約 48,546 件
https://w.atwiki.jp/nekomimi-mirror/pages/223.html
蛇足~はみ出しモノ~ 第3話 「ん~……“つ”で始まる言葉……、そろそろ出尽くしてきたっスね……」 ガタゴトと揺れながら荒れ道を進む、狼国へ行く輸送車の中で、達哉たち三人 はしりとりをしていた。運転手を買収して乗せてもらったはいいが、輸送物資の 中身の主な内容は食料で、暇潰しに使えるものは何も無い。3人はとにかく時間 を持て余していた。 最初の内は、達哉がこれまでの道程で不思議に思った事や、達哉のまだ知らな いこの世界の常識について話したり、そんな事をすればすぐに潰れた。例えば、 いくらそれなりの代金を払ったとはいえ、なんでこの輸送車が二つ返事で密入国 の手助けをしてくれたかとか。そんな話しだ。 それについての答えは、レナ曰く、先日まで滞在していたスラム街を経由する 輸送車は、かなりの高確立で副業を行っているそうなのだ。色々とワケありの客 を、代金と引き換えに外国まで乗せてやるという副業を。まあ、それはかなりの お金を持っている人限定だが、この商売が犬国とそれに隣接する国の間で暗黙の 了解を得ているのだそうで、それがまた薄ら恐ろしいと達哉は思う。 「つ……つ……、そうだ!!『つわり』が残ってたっスね!」 「つわり?おまえはすぐ下ネタに走るわね。……り…、り……」 はじめの方はそうでもなかったが、回数を重ねて残りの語句が少なくなるに連 れて、ガルナの下ネタが際立ってきた。もうすでにあらかたの放送禁止用語は使 い切り、今のはまだ卑猥ではない分マシな方だ。ガルナ曰く、その手の単語の方 が直ぐに思い浮かぶらしいのだが、口に出せるのには達哉も脱帽だ。 レナも達哉と同じように感じているらしく、呆れた表情でガルナに返事をして いる(ガルナと合流してから、レナの呆れた表情を見る機会が5割り増しぐらい した)。次は“り”で始まる言葉だが、ガルナのように下ネタに走ってまで言葉 を繋ぐ事は、レナのプライドが許さない。しかし、自分が連れてきたばかりの新 人である達哉の手前、あっさりと負けてしまうのもやはりリーダーとしてのプラ イドが許さない。 “蛇足”のリーダーとしてのプライドに掛けて、レナは必死に『り』で始ま る言葉を脳内の辞書から探す。その辞書の中身も結構な割合で×印が付けてあり、 ×印の付いていない単語となると、なかなか検索に引っかかってくれない。 「ほらぁ~、レナさん頑張って下さいよ~。僕も応援してますよ?」 「おまえがガルナを『り』攻めしてた所為で、今私が苦労してるのよ」 ニヤニヤした表情でワザとらしく自分を応援する達哉に、レナはピシャリと返 した。さっきまで達哉はガルナに対して、最後が『り』で終わる言葉を使って 攻めていた。だが、しりとりも終盤に近付いて残りの単語が少なくなると、流石 に選んでいる余裕も無くなる。しかしもう『り』で始まる単語などほとんど残っ ておらず、レナは内心での焦りを表面に出さないように努力するだけで精一杯だ。 「ほらほら姐さ~ん。いい加減に負けを認めちゃった方が楽っスよ?」 「五月蝿いわね!……いま考えているところよ。邪魔をしないで」 達哉に続いて自分を煽り立ててきたガルナに、とうとうレナは感嘆符を付けて返 した。普段はポーカーフェイスを貫いているのだが、今は露骨に怒りの表情を露わ にしてガルナを睨み付ける。達哉は『たかがしりとりで何をそんなに……』と考 えてしまうが、レナの真剣な表情と、ガルナの真剣に脅える表情を見てると、なん となくだがそれもアリかと思えてくる。要するに、負けん気の強い人間なのだレナ は。 会ってからまだ1ヶ月ほどしか経っていないが、レナやガルナの人柄はある程度 把握できた。レナなど、最初の内は人間性が捉えられずに苦労した。ガルナの場合 は初対面から自分を曝け出して喋っていたから全然平気だったんだが。…これから 他のメンバーに会いに行くかと思うと気が重くなって仕方ない。どんな曲者が待っ ているのやら。 「レナさん、あんまり待たせてるとタイムオーバーですよ」 「クッ……!!」 達哉は吹き出してしまいそうになるのを、必死に耐えつつレナを急かす。まさか これほどの効果が得られるとは思っても見なかった。ガルナも気持ちは達哉と同様 のようで、レナがそちらを向いていないのを良い事に、指を差して声を出さずに笑 っている。まあ、モーションが大きすぎる所為でバレてしまい、レナに拳骨で殴ら れていたのだが。 それで、とうとうガルナが『つわり』と答えてから、5分ほどが経過しようとし ている。レナもそろそろ諦めればいいと思うのだが、それを言ってしまえばレナの 攻撃対象になりかねない。だからまあ、ガルナと協力してレナを急かしているワケ だ。中々スリリングで、案外しりとりよりも面白いかも知れない。 だが、そんな遊びもとうとう終わりを迎えた。 「…………参ったわ」 「ハハハ、やっと認めましたねレナさん」 達哉には自分の声が、ゲームに出てくるような美形の残酷なボスキャラみたいに なってると思えた。レナと出会ってから、自分が優位に立てる場面など一度だって 無く、妙にハイテンションになってしまう。 ここれまで、レナの後ろに付いて行くだけで精一杯だったのが、今はガルナも加 えての、車に揺られながらの旅。退屈を感じもするが、同時にこの世界に来てから 最も落ち着いた時間を過ごせていると思う。……落ち着き過ぎて、余計な事を考え てしまうのが、難点なのだが。これまでは他の事を考える余裕など無かったお陰で 元の世界の事をあまり考えずに済んだ。だが、こうやって落ち着いていると、考え ずにはいられない。 「タチヤ、勝った割には随分と暗い表情ね」 「えっ……あ、すみません。元の世界の事、考えてて……」 達哉が苦笑いしながらそう返した。今頃、元の世界では大騒ぎになっているだろ う。大学院の院長が自室で刺殺され、その一人息子も行方不明。目下、重要参考人 を警察が捜索中と言うところだろう。華のキャンパスライフをエンジョイしてた筈 が、何処で人生を踏み誤ったんだろう。じっとしていると、今でもペーパーナイフ が肉に食い込む感覚を思い出してしまう。 達哉は深刻な表情をして、無意識の内に右手の親指の爪を噛んだ。いきなり達哉 から溢れ出した深刻なムードのオーラに、レナはともかくガルナは反応しきれずに いる。ガルナは達哉の言葉だけを聞いて場の雰囲気を理解する事も無く、達哉に向 けて慰めの言葉を言った。 「あぁ~、ホームシックってやつっスね。分かるっスよ。 かく言う俺も、よくあるんスよそんなの。 元の国の料理の味とか、忘れられないっスよね。 タチヤの場合はいきなり落ちてきちゃったから、 向こうでも家族が心配してるんスよね……」 珍しくハイテンションではなく、本当に達哉を心配しているような声質でガルナ が言った。だが、“家族”という言葉は、達哉の中に深く突き刺さる。 「……家族とかそんなの……、僕には残ってなかったから」 そう言って力無く項垂れる達哉に向かって、レナは初めて露骨に嫌悪の表情を浮 かべた。だが、それは達哉にもガルナにも見られる事はなく、すぐに消えた。レナ は作り笑いをして、タチヤに言い放った。 「そう……、なら心配は要らないわね。 タチヤがこちらでどんなムチャをしようと、 元の世界に身寄りが無かったら、心配を掛ける事がないわ。 おまえも後腐れ無くこちらの世界で生きれる。良い事尽くしじゃない」 「ッ! 」 レナの言葉に、達哉は顔を上げた。目の前に有るのは、いつのも表情のレナだ。 人をくったような笑みを浮かべ、とても落ち着いた声音で淡々と喋る、いつもの レナ。しかし、達哉にはその表情や態度がなんとなく作り物っぽく感じた。 「……それに、家族が居ないとかそんな問題は、 私達のような仕事をしてる輩には、普通の事よ。 そんな問題で、一々深刻な表情をしていたらきりがないわ。 あなたも“蛇足”に来るのなら、それなりの覚悟をなさい」 今さらだが、達哉は付いて行く相手を間違えたかもと、思案を巡らす。普通この 世界に落ちてきたヒトがどんな扱いを受けるか、それはレナやガルナから話しを聞 いた。街の中で、ヒトが檻に入れられて売られているのも見た。…だが、自分が安 易に選んでしまった道は、思ったよりも大変な世界かも知れない。 しかし…… 「覚悟なら、多分ですが出来てると思いますよ。 それに、レナさんに拾われなきゃ僕は この世界で医者になる事が出来なかった筈だ。 レナさんじゃなきゃ、問答無用で僕を売って、 そんでもって売られた先で奴隷にされて、 医者だったなんて誰も気付かないまま、 寂しい一生を終えてると思います。そんなの嫌ですし」 腐っても、自分は医者を志していた者だ。そう簡単に夢を諦め切れるほど達観し ちゃいないし、21歳の若造にそう簡単に諦めが付く筈も無い。寧ろよく考えれば、 元の世界に居たところで、自分は逮捕されて、一生罪人のレッテルを貼られて生き るしかないだろうし、医者になるのだってダメになるっぽいと思う。 それに比べれば、傭兵集団付きの医者でもかまわない。自分の実力をいかせる立 場に就く事が出来たのだから、文句を言える筋合いはない筈だ。 「おぉ!タチヤってば流石っスね!それでこそ俺の親友っスよ! うんうん……、感動っスね。 まだこちらに来たばかりで、そんなに覚悟できるって凄いと思うっスよ。 ミリーの野郎なんざ行く場所が無いってんで俺たちが拾ってやったのに、 最初の頃はびーびー泣いてたっス。もう五月蝿かった五月蝿かった……」 そのミリーと言うのが誰なのか達哉には分からないので意味は無いが、一応ガル ナは達哉を元気付けようとしているらしい。その期待に応えて、今出来る精一杯の 笑顔を浮かべてやろうと、なんとか笑っている顔を作ろうと達哉は努力する。だが、 思ったよりも気分の切り替えは難しく、達哉が笑顔を浮かべるよりも早く、レナが ガルナの言葉に返した。 「ミリアルドみたいなガキンチョと比べたら、誰だって覚悟のある人間よ。 タチヤはミリアルドと違って大人なんだから、 これくらいの覚悟はしてて貰わないと困るわ」 そんな話しをされては、そのミリアルドとか言うのが誰なのか、気になってしま うではないか、と達哉は思ってしまう。まだ“蛇足”の他のメンバーについての 話しは聞かせてもらってない。レナとガルナから話してこなかったし、聞くタイミ ングも何となく逃してしまい、結局今まで聞かずにいた。だが目の前でそんな話し をされてしまっては、達哉の野次馬根性が黙ってはいない。それに、何か関係の無 い事に話題を移した方が、達哉自身の気分も切り替わって良いと思った。 「その、ミリアルドって言うのは誰なんです? レナさんとガルナ以外の“蛇足”のメンバーですか?」 「ええ、そうよ。うちで一番の甘ったれ」 達哉がそう聞いてすぐ、レナは間髪入れずに即答する。そのあまりの即答に、達 哉は驚いてビクンとした。心なしかレナは不機嫌そうな表情をしている。よっぽど 問題のある相手なのだろうか。達哉はその疑問を口に出さずにいたが、表情には出 ていたようで、ガルナがレナの代わりに答えてくれた。 「鳥人の男の子っスよ。これが中々ナマイキなんスよね。 元々は良いトコのお坊ちゃんで、未だにその時の気分を引きずってて、 無駄にプライドが高くって、悪戯が過ぎるし、 そのクセ案外脆くって、すぐびーびー泣き始めるんスよ。 まあ、慣れちまえば可愛いもんスけど。 それにまあ、こっちがそれを我慢してやるのに見合うだけの能力は、 一応ながら持ち合わせてると思うっスよ」 「ふ~ん…なるほど…」 何となくだがイメージが湧いてくる。中々どうして、ナマイキそうなガキンチョ だ。自分のイメージが本物とどれだけ違うかを楽しみにしつつ、何となく肩の荷が 下りたと思う。自分よりも情けないヤツが居ると思うと、人間やる気が出てくるモ ノだ。 「オルスのオッサンと一緒に仕事に行ってっスけど、 それもそろそろ終わる頃っスし、 案外狼国で鉢合わせできるかも知れないっスね。 それとあぁあ~!!クユラのババァに会いたくない!! でもさっき検問所で、運転手が憲兵にワイロ渡してるところだったっスし、 あと2,3日すればアジトの一番近くにある街に着いちまうっス!!!」 「へえ、そうなん……」 達哉の言葉は、天井に突き刺さったスコッ!と言う音に遮られた。達哉が何事 と慌てている横で、酷く冷静なまま神経を研ぎ澄ませるレナとガルナが居た。そこ ら辺はさすが傭兵だと、達哉は感心する。…で、結局なんの音だったのかと耳を澄 ましていると、さっきの音が雨あられの如く天井に突き刺さる。クユラと言う女性 の話しはまだ聞いてなかったのだが、会話が遮られて未練が残ってしまう。 「ちょ、なんなのコレ!?」 「聞いて分からない?矢が刺さる音だと思うわよ。 ここら辺は小競り合いが続いてて治安が悪いし……、出たようね」 出たって何がさ!と言ってしまいそうにんるのを、達哉は咄嗟に抑え込んだ。も ういつまでもあちらの世界の常識では考えない。出たと言えば…盗賊や何かだろう か。レナと2人旅の時に、一回襲われてたと。その時は相手が数人だったのでレナ が瞬殺してたが、今回は矢の音から察して、かなり大勢がいいそうだ。激しく不安 だ。 「ぐわぁあ!!」 とか思っていると、前の方から悲鳴が聞こえる。そしてその直後、輸送車は両手 に広がる森に突っ込み、ものの見事に横転する。達哉はなんとか頭を庇うような姿 勢を取るが、山積みにされた木箱がこちらに倒れ掛かってくる。だが、とっさに動 いてそれを避ける事など出来る筈も無く、達哉は硬直している。 「ちっ、タチヤのノロマ!」 聞き捨てなら無い言葉と共に、自分の体が強く引っ張られた。口調は違うがレナ の声だ。達哉はレナが怒っているのかと思って不安になってしまう。 達哉が恐怖の所為で閉じてしまった眼を開けるのには、しばらくの時間を必要と した。しかし、目を開けてみると自分は無傷。ガルナは荒い息をしてるが全部避け たようで無傷だ。レナはと言うと…、達哉に降り掛かる木箱を全部叩き飛ばしてく れていたようで、片腕で達哉の服を掴み、もう片方の腕で拳を握って突き出してい た。 だが、それを見た次の瞬間には、達哉の思考は別の事へリープしていた。達哉は 直ぐに立ち上がるとレナの腕を振り払って運転席の方向へ向かおうとする。