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御神炎 鼻歌を歌いながらお姉さんは田んぼの畦道をのんびりと歩いている。 右手には風呂敷、左手には紙を持っていた。 「うーん、この辺のはずなんだけどなあ・・・・道間違えてるのかしら・・・?」 そう言いながらお姉さんは左手の紙・・・地図を見ながら歩く。 お姉さんは隣村の外れにある神社を探していた。 その神社はご利益があることで有名な所で、村長から御神符をもらってくるように頼まれたからだ。 「う~、やっぱりさっきの分かれ道を曲がらなくちゃいけなかったのかなぁ・・・・」 お姉さんは地図とにらめっこをしながら歩いているとむにゅっとした変なものを踏んだ感触がした。 あれ?っと思うと同時に悲鳴が聞こえてきた。 「ぴぎゃああぁぁぁぁ・・・・・!」 お姉さんは何かと思い足元を見るとゆっくりまりさが踏み潰されていた。 まりさは帽子ごと真ん中を踏まれ、口から餡子を出しながらぴくぴくと痙攣をしている。 「ちょっ、ちょっと大丈夫?」 お姉さんは慌てて足を上げてまりさの様子を見る。 「ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・・・ぼっ・・う・・・だ・・・だべぇ・・・・ゆっぐ・・・・じだ・・・っだ・・・・・・」 まりさはそう言うと痙攣が弱くなっていき永遠にゆっくりしてしまった。 お姉さんは悪いことしちゃったなあ・・・と思いながらまりさを道の真ん中から畦の方に寄せてやった。 そしてまりさの近くに落ちていた枇杷を添えた後、目を瞑って手を合わせる。 ごめんなさい。ゆっくり成仏していってねと祈ったあとに目を開けると目の前にゆっくりれいむがいた。 番だった子だったのかしら?とお姉さんは思い、声をかけようとするといきなりれいむがまりさに向かって叫びながら体当たりをし始めた。 「れいむがおそなえしたものをもっていくからこんなことになったんだよ!とうぜんのむくいだよ!とっととじごくにおちてね!!」 このれいむの言い方にお姉さんはビックリした。 お姉さんは恐る恐るれいむに声をかける。 「あの・・・?れいむ・・・?この子はあなたのだーりんじゃないの?」 お姉さんが尋ねるとれいむは鼻息の荒いままお姉さんの方に向いた 「ちがうよ!わるいことをするまりさがだーりんのわけないじゃない!わるいことしたからこんなむくいをうけたんだよっ!」 そう言いながられいむはぷくーっと膨れた。 お姉さんはれいむの剣幕に驚きつつ、どうしたのかと尋ねた。 話を聞くとこいういうことらしい。 れいむはいつも通っている神社に『明日もおいしいご飯が食べれますように』とお願いをする為、枇杷をお供えにいったらしい。 そしていつも通り賽銭箱の前に枇杷を置き、目を瞑ってお祈りをしているとスッとれいむの目の前を何かが通った気がした。 何かと思い目を開けると目の前にあった枇杷が無くなっていたのだ。 慌てて周りを見るとまりさが枇杷を咥えて逃げていくのが見えたのでれいむも必死に追いかけてきたのだという。 「なるほどねぇ・・・・。」 お姉さんは悪い子だったと聞くと少し罪の意識が薄れた気がした。 お供え物を取ったんだからしょうがない。罰が当たったのだろう。 そう思った時、はっと気づいた。 「ねえ、この辺に神社あるの?もしよかったら場所を教えてくれない?もちろんお礼もするわよ」 お姉さんはれいむに道案内をお願いした。 れいむはお礼と聞き、二つ返事でお姉さんを神社に案内してくれることになった。 「ゆっくりのひ~♪すっきりのひ~♪まったりのひ~♪ゆ~ゆ~♪ゆゆ~ん♪」 お姉さんとれいむは歌を歌いながらゆっくりと歩いていくと遠くに神社の鳥居が見えてきた。 「おねえさん、ついたよー。」 れいむは鳥居の前までぴょんぴょん跳ねて行き、くるんとお姉さんの方に振り返る。 お姉さんはれいむにお礼を言い、お姉さんがお弁当に持ってきたおにぎり取り出し、竹の皮に包んでれいむにあげた。 れいむは枇杷とおにぎりを頭の上に乗せると喜んで神社の中に入って行った。 お姉さんも神社の中に入ると敷地内の光景に驚いた。 敷地の中に一つの群れがいるんじゃないかという位、たくさんゆっくりがいたのだ。 何事なのかと思って鳥居の下で呆けていると社務所から神主さんがやって来た。 「こんにちは。ああ、ここのゆっくり達ですね。うちは五穀豊穣と安産祈願ですからね。 多産で有名なゆっくりですし、境内を汚したり悪いことをしない限り駆除しないんですよ。 ところで今日はどうされたのですか?」 神主さんはにっこりと微笑みながらお姉さんに尋ねた。 呆けていたお姉さんは顔を赤らめ、しどろもどろになりながら御神符を授かりに来ましたと伝えて、 風呂敷の中の初穂料と村で取れた野菜を神主さんに渡した。 そうですか、ちょっと待ってくださいねと言って神主さんは本殿の中に入っていった。 お姉さんは神主さんが戻ってくるまでに参拝することにした。 参拝を終えた後、神社の敷地を見回すとゆっくりが特に固まっているところがあった。 分社の前だ。 驚くべきことにゆっくり達がちゃんと列を作って分社の前を並んでいるのだ。 よく見るとさっき道案内してくれたれいむも並んでいる。 先頭のほうを見ると丁度ゆっくりぱちゅりーが参拝をしようとしているところだった。 ぱちゅりーはお賽銭箱の前にいくつかのキノコをお供えすると二礼し、目を瞑って何かを祈っているようだ。 そしてそれが終わると一礼し、キノコを帽子の中にしまって石灯籠の近くまで跳ねていった。 お姉さんは興味深げに眺めていると神主さんが戻ってきた。 「お待たせしてすみません。こちらが御神札です」 そう言って神主さんはお姉さんに袋に入った御神札を渡す。 お姉さんは神主さんにお礼を言うと、目の前の分社について尋ねてみた。 「あの分社ってゆっくりに人気ありますよね?どんな神様が奉られているんですか?」 「ああ、あそこの分社はご祭神は判らないんですが、ご利益のある御神炎が奉られているんですよ。ちょっと覗いてみます?」 そう言って神主さんは分社の前に歩いていくのでお姉さんも付いて行った。 分社の前に立つと、中から青白い光が漏れている事に気づいた。 風に煽られた蝋燭の炎のように光が揺らめいている感じがする。 神主さんは懐から鍵を取り出し、分社の扉を開けた。 「こちらが御神炎ですよ」 そう言って神主さんはお姉さんに御神炎を見せた。 分社の中で御神炎の青白い炎が燃えていて、その炎の中にゆっくりれいむが居るのだ。 お姉さんは驚きながら観察をする。 御神炎に包まれたれいむは穏やかな表情をしながら目を瞑っていた。 「これ・・・?熱くないんですかね・・・?」 お姉さんは炎に包まれたれいむの顔見ながら神主さんに尋ねる。 「ええ、穏やかな表情をしているでしょう。大丈夫なんですよ。 この御神炎には特別な力がありまして、人間や良いゆっくりには熱さを感じないんです」 「はぁぁ・・・・」 お姉さんは感心した。 周りのゆっくり達も御神体の顔を見て「すごくゆっくりしたれいむだね」「いいゆっくりだよ」と感嘆の声をあげている。 お姉さんは感心しながら御神炎を眺めていると境内のほうでゆっくり達が言い争う声が聞こえた。 何かと思って神主さんと境内の方をみると2匹のゆっくりが何かを言い争っていた。 「何かあったみたいですね」 神主さんは2匹のゆっくりの元に向かう。お姉さんも興味津々な顔で後をついていく。 2匹のゆっくりはゆっくりちぇんとゆっくりありすだった。 「ちぇんのキノコをたべたでしょー。うそつかないであやまってほしいんだよー」 「ありすはしらないわよ!ほかのゆっくりにたべられちゃったんじゃないの?」 ちぇんが泣きそうになりながら問い詰めているが、ありすはそんなこと知らないわとそっぽを向いている。 「どうしたんだい?ちぇんのご飯を食べちゃった子がいるのかい?」 そんな光景を見た神主さんは2匹に尋ねる。 ちぇんは神主さんの足元に駆け寄って泣き出す。 一方ありすは神主さんを見ると妙にそわそわし始めた。 どう見ても挙動不審だ。 「すみませんがその2匹を見てていただけますか」 神主さんはお姉さんにそう言うと分社の方に歩いていった。 「あ、ありすはそろそろおうちにかえらなくちゃ・・・。い・・・、いとしいまりさが、ま・・・、まっているんだったわっ」 そう言ってこの場を離れようとするありすを見て、お姉さんは抱えてあげて逃げられないようにした。 「は、はなじでぇぇぇっ!ばりざがあでぃずをまっでいるのよぉぉぉ・・・・!」 そう言ってありすは暴れてお姉さんから逃げ出そうとするが、お姉さんの手から逃げられない。 「はぁぁぁなぁぁぁじぃぃでぇぇぇぇぇ・・・・!」 暴れるありすを抑えているうちに神主さんが帰ってきた。 戻ってきた神主さんは手にお札を持っていて、そのお札がメラメラと青い御神炎が燃えている。 「このお札の炎でどちらが嘘ついているか判るからね。ちぇん、ちょっとごめんね」 そう言って神主さんはちぇんを持ち上げてひっくり返し、ちぇんの底部に炎のついたお札を置いた。 ちぇんの底部で青い炎が燃えているがニコニコしている。 「なんかあたたかいんだよー」 そう言っているちぇんを見て神主さんは「ごめんね。ありがとう」と言ってちぇんを起こしてあげた。 そしてお姉さんから暴れるありすを受け取りひっくり返した。 「やっ、やっ、やべでぇぇぇ!ひっぐりがえざないでぇぇ!」 ありすをひっくり返すと焦げた痕が3ヵ所あった。 神主さんはその火傷の痕をみるとむっとした顔になり、ありすの底部にお札を置いた。 お札の炎が青から赤に変わったかと思うと底部からぶすぶすと煙があがり、ありすから大きな悲鳴があがった。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛じゅぃぃぃぃいいい!あでぃずのあじがあぢゅぃぃぃぃぃ・・・!は、はやぐどがぢでぇぇぇぇ・・・!」 神主さんはお札をありすからどけるとお札の炎は元の青色に戻り、しばらくすると燃え尽きた。 「あじゅい゛ぃぃぃぃ・・・・!」 ありすはさらに悲鳴をあげている。 お姉さんがありすの底部をみると焦げ痕が3つから4つになっていた。 「ちぇん、ありすがやっぱり嘘をついててちぇんのキノコを食べたみたいだよ。後で代わりのご飯をあげるから境内で待っていてね」 神主さんはありすを持ち上げながらちぇんにそう言う。 ちぇんは「わかったよー」と言うと境内の方に跳ねていった。 「ありすを押さえて頂いてありがとうございます」 神主さんはお姉さんにお礼を言った。 お姉さんは抱えられて震えているありすを見ながらありすどうするのか尋ねる。 「この子はもう悪いことしてばかりなので特別室行きですねぇ・・・・」 神主さんはありすの口を手で塞ぎながらお姉さんにそう言った。 「あの、見学させてもらってもよろしいですか?」 お姉さんはどうなるのかちょっと興味を持ったので神主さんにお願いをする。 神主さんはちょっと困ったような顔をした後、特別ですよと言ってため息をついた。 神主さんは社務所の横の建物まで歩いていくと扉の前にあった金網の箱にありすを入れて蓋をする。 そして壁にかけてあった蝋燭立てをとると蝋燭に火を付けた。 箱に入ったありすをお姉さんが持ち上げて神主さんと一緒に建物の中に入る。 建物の中に入ると地下に下っていく階段があった。 「この先に特別室があるのですが・・・・そうですね。降りながら説明をしていきましょうか」 神主さんはそう言って階段を下って行く。お姉さんも神主さんに続いた。 神主さんは階段を下りながらお姉さんに説明をし始めた。 「まず分社にあった御神炎なのですが、あの炎は普通の燃料では燃えないんです。」 神主さんの説明を聞きながら下っていくと少し先に青い光が見えてきた。 「それではあの炎は何に燃えるかということになるのですが・・・実はゆっくりの欲なのです」 しばらく下っていくと階段の途中に壁に扉があった。 神主さんはここで立ち止まるとお姉さんに「中を覗いてみてください」と言う。 お姉さんは扉の窓から中を覗いてみると、分社にあった御神炎と同じように目を瞑ったゆっくり達が炎に包まれて青く燃えているのが見えた。 「この子達は分社の御神炎の予備みたいなものですね」 神主さんはそう言ってまた階段を下っていく。 「それでゆっくりがこの炎に包まれるとだんだん欲を吸い取られていくんですよ」 神主さんとお姉さんはさらに下ると一番底に着いたようで目の前に分厚そうな鉄の扉があった。 「でも欲が強いゆっくりがあの炎に包まれると炎の質が変わって勢いよく燃え上がってしまうんです」 そう言って神主さんが扉を開けるとゆっくり達の悲鳴が地下の中をこだました。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛・・・・・・。」 「あ゛づぃぃぃぃ・・・・・。ごべんなざいぃぃぃぃ・・・・。もうわるいことじまぜんんんん・・・・」 「だれがぁぁぁぁ、だずげでぇぇぇ・・・・。もういやだぁぁぁぁ」 部屋の中を覗くと金網の箱に入れられたゆっくりが赤い炎に包まれながら燃えていた。 髪の毛の先から黒くなっていき悲鳴を上げて箱の中を跳ねようとしているもの。 あんよから焦がされ、必死にもがいているもの。 金網に顔を押し付け、包まれた炎から逃げようとするもの。 黒焦げになって姿形では既に判別できないものなど、様々だ。 お姉さんはそのおぞましい光景に絶句し、ありすも今まで青かった顔を一層青くしながらだらだらとちーちーを漏らした。 神主さんはお姉さんからありすを受け取ると部屋のテーブルに箱を置いた。 そして箱からありすを取り出すとありすのカチューシャを外してお札を貼り始める。 お札を貼られながら、これからの自分の未来を知ったありすは泣きながら叫び始める。 「いやぁぁぁぁ、もやされてくるしむのはいやぁぁぁ!みにくくしんでいくなんてとかいはじゃないいぃぃぃぃ!」 がくがく震えるアリスを神主さんは無表情な顔で見ながらそっとありすに顔を近づけて囁く。 「大丈夫だよ。あの子達は死なないから。そこのまりさを見てごらん」 神主さんはありすを押さえながら、まりさが見えやすいように位置をずらす。 そこには黒焦げになった丸い物体があった。 まりさと判ったのは箱の上に帽子が乗せてあったからだ 「・・・ぁ゛・・・・ぁ゛・・ぁ゛・・・・・ぁ・・・・」 まりさらしき黒い物体が赤い炎に包まれながら呻いている。 その呻き声ももう止まるだろうと思ったそのとき、赤い炎が青い炎に変わる。 黒焦げだったまりさは青い炎に包まれた瞬間、黒焦げだった部分がじわじわと焼ける前の肌に戻っていく。 無表情だった顔にだんだんと赤みが戻ってくるとまりさは泣き叫び始めた。 「びゃああぁぁぁ・・・・っ!ぼう、ぼう、ばでぃざはあづいのやだぁぁぁ!ごろじでぇぇ・・・・!」 まりさは金網に顔を押し付ける。 顔に金網の跡がつくがそこから出られるわけでも死ねる訳でもない。 