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103 :Irregular`s Elegy:2006/11/18(土) 00 18 44.23 ID pomc27Au0 頭を撫でられる感触。 自分を見下ろし、笑顔を送ってくれたのは誰だったか。 ――誰かの意見など、気にするな。君には、君の意思があるだろう。 エックスに戦闘を教授し、それ以上の物も教えた女性。 ――君はその甘さによってB級だが……私はそんな君の甘さは嫌いでは無いよ。 ハンターからの命令。 少年の心は、人間とレプリロイドとの間で揺れる。 「嫌だよぉ……痛い事しないでぇ。……やだぁ……痛いの、やだぁ……」 目の前で泣く少女。 自分は何故、戦うのか――エックスは思い出す。 このような少女達を救うのでは無かったのか、このような戦乱から世界を解き放つのでは無かったのか。 「本部の意思も、他の誰かの意思も関係ない……」 少年の黒瞳に、決意が炎をあげて宿る。 自分の隊長、大切な仲間、出会った少女達の言葉が思い起こされた。 「正しいか、おかしいなんて――自分で決めるものだ……!」 伝説のレプリロイドと呼ばれた、少年が立ち上がる。 何を自分は成せば良いのかを再確認し、そして戦う相手を見極めようとした。 107 :Irregular`s Elegy:2006/11/18(土) 00 21 52.62 ID pomc27Au0 「な、何でもしますからぁ……。ふ、服も脱ぎますからぁ……やだよぉ……」 少なくとも―― 「…………ふえ?」 エックスは彼女を敵だとは思わなかった。 破壊されたカウンターをまたぎ、大量のグラスが入れてある棚から白いタオルを取り出す。 泣きじゃくる少女に近づき、滂沱と流れる涙に濡れた顔を、優しく拭いてやった。 「大丈夫? これ、使って」 〝過去〟が自分がしてくれたように、髪を布袋に収める頭を撫で、タオルを手渡した。 握らされた布と、少年の顔を見比べ、アルマージは困惑する。 そして、少年の言わんとしている事を、自分の足元に出来た水溜りを見て理解した。 「見ないよ。安心して」 赤面をタオルで隠す少女に、青い背中を向け、エックスは諭すように言った。 おどおどとアルマージが布を剥がし、不審の目で少年の背を見つめた。 少女の唇が、この行為に対しての説明を尋ねようと喘ぐ。 「もう、行くね。……出来れば、もう任務なんて止めて欲しいな」 だが、背を向けたままのエックスの言葉によって、それは叶わなかった。 それじゃ、とエックスは窓に向かい、下に広がる車道に向けて身を投げる。 答えが得られなかった少女――アルマージは無念を滲ませ、少年を見送った。 110 :Irregular`s Elegy:2006/11/18(土) 00 23 45.21 ID pomc27Au0 真っ赤な液体が口から吐き出され、白い線が引かれたアスファルトを汚す。 暴虐な扱いを受けるマンドリラーの全身を、潤滑液であるオイルと擦過傷が埋め尽くす。 「つまらねぇな。エックスの方が、まだ良い声で鳴いたぜ」 ヴァヴァは心底失望した顔で、桃色の頭髪を掴み上げ、灰色に濁る天へ向かせた。 青く腫れる彼女の顔に、ぱらぱらと降る雨粒がぶつかる。 マンドリラーは再び地面に叩きつけられた。 苦痛に震わす背中を、力強く振り下ろされたヴァヴァの足が踏みつける。 嬲る者と、受ける者は噴水がある公園に近づいていた。 「シグマ、いったいお前は何を望んでいるんだ……」 それを横にするケインとシグマは、お互いの凶器で拮抗を保っている。 数歩の間隔は、老人が握る銃の有利性を認識させるが、相手はレプリロイドだ。 シグマは女性型ではあるが、戦闘用のレプリロイドである。 その気になれば、短き間合いなど瞬時に消し去り、構えるビームセイバーが男を焼くだろう。 「人の……傲慢を知らず、罪を知らず、ただ静かに生きてください。――父さん」 子供をあやすように、シグマは戦闘体勢を崩さず、警告というには柔らかいもので口を開いた。 雨に濡れ、額に張り付く金髪をかき上げる。 「父さん、あなただけは……」 憂いを湛えるもので、女はケインを見つめる。 年を経て加えられた皺が寄る、老人の顔は苦渋に満ちた。 112 :Irregular`s Elegy:2006/11/18(土) 00 27 09.95 ID pomc27Au0 二人を尻目にするヴァヴァが、止めを刺さんと右肩の砲台を倒れるマンドリラーに向ける。 死を放つ銃口が、ピンク色の頭部に狙いを定めた。 「――その人から足をどけろ、ヴァヴァ!!」 轟く怒声。 少女の無慈悲な処刑が、雨霧を貫く光弾によって中断された。 白く輝くエネルギーが、飛び上がるヴァヴァの爪先を掠め、アスファルトが爆散する。 射撃は、言葉通りにマンドリラーから足をどけさせた。 「良い目をしている……」 ケインから目を離し、シグマが見たものは――怒れる少年――エックスだ。 隣に着地するヴァヴァを横目にしながら、彼女は緑光の切っ先を少年に突きつける。 「シグマ隊長…………お久しぶりです」 煙を吐き出すバスターを構えながら、少年が公園へ歩む。 エックスの挨拶に、シグマは斜めにする剣身で己のボディを隠した。 「もう、止めて下さい」 何も知らないものが聞けば、理解する事が出来ない一言。 だが、ここに居る全ての人物はそれを理解している。少年の言葉は、彼女らの心に重く圧し掛かるものだ。 闘いを止めろ、と少年は言う。 だが、答えは――無い。 118 :Irregular`s Elegy:2006/11/18(土) 00 32 44.31 ID pomc27Au0 「なら……僕はあなたと闘います」 予想はしていたのだろう、僅かにあった期待を投げ捨て、少年はシグマに向けるバスターに力を籠めた。 収束される光が、大きな銃口に集まる。 「ヴァヴァ……君とも」 少年の瞳が左に移動し、中腰になる紫紺のボディを射抜いた。 それに対し、何故、ヴァヴァは安堵の笑みを浮かべるのか。 溶接用にも似たメットの下で、どこか寂しげに、誰にも気づかれぬよう少年に薄く笑いかけた。 眩いばかりに輝く、少年のボディと右腕。――空間を軋ませる音より早く、太陽のエネルギーが突進する。 チャージバスターが放たれると同時に、シグマは半身を捻った。 動きに呼応した斬撃が、迫り来る光を乱舞させる。 激突して、千切れる力。 拡散したバスターは目標を逸れ、周囲を穿った。ベンチが弾け、噴水の一部が石材を破裂させる。 エックスが駆ける。 紅を混じらせたフットパーツが煙をあげ、蒼穹色の身体が疾走した。 走りながら、横に出された腕が何かを掴もうと蠢く。 地に沈んで昏倒するマンドリラーの身体が光り、少年のボディも再び煌めく。 『エレクトリックスパーク、Ready』 治まる発光。 そして現れるエックスの全身から――紫電が解き放たれた。 123 :Irregular`s Elegy:2006/11/18(土) 00 35 13.23 ID pomc27Au0 「ほう……」 相手の力を使う――異端の存在に、シグマは感嘆の呟きを漏らす。 凄まじい放電の産声を上げ、桃色の電流を纏うレプリロイドが出現した。 ケインも目を大きく開いて驚愕する。 彼の記憶に、エックスのような技能を持つレプリロイドは該当しない。 未知なる物への恐怖と畏怖―― だが、直ぐに合点がいったような顔をして少年を眺めた。 「なん、だ……」 「やってくれたか、クワンガー……。感謝をしなければならないな……」 ヴァヴァが意図せず後ずさり、シグマが暖かな目をして、とても満足そうに頷いた。 蜘蛛の糸のように放射される電撃が、辺りを焦がす。 据えた匂いが、駆けるエックスの後を追って流れた。 「素晴らしい力だ……。――これなら」 ちらりとケインを見やり、シグマは背にする黒衣を翻す。 そして、閑散とする後方に向けて声をかける。 「ナウマンダー。伝説のレプリロイドの力がどれほどか……君が試していいぞ」 エックスが間合いに入る。 横薙ぎされるブレイド。上体を逸らす少年の鼻先を、光刃が掠めた。 仰け反りながら、エックスは電流を籠めた拳を放つ。 直線の一撃が、竜巻のように回転するマントに絡められた。 128 :Irregular`s Elegy:2006/11/18(土) 00 39 22.99 ID pomc27Au0 黒衣の裾を掴んで目前に放ったシグマが、少年の腹部に向け蹴りを放つ。 跳ね上がるブーツを捌き、エックスは横転。その動作の最中で、電撃を放っていた。 エレクトリックスパークが黒衣に着弾し、爆発して更に放電する。 シグマはそれを受けながら、ふわりと跳躍し、大きく間合いを取る。 直撃だったが、シグマ自身にも黒のボロにも損傷は無かった。 「退くぞ、ヴァヴァ」 バスターから発射される二対の雷の球体を斬り伏せながら、シグマは姿勢を低くする少女の首元を掴む。 飛び上がる女達の足元を、蛇のような電撃が長身を叩きつけた。 地面は紙の如く引き裂かれ、無数のアスファルトの破片が宙で踊る。 「何だと!? オレは――」 ストロボする世界に目を瞬かせながら、ヴァヴァは空中で抗議した。 「退くぞ」 シグマは有無を言わさぬ口調で、退避の意向を押し付ける。 少女は荒々しく舌打ちして、電球を両腕に走らせるエックスに中指を立てた。 「…………この借りは返す。今度こそ……今度こそな」 尾を引く、ヴァヴァの捨て台詞。 134 :Irregular`s Elegy:2006/11/18(土) 00 46 59.40 ID pomc27Au0 「エックス……」 「次こそは、あなたを……」 表情を掻き消し、口の端を引き締め、エックスとは違った決意を宿すシグマ。 目前の少年と視線を激突させた後、ヴァヴァの後を追って市外への外へと消える。 ――辺りに静寂が戻る。 ケインによって、住人達が全て避難させられた街。 天からの雨足が強くなった。 道路から雨粒の跳ねる霧が立ち上がり、車道――建物と建物の空間が白みおびる。 「お姉さん……!」 緊張を抜き、体を弛緩させるエックスは倒れるマンドリラーに駆け寄った。 ぼろぼろになった服装の下で、桃色の頭髪を持つ女は打撲の後とオイルの赤を滲ませる。 エックスは跪き、彼女の身体を抱き寄せると息を確認する。 微弱ながら、マンドリラーからは生命の鼓動を感じられた。 噴水の横に立ち尽くすケインに、救済の声を張り上げる。 呆然と、自分の娘の言葉の意味を吟味していたケインは、エックスに現実の世界へと引き戻された。 胸から白いペンケースのような物を取り出しながら、二人に近づく。 ケインはマンドリラーの傍らに膝を付け、ケースを開けた。 赤い十字が描かれたケースには、薬液の入った瓶と銃型の注射器が入っていた。 138 :Irregular`s Elegy:2006/11/18(土) 00 51 43.24 ID pomc27Au0 瓶を注射器に装着し、ケインは女の白い腕にそれを刺す。押し込まれる薬液。 ガラスの胴体には、モルヒネとラベルが貼っていた。 「あの……」 「大丈夫だ」 マンドリラーの容態を心配するエックスに、片手をあげてケインは制止させる。 そして何かを言いかけて、中断する。 ――ケインの鋭い瞳が、重なり合う二人を抜けて貫いた。 「私が応急的な治療する。――君には、我々を守ってくれると助かるな」 白いベールに覆われる車道。 煙立つ霧の壁が、地を震わせてこちらに向かう巨体によって切り裂かれた。 球体に近いボディが歩み、莫大な重量が踏み込む度に黒い地面を陥没させる。 垂れ下がる右腕に仕込まれたバスターの銃口に、蝋燭のような小さき炎が灯っていた。 忌々しげに顔を歪めるケインと、疲れた顔をするエックスに現れた巨人――バーニン・ナウマンダー。 「エックス!!」 機械の目に燃え盛る狂気を揺らめかせ、〝灼熱のオイルタンク〟の異名を持つイレギュラーが咆哮した。 422 :Irregular`s Elegy:2006/11/19(日) 22 37 38.86 ID 0avwvzTg0 エックスを見下ろす紅蓮からの使者が、破壊の歩行を間合い数十メートルという所で止める。 死、その物を吐き出すバーナーを左右に振った。 陽炎を作りながら、蛍の飛行のような炎の帯が揺らめく。 「さっきは楽しめさせなくて、悪かったんだぞう!!」 規則的な間隔で建設されるビル。それらの壁を揺らす程の声量が、角の無い形状の頭から送られた。 象型のボディに垂れ下がった長い鼻が、戦闘への歓喜にか、大蛇の如く撓る。 ホテルの一室でもそうだが、ナウマンダーは戦闘狂の嗜好があるようだ。 自ら、戦いを望む――エックスが理解出来ない事の一つである。 「伝説のレプリロイド……お前を焼いてやる……!! うははははははは!!」 