荷台と 運転席は直結してはいないので、一旦外へ出てからでないといけない。 しかし、外へ出るドアを開けようとする達哉の腕を、ガルナが掴む。 「どうしたんスか。今外に出たら危険スよ!!」 「離してくれ!今の内に応急処置をすれば、 運転手も助かるかも知れない!!早く行かないと!!!」 達哉が初めて激しい剣幕で声を発したのに驚いて、ガルナは手を離してしまう。 その隙に達哉は扉の取っ手を掴んで開けようとする。だが、取っ手が回らない。 (違う……。身体が……、動かない……?) その事実に達哉は愕然とする。どんなに腕に力を込めても、ピクリとも動かない。 腕どころか、指一本、瞼さえもロクに動かせない。何かの威圧感に身体全体を握ら れてしまっているかのような、そんな感覚。 「もうすでに死んでる確立の方が高いわ。 それに、赤の他人を助けて私達に何かメリットがあるの? 少なくとも、タチヤが自分の命を掛けるようなメリットは無いわ」 それだけ言って、レナは達哉に意見でも求めるかのように、「ん?」と顎をくい っとやった。しかし、それは達哉が動けない事、声すらも出せない事を見越しての 行動のようで、意地悪な笑みを浮かべている。そんなレナの態度を肌で感じて、達 哉は瞬間的に怒り狂った。誰かの命を左右されるような状況で、こんな風に笑って られるのが信じられない。 頭の中が、怒りでいっぱいになった時、不意に身体が動いた。 「――ッ!! 」 達哉は、レナの問いに答える時間も惜しく感じ、そのままガチャリと音を立てて 扉を開け、外へと飛び出す。ガルナはさっきの動揺からまだ抜け出しておらず、レ ナもまた、達哉が動くとは思っていなかった所為で、反応が遅れてしまう。慌てて レナも車両の外へ飛び出した頃には、達哉の鼻先数センチを矢が掠めているところ だった。 「ちッ、限度を超えたお人好しめ!」 レナは舌打ちを一つすると、矢の飛んできた方向からの逆算と、辺りから感じる 気配を読む事によって、矢を放った相手の場所を探ろうとする。目を瞑り、耳と髭 で空気の流れ、そして人間の発する気の流れを感じようとする。 すぐに分かった。微かながら呼吸音も聞こえた。レナは腰に下げたホルスターか ら大口径の銃を抜き放つと、そのまま間髪入れずに引き金を引く。薬莢の弾ける音 が辺りに響き、続いて悲鳴が上がる。銃弾で致命傷が与えられるかは微妙だが、そ れなりのダメージを与える事の出来る威力は、十分に持っていた。少なくとも、弓 を引いて矢を放つような事は出来ない筈だ。 レナは依然として辺りを警戒しつつ、すぐに達哉の後を追う。運転席の方へ周る と、レナの予想通りそこには達哉が呆然と立ち尽くしていた。 「やはりね。…ヒトでなくても、人間は脆いのよ。 だから簡単に死ぬし、タチヤのような医者が必要なの。」 「けど……、こんなに簡単に死ぬんじゃ、虚しくて堪りませんよ……」 運転手をしていた犬人の男性は、輸送車が横転した衝撃で生き絶えていた。いく らヒトより頑丈だと言ってもこの程度でしかないのかと、達哉は少しがっかりした 感覚を覚える。だが、すぐにその考えを改めた。レナの言う通りだ。そもそも、脆 いからこそ医者と言う職業が成り立つ。命のあっけなさに虚しさを覚えたとして、 それは単なる達哉の自己満足に過ぎない。 「さ、ガルナを連れてこのまま逃げましょう。 森の中に隠れた盗賊を探しながら戦うのも面倒だし、 輸送車を置いて逃げてしまえば、とりあえず満足する筈よ。 ただの密入国者よりも、積み荷の方があいつ等には大事でしょう?」 「…………うゎッ!? 」 達哉が頭の整理を終わらせて、レナの言葉に答えるよりも早く、達哉はレナに持ち 上げられた。抗議の声を出そうかと達哉はレナの方を向いたが、その声は出さないま まに終わる。何故なら、そのままレナが走り出した事と、さっきまで自分がいたとこ ろに矢が飛んできた事の2つだ。 (思ったよりも立て直しが早いわね。 割と場慣れした盗賊団のようだわ。 ……ガルナはともかくとして、達哉がヤバイかも) ガルナにも、自分の身を自分で守るぐらいの技量はある。だが、達哉はそうもいか ないし、だからといってレナが達哉を守りながら戦っていては、相手の数を減らすの にも時間を食ってしまう。達哉にも、必要最低限の実力は持っておいて貰わなくては 困るな、と溜め息を吐いた。 「さて、どうす…… 」 ――レナさん、足手纏いが居て大変ですわね。 とりあえず3秒後に盗賊さん達に魔法が飛びますわ。 細かな設定が追い付かなくてそこのヒト君もターゲットに入ってしまいますが、 どうか防いであげてくださいまし。―― 言葉を紡ぎ掛けたところで、レナの頭の中に、聞き慣れた声が届いた。しかし、そ の声の主はこの場には居ない筈の人間。“蛇足”に所属する魔術師、クユラの声だ。 コネクト(通信呪文)の類いであろうクユラの声は、レナ意外には聞こえていないら しく、達哉にも声に気付いた素振りは見られない。 レナはクユラの声に従い、動きを止めて達哉を自分の後ろに隠すような位置で、拳 を握って構える。クユラがどの呪文を使おうとしているかは、大体の察しをつけるこ とは出来た。そしてその呪文は何回も使っているところを見たし、完全に防ぐ自身を 持っていた。 「タチヤ、少しビックリするかも知れないわ……」 「……どういう意味でですか?」 『もうとっくにハプニング慣れしてます』と続けたかった達哉だが、そのつづき を言う事は出来なかった。レナが人差し指で天を指しており、その指差す方向へ達哉 が顔を上げると、言葉を失うような光景が待っていた。 「……メラゾーマ?」 達哉の思い付く言葉の中で、それが一番しっくり来るモノだった。レナの指差す先 に見えるのは、そうとしか言い様の無い巨大な炎の塊だったからだ。しかし、達哉は すぐに見解を改める事となった。今度はその炎の塊が弾けたと思えば、無数の小さな 炎となって、バラバラの方向へ飛んでいく。 「えぇと……寧ろヒャダインを炎で実践した感じ?」 などと余裕ある言葉を発する達哉だが、そろそろ自身の身の危険に気付いた。バラ けた炎の内の一つが、達哉とレナの居る場所に向かって真っ直ぐ飛んでくる。スピー ドは矢よりも少し遅く、目立つ光を放っている事もあり、ヒトの動体視力でも捉える 事が出来た。だが、それに体が反応できるかと言うと話しは別で、達哉は一歩も動け ないまま、レナの後ろに隠れている。 しかし、レナも動かないのは何故だろうかと、達哉は疑問に思った。レナは素手で 拳を握って、達哉の前に立ち尽くしている。『逃げろ』と達哉が口にするよりも早 く、レナは達哉を狙う炎の玉に向かってジャンプした。 「はぁッ!」 レナは炎の玉に右ストレートを決める。実体のない魔法である炎の玉にそんなモノ が聞く筈も無いのだが、レナの拳から同時に発せられた、気合のようなものに炎は掻 き消された。レナはストレートの慣性と空中での体重移動を組み合わせ、新体操のよ うな動きをして着地した。 それと同時に、あちこちで苦悶の叫びが聞こえてくる。恐らく、盗賊団たちはこの 炎を避ける事ができずに、まともに喰らってしまったのだろう。達哉は今さっきの炎 に自分が当たっていたらと想像して、冷や汗を流した。 「ガルナ。もういいわ。そろそろ出てきなさい。 それにクユラも。何故ここに来てたかは知らないけど、 来てくれたなら姿くらい見せないと、リーダーに対して失礼じゃない?」 レナは輸送車の貨物庫をドンドンと叩いてガルナを呼び、その後さっきの魔法の主 を呼んだ。確かアジトに待機してた筈なのだが、何故ここまで来ていたのか聞かなく てはならない。 ガルナが未だにビクビクしながら貨物庫から顔を出し、辺りを見回しながらレナと 達哉の方向へ歩いてくる。達哉はその姿がおかしくて、少し吹き出してしまった。そ れにガルナは『プンスカ』と言う擬音を背後に浮かべつつ、酷いじゃないかと目で訴 えかけている。達哉がそれにゴメンと返していると、いきなりガルナの表情が凍り付 いた。 「…ガルナ、どうしたの?」 「タチヤ、後ろ!!後ろを見るっスよ!!! 」 達哉はガルナの脅えかたを不審に思いつつも、言われた通りに振り返った。 「まあ、なんですかその脅えかたは。 貴方にはわたくしがそんなに恐ろしく見えまして? ……こちらの貴方は、そうは思いませんわよね……?」 「だだだだ、誰ですか君はーーー!!? 」 達哉は、ただひたすらに驚いた。いつの間に近寄られたかも分からないし、ガルナに 言われて振り返るまで、その存在に気付く事も出来なかった。見ず知らずの女性が唐突 に登場した事に、防衛本能が作用した達哉は慌てて後ずさりする。 荒れた息を落ち着かせて初めて気が付いたが、目の前の女性はとんでもない美女だっ た。ブロンドの金髪は肩まで伸び、その金髪から突き出たネコミミが愛らしい。そして その外見年齢は15,6歳ほど。レナとは違う、この世界ではマダラと呼ばれる形態の 持ち主で、ヒトでも羨むような艶やかな肌の持ち主だ。 「あら、レナさんから聞いてません事? わたくしはクユラと言いますの。 “蛇足”に所属する魔術師ですわ。以後お見知りお気を」 達哉は自分の耳を疑いたくなった。こんなに可憐な印象を受ける相手が、レナやガル ナと同じく傭兵だと言うのだから信じられない。レナのような女傑の雰囲気は持ち合わ せず、ただただ女性としての美しさや気品が際立っている。 だが、魔術師と言う言葉を聞いて、達哉は先ほどの炎を思い出した。 「魔術師なら、さっきの炎は君が……?」 「ええ、そうでしてよ。怖い思いをさせてすみません。 貴方の波長はまだ知りませんので、 追尾するターゲットから外せませんでしたの。 でも、山火事を起こすわけにも行かなくて威力は抑えていましたし、 レナさんなら簡単に掻き消す事が出来ると思っていましたわ」 クユラにそう言われて、ようやく達哉は謎が解けた気がした。だが、一つ腑に落ちな い事がある。レナは炎の塊が現われるよりも早く、達哉を自分の後ろに隠して炎が向か ってくるのを待っていた。その理由が分からずに、達哉は考え込む。 だが、それもクユラの助けですぐに解けた。 ――理由はこれですわ。簡単なコネクトの呪文ですの。 「え……、コネクト?」 頭の中に直接響いてくるクユラの言葉に、達哉は多少途惑いながら返す。 「簡単な通信呪文ですわ。 こちらの伝えたい事を相手に伝える呪文ですの。 わたくしの方から出来るのは発信だけで、 貴方にできるのも受信だけですが、 それ以外の方には分かりませんし、中々役に立つ呪文でしてよ まあ、遠くから呼び掛けて成功させるには、 その相手の波長を知っていなくてはいけないのですが」 「……あ、説明ありがとう」 実は、クユラの説明を達哉は半分も聞いていない。話す度にピクピク動く耳とか、ゆら ゆら動いている尻尾とか、時折見せる笑顔とか、その時に見える白い歯とか、クユラの姿 に見とれてしまい、説明を聞くどころの話しではない。 達哉がポヤンとした目でクユラを見続けていると、レナが割って入ってくる。 「それで、何でおまえがここに居たのか、まだ聞いてなかったわね。 クユラ、そこを教えてくれないかしら」 「レナさんとガルナさんの帰りが予定より後れてましたので、 わたくしが様子を見てくる事になりましたの。 でも、その理由が今分かりましたわ。そのヒトですね。 それにしてもレナさん、私が話しているところに割ってはいるとは、 レナさんは自分の奴隷が私に見とれてるものですから、 嫉妬をしてらしたのですか? 平気でしてよ。レナさんの所有物に手を出すほど飢えていません」 この会話で、達哉の中の可憐なクユラ像が吹き飛んだ。耳を塞いでしまいたい衝動に駆 られるが、それはただの現実逃避であって、今後の為にも今ショックを受けておいた方が 良さそうだと思う。 「いえ、タチヤは医者なの。だから奴隷ではないわ。 首輪をつけてるのも、あくまで表面上の問題よ。 クユラのように五百歳を過ぎてれば、 テンプレートな事しか思い浮かばないのね」 達哉のショックは更に深いモノとなる。あのクユラが五百歳過ぎだとは、誰が予想しえ るだろうか、少なくとも達哉にはこれっぽっちも分からなかった。 更なるショックを受けたくないと言う自分の気持ちに逆らう事が出来ずに、女性2人か ら目を背ければ、ガルナが思いやりに満ちた目で達哉を見ていた。それは、自分と同じ苦 しみを味わった相手への同族意識からくるものだった。 「ガルナ……、僕は、まだ信じられないよ……」 「気にする事ないっスよ、タチヤ……。 俺だって最初は信じられなかったっス。 でも、この苦しみを乗り越えてこそ、“蛇足”の一員っスよ」 「分かってる。この経験はこれからに役立てて行くよ……」 女性同士の醜いトークをBGMに、ガルナと達哉の友情は更に根深いモノになった。そ んな場違いのコメディを繰り広げる4人だが、次の街への道のりはまだ長い。輸送車のエ ンジンが完全に壊れてしまっている事を知った時の4人の表情は、随分と暗いモノだった。 第3話 完
https://w.atwiki.jp/tarowa/pages/380.html
