約 128,334 件
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1327.html
ワルキューレの振り下ろした槍は、ブラック・サバスの後頭部に勢いよくヒットした。 その結果、そのままブラック・サバスは地面とディープキスをする破目になった。 それを見たギーシュはフンッと鼻を鳴らす。すると再びワルキューレが槍を高々と掲げた。 もう4,5発ぐらい喰らわせないと気がすまない。 ドゴォ!ドガ!ボゴォ!メメタァ!ドスゥ!!! 「君がッ!謝るまで!殴るのをやめない!」 徹底的に叩きのめしてやる!それも正々堂々とな! 一応女であるルイズを傷つけるのは、女性に優しいギーシュの評判をさげることになる。 だが、この使い魔なら!殺すつもりはないが、派手にやらせてもらう! それに決闘でなら、例え死んでも文句はあるまい!もし死んじゃっても、もう一度呼び出せばいい訳だしね! 『ゼロ』のルイズでも一度は召喚できたんだ!もう一度召喚するぐらいできるだろ! このまま!!槍の先端を!こいつの!目の中につっこんで!振りぬく! ブラック・サバスが宙を舞い、そして仰向けに倒れる。 「サバス!!」 ルイズはさらに槍を振り下ろさんとしているワルキューレに杖を向ける。 自分の考えが甘かった。なんでブラック・サバスが強いなんて思ったんだろう? ルイズを押さえつけたあのパワーも、きっと自分の勘違いだったんだ。 初めて成功した魔法の結果があいつだったから、きっと特別な力があるって思いたかったんだ。 『ゼロ』の私を押さえつけた私の使い魔は、『ゼロ』よりもほんの少しマシだっただけなんだ。 今さらになって後悔の念が心の中を支配しそうになる。 …………違う!今はそんなことしている場合じゃない!助けないと!私の使い魔を! 自分の魔法は絶対に失敗するかわりに爆発を起こす。効くかは分からないが、助けるにはこれしかない。 しかし、それを阻止するかのように、もう一体のワルキューレがルイズの前に立ちふさがった。 最初にブラック・サバスに突撃してきた奴だ。 ルイズは狙っていたコースを塞がれ、魔法を出すことができない。 「どきなさいよ!」 焦りながらルイズは、ブラック・サバスがまだ無事か確認する。そこで使い魔の様子が変わっていることに気づく。 ブラック・サバスは仰向けに倒れたままで、ルイズを指差し、じっとこちらを見ているのだ。 回りから見たらそれこそ、ルイズに助けを求めている姿にしか見えなかっただろう。 だが、ルイズは頭の中に響く声を聞いた。 それは、使い魔と主は意識を共有しているとか、信頼関係が生まれたとか、そんな大げさなことではなかった。 だが、確かにブラック・サバスはルイズにこう言っていたのだ。 (チャンスをやろう!お前には選ぶべき道がある!) 「とどめだ!ワルキューレ!」 ギーシュが機嫌の良さそうな声で命令を下す。 ルイズは叫んだ。呪文を唱えるように力強い意志を持って。 「ギーシュをやっつけて!!」 観客席で顔を赤らめていたシエスタは、派手な音でブラック・サバスが殴られるのを見て我に返り。 さらに数発槍が振り下ろされたのを見ると、思わず顔を背けた。 あの使い魔は殺される!そんな恐ろしい考えが浮かぶ。 そのとき叫びを聞いた。それは断末魔の叫びではなく、ルイズの命令だった。まだミス・ヴァリエールは諦めていない! だが次の瞬間、今までとは質の違う軽い音が聞こえる。きっと槍で貫かれたにちがいない。 ……恐怖で顔を背けたまま数秒たつが、どうも様子がおかしい。 自分の周りにいるメイジたちがざわめいている。何が起きたのだろうか。 恐る恐る戦いの場へ視線を向ける。 「え……?」 シエスタは絶句するしかなかった。 自分が顔を背けた数秒の間に何が起きたのか? ワルキューレの槍は黒づくめの使い魔にではなく、地面に突き刺さっていた。 さっきまでその場所にひれ伏していたブラック・サバスが消えている。 横にいるキュルケをみると、彼女も何が起きたか把握していないようだ。 タバサはじっとギーシュの方を見つめている。そのとき。 「うわあああああああああああ!!?」 断末魔の叫びのようなその声は、ブラック・サバスではなくギーシュのものだった。 慌てて、シエスタもギーシュの方を見てみる。それは彼女の理解の範疇を超えるものだった。 消えたブラック・サバスがいつの間にかギーシュの横に現れ、そのゴツゴツした両手を彼に向けている。 「つかんだ」 そのセリフはさっきと全く同じものだったが、今度はやけに凄みがあるように感じた。 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………… ブラック・サバスはギーシュの隣に立ち、両手を彼に向けて伸ばしている。 しかしそれらは決してギーシュには触れられてはいない。 宙ぶらりんのその両手は、しかし、何かを力強く捕らえているかのように固定されていた。 いや………確かに何かをつかんでいる………それは白くボンヤリと闇の中で存在している。 一方のギーシュはピクリとも動かずに、ただ悲鳴をあげているだけだ。 ブラック・サバスの方を見ようともせずに、最後にワルキューレに命令を下した時と同じポーズのまま固まっている。 変化した点といえば、その顔が恐怖で歪んでいることだけだ。 「うわあああああああ!離せ!くそ!」 慌てふためく声を上げながら、硬直しているというギーシュの異様さに、しだいに回りのメイジたちは薄気味悪さを覚え始めていた。 『ゼロ』のルイズの使い魔が「何か」をしているのは間違いなかった。 しかしその「何か」が分からない。 ギーシュはなぜ急に動かなくなったのか?何に怯えているのか?あの使い魔がつかんでいる「ボンヤリとしたもの」は何か? 「な、何をしているんでしょうか?」 シエスタがキュルケに尋ねる。しかしその質問に答えたのはタバサだった。 「分からない。だけど魔法ではない」 めずらしく即答したのは、タバサも興味が湧いているからだ。 「あの…白いのは?」 「それも分からない」 「もしかして幽霊かしら」 キュルケのその言葉にタバサがビクッと震えた。 ルイズはブラック・サバスとギーシュを見て、戦況が一転したことを理解した。 ワルキューレはすべて動きを止めている。これではゴーレムではなく、ただの銅像だ。 あれだけ派手に殴られてたはずなのに、ブラック・サバスには外傷が無いようだ。 仰向けに倒れていたところから、ギーシュの隣……いや影の前までの瞬間移動。 …それだけ早く動けるなら、相手の攻撃を避けるなりなんなりしなさいよね。心配して損したわ。 改めて、今の状況を確認してみる。 そこでやっと、ブラック・サバスがつかんでいる「白いもの」がギーシュの形をしていることに気づいた。 ブラックサバスはギーシュの影から、「ボンヤリと白く光るギーシュ」を引っ張り出してつかんでいる。 まるで夢でも見ているかのような気分だ。だが、ルイズは心当たりがあった。 (あれが……私が今までやられていたことか) 気づいたらブラックサバスの目と鼻の先で捕らえられている感覚。今日の朝も昨日のサモン・サーヴァントのときも。 ブラック・サバスは、ルイズの影から幽体離脱のように魂?いや精神?だけ引っ張り出していたのだろう。 まぁ詳しくは分からない。とにかく今はすることはひとつだ。 このままあいつが抑えてる間にすべてのワルキューレを破壊する。 もちろん、このままギーシュの杖を取り上げて勝ちにするほうが楽だろう。 だがあのプライドの高い男に、この後シエスタに謝罪をさせるにはそれなりの勝ち方じゃないといけない。 それにせっかくだから、回りの観客にも見せ付けておきたい。もう勝ったも同然だし。 しかし、その甘い考えを打ち砕くかのように、ギーシュの叫びが響く。 「ワルキューーーーーレ!!!!」 ギーシュの叫びと共に、沈黙していた7体のワルキューレが活動を再開する。 その動きは滅茶苦茶だった。……本当に滅茶苦茶だった。 しっちゃかめっちゃかに槍で空を斬ったり、ワルキューレ同士でぶつかり合ったりしている。 「ちょ、ちょっと!ギーシュ!」 「うおおおおおおおおおおおおおお!」 ルイズにワルキューレが突っ込んでくる。当たると間違いなく、致命傷になりそうな速度だ。ルイズは杖を強く握った。 「ファイヤーボール!」 炎は出ずにワルキューレの上半身で、爆発が起きる。 さらに追撃しようと身構えるが……その必要はなかった。ワルキューレの上半身は粉々に砕け散っていた。 「やった……!」 予想外の戦果に思わずガッツポーズをしてしまう。そのとき。 「ファイヤーボール!」 聞き覚えのある声のした方を見ると、キュルケの前でワルキューレが上半身をドロドロに溶かして倒れている。 「キュルケ!余計な事しないで!」 「私は私の身を守っただけよ。余計な事させたくないなら、そういう風に戦いなさい。ホ~ラ、来るわよ」 「言われなくても分かってるわよ!」 ルイズは再び杖を強く握り、ワルキューレを睨む。こうなったら意地でも全部倒してやる! そんな決意を固めるルイズを、キュルケは微笑を浮かべながら見つめていた。 ………そしてそんな二人を、この人たち実は仲いいのかしら。