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前:嗚呼、我等地球防衛軍(第6話〜第10話) 次:嗚呼、我等地球防衛軍(第16話〜第20話) 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第11話 ボラー連邦のべムラーゼ首相は、首相官邸でバース星に収容されているシャルバート信者の囚人達が蜂起したこと、 そして彼らが地球連邦という新興国家の戦艦を襲撃したという報告に激怒した。 「即刻、囚人達を処刑せよ!」 宇宙の神を自称するべムラーゼからすれば、シャラバート信者の蜂起というだけでも気に食わない。 それに加え彼らが他国の戦艦を、それも自国の国民を救助してきた船を襲撃したことでボラー連邦の面子を傷つけたとの 事実は怒りを煽るのに十分だった。新興国家の戦艦『ヤマト』は被害について苦情を言っている。 「弱小の新興国家の分際で、偉そうに」 べムラーゼは不機嫌そうな顔をするが、さすがに無視はできなかった。そんな彼に側近が自身の意見を述べる。 「閣下、彼らはこの事件を口実にして連邦との交渉の糸口にするつもりかも知れません」 「ほう? このボラーと対等に口を利こうというのか?」 「彼らは銀河系辺境で発達した文明圏に属しています。我々のことを詳しく知らないのでしょう。口頭で説明しても 完全に信じるのは無理かと。また未確認情報ですが、彼らは『あの』ガミラスに勝った国家とのことです」 「ほう?」 ガミラスが敗れたという情報はボラーにも届いていた。 「信じられんな。だがそれが事実だというなら……利用する価値はありそうだな」 「はい。オリオン、ペルセウス腕への進出の口実にもなります」 「バース総督府に、丁重に扱えと伝えておけ。それと……特使と艦隊を派遣する用意を進めよ。我がボラーの偉大さを 地球人に見せ付けるのだ」 べムラーゼは戦争をするつもりはなかったが、新興国家に舐められるつもりはなかった。 ヤマト艦長はバース総督府と交渉の末、相応の補償を得た。また同時に交渉の取っ掛かりを得た。 ヤマトがやったような人命救助に関する話や船の寄港に関する話し合いに持っていくことに成功したのだ。 最終的に外交官の仕事になるものの、ヤマト艦長の功績は大きいと言える。 「さっさと帰るぞ」 交渉でクタクタになった艦長は、用事が済んだとばかりに地球への帰途につくことにした。 だがこの際、ボラー連邦はバース星艦隊と特使も同行したいと申し込む。 「べムラーゼ首相も地球との友好関係の構築を望んでおられるのです」 バース星総督の言葉に、艦長は独断で判断できないとして連邦政府の指示を仰いだ。 勿論、この話を聞いた連邦政府は困惑した。何しろ無碍に断れないが、まだ友好的とは決まったわけではない 勢力を地球本星にまで招くわけにはいかない。 「外惑星のどこかで会談できないだろうか?」 大統領の意見は安全保障上当然だった。 防衛軍首脳部も太陽系防衛の要であり、最終防衛線と考えている土星、そしてそれより内に招くのは危険が大きい と判断した。その結果、天王星での会談を打診することが決定される。 また会談の護衛のために天王星の第5艦隊に加え太陽系外縁を受け持つ第1艦隊、空母部隊が護衛に付き、万が一の 事態が起きた場合、すぐに応援にいけるように土星基地には他の艦隊から抽出された艦から構成される部隊が集結する ことになる。 「確か西洋占星術では、あの星は支配星。確か意味の中には『変化』もあったな……可能な限り地球にとって 好ましい変化にしたいものだ」 参謀長は防衛軍司令部で、天王星で地球とボラーの特使が会談をするという決定を聞き、そう呟くと すぐに書類に目を向ける。 「あとは……ムサシ。この機動戦艦を戦力化せねば」 古代守を艦長に頂く新型戦艦の完成は目の前だった。 こうして地球防衛軍が歓待の準備を進めている頃、参謀長達転生者にとって目下最大の敵であるガトランティス帝国軍は 太陽系外縁で活動を活発化させていた。 地球侵攻の尖兵であるナスカ艦隊は積極的に周辺の探索を進めていた。 「ナスカ司令、件の戦艦『ヤマト』がどこにいるか分りました」 高速中型空母『エウレカ』の艦橋で報告を受けたナスカは副官に顔を向けて尋ねる。 「どこだ?」 「銀河系中心方向から地球に向かっています。ですが、我が国が知らない勢力の艦隊が同行しているとのことです」 「何だと?」 この予期せぬ報告は直ちに都市帝国に居る大帝ズォーダーに知らされる。 参謀長であるサーベラーは予期せぬ報告に眉を顰めるが、ズォーダーは余裕綽々だった。 「構うことはない。征服の楽しみが増えたではないか」 ヤマトやそれを超える戦艦を多数保有する地球。そして地球とは異なる別の星間国家。 アンドロメダ星雲を征服したズォーダーからすれば相手に不足は無かった。 こうしてガトランティス帝国はボラー連邦さえ敵にして地球侵攻と銀河の征服を行うべく動き出した。 『では手始めに、奴らの実力を量るためにヤマト、そして同行する艦隊に攻撃を仕掛けます』 この後、ナスカ艦隊はヤマトとボラー連邦艦隊に対して攻撃を開始する。 それは大規模な星間戦争の開幕を意味するものでもあった。 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第12話 ヤマト艦長はガトランティス帝国軍による襲撃を警戒して、コスモタイガー�で常に艦隊周辺の索敵を行っていた。 (原作どおりなら、もうそろそろ奴らが仕掛けてきてもおかしくない。警戒は必要だ。 不意打ちを喰らってお陀仏という事態だけは避けなければ……) ヤマトの艦長に就任するのは死亡フラグ�。そのことを理解しているが故に艦長は慎重だった。 片や、ヤマトクルーは艦長の気合の入れぶりに違和感を感じていた。 特にそれを感じていた古代は食堂で真田に話しかけた。 「真田さん、艦長は何者かによる襲撃を警戒しているんでしょうか?」 「総督府や囚人達の情報からボラー連邦は戦争はしていないし、対抗する国家もない。だとすればガミラス残党だろう」 「ガミラスですか」 「ああ。これから国交を結ぼうとする相手の国の特使を襲われたら大変だ」 「……あんな国と国交を結ぶことになるんでしょうか」 バース星で捕まえた囚人から得た情報は古代たちにとっては衝撃的なものだった。 特に青臭いところがある古代にとっては、ボラーの政治体制は危険なものに見えた。 「だからといって喧嘩するわけにもいかない。まだ、ガミラスのように喧嘩を吹っかけてきているわけじゃない」 「……」 原作の古代なら過激な行動にでるところだったが、兄と沖田艦長が生きていることが、そんな行動を抑止していた。 「今は特使を太陽系に送り届けることに集中しようぜ、古代」 近くで話を聞いていた島が、そう纏めるように言うと、古代は頷いた。 「そうだな」 だがその直後、周辺を警戒していたコスモタイガー�が謎の飛行物体から攻撃を受けたとの情報が入り ヤマトは戦闘配置が敷かれることになる。 ヤマトとボラー連邦艦隊が攻撃を受けたとの報告は直ちに地球防衛軍司令部にも伝えられた。 「状況は?!」 参謀長は問いにスタッフは慌てて答える。 「はい。本日、地球時間1210に謎の飛行物体から攻撃を受けました。コスモタイガー隊が応戦中とのことですが 数が多く対処しきれないと。ボラー艦隊からも戦闘機が緊急発進しましたが……」 参謀長はすぐに藤堂長官に顔を向けた。 「長官」 「分っている。太陽系外惑星艦隊で動ける部隊を直ちに向かわせてくれ。それと太陽系の各艦隊に警戒態勢を」 「了解しました」 地球防衛軍は全部隊を直ちに警戒態勢に移行させた。参謀長達の事前の準備もあり、その移行は非常にスムーズであった。 「新たな敵が現れるかも知れんな」 「長官、幸いムサシの就役も間近です。長距離航海ができ、多数の艦載機を搭載できるムサシがあれば、太陽系外の調査も スムーズにいくでしょう」 「ふむ(さすが参謀長だ。やはり彼には司令部で頑張ってもらわないと)」 自分がどのように思われているかなど露も知らず、参謀長は今後のことを考える。 (ガトランティスが仕掛けてきた、ということだろう。だとすればボラーは自動的にこちら側につくことになる。 あの気難しい首相閣下が大人しく引き下がるわけがないからな。ボラーの空母部隊が来てくれれば非常に助かる。 盾代わりにはなるだろうし) 参謀長は自分の目論見が成功しつつあると見て内心でほくそ笑む。 (さて後は……生きて帰って来いよ、艦長) だが参謀長がそう願っているころ、ヤマトは激戦の中にあった。 「敵機、3時の方向から接近!」 森雪の報告を受けて艦長は迎撃を命じる。 「パルスレーザー、撃ち方開始! ボラー艦隊は?!」 「迎撃機を出しています。ですが劣勢のようです」 「くっ」 ボラー連邦艦隊やバース星艦隊からも迎撃機が出ているが、状況は良いとは言えなかった。 何しろボラー連邦軍は実戦経験に乏しい。加えて平和が長く続いたせいで、将兵も弛緩している。訓練こそ積んでいた ものの練度では防衛軍よりも劣る。まして……。 (ラジェンドラ号を除けば名無しキャラで、ダンボール装甲。これでは……) ミサイル数発で次々に轟沈するであろうボラー連邦の軍艦の姿を幻視して艦長は焦った。 コスモタイガー隊は必死に防戦しているものの、すでに少なくない数の攻撃機がボラー艦隊にも攻撃を仕掛けている。 ヤマトにも先ほどから何機もの攻撃機が取り付いて攻撃を浴びせている。ヤマトは過剰と思えるほど搭載した対空用の パルスレーザーで攻撃機とミサイルを叩き落し、残ったミサイルも島の神業的操縦で回避していた。 だがボラー艦隊に同じ真似はできなかった。いや、ヤマトを比較にするのは間違いなのだが、それでも彼らの機動は 防衛軍の通常部隊と比べてもお粗末だった。 (回避運動が遅い! 何をやっている!) 火力で支援しようにも、艦隊周辺は混戦状態。下手に撃ったら同士討ちになる。原作では味方に当ることはなかったが この状況ではボラー連邦軍の艦載機に当る可能性が高かった。 「……古代、コスモタイガー隊の3分の2をボラー軍の支援に当ててくれ」 『ですが』 この直後、遂にボラー連邦軍の戦艦1隻、駆逐艦1隻が多数のミサイル攻撃を受けて轟沈する。 「(やはりダンボール装甲だな)命令だ。このヤマトは簡単には沈まん」 『了解』 古代のコスモゼロを含めてヤマト艦載機の3分の2がボラー艦隊の支援に向かう。 これによってボラー連邦軍の被害は軽減される。しかし同時にそれはヤマトが被弾する危険性が増すことを意味していた。 実際、コスモタイガーが離れた後、5発ものミサイルがヤマトに命中。うち1発が第三艦橋に被害を与える。 「技術班は修理を急げ! 防衛軍司令部からの返答は?!」 「応援を派遣したとの事です!」 相原の言葉に、艦長は頷くとクルーを鼓舞する。 「そうか。諸君、もう暫くの辛抱だ。ここを凌げれば反撃に出れる!」 一方、司令官ナスカは相手の防空能力を量ることが出来たとして艦上機による攻撃を停止し、続けて戦艦4隻と駆逐艦8隻を 差し向け砲撃戦を行おうとしていた。 「ヤマトはデスラーの言ったとおり手強い。だが、あの艦隊は大したことはないな」 「はい。どうやら銀河系制覇の最大の障害は地球になりそうです。それと通信傍受の結果、あの艦隊はボラー連邦と言う 国の艦隊であることが判りました」 「ふむ。大帝へのよい土産になりそうだ」 こうしてヤマトにとって久しぶりの砲撃戦が始まる。 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第13話 ナスカ艦隊による航空攻撃でボロボロになったボラー連邦艦隊は艦隊の立て直しに懸命だった。 喪失艦は戦艦1、駆逐艦1のみであったが戦艦1隻、戦闘空母1隻、駆逐艦3隻が大破(後に自沈処分)、他の艦も軒並み 被害を受け、無傷の艦は皆無。また艦載機の消耗も少なくない。このため立て直しは難航した。 「壊滅ではないか!」 旗艦である空母の艦橋でボラー連邦艦隊司令官は呻くが、実際にその通りだった。 「恥の上塗りどころではないぞ……」 ヤマトが居なかったらボラー艦隊は全滅していたかも知れなかった。この失態を知られたら彼は破滅だった。 あの冷酷な独裁者であるべムラーゼが、このような失態を犯した人間を生かしておくはずが無いからだ。 「くそ。何としても報復しなければならない。偵察機を出して何としても犯人を見つけ出すのだ!」 身の破滅を避けるには、何としても落とし前をつける必要がある。そのため司令官はそう厳命した。 だがそれにレジェンドラ号のラム艦長が反発する。 『今は艦隊の立て直しを優先するべきです。また沈んだ艦の乗組員の救助も』 「放っておけ! 今は反撃が先だ!! これはボラー連邦軍司令官としての命令だ! それともバース星軍人の君は 私の決定に従えないと?」 司令官はラム艦長の反対を押し切るどころか、立場を利用して脅した。 ボラー連邦の保護国であるバース星の軍人であるラム艦長に逆らう真似は出来なかった。 『了解しました』 「では頼むぞ」 しかしその直後、下手人であるガトランティス艦隊が姿を現すことになる。 ヤマトのメインスクリーンに12隻の艦隊が映し出される。 「敵艦接近。距離10.5宇宙キロ!」 森雪の報告を受けて艦長は頷くと攻撃を命じた。 「砲雷撃戦用意。目標、前方の敵艦隊。敵大型艦を先に叩く」 「了解! 主砲発射用意。ターゲットスコープオープン!」 古代の指示は直ちに第1砲塔、第2砲塔に飛ぶ。 そして南部が詳細な指示を出す。 「方位-5度、上下角+3度」 この指示をもとに主砲が旋回し、砲身が持ち上がる。 さらに敵艦隊が10宇宙キロにまで近づくと、細かい微修正が行われる。だがこの光景を見ていた艦長は心のうちで 呟く。 (大和の本来の運用方法がベースになっているというべきか……普通はマニュアルよりも機械にやらせたほうが 間違いが無いんだが……いや職人芸は未だにコンピュータを凌駕することもあると考えたほうが良いのだろう) そんなことを考えている内に、照準のセットが終る。 「発射!」 古代がそう言った直後、第1砲塔、第2砲塔が斉射した。46センチショックカノン砲から放たれたエネルギーは 寸分違わずガトランティス帝国軍の戦艦に命中し、目標を轟沈させた。 「一撃か……(やはりダンボール装甲だな。いやこちらの攻撃力が高すぎるだけか?)」 「続いて発射用意」 艦長の内心など露知らず、古代は攻撃を続ける。 ガトランティス艦隊も回転速射砲で応戦するが、こちらには当ることはなかった。逆にヤマトの反撃を呼び 次々に撃破されていく。 ガトランティス軍は駆逐艦で接近戦を仕掛けようとするが、すでに3隻の戦艦が撃沈されており、勝ち目がない のは明らかだった。 一方のボラー連邦軍は未だにガトランティス軍を射程に捉えておらず、ヤマトの長距離砲(衝撃砲)の攻撃に 唖然となるだけだった。 「凄まじい……」 ラム艦長はこの長距離にも関わらず、敵を余裕で撃破するヤマトの姿を見て衝撃を受けた。 これほどの高火力を持ち、高い防御力と多数の艦載機を搭載する戦艦はボラーでもあまり見たことがないのだ。 「彼らのような国と早めに友誼を結べば、バースもあのようなことにならなくて済んだんだろうか……」 そんなラム艦長の呟きを他所に、ガトランティス艦隊は足早に撤退していく。 さすがのナスカもこれ以上の被害は耐えられなかった。 「ヤマトは確かに恐るべき敵だ」 瞬く間に大戦艦3隻を沈められたナスカは、改めてヤマト、そして地球防衛軍を難敵と見做した。 「だが、あのボラー連邦軍は大したことはない。我が軍は全力で地球攻略を行うべきだろう」 ナスカの意見はこの場のガトランティス軍人の共通認識であった。 「これ以上の長居は無用だ。引き上げる!」 しかし、地球防衛軍は敵を見逃してやるほど慈悲深くなかった。 「敵機接近!!」 「何?!」 救援のために派遣された地球艦隊から発進したコスモタイガー�が彼らを発見したのだ。 「あれが下手人か!」 地球艦隊司令官はコスモタイガー�から届けられた映像を見て立ち上がった。 「攻撃隊発進! 金剛と榛名は全速で接近し砲撃戦に持ち込む!!」 このときいち早く到着したのは主力戦艦『金剛』『榛名』と戦闘空母『サラトガ』『レキシントン』、巡洋艦2隻、駆逐艦8隻から なる艦隊だ。ヤマトとの戦闘で消耗していたナスカ艦隊からすれば死神に等しい陣容だった。 「だ、脱出だ! 急げ!!」 慌てて脱出しようとするナスカだったが、早期警戒機仕様のコスモタイガー�までがナスカ艦隊周辺をうろつくようになると どうやっても逃れることができなくなった。 さらに敵艦隊発見の報告はヤマトにも齎される。 「反撃の時だ!」 加藤の言葉にヤマトのコスモタイガー隊も士気を上げる。 「いくぞ!!」 こうしてナスカ艦隊は哀れにも(自業自得とも言えるが)防衛軍艦隊とヤマトから発進した攻撃隊によって袋叩きにあうことになる。 