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奈々の年、十一の月、一の週に勃発した一部男子徒士による女子寮侵攻作戦。 要塞レベルの警備に守られた快適な女子寮と、 廃屋寸前の男子量との格差に、男子徒士が怒りを覚えた事が発端。 参謀役として指示を出し作戦を統率する“大佐” レジェンドぼっくすと呼ばれるアイテムを用いて正門からの進入に成功した“スネークワン” これに同伴した“スネークツー” 戦利品の撮影に尽力する為に作戦に協力した“写真部隠密班” 地下水道からの潜入を画策した“ブラボー” 変化魔法でフレムに擬態して作戦に参加した“オセロット” 対空防衛システムの隙を突き屋上への突破を成し遂げた“スケアクロウ” ブラボーに続き地下水道から寮内浄水施設内部へ潜入した“オクトパス” 以上8名が中心となった作戦であった。 絶対不可能と考えられていた女子寮の潜入に大佐とブラボー以外の全員が成功、 ガーディアンゴーレム、アリ型警報装置、呪文解除の方陣等のトラップを何とか掻い潜り、 (ガーディアンゴーレムに関してはハッキングにも成功) 遂には写真部隠密班がその身と引き換えに戦利品の撮影に成功。 しかしながら侵入に気付いたユーノや守る会が迎撃に動き始めると、 あれよあれよという間に工作員達は斃されていった。 表向きは完全な作戦失敗で、大佐以下には相応の罰が科せられ一件落着であったが、 (大佐による陳謝文によって工作員の罪は若干軽くなった模様) 最後に戦利品のフィルムを手にしていたスネークワンが機転を利かせ、 校庭にて時間移動魔法をフィルムに施術、10年後に転送した事は公には明かされていない。 この記録が風紀委員会に漏洩する事が無いよう、切に望む。 作戦途中、何者かによる作用が加わったような不可思議な現象もいくつか認められたが、 女子寮侵入時間の最長記録を更新した工作員達の能力は極めて高かったと言えよう。 彼らを礎に、再び優秀な徒士が二次作戦を敢行する事があれば、 夢の女子寮完全突破、悲願達成の日は近いかも知れない。 <各工作員の結末> 大佐 ・・・作戦本部に風紀委員が介入、作戦失敗 スネークワン・・・校庭にて炎帝に追い詰められたものの機転を利かせ生き残る スネークツー・・・不明 写真部隠密班・・・ユーノに粛清され作戦続行不可能に ブラボー ・・・地下水道の上部からのプレッシャーに呑まれ戦意喪失 オセロット ・・・女子寮内の使い魔の猫達に正体が割れ作戦続行不可能に スケアクロウ・・・空間投影のトラップに掛かり作戦続行不可能に オクトパス ・・・浄水施設内に配備されていた水の精霊に捕獲され作戦続行不可能に 参考資料「魔法学園16 その8」「魔法学園16 その9」(学園大図書館・資料閲覧室)
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┏┓┗╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃Name:ドラえもん S:1(8)M:2(8) 関係:同僚/戦友の息子 , --───- 、 / / ⌒ヽ./⌒ヽ\ / , -{ / ハヽ } 、 ヽ / / ゝ _ ノ, ‐ヽ-' \ヽ / ‐┼──- ゝ ノ - ‐一!|‐ | l.、, -一 | ー─- lL_ | / \./ | ー-./ ! 、 ' l. /\_ | _/ /\ ヽ X  ̄ ̄ / /、二二二二二二二二 く / / ( 〒)\ ヽ ! / / } !Class事務員 :C-Skill【JAMMING】Gift【JAMMING】───────────────────────────────────────【ユーノ】この人も宝貝使いみたいだね 沸点はのび太の仲間内でも最も低い。
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登録日:2009/12/29(火) 21 50 36 更新日:2022/05/30 Mon 17 56 09NEW! 所要時間:約 2 分で読めます ▽タグ一覧 アルベール・カモミール オコジョ ネギま! ネギま!版ユーノ君 パンツ神 フェレットじゃあない 仮契約 変態 月給5000円 淫獣 魔法先生ネギま! 『アルベール・カモミール』は『魔法先生ネギま!』の登場動物である。 初出は3巻で、ウェールズから下着泥棒2000枚の罪から逃げるため、5年前に助けて貰って以来親友であるネギの所へ来た。 以降ネギの使い魔として明日菜&木乃香+ネギの部屋に居候している。 オコジョ妖精で妹がウェールズにいるとのこと。 性格は前述から分かる通り「ド変態」で仮契約の仲介をすれば大金が手に入るため、 ネギの魔法使いバレした相手にキスを奨めるなどデリカシーのなさや、強欲さも目立つ。 特に変態=味方と考えているため、クウネルやハルナらともすぐに意気投合した。 修学旅行編で朝倉の胸の谷間に挟まった姿を見て羨ましいと思った方も多いだろう。 見た目で人…ではなく動物は判断してはいけないと言わざるを得ない。 しかし、サポート能力は高く肝も座っており、的確なタイミングで明日菜等の増援を呼んだり、オコジョ魔法で盗聴防止をしたり、 ネギ捕縛時には情報・手持ちの戦力をフル活用し、救出に成功する等役に立つことも多い。 また、パンツの匂いから持ち主の方向と距離を当て無限結界からの脱出に一役かっている。 今やネギパーティーの影の大黒柱とも呼ぶべき存在である。 ちなみに、正体はナギという説が存在したこともあり、それなりにありえそうな話でもあった。しかし赤松は公式にナギ=カモ説を否定している ウェールズの冬は寒い…貧乏暮らしの俺達兄妹は満足なwikiにもすめず… せめて妹にはあったかいwikiを作ってやろうと保湿効果に優れた人間の女性の肌着を毎晩拝借しているうちに何故か罪に問われ… wiki籠りじゃ妹に仕送りも出来やしねぇ。そこで覚悟を決めて脱wiki…貨物船にゆられゆられて唯一頼れるネギの兄貴がいるアニヲタに来たって訳でさぁ… すまねぇ姐さんネギの兄貴…尊敬するネギの兄貴を騙して利用しようなんざ俺も地に落ちたもんさ…笑ってやってくれ。…大人しくwiki籠ることにするよ じゃ…あばよ △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] そういやこいつ仮契約とか本契約とかのカード作るたびに金が云々言ってたような -- 名無しさん (2016-04-18 11 06 52) アル!? -- 名無しさん (2016-04-18 11 30 55) タグにユーノってあるけどあっちの彼の方がむちゃくちゃ有能なんだよね。 -- 名無しさん (2017-04-06 01 18 55) 結局なんだったんだコイツは -- 名無しさん (2020-01-04 05 20 28) 狂言回しかな。 -- 名無しさん (2020-06-21 00 48 58) 『UQ HOLDER!』では老人の姿でとうじょうしていた -- 名無しさん (2022-05-30 17 56 09) 名前 コメント
