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※俺設定 ※読みづらそうな部分では、ゆっくりの台詞でも漢字を混ぜてあります 何の変哲もない、ごく普通の部屋でゆっくりれいむは目を覚ました。 ゆーん・・・あれ? ここはどこだろう? 今までのおうちとは違うところだね。 でもここの方が今までのおうちよりゆっくり出来そうだよ! きめたよ! 今日からここをれいむのおうちにしよう! ん? あそこに人間がいるよ。 白い服を着たお姉さんだね。 挨拶しようっと。 「ゆっくりしていってね!」 「・・・・・・」 あれ? こっちを向いたけど何にも言わないよ? よく聞こえなかったのかな。 じゃあもう一度! 「ゆっ! ゆっくりして・・・」 すっ、と、そのお姉さんが部屋の奥を指差した。 なんだろうと思ってそっちを見たら、もう一人ゆっくりがいた。 ゆっ! あれはいつも一緒にいた友達のまりさだよ! まりさもここに来たんだね! 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ・・・ゆっ! ゆっくりしていってね!」 まりさとほっぺをすりすりする。 やっぱりまりさとすりすりするのが一番ゆっくりできるよ! これからも一緒にいようね! でも・・・ 「ゆぅ・・・おなかすいてきたね。」 「お姉さんにご飯をもらおうね!」 さっきのお姉さんのところに行って、お姉さんに言う。 「おねえさん! おなかすいちゃったよ!」 「れいむとまりさにごはんを持ってきてね!」 「・・・・・・」 お姉さんは立ち上がって、扉を開けて外に出て行った。 「れいむたちのごはんを取りにいったんだね!」 「それまでゆっくり待とうね!」 お姉さんを待ってる間、どっちが高く跳べるか比べて遊んだ。 きょうはまりさに負けちゃったよ。 でもこの間は勝ったもんね。 明日はれいむが勝つよ! カチャ・・・パタン ゆっ! お姉さんが帰ってきたよ! 「お姉さん! れいむたちのご飯は?」 「・・・これ」 お姉さんが持ってきたのはおっきなつるつるのおまんじゅう。 「ゆっ! おいしそうだね! まりさ!」 「そうだね! いっぱいたべるよ!」 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛ああぁぁぁ!! やめでえ゛え゛え゛ぇぇぇ!!」 「れ゛い゛む゛を゛たべな゛い゛でえ゛え゛え゛ええぇぇぇ!!」 おまんじゅうが何か言ってるけど、どうでもいいね! 「まりさ! まりさにおっきい方のおまんじゅうをあげるね!」 「ゆゆっ! ありがとう、れいむ!」 ぱくっ! 「い゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!! い゛だい゛い゛い゛いいいぃぃぃ!!」 「あ゛り゛ずはたべものじゃな゛い゛い゛い゛いいぃぃぃ!!」 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!!」 「むぐむぐむぐ・・・おいしー!!」 甘くてとってもおいしいよ! まりさも満足してるみたい! 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「げふぅ・・・おなかいっぱいだね!」 「ゆっくりやすむよ!」 おなかいっぱいになったらなんだか眠くなってきたよ! 「れいむ! これ! これ!」 まりさが座布団を見つけてきた。 さすがまりさだね! お姉さんの方を見たけど、怒ってないみたいだからこのまま使っちゃうよ! 「まりさ。 おやすみー」 「おやすみー」 まりさとくっついてるとすぐ眠れるね。 やっぱりまりさは一番の親友だよ! 「・・・む。 れいむ! れいむ!!」 ゆ? だれだろう・・・うーん 「れいむうううぅぅぅ! まりさのお帽子がああああぁぁ!!」 「ま、まりさ!?」 たいへんだよ! まりさのお帽子がなくなっちゃってるよ! 早く探さないとゆっくりできないよ! 「おねえさん! まりさのお帽子がなくなっちゃったよ! いっしょにさがしてね!」 「ほぅ? 帽子がなくてもまりさだと分かるのですか」 あれ? お姉さんとは違う方から声がした。 そっちを向くと、お姉さんとは別の人が・・・あれ? 「き・・・きめぇまる!!」 「はい。 清く正しいきめぇ丸です」 「おねえさん! きめぇ丸はゆっくり出来ないよ! 早く追い出してね!」 「おお、悲しい悲しい。 ところで」 「ゆ? なぁに?」 「私は今帽子をかぶっていませんが、私がきめぇ丸だとわかるのですか?」 「ゆっ! あたりまえだよ!ばかにしないでね!」 「帽子のないまりさも認識できた・・・と。 ではあれは?」 「ゆゆ?」 きめぇ丸がお姉さんを指差した。 ゆー? 別に普通のお姉さんだよ? 「お姉さんはお姉さんだよ? なにいってるの?」 「ふぅむ・・・」 「なんなの? なにがいいたいの!?」 「いえいえ、特に何も。 ところで、テーブルの上にあるこれはまりさの帽子ではないですか?」 「ゆー! まりさのおぼうしー!! はやくかえしてね!!」 「返しますよ。 今日のところはね」 まりさのお帽子が戻ってきてよかったぁ でも探し回ったらおなか空いちゃったな。 「おねえさん! おなかすいちゃったからごはん持ってきてね!」 「早く持ってきてね!」 「・・・・・・」 お姉さんはれいむたちのごはんを取りにお部屋から出て行った。 お姉さんは命令すればすぐにごはんを持ってきてくれるね! この人はいろいろ利用できるよ! 今日のごはんは、昨日より小さなおまんじゅうがお皿に山盛りになっていた。 「ゆー! ゆっくちたしゅけてね!」 「ゆっくりさしぇてね!」 「ゆっくち! ゆっくち!」 うるさいなぁ。 うるさいおまんじゅうはこうだよ! 「ゆっく・・・ゆべっ!」 「ゆっぐ・・・どうじでえええええぇぇぇ!!」 「ゆっくぢさしぇてええええぇぇぇぇぇ!!!」 体当たりで動かなくしてからゆっくり食べるよ! 「今日のおまんじゅうは昨日のよりあまいね!」 「おいしいね! むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!!」 「むっちゃ、むっちゃ、べちゃべちゃ・・・」 「げふー、おなかいっぱーい!」 「おいしかったね!」 まりさのほっぺについたあんこを舐めて取ってあげた。 まりさもおんなじことをしてくれたよ! 床も汚れちゃってるけど、どうせお姉さんが綺麗にするかられいむたちはしなくていいんだよ! 「ゆゆー。 おやすみなさーい・・・」 「あしたもゆっくりしようねぇ・・・」 目を覚ましたとき、まりさが隣にいなかった。 「ゆゆ!? まりさ、まりさー! どこー!?」 辺りを見回してもどこにもいないよ! 「ゆっ! おねーさん! きめぇまる! まりさはどこ!?」 「さぁ? 知りませんねぇ」 「・・・知らない」 「しらないじゃないでしょ!? はやくさがしてね!」 「そんな義理はありませんねぇ」 「ゆゆー!! なにいってるの!? きめぇまるはゆっくりしないでさがしてね!」 ガチャ・・・パタン ゆゆ? お姉さんが外に行ったよ! お部屋の外を探してくるんだね! れいむはお部屋の中をゆっくり探すよ! 「おお、必死必死」 「ばかなこといってないではやくさがしてね!」 まりさと一緒じゃないとゆっくりできないよ! 早く出てきてね、まりさ! カチャ・・・パタン 「ゆゆ!? おねえさん! まりさがみつかったの!?」 「ううん。 ・・・はい、これ」 お姉さんは、手に持っていたおまんじゅうをれいむに差し出した。 ゆー・・・まりさを見つけられなかったんだね! 役立たずなお姉さんはゆっくりしなくていいよ! でもおなかがすいてきたから、このおまんじゅうを食べてからまりさを探そうかな! 「れいひゅううううぅぅぅ!! たひゅけてえええええぇぇぇ!!」 「ゆー・・・またうるさいおまんじゅうなんだね!」 たまには静かなおまんじゅうを持ってこれないのかな! 全くお姉さんは気がきかないね! 「れいひゅううううぅぅぅ!! まりひゃだよおおおおおおぉぉぉ!!」 「ゆー・・・うるさいね! なにいってるのかわかんないよ! ゆっくりしねっ!」 「がひゅっ!! ・・・れ゛い゛びゅう゛う゛う゛う゛う゛ぅぅぅぅぅ!!!」 「おや? あのまりさは歯でも抜いてあるんですか?」 「・・・舌を抜いてあるの。」 「おやまぁ・・・」 「ばくっ! むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!!」 「い゛ぎゃあ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!! れ゛い゛びゅう゛う゛う゛ぅ!! わ゛がっでえ゛え゛えぇぇぇ!!」 「うるひゃいね! だまってたべられてね!」 あーあ、しゃべったらお口の中のおまんじゅうがちょっとこぼれちゃったよ! でもまだいっぱいあるから大丈夫だね! ゆっくり食べ終わったらまりさを見つけて、またおいしいものを持ってきてもらうよ! 「そろそろではないですか? これ以上やると・・・」 「うん・・・そうだね」 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ・・・」 やっと静かになってきたね! これで静かにゆっくり食べられるよ! そのとき急にからだが浮き上がる感じがした。 わあ、おそらをとんでるみたい! 「・・・よっと」 「ゆべぇっ!」 いた・・・・・・なん・・・・・・ ゆゆ・・・ ここはどこ・・・? さっきのお部屋とは違うところだね。 なんだか前すんでたおうちに似てるよ。 それよりなんだか体中が痛いよ・・・ あのお姉さんが何かしたんだね! 食べ物を持ってくるだけのぶんざいでれいむにこんなひどいことをしたんだね! 絶対に許さないよ! 「う~。 おきたよ~」 「・・・ん。」 ゆっ! いたね! ゆっくりできないお姉さんにはおしおきだよ! 「ゆっくり・・・!」 「はいこれ。」 ドン! おっきな音を立てて板みたいなものがれいむのとなりに置かれた。 ゆ? おっきなおまんじゅうがあるよ! 「いただきま~・・・ゆびゅっ!?」 「・・・よく見て。 それは鏡。」 ゆゆ? これが鏡なわけないよ! だってここに写ってるのは・・・ 写ってるのは・・・・・・・・・!? 「ゆびゃあああああぁぁぁ!? れいむのかみのけはあああああぁぁぁ!?」 「う~♪ れみりゃが抜いたの~」 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁ!!!!」 れいむのきれいな髪の毛が!! れいむの髪飾りが!!! こんなみっともない姿まりさに見せられないよ!! あのれみりゃがやったんだね!! 殺してやる! 殺してやる殺してやる殺してやる!!! あのれみりゃはまだ子供だよ!! れいむでも勝てるよ!! あのれみりゃを殺してまりさと一緒に食べてやる!! 「ところで、これは先程あなたが食べていた"お饅頭"なのですが」 「ゆっ!! いまいそがしいんだよ! きめぇ丸はゆっくり黙っててね!!」 「今でないと困るのですよ。 この帽子を・・・こうします」 れいむの食べかけのおまんじゅうにきめぇ丸がまりさのお帽子をかぶせた・・・・・・? ・・・あれ? あの位置は・・・あの角度は・・・あのお顔は・・・・・・・!!?? 「まっ、まっ、まりざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああぁぁぁぁ!?」 「ゆ゛っ・・・ゆ゛ひゅっ・・・ゆ゛ゆ゛っ・・・・ゆ゛っ・・・」 「ま゛り゛さあああ゛あ゛ぁぁぁ!! おへんじして゛え゛え゛え゛え゛え゛ええぇぇえ!!!!」 ちがう!! 違う違う違う違う違う違う違う違う!!!! れいむはまりさを食べたりなんかしてない! まりさはあのお姉さんとれみりゃに何かされたんだよね!? 一緒にあいつらをやっつけてまた一緒にゆっくりするんだよね!? お返事してよ、まりさあああああぁぁぁぁ!!!! 「ゆ゛・・・ぐ・・・に・・・げ・・・・」 「ゆっくり逃げてね、だそうですよ。 自分を食べた相手に向かってけなげな事ですねぇ」 「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああぁぁぁ!! ぢがう゛う゛う゛う゛う゛うううぅぅぅ!!!!」 れいむはまりさを食べたりなんかしてない!! れいむがまりさを間違えるはずない!! だってまりさはれいむの一番の・・・・ 「ところで、今のあなたの姿やまりさの姿は、あなた達が今まで食べてきたものに似ていると思いませんか?」 「ゆ・・・ゆあ・・・・・・? ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛ぅぅぅぅぅう!?」 「あなた達は今まで共食いを続けてきていたのですよ。 これはゆっくり出来ませんねぇ。」 「わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁあ!!!!」 嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!! こいつらは皆うそつきだ!! 早くまりさをたすけてここから逃げるよ!! 早くしないとまりさが・・・ 「まりさあああぁぁぁ!! こっちにきてねええぇぇぇ!! いっしょににげるよおおおお!!!!」 「・・・うん。 これで全部終わった。」 「う~?」 「結果が全部出たの。 だかられみりゃ」 「う~・・・」 「食べてもいいよ」 「う~♪」 れみりゃ!!!! あいつだけは殺してやる!! まりさをこんな風にしてれいむもこんな風にして他のゆっくりもあんな風にしてみんながあんなふうになったのもみんな・・・ 「えーと・・・ここ、だっけ」 「い゛っ!? い゛だあ゛あ゛あ゛ああああぁぁぁぁ!!!」 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!! れいむの中に何か入ってきてる!! 痛いいた・・・あ・・・あれ? なんだかからだにちからがはいらない・・・ 「・・・うん。 正解」 「う~♪」 「ほぅ。 さすがですね」 「つぎは~・・・ここ!」 「ゆ゛ぎっ!?」 痛ああああああ!? もうやだ! おうちかえる! おうちでまりさといっしょにゆっくりする!! あ・・・あれ? めのまえが真っ暗になったよ! こわいよ! まりさ、助けて!! あ・・・あれ? なんだかぼーっとしてきたよ・・・ 「あ、ちがう。 そこ壊しちゃうと一気に・・・」 「う~?」 「おや、死んでしまいましたね」 まりさ・・・・・どこ・・・・・・・ ゆ・・・く・・・・・・・・・・り・・・・・・・・・・・・・ ゆっくり加工場・ゆっくり研究部非繁殖課課長、琥珀様 この度預からせていただきました実験体の結果が出ましたのでご報告させて頂きます。 貴方の提示された"認識能力"、そこから生まれるパートナーとの"絆"に絞り、順を追って結果報告致します。 まず、パートナーに限らず、帽子や髪飾りが無くなった程度では相手の認識が不可能になると言うようなことはないようです。 きめぇ丸、当方で用意した飾り無しゆっくり等も、きちんとその種類まで認識できていました。 しかし、髪を剃ってしまうとゆっくりとは認識できなくなるようです。 髪飾りを髪ごと剃ったゆっくりを"饅頭"として出したところ、言葉を発しているにも拘らずあくまで"饅頭"として捕食していました。 更に、羽を隠し服装を変えたゆっくりフラン(白衣に黒いジーンズ)にも、"人間のお姉さん"として接していました。 何度かゆっくりであることを示唆してみましたが、特に反応は無く、最後まで人間であると認識していたようです。 最後にパートナーへの認識ですが、残念ながらこちらも他のゆっくりとそう変わらなかったようです。 片方の視界の外でもう片方の髪を剃り、発音不明瞭の状態で"饅頭"として出したところ、パートナーの必死の呼びかけにも構わず迷い無く捕食しました。 その後そのゆっくりも髪を剃り、自分の形状を認識させたところ、ようやく今までの"饅頭"がゆっくりであることに気付きました。 ただ、捕食された方が、髪の無いパートナーに向かって「逃げろ」等と言っていたので、条件次第では認識も可能なようです。 そして加害者を明白にし、言葉による挑発をしたところ、ゆっくりには珍しいほどの憤りを見せましたが、それによる身体能力の向上は見受けられませんでした。 実験体はそのまま破棄してよいとのことでしたので、実験が終わり次第当方のゆっくりの餌とさせて頂きました。 当方はまだ時間的余裕がありますので、以前仰っていた溜まっているという研究もこちらに回して頂いて構いません。 草々 追記 貴方が永遠亭の八意様より預かったと言う『緑の日』ですが、危険が大きいので結果を出すのに少々時間を頂けたらと思います。 「う~ん・・・うちのゆっくりじゃまだまだ力不足って事だなぁ・・・」 「そうですか? 条件次第では丸坊主でも相手が分かったんですよ?」 「条件次第で、でしょ? あそこのゆっくりだったらどんな条件だろうが分かるんだよ?」 「ではあちらのゆっくりを借りて実験させてもらっては?」 「う~ん・・・ところできめぇ丸、どうだった? ゆっくり研究所は」 「少なくともここの数倍居心地がよかったですねぇ」 「どうせここは生活しにくい構造だよ・・・」 終わり ************************************************************************************************************ 台詞以外を全てゆっくり視点で書いて見ました。 久しぶりに来たらいろいろ様変わりしててびっくりしました。 チル裏ってここにも出来たんですねぇ・・・そしてドロワ な ん ぞ (゚Д゚) こういうのってよくあるもんなんですかね? まぁ、ドロワの設定等については特に気にしませんので、好きにしてやってください 598 このSSに感想を付ける
