約 1,499 件
https://w.atwiki.jp/fjoui/pages/20.html
44 : ◆GkRPJL.Q4U :2010/06/10(木) 00 11 30 ID 2apkNw76 お久しぶりです。 覚えてる人がいるかわかりませんが。 5レスほどお借りします。 おっぱい注意。 45 :1/5 ◆GkRPJL.Q4U :2010/06/10(木) 00 13 27 ID 2apkNw76 そういえば以前、子供があまり好きじゃないとか神無さんが言っていたのを思い出す。 うるさいとか汚いとか理由付きで。少しだけ、後ろめたそうに。 作家先生らしく気難しくて少々ひねくれたところがある神無さんは、間違っても子供を見てきゃーかわいいっ!なんて言うタイプじゃないが、かといって神無さんが自分で言うほど冷たい人間じゃない。 多分、子供が嫌いというより苦手なだけで、それは単に慣れの問題なのだったのだと思う。 僕はよく知っている。 惚気でも何でもなく、なんだかんだ言って神無さんは優しい人だ。 ――――だから大丈夫。神無さんは、いいお母さんになれますよ。 確か、そんな風に答えたと思う。 それから何年か経って、子供が生まれて、名前は神無さんの命名で栞となって。 初めて栞を抱いたその瞬間から、神無さんはちゃんとお母さんの顔つきになっていた。 ほら、やっぱり僕の言ったとおりだった。 「どうした、さっきからぼーっとして」 「あ、いや……母乳って本当に出るだなあって思って」 その時、僕は本当にぼーっとしていたから、思っていたことをついそのまま口にしてしまう。 授乳に慣れないうちは神無さんもちょっと恥ずかしそうにしていたので僕もまじまじと見るなんてことはしなかったのだけれど、育児の忙しさのせいで神無さんもいちいち気にしてる暇もなくなってきたようで、最近じゃリビングで堂々と栞にミルクをあげていたりする。 そりゃあ、こっちに見えないように背中を向けるなりしているなら、僕だってわざわざ覗き込んでまで見るようなことはしないけれど、特に気にする様子もなく目の前で授乳を始められてしまうと、どうしたって目が行ってしまうのだ。 「なにを今さら。もう何か月目だと思ってるんだ」 「でもほら、こうやってちゃんと見るなんてこと、今までになかったですし」 呆れたような神無さんの言を、あははと乾いた笑いで誤魔化す。 今の返事は、今度はちょっと本音とは言い難い。 どうしても目が行ってしまうというか、自分でも呆れるくらい目敏く、いつも横目で授乳の様子を観察してしまっていた。 自らの母乳で子供を育む姿を見ると、やっぱり女の人って凄いなあ、と感心するのが半分。 後の半分は、まあ、なんというか、男の性というやつだ。 むしろ心温まるべき、ハートがウォーミングであるべき場面であるはずなのに、こんな感情が湧いてきてしまうのは自分でもどうかとは思っている。 どうかとは思っているが、どうかと思ったところでどうにかできるものでもない。 いや、どちらかといえば、仕方がないことだと思う。 だって、ずっと放って置かれ続けて、もうどれくらいの月日が流れたと思ってるんだ。 お腹の大きかった神無さんにこっちから言いだすことなんてできなかったし、実際、放っておかれなかったとしても、お腹の中に栞がいるなんて状態でことに及ぶなんてことは、とてもじゃないが無理だっただろう。 だから、ずっとなかったのだって仕方のないことだ。 同じくらい、この抑えようのない劣情だって仕方のないことじゃないのか! 一児の父になったとはいえ、僕だってまだまそうだよわかってるよ最低だようわあああああああああああああああああ とは言え。 僕が働きに出ている以上、育児の大半を神無さんに背負わせてしまってるのは事実だし、神無さんは慣れない育児で毎日疲れてるのも分かってる。 そんな時に、ずっと欲求不満なんだといくら言い訳したって、これ以上神無さんの負担を増やすわけにはいかない、というのも分かっている。 だから仕方がない。 仕方がないのだけど。 46 :2/5 ◆GkRPJL.Q4U :2010/06/10(木) 00 14 12 ID 2apkNw76 時刻は午前3時。 草木も眠る丑三つ時も過ぎたころ。 ベッドの中で悶々としたまま、僕はこの時刻を迎えていた。 寝る前に見た授乳シーンが、脳裏に焼き付いて離れない。 あの時にあった女性の神秘に対する感動は完全に消え去って、代わりに膨れ上がった劣情とどうしようもない自己嫌悪だけが頭の中に渦巻いている。 こんなことならあんなにじっくり見たりするんじゃなかった、なんて思っても今さらもう遅い。 半時ほど悶々とした後、神無さんの寝息が規則正しく往復しているのを確認すると、僕は注意深く寝室から抜け出し、リビングの灯りは点けずにパソコンの電源だけ入れた。 深夜という時間帯というのを考慮に入れても、もう色々と限界が来ているのを強く感じる。 独身時代に培ったテクニックを動員して、迅速に、かつ綿密にピンク色のネットの海を漂う。 20分足らずで眼鏡にかなう動画を見つけると、はやる気持ちのあまり恥ずかしながらすでにいきり立っていた。 なんだか情けない話だが、ここは最近ずっと自分でする必要がなかった幸運を感謝するべきだろう。 とにかく、今は一刻も早く自己嫌悪とともにこの鬱屈した衝動を開放してしまいたい。 イヤホンよし!ティッシュよし! さあ、レッツセルフプレ――――といったところで、部屋の明かりがついた。 「はて…………こんな時間に、甲次君は、いったい何をしてるのかな?」 声が、近い。 確実にディスプレイに映ったものは見えているだろう。 イヤホン越しに聞こえるあえぎ声がひどく演技臭く聞こえた。 深夜特有のハイテンションはなりを潜め、股間のモノは本当に一瞬でしぼんでしまった。 「こ、これは、ですね――――」 弁解の言葉が続かない。 もはや逃げようがないのは十分すぎるほどに分かっていた。 死にたいというか、もう半ば死を覚悟した。 画面に映っているのは、母乳モノのAVなのだ。 「男っていうのは、本当にどうしようもない生き物だな」 深々とため息をつく神無さん。 僕はその前でうなだれて正座していた。自主的に。 さっきから神無さんの顔を見ることができずに、フローリングの木目ばかり見つめている。 パソコンからはイヤホンが外され、動画の音声が垂れ流されてる。 「……最後にしたのは、どれくらい前だっけ?」 神無さんの声は真っ平らで、怒ってるんだか怒ってないんだか物凄く怒ってるのかつかめない。 「え、えーっと、妊娠がわかる前ですから、もう一年近く前になりますね。はい」 「そっか、それじゃあ、まあ、我慢できなくなっても仕方ないかもしれないな」 怯える僕の頭の上に、ぽんと神無さんが優しく手を置く。 お咎めなしかと期待したのもほんの一瞬で、その手のひらがギリギリと僕の頭蓋骨を締めあげ始めた。 「まあ、別に、君がオナニーしようとしたから怒ってるわけじゃあないんだけどな」 怒ってた。 無茶苦茶怒ってた。 「私はね、隣で私が寝てるのを放っておいて、こんなもので処理しようとしたことが許せないだけなんだよ」 言いながら、神無さんは一層力を込めて僕の頭蓋骨をきしませる。 「ご、ごめんなさいっ、すいません、申しませんっ!」 ただ焼きもちを焼いてるだけじゃないか、とか気づいても和む余裕なんかない。 全面降伏してただ許しを請うのに徹する。 「分かればよろしい」 「うはぁ……」 解放されると同時に、その場にへたり込む。 情けないことに目からしょっぱい水がにじんできた。 体罰なんて久しぶりだ。出来ればもう二度と見舞いたくないと毎回思う。 それでも今回はあっさりと許してもらえたほうだ。 47 :3/5 ◆GkRPJL.Q4U :2010/06/10(木) 00 15 12 ID 2apkNw76 「まったく……、何を遠慮してたんだか知らないけどな、欲求不満だったならそう言えばいいじゃないか」 ふん、と不機嫌そうに鼻息を飛ばすと、神無さんはマウスを取って未だに流れ続けていた動画を止めた。 静けさを取り戻した深夜のリビングには、張り詰めるような緊張だけ残った。 「だ、だって、その、神無さん、最近はずっと栞にかかりきりで疲れてたみたいだったから」 「そんなの関係ない。栞だけじゃなくてキミの世話をするのだって私の仕事のうちなんだぞ。 そんなことでいちいち気兼ねしてため込んだりするんじゃない」 「でも、もう栞もいるんだし、僕の我がままで神無さんに無理をさせるわけには――――」 ぐいと襟首を掴まれたと思ったら、神無さんの柔らかい唇に僕の言葉はせき止められた。 完全に不意打ちだ。 そういえばキスするのも久しぶりだな、なんて頭のどこかで考えながら、されるがままに唇を弄られる。 「……っふ――――」 離れると、目と目が合った。 神無さんのうるんだ瞳が、僕の目をまっすぐに見つめていた。 「ごちゃごちゃ言うな。…………ずっとしてなかったのは、キミだけじゃ、ないんだからな」 視線を切って、かすかに頬を染めて、神無さんはそう言った。 ああ、もう。 嫁さんにここまで言わせてしまうだなんて、僕は本当に、駄目な奴だ。 今度は僕から、ソファーに座る神無さんに覆いかぶさるようにキスをした。 さっきよりももっと積極的なやつを。 「かんな、さん…………」 「う、……んっ」 唇をついばみながら、神無さんの体を服の上からまさぐる。 僕の手のひらが胸のふくらみに触れると、首の後ろに回された腕が微かに強張るのを感じた。 「胸、大きくなりましたよね」 「……ん? まあ、子供産んだばっかりだから、な」 前から気づいてはいたのだけど、触ってみたら予想以上だった。 ふたまわりくらい大きくなってるんじゃないだろうか。 思わずため息が出てしまいそうだ。 手のひらでこねてみたり、持ち上げて重さを確かめてみたり、たぷたぷとゆらしてみたり。 思う存分胸の感触を味わっていると、若干神無さんの呼吸が乱れてくる。 体温も少し高くなってきた見たいだ。 「ちょっと待って。上、脱いじゃうから」 そっと肩を押されて、体が離れる。 神無さんは一番上のボタンだけ外すと、すぽっと頭からパジャマの上を脱いだ。 飾り気のないブラジャーには大きなシミがふたつできていた。 「あはは……、なんか、みっともないな」 「別に、恥ずかしがるようなことじゃないですよ」 思わずむっとしたような声が出てしまった。 胸を隠そうとする神無さんの腕を押えて軽くキスをすると、さっさとブラジャーを取ってしまう。 久しぶりに見た神無さんの胸。 以前に比べて乳輪が少し大きくなって、色も濃くなっている。 桜色に染まった上気した肌とのコントラストがやけにいやらしく見えて、なんだか妙に興奮した。 48 :4/5 ◆GkRPJL.Q4U :2010/06/10(木) 00 16 04 ID 2apkNw76 「神無さん……すごく、きれいです」 「ん、ありがと。――――ね、触ってみて」 言われるがまま神無さんの肌に触れる。 しっとりと湿った肌は、ほんのりと甘い匂いがした。 「――――あ、」 先端から、白い雫が一滴こぼれた。 それを皮切りにとろとろと母乳が溢れ、流れていく。 無意識のうちに、喉が鳴った。 「いいよ、吸っても。気になってたんだろ?」 見透かすように神無さんが僕の頭を引き寄せた。 近づくと匂いも強くなって、頭をくらくらさせる。 こんなの、逆らえるわけがない。 「ん、ん…………」 先端を口に含む。 控え目に吸ってみると、じわっと滲むように口の中に広がっていく。 ほのかに甘い、どこか懐かしい味。 「ふふ、よしよし。どう? おっぱいおいし?」 「う、ん…………」 神無さんがゆっくりと僕の頭をなでる。 あったかくて、柔らかくて、脳みそがとろけてしまったみたいに何も考えられない。 舌を使って愛撫するでもなく、夢見心地でこくこくと母乳を飲み下す。 「あーあー、すっかり夢中になっちゃって。しょうがないお父さんだな。 これじゃあ、大きい赤ん坊がもう一人いるのと変わらないじゃないか」 神無さんはくすくすと笑って、僕のおでこにキスをする。 おでこなんかじゃなくてちゃんとキスをして欲しくて、顔を上げて神無さんを見上げた。 「かんな、さん……」 「はいはい、そんなもの欲しそうな顔するなよ」 抱きしめられながら、もう何度目かわからないキスをする。 神無さんは唾液をたっぷりからませて僕の舌を吸うと、味わうように自分の口の中で甘く噛む。 「っ、は――――ふ、ぁ」 「ン……、固く、なってるな」 神無さんの手が服の上から僕の股間を撫でる。 にいっと口の端を釣り上げて、神無さんは僕の顔を覗き込んだ。 「おっぱい吸って、こんなにガチガチになるくらい興奮しちゃったんだ?」 分かってるくせに、神無さんは意地の悪い笑顔で、意地の悪い質問をしてくる。 無言のまま顔を伏せて谷間に顔をうずめると、くしゃくしゃと頭を撫でられた。 神無さんに手を引かれて体を反転させると、今度は僕がソファーに腰掛ける。 ボタンが外されて、神無さんの長い人差し指がすうっと僕の胸板の上を滑ると、触れるか触れないかくらいの強さでその中心の突起を撫でてくる。 「ふふ……、さっきはさんざん吸われちゃったからな。たっぷりお返ししてあげるよ」 「っ、ん――――は、あ…………ちょ、かんな、さんッ」 情けない声が出そうになるのを、歯を食いしばって耐える。 そんな僕の様子を楽しむように、神無さんは両手で乳首をつまむと僕の首筋に舌を這わせてきた。 ぞくぞくっと寒気にも似た快感が背中を駆け上がって、反射的に神無さんの肩に手をかけるけれど、刺激が強すぎて腕に力が入らない。 「こーら、抵抗しないの。ここ苛められるの、嫌じゃないだろ?」 「い、やじゃ……ないですけど……っ――――その、恥ずかしッ、い」 息も絶え絶えに答えると、神無さんはますます楽しそうな顔をする。 勿論、攻める手を休めたりはしない。 「駄目だよ。お返しだ、って言ったじゃないか」 そう言って神無さんは僕の腕を押さえつけると、ぴったりと体を寄せてくる。 マーキングでもするみたいに、首元から胸板にかけて神無さんの唇が何度も僕の肌をついばんでいく。 49 :5/5 ◆GkRPJL.Q4U :2010/06/10(木) 00 16 50 ID 2apkNw76 「――――ふ、……ん、ッ」 吸いつくみたいに、神無さんの舌が僕の胸を舐める。 上目づかいに僕の顔を見る神無さんの表情はやっぱり楽しそうだ。 「ん、ちゅ――――我慢しないで、声、出してもいいぞ……?」 舌を使って転がされて、歯を立てて甘噛みされて、もどかしい快感に頭がどうにかなりそうだ。 恥ずかしいのに、食いしばった歯の間から情けない声が漏れてしまう。 「ん、ふ――――腰もじもじさせちゃって、……可愛いやつだな、もう」 小さく微笑むと、神無さんは胸への愛撫を止め、足を崩して床にぺたっと座った。 腕を離して、両手で形を確かめるように股間のふくらみを撫でる。 「苦しいだろ。ほら、脱がしてあげるから腰上げな」 嬉々として僕の服を脱がせる神無さん。 ズボンが下されて下半身があらわになると、指先に先走りを絡めてゆっくり擦り始める。 「この子を見るのも久しぶりだな。――――ふふ、もうべとべとだ」 「ッ、あ……!」 人差し指でぐりぐりと先端を責められると、思わず腰が引けてしまう。 刺激が強すぎて、気を抜けば今にでも出してしまいそうだった。 「ちょっと気持ち良すぎて辛いみたいだな。……それじゃあ、こんなのはどうだ?」 「ッ、う……わ……、」 滾りに滾ったそれが、神無さんの胸の間に挟まれた。 経験のない感触と光景に感動すら覚える。 「どう、かな……? 初めてだから、勝手がわからないんだけど」 「う、ん…………すごい、いいです」 話には聞いていたけど、実際、直接的な刺激より視覚的な興奮のほうが大きい。 神無さんの初めてっていうのも嬉しかった。すごく。 「よかった。……もっと、頑張るからな」 神無さんはちょっと目を細めて笑うと、視線を落として谷間から顔を出してた先端をぺろっと舐めた。 たっぷりと塗すように唾液を垂らしていくと、胸の動きに合わせていやらしい音を立て始める。 「ん、ふ…………すごいな、まだ、固くなるんだ……」 「ッ……ん……!」 熱に浮かされたような表情で神無さんは愛撫を続ける。 柔らかい包みこむような刺激でも、だんだんと追いつめられるように限界に近付いていく。 こみ上げる射精感に、すがりつくように神無さんの肩に手をかける。 「く――――ッん、かんな、さ…………ッ!」 「あ……、んッ、んん…………!」 堪え切れず、神無さんの顔に放出する。 神無さんの胸に挟まれたものがびくびくと脈動するたびに白く濁った粘液が神無さんの顔に降りかかる。 頭が真っ白になって、神無さんの肩をつかんだまま、結局最後まで吐き出してしまう。 「あ…………、わ、ごめんなさい、すぐ――――」 「あ、は…………、かけられ、ちゃった」 快感の波が引いてようやく我に帰ると、慌てて神無さんの顔を手で拭う。 神無さんは白濁を顔に滴らせたまま、ぞっとするくらい蠱惑的な表情で僕を見上げた。 「や――――待って……、」 顔をぬぐった手を取ると、指についた精液の塊をひとつひとつ舐めとって飲み込んでいく。 その舌使いも目線もやけに艶めかしくて、あっという間に下半身が固さを取り戻す。 今出したばかりだっていうのに、全然おさまりがつきそうにない。 「ん…………、ひゃッ!」 脇に手を回して、一気に神無さんの体を持ち上げる。 膝の上に座ってもらうと、そのまま両腕で抱きしめた。 「もう、我慢できないです……」 「うん――――いいよ、しよっか」 50 : ◆GkRPJL.Q4U :2010/06/10(木) 00 17 46 ID 2apkNw76 前半は以上です。 後半はそのうち。
https://w.atwiki.jp/tsvip/pages/623.html
「「おーい、アキラー!?」」 「「……ん?」」 休日昼下がりの公園噴水前。何故か自分の隣から響く自分の台詞に、妙な違和感を覚えて横を向いた。 見れば、そこには同じようにこちらに胡乱な目を向けてくる男が一人。 ……うん、ドッペルゲンガーにしちゃ随分何と言うか、根底からしてお粗末というか。あれだ、性別からして間違ってるのは流石にちょっとうっかりさんが過ぎると思うんだがどうなんだろう。 それとももしかすると、天国だか何処だかの戸籍ではまだ俺が男として処理されているんだろうか? そう考えれば確かに目の前のこの男、以前の俺に似ていなくもない。言わば纏う空気みたいなものが。 ……その場合どうなんだ? やっぱりそれでも死ぬのか俺は? 瞬間、脳裏を掠めるのはかの有名なあの言葉。 『当たらなければどうという事はない!』 むしろ当たりゃ死ぬんだよクソ仮面。 ――言い訳する。混乱していたんだ。 「……あのー、アンタ明の知り合いか?」 「邪魔です大佐!」 かけられた声に反射的に叫んで。 ……目をしばたたかせながらポカンとこちらを見る姿に、俺はようやく我に帰った。 ――頬に指当て、髪を靡かせお茶目にウィンク。 「…………テヘッ♪」 「………………」 「あああ待て! 頼むからそんな可哀相なモノを見る目で離れていかないで! せめて言い訳させてくれぇッ!」 泣きそうになりながら追う俺の足元で、くるっくー、と鳩が平和に鳴いていた。 必死に名も知らぬ少年を引き止め、言い訳する事幾星霜。 「いやー、てっきりちょっとだけヤバイ人に話しかけちまったかとばっかり」 「もう勘弁してくれ……こういうのは俺のキャラじゃないんだから……」 すっかり意気投合した男二人――もとい、男女が一組、噴水脇に腰掛けていた。 聞けばコイツも恋人待ちで、その名前が偶然にも同じ『アキラ』らしい。 その相手側もこっちと同じく遅れているようで、結果俺達は『反アキラ同盟』として通じ合い、暇潰しがてらの雑談をしつつ今に至る、と。 ……話の判る奴で、正直助かったと内心ホッとしているのは美少女の無邪気なご愛嬌ってものだ。そうだともさ。 そのまま雑談は、そもそもの発端の愚痴へと続く。 「大体な、お前が『アキラァ♪』なんて名前を色気づいた猫撫で声で叫ぶのが悪いんじゃねーか。盛ってんじゃねーぞチクショウ」 「……その台詞、そっくりそのままアンタに返すぞ?」 「俺はあんなスウィート機動アフターバーナー全開じゃねーぞコラ。呼ぶか呼ばれるか、そんな空気がいいんじゃねぇか、女子供はすっこんでろ」 「……つっこんでいいか? なあ、つっこんでいいか?」 お互いの待ち人も来ないまま、打てば響くようなやり取りが続くのが非常に愉快だ。どうもコイツとは俺と同種の何かを感じて仕方が無い。 まあもっとも、お互いに待ち人が『あるがこそ』にこの一種の気安さが生まれるのかもしれないけれど。 「しかし随分な偶然だな、同じ名前が待ち合わせ相手ってのも」 「まーな、もっともこっちのは男だが」 しみじみと言う男に、少し苦笑する。確かにあってもおかしくはないが、性別が違った上で同じというのも随分な話だ。 と、 「あー…………」 「ん? どうかしたか?」 その返答に微妙な顔をする男に少し首を傾げた。 そのまま少しだけ思案顔になった後、男はふっと微苦笑を浮かべる。 「いやまあ……アンタだったらまあいいか」 「だから何がだよ」 そして男は一つ息をつくと、 「いやな、ウチの明も元は男だからさ」 さも大変な事のように告白した。 「あーなるほど」 「え、反応うっす!?」 「と、言われてもなあ……」 あっさり相槌を打った俺に大袈裟に驚くひょうきんな男が一人。というかむしろこいつは俺にどんな反応をして欲しかったのだろうか。 俺が心底どーでもよさそーな表情をしていたのか、更に焦ったように男は言葉を、 「い、いやでも、やっぱり純粋な女としてはこういうのは結構微妙な心持ちになったりするもんなんじゃないのか?」 続け―― 「…………ハァ?」 ――突然の予想外発言に、思わず目を丸くした。 「な、なんだよ……」 「いや、なんでって、お前……」 二の句が告げずにいる俺を、目の前の男は事もあろうに心底不思議そうに見てくる。あ、その顔ちょっといい――とボケている場合でもない。 うわ、素だよコイツ。こんだけ喋ってちっとも気付いてねーよ。こちとら隠すつもりもないのに、っつーか普通気付くだろう? ピッと人差し指を立て、演技じみた仕草で男の眼前に突き付ける。 「あのな、気付け。というか常識的に考えろ」 「あ?」 「一人称、俺。男っぽい趣味及び言動。にも関わらずどう見ても女。導き出される答は?」 「あ、え?」 そこまで言わせておいて、まだ戸惑ったようにこちらを見る男。認定、この男はどっかのアイツもびっくりの真性だ。……思わず深い溜め息が零れた。 「はい時間切れ。答は俺も元男だから。アーユーオーケイ?」 投げやりにシンキングタイムを切って正解発表をすると、、男はポカンとアホ面を浮かべる。 「……マジ?」 「本気と書いて『嘘偽りない真実であることをここに誓います』だ」 「長いなおい」 「それっくらいにはマジだからな」 「……へぇ…………」 ――はっきりと宣言した後に感じたのは、物珍しそうな顔でこちらを見る視線。 ああ、やっぱりダメか、と心の中で静かに落胆する。 コイツは大丈夫じゃないかと思っただけにそれは尚更大きくて、ズンと胸の奥に鈍い感情の塊が沈んでいった。 「……そこまで驚くような事じゃねーだろ、別に」 「あ、いや、そりゃそうなんだが……」 返しながら、少しバツが悪そうに視線を背けるその姿を、褪めた目で見つめる自分を自覚している。 ……いくら最近はそこまで珍しくないとは言え、女体化したと聞けばやはり基本的にはみんな、多かれ少なかれこんな奇異の目を向けてくるものだ。それは或いは揶揄だったり、或いは興味だったり、また或いは哀れみだったり。 はっきり言って、俺はそれが何より嫌いだった。俺は動物園のパンダじゃない。ましてや病気で先が長くない薄幸の美少女でもない。まあ美少女であるところは自他共に認めるが。 だからこそ、嬉しかったんだろう。 ――思い返されるのは、酷く懐かしいやり取り。 