Dear you ◆.WX8NmkbZ6 不幸は連鎖するもの。 一度続き始めるとなかなか抜け出せない。 そこから抜け出すには、運や人の助けといった他力本願な物だけでは到底足りない。 自分でももっともっと努力しなければ。 それも本当の本当に精一杯。 そこまでしてやっと掴めるのが、幸せ。 ましてこれは『バトルロワイアル』――人を不幸にするゲームなのだから。 ▽ 竜宮レナと蒼嶋駿朔はF―10の市街地を探索していた。 岸辺の障害物に身を隠し、体を休めながらC.C.とヴァンを待つ事数時間。 待てど暮らせど彼らは現れない。 シャドームーンから逃げる際、レナ達よりも後ろにいた彼らの様子は分からなかった。 逃げ切れなかったのではないかと不安が胸を締め付けるが、レナは信じる。 彼らはきっと無事で、また会える。 何らかの事情でこちらへ来る手段がなくなってしまっただけなのだろうと、レナは結論付けた。 放送の時間が近付く中、レナと蒼嶋は岸辺を後にする。 じっとしていては何も始まらないし、彼らとて対岸で新しい行動を起こしているに違いないからだ。 状況が落ち着くと、園崎魅音や北条沙都子、悟史を失った事実を改めて突き付けられて苦しくなる。 しかしレナは泣かなかった。 きっと前原圭一や園崎詩音もこの殺し合いに抗って勇敢に戦っている。 それならレナも、いつまでも涙を見せてはいられない。 泣くべき時に泣くだけ泣いた。 蒼嶋から譲り受けた、手に良く馴染む鉈を握り締めてレナは前を見据える。 そして後回しにしていた案件に目を向けた。 マップの東端に移動してからずっと同行している蒼嶋の事だ。 初めて会った時、蒼嶋は饒舌だった。 元気が良くて、人懐っこくて、年上ながらどこか圭一に似ているとも思える。 現在は対照的にほとんど喋らない。 喋っても口からは自棄になった言葉ばかりが出る。 それが同行者だった千草貴子を失った故だという事は明らかだった。 レナはこの状態を何とかしたくとも、他人が口出し出来る問題ではないとしてこれまではそっとしておいた。 けれど、もう限界だ。 今は殺し合いの最中で、このままでは敵に襲われても満足に対処出来ないだろう。 何より今の彼の姿は、千草に対して失礼だと思えてならなかった。 千草に報いる為にも、レナは彼に掛ける言葉を考え始める。 蒼嶋と共に移動しながら、レナは乾いた血の池と遺体の残骸を見付けた。 吐き気を催し、後藤の「食事はする」という言葉を思い出す。 しかし触れる事に躊躇うレナに対し、彼は淡々とその傍に落ちていたバッグを拾った。 また近くにあった大砲のような物を検分してそれが使えないと判断すると、レナに「行こうぜ」と促す。 彼の目はとても、乾いていた。 「……蒼嶋さん」 「何だよ。弔ってやってる余裕なんてないぜ? 何てったってちぃちゃんを置き去りにするぐらいだから」 「蒼嶋さんッ!!」 自暴自棄になる蒼嶋に対し強く言うと、息を整える。 「タメ口でいいよ、ちぃちゃんもそうだったから」と投げ捨てるように言った彼の言葉に従って、敬語は使わずに言う。 「今の蒼嶋さん、とってもかっこ悪いよ? 何でもかんでも諦めたフリをして、それがかっこいいと思ってるんだったら、それは勘違いかな、かな」 「……分かってるよ、言われなくたって」 「分かってない」 きっぱりと蒼嶋を否定する。 確信がなければ断言しない。 確信があるからこそ言い切る。 今の彼は、自分の状態を分かっていないのだ。 「そんな落ち込み方するぐらいなら、かっこつけずに一度泣くとか、大声を上げるとかしたらいいんじゃないかな、かな? レナもそうだったけど、少しはすっきりするよ。 周りに人はいないみたいだし」 千草の死の原因の一端はレナにあり、レナはそれを認めている。 申し訳なく思うし、悲しいと思う。 しかしレナに蒼嶋を甘やかすつもりはない。 だから子供っぽく、彼の神経を逆撫でするような言葉をあえて選んでぶつける。 彼は深く深く息を吐き、時間を掛けて返した。 「泣かないんじゃなくて、泣けないんだよ」 「それはレナの前だから恥ずかしいのかな? だったらレナは向こうを向いてるよ」 ようやく現れた蒼嶋の感情の吐露に、レナは変わらず子供っぽくしながらも真剣に答える。 彼と言葉を交わす機会が大してあった訳ではないが、相手の本音を引き出す事は出来る。 感情の機微を読む事に長け、表情の僅かな陰りからも心中を察する事が出来る。 かつてそれが出来なかった為に大切な物を失ったレナだからこそ、可能なのだ。 だからレナは、蒼嶋が続けた言葉を許さなかった。 「悲しくないんだよ。 放送でどんだけ人が死んだって、ちぃちゃんが死んだって、俺は平気なんだ」 「嘘だッ!!!!!!」 レナはこの殺し合いに放り込まれてから初めて激情を露わにした。 それはヴァン達と出会ったばかりの頃、彼らが殺し合いに加担していると勘違いしてぶつけた感情よりも更に激しい。 突然の豹変に蒼嶋が気圧されているのにも構わず、レナは続ける。 「蒼嶋さんは嘘を吐いているよ!! 悲しくないなんて嘘、平気なのも嘘、全部嘘ッ!!!」 レナはガン、と民家の外壁に鉈を叩き付ける。 蒼嶋が本当にそんな勘違いをしているのだとしたら、レナには許せなかった。 「……何でそんな事、レナに分かるんだよ」 「だって蒼嶋さんは優しい人だから」 助けを求めて来た見ず知らずの参加者の為に、蒼嶋と千草は迷いなく手を差し伸べてくれた。 今投げやりになっているのは、優しさ故だ。 千草の死はレナのせいだと責める事も出来るのにそれをせず、自分自身を責めてしまう優しい人間なのだ。 同行者の死を目の当たりにして、その感情の奔流が大き過ぎて持て余している。 レナにはそれが分かっているからこそ、厳しい言葉を使ってでも彼にもう一度立ち上がって貰いたかった。 間違えないで欲しい。 蒼嶋は冷たくなどない。 そうでなければどうして千草は死の間際に、あんなに穏やかな表情を浮かべられただろう。 レナには後悔がある。 努力をしていれば壊れなかったかも知れない家庭。 止められたかも知れない母の浮気と離婚。 不幸を回避する為の何かの選択肢を選べる機会があったはずなのに、レナはそれを見過ごした。 だから二度と見過ごさない――今がその時だ。 不幸を回避する為の選択をする力は、きっと誰にでもある。 「俺の事、いい方に取り過ぎなんじゃねえの?」 「そんな事ないよ。 千草さんだって言ってたよ、蒼嶋さんは英雄だって」 蒼嶋が歩き出し、レナがそれに続く。 「弔ってる暇はない」という彼の言葉は正論で、バッグの持ち主に心中で謝罪した。 先を歩く彼の表情は、レナには見えない。 「……それこそ買い被り過ぎだ。 白髪のオニーサンにはフルボッコにされるし、弱音吐くし、銀色の奴にまたフルボッコにされるし、いいとこねえよ。 俺が英雄ならヤムチャでも英雄になれるぜ」 「自分に出来る事が少なくて、落胆しかけているのかも知れないけど……弱音を吐くのは恥ずかしい事じゃないよ。 それに蒼嶋さんは確かに負けちゃったけど、それは逃げずに戦ったから。 逃げてたら、負けてすらいないんじゃないかな、かな」 千草が東條に向かって叫んだ言葉を思い出しながら、レナは言う。 慰めというよりは、諭すように。 それでも蒼嶋の抱える沈鬱な空気は晴れなかった。 「……レナはどうしたいんだよ。 俺の事、泣かしたいわけ? せんせー、レナちゃんがシュン君のこと泣かそうとしてまーす」 「蒼嶋さんは泣くのが下手みたいだから、教えてあげてるだけだよ。 自分で切り替えられる人だったり本当に悲しくなさそうだったりしたら、放っておくし」 遊園地を遠くに望みながら、蒼嶋の足取りは重い。 レナはその歩調に合わせて歩く。 背を向ける彼は吐く息全てが溜め息に変わってしまいそうな様子だった。 そしてポツリポツリと並べるように、彼は言う。 クラスメートを散々殺している。 一緒に戦ったアキラの事も見捨てた。 だから今更、この程度の事で悲しいわけがない。 レナにここまで言われても未だに涙一滴出ないのがその証拠。 ちぃちゃんに受け入れて貰えた時は泣いた。 なのに死んだちぃちゃんの為には泣けない、最低の男だ。 それらはどこか言い訳がましかった。 レナはその一つ一つに頷いた上で、蒼嶋の言葉が途切れるのに合わせて答える。 「うん、蒼嶋さんって泣くのは下手なのに、自分を卑下する理由を見付けるのは凄く上手だね」 ぶっきらぼうな口調とは対照的に冷静さを兼ね備えた蒼嶋は、今が泣いていられる状況でない事を知っている。 そして何より千草を助けられなかった己を許せず、泣く資格がないのだと思い込んでいる。 だから彼は泣かない。 それらの理由に気付けずに、自分を貶める言葉を探している。 確かに蒼嶋には冷静さがあって、荒事に慣れていて、人との離別を既に経験していて、戦う為の特別な力を持っている。 けれど彼はまだ高校生で、レナとさして年齢は変わらない。 精神的にも肉体的にも強くとも、まだ子供だ。 痛いものは痛いし、悲しい事は悲しいし、苦しい時は苦しい。 痩せ我慢にだって限界はある。 だから――彼一人で抱え込む事はない。 レナも蒼嶋も子供だけれど、二人でならきっと前に進める。 「今は泣いたっていいと思うよ、蒼嶋さん。 クラスメートの人達の事も、アキラっていう人の事も、千草さんの事も。 誰も怒らないし、見ていないから」 「……」 黙した蒼嶋の背は、これまでに抱えて来た悲しみで崩れ落ちそうだった。 「ねぇ、千草さんの事は好きだった?」 「っそ、んなんじゃねえーよ! 何でもかんでも愛とか恋とかガキか! 馬鹿! 馬ー鹿!! 馬――――鹿!!!」 寝耳に水だったようで、レナの方へ振り返った蒼嶋が感情的になって怒った。 しかしレナとて本気で二人の間に恋愛感情があったと思っている訳ではない。 会場に来た直後に出会ったとは聞くが、それでも一緒にいたのは数時間。 しかも殺し合いの最中で、そんな感情を抱いている余裕があるはずがない。 それでも二人の間にはただの同行者以上の絆があったと思うから、聞くのだ。 レナを暫し非難した後、蒼嶋は肩を落としてうなだれる。 自分の意志を表すのふさわしい台詞が分からなかったようで、口を開くまでに歩数にして二十歩ほどかかった。 「……尊敬、してたよ。 ちぃちゃんかっこよくてさ……白髪のおにーさんとか、東條とか、勝てっこねえのに啖呵切るんだぜ。 俺なんかじゃ、足下にも及ばねえ」 「そうだね、すっごくかっこよかった」 「……助け、たかったなあ」 「うん……助けられなかったのはとても悔しいし、悲しい。 レナでもそうなんだから、ずっと一緒にいた蒼嶋さんはもっとだよね」 「…………ちくしょう」 蒼嶋は膝を着いて、拳を地面に叩き付けた。 その拳は、千草を失った直後に握った拳。 ぶつける場所を見付けられないままになっていた拳だ。 しかしガーディアンの手を借りていない上に消耗し切った彼の力では、コンクリートに傷一つ付かない。 「うおぉぉぉぉぉぉおおおおおああああああああああああああああああ!!!!!」 蒼嶋は空に向かって叫んだ。 喉が枯れて声が出なくなるまで、慟哭が響く。 彼が泣いているのかは、レナからは見えなかった。 「……馬鹿みたいだな、俺」 座り込んだまま、掠れた声で蒼嶋が言う。 レナの方を向いたその顔は、少しだけ気が晴れたようだった。 「蒼嶋さんは馬鹿じゃないよ。 でも馬鹿の方が日々が楽しいかも知れないし、その方がいい時だってある。 だからもっと、馬鹿でいいと思う。今だけでもね」 レナも蒼嶋の言う『馬鹿』とは違う意味でだが、蒼嶋は馬鹿だと思う。 他人が困っていれば見て見ぬフリをすればいいし、失くしたものの事なんてすぐに忘れてしまえばいい。 もっと楽な生き方は幾らでもある。 それが出来ない蒼嶋だからこそ、千草は彼を『英雄』と呼んだのだろう。 けれど、二十四時間英雄でいるのは疲れてしまう。 だから今だけでも、馬鹿であって欲しい。 苦しい事や悲しい事で押し潰されてしまわないように。 「もう大丈夫……かな、かな」 「ああ、これ以上ウダウダ言ってたらちぃちゃんにぶっ飛ばされそうだしな。 だけど……どんな顔していいのか分からねえや」 「嘘でも笑おう、蒼嶋さん。 蒼嶋さんはきっと、嘘でも笑顔が作れる強い人だから。 最初は例え嘘でもね? 笑顔って、最後には本物になるんだよ」 「マジで? 本当だったらすげえな、それ」 そう言って蒼嶋はぎこちなく苦笑した。 それは嘘の笑顔に違いないけれど、きっと本当の笑顔への一歩になる。 「それで蒼嶋さん、お願いがあるんだけど聞いて貰えるかな? かな?」 「何だよ?」 「力を貸して欲しい」 真剣に、蒼嶋と見詰め合う。 己の出来る事の少なさに、今の彼は打ちのめされているかも知れない。 けれどレナに出来る事はもっと少ない。 誰かの助けなしにはこの場を生き残れない。 一人では戦えない、困難に立ち向かえない。 仲間を、戦いに抗っている人達を助けられない。 「私はここから帰りたい。 ヴァンさんやC.C.さんや、圭一君やしぃちゃんや、ここで頑張っている人達みんなと一緒に」 「……すっげえ欲張りだな」 「はぅ~……それでもレナは、幸せになりたい。 幸せになる為の努力を惜しみたくない。 だから欲張れるだけ欲張るし、頑張れるだけ頑張るよ」 昨日も今日も楽しかった。 きっと明日だって楽しい。 そう思いながら日々を過ごしてきた。 けれどそんな幸せな日々が有限である事をレナは知っている。 転ぶ時はどんなに注意していても転ぶ。 だからいつ転んでもいいように、思い切り今を楽しむのが正解。 そう思っていたからこそ、いつ世界が崩壊してもいいように、一日一日を精一杯幸せに生きた。 かといって、訪れた世界の崩壊をただ漫然と受け入れていいはずがない。 自分なりに頑張って、幸せを掴み取る為に努力をしなければならない。 頑張って生き抜かなければならない。 人に許される努力の限りを尽くして、ここから帰らなければならない。 誰にだって幸せに過ごす権利があるからだ。 不幸の星の下などという言葉は、幸せになる為の努力をさぼる者の言い訳に過ぎない。 今日までの楽しかった事で心を満たす。 雛見沢での日々は、例え部活がお流れになった退屈な日でも、どの一日だってかけがえのない大切で素敵な、幸せな一日だった。 そして明日や明後日のもっと楽しい事で夢を膨らます。 例えそこに魅音や沙都子や悟史がいなくても。 心を満たし、夢を膨らまし、それらを胸に現実と向き合う。 不幸な運命に、屈しない。 絶対に失われた時間を取り戻し、元の幸せな日々を。 幸せな日々である事を忘れてしまうくらいに、幸せを飽食出来る日々を取り返す。 例えそこに魅音や沙都子や悟史がいなくても。 そうしなければならない。 “いや”な事を全部忘れてしまう為の、“レナ”なのだから。 “レナ”は“いや”な事に、屈しない。 「……本当に、俺の近くにいる中坊女子ってこんなんばっかだな」 「はぅ~、それって誉めてるのかな? かな?」 「誉めてるよ、俺に出来る最大級の賛辞だぜ」 そこで言葉を切ると蒼嶋は表情を引き締めた。 「俺からもお願いがあるんだけど」 「何かな? かな?」 「俺……弱いからさ。 一人じゃ何にも出来ない……ハザマと戦った時だってそうだった。 仲間の力が必要なんだ。 だから……ブイツーって奴をぶっ飛ばすの、手伝ってくれるか?」 それを聞いて、レナは微笑んで蒼嶋に手を差し出す。 蒼嶋は神妙な面持ちを少しだけ崩して笑い、レナの手を取って立ち上がった。 彼の笑顔はやはり引き攣っていて、無理をしているのが分かる。 恐らくレナ自身の顔もまた、鏡を見れば似たような表情になっているのだろう。 しかし、それでも構わない。 嘘だとしても、この笑顔が必ず実を結ぶと信じている。 【一日目昼/ F-10 市街地】 【竜宮レナ@ひぐらしのなく頃に(ゲーム)】 [装備]:鉈@ひぐらしのなく頃に [所持品]:支給品一式、インスタントカメラ(数枚消費)@現実、空飛ぶホウキ@ヴィオラートのアトリエ、真紅の下半身@ローゼンメイデン [状態]:疲労(小)、悲しみ [思考・行動] 1:圭一、詩音、C.C.、ヴァンと合流する。 2:蒼嶋と同行する。 3:翠星石と蒼星石も探す。 4:水銀燈、後藤、シャドームーン、縁を警戒。 [備考] ※この会場の西端と東端、北端と南端は繋がっています。 どこかの端からエリア外に出ると、逆の端の対応する位置へとワープします。 ※ギアス、コードについて一定の理解を得ました。 【蒼嶋駿朔(男主人公)@真女神転生if…】 [装備] ブラフマーストラ@真女神転生if… [支給品] 支給品一式×3、どんと来い超常現象全巻セット(なぜベストを尽くさないのか付)@TRICK、スイカ(残り4玉)@スクライド、 庭師の鋏@ローゼンメイデン、織田のバイオリン@バトルロワイアル、未確認支給品(0~1)、秘密バッグ@ヴィオラートのアトリエ [状態] 各部に裂傷、疲労(中)、全身打撲 [思考・行動] 基本 ブイツーだかなんだか知らんがムカつく野郎はぶっ飛ばす。 0 ちぃちゃん……。 1 狭間は相変わらずの様子ならもう一回ぶっ飛ばす、つーか刺す。 2 一緒にブイツーだかをぶっ飛ばす仲間を集める。 3:レナと同行する。 [備考] ※千草が小病院でアイテムを調達しました。内容は後続の書き手氏にお任せします。 時系列順で読む Back 拗れる偶然 Next 惑いのフレイムヘイズ 投下順で読む Back 拗れる偶然 Next 惑いのフレイムヘイズ 104 Calling 竜宮レナ 138 It was end of world(前編) 蒼嶋駿朔
