約 1,001,258 件
https://w.atwiki.jp/suka-dqgaesi/pages/3328.html
584 :フェイクな長文です 1/4:2009/05/08(金) 14 21 16 0 このGW中、旦那は出張だった。 私も両親のいる家に帰ることにしていて、旦那も出張終わりに合流の予定だった。 GW初日、旦那を見送り後、私が荷物を持って家を出て、 玄関に鍵をかけて振り返ったら、旅装のトメがいた。 「ニィタン(=お兄ちゃん=私の旦那)出張でいないんでしょ? 可哀想だから 遊 び に 来 て あ げ た の 。」 そう来ると思ってた。全部想定範囲内。月末でお金無くなる頃だもんね。 「そうですか、私は両親の家へ行きますのでお泊めできませんよ。」 淡々と言って車に荷物を載せる間にも、トメはまとわりついてきて 「そんなの聞いてないわよ。じゃあ私はどうすればいいの!」と 縋り付いてきたので、にーっこり菩薩のように微笑んで「さあ?」と一言。 するとトメは、いかにも良いこと思いついた!みたいな顔で 「あ、じゃあ留守番してあげる!鍵ちょうだい!GWに留守宅は物騒よぉ?」 もう、ね。言葉と同時に手が動いてる。私の鞄に手を突っ込んできたので にこやかに微笑みながら、トメの手首にチョップ! 「必要ありませんから(にっこり)」 颯爽と車に乗り込んで、手首を押さえて蹲り泣きそうな顔のトメに投げKiss! 585 :フェイクな長文です 2/4:2009/05/08(金) 14 22 04 0 新婚早々私を奴隷扱いしようとして、ウトと旦那に〆られたトメ。 仲直りと称して開いた食事会で異物(ラップ、卵の殻、塩増量)を混ぜてきて、 見抜いた私が取り替えたために自ら食し、ラップを喉に詰まらせ自爆したトメ。 私も旦那もウトも見事に騙された「反省して心を入れ替えた私」を演じたトメ。 いびりを過干渉にシフトチェンジしただけのトメ。 毎日、朝昼晩の三回、出るまでしつこく電話してきたトメ。 「仲良くしたいの」を武器にアポなし凸を繰り返したトメ。 お庭に水撒きついでに洗濯物をびしょ濡れにしたトメ。 糠味噌を腐らせ、作った食事をトメ作マズ飯に交換し、高級食材を持ち帰ったトメ。 寝室に侵入し、下着を漁り、薬と避妊具を捨てたトメ。 病気のせいで妊娠御法度だってご存じでしたよね? 毎晩、私の実家に無言電話をかけていましたね?バレてないと思ってたんですか。 今まで庇ってくれたウトが亡くなってからは年金、遺産をイナゴの如く食い潰し、 借金と体重を増やし、ゴミ屋敷を咎めるご近所と揉めては我が家に泣きついてきたトメ。 私も、あなたの大好きなニィタンも、あなたの●っぷりにもう限界です。 いえ、限界はもうとっくに超過、こちらの細かい準備が整ってなかっただけのことです。 ブレーキランプ5回点灯は「死ねババア」の合図です。 588 :フェイクな長文です 3/4:2009/05/08(金) 14 23 47 0 両親の家に着いたら一番に旦那が迎えてくれた。 笑ってVサインするつもりが、涙がボロボロこぼれてきた。 ちょっと泣いてお風呂に入って落ち着いてから、旦那と両親とご飯食べました。 その後お喋りしたりのんびりしてたらトメから私の携帯に着信。 「よ、嫁子ちゃん!あなた・・・あの、実家って、あの・・・え?あの、家は?あれ? え、住所ここよね?え、なんで・・・・今、どこなの・・・?」 いますよ、両親のいる家に。 産まれ育った私実家と土地と、旦那と住んでた私所有の家と土地を売って あなたから遠く離れた新天地に新しく建てた家に。 今日からここが私の実家です。夏に両親が終の棲家に移るので実質2ヶ月ほどだけど。 あなたのいるペンペン草しかない更地は私実家跡地です。 あなたが今日突撃してきたニィタンの(正確には私の)家も、あなたと別れた後に 家の鍵を不動産屋に渡した時点で他人の所有物件になりました。 上の事を冷静に言いたかったけど、一気に血が上ってしまい怒鳴ってしまった。 「やっぱり行ったんだ!?ウチの実家に!どこまで自分勝手なのあんたは!」 他にもいっぱい言いたいことがあったんだけど、旦那が携帯取り上げて、 何か話して電源off。私は母に抱きかかえられながら泣いてたみたい。よく覚えてない。 父が「最後の最後まで迷惑かけて・・・」と謝る旦那の頭をゲンコツで殴った。 私がとっとと着拒しておけばよかったんだけど、色んな事があって忘れてた。 「もう二度と泣かすな!次はない!」って、父も泣いてた。 590 :フェイクな長文です 4/4:2009/05/08(金) 14 25 15 0 実は旦那も私も転職してる。父はこれを機に仕事を引退した。 金も伝手もないあなたには絶対に追跡できないようにしてきた。 コトメも親戚も連絡手段は旦那携帯のみ。 トメから直接連絡を取る手段はない。トメはコトメとコトメ旦那が怖い為。 万が一旦那が死んだら、その時点で一切の関係を絶つのもお互い納得済だから。 それもこれも全部あんたのせいだから。 嫁いびりや過干渉はまだ我慢できた。私は強いから、やり返せたしスルーもできた。 でも893みたいな取り立て屋連れて、金の無心で泣きついてきたから 私達も両親も身の危険を感じてあそこに住めなくなったんだ。 どんなに落ちぶれても、どんなに惨めな死に方しても絶対に許さないし、葬式も出ない。 私の与り知らないところでひっそり逝き、地獄へ堕ちろ。 怨みが残ってるので半分くらいスッキリしました。 支援ありがとうございました。 591 :名無しさん@HOME:2009/05/08(金) 14 26 51 0 幸せになれるように呪いをかけておいた 592 :名無しさん@HOME:2009/05/08(金) 14 26 52 O GJ!乙! 593 :名無しさん@HOME:2009/05/08(金) 14 29 29 0 585 GJ!鮮やかだけど、どこにDQが? 当然の仕返しですね。 594 :名無しさん@HOME:2009/05/08(金) 14 36 27 O 乙です。ひどい不良債権ババアだな。旦那さんとコトメさんがまともなのが不思議なくらいだ 595 :名無しさん@HOME:2009/05/08(金) 14 42 08 0 590 お、乙でした…。 けどトメには経済力無くても金貸してる893はプロだから どうにかして行き先を突き止めるかもしれないよ。 その時のことも考えて「凸→すぐ通報」とか対策は立てとくといいかもね。 596 :名無しさん@HOME:2009/05/08(金) 14 43 31 0 あえて言えば、父が旦那をげんこつで殴ったのがDQかな? 両親に家を手放させるのはとんでもなく辛かっただろうね。 お疲れさまでした!これからババ抜きで幸せになってね… 597 :フェイクな長文です 4/4:2009/05/08(金) 14 53 51 0 支援、乙コールありがとう。 一応、法的に893対策はとりました。こちらに払う義務はないし。 引っ越したのは893とババアとご近所の目が怖かったのもあります。 来たのは一回だけれども、黒塗り高級外車に家を囲まれた恐怖は 我が家だけでなくご近所にも相当のものだったので。 893も上からの指示がなければ、勝手に取り立ては行えないので 細かいことは内緒ですが、弁護士を挟んで上と話が付いたので 一応こちらはクリアです。 893がトメ実家に行くのは自由なのでお好きにどうぞ、ですよ。 DQはコトメ経由旦那伝聞だけど私、トメの手首折ったみたいです。 軽くのつもりが、積年の恨みには勝てなかったようで。 心配した旦那に病院に連れて行かれましたが、私の手は無事でしたw 手首ブラブラのまま半日以上も大荷物持ったまま過ごしたんだから、 トメが勝手に大袈裟に言ってるだけだと思いますがね。 598 :名無しさん@HOME:2009/05/08(金) 14 55 40 0 骨が折れちまったよ!って、トメがレトロなやくざだな。 599 :名無しさん@HOME:2009/05/08(金) 14 57 22 0 心配した旦那に病院に連れて行かれましたが ほう・・・ 600 :名無しさん@HOME:2009/05/08(金) 14 57 40 0 手首骨折(診断はトメセルフ)ジャネ? 607 :名無しさん@HOME:2009/05/08(金) 15 06 44 0 599 トメの手首が折れるほどのチョップだったのなら、 妻の手もなんらかのダメージがあったんじゃないかと 妻の手を心配して診察に連れて行ったってことでしょ。 次のお話→623