『……よう、どうした親友、鳩につままれたみたいな顔して――?』 女体化して、それを気にしないポーズを取りながらアイツに話しかけたあの時。 『……それはまた、狐が豆鉄砲を撃つよりもさぞ驚くだろうな、阿呆』 変わらず人をアホ呼ばわりしてくれた、たったそれだけの事が。 まーもっとも、よく話を聞けばあれも一種のポーズだったらしいが。詳しくは小っ恥ずかしいので忘れた。他人の一目惚れなんぞ知ったこっちゃない。 ……本当に何となく、来たら体罰と心に決めた大遅刻中のバカを許してやろうかと思い始める。 あれだ、どうせコイツも見込み違いだったようだし、まあなんだ、結局俺が付き合える奴なんてアイツくらいしかいないんだから、 ――少しくらいは、優しくしてやろうか、なんて思ったりしない事もない。 そんな優しい気持ちになり始めていた俺を。 「……いや、なんつーか、アンタが凄い綺麗だったからさ」 そんな台詞が、ぶっ飛ばした。 「――――ハァ!?」 「あ、いや他意はないんだぞ!? ただなんかアンタは凄く仕草とか雰囲気とか物腰とか、自分で思ってる以上になんつーか女らしいんだって!」 思わず目を剥いた俺に、そっぽを向いたまま必死に言い訳する顔が少し染まっていてかわい――いや落ち着け俺。お前はあんな口説き文句一つで落とされるようなヤワな奴じゃない筈だ。 サッと血が上りそうになった頬を、プハーと深呼吸でクールダウン。意味もなく髪を掻き上げて間を保つ。うん、今日も指通りは良好だ。 よしまだやれるな、いい子だ俺。余裕のない子がお姉さんは大嫌いだ。 よし、落ち着いた。 「フゥ――――おいおいおい、冗談はいけねぇぞボウズ。いくら元男だからって、あんまおじさんをからかっちゃいけねぇなぁ。彼女さんが泣いちまうぜ?」 ――そうして体勢を立て直そうと余裕ぶってみせて。 「だから本気なんだよ。そりゃ明は可愛いが、アンタはなんつーか綺麗で――大体、元男とかどうでもいいだろ?」 「……さりげない惚気、どうもありがとう」 ささやかな抵抗もむなしく、厚い筈の俺の面の皮が赤く染まったのを感じた。 憮然として、更に語ってくれようとする肩をちょいちょいと叩く。 「あれだ」 「あ?」 すう、と大きく息を吸い込んだ。 「空気読めこのニブチン野郎が」 「……おお? え、ちょっ――」 「その返答が既にニブチンなんだよマヌケ。ちったあ可愛らしい控え目な乙女の心の一つや二つ察しやがれトンマ。どうせテメェそのお得意の鈍さで彼女と一悶着二悶着起こした事あるだろ、ああ不甲斐ない」 「う……」 ……適当に言った事が本当に図星を指したらしく、あっさりと開きかけた口を閉じる男。それに調子づいて、俺は更に畳み掛けようと――したところで。 「……悪い、ホントにいつも俺はこんなでさ、明と付き合う時だって、アイツの心も考えず一人で勝手に自己完結して……」 「……うぇ?」 ――何やら嫌な記憶を思い出したのか、俯いて暗い気配を振り撒き始めたその姿にかなり焦る。 「あーいや、今のはあれだ、俺一流のごまかしというか――あんま真に受けんな、な?」 「いや、でも事実なのは確かだからな……本当に俺は、どうしてこう……」 俺の自爆気味のフォローも聞かず、デフレスパイラルに落ちてゆく男のテンション。どうやら知らずに地雷を踏んだらしい。……困った。 ――仕方ない、こういう時こそ力技だ。 「……ほれ、ぐー出せ」 「……あ?」 「ぐーだぐー。じゃんけんの……ああもうほら!」 こちらを呆けた顔で見上げるだけの男の腕を掴むと、そのまま拳を合わせる。……昔ならともかく、今では大きさに随分な差が見えるのが僅かながら複雑なものを抱かせるけれど。 「何があったかは知らんが、これだけはお姉さんと約束だ」 似合わないクソ真面目な目をして、男の瞳を覗き込んだ。 逸らされない瞳に満足する。 「空気が読めないでもいい。乙女心が判らないでもいい。だがな――」 軽く拳をぶつけて、ニヤリと笑う。 「――信じてやれ。相手の子を傷付けるような鈍さは油と一緒に固めて捨てろ。……俺らもな、これで中々うぶな乙女してんだよ」 キザにウィンクを一つ飛ばせば、ようやく返ってくる苦笑。 「……それくらいは判ってるっつーの」 ごん、ともう一度強く拳をぶつけた。 「しかし、指切りじゃないのか?」 「こっちの方が『らしい』だろ?」 「……確かにな」 言葉を交わし、軽く笑いあう。 ――安心した。前言撤回、コイツもこれでなかなかには判ってる子だったらしい。 そうして、俺はホッと一息ついて―― ――刹那、肌に突き刺さるような殺気を感じた。 「……ほほう」 「……今度はなんだよ」 不敵に微笑んだ俺の表情に嫌なものを感じたのか、再び表情を曇らす男。……いくら『アレ』が視界に入っていないとは言え、これで全く感じ取れないとは、やっぱり真性だなと再認識する。 その背中越しに見えるのは、まるでドス黒いオーラをすら纏っているかのようにこちらを睨む可愛らしい少女の姿。風に揺れるやわらかそうな猫っ毛が愛らしい。 ……思わずキレそうになった。 っつーかなんだあれ、目茶苦茶可愛いじゃねーかコラ。 何、慰め損? まんまと童貞のままさようなら凸こんにちわ凹した俺に喧嘩売ってんのかコイツ。 まんまとあんな子とギシアンしといて何が不満だ死なすぞテメェ。 と、 「ちょっと待ってよ、アキちゃーん!」 その少し後ろからかけて来る、同じ顔の少女。 その声に反応して、男が振り返り―― 「あれ、ひろ――――」 そのまま、鬼を見て凍り付いた。 オーケー、今のやり取りから類推しよう。 少女Aはコイツの恋人。二人のデートについてくる少女HはAと同じ顔。かつこの男は二人共と知り合いらしい。 結論、僕らの夢を乗せて双子丼かこのカス。 潰す。ミッション『キューピッドアローTypeデストロイ』、状況を開始する。 「おい」 「う…………あ……?」 蛇に睨まれた蛙のように後ろを見たまま凍り付いていた首が、ギシギシと音を立ててこちらを向く。その瞬間に一層殺気が強く辺りに迸ばしった気がするが、まあ現実逃避としては悪い選択肢じゃないから、男のとった行動はあながち間違いだとは言い切れない。 もっとも、向き直った相手が俺でなければ、だが。 おそらく今の我等が怨敵の視界には、満面の笑みを湛えた悪魔が映っている筈だ。前門の悪魔後門の鬼。進退窮まるとはまさにこの事か。お似合いだ。 「ほれ、約束したご褒美に、お姉さんからプレゼントだ」 「……あ?」 そして俺は笑顔と共に、ガチリと両手で頭部を固定して。 「………………ん」 「……っ、ちょっ……!」 「んな――――――!?」 軽く額に唇で触れた。 そして時は動き出す。 「うん、洗顔もしてあるし、髪も整えてあるな。当たり前っちゃ当たり前だが、なかなかポイント高いぜ?」 いい、凄くいいよこの空気。 ビシビシと、ほんの僅かずつひび割れていくような凍てついた空気に思わず邪悪な笑みが浮かんでくる。 まさに一触即発。誰かが空気をそっと揺らしてやれば、一気に崩壊するニトロに満ちたこの空間。だから俺は、 「じゃ、後はごゆっくりィ~♪」 クケケと笑いながら、その場を颯爽と立ち去った。 ……っまさとしィィィ――――ッ!、と、背後から聞こえた凄まじい罵声がのどかな公園を素敵に彩ったのは、その数秒後の事である。 木漏れ日が差し込むちっぽけな散歩道を清々しい気分で歩く俺。今ならクソガキがボールぶつけてこようが、笑顔で差し出してやる優しさを持てそうな気がするよお母さん。 ……とは言ったものの、はて困った。 「……さて、どうしよう?」 「何がだ」 「いや、この状態で噴水前に戻る度胸は流石にないし、かと言ってあそこにお前が来ても困るし……」 「……ならば場所変更のメールでも送ってみたらどうだ?」 「おお、それグッドアイディア。『果たし状、並木道中程にて待つ』送信、と」 直後、隣から低く響くバイブレーションの音。 「……届いたな」 「だなあ」 「…………ボケが長いぞ、阿呆」 「お前のツッコミが遅いのが悪い」 傍らを見上げれば、見慣れた顔が一つ。……だが何やら今日はいつにもまして酷い仏頂面である。 まー原因は予測がつかないでもないが。 「ちなみにどっから見てた?」 「……ふん、なんの事だ?」 そう言うと不機嫌そうに鼻をならし、半眼でこちらを見下ろすバカ。……お前何も知らないでその態度だったら、それはあまりに不条理じゃないかとは思う。 だがまあ今回ばかりは俺が悪いのでそこまで追究してやるつもりはない。 とは言え―― ニヤリと笑う。 「ふーん、それならいいんだけど。あ、そうそう、さっき結構いい男見つけてさー」 ――だからと言って、素直に謝るようなつもりは毛頭ないが。 「それが意外と面白い奴ではあったんだけどな、なんか少し恋人の事とかで悩みがあるみたいだったから、仕方なく励ましの真似事みたいな事をしてやったんだけどさー」 「…………」 男の話を始めた途端、露骨に不快そうな顔をして返事すらせずさっさと歩き出すバカ。その視界の外で笑いを噛み殺しながら小走りで後ろについて、穏やかな昼下がりの小道を歩く。 「いざ恋人が来てみれば、目茶苦茶可愛いでやんの。しかも双子丼だぞ? いや、俺は思ったね 。こいつは天誅が必要だと」 返ってくるのは緑風に応える柔らかな葉擦れの音と、歩調の違う二つの足音ばかり。よし、周囲に人影なし。……全く返事がないのが、本気で怒っているらしくてちょっとアレだが。 邪魔にならないよう、乱れていた髪を右手でかるく梳いて払いのける。 「だからな、俺は奴の彼女の目の前でこうしてやった訳よ――――」 タタッ、とリズムの乱れた足音は、そのままバカの前まで回り込んで。 「よいしょ、と――」 「な…………!?」 胸倉を掴み、そのまま引き寄せ ――勢いのまま、強引に奪ってやった。 僅かに顔を離し、けれど胸倉は放さず、そのまま5センチ程度の距離で挑発的に笑う。 「……と、こういう事がありましたー、と」 視界の先には、こんな事じゃ誤魔化されんとでもいいたげに、必死に不機嫌面を保つバカの姿。 「……ここまではしていなかったろう」 「まー知らないお前がなんでそう言い切れるのかは知らないが……ま、これくらいは彼氏サービスって奴だ。俺は双子でもないし、あそこまで可愛くもないがお前だってヘタレだし。グレードの低い奴ら同士仲良くしようぜい?」 言い捨てて、手を離すとそのままバカを捨て置き小走りに進む。 追ってこない気配を振り返り、向けるのは自分でも驚く程素直な笑顔。 「おら、置いてくぞバカ! どうせお前くらいしか俺に付き合えるやつはいないんだから!」 ――そんな台詞が、髪を遊ばせた薫風に混じって、吹い―――― 「……俺はあの双子よりも、お前の方が――」 「はい公共の場所で恥ずかしい台詞ストォォップ!」 ――もとい、全力で駆け戻り、素面のバカを思い切りドツキ倒した暖かい午後。 「……しかし、あんな地雷を放置しておいて、あの三人は大丈夫なのか……?」 「あー、多分大丈夫だぞ?」 「……根拠は」 「何となく」 「………………」 「うん、このままじゃ埒があかないからもう一度だけ聞いてあげる、あの綺麗な女の子は何処の誰で、僕を差し置いて何処からあんな子を引っ掛けてきたのかな昌俊は」 「だ、だからそういえば本当に名前も聞いてないんだっつーの! ただ暇潰しに雑談してただけで――」 「ふーん。判った、昌俊の頭の中ではその程度の付き合いの子があっさりキスしてくるんだ。でもね昌俊、ここは日本で、アメリカのルールとかは意外に通用しないんだよ? ハグとかキスとか」 「いやっ、だから本当に――――!」 「……アキちゃーん、ボクもうお弁当も届けたから、一人で帰ってるねー?」
https://w.atwiki.jp/strike_witches/pages/518.html
連合軍第508統合戦闘航空団「マイティウィッチーズ」 司令ジェーン・S・サッチ 戦闘隊長新藤美枝 隊員雁淵孝美 セシリア・E・ハリス デリア・M・ジェラム ジェイミー・E・スウェット ドロシー・ベイカー 松田昌子 小村定恵 注意:各ウィッチの英字表記・かな表記・誕生日はイメージモデル等からの推測も含まれます。 連合軍第508統合戦闘航空団「マイティウィッチーズ」 508th Joint Fighter Wing ”MIGHTY WITCHES” 司令 ジェーン・S・サッチ JANE S THACH 所属 リベリオン海軍 階級 中佐 誕生日 4月19日 その他テストパイロットや飛行教官を歴任し、航空参謀としても活躍していた。空母飛行隊司令、教育隊司令、航空参謀等を歴任し、的確な作戦立案と指揮能力もあって、男性指揮官からの信任も厚い。 教官としては、スオムスへと送られたオヘア少尉等多くの海軍ウィッチを育て、部下からの信望も厚い。 第508統合戦闘航空団の結成を発案し、大佐昇進を断って司令官として参加。 扶桑海軍との共同作戦を行うに当たって、自ら零式艦上戦闘脚を装着してテストを行った。零式の格闘性能の高さに驚きつつも、高速飛行での操縦性の低下や高高度性能の悪さから、F6Fとの共同部隊を組むには別の機体を用意するか、扶桑側もF6Fを使用して欲しいと申し入れた。 これに対し扶桑側は、同艦隊に派遣されるウィッチに新藤少佐の選定で紫電一一型の先行量産型を艦上型の一一型丁へと改修して配備し、紫電二一型が完成すると同じく艦上型の二一型乙へ改修して部隊に送っている。これらのユニットを元に、後に正規の艦上型である紫電四一型が造られた。 この際の扶桑側の素早い対応に感銘を受け、また扶桑側も中佐の率直な態度に感心し、その後の交流は極めて友好的に進んだ。この交流によってリベリオン海軍と扶桑海軍は多くの部材の共通化を図り、紫電四一型にフィードバックされると生産と補給効率の向上に繋がった。 イメージモデル ジョン・スミス・サッチ (1905-1981)愛称 「ジミー」 撃墜数 6 その他対零戦空戦戦術「サッチウィーブ」、神風特攻の対応策である「ビッグ・ブルー・ブランケット」の考案者として知られる。 飛行学校の教官としての教え子に、後にサッチの僚機となるオヘアがいる。 出典 第五〇一統合戦闘航空団全記録弐 第六集 戦闘隊長 新藤美枝 しんどう みえ 所属 扶桑皇国海軍第582航空隊 階級 少佐 誕生日 8月28日 固有魔法 『三次元空間把握能力』 使用機材宮菱重工業 零式艦上戦闘脚二二型(181号機) その他開戦前からウィッチとして活躍し、名指揮官としても知られる。 扶桑海事変から参戦している大ベテランで、零式が初陣を飾った際の部隊指揮官であり、その卓越した指導力で赫々たる戦果を挙げた。 遣欧艦隊機動部隊でも空母赤城のウィッチ隊指揮官を務め、一時はリバウ航空隊の指揮官にも就任し、空母と地上部隊の指揮官を往復して指示を出した。 自らが戦闘に参加するよりも上空で的確な指示を送るタイプで、指揮下の部隊では少数のウィッチでも常に効率的な戦闘を行なう事ができた。固有魔法の力もあって、空母から出撃し、海洋上で全く目印がない所からでも確実に部下を連れ帰る事ができる。 自身の空戦能力も極めて高く、零式の操縦性を存分に引き出した高度なアクロバット飛行を易々とこなす。零式を知り尽くしており性能の限界も十分認識していた事から、リベリオン側から零式では共同作戦を行うのに性能不十分と通達があった際には、国内の反対を押し切ってすぐに紫電を使用機材に選定した。 声優 森谷里美 イメージモデル 進藤三郎 (1911-2000)その他歴戦の戦闘機隊指揮官として知られる搭乗員で、零式艦上戦闘機が初戦果を挙げた空戦において指揮官を務めた事で有名。 広島県出身。 1932年に第60期海軍兵学校を卒業、1934年11月、第26期飛行学生として霞ヶ浦航空隊に入隊、翌年7月に教程を修了し大村航空隊に配属。 1937年3月、加賀戦闘機隊分隊長、次いで12月には佐伯航空隊に勤務。 1938年7月、第13航空隊付に補され中支戦線に進出、要地防空任務にあたった後、12月に内地帰還し大村航空隊に勤務。 1940年5月、第12航空隊分隊長を拝命し再び中支戦線に進出、漢口基地で零戦の錬成訓練にあたる。零戦初出撃である同8月19日の第1回重慶攻撃では陸攻隊を直掩して重慶上空に進攻したが、敵機を発見できず帰還。 同9月13日、零戦13機を率い重慶を再度攻撃。上空をデモ飛行中の敵戦闘機30機を捕捉して空戦に入り、自らの1機撃墜を含め27機を撃墜、味方の損失は無し。 同11月、第14航空隊に転属、次いで1941年4月には新編成の第1航空艦隊の旗艦である赤城の戦闘機隊分隊長に補され鹿児島基地に赴任、ハワイ作戦に備えた訓練にあたった。 真珠湾攻撃では第二次攻撃隊制空隊指揮官としてフォード島のヒッカム飛行場銃撃に加わり、次いで蘭印攻略作戦、インド洋作戦に参加した後、1942年4月本土帰還。 徳島航空隊飛行隊長を経て11月に第582航空隊飛行隊長に転じ前線復帰、1943年7月に第204航空隊飛行隊長、12月には龍鳳戦闘機隊長を歴任しつつソロモン航空戦に参加。 1944年2月本土帰還、3月に第653航空隊飛行隊長、11月に第203航空隊飛行隊長を歴任。 1945年5月築波航空隊に転属し、最後は戦闘402飛行隊を指揮し福知山基地で終戦を迎えた。 出典 第五〇一統合戦闘航空団全記録 第一集/第五〇一統合戦闘航空団全記録弐 第六集/TVアニメ『ブレイブウィッチーズ』(2016年) 隊員 雁淵孝美 かりぶち たかみ 所属扶桑皇国海軍第22航空戦隊第253航空隊 連合軍第508統合戦闘航空団「マイティウィッチーズ」 階級中尉(アニメ『ブレイブウィッチーズ』) 大尉(508JFW所属時) 誕生日 10月22日 使用機材宮菱重工業 零式艦上戦闘脚二一型 山西航空機 試製紫電改二型(チドリ仕様) 山西航空機 紫電一一型 その他顔立ちは幼いが、どんな苦境にあっても明るい笑みを絶やさない性格。階級を気にせず誰にでも親しく言葉をかける事ができる。 問題を見つけるとすぐに解決を試み、常に部隊の融和を図ろうとする優れた能力を持っている。 空中では敢闘精神旺盛で、誰よりも先に吶喊し、的確な操縦技量で敵を撃墜する腕前の持ち主。 陸上部隊が中心で母艦乗り組みはさほど多くないが、1944年秋頃には第三航空戦隊の翔鶴に乗組。 1944年秋、502JFW参加のため渡欧する途上、白海でネウロイの襲撃を受け重傷、後送される。1945年春に復帰。フレイヤー作戦時に502JFWに加わるが、作戦後、妹ひかりの正式な加入に合わせて離任。 508JFWの設立に伴い、新藤少佐から最初のメンバーとして選出された。リバウ時代に新藤少佐と面識があり、その腕前と性格を十分に知られていた。 扶桑のウィッチは陸上部隊であっても海上での航法が十分に叩き込まれており、誰でも母艦での離着陸程度は容易にこなすだけの腕前が要求されていた為、陸上部隊出身である事は大した問題とはならなかった。 紫電一一型に完熟しており、その性格が統合戦闘航空団の先任として適任と判断された。 宮藤によると胸はヴィルケ中佐ほどある。 声優 末柄里恵 イメージモデル 鴛淵孝 (1919-1945)撃墜数 6 その他長崎県出身。六人兄弟の四男で、明るく寛容な人柄で知られた。 1937年4月、第68期海軍兵学校入学。鉄拳制裁等を行わず身をもって模範を示す学生生活を送った。 1941年4月、少尉任官し第三十六期飛行学生となる。 1942年7月、同期生の村田功中尉、大野竹好中尉と共に最前線のラバウルに展開する台南海軍航空隊へ配属。同8月7日にガダルカナルで先任搭乗員だった坂井三郎一飛曹が被弾し重傷、数日後に内地へ帰還。同8月26日、ガダルカナルへ進攻した笹井醇一中尉が未帰還。 台南空着任時、笹井中尉に才能を見込まれ、坂井一飛曹に育成を依頼したといわれる。 同11月1日、台南海軍航空隊は戦力回復のため内地へ帰還し、第251海軍航空隊に改称。武藤金義が所属する第252海軍航空隊とは入れ違いだった。 1943年5月、第251海軍航空隊分隊長として僚隊の第201海軍航空隊、第204海軍航空隊と共にラバウルへ再進出。 同9月、第251海軍航空隊は夜間戦闘機隊に改編。この改編に伴い、西沢広義飛曹長と共にサイパンから進出した第253海軍航空隊へ転属。 同11月1日、大尉に昇進。 1944年4月、第203海軍航空隊の戦闘304飛行隊長に着任。同年11月、レイテ島タクロバン飛行場攻撃の際に地上砲火を右足先へ受け負傷しセブ島に不時着。療養のため内地送還となる。 1945年1月8日、第343海軍航空隊着任。 同7月24日、紫電二一型を駆って大村基地を出撃、豊後水道上空で約200機の敵機を迎撃するも被弾し戦場を離脱、その後行方不明となり未帰還。後に少佐に昇進。 出典 第五〇一統合戦闘航空団全記録弐 第六集/TVアニメ『ブレイブウィッチーズ』(2016年)/WORLD WITCHES 2018 セシリア・E・ハリス CECILIA E HARRIS 所属 リベリオン海軍 階級 中尉 使い魔 ドメスティックショートヘア 使用機材グラマー F4F グラマー F6F その他ネウロイ侵攻時は普通の教員学校への進学を志していた。 魔法力が発現した事からリベリオン海軍に志願、士官候補生として訓練を受けた。 少尉任官後、41年には第27護衛戦闘飛行隊に配備され、実地で激しい訓練を受けている。同部隊は給油艦のスワニーを改装した護衛艦に搭載されていた航空隊で、欧州で船団護衛任務を行っていた。 42年には北アフリカへのリベリオン上陸作戦の支援に参加。この際、ダカール軍港にいたルマール曹長(当時)に協力し、初撃墜を記録している。 地中海方面で北アフリカへの補給支援任務に就いていたが、F4FからF6Fへと機種転換した際に第18戦闘飛行隊へと転属。同部隊は暫く太平洋方面で慣熟訓練を行っていたが、その際に扶桑海軍と合同訓練を行い、扶桑のウィッチと交流を深めた。 第508統合戦闘航空団の設立に際し、合同訓練が縁となりサッチ中佐に次いでメンバーに選出された。 イメージモデル セシル・E・ハリス (1916-?)撃墜数 24 出典 第五〇一統合戦闘航空団全記録弐 第六集 デリア・M・ジェラム DELIA M JERAM 所属 ブリタニア空軍 階級 大尉 その他淑女然とした柔らかな物腰ながら、やや慇懃無礼な態度の持ち主。スウェット中尉とは水と火のような正反対の性格ながら妙に気が合うようで、良いコンビとして戦果を挙げている。 第508統合戦闘航空団の設立に際し、空母ヴィクトリアスと共に同航空団に送り込まれた。 イメージモデル デニス・メイボア・ジェラム (?-1977)撃墜数 6 出典 第五〇一統合戦闘航空団全記録弐 第六集 ジェイミー・E・スウェット JAMIE E SWETT 所属 リベリオン海兵隊第221海兵戦闘飛行隊 階級 中尉 誕生日 6月15日 その他海兵隊の中でも若手のウィッチで、激しい性格の持ち主だが腕は確実。 カール大尉に推薦され第508統合戦闘航空団に参加。異なる環境で暫く揉まれると将来的にはもっと成長すると見られていた為。 ブリタニア製のユニットを使用していた事もあり、最も環境が異なる場所としてブリタニア空母ヴィクトリアスへの搭乗が決定した。ジェラム大尉とは火と水のような正反対の性格ながら妙に気が合うようで、良いコンビとして戦果を挙げている。 イメージモデル ジェームス・エルムス・スウェット (1920-2009)撃墜数 15.5 出典 第五〇一統合戦闘航空団全記録弐 第六集 ドロシー・ベイカー DOROTHY BAKER 所属 リベリオン海兵隊 階級 中尉 誕生日 8月27日 その他空母エンタープライズ所属。 第508統合戦闘航空団へのエンタープライズ派遣に伴い、同航空団の追加メンバーとして選ばれた。負傷療養中だった。 イメージモデル ダグラス・ベイカー (1921-1944)撃墜数 16.33 出典 第五〇一統合戦闘航空団全記録弐 第六集 松田昌子 まつだ しょうこ 所属 扶桑皇国海軍 階級 少尉 誕生日 7月1日 使用機材山西航空機 紫電一一型 その他ネウロイ侵攻以後に軍に入った若手だが、その腕前は扶桑海軍でもトップクラスで、多数のネウロイ撃墜を果たしている。 