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フタバ王国のイベント&伏線 本項は、王国のイベント及び、伏線を網羅するページです イベント&伏線のTOPへ イベントクレストの門の復旧工事(終了) セイバーの折れた剣(終了) ガーディアンの森消滅の一件 (終了) 暗躍するパルパティーン エヴァ将軍との交渉 魔王の像への懸賞 カーム開放戦 議員らの暗殺 国王の依頼(現在進行中) 伏線帝国侵攻への防衛計画 パルパティーン議員とロコの密談 ドレイクへの献金 戦争を左右する聖剣 モリゾーの書物 黒い鳥 イベント 現在進行中、又は過去のイベント クレストの門の復旧工事(終了) 序章・第8幕で、王国軍が奪還したクレストの門。だが、その戦いでかなりの設備が壊れていた。王国は、騎士団参謀オーヴァンの指揮の元復旧を急ぐべく工事を行っていたが、ロードブレイザーが突如来襲!それに呼応するかのようにアスタロットも現れ王国軍は2大強敵と対峙する。だが、先の戦いの疲労のため、王国軍は徐々に押されていく。 クレストの門放棄かと思われる戦闘だったが、二人は王国軍の実力を試すのが目的のように颯爽と魔界へ消え去った。この襲撃の一件で復旧したところを含めてさらに破損した。そして多くの人命が失われた。王国にとって手痛い痛手である。 第11幕に置おいて、オーヴァンらの活躍で復旧。 セイバーの折れた剣(終了) 序章・第8幕でのクレスト門の戦闘の際、謎の騎士・黒き騎士王との戦いで彼女の剣は折れた。 それの剣をある貴婦人に返すためにエクセリオンレイクに向かう。 ガーディアンの森消滅の一件 (終了) 序章・第9幕にて魔王軍の力を見せ付けたガーディアンの森の消滅。 この知らせは、王都を揺るがし、付近のクレスト門駐留部隊にも届いた。 上に記述した通り、ブレイザーとの戦いで疲弊している騎士団と、新兵ばかりの 第10軍団は、この事態を重く受け止め、直ちに魔王軍討伐隊の編成を開始した。 軍議を経て行動を開始した。 ゴルギアス山に出陣し、結界で魔王軍を封じ込め 塹壕などを建設し周囲を封鎖。山頂では、魔王軍が神殿を 発見。その動きにセイバーが気づき後を追い、戦闘に そのなかで、第一の守護騎士を倒して神殿に踏み込むも 像は偽者だった。一方、包囲戦は王国が有利に展開 ギリシアの火を投入し殲滅を図る。像の偽者と分り 脱出を図る魔王軍は、ヒロが術に入りその間死神が 敵を防いだ。そして火を取り込みヒロの魔術が発動する。 その隙をついて魔王軍は撤退する。 麓にもどり状況を確認した王国軍将ヴェリサリクは全軍に撤退と死傷者の葬儀を命じる 葬儀が終わり撤退中に魔王軍の追撃があったがこれをなんとか防ぎ王都など 各地の任地に帰還する。その際森の長老モリゾー宅で書物を発見した模様。 暗躍するパルパティーン 第9幕で赤頭巾を拉致した議員は、彼女と面談し いろいろと聞き出す。同じ頃、王都にいばら姫も表れ 一緒にいたユーノともども私邸にて面談する。 また、元老院で彼に話しかけるド・ヴェイルパンが 現れる。第11幕にてド・ヴィルパンが諜報組織SSAの設立を進言し 議員が資金を出し設立。 第12幕のパルパティーン劇場 元老院で詰問されるヴェリ将軍を擁護し、国王と面会。 その後将軍の進言により立て札が立てられる。 また、セイバーと面談した。 エヴァ将軍との交渉 シグナム、トキミ、ウルカが帝国テインダージェル城 に到着。潜入などで派手にやったので、デスサイズらに 感ずかれる。密談を果たすも、危機に陥り、スレイヤー の協力で場外に脱出。 その後、ゼダン要塞で警戒が厳しくなる中無事に脱出を果たす。 成果を議員に報告。なにやら動きがあるやも知れません。 魔王の像への懸賞 本スレより 「封印の像を発見し、王宮に献上した者には一体につき500万Jを褒章金として与える但し破損、又は異常が見られた場合、大幅な減額を行う尚、同時に珍しいアイテムも募集する上記は成果によって褒章を与える」 との事。王国内では、SSA機関がこれの調査を監督する。 像が、見つかったら持ってきてください。 カーム開放戦 数年に渡りカーム近海を帝国軍に封鎖され、諸国からの交易品が王都への輸送が困難となり、また交易が衰退し王国経済への影響などを鑑みた結果。カーム近海の帝国艦隊の一掃を決定し、第Ⅹ軍団がこれに当たる。激戦の末、カームにたどり着いたのは、艦隊の半数に満たなかったが、帝国のも被害を与えておりカームの海上封鎖は解かれた。 尚、この戦いの中、帝国の特殊部隊が、シグナム、トキミ両名の捕縛に乗り出した模様である。 議員らの暗殺 第一章第7幕・8幕にて繰り広げられたイベント ユーノらが帝国の軍服を着て突然、王国議員団を暗殺する。 それに対し王国も、捕縛に乗り出す。その過程で王城が炎上し、半壊する。 国王が激怒しヴェリサリクが念入りに減給され、他の王国部隊もそれぞれ減給されることとなった。 国王の依頼(現在進行中) 国王ハル=パゴスⅡ世が、王国聖騎士団の三騎士(カイ、ソル、ジークフリート)と王立魔法研究所の魔術師ルフィーアに チョラス村での異変を調査して欲しいと依頼した一連のイベントである。 チョラス村にはフタバ王国三大鉱山の一つ、「プレブス鉱山」を抱えており、先に送り出した調査隊からの連絡も 途絶えたままだと言う…。この異変の原因を突き止めるべく、三人の騎士たちと一人の魔術師の冒険が始まった。 また、同時の国王は、教会のある重要人物の救出も依頼している。 伏線 帝国侵攻への防衛計画 ドレイク議員は、軍務省の会議で提出された帝国侵攻予想案をもとに軍を編成する計画を立案した。 概要は、キール軍港でオーラバトラー運用艦を含めた艦隊の増強。王国北方に位置する ゼダンの要塞からの侵攻に備え騎兵を中心とした主力を配備。また、カームからの侵攻に備え、ここにも軍を増強する。以上であるが、元老院での審議は難航している。 パルパティーン議員とロコの密談 かねてより王国軍との連携を模索していたロコをパルパティーンが発見。王都で密談を行う。その席で議員は、帝国内での有事の際協力すると発言する。その後、なかなか事態が進まないことに業を煮やしたパルパティーンが監視のためにエヴァ将軍の下に使者を送る。 ドレイクへの献金 商人ギルドが、帝国の海上封鎖の打破のためにドレイク議員に献金を行う。 またその際、ネオ・ヴェネツィアなる都市国家の存在が明らかになる。 その後、献金の結果、オーラシップの建造が始まる。 現在、講習会が開かれオーラバトラーが量産される。 戦争を左右する聖剣 パルパティーン氏と会談したユーノ氏の発言 「戦争を左右する程の聖剣、ご存知ですよね?」 との事。その後セイバーと面会したユーノは 彼女にその剣を渡すつもりがあるが今はまだ早いと 述べていた。すげぇ、気になるのですが。 モリゾーの書物 ガーディアンの森を治めていたモリゾー宅跡より 何冊かの書物が発見される ガーディアンの木霊の書と名付けられ王都に 持ち帰られた。 現在 王国管理。 黒い鳥 王国内で黒い鳥が飛来している。何かの伏線なのだろうか…
