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置き土産 【おきみやげ】 去年の部屋の住人が、次の年の住人に残していく物品のこと。便利な物からゴミ同然の物まで様々。
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01-868 :無印職人:2007/11/05(月) 00 09 46 ID csl4ai1G 「マッチ……マッチはいかがですか……」 それは、12月の雪がしんしんと降る寒い夜の事でした。 道を行き交う人々が積もった雪を踏みしめる音が、しゃぐ、しゃぐと聞こえて来ます。 厳しい寒さにもかかわらず町は活気に溢れ、高そうなスーツを着た紳士や、温かそうな毛 皮を纏った婦人達が次々と現れては、雑踏の中に消えていきます。 そんな人ごみの中で、その少女はマッチを売っていました。 「マッチは……。マッチはいかがですか……?」 道行く人々と比べるまでもなく、大層貧しそうなぼろぼろの身なりのその少女は、か細い 声でマッチを売る為に人々に声をかけ続けます。ですが、誰も相手にはしてくれません。 「マッチはいかがですか……?」 「おやおや、これは可愛らしいお嬢ちゃんだ。だが、私は生憎タバコは吸わんのでね」 「マッチはいかがですか?」 「いや、俺ライター持ってるしいいや」 「マッチはいかが……」 「まっ!なんて汚い娘ザンショ!近寄らないで頂戴!しっしっ!」 「マッチはいかがですか?」 「マッチぃ?んなもん要らねえさ。お前さんなら買ってやってもいいぜぇ?へへ……」 「マッチは……」 「ねーねーおねーちゃん、まっちってなあに?」 「マッチ……」 「え?近藤真彦がどうしたって?」 誰もマッチを買ってはくれません。 マッチ売りの少女は、困り果ててしまいました。 「どうしよう……。全然売れないわ。このまま帰ったらお兄様に……」 はぁ、と溜め息をつくマッチ売りの少女。 少女はもう疲れ果てており、町の片隅に座り込んでしまいました。 「はぁ、寒い……。こうしてると、凍えちゃいそうだわ……」 とにかく寒いこの町です。 少女の纏っているぼろ布などでは、この寒さをしのげるはずはありませんでした。 寒さはどんどん厳しさを増し、少女の体力を奪っていきます。 ひざを抱えて、少女はがたがたと体を震わせ続けていました。 「ちょっとくらいなら……使っても、いいよね」 ぼそり、とそこにいない誰かに言い訳をするように呟いた少女は、すぐ近くに置いていた バスケットから売り物のマッチを大事そうに一つ取り出し、少しためらった後に、火を点 けました。頼りない細い木の棒に点った小さな小さな炎は、それでも少しくらいは彼女を 暖めてくれました。 「暖かい……」 01-869 :無印職人:2007/11/05(月) 00 11 20 ID csl4ai1G 小さな炎がくれた温もりは、少女の頬にちょっとだけ笑みを取り戻してくれました。 ですが、所詮はマッチの火。数秒もしたら、すぐに燃え尽きて無くなってしまいます。 その温もりが忘れられない少女は、もう一本、もう一本と次々とマッチに火を点けました。 目の前で揺らめく炎をぼんやりと見つめながら、少女が呟きます。 「ああ……。この炎が、豪華な料理だったらいいのに……」 するとどうでしょう! 少女が呟いた通りに、炎が大きく揺らめいて形を変え、やがて豪華な料理へと 「なる訳ないわよね……」 なる訳ありませんでした。残念ながら、現実はそう甘くはないのです。 「もう帰ろっと……。そもそも、このご時世にマッチなんか売れるはずないのよね」 ゆっくりと立ち上がると、少女はとぼとぼと歩き出しました。 行き先は、もちろん少女の家です。 手にしたバスケットの中には、売れなかったマッチが山積みになっていました。 「ただいま……」 「おや、お帰り。で、どうだった?マッチは売れたかい?」 家に着いた少女を出迎えたのは、少女のお兄さんでした。 お兄さんは、にっこりと優しい笑顔を浮かべながらも、さっそく売れ行きを確かめます。 「おや、全然売れてないじゃないか……。もっと頑張らなくちゃ駄目だろう?」 「だってぇ……」 ぷくー、と頬を膨らませる少女。 その仕草はとても愛らしく、マッチを売っているときのしょぼくれた様子とは別人のようでした。 01-871 :無印職人:2007/11/05(月) 00 14 33 ID csl4ai1G 「私だって頑張ったもん……。でも、この時代にマッチを売るってほうが無茶なんだよ… …」 「そうかなぁ?いいビジネスだと思ったんだけど……」 「全然売れないよ。お兄様の役に立とうと思って、頑張ったのに……」 「ん~……僕の方は、一応全部売れたんだけどなぁ。」 見ると、テーブルの上には空のバスケットが二つ、置いてありました。 「何でか知らないけど、何人かのお客さんがすっごいまとめ買いしてくれてさ。 あんなにいっぱいのマッチ、何に使うんだろうなぁ……。ついでに、やけに写真撮られた り握手求められたりもしたけど、何でなんだろう?」 「……それ、全部女の人じゃなかった?」 「え?……あ~、そういやそうだったかも。偶然だなぁ」 「…………」 「最近の女の人の間で、マッチが流行ってたりするの?だとしたら、やっぱりこれはビジ ネスチャンスなんじゃないかな?売れなかったのは売り方がまずかったんじゃ」 「……その人たちが欲しかったのは、マッチじゃないと思う……」 溜め息交じりの少女の言葉に、しばらくお兄さんは考え込んでいましたが、やがて考えて も仕方が無い事だと割り切ったのか、急に話題を変えました。 「ま、それは置いといて、と。ちゃんと売れなかった子には、お仕置きしないとだよ ね?」 そう言って、優しげな、しかしいかにも裏のありそうな笑顔を浮かべるお兄さん。 するっ、と少女の後ろに音もなく回り込むと、少女の体をぎゅっと強く抱きしめました。 お兄さんの吐息が少女のうなじにかかり、少女は切なげな声をあげます。 「ゃんっ……。ほ、ほんとにお仕置き……されちゃうの……?」 「そりゃあね……。次から頑張って貰うために、お仕置きは必要だろう?」 「そ、そんな事言っても……どんなに頑張っても、マッチなんか売れないよぉ……」 「いや、売れるよ。頑張りさえすればね。だから、今日はお仕置き」 「ふゃぁ……」 言葉を交わす間にも、お兄さんの手は少女の体を優しく撫で回していました。 手が敏感な所を通るたびに、少女は小さく声を漏らします。 早くも少女の体からは力が抜け、足ががくがくし始めました。 「っ……。お、お兄様ぁ……。立って、らんないよぉ……」 「そう?でも、これはお仕置きだからね。もうちょっと頑張って」 「そんな……ひゃぅっ!!」 お兄さんの右手の指が、ついに少女の一番大事な所を捉えました。 下着の隙間から無理矢理指を入れると、そこはもうたっぷりと濡れていて、ぬるぬると柔 肉が指に絡みついてきます。左手ではまだ成長しきっていない胸の感触を愉しみながら、 お兄さんは耳元で甘く囁きます。 「もうこんなに感じちゃってるのかい?いやらしい子だ……」 「そっ、そんな……!それはお兄様が……ぁっ!!」 頬を真っ赤に染めて反論しようとする少女ですが、敏感な蕾を軽く撫ぜられただけで、そ の言葉は封じ込められてしまいます。更に追い討ちをかけるかのようにお兄さんは少女の 耳をはむはむと唇で甘噛みし、少女は完全に言葉を失ってしまいました。 01-872 :無印職人:2007/11/05(月) 00 15 55 ID csl4ai1G 「や…………ぁ…………っ!!」 「ふふ、気持ち良さそうな顔だね……」 「~~~~~!!!!」 ぶんぶん、と目を堅くつぶって首を振る少女。 しかし、それが本当に否定を表すものなのかは、誰の目にも明らかです。 「可愛いなぁ……。でも、まだそうやって否定できるって事は、お仕置きが足りないって 事だよねぇ?だって、いつもお仕置きの最後にはとっても素直になってるもんね?」 そういうと、お兄さんは軽々と少女を抱え上げ、寝室へと少女を運びました。 どさっ、とベッドに下ろされた少女は困惑気味にお兄さんを見上げます。 「お……兄、様?」 「そろそろ、本気でお仕置きしてあげる。頑張って耐えて……?」 お兄さんはおもむろに、少女の下着を脱がせました。 