じわじわと元の姿に戻っていくと青い炎がまた赤く燃え盛りまりさを焦がし始めた。 「い・・・い・・・いやあああぁぁぁぁ!やべでぇぇぇ・・・・!」 「ほら、大丈夫だろう?」 そう言いながら神主さんはお札を貼っていき、ついにありすの目以外はお札で埋まってしまった。 ありすは滝のように涙を流していもがいている。 神主さんはありすを持ち上げ、他のゆっくりたちと同じように金網の箱に入れる。 金網の蓋を閉めた後に箱の上にありすのカチューシャを置いた。 「さて、これから君の体に張付いたお札に御神炎を着けるわけなんだけど、君はいい子だったかな? もし何かの間違いでここに連れてこられたんだったら君の体は青い炎に包まれて熱い思いをしないよ。 でも逆に欲深く、悪い子だと赤い炎に包まちゃうからね」 神主さんは持っているお札を近くの燃えているゆっくりに近付け炎を移す。 ありすはその炎を見ながら目を大きく開き、もがもがと言いながらぶるぶる震えている。 「それじゃゆっくりしていってね」 そう言って神主さんはありすのお札に炎を移した。 青い炎は瞬く間に赤い炎に変わり、ありすを一瞬のうちに火達磨にした。 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛・・・、あ゛づぃぃぃぃ・・・!あ゛でぃずのうづくしいがみがぁぁぁ!はだがぁぁぁ・・・・・!い゛やぁぁぁぁ・・・・!」 口を塞いでいたお札が燃えたのだろう。ありすの悲鳴が一際高く特別室に響いた。 お姉さんと神主さんは社務所に戻っていた。 神主さんは縁側で青ざめているお姉さんにお茶と羊羹を出した。 お姉さんはお茶を啜ると少し落ち着いたようだ。 「すみません。やはり刺激が強かったようですね」 そう言って神主さんはお姉さんに謝り、お姉さんの隣に座った。 「あの子達はどうなるんですか?ずっと御神炎に燃やされたままになるんですか?」 お姉さんはまだ少し青い顔で神主さんに尋ねる。 「いいえ、ずっとこの神社にいるわけではありませんよ。 そうだ、ちょっと分社のほうに行ってみませんか?」 そう言ってお姉さんを分社に誘う。 「さて、多分そろそろだと思うんですが・・・・」 神主さんは分社の扉を開ける。 青い炎に包まれたれいむ。よく見るとうっすらと目を開けている。 そのままじっと見ていると段々まぶたが上がっていき、完全に開いた瞬間炎が消えた。 「ゆっくりしていってね。れいむといっしょにゆっくりしようよ!」 れいむは神主さんをみつけると目をキラキラ輝かせながら、神主さんの腕の中に飛び込む。 「こんにちは。れいむのおかげでゆっくりしているよ」 神主さんがそう言って撫でてあげるとれいむは嬉しそうな顔をした。 お姉さんもその笑顔に惹かれれいむを撫でてあげる。 「さて、れいむ。そろそろ君達の世界に戻らなくちゃいけないよ」 神主さんは高い高いをするように持ち上げてあげるとれいむは「わかったよ!」といって浮かび始めた。 そして淡い光とともにお姉さんたちの前からふっと消えた。 「どこに行ってしまったんですか?」 お姉さんは神主さんに尋ねる。 「あの子はたった一つの欲しか無くなってしまったんで、ゆっくり達が元々いた世界に戻っていったんですよ。 最初こちらの世界に来たゆっくりは他のものをゆっくりさせたいという気持ちだけだったんですけどね。 それがこちらの世界のものに惹かれて留まっているうちに欲にまみれて元の世界に戻れなくなってしまったんです。 でもこれであの子も元の世界に戻れた。きっとまたこちらにひょっこり現れて色々なものを癒しに来てくれますよ」 神主さんはれいむが消えた空を見上げた。 (おまけ) お姉さんが帰った後、神主さんは境内に歩いていった。 境内にはちぇんが待っていた。 「やぁ、待たせちゃったね。ごめんね」 待たせていたちぇんに声をかける 「いいんだよー。ぜんぜんだいじょうぶだよー」 ちぇんは嬉しそうに神主さんの足元に駆け寄る。 神主さんはちぇんを抱えて社務所の縁側に歩いていった。 縁側の前には七輪が置いてあった。 神主さんはちぇんを縁側に置くと社務所の奥に入って輪切りにしたタマネギとスライスしたニンジンを持ってきた。 七輪の網の上に持ってきたタマネギとニンジン置くとじっくりと焦げないように焼いていく。 「いいにおいなんだよー。おいしそうなんだよー」 そう言ってちぇんはよだれを垂らしている。 神主さんは焼けたものから皿に置いてあげるとちぇんはハフハフしながら食べている。 ちぇんを見ながら神主さんも焼けたタマネギを肴にお酒を飲み始めた。 今日も一匹送れたなあと思いながら神主さんは夕焼けを眺めた後、ふとちぇんを眺める。 目の前にいる子は良いことも悪いこともあるが慎ましやかに暮らす顕世の普通のゆっくりだ。 一方元の世界に戻れたれいむは多分ゆっくりの中でも有頂天の存在だろう。 だがまた欲に負けてしまえばまた奈落の底に落ちることになるのだ。 神主さんは両方のことを思いながら呟く。 「どっちが幸せなんだろうなあ・・・」 そんなことを思いながら神主さんは杯を重ねた。 (おわり) 豊作の話と火の話でリンクさせようとしたのですがどうにもならず、挫折して別の話にしてしまいました。 あとオチがもう少しうまく付けられればよかったのに付けられませんでしたorz 書いたもの。 ゆっくりいじめ系2468 豊作祈願 ゆっくりいじめ系2502 ゆっくり玉
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「ふたば系ゆっくりいじめ 159 ユグルイ その1/コメントログ」 いや、細かくて面白味がありますぜ! 作者さん もみもみ(*´∀`*) -- 2012-05-25 02 50 30 とってもおもしろかったです! 設定は無駄どころか、とてもわかりやすかったです♪ ゆっくりできました!! -- 2013-10-05 09 12 03
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「ふたば系ゆっくりいじめ 861 ゆっくり草/コメントログ」 第4章の最後のせりふがアミバwww -- 2011-09-15 18 22 12 めちゃくちゃおもしろくなってるww この時点で神SSの徒然あきさんだw ムシゴロウ王国5との間に作者様に一体何があったんだろうかw -- 2011-11-06 14 25 32 ちょwwトキwww・・じゃなくてアwミwバwwww -- 2011-12-01 06 19 09 『性教育に胴付を使って問題になった所もあるが』 ここんとこ詳しく教えてもらおうか -- 2012-01-30 21 59 19 ゆゆこは確かにこぼね~♪しかゆわないからかわいいんだよな~(о´∀`о) -- 2016-08-26 00 04 23
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たまには普通に虐めてみる。 「ゆ~ゆゆ~♪」 森を歩いているとゆっくりれいむを見かけた。どうやらえさを集めているようだ 花やらバッタやらを口の中に収めている。 「ゆう!こんなところだね!ゆっくりかえろうね!!」 そんなことをいいながらぴょんぴょん跳ねて移動するれいむ。 独り言の多いやつだなぁ。 そんなことを考えながら俺はれいむの後をこっそりつけていった ああ、ちなみに俺は虐待お兄さん。鬼ってほどじゃないけど虐待は大好きさ。 たまにゆっくりを蹴っていじめるとすっきりするよね。 「ゆ!!ただいまだよ!!」 そんなことをいいながら巣の中に入っていくれいむ。きちんと入り口を木片や草で隠すのも忘れない。 巣は少し膨らんだ地形の地面を掘って作られていた。おそらく自分で掘ったのだろう。 雑草で少々分かりにくいように出来ており、なかなかよい巣であった。 ゆっくりは木の根元に作ることが多いのだが、このゆっくり一家はそういうわけではないようだ。 俺は位置を確認するといったん家へと帰っていった。 しばらくしてスコップを持って、また巣のところに戻ってくる。 こっそり入り口を少し開けて声を聞く。 「ゆっ、ゆゆっ」 「ゆぎぃ!」 「はんてい、れいむのかち!!」 「ゆ~、おねえちゃんつよい~」 どたばたとする音と騒ぐ声。どうやら相撲をやってるようだ。 全員いるようだが…ゆっくりという名前なのにゆっくりしてねえな、こいつら。 俺は近くの土を掘り、それをまず入り口にかけて固める。 完全に固まったのを確認すると巣の屋根に当たると思われる部分を軽く掘ってスコップで叩いた。 「ゆ、なんだかおかしいよ!!」 「なんだかやねがくずれてくるよ!!」 「やねさんゆっくりしてね!!」 「みんな!!きけんだからだっしゅつするよ!!おかあさんについてきてね!!」 下から声がする。俺が土を叩いているので崩れだしたようだ。しかしこいつら声でけえな。 声を確認しながら大体の巣の形を把握。騒ぎながら移動するので結構楽である。 どんどん 「ゆゆ!!いりぐちがあかないよ!!」 「どうじでー!!」 「このままじゃゆっくりできないよ!!」 入り口辺りで騒ぎ出すゆっくり達。そしてその上を掘ってさらに恐怖をあおる俺。 そろそろかな 俺は入り口辺りの屋根の部分と思しき所を思いっきり踏みつけた。 「ぶぎぃ」 「ゆ」 一気に崩れる土。声的に親れいむ辺りがつぶれた音か。他にも一匹つぶれたようだ。 「おがーざんがあああぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!」 「おねーぢゃーーーーん!!!!!!!!!!!!」 その光景を見たのか叫ぶ子ゆっくり。よしよしいい感じだ。 「ここじゃあぶないよ!!さっきのへやにもどるーー!!」 「れいむももどるー!!」 「ゆっくりしたいよーー!!」 一気に崩れた光景をみたためか移動していく声。どうやら入り口から奥の部屋に戻ったようだ 普通なら掘り進んでも入り口にいるのが正しいのに…さすが餡子脳。 声が移動するのにあわせて地面を叩いて崩落させる俺。それほど厚くないので思ったより簡単だった。 「やめでーーーーー!!!!」 「やねさんゆっぐりじでね!!!!」 「ゆっぐりでぎないよ!!」 あるていど入り口を埋めた辺りでストップ。さすがに疲れた。 「ゆううう、やっとおさまったよ」 「やっとゆっくりできるよ」 「ゆっくりしようね」 どうやらゆっくりし始めた子ゆっくり達 さっき親が死んだのにもう忘れたのか しばらく休憩してからまた軽く屋根の部分を掘る。今度はゆっくりしてるからか子ゆっくりはきづいてないようだった。 だいぶ掘り進んだしこんなとこかな。 「せー…の!!」 ぼすんっ!! 『ゆびぃ!!』 思いっきり踏みつけると部屋の部分の屋根に当たるところが一気に大崩落を起こす その影響で全ての子ゆっくりが巻き込まれた。 「こりゃすげぇな」 崩壊した巣から這い出しながらそんな感想をもらす。 苦労して掘った巣がこうやって一気に壊されるとはゆっくりも思わなかっただろう。 「あー、でも結構重労働だったわりにはあんまり苦しめられなかったか…」 疲労感から近くの地面にねっころがる。 さすがに二度とやる気は起きそうになかった。 ~~~~~~ 思いついて一気に書き上げた作品です。 人間に従うゆっくりの群れネタを書いてたら、スレで協定話が盛り上がってたらしく それ関係のネタがたくさん出てきて結構かぶってしまうという状態に もう少し早く書き上げればよかった ゆっくりした結果がこれだよ!! 過去作品 巨大(ry 餌やり ゆっくり対策 巨大まりさ襲来 このSSに感想を付ける
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※今までに書いたもの 神をも恐れぬ 冬虫夏草 神徳はゆっくりのために 真社会性ゆっくり ※今現在進行中のもの ゆっくりをのぞむということ1〜 ※注意事項 ゆっくりの形じゃ最初のひと跳ねもできないだろとか突っ込み禁止。 お日様昇って天高く、ぽかぽか大地を照らしてる。 風はびゅうびゅうまだまだ寒く、北から元気に吹いて来る。 睦月一月、春まだ遠い。とある冬の小春日和。 ここ数日続いていた陽気に誘われて、うっかりおうちの外に出かけてしまったれいむ一家は困っていた。 「ゆううぅぅ……」 「「「「「みゅぅぅぅ……」」」」」 人里近い川べりに、しょんぼり屯する一家、母れいむと六匹の赤れいむの総勢七匹。 水面に困り顔の影を落としても、事態が改善するわけもなし。 「水さん、ゆっくりしていってね!」 「みじゅしゃん、ゅっきゅりちていっちぇにぇ!」 もちろん川の流れに呼びかけたところで、急流がゆっくりしてくれるはずもなし。 さらさらと音を立てて流れる小川に恨みがましい目を向けて、「はぁ」と溜息と共に愚痴を吐くのが関の山だ。 「これじゃかえれないよ……」 「みゃみゃ、ひゃやくおうちにきゃえりちゃいよ……」 そう、れいむ一家のおうちはこの小川の向こうにある。 川幅おおよそ十尋にして、深さはおおよそ一尺ほどもあるだろうか。 この小川、一昨日れいむたちが渡った時には幅も深さも半分ほどでしかなかった。ゆっくりでも這って渡れる浅瀬もあった。 それが急に大きくなったのは、れいむたちを外に誘い出した小春日和に原因がある。 大本を辿れば妖怪の山にたどり着くこの小川に、この数日の陽気で生まれた雪解け水が一気に流れ込んだのだ。 妖怪の山から霧の湖へ、霧の湖からこの小川へ。 本格的な春が訪れた訳ではないから、流出した水の量もまだ微々たるもの。 だが、その微々たる量が、今はこうしてれいむたちの帰宅を断固として拒んでいた。 「ゆぅ……どうしよう。こまちのわたしぶねはここからだととおいし……」 この小川を遡っていけば、上流にゆっくりこまちが営む渡し舟の里がある。 だが、そこまで行こうと思えば、ゆっくりの足では丸一日。赤ちゃん連れでは二日を見ないと難しい。 今の一時的な増水が収まるまで待つのとどちらが早いか、れいむの餡子脳では判断しにくいところだった。 というよりも、餡子脳では考えても無駄なことであった、というべきか。 「あ。ゆっくりだ」 「ほんとだ。親子だ」 「ゆ?」 親子揃って無益な思索にどれほどの時間を費やしたことだろう。 状況の変化は、結局れいむが起こすのではなく外部からやってきた。 「ゆゆっ。ゆっくりしていってね!」 「ゆぅ〜、にんげんしゃんだ!」 「ゆっくちー!」 「ゆきゅちちちぇいっちぇにぇ!」 くるり、とれいむ一家が振り向いた先には数人の人間の少年がいた。 口々に挨拶するゆっくり一家に、人間に対する不審はない。 もともと魔法の森の奥に住むこの一家のこと、人間に出会うことも稀なために先入観というものがないのだ。 「にんげんさんは、ゆっくりできるひと?」 だから、とりあえず親れいむは聞いてみた。 相手のことをれいむは何も知らないのだから、本人に聞いてみるのが一番だ。 人間さんはとてもゆっくりできると、れいむの餡子脳の中に伝わる一族の記憶が伝えている。 きっと快く答えてくれるだろうと、根拠なく想った。 