約 592,734 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3864.html
『真冬のゆっくり対策 6』 「気を落とさないでください、何か対策を考えましょう」 「ええ…」 村で一番大きな施設の中。今日ここでゆっくりの駆除に当たっていた人達が集まって食事をしている。 「あ、お姉ちゃん」 右目に眼帯を付けた1人の女の子が虐待お兄ちゃんの席にやってきた。 「お姉ちゃん帰ってきてたんだ」 「ええ。今日帰ってきたところよ」 「そちらの方は?」 「今日知り合った人よ。一緒に駆除してたのよ」 「そうなんだ。…はじめまして。今日はお疲れ様です」 「ああ…どうも。そうでしたか、姉妹ですか。ああ…よく似ていらっしゃいますね」 (この子何で眼帯付けてるんだろう?…) 「お姉ちゃん、ちゃんと家に帰ってきてね。お父さんとお母さんも会いたがってるよ」 「分かったわ。ここを出るまでには会っておくわよ」 「お兄さん、何もないところですけど…ゆっくりしていってください」 「ありがとうございます。この鍋美味しいですね」 その子はまた別の席へ向かった。ここで世話係をしているのだろう。 「昔ここに住んでいたって言ってましたね」 「…なんで眼帯付けてるんだろう?……って思いましたよね?」 「え…いや…その…」 「あの子…ゆっくりに襲われたの」 「ええ!?」 「昔よ、数年前の話よ。畑にゆっくりが野菜を盗みに来たからあの子が追い払おうとしたの。そうしたら枝を咥えたゆっくりに 襲われて目を刺されたのよ」 「……」 「協定とかがあったから村中で抗議に行ったわ。まあ襲ったゆっくりは勿論その種はみな村に引き渡されて虐殺されたけどね」 「種?」 「下品な言葉使うゆっくりがいるでしょ。あいつらよ」 「そうか…だからみょん種を見なかったのか」 「それで済む問題じゃないのに……それ以降も時々畑に被害が出たわ」 「……」 「結局あの子の右目は失明したわ。かわいそうに…」 「それ以上は言わなくていいです。今は…貴方に協力しましょう」 「ありがとう…。ごめんなさい…変なこと話してしまって」 彼らは様々な意見を交わした。 「そうだ、今日途中で駆除アイテムくれたおじさんがいたんだ。何かいいものがないか聞いてきますね」 彼は席を外し昼間唐辛子入り煙幕をくれたおじさんを探した。 「村長、…スは…の…角に…るんだ…な?」 「え…そうですよ。しかし…ぜそんな…とを?」 (何を話しているんだ?) そのおじさんは村長と何か話していた。周りがうるさいためよく聞き取れない。彼は近づいた。 「実はな、明日ドスを駆除しに行こうと思うんだ」 「それは危険ではないのですか?」 「いや大丈夫だ。実は隣の村でもドスの群の被害が出ててね、事前に一緒に駆除しようって誘ったら乗り気だったよ」 「しかし無理をしなくても。ドスとはいえこの冬じゃ手が出ないですから準備を整えてからの方が…」 「そう思うだろ。実はドスって冬でも行動できるらいいぜ」 「そうなんですか」 「ゆっくりってのは皮が小麦粉で作りが単純だろ?だから冬になると中の餡子がすぐ冷えちまうから冬は苦手なんだとさ」 「ええ」 「ところがドスってのは皮が厚くて硬いんだ。まあ所詮は小麦粉なんだけどな。だけど冬の寒さには通常のよりも耐えられるんだ」 「そうなんですか」 「実際冬なのに村に食糧を恵んでもらうためにやってきたって話がある。すぐ駆除されたらしいけどな」 「ドススパークとかは?」 「ああ、いくらドスでも冬は力が100%出せないってよ。ドススパークってのも冬になるとあのキノコを咀嚼するのに時間かかるし 威力も射程も弱まるって聞いたぜ。それでも脅威であることは確かだ」 「なるほど…早めに手を打った方が良いという訳ですな」 「一応隣の村に電話させてくれないか?今朝連絡したら"明日にでも駆除に行けますぜ"って返ってきたよ」 「場所とかは分かりますか?」 「ああ。大体の見当はついている。こっから西に半日ぐらいで着くよな?」 「ええ。」 (西?) 彼は何か引っかかっていた。 "こまったことがあったらどすにたすけてもらえって。おひさまがしずむところにどすがいるってありすがいってたわ!" (そうか!じゃあ次の行動は!!) 「お…おじさん、いつドス退治に行くんですか?」 「おぅ…お前さんさっき会った坊主じゃねえか」 「いつですか?」 「そうだなあ…日の出には出るよ。さっきの話聞いてたんだろ。半日かかるから早く行けば動けないうちに駆除できるぜ」 「あ…あの…よければ場所教えてくれませんか?」 「ついてくればいいじゃないか」 「いや…その…お…俺朝弱いんですよ。特に冬は」 「ハッハッハ!最近の若い奴は軟弱者だなあ。いいぜ、一応教えとくわ。来たくなったら来いや」 「ありがとうございます」 彼は地図にドスの居場所を書いてもらった。 「大体この辺りだ。この辺りでの目撃が多い」 「わかりました。ありがとうございます。できれば明日早起きできるようにします」 「それが一番いい。俺はもう寝るぞ」 「分かったよ。あいつらが次に起こす行動」 彼は席に戻りそう言った。 「何をする気なの?」 「あいつらドスのところに助けを呼ぶんじゃないかな」 「ドスってここから西に行った所にいる?」 「そうそう。困ったことがあったら太陽が沈むところにいるドスに助けてもらえって言うのがあそこのリーダーの言葉らしい」 「明日狩るってさっき聞こえたわ」 「ああ。奴らの最後の頼みはドスだ。だからそこを叩けば奴らは何もできない」 「……………」 しばし沈黙。 「?」 「ふふふ。いいことを思いついたわ」 「その笑顔…調子が出てきたみたいですね」 「ええ…………」 彼女は作戦を彼に話した。 「ほほう。免許とかは?」 「持ってるわ。軽トラの方は借りるわ」 「じゃあ俺はドス退治に向かいます。そちらは1人でも…」 「任せて。そうね、予備のリボンがあったはずだわ。それ使えば1人で充分よ」 「分かりました。じゃあ明日は早いんで俺はもう寝ます」 「おやすみなさい。私は道具を揃えるわ」 彼らは施設を出た。ちらほら施設を出る者がいたが食事をする人はまだいる。 「え、おじいちゃんドクウツギを知ってるんですか」 「知ってるも何もうちに生えておる」 「そ…それでゆっくりは」 「時々実を畑に撒いているよ。そうするとゆっくりが気絶しててのぉ…いい肥やしになるんじゃ」 「いったいどういったものなんですか」 「見た目は小さくて美味しそうな実じゃよ。実際甘いそうじゃ。だが食べると大変なことになる」 「そういえば俺小さい時山葡萄と間違えて変なもの食って腹壊したことがあるなあ」 「腹壊すどころではない。それは別だ。最悪死ぬぞ。見た目は確かに葡萄に似とる。昔は子供が食べて死ぬということがあってのぉ」 「そんな草花の名前聞いたことないですよ」 「ドクウツギは毒空木と書くんじゃ。被害が出るから大量に狩られてな」 「なぜおじいちゃんはその木を?」 「ゆっくりの畑荒らしに使えればと思って生やしてみたんじゃ」 「実とかあります?」 「保管しているのがあるぞ。実は初夏にならないと実らないから今年中にみなに分けてやるのは無理だが…」 「いえいえ。しかしそんなに危ないとなると子供には見せられませんね」 「だからわしは畑には生やしていないのじゃ。流石に落ちている実は拾って食べたりせんしな」 「今度見せてください」 「分かった。明日にでも持ってこよう」 -同時刻、洞窟の中- 「みんな…ごはんにしようね…」 「うん…」 妻や子供、仲間を失いさらに入り口もふさがれ意気消沈なゆっくり達は力なく食堂へ向かった。 「た…たいへんだよおお!!!!」 「どうしたの?まりさ…」 「ごはんが…ごはんがあああ!!!」 「いったいどうしたのよ!!」 「まさかごはんがない!!?」 食堂の前ではゆっくりが集まっていた。 「これは!!!!ひどいわ…」 「むししゃんだべちゃかったよおおお!!!!」 「まりさのだいすきなきのこがあああああ!!!」 「だいこんさんがああ!!!たべだがっだよおおお!!!!」 食糧は半分ほどが焼焦げていた。実は虐待お兄ちゃんがゆっくりが食事をしている時にこっそりと燃やしていたのだ。 「これじゃあ…ふゆこせないよお…」 「ゆっくりできないよお…」 「ゆえぇえぇええん!!!!」 「おきゃあしゃんおにゃかしゅいちゃよお!!!!」 「と…とりあえずみんなごはんにしましょう…いつもよりすくないけど…」 ゆっくり達に食事が与えられた。いつもの半分も無い。 「「「「むーしゃむーしゃ…」」」」 「「「むーちゃむーちゃ…」」」 いつもだったらしあわせー♪な食事も今は悲しくて悔しくて辛くて味がしなかった。 「「ゆえぇええぇええん!!!!!」」 「「ぐやじいよおおお!!!!!」」 「「みゃみゃあ!!!!ゆっぐりできにゃいよおお!!!!」」 「「おいじぐないよおお!!!!みんなどいっしょにたべだいよおお!!!」」 「「あがじゃああん…いっしょにごはんたべだいよおお!!!!」」 洞窟内はゆっくりの涙声でいっぱいだった。 「ゆっぐ……もう…がまんできないよ!!」 「そうだよ!!ぜったいじがえじじでやるうう!!!」 「ごろじでやるううう!!!!じじいとばばあをごろじでええええ!!!!」 いつしか涙声は怒号に変わっていた。 そして1匹のれいむが叫んだ。 「ゆ!そうだよ、ぱちゅりーがいってたよ!!!こまったことがあったらおひさまがしずむところにいるどすにたすけてもらえって」 「そ…そうだよ!どすがいればにんげんにふくしゅうできるよ!」 ゆっくり達に希望の火が灯った。 「いこう!みんなでどすのところに!」 「で…でもおそとはさむいよ…それにいりぐちが…」 「ゆ…ゆぅ…」 「で…でも…そうしないと…」 「きめたよ!まりさはどすのところにいくよ!!」 「れいむもいくよ!このままじゃくやしいもん!」 「まりさ、いいことをおもいついたんだぜ!」 まりさは巣穴の中に入り白い綿を持ってきた。 「まりさ!それはあなたのたいせつな!!」 「そうだぜ!たいせつなもこもこさんなんだぜ!!」 「これをどうするの?」 「もこもこさんをきればあったかいんだぜ!これならおそとにでてもだいじょうぶなんだぜ!!」 「もこもこさんだったら…れいむのところにもあるよ!!もってくるね!」 「ちぇんももってるよ!ちょっとまっててほしいんだねー」 何匹かが巣から綿や藁など寒さを防ぐために持っていたものを持ってきた。 「これだけじゃ…みんなのぶんはないわね」 「ゆううう…」 「むきゅ、だったらだいひょうしゃがどすのところにたすけをよびにいってのこりはここでまってるというのがいいわ」 「どすをつれてくればいいんだね。わかるよー」 群の中で足が速くまた体力があるゆっくりが選抜された。 「あとは…いりぐちだね」 「どうしたらいいの…」 「むきゅ!みんなよくきいて、ゆきさんはおみずさんがかたまったものなのよ」 「ゆ!じゃあのめばいいんだね」 「みんなでかきわければいいんだよ!れいむさっそくいってくるよ!」 多くのゆっくりが入り口へ向かった。 「ゆんしょ!ゆんしょ!」 「ゆぴいいい!!つべたあいい!!!」 「むーしゃむーしゃ…」 「ぺっぺっぺっぺ!!!」 ゆっくりは雪をどかし始めた。 「みんなでがんばればどかせるよ!!」 「がんばるよ!!ぜったいみんなでゆっくりするよ!!」 「「「「「えいえいゆー!!!!」」」」」 ゆっくりは夜を徹して入り口を塞いでいる雪山を崩す作業を続けた。 つづく by 虐待おにいちゃん
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2767.html
過去に読ませていただいたSSから設定をいただいています。 罪のないゆっくりが酷い目に遭います。 今世の中では、胎生型妊娠をしたゆっくりの胎児を食すのがブームになっている。 生まれたばかりの赤ゆっくりも美味だが、母体の中でゆっくりしている胎児ゆっくりは 濃厚な甘さをもち、味わい深く極上の味であることが判明したためだ。 下手に調理せずそのまま生で食べるのが一番美味しいとされている。 そのため胎児ゆっくりの食べ方は概ね以下のようになる。 胎生型にんっしんしたゆっくりの産道をこじ開け、 まだ完全に形成されきっていない胎児ゆっくりを取り出し 母ゆっくりに見せつけるようにそのまま食すのだ。 食べ終わったらたらすぐに交尾させ、またにんっしんさせる。 そうすると、絶望を味わい味の良くなった母ゆっくりの餡を受け継ぐのか 胎児の味が前よりも良くなる。繰り返すほどに味が良くなっていく。 今俺の目の前には胎生型にんっしんをしたれいむがいる。 今まで胎児ゆっくりを食べたことがなかった俺が数日前に買ってきた物だ。 逃げ出せないように底面を焼かれ、ついでに妊娠済みの状態で売っていた。 ある程度は自分でエサを与えて成長させてやらないといけない。 一応食用なので生ゴミではなく、料理の時に出るくず野菜を与えていた。 この母れいむは今回が初めてのにんっしんらしい。 子を持つのが夢だったのか浮かれまくっており、 「ゆふーん、もうすぐれいむはお母さんになれるよ!」 「ゆー♪ゆー♪れいむの赤ちゃんたち、はやくゆっくりうまれてきてねー♪」 などとこれから何をされるかも知らず、うれしさのあまり歌い出している。 腹も減ったしそろそろいただくか。 「おにいさん、かわいいれいむのあかちゃんのためにもっとご飯をちょうだいね!」 もちろんさ、次の子が出来たらまたたくさんご飯をあげるよ。 そう心の中で返答しつつ、れいむの産道をまさぐる。 「ゆ!?なにするの?やめてね!」 「やべで!やべでね!! あかちゃんはもっとゆっくりしなきゃいけないんだよ!!!」」 「いだいーーーー!!!ゆぎゃああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」 産道をスプーンでこじ開け中の胎児ゆっくりを探す。 少し進んだところでスプーンの先がそれ以上奥に行かなくなる。 中がよく見えるようにスプーンを持っているのとは逆の手を突っ込み 5本の指を使ってさらに産道を広げる。 「あ”ぐぁぎゃぁああああーーーーー!!!!!」 言葉にならない言葉で母れいむが絶叫するが無視して中をのぞき込む。 いた! 母体の中で粘液に包まれた胎児が2匹。 紅白のリボンと黒い帽子が見えるのでれいむ種とまりさ種だろう。 まずはれいむ種の方から取り出すことにする。 崩さないように気をつけながらスプーンをさらに奥の方に差し入れる。 そしてゆっくりと手前のほうに引き寄せていき取り出した。 胎生型のにんっしんなので、赤ゆっくりといえども大きめのミカンぐらいの大きさはある 胎児れいむは目を閉じており眠っているかのようだ。 意識をもつまでに至っていないのだろう。 皮も完全には形成されておらず、中の餡が透けて見える。 胎児まりさの方は後で取り出すことにして、とりあえずこの胎児れいむから食べよう。 「ゆ”ぐぅ、、、、、、ゆぐ、、、、、、ゆっ!!あかちゃん!?」 母れいむが胎児れいむに気づいたようだ。 「ゆぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!れいむのあかちゃんだよぉぉぉぉーー!!!」 今し方異常な出産をしたことを忘れているのか、 初めての赤ん坊を目の前にして冷静さを失ったのか まるで普通に生まれたかのような笑顔になる 「れいむのかわいい赤ちゃん!ゆっくりしていってね!!!」 そしてにこやかに我が子に最初の挨拶をする母れいむ。 しかし当然返事はない。 「・・・・・・・・・」 「あかちゃん???ゆっくりしていってね!!!」 「・・・・・・・・・」 「どうしたの?あかちゃん????」 母れいむの反応を見てみたくなったので現実を突きつけてみる。 「どうしたもこうしたも、どう見ても未熟児です。本当にありがとうございました。」 「今引きずり出したじゃないか!このスプーンで」 「ゆゆ!、、、、ゆぅぅぅぅぅ!!!!!」 スプーンを見て思い出したのか、先ほどまでの笑顔から一変し絶望と悲しみに満ちた顔になる。 「どぼじでごんなごどずるのぉぉぉぉぉぉぉ」 「あがじゃんをゆっぐりざせてあげでぇぇぇぇぇぇぇ」 「いただきまーす」 無視してぱくっと胎児れいむにかじりつく。 かじりついたとき、わずかに胎児れいむの体がピクッと反応した。 「う、これはうまい!!」 今までに食った饅頭やゆっくりなど比較にならなかった。 「うっめ!めっちゃうっめ!これ!」 「ぱねぇ、マジぱねぇ」 思わずゆっくり語になるほど旨い。 「ゆ”ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!あがじゃんーーーーーー!!!!!!!」 動けない母れいむがすごい形相で睨み付けてくる。 「じね!!くそじじぃは、ゆ”っぐりじねぇぇぇぇ!!」 「じねっ!じねっ!じねぇ!!じねぇぇぇぇぇ!!!!!」 「れいむのかわいいあがじゃんをゆっぐりじないでがえぜ!!!」 「ぞしだらゆ”っぐりじないでじねぇぇ!!!」 「あーおいしかった」 俺はあっというまに食い終わってしまった。 生まれてくるはずだった初めての我が子を目の前で取り出されて食われ呆然とする母れいむ 「れいぶのあがじゃん、、、あがじゃんがぁ、、、ゆ”、、、ゆ”ぐっ、、、」 「さて、まりさがまだ残っていたな」 のこりの胎児をいただこうと母れいむに手を伸ばすと とたんに母れいむは怯え出した。 さすがに何をされるか察したようだ。 「やべでぇぇぇぇっ!!!!!」 「ゆがあぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!だずげでぇぇ!!!だずげでぇぇ!!!!!!」 構わず先ほどと同じように今度は胎児まりさを取り出す。 「とれた♪とれた♪」 「ゆ”、、、、ゆ”、、、、」 わずかにうめき声らしき物を上げている胎児まりさ。 こっちは胎児れいむよりも成長が進んでいたようだ。 「ほれ、なんか言ってるぞお前の赤ちゃん。」 「生きてるねーーー、生命の神秘だねーーー」 「あ”、、、あ”、、、あがじゃんーーーーー!!!!」 「うまそうだねーー」 「ゆぎゃああああっぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!」 「おねがいぢまず!!!!そのごだげはだずげであげで!!!!!」 「だずげで!!だずげでよぉ!!!」 「かわりにわだぢをだべでいいがら!!!!!そのごだけは!!!!!」 「おねがいぢまず!!!おねがいぢまず!!!おねがいぢまず!!!おねがいぢまず!!!」 「おねがいぢまず!!!おねがいぢまず!!!おねがいぢまず!!!おねがいぢまず!!!」 「おねがいぢまず!!!おねがいぢまず!!!おねがいぢまず!!!おねがいぢまず!!!」 「やだ♪」 一口かじると、胎児まりさはビクビクと反応する。 さきほどの胎児れいむよりも反応が大きい。 かじる ビクッ かじる ビグビグッ 舌を差し込んでグリグリする。 ビグビグビグビグっっ これは、、、正直病みつきになりそうだ。 胎児れいむのほうが餡子が滑らで、とろけるような味だったが、 より成長がすすんだ胎児まりさには独特の食感があった。 胎児まりさの反応を楽しみながら夢中で食べ続ける。 最後にビビビビクッと断末魔代わりの痙攣をすると胎児まりさは動かなくなった。 残りの胎児まりさを口に放りこむ。 「ごちそうさまでした」 元母れいむに向かい手を合わせながら、ごちそうさまをする。 「なんでっ!!!なんでっ、、、、、」 涙を流しながら初めての子供の死を悲しんでいる母れいむ。 いっしょにゆっくりするはずだったあかちゃん。 「しゅーり、しゅーり」って言いながら頬を摺り合わせてくれるはずだったあかちゃん。 口移しで食べ物をあげて「むーちゃ、むーちゃ」するはずだったあかちゃん。 楽しみにしていたあかちゃんとの日常が、あかちゃんの笑顔が、、、 今は目の前にいる人間の腹の中だ。 元母れいむはもう何もする気力がないのか、うつむいてブツブツと何かつぶやいている。 とりあえず腹がふくれたが、俺はすっかり胎児ゆっくりの味と食感に嵌ってしまった。 「よし、詰め替え用を買ってこよう」 このれいむはあらかじめにんっしん済みの状態で売られていたが、 店には詰め替え用と称して妊娠用の精子餡や精子カスタードなどが売られていた。 店員にはありす種の精子カスタードを薦められた。 母体がれいむ種なので生まれてくる子供の中身も餡子とカスタードの2種になり 味のバリエーションが増えるからだ。 「そういえばレイパー化したありす種から抽出した強力精子カスタードも売られていたな、、、」 なんでも通常の精子カスタードよりもにんっしんさせやすく、かつ成長が早いらしい。 その代わり孕む子供は殆どがありす種になってしまうという欠点がある。 しかし俺はカスタードクリームが好物なのだった。 ちょうどいい、明日にでも買ってこよう。 母れいむの絶望と苦痛は当分終わりそうにない。 あとがき 今回初めてSSというものを書きました。 ゆっくりどころか、物語を書く事自体初めてですので 色々と至らない点があると思います。 実は当初SSではなく、小ネタを虐スレに投下するだけの予定でした。 孵化しかけの卵を食う料理がありますが、 胎児や妊婦ゆっくりに対する虐待が大好きなので あれのゆっくり版が見たいなぁと思い、 誰か書いてくれないかなーと他力本願な心構えだったのですが、 イメージを伝えやすくするために、例文的なものを書いていたら いつのまにかスレに書き込むにはかったるい量になっていました。 これで胎児や妊婦のゆっくりに対する虐待が増えてくれれば幸いです。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/365.html