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「う~、ぷっでぃ~んおいしいど~♪」 「むきゅ!このけんきゅうしりょうはきょうみぶかいわ!」 「むこうであそぶんだぜ!」 「ゆふ~」 好物に舌鼓を打つもの、ただの広告チラシを百科事典と勘違いするもの、家においてある遊具で遊ぶもの、何もせずただぼーっとしているだけのもの。 とある家の一室でみな思い思いの方法でゆっくりしている。 彼女達はこの家の主である青年の飼いゆっくりだ。 しかし普通のゆっくりとは違う部分がある。 それはこのゆっくり達がすべて体つきの固体だからだ この家の主である青年はゆっくりのコレクターだ。 ただのコレクターではなく、体つきのゆっくり専門とするコレクターである。 「ゆ!おにいさん!まりさもあまあまたべたいよ!もってきてね!」 「はいはい、わかったよ」 体つきまりさの尊大な口調にもニコニコ顔で請け負う青年。 彼はここのゆっくり達がゆっくりする事に関して手間を惜しまない。 それが自らのコレクションを最高品質に保つもっともよい手段だと分かっているからだ。 ましてそれが希少種を通り越して奇形種とまで言えるようなまりさの要求であればなおさらだ。 いそいそと台所に向かう青年。 自慢のコレクションのすばらしさをかみ締めながらプリンを用意した。 「ああそうそう」 「むきゅ?」 青年は読めもしないチラシを見ていたぱちゅりーを抱えると楽園とも呼べるその部屋を後にした。 所変わってここは家の地下室。 ここにも体つきのゆっくり達がいる。 しかしその様は先ほどと同じ家とはとても思えないものだ。 青年はとある特殊な用事のためにその部屋へ足を踏み入れた。 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」 「ゆ!おじさん!れいむをはなしてね!」 青年が入るなり罵声が飛び交った。 数対の体つきゆっくり達が木でできた簡素なベッドに固定されオレンジジュースをチューブで与えられている。 ここはゆっくり達の養殖場だ。 体つきゆっくりの子は比較的体つきとなる可能性が高いため不要になった体つきゆっくりを養殖用の家畜としてここに置いている。 彼は最も質の高い個体が一種につき一体いればOKという主義だった。 「うああああ~!!!うばでるどおおおおお!!!!」 今まさに一匹のれみりゃが子を産もうとしている。 体つきは動物型にんっしんが多いため時間も手間もかかる。 しかし質のいい固体を生ませるには必要な手間だ。 犬や馬などと同じくゆっくりもやはり優秀な固体からは優秀な子が生まれやすいのだ。 すぽーんとれみりゃの下膨れから赤ゆっくり達が産み落とされる。 「う~…、れみりゃのあかちゃんだどぉ…、かわいいどぉ…」 「う~♪まんまぁ~♪」 「どれどれ。…はあ」 産み落とされた赤れみりゃは早速親に甘えようとしている。 親のれみりゃは出産の消耗で元気が無いものの素直に子供の誕生を喜んでいる。 しかし青年は産み落とされた子を見るなり落胆のため息を漏らした。 勢いよく出てきた時点で分かりきっていたことだがこの赤れみりゃは体無しだ。 「う?うべっ!!!」 それを確認すると青年はその赤れみりゃを勢いよく踏み潰した。 その光景に一瞬何が起きたか分からぬ表情をするれみりゃ。 しかしすぐにその光景の意味するところを悟り大声で騒ぎ出す。 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!!!!!でびりゃのあ゛がぢゃんがあ゛ああ゛う゛う゛っ!!!!!!」 しかしその声も途中で掻き消える、なにせ次の子が生まれようとしているのだ。 結局生まれてきた子はすべて体無しであった。 無論すべて青年によって踏み潰されている。 「あ…ああ…れみりゃのあかちゃん…」 もはや悲しみを叫ぶ気力も無いれみりゃを無視し先ほどから呆然とその光景を見ていたぱちゅりーに振り返る。 ぱちゅりーには分からない。 なぜあの優しい青年がこんな残酷なことをするのか分からない。 なぜ自分がここに連れてこられたのか分からない。 なぜ自分を抱いている青年が他のゆっくり達と同じようなベッドに自分を固定しているのか分からない。 なぜ青年が自分にチューブを突き刺さすのか分からない。 さっきまで天国のような場所にいたのに。 さっきまでごほんを読んでとてもゆっくりしていたのに。 ぱちゅりーが考えているうちに作業は終わった。 もはや他の母体と変わらぬ有様に自分がどういう事態になったのかようやく理解する。 「むぎゅぅ!!!!はなしてぇ!!!!」 大声で懇願するが青年は耳一つ貸さない。 今まで何か言えば必ず聞いてくれた青年が一切話を聞かない。 その事実はぱちゅりーを大きく打ちのめした。 青年はというと先ほどとは別のぱちゅりーの前にいた。 「まったく何度も死産しやがって、もう代わりがいるからお前はいらないよ、この不良品」 「む、むぎゅううううぶべら!!」 青年は騒ぐぱちゅりーを踏み潰す。 加工所に持っていけばそれなりに高く売れるのだが独占してこそのコレクション。 彼は売ってしまうくらいなら自分の手で殺すことこそ愛情であるという考えなのだった。 死体は繁殖用のありすが食べてしまうだろう。 用もなくなったため青年は部屋から出ていく。 「むぎゅうううううううううううううう!!!!!!」 一体のぱちゅりーの悲痛な叫び声を残して。 さて先ほどの青年はまた別の場所を訪れていた。 「むきゅ!おにいさんこんにちは!」 「ぷっでぃ~んをよこすんだどぉ~♪」 「れいみゅはあまあまたべちゃいよ!もっちぇきちぇね!」 ここは子ゆっくりを育てる場だ。 無論すべて体つきである。 この中から青年のお眼鏡にかなったものは晴れてコレクション入り、この家で最高の扱いを受けることとなる。 逆にお眼鏡にかなわなかったものは先ほどの養殖場行きか捕食種達の餌となる。 青年は子ゆっくり達に餌を与えるとコレクション入りを果たしたぱちゅりーを連れて行く。 「むきゅ?みんなごはんたべてるのにどおしてぱちゅりーだけつれていくの?ぱちゅりーもごはんたべたいよ」 「ああすまない、別の場所で食べさせてあげるからご飯は少しまってね」 そう言いながら出口へと向かう。 他の子ゆっくり達は出された餌に群がっている。 最近生まれた連中は質もよくないし落第が多そうだ。 「おにいさんもういっちゃうの?ゆっくりしていってね!」 不意にそんな声がかけられる。 子まりさだ。 この子まりさは性格も温和で髪質も良好、肌も質がよくで順調に育てばすぐにでもコレクション入りを果たすだろう。 「お兄さんはまだやることがあるからね、後また来るよ」 「ゆっくりりかいしたよ!まりさはゆっくりまってるね!」 そんな言葉をかけながら自分も餌の元へ向かう。 数日後この子まりさの代わりに生意気な体つきまりさが天国から地獄へ落とされたのは言うまでもない。 この青年は後に新種のゆっくりの発見で世間をにぎわせることとなる。 それでも変わらず彼は自慢のコレクション達とゆっくりし続けた。 彼は本当にゆっくり達を愛していた。 ──────────────────────────────── 過去書いたもの 奇跡のゆっくりプレイス 醜い男 生きるための選択 このSSに感想を付ける
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概要ゆっくり茶番 ゲーム配信 言動野良パーティーに対する悪態 自演による擁護 生放送内にてフレンドいじめ(個別記事あり) 配慮に欠けたタイトル トラブルを起こした時の対応 罹患していると考えられる病気 概要 御尊顔 別名義 トーリス・ロリナイティス、本田菊 など ゆっくり動画製作者 モンスターハンター、マインクラフト、地球防衛軍などPvEのゲームを好む プレイスキルは低く、基本的に野良パーティやフレンドに頼って攻略していくスタイル game8の地雷掲示板から知られるようになった(現在は閉鎖済) ゆっくり茶番 茶番の時は立ち絵を並べるだけで動くことがほぼ無く、クオリティは低い キャラクターの背景ぐらい切り抜いてあげたらどうだろうか ゆっくり実況 ゲームの実況ではなく、ゲームと全く関係のないパーティー内の雑談などを垂れ流す動画 3日坊主のため、どの実況も序盤で終わっている。 ゲーム配信 前述の通りでソロプレイでの限界は早く他のプレイヤーに依存する形のため上達することもなく見ごたえはあまりない。 モンハンを例にした流れ 申し訳程度のダメージ ⇩ ⇧ 攻撃をもらう ⇧ ⇩ ⇧ ⇧ 回復 長時間安全な場所でウロウロして味方に押し付け 本人の貢献度基準は 微火力0死>>>高火力n死 となっているため 救援で代わりにタメージを出してもらっているにも関わらず、毒を吐く場面が見受けられる。 トップへ 言動 自分を棚に上げていくスタイルで批判される原因 野良パーティーに対する悪態 41 50~ このメンバー終わってんなぁ…だって閃光弾は無いわ、回復道具無いわ…せんこうだーーん!終わった… 自演による擁護 【集】ゆっくり暁 @0kd6ajatuki 親友に裏切られました その親友にツイートで公開処刑されました LINEの内容全部公開されてました 名前隠されていても自分だとわかる内容でした 私にも悪いところありましたが 一応何度も謝ったですが 許して貰えてません その親友とは十年以上の付き合いでした 堀尾聡史 @horiosa0928 返信先 @0kd6ajatukiさん 親友なのに晒すとかないわぁまじありえんそんなやつ親友じゃないよなぁ https //archive.vn/9HNHA 堀尾聡史 @horiosa0928 https //youtu.be/idkUtWLnDgU 集え戦士のモンハンうぷ主は暁ことトーリス………らしいぜ 12 17 PM - 25 Mar 2016 https //archive.is/v3Oz8 堀尾聡史 @horiosa0928 https //youtube.com/watch?v=vKC5RLK4Sn4 feature=youtube_gdata_player モンハンで暁担当です☆ 6 30 AM - 17 Sep 2013 https //archive.is/8jKMj 生放送内にてフレンドいじめ(個別記事あり) 問題の生放送、未だ当事者への謝罪は無し 詳しくは→生放送内でのイジメ配信 配慮に欠けたタイトル 台風19号 2019年10月12日午後7時頃より伊豆半島に上陸し、日本列島に多大な被害をもたらした台風で 数日前よりニュース等で危険性を報道されていた程の台風であり、備える人も多数いた程 そこにゆっくり暁本人が同日17 47より「台風19号美味しいよ モグモグ」というタイトルで配信を始めた 現在はタイトル変更済み 生放送→https //youtu.be/lHeH_SmXq5o 言論統制 自分に意見する人はブロック&削除、通報すると公言している。 「ゲームの音量が大きくて声が聞こえづらいです」「誤字してます」 などの意見は全部アンチとみなされ削除対象となる。 この頃は批評に対して素直に反省し次に活かすコメントも残している(2017/07/01) アンチを過剰に気にする姿勢は昔からの様子 トラブルを起こした時の対応 https //archive.is/xHt4R https //archive.is/9UQYj https //archive.is/kUn7F LINE、twitterブロック、ゲームフレンド削除 https //archive.is/bgkOd 追求されるとTwitter等で「迷惑かけて申し訳ございません」「自●します」 具体的に自分の何がどう悪かったのかはおそらく理解しておらず、トラブった肝心の相手とは話し合わない、謝らない。 自●や自傷を自身に対する批判を封殺するための武器にしている節があり批判の原因となっている その後新たにフレンドを集い、精神病ゆえに上記の行動を繰り返す。 トップへ 罹患していると考えられる病気 現在診断書等のはっきりしたソースは無し 魚拓『いままでの経緯と うつ病について 私が喧嘩や口悪い理由』 https //archive.is/Mhkjk 写っているオランザピン錠5mg「杏林」の効果・効能より 統合失調症 双極性障害(躁鬱) + ヤブ医者? 記憶喪失と自殺願望が激しい日々 記憶喪失のほうはうつ病 か 若者何とか?って病気の症状ににてた どちらにしろ ストレス 病院は28日に行くですが 前に、いったとき何ともないで返された気がするが https //archive.is/NtS2T 病院行きました 記憶無くなるわ、気分が落ちすぎて 大変なんですよねと伝えた 薬飲んでも戻らない お医者さんから回答 いつもの薬飲んで下さいね のみ ヤブ医者め https //archive.is/ZCm90 支離滅裂な言動 自分の意見を持てて発言できる人を排斥し、一人に対し多勢で戦争をけしかけようとした人間がリツイートする内容ではない。 記憶障害 ツイートに記憶がない、消えた等の発言が見られるが、別れたFさんの件を2年弱覚えていた事から疑惑が残る。 さらなる疑惑 4年近く前のドラゴンズドグマでの喧嘩を覚えている。 元? トップへ
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ゆっくりClose Air Supportしてね! ※※※前フリ長くて申し訳ない※※※ 「きょうもゆっくりしようね!」「ここはさいこうのゆっくりポイントだね!」 ゆっくりがゆっくりできるかどうか以外にはさほど関心を持たないのはよく知られている。 ここにいるゆっくりの大群もまったくその通りで、食料がたくさん存在し天敵がいないこの地に満足し、ゆっくりしていた。 この群れはもともと数は多くなく、5匹ほどのゆっくりのグループが数を増やして形成したという経緯がある。 3ヶ月前、この地にやってきた5匹は昨日まで住んでいた森とは様子が違う木々に初めは戸惑っていたものの、 ゆっくりするのに十分以上の条件が整っていることが分かるとここを安住の地とし爆発的に数を増やした。 ゆっくり達は、時々仲間が消えるものの(川に落ちたんだろうと考えた)天敵のいないこの地におおむね満足し、最高のゆっくりポイントとした。 これからこの地はゆっくりの楽園となるだろう、そうゆっくり達は各々考えていたのだが… よく晴れた朝、ゆっくりれいむはここに住むようになってから妙にふやけるようになった皮を揺らしつつ、 朝食を求めて背の低い木を掻き分けていた。 「ゆっくりーとまっててねー♪」 やっと見つけた朝食候補に喜びをあげるれいむは舌をゆっくりと伸ばして捕食を試みる。 故郷の森では見たことが無い蝶だったが空腹の前にはそんなことはどうでも良かった。 と、そのとき。爆発音が響き木々を揺らす。 「ゆっ゛!?」 反射的に音源へと警戒態勢を取った。(といっても体を向けるだけだが) 近くで物体が動いたことに気が付いた蝶は当然逃げてしまう。 「ゆぅぅぅぅ…」 今日初めての食事は昼食になりそうだという事に残念がるれいむ。 気を取り直して音源のほうを見ると「鳥」が緑の中へと吸い込まれていくところだった。 ゆっくりれみりゃやゆっくりフラン、つまり自分達に危害を加える飛行物体には注意を払うゆっくりだが、 そうでない飛行物体、すなわち鳥や蝙蝠に普通は関心を持たない。 だが、れいむは自分の食事が台無しにされた事に腹を立てており、その抗議をしてあわよくば食料を手に入れるため、「鳥」が落ちたほうへと向かっていった。 さきほどの爆発音で同じ方向を見ていたゆっくりたちが、れいむの行動を不思議がって後を付いてくるのに気が付かずに。 幸か不幸か目的地は川のこちら側だった。(向こう側なら早々に諦めていつもの生活に戻れただろう。) 「鳥」が落ちたと思われる場所に到着したことでれいむ達の生活は永遠に変わってしまった。 生まれつきの警戒心があるれいむは、いきなり目的地(ちょうど木の密度が薄くなって広場のようだった)に出て行くことはせず、茂みを通してその場所を観察した。 そこにいたのはニンゲンだった。 見たことも無い妙な服を着ていたが体つきや顔からして間違いなくニンゲンだった。 「ゆっ、ゆっくりしていってね!」 れいむは故郷で何度か人間に殺されそうな目に合わされていたが、生物としての自己防衛反応のためかその事をすっかり忘れており、 食事の落とし前をどうしてくれようという気持ちで茂みから飛び出していった。 その割には第一声がまったくその気持ちを感じさせない物だったが。 だが、そのニンゲンは全く無反応だった。 れいむの自己に都合の良い記憶によればこのセリフを聞いたニンゲン何らかの反応を示すはずだが、 目の前の疲れきった顔の男は二つの目でれいむを注視するだけだった。 「ゆっくりしていってね!!」 今度はゆっくりの模範ともいえる声と顔で挨拶をするれいむ。 だが、男はやはり無反応だった。 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 三回目の挨拶は偶然にも合唱となった。 れいむを追いかけてきたゆっくりたちがこの段階で追いつき、いっせいに挨拶をしたのだった。 「いっしょにゆっくりしようね!」「このひとはいっしょにゆっくりできる?」 「あさごはんたべようね!」「ゆっくりしたいよ!」「にんげんだ!にんげんだ!」 「いいからかえってゆっくりしようね!」「ここでゆっくりしたいよ!」 れいむと他のゆっくり達が一斉に会話を始めて広場は騒然とする。 男は相変わらずれいむを見ていた。 ウィルソン・フォード中尉は混乱していた。 ちょっとしたミスから十字軍の名が付いた愛機を落とされ、かろうじて脱出してここに降り立ったがパラシュートが木に絡まって動けず何とか切り離す、 そこまでは自分が知っている知識の範疇の出来事だった。 ──だが、こんなに妙な丸っこい生命体が生息しているなんて聞いてないぞ! 最初の丸いのが茂みから飛び出してきたとき敵かと思い拳銃を構えたが、少なくとも敵ではないと分かり今は下ろしていた。 あまりの驚きからその場所で固まった彼は、後からどんどん増える丸い物体のお仲間に圧倒されて動くに動けないでいた。 こんな生き物が生息する地域に入ったらどんな目に遭うか分かったものではなかった。 幸いにもここは友軍基地に近く、救援はすぐに来ると思われたので何とかなるだろうという目論見もあった。 そこまで考えたところで丸い連中がいよいよ騒がしくなってきた。 「YUKKURISITENE!!」「YUKKURISITEITTENE!!」 やはり意味は分からない。響きから日本語かと思ったが(日本に駐留した事がある友人のおかげだ)彼には日本語に関する語学能力は無かった。 あまりに騒がしいとそれで敵がやって来るのは明白なので、彼は丸い連中を黙らせようと試みた。 「君達、少し静かにしてくれるかな?」 「YU?」「WAKARANAII WAKARANAIYOO!」「YUKKURISHABETTENE!!」「TIIIINPO!」 当然だが通じなかった。 こんな妙な物体と会話を試みた自分の頭が心配になってきた彼は、ここにいるとそろそろ本格的に危険だと考え、友軍基地の方角を確かめて歩き始めた。 「STOP! PLEASE!STOP! DANGER!」 「ゆっくりあるいてね!」「いっしょにゆっくりしようよ!!」 なるべく単語を減らして意思の疎通をこころみる男の努力も空しく、 意味が理解できない言語を投げかけられたゆっくりたちはますます彼に興味を持って後をつけるようになった。 彼は追跡者を振り切ろうと足を速めるが、障害物が多いため思うように進めない。 男とゆっくりの珍道中はしばらく続いた。 いい加減ウンザリしてきた中尉は怒鳴りつけて追い払おうと丸い連中のほうを振り返った。 何か相手をしてくれるのかと期待に満ちた目を向けてくる連中の向こうで何かが動いた。 ついに恐れていたほうの追跡者が来たのだ。 「クソッ!!」 もはや形振りかまっていられない為、直ちに全速力で逃走に移る。 それを丸い連中も何匹か脱落させつつ全力で声を上げつつ追いかけ始め、恐ろしいほうの追跡者がそれを追いかけるという形になった。 「YU!!…」「YUGUEEE!」 脱落したヤツが踏まれて断末魔を上げているのが聞こえたが、それにかまわず彼は走り続けた。 「おい!こっちだ!速く来い!」 「いいぞ、もう少しだ!頑張れ!」 目の前に現れた友軍の救出部隊が射撃しつつ声を張り上げる。もう少しだ。 そして、ついに友軍の後ろへと飛び込む。 「良く頑張った!フォード中尉! 悪いがもう少し待ってくれ!連中を片付け…なにっ!?」 労いの言葉を掛けてきた隊長と思しき人物が、こちらに全速力で向かってくる丸い連中と追跡者を見て途中で発音をやめる。 途中で丸い連中を踏んで混乱し、さらには銃撃を受けたためかかなり距離が離れていた。 背の低い丸い連中には弾が当たらず、弾幕の下でまごまごしているのが見えた。 突然の出来事で混乱しているのだろう。 こっちに来いと声を上げてみたが、意思の疎通はやはり不可能でやっぱりまごまごしていた。 『こちらスワローテイル。派手にパーティ中らしいからウェイターを連れてきたぞ。』 通信機から声が漏れていた。航空支援で追跡者を吹き飛ばすのだろう。 『お客の位置を知らせてくれ、でないと注文を取りにいけん。』 「俺達より北の連中だ!いま発炎筒を投げる!」 前線航空統制官の要請に隊長が答える。 直ちに指示が出され、赤い煙を上げる棒状の物体が追跡者のほうへと投げられた。 危険を感じ取った追跡者が撃たれながらも無理に接近しようとするが、丸い連中が邪魔で思うように進めなかった。 「赤い煙の辺りだ!派手にブチかませ!」 『了解した。 …確認した、今ウェイターを送る。コールサインはヴァイパーだ。』 『こちらヴァイパーリード。お客は確認した、今から料理を送るぜ!』 統制官の返答の後、パイロットが今度は答えた。 音が辺りに響き始め、あっというまに木々を揺らさんばかりの轟音となる。 ターボ・ジェットの音が耳を破壊するかどうかというほど大きくなったとき、上空を影が通過した。 ニンゲンは恐ろしい。れいむはそう思い始めていた。 あの妙なニンゲンに付いていったら仲間が次々と踏まれ、初めは100を越えようかという勢いだったゆっくりは50以下にまで減っていた。 「わ゛た゛し゛のあか゛ち゛ゃんか゛あ゛ああ!!」「おちついてゆっくりしてね!!」 「まりさ゛あ゛ああな゛んて゛え゛えええぇぇ」「そんなと゛こ゛ろて゛ゆっくりし゛ないて゛ええぇぇ!」 地球と同化した仲間や家族のほうを見たゆっくりが泣き叫んでいる。 今のところニンゲン同士で争っているみたいだから安全だけど、いつ矛先がこちらに向くか分からない。 そこまで考えたれいむは逃げ出すタイミングを伺っていた。 冷静に考えればゆっくりの身体なら這いずって逃げれば弾など頭の上を通過していくだけなのに、 小豆ペーストの脳ではそこまで思い至らないのは流石ゆっくりといったところだろうか。 そうこうしているうちに轟音が聞こえてきた。あの「鳥」がいると聞こえる音だが、いつもとは大きさが段違いだ。 何だろう?そう思ったれいむが音のほうを見ると、空中に丸い物体が浮かんでいるのが見えた。 その物体が何か考える間も無く、れいむの一生は幕を閉じた。 群れから脱落しつつ幸運にも踏まれること無くいたゆっくりまりさは恐ろしい物を見てしまった。 絶え絶えの息を整えつつ、先行した仲間達のほうを見るとちょうど轟音が聞こえてきた。 続いて何かが風を切るような高い音。 れいむと同じように疑問に思ったまりさは音のほうを観察する。 その瞬間、れいむ達と追跡者のニンゲンのあたりで爆発が起きた。 ニンゲンだったものやゆっくりだったものが高く放り上げられ、こちらにもそれが飛んできた。 あまりの事態に口をあんぐりと開けていたまりさだったが、その口にチビれいむが飛び込んできた。 あわてて吐き出すまりさ。チビれいむだけでも助かって良かったと思い始め、仰向けに寝転がる彼女をゆすりだす。 「ゆ゛っ!ゆ゛っ!おき゛て゛よ!いっし゛ょにゆっく゛りし゛ようよ!」 いくらゆすっても起きないのでより強くゆするまりさ。 その拍子にチビれいむがごろんと転がる。 「ゆ゛っ!ゆ゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛!!な゛んて゛え゛え゛え゛ええ!!!」 チビれいむの後頭部は存在しなかった。代わりに残り少ない餡子が露出しており、顔の裏側が一部露出していた。 そういえば魔理沙の額にくっ付いている物体、これはこの子の一部じゃないのか。 「ゆふ゛ェッ゛!オ゛ェッ゛! ケ゛ヒ゛ュう゛!」 あまりにショッキングな事態にまりさは餡子を吐き始めた。 良く知られているように、餡子を吐き始めたゆっくりはまず助からないといわれる。 自制心が少ない生物の為、とちゅうで体調を持ち直して吐くのをやめる前に体内の餡子を出し切って絶命してしまうゆっくりが非常に多いためだ。 このゆっくりまりさも死へのマラソンをひた走り始めた。 だが、恐ろしい光景はこれで終わりではなかった。 爆弾の破片が体中に刺さって絶命寸前、仲良くぐったりと寝転ぶゆっくりとニンゲンの上からさらに何か落ちてきたのだ。 今度の物体は空中で何か液体を撒き散らしながら落下、液体はただちに発火してかろうじて生き残った生物を焼き始めた。 「やめ゛へ゛フ゛ッ!! にけ゛ヘ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛!!!」 こんな状態だというのに仲間達を気遣うまりさ。 真にたたえられるべき仲間意識だったがそれは全くの無駄に終わった。 まりさの悲鳴といってよい警告に気づいた何匹かのゆっくりが地面を転がって消火しようとしたが、ナパームの特性上それは無意味な行為だった。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」 火達磨になったゆっくりたちが断末魔を上げながらもてる力を持って走り回る。 体中のナパーム燃料を撒き散らしながらのため、周り中の木という木に火が燃え移り、典型的な地獄を現出させていった。 ゆっくりは一匹、また一匹と力尽きていき残ったのは炎を上げる黒い炭素の塊だけだった。 「エヘ゛ッ゛!エヘ゛ッ゛!エ゛ヘ゛ッ゛」 火が静まる頃にはまりさもとうとう吐ける物を吐きつくして妙な空気音を上げる塊と化していた。 最後に「ゆっく゛り゛…」と呟いてまりさは動かなくなった。 「いい腕してるな、流石だ。全部きれいに吹き飛んだぞ!」 『ありがとう、悪い気はしないぜ!それじゃこっちはカンバンなんで帰るな!ヴァイパーリード、オーバー。』 『こちらスワローテイル。迎えが来るまでは上をカバーしておこう。いつでもモニターしてるから、何かあったら呼んでくれ。』 ターボ・ジェットの音が遠ざかっていき、後に残ったのは微かに聞こえるプロペラの回転音となった。 このようにしてれいむについて行ったゆっくりが悉く帰らなかった為、楽園のゆっくりは激減してしまった。 だが、残されたゆっくり達は連中のことをすぐに忘れ、減った分を穴埋めするかのように繁殖に勤しんだ。 食料は十分で天敵に怯える事が無く、仲間がたくさんいる生活をゆっくりたちは楽しんだ。 ここは楽園などではない事を知らずに… フォード中尉は無事に原隊復帰できたが、ジャングルで出くわした日本語のような言語を操る謎の生命体の事を話しても誰も真に受けなかった。 そのうち彼自身もその事を忘れ、ヴェトナムで任務に精励し続けた。 ある日、彼は妙な命令を受けて飛んだ。 「ジャングルのこれこれこういう地点を空軍と共同して爆撃せよ」という命令だったが、 その地点にはヴェトコンなど明らかにおらず、戦略的価値も無かった。 強いていえば野生のバナナなど「食料」が多いぐらいだが軍事的な意味は到底あるとは思えなかった。 彼は任務に忠実な軍人であるので命令に従って愛機を駆った。 やがて迫り来る爆撃目標地点で彼が見たものは… ────────────────────────────────────────────────── B-52で爆撃するつもりがF-105で航空支援してた\(^o^)/ おまけに虐待でも制裁でもなくてごめんなさい。 by sdkfz251
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とある講演会場。 今日は、ある著名なゆっくり研究家が重大発表をするため、会場内は人で溢れかえっている。 その多さは、ここに幻想郷中の全ての人間が集まっているのではないかと錯覚するほどであった。 どんな発表なのか、どんな新しい説が飛び出すのかと推測する者、ただ研究家の説が聞きたい熱心な信者、有名な人だと言う事で見に来ただけの野次馬……。 ――それでは、ゆっくり研究家、○○さんの入場です。 そんな、多種多様な人々でざわめく会場内が、研究家の入場により水を打った様にシンと静まりかえった。 研究家は、一つ咳払いをしてから、ゆっくりと語り始めた。 「ゆっくりできない。それは、ゆっくりにとって最も嫌な事です」 「彼らは、自分がゆっくりするためには同種を殺し、食べます。時には自分の親兄弟ですら」 「彼らにとって、それほどゆっくりする事が重要だという事から、私はある仮説を立てました」 「ゆっくりには、第四の本能ともいえる『ゆっくりしたい欲求』がある。それを満たすためならば、睡眠・食・性の他の三大欲求を犠牲にする事さえ厭わない」 備え付けの水を一口飲み、話を続ける。 「ところで、皆さんはゆっくりはどうすれば死ぬかご存知ですか?」 「基本的に、中身を取り出すとゆっくりは死にます。餓死もありますが、この場合は中身が減った事による死亡なのでしょう」 「眠りもせず食べもせず生殖もせず……一見、すぐに死にそうではありますが、ゆっくりさえさせておけばゆっくりは死にません」 そんな事が可能なのか、あの先生なら出来るんじゃないか……小声でそんな事を話し合い、ざわめく会場。 そんな会場も、研究家が「お静かにお願いします」と言っただけで、一気に静かになった。 「ここからは映像と一緒に説明させていただきます」 皆に見える様に大きく引き伸ばされた映像が、研究家の頭上に現れる。 「映像は、睡眠欲の抑制を試したものです。このゆっくりまりさは――」 発表はまだまだ始まったばかり。人々は、固唾をのんで映像を見つめ、研究家の話に聞き入っていた。 『ゆっくり魔理沙が極限までゆっくりできる話 その1:睡眠欲編』 「ゆっぐりやべろぉぉぉぉぉ!!!」 「ゆぎゅっ! ……なんでありすのあいをこばむの? まりざぁぁぁぁぁぁ」 ゆっくりまりさが、ゆっくりアリスに体当たりをして吹き飛ばす。 アリスが求愛をし、まりさがそれを拒む……ゆっくりの性質上、求愛を拒む事自体は良くあるのだが、この2匹は様子が違っていた。 ゆっくりまりさは、ゆっくりアリスを本気で殺そうとしているのである。 「ゆっぐりじね! じね! じねぇぇぇぇぇぇ!!!」 「まりざ、まりざぁぁぁぁぁぁ! ありすのあいをうげいれでぇぇぇぇぇ!!!」 ぼろぼろになったゆっくりアリスが、それでもまりさと生殖行為をしようとにじり寄る。 まりさは、本気で嫌がっているのだろう。目は血走り、よだれを垂れ流し、基本的にのんびりとした性格のゆっくりとは思えないほど険しい表情を満面に浮かべている。 「じねぇぇぇぇぇ!!!」 「まぎゅっぶぁ! ま……ぃ……ぁ」 ついに、ゆっくりアリスはクリームあんをぶちまけて死んだ。 荒い息を整えつつ、ゆっくりまりさは険しい表情を崩さずに呟く。 まりさをゆっくりさせないやつは、みんなしんでね……と。 このゆっくりまりさは、元々は他のゆっくりと同じく充実したゆっくりライフを営んでいた。 エサは毎日腹いっぱい食べてもあまるほどにあるし、雨を恐れる心配もない。 誰もいないのは寂しいけど、ゆっくりれみりゃやフランなどもいないため、心の底からゆっくりする事ができていた。 だが、ここ何日かは寝る間も休む間もなく連続してゆっくりアリスに襲われたために、凶暴化してしまったのである。 最初は、ある程度の攻撃で追い払っていた。 襲ってくるアリスは皆判を押した様にまりさより小さかったから、簡単に撃退できたのである。 だが、追い払ったと思うとすぐにアリスが来る。追い払う、来る、追い払う、来る……10匹も撃退した頃、まりさはゆっくりする邪魔者のアリスを殺す事に、何のためらいもなかった。 ゆっくりまりさは、アリスの死がいを引きちぎる事で完全にアリスが死んだのを確認した後、ようやく元のゆっくりした表情に戻った。 「やっとゆっくりできるよ……」 心の底から安堵した響き。 食事やその他の事は、もう明日で良い。まりさは充血した目を閉じ、そのまま眠りにつこうとした。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆぐっ!?」 まりさが眠ろうとした時、突然声が聞こえてきた。 誰だろう、どこにいるんだろう……まりさは辺りを見回したが、誰もいない。 「だれ? どこにいるの? まりさはおねむだから、ゆっくりねさせてね……」 「だめだ! 眠ったらゆっくりできないだろう!」 「ゆっ!?」 ゆっくりできない。それは絶対に嫌だ。 本能に根付いたゆっくりしたい魂で、まりさは強引に起きようとした。だが、どうにもならない。 数日眠れていない事に加えて、アリスとの攻防でへとへとになっているのだ。 起きよう、起きようと思っても、自然と眠くなっていく。 その後も、まりさが眠ろうとすると「ゆっくりしていってね!」と叫び、決して眠らせない声。 ゆっくりまりさは、段々苛立ってきた。 ゆっくり魂などとっくの昔に消し飛び、ただ眠りたくて眠りたくて仕方がなかった。 「いいかげんにしてよ! おねむなのにねさせてくれなきゃ、ゆっくりできないよ!」 「いーや、寝ていたらゆっくりできないぞ? ほら「まりざぁぁぁぁぁぁ!!!」」 声が終らないうちに、ゆっくりアリスが凄まじい勢いでゆっくりまりさの元へ駆け込んでくる。 まりさは、勢いのままに飛び込んでくるアリスを必死にかわした。 「ゆぎゅっ! ありす! ありすはゆっくりしね!」 「どーじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉ!!! ありずはまりざをごんなにあいじでるのにぃぃぃぃぃ!!!」 泣きながら飛びかかるアリス。まりさの言う事、自分の愛を受け入れてくれない事が信じられないのだろう。 一方のまりさは、もう何日も寝ていないのである。どうしても眠りたかった。 そのため、このアリスも殺して眠ろうと試みたが、眠ろうとするとまた声が聞こえ、別のアリスが飛び掛ってくる。 掛かってきては殺し、声が聞こえて掛かってきては殺しを繰り返し、5匹目のアリス。 全く同じ軌道で飛び掛ってきたため、振り払おうとすれば出来るのだがあえてそうせず、まりさはされるがままになっていた。 「まっまりざ! ありずはうげいれでぐれるのね! うれじいぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 「……なんでもいいから、はやくやってはやくおわらせてね……」 飛び掛ったアリスを拒む事なく、そのまま受け入れるまりさ。 「まりさ! まりさまりさまりさまりさまりさ!!!」 「ゆっ……はやくしてね……」 アリスだけが動き、まりさは全く動かずに振動を受け続けている。 アリスを殺す、声、アリスが飛び掛る、殺す、声、飛び掛る……何度も何度も繰り返した結果、まりさはついにある結論に達した。 ――アリスを殺せば声がして眠れない。アリスに好きにさせれば、眠れる。 アリスが好き放題にすれば確実にまりさは死ぬ。それに気付かない、あるいは気付いていてあえて無視していたまりさは、既にどこか狂っていたのだろう。 