「ん? 俺たちはゆっくりしてるぞ」 「ゆっ。よかった、ゆっくりしようね!」 「「「「「ゆっきゅちちようね!」」」」」 返ってきたのは期待通りの返事で、れいむたちは今の状況も忘れてすっかり嬉しくなり、ぴょこんぽこんとその場で飛び跳ねた。 一方の人間の少年たちといえば、もちろんその場で飛び跳ねるような事もなく、ふいっと視線を水かさの増した川へと遊ばせる。 「……川を、渡りたいんだ?」 「ゆっ! そうだよ、れいむたちのおうちはこのかわさんのむこうにあるんだよ!」 ぴょこん、少年の問いかけにもう一度れいむはその場で飛び跳ねた。 人間さんと会えた喜びでゆっくり忘れてしまっていたが、今はそれが一番大事なことのはずなのだ。 川の流れは激しくて、れいむ家族は愛するれいむ(同種のつがいらしい)が待つおうちに帰れない。 「ふぅん……」 「でも……ねぇ、れいむ?」 そう窮地を必死に訴えるれいむにも、少年たちの視線は相変わらず川のどこかに向けられていた。 人間さんがどこを見ているのか、れいむは不思議に思って高い場所にあるお顔がどこを見ているのか必死に追いかける――と、 少し上流の川の中ほどをゆっくり進むそれを発見して納得がいった。 「まりさたちは川を渡ってるよ?」 れいむが見つけたそれ、人間さんが指摘したそれは、別の群れのまりさの家族が川を向こう岸に帰っていく光景だ。 親まりさ一匹に、赤まりさ六匹の計七匹。 川岸で侘しく佇むれいむ一家と同じ数。でも彼女たちはおうちに帰ることが出来て、れいむたちには同じことはできない。 「ゆぅ……まりさはおぼうしでかわをわたれるんだよ。れいむにはできないんだよ……」 「ゅー。まりしゃのおぼうち……いいにゃぁ……」 「うらやまちいにぇ……」 だって、それが生まれついてさだめられたゆっくりの種としての特徴だから。 まりさは帽子を舟代わりにして水辺を過ごすことができて、れいむは川を渡ることが出来なきない。 親一匹と赤ゆっくり六匹、羨ましそうにまりさたちの後姿を見送ることしか出来ないのだ。 れいむたちだって、おうちにかえりたいのに。 おうちにかえって、もう一匹の親れいむと何日かぶりにすりすりしたいのに。 ちょっとしたお散歩と餌集めのつもりが、陽気に誘われて随分遠出してしまった。 さぞかし、お留守番の家族は心配しているに違いない。早く、顔を見せてゆっくり安心させてあげないと。 思えば、最初から留守番れいむは遠出に反対していたのだ。 ここまで連れて来た六匹の赤ちゃんたちは、れいむとれいむの初めての子供だった。 秋口にれいむ達はつがいになって、冬篭りに入る直前に初めてのすっきりでこの子達を作った。 たっぷり食料を蓄えた巣穴で、安全に大きくなるまで育てる為に。 春の目覚めを十分に成長した子ゆっくりとして迎え、危険の少ない状態で外界での生活をスタートさせるために。 ああ、だから赤ちゃんたちを連れてくるべきではなかった。 今はちょっとゆっくりできそうだからって、お外の世界を見せてあげようなんて思うんじゃなかった。 れいむの反対を聞いておくべきだったのだ。何がおきるかわからないよ、ってれいむはちゃんと注意してくれていたのに。 川の流れに逆らって、ゆっくり遠ざかるまりさの姿を見送りながら、お出かけれいむの焦りは募る。 かなわない願いだけれど。 今は、ほんとうに、早く、帰りたい。 「ふぅん……じゃ、渡れるようにしてやろうか」 ――その、見送ることしか出来ないはずのものを、人間さんがこともなさげに聞いてきた。 びっくりして、れいむ一家はお互いに顔を見合わせた。 与えられた衝撃と、それによって生じた困惑と、そこに芽生えた期待の大きさは、みんな同じだった。 この川を渡るなんて、れいむたちにはとてもじゃないけれどできないこと。 だけどれいむたちより大きくて、とてもゆっくりしているはずの人間さんの言うことなのだ。 人間さんが口にすることならば、それはとってもゆっくりできることのはず。疑うことなんて何もない。 そして、お出かけれいむだけではなく、赤ゆっくりの心も一つ。 おうちに早く帰りたい。 れいむ一家は「ゆっ」と一つ頷きあって、それから一斉に人間さんへと顔を向けた。 「ゅんっ、ほんちょ?」 「にんげんしゃんはゆっくちできるね!」 「ゆっ、ありがとうにんげんさん! れいむ、とってもうれしいよ!」 そして顔の次に向けるのは、感謝感激雨あられ。 なんて人間さんは凄いんだろう。 れいむたちに出来ないことを簡単にやってのけるのだ。 「んじゃ、と……おい」 れいむたちが提案を受けれたことに、少年たちも満足そうにお互い笑いあった。 ただし、全員ではない。幾人かは、どこか不満そうな顔で仲間たちの行動を少し離れたところから見守っていた。 何か言いたげなその連中を一瞥して黙らせ、れいむを助けてやると請け負った少年たちはさっそくれいむ親子の周りに集まる。 ひょい、と男の子の一人がれいむを顔の両側から抱え込むようにして手を差し込んでくる。 少しびっくりしたけれど、れいむはそれに逆らわない。きっと、これからゆっくりできることをしてくれるはずだ。 次の瞬間、地面が、すぐ側にいた赤ちゃんが、目の前にどこまでも広がるように見えた川面さえも一気に遠ざかり、 視界が大きく広く拡大する。 その絶景、まるで鳥さんになったよう。 「ゆ? ゆーん、おそらをとんでるみたい♪」 「おしょらをとんじぇるみちゃい!」 気が付けば、赤ちゃんたちもいつの間にか少年たちの手にそれぞれつかまれている。 今まで目にした事がないような光景に出会っているのは、赤ちゃんたちも同じこと。 きゃっきゃと賑やかに声を交わすその様子は、とってもゆっくりできているようだった。 でも、『人間さん』の中には『ゆっくりできていない人間さん』もいたようだった。 「おい、やめなよ。いじめはよくないってけーね先生もいってただろ?」 「ゆぅ、いじめはゆっくりできないよ?」 少年たちの一人――仲間たちから先ほど距離を置いた少数派の少年たちの一人が、少し震える様子で上げた制止の声を聞いて、 れいむは思わず自分を抱える少年の顔を見上げて言った。 不満を洩らした人間さんは、れいむのかわいい赤ちゃんを持っていない。れいむたちより人間さんの方が数が多かったらしい。 「ゆー?」 「ゆゆっ?」 れいむのかわいい赤ちゃんたちも、きょとんとした顔を自分を手にした人間さんの顔へと向けていた。 それは、不満顔の人間さんが怒るのも当然だとれいむは思う。 こんなにもかわいらしい赤ちゃんを、手の上に載せて挙げられないというのはあまりにも不公平というものだろう。 独り占めなんていじめっこのすることだ。ゆっくりの世界では一番しちゃいけないことのひとつなのに。 「バーカ、いじめじゃないよ。儀式だ儀式」 「こないだ先生に習ったろ? 蜀の国の諸葛孔明は荒れた川を治めるのに人間の顔に似たお菓子を川の中に投げ込んだって」 「それが饅頭のはじまりだってね。だから、これが饅頭の正しい使い方だろ?」 「そうだけど、そうじゃないだろ。先生にバレたら怒られるぞ」 「ゆ……ゆゆー?」 人間さんたちのお話の内容は、れいむには難しくてわからない。 なんでケンカしているのかも、いまいちはっきりとはわかっていなかった。 わからないけれど、人間さんたちが普通にれいむたちを運んで川を渡してくれるわけではないことだけはわかった。 それはそうだろう。川はいつもより深くて急だ。 れいむたちに渡れないんだから、きっと人間さんにも危ないんじゃないだろうか。 だから、れいむたちにも渡れるように、逆に川さんにゆっくりしてもらうんだろう。 「ゆゆっ? ゆっくりりかいしたよ! かわさんにゆっくりしてもらうほうほうがあるんだね!」 「ゆー! ゆっくちできにゃいかわさんが、ゆっくちできりゅかわしゃんになるんだね!」 「ゆう、にんげんしゃんはすぎょいんだにぇ!」 赤ちゃんたちがいうように、人間さんは、やっぱりすごい。 川さんにゆっくりしてもらえる手段なんて、れいむどころかドスもぱちゅりーも知らないはずだ。 れいむは人間さんの会話を素直に受け取り、とても素直に感動する。 「実はそうなんだよ、れいむ。だから一緒にがんばろうな」 「あのなぁ……」 「ゆゆっ。よくわからないけど、れいむがんばるね!」 人間さんの一人がえっへんと胸を反らせて答え、別の一人が、「はぁ」と疲れたような吐息を吐いた。 ため息をついた一人はぶすっとした仏頂面で胸張る一人をにらみつけ、 「俺たち知らないからな」 「バラさなきゃ、先生だってわかんねえよ。っつーか先生に気づかれたらお前ら殴るからな」 逆に凄まれて「わ、わかったよ」と怯む。 やっぱり、れいむのあかちゃんを持ちたいのに、独り占めされてるから怒ってるんだ。 れいむはそう理解して、頭上の少年にわが子を宥めるような優しい声を掛ける。 「ゆぅ。にんげんさん、けんかはよくないよ?」 「よしよし、待たせたな。じゃあ行くぞれいむ」 少年は、れいむのいさめには答えない。変わりに笑って川のほうを見るようれいむに促した。 いよいよ、この川を渡れるようにしてくれるらしい。 れいむは先ほどの人間同士のやりとりなど忘れ、満面の笑みがパァっとれいむの顔に咲く。 「ゆーん。これからかわさんにゆっくりしてもらうおねがいをするんだね! ゆっくりがんばってねにんげんさん!」 「お前も頑張るって今言ってたじゃん……」 それは、期待通りの話題変更ではあったけど。 れいむの能天気な受け答えを聞いた少年と、彼の仲間たちの顔にいつしか強い嘲りと愉悦の色が浮かんでいた。 だが、近づく帰宅への期待に胸膨らませるれいむ一家は、頭上はるかな人間達の表情の変化に気が付かない。 気付けといっても、顔を直接見あげることの出来ない位置に固定されたれいむたちには無理な話ではあったが。 「……ゆゅっ」 れいむ一家が微妙な空気の変化に、なにも気が付くことのないままに。 一人の少年が赤れいむを掴んだ右腕をすっと身体の後ろに引いた。 唐突な動きに赤れいむはほんの少し驚いたようだったが、怯えの色は微塵もない。 人間さんはゆっくりできる存在で、ことにこの人間さんたちはれいむたちを助けてくれる特別ゆっくりな存在なのだ。 なんで恐がる必要があるというのだろう。 「おねえちゃん、りぇいみゅおしょらをふわふわすぃーってとんじぇりゅよー」 「きゃっきゃっ♪」 「ゆっくりできてるねおちびちゃん!」 「うまくやれよー、弥平次」 「任せとけって」 赤ゆっくりたちの歓声、それを見守る親れいむのゆっくりした声、はやし立てる周囲の少年たち、 そんな彼らに向けて空いた側の手でガッツポーズを作って応える少年。 何が起きようとしているかわかっている者と、何もわかってはいない者。 今だけは、お互いの感情は一致している。 「できればまりさにぶつけたいな」 「あ、それ面白そう。ぶつけたヤツが一等賞だ」 「ゆゆーん、もうすぐおうちにかえれるね!」 「おうちにきゃえったらおきゃーしゃんとゆっきゅちちようにぇ!」 即ち、これから起きること、その先に待つことへの期待と喜悦。 「んじゃ、第一球――」 「ゆっゆぅ、たきゃいたきゃい〜♪」 一瞬先には、その明暗はくっきり分かれてしまうのだが。 「――投げましたぁっ!」 「ゅ……ゅぅぅぅぅぅぅぅっっ!!?」 一瞬の静止から、サイドスローで少年がれいむを掴んだ腕を振りぬいた。 突然身体に掛かった強烈な加速感に、掴まれた赤れいむの歓喜の声が驚愕の叫びに変じたその瞬間、 すっかりゆっくりしていたれいむ一家の目には、わが子が、姉が、妹が、マジックのように消えうせたように見えた。 だから、川面の方から聞こえてくる同属の声を、すぐには誰のものか認知しない。 「ぁぁぁぁっ、いぢゃいっ! あびゃいっ!? えべべ……えびょっ」 ぱしっ! たしっ! じゅぶっ……じゃぼん。 ぎゅるぎゅるっ、と横回転を加えられた赤れいむは、確かに二回水の上を跳ね、三回目で勢いを失い、 それからつんのめるようにな軌跡を描いて、その次の着水であっさり流れの中に飲み込まれていった。 それは、いわゆる石切り遊びと呼ばれる遊びと同じものだった。 というよりも、石切り遊びそのものだ。使うのが、平たい小石ではなく、れいむ――ゆっくりであるということが違うだけで。 横投げで、投擲するものに強い回転を掛け、浅い角度で水面で跳ねさせてどこまで遠く、何回跳躍するかを競う。 投擲物は飛び去るうちに空気の抵抗を受けて回転数を減じ、着水時の抵抗力を失って最後には水中に没することになる。 たった今、赤れいむがあっという間に水没したように。 「……おちび、ちゃん……?」 「おねーしゃん……いにゃいいにゃいしゅりゅの?」 「いみょうと……れいみゅのいみょうと、きゃくれんびょしてりゅの……?」 ゆっくりたちが、ゆっくりと異変に気づいたころには、すでに川へ向かって投げられた赤れいむの姿はどこにもなかった。 音を立てて流れる清流の中に、一瞬餡子の黒が浮かんだが――それも一瞬のこと。 強い流れの中に溶けて消えうせ、投じられた生き饅頭の残滓は綺麗に何も残らない。 だから、れいむたちにはわからない。 なぜ、人間さんが先ほどまで手にしていたはずの家族がいないのか気が付かない。 順番にその身を襲うだろう、命の危機に気が付かない。 もっとも、それに気が付いたところで、文字通り生死を握られた状況ではなんら益するところはなかっただろうが。 「んあー、おしいっ!」 「どこがおしいのさ? まりさ、気付いてもないよ」 「次はせめて、まりさに水音が聞こえるぐらいに近づけろよな」 混乱するれいむたちの頭上で、少年たちが賑やかに言葉を交わしている。 だがきょときょとと家族の姿を探す一家に、その声は聞こえていても内容を理解することはできなかった。 理解できぬままに、次の危機は無情にもやってくる。 「っせえなあ。じゃあ助左、お前やってみろよ」 「任せろよ」 周囲のブーイングにすっかり拗ねた顔をする弥平次と呼ばれた少年に、助左と呼ばれた少年は不敵な笑いを浮かべて応じ、 彼と同じく赤れいむを掴んだ腕をすっと身体の横へと引いていた。 「……ゆ? おにーしゃん、あしょんでくりぇりゅの?」 「おう、遊ぶぞ。れいむで遊んでやる」 視線が急に水平に動いたことに驚いたらしく、掌中の赤れいむがずれた問いを発する。 そのずれた問いに返す少年の返答も、また少しばかり言葉をずらしたものだった。もちろん、こちらは意図的にずらしているのだが。 「ゆゆ……? りぇいみゅであしょぶにょ?」 姿の見えぬ姉妹を探すうちに心に浮かんだ一抹の不安が、幼い赤れいむにその問いを思い至らせたのだろうか。 微妙な言い回しに気が付いて鸚鵡返しに聞き返す声は、ほんの少し不安に揺れていた。 横目で親の方を見れば、やはり心の中に広がりつつある形容しがたい不安に瞳の光を揺らがせる、親れいむの視線と目が合った。 あるいは、腕を引いた少年のしぐさが先の赤れいむの消失のサインだったと思い至ったのかもしれない。 その未だ人間の善性を信じつつ、それでも禁じえないだろう不安の様子が、芽生え始めた人間への恐怖が、 少年に心地よい快楽を与えることを赤れいむはついにその死までしることはなかった。 