日差しの強い夏のある日 俺は家で団扇を扇ぎながら冷やしたお茶を飲んでいた こんな暑い日は冷たいものを飲むに限る 「・・・ごくすずし・・・!」 「ゆ・・・りでき・・・ね!」 ふと外を見ると家の近くにある木の下にゆっくりがいた れいむ種とまりさ種の二匹、どうやら木陰に涼みにきたようだ 二匹とも木に寄りかかりゆっくりしている ゆっくりは夏の日差しに弱い、あまり長く日光を浴び出ると中の餡子の水分が蒸発して死んでしまう ゆえにゆっくりは夏はよく水を飲み、長時間日差しを浴びるような行動を避ける ちなみにこの時期は川で死ぬゆっくりが急増するらしい まあ、それは置いておいて、良いいじめの方法を思いついたので早速ゆっくりのところにいった 「やあ、ゆっくりしていってね!」 「「ゆっくりしていってね!」」 「おじさんなにかようなの?まりさたちはゆっくりしてるんだからじゃましないでね!」 「いやあね、今日は暑いからこの木の下でゆっくりしようと思ってね」 「ゆ!ここはれいむたちのひしょちだよ!にんげんはここでゆっくりしないでね!」 「ひどいなぁ、君たちに美味しいものあげるから、邪険にしないでおくれよ」 「ゆっ!おいしいものはやくちょうだい!」 袋に詰めた腐りかけのクズ野菜を切ったものをゆっくりたちに与える この時期のゆっくりは乾燥した食べ物よりも水分の多い食べ物を好んで食べる・・・らしい 二匹のゆっくりはそれに飛びつく 「「むーしゃ、むーしゃ」」 「「しあわせ~!!」」 なにがむーしゃむーしゃだなんで擬音っぽいものを喋りながら食べるんだよ意味ワカラン 今日みたいな暑い日はよけいにムカつく 「おじさんおいしかったよ!」 「もっとおいしいものちょうだい!これじゃぜんぜんたりないよ!」 「「そうしたらここでゆっくりさせてあげるよ!」」 「・・・じゃあおじさんのおうちにいこうか、そうすれば今の美味しいものが沢山食べられるよ」 常套句でゆっくりたちを誘い出す、9割は誘いに乗る 「おじさんはやくあんないしてね!!」 「れいむたちはたんきなんだよ!!はやくおじさんのおうちにつれていってね!!」 「はっはっはっ、じゃあいこうか」 「ゆっ!ここがおじさんのおうち?」 「そうだよ、ここがおじさんのおうちだよ」 「じゃあ、はやくおいしいものもってきてね!あつかったからゆっくりしたいよ!」 「ちょっとまってね、二匹ともこの箱の中に入ってくれるかい?」 そういって差し出したのはご存知透明箱×2 「ゆっ!?なんでこのなかにはいらなくちゃいけないの!?」 「おじさん!まりさたちをゆっくりできなくするつもりなんでしょ!!」 「おお、鋭いね、でもいまさら気づいても遅いんだよね、これが」 二匹を掴み箱に押し込む すばやくロック! 「ゆっ!おじさんひどいよ!ここからだしてね!」 「だせーっ!ここからゆっくりだせーっ!」 「我慢してね、いまからすっごくゆっくりさせてあげるよ」 外に出て砂利が敷き詰めてある庭の真ん中にゆっくりを詰めた箱を置く 日光を遮るものは何一つ存在しない 「じゃあ、二匹ともここで思う存分ゆっくりしてね!」 「あ、あづいよ!おひさまのあたらないところにもっでいっでね!!」 「ひざしがつよいよ!!こんなどこじゃゆっぐりでぎないーっ!!」 「そうかなぁ、おじさんはとってもゆっくりしてるよ!」 「「あづいよ”-!!!」」 「じゃあおじさんはおうちの中でゆっくりしてるからね!遠慮しないで暖かいお日様に当たりながらゆっくりしていってね!」 「お、おじざんまっでー!!」 「だじでぇぇぇ!!!」 太陽は今、丁度頭上に来ている じりじりと照りつける日光にいつまで耐えられるかねぇ 「「あぢゅいよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!!!」」 「まりざぁぁ!!だずげでえええ!!ごのままじゃしんじゃうぅぅ!!!」 「れいむ”ぅぅ!!だべだよ!!ごのはごあがないよ!!!」 「ああああ!!ひがらびちゃうよぉぉぉ!!おがあざーん!!だずげでよー!!」 「だれかだずげでええ!!!まりざだぢをだずげでええぇぇ!!」 いい声で鳴くなぁ、胸がスッとする 最高の清涼剤だ 俺は横になって悲鳴を聞きながら昼寝を始めた 幻想郷の夕日はとても綺麗だ 空はどこまでも赤く染まっている そういえば、ゆっくりたちの悲鳴が聞こえなくなったな まさかもう死んだか? 「お”、お”びず・・・」 「ゆ”っぐりじだい・・・」 おお、まだ生きてた 「お、おじざん”・・・おねがいじまず!おびずぐだざい”!」 「ゆっぐり・・・おびず・・・ゆっぐり・・・でぎない”・・・」 随分干乾びてる このまま死なれてもつまらんので箱の中にたらいでもってきた水を入れてやると、勢いよく飲み始める 「・・・!う”め”!おびずめっち”ゃ”うめ!!」 「おびず・・・!おびぃずぅぅ!!」 「ゆっくり飲んでね!」 「ゆっくりいぎがえるよ”ーっ!」 「すっぎりぃぃー!」 そのまま水の流し込み続ける 飲みきれないので箱の中に水が溜まる 「・・・!おじざんみずおおすぎるよ”!もうじゅうぶんだよ!」 「ゆっく”りやべでえええ!!みずのみぎれない”ぃぃ!!」 「早く箱の中の水を飲みきらないと、ふやけて死んじゃうよ?ゆっくり早く飲みきってね!」 再び窮地に陥る二匹 先ほどはほしくて仕方が無かった水が今度は自分たちの脅威となっている 「「んぐ!んぐ!」」 ひたすら水を飲むゆっくり 自分たちの体積以上の水を飲み干した 毎度思うが、いったいどうなってるんだこいつら・・・ 「おじざん!もうまりざだぢはおうぢにがえるよ!」 「はやぐここからだじでね!ゆっくりがえるよ!」 「駄目だよ!二人には死ぬまでおじさんのおうちでゆっくりしていってもらうからね!」 「「ぞんな”あああ!!」」 「だ、だじでぐれないなら!せめてたべものちょうだいね!れいむたちおひるからなにもたべてないんだよ!」 「そういえばそうだよ”!おじざんおいしいたべものをちょうだいね!」 「残念だけどおじさんのおうちには君たちにあげる食べ物は何も無いよ!」 「ゆ”っ!じゃあどうずればいいの”!」 「そこでゆっくり餓死してね!」 「なんでえぇぇ!!ゆっぐり”じにだぐないよおぉぉ!!」 「おじざん!れいむだぢあやまるからゆるじでよ!!」 「謝るって言われてもなあ、二人は何も悪いことしてないでしょ?」 「そうだよ!まりさだぢなにもわるいごどじでないのに”ひどいこどずる”おじざんはゆっぐりじね!」 「おじざんどうじだらだじでぐれるのおおおお!!」 「死んだら外に出してあげるよ」 「「う”あ”あ”あ”あ”あ”あ”」」 二匹のゆっくりはその後も庭の真ん中に置かれっぱなしだ 「あぢゅいよおおおお!!!」 「だれがだずげでええええ!!!」 よりによって連日快晴が続いた 日が落ちるとおじさんがやってきて大量の水を与えられる 「ごんなにおびずい”らな”いよ!がぼがぼ・・・」 「ごんなにのべないぃぃぃ・・・んぐんぐ・・・」 しかし食事は一切与えられなかったため二匹は日に日に衰弱していった 地獄は五日目で終わった ゆっくりまりさはカンカンと照る日差しに耐えられず干からびて死んだ ゆっくりれいむは生きていたが目は虚ろでまりさの死に気づいていないようだった その後に与えられた水を飲みきれずふやけて死んだ ゆっくりさせられた結果がこれだよ! このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2892.html
その5より 「おおおにいさん!! きょきょきょうは、れれれいむをぎゃくたいしてね!!!」 翌日、れいむは男の足音が聞こえてくるや、男の言葉を待たずして、精一杯の声でそう叫んだ。 そうでもしないと、奮い起した勇気がいつ萎んでしまうか分からないからだ。 現に、今のれいむは朝から一度も震えが止まらなかった。 しかし、言ってしまった以上、後戻りはできない。する気もない。 自分の存在意義がかかっているのだから。 「ほう、ようやくお前の出番が来たか。待ちくたびれたよ」 男はさも嬉しそうに、扉越しに声をかける。 対して、まりさとありすは、何を馬鹿な事を!! と言わんような口調で、れいむに詰め寄ってくる。 「れいむ!! なにをいってるの!! ゆっくりばかなことはいわないでね!!」 「そうよ、れいむ!! れいむがぎゃくたいされることはないわ!! ここは、まりさととかいはのありすに、まかせておけばいいのよ!!」 まりさもありすも、予想通り、れいむを止めにかかる。 しかし、ここで虐待を止められるわけにはいかないのだ。 まりさと対等になるためにも。 ありすより先に、まりさにプロポーズするためにも。 「まりさ、ありす、ゆっくりありがとう!! でもれいむはへいきだよ!! きょうは、ゆっくりしていってね!!」 「ゆぅぅ!! うそつかないでね、れいむ!! こえがふるえてたよ!! れいむがいじめられることなんてないんだよ!! きょうはまりさにまかせてね!!」 「もうきめたんだよ、まりさ!! それに、いつまでもまりさとありすにたよってばっかりじゃいられないよ!! ゆっくりりかいしてね!!」 「れいむこそゆっくりりかいしてね!! れいむがいじめられること、ないんだってば!!」 「なんといわれても、れいむのかんがえはかわらないよ!! おにいさん!! ゆっくりはやく、れいむをつれていってね!!」 埒が明かないと感じたれいむは、さっさと男に連れて行けと要求する。 いつまでもまりさやありすと話をしていると、せっかく奮い立たせた勇気が萎えてしまいそうになるのだ。 そのため、多少強引ではあったが、れいむは二匹との会話を切り上げた。 「ふふ、久しぶりに、れいむを苛め倒すことが出来るよ。楽しみで仕方がないぜ」 男はれいむの部屋の鍵を開けると、扉を開けた。 その手には、一月ぶりに見る、恒例の箱が収められている。 この部屋と虐待部屋を行き来するのに、かつて男が使っていたものだ。 れいむはそれを見るや、体が委縮してしまう。これから虐待をされるのだと、否応なしに思い知らされるのである。 「さあ、れいむ。この箱の中に入れ」 男が木箱の蓋を開けて、命令してくる。 両壁からは、突然まりさとありすの声が聞こえなくなった。 何を言っても無駄だと気づいたのだろうか? それはそれで好都合だが、いざ声が聞こえてこないと不安になってくるのも事実だ。 生物(?)の心理とは、本当に不思議なものである。 れいむが完全に入ったことを確認した男は、木箱の蓋を閉める。 そして、れいむに一言言葉をかけた。 「お前だけは、利口なゆっくりだと思っていたのに、どうやら俺の見込み違いだったようだな」 利口なゆっくり。 この場合、頭がいいという意味ではなく、卑怯・狡猾という意味であろう。 二匹に虐待を任せ、一匹気楽に過ごしていたれいむに対する皮肉であろうか? 何とでも言うがいいと、れいむは心の中で反発した。 男は知らない。 虐待されることこそが、れいむの望みであることを。 これこそが、自分がこれから生き残る上での最善の方法であることを。 虐待されることは、すなわち将来への布石なのだといういことを。 自分が勝者だとおもっているであろう男は、れいむから見たら自分に従って動くピエロのようなものであった。 男の規則正しい足音が聞こえ始めた。移動を開始したのだろう。 これから一か月ぶりに、れいむは虐待を受ける。 れいむは、再度耐えしのぐ決意を固めた。 およそ一月ぶりに受けた虐待は、予想通り、死んだ方がマシといえるほど苦しいものであった。 それでもれいむは必死に歯を食いしばり、男の責苦に耐え続けた。 悪魔の拷問ような一時間が過ぎた時、れいむはあまりの激痛に意識を手放してしまった。 それでも男はきっちり時間どおり終えて、部屋に戻してくれた。 れいむが目を覚ましたのは、翌日の朝方であった。 虐待を受けてから、丸々20時間近く眠っていたことになる。 昔は虐待を受けても、ここまで長く休息を取ったことはなかった。 やはり、久しぶりの虐待に、体が付いてこなかったのだろう。 れいむは起き上がると、未だ痛みの引かない体を引きずりながら、ドッグフードと水の置かれている部屋の隅に向かい、もそもそと食べ始めた。 まりさとありすはまだ寝ているのか、物音一つ聞こえなかった。 少し残念ではあるが、れいむももうひと眠りしたいので、好都合でもあった。 何しろ、れいむは今日も男の虐待を受けるつもりなのだから!! まりさやありすに言えば、絶対に反対されるだろう。昨日の様子を見て入れば、考えるまでもない。 しかし、虐待を一回受けた程度でまりさと対等になったなどというおこがましいことは、さすがにれいむも考えていなかった。 まりさの受けた回数と同じとまではいかなくとも、少なくとも一週間分くらいは虐待を受けなくては、まりさと同じ位置に並べない。 だからと言って、ありすがいつまりさに告白するか分からない以上、三匹で順番に虐待されるなんて、悠長なことは言っていられない。 ほんの一月前までは、毎日のように虐待をされ続けてきたのだ。 それでも、れいむは生きている。悔しいが男の加減は、それだけ正確なのだろう。 これで障害が残ったりするなら考え物だが、そんなこともない以上、れいむは今日も明日も明後日も虐待してもらわなければならない。 そのためには、まず体力を回復させることが、何をおいても重要である。 れいむは食べ終わると、再び男がやってくるまで、眠りについた。 「れいむ!! いいかげんにやすんでよ!!」 「そうよ、れいむ!! これいじょうむりはやめてね!!」 れいむが虐待される決意をしてから、一週間が経過した。 まりさとありすは、2〜3日はれいむを説得し続けたが、れいむが以前のありすのように意志を曲げないと分かると、次第にれいむの心意気をくんでくれるようになった。 しかし、それでいて二匹のこのセリフ。れいむを行かせまいと必死で止めている。 納得したというのに、二匹がれいむを止める理由。 それは、れいむがこれで一週間連続で虐待をされ続けているためである。 どんなに止められようと、れいむは虐待され続けた。 男もそんなれいむの狂気じみた様子に、何か思うところがあったのだろうか? れいむの言い分を聞いて、毎日虐待をし続けてくれた。 しかし、虐待を受けているというのに、れいむは嬉しかった。 自分の思い通りに事が運んでいることに満足していた。 れいむにどんなにやる気があろうと、目下最大の懸念は、男がれいむを指名してくれるかというものであった。 如何に自分から名乗り出ようと、れいむを心配するまりさとありすも必ず名乗りを上げてくる。 心配してくれるのは嬉しいのだが、この時ばかりは、二匹のお節介も鬱陶しいと思わざるを得なかった。 気分屋の男だ、その日の気分次第ではれいむを虐待してくれないかもしれない。まりさやありすを選ぶかもしれない。 しかし、れいむには時間がないのだ。最短でまりさと対等にならなければならないのだ。 それを男は見据えているかのように、れいむを虐待してくれる。 れいむは、すんなりと事が運ぶことに満足し、今日も虐待の痛みに必死で耐えた。 虐待が終わり、れいむは部屋に戻された。 いつもなら食事をしてすぐに寝付くのだが、今日のれいむは中々寝られなかった。 嬉しかったのだ。 れいむの目安としていた一週間が終わったのだ。 これでやっとまりさとありすに、負い目を感じることはなくなる。 まりさと同じ高さに立てる。 そう考えると、ついついニヤケ面になってしまい、体の痛みも忘れてしまいそうになる。 そんなれいむに、両隣から声が掛って来た。 「れいむ!! だいじょうぶなの!?」 ありすの声である。 余程心配だったのだろう。 れいむの企みを知らぬありすは、必死にれいむの名を呼び続けてくる。 「れいむ!! あしたはぜったいにまりさがぎゃくたいされるからね!! これいじょう、れいむがいくんだったら、ぜっこうだよ!!」 まりさの言葉。 絶交とは、温和なまりさがよく口にしてきたものである。 危なかった。ノルマが達成した後で助かったものだ。 まりさと一緒になるために頑張っていたのに、そのまりさに嫌われてしまっては、本末転倒である。 「ゆっ……わかったよ、まりさ……あしたは……まりさにまかせる…ね……」 「ゆっ!?」 今まで頑として、まりさの言葉に耳を傾けなかったれいむが、いきなり素直になったのを受け、まりさは言葉を詰まらせた。 しかし、れいむの言葉はまりさにとっても、嬉しかったのだろう。 