憎悪に勝る歓喜で哄笑し、ナウマンダーは銃器を少年に向けて構えた。 「……それじゃ、任せます」 煩わしげに、メット下の濡れる髪の毛を払う。 絶え間なく降り注ぐ雨で、髪は直ぐに垂れて簾となった。 その間で光る瞳。 己の力を過信し、あまつさえ同僚を焼殺するイレギュラーに対して、エックスは闘志を燃やす。 マンドリラーの身体をケインに預け、ナウマンダーと戦うべく立ち上がった。 426 :Irregular`s Elegy:2006/11/19(日) 22 39 34.10 ID 0avwvzTg0 青きボデイの輪郭が歪み、掻き消える。 脚部がもたらす凄まじい速度で、エックスは山のような巨体に肉薄した。 待ち受けるのは、巨人から吐き出される業火。 龍を思わす炎の塊が、空中で範囲を広げエックスを包まんとする。 エックスは目前に広がる赤を限界まで引き付け、直角に逃げた。 人間では成しえない、鋭く回避行動をするダッシュパーツ。半瞬の後、爆炎が地を焦がす。 オレンジの炎が着弾と同時に膨れ上がり、強固な筈であるアスファルトを溶かした。 一瞬にして、世界は白から赤に。 摩擦熱に煙を出す踵を引きずりながら、エックスは連続してバスターを射撃した。 陽光を媒介とした純粋なエネルギーの散弾が、ナウマンダーへと撃ち放れる。 的は大きい。 容姿を裏切らない愚鈍な動きでは、回避は不可能だ。 火球を何度も生じさせる着弾の衝撃に、ナウマンダーの巨体が揺れる。 雨ではない白が広がった。 煙幕をボディで切りつけるエックスは、巨人の右脚付近に現れる。 黒い瞳に、綺麗に磨かれた球体が映った。 背筋に走る悪寒に触発され、後ろに跳ぶエックス。 ――近くにあるトラックを越える質量が、雷撃の如く振り下ろされた。 抱えるほどの太さを持つ脚で地面を破砕させたナウマンダーに、これといった損傷は無い。 431 :Irregular`s Elegy:2006/11/19(日) 22 44 17.02 ID 0avwvzTg0 狐目が笑う。 同じく太い腕を横殴りにして、少年を牽制した。 頭を低くするエックスは、ナウマンダーに股下に逃げ場を見出し、滑るように移動する。 両足の間に向けスライディングする青き背に、叩きつけるもう一つの腕が掠めた。 綺麗な直線を描く腕は、爆弾のような威力を持つ。 アスファルトに大きく手を伸ばす罅――自分の足元を、ナウマンダーの拳が炸裂させた。 地の破片と衝撃波に後押しされながら、エックスはくるりと反転する。 背後を取り、絶好のチャンスを作り出した。 ナウマンダーが振り返るより早く、バスターをチャージ。壁のような背に、渾身の一撃を見舞う。 白光する強大な力に巨体は前のめりになり、そのまま引き倒れた。 小規模な地震を起こしたナウマンダーは、追い討ちをかけようとするエックスへ、振り向きざまに火炎を放射する。 大きくへこむ鉄の球体から、エックスは横に飛んで離れた。 大気を焼き、延長上の全てを燃焼させる炎が、右手に建造されたレストランに激突した。 家族連れを待つ飲食店は、何の予兆もなく爆発する。レストランは、自分の残滓を前の車道に吐き出した。 蒸発する雨粒の白煙。止みそうにない強い雨だが、被害を広げる炎には勝てないようだ。 「ちょこまかと、鬱陶しいんだぞう!! 大人しくしろ!!」 「――その攻撃をやめてくれたら、考えますよ。ナウマンダーさん」 ファイヤーウェーブの威力を目の当たりにし、冷や汗を垂らしながらエックスは愚にもつかない言葉を返した。 436 :Irregular`s Elegy:2006/11/19(日) 22 51 01.11 ID 0avwvzTg0 それを挑発と受け取ったナウマンダーは、少年の提案を火球で却下する。 先ほどの戦いと違い、この場は広い。 移動を限定された空間のホテルでは、フットパーツの緊急加速システムは発揮できなかったが、今はその縛りを受けない。 瞬発的に、そして小刻みに移動するエックスを、獣の唸りを奏でる炎は捉える事が出来なかった。 無意味に消費される燃料が、地を焼き、空を焼き、そして次の犠牲者を黒い乗用車に選んだ。 ――車体が、チョコレートのように溶ける様は一瞬だけしか見えない。 タンクに内包したガソリンへ引火し、炎と黒き身を周囲に拡散させた。 用の無くなったドアが矢になり、着飾るマネキンが立つ横手のショーウィンドウに突き刺さる。 ドレスを着込む人形が、砕けたガラスから飛び込む雨に晒された。 「死ね!!」 吼えながら、ナウマンダーは出鱈目に爆炎を席巻させる。 放射を続けながら、空いている手で地面を打ちつけ、跳ねるように立ち上がった。 地面に落ちることなく蒸発する雨の霧と、燃焼による煙幕が辺りを白濁させる。 無数の火柱が、煙るベールに穴を開けた。 走りながらエックスは、蛇の様をする炎の先にバスターを撃つ。相殺は出来ないが、進行を遅らせる事は出来た。 ちりちりと全身を高熱で炙られながら、直撃を避けるエックスの前方に噴水が広がった。 走り回っていて気付かなかったが、少年は置いてきた二人の元に戻ってきたようだ。 441 :Irregular`s Elegy:2006/11/19(日) 22 57 41.60 ID 0avwvzTg0 「……おいおい、あっちへ行け」 「酷い!」 マンドリラーに包帯を巻くケインが、少年の後ろに位置する巨人を見て、ぞっとしない顔をする。 小瓶に入った紫色の薬液を、女の深い傷跡に塗りこみながら、エックスを追い払うように手を振った。 憤慨するエックスの前で座り込む二人の頭上に、猫がプリントされている可愛らしい折り畳み傘。 黄色の屋根が、勢力を強める雨風を防いでいる。 地面に立て掛けられている柄の部分に、ドップラーと書かれた名札が付いていた。 簡易に雨をしのぐケイン達から目を離し、エックスは後ろから怒りを撒き散らすレプリロイドに再度対峙する。 左右の建造物が焼かれ、炎熱の通り道――地獄がそこにあった。 死の手先が、放出者に先駆けてエックスに掴みかかる。 上空に飛び上がり、巨大な炎の大蛇の胴を見下ろす。転がる空き缶や、捨てられたゴミが、地を舐める炎に全てが灰と化す。 ナウマンダーはエックスだけを敵とみなしているようで、戦闘不能のマンドリラーと非戦闘員のケインには目もくれない。 アスファルトを粉砕させながらの突進をし、ナウマンダーは燃え盛る火炎を吐き続ける。 迎え撃つは、光弾の連撃。 火柱に連なる爆発が生じ、エックスを飲み込む軌道が反れる。途中で、ファイヤーウェーブは無数の火の粉となった。 幻想的に、業火の欠片が雨と一緒に降下する。 地面が白熱する前に右手に跳び、エックスの爪先はビルの壁を叩く。 そのまま疾走し、不安定な体勢のまま青い身体が――クリーム色をした壁の道を走った。 446 :Irregular`s Elegy:2006/11/19(日) 23 01 19.39 ID 0avwvzTg0 それに、火炎が追い縋った。エックスの後ろで、建造物が次々に崩壊してゆく。 エックスが再び壁を蹴り、蒼穹色がナウマンダーの頭部の横へ。 迎撃の炎は―― 「ごめんなさい!!」 間に合わない。 光り輝くチャージショットが、丸い象形の頭を貫通する。エネルギーが右目から入り、後ろへ抜けて基盤や破片を撒くナウマンダー。 巨体が動作を停止した。だらりと、力無く右腕が下がる。 「なにか、おかしかったな……」 腑に落ちない表情のエックスが足を地に落ち着け、首を傾げた。 ホテルでも感じた違和感が、未だ拭えない。 「確かに、妙なレプリロイドだ。」 いつの間にか後ろに立っていたケインが、少年の言葉に同意する。漆黒のスーツは脱ぎ、シャツ一枚の姿になっていた。 風に揺れる赤いネクタイ。 エックスが預けたマンドリラーは、噴水の近くにあるベンチに寝かされていた。 傘はベンチの背もたれの隙間に刺さり、横になる女に黒い背広がかけられている。 寒さと冷たさに、エックスは小さくくしゃみをした。 ケインが胸のポケットから、煙草を取り出す。 454 :Irregular`s Elegy:2006/11/19(日) 23 06 23.58 ID 0avwvzTg0 「異常な巨体。愚鈍さを補う、広範囲の武器。――最初から、そのつもりで設計されたみたいだった」 「ナウマンダーさんの事、知らなかったんですか?」 そういう違和感では無かったのですけど、と口の中で呟きながら、エックスはケインに尋ねた。 火を付け、煙草を吸うケインは首を振る。 「中東地域は、私の管轄では無いのでな。君はどうだ?」 紫煙を口から吐き出しながら、ケインが問い返した。 「僕も、アイちゃんと仲悪いぐらいしか。通信してる声しか聞いて――」 ペンギンを模したメットを被る少女を思い起こし、エックスは平和な日常の記憶を辿る。 食堂や、一緒に散歩をした公園で、無線機を使い口論する二人。 陰鬱な表情に微かな笑みを浮かべて、辛辣な言葉を吐き出す少女。 大声を張り上げ、喧嘩をする無線の相手。 少女の嘘に直ぐに騙され、次の日は火を噴くように怒る。 少女はまた嘘をつき、最後には笑いながら謝っていた。 いつも口論にしているが、エックスには二人は実は仲が良いのだと、常々感じていた。 「――そうか、声だ……!!」 合点がいったエックスの顔に、理解の色が滲む。 無線の声は、いつも少女のものだった。しかし、仁王立ちのまま微動だにしない巨体の声はそれではない。 459 :Irregular`s Elegy:2006/11/19(日) 23 11 13.06 ID 0avwvzTg0 「――そうか、声だ……!!」 合点がいったエックスの顔に、理解の色が滲む。 無線の声は、いつも少女のものだった。しかし、仁王立ちのまま微動だにしない巨体の声は、それではない。 「ケイン博士、ナウマンダーさんは女の子なんですよ!」 「しわがれた声だったな、こいつは。レプリロイドとは思えない設計……まさか」 ケインが何か気付き、灰色の視線を巨体の頭から足元へと流す。 そして―― 「やはり……!!」 ケインが舌打ちしながら、素早く後退。 頭部を撃ち抜かれた筈のナウマンダーが、動きを再開した。 光が消えた片方の狐目が、二人を睨む。 驚きに全身を縛られるエックスだが、間近の地鳴らしに正気に戻った。 跳躍して、ケインと同じく後ろに下がりながら射撃する。 スイングされた腕が、バスターを打ち払った。光弾が虚空へ飛び去る。 469 :Irregular`s Elegy:2006/11/19(日) 23 16 35.74 ID 0avwvzTg0 ゆったりと進む火を吐く戦車。 生身の人間と、生態部品が基本のレプリロイドが巻き込まれれば、一たまりも無いだろう。 「エックス、遠隔誘導だ! 奴はメカニロイド――こいつを、操作している奴が居る!」 手にした煙草を投げ、ケインは声を張り上げた。 筒の先に灯っていた小さな火は、しぶき続ける水溜りで消える。 エックスは頷き、空中で何度もバスターを唸らせた。 破壊の衝撃がナウマンダーの全身を埋めるが、仰け反らせるだけで、それ以上の効果は見込めない。 爆炎による破壊も復活し、生じる赤が全てを抱きしめる。 死の抱擁は、何者にも耐えれない。被害の一つ――バス亭が溶け、地面を濡らした。 放出される火炎。 数十の爆発。 あがる火柱。 ――そして物体の死。 「殺してやる……殺してやるぞ・・・…エックス!! お前を焼いてやる!!」 怒りに燃えた少女の〝声〟が、どこからか流れた。