戦艦は1隻残らず沈没。ナスカが乗る高速空母エウレカは沈没こそ免れたものの、ミサイル攻撃で速度が半減。護衛の駆逐艦も満身創痍 という状況になる。 「くっ……た、大帝に何と言ってお詫びをすれば良いのだ」 だが彼が言い訳を考える必要はなかった。このあと全速で急行してきた金剛と榛名のショックカノン砲によって彼の乗るエウレカは 集中砲撃を受け轟沈したかだ。 かくして太陽系外縁部で行われた会戦は地球防衛軍の勝利で終ることになった。 だがそれは同時に、新たな敵が現れたことを克明に示していた。地球連邦に残っていた楽観論は完全に一掃され、地球は新たな脅威に 備えて軍拡を進めることになる。 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第14話 満身創痍とも言うべきボラー連邦艦隊は、地球防衛艦隊の護衛の下、太陽系に到着した。 当初は強硬な姿勢を貫こうと考えていたボラー連邦特使であったがガトランティス帝国軍によって一方的に味方艦隊が叩かれた上に ヤマトの圧倒的戦闘力を見せ付けられたことから、強硬な姿勢など取れるわけが無かった。 天王星軌道で開かれた会談の席(会場は地球側が用意した豪華客船)でボラー連邦の特使は、防衛艦隊の健闘を褒め称えた。 「地球は素晴らしい戦艦や軍人をお持ちのようだ。羨ましい限りです」 「いえいえ奇襲にもかかわらず、ボラー軍も健闘したと聞きます」 地球側の特使はそう言ってボラー連邦の面子をつぶさないように努力した。 尤も新興国家の小国から配慮されても、ボラー連邦が失った面子が戻るわけがなかった。実際、べムラーゼは怒り狂っていた。 「何だ、この醜態は!」 ボラー軍高官は揃って震え上がった。目の前の怒れる独裁者の機嫌をさらに損なえば、首が物理的に飛ぶのだ。 「これは奇襲であったのが原因かと」 「奇襲されること事態が無能の証拠だ、馬鹿者が!」 言い訳を切って捨てるべムラーゼ。 「軍は気を緩めすぎているのではないのかね?」 「そ、そのようなことは……」 「ふん。だがこの失態は大きいぞ。ボラー連邦軍が大したことがないと思われれば反体制派が勢いづく。 まして地球の戦艦がボラー連邦の1個艦隊に匹敵する実力があるなど知られたら、地球と連携しようとするかも知れん」 「で、ですが本国艦隊を派遣すれば地球など一撃で下して見せます」 「当たり前だ。だが、問題は我がボラーの体面を傷つけた愚か者だ。連中の正体は?!」 「ふ、不明です。地球側は捕虜を取ったようですが」 「何としても情報を引き出せ!」 軍の高官は転げるように部屋を後にした。それを冷たい視線で見送った後、べムラーゼは小声で呟く。 「……ガミラスに勝ったのは伊達ではないということか。地球の評価を改める必要があるな」 こうしてボラー連邦は、新興国家であるはずの地球連邦をある程度認めるようになる。 地球防衛軍は正体不明の敵艦隊を撃滅したことに鼻高々だった。 味方の損失艦は皆無。一方で空母3隻、戦艦6隻を含め21隻を撃沈していた。3隻の駆逐艦を逃したが完全勝利だった。 参謀長もこの結果に安堵した。 「漂流していた敵機のパイロットを尋問した結果、敵はガトランティス帝国軍ナスカ艦隊であることが分った」 この参謀長の報告に、転生者たちは遂に来たかと頷いた。 ちなみに密談の場所は関係者が忙しくなったので、集まりやすいメガロポリスにあるレストランの一室になった。勿論、貸切だ。 「だがこれでナスカ艦隊は壊滅だ。潜空艦こそ撃破できなかったが、取りあえずは先手を取ったのでは?」 「そうだ。これで太陽系内の安全は当面は確保できた。資源とエネルギー供給も安定する」 「あとは艦隊増強です。無人艦隊整備も前倒しすべきかも知れません」 これらの意見を聞いてから、参謀長は堪える。 「まずは奴らの出鼻はくじけた。だが安心は出来ん。何しろ相手にはまだ前衛艦隊が居るし、デスラー率いるガミラス残党もいる。 あと無人艦隊はまだ無理だ。色々と試行錯誤する必要がある」 「では従来のとおりに?」 「そうだ。アンドロメダ級3番艦、4番艦、5番艦の建造を急ぐ。6番艦以降は間に合わんが、建造の準備は進めておく」 「『しゅんらん』建造のため、ですか?」 「そうだ。デザリウム戦役になった場合、改アンドロメダ級は必要だ」 参謀長は次の戦役も見据えていた。 「もうそろそろ、テレサの通信が来るだろう。土方総司令や藤堂長官と連携して防衛会議を動かす。皆も協力を頼むぞ」 「そういえばヤマトの艦長はどうするつもりです? 本人はかなり疲れていましたが」 「彼は今回の功績から、艦隊司令官に転任してもらうことにした。ガトランティス戦役のヤマトは……古代艦長代理に任せる」 「主人公補正に期待ですか」 「あんな無茶な運用ができるのは彼しか居ない。それに……何れはムサシと組ませることを考えている。 これで悪い意味での暴走は抑えられるだろう」 「ムサシと?」 「ああ。ヤマトとムサシを組ませて、独立部隊『α任務部隊』を作ろうと思う」 「……スパ○ボですか」 そしてこの密談の後日、予定通りテレサの通信を傍受することになる。 転生者たちは再び動き出した。 捕虜から得た『ガトランティス帝国がアンドロメダ星雲を支配する帝国であること、その艦隊が銀河系にも進出してきている』 との情報は防衛会議にも衝撃を与えていたので軍備増強に関わる話し合いで反対意見は出なかった。 「ボラー連邦、ガトランティス帝国。どちらも強大な国家です。これに対抗するには今の防衛軍では戦力不足です」 土方の意見を否定できる人間は居なかった。 ボラー連邦軍は確かに無様であったものの、ただ1戦のみでボラー軍恐れるに足らずと判断するのは危険であった。 またガトランティス帝国軍の艦載機は、地球側の機体よりも遥かに多くのミサイルを搭載できるとの情報も危機感に拍車を掛けた。 「ガトランティス帝国軍の戦艦や空母は、地球のそれより遥かに大型。また速射砲の発射速度も速く火力も侮れん」 土方の意見に参謀長はすかさず頷く。 「また大型空母があるということは、恐らく我がほうよりも遥かに多くの艦載機を運用できることを意味します。 航空戦に敗北すれば波動砲を撃つ機会さえない。ですが、幸いにもボラー連邦は多数の空母を持っています。 彼らの力を得られれば助けになるでしょう」 しかし、防衛会議出席者のうち数名が渋い顔をする。 「だが恐怖政治を敷く国だ。下手に招き入れたら大変なことになるのでは?」 「判っています。ですが毒は毒をもって制すという言葉もあります。幸い、先方はガトランティス帝国への報復を望んでいます」 異星人を異星人に嗾けることを主張する参謀長に、何人かが顔を顰めるが積極的な反対意見はなかった。 相手の政治体制がどうであれ、国益に適うのであれば利用するために手を結ぶ……それは当然のことだった。 「それと謎の通信を傍受しました。ガトランティス帝国に関する情報かも知れません。ヤマトを調査のために派遣しようと思います」 「しかしヤマトを派遣して防衛体制は大丈夫かね?」 「ムサシが就役するので大丈夫です。それに、何か情報を得られればボラーとの取引に使えるかも知れません」 かくして防衛会議は大幅な軍備増強を急ピッチで進めること、そしてヤマトを調査のために派遣することを決定した。 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第15話 ヤマトがテレザートに向かって発進するころ、いよいよ防衛軍というか参謀長期待の星である機動戦艦『ムサシ』が就役した。 収束型波動砲1門、46センチショックカノン6門という火力を持ちながら、60機もの艦載機とヤマトを超える航空機運用能力を 持ち、さらにヤマトの打たれ強さを受け継いだこの戦艦なら、来るべきガトランティス戦役で活躍できると転生者たちは考えた。 「まぁ昔なら航空戦艦なんて中途半端な品物でしかないんだが」 「気にしたら負けだよ。そういう世界と思ってくれ」 「……参謀長、もう少しオブラートに包んで言ってくれ」 まぁ何はともあれ、ムサシは艦長古代守の下で猛訓練に励む。 ヤマト並のマニュアル操作ができるということは、逆にそれだけの高い技能を要求される。 一部の人間からは「ただでさえ人手が足らないときに、やたらと高スキルの乗り手を要求する艦なんて作るなよ」と言われるほどだ。 だが勿論、転生者たちは気にしない。 「(原作の過密スケジュールに対応するには)この程度の無茶ができなかったら何も出来ん」 参謀長はそう嘯き、ひたすらに幕僚達と訓練計画について協議した。 