久しぶりに、まりさの声が落ち着きを取り戻した。 「ゆうぅ!! やっとれいむが、まりさのいうことをきいてくれたよ!!」 「ごめんね……まりさ………しんぱいばっかり……かけて」 「まったくだよ!! ゆっくりはんせいしてね!!」 「ゆっくり……はんせいするよ……」 「れいむ!! あしたはまりさだけど、そのつぎはありすがいくからね!!」 「ゆっ……ゆっくり…りかいしたよ……ありす……がんばってね……」 「まったく、しょうがないわね!! あとはとかいはにまかせなさい!!」 「おねがいね、ありす……でも……そのつぎは………またれいむがいく……からね」 「なにいってるの、れいむ!! れいむはしばらくおやすみよ!!」 「そうだよ、れいむ!! あとは、まりさとありすにまかせてね!!」 「だめだよ……れいむだって……まりさとありすの……やくにたちたいよ……ゆっくりなかまはずれは……やめてね」 「ゆぅぅ……やっぱりれいむはいじっぱりだよ!!」 まりさは最後に困ったような言葉を吐きながらも、最終的にはそれを認めてくれた。 元々、れいむが虐待をされることに反対だったわけではなく、れいむの行き過ぎる行いに対して苦言を呈していたのである。 れいむがしっかりと順番を守ってくれるのなら、まりさはれいむの意志を尊重してくれるつもりなのだ。 やはり、まりさは最高のゆっくりである。 この一週間、地獄の苦しみに耐えたかいがあったというものだ。 これで、準備は整った。 後はありすより先に、まりさに告白をするだけ。 しかし、物事にはタイミングというものがある。 少しでも確率を上げるためにも、その時に告白するのがベストだろう。 あの呑気でお人よしのれいむは、この時もうすでに存在していなかった。 世の物事すべてを損得の計算で考えられるように変わってしまったのである。変わらざるを得なかったのである。 それだけこの異常な空間が、れいむを変えてしまったのである。 しかし、れいむは自分が変わってしまったことに気付きもしない。いや、例え気づいていても、どうも思わないだろう。 すでに賽は投げられたのだ。 もう振り直しは出来ない。どの目が出ようと、突き進無以外道はない。 れいむは、そのまま少しの間二匹とお喋りをし、その後すぐに意識は深い深い海の底に落ちていった。 自分の成功を信じながら。 れいむの無茶苦茶な一週間が終わり、まりさとありすを含めて、三匹でサイクルを組んで虐待される日々が始まった。 すでにまりさ→ありす→れいむと一回り虐待は終了しており、今日はサイクルが始まってから、れいむが二回目の虐待を受ける日であった。 それと同時に、れいむが例の作戦を実行に移し出すと決意した日でもあった。 今日、男の虐待から戻ってきたら、まりさに告白しよう。 れいむはそう決めていた。 そのタイミングを選んだ理由はいくつかある。 一つ目は、虐待帰りだということである。 普通に告白をするより、虐待を受け心身ともに疲れている方が、まりさの気を買えるだろうという、れいむなりの考えである。 それなら、虐待一週間を終えたすぐの方がいいのではと思うかも知れないが、これについても、れいむなりに思うところがあった。 あの場で告白してしまったら、れいむの考えを見透かされる可能性があったからである。 見透かされるとは、虐待を受け続けた理由が、まりさに告白するためだとバレテしまうことを意味する。 そんなことを知られては、計算高いゆっくりだと、逆に引かれてしまいかねない。 しかし、数日置けば、さすがにそこに結びつけることはなくなるだろう。 二つ目は、あまり悠長に構えている時間もないということである。 作戦はただ告白するだけでなく、ありすより先にするというのが根幹の部分にある。 れいむも出来ることなら、もっと時間を置きたいのだ。 虐待のノルマを達成したといっても、それは所詮れいむだけが考えていることである。 まりさからすれば、れいむなんてまだまだ苦しんでないよと感じられるかもしれない。 だからこそ、今後もっと虐待を受け続けていけば、それだけまりさに近づくことが出来るのである。 しかし、悠長に構えていてありすに先を越されてはたまらない。 そういった様々な要素を考えまとめ、れいむは今日まりさに告白することを決意したのである。 男に虐待部屋に連れてこられ、今日も虐待が始まった。 その日れいむに怯えはなかった。 いざ告白を決意しても、ちゃんとまりさに伝えることが出来るか不安でいっぱいなのだ。 それに、ちゃんと告白できたとしても、まりさがれいむの告白を受けてくれるかどうかも分からない。 その気持ちが、虐待の不安を押し退けてしまったのである。 体が虐待に慣れてきたことや、虐待内容が以前行われた事の繰り返しであるということも、れいむにあまり不安を与えない要因となったのだろう。 れいむは、虐待の痛さに必死で耐えながらも、頭の中では今後のことばかりを考えていた。 虐待は終了し、れいむは部屋に帰された。 いよいよ告白の開始である。 痛さと疲れはあるものの、ゆっくりのくせにアドレナリンでも出ているのか、れいむはそれをほとんど感じなかった。 ゆっくりは思い込みの生物であるという学説がある。 思考のすべてを今後のプロポーズに費やしたれいむは、自分が痛いということを忘れてしまい、それが体にも影響しているのかもしれない。 ある意味羨ましい体である。 と、れいむがどういうふうに切り出すか悩んでいると、当のまりさの方かられいむに声をかけてきた。 「れいむ!! ゆっくりだいじょうぶだった?」 「ゆぅ!! ゆっくりだいじょうぶだよ!! ぜんぜんへっちゃらだよ!!」 いつも通りのやり取りであるが、れいむは言葉にしてからしまったと思った。 虐待後を狙ったのは、苦しみながらも告白することで、まりさの気を最大限引き寄せる効果を狙ってのつもりだったのに、うっかりと普通に話をしてしまった。 考えに夢中で痛さを感じないのも良しあしである。 こうなったら作戦実行日を変えるか? いや、やはりそれは出来ない。 ありすがいつ告白してくるか分からないのだ。あまり時間はかけたくない。 それに、せっかく今日に計画を合わせてきたのだ。 れいむは気持ちの面でも最高潮に達している。今なら、れいむの有りっ丈の気持ちをまりさに伝えきることが出来る。 れいむは、無駄な事を考えることは止めた。 最初から出鼻を挫かれたのだ。もう怖いものなどありはしない。当たって砕けろ!! いや、砕けたくはないけど、そんな意気込みで言え!! 本心をまりさにぶつけることにした。 「まりさっ!!」 「ゆっ!? なあに、れいむ?」 「れいむは、まりさがだいすきだよ!! まりさのことを、ゆっくりあいしているよ!! れいむといつまでもゆっくりしていってね!!!!」 「!!!」 言った!! 言ってしまった!!! もう後には引けない。賽は投げられた。 れいむの愛の告白に、まりさは何も返事を返してくれなかった。 しかし、一瞬、言葉に詰まった様子を見せた。相当驚いているのだろう。 こんな場合だというのに、告白なんてしてくるんだ。無理もない。 れいむは緊張で、喉(?)が乾いて仕方がなかった。 一刻も早く、水を飲みたい。 しかし、まりさの返事を聞くまでは、なんとか我慢するつもりだった。 壁越しの告白のため、姿は見えないのだが、水を飲んでしまったらまりさに振られる気がしたのだ。 様は願掛け、気分の問題である。 30秒が過ぎ、一分が経過しても、まりさは一向に口を開かなかった。 さすがにれいむも焦りだした。 やはり、まりさはれいむのことを好きじゃないのか? れいむじゃ、まりさには釣り合わないのか? 様々な感情が去来する。 しかし、ようやくまりさが口を開いて来た。 考えが纏まったのだろう。 「れいむ……れいむのきもちはうれしいよ」 「ゆっ……」 「まりさもれいむがだいすきだよ……」 「ゆゆっ!!」 「……」 そう言って、まりさは再び沈黙してしまう。 大好きだよ。 愛の告白をして大好きを言われたのだから、普通に考えれば、れいむの気持ちを受け止めたと考えていいのかもしれないが…… その後の間が嫌な気分にさせる。 なんとか傷つけないように断る手段を考えているような気分を感じさせる。 れいむは、やはり自分ではダメだったのかと弱気になった。 しかし、次の瞬間…… 「だから!! だから、まりさといっしょに、いつまでもゆっくりしていってね!!!」 …… ……… ………… れいむは唖然としてしまった。 もう十中八九、玉砕を覚悟していた。 それなのに、まりさはれいむの気持ちをしっかりと受け止めてくれた。 れいむは、ただただ感情を整理できず、言葉を詰まらせた。 「れいむ、どうしたの?」 何も話してこないれいむが気になったのだろう。言葉をはさんでくる そんなれいむの心情に気付かないのが、まりさらしいと言えばまりさらしい。 れいむは、とにかく何か話さなければ、言葉を掛けなければと、考えを纏め上げようとしたが…… 「ゆ……ゆゆ………ゆゆ……」 「ゆっ?」 「ゆ……ゆあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁあぁぁ――――――――――――んんんんんん!!!!!!!」 「れ、れいむ!! どうしたの!!」 一気に感情が爆発してしまった。 爆発は涙となって、れいむの目から止めどなく溢れてくる。 嬉しかった。まりさが自分を選んでくれたのが。 嬉しかった。あの虐待された日々が、無駄ではなかったことが。 嬉しかった。れいむにはっきりと居場所が出来たことが。 れいむは、今までの自分の行動を振り返り、延々と泣き続けた。 「れいむ、なきすぎだよ!!」 「ゆぅ……ゆっくりごめんね、まりさ!! でも、れいむ、すごくうれしかったんだよ!!」 「まりさもうれしかったよ!! れいむがすきといってくれて!!」 「まりさ!!」 「れいむ!!」 ようやくれいむは泣きやんだ。泣きやむまで、実に10分もの時間を費やしてしまった。 れいむは水が飲みたかったことも忘れ、まりさとの話に興じ始める。 「れいむ!! いまはできないけど、けっこんしきはここをでられたらゆっくりしようね!!」 「ゆぅ!! そうしようね!!」 「それから、れいむはまりさのおうちにゆっくりくるといいよ!!」 「ゆゆっ!? いいの!!」 「あたりまえだよ!! れいむのおうちはまだできていないんでしょ? それに、れいむはまりさのおよめさんだもん!! いっしょにくらすのは、ゆっくりあたりまえだよ!!」 「ありがとう、まりさ!!」 「まりさのおうちはおっきいよ!! にんげんさんのおうちみたいにおっきいから、ゆっくりたのしみにまっててね!!」 「ゆっ!! ゆっくりたのしみだよ!! ゆっくりはやく、まりさのおうちにいきたいよ!!」 「あと、おちついたら、はねゆーんにもいこうね!!」 「ゆっくりたのしみにしてるよ!!」 人間のお家と同じくらい大きいとは、まりさも大げさに出たものだ。 まあ、所謂物の例えだろう。 しかし、れいむは「うそつかないでね!!」なんて、無粋なセリフを吐くつもりはない。 まりさは、れいむを喜ばせるために言っているのだろう。れいむだって、そのくらい分かるつもりだ。 こんな幸せなひと時を、自分から壊す必要はない。 自分の居場所が出来たばかりか、出会ったときからずっと好きであったまりさと、これからは永遠にゆっくりすることが出来るのだ。 れいむの頭の中は、まりさとの会話でいっぱい幸せいっぱいで、何にも考えられなかった。 しかし、次にまりさが言った言葉が、れいむに重要なことを思い出させた。 「ありす!! ありすも、まりさとれいむを、ゆっくりしゅくふくしてね!!」 「!!!」 そう、作戦が完璧なほどに決まったことで浮かれまくってしまい、すっかりありすのことを忘れていたのである。 れいむはなんと言葉をかければいいか分からなかった。 そもそも勝者であるれいむが、敗者であるありすにかける言葉なんて、どれも陳腐に聞こえるだろう。 裏切ったれいむの言葉なんて、都合のいい言葉としか感じないだろう。 事実、れいむの心の中は、ありすへの優越感で満たされている。 何とか考えずにいようとしても、すぐに思考の中に入り込んできてしまう。 とても甘美な麻薬のようなものだ。 れいむの口から出る言葉も、自然とありすを見下すものになってしまうだろう。 しかし、ありすへの背信行為をしておきながらも、ありすとは親友でいたい。嫌われたくない。 これもまたれいむの本音だった。 それは、勝者だからこそ持ち得ることが出来る、自分に甘く都合のいい考えである。 ありすのことを全く考えてない、自己中心的な思考である。 しかし、例えそれが分かっていようと、れいむはありすとの友情も諦めきれなかった。 それだけありすのことが好きだったのだ。 ありすは、まりさの言葉に、なかなか返事を返さない。 一体、どんな心中でいるのだろう。 自分を裏切り、まりさを手に入れたれいむに、仕返しでも考えているのだろうか? それとも、まりを諦めきれず、虎視眈々とまりさを奪う算段でも整えているのだろうか? 何とかありすに言葉を掛けなければならない。 親友でいてもらうためにも。 れいむが、なんて声をかければいいのだろうと、頭を悩ませていると、ようやく当の本人から反応が返ってきた。 「おめでとう!! れいむ!! まりさ!!」 その言葉に、特に棘があったようには聞こえなかった。 いつものやさしさに満ちたありすの声に聞こえたきがする。 心から祝福しているような気がする。 「ゆっ!! ありがとう、ありす!!」 まりさが祝福を受け、感謝の意を示す。 「けっこんしきには、ぜったいにありすをよんでね!!」 「あたりまえだよ!! ゆっくりかならず、ありすをよぶよ!!」 「ゆっくりれいむをたいせつにしてね!!」 「ゆっくりやくそくするよ!! れいむをいつまでもかわいがるよ!!」 その後、まりさとのやり取りを終えると、ありすはれいむにも声をかけてきた。 「れいむ、おめでとう!! まりさとゆっくりしてね!!」 「ゆっ……ありがとう、ありす……」 「けっこんしても、ありすとはしんゆうでいてね!!」 「ゆぅぅ……」 ありすはれいむを祝福してくれた。 そればかりか、れいむに対して、親友でいてくれとまで言ってくる。 れいむは自分でありすを裏切っておきながら、ありすの寛大な態度に居たたまれなくなった。 それと同時に不審に思った。 ありすは悔しくないのだろうか? 悲しくないのだろうか? れいむがありすの立場なら、決して自分を許さないだろう。 なのに、ありすは祝福してくる。れいむが最も望んでいた言葉をかけてくる。 腑に落ちなかった。自分に都合がよすぎる。 昔のれいむなら、その言葉に何ら疑問を抱かなかっただろう。 しかし、今のれいむは、物事を計算で見るようになってしまっている。 ありすの言い分は、そんなれいむを納得させるには、あまりにも納得の出来ない言葉だった。 折角想いに想っていたまりさと一緒になることが出来たのだ。 なのに、つまらないことで将来への希望を壊されるようなことは、絶対にあってはならない。 本当にありすは自分たちを祝福してくれているのか? 何か不穏当な考えを持っているのではないか? もしありすが何らかの手で自分を陥れようとしているのなら、何が何でも防がなくてはならない。 例え、今後ありすとの友情が壊れようと。 れいむは、ありすの真意を測ることにした。 一夜明けた翌日、今日はまりさが虐待される日である。 男はまりさを虐待部屋へと連れていった。 今がありすと話す絶好の機会である。 れいむは、ありすのいる壁際の方に行くと、真意を質すべく、核心をぶつけた。 「ありす、おきてる?」 「ええ、ゆっくりおきてるわ!!」 「ありす!! れいむ、ききたいことがあるよ!!」 「なにかしら?」 「きのうのことだよ!! ありすは、れいむにまりさがとられて、かなしくないの?」 「……」 「まりさがすきじゃなかったの?」 「……」 「れいむをうらんでいないの?」 「……」 「ねえ、どうなの、ありす!!」 れいむの問いに、ありすは中々反応を示さない。 れいむはゆっくりとありすが言葉を出すまで待ち続けた。 ようやくありすが口を開いて来たのは、一分後であった。 「……くやしいわよ!! かなしかったわよ!! ありすはまりさがすきだったんだもの!!」 ありすは、自分の隠していた感情のすべてをぶつけるかのように、大きな声で叫んできた。 これには、さすがのれいむも、少なからず動揺した。 ありすがこうまで生の感情を出してくるとは思わなかったのだ。 「それじゃあ、どうして……」 「……だって、しょうがないじゃない!! これはこいのかけひきなんだもの!!」 「ゆっ?」 「れいむは、じぶんのことをどうおもってるの? ありすのことをうらぎったとおもってる?」 「ゆぅぅ……それは……」 「さいしょはありすもそうおもったわ!! れいむにうらぎられたって!! でも、じっさいはそうじゃない!! まりさはだれのものでもないんだもの!! まりさにこくはくするのは、れいむのじゆう!! それをうけるのもまりさのじゆう!! そこのありすのはいるよちはないわ!!」 「……」 「ありすがまりさにさっさとこくはくしなかったのもいけなかったしね!! まりさのあいてが、れいむならなっとくだわ!! それに、まりさはれいむのことがすきだったみたいだから、こくはくしてもたぶんふられていたけどね!!」 「ありす……」 「だからありすはあきらめたの!! かこをふりむかないことも、とかいはのたしなみよ!! だから、れいむがきにすることはないわ!! これからもありすのしんゆうでいてね!!」 「……ありす!! ありがとう!! ありがとう!!」 「かんしゃすることなんてないわよ!! ここからでられたら、まりさいじょうにすてきなゆっくりをみつけてやるんだから!!」 「ありすならきっとみつけられるよ!!」 「ありがとう、れいむ!!」 れいむはここに来て以来、三回目の衝撃を受けた。 自分はなんて小さいのだろう。ありすと言葉を交わし、嫌というほど思い知らされた。 自分は決してそんな風に考えられない。 ありすの立場なら、絶対に嫉妬をせずにはいられない。 しかし、ありすはどこまでいってもありすだった。 優しく他人を思いやれるゆっくりだった。 本当に心の底から、れいむとまりさを祝福してくれていたのだ。 れいむは、ありすを疑ったことを悔いた。 そして、同時に感謝した。 こんな最高のゆっくりと知り合えたことを。 ありすと親友になれたことを。 「ありす!! れいむとありすはいつまでもしんゆうだよ!!」 「もちろんよ!!」 れいむは、今最高に幸せだった。 隣には愛するまりさと、親友のありす。 例え姿は見えなくても、スリスリ出来なくても、心が繋がっている。 それが感じられるだけで満足だった。 しかし、今日の幸せはそれだけに留まらなかった。 まりさが虐待を終えて帰ってきた。 それと同時に、壁越しに男からとんでもない一言が飛び出してくる。 「お前たち。今日でお前らの虐待は終了する」 「!!!」 突然の男の発言に、れいむは驚きのあまり、餡子を吐いてしまいそうになった。 何とか飲み込んで、事なきを得たが。 「ゆっ!!! ほ、ほんとうなの!?」 「ああ。飽きてきたしな。明日、部屋から出してやるよ!!」 「ゆうううぅぅぅぅぅぅぅ―――――――!!!!!」 れいむが雄たけびを上げる。 まさか、婚約した翌日に、この辛く苦しい虐待まで終わることになるとは!! 人間でいえば、盆と正月とクリスマスがいっぺんに来たようなものである。 「やったああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――――!!!!」 遂に、遂にここから出られるのだ。 まりさとありすに会えるのだ。 スリスリ出来るのだ!! 隣では、二匹とも感無量なのか、一言も言葉を発しなかった。 「それじゃあな」 そう言って、男の足跡は遠ざかっていく。 れいむは、すぐさま二匹に声をかける。 「まりさ、ありす!! でられるんだよ!! やっとここからでられるんだよ!!」 「ゆう!! ながかったよ!!」 「やっと、ここからでられるのね!!」 「まりさ!! あしたはいっぱいすりすりしようね!!」 「ゆっ!! そうだね。れいむ!!」 「あしたがたのしみね!!」 「ゆっくりたのしみだよ!!」 れいむの頭の中には、男が嘘を付いているという考えは一切ない。 別に昔の純粋なれいむに戻ったという訳ではなく、単に嬉しすぎて頭が回らないのだ。 もっとも、男はちゃんと出してやるつもりなので、考えたところで、れいむの杞憂に終わるのだが。 早く明日が来ないだろうか? れいむは浮かれて、なかなか寝付けなかった。 その7へ