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ゲームコード CRRJ 8EE914D0 プレイタイム000 00 020FA268 00000000 プレイタイム999 59 020FA268 0CDFE5FF ZENNY999999 020F3394 000F423F ロックマンの基本HP最大値MAX(1000)※1 120F3428 00002D00 [SELECT]ボタンでバトルカード全開 94000130 FFFB0000 C0000000 0000018D 220F2D54 00000063 DC000000 00000004 D2000000 00000000 D0000000 00000000 カードボックス開くとバトルカード全開 0202ABEC 47184B00 0202ABF0 02000041 E2000040 00000010 0B800400 23631810 79007103 46C04770 ライブラリ全開 120F6B74 00003E0F E20F6B5C 00000018 FFFFFFFE FFFFFFFF FFFFFFFF FFFFFFFF FFFFFFFF FFFFFFFF サブカード全て99枚 020F3418 63636363 120F341C 00006363 [SELECT]ボタンでアビリティ全開 94000130 FFFB0000 C0000000 0000015D 220F3432 00000009 DC000000 00000002 D2000000 00000000 D0000000 00000000 アビリティ画面開くとアビリティ全開 0202B198 47084900 0202B19C 02000051 02000050 18100BC0 02000054 70812109 02000058 47707880 ウォーロック装備全開 C0000000 00000015 220F3401 00000001 DC000000 00000001 D2000000 00000000 ランダムエンカウントなし 120F9DEC 00000000 [L+↓]ボタンで即エンカウント※2 94000130 FD7F0000 120F9DEC 0000FFFF D0000000 00000000 バトル関連 ロックマンHPへらない E2000000 00000018 5A5321F6 525321F4 1EDA5E51 46C01E5B 47004800 02133B69 52133B5C 588A492B 02133B60 47084900 02133B64 02000001 D0000000 00000000 カスタムゲージ即満タン 5213F578 03802001 1213F57C 00006020 D0000000 00000000 バトル中[Y]ボタンで敵HP0 E2000020 00000018 200021F4 5E515250 320C1C1A 47004800 02133CD5 46C046C0 94000136 FFFD0000 52133CC8 90001980 02133CCC 47084900 02133CD0 02000021 D2000000 00000000 ロックマン無敵 E2000060 00000020 58210080 305E1C08 45024A04 22FFD102 46C08002 47104A00 02138B15 02188D46 52138B08 20438008 02138B0C 47084900 02138B10 02000061 D0000000 00000000 ※1 アビリティセットで増加する前の基本HPがMAXになります。 ※2 エンカウントしない場合は[L]ボタンをホールドし、ウォーロックのメッセージがながれ終わったらホールドしたまま[↓]ボタンを押して下さい キズナリョクMAX(1900)※セーブ非対応 120F39B8 0000076C 1202D086 000046C0 ※セーブデータには反映されません。このコードを使用した状態で本来のキズナリョクを 超えてアビリティを装備した場合、以降このコードを使用しないでゲームを始めるとアビリティ 装備超過の警告メッセージが表示され、強制的にアビリティ画面へ飛ばされるため、 常にこのコードを使用する必要があります。 キズナリョク9999※セーブ非対応 12027FC8 0000270F 120F39B8 0000270F 1202D086 000046C0 ※セーブデータには反映されません。このコードを使用した状態で本来のキズナリョクを 超えてアビリティを装備した場合、以降このコードを使用しないでゲームを始めるとアビリティ 装備超過の警告メッセージが表示され、強制的にアビリティ画面へ飛ばされるため、 常にこのコードを使用する必要があります。
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ロックマンX / Mega Man X カプコン 1993年12月17日 SFC.Wii"VC".PC 初代ロックマンシリーズから100年後の時代が舞台 新たなるロックマンXシリーズの1作目 横スクロールACT、ボスを倒す事で得られるパワーアップなど基本的な流れは一緒のまま イレギュラーハンターX / Mega Man Maverick Hunter X カプコン 2005年12月15日 PSP(UMD.DL) ロックマンXのPSPリメイク版。 ステージ表現が3Dになったり各種調整や追加要素などがある 収録 イレギュラーハンターX / ロックマンロックマン バリューパック PSP 続編 ロックマンX2
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21年 10月27日 更新 期待を裏切る結果 OSSはエグゼファンを失望させる作品となりそうです。 サブチップ機能は追加されたものの、グラフィックなどは1部の改良を加えただけで後他は本家と同じ まさにカプコンの手抜きですね ロクコロってあるけど、まだスカイハイのほうが楽しいw 通信対戦では流星が活躍しそうというのもカス ロックオン機能は獣化と同じようなもの あまりにもエグゼの出番が少なくなりそう ワイファイ機能は無し ゴミだね 9月23日 更新 だんだんOSSの情報も増えてきましたね ナビカスタマイザーの機能はないみたいです そういう点から考えるとHPのマックスは1000と考えるべきでしょうか となれば、やはり連打ゲー? カットイン機能がついていない場合、そうなる・・・ パラディンソードだっけ? そんなやつがあったと思うんだけどそれだけですぐに勝つことも可能 またバランスの悪いゲームができそうで期待はできなくなってきた 8月30日 更新 エグゼといったらクロスオーバー。 今回もその機能があるみたいですねw でもクロスオーバーの相手はボクタイではなく流星ということに少し違和感を感じます。 エグゼ4から6までボクタイでしたから。 エグゼ4はシナリオででてきたりとかそういう感じでしたね。 私も少々うる覚えですが・・・ まぁ・・・どうせならボクタイも復活とかそういうのもいいですよね。 名前 コメント すべてのコメントを見る 8月28日 更新 ロックマンエグゼOSSの発売日、価格が決定しました。 発売日 11月12日(木) 定 価 4190円 ソフトにしては安いというのが印象的でしょうか。 5DSのように失敗さくにならないことを期待するしかないですね。 前回分 ロックマンEXE復活 ロックマンエグゼが3年ぶりの復活です。 exe_oss_logo.jpg タイトルは「ロックマンエグゼ オペレートシューティングスター」 エグゼ1のリメイクと流星のコラボ系みたいです。 冬に発売されるみたいですねぇ 公式サイト 名前 コメント
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カチャカチャと暗闇の中で休みなく響くキーボードの音。 他に照明の無い、ボンヤリと光るモニターを見詰めて、少年はふぅと息をつく。 ふと視線を投げた場所にあるのは、解析に当てられた何かの塊。 殆どそのままの形で残されているそれは、暗がりでも一体のレプリロイドのボディだと判る。 少年は、そっと椅子から立ち上がり、レプリロイドのボディに掌を当てる。 一箇所を強烈な一撃で貫かれている跡が残っているが、それ以外の部位は殆ど無傷。 その為に、近くに寄るとますますその姿が浮き彫りにされ、全容が確認出来た。 人型ではない。足と呼べるパーツが何ヶ所にも搭載されていて、フェイスパーツもかなり特殊な形をしている。 前身よりも後身の部分が大きく形作られているそれは、人間の目で云うと『蜘蛛』と呼ぶに相応しいものだった。 少年は、再びレプリロイドの全身のあらゆる部分を模索し、ちっと一つ舌打ちをした。 「メインコンピューターが見当たらない」 誰に云うでもなく呟かれた少年の言葉がその場に木霊する。 少年の呟きを待っていたかのように、ようやく解析の終了したコンピュータが声を上げる。 そこに表示されるのは、エラーの文字と赤色の点滅。 コンピュータ解析による結果は、メインコンピューター無搭載。起動不能という文字に加えて、一つのアラートの呼びかけだった。 たんっと一つキーを押して、少年はアラートを表示する。 危険度と機密度が高い資料が該当した時のみに表示されるように設定しておいたアラートの出現に、少年は多少の戸惑いを見せた。 出来ればコンピュータの誤作動だと信じてしまいたいくらいだ。 アラートの内容が表示されるまでの時間が酷く長く感じる。実際はたかだか一秒もかからない動作なのだが。 「なに・・っ」 表示された資料の内容に、少年は思わずだんっとデスクを両手で叩く。 そこに表示されていたのは、数年前の大戦内で確認された技術の記録。 既に開発者はこの世にはいないし、それ自体も絶対に存在しうる筈のない―― 「・・リミートレプリロイド」 全ての出来事に合点がついた少年は、再び壊れたレプリロイドに視線を当て、呟く。 既に存在しない筈のレプリロイド。それなのに、何故―― 一気に吹き出してくる疑問符を片付けて、少年は優先するべき思考を開始する。 この一体が存在するとするなら、それはつまり―― キーを押し込んでコンピュータの電源を落とすと、部屋の中を完全に暗闇が覆い尽くす。 少年は、ぼすっと不器用にソファに腰掛けて、見えない天井を見上げた。 「やっぱり頼るしかなさそうだよ・・」 瞼の裏に浮かぶ人物の名を、少年は静かに呟く。まるで、その者がすぐ近くにいるかのように。 「アンタ達の弟にさ」 顔を上げ、レプリロイドの亡骸があった方へと視線を向ける。 既にピクリともしないそれに、少しの憎しみを込めた瞳で。 「ゼロ」 再びモニターの電源が入る。 かねてより入力しておいたデータ構成が出来上がったとの報せだった。 少年はモニターに表示される文字列に目線を少しだけ掠らせた。 データ内容は、一体のレプリロイドを対象とした強化アーマーのデータ配列と構成、構造。 その全てが緻密に計算され尽した代物。それ自体が『芸術』と名を冠するに充分なものだった。 「出来れば使わせたくはない・・」 また、誰に向けるでもない呟きが、部屋の中を静かに木霊するのだった。 * * * * キーンコーンカーンコーン。 午前八時二十五分。今日もいつも通り、フロンティア学園の始業のチャイムが校内に響く。 始業式が行われて間もない春の朝は、ぽかぽかと暖かくて、空もさらりと爽やかに晴れていく。 初等部、中等部、高等部の生徒はそれを合図におのおのの席へと腰を降ろし、教師を待つ。 間もなく担任の教師が教室まで歩いてきて、その日の出席簿がつけられ、今日もまた一日の授業が始まるのだろう。 生徒達は担任が来るまでの間、十分間の読書をしていたり、その日の予習をしていたり。 各自の教室はしんと静まりかえっていて、校内の治安の良さがよく伺える。 私立フロンティア学園。初の人間とレプリロイドの両方の生徒の受け入れを認めた学校で、 初等部から高等部までがある大型の学校だ。 成績は他の公立学校と大差無いが、治安はよく整っている方で、高等部に不良グループがいるものの、 彼等にも彼ら自身のポリシーというものがあるらしく、校内ではそれほど問題視されてはいない。 規律正しく、それでいてのびのびと。それがフロンティア学園の教育方針だった。 始業のチャイムが鳴り終わる頃、中等部2-Cの生徒は、廊下の方から聞こえてくる騒音に思わず振り返った。 どたどたと誰かが駆けているようなけたたましい音は、音のよく響く廊下ではより一掃煩く耳に届く。 担任の教師がまさか走ってくるわけもなかろうに。 しかし、2-Cの生徒はただ苦笑して席に座り直すだけで、それについて多くは気にしない様子だった。 駆け抜ける騒音が更にその規模を増し、2-Cの教室の前まで到達する。 その音の主は余程慌てて止まったのか、靴底と廊下とが擦れて、きゅきゅっという耳障りな音を立てた。 そして音の主は扉に手をかけ、それを思い切り開く。 がらっ!! はぁはぁと肩で息をしながら、 いっぱいいっぱいといった様子で自分の席に縋るように座り込んだのは、至極印象的な容姿をした少年だった。 肩辺りまである少し長めのさらっとした髪の色は、水色に近い蒼。瞳の色はエメラルドの様な翠色。 制服は少し大きめなのか、裾が余って少々ダボッとしている感がある。 一見人間と区別が付かない彼だが、彼もれっきとしたレプリロイドだ。 約二年前に生まれ、その身体構造には現在の持てる全ての先端技術が施されている。 時代が進むにつれ、レプリロイドはもはや人間と完全に区別がつかないまでに進歩していることを頷けてくれる。 「よっ、相変わらずだな徳川。おはようさん」 「お、おはよう」 そう声をかけたのは、彼の席の斜め前に座っている少年――フレッド・ミルドだ。 