なんて思いながらシエスタは見つめていた。 「な、なんだぁ!それはぁ!」 いきなり、今までで一番大きいギーシュの悲鳴が上がる。 見るとブラックサバスが大きな口を開いている。 (安心しなさい。ギーシュ。そいつは噛み付きはしないわよ) ルイズは笑いながら杖を構える。 だがブラックサバスはルイズの予想外の行動にでた。 口から何かを吐き出したのだ。 ギーシュは何が起きているのか理解できずにいた。 「つかんだ!」という声のとおり、ギーシュはこの不気味な使い魔に拘束されている。全く動くことができない。 自分の肩を掴むその両手からは恐ろしいほどのパワーを感じる。とにかく指一本動かすことができない。 ワルキューレに命令するも、これもやはり思いどうりに動かすことができなかった。 というか、今ワルキューレがどこでどう動いているかが理解できない。 見て確認したいのに、使い魔の仮面のような顔から視線をそらす事ができないのだ。 急に使い魔が大きな口を開ける。その中を見てさらに驚いてしまう。 歯や舌という生物として必要なものが無いかわりに、「何か」がある! そしてそう思った次の瞬間ソレがこちらに向かって飛び出してきたのだ! 「!!」 とっさに目を閉じ衝撃に耐えようとする。しかし何も起きない。後ろから「ドガッ」という衝撃音が聞こえる。 恐る恐る目を開ける。まだ口は開かれたままだ。その中は何もない暗闇。 思わず目をそらそうと横を向く。すると視界の端に誰かの足が見える。 助けに来てくれた!もはや決闘のことなど忘れギーシュは安堵する。 しかしその誰かの足はピクリとも動かない。 (誰なんだ!助けてくれ!は!声がでない!) ギーシュは無理矢理首を捻り、ギリギリまで黒目を動かし自分の後ろにいる人物を確認しようとする。 (ん?あれ?なんだおかしいぞ?後ろのやつ倒れてる!?しかも顔から血を流して!? はっ!!なるほど!!うわははははははははははははははははは倒れてるのは僕でしたぁー!!) ギーシュは自分の後ろに、頭から血を流し下着に囲まれて倒れている自分を発見した。 ルイズはブラックサバスの口から何か箱のようなものが飛び出すのを見た。 自分のいる位置からではそれが何かは分からなかったが、それは発光体ギーシュの頭を通過した。 そして、その後ろでフリーズしていたギーシュ(本体)の頭に向かって飛んでいき、当たって跳ねた。 そこから先に起きたことは、ルイズにはスローモーションのように。 血を出しながらゆっくりと倒れていくギーシュ(本体)、宙を舞う箱、その箱の中から出てくる無数の白いモノ。 上手いこと風に乗った一枚がヒラヒラと自分の足元に舞い降りてきたとき、それが何かを理解した。 それはパンツだった。 (はぁ???) なんでパンツ?誰のパンツ?…………あれ?このパンツどこかで見た覚えが…………。 今はワルキューレを倒すべき時なのに、気になる……。こまかいことが気になると夜もねむれねえ質なのよ私。 朝、ブラック・サバスにカゴごと洗濯物を渡した。ブラック・サバスはそれを口の中に入れてどこかへ行ってしまった。 それ以来姿を見ていなかった。そして今あいつは口からカゴを吐き出した。 なぜか?そういえばさっきブラック・サバスにギーシュをやっつけろって命令した。これは攻撃手段のつもりだったのかもしれない。 実際今、ギーシュ(本体)は倒れている。さっき血を流していたようにも見えた。軽傷だろうが。 それよりも、鬼の形相をしながら下着に囲まれて倒れていることで、傷つく尊厳の方が重症のような気がする。 観客の方を見てみる。キュルケがパンツを持ち、こっちを見て笑っている。……コッチミンナ。アア、ヤジウマタチノホウマデトンデイッタノネ。 いろいろ考えた結果。 ……………………もしかしてこれは私のパンツですかーッ!? YES!YES!YES!OH MY GOD! 「……………………バカァー!!!!」 その日一番の破壊をもたらす爆発がブラックサバスとギーシュを飲み込んだ。 ギーシュ・ド・グラモン→再起不能 ブラック・サバス→消滅 To Be Continued 。。。。?
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/31.html
「あんた名前は?」 「ヴィネガー・ドッピオです」 「それじゃあんたのことはドッピオって呼ぶから…」 魔法学院の一室の椅子に座る青年、もといドッピオは目の前のベッドに座る少女の質問に答えていた 広場でボスと話をしていると突然手を捕まれて城のような建物の中の彼女の自室らしき場所に連れ込まれたのだ そしてドッピオは質問責めにあっていた 話を聞いているうちにわかったことはここはイタリアじゃなく魔法使いがいる国 少女はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール 通称ルイズ そしてここ魔法学校 魔法生物の使い魔呼んだんだけどあんた誰? って話らしい しまいには「呼んじゃった以上仕方ないから平民のあんたのご主人様になってあげるから感謝しなさい!!」 ときた。…のだが彼やもう一人の彼的には (言っていることがわからない。イカれてるのか?この状況で?) (ボス・・・僕、ストレスで挫けてしまいそうです ) と当然の反応である(一人は未来に不安しているが) キング・クリムゾンの腕を発現させルイズの反応を見たがどうやら見えていないらしい つまり新手の敵スタンド使いではないらしいのだが魔法使いがいるなんて考えられなかった 常識的に考えて もちろん自分が特殊であることもキスのせいで頭から吹っ飛んでいる されているのはボスだが彼にされたのも事実、彼はとっても純愛系なのだ 「貴女の話はわかりました ここが魔法の国、貴女の魔法で僕が来た、使い魔の儀式ってのでキスした それで帰れたりするんでしょうか?」 もしGERの能力が切れた(ジョルノに何かあった)のなら元の世界に戻ってもう一度再建したほうがいい と考えたドッピオの考えは 「無理よ… サモンサーバントであんたを呼び出したのは私 だけど元の場所に帰す魔法なんて知らないし聞いたこともないわ」 この主人にスパっと切り捨てられたのだ 「そうですか・・・僕はどうなるんでしょう」 「元々人間なんて使い魔になられたって困るのよ とりあえず掃除や洗濯をしてもらうわ」 「・・・分かりました」 ドッピオはこれでも譲ったつもりだった だが次の一言で温厚なドッピオは怒ってしまうのだった 「それにしても最初と今とではまったく別人よ なんだかよくわかんない変な平民かと思えば今は礼儀正しい人になってるし 「どこから襲ってくるんだ」とか「俺のそばに近寄るな」とか、最初は精神障害と思ったけど今はそんなことないし あんた、なんなの?」 「・・・変?」 最初、もちろんそれはディアボロ自身のことだ。ドッピオ自体も分かっている いや、それが悪かった。彼は自分が変な扱いをされるぐらいならまだ怒らない だが、ルイズは罵倒してはいけない人を罵倒した 人にはいくつか言われたり、やられたりすると許せない個人個人の地雷と言うものがある (この人・・・ボスを侮辱した・・・!) ドッピオは怒ってしまったのです 「何でボスを貴女なんかに侮辱されないといけないんですか!! 自分で呼び出しておいて無責任な魔法使い様で… 付き合ってられません。僕は帰ります!!」 そしてそのまま出ていった 罵倒した本人は 「・・・ボス?」 聞きなれない人物の事を半濁していた 建物を出ると見渡す限り地平線 どんな田舎に来てしまったのだろう この怪しい魔法使いどもの敷地をでていこうと正門らしき場所に向かいドッピオは歩を進める 「・・・それにしてもここは地球のどこなんだろう」 周りの景色を見渡しながら首を傾げる 木々や草花を見る限りどうも地元で見たことないものばかりである 「これはまさか異世界…」 頭を回転させるが何者かの言葉によって遮られた 「トゥルルルルルル!」 何者かの言葉はドッピオ自身の言葉だ 「電話だ!・・・えっとどこに・・・」 そこにある木の枝を拾い耳と口にあてる 「もしもし」 (ドッピオ、このまま抜け出すつもりか?) 「あ・・・はい」 (ならばあては?) 「・・・ありません」 (・・・私も侮辱されたのは腹が立つが今はそのようなことで怒るな 我々には今はあの少女しか・・・ルイズしかあてが無いのだから) 「すいません・・・ボス」 (いいのだ、私の可愛いドッピオ。私のために怒ったのだろう?) ドッピオはボスが少し変わったのに気がついていた GERによって地獄を味わい、ディアボロが他人の痛みをわかってあげられるようになったことを 「・・・ボス」 (なんだ?ドッピオ) 「・・いえ、やっぱりなんでもありません」 ドッピオはこう思ってしまった。今のボスなら野望という大きな幸せではなく日々の小さな幸せで生きていけるのではないかと そんな日々をドッピオは欲しいと思ってしまったのだ (このままこの世界でボスと一緒に・・・) そんなことを考えていたドッピオの思考は 「やあ、そんなところで何をしているのかな?」 突如の声で切られてしまったのだ 「・・・あ、ルイズさん・・・」 「ハアハア・・・急に抜け出してどこに行くつもりなのかしら?」 息を切らしながら最初に声をかけた人の後ろからルイズがやってきた 「・・・すいません、ルイズさん。急に怒り出してしまって」 ドッピオはディアボロを侮辱されたのをまだ良く思っていないが急に怒り出したのは悪いと思いまず謝った 「・・・あれから少し考えたんだけど」 ルイズが口を開く。ドッピオはそれが何かと思って顔を上げると 「あんた、やっぱり精神障害でしょ」 そんなことを言われた 「・・・え?」 「そうとしか考えられないのよ。部屋でボスとか言ってたでしょ? 最初と今と違うならあんた二重人格とかそういうのよ」 「えっと・・それは・・その」 ドッピオは少々迷っていた。このまま自分のことを正直に言うべきかそれとも嘘を言うべきか どうするか迷っていたとき 「まあまあ、そこら辺にしておいたほうがいいのではないかな?ミス・フランソワーズ」 一緒に来た金髪の人に遮られたのだ 3へ