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3714.html
『真冬のゆっくり対策 8』 「やっと着いたわ。こいつら重過ぎるのよ」 彼女は軽トラを止めていた所まで戻った。 「じゃあ行こうかしら。約束したもんね。ドスのところに連れて行くって」 「ゆうう!!!!」 「ゆっくりしないではしるよ!!!」 こちらはドスを目指して走るまりさとまりさのペア。2匹が向かった方角は北だ。残念ながらその方角にはドスはいない。 「「ゆゆ!!」」 2匹は止まった。 「かわさんがあるよ」 「このかわをわたればきっとどすがいるよ!」 普通のゆっくりならば川は渡れないが幸い2匹はまりさ種だ。帽子を船にして川を渡ることができる。 「ゆんしょ…」 「ぼうしさんうまくういてね」 2匹は帽子を脱ぎ川に帽子を浮かべようとした。 「「ゆゆゆ?」」 帽子は浮かんでくれなかった。川は凍っていたのである。 「どぼじでぼうじざんういでぐれないのおおお!!!!」 「ま…まって!もしかしたら…」 1匹のまりさが慎重に川に降りて行った。 「な…なにしてるの!!かわにおちたらとけちゃうよ!!」 「そろーり…そろーり…」 まりさは川に降り立った。……氷は割れない。 「ま…まりさ!だいじょうぶだよ!かわさんこおってるんだよ!」 「ほ…ほんとだ!まりさかわをあるけるよ!!」 もう1匹も川に降り立った。 「つめたあああああいい!!!!」 「ゆっくりしないでかわをはしろうね」 「ゆっくりしないではしるよ!つめたいのはやだよ!」 2匹は川を走り始めた。 「ゆんしょ!ゆんしょ!」 「あとすこしだよ!」 川の真ん中まで走ったところで異変は起こった。 「ゆゆ!!いまへんなおとがしなかった?」 「ゆん…ぴしって…」 川が凍っているとはいえ氷は薄い。成体サイズのゆっくりではその重みで氷は…… 「ゆびゃああああ!!!!」 「つべだいよおおおお!!!!!!だずげでええええ!!!!」 割れる。子ゆっくりサイズだったら割れなかったかもしれない。 「だずげでえええええ!!!!!!」 「からだがおぼいよおおお!!!!!!でらでないいいいいい!!!!!!」 もし2匹が綿を着込んでいなかったら何とか川から上がれたかもしれなかった。しかし綿は水を吸い込みゆっくりの体を重くした。 「ゆぎいいいいいいいい!!!!!!!」 「ぎゅうううううう!!!!!!!!だじでええええ!!!!」 冬じゃなかったら今頃2匹は溶けてしまっただろう。だが冷たい水は2匹をいつもよりもゆ〜っくりと溶かしていった。川に流されながら 苦痛を長時間にわたって味わうこととなってしまった。 「ぼっど…ゆ…ぐr…」 「ぶぶぐぶぎゅぐぶふぐ…」 「まっでえええ…まりさあ…」 「ありす!!ゆっくりしないではしるんだよ!」 まりさとありすのペアは南へ向かっていた。こちらも残念ながらドスには会えない。 「ゆふう…ゆふう…」 「すこしだけだからね!すこしだけきゅうけいするよ!!」 長時間走っていたためありすはバテてしまった。 「ゆふう…ゆふ…ゆ!!!ま…まりさ!まりさ!」 「どうしたの?ありす」 「あそこをみて!」 「ゆゆ!!あなさんがあるよ!」 2匹の視線の先にはゆっくりが住処にしそうな穴があった。防寒対策なのか申し訳程度に草木で隠されている。 「もしかしてここがどすのおうちじゃない?」 「で…でもちいさいよ。どすじゃはいらないよ」 「ゆゆう〜」 「でも、もしかしたらなかまがいるかもしれないよ!どすのおうちをしってるかもしれないね!」 「いってみましょうよ」 2匹は穴の中へ入っていった。 「くらいよぉ…」 「ありすはまりさのうしろにかくれててね。ゆっくりしていってね!」 まりさは叫んだが返事が無い。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!だれもいないのぉ〜?」 2匹は更に奥へと入っていった。すると 「うっう〜」 「おぜうさまのすいみんのじゃまをするのはだれなんだどぅ〜」 「「れ…れみりゃだあ!!!」」 ここはれみりゃの巣であった。れみりゃは眠っていて2匹に気付かなかったのだろう。 「うっう〜なにかいるんだどぅ〜」 「あ…ありす!ゆっくりしないでにげるよ!」 「う〜あまあまなんだどぅ〜」 「まっでえええ…おいでがないでえええ!!!!」 あっという間にありすは捕まってしまった。 「とんでひにいるなんとやらなんだどぅ〜」 「やべでえええ!!!!ありずはおいじぐないわよおおおお!!!!」 「あ…ありずうううううう!!!!」 「こんなじきにあまあまはきちょうなんだどぅ〜」 「ま…まりざああああ!!!!にげでえええ!!!!」 「あじずうううう!!!!!ありずううううう!!!!」 まりさは泣き叫びながら走り続けた。しかし巣から後一歩のところで捕まってしまった。 「あさごはんなんだどぅ〜」 「ゆぎゃああああ!!!!ずわないでええええ!!!!!ありずのながみずわないでええええ!!!!」 まずありすが食べられた。ゆっくりと中身が吸われていく。 「おいしいんだどぅ〜」 「ひさびさのあまあまなんだどぅ〜」 冬篭り中に甘いものが食べられることは滅多に無かった。れいみりゃたちは久しぶりのご馳走に舌鼓をうっていた。 「ごちそうさまなんだど〜」 「あじずがあああ!!!!いやああああ!!!!はなじでえええ!!!!」 まりさはれみりゃの腕の中で暴れたがれみりゃは離してくれない。 「いいことをおもいついたんだどぅ〜」 れみりゃは奥から野菜クズや草を持ってくるとまりさに無理矢理食べさせた。 「これをたべるんだど〜」 「むぐううううう…ううううう…」 れみりゃは好き嫌いが多い。特に野菜は大嫌いだ。しかし冬篭り中は贅沢を言っていられない。そのため仕方なく野菜や草を食糧として 貯蓄している。幸運にもゆっくりがやってきてくれたので嫌いな野菜を食べさせ太らせてから食べようと考えたのだ。 「これもたべるんだどぅ〜」 「いやあああ!!!!あじずはだべぼのじゃないよおおおお!!!!!」 中身を吸われて皮だけになったありすも無理矢理食べさせられた。 「ちょっとさむいけどおそとからくさをとってくるんだどぅ〜」 わざわざ寒い中草を探しにいくれみりゃもいる。 まりさは色々なものを食べさせられては中身を吸われ食べさせられては中身を吸われ…とそれから4日間地獄のような日々を送った。 もっとも2日目で精神は壊れていたが。 「ゆああああああ!!!だずげでええええ!!!!」 「ごっぢごないでえええええ!!!!」 こちらはまりさとれいむのペア。幸運にもドスがいる西へ進んでいた。しかし途中で野犬に見つかり必死に逃げているところだ。 「いぬさん!!まりさはおいじぐないよおおおお!!!!」 「でいぶはでいぶだよおおおお!!!!だべぼのじゃないよおおお!!!!!」 野犬はどんどん迫ってくる。ゆっくりが本気で走ったところで野犬から逃げられる筈も無くまずれいむが捕まった。 「で…でいぶううううう!!!!!」 「ゆぎゃあああああ!!!!!!いだいいい!!!!!やべでええええ!!!!」 野犬はれいむに食らいついた。 「でいぶうううう!!!!!!じっがりじでええええ!!!!」 「ば…ばりざあああ!!!!!でいぶをおいではじっでええええ!!!!」 「い…いやだよおおおおお!!!!!いばだずげるがらあああ!!!!!」 「だべだよおおお!!!!!……ゆぎゃああああ!!!!!」 野犬はれいむを半分ほど食べてしまった。まりさは泣きながら先に進んだ。 「ど…どぼじでええええ!!!!!おっでごないでよおおおおお!!!!」 れいむでは満足できなかったのか野犬はまりさを追い始めた。 「ゆっ!ゆっ!ゆっ!ごないでえええええ!!!!」 まりさは必死に逃げた。途中着込んでいた綿が脱げたがそれでも走った。 「ゆふう…ゆふう…ゆうううう…たすかったよぉ…」 どうやら野犬はまりさが脱いだ綿に気を取られそのうちに逃げることができたようだ。 「でいぶううう……まりさは…まりさは…がんばるよ…ゆえぇええん…」 まりさは道を急いだ。 数時間後 「ゆ?」 まりさの先から人間の声がする。 「(そろーりそろーり…)」 声に出してはいたが人間に聞こえない程度の大きさだった。ゆっくりとゆっくりと先に進む。 「ゆゆ!?」 十分程歩き、まりさは目の前に大きなゆっくりがいることに気付いた。 「ゆっくりしていってね!」 まりさは叫んだ。 「ゆ…っふり…ひへいっへへ…」 「ゆ?へんだよ、ね…ねえ…どすがどこにいるかしらない?」 「ほすは…あはひあほお…」 「なにいってるかわからないよ!」 まりさの目の前にいる大きなゆっくり…それはさっきまでドスだったものだった。 「あれえ?まだ元気なのがいるねえ」 「ゆ!」 まりさは振り向いた。そこには見覚えのある人間が立っていた。 「ゆ…ゆううう!!!!!おぼいだじだああ!!!!ぎのうのじじいい!!!!」 「へえ…覚えててくれたんだ。嬉しいよ」 まりさの後ろにいたのは虐待お兄ちゃんだった。 「お前ドスを探してたんだろ?」 「ゆうう!!じじいにはかんけいないよ!!!!ゆっくりじないでしね!!」 「相変わらず威勢はいいね。ドスは…ほれ、お前の前にいるボロ饅頭だぞ」 「ゆ!!!!」 まりさは目を疑った。こんなにボロボロなゆっくりがドス?…リーダーだったありすが困ったら頼れと言ったあのドス?信じられなかった。 「……ほんとうに…どすなの?」 「ほおはお…ほふはほおお……」 「何て言ってるんだろうね?さっきまではちゃんと喋っていたのにね」 彼はドスの方へ歩いていった。 「ゆはあ"ああ"あ"あ"ああ!!!!ほはいへええええ!!!!!ほはいへえええええええ!!!!」 ドスは彼の姿を見ると泣きながら暴れだした。暴れた、とは言っても体をブルブル震わせるだけだった。 「ど…どすううううう!!!!!じっがりじでええええ!!!!!」 「お前らこんなを最後の頼りにしてたんだねえ」 「うるざいいい!!!!どずううううう!!!!このじじいをころじでええええ!!!!おでがいだよおおお!!!!」 「ハハハ。無理無理。相当痛めつけてやったからもう動けないよ。ドススパークも撃てないよ」 数時間前 「どうやってドスを足止めするんですか?」 隣村と合流した虐待お兄ちゃん達はドス対策について話し合っていた 「よく足を火で炙って動けなくするとか言うけどその方法が分からなくてね。だからこうすることにしたよ」 隣村のリーダーは作戦を話した。 「ドスがいる洞窟の前に罠を張ったんだ。ドスの足は所詮小麦粉だよ。ちょっと硬いだけ。ガラスの破片とか釘を踏めば相当なダメージさ」 既に洞窟の前に罠が敷かれていた。ガラスの破片や包丁など尖ったものをたくさん敷き詰めたのだ。一応そのうえに砂を撒き申し訳程度に カムフラージュはしている。 「最近外の世界からこんなものが手に入ってね」 「何ですかこれは?…人形?」 「マネキン人形とかいうものだ。人間によく似せて作られてる人形だ」 「そのマネキン人形をどうするんですか?」 「普通に罠に歩いていってもらっちゃ困るんだ。だからドスの高いジャンプで一気に罠に刺さって貰おうとね、つまりこれは囮さ」 どうやらこのマネキン人形をターゲットにドスを高く飛ばせたいらしい。 「問題はその罠にどうやってドスを誘き出すかなんだが…」 「ドススパーク対策は?」 「ああ、あれは口を滅茶苦茶にすればいいだけだからそっちは楽だよ。花火を使うんだ」 ドスの口の中に花火を投げ入れ爆発させて口の中を破壊する作戦のようだ。 「ドスを誘き出すなら怒らせるのがいいですね」 「う〜ん…どうしたものか…」 皆は悩んでいた。 「俺がちょっと偵察してきましょうか?」 こう言ったのは虐待お兄ちゃんだった。 「何か秘策でもあるのかね?」 「怒らせるんでしたらドスの最愛のパートナーを殺せばいいんですよ」 「それは結構ストレートだな」 「ドスは洞窟にいるんですよね。でしたらイケるかもしれない」 「無理はするなよ」 「任せてください」 彼は昨日着けていたれいむのリボンを腕に結びつけ洞窟の中へ入っていった。 「ゆふう…ゆぴぴぴ…」 ドスは奥で大きな口を開けて眠っていた。ドスの隣にはぱちゅりーが寄り添って寝ていた。 (多分このぱちゅりーが奥さんなのかな) 彼は洞窟の中を見回すと外へ出て行った。 「どうだった?」 「いい作戦が浮かびましたよ。ちょっと聞いてください」 彼は皆のところへ戻ると作戦を話した。 「なるほど、それはいいな」 「それならあのマネキンが有効だな」 「そういえばあの人形坊主に似てないか?」 「年齢が近いのかもしれませんね。じゃあまず帽子を用意してくれませんか?できれば奇抜なやつを」 数分後彼に相当趣味の悪い帽子が2つ届けられた。 「誰がこんなもの被ってるんでしょうね?」 「さあな。じゃあ俺達は所定の場所に付くからあと宜しくな」 「ええ」 彼はそう言うと帽子を被り安全靴に履き替え洞窟の前に移動した。 「これをコイツに被せてと……うわあ…確かにこれは痛そうな罠だな」 マネキン人形を中心に直径数メートルの円の中にガラスの破片や五寸釘、包丁などの尖ったものが敷き詰められていた。 人間が見ればすぐに看破できるがゆっくりではどうだろう? 「じゃ、行きますか」 彼は洞窟の中に入った。 「ゆぴいい…ゆぴいい…」 先程ど変わらずドスはだらしなく口を開けて眠っていた。 (こんなマヌケ面がリーダーとはね) 彼はそう思いながらそばで眠っていたれいむとドスに寄り添って寝ていたぱちゅりーをそっと持ち上げた。そして花火に火を点け ドスの口の中に放り込んだ。 「ゆふうううう……ゆ?」 ドスが目覚めたが遅かった。 パアァアァッン!!!!!!!!!! 花火はドスの口内で爆発した。大型の花火であるためその音は凄まじかった。 「ひゅひゃあああああああああ!!!!!!!!!!!!!」 「「「「「「「「「「ゆううううううう!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」 花火の音で巣の中のゆっくりが起きだした。 「な…なに?なにがおこったの!!!??」 「ゆっくりできないおとだよ!!!!!」 ゆっくり達は騒ぎ出した。 「ひゃんひゃのおお…ひいい"い"いい……ほふて"ぃはあ…ぼふのふち"ひゃあ"あ"あああ!!!!!」 花火の爆発でドスの口内は滅茶苦茶になったようだ。 (まずは奇襲成功) 虐待お兄ちゃんは大きく息を吸い込んで叫んだ。 「はいはーい!!!みんな注目してね!!!」 「「ゆ!!!!」」 「「「ゆゆゆゆ!!!???」」」 ゆっくりが一斉に彼の方を向いた。 「今からこのれいむを破いちゃいまーす!!!」 そう言うと持っていたれいむを引き裂いた。れいむは叫ぶ暇も無かった。 「「で…でいぶううううう!!!!!!」」 「ゆぎゃあああ!!!!どぼじでにんげんがいるのおおお!!!!!」 ゆっくりはパニックだ。 「はーい!!今度はこの…ぱちゅりーを破いちゃいまーす!!!」 彼はぱちゅりーを持ち上げた。 「「ぱ…ぱちゅりいいいい!!!!」」 「「やべろおおおお!!!!!じじいはででげえええ!!!!」」 「や…やひぇへねえ"え"!!!!ほひゅの…ひゃいへつなはひゅひいい"い"いい!!!!!!」 ドスは必死に叫ぶが口が破壊され満足に喋れなかった。 「ああ?もしかしてドスの奥さんかなあ?だったらドスが取り返してごらん。ここまでおいで〜」 彼はそう言うと外へ出て行ってしまった。 「は…はっでえええええ!!!!はえへええ"え"えええ!!!!!ほすのおふはんをはえでええ"ええ!!!!!」 ドスは追いかけるが狭い洞窟では中々前に進めない。 一方彼はマネキン人形の前まで走るとぱちゅりーを地面に置き思いっきり踏み潰した。 「ごめんねえ。いつもだったらゆっくり虐めてあげるんだけど今日はさっさと死んでね」 「むぎゅうううう!!!!やべじぇえええええ!!!!どずうううう!!!!だずげでえええ!!!!!!!」 彼はぱちゅりーの死骸をマネキン人形の足元に置くとどこかに隠れた。 「ひゅううううう!!!!!はえひぇええ"え"ええ!!!!!!はひゅひぃいいい"い"い!!!!!」 ドスが洞窟から出てきた。 「ひひゃあああ"あ"あ"あ"あああ!!!!!!はひゅりいいい"い"い!!!!!!あ"ひゅりいい"い"いい!!!!!!」 ドスの目の前には最愛のぱちゅりーの無残な死骸が転がっていた。その近くにはマネキン人形が立っている。 「ひょひゅも"!!!!!ひょくひょはちゅひぃいをおお"おお!!!!!!」 洞窟の中は暗かったためドスは虐待お兄ちゃんの顔をよく見ることができなかったが帽子を被っていたことは理解できていた。 その帽子を被っているモノが目の前にいる。ドスは怒りで彼をマネキン人形と勘違いしていた。しかもぱちゅりーの死骸とマネキン人形 に釘付けであったため罠にいっさい気付かなかった。 「やあ、遅かったね。ぱちゅりーは死んじゃったよ。ドススパークは撃てるかい?」 マネキン人形の後方から声がする。 「よひゅも…ひょくもおおおお"お"お"お!!!」 ドススパークが撃てないことはドス自身がよく分かっていた。 「じゃあ俺を潰してごらんよ」 「ふるはいいい"い"い!!!!!!!ふるしでひゃるううう"う"うう!!!!!!!!」 ドスは空高く飛び上がった。そして着地した…マネキン人形の上に。 「ひひゃああ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あいい"いいい!!!!!!!!!!!」 