さながら研ぎ澄ました扶桑刀のような切れ味の空戦技能と、殆ど後ろを見ず真っ直ぐに敵に突き進む戦法は、見る者に無謀さを感じさせる程であった。この戦法を危み、環境を変える事で余裕を持たせようと考えた雁淵大尉により、第508統合戦闘航空団に推薦された。 雁淵大尉と同部隊に配属され、紫電一一型の習熟訓練中だった。 第508統合戦闘航空団に配属されて後は2人1組のロッテ戦法を行うようになり、更には2番機として長機を守る任務に就いた為、無謀な行動は影を潜めるようになっていった。 イメージモデル 杉田庄一 (1924-1945)撃墜数 120以上 通称 「闘魂の塊」 愛称 「杉さん」 その他第204航空隊の最多撃墜数保持者として知られる。 新潟県出身。 1940年6月、横須賀海兵団に入団、翌年4月に第3期丙種飛行予科練習生を卒業し第17期飛練過程に進み、大分航空隊で戦闘機専修延長教育を受けた。 1942年4月、第6航空隊に配属され、木更津基地で練成訓練に当たった。 ミッドウェー海戦に参加し、占領後の同島進駐部隊として輸送船慶洋丸に乗船したが、大敗による作戦中止のため本土に帰還。 同10月、ソロモン航空戦加入の為ラバウル、次いでブーゲンビル島ブイン基地に進出。同12月1日、ブイン上空迎撃戦でB-17を神田飛長と共同撃墜し初戦果。 ソロモン、ラバウル、東部ニューギニアを転戦し戦果を重ねた。 1943年4月18日、山本五十六連合艦隊司令長官の前線視察に6機の零戦による直掩戦闘機隊の1機として任務に当たり、ブイン上空でP-38と交戦し1機を撃墜するも、山本長官機は撃墜されてしまった(海軍甲事件)。 この後、ガダルカナル島攻撃、ツラギ、ルンガ泊地攻撃、ルッセル島攻撃、レンドバ攻撃、船団護衛、ベララベラ攻撃、ブイン迎撃戦等に参加、8月26日にショートランド島東南海上で約20機のF4Uと交戦し被弾、落下傘降下で脱出するも全身火傷の重症を負いラバウル第八海軍病院に入院、後本土に送還され横須賀、舞鶴海軍病院で治療に務めた。 負傷回復後は大村航空隊に勤務し飛練35期の教員を務め、在職中坂井三郎飛曹長と共にソロモン戦域での最多撃墜記録保持者として表彰された。 1944年3月、第263航空隊に転属しカロリン諸島、マリアナ、ペリリュー島を転戦、同7月8日、重松康弘大尉率いる零戦6機でパラオに向かう途中のヤップ付近でVF-31のF6Fに迎撃され、ただ一人生き残りペリリュー島に逃れた後、第263航空隊の解隊に伴いダバオに後退し第201航空隊に編入。 本土帰還後の1945年1月、第343航空隊戦闘301飛行隊に転属、松山基地で紫電改の練成に当たり、3月19日に松山上空迎撃戦に参加。 同4月以降の沖縄作戦開始以降は鹿屋基地に進出して沖縄航空戦に参加。 4月15日、迎撃のため鹿屋基地を離陸中にVF-46所属ロバート・ウェザラップ少佐搭乗のF6Fに奇襲攻撃され墜死。死後二階級特進し少尉。 出典 第五〇一統合戦闘航空団全記録弐 第六集 小村定恵 こむら さだえ 所属 扶桑皇国海軍 階級 少尉 誕生日 4月18日 使用機材山西航空機 紫電二一型(312-74号機) その他豪快でありつつも人情に厚い性格で、リベリオン人にも引けを取らない長身の体格。 開戦以来、遣欧艦隊の三番艦翔鶴に乗り込んでいたが、母艦と共に第508統合戦闘航空団に送られる事になった。翔鶴が損傷してドッグ入りの為に扶桑に戻っていた事から。 そのまま翔鶴に残るはずだったが、エンタープライズを母艦とするリベリオンのサッチ中佐は航空参謀としてほとんど飛行を行わない為、戦力の均衡を図ってエンタープライズに送り込まれた。体格的にリベリオン人に見劣りせず、性格的にも気楽にやっていけると思われた事による。 この人選は成功し、ハリス大尉とすぐに打ち解け親交を深めた。 イメージモデル 小町定 (1920-)通称 「荒武者」 撃墜数 40 その他真珠湾攻撃から1945年8月18日の第二次世界大戦最後の空戦まで太平洋戦争の全期間を戦い抜いた搭乗員で、岩本徹三、熊谷鉄太郎らと並び敵編隊への三号爆弾による攻撃の名手。 身長185cmと長身の偉丈夫。 石川県出身。その軍功でよく新聞を賑わせ故郷でも有名人であった。 1938年6月、呉海兵団に入団。 1939年11月、第49期操縦練習生に採用され霞ヶ浦航空隊に入隊、1940年6月に操練を卒業、戦闘機搭乗員となる。 大分航空隊で延長教育の後、1940年4月、新編成の第一航空艦隊空母赤城戦闘機隊に配属され、鹿児島基地で訓練に当たった。 同年9月、第五航空戦隊空母翔鶴戦闘機隊に転属、太平洋戦争開戦日には真珠湾攻撃部隊の母艦直衛任務に当たった。 1942年5月、珊瑚海海戦においてF4F2機(うち1機は共同)、SBD1機を落とし初撃墜を記録。 同8月24日、第二次ソロモン海戦ガダルカナル上空でVF-6のF4Fと交戦、被撃墜を装い辛くも離脱するも燃料切れで不時着水。味方駆逐艦に救助された。 ラバウルでは第204航空隊、次いで第253航空隊としてトベラ飛行場で戦闘に参加、対空爆弾を使用しB-24迎撃戦を行った。 1944年6月19日、マリアナ沖海戦に参加する為トラック島からグアムに向かうが、当地でF6Fに撃墜され不時着水し負傷。潜水艦で本国に帰還。 2か月後退院し峰山航空隊に教員として赴任、教員として飛行予科練生の指導にあたった。当時の海軍では当たり前だった体罰を部下に一切加えなかったばかりか、むしろこれを「海軍の欠陥」として批判。 神ノ池航空隊勤務の後、横須賀航空隊で終戦を迎えるが、終戦の数日後である1945年8月18日、東京上空で386thBSのB-32の2回目の迎撃に参加し、ジョン・R・アンダーソン少尉の乗機に被害を与えた。日本が公式に終戦合意文書にサインしたのは9月2日だった為、この攻撃は国際法上合法だったが、米軍からの報復を恐れ、駐留軍が日本を去るまでは「地下に潜って」生活した。 出典 第五〇一統合戦闘航空団全記録弐 第一集/第五〇一統合戦闘航空団全記録弐 第六集
https://w.atwiki.jp/guroba/pages/28.html
グロバの、黒杉さんへの誹謗中傷まとめ。その2~聖羅スレ編~ グロバ自身が掲示板上で発言したものを載せています。 グロバの発言量が多い為、余分なレスはカットしています。 住人のレスも必要個所だけ抜粋。 グロバのストーカー行為も併せてご覧ください。 ※続き 543 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/23(水) 16 33 29 ID OSaI2GXC0 リアルだと背は愚に何一つ言い返せなそうなイメージ。 頭の中とかネットでは言いたいこといってるけど、空気が読めなくて煩い愚に 直接対決はしなさそうだよね。 試験管割っただけでパニクって思考停止する人が リアルで喚かれたら何も出来ないでしょ。 つか背はネット弁慶っぽい。 564 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/24(木) 08 32 32 ID Kf7PIpbfO ⇒543そうです聖羅は学校では黙ったままやね自分から話し掛けれない誰かと一緒です(^0^)/喧嘩する勇気もないんやけどや~?自分が 間違ってるってわかっとってかもしれん ちゅうか聖羅きたし~~本物?おまえ友達おらんねんから家に引きこもって黒杉さんと、仲間になったら!黒杉さんはいま みんなに嫌われて友達がいないのでちょうど良いよま~こっちに喧嘩売らないで優雅にお勉強しなさい日本語でも。 あんなに日本語を使えない人は初めてみたし親父もゆっていました 586 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/24(木) 15 36 49 ID xKJwTpUHO チキンチキン言うけどそんな所で勇気があってどうするよ。 そんなもん社会に出たらクソの役にも立たんぞ。 必要なのはイガイガした人間関係をかわす華麗なスルーだよ。 黒杉さんは立派だなぁ。 588 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/24(木) 17 36 05 ID K8XDEfiT0 黒杉さんは友達いないアピールに必死だな それは自分だろう足立(笑)www それに本当に黒杉さんが学校に親しい人間がいないとしても、 同人サイトやmixiもやってるんだろ 学校の外に別の人間関係があるからそっちメインなんだよ どこでもハブな足立(笑)には分からないだろうけどwww 589 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/24(木) 17 47 29 ID Kf7PIpbfO ⇒586いやいやかわせてないし!!!だから休み時間は一人でパソコンをしたりケータイさわっとってやで最近ミスばかりで、この間も実習で失敗して先生に 怒られて居残りで何回もすると私の友達にゆっていました ⇒588同人とちゃうで、漫画あんまりしらんし、イラストと作曲とフラッシュのホームページと言いました。 ちゅうかリアルで友達出来ないのにネットだけの友達なんか寒いやん!!!顔が見えないから付き合えるかもしれんし 実際に仲良く出来ない友達は本当の友達じゃないですミクシーには愚痴をゆってると、最初にゆっていました。怖いですね~(^0^)/ 593 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/24(木) 17 59 01 ID ioZQ5clJ0 黒杉さんはレベルが高い常識人からな セーラやグロバの低レベルな行動にいちいち構ってられないんだよね それが大人と子供ってものだ 609 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/25(金) 08 31 26 ID hAk4k3S1O ⇒593いやいや確かに頭はまぁまぁいいけどや~常識レベルは低いよ 610 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/25(金) 08 35 31 ID hAk4k3S1O ちゅうかここの人痛いな…黒杉さんをみたこともないのに誉め過ぎ 618 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/25(金) 11 06 50 ID hAk4k3S1O しかも黒杉さんははっきりいっても可愛くないし友達の男子に黒杉さんがかわいいかどうか聞いたら 嫌がって苦笑いしていました聖羅にプロフィールを書かれたときに体重も聞いたら本当に五十キロあるとゆっていました しかも頭はハゲかけています、そのうえ、子供が嫌いでヤクザの喋り方で髪を染めてピアスを四つあけていますそんな黒杉さんと友達とかに なりたいん? 626 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/25(金) 12 30 08 ID tzK8CJFDO . 621 155cmじゃなかったっけ? よく覚えてないけど。 150後半で50kgじゃ普通だよ 630 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/25(金) 13 17 57 ID 5Rqw7hXI0 . 617 病院にもよるんだが、封建制な所だと、 身分が高方から順に 医者(雲の上)>看護婦(命握ってるのはアテクシ様)>技師(生きた 機 械 )>事務(下女)>患者(ATM) 下ほど身分が卑しい(低いなんてもんじゃない) って感じで、そりゃもう見下されるんだよ。 身分の高い方の視界に入ってお目を汚す事がないよう、気をつけなくちゃいけないし、 もちろんお耳を穢してもいけないから声をかけるなんて言語道断! おはようございます?視界に入るなんて不遜な!! まあだからハンパな地位(まさしく技師)だと大変だね。 見下したくっても下は業務と直接関係ないから上から目線出しても当たらないw 漏れのいたとこでは仕事場か詰め所(物置を改造したらしく狭くて窓がない)に、 ヤニと一緒に詰まってたよ。目が死んでたな。 ネタだと思いたいだろうが、これマジなんだ・・・。数年前いた職場。 もちろんこんな状態だから、空気最悪っていうか異臭漂ってた。(監査の人が来る時だけ無臭に) 『改善なんて勿論しないよ!だって自分困ってないし、お金もったいないし、 卑しい奴(医者以外の全て)とは話したくないんだもん!』(by 理事長様) (以下省略) 631 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/25(金) 13 28 54 ID hAk4k3S1O ⇒626だってめっちゃデブっつ自分でも認めてるし五十キロぴったりとはかぎりません ⇒630まさに黒杉さんにびったりですね世の中に出てこないようにそんな病院にいってほしいやん!!!黒杉さんは 口が悪いし他人を見下すのですぐに首になります!! 632 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/25(金) 13 30 17 ID hAk4k3S1O あごめん黒杉さんがそうなるってことやんな 633 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/25(金) 13 30 54 ID I0Rv2jGZ0 少なくとも、2ちゃんに入り浸って他人を中傷してばかりのどちら様かよりは よっぽど仕事も人付き合いも長続きすると思いますよwww 634 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/25(金) 13 44 21 ID /834922v0 携帯って句読点あったよね… 少なくとも私の携帯電話にはあるんだが。 愚って黒杉さんのこと、何で嫌いになったんだろう。 背をスルー→「チキンのすること!」→愚もスルー→「私の忠告を聞かないなんてふじこ!」 で、無視&ここに悪口書きに来るようになったんかな。 でもどうでもいい人に無視されても、痛くも痒くもないよなー 642 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/25(金) 16 51 12 ID hAk4k3S1O ⇒633だって630がそうゆっとってやん技師ってことは黒杉さんも含まれますよ!! ⇒634ま~前から常識ないと思ってたけど我慢してたの!(誕生日もあるし)でも喧嘩して謝らないし子供が嫌い・レストランと病院で走る とムカつく・声がうるさいし親が注意しないと子供なのに仕方ないことをゆって、違うと教えたのに黒杉さんは心を入れ換えず、 それは聖羅と一緒だし無条件に人を嫌うのはよくないと言っても謝らず次の日から誘ってあげても冷たかって危険人物とはっきりわかったからやで 644 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/25(金) 17 02 38 ID Oc79ipf30 同じ事しかいわない壊れたスピーカーは早く消えますように 自分も祈っておく 黒杉さんがんばってー 社会不適応者の背と愚に負けないで自分の道いけるといいな 646 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/25(金) 17 11 23 ID hAk4k3S1O 残念ながら黒杉さんは社会不適合者なので無理で~す(^0^)/ 今日も テストが帰ってきましたが暗かったです、最近いらついて調子悪いとゆっていましたが聖羅のプログはもう消えているのにまだ人のせいにしています 黒杉さん頑張って~~~(≧∀≦)(笑) 664 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/26(土) 12 31 38 ID O3NHFbxlO で、聖羅と黒杉さんがつかまるのはいつになるん?黒杉さんは先週に呼出しをくらっていました(^0^)/ ※フラグが立った! 該当スレを見て、ついに学校側が動き出したかと住人wktk 675 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/26(土) 17 24 14 ID O3NHFbxlO もし先生に見つかっても黒杉さんが最初に悪いことをしたのだから仕方ないです!!!黒杉 さんは喧嘩をしたり悪いことをしたら謝るしそんな幼稚園児でもわかるとゆっときながら自分は出来てないので 幼稚園からやり直さないとダメでしょう、まともな先生なら、それはわかります!!! でも聖羅は………(笑)確かに泣きそうや 701 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/29(火) 00 03 28 ID yRLjAIyy0 まあ誰にしろ黒杉さんを犯罪者呼ばわりしてる時点でまともな人間じゃないよな 702 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/29(火) 08 19 43 ID Hf/DbC94O 今日はパソコンのテストや~~緊張するな~まあ友達に聞くけど…ある意味パソコンオタクには有利だね ⇒701黒杉さんというだけで犯罪者じゃないてことはあなたは黒杉さん?(笑) 711 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/29(火) 15 21 47 ID Hf/DbC94O 聖羅のしたことは確かに犯罪やけどや~?こっちはアドレスを出会い系に晒してはいません!!!! 一緒にしないでくれる! なんか人のこと悪者にしてゆっとってやけど黒杉さんに忠告しただけやん 間違ったことはしてないし、一度も嘘を書いたり、悪いことをしてません!!!それがなんでこっちが悪者で 謝らない黒杉さんが悪くないの! ※ここ重要ですよ。テストに出ますよ 710 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/29(火) 15 12 22 ID PAeZqh8SO ホント、ヲチャに何度同じ事言われても 全然理解しないんだよね。 あぁ、あれか? ゲロは動物みたいに、悪い事したら即座に解りやすい罰を与えないと学習しないのか? それってちしょ(ry あと、まーだ「友達とられた」って言ってるけど、 本当にゲロと「友達」って言える仲だったら 黒杉さんと付き合いはじめても元の「友達」を捨てたりはしないだろ… 前々から機会を見計らってゲロから逃げ出そうとしてたんだろうなぁ。 黒杉さんの友達もカワイソス 713 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/29(火) 15 28 51 ID Hf/DbC94O ⇒710体罰・虐待はつかまるんだよ(^0^)/ちゅうか黒杉さんの友達じゃないし多分我慢しています だから2ちゃんの痛い人がいうのが当たっているのは 黒杉さんは休みのひも遊びに行くとも達がいないので 家に篭って誰とも喋らずに部屋でパソコンしたり絵を描いているとゆっていたことです!!! 724 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/29(火) 16 42 15 ID PAeZqh8SO 愚の誹謗中傷、盗撮、なりすましは十分な罪になるよな。 それで黒杉さんの方は… 愚は馬鹿の一つ覚えで必死に「悪い事」「悪い事」っていってるけど 黒杉さんが明確に法に触れてるような部分は書かれていないんだが。 これじゃダメだよゲロバ。 725 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/29(火) 16 46 47 ID utvsQgRj0 そんな風に言うとまたゲロがありもしない法律でっちあげて 馬鹿書き込みしちゃうだろwwwww ゲロがまた恥かいちゃうよ 727 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/29(火) 17 29 57 ID 1joL8dC10 愚の言う”ゆっとっちゃってた”ってどっかの方言?グロ語? .>間違ったことはしてないし、一度も嘘を書いたり、悪いことをしてません!!! 愚のレスは間違い放題だし、愚の言ってることも人としてまちがってるし、 「自分はグロバじゃない」って嘘かいたし、人の悪口をいうのは悪いことだと思うよ(^0^)/ 悪口をいっちゃいけないってうちの親父もゆっとっちゃったし(笑) 729 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/29(火) 17 50 28 ID yRLjAIyy0 グロテスクなスレだなあ もう構ってやるなよ、言うだけ無駄だ 他人を排除することでしか自己を確立できない可哀想なDQNなんだよ 叩かれれば叩かれるほど意地になって反抗してくる馬鹿な大きい子供 そんなのあやすために時間費やすよりも 大人で才能溢れる黒杉さんの素晴らしさを語り合ったほうが有意義だと思わないか だから黒杉さんは俺の嫁。 745 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/30(水) 08 31 56 ID n9T1m6hHO ⇒725犯罪幇助って法律では悪いとゆっていましたけどないの?あと、殺人をしなくてもそれを予告しただけでも犯罪になるから黒杉さんは裁かれるってさ ⇒727確かに悪口はちょっとだけ悪いけどや~?こっちも被害受けてるわけやしそれに、妹は表現の自由・言論の自由だからいいってゆっとってやで ⇒729黒杉さんと結婚したら死ぬで~~~~!!! (笑) 747 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/30(水) 08 38 44 ID n9T1m6hHO いやいや黒杉さんは自分で性格悪いってゆっとってやし… 恋人=病原体てゆっとっちゃった(笑)欠点ちゅうか長所ないし、友達もいません!!それでもそんなに黒杉さんがいいんやったら紹介してあげるは(^0^)/ま~多分冷やかしやけど、実際に黒杉さんみたら逃げ出す!(笑) 742 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/30(水) 07 06 10 ID KwIAdMBD0 ゲロ、あんだけしょうもない文章書き散らかしときながら 何故黒杉さんを嫌うようになったかハッキリとは書いてないんだよな。 . ⇒830聖羅のせいで大事になってるのだから黒杉さんは対処する責任がありました、それで私が . 本人にゆった方がいいと忠告したのに、黒杉さんは他に悩みがあるし聖羅のことくらいどうでもいいとゆっとってやし、こっちにまで迷惑がかかってます!! . 正義感があってごめんなさいやけど黒杉さんのしてることは許せない!!!! . 自分のことしか考えてません . ⇒833確かにありますがそれ以上に悪いことをされたし、私も . きついことを言われました悪くないときに怒られたから怒っていたら、 . 