約 1,036 件
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/845.html
131 :ヒナヒナ:2012/02/29(水) 21 58 36 薄暗い洋館のような内装。窓がないことからして地下室のようだ。 広間と呼ぶには手狭な部屋は、光量を抑えられたランプや燭台に照らされており、 壁には幾何学模様の書かれたタペストリー、棚には羊皮紙製の洋古書の類が並んでいる。 部屋の中央には円卓が一つ。卓を囲むように椅子に掛けているのは4人。 フードつきのローブの様なものを被っているので顔はうかがい知れない。 全員を睥睨する様に上座に座っていた男がゆらりと立ち上がる。 「皆、それぞれの任務(さだめ)の中、此度の召集に応じてもらってご苦労だった。 ではここに第32回、大日本帝国聖魔封印結社秘密集会を開催する。」 バッと、フードつきのローブを取り去ると、 そこにいたのは金モール付き階級章のついた軍服を身につけた陸軍軍人。 夢幻会一の邪気眼の使い手、富永だった。 ○邪気眼派の休日 「ふっ、原罪の開放(アメリカ風邪)とはソドムの民(旧アメリカ人)もやってくれるじゃないか。」 「くっくっく、そして、原罪を解放しようとした罪深きゴモラの民(メキシコ人)は ラピュタの雷……いやインドラの矢(核)によって裁かれた。 危ない所であったが、原罪は再びソドムの地に封印されるだろう。」 「そうなると、今世のラグナロク(世界大戦)は回避できたということか?」 「すでに第二の封印(核実験とメヒカリの分)まで解き放たれたが、 俺の右手の第三の力(メキシコシティの分)を使うには至らなかったようだな。」 全員、ノリノリだった。 ちなみにここは東京都某所にある邪気眼派の人員(独身)の自宅地下だ。 怪しさ満点の作りだが、地上部は普通の日本建築だ。 隠し扉のカラクリを作動させて地下への階段を出現させると、この地下へ入れる。 廊下の奥のカラクリ階段から降りると土塀から石塀へと代わり、 実用性のないように見えて実は複製が困難なつくりをしているという 意味不明な大型の鍵を使って入るこの部屋は、邪気眼派のサロンになっているのだ。 彼らはあまり人目を気にしなかったが(気にするようなら真の邪気眼ではない)、 彼らの趣向からして、一般人の目から隠れて活動する超人的な設定が好まれたので、 周囲からみれば、独り言が多くて偶に言動が少し怪しくなる人達という認識になっている。 ちなみにこれは邪気眼でなくとも逆行者には比較的多い性質の人間だ。 我らが帝国宰相も、傍から見ると独り言が多く(辻やアホ議員への呪詛)、 多分に妙に確信的に行動を起こす(未来知識のため)。 それはともかく、何かを知っている様な素振をしてみせるだけではつまらない。 そのため、彼らはこのような同じ趣味の人間で集まり、堂々と妄想 (前世設定だったり、封印された力だったり、所属する秘密組織だったり…) を語る場として定期集会が実施されているのだ。 まあ、そもそも逆行者であるという事実や、 夢幻会という秘密組織の構成員であること自体が、すでに中二的ではあったが。 しかし、すでに彼らはそんな物は超越し、更なる設定を求めていたのだ。 互いに役に成りきり妄想を語り、それを自分なりに咀嚼して話を発展させ、 一つの世界観を作り出していく様子は、パッと見TRPGっぽかったが、 (ちなみにこのメンバーでTRPGをやると超展開ばかりで一向に収束しなかった) 内容は核攻撃だの、戦争だのと焦げ臭いことこの上なかった。 また、陰謀的なイメージからか、邪気眼保持者は陸軍軍人になるものが多くを占めた。 富永を筆頭に常に思わせぶりなセリフを吐き、周囲を引かせている彼らだが、 本気の邪気眼トークは内容が内容なだけ(核とか)に表では話せないのだ。 もちろん彼らとしても、自重して話していい事と悪い事はより分けてはいるが。 132 :ヒナヒナ:2012/02/29(水) 21 59 08 「さて、この場は我々がそのエターナルフォースを解放して、情報を交換する会であるが、 ここで一つ議題を提起したいと思う。」 その富永が大きな身振りで注目をひきつけた後おもむろに口を開いた。 「皆知っているが、未来の記憶を持つ者は比較的多いが、 その中で我々の様に力(邪気眼)を持つ者は一握りだ。 我々はその強大な力故に衰退の道を歩んでいるように思われる。 しかし、この力を絶やしてはならない。この力こそ非情な敵(現実)から、 同胞を守ることができる唯一の力であり、我々の真の定めだからだ。」 「力を絶やさずに守り続けると? ふむ、他の未覚醒の能力者(非邪気眼派の逆行者)の引き込みを?」 「いや違う。今まで非能力者(この時代の人)として捉えていた中から、 封印された才能の種を見つけ出すのだ。」 「しかし、我らは少数精鋭。新たな人間は必要ありますかな。」 「ラプラスの悪魔(未来を知ることの出来る思考実験上の存在)を使役できない民に、 我らと同じ力を目覚めさせた所で、上位組織(夢幻会)への貢献にはならないのでは?」 「現状では俗世のパトスに囚われて、真の力を解放できる者は少ない。 よしんば、瞳を解放できても我々と肩を並べられる者は少ないのでは。」 面倒なやり取りであるが、富永の言う事は、 もう夢幻会からじゃなくてこの時代の一般人を、邪気眼にしてしまおうぜ。 ということなのだが周囲は困惑気味だ。 同じような価値観がないと白けてしまいかねないからだ。 「そうだな、諸君らの言うことももっともだ。 しかし、私はただ能力者を目覚めさせようとしている訳ではない。 我らが女神の下僕を増やすため、アニメを作り共鳴したものを引き込むのだ。」 「女神?アニメ?……まさか!?」 「そう……ゼ○魔だ。」 「おお、聖典か!?」 「女神クギミーのしもべを作りだすと?」 「これならばアニメ派の支援も受けられる。なにより我々の仲間となりうる下地を作りだし、 なおかつ我らが女神の信者を増やすことができる。」 奇妙な笑い声や歓声が響き渡る部屋。 それは確かに彼らが設定した通りに、怪しい雰囲気を醸し出していた。 邪気眼派=クギミー派という訳ではないのだが、 ここに集まった人間は粗方、富永に染められており、 クギミー至上主義に目覚めていたのだった。 そして、彼らの聖戦が始まる。 (了)
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/35880.html
登録日:2016/12/30 Fri 02 19 52 更新日:2024/04/07 Sun 21 24 33NEW! 所要時間:約 15 分で読めます ▽タグ一覧 びっくり人間 インド ヒンドゥー ブッダ 上座部仏教 仏教 十大弟子 原始仏教 大乗仏教 聖人 釈尊 釈迦 ■釈迦の十大弟子 ゴータマ・シッダルーダの悟りにより導き出された解脱の法が、大宇宙の創造主たる梵天の願いにより衆生にも拓かれたのが現在の世界三大宗教たる仏教の始まりとなったが、その基盤となったのが仏となった釈尊の直弟子として教えを受け、師と共に修行に励み、阿羅漢果の境地に達した500人の弟子からなる釈迦教団であり、その中心として釈尊を支えたのが、特に優れた智慧と徳を持つ10人の弟子であった。 彼らは十大弟子、または釈迦十聖、等と呼ばれ、彼ら自身が仏教経典や説話にも登場する仏弟子の規範(スター)として、今日でも仏教修行者達からの熱い尊崇を受けている。 謂わば仏教版アベンジャーズ……と言うよりは、仏教版X-MENと覚えておこう。 【十大弟子の一覧】 ※梵:サンスクリット語 ※巴:パーリ語 ■智慧第一 舎利弗(しゃりほつ)(舎利子) 梵:シャーリプトラ 巴:サーリプッタ 仏の智慧に於いては、右に出るものが無かった。 弟子達の中でも特に釈尊の信頼の篤かったとされる弟子で、上首(リーダー)として釈尊に代わって弟子達の説法を任される事もあったと云う程の智慧者。 日本でもお馴染みの『般若心経』で“しゃーりーし”と繰り返し名前を呼ばれているのが彼である。 舎利弗は親友の目犍連と共に、特に釈尊の片腕たる二大弟子とも呼ばれる。 マガダ国の王舎城(ラージャグリハ)北のナーラカ村(ナーランダー)のバラモンの家に生まれる。 本名はウパティッサ。 シャーリプトラとは“シャーリーの弗=子”と云う意味であり、それを音写して舎利弗(しゃりほつ)、プトラのみを漢訳して舎利子(しゃりし)とされた。 若き頃より悟りを求め様々なバラモンの下を訪れて話を聞いていたが、そんな中で最初に釈尊の弟子となった五人の弟子の一人であるアッサジ(阿説志)比丘と出会い、彼を通じて語られた「諸法は因より生ず。如来は其因を説きたまふ。諸法の滅をも亦。大沙門は此の如く説きたまふ。(『律蔵』)」のたった四句からなる「縁起の教え」の偈を聞いただけで釈尊の教えの基本を理解し開眼。 共に修行していた幼馴染みの目犍連を誘い、共に弟子入りを決意した。 当時の二人は懐疑論を唱えたサンジャヤ師(*1)の高弟として弟子達を導く地位にあったが、サンジャヤの教えをとうの昔に吸収してしまい、更なる真の解脱の道は無いものかと探っていた二人の前に開かれたのが仏教だったのである。 この事で、二人が指導していたサンジャヤ教団の250の弟子もまた、全員が釈尊の弟子となった。 釈尊の弟子となった舎利弗は間もなく阿羅漢果(*2)に至り、釈尊の右腕として教団を支えた。 また、後の仏教説話にて釈尊への反逆者とされたダイバダッタ(提婆達多)が500人の弟子を分裂させた時に彼等を連れ戻したのは舎利弗であるとされている。(*3) 舎利弗は釈尊よりも歳上の弟子であったとされ、後に自らの死を悟ると釈尊の許しを得て故郷に戻り、そこで母親をはじめとした親族に仏の道を説き、その弟子にして入滅したと云う。 この話が曲解されたのか釈尊は自殺を認めていた?等と言われる場合もあるが、そもそもの死の捉え方が輪廻からの解脱者である釈尊により拓かれた仏教では一般の“それ”とは違うのである。 ■神通第一 目犍連(もっけんれん)(目連) 梵:マウドガリヤーヤナ 巴:モッガラーナ 悟りにより得た神通力に於いては、右に出るものが無かった。 舎利弗の隣村に生まれた幼馴染みで、矢張りバラモンの家に生まれる。 幼少の頃より共に世の中を憂い、長じてからは二人で世の救い(自分の救いではない)を求めて僧の道に入った。 舎利弗と同じくサンジャヤ師の高弟として教団を率いる立場にあったが、舎利弗が釈尊の教えの一端に触れて真理の道に到ろうとしているのに気付き、自らも釈尊の弟子となった。 既に修行の基礎があったからなのか、瞬く間に悟りに到ると、舎利弗と共に二大弟子として信頼されて弟子も指導した事から摩訶(偉大なる)目犍連とも呼ばれる。 釈尊と云うとオカルトを否定した現実主義者と言われたりもしているが、本来のオカルトは現在のように胡散臭い心霊ばかりを指す概念ではないし、そもそも釈尊の生きた時代では呪術は一般常識であり、弟子に注意を促したのも「頼まれたからって、そんなものばかりに気を取られて自分の修行を疎かにしてはいけませんよ」、と言っていただけなのである。 事実、仏教ですら最高の悟りを拓いた者は神通力を得るとされており、全知全能の神すら弟子にした釈尊は別格にしても、神通第一として名を馳せたのが目犍連であった。 ※悟りを得るとみなぎる六つの力がこれだ! 神足通(じんそくつう) ※遠い場所にも一っ飛び。 天眼通(てんげんつう) ※少し先を予知する能力。蜘蛛男も吃驚だ! 天耳通(てんにつう) ※仏の耳は地獄耳(ブッダイヤーはデビルイヤー)♪ 他心通(たしんつう) ※心が読める。あの娘の心に自分が居なくても落ち込むな! 宿命通(しゅくみょうつう) ※過去生(前世)が見える。他人に使うと悪徳商法と勘違いされること必至。 漏尽通(ろじんつう) 真理を得れる。魯迅さんが痛がっている訳ではない。 目犍連は、説法により多くの衆生(人々)を教化させる一方、これらの神通力を使って教団に迫る危機をも退けた……一方で、三度の生命にも関わる襲撃を乗り越えた彼は、釈尊を憎む者達が賊を雇って襲わせるにしても、どうして他ならぬ自分が特に狙われるのかを疑問に思った。 