https://w.atwiki.jp/steffi_0922/pages/497.html
コメントありがとうございます。更新遅くて申し訳ありません。です。はい。 -- (管理人) 2009-03-31 10 28 23
https://w.atwiki.jp/nocry/pages/152.html
和風 「知っていますか?」 「……なにが」 連夜に亘りある種の格闘をし続けた、報告書の整理がひと段落して、ふと思いついて町へと繰り出したのだった。 マクスウェルである。 夜の町。 ヴァチカンと言う、この限られた人口の小さな小宇宙は、昼日中の観光客の往来もなく、もちろんすべての店も既に明かりが落とされ、ひっそりと静まり返っている。 人っ子一人どころか、猫一匹通る気配の無い、穏やかな静けさに包まれた町。 マクスウェルは、そんな風景が好きだ。 もともと、ひどく人付き合いが苦手で、だのに面前に出ると愛想笑いばかりしてくたびれる。 人込みは嫌いだ。 気疲ればかりする瞼の奥に、白すぎるほど白い光が乱反射して飛び込み、ただでさえ寝不足の視界をさらに痛めつける。 清すぎる光は嫌いだ。 だから、夜は。 闇に包まれ、愛想も追従も、ついでに仕事のことも全部放り出して、素に戻れる一時だった。 店じまいした店舗の立ち並ぶ通りは、だからもちろん、マクスウェルが冷やかせる場所などない。 ブラブラとそぞろ歩く身体を、落ち着けるにも椅子一つ出ておらず、 逆に安心した。 何にも干渉されない。 マクスウェルの住まう住居区内は――無論必要以上に彼に関わろうとするものはそう多くはなかったが――、それでもある程度の人目はいつも交わされている。 幼いころからそんな中で暮らしてきたとは言え、それでも息が詰まりそうになるときは……ある。 例えば、今。 ほう、と深呼吸をひとつしたところに、だから不意に掛けられた声に、マクスウェルは顔をしかめて振り向く。 ひどく不快だった。 深みを帯びた聞きなれた声である。 もちろんマクスウェルには、振り向く前から見当が付いている。 「……アンデルセン」 少し離れた背後に、星明りに照らされてぬう、と立つ大柄な体がある。 マクスウェルと同じように、闇をまとってその表情は朧だ。 だのに気配で、微笑んでいるのがわかった。 腐れ縁、とでも言いたい付き合いの長さに、思わず違う意味でのため息が出る。 「知っていますか」 「……だから。なにが」 不愉快さを隠すことなく、半ば噛み付くように返すマクスウェルの声を、十二分に聞き取りながら男――アンデルセンの、楽しげな声の調子は変わらない。 「今日。院の子供らと一緒に、夕食をとったんです」 「ふん」 だからどうした。 せっかくのひとりぼっちの開放感を邪魔されたマクスウェルは、鼻で唸った。 「もう少し、歩きませんか」 マクスウェルに並んだアンデルセンは、上司の様子をまったく気にも留めていない。 単に、慣れなのかもしれない。 促されて、しぶしぶ、マクスウェルは並んで歩き出す。 ヘソを曲げて自分の部屋に帰る気分ではなかったし、 腹を立てたところで、この男が意に介す様子もない。 不愉快になるだけ、自分が損をしている気がしたからだ。 意地、でもある。 「で?」 「はい?」 しばらく黙って歩いて、結局いらいらと、マクスウェルは横を歩くアンデルセンに話しかけていた。 静けさを邪魔されたことは、苛立つ。 言いかけた話を途中で区切られてしまうことは、もっと苛立つ。 「はい、じゃあない。お前が言ったんだろう。誰が、何を知っているんだ?」 「知りたいですか」 「……ッ」 舌打ちしながらアンデルセンのふくらはぎ辺りを、マクスウェルは蹴りつけてやった。 ただでさえ短気なのに、この男といると数割増しで堪忍袋の緒が短い。 「マクスウェル」 痛がる素振りも見せず、むしろ面白がっている口調で、不意にアンデルセンはマクスウェルを引き寄せた。 「ッて……おまッ……」 思いもよらずに角度が変わり、引かれるままにマクスウェルはアンデルセンと共に、路面へとひっくり返る。 「いい加減に……!」 しろと怒鳴りつける前に、強引に胸板に顔を押し付けられていた。 頭を撫でる大きな手。 「随分くたびれている」 「――」 ささくれ立った神経が、抱きしめられ一瞬にして溶解したのが自身で判った。 「また……ろくに眠らずに仕事ばかりしていたのでしょう。悪い子だ」 「――」 耳元に囁く声に、深い安堵を覚える。 滑稽なほど瞬時に怒りは消え去り、マクスウェルはもたれるようにアンデルセンに撫ぜられるままでいた。 心地良い。 どうせ、見ているものはいないのだ。 気にすることはない。 「少しは自分の体のことも大事にしてあげてください」 「……そう思うなら、お前自身の始末書の量を、あと半分ほど減らしてくれると助かる」 ようやくかすれた皮肉が出る。 くく、と男がしのび笑った。 「それはそうですね」 「自覚のある無自覚か。始末が悪い」 「痛いほど理解しています」 穏やかに響く声を、押し当てた胸腔から感じて、同じように喉を鳴らしてマクスウェルも笑った。 「まあ、猪突猛進なお前に、自覚しろと言うのが無理な話か」 「マクスウェル」 「……なんだ」 「知っていますか?」 「ぅん?」 三度、問われて初めて、男の顔を仰ぎ見た。 星明りにうっすらと、髭面の見慣れた顔が映る。 「ああ――夕食を、子供らと食べたとか……、そんな話だったな」 「その、夕食をとったときに、丁度隣に日本の子が座ったんですよ」 「日本……由美江と同じ国だな」 「その子が言うには、今月――7月7日は、『七夕』と言う日だそうで」 「たな、ばた」 「知っていますか」 一瞬溜め込んだ雑学をめくりあげて、マクスウェルは眉根を寄せる。 「何かで読んだな。道教の教えに通ずるものだったと記憶しているが。異教徒の祭りか?」 「日本では、とくに何を祀ると言うものでもないそうなんですがね、『オリヒメ』と言う女と、『ヒコボシ』と言う男が、一年に一度だけ出会える日だそうです」 「一年に一度」 「はい。こう、天の川――ミルキーウェイですね、を挟んでお互いに、鳥の架ける橋を渡るそうで」 「橋を渡る」 「雨が降ると、橋が架けられずに逢引できないそうで……だから、子供たちは一生懸命晴れるようにと祈るそうですよ」 「会、えない」 「素敵だと思いませんか」 「ぅん?」 楽しげな男に、つられてマクスウェルは尋ね返していた。 「何が素敵、だ?」 