「そうだ。おねえちゃんのあとに、つづけぇっ!」 「ゆあっ、ゆぅぁぁぁぁぁっ!?」 少年の威勢のいい掛け声と、赤れいむの恐怖と驚愕が相半ばした悲鳴が川原に響く。 今度ははっきりと、親れいむたちは家族が消滅するプロセスを順序だてて目にすることが出来た。 「れっ、れいむのおちびちゃああああんっ!!!」 「……ゅぁ?」 「おっ、おねえちゃあああぁぁぁん!!」 家族の絶叫がとどろく中、六尋ほど先の川面から小さな水音がじゃぽんと聞こえた。 今度のれいむは短い跳躍を五回繰り返し、異常を感知して漕ぐ速度を上げたまりさ一家にほんの少し近づいて、死んだ。 最初の赤れいむと同じく、この世に生きた証を何も残すことはなく、親に最後の言葉を遺すことすらなく、跡形なく溶け崩れて死んだ。 「なっ……れいぶのおぢびぢゃんだぢがっ……。にんげんざん、ごればどういうごどおおぉぉっ!!」 れいむは信じたくなかった。 これが現実だと信じたくはなかった。 娘がいきなり川の中に投げ込まれ、あっけなく死を迎えたことが現実の世界に起きたことだとは信じたくはなかった。 先ほどと変わらない笑顔をれいむに向けて見下ろしている人間さんが、こんな非道を唐突に行う存在だと信じたくはなかった。 「儀式するって言ったじゃん」 その祈るようなれいむの願いを、少年たちは笑顔のままあっさりと折り砕いた。 「饅頭を川に投げ込むって言ったろ。聞いてなかったのか、お前?」 「おまえら饅頭なんだからさぁ。その時点で気づけよ」 馬鹿だなぁ、と笑う少年たちの口元には、れいむにもわかるほどくっきりと嘲りが浮かび上がっていた。 それを見てれいむは、生まれてはじめて憎しみというものを知った。 生まれてはじめて絶望というものを知った。 生まれてはじめて悪意というものが存在することを知った。 それらは全て、ゆっくりできるはずの人間という存在から与えられた。 つい先ほどまで、共にゆっくりしていたはずの、人間さんから。 「でいぶのあがぢゃんはまんじゅうじゃないいぃぃっ!」 「饅頭だよ、キモチ悪いしゃべる饅頭。ほら、その証拠に」 「……っ!!」 「ぃぎゃあああぁぁぁぁっ!!?」 「ほぉら、餡子入りの饅頭だ」 一瞬の躊躇もなくれいむの右頬を毟り取った少年は、身を襲う激痛に泣き喚くれいむの鼻先にそれを突きつけてけたけたと笑う。 やがて苦痛に身を捩るばかりで突きつけられた事実に反応を見せないれいむに飽いたのか、千切ったその部分を川の中に投げ捨てる。 「おきゃーしゃーん!?」 お楽しみは、まだまだあるのだ。 このゲスしかいない屑饅頭の分際でクソ生意気にも、親を案じるようなミニ饅頭を筆頭にして。 「おきゃーしゃーん、じゃねぇよ。ほらさっさと飛べ」 「ぉきゃーしゃんをいじめりゅ……にゃぁああぁぁぁ、おねーちゃんがぁぁぁぁぁっ!!?」 「ゅぁぁっ、れいみゅしにちゃくにゃ……ゃぁぁぁぁぁっ!!!」 頬を大きく千切り捨てられて、身を絶えず苛む激痛にほとんど麻痺していた親れいむの精神がようやく我を取り戻したのは、 愛するわが子の怒りや悲しみに満ちた絶叫が次から次へと飛ぶように遠ざかるという恐るべき事態に直面してからだった。 「ぉあ、あああああっ! おぢびじゃあああああああん!!」 我に返ったところで、もう遅い。 我に返ったところで、何も出来はしない。 親れいむにできることは、命に代えても惜しくはない愛するわが子達が、 次から次へと決して対岸に届くことない死への跳躍に駆り立てられる姿を見送ることだけ。 いや、そもそも描かれる軌跡は対岸へと向けられてすらいない。 すべて、川の中ほどまで進んだ他所の群れのまりさの家族へと向けて投げられているのだから。 「沈め、沈め!」 「あーっ、当たらねぇーっ!?」 「丸すぎてちゃんと飛ばないんだよ。やっぱ何に使ってもだめだな、ゆっくりって」 少年たちが楽しげに笑い、天を仰いで嘆くたび、 「ゅびゃぁぁぁぁぁっ、ゆびぇっ、ぃゃだっ、たじゅけぶびゃ!?」 「ゅぎゃっ! ゅぐぅっ、おぎゃーじゃばばっ!!」 「やだやだれいみゅおちょらとびちゃくにゃ……ぶぎゃぅ……」 赤れいむの声が遠く、彼方へ遠ざかっていく。 二度と親れいむの肌が触れ合えない彼方へと。 投じられた赤れいむの誰一匹、対岸にたどり着くことはなかった。 親れいむと一緒にお散歩に出かけた誰一匹、二度とおうちに帰り着くことはなかった。 六匹全てが、親れいむの目の前で川のせせらぎの中に没して溶けて崩れて死んだ。 親れいむは叫び続けた。全てが終わるまでずっと叫んでいた。 よほど強く投げられたのだろう、最後の一匹は最初の着水の衝撃に耐え切れずに弾けて死んだ。絶鳴すらなかった。 吹き飛んだ餡子が川の中に沈み、リボンが流れに乗って視界から消え去る頃には両の目から流れ出る涙も、 悲鳴を上げるべき喉も枯れ果て、乾き切っていた。 「あ゛……ゅあ゛あ゛……」 頬に痛々しく開いた傷口の痛みすら、もう欠片も感じない。 後に残ったものは、れいむの中を満たすものは、全てを失った絶望だけ。 少年の腕に抱かれて、れいむは生きながらにして死んでいた。 「もぉ、やだぁ……おうち……かえれない……」 あるいは、自分が殺される順番を待ちわびていたのかもしれない。 もう、おうちで待つ伴侶のれいむに会わせる顔などあろうはずもなかった。 生気のないうつろな眼差しを対岸にあるおうちの方角へ向け、在りし日の幸せな生活を、去りし日の安らぎに満ちた家族を想った。 それを壊したのは他の誰でもない、自分だ。 自分が子供たちに早く外の世界を見せてあげたいなどと思わなければ、 きちんと理由立てて反対してくれた伴侶れいむの言葉に耳を傾けていれば、 外の世界に出たとしても、調子に乗ってこんな遠くまで遊び歩かなければ。 「れいむが……れいむがばかだから……みんな、みんな……」 幾つものif全てで、れいむは死に繋がる選択ばかりを選んできた。 今考えれば、れいむにも如何に愚かな試みだったかが嫌というほどによくわかる。 だって、こんな最悪の結果を迎えてしまったんだから。 だから、れいむにはもうゆっくりできない人間たちをうらむ心はなかった。 ここで彼らに会わなかったとしても、きっとどこかで自分たちは死んでいただろう。だって、れいむはとびきりのばかだったから。 生きていることが罪になるほどの、誰もゆっくりさせてあげられない、自分の子供さえゆっくりさせられないゆっくりだから。 今からこのゆっくりできない人間さんたちから与えられるだろう死は、れいむにとって当然の罰なのだと思えた。 「れいむ……ばかでごめんね。れいむをおいてっちゃうことになるけど……せめて、おちびちゃんはあっちでりっぱにそだてるよ……」 だから、れいむはこっちでゆっくりしてね。 心のそこからそう願い、れいむはゆっくりと目を閉じる。 次にくるのはお空を飛ぶ感覚か、れいむの身体を何かが破壊する激痛か。どちらでもよかった。 全てを受け入れる心は出来ていた。与えられるものが死であるなら、どんな苦痛を伴うものでも構わない。 「おーい、何言ってんだよ」 「ゆぅ……?」 与えられるものが、死であるなら。 「お前はおうちに帰るんだよ」 「……ゆ゛!?」 誰が、生など望むものか……! 「お前をおうちに帰すために、ガキども川に投げ込んでやったんじゃないか。お前が帰んなきゃどうすんだよ」 だというのに。少年の笑顔が、れいむの心を痛烈に一打ちして蘇生させた。 ま、水が収まるまでゆっくりしろよ。少年はにやにやと嫌な笑いを浮かべてそう告げた。 れいむの願いと対極をなす、あまりにも残酷な言葉をそんな笑顔で淀みなく告げた。 「……あっ、あがぢゃんみんなじんじゃっで、ごろされぢゃっでがえれるわげないでじょおぉぉ!?」 だがそれに驚き、叫ぶれいむは本質を理解していない。 自分を抱えたままの少年が、いったいれいむに何を望んでいるのかを。 当然、ことの本質を理解しようともしていないれいむの抗議になど、少年はまるで取り合わない。 そうやって、れいむの身体ではない、心を苦しめ、痛めつけることが目的なのに、この饅頭はまるでわかっていないのだから。 楽しげに笑う少年の意図を、れいむはまったく理解しない。 理解しないままに、少年が望むままに苦しみ、悶え、のた打ち回る。 「ごろじでっ! あがぢゃんだぢどおなじみだいに、ごろじで! すぐごろじで! れいぶをごろじでっ!!」 「あっそう。じゃあ好きにしろよ。とりあえず傷は直しておいてやるから」 「ゆびゅっ!?」 なおも殺してくれと喚きたてるれいむに、少年は肩から提げた布地の鞄から竹筒の水筒を取り出した。 そこから頭に振りかけらた液体が目に染みて、思わずれいむは悲鳴と共に目を閉じる。 一瞬、ゆっくりが死ぬことのできる毒か何かと期待したが、もちろんそんなものではなかった。 それどころか、引き裂かれた頬の傷口があっという間に痛みを失っていくのがわかる。 恐る恐る、髪を伝って口元に一筋の流れを形作ったその粘度の高い液体を舐めてみる――とても、甘い。 傷つき、死をひたすら望むほどに疲弊した心すら、油断すると癒してしまいかねないほどにその液体は甘かった。 それが水あめというあまあまなたべものであるとまでは、まったく野生で育ってきたれいむは知らない。 「じゃーな」 別れを告げるその言葉に我を取り戻した時には、頬の痛みはまったくなくなっていた。 頭に注がれる液体も、いつのころからか途絶えている。慌てて目を開けたれいむの 先のれいむの懇願など気にも留めず、いっそ丁寧なぐらいゆっくりと、安定した岩の上にれいむを置いて手を振っていた。 岩場から飛び降り、れいむがその背中を追う頃にはすでに少年たちの姿はずいぶん先にある。 「まっ、まって! おいでがないでっ!」 「礼はいらないぞー」 「あと一日も待ってりゃ水は引くと想うぞ。よかったな、赤ちゃん死なせた代わりに家に帰れるぞ」 まあ、多分ちびが死ぬのと水が引くのは関係ないけどな。 そう言って、少年たちはどっと愉快そうに笑いあっていた。 「でいぶをごろじで! ごろじでよぉ!」 「やーだよ。死にたきゃ勝手に死ねば?」 れいむが泣けば泣くほど、叫べば叫ぶほど、少年たちは楽しそうに肩を震わせて笑った。 顔がキモい、声がキモい。ガキ殺したぐらいで必死なのがキモい。 理由を挙げ、せせら笑い、だが川原を離れる歩みは止めずに、れいむからどんどんその姿が離れていく。 「おでがいじばず! でいぶをごろじでぐだざいっ! れいぶを、でいぶをあがぢゃんのどごろにいがぜでぐだざい! おねがいじばず、おでがいじばぶっ!!」 れいむは泣き喚きながら、追いかけた。 精一杯、尖った石が親れいむの底面を抉り、切り裂く痛みなど気にもならなかった。 致命傷には至らない痛みなどどうでもよかった。 ひたすらに、自分の命を少年達が摘み取ってくれることを希った。 彼らがれいむ自身の命よりもはるかに重い、赤ちゃんたちの命を遊びのために全て流し去ってしまったように。 だが子供達は無情にも、れいむの願いなど一顧だにせず嘲り笑いながら走り去っていく。 どんなに跳ねても、どんなに飛んでも、その背中にれいむが追いつくことは決してなくて。 「どぼじで! どぼじでごろじでぐれないのおぉぉぉ!!」 ただ、痛々しい親れいむの絶叫だけが、誰もいなくなった川原に轟いた後。 しばらくして、大きな水音がひとつ新たにバシャンと響き、川原は元の静けさを取り戻した。
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「ふたば系ゆっくりいじめ 167 ちぇんの素晴らしきゆん生/コメントログ」 ちぇん…ありす…うぅ -- 2010-06-16 04 56 01 とってもゆっくりできたよ!!! いじめSSもいいがこういうのももっと増えて欲しい -- 2010-07-06 16 07 50 やや反応が鈍いが、物分かりの良い四女ちぇん。 愚鈍に見えて賢い末っ子なんて言う生存フラグが真っ先に洗い流されるのが衝撃でした -- 2010-10-16 16 59 19 つまり、レストランの客の視界でゴミが鎮座しているのか。かなり嫌な光景だな -- 2010-10-25 17 40 12 なんかもの悲しいな・・・ -- 2010-11-17 22 37 05 泣いたwゆっくりごときにw -- 2011-01-19 07 14 30 なんか、赤ずきんを彷彿とさせるような、嫌われ松子の一生を彷彿とさせるような・・・寂寥感があるね -- 2011-09-01 01 00 29 真夏はゆっくりできるねの前か・・ 飾りを失っても愛するのってすごい -- 2011-12-06 20 41 51 これは……"ゆっくりいじめ"じゃなくて"お兄さんいじめ"よ! -- 2012-11-27 22 32 59 細かいな、これ漫画になったらかなり面白いだろうな、サブストーリーいっぱいで追っていくのが大変かもしれないが なんか、可哀想な結末でありながらもなぜかゆっくりできている自分が居る -- 2012-12-15 17 28 15 リア充、妬ましいねー。わかるよー。(パルパル -- 2014-08-03 22 28 33 ふたゆとも健気だな・・・。 -- 2022-10-31 18 02 45 ゲスまりさの制裁を書いたらいいと思う、ゲスが生きて善良がタヒねの最悪 -- 2023-02-27 17 42 58 映画化!映画化決定です‼︎! -- 2023-06-11 13 04 03