スカートに隠れて良く見えませんが、どうやら下着と少女の秘所の間には、一本の糸が伸 びているようでした。 そしてお兄さんはそこに顔を突っ込み、ぺろぺろと大事な部分を舐め始めます。 「ゃああっ!!お兄様、そこは、そこはぁ……!!」 とっさにお兄さんの顔を押さえる少女。ですが、その行為は少女の意図とは逆に、お兄さ んの顔を自らの秘裂に押し付ける行為にしかなりませんでした。 押さえつけられたお兄さんの愛撫は激しさを増し、更に少女を責め立てます。 「あっ……!そこ……!そこ、気持ち良いよぉ!!」 少女の理性は、一瞬で融けてしまったようでした。 快楽に顔を歪め、ぐりぐりと先程とは違い、自ら望んで兄を押し付けます。 舐められる事がよほど気持ち良いのでしょうか、その目は焦点を結んでいません。 「きっ……気持ち良ぃ……気持ち良いよぉ……!!」 一方、兄も行為に夢中になりつつありました。 一心不乱に舐め、吸い、少女を貪ります。 舌を挿入したり、蕾を嘗め回したり、或いは優しく歯を立ててみたり、愛液をずずっと音 を立てて吸い上げたりと、その責めのバリエーションは枚挙に暇がありません。 そして、その全てが少女を高みへと追い詰めているのでした。 「ぃゃあ……!ああっ!あん、そこ、舐めてぇ、もっと、もっとぉ!!」 最早少女に、強がる余裕など一切ありません。 はしたなく愛撫を求め、快感を叫ぶ一匹の淫獣のように成り果てていました。 どれほど長い間その愛撫は続いたでしょうか、やがて本当に少女が果ててしまいそうな頃 合いに、お兄さんはふと舐める行為を中断し、顔を上げました。 その口元には少女の液でたっぷりと汚れており、なんとも淫らな香りが鼻をつきました。 01-873 :無印職人:2007/11/05(月) 00 17 02 ID csl4ai1G 「……ふぇ?何で、何で止めちゃうのぉ……?」 少女は不満そうに声をあげます。 その声を無視して、お兄さんは少女に問いかけました。 「……ねぇ、僕の事、好き?」 「え……?何でそんな事聞くのぉ……?」 「いや、こんな事して、僕嫌われたりしてないかなって……ね」 「そんな事無いよ……!」 少女は、淫らな表情を少し残したままにっこりと微笑み、お兄さんに言います。 「私、お兄様の事大好きだよ……?だから、もっとお仕置きして欲しいの……。お兄様に、 お仕置きされて、気持ちよくなりたいのぉ……」 その淫靡な笑みは普段の少女からは想像も付かない物で、お兄さんは目を奪われます。 「だから……ね?私に、もっとえっちな事してぇ……。大好き、大好きなのぉ……」 「……そうか、ありがと。僕も、嬉しいよ」 「へへ……。じゃあお兄様、私に、挿れて……くれる?」 くぱぁ、と自らのものを拡げる少女。 お兄さんはそれを見てごくりと生唾を呑みましたが、ぶんぶんとかぶりを振ると、少女に こう言いました。 「それは駄目だよ。これは、お仕置きなんだから」 「えぇ~……?」 「だから、それは今度、ちゃんと売れた時のご褒美に取っておかなきゃ。そうしたら、次 も頑張れるよね?」 「うん……頑張る……」 「よし、良い子だ。じゃあ、そろそろお仕置きも終わりだ。一気に行くからね……?」 そう言って、再び少女の股に顔を埋め、淫らな行為を始めるお兄さん。 その勢いは先程の比ではなく、元々昇り詰めかけていた少女は、一気に高みへと突き上げ られます。 「ひゃうぅっ!!お兄様、はげしっ……!気持ちいいよぉおおお!!」 秘所に口を付けているため、喋れないお兄さん。 ですがその時、仮に口を付けていなかったとしても、お兄さんは何も話せなかった事でし ょう。 お兄さんの頭の中は、全てが少女を気持ちよくさせる事だけに使われていて、他の事は何 一つ考えられなくなっていましたから。 「いいよぉ、お兄様ぁぁぁ!!イクっ……!イクぅぅぅぅっっっっっっ!!!!」 快楽で真っ白に塗り潰された頭の中で、少女はかすかに残った意識をフル稼働して、考え ていました。今回貰えなかった、「ご褒美」の事を。 (お兄様……次は一緒に気持ち良くなって、くれるかなぁ……?) 少女は結局、「ご褒美」を貰えたのでしょうか? ……それは、またの機会にお話するとしましょう。 これは、12月の雪がしんしんと降る寒い夜の事でした。 どこか遠くに住んでいた、幸せな兄妹のお話です。
https://w.atwiki.jp/talesofdic/pages/14343.html
スウィープ・バケーション(すうぃーぷ・ばけーしょん) + 目次 概要 登場作品レイズ 関連リンク派生技 関連技 ネタ 概要 スウィープ・バケーションとは、プールサイドの無法者にお仕置きをする魔鏡技。 初出はレイズのジュディス。 ▲ 登場作品 レイズ 習得者 ジュディス プールサイドの無法者にお仕置きをする魔鏡技。敵の物攻を下げる。 分類 季節魔鏡 属性 水 HIT数 4 消費MG 80 基礎威力 1083 詠唱時間 - 習得条件 魔鏡「暖海の遊泳」を入手 発動条件 MG満タンの状態で発動 追加効果 物攻減少 強化1 効果時間が3秒延長 強化2 ミラージュレシオが追加で5%加算 強化3 ダメージが10%上昇 強化4 ミラージュレシオが追加で5%加算 強化5 効果時間が3秒延長 夏日の差し込むプールサイドで、歩いて来たジュディスに見惚れた敵をプールに蹴落とし、本人はそれまで歩いて来たのとは反対の方向にサングラスを手にゆったりと立ち去る。 カットインはマイソロ3のものを使用。 台詞 プールサイドでおいたはダメよ!あとはよろしく + 魔鏡イラスト 「バウルと空を翔けるのも好きだけれど、こうして海を感じるのも素敵ね。」 ▲ 関連リンク 派生技 ▲ 関連技 ▲ ネタ ▲
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飛行R マリンクピド マリンクピド MAX Lv 45 性別女性 必要統率 10 HP AT DF TOTAL 初期能力(純正品) 980 1230 1830 4040 LvMAX時能力(純正品) 3900 4100 6100 14100 純正継承値 + 0 + 0 + 0 スキル ウォーター・ウィップ味方HP +5%初期 ☆ MAX ★★★★★ 売却価格 ?マーニ 入手経路 コロシアムイベント『火と水の魔闘技』交換所 召喚セリフ 図鑑テキストふふ、お水は優しいばかりじゃないんですよ? 無暗に汚したりする人にはちゃんとお仕置きするんですから♪ そんなに痛くなさそう? そんなことないですよ~? それなら、ウフフ、試しにお仕置きされてみますか? レアリティ一覧(水神)※ランクアップ不可 ランク キャラクター名 Lv 統率 スキル ノーマル イノセントドロップ 25 3 --- Uノーマル クリスタルドロップ 35 6 --- レア マリンクピド 45 10 味方HP +5% 初期 ☆ Sレア サファイアテティス 55 15 味方HP +7% 初期 ☆ Uレア ダイヤモンドアプサラス 65 20 味方HP +10% 初期 ☆ SKレベル 5☆☆☆☆☆ 10★★★★★ 15★★★★★ 20★★★★★ 25★★★★★ 30★★★★★ 35★★★★★ →に近づくほど発動率がUP(効果は変わらない) コメント