「ロマンチックな話でしょう」 「ロマンチックなぁ」 男の声に首を捻る。 「そう思いませんか」 「一年に一度しか会えないんだろう」 「そのようですね」 「俺なら――気が狂う」 思わずぽつと、本音がこぼれた。 気付いた刹那に、紅潮する。 顔を、背けた。 「マクスウェル」 少しだけ驚いたような、それからなぜか可笑しんでいるような、アンデルセンは曖昧な声音で、 「側にいますよ」 あらぬ方向を睨んでいる彼へ、アンデルセンはそっと言葉を落とす。 驚いて顔を上げたマクスウェルの耳へ、 「聖神はずっと側にいますよ」 至極まともな言葉が飛び込んだ。 「神、か」 囁かれた声に瞳を閉じ、それでもなぜか無性に込み上げる切なさをかみ殺して、マクスウェルは小さく笑った。 それは乾いた笑いだ。 なんて不謹慎な。 俺は一体何を期待しているのだろう。 笑いはそのまま自嘲だ。 腕を振り払って立ち上がった。 「マクスウェル?」 「……では。遠い異国の地から、異国の地へ向けて。是非とも7日は晴れるように……部屋へ戻って乾杯とでも行こうか」 「マクスウェル」 「固いことを言うな。少しぐらいいいじゃあないか。そう言う気分のときもある」 飲酒を咎めるアンデルセンの声に、肩越し振り返って、マクスウェルは自室へ戻るために聖堂へと戻り始めた。 馬鹿な考えをしたものだ。 頭を振り払って、瞬時にでかかった先の言葉を消し去った。 弱音は無かったことにしてしまうに、限る。 ……どうせならお前が側にいてくれないか。 裏トップページ?にモドル
https://w.atwiki.jp/steffi_0922/pages/502.html
コメントありがとうございます。やられたというのは、スキルの上限の話ですかね?極振りしている方は、再振り要なのですかねぇ・・・。まぁ、どの様になっているのか、検証要ですね。 -- (管理人) 2009-04-09 13 25 27
https://w.atwiki.jp/ekkusuz/pages/236.html
前回のあらすじ 自らが戦う意味とルーチェモンがデジタルワールドを破壊する理由。この二つを愛は、夢なのか現実なのかもわからないまま、聞き覚えのある声を持つ『誰か』から問われる。 そして、愛を人質に、パルモンの前に現れたマイケル。パルモンのデジコアに埋め込まれている『秘伝書』もとい『テスタメント・チップ』は、ピコデビモンから進化したデビモンによって奪い取られてしまうのだった。 第三十一話 不機嫌なパルモン 朝食の用意ができた、というわけで、信一達は案内のゴツモンを先頭に廊下を歩いていた。 ちなみに、ゴールドブイドラモンはいつの間にかフレイドラモンになっていた。本人曰く、この姿が一番落ち着くらしい。 昨日は戦いが終わるや否や眠りについたため、長時間眠ることができたうえに、久しぶりに屋根のあるところで眠れたので、皆、すっきりとした面持ちである。 一名を除いて。 「頭がガンガンするぅ……」 大きなあくびを何度もしながら、おぼつかない足取りで、愛は進んでいた。足元で歩いているプロットモンが心配そうに見上げている。 「愛、やっぱり寝てたほうがいいんじゃない?」 パタモンを頭にのせた信一が愛の顔を覗き込む。疲れの色は見えないが、とにかく、非常に眠たそうであった。 愛は強く首を横に振った。 「今日はパルモンに色々質問をするんでしょう。あたしだって、パルモンに訊きたいことがあるもの」 そして、とってつけたように 「お腹も減ってるしね」 と、弱々しく微笑むのだった。 信一達が案内された部屋は、昨日と同じく、無駄に大きなあの部屋だった。 昨日の戦いの爪あとは嘘のように消え去っている。少年が壁に空けた穴もなければ、ソウエンが天井に空けた大穴もない。すっかり元通りだ。 いや、そんなことより、部屋に入った全員が一番に感じたのは、部屋中においしそうな匂いがたちこめていることだった。 「はやくいらっしゃい、冷めちゃうわよ」 部屋の中央に置かれている食卓に、すでにパルモンがついており、手招きしている。こころなしかパルモンの顔色が悪いようだ。まあ、もともと緑色であるから、なんとも言えないが。 信一達はというと、パルモンの顔色なんかに気づく気配もなく、近づくにつれ、どんどん強くなっていくいい香りに、歩くのがじれったくなってゆき、いつの間にか小走りで食卓に近づいていた。 そして、そこに並べられている湯気を出している美味しそうな食べ物の数々を見るなり、素早く席に着き、いただきます、と言ったのかどうかもはっきりしないうちに食事にかぶりついていた。愛も眠気なんか吹っ飛んでしまったかのように目の前のおにぎりをほうばっている。 その様子を見てパルモンは思わず苦笑した。 「昨日は夕食を食べていないものね。無理もないわ。さてと、ゴツモンはあの手袋を持ってきてくれるかしら?」 「はい。……あの、なにに使うのですか?」 すると、パルモンは意味ありげにフレイドラモンを一瞥して、 「長年行方不明になっていたあのチップがようやく見つかったわ」 と言うなり、自分も食事に手をつけ始めた。 ゴツモンが、妖しげなオーラを放つ黒い手袋を持ってきた時には、食事はあらかたなくなっていた。所要時間5分といったところか。 「パルモン様、おまたせいたしました」 ゴツモンが恭しく差し出した手袋を「ありがとう」と言って受け取ると、パルモンは早速はめた。パルモン独特の手の形にちゃんと対応してあるようだ。 「突然だけど、フレイドラモン、あなた、もしかして、昔のことを憶えていないんじゃない?」 満腹となり、幸せそうなため息をついていたフレイドラモンは、そう言われるなり、はっと真顔になってパルモンを見つめた。 「なんで、そのことを知ってるんだ」 「あなたが、デジメンタル・チップを持っているからよ」 「デジメンタル・チップ?」 耳慣れない単語に全員が首を傾げる。 「そもそもデジメンタルの説明からしなきゃだめね。デジメンタルっていうのは、古代種のデジモンをアーマー進化させることができる力を持ったアイテムよ。ちなみに、アーマー進化っていうのは、デジメンタルを使った進化のことね。 そして、デジメンタル・チップは、全てのデジメンタルのデータをそのままチップに記録して、デジコア――デジモンの心臓部に埋め込めるようにしたものよ。デジメンタルっていうのは複数あるから、チップにまとめることによって、そのチップ一つですませようとしたってわけなんだけどね。まあ、便利は便利だけど、とんでもなく負担がかかるのよ。チップを埋め込まれたデジモンの体に。だから、フレイドラモンに昔の記憶がないのもそのせいだと思う。チップの負担があまりにも大きくて、本来、記憶の保持に使われるはずのような部分までもが、チップの負担を請け負っていたんだと思う」 一息にそこまで言うと、パルモンが今度は、一言、一言噛み締めるように言った。 「このままだと多分、記憶喪失程度じゃすまなくなるわ。だから今から、あなたのデジコアからチップを取り除く」 「そんなの無理よ」 プロットモンが咎めるような声を上げた。それに続くようにして愛も、 「デジモンの心臓部ってことは、デジコアって体の中にあるんでしょ。そんなところからどうやって取り出すのぉ?」 と、あくびをしながらもっともな疑問を投げかける。 そのとたん、パルモンの顔があからさまに歪んだ。 なにか思い出したくないことでも思い出してしまったかのように。 「パルモン様、どうかなさいましたか?」 