https://w.atwiki.jp/shineoflife/pages/187.html
クロ「できたぞー」 エレン「やったー‼‼‼‼‼‼‼‼‼」 レナ「うるさい‼‼‼‼‼」 夏希「半年ぶりだ・・・おいしそう」 クロ「なぁ、おかしくないか?」 レナ「ええ、私も思ってた」 夏希「はい・・・私も」 翔平「そうだな・・・皿が半年前と違う」 レナ「んなことどうでもいいでしょ‼‼‼‼‼‼‼‼‼」 クロ「どうでもよくねえよ、まぁそれはともかく、竜が帰ってこないな」 夏希「ですね・・・」 レナ「どうでもよくないの?」 クロ「料理はまず視覚からだ、皿も重要なんだよ」 翔平「あー・・・竜いないな・・・」 レナ「気づくの遅っ‼‼‼‼」 翔平「まーあいつは放っておいても死なないだろ・・・」 クロ「そりゃそうだけどさぁ・・・」 翔平「明日の朝になっても帰ってこなけりゃ探しに行く、それでいいっしょ」 エレン「・・・・・・モグモグモグ・・・」 夏希「急いで食べすぎでは?」 エレン「んまい‼‼‼‼おかわり‼‼‼‼」 クロ「ゆっくり味わって食え‼‼‼‼‼‼‼‼」 翌朝 クロ「かえって来ないな・・・あのバカ」 翔平「お前探知できないのか?」 クロ「俺の探知できる範囲内にはいない、まぁ出来る限り動いて探してはみるがな」 レナ「連れ去られた可能性も考えられるよね」 翔平「竜ほどの実力だとはいえ、相手がプロなら可能性あるな」 夏希「どう・・・動きます?」 クロ「レナ、俺と来い・・・それがバランスがいいだろ」 エレン「じゃー俺と翔平と夏希か?」 翔平「そうだろうな、行くぞ」 クロ「・・・ダメだ、わからん」 レナ「どうする?」 クロ「今のところ手がかりが何もない、走って探す以外に方法がない」 レナ「まぁそうよね・・・恐ろしく原始的だけど」 クロ「まぁな・・・仕方ない」 プシュッ‼‼‼‼‼‼‼‼‼ クロ「ち、なんだこの煙‼‼‼‼」 レナ「ちょっ・・・え‼‼‼‼?」 クロ「おいレナ‼‼どうした‼‼‼‼」 レナ「う・・・」 クロ「くっそ・・・この煙幕・・・意識を奪われるのか」 バッ クロ「ち・・・待てコラ‼‼‼‼」 翔平「んー・・・全然わかんない」 エレン「全く痕跡がないなぁ・・・」 夏希「山の方ですかね?」 翔平「さー、まぁ行ってみるか」 プルルルルルルルルルル・・・・・・ 夏希「はい・・・クロさん?」 クロ「すまん、レナを連れて行かれた‼‼‼‼」 夏希「えっと・・・それはどういう・・・」 クロ「状況を細かく話している時間と余裕はない、俺の探知できるギリギリの範囲まで遠ざかってる」 夏希「とりあえず私たちも・・・」 クロ「いや、俺一人で何とかする、お前らはあのバカ探しといてくれ」 夏希「ダメです‼‼‼‼」 エレン「・・・どうした?」 翔平「夏希?」 夏希「・・・私たちもすぐに向かいます、合流させて下さい」 クロ「分かった、おそらく山へ向かってるからおおまかに進んでくれ」 夏希「はい」 クロ「んな・・・うおおおおおおおおおお‼‼‼‼‼‼‼‼」 夏希「クロさん‼‼‼‼」 エレン「どうしたクロ‼‼‼‼?」 翔平「・・・どうしたんだろうな」 夏希「切れちゃいましたね・・・」 翔平「急ぐぞ‼‼‼‼‼‼‼‼」 クロ「あー・・・ドラム缶大量にバラ撒かれた・・・」 夏希「大丈夫ですか‼‼‼‼?」 クロ「おぉ、早かったな」 翔平「たまたま近くにいたんだろう」 クロ「すまん・・・しばらく意識を失ってたんだな・・・見失った」 エレン「なんか手がかりないのか?」 クロ「んん・・・ひとまず山へ向かおう、何か分かるかもしれない」 レナ「何なのよ‼‼‼‼‼‼‼‼」 人攫い「あんた自体に大した興味ないのよ・・・興味あるのはあんたの一味」 人攫い「いや、これだけかわいいといい値段で売れるかもよ?」 レナ「あんた達・・・何者?」 人攫い「俺らはプロの人攫いだ」 人攫い「悪いけど、ほかの一味のこと・・・話してもらおうか、そうすれば賞金首でもないお前は離してやる」 レナ「言えない・・・」 人攫い「やっぱ、一筋縄じゃいかないか」 ゴッ‼‼‼‼‼‼‼‼‼ レナ「ぐ・・・」 人攫い「少々・・・手荒くするしかないな」 人攫い「さすがは今話題の一味、ここまでやって落ちなかった奴はそういない」 レナ「ハァ・・・ハァ・・・」 人攫い「こいつは処女のまま売りに出すべきだ、力ずくで吐いてもらうか」 人攫い「だな」 15分後 レナ「うう・・・ハァ・・・」 人攫い「ここまでされても吐かないとは・・・」 人攫い「どうする?」 人攫い「ま、続けるしかないっしょ」 ダッ 人攫い「・・・だれだ?」 夏希「レナ‼‼‼‼」 レナ「ハァ・・・ハァ・・・夏・・・希?」 人攫い「こいつ・・・上野夏希か?」 人攫い「・・・ちょうどいい、こいつも裏社会じゃかなり高額で売れる」 夏希「人攫い・・・」 ヒュッ 人攫い「こっちこっち」 夏希「‼‼‼‼」 ガッ‼‼‼‼‼‼‼‼‼ 人攫い「腕力なら俺のほうが上よ」 ボコッ‼‼‼‼‼‼‼‼‼ 夏希「う・・・」 人攫い「2vs1ってことも忘れるなよ」 夏希「く」 ガッ 人攫い「正面から撃ち合うだけじゃ・・・意味ないぜ」 ボコッ‼‼‼‼‼‼‼‼‼ 夏希「う・・・」 人攫い「他の一味連れてくれば勝負にはなったかもな」 人攫い「ならねーよ」 夏希「それは・・・どうでしょうね」 ドサッ 人攫い「ど・・・どうした‼‼?」 人攫い「分からん・・・意識・・・が・・・」 人攫い「貴様・・・何をし・・・た・・・」 ドサッ
https://w.atwiki.jp/dbrpalpha/pages/4428.html
2024年03月21日21時00分のカオスバトル キャラ名 作者 体力 TYPE LIFE 勝利数 クワイエット そこら辺のただのヒトミミ 10 速攻重視 1 2 ハツネ&シオリ Donald-2nd-R 10 堅守高速 1 0 ファイヤー(ガラル) P 19 攻防強化 1 0 レナ iPhone 19 スピード 1 0 第3066回C-BR杯がスタートです! 現在クワイエットがタイトルを1回防衛しています! 挑戦者がタイトルを奪取するのか、チャンピオンが防衛記録を伸ばすのか!? クワイエットの攻撃!(命中率95%/会心率5%) クワイエット、痛烈な一撃!!! クワイエット 「...(狙撃)」 ハツネ&シオリに7のダメージをあたえた!! ハツネ&シオリの防御 が25ダウンした!! ハツネ&シオリ 「シオリ「張り切ってるね!」 残り体力( クワイエット 10 , ハツネ&シオリ 3 , ファイヤー(ガラル) 19 , レナ 19 ) レナの攻撃!(命中率95%/会心率5%) レナ 「いくわよ!ブラスト!」 ファイヤー(ガラル)に1のダメージをあたえた!! ファイヤー(ガラル) 「!?」 残り体力( クワイエット 10 , ハツネ&シオリ 3 , ファイヤー(ガラル) 18 , レナ 19 ) ハツネ&シオリの攻撃!(命中率95%/ユニオンバースト率9%) ハツネ&シオリ 「ハツネ「私達のコンビネーションです!(スターライトシュート)」 ファイヤー(ガラル)に1のダメージをあたえた!! ファイヤー(ガラル) 「!?」 残り体力( クワイエット 10 , ハツネ&シオリ 3 , ファイヤー(ガラル) 17 , レナ 19 ) ファイヤー(ガラル)の攻撃!(命中率48%/会心率5%) ファイヤー(ガラル) 「我がオーラで心身共々燃え尽きるがいい!」 レナに5のダメージをあたえた!! レナ 「きゃあっ!」 残り体力( クワイエット 10 , ハツネ&シオリ 3 , ファイヤー(ガラル) 17 , レナ 14 ) クワイエットの攻撃!(命中率95%/会心率10%) クワイエット 「...(狙撃)」 ハツネ&シオリに15のダメージをあたえた!!←しゅ、集中砲火... 残り体力( クワイエット 10 , ハツネ&シオリ -12 , ファイヤー(ガラル) 17 , レナ 14 ) ハツネ&シオリのLIFEは0になった! ハツネ&シオリ!どうしたんだ!ハツネ&シオリ!ハツネ&シオリ!! ハツネ&シオリ 「ハツネ「お姉ちゃんもう限界...」シオリ「そんな、ごめんねお姉ちゃん...」 レナの攻撃!(命中率95%/会心率6%) レナ 「いくわよ!ブラスト!」 ファイヤー(ガラル)に2のダメージをあたえた!! ファイヤー(ガラル) 「!?」 残り体力( クワイエット 10 , ファイヤー(ガラル) 15 , レナ 14 ) ファイヤー(ガラル)の攻撃!(命中率51%/会心率7%) ファイヤー(ガラル)、会心の一撃!!! ファイヤー(ガラル) 「ファイヤーのもえあがるいかり!」 レナに40のダメージをあたえた!! 残り体力( クワイエット 10 , ファイヤー(ガラル) 15 , レナ -26 ) レナのLIFEは0になった! レナは たおれた! レナ 「やめてよほんと」 クワイエットの攻撃!(命中率95%/会心率16%) クワイエット、痛烈な一撃!!! クワイエット 「...(狙撃)」 ファイヤー(ガラル)に13のダメージをあたえた!! ファイヤー(ガラル)の防御 が9ダウンした!! ファイヤー(ガラル) 「!?」 残り体力( クワイエット 10 , ファイヤー(ガラル) 2 ) ファイヤー(ガラル)の攻撃!(命中率58%/会心率27%) ファイヤー(ガラル) 「我がオーラで心身共々燃え尽きるがいい!」 クワイエットはギリギリかわした。 クワイエット 「...(ハミングを口ずさみながら回避)」 残り体力( クワイエット 10 , ファイヤー(ガラル) 2 ) クワイエットの攻撃!(命中率95%/会心率20%) クワイエット 「...(狙撃)」 ファイヤー(ガラル)に15のダメージをあたえた!! 残り体力( クワイエット 10 , ファイヤー(ガラル) -13 ) ファイヤー(ガラル)のLIFEは0になった! ファイヤー(ガラル)!何があった!ファイヤー(ガラル)!ファイヤー(ガラル)!! ファイヤー(ガラル) 「ファイヤーはたおれた・・・」 勝ち残ったのはクワイエットです! クワイエットが、なんと2度目のタイトル防衛に成功しました! クワイエット 「...(次の戦場へと移動)」 防 衛 の お ま も り 発 動 もっと!Be Quiet...... この謎のスナイパー、クワイエット...... 一体、何者なんだ......? by.Donald-2nd-R(ハツネ&シオリの人)
https://w.atwiki.jp/shineoflife/pages/193.html