徳川健次郎は、そんな彼に少し疲れ気味の笑みで返す。 今朝はレポート提出の〆切が間に合わなくて、結局早朝に仕上げたものだから、学校にくるのが遅れてしまったのだ。 仲間達は学校は一日くらい休んでもいいと云ってくれたが、 健次郎は頑なにそれを拒んで、ライド・チェイサーを使用しての最短距離で通学し、 校則違反の廊下の疾走までしてなんとか辿り着いたのである。 周囲の学友も教師も、それに慣れてしまった為に、今更どうというつもりはないらしい。 三日前にも同じような真似をしてギリギリで通学してきたのだ。一週間前も確かそうだった。 「よーくそんなんで来る気になるなお前。尊敬しちまうよ」 「そ、そうかな」 ポリポリと頬を掻きながら、健次郎は少し慌てて鞄の中身を机の中に詰め込んでいく。 今日使う為の教科書に加えて、今日は日課に入っていない教科のノートまで混じっているが、お構いなしにぐいぐいと。 今朝は忙しくて鞄の中身を開く時間が無かったので、昨日の教科が混じってしまっているのだ。 そんな自分の机の中身に苦笑いを浮かべて、健次郎はようやく一段落をした。 それを待っていたかのように、教室の前の扉が静かに開かれる。 健次郎が顔を上げると、担任の教師が入ってくるのが見えた。どうやら本当にギリギリで間に合ったようだ。 時は21XX年。 人類とそれを模して造られた人工人類・レプリロイド――レプリカ・アンドロイド・ヒューマン――が共存を始めて、 既に数十年になろうとしている時代。 先のユーラシア墜落事件から立て続けに勃発したナイトメア事件。 それは人類とレプリロイドを存亡の危機に追い込むには充分すぎるほどだったが、 それらは今や誰もが知る英雄・ロックマン・エックスによって一応の終結を迎え、 地球自体も人類・レプリロイド達の努力により、ようやく元の姿に戻りつつあった。 そして現在。 今の地球にロックマン・エックスの姿は無い。 一年前の闘い、ハンターベース内では『宿命の決着』と名付けられた闘いの中、彼は散った。自らの弟に希望を託して。 ロックマン・セイヴァー。それが希望の名だった。 英雄、エックスとゼロの血を引く三人目の希望。 宿命の決着の最中、力尽きた兄に代わり、その首謀者であるDr.ワイリーを一閃のもとに斬り裂いた力を持つレプリロイド。 それがロックマン・セイヴァー。セイアとあだ名される者。 ユーラシア墜落事件時のゼロの行方不明の報告に続けて、一年前のエックスの殉職報告。 それを唐突に受け止めた市民は混乱し、絶望した。が、それに続く新しい報告に、彼等は安堵したのだった。 エックスとゼロを上回る力を持つ英雄・ロックマン・セイヴァーの出現の報告を聞いて―― あれから一年。 世界的に目立った闘いもなく、社会は安定期を迎えている。オマケにイレギュラー発先率もぐんと減少し始めていた。 張り詰めていた人々やイレギュラーハンターの心が、ようやく緊張から解かれ始めていたのだった。 しかし、当のロックマン・セイヴァーの心は未だに緊張から解放されてはいなかったのである。 徳川健次郎。いや、ロックマン・セイヴァーの脳裏に唐突に蘇ったのは、今から数ヶ月前の出来事だった。 少し大規模なイレギュラー事件が起こった時のこと。 場所の悪さとアーマーの点検不足が命取りになり、セイアは重傷を負った。 その際に通信機器を全て失って、彼は自分の足でベースへ帰ることを余儀なくされた。 大ダメージを負った身体に、そう無茶はきかなかったらしく、セイアは明確な位置さえ判らない場所で気を失った。 放っておけば、ダメージとエネルギー不足から、機能停止していてもおかしくはなかっただろう。 次に目が醒めたとき、そこは見慣れない研究所だった。 明らかにハンター・ベースではないそこに、彼はアーマーを取り外された状態で寝かされていた。 彼を救出したのは、彼と大差無い年齢の少年。 制作者のゲイトですら修復に手子摺るセイアのアーマーを、彼はたったの二日程度で修理してしまった。 セイアはそんな少年科学者の技術力に驚かされつつ、なんとか帰路につくことが可能となった。 しかし、それは唐突に起こった。 セイアにも少年にも予想だにしなかった展開だった。 唐突に一体のイレギュラーが二人の前に姿を現し、彼等を襲ったのである。 ウェブ・スパイダス。それがセイアのデータ上にあるイレギュラーの名だった。 そう、記録上ではかのレプリフォース大戦の最中に、彼の兄であるエックスによって撃破されたと明記されているレプリロイド。 同型機種だということも考えられたが、レプリフォースが存在しない今、当時の機種が残っているという可能性は薄かった。 なにより、既に完成している筈のモデルである筈のそれは、 セイアと対峙した際、レプリフォース対戦時のものとは比べ物にならないほどの出力を見せていた。 セイアやエックスの様に特殊装甲によって出力向上がはかられていたとは思えない。 なら可能性は一つしない。それは、それは第三者の介入よって復活されたイレギュラーというものだ。 一年前に全て終わったと思っていた闘いは、未だ続いているのか―― 健次郎はそんなことを頭の中でこね回しつつ、机に頬杖をついていた。 「――というわけだ。席は、そうだな・・」 さっきから担任が何か一生懸命話しているようだったが、生憎健次郎の耳には届いていないようだった。 ただ、考え込んでいる彼にも、何かいつもとは違う話をしているな程度の認識はあるのだが。 電子黒板の前で会話している声は、随分久しぶりに聴いた声だったにも関わらず、思考を巡らせる健次郎には届かない。 結局、健次郎が別の思考をしている内に、電子黒板前での会話は決着がついてしまったようだ。 「――じゃあ自分で決めます」 そうとだけ云って、その声は移動を始める。勿論健次郎はそれには気付いていない。 ボスッと机の上に鞄を置く音だけが、健次郎の耳に届く。 その声の正体を初めて意識させられたのは、それが健次郎に向かって声をかけてきたときだった。 「よっ」 間近で聞く聞き覚えのある声に、健次郎はそっと顔を上げる。 健次郎がその者の顔を確認するよりも前に、その声が紡いだ台詞が、健次郎の中でそれが誰であるかはっきりと認識させた。 「セイア」 この場で呼ばれる筈のない名を呼ばれると同時に、健次郎はその姿を直視した。 銀の照り返しを放つ黒髪に、静かに光るサファイアの瞳。 一見して女性と見間違うような長い髪は、後頭部で一つにまとめられている。 制服着用の学校だというのに、堂々と私服を着ている少年の顔を見て、 健次郎は思わず「えーっ!!?」と場所も弁えずに声を上げてしまった。 担任の教師の注意が間髪入れずに飛んでくるのと、クラスメイト達の視線が集中したのとで、 健次郎は慌てて机の上に出しておいた教科書で顔を隠す。 熱りが冷めた頃、目をぱちぱちさせていた少年は、そっと健次郎の隣の机に腰を降ろすと、 顔だけを覗き込むように、ぼそぼそと呟く。 「そんなに驚くことないだろ?」 「そんなこと云ったって、なんでいきなりいるのさ。ウィド」 ウィド・ラグナーク。それが少年の名だった。 そう、並大抵の技術では修復不能のアーマーを短時間で完璧に修理してみせた、あの少年天才科学者だ。 なぜその彼がこんな学校なんかに――健次郎は頭の中で新たな疑問符を浮かべつつ、明白に横目でウィドを見詰めた。 「学校って云うのに結構興味があったんだよな」 「それだけじゃないでしょう」 あれ程の頭脳を持つ者が、今更学校になんて来るはずがない。 健次郎の見立てでは、彼はここ一帯で最も学力の高い大学ですら、余裕でパスしてしまう筈だ。 即答で答えられた健次郎の言葉に、ウィドは瞳で「ご名答」と返す。 そして、こちらを睨んでいる担任に慌てて苦笑を返しつつ、少し手早く健次郎に耳打ちをした。 「どうしてもお前に逢わなきゃならない理由があったんだよ」 「えっ・・・」 一限目の授業が始まったのを知らせるチャイムが響く。 慌てて授業の準備をするクラスメイト達の波の中で、健次郎は思わず硬直した。 そう云ったウィドの瞳は、単に悪ふざけだとかそういう類ではなかった。 酷く危機感に晒された者の目、とでもいうべきか。 「ウィド・・」 健次郎の脳裏に、再び数ヶ月前のウェブ・スパイダスとの闘いが反芻された。 一限目の授業は数学だ。 フロンティア学園も私立である以上、他の学校より多少は高いカリキュラムを組んでいる。 その甲斐あってか、フロンティア学園の生徒の数学力は比較的高いと云われているのだが―― 授業が開始してから約三十分。授業時間も残り半分を切ったところだ。 数学の教師が、今回の単元のまとめ問題を電子黒板に表示させ、それを生徒たちに解かせている。 他の公立中学校よりも難解な問題だが、フロンティア学園内の生徒にとっては、それほど難易度の高いものではない。 問題は一次関数と証明問題が数種類。まとめなだけあって、その単元内で出た解き方のほとんど全てが出題されている。 生徒たちは額を指でとんとんと叩きながらも、電子ノートに数式を描いていく。 既に全て解き終えてしまった者、未だ中盤で悩む者と様々だ。 「・・・・」 そんな中、健次郎の手は一向に動いていなかった。 yをχの式で表す?△ABCと△CFBの合同を証明する? ペンを握ったまま、健次郎の瞳は泳いでいた。 この解き方はどうやったっけ。大体からしてこんな問題といた経験が今までにあったか。 いや、もしかしたら欠席している内に終えてしまったのかもしれない。 だがしかし、一次関数は確か一年生の時も噛ったような・・。 思考の袋小路に追い詰められた健次郎を見捨てて、時間は過ぎていく、 健次郎がようやく一問目にとりかかった矢先に、教師の止めの合図が入った。 「では、誰かにこの問題を解いてもらおうか」 その台詞にビクッと身体を震わせた健次郎は、教科書で身を隠すように縮こまった。 まだ一問も解けていないのに、当てられては溜まったものではない。 クラスメイト達がばりばり問題を解いている間、一問も解けずに遊んでいた等と思われては―― 必死に身を隠す健次郎の方に、教師の視線が当てられる。 「やばいっ!」と心の中で叫んだ瞬間、すっと指さしながら教師は指名した。 「では、転校早々だが、ラグナーク君。この問題が解けるかな?」 「はい」 短く答えて、ウィドは静かに席を立った。 自分が当てられなかったことに胸をなで下ろしつつ、健次郎はその背中を目で追う。 見た所、さっきまで寝ているようだったが、大丈夫だろうか。 まあ、彼のことだからあの程度の問題は必要最低限の情報で解いてしまうのだろうが。 淡々と電子黒板に数字が表示されていく。 ノートを書き写すだけでも数分はかかるだろうという内容の問題だったが、 それは一分もしない内に、黒板全域が埋まるほどの量になった。 その答えに、健次郎は思わず唖然とする。 全てのパターンを交えられたχの式。 健次郎には理解不能な式を使用しての答えに、小難しい条件から割り出された合同証明。 更には関係のない問題が例題として横に記されていて、その答えも緻密に書き出されている。 これには流石に教師を含む教室内の全員がポカンと口をあけた。 ウィドはそんな彼等を余所に、「楽勝」と小さくクスリと笑う。 そして、唖然としたままで採点しない教師に向かって云う。 「正解ですよね?」 そして続けて少し悪戯心を含んだような笑みで、 「それとも先生ともあろう方が理解出来ませんか?」 ハッとしたようにマルを入れる教師の背中に止めを刺すのだった。 「うっわー・・」 そんな彼が気が付いたように向けてきた笑みに、健次郎は思わず小さな声でそう漏らした。 結局、その日の授業は全てウィドの独壇場で幕を下ろした。 数学では見ての通り。 国語は誰も気付かないような心理状態を的確に割だし、理科でも誰も知らないような化学変化、元素記号を持ちだし、 専門書を読み漁ってもなかなか出てこないような歴史を語る社会。 もはや教師もクラスメイトも目が点になっていたが、ウィドは依然として口もとに笑みを浮かべるだけだった。 健次郎は、判っていたつもりだったが、やはり歴然の差に大きく項垂れた。 最低限授業に出ていれば判っている問題もあった筈なのに――最も、 健次郎は常時イレギュラー・ハンターとして出動しなければならない為、そんなことを云っても無意味なのだが。 下校のチャイムが鳴る。 いつもより時間がずっと早く進んだ様だった。それだけウィドが加わったことでの授業風景が変わったのだろう。 ウィドに興味を持ったクラスメイト達がわらわらと群がってくるのを、彼と健次郎はなんとか間を縫って潜り抜ける。 そういえば、自分が転校してきた時も同じようなことがあったなと、健次郎は今更ながらに思い出した。 質問の嵐に、「また明日な!」とだけ残して、ウィドは素早く教室を退散した。 