「なんでもないわ……」 心配気なゴツモンの問いかけをさらい退けると、パルモンはいつもの調子に戻っていた。 「まあ、アイが不思議がるのも無理ないわね。普通はそんなことできないもの。でもね、先代のワイズモンがとても便利な物を作ってくれたのよ。それがこれ」 そう言って、パルモンは自分がつけている黒い手袋を信一達に見せた。 「これは、デスハンドっていって、相手の体を傷つけることなくデジコアに触れられる優れものなの。これを使えば、ばっちりチップがとれるわ」 この時、ゴツモンはパルモンの異変に気づいていた。 感情を押し殺したような、淡々とした話し方。愛から質問されたときのあの反応……。 先代のワイズモンのころから仕えているため、パルモンとも長い付き合いになるが、こんなことは始めてだった。 「……あの、パルモン様。お加減がよろしくないのでは?」 パルモンは表情を全く変えず、小さく口を動かす。 「そんなことないわよ」 そんなことないわけがございません! 危うくゴツモンはそう叫ぶところだった。それほど、パルモンの今の返答はぶっきらぼうな響きがあったのだ。 しかし、自らの主にそんな失礼を侵すわけにもいかず、またもや、何事もなかったかのように話し始めてしまったので、ゴツモンは無理矢理その言葉を飲み込んだ。 「そういうわけだから、早速作業を始めてもいいかしら?」 まるで、一緒にお茶をいかが?とでも誘うかのように気楽に言うパルモンに、今から自分のデジコアを触られるフレイドラモンはドギマギしながらパルモンに問う。 「本当に大丈夫なんだろうな」 すると、パルモンは肩をすくめ、ため息をついた。 「けっこう痛い。……さぁ、さっさとやるわよ」 「え、ちょ、ま、待ってくれ。痛いって……」 フレイドラモンが言い終わらないうちにパルモンは右腕をフレイドラモンの胸の辺りに突っ込む。 「いっでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 こうして、フレイドラモンの疑問は自らの身をもって解決された。 フレイドラモンの絶叫がブリンプモンの中で響き渡っていたころ。 天に浮き、聖なる光を放つ白い城のような建物――サンクチュアリと呼ばれる神の宮に、場違いとしか思えない、黒い堕天使が吸い込まれていった。 堕天使はデビモンであり、その背にはパートナーであるマイケルを乗せている。 デビモンは本がびっしりと並べられた部屋にたどり着くと、マイケルを降ろし、ピコデビモンに退化した。 どうやら、図書室のようで、部屋の中央の大きな円の机には、12枚の翼をもつ天使が読書に興じている。 自分に近づいてくる存在に気づくと天使は顔を上げた。 「やあ、よくここがわかったね。戻ってきた、ということは『秘伝書』は手に入ったわけだ」 「どうにかね。でも、正式名称は『テスタメント・チップ』っていうらしいよ」 そう言って、マイケルはズボンのポケットに入っていた親指の爪ほどのチップを手に乗せ、天使に見せる。 すると、このサンクチュアリの主であり、デジタルワールドの神でもある、天使、ルーチェモンはあどけない顔で笑い、言った。 「これで、僕の望みが叶う時がぐんと近くなった」 つづく
https://w.atwiki.jp/kagakyon/pages/376.html
みゆき「さあ皆さん、出番ですよ~」 こなた「いざっ! 鬼畜ハーレム王キョンのえっちな大冒険、本編・・・」 キョン「何言ってんだゴルァ。男女7人夏物語本編、始まるザマスよ!」 ななこ「いや~ん♪」 ゆい「いっちゃうー♪」 つかさ「熟女AVじゃねえんだ! 自重しろこの淫乱年増!」 かがみ「言うわね、つかさ」 ななこ「ほう・・・柊。可愛い顔して随分とえげつないこと言うやないか。遺書はもう書いたのか?」 ゆい「お姉さんびっくりだー・・・夏の間、鉄格子付きの別荘で過ごしたいかい?」 つかさ「だって台本にそう書いてあるんだもん。私のせいじゃないもん」 かがみ「この台本書いたの誰よ? まさかみゆき?」 みゆき「わっ、私じゃないですよ」 こなた「さ、前振りはこの辺にして本編いってみよー」 ななこ「・・・つまりそういうことやな。覚えとき、泉」 そんなこんなで、夏休みの「ドキドキ☆キョン君とイク温泉旅行」のプランは着々と練られていった。 行き先は、黒井先生の先輩のご実家が経営している温泉旅館に決定。時期は8月の下旬。 「それまではしっかり勉強しとき。やることやって、最後にちょっと息抜きっていうなら、ご両親もすんなり許してくれると思うで」とは黒井先生の弁。 うん、確かにその通りね。夏休みの最後に楽しいことがある、と思うだけで、なんかやる気が出る。 いつもはのんびりしているあのつかさも、流石に今年は受験生ということもあってか、割ときちんと勉強しているみたい。たまにみんなで集まって勉強するけど、あのこなたですら、結構集中してやっているのにはびっくりした。 勉強会の後、お菓子やジュースをつまみながら、旅行のプランをあれこれ話すのが楽しい。みんなで下調べして、この日はここに行こうとか、こんな名物があるらしいとか、ハイキングのコースがあるから行ってみようとかね。 キョン君と2人っきりになれる時間があるかな。あるといいな。温泉街を浴衣着て、2人で腕組んで歩いてみたいよ。 そのキョン君はというと、予備校の夏期講習に通っていて、こっちの勉強会には7月に1度、参加したきり。ちょっと寂しいけど、旅行の時はずっと一緒にいられるんだから、我慢我慢・・・でも、早く会いたいナ。 あ、旅行前日が登校日だから、その時会えるんだ。いろいろお話しよう。 登校日に付随する諸々のセレモニーが終わり、こなたたちのクラスに顔を出すと、こなた、つかさ、みゆきと話をしているキョン君がいた。おーい、キョン君。久しぶり。 「よ、久しぶりだなかがみ」 久々に会うキョン君。なんか嬉しい。ね、夏休み、勉強の方は進んでる? 「まあ、今年受験生だしな。自覚が出てくると、それなりにやる気も出てくる。ボチボチだな」 楽しみだね。明日。 「そうだな。なんだかんだでここまで、勉強漬け・・・ってこともないか。適度に息抜きはしてたけど、まあ、ここらでドカンと骨休めってのも悪くないしな。俺も明日が大いに楽しみだ」 勉強会で集まったときなんかにね、一応、基本的なプランを色々話してたんだ。キョン君にもその都度メールを送ったから知っていると思うけど、キョン君は今回の旅行、何か希望ある? 「いや、かがみたちがよく調べて考えてくれたみたいだから、俺は特に・・・いや、1つある。蕎麦は絶対食いたい」 そっか、ここの蕎麦ってすごく美味しいんだよね。絶対食べようね。 「かがみはん、蕎麦はカロリー低いからって、食べ過ぎたらあきまへんで。それに、一緒に天ぷらなんぞ頼んだら意味ありまへんで」 うっさいこなた。変な関西弁使って茶々入れるんじゃないわよ。 「それにしても・・・警察官や学校の先生って、社会的信用あるんだね。今回もお父さんとお母さん、すんなり許してくれたし、良かったよね、お姉ちゃん」 ま、昨今は教員も警官も、いろいろ言われてはいるけど、大半は真面目に仕事しているからね。それなりに社会的信用があるのは当然でしょ。 「でも・・・ゆい姉さんやななこ先生見てると・・・ぷくく・・・」 こなた、言いたいことはなんとなく分かるけど自重しなさいよ。どこかで聞かれているかもしれないでしょ。 「2人とも、とてもいい人だと思いますよ。堅いお仕事をされているのにざっくばらんで、親しみやすくて」 みゆき、あんたもいい人だね。