仕方ないとゆってきましたし えーと、背をイジめてやりたいがリアルで手を下せないヘタレのゲロは 黒杉さんをけしかけようとするも、断られるどころか諌められてしまい逆切れ…ってとこですか? 750 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/30(水) 08 53 52 ID 28GlxJzWO ゲロはそろそろ侮辱罪になるんじゃない? ネットとはいえ、学校スレでは本気になれば特定できる人や、すでに特定してる人がのぞいてるんだし。 752 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/30(水) 09 01 57 ID n9T1m6hHO ⇒742違います聖羅のことはムカつくけど黒杉さんが腰抜け発言するので諦めの境地でしたでもその後 黒杉さんは子供が嫌いといい、小児科のバイトをしたくないとか、私もバイトしようかゆったら絶対やめとくとゆわれました 黒杉さんは無条件に子供が嫌いなのでそれやったらいつか犯罪犯すので叱ったらなんか豚みたいに怒ってました(笑) しかも次の日になっても謝ってきませんでした ⇒750いやいやヲチャしかいないから大丈夫(^0^)/ 773 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/30(水) 18 34 32 ID wpOalYEo0 もうほんと、安価と句読点どうにかしてくれよ愚 しかも書いてること全部同じじゃないか。 黒杉さんが嫌いなのはわかった。 黒杉さんも愚みたいな人間と距離を置けてホッとしてるよ。 セラタンスレに何をしに来てるんだか、この人は。 もう巣へおかえり 780 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/30(水) 22 46 14 ID 9uqnetoa0 俺たちから見たら素晴らしい事でも緑の物体からすると 子供嫌いだったのに子供の為のボランティアだなんておかしい!!!! ってなるんだろうな。 子供全般が嫌いなんじゃなくて 「躾」がなってない常識はずれな行動とる子供が苦手だって意味だと分からないんだろうなぁ。 782 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/31(木) 00 54 53 ID MD9UdMWdO セーラタンと愚が捕まったとしても、精神鑑定で減刑されそうだよね… 783 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/31(木) 08 25 41 ID BJ6pfB1VO ⇒773違います私が無視をしようとしているのに、黒杉さんは私の仕事を取ったり 勝手に私の友達と帰ったりします、 ⇒780ちゅうか黒杉さんのほうがしつけなってないやん!!!!!人のことばっかりいいますね黒杉さんは前世からそうだったのでもう直らないと思います ⇒782黒杉さんが捕まってもそれはいえてるな~でも精神年齢で軽くなるのは甘い!!!キモイ人はちゃんと牢屋に入れてほしいね 790 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/31(木) 09 10 39 ID 3J1e4hYgO 精神鑑定は精神年齢はかるもんじゃないぞ。 黒杉さんが愚の仕事とったり? 愚が出来ない 仕事遅すぎるからじゃないの? つかさ~実際に医療現場行ったら仕事とったとられたとか言ってらんないだろうに。 迅速に対応出来る人が重宝されるよね。 学校スレ見る限り所詮遊び半分で授業受けてるんじゃない? そりゃ「友達」とやらも引くよ。 791 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/31(木) 09 15 04 ID x8Lg+XJeO 友達も嫌なら一緒に帰ったりしないわな。 ところで、学校スレで書かれていたことを否定しないと言うことは、 学校スレの尿カップ洗わなかった汚い人=ゲロ=ここで黒杉さんを罵倒&グロバさん(笑)擁護してるやつ という事が確定したことにならないか? 794 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/31(木) 10 04 30 ID BJ6pfB1VO ⇒790だってその時に先生がいなかったからしかたないです、黒杉酸も聞いていたのに知らん顔していやみをいいます ⇒791帰りは私は電車がなかなかこないので早く帰ってやけど黒杉さんは私が帰るのを待ってるはずですそして友達につきまとってます!! 802 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2008/01/31(木) 17 03 12 ID BJ6pfB1VO 最悪な事がありましたさっきレポートを返してもらって成績の悪い子には印が付いているのですが 黒杉さんはどうだった?て聞かれて多分私がいたから、後で言うはって言いました多分悪かったんだと思います(^0^)/ まとめてもまとめても終わらなーい。 その3へ続く
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/259.html
国連・子どもの権利委員会 定期報告書ガイドライン(改訂第3版)付属文書 CRC 定期報告書ガイドライン(第3版) 子どもの権利に関する条約第44条第1項(b)に基づいて締約国が提出する定期報告書への統計情報およびデータの記載に関する指針 I.序 1.締約国は、定期報告書の作成にあたり、形式および内容に関する条約別指針にしたがうとともに、この付属文書で説明されているとおり、年齢または年齢層、性別、所在地(農村部または都市部)、マイノリティ集団もしくは先住民族集団、民族、宗教、障害または適切と考えられる他のカテゴリーごとに細分化された統計的情報およびデータを適宜記載するよう求められる。 2.締約国が提供する統計的情報および細分化されたデータは、前回の報告書が検討されて以降の期間を対象としたものであるべきである。報告対象期間中の推移を示す表の掲載が推奨されるところであり、また報告対象期間に生じた重要な変化についても説明またはコメントを行うことが求められる。 II.報告書で提供されるべき統計的情報 A.実施に関する一般的措置(条約第4条、第42条および第44条第6項) 3.締約国は、報告対象期間中の支出総額と関連させながら、社会サービスのための資源配分に関する情報を提供するよう求められる。 (a) 家族手当および/または子ども手当、条件付現金給付制度 (b) 保健サービス(とくにプライマリーヘルスサービス) (c) 乳幼児期の発達(ケアおよび教育) (d) 教育(初等・中等教育)、職業教育および職業訓練、特別教育 (e) 子どもの保護のための措置(暴力、児童労働および性的搾取の防止ならびにリハビリテーションのためのプログラムを含む) 4.締約国は、子どもとともにおよび子どものために活動する専門家を対象として実施された、条約に関する研修についての統計データを提供するよう求められる。これには次の専門家が含まれるが、これに限るものではない。 (a) 司法職員(裁判官を含む) (b) 法執行官 (c) 教職員 (d) 保健従事者 (e) ソーシャルワーカー B.子どもの定義(第1条) 5.締約国は、締約国に住んでいる18歳未満の子どもの人数および割合に関する、前掲パラ1で述べたとおりに細分化されたデータ、ならびに、婚姻している子どもの人数に関する、年齢その他の関連の基準(都市部/農村部、民族、マイノリティ集団または先住民族集団)によって細分化されたデータを提供するよう求められる。 C.一般原則(第2条、第3条、第6条および第12条) 1.生命、生存および発達に対する権利(第6条) 5.締約国は、次の原因による18歳未満の者の死亡について、前掲パラ1で述べたとおりに細分化されたデータを提供するよう勧告される。 (a) 非司法的処刑、略式処刑または恣意的処刑 (b) 死刑 (c) HIV/AIDS、マラリア、結核、ポリオ、肝炎および急性呼吸器感染症を含む疾病 (d) 交通事故その他の事故 (e) 犯罪その他の形態の暴力 (f) 自殺 2.子どもの意見の尊重(第12条) 7.締約国は、次の点に関するデータを提供するよう求められる。 (a) 子ども団体および若者団体の数ならびにこれらの団体が代表している構成員の人数 (b) 独立の生徒評議会を設けている学校数 (c) 司法上および行政上の手続で意見を聴取された子どもの人数(その年齢に関する情報を含む) D.市民的権利および自由(第7条、第8条および第13~17条) 1.出生登録(第7条) 8.締約国は、出生後に登録された子どもの人数および割合ならびに登録時期に関する情報を提供するよう求められる。 2.適切な情報へのアクセス(第17条) 9.締約国は、子どもがアクセスできる図書館(移動図書館を含む)の数および情報テクノロジー設備がある学校の数についての統計を提供するよう求められる。 E.子どもに対する暴力(第19条、第24条第3項、第28条第2項、第24条、第34条および第37条(a)) 1.虐待およびネグレクト(第19条)(身体的および心理的回復ならびに社会的再統合(第39条)を含む) 10.締約国は、次の点に関して、前掲パラ1で述べたとおりに細分化されたデータを提供するよう求められる。 (a) 親その他の親族/養育者による虐待および/またはネグレクトの被害者として報告された子どもの人数および割合 (b) 報告された事案のうち、加害者に対する制裁その他の形態のフォローアップが行なわれたものの件数および割合 (c) 回復および社会的再統合に関する特別なケアを受けた子どもの人数および割合 2.拷問または他の残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いもしくは処罰を受けない権利(第37条(a)および第28条第2項) 11.締約国は、次の点に関して、前掲パラ1で述べたとおりにおよび侵害の態様別に細分化されたデータを提供するよう求められる。 (a) 拷問被害者として報告された子どもの人数 (b) 他の残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いまたはその他の形態の処罰(強制婚および女性性器切除を含む)の被害者として報告された子どもの人数 (c) あらゆる場面(保育施設、学校、家庭、里親ホーム、施設および子どもにサービスを提供するその他の場所)における体罰の発生件数ならびに集団的いやがらせおよびいじめの発生件数 (d) 前掲(a)、(b)および(c)として報告された侵害のうち、裁判所による決定またはその他の態様のフォローアップのいずれかが行なわれたものの件数および割合 (e) 回復および社会的再統合に関する特別なケアを受けた子どもの人数および割合 (f) 施設内暴力の防止のために実施されているプログラムの数およびこの問題に関して施設職員を対象として実施された研修の量 F.家庭環境および代替的養護(第5条、第9条~11条、第18条第1項および第2項、第20条、第21条、第25条ならびに第27条第4項) 1.家族の支援(第5条ならびに第18条第1項および第2項) 12.締約国は、次の点に関して、前掲パラ1で述べたとおりに細分化されたデータを提供するよう求められる。 (a) 親および法定保護者が子どもの養育責任を果たすにあたって適切な援助を与えることを目的としたサービスおよびプログラムの数、ならびに、これらのサービスおよびプログラムから利益を得ている子どもおよび家族の数および割合 (b) 利用可能な保育サービスおよび保育施設の数ならびにこれらのサービスにアクセスできている子どもおよび家族の割合 2.親のケアを受けていない子ども(第9条第1~4項、第21条および第25条) 13.親から分離された子どもとの関連で、締約国は、次の点に関して、前掲パラ1で述べたとおりに細分化されたデータを提供するよう求められる。 (a) 原因別(たとえば武力紛争、貧困、差別の結果としての遺棄等)に細分化された、親のケアを受けていない子どもの人数 (b) 裁判所による決定(とくに親による虐待もしくはネグレクトの状況、拘禁、収監、労働目的の移住、国外追放または退去強制に関わるもの)の結果として親から分離された子どもの人数 (c) これらの子どものための施設の数(地域別)、これらの施設の定員、子ども対養育者の比率および里親ホームの数 (d) 親から分離された子どものうち施設または里親ホームで暮らしている者の人数および割合、ならびに、措置期間および措置の再審査の頻度 (e) 措置後に親と再統合した子どもの人数および割合 (f) 国内養子縁組、国際養子縁組またはカファラ的養子縁組のプログラムの対象とされた子どもの人数(年齢別)、ならびに、関連する場合には対象となった子どもの出身国および縁組先の国に関する情報 3.家族再統合(第10条) 14.締約国は、家族再統合の目的で入国しまたは出国した子どもの人数(難民および庇護希望者であって保護者のいない子どもの人数を含む)について、ジェンダー、年齢ならびに国民的および民族的出身ごとに細分化されたデータを提供するよう求められる。 4.不法移送および不返還(第11条) 15.締約国は、次の点に関して、前掲パラ1で述べたとおりにならびに国民的出身、居住地および家族の地位ごとに細分化されたデータを提供するよう求められる。 (a) 締約国から奪取された子どもおよび締約国に奪取されてきた子どもの人数 (b) 逮捕された加害者の人数およびそのうち(刑事)裁判所による制裁を受けた者の割合 5.親が収監された子ども 16.締約国は、親が収監された子どもおよび母親とともに刑務所で生活している子どもの人数ならびにこれらの子どもの平均年齢に関する情報を提供するよう求められる。 G.障害、基礎保健および福祉(第6条、第18条第3項、第23条、第24条、第26条、第27条第1~3項および第33条) 1.障害のある子ども(第23条) 17.締約国は、次の状況にある障害児の人数および割合を、前掲パラ1で述べたとおりにおよび障害の性質ごとに細分化された形で明らかにするよう求められる。 (a) 親が特別な物質的、心理社会的その他の援助を受けている障害児 (b) 施設(精神障害のある子どものための施設を含む)において、または里親ケアなど家庭外で生活している障害児 (c) 普通学校に通っている障害児 (d) 特別学校に通っている障害児 (e) 学校またはこれに類する施設に通っていない障害児 2.健康および保健サービス(第24条) 18.締約国は、次の点に関して、前掲パラ1で述べたとおりに細分化されたデータを提供するよう求められる。 (a) 乳児死亡率および5歳未満児死亡率 (b) 低体重出生児の割合 (c) 中度および重度の低体重、消耗および発育不全の状態にある子どもの割合 (d) 自殺を原因とする子どもの死亡率 (e) 衛生設備にアクセスできない世帯および安全な飲料水にアクセスできない世帯の割合 (f) 結核、ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオおよびはしかの予防接種を完全に受けた1歳児の割合 (g) 妊産婦死亡率(主要な死因を含む) (h) 産前産後の保健ケアにアクセスし、かつその利益を享受している妊産婦の割合 (i) 病院で出生した子どもの割合 (j) 病院におけるケアおよび分娩の訓練を受けた要因の割合 (k) 完全母乳育児を実践している母親の割合およびその母乳育児期間 19.締約国は、次の点に関して、前掲パラ1で述べたとおりに細分化されたデータを提供するよう求められる。 (a) HIV/AIDSに感染した子どもおよびHIV/AIDSの影響を受けている子どもの人数/割合 (b) これらの子どものうち治療、カウンセリング、ケアおよび支援を含む援助を受けている者の人数/割合 (c) これらの子どものうち親族とともに暮らしている者、里親ケアを受けている者、施設で生活している者または路上で暮らしている者の人数/割合 (d) HIV/AIDSのため子どもが筆頭者となっている世帯の数 20.締約国は、思春期の健康に関連して次の点に関するデータを提供するよう求められる。 (a) 若年妊娠、性感染症、精神保健上の問題、薬物濫用およびアルコール濫用の影響を受けている思春期の子どもの、前掲パラ1で述べたとおりに細分化された人数 (b) 思春期の健康上の問題の予防および治療を目的としたプログラムおよびサービスの数 3.薬物および有害物質の濫用(第33条) 21.締約国は、薬物および有害物質の濫用の被害者である子どもの人数ならびに利用可能な援助プログラムの数に関する情報を提供するよう求められる。 H.教育、余暇および文化的活動(第28条~31条) 22.締約国は、次の点との関連で、前掲パラ1で述べたとおりに細分化されたデータを提供するよう求められる。 (a) 子どもおよび成人の識字率 (b) 初等学校および中等学校ならびに職業訓練センターへの総・純就学率および総・純出席率 (c) 初等学校および中等学校ならびに職業訓練センターにおける在籍継続率、修了率および移行率ならびに中退者の割合 (d) 教員1人あたり児童生徒数の平均(相当の地域格差または農村部/都市部の格差がある場合にはそれも明らかにすること)および訓練を受けた教員の割合 (e) 国が資金を拠出している、自分自身の言語による教育を受けている先住民族およびマイノリティの子どもの人数 (f) ノンフォーマル教育制度で教育を受けている子どもの割合 (g) 就学前教育施設およびその他の乳幼児期発達教育施設に通っている子どもの割合 (h) 放課後プログラムに参加している子どもの人数/割合 (i) コミュニティにある公共の遊び場の数(農村部か都市部かを明示すること) (j) 組織化された余暇、スポーツ、文化および芸術の活動に参加する子どもの人数/割合(当該活動が農村部または都市部のどちらで行なわれているかを明示すること) I.特別な保護措置(第22条、第30条、第32条、第33条、第35条、第36条、第37条(b)~(d)および第38条~40条) 1.出身国外にあって難民としての保護を求めている子ども(第22条)および国内避難民である子ども 23.締約国は、次の点に関して、前掲パラ1で述べたとおりにならびに出身国別、国籍別および保護者の有無別に細分化されたデータを提供するよう求められる。 (a) 国内避難民である子ども、庇護希望者である子どもおよび難民である子どもの人数 (b) それらの子どものうち初等学校および中等学校ならびに職業訓練センターに通っている者ならびに保健サービスその他のサービスにアクセスできている者の人数および割合 (c) 資格認定手続の最中または終了後に失踪した子どもの人数 2.児童労働を含む経済的搾取(第32条) 24.特別な保護措置について、締約国は、次の点に関して、前掲パラ1で述べたとおりに細分化された統計データを提供するよう求められる。 (a) 法律で定められた最低就労年齢に達しない子どものうち、国際労働機関の最低年齢条約(1973年、第138号)および最悪の形態の児童労働条約(1999年、第182号)が定める児童労働に従事する者の、就労態様ごとに細分化された人数および割合 (b) それらの子どものうち回復および再統合のための援助(無償の基礎教育および/または職業訓練を含む)にアクセスできている者の人数および割合 (c) 路上の状況にある子どもの人数 3.性的搾取、性的虐待および人身取引(第34条および第35条) 25.締約国は、次の点に関して、前掲パラ1で述べたとおりにおよび侵害の態様別に細分化された統計データを提供するよう求められる。 (a) 性的搾取(買春、ポルノおよび人身取引を含む)に関与した子どもの人数 (b) それらの子どものうちリハビリテーション・プログラムにアクセスできるようにされた子どもの人数 (c) 報告対象期間中に報告された、子どもの性的搾取、性的虐待および売買、子どもの誘拐ならびに子どもに対する暴力の件数 (d) それらの事件のうち制裁が科されるに至ったものの件数および割合(加害者の出身国および科された処罰の性質に関する情報を添えること) (e) その他の目的(労働を含む)による人身取引の対象とされた子どもの人数 (f) 子どもの人身取引を防止し、かつその尊厳の尊重を確保するための研修を受けた国境管理官および法執行官の人数 4.法に抵触した子どもおよび少年司法の運営(第40条) 26.締約国は、次の点に関して、前掲パラ1で述べたとおりに細分化されたデータ(犯罪態様別の細分化を含む)を提供するよう求められる。 (a) 法に抵触した疑いがあることを理由に警察に逮捕された18歳未満の者の人数 (b) 法的その他の援助が提供された事案の割合 (c) 次の対応をとられた18歳未満の者の人数および割合(i) ダイバージョン・プログラムに移送された者 (ii) 裁判所により有罪と認定され、かつ刑の執行猶予または自由の剥奪以外の刑罰を言い渡された者 (iii) 修復的アプローチに基づく代替的制裁を受けた者 (iv) 保護観察(プロベーション)プログラムに参加した者 (d) 再犯率 5.自由を奪われた子ども(いずれかの形態の拘禁、収監または収容場所への措置を含む)(第37条(b)~(d)) 27.締約国は、次の点との関連で、法に抵触した子どもに関して、前掲パラ1で述べたとおりに細分化されたデータ(社会的地位、出身および犯罪態様別の細分化を含む)を提供するよう求められる。 (a) 罪を犯したとして警察に通報された後、警察署での留置または未決拘禁の対象とされた18歳未満の者の人数およびその平均拘禁期間 (b) 刑法に違反したとして申立てられ、罪を問われ、または認定された18歳未満の者をとくに対象とする施設の数 (c) それらの施設に収容されている18歳未満の者の人数および平均収容期間 (d) 成人から分離されない施設に拘禁されている18歳未満の者の人数 (e) 裁判所によって有罪と認定され、かつ拘禁刑を言い渡された18歳未満の者の人数および割合ならびにその平均拘禁期間 (f) 逮捕および拘禁/収監中に生じた18歳未満の者の虐待および不当な取扱いの報告件数 6.武力紛争下の子ども(第38条)(身体的および心理的回復ならびに社会的再統合(第39条)を含む) 28.締約国は、次の点に関して、前掲パラ1で述べたとおりに細分化されたデータを提供するよう求められる。 (a) 軍隊に徴募されまたは自発的に入隊した18歳未満の者の人数および割合、ならびに、そのうち敵対行為に参加している者の割合 (b) 武装集団または軍隊から動員解除され、かつコミュニティに再統合された子どもの人数および割合(これらの子どものうち学校に復帰した者および家族と再統合した者の割合を含む) (c) 武力紛争による子どもの死傷者の人数および割合 (d) 人道援助を受けている子どもの人数 (e) 武力紛争への関与後に身体的および心理的回復のための援助を受けている子どもの人数 7.子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書 29.子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書の締約国は、次の点に関して、性別、年齢、民族的集団および居住地(都市部または農村部)別に細分化されたデータを提供するよう求められる。 (a) 子どもの売買、児童買春、児童ポルノおよび児童セックスツーリズムの報告件数 (b) それらの事案のうち捜査が行なわれ、起訴されかつ制裁が科されたものの件数 (c) 被害を受けた子どものうち選択議定書第9条第3項および第4項にしたがって回復のための援助または被害賠償を提供された者の人数 8.武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書 30.武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書の締約国は、次の点に関して、性別、年齢および民族的集団別に細分化されたデータを提供するよう求められる。 (a) 軍の学校に通っている生徒の人数および入学が認められる最低年齢 (b) 子どもが徴募されまたは敵対行為で使用された可能性のある地域から締約国に入国した、子どもの庇護希望者および難民の人数 (c) 身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための措置から利益を得ている子どもの人数 更新履歴:ページ作成(2015年4月25日)。