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/219.html
「つまりこういう訳か?『俺は亀の中にいたため亀と一緒にこの世界に来てしまった。』」 「あんたのその元の世界とやらが本当ならね。でも何であんたまで使い魔になっちゃったのかはさっぱりだわ」 「蘇れたことや帰る方法の方がよっぽど重要だと思うが…」 ポルナレフは空に浮かぶ二つの月を見て溜め息をついた。 今は夜、学生寮のルイズの部屋で二人は今後の事について話していた。 ポルナレフにとってかつての世界に執着はあまりないとは言えない。それどころか他人には言えない大事な用事があったのだ。 それはSPW財団に矢の追跡調査の報告である。彼は承太郎達にレクイエムという新たな力を知らせなければならなかった。 そのため一刻も早く元の世界に戻らなければならなかった。 「しかし、呼び出せたんだから元の世界に戻る道もあるだろう。入口だけで出口の無い家は無いからな。」 「それまではどうするの?」 「分かりきったことを言うんじゃないッ!当分その使い魔とやらをしながら世話になるしか無いだろッ! ああ、なんて厄介な事をしてくれたんだ貴様は…」 ポルナレフは頭を抱え込んでしまった。帰らなければならないが方法が分からない以上どうしようもないのだ。 (しかしなんて暢気な亀だ…同じ境遇のくせに…) すぐ傍で寝ている亀を羨ましそうに見た。 一方ルイズは使い魔である一人と一匹を見て、おそらくこんな事を出来たのは空前絶後私だけだろうと自負していた。 (まさか一度に二匹なんて…!それほど特別なのかしら!?) 自分が『ゼロ』である時点で十分特別だと思われるのだが、そんな事は頭の中に無かった。 しかし、あることに気付いた。 「あんた結構筋肉はついてるけど、ただの平民よね?」 「平民と呼ぶな。貴様達の世界ならそうかもしれんがあいにく俺はここの人間では無いからな。」 「ということは…大して役に立たないわね…」 ルイズはうなだれた。最もな事である。彼女達メイジにとって使い魔とは主人の目となり耳となり、また主人を守る存在であるからだ。 他の使い魔、たとえ犬でさえ平民よりずっとマシに思えた。 「役に立たないとは酷いな。何かの役には立つさ。まあ、ドラゴンやらグリフォンなんかと比べられてもあれだがな。」 ポルナレフは苦笑した。チャリオッツが使えれば並の使い魔ごときに負けない自信はあったが、そのチャリオッツはローマで殺してしまっているため、今はいない。蘇ったことを理解した直後、試してみたがやっぱり無理だった。 「全くよ!…しょうがないわ。あんたには掃除洗濯その他雑用でもしてもらおうかしら」 「別にかまわんぞ。それぐらいしか今の俺には出来んだろうしな。」 案外すんなり受け入れたポルナレフにルイズは多少驚いた。てっきり抵抗するものだと思っていたからだ。 しかし一方のポルナレフは心の内で (誰がそんな面倒な事するかッ!いきなりこんな場所に呼び出されてしかも高慢な態度取られてよく思う奴なんかいるわけあるまいッ!) とキレていた。 「さてと、しゃべったら、眠くなっちゃったわ」 ルイズはそんなポルナレフの胸の内も知らず暢気に欠伸をした。 「そうか。それじゃおやすみ…」 ポルナレフはそう言うと亀の甲羅に鍵を嵌め、甲羅の上に足を載せようとした。 「あんた何しようとしてんのッ!?」 ルイズは自分の使い魔がもう片方の使い魔を殺そうとしている様にしか見えない光景に、思わずそう叫んだのだが、 「寝るんだろ?ここには俺が寝るベットやソファは無い。だったらここで寝るしかあるまい。」 とポルナレフは落ち着いて言うと『中に入って』行った。 「…はぁ?」 ルイズはそのあまりに異常な光景に今度は開いた口が塞がらなかった。 「あんた…どこ行ったの?」 「ここだが?」 「キャッ!?」 昼間と同じ様にポルナレフの首だけが甲羅からニュッと出ていた。 「ななな、何が起こっているの!?あたしの頭がおかしくなったの?それとも何かの魔法!?平民が!?ありえない!」 「だから亀の中が…」 「何故なの!?全く意味が分からないわッ!」 そういうとポルナレフの首から逃れるようにベットにダイブし、毛布を頭から被るとガタガタ震えだした。 「一日に二回も男の生首がいきなり目の前に現れたんだ。怯えて取り乱すのも無理はあるまい。しかし、『これ』を理解させるにはもっと時間が必要かもしれんな…」 と呟くとポルナレフはそのまま亀の中のソファで何日ぶりかの睡眠を楽しんだ。 …ルイズが震えていた本当の理由も知らずに… To Be Continued...
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/230.html
その男は自分は死んだと思っていた。 確かにその男は死んでいた。 自分の大事な家族を庇い、その代償として生命を失った。 「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ! 神聖で、美しく、そして強力な使い魔よ! 私は心より求めうったえるわ!我が導きに、答えなさい!」 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、 自らの使い魔を呼び出すためにサモン・サーヴァントを唱えた。 ドッグォバアァン!! そして起こる 大 爆 発 「ま~た爆発しやがったよ」 「流石はゼロのルイズだな…イテテ」 「おい大丈夫か?」 「ああ、ありがとう」 そんな中ルイズは…観ていた。自分が爆破した場所を。 そしてその本来なら起こらないはずの爆発の爆心地には……男が倒れていた。 それを見た周りのメイジたちは、 「何だ、あれは?」「人間か?」「あの格好は、どう見ても平民…」「ああ…平民だね、間違いなく」 等と動揺しながらもその男を見て、そして感想を言っている。 「あんた、誰?」 爆発騒ぎを起こしながらも周囲に謝ることなく倒れている男に話しかけるルイズ。 その声で男は目を覚ました。 男はあたりを見回してみる。 「ここは、何処なんだ?」 目の前にいた女(ルイズ)に質問する 「質問を質問でかえすなあーっ!!私が『あんた、誰?』と聞いているんだッ!」 その女の返答には奇妙な迫力があったが男はその程度でビビるような奴ではなかった。 「おれの名前は、虹村形兆だ」 だが答えた。 To Be Continued ↓↓
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/192.html
法皇は使い魔~第一章~ 今日のトリステイン魔法学院はいつもより騒がしかった。 そう、今日はメイジの一生を決める儀式の日であるからだ。 具体的には使い魔を呼ぶ儀式であり、使い魔とはメイジにとっての一生のパートナーである。 ピンクの髪をした少女、通称「ゼロのルイズ」も例外で無かった。 この少女ルイズは焦っていた。 自分とやたら因縁のあるキュルケや、その友達のタバサが立派な使い魔を召喚しているからである。 人一倍負けず嫌いなルイズはなんとしても彼女等をこえる使い魔を召喚したかった いよいよルイズの番がやってくる。 「どうせ爆発するだけだから逃げろ~」 「失敗するだけだから無駄だぞ~」 「これは魔力の無駄だな」 外野がうるさい事を言ってくる。 きっと見返してやる、ルイズはそう心に誓い叫んだ 「宇宙の果てのどこかにいる私のシモベよ… 神聖で美しく、そして、強力な使い魔よッ 私は心より求め、訴えるわ 我が導きに…答えなさいッ!!」 召喚の衝撃による煙がはれ、現れたものは・・・・・・・ 変な髪形をした人間の姿だっただった 「あははは、平民を呼ぶなんて聞いたこと無いぜ」 「さすがはゼロ、真似できないなあ」 「これは失敗以上に笑えるぜ」 実力をもってみんなをアッと言わせるつもりだったが余計に馬鹿にされてしまった。 しかし、召喚してしまったものは仕方がない。ルイズは名前を聞いた。 「あなた・・・名前はなんていうの」 「我が名は花京院典明」
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/800.html