いくらハードが優れていても、ソフトが脆弱だったら意味が無いのだ。 「土方総司令には頑張ってもらわないと」 勿論、この参謀長の姿勢は土方や宇宙戦士訓練学校の山南には好感触だった。 ヤマトの勝利を機械力の勝利と謳う馬鹿政治家や、拡散波動砲に依存する防衛軍の戦術を懸念していた男達にとっては、このような 男が後方に居るのは心強いことだったのだ。 「あの男は前線の人間のことをよく判っている」 見舞いに訪れた土方の言葉を聞いて、病室のベットに横たわっていた沖田は頷く。 「でしょうな。彼ほど頼りになる男はいない。それに前線に出るのも厭わない勇気がある」 「彼には長官のサポートをしてもらわないと。防衛会議のお偉方と遣り合うには彼のような存在が必要だ」 「防衛軍は連邦政府が統制する。だが政府が正しい統制をできなければ意味がない」 本土決戦に傾いていた頃を沖田は思い出す。 ガミラスとの本土決戦を主張する人間達に引きずられ地球各地で本土決戦が叫ばれている頃、参謀長は将来のことを憂い、ヤマトの 建造を根回しした。またイスカンダルにヤマトを送り出す手筈を整えた。加えて地球復興や防衛軍再建でも大きな功績を残している。 また今回は新たな脅威、ガトランティス帝国に対抗するためにボラー連邦という一大星間国家と手を結ぶ切っ掛けを作った。 常識的に考えると途方もない政治手腕と先見性だった。 「我々もある程度、政治家と付き合うべきなのでしょう。ですが私には到底そんな真似は出来ない。私は船に乗るのが仕事です」 「私もです。鬼教官などと言われているが、政治家との付き合いとなれば参謀長の足元にも及ばない」 二人の男は自分が戦場で戦うことしか出来ない職業軍人でしかないことを理解していた。 故に参謀長のような男は非常に重要だった。いくら彼らが艦隊を整えても、政府や司令部が無能では悪戯に死者を増やすだけだ。 「だが彼にも敵はいる」 「でしょう。藤堂長官やこれまでの功績によって押さえられているが」 「それゆえに、我々のような前線の人間が彼を支えることも必要だ。だが私はまだ動けない」 「勿論、我々が支える。古代艦長も同意見だ」 勿論、これは土方だけの意見ではなかった。宇宙艦隊の主流派、今の実戦部隊を支えているのはガミラス戦役の末期を生き抜いた 男達だ。その彼らは誰もが参謀長の功績を理解していたのだ。 「……頼みます」 沖田はそう言って頭を下げる。 かくして、参謀長の発言力はさらに増すことになる。 引き換えに彼の希望である輝かしい出番が回ってくる可能性はさらに低くなったが…… 前:嗚呼、我等地球防衛軍(第6話〜第10話) 次:嗚呼、我等地球防衛軍(第16話〜第20話)
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嗚呼。それにしても酒が欲しい…… ◆AZWNjKqIBQ 振るう暴力を裁きの雷と言い放ち、自身を神と名乗る傲岸不遜な男――ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ。 狂王の実験場に落とされて間もなく一つの命を奪い、月の出る夜空に哄笑を響き渡らせる。 そのけたたましい笑い声にか、それとも彼の足下に転がる死体から広がる異臭のせいか、 そこに一人の男が近づいて来ていた。 簡素な着物に赤いスカーフを纏った長身の東洋人。 片方の手にバックを提げ、もう片方の手には水筒を吊ってゆっくりと道を歩いてくる。 様は静かであったが、その細い瞳に映るは剣呑な揺らめき。 その男の名は戴宗。国際警察機構、最強の九大天王が一人――神行太保・戴宗。 自分に酔っていたムスカも、影の中から月明かりの元へと踏み出されればその男に気付く。 「……なんだ東洋人か。私の世界には必要ないな。ここから帰り次第国ごと滅ぼしてやろう」 無礼で挑発的な発言。だが、戴宗はそんな相手の不遜な態度を無視して静かに問うた。 「こいつをやったのはお前さんかい?」 戴宗が指す「こいつ」とは、勿論彼の眼前に横たわる黒焦げた遺体のこと。 細い目が見つめる先には、まだ若かったであろうと思われる小柄な亡骸が薄煙を上げている。 「神に逆らった愚か者の末路だよ」 にへらと笑いながら答えるムスカの眼には、狂気と自信が満ち溢れ爛と輝いている。 一方、そんな彼へと向けられる戴宗の眼は至って静。 ――何時何時此の身が如何なろうと、何処で死のうと誰も悲しまない。だから、如何な任務にも耐えられる。 戴宗が仲間に繰り返し聞かせた言葉であり、また彼自身にとっての矜持でもあり覚悟。 彼は今までこの言葉の通りに生きて来たし、これからもそうであることは変わりはない。 命はすでに国際警察機構に預けた身。例え、死を賭せと命じられても迷いなく殉じる覚悟が彼にはある。 が、しかし! 眼前に横たわる少年はそうではなかったはずだ。いや、ここにいる誰もが! 訳も解らぬままに見知らぬ場所に落とし込み、素性も知らぬ同士を殺し合わせるあの男――螺旋王。 奴も勿論許す事ない大悪。いずれは落とし前ををつけさせなければならぬ! して、目の前の男。神と嘯き、自分勝手な都合で年少の者をいとも容易く殺めたこいつ。 混乱する機に乗じ、跳梁跋扈して己が勝手な願いを達成せんと無辜の者を襲うこいつ。 こんな奴を何と言う? 簡単明瞭! たった一言――外道と言う。 ◆ ◆ ◆ 戴宗は片手に提げたバックを落とす。 続いてもう片手に持った虎柄の水筒から一口取って喉を鳴らすと、それも地面に落とす。 そして、空いた両手を握り締め、ゴキリを音を鳴らすと一歩前へと足を踏み出した。 「このラピュタ神に素手で挑もうというのかね?」 対するムスカは、眼前に迫る相手の心の内に秘めたものが読めぬのか余裕綽々。 相対する者の返事を待たずして手を突き出し、稲妻を走らせた。 ドンッ、と響く音とともに身動き一つ取らなかった戴宗の身体に薄煙が上がる――が、それだけだ。 神を名乗る男はこの時初めて目を見開き、意も介せぬように歩みを止めぬ相手にたじろいだ。 戴宗が一歩前に出れば、一歩下がる。もう一歩前に出れば、もう一歩下がる。 神の雷が通じない。何故か――と、ムスカは困惑する。だが真実はそうではない。 雷だからこそ通じないのだ。 国際警察九大天王。その末席に身を置く神行太保・戴宗。またの名を――『人間発電機』 ピタリと足を止め次いで突き出された戴宗の拳が、ブンという羽虫の様な音と共に薄い光を纏う。 その原理はムスカが背負うエレキテル――電磁誘導装置、それと同じ。 異なる点を挙げるならば、 エレキテルの方はあくまで誘導装置であって蓄電はできても、それ自体では発電することができぬと言うこと。 そして逆に、戴宗の有する特異な能力はその名の通り自らの身体で以って電気を起こす事ができる。 その発電量。例えば目の前の総合病院。それが使用に必要とする量を賄うことも容易い。 戴宗の全身を駆け巡る電流は身体の中で螺旋を描き、強力な電磁力を発生させる。 そして、エレキテル同様に大気を操り戴宗は拳の先に電磁場によって作り上げた気の拳を纏う。 これが人間発電機と呼ばれる戴宗の力。名づけて――噴射拳。 彼は内に巡る膨大な電力を雷として発するのではなく、己が身体を武器とするために操る。 九大天王の中でも単純戦闘に特化した能力で、末席と言えど、こと単一同士の格闘戦となれば一、二位を争う。 仇敵であるBF団の十傑集においても、彼と格闘戦を演じられるのは衝撃のアルベルトのみと言われるぐらいだ。 その有形無形の圧力に、戴宗と対峙するムスカの頬に冷や汗が垂れる。 しかし、彼もまた伊達に神を名乗る男ではない。 一度効かぬなら二度目を。二度目も効かぬなら三度目をと、再び稲妻を空中に奔らせた――が! 彼の目の前で、戴宗が姿を消した。 放たれた稲妻は虚しく宙に霧散し残光だけを残す。 サングラスをかけているので、閃光に視力を奪われたなどということはない。しかし、見失った。 戴宗は何処に? 霞と消えたか。いや、彼はムスカの背後に立っていた――。 戴宗は常に人間発電機と呼ばれはしない。彼を呼ぶものは皆こう呼ぶ――神行太保、と。 神行法。それが今の一瞬の種明かし。 強力な電磁の力を脚へと転じればその脚力は常軌を逸し、駆ける速さは音の速さにも達する。 先に拳へと発した様に、気を足元に置けばその歩み神をも目を見張る。故に神行法。 この能力こそ、文字通り彼の右に立つ者は居ない。故に彼は呼ばれる――神行太保・戴宗、と。 