みゆきが人を悪く言うの、聞いたことないし。 「まあ、あまりあの2人を悪く言うとバチが当たるぞ。今回、こうやって旅行にいけるのもあの2人のおかげだろ・・・ま、 2人とも、既存の高校教員や警察官の枠に当てはまらない、ユニークな人間であることを認めるのはやぶさかではないが」 キョン君って、今時の高校生らしくない、もってまわった言い回しが好きだよね。あんまり本とか読んでないのに。 「・・・でもさ、出来れば私たちだけで行きたかったネ」 「こなちゃん、それは言わない約束でしょ」 「ま・・・枯れ木も山の賑わいって言うし、こういうときは大勢の方が楽しいかもね、そうだよね、アハッ♪」 おいこなた、それって国語の教科書に載ってる、諺の誤用例そのまんまだぞ、分かって使ってるのか? 「いぐざくとりぃ~」 「おいおい、枯れ木はないだろ枯れ木は。黒井先生もゆいさんもすごく美人だし、2人ともまだ20代だろ」 「けどさキョン、ゆい姉さんはともかく、ななこ先生なんてあの年で彼氏はいないは、週末はネトゲで徹夜するは、ホントに女として枯れ木みたいじゃん」 こなた、アンタも今みたいな生活続けてると、人のこといえないわよ。黒井先生はあれでも一応教員っていう仕事に就いているけど、アンタはそのままズルズルと、ニートになりそうで心配だわ。 「あれでも一応教員って、かがみんもフォローしたつもりで、結構酷いこと言ってるじゃん、ぷぷ」 「黒井先生みたいにきれいな人でも、ご縁ってのは、なかなか無いものなのでしょうか?」 「みゆきさん、ななこ先生はなまじ見てくれだけは良いから、なおのこと始末が悪いんだヨ。あれで男がいないなんて、顔は良くても性格は悪いです、って言ってるようなモンじゃんか、あはは」 「こなたさん、そういうことはっきり言っちゃうと・・・うふふ」 ちょっと・・・あのみゆきまで笑ってるじゃない。もしかしてみゆきって、ちょっと、黒い? 「止めなよこなちゃん・・・ななこ先生に悪いよー、そんなこと言っちゃ、めっ!」 ま、枯れ木も山の賑わいってのは、言いえて妙かもしれないわね、黒井先生には悪いけど。 「お姉ちゃんまで・・・やめなよー」 「おいおい・・・おまえら、大概にしとけよ。聞いてるかもしれないぞ」 大丈夫よ。聞いてたら今頃、烈火のごとく怒り狂ってこっちに来てるわ。ま、口さがない品評はこのくらいにしますかね。 大丈夫じゃなかったりするんやな、これが・・・ おそらく今日、旅行の話をするんやろうから、こっちからも一言声かけとこうと、教室の前まで来てみればこれや。 ま、教師の悪口は、ウチらも学生時代よう言っとったし、それ自体を咎める気はない、けどな、本人には絶対に聞かれないところで言うのが、最低限の仁義ってもんや。聞かれたときは、相応の報いを覚悟せなあかん。 枯れ木やて・・・男も知らん小娘に、枯れ木呼ばわりされる覚えはないで。ウチがおまえらの年の時は、もう大人の階段登っとったわ。 それに、お前らは肝心なことを忘れとる。今回の旅行で、キョンとどれだけの付き合いが出来るのか、それはひとえに引率者のウチや成実さんの裁量にかかってるんやで。匙加減1つやで。 今回、奥手なあの連中のために、破格のスペシャル企画を用意してたんやけど、泉と柊姉と高良は外したるわ。 それにしても、泉はともかく、高良と柊の姉までもが、ウチらをバカにするとは思わんかったわ。 キョンと柊だけやな、良心があるのは。 さてと、こっちもいろいろ、対策を立てんとあかん。成実さんに連絡して、善後策を練るわ。 第二章へ
https://w.atwiki.jp/inou3ster/pages/178.html
《 注意 》 ・この小説は、チャットから派生したアリバフさん・ネイプによる[[リレー小説]]です。 ・猿駆さんと[[ルフェウス]]が中心となります。 ・「----」で区切ったら次の人へ回す合図になります。(※環境によって表示は違うかもですが、テキストそのままではなく、仕切り線タグが挿入されます) ・順番、長さは適当です。書けたら繋げていきましょう。 ・自キャラの登場シーンだけは、PL様本人が書いて頂けると助かります。 追記:こちらのリレー小説はコンビナートによるルフェウスさんの捕獲などが発生しなかったパラレルワールドでの物語となります。ですが、このリレー小説の結果起きた感情の推移や異能の変化は本編でも反映させる腹積もりです byアリバフ 互助組織『ハーメルン』が、極力、疾患者が一か所に集まる拠点を持たず、通信回線のみで繋がりを持とうとするのには、こういう理由があったのだ。 雪崩れ込む黒服の群れ。 時折聞こえるのは、ロシア語のやりとり。 犯罪組織『コンビナート』による襲撃だと気付いた時にはもう、遅く。 ここのところ、暇があればこの廃工場に屯して、とりとめもない冗談を言い合っていた。 きっと随分と前から、目を付けられていたのだろう。 複数の〝疾患者〟が特定の場所に集まるとなれば、そこは格好の「餌場」になってしまう。 そんな〝上〟の思惑を、身を持って理解させられている。今。 一番最初に、出入り口に最も近くにいた玲岐が犠牲になった。 まぶしい車のヘッドライトに、黒く浮かぶ玲岐の影が、ゆっくりとまるでスローモーションのように倒れるのを、全員が見た。 自分が何かを言うよりも早く、フラウムが奴らに飛びかかる。 ―――救世主妄想症候群/メサイアコンプレックス。 犠牲にしたものの比重に応じて、自らの肉体を強化するフラウムの疾患。 「玲岐の命」の犠牲で、フラウムはかつてないほどに強い力を手に入れ、押し寄せる黒服達を蹴散らしていた。 その時、自分が何を言ったのかは覚えていない。ただ、残るベルメリオとヴェルトーを守るために、二人の前に立ったのだと思う。 一瞬怯む黒服達が、何かを叫んだ。 「――――!!」 ロシア語は知らないが、何故か、何を言っているかは理解できた。 ――――殺せ!! 目の前で戦っていたフラウムの頭部が、ぱっと弾けた。散弾銃の音が響く。『パララララッ』と、嘘みたいに軽い音。 「――――――――っ!!」 叫んだ。 なのに、声は出ない。 上擦って掠れて、空気を震わせることが出来ない、絶叫。 再び散弾銃が『パララララッ』と歌い、がくん、とバランスを崩して倒れる。 左脚が、焼けるように熱い。 撃たれた。〝自分に傷がついている〟。その時はじめて気づいた。 地面に近い位置からの視野。その中で、何かを叫んだベルメリオと、自分に駆け寄ろうとしたヴェルトーが、次々に血しぶきを上げて倒れるのが見えて。 ほんのついさっきまで、ふざけた会話をして笑っていた、4人が全員。 ゆっくり近付いてくる黒服。 その銃口が、駄目押しの一発を見舞おうと、自分に向けられて、 自分の意識は、そこで途切れた――― とある晴れた昼下がり、黒い服を着た小柄な男と、銀髪の中性的な体つきの女が、小さな栗色のバイクに乗って道を走っていた。 運転しているのは男の方、交通ルールなど知ったことではないとばかりにスピード全開でバイクを飛ばしていた。バイクは、その見た目にそぐわず、かなりの馬力を見せ二人を運ぶ。女はそんな男の運転を咎める様子もなく、無表情で男にしがみついていた。 見た目だけであれば、カップルの二人乗りにも見えたのかも知れないが、二人から漂う雰囲気は明らかに色恋沙汰とはかけ離れていた。 男…猿駆は、現状を後悔していた。なぜこんな面倒事に自ら巻き込まれにいってしまったのかと。後ろの女――ルフェウスと言う名なのだが、猿駆は通称である“死体”で呼んでいる――は、これから“コンビナート”に乗り込むつもりなのだ。 ………かつての“仲間”と再会するために なぜ、猿駆とルフェウスの二人がバイクで二人乗りをして移動しているのか、話は二人の出会いまで遡る 二人が出会ったのはとある雑木林。コンビニへの近道として知る人ぞ知る場所である。勿論、雑木林なのである程度土地勘がないと迷ってしまうが… この雑木林は二人の良く通る道である。よくここで出会うのも当然のことと言えるであろう。 二人の出会いは割と淡白なものだった。猿駆からすればルフェウスは皮肉の通じないつまらない奴、ルフェウスからすれば猿駆はうるさいガキであった。 二度目の遭遇の時もそれは変わらず。だが猿駆は明らかにルフェウスに執着していった。無意識のうちに目の前で死体になった弟と比較して嫉妬していたのだった。 不意な発砲から始まった三度目の邂逅。猿駆は実験と称してルフェウスに発砲。その結果は銃弾が弾き返されるというものだった。 あまりに予想外の結果。猿駆は動揺するとともに嫉妬心が暴走し、それをルフェウスにぶつけた。 ルフェウスに猿駆が怒っている理由が分かるわけもなく、いつもどおりの調子で返事を返す。再びいつものやりとりが繰り返されると思われた。しかし、猿駆が苦し紛れについた悪態が、ルフェウスの琴線に触れることになる。 言葉攻めに精神が耐えられず、膝から崩れ落ちるルフェウス。猿駆はそんな様子のルフェウスに、トドメを刺さずに立ち去った。「オモチャを壊すのは勿体ない」などと言い訳をして。猿駆はいつの間にかルフェウスに同情心を持っていた。 次に二人出会うときにはルフェウスは平常に戻っていた。そして交わされるいつものやりとり。しかし、猿駆の態度には多少の変化があった。そして、気が付けば弟のことを話していた。それに対して、ルフェウスは意外にも優しい態度を表すのだった。 そして猿駆は「ルフェウスは感情を持っている」ということに気が付く これによって、同情心は更に深くなっていく… そんなある日、猿駆はとある男に会う。その男の名前は「玲岐 楼雅」。現在、コンビナートの戦闘員として活動している男だ。もっとも、猿駆はそんなことは知らない。第一印象は「うざいチャラ男」であった。 その男は猿駆がルフェウスの知り合いと知るがいなや、連れてきてくれと頼むと同時に警告を投げかけた。「ルフェウスは信頼するな…」と その様子は明らかに異常であった。猿駆は二人の関係が気になった。ルフェウスへの警戒心が湧かなかった訳ではない。しかし、どう考えてもルフェウスが男の言うような人間とは思えなかった。 そして今日、猿駆は尋ねてみたのである。「金髪のチャラ男の知り合いはいないか」と。 それに対して、ルフェウスは食いつくような反応を返してきた。話を聞くと、「死んだはずのかつての仲間」らしい。 玲岐の元へ向かおうとするルフェウスを猿駆は止めるよう説得しようとした。「奴はあんたを恨んでる。会ってもろくなことにならない」と。それでもルフェウスは言うことを聞かなかった。弟に例えて「お前ならどうする」と言われてしまうと、止めようにも止められなかった。だが、同情心からルフェウスを放っておくわけにもいかなかった。だから、言ってしまったのだ 「俺も付いていく。あんたが完全に壊れる前に引き剥がしてやるよ」 顰め面をしながら回想を終え、後ろを確認すればルフェウスは心ここに有らずと言った状態であった。いや、常にそのような様子にも見えるが… 猿駆はルフェウスに声を掛ける 「おい」 「……」 返事は無い。怒り気味に再度声をかける 「おい!」 「…何だ」 漸く気が付いたルフェウスが短く応えた。猿駆は溜息をつきながら、選択肢を突きつけるのだった 「まさかこのまま作戦無しに突っ込もうとしてる訳じゃねぇだろうな…?…慎重にいくのと派手にいくの、どっちがいい」
https://w.atwiki.jp/kougu/pages/19.html
金具や紐状のものを締めて固定するための工具の一覧です。 アイコン説明/金属加工 木材加工 ガラス加工 革・布加工 石材加工 プラ・樹脂加工 ドライバー、ねじ回し 手でねじを締め付けて固定したり緩めて外したりするための手工具。先端の形状によって様々な種類のねじに対応する。使用条件によっても持ち手の形状や材質、構造も様々 プラスドライバー マイナスドライバー 六角ドライバー トルクスドライバー ショックドライバー、インパクトドライバ 主に手では回す事の出来ない程に固着したネジを緩めるのに使用する。工具先端をネジ頭に合わせた状態で柄の頭をハンマー等で打撃し使う。打撃の力が先端を回転させる機構に伝わり強い力でネジを回す。先端ビットを交換することで様々なネジ形状に対応する。 インパクトドライバー、インパクトレンチ モーターや空気圧の力によって、主にネジを締め付けたり緩めたりできる機械工具。回転方向に打撃を加える機構により、長ネジや木ネジ、重量物を止めるボルトナットなど負荷の大きな締め付けに適している。先端ビットを交換することで様々なネジ形状に対応し、ドリル等のビットで穴あけ作業にも利用できる。 ドリルドライバー モーターの力で、ドリルビットよる穴開けやドライバービットでのネジの締める緩めるができる機械工具。ネジの締め付けトルクが変更できる機構により強い締め付けの必要のない家具や機器の組み立てに利用できる。先端ビットを交換することで様々な用途に使用できる。 スパナ 説明文 レンチ 説明文 ラチェットレンチ 説明文 トルクレンチ 説明文 モンキーレンチ 説明文 パイプレンチ 説明文
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/1557.html
『月虹譜』4 効果はすぐに現れた。 まどかの顔がカァーっと火がついたように赤く染まり、軽い混乱に見舞われながらも、とっさに腰をよじって、えれなの視界から少しでも逃げようとする。 ―― が、太ももで挟みこんでいる右手のせいで、せいぜい尻を振った程度にすぎない。 「みっ、見てはいけません! そんな所を……ダメですよッ、えれな!」 「あはは…、えーとゴメンね。大丈夫、見てないから」 まどかの悲鳴じみた声に驚いたえれなが、バツが悪そうに笑って謝った。 即座にまどかからの怒りの声が返ってくる。 「あなたはッッ!!」 ……けれど、その感情の沸騰もすぐに落ち着いたらしく、 「もお、そんな所を見てはいけませんよ?」 と、優しくたしなめる口調になった。 (本当に見られたのかと思いました……) ホッとした途端、 ―― でも、実は見られていたら。 ……そんな事を想像して、無性に胸をドキドキさせてしまう。 (け、けがらわしい穴を、え…えれなに見られるなんて……そんな恥ずかしい事……) 処女の膣をさらに濡らしながら、えれなの指を甘く締め付ける。 「み…、見ていませんよね?」 そう言いつつ、膣に挿入された指使いに合わせて、腰をゆっくり上下に揺する。 突き出す姿勢でボリュームを強調する15歳の少女の尻に、えれながくっつけた頬をスリスリさせて、やわらかな肌の下の瑞々しい弾力感を味わいながら尋ねる。 「……見られたら恥ずかしい?」 「あ…当たり前ですっ」 「でも、恥ずかしいだけ?」 心臓が跳ねる。 「えれなは、わたくしを侮辱しているのですか?」 訊き返す声の響きが、どこか甘い。 ぬらぬらと濡れた膣襞が収縮して、愛撫してくる指先に絡みつく。まるで、えれなの指を絞り上げようとしているみたいに。 「ゆ、許しませんよ、えれな。