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過去に書いたSS ゆっくりいじめ系2003 ありすを暴行して殺しただけの話 ゆっくりいじめ系2196 レイパーありすの群れの敗北 ゆっくりいじめ系2197 レイパーありす因果応報? ゆっくりいじめ系2653 かわいいおちびちゃん、死す れいむとありす 作:ついありすを優遇してしまう人 ====================================================================================================================== 押入れの整理をしていると、懐かしいものをみつけた。 古いラジカセ。だいぶ前に使わなくなったものだ。 このラジカセは、本体にマイクが内蔵してある。ラジカセの前で何か言えば、すぐにテープに録音できる。 子供の頃は、テープに録った自分の声を聞いただけで楽しかった。 …そうだ、これいいオモチャになるんじゃないかな? と、思い立つとラジカセを持って立ち上がる。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― 「ゆゆっ? にぇえ、おにいしゃん、もうしゃべっちぇいいにょ? …ゆ、ゆふん、ゆふん! ゆゆーん! あ、ありしゅでしゅ! すこしまえから、みゃみゃと、おにいしゃんのおうちでくりゃすことに にゃりまちた! これかりゃ、おにいしゃんのおうちで たくしゃん ゆっくりちたいとおもいましゅ! … お、おわりだよ! ちゅぎは、みゃみゃのばんだよ!」 「ゆゆ! ありすのママのありすよ! ありすのおちびちゃんは、とってもかわいいわ! おにいさんも、おちびちゃんのかわいさに めろめろなの! このおうちは、まえにいた おうちとちがって、とってもひろくて とかいてきだわ! おにいさんのくれる おかしや ごはんも、すごくおいしいの! ありすも、おちびちゃんも、おにいさんがだいすきよ! おにいさん、これからずっと、ありすたちと、ゆっくりしましょうね!!」 「というわけで、ありすちゃんたちは、毎日一日に一回、このラジカセで「日記」をつけることになりました。 これなら文字が書けないゆっくりでも、一日の記録を残すことができます。それじゃあ今日はこれで終わり。 ゆっくりお休みなさい、ありす」 「ゆっひゅ~ん☆ きょうにぇ、おにいしゃんが、ありしゅと みゃみゃのおうちを つくってくれちゃよ! あのにぇ~、おにいしゃんのおうちは、とってもひろいの。 でもにぇ、しょれだと、ありしゅと みゃみゃには、おおきすぎて、つかいにくいの! だからにぇ~、おにいしゃんが、”だんぼーる”を”ほーむせんたー”でかってきて、ちいさいおうちをちゅくってくれたんだよ! とても とかいちぇきでにぇ~、ありしゅの えほんをいれておくところも あるんだよ! これからおうちに かえりゅの! おにいしゃんとは またあしたあしょぶよ! じゃあにぇ、おにいしゃん、しゃようなら~! ゆゅ~~~♪」 「おちびちゃん、そんなに いそいだら、つまづいて ころんじゃうわよ!『ゅっ!?』 あらあら! ほら、いわんこっちゃないわ! 『びぇえ~ん!みゃみゃ~! いちゃいよ~~~!!!』 ゆゆぅ…、きょうの にっきはここまでよ! おちびちゃん、いまぺ~ろ~ぺろ してあげるからね!!」 「ゆゆん… きょうは、にぇ… みゃみゃと、おにいしゃんと、おえかきと、おにごっこと、おうたをうたっちぇ、あしょんだ… ょ… …ゆ… ゆぴぃぃ、ゆぴぃぃぃ… むにゃ…」 「あらあら、おちびちゃん、あそびつかれてねちゃってるわ… ねがおもとてもかわいいわね…。ねぇ、おにいさん? …ありすたちを ゆっくりさせてくれて ありがとう… おにいさんも、おちびちゃんのかわいい ねがおをみて ゆっくりしてね…」 「ゆびぇえええええええ… ゆぐっ、ゆぐぅぅ… ありしゅの… ありしゅのだいじなおうちが、こわれちゃったよぉぉ… ゅひぐっ… …あのにぇ、きょうはにぇ、おにいしゃんの おふとんのなかで、みゃみゃといっしょにねてたの… それでにぇ、ゅぐっ、それで、ありしゅがおきてにぇ、えほんをもってこようとしたら… おうちが、おうちが… ゆぅぅぅぅぅ… お、おにいしゃんは、どろぼうさんが、ありしゅたちのおうちを こわしたかも しれないって いってたよ… でも、ありしゅと みゃみゃに けががなくて よかったって いってくれたよ… ゆゅ… おうちが なくにゃっちゃったから、きょうは、”くっしょん”でねむねむしゅるにょ… … おやしゅみなしゃい、おにいしゃん…」 「…おうちがこわれたのはざんねんだけど、おちびちゃんがぶじでよかったわ! もし きのう、あのおうちでねてたら、おうちごと、ありすとおちびちゃんも… か、かんがえるだけでも おそろしいわ! ゆぐ… た、たとえ もういちど どろぼうさんが きたとしても、ぜったいに おちびちゃんは ありすがまもるわ!!」 「それにしても、一体誰がこんなことを…? 泥棒の仕業かと思ったが、物を盗まれた形跡は無いのに…」 「しょろ~り、しょろ~り、ゆゆ~? みゃみゃ、いにゃいよにぇ? おにいしゃん、もう”すいっち”はいってりゅ? …ゆっ! ありしゅにぇ、おにいしゃんに てつだってもらって、みゃみゃの えをかいてるんだよ! あとにぇ、おうたをうたって、おにいしゃんに ”ろくおん”してもらったの! でもにぇ、みゃみゃには ないしょにしてるにょよ! しょれで、あしたにぇ、みゃみゃに ”ぷりぇぜんと” しゅりゅの!! みゃみゃ、じぇったい びっくりしゅるよ! ゆゆ? おにいしゃん、にゃんでわらってるにょ? …ゆ~! みゃみゃには、ぜったいないしょだからにぇ! ばらしたりゃ、おにいしゃんでも ただじゃおきゃにゃいよ! ぷくぅぅ~! …ゆあ! みゃみゃがきちゃよ! ゆ、ゅんゆ~ん♪ きょうみょ たにょしかっちゃよ! またあしたにぇ! …みゃみゃ、ありしゅは おしゃきに ねむねむしゅるよ! おやしゅみなしゃい!」 「おちびちゃん、さいきん、なんだかとてもうれしそうね… なにか、いいことがあったのかしら? おうちがこわされて おちこんでいたけど、またげんきがでて なによりだわ! …え?なに?おにいさん。 あした、いいことがあるかもしれない…? ゆゆ…! そうね!なんだかありすも いいことが おきそうなきがしてきたわ! あしたが とってもたのしみよ! おやすみなさい、おにいさん!」 「お、おい、大変だ、ちび!」 「…ゅゆ? にゃ~に、おにいしゃん? ありしゅは まだ ねむねむだ … よ ……? ゅゅ… にゃんか べたべたしゅりゅよ? …あみゃ… あみゃ…? ゆ…? ゆゆゆ… !?」 「ゆ、ゆ… ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!! ゆびっ、ゆびぇ゛え゜え゜え゜え゜え゜え゛え゛え゛え゛え゛ん!!! ゆ゜あ゛あ゛あ゛ああああああああああああああああああああああああん! み゛ゃ゛み゛ゃ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あああああああああああああああ!!!! どおじでええええええええええええええええええええええ!! み゛ゃ゛み゛ゃ゛あああああああああああああああああ!!!!み゛ゃ゛み゛ゃ゛あああああああああああああああああああ!! み゛ ゃ゛ み゛ ゃ゛ あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!」 「ゆぎっ、ゅぐっ、 ひぐぅぅぅ… き、きょうの、あしゃ… だいしゅきな、 あ、ありしゅのだいしゅきな みゃみゃが、みゃみゃが… み゛ ゃ゛ み゜ ゃ゜ が しんぢゃったよお゛お゛お゛お゛お!!!! ゆ゛… ゆ゛… ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああああああああああああああああん!!!!!! あ゛あ゛あ゛あ゛ああああああああああああああああああああ… 」 「どうやら、子ありすは、状況を説明できる状態にないようだ… 無理も無い…ちびの母の死体は、とても酷いものだから… 俺が起きて、ありす達の仮の寝床に行ってみると、すでに母ありすは死体になっていて… 子ありすは、母親の血肉である、カスタードに包まれて眠っていたのだ… 母親が誰に殺されたのかは分からない。子ありすもずっと眠っていて気づかなかったようだ… 今、目の前にはまだ母ありすの死体をそのまま残してある。 まだ死体が腐っていない今のうちに、できるだけ死体の状況を記録しておこうと思う。 このラジカセで… 母ありすの死体は、”バラバラ死体”と表現するのが一番ふさわしい。 ありす種のトレードマークのカチューシャは砕かれ、片方の目玉は潰されてグシャグシャ、体は、元が球状だと分からないくらい 多くの破片にされ、寝床にしていたクッションは、カスタードまみれだ… おい、ちび、見ろ… ママの綺麗な髪が、頭の皮ごと引きちぎられてる… 『ゆびゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!!! み゛ゃみゃあああああああああああ!!! …あ゛あ゛あ゛ぁ゛』 …おっと、気絶してしまったようだ… あとは特に変わったことはないので、これで終わりにしよう。 でも、子ありすの精神状態が心配だ。まだ小さいのに、母親を失って寂しいだろう…。 …そうだ、ああすれば、いつでも 母親といっしょにいられるだろう…」 「…ゆゆ… … みゃみゃ… ありしゅ、しゃびしぃょお… … みゃみゃぁぁ… … きょうにょにっきは、これでおわりだよ…」 「…なあ、ちび。あたらしいおうちができたぞ。少し元気だせよ。 天国にいるママも、ちびの元気がなさそうな顔を見たら、悲しいと思うぞ。 ほら、入れ。」 「ゆゆ…? あたりゃしい、おうち…」 「いいから、さっさと入ってみるんだ。きっと、びっくりするぞ!」 「ゆ? ゅゅ… ゆ!? ゆっぴゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」 「ちびのママは、ちびの心の中に、いつでも生きている… そう思ってもらえるように、 ママの死体を ゆっくり用の保存液に浸して、お家の中に飾って見たんだ。 今日からここで、ゆっくり休んでね!!」 「あ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああああああ!!! み゛ゃ゛み゛ゃ゛があ゛あ゛あ゛あああああ!!!」 「ママの目ん玉に、頭髪の一部、あとは歯とかカチューシャの破片とか、な。」 「ゅ゛あ゛ああああああああああ!! だしちぇ! だしちぇえええええええええええ!!!」 「ほら、ちびとお兄さんで描いてた絵も いっしょに飾ってあるんだよ」 「ゅ゛み゛ゃ゛あ゛ああああああああああああ!!! きょわいょおおおおおおお!!!!」 「…そうそう、あの後、テープを巻き戻して調べて見たら、ママが殺される時の悲鳴が なぜか録音してあったんだ。犯人は、快楽で ゆっくりを殺す変態のようだな…。 でも、これがママの最後の声だから、大切にしような!今から、聞かせてあげるよ」 『ゆぎゃあああああああああああ!!! だずげでええええええ!!!! だずげでぐだざぃぃぃぃぃぃ!!! おぢびぢゃんだげはああああああ!! あぎゃあああああああああ!!!!!』 「みゃ… みゃみゃがぁぁぁぁぁぁあ!!!!?? みゃみゃのきょえがあああああああああああああああ!!!!! ゆ!?ゅ゛あ゛あ゛あああああ!!!み゛ゃ゛み゛ゃ゛の おめめがぁああああああああああああ!! ありしゅをみちぇるぅぅぅぅぅぅぅぅうぅ!!!!! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああ!!!!!!」 「うんうん。これなら、ちびも さびしくないだろう。外から鍵をかけたから、ゆっくりお休み。ああ我ながらいい仕事をしたなぁ。 それじゃ、また明日」 「…ゆ… ゆうう… あ、あの、おにいしゃん!! ありしゅ、きょうも あにょおうちで ねむねむしゅる… の?」 「ん? 何言ってるんだ、当たり前だろ! ママといっしょに寝れるんだから!さあ、もうそろそろお家に帰るぞ、ちび。」 「い…いやぢゃあああああああ!! おうちに かえりちゃくにゃぃぃぃぃぃいいいいい!!! ゆびぇぇぇえええええええええええええ!!!!!!」 『ドン!』 「ゆびぃっ!?」 「うるせーんだよ、このクソチビ! 黙れ!! …ったくよぉ… てめぇが寂しそうだから、こっちも気を使って作ってやったんだろうが! それが、今度は”おうちにかえりたくない”だぁ!? ふざけてんじゃねぇぞ!!! それにてめぇの泣き声うるせぇんだよ!!!」 「ゆびぇええ!! ゆ、ゅぐ、だっちぇ、だっちぇぇぇぇ! あ、ありしゅは、いきちぇるみゃみゃと あいちゃぃんだよおおおおお!!! おうちのなかに、あるのは… ぁぁぁ… ゆ、ゆげぇぇぇ!!」 「だからお前のママは死んだんだよ!もう絶対に会えない… ん? …うーんそうだなぁ。ちびがもう一度ママに会える”かも”しれない方法、一つだけあるぞ お兄さんの魔法を 使えばな!」 「ゆゆぅ!? みゃほう!?」 「 …ありしゅの だいしゅきだった みゃみゃは、しんでしまいました。 でも、おにいしゃんが、ありしゅを みゃみゃとあわせて くりぇます! にゃんと、おにいしゃんは みゃほうを ちゅかえるのでしゅ! でも、しょのかわり、もう おにいしゃんとは あえなくなるんだしょうです。 だから、こりぇが さいごの にっきです。 おにいしゃん、みじきゃい あいだだったけど、ありぎゃとうございました!」 「準備はいいか、ありす。それじゃ、目をつぶって」 「ゆゆ…♪ ゆぴゃあああああああああああああああああああああ!!!!??? いぢゃ…!! ぴぃ゛ぃ゛い゛いいいいいいいいいいいゃ゛あ゛あ゛あ゛ああああああ!!!!! おにいじゃゃぁぁぁぁぁ!!! にゃにぢゅあ゛あ゛あ゛あ゛ああああああああああああ!!!!!」 「今、何をしているかご説明しましょう。」 「あ゛ぴぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 「ちびありすの体を、少~しずつ、指で押しつぶしているのです。弾力がタマラナイ!!」 「やべじぇぇえぇぇぇぇぇええ!!! びゅあ゛あ゛あ゛あ゛あああああ!!!」 「ちび、お前も”死ねば”天国でママに会える”かも”しれない。これがお兄さん流の魔法さ! でもこの魔法は、とっても痛いんだ!ちびの望みを叶える為なんだから、それぐらい我慢してね!」 「や べじゅ!? ばべ…? ゆぎゅ! ぎゅぎゅぎゅ…」 「今ので、可愛かった ありすちゃんの お口は潰れてしまいました。 もう、普通におしゃべりすることも、お歌を歌うこともできなくなってしまいました…」 「べゅぎゅ! ぎゅああああああああああああ!!!」 「次は、おめめです。ありすちゃんの眼の中に指を突っ込んで、眼球をつぶしました。 指を舐めてみると… う~ん、やや控えめな甘さ。いいですね~。 さあ、残りを少しずつ潰していこうね! ちびありすちゃん!」 「 びゅ… べ じぇ … びゃ びゃ… びぎぎぎぎぎっぎぎぎいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいぃ!!!!!!!!」 「… ぃっ … ゅ … ぃぃぃ… …ぃ …っ … ぁ… 」 「体が半分以上 ぺちゃんこに なってまいました! ここまでくると、ちびありすちゃんの命は、風前の灯火です…」 「… ぁ … ゅ゛… …」 「…死んだか… せめて天国で一緒になれればいいなぁ、 ありす親子…」 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ありす親子の亡骸は、墓を作る代わりに、保存液漬けにして家の中に安置してある。 死体と一緒に、子ありすの描いた母ありすの絵、歌を録音したテープとラジカセも近くに。 再生ボタンを押せば、今はペラペラの皮になって、保存液漬けになった子ありすが、 母親にプレゼントしようとした テープが再生される。 「みゃみゃ! ゆっくち ありしゅのおうたをきいてぇね! ゆっ ゆ…」 ブツン! はっきり言って、子ありすの下手糞な歌なんて、聞く価値は全く無いので、編集でカットしてある。 「ゆゆ~♪ …おうたは、おわりだよ! みゃみゃ、いみゃみゃで ひとりで ありしゅを しょだててくれて ありぎゃとうございます! … あのにぇ、ありしゅ、おもうんだけど、ありしゅたち、むかしは ふしあわぇだったでしょ? でもにぇ、ふしあわしぇは ずっと つづかないとおもうの! ふしあわしぇのあとには しあわしぇが くりゅんだよ! むかしは、おねえしゃんや いみょうとが しんじゃったり、たべもにょが なくて しゅごくかなしいことばっかりだったよ! だかりゃ、これかりゃは、ず~っと、しあわしぇなことばっかりだよ! みゃみゃ、いっぱい、いっぱい、ゆっくちしようにぇ!! しんじゃった おねえしゃんや いみょうとの ぶんまで ゆっくち しようにぇ!! みゃみゃが ゆっくちすると、ありしゅも ゆっくち できるよ!! ありしゅの おうたが ききたく なったりゃ、この”てーぷ”を ”さいせい”ちてにぇ!! もちろん、おにいしゃんも きいていいんだよ! ありしゅ、みゃみゃも おにいしゃんも だいしゅきだよ!!」 あー、それにしても、母ありすを殺したのは、いったい誰だったんだろう? なんと言っても、殺してるときの悲鳴を録音するくらいだから、よっぽどのド変態なんだろうな… フヒヒ… このSSに感想をつける