マネキン人形自体が硬くそれだけでも痛いのだがガラスの破片や釘、包丁を思いっきり踏んづけているため今までに味わったことの無い 凄まじい痛みを味わうこととなった。 「ゆひゃああ"ああ"あ"ああ"あああ"あ"あああ!!!!!!!!!!!!!!!!!」 さらにドスの重みで底部は深く抉られドスの足はズタズタだった。 「こんにちは〜」 ドスの目の前に虐待お兄ちゃんが姿を見せた。 「ほおひでえええええ!!!!!!!!どほひびぇえええええええ!!!!!!」 「残念だけどお前が潰したのはただの人形。ご苦労なこった」 「ひゅうう"う"う"うう"うう"うう"う"う"う"うう"うう…」 「そんなに怖い顔するなよ。もう一回ジャンプしたら?体当たりもいいぞ」 彼はドスを煽った。ゆっくりは饅頭の癖にプライドがやたら高い。ドスはさらにプライドが高くこんな安い挑発にも乗ってしまう。 「ひゅうううう"う"う"うう"うう…う"うう"うう"うう…」 ドスは体を震わせているがその場から動けない。 「ひょおびでえええええええ!!!!!!!あひがうほはあいほおおおおおおおおお!!!!!」 「本当かい?」 彼はドスの側に転がっていた包丁をドスの足に突き刺した。 「ひゅああ"ああ"ああ"ああ!!!!!」 「じゃあドススパークで終わらせちゃおうよ」 「ひゅう"うう"うう"う……ほろひてやるうう"う"うう"うう…はう…はううう…はふううう"う…」 必死に何かを咀嚼しようとしているがキノコは花火で飛び散ってしまったし歯もボロボロで噛むことができない。 虐待お兄ちゃんはドスの口を見つめていた。ドススパークが撃てないことを確認するためである。少々危険だが仮に撃てたとしても撃つ前に 口の中が光り、その光を確認してからドスと垂直の方向へ逃げれば足の動かないドスから充分逃げられるため問題は無い。 「………」 「ふうう"う"う"う…ふう"う"う"う"うう…」 「無理だね」 彼は大きな声で叫んだ。 「みなさーん!!!!ドスはもう大丈夫ですよ!!!!!狩っちゃって下さい!!!!!!」 その合図とともに隠れていた村人達が一斉に洞窟の中へ入って行った。 「じゃあ俺は罠片付けますかね」 何もできないドスを無視し彼は穴を掘り、飛び散った釘やガラスの破片、ついでに趣味の悪い帽子も穴に入れていった。 包丁はドスの背中に刺しておいた。 「「ゆぎゃあああああ!!!!!」」 「「はなじでええええ!!!!」」 「「だずげでえええええ!!!!」」 「「どすうううう!!!!どずううううう!!!!」」 洞窟の中からはゆっくりの断末魔が聞こえていた。ドスはその声をただ黙って聞くことしかできなかった。 「どほひでえええ…」 ドスは呻いた。涙が零れていた。 「どほひで…ほんなほどふるほお…」 「さあてね、お前ら洞窟の中に貯めてた野菜はどっから持ってきたの?洞窟にいっぱい転がってたぞ」 「……ひゅううう…」 「まさかここで育てたとか言うなよな。御丁寧にシールが貼ってあったぞ。あれ盗んだものだろ」 「…………」 「答えないか。まあいいさ。罪は償ってもらうさ」 「とまあこんな風にだな」 「…………」 まりさは口から餡子を吐いて気絶していた。 「何だよ、折角話してやったのに」 「凄いわね」 「あ?」 虐待お兄ちゃんの前に彼女が立っていた。彼女は台車にゆっくりを詰めた箱を乗せていた。 「ああ、来てたんだ」 「ええ。こいつらと約束しちゃったからね」 「こいつら動かないぞ。死んだのか?」 「蓋をあけて話を聞かせてたの。そしたらこうなったわ」 「まあ頼みの綱だったドスがあれだもんな」 ドスは焼かれていた。洞窟内を駆除し終わった村人達がドスの処分をしている。 「こいつらどうするの?」 「まあ使い道はあるわ」 「おーい坊主、ゆっくりを埋めるぞ。ドスも灰になったぞ」 「わかりましたー」 「私は先に帰るわね」 「ちぇー。手伝ってけよ」 「力仕事はもうこりごりよ」 彼女は台車を軽トラまで運び荷台に乗せると村へ帰っていった。 つづく by 虐待おにいちゃん このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4554.html
最後の日の夜明け前、親れいむはお兄さんの枕元で目を覚ました。 時刻はまだ早朝。 大きなベッドにお兄さんが眠っていて、 その周りに、自分を含め十三匹のゆっくり達がすやすやと眠っている。 お兄さんが許してくれてから、今日までの五日間。 最後の日々を、十三匹はこのうえなく幸福に過ごした。 お兄さんの部屋で、お兄さんと一緒に暮らし、懸命に尽くした。 そんな自分たちを、お兄さんはたっぷり可愛がってくれた。 毎日たっぷり与えられるあまあま、 ふかふかで居心地のいい寝床、 そして何より、お兄さんのすーりすーり。 渇望していた究極のゆっくりを、十三匹は心ゆくまで堪能した。 親れいむは、これ以上ないほどゆっくりした気分で、 窓からしらじらと明けてゆく空を眺めていた。 今日は最後の日。 永遠にゆっくりするのは怖かったが、五日かけて心の準備もできた。 今日、やっと、かつての罪を精算できるのだ。 そして何より、優しいお兄さんが見守ってくれている。 不安はなかった。 お兄さんが起き上がり、こちらを見つめていた。 なにより愛しいその人に向かって、親れいむは挨拶をした。 「ゆっくりおはようございます!」 お兄さんは十三匹を丁寧に洗ってくれた。 ゆっくり用のファンデーションで肌を整え、髪を梳かしてもらった。 髪飾りも綺麗に手入れしてくれ、全員がこのうえない美ゆっくりになった。 互いに見とれ、頬ずりを交わすゆっくり達。 多幸感に包まれて、十三匹は最後の廊下を跳ねていた。 白衣に身を包んだお兄さんの後につき、 待ち受ける運命に想いを馳せる。 待っているのはゆっくりできない死、だがその後はお空に行くのだ。 ゆっくり達の表情に悲壮感はなかった。 扉が開かれ、最後の場所が眼前に開けた。 灰色の部屋だった。 寒々しいコンクリートがむき出しになっており、 部屋の両脇は白いカーテンで仕切られている。 カーテンに囲まれたスペースの中心に、それはあった。 巨大で暴力的な残酷さをむき出しにして佇む機械。 「ミキサーだよ」 お兄さんが教えてくれた。 ミキサーの上部は透明な箱になっており、 内部の様子が見えるようになっている。 箱の底は鈍角の漏斗状になっていて、 中心には小さくて鋭い刃が何本も放射状に突き出して、酷薄な光を帯びていた。 「ちょっと動かしてみるよ。よく見ててくれ」 お兄さんはそう言い、ミキサーのスイッチを入れた。 とたんにミキサーは全身を激しく震わせはじめ、内部の刃が回転する。 その中に、お兄さんが持ってきたスイカを投げ込んだ。 固いスイカは、すぐには壊れず、 小さな刃に少しずつ削られていき、がたがたと震えながら消滅していった。 漏斗状の底にスイカの残骸が吸い込まれていき、しばらく後、 ミキサーの中には飛び散った果汁の他には何も残っていなかった。 「こうなる。もちろんすごく痛いし、その苦痛は長引く。 それでも入る勇気はあるか?」 ゆっくり達はぶるぶると震えていたが、 眉をきりりと引き締めると、意思を瞳に燃やして叫んだ。 「ゆっくりつみをつぐないます!!」 ミキサーには大きくて高いテーブルが併置されており、 ゆっくり用の大きくてゆるやかな階段が、 床からテーブルを経てミキサーの上部にまでつながっていた。 階段を上って、十三匹は中継地のテーブルの上に並んだ。 最後の時を迎えて、十三匹は互いに頷き合い、頬を交わした。 そして、親れいむがお兄さんに向って喋り始めた。 「おにいさん。 いままで、ほんとうに、ほんとうにごめんなさい。 ほんとうにほんとうにありがとうございました。 れいむたちは、ゆっくりできないゆっくりでした。 だけど、ゆるしてくれてありがとうございました」 お兄さんは笑顔で聞いてくれた。 「おそらにいったら、あかちゃんにごめんなさいをしてきます。 おそらで、おにいさんたちのことをみています。 おねえさんがおきあがれるように、ゆっくりおいのりをします」 「……ありがとう」 「れいむたちは、これからおわびをします。 ………ゆぐっ……ゆっぐ、うっ………ぼんどうに…… ぼんどうに、ぼんどうに、あじがど、ごじゃ………」 「いいんだよ」 お兄さんが手を伸ばし、頬を撫でてくれた。 親れいむの顔に笑いが広がり、みんながその腕に集まってきた。 本当に最後の、ゆん生最後のすーりすーり。 みんなが涙を流していた。 最後のゆっくりの時は過ぎ、ついに贖罪の時がきた。 一番手を名乗り上げたのは親れいむだった。 テーブルの上からさらに階段を上り、 うなるミキサーの透明なガラス箱のふちにたどりつく。 スイカの果汁を飛び散らせながら回転する眼下の刃。 膨れ上がる恐怖を必死に抑え込む。 償わなければならない。 これをしないとゆっくりできるゆっくりではない。 「おにいざんっ!!」 叫び、親れいむは飛び込んだ。 「ゆぎょぎょぎょぎょぎょぎょぎょぎょぎょががががががあああああががががががいいいいぎいぎいいいいいいいぎぎぎぎぎぎぎ ゆぐうううぐぐぐぐぐぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅごごごごごごおああああああがががががーーーーあああああああーーーーっ」 ゆん生最高の苦痛が親れいむを襲っていた。 回転する刃が少しずつあんよを削っている。 その激痛にたまらず身悶えするが、 頬と言わず頭部と言わず、下になった部分が削られ、激痛を増加させる。 自らの餡子が激しく飛び散り、周囲のガラスにへばりつく。 親れいむは絶叫し、転がりつづけた。 今、右の眼球が刃にひっかかって持っていかれた。 「あぎょごおおおおおおーーーーーーっあゆぐううううーーーーー」 とても耐えられない。駄目だ。できない。 もっと、もう少しだけゆっくりできる死に方がいい。 餡子まみれのガラス壁ごしに、親れいむは残った左目でお兄さんを見た。 お兄さんが親れいむをじっと見守っていた。 その目を見て、親れいむは懇願の言葉を飲み込み、意思を固めた。 裏切れない。 約束を違えてお兄さんの期待を裏切ることはできない。 テーブルの上では、十二匹の家族が声援を送っている。 「ゆっくり!!ゆっくり!!ゆっくり!!ゆっくり!!」 「ゆうううううううっぐりいいいいいいいいいがんばづよおおおおおおおおおーーーーーっ!!!」 親れいむは喉の奥から絶叫した。 すでに身体の半分が削れてなくなっていた。 親れいむは今、自らの中枢餡に刃が触れるのを感じ、 そして、暗黒が訪れた。 にんげんさん。 ごめんなさい。 ありがとう。 「…………………………………ゆ?」 目の前には、灰色の床が広がっていた。 自分が入っているのは、浅い鉄製の皿らしかった。 周囲には大量の餡子や黄色いカスタードが飛び散っている。 何やらやかましい機械音が耳ざわりだった。 ここはどこなの? 親れいむはまばたきをして見回した。 少なくとも、あの部屋じゃないことは確かだ。 自分はもう死んだのだから。 ここが………おそら? 親れいむはぼんやりした頭を抱えて這いずりだした。 這い、大皿の浅いふちを乗り越える。 眼前に、今いる世界が広がった。 「…………………おにいさん?」 お兄さんが自分を見下ろしていた。 まさか。 お空にお兄さんがいるはずがない。 お兄さんは眉をひそめて屈みこみ、親れいむに話しかけてきた。 「れいむ。どうしたんだい」 「ゆっ!!おにいさんこそどうしたの!?おそらにきたの!?」 「何を言ってるんだ。ここはお空なんかじゃないよ。寝ぼけてるのかい」 お兄さんが親れいむを持ち上げ、周囲の様子を見せた。 「あぎょぎょぎょぎょぎょぎょぎょぎょぎょぎょごごごごごごごごががががばばばばあああああーーーーー」 視界に入ってきたのは、忘れもしないあのミキサー。 機械音を響かせて振動するミキサーの中には、子まりさが二匹入り、刃に削られている。 「ゆ………ゆ………ゆゆゆゆゆ!!?」 「怖気づいちゃったのかい、れいむ? 逃げ出すなんてお前らしくないじゃないか。 みんなあんなにがんばってるのに」 「ゆ!?ゆゆゆ!?れいむはにげてないよ!? れいむはあそこにはいってえいえんにゆっくりしたんだよ!!?」 「何を言ってるんだ。生きてるじゃないか」 そう言い、お兄さんは親れいむの頬をつついた。 「ゆ???ゆ???ゆうううううぅぅ!!???」 なにがなんだかわからず、親れいむは混乱の極にあった。 そんな親れいむに、お兄さんはかすかな失望をにじませた声をかけた。 「やめるのかい?罪を償うのはあきらめる?」 「ゆ??ゆ!!?ゆうううう!!? つぐなうよっ!!れいむはつぐなうよ!!きっとゆめをみてたんだよ!!」 そうだ。 夢を見ていたのだ。 あれだけ削られたれいむが、無傷で生きているはずがない。 削られたのは夢だったのだ。 「おにいさん!!ゆっくりねちゃってごめんなさい!! いますぐやりなおすからね!!ゆっくりみててね!!!」 「ああ。がんばれよ」 お兄さんの手から飛び出し、親れいむは階段を駆け上がる。 テーブルの上で一息をつき、再び階段、ミキサーのガラス箱の淵。 怖い。だが大丈夫。夢の中で練習したじゃないか。 「ゆっくりごべんなざいいいいぃぃ!!」 「ゆ……………ゆ………………?」 大量の餡子とカスタード、そして灰色の世界。 親れいむにはもう何が何だかわからなかった。 頭上を向くと、ミキサーの底面を見上げる格好になり、 底面の中心に開いた穴から大量の餡子がひっきりなしに吐き出されている。 周囲にはぼろぼろに崩れた仲間たちのなれの果てもあった。 その中に、自分と同じく起き上がるゆっくりもいた。 子まりさと目を見合わせ、「ゆゆ?」と呻く。 そこから這い出ると、再びお兄さんの姿。 お兄さんが失望の色を顔に浮かべている。 「やめちゃうのかい?」 「ゆううううううう!!!?」 親れいむ達は弁解し、必死に階段に飛びつく。 階段からミキサーの中に飛び込む。 堪え難い苦痛、ゆん生最大最後の苦痛。 それをもう何回繰り返したのか。 何度ミキサーに飛び込んでも、親れいむは再び床に立っていた。 親れいむと同じく、仲間のゆっくり達もわけがわからない表情で傍らに立っている。 あれほど削られたはずなのに、全員が無傷の状態だった。 なぜ。 なぜ。 ゆっくり達は叫んだ。 「なんでしなないのおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!?」 「償えると思っていたのか?」 親れいむは振り向いた。 お兄さんが自分たちを見下ろしていた。 「死んで詫びる? お前たちが死んだぐらいで償えると、本気で思っていたのか? 俺の家族の命はそんなに安いのか?」 その目は、打って変って酷薄な表情を浮かべており、 自分たちを許してくれると言ったあの時の温もりは消えうせていた。 「何度も言ったはずだ。 お前たちゴミクズには何の価値もない。 何の価値もない命が何千何万回死んだところで、 俺の家族の命は贖えないんだよ。 仮に、俺の娘の命の価値が1としようか? それに対して、お前たちの命はゼロだ。 ゼロの死が何億回積み重なったところで、1……娘の命には釣り合わない」 身体が震える。 あれほど詫び、償いの意思を示しても、 お兄さんの怒りはかけらほども収まっていなかった。 どうあっても償えない罪を背負ってしまった絶望。 「だから死ななくていい。 わかるか?ここが地獄だ。 この地獄で、お前たちには永遠に苦しみ続けてもらうことにしたよ。 永遠に償えないなら、永遠に苦しんでもらうしかない」 「お、おに……おにいざ…………」 ぶるぶる震える舌で、言葉を絞り出す。 どうすれば。 どうすれば詫びることができるのか、許してもらえるのか。 「地獄に来た以上、お前たちはもう死ねない。 お前たちは永遠に生き続ける」 「ゆぐ……ゆぐじで…………ゆぐじ……」 「永遠だ。想像できるか? 俺たちはあと何十年生きるかわからないが、百年たたずに死ぬだろう。 それでもお前たちはまだ生きている。 こんな話をお前らにしてもわからんだろうが、 数百年先ともなれば、いよいよ地球環境も破綻を迎えるころだ。 ほとんどの生物が絶滅しているかもしれない。 動物はいなくなり、植物も死に絶え、 数千年、数万年が過ぎ、地球上に生き物が完全にいなくなっても、 それでもお前たちは生きている」 「ゆあ……………あ……………あ……………」 「地球そのものが滅ぶとしても、 お前たちは宇宙空間の中で生き続ける。 話し相手もない、食べるものもない、どこまで見渡しても暗黒だ。 お前たちに向かって「もう充分だ」と言って許してくれる人間は、とっくの昔に滅んでいる。 何千、何万年先も、お前たちは生きている、生き続ける。 何億年経とうが永遠に死ぬことはできない。 仮に数百億年先、この宇宙が終わっても、 お前たちだけは無限の虚空の中で生き続ける」 死ねない。 つまり終わらない。 「海辺の砂の粒を、一年に一粒だけ運ぶとしよう。 それで山を作るとすれば、いったい何年かかる? そうして作った山で島を作るには何年? 一年に一粒の砂で、地球を作るにはどれだけの時間がかかる? お前たちは、それだけの時間を苦しみながら生き続ける。 そして、それだけの時が過ぎたとしても、 永遠のうち、ほんの一瞬だって終わっちゃいないんだ。 それだけの時を、お前たちはさらに何万何億何兆倍も積み重ねなければいけない。 それが過ぎても、永遠はほんの砂粒ほども終わったとは言えない」 終わらない。 苦しみは終わらない。 おわらないおわらないおわらないおわらないおわらないおわらないおわらないおわらないおわらないおわらない 「ゆあああああああーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!! うああああああああああああああああぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」 十三匹は無意識に叫んでいた。 お兄さんの話は半分もわからなかったが、 それでも、彼らを襲っている絶望はそれまでとは比べものにならなかった。 「苦しみは時の流れる限り永遠に続く」 お兄さんが、部屋を横切るカーテンを一気に引いた。 カーテンの向こう側には、かつて見なれた器具が所狭しと並んでいた。 天井から伸びるフック、金属製の輪。 ロープ、鉄板、車輪、針、注射器、かつて見た拷問器具。 見たこともないような器具もたくさんあったが、 どれもゆっくりできないことだけは確かだった。 「お前たちの犯した罪の、それが償いだ」 「いやだああああああーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」 「ごろじで!!ごろじで!!ごろじで!!じなぜでええええぇぇぇ!!!」 「おぞらでっ!!あがぢゃんにっ!!あいにいぎだいいいいいいい!!」 「ゆんやあああああーーーーーーーーーーーーーっ!!ゆぁがあああーーーーーーーーーーっ!!!」 「いやだああああああああああ!!じにだい!!じにだい!!ゆっぐじざぜでええええええええ!!!」 「ゆるじでっ!!ゆぐじで!!