無論、健次郎も彼に引っ張られて一緒だ。 足早に校門を出て、適当な建物の裏まで走ると、ウィドはようやく止まった。 「まっ、このままくれば平気だろう」 「あはは。やっぱりこうなるのか」 自分の時はいちいち質問に答えていたから揉まれたのか。こうすれば良かったんだな。 そう頭の中で納得するセイアに疑問符を浮かべつつ、ウィドは続けた。 「学校っていうのはいつもあんなか?」 「まぁ転校してくる人が来たときは特別なんだよ。きっと」 ウィドは、ふーんと興味なさげに答えた。 そして静寂。 ウィドが話を切り出してくれるのを待つ健次郎は、それを悟られない為に腰に粒子として納めておいたライド・チェイサーを取り出した。 特別チューンのそれは、一般隊員では到底乗り熟せないような出力を持つ。 最も、こんな街中でそんな出力を出してかっ飛ばせば、いかにハンター免許を持っていたとしても逮捕されてしまうのだが。 ウィドは、そんな特別仕様のライド・チェイサー・アディオンに興味を持ったようだったが、 話すべき話題を思い出し、慌てて自分を制した。 アディオンに股がった健次郎の後の座席にぼすんと座り、つんつんと後から彼を突きながら命ずる。 「さっ、行こうぜセイア」 「い、行くってどこへ?」 「勿論ハンターベースだろう?」 あくまでさらりと云うウィドに、健次郎は「えっ・・」と思わず言葉を詰めた。 相変わらずの笑みを口もとに浮かべ、ウィドは再度健次郎の背を押す。 言葉を発する一瞬だけ、その表情を別人の様に引き締めて―― 「詳しくはそっちで話す。余りにも重大だ」 その一言に、健次郎も忘れ掛けていた事の重大さを思い出し、素直にコクリと頷く。 「・・判った」 * * * 学校からベースまでの道中、健次郎は事の経緯をあらかた説明してもらった。 かねてよりその才能をかわれていたウィドは、何度かハンターベースに赴任しないかと誘われていたが、そのたびに断っていたという。 丁度その時研究していたものは、ハンターとは余りにもかけ離れていたもので、その研究を邪魔されたくはなかったそうだ。 その研究がようやく終わりを告げた頃、再びベースから誘いがきた。勧誘者の名は『ゲイト』だったという。 自らの生みの親の相変わらずの性格に、健次郎が少しだけクスリと笑った頃、 二人を乗せたアディオンはようやくハンターベースへ到着した。 結局、『余りにも重大な』話は、到着の影響で日の目を未だに見ていなかった。 「ふーん。まぁまぁなとこだな」 「中は結構綺麗で良い所だよ。全盛期よりは劣ってるって話だけど」 一度目のシグマの反乱。俗に言う第一次イレギュラー大戦の際、 世界中の都市という都市から施設まで、ほとんどが破壊された。 旧イレギュラー・ハンターベースも例外ではない。 その後も立て続けに起こる戦乱の中、ハンターベースは優先復興施設に選ばれていたものの、被害はあとを立たなかった。 結果的に、ベースに属する職員たちも半分以下になった今、なんとか落ち着きを取り戻したベースだったが、 そこに以前のような活気は残っていなかった。 健次郎に云わせれば、今のベースも充分に機能してくれるし、居心地が良いのだが。 以前、兄が云っていた言葉を思い出しながら、健次郎は自らのIDを通し、内部への扉を開けた。 ――お前にも俺が入隊したばかりの頃のベースを見せてやりたかったよ。 健次郎の部屋は二階だ。 一般的に一階は研究室や食堂――ベースにも僅かに人間の職員は存在する――、指令室等が設備されている。 なんとなく廊下を歩き出しつつ、健次郎は話題を振る。 ベースの廊下は意外に広い。話ながら歩いても、充分に話し込むだけの距離はあった。 「まず指令室に行くの?」 「いや、学校に行く前に挨拶は済ませてきた。シグナス総監だったけか? 現存するレプリロイドの中で最も精密なCPUを持つレプリロイド」 「う、うん、確か」 片手を口もとにあててぶつぶつと呟き始めたウィドを見て、やはり彼は根っから科学者なのだろうと思う。 イレギュラー・ハンター総監・シグナスが現存するレプリロイドの中で最も精密なCPUを持っているということは、 周囲の承知の事実だ。 彼が総監の任についてから、既にかなりの時間が経つというのに、それが依然として覆されないのは、 ここ数年、地球が復興に力を入れている所為か、それとも余程シグナスは完成されたレプリロイドなのか。 どっちにしろ、ウィドにとって、これ程の魅力を持つレプリロイドもそうはいない筈だ。 「機会があったら解析されてくれないかな」 「それはちょっと無理じゃないかなー・・」 一頻り呟いたあと、好奇心の光る瞳で見詰めてくるウィドに、健次郎は苦笑いと共に返す。 ちぇっと残念そうに舌打ちするウィド。健次郎は、突き当たりに当たったところで「二階に上がるね」と、 脇の階段に足をかけた。 「僕の部屋は二階にあるんだ」 「あ、そうか。寄ってっていいか?」 「うん。いいけど」 とんとんと静かに階段を登る。 その途中で擦れ違ったハンター達が、敬礼しながら挨拶してくるものだから、 健次郎も「こ、こんにちは。ご苦労様」とぎこちなく返した。 「有名だな。副隊長は」 「あんなに堅くならなくてもいいのになぁ」 「立場ってものがあるんだろう?ハンターにもさ」 「そういうものかな」と返しつつ、健次郎はふぅと溜息をついた。 確か彼等は第七空挺部隊の一般隊員だった筈だ。確かに彼等から見たら、 第十七精鋭部隊の副隊長――と云いつつ隊長は未だ不在の為、実質的には隊長――である健次郎は、高みの存在だろう。 しかし、と健次郎は思う。 彼がこの地位についているのは、ロックマン・エックスとゼロの弟という彼の立場の為だ。 本来なら、幾ら戦闘能力が高くとも、経験を積まなければ、唐突に隊長クラスの地位に就くことは許されないからだ。 結局、兄のオマケという存在でしか見られていないのか――健次郎は、たまにこんなことを思ってしまう自分が、 情けなくも怨めしかった。 「どっちにしろお前に勝てる奴なんてそうそういやしないんだ。胸張ってろって」 「僕だって別にそんなに強いわけじゃないよ」 「それでも今のハンターには重要戦力なんだろう?それでいいだろ」 初めて云われるパターンに、健次郎はパチパチと瞬きをしたあと、「うん」と頬笑んで頷いた。 ウィドも、その笑みを見て満足したのか、口もとに柔らかく微笑した。 そんな笑みを見ると、誰か、懐かしく、遠い人の笑みを見たような錯覚に陥って、健次郎はふるふると少しだけ頭を振った。 いつの間にか、彼等は十七部隊の私室エリアの『ロックマン・セイヴァー』の私室の前まで来ていた。 部屋に入り、鞄を二段ベッドの下に放り、健次郎はすぐに制服を脱いだ。 シワにならないようにしっかりハンガーにかけておけと兄によく云われていたのを思い出し、 ベッドのパイプに引っ掻けてあるハンターの制服と交換で、学生服をかけた。 ウィドと一言二言交わし、すぐに飲み物を入れるため、キッチンに向かった。 ウィドは微糖の珈琲が好きだと云っていたので、それも一応捜してみる。 最近オペレータのエイリアが買ってきてくれたインスタント珈琲がどこかにあった筈だ。 砂糖はまだ開けていない箱が幾つかあった筈だし、カップも何個か余っている。 インスタント珈琲は元々人間用の飲料だが、最新鋭のレプリロイドである健次郎は、人間と同じように飲むことが出来る。 それが内部機構でエネルギーに変換される――そのエネルギーは申し訳程度の微量――。 レプリロイドも人間と同じように、捕食による精神的な休息があってもよいだろうという配慮だ。 二つのカップに適量の珈琲豆を入れて、軽く珈琲を作った。 ウィドの云う微糖がどの程度なのか判らない健次郎は、砂糖の容器をそのまま持っていくことにした。 健次郎は珈琲はどうにも苦手だった。どちらかといえば甘党の彼には、珈琲の苦みはまだ早いのだろう。 「お待たせ」 「お、サンキュ」 健次郎からカップと砂糖の容器を渡されたウィドは、容器をぱかっと開くと、 中の砂糖を少しだけ抓んで、パラパラとカップの中に振った。 スプーンで軽くかき回したそれを一口喉に流し込んだあと、ミルクをたっぷり入れてきた健次郎のそれを見て、一言。 「お前、よくそんなに甘いの飲めるな」 「ウィドこそ、よくそんな苦いの飲めるね」 「ま、大人だから」 からかう様にそう云ったあと、ウィドはぐぃっとカップの中の珈琲を一気に飲み乾した。 コトンとカップを適当な場所に置いたウィドの目付きは、さっきまでのそれとは違う。 それに気が付いた健次郎は、ウィドの珈琲よりも圧倒的に甘くした自分のものを机の上に置いて、 身体ごとウィドの方へと向き直った。 「・・で、だ」 さっきよりも一段低く発せられるウィドの声に、健次郎はゴクリと喉を鳴らす。 自然と二人の間に緊張が走る。今までウィドも健次郎も務めて明るく振る舞っていたことは明白だ。 だが、もう逃れられない。知らずとも起こり得るであろう出来事に、健次郎は備えなければならないのだ。 「お前がこの間倒したウェブ・スパイダスを解析した」 「うん」 「云っておくが、これから先云うことは全て事実なんだ。信じてくれるな」 コクリ、と健次郎は頷く。 今更彼を疑う気にはなれなかった。 「俺が解析したスパイダス。メインコンピュータは搭載されていなかった。 されていたとしても、全く機能しない程に壊れていた筈だ」 一瞬、自分かウィドがメインコンピュータを破壊してしまったのではないかと仮説を立てた健次郎だったが、 スパイダスに止めを刺す際のウィドの射撃は、スパイダスの胴を撃ち抜いていたし、健次郎自身との戦闘で、 メインコンピュータが搭載されている頭部を損傷させた記憶はない。 「それって・・」 健次郎は、背筋がゾッとするような感覚を覚えた。 メインコンピュータが搭載されていないレプリロイドは、当然ながらに動かない。 動けたとしても、それはレプリロイドというよりもロボットで、あれ程複雑な戦闘パターンは組めない筈だ。 なら、何故―― 「あぁ。第三者の介入があったと考えられる」 「第三者――・・」 「しかもそいつはスパイダスをコントロールしていたわけじゃない。お前も判るだろうが、 遠隔操作であれ程の戦闘パターンを組むことは出来ないし、なによりあの闘い方はオリジナルのスパイダスそのものだった」 ウィドのその言葉に、健次郎は心で納得する。 ウェブ・スパイダス。彼の闘い方は兄から何度も聞かされている。彼だけじゃない。 第一次シグマ大戦。第二次シグマ大戦。ドップラーの反乱。レプリフォース大戦。ユーラシア墜落事件。そしてナイトメア事件。 それらで闘った敵との話は、全て聞かされ、記憶している。 エックスのアイカメラが捉えた映像を交えて、それらはダイレクトに健次郎の脳に焼きつけられている。 「・・駄目だ、僕には判らない」 軽く首を横に振って、健次郎は呟く。 遠隔操作での戦闘は困難を極める。同調しやすいそれ専用のメカニロイドならまだしも、 メインコンピュータすら搭載されていないレプリロイドの脱殻では。 何より、コントロールの指令を伝えていた機器が搭載されているとしたら、ウィドがそれを見逃すことはほぼ有り得ない。 ならば、何故スパイダスはあのような動き、闘いを挑んできたのか。 結局的に、健次郎の思考はふりだしに戻ってしまうのだ。 「不可能だ。メインコンピュータが搭載されていないレプリロイドは稼働しないし、遠隔操作をしていた可能性もない」 「でも現にスパイダスは・・」 「だが」 健次郎の反論を無視したウィドは、そこで一旦言葉を切る。 意味のある沈黙に、健次郎はきゅっと拳を握り締める。 ウィドの双眼をぐっと見詰めて、その唇が開くのを待った。その緊張感の為か、それはたかだか一秒もない時間だった筈なのに、 健次郎は粘っこく長く感じた。 「もし、メインコンピュータの搭載されていないレプリロイドを、修復し、更に強化させ、 遠隔操作とは違った方法で操ることが出来る技術があったとしたら?」 「えっ――」 驚愕と共に言葉を連ねようとした健次郎の行為は、半ば強引に阻止された。 健次郎が言葉を紡ごうとした瞬間、それを掻き消すかのように部屋の中にアナウンスが響いたからだ。 回線は部隊別通信。繋がれる際の独特の効果音が、それが指令室からのものであると教えてくれた。 ウィドは一旦口を閉じ、健次郎は弾かれた様にアナウンスに耳を傾ける。第十七精鋭部隊出撃要請の放送だった。 『第十七精鋭部隊はただちに出撃準備。目標はTX-33地点。詳細は追って報告――』 「僕、いかないと!」 第十七精鋭部隊。それはイレギュラー・ハンター内でも飛び抜けた能力を持つ者達で構成されるエキスパートチームだ。 内約は戦闘能力に長けた者、索敵能力に長けた者、作戦構成を得意とする者と様々だ。 