窓から差し込む光でジョニィは目を覚ました。 いつもなら日も昇りきらない早朝に起きてすぐに次のゴールを目指して出発するのだが やはり昨日の一件で肉体的にも精神的にも疲れていたらしい。 目の前にある下着を見て昨日の出来事が夢ではないことを悟った。 ジョニィは昨晩寝る前に「ご主人様を起こすのも使い魔の役目!」と言われてたのを思い出し 上半身を起こして車椅子に乗るとベッドに近づいていく。 自称ご主人様はまだベッドの中で寝息を立てている。 (何で僕が堅い床でルイズがふかふかの布団なんだ…?) 昨日の一件を思い出し少しイラッときたジョニィはルイズが寝入っているのを確認しタスクを発現させる。 「タスク───移動する穴───!!」 ジョニィの爪弾が床に撃ち込まれる。 その弾痕穴はルイズのベットに向かっていき… ガゴンッ! 「キャッ!」 ベッドの足を一本破壊して消えた。 「な、何よ!?なにごと!?」 「朝だ、お嬢様」 「はえ?そ、そう…ってなんであたしのベッドが傾いてるのよ!」 「僕に聞くなよ。ただ地震かなんかで足が折れたんだろ」 まだ寝ぼけたままのルイズは「ああ、そんなものなのかな」と納得してしまう。 一方ジョニィはこっちの世界でもスタンドが発現できるとわかり一安心である。 背中に脊椎部の遺体の一部があることも感覚でわかる。 ルイズは起き上がるとあくびをした。それからジョニィに命じる。 「服」 椅子にかかった制服をルイズに向かって放り投げてやる。 だるそうにネグリジェを脱ぐルイズに背を向ける。 「下着」 「は?」 「そこのー、クローゼットのー、一番下の引き出しに入ってる」 「………」 なるほど、雑用ね。そう思いながら下着を適当に引っつかんで後ろに放り投げた。 「服」 「君にさっき渡しただろ?僕はもう持っていない」 「着せて」 「僕が?」 「平民のあんたは知らないだろうけど下僕がいるときは自分で服なんて着ないのよ」 「できるわけがないッ!」 いくらなんでも昨日会ったばかりの女の子に服を着せるなんてできるわけがないッ! そう思って振り返ったジョニィは四回言う前に冷静さを取り戻した。 ルイズの体は未発達で出るとこが全然出ていなかったのである。 下着姿のせいで悲しいほどよくわかる。 これだったら年下でもルーシー・スティールのほうがよっぽどスタイルがいいだろう。 それなりに女遊びもしてきたジョニィはルイズの体を見てもどうとも思わず、逆に同情の気持ちがわいてきた。 (最高だったは使えないな…) ジョニィはやれやれといった表情でルイズのブラウスを手に取った。 ルイズと部屋をでると廊下の戸が一つ開き、中から燃えるような赤い髪の女の子が現れた。 身長、肌の色、雰囲気、胸、全てがルイズと対照的な美女だった。 「おはよう、ルイズ。あなたの使い魔ってそれ?」 にやっと笑いながらルイズに挨拶をするとジョニィを指差して今にも噴出しそうな顔で言った。 「そうよ、文句あるのキュルケ」 「あっはっは!ほんとに平民なのね!すごいじゃない!さすがはゼロのルイズ!」 キュルケ、と呼ばれた女の子は腹を抱えて爆笑している。 「あたしも昨日使い魔を召喚したのよ。誰かさんと違って一発で呪文成功よ」 「あっそ」 「どうせ使い魔にするならこういうのがいいわよねぇ~。フレイムー」 キュルケが勝ち誇った声で使い魔を呼ぶと部屋からのっそりと真っ赤で巨大なトカゲが現れた。 ジョニィは思わず車椅子をバックさせる。 「うおおッ!?なんだこいつはッ!?」 「もしかして、あなた、火トカゲを見るのは初めて?」 「…毒とかある?」 「平気よ。それにあたしが命令しない限り襲ったりしないから」 キュルケは手を顎にそえ、色っぽく首を傾げた。 「これってサラマンダー?」 ルイズが悔しそうに尋ねる。 「そうよー。火トカゲよー。見て?この尻尾。ここまで鮮やかで大きい炎の尻尾は、間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ。 ブランドものよー好事家に見せたら値段なんかつかないわよ?」 「そりゃよかったわね」 「素敵でしょ。あたしの属性ぴったり」 キュルケは得意げに胸を張った。ルイズも負けじと胸を張り返すが、まったく勝負になっていない。 ふとキュルケはジョニィを見つめる。 「あなた、お名前は?」 「ジョニィ・ジョースター」 「ジョニィ・ジョースター?ヘンな名前。じゃあ、お先に失礼」 そう言ってキュルケは颯爽と去っていった。 その後をサラマンダーがちょこちょこと追っていく。 「くやしー!なんであのバカ女がサラマンダーでわたしがあんたなのよ!」 隣でルイズが何やらわめきだしたがジョニィはさっきのトカゲのことで頭がいっぱいだった。 どうもあの火トカゲを見ると毒でもあるんじゃあないかと疑ってしまう。 (な、なんで僕はこんなにあのトカゲを警戒しているんだ?) 話を聞いていなかった罰としてルイズに チョップを撃ち込まれた彼の頭には一瞬だけアンドレ・ブンブーンの顔と腫れ上がった指が浮かぶのだった。 To Be Continued =>
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2008.html
アルビオン王国の片隅にある、ウエストウッドの村 そこにある家の一つで、ルイズは眠れないまま寝返りを打っていた 考えるのは、先日再会した自分の使い魔のことである 自分を救うために、七万の軍勢に立ち向かった彼は、 死にかけていたのを……いや、一度死んだのを、この村に住む ハーフエルフの少女の力によって、救われたという その生存を絶望視されながらも、彼が死んだなどと、信じたくはなかったから、 ルイズは彼を探しにアルビオンへ出向いた 彼と初めて出会った日のことを思い出す 『使い魔』召喚の儀式で呼び出してしまったのは、 両手両足を拘束され、喉奥まで猿轡を飲み込んでいた平民 猿轡を解いた瞬間に、彼は「殺さないで」と叫んだ 彼はひたすら、幻影と幻聴に怯え、口からは 殺さないで、助けて、許して、という言葉だけが溢れてくる とりあえず、医務室へと運ばれた彼とマトモに会話が出来たのは翌日のことだった 一旦、落ち着いたらしい彼と会話をするが、 ありえないことばかり話す彼に、ルイズは自身が狂人を 召喚してしまったのだ、と激しく落ち込んだ 彼と、コルベールと三人で話し合って出た結論を思い出す 彼は、遠い場所で暗殺業をやっていた 彼は、素性を知られたくない雇用主の素性を探ったため 彼の友人が殺されていく所を目の前で見せ付けられた (この際に、狂ったのだろうとコルベールと結論づけた) 救ってもらった恩があるので、ルイズには従う こうして、彼は彼女の使い魔となったのだ 事実、彼は彼女によく仕えた 「死ぬところだったのを、お前に救われたのは事実だからな。 『恩には恩を、仇には仇を』……俺の、元の仲間の口癖だ」 懐かしそうに、悲しそうに言う彼にルイズは尋ねたことがある 「元の世界へ、帰りたい?」 彼は困ったような顔で、首を横に振った 「今更、どの面下げて帰ればいいんだ? 俺とあいつがやったことで、チームの奴らが、 どんなひどい目に遭ってるか、分からないのに」 彼は何処までも、仲間のことを思い遣っているのだと、 自分のことは、仲間の前では二の次なのだ、とルイズは思わざるを得なかった それでも、どんなに魔法に失敗しても自分を蔑まない彼を、 香水を巡るイザコザから、決闘騒ぎを起こした自分を守ってくれた彼を、 土くれのフーケ討伐任務で、自分を守ってくれた彼を、 自分を裏切った元婚約者のワルドから、自分を守ってくれた彼を、 七万の軍勢から、自分を守ってくれた彼を、 あらゆる敵から、自分を守る『盾』となってくれる彼を、 ルイズは大切な人だと、傍に居て欲しいと思わざるを得なかった 「……決めた」 ルイズは、ある決心を胸に、ベッドからそっと降りると、ある人物の部屋へ向かった コンコン、とドアをノックすると中から声が返る 「こんな夜中に、だぁれ?」 「私……ルイズ」 「え?!」 慌てたように扉を開いたのは、ハーフエルフの少女だった 流れるような金の髪、透き通るような白い肌、……大きすぎる胸 美しいなあ、と妙に場違いなことを一瞬考えて、ルイズは頭を振った 「ティファニア、だったかしら?……あなたに、お願いがあるの」 「え?あ、あの、私に?」 寝起きで頭がぼうっとしているらしい少女は、困惑している 「そう。あなたにしか、できないこと。杖を持って、付いてきて」 彼女の手を引いてやってきたのは、村の外れの方の家屋だった 中からは、うぅ、と苦しそうな呻きが漏れ聞こえてくる 「……あいつは、ここでもずっと、ああなのね?」 ルイズの問いに、テファは困ったような顔で頷いた 「ええ……。うなされてる理由を、どうしても教えてくれないんです。 迷惑になるから、ってこんな村外れの小さな小屋で眠って……」 その言葉に、ルイズも悲しそうな顔をしたあと、 小さくアンロックの呪文を唱え、扉を開ける コモンマジックすら使えなかった自分が、コレを使えるようになったとき、 彼が喜んでくれたことを思い出し、鼻の奥がツンとする 扉が開いた瞬間に、弾けるように飛び起きた彼を、ルイズは見つめる 「……まだ、眠れないのね?」 