「まっまりさ! まりまりまりまりまりまりまりまりささささんんんんんんんんほおおおおおおおおおおすっきりー!」 「……ゆっ……ゆ……ゆぅ……ゆぅ……」 絶頂に達するアリス。だが、まりさの方は全くの無反応どころか、穏やかな表情で眠りについていた。 アリスがどれほど激しく動こうと、茎が何本生えようと、茎に養分が奪われ、刻一刻と生命の危機が迫っていようと、全く意に介さずに、まりさは数日ぶりの睡眠をただ貪っていた。 「まりさまりさまりさまりさ! すっきりしてるよ! すっきりできるよ!!! んほおおおおおおおおおおイグイグいぐぅぅぅぅぅぅ!!!」 「……」 「まりさまりさかわいいよかわいいよまりさぁぁぁぁぁ!!! ありすもすっきりまりさもすっきり! たっまんねぇぇぇぇぇ!!!」 「……」 「ままりりささ!? まりざもすっぎりじでるよねぇ!? ごだえでよぉ!!!」 不自然過ぎるほどに何も言わないまりさの様子を、流石に不審に思ったアリスは動きを止めた。 「……まりさ? なんでなにもいわないの?」 もはや茎なのか饅頭なのかの判別すら難しいまりさに、親愛の印であり、求愛のサインでもある頬のすりよせをして、何とか反応を引き出そうとするアリス。 まりさはとっくの昔に死んでいた。死因は妊娠のし過ぎからくる栄養失調である。 だが、茎を除けた中にあるその顔は、やっと眠れたという満足感からか、とても安らかなものだった。 映像は、まりさが死んでいる事にようやくアリスが気付き、白目を剥いて叫び声をあげるところで終った。 「この時は、アリスをけしかけ、ゆっくり出来ない状況を作り出す事で睡眠欲をなくそうと試みました」 「ですが、このまりさはアリスに襲われる事より睡眠欲を優先したのです」 「ちなみにこの後、アリスは私が美味しくいただきましたw」 研究家の下手な洒落に、一部の信者だけがどっと笑った。 あまりウケなかった事が恥かしいのか、研究家は大多数の冷ややかな目から話をそらす様に一つ咳払いをした。 「ごほん……この失敗から、自然のゆっくりは睡眠欲がやや強いと学びました」 「次は成功例を見ていただきましょう。このゆっくりは、先ほどのまりさから取れたものですが――」 気を取り直して、すらすらと説明していく研究家。 今度は、病室の様に真っ白い部屋に、ぽつんとゆっくりまりさが一匹だけ鎮座している映像が映し出された。 会場内の人々は、食い入る様に映像を見つめている。 映像は、ゆっくりと動き出した。 「ゆっくりちていってね!」 生まれたばかりのゆっくりまりさが、家族に挨拶した。 だが、返事はない。ここにいるのは、ゆっくりまりさ一匹だけだからだ。 「ゆ……ゆー? みんなどこにいるのー? かくれんぼなら、まりちゃもまじぇてー」 辺りを見回したが、誰も見当たらなかった。 意地悪されているのかと思い、まだ上手く回らない口で、周囲に声をかけたが返事はない。 「いじわりゅやめてー。みんなでてきてー」 「なんでなにもいわないの? ゆっくりちてよー」 「おかーちゃーん、おねーちゃーん……どご、いっだの?」 「ゆ……ゆ……ゆ……ゆ”わ”あ”ぁぁぁぁぁん! み”ん”な”どごでぃい”る”の”ー!?」 何度呼びかけても返事はない。這いずる様に少しだけ動いても、誰もいない。 部屋の中に、ゆっくりまりさの泣き声が響き渡った。 ひっくひっくとしゃくりあげる声だけが響く部屋。 ゆっくりまりさは、食事も睡眠も取らずにただ泣き続けていた。だが、例え食事が目の前に置かれたとしても、食べるかどうかは分からない。 まりさはまだ生まれたばかりなのだ。食事が必要な事なのかどうか、分かっていない可能性が高い。 「ゆ……ひっく、どご、いっだ、っく、のぉ……」 泣き声が小さくなっていく。泣き疲れたのか、そのまま眠ってしまいそうだ。 だが、この実験中に眠る事は許されない。 半ば以上意識が闇に溶け込んでいたまりさの耳に、何者かの「声」が飛び込んできた。 「寝たらダメだ!」 「ゆっ!? だりぇ? どこにいるの!? ゆっくりちていってね! ゆっくりちていってね!」 「寝たらダメだ!」 「ゆっ……ふぁい! ゆっくりねまちぇん!」 「絶対に寝るなよ」 「ふぁい! でったいにねまちぇん!」 声を聞いた瞬間、ゆっくりまりさは勢い良く飛び起きる。 初めての声、初めての別の存在が嬉しくてたまらなかった。 相手が自分の言う事に聞く耳を持たなくても、ただ話が出来る事が嬉しかった。 だから、声の言う事を素直に受け入れ、絶対に眠らない事をそのアンコの奥に刻み付けた。 声が聞こえてから数日。 小さなゆっくりまりさは、食事を摂っていた。 普通のゆっくりの様に「むーしゃ、むーしゃ」とも「うめぇ! めっちゃうめぇ!」とも言わない。 言葉を発しながら食べたり、そこら中にカスを飛び散らせながら食べるなどの汚い食事の仕方は後天的なものである。 そもそも、誰とも会った事がなく、声しか聞いた事のないゆっくりまりさには、一々そんな事をする理由もない。 ただ静かに食事をし、満腹になったらゆっくりしているのである。 「ゆー……ゆっくり……」 「寝るなよ!」 「ふぁい! ねてまちぇん! まりちゃねてないよ!」 嬉しそうに飛び跳ねるまりさにとって、食事の後の声は唯一の楽しみだった。 「ネタラダメダ」「ゼッタイニネルナヨ」「ユックリシロ」「メシノジカンダ、クエ」この4つの言葉以外に聞こえるものは何もないが、だからこそ声が大切な存在になっていた。 ――おかーちゃんってこんなかんじなのかな。 眠らせない事だけを求めている声に対し、そこまで思い込む様になっていた。 生まれてから一度も、誰とも会った事のないゆっくりまりさにとっては、それほどに声は重要な存在なのだ。 欲を言えば、動いたりゆっくりしすぎた時以外にも聞きたいという程度か。 だからゆっくりまりさは、たまにわざと動いたりゆっくりし過ぎたりしてみる。 そして、大好きな声に返事をする。 ゆっくりまりさは、端から見ると不幸だが、本人からするとこの上ない幸せなゆっくりライフを営んでいた。 映像は、帽子を被っていない赤ちゃんゆっくりまりさが幸せそうにゆっくりしている場面で停止した。 「――以上の様に、声を聞かせ続ける事で睡眠を取らずにした例です」 「なお、このゆっくりまりさは判別のために帽子をとってあります」 「このゆっくりは現在も生きており、現在は50センチ程度にまで成長しました」 映像が切り替わり、帽子を被っていない成体のゆっくりまりさが映し出される。 「それがこちらのゆっくりまりさです。このゆっくりは、まだ一度も眠ってはおりません」 帽子を被っていない以外は、普通のゆっくりまりさがゆっくりしているだけの画像に切り替わる。 生まれてから一度も眠っていないとは信じられないほどに血色が良いその姿は、普通のゆっくりと比べてもなんの遜色もないものだった。 「それでは、次の映像の準備などのため、これから四半刻の休憩を挟ませていただきます。少々お待ち下さい」 一礼をして、脇に下がる研究家。ほどなく館内放送が響き渡る。 ――これより、四半刻の休憩を挟ませていただきます。 ――休憩中の出入りは自由となっております。厠などを済ませて下さい。 館内放送が流れると同時に、次々に立ち上がり、厠に向かう人々。 次の説明まで四半刻、厠は常に人が満杯になるだろう。 9スレ 382でナメた事ぬかした……もとい、お願いしていたまりさがいたので、極限までゆっくりさせてみました。 限界までゆっくりしていってね! 本来は1つになるはずでしたが、長すぎるため分けました。ゆっくり楽しんでね! by319 続? 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涼やかな風が、赤色に染まった木々の間を吹き抜けた。 全てを焼き尽くすかのような太陽の熱も鳴りを潜め、夜と月の時間が復活を遂げる。 外の世界も、幻想郷も、四季の移り変わりに変化は無いのだ。 暑かった夏が終わり、季節は秋。 紅葉が風に乗って舞い散る様は、この季節独特の風情を感じさせる。 芸術の秋。 運動の秋。 食欲の秋。 夏の暑さに体力を奪われた者たちも復活し、活動を再開させた。 そしてそれは、人間に限った話ではない。 木陰でじっとしていた動物たちも、秋に生る果実目当てにその姿を見せた。 狐や狸、他にも愛くるしい小動物たちが人々の目に触れる。 同じように、野生に住まうゆっくりたちも、気温の下降と共に元気を取り戻すのだった。 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 澄み渡る秋空に、ゆっくりたちの声が重なり合う。 夏の間は少数だったその声も、秋の始まりと共にその数を少しずつ増やし始め、今では見事なまでの唱和となった。 夏は暑い。 それは人間も妖怪も動物も、そしてゆっくりも基本的に変わらない。 あまりに暑い太陽の日差しは動き回る元気を減少させ、水分の損失を防ぐために日陰でじっとしていることが多くなる。 だがゆっくりはその名前と違って動き回ることが大好きであり(大人になるとじっとしてゆっくりするのも好ましくなるが)、フラストレーションが溜まってしまう。 だから夏が終わり、秋になって涼しくなると、今までの積もり積もったストレスやら何やらを吹き飛ばす勢いではしゃぎまわるのだった。 「むきゅー! みんなたのしそうでいいわね!」 ここにいるゆっくりぱちゅりーも、そんな陽気に誘われたゆっくりの一匹だった。 ぱちゅりー種は知っての通り、ゆっくりという種族の中で身体が極端に弱い。 激しい運動は当たり前として、ちょっとした衝撃や、吃驚するような事態に遭遇しただけでも気分が悪くなったり、疲れて息が切れたり、吐いてしまうことすらある。 そんなぱちゅりーではあるが、動くのが嫌いというわけではなく、むしろ好きである(ゆっくりなのだから当たり前の話ではあるが)。 軽い運動程度ならこなせるので、跳ねることは出来ないがずりずりと歩き回ったり、他のゆっくりたちが元気良くはしゃぎまわっているのを見るだけで、とても幸せな気分になれた。 彼女たち風に言うのなら、とてもゆっくりしている、ということだろう。 夏の暑さに特に参っていたぱちゅりーは、開放感に満ち溢れていた。 「ぱちゅりー! いっしょにどんぐりさがそうよ!」 「ぱちゅりーがいてくれれば、ひゃくにんりきだね!」 と、そこにぱちゅりーの友人である二匹のゆっくりが、ぴょんぴょん飛び跳ねてやって来た。 ゆっくりれいむとゆっくりまりさである。 二匹はぱちゅりーを間に挟んで、親しげに頬を摺り寄せた。 ゆっくり種特有の行動である、親愛の表現だ。ぱちゅりーは嬉しくなって「むきゅー!」と鳴いた。 前述のようにぱちゅりー種は体力が極端に低く、地面に落ちている木の実などを拾ってくることすら辛い作業であり、狩りをするなど論外の域にまで達するほどだ。 だが、ぱちゅりー種が役立たずとして爪弾きにされないのには、理由がある。 ぱちゅりー種は先天的に知能に優れているのである(ただし、ゆっくりとしては、だが)。 ゆっくりは基本的に愚者であるため、餌を効率的に採取する方法や罠の作り方、外敵である捕食種や人間たちからの逃走方法に明るいぱちゅりー種をとても尊敬していた。 だからゆっくりたち――特にまだ若いゆっくりは狩りに出かけるとき、こうしてぱちゅりーを誘うことが多いのだった。 「このきせつなら、どんぐりだけじゃなくておいしいおやさいもたべれるわ!」 「ほんとう!?」 「ゆゆーん♪ やっぱりぱちゅりーをさそってよかったよ!」 嬉しそうな顔を浮かべるれいむとまりさ。既に自分たちが大量の収穫をした後のような気分になっているのだろう。 ぱちゅりーも、二人がそんな顔を見せるのはとても幸せなことだった。 これからも、ずっと一緒にゆっくりしたい…… ぱちゅりーは幸福に満たされながら、そろそろ出発しようと声をかけようとした。 「むきゅ! そろそ」 「ゆ……? なにかきこえない……?」 「ゆゆ……ほんとだ、へんなおとがきこえるね」 「……むきゅ?」 だが、れいむとまりさが不思議そうな顔で周囲を見渡したのに遮られた。 つられて、パチュリーも耳を澄ませてみる。 肉体こそ脆弱だが、感覚器官は他のゆっくりに劣っているわけではない。 程なくぱちゅりーも、地響きのような振動音を感じ取った。 「ぱちゅりー、なんなのこれ?」 「わ、わからないわ……」 分からないが、何だかとても嫌な予感がした。 自分の餡子に眠る、ゆっくりという種族の遺伝子が警告しているような…… 見ればぱちゅりーたちだけではなく、周囲にいた他のゆっくりたちも不安気な様子で騒然としていた。 「ゆゆっ、なんだろうね?」 「これじゃゆっくりできないよ……」 「ゆえーん! おかあしゃーん!」 中には事情も分からぬまま、異様な雰囲気に飲み込まれて泣き出してしまった赤ゆっくりもいた。 比較的落ち着いている年齢を重ねたゆっくりが慌ててあやしているが、その光景はゆっくりたちの不安を増幅させただけだった。 何が起きているのか、分からない。 分からないが、何故かこのままだといけないような気がする。 「ゆっ!? なにかくるよ!?」 と、その時、一匹のゆっくりれいむがある一方を見て叫んだ。 その場にいた全てのゆっくりが、その視線の先に瞳を向ける。 ぱちゅりーは木々の奥に、何かゆらゆらと揺らめく黒い靄のような影を見た。 「むきゅ……? なにかしら、あれ……」 その正体を確かめようと、じっと目を凝らす。 すると。 ほどなく、その影の正体が、判明した。 「いだわっ、がわいいゆっぐりだぢよ゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉぉぉ!!!」 「どがいはのあ゛り゛ずだぢがかわいがってあ゛げる゛わ゛あ゛あ゛あぁ゛ぁぁぁ!!!」 「んほぉぉぉおおぉおぉぉおおぉぉ!!! いっじょにぎもぢよぐなりまじょうね゛え゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇぇぇぇぇ!!!」 それは。 ゆっくりと呼ぶには、あまりにも汚く、醜く、荒々しい。 透き通るような金髪をかき乱し、蝶よ花よと詠われる顔を欲情で真っ赤にさせ。 目を血走らせ、涎を垂らすままに、鬼気迫る表情で歓喜に打ち震えながら疾走する。 発情した、五十匹を超すゆっくりありすの集団だった。 ゆっくりの繁殖は主に春と秋の初めに行われ、冬はもとより夏にもあまり行われない。 その理由は簡単、繁殖のための交尾の後、ゆっくりは酷く水分を消耗するのだ。 人間と同じようにゆっくりたちも生きるために水分を必要とする。 水分がなければ干乾びてしまい、やがて死に至るからだ。 夏の気温はゆっくりたちを消耗させ、汗をかかせる。 その上更に交尾して水分を失ってしまったら、新しい命を紡ぐどころか自らの生命が終わってしまう。 種の存続のため、ゆっくりたちは余程の愚者でもない限り夏の繁殖は避ける傾向にあった。 だが、その為に過度の精神的不可を溜め込んでしまうゆっくりがいた。 ゆっくりありすである。 普段はゆっくりぱちゅりーに次ぐ理知的な存在であり、その美貌で数多のゆっくりの好意を一身に集めるゆっくりありす。 だが、そんなゆっくりありすには呪いとも呼ぶべき恐ろしい本能があった。 性欲である。 一度発情したゆっくりありすは、普段の都会派っぷりはどこへやら、化け物と見紛う恐ろしい形相で誰彼構わずゆっくりに襲い掛かり、強引に繁殖を迫る。 その際、本当にゆっくりなのかと疑いたくなるような身体能力を発揮し、一度捕まってしまったら脱出を許されず、死ぬまで犯されるはめになる。 発情したゆっくりありすの通った後には、茎を大量に生やして黒く朽ち果てたゆっくりの死体と、生まれた瞬間から犯されて死んだ赤ちゃんゆっくりの死体しか残らないとさえ言われているほどだ。 そのため、ゆっくりたちの中にはありす種を徹底的に排除する集落まで存在する。 善良なゆっくりありすにとって迷惑極まりないことではあるが、それほどまでに発情したありすは恐ろしいのだ。 しかしそんなありすも夏の間は自らの発情を抑える傾向にある。 当然だ。いくら何匹のゆっくりでも相手出来る性欲魔人とはいえ、真夏の炎天下で交尾を続けていたら全ての水分を失って干乾びてしまう。 例外こそいくつかあれど、自らの命を守ろうとする本能が、夏の間だけありすの性欲を抑えているのだろう。 しかし夏を過ぎれば、溜まりに溜まった性欲が爆発する。 それが一匹だけならば被害も最小で済むのかもしれないが、何故かゆっくりアリスはこのような状況になった場合、徒党を組む傾向が見られた。 一匹だけでも恐ろしい存在が、無数に襲い掛かる。 ゆっくりたちは恐れ、戸惑い、一気にパニックへと陥った。 「ありすだぁぁぁぁ!!!」 「にげてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 「ゆっくりできなくなるよぉぉぉぉぉぉ!!!」 各自、滅茶苦茶な方向へ逃げ惑う。 懸命にぴょんぴょん飛び跳ねるその姿は、常にゆっくりすることをを是とするゆっくりとは思えないほど必死な表情。 ある意味、ゆっくりれみりゃなどの捕食種と相対したときよりも危機感を感じているのかもしれない。 「おいがげっごなんでじないで、わだしだぢどあいじあいまじょぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 「ゆ、ゆーっ!? どうじでごんなにはやいの゛ぉ゛ぉ゛ぉぉぉぉぉぉ!!?」 だがゆっくりありすは、そんなゆっくりの速度を亀の歩みと言わんばかりの脅威的なスピードを発揮し、回り込んだ。 突然視界にドアップで映る、発情したゆっくりありすの醜い顔。 あまりの恐怖にゆっくりたちは一瞬動きを止めてしまい、その硬直した隙をゆっくりありすは見逃さなかった。 もっとも、発情したゆっくりありすの身体能力ならば、どちらでも結果は同じであっただろうが。 「んほぉぉ゛ぉ゛ぉぉ゛ぉ!!! ありずのあいをうげどっでぇぇぇぇぇぇ!!!」 「ゆ、ゆぎゃぁぁぁ!!? のっかからないでぇぇぇぇぇぇ!!!」 