わ…わたくしのコトを、そんな風に……」 「自分でも気付いてきたんじゃない? まどかは、イケナイ事をすると、すごく興奮しちゃう子なんだって」 「ち…ちがいます、わたくしは……」 精一杯の弱々しい否定。 自分の言葉に自信が持てない。 (もしも、えれなにお尻の穴を覗かれたら、わたくし……本当に興奮……) ゾクッ ―― ゾクッ ―― 。 背徳感。 まどかが呼吸を乱して、ふるふると首を横に振った。 (観星中の元生徒会長であるわたくしが……いけません。これ以上、変な事を……) 考えてはいけない ―― そう強く心を戒めた。 なのに、 尻の割れ目のあたりに、えれなの息遣いが這うと、ぞぞぞっ…と妖しい感覚が尾骨のあたりから腰裏へと這い上がってくる。 (ああ、駄目……なのに……) 左耳にかかる髪を、さらっ、とかき上げる手が微妙に震えている。 後戻りできないと分かっていながら崖の縁に足を置いてみるような、そんな誘惑に心が惹かれて、抗えない。 「あの、えれな……」 心が堕ちる。 「すごく興奮しているわたくしの姿、見たいですか?」 「うん、見たい」 「……見たら、えれなもすごく興奮しますか?」 えれなの返事を待たず、クスクスという笑い声と共に腰を大きく弓反らせて、尻を突き出した姿勢をさらに強調する。 親友でありプリキュアとしての仲間でもある少女が醸す、なまめかしい雰囲気に呑まれたのか。彼女の膣に奉仕していた指の動きが、いつのまにか止まっている。 しかし、まどかはそれを気にしていないようだった。 「さあ、えれな。わたくしのけがらわしい排泄用の穴を存分に観察して、わたくしを辱めてください」 えれなの顔の前で、突き出された尻の丸みが、ゆったりとした動きで小さく左右に揺すられる。『観星中の月』として多くの生徒から慕われる普段の姿からは想像も出来ない、いやらしいおねだり。 ……暗くて視界が悪いけれど、それでも充分に視認できる。 左右の尻肉を隔てる浅い谷間の底。 周囲を軟らかなシワで包まれてキュッとすぼまっている肉穴。 (あたし、まどかのお尻の穴見てる) 見てはいけないモノを目にする ―― すごくイケナイ事をしている気分で、えれなの鼓動がドキドキと高まってくる。 六人姉妹の長女で多少大人びた面もあるとはいえ、まだ15歳の子供なのだ。 罪悪感のような感覚に、未成熟の心が動揺してしまう。 しかし、動揺しながらも興奮は徐々に強まっていった。 「み…見えていますか?」 その上擦った声に対して、えれなが少しかすれた声で「見えてる」と答える。 再び顔を熱くしたまどかが、まるで人生の終わりみたいな恥ずかしさを覚えながらゾクゾクする。 (今、ほ…本当に見られてしまっているのですね) 全身が、羞恥心で焼かれるように熱い。 しかも、ただ見られているのではなく、自分から見せているという現実。それが、まどかの羞恥心をさらに煽って、彼女の頭の中をぐちゃぐちゃに混乱させる。 「ああ…、わたくしは明日からどうすれば……。一体どんな顔でみんなの前に立てば……」 「汚れてないよ、まどかのお尻の穴。ちゃんとお風呂入ったあとだし、きれい」 無論、汚れてはいない事はまどかも承知。 だが、そこは『排泄物』を出す穴なのだ。 ―― けれど、だからこそ、その穴を他人に見せ付けるのは、すごくイケナイ事で、まどかをどうしようもなく興奮させる。 「ふふふっ、こんなにゾクゾクするなんて」 高貴な家柄ゆえに品性の漂う容貌を、淫らな色に染め抜いて ―― 。 視線を感じているせいか、香久矢家のお嬢様の肛門が物欲しげにひくついている。 「ああ……、どうしましょう、えれな……。わたくし、死んでしまいたいくらい恥ずかしいのに、今、とってもいやらしい気分になっているんです」 たかぶった気持ちを抑えきれず、悶えるように腰をくねらせて、えれなの顔の前に突き出した尻を揺する。 無意識の内に、えれなは右手の指を親友の膣から抜いていた。 いまだに両目は、まどかの尻の肉穴に釘付け。 微かに震える右腕が両太ももの間から抜かれていくのを、まどかはあえて何も言わず見送った。その胸の奥には、イケナイ事への淫らな期待。 「…………」 えれなは言葉を忘れたまま、引き抜いた右手をゆっくりと持ち上げ、指先にこびり付いた愛蜜を、目の前の排泄の肉穴に優しく塗りつける。 「ンッ…!」 肛門をヌルヌルと刺激される感触に、まどかが腰をこわばらせて耐える。 とりあえずは、えれなのしたいようにさせてあげるつもりだ。 淫らな蜜を塗りたくられた肛門は、暗さに慣れてきた目には、ほんのうっすらとだが、てらてらと卑猥に色付いたように見えた。 「いやらしい……、まどかのお尻の穴……」 興奮に喘ぐ声を喉から絞り出したえれなが、なおもまどかの尻の肉穴に視線を注いだまま、右手を自分の股間へと伸ばす。 ……えれなのリアクションが途切れたことに気付いたまどかが、両目をそっと閉じ、耳をよく澄まして背後の様子を窺う。 鼓膜が捉えたのは、微かな音。えれなの微妙に乱れた興奮の息遣い。 (ああ……) と、睫毛を震わせて、まどかがうっすらと両目を開いた。 心の深い部分がゾクゾクと疼いてくる。 「えれな、あなたは、このけがらわしい穴を見ながら……しているのですね」 えれなの表情が、ビクッ、とこわばる。 バレた。 けれど、えれなは親友の肛門から目を逸らすことも、秘所をいじる劣情の指使いを止めることもできない。 「 ―― 見損ないました」 やわらかみのある声だが、普段そこに含まれているぬくもりが削げ落ちている。 軽蔑の ―― 冷たい響き。それが鞭となって、えれなの心を打ち据える。 「汚い排泄物を出す穴を……それも他人の、ですよ? そのようなものを見て発情の行為に及ぶなど、あなたは変態ですか?」 突き放すように言葉を放つ。……放ちながら、えもいわれぬ感覚で心を満たしていく。 (えれなを傷つける言葉を言っているのに……どうして、こんなに……) ―― 秘所が熱くたぎって、たまらなくなってくる。 えれなみたいに、今すぐいじりたい。 「親友だと思っていた相手が、まさか、こんな変態だったなんてっ! わたくしは情けなくて死にたくなってしまいますっ」 ややきつめの語調で、えれなの行為を咎める。 ―― 同時に心の中でうめき声を上げる。 (だめっ! ううぅ……今すぐ、えれなの指でかき回されたいっ!) 処女の膣が分泌液をベッドに垂らしつつ、えれなの指の感覚を思い出して何度も収縮する。 (ああああ……このままでは、わたくしのほうが本物の変態になってしまいますッ!) 『月虹譜』5へ
https://w.atwiki.jp/srpgbr/pages/252.html