「ルイズと……テファ?どうしたんだ、こんな夜中に」 目の下に出来た隈は、彼が長いこと深く眠っていないのを如実に示す 「いつも、いつも、いつも、そう」 ルイズは、その場の全員に言い聞かせるように呟く 「あんたってば、いつも眠ることができなくて、うなされてる いつだって、こっちのことも考えずに、一人でうなされてる」 「……すまない。出来るだけ、声はあげないようにしてるんだが」 「そういう問題じゃないわ!!」 声を荒げるルイズの目には、涙が浮かんでいる 「迷惑なのよ、あんたが見る悪夢を、私も何度も見せられた! あんなものを見るのは、もうたくさん!!」 目の前で切り刻まれる彼の親友 輪切りにされた死体は額に入れられ 仲間達の下へと送り届けられていく 親友の死に気づいた仲間達は、彼ももう生きてはいまいと結論づけ、 『ボス』へと復讐を近い、その時を待つ だが、それを果たせないまま、仲間達はその数を減らしていく 体中を撃ち抜かれ、毒のようなもので体を溶かされ、 鉄の箱の乗った車輪に潰され、体をバラバラにされ、 蛇の毒に舌を灼かれ、鉄の彫刻で首を串刺しにされ、 ボスの顔をみることも、相打ちになることも許されず、殺されていった 彼は、毎夜毎夜、その夢を見ているのだと、気づいた うなされる彼の言葉を聞く限り、最初は親友の死だけだった しかし、気がつけば、呼ぶ名前は一人ずつ増えていた その度に、彼の苦しみは、増している 八人から増えなくなったところで、もう誰も居ないのだと悟った 「だから……だから、忘れなさいよ」 ぎゅ、と杖を持たない方の手でテファの腕を握り締める 「彼女の『虚無』で、忘れさせてもらいなさいよ!! あんたの、仲間達の死に様を!!忘れて、ゆっくり眠りなさいよ!!」 その言葉に、彼はハッとして、ルイズを見つめ、いつものように、悲しい笑顔を見せる 「心配してくれているんだな、ありがとう、ご主人様。 でも、俺は、忘れない。俺は、あいつらの死を背負って生きていく。 それが、たった一人、生き延びてしまった『罪』に対して、俺が背負うべき『罰』なんだ」 「……馬鹿……ッ!!あんたの仲間が、そんなこと、望むと思ってるの?! リゾットが、ギアッチョが、メローネがプロシュートがペッシが イルーゾォがホルマジオが……ソルベが!!」 ソルベ、という名を聞いた瞬間、彼の表情が変わる 「それは……」 彼は、目を伏せ、呼び出される直前のことを思い出す 目の前で切り刻まれる親友は、自分が鏡に吸い込まれる瞬間に『生きろ』と言ってくれた その願いを叶えてくれたからこそ、ルイズに仕えている 「それでも、……俺は、忘れない。忘れたくない 俺は、『罰』を負っていきなきゃならないんだ!」 死に様を忘れれば、彼らの死を、誇りを否定することに繋がるのではないかと、 彼は恐怖し、声を振り絞るようにして、叫んだ 「……馬鹿、もう、知らない……ッ!!」 「え、あ、あの、ルイズさん?!」 何が何だか分からないままのテファの手をひいて、 ルイズはその小屋を出て行った その後、やることもなく目を閉じた彼と、泣き疲れて眠ったルイズは、不思議な夢を見た 何処かの部屋で、ルイズと彼は、幾度もあの悪夢に出た仲間達と顔を合わせていた その中で、『リゾット』が、ポツリと告げた 「……お前には、俺達の死を乗り越えて欲しかった」 それに続いて、仲間達が次々と言葉を発していく 「だからこそ、俺達の死に様を見せた」 「けど、お前には、ちょいと重すぎたかもしれねえなあ」 「つーわけで、俺達はもう行くわ」 「そこのシニョリーナを泣かすんじゃねえぞ?」 「すいません、迷惑かけちまって……」 「そいつのこと、よろしく頼むぜ」 そう言いながら、一人ずつ扉の方へと向かう 彼の隣に座っていた親友が、ゆっくりとソファから立ち上がると 彼を挟んで反対側に座っていたルイズに、微笑む 「……お前みたいな優しい奴が、こいつの隣に居てくれて、よかった じゃあな、達者でやれよ?俺達全員の分まで、幸せに」 扉を開き、一人ずつ、光の中へ消えていくのを見送りながら、彼は叫んだ 「……お前達の死にうなされることがなくなっても、 俺は、絶対に忘れない、忘れないからな!!」 彼は、泣いていた。ルイズも、一緒に涙をこぼしながら、叫んだ。 「あなた達のこと、私も忘れない!こいつが生き残ったのが『罪』だというなら、 こいつが、忘れないことが『罰』だというなら、私も、忘れない!! だって……、使い魔とメイジは、一心同体だから……」 最後の一人が、彼の親友が消えていく段になって、彼女は殊更大声で叫んだ 「ジェラートは、私の使い魔だから……ッ!!」 安心したような微笑が、光の中に溶けていくのと同時に、二人の意識は、ゆっくりと覚醒していった 以降、悪夢にうなされることもなくなった彼は、今までより更に、その力を振るうようになった やがて、伝説の虚無のメイジ:ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールの傍らには、 常に伝説の使い魔である『ガンダールヴ』:ジェラートが 寄り添っていたと、伝承には残ることとなった あらゆる武器を使いこなし、あらゆる敵から主を守った彼の背後に、 八人の男達の幻が有ったとも、伝えられている……
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/387.html
康一とギーシュが、ヴェストリの広場で決闘を始めていた頃、学院長室ではコルベールが泡を飛ばしてオスマン説明していた。 春の使い魔召喚の際に、ルイズが康一という平民を呼び出したこと。 そして、その康一に刻まれたルーン文字が気になり、それを調べると、『始祖ブリミルの使い魔たち』という文献に、全く同じルーン文字が載っていたことを。 「なるほどのう……」 オスマンは、コルベールが描いた康一のルーン文字のスケッチを見ながら呟き、言葉を続けた。 「して、これは何の使い魔のルーンなんじゃ?」 「それなんですが、ここを見て下さい!」 コルベールは、『始祖ブリミルの使い魔たち』に書かれていた、ルーン文字の項を開いた。 そこには、様々な使い魔に刻まれていたルーン文字が表のようになって載っていた。 その表の中に、康一の手に刻まれたルーン文字と全く同じルーン文字が載っている。 オスマンは、そのルーン文字を見ながら目を見開いた。 「ふむ……。ほほう、これは……」 「もうお分かりかと思いますが、このルーンは何の使い魔のルーンであったか、書かれてないんです!」 オスマンは、長い髭を弄りながら首を傾げた。 「妙じゃのう……。他のルーンは全て名前が記されておるぞ。 ここに書かれている『ガンダールヴ』とかな……。なぜこれだけ記されてないんじゃ?」 何も名前が記されてないルーン文字を指差して質問してくるオスマンに戸惑いながらも、コルベールは質問に答える。 「自分なりに、二つの仮説を立てて見たのですが……」 「ふむ、言ってみなさい」 コルベールは、禿げ上がった頭をハンカチで拭きながら言った。 「まず一つは単純なものでして、単に書き忘れたか、ここの文字だけ剥げてしまったか……です」 「なるほど。して、もう一つは?」 「召喚後すぐに、何らかの原因でその使い魔が死に至ったか……です」 コルベールは、コホン、と咳払いをしてから話を続けた。 「この場合、何の種類で、どんな能力を持っていたのかわからず、名を記すことすら出来なくなりますからね……」 オスマンは瞑っていた目を静かに開くと、悟ったように言った。 「つまり、こういうことか? 『あの平民は未知の能力を持った、未知の使い魔である可能性がある』」 「Exactly(その通りでございます)」 コルベールが頭を下げながら答える。 そんなやり取りが行われてる時、ドアをノックする音が聞こえてきた。 「誰じゃ?」 オスマンがドアの前までいくと、ドアの向こうからロングビルの声が聞こえてきた。 「私です。オールド・オスマン」 「なんじゃ?」 「ヴェストリの広場で決闘をしている生徒がいるようです。大騒ぎになっています。 止めに入った教師がいましたが、生徒達に邪魔されて、止められないようです」 オスマンは、髭が揺れるほど深いため息をついて言った。 「まったく、暇をもてあました貴族ほど、性質の悪い生き物はおらんわい。で、誰が暴れておるんだね?」 『暇をもてあました貴族ほど、性質の悪い生き物はいない』と聞き、 貴方もその一人よ、クソジジィ! と思いながら質問に答えるロングビル。 「一人は、ギーシュ・ド・グラモン」 その名前を聞き、やれやれと言った感じで俯くオスマン。 「あの、グラモンとこのバカ息子か。あんな寄生虫なんぞ、放っておきなさい」 「しかし……」 「おおかた女の子の取り合いじゃろう。相手は誰じゃ? どうせマリコルヌのカスあたりじゃろう」 仮にも自分の生徒を、寄生虫だのカスだの酷い男だ……。などと思いながらコルベールは聞き耳を立てている。 「……それが、メイジではありません。ミス・ヴァリエールの使い魔の少年のようです」 オスマンとコルベールは顔を見合わせた。 「……なんじゃて?」 「ミス・ヴァリエールの使い魔の少年です。