一匹のゆっくりれいむが、ゆっくりありすに圧し掛かられた。 体格は同程度。だが、れいむがどれだけじたばたしても振りほどくことが出来ない。 限界まで餅のように身体を伸ばして逃れようとするが、追いすがるゆっくりありすも同じように身体を伸ばして密着させてきた。 「はぁはぁ、ぞんなにあわでなぐでもちゃんとずっぎりざぜであげるがらぁぁぁぁぁぁ!!!」 「やべでぇぇぇぇぇぇ、ぎもぢわるいぃぃぃぃ!!!」 ゆっくりが交尾の際に分泌される特殊な粘液を背中に感じ、れいむは悲鳴を上げた。 激しく身体を擦られる感触が気持ち悪い。 交尾の経験がないれいむは未知の感覚にひたすら恐怖し、一刻も早くこの状況を打破しようと必死にもがいた。 このれいむは一週間前、ようやく親元から巣立ったばかりのゆっくりだった。 母や妹たちが見送る中、涙を呑んで家族に別れを告げ、少し離れた木の根元に居を構えた。 それから必死に巣の内部を拡張し、食料や生活に必要なもの、綺麗な石などを溜め込み、巣としての体裁が整ったのが三日前。 立派な家持ちのゆっくりとなり、やがて可愛いお嫁さんを見つけて子供を作り、ゆっくりとした幸せな家庭を築くはずだった。 そう信じて疑わなかった。 だが現実は、そんな小さな幸せをも奪った。 「い゛い゛っ、いいわ゛ぁぁぁ!!! はぁはぁはぁ、こども、だぐざんづくりまじょうねぇぇぇぇぇ!!!」 「やだぁぁぁぁ!!! ゆっぐりでぎなぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 涙を諾々と流し、襲い掛かる暴力に抵抗しようとするれいむ。 だが身体はぴくりとも動かず、なすがままにありすの性交を受けてしまっている。 粘液の影響か、感じたくないのに段々と昂ぶっていく自分の心が嫌だった。 体内の水分が表皮に浮かび上がり、足元に水溜りを作る。 自分の身体がふやけ、それに反比例するかのように餡子が干乾びていくのが分かった。 「いいのね、ごごがいいのねっ!!?」 「やべでぇぇぇぇ!!! もうはなれでよぉぉぉぉぉ!!!」 「ぞ、ぞろぞろいぐっ、いぐわっ!!!」 「ゆぎぃぃぃぃぃ!!! だめぇぇぇぇぇぇ!!! ずっぎりじないでぇぇぇぇぇ!!!」 ありすの律動が早まる。そろそろすっきりするという合図だ。 れいむは本能的にそれを悟り、今まで以上に必死の形相で暴れだした。 だが、押さえつけるゆっくりアリスはびくともしない。 快感で見る者の生理的嫌悪感を催すような表情を浮かべながら、独り善がりの快楽を求めて振動を強めた。 「いぎまじょっ、いっじょにいぎまじょう!!!」 「い゛や゛ぁぁぁぁあ゛ああぁ゛ぁあ゛あぁぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁぁ!!!」 「んほおおおおおおおおおおおおおお!!! すっきりいいいぃぃいいいぃぃぃいぃいいぃぃぃぃ!!!」 「ずっぎりい゛や゛ぁ゛ぁ゛ぁぁぁぁぁぁ!!! ゆ゛ぅ゛ぅ゛ぅぅぅう゛うぅ゛ぅぅぅ!!!」 同時に絶叫。 ありすはこの世全ての幸福を手にしたような極上の笑顔で。 れいむは最大の苦痛と快楽を同時に受け、涙や涎でぐちゃぐちゃになった絶望の表情で。 凍り付いたように動きを止めるれいむ、やがてその額から、凄まじい速度で植物の蔦のようなものが生え始めた。 同時に黒澄むれいむの身体。 まだ若いれいむは、子供を生んで無事でいられる身体を持っていなかったのだ。 栄養の全てを蔦に獲られ、れいむは突然の運命を呪いながら、朽ち果てて絶命した。 「ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!」 「ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!」 蔦に生った三匹の赤ちゃんゆっくりたちが、声を上げて地面に落下した。 本来はもう少し大きな身体になるまで蔦から離れず、親の栄養を吸収する赤ちゃんゆっくりであるが、親が死んでしまった瞬間、蔦から生まれ出ずる。 既に親が死んでしまっているので栄養の供給が出来ず、少しでも早く餌を食べられるようにしようという生存本能なのだろう。 兎にも角にも、ありすのレイプによって生まれた赤ちゃんゆっくり――全てれいむ種――は、自分たちの親に挨拶しようと周囲を見渡し。 そして、未だ性欲覚めやらないゆっくりありすを視界に納めた。 「ゆっ、おきゃあしゃん?」 「ゆー♪ ゆっきゅりしちぇ」 「ありずのあがぢゃぁぁぁぁぁん!!! いっじょにぎもぢよぐなりまじょうねぇぇぇ!!!」 ゆっくりありすが飛び掛る。 生まれたばかりの赤ちゃんゆっくりたちは、ゆっくりすることを知らないまま、苦しんで死んだ。 「やべでぇぇぇぇ!!! まりざのごどもにひどいごどじないでぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 別の場所では、割と大きな体躯のゆっくりまりさが、数匹のゆっくりありすに圧し掛かられながら滂沱の涙を流していた。 まりさの眼前では、彼女の子供のちびまりさやれいむたちが、同じように子供のゆっくりありすに犯されている。 その傍には、大量の蔦を生やして呻く、ボロボロの身体のゆっくりれいむ。 まりさの番であるれいむは、まだかろうじて生きてはいたものの、瀕死の重傷であった。 「だいじょうびゅよ、ありしゅにまかしぇちぇ♪」 「きょうやっちぇしゅりしゅりしゅると、とっちぇもきみょちいいにょよ♪」 「や、やめちぇにぇ! まりしゃたちをはにゃしちぇにぇ!」 「ゆえーん! おきゃあしゃーん!! たしゅけちぇぇぇぇぇ!!!」 赤ちゃんゆっくりありすに圧し掛かられ、振動を加えられている赤ちゃんゆっくりまりさたち。 皆、一様に悲鳴を上げ、母に助けを求めていた。 ゆっくりまりさはその悲鳴が耳に届くたび、何も出来ない自分の身を呪い、悔しさに心をすり減らす。 今すぐにでも、子供の下に駆けつけたい。 だが、自分を囲んで律動する三匹のゆっくりありすが、それを許すはずもなく。 「まりざぁぁぁぁぁ!!! ありずだぢのてぐにっぐでめろめろにじであげるわぁぁぁぁ!!!」 「はぁはぁ、まりざがわいいぃぃぃぃぃぃ!!! いっじょにずっぎりじまじょうねぇぇぇぇぇぇ!!!」 「さんにんどうじなんで、まりざっだらなんでづみぶがいゆっぐりなのかしらぁぁぁぁぁ!!?」 「やべでぇぇぇ!!! からだすりつけないでぇぇぇ!!!」 左右と後方からの振動に、ただ耐える。 既に何度かすっきりされたのか、額にはいくつかの蔦を生やしていた。 蔦には小さなまりさ種、そして自分を犯したありす種が、すやすやと気持ち良さそうに眠っている。 どうして、こんなことに…… ゆっくりまりさは朦朧とした意識で、過去を思い返す。 まりさとれいむは一ヶ月ほど前、餌を探しに出た森の中で出会った。 まりさが見たのは艶やかな黒髪を持つ美しいゆっくり、れいむが見たのは狩りが上手なかっこいいゆっくり。 二人はすぐに恋に落ち、一緒に暮らし始めた。 すぐにでも交尾したかったが季節は夏、炎天下でのすっきりは死の危険性が付き纏う。 だからまりさは誘惑を我慢し、れいむに手を出すことはしなかった。 そして先日、気温が下がり、秋が近付いたと確信した二匹は、ようやく子作りすることが出来たのだった。 蔦に生えた、愛の結晶。 小さなれいむとまりさが、生まれる日を夢見てゆっくりと眠っている。 れいむは家でおうたを歌ってあげ、まりさは子供の栄養も必要になったれいむのためにいっそう狩りに勤しむこととなった。 大変だったが、幸せに満ちた時間。 ついにその日がやって来て、生まれた子供が自分たちに向かって拙い声で「ゆっくりしていってね!」と言った瞬間、二人は感激の涙を流した。 あの時、二人は確かにゆっくりの絶頂にいたのだった。 「はぁはぁ、みょみょみょ、みょうしゅぐしゅっきりしゅるよ!」 「しゅっきりしゅると、とっちぇもきみょちいいにょよ♪」 「やぁぁぁぁ!!! やだぁぁぁぁぁ!!! しゅっきりちたくにゃいぃぃぃ!!!」 「みゃみゃー! たしゅけちぇ、みゃみゃー!!!」 「どうちてたしゅけちぇくれにゃいのぉぉぉ!!? おきゃあしゃんのばかぁぁぁ!!!」 子供たちの悲鳴が聞こえる。 助けてくれない自分をなじる声がする。 ごめんね、れいむ、まりさ。 まりさの意識は、闇の中へと溶けていった。 ぱちゅりーは、迫り来る暴力から必死に逃げようとしていた。 しかし、ぱちゅりー種は元来体力の低いゆっくり。 跳ねることが出来ず、這いずることしか出来ない速度では、やがて追いつかれてしまうだろう。 「ぱちゅりー、がんばってね!」 「ゆっしょ、ゆっしょ! ここをぬければきっとたすかるよ!」 それを支えるのは、友人のれいむとまりさだった。 二匹は両脇から挟みこむように陣取り、ぱちゅりーの背中を押している。 自分たちの命がかかっている中、このような行動を取るのは、なにも友達想いだからというだけではない。 二匹はぱちゅりーのことが好きだった。 いつか、どちらかを番に選んでもらおうと思っていた。 だからこうして、愛するぱちゅりーを見捨てず、背中を押しているのだった。 「む、むっきゅぅ……ふたりとも、ぱちゅりーをおいてにげて……」 そんな二匹に押されているぱちゅりーは、息も絶え絶えだった。 援護があるとはいえ、普段では到底出すことの出来ないスピードで走っているのだ。 脆弱な肉体は悲鳴を上げ、餡子を吐き出しそうになるのを必死に堪えている。 ありすに捕まりたくは無い。 だが、これ以上肉体に負荷がかかるのも耐えられない。 このままでは、れいむとまりさまで捕まってしまう。 自分が貧弱なぱちゅりー種であることを、ここまで恨んだことはなかった。 「なにいってるの! みんなでいっしょににげるんだよ!」 「そうだよ! がんばってにげて、いっしょにゆっくりしようね!」 だが二匹は元気付けるように微笑んだ。 ぱちゅりーは感極まり、嬉し涙を流す。 れいむとまりさはそれに気付き、そっと舌で涙を舐めとった。 「むきゅー……ありがとう、れいむ、まりさ……」 「さぁ、もうちょっとだよ、がんばろうね!」 「もうそろそろ、ありすたちも」 「いだわぁぁぁぁ!!! ごぉぉぉんなにがわいいゆっぐりだぢがざんびぎもぉぉぉぉ!!!♪」 と。 無情にも、ゆっくりありすが四匹、左手側の草むらから飛び出してきた。 三匹は恐慌し――だがれいむとまりさはすぐにぱちゅりーを庇う位置に立ち、ぷくぅーと威嚇するように頬を膨らませた。 「ぱちゅりー、にげて!」 「む、むきゅー! そんなことできないわ!」 「いいから、はやく!!!」 ありすたちはだれがどのゆっくりを担当するか、相談しているようだ。 その爛々と狂気に満ちた瞳。ゆっくりぱちゅりーの本能的な部分が警鐘を鳴らす。 友達を見捨てたくはなかった。 だけどそれ以上に、ありすに犯し殺されるのは嫌だった。 「ごめんなさい……!」 ぱちゅりーはれいむとまりさに背を向け、必死に這いずって逃げ出した。 後方で、れいむとまりさの悲鳴が上がる。 残酷な運命に、ぱちゅりーは先程とは違う種類の涙を流した。 「ゆっゆっゆー♪ ゆっくりのお歌はどんなもんだーい、と……」 太陽が沈み、月と星々が煌く夜空の下、俺はほろ酔い気分であぜ道を歩いていた。 本日は外界の話を本に纏めたいとかいうことで、俺を含めた村に住む外界の人間が阿求ちゃんの家に集められたのだった。 外界から幻想郷にやってきた人間は大抵妖怪の餌となってしまうが、無事村に辿り着いたものは外の世界へ戻るか、この幻想郷に残るかの選択肢を得られる。 俺たちは戻るのを拒否し、ここで新たな生活を手に入れた組。外の世界のことを知らない村人たちに話をせがまれたりすることもある。 年齢層は様々で、上は三十年も幻想郷で暮らしているというじいちゃん、下はなんと十二歳の子供までいる。 俺が五年前、幻想郷に誘われたのは十五歳のときだった。月日は経つものだなぁ、と少々感慨にふけってみたり。 とにかく、久しぶりに外の世界を懐かしんで話が出来たので、ついつい時間が長引いてしまった。 家で待ってるれいむも、お腹を空かせてしまっていることだろう。 急いで帰って晩御飯を作ってあげないとな。 「――――!」 「ん?」 今なんか、ゆっくりの悲鳴が聞こえたような。 足を止めて、きょろきょろと辺りを見渡す。 電灯のない、月明かりだけの暗闇と、静謐な雰囲気。 気のせいだったのかな? ついゆっくり関係に敏感になってしまう自分に苦笑しながら、耳を澄ませた。 「……こっちの方向か?」 林の中から、確かにゆっくりの声らしきものが聞こえた。 近いとは言えないが、それほど遠いというわけでもない距離のようだ。 うーん。 まぁいいや、見に行こう。 俺は酒の勢いもあり、お気楽気分で林の中へと足を踏み入れた。 「はぁはぁはぁ、い゛いでじょ!? ぎもぢいいでじょぉぉぉ!!?」 「むっぎゅぅぅぅ!!! だずげでぇぇぇぇぇ!!!」 なんか凄い光景が広がっていた。 れいぱーありすに、ゆっくりぱちゅりーが犯されている。 ありすの発情した顔は尋常なものではない。なんであのゆっくりの中でも特に可愛い顔がここまで変化するんだろう、って感じ。 あれだ、言うなれば……ヤマンバ。 一方ぱちゅりーのほうは、苦しそうに呻きながら、逃げ出そうともがいている。 涙を流し、必死な表情のゆっくり…… あ、やべぇ、興奮してきた。 「むぎゅ!? お、おにいざん!!! ぱぢゅりーをだずげでぐだざぃぃぃぃ!!!」 俺の気配に気付いたのか、ぱちゅりーが涙目、いや涙顔で俺に嘆願してくる。 んー。 んんー…… …… 助けてやるか。 俺、実は発情したありすって胴体付きれみりゃの次くらいに嫌いなんだよね。 ゆっくりをいじめる小道具としては好きなんだけど。 これでも俺はゆっくり愛で派なわけで、制裁は好きだけど虐待は嫌いなんだ。 人様に迷惑をかけない、悪いことをしていないゆっくりは、幸福に暮らすべきだと考えている。 だって可愛いもん、ゆっくり。 いやまぁ、このぱちゅりーがゲスではないなんて言い切れないんだけどさ。 とはいえ、今はゆっくりを捕獲出来そうなアイテムを所持していない。 仕方無い、気分悪くなるけどやるしかないのか。 「そら、よっ!」 「んほぉぉぉぉぉぉ!!! すっき……ゆげぇぇぇ!!?」 地面に落ちていた木の枝を広い、至福の顔ですっきりしようとしていたありすの頭を突き刺した。 激痛が走ったのだろう、ありすは悶え苦しみ、突き刺された穴の端からカスタードが少し零れ出る。 んあー、やっぱり肉体を直接攻撃するのは嫌いだなー、俺。 やっぱり攻めるなら精神のほうでしょ。 「むぎゅっ、むぎゅっ……」 ゆっくりぱちゅりーはありすの動きが止まったのを理解すると、なんとかありすの下から這い出した。 だが肉体的に極限状態だったらしく、えれえれと餡子を吐き出してしまう。 うわっ、きったねー。 俺はゆっくりありすの馬鹿力で枝が抜けないよう、もう一本渾身の力を込めて枝をありすに突き刺すと、ぱちゅりーが落ち着くのを待った。 やがてふらふらながらもなんとかしゃべるくらいの元気を取り戻したぱちゅりーが、俺に事情を説明する。 「ふーん、発情ありすの群れがねぇ」 話には聞いていたが、実際そんなことが起こるもんなんだなぁ。 じゃあ、集落一つ分のゆっくりたちが泣いて逃げ惑ったわけで……おっと、想像だけでなんかムラムラしてきた。 極力顔に出さないよう努めながら、俺はぱちゅりーを抱き抱えた。 「じゃあ、すぐ助けに行こうか。もしかしたら友達も救えるかもしれない」 「むきゅ、おねがいするわ……ごほっ、ごほっ!」 「ああほら、無茶すんな。静かに運んでやるから、な?」 「だ、だめよ、いそいで……れいむとまりさが……」 どうやら、友達思いのぱちゅりーらしい。ゲスじゃなくて良かった。 俺は体力を極端に失ったぱちゅりーを疲れさせないよう神経を使いながら、より深く林の奥へと進んでいった。 結論から言うと、生き残ったゆっくりは一匹たりとていなかった。 どのゆっくりも大量の蔦を生やし、黒ずんで朽ち果てていた。 「酷い有様だな、これは……」 あまりの惨状に、ごくりと唾を飲み込む。 こっちのれいむは犯し殺されたあげく、生まれた子供まで犯されたらしい。 あちらのまりさは、目の前で子供が犯される姿を見せ付けられたようだ。 どいつもこいつも、性交後のすっきりとした顔ではなく、怨嗟と憎悪に塗れた悲痛な表情をしている。 それほどまでに、恐ろしい体験をしたのだろう。 人間だろうが妖怪だろうがゆっくりだろうが、『死』というものを嫌悪する俺は眉をしかめた。 ゆっくりありすたちの姿は影も形も見当たらない。 存分にすっきりしたので、新たに生まれた赤ちゃんゆっくりありすを連れてどこかへ去っていったのだろう。 ……もしかしたら、未だ快感が足らず、他の獲物を求めに行ったのかもしれないが。 そうなると、また何処かの集落が同じように襲われ、ここと同じ惨状になるのだろうか。 想像したら気分が悪くなってきた。 「れ、れいむ……まりさぁ……」 ぱちゅりーの友人のれいむとまりさは、少し離れた場所で見つかった。 他のゆっくりと同じように、額から何本もの蔦を生やし、生まれ犯され死んだ子供たちに囲まれて朽ち果てていた。 黒ずんだ顔に光る涙の跡。 見るだけで苦しみが伝わってくるほど、酷い体験だったのだろう。 ぱちゅりーは呆然とした表情でそれを眺めている。 今まで暮らしてきたコミュニティの全滅、そして友達の喪失。 しかもそれはあらかじめ来ると予想されていたものではなく、ある日唐突にやってきた暴力。 ぱちゅりーはぶるぶる震えている。 だがすぐに、体力の限界となったのか、白目を剥いて気絶してしまった。 「あ、おい!?」 慌てて気を確かめようと揺らそうとし、思い留まる。 ぱちゅりー種は体力がない 子供を作ることだけは回避出来たとはいえ、精神的な疲労もあって瀕死状態なのだろう。 このままでは、本当に死んでしまう。 「仕方無い、乗りかかった船だ。家に連れ帰って介抱してやるか……」 万全の状態に回復出来るなんて断言出来ないが、出来る限りのことはしてやろう。 愛で派ですから。 ゆっくりの泣き顔を見るのも好きだけど、ゆっくりしているところを見るのも好きなんです。 「とはいえ、少しくらい役得があってもいいよな?」 俺はぱちゅりーを襲っていたゆっくりありすのところに戻った。 ありすはなんとか突き刺された棒から抜け出そうともがいている。 その度に激痛が襲い掛かるだろうに、大した奴だ。 俺に気付いたのか、ありすは血走った目で叫んだ。 「ぞのぱぢゅりーをよごずのよっ!!! まだあいじだりないわぁぁぁあぁああぁぁぁ!!!」 「……」 開口一番それかよ。 ゆっくりありすの精力、恐るべし! なんか嫌な気配を感じたのか、抱き抱えたぱちゅりーがぶるぶる震えだすし。 はぁ。 まぁいいか。 これから、また楽しくなりそうだ。