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第十二話「疑念」 あれから銃を突きつけ、シャマルを脅すような格好が続いたのだが幸いにして衝突が起きることはなかった。 「なあ、ソースケよ。ここでシャマルを殺したりしたら俺たちどうやって帰るよ?」 クルツのこの一言が全ての決着を付けてくれた。 盲点だったその言葉に宗介はしぶしぶ拳銃を懐にしまう。 「・・・撃たないんですか?」 シャマルの問いに宗介もクルツも無言のままだった。 12月12日 2321時 海鳴市 セーフハウス それから、シャマルの転送魔法で宗介達は地球に帰ってきた。 セーフハウスに戻ってきたが、まだマオは戻ってきてないようだ。 シャマルと別れる途中に聞いた話だがマオはシグナム達と一緒にあの場を離脱したらしい。 帰ってきてすぐにこの世界に残って任務を続けている情報部員のケット・シーに連絡を入れたところ どうやら八神はやては友人の家に泊まっているらしい。 「それで?どうするんだよ、これから」 「どうとは?」 「お前が言ったんだろ?『闇の書』が危険な物だって」 クルツの言葉は相変わらず軽いが、宗介は考え込んだ。 あれが本当に大量破壊を引き起こす危険性がないのなら当然、自分達はこのまま任務を続けるべきだ。 だが、もしそうでなければ・・・ 「ああー、疲れた。ただいまー」 しばらくして玄関が開き、疲労困憊といった感じの声がマオの帰還を知らせる。 パイロットが着るスーツを片手に持ち、リビングルームに入ってきた。 「姐さん、おかえり」 いつの間にかクルツは台所から持ってきた缶ビールを飲んでいる。 どうやら考え込んでいる宗介を待つのに飽きたようだ。 「あ!クルツ、ちょっとそれはアタシのよ」 「名前書いてなかったぜ?」 小学生みたいなことを言うクルツに疲れた体を引きずりながら近づくマオ 口からはクルツに対する不満が呪詛のように漏れだしてきている 前にこういう任務に就いたときも私のカニ缶を・・・だの 弾薬をドンブリ勘定ばっかり・・・などなど、挙げればきりがない。 「アンタって奴は、毎度毎度いい加減なことばかりして・・・!」 マオはギリギリとクルツの首を締め上げる だが、疲れているのか普段のキレがない(それでも十分苦しいのだが) 「ハハッ、姐さん苦しい苦しい・・・・」 うめく様な乾いた声を出すクルツ よく見なくてもクルツの顔は青くなり始めている。 「ったくもう、明日アタシの分買ってきなさいよ」 「酒がいるのか?」 「へ?いや今すぐじゃないけど、どっちかといえば・・・」 宗介が酒がいるのかなどと聞いてくるとは思わなかったのだろう。 マオは素っ頓狂な声を出してしまう。 「では俺が買ってくる。ビールでいいのだな?」 答えも聞かずに宗介は玄関から外に出て行ってしまう マオは不思議そうな顔をしながら思いを廻らせた。 逡巡とでも言えばいいのだろうか?よく分からないが宗介は今、何かに迷ってるようだ。 「どうしたの?ソースケは」 「悩める年頃・・・ってやつかな というのは置いといて、それがな姐さん―――――」 ◇ ◇ ◇ セーフハウスのあるビルのエレベーターから出る宗介 とりあえずこの時間まで酒屋は開いているのか分からないが頭の中から、この辺りの地図を引っ張り出す。 「あっ・・・」 ビルの入り口を少し出たところでなぜか1時間ほど前に別れたシャマルが立っていた。 なにやらおろおろ迷っている様子をしているので宗介は事務的な口調で声をかけた。 「そこで何をしている?」 「えっと、シグナムがここに行けって 通信関連で聞きたいことがあるんじゃないんですか?」 宗介の頭にハテナマークが浮かぶがマオが要請したのかもしれない。 しかし、通信関連とは極めて重要なことでないか 「では、行くといい。マオも待っているはずだからな」 「サガラさんは、どこに行くんですか?」 なんとなく居心地の悪い雰囲気を変えるべく、シャマルは宗介に聞き返す。 「物資の補給だ」 「買い物なら私もついて行っていいですか?ちょっと話がしたくて」 「かまわんが、行かなくていいのか?」 はい、という返事と共に宗介の横に並ぶシャマル 一瞬宗介は自分を口封じする気か?などといつもの被害妄想が働いたがすぐにその考えを却下した。 もし自分を消したいのならば、もっと適任がいるはずだ。 それからしばらく夜の道を二人で歩いていると 沈黙を保っていたシャマルが口を開き、とつとつと話し出した。 「砂漠世界では途中で話が終ってしまって、あの・・・・待ってもらえませんか!」 待つ、それはつまり『闇の書』が完成するまで自分達のしていることを黙認して欲しいと言うことだろう 「それは・・・・」 それはつまり『闇の書』が、もたらすかもしれない災害について目を瞑って欲しいということだ。 シャマルは言う、八神はやてならば『闇の書』が持つ力を間違ったほうに使うことないと。 確かにそれほど長くないが、八神はやてを監視して来た宗介にもそのように思えた。 だが、可能性は常に付きまとうものだ。 完璧に憂いを断つのならば、ここで『闇の書』を破壊、もしくは彼女らの手の届かない所に隠すことが正しいのではないか? 宗介の頭からその考えがこびり付いて離れることはなかった。 「『闇の書』を破壊するだけでは解決しないのか?」 「・・・ごめんなさい」 謝るシャマル、宗介だって期待していたわけではなかった。 『闇の書』を一番知るのは他でもない持ち主の4人だ。 門外漢である自分でさえ思い至るのだ。シャマル達は当の昔に思いついただろう。 「俺は・・・」 答えることができない。 今の自分には答えを出せない。それだけがはっきりと分かる。 「・・・・そうですよね。『闇の書』のことを知ってから まだ一日も経ってないんですもんね」 シャマルはどこか寂しそうな笑顔を向けながら話を変えるために別の話題を振る。 「買い物って、なに買うんですか?」 宗介が酒だと答えると、シャマルは今の時間だとこの先にある酒屋は閉まっていることを教え 仕方なく二人は、もう少し遠くにあるコンビニに進路を向けた。 12月13日 1105時 メリダ島基地 「ですから、なぜアマルガムが作戦を展開している地域に手出しするなと仰るんですか!?」 『そうは言っていない。現地からの報告書には不審な点が多すぎると言ってるだけだ』 メリダ島の執務室で西太平洋戦隊を預かるテレサ・テスタロッサ大佐は電話の向こうにいる 自分の上司――――作戦本部長ボーダ提督に怒鳴っていた。 ボーダ提督も負けじと反論するが、それでもテッサ黙らない 「しかし送られてきた画像は本物です。そちらの分析班もそう判断したのでしょう? ですから、せめてアーバレストを派遣するために今すぐ研究部を説得してくれませんか?」 12月2日に行われた戦闘の報告書にはヴェノムの静止画像が 添付されていたがシグナムやなのは達の画像は送られてこなかった。 送っても混乱させるだけだろうし、なによりその時点では 現地にいる宗介達でさえ彼女らが何者なのか分かっていなかったのだから仕方ないと言えば仕方ない 『しかしな、午後8時ごろに市街戦が起きていたはずなのに目撃者ゼロなどありえると思うか? 現地のメディアはどこも沈黙しているのだぞ?そのような訳の分からん場所にアーバレストは送れん。 少なくとも私は作戦本部長としてそう判断する』 「ですが」 『お前が部下を信頼しているのは分かる。だが、こちらには判断材料が少なすぎるのだ。 ・・・もちろんお前が勝手にペインローズ博士を説得するなら話は別だが』 まあ、無理だろうと言う気持ちからそんな事を言ってしまう提督は 後ほどこの発言を後悔するのだが、それはここでは語られない。 「分かりました。では、私の好きにさせてもらいます」 テッサは怒りのあまり受話器を叩きつけると同時にインターホンから 自分の秘書である少尉が来客が来たことを告げる。 「失礼します」 ドアが開き、白髪の大柄な男性が入ってきた。 西太平洋戦隊の陸戦ユニットを統括するカリーニン少佐である。 やはり、いつもの如く手には大量の書類があった。 その多さにテッサはうんざりしながらもそれらに高速で目を通していく。 「大佐殿、実は判断に困るものがあるのですが・・・」 「ここに運ばれてくるものは大半がそういうものでしょう?」 書類から目を離さず、カリーニンに答えるテッサ しかしカリーニンはテッサに一枚のDVDを差し出す。 「見ていただきたいのは、昨日付けで送られてきたマオ曹長からの報告書です。 