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ある夜、里の家々から現れ、足音も幽かに何処かへと歩き出す黒い影。 影は少しずつ増え、あるいは、家なき影もいる――つまり、虐待お兄さんと呼ばれる彼らと 同じ気質を持つ幽霊や妖怪達だ。 時に非常識とも思える行動を取る”お兄さん”は、実は人間ではないことが多い。 または、その趣味に身を焦がすあまり人を超えてしまうということもある。 どちらにしても変わらない。彼らの行為そのものが代名詞なのだから…… 彼らすべてをひっくるめて、人は呼ぶ。『虐待お兄さん』と。 彼らはお互いを夜闇の中で確認し頷きあう。 そして、里のはずれにある巨大な地下室へと向かって静かに歩を進める。 ライブ やがて全ての人々を収容したコンサートホールはむっとする熱気に包まれる。 人々の注視の先にあるステージにはギター、ドラムセットその他の楽器、音響設備があり、 そして目の粗い金網が張られている。 誰も何も言わない。 立ち起こる水を打ったような静寂。咳払いすらも起こらない真空状態。 その緊張を破るように、人影が金網の向こうに現れる。 数人からなる楽士隊と、一匹のれみりゃ――このコンサートの歌姫――だ。 れみりゃの手にはマイクが握られている。出所は不明だが(それを言うなら、この施設の存在そのものが胡散臭い)、 きちんと機能するしろものだ。 沈黙を切り裂いて、マイクのガチャガチャ音。続いてれみりゃの吐息が増幅されたボエーという響き。 そして第一声が発せられる。 「うっう〜♪おにーざんたぢぃ〜♪きょうはれみりゃのこんさーとにきてくれてありがどうだっどぉ〜!」 その瞬間、ホールが動鳴する。 「うおお〜〜!!」 「おぜうさまーー!!」 「れみ☆りゃ☆うーーーーー!!」 人々が足を踏み鳴らしはじめる。 最初こそばらけているその振動は、たちまちのうちに収斂し、たった一つのリズムとなってホールを揺るがす。 「「「セイ!セイ!セイ!セイ!」」」 そのリズムは、歌え歌えとせきたてる。 踊れ踊れと囃したてる。 「うーみんなまちきれないんだっどぉ〜?しょうがないどぉ☆ それじゃあさっそくぅ、いっくどぉ〜☆」 れみりゃがやわらかい腕を振り上げた。 シンバルのワン・ツーから走り出すドラムに待ちかねたようにかぶさるギターと、音の奔流を支えるベースギター。 その調和の只中に、 「おっぜうさまはぁ〜、とってもえっらいんだっどぉ〜。 こーまかんのぉおぜうさっまなんだどぉ〜♪うー♪」 重石を投げ入れるような歌声。しかし音楽は巧妙に歌声をかいくぐり進行を維持してゆく。 人々は二拍子を刻む一つの機械となり、握り拳を繰り返し高い天井へと差し上げる。 「ぷっでぃんおいちいどぉ〜♪あまあまだいすきだ・っ・ど・ぉ〜♪」 れみりゃの振り付けにあわせてPPPHも抜かりなく。 「こうまかんのおぜうさま〜、れみりゃおぜうさま〜♪うー!」 「みんなありがとうだっどぉ〜♪つぎのきょくはぁ、おぜうさまのこーまかんのおうたなんだどぉ〜☆」 再び大歓声。 「おうえんよろしくだっどぉ〜♪うー♪いぇい♪」 ヒューヒュ−と口笛も飛ぶ。 「おっぜうさまはぁ〜、とってもえっらいんだっどぉ〜……」 前の曲と歌詞は同じである。だがそんなことは些細なことだ。 人々はドラムに灼かれ、ギターのリフに全身を切り裂かれ、ベースの潮流にその身を委ねた―― 「みんなぁ☆おぜうさまのなまえをいってみるんだどぉ?」 「「「れみりゃおぜうさまーーーーー!!!」」」 「んー?きこえないどぉ?」 「「「れ・み・り・ゃ・おぜうさまーーー!!!!!!」」」 「そうだどぉーー!とってもえれがんとでぇ、とってもぷりちーな、 か☆り☆す☆ま☆おぜうさまだっどぉ〜♪うっうー!」 「「「うっうーーーーー!!!」」」 数時間の熱狂の後、無事にコンサートは終了した。 「「「れ・み・りゃ!れ・み・りゃ!」」」 「「「れ・み・りゃ!れ・み・りゃ!」」」 大喝采の中を手を振りながら退場してゆくれみりゃ。お辞儀をし、一人ずつ去ってゆく楽隊。 眩しい照明と音響のハウリングが止み、一繋がりだった聴衆たちはその熱を心に宿したまま個人へと立ち戻る。 雑談するものもあれば、独りでコンサートの余韻を噛み締めるものもいる。 人々は疲れ果て、しかしその表情は明るくホールを退場してゆく。 * * * * 男は家路を急ぐ。 体は鉛のように重いが、足だけはひとりでに前へと進んでいく。 つい先ほどのライブを思い返している。 辺り中から降る音。尻を振るれみりゃ。体を貫く振動。 手を胸の前に持ち上げぶりっこのポーズのれみりゃ。 れみりゃの声音。へたくそなダンス。にこやかな表情。 「れみりゃ……れみりゃ……れみりゃ……」 足取りが軽くなる。 ざっ。ざっ。ざっ。 れみりゃ。れみりゃ。れみりゃ。 ざっざっざっ れみりゃれみりゃれみりゃれみりゃれみりゃれみりゃれみりゃれみりゃれみりゃ 「うっおおおおおおおおああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」 疾走する。 空はすでに白み始めている。 疾走する。 やがてすぐに自分の家が見えてくる。 家の外に誰かがいる。 「う〜?おにーざーん?よるなのにどこにいってたんだどぉ〜?」 れみりゃだ。夜間に起き出して、飼い主の不在に気づいたのだろう。男は駆ける。 手を振るれみりゃがあっというまに近づく。れみりゃもまた、万歳のポーズでよたよたと歩み寄る。 「おなかすいたっどぉ〜。おぜうさまはぷっでぃんたべた」 「おらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」 激しい加速からのラリアットがれみりゃのふとましい顎を刈り取り、 れみりゃは慣性の法則にしたがって男の家の玄関を、襖を、居間を、寝室を、仏壇をなぎ倒し、 壁をも貫通するとさらに彼方へと吹き飛んでいった。 男は、登り行く太陽に握りこぶしを振りかざす。ちょうどあのライブの時にしたように。 「んっほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!すっっっきりーーーーー!!!!!!!!」 * * * * 人々は鬱憤に飢えていた。 いまや人々は、ゆっくりがしばしば為す”悪さ”にかこつけて、または特に理由がなくとも鬱憤を晴らせる。 人々にはストレスが必要だったのだ。 「う〜う〜♪おぜうさまのびせいはせがいいぢだどぉ〜♪」 「うふふ、本当ね」 「だんすもばっちり☆きまったどぉ♪」 「そうね、とっても上手だったわ」 主催のスタッフはれみりゃをぎゅっと抱きしめる。 「うー!いっしょおけんめいおしごとしたからぁ、おなかすいちゃったどぉ〜。ぷっでぃん〜」 「今持ってきてあげるわね」 これは、ただ拾われただけのれみりゃである。 拾われた基準は「一番長生きしそうだから」ただそれだけ。 ただコンサートに使うため、おだてて褒めて、何不自由ない生活をさせている。 客にもこのことはちゃんと教えてある。 <・れみりゃちゃんは毎日美味しいものを食べておうたを練習しています。 ・おぜうさまはぁ、あいどるなんだっどぉ〜!ぷっでぃんたべたいどぉ〜!> そのことが、客達の心をより激しく揺さぶるだろうから。 能天気で放埓な、幸運の寵児。 人々は、ライブで自制心の縁ぎりぎりまで溜めた”歌姫”れみりゃへの苛立ちを、家に帰って存分に発散するだろう。 それこそがこのライブの目的なのだ。 スタッフは冷暗所に保存したぷっでぃんをれみりゃのために取り出す。 そのぷっでぃんはあたたかいお日様の匂いがした。 「(うう、私も早く帰ってうちのれみりゃいじめたいわぁ……)」 END ■ □ ■ □ 夏といえばライブですよね!ライブ行きたい 十京院 典明 このSSに感想をつける
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短編集 選ぶとしたら・・・・ 11KB 虐待-普通 パロディ 小ネタ 自業自得 駆除 赤子・子供 ゲス 希少種 自然界 幻想郷 現代 虐待人間 短編集第二弾。ゆっくり見ていって下さい (書いた小説) ふたば系ゆっくりいじめ 818 黒いオオカミ~chapter1~ ふたば系ゆっくりいじめ 838 黒いオオカミ~chapter2~ ふたば系ゆっくりいじめ 851 黒いオオカミ~chapter3~ ふたば系ゆっくりいじめ 894 ゆっくりが知ってはいけない、鬼ごっこ ふたば系ゆっくりいじめ 916 インフェルノ・ペスト ふたば系ゆっくりいじめ 957 暴飲暴食の豚王 ふたば系ゆっくりいじめ 975 自然の恵み ふたば系ゆっくりいじめ 1004 短編集 合体「ゆっくり×悪魔」 △注意事項△ また短編集・・・ゆっくりしていってください。 タイトル通りです。 虐待分が少なかったらごめんなさい。 矛盾な所もありますがそこは目を瞑って下さい 二択というわけではありません。三択以上あります。 悪魔(メガテン)が出ます。 一部の賢いゆっくりは漢字を使います。 会話区別。人間「」ゆっくり『』悪魔【】 魔界の世界なのに人間がいたり、人間の世界に悪魔がいたりと常識に囚われてはいけません。 上記に納得できない方は戻って下さい。 =始めに= ゆ虐待レストランへようこそ。 私は支配人のマッドと申します。 さて、今回のメニューは短編集「選ぶとしたら・・・・」です。 皆様も人生の中であれやこれやと選択する場面があるでしょう。 今回はそんな、お話。 =選択その一、食べるなら・・・?= 広大な世界を誇る魔界。 その黒い森に幾つ物の足を持つ白い蛇の怪物は邪龍ニーズホッグ。 腹を空かせて餌を求めて捜しています。 其処に居たのは・・・魔界人とゆっくりの家族です。 『れいむはしんぐるまざーでかわいそうなんだよ!!あまあまちょうだいね!!』 『『『ちょうだいにぇ!!』』』 「面倒な奴に出会ったな・・・・」 この魔界人は森でキノコ狩りしていた人で運悪くでいぶ一家に絡まれたのです。 茂みに隠れて様子を窺うニーズホッグ。どちらか一方を集中すると片方は逃げられます。 人間とこのでいぶ一家をどっちを食べるのかというと・・・迷うことなくでいぶ一家に決めました。 【ギャオオオオオオッ!!!】 ニーズホッグは勢いよく茂みから飛び出て、鋭い歯ででいぶに噛みつきました。 『ゆぎゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!』 『『『ゆんやぁぁぁぁ!!?おきゃーしゃんがぁぁぁぁ!!?』』』 この光景を見て赤れいむたちは悲鳴をあげた。 人間は今のうちに逃げましたが、ニーズホッグと特に気にしていない。 ガジガジッと刻みながら食べる。でいぶにとっては生き地獄なのだ。 『や゛べでぇぇぇぇぇ!!でいぶの゛あ゛んござん゛を゛だべな゛い゛でぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!』 なぜ、人間を逃がしてゆっくりを食べるようになったのか? それは獣系、鳥系、龍系の悪魔たちは自然界に無い甘い物を食べるようになったからである。 更にゆっくりを苛める事によって悪魔たちのエネルギーであるマグネタイトをガッポリと蓄える事ができるようになった。 これによって地上の世界に行っても半年間も活動できるようになったのだ。 ペロリッと舌なめずりをして赤ゆの方を見る。 『や、やめちぇね・・・でい゛ぶだぢはおいしくにゃいよ。』 『ぷくー!!するよ!!どっごい゛っでね゛ぇ゛!!』 『ゆきゅりぃしていってね!!?』 命乞いをしたり、ふくーして威嚇をしたり、泣きながら奇跡を待つなど無駄な抵抗をする赤ゆの三匹。 そんな事をしてもどのみちニーズホッグに食われるから。 大きな口を開けて、赤ゆにゆっくりと迫る・・・・ =選択二 おうたをきくとしたら・・・?= ここは人間界の公園。 たくさんの人々が、休んでいたり、弁当を食べていたりと様々。 中にはこんな奴らも入ってくる。薄汚い身なりのれいむ種二匹とまりさ二匹が、声をあげて『唄っている』。 『ゆ~。ゆっくりのひ~。まったりのひ~』 『ゆ~ゆっゆ~。ゆっくりしていってね~』 『ゆ~ゆ~ゆ~ゆ~ゆ~』 『ゆ~っゆゆ~ゆーゆーゆー。』 ただの雑音に過ぎない言葉の発声が歌と判断できるのは時折三匹が、 「れいむのゆっくりできるおうたをきいてね!ゆっくりしたらおかねをいれてね!」 「れいむのおうたでたくさんゆっくりしてね!おかねさんもたくさんちょうだいね!」 つまりこのゆっくり達はお金を稼ごうとしていたのだ。お金を入れるための空の缶詰も用意してある。 しかし、現実は厳しい。 人々は冷たい目でゆっくり達を見ていたり、無視したりとしていた。 向こうの噴水に緑色の髪に袖がブカブカした白い服、ジーンズをはいた女性が小さな箱を開けて準備をしている。 公園の人たちは待っていましたと言う顔で女性の周りに集まる。 「皆さん、サヤの歌を聴いて行って下さいね。」 サヤという人間は透きとおるような声で歌う。 それを聴いている人たちはまるで「癒された」という感じになる 「ハァー、サヤちゃんの歌を聴くと癒される様な~」 「ホント、ホント。キツイ仕事でもまた頑張れるもんなー。」 「オレ、サヤちゃんと友達になりたいなー」 「あっ、テメェ!!サヤちゃんは皆の者だって言ってんだろ!!」 「そういうお前はその花束をどうするのかなー?」 「うっ・・・それは・・・」 「お前だって、抜け駆けしようとしてんじゃないか!!?」 