教師達が、決闘を止めるために『眠りの鐘』の使用許可がほしいと……」 オスマンの目が、鷹のように鋭く光った。 「アホか。たかがそんなことの為に、秘法を使えるか。もう一度言うぞ、放っておきなさい」 「……わかりました」 ミス・ロングビルが去っていく足音が聞こえた。 コルベールは唾を飲み込んで、オスマンに質問した。 「オールド・オスマン、まさか……」 「うむ、その『まさか』じゃ。もしかしたら凄いものが見られるかもしれんぞ」 そう言って、オスマンは杖を振った。 壁に掛かった大きな鏡に、ヴェストリ広場の様子が映し出される。 「オールド・オスマン! 危険すぎます! 万が一、あのルーンにとてつもない能力が秘められていたら……」 「その時は私が責任を取ろう。私はただ純粋に、どんなものか見てみたいのじゃよ。キミだってそうだろう?」 コルベールは静かに目を瞑り、軽く頷いた。 オスマンは、鏡の前にあった椅子に座り、ギーシュと康一の戦いの様子を静観し始めた。 康一の怒りは頂点に達していた。 目の前いる男、ギーシュは何の関係もないシエスタを傷つけた。 彼女は気絶しただけで済んだが、もし当たり所が悪ければ最悪の事態もありえた。 「よくもシエスタさんを……」 そう言って、康一は怒りの眼差しでギーシュを睨みつける。 一方、ギーシュは突然の乱入者によって完全に動揺していた。 「ぼ、僕のせいじゃない……あ、あんなの予測できるはずがない……!」 ギーシュは、今まで女を泣かしたことは何度もあったが、殴ったりしたことは一度も無かった。 それは、貴族だろうと平民だろうと、美人であろうとブスであろうと例外は無い。 ギーシュにとって、女を殴ったり蹴ったりするのは、この世でもっとも最低の行為であると思っているからだ。 「あ、あれは……あれは不可抗力だ……」 しかし、不可抗力とはいえ、女を殴ってしまった事実は揺ぎ無かった。 康一は、どんどんギーシュに近寄ってくる。 ギーシュの頭の中は、後悔、混乱、恐怖といった感情がぐるぐると交差していた。 「ち、近寄るな……」 ガタガタと震えながら後ずさりするギーシュ。 康一が迫ってくる恐怖に我慢できなくなり、ギーシュの理性が弾けた。 「ぼ、僕のそばに近寄るなああー――ッ!」 鬼でも見たかのような表情で薔薇を振り、ゴーレム達に攻撃を命じる。 一体のゴーレムが康一を攻撃しようとした瞬間、『ドガァァァン』という音と共に、粉々に弾けとんだ。 「あ……ああ……うわぁぁぁああああああー――ッ!!」 二体目、三体目のゴーレムが康一に殴りかかる。 康一が、少し体をずらした次の瞬間、二体目と三体目のゴーレムが『ズバッ』という音と共に、豆腐のように切り裂かれた。 二体のゴーレムは、真っ二つになって地面に転がる。 「く、来るなッ! 来るなッ! 来るなぁぁぁあああああー――ッ!!」 残りのゴーレムで、一斉に康一を攻撃する。 四方を取り囲み、完全に康一の体を捕らえたと思った瞬間、『ドンッ』という音と共に、全てのゴーレムが上空に吹っ飛んだ。 康一の後方で激しい金属音を立てながら、ゴーレムは思い切り地面に体を叩きつけ、バラバラに分解した。 「うぁ……ぁぁああ……」 全てのゴーレムがやられ、無防備になったギーシュを守る者はどこにもいなかった。 ギーシュの頭に絶望の二文字が浮かんだ。 一瞬でゴーレム達を倒したバケモノ、勝てるわけがない……。 そう思いながら、震えていたギーシュの目の前に康一が迫る。 「ひッ! く、来るなッ! 来ないでくれぇぇぇぇええええー――ッ!」 ギーシュは自分の杖である薔薇を投げ捨て、康一から逃げようとする。 しかし、ACT2は既に、ギーシュに『ピタッ』という音を張っており、ギーシュは一歩も動けなかった。 康一は、身動きが取れないギーシュを、鋭い眼差しで睨みつける。 ギーシュは、まるで巨大な鬼か悪魔に見下ろされたような気分になり、全身をガタガタと震わせていた。 「ひぃぃッ! こ、殺さないでくれ……! た、頼む……!」 康一は、命乞いするギーシュを無言でブン殴った。 エコーズではなく、自分自身の拳でギーシュに右ストレートを浴びせていた。 『ピタッ』という音が剥がれ、ギーシュは地面に転がった。 「あが……ぐぐぐ……ぐ……」 「いいかッ! 今のは、シエスタさんを侮辱した分だッ! そしてッ!」 康一は、ギーシュの胸倉を掴んで、さっきよりも強く拳を握り締める。 「これはお前のガラクタに殴られた、シエスタさんの痛みだァー―――――ッ!!」 「うわぁぁぁあああああああああー――――――ッ!!」 康一の渾身を込めた一撃が、ギーシュの顔面ど真ん中にクリーンヒットする。 前歯が一本抜け落ち、ギーシュは顔面を押さえながらもだえている。 康一は、地面を転げまわっているギーシュに馬乗りなった。 「も、もう止めてくれッ! 僕が悪かったッ! 謝るッ! 謝るからもう許してくれぇ……」 情けない声を上げながら、ギーシュは涙を流した。 「僕のことなんてどうでもいい……」 康一は、気絶しているシエスタをチラリと見て言葉を続ける。 「シエスタさんに言った言葉を取り消せ。そしてちゃんと頭を下げて謝るんだッ!」 「わ、分かった……。取り消す! ちゃんと謝るッ! なんでもするッ!」 馬乗りになっていた体勢を解き、康一は立ち上がった。 「本当だな? 嘘をついたら承知しないぞッ!」 「き、貴族の誇りに誓う!」 康一はニヤリと笑って、ギーシュを指差して言った。 「よし、なんでもするって言ったな……。 それじゃあ明日からさっそく……炊事、洗濯、家事の世話を全部やれ!」 「えッ!!」 「フフ……ジョーダン! ほんのジョーダンだって! フフフ……」 ギーシュの肩にポンっと手を置いて、康一はシエスタの所へ向かった。 康一に脅されたギーシュは、涙を流しながら呆けていた。 「……。(じょ、冗談に……き、聞こえなかった……)」 シエスタを抱え、歩き出そうとする康一の元に、ルイズが駆け寄った。 「コーイチ!」 「どうだい、勝ったぞ……。少しは僕のこと見直してくれたかい?」 「ふ、ふんだ。ギーシュが弱かっただけよ!」 突如、康一に重い疲労感が襲った。膝が抜け、力が一気に抜ける。 「そ、そんなことより、治療……」 「ぼ、僕は後回しでいいからさ……シエスタさんのこと……頼むよ……」 抱きかかえていたシエスタをそっと置いて、康一は地面に倒れた。 意識が朦朧とする康一に、ルイズの叫び声が聞こえてくる。 ――そういえば……僕のエコーズACT2は、物理的ダメージはないはずなのに…… どうしてあのゴーレムに対しては爆発させたり、分断させたりできたんだろうか? しかも……今までにない物凄いスピードで……まあ、今は……休みたい……な―― そんな風に思いながら、康一の意識は闇へと沈んだ。 それと同時に、康一のルーン文字の光もふっと消えた。 広瀬康一――気絶。ルイズの治療を受ける。 シエスタ――大した怪我じゃなかったため、この後、すぐに目を覚ました。 ギーシュ――この後、シエスタに謝りに行った。前歯が一本抜けたため、『歯抜け(マヌケ)のギーシュ』というあだ名がついた。 To Be Continued →
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2592.html
夜、陽気に賑わう酒場に、一人の男が入ってきた。 マントを着けているが、身なりからすると貴族とは思えない。 幅の広い帽子と、担いでいるこざっぱりとした荷物からすると旅人の様だ。 だが、酒場の喧騒の中その男に注目する者は居なかった。 その男は、大声で歌っている男の側を通り抜け、踊っている者たちを押しのけ、喧嘩をしている連中を避けてやっとカウンターにたどり着いた。 「お隣よろしいかな?」 緑色の髪の女に声を掛け男は席に着いた。 声を掛けられた女は気だるそうに顔を上げた。 「はん?…あんた誰よ?……さっきまで居たボーヤは?」 かなり呑んでいるらしい。ワリと整った顔は酒の為に火照っている。 年齢は二十代後半ぐらいだろか。 「坊やって…こいつの事かい?」 足元を指差す男。 見ると16、7の少年が酔いつぶれて寝ている。 「そうよ…いや、違ったかも………もうどうでもいいわ。マスター!もう一杯!」 「それじゃあ」 足元の少年を跨いで席に着く男。 「僕に奢らせてくれないか?」 「あら~いいの?じゃあ一番高い奴」 「おいおい…まあいいか。僕にも同じのを頼むよ。僕はジャック。君の名前は?」 少しの間、酒が注がれているグラスを見つめてから、女は答えた。 「…マチルダよ」 「マチルダか…ステキな名前だ」 「あら、口説いてるの?」 「そう聞こえるかい?」 グラスを受け取ると、ジャックはマチルダに向き直って言った。 「乾杯しないかい?」 「何によ」 「僕らの出会いに」 「プッ。何よそれ」 「では、アルビオン共和国の戦勝一周年を記念して」 「いいわよ」 「乾杯」 「乾ぱ~い」 神聖アルビオン共和国がトリステインに宣戦布告をしてから2年。 戦争はたった1年で終結してしまった。 当初、トリステインとゲルマニアが同盟を組むというと言う噂もあったのだが、開戦とほぼ同時に反故にされてしまった。 