そして、宿命通により自らの過去生を探った目犍連は絶望する事になる。 其処には目の視えない両親を疎ましく思い人気の無い場所に連れ出し、賊を装い殺そうとした過去生の己が見えたからである。 ……その、愚かな想いが現世の業となっている事を知った目犍連は、盗賊に襲われた時にされるがままにされ、この四度目の襲撃により他の者ならばとても助かることはなかったと云うほどにズタボロにされた。 それでも死ぬ事の叶わなかった目犍連であったが、動けぬ身のままで神足通を用いて釈尊の下に赴き、先に涅槃に入る事を許されたと云う。 こうして、またも目犍連は舎利弗と同じく釈尊より先に入滅。 最も信頼を寄せる二大弟子に先に娑婆(現世)より去られ哀しんだであろう釈尊だったが、それから程なくして自身も涅槃に到ったのだった。 中国仏教では天道に居るかと思っていたら餓鬼道に堕ちていた母親を救うべく目犍連が釈尊から伝授された法にて救いだしたのが盂蘭盆の始まりであるとされており、その際に歓びと共に天に昇った母親がふしぎなおどりを舞っていたのが、日本で云う盆踊りの発祥とされている。 ■頭陀行第一 大迦葉(だいかしょう)(摩訶迦葉) 梵:マハーカーシャパ 巴:マハーカッサパ 清浄な生き方に於いては、右に出るものが無かった。 摩訶迦葉(まかかしょう)の呼び名でも知られる大迦葉は、釈尊の入滅後に教団を率いていった人物として記録される。 この為、禅宗では釈尊に続く第二祖とされている。 マハーカッサパとは、偉大(マハー)なるカッサパ(カーシャパ)族の者と云う意味。この辺も釈尊と似ている。 本名はピッパリ。裕福なバラモンの家に生まれたが、釈尊と同様に自らの境遇に甘んじることがなく、道を求めて出家したいと願うような子であった。 そんな大迦葉に対して両親は早く妻を娶って子を為して自分達の後を継いで欲しいと迫った。 父母の願いを無下にすることも出来ない大迦葉は一計を案じ、黄金で光り輝く美しい娘の像を作らせると、この像より美しい乙女がこの世に居るのなら結婚しましょうと、無理難題を出す。 ……しかし、金に物を言わせて人を使った両親はあっさりとこの条件をクリアーして嫁候補を見つけてしまった。 これを聞いたピッパリは自ら乞食坊主に化けて見に行くと、美しい娘が出て来て施しを与えてくれた。 その娘の名前はバッダー。彼女こそが嫁候補であると知ったピッパリは自らの素性を明かすばかりか、信心深い彼女に自らの本当の願いをも打ち明けた。 すると、バッダーもまたピッパリと同じ願いを抱いていたことが解り、父母を安心させるのみならず、互いを守る為に二人は結婚することにしたが、それでも決して肉体を重ねることはなかった。致すことは致した釈尊とは違う所である。 それから時が経ち、父母も亡くなってからの事。 二人は互いに真に求めるものを得る為に一切の財産を使用人に分け与えて暇を出すと、自分たちは乞食坊主となって何時の日にかの再会を約束し、それぞれに托鉢に出た。 そして、ニグローダの樹の下で坐す釈尊と出逢ったピッパリは弟子となり遂に悟りを得る。 そして、神通力でバッダーを捜し出すと彼女もまた尼僧として釈尊の教団に加わったのであった。 大迦葉は教団に入った後も着の身着のままで乞食による施しを受けながら、財産への執着を持たない修行(頭陀行)を貫いたと云う。 ■天眼第一 阿那律(あなりつ) 梵:アニルッダ 巴:アヌルッダ 真理を視ることに於いては、右に出るものが無かった。 釈尊の一番上の従弟。 釈尊の説法の途中で居眠りをしてしまい、それを皮肉たっぷりに注意された事で釈尊の側では決して眠らないと云う明後日の誓いを立て て釈尊にも度々止められたのにやり遂げた結果、失明してしまうも真理を視る力を得た完璧肆式みたいな人。 後に、自らの衣がほころびていたのに気づき針に糸を通そうとしたが本来の視力を喪っているので上手く通せず、周囲の兄弟弟子達に「徳の高い人達よ、私を助けてもっと徳を積んだらDo-Dai?」と気軽に聞いたら釈尊がやって来てしまい、恐縮して断ろうとするも、釈尊に「徳を積んだ人と云うなら、貴方が拝む師である私より優る人はここに居ないって事なんだから大人しく徳を積ませなさい」と答えられてしまい、針に糸を通すばかりか衣まで繕ってもらった、と云う微笑ましい話が伝わる。 ■解空第一 須菩提(しゅぼだい) 梵:スブーティ 『空』の理解に於いては、右に出るものが無かった。 『空』を語る『般若経』にて登場してくる。 祇園精舎を寄進した給狐独長者=スダッタ(須達)長者の弟スマナ(須摩那)の子で、その時に釈尊の教えに触れて感銘し弟子となった。 『空』の説明として語られる仏教説話にこんなものがある。 ラージャグリハで須菩提が説法した時のこと。 ビンビサーラ王はそれに感激して須菩提の休む小屋を寄進したが、施工業者が誤って屋根を葺き忘れた。 須菩提はそれにも文句を言わずに住み始めたのだが、不思議な事に一切の雨が降らなくなってしまつた。 困った人々が「尊者を濡らさない為に天が雨を降らせないのでは?」と噂しているのに気づいたビンビサーラ王は、漸く自分のミスに気付くと、すぐに小屋に屋根を付けさせた。 果たして雨が降りだすと、人々は天の恵みに感謝すると共に、須菩提の徳の高さに改めて感心したのだった。 ……つまり、『空』を極めた須菩提にとっては、屋根の無い小屋であろうとも不完全でも何でもない代物であり、ただただ王から受けた供養(*4)に感謝していただけだったのだが、それでも天は須菩提を困らせまいとして雨を降らせなかったのであった。 西遊記(中国古典)で、孫悟空に戒名を授けた師匠として登場しているのが有名か。 ■説法第一 富桜那(ふるな) 梵:プールナ 巴:プンナ 説法への覚悟に於いては、右に出るものが無かった。 十大弟子では最も古参とされる。 釈尊の最初の弟子となった五人の弟子の一人であるコンディンニャ(阿若僑陣如)の妹の子。 正式な名前は富楼那・弥多羅尼・弗多羅(プルナ(プンナ)・マイトラ(ミトラ)ヤニー・プトラ)といい、ミトラヤニーは母の名、プトラは舎利弗の場合と同じく“子”の意味の為に富楼那弥多羅尼子と漢訳される。 ある時、富桜那は釈尊の下を訪れて布教の旅に出たいと申し出ると、最後に教えを戴きたいと乞うた。 釈尊は応え、説法を終えた後で「何処に説法に行くのか?」と訪ねると「西の彼方のスナーパランタ国」だと云う。 スナーパランタ国の人々の気性が荒いと聞いていた釈尊はその覚悟を問うた。 「罵られ、辱しめを受けるかも知れませんよ?」 「殴らないのだから善い人だと思います。」 「殴られたらどうしますか?」 「棒で叩かれないのだから善い人だと思います。」 「棒で叩かれたらどうしますか?」 「刃物で切られないのだから善い人だと思います。」 「刃物で殺されてしまったらどうしますか?」 「世の中には自ら死を選ぶ人も居るのです。(苦しみから)殺してくれと願っている人すら居るでしょう。その時には私を悩みから救ってくれた善い人だと思うでしょう。」 と、セルフ“ムの修行”の様な解答をした。 釈尊はこの覚悟を聞いて富桜那を送り出し、富桜那は見事に西の彼方での布教を成功させたと云う。 舎利弗の質問に対して「七清浄」を説いたとされ、その教えは南伝仏教の修行論の基礎になった。 ■広説第一 迦旃延(かせんねん) 梵:カーティヤーヤナ 巴:カッチャーヤナ 話を解りやすく伝える技術に於いては、右に出るものが無かった。 その能力を買われたのか辺境地域(アバンティ国)での説法を担当していたが、辺境の地では希望者が仏教教団に入るのに必要な「具足戒」の儀式に必要な三人の師と七人の比丘を集めるのに苦労するため、苦労して僧にしたソーナに伝言を頼み、釈尊からアバンティ国では五人の僧によって具足戒を為せることを許してもらえたと云う。 この他、土地の事情により守ることの難しい幾つかの戒を改めることも許したと云う。 ■持律第一 優波離(うぱり)(優婆離) 梵:ウパーリ 戒律の詳しさに於いては、右に出るものか無かった。 元々は釈尊の出身でもあるシャカ族の奴隷階級の理髪師で、シャカ族の王族の若者六人が偉大なるシャカ族の尊者である釈尊に弟子入りする為に旅立った際の従者であった。 途中で若者達に帰るようにと言われたウパーリだが、おめおめと戻れば王子を弟子入りさせた事を咎められるかもしれぬと思い、若者達の先回りをして釈尊に逢うと弟子入りを懇願して許された。 その後、六人の王子も到着したが、彼らは何も言わずに釈尊や他の仏弟子のみならず、兄弟子となった優波離にも礼拝したと云う。 仏教教団ではカースト制度を否定していた事を伝える説話であり、後に優波離はその知識を活かして律蔵を編纂する責任者となったと云う。 ■密行第一 羅睺羅(らごら) 梵:ラーフラ 規律を守ることに於いては、右に出るものが無かった。 釈尊の実の子であり、十六羅漢にも数えられる。 名前の意味は“障害”であるとして知られるが、他に“日食”や“月食”の意味もあるとされ、シャカ族が日月を信仰していた農耕民族であった事を考えると、どちらにせよあんまりいい意味ではないとも言える。 幼い頃より本音では出家したくて仕様がなかった釈尊が、自分を王家に留める為に作るのを薦められた息子が生まれた時に思わず呟いた「ラーフラ」と云う言葉が祖父のシュドーダナ王(淨飯王 )に伝わり、そのまま名前にされてしまったと云うのは有名な話。 ……が、釈尊は羅睺羅が生まれてすぐに家を飛び出ているので、付けられ損とも言える。てか、言葉が通じない外国人じゃあるまいし周りもそんなDQNネーム付けるなよ。 ……ただし、これについては普通に周囲が喜んでいるので、実は吉兆となる名(竜の頭=シャカ族の王となる者)であるとする説もある。 また、前述のように誕生直後に釈尊が国を捨てたとして語られる事が多いものの、釈尊が国を出た時には既に7歳であったとする説や、過去生の因縁により妊娠から6年間も生まれてこれなかった、とする説もある。 ※「ラーフラ」の名は、この妊娠中に母親に付けられたとも言われる。 ともかくも、父であるシッダールタが出ていってから6年の後、釈尊は仏陀となって教団を率いると、その旅の途中で故郷にも帰ってきた。 これを国中が手厚く歓待したのだが、国に置かれた妻のヤショダラー(耶輸陀羅)の一言が更なる不幸(?)を呼んでしまう。 耶輸陀羅は羅睺羅に釈尊を示し、「あれがお父様です。行って、子が親から貰うべき宝を貰って来なさい」と言い、幼い彼はその通りにした。 しかし、釈尊は耶輸陀羅がどんな思惑を抱いていたにせよ既に解脱を果たして、この世に宝など持ちようがない身……。 そこで、釈尊は自分の持つ真の宝を与えようと舎利弗に命じて羅睺羅を出家させてしまった。 これを知った淨飯王と耶輸陀羅は嘆き悲しんだと云うが、時既に遅し。 仏(釈尊)の決定には逆らえないので、淨飯王は以降は父母の許しなく出家させるのはやめてくれ、と懇願して約束して貰い、更に後には耶輸陀羅も尼になったと云う。 羅睺羅には舎利弗と目犍連が付いて修行を見たが、まだ幼いので戒を受けられず見習いのままだった。 そんなある日の事、羅睺羅が便所に寝ているのを釈尊に発見されると云う事があった。 と云うのも、当時の仏教教団では年長の修行僧には個室が与えられていたのに対し、 若い比丘は在家の信者と共に大部屋に寝かされていたのだが、大部屋は大勢の寝言やいびきでうるさく、この改善を訴えられた釈尊はせめてもの足しになればと、比丘と在家信者も分かれて寝るようにと言っていたのである。 そして、そのどちらでもない羅睺羅は寝床探しに忙しそうな周囲の者にも事情を聞けず、結局は規則を守れる場所として便所に寝ていたのだった。 これを知った釈尊は自分の息子すら放って置かれてしまうことに呆れて、見習い僧の面倒を最初は比丘が付いて指導し、自分で寝床を確保出来るようにすること、との新しい規則を加えた。 