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○全部パロディで空気作家の私は多分誰も判らないかと思って悔しくなって書いた。 ○滅茶苦茶後悔はしている。 ぶらっくじょぉく ある雨の日に一体の家の無いゆっくりれいむが小屋にいた迷彩服を着た男達に保護された。 彼らはれいむにご飯を食べさせ(ミリタリーな飯だが)、体も拭いて簡単なベッドに入れてあげた。 「さて、れいむ。君が寝る前に私達からいうことがある」 「ゆっ? れいむにわかるようにおしえてね?」 「一つはわれわれがサバゲー同好会で今夜この小屋の夜戦があるかもしれない、ということ。 だから、君は安全地帯に避難させている」 「おにいさんたち、ありがとう!」 事実れいむはクッションの詰められたダンボールハウスに入っている。 仮に弾丸が当たってもBB弾ではそう簡単にクッションの山(何重にも入っている大きなダンボール)を貫通は出来ないだろう。 「二つはこの趣味の手前、お兄さん達はある程度は鍛えている、ということ。れみりゃやフランが来てもものの数秒でただの肉まんあんまんにできる」 「ゆゆっ、りかいしたよ! おにいさんたちはつよいんだね!!」 「で、これが最後。私達の中に一人虐待お兄さんが紛れ込んでいます。んじゃ、おやすみ」 そういってれいむのはいっているダンボールを閉めると同時に小屋の電気が消えた。 結局、れいむはその日一睡もできなかった。 どの本がいい?(一部解説) さて、次はこのどこにでもありそうな平凡な家屋から。 ある男の部屋にゆっくりまりさが侵入してきた。 男が家に在宅中のことだったのでたいした被害は殆ど出なかったが、彼にとっての大事な宝物である本に多少の被害が出た。 主に破けるとか、涎まみれとか。希稿本に被害が出ているのが非常に痛い。 これには青年も怒り顔。 「さてまりさ。僕はとってもとっても怒ってるんだがわかるかい?」 「そんなことしらないんだぜ! ここからだすんだぜ! まりささまにごはんをよこすんだぜ!!」 とまりさはそ知らぬ顔。これではたまらん、と青年はお仕置きをすることにした。 まりさを透明な箱に入れたまま自分の部屋に戻り、数冊の本と漫画を持ってきた。そして青年は 「なぁ、まりさ。君にはお仕置きを受けてもらうがどの本がいい?」 「ゆゆっ? どういうことなのぜ?」 「あぁ、この本の内容から君がくらうお仕置きが決まるんだよ。君は選ぶことを拒否することも出来るが、拒否した場合は翌日君は燃えるゴミになる、と思ってくれ」 「わ、わかったんだぜ! 」 とりあえずまりさは本の表紙だけを見るのだが、水の中とか火の絵、とどれもこれもがゆっくりできそうもない絵面であった。 まりさはあまり容量の無い頭で必死に考えた。そして――― 「こ、これにするのぜ!」 まりさが選んだのは人間の男が一人たっている絵の表紙の小説だった。この絵ならきっと酷い目には合わないだろうと思いながら。 だがしかし。 「あ、合わせ鏡の物語 ※ にしちゃったの? 」 これには男も思わず苦笑い。 あ〜あ、コイツ選んじゃったよ……という感じである。 そしてお仕置きの準備を始める男の様子でまりさは事の重大さに気付いたようだ。 「ゆゆっ!? お、おにいさんはなんでがらすさんのかけらをもってくるのぜ?」 「それはだね、お仕置きだからだよ?」 「ど、どんなふうに?」 「ホントは鏡の破片なんだけどこう……まりさの目にガラス片を入れるだけだよ?」 「も、もういぢどぢゃんずをぐだざいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」 とまりさは再度の機会を求めるが、そんなものを認めてたらいつまでたっても終わらないわけで。 「あぁ…………そいつは駄目な話だね、うん」 そういいながら、まりさの顔を引っつかみ、必死に目を閉じようとする瞼を根性でこじ開け、 そしてゆっくりゆっくりガラス片をフェイント混ぜながら近づけていき、しばらくすると プツンと凄くいい音を立てて尖ったガラス片がまりさのワラビ餅な目玉に入っていった。 「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 悲鳴をあげるがそれを無視して二つ三つとワラビ餅な目玉にプツンプツンとガラス片を入れていく。 それにしてもこの青年、いい笑顔である。 数十分後、そこには両目にガラス片を埋め込まれたまりさが!! 「めがみえないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」 「あ、本じゃ片目だけなの忘れてた」 結局、青年はまりさを自然へと返したが多分あの調子ではそう長くは無いだろう。 ※合わせ鏡の物語・Missingという怪奇小説のエピソードの一つ。 鏡の破片が目に……というのはこれに登場したキャラのエピソードから。
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仮置き場 言及されたけどリンクが無くて怪しい地名とかその他諸々を置きましょうのかけら国際連盟のお達しにより作成に至りました 可愛いネクソンイイ高広 URLくん クアッド・オジイチャン 南ウウィハンマン海カヌカンハハ諸島 ユーイチロー島 ジョン・スミス17世 テルテルアビブ国際空港 ョヅヌオュフプヴジュィュゥゥンクピィクィガィィガガ語アンペンヘッエヘン 平面R錠槍 二丁拳銃型箒 玉名たくクヌヌヌユネヌユルヌケルヌマテキメノ 円環トロイモルフェット ババア・ディスオーダー ババアデブリ VHW認証システム 西アントホワホワンハハ海 オーケイザワ タミュラ ブルーデーモン八橋愛太郎 佐沼塩辛太郎 オオサワタカオ サウンドトラック何? ツラミウス派 アジトゥパハハス北村コユンピウム派 アーケード・オーメン (Arcade Omen, アーケードの予兆) 北山岡沢鶴ヶ島姫路太郎のお弁当 ato一時塚遠藤(あといちじづかえんどう) エンドロビュー百貨店 ハチミツの木博物館 犬が好きだけどやっぱり猫派になります平和的倶楽部 つつが島三太郎物語 新約つつが島三太郎物語 言及者 タヤマヌサチロイ はちみつやきやさん xxxx年表記のページ 旧無人島 ゴヤ・システムズ 紅茶と同時にせんべいを摂取してから言語中枢に異常をきたして折り紙太郎 世界観 世界観
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※俺設定注意 突然だが俺はゆっくり農場などというものを運営している。 ゆっくりによる管理・運営された農場。偶に人の手は借りるものの、今までに数多くの野菜が生産されてきた。 農場は二つに分けられている。 ひとつは屋内農園。躾を施された所謂善良なゆっくりがゆうか達の指導の下、日夜農作物の世話を頑張っている。 もうひとつは野外農場。こちらは所謂ゲスや無能なゆっくり共によって運営されている。 勿論、こいつらが普通に野菜を栽培できるなんてことはない。そこで考え出されたのが奴隷農耕法だ。 必要な時に必要な仕事を果たし、それが出来なければ仕置きを受ける。当然脱走や野菜のつまみ食いなどは万死に値する。 れいむもそんな屑ゆっくりの一匹だった。 たまたまこいつの属していた班の中のゆっくりが優秀な個体で、その褒美に野菜を取らせたことがあった。 だが何を勘違いしたかこいつは、それからというもの勝手に作物を貪りだしたのだ。 先述のように、つまみ食いは万死に値する。 こいつには相応しい方法で死んでもらう。 丁度スペースも開いていたことだし、今回はアレがいいだろう。 函の中 れいむは怒っていた。 ここに捕らえられてからというもの、れいむは全く幸せではなかった。 日も昇らないうちに叩き起こされ、馬車馬のように働かされた。少しでも休もうものなら鞭が、 逃げ出そうものならふらんが容赦なく飛んでくる。そして夜は泥のように眠る。 全く冗談ではなかった。こんな生活は欠片もゆっくりしていない。 勝手に生えるはずのお野菜さんの世話なんて何でしなければならないのか。れいむにはそれがとても理不尽に思えた。 そんなある時、お野菜さんを食べられるときがあった。 なんでも頑張ったご褒美らしい。れいむは歓喜した。 ようやくれいむにお野菜さんを食べさせる気になったか。当たり前だ。優秀で可愛いれいむにはその権利がある。 正確にはれいむではなく、同じ班のまりさが優秀だったかられいむにもお情けで野菜が支給されたのだが、餡子脳には知るよしもない。 だがそんな思い込みがいけなかった。 れいむはこれから毎日野菜を食べていいと解釈してしまったのだ。 それからというものれいむは隠れて何度も野菜を盗み食いした。 そして見つかった。 れいむにしてみれば当然の食事は、農場の主達にしてみれば作物を荒らす害虫の所業でしかなかった。 もはやれいむは奴隷ですらない。ただ処分されるのを待つ惨めな害虫。 だがそんなことはれいむは知らない。 だから今、男の腕に抱かれ廊下を歩いているこの状況でもれいむは物怖じせずに怒ることが出来ていた。 「ぷんぷん!おにいさん、れいむにたべものちょうだいね!れいむおなかすいたよ!」 男に腹が減ったと要求するれいむ。 ここまで厚顔無恥になれるのは無知ゆえか、それともこのれいむの本来の気質か。 当然男は答えない。 彼には害虫に言われるまま餌をやるほど人が良くなかった。 無視したまま廊下を歩く。 そんな男の態度に怒りを覚えるれいむ。 何でれいむの言うこと聞いてくれないの。