かつては最強のイレギュラー・ハンターとして名を馳せていたシグマが部隊を指揮し、 彼がイレギュラー化した後は、彼を見事撃破してみせたロックマン・エックスがその任を継いでいる。 その出来事は、ハンター内部だけでは留まらず、一般人の間でも有名だ。 そして現在は、健次郎――セイア――が事実上隊長を務めている。 というのにも、健次郎はまだ隊長の座に就くための一定条件を満たしていないからだった。 入隊して一年と少しの健次郎では、どう足掻いたところで隊長の座には就けないのだ。 隊長であるエックスが殉職いた今、十七部隊の指揮をするのは副隊長である健次郎の仕事だ。 健次郎は少し温くなってしまった珈琲を一気に飲み乾して、タッと廊下に飛び出した。 「ウィド!ウィドは僕の部屋にいてくれ!」 「いや、俺もいくぞセイア」 「えっ!?」 短くすぱっと言い放ったウィドに、思わず健次郎は声を上げる。 ウィドは今までコートに隠れて見えなかった腰のホルダーから、 高出力のレーザー銃――以前、これでスパイダスを撃ち抜いた――を取り出し、健次郎にそれをちらつかせて見せた。 その目は「護られるばかりじゃない」と言いたげだ。 「でも・・」 「嫌な予感がするんだセイア。俺は」 コクリと頷く健次郎。 確かに感じるこの胸騒ぎは、ただごとではない。 そして、自分の嫌な予感が的中しやすいことは、健次郎自身よく理解しているつもりだ。 部隊を指揮する者として、部隊に配属されていない者を巻き込むことは出来ない。 しかし、弱体化したイレギュラー・ハンターは、例え精鋭部隊といえど、その人数は全盛期の半分もいない。 何より、特A級のランクを持つハンターは、今や健次郎しか存在していない。 彼の実力を知る上では、一緒に来てもらえればかなりの戦力になることは判っている。 彼の実力を知るセイアと、副隊長を務めるロックマン・セイヴァーの狭間で、健次郎はギリリと歯軋りをした。 「セイア!」 もう一度名を呼ばれて、健次郎は躊躇と共に首を縦に振った。 「判った。一緒にいこうウィド」 後で責任を追求されるようなら、自分一人で責任を負う覚悟はあった。
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属性 全種あり 基本装備 バスターショットZセイバー チャージ攻撃 チャージバスター(二段チャージ可能)チャージセイバー O.I.S 各種必殺技発動可能(無限) その他性能 なし 備考 基本的にロクゼロのゼロの性能。水中での移動速度が落ちない。必殺技(O.I.S発動時)バスター:一段階チャージバスター連射↑セイバー:龍炎刃(炎属性)空中セイバー:アークブレード(衝撃波のみ氷属性)地上↓セイバー:真空刃(雷属性)地上↓バスター:アースクラッシュ地上↓一段チャージバスター:滅閃光地上↓二段チャージバスター:烈光覇O.I.S発動時は各ダッシュ攻撃不能。 性能解説 外見は完全にオメガ。性能は基本的にロクゼロのゼロに近い。 これと比べるとモデルZXは一見ただの劣化版だが、 貫通バスターや下入れセイバーの威力の点でZXが優っているなど、ささやかではあるが差別化はされている。 攻撃解説 バスター デフォルト設定はサブウェポン。 画面上に3発まで弾を発射可能。 バスターショット 威力値:2 ダッシュバスター 威力値:3 一段階チャージ 威力値:10 見た目が二段階チャージと似ているので気をつけよう。 たった1段階のチャージでこの大ダメージ。 二段階チャージ 威力値:12 複数ヒットしないため、雑魚への威力はZXバスターに劣る。 ゼットセイバー デフォルト設定はメインウェポン。 ZXセイバーよりも全体的に高性能。 地上三段斬り 威力値:8・8・8 バスターショットでキャンセル可能。 モデルZXよりも振りが速い。微々たる差とは侮れず、 例えば、1段目でオメガを怯ませれば反撃の隙を与えず3段目まで振り抜ける。 歩き斬り 威力値:6 ZXと同じく、キャンセル不可。 ダッシュ斬り 威力値:10 ジャンプ斬り 威力値:8 ジャンプ下入れ斬り 威力値:8 ゼロやZXと違い、威力が変わらない。 壁張り付き斬り 威力値:8 チャージセイバー 威力値:本体8、衝撃波16 ZXより衝撃波の威力が高いだけでなく、判定も大きい。 空中回転斬り 威力値:2×n 空中で↑セイバーor空中セイバー二段目 O.I.S時解説 技によって3種の属性が付加される。 ライブメタルゲージを消費しない。(ライブメタルゲージが存在しない。) 被ダメージによってO.I.Sが解除されるのは他のモデルと同じ。 尚、ヒッフッハのセイバーが消えるタイミングで↑or↓+セイバーを入力すると更に隙をキャンセルしてヒッフッハが出来るようになるが、 特に連鎖値も変わらないし意味が無い。その気になれば飯屋の乱舞を超えられるがやはり連鎖値に変化は無いので意味が無い。 O.I.S時の制限バスターショットの通常弾が撃てなくなる。 ダッシュ時にバスターショットを撃つとダッシュがキャンセルされる。またそのため、低姿勢でバスターが撃てなくなる。 ダッシュセイバー、空中下入れセイバー、空中回転斬りが不能になる。 セイバーのチャージが不能になる。 歩きセイバー・バスターが不能になる。 バスター 通常のバスターショットが撃てなくなり、一段階チャージショットが連射可能になる。 一段階チャージするだけで2段階チャージが撃てる。 ダブルチャージショット 二段階までチャージするともうひとつチャージがストックされ、 二段階チャージを二連射できる。 ボスにも2ヒットするのでボス相手の威力だけならモデルXより1目盛りだけ強い。 ちなみにチャージした後一発放ち、ストックだけの状態で地上↓バスターすると滅閃光が出る。 アースクラッシュ 威力値:4×n 地上↓バスター。 地面を殴りつけて破片を飛ばす無属性攻撃。 初出はロックマンX2。 余談。岩本佳浩氏の漫画版により広く認知され、岩本氏オリジナルの技という認識も少なからずあるがそれは間違い。 X2攻略本にもアースクラッシュの記述がある。 威力は決して高くなく、当てづらいこともあり実戦には不向き。 ボスには複数ヒットしない。 滅閃光 威力値:6×n 地上↓一段階チャージバスター。 地面を殴りつけながら周囲にエネルギー弾を飛ばす無属性攻撃。 初出はロックマンX5。しかしながら地形を貫通しない。 ボスには複数ヒットしない。 烈光覇 威力値:6×n 地上↓二段階チャージバスター。 地面を殴りつけながら全体にエネルギー弾のようなものを飛ばす無属性攻撃。 初出はロックマンX6。 ボスにも多段ヒットするが、基本的に魅せ技で、やはり実戦には向かない。 一応上手く使えばダブルチャージ以上のダメージも狙えるかも。 ゼットセイバー 地上三段斬りと壁張り付き斬り以外別の攻撃に変化か使用不能になっている。 龍炎刃 威力値:10 ↑セイバー。 炎属性の切り上げ攻撃。 初出はロックマンX4。 高さの調節は出来ない。 チャージセイバーを除く全ての攻撃の無敵を貫通する。 アークブレード セイバー威力値:8 衝撃波威力値:4 空中セイバー。 8方向に衝撃波を飛ばす。 衝撃波のみ氷属性。 衝撃波の威力は低いが敵を氷結させれば追撃が可能になる。 セイバー部分は回転しているが連続ヒットではなく、ジャンプ斬りに近い性能。 雑魚なら密着して繰り出せば衝撃波を大量に当てられる。雑魚の癖に図体がデカい奴なら一撃で倒せる。 真空刃 セイバー威力値:6 衝撃波威力値:8 地上↓セイバー。 衝撃波を飛ばす。 雷属性。 ダブルチャージと繋げる事が出来、 メシア以上のダブルチャージウェーブを出せる。 関連:隠し要素
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107 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/10(火) 20 54 18.78 ID oJ2DFEdA0 磯香る、昼時。 旅船、帆船、商船、貨物船、そして様々人々とレプリロイドが集まる場所――港。 イーグリードの最期の意思であった脱出ポッドであった二人は、砂漠に落下。 怪我を負うゼロに肩を貸し、エックスは近くの港まで歩き進んだ。 大陸と大陸を大きな海が横断する。青い空を、海鳥が猫の様な鳴き声で舞っていた。 カメリーオとマンドリラーとの戦闘。 その後のデスログマーからの落下で、ハンター組織からかなり離れた位置に身を置く事になってしまった。 本部への帰還、そして自分の腕に抱かれる少女の治療をするには、船でこの海を渡るしかない。 「もうちょっと我慢してね? 出航の手続きはしたから、直ぐに本部に戻れるよ」 エックスは落下した時から、時折すすり泣くゼロに優しく声をかけた。 「あぁ………悪いな」 肩に助けられながら、港の海沿いを歩く。涙をぬぐう少女の声は、まだ悲しみに掠れていた。 「イーグリードの事は……」 「良いんだ……もう、大丈夫。あいつもオレも、もう大丈夫だ………」 「そう………」 それ以上は追求せず、エックスはもう一つの手に握られる紙片を見た。 旅船の添乗が出来るチケットだ。 「どこかで食事でもしようか? 一応、まだ時間はあるから」 港にある商店街の入り口を指しながら、尋ねる。様々な店舗が見え、人通りも多い。 「いや……。いや、そうだな。エックスに任せるよ」 「そっ。じゃあ、行こう」 二人は、小さいがお洒落なお店の前に立つ。レプリロイド専用の飲食店だ。 「素敵なお店……。ここで良いかな」 そう言って、中へと入った。 従業員に案内され、窓際の席に座る。水が運ばれ、メニューが渡され、やっとエックス達は落ち着いた。 111 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/10(火) 20 55 12.87 ID oJ2DFEdA0 「ふぅ……疲れたね。何が食べたい? 僕が奢るよ」 「金、持ってんのかよ?」 メニューを見るエックスに、ゼロは気分が若干晴れたのか意地悪な笑みを浮かべた。 まだ赤い目をする少女に、エックスもつられて笑みを浮かべた。 「意外だ。悪かないな、これ」 「そうだね」 テーブルに出てきた海鮮料理をつつく二人。 海が見えるこの席での食事は、とても気持ちが良かった。 港町を訪れる多くの人間とレプリロイド、その騒喧を感じさせない程、この店は静寂に包まれている。 「お冷のお代わりは――」 弾けるガラス片が赤と青に降りかかり、嫌な切断音。同時に、真紅の液体がばら撒かれた。 一時の静寂は、水差しを持ってきたウェイトレスのレプリロイドの首が飛んだ事によって、打ち破られる。 「………伏せろ!!」 オイルで真っ赤になったゼロが、エックスを椅子から押し倒す。怪我をした部分が床にぶつかり、顔を歪めるゼロ。 遅れて、二人の席が三つに両断された。 赤き少女は、何が、と声を出すエックスを突き飛ばす。 今度は、座席付近にある物全てがバラバラに解体された。 机、椅子、料理、メニュー、そしてウェイトレスの死体が、分断され宙を舞う。 「クワンガーの変態か……!!」 ゼロが呻きを上げ、悔しそうに手の中にあったフォークを握りつぶす。 そして、破壊された窓から回転する何かが侵入した。黒いシルエットは、早すぎて何なのか視認できない。 「エックス! 店から出ろ!!」 乱入してきた何かが、店内を蹂躙する。 一連を見て、呆然とする店長らしきレプリロイドのボディをズタズタにし、カウンターにばら撒く。 その横の従業員のボディも後を追い、木の床を真っ赤に汚した。 128 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/10(火) 21 25 18.58 ID oJ2DFEdA0 凶器は回転数を上げ、店内にある命ある物、そうでない物を平等に切り裂いていく。 もう生きているレプリロイドは、伏せる二人しか居ない。 「はやく行け!!」 ゼロは右手をバスターにし、外に向け何度か射撃する。無論、暗殺者に当たるはずが無い。 エックスは治療を受けていないゼロの身体を案じるが、少女の意思の強い眼を見て、諦める。 天井の照明が全て、粉々にされる。このまま、店ごと破壊するのではないかと思う程の勢いだ。 こちらも同じく右腕をバスターにし、窓に向け何度か射撃しながら、外へと飛び出した。 「どこのどいつか、知りませんけど……!」 エックスが怒りに身を震わせながら、立ち上がる。暗殺者は見つからない。 漆黒の凶器も示し合わせたように破壊を止め、店外から出てきた。 「不不不………」 いったい何時現れたのか、怒れる青きレプリロイドに黒い影が立っていた。 回転する武器は、その影の手に収められる。意外にも白く細い腕だった。 