臨時放送・裏 ◆imaTwclStk 暗く、巨大なモニターだけが目立つ部屋で対峙する二つの影。 向かい合うのは二人の悪魔、「ルカヴィ」と「メルギトス」。 正確にはメルギトスは実体ではなく機械が作り出した幻影なのだが。 「…それでは今回はお引き受けして頂けませんと?」 メルギトス ―今は壮麗な青年の姿『レイム』の状態で― は表面上は にこやかに対応しているが、何の感情も見せぬままに目の前の騎士と向き合っている。 「そういう事だ、次の放送は貴様の子飼いの連中にでもやらせろ」 一方、一応は穏やかに対応しているメルギトスに対して ルカヴィ、『神殿騎士ヴォルマルフ』は椅子に腰掛けたまま嫌悪感を隠さずに言い放つ。 向かい合う二人の悪魔は片方は静かに、もう片方は激情のままに 今にも互いの喉笛を食いちぎらんといった様な殺気を放っている。 事はとある少女が発端だった。 メルギトスより自分に課せられた放送を終えた直後のヴォルマルフに対して、 少女『アルマ』が意外にも接触を試みてきたのである。 少女はヴォルマルフを挑発し、裏にいるであろう ディエルゴ ―今のメルギトスのもう一つの側面― との接触を図ろうとしていた。 ヴォルマルフはそれに対して馬鹿正直に答える義理も無ければ 自分を挑発する少女を生かしておく道理も無く、 その手は少女の首輪の起爆装置へと伸びていた。 それを制止したのが当のメルギトス本人であり、 あろう事か少女の提案を受け入れ、ゲームの設定変更まで行うとヴォルマルフに申し出てきた。 それがヴォルマルフの癪に障った。 それはルカヴィがたった一人の少女に対して手玉に取られたという事実に他ならず、 例えメルギトス側にどのような意図があったとしても許容できる事ではなかった。 かといって、今この場で自分達の協力関係を破棄してまで主催者側で殺し合いを始めるほど、 ヴォルマルフも愚かではない。 それをして喜ぶのはゲームの参加者達のみである。 が、ただメルギトスの提案を受け入れるのもヴォルマルフの面子を潰す事になる。 それゆえヴォルマルフはメルギトスに対して進行役の一時辞退という手段をとった。 進行の担い手が突然変わればゲームの参加者達にも疑惑が広がるだろうが、 そもそも意図的に参加者達の情報制限を行ったりとメルギトスはヴォルマルフを軽んじている節が合った。 それを理解していた上での謂わばヴォルマルフの『嫌がらせ』である。 メルギトス側もその点では非が在る為、ヴォルマルフの一時辞退を受け入れざるを得なかった。 「…分かりました、では次の放送はキュラー達に任せるとします。 私は少し休まなければいけませんので」 メルギトス、『レイム』が困ったような顔をしたままぷつりとその虚像を消した。 モニターの灯りだけが照らす部屋の中で一人残されたヴォルマルフが無言で立ち上がり、 手元で何かを操作して突如として空間を切り取ったかの様に現れた出口へと歩いていく。 「ドチラニ?」 出口に番兵として立っていた機械魔がヴォルマルフに尋ねる。 「居室に戻る、メルギトスにも伝えておけ。 『あまり余計な事はするな』ともついでにな』 背後で「承リマシタ」という機械魔には目もくれず、 要件だけを告げて悠然と歩いていく。 辺りは一見すれば機械を中心とした近代的な造形だが、 一部には蔦が絡まる超自然的な場所もあり、 また一方では札を中心とした様々な呪法すら見受けられる。 その中の一つの扉の前にヴォルマルフが立つと、 僅かな開閉音と共に扉が開かれた。 ヴォルマルフ達の居た世界を再現された西洋風の部屋の中で 既に中に居た3人の人影が立ち上がり、ヴォルマルフを迎える。 部屋の中に入り、近くにあった椅子に腰掛けてヴォルマルフが口を開く。 「バルク」 名前を呼ばれた厳つい騎士が一歩進み出ると その鎧に似つかわしくない腰のホルスターから拳銃を抜き放ち、 先程ヴォルマルフが入ってきた入り口の天上を打ち抜く。 「…ギ…ギギ…」 発砲音と共に天上から虫の様な小さな機械魔が一体墜ち、 それをフードを被った騎士が拾い上げ、ヴォルマルフに差し出した。 「先程言った筈だ、『余計な真似はするな』とな。 お互いに余計な干渉はしない筈だぞ?」 手渡された小さな機械魔に向けてそれだけを言うと、力を込めて握り潰した。 手の中からパラパラと落ちる様々な部品と共に、血とオイルが混じった液体が手を汚す。 それを茶髪の涼しげな表情をした騎士から渡されたハンカチで拭き取りながら ヴォルマルフは三人の騎士に向き直る。 「ローファル、クレティアン、バルク。 報告を始めろ」 短く告げたヴォルマルフに対して、フードを被った騎士『ローファル』が先に口を開いた。 「ハッ! 現在、聖石は全て此処から持ち運ばれています。 恐らくは既にあの会場となっている島に渡ったものと思われます。 如何致しますか?」 ローファルの報告をある程度、予測済みだったのかヴォルマルフの表情は変わらない。 「放っておけ、アレは人を選ぶ。 奴の事だ、アレを何かの付属の如くぞんざいに扱うだろうが必ず誰かの手には渡る。 今はそれだけで良い」 自分達の目的を叶える為の手段である聖石を持ち去られたにしては、 余裕は崩さずにヴォルマルフは手を拭ったハンカチを投げ捨ててあっさりと言い捨てた。 ヴォルマルフの指示を受け、ローファルはそれ以上は何も言わずに引き下がった。 それを確かめると次に厳つい騎士『バルク』が口を開く。 「報告します。 この遺跡は現状では稼働状況は本来の7割に満たない程度だと思われ、 有事の際の最攻略候補である『喚起の門』も現状での稼動は難しいものと思われます」 バルクからの報告に対しては思うところがあったのか、ヴォルマルフは目を細めて含み笑いを漏らす。 「ククク…そういう事か。 奴が何故このゲームの設定を変えてまで拘るのかと思えばそういう事だったとはな。 私にとっての戯れは奴にしてみれば死活問題か」 実に楽しそうな表情のヴォルマルフに対して、バルクは報告を続ける。 「又、メルギトスの核があると思われる間は中心に向かう程、警備が厳しく特定は出来ていません。 ですが、やはり中心部に奴の核があると思って間違いは無いものと思われます」 其処までを受けて、ヴォルマルフの笑いが止まる。 「…分かった。 奴も此方の動きには気づいているだろう。 これからはより慎重に動け」 厳かに告げたヴォルマルフに敬礼を返し、バルクがさがる。 最後に茶髪の騎士『クレティアン』が進み出て報告を始めた。 「現在、我々以外の外部からの干渉は見受けられません。 ですが、今後は有り得ないとも名言は出来ませんね…それと、ですが」 言葉尻を濁すクレティアンにヴォルマルフが続けるように手で促す。 「“奴”の姿が見受けられません」 クレティアンの報告の他の二者は驚いてクレティアンに向き直るが、 ヴォルマルフは「そうか」と一言返しただけだった。 「宜しいのですか? “奴”は我々と違い唯の人間です。 いつ我々を裏切るとも限りません。 探し出して始末するべきでは?」 一向に焦る様子の無いヴォルマルフに対して逆に焦りを覚えたのかクレティアンが 焦燥感のままに続ける。 「口を慎め、クレティアン!」 ローファルが取り乱し始めたクレティアンを咎めるが、それをヴォルマルフが制止する。 「構わん。 “奴”は敢えて見逃している。 何、あそこにはラムザが居る。 “奴”はあの小僧を見捨てて動くことは出来ない。 だから今は“奴”は我々を裏切れん」 ヴォルマルフに其処まで言われ、返す事も出来ずに黙ってクレティアンは引き下がる。 「それに時に人間は我々の予想を超えた動きを見せる事がある。 “奴”はこちらのメルギトス達への切り札でもあるのだからな」 椅子に腰掛けたまま、ヴォルマルフは含み笑いを再度浮かべ、 三騎士は彼に跪き、頭を下げる。 悪魔はその思惑を秘めたまま、静かに蠢いて行く。 【不明/1日目・夕方(放送後)】 【ヴォルマルフ・ティンジェル@FFT】 【ローファル・ウォドリング@FFT】 【クレティアン・ドロワ@FFT】 【バルク・フェンゾル@FFT】 093 臭いと芝居と色々と 投下順 095 セキガンのアクマ 092 夕日の下の苦悩 時系列順 098 ハイ・プレッシャー 094 Trisection ヴォルマルフ 107 選ばれし者達 ローファル クレティアン バルク ??? 117 killing me softly with her love