一方、しっかりと規則を守った羅睺羅は称賛され、当初は周囲から特別扱いされたりするも自身は仏の子であることを鼻に掛けずに修行に励み、その学門の才もまた高く評価されたと云う。 ■多聞第一 阿難(あなん)(阿難陀) 梵:アーナンダ 釈尊の言葉を聞いたことに於いては、右に出るものが無かった。 釈尊の歳の離れた従弟で、阿那律が出家する折に一緒に出家したと言われる。 釈尊が悟りを開いた時に生まれたともされ、その誕生を淨飯王が祝福したことから“歓喜(アーナンダ)”と名付けられた、との説も伝わる。 前述の釈尊への反逆者として描かれる提婆達多の弟である。 釈尊に25年、乃至は40年も仕えて身の回りの世話をしたと云うが、釈尊が姿婆に居た頃には悟りを得る事が叶わなかった。 美男子であることから常に女難に悩まされたものの、彼自身は真面目に修行をやり遂げようと苦労したらしい。 阿難の名が重要なものとなったのは釈尊の入滅後である。 残された弟子達は釈尊の正しい教えを纏めた仏典を作ろうと思ったのだが、未だ悟りを開いていないと言われつつも、毎日その言葉を聞いていた阿難を会議に加えることを長老の大迦葉は主張し、反対派にも認めさせたのである。 この抜擢に対し阿難は自分の修行が成っていないことを恥じて深く悩んだものの、正に会議が開かれるという朝に遂に悟りに至ったと言われる。 こうして王舎城の郊外、七葉窟にて始まった会議では大迦葉が議長となって、阿難が教えを纏め、優波離が戒律を纏める形で進められた。 これに弟子達が理論付けを行い普遍的な物としていく事が進められ、所謂これが『経蔵』『律蔵』『論蔵』からなる『三蔵』となった。 こうして、「第一結集」として解脱者たる釈尊とその弟子達と云う形態を越えて普遍的な教義を得た仏教教団は存続すると共に更なる拡大をしていく事になるが、その会議の中で阿難が「細かい戒は世尊(釈尊)は廃止してもよいと言っていました」と発言したのだが、その細かい戒とはなんなのかを阿難は把握しておらず、責められるという事があった。 この“小小戒の是非”を巡る議論はこの時は流され“250の全ての戒を守るべし”と、されたのだが、110年程も後の「第二結集」の時になって、この戒律の内の10の事柄について時代とそぐわない部分(特に金銀貨幣の価値の変化に伴う布施の在り方)について議論が分かれ、これが長老派の上座部と、実際に布教を行っていた大衆部の分裂を引き起こし、やがては仏教そのものが 上座部仏教と大乗仏教と云う二つの流れへと帰結していく事になる。 ……つまり、阿難が全ての原因だったんだよ! ΩΩΩ ナ,ナンダッテー この他、阿難に纏わる逸話としては釈尊の乳母である義理の母親のマハーパジャパティ(摩訶波闍波提)が淨飯王の死後に自らも出家したいと申し出て釈尊に断られた時に、同じ思いを抱いて髪を落として托鉢僧姿となって釈尊を追った摩訶波闍波提、以下のシャカ族の女性達の姿を見て釈尊に何度も進言して女性の出家を認めさせたと云うものがある。そりゃあモテるわ。 同じシャカ族出身の阿難ならではの話とも言えるが、実はこの話は後世に付与されたもので釈尊自身は男女の区別なく出家を受け入れていたが、釈尊の死後の仏教教団にて女性を修行の妨げとなるとして排斥する傾向が強まり、後には女人禁制の掟が生まれていったのだともされる。釈尊の域に達するのは矢張り凡人には難しいことなのである。 ……さて、本人の思っている以上に後の世での禍根を遺したとも言えなくもない阿難だが、その後は大迦葉の後を継いで教団を率いる者として国を跨いで尊崇を集めた。 しかし、自分の入滅後に遺骨を巡って争いが起きると思った阿難は120歳となった死の間際に、現場に訪れたマガタ国の阿闍世王とヴェーサリー国の離車族が見守る中でガンジスの中洲より空中に舞い上がり、自ら炎と光に包まれて爆発四散し、両国に均等に遺骨をバラ蒔いて散った……と云う伝説がある。 禅宗では大迦葉に続く第三祖として捉えられている。 追記修正は阿羅漢果の境地に入ってからお願い致します。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] ドラゴンボールめいた死に方をしたアナンダくんは自爆系宝具持ちのサーヴァントの適正があると思うよ -- 名無しさん (2016-12-30 03 46 02) 仏教版12使徒みたいな感じだな -- 名無しさん (2016-12-30 04 28 32) ↑一応こっちのが古いし師匠を裏切ったりもしてないけどね。 -- 名無しさん (2016-12-30 05 26 53) 悟れ!アナンダ -- 名無しさん (2016-12-30 06 43 40) …思ったより人間臭い人たちばかりだな -- 名無しさん (2016-12-30 18 13 44) ↑2ダイバダッタがユダ枠なんじゃない? -- 名無しさん (2016-12-31 04 02 47) 仏教の十大弟子の項目があって十二使徒の項目がないという -- 名無しさん (2019-05-13 14 16 07) あなりつと釈尊のやり取りが微笑ましくて笑い出たわ -- 名無しさん (2023-01-30 12 11 17) ↑2十二使徒は一部を除いてあんまり有名なのがいないからなあ、パウロとか有名だけど別に十二使徒じゃないし -- 名無しさん (2024-02-04 19 04 48) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/toho_yandere/pages/1191.html
すがり付こうとする村紗を跳ね除け、振り切り。荒々しい足音を響かせながら、○○は歩を進めていた。 村紗の事を考えると、どういうわけか顔面が熱くなるのを○○は感じていた。 先ほどまでの口論で荒くなる息、維持されたままの憤怒に歪む表情、そして火照る顔。 せめて息くらいは整えようと。手に顔をやり深呼吸を繰り返す。しかし歩みは止めなかった、一秒でも早くこの場を去りたかったから。 顔面に当てた手は火照りを感じた。その火照り、それは決して欲情などと言う感情ではないはずだ。きっと何かされたのだろう、村紗水蜜に。自分がまだ思い出していないだけで。 あの空き地に感じていた違和感は、思い過ごしや考えすぎなどではなかった。 ○○は自身の直感を信じていた。信じた結果、今こうやって楔から解き放たれる事ができたのだからなおさらだ。 この一件に関しては。○○は直感を信じて行動する事に決めた。きっとそれが一番の道だと思ったから。 ようやく例の空き地が見える場所にまで、○○は出てきた。 ○○は真っ先にかつて蔵の合った場所に。今は空き地で、ついたてがあるはずの場所に目をやった。 聖輦船の下絵が描かれているはずのついたて。そのついたての一つは、無残にも引き倒されていた。 ただの絵とは言え、聖輦船の無残な姿を見るのは何となく胸がすく気持ちだった。 近くには村紗水蜜の持ち物である碇が転がっていた。あれを使って引き倒したのだろうか。 あの碇は彼女を象徴する、彼女を説明する上でなくてはならない物のはずだ。 命の次に大事なはずのそれを野ざらしにしたまま放置している所に。○○が部屋にいないことに気づいた面々の慌てぶりが垣間見えるだろう。 次に、正門に目をやると。やはり誰かがいた。 かつて履いていた靴ではなく。仕方なくこの命蓮寺でいつも履いていた。 恐らくこれも、聖白蓮が用意したであろう下履きに足を通す。その際も、○○は正門を睨みつけたままであった。 物怖じもせず。○○はズンズンと正門へと足を進める。正門の前で○○を待っていたのは寅丸星と、彼女の従者ナズーリンであった。 2人は○○が敷地外に出るのを邪魔をする気なのか。門の中央付近に横に並んでいた。 その光景に、○○の拳に力が篭った。 寅丸星の手には。かつて○○が気を失う直前までは確かに持っていた、帳面を入れていたあの鞄が握られていた。 その鞄を返せ。そう言う前に寅丸星は、○○に鞄を投げ渡してくれた。 拍子抜けであった。てっきり○○は、自分が命蓮寺の敷地外に出ることを妨害すると思っていたから。 いや、よくよく考えれば。邪魔をすると言うならば、今までは隠していた鞄をさらけ出すと言うのにも。○○は引っ掛かる部分を感じた。 その疑問を深めるように。星とナズーリンは左右に別れ、○○に中央を譲った。 「邪魔をしないのか?」 心の奥底ではふつふつと、怒りの溶岩が煮えたぎっていたが。この場面は、努めて冷静に疑問を口にした。 「何の邪魔ですか?○○」 「俺が命蓮寺の外に出るのは。お前達にとって色々と不都合じゃないのか?」 「妙な事を聞きますね・・・・・・」 寅丸星との問答はいささか要領を得ない物であった。最も○○はそれでも構わなかった。今更まともな行動は期待していない。 「正当な理由が無いのに、家族の外出を邪魔する者がありますか」 “家族”その言葉に○○は堪忍袋の尾が切れるのが分かった。 「・・・・・・家族だと!?」 その言葉を発する寅丸星の表情が・・・余りにも穏やかだったから。尾どころか袋自体がずたずたになったのではないか。 「ええ、家族です。これまでも・・・そしてこれからも」 「黙れ!!」 今日何度目かの、喉がはちきれんばかりの○○の怒声が命蓮寺に響いた。 「あれが家族に対する仕打ちで合ってたまるか!それとも愛の鞭とでも言いたいのか!?」 ○○から浴びせられる罵声に心を抉られたのか、寅丸星は顔に手をやった。表情を隠しているようだったが、明らかに困惑と・・・悲しみの色が合った。 傍らにたたずむナズーリンも。言葉こそは発しないが、目まぐるしく表情筋が動き、何ともいえない感情を映し出していた。 ○○の方は全く理解が出来なかった。先の村紗水蜜と言い、この寅丸星と言い。 自身を捕まえろと指示を出したのは間違いなくこいつ等のはずだった。 あの山狩りは間違いなくこいつ等が主導していた。罪人に用いるような手法を持ってしてでも○○を捕まえようとした。 何の罪も無い人間にそんな仕打ちをすれば。そんな仕打ちを受けた者が、指示を出した輩にどんな感情を抱くか。想像に難くはないはずだ。 なのに。彼女達のかもし出す空気は、明らかに悲壮感に満ちていた。 ○○はその不一致さに、いつしか気を向けることはなくなっていた。そもそも、狂人相手にまともな会話をしようとしていたのが間違っていた。 そう結論付けてしまっていた。 「ええ・・・確かに・・・・・・ですが。多分あれが、いや間違いなく。最善の方法だったんです・・・・・・」 しどろもどろになりながら、言葉を続ける寅丸星の姿に何も思うところは無かった。 「そうかい」 それ以上の答えを○○は発しなかった。その声色だけで○○の心の内を図るには十分であろう。 ○○はもうそれで仕舞いにしてしまった バラバラになった帳面を鞄にしまい。わき目も降らず、真正面だけを見据え○○は歩みを進める。 星は金魚のように口をパクパクとさせながら何事かを言おうとしている。 だが何を言おうか決めあぐねいているのか、声はすんでの所で出せないでいる。 ○○が目の前を通り過ぎた辺りからは。歯を食いしばり、拳をぎゅっと握り、上下にぶんぶんと振って地団駄のような仕草を見せる。 ○○は背中から星が大きく息を吐く音を聞いた。そして「・・・・・・行ってらっしゃい」それが星がようやく出せた言葉だった。 星の搾り出したこの言葉に、○○は振り返りこそしなかったが歩みを止めた。 ○○の顔面はヒクヒクと口角の片端がつりあがり。怒りと嘲笑の混ざり合った顔を浮かべていた。 行ってらっしゃい。この言葉の意味する所は、つまり。○○がまだ帰ってくると思っているからに他ならないだろう。 この期に及んで。全てを思い出した○○に向って言うには余りにも趣旨のずれた一言ではないか。 ○○としてはもうこの命蓮寺に戻る気等微塵も存在していない。道半ばで捕縛されるのならば自決を選ぶ腹積もりもあるほどであった。 やはり何か言い残してやろうか。そうは思ったが、ヒクヒクと動く口角の痙攣は止まらず。おかしな笑いまでもがこみ上げる始末。 この状態で、まともに言葉を発する自信が無かった。少し考え、そう思った為。振り返ることなく足を再び動かした。 