それと、この映像を」 テッサは少佐の手からそれを急いで受け取り、自分のパソコンでDVDの映像を再生する。 映し出される日本の都市らしき風景、これはM9の記録映像だろうか? 下には記録されたときの日付と時間が付いている。 「これ、日付は昨日ですね?」 「はい、見ていただきたいのは1940時辺りからです」 カリーニンに勧められ映像をその時刻まで早送りする。 まず映ったのは夜空だった。 それから天に向かって40ミリライフルを3発立て続けに発砲するM9 威嚇?しかし、隠密で行動をしているのに注目を集めるような行動をメリッサがするだろうか 「人?」 空に人が浮いている。それも複数、そのうちの一人を空中でキャッチしM9は地上に降り立つ。 それから始まった戦闘は見るものを白昼夢に誘うような内容だった。 12月13日 1649時 時空管理局医療ブロック 昨夜緊急に運び込まれたクロノ・ハラオウン執務官の容態も安定し、病室の扉からは面会謝絶の札が消えた。 運ばれたときはすでに意識を取り戻していたが 利き手である右手を骨折、手榴弾の破片が体に突き刺さり出血も酷かった。 こうして生きてるのは、日々の訓練の賜物としかいえなかった。 「リーゼ達に少しは感謝しなくちゃな・・・」 ベットの上でクロノは幼い日、二人の師匠が行った修行のことを思い出す。 アリアの魔法に吹き飛ばされたり、ロッテに関節極められて肩が外れたり 滝に打たれたり、極寒の氷の世界に放り込まれたり よく生きてたものだ。 コンコン 部屋の扉がノックされる。どうやら人が来たらしい。 「どうぞ」 「こんにちわ」 「お邪魔します」 眼鏡をかけた女性が病室に入ってくる。 途中で一緒になったのか、後ろにはユーノの姿まである。 「こんにちわ、レティ提督」 クロノは情報の鬼、運用部と監察部のボスに挨拶を返す 後ろにいるフェレットもどきは当然の如く無視である 「僕には挨拶無しかよ!」 「大声出すなよ、怪我に響くだろ」 アイタタタタと傷口を押えるクロノ ユーノは慌てて口を押さえ心配そうにクロノを見るが そのユーノの様子を見たクロノが笑っているのを見て、騙されたことに気付いたようだ。 「なんでこんな性格の悪い奴が執務官試験に合格するんだよ・・・」 「あらあら、クロノがこんなことするのはユーノ君くらいよ?」 「レティ提督!」 うふふと笑うレティ提督、どうやら思った以上にクロノが元気そうで安心したらしい クロノは柄にもなく大声を出したことを誤魔化すように咳払いをしてレティ提督に来てもらった本題を振る。 「それでレティ提督どうでした?」 「結果は・・・グレーと言ったところね。確証が無いのよ」 突然始まった謎の会話にユーノはクロノとレティ提督の顔を交互に見ておろおろし始めた それを無視して二人の会話は続いてゆく。 「どの辺りまで調べました?」 「とりあえず将官から佐官まで、どこも怪しそうで怪しくないって感じね それ以外も、となると気付かれる可能性が高くなるわ」 「あのぅ・・・何の話をしてるんですか?」 オズオズとユーノが二人の会話に割り込む。 二人はそんなユーノをじっと見てニヤリと笑った。 「そうね~、あなた確かスクライア族だったわよね?」 「え、一応そうですけど・・・」 とても嫌な雰囲気に額から汗を流すユーノ。まさに蛇に睨まれた蛙 いや翼を広げ襲い来る大鷲を前に食物連鎖の運命を受け入れたフェレットのような顔といったほうがしっくり来る。 「あなた達って、管理局でも有名なのよね。危険が満載されてる古代の遺跡から これまた危険なロストロギアを発掘することを生業としてる一族。 その探査能力、危険感知に関する勘の良さは天下一品ってね」 ユーノはレティ提督にジリジリと壁際に追い詰められる。 「貴方にやって欲しいことがあるのよ」 「な、なにをです・・・」 「無限書庫に行って『闇の書』について調べてほしいの」 「それと、もう一つ」 さらにクロノが追加注文をつける 「まだあるの!?」 「間者をやって欲しいの」 「間者?」 ユーノは聞きなれない言葉を鸚鵡返した。 そんなユーノにレティ提督は分かりやすくとてもシンプルな言葉で言い直す。 「簡単に言えばスパイよ」 「ええええええええええええええ!?」 ユーノの叫び声でその後に続くレティ提督の と、言ってもすることは大抵あたしが持ってくる大量の書類を調べることだけどね~ という言葉が掻き消えてしまった。同日 同時刻 海鳴市 『闇の書』事件対策本部 海鳴市にある高級マンションの一室、『闇の書』事件対策本部の一室で エイミィとリンディ提督がコンソールの前で話をしている。 「それでエイミィ、何か分かった事はある?」 「今のところ、あのAS―――M9を使ってる実戦配備している軍は存在しないと言われてるんですよ。 でもいろいろ調べてみたんですけど、インターネットにこんな記事があったんですよ」 空中に浮かぶ半透明のモニターに映る週刊誌の記事 そこにはデカデカと『国際救助隊現る!?』とあり修学旅行中の都内の高校生を乗せた旅客機が ハイジャックされたことについて色々書かれている。 それだけならただの記事に過ぎないのだが問題は救出作戦中に生徒が撮ったとされる写真だ 「これって、あのASよね?」 「ええ、記事には国連軍が救出作戦をしたとありますけど、いろいろ矛盾点が指摘されてます。 それでも時間が過ぎると風化していきましたけどね。で、この写真見てピンと来たんですよ。 もしかして今、私達が戦ってるのはこれに映ってる人たちじゃないかと」 そう言いながらエイミィはコンソールを操作して新たな映像をウィンドウに出す。 その事件についてのスクラップ記事が映し出されていた。 「この事件で人質になった旅客機の乗客と別に救出された少女がいるんですよ。 その娘なら何か知ってるかもしれません。 だた問題は攫われて助けられるまで薬で眠らされたと証言してることですけど」 「そうね・・・」 リンディは頭の中で思案する。最後に謎の集団に救出されたにもかかわらず ハイジャック事件の後、こうして普段の生活に戻っていると言うことは 本当に意識を失っていたのかもしれない。もしくは、口止めをされているか。 「無駄かもしれないけど、明日誰かに行ってもらいましょうか。転送ポートを使えば行きも帰りもあっと言う間ですからね」 「分かりました。じゃあ、クロノ君や武装隊と戦った人の写真を現像しときますね。 あ、あとグレアム提督はこちらの世界出身でしたよね? あの方、こちらの世界の軍事にも詳しいみたいですし、一応資料を送ってみますね」 いろいろと便宜を図ってくれているグレアム提督にさらに助言を求めるのは心苦しいが 現状は手がかりが全くと言っていいほどない状態なのだ。打てる手はできるだけ打っておきたい。 「よろしくお願いね、エイミィ。それにしてもASの透明化機能の弱点が分かったのが幸いだけど もう気象操作が使えないのが痛いわね」 M9に搭載されているステルス装置ECSの弱点がオゾン臭と水であるということは分かった。 昨日の戦闘では、フェイトがサンダーフォールを使い雨を降らせてECSを無力化したが気象操作には大きな制限がある。 まず一つ目が大量の魔力が必要であること だがこれもカートリッジシステムを搭載したことで何とかなっている。 問題は二つ目なのだ。 雨を降らせる魔法といっても無から有を生み出しているわけではない。 雨の降る予定のない所に周辺地域の水蒸気を集めて雨を降らせているのだ。 多様することは回りの環境に多大な悪影響を与えてしまう。 すでにフェイトは半年前のP・T事件でサンダーフォールを使っている。 半年の間に海鳴は2回の気象操作魔法を体験している。 