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竹取り男とゆっくり 8 *登場人物 男・・・主人公。竹切って売って生活してる人。餡子好き。 甘味屋の店主・・・ゆっくり饅頭を売ってる人。虐待好き。 ゆっくり・・・ヒロイン(笑) *あらすじ 無類の餡子好きの竹取り男は、ゆっくり饅頭を食べた瞬間にすっかりハマってしまう。 甘味屋でぱちゅりーとれいむの入った「繁殖セット」を買って赤ぱちぇと赤れいむの繁殖に成功したのだが、 なりゆきで「子供は食べない」と約束してしまったことから、男は饅頭が食べられずに悶々とした毎日を送っていた。 そんな秋の終わり、たくさんの野良ゆっくりが竹取り山に引っ越してきて冬籠りをはじめる。 やつらの狙いは春先のタケノコ。 男は副収入源であるタケノコを守るため頻繁にゆっくり狩りに行くことになったが、素敵な饅頭ライフも手に入れてそれなりに幸福だった。 空も澄みわたり、季節は早春。 野山にはわずかに雪が残っているものの、ここ幻想郷の竹取り山にも、ひとしく春の風が舞いきたる。 つまり、やつらが目覚めるのだ…。 ボコッ 竹に覆われた地面に、小さな丸い穴が開く。 その中からヒョッコリと顔を出したのは、ゆっくりまりさ。 まりさはキョロキョロとあたりを見回すと、元気よく巣を飛び出した。 「ゆっくりー!!」 続いて、つがいのれいむも「ゆっくりー!!」と飛び出した。 「ゆっくりー! ゆっくりしていってね!」 「ゆーっ! ゆっくりしていってね!」 2匹は、餡子がたっぷりと詰まった体を伸ばしたり縮めたりしながら、あったかい目で景色を見ている。 冬の終わりがよほど嬉しいらしく、しばらく野山の竹にまで「ゆっくりしていってね!」と声をかけていた。 それから頬を擦りあわせたり髪をぺろぺろして仲良く過ごしていたところ、だんだんおなかが空いてきた。 「れいむ! たけのこさんをさがしにいこうね!」 「ゆゆっ! そうだね!」 まりさとれいむは「ゆっゆっ!」と鳴きながら山道を跳ねていった。 「ゆっゆっ」 「ゆっ! ゆゆ!」 「まりさ、たけのこさんってどんなの?」 「ながくてまるくてとんがってるんだよ!」 「ゆ? へんなかたちだね!」 「でも、おいしくてゆっくりできるんだって!」 「ゆゆ! ぐるめなれいむにおいしいたけのこさんをたべさせてね!」 「ゆっ! ゆっくりまかせてね!」 2匹は楽しく会話をしながら、ゆっくりとタケノコを探した。 あまりにゆっくりしすぎて夕方になった。 「ゆぅ……れいむ、さむくてゆっくりできないね」 「そんなことよりたけのこさんだよ!」 午後から急に寒さが戻り、太陽は厚い雲にさえぎられて薄暗い。 今までの暖かさは春の訪れなどではなく、単なる小春日和だったようである。 ふつうの動物ならあわてて巣に帰るところだが、2匹はタケノコ探しをやめなかった。 食い意地ばかり優先して、寒さが戻ったらどうなるかなど考えもしなかった。 「どおしてみつからないのおおおおおおおおおっ!!!??」 数時間後、まりさは森の中で絶叫した。 この季節、ほとんどのタケノコは土の中だということを、まりさは知らなかった。 「まりさはつかれたよ! ここでゆっくりしようね!」 「ゆっゆっ! そうだね! ゆっくりしていこうね!」 そうしてゆっくりと休憩するあいだに、全裸にひとしい体には寒風が突き刺さる。 こうなってはタケノコ探しどころではなく、2匹のゆっくりは「ぷるぷる~!」と震えながら密着して暖め合っていた。 そして、ついに夜がきた。 「ゆ゙ゔゔゔゔっ!! さむいいいいいいっ!! ゆっぐりできないいいいいいいいっ!!」 「ばじざああああ!! さむいよおおおおおおおおお!!」 いい加減に諦めておうちに帰ればよいものを、2匹はいつまでもその場で震えていた。 この期におよんでもタケノコへの欲求が止められず、この寒さがやわらいだらまた探しに行こうなどと考えていた。 「かぜさんもっどゆっぐりじでねえええええ!!」 「でいぶをゆっぐじざぜでねえええええ!!」 ビュゴオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォ!!! 「「ゆ゙っゆ゙っゆ゙っゆ゙っゆ゙っゆ゙っ!!」」 そうして暗い森の真ん中で、まりさとれいむはいつまでも暖かくなるのを待っていた。 翌日…。 小雪のチラつく朝、2匹は両目を限界までヒン剥いて、凄まじい表情でカチンコチンに凍っていた。 意識を失う直前まで痙攣していたのだろう……その表情はあまりにも壮絶だった。 …まりさは口をあんぐりと開けて。 …れいむは歯を食いしばって。 まるで阿形と吽形のように、2匹のゆっくりはあたりに威風をはらいながら仲良く凍っていた。 * * * その日、竹取り山の竹取り男は、大きな籠を背負って家を出た。 「う~、寒い!」 今日は、この山に移住してきたタケノコ狙いのゆっくりを駆除しに行く日だ。 朝霧のたゆたう中、深い竹の森に入ってゆくと、ほどなくしてお目当てのものが見つかった。 「あったあった。おい、ゆっくりしてるか?」 ……返事はない。 それは、例の阿形まりさと吽形れいむだった。 カチコチの冷凍饅頭となった2匹を手にとった男は、その顔があまりにも凄惨すぎて噴き出してしまった。 食べ物というより、屋根に乗せて鬼瓦にできそうだ。 まぁ顔はマズいが、中の餡子はすっかり甘くなってるだろう。 2匹を背中の籠に放り投げると、中でぶつかって「カッチーン!」と良い音がした。 「おぅ、今日は大量だな」 昨日が春だと勘違いしたゆっくりは2匹だけではなかった。 竹取り山のあちらこちらに、醜く顔のゆがんだ冷凍ゆっくりが転がっていた。 …冬の間は、ごく稀に暖かい日がある。 すると、ゆっくりの中には春が来たと勘違いするものがいる。 一度春だと信じて巣を飛び出したゆっくりは、たとえ寒さがぶり返そうとも、なかなか冬籠りに戻ろうとしない。 長いあいだ我慢してやっと解放されたと思ったのに、またゆっくりできない冬籠りに戻るのは嫌なのだろうか…。 それとも、春のちょっと寒い日という程度に考えているのだろうか…。 とにかく、小春日和の翌朝は、こうして凍りついたゆっくりが苦悶の表情で転がっているのが常だった。 「赤ゆ見っけ」 つがいのありすとまりさの間に、6匹のプチトマトサイズの赤ゆっくりを見つけた。 男はその中から1匹の赤まりさをつまんで口に入れると、コロコロと転がして溶かしていった。 「ゅ……ゅ……ゆっくち?」 シャリッ! 「ゆぴぃっ」 解凍されて意識を取りもどした赤れいむを歯ですり潰すと、口に広がるのはシャーベットの食感。 水気の多い赤ゆっくりならではの食感だ。 そして、一晩中寒さに苦しんだことで増した芳醇な甘み。 う~ん、うまい…! 男は残り5匹の赤ゆっくりを順番に堪能しながら、冷凍ゆっくりを次々に捕獲してゆく。 すると、瓢箪のような体型をしたれいむに出くわした。 おなかのあたりを撫でてみると、案の定、胎生にんっしんっしている様子。 このれいむで、ちょうど籠がいっぱいになった。 帰宅すると、子ぱちぇと子れいむを寝かしつけていた母ぱちゅりーが、神妙な面持ちで居間から出てきた。 男は籠をサッと背後に隠すと、「ただいま」と言った。 ぱちゅりーはいつもどおり、「むきゅ、おかえりなさい」と言う。 男がそそくさと台所に向かおうとすると、ぱちゅりーが声をかけてきた。 「おにいさん…また"あれ"をたべるのね?」 ウチの子ゆっくりの情操教育によくないということで、ぱちゅりーの提案で、男が食べるゆっくりは"あれ"という言葉に置き換えている。 「…なんだよ。俺の趣味を邪魔するのかよ」 「むきゅ、ちがうわ。でもおにいさんが"あれ"をたべているところを、もしもこどもたちがみたら…」 「なんだようるせぇな! だからこうやって、台所でコソコソ寂しく食ってるんじゃねぇか! ここは俺のおうちですよ!?」 …て言うかなんなんだ、この難しい年頃の子供を持った夫婦がするような会話は! 「くそっ、なんだってこんな苦労しなきゃいけねぇんだよ! 俺はただ饅頭が食いたいだけだっつーの!」 男がブツクサ言いながら台所の戸を閉めると、ぱちゅりーは悲しそうな顔でむきゅむきゅと居間に戻っていった。 「さぁて、おやつの時間だぜ」 街で買ったカキ氷製造機を用意して、どのゆっくりから食べようか見定めていた時である。 ぱちゅりーがれいむを連れて、戸を開けてむきゅむきゅと入ってきた。 …器用になったもんだ。 「むきゅ! おにいさん、おなかがすいてるならおやさいをたべるといいわ!」 「ゆゆ! いっしょにたべようね!」 そう言って白菜を引きずってきた。 この2匹は、前々から男のゆっくり饅頭食いをやめさせようと画策していた。 子ゆっくりの教育によくないし、なにより同族を食べられているのだから…。 「あのなぁ…俺は今、饅頭が食べたいんだよ」 「むぎゅ? おやさいのほうがゆっくりできるわよ!」 「ほら、とってもおいしいよ! むーしゃむーしゃ!」 2匹はさも美味しそうに、白菜の葉っぱを千切ってむしゃむしゃと食べて見せた。 「あぁそーかい。じゃあ俺は忙しいから、ゆっくりさよーなら!」 「む、むきゅ!? おにいさん、おやさいを…!」 「もっとゆっくりしていってよー!」 2匹を白菜ごと家の外に放り投げると、男は台所に戻った。 時間が経ったせいで、籠の上のほうのゆっくりがほんの少し解凍されていた。 「ゆ…ゆ…おじさんだれ…? ゆっくりできるひと…?」 皮のふやけた成体のゆっくりれいむが、うっすらと目を開けて尋ねてきた。 男は無言でれいむを持ちあげると、カキ氷製造機の台に乗せて、上からプレスしてれいむを固定した。 「ゆっ……いたいよ……ゆっくりやめてね……」 キュルキュルキュルキュルキュルキュル!! 「ゆぐゔゔゔゔゔゔゔゔっ!!!??」 ハンドルを回すと、固定されたれいむがクルクルと回転する。 すると、台に備えつけられた鋭いカッターが回転するれいむの底部を薄く薄く削りはじめた。 やわらかい音とともに、台の下かられいむのあんよの皮が出てくる。 そして… ガリガリガリガリガリガリッ!! 「ゆぎえあぁ!? ゆぎゃあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ!!!」 まだ凍っているれいむの餡子が削られて、お待ちかねのカキ氷が出てきた。 「だっ…だずげでぇ!!! いだいよぉ!!! おめめがまわるよぉ!!! ゆっぐりでぎないいいいいい!!!」 コミカルに回るれいむが必死に命乞いをしているうちに、皿の上には黒真珠のような光沢を放つフワフワのカキ氷がこんもりと盛られた。 「ゆ゙っ……ゆ゙っ……もっとゆっくりしたかった……」 そう言って白目を剥いているれいむをよそに、男はカキ氷をひと口食べてみた。 「おふう……っ!!」 …美味しいものは、最初のひと口がもっともヤバい。 やわらかな口溶けの後、しっとりとした上品な甘みが広がってゆく。 身も心もとろけるようなまろやかさに、クラッ…と眩暈をもよおした男は壁にもたれかかった。 一瞬、死んだはずの両親が遠くで手を振っているのを見たような気がした。 「あ、危なかった…もう少しでトリップするところだったぜ…」 この一品、ただのカキ氷に餡子をかけたような手抜き品ではない。 一晩中寒波に苦しみつづけ、あげく冷凍状態となったゆっくりそのものを直に削った絶品だ。 時として大自然の加工の力は、人間の調理技術など軽く凌駕するのである。 …それはさておき、男はカキ氷を平らげては削り平らげては削って、れいむはとうとう髪だけになって機械のまわりに散った。 「ごちそうさまでした」 丁寧に両手を合わせると、男は次の冷凍ゆっくりを籠から取り出した。 今度は、金髪に黒いとんがり帽子のコントラストが印象的な、成体のゆっくりまりさ。 男は帽子だけ奪って捨てると、まりさを台に乗せてプレスで固定した。 「ゆふん……まりさ……もぅたべられないよ……ゅ……」 キュルキュルキュルガリガリガリガリガリッ!! 「ゆんぎゃばあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ!!!!???」 古典的な寝言をほざいて眠りこけていたまりさは、あんよを削りとられ、中身の餡子を粉砕される激痛にカッと両目を開いた。 「ゆっ! ばでぃざのごばんばどごっ!? ゆぐゔゔゔ!!! どぼぢでごんなごどになっでるのおおお!!!?? …ゆ゙っゆ゙っゆ゙っゆ゙っ!!」 目覚めた瞬間、夢の世界で食べていた美味しいご飯を探しだすまりさ。 だが、想像を絶するような痛みで現実に引き戻され、おかれた境遇に疑問を投げかけた次の瞬間、すでにまりさは目の下まで失って痙攣していた。 なんとも目まぐるしい最期だった。 まりさの短かったゆん生と引きかえに、皿の上には、一見すると先ほどのれいむと同じような黒く輝くカキ氷。 だが…… 「いただくぜ」 パクッ 「んぐゔゔゔ……っ!!」 違う、違うのだ。 まりさの粒餡カキ氷……それはれいむの上品なこし餡カキ氷にくらべて、より荒々しく、素材の持つ独特の風味をそのままお伝えしてくる。 どっちも甲乙つけがたい味だ。 「ごちそうさまでした…」 男はペラペラになったまりさの皮に両手を合わせると、3匹目の冷凍ゆっくりを機械にセットした。 ……まだ食うんか! とツッコミが入りそうだが、この男の餡子好きは天井知らずなのだ。 そうしてしばらく「ゆっくりカキ氷」を堪能していた男は、今度は違うメニューを楽しむことにした。 次に手に取った冷凍ゆっくり…それは最後に見つけた瓢箪のような形の胎生にんっしんっれいむだった。 まだ意識を取りもどしていないそのれいむを、水をはった大きな鍋に入れて火にかける。 やがて水は湯となり、解凍されたれいむが目を覚ました。 「……ゆっ? ここはどこ?」 「俺の家だ」 「おじさんだれ?」 「山でくたばってたお前を助けた優しいお兄さんだよ」 「ゆゆ! やさしいおにいさんはれいむのおうちでゆっくりしていってね!」 …だから俺の家だってのに! おうち宣言をするまでもなく、すでに自分のおうちと決めているれいむだった。 「ゆ? ゆ? ゆ?」 れいむは周囲をキョロキョロと見回すと、自分がお湯に入っていることに気づいた。 「ゆっ! あったかいね!」 「湯ッ! お風呂っていうんだぜ、気持ちいいだろ」 「ゆゆ~ん♪ ここをれいむのゆっくりぽいんとにするよ!」 「そうだな、そこはお前専用だ」 「ゆゆ! ものわかりのいいおにいさんだね! れいむはかんしんしたよ!」 「そいつはどぅも。背中流してやるよ。 …頭しかないがな!」 すでに上から目線のれいむだが、男はさして気にもせず、おタマでれいむの後頭部に湯をかけてやった。 「ゆふーっ! ゆっくりぃ…………ゆ~ゆゆゆ~ゆゆ~~♪」 生まれて初めてのお風呂の気持ちよさに、れいむは音痴な歌まで歌いはじめた。 「ところでお前、腹の子供はどうだ?」 「ゆゆ~…ゆ? もうすぐうまれそうだよ! おにいさんにはとくべつにれいむのかわいいあかちゃんをみせてあげてもいいよ!」 「そうか…楽しみだな」 鍋風呂でふんぞり返って、すこぶるご機嫌なれいむ。 「このおみずさんをあかちゃんの"うぶゆ"にするよ!」とか言いながら、喉の奥をこれでもかと見せつけながら歌っている。 「ゆ…おにいさん、おみずさんがあつくてゆっくりできなくなったよ! なんとかしてね!」 「そろそろかな?」 「ゆゆ? なにいってるの? れいむのいうことがきこえないの? ゆっくりしないでさっさとおみずさんを……ゆ゙ん゙っ!?」 すると、長いあいだ湯につかって完全解凍されたれいむの中の赤ゆっくりが、水圧で窮屈になった母体から抜け出そうと暴れはじめた。 「ゆ゙!? ゆ゙っぎい!! いだいっ!! いだいよおぉぉぉ!!」 中身の餡子を引っ掻き回すような赤ゆっくりの動きで、強制的に産気づくことになったれいむ。 「おい、あんまり暴れると子供が潰れるぞ?」 「ゆぐっ!? やべでね!! きたないてでれいむにさわらないでね!!」 「…あぁそうかい」 れいむは歯を食いしばりながら、全身ヌメヌメした餡子汗にまみれて息ばっていた。 次の瞬間、ボッ…と音が聞こえそうな勢いで産道が開いて、透明な湯に茶色い餡子汁が噴き出した。 「でいぶのあがぢゃん!!! もっどっゆっぐじうばれでねええええええ!!!!」 そんなれいむの言葉に反してますます暴れる赤ゆっくり。 赤ゆっくりがいつまでも飛び出してこないのは、産道から流れこんできた熱い湯に驚いて反対側に逃げようとしているためだ。 だが、狭いおなかの中に逃げる場所などあるはずもない。 熱い湯に襲われた赤ゆっくりは、半狂乱になってれいむの餡子をこねくりまわした。 「おにいざんはなにじでるのおおお!!? でいぶがくるじんでるんだがら、ざっざどだずげなぎゃだめでじょおおおおお!!!!???」 「お前さっき汚い手で触るなって言ったろ。俺はゆっくり見てるから早く産めよ」 「ごのぐぞじじいいい!!! でいぶをだずげろおおおおおおお!!!! ぞれがらゆっぐりじねえ゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙!!!!!」 男がそっぽを向くと、無視されたことに怒り狂ったれいむは真っ赤な茹で饅頭のようになって湯気を噴いた。 だが、すぐにまた苦しみ出した。 