ギャイのギャイのケンカをしていた時、サヤがウィンクしてケンカをしていた二人の男のハートを打ち抜いてノックアウトしたのだ。 彼女は三日前にこの公園にやってきては歌を歌い人々を癒しているのだ。 サヤの歌を聴くためにこの公園に集まってくる人も後を絶たない。 顔も綺麗だし、スタイルも文句も無く、優しい性格でファンクラブまでも出来てしまうほどだった。 彼女の歌を聴いて腰が良くなった老人たちもいるのだ。 だから、老若男女問わず彼女を嫌う人は誰もいない。ただ、愚かな奴は嫌っているが・・・ 『ゆゆっ!!そこのにんげんさん!!』 突然、大きな声が聞こえてサヤは歌を止めた。 観客達はなんだなんだと後ろを見ると、先程のゆっくりたちだった。 『ここはまりさたちのかせぎばなんだぜ!!よこどりをするんじゃないぜ!!』 何を言っているんだ、この饅頭達はっと一同は思った。 「ここは、皆が使う公園よ。あなたたちの物じゃないわ。」 『うるさいんだぜ!!おまえがきてから、まりさたちはおかねさんがもらえないんだぜ!!』 「何を言ってもダメみたいね。」 「サヤちゃん、あんな糞饅頭の言う事を気にせず続きを歌ってよ。」 「そうね。雑音しか出せないゆっくりには理解できない話ね」 そう言って歌を歌おうとした時、れいむがサヤに体当たりした。 当たっても痛くは無いが不意打ちのため、倒れてしまった。 「キャッ・・・」 『ゆふんっ!!れいむたちをばかにするからだよ!!せいっさいするよ!!』 だが、ゆっくりたちはこの行動のせいで・・・人間達の怒りを買ってしまったのだ 「「制裁されるのは貴様じゃーー!!!!」」 先程、ケンカしていた二人のお兄さんがれいむをダブルグーパンチを与える。 『ゆぶじぃ゛!!!』 「ヒャッハー!!まだ終わりじゃないぜ!!」 「もがいてもがいて、死ねぇ!!」 死なない様に力加減をして息を合わせながら拳の嵐。 『ゆぶっ!!ゆ゛っ!!ゆ゛べぇ゛!!ゆ゛っ!ゆ゛っ!ゆ゛っ!ゆ゛っ!ゆ゛っ!ゆ゛っ!ゆ゛っ!ゆ゛っ!』 この光景を見た残りのゆっくり達も泣き喚いていた。 『ゆわあああっ!!れ゛い゛ぶー!!!』 『どぼじで、ごん゛な゛ごどを゛ずるの゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!?』 『やめるんだぜ、でい゛ぶがえいえんにゆっくりしちまうんだぜ!!!』 背後には観客達もギラリッと糞饅頭を睨みつける 「おい、糞饅頭ども・・・・」 「小便はすませたか?神様にお祈りは?部屋のスミでガタガタふるえて命乞いをする心の準備はOK?」 「もっとも、生かして帰さないがな・・・」 「お前らの様な雑音とサヤちゃんの歌と一緒にするんじゃねぇ。」 老人、若者たちは一丸となって合言葉を言う。 「「「「「ヒャッハーーーーーーーー!!!!ゆ虐殺じゃーーーーーーー!!!!」」」」」」 『『『ゆ゛ん゛ぎゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』』』 昼間の公園に狂喜と悲劇の叫びが響くのだった。 ・ ・ ・ それからこれを機に野良のゆっくり達を駆除するのだった。 市長もまた、サヤのファンの一人でこんな暴行を及んだゆっくりたちをゆるさなえ!!もとい、許さなかった。 野良ゆっくりを見かけ次第、次々と捕獲して加工所へ送られるのだった。 また、隠れようとも血眼になって野良ゆっくり達を捜してはその場で殺しているのだ。 そんなことが一週間が続いて、サヤがあの公園に来なくなり人々は寂しそうにしていた。 ・ ・ ・ 夜、サヤは街が見渡せるほどの丘に立っていた。満月の光りが彼女を照らしている 「やっぱり・・・人間は扱いやすくていいわね。」 そう呟くと彼女の両腕が鳥の翼へと変形した。彼女の正体はセイレーンと呼ばれる半人半鳥である。 彼女の楽しみは自分の信頼を築きあげてゆっくりたちを不信感へと落とすという遊びをしていた。 【さーて、この町はもうゆっくりがいないから別の街へレッツ・ゴー♪】 翼をはばたかせて次の街へと向かうのだった。 =選択三 見逃すとしたら・・・?= 魔界。 荒れ地と緑があり、そこでたき火をしている三人がいた 【あー、なんか面白い事無いかねぇー】 【人間と仲良く交流しようと法律が出来たから人間、食えないし・・・】 【まぁ、人間嫌いじゃないしね。】 赤い体に鋭い牙、頭に角。鉛色の薙刀を持っているこの三人組はオニ。 たむろって何か面白い事は無いのかとこうしてあーだの、こーだのと話している。 【そんじゃ、ゆっくり狩りというのはどうよ?】 【いいねぇ。あいつら面白い様に泣くモンな。】 【へへへっ、いつもの狩り場に行くとしますか。】 オニ三人組はいつもの狩り場へと向かいどんな虐待方法しようかと喋っていた。 【人間達は羨ましいな。こんな生物を虐待して楽しんでるなんてよ。】 【魔界でもゆっくりを繁殖させて、虐待できるなんて、いい世の中になったもんだぜ。】 【ストレスも解消できるしゆっくり様様だな。ヒャハハ!!】 いつもの狩り場に到着してさっそく捜していると異様な光景だった。 『や、やめてください!!』 『じゅお、じゅおおおん!!』 『めーりんはゆっくりできないよ!!れいむたちがせいっさいするよ!!』 『はなさんを一人占めしている、ゆうかはゆっくりしんでね!!』 なんだか知らないがゆうかとめーりんがれいむ、まりさ、ありすに囲まれてリンチされそうになっている。 『そのおはなさんをひとりじめしている、ゆうかはいなかものね!!』 『独り占めはしていないわ!!はなさんは食べる物じゃなくて愛でる物なのよ!!』 『うるさいんだぜ!!どかないといたいめみるんだぜ!!』 【オラァー!!待てやー!!】 【なんか面白い事してんじゃねよー!!】 【ゆっくり風情がいじめなんかしてんじゃねぇ!!】 オニ達は薙刀でゴルフのフルスイングでパコーンッと吹っ飛ばしゆっくりたちは樹に激突する 『ゆべぇ!!』 『ゆぶっ!!』 『ゆぎゃ!!』 三つのゆっくりはきたないケツをさらしてズルズルとじめんに落ちる。 『なにするの!!あかいおにいさん!!』 『これからゲスめーりんとゲスゆうかをせいっさい、するところなんだぜ!!』 『そんなこともわからないなんていなかものね!!』 こんな暴言を言われてカチーンッと来た。 【【【ヒャハハーーーーー!!!汚物はぶっ殺せーーーー!!!】】】 オニ達は様々な方法でゲスやっくりを虐待するのだった。 『や゛べでぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!でい゛ぶの゛がみ゛ざん゛を゛ひっばら゛な゛い゛でぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!』 【どうせ、死ぬんだから髪なんてどうでもいいだろう・・・・が!!!】 オニAはブチブチとれいむの髪を引き抜き円形脱毛症みたいになった 『ゆ゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!でい゛ぶの゛ざら゛ざら゛べあ゛ーざん゛がぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁぁ゛ぁ゛!!』 【次はそのウザい、モミアゲを引き抜いたる!!!オラッ!!!】 片足でれいむの頭を踏んづけて両方のもみあげを引き抜いた。 『ゆ゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!でい゛ぶの゛びごびごじだも゛み゛あ゛げじゃ゛ん゛がぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!』 【じゃあな・・・死ね!!】 薙刀を振り下ろしてはげれいむを叩き潰す。 オニBはまりさのぼうしを取り上げる 『かえして、まりさのぼうしをかせして!!』 【あーん?この帽子が大事なんかー?】 『がえ゛ぜっでい゛っでるでしょぉぉぉ!!ごの゛ぐぞじじい゛!!』 【・・・・死刑決定。】 ビリビリとまりさの帽子を破く 『ゆ゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!ばり゛ざのおぼ・・・ぶぎゅ゛!!!!』 薙刀をフルスイングしてまりさの顔面を叩きいれて吹っ飛ばす。 地面と接吻してズザーッと摩擦する。 まだまだ終わらず、まりさを持ちあげて樹を大根おろしの様に勢いよく擦る 【ゆっくりおろしじゃあああああああ!!!】 『ゆべべべべべべべべべっ!!!!』 ゴーリゴーリとおろし、半分になってポイッと捨てる。 『や゛べでぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!あ゛りずのあ゛だま゛を゛がぎま゛わざな゛い゛でぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ!!』 【ホーラホーラ、良い声で泣きやがれ】 オニCはアリスの頭を斬って木の棒で中身をかき混ぜる。 中枢カスタードに触れているため言語がおかしくなっていた 『ぱぴぷぺぽー!!ぱぴぷぺぽー!!ぱぴぷぺぽー!!!!』 【ワハハハハッ!!腹がいてー!!】 【ぱぴぷぺぽー!!だってよ!!】 【オレ、腹筋崩壊だわ!!】 笑いこけるオニ達。 まぁ、このありすはそのうちくたばるから放っておく。 ゆうかとめーりんを苛めようかと振り向く 『あ、あの・・・助けて下さってありがとうございました!!』 『じゅおおおーん!!』 ゆうかとめーりんは土下座してお礼を言う 【あっ?】 【ふーん、礼儀正しいじゃねぇか。】 【ゆっくりの中にはこんなやつらもいんのか。】 これまで、ゲスと言ったゆっくりを狩っていたオニ三人組。 この二人のゆっくりも苛め殺すか、見逃してやろうかと悩んでいた。 結果は・・・・・苛める気が無くなった。 【まぁ、いいか。見逃してやるか】 【そうだな、苛めたら後味悪いし・・・・】 【俺たちは礼儀正しい奴は好きだしな。】 そう言いながらオニ達はこの場を立ち去った。 あれからオニ達の虐待対象を改めた。 通常種を見逃さずぶっ殺して、希少種や礼儀正しゆっくりは見逃すということをしたのだ。 =あとがきだより= さて、いかがだったでしょうか? えっ?選択と言うより、単なるお話に近いですって?ああっ、これは申し訳ありません。 でも、貴方ならこの場面に出くわしたらどういう選択をするのか。 間違った選択をするとろくな目に会うかもしれませんね。 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 鬼 E 薙刀 …鉄棒じゃないの? -- 2012-11-04 15 12 05 めーりんは「じゃおおおーん」じゃね? -- 2012-01-18 22 56 31 鬼さんはわかってる -- 2011-05-23 22 09 27 オニさんはゆっくりできるね! -- 2010-07-08 21 47 14
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*警告* 現代物です。 ゆっくりは何も悪いことをしていませんが、ゆっくりできません。 80字改行です。その辺案配していただけると読みやすいです。 ↓以下本文 「こんにちは。今日は群馬県の伊香保に来ています。こちらには大変珍しいゆっくりのお 店があるそうです。あ、あちらがそうでしょうか」 テレビ的なオーバーアクションで、マイク片手に女が一軒の店を指し示した。ふてぶて しいクラシックゆっくりれいむとまりさが、フキダシのトゲトゲも鮮やかに店名を叫ぶ看 板は、どこからどう見てもゆっくり専門店の装いだった。 「えー、こちらがその『ゆるりん堂』ですね。すみません、こちら大変珍しいゆっくりの お店と伺ったのですが」 入念な打ち合わせの通りに、恰幅の良い男が一行を出迎えた。放送時には、画面下にテ ロップで彼の名前が出ることだろう。 「ええ、お客様にはゆっくりと直に触れあって頂きたいと思いまして、普通の料理だけで なく、『ゆっくりふれ愛コース』を始めたんです」 「それは楽しみですね。ではさっそくご主人、『ゆっくりふれ愛コース』とは一体?」 「まずはどうぞこちらへ」 一行の案内された先は、オーバル状の大きな囲いだった。家族連れでなかなかの賑わい をみせており、あちらこちらで歓声があがっていた。 「ゆっくりしていってね!」「ゆっくりしていってね!」「ゆっくりしていってね!」 「わあ、可愛い~」 丹念に清掃されているのであろう、そこにはゴミ一つなく清潔そのもの。客のいる外周 からゆっくりが離れられないよう、中心部分は区切られており、無数の紅白のゆっくりと、 黒白のゆっくりが思い思いに跳ねたりすりすりしたり、ゆっくりを満喫していた。 「ご主人、こちらは?」 「ここがうちの自慢のゆっくりふれ愛広場です。お客様には、こちらで可愛いゆっくりに 直接触れて、思いっきり楽しんで頂けるように作りました」 主人の言葉の通り、生け簀の幅は親ゆっくりにはぽいんぽいんと二跳ねほど、子ゆっく りには一生懸命ぴょこぴょこ六跳ねほど。縁から手を伸ばせば、ゆっくりが奥にいても簡 単に届くようになっていた。レポーターの女が、仕込み通りに近くの家族に声を掛ける。 「こんにちは、今日はご家族で?」 「ははは、家族サービスです。みんなで甘い物でも食べようかなと」 「ゆっくりひっぱらないでね! れいむにあまあまちょうだいね!」 「ぱぱぁ、たべていーい?」 傍らでは、子供がソフトボール大の子れいむの頬をぶにぃっと引っ張っている。ゆっく りのよく伸びるもちもちしたほっぺはお子さまのおもちゃに最適です。力加減を間違える と永遠にゆっくりしてしまいますが、食べられるので安心です。 利用者の声は、などといったテロップの出そうな夫婦は仲良く膝にれいむとまりさを乗 せ、ゆっくりフード(有料)を手から食べさせていた。 「可愛いですね~。では、私も『ふれ愛コース』を楽しんでみようと思います!」 「ゆゆっ、おねーさん、あまあまさんはれいむにあげてほしいのぜ!」 「わあ、ゆっくりのカップルですね! 見ているだけでしあわせ~、になりますね!」 ぼいんぼいん、とレポーターに近づいてきたまりさは、差し出された餌を器用におぼう しに入れると、茎に赤ゆっくりを実らせたれいむの元に運んでいく。数跳ねの距離でも誇 らしげな顔をして、ゆっへんとゆっくりフードを生け簀の床に並べる。 「いっしょにたべようね!」 「ゆっくりたべるのぜ!」 「「むーしゃ! むーしゃ! しあわせー!」」 口を揃えて歓喜の声をあげるつがいに、レポーターの女もテレビ用のスマイルで応える。 「あっ、このれいむはあかちゃんがいるようですよ!」 見ればわかることをわざとらしく驚いてみせるが、これも仕事なのでつっこんではいけな い。ゆっくりは悪意には運命的に疎いが、誉められたり甘やかされたりすることには敏感 である。二匹は一行に見せつけるよう、ちらちら上目遣いで頬ずりしあっている。 