ガッ 紫竜「へぇ」 華斬‼‼‼‼‼‼‼‼‼ レナ「ハァ・・・ハァ・・・」 紫竜「随分息が上がってるな、本調子じゃないのか?」 レナ「うるさいっ‼‼‼‼」 剣舞‼‼‼‼‼‼‼‼‼ 紫竜「俺なんか恨みでも買ったか?」 獅王波‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼ レナ「ふぅ・・・」 バッ‼‼‼‼‼‼‼‼‼ 紫竜「な・・・」 ガッ‼‼‼‼‼‼‼‼‼ 竜「勝負あったな」 紫竜「・・・俺の・・・負けか」 レナ「か・・・勝った・・・」 竜「やるじゃん」 紫竜「獅王波が完全に見切られてた・・・お前の入れ知恵か?」 竜「レナが傷心だったんでな、少し自信をつけてやろうと思ったんだ」 レナ「上から目線気になるんだけど」 竜「おかげで自信ついただろ?」 レナ「でも・・・」 竜「確かに紫竜の技をいくつか教えたし、お前が苦手な立ち回りも教えたけど、お前が勝ったってのは事実なんだ」 レナ「わざわざ気にかけてくれたんだね、ありがと」 竜「別に」 レナ「紫竜もごめんね、付き合わせて」 紫竜「俺もお前に油断してた、いい教訓になったよ」 シオン「おいお前ら、作戦会議終了したからこっち来い」 紫竜「レナ、お前も戦力だ・・・行くぞ」 クロ「寒いな」 エミ「着すぎじゃない?」 猛「南国からきたせいか、お前寒いの弱いもんな、冬の有給多かったみたいだし」 クロ「うっせー」 シオン「じゃ説明するぞ、まず先陣をきるのがミナト、翔平、クロ」 ミナト「俺ら一緒か」 翔平「楽しみ~♪」 クロ「で、俺はお前らのお目付け役ってことな」 シオン「続くのは剣士3人、レナと竜、紫竜」 竜「マジかよ」 レナ「こいつらと一緒って・・・超不安」 紫竜「俺は賛成だ、レナに指揮とってもらえば自由に動ける」 シオン「俺とエレン、エミは後援部隊として船を守りつつ動くからな」 ケイ「俺らは?」 クロ「お前と猛、夏希は状況に応じて3つの部隊へ加わるなり、第4の部隊として動いてもらう」 猛「いいねぇ」 夏希「はい」 ケイ「なるー」 クロ「まず敵軍艦を見つけたら両船から一斉に砲撃をする、その後流氷へ降りて白兵戦となる、いいな」 ミナト「りょーかい」 翔平「オッケイ」 レナ「あなたのそれ・・・全く信用できないけどね」 猛「俺らで見張ればいいだろ」 クロ「さて、寒いしスープでも作ってくるか・・・そっちのコックどいつ?」 紫竜「俺だ、豚汁なら作ってあるが」 クロ「ほぉ・・・味見していいか?」 紫竜「別にいいが俺は料理人じゃないからな」 クロ「ふむ、いい仕事してんな」 紫竜「お前の舌にあったのなら幸いだ」 クロ「強いて言えば味付けが豪快すぎるな、まあ充分絶品と呼べるだろう、独学なら随分素質あるぞ」 紫竜「ほぼ独学だな、そういうお前の物も食ってみたい」 クロ「ここの食材使っていいか?」 紫竜「もちろん、好きなだけ使え」 ミナト「いーにおい‼‼‼‼‼」 ケイ「へぇ・・・」 猛「そりゃあの店の宝とまで言われた男だからな」 クロ「そりゃ言い過ぎだ」 翔平「いやー、でもクロの飯は最高だぞ」 紫竜「感動だ・・・プロの料理人でもない同年代の男がこんな料理を作るとは・・・」 エレン「これで元気ついたろ?」 シオン「おう‼‼‼‼」 エミ「あ・・・軍艦‼‼‼‼‼」 エレン「うっし‼‼戦闘準備‼‼‼」 シオン「お前ら行くの待てよ、大砲ぶっ放すから」 紫竜「ああ」 エレン「あれ・・・あ、ちょっと誰か‼‼‼」 クロ「どうした‼‼‼‼‼?」 エレン「導火線持ってくれ‼‼‼」 クロ「おう、了解了解」 ダッ‼‼‼‼‼‼‼‼‼ エレン「ん・・・なんだ・・・今の音」 ダダダダダダダダダダダダ クロ「嫌な予感・・・」 レナ「ごめん、翔平行っちゃった」 クロ「マジか・・・仕方ない、先に撃って・・・」 ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼ エレン「シオンか・・・タイミングわかってんじゃん」 クロ「お前も行け」 ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼ 竜「悪い悪い、翔平先行っちゃったよ」 紫竜「実はミナトもな」 クロ「なに‼‼‼‼?さっそく思うとおりに行かないな・・・」 猛「クロ、お前あいつらと同じ部隊だろ?」 クロ「そうだった、俺も行く」 超瞬‼‼‼‼‼‼‼‼‼ 竜「大砲当たったな」 猛「この距離からあてるとは、二人ともやるじゃんか」 シオン「んまーね♪」 エレン「だろ♪」 ミナト「考えることは一緒だったな」 翔平「あぁ、面倒くさい作戦なんてゴメンだ」 ダッ クロ「いくら面倒でも、手順通り行かなきゃ勝てるものも勝てないぞ」 翔平「悪い悪い」 ミナト「お、敵がぞろぞろ出てきたぞ」 翔平「始めるぞ‼‼‼‼」 ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼ 竜「さて、俺らも行くぞ」 紫竜「だな」 レナ「行かなきゃいけないのね」 夏希「気を付けてね、まだ完治してないから・・・」 レナ「ありがと」 紫竜「へっへへ・・・いいねぇ、戦闘」 猛「悪い目つきだな」 エミ「最っ低」 紫竜「さっさと行くぞ」 ツルッ‼‼‼‼‼‼‼‼‼ 紫竜「んな・・・」 ドサ‼‼‼‼‼‼‼‼‼ 竜「ハッハッハ、すべってやんの‼‼‼‼‼」 レナ「だっさーい♪」 紫竜「痛っ・・・お前らなんで平気なんだよ」 竜「滑らない靴をエレンがだいぶ前に買っといてくれたみたいでな、こっちの人数分」 紫竜「ミナトは‼‼‼‼?」 レナ「滑ってるわよ、移動中は重力で飛んでたんじゃない?」 エレン「おいお前ら‼‼早く行け‼‼‼」 竜「へいへい」 紫竜「ったくやりづらいぜ・・・まぁ行くか」 レナ「そうね」
https://w.atwiki.jp/when_they_cry/pages/368.html
2007/12/17(月)投稿 「わかりました・・・・・・私もレナさんたちと一緒に沙都子を救います」 あの日、綿流しの祭の数日前、私はあの二人と結託した。沙都子を救うために、あの男─北条鉄平を三人で殺害する。 夕暮れのゴミ山で、レナさんと圭ちゃんは私に鉄平の殺害計画を打ち明けた。村の大人たちは沙都子を助けようとはしないらしい。村の筆頭頭首の代行である園崎魅音はあからさまな諦念を携えている。頭首がその気になれば造作もないことであろうこと。しかしながら、その力を使おうとはしない。北条家との確執やダム戦争の過去が関係しているからだ。 下手に動けば村の信頼を失墜させてしまう。そういう類の考えがお姉にそうさせているのだろう。 やはりあいつは自分の仲間より村の目を優先させる卑しい人間なのだ。 そんな中、レナさんと圭ちゃんの計画を聞かされた。八方塞りに陥ったレナさんと圭ちゃんは恐らく最後の手段としてそれに行き着いたのだろう。その計画を頭の中で色々と算段した。 あらゆる可能性を脳内で分析していく。しばしの逡巡の後、私はレナさんたちの計画に同意した。 『詩音、以前、お前は悟史の妹の沙都子を気に留めているって言ってくれたよな。それは俺とレナも同じことだ。だからお前にこのことを話した。色々沙都子を救うために手を尽くしてきたけど、もうこれしかないんだ。詩音、俺たちと一緒に沙都子を救おう』 沙都子のために今まで奔走してきた圭ちゃんの目には悲壮な決意に満ちていたような気がする。 でも、その後ろでたたずんでいたレナさんは静かにじっと私を見つめていた。感情の読めない目で。 私は一旦、本家に戻った。色々と着替えや支度をするためだ。 その日の夜、私は前原屋敷に足を運んだ。聞くと、鉄平を殺すための計画を圭ちゃんの家で練るらしい。 様々な意見と知恵を出し合う。そのほとんどが二人から出されたものだったのだが。 数時間後、私たちは計画の概要を練り終え見直しの作業に入った。 『よし、まず先立って鉄平の行動確認から入っていく。事前に・・・・・・』 私は圭ちゃんの部屋にあった時計を見る。そして圭ちゃんが説明を開始した時だった。 ジリリリリと電子音が階下から鳴り響いた。電話の着信だ。 『悪い、ちょっとでて来る。少し待っといてくれ』 話を中断した圭ちゃんが部屋を離れ、私はレナさんと二人きりになった。 少しの静寂の後にレナさんが口を開いた。 「ねえ詩ぃちゃん・・・・・・圭一くん、誰と話してるんだろうね・・・・・・」 「えっ・・・・・・誰って、今の電話ですか?」 いきなり電話のことを切り出されて私は困惑した。 「そう・・・・・・今の電話」 ただの電話のはずだ・・・・・・なのに何を? 「今の時間ですからね・・・・・・そうですね・・・・・・きっと外出してる圭ちゃんの親御さんからじゃないですか。かわいい息子が一人で留守番してるんですから」 私は気にもかけずにそう答えた。 「そう・・・・・・だったらいいね・・・・・・」 レナさんはうつむき加減で答え、さらに付け加えた。 「レナはね、圭一くんがね、今誰かと繋がってこの計画を暴露しているんじゃないかって思ったの・・・・・・もしかしたらとは思うけど、レナたちを裏切ろうとして・・・・・・」 そんなバカな・・・・・・裏切りだと? 一瞬心臓が大きく高鳴る。 「レナさんそんなの考えすぎですよ。いきなりかかってきた電話でそこまで飛躍した話にまで発展しないですって」 とりあえず計画を立てた本人が裏切ることなどありえない話だ。それ以前に圭ちゃんは沙都子を救おうために私たち以上に尽力していたではないか。 「でもね詩ぃちゃん、埋伏の毒って言葉があるんだよ・・・・・圭一くんがそれを考えていたとしても・・・・・・不思議じゃないんじゃないかな・・・・・・」 「でも・・・・・・」 胸の鼓動がさらに高鳴っていくのを私は感じた。 そのときだった。階下から足音が聞こえ部屋のドアが開いた。 「圭ちゃん・・・・・・」 圭ちゃんはすぐに戻ってきた。こんなにも短い時間の電話ならレナさんは圭ちゃんを疑うことは無いはずだ。安堵感が私を包んだ。 圭ちゃんはそんなこと考える人じゃない・・・・・・ 『詩音、魅音からだ。代わってくれだってさ』 ・・・・・・お姉から・・・・・・? 私は部屋を後にし、受話器を取った。 「・・・・・・もしもし、お姉?」 私のお姉からの電話の内容はこうだった。二人は何か隠し事をしてないか、圭ちゃんのうちでこんな時間まで何をしているのか・・・・・・私たちの最近の動向を事細かに聞いてきた。 長々と話していると上にいる二人に怪しまれてしまうかもしれない。 適当な返事で姉をあしらった後に電話を切った。結構時間を食ってしまったようだ。 急ぎ足で二階へ上がった。 部屋のドアの前で立ち止まり、私は深く息を吸った後ドアを開いた。 「ごめんなさい、レナさんに圭ちゃん。お待たせしま・・・・・・」 部屋の空気が私の言葉を止めた。刺されるような空気が私を支配する。部屋を出るときに感じていた雰囲気は跡形も無く消え去っていた。 「ねえ詩ぃちゃん・・・・・・魅ぃちゃんから何の電話だったの?」 そんな不穏な空気の中、レナさんが私に問いかけてきた。 「べっ、別に大それたことじゃないですよ。私が今どこでほっつき歩いているのか、聞いてきただけです。遅くなるんなら連絡ぐらいしろって」 私はかぶりを被った。まさかあいつからの電話程度でこの計画が滞るなんてことは無い。 そんな安易な考えが私にそうさせたのだろう。 「・・・・・・そう。ただの所在確認だったんだね・・・・・・」 レナさんは何か私を試すような口調で静かに言った。 「でも、どうして詩ぃちゃんが圭一くんの家にいるなんてわかったのかな・・・・・・詩ぃちゃんめったに圭一くんの家になんか行かないのに」 私はレナさんから何か禍々しい物を突きつけられているような気がした。 それがただの杞憂であることを望みながら答えた。 「お姉はまず私のアパートに電話を掛けたんですよ。留守だと分かってそれから色々私がいそうな場所を探っていったんですよ。まったくお節介なおね・・・・・・」 『嘘だろ』 圭ちゃんの抑揚の無い声が響いた。突然の圭ちゃんの発言に私は身をこわばらせた。 圭ちゃん、それは一体どういうこと・・・・・・? 『・・・・・・あのな、詩音。魅音はお前が俺の家にいることを一発で感付いていたぜ。何でそれを魅音が知ってたかわからねえが・・・・・・さっき魅音から聞いたから間違いない。詩音・・・・・・なんでお前、今嘘付いたんだよ・・・・・・』 墓穴を掘っていた。レナさんと圭ちゃんを心配させまいと思ってやった行為が裏目に出たのだ。 まさかあいつ・・・・・・圭ちゃんに既に私の行動を話していたのか? 出過ぎた真似をした自分の姉といまさらになって気がついた鈍い自分を恨む。 「ねえ詩ちゃん・・・・・・どうして嘘つくのかな・・・・・・もしかして、魅ぃちゃんと組んでレナ達を裏切ろうとしてたの?」 キッとした鋭い表情が私を襲った。その時のレナさんの目は恐ろしかった。頭首の目、あの鷹のような鋭い突くような目とは種類が根本的に違う・・・・・・レナさんのはそんな目じゃなかった。 冷凍庫でできた氷のようにくぐもった目。冷たくて、もっとおぞましい何かが取り憑いていた。 「・・・・・・っ!・・・・・・っは・・・・・・・・・・・・」 声など出なかった。レナさんの目に魅入られてしまったのだろうか、私の声帯は固まってしまっていた。 瞳を動かして圭ちゃんに助けを求める。でも無駄だった。 圭ちゃんも強い疑心暗鬼の目で私を見つめていたから。 「ねえ詩ぃちゃん、どうして答えないの? 質問は沈黙で返せって学校で習っちゃったのかな?・・・・・・ねえ答えなよ。詩ぃちゃん・・・・・・」 「そ、そんな、違う・・・・・・私は・・・・・・ただ心配・・・・・・かけないように、レナ・・・・・・さんと圭ちゃんに・・・・・・」 私は絞り出すように弁解した。裏切ろうだなんて気持ちを表に出したわけではない。 ただ理解してもらおうと必死になったが、私から出てきた言葉はそれだけだった。 「白々しいんだよ!! 園崎詩音!」 「・・・・・・!!!!」 激しい言葉を突きつけられて、頭を殴られたような感じを覚えた。初め、圭ちゃんから発せられた罵声だと思った。 違っていた。目の前にいる激昂したレナさんから発せられたものだった。 それに気づくのに少し時間がかかった。 恐い・・・・・・体の震えがさっきから止まらない。ここから逃げたい・・・・・・逃げないと私の身が・・・・・・ 私は自然と後ずさりをしていた。蛇に睨まれた蛙はこんな心境なのだろうか。自分の本能が逃げることを優先させている。 「・・・・・・え!?」 私の背中が何かにぶつかった。直後、私は自分の後ろにいる何かに拘束された。 背中にぬくもりを感じる。見ると私の両脇からぬっと筋骨の深い腕が出てきていた。圭ちゃんだ。 圭ちゃんが私を捕まえている・・・・・・? 「ちょ、ちょっと圭ちゃん?!な、何を? 離してください!!」 必死になって振りほどこうとしたが相手は男だ。羽交い絞めにされた私は圭ちゃんによって完全に動きを封じられた。 『詩音どうして逃げるんだよ・・・・・・やっぱりお前、俺たちを売ろうとしてたのか? レナの言うとおりに』 「そうだよ圭一くん。その女はレナ達を謀って裏切ろうとしたんだよ。沙都子ちゃんなんてどうでもいいんだよ・・・・・・村の汚い大人たちとおんなじ・・・・・・」 沙都子のことを引き合いに出され、私は必死になって答えを探した。 「そんな・・・・・・!違います!私は本気で沙都子を救おうと・・・・・・」 「詩ぃちゃん・・・・・・いまさらだよ、そんなの・・・・・・」 沙都子が心配なのは紛れも無い私の本心の一つ。 「沙都子を救えるなら命だって惜しくない!沙都子は私の大切な・・・・・・仲間だから!・・・・・・だから私を信じてください。レナさんを裏切るなんて毛頭無い・・・・・・!」 沙都子の笑顔が脳裏に浮かんだ。体の震えが止まっていく。 そうだ。これは沙都子のためでもあるのだ・・・・・・ しばしの逡巡の後にレナさんは答えた。 「そう・・・・・・でも言葉だけじゃ何とでも言える」 レナさんはゆっくりと私に近づきながら続けた。 「だからね、詩ぃちゃん。あなたが本当にレナたちを裏切らないか・・・・・・」 目の前に来た。 