これ以上の使用は海鳴と他の地域に日照りに干ばつなどの天変地異を誘発する恐れがあったりするのだ。 「臭いが弱点といってもアルフ並みの嗅覚がないと正確な位置の割り出しは難しいですしね」 犬のような嗅覚が優れた素体を使って急遽、臨時の使い魔を配備することが検討されたのだが アルフのような高位の使い魔を作る力量のある魔導師も足りなければ製作時間も足りなかった。 これからアルフに負担がもっとかかるだろうと予想されているのだが 当のアルフは頼りにされるのが嬉しいのか、かなりご機嫌だ。 「もう一機のASに関してなんですが、やはり詳しいことは依然として分からないんですよ。 相当な技術力を持ってる組織が扱ってることは簡単に類推できるんですが・・・」 ポニーテール状の放熱索、ダークグレーの装甲と紅いモノアイを持つAS そして、推定AAAランクの騎士が放った一撃を容易く防いだ謎のバリア機能のようなものを搭載している。 詳細なスペック、所属組織について共に謎 目的は『闇の書』を奪取することと推測されるがやはり決め手にかける。 前回、守護騎士を攻撃したのが今回は守護騎士を助けるような行動を取った。 ミサイル攻撃が助けるための行動なのかと疑問を持つ者も少なくないが 殲滅が目的ならあと数発のミサイルが撃ち込まれていてもおかしくはない。 むしろ撃ち込まない方が不自然だ。 前回の戦闘も守護騎士がなのはを蒐集する前に止めを刺そうとしたことを、阻止しようとしたと考えれば合点がいく。 それらの行動から察するに彼らは待っているのだろう。『闇の書』の完成を・・・ 「それに仮面の男・・・ やっぱり、あのポニーテールのASの仲間なのかしら?」 モニタに映し出される白を基調とした服を着ている群青の髪と仮面を付けた男 クロノと戦ったこの世界の戦士の仲間、金髪の狙撃兵と武装隊員との戦闘に割り込み狙撃兵の窮地を救い その後、狙撃手達と合流することなく夜の街に消えた。 その行動を見れば、ミサイル攻撃を行ったASに非常によく似ている。 「そうかもしれません。この仮面の男は間違いなく魔導師ですね、しかも高位の・・・。 ASとこの世界の兵士が結界に侵入できたのもこの男が手引きしたのかもしれません」 エイミィが仮説を述べる 「でも、そうなるとこの第97管理外世界には管理局と同等の魔法技術があるってことになるわよね?」 シグナムが結界内に侵入した方法はシンプルだった 己の魔力をぶつけ結界に穴を開け、それが閉じる前に侵入する。ただこれだけである。 しかし、シグナムの侵入以外でこのような痕跡を発見することはできなかった。 結界を維持している武装隊員に気付かれずAS二機と二人の歩兵を侵入させるなど並みのスキルではない。 「私達が知らないだけで、実はこの世界にも魔法文化がある? それとも、この男は・・・・・ どちらにしても今回の事件、意外と裏がありそうね」 あまり考えたくないことだが最悪の場合も想定しなければとリンディは考えた。 12月14日 0138時 海鳴市 セーフハウス 「それで何も答えないまま、ここに連れてきたのかよ?」 「そうだ。特に尾行されている気配も無かったからな」 「変に生真面目なくせに優柔不断だな、オメーは」 「では、なんと答えればよかったのだ?」 モニターで八神家を監視している途中 ただ待っているのに飽きたクルツがなにやら先日から悩んでる宗介に絡んでいた。 「ん~?そうだな、この私めに御身の警護をお任せくださいとか?」 「俺は真面目に聞いている」 あくまでふざけた調子で答える同僚を睨む宗介 あの後、一緒に酒を買ってシャマルをセーフハウスに連れてきた。 通信関連についてシャマルと話し合い、マオが緊急連絡用のチャンネルをシャマルに教えて解散した。 「俺はいつだって女性の味方をなんだよ」 「話すのではなかった」 後悔したように呟く宗介はモニターに目を移す 「なにをお喋りしてんのよ。きちんと仕事しなさいよ」 メリダ島からの通信が来た為、奥の部屋でいろいろ報告していたマオが出てきた。 「いいニュースよ。テッサがアーバレストを送ってくれるってさ」 「あの映像と報告書を信用してくれたのか。はっきり言って期待していなかったのだが・・・ しかし、まだ研究班が帰ってないはずではないか?」 「テッサは元はといえば研究部出身だからね。ペインローズ博士とは仲いいらしいわよ。 で、そのコネを活かして何とかしてくれたみたい」 そういえばそうなのであった。 テッサの神懸り的な操艦のせいで忘れがちなのだがテッサは元々、技術畑出身だった。 ウィスパードである彼女が技術部のトップたるペインローズ博士と面識があってもおかしくはない。 「明日にはもうこっちに送ってくれるってよ。 武装はボクサー散弾砲にその予備弾装、対戦車ダガーとか・・・まあ、いつものとおりね」 「姐さん、俺のM9は来ないの?」 「今のM9が消耗してるから変わりのM9を送ってくれるらしいけど、これは私とアンタで使うことになりそうね。 まあ、狙撃砲がないからアンタの出番はないだろうけど」 先日の戦闘で右腕のワイヤーガンの喪失、マッスルパッケージもそれなりに磨耗してしまっている。 しかし、ここでは本格的な整備は無理なので丸々新品のM9を送ってくれるそうだ。 剛毅な話である。 「ええ~?今の狙撃銃じゃ、あいつ等相手だと火力不足だし。何とかなんねーの?」 12日の戦闘でクルツが使っていたドイツ製の狙撃銃は黒衣の魔導師にあっけなく防がれた。 それ以外の連中ならば、なんとか通用するのだが狙撃は必殺でなければならないのだ。 「もっと威力のある武器ねぇ。12.7㎜弾ならあいつらにも効いたけど・・・」 「対物用ライフルか?それなら俺のセーフハウスにあるぞ」 「・・・なんでそんなもん持ってるのよ?普通は必要ないでしょうに」 マオが真剣を凝視して宗介に疑問を呈する。 威力と反動が桁違いの50口径アンチマテリアルライフルは本来なら護衛任務に必要ないものだ。 「とある生物を倒す為にどうしても必要だったからな。 しかし、あれでも奴を足止めすることしかできなかったが」 あのときの恐怖を思い出し宗介は俯き、手が震え出した。 得体の知れない動きとチェーンソー、そしてなぜか効かない実弾・・・悪夢だ。 「ふうん、まあいいわ。じゃあ、明日M9とアーバレストはアタシとクルツで受領するわ。 ソースケ、アンタは一度泉川に戻って偽装トレーラーと使えそうな武器を持ってきなさい」 以前、かなめを護衛したときも今回のようにM9を使用して任務に当たった。 そのときにASを格納する為に大型トレーラーの形をした格納庫を使っていたのだ。 それは未だに宗介の管理の下、泉川に残ってたりする。 「だが、いいのか?ここを離れてしまって」 「いいのよ。かなめの時とは違ってケット・シーもいるし。 それにクルツだったらきっと道草を喰うに決まってるから」 その言葉にクルツは抗議の言葉を上げるが、宗介もマオも聞く耳を持っていなかった。 翌日の朝、宗介は車で海鳴を出発するのだがそれには予期せぬ乗客が乗っているのだった・・・ 前へ 目次へ 次へ