彼がそれに気付くよりも疾く戴宗は拳を突き出し、ムスカに衝撃の一撃を見舞った。 神の鉄槌ならぬ、義憤の鉄拳。喰らったムスカはアスファルトの路上を何度も転がる。 次いで倒れた者を鞭打つように降り注ぐのは、爆散したエレキテルの残骸だ。 車に跳ねられた様な衝撃に、指一本動かせなかったムスカではあったが この期に及んでなお彼の傲慢な姿勢は変わらず、あくまで不敵。その態度は崩さなかった。 「……き、貴様。神に向かって拳を振るうとはこの身の程しらず、め。報いを、受けるぞ」 対する戴宗は一つ嘆息すると、その手をムスカの額へと伸ばす。 「お前さんには、ちぃと眠ってて貰うぜ」 瞬間、電流が戴宗よりムスカへと流れ出し、その衝撃が不敵なムスカの意識を奪った。 「……やーれやれ、だ」 そう一人ごちると、戴宗は気絶したムスカと小さな遺体を抱え上げ目の前の病院へと入り込んだ。 ◆ ◆ ◆ 冷たいコンクリートの床の上。狭くて暗い物置の中にムスカの身体を横たえると 戴宗は彼が持っていた荷物の検分を始めた。 すでに死んでいた少年――エドの遺体はここではなく霊安室へと預けてきている。 そして、外道であるムスカの命を奪わないのは、何も情けからという訳ではない。 いるかどうかは知れぬが、あの少年の身内や仲間がここにいるやも知れない。 ならば、仇は譲るべきだと……そう考えた結果であった。そして、いなければその時こそ自分が討てばよい、とも。 「なんだこりゃあ……」 まず鞄に手を差し込んで最初に出てきたのが、大量のチョコレートだった。 確かにチョコレートはエネルギー豊富で、この様な状況ならばありがたいものかも知れなかった。 だが、大酒呑みの戴宗はどちらかと言えば辛党で、甘いものは好みではない。 「酒でも出てくりゃあ、ありがたいんだがなぁ……」 とは言いながらも、一つ包みを剥がしては口に放り込む。 世界最強候補の一人である戴宗ではあったが、ここに来てより何やら調子が悪い。 腹が減っているわけでもないというのなら、やはり酒抜きのせいかと戴宗は考える。 よもや何らかの術のせいかも知れぬが、そうなると戴宗には手が出ない。戴宗は根っからの武闘派だ。 「……言ってみるもんだな」 と、戴宗がバックから抜き出した手には一本の洋酒の瓶が握られていた。しかし――、 「空っぽかよぉ……」 残念ながら、もうすでに封は開けられており、中身も失われた後だった。 戴宗は他にもないかとバックを漁るがもう出てこず、空になった瓶を逆さに振るも一滴も酒は垂れてこない。 漏れてくるのは僅かに臭う山葡萄の香りのみ……。 「……未練だぜ」 考えれば、あの男はこの酒を飲んでいたのか。しかし、あのような妄言が飛び出すとはどんな悪酔いか。 どうせ碌なものではない――そう考えを切り替え、戴宗は酒瓶への未練を払う。 一通り検め終わると戴宗は曲げていた膝を伸ばし立ち上がる。 その手にはチャラチャラと音を立てる細長い投げナイフが幾本も握られていおり、 「こいつは没収……」という訳で戴宗のバックの方へと収められた。 戴宗は物置部屋を出る際に、床に投げ出されたムスカの方を見やる。 ピクリともしない。死には至らないが相当の電流を流し込まれている。 戴宗の見立てでは、気を取り戻すのに半日。それから身体を動かせるまでにもう半日。そういう按配だ。 それでも、一応と扉に安物の鍵を掛けて戴宗はその場を離れた。 「衝撃の旦那に、十傑集がもう一人。それなのに、こちらときたら俺一人かぁ……」 その上、まだまだ未知の存在が多数いるという……。最初に出会った男が男だっただけに気は滅入る。 せめて一清でもいれば釣合いが取れるのに、と考えても詮無き事。 「……まずは、酒だな」 暗澹たる思いを胸に、戴宗は病院を出て月夜の下を一人歩いていった。 【D-6/総合病院近く/1日目-深夜】 【神行太保・戴宗@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日-】 [状態]:若干の疲労 [装備]: [道具]:デイバッグ、支給品一式(食料-[握り飯、3日分][虎柄の水筒(烏龍茶)]) アサシンナイフ@さよなら絶望先生×11本 戴宗に支給された何か(1~3つ)※戴宗は確認しています [思考]: 基本:不義は見逃さず。悪は成敗する 1.どこかで酒を調達したい 2.死んでいた少年の身内や仲間を探す 3.半日ごとぐらいにムスカの様子を見に病院へと戻る 最終:螺旋王ロージェノムを打倒し、元の世界へと帰還する ※登場時期は、アニメの1話開始直前です ◆ ◆ ◆ パタン……と、薄い扉が閉まる音がしてからしばらくのこと。 戴宗に痛めつけられ、ピクリとも動けなかったはずの男が弱々しいながらも身体を起こした。 「よ、よくも……あいつめ。私は神なんだ、ぞ」 サングラスの位置を直すと、男――ムスカは彼を痛めつけた東洋人が去った扉を睨み付ける。 「……しかし、幸運の女神はまだ私を見放してはいないようだ」 何故、ムスカが戴宗の鉄拳や電撃を受けたにも関わらず、こうも早く回復できたのか? 鉄拳の一撃は元よりそれ程の威力は込められてなかった。戴宗の目的はあくまで武器を奪う事だったからだ。 しかし、次の電撃はそうではない。殺しはしないまでもそう簡単には回復できないだけの量を戴宗は込めた。 ムスカは自信の両の手の平を見つめる。エレキテルの力ではあるが、何度かここから雷を放ったのだ。 その雷――何故、ダメージになるのか? 答えは簡単。電気抵抗がそこに熱を生み出すからだ。 電流が全身を駆け巡ることによって発生する熱。それによって、一人の少年は命を失った。 そしてその雷を放ったムスカは、エレキテルのもたらす二次作用として電流に対する抵抗が少ない体質へと 変質していたのだった。 それは、エレキテルを装備し全身に電気を纏う者に対する、エレキテル装置そのものの電磁ガード。 その不可視のフェイルセイフが、あの時エレキテルが破壊された直後も身体に少し残っていたのだ。 結果、ムスカの身体を駆け巡った電流は地に拡散し、戴宗の意図したものよりもはるかに少ないものとなった。 何度か手を握り身体が動く事を確認すると、ムスカはズボンの裾に手を伸ばして、 隠し持っていた1本の投げナイフを取り出した。 僅かながらに焦げが浮いてはいるが、使用に当たっては問題ない。 「待っていろよ。神への反逆は、神罰を持って迎えられる事を貴様に思い知らせてやる」 そう言うと、ムスカは自分の鞄を背負いなおし、ナイフを片手に扉へと立ち向かった。 【D-6/総合病院・物置部屋の中/1日目/黎明】 【ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ(ムスカ大佐)@天空の城ラピュタ】 [状態]:激しく疲労、背中に打撲 [装備]:アサシンナイフ@さよなら絶望先生 [道具]:デイバック、支給品一式(食料-[大量のチョコレート][紅茶])、葡萄酒の空き瓶 [思考]: 基本:すべての生きとし生ける者に、ラピュタ神の力を見せつける 1.まずは、この部屋より脱出する 2.東洋人(戴宗)に復讐する 3.パズーらに復讐する 最終:最後まで生き残り、ロージェノムに神の怒りを与える ※エドワード・エルリック(@鋼の錬金術師)の遺体は病院の霊安室に移動されました ※エドワード・エルリック(@鋼の錬金術師)の荷物は病院の前の道路上に放置されています 時系列順で読む Back 私がみんなを知っている Next 失ったもの/失いたくないもの 投下順で読む Back ラッド・ルッソは大いに語り大いにバトルロワイヤルを楽しむ Next 紙は舞い降りた 神行太保・戴宗 080 紙視点――そして紙は舞い落ちた 007 ラピュタの雷 ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ(ムスカ大佐) 066 蘇れ、ラピュタの神よ