「詩ぃちゃんを・・・・・・尋問させてもらうよ」 あのおぞましい目が私の数センチ前まで近づいていた。私はまたもやレナさんの目に魅入られた。 覚悟を決めて私はゆっくりとうなずいた。 「大丈夫・・・・・・痛くなんかしないから・・・・・圭一くん。圭一くんも手伝って・・・・・・」 痛くなんかしない・・・・・・ その言葉が脳裏にこびりついた。私の体の自由を奪ったまま圭ちゃんは言った。 『詩音、お前の疑いを晴らすための尋問だ・・・・・・悪く思うなよ』 えっ?何なの・・・・・・尋問?尋問て何を私に・・・・・・? 私の頭の中で様々な事が渦巻いていく・・・・・・でもみんなを救うためだ。どんな尋問でも今、私にかけられた疑いの念を晴らす・・・・・・最初はそんな気持ちが私の中にあった。 いったん圭ちゃんが私から離れた。圭ちゃんは部屋に備え付けられた棚の中から何かを 探しているようだった。 ガチャガチャと棚を引っ掻き回す圭ちゃん。 『確かこの辺に・・・・・・あった』 圭ちゃんが取り出したものは二組のはちまきのような細長い布だった。 「圭ちゃん・・・・・・それで何を?」 圭ちゃんではなくて、レナさんが横から答えた。 「今から詩ぃちゃんに目隠しと両手の拘束をさせてもらう・・・・・・尋問をしやすくするためにね」 目隠し・・・・・・?拘束? そんなものが今から必要なのか? ・・・・・・私は今から何をされるのだ? そう考えている間に私の視界は奪われた。直後に後ろ手を縛られていく。暗闇に晒されて、私の息遣いや鼓動がはっきりと聞こえてくるようになった。視覚が奪われた分、他の感覚が鋭利になったのだろう。 レナさんの声がふいに目の前から聞こえた。 「いい? じゃあ、始めるよ」 目の前にレナさんの気配。恐らく私と向かい合う形になったのだろう。 息を呑んでレナさんの言う『尋問』に備えた。 「まず、詩ぃちゃんは魅ぃちゃんと繫っているの?」 「・・・・・・いいえ。そんなことは絶対ありません」 視界を奪われつつも、レナさんの質問に私は潔白を持って素直に答えた。質問の内容の大半は私が裏切り工作を行っていないかについてだった。しかしながら・・・・・・今までのレナさんからの問いかけはただの質問だ。【尋問】と聞かされていたので私は少し拍子抜けしてしまっていた。 「そう・・・・・・詩ぃちゃん。レナたちを裏切ったりはしてないんだね」 「当たり前です。そんなバカげたことをするわけないじゃないですか」 良かった・・・・・・この調子なら身の潔白はすぐに証明できそう・・・・・・こんなのなら目隠しも拘束も必要なかったのに・・・・・・ 私が胸を撫で下ろした、その瞬間だった。 「んん!!? ちょっと・・・・・・レ、レナ・・・・・・さん! な、何を・・・・・・」 私の胸がいきなりぎゅうっと鷲摑みにされていた。視界を奪われていたので、完全に虚を突かれた。 レナさんに届いたのではないか思うほど心臓が高鳴った。まるで心臓を直に掴まれたのではないかと感じたぐらいだ。 「ねえ詩ぃちゃん・・・・・・詩ぃちゃんおっぱい大きいよね・・・・・・魅ぃちゃんとどっちがおっぱい大きいの?」 「んくっ・・・・・・!レ、ナさん? ・・・・・・いきなり何を・・・・・・?」 レナさんの急な行為に思わずたじろぐ。自分の胸の形が変わるほど掴んでいるだろうレナさんの手を振りほどこうと試みるが、両手が使えずただ弱々しく体を揺り動かすことしかできない。 「どっちがおっぱい大きいの?」 「うぅぅ・・・・・・そ、そんなのわかりっこないです・・・・・・は、離して・・・・・・」 掴む力を強めたレナさんに言う。掴まれた私の胸から痛痒いような感覚が全身に送られてきた。 『ちぇ、分からないのかよ。どっちがでかいか、知りたかったんだけどな・・・・・・』 私の側面の方向から圭ちゃんの声が聞こえた。 そんな・・・・・・圭ちゃんがそんなデリカシーのないことを言うなんて・・・・・・ 確かに私は胸が他人よりも大きいという自負はあった。やはり私たち姉妹は巨乳であると見られていたのか・・・・・・改めてそういう目で他人から見られていたことを私は認識した。 「ふーん、分かんないんだ・・・・・・二人の胸のサイズが分かれば、もし詩ぃちゃんと魅ぃちゃんが入れ替わっても見抜けると思ったんだけどなあ・・・・・・」 入れ替わる・・・・・・まさか・・・・・・? 「詩ぃちゃんたち双子が入れ替わってレナたちに近づいて来たとしたら、正直区別付かないしね・・・・・・詩ぃちゃんが魅ぃちゃんと組んでたら絶対入れ替わりを使ってレナたちに近づいてくるはずだもの」 まさか、レナさんは既に私が組んでいると考えているのか・・・・・・? 違う!そんなこと考えるはずは無い! 私たち姉妹はそもそも、それほど仲は良くなかった。以前の私の言動からレナさんたちだってその事を知っているはずだ。心の通じないような姉妹が入れ替わり起こそうなんて普通の人なら考えない。 「だからね詩ぃちゃん、もし詩ぃちゃんが入れ替わったとしてもそれが見抜けるようにする。詩ぃちゃんの体を今から覚えさせてもらうからね・・・・・・」 目隠しを隔てた向こう側でレナさんが厭らしく笑ったような気がした。 「おっぱいのサイズは判らないって言ったから・・・・・・どうしようかなあ」 「・・・・・・んんぁ!!」 今度は逆のほうの胸を掴まれ思わず声が漏れる。視界を奪われているため、レナさんの行動が全く予測できない。心臓が激しく脈打ち、とどまろうとしない。 「ふふっ、どうしたの・・・・・・?・・・・・・じゃあ、まず、においからいこうかな・・・・・・」 えっ・・・・・・今なんて・・・・・・? 「んっ?!な、何してるんですか!レナさん!?」 私の二の腕と体の間に何かバレーボール大の何かがぞわっと入り込んできた。さらさらっとした髪の毛の感触とわずかな頭髪のにおいを覚え、それがレナさんの頭だとわかった。 「わからない?今から・・・・・・詩ぃちゃんのにおいを覚えるの・・・・・・詩ぃちゃんの腋のね」 嘘でしょ・・・・・・私の・・・・・・腋の? 信じられないレナさんの行動に思考が止まりそうになる。 「あれ・・・・・・詩ぃちゃん、セーターのところに染みが出来てるよ・・・・・・どうしたの・・・・・・そんなに緊張しなくてもいいのに」 着ていたサマーセーターの裾にできた汗染みを指摘され、私の頬がみるみる上気していくのがわかる。極度の緊張がそれを形作ったのだろう。 「レ、レナさん! ・・・・・・そんなところを・・・・・・やめてくださ、んんくぅっ!!」 「はぁ・・・・・・すごい、誌ぃちゃんの・・・・・・はあぁ・・・・・・においがする・・・・・・くぅぅん」 躊躇無くレナさんは私の・・・・・・腋を嗅ぎだした。何度もくんくんと鼻を鳴らすような声が聞こえてくる。こんな姿をそばにいる圭ちゃんはどう思ってるんだろう。その行為に私の耳が真っ赤になっていくのが分かる。 「んん!!・・・・・・レナさん、そんなの・・・・・・駄目だから・・・・・・ぅううん!!!」 信じられないことだったが、さらにレナさんはついに私の腋に顔を押し付けて直接嗅ぎ始めた。 同時にそこからじわっとした感じがあった。レナさんは私の汗染みのところを直接、唇と舌で舐め取り始めていたからだ。まるで発情した犬のような荒い息遣いとレナさんの生暖かい唾液が私の腋から感じられた。目隠しをされているためその息遣いがより鮮明に聞こえてくる。 「い、いやぁぁあ・・・・・・もう・・・・・・あう・・・止め・・・て・・・・・・っくうう!!」 自分の腋という部分が自分とそう年端の変わらない少女に責められている。非現実的でインモラルな光景が私の脳裏で再生されていった。 『なんかすげえことになってんな・・・・・・どうだよレナ、詩音のにおいと味とやらは?』 事を静観していた圭ちゃんは私が知りたくも無い様なことをレナさんに聞いてきた・・・・・・ その言葉に触発されたのか、レナさんは私への責め苦をようやく止めて圭ちゃんの問いかけに答えた。 「詩ぃちゃんのはね・・・・・・なんか少しだけ濃い気がする。私たちよりも。でも、ちょっとだけ香水っぽい香りがした。・・・・・・そうだね・・・・・・これは多分、ウッディ系の香木の香り。詩ぃちゃんは都会の興宮に住んでるからちょっと意識してるのかも」 当たりだった。このとき私は香水を付けていた。種類まで当てられるとは・・・・・・ このレナという少女はいったい何なのだ? 初めて出会った頃は純情そうな少女としか認識していなかった。しかし時間が経つにつれ、ときおり見せる何者も圧倒するような冷たい瞳と年下とは思えないほどの鋭い観察力は形容しがたいほどの強列な印象を刻み付けてくる。 やっと解放された私は鼓動を抑えようと深呼吸を繰り返す。 これで・・・・・・終わるのか・・・・・・? 「まだだよ。詩ぃちゃん」 私の考えを見透かしたようにレナさんの声が飛んできた。 「こんなんで終わるなんて虫が良すぎるよ、詩ぃちゃん。もっと覚えさせてもらうよ・・・・・・詩ぃちゃんの体」 まだ足りないの? 次はどこを・・・・・・責められるの? 「つ、次は何を・・・・・・ひゃあん!?」 「あはは、どうしたの詩ぃちゃん? ちょっと詩ぃちゃんの膝を触っただけなのに・・・・・・」 今度は頬を触られた。目隠しをされているためどこを触られようとしているのかまったくわからない。そのため急に体を触れられてしまうと、その度に体がぴくりと反応してしまうのだ。さらに先の責めで敏感になった私の触覚がそれに拍車を掛けていた。 「すっごーい! 詩ぃちゃん触られただけでお魚さんみたいにビクンビクンしてるよ。圭一くんも触ってみてごらん」 『本当だ・・・・・・なんか全身性感帯て感じだな』 まるで新しいおもちゃに戯れるかのように二人は私の体をもてあそんだ。 「ちょっ、ちょっと、やだ! ふ、ふざけないでください」 着ている服から柔肌が露出した部分。太ももを肘を手の甲をうなじを唇を触られる。 目隠しというものはこうも体を敏感にしてしまうものなのか。触れられるたびに私は無様に体をくねらせた。 「ふふふ・・・・・・じゃあおふざけもこれくらいにしといて・・・・・・」 「・・・・・・!?駄目です!!そ、そこは・・・・・・!!」 ついにというか予想通りというか・・・・・・レナさんはスカートの中に探りを入れてきた。 「んんん!!そんなとこ・・・・・・触っちゃ・・・・・・だめ・・・・・・」 私は自由の利く両足に力を込めレナさんの侵入を防ごうとした。 「ちょっと詩ぃちゃん、力抜いて・・・・・・そう・・・・・・どうしても嫌なんだ・・・・・・圭一くん!」 レナさんが圭ちゃんを呼んだ。 「詩ぃちゃんの足、開かせて」 『ああ、わかった』 圭ちゃんの気配が私の後ろに感じられた。回り込まれたようだ。 「!?圭ちゃん!!!嫌だ!離してください!!」 両足の膝のところに圭ちゃんの腕が回され、そのまま両足を担ぎ上げられた。もちろんそれに抗おうとしたが、所詮、男と女、そして私の両手は縛られている。敵うはずも無かった。 そのまま秘所を晒された。私の中で羞恥心が波となって押し寄せてきた。頭のてっぺんから足の指先までジンジンするような熱い血の流れを感じる。無意識に私の体が熱くそして息も荒くなっていく。 「くすくす、いい格好だね、詩ぃちゃん。丸見えだよ・・・・・・緑色のパンツかあ、ちょっと予想外だったな」 視界の無い私に教えるようにレナさんは私に言った。自分の下着の色まで暴露されるという恥辱が私の心を襲う。 後ろにいる圭ちゃんにも聞こえたはずだ。私の動きを封じている圭ちゃんから少し荒くてぬるい吐息を感じる。首筋にわずかにかかりくすぐったい。 そしてまたレナさんの責めが始まった。 「ぅぅうん!!レ・・・・・・ナ、ん、んん!そんな・・・・・・汚い・・・・・・ところ」 「すううう・・・・・・はあぁ・・・・・・いいよ、詩ぃちゃん。一層においが濃くなって・・・・・・すううう」 私のパンツ越しに大きな温かい塊が押し付けられている。レナさんの顔だというのは言うまでも無い。レナさんはさらに私のにおいを覚えようと秘所に顔をうずめているのだ。 レナさんの息と押し付けている鼻の感触が感じられてじわじわと下半身が熱く湿っていく。 「あれ・・・・・・詩ぃちゃん。なんかこっちも染みが出てきたよ・・・・・・これはなんなのかな?」 ・・・・・嘘! 染みが出来るまで感じちゃっていたのか・・・・・・? こんな状況で? 「そんな・・・・・・じょ、冗談・・・・・・そ、れはレナ・・・・・・さんの、唾じゃあ・・・・・・?」 「違うよ。レナの唾じゃない。詩ぃちゃんから出てきたんだよ・・・・・・確かめてみる?」 確かめるという真意を読み取れずに困惑していた私に、さらなる辱めが襲う。 自分の腰にレナさんの両手がかかるとそのまま私のパンツを脱がしにかかったからだ。 「だ、だめ!!レ、レナさん・・・・・・!!」 抵抗しようとするも両手は縛られ、足の自由は利かない。するりとパンツを抜かれ直接秘所を晒されてしまう。 さらなる責めが行われると予感し、目隠しをされているにも関わらずぎゅっと目をつむる。 「・・・・・・・・・・・・・・・」 しかし、誰の声もしなかった。ただ鼻で必死に何かをすんっと吸っているような音だけが私の暗闇の中で聞こえていた。 何をしているのだろう・・・・・・? 「詩ぃちゃんのパンツ・・・・・・すごい、いいにおい・・・・・・特に染みの部分から強くにおってきて・・・・・・」 ま・・・・・・さか・・・・・・ 「レ・・・・・・ナさん?何をいったい・・・・・・?」 「うふふ・・・・・・詩ぃちゃんの生パンのにおい嗅いでるんだよ・・・・・・はぁぁ・・・・・・いい・・・・・・」 「嘘、でしょ・・・・・・なんて・・・・・・・・・・・・」 自分の履いていたパンツを嗅がれるという変態的な行為を私の目の前でやられた。しかも女の子に・・・・・・ 「ほら・・・・・・これが詩ぃちゃんの出した染みだよ・・・・・・て言っても見えないか・・・・・・圭一くん見えるでしょ?」 「ああ。本当だな・・・・・・薄緑のパンツが染みの部分だけ濃くなってるぜ・・・・・・詩音」 ・・・・・・私はこんな異常な下で感じてしまっていたのか・・・・・・? 「ほら詩ぃちゃん。これだけ近づければわかる? 見える? ・・・・・・ねえ詩ぃちゃん!」 そう言うとレナさんは私の顔に私の脱いだパンツを押し付けてきた。 