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/1908.html
このお話しは ふたば系ゆっくりいじめ 53 そんなに我侭いうなら自分で生きてね! ふたば系ゆっくりいじめ 90 私は鬼にはなりきれないのだ の2作品と繋がっています 子まりさは不満だった。 耐水性ダンボールのおうちの中で姉妹と共に生まれ育ち、両親には愛情を注がれていた。 母れいむは毎日素敵なおうたを歌ってくれたし、父まりさはお外に連れ出して帽子の上に乗せてお散歩してくれる。 両親共に笑顔を向けてくれない日は無かったし、姉妹分け隔てなく愛してくれた。 子まりさと姉妹は常に守られていて、意地悪で悪魔みたいな一番上の「元」姉をおうちから追い出し、近づけさせない。 強い風さんのゴウゴウと吹く怖い日はおうちのなかで楽しく過ごし、雨さんのやまない寒い日は家族みんなですりすりしあった。 ご飯は毎日食べさせてもらえたし、足りない、お腹が空いたといえば両親は平気で自分の分を子まりさに分けてくれる。 こんなに幸せに満ち溢れたゆん生を送り、育ってきた子まりさだというのに、それでも不満だった。 何が不満かといえば、「かいぬしさん」に対する両親の態度である。 「かいぬしさん」は毎日子まりさたち一家にご飯を持ってきてくれる存在である。 それは「にんげん」という生き物であるらしい。 自分たちと違ってとてもゆっくりできない生き物だ。 自分たちにとって、ゆっくりするという事は人生に置いて至上となる命題である。 そのために生きているといってもいい。 なので、ゆっくりできない「にんげん」という生き物は、自分たちの価値の対極にある、という事になる。 なんてくだらない生き物だ、と子まりさは思う。 ゆっくりできない存在ごときが、自分たちに毎日ご飯をくれているなんて。 聞けば、父まりさは狩ができない体だという。 昔に負った傷の所為だそうだ。 それでも痛むあんよを引きずって、子まりさたちを遊ばせるために外に連れ出してくれる。 誇らしい事だ。 親の鑑だ。 自分もいつか大人になって、父親になるときは父まりさのようにかくあるべしと思う。 こんな誇らしい父なのだから、体が満足で狩が出来たなら、さぞや美味しいご飯を沢山、それも毎日、取ってきてくれただろうに。 だがそれが適わない父まりさの代わりにご飯を持ってくるのはあの「かいぬしさん」というにんげんなのだという。 ゆっくりできないにんげんごときがご飯を持ってくるとは、子まりさは合点がいかない。 ゆっくりできるからこそ、子まりさや姉妹をゆっくりさせてくれるのが筋道という物だろう。 ならば、にんげんは何のためにご飯を持ってくるのか。 家族にご飯を調達してくるなんて、そんな偉大な仕事を父に代わって行うのは何故だろうか。 子まりさは数グラムの餡子脳を絞って思案した結果、ある結論に到達した。 すなわち、あのにんげんは仕事をちゃんとしていないのだ。 何故ならば、ゆっくりできない存在だから、ご飯も満足に取ってこれないのだ。 そう思う根拠の一つは、時々ご飯が足りないと思うときがあったからだ。 前述したが、子まりさはご飯が足りない、空腹だと思うときがあり、両親から配分された以上に余分に分けてもらう事がある。 育ち盛りの子まりさが足りないと思うという事は、それはご飯の調達量、狩の仕方が不十分だという事だ。 狩が満足に出来ないのは、ゆっくりできないにんげんという生き物にやらせた事だから、となれば辻褄もあう。 もう一つは、前の根拠をさらに補強する。 あんなに誇らしいと思う父親が狩をできたならば、子まりさに空腹を憶えさせはしないだろう、という思いである。 それは一種の信頼であり、信仰である。 他の全てで子まりさをゆっくりさせてくれる父まりさの唯一の欠点、それは体の不具にある。 それさえ無ければ、他の事同様に子まりさを満足させてくれるような、素晴らしいご飯を調達してくれる。 量だけではない。 味も、今子まりさが食べているようなものとは比べ物にはならないしあわせ~をさせてくれる美味なものを与えてくれるはずだ。 そういう期待が、否、確信が、子まりさにはあった。 だが、現実には父まりさは狩ができず、ご飯を持ってくるのは「かいぬしさん」である。 そして「かいぬしさん」の持ってくるご飯は足りない上に、本当なら父まりさが持ってきてくれるはずの美味しいご飯より数段劣っているのであろう、低品質な、物だ。 早合点してはいけない。 子まりさの不満点はそこではない。 本当に大事な事は、子まりさを満足させえない狩の成果しかできない、ゆっくりできない「かいぬしさん」ごときに、 誇りに思うはずの父まりさや母れいむが酷く怯え、常に下手に出て平身低頭しているという事なのである。 子まりさは、今日も見た。 おうちの戸口の隙間から、偉大なはずの父まりさが「かいぬしさん」に見っとも無くペコペコとしきりに、素敵な黒いお帽子が泥で汚れてしまうほど額を地面に擦りつけて ご飯を貰える事のお礼を卑屈に思えるほどの態度で述べている、情けない姿を。 そして、目の前で餌皿をひっくり返され、粒状のご飯を地面に撒き捨てられて、それを拾わされているのを。 「ありがとうごじゃいまず! まいにちありがとうごじゃいまず! これでゆっぐりできまず! おちびちゃんだぢと、ゆっぐりできまず! まりさはしあわせでず! かんじゃじでまず!!」 にんげんの脚の間に潜って股下をくぐりながら、父まりさは必死でご飯を拾い集めていた。 その父まりさの頭の上に、餌皿が落とされる。 ゆひぃ!と叫んで父まりさは集めていたご飯をいくつか口から溢した。 そして、逆さになって転がっている餌皿を口でくわえて、集めた餌を入れ、見栄えを整えておうちの中へと精一杯の笑顔で戻ってくる。 さあご飯の時間だよ、可愛いおちびちゃんたち!とにこやかに笑う父まりさの心の中で、どれだけプライドがズタズタにされている事だろうか。 この光景を初めて目にした時、子まりさの両目からはとめどなく涙が溢れ出したほどだった。 あんなに自分たちを愛し、守り、ゆっくりさせてくれている父まりさが、どうしてこんな目に合わなくてはいけないのか? それも、少しもゆっくりできない、にんげんなんて下等な生き物なんかに、こんな仕打ちをされて。 父の代わりに餌を運んでくるだけの役割しか出来ないくせに、それも、不十分な量と質のご飯しか持って来れないくせに。 子まりさは憤ったが、父まりさも母まりさも、それに共感はしてくれなかった。 ただ、いつになく落ち込んだ表情で、仕方が無いんだよ、「かいぬしさん」には逆らえないから、と答えたのみだった。 それを聞いて子まりさは大いに落胆した。 ゆっくりできないにんげんなんかに、何故に両親はこんなにも下手にでなければいけないのか、と。 その一件以来、子まりさは父まりさにも母まりさにも期待するのを辞めた。 急に、両親が誇らしく思えなくなってきたのだ。 にんげんはゆっくり出来ない。 ゆっくりすることは、至上である。 なのにゆっくりできないにんげんにヘイコラしている両親は、実は誇りでも偉大でもないのだ、そう思うようになり始めた。 自分だったら、そんな事はしない、と子まりさは姉妹に対して演説ぶった。 ゆっくりできない人間と違って、ちゃんと狩をする。 自分の子供たちに、空腹とか、足りないとか思わせない。 もっともっと美味しくてしあわせ~なご飯を見つけてくる。 そしてにんげんにも、あんな卑屈な態度は取らない。 毅然として立ち向かう。 そもそも、にんげんなんかに狩をまかせたりはしない。 それは両親への期待が裏切られたと思ったことによるものと、 まだ期待していたときの理想像としての親としてのかくあるべき姿への憧れがそうさせたのであろうが、 その時、子まりさは自分が見切りをつけた両親に、取って代わるつもりで居た。 自立心の現われであったかもしれないし、子供特有の万能感であったのかもしれない。 が、ついに子まりさは、姉妹と両親の前で、こう宣言したのだった。 「かりもまんぞくにできないおとーさんやおかーさんには、もうたよらないよ! まりさはあのにんげんをやっつけて、ぎったんぎったんにしてくるよ! ごはんももってくるよ! もうかりだってじぶんでできるとしごろなんだからね!」 「……で、ゆっくりできない人間が、何だって?」 「もうやじゃぁぁぁぁぁっ! まりしゃおうちかえりゅぅぅぅぅぅ!! いじゃいよぉぉぉぉもうたちゃかにゃいでぇぇぇぇ!! ぷすぷすしゃんやめちぇぇぇぇぇ!! たすけちぇぇぇぇぇ!! ごべんにゃしゃぃぃぃぃぃぃぃ!!」 子まりさの全身は何十回と繰り返されたデコピンの傷跡で赤いまだら模様になっており、さらに数本のマチ針が刺されていた。 両目からとめどなく涙を流して赦しを請うその小さな姿には、数分前までの威勢は微塵もない。 さらに子まりさの、父とそっくりで自慢だった素敵なお帽子はとっくに取り上げられて、ぐしゃぐしゃにされて人間の足元に踏み潰されている。 意気揚々とおうちを出て庭をぴょんぴょん跳ねて行った子まりさが、対面した人間にどのような悪態をついたのかは言うまでもない。 身の程知らずの子まりさは、傲慢の報いに相応しい制裁をその身に受けて、開始数秒で心が折られてしまっていた。 なんとも情けないと思うなかれ。 所詮、ちょっと小突いただけで赤ゆっくり言葉に戻ってしまう程度の、文字通りほんの子ゆっくりなのである。 一発目のデコピンの痛みに悶絶し、二発目を指の輪っかをぐぐぐーっと力を入れて構えただけで恐怖で泣きながら同時にちーちーを垂れ流すのは子ゆっくりなら誰でも同じだ。 「飼い主さん」であるところのこの人間は、それでも容赦なくデコピンを食らわせ続け、子まりさが這って逃げる事も出来なくなるほど衰弱すると 応急処置に紙パックのオレンジジュースをかけてやった上でまたデコピンを何度となく食らわせ、さらに一定の区切りごとにマチ針を刺すという事を 7~8セットばかり繰り返した上で、ようやく小休止して詰問タイムに入ったのだが、 その頃には既に子まりさは人間が指でデコピンの輪を作ってチラつかせるだけで 「ゆぴぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃdrftgyh!!!!」 と泣き叫ぶくらいにトラウマを作ってしまっていた。 それでも、人間は自称「流石に鬼ではない」ので、体罰のほうはこの程度で許してやるつもりで居たが。 「でだ、まあ別に人間様に逆らおうってのはお前たちゆっくりには良くある事だから別にどうでもいい。 これだけ痛めつけられれば、人間がどんなに強くて恐ろしくて、逆らったら怖い存在か身にしみただろう? お前の父親みたいに素直になりたくなって来たか? ん? どうだ? 人間はゆっくりできないって言葉の意味が理解できたか?」 「わかりまじちゃぁぁぁぁぁ!! にんげんしゃんはきょわいですぅぅぅぅ!!」 人間はゆっくりできない。 子まりさは、酷い勘違いをしていた事を悟った。 ゆっくりできないのは、人間が自分たちより劣ってるとかそういう意味ではない。 子まりさは人間は自分たちにとってゆっくりできない存在で、ゆっくりさせてくれる事もできない、と解釈していたが 本当は「自分たちをゆっくりさせない」存在という意味だったのだ。 「理解できたなら、よろしい。 では、こんな事をして、後悔しているか? 申し訳ないと思っているか? どれだけ自分が馬鹿なことをしたか、わかっているか? 自分たちより強くて恐ろしい人間様に突っかかって、喧嘩を売って、痛めつけられて、ボロボロにされて… お前の父親みたいに、障害の残るかもしれないくらい怪我をして、反省する心があるのか?」 「りきゃいじまちたぁぁぁぁぁ!! きょうかいしちぇますぅぅぅぅ!! もうちわけありましぇんでちたぁぁぁぁ!! はんしぇいしちぇましゅから、ぶたにゃいでぇぇぇぇ!?」 「…はあ。 全然解ってないな、お前。 後悔して謝るのも反省するのも、俺にじゃないだろう?」 人間はため息を付いて、こいつ本当にアホだなと言いたげな哀れみを含んだ表情を子まりさに向けたが、 子まりさは何のことなのか全くわからないまままに涙を流して震えていた。 謝れば、許してもらえる。 必死に命乞いをして、もう二度と逆らいません、と誓えば、殺さないでもらえる。 痛いのも怖いのも嫌だから、もうこれ以上デコピンで体を打ち付けられるのも針で刺し貫かれるのもされたくないから、 とにかく謝って卑屈になって人間に許してもらおう、そうすれば助かる。 助かりたいという一心で、ただ謝るその意味も解らず謝ろうとしていた。 そんな子まりさに、人間は後ろのほうを指差して見せる。 その先には、子まりさの懐かしい幸せな記憶の一杯詰まったおうちと、涙を流しながらこちらを並んで見ている両親の姿があった。 「もうゆるじであげでぐだざい! こどものじだごどなんでず! じぶんのたちばがわがっでながっただけなんでず!! これがらはいいごにそだでまずから!! にどと、さからわぜまぜんがら!! ごはんもかんしゃするいいごにさぜまずから!! おねがいだからそのごのいのぢだけはぁ……!!」 「とってもゆっぐりできる、れいむのおちびちゃんなんでずぅぅぅぅ!! おねがいでず、ごろざないでぇぇぇぇ!! やんちゃでわがままでときどきばかなこだけど、いちばんかわいいちびちゃんなんでずぅぅぅぅ!! れいむのすでぎなまりざにぞっぐりないいごなんでず!! まりざとおんなじおちびちゃんは、もうそのこしかのごってないんでず!! れいむがみがわりになるから、おちびちゃんだけはあああああああ!!」 距離にして1mも離れていないが、小さな子まりさにはとても遠く感じられた。 ああ、何でこんな馬鹿なことをしてしまったんだろう。 あんなにも自分を愛し、心配し、涙し、身代わりになってもと命乞いまでしてくれる両親がいるというのに、 自分は何が不満だったんだろうか、と後悔して涙を流した。 今は子まりさは、自分がどれだけ愚かだったかわかる。 父まりさが、卑屈に這い蹲り泥まみれになってさえも、恐ろしい人間からご飯を恵んで貰って、 必死に自分や姉妹や母れいむを守ろうとして来たのに自分は気付かず、ただ人間に頭を下げる父を情けないと思ってしまった。 後悔しても、後悔し足りなかった。 偉大な父に守られて、その庇護の下でぬくぬくと甘えて、ただ安穏とゆっくりしていただけの自分。 そして甘えた上に父を見下し、思いあがった結果がこれだ。 全てに気付いた瞬間、子まりさは遥かかなた(に子まりさの距離感では見える)の両親に向かって叫んだ。 「おとーしゃんおかーしゃんごべんにゃしゃいぃぃぃぃぃ! まりしゃがわりゅいごでしたぁぁぁぁぁ!! ゆんやぁぁぁぁぁぁ!! しにちゃくにゃいよぉぉぉぉ!! おとーしゃんとしゅりしゅりしちゃいよぉぉぉぉぉ!! おかーしゃんのおうたききちゃいよぉぉぉぉ!! いもうちょれーみゅたちにあいちゃいよぉぉぉぉ!!」 「まりさぁぁぁぁ!!」 「おちびちゃぁぁぁぁぁん!!」 「まあ、別に殺すつもりはないし、許してやってもいんだけどな」 「「「ゆっ!?」」」 両親と子まりさの涙交じりの感動の叫びあいに水を指す形になったが、人間は唐突に制裁も仕置きもこれで終了、解放する旨を宣言した。 子まりさは充分反省したようだし、晴れて釈放。 両親にもお咎めなし。 ただし厳重注意勧告処分で、次に子らが同じような事をしたら、容赦はしないと思え。 全く当然だが両親・子まりさともに承服し、子まりさもマチ針を抜かれて自由の身となり、さっきまで痛めつけられたのも忘れて両親の元へと飛び跳ねて行った。 そして、三匹は感動の再会… 「と、ちょっと待て」 は、人間の手によって遮られ、子まりさは指でつままれて空中に持ち上げられた。 唖然として見上げる父まりさ・母れいむたち。 わけがわからないままに「ゆんやぁぁぁ!!」と叫ぶ子まりさ。 数秒の間を置いて、我に返った母れいむが猛然と人間に抗議をする。 「どおじでじゃまするのぉぉぉぉ!? ゆるじでぐれるんじゃながったのおおおお!?」 「お前ら、まりさ種の子が反抗するのって二回目だろ。 前も親に悪罵浴びせてたし、今度は俺に喧嘩売ってくるし。 なにか悪いものでも遺伝してるんじゃないのか? れいむ種の子はそういうのは無いんだろ? こいつ、口では反省したとか謝るとか言ってるが、多分その場しのぎだぞ。 絶対三日もすれば同じ事をするだろうな」 「ぞんなごどはじまぜんんん! ほんどうはすなおでいいごなおちびちゃんなんでず! そうならないように、まりざもよくいってぎがぜまず! だから……」 必死に我が子を庇う父まりさだが、人間は冷淡だった。 前にもこの一家の子供は甘えによる傲慢化から、騒動を起こした事があったのだ。 そしてその時は、子らの一匹が犠牲になるという悲劇もあった。 「そう言っておいて、こいつがまた同じ事をした時の責任は取れるのか? 流石に俺も次も許してやるほど心が広くは無いぞ? というか、他の子供もそうかもしれないって判断して、全員処分しようと考えるかもな 俺も怒ると結構冷静じゃなくなるからなあ…」 「ぞんなぁ…!!」 「まあ、将来の危険を無視して、この子まりさを今までどおり家に迎え入れるか、それともはっきり処分を下すかだな。 お前たちで決めればいい。 ただし、何か起こったときは、今度はこいつだけじゃ済まないからな?」 結局、両親は半ば以上人間に脅迫される形になったが、今回の騒動を起こし「かいぬしさん」の人間に反抗した子まりさを家から追放した。 子まりさは、今は前に自分の姉が家を追い出された後に棲むようになった小さ目のおうちを引き継いで一人で暮らしている。 もう自分で狩ができる年頃だとのたまっていたので、餌も与えてられていない。 庭の雑草を適当に自分で集めて食わせている。 まあ、大言壮語を吐いたのだから、実行して貰おう、という事だ。 両親は時折、子まりさの方を気にかけて心配そうな視線を送っているが、人間に4m以内の接近を禁止されているので近づく事はできない。 もちろん援助も禁止だ。 人間に貰った餌は量が不満で味も不満というのだから、食べる義務は無いとのお達しだった。 もっと美味しい餌を腹いっぱい探して食べればいい、真面目腐った顔で嫌味にしかいえない事を人間は言った。 子まりさは、本当に後悔したが、もう取り返しの付かない事である。 青臭くて苦くて、それまでの餌よりは美味しいであろう雑草をむーしゃむーしゃ…と沈んだ表情で食べている。 もう家族とすりすりし合う事もないし、母れいむのおうたも遠くから聞くばかり。 あまりゆっくりできているとは思えない毎日を送っている。 余談だが、子まりさと離れる事になった一家はその直後に新しく養子を迎えることになったが、そちらが上手く行ったのかそうでないのかは、また別の話。
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/2062.html
※M1あきさんの黒バッジの絵に触発されて書きました ※独自設定垂れ流し 「ゆっくちしちぇいっちぇね!」 「ゆ! ゆっくちしちぇるね!」」 「ゆっくち! ゆっくちぃ!」 部屋の中では百匹にも及ぶ赤ゆっくりが賑やかに遊んでいた。 大きな部屋だ。ちょうど一般的な学校の体育館を思わせる広さで、たくさんの赤ゆっくり がいても手狭には感じない。 床には緑のカーペットが敷かれており、壁には緑の木々や青い空に白い雲が描かれている。 湿度も気温も快適に保たれ、じつにゆっくりとした雰囲気に溢れていた。 部屋の各所には飼いゆっくり向けの餌場や遊具、あるいはトイレなどが備えられている。 ゆっくりに詳しい者が見れば、ここがゆっくり育成用の施設であることがすぐにわかるだ ろう。 だが、そうした者がなにより目を惹かれるのは、施設そのものよりゆっくり達に違いない。 「ゆっくち! ゆっくち!」 艶やかでしとやかな黒髪。 宝石みたいな大粒の黒い瞳。 鮮やかに形の整ったおりぼん。 ふっくらもちもちしっとりしたお肌。 太陽の暖かさを詰め込んだような明るい声。 なにより、全身から溢れるゆっくりとした雰囲気。 全てがれいむ種。それも、極上のれいむ種だった。 ここはゆっくりの育成施設の中でも特別なものだ。 ゴールドバッジゆっくりとなるべく産まれ、ゴールドバッジゆっくりとなるべく育てられ る。ここは、そんな高級ゆっくりを育成するための施設なのだった。 システム・オブ・ブラック 「ゆああーっ!?」 「ゆんやぁぁぁぁぁぁ!」 「ゆっくちできないよぉぉぉ!」 ゆっくりの教育は悲鳴から始まる。 「逃げるな。よく見ろ。人間の言うことを聞かないゆっくりは、この『黒バッジ』をつけ られて、『永遠にゆっくり』することになるんだ」 ブリーダーの男が潰れた赤れいむを見せつけるように掲げる。 そのおりぼんには、男の言葉取り黒いバッジが不気味に輝いていた。 今ここにいるのは、施設に運ばれてきたばかりの赤れいむ達だ。全てゴールドバッジ取得 済みのゆっくりを親に持つ。 ゴールドバッジを持つ親が居るなら、その親に育てられた子も優秀――普通はそう考える。 だが、ゆっくりにゆっくりを教育させるとどうしても質にばらつきが生じる。ゲスになっ てしまうことすらある。ゴールドバッジだろうと、所詮ゆっくりはゆっくりなのだ。 だからこの施設では、赤ゆっくりを親ゆっくりから隔離して育てる。 潰された赤れいむは、いくら男が言い聞かせても親ゆっくりを求めて泣き喚いたゆっくり だ。 「静かに! ゆっくりしろ!」 張りのある声に、赤れいむ達はびくりと身体をすくませる。 「いいか、よく聞け! お前達はこれから、ゴールドバッジを取る為に生きる! それだ けがお前達の生きる意味だ! ゆっくり理解しろ!」 「おとーしゃんや、おかーしゃんとあっちゃいけないの……?」 「必要なことは全て私達人間が教える! 親は必要ない!」 「どぼじでぇぇぇぇ!」 何匹もの赤れいむが泣き叫ぶ。 中には反抗するものもいた。 「ちねぇ! ちねぇ!」 「おかーさんとゆっくちさせてくれないじじぃは、ゆっくちちねぇ!」 ぽすぽすと、男に体当たりを繰り返す二匹の赤れいむ。 この段階で、この二匹はゲスと呼ぶには至らない。なぜなら「親ゆっくりといっしょにい ないとゆっくりできない」というのは本能に刻まれたことであり、この行動はある種必然 的なことなのだ。 男は素早く二匹を捕まえ、黒バッジをつける。そして、両手それぞれに掴むと、赤れいむ の群れに見せつけた。 「言うことをどうしても聞かないゆっくりは、この『黒バッジ』だ!」 そして、掴む手に徐々に力を加える。 「やべちぇぇぇぇ!」 「ちゅ、ちゅぶりぇりゅぅぅぅ!!」 赤ゆっくりの身体は脆い。圧力に押され餡子が口から漏れ始め、飛び出さんばかりに開い た目からは目玉が飛び出そうだ。 