「ゆ゙ごお゙お゙お゙っ!!!! ぐぐぐぐっ…ゆがっぐっ…ぐ…………ゆっ!?」 すると、あれほど暴れていた赤ゆっくりがピタリと静かになり、れいむのおなかの痛みも引き潮のように去っていった。 「ゆふぅぅ…」 れいむは安堵して笑顔を見せる。 「れいむのあかちゃん、やっとゆっくりしてくれたんだね? ききわけのいいあかちゃんだね!」 そう言うと、赤ちゃんを産むためにゆっくりとおなかに力を入れた。 「ゆんっ」 トロリ…… ……れいむの産道からなんの抵抗もなく流れてきたもの。 それは、こげ茶色の餡子汁と、小さなデスマスク、そしてミニサイズの赤いリボンだった。 「ゆわ…ぁ………ゆわあああ………ゆわああ…………」 外の世界を見ることもなく、お母さんれいむにごあいさつすることもなく、赤れいむは産道を出る前にそのゆん生を終えていた。 グツグツグツ… いよいよ鍋の湯が煮立ってきたが、死産のショックから立ち直れないれいむは、赤ちゃんの餡子で茶色く染まった湯を呆然と見下ろしていた。 「どぼじて……? れいむのあがぢゃんどぼじて……? うぶゆまでよういしてあげたのに……どぼぢで…………?」 …用意したのはお前じゃないだろ、というツッコミはさておき。 絶望して餡子脳が停止している間に、閉じる意思を失ったれいむの産道へ熱湯が流れこんでゆく。 そうして内から外から溶かされていったれいむは、まもなく致死量の餡子を流し尽くして赤ちゃんの後を追った。 れいむがあの世で赤ちゃんとゆっくりできたかは永遠の謎である。 …さて、れいむ親子の最初で最後のお風呂となった鍋の中では、立派なお汁粉がホコホコと湯気を立てていた。 「カキ氷ばっかだと腹壊すからな…」 おタマで鍋をかき混ぜながら、男はカキ氷に使った数匹のゆっくりの目玉をまとめて入れた。 寒天質でできたゆっくりの目玉は、単体で口に入れてもただの寒天。 だがお汁粉に入れれば具材となって味も引き立つ。 …あんみつに入った寒天を想像すれば分かってもらえると思う。 美味を約束する香りが、男の鼻腔に吸いこまれてゆく。 男はおタマでお汁粉をすくうと、「いただきます」も忘れて口に入れた。 「あっはぁ……!!」 津波のように押しよせる、甘美な誘惑…。 男の脳細胞が一斉に活性化して、これまで食べてきたゆっくり饅頭たちが虹の向こうで微笑んでいるのが見えた。 「あ゙…?」 夢の世界から帰ってきた男は、涎をぬぐって頭を振った。 「あぶねぇ…また妙なものを見た気がするぜ…」 男はふたたびお汁粉を口に運び、まもなく鍋はカラになった。 最近はこうして冷凍饅頭を拾いに行っては、カキ氷やお汁粉、また羊羹などに加工して楽しんでいた。 そのまま食べてもいいが、ちょっと手を加えるだけでまた違った味わいを楽しめる。 ゆっくり饅頭は奥が深い…。 そうしておよそ10匹前後のゆっくりを完食した男は、腹をパンパンに膨らませて、余りの入った籠を持って地下室に下りた。 吐息も白くにごる地下室には、大きな麻袋が3つ壁にかけてあり、それぞれ『れいむ』『まりさ』『ありす』と記されていた。 こうして種類ごとに分別しておいて、その日の気分で食べ分けるのだ。 れいむとまりさは個体数が多いだけにすぐ補充できるが、男の餡子好きのせいで消費もまた早い。 膨らんだありすの袋を見て、そろそろ甘味屋に売りに行くことにした。 つづく ~あとがき~ 道端でゆっくりが凍ってたら、 私ならきっと拾っちゃいます!(笑) 読んでくれてホントにありがとう! また次回でね♪ ~書いたもの~ 竹取り男とゆっくり1~8(執筆中) 暇なお姉さんとゆっくり せつゆんとぺにこぷたー 悲劇がとまらない! あるゆっくり一家のひな祭り
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さんさくめ ちょっと ちょうしこきすぎた あいかわらず だぶん だよ by おれまりさ とか よばれたひと 「あ~楽しィ~!マジAQN最高だぜ」 今日もハッピーターンをつまみながらビールを飲んで、某ゆっくりスレを見て1日の疲れを癒す。 そんな私はゆっくり愛好家。壁紙はゆっくり、勿論デスクトップを飾るのはゆっくりデスクトップアクセサリー なぜならゆっくりは特別な存在だからです。 デスクトップ画面には50匹を超えるゆっくりが縦横無尽に飛び跳ねている。 この為にCPUをセレロンからクアッドに変えたのは言うまでもない。 「あ~かぁいいよ~ゆっくり~!俺の大根もおろせる頬でスリスリしたいよ~~!」 悲しいかなこいつらは与えられた画像とルーチンでしか動く事できない デスクトップを見てニヤニヤしてる俺。親が見たら泣くね絶対、まだAV見てる方が救いがあるよねウン しばし至福のゆっくりタイムを満喫してると、辺りが一瞬真っ白い光に包まれに遅れてゴロゴロと言う音が外から響いていた 「結構近いな。落雷で俺のゆっくり画像が消えちまったら困るな。可愛いゆっくりちゃん、少しの間会えないけど我慢しててね」 そう言ってスタートボタンにポインタを合わせた瞬間であった ガラガラガッシャーーン!! 眩い閃光と共に耳をつんざく爆音が俺の部屋を襲った 同時に激しい衝撃で俺の体は吹っ飛ばされ壁に叩きつけられた 「うぉ…いってて、本当に落ちるとは…はっ俺のゆっくり1号カスタムは!?」 自慢のゆっくり専用PCを見やると本体は白煙を上げモニタは真っ暗な画面だけを映していた 「なん…だとっ!?」 何という事だ...給料の3か月分を費やして組み上げたゆっくり専用PCが!? 1年掛けて関連サイトやアップローダを暇さえあれば業務中でも探して集めた画像がッ!? 通勤中に思いついてにやけてしまう程の思いのたけを綴ったゆっくりとの妄想ライフSSががっ!? おきのどくですが ぼうけんのしょは きえてしまいました 3行の文が俺の中を渦巻いていた。 ゆっくりが居なくて何の人生を楽しめようか 目の前が真っ暗になり俺の人生も真っ暗にあんりかけたときであった ビッ ピーー 聞きなれた起動のビープ音がPCから聞こえた 「良かったPCは生きてる!」 後はデータが生きてるの確認するだけ OSのロゴが消えるとと何時もの乱雑なデスクトップ画面が映った 相変わらず暢気にゆっくり達が跳ねまわっている。よし問題ない 後はマイゆっくりフォルダを確認するだけだ。ポインタを置くと目を瞑って祈る思いでクリックする 「…。」 うっすら目を開けると白い背景にいくつものアイコンがいくつも見えた。 良く見ると虫食いの如く所々有る筈のフォルダが消えてる 「ま…PCが生きてるなら儲けものだな、ハハ…」 とりあえず飲み物をとって気を落ちつける事にした。もう流れちまった画像の事を考えると飲まないと涙が零れそうだからだ 「さてと…他の方は…ん?」 可笑しい…さっきまで有った筈のフォルダや画像のアイコンまでが消えている 「ま…まさかウィルス!?」 だがウィルスソフト反応してない。じゃあ一体なぜ?Why? 「ん…なんだこりゃ?」 何故かデスクトップアクセサリーのゆっくりれいむが妙な行動している。 AAでよく見るむーしゃむーしゃと物を咀嚼するアクション。 こんな動きしたか?徐にポインタを近づけてクリック するとれいむが口からアイコンを吐き出した。こ…これは!?タイトル名を見ると私的神画像の1つ!? 「れいむのしょくじをじゃましないでね!」 スピーカーから聞こえる筈のない物が聞こえた。 それだけではない他のゆっくり達を見るとデータにない筈の動きをしている 「これは一体?おまえはだれなんだ!?」 「れいむはれいむだよ。ばかなの?」 いや待て落ち着け……これは夢だ。夢でないとしたら幻覚だ。頬をつねろう 「あだだだだっ!?」 本物だ。じっくり観察してみるとデスクトップ上ではゆっくり達が思い思いに動いていた 数匹で歌を歌ってる者・追いかけっこをする者・フォルダのアイコンに顔を突っ込む者、絵やSSをみて想像するしかなかった光景が今ここに存在している 「フ…フハハハハハ!見ろ全国の『お兄さんども』よ!!俺はゆっくり愛好家達が誰もが羨む夢『ゆっくりと暮らす』をこの手に手に入れた」 「うるさいよ!しょくじちゅうなんだからゆっくりしずかにしててね!それとごはんがたりないからすぐもってきてね!」 「ああ・・・ハイハイゴハンね。ゴハン?お前ら電子データの癖に物が食えるわけないだろ」 「なにいってるの?おっきいおさらのなかにあるのがれいむのごはんだよ!」 よく見たら開いているマイゆっくりフォルダの中に多くのゆっくりが集っている。そいつら一様に何かを咀嚼している。ま…まさか!? 「こいつらファイルを食ってる!?」 何と気づいたらマイゆっくりフォルダの画像やテキストファイルの殆どが消失してる。こいつは不味い! 「ば・・・ばかたれ!今すぐ辞めろ!!」 「これはれいむがみつけたごはんだよ!ゆっくりできないおにいさんはきえてね!」 叫ぼうが一向にゆっくりはやめる気配がない。止めようにも画面の向こうの存在に干渉することなどできやしない。 「そうだ?さっきれいむに…」 フォルダでファイルをむさぼってる一匹のゆっくりをクリックする 「ゆ!?いたいよ!まりさをはなしてね」 ビンゴ!やっぱりそうだ。こいつらはデータなのでPCから操作で干渉できる 「おにーさんまりさをはなしてね!」 そのままドラグしてゴミ箱へドロップ 「ゆ゛ーーー!」 仲間の叫び声に気付いた他のゆっくり達が一斉に振り向く 「ゆっ!おにいさんまりさをかえしてね!」 「ここはれいむたちのおうちだよ!かってにいじらないでね!」 口々に非難の声をあげるれいむたち。 余りの事にこいつらの本質を忘れていた。 自分勝手で頼みもしないのに居着いてまるでそこの主の様に振舞う そして俺はお兄さん ならば成すべき事は一つ… 「おにいさんれいむをむししないで…むっぐ!こんなにごはんいらな゛っ」」 手始めにバックアップ済みの大容量データを放り込んであげた。 3GBもする御馳走を貰ったれいむは歓喜のあまり白目を剥いて気絶してしまようだ 「て゛い゛ふ゛ぅぅぅぅぅ!!」 れいむのつがいらしきまりさの口にはどっかで拾ったゆっくり.zip .exeとかいう何か怪しい香りのするファイルを御馳走させてあげた 「や"めでっ!?むーしゃむーしゃしあわせー♪」 「アレ何ともないのか?」 「ゆ…ゆっくゆっくゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりっくりっくりっくりっくりっくりっくりりりりりり」 「あ…やっぱりヤバいファイルだったか」 まりさは壊れた録音機の如く奇声を発しながら画面上を狂ったように走りまわる 今度は呆気にとられて動けない3匹のゆっくりを範囲指定して圧縮ソフトのアイコンに放り込んであげた するとデスクトップに3匹のゆっくりがいびつに融合した真四角なアイコンがあらわれたではありませんか 「き゛ほ゛「い゛や゛あ゛ぁぁ「は゛な゛れ゛て゛ぇぇぇぇ」ぁぁぁ」ち゛わ゛る゛い゛ぃぃ」 ゾクっとする様な不気味な声を立ててガタガタ動いている しかし本当の悪夢はこれからだ。ゆっくりデスクトップアクセサリの設定画面を起動してRemilaと名の付いたファイルを起動させる。 「うー?」 他のゆっくり達の顔が凍りつく。まさかれみりゃまで出てくるとは思いもしなかったろう 突如出現させられて戸惑っているれみりゃ。だが周囲を見回すと事態を把握したのかにっこりと笑う 「たべちゃうぞー!れみりあ うー!」 ようやく危機を悟り逃げ回る残りのゆっくり達。 「れ゛み゛り゛ゃ゛た゛ぁぁぁぁぁあぁ!!」 「い゛や゛た゛あ゛ち゛に゛た゛く゛な゛い゛ぃぃぃぃ」 半狂乱になって画面を逃げまどうゆっくりの様子は滑稽なものだった。 「ハハハハ!見ろ、人が…じゃなくてゆっくりがゴミの様だ!」 れみりゃに中身を食われてデリートされる物 画面端に逃れようとして将棋倒しになり押しつぶされる物 やけくそになったのか他の仲間を押し倒して性行為に及ぶ者 とにかく隠れようと自分からゴミ箱につっこむ者 宴は空が白むまで続いた。騒動が収まった頃にはデスクトップには数匹のゆっくりがポインタから逃げるように画面端で縮こまっている。 まだ続けたいところだが今日は出勤日、眠い目を擦り身支度を整え朝飯を取る。 今まで起こった事が夢のようだった。だけど現実なんだよこれが 出かけるので電源を消そうとPCの前に行く 「お゛ね゛か゛い゛で゛す゛ゆ゛っく゛り゛さ゛せ゛て゛く゛た゛さ゛い゛…」 その言葉を聞いて電源を切る手を止めた 「そうか帰ったらあそんであげるからそれまでゆっくりしていってね!」 俺は軽い足取りで家から出てゆく。何か聞こえた気がするけど気のせいだろう このSSに出てくる固有名称・団体名・商品名・企業名は実在の物とは無関係です このSSに感想を付ける
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ゆっくりこわこうりんの伝説 ============================================ ひとつ...特別な ゆっくりこうりんがありました そのゆっくりこうりんはゆっくりできない存在 普通の言葉は 「お前が生きる限り.. ゆっくりできねえよ!」 ゆっくりこうりんは他のゆっくりが嫌い けど 一番嫌いなのは自分自身 何故ならゆっくりこうりんは目がいない 眼鏡をかけてますがそれはただ伊達のためでした そしてこうりんの中にはなにもいない 空っぽ な存在であった だからこそゆっくりこうりんは他のゆっくりを狩りたてた, 他のゆっくりの目を奪た ... ... 永遠に
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前 子れいむは怒っていた。凄く怒っていた。 まだ産まれて半年ほどしか生きていないれいむだが、これほどの怒りは覚えがない。まるで中身の餡子が溶岩に変わってしまったかのようだ。 原因は、みんながあっさり人間に付いていってしまったことだ いくら黒ゆっくりの効果は絶大で、高いところから降りられないのを助けてもらったとはいえ、敵である人間達とゆっくりすることなんて今の子れいむには考えられない。 なのに、協力してくれる筈のみんなはあっさりゆっくりしてしまい、お兄さんと楽しく雑談する始末。 子れいむの睨み付ける対象は、ごく自然に5つに増えていた。 そんな時だ。 ずりずりと縁を地面に擦りながら動いていた帽子が、子れいむの所まで下がってきたのは。 「ゆっ!?」 怒りと焦りを感じる強い口調で子れいむは向かえ入れる。 帽子から僅かに覗かせた顔は、宥めるような優しい笑顔だった。 「ゆっ、ごめんねれいむ。おこらないでね」 「……」 「おなかいっぱいになったら、このちょうしで れいむおかあさんの かたき をまりさがとるよ! だから……みんなでゆっくりしようね!」 「まりさ……」 言いたいことを言い終え、まりさはまた前へ戻っていく。途中、縁を頭に引っかけた帽子がずれ落 ち、また持ち上げるのに苦労していたが、時間をかけて何とか元の位置へと戻っていく。 「……」 気づけば、荒れていた心が嘘のように落ち着いていた。 子まりさと子れいむは住んでいる巣穴が近い、人でいうところの幼なじみな関係だった。年齢はほとんど変わらないが、せっかく見つけた餌を無くしたり、お母さんに怒られて泣いている所をよく子まりさが慰め、代わりのをくれたり一緒に遊んだりする姉妹のような関係だった。親を失って、失意のどん底だった子れいむが立ち直ったのも子まりさの気遣いあってこそだ。 今も、あれだけ大きな帽子を被っていたら歩くだけで疲れるのに、れいむの気分を察してわざわざ移動してきてくれた。 改めて子れいむの中に甘い親愛という気持ちがわき上がった瞬間だった。 そんなことは露知らず、犬神は戻ってきた子まりさと話を続けていく。 「その帽子は誰の帽子なんだ?」 「ゆふーん、まりさのおかあさんの帽子だよ! おきるまえにかりてきたんだよ!」 犬神の脳裏に、飾りを奪われ周りのゆっくりから徹底的に攻撃され、体のあちこちから餡子を滲ませ絶望を叫びながら死んでいく光景がいくつか浮かんだが、気にしないことにした。 「その黒ゆっくりというのは、丸くて全身が真っ黒なのか?」 「そうだよおにいさん! いまのまりさみたいなんだよ!」 「……なるほどなぁ……」 「黒ゆっくりはその口で人間だって食べちゃうよ! お兄さんもかくごしてね!」 「そうか……真っ黒か……」 やがて自らの家へ戻ってくると、犬神は子供達をそのまま引き連れて玄関へ入っていく。 ぴょんぴょんと、段差を小さく飛び跳ねて入っていく5匹へ静止を促した。 「ここまで持ってくるから、みんなはそこで待っててくれよ」 「ゆっくりりかいしたよ!」 「とかいは はまたせたりしないわ! 早くもどってくるのよ!」 その場から体を前に出し、手を伸ばして玄関を閉めるとそのまま奥へ向かっていった。 子れいむを除いた4匹の口からは、期待が自然とこぼれ落ちてくる。 「どんなごはんがやってくるのかしら! とかいは な きたいでいっぱいだわ!」 「人間はおいしいものをたくさんもっているって言ってたわ。むきゅー! たのしみね!」 「きょこーん!」 「……」 やがて遠ざかった足音がまた近づいてくると、犬神が透明な箱を持って帰ってきた。 「お待たせ、これがごはんだよ」 「ゆ?」 「むきゅ?」 それぞれが疑問の声を上げる。犬神が持っていた箱には透明で靄のように白い物が混じった何かが入っている。しかしそれは子供達の知識にはどこにもない食べ物だった。 「おにいさんそれは何なの? ゆっくりできるもの?」 「おや? ……そうか、そうだな。こうなったら分からないのか」 犬神は透明な箱を傾けると、オブジェである石で出来たテーブルのような物の上に垂れ流していく。濁ったそれは水飴のような粘りを見せながらも石の上に広がっていく。 子まりさ達には、どうしてそんなことをしているのかまるで理解できない。 「ゆゆ? 何をしているのおにいさん?」 「ん? 知らない物を食べるのは抵抗があるだろ、試しに食べてもらおうと思ってな」 流し終わって透明な箱を地面に置くと、子まりさの帽子をひょいっと持ち上げた。 