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次:嗚呼、我等地球防衛軍(第6話〜第10話) 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第1話 西暦2198年某月。日本関東地区の地下都市に置かれた地球防衛軍司令部の一室では10名ほどの防衛軍高官、 それに日本政府高官たちが集まっていてた。 「やはり、『ヤマト』建造は自力で?」 「はい。各国、特にアメリカ、中国、ロシアでは本土決戦を唱える軍部が台頭しており、こちらの 地球脱出計画には協力しそうにありません」 「困ったな……」 誰もが黙り込む。そんな中、一人の男が嘆息するように言った。 「まさか、こうなるとはな」 原作では参謀と呼ばれる男。宇宙戦艦ヤマトの行動にやたらとケチをつけ、人気もなかったキャラクターで あった男はそう嘆息した。 ここに居る男達は全員が前世、正確には原作『宇宙戦艦ヤマト』の記憶を持つ者(以降、転生者と呼称)だった。 勿論、ここには居ない者たちもいる。彼らは各地で密かに活動していた。 彼らは西暦2192年以前から活動しており、密かにガミラスとの戦いに備えていた。尤も何故か転生者は 日本人ばかりだったので、歴史を大きく修正することはできなかった。 それでも原作知識を活かして、資源の備蓄、日本国内の地下都市や避難計画の早期の準備、戦場から落伍していた ガミラス艦を鹵獲したりして必死に人類の底力の向上に努めていた。 しかしそれでも大勢は変わらない。人類は宇宙から駆逐され、遊星爆弾によって地下都市への逼塞を余儀なくされていた。 「というか、こんな末期戦状態で出来ることなんてねーだろ!」 「地球の科学力でガミラスに勝つなんて、ルナティックを通り越してファンタズムだろう」 「沖田艦長の活躍に期待するしかない」 「むしろ、真田さんだろう。JK」 転生者たちは挫けそうになるものの何とか己を奮い立たせる。何しろまだヤマトという希望があった。 だが、状況はそう甘くは無かった。大量の地上軍を抱える米中露などの大国はガミラスとの地球における本土決戦を 主張していたのだ。皮肉なことに転生者の動きによって人類の底力が多少なりとも上がったことが彼らをそうさせていた。 日本など一部の国は人類の種と独立を守るために地球脱出計画を提案していたのだが……このままでは本土決戦が 人類の方針となりかねない状況だった。勿論、それは日本が押す地球脱出計画、そしてヤマト建造が承認されないこと を意味していた。 「長官は?」 「国連総長と話をしているが、所詮、国連事務総長は調整役に過ぎん。あの三ヶ国は抑制できんだろう」 転生者たちは難しい顔で考え込んだ。 参謀は苦い顔で口を開く。 「加えて地球防衛艦隊が事実上壊滅したことで、防衛軍そのものへの不信感も強くなっている。何しろ残っているのは 日本艦隊のみという状況だ」 アメリカ、ロシア、中国の宇宙艦隊はすでに壊滅している。これらの国々では宇宙軍の影響力が下がる一方で陸軍の 影響力が強まっていた。加えて大国のプライドもあり、本土決戦でガミラスに講和を強要するという政策が支持されていた。 「まぁTVの二期でも攻撃衛星なんて品物もあったからな……」 「あのあまり役に立たない衛星か」 「というか役に立ったか? ガトランティス艦隊にも歯が立たなかった気がするが」 「それどころか、ガミラスが地球に降下する必要すらないことに何故気付かないのだ?」 アメリカはロッキー山脈、ロシアはウラル山脈の地下に都市を建設して生き残っているに過ぎない。それも放射能に よってこのままでは全滅は時間の問題だった。地下に逃げるといっても限界がある。 そしてそれはガミラスも分っていた。彼らの母星であるガミラスも死に瀕しているが、それでも人類よりは長生きする。 根負けするのは地球側だ。 「こうなっては仕方あるまい。ヤマト建造を日本単独で進めるしかない」 参謀の意見に誰もが頷いた。転生者の活躍によって日本の地下都市には原作よりも豊富な工業力、資源、エネルギーを 保有していた。それでもこの先を考えると余裕があるとは言えないのだが、ヤマトを建造するなら可能だった。 「問題は波動エンジンの始動ですが……どうやってエネルギー供給を取り付けます?」 「補助エンジンでも主砲は何とか撃てる。ヤマトを攻撃してくるだろうガミラス空母を撃沈すれば、協力してくるだろう。 技術面の餌も用意すれば食いつく」 「やれやれ……ヤマト発進まではどれだけ労力がかかることやら」 しかし参謀は弱気になる人間を叱責する。 「ここで弱気になってどうする! 我々『名無しキャラ』の意地を見せるときだぞ!」 地球防衛軍。地球圏最大の軍事力でありながらTV版2期を除いてたいした活躍をすることなく、ヤマトの引き立て役に されてきた軍を支える男達の挑戦が始まる。 「でも、最後に良い所はヤマトが全てもっていきそうですけど」 「それを言うなよ……」 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第2話 転生者たちはヤマト建造に乗り出す一方で、遊星爆弾による被害を少しでも低減させるために艦隊の温存に走った。 冥王星にまで遠征させても自殺行為であり、無駄に艦隊と将兵と物資を浪費するだけと彼らは考えていた。 「あの三国が本土決戦を主張しているおかげで、艦隊を温存する口実が出来たな」 参謀は防衛軍司令部でニヤリと笑いつつそう呟いた。 米中露はさらに深い場所への地下都市建設と都市の要塞化を推し進めていた。日本が艦隊を温存し、地球近辺で 遊星爆弾の迎撃に専念させる戦略をとっても米中露は文句を言わなかった。何しろ日本艦隊が遊星爆弾を防いでくれている 間に本土決戦の準備ができるのだから。 参謀は必要な根回しをしつつ、長官にヤマト建造が潰えていないことを耳打ちした。 「どういうことだね、参謀?」 「日本はまだ公にしていない備蓄物資があるということです。加えて出資者も集まっています」 一朝一夕で資源が備蓄できるわけがないことを分っている長官は、参謀の台詞から日本や防衛軍の一部が長い間極秘裏に 準備をしていたことを悟った。 「……日本政府は、最初からこうなると考えていたと?」 「……『常に最悪の事態を想定するのが為政者としての務め』だそうです。ですがさすがに地球脱出用とは言えないので 公式には新型戦艦ということになります。ですので」 「分った。君達に協力しよう」 「ありがとうございます」 軽い足取りで去っていく参謀を見て、長官は久しぶりに気分が晴れた。 「防衛軍も、いや人類もまだまだ棄てたものではないな」 かくして長官の支持を取り付けた転生者たちは、ヤマト建造にまい進した。 尤も肝心の波動エンジンは手に入っておらず、鹵獲したガミラス艦から獲得した技術で作ったエンジンを搭載していた。 これによって従来の地球の戦闘艦よりも遥かに強大な戦闘力を擁していた。尤もそれでもガミラス艦隊には勝利できない だろうが……。 「まぁ波動エンジンへの換装できれば何とかなる。火星の準備も怠るな」 そして防衛軍は、そして転生者たちは運命の日を迎える。 転生者たちが密談のために使っている部屋で大声が響く。 「『ねんがんのはどうえんじん』を手に入れたぞ!」 火星から帰還した古代達が提出したカプセルから波動エンジンの設計図があることを知った参謀は小躍りした。 「これで勝てる!!」 やっと反撃の時だ、参謀は燃えた。 一方的に撃ち減らされていく友軍を見続けてきた男はこのときを待ち望んでいた。同時に彼は自分達のような原作の モブキャラがヤマト発進を支えるという状況にテンションを上げていた。 「確かに歴史では目立たないだろう! だが数十年後にはプロジ○クトXのような作品で紹介されて見せる!!」 参謀の意見に他の名無しキャラが頷く。 一部の原作では死亡確定組の人物(例:ヒペリオン艦隊司令)はさらに気合が入っていた。何しろガミラスに負けても 死亡。原作どおりでも歴史を改変しないと自分が死ぬのだからより切実だった。 「ショックカノンは他の宇宙戦闘艦にも搭載できます。早急に改装するのがいいでしょう」 「そうです。戦艦の建造は無理ですが小型艦なら建造できる余裕はあります」 「いやここは航空戦力を増強するべきだ」 だがここで文官たちは首を横に振る。 「ヤマトで冥王星基地を叩いた後は温存していたプラントで、各惑星、特に木星などの資源地帯からエネルギー資源を 得るべきだ。何しろヤマト建造には金と物資が掛かりすぎる」 「市民達の不満を多少は軽減する必要がある」 この言葉に軍人組みはムッという顔をするが、市民が暴動を起こしてはたまらない。 何しろ地下都市を建設した良いものの、市民同士の仲違いで自滅した地下都市も少なくないのだ。 「まぁ狸の皮算用をしていたも仕方ない。今はヤマト建造に全力を注ごう」 参謀の言葉によって会議は終わりを告げた。 そして後にヤマトは日本がほぼ単独で建造した、地球初の波動エンジンを搭載した戦艦として生まれることになる。 