「やめちぇ! やめちぇね!」 「いちゃがってるよ! やめちぇあげちぇね!」 「ダメだ。黒バッジは許されない」 赤れいむ達の抗議など意に介さず、男は黒バッジのゆっくりを時間をかけて苦しませ、潰 し殺した。 残された赤ゆっくり達は、ショックのあまり静まりかえった。 「いいか、もう一度言う! 聞き分けのないゆっくりは、『黒バッジ』だ!」 そして、男は透明な箱を取り出す。 「ゆううううううう!?」 「ゆんやぁぁぁぁぁぁ!!」 「ゆっくちできないぃぃぃぃ!」 絶句していた赤れいむ達が再び騒ぎ出す。それも無理はない。一抱えほどもある透明な箱 の中は黒バッジでいっぱいだったのだ。それはゆっくりには到底数えきれない数。 全ての赤れいむが、自分が黒バッジをつけられた姿を想像して恐怖した。 「いいか! お前らのすることは『ゆっくりする』ことじゃない! 『人間をゆっくりさ せること』だ! そのために必要なことは全部教えてやる! 考える前に従え! そして ゆっくりするんだ!」 男の言葉は、恐怖と共に餡子脳に刻み込まれた。 基本的に、ゆっくりは頭が悪い。言葉だけでは教育が出来ない。ゆえに痛みと恐怖で一つ ずつ教えていかなくてはならない。 この育成所では、最初に仲間を潰して絶対の力関係と恐怖を刻み込む。 これは恒例の儀式のようなものだ。実は潰すゆっくりはあらかじめ用意されていた。育成 対象より低いランクのゆっくりを綺麗に見えるよう細工したものだ。つまり、あれは出来 レースだったのだ。 通常の教育では痛み――即ち体罰を与えることで教育する。だが、どうしても言うことを 聞かない場合、見せしめに仲間を潰す。 そのために使われるのが「黒バッジ」だ。 ゆっくりは頭が悪い。ゆえにわかりやすい記号が求められる。育成のなか、黒バッジは行 儀の悪いゆっくりの象徴として繰り返し使用される。 だが、使用機会はそう多くはない。黒バッジをつけられたゆっくりは死ぬ。つまり、育成 所にとっては損失になる。可能ならば黒バッジは使いたくない物なのだ。 だが、それでも黒バッジは必要になる。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわちぇー!」 「だめだ。れいむ、『むーしゃむーしゃ、しあわせー』は食べた後にやるんだ。食べなが らするんじゃない。」 「ゆゆ? でも、ちゃべにゃがらしあわしぇー、しゅると、しゅごくゆっくちできりゅよ! にんげんしゃんをゆっくちさせちぇあげりゃりぇるよ!」 ブリーダーはれいむに黒バッジをつけると、赤れいむを潰した。 「いいか!? ゆっくりできるかどうかを決めるのはお前らじゃない! お前らを飼う人 間だ! 『むーしゃむーしゃ、しあわせー』を、大抵の人間は嫌がる! やっていいと言 われたときだけやれ! いいな!?」 「ゆ、ゆっくりりかいしたよ!」 赤れいむ達は、恐怖に震えながら理解した。 「ゆ~♪ ゆ~♪ ゆ~♪ ゆっくちしちぇいっちぇね~♪」 「れいむ、おうたをやめろ。おうたの練習の時間は終わりだと言ったはずだ」 「ゆゆ? おうたはとっちぇもゆっくちできりゅんでしょ? いっぱいうちゃえば、にん げんしゃんもいっぱいゆっくちできりゅよ! ブリーダーはれいむに黒バッジをつけると、赤れいむを潰した。 「いいか!? ゆっくりできるかどうかを決めるのはお前らじゃない! お前らを飼う人 間だ! 人間にはおうたを聞いているとゆっくりできない時もある! やめろと言われた やめるんだ、いいな!?」 「ゆ、ゆっくりりかいしたよ!」 赤れいむ達は、恐怖に震えながら理解した。 黒バッジを使うとき――それは、ゆっくりが「人間のことを思って」間違ったことをやっ た ときだ。 ゆっくりの「ゆっくり」と、人間が「ゆっくりに望むゆっくり」には違いがある。 所詮不思議ナマモノと万物の霊長、相容れない部分があるのだ。 飼いゆっくりを育てると言うことは、その違いをゆっくりに押しつけることだ。それはゆ っくりにとって理不尽なことであり、いくら言葉を費やそうと理解できるものではない。 そのための黒バッジだった。 やがて、理不尽を受け入れたゆっくりだけが生き残り、金バッジの試験を受けることにな る。 育成所のゆっくりの育成は極めて厳しい。しかし正しく優れたものであり、生き残ったほ とんどのゆっくりが試験に合格する。 そして、金バッジの授与。この育成所では、その授与に一風変わった方法が採られる。 「きょうは『きんばっじ』をもらえるんだってね!」 「『きんばっじ』はすごくゆっくりしできるんだってね!」 「とってもたのしみだね! ゆっくりできるね!」 一室に集められたもう子ゆっくりと呼べるほどに育ったれいむ達。もう赤ゆっくり言葉も 抜けたこのゆっくり達は、いずれも金バッジ試験に合格したものである。 それぞれが透明な箱に入れられているが、不安な様子はない。箱に収められるのも飼いゆ っくりにはよくあることであり、その時の行儀作法も当然教育済みなのだ。 こうして賑やかに話しているのも、人間にあらかじめ許可されたからだ。勝手に喋ったり はしない。その声もまた人間にとって耳障りなものではなく、とてもゆっくりした綺麗な 声であり、適度な声量だった。 「これから金バッジの授与を始める!」 大きなダンボール箱を台車に乗せ、ブリーダー達が部屋に入ってきた。ゆっくり達が色め き立つ。 ダンボールの中には小さな箱が入っており、その中には豪華な金バッジが収められている。 ブリーダー達は一匹一匹に金バッジをつけていく。 「おにいさん、ありがとう! とってもゆっくりできるよ!」 ゆっくり達は喜びに興奮しながらも、人間への感謝の言葉を忘れない。本能に流されがち なゆっくりがきちんと教育された証拠である。 まだ金バッジをもらえないゆっくりは、まだかまだかとそわそわする。しかし、決して箱 をカタカタ言わせたりするような粗相はしない。だからこその金バッジである。 だが、そんな落ち着かない時間も終わる。 最後のゆっくりに、バッジがつけられた。 「ゆゆぅぅぅぅ!?」 「ゆええええええ!?」 「どうしてえぇええええ!?」 ゆっくり達は驚きの声を上げた。 なぜなら、最後のゆっくりにつけられたバッジ――その色が、黒だったからだ。 × × × そして、黒バッジれいむは部屋から運び出された。 残された金バッジのれいむたちは押し黙っている。 「お前ら、どうしてあのれいむが『黒バッジ』なのかわかるか?」 どのれいむも答えない。 部屋にいるゆっくり全てが同じ施設で同じように育てられた姉弟のようなものだ。当然黒 バッジをつけられたれいむのこともよく知っていた。 だが、わからないのだ。 あのれいむは自分たちと同じぐらい優秀だった。自分たちとの違いがわからない。 その疑問がれいむ達を黙らせていた。何が間違いかわからないのだから、下手なことをす れば自分も今すぐ黒バッジをつけられるのではないか――そんな恐怖があった。 今まで金バッジを目指して頑張ってきた。今やそれが自慢のおりぼんにつけられている。 それなのに、安心できない。ゆっくりできないのだ。 「お前、わかるか?」 一匹のれいむが問いかけられる。しかし、答えられない。 ブリーダーが部屋を見回すが、どのれいむも視線を逸らし、答えられそうもない。 「そうだ。それでいい。わからないのが当たり前だ」 ブリーダーの言葉に、れいむ達は驚き目を剥いた。 「いいか? 人間はお前らよりずっと頭がいい。お前らごときが人間の考えすべてを理解 できるわけがない。あのれいむに『黒バッジ』をつけた理由も、お前らに話したところで 理解は出来ない。だから説明は無しだ」 れいむたちは混乱した。 今までなにか悪いことしたら、かならず説明があった。それを学んでゆっくりしてきたの だ。それができない。 「理解しろ。お前達は所詮、ゆっくりに過ぎない」 愕然となった。自分たちは、厳しい教育を受け、難しい金バッジ試験を受けた優秀なゆっ くりのはずだった。他とは違うはずだった。 でも、結局、ゆっくりに過ぎない。いつ黒バッジをつけられるか――いつ人間に殺されて しまうか、わからないのだ。 金バッジをつけた誇らしい気持ちは今やコナゴナになってしまった。 暗く沈むれいむたちを、ブリーダーはじっと眺める。全員、打ちひしがれたのを確認し、 十分な時間をおいてから再び声をかける。 「いいか、この育成所でおぼえたことを決して忘れるな。そうすれば、お前達は人間をゆ っくりさせられる。人間がゆっくりできれば、お前達もゆっくりできる。お前達が今まで 必死に覚えてきたことだけが、お前達の生きる唯一の道だ。それを、決して忘れるな」 れいむ達の心にわずかな明かりが灯った。 自分たちがゆっくりするために学んできたこと。それは無駄な事じゃない。その証が金バ ッジだ。 人間はゆっくりより強い。難しいことを考えることが出来る。そんなことはこの施設に初 めてきたとき、仲間の死で思い知らされたことだ。 初心に帰り、そして今までしてきたことを思い出す。積み上げてきたことは無駄ではなく い。 金バッジは「貰った」ものではない。自分の力で「勝ち取った」ものなのだ。 おりぼんについた金バッジが、その重みと輝きを増したように思えた。 「お前らに最後の言葉を贈る――ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 今までの教えに従い、金バッジれいむたちは、聞いた誰もが心からゆっくりできる素晴ら しい声でゆっくりの定型句を唱和した。 その声には、金バッジを受け取った誇りと、これからなお一層のゆっくりに励もうという 揺るがぬ決意があった。 × × × 黒バッジのれいむは震えていた。透明な箱の中で、脂汗にまみれて震えていた。 なぜ。 なにがわるかったのか。 どうしてこんなゆっくりできないことになってしまったのか。 尽きぬ疑問と死の恐怖に、れいむは答の出来ない疑問を餡子脳の中で繰り返すばかりだっ た。箱を運ぶブリーダーには聞けない。聞いた途端、ゆっくりできないことになってしま いそうに思えたからだ。 やがて、れいむは部屋の中に運び込まれた。真っ白な、殺風景な部屋だ。 ここに自分の黒い餡子が広がるのだろうか。その想像にれいむは震え上がった。 れいむは透明な箱に入れられたまま、部屋の床に置かれた。 そして、ついに、ブリーダーから決定的な言葉を投げかけられた。 「れいむ、おめでとう!」 理解できなかった。 しかし、やがて言葉の意味を知る。ゆっくりでもわかるシンプルな祝福の言葉だった。 「お、おにいさん……おめでとうって……どうして?」 「れいむ。お前は特別優秀なゆっくりなんだ。だから金バッジよりすごいバッジをもらえ たんだ」 「で、でも! 『くろばっじ』はゆっくりできないよ!」 「れいむ。お前はひとつ勘違いしている。『黒バッジ』は『ゆっくりするためのもの』だ」 「ゆ、ゆゆ!?」 れいむはすっかり混乱してしまった。黒バッジをつけられたら潰されてしまう。ゆっくり できない。だから黒バッジはゆっくりできないもの――それは、れいむの餡子脳の奥の奥 まで刻み込まれた恐怖だ。 「ほら、思い出してみるんだ。確かにお前の仲間が黒バッジをつけられ、潰された。だが、 そのたびお前はゆっくり出来るようになっただろう?」 言われ、れいむは気がついた。 確かに黒バッジを見るたびに、れいむは一つずつ、人間と暮らす上で大切なルールを覚え ていった。飼いゆっくりとして、ゆっくりできる方法を身につけていった。 「お前は一番ゆっくりしたゆっくりだった。だから、金バッジ以上のバッジ……黒バッジ が与えられたんだ。ほら、見てごらん」 ブリーダーは鏡を見せた。そこには黒バッジをつけた自分の姿が映っている。 そして、れいむは気がついた。今まで見ていた黒バッジは、丸いだけでなんの飾り気もな い安物だった。だが、れいむがつけているのは金バッジ同様に、細かい細工が施された立 派なものだったのだ。 「れいむ、お前は特別なゆっくりなんだよ。だが忘れてはいけない。死んでいったゆっく り達がいたからこそ、お前は特別なゆっくりになれたんだ。そのバッジはとても大切で価 値のあるものだ。お前はそれに相応しいゆっくりとして、人間をゆっくりさせるんだ。い いね?」 れいむは理解した。このバッジはただのバッジじゃない。犠牲になった仲間達の餡子で黒 く染まったか、けがえのないバッジなのだ。 れいむは誇らしさと同時にその責任の重さを感じだ。だが、厳しい教育を乗り越えたれい むは、その重さに負けなかった。 「お前に最後の言葉を贈る――ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 今までの教えに従い、黒バッジれいむは、聞いた誰もが心からゆっくりできる素晴らしい 声でゆっくりの定型句を叫んだ。 その声には、黒バッジを受け取った誇りと、これからなお一層のゆっくりに励もうという 揺るがぬ決意があった。 × × × 黒バッジ。 この育成所においては見せしめの象徴。 だが、世間における公式な扱いは違う。 表向きには、金バッジの教育を受けたが、何らかの障害を持つゆっくりに与えられるもの とされている。 金バッジゆっくりは最高の品質を求められる。だから身体に障害を持ったゆっくりから金 バッジは剥奪されてしまう。だが、厳しい教育を受けたゆっくりにそれはあんまりではな いか――最初は、そんな声から生まれたものだった。 しかし、現在、裏では別の意味を持つ。 即ち、「公認虐待バッジ」だった。 金バッジを受けるほど優秀なゆっくりは、当然虐待を受けることなど社会的に許されない。 だが、黒バッジゆっくりは違う。どんな虐待をしても罰せられることはない。 あんよを焼くことも、目を抉ることも全て許される。なぜなら黒バッジを与えられたゆっ くりは障害を持っているはずなのだから、どんな傷を負っていても「そういうゆっくり」 ということで通ってしまうのだ。 虐待を目撃されても、「治療行為だ」と言い張れば多くの場合は許される。ゆっくりの生 態は謎が多く、何がゆっくりを癒すかわからない。だからあからさまな虐待であっても、 「障害をなんとかなおしたいと願う飼い主の行きすぎた行為」と見なされることが多いの だ。 あんよを焼いても「悪い患部を焼き切っただけ」、針を無数に刺しても「針治療」、生ゴ ミを喰わせても「特殊な食事療法」と幾らでもヘリクツが利く。裏では黒バッジ用の虐待 言い訳例集まで売られているくらいだ。 しかも、表向きは金バッジと同等のゆっくりだ。迷子になれば保護されるし、飼い主の許 し無く虐待すれば罰せられる。まさに虐待おにいさん垂涎のゆっくりなのだ。 ゆっくり育成所では、この黒バッジに目を付けた。 元々、ゆっくり育成所では金バッジ取得後のゆっくりをランダムに一匹殺していた。これ は金バッジの「選民意識」をなくすためである。 金バッジ取得は難しい。ゆえに、金バッジゆっくりは他のゆっくりを見下す傾向がある。 これにより、金バッジのゆっくりと言えどゲス化することがある。所詮、ゆっくりはゆっ くり。金バッジを一度は取得しても、転落するゆっくりは少なくないのだ。 それを防ぐため、ゆっくり育成所では金バッジ取得ゆっくりを見せしめに、無作為に潰し ていた。そうすることで「自分はいつ殺されてもおかしくない、他のゆっくりと変わらな い饅頭に過ぎない」ということを思い出されるのだ。 だが、潰してしまうのは明らかに損失だ。 そこで黒バッジに目を付けた。金バッジゆっくりの質を高め、なおかつ黒バッジゆっくり を出荷することで利益を得られる。一石二鳥とはこのことだ。 このゆっくり育成所から出荷される黒バッジゆっくりは優秀だ。金バッジ以上のゆっくり であるという自負があり、躾も性格も金バッジを持つに相応しいものだ。 しかし、このゆっくりの未来は真っ暗で、真っ黒だ。 飼いゆっくり。 それは人間に理不尽を押しつけられる存在。 黒バッジとは、その理不尽の象徴なのかも知れない。 了 by触発あき 元ネタ:M1
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/2708.html
『ぐるぐるわーるど before』 15KB 虐待 自業自得 日常模様 駆除 幻想郷 独自設定 おまけが生えました。より狂気。拙文ですが、ゆっくりしていってね… ここは、10年前の日本。とある大きな街。外には前もって通達されていた知らせにより、人っ子一人いない。 その知らせとは「一斉駆除」の知らせ。 これにより、一般人からの有志以外は、終了の知らせがあるまでは自宅待機というわけだ。 飼いゆっくりも、絶対に外には出さず、出て死んでしまってもそれは飼い主の責任とされる。 駆除の数日前に行われた有志を募る場では、人々は前々から野良ゆっくりに対して怒りを募らせていたためか、 予想以上の数が集まり、その場で抽選が行われる事態となってしまった。 そして、満を持して一斉駆除の始まりだ。 街の端に、ぐるりと街を囲むようにして複数の加工所職員が立っている。 特殊な香料を使用したお菓子を腰のあたりにつけており、、匂いにつられた野良ゆっくりが 既にそれぞれの職員の周りに大量に群がっていた。 そして、一斉に手にした拡声器のスイッチを入れ、思い思いの言葉でゆっくりを挑発し始めた。 「え~ゆっくりできないげすどもは、さっさとしんでね~」 「にんげんになんかかてるわけないでしょ?ばかなの~?しぬの~?」 「ゆっくりはばかしかいないよね~なんでそんなにばかなのかな~」 「ゆっくりをみたらゆっくりできるってばかなの~?ゆっくりのそんざいじたいが すでにぜんぜんゆっくりできないよ~。」 「ひとりでもにんげんをたおせたらあまあまいっぱいだよ~」 子供でもこんな挑発にのる者はいないだろう。しかし、餡子脳では… 「ゆっがぁあああ!どれいごときがちょうしにのってぇえええ!」 「どれいごときがれいむにさからうとどうなるか、からだでおしえてあげるよ!」 「とかいはじゃないげすどれいいぃい!いますぐころすわぁああ!」 「あたまのよわいどれいがぁああ!ぱちゅにかてるわけないでしょおおお!?」 「わからない!わからないよー!なんでそんなによわいのにちょうしにのれるんだねー! どれいはいたいめみないとわからないんだねー!わかるよー!」 「はくろーけんのさびにしてやるみょんんんん!」 「ゆっぴぃいい!にゃんでしょんなにばきゃなのおお!?りぇいむにかてるわけにゃいでしょお!?」 ものの見事に挑発にのっている。路地裏から、公園から、ありとあらゆる場所から 怒りに醜く顔をゆがませた野良ゆっくりが現れる。 ご苦労なことに、どのゆっくりも子供を連れてきていた。赤ゆっくりでさえも。 どのゆっくりも、赤ゆっくりにも人間を制裁させようとしているのだろう。 逆を言えば、赤ゆっくりよりも弱いと人間をなめきっているのだ。 「まてぇええ!とまれえええ!くそどれいいいいいいい!」 「いまならはんっごろしでかんべんしてやるんだぜえええええ!?」 「わたしたちをほんきでおこらせないうちにないてあやまりなさいいいい!」 「ぱちゅのさくせんにかかればにんげんなんていちころなのよぉおお!? いままでころさないでおいたおんもわすれてぇええ!」 「ま、まつんだよー!くそどれい!ちぇんがほんきをだせばすぐにおいつけるけど、 ほんきをだすのはめんどくさいんだよー!だからとまれよー!」 「うごいてたらきれないみょん!このひきょうものぉお!」 ゆっくりはあまりに移動速度が遅いため、普通に歩いていては簡単に引き離してしまう。 そのため職員は後ろ歩きで、ゆっくりがちゃんとついてきているか確かめながら目的の場所へ進む。 サザエさんのエンディングを想像していただければわかりやすいかもしれない。 そしていよいよ到着した。計算された時間通り職員は一人ずつゆっくりを引き連れ中に入る。 が、最初の職員が中に入ったところで、嬉しい誤算が待っていた。 奴隷がそこにいっぱいいるということで、職員が連れてきた以外のゆっくりが すでに食料などを求めて大挙していたのだ。 しかし、観客席から投げられた石などにより、すでに何匹かはつぶれているようだ。 ちなみに不幸にも一斉駆除の舞台として餡子まみれになるのはとある球場。 ここならば、観客席から、また中継などでゆっくりの駆除の様子を見ることができる。 特に、今回の駆除は実験的なもので、中継により各市町村に駆除の効果を知らせる目的もあったのだ。 もはや一斉駆除は、ゆっくりによって溜まりきった国民の溜飲を下げる一大イベントだったのだ。 そして、最後の職員がゆっくりを連れ入ってきたところで、ワッと歓声が起きる。 みなこれから始まる宴を心待ちにしていたのだ。 どの席のチケットも決して安くはないのだが、それでも満席になっていた。 グラウンドにはすでに数えきれないほどのゆっくりがひしめきあって喚き散らしている。 と、ベンチから次々と入場する人々。幸運にも抽選に当選した人だ。 皆それぞれ加工所製の特殊な服を身に纏い、手には持参したバットやら木刀やらを持っている。 全員がゆっくりを踏み潰しながらピッチャーマウンドのあたりに集まる。 喚き散らすゆっくりがうるさいため、マイクを使った加工所所長からのいくつかの注意事項を受けている。 そして…所長がマイクを口元に持ってゆき… 【大変お待たせいたしました。それでは皆様…ゆっくりしていってね!!!】 「「「「「「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」」」」」」 観客と、本能で答えたゆっくり達がハモり、球場が震えたのを皮切りに、ついに開宴の時を迎えた。 「オラオラァ!いままでゆっくりしてたつけだ!ありがたく受け取れっ!」 『グチャグチャァ!』 「ゆっぎぃいいいだいいい!なんでどれいのくせにこんなにいだいのぉおお!?」 「ゆっくりは強いんじゃねえのか!?オラッ!」 この男性はバットで手当たり次第にゆっくりを粉砕している 「ヒヒヒィ!たまんねえ!こんなにやつらになんでいままで好きにさせてたんだよ俺は!」 『スパァッ!』 「かひゅ、かひゅう…ゆひゅりでひないぃい…」 「た、たまんねええええ!」 こっちでは刃物でゆっくりを両断している 「あー…快感だわ。今までは人の目があったからおおっぴらにできなかったけど… こんなに大勢の前でこんなにたくさん殺せるなんてね!死ねっ!」 『ヒュッ!パァン!』 「なんなのこれはぁああ!?こんな、こんなことってぇえ!?」 「ありすぅ?生きたい?生きたい?ダメ!死ねっ!」 『バッチィイン!』 この女性は自作の鞭でゆっくりをいたぶり倒している 「おらよ!その足りない頭でこの帽子を取り戻してみろよ!」 「むっぎゅううう!どれいのぶんざいでこのけんじゃに『バグッ』…むぎゅ…!」 「うっひゃあー!手が餡子くっせえ!」 素手でゆっくりを潰すものもいれば… 「自分の尻尾で殺される気分ってどう?ねぇ?ねぇねぇねぇねぇ!?」 『バチィン!』 「わぎゃらにゃいよぉおおおお!?いだい!ちぇんのしっぽをかえしいだいいい!?」 「あっはははは!ゆっくりなんて絶滅しちまえ!」 ゆっくりから奪い取ったものを使い駆除している者もいる。 「ほーら…おちびちゃんだよぉ?とりかえさなくていいのぉ?死んじゃうわよぉ?」 「ゆっぴやぁああん!みゃみゃあああ!たすけちぇえええ!」 「おちびちゃんをかえせぇこのどれいぃいい!そのあとしねぇえ!」 「ブブー。ハイだめー。おちびちゃん。永遠にゆっくりしてね!『プチ』 はい、ママはちゃんとおちびちゃんをもぐもぐしようねー。」 「ゆぶぉえええ!おじびじゃんうめぇええ!?」 『ドス』 「自分の子供食べてうまいとか…引くわぁ~♪」 このようにじっくりと駆除する者もいる。 「はくろーけんもらい~っと!」 『ヒョイ』 「か、かえすみょん!このひきょうものおお!」 「言われなくても…返すっての!」 『ザクッ!』 それぞれ駆除の方法は様々であるが、着実に数を減らすゆっくり。 