れいむは偉いんだよ。 既に自分が奴隷だったということは頭にない。男の方がれいむの奴隷だと思い込んでいる始末である。 途方もない餡子脳だと言えた。 「おにいさん!れいむのいうこときこえなかったの!れいむおなかがすいたんだよ!」 自分の願いがかなえられて当たり前とも言わんばかりに、れいむは声を張り上げる。 何で奴隷の癖に命令を聞かないのだという立場を弁えない発言にも、男は眉ひとつ動かさない。 このままでは埒が明かないとばかりにれいむが暴れだそうとしても男の腕がそれを阻んでいた。 「ゆぎいいいいいいいいいいいいいい!!!れいむをはなじでえええええええ!!!」 腕の中でびたんびたんとのたくる饅頭に、彼は少しうんざりしていた。 この世全てを舐めきったかのような顔と態度も、喧しい声も、とにかくこのれいむを構成する全てが好みではない。 さっさとこの饅頭を処理するために、目的の場所へ男は歩く。 暗く深い地下に造られた一室。男の目的はそこにあった。 地下室のドアの前で、男は立ち止まる。 手元ではまだれいむがぎゃあぎゃあ喚いていた。 男はそんなれいむをやはり無視し、ドアを開ける。 金属製のドアが、ギィ・・・と少し掠れた音をたてながら開いていく。 例えて言うなら、そこはロッカールームだった。 壁という壁、床と天井以外一面に全て金属製の函が埋め込まれている。 よく耳を凝らせば何か囁くような声が聞こえる。 れいむは知るよしもないが、この函ひとつひとつに何かが入っているのだ。 「確か空いている場所は・・・・・・えーと、ここだな」 ようやく男が口を開いた。 しかしそれは、れいむの要望を叶える為のものではない。ただ空き函を確認しているだけ。 「ゆっ!?おにいさん、れいむにたべもの・・・・・・」 すかさずれいむが食べ物を要求する。 だが聞かない。男にとってれいむの声など雑音そのものだった。 男は空き函を開く。 郵便受けのような投函口がついた扉が開き、30×30×30センチの空間が姿を現す。 すかさずれいむを押し込む。連日の野菜ドロのおかげで少々肥満ぎみのれいむでも、すっぽりとそこに入り込んだ。 そして扉を閉める。これでれいむは出られない。内部からいくら押してもこの函は開かない構造になっている。 「ゆゆ!?おにいさん、なにするの!はやくれいむをここからだしてね!」 自力で出ようともせずに、れいむはここから出せと要求している。 頭がいいかと言われれば違う。ただ単に自分は動きたくないだけだ。 幸い、備え付きの投函口からは外の様子が確認できた。 れいむはそこから男を睨み、狭い空間の中でぷくうと身体を膨らませて威嚇する。 扉越しの威嚇は男には見えない。仮に見えたとしても何の効果もない。 ごそごそと懐の中を漁る男。 「ゆ!れいむにおいしいものくれるんだね!」 男の行動を自分に何か食べ物をくれるものだと思い込み、声を上げるれいむ。 今回に限って言えば、れいむの思い込みは正解だった。 「ほれ」 投函口からなにかを投げ入れる男。ころころとそれはれいむの元に転がってきた。 サイコロほどの大きさの、乾パンがひとつ。 「ゆゆ!とってもおいしそうなたべものだよ!ぱくっ!むーしゃ!むーしゃ!」 すぐさまかぶり付き、咀嚼するれいむ。 その醜悪な顔は扉に遮られ、男はそれを見ずに済んだ。 「むーしゃ!むーしゃ!・・・・・・しあわせー!おにいさん!もっとれいむにたべものちょうだいね!」 もちろん、サイコロ一個ほどの量でこの強欲な饅頭が満足することなどありえない。 あっという間に飲み込み、お代わりを要求するれいむ。 「お前に与える餌は、一日一回それっきりだ」 代わりとでも言うように、男は宣言した。 れいむには男が何を言っているのかわからない。 「ゆ!?なにいってるの!?そんなことどうでもいいかられいむにもっとごはんちょうだいね!!」 言うことは全て言った。 そんな態度で男は部屋から出て行こうとする。 ようやくれいむも今自分の置かれている状況を把握してきていた。 このままではまずいとばかりに、扉に向かって体当たりをするれいむ。 だが開かない。先述の通り、この扉はれいむの力程度では破れない。 ばいんばいんと扉にぶつかり跳ね返り、反対側の壁に頭をぶつける。それの繰り返し。 「ゆうううううううう!!!ゆっくりしてないとびらさんはゆっくりしないでしね!!!」 滑稽なほどに無力な体当たりを続けるれいむを尻目に、男はドアを開け、部屋を後にする。 がちゃりとドアが閉まったときには、もう男の姿はなかった。 「ゆああああああああああ!!!どうじでどびらざんひらがないのおおおおおおおおおお!!!!?」 男が去ったことにも気づかずに、扉に向かって必死に無駄な努力を続けるれいむ。 この根性を農作業の方面で生かせば、こんなことにはならなかっただろうに。 やがて疲れ果てたれいむは、函の中でじっとするようになった。 そして気づく。動かずに、喋らずにいることでようやくわかる息遣い。それが聞こえてくる。 何かがいる。この狭い牢獄の外、部屋中に拵えられた函にれいむと同じように閉じ込められた者がいる。 一つや二つではない。何十、いや何百もの息遣いがそこらじゅうから聞こえてくる。 その息の主はゆっくりだ。この部屋にはれいむ以外に閉じ込められたゆっくりが大勢いた。 「ゆ・・・ゆっくりしていってね!」 扉の向こうにいる見えない相手を確認するかのように、そっと挨拶する。 「・・・・・・ゆっくりしていってね・・・・・・」 「・・・・・・・・・ゆっくり」 「・・・・・・ゆ・・・・・・」 程なくして、ぽつぽつと挨拶が返ってきた。 ようやく自分のほかにも閉じ込められたゆっくりがいることを知るれいむ。 何でこんな事になってるんだろう。れいむはただお野菜を食べてただけなのに。 そのお野菜を食べていたことが原因だとは露も思わずにれいむは憤慨する。 れいむからすれば、いきなり拉致られてこんな狭い場所に押し込められたのだ。怒りもする。 それもこれもあの兄さんのせいだ。奴隷の癖にれいむをこんなところに閉じ込めるなんて、お仕置きしなきゃ。 相も変わらずに自分のやったことに気がつかない。 野生で一体どうやって生きてきたのかが不思議なくらいの楽観主義。 他のゆっくり達は元気がない。お兄さんに何かされたのだろうか。 だったらその分も含めてお仕置きしなきゃね。れいむは偉いんだから。 ひそかな呻き声を聞いて、れいむは思う。 少なくともこの場ではれいむの勘違いを正せるものはいない。だからここまでれいむは増長している。 ここから出たら、まずはお兄さんにお仕置きをしてやろう。 それから美味しいお野菜さんを沢山むーしゃむーしゃするのだ。さっきのご飯は少なすぎる。 出来もしない妄想を浮かべてにやにやする。 れいむは自力で出られない。野菜はれいむのものではない。きっちり先ほどの食事に不満を抱くのも忘れなかった。 「おにいさんはれいむにおしおきされたくなかったら、ごはんちょうだいね!!」 当の男が居ない部屋に、れいむの声が響く。 結局のところこの屑はどこまでも利己的で、欲の強い饅頭なのだ。 自分の欲望を正義の怒りだと思い込めるこの饅頭は世界一幸せな生物なのかもしれない。 自分の置かれた状況も忘れて、れいむは怒りに燃えていた。 ・・・・・・いったいどれくらい長くこうしていただろう。 空腹で働かぬ頭を必死に回転させながら、れいむは自問する。 もうどうしようもないほど長い時間が過ぎていた。 れいむはこの長い、永い間、ずっとこの箱の中で暮らしている。 既にはしゃぎ回れる体力などなかった。 出来ることは動かず、喋らず、飢えに苛まれながら男がこの部屋に来るまで待つことだけ。 そう、あの男。れいむが奴隷だと信じて疑わなかった、あの男だ。 彼は毎日決まった時間にこの部屋を訪れていた。一日一回、れいむや他の函の中のゆっくりに餌をやるために。 彼がくれるものはサイコロほどの小さな乾パンが、ひとつきり。 あの日の宣言通り、それ以外の何物もれいむに与えられることはなかった。 最初の数日は脅すように喚いた。 早くここから出せ。奴隷の癖に何をしている。ここから出たらお仕置きしてやる。 当然、男は答えなかった。 暫くして、少しずつ声に恐れが滲み出てきた。 もうお兄さんにお仕置きするのはやめるよ。やめるから、ここから出して。 それでも男は答えなかった。 それからは震えるように懇願した。 お願いします。ここから出してください。