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第3話 「……やはり一から作ったほうが良かったのでは?」 財務官僚の突っ込みに対して、参謀は苦笑いしつつ答えた。 「それをやるとジンクス的に怖いだろう? あくまで『ヤマト』は『大和』でなければならない。 下手に弄って失敗したら目も当てられん」 「「「……確かに」」」 ヤマトは原作どおり沈没した大和を利用して建造されつつあった。 一部の人間は一から作ったほうが早いのではと思ったのだが……ここで原作をひっくり返すと後が怖いという考えが 支持された。実際、彼らが人類のために良かれと思って行動した結果が、本土決戦支持派の拡大に繋がったのだから 慎重になるのは当然だった。 「しかし沖田艦隊は温存できた。ブラックタイガーを載せれるように一部の艦を改造しておけば、かなりの戦力になる」 参謀の言葉に誰もが頷く。 一部の軍人は渋い顔だが、ガミラス艦を沈められる航空戦力は確かに必要なので反対できない。 「まぁ取りあえずは、ガミラス空母の来襲に期待するしかない。ヤマトの戦力を見れば各国も少しは意見を変えるだろう」 「ですが彼らが来襲したとなれば、温存していた艦隊で迎撃せざるを得ませんが……」 黒い制服を着た軍人の意見に誰もが頷く。 しかし参謀は問題ないと首を横に振る。 「日本艦隊は遊星爆弾の迎撃で消耗している。空母来襲前にドック入りさせれば良い。ただ万が一に備えてブラックタイガー の直掩機も周辺の基地に用意しておく。ガミラスが史実以上の部隊で来てもある程度は戦えるはずだ」 そしてガミラスの高速空母は予定通り出現することになる。 慌てる防衛軍司令部の中で、参謀は落ち着いて部下達に迎撃を命じる。幸い、ブラックタイガーの配備が間に合っていた ためにヤマトの被害は軽減できている。血気盛んなパイロットの中には高速空母に攻撃さえかける始末だ。 「さすが参謀。ガミラス空母の来襲を見越して手を打っていたのか」 「ああ。さすが、日本政府や防衛軍長官の信任が厚いだけのことはある」 防衛軍のスタッフがそんな尊敬の目で見ていることなど知らず、参謀は一人突っ込みを入れた。 「……毎回思うんだが、あの円盤型空母はどうやって艦載機を収容するんだろうな?」 「さぁ?」 司令部でそんなやり取りがされている中、ヤマトは無事(?)に補助エンジンを稼動させて出撃した。 「ふむ、これでこそ、ヤマトだな」 遺跡と言っても良い大和の外壁を崩して出撃していく様は、原作を知る人間にとってみれば何とも感慨深いものであった。 それも自分があの戦艦を建造したと思うと尚更だ。 「さてあとは波動エンジンの稼動だな」 ヤマトが持ち前のショックカノン砲9門で、ガミラスの高速空母を撃沈したのを見て参謀は次の手を考える。 波動エンジンの作動にはかなりのエネルギーが必要だった。日本単独でエネルギーを賄うとなると、今後地下都市の維持に支障が 出てしまう。よって少しでも他の国の支援が欲しい。 まぁ仮に日本単独でやったとしても、残っている日本艦隊で資源を回収できればエネルギー事情も少しは改善するが、それでも 負担は少ないほうが良い。 「外務省や首相官邸、長官と国連総長に頼んで動いてもらうしかないな」 日本はヤマトの戦闘映像を国連総会に提出する。 すると、その高い戦闘力を見て波動エンジン搭載型戦艦の量産で戦局の挽回を図るべきだと主張する国が出始めた。アメリカなどは 保管していたアイオワ級を改造して戦艦に改造する案を提出する始末だ。 だが波動エンジンを作るためのコスモナイトなど希少資源が少ないので、その計画は没となった。 「イスカンダル星にコスモクリーナDを取りに行かせるのが人類生存につながります!」 日本大使は議場でそう主張した。実際、ヤマトはイスカンダルにまで長距離航海が可能な戦艦であった。 だが無謀な航海をしてガミラスに対抗可能な戦艦を無為にすり減らすことを危惧する声もある。この紆余曲折の末、3つの方針が決定された。 一。ヤマトはイスカンダルへ向かい、コスモクリーナDを受領して帰還する。 二。一の過程で冥王星基地を破壊する。これによって地球本土の安全を確保する。 三。二の終了後、日本艦隊によってガミラス残存戦力を掃討。太陽系の安全を確保した後に資源の採掘を再開する。 採掘した資源によって地下都市の生活環境を改善。同時に工業の復活と防衛軍艦隊の再建を進める。 かくしてヤマトは世界中からエネルギーの供給を受けて旅たつことになる。 勿論、各方面を宥め、脅し、賺し、騙してエネルギーを掻き集めたのは参謀達、転生者だったのだが……地味な仕事ゆえに 脚光を浴びることはなかった。 「所詮、裏方の仕事なのさ」 そう言ってふて腐れるものの、彼の仕事は確かに評価されていた。主にお偉方から。 「彼を戦場で死なせてはならない。防衛軍再建には彼の手腕が必要だ」 こうして参謀はさらに後方で勤務することが決定される。 彼が脚光を浴びる日がいつになるのか……それは誰にも判らなかった。 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第4話 世界各地からエネルギー供給を受けてヤマトが発進した後、地球防衛軍は残された日本艦隊の補修と改装を急いだ。 ヤマトが冥王星基地を破壊できたとしても、ガミラスの残存艦隊が跳梁跋扈する可能性は高い。これを排除するためには 艦隊戦力の強化が必要だった。 残された希少資源で小型波動エンジンを生産し取り付けていった。出力が低いエンジンのため、エネルギー事情が悪化した 日本でも生産と稼動は可能だった。 「本当は各国にも手伝って欲しかったんだがな」 参謀がぼやくものの、どうしようもなかった。 何しろ多くの国は本土決戦のために宇宙船の建造よりも地下都市の要塞化と地上軍強化に力を注いでいた。おかげで貴重な 資源もエネルギーも浪費されており、宇宙艦隊を再建する余裕など無かった。 まして三大国はヤマトが冥王星基地を突破できるか懐疑的な見方をしており、本土決戦に向けた準備を怠ることはなかった。 「波動エンジン、ショックカノン砲の技術など少なくない技術を分け与えてよかったんですか?」 通産省の官僚は不満そうな顔をするが、参謀達軍人は仕方ないと首を横に振る。 「仕方ないだろう。日本単独であの大型波動エンジンを起動させるのは難しかったんだ」 「地球全体の防衛力強化のためには、ある程度の技術の提供は必要だろう。我々が何から何まで独占すればいらぬ嫉妬を 買って自滅するだけだ」 「国益の追求は必要だが、今は星間戦争中なんだ。必要以上にいがみ合っていては勝てる戦いも落す」 地球防衛艦隊で残っているのは日本艦隊のみであり、人的資源も一番残されているのは日本だった。おかげで防衛軍で主導権を 握っているのは日本だった。 しかしこれが米中露にとっては気に喰わないのか、色々と不満が多い。ちなみに、やたらと日本にケチをつけるはずの某半島国家は 手抜き工事のためか、地下都市が遊星爆弾で破壊されて壊滅している。今は中国の地下都市に亡命政府があるだけだ。 「まぁ今は防衛艦隊再建を急ぐのが正解だろう」 参謀の意見によって密談は終る。 ヤマトが紆余曲折の末、冥王星基地を破壊すると地球各国では喝采が挙がった。 ガミラスの太陽系前線基地である冥王星基地の壊滅は、これまで負けっぱなしであった人類を勇気付けるものであった。 「今こそ絶好の好機だ!」 参謀は防衛軍長官に直訴して、改装が終わった艦隊で資源輸送を行う事を提案する。 後に『特急便』と言われるプランであった。また彼はこの作戦を指揮する人物として土方に目をつけていた。 原作において艦隊決戦で唯一といってよい白星を得た男を、参謀は高く評価していたのだ。 「私より適任がいるだろうに。それに今、この学校を離れるわけにはいかんよ」 宇宙戦士訓練学校の校長室でそう言う土方に、参謀は尚も言い募る。 「古代君はまだ若い。彼らを纏める人物が必要なのです。それに閣下なら、航空戦力を十分に活用できる、そう信じています」 「航空戦力か」 「はい。残念ながら、地球では満足に戦艦を建造するのはまだ難しい。ですので、『えいゆう』など大型艦を改造してブラックタイガーを 載せれるようにしています。これがあればガミラス艦を早期に発見でき、対応できるでしょう。 勿論、出撃に際しては土方校長の要望を最大限尊重します」 「……分った。いいだろう」 参謀の熱意に折れたのか、土方は艦隊司令官を引き受けた。 参謀が軽やかな足取りで出て行くのを見て、土方は微笑む。 