「あなたは……!」 トレンチコートを着込む影。危うい程の白い肌、肩ほどまである銀髪が海風に揺れた。 申し訳程度の大きさのサングラスに覆われた、血の様に真っ赤な瞳がエックスを見つめる。 「しばし待て」 銀髪の少女は、近づき詰問しようとするエックスに待ったをかけると、飛び引く。コートの端がバタバタと揺れた。 手近にある壁を見つけると、そこに半身を寄せ、半分隠れた顔でエックスを見つめる。 「じー………。良いぞ。あ、おい近づくな。接近するのは不許可だ」 エックスはその行為の意味が解らないが、近づくのをやめ、瞳で少女に意思を訴えた。 少女がそれに応え、頷く。 140 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/10(火) 21 48 32.86 ID oJ2DFEdA0 「ご挨拶しよう。クワガタ型のレプリロイド、イレギュラーハンター組織、第17部隊の時空の斬鉄鬼のブーメル・クワンガーとは私の事。 不不不……気分屋で暗殺が何より大好きで、次に好きなのが監視。人からマイペースと言われるが、よく解らない。 家族は、カブトムシの弟が一人居るのだ。あぁ、エックス君、はじめまして。君と会うのは初めてだよね? 確か、私の記憶のよるとそうだ。 んー、食堂で見かけた事があるが、それは出会ったとは言わないから、おそらく初めまして良いはずだ。どうぞ、よろしく」 長々と挨拶するクワンガー。エックスはゼロの言葉を思い出した。 「何が目的ですか」 バスターを向け、相手の出方を待つ。 性格はよく解らないが、このレプリロイドの腕だけは確かである。 握られた凶器を見たが、どうやらブーメランのように研がれたクワガタの顎らしい。 「挨拶だ。挨拶と言う言葉を知らないか? この言葉は――」 じー、と見つめ続けるクワンガーに、さしものエックスも苛立った。 「………知っています!! 何が目的ですか!」 「私は、先の戦いから君を監視している。そうボスに命じられたからだ」 大声に小首を傾げるクワンガーは、言葉を遮られても怒りもせず、丁寧に答えた。 監視、という言葉にエックスは驚愕した。戦いとは、いつからの事なのだろうか。 「エックス君……君は強くならなければならないらしい。そうボスが仰った」 髪をかき上げながら、クワンガーが続ける。 「成長する君を監視し、報告するのが我が使命。あ、監視は大好きなんだ。あぁ、言ったか……」 海風が心地よく吹く。磯の匂いが、それに乗ってやってきた。遠くで、波打つ音も聞こえた。 「そして君の成長は、ちょっと遅い。ボスは困っている。で、あるため――」 長々と喋る少女。ルビーのようなクワンガーの目が細められる。 クスリと笑い、握られた『ブーメランカッター』を楽しげに揺らした。 152 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/10(火) 22 06 38.89 ID oJ2DFEdA0 「ちょっと、君の成長に付き合おう。楽しいぞ。とってもとっても。あぁ、私自身が楽しいんだが。君はどうだろうか?」 「…………っ!」 素早く反応して、バスターを再度向ける。クワンガーからは静かな殺気が溢れた。 「先に謝っておくが、私は厳しい。怪我をしたら、すまない。謝罪する。あぁ、どのくらい厳しいかと言うと――死ぬぐらいだろうか?」 なんの理由で横に跳んだのか――。 エックス自身が解らなかったが、クワンガーの腕が振るわれたと思うと、今立っていた石畳が吹き飛んだ。 石の床は何かに縦へと切り裂かれている。 青ざめるエックスに、追い討ちの強襲。空を切り裂く風切り音。 そして、手の甲が斜めに薙がれた。少量のオイルが吹く。 「あぁ……すまない。怪我をさせたな。でも、私は楽しい。あぁ、困ったな。いや、私は困っていないんだが」 クワンガーは場所を変えていない。 そして、すでにブーメランカッターが握られていた。視認できない速さ。 「あぁ……すまない。一つ、間違えて言った事がる。私の家族だが、弟と言ったが妹だ。なにぶん、気性の荒い奴でね」 そのレプリロイドに失礼な事を言いながら、腕が振るわれ、不可視の凶器が放たれる。 右肩に激痛が走り、エックスは地面へと倒れた。噴出す赤が、自身と地を汚す。 「不不不……。また、すまない。不不不……」 「いたぁ…………。…………あの、一つ良いですか?」 「許可する」 もう既にに凶器が握られている腕を揺らめかしながら、クワンガーが楽しそうに頷いた。 「第17部隊って言いましたよね……僕もそうなんですけど。……えぇ、と……任務で見た事が無いんですが」 肩を抑えながら、疑問を口にする。 クワンガーは、可愛く小首を傾げ、あぁと呟いた。 「私が好きなのは監視と、言ったろう。――‘いつも居たよ’」 「……………っ!!」 クスリと笑い、クワンガーが口をすぼめる。エックスは怖気が走った。 181 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/10(火) 22 36 55.57 ID oJ2DFEdA0 「不不不……嬉しいのかね? そんなに頬を赤らめて」 石畳が無差別に解体される。クワンガー自体の機嫌が、この武器に影響するようだ。 「いいえ、青ざめてます。……赤いのは、血ですよ」 乱立する電柱の一つが両断され、落下する半分が空中で分解。地面に弾かれるのは、コンクリートの破片だ。 「ふふん………照れ隠しとは。なかなかの使い手だね」 飲食店に横付けされていた自動車が舞う。赤い乗用車はジグソーパズルのようにばら撒かれた。 「斬!!」 付近の破壊活動は、クワンガーの掛け声と共に、対象をエックスに移行。膝をつくレプリロイドに、くの字の凶器が迫る。 エックスはどこかに跳ぶしかない。 地に飛び込むエックスの脇腹が、薄く切り裂かれ、無様な格好で叩きつけられた。 「手加減。不不不……」 クワンガーは、微笑み、ブーメランが握られていない手で口付けを送った。 「そんなに……楽しいです……か!!」 倒れながら、エックスはバスターを放つ。砕ける建造物の壁。しかし、少女の影はなかった。 「楽しいねぇ。この武器はね、エックス君。監視しながら、暗殺できる素晴らしい兵器なんだよ」 背中が踏みにじられる。いつの間にか接近されたクワンガーに背後を取られていた。 ブーメランを握る手が、目前で左右に振るわれる。 笑いながら説明する銀髪の少女は、玩具を見せびらかせる子供のだった。 「あぁ、そんな武器はどこにでもあるんだが、これほど機能美を追求した物は無いだろ? だから、これは好きなんだ」 「そう………ですか……」 「だからね、君にもこれの素晴らしさを――おっと」 身体の輪郭が影のように揺らめくクワンガー。黄色いエネルギーが、それを通過する。 「エックスに触るな……変態。この、サイコ野郎!!」 奇襲したのは、身体を引きずりながら、店外にでたゼロだった。 バスターを放った体勢のまま、いつのまにか飲食店の向かいにある理髪店の屋上に立っている暗殺者に叫ぶ。 「変態? それは君の事か?」 クワガタのレプリロイドはおかしそうに目を揺らめかし、ボディを布きれで巻くゼロを笑った。 192 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/10(火) 23 00 05.59 ID oJ2DFEdA0 「邪魔をしないでもらおう」 またもクワンガーの腕が振るわれる。 一瞬にして、ゼロのボディを切り刻み、少女を路上で全裸にする。恐るべき事に、傷は一つも負わせていなかった。 ボディとメット、そして布生地は地面に散らばり、機械仕掛けの猫の耳だけが金色の髪に残った。 「死ね」 だが、それも短い死の宣告まで。呼応した凶器が、ゼロの首元に回転しながら迫る。 甲高い激突音――黒い影は弾かれた。 「そうこなくてはならない…………不不不」 陰鬱な笑いは、立ち上がる青に向けられる。エックスの右腕の銃口は、エネルギーの残滓で煙を出していた。 「相手は、僕。そうでしょう?」 「エックス!?」 血に濡れるエックスは、挑発的に暗殺者に笑って見せた。 「不不不不――そうだ……!!」 漆黒が迫った。 横転する青。そして、ダッシュ。 クワンガーの出現しそうな場所に、出鱈目にバスターを放ちながら、エックスは人通りの無い路地を駆ける。 走る後ろで、建造物と建造物で作られた通路の壁が切り裂かれていく。 「不不不。その戦法は不許可だ」 少女の声がするが、どこに居るかは解らない。 確認しようと立ち止まれば、今後ろで分解されたゴミ箱と同じようになるだろう。 後方に振り向かず射撃。テラスがある屋上の一部を破壊するが、手応えは無い。 駆ける。駆ける。 前方に居た犬型のメカニロイドが寸刻みにされるが、目をつぶり感情を押し殺した。 「不不不。どこに行こうというのだ?」 [12番 港口]と書かれた看板が吹き飛ぶ。破片が雨のように降ってきた。 205 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/10(火) 23 26 26.98 ID oJ2DFEdA0 「行き止まりだ……不不不」 その言葉を皮切りに、狭き道は終わりを告げる。 目の前に広がったのは、雲の無い大きな空と、どこまでも大きな海だ。 海鳥が能天気に鳴き声を上げ、気持ちよさそうに空を飛ぶ。――エックスも空を飛びたくなった。 「人が居ない場所を選んだのかな? 優しい子だ。不不不、殺しがいがあるよ」 最後になるかもしれない自然の光景を目に焼付け、ゆっくりと後ろを振り向く。 何処かでトレンチコートを脱いだのか、奇妙な衣装を纏った少女が現れた。 網目のシャツを下に、上下共に黒装束。そのせいかクワンガーの真っ白な肌が目立った。 「ゼロを救ったのも、なかなか良い。私のブーメランカッターを弾くとはな」 クワンガーの口元にも布が被せられている。追い詰めた暗殺者、ブーメル・クワンガーの目が笑う。 「力んでいるねぇ……不不不。恐怖を感じているかい? 体験した事の無い、暗闇の恐怖を」 両手を広げ、自分から繰り出す恐怖を見せる。純粋な狂気がここにはあった。 エックスは、冷や汗で頬を濡らしながら、姿勢を低くする。 「安心したまえ」 だが、呆気なく、クワンガーはブーメランを収めた。 「言ったろう? ちょっと、君の成長に付き合おう、と。殺しなんか不許可さ――ここではね」 クワンガーの姿がブレたかと思うと、顎が撫でられる。少女の声は耳元から聞こえた。 「タワーで待ってる。なぁに、君はくるさ。望んでも、望まなくても、ね」 軽く頬に口付けし、意味ありげに笑った。エックスは少女の速さに、そして威圧に微動だに出来ない。 「待ってるよ、エックス君。――旅路で、タコに気を付けなければ不許可だよ? 不不不不不不不」 最後に頭を撫でられ、クワンガーは硬直する少年から離れた。 「では、ドロン」 そして、消える。 エックスは、10分近くかけてやっとゼロの元に脚を進める事が出来た。 244 名前:Irregular s Elegy[] 投稿日:2006/10/11(水) 00 34 50.43 ID 33MOrt2O0 「変態は……?」 閉店に追い込まれた飲食店に、裸体をカーテンで巻いて地べたに座るゼロが居た。 白いカーテンはとこどころ血を吸い、痛々しい。 「勝手にしかけて、勝手に消えたよ。――大丈夫?」 「本調子だったら、倒せた………だからって、なんだよなんだよ、オレだけ追いてって……」 白い布から覗く脚をそわそわさせながら、そっぽを向き膨れる少女。 そんな態度に、エックスは取り成す様に優しく笑いかけた。 「ごめんね。………でも、ゼロは怪我してるし。早く船に乗って、本部に戻ろ?」 出航場所の方向を親指で示し、うずくまる少女の腕を取る。 戦闘のせいで、旅船の時間が迫っていた。無人の花屋に掛けられた時計の短針が、3を指し示している。 「…………アイスが食べたいぞ。………チョ、チョコレートの……」 猫の耳を落ち着きなく動かしながら、ゼロはボソリと言った。赤らめる顔が、エックスの笑いを更に誘う。 「はいはい。その前に服も買いに行こうね」 エックスは、ゼロの腕を静かに引き、石畳の路地を歩んだ。 「おいし………」 「そう? そりゃ、良かった」 港の船着場に佇む二人。エックスは旅行のパンフレットを、ゼロは濃茶色の氷菓子を手にしてた。 買ってもらった、石段に座るキツネがプリントされた、肩を出すスポーツシャツを着込む少女はアイスの味に満足そうだ。 シャツのロゴにO・イナリーと表示されているがエックスは、知らないブランドだ、との感想しか無かった。 短いジーンズから出るゼロの足が、波の音と合わせ揺れる。 「おい、あれハンターの船じゃねぇか?」 