「行ってらっしゃい・・・か・・・・・・ははは」 後ろではまだ見送っているであろう二人を、思いっきり嘲り笑いたいと言う衝動を抑え。○○は背中を震わせながら里へと向った。 「ご主人・・・一応ネズミにつけさせるが・・・・・・良いかな?」 小さくなっていく○○の背中を見ながら、ナズーリンは横にいる星に問う。 「・・・・・・お願いします。まぁ・・・絶対に大丈夫なんですけどね」 「発作的に死を選ばれたら目も当てられない・・・もしもの備えは無駄ではないよ」 会話に区切りをつけ、ナズーリンは手を小さく動かした。茂みがほんの少しだけカサリと動いた。 「最初に行くのは・・・里ですかね、それとも博麗神社。ナズーリンはどっちがいいですか?」 「怨みを晴らしに里に向って欲しいね・・・我々は博麗神社に行こう」 ナズーリンも星も・・・いや、命蓮寺の全員が確信している事が一つだけあった。 「事実をどう知るのが最も傷を負わずに済むかな」 「そんな物ありませんよ、ナズーリン。それを知る事そのものが、○○にとって致死的な一撃です」 ○○は幻想郷から絶対に出ることが出来ないと言う事を。 「そうだね・・・確かにそうだ。里にはまだ聖がいる・・・・・・」 「ええ・・・ですから。暴れだしても止める事は可能です。我々は博麗神社に行きましょう」 「里に向ったようなら、そこから行けば良い・・・とにかく博麗の巫女とは会わせたくない」 「楔の打ち直しは・・・やはり必要だったか」 「ええ・・・でも聖だけじゃない。私達全員がもうあんな手荒な方法使いたくないと思った」 「だから・・・○○の聖への情念だけで、楔の緩みに対処しようとした。そうでしょうナズーリン」 「と言うか・・・それを提案したのは私だからね。小うるさいお目付け役も、私なら適任だ」 彼女達は○○に楔を打った。あの忌まわしい記憶を封じ込める為に、楔を奥深くまで打った。 「やはり止めるべきなのかな・・・無理矢理にでも。もう一本の楔に気づく前に」 「その楔は・・・スキマ妖怪や博麗の巫女でも絶対に解けませんからね」 そして。記憶とはまた違った場所に。彼女達の望もうが望むまいが楔がもう一本打たれた。 「今の博麗の巫女は・・・と言うか博麗の巫女と言う物は随分口が悪い。と言うのが常ですからね」 「剥き身の刃で切りつけられるようなものだよ」 その楔は、打たれた瞬間に。○○の人としての命を奪っていた。 静かでは合ったが、里全体に漂う空気は騒然としていた。 ○○が記憶を取り戻した。前後も無く、その一文のみと言う簡潔な内容で書かれた文は、ナズーリンのネズミが持ってきた。 その一報を呼んだ聖は一気に顔面蒼白となった。最も、ナズーリンのネズミが文を持ってくる時点で、碌な報せではない事は確かだったが。 それだけは、有り得て欲しくなかった。せめて、○○がまた昏倒したという内容ならば、ここまでの空気は作られない。 寄り合い所の大広間には何人もの人間が座っていた。今この場には指導者層が全員集まっていた。 皆一様に落ち着きがなくなっている。だが、その中で一人だけ。諦め半分に覚悟を決めたような若い男がいた。 聖は里長も押しのけ、最上座に座っていた。それは別段不思議ではない。 問題はその若い男が次席に座っている事である。特筆すべきはそれだけではない。 こういった大広間での席次は、即その組織の中での地位に関係する。 この席で、人外の一派をまとめる存在は聖だけであった。だから聖は自動的に最上座に案内される事となる。 問題はここからだった。聖の隣に座る若い男。彼は今の里長よりもはるかに若い、それなのに次席に座る事を許されている。 横暴や下克上と言った物ではなく。人里と言う組織自体が、彼が里長より上に立つ事を許している。 それは席次以外でも顕著だった。聖と、隣に座るその男には、仰々しく茶と茶菓子が運ばれたのに。里長にはお茶のみ。他の物は茶すらない。 その理由のほぼ全てを知っている聖は、その光景を嘲笑と侮蔑の顔で見ていた。 (そう。やっぱりあの男の一族に、全ての厄介事をおっ被せているのね・・・・・・) (里長をも超える丁重な扱いは、その対価なのね・・・随分安い気はするけど) 大広間に座る聖とその若い男以外の一同は。しきりに二人の顔を見比べている。 勿論、聖は何度か里の者と目が合った。その度に、わざとらしいほどににっこりと微笑んだ。 そうすると、目が合った物はビクンと体を波打たせたり、硬直したり、短い悲鳴を上げたり。 その姿が、聖にはたまらなく滑稽で。不愉快極まりなかった。 「茶菓子を食べて・・・茶を飲み干す時間くらいはください」 何度も顔を覗き込まれるのに嫌気がさしたのか。その男は短くこう言った。 その言葉の通り。他の物は、その男が茶と茶菓子を食べ終わるまで律儀に待っていた。 その男は饅頭を口にほお張り、ゆっくりと咀嚼し。茶もゆっくりとすする。 じっくりと味わうように。またそうする事が出来る自分を慈しむ様に。 「ふぅ・・・美味しかった」 きっと。最後に口にしたものの味を、しっかりと覚えたいのだろう。 湯飲みの底には茶の粉すら残らず。饅頭もかけらすら残らず綺麗に平らげた。 そして、飲み干した湯飲みを茶托に置く。その際、コンという音が。小さい音なのに部屋一杯に広がった。 大広間に座る者達は、男の第一声を待っていた。 男は広間に座る全員の顔を見て。ふぅ、と言う一呼吸の後にようやく言葉を発した。 「聖様と・・・それから皆さんも、逃げてください。私はここに残って、義務を果たします」 その一言に。里長も含め全員が間髪いれずに、地に額をこすり付けんとばかりにひれ伏した。 何人からは小さく。「有難うございます」と言う言葉が、何度も何度も、繰り返し呟かれていた。 「し・・・しかし・・・・・・」 「何でしょう?長殿」 その男には、里長ですら。恭しく、そして仰々しく話しかけていた。 「も・・・・・・もし。貴方様が父上と同じように・・・・・・なられたら。我々は一体・・・・・・」 「大丈夫ですよ、長殿。さすがに二代続けて、子供が父の思い出を殆ど持っていないというのは避けたいですよ私も」 「ですから・・・多少みっともなくても何とか生き残ってみますよ」 「はは・・・!有難うございます・・・!有難うございます・・・・・・!」 「で・・・ですが・・・・・・もしも、もしもの事があった場合。お子様はまだ小さい。我々は・・・我々は、誰を頼れば・・・・・・」 その男は、死すらも覚悟しているようだった。しかし、まだ小さい自分の子供を残してしまうことだけは、もしもの時の最大の心残りとして気にかけていた。 対して、里長以下の全ては。全てをあの男の一族に頼りきっていた。 長い間、人里と付き合いをしているうちに。ほんの少しだけ印象が変わった。 少なくとも、あの男の一族に関しては。聖はとても同情的だった。 「皆さんは逃げればいいんですよ。私はここで○○を待ちます。間違いなく私も恨まれてますから」 「まぁ・・・何かあっても。この方の命くらいは守れますよ」 聖の言葉にその男は座布団から跳ね降り。聖の正面に座り、深々と頭を下げた。 「あ・・・有難うございます。聖様・・・!有難うございます!」 「ですが・・・・・・ギリギリまでは私がやります。聖様は掛け軸の裏に。隠し部屋がありま― 「結構です。○○は私の最愛の人です。○○を前に隠れるなんて事、私はしません」 その男からは、不思議と卑屈さは全く感じなかった。幼い頃から刷り込まれていたのだろう。 自身が果たすべき義務を。後ろに座る者共の手によって。 「さぁ、早く逃げないと。○○が来てしまいますよ?」 段々と聖の我慢も限界が近づいていた。聖らしからぬ棘のある言葉を使ってでも、早々に視界から消したかった。 その男の後ろに座る者共を。
https://w.atwiki.jp/koboh/pages/232.html
静かにリグリア要塞へと入っていったミカは周りの状況を見まわしながら、ミカの名乗りにすぐに反応して駆けつけてきた案内役エルマードに付いていっている。 (思いのほかリグリア籠城軍の被害は少ないわね。もっと危ないものだと思っていた。) それがミカの率直なる感想であった。それもこれも別行動をとっていたラケル別動隊の存在が大きかったわけだが、ヴェスティアを出発した時の軍勢がそのままここに入って、かつレダに乗り込んでいたら、それこそ人類は立て直しの利かない大損害を被っていたはずだった。 またミカがリグリア要塞を見まわしている間に、他の籠城兵たちもまたミカのことを興味津津に眺めていた。彼女の到来を知ったハノンやバリガンが彼女に会釈をして、ミカも言葉こそ出さないが、その視線で労を労う。そう言ったことが何度も続いたが、やがてミカはアルドのいるヴェスティア軍本陣へと着いた。手前には様子を見るために駆けつけてきたレダ女王ティーネもいる。 「ティーネ女王、お久しぶりでございます。しかし今はアルド様に緊急の用事がございますので、正式なご挨拶につきましては後ほど改めて伺わせていただきます。」 そして目前を去って行こうとして、また一度足を止めてティーネに言う。 「今、女王が考えられていることはおそらくセーナ様のことでしょう。その点に関しては御心配ありません。セーナ様は御本復されました。だからこそ私がその意を受けてこちらを訪れているのですから。」 そして奥へと入っていくミカを見送りながら、ティーネは心にわだかまっていたしこりのようなものが消えていくのを感じ、ホッと安堵の息を吐いた。 ミカはやがて急遽設えられた部屋に通されて、迎え入れられたアルドに促されて上座へと着いた。 「ミカ、君が来たということは本当に母上は・・・。」 いきなりアルドは切り出してきた質問に、ミカはしっかり頷いた。 「その上でセーナ様からアルド様に勅命が下っております。」 その言葉にアルドは覚悟を決めた。やはり母はレダの大失態を知っており、その処分を今下そうということを。彼は、しかし、何もかも受け入れるつもりでいた。それだけのことをやってしまったのだから、死すらも辞さないつもりであった。 「アルド皇太、その身勝手な振る舞いで招いた事態は長子といえども許されず。さすれば3ヶ月以内にシレジア領ティルナノグに出頭せよ。この命を果たさずば、陛下のご子息として認知しない、とのことです。」 それはアルドにとって死よりも厳しい処分とも言えよう。ここから3ヶ月以内にティルナノグなど限りなく不可能に近いことである。しかもそれを為さない限り、セーナは自分のことを息子として扱ってくれないという。それは母の愛を背負ってきた彼にとってはそれこそ死よりも苦しいことである。ここであまりの処分の重さにアベルが口を開く。 「ならば我らからも問う。セーナ様自身がラグナに油断していた罪はどうなるのだ?」 アベルとてこのようなことは言いたくなかったのだろう。だが彼らとて言い分というものがあった。しかしそれは先日、セーナ自身がフリードに突かれたことである。ミカとてそれを知っているからこそ、瞳を閉じていう。 「そのことはヴェスティアでも話があがりました。セーナ様はそのことも痛いほど理解しておられていますし、その責めも受けるつもりでおります。しかしその前に出来上がった歪みは正せる時に正さねばならないのです!」 おそらくミカはセーナの思いをほぼ確実に理解しているのだろう。その割には不器用な言葉を並べているが、かえって二人にその難しい立場を伝えることになる。 「わかった。母の命に従い、イザーク・ティルナノグに出頭しよう!」 この言葉を受けたミカは静かにアルドの決意を受け止め、そして静かに叩頭した。 ミカがティーネ女王と会見するために部屋を去った後、入れ替わりにレナやラケル、ミル、ハノン、バリガンらヴェスティア勢の勇者たちが入ってきて、アルドとアベルは事の次第を述べていく。余りにも厳しい内容に誰も言葉を上げようとしなかったものの、アベルは静かに言う。 「母上のこと、おそらく無理なことは言ってないのだろう。何か手があるはずだ。」 そしてリーベリアの地図を広げた。