ゆぐじでぐだざいいいいいいいいい!!!」 「おにいざん!!おにいいいいざあああああああああああああああああ」 「ゆあああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」 ゆっくり達は、いつまでもいつまでも絶叫しつづけた。 涙と涎をまき散らしながら喉も裂けよと絶叫し続けている親れいむの頬に、 両手を当てて優しく撫でながら、お兄さんは静かに言った。 「気分はどうだ?何か言ってみてくれ」 絶望。 絶望の上に塗り重ねられた絶望。 救いはない。逃げ場もない。無限の苦痛。 ひび割れた思考の奥から、 親れいむはやっとのことで、かすれた言葉を絞り出した。 「………………………………………………たすけて……………………………………………………………………… ………………………………………………………………………………………………ください…………………………」 「駄目だ」 「やった、すごい!!」 須藤春奈博士が跳び上がらんばかりの喜びを見せていた。 「ホラ見て!ゆ糖値がすんごい跳ねあがってる!! ケタが三つも違うよ、すごいすごい、新記録!!」 傍にいた研究員と手を叩き合わせて喜ぶ博士。 その場にいた大勢の研究員が、実験の結果に声を上げていた。 ゆ糖値とは、一般に言われる糖度とは別物で、 ゆっくりの体内の餡子の甘味を、 須藤春奈博士の研究により数値化することに成功したものである。 苦痛によって凝縮され向上した甘味が、 具体的な数値となってゆ糖計器のカウンターに表示される。 それは、かつて俺が虐待した時の数字に比べて、 確かに三桁ほどの差があった。 「精神的虐待の基本にして原則、「上げて落とす」。 山が高ければ高いほど谷は深くなるってわけ。 ここまで手間をかけた甲斐はあったね! 圭一さんも名演技でした!グーよ、グー♪」 「そいつはどうも」 「憎んでないとか言ってたわりには情感こもってたんじゃなーい?」 「まあ、やっぱり割り切れない部分はあったね」 正直驚きだった。 今回、肉体はそれほど痛めつけていないというのに、 精神を責めたとたんにこれほどの数値が出るとは。 ゆっくりは痛みに弱いといわれるが、それは肉体的な意味に限ったことではないようだ。 むしろ、精神のほうが肉体よりもさらに脆いらしい。 あれほど普段からしつこくゆっくりを渇望しているほどだ、 ほんの少しのストレスにも耐えられないというわけだろう。 まして、このゆっくり共に与えられたのは、 地球上の生物がかつて感じたこともないほどの空前絶後のストレスなのだ。 「かくて永遠は生まれたり」 高揚感を保ったまま、 春奈博士がいろいろと書き込まれたホワイトボードを指して喋り続けている。 「本来人間には手の届かない領域、永久機関がついに生まれたわけね。 ゆっくり以外の物質ではどう転んでも不可能な芸当です。 結局、あたしたちには本当の意味で実感はできないけどさ、 「死ぬことができない」というストレスはここまですごいってわけだね。 永遠に生き続けるという恐怖。みんな想像できる?できないできない」 手をひらひらさせる春奈博士。 彼女は俺に向きなおって言った。 「ほんっと、ありがたかったわー。 あたしのプランには、なるべく人に迷惑をかけたゆっくりがほしかったの。 ベストはもちろん人殺しなんだけど、 人を殺したゆっくりなんてどこ探してもいないもん、普通。 ところがこの子たちでしょ、さんざん人間によくしてもらったあげく人殺し! これ以上のサンプルはないよねー。圭一さん、ほんと感謝感謝」 「褒められてる気がしないな」 「あはは、まあまあ。 さて、このサンプルがどれだけ役に立つか、あとはお楽しみってわけねっ」 俺は改めて聞いた。 「一体どうやって、あんな体にできたんだ?」 「なによー、もう何回も説明してるじゃん」 「すまん。何度聞いてもよくわからない」 「もー、だからね、もうホントちょっといじるだけなの。 ゆっくりの体を構成しているものは、マジ、地球上のどんな生物とも全然違うわけ。 物質としてのルールからして全然違う。 世界中の科学者が混乱したのは、生物学上のルールを無理にあてはめようとしてたからよ」 「うん」 「ゆっくりは生物じゃないの。 かといって鉱物でもない、生体鉱物ともいえない。 存在自体が、これまで地球上にはなかった全く新しい概念なんだ。 その存在は、ルールから性質からすべてが未体験で、今までの常識は全く通用しません。 質量保存の法則も相対論もなにもかも、無駄」 「だろうな」 「なぜ饅頭が生きて動いているのか。 あたしはそれを解明しちゃいました。 詳しく説明するのはすごく難しいんだけど、あえて名付けるなら「物語性」っていうのかな、 まあそんなような概念がルールになってます。 まだ研究中だから、論文にはまだまとめてないんだけどね」 「物語性?」 「普通の生物のルールってのは、こうでしょ」 そう言い、春奈博士はホワイトボードに犬の絵を描き入れる。 ひどく下手な絵で、くすりと笑う声がどこからか聞こえてきた。 「はいはい、笑わない。で、こうでしょ」 犬の輪郭の中に、心臓が書き込まれ、何本もの管が書き込まれる。 「心臓が血を全身に送り出して、血液が栄養分を全身に行き渡らせる。 栄養分は食物を体内に取り入れることで摂取でき、不要な分は便になって排出する。 植物なら光合成だけど、こんなふうに複雑なシステムが絡み合い、機能しているから、 生物は生きることができる。そういうわけ」 「ああ」 「さて問題。ゆっくりを生かしているシステムとは何か?」 黒い三角をかぶった球体、まりさ種のつもりらしい、 ホワイトボードに描き入れたその絵をペンで叩いて春奈博士が聞いてきた。 「お手上げだ。ご教授願うよ」 「答え。生きているから」 球体の中心に乱暴に「生」と書きつけ、春奈博士が強い語調で言った。 「生きている饅頭、そう決められているから生きている、それだけです」 「ちょっと待ってくれ。誰が決めたんだ?」 「知らなーい。とにかくそうなってるの。 他の動物は、食べることで身体を動かすのに必要な栄養素を取り込む、という理屈だけど、 ゆっくりの場合は、「ものを食べるようになっているから」というだけ。 なにを食べても餡子に変換するのも、頭に茎が生えて子供が実るのも、 「そういうふうになっているから」なの。 それ以上のどんなメカニズムも整合性も、ゆっくりにはありません」 「わけがわからん」 「動物だと思わなければわかるはずだよ。そのように作られているから、そんだけ。 すごく単純に説明してるけど、もちろん実際の餡子内の情報量はけっこう複雑だよ。 ともかくあたしは、ゆっくりの餡子に刻みつけられているそのルールを、 人間の言葉に翻訳することに成功しました。 ゆっくりというのが物語として、それを構成しているのが設定とするなら、 その設定を、おおむね解読できちゃった。 で、あとは、それを書き変えただけ。 「餡子がなくなったら死ぬ」「中枢餡が破壊されたら死ぬ」という部分を、 まるごと「死なない」に変換した、というわけです」 「…………」 「ま、簡単に言っちゃったし、やってることも単純なんだけどさ、 書き変える方法がまたものすごく難しくってね、専門的な話になっちゃいます。 言ってみれば別次元に干渉するのに近いね。 本にパンチして、漫画の中のキャラを殴ろうとするようなもん。 ま、企業秘密としときましょ」 春奈博士はそう言い、けらけら笑った。 「やり方がわかったらあとは簡単。 中枢餡だけは壊れない、餡子だけ再生する、皮までまるごと再生する、 いろんなパターンの不死を楽しめます。 今回のプランでは、途中まで中枢餡のみの不死。 ミキサーに入れる前にまた処置して、皮を張り替え、全身不死ゆっくりにしたわけ。 餡子だけじゃあ話もできないもんね」 「どういうしくみで再生するんだ?餡子はどこからくる」 「いまさらな質問だなあ。だから、そうなってるから。 仮に核爆弾が直撃しても、地球が爆発しても、膨張した太陽に飲み込まれても、 それどころか宇宙が消滅しても、このゆっくりは生きてます。 それがなぜかといえば、「死なない」と決められたから、なの。 あたしが「もろもろの条件下で死ぬ」と書き改めない限り、何やっても死なないよ。 さっき、漫画のキャラっていうたとえ話を出したけど、 実際、ゆっくりだけが別次元にいるようなものでね。 この三次元で何が起ころうと、別次元の概念には一切干渉できないってわけ」 「何度も聞いた説明だが」 俺は肩をすくめて息をついた。 「さっぱり、わからん」 「そりゃそうだよ」 いたずらっぽく笑い、春奈博士は言った。 「作者にもよくわかってないもん」 続く
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3628.html
『真冬のゆっくり対策』 「この時期に色々と対策を取ったほうがいいですよ」 ある村で会議が開かれていた。この村はゆっくりによる農作物の被害が多かった。 「確かに今が一番いいわね。今ならみんな冬篭り中だし手こずる事も無いでしょう」 ちなみに今は真冬。ゆっくりは冬篭り中で村には出没していない。そのうちにゆっくりの数を減らしてしまおうというのだ。 「春になったらまた子作りしますよ。そうしたら被害が増えるだけだ」 「ドスまりさも冬は動けませんよ。やるなら今です」 「しかしこの村の人数ではな…」 「でしたら周りの村や町にも応援を頼みましょう。虐待好きな方も動員しましょう」 「わざわざ来てくれるかね」 「どこも真冬はゆっくりが少なくて虐待が中々できないそうですよ。この辺りはゆっくりが多いようですから見つけやすいんじゃないですか? 喜んできてくれますよ。」 「いや…そっちの人のことを言ったんじゃないんだが…」 何はともあれゆっくり駆除の募集が行われた。 「ふ~ん…ゆっくり駆除ね」 新聞を読みつつ虐待お兄ちゃんは呟いた。 "ゆっくりを虐めたくてうずうずしてませんか?" 「してる。この時期は粋の良いゆっくりがいないんだよなあ」 彼の住んでいる村のそばだけでなく大抵の場合冬になるとゆっくりを見つけるのに少々手間取ってしまう。手間をかけてまでゆっくりを捕獲し 虐める人はそんなにいない。たまに自宅に忍び込もうとするゆっくりを捕まえて虐待するくらいだ。 「そういえばこの村は結構ゆっくり被害が多かったな」 "報酬はあまり出せませんが特産品をご馳走します" 「あ、この村確か良い酒があったんだ。結構高いやつ」 村の経済状況ではそれが精一杯だった。 "いつでもお越しください。ご協力お願いします" 「人助け&酒&虐待。良いこと尽くめじゃないか。早速出かけよう」 「うう…寒いわ」 虐待お兄ちゃんは村に着いた。彼が住んでいる村とは違い雪が積もっていた。 「そうか…雪がよく降るところだから米が良くて酒が美味いんだな」 彼の他にも多くの人達が着ていた。 「皆様、遠いところから良くおいで下さいました」 「この村はゆっくりによる被害が多くて困ってます。力を貸してください」 「無理はなさらないでください。夕方には戻ってきてください。夕食を用意いたします」 「ドスはここからかなり遠いところにいるので遭遇する心配はありません。ご安心ください」 「皆様お願いします」 彼らは準備を整え山へ向かった。 虐待お兄ちゃんは木の根っこの辺りを探していた。まずゆっくりが巣にしているのは木の根っこの下である。 「うーん…あ、ここ怪しい」 ゆっくりは冬篭りをする時入り口に草や石などを詰め寒さを防ぐという。不自然に石が固まって置いてある場所は巣の可能性がある。 「手ごろな大きさの石はないかな…」 彼はブロック程の大きさの石を見つけた後シャベルで木の根っこの辺りを掘り出した。 巣の中- 「ゆぅ…きょうはさむいね」 「おきゃあしゃん!しゅりしゅりすりゅちょ、ちょっちぇもあっちゃかいよ!」 「まりさともすりすりしてね」 「れいむも、れいむもすりすり~」 巣の中は典型的な幸せ家族であった。まりさとれいむに子れいむ、赤まりさ、赤れいむの5匹だ。巣の中は5匹と貯蔵している食糧でギリギリ といったところであった。 「せまくてごめんね、らいねんはもっとひろいおうちにすもうね」 「そんなことないよ。まりさががんばってつくったおうちだもん。とってもゆっくりできるよ」 「しょうだよ!まりしゃちょっちぇもゆっきゅりしちぇるよ!!」 そんな幸せムードもここまでだった。 「……で……~。は……す…よ…」 「ゆ!なにかきこえるよ」 「ゆ!なんだかさむくなってきたよ!!」 「しゃみゅいよお」 「はるですよ~!!!!!」 「「「「「ゆゆゆ!!!!」」」」」 入り口が壊され虐待お兄ちゃんが巣の中をのぞいていた。 「はるですよ~。なんちゃって」 「きょきょはまりしゃたちのゆkk…ゆぴいいいいい!!!しゃみゅいいいい!!!!」 「おちびちゃんたちはおかあさんのおくちのなかにはいってね!!」 「おじさん!!ゆうう!!!ここはまりさたちのおうちだよ!!さっさとでていってね!!!さむうううう!!!!!」 「あれ、まさか冬篭り中だったかい?」 「そうだよ!!!!だからゆっくりしないででていってね!!!!ゆううう!!」 「すまないねえ。なあ、ゆっくりと遊びたいんだけどこの辺りにゆっくりはいないかい?」 「ゆっくりしないででていってね!!!いりぐちなおs…ゆぴいいいい!!!!」 「早く教えてよ。いないんだったら君達と遊ぼうか」 「となりのきにありすがいるよ!!!まりさもいるよ!だからはやくでていってね!!」 「そうか、それはどうも。お礼に入り口埋めてあげるよ」 「ゆっくりしないでね!」 「じゃあ奥に入ってくれ」 「わかったよ!れいむ、おちびちゃんおくにいってね」 ゆっくり達が奥に入ったのを確認すると彼は石を巣の中にぶち込んでいった。 「丁度すっぽり挟まったね。これなら大丈夫だね」 彼は隣の木に向かった。 「ゆううう!!!!おじさん!!!ふさがってないよ!!!」 「もう…まりさがふさぐ…ゆゆゆ!!いしさんがじゃまでまえにすすめないんだぜ!!!」 「さむいよおおおおお!!!」 「ゆっきゅりできなああいいい!!!!」 「ゆんしょ…ゆんしょ…ゆうううう!!!!!」 「さて、多分ここだな。ここがありすのおうちか。今度はベーシックにいこう」 彼はシャベルで掘り始めた。 「はるですよ~。はるですよ~。でてきてね~」 巣の中- 「むきゅ…きょうはひえるわね」 「ぱちぇ、まりさとくっつくんだぜ!まりさがあっためてあげるんだぜ!」 「むきゅ~ん…ほかほかするわ」 「ぱ…ぱちぇ…まりさは…まりさはぱちぇとすっきりしたいんだぜ!!!」 「だめよまりさ。ごはんがすくないわ。あかちゃんなんてうめないわ」 「はるまでまてないんだぜ!!」 「まりさ……むきゅ!いりぐちがこわれてるわ!!」 「ゆ!」 「おうおう、おアツイねえ。あれ、ありすじゃねえ」 彼は巣を覗きニヤニヤしていた。 「おじさん!まりさのあいのすになんのようだぜ!!!」 「さむいわ!!ゆっくりできないわ!!」 「いやはや、おアツイところを失礼したよ。でもアツすぎると赤ちゃん産んじゃって冬越せなくなっちゃうよ。頭冷やそうね」 彼は巣の入り口を滅茶苦茶に壊していった。 「やべでえええ!!!!!あいのずがごわれぢゃううううう!!!」 「ゆぴいいいいい!!!!さむくてゆっぐりできなあいいい!!!!」 入り口どころか巣は修復不可能なほどに壊されてしまった。 「これなら少しは冷静になるね。じゃあね」 「むきゅううううう!!!!!!!」 「おじざん!!!!!!ゆうううう!!!!!おうぢなおじでええええ!!!!さむくでゆっくりできないよおおお!!!!」 「どうじだらいいのおおおお!!!!!」 「おうぢなおずんだ…ゆぴいいいいい!!!…ゆうう!!!ごはんがかぜでとばされでるんだぜええ!!!」 「今度こそありすのおうちはここだな」 巣の中- 「みんなごはんにするよ!」 「ゆっくりできるよ」 「きょうはむししゃんがたべちゃいよ」 「きょうはとくにひえるからとかいはならんちにしましょう」 「やったね!ごちそうだね!」 「「「「「むーしゃむーしゃ…しあわせぇ♪」」」」」 こちらも幸せな家族団欒であった。ありすとれいむの若干珍しい組み合わせ。子ゆっくり2匹と赤ゆっくり1匹だ。 「こんやはもっとひえるからよくたべてねましょうね」 「さむいよおお」 「だいじょうぶだよおちびちゃん。れいむおかあさんとす~りす~りしましょうね~」 「「す~りす~り」」 「ありちゅもしゅ~りしゅ~りしちゃ~い」 「ありすもす~りす~り」 突然だった。 「ゆ!なんだかすうすうするよ!!」 「おきゃあしゃん!おしょちょがみえちぇりゅよ!」 「とかいはなおうちをこわすいなかものはだれ!!!!さむいっ!!!!」 「ビンゴ。ありすだ」 「ここはありすたちのとかいはなおうちよ!!!いなかものはでていってね!!」 「しょーだしょーだ!」 「おかあさん!!さむいいいい!!!!」 「ハハハ。悪い悪い。プレゼント持ってきたんだけど余計だったかな」 「ぷれぜんと!」 「あまあまさん?おにいさん!あまあまさんくれるの?」 「べ…べつにぷれぜんとなんかでつられないわよ!だけど…あげたいならもらってあげてもいいわよ!」 「じゃあみんな、巣の奥に入って目を瞑っててね」 「ゆっくりおめめつむるよ」 「さみゅいきゃらゆっきゅりしにゃいでね」 「あまあまさん…あまあまさん…」 ドサアア!!!! 「ちべだあああいいいいい!!!」 彼が巣の中に入れたのは雪だった。 「遠慮するな。どんどん入れてあげるから」 「ちゅめちゃいよ!!!」 「やべでええ!!!ありすのとがいはなおうちがああ!!!!」 「それそれ!それそれ!」 「やめ…むぐうううう!!!…っぺっぺ…やべでええええ!!!!!むぐううううう…」 「いやあああああ!!!!ゆきさんこっちごないでええ!!!!」 「ほれ。トントンっと」 巣の中が雪でいっぱいになるとパンパンっと雪を固めて入り口を塞いだ。 「一面銀世界だなんてなんて都会派なんだろうね!!」 彼は次のターゲットを探したが中々見つからなかった。実は木の根っこを冬篭り用の巣にするゆっくりは少数らしい。 というのも巣が広げにくく食糧が貯めにくい事と雪の重みで入り口が壊れてしまうケースがあるからだ。 「あ、ここも空っぽだ。仕方ない根っこは諦めるか」 春になったら戻ってくるゆっくりもいるらしい。彼は山の奥の方へ向かった。 虐待お兄ちゃんがいなくなってから数分後- 「「ゆんしょ…ゆんしょ…」」 「おきゃあしゃんがんばっちぇね!」 「あかちゃんさむくない?す~りす~り…」 「しゅ~りしゅ~り…ゆうううう…しゃみゅいよおお」 石で入り口を中途半端に塞がれた家族である。 「ゆうううう!!!いしさん!!おうちからでていってね!」 「これじゃだめだよ…みんな!てつだってね。みんなでがんばればいしさんをどかせるよ!」 「まりしゃもぎゃんばりゅよ!」 「あかちゃん、がんばろうね」 「「「「「えいえいゆー!!」」」」」 「「「「「ゆんしょ!ゆんしょ!…」」」」」 微かに石が動いた。 「ゆ!うごいたよ!」 「みんながんばってね!」 「「ゆうう…みょうちゅかれちゃよ…」」 「れいむももうだめええ」 3匹が力尽きた時だった。 「「ゆべっ!!!!」」 「おかあさん!!」 「「ぎゃああ!!!!」」 親ゆっくり2匹が石に潰されてしまった。 「ばりざのあんよがああああ!!!!」 「でいぶのおがおがあああ!!!」 もうこの家族は冬を越せないだろう 「ゆびゅううううう…どうじよう…」 巣を壊されたまりぱちゅ。なんとか巣をそれらしい形にまでは戻したが寒気は容赦なく巣の中に入ってくる。食糧も大半が風で飛ばされてしまった。 「む…き…ゅ…」 「ぱちぇえええ!!!しっがりじでええ!!!!」 「もうだめだわ…ぱちぇは…もう…」 「ゆっくりしようよ!!!!!まりさといっしょにゆっくりいいいい!!!!」 ビュウッ!!!!! 強めの風が吹いた。 「ゆがああああ!!!!おうぢがあああ!!!!」 巣が壊れてしまった。さらに 「ゆああああ!!!!!まりさのぼうじがああ!!!!!ぼうじざんまっでえええ!!!!」 まりさの帽子が飛ばされてしまった。まりさは帽子を追って巣から出て行ってしまった。 「…ま…りさ…ぐ…ずっ…ひどいわ…」 まりさが帽子を取り戻し巣に戻ってきた頃にはぱちゅりーは死んでいた。まりさも直にぱちゅりーのもとへ逝くだろう。 「「「「「………………」」」」」 巣の中に雪を詰められた家族はみな固まってしまい動いていない。 「「「「「………………」」」」」 凍死ではなく仮死状態のようだ。解けた雪が体を溶かすより早く意識を戻すことができるのだろうか。 つづく by 虐待おにいちゃん