「ほんとだ。というか、僕たちかなりの大所帯で出航するんだね」 ゼロの言葉で向けられるエックスの視線の先には、海に揺らめく12隻の船が並んで、搭乗者と出航の合図を待っている。 「イレギュラーの事件もあるしね。もしかしたら、その関係かも」 「だろうな」 チョコレートアイスは、短い応答と共に嘗め尽くされる。ゼロは惜しげに、コーンを包んでいた紙包みをゴミ箱に捨てた。 488 名前:Irregular`s Elegy[] 投稿日:2006/10/11(水) 21 04 05.09 ID 33MOrt2O0 「まもなく出航いたします。ご搭乗なされる方は、ブリッジを使用してください」 しばらく静かに待機していた二人と他の客達に、空と同じ薄青い制服を着用したレプリロイドの声がかけられた。 巨大な客船から鉄のタラップが迫り出され、船着場と船を接続する。 巨大な図体を誇る船なのだが、エックス達の他の客は少ない。 イレギュラー達が引き起こす事件の事も相まって、旅行にいくような物好きな人間もレプリロイドも少ないのだろう。 「だってさ。行こうか?」 エックスは自分の猫の耳を弄り、退屈を凌いでいたゼロを促し、鉄の橋に足を載せた。 「――こんなに、のんびりして良いのかなぁ」 赤い夕日が、旅船のデッキを同じ色に染める。 ドリンクのカウンターの前方に、大型のプールを備えた豪華な客船。 物好きな客を内包した船。しかし、流石に無防備に泳ぐ人物は居なく。デッキに居るのは赤と青のレプリロイドだけだった。 エックスはカウンターバーの机で書類と睨みあい、ゼロはその足元でタオルを下に寝転んでいた。 「良いんじゃない? たまには、ね」 数枚の薄紙にペンを走らせたまま、エックスが答えた。もう一つの手の中で、グラスに入った薄紫色の液体が揺れる。 エックスはいつもの青いボディのままだが、ゼロは貸し出された競泳用の水着を着ていた。白い肌と、薄い胸を紺色の水着が包む。 「………悪いな、お前ばっかりそんな作業させて」 夕日に顔を朱に彩られたゼロが、申し訳なさそうに答える。手に持つ琥珀色のドリンクが、少女の心情と同じく揺れた。 「戦闘の報告書――オレも書くべきなのにな………」 エックスは一瞬返答に困り、すぐに微笑んで、耳の付く金色の髪をクシャクシャと撫で上げた。 「いいよ。書きたくないよね、あんなの。――僕なら大丈夫だから」 猫の様に目を細め、はっと気付き、両腕を振り上げるゼロ。エックスは笑みを強くし、更に頭を撫でた。 ――ドチラかとイエバ慣れタんじゃない? ナカまの死にサ 490 名前:Irregular`s Elegy[] 投稿日:2006/10/11(水) 21 08 33.15 ID 33MOrt2O0 「本部にはどれぐらい掛かるんだ? 海路を使った事無いから、解んないぞ」 ゼロは琥珀色の液体を喉にながしながら、空を見上げた。赤い空も青と同じく、どこまでも遠い。 質問を投げかけられたエックスは、呆と何処か虚空を見つめている。いや、瞳には何も映ってはいなかった。 「――エックス?」 眉間に皺を寄せ、少年の名を呼んだ。疑念に耳が小刻みに動く。 「………………二日間ぐらいかな。一泊はここでしなきゃ、ならないね」 瞳に意思が戻り、エックスは何でもないかのように答えた。特に感情の変化は感じられない。 ゼロはふーんと呟き、エックスは疲れたのではないか、と思考を纏めて、切り上げた。 「そうか。揺れる船で寝れるかなー? 寝れなかったら、お前の部屋に行くからな」 けけけ、と品の無い笑い声を出し、プールに向かう。もう一泳ぎするつもりの様だ。 「はいはい。待ってますよ」 その背に微笑んだエックスの顔に、もう蔭は無い。 『そうか。イーグリードと………大変だったな、エックス』 「いえ……」 船内に幾つもある部屋。その一つに振り分けられた、エックス。 外観が豪華な客船は、客室も煌びやかで、高いと思われる家具が惜しげもなく配置されている。 その一つの装飾が美しいベッドに腰掛け、エックスはライト博士と連絡を取っていた。 丸型の窓から見えるのは漆黒。夜の十時を回っていた。 『報告が一つ。君から受けた調査の事だ』 ランプが幾重にも重なった照明が、部屋を明るくしている。だが、暗いエックスの表情を明るくするには力及ばなかった。 「――えぇ、お願いします」 広い部屋に、エックスの応答が吸い込まれていく。 492 名前:Irregular`s Elegy[] 投稿日:2006/10/11(水) 21 11 34.16 ID 33MOrt2O0 『やはり、情報部はおかしい。極地部隊の事、そして訓練Σの単語で調べたが、何もでなかった』 報告するライトの声は、疑念と困惑に満ちていた。 それに感染し、エックスも首を傾げながら質問する。 「………何も出ないのが、何故、情報部がおかしいと?」 『情報部が何も出さん、――アイシー・ペンギーゴが嘘をついたと思うか?』 そんな筈が無いと、青いメットが横に振られる。エックスの胸は、ペンギーゴの名に引き裂かれそうになった。 悲しき宿命を望まざるして、負わされた少女。何処からかの理不尽な力が、あの戦場には働いていた。 「いいえ」 ぐるぐる回る思考を止め、言葉にしてそれを力強く否定する。 『私の権限で、独自に調査はしている………ならば一つぐらい何か出てもおかしくないだろう?』 「チップについても、何のデータも回してこないとか」 『あぁ。いったい何を考えてるのか……。とにかく何かを隠しているのは確かだ』 ハンター組織。どこの組織でも一枚岩では、無いのか。 同じく『岩』という単語を名に持つ少年は、深くため息を吐いた。 「イレギュラー事件に関係があるのでしょうか?」 『さぁ、それよりも厄介な事かもしれないし、実は部署同士での領域争いだけかもしれない』 どちらにしても許されざる事であろう。――ペンギーゴ、イーグリート。 エックスは死んだ者の無念を晴らすと、深く誓った。 「引き続き、お願いします。――僕はイレギュラーを何とかするので……」 その言葉は、エックスが持つ『何か』への憎悪に濡れ、発せられた。 『あ、あぁ……。エックス、私は人間だ。――………本部と同じく、極地部隊の隊員と同じく、人間だ』 逆にライトは悲哀を滲ませ、静かに怒りを溜めるエックスに告げる。 496 名前:Irregular`s Elegy[] 投稿日:2006/10/11(水) 21 30 03.93 ID 33MOrt2O0 「はい? ………博士?」 思慮の見えない発言に、少年は怒りを忘れて元に戻り、困惑する 『忘れないでくれ…………。人間。人間だが、私は君の味方だよ。それじゃ、おやすみ』 プツリと切れる無線。 音声通信だが、最後にライトは微笑んだような気がした。 「………………………………おやすみなさい」 エックスは呟き、ベッドに倒れこんだ。博士を傷つけたのでは、という後悔と一緒に。 「おはぁよう………ふぁあう」 「おはようさん。お前、何で鍵閉めてんだよ? 部屋に入れなかったじゃねぇか、畜生」 耳を逆立てながら、両腕を挙げ抗議するゼロに、エックスは頭痛を覚えた。 「………………来たのか」 朝特有の涼しい風が、磯と一緒に吹いてくる。 ゼロはデッキがお気に入りなのか、朝食のサンドイッチを齧りながら、海を見る。 また泳ぎたいのか、彼女はまたも水着に着替えていた。 「今日で旅も終わりだな。なかなか楽しかったな――仕事抜きで来たかったよ」 「同感だね」 手すりに寄りかかりながら、エックスも苦笑して同じ感想を述べた。 「ねぇ、ゼロ…………身体の方は大丈夫? 辛いんじゃない?」 昨日から、正確に言えば三日前から無理をする少女を心配する。 海を渡るのは、本部に戻るだけではなく、ゼロの治療も兼ねているのだ。 「ボディが砕けただけだよ。確かに身体も痛いが、我慢できなくは無い」 自分の身体を見下ろしながら、答える。 「あぁ、大変だ。胸が小さくなったような気がするぜ? 確認してくれ」 「―――――――――嗚呼」 直ぐにふざける相棒に、エックスは天を仰ぎ見た。空は今日も晴れ、綺麗な青が澄み渡る。
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ロックマン・モデルZX ロックマン・モデルZX 解説 武装ZXバスター通常ショット ダッシュバスター 一段階チャージZXバスター 二段階チャージZXバスター ZXセイバー地上三段斬り 歩き斬り ダッシュ斬り ジャンプ斬り ジャンプ下入れ斬り 壁張り付き斬り チャージZXセイバー 空中回転斬り 備考 特殊能力 解説 モデルZとモデルXのダブルロックオン。 序盤に入手し、バスターとセイバーを使える遠近両用の標準的なモデル。 地上部隊の援助をクリアするとモデルXに代わって使用可能になる。 (隠し要素でモデルXはこのあとも使用可能になる) OISと属性攻撃を持たないが、ライブメタルゲージが存在せず消費無しでチャージ攻撃が使用できる。 武装 デフォルトだとバスターがサブ(R)でセイバーがメイン(Y)になっているが、 メインとサブを入れ換えた方がやりやすいという人や、ダッシュはRの方がいいという人もいる。 せっかくカスタムモードがあるので、自分に合ったキーコンフィグが見つかるまで色々試してみよう。 ZXバスター エネルギー弾を画面上に最大3発まで発射。 立ち・歩き・ダッシュ・ジャンプなどなど、全ての状況で発射可能。 通常ショット 威力値2。 いわゆる豆。歩きながら撃つと高度が少し下がる。 ダッシュバスター 威力値3。 歩きバスターよりもさらに高度が下がる。 一段階チャージZXバスター 威力値:6 若干威力高めのエネルギー弾を発射。 二段階チャージZXバスター 威力値:12×3 周囲に2つの赤い螺旋状のエネルギー弾を伴った青いエネルギー弾を発射する。 (ロックマン・モデルXのダブルチャージバスターニ発目と同じ) フルヒットで36もの威力があるが、 当然、ボスに対しては連鎖値の関係で1ヒット分のダメージしか入らない。 ZXセイバー 状態によってモーションや威力が変わる。 地上三段斬り 威力値:8・8・8 全てバスターでキャンセル可能。微々たる差ではあるが、最も後隙の大きい三段斬りのあとなどに使うのは有効。 二段目以降はモデルOXよりも遅いが、一段目が下まで届く利点はある。 歩き斬り 威力値:6 ゼロと違い、ダッシュでのキャンセルは不可。バスターによるキャンセルは可。 ダッシュ斬り 威力値:10 ジャンプ斬り 威力値:8 ジャンプ下入れ斬り 威力値:10 振りきった後の威力。 ↓押しっぱなしで振り切ったセイバーを着地まで出し続けられる。 ジャンプ斬り後以外にも、空中回転斬りや空中チャージセイバー後でも出せる。 ゼロはセイバー部分にしか判定がなかったため衝突事故が起こりやすかったが、 こちらは真下にも判定があるため、倒しきればぶつからない。 威力という面で、モデルOXに優っている点の一つである。 壁張り付き斬り 威力値:8 ほぼ真横に判定が出る。梯子でも同様。 敵の位置によっては壁蹴りジャンプしてから斬った方が良い場合も。 ゼロと比べると連続での振りが速い。 チャージZXセイバー 威力値:本体10、衝撃波13 基本的に衝撃波を当てるもの。 攻略本には衝撃波の威力が16と書いてあるが間違いである。 かつては威力12と認識されていたが、のちに誤りだと判明。 耐久力18の雑魚をチャージZXセイバー+ダッシュ豆(3ダメージ)+豆(ダメージ2)で ちょうど破壊可能なため、逆算して13だとわかる。 ボス戦では威力が半減されるため、小数点以下切り捨てで ダメージは6しか与えられないので、威力は実質Maxバスターと変わらない。 空中回転斬り 威力値:2×n 「空中で↑+ セイバー」or「空中セイバー二段目」。 連続で攻撃判定が発生するが、一発分の威力は通常の空中セイバーに比べて低い。 連続でヒットし続けるため、ヒット数次第でチャージセイバー並のダメージを与えられるが反面、間合いを誤ると反撃を食らいやすい。 かなり連射が利くが、必死になって連打していると地上セイバーが出てしまうため、結構難しい(1回のジャンプで最高4回を確認)。 イージーモードでは一発あたり威力が+2されているため、絶大な威力を誇る。 (一回のジャンプ中の連続空中回転斬りでボスの体力を1ゲージ以上奪う) 備考 チャージ攻撃はボスに使用した場合はどちらもダメージ量は同じ(6メモリ)だが、雑魚敵に使用した場合は周囲の赤い弾のおかげでチャージバスターのほうが威力が高い。 ロクゼロのゼロと比べるとチャージセイバーからセイバーコンボはつながらなくなったが、チャージショットからセイバー系に限り無敵貫通でつなげることができる。 特殊能力 無し。