さらにトリステインのカリスマであるアンリエッタ王女が、開戦直後のタルブで戦死してしまったのだ。 突然の悲報に兵士達の士気は落ち、王宮勤めの貴族たちはアルビオンの事よりも、王女をタルブへ行かせたのは誰か?と責任を押し付け合った。 その様な状態では『空の怪物』『羽を持つ悪魔』『灰の塔』等とあざなされるレキシントン号率いる空中艦隊と戦えるはずも無く、トリステインはアッサリと降伏したのだった。 その後、ジャックとマチルダは他愛も無い話をしながら酒を楽しんでいた。 深夜に近づいているというのにあたりの騒音はいっそう酷くなってきている。 「所であんた仕事は何?あ!ちょっと待って当てるから……吟遊詩人?」 「ハッハッハ、何でそう思ったんだい?」 「いや、何か帽子がそう見えたからね。で、本当は何さ?」 「こいつだよ」 そういってジャックはマントをめくって見せた。 「杖…あんた貴族かい」 マチルダの顔が少し険しくなった。 「いやいや、傭兵さ。とっくの昔に没落しててね。貴族制が廃止されたんで少しスカッとしてるよ」 「フフ、あたしもだよ」 「君も…するとやっぱり傭兵でもやってたのかい?」 「まあね。この戦争のおかげでちょいと稼がせてもらったよ」 頬杖をつくマチルダ。 そんなマチルダにジャックが質問した。 「戦争の前は何をやっていたんだい?」 「何って…まあ色々さ」 「色々とは?」 「…レストランとか、宿屋で働いてたよ」 「それだけじゃないだろう?」 「…どういうことだい?」 ジャックの顔が険しくなった。 「魔法学院でも、だろ?」 「フン!傭兵にしちゃ礼儀正しいと思ったら…あんた何者だい?」 袖口に隠し持っている杖に手を掛けるマチルダ。 「早まるな」 手で制するジャック。 「ちょっと話を聞きたいだけさ」 「話って?」 杖に手を掛けたまま怪訝そうな顔になるマチルダ。 「あの日の事をだ」 「あの日…」 マチルダの顔に、一瞬怯えが過ぎった。 「そう。あの日だよ」 ジャックはマチルダにグッと顔を寄せた。息が掛かるぐらい近くに。 「…一体何があったんだ?」 「何って…」 喧騒に掻き消されそうな声で呟くマチルダ。 「3年4ヶ月前の春の召喚の儀式の日。トリステイン魔法学院の教師・生徒・使用人全員が死んだ。何故だ?」 「……」 「トリスタニアで検分書を読んだよ。全員即死。殆どの者に外傷は無い。被害者の死んだ場所はわりとバラバラで、厨房で死んでいた者。 洗濯物の山に埋もれていた者。廊下に倒れていた者。木に寄りかかっていた者。生徒全員が居眠りしている様に机に突っ伏して死んでいた教室も在るそうだ。 3人ほど、首の骨が折れていた者があったな。フライ中に落ちた様だが、フライを使ってて落ちるか?普通。落ちたために死んだのではなく、死んだために落ちたんだろうな。 そして二年生だけは全員サモン・サーヴァントを行っていたであろう広場で死亡していた…」 ジャックは溜息を付く様に一旦言葉を切った。 「検分書に因ると、二年生の誰かが悪質な病気を持った生物を呼び出したのだろうとある。確かに病気なら被害者たち殆ど無傷という説明が付くかもしれない。 だが、明らかに何者かから逃げて、狼に怯えた羊のように数人で寄り添って死んでいた者たちも見つかっている。病気の感染者から逃げたのか?違う。感染すると即死するのでこれは違うだろう。 では病気を持った生物から逃げていたのか?それも違う。スクウェアのメイジ達が検査したが生徒と生徒の使い魔以外の痕跡は見られなかった。 …というか、病原体や毒物の痕跡すら全く見られなかったのだよ!そしてそんな大惨事のなか…君だけが生き残った。何故だ!!」 ジャックに両腕をつかまれ、ビクッとするマチルダ。 「あ、あたしは……」 一瞬言葉に詰まる。 「あたしは何にも知らないよ」 ジャックの目が鋭くなった。 「隠してもために成らんぞ…」 「隠してるんじゃあない!本当に何も知らないんだよ!!あの日あたしは…」 マチルダことロングビルは辟易していた。 魔法学院に潜り込んだはいいが、あのスケベじじいが終始セクハラをして来るわ、忌々しい白鼠を使って下着を覗こうとするわ、あまつさえ昨日は着替えを覗かれたのだ。 これも辛抱、宝物庫からお宝を頂くまでの我慢だ!お宝さえ手に入ればこんな所さっさと辞めてやる!!ついでにセクハラの事を上に訴えてやろうか。 そういえば、今日は使い魔召喚の儀式があるんだっけ?使い魔を手に入れてハシャぐあまり、覗きをやろうとする生徒がいるから気を付けろってシュヴルーズが言ってたが、やれやれそんな奴はオールドオスマン一人で十分だよ… 等と考えながら学院長室の前に来たロングビル。 ノックしてから「失礼します」と声を掛ける。 ………………… おかしい。 いつもならスケベじじいが浮かれた声で招き入れるというのに、返事が無い。 「失礼します。入りますよ」 ドアを開けて中に入ると、いつもの席に座っていたオスマンが、ハッとこちらを向いた。 その瞬間、ロングビルは心臓が締め付けられるような嫌な感じを覚えた。 こちらを見たオスマンの顔には、はっきりと恐怖が表れていた。 何?何がどうしたのよ?まさかフーケだとバレた?!いや、そんな筈は無い! もしフーケだとバレたとしても、オスマンが恐怖を抱くだろうか?このあたしに。 ここに勤め始めてから初めて見たオスマンの恐怖。他人の恐怖が、ロングビルに言い知れぬ不安を与えた。 「ど、どうかなさったんですか」 オスマンはロングビルの方と遠見の鏡の方を交互に見た。 「大変な…大変な事が起こったんじゃ!!こ、こんな事が!!」 「オールドオスマン。落ち着いて下さい」 と言ったものの、自分も落ち着けぬロングビル。 「何が起きたのですか?」 「こ、これは!こんな事が!!まさかこんな!これはどういう事なんじゃ!!??」 日ごろからボケた様な事を言うオスマン。 しかし、これは違う。これはボケ老人の戯言ではない! 知能の高い者が理解不能の状況を目の当りにして混乱しているんだッ!!。とロングビルは思った。 オスマンはロングビルと遠見の鏡の方を交互に何度も見ている。 「ああ!何ということじゃ!!これは…そ、そういう事か!何ということじゃぁああ~!!!」 叫ぶと同時にイスから立ち上がり、ロングビルをビシッと指さし指示を出す。 「ミス・ロングビル!!急いでぜんs――」 指示はそこで途切れた。 唐突に。何の前触れも無く。糸が切れた操り人形が倒れるように、オスマンは崩れ落ちた。 「オールドオスマンッ!!」 持っていた書類を投げ出し駆け寄るロングビル。 鼻の前に手をかざすが、呼吸が無い。 首筋に指を当てるが、脈が無い。 死んでいる。 死んでいる、という事には多少慣れていた。 色々危ない橋も渡ってきた。 死を覚悟した事もあった。 目の前で人が死んだことも一度や二度ではない。 もちろん…殺した事もだ。 だが… だが……この『死』は異常過ぎる!! 矢を射られる訳でもなく、氷を射られる訳でもなく、炎に焼かれる訳でもなく、岩に潰される訳でもなく、唐突に『死』が現れた。 どうする?助けを呼ぶか?いや、死んだ原因は何だ?その原因はまだここにあるのか?オールドオスマンをも殺せるような原因が。 このオールドオスマンを殺せる…? 背筋に激しい悪寒が走った。 胃の中から何かがせり上がってくる。 駄目だ、助けを呼んでいる場合ではない!宝物庫なんて知ったこっちゃあない!!逃げるんだ!! 自分の盗賊としての勘がそう叫んでいる。 部屋を駆け出したロングビルは、手近な窓を見つけると、そこから飛んだ。 今まで出したことも無い速度で。 自分の荷物さえも置いて。 三日後。 トリスタニアの宿屋で、学院の人間が全員死んだと聞いたロングビルは、しばらく震えが止まらなかった。 「それだけか?」 ジャックの声は、落胆した声で聞いた。 二人は多少静かな方へ席を移していた。 「そうよ。だから言ったでしょ、何も知らないって…がっかりさせて悪かったね」 「いや」 気を取り直すようにジャックが言った。 「疫病ではないと確信できただけでも進展さ」 「フ。目の前で死なれて、その死体を触ったあたしが死ななかったからね」 と自嘲気味に言ってからグラスを煽るマチルダ。 酔いもスッカリ醒めてしまった。 「では僕はこれで失礼させてもらうよ」 そう言って席を立つジャック。 「協力を感謝する」 歩き出そうとした所をマチルダが引き止めた。 「ねぇ…一つ聞いて言いかい」 「何だね?」 「…あんた何でこの事件を調べてるんだい?」 「何でそんな事を聞く?」 「いや、何か随分がっかりしてたからさ…ちょっとした好奇心だよ」 「………大した事じゃあない。トリステイン魔法学院に許婚が居たんだ。それだけさ」 「そう。悪い事聞いちゃったね」 「いや。では今度こそ失礼する」 そう応えると、ジャックは酒場の喧騒の中へ消えていった。 一人残されたマチルダは、少し悩んでから、次のボトルを開ける事にした。 許婚か……一体どの『教師だったんだろう』…。…シュヴルーズ? 「まさかね」 呟いてから、新しいワインに口を付けた。 魔法学院で一体何が起こったのか?ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドは生涯この謎を追い続けた。 