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1653.html
厳しい冬が終わりを告げ、春めいた陽気の日々が続くようになると、山の竹林では一斉にたけのこが生え始める。 この竹林の周辺を住処とするゆっくり達にとっては最高のご馳走であり、冬を生き延びた自分たちへの山からのご褒美とも思えるものだ。 「ゆっゆっゆー ゆっくりしていってね!!!」 「ここに、おいしそうなたけのこさんがあるんだぜ! まりさがとってあげるんだぜ!」 「「「おとーしゃん、ゆっくちがんばっちぇね!!」」」 ここにも、6匹でなかよくたけのこ掘りに興じているゆっくりの家族がいた。 成体の「れいむ」に「まりさ」とれいむ2まりさ2の赤ゆっくり達。 たけのこは、土の中のまだ葉が開いていない物が美味とされるが、ゆっくり達はカサカサと音を鳴らし地を這うようにして動きまわり、器用にたけのこを見つけていく。 ゆっくり達の身体的な特徴は、真にたけのこを探し当てるのに適していた。 「ゆぅぅ〜 ゆぅうううーー・・・!!」 「おとーしゃん がんばっちぇね! おいしいたけのこしゃんたべさせてね!」 「あ! たけのこしゃんのおちりがみえてきたよ!あとちょっとやよ!」 「おかーしゃんすごいね! おとーしゃんすごいね!」 「ふたりちゃりとも ちぇからもちですごいね!」 かわいいわが子達の声援を受けて、両親の作業にも熱が入っていき、見事に土の中からたけのこを取り出すことに成功した。 「ゆぅぅぅうう・・・・・!!!」 「「すっぽりーー!!」」 間の抜けた、掛け声とともにたけのこを抱えたまま二匹は力を入れた方向に転がっていく。 たけのこと一緒にコロコロと2,3回転がった程度で回転は止まり、心配して跳ね寄る子供達に2匹はニッコリと微笑んだ。 「やったぜ! たけのこさんが掘れたぜ!」 「まりさとれいむにかかれば たけのこさんもいちころなんだよ!」 「ゆゆー おとーしゃんやったね!」 「これで たけのこしゃんむーしゃむーしゃできるね!」 「おかーしゃん だいじょうぶ? いちゃくなかった?」 「ゆぅぅ〜 とっちぇも ゆっくりできちょうな たけのこしゃんだねぇー!」 キャッキャッとはしゃぐゆっくりの家族達は完全に、たけのこに気をとられて浮かれていたため、周囲に対する警戒が薄くなっていた。 この時期、たけのこを狙ってイノシシなども竹林によく姿を現すし、ゆっくりにとって「ゆっくりできない」存在である人間なども竹林に入ってくる。 周囲への警戒はしすぎるということがないくらいに、厳にするべきであったのだが、この家族は取ったたけのこをその場で食べ初めてしまった。 「むーしゃ むーしゃ しししししぃーしあわせぇぇーー!!!」 「「「「ちあわしゃへーーーー!!」」」」 「うっめ! これうっめ!」 しかし、この無警戒には理由があった。 この家族がたけのこを取っている場所は、山の竹林の中でもかなり奥まっているし、やや急な斜面をびっしりと成長した竹が覆っている、竹の密集地帯だった。 そもそも、良いたけのこはある程度、竹林を伐採してたけのこの出てくる余地を作ってやって、初めて生えてくるものである。 効率を重視する人間達は、最初から目をつけた竹林に手を入れて、良質な物を手に入れようとする為、竹林の奥までわざわざ入ってくることは稀であることを、この家族は学習できていた。 野良にしては、優秀なゆっくりと言える部類であり、この家族の未来は真にゆっくりしていると言えた。 しかし、そう上手くいかないのが人生・・ もといゆん生である。 この家族の破滅の足音は、頭上50メートル付近で轟音を轟かせた。 バチバチチチッッ パァーーン ビチチチッ!! 「「ゆゆっ!!?」」 ゆっくりとしあわせーを交互に繰り返し、緩みきっていたゆっくり達の下膨れの頬が一気に緊張する。 彼女達からは目視できない、はるか頭上で鳴ったその音は親達ですら生まれてこの方耳にした事が無い音であり、赤ゆっくり達はたちまちパニックを起こしてしまっていた。 「「ゆぅーー このおちょなにぃー??!」」 「「ゆっぐじでぎにゃいよお”お”お”お”お”お”!!!」」 「おちびちゃん達! 落ち着いてね! お母さんにゆっくりついてきてね!」 「まりさが付いてるから安心するんだぜ! おかあさんにゆっくりついていくんだぜ!」 親れいむが子供達を先導し、親まりさはその場にしばらく留まって周囲を警戒した。 緊急時の役割分担すら完璧であり、自分達も初めて遭遇する事態であるにも拘らず、迅速に巣へ引き返し始めた。 先導する親れいむと親まりさにはさまれるようにして、4匹の子供達が安全に巣へ誘導された。 あたりには焦げ臭い匂いが立ち込めていたが、目に見える範囲での明確な出火は確認できず、事態を把握しきれない事に、親まりさは言いようの無い不安を覚えていた。 {何が起きたかはわからないけど、みんなのゆっくりはまりさが守ってみせる!} 心の中で、そう決意しながら家族とともに安全な巣へ引き返していくゆっくり達。 彼女達は知る由も無いことだが、餌場たる竹林の上空には高圧送電線が通っており、伸びきった竹が接触することによって、短絡(たんらく)が発生していたのだった。 そしてこの事象が、今まで人間の進入を拒んできていた竹林に人間を呼び込む原因となることを、勇敢な親まりさは知りようも無いのだった。 ==翌日== 「あーーーあぁ めんどくせぇなぁ」 そんな風に悪態をつきながら、長柄鎌とのこぎりを装備して5人の仲間と一緒に山の斜面をノロノロと登っていく一人青年の姿があった 年の頃は25、6といったところだろうか? ひたすらダルそうにしながら山の斜面を登っていく。 昨日の送電線の短絡事象は、変電所などの関連した設備にはたいした影響は及ぼさなかったが、 再発防止のため、彼らを含む複数のグループが送電線の巡回検査を行う為に山に入り込んでいた。 この青年、いつもはデスクワークなどを専門とし、現場作業にあっては下請け等をこき使う為、周囲からは白眼視されていたが、本人はそんなことは大して気にする様子も無くオフィスで砂糖のたっぷり入ったコーヒーをすすり続けており、入社以来使い続けた椅子はその重量を支えることが難しくなっていた。 シュボ スパスパ フゥーーーー あろうことか、火気厳禁の山林でタバコを吸うこの男は、他の仲間からどんどん距離を開けられていき、目的の竹林近くに到着した頃には、すでに竹の伐採が始まっていた。 「じゃあ、私達は鉄塔のところまでこのまま竹を切りながら向かいますんで、すいませんがこの辺りの竹をお願いしてもいいですかね?」 連れてきた下請け業者の責任者が、そのように申し出ると青年は何も言わずに黙ってタバコを咥えたまま、2,3度頷いた。 他の五人はそのまま、上空の送電線を確認しながら、送電鉄塔を目指して進んでいった。 青年は適当に、腰の辺りまで伸びているたけのこを鎌でつつきながら、2本目に火をつけた。 吸い切った一本目のタバコを、腰を屈めて地面にこすり付けていると、視界にふと、ところどころ齧られた跡のあるたけのこを見つけた。 大きな齧り口もあれば、小さなものもある。 イノシシかなにかとも思ったが、それにしては齧り方が控えめな様な気がした。 もっともこの青年は、イノシシの齧ったたけのこなど見たことが無いので、そんな気がしただけであり、そのうちにそんなたけのこには興味を失ってしまい、ささやかな自分の義務を遂行するために、ゆっくりと立ち上がった。 「もうちっと、””ゆっくりしても””いいかも知んないけどさ〜」などと呟きながら・・・・・・・・。 昨日の不意に起きた、破裂音を警戒して、ゆっくり達はいつもとは違い十分に警戒しながら、餌場に向かっていた。 彼女達の巣は、倒木などで出来た天然の屋根に守られており、夏は涼しく、冬は少しの工夫で寒風を凌ぐことが出来た。 入り口を塞ぐ葉っぱを取り除き、親まりさが周囲を警戒しながらでてくる。 その後に、子供達が続いて親れいむが葉っぱの上にさらにカモフラージュを施せば、出発の準備は完了である。 親達の緊張が伝わったのか、子供達も今日は口数が少ない。 しかし 昨日おなかいっぱいになり損ねた分、今日こそはいっぱいたけのこさんをむしゃむしゃしてやろうと、心は踊っていた。 親達はゆっくり餌場に移動しながら、昨日のことを話し合っていた。 「ねぇ まりさ 本当に大丈夫かしら? 昨日の事もあるし・・・ 今日は他の餌場でもいいんじゃないかな?」 「ゆぅ〜〜ん・・・ 」 「「おとーしゃん れいみゅはたけのこさんたべたいー」」 「「おかーしゃん まりしゃもたけのこしゃんむーしゃむーしゃしたいんだぜ!」」 「「ゆぅぅーーん・・」」 二匹の親ゆっくりは困ったような顔をしながらも、子供達の期待に満ち溢れた、キラキラした目に押される形で、昨日の竹林付近にまで歩みを進めていた。 そしてそこで、腰を屈めて、昨日彼女達が掘り出したたけのこを観察する人間に出くわしたのだった。 すぐさま、木の根元に身を隠した親まりさは、目配せで他のゆっくり達に静止をかけると、親れいむはすぐさま子供達の注意を舌で喚起し、近くの藪に誘導した。 臭い煙を吐きながら、たけのこをまじまじと見つめる姿を、藪の中からじっと見つめる子れいむと子まりさ達。 {しょれは おかーしゃんとおとーしゃんががんびゃってとってくれた とってもゆっくちできるたけのこしゃんなんだよ! ゆっくちかえしちぇね!!} そんな風に、ちいさいながらも憤りを覚えていた。 故に、その後に耳を打った本能を刺激する言葉に素直に、そして大きな声で反応してしまった。 「「「「ゆぅ? ゆっくちちちぇいっちぇね!!」」」」 「あぁ?」 その声に振り返る青年。 その目の前に、成体のゆっくりまりさが飛び出してきた。 「ゆっくりしていってね!!人間のおにいさん!」 この時のまりさは、半分以上死を覚悟している。 とにかく、人間の注意をそらすことのみに、考えを集中させていた、後ろにいる最愛の家族のために、ほんの少しでいい、注意を逸らす事が出来れば・・・! しかし、そんなまりさの想いを無視するかのように、青年は下衆な笑顔を浮かべて、まりさの背後の藪を長柄鎌で横なぎに払った。 間一髪で親れいむが子供達を体当たりで弾き飛ばしたおかげで、子供達は鎌の刃にかかる事は無かったが、れいむ自身は自慢の赤いリボンを巻き込みながら後頭部にザックリと鎌の刃の進入を許してしまっていた。 「ゆ”う”う”っう”−−!!」 「い”や”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ッッッ れ”い”ぶの”か”わ”い”い”お”り”ぼん”がぁぁぁ!!!」 「ははーッ ゆっくりじゃねえかよ こんな所で見つけるなんてツイてるぜ!」 青年はれいむが刺さったままの長柄鎌を手元に戻すと、ドンッと柄の部分の先端で地面を叩いた。 衝撃でれいむがゆっくりと鎌の刃からすべり落ちるように落下する。 と、地面に落ちる寸前で青年が軽くれいむに前蹴りを食らわせようとしたが、むなしく空を蹴った。 「れ” れ”い”む”ぅ”ぅ”ぅ” し”っ”か”り”し”て”ぇ”ぇ”ぇ”ぇ”ぇ”ぇ”」 大粒の涙をこぼしながら、まりさは一目散にれいむの元に跳ね寄り、傷口を舌で労わりはじめる。 子供達は体をぶるぶると震わしながら、呆然と眼前の光景を見やることしか出来なかった。 空振りの前蹴りでたたらを踏んだ青年は、悪態を付くと長柄鎌を少し持ち上げて、柄の先端を再び地面に向かって突き込んだ。 無防備にさらけ出されたれいむの後頭部に追撃の一撃を加えるつもりだ。 ジュブゥゥッ!! 最初の一撃で出来た傷口付近に叩きこまれた一撃は、空気を含んだようないやな音を立てて、れいむの後頭部にめり込んで行き、なおも力が加えられたため、完全に地面まで貫通してしまった。 青年はさらにひねりを加えながら、ゆっくりと柄に貫かれたれいむを持ち上げて、藪の近くで震える子供達の前に突き出した。 「で? これお父さん? お母さん?」 「や”べ”ろ”ぉ”ぉ”ぉ”ぉ”!!! れ”い”む”を”は”な”せ”ぇ”ぇ”ぇ”ぇ”!!!!」 まりさは子供達の方に跳ねていき、庇う様に青年に向き直ると、れいむを柄からなんとか引き抜こうと、奮闘し始めた。 「ねえ どっちなの? 答えてよ?」 「「ゆ”ぅ”ぅ” お”か”ぁ”し”ゃ”ぁ”ぁ”ぁ”ん” や”め”ち”ぇ”ぇ”ぇ” 」」 「こ”ん”な”の” ゆ”っ”く”し”で”き”な”い”ぃ”ぃ”ぃ”ぃ”」 「に”ん”げ”ん”し”ゃ”ん” ひ”し”ょ”い”こ”ち”ょ”し”な”い”で”ぇ”ぇ”ぇ”ぇ”ぇ”」 「ああ そう お母さんかー ありがとね 教えてくれて」 そう言いながら、青年は両の手で長柄鎌を持ち直して、ひどいことをしないでと懇願した赤れいむをそのまま突き刺した。 「し”ゅ”う”!?」 母親が刺さったままの鎌の柄に、ちょうど眉間の辺りを突き刺された赤れいむは、その勢いのまま腐葉土の地面に半ばめり込んだ。 青年が慎重に引き抜くと、親子れいむはちょうど向かい合う形で串刺しになっており、その姿をみた青年は「よかったね お母さんにキスしてもらえたよー」などとおどけた調子で言い放った。 「ゆ”ぅ”ぅ”ぅ” も”う”い”や”し”ゃ”ぁ”ぁ”ぁ”」 「た”し”ゅ”け”て”ぇ”ぇ”ぇ”ぇ” お”と”ーし”ゃ”ぁ”ぁ”ぁ”ん”」 「お”か”ぁ”し”ゃ”ん”と”れ”い”む”を”た”し”ゅけ”て”あ”け”て”ぇ”ぇ”ぇ”ぇ”ぇ”」 その場で絶望を表明するもの、父親に助けを請うもの、なおも他の家族を気遣うもの。 三者三様の反応であったが、共通しているのは、一匹もその場から動こうとしなかった事だ。 なまじ親が優秀すぎ、子供達が幼すぎたのが不運であったようで、三匹は恐怖のあまりその場から動けずにいたのだ。 このような時、とにかく分散して逃げてしまえば、この図体ばかり大きい愚鈍な人間からなら生きて逃げ延びる事が出来たかもしれないが、そのような判断が出来るほど成長してもおらず、危機的な状況に陥ったことが極端に少ない幸せだった赤ゆっくり達は、ただひたすらに恐怖を訴え、救いの手が頼れる父親から差し伸べられるのを待つしか出来なかった。 「お”ち”ひ”ち”ゃ”ん”た”ち”に”て”を”た”す”な”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”!!!」 涙でぐちゃぐちゃになった顔面に光る二つの目には、未だ闘志が灯っていたまりさは、猛然と怒りに任せて青年の膝辺りにまで飛び上がって体当たりを敢行した。 通常のゆっくりには考えられないほどの大ジャンプであるが、地形の高低差を利用した、この優秀なまりさならではの、ひねりの効いた一撃だった。 山登りで足に疲労がたまっていた青年には、一定の効果が在り、無様にもヒザカックンの要領で、青年はバランスを崩してしまった。 「がッ! くそったれ! この腐れ饅頭がッ!!」 「おちびちゃんたち!今だぜ! ゆっくり逃げるんだぜ!!」 その一声で、我に返った赤ゆっくり達は、一斉に後ろの藪に飛び込み、そこから2方向に別れて別々に逃げようとした。 ーーーーーーが、藪と赤ゆっくり達の間に、母と姉妹の体を貫いた長柄鎌そのものが降って来た。 その衝撃に足踏みした赤ゆっくり達に、まず青年の右足が踏み込まれた。 踏み込まれた右足は、なおも地面を擦り上げ下敷きになった赤まりさをすり潰す。 次に振るわれたのはノコギリで、赤れいむの顔面をザックリと裂きながらめり込んで行き、彼女に与えた苦痛の量は、意識を失わせるのには十分なものだった。 最後に残った一匹を、青年は抱え上げると、木の枝に串刺しにし、親まりさに向き直った。 「クソッ 舐めた真似してくれたもんだな?」 青年はなおも右足を地面に擦りつけながら言うと、タバコに火を点けてこう言った。 「お前が俺に体当たりなんかしちゃうからだよ 全員殺しちゃう気なんかなかったんだぜ?」 まりさは答えない。 ただ目の前の光景が信じられなかった。 ついさっきまで生きていた最愛の家族の変わり果てた姿は、まりさから戦意を奪うには十分だった。 「ゆっ ゆ・・・」 その声は、青年のすぐ傍にある木から聞こえてきた。 弱弱しいながらも、生存を主張するその声の方向に向かって、まりさはフラフラと進みだす。 「おちびちゃん ゆっくり待っててね いま まりさが・・・・」 スコンッ! まりさの目の前で、枝に突き刺さった赤ゆっくりの体が両断された。 それから数十分後、伐採を終えたメンバーと合流した青年は何事も無かったように山を降りていった。 あのゆっくりの家族が暮らした竹林には、いま6体のゆっくりの死骸がある。 顔面から背面向けて大きな穴の開いた、物が2つ 顔面にノコギリの刃を受けた後、息があった為に、丁寧な輪切にされた物 木の枝に体を突き刺されたまま体を両断され、奇跡的に皮一枚で枝からぶら下がっている物 地面に黒いシミとしてしか名残を残さない物 そして、家族を守ろうとしてついに果たせずに終わり、その心が折れた物。 4本ほどのタバコの吸殻を体にめり込ませたまま、まりさはただただ焦点の合わない目で見続けた。 今は無い、幸せだった頃の家族の姿を。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/38.html