もうここは嫌なんです。何でも言うこと聞きますから。 やはり、男は答えなかった。 今はもう、言葉も出ない。 ただ黙り込んで餌が投げ込まれるのを待つだけ。 他のゆっくり達も同様だった。 いや、違う。れいむが彼らのようになったのだ。 どんなに叫んでも、どんなに懇願しても男は耳を傾けない。 ならば諦めよう。諦めて、受け取れるものは受け取っておこう。そうすれば、体力の消耗は最低限に抑えられる。 ただ生き延びるためだけに飢えと戦いながら、屍のように生きるだけ。 れいむがこの部屋に入ってきた時から彼らは知っていたのだ。 いずれこの新参のれいむも自分たちのように、ただ騒がずに全てを受け入れるようになると。 今この部屋は静寂が支配している。 ほんのわずかに聞こえるのは弱弱しく聞こえる呼吸音だけだ。 ガチャリ、とドアを開く音。 男がこの部屋にやってきた合図だ。 男が次々と函に餌を投げ入れ始めるのを、無感動に見つめるれいむ。 最早彼が奴隷であるなどといった考えは浮かんでこなかった。 やがてれいむの箱の中にも餌は投げ入れられた。 ずりずりと這い、ゆっくりと餌を口に入れ、もそもそと咀嚼する。 これっぽっちの量では、れいむは勿論赤ゆっくりすら満腹にすることは出来ない。 僅かながらも口に入れたために、かえって更なる飢餓感に苦しむ。 それでも食べることは止められない。食べるのをやめれば死んでしまう。そういう思いがある。 だから食べ続ける。これが更なる飢えを呼ぶのだとしても。 ふとれいむが視線を上げると、そこにはれいむを見つめる男の姿があった。 おかしい。彼は餌を投げ入れればすぐにでもこの部屋を出て行くはずだった。 正確には、男はれいむを見ていない。 見つめる先はれいむの隣の、その函の中。 その函に向かって、手を伸ばす。 ガチャンと音をたてて扉が開く。 中にいたのは一匹のゆっくりまりさ。 そっとまりさを取り出し、抱える。 れいむには男が一体何をしているのかがわからない。 「よし、まりさ。出してやるぞ」 ざわり。 男の声以外に何も聞こえなかったはずの部屋にざわめきが生まれる。 今、なんて言ったのだ? 出す?誰を?そのまりさを?どこから?この牢獄から?何故? 疑問は声となり、ざわめきは少しずつ大きくなる。 そのまま男はこの部屋を出て行こうとする。 ゆっくりと部屋の中を歩き、ドアに手を触れる。 その瞬間、れいむが動いた。 扉に張り付き、あらん限りの大声を張り上げる。 「おにいざあああああああああああああん!!!!れいむも、でいむもだじでえええええええええええええ!!!!」 ピクリと、男は反応する。 ドアを握ったまま動かない。 チャンスだ。れいむはそう思った。 今叫ばねばもう二度と出られない。 そんな思いで必死に声を搾り出す。 「でいむもうあんなごどいいまぜんがらああああああああああああ!!!!おでがいじまずうううううううううう!!!!」 れいむに触発されたのか、他のゆっくり達も叫び始めた。 「ばりざもおおおおおおおお!!!!!ばりざもだじでええええええええええええ!!!!」 「あでぃっ、あでぃずもだじでええええええええええええええ!!!!おでがいじまずうううううううううううう!!!!」 「だじねでえええええええええええええええええ!!!!わがるよおおおおおおおおおおおお!!!!」 叫びは伝播する。 あっという間に静寂に支配されていたはずの部屋は阿鼻叫喚の様相を呈していた。 「おでがいでず!!でいぶを、でいぶをだじでぐだざい!!!」 「そのばりざよりばりざをだじでくだざいいいいいいいいいいいいい!!!!」 「むぎゅうううううううううううううううううう!!!!」 「み゛ょん゛っ!!み゛ょお゛お゛お゛お゛お゛お゛おおおおおおおん゛っ!!」 「あでぃずをだじでええええええええええええええええええ!!!!」 「に゛ゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああああああ!!!!」 そんな叫びも、男には何一つ届かない。 この部屋中の函に向かって、ゆっくりと口を開く。 「お前らは、まだ駄目だ。まだ頃合じゃない」 この悲鳴の嵐の中でも不思議と通る、男の声。 ゆっくり達は叫びながらも、男の話を聞く。 「もっと時間が経てばここから出してやる。それまで待て」 そう言って、男はドアを開く。 「ああああああっ!!まっでええええええええええええええ!!!!」 「おいでがないでえええええええええええええええ!!!!」 誰も男が抱えているまりさのことに気が付かない。 まりさは動いていない。喋っていない。それどころか、息すらしていない。 まりさは死んでいた。 男が与えるあまりにも少ない餌は、長い時間をかけてまりさを弱らせていった。 一気に飢えさせるより、餌を与えながら十二分に飢えさせた方がより苦しみは大きくなる。 ひたすらに長い間、まりさは飢えと戦った。そしてとうとう、まりさは死んだのだ。 この部屋はそういう目的で造られた。言ってみれば座敷牢のようなものだ。 まりさは死んでからようやく、外に出ることが出来た。 ゆっくりとドアが閉められていく。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああ!!!!」 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「わ゛がら゛な゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛おおおおお!!!!」 「ま゛っでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛えええええええ!!!!!」 「ま゛ら゛っ!!!ま゛ら゛っ!!」 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁあ゛あ゛あ゛!!!!」 「ごぼね゛え゛え゛え゛え゛え゛ぇぇぇぇぁぁぁぁぁぁあ゛あ゛あ゛!!!!!」 「ごごがらだじでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛えええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」 部屋から男が居なくなってからも、しばらくれいむ達の叫びは止まらなかった。 「もっと時間が経てばここから出してやる」。一体どれほどの時間が必要になるのだろう? なにしろあのまりさはれいむがこの世に生を受けたときからあの函の中に入っていたのだ。 少なくともれいむもまた、それほどの長い時間を過ごすことになる。 れいむはまだ知らない。自分がこれからどれだけ長い間、あの函の中で暮らすのかを。 ゆっくりにとっては永すぎる時間も、男にとってはたったの数ヶ月。 れいむがあの函の中に入ってからようやく一ヶ月が経過しようとしていた。 先は、まだまだ長い。 麗らかな春の午後。 暖かな日差しが差し込む居間には、ゆうかと俺がふたり。 今は三時。おやつの時間だ。 一本木で拵えられたテーブルの、その中央に置かれた皿の上。 そこにあのまりさがいた。 元々はただの処刑のつもりだった。 昔、畑の野菜を食ったゆっくりを閉じ込めたことがあった。 餌は最低限ともいえない量のゆっくりフードを一粒だけ。それを一日一回与え続けた。 そいつはどんどん痩せていった。 だが死なない。そう簡単にゆっくりは飢え死にすることが無い。 そもそもゆっくりというナマモノは食事の必要性が殆ど無い。 口に入れたものを自分の中身そのものである餡子に変換し、余分な排泄などする必要が無いからだ。 まぁそれでもあにゃる等を持つゆっくりはいるのだが、そいつらは中世の貴族のように食っては出し食っては出しを繰り返す。 決して自身の栄養にはせず、ただ自分の食欲のために食べているだけだ。 そういうことを除けばゆっくりは意外とエコなナマモノなのだ。 そんなエコ饅頭も流石に辛かったのか、半年後、そいつはポックリ逝った。 死因は誰が聞いても解るとおりの餓死。不必要に引き伸ばされた飢えの苦しみを顔中に浮かべて死んでいた。 死体を割ってみて驚いた。 クッキーのようにそいつの身体はサクサクと割れたのだ。 極限の空腹の中、水分さえ手に入らない状況でゆっくりの身体が起こした変化。 