所長も、人々の溜飲をより下げるために痛めつけながら潰そうとは考えていたが、 これならば自分たちがするよりもより効果的であったろう、と所長はにんまりしていた。 イベントは大成功である。 やがて、数時間もすればようやく力の差を理解したゆっくりたちは、 許しを請いながら死臭を避けるため隅へと追いやられていた。 「ご、ごめんなさいい…」 「まりさたちがわるかったです…」 「とかいはじゃなかったのはあやまるわ…だから…」 「も、もうぱちゅたちはさからったりしないからぁ…」 こうまで縮み上がったゆっくりにたいし、観客たちの中に可哀そうだから、 そろそろ見逃してあげて、という声が上がりはじめた。 これには所長をはじめ職員たちも同意である。 さんざ駆除したとて、日本中の全てを駆除できるわけではない。 ならば後は残った個体にプロである職員による体罰を施し、この場にいないゆっくりに 人間の恐怖を伝える伝道師になってもらうつもりだった。 しかし、とある女性によりその考えは水泡に帰した。 「…」 『クイクイ』 ジェスチャーでマイクを持って来い、と指示する女性。 慌ててマイクを持っていく職員。 【あーあー…反省したようね。いいわ、見逃してあげる。】 【ゆゆうっ!?ほんとう!?】 【えぇ、本当よ。】 マイクを巧みに自分とれいむの口元に交互にあて、会話がみんなに聞こえるようにする女性。 このやり取りに、今まで他の駆除当選者や観客は不服顔だが、観客の一部や職員達の顔からは、 安堵の顔が見て取れる。所長も女性の理解の速さに感心していた。 だが…女性はとあるまりさの表情の変化を見逃さなかった。 待ってましたと言わんばかりにまりさの口もとにマイクをあてる。 【ゆへへ…!しょせんはあたまのわるいくそどれい…ちょろいもんなのぜ!】 悲しいかな、考えていることをしゃべってしまう餡子脳。 それでも、ばれないように小さい声で呟いたつもりだろう。 しかし、このツイートはマイクを通じて日本全国に届いた。当然、球場の中にも。 当のまりさは、なぜ自分の声がこんなに大きくなったのかと固まってしまっていた。 女性の考えに気づき、頭を抱える所長。だが時すでに遅し。そんな様子の所長を見て、ニンマリと笑う女性。 最初から、一匹たりとも生かして帰すつもりはなかったのだ。 【むぎゅう!まりさあああ!なにいってるのぉお!?ばれちゃだめっていたじゃないの!】 【そうよこのばかぁ!もうすこしでぱちゅりーのさくせんでどれいをだましてにげられたのにぃ!】 【おばかなまりさはしねぇえ!】 マイクを巧みに操り、続きのやり取りも逃さずに中継する女性。 まりさに続き計画を暴露してしまったゆっくり達も、響き渡る自分の声に驚きまりさ同様固まっている。 このやりとりにより、明らかに球場内の空気が変わった。ゆっくりたちは気づいていないが。 そして、女性により止めが刺される。 【あらあら…そんなことを考えてたのね…?】 【ゆ…ゆぅう!ちがうよ!あのぱちゅりーたちだけだよ!】 【ふぅん…じゃあ最後のチャンスをあげましょう。】 【ゆ、ゆゅっ!じゃあみんなをにがしてね!いますぐだよ!】 【この質問に答えたらね…】 【はやくいってね!そしてにがしてね!】 【じゃあ聞くけどれいむ…あなたたちは、どうしてこんな目に合っているの?】 【ゆゅっ!?】 ゆっくりの謝罪は鳴き声。10年前はまだあまり知られていない事実であった。 だからこそ、観客の中からゆっくりを憐れむ者が現れたのである。 万が一れいむが答えたら逃げられるのではあるが、この場にいる時点でこのれいむが 理由を理解しておらず、質問に答えられないことは明白である。 理由を理解できたり、人間との力の差を理解できるようなごくわずかな賢い個体は、 最初の時点で挑発にのらなかったのだ。 【ゆぅう…】 【わからないのかしら…】 【ゆぅ…ゆんっ!わかるもなにも、れいむたちはなにもわるいことなんてしてないよ! れいむがかわいいからってどれいはむだなじかんかせぎはやめてね!ぷっくー!】 【ふふ…皆様。この様にゆっくりの謝罪は鳴き声と一緒です。騙されないで下さいね。】 これが決定打となった。本性を現したれいむの発言により、再び会場はヒートアップする。 これには流石にゆっくり達も異常事態に気づかざるを得ない。 ちなみにこの時の女性の発言で、ゆっくりの謝罪は大抵鳴き声であると広く世に知れ渡ることとなった。 【それじゃあ…全部この場で殺してあげるっ!】 女性の声に応えるように湧き上がる球場。所長はすでにあきらめていた。 ここまでヒートアップすれば収拾はつかない。 ここまでゆっくりに通じている一般人が、ましてや駆除に当選するなど所長は想像だにしていなかった。 【これが何かわかるかしら?】 『ヒュンヒュン』 そうゆっくり達に向かって言いながら、自作の鞭を振り回す女性。マイクは手放さない。 この場の主役は完全にこの女性になってしまった。 ゆっくり達はその鞭の放つどす黒いオーラに一様におもらししている。 【わからないみたい…ねっ!】 『バチバチバチィン!』 ゆっくり達の目の前の土を跳ね上げるようにして鞭をふるう女性。 大量の土埃が舞い上がり、ゆっくり達に降り注ぎ… 「ゆ、ゆぼええええええええ!なにこれぇえ!」 「ゆっくりできないにおいがするよぉおおお!」 「きょわいよ…くちゃいよ…もっちょ…ゆっくり…」 「あぁあ!おちびちゃゆぼええええ!くさいいいい!」 土埃を浴びた瞬間、苦しみだすゆっくり達。赤ゆっくりに至っては永遠にゆっくりした。 ゆっくりを含め、女性以外の誰もがその原因を理解できなかった。 【これねぇ…私の自信作なの。この中にはね、死んだゆっくりのお飾りが、 い~っぱい詰まってるの。いい匂いするでしょ?】 更に沸き立つ球場。一般人に、死んだゆっくりのお飾りは死臭を放つと理解されたのもこの時だった。 この女性自作の鞭の中には、より臭いを振り撒くように特殊な加工をなされた 死臭付きのお飾りが大量に詰められており、この鞭の描く軌道がそのまま死臭を放つ。 直接叩いた時はもちろん、こうして土埃に死臭を混ぜたりと様々な使い方ができる優れものだ。 死を具現化したかのような鞭を振るう女性は、もはやゆっくり達の目には死神としか映っていなかった。 だいぶ減ったとはいえ、それでも100をくだらない数はいたゆっくりだが、恐怖に怯えきっている。 もう動くこともままならないゆっくりたちは、駆除当選者達の手によりものの5分で残り1匹となってしまった。 そして、最後の1匹が鞭の女性につかまれ、高々と掲げられる。 奇しくも、最初に計画を暴露したあのまりさであった。 逃げようとあんよをぐねんぐねんとさせているまりさに、そっと、耳打ちをする女性。 「ありがとう、まりさ。」 「ゆ!?」 「あなたのおかげで、みーんな死んじゃったわ。」 「そ、そんな!まりさはなにもわるく…」 「だからお礼に、とびっきり苦しめて殺してあげる…」 そういうと女性は、マイクを手に取り、最後のマイク中継を開始する。 【これで最後です!】 この瞬間球場は本日最高の盛り上がりを見せた。そして鞭を使い、まりさを軽く、本当に軽く締め上げた。 包んだという表現のほうが正確かもしれない。 【ゆびょびょびょあああああ!やめでえええええ!ぐざいよぉおおお!】 鞭に触れている肌から、まりさの中に大量のゆっくりの怨嗟の声が流れ込んでくる。 この鞭に使われているお飾りは、どれも女性によってこの上ない拷問の末死んだゆっくりのもの。 一つ一つに、膨大な負の感情が詰まっていた。 【やめでぇええ!まりさはじにだぐないよぉおお!みんなうるざいぃい!だまっでねぇええ!】 と、急に拘束が解かれ、地面に落ちるまりさ。体力を消耗しきっており、もはや息も絶え絶えだ。 【ごめんねぇ、まりさ。私、嘘ついてたわ。】 やさしく、まりさに語りかける。少しずつ、少しずつ、女性の顔が変わってゆく。 【ゆぐ…じにだく…ないよぉおおお…】 【殺すとか、殺さないとか、死ねとか、生きたいかとか言っちゃったわね…】 【ゆ…さっきから…なにをいっで…】 【あれね…嘘だったのよ…】 【ゆ…!?ゆ…ひぃいい…】 本日最高の笑顔を見せる女性。その笑顔に、駆除を見ていた者全てがぞくり、とした悪寒を感じた。 【ゆっくりは…生きてなんかいないのよっ!】 『パァアアアン!』 こうして、渾身の一撃により、まりさは最期の言葉もなく砕け散った。 この女性の活躍により、今回の一斉駆除は大盛り上がりを見せた。 所長も、これはこれで結果オーライということで納得しているようだ。 ちなみに、この勇姿が中継されたことにより、女性の元には全国の加工所からのラブコールや メディアのインタビュー、果てはゆっくり虐待趣味の男性からの求婚がしばらく絶えなかったようだ。 こうして、一斉駆除最初の試みは、大成功に終わった。 この駆除法は全国に知られ、この後すぐに歴史に名を残す「全国一斉駆除」が行われる。 これにより、全国で野良ゆっくりの数は激減し、また数を増やしはしたものの、 以前のように人間に歯向かうような野良ゆっくりはとんといなくなった。 今回所長が考えていたような試みは、他の場所ではきちんと成功したのだ。 以後は徹底的に野良ゆっくりは全存在の最底辺へと追いやられることになる。 人間の間では、飼いゆっくりと野良ゆっくりは別物であると思われるほどにである。 このようにして、野良ゆっくり達の、ゆっくりできない時代は幕を開けた。 その幕が下ろされる可能性は、野良ゆっくりが絶滅することでしか訪れないのかもしれないが… 「ママー、プリンないよー?」 「ちゃんと探しなさいよ…ほら、ここにあるじゃない。」 「ほんとだー!もしかして隠してた?ママって意地悪ー。」 「…はぁ、もう。あ、髪濡れたまんまじゃないの、プリンはドライヤーで髪乾かしてからにしなさい。」 「自然乾燥で大丈夫だもーん!」 子供はプリンを持って自分の部屋に行ってしまった。 「ふぅ…誰に似たんだか…」 そう愚痴りながら、自分の部屋に入る母親。ふと、部屋の壁に掛けてある写真に目をやる。 それはあの時の駆除に貢献したとして、市長に感謝状をもらった時のものである。 あの駆除の大成功により、街はその名を日本で知られることとなったのだ。 写真の中央には、若かりし母親の姿。その手にはあの鞭が握られている。 「群れを全滅か…やっぱり、私に似たのよね…それにしても子供って、あんなうるさいのを潰すのに 人前で平気でやるものねぇ…子供はいいわねぇ。褒めるわけにもいかないけども。」 そう言いながら、思わず頬が緩む。あの後は、子供もできたため虐待からは遠ざかっていた。 喜んでいいのかはわからないが、娘の行いにかつての自分を見た母親は、とても嬉しそうである。 群れが全滅したとして、この母親にとっては娘との血のつながりを認識させる、良き出来事にしか過ぎなかった。 このゆっくりできない世界は、何も変わらず回ってゆく。 これまでも、これからも、ずっとずっと… 完
https://w.atwiki.jp/meidaibungei/pages/657.html
2012年10月24日(水) 20 51-鈴生れい 注:「退屈をこじらせる」「うざい人たち」の続きです。先にそちらをお読みください。 世間的には夏休みが明けてから最初の週末。 買い物に出ていた私が部屋に帰ると、学校が始まって以来顔を出していなかった萌が神妙な顔で部屋の真ん中にぽつんと座っていた。 暑かったのかクーラーがついている。わたしはクーラーをあまり使わないが、萌が来ると当然のようにつける。今度から電気代を請求しようか。クーラー代結構バカにならないのだから。 とはいえ、小5のガキがあまりに似つかわしくない顔で自分の部屋にいるというのは気分のいいものじゃない。勝手に入られることについてはもう慣れたが。 「おい、何してんだ」 買ったものを詰めた手提げ袋を机の上に置きながら、わたしはゆっくりとその場に腰かけた。9月に入ったとはいえまだ上旬、汗が不快に垂れてくる。 萌は黙ったままこちらを見つめていた。瞳が妙に潤んでいる。まぁ、あのくそ生意気で勝気な萌が、この時期にこんな顔をする理由など想像はつく。 「フラれたのか」 瞬間、じわっと萌の目尻に涙がにじんだ。 本当は萌がフラれたら思い切りバカにしてやろうと思っていたのだが、・・・・・・しかし、こういう時こそ二十歳になった私の母性の見せ所というやつじゃないのか。 そんな下心ありありのまま、わたしはそっと両腕を開いた。 普段ならば鼻で笑うのに、よっぽどショックだったらしく萌は素直にわたしの胸に飛び込んできた。途端、ううううと咽び始める。 さらにリズムよく優しく萌の背中を叩いていると、萌は本格的に泣きじゃくり始めた。 ―――彼女の泣きわめく姿も、これほど弱々しい姿も、わたしは初めて見た。 何しろ普段が普段、憎まれっ子と言って差し支えない彼女のことだ。特にわたしに、弱みを握らせるような真似などしない。 けれど今日ばかりは、わたしも日頃の恨みはぶつけまい。たまにはお姉さんぶってもいいじゃないか。 ・・・・・・という思いが半分。残り半分は、そう、わたしは萌が羨ましかった。失恋して泣いてしまえるほど、一途な恋をできたことに。 萌はずっと泣いている。感傷的な気分。わたしも泣いてしまいそうだ。少しずつ、目の端が熱くなっていく。 女一人子供一人が泣きあいながら抱き合うという、わたしが美人なら絵になりそうな状況。 そんないつもとは180度ほど違う雰囲気を、最初にぶっ壊して元に戻したのはやはり萌であった。 「空、臭い」 しゃくりあげながら、「臭い」わたしの腕の中で暴言を吐いたこのクソガキを、思わずわたしは「臭い」胸と腕で絞め殺しそうになっていた。 * ひとしきり涙し、あのとんでもない暴言を吐いた後、萌は何も言わずに自宅に引き上げていった。わたしの感傷を返せよ、マジで。 そんなことがあったのが、先週の金曜日。 一週間経った土曜日、わたしが目を覚ますと、目の前に二人の子供が鎮座していた。 一人は言うまでもないが、もう一人は見覚えのない男の子だった。というか、男の子・・・・・・。 「萌、あのさ、わたし一応女なんだけど」 「え、そうだったの?」 白々しく目を見開いていた。もう、いつか本気で殺りかねない。いっそ今好きな子の前で素っ裸にしてやろうか畜生め。 どうあがこうともう遅いので、所在なさそうに部屋の隅に座っている男子を尻目に、わたしは布団から這い出した。適当なTシャツと、面倒だったから確か下はパンツ一丁だ。いくらガキとはいえ、他人に見られて気分のいい恰好じゃない。 わたしが着替えている間、男の子は壁を向いていた。なるほど、いい子そうだ。陽子(大地の彼女)といい、篠山側は酷いのにその相手はいい人ばかりである。 「もういいぞ」 「ご、ごめんなさい」 壁に向かったまま、男の子は震える声で謝罪していた。ここまでくると色気の欠片もないわたしごときのために可哀想である。 ああでも、これだけ反応してくれるならこの方向で彼をたぶらかすのもありか。萌が面白いリアクションを見せてくれそうだ。 心の中で計画を練りながら、とりあえずわたしは萌をふん縛ることにした。 * 「つーか、お前フラれたんじゃなかったの?」 トースターに食パンを突っ込みながら、わたしはひっ捕らえられた萌に尋ねた。 「まずはこのビニールひもを解いてよ。話はそれからするから」 「じゃあいいや。えっと、翔己くんって言ったっけ? 萌をこんな生意気なガキ嫌だっつってフッたんじゃないの?」 彼は貝塚翔己というらしい。萌より一つ年上だそうだ。ただ随分幼い外見をしていて、割と身長の高い萌と並ぶと年下に見える。 保健室登校の理由については、詳しく聞いていない。 「え、えっとその・・・・・・」 しどろもどろ。どうやらいきなり恋人の従姉、それも自分で言ってて悲しくなるが男っぽい女子大生に会わされてテンパっているんだろう。 うーん、見た目だけなら大学に入ってからそれなりに女っぽくなったと自負しているんだが、如何せん口調と性格があれである。大学二回目の夏休みを超えてなお、浮いた話の一つもないのは悲しい。 ともあれ、萌ならどうでもいいが目の前にいる少年は初対面だ。助け船を出してやろう。 「あれか、萌にしつこーく付きまとわれて折れたのか? 困ってるんだったらわたしが処理してやるが」 「処理って何する気よ! 空が言うと怖いんだけど!」 何もそこまでというぐらい顔を青ざめながら叫ぶ萌。現状が現状なのであれだが。 そろそろ縛るだけじゃワンパターンだし、何か別のお仕置きを用意した方がいいかな。もっと精神的に来るやつの方がいいか。 新しい体罰法を思案していると、翔己が意を決したように口を開いた。 「あああああの、空・・・さんって本当に萌さんのお母さんなんですか?」 「あ゛あ゛んっ!?」 ひっと翔己が縮み上がった。そのまま壁際まで後ずさる。っといけない、想像を絶するぐらい失礼なことを言われたとはいえ、わたしの凄みに慣れていない翔己には少々酷な仕打ちだ。 仕打ちするならこの事態を引き起こし、今もぶるぶると肩を震わせる萌にやらなくては。 「ああ、ごめん。自己紹介がまだだったが、わたしは篠山空。萌の従姉だ。年は二十歳。いくらなんでもこの年齢のガキを持つ母親には見えないだろ」 「は、はい。ごめんなさい」 「あやまんのはいいから、少し萌に制裁加えるの手伝え」 「ちょ、ちょっと翔己くん、まさか裏切ったりしないよね・・・・・・?」 「どうするんだ翔己、さっきの件、これを手伝ったら許してやるぞ」 「え、ええと、」 「迷わないでよ。こんな悪魔に誘惑されないで!」 「今のでさらに罪が重くなったな。さぁ翔己、て・つ・だ・え」 * 「空ってさ、大人気ないよね」 「何を今更、一年半もつるんで」 萌を布団でぐるぐる巻きにし、ビニールひもで縛り上げると、すっかりトーストが冷めていた。仕方ないのでそのまま口の中に放り込む。 「だってさ、ちょっとからかっただけじゃん。まさか翔己くんも本気にすると思ってなかったし」 「聞いたか翔己、これがお前が付き合ってるやつの本性だぞ」 翔己はまた壁に向けて、今度は体操座りをしていた。返事はない。 確かに、見てくれは身内の贔屓目を覗いても可愛いのだ。ただ性格がご覧の有様、性悪とすら言いたくなる始末なのに、どうしてこんなやつに告白するバカたちが後を絶たないのか。 ふぅと一息ついて、時計を見るともう12時だ。少し寝すぎたかもしれない。 「何か食べるか。と言ってもうちにはまともな飯はないが」 「あ、萌ハンバーガー食べたい」 「お前は自分で買え。翔己はどうする?」 さっきから不憫な事態が連続していることだし、ついでに大人気ないところばかりを見せているわたしの名誉挽回も含め、翔己には何か奢ってやろう・・・・・・千円以内で。 自己嫌悪から抜け出したのか、翔己はこちらに振り返った。 「あ、いえ、その、そんな・・・・・・」 「いいから。萌と一緒でいいか」 「え、あの、えぇと、・・・・・・はい」 普通なら、初対面の相手に昼飯をこしらえてもらうのは失礼だろう。翔己もそこら辺はよく理解している。萌には本当もったいないぐらいいい子だ。いっそ8歳差もありか? なんて戯言はさておき、失礼だからと言って遠慮されても、翔己一人ご飯を食べないのはこちらとしても気まずい。子供は素直に奢ってもらうのが一番である。萌ほどあからさまなのはどうかと思うが。 「んじゃ決まりだな」 「空、原チャリで行ってきてよ」 「お前がひとっ走り行って来い」 「遠いじゃん」 通学用に原チャリはあるが、燃料がもったいない。その点チャリンコなら燃料は自分だ。実家から持ってくるべきは原チャリではなくチャリンコだったかもしれない。確かに遠いとはいえ、わたしならチャリでOKだ。 あーっと、実家っつったら思い出した。 「萌、今度のシルバーウィークだが」 「ああ、実家に帰るんでしょ」 そう、この前大地が来たとき聞いた。いい加減一度帰って来いと親父が言っているらしい。大学に入ってからこの1年半、1回も家に帰ってないのだから当然と言えば当然か。 「萌も行く」 「は? 叔父さんたちも一緒に帰るのか?」 「ううん、萌と空で」 なんだそれ、引率しろってことか、面倒くさい。 「叔父さんは良いって言ってるのか?」 「うん」 なんなんだ。叔父さんは自分の娘をなんだと思ってるんだ。篠山の親父は自分の娘を男だと思ってないか。 ふと自分の親父が脳裏に浮かんだ。元気にしてるんだろうな。そうじゃない親父が想像できない。 「し、篠山さん、その恰好で普通に会話しないでよ・・・・・・」 翔己が笑っていた。篠山さんと言うので一瞬わたしのことかと思った。付き合ってるのに、名字呼びかよ。奥手な。 「じゃあ助けてよ!」 「それは、その・・・・・・」 利口な子だ。さて、ハンバーガーを買いに行ってくるか。 * 帰ってくると、萌は簀巻き状態から抜け出ていた。 同時に、どういう具合か翔己と萌が布団の上で横になっていた。 一瞬、頭の中が真っ白になったが、耳を澄ますと寝息が聞こえる。どうやら寝てしまっているようだ。 一体全体どういう経緯でこんな珍事に陥ったのか見当もつかないが、これは面白い。まずは写メっておこう。いや待て、シャッター音で起きる可能性があるし、最初にやるべきはあれだ。 思い立ったが吉日、揃って窓に背を向けて寝ている二人に忍び足で近づき、揃って窓に背を向けている状態を改善する。萌は寝相も寝起きも悪く、多少の刺激では目を覚まさないので好都合だ。 仲良く面を合わせたところで、通学用のカバンに突っ込んである携帯を取り出し、パシャリ。 「・・・・・・ん?」 翔己の方は眠りが浅かったらしく、案の定シャッター音で起きてしまった。音を消せるのが一番いいのだが、そんなことができるのかまでは知らない。わたしはあまり機械に強い方ではないのだ。アウトドア派だし。 目を覚ました翔己は、眼前を注視して、リンゴもびっくりなぐらい顔を赤く染めた(青リンゴじゃないよ) 「し、しの、・・・・・・」 「翔己、起きたか?」 さも今気づいたかのように声をかけるわたし。我ながら名演技だ。 「え、と、その?」 「仲良く昼寝してたところ悪いが、昼飯買ってきたぞ。とりあえず食べようか」 ファーストフードの匂いはきつい。いくら萌の寝起きが悪いといっても、これだけきついのだからそのうち鼻をひくつかせて起きてくるさ。だから今は寝かせておいてやろう。 きっと今週は大変だっただろうし。 「ほら」 紙袋からハンバーガーを取り出すと、いよいよあの独特なにおいが部屋を満たした。これで起きないのであれば、それはそれで起こすのが可哀想なので放っておこう。 注文を聞き忘れたことに店に到着してから気付いたので、無難なものを選んできた。今時の子はハンバーガー3つあれば満腹になるかな。わたしは昔大食らいだったので、3つじゃ足りなかったが。 「あ、ありがとうございます」 律儀に布団に座ったまま礼をして、翔己はハンバーガーを1つ受け取った。 そうそう、さっき帰って来てから気付いたのだが、今日もクーラーがついていた。多分昨日うちに泊まっていった萌が翔己を連れて戻ってきた際に暑かったからだろうが、これはやはり電気代を萌か叔父さんに請求しよう。 「あの、空さんは食べないんですか?」 「ん? ああ食べるよ」 買ってきた本人より前に食べることを無礼だと思ったらしい。本当いい子。爪の垢を萌に食わせてやりたい。あのクソガキめ。 待たせても悪いので、わたしも食べることにした。とはいえ先ほどトーストを食べたばかりだし、買ってきたのは1つだけだが。 いや、買う気はなかったんだ。ただあの匂いに釣られたというか。無性に食べたくなったというか。 言い訳を心の中で重ねながら、わたしはハンバーガーにかぶりついた。昔はハンバーガーと言ったら大はしゃぎしたものだ。親父には「体に悪い」と言われほとんど食べさせてもらえなかったが。 無言。心の中で饒舌なわたしは勿論、翔己もただ食べることに集中しているようだった。 だが萌が寝ている今、翔己と二人きりになれる唯一といっていい機会だ。ここは少しばかり翔己と会話をしてみよう。