現在、アルドたちが連れてきたヴェスティア・シレジア連合海軍はガルダ島に止まっており、それらをグラナダもしくはラゼリア・ゼムセリアまで回している間にアルドたちが急行して、イザークに向かうという手もあるが、海流の関係でそれではどう見込んでも3ヶ月半はかかる計算となってしまうのだ。 もう一つの案は来たときと同じカナンで海軍との上陸である。しかしこちらはカナンまでの陸路だけで3ヶ月かかる計算となり、こちらもとても現実的ではない、はずであった。何しろリグリアを南下してバルト・ラゼリア・リーヴェを経由するという冗長なルートだからだ。これならばまだ途中のラゼリア等で合流する先の案の方がマシである。ただカナンへ行くルートで他に道がないわけではない。しかしそれは今や敵の領地となっているレダを横断するものであり、少人数で進みたいアルドにとっては危険極まりないルートである。頭を抱える一同に、ふとミルは地図を眺めていう。 「この辺りは通れないんですか?ここを通れればほぼ一直線で行けません?」 このミルの指差した地点を見てアベルが大きく唸った。 「ミル、でかした!そこを通れば、2か月少しくらいでカナンへ着けるぞ!あとは一気に船でイザークまで乗りつければ何とか間に合う。」 そしてアルドに向かって言う。 「すぐさま出発の準備を願います。これ以降は一刻の猶予もなりませんぞ!」 「わかっている。だけどアベル、君はリグリアに残ってくれ。まだ四竜神たちの攻勢は終わっていないし、いざ反撃に移る際には君の力が必要だ。」 やはりアルドはレダで負けて一皮も二皮もむけている、とアベルは思った。自分が進言しようとしたことを先に言われてしまったからだ。アリティア動乱時の聡明さも目立っていたが、今のアルドは唯一足りなかった覇気をこの機会に補いつつあり、着実に王者の血を開花させようとしている。それを感じたアベルは同席しているハノンやバリガンを見て言う。 「二人で何としてもアルド皇子をセーナ様の元に届けるんだ!」 これに静かに聞いていたラケルも言う。 「私も付いていきましょう。」 その後もアルドに付いていくというものが相次いだが、これではヴェスティアに残るものが余りにも少なくなるので、アルドはその申し出に感謝しながらも以下のように振り分けることにした。 アルド同行組:ラケル、ハノン、バリガン、ミル リグリア籠城組:総大将レナ、副将エルマード、軍師アベル、サルーン、リーネ すぐに身支度を整えたアルドたち一行はティーネとリチャードに挨拶して、軍勢を残して撤退する旨を伝えて、静かにリグリア要塞を東に出て行った。途中で思わぬ協力者が何人か現われて、アルドたちと行を共にすることになり、ラケルの率いる精鋭バイゲリッターらに守られて、苦難の地リグリアをついに後にした。
https://w.atwiki.jp/homuhomu_tabetai/pages/154.html
←その2 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ シャルロッテ「ただいま、今日も沢山ほむほむ連れてきたで」 「わーい!ほむほむ!ほむほむ!」 シャルロッテ「紹介するで。この子は私の娘で、名前はシャルロッテ。私も同じ名前でシャルロッテや」 以下シャルロッテ(外見)をシャルロッテとし、シャルロッテ(中身)を恵方巻きとする シャルロッテ「うわあ、かわいいな!チーズいる?」 ほむほむ「ほむっ!」モグモグ シャルロッテ「美味しそうに食べるなあ。チーズ美味しいもんね」モグモグ 恵方巻き「ほむほむかわいいのになあ。虐めたり食べたりする人間の気持ちがわからんわ」 ほむら「どうなっているの…?」 ほむほむ「ほむぅっ!ほむほむほむ」ノシノシ シャルロッテ「ほむほむ沢山乗りすぎだよぉ!潰れちゃうよ!」 ほむほむ「ほむ…」シュン シャルロッテ「別に怒ってないよ。ほむほむ!」 ほむほむ8「シャルロッテ!」クッツキ シャルロッテ「ティヒヒヒ」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 恵方巻き「今日は楽しかったわあ。みんな暇なときに来てな」 シャルロッテ「また来てね!ほむほむ」 ほむほむ達「ほむ!」バイバイ 恵方巻き「おや、アンタは帰らないのかい?自分の家があるんやろ?」 ほむら「…」 恵方巻き「どうしたん?人間が怖いんやったら私がお家まで連れて行ってあげるで」 ほむら「その必要はないわ」 恵方巻き「へ…?」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ シャルロッテ「Zzz...」 恵方巻き「へぇ、じゃああんた別の世界から来た人間で、ほむほむじゃないんか」 ほむら「ええ、そうよ」 恵方巻き「そりゃあ酷な話やな。この世界じゃあんたそっくりの生き物が酷い扱いをうけとる」 ほむら「身を持って体験したわ。それよりあなた達は何者なの?私が居た世界の魔女って存在に近いんだけれど」 恵方巻き「私たちも魔女や。人間とは違う生き物なんやけど…」 恵方巻き「あんたのいた世界とは違う存在やな。まあ深くは聞かんでほしい」 ほむら「今日はいろいろとありがとう。命を救ってくれた上にご馳走までしてもらって」 ほむら(夕食が乳製品だけってのは変だったけど) ほむら「何かお礼がしたいんだけど…この姿じゃ」 恵方巻き「あー、これ頼んでもいかやえな」 恵方巻き「ほむらちゃん、ここで暮らさないかい?」 恵方巻き「うち、母子家庭だし私が居やなきは娘が寂しがんねん」 ほむら「…」 恵方巻き「嫌なら断ったかてええよ!思いつきやから!」 ほむら「暮らさせてもらうわ。あなた達と」 恵方巻き「おおきに、ほむらちゃん」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 恵方巻き「ほなおかんパート行てくるから、ほむらちゃんと帰てくるまで遊んでーや」 シャルロッテ「はーい!」 シャルロッテ「ほむらちゃんはほむほむじゃないんだって?でも外見は一緒なんだね」 ほむら「ええ。私はほむほむ好きの味方で、ほむほむを殺す馬鹿の敵」 シャルロッテ「何それ、ほむらちゃん面白いなあ」ケタケタ ほむら「あなた達は人間と違ってほむほむを食べたり、殺したりしないのね」 ほむら「いままで見てきた人間は皆そうしてたのに」 シャルロッテ「同情…かな。ほら、私たちって人間じゃないじゃん」 シャルロッテ「つい最近まで、魔女はペット扱いされてたり、食べられたり、酷い時には生きたまま」 シャルロッテ「燃やされたりもした。人間と同等の権利を貰えたのはつい最近なんだ」 シャルロッテ「まあ単純に可愛いからってのもあるけどね」 ほむら「…」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ほむら「ほむほむ達来ないわね…」 シャルロッテ「今日は雨の日だからかな。ほむほむにとって雨粒は爆弾みたいなものだし」 シャルロッテ「TVでも見ようか」 『次のニュースです。14歳の少年と交際していたとして、見滝原中学校に在籍している』 『魔女のオクタヴィア・フォン・ゼッケンドルフ容疑者が昨日未明逮捕されました』 『魔女にだって人間と交際する権利があるでしょう、ひどいよ!』 『剣を下ろしなさい』 『恭介を返してよ!』 『魔女と人間の恋愛は禁止されている。剣を降ろしなさい』 『オクタヴィアちゃんが何したってんだよ!逮捕するなら僕を逮捕しろ!』 『君、下がりなさい!』 『最近魔女の犯罪が増えてますねえ』 『魔女の方々は就職、学校、その他色々な所で差別されてるって言うけどさ、本人にも問題あるんじゃないかね』 『人間と体の作りが全然違うんだから、一緒にしろったって無理でしょ』 シャルロッテ「…」ポチッ 『はい、ほむほむの踊り食い!』 『うお~美味そうだな。さっそく…』 『ほむー!ほむー!』 『いっちゃいましょうか!』バクッ 『ほむー!ほ…』 『うん、この歯ごたえと風味。流石は人間に懐くように育てるという』 『手間とコストのかかる方法で育ててるだけありますね。最高級ほむほむ!』 シャルロッテ「…」ポチッ 『大丈夫。未来の後輩に、あんまり格好悪いところ見せられないものね』 『ガオオオオオッ』 『フィロ・フィナーレ!』 『ギャアアアアアアアア』 『ふぅ、これで魔女は片付いたわ』 『マメさんかっこいー!流石魔女ハンター!』 シャルロッテ「…TVはいいや」パチッ ほむら「そうね、私が本を読んであげるわ」 ほむら「ブロッケン山に魔女が来る。刈株は黄色、早苗は緑」 ほむら「わんさと集まってきた。悪魔の大将ウリアン様は上座にござる」 ほむら「木の根、岩の根そのまた上だ。魔女は屁をひる、牡山羊はくさい」 ほむら「なあにこれ、変な歌ね」 シャルロッテ「ワルプルギスの夜っていう魔女のお祭りの歌だよ」 シャルロッテ「昔の魔女は初夏が訪れるとドイツのブロッケン山に集まってお祭りをしたの」 シャルロッテ「魔女だけじゃなくて、魔物、堕落した人間、はてまては幽霊や悪魔まで来たって話だよ」 ほむら「へぇ、随分と怖いわね」 シャルロッテ「全然怖くないよ!そりゃ人間の価値観で見ると怖いだろうけど…」 シャルロッテ「みんなで踊ったり、歌ったり、人間のお祭りとやる事は変わらないよ」 シャルロッテ「でも今は魔女がブロッケン山に集まるのは禁止されちゃった」 シャルロッテ「何か悪い企てをするんじゃないかってね」 ほむら「そうなの…」 ガチャ シャルロッテ「あ、お母さん帰ってきた!」 恵方巻き「帰てきたわよ。今日もほんまにしんどかったよ~」 シャルロッテ「お疲れ様、お母さん」 恵方巻き「ほむちゃんと仲良く出来たか?」 シャルロッテ「もちろんだよ!ねえほむらちゃん」 ほむら「ええ、シャルロッテ」 恵方巻き「そりゃ良かったなあ。今日は豆腐ハンバーグやで。楽しみにしとき」 シャルロッテ「豆腐ハンバーグ?やったあ!」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 恵方巻き「私の娘、今日どんな様子だった?」 ほむら「とても嬉しそうだったわ。でも…」 恵方巻き「でも?」 ほむら「魔女であることにコンプレックスを感じている。そんな感じがした」 恵方巻き「ふぅむ、あの子普段はそんな様子見せんかったのに」 恵方巻き「あの子な、ずっと一人ぼっちやったねん」 恵方巻き「ほむほむと遊んだり、休日は私と遊んだりしたけど」 恵方巻き「同年代の子のツレが欲しかったねんね。アンタがここに住むって聞いたときは」 恵方巻き「めっちゃ嬉しかっただろうね」 ほむら「人間の友達は…」 恵方巻き「そんやの無理に決まてんかとちがか。連中はわたし達をいまだに化け物と思てんから」 ほむら「…」 恵方巻き「やさかいな、ほむちゃんには感謝してんか」 →その4
https://w.atwiki.jp/shintoism/pages/53.html