とことん水分の抜かれたスカスカの餡は、まるでゆっくり版の八つ橋のようだった。 干しゆっくりとも違う食感に、凝縮された甘み。 これはなかなかいい発見をしたものだ。飢えゆっくりとでも名付けようか。 それから、飢えゆっくりを量産するためにあの部屋を造った。 野菜をつまみ食いする屑奴隷や人里に下りてきて畑を荒らそうとするゆっくりたちを次々に放り込んでいった。 ちなみに、このまりさは4期目の最後の飢えゆっくりとなる。こいつだけ妙に長生きしていたな。 大体十ヶ月もすれば、あの部屋のゆっくり達は全て入れ替わる。 今あの部屋にいるのは自分がこれからどうなるかもわからない饅頭達だけだ。 まりさを2等分し、齧り付く。 サクッとした軽い口当たり。今回も上出来だ。 元は餡子なので緑茶との相性も抜群。お茶もすすむ。 ちょっとがっつきすぎて喉に詰まってしまった。急いでお茶を流し込む。 あっという間に食べ終わってしまった。 ゆうかはまだ半分も食べていない。ちょっと急ぎすぎたな。 この飢えゆっくりは簡単に・・・とは言わないが時間をかければ誰でも出来る。 透明な箱にでもぶち込んで、1日1回ごく少量の餌をやればいいだけだ。 半年間忘れずに餌をやれるなら、挑戦してみて欲しい。 おわり ――――― 名前をいただきました、書き溜めです。 フォアグラってあるじゃないですか、あのアヒルだかガチョウだかの脂肪肝ってやつ。 あれのゆっくり版って無いかなと思ったら、あった。仕方が無いので逆にゆっくりを飢えさせてみました。 イメージでは中身の餡子はパサパサを通り越してカラカラ、クッキーみたいになると思いまして。 ちなみに「うあああああああああ!!」っていってたのはふらんです。肉まんをクッキーにしても美味しくないだろうと。 なんかオチがいまひとつな駄文に仕上がってしまいましたが、ここまで見てくれた方に感謝を。 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/rulebook/pages/285.html
P.76 その他のルール 置き換える 「カードの置き換え」の効果では、特に指定が無い場合、置き換えるカード同士で以下の引継ぎを行います。 場所(エリア、部隊の順番)の引継ぎ、ハンガーを除く場以外の場所を引き継ぐ場合、本来の持ち主の場所に引き継がれます。 「リロール/ロール」「破壊」「蓄積されたダメージ」等の状態の引継ぎ。 効果による戦闘修正や、状態等の引継ぎ。 セットカードの引継ぎ。ただし、そのセットカードのセット時に関する制限のチェックや、「セットされた場合」等の効果は適用されません。 テキストの追加、変更、無効等の解決済みの効果及び、未解決の効果と、待機中の効果の対象の引継ぎ。ただし、「場以外の場所」にあるカードの置き換えでは、場所の引継ぎのみが行われ、その他状態や効果の対象などの引継ぎは行われません。 特に指定が無い場合、以下の事項は引き継がれません。 「変形」に関する対象や状態 (カードとして扱われない)カードの上に置くコイン。 ターン開始時、終了時のタイミング 置き換える 変数
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/362.html
※俺設定注意 突然だが俺はゆっくり農場などというものを運営している。 ゆっくりによる管理・運営された農場。偶に人の手は借りるものの、今までに数多くの野菜が生産されてきた。 農場は二つに分けられている。 ひとつは屋内農園。躾を施された所謂善良なゆっくりがゆうか達の指導の下、日夜農作物の世話を頑張っている。 もうひとつは野外農場。こちらは所謂ゲスや無能なゆっくり共によって運営されている。 勿論、こいつらが普通に野菜を栽培できるなんてことはない。そこで考え出されたのが奴隷農耕法だ。 必要な時に必要な仕事を果たし、それが出来なければ仕置きを受ける。当然脱走や野菜のつまみ食いなどは万死に値する。 れいむもそんな屑ゆっくりの一匹だった。 たまたまこいつの属していた班の中のゆっくりが優秀な個体で、その褒美に野菜を取らせたことがあった。 だが何を勘違いしたかこいつは、それからというもの勝手に作物を貪りだしたのだ。 先述のように、つまみ食いは万死に値する。 こいつには相応しい方法で死んでもらう。 丁度スペースも開いていたことだし、今回はアレがいいだろう。 函の中 れいむは怒っていた。 ここに捕らえられてからというもの、れいむは全く幸せではなかった。 日も昇らないうちに叩き起こされ、馬車馬のように働かされた。少しでも休もうものなら鞭が、 逃げ出そうものならふらんが容赦なく飛んでくる。そして夜は泥のように眠る。 全く冗談ではなかった。こんな生活は欠片もゆっくりしていない。 勝手に生えるはずのお野菜さんの世話なんて何でしなければならないのか。れいむにはそれがとても理不尽に思えた。 そんなある時、お野菜さんを食べられるときがあった。 なんでも頑張ったご褒美らしい。れいむは歓喜した。 ようやくれいむにお野菜さんを食べさせる気になったか。当たり前だ。優秀で可愛いれいむにはその権利がある。 正確にはれいむではなく、同じ班のまりさが優秀だったかられいむにもお情けで野菜が支給されたのだが、餡子脳には知るよしもない。 だがそんな思い込みがいけなかった。 れいむはこれから毎日野菜を食べていいと解釈してしまったのだ。 それからというものれいむは隠れて何度も野菜を盗み食いした。 そして見つかった。 れいむにしてみれば当然の食事は、農場の主達にしてみれば作物を荒らす害虫の所業でしかなかった。 もはやれいむは奴隷ですらない。ただ処分されるのを待つ惨めな害虫。 だがそんなことはれいむは知らない。 だから今、男の腕に抱かれ廊下を歩いているこの状況でもれいむは物怖じせずに怒ることが出来ていた。 「ぷんぷん!おにいさん、れいむにたべものちょうだいね!れいむおなかすいたよ!」 男に腹が減ったと要求するれいむ。 ここまで厚顔無恥になれるのは無知ゆえか、それともこのれいむの本来の気質か。 当然男は答えない。 彼には害虫に言われるまま餌をやるほど人が良くなかった。 無視したまま廊下を歩く。 そんな男の態度に怒りを覚えるれいむ。 何でれいむの言うこと聞いてくれないの。れいむは偉いんだよ。 既に自分が奴隷だったということは頭にない。男の方がれいむの奴隷だと思い込んでいる始末である。 途方もない餡子脳だと言えた。 「おにいさん!れいむのいうこときこえなかったの!れいむおなかがすいたんだよ!」 自分の願いがかなえられて当たり前とも言わんばかりに、れいむは声を張り上げる。 何で奴隷の癖に命令を聞かないのだという立場を弁えない発言にも、男は眉ひとつ動かさない。 このままでは埒が明かないとばかりにれいむが暴れだそうとしても男の腕がそれを阻んでいた。 「ゆぎいいいいいいいいいいいいいい!!!れいむをはなじでえええええええ!!!」 腕の中でびたんびたんとのたくる饅頭に、彼は少しうんざりしていた。 この世全てを舐めきったかのような顔と態度も、喧しい声も、とにかくこのれいむを構成する全てが好みではない。 さっさとこの饅頭を処理するために、目的の場所へ男は歩く。 暗く深い地下に造られた一室。男の目的はそこにあった。 地下室のドアの前で、男は立ち止まる。 手元ではまだれいむがぎゃあぎゃあ喚いていた。 男はそんなれいむをやはり無視し、ドアを開ける。 金属製のドアが、ギィ・・・と少し掠れた音をたてながら開いていく。 例えて言うなら、そこはロッカールームだった。 壁という壁、床と天井以外一面に全て金属製の函が埋め込まれている。 よく耳を凝らせば何か囁くような声が聞こえる。 れいむは知るよしもないが、この函ひとつひとつに何かが入っているのだ。 「確か空いている場所は・・・・・・えーと、ここだな」 ようやく男が口を開いた。 しかしそれは、れいむの要望を叶える為のものではない。ただ空き函を確認しているだけ。 「ゆっ!?おにいさん、れいむにたべもの・・・・・・」 すかさずれいむが食べ物を要求する。 だが聞かない。男にとってれいむの声など雑音そのものだった。 男は空き函を開く。 郵便受けのような投函口がついた扉が開き、30×30×30センチの空間が姿を現す。 すかさずれいむを押し込む。連日の野菜ドロのおかげで少々肥満ぎみのれいむでも、すっぽりとそこに入り込んだ。 