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深夜。 アスランはベッドに入って目を瞑っていた。 寝ているのではない、実際本人に意識はある。 ベッドに入るまでは眠気があったはずなのに、何故か今ではまったくといっていいほど眠くない。 目を瞑っていればその内寝るだろうと思っていたのだが、この状態ですでに二時間ほど経過している。 (……参ったな) 観念し、目を開けるアスラン。頭上に広がる天井。 つい一月ほど前からこの部屋に住んでいるアスランにとって、それはすでに見慣れない天井ではなくなっていた。 (……まさか、戦争の途中で異世界に迷い込んで、さながら魔法使いになってましたなんて、な) 一体誰が信じるだろうか。 イザークがこの話を聞いたら「はぁ?貴様何を寝言を言っている?」とか言いそうだ。 だが、今自分はこの世界で魔法を使っている。 自分を助けてくれた魔法使いの少女と使い魔と共にジュエルシードを集めている。 全ては、少女の母親の願いを叶える為に。 その為に、この世界でまた親友と刃を交える事となった。 キラ・ヤマト。 幼少時の自分の親友。父親の都合でプラントに渡る事になり離別したが、 再会は、二人が想像しなかった形で邂逅した。 ――倒すべき、敵として。 そして、彼とは幾度となく刃を交えた。 その中、自分の同僚がキラに殺された。 アスランは悔やんだ。キラを討てない自分の甘さが、彼を死なせてしまったと。 次に会った時は、お互い本気で殺す気で戦った。 その時の二人は、悔しさと悲しさ、そして、憎しみが支配していた。 その最中、爆発の影響でアスランはこの異世界に迷い込んだ。 そして魔法使いの少女に助けてもらい、そのお礼として手伝いをすることになった。 そうしてジュエルシードを集めている最中、キラと再会した。 ――また、敵として。 だが、今の俺はザフトのアスラン・ザラじゃない。 軍の命令も何もない。あるのは、ただ己の意思。 やると決めたのは自分の言葉。助けたいと思ったのは自分の気持ち。 そして……キラを殺したくはないのも、また事実。 ――俺は甘すぎるのかな、ニコル。 今は亡き友へと言葉を送るように外を見る。 ――だけど、俺は……負ける訳にはいかない。 この身に託された思いと、絆を結ぶ為に……。 思考を巡らしていたが、いつしかアスランの意識は深い闇の中へと消えていた。 同刻。 時空航行船・アースラ内。 現在は航行を停止しており、クルーの皆は現在ブリッジの中央テーブルに集まっている。 そして中央の一番奥に、艦長であるリンディが座っており口を開く。 「……という訳で、本日零時を持って本艦全クルーの任務はロストロギア、ジュエルシードの捜索と回収に変更になります。 また本件においては特例として、問題のロストロギアの発見者であり、結界魔導師でもあるこちら」 ガタ。と椅子から立ち上がるユーノ。 「はい、ユーノ・スクライアです」 「それから、彼の協力者でもある現地の魔導師の」 はっと自分が呼ばれた事に気付き立ち上がるなのは。 「た、高町なのはです」 「そして、異世界より迷い込んだ魔導師の」 カタ。と席を立つキラ。 「キラ・ヤマトです」 ペコと小さく頭を下げる。 「以上三名が臨時局員の扱いで事態に当たってくれます」 「「「よろしくお願いします」」」 三人が同時に頭を下げる。 「こちらこそ、よろしく」 「よろしく」 局員の皆が三人へと返事を送る。 その様子を見て微笑むリンディ。 アースラ・ブリッジ。 それぞれの持ち場へと戻った局員。そして三人はリンディの後ろへと控えていた。 「じゃあここからはジュエルシードの位置特定はこちらでするわ。場所が分かったら現地に向かってもらいます」 自分達の事だと理解した三人は少し姿勢を正し、 「「「はい」」」と返事をする。 「艦長、お茶です」 エイミィがお茶とその他を乗せたお盆を持ってくる。 「ありがとう」 そしてリンディはスプーンを持ち、砂糖をかなり多めにすくい、『湯』と書かれた陶器へと入れる。 それも二杯。しかもその後にミルクと思わしき液体を混入した。 "それ"をリンディは何事も無かったかのように陶器に口をつけ飲む。 「はぁ……」 おまけに飲んでいる本人はかなりご満悦のようだった。 その光景を見ていたなのはは、 (うわぁ……)と言葉には出さないが、言葉通りの表情を浮かべていた。 キラに関しては口を抑えて「うぷ……」と見ているだけで胸焼けを起こす勢いだ。 「そういえばなのはさん、学校の方は大丈夫なの?」 「あ、はい。家族と友達には説明してありますので……」 学校に関しては家庭の事情という事でしばらくお休みすることになっていた。 そして学校ではなのはの代わりのノート等はアリサが自分から進んで引き受けていた。 その様子をみて微笑むすずか。そして空を見上げ、思う。 (なのはちゃん……元気でやってるかな……) 某所・結界内 「クェェェェェェェッ!!!」 悲痛の叫びを上げる橙色の鳥。その身体に巻きつく緑色の鎖。 その鎖から逃げようとして暴れるが、外れる事はない。 「捕まえた、なのは!」 「うん!」 ユーノの言葉に反応するなのは。 『Sealing mode, setup.』 鳥へと突き刺さる桜色の閃光。そして浮かび上がるジュエルシードのシリアルナンバー。 『Stand by ready.』 「リリカル・マジカル……ジュエルシード、シリアルⅧ、封印!」 『Sealing』 そして幾つもの閃光が突き刺さり、鳥はその形状を保持できなくなり消滅する。 地上に着地し、レイジングハートを構えるなのは。 鳥の跡に残ったジュエルシードがゆっくりと降下し、レイジングハートのコアへと封印される。 『Receipt number Ⅷ.』 アースラ・ブリッジ。 「状況終了です。ナンバーⅧ無事確保。お疲れ様、なのはちゃん、ユーノ君」 局員の一人がディスプレイの向こうの二人へと話す。 「ゲートを作るね、そこで待ってて」 「さて、こっちはどうなってるかな……」 クロノがディスプレイを切り替える。 某所・結界内。 「はあああああああっ!!!!」 空中から、ソードジャケットを身に纏ったキラがシュベルトゲベールを振り下ろす。 振り下ろした先にはジュエルシードの影響で具現化した馬のようなモノがいた。 だが、振り下ろしたシュベルトゲベールは空を切り、地上スレスレで止まる。 「くっ!早いっ!!」 だったら、相手の動きを止めれば!! 左肩にマウントされたブーメランを引き抜く。 『マイダスメッサー』 そして目の前の目標に向かって投げる。 弧を描くように左後方から馬へと向かっていく。 「!!」 それに気付いた馬は急遽進路を変更する。だが、 「ストライク!!」 『パンツァーアイゼン』 左手の甲のシールドから発射されるロケットアンカー、その先端のクローが馬の足へと絡みつく。 最初のマイダスメッサーは囮、本当の狙いはパンツァーアイゼンで足止めをする事だったのだ。 案の定、マイダスメッサーに気付いた馬は進路を変更せざるをえない状況になり、その一瞬の止まる隙をキラは見逃さなかった。 そしてパンツァーアイゼンのコードが収縮し、そのまま馬へと迫る。 「うおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」 そして両手に構えたシュベルトゲベールを振りかぶり、縦一閃。 「ヒィィィィィィィィィィィン…………!!」 断末魔の悲鳴を上げ、馬の具現が消滅していく。 そして現れたジュエルシード、その中央には『Ⅸ』のシリアルナンバーに刻まれている。 シュベルトゲベールを構えるキラ。その大剣へと吸い込まれるように消えていくジュエルシード。 『Sealing. receipt number Ⅸ.』 「ふう……」 戦闘が終わり一息つくキラ。 直後眼前の空間に現れる画面。 『お疲れ様、キラ君』 そこにはアースラの局員が映っていた。 「あ、はい」 『それじゃそっちにもゲートを開くからちょっと待ってて』 数分後、足元に魔方陣が発生し、直後に転移する。 アースラ・転移ポート前。 目を開けると、隣にはなのはとユーノがいた。 どうやら同時に転移してきたみたいだ。 「お疲れ様、キラ君」「お疲れ様です」 「うん、二人ともお疲れ様」 互いの労いの言葉を掛け合う三人。 