幻想郷のゆっく輪廻 10KB ※DelPASSは"yukkuri"です。問題があったら削除してください ※じゃりあきさんの作品「ゆっきゅん物語」に触発されて書きました ※東方原作キャラが登場します ※設定捏造しまくり 幻想郷に突如現れたゆっくり。幻想郷の新顔。 今、私はその存在に大してある疑問を持っている。 限界のある人の身では確認する術がなかった。だが今、幾つかの幸運に恵まれ、その疑問 を解消する機会を得た。 幸運のひとつ。 それは、射命丸文という存在がいたこと。 この幻想郷であっても、人間が妖怪と縁を持つことは難しい。本来人間と妖怪は対立する もの。博麗の巫女や魔法使いの森のなんでも屋のような人間は特例中の特例であり、私の ように低級な術者では妖怪と仲良くするなど恐ろしくてできたものではない。 ところが、新聞を配るこの天狗は強力な妖怪であるにもかかわらず、比較的人間でも話し かけやすいと言う希有な存在だ。 もう一つの幸運。 それはなんと言っても、こうして偶然新聞を配る射命丸文と出逢い、話をする機会を得ら れたことだ。 そして、私は彼女に尋ねる。 ゆっくりについての疑問と、それに対する私の仮説が正しいのか、確認するために。 幻想郷のゆっく輪廻 ゆっくりについての疑問。それは、あるゆっくりの発見から始まった。 ゆっくり。 最近になって幻想郷に現れた、饅頭の生首。妖精とも妖怪とも言われているが、判然とし ない。 山や森で薬草や山菜の採取を生業としている私はよく目にする。 最近は数が増え、人里にも姿を現し、畑や人家を荒らすようになってきたらしい。 ゆっくりは私の採取とかち合うことが多く、何度も潰してきた。それなのに一向に数は減 らない。被害を受けた人里でも、何度も駆除を試みたと聞く。私も何度か手伝った。だが、 一時的に減ってもすぐに戻り、それどころかどんどん数を増している。最近、強力な妖怪 に縁を持つ者が根絶を依頼しようとしているという噂も聞くようになった。それも一度や 二度ではない。近いうちに実現するのではないだろうか。 そんなある日のこと。 いつもの採取のために山道を歩いていると、あるゆっくり達を見つけた。 普段、ゆっくりを見つけた場合は仕事の害になるから排除するか、あるいはどうせすぐに 増えるのだから無駄と放置するかの二択だ。迷うことはない。 だが、その日はしばし迷わされた。 「あっきゅん♪ あっきゅん♪」 初めてみるゆっくりだった。だが、その顔には見覚えがある。 おかっぱの黒か髪に花の髪飾り。新聞で見たことがある。九代目阿礼の乙女、稗田阿求の 顔と、そのゆっくりはとてもよく似ていた。さしずめゆっくりあきゅうと言ったところか。 ゆっくりあきゅうは大きさからして子ゆっくりのようだった。おそらくは姉妹であろうゆ っくりれいむ、ゆっくりまりさと共に楽しそうに跳ねている。 私はその三匹のゆっくりをしばらく観察することにした。 仕事上、ゆっくりの生態を把握する必要がある。極端に私の採取対象を荒らすものなら、 根絶は無理でも優先的に潰すことを考えなくてはならない。 「ゆっ、ゆっ~♪」 ゆっくりは背後の私に気づかずのんきに跳ねている。 この無警戒っぷりは観察が楽で助ける。 人里を離れ、山や森に入るのを生業にしている私だ。妖精や低級な妖怪に見つからない隠 形術ぐらいは身につけている。ゆっくり相手なら見つかることは絶対にないと断言できる。 「ゆぐっ!? いぢゃいよおおおおっ!」」 と、突然ゆっくりまりさが悲鳴を上げる。 見れば、跳ねたときに尖った石に引っかけたようだ。しかも不用心に跳ねたものだからそ の身体は大きく裂け、餡子がはみ出している。人間で言えば出血多量を警戒しなくてはな らない重傷だ。 まったく、こんな無警戒で脆弱なナマモノがのさばってるのは非常に納得いかない。それ を補うほどに繁殖力に優れている、という話だが。 「ぺーろぺろしてあげるね!!」 ゆっくりあきゅうは素早くまりさに近づき、はみ出る餡子を舐め始めた。 「いたいのいたのとんでいってね!」 「ゆぅぅ」 目に涙を溜めながらも、あきゅうは献身的に舐め続けた。 れいむは心配そうにしているが、あきゅうを信頼しているのか、不安はないようだ。 ふむ、おとなしいゆっくりなら特別注意する必要はないかもしれない。 このゆっくりも普通のものと同様、出会ったときに潰すか無視するか、その日の気分で決 めればいい。 雲行きがおかしくなってきたのは、そんなことを考えていたときだった。 「ゆあっ……? ああっ……! ああ、あ、あっきゅ……!」 「ゆああ……やべで……いぢゃい……!」 あきゅうの声が艶を帯び始め、目は熱に浮かされたかのように虚ろになる。その舌はまる でそれだけがひとつの生き物のように動きを激しくしていく。その激しさは餡子を舐め取 るどころか傷口をえぐり広げていくほどだ。まりさは出餡が多く動けないのか、痛みに震 えうめくだけだ。 あきゅうの舌の動きはいよいよ激しさを増し、今や傷の治療どころかまりさの体内から餡 子を吸い出すまでになっていった。 「おねえちゃんのばかあっ! まりさしんじゃうよぉ!」 ようやく異常に気づいたれいむの呼びかけに、あきゅうの目が正気の色を取り戻す。 その声に私もはっとなった。見入っていた。まりさを治療する……いや、貪り喰うあきゅ うの表情とその声は、まるで妖艶な遊女のような色気を持っていたのだ。 あきゅうは今さら自分がしたことに気がついたのが、 「ゆげぇぇぇぇ!」 はき始めた。当然だ。ゆっくりから流れ出る餡子は人間に例えれば血肉と同じ。ときにゆ っくりは生き残るために同族を喰らうこともある、それでも普段は禁忌とされていること と聞く。吐くのも無理はない。 まったく、このゆっくりあきゅうはどういうゆっくりなのだろう。おとなしいゆっくりだ と思ったが、違うのだろうか。 思考がまとまらない。 コトリ 唐突に、そんな音がした。 音の源に目を向ける。そこにはゆっくりあきゅうの吐いた餡があり、その中にトンカチの ようなものがあった。 ゆっくりは食べたものならなんでも餡子に変えることができるという。口に押し込み食べ させさえすれば、およそあらゆる有機物を餡子に変えてしまえるらしい。 では、逆はどうだろう。例えば、ゆっくりれいむのリボン。例えば、ゆっくりまりさのお ぼうし。例えば、ゆっくりありすのカチューシャ。 ゆっくりは、餡子から様々なものを作り出せるのではないのだろうか。 今、目の前でそれが行われたのではないだろうか。 ゆっくりあきゅうの吐き出したものは、小さな玄翁だった。 それを目にしてゆっくりあきゅうは一変した。 玄翁を口にくわえるやいなや、ゆっくりらしからぬ素早さで傷ついたまりさとそれを心配 するれいむへと襲いかかった。 「ゆ……ゆぎっ! ゆぎゃ……!」 「お、おねえちゃん!? なにをす……ゆべぇっ!!」 「あっ……きゅん! きゅん!」 一方的だった。小型の玄翁はトンカチ程度の固さと重さを持つらしく、饅頭であるゆっく りを容易に破壊した。 巧みに玄奥を操り、傷ついたまりさはもちろんれいむにも抵抗することを許さず叩きのめ していった。 「きゅん♪ きゅん♪」 その声はまたも艶に満ちたものに変わっていた。明らかにこの残虐な行為を楽しみ、その 上性的な興奮を得ている。 「あっ……きゅん!」 そして、れいむとまりさは原形をとどめないほどに叩き潰された。破壊の終わりに最高の 快楽を得たのか、あきゅうは感極まったようにひときわ高い声を上げた。 その瞳は閉じ、睫は快楽の涙に濡れている。満足げに微笑む口の端からははしたなく涎が 漏れ出し、頬はしっとりと紅潮していた。 その様は、まるで絶頂に達した遊女のよう。 元が純粋可憐な阿礼の乙女の顔をしているだけに、その違和感はいっそ背徳的ですらあっ た。 あきゅうはしばしその快楽の余韻に浸っていたが、やがて自分の潰したゆっくりの残骸を がつがつと食べ始めた。先ほどの禁忌への嫌悪など欠片もない。 「きゅん♪ きゅん♪」 むしろ、愉しんですらいた。 やがてすべてを食べ尽くすと、まるでなにごともなかったかのように跳ねて立ち去った。 いや、立ち去ったのではない。きっと次の獲物を探しに行ったのだ。 あきゅうが視界から消えると、私はようやく我に返った。 わけがわからない。 なんなんだ、あのゆっくりは。 ゆっくりがゆっくりを食べるのは必ずしも珍しくはない。先程述べたように生き残るため に同族を食べることもあるし、れみりゃやふらんといった捕食種もいる。 だが、あのあきゅうはそのどれとも違った。 餡の繋がった姉妹であるゆっくりを、ただ楽しみのためだけに玄翁で潰し、喰ったのだ。 なんとおぞましいゆっくりがいたものか。 こんなこと、できれば二度とみたくない。そう、思った。 しかし、私の願いはこれ以上ないと言うほどに裏切られた。 「ゆぎゃああああ! やべでぇぇぇぇぇ!」 あれから、ゆっくりあきゅうに襲われるゆっくりを見ることが日常的になった。突如現れ たゆっくりたちは、同じように突然現れたゆっくりあきゅうに狩られるようになったのだ。 山の中でも森の中でもよくゆっくりの悲鳴が響き、見に行けば大抵あきゅうが「あっ…… きゅん!」と嬌声をあげながらゆっくりを喰っていた。 「ざぐやぁぁぁ、ざぐやぁぁぁ! だずげでぇぇぇぇ!」 先日は片足をちぎられた胴付きれみりゃがはいずって来て、私に助けを求めてきた。 だが、私の元に辿り着くまえに無数のゆっくりあきゅうに群がられ、玄翁で照って敵に叩 きつぶされた。 あきゅうは捕食種のゆっくりすら捕食するらしい。 「ゆぎゃあああああああっ!」 谷底から響く大音声の叫びに下を覗けば、巨大なドスまりさが暴れ回っていた。 ドスには無数のゆっくりがまとわりついていた。ドスは壁に身体をぶつかたりドススパー クを放ったり、何匹もゆっくりを潰していく。だが、ドスにしがみつくゆっくりの数は減 らない。むしろ増えている。潰すより集まってくるゆっくりの方が圧倒的に多いのだ。 ドスは見る見る身体を削られ、やがて動かなくなった。 遠目で確認は困難だったが、わざわざ確かめるまでもない。 ドスを倒した無数のゆっくりは棒のようなものをくわえている。それは玄翁に違いなくて、 あのゆっくりはあきゅう以外に考えようがない。 そして、誰もが根絶するのは困難だと考えていたゆっくりは、幻想郷から姿を消した。 もう陽が落ちてだいぶ経つ。 ロウソクの明かりを頼りに、私はあらためて、仮説を書にまとめていた。 初めはふとした疑問からだった。 あまりにも印象的だったゆっくりあきゅう。そのモデルである阿礼の乙女は、知識を保ち、 何度も転生し続けているという。 それなら、そのゆっくりも何度も転生しているのではないだろうか。最近になって急に発 生したと思われていたゆっくりは、実は過去にも発生したことがあるのかもしれない。 それはなかなか面白い仮説に思えた。 我ながら物好きなことだが、そのためにわざわざ手続きを踏んで申し込み、幻想郷縁起を 閲覧させてもらった。ところが残念なことにゆっくりについての記述はなかった。 阿礼の乙女、稗田阿求に話を聞く機会もあった。だが、ゆっくりはまだわからないことが 多く、幻想郷縁起への記載は検討中とのことだった。 と言うことは、過去に発生したという私の仮説はやはりただの空想に過ぎなかったのだ。 しかし、どこかひっかかりを覚えた。 そして、今日。射命丸文に出会うことができた。人間よりずっと長く生きている妖怪。し かも彼女は新聞屋であり、あれほど目立つ存在が過去いたのなら覚えているはず。 彼女は言った。 「ゆっくりみたいなのは、知る限り過去2回ほどは発生していますね。だいたい百年程度 の間隔で」 何でもないことのように彼女は言った。 私の仮説は証明されたのだ! そして、その興奮は私の妄想を加速させ、仮説をより荒唐無稽なものへと押し進めた。 ゆっくりは発生するたびに、阿礼の乙女のゆっくりが全滅させているのではないだろうか。 まず、あきゅうの発生したタイミングが良すぎる。 ゆっくりは人里に影響を及ぼすほどに数を増やした。人里ではゆっくり根絶のために強力 な妖怪への依頼を検討していた。 そこに、あきゅうの発生。 まるでゆっくりが最高に数を増やすまで待っていたようであり、他のものに滅ぼされるま えに自分が滅ぼしてやると言わんばかりではないか。 あのゆっくりを潰しながら快楽に染まった顔を思い浮かべると、そうとしか思えない。 そして私はある恐ろしい結論に辿り着こうとしている。 阿礼の乙女は、ゆっくりを殺戮するために、ゆっくりが再び発生するタイミングを狙って 転生しているのではないか、と。 そこまで書に記したところで、私は吹き出してしまった。 バカバカしい。それに阿礼の乙女に大して不遜この上ない。まったく、私もどうかしてい る。 そのときだった。 誰かが、私の家に訊ねてきた。 こんな夜遅くに珍しい。いったい誰だろう。 戸を開けると、初めに目に入ったのは。 餡子にまみれて汚れた玄翁だった。 揺れるおかっぱの黒髪を見た。振りかぶる、小柄な少女を見た。端正な乙女の顔の、酷薄 な瞳を見た。 そして、その玄翁が私の顔に迫って―― 了 by触発あき 元ネタ絵 byじゃりあき 触発あきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る あっきゅんかわゆいーー! -- 2016-09-21 08 15 06 あっきゅんが自分の本性を知られたくなかったからじゃないの? -- 2014-07-26 14 55 03 ゆっくりぱちゅりーがこのSSみたら餡子はいて死ぬなWW -- 2013-04-01 03 58 16 この仮説とかが書かれてなかったのは実は先代からもこの仮説に行き着き知ってはならないことを知ってしまい毎回ころされるのくり返しとかだったりしてw -- 2012-08-06 02 48 14 最後酷かった。 -- 2011-12-20 20 49 44 ↓↓↓↓死なないけど食われたら消えるんじゃね? -- 2011-11-26 07 12 42 なんで最後「私」は殺されたの? あっきゅん的に気づいちゃ困ることに気付いちゃったから? -- 2011-02-27 17 00 08 程度低い?そう感じるのはあなただけかもね -- 2011-01-12 08 14 30 >•人様に逆らわせさせるな。程度低い。 ↓小柄な少女ってあるからモノホンなんじゃないか?理由は不明だが -- 2010-10-11 10 50 46 不死種とかいないのか?てるもことか。 -- 2010-08-18 23 01 09 人様に逆らわせさせるな。程度低い。 -- 2010-08-02 03 18 00 こええええ -- 2010-07-28 22 37 37
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1318.html
「あ!お前ら何やってんだ!」 「「ゆ!!!」」 畑での盗みを咎める声に驚く子れいむと子まりさ。 しかしその親れいむは全く動じずに野菜を食べ続ける。 「ゆゆ!みつかっちゃたよおかあさん!」 「たいへんだよ!ゆっくりできなくなっちゃうよ!」 「だいじょうぶだよ!おかさんにいいかんがえがあるからね!」 こうして三匹のゆっくりは中央の広場へと連行されていった。 ここ「共存区」はその名が示す通り人とゆっくりの共存のための実験施設である。 この施設は地下にあり、その広さは村一つ程だ。そしてこのエリアでは捕食種は扱われいていない。 連れて来られるゆっくりは二種類、加工場で生まれ育った養殖ゆっくりと害獣とされる野生の天然ゆっくりだ。 選択基準は無くどれも無作為に選ばれているが、養殖物は多くが大人しくてある程度落ち着いており、天然物はほとんどがテンプレ通りの性格だ。 この両者、特に天然ゆっくりの悪事防止ためにいくつかの規則が決められている。 「他者の食べ物を取ってはいけない」「他者の家を荒らしてはいけない」などだ。 人にとっては当たり前のことだがゆっくりにとって理解できず、多くの天然ゆっくりが罰を受け、潰されたり加工場に送られたりした。 そして移動と補充を繰り返し、ようやく落ち着いてきた時に例の事件は起こったのだ。 広場にて 「被告、ゆっくりれいむNO.016、NO.017、ゆっくりまりさNO.18。 あなたたちは他人の育てた畑を荒らし、野菜を盗んで食べたことを認めますか?」 「ちがうよ!おちてんだよ!れーむたちがさきにみつけんだよ!」 「おじさんはうそつきだよ!」 「まりさたちはなにもわるいことしてないよ!」 裁判官はやれやれといった顔でそれを聞いていた。 「あの野郎!ふざけやがって!」 「やめておじさん!あんなゆっくりできないこあいてにしないほうがいいよ!」 「どうせすぐにしぬよ!あいてにするだけむだだよ!」 怒りに震える俺をなだめようとするゆっくりたち。 「ではこれはどういうことですか?」 そういって裁判官は小型モニターにある映像を移した。 「ゆ!おかあさんがいるよ!」 「まりさもいる!みんないっしょだよ!」 それは事件発生時の監視カメラの映像だった。あらかじめ畑の数箇所に取り付けられていたのだ。 「この証拠によりあなたたち三匹は罰を受けなければなりません。規約により餡子吸出しの刑です。」 餡子吸出しの刑、それはゆっくりの命と言うべき餡子を生きながらして吸い出されるという過酷な刑の一つである。 「ゆゆ!まだゆっくりしたいよ!」 「ゆっくりいやだよ!おじさんがかわってよ!」 慌てふためく二匹。だがその親は違った。 「そのかみをゆっくりみせてね!」 裁判官から渡された用紙を冷静に読み始める親れいむ。 そして 「やっぱりだよ!たしかにこのかみにはあんこをすいだすとかいてあるよ! でもれーむたちにきずをつけていいなんてかいてないよ!」 それにより言葉を失う会場の一同。 「やったねおかあさん!またゆっくりできるよ!」 「おかあさんはてんさいだよ!」 「えへん♪」 子供たちに褒められて胸(?)を張る親れいむ。 だが、 がしり! 数人の男たちに後ろから掴まれる一家。 「ゆ!はなしてよ!」 「まりさたちをきずつけちゃいけないんだよ!」 「れーむがうったえちゃむぐ!!!」 男たちは子れいむが言い終わる前に口にホースを突っ込む。 「む!ぐむむ!ぐごぎゅぎゅぎゅぎゅーーー!!!!」 理解できないまま泣きながら餡子を吸い出される子れいむ。 「やめてよね!れーむがしんじゃうよ! 「はやくとめてよね!はやくたすけてあげてね!」 しかし男たちをそれを聞き入れる様子はない。 「がびょびょぴょぼぼぼぼぼお”お”お”お”お”お”お”!!!!」 少しするとその苦悶の顔からは涙は出なくなり、代わりに目から餡子を出し始める。 「ぎょごお”お”お”お”お”!ぎょぶ!ぼぶ!びゅぷ…」 音もなくふわりと落ちて「処刑」が終わった。 「れ”い”む”う”う”う”う”う”う”う”う”う”!!!」 「どお”じでごん”な”ごどずる”の”お”お”お”お”お”お”お”!!! ぎずづげじゃだべだどい”い”い”い”びゅぴゅぶっ!!!」 「ま”り”ざあ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!」 こうして傷つけることなく二匹目の「処刑」が始まった。 前半いらないなぁ、描写薄いなぁと後悔 by.らしい このSSに感想を付ける