「んんん! やだ! やめてください!!」 無理やり押し付けられる生暖かいそれに対して、私は顔を捻って遠ざけることしかできない。 レナさんは私の唇や鼻腔の中にそれを無理に押し込もうとする。私への行為に満足したのか、レナさんが笑いながらつぶやいた。 「ふふふふ・・・・・・これで詩ぃちゃんにも分かってもらえたよね・・・・・・じゃあ今度は・・・・・・」 私の秘所にレナさんの指が触れた。慣れることができず、また体を震わせてしまう。そんなことに構うことなくレナさんの指に力が入り、私の秘所をぐっと押し広げてきた。 「びしょびしょだよ・・・・・・詩ぃちゃん。ただ尋問してるだけなのに感じちゃったのかな・・・・・・」 レナさんの嘲笑めいた声が聞こえてきた。 「ここの味も確かめないとね・・・・・・最後に」 「はぁ・・・・・・はぁ、レナ・・・・・・さん・・・・・・やめ・・・・・・!!んはぁぁああぁん!!」 押し広げられた秘所にレナさんの下が躊躇無く進入してきた。生温く蠢くような舌使いに私の秘所はアイスのようにとろけていく。 「んはぁ・・・・・・すごい・・・・・・もっと味が濃いのが出てきてる・・・・・・ん、ん、ん!」 「いや!! 止めて・・・・・・動かしちゃ・・・・・・ぁぁあん・・・・・・レナ・・・・・・さ・・・・・・!!」 私と変わらないぐらい息の荒いレナさんは首を上下させている。ピストン運動のようにして舌を私の膣内に押し込んできた。まだ十代半ばの少女から受ける信じられないような激しい愛撫に私の脳は霞掛かったように麻痺していく。 「もっと・・・・・・もっとだよ詩ぃちゃん・・・・・・!もっと詩ぃちゃんを・・・・・・覚えるから・・・・・・!」 私の様子など歯牙にも掛けずに私を犯していく。暗闇と拘束に縛られた世界でぬらぬらした舌肉と膣内がこすれ合う音が濃密に耳を犯してくる。 ・・・・・・あ、熱い。体の奥底から何もかも溶けてしまいそう・・・・・・ 「・・・・・・ふう・・・・・・はぁ・・・・・・そうだ・・・・・・圭一くん」 レナさんが圭ちゃんを呼んだ。悪魔がささやく様な声で。 何かされるんだ・・・・・・圭ちゃんからも・・・・・・ 「この際、圭一くんも・・・・・・何か詩ぃちゃんの身体を覚えなよ・・・・・・」 一瞬、圭ちゃんが考え込んだ後、 『・・・・・・そうだな・・・・・・悪いが詩音、そうさせてもらうぜ・・・・・・お前のためだからな・・・・・・』 でも、これ以上何を・・・・・・もやのかかった頭でそう思ったときだった。 「はぁん!! 圭・・・・・・ちゃん・・・・・まで、そんな・・・・・・んんん!!」 圭ちゃんは私を後ろから拘束したまま・・・・・・私の後頭部に顔を押し付けてきた・・・・・・ 私の耳から荒い圭ちゃんの呼吸音が聞こえる。 『すうん・・・・・・はああ・・・・・・詩音の・・・・・・髪の毛、いいにおいするんだな・・・・・・はあ、はぁ』 圭ちゃんまでにおいを・・・・・・しかも私の頭と髪の・・・・・・ 私の出した汗と脂の入り混じった髪のにおいを必死になって圭ちゃんは貪っていた。好意を持った異性からの異常な行為に晒さたのだ。私のうなじから背中にかけてぞわっと総毛立って行くのがわかる。 「んはぁぁぁああ!! 圭ちゃ・・・・・・くふぅぅうん!・・・・・・レ・・・・・・ナ、さん・・・・・・あぁあ!」 「すごい・・・・・・また詩ぃちゃんの味とにおいが濃くなったよ・・・・・・ん、ん、ん、ん!」 レナさんのピストン運動が一層激しさを増した。圭ちゃんの熱い息遣いが私にうなじ付近にかかる。 自分の仲間に陵辱され、私の中に凝り固まった快楽の奔流が飢えた獣のように一気に襲ってきた。 「いやぁああぁああぁ!! とめて!!!!もうだめぇえええぇえええぇぇ!!」 そのまま絶頂を向かえた私は、体を震わせながら横ばいに倒れていった・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・気を失っていたのか。 横になった体を起こそうとするがうまくいかない。まだ私の目隠しと手枷は解かれていないようだ。そう遠くは無い距離で二人の話し声が聞こえてきた。 『レナ・・・・・・詩音は、お前の言ったとおり俺たちのことを・・・・・・裏切っていると思うか・・・・・?』 「うん・・・・・・やっぱりその可能性は・・・・・・」 レナさんが口ごもったのがわかる。私の覚醒に気が付いたのだろうか。 「でもね・・・・・・圭一くん、大丈夫だよ・・・・・・だって・・・・・・」 レナさんの言葉が私に向けられていくのがわかる。 「もう詩ぃちゃんの身体、全部覚えたから・・・・・・」 部屋の雰囲気がまたもや徐々に凍っていくのを肌で感じた。 「もし私たちを裏切ろうとしても無駄だからね」 氷のような冷たさを含んだレナさんの声は明らかに私に対して放たれたものだった。 真っ暗な闇に包まれて虫たちのざわめきも聞こえなくなったその日の深夜、ようやく園崎本家に帰って来た。 「それで・・・・・・どうでしたか・・・・・・お姉」 私の貸したサマーセーターとスカートに身を包んでいる、私と瓜二つの存在に声を掛けた。 まるで私が二人になったような奇妙な感覚に陥る。 「・・・・・・やっぱり圭ちゃんたち本気だった・・・・・・詩音の言うとおり・・・・・・」 頭を垂れてうなだれたお姉がそこにはいた。私は前原屋敷であった一部始終を聞く。 計画の実行日、場所、方法、アリバイ工作、そしてお姉が受けた【尋問】とやら・・・・・・ 「尋問ですか・・・・・・お姉だったってことはバレてませんよね・・・・・・」 「・・・・・・それは多分大丈夫だと、思う・・・・・・でも」 初夏だというのに、自分の肩を寒そうに抱きながらお姉は続けた。 「まさか、レナが・・・・・・あんな事を・・・・・・私に・・・・・・しかも入れ替わりのことを真っ先に疑ってきたし・・・・・・」 どうやら、私が考える以上の辱めをお姉はレナさんから受けたのだろう。 それにしても、あのレナという少女・・・・・・さほど面識はなかったが初っ端からこれほどまで疑ってくるとは・・・・・・ 「でも、これであの二人の動きがはっきり判明しますね・・・・・・」 私は今日の夕方、あの二人の計画を聞かされ承諾した。その後、本家に帰りお姉に打ち明けた。 お姉は愕然として固まっていた。それもそうだろう、自分の仲間が殺人の計画を立てているなんて想像も付かなかったのだろう。そして、私の思惑通り、お姉は私との入れ替わりを求めてきた。 「圭ちゃんとレナが本気なのか・・・・・・私が行って確かめてくる・・・・・・詩音はここで私の振りをして待ってて。あと、今から○時間後に前原屋敷に電話を・・・・・・うん、私と連絡するために・・・・・・」 その後、私はお姉の私服を着込み魅音として本家で一時を過ごした。それからお姉に指示された時間通りに圭ちゃんの家に電話をかけて・・・・・・ そう、私は既にレナさんが疑う前からお姉と入れ替わっていた。 お姉としては仲間が殺人者などになって欲しくない一心でこれからあの二人の計画を防ぎにかかるだろう。 私としては・・・・・・ ・・・・・・ククク・・・・・・くけけけけけ レナさんたちの計画通りに進めば、悟史君を追い詰めたあの腐り切った夫婦の片割れをレナさんたちが殺してくれる。私の手を汚すことなく・・・・・・ もし魅音が二人を止めたとしても、沙都子が鉄平に晒され苦しみ続けることになる・・・・・・ 悟史君に寄生してボロボロにしたあの憎い沙都子が・・・・・・あんな愚かしい奴など救う気にもならない。 レナさんたちはどうして沙都子のために自ら捨て身になるような馬鹿な真似ができるのだろうか・・・・・・ あんな奴は一生苦しみ続ければいい。 そして、魅音だ。レナさんたちの計画を防ぐためあいつは動く。その過程で、もしヘマを働けばたちまち二人から返り討ちに合うはずだ・・・・・・悟史君を救う力を持ちながらそれをしなかった魅音。その報いを・・・・・・自分の信じた仲間から受けることになる。 つまり、ことがどう転ぼうが私の良いようにしかならないということだ・・・・・・ 「詩音・・・・・・?」 少し体を震わせていたお姉はちょっとばかり考え込んでいた私を不安げな目をして見つめている。 さっき受けた尋問とやらの余韻が残っているのか、お姉の頬は少しばかり紅潮していた。 私の術中にいることに気が付かない、私の姿をした愚かで可愛い可愛いお姉をにっこりと見つめ返す。 「心配しないで、お姉。私が一緒についてるから・・・・・・ね・・・・・・お姉・・・・・・」 Fin
https://w.atwiki.jp/chemi/
嘘だ!だってその証拠に、レナはさっきから泣いてるじゃないか! はあ?誰が?私が?いつ涙を流したの? 今だよ!ずっと流してるじゃないか! えっ… 自分で分かってないのか? … レナのやったことは最悪だ。馬鹿だよ!でも俺は、仲間としてレナのやったことを受け入れる!これしかどうしようもなくて、悩みぬいた上で至った最後の、最後の手段だったってことを受け入れる!だから…俺はレナを理解しようと思う。このヤバい袋の山を知ったのは俺たちだけだ。俺たち全員が秘密にすれば、それでお終いだ。レナは何も気にすることはない。レナ! 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/hachinai_nanj/pages/1894.html
確かに月属性ってレフトに強キャラ集中しててライト薄いよなあ。レナちゃんはセンターも出来るけど - 名無しさん (2020-10-26 22 00 35) フェス近藤ちゃんをライトで起用して、この泉田ちゃんか花山ちゃんは選択、空いた方のポジションにレナちゃんかな - 名無しさん (2020-10-26 22 07 20) 引いたけどUR含め育成選手予定詰まってて向日葵すぐにはつけてあげられない - 名無しさん (2020-10-27 22 35 15) 東雲レナのリンクで野崎取られるからファーストも人材難なんよな - 名無しさん (2020-10-28 23 22 29) 続き 最近は1番投手舞子9番セサ原の構築もあるけど - 名無しさん (2020-10-28 23 23 10) 育成しようと思ってクリベアつっこんだらUR永井の情報が。永井ちゃんの詳細次第だけどマジで使うならライトに回さざる得ないか - 名無しさん (2020-10-31 20 56 26) リーに4凸させるよりレナにミ走1ずつ凸して適正○でライト守らせる方が楽な気がする。レナはミ走1凸で適正○でもミ4200天満月外野鉄壁ライン超えてくれるから。6番は一応CH最速という利点もあるしな。 - 名無しさん (2020-11-05 06 21 12) ちなみにうちは有原花山東雲永井リーレナ河北近藤舞子の順(全部フェス限かUR) レナ以外は適正守備位置座れてるしこれが最適解…かなぁとは思う。URのレナを信じるか信じないかでリーの凸数が変わる感じかなぁ。 - 名無しさん (2020-11-05 06 25 28)
https://w.atwiki.jp/when_they_cry/pages/297.html
前回 鬼畜王K1 〜鬼誑し編・其ノ陸〜<聖職者> 鬼畜王K1 〜鬼誑し編・其ノ漆〜<反転> その31からその35まで収録 嫉妬は疑いを糧にしている。 それで人が疑いから確信に転じるや否や、 嫉妬は狂気と化すか、もしくは死んでしまうのである。 ラ・ロシュフコー『ラ・ロシュフコー箴言集』より 愛か憎しみが共演していないときは、女は平凡な役者である。 フリードリッヒ・ニーチェ『善悪の彼岸』「第四章 箴言と間奏曲」より 「…ごめんね、魅ぃちゃん。レナの用事で、部活が中止になっちゃって」 「あはは、そんなことないよ。部活は明日だって出来るけど、レナの急ぎの用事なら済ませてしまわないとね。圭ちゃんも言ってたけど、今日の分を明日の部活で思いっきりやればいいだけでしょ」 「…うん、そうだね」 私は思わず、生半可な返事をしてしまう。 …ごめんね、魅ぃちゃん…心の中で、また魅ぃちゃんへ謝罪してしまう。 急ぎの用事なんて、嘘だ。家具を選ばなければいけないなんて、嘘だ。 …圭一くんが帰ったなんて、嘘だ。 圭一くんは、今頃学校の外で時間を潰し、しばらくしたらここに戻ってくることになっている。 その時までに、私が、魅ぃちゃんを…。 「どしたの、レナ?…なんか元気ないじゃーん?」 思わずビクリとする。魅ぃちゃんが、私の顔を覗き込んできたから。 「はぅっ、…そ、そんなことないよ~?レナはいつだって元気だよ、だよ?これからかぁいい家具を選びに行くんだから、落ち込むわけないよ!はうぅ~☆」 私はかぁいいモード発動前を装う。 魅ぃちゃんはそれを見て、あははと声を上げて笑っている。 「それなら安心したよ。…でもさ、お店に行くまでちょっとだけ…いいかな?」 「はぅ?」 魅ぃちゃんが、急にふうっと息を吐き、視線を外した。普段の魅ぃちゃんなら考えられないような、重い表情をしている。机の上で両手を組んだまま、魅ぃちゃんが小さく呟いた。 「ねぇ…。レナは、圭ちゃんのこと…好き?」 「…ッ」 私は思わず、息を飲む。 「…え?」 …なんで、そんなことをいきなり言い出すの、魅ぃちゃん? 「…ちょうど、みんなもいないことだしさ…この際、はっきり訊いておこうと思って。…これはレナを疑ったわけじゃないんだけど…もしかしたら、『今日これから買い物に付き添ってほしい』っていうのも、ここで二人きりにするための方便なんじゃないかなーって最初思っちゃったりしたしね…」 …やっぱり魅ぃちゃんは、鋭いな。私がついた嘘を見抜いたんだ。『嘘も方便』っていうけど…嘘は嘘だもんね。 「あはは…やっぱり魅ぃちゃんは、さすがだね。…レナね、確かに嘘ついたよ。…買い物なんて、嘘。…本当は、魅ぃちゃんと二人きりになりたかったの」 「…そうなんだ」 魅ぃちゃんは、私の向かいに座りながら、視線を外し続けている。 私は圭一くんの『秘策』を一度頭の隅に追いやり、魅ぃちゃんと向き合うことにした。 『レナは、圭ちゃんのこと…好き?』 …これは、絶対に素通り出来ない質問だから。魅ぃちゃんが、真剣に訊いているのが分かるから。 …同じ気持ちを持つ『女の子』として、答えなきゃいけない。 「好きだよ」 私は不思議と、良く通る声で言えた。 