廊下を歩いてる最中、ふとなのはが言葉を漏らす。 「……フェイトちゃん、現れないね……」 「うん、こっちとは別にジュエルシードを集めていってるみたいだけど……」 「うん……」 「……だけど、いつかはぶつかることになる……それまでは、僕達も頑張ろう」 「うん」 返事をしたなのはの表情は、どこか曇り気味であった。 湖。 「……だめだ、空振りみたいだ」 「……そう」 アルフの残念そうな言葉にフェイトは表情一つ変えずに返事をする。 流れる風が彼女の長い髪をしならせ、靡く。 「やっぱ、向こうに見つからないように隠れて探すのはなかなか難しいよ……」 「うん……でも、もう少し頑張ろう」 そして空中より現れる紅い影。 「アスラン」 「どうだった?」 「すまない、俺が行った時にはすでに……」 気配を感じたアスランが単独で向かったのだが、すでに事は終了していたようだった。 「これで、向こうにまた一つ回収されてしまった……」 アスランの表情には悔しさがにじみ出ていた。 「アスランのせいじゃないよ……だからそんなに気負わないで」 「……すまない」 その言葉で少し気が軽くなったのか、表情が微笑むアスラン。 「これで……残りはあと6つ」 「次こそは、向こうよりも先に……!」 「うん」 シュルゥッ!!とフェイトの腕に巻かれた包帯が風に乗り、空へと舞い上がっていった。 翌日。 アースラ・食堂。 「はぁ……今日も空振りだったね」 皿の上のクッキーを手に取るなのは。 「うん。もしかしたら結構長くかかるかも……なのは、ごめんね」 「へ?」 突然のユーノの謝罪に手を止めるなのは。 「寂しくない?」 「別に、ちっとも寂しくないよ。ユーノ君やキラ君と一緒だし。一人ぼっちでも結構平気。 ちっちゃい頃はよく一人だったから」 「え? どうして……?」 キラはその言葉に疑問を覚えた。 あの優しい高町家の人達がなのはを一人にしておくことなどあるわけがないと思ったのだ。 そしてなのはの口から語られる過去。 なのはの幼少時に、仕事で大怪我をした士郎、翠屋の経営に追われる桃子と恭也、士郎の看病をする美由希。 だから、家には一人でいることがほとんどだったという。 「そう、だったんだ……ごめんね、なのはちゃん」 「ふぇ? キラ君が謝ることないよ~」 「でも……」 申し訳なさそうな表情のキラ。そこで話題を変えるべくなのはが口を開く。 「そういえば私、ユーノ君やキラ君の家族の事とかってほとんど知らないね」 「ああ、僕は元々一人だったから……」 「え? そうなの?」 「両親はいなかったんだけど、部族のみんなに育ててもらったから、だからスクライアの一族みんなが僕の家族なんだ」 「僕は……父さんと母さんの三人家族かな」 「え? キラ君って一人っ子だったんだ」 「うん。だから両親が仕事でいない時は僕も結構一人でいることが多かったかな」 「そっか……」 サクッとクッキーを食べるキラ。 「……色々片付いたら、もっとたくさん色んなお話したいね」 「うん、そうだね」 微笑みを交わす三人。その中、キラはある事を考えていた。 ――事件が終わって、C.E.の世界が見つかったら……僕は……僕達は―― ふとそんな考えが頭をよぎる。が、今は忘れることにしてクッキーを口へと運ぶキラ。 刹那。 鳴り響く警報。 「「「!!!」」」 柱のディスプレイには紅く『Emergency』と表示され点滅している。 『操作区域の海上にて大型の魔力反応を感知!!』 スピーカーから流れるそれを聞いた三人はすぐに駆け出していた。 海鳴市・海上。 海の上に浮かぶ巨大な魔方陣。 フェイトはその中心で詠唱を始める。 「……アルカス・クルタス・エイギアス……煌めきたる天神よ。今導きのもと、降りきたれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル」 ピシャアンッ!! 魔方陣から海へと目掛けて放たれる幾つもの雷。 天候もそれに応じ、雲から雨が降りそそぐ。 (ジュエルシードは多分海の中、だから海に電気の魔力を叩き込んで強制発動させて位置を特定する。 そのプランは間違ってないけど……フェイト……!!) 「撃つは雷、響くは轟雷。アルカス・クルタス・エイギアス……!」 フェイトの頭上に浮かび上がる複数の光の玉。 それらが共鳴し合い、反応するように電流が迸る。 「はああああああああっ!!!!」 バルディッシュを掲げ、海へと振り下ろし魔方陣が作動する。 頭上の玉から海へと打ち込まれる複数の電撃。先程とは違い、かなり高出力の魔力が叩き込まれる。 そして、 「!!」 その魔力で発動するジュエルシード。光の柱が海から天へと駆け上るように突き上がる。 その数は……4つ。 「はぁ、はぁ、はぁ……見つけた……」 (こんだけの魔力を打ち込んで、さらに全てを封印して……こんなのフェイトの魔力でも絶対に限界越えだ!) アルフがそう考えているとフェイトが振り返りこちらを見る。 「アルフ、空間結界のサポートをお願い」 「ああ、任せといて!」 (だから、誰が来ようが何が起ころうが、あたしが絶対に護ってやる!!) そして、発動したジュエルシードが光の柱に海水を巻き込み、竜巻のように暴れ始める。 「行くよ、バルディッシュ……頑張ろう」 自分の相棒を構え、4つの竜巻へと向かっていくフェイト。 アースラ・ブリッジ。 ディスプレイに映る海の様子はまるで台風が来た時のように荒れていた。 「なんともあきれた無茶をする子だわ!」 不安そうな表情で見つめるリンディ。 「無謀ですね。間違いなく自滅します。あれは、個人の成せる魔力の限界を超えている!」 同じ様にディスプレイを見つめるクロノ。だが、こちらは冷静に判断している。 「フェイトちゃん!!」 ブリッジへ飛び込んでくるなのはとキラ。 「あの、私急いで現場に!」 「その必要はないよ、放っておけばあの子は自滅する」 「「!!」」 クロノの言葉に動きが止まる二人。 「仮に自滅しなかったとしても、力を使い果たした所を叩けばいい」 「でも……」「そんな……」 「今の内に捕獲の準備を」 「了解」 「しかし、残るジュエルシードは6つ、あの子が発動させたのが4つ、残り2つはどこに……?」 「……あれ?」 なのはと同じようにディスプレイを見つめていたキラが疑問を感じた。 「どうしたの?キラ君」 「……アスランがいない」 「そういえば……」 おかしい。状況的に不利な今の彼女を見捨てるような彼じゃない。 だとしたら……なぜ…………まさか……! キラは階段を駆け下り、クロノへと駆け寄る。 「クロノ!ここ以外の魔力反応は!?」 「な、なんだ突然!?」 「いいから早く!!」 「わ、わかった!」 キラの突然の行動と言動に押されたクロノは局員にコンソールを打ち込ませる。 「……!! 反応あり!湖にて魔力感知!今画面に出します!!」 パッと複数あるディスプレイの内の一つが切り替わる。 その画面に映るのは、一面に広がる湖。そしてその中央に浮かぶ一つの影。 「……アスラン!」 紅いバリアジャケットに身を包んだアスラン・ザラがはっきりと映っていた。 そしてそのかざした右手には魔力が集まっており、次の瞬間。 魔力は湖へと放たれた。