巫女みこ(神子・巫子)とは神懸りをして神霊の意を託宣する呪術的宗教能力を有する女性を指す。現在では、主に神社で神職を補佐して巫女舞や清掃、神札授与などの祭事や社務を行う。歴史的には神社に属する女性祠職と、神社を離れて在野で活躍する呪術者や祈祷師に大別できる。『魏志倭人伝』には「卑彌呼 事鬼道 能惑衆(卑弥呼は鬼道で衆を惑わした)」とあり、古来より祭祀に携わる女性がいたことがわかる。また古代日本では男性が政治を司り、女性が祭祀を司るヒメヒコ制と言う統治形態が採られていた。律令制における神祇官の女性神役を御巫みかんなぎと称し、『続日本紀』などに神子と書き「巫女をいふ也。祝詞式に巫をかんことよめり。神子の義なればみこは其略也」とある。その語源は明らかではないが、あるいは神霊の憑依する霊妙なる物実としての神子の略称か、霊威高貴な出自を示す尊称のミコの転用かと思われる。 かつて大神神社に宮能女、熱田神宮に惣ノ市、松尾神社に斎子、鹿島神宮に物忌、厳島神社に内侍、塩竃神社に若、出羽神社(羽黒山)に女別当などの名称が見られた。古代における巫女は、天鈿女命、倭迹迹日百襲媛命、倭姫命、神宮皇后の例などに見られるように、神の司祭者としての呪術的職能が見られたが、やがて男性祠職の神主、祝、禰宜などにその立場をとって代わられ、補助的神職になったとの説がある。 巫女になるには 巫女として神社に雇用される場合、常勤と助勤の二通りの形態がある。常勤の場合は國學院大學神道文化学部または皇學館大学文学部神道学科、及び各地の神職養成所で神職課程を修めた女子学生が奉職(就職)することが多い。短期の雇用形態である助勤の場合も、一般のアルバイトのように求人情報誌や求人サイトで募集されることは珍しい。多くの神社では國學院大學及び皇學館大学、また各地の神職養成所に求人を出し、そこの女子学生、特に神職課程に進んでいるものが課程の一環として赴く。年末年始や七五三、例大祭など神社の繁忙期においては上記の学生以外にも大量の募集を掛けるが、この場合、多くはその神社の縁故者、氏子崇敬者の繋がりで集められる。このように巫女になる道は狭いが、神社によっては毎年人員の確保に苦労しているところもあるため、諦めずに地元の神社に直接連絡するか、神社本庁・各都道府県の神社庁に問い合わせてみると良いだろう。 また神社の中には神田明神のように巫女体験教室を行っているところもある。神田明神は他に『巫女さん入門 初級編』も刊行しているので、興味がある方は一読すると良いだろう。 補足1、大きな神社だと巫女の取りまとめ役として“巫女長”がいる場合もある。 補足2、結婚したりある程度の年齢に達すると、巫女ではなく事務員としての雇用となり袴も緋袴ではなくなる。(仕事の内容自体はあまり変わらない。) 補足3、髪留めの有無や履物の種類で常勤の巫女と助勤の巫女の区別を付けている神社もある。 巫女の仕事 一般的な巫女の仕事としては境内の掃除や受付、神札や御守りの授与などがある。また、一部の神社や常勤の巫女だと事務全般や手水所役などの祭式補助、結婚式や七五三などの手伝い、巫女舞の奉仕、神幸祭の供奉なども行う。このような特別な奉仕の場合、事前に装束の着装や心構えなどと共に説明があるため、特に心配はいらない。 神社における仕事ではいくつかの注意点がある。 ・掃き掃除の際は埃や塵を神様に掛けないために、本殿を上位(上座)としてから下位に向けて掃いていく。 ・掃除などの際は神様になるべくお尻を向けないように心がける。 ・代金ではなくお初穂おはつほ、お初穂料という。 ・神札や御守りを数える際は「一個、二個・・・」ではなく「一体、二体・・・」 ・正中せいちゅう(神様の前)を横切る際はどんなに急いでいても軽くお辞儀をする。 以上の他にも一般のアルバイトとは違った点が侭あると思うが、すべて理由があってのことなので神職や先輩の巫女の指示には素直に従うようにしたい。 補足4、創作物で巫女に大麻・大幣おおぬさを持たせているものを見かけるが、修祓は神職の役であり、巫女が大麻を持って祓うことはまず無いと言って良い。 補足5、上とは逆に鉾先鈴や神楽鈴を用いての鈴祓いは巫女が行う所が多い。 巫女の心構え 巫女になるといくつかの心構えが必要となる。それらは全て、“神様へ御奉仕させていただく”“神様と氏子崇敬者の方々の仲執持ちなかとりもち(仲介者のこと)として御奉仕させていただく”という大前提の下に決められていることで、巫女のみならず神職など神前で御奉仕する全ての人に求められる心構えである。巫女姿が可愛いから、お金が得られるからという動機は、神社・神道に親しむ入り口として否定されるものではないが、安易な気持ちで働くことは大前で奉仕する神職や、信心を持って神社に参拝される方々の気持ちを傷つけることになるため、そこはよく注意したい。 ・神社に到着したら鳥居の前で軽く一礼、手水舎で手と口を清め、神前に二礼二拍一礼の作法で礼拝する。 ・髪は染色しない。また長髪の場合は華美でない髪留めで留めるか、ゴムで結わえる。 ・下着やハンカチは白色を着用する。 ・華美でない服装を心がけ、装飾品は身に付けない。また、爪も短くしておく。 ・着装の乱れには気を付ける。胸元や袴は緩み易いので小まめにチェックする。 ・奉仕する神社の御祭神や御由緒については予め調べておき、参拝者の方の質問に応対できるようにする。 ・わからないことがあったら自分の判断で動かず、必ず神職や常勤の巫女に指示を仰ぐ。 ・神社のお金は氏子崇敬者の方々の気持ちが込められた御浄財であるという意識を持ち、管理には気を付ける。 ・挨拶や返事はしっかりと行い、言葉遣いにも気を付ける。 ・奉仕中の私語や携帯電話の使用は慎む。 ・休憩中も必要以上に気を緩めない。 ・神職や常勤の巫女とともに朝拝に参列する際には正座で座る。 ・食事の際はただしい作法を心がけ、食物と生産者の方に感謝してなるべく残さない。 ・大きな御祭では大変に忙しく休憩が上手く回らないこともおおい。特に大晦日から元旦にかけては寒さの中、夜通し奉仕するので体調管理には注意したい。 以上の他にも求められることは多いが、同様のことは一般社会でも働く上で必要なマナーとされている。大切なのは“神様へ御奉仕させていただく”“神様と氏子崇敬者の方々の仲執持ちとして御奉仕させていただく”という謙虚な気持ちだ。 補足6、神社によっては食事の前後に“食前感謝・食後感謝”を行う所がある。これについても道彦(先導する人)の指示があるので特に心配はいらない。
https://w.atwiki.jp/anime_wiki/pages/29773.html
のんのんびより にゃんぱすぼっくす にっ 発売日:3月27日 のんのんびより10周年記念! 劇場版アニメ『のんのんびより ばけーしょん』と TVアニメ第3期を収録したBlu-ray BOX 第2弾が リリース決定なのん! ここを編集 2021年1月放送開始。のんのんびより りぴーとの続編。2024年3月、Blu-rayBOXが発売。プライムビデオが配信開始。 http //www.nonnontv.com/ 監督 川面真也 原作 あっと シリーズ構成 吉田玲子 キャラクターデザイン 大塚舞 プロップデザイン 片山敬介 動画チーフ 中嶋美幸 美術監督・背景統括 畠山佑貴 美術設定 綱頭瑛子 美術ボード 横山淳史 背景制作 平田浩章 色彩設計 重冨英里 撮影監督 佐藤敦 3Dディレクター 濱村敏郎 特殊効果 佐藤敦、木村実乃理 2DCGデザイン 柏原進、新谷優子 編集 坪根健太郎 編集助手 仙土真希 音響監督 亀山俊樹 音響効果 小山恭正 録音調整 内田誠 録音助手 田中空 音楽 水谷広実 サブタイトル 澤入祐樹 助監督 新谷研人 アニメーション制作 SILVER LINK. 脚本 吉田玲子 志茂文彦 山田由香 上座梟 絵コンテ 川面真也 黒澤雅之 錦織博 澤井幸次 二瓶勇一 相澤伽月 演出 新谷研人 富田祐輔 新谷研人 福多潤 ソエジマヤスフミ 小柴純弥 矢吹勉 稲葉友紀 作画監督 大塚舞 井本由紀 原口渉 林信秀 滝本祥子 古川英樹 竹森由加 芝花和栖 チェ・ミザ キム・テギョン 河口千恵 吉田和香子 渡部桂太 吉野麦 山崎輝彦 松本弘 平田かほる 松下純子 楠田悟 片山敬介 鈴木FALCO 日根野優子 中尾彩香 ビート 石田誠也 小幡公春 冨樫彩菜 池津寿恵 松井京介 若山政志 服部憲知 倉谷亮多 渡辺一平太 谷口繁則 金元会 プライムビデオ:のんのんびより のんすとっぷ Ep1 カエルの歌を吹いた 主演 小岩井ことり, 村川梨衣, 佐倉綾音 再生時間:24分 初公開日/初回放送日:2021/01/11 ■関連タイトル のんのんびより にゃんぱすぼっくす にっ Blu-ray のんのんびより のんすとっぷ 第1巻 イベントチケット優先販売申込券 アニメ『のんのんびより』シリーズOP/ED主題歌集「のんのんびよりでいず」 のんのんびより 10 OADつき特装版 TVアニメ「のんのんびより」ベスト のんのんびより オリジナルサウンドトラック TVアニメ のんのんびより公式ファンブック のんのんびより7巻 OAD付き特装版 原作コミック あっと/のんのんびより 1 Kindleまとめ買い のんのんびより rakuten_design= slide ;rakuten_affiliateId= 053df7e0.7c451bd1.0c852203.190c5695 ;rakuten_items= ctsmatch ;rakuten_genreId=0;rakuten_size= 468x160 ;rakuten_target= _blank ;rakuten_theme= gray ;rakuten_border= on ;rakuten_auto_mode= on ;rakuten_genre_title= off ;rakuten_recommend= on ; 随時更新! pixivFANBOX アニメ@wiki ご支援お待ちしています! ムック本&画集新刊/個人画集新刊/新作Blu-ray単巻/新作Blu-ray DVD-BOX アニメ原画集全リスト スタッフインタビューwebリンク集 最新登録アイテム Switch ゼルダの伝説 Tears of the Kingdom Switch 世界樹の迷宮Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ HD REMASTER Switch ピクミン 4 大友克洋 Animation AKIRA Layouts Key Frames 2 小説 機動戦士ガンダム 水星の魔女 1 ONE PIECE FILM REDデラックス・リミテッド・エディション 4K ULTRA HD Blu-ray Blu-ray 劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ 完全生産限定版 Blu-ray 映画『ゆるキャン△』 Blu-ray 【コレクターズ版】 Blu-ray ウマ娘 プリティーダービー 4th EVENT SPECIAL DREAMERS!! Blu-ray 天地無用!GXP パラダイス始動編 Blu-ray第1巻 特装版 天地無用!魎皇鬼 第伍期 Blu-ray SET 「GS美神」全話いっき見ブルーレイ Blu-ray ソードアート・オンライン -フルダイブ- メーカー特典:「イベントビジュアル使用A3クリアポスター」付 ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 5th Live! 虹が咲く場所 Blu-ray Memorial BOX 宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち Blu-ray BOX 特装限定版 地球へ… Blu-ray Disc BOX 完全生産限定版 神風怪盗ジャンヌ Complete Blu-ray BOX HUNTER×HUNTER ハンター試験編・ゾルディック家編Blu-ray BOX BLEACH Blu-ray Disc BOX 破面篇セレクション1+過去篇 完全生産限定版 MAZINGER THE MOVIE 1973-1976 4Kリマスター版 アニメ・ゲームのロゴデザイン シン・仮面ライダー 音楽集 テレビマガジン特別編集 仮面ライダー 完全版 EPISODE No.1~No.98 MOVIE リスアニ!Vol.50.5 ぼっち・ざ・ろっく!号デラックスエディション ヤマノススメ Next Summit アニメガイド おもいでビヨリ アニメ「魔入りました!入間くん」オフィシャルファンブック 『超時空要塞マクロス』パッケージアート集 CLAMP PREMIUM COLLECTION X 1 トーマの心臓 プレミアムエディション パズル ドラゴンズ 10th Anniversary Art Works はんざわかおり こみっくがーるず画集 ~あばばーさりー!~ あすぱら画集 すいみゃ Art Works trim polka-トリムポルカ- つぐもも裏 超!限界突破イラスト&激!