家庭を築いて後も、暇を見つけてはトリステイン魔法学院跡地に赴き、時には家族と、時には一人で調査を続けた。 しかし、結局最後まで何も判らぬまま、その生涯を閉じる。 では、何が起きたのか?時は3年4ヶ月前に遡る。 春の召喚の儀式の日。 進級試験に臨んでいたルイズは、同級生が何の問題も無く使い魔を召喚して行った後に、自分が召喚したものが信じられなかった。 「……先生!召喚のやり直しをさせてください!!」 ルイズが叫ぶ。 現れた物は、一人の『おじさん』だった。 何の変哲も無い、普通の、どう見ても平民にしか見えない『おじさん』だった。 青い帽子を被り、パイプを咥え、青緑の上着を着ている、無精ひげを生やした『おじさん』……。 到底、使い魔にしたい相手でもなければ、コントラクトサーヴァントしたい相手でもない! 「残念ながら、ミス・ヴァリエール。儀式のやり直しは許可できません」 監督をしていた教師のコルベールが言う。 ルイズにとっては無情な言葉だが、コルベール本人も前代未聞の出来事にこれ以上の事を言えないのだ。 「そんな!!でも――」 「すみません」 「!!」 いつの間にか、コルベールとルイズのそばに来た『おじさん』。 「ちょっと質問したいのですが」 「な…なんでしょうか?」 コルベールが答える。顔に少し、緊張の色が見える。 「サンレミの病院は、どちらにいけば良いのでしょうか?」 質問しながら、帽子を取る男。 「サン・レミの…病院ですか?」 「何言ってるのよあんた。それより引っ込んでなさい!今は取り込み中よ!しかも!あんたのせいでね!」 「おや?」とルイズの顔を覗き込む男。 「な、何よ!」 「ちょっと待って。この私の事知ってますよね?そうでしょう?私ですよ」 知ってるんですか?という顔のコルベール。 「知らないわよ!こんなおっさん!見たことなんて無いわ!」 「そうですか…でも、今わたしを見て感動したでしょう?皆さんも」 と周りを見渡す男。え?という顔の生徒達。 確かに、この『おじさん』には何か引きつけられる物がある。何かわからないが。 「…あんた何なの?」 ルイズが聞く。 「わたしは…ヴィンセント」 パイプを咥えなおし、帽子を被る男。 「ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ。『ゴッホの自画像』です。昨日カミソリで耳を切り落としました………所で病院は、どちらでしょう…?」 こうして、同日中にトリステイン魔法学院は全滅した。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/198.html
トリステイン魔法学院。トリステイン王国のメイジ達のための全寮制の学校である。 そして今、第二学年に進級するために生徒一人一人によるサモン・サーヴァントの儀式が行われていた。 その過程で『ゼロ』のルイズが呪文を咏唱した直後いつも通り爆発が起こり、誰もがまた失敗か、と思った。が、何人かがその砂塵の中に何かが在るのに気付いた。 そしてそれは使い魔としては平凡な様に見えたが、その場にいた、呼び出した本人を含め、全員の予想を遥かに超越していたッ! 「何かいるぞッ!」「まさか成功だとォッ!?あの『ゼロ』のルイズが!?」「あ、あれは…」 「『亀』?」 ルイズが召喚したもの。それは人間でも吸血鬼でも究極生物でもなく意外ッ!それは平凡そうな亀ッ! 場にいる全員が信じられないという顔付きで硬直しているッ!そんな連中を尻目にルイズはようやく成功させたことを大いに喜んだ。 (あたしはもう『ゼロ』なんかじゃあない、これからはそう呼ばせない!) 彼女は喜びを隠し切れない様子で亀に近づいていった。 近くで見るとヨボヨボだが、何故か装飾を施された鍵が甲羅に埋め込んであるようだ。そんな所に何かしらの魔力を感じる気もする。 ますますウキウキして自分の使い魔となるであろう亀を持ち上げ、契約の呪文を唱えようとしたその時だった。 『何をしようとしてるんだ?小娘?』 どこからか男の声がした。それもすぐ近くからである。 「え…?だ、誰…?」 辺りを見渡すが、近くにいる男性といえばコルベールだが、それとも違う声。 『何をしようとしているのか聞いているのだ。答えろ小娘。』 流石に二度目で気付いた。声がしている所は… 『どうしたのだ?早く答えろ。』 ルイズはこの時 (しゃべっているのは亀だったァ~。しゃべるわけないのにィ~) と思ったがそれも違った。しかし、次の瞬間、目の前の異常な光景に暢気に構えていた他の生徒たちも流石にビビったッ! 亀の甲羅、いや、鍵の装飾から『男の生首』が出ていたのだった。 「……」 まるで蜘蛛頭の男に止められたかのごとく場が固まる。 男は不思議そうに顔をかしげた。 「どうした?」 「「「「ギャアアアァァァァァァ!!!」」」」 男以外、全員が悲鳴をあげた。パニック状態だ。教師であるコルベールですら慌て、生徒を宥める所ではないッ!ルイズに至っては男ごと亀を投げ捨てたッ! 「ぬおッ!」 今度は男が慌てた。 亀から鍵が外れてしまったのだ! 何故慌てるか? それは男が亀の中に住む幽霊だったからだ。亀の甲羅から出たらどこかに飛んでいってしまうのだ。 だから慌てたのだが、幽霊の彼にはどうしようもなかった。 「ま、待ってくれェェ」 亀から引きずり出されてしまった。流石に勘忍して (ああ、最期にジョースターさん達に会いたかったな。) そう思ったが、彼の体は天に昇らなかった。逆だった。地に落ちたのだ。 落ちた衝撃に一瞬思考が止まったが、すぐに気付いた。死んだはずの肉体があることに。しかもそれどころか『立てた』。 「こ、これは一体…?」 一応ベタだが頬を抓る。幽霊だった頃には無かった、『痛み』を感じた。 「まさか…『蘇った』とでもいうのか?」 (信じられない、死んだはずなのに肉体が戻るなんて…そんなこと、どんなスタンド…たとえレクイエムでも不可能のはずだ。) 男はそこまで考えると、悲鳴をあげるのをやめ茫然としてへたりこんでいるルイズを見た。 (この娘が俺を生き返らせたのか?どうやって…てか、ここは何処だ?) 茫然としていたルイズだが、何とか気を取り直し、目の前の男に話し掛けた。 「あああ、あんた何?な、何で亀の中にいたの?てかどうやって!?」 「人に何か尋ねるならまず自ら名乗るのが礼儀じゃないのか?小娘。」 当然彼女はそんな答えにムッとした。 「あんた…貴族を何だと思ってるの?平民のくせに。そっちこそ礼儀がなっちゃいないわ。」 「…フン。貴族といえば友人にその末裔がいたが、お前みたいな高慢な態度はとらなかったな。貴族イコール紳士だと思うがな。」 「何ですってェェ!?」 物凄い剣幕で睨み付けるルイズ。 会話している内に周りも落ち着きはじめ、コルベールがルイズを呼び出した。 「何ですかミスタ・コルベール?」 「また君は他と違うことをやってくれた…ただ成功には変わりないとは思うがね…で、どっちにするのかね?」 「言っていることがいまいちよくわかりませんが…?」 「亀かあの男か。どっちを使い魔にするのかと聞いておるのだが?」 ルイズは事に気付き、頭を抱えこんだ。どっちが私の使い魔になるの?両方?否! 「ミスタ・コルベール!もう一度させてくださいッ!」 しばらくして諦めた様子で亀と男の前に戻ったルイズは両者を見比べた。 ここで普通のメイジだったら亀を選択する。誰だってそうする。ルイズだってそうした。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 すっと亀を杖でつき、そのまま亀にキスをした。 もしも普通の使い魔だったらこの後使い魔のルーンが刻まれて終了だった。 しかし、彼女は例外過ぎた。 「ぐぉぉぉぉ!?」 突如隣にいた男が左手の甲を右手で押さえたのだ。そして右手を外すとそこには契約もしてないのにルーンが刻まれていたッ! あまりの出来事に場にいる全員が「理解不能理解不能理解不能ッ!」といった感じだった。 「お前は一体俺に何をした!?」 男は怒りつつルイズを問い詰めた。ルイズとしても何が起こったのか分からず混乱していた。言えることはただ一つしかなかった。 「コントラクト・サーヴァント…」 「はあ?」 「私はその亀と使い魔としての契約をしただけ。なのに何故かあんたにも契約が適用されたのよ」 「…全く訳が分からん」 男はこれ以上尋ねるのをやめた。 コルベールが近づいて来たからだ。そして亀を見た後、男に刻まれたルーンを見た。 「珍しいルーンだな」 それだけ言うと他の連中を連れて飛んで行った。 「…飛んだ?何だあれは…?新手のスタンド使いか?」 男はポカンとしている。 「そりゃ飛ぶわよ。メイジなんだから。」 さも当たり前の様に返答し、さて私たちも行くわよ、と言おうとしたが、その前に聞いておかねばならないことがあった。 「そういえばあんた名前は何て言うの?あと亀も。」 男は答えたくなかったが、ここがどこか分からないし、世話になるかもしれないと考え一応名乗ることにした。 「俺はJ・P・ポルナレフ。亀の名前は…確かあいつらはテキトーにココ・ジャンボと呼んでいたが…ちゃんとした名前は知らん。」 To Be Continued...