そして扉を閉める。これでれいむは出られない。内部からいくら押してもこの函は開かない構造になっている。 「ゆゆ!?おにいさん、なにするの!はやくれいむをここからだしてね!」 自力で出ようともせずに、れいむはここから出せと要求している。 頭がいいかと言われれば違う。ただ単に自分は動きたくないだけだ。 幸い、備え付きの投函口からは外の様子が確認できた。 れいむはそこから男を睨み、狭い空間の中でぷくうと身体を膨らませて威嚇する。 扉越しの威嚇は男には見えない。仮に見えたとしても何の効果もない。 ごそごそと懐の中を漁る男。 「ゆ!れいむにおいしいものくれるんだね!」 男の行動を自分に何か食べ物をくれるものだと思い込み、声を上げるれいむ。 今回に限って言えば、れいむの思い込みは正解だった。 「ほれ」 投函口からなにかを投げ入れる男。ころころとそれはれいむの元に転がってきた。 サイコロほどの大きさの、乾パンがひとつ。 「ゆゆ!とってもおいしそうなたべものだよ!ぱくっ!むーしゃ!むーしゃ!」 すぐさまかぶり付き、咀嚼するれいむ。 その醜悪な顔は扉に遮られ、男はそれを見ずに済んだ。 「むーしゃ!むーしゃ!・・・・・・しあわせー!おにいさん!もっとれいむにたべものちょうだいね!」 もちろん、サイコロ一個ほどの量でこの強欲な饅頭が満足することなどありえない。 あっという間に飲み込み、お代わりを要求するれいむ。 「お前に与える餌は、一日一回それっきりだ」 代わりとでも言うように、男は宣言した。 れいむには男が何を言っているのかわからない。 「ゆ!?なにいってるの!?そんなことどうでもいいかられいむにもっとごはんちょうだいね!!」 言うことは全て言った。 そんな態度で男は部屋から出て行こうとする。 ようやくれいむも今自分の置かれている状況を把握してきていた。 このままではまずいとばかりに、扉に向かって体当たりをするれいむ。 だが開かない。先述の通り、この扉はれいむの力程度では破れない。 ばいんばいんと扉にぶつかり跳ね返り、反対側の壁に頭をぶつける。それの繰り返し。 「ゆうううううううう!!!ゆっくりしてないとびらさんはゆっくりしないでしね!!!」 滑稽なほどに無力な体当たりを続けるれいむを尻目に、男はドアを開け、部屋を後にする。 がちゃりとドアが閉まったときには、もう男の姿はなかった。 「ゆああああああああああ!!!どうじでどびらざんひらがないのおおおおおおおおおお!!!!?」 男が去ったことにも気づかずに、扉に向かって必死に無駄な努力を続けるれいむ。 この根性を農作業の方面で生かせば、こんなことにはならなかっただろうに。 やがて疲れ果てたれいむは、函の中でじっとするようになった。 そして気づく。動かずに、喋らずにいることでようやくわかる息遣い。それが聞こえてくる。 何かがいる。この狭い牢獄の外、部屋中に拵えられた函にれいむと同じように閉じ込められた者がいる。 一つや二つではない。何十、いや何百もの息遣いがそこらじゅうから聞こえてくる。 その息の主はゆっくりだ。この部屋にはれいむ以外に閉じ込められたゆっくりが大勢いた。 「ゆ・・・ゆっくりしていってね!」 扉の向こうにいる見えない相手を確認するかのように、そっと挨拶する。 「・・・・・・ゆっくりしていってね・・・・・・」 「・・・・・・・・・ゆっくり」 「・・・・・・ゆ・・・・・・」 程なくして、ぽつぽつと挨拶が返ってきた。 ようやく自分のほかにも閉じ込められたゆっくりがいることを知るれいむ。 何でこんな事になってるんだろう。れいむはただお野菜を食べてただけなのに。 そのお野菜を食べていたことが原因だとは露も思わずにれいむは憤慨する。 れいむからすれば、いきなり拉致られてこんな狭い場所に押し込められたのだ。怒りもする。 それもこれもあの兄さんのせいだ。奴隷の癖にれいむをこんなところに閉じ込めるなんて、お仕置きしなきゃ。 相も変わらずに自分のやったことに気がつかない。 野生で一体どうやって生きてきたのかが不思議なくらいの楽観主義。 他のゆっくり達は元気がない。お兄さんに何かされたのだろうか。 だったらその分も含めてお仕置きしなきゃね。れいむは偉いんだから。 ひそかな呻き声を聞いて、れいむは思う。 少なくともこの場ではれいむの勘違いを正せるものはいない。だからここまでれいむは増長している。 ここから出たら、まずはお兄さんにお仕置きをしてやろう。 それから美味しいお野菜さんを沢山むーしゃむーしゃするのだ。さっきのご飯は少なすぎる。 出来もしない妄想を浮かべてにやにやする。 れいむは自力で出られない。野菜はれいむのものではない。きっちり先ほどの食事に不満を抱くのも忘れなかった。 「おにいさんはれいむにおしおきされたくなかったら、ごはんちょうだいね!!」 当の男が居ない部屋に、れいむの声が響く。 結局のところこの屑はどこまでも利己的で、欲の強い饅頭なのだ。 自分の欲望を正義の怒りだと思い込めるこの饅頭は世界一幸せな生物なのかもしれない。 自分の置かれた状況も忘れて、れいむは怒りに燃えていた。 ・・・・・・いったいどれくらい長くこうしていただろう。 空腹で働かぬ頭を必死に回転させながら、れいむは自問する。 もうどうしようもないほど長い時間が過ぎていた。 れいむはこの長い、永い間、ずっとこの箱の中で暮らしている。 既にはしゃぎ回れる体力などなかった。 出来ることは動かず、喋らず、飢えに苛まれながら男がこの部屋に来るまで待つことだけ。 そう、あの男。れいむが奴隷だと信じて疑わなかった、あの男だ。 彼は毎日決まった時間にこの部屋を訪れていた。一日一回、れいむや他の函の中のゆっくりに餌をやるために。 彼がくれるものはサイコロほどの小さな乾パンが、ひとつきり。 あの日の宣言通り、それ以外の何物もれいむに与えられることはなかった。 最初の数日は脅すように喚いた。 早くここから出せ。奴隷の癖に何をしている。ここから出たらお仕置きしてやる。 当然、男は答えなかった。 暫くして、少しずつ声に恐れが滲み出てきた。 もうお兄さんにお仕置きするのはやめるよ。やめるから、ここから出して。 それでも男は答えなかった。 それからは震えるように懇願した。 お願いします。ここから出してください。もうここは嫌なんです。何でも言うこと聞きますから。 やはり、男は答えなかった。 今はもう、言葉も出ない。 ただ黙り込んで餌が投げ込まれるのを待つだけ。 他のゆっくり達も同様だった。 いや、違う。れいむが彼らのようになったのだ。 どんなに叫んでも、どんなに懇願しても男は耳を傾けない。 ならば諦めよう。諦めて、受け取れるものは受け取っておこう。そうすれば、体力の消耗は最低限に抑えられる。 ただ生き延びるためだけに飢えと戦いながら、屍のように生きるだけ。 れいむがこの部屋に入ってきた時から彼らは知っていたのだ。 いずれこの新参のれいむも自分たちのように、ただ騒がずに全てを受け入れるようになると。 今この部屋は静寂が支配している。 ほんのわずかに聞こえるのは弱弱しく聞こえる呼吸音だけだ。 ガチャリ、とドアを開く音。 男がこの部屋にやってきた合図だ。 男が次々と函に餌を投げ入れ始めるのを、無感動に見つめるれいむ。 最早彼が奴隷であるなどといった考えは浮かんでこなかった。 やがてれいむの箱の中にも餌は投げ入れられた。 ずりずりと這い、ゆっくりと餌を口に入れ、もそもそと咀嚼する。 これっぽっちの量では、れいむは勿論赤ゆっくりすら満腹にすることは出来ない。 僅かながらも口に入れたために、かえって更なる飢餓感に苦しむ。 それでも食べることは止められない。食べるのをやめれば死んでしまう。そういう思いがある。 だから食べ続ける。これが更なる飢えを呼ぶのだとしても。 ふとれいむが視線を上げると、そこにはれいむを見つめる男の姿があった。 おかしい。彼は餌を投げ入れればすぐにでもこの部屋を出て行くはずだった。 正確には、男はれいむを見ていない。 見つめる先はれいむの隣の、その函の中。 その函に向かって、手を伸ばす。 ガチャンと音をたてて扉が開く。 中にいたのは一匹のゆっくりまりさ。 そっとまりさを取り出し、抱える。 れいむには男が一体何をしているのかがわからない。 「よし、まりさ。出してやるぞ」 ざわり。 男の声以外に何も聞こえなかったはずの部屋にざわめきが生まれる。 今、なんて言ったのだ? 