れいむの頭から生えた茎は五、六匹程の目を瞑った赤ゆっくりが実っており、重たげに 垂れている。赤ゆっくりはどれも幸せそうな表情で、やがて来る目覚めの時をゆっくりと 夢の中で待っていた。 「ゆゆっ、まりさとれいむのあいのけっしょうなのぜ!」 「ゆふ~ん、はずかしいよ! きっとまりさみたいなゆっくりしたあかちゃんだよ!」 「れいむといっしょのゆっくりしたこになるのぜ!」 嬉しそうに、もにんもにんと不思議な踊りを披露している二匹を、店主が優しく、それ でいてしっかりした声で諫めた。 「お客様にごはんをもらったら、どうするんだったかな?」 「おねーさん、あまあまありがとうなのぜ!」 「おうたでゆっくりしていってね!」 人前に出すためによく躾けてあるようで、二匹はもにゅっと潰れるようにお辞儀をして 見せた。元来礼儀作法などというゆっくりできないことには不向きのゆっくりである。俯 いた拍子にずり落ちそうになったまりさのお帽子を、れいむが縁を咥えて被せ直すと、女 は演技ではなく驚いて店主に向き直る。 「ご主人、こちらのゆっくりはすごいですね!」 「そうでしょう。当店のゆっくりは全て、ゴールドバッヂの品種から作り、専任スタッフ が育てた自慢のゆっくりです」 店主は誇らしげな笑顔で頷いた。その表情は、間違いなく自分の仕事に自信を持ってい る職人の笑顔だった。その後ろでれいむがゆんゆんお歌をうなっているが、音声さんが修 正するので、放送時にお茶の間へ雑音は届くことはない。 「このフードも天然素材100%ですので、お客様のお口に入っても安心です」 「本当にすごいこだわりですね~」 店主の情熱に、女は大きく頷き賞賛の声を惜しまなかった。れいむとまりさも自分たち が誉められたように、嬉しそうな歌声をあげていた。 「さて! 可愛いゆっくりとたくさん触れあった後は、お待ちかねのごちそうですね!」 場面は変わって奥の座敷。一行の姿は上品な和室にあった。床の間には子雀と子ゆっく りの水墨画のお軸がかかっており、主が一部屋一部屋に選んでかけたことからも、本当に ゆっくりが好きということがよく伝わる、風情のある装いである。 「お待たせいたしました」 店主の携えている大きな籠には、先ほどのつがいが入っていた。ゆっくり育てられた二 匹は、自分たちが食品であることも知らず、ゆっくりぷれいすでゆっくりした子を育て、 いつまでもゆっくりできる、しあわせー、な未来を信じて疑うことはなかった。そしてそ の思いは、籠に入れられて座敷に運び込まれても揺らぐことはなかった。 「ゆっくりしていってね!」 「では一品目に参りましょう」 店主は籠からまりさを取り出すと、清潔な白木のまな板に横たえる。 「ゆっ、ゆっ?」 不思議そうに目を丸くしているまりさ、見たことのない部屋に興奮しているのか、きょ ろきょろ座敷を見回すれいむ。包丁一閃、店主はそのまりさの底をすっぱりと断ち落とす。 「ゆ゙あ゙あ゙あ゙あ゙?! ま゙り゙ざの゙あ゙ん゙よ゙があ゙あ゙!」 ゴールドバッヂのゆっくりからゆっくり生まれて、優しくも厳しい飼育員にゆっくりと 育てられ、ゆっくりできないことは何一つ知らなかったまりさは、未体験ゾーンの激痛に、 目をひん剥いて絶叫を上げた。これほどの痛みも、これほどの大きな悲鳴を上げたことも なかったのに。まりさはまな板から脇の皿に移されても、涙を流して痛みに打ち震えてい た。店主は切り落としたまりさのあんよをまな板の中央に据えると、巧みな包丁さばきで 薄く削ぎ切りにしていく。その薄さと言ったら、青磁の大皿に盛りつけると、模様が透け て見えるほど。 「あんよのお造りです。季節の柚子ソースでお召し上がり下さい」 「ん~~~、おいし~ぃ! もっちりしていて、歯ごたえもあって」 女はカメラに向かって、向こうの透けて見えるお造りを箸で持ち上げてみせる。白い半 透明のそれは、フグ刺しもかくや、という美しさだった。よく跳ねるまりさのあんよは弾 力がありながら、透けるほどの薄さで口にうるさくもなく、柚子の香りと爽やかな甘さの ソースが絡み、まさに夢心地の一品である。 「見て下さい、こんなに薄いのにむっちり! 柚子の香りが本当によくあいますね!」 「一匹のゆっくりから一枚しか採れない、貴重なあんよを贅沢にお造りにしました」 「ばでぃざのあんよ゙ざんたべないでね!」 店主は砂糖水の涙を流し、雑音を張り上げるまりさを左手でつかまえると、眼窩を押し 広げて指を突っ込んだ。手の中にしっとりした球体を捕らえ、軽く引っ張るだけで、きゅ ぽん、と場違いな音をたてて透明な球体が店主の掌に転がり出る。 「い゙ぢゃい゙よ゙お゙お゙! おめめがまっくらなのぜええええ!」 「ゆっくりの目玉、ですか?」 「ええ。どうです、昔流行った胡麻プリンに似ていると思いませんか」 「ゔわ゙あ゙あ゙あ゙あ゙! でいぶのおめ゙め゙があ゙!」 微笑みながら、店主は中に黒い餡を蓄えた真球の葛饅頭をぷるんと揺らす。れいむとま りさと、仲良く一つずつ取り外すと、氷水も涼やかな切り子の硝子の椀に浮かべる。ス プーンを添えて供されたそれは神経のある生き物の目玉などではなく、艶やかな真球の水 まんじゅう以外の何物でもなかった。 「ひんやりでぷるんとしていて、すっきりした甘さが爽やかですね!」 「なかなか面白い食感でしょう。れいむとまりさで、また少し味が違うんですよ」 「おお~、れいむはあんこで、まりさは黒蜜ですね。これは美味しいです」 相貌を緩めて舌鼓を打つ女に自慢げに微笑むと、店主は片目を取り外されて泣き叫ぶれ いむをまな板に寝かせると、手早く底を切り離す。お造りにしたまりさとの時とは違い、 少し厚めに切り分けて、椀に並べていく。これでもう、れいむとまりさは仲良く動けない。 今や二匹にできることは、片方しかないお目々を必死に見開いて、ゆっくりできない人間 となった優しかった人間さんを睨み付けることと、頬をぷくぅ、と膨らませて威嚇するこ とだけだった。 「おじさんゆっくりやめるのぜ! ゆっくりできないのぜ!」 「でいぶにはあがぢゃんがいるんだよ! ゆっくりやめてね!」 「まりさ。れいむ。お前達ゆっくりを今までゆっくり育ててきたのは、こうして美味しい あまあまさんになってもらって、お客様に心から美味しいって思って頂くためなんだよ」 店主は愛おしそうに目を細め、おぼうしとおりぼんをそっと取り上げた。帽子は胴切り に、リボンは端から小口に刻んでいく。 「ばりざはあまあまざんじゃないのぜ!」 「でいぶはたべものじゃないいい!」 店主は包丁を止め、二匹をしっかと見据える。 「ゆっくりは、食べ物だ。皆様に喜ばれる、美味しい食べ物なんだよ」 「あばあばざんはゆっぐり゙のごはんだよ゙!」 「たべら゙れ゙たらゆ゙っぐぢでぎな゙い゙よ゙!」 「調理の直前に言い聞かせることで、味に深みが増して美味しくなるんです」 「なるほど、愛情の隠し味なんですね」 動けない身でどれほど声を張り上げようと、この道一筋三十年の職人の技は、帽子とリ ボンを短冊へと変えていく。小気味よい包丁の音も、客を楽しませる見事な技芸である。 「あ、飾り、ですか? 私はつい捨ててしまっていますけど」 「よそのゆっくりは飾りが食べられない物もありますね。ウチのゆっくりは飾りまで召し 上がって頂けるのも自慢なんですよ」 「すてきなおり゙ぼん゙ざんがな゙い゙とゆ゙っぐり゙でぎない゙い゙!」 「ばりざのだいじなおぼうじがえじでね゙!」 漆のお椀に並ぶ、れいむのあんよと二匹の飾り。お玉で一しゃくい、よそったおつゆは 湯気を立てる澄まし汁。三つ葉を散らしたそれを軽く会釈をして受け取り、椀を口に運ん だ女は思わず息を飲んだ。その馥郁たる香りに、主張することなく、それでいてしっかり 立っている出汁の風味に。そして、おつゆの実の素晴らしいこと。植物型にんっしんっで 赤ゆっくりを実らせ、飛び跳ねる量の減ったれいむのあんよは、つがいのまりさのそれに 比べて柔らかく、温まったそれは口の中でとろけるよう。自慢の飾りも天然小麦の香りが 出汁を引き立て、出汁が実を引き立てていた。 椀を味わい、女は大きく息を吐いた。 「素晴らしいですね。ゆっくりは甘い物だと思っていましたが、こんな素敵なおつゆに なるなんて」 「そろそろ焼き物に参りましょうか」 「ゆ゙ぎっ、ゆ゙ぐっ、ゆ゙びっ!」 「ゆっくりやめてね! ばりざがゆっくりできなくなっちゃゔよ゙!」 店主はまりさを裏返すと、照りも艶やかな粒あんをお玉で掻き出していく。一しゃくい ごとに、まりさは柔らかなおまんじゅうボディを激しく震わせ、愉快な声をあげて客を楽 しませる。掻き出したあんこを小皿に移していくと、まりさの中心に筒状の空洞ができあ がった。 「まだ茎に生っているゆっくりは、切り離すとすぐに枯れてしまいます」 店主は痙攣しているまりさを遠火の炭火に寝かせると、あんこの穴にれいむを近づけて いく。そして、れいむの頭から伸びる、鈴なりに赤ゆっくりの生っている茎を、実を落と さないように慎重に挿入していく。 「これが一番難しいところです」 れいむは皿の上で身悶えるが、あんよを切り落とされては頬を膨らませ、上下動をする のが関の山。しかし、暴れてはまりさの中で茎からゆっくりしたあかちゃんがもげてしま う。れいむにできることは、砂糖水の涙を流し、許しを乞うことだけだった。 「も゙ゔや゙べでぐだざい゙い゙! でいぶのあがぢゃんが! ばりざが! ゆっぐり゙でぎな゙ ぐなっぢゃい゙まず!」 「ゆ゙っゆ゙っゆ゙っゆ゙っ……」 店主はまりさから掻き出したあんこを茎の回りにそっと詰め戻し、穴を塞いだ。遠火で 炙られているまりさの痙攣は、あんこに熱がまわるにつれ、次第に小さくなっていく。 「ゆ゙ぅ゙ぅ゙ぅ゙ゔ……!」 「ゆ゙、ぎ、ぎ……?!」 一方まりさの中に埋められた赤ゆっくりは、熱せられたあんこからの熱に、まだ目も開 いていない顔を未知の苦痛に歪め、茎を揺らしてれいむに助けを求める。茎を伝わる震動 に、れいむはまりさとの愛する我が子の窮地を感じ取るが、もはや何一つできることはな い。目も開かず、口も開いていない赤ゆっくりたちは、灼熱の牢獄と化した親の片割れの 中で、あんこ越しに中身を蒸し上げられていく苦痛に微かに呻き声を上げる。あんこの中 から伝わる大事な子ゆっくりの苦悶に、まりさは砂糖水の涙を流す。あんよを切り取られ、 火の上で寝かされたまりさは身動き一つとれない。もし動けたとしても、炎から逃れるに はれいむの茎をちぎり取らねばならず、それは生まれ落ちる日を目前に控えた大事な子の ゆん生を自ら奪うことに他ならない。まりさは炙られる苦痛に耐え続けるしかなかった。 まりさの流す砂糖水が乾き、上気した頬が美味しそうな色になるのを見計らい、店主は 上から日本酒を垂らした。勢いよく火が移り、髪は一気に燃え上がり、まりさは炎に包ま れた。 「ぅひゃっ?!」 「ゔわ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙?!」 素っ頓狂な悲鳴をあげるレポーターと、目の前で紅蓮の業火に包まれたまりさに悲鳴を 張り上げるれいむの様子に、店主はいたずらっ子のような笑顔を浮かべた。アルコールの 炎が消えると、まりさの髪は完全に燃え落ち、そこには白目を剥いて歯をむき出しにした ハゲまんじゅうがあるばかり。 「まりさ、さあ、おたべなさいと言いなさい」 「ばりざ! だめだよ! ゆっくりできないよ!」 「さ……あ……おたべ……な……さい……」 熱と炎、苦痛と絶望に朦朧としたまりさは、教えられた言葉を繰り返した。瞬間、ハゲ まんじゅうはばかん、と真っ二つに割れる。熱せられたあんこの棺から解放され、ゆっく りと蒸し上げられた赤ゆっくりは、れいむの茎に繋がったまま、まだ小さく痙攣していた。 「おぢびぢゃん゙……!」 その痙攣は、果たして断末魔か命の輝きか。しかしてれいむの表情は絶望で塗り潰され る。店主はれいむの皿を回し、女に茎を向けたのである。 「熱くなっていますから、気を付けて召し上がって下さい」 「まあ可愛い。まだはじめてのゆっくりしていってね、も言っていない赤ゆっくりの親子 蒸しですね! これは美味しそうです」 ほこほこと湯気を立てる実をお箸でつまみ、軽く寄せただけで、熱で弱まった茎から、 ぷつりと赤れいむが外れた。蒸し上げられて消耗したところに栄養を断たれ、赤れいむは 蚊の泣くような声で、微かにゆっ、と呻いた。それがこの赤れいむの最期の声だった。 一口噛みきると、ゆっくり愛情のなか生まれ落ちる時を待っていた瑞々しいあんこは さっぱりしつこくなく、それでいて極上の苦痛のなかで蒸し上げられ、芳醇なコクと甘み を兼ね備えていた。火傷しそうな熱さと、それさえ吹き飛ぶほどの濃厚な味に目を見張り、 女は感嘆の溜息をもらす。 「んんん、これは、はふ、これは、ふごい! っは、とろけるほど甘いのに、信じられな いほどさっぱりしていて、いくらでも食べられそうです!」 ぶちり、ぱく。ぶちり、ぱく。 れいむの目の前で、さっきまではゆっくりしていたはずの赤れいむが、赤まりさが摘み 取られていく。お口をわななかせ、片方しかない目を白目にし、れいむは歯を剥いて痙攣 していた。ゆっくりはゆっくりできない事態に耐えられない。愛しい我が子を全て摘み取 られ、ピクリとも動かないおまんじゅうとなった。苦痛と絶望の中、ゆっくりすることを やめたゆっくりは、素晴らしい美味である。しかし、子ゆっくりに栄養を与えていた、質 の悪くなったあんこは客の口に入ることはない。二匹は潰され、他のゆっくりを美味しい 食材にするためのゆっくりした餌になるのである。 「とっても可愛いゆっくりが、こんなに素敵なごちそうになるなんて! 皆様もぜひ足を 運んでみてくださいね! それではまた来週、ごきげんようー」 書いた物リスト 紅魔館×ゆっくり系12 突発ゆっくり茶会 ゆっくりいじめ系464 森に魚を求める ゆっくりいじめ系540 ゆっくり水雷戦 ゆっくりいじめ系1097 アストロン ゆっくりいじめ系1014 どすのせいたい ゆっくりいじめ系1907 品評会 ゆっくりいじめ系2137 朝の光景 ゆっくりいじめ系2200 街はゆっくりできない ゆっくりいじめ系2372 ゆっくりを拾ってきた ゆっくりいじめ系2388 ゆっくりとおねえさんのささやかな楽園1 ゆっくりいじめ系2389 ゆっくりとおねえさんのささやかな楽園2 ゆっくりいじめ系2390 ゆっくりとおねえさんのささやかな楽園3 ゆっくりいじめ系2391 ゆっくりとおねえさんのささやかな楽園4 ゆっくりいじめ系2392 ゆっくりとおねえさんのささやかな楽園5 ゆっくりいじめ系2393 ゆっくりとおねえさんのささやかな楽園6 (完結) ゆっくりいじめ系2445 ゆっくり実験 その他 ゆっくりの手引き ゆっくりいじめ小ネタ259 緩慢しんぼ ゆっくりいじめ小ネタ364 ぱちゅりーにごほんをよんであげよう ゆっくりいじめ小ネタ451 悪魔の証明 このSSに感想をつける