重力刃を利用したブーメランであるグラヴィティラング、 重力操作を利用した実弾兵装であるグラヴィティアロー。 二号機は中距離戦闘を想定した特機クラスの光子ライフルであるグラヴィトンビーム。 三号機はミサイルランチャーと光子キャノンを装備した砲戦仕様。 四号機は肩部のパーツを合体させ対象に強力な重力ボールを蹴りこむグラヴィトンメテオシュートを使用することができる。 五号機はドリルを装備し近接特化仕様であり、プラズマジェネレーターのエネルギーを纏わせ吶喊するドリル・クラッシャーが使用できる。 そして最大の必殺技であるライトニング・デトネイターは5機のジェネレーターを結集させて放つ、 グラヴィオンのグラヴィトンアークと同様の重力波であり、 5機の出力を結集させ放つことからグラヴィトンアークより出力の高い砲撃を行う事が出来る。 配備はアナザークライシスにおいてようやく実戦配備されパイロットは原作同様グラントルーパー隊の同位体が搭乗している。 ヒリュウが北アメリカ大陸に来た際に怪獣やWLFの襲撃で共闘、そのままなし崩しの形であるがヒリュウ隊に同行することになった。 221: 657 :2017/12/23(土) 00 42 28 グラントルーパー隊 大西洋連邦で新設された特機部隊、部隊長はフェイ・E・シンルーであり、 名前や出身国などは変わっているが超重神グラヴィオンに登場したフェイ・シンルーの同位体である(こちらではアジア系大西洋連邦国民である) こちらでは孤児ではなく父親が大西洋連邦の現職の外務大臣であり、彼女が若くして特機部隊の隊長に任命されたのも本人の優秀さもあるが、 見た目麗しく、家柄も優秀な軍人としてPRするために任命されたという思惑もある。 幼少時には大洋の日本地区で駐日大使を務めていた父に同行し日本に住んでおりそこで斗牙と知り合い、 彼と事あるごとに様々な分野で競い合っていた。そこで彼の戦士としての決意を聞いており、彼女も帰国後に軍人に志願している。 今でも斗牙に対しては対抗意識を持っておりOG2やOG外伝において実質的に世界を救った鋼龍戦隊に参加している斗牙に対しても、 何時か自分もそういう働きをしたいという思いが強くなっている(現状の対外的なアピール部隊となっていることにはかなり不満) 他4人の部隊メンバーはほぼ原作と変わらずであり、 副官である、アレックス・スミスはかなりの親大洋連合よりの大西洋連邦軍人であり、親日家。 さらにリュウセイに匹敵するほどのスーパーロボットオタクであり最近の趣味は鋼龍戦隊に参加する特機群の資料を集めることに熱中している 三枚目な面が多い人物であるが技量はフェイに次いで優秀であり、自身が出来ることを最大限行うというのがモットー。 まだまだ若年のフェイのサポートに任命されているだけあり、部隊のムードメーカー役を引き受けている。 222: 657 :2017/12/23(土) 00 44 39 投下終了。 こちらでは対ゼラバイア部隊などではなく、大西洋連邦軍の優秀さをアピールのために最初は作られたという感じになりました。
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