出す?誰を?そのまりさを?どこから?この牢獄から?何故? 疑問は声となり、ざわめきは少しずつ大きくなる。 そのまま男はこの部屋を出て行こうとする。 ゆっくりと部屋の中を歩き、ドアに手を触れる。 その瞬間、れいむが動いた。 扉に張り付き、あらん限りの大声を張り上げる。 「おにいざあああああああああああああん!!!!れいむも、でいむもだじでえええええええええええええ!!!!」 ピクリと、男は反応する。 ドアを握ったまま動かない。 チャンスだ。れいむはそう思った。 今叫ばねばもう二度と出られない。 そんな思いで必死に声を搾り出す。 「でいむもうあんなごどいいまぜんがらああああああああああああ!!!!おでがいじまずうううううううううう!!!!」 れいむに触発されたのか、他のゆっくり達も叫び始めた。 「ばりざもおおおおおおおお!!!!!ばりざもだじでええええええええええええ!!!!」 「あでぃっ、あでぃずもだじでええええええええええええええ!!!!おでがいじまずうううううううううううう!!!!」 「だじねでえええええええええええええええええ!!!!わがるよおおおおおおおおおおおお!!!!」 叫びは伝播する。 あっという間に静寂に支配されていたはずの部屋は阿鼻叫喚の様相を呈していた。 「おでがいでず!!でいぶを、でいぶをだじでぐだざい!!!」 「そのばりざよりばりざをだじでくだざいいいいいいいいいいいいい!!!!」 「むぎゅうううううううううううううううううう!!!!」 「み゛ょん゛っ!!み゛ょお゛お゛お゛お゛お゛お゛おおおおおおおん゛っ!!」 「あでぃずをだじでええええええええええええええええええ!!!!」 「に゛ゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああああああ!!!!」 そんな叫びも、男には何一つ届かない。 この部屋中の函に向かって、ゆっくりと口を開く。 「お前らは、まだ駄目だ。まだ頃合じゃない」 この悲鳴の嵐の中でも不思議と通る、男の声。 ゆっくり達は叫びながらも、男の話を聞く。 「もっと時間が経てばここから出してやる。それまで待て」 そう言って、男はドアを開く。 「ああああああっ!!まっでええええええええええええええ!!!!」 「おいでがないでえええええええええええええええ!!!!」 誰も男が抱えているまりさのことに気が付かない。 まりさは動いていない。喋っていない。それどころか、息すらしていない。 まりさは死んでいた。 男が与えるあまりにも少ない餌は、長い時間をかけてまりさを弱らせていった。 一気に飢えさせるより、餌を与えながら十二分に飢えさせた方がより苦しみは大きくなる。 ひたすらに長い間、まりさは飢えと戦った。そしてとうとう、まりさは死んだのだ。 この部屋はそういう目的で造られた。言ってみれば座敷牢のようなものだ。 まりさは死んでからようやく、外に出ることが出来た。 ゆっくりとドアが閉められていく。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああ!!!!」 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「わ゛がら゛な゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛おおおおお!!!!」 「ま゛っでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛えええええええ!!!!!」 「ま゛ら゛っ!!!ま゛ら゛っ!!」 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁあ゛あ゛あ゛!!!!」 「ごぼね゛え゛え゛え゛え゛え゛ぇぇぇぇぁぁぁぁぁぁあ゛あ゛あ゛!!!!!」 「ごごがらだじでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛えええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」 部屋から男が居なくなってからも、しばらくれいむ達の叫びは止まらなかった。 「もっと時間が経てばここから出してやる」。一体どれほどの時間が必要になるのだろう? なにしろあのまりさはれいむがこの世に生を受けたときからあの函の中に入っていたのだ。 少なくともれいむもまた、それほどの長い時間を過ごすことになる。 れいむはまだ知らない。自分がこれからどれだけ長い間、あの函の中で暮らすのかを。 ゆっくりにとっては永すぎる時間も、男にとってはたったの数ヶ月。 れいむがあの函の中に入ってからようやく一ヶ月が経過しようとしていた。 先は、まだまだ長い。 麗らかな春の午後。 暖かな日差しが差し込む居間には、ゆうかと俺がふたり。 今は三時。おやつの時間だ。 一本木で拵えられたテーブルの、その中央に置かれた皿の上。 そこにあのまりさがいた。 元々はただの処刑のつもりだった。 昔、畑の野菜を食ったゆっくりを閉じ込めたことがあった。 餌は最低限ともいえない量のゆっくりフードを一粒だけ。それを一日一回与え続けた。 そいつはどんどん痩せていった。 だが死なない。そう簡単にゆっくりは飢え死にすることが無い。 そもそもゆっくりというナマモノは食事の必要性が殆ど無い。 口に入れたものを自分の中身そのものである餡子に変換し、余分な排泄などする必要が無いからだ。 まぁそれでもあにゃる等を持つゆっくりはいるのだが、そいつらは中世の貴族のように食っては出し食っては出しを繰り返す。 決して自身の栄養にはせず、ただ自分の食欲のために食べているだけだ。 そういうことを除けばゆっくりは意外とエコなナマモノなのだ。 そんなエコ饅頭も流石に辛かったのか、半年後、そいつはポックリ逝った。 死因は誰が聞いても解るとおりの餓死。不必要に引き伸ばされた飢えの苦しみを顔中に浮かべて死んでいた。 死体を割ってみて驚いた。 クッキーのようにそいつの身体はサクサクと割れたのだ。 極限の空腹の中、水分さえ手に入らない状況でゆっくりの身体が起こした変化。 とことん水分の抜かれたスカスカの餡は、まるでゆっくり版の八つ橋のようだった。 干しゆっくりとも違う食感に、凝縮された甘み。 これはなかなかいい発見をしたものだ。飢えゆっくりとでも名付けようか。 それから、飢えゆっくりを量産するためにあの部屋を造った。 野菜をつまみ食いする屑奴隷や人里に下りてきて畑を荒らそうとするゆっくりたちを次々に放り込んでいった。 ちなみに、このまりさは4期目の最後の飢えゆっくりとなる。こいつだけ妙に長生きしていたな。 大体十ヶ月もすれば、あの部屋のゆっくり達は全て入れ替わる。 今あの部屋にいるのは自分がこれからどうなるかもわからない饅頭達だけだ。 まりさを2等分し、齧り付く。 サクッとした軽い口当たり。今回も上出来だ。 元は餡子なので緑茶との相性も抜群。お茶もすすむ。 ちょっとがっつきすぎて喉に詰まってしまった。急いでお茶を流し込む。 あっという間に食べ終わってしまった。 ゆうかはまだ半分も食べていない。ちょっと急ぎすぎたな。 この飢えゆっくりは簡単に・・・とは言わないが時間をかければ誰でも出来る。 透明な箱にでもぶち込んで、1日1回ごく少量の餌をやればいいだけだ。 半年間忘れずに餌をやれるなら、挑戦してみて欲しい。 おわり ――――― 名前をいただきました、書き溜めです。 フォアグラってあるじゃないですか、あのアヒルだかガチョウだかの脂肪肝ってやつ。 あれのゆっくり版って無いかなと思ったら、あった。仕方が無いので逆にゆっくりを飢えさせてみました。 イメージでは中身の餡子はパサパサを通り越してカラカラ、クッキーみたいになると思いまして。 ちなみに「うあああああああああ!!」っていってたのはふらんです。肉まんをクッキーにしても美味しくないだろうと。 なんかオチがいまひとつな駄文に仕上がってしまいましたが、ここまで見てくれた方に感謝を。
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管理人の駄目絵置き場。 勿論勝手に保存は禁止。まあこんな絵誰も欲しがらないだろうけど。 古い新しい関係なくごっちゃまぜになってます。 その1