少し前までの私なら――綿流しの夜までの私なら――、ここまで大きい声で言えなかっただろう。 でも、今の私は、竜宮レナは違う。 綿流しの夜。不安に怯える私を救ってくれたのが、他でもない圭一くんだった。 そこで、私たちは…交わった。心と、そして身体で…。 それは夢のような時間だった。また、今でも続いている夢かもしれない。 でも、私は幸せ。 好きな人に愛され、抱かれ、必要とされている喜びを、幸せを、私は知っている。 だから、私は胸を張って言えるんだ。 「レナは、圭一くんのことが、好き」 もう一度、宣言した。 魅ぃちゃんが、そこで私と目を合わせた。 …口を真一文字に結んだまま私を正面から見据える魅ぃちゃんは、ある種の迫力があった。 それでも私は身じろぎもせず、魅ぃちゃんの目を見つめ返す。 「…魅ぃちゃんは、どうなの」 私は逆に、魅ぃちゃんに訊き返していた。妥協の許されない空気…魅ぃちゃんなら、読めるよね? 「…私も、好きだよ。…圭ちゃんのこと」 魅ぃちゃんもまた、本心から宣言した。 「園崎魅音は…圭ちゃんが大好き。…これは、誰にも譲れない。…もちろん、レナにも譲れない。でも…レナに伝えたいことがあるんだ」 …その瞬間。なぜか、私の中で、ゾワゾワと沸き立つモノを感じた。 「レナが圭ちゃんのことが好きなのは…薄々だけど気付いてた。もちろん、その気持ちを止めて欲しいなんて言わないよ。…でも、私も同じくらい圭ちゃんのことが好きだから…レナの気持ちが分かるんだ。だから、今の私たちって…分かり合えないところが出てくる。お互いが譲れないから…。でも、仲間として、ずっとそういう状態で居続けるのも辛いから…私は、思いきって踏み出した方がいいと思うんだ。でも、出し抜くような卑怯者にはなりたくないから…レナには言っておくね。」 ゾワゾワとしたモノが、私の中で蠢いているのが分かる。はっきりと、確実に。 「…私。今度、圭ちゃんに想いを打ち明けようと思うんだ」 …ナンダカ。クビノアタリガ、 カ ユ イ 。 魅ぃちゃんと、少しの間、見つめ合った。 お互い譲れない…譲りたくない気持ちがある。だからこそ、理解し合える。だからこそ、理解し合えない。 二人はいつまでも友達だよ…だけどね。圭ちゃんの隣にいるのは一人でなきゃいけない。 いつか、どちらかが幸せを掴む。いつか、どちらかが幸せを失う。それは分かりきっていること。 …だけど、ごめんね。魅ぃちゃん…。 レナは、これから幸せになりたいの。圭一くんと、幸せになりたいの。二人の幸せはね…もうとっくに決まりきっていることなんだよ…。 そう、私たちを引き離すモノなんかいないんだ…魅ぃちゃんにも無理だよ…そう、オヤシロさまだって…! …あは、あははは、そうだよ…魅ぃちゃん、教えてくれたよね? 『今年もオヤシロさまの祟りは起きたんだ』って! 最初聞いた時は、頭がぐらりとしちゃったよ。何の冗談、って思ったよ。 村のみんなが知らないことなのに、魅ぃちゃんはよりにもよって私に教えてくれて! なんでかな、かな!?なんで私なのかな!? まさかと思うけど、レナがオヤシロさまの祟りが恐いのを知ってて、驚かせようとか思って言ったんじゃないだろうね!? それとも、私を怖がらせて、脅えている隙に圭一くんと仲良くなろうとしたとかじゃないよね!? あははは、どっちにしろ、レナにとって良い話じゃないね!なのに魅ぃちゃん、レナに喋っちゃうなんて、どういうつもりなんだろうね!! あああもう、なんかかゆいなあもう。 だけどね、魅ぃちゃん!レナはね、レナはねぇ、もう圭一くんとねぇ、 あはははははははははははははははははははは ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁかゆいかゆいかゆいかゆいかゆいかゆいかゆいかゆいかゆいかゆいかゆいかゆ 「ど、どうしちゃったのレナ!?なんで、なんでそんな、首ひっかいてるわけぇ!?」 魅ぃちゃんの声で、我に返った。恐る恐る手を見ると、爪の先に少しだけ血が滲んでいる。そこでズキリと首筋に痛みを感じ、手の平で押さえた。 …ズキズキと、喉が痛い。深くはないけれど、爪で掻きむしった分、引っかき傷が出来ていた。 「あ…うぅ…」 「レナ、レナ!!…大丈夫!?痛くない!?あ、お、おじさん絆創膏持ってるから、ちょっと待ってな!!」 魅ぃちゃんは慌ててポケットからハンカチを取り出し、水道水で濡らして傷口を拭いてくれた。 それからカバンの中の絆創膏を取り出し、私の首筋にいくつかペタペタと貼ってくれた。 「…ふぅ。とりあえずこれで、傷口にばい菌が入ったりしなければいいかな…」 絆創膏を貼り終えた魅ぃちゃんは、大きく息を吐きながら椅子に座った。 …その間、私は茫然としながら、魅ぃちゃんを見つめていた。 何が起きたんだろう。…私は、何を…したんだろう。 「…レナ…、レナ?ねぇ、大丈夫、だよね…?」 魅ぃちゃんが目の前で手を左右に振っている。…病人の意識があるかどうか、医者が確認するような仕草だ。 「…あ…う、うん」 私は魅ぃちゃんの問いに反応する。声は出るけど、まだ意識ははっきりしていない。 「…反応は、出来るみたいだね…。…良かった。いきなりレナが喉ひっかき始めたから、おじさん大慌てしたよ」 「喉、を…?」 私は自分の爪を見た。…爪の間に、渇いた血がこびり付いている。 ということは、やはり…私は、自分自身で喉をひっかき始めたらしい。 さっきまでの記憶が本当に少しだけの間抜け落ちているが…その間に、私は常軌を逸した行動をしたのだろう。 「…わ、私、は…自分で、その、喉を…?」 「…うん。急に俯いたと思ったら、なんかブツブツ言ってて、そのうちガリガリ爪で引っ掻きだしてさ…。最初は蚊にでも刺されたのかと思ったんだけど、あんまり激しくガリガリやり出したから…」 やはりさっきの私は、正気ではなかった。 「…ごめんね…」 私はポツリとだが、口に出して言った。 「レナ、自分でも…さっきまでそんなことしてたなんて、覚えてないの…本当に…。…魅ぃちゃんをびっくりさせて、不安にさせて…ごめんなさい…」 頭を下げ、魅ぃちゃんに謝罪する。 「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」 自然と涙が溢れてきて、泣きじゃくりながら謝った。魅ぃちゃんを怖がらせたのは…私なんだから。 「い、いいって!レナが無事なら、おじさんはそれでいいから!そんなに謝らなくても…。あ、そうだ!その指、洗ってきなよ!そのまんまじゃ汚れが落ちなくなるから、水道で洗ってきなよ!」 魅ぃちゃんは、廊下を指差す。 確かに魅ぃちゃんの言う通り、まずは爪を洗い流すのがいいだろう。 私はふらふらとした足取りで教室の外に出て、水道で手を洗った。 …冷たい水のおかげで、少しは冷静な気分になってきた。 そう、思い出してきた。私は、魅ぃちゃんの言葉を聞いて…逆上したんだ。 圭一くんと私の幸せを、邪魔するモノだと…魅ぃちゃんを敵視したんだ…。 その気持ちで私はいっぱいになって、あんな行動を取ってしまった。 正気の沙汰じゃない…。確かに竜宮レナは、狂ってしまったんだ。…愛情と、友情と、憎しみで…。 ごめんね、魅ぃちゃん。怖がらせて…。でも、レナは、レナは…。 …冷たい水が、私の思考を研ぎすませていく。 …魅ぃちゃんも、圭一くんが好き。それはもう、どうしても止められないんだ。 いずれ近いうちに、魅ぃちゃんは圭ちゃんへ想いを打ち明けるだろう。 でも、私も、圭一くんが好きで好きでたまらない…。 だったら… 『…三人で楽しい「部活」にしようぜ、レナ』 不意に思い出した、圭一くんの言葉。ああそうか、それが答えなんだ…! 私はポケットの中にあったハンカチを取り出し、手を拭く。 同時に、ポケットの中に仕舞い込んだもう一つのモノ――圭一くんが預けてくれた小さい瓶――のキャップを開く。 瓶の中の液体をハンカチに染み込ませ、それを仕舞って教室に戻った。 魅ぃちゃんは、さっきと同じように机の上で両手を組んだままの姿勢だった。 「魅ぃちゃん」 私は魅ぃちゃんの横に立ち、声を掛ける。 「…レナ。…ちゃんと洗ってきた?」 「…うん」 「そう。…で、気分は落ち着いた?」 「…うん」 「良かった。…じゃあさ、これから…のこと、なんだけど」 「…魅ぃちゃん」 「ん?…ふわぁッ!?」 私はガバっと魅ぃちゃんを抱き締めた。魅ぃちゃんの頭が私の胸に当たる格好になり、いきなり抱きしめられた魅ぃちゃんがモガモガ言っている。 「ふぐっ…ん…ちょ、ちょっとレナ…いきなりどうしたの!?」 「ごめんね」 「え?」 「怖がらせて、ごめんね」 「そ、そのことはもういいって…」 「ううん、やっぱり謝る。レナはね、一瞬、魅ぃちゃんを憎んでしまったの」 「え?」 私は抱き締めたまま、魅ぃちゃんの髪の毛を撫でる。綺麗な髪の毛だ…同じ女の子でも、惚れ惚れしちゃう。 「…圭一くんを好きだって魅ぃちゃんが言った時…レナ、魅ぃちゃんが憎くなってしまったの。私だって、圭一くんが好き。圭一くんを、渡したくない。圭一くんは私のモノ…」 「…」 「そういう気持ちでいっぱいになって、魅ぃちゃんを憎み、同時にそんな厭な気持ちを抱いた自分を憎んだ。だから傷つけたんだと思う、自分自身で」 「…レナ」 「…でも、落ち着いて考えて、もうそういう気持ちは捨てたよ。…魅ぃちゃんも圭一くんが好きなのを、レナは認めなきゃいけない。魅ぃちゃんだって、レナが圭一くんを好きなのを認めているんだから…お互い、認め合わなきゃ」 「…レナ…レナぁ…」 魅ぃちゃんは、私の胸の中でヒックヒックと泣き始めていた。 私は魅ぃちゃんの頭を撫でる。 「泣かないで、魅ぃちゃん?私たちはね…幸せなんだよ?圭一くんっていう素敵な男の子と出会えて、好きになって…それは女の子として、とても幸せなことだと思うの。もちろん、『仲間』として大切でもあるけど…圭一くんは、それ以上の存在なの。レナにとっても、魅ぃちゃんにとってもね…」 「うん…そう、だね…そうだよね…!」 「…もしかしたら、魅ぃちゃんも、恐いんじゃないかな?…想いはあるけど、その想いを打ち明けた瞬間、今までの『仲間』としての関係が壊れるんじゃないかって」 魅ぃちゃんは、こくりと頷いた。 「うん…!それが怖いの…!今までの最高の『仲間』としての関係が、みんなとの関係が、圭ちゃんと一緒になったら全て壊れてしまうんじゃないかって…!レナたちも大切だけど、圭ちゃんも大切…両立出来ないなんて、そんなのって、そんなのって…!」 …私の口元が、歪み始めたのが分かった。 そうだろうね、魅ぃちゃん…。確かに、このままでは、私たちの関係は壊れてしまうよね…。 …でもね。たった一つの冴えたやり方…それを教えてくれたのも、私たちが大好きな圭一くんなんだよ…だよ? 「でもね、魅ぃちゃん…もし、圭一くんと結ばれて、レナともずっと仲良く出来る方法があるとしたら…どうする?」 「…ふぇ?」 「圭一くんにも愛されたまま、レナとも仲間とも一緒にいられて…それはとてもとても気持ち良いことだと思わない?」 「…そ、それは…そうだけど…」 「その方法をね…圭一くんから教えてもらったの」 「…!け、圭ちゃんが…?」 私は魅ぃちゃんに気付かれないように、そっとポケットからハンカチを取り出す。 「レナと一緒に…圭一くんに、いっぱいいっぱい『ご褒美』もらおうね、魅ぃちゃん」 「…レナ!?…ふぐぅっ!」 言葉と同時に、ハンカチを魅ぃちゃんの口に押さえつける。 魅ぃちゃんは私の身体を引き剥がそうとするが、すぐにぐったりと動かなくなった。 …圭一くんの持ってきた睡眠薬の威力は、凄い。 魅ぃちゃんは、すぅすぅと寝息を立てて私の腕の中で眠っている。 …その寝顔が、あまりにも美しくて…私は初めて、『女』に対して欲情してしまったようだ。 股間がムズムズしてたまらない…あ、今、ちょっとだけオマンコ汁が流れちゃった…☆ 「…はぅ~☆魅ぃちゃんの寝顔、かぁいいよう~☆お、お、お、お持ち帰りぃ~!」 かぁいいモードで叫んでみたが、どうも気分が違う。 …あは、そうだね。かぁいいモードのレナなら、オマンコなんて言わないよね。 そうだったそうだったあはははは、今はかぁいいモードなんかで誤魔化すことないんだったあははははははは。 「…魅ぃちゃん…圭一くんが帰ってくるまで…レナ、魅ぃちゃんで遊んじゃうからね…。あはは、あははははは、あはははははははははははははははははははは!!!!!!!!!!」 次回 鬼畜王K1 〜鬼誑し編・其ノ捌〜<牝獣>
https://w.atwiki.jp/talesofdic/pages/18560.html
レネギス + 目次 登場作品アライズ 関連リンク関連項目 類似項目 登場作品 アライズ ダナ人が「空の城」と呼ぶレナ人の本拠地。レナの近くに衛星の如く浮かんでいるダナ侵攻の前線基地。 ここから300年間レナ人は降りてきてダナ人を圧政で苦しめているとされている。 + 真相 ※ネタバレ含む その正体は大星霊力変換器で、属性組成の異なるダナの星霊力をレナ用に変換し、レナに送り出すことを主機能とする施設。 起動及び変換機構の制御は、<王>と<巫女>、レナス=アルマを中枢に据えることで行われる。 <楔>を用いてダナから効率的かつ大規模に星霊力の収集を行うための施設。 「追記1 一号機は<王>暴走事案の際にダナ上で爆発、失われた」、 追記2で「二号機の射出目標地点を一号機と同一にする」とあり、 「これは一号機消滅に伴うダナの地形変化により、ダナの芯央への接続がより容易になったことによる。」 とされている。 実質滅んでいるレナに代わり、レナ人と呼ばれる人々はここに住んでいる。 星霊力の強弱によって厳格な序列社会が敷かれており、星霊力の強いものが上流階級、弱いものは下層で生活している。 とりわけ星霊力が強い者が年齢や身分関係なく領将候補に選ばれ、選定を乗り越えた者が領将となるのが通例。 『Beyond the Dawn』では世界合一の際にレネギスは崩壊し、住む場所を失ったレナ人たちはダナのあちこちに住まざるを得なくなっている。 余談だがアライズ1stアニバーサリーのスキットは「レネギスからの中継」という設定だったのだが…あちらはあくまでお遊びか。 新世界の上空にはこのレネギスの残骸が浮かんでいる。 ▲ 関連リンク 関連項目 レナ人 ▲ 類似項目 ▲