すじ供養漫画集 開田裕治ウルトラマンシリーズ画集 井澤詩織1st写真集 mascotte 鬼頭明里写真集 my pace 内田真礼 1st photobook 「まあやドキ」 進藤あまね1st写真集 翠~Midori~ 声優 宮村優子 対談集 アスカライソジ 三石琴乃 ことのは 亀田祥倫アートワークス 100% 庵野秀明責任編集 仮面ライダー 資料写真集 1971-1973 金子雄司アニメーション背景美術画集 タローマン・クロニクル ラブライブ!サンシャイン!! Find Our 沼津~Aqoursのいる風景~ 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会[復刻版] 梅津泰臣 KISS AND CRY 資料集 安彦良和 マイ・バック・ページズ 『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』編 氷川竜介 日本アニメの革新 歴史の転換点となった変化の構造分析 Blu-ray THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 10th Anniversary Celebration Animation ETERNITY MEMORIES Blu-ray おいら宇宙の探鉱夫 ブルーレイ版 Blu-ray 映画 バクテン!! 完全生産限定版 アイカツ! 10th STORY ~未来へのSTARWAY~ Blu-ray BOX 初回生産限定版 はたらく細胞 Blu-ray Disc BOX 完全生産限定版 Blu-ray 長靴をはいた猫 3作品収録 Blu-ray わんぱく王子の大蛇退治 Blu-ray 魔道祖師 完結編 完全生産限定版 魔道祖師Q Blu-ray Disc BOX 完全生産限定盤 にじよん あにめーしょん Blu-ray BOX 【特装限定版】 Blu-ray 鋼の錬金術師 完結編 プレミアム・エディション Blu-ray付き やはりゲームでも俺の青春ラブコメはまちがっている。完 限定版【同梱物】オリジナルアニメ Blu-ray「だから、思春期は終わらずに、青春は続いていく。」
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/1471.html
737 :グアンタナモの人:2013/01/10(木) 23 39 45 ベルカ戦争には謎が多い。 終戦から十年経った現在、やっと一部の情報が開示された。 私はその資料をすぐに入手し、それでは足りず――出所不明な裏情報にも手を出した。 私がそこまで掻き立てられたのには、理由がある。 この戦争は一九八九年のティンズマルク宣言に端を発する。 当時、国内での資源開発によりそれまでの財政難を脱していたベルカは、小惑星の地球落着とその迎撃計画を明らかにした。 聖杯(カリス)計画は、この時誕生する。 世界各国を巻き込んで進められていく、小惑星に対する迎撃準備。 一方で国際的主導権を隣国に奪われ、威光に陰りを見せる巨大国家――オーシア。 両国の摩擦が強まる中、ある極右政治家が大統領に就任する。 強く正当なオーシアを取り戻すために。 一九九五年三月二十五日。 北海での国籍不明機によるオーシア軍機撃墜を理由に、ついにオーシアはベルカへの侵攻を始めた。 ベルカ戦争の開戦である。 事前に準備をしていたベルカであったが、数で勝るオーシア軍を前にじわじわと後退。 しかし数週間後、南ベルカの半分を占領下に置かれたところでベルカ連邦軍は総反攻を実施。 友邦との連合作戦に望みをかける。 ここまでは、教科書にも載っている。 だが、資料に奇妙な類似点を見つけた。 一人の傭兵に関する記述。 そしてそこに残された“鬼”という暗号。 情報としては、不十分なものが多い。 だが、私はそこに惹かれた。 私はこの傭兵を通して、ベルカ戦争を追いかけることにした。 その先には何かがある。 この戦争の隠された姿か。ただの御伽噺か。 その傭兵に会うことはできなかった。 存在自体があやふやだ。 ただ“彼”と関わりのあった人物数人を突き止めることはできた。 “片羽”はその中の一人だ。 738 :グアンタナモの人:2013/01/10(木) 23 41 13 一九九五年の二月半ば。 この国では極めて珍しい閑静な畳敷きの一室には、背広や軍服を着た何人もの男達が集まっていた。 「ふむ、全員集まったかな」 上座に座る初老の男は、最後の確認するようにそう言った。 彼は居並んだ男達を順に見回し、全員が居ることを確かめる そして最後に、隣に座っていた眼鏡の男へ目配せをした。 「では状況の確認を」 促された眼鏡の男は座布団から立ち上がり、懐から取り出した覚書を横目に口を開く。 「外交努力の甲斐も虚しく、あちらでは議会に予備役の動員命令が提出されました。どうやら痺れを切らしたようですね」 眼鏡の男の言葉に部屋のあちこちから、ないわー、横暴ってレベルじゃねーぞ、因縁の付け方すら米帝様超えとかやだー、といった泣き言が発せられる。 「んんっ」 そのまましばらくざわめいていた室内を、初老の男が咳ばらいで静める。 正直なところ、彼自身内心は穏やかでない。 されど、この世界でも彼は指導者の立場になってしまったのだ。 安易に泣き言へ同調するような真似は許されなかった。 「……続けてくれ」 そう、彼は“それ”が終わるまで、強い指導者であり続けねばならないのだ。かつてと同様に、である。 全ては、あの悪夢の現出を防ぐために。 「……対し、こちらは既に全軍の準備が完了しつつあります。ディレクタス条約機構諸国も順次動員が完了するでしょう。……あちらよりも早く」 ぱらり、と眼鏡の男は覚書の頁を捲る。 「加えてユークはこちらの要請通り、セレス海越しに圧力をかけてくれるようです。これであちらの戦力をある程度、セレス海方面に釘付けできるでしょう。また、エルジア及びエストバキアからは非公式ながら義勇兵派遣の打診がありました。これは聖杯(カリス)計画に対する返礼のようです」 その情報を聞き、初老の男は心中の憂いを少しだけ晴らす。 正史に先んじること五年。かの小惑星はティンズマルク大学がその存在を発見し、同大学と公国宇宙開発機構の合同研究チームが地球上へ破片が落着する危険性までもを明らかにしていた。 そこで破片の落着に備え、落着が予想される各国を巻き込んで彼ら主導で計画、実行されたのが所謂“聖杯(カリス)計画”である。 地表に降り注ぐ惨劇を少しでも汲み取る、という理念から命名された同計画――阻止攻撃、軌道上迎撃、そして地上迎撃の三段階から成る迎撃網の構築は、彼らの国の国際的地位を大いに引き上げていた。 その結果が今回、あの超大国を敵に回してでも、各国が彼らの国に助けの手を差し伸べる覚悟を生んだのだ。 計画の実現に際し、万難を辞して各種迎撃設備の開発を成し遂げた国営兵器産業廠の面々には、足を向けては寝られない。 前世の失敗を繰り返さないために、各国を駆けずり回った外務省の面々に対しても同様だ。 「そして懸念材料だった国境無き世界ですが……少なくとも国内でフラグは確認されませんでした。ゴルト……かの啄木鳥も怪しい動きは見せていません」 今度は初老の男のみならず、何人もの人間が安堵したような表情を浮かべる。 この場に居る大抵の人間が知っている弩級の内患問題に見通しが立ったのだから、ある意味当然の反応であった。 739 :グアンタナモの人:2013/01/10(木) 23 41 54 「つまり、我々は差し迫った戦争に集中できると?」 「今のところは、ですね。ジョシュア=ブリストーなどといった火種から飛び火する可能性は否定できませんので。無論、警戒は続けます」 「そうか……残る懸念は」 初老の男がそう呟いて、顎に手をやろうとした、その時。 不意に部屋の戸――これまたこの国では珍しい障子戸――が開け放たれ、中年の男が一人転がり込むように室内へ入ってきた。 その様子に一瞬、室内に剣呑な空気が流れる。 しかし慌てて座り直した中年の男の姿を見て、空気の色は別のものに変わった。 何故なら彼の表情は、興奮を隠せないと言わんばかりの喜色を帯びていたからだ。 「失礼しました。先ほど、空軍の傭兵管理部門の担当者から緊急連絡が入りました」 中年の男はそこで一旦、言葉を切る。 自らの興奮を落ち着けるように何度も深呼吸を繰り返し、彼は再び口を開く。 「片羽の妖精……ラリー=フォルクの勧誘に成功しました。さらに“サイファー”というTACネームの使用を管理部門に申請した傭兵も確認されたようです。ほぼ間違いなく、円卓の鬼神であると思われます」 そして次の瞬間、場は地鳴りの如き歓声で満たされた。 「ようやっとスタートライン、か」 「そうですね。これで影に怯えずに済みます……後は実際にチートであることを願いましょう」 「ああ、そうだな……故郷を核で吹き飛ばす真似だけはしたくない」 中年の男が感極まった面々に寄ってたかって胴上げされるのを見ながら、ベルカ公国宰相ヴァルデマー=ラルド――かつて嶋田繁太郎であった男は溜息を吐いた。 これは歴史の裏の裏で暗躍した、ある秘密結社の物語。 ――灰色の男たちの憂鬱。 勿論、続かない。
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/873.html
915 :YVH:2012/02/28(火) 18 27 10 ※ワルキューレは汝の勇気を愛せりを脳内再生しながら、ご覧下さい(笑) 帝国暦48X年某月某日、銀河帝国帝都オーディンにおいて、新皇帝の即位式が挙行された。 -新無憂宮・黒真珠の間- 今、この場には赤い絨毯を挟んで政・軍の高官、即ち玉座から見て右の列には 国務尚書リヒテンラーデ侯、新設された外務尚書で皇族・侯爵に復帰した当代のバルトパッフェル侯、 叛逆を起こして滅亡したカストロプ公に代わって正式に財務尚書となったゲルラッハ子爵、 内務尚書フレーゲル伯爵、内務省から独立した教育関係を司る文部尚書ミュンツァー子爵 司法尚書ルーゲ伯爵、宮内尚書ノイケルン伯爵、キールマンゼク内閣書記官長、主だった諸侯が立ち並ぶ。 (余談ながら、科学省は文部省に、典礼省は宮内省に其々吸収合併) 左の列には、軍務尚書エーレンベルク元帥、統帥本部総長シュタインホフ元帥、幕僚総監クラーゼン元帥 宇宙艦隊司令長官ミュッケンベルガー元帥、部下の一部が起こした叛逆の責任を取って自決した ラムスドルフ上級大将に代わって近衛兵総監となったシュタイエルマルク上級大将 装甲擲弾兵総監オフレッサー上級大将、憲兵総監クラーマー大将、帝都防衛司令官グナイゼナウ大将 十八個艦隊の司令官たちが立ち並ぶ。 そして帝国初の「国賓」大日本帝国皇族・月詠宮裕子一品内親王、実弟の後華頂宮篤仁一品親王とその随員たちが 東側に設えられた特別席で式の開始を待っていた。 「黒真珠の間」に皇帝出御を告げる式部官の声が響き渡った。 「全人類の支配者にして全宇宙の統治者!天界のあらゆる法則の擁護者! 神聖にして不可侵なる銀河帝国皇帝、フリードリヒ四世陛下のご入来っ!!」 その声が終わるか終わらないかのタイミングで、広間に帝国国歌の荘重な旋律が流れる。 帝国側の人員は最敬礼で、日本側の人員は起立の上、軽く会釈するようにして国歌の演奏終了を待った。 演奏が終わるのと同時に諸人が顔を上げると、玉座には帝冠を戴いた皇帝が座し、玉座の左側には四公の内、 国舅となった公爵を除く残りの三公爵が、それぞれ皇錫、宝石や金銀で作られた帝権を顕す世界のリンゴ、 皇后の宝冠を捧げ持って佇んでいた。 そして右側には、ブラウンシュヴァイク公夫妻、リッテンハイム侯夫妻、ローエングラム女伯姉弟が 立ち並んだ。 姉弟の姿に、一同は一瞬ざわめいたが場所柄を思い出したのか、その後は沈黙を保った。 式部官が本日の主役の名前を呼び上げる。 「摂政皇太子・ルードヴィッヒ大公殿下っ!」 その呼びかけと共に広間の大扉が開けられ、嘗て日本から贈られた桐竹文様の絹織物で作られた服を纏い 真紅のマントを付けた皇太子が広間に入室し、赤絨毯を踏んで父である皇帝の座す玉座に向かって歩き出した。 