「ゆゆっ!? なにするのお兄さん! おかあさんの帽子かえしてね!」 「食べてる間は邪魔になるだろ? 預かるだけだから心配しないで、ゆっくり食べてね!」 言うと早く、子まりさを片手で捕まえて石の上まで運んでやった。 「ゆ……ゆゆっ……」 「さぁ、食べてみてよ!」 「む、むきゅー!」 「まりさぁ! だいじょうぶぅ!?」 下からみんなの心配そうな声が聞こえてくる。 未知の恐怖に子まりさも震えを隠しきれなかったが、ふと目をやった先で心配そうに涙を浮かべた子れいむを見つけ、腹を括った。 「ゆゆーん! すごくゆっくりできそうだよみんな! まりさがさきにたべてみるね!」 「まりさぁ!!」 精一杯の虚勢を張り、改めて子まりさは目の前へ目を向ける。 所々白く、しかしほとんどが透明なそれは、まるで空にかかる雲が降りてきたように見えた。 「……っ」 そろりそろりと伸ばされた舌が、その透明な物体に触れた。 「ま、まりさ……」 「ちーんぽ……」 「……」 まりさは何も言わず黙っていると、今度は大きく口を開けてかぶりついた。 「むきゅー……?」 「はんだーち……?」 「……うめぇ、これめちゃくちゃうめぇ!」 途端、ガツガツと見境なしに食べ始める。 凶変したまりさの様子に3匹は素早く反応した。 「そ、そんなにおいしいの! ゆっくり出来るの!?」 「むきゅー! おにいさんわたしたちにも早く!!」 「ああ。それじゃ場所もないし、この箱の中で直接食べてくれるか」 「しゃせーーーーーいっ!!」 同時に箱へと飛びかかる3匹。犬神の補助もあってどうにか中へと入っていく。壺をしまうような縦長の透明な箱は、同時に入ってもまだ場所に余裕はある。ぶつかる心配もなく3匹は水飴のようなそれを貪っていった。 「むーしゃむーしゃ!!」 「むきゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅっ!! すごくおいしいわ! とろけるようなあまみがすごいゆ っくりよ!」 「ぜっちょおおおおおおおっ!!」 次々と歓喜の声が上がっていく。 友達の絶賛するその光景に、子れいむはうずうずと体を動かしながらも食べようとはしなかった。 どうしても、敵である人間から食べ物を貰いたくない。 「れいむは食べないのか?」 「れいむはいいよ。れいむの分はみんなに あげてね」 「……そうか」 まぁいいかと、残念そうにため息を吐く。どこか違和感のある光景だったが、子れいむはさほど疑問には思わず、じっと犬神を恨みったらしく睨み続けた。 犬神はもう子れいむの事は気にしないで子まりさを見る。 そこには警戒していたのが嘘のように体中に水飴のような物体をつけ、食べたりないと石へ顔を擦りつけるように舐め回している姿があった。 今食べている物が、自分たちの排泄物だと知ったら、いったいどんな顔をするだろうか。 ちょっとした興味が湧いてくるが、どうにか欲求を抑えきり、犬神は質問した。 「まりさ、そういえば真っ黒になる良い方法があるんだが、試してみようか?」 「ほんとうおにいさん! ゆっくりためしてね!」 嬉しそうに声を出すが一度も犬神の方を見ず、もはや排泄物から出来た食べ物に首っ丈だ。 「よしわかった。ちょっと待ってろよ」 犬神はまた奥へと歩いていった。 むーしゃむーしゃと4匹が食べ続ける声が聞こえる。空腹を耐えている子れいむにとっては、この上ない拷問だ。 あまりの美味しさに正気を失っていた子まりさだが、堪え忍んでいる子れいむに僅かだが理性を取り戻した。 「れいむ! あとでいろいろゆっくりしたごはんとってくるよ! まりさたちばっかりゆっくりしてごめんね!」 「……うん、きにしないでまりさ」 体中を汚したままの説得力のない言葉だったが、あれほど一心不乱だった子まりさが気をつかってくれた事を子れいむは素直に喜んだ。 今度は短い時間で犬神は戻ってくる。手に何かを持っている様子だが、子れいむの角度からは見えなかった。 「ゆゆっ! おにいさんおかえりなさい! ゆっくりしていってね!」 「ああ、ゆっくりさせてもらうさ。取りあえず黒くするぞー」 「ゆゆーん! ゆっくりやさしくしてね……」 犬神は石の正面へと移動する。その僅かな移動が、子れいむの位置から子まりさを見えなくし、不安という魔物を一気に巨大化させていった。 「ゆっ!? ま、まりさああああああっ!!」 思わず叫び声を上げてしまうが、犬神の体越しに無事を知らせる声が飛ぶ。 「ゆゆ、しんぱいしないでれいむ! まりさはゆっくりしてるよ!」 「ゆゆ……まりざぁ……」 元気そうな子まりさの声を聞いても、子れいむの不安は消える事はなかった。大事な人の姿が見えないというのは、何よりも心をかき乱す。 先ほどから子供達が食べていた物は、俗にゆっくり達がしーしーと呼んでいる排泄された液体から出来たものだ。 「……ゆ?」 饅頭であるゆっくりから排泄されるものだけに、糖度の高い液体であり、調理に使ったりお菓子の材料にする人も少なくない。 「……お、おにいさん! なにしてるの!!」 「ゆっ!? ま、まりさ!! どうじたの!?」 しかしこのしーしー、含まれているのは糖分だけではなかった。 「う……うわあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」 「ま、まりざああああああああああっ!! どうじだのおおおおおおおおおっ!!」 ゆっくりの油が含まれているのか、脂肪分も高く、発火性が高かったのだ。 犬神が子まりさの正面から離れる。 子れいむの目に映ったのは、炎上する石の中心で燃えながら叫び続ける子まりさの姿だった。 「いやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」 慌てて助けようと石へ飛び跳ねるが、その高さに助けるどころか飛び乗る事さえ出来ず、必死に石の麓で藻掻くことしか出来る事がない。 「れ、れいぶぅううううっ!! あずいよおおおおおおおっ!!」 「まじざぁっ!!」 慌てて状況を確認しようと身を引いて見える位置まで戻ると、皮は茶色い焼け跡がつき、髪の毛も溶け、苦悶の表情が顔に刻まれた別人のような子まりさがそこにいた。 溢れる涙も炎で蒸発し、子まりさの苦痛を和らげるものは何もない。 「あ、ああああああああ……」 子まりさが燃えていく。 綺麗だった髪の毛も、艶のある白かった肌も醜く爛れ。 絶望を叫びながら、親愛の相手が苦しんでいく──。 「やあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!! ゆっぐりじでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛っ!!」 やがてお菓子が燃え切り、鎮火すると。 舌を出し、虚ろな表情の焼き饅頭がそこにあった。 「……ゆぅ……ゆぅ……」 「……うん、黒ゆっくり美味しそうだ」 その焼き饅頭の出来に、思わず犬神も満足げに頷く。 燃え尽きたお菓子は溶け、まるでコーティングしたかのように焼き饅頭の体に照りを与えている。犬神の狙い通りだ。後は味さえ問題なければ……。 試食しようと、犬神の手が焼き饅頭に伸びた。 「まりざにざわるなあああああああっ!!」 怒りのままに子れいむは足へと体当たりを繰り返すが、お手玉程度の大きさではびくともしない。 まるで意に介さず、掴まれた子まりさは口の中へと運ばれた。 「がぶっ」 「ゆぐっ!? 焼けただれて続いていた痙攣が、一口食べられた瞬間、まるで動かなくなってしまった。 もう、子まりさはどこにもいない。 「うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 「……おおっ、やっぱり美味い!」 味自体は、普通よりは控えめな甘さとはいえ飴に饅頭と甘みが非常に強いが、今までにない溶けた飴の歯ごたえが口の中を楽しませる。 「これはいける!」 確信を得、そのまま残りも平らげようとした時、足に鋭い痛みが走った。 「っ!?」 「うううう~っ!!」 子れいむが足首を思い切り噛みついたのだ。 噛みつかれた箇所から、血の流れ出す感触が伝わってくる。 「……ふんっ!」 「ゆぐっ!?」 思いっきり足を振り、犬神は子れいむを吹き飛ばす。 「げふっ!!」 壁に当たり、子れいむはそのまま地面に倒れた。顔を俯せにしたまま起き上がる気配がない。餡子が漏れなければ早々死なないゆっくり。壁に当たった衝撃で気を失っていた。 思わずやってしまったが、死んでいない事に気づくと犬神はほっと息を吐いた。このまま踏みつぶしてしまってもさほど問題はないが、只でさえ子れいむが食事を拒否した為に面倒が増えている。手間はなるべく省きたかった。 犬神はゆっくりと、箱の方へ目をやった。 「……あ……ああ……」 「むきゅー! ……む、むきゅー!」 「た、たたたたたたたん、たん……っ!」 目の前で起こった一部始終に震え上がる、新たな食材を見つめていた。 子れいむは暗い暗い洞窟の中にいた。 「ゆ? ……ゆゆっ!?」 慌てて周りを確認するが、お姉さん替わりのような子まりさも、実の母親もどこにもいない。 いや子れいむには分かっていた。 確かにここに母親がいることを。 「お……おかあしゃああああああん!! おかあしゃああああんっ!!」 何度も叫び続けるが、母親が現れる様子はない。 ただあの大きい存在感が、子れいむに伝わってくるだけだ。 「おかあしゃあああああああん!!」 お母さんを求め、子れいむはただただ叫び続けた。 「おかぁ……!」 子れいむは目を覚ますと共に、その場で飛び跳ねた。 「……ゆ?」 なぜ飛び跳ねてしまったのか、子れいむ自身もよく分かっていない。なんだか凄く怖い夢を見ていたような気がするが、それが何なのか思い出せない。場所が玄関から部屋に変わっている事もあり現実感がないまま、微睡みに包まれていた。 「ああ、起きたのか。寝ている内に済ませたかったんだが」 「ゆぐっ!?」 そんな眠気も、犬神の顔を見た瞬間に吹き飛んだ。 開かれた引き戸から外を見ていた犬神は、体の向きを部屋の中へと変えた。 「お兄さん! まりざわっ! まりざわどうじだのっ!!」 「食ったけど」 「ぴぎゃぁっ!?」 否定したかった現実をまた突き付けられ、思わず後ずさった。 「黒ゆっくりと聞いて試しにやってみたが、思ったより美味くてよかったよ。どうも餡子としーしーが相性いいみたいでな」 「う……うう……」 「餡子じゃない奴らと相性が悪かったのが残念だけどな」 「……ゆっ?」 言われてはたと気づいた。友達3匹が入っていた筈の箱が見当たらない。 想像してしまった最悪の結果に思わず口が開いていた。 「み、みんなは! みんなはどうしたの!?」 「ああ、帰したよ」 「ゆゆゆっ!?」 良い結果、しかし予想外の返事に、逆に驚き戸惑ってしまう。 「ありすを黒ゆっくりにして食べたんだけど……飴とあわなくてね、これじゃ他の奴も望み薄だし、まだ元気だったから放してやったよ、ほら」 「ゆ……っ」 犬神が外を指さす。引き戸から外を見れば、元気なみんなの姿があるのだろうか? 子れいむは疑問を確認するために引き戸へ近づいていく。 「うーんしょ……うーんしょ……」 次第に明るくなり、外の景色が目に映ってくる。 「……ゆ?」 この家の手入れされた庭には、かすかに生えた草以外には何も見当たらなかった。 「だれもいないよ! おにいさんうそついたの!」 「おいおい、よく見てみなよ」 「ゆ……」 じっと目を細め、改めて庭を見る。 すると、草の生えた場所である変な物を見つけた。 「ゆ?」 黒くて丸い玉が3つ転がっている。 「……」 その黒い球体が口を開けた時、ようやく子れいむにもそれが何なのか理解できた。 「と……と……」 「……む……きゅ……」 「い……ぽ……」 「ひぐっ……っ!」 それは体全体を、皮が見えなくなるほど大量の蟻に食い尽くされ、痙攣を繰り替えす友達の姿だった。 「帰してあげたんだが、あの辺で力尽きたらしくて。さっき近づいて見たらゴマ団子みたいになってたよ」 「……っ! ……っ!!」 あまりの衝撃に、言葉が口から出てこない。 今やあの3つがゆっくりだと判別できるのは、口からだらしなく出ている舌と体の痙攣だけだ。気づけばその舌にも、いくつか蟻が群がり始めている。 恐怖に犯された子れいむの餡子の中では、同じように蟻に覆われた自分の姿が映し出されていた。 「あ、ありさん嫌っ! ゆっぐり、ゆっぐりいいいっ!!」 「おっ!」 もう復讐心は欠片もない。 ただ安心出来る場所を求め、子れいむは逃走した。 よほど怖かったのだろう、目は瞑り、前もあまり確認していない。 数秒も経たないうちに、硬いものにぶつかりその場でよろけた。 「ゆぐぅっ!」 涙がにじみ出てくるが、後ろにはもっと怖いものがある。 痛みを堪えて逃げようと前を向く。 しかしぶつかったものが何なのか確認した瞬間、子れいむに新たな出会いが待っていた。 「ゆ……?」 子供が間違える訳がない。 同族と比べても大きな体、綺麗な肌、そして大きなリボンがさらに特徴的だ。 そこにいたのは、確かに子れいむの母親だった。 「ゆ……ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ……っ! お、おかあしゃああああんっ!!」 「なにっ?」 感動のご対面に、子れいむは我を忘れて飛びかかる。 そして、先ほどと同じように跳ね返された。 「ゆぶっ!? ……ゆ? ゆゆゆゆゆゆゆ……っ!?」 ゆっくりは基本的に柔らかいが、空気を吸う事で膨らんだり、一時的に体を硬くする事が出来るものもいる。母親もそんなゆっくりだったが、久しぶりに会えて抱きついた子供に、体を硬くして拒絶される理由が子れいむには分からない。 跳ね飛ばされた場所で母親を見つめ、困惑していた。 犬神は、目の前で起きているまさかの事実に驚いていた。子供達が適当な相手に敵だと言っているだけだと思っていた為、その驚きも人一倍だ。 こんな事もあるんだなと、どこか感慨深く感じながら、呆然としている子れいむへ近づいていく。 やがて犬神が真後ろまで来た時、子れいむは気づいた。 母親は、一度も表情を変えていない事に。 「……!!」 「捕まって来たゆっくりが、普通のゆっくりにしてはかなり大きかったんでね。剥製にして記念に飾 ってるんだよ」 「……あ」 理解出来ない。 犬神が何を言っているのか、子れいむには理解出来ない。 ただ温もりもなくなってしまった母親の体が、子れいむに事実を伝えていた。 「ああ……」 ひょいっと、軽い動作で子れいむを持ち上げる。抵抗するような様子もない。 子れいむの餡子の中は、現実の辛さに耐えきれずもはや真っ白になっていた。叫ぶ気力もなくなっている。 ああ、楽に済んでよかったと思いながら、犬神は新たな黒ゆっくりを試作しようと台所へ向かった。 子れいむは運ばれていく間、虚ろな眼差しで母親を見続けた。 母親は一度も子れいむを見ないまま、空に向かって断末魔の表情を浮かべ続けていた。 まるで、子れいむのこれからを暗示するような姿だった。 その後、新たな目玉として発表された黒ゆっくりは大ヒットまではいかないものの、ヒット商品となり、犬神の名声をますます確かなものとした。 黒ゆっくりは食べ物として人々に広まり、それが新種のゆっくりだと思う者は誰1人いなかった。 「むきゅー! これでかんせいよ!」 新たな紙芝居を完成させ、絵好きのゆちゅりーは大きく声を上げた。何度も作ってきた経験が生かされているのか、最初に比べ、完成するのが随分早くなっていた。 黒ゆっくり以来、新しい話を考えては、ゆちゅりーは紙芝居にして子供達に披露している。 それは以前通り元気づける事が目的だが、あの時とは状況が変わっている。 以前紙芝居を観に来てくれた6匹を皮切りに、今度は少しずつ子供達がいなくなっているのだ。 子供は元気の象徴であり、おかげで群の中の雰囲気はかなり暗いものになっている。 人間達の仕業という話もあれば、謎の黒ゆっくりが原因だという声もあり、理由ははっきりしなかった。 「むきゅきゅ……どこにいっちゃったのかしら……」 紙芝居を観てくれていただけに、ゆちゅりーも思い出す度に気落ちしてしまう。 「むきゅっ!! こんなことじゃいけないわ! はやくわたしの絵でみんなをげんきづけましょ!!」 気持ちを新たに引き締め、紙の束を口に咥え、子供達の元へ向かっていく。子供がいなくなり、ますます元気がなくなった今こそ自分の紙芝居が必要だと、ゆちゅりーは真剣に考えていた。 得意のなめくじ歩きで、急いで広場へと向かう。 途中、ふと湧いた疑問を口に出した。 「それにしても……黒ゆっくりって何者なのかしら……むきゅぅ」 最初の紙芝居から、既に2週間が経っていた。 「ゆうーっ!!」 「いやああああっ!! ゆっぐりざぜでえええええええっ!!」 森の中を2匹の赤まりさが逃げていく。小さく跳ねて進むその姿は可愛らしいが、逃亡するにはいささか速度が足りない。 あっという間に、村の子供達に捕まってしまった。 「ゆぐうぅぅぅぅぅぅっ!!」 「ほぅら捕まえたぞ!」 「やったね! 早く黒ゆっくりにしようぜ!!」 「いやだあああああああっ!! 黒ゆっくりはいやだああああああああっ!!」 2匹がいくら泣き叫んでも子供達の手が緩む事はない。子供にとってご馳走に等しいお菓子を逃すなんて考えはどこにもなかった。 ゆっくりをそのまま食べるよりも甘く、調理方法も簡単な黒ゆっくりは、いつしか子供達の遊び兼お菓子として広まり、多くのゆっくり達が燃やされていった。 そのため、ゆっくり達の中で今や黒ゆっくりは恐怖の対象となり、口に出すだけで怯えるほどの存在になっていた。 きっとこれからも、怯え、燃やされる日々は続くだろう。 「しーしーたっぷりつけようぜ!」 「どうせだからこいつらの親も捕まえていかない? しーしーの量増やせるよ!」 「いやだ、やめて! いやだあああああああああっ!!」 赤まりさ達の泣き叫ぶ声と、子供達の楽しそうな声が木霊する。 今日もゆっくり達は、多くの人の口を楽しませていた。 このSSに感想を付ける