「あれが長官の懐刀と言われる男か。噂に違わぬ男だ」 このとき、参謀は有名人になっていた(名無しキャラなのに)。 何しろ本土決戦を主張する国々に従う振りをしつつ、裏ではヤマト計画を密かに根回しして進め、さらに日本が備蓄していた物資や エネルギーを提供させた。 それに加え、資源の輸送計画を入念に策定。さらに航空戦力の有用性を見抜き、それを活用する準備も進めるなど軍政家としての 才覚があると土方が判断してもおかしくなかった。 実際、他国でも参謀の評価は高い。だがそれゆえに彼はますます前線に出るチャンスが減ろうとしていた。 彼は目立とうとして頑張っているのに、裏方としての能力ばかりが評価されていたのだ。 「これでヤマトが帰ってくれば、防衛艦隊は早期に再建できる。うまくすれば、私も艦隊司令官になれる!」 軽い足取りで皮算用をする参謀。 彼の野望が叶えられるかは神のみぞ知る。 かくして小型で低出力とは言え、波動エンジンやブラックタイガーを搭載した日本艦隊はガミラス残存艦隊の妨害を撥ね退けつつ 各惑星や小惑星帯から資源を採掘し、必死に地球に資源を輸送する。 「エネルギー事情を改善すれば地下都市の衛生状態も良くなる!」 参謀や転生者たちはそう発破をかけた。勿論、新たに得たエネルギーを市民生活の向上のみに当てるつもりはなかったが それでも何らかの餌は必要だった。 また防衛軍首脳部は強化された防衛軍艦隊とガミラス艦隊が互角に戦う様子を流して、必死に市民を鼓舞した。 「人類はまだ戦える!」 「故に市民の協力が必要なのです!」 「欲しがりません。勝つまでは!!」 防衛軍が戦える様を見て、絶望の淵にあった市民も多少は希望を取り戻した。 また若干ながらも生活環境が改善されたことも、士気を上げた。 「負けるものか!!」 「ヤマトが帰ってくるまでは持ち堪えるぞ!!」 特に我慢強い日本人達は一致団結した。おかげで日本にある地下都市の治安は大幅に改善することになった。 残った市民はお互いに助け合い、生活を守った。また宇宙戦士への志願者も増えていった。 少しずつであるが好転しつつある状況に誰もが未来を信じられるようになっていったのだ。 「暴動も減っている。食糧事情も好転している。ふむふむ、これなら何とかなる」 自宅で朝食を取りながら、新聞を読んでいた参謀は非常に満足げだった。 また米中露、それに欧州も宇宙艦隊再建に乗り出していた。勿論、駆逐艦や護衛艦が中心であるものの戦力が回復するのは 好ましかった。 「あとは頼むぞ、ヤマト。地球は……我々が守っておくからな」 こうして地球は参謀達の努力もあり、原作よりは多少はマシな状況でヤマトの帰還を迎えることになる。 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第5話 ヤマト帰還後、地球各国は復興に向けて動き出した。 コスモクリーナーDによる放射能除去、そしてテラフォーミング技術による地球環境の修復は急ピッチで進められた。 もともと資源的、エネルギー的に余裕があったことで地球の復興は驚異的なスピードで進んだ。また放射能が除去されたこと で各惑星に残されていた生産施設が使用可能になったので、生産力も次第に回復していった。 「復興は順調のようだな」 参謀の言葉に官僚達は頷いた。 ちなみに彼らは相変わらず地下都市の防衛軍司令部を密談の場にしていた。 「皮肉なことに、戦前に比べて人口が激減したのが大きいでしょう」 使えるようになった生産力や資源で十分に地球人類を養える状態だった。何しろ戦前は100億を越えた人口が今では 20億をきっているのだ。残された人口を養うのは難しくは無かった。 「それに、人口が激減したおかげでこれまで問題だった宗教問題や民族問題、貧富の格差は大分、スッキリしました」 寒気のするような意見だったが、実際そのとおりだった。 ガミラスの遊星爆弾は地球各地に降り注いだ。このせいで貧困地域は真っ先に滅亡した。また地下都市を建設しても 民族、宗教問題で内輪もめを起こして自滅した都市も多々ある。 「ガミラス戦前まで人類が抱えていた問題を、ガミラスが解決してくれたということか」 参謀の意見は人道の観点からは問題だったが、事実だった。 「しかしそれでも残された国の統合は大変だな。まぁ地球連邦そのものは結成できそうだが……主導権争いを考えると 頭が痛いな」 宇宙艦隊や各種生産施設が最も充実しているのが日本であること、日本が建造したヤマトがコスモクリーナーDを持ち帰ったこと から日本の影響力は大幅に拡大しており、日本は人類復興の中心的役目を果たしている。 片や本土決戦のために準備をしていた国は、宇宙艦隊再編に手間取り、制宙権の維持を日本艦隊に頼らざるを得ないという状況に 陥っていた。 勿論、史実より多少は余裕があるので国家再建は急ピッチで進められているが日本には遠く及ばない。故に嫉妬も強い。 「海外の連中は日本の奇跡とまで呼んでいそうですよ」 「新興国におされて斜陽だった我が国が再びここまで隆盛したんだ。まぁ奇跡といわれても仕方ないさ」 「まぁ奇跡と言うよりカンニングの賜物なんだが……それは言えないよな」 誰もが苦笑する。 「何はともあれ、地球連邦の創設、そして防衛軍の再建は急ぐ必要があるだろう。 何しろ白色彗星帝国、暗黒星団帝国、ディンギル帝国と、一歩間違えれば死亡確定の敵が待ち構えている。 人類が団結しなければ、この国難は乗り切れない」 参謀の意見に反対意見はない。すぐにアンドロメダ星雲から白色彗星帝国が来るのだ。 宇宙艦隊だけでも強大なのに、都市要塞、巨大宇宙戦艦まであるのだ。星間国家としては新興国にすぎない地球が 相手にするには荷が重い。だが交渉の余地は全くなく、戦うしかないのだ。 「日本一国で、原作ほどの宇宙艦隊は整備できまぜんからね……世界各国に負担してもらうしかないでしょう」 財務官僚の言葉に誰もが頷く。 「とりあえずは巡洋艦以下の建造を急ぐ。そして各国に余裕が出来た段階で戦艦の建造に取り掛かる。これが妥当だろう」 参謀はそう結論付ける。 「ただし、これからやってくる敵を全て地球のみで対処するのは負担が大きい。よって友好国を増やして、多国間による 共同戦線を張れるようにする。これが地球の歩むべき道だと思う」 これを聞いて外務官僚が尋ねる。 「どこと交渉するおつもりで?」 「穏健派の国ならシャルバートやアマールが適当だろう。しかし直接援軍は期待できない。だとすれば」 「ボラー連邦、ですか?」 「そうだ。少なくともあの国は話し合いの余地がある。原作では古代弟がぶち壊してくれたがね」 参謀は苦い顔をする。 史実におけるヤマトクルーの暴走は、結果として人類を救ったが、一歩間違えれば人類を破滅させかねない 危険なものも少なくなかった。 特にボラー連邦を敵に回したのは、手痛い失敗だった。ガルマン・ガミラスを味方に出来たと言っても デスラーが表舞台からいなくなったあとも、友好関係が続くとは限らない。何しろヤマトはガミラス本星を 壊滅させているのだ。恨まれていないわけが無い。 「ソ連をモチーフにしたあの国を信用するのは難しい。おまけに長く続いた平和のせいで、軍は弛緩している。 しかしそれでも、かの国と友誼を結ぶのは決してマイナスではない」 デスラーによっていいようにやられたことから、参謀はボラーが長らく続いた平和によってかなり呆けて いると判断していた。 だが機動要塞やマイクロブラックホール砲、各種戦略兵器は地球には無い魅力的なものばかりだ。 これらを擁する国家を後ろ盾に出来れば、今後の戦争も少しは楽になる。 「特に波動エネルギーが天敵である暗黒星団帝国は、地球を制圧しても人類の残存戦力とボラー連邦が結びつくことを 考慮して、そうそう軽挙には及べないだろう」 参謀は戦争で全てを解決するつもりはない。というか派手な活躍はしたいが、避けられる戦争は避けたいという のが本音だった。 (防衛軍が消耗しすぎると人的資源が払底する。艦隊司令官になったは良いが、急造の戦艦と新米ばかりの兵士で 戦争という事態は避けたい) 輝かしい出番を用意するには、それなりの準備が要るのだ。 「とりあえずボラーと手を結び、国力を充実させるべきだ。それにボラー連邦のような強大な星間国家があることが 外圧となる。それは原作にあった油断を打ち消し、人類を団結させるのに使える。それに星間外交の経験も積めるだろう」 かくして彼らの暗躍が始まる。 次:嗚呼、我等地球防衛軍(第6話〜第10話)