余談だが、皇帝も皇太子と同じ文様の服を纏っている。 階〔さきはし〕の下に来た皇太子はそれを上り、玉座の前に用意された紫の敷物の所で止まり、その場で跪いた。 そんな息子に父である皇帝は玉音を下賜する。 「後を頼むぞ。ルードヴィッヒ」 皇太子は奉答する。 「御意。陛下より託されしこの帝国の為、身命を賭す所存」 皇太子の奉答に一つ頷くと、皇帝は玉座から立ち上がり自らの頭上にあった帝冠を脱ぎ両手で捧げ持つと 広間を睥睨するように見渡し、声高らかに宣言した。 「諸卿よ、よく聞くが良いっ!お前たちの新しい皇帝ルードヴィッヒじゃっ!!」 皇帝の大音声に広間に居る者は皆、瞠目する。日本側の人員は皇族方は笑みを深くし、随員たちは唯黙って見続ける。 次に皇帝は来賓席に向かって、こう述べた。 「日出る国より参られた賓客たちに申し上げる。貴卿らの新しい友、ルードヴィッヒじゃ」 広間の諸侯達に対した様な厳しい雰囲気ではなく、柔和な笑みが浮かんでいるような声音で皇帝は 日本側に語りかけた。 その宣言というか語りかけに、皇族方は深い笑みと共に目礼し、随員たちも会釈でこれに答えた。 916 :YVH:2012/02/28(火) 18 28 03 それに満足そうに頷くと、皇帝は跪いている皇太子の方に向き直り、 その頭上に帝冠を授け新皇帝の手を取って立ち上がらせ玉座に導きそこに着座させ、 自らは四公の居る場所まで下がり、その上座に位置した。 次に四公最年長のルドルフィン公が新皇帝の前に進み出て、捧げ持っていた皇錫を授けると一礼して 元の場所に戻り、代わってヴィデルスバッハ公が同じく進み出て、捧げ持っていた世界のリンゴを 新皇帝に授けると同じく一礼して、自らの定位置に戻った。 銀河帝国、第三十七代皇帝ルードヴィッヒ一世の誕生である。 次は新皇帝の初仕事である、妃カテリナの立后式である。 再び、式部官の声が「黒真珠の間」に木霊した。 「摂政皇太子妃カテリナ殿下っ!」 その声と共に再び大扉が開かれ、父親であるノイエ=シュタウフェン公に手を取られた大公妃カテリナが入室し 今や帝国の主となった夫の下に進み、階の所に来ると父親と共にそれを上り、先の夫と同じく敷物の所で止まり跪いた。 尚、先導を終えた公は四公の列に並んだ。 玉座に座す新皇帝はそこから立ち上がり、ノイエ=ザーリアー公を従えて跪く妻の前に立ち 公が恭しく差し出した皇后の宝冠を、妻の頭上にそっと被せた。 そして跪く妻の手を取って立ち上がらせ、自らの右側に導いた。 その瞬間、広間は「帝国万歳!」「新皇帝ご夫妻万歳!!」の大合唱に包まれた。 ひとしきり歓声が続いた後、広間内に静粛が国務尚書より告げられた。 次は大日本帝国駐在大使の任命式である。三度、式部官の声が「黒真珠の間」に響く。 「ジッキンゲン=ゴールデンバウム大公フリードリヒ殿下っ!」 その声に、玉座の左側に侍っていた前帝は新帝の前に進み出て、先の敷物のあった場所から 少し離れた場所で跪いて玉音を下賜されるのを待った。新帝たる息子は前帝であった父親に 玉音を下賜した。 「頼むぞ大公。卿の働きに期待する」 父たる大公は息子である新帝に、こう奉答した。 「御意。臣の全力を持ちまして、職務を遂行する所存に御座いまする」 その奉答の後、新帝は侍従官から差し出された辞令を読み上げる。 「我が銀河帝国から大日本帝国へ派遣する駐在大使に、汝ジッキンゲン=ゴールデンバウム大公フリードリヒを任命する 尚、餞として同道するベーネミュンデ侯爵夫人シュザンナの領地を夫人の化粧料と認め、夫人亡き後は大公領に 併合する事を認める。帝国暦四八X年某月某日、銀河帝国皇帝・ルードヴィッヒ一世」 新帝が辞令を読み終わると、大公は立ち上がり玉座に近寄り辞令を受け取ると元の位置まで下がり、一礼した。 この後、大公はベーネミュンデ侯爵夫人を伴い日本側使節の帰国に便乗する形で故国から出発した。 その後は、一度として故国の土を踏む事無く日本で過ごし、臨終後も遺言で日本での埋葬を望み 故国へは遺髪のみが送られたという。 余談ながら、日本から新帝即位に対する祝いの品が数々贈られたが、その中に両国の末永い友好を祈念して 十ダースの桜の樹と菩提樹の樹が贈られた事を記しておく・・・ 【あとがき】 あくまでネタなので、こうなるとは限りません。 フリードリヒ四世の行動は、ある映画のワンシーンのオマージュです。 皇帝の日本側に対する語りかけは、いわば銀河帝国の意地と願望を見せた格好です。
https://w.atwiki.jp/isekaikouryu/pages/1952.html
ベ~ジタァ~ブルゥ~ハァ~ンタァ~ エッスエモケーアーンドゼ~ガァ~ そう広くない会議室に提げられたスクリーンに仰々しく映し出されたタイトル画面。 文字のみ。 神戸三宮の賑わいから離れた商社ビル群の片隅、エスエモケー㈱は かつてゲームセンター全盛期に大きな流れを作ったゲームメーカー“であった”。 「年度末なんでてっきり人事の話かと思ったんですけど… 何ですかそれ」 「私達は施設運営の会議と思っていたのですが… 上が何も言わずだったので」 エスエモケー十名とゼガアミューズメントパーク三名が怪訝そうに上座に構える支店長に視線を集める。 「うむ。ゲーム好きで入った人ー喜び給えよ。 パチスロ試遊機の説明や会場案内から離れれるチャンスだ。 また上層からの思いつき指示なんだがね、“異世界でゲーム製作”というものなのだが ─── 各員に配られた資料には… ・異世界にて実際に取材などを行いリアルな造型を表現する ・あらゆる種族の動きを取り込んで多彩なキャラを実現する ・異世界の道具や建物の現物を使用して生の感触を出す 「まぁ要するにだ、流行りの狩りゲーに二社共同製作で一石を投じるために異世界に出張せよということだ」 「で、ゲームの後は毎度のパチスロ化ですか?」 「パークで体感コンテンツとして派生させるつもりでしょうか…」 湯尾乾 玄武(ゆびぬき くろむ) 二十七歳、健康優良男性。 よく飲み屋のママからは「きゅっと締まったイイ体」と言われる身長180cm。 部活帰りのゲーセンが何よりも楽しみだった。 互いの魂を投入しての戦いに魂を奮わせた。 誰もが熱くなれるゲームを作りたいと専門学校の後にSMKに入社した。 だが、2000年も十年を過ぎたあたりにはもうゲームメーカーとして形骸化し、業務内容は各地のホールなどへの運搬や取材になっていた。 しかし、割り切った人、思い入れのある人が残る中で燻っていた俺にはただのプリントが格闘大会の招待状に見えたのだ。 「この企画はもう人選は済んでいるんでしょうか? もしまだでしたら自分が立候補 ─── 「あ、湯尾乾君は入っているから大丈夫ですよ。 SASUKEでいいとこまで行くくらいの体育会系だからね、私が推しておいたよ」 「ZEGAさんの方も人選は済んでいる様なので現地で合流してくれ給え」 「はへ?」 「こ、ここがエリスタリア…」 支店長の“必要なものは現地で揃えれるから”という一言で会議の翌日に出発。 ミズハミシマから旅行社からの案内人に色々と異世界のレクチャーを受けつつエリスタリアへと向かう。 船上だけの付き合いだったが、異世界では高価とされる煙草をことあるごとに吸っていたので 別れの際に現地員に渡すつもりで持っていた煙草を幾つかチップ代わりに渡した。 「良い国なんですけどね、うっかりすると帰れなくなりますので御注意を」 最後の一言が印象に残る。 エリスタリア春の国、東の交易港。 船舶の往来も盛んで人の出入りも賑やか。 一際目に付くのが大小様々な植物で体を構成する人や動物。 「樹人や樹獣を見るのは初めてですか?」 通りの良い青年声が背後から。見ればSMKの腕章を付けている。 「ようこそエリスタリアへ。SMK異世界出向員のユーキ=ユウゲです。よろしく」 地球へやってきた異種族の御土産として密かに人気のあるゲーム関連商品。 それらの拡販のために異世界の支店や異種族の社員が増えたとは聞いてはいたが ─── 「よろしく。 …エルフの方です?」 細身の体に蒼翠の瞳にやや逆立った短い金髪。 整った顔は如何にも二枚目で、キングオブバトラーズの日本チームにいるハンサムナルシストを思い出す。 「そうですエルフです。 ところで湯尾乾さんは学園のヒロインと男装の麗人はどちらが好きですか?」 何と言う…初見で投げかける質問なのかそれは。 企画資料には ─── ユーキ=ユウゲ 外見年齢二十五歳、軽快爽やか男性。 エリスタリアから地球への外交団に随伴し日本へやってきた際にギャルゲーに注目。 二次元に運命を握られた彼は本国から任を解かれフリーターになっていた所を、ハローワークの異種族雇用推進制度によりSMKに入社。 「あえて言うのなら、親友の妹です」 握手の途中でドヤ顔で応えると、口をすぼめて風を鳴らしたユーキが目を丸くした。 「樹人樹獣はエリスタアが用意した、まー公共のお手伝いさんみたいなものですね。 故郷から捨てら…いや、離れてから帰ってきたのは久し振りですが増えたなぁ」 故郷の空気を大きく吸い込んだユーキの眺める先には、雲を突き抜けてまだ空を突き立つ巨大な巨大な樹がうっすらと見える。 そう立っていると、上着の端を誰かが引っ張る。 「オニモツヲ オモチシマス」 小学生くらいの背丈。 枝がより集まった四肢に葉の髪が覆う顔。 「いや、大丈夫です。 ありがとう」 「ハイ エリスタリアヘヨウコソ オコシクダサイマシタ」 ぺこりとお辞儀をした樹子は、船より降りてくる人波へと走っていく。 「異種族ギャルゲーも最近増えましたよねー。 私的には女子高の教師になって教え子を育成し付き合うとか和の文化をもっとプッシュして欲しいんですが」 「もう一人、港の駅で待ってるらしいんですけど…」 港から各地へと向かう駅には、車を牽く樹獣が多く待機している。 無料で乗れると聞いて、エリスタリアの観光戦略の本気を垣間見た気がした。 駅に並ぶ人の中で軽く頭を突き出す長身の…虎人がやたら目立っている。 「あっ!」 こちらを視認して声をあげるとどすどすどすと駆け寄ってくる。 屈強な体にはち切れんばかりに伸びたダライマスTシャツはもう忘れないだろう。 「いやぁてっきり遅れて先に行ってしまったのかと思ってたんス。 出発前徹夜でスコアタしてたのが祟って、さっきまで寝てたんスよ」 五指に鋭い爪を持った獣手がぬっと差し出される。 「マズア=タックです。 よろしくっス」 現地合流の最後の三人目。 四人目は先に取材場所で待っているとのこと。 マズア=タック 二十二歳、人懐っこい獣人男性。 門自への異種族入隊で伊丹駐屯地に勤務する。 勤務中に同僚がプレイしていたシューティングゲームに興味を持ち自らプレイしたところ、 目に見えて増えていくスコアに快感を覚えハマっていく。 二年の後、門自を辞めてZEGAアミューズメントパークのアトラクション員として再就職する。 「本当は携帯機の一つでも持ってきたかったんスけど、仕事に集中するためとか言われて許してもらえなくて… ところで二人はボム派ですか?緊急回避派ですか?」 「波動砲派です」 「あえて言うなら魔法陣反射派かな」 三者三様、揃い荷車に乗る。 これより向かう地へ思い馳せつつも、互いの好きなゲームの話などで盛り上がる。 思ったよりも速度を出す樹獣。 主に森と林に挟まれた河べりの景色を堪能しつつ一日目が終わり、簡易テントで静かな森の夜を明かす。 二日目の昼からは森林道に入り、ガタゴトと夕方まで揺られながら運ばれた先で森が開けた。 一見するとキャンプ場にも見えるその入り口には、SMKとZEGAのロゴが入った大きな看板が立っていた。 ようこそ“ハンターの村”へ。 次話【ベジタブルハンターG】 ゲームも異世界で製作する時代に入っているであろうイレヴンズゲート。 四人目は?取材って一体どんなことをするの? 次回へ続く。 異種族でも働けるようになっているのは交流の賜物なのか。エリスは旅行は安上がりだが他が高くつきそうだわ -- (とっしー) 2014-04-13 16 48 13 名前 コメント すべてのコメントを見る