それ以前に確認しなくてはならないこともある。 「翔己」 「は、はいっ?」 ・・・・・・なんだろう、わたしってそんな怖いかな。無意識なんだろうけど声が上ずっていた。一人の女として泣けてくる。 こうなったら、あまり柄じゃないが、少し女っぽい口調で頑張ってみるか。 「おま、いや、君、萌と付き合ってないんだろう?」 あ、これはダメだ。もう少し頑張らないと。 ともかく、初めこそ付き合いだしたから連れてきたのと思ったが、萌も翔己も断言してはいない。萌の性格上、そういったことは自慢してくるだろう。それに、なんとなく二人の間に距離を感じるのだ。 「え、と。はい」 迷うことも、悪びれる素振りもなかった。後ろめたい様子もない。慌ててもいない。平静。 「萌が一方的に付き纏ってるの?」 「い、いえ、そういうわけでは・・・・・・」 翔己は少しだけ視線をわたしから逸らした。否定したいが否定できないのか、肯定しかねるが否定もできないのか。 「遠慮しないで。今は萌も寝てるし、わたしは萌の味方ってわけじゃないから」 「え、遠慮してるわけじゃないんです。ただ、その、悪く言えばそうなるかなって」 わたしは萌をちらりと見た。 「さっきも言ったけど、迷惑ならよく言って聞かせ「迷惑なんかじゃありません!」 言葉を遮って、翔己は叫んだ。初めて彼が働いた無礼だった。彼が出した大声に、少し気圧される。 一旦深呼吸をして、翔己は続けた。 「ぼくは、保健室登校をしてます」 知ってる。それがきっかけでわたしは萌から翔己の話を聞いたのだから。 「体が悪いわけじゃないんです。ただ、教室に入ると気持ち悪くなって・・・・・・」 「そう」 「はい。だからぼく、友達いないんです」 「うん」 「でもしの、萌さんはそんなぼくに話しかけてくれて、それで付き合ってくれなんて言われて」 「・・・・・・」 「そのとき、僕びっくりしてごめんなさいって言って逃げ出したんです」 先週末の金曜日、萌が泣いたのはそれが原因か。 「だけど萌さんは、それでもぼくに話しかけてくれて。すごく嬉しかったんです」 「うん」 「だから迷惑なんてとんでもないです。今日はびっくりしましたけど」 あははと笑う翔己。それに引きずられて、わたしも少し笑った。 「そう、ならいいの」 萌、いい子を見つけたな。 * 翔己が一通り食べ終えたところで、わたしは再び訊ねた。 「それで、萌と付き合う気はないのか?」 もうそろそろいいだろうと口調を元に戻した。ついでに目の端でぴくりとあれが動いたのを確認する。 翔己は、顔を真っ赤にした。 「そ、それは、ぼく友達いないから、お付き合いなんて考えられなくて・・・・・・」 それもそうか。友達いないやつの気持ちはわたしには分からないが、友達いないのに恋人いるというのも変な話か。それも小6で。 「萌が好きだって言ってんだし、遊び感覚で付き合ってやってもいいんだぞ」 「そんなことできません!」 「そうか。・・・・・・いつかは、決着をつけてやってくれよ」 萌のためにも、翔己のためにもな。 「わ、分かりました」 「だとさ、萌ちゃん。翔己は萌ちゃんみたいな性悪女と付き合えないってさ」 「そんなこと言ってないじゃん!」 萌が飛び起きながら吠えた。その顔は翔己と同じく。 先ほど、具体的に言うと翔己の独白辺りから、起きているのは分かっていた。萌も悪だなしかし。 当たり前と言えば当たり前か、翔己は全く気付いていなかったようで、目を真ん丸にしていた。 「し、篠山さん、起きてたの・・・・・・?」 「う、ご、ごめん翔己くん。全部聞いちゃった」 黙っていればいいものを、バカ正直に告白する萌。対して、顔を赤色へ青色へとグラデーションさせている翔己。 ここでさらに爆弾投入。 「そうだ、この写真見てみないか?」 言いながら、仲良く同じ布団で向き合いながら寝ている写メを見せてみる。 「こ、こんなっ」 「あ、あはは・・・・・・」 火を噴きそうな顔で写真を見つめる萌と、目を回している翔己。ここまで弄れれば上等だろう。面白かった。あっはっは。 一しきり笑ったところで、わたしはお茶を淹れようと腰を上げた。すると、萌がズボンのすそを引っ張ってきた。なんだというのか。 「なんだよ。まだ弄られたいのか?」 冗談めかして言うと、いつになく真剣な様子で、萌は上目遣いに睨んできた。 ちょっとからかい過ぎたかなと1ミリグラムほど反省していると、萌が低い声音で言った。 「萌のハンバーガー、は?」 「えへへ」 我ながらキモいと思う。 違うんだ。本当は何かしら買おうと思ってたんだ。でも財布事情が冬だったんだ。仕方なかったんだ。 ハンバーガー1つ200円。お財布の中には0野口さん。推して察するべし。 「何キモい笑いことしてんのよ! 食べ物の恨みは恐ろしいのよ!」 「って、わたしの金じゃん! 奢らなかったからって恨まれる筋合いはねぇ!」 「わたしだけ昼飯なしってのが気に入らないの!」 ええいうるさい従妹め! 怒られる理由が理不尽だっつーの! ぎゃいぎゃいと言い合うわたしと萌を見て、何を思ったか翔己は微笑みながらこんな一言を口にした。 「仲、良いんだね」 「んなわけないじゃん!」「そんな馬鹿な」 ほら、揃ってないし。 可愛げのない可愛い従妹だ、本当に。 だんだんクオリティが下がっている気がする3作目です。 たぶん次回が最後です。最後にして一番長くなる予感。 本当は萌と翔己の恋愛模様を描こうと思ったらどうしてこうなった。最初は空が後に萌から聞いた話という形にしようとしたのですが、思った以上にシリアスになりそうだったのでやめました。 ミステリアスだったはずの翔己。結局一番の常識人に。
https://w.atwiki.jp/maid_kikaku/pages/682.html
(投稿者:怨是) 「少佐」 聴き慣れた声に呼び止められ、ゼクスフォルトは振り向く。 ここはグレートウォールの仮設基地。 数年前、Gの猛攻によって修繕が追いつかずに突貫工事だけでここまで持たせてきた。 雨漏りが酷く、それに加えて外気の浸入によって夏場でも毛布が無ければ寝られない。 20日制を導入してからは工事する機会も増え、幾分かましにはなったようだが、それでも両肩を抱えなければならなかった。 「“アシュレイ”でいいよ。どうかしたか?」 「じゃあ、アシュレイさん」 「やっぱり、さん付けされると何だか照れくさ――」 ふと、彼女の両腕がゼクスフォルトの左腕を挟む。 いつもと違う行動は、いつもと異なる状況が生み出したものなのだろうか。 つり橋効果によるものか。 「ただ、何となくこうしていたいだけです」 「寒いもんな」 ゼクスフォルトは咎めない。 ただ、ただ、温もりが欲しい。 今は温もりが欲しいだけだ。 カレンダーを見やる。 日時は10月27日で、時刻は7時。夕食もシャワーも、もう済ませた。 今は便利になったものだ。少し前までならシャワーだってまともに使わせてもらえなかった。 体臭があまりに濃厚だとGの出現率の増加が著しいという研究データが出てからは、毎晩のように浴びることが出来る。 「……今日も多かったですね」 「今回の作戦は、何だかやったら多いんだよな」 Gの数が、報告より多かったのだ。 ヴォルケン中将の説明した“未確定情報”とは異なり、確認できたのは従来型のGばかり。 援軍も、ドラゴンフライに追われて墜落した戦闘機といい、やけにミスが多い。 意図的に引き寄せているとまでは考えがたいが、何から何までいつもと違う雰囲気に遭遇すれば、確かに腕を絡ませたくもなる。 「頑張れ、シュヴェルテ。俺達は生き延びるぞ」 戦いはまだ終わっていない。これからだ。 寄宿舎に戻ろう。 「……恋人繋ぎでもするか」 「今更ですけど、何だか恥ずかしいですよね」 「指先を冷やさないようにするんだよ」 顔を赤らめることは無い。 既に、ずっと前に通ってきた道だ。 残った右腕で、自身の首にかけた銀のペンダントに触れる。 剣をかたどったそれの隣には、彼の左薬指の指輪と同じものがかかっている。 「にしても、今日のポテトはいつもに増して冷えてたよな」 ゼクスフォルトは顔を上げ、話題を切り替えた。 いつまでも辛気臭い話なんてしていられるか。愚痴でも吐いてガス抜きの一つでもしておかねば。 「作り置きだったのでしょうか」 「ひとえに作り置きっつってもやり方はあったのに、衛生課の連中は何考えてやがんだ」 周辺視野に映る窓が、足を進めると共に後ろへと流れて行く。 暗闇の向こう側に柵があり、灯りに照らされて佇む兵士らがいた。 彼らに空腹の様子は見られない。見張り番特権で、早めに飯も喰えたのだろう。 「そうですよね。私達の到着が遅れてしまったというのもあるんでしょうけど」 そうなのだ。今日の作戦では戦闘後の処理に時間がかかってしまい、仮設兵舎への到着が大幅に遅れてしまったのだ。 それもこれも、墜落したFw209戦闘機のパイロットの回収に無駄に手間取ってしまったからである。 「パイロットが生きてて良かったけどな。でも流石に手間がかかりすぎだろ。明らかに遠回りしなくても良かっただろうに」 「というか、パイロットさん無傷でしたよね」 「そうだよ、アイツなんで無傷なんだ。少しくらい怪我しててもおかしくないだろ」 しばしの沈黙の後、シュヴェルテが思い出したような表情を浮かべる。 「……もしかして、ベイルアウトの達人だったり?」 「あぁ、確かに年季入ってたしな。ベイルアウトしまくってるうちに、極意を学んだとか?」 実際、エースパイロットというのは引き際を弁えている事が多いために、得てして有事の際は機体に拘らずにすぐに離脱するという。 あくまで戦闘機は消耗品として考え、またそれが通用するのも確固たる戦績を見せ付けているエースパイロットの特権でもある。 コンクリートの壁の色が変わる。 突貫工事で打ちっ放しのグレーのコンクリートは、塗装も途切れ途切れだった。 曲がり角の辺りから足音が響き、視界に二人の人影が現れた。 「あ、ジークフリートさんにシュナイダー少佐だ」 ジークとヴォルフ・フォン・シュナイダー少佐はそれぞれの個室が用意されていた。 他の兵士やMAIDとはえらい違いである。 MAIDはMAIDで集合寝室はあるものの、繊細な乙女心は無視して、全員で集まって管理を受けねばならない。 監視員に、ゼクスフォルトの部下はリストアップされていないが、10時までなら“報告”を理由にちょくちょくお邪魔することはできる。 ジークフリートは、ゼクスフォルトらとは反対方向にある個室へと向かっているのだろう。 ゼクスフォルトも真顔のまま、彼女に挨拶をする。 「ああ、えっと、本日も華麗な戦いぶりで」 とりあえず彼女に出会ったからには何らかの美辞麗句を投げかけておかないと、それだけで周囲の視線が咎めるのである。 にもかかわらず彼女の担当官であるはずのシュナイダーは、こちらには何の挨拶も無しにとっとと先へ行ってしまったのだ。 何様のつもりか。10歳近くの差はあれど、同じ少佐で軍人だろうに。礼儀もあったものではない。 戦闘に関係の無い、日常の事柄は全て無視するつもりか。 ゼクスフォルトの内心は、実に面白くなかった。 不愉快の三文字が脳裏を埋ずめそうになる。埋もれそうになる。 「……ありがとう」 ジークは若干の間を置いて、視線を合わせずに一言そう応えると、駆け足で背後へと消えていった。 担当官に似て暗い奴だ、とゼクスフォルトは眉をしかめる。 「元気が無いですね。どうしたんでしょう」 「……あんなの、いつもだろ」 「いつもに増して暗いような」 「気のせいだよ」 本当に面白くない。 突き当りを右に曲がればすぐそこが、ゼクスフォルトら一般兵の寝床。 そこを更に進めばMAIDの寝床である。 足を一歩踏み出すごとに、左手の指を強める。 明日への闘志を忘れないために。 不愉快な気持ちを心の奥底に流して溶かすために。 しかし、何と残酷な事か。 歩みを進めれば、いつか離別は訪れるしかない。 シュヴェルテと絡ませた指をゆっくりと離し、扉を開ける。 「じゃあ、明日も頑張ろうな」 「はい!」 落ち込んだ気分を、元気のいい挨拶に慰められ、そのお返しとしてシュヴェルテの頭を撫でる。 約15cmほどの身長差のおかげで撫でやすい。 かつての恋人と瓜二つのMAIDに別れを告げてから、扉を閉めながら回想する。 そうだ。 両腕でこちらの左腕に組み付くのは、あれは、エミアがよくやっていたじゃないか。 まだシュヴェルテの右手の温もりが残る指輪を、そっと撫でる。 ――テオバルト・ベルクマン上級大将と、ホラーツ・フォン・ヴォルケン中将。 同時刻、皇室親衛隊本部。 静まり返っていた執務室に、二人の男が足を踏み入れる。 一方のベルクマンはこの皇室親衛隊の長官。全権限が、その両手、10本の指の裁量に委ねられる。 指を一本曲げるだけで、ヴォルケンは目の前の男に首を刎ねられてしまうのだ。 いくら多少の親しみはあれども、恐れ多い人物である事に変わりは無い。 「ジークフリート偏重の流れ、か」 「ええ。20日制に関しては、長官の迅速な判断のおかげで手早く廃止できましたが……やはり厳しい状況にあります」 「“皇帝派”と名乗る連中の妨害工作もあるからな。私を快く思わんからといって、軍事に手出しをされるとな」 それの廃止は、何を生み出すか。 鮮度のや精度の高い情報の、小まめな交換を可能とする。確かにモールス信号や電話などの通信手段はあるが、紙媒体のほうがより高精度である。 なおかつ、“皇帝派”と称する派閥の暗躍を防ぐという目的もある。 時間を縮めればそれだけ、秘密裏に作戦を進行させにくくなるのだ。 「そも、皇帝陛下が妙なえこひいきなどするから、余計に拍車がかかったのだ。下々の立場に対する理解が、まるで足らん」 ベルクマンは苦々しく両手の指を組む。 口元の歪みからは明らかな憎悪が篭っており、蛍光灯の鋭い灯りが陰影を際立て、冷たい炎を灯しているようにも見えた。 「やはり、大元のジークフリートを排除するしか方法は無いのでしょうか」 「……いや、それでは連中と同じ穴の狢だ。いたずらに戦力を減らすのは得策ではない」 皇帝派がこれまで計画してきたものは、どれもジークフリートの存在価値を脅かすとされているMAIDの暗殺ばかりである。 変死したMAIDの共通点はどれも、ジークとスコアを並べている、あるいはジーク以上のスコアを上げているというものだった。 その基準は徐々に徐々にと緩和され、とうとう『スコアが近い』というものまで標的となっている。 損害はあまりに多く、中にはコアごと破壊されたり行方不明となってしまった者もいた。 「そうですな……」 「打つ手はまだある。必ず見つかる。私のほうでも、これからも協力しよう。政敵にでかい面をさせるのは癪だ」 「お願いいたします」 悪しき流れは、止めねばならない。 そして、それがこちらに害をなす性質を持ち合わせているならば尚更だ。 「しかし……君はどう思う?」 「どう、って、ジークフリートに関してですか?」 ベルクマンは静かにうなずき、付け足す。 「それとヴォルフ・フォン・シュナイダー少佐の件についても、だな」 切っても切れない。 なぜなら、シュナイダーはジークフリートの教育担当官だからだ。 配備されてすぐに担当官として就任。その後はずっと付きっ切りで様々な訓練を行わせてきた。 ヴォルケンは固唾を飲み干して口を開く。 「まずジークフリートに関して述べると、いくら基本ポテンシャルが3年半ほど前の当時では高かったとしても、 やはり彼女一体だけが持て囃されるほどとは思えないのですがね」 「その通り。しかし、ジークフリートが皇帝陛下の末娘だったとしたら?」 ベルクマンの声がワントーン落ちる。 「……それは初耳ですな。陛下の溺愛ぶりから、薄々予感してはおりましたが」 「そうか。君にはまだ話していなかったか……これもあくまで噂話で私も確証は持てないのだが、 もし真実だとすれば“パぁパと呼ヴぇ”発言も、溢れる親心を抑え切れなかった故のものと考えると頷けるというものだ」 「とすると、彼女を暗殺しては国家転覆の危険性も充分に有り得ますな。本当にヴォストルージアの連中が押し寄せ――」 「以前、同じ事を再三再四忠告した筈だと思うが……君のジョークは笑えん」 うんざりした表情で遮られる。ヴォルケンも上司、それも長官を相手にしては背中の脂汗の噴出を止める事は出来なかった。 「し、失礼致しました」 「まぁいい。続けたまえ」 ヴォルケンの鼓動がシフトチェンジし、4速から5速を緩やかに往復していた。 軍用の高速道路――アウトバーンを疾走できる速度である。 「貴重な戦力であり、従順で寡黙。弱音も吐かない……確かにプロパガンダの材料としては至極優秀です。 しかし、私の提唱した戦果並列案は、そこからは独立して考えるべきだと思うのです。 全員が全員、ジークフリートのように賞賛を受けるというものではいかんのでしょうか」 鼓動は、吐き出される単語の数に反比例するかのように、3速、2速へとシフトダウンする。 背中の脂汗や帽子の湿度も、幾らか和らいできた。 「こうなる事はある程度予想できていたが、しかし。私の予想より更に重篤な結果に至ったな。 仕方あるまい。功罪はどのような場合に於いても発生するものだ。 理想論で語るなら、君の理論は賞賛すべきものかもしれん。しかし、現実はこの通り。 やはり試験的に採用するという段階に留めておいて正解だったか」 再び、鼓動がアウトバーンの速度へと変わる。 「つまり……」 「廃止だ」 「やはり、已むを得ませんな」 肩を落とすヴォルケンに、ベルクマンが注釈の為の口を開く。 「実用段階に持って行くには、兵の教育がまだまだ足らん。“足を引っ張るな”という精神の教育がな。 強者を妬むような下らん畜群本能など、ダヴハイテの星を窓に描かれるユーティッシュ共の発想だ。叩き直さねばならん」 エントリヒ帝国において、迫害されているユーティッシュ……――ユーティア民族。 強硬派に属する者なら、殆どの者が彼らに対して冷徹であり、冷酷であった。 “ダヴハイテの星”と呼ばれる八角形とV字で構成される記号が窓に描かれ、強制収容所へと連行される。 秘密警察も彼らを、Gと結託し人類の生存を阻むものとして葬ってきた。その数は蛸の足に置き換えても数え切れない。 ヴォルケンは硬い首をゆっくりと縦に降ろす。 「ご尤も、ですな」 「……それで、シュナイダー少佐についてはどのように考えているのかね」 「彼については……配属当初から陰気な性格だと思っておりましたが、 303作戦で片腕と片目を失って以来、輪をかけて暗くなりましたね。あれでよく担当官が務まるものです」 「命令以上の行動をせんからな。彼奴もまた、口答えも弱音も吐かん。 しかも、双方とも神話をでっちあげられても平然としていられるある種の理想とする見方もある。 ペットが飼い主に似るのと同じように、MAIDも担当官に似るという理論が一般的だ」 「しかしあれでは意志のない人形のようなものです。噛み砕いて理解しているならともかく、彼奴はそのまま飲み込んでいます」 「それにあの当時は彼以上に的確な人材も居なかったからな。 かといって無闇に担当官を変えれば思想のブレが生じ、戦い方にも悪影響が出る」 それでもヴォルケンは納得できなかった。 的確な人材? まさか。彼奴が? あの根暗が? 部下の信用も殆ど無い、命令を伝えるだけのマシーン男が? 勇敢さも、明朗さも、快活さも、ユーモアも無い。 ただ成績が良かっただけの、なんちゃって優等生の分際で。 「そう仰られても、私にはどうしても理解致しかねます。このままでは、彼に似て根暗に育ってしまいませんか?」 「彼の根暗も理由あってのものだからな。303作戦以降、時期は不明だが彼は強姦された経験がある。それも直属の部下達にな」 ヴォルケンの眉が上がる。 『しかもホモと来たか! ここまで来ればコメディだ!』と叫びそうになるのを必死に堪える。 「……彼にそのような穢れがあったとは。それも初耳です」 「長官の椅子も伊達ではない……地獄耳にもなる。彼奴から誘ったという発言は信憑性が薄い。暴走した部下の連中に非があるな」 二重の驚きである。 女を三つ並べて、左側に“強”をつければ、強姦だ。 確かに女々しい奴だとは常日頃から思っていたが、他に相手は居なかったのか。 MAIDは殆ど全滅したが、慰みものはいくらでもあったろうに。 屑の部下共め。性欲を持て余したか。 「とんでもない連中もいたものです。彼奴に欲情して、あまつさえ強姦とは。よほど持て余していたのでしょうな」 「いや、私はそうは思わん。征服欲の延長線上のようなものではないかね? 強姦は相手の自尊心を奪う、手っ取り早い手段の一つだ」 「いずれにせよ、虫唾の走るお話ですな」 ヴォルケンは吐き気と、えもいわれぬ笑いの入り混じった、引きつった表情をするほか無かった。 今まで彼と同じ空気を吸っていた事を後悔する。 「ところでその話はいつごろ耳にされましたか?」 「つい先々週だ。私も既に何度かそういう話は耳にしているし、今更驚くものでもなかったな」 「と、いう事はつい最近まで彼奴の名誉――」 途中で噴出してしまう。笑いが止まらない。声を殺して、小さく笑うしかない。 名誉? 笑わせる。何が名誉だ! もっと早く耳にしていたら大笑いできたのに! シュナイダーの小僧め。何たるザマだ! 「その辺にしておきたまえ」 一通り控えめに肩を震わせたところで、笑いすぎて涙が滲んできた目尻を拭く。 「……失礼致しました。で、彼奴の名誉の為に隠匿されていた、と」 「仮にもジークフリートの担当官だ。英雄の担当が強姦の被害者だと、国としても示しがつかんからな。 だがこの前の体罰事件があっただろう? それ以来、ただでさえ低い威信は、とうとう底を突いた」 発言を終えた辺りで、ベルクマンは煙草の箱を開ける。 銘柄は“Belkan-7”……響きがいいという理由だと、ヴォルケンは聞かされたことがある。 箱のデザインは黒に黄色と赤の丸が7つ並んでいるシンプルなもので、有名な戦時小説“ベルカ――七人の強豪”を元にしたという。 火をつけながら、ベルクマンがしめくくりの言葉を切り出した。 「シュナイダー少佐の対G指令本部への移籍は、いい機会かもしれん。ジークもそろそろ成熟してきた頃合だ」 「私もちょうど、そう思っていた所です」 「ジークフリートのこれからの処遇や、“皇帝派”の連中に関しては…… ギーレン宰相閣下や他の将官とも相談してみよう。人選は私の判断で厳密に行う」 「……ありがとうございます」 「明日の夜にでも臨時会議を開くとしよう。下がりたまえ」 背筋を伸ばす。定例の挨拶だ。 「は。それでは失礼致します。ジークハイル」 「ジークハイル」 ヴォルケンはこの挨拶もあまり好きではない。 “ジーク”という単語を発するときに、どうしてもジークフリートを連想してしまうためだ。 連想がてら、ドアを開けて退室する前にもう一言、質問する。 「長官。結局ジークフリートが陛下の愛娘だったという噂の真偽の程は、宰相閣下から――」 「さて、そろそろ首の一つでも飛ばしてやりたい気分だ。どうかね? インフレはまだ収まっていないが、君の懐ならそう苦労するまい」 ベルクマンの口元は確かに微笑みのそれだが、眼は笑っていない。 懐に手をかけて黒い塊が覗いているのが、この距離ならすぐに判った。 ヴァトラーP-38。文字通り懐に穴をあけられてしまわないうちに、切り返す。 「そのお言葉がジョークである事を祈ります。ジークハイル」 「ジークハイル。今日のところはジョークに留めておいてやる。出て行け」 足早にドアが閉まる。 その向こうから、溜め息が聞こえてきた。 「私だって知りたいが、そうもいかんさ……誰に推薦されてこの座に着いたと思っている……」 ――軽率だったな、私は。 ヴォルケンは、忍び足で執務室のドアを背にする。 ギーレン・ジ・エントリヒも、エントリヒ家の人間である。 ジークが本当に娘だったとしたら、訊くに訊けない。 逆にただの噂話だとしても、やはり心象を損ねる。 いかなる理由があろうと、身内をMAIDにするなどと思われては不愉快に思われるだろう。 自室に戻る頃には、心拍数はいつもの2速に戻っていた。