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深夜。 アスランはベッドに入って目を瞑っていた。 寝ているのではない、実際本人に意識はある。 ベッドに入るまでは眠気があったはずなのに、何故か今ではまったくといっていいほど眠くない。 目を瞑っていればその内寝るだろうと思っていたのだが、この状態ですでに二時間ほど経過している。 (……参ったな) 観念し、目を開けるアスラン。頭上に広がる天井。 つい一月ほど前からこの部屋に住んでいるアスランにとって、それはすでに見慣れない天井ではなくなっていた。 (……まさか、戦争の途中で異世界に迷い込んで、さながら魔法使いになってましたなんて、な) 一体誰が信じるだろうか。 イザークがこの話を聞いたら「はぁ?貴様何を寝言を言っている?」とか言いそうだ。 だが、今自分はこの世界で魔法を使っている。 自分を助けてくれた魔法使いの少女と使い魔と共にジュエルシードを集めている。 全ては、少女の母親の願いを叶える為に。 その為に、この世界でまた親友と刃を交える事となった。 キラ・ヤマト。 幼少時の自分の親友。父親の都合でプラントに渡る事になり離別したが、 再会は、二人が想像しなかった形で邂逅した。 ――倒すべき、敵として。 そして、彼とは幾度となく刃を交えた。 その中、自分の同僚がキラに殺された。 アスランは悔やんだ。キラを討てない自分の甘さが、彼を死なせてしまったと。 次に会った時は、お互い本気で殺す気で戦った。 その時の二人は、悔しさと悲しさ、そして、憎しみが支配していた。 その最中、爆発の影響でアスランはこの異世界に迷い込んだ。 そして魔法使いの少女に助けてもらい、そのお礼として手伝いをすることになった。 そうしてジュエルシードを集めている最中、キラと再会した。 ――また、敵として。 だが、今の俺はザフトのアスラン・ザラじゃない。 軍の命令も何もない。あるのは、ただ己の意思。 やると決めたのは自分の言葉。助けたいと思ったのは自分の気持ち。 そして……キラを殺したくはないのも、また事実。 ――俺は甘すぎるのかな、ニコル。 今は亡き友へと言葉を送るように外を見る。 ――だけど、俺は……負ける訳にはいかない。 この身に託された思いと、絆を結ぶ為に……。 思考を巡らしていたが、いつしかアスランの意識は深い闇の中へと消えていた。 同刻。 時空航行船・アースラ内。 現在は航行を停止しており、クルーの皆は現在ブリッジの中央テーブルに集まっている。 そして中央の一番奥に、艦長であるリンディが座っており口を開く。 「……という訳で、本日零時を持って本艦全クルーの任務はロストロギア、ジュエルシードの捜索と回収に変更になります。 また本件においては特例として、問題のロストロギアの発見者であり、結界魔導師でもあるこちら」 ガタ。と椅子から立ち上がるユーノ。 「はい、ユーノ・スクライアです」 「それから、彼の協力者でもある現地の魔導師の」 はっと自分が呼ばれた事に気付き立ち上がるなのは。 「た、高町なのはです」 「そして、異世界より迷い込んだ魔導師の」 カタ。と席を立つキラ。 「キラ・ヤマトです」 ペコと小さく頭を下げる。 「以上三名が臨時局員の扱いで事態に当たってくれます」 「「「よろしくお願いします」」」 三人が同時に頭を下げる。 「こちらこそ、よろしく」 「よろしく」 局員の皆が三人へと返事を送る。 その様子を見て微笑むリンディ。 アースラ・ブリッジ。 それぞれの持ち場へと戻った局員。そして三人はリンディの後ろへと控えていた。 「じゃあここからはジュエルシードの位置特定はこちらでするわ。場所が分かったら現地に向かってもらいます」 自分達の事だと理解した三人は少し姿勢を正し、 「「「はい」」」と返事をする。 「艦長、お茶です」 エイミィがお茶とその他を乗せたお盆を持ってくる。 「ありがとう」 そしてリンディはスプーンを持ち、砂糖をかなり多めにすくい、『湯』と書かれた陶器へと入れる。 それも二杯。しかもその後にミルクと思わしき液体を混入した。 "それ"をリンディは何事も無かったかのように陶器に口をつけ飲む。 「はぁ……」 おまけに飲んでいる本人はかなりご満悦のようだった。 その光景を見ていたなのはは、 (うわぁ……)と言葉には出さないが、言葉通りの表情を浮かべていた。 キラに関しては口を抑えて「うぷ……」と見ているだけで胸焼けを起こす勢いだ。 「そういえばなのはさん、学校の方は大丈夫なの?」 「あ、はい。家族と友達には説明してありますので……」 学校に関しては家庭の事情という事でしばらくお休みすることになっていた。 そして学校ではなのはの代わりのノート等はアリサが自分から進んで引き受けていた。 その様子をみて微笑むすずか。そして空を見上げ、思う。 (なのはちゃん……元気でやってるかな……) 某所・結界内 「クェェェェェェェッ!!!」 悲痛の叫びを上げる橙色の鳥。その身体に巻きつく緑色の鎖。 その鎖から逃げようとして暴れるが、外れる事はない。 「捕まえた、なのは!」 「うん!」 ユーノの言葉に反応するなのは。 『Sealing mode, setup.』 鳥へと突き刺さる桜色の閃光。そして浮かび上がるジュエルシードのシリアルナンバー。 『Stand by ready.』 「リリカル・マジカル……ジュエルシード、シリアルⅧ、封印!」 『Sealing』 そして幾つもの閃光が突き刺さり、鳥はその形状を保持できなくなり消滅する。 地上に着地し、レイジングハートを構えるなのは。 鳥の跡に残ったジュエルシードがゆっくりと降下し、レイジングハートのコアへと封印される。 『Receipt number Ⅷ.』 アースラ・ブリッジ。 「状況終了です。ナンバーⅧ無事確保。お疲れ様、なのはちゃん、ユーノ君」 局員の一人がディスプレイの向こうの二人へと話す。 「ゲートを作るね、そこで待ってて」 「さて、こっちはどうなってるかな……」 クロノがディスプレイを切り替える。 某所・結界内。 「はあああああああっ!!!!」 空中から、ソードジャケットを身に纏ったキラがシュベルトゲベールを振り下ろす。 振り下ろした先にはジュエルシードの影響で具現化した馬のようなモノがいた。 だが、振り下ろしたシュベルトゲベールは空を切り、地上スレスレで止まる。 「くっ!早いっ!!」 だったら、相手の動きを止めれば!! 左肩にマウントされたブーメランを引き抜く。 『マイダスメッサー』 そして目の前の目標に向かって投げる。 弧を描くように左後方から馬へと向かっていく。 「!!」 それに気付いた馬は急遽進路を変更する。だが、 「ストライク!!」 『パンツァーアイゼン』 左手の甲のシールドから発射されるロケットアンカー、その先端のクローが馬の足へと絡みつく。 最初のマイダスメッサーは囮、本当の狙いはパンツァーアイゼンで足止めをする事だったのだ。 案の定、マイダスメッサーに気付いた馬は進路を変更せざるをえない状況になり、その一瞬の止まる隙をキラは見逃さなかった。 そしてパンツァーアイゼンのコードが収縮し、そのまま馬へと迫る。 「うおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」 そして両手に構えたシュベルトゲベールを振りかぶり、縦一閃。 「ヒィィィィィィィィィィィン…………!!」 断末魔の悲鳴を上げ、馬の具現が消滅していく。 そして現れたジュエルシード、その中央には『Ⅸ』のシリアルナンバーに刻まれている。 シュベルトゲベールを構えるキラ。その大剣へと吸い込まれるように消えていくジュエルシード。 『Sealing. receipt number Ⅸ.』 「ふう……」 戦闘が終わり一息つくキラ。 直後眼前の空間に現れる画面。 『お疲れ様、キラ君』 そこにはアースラの局員が映っていた。 「あ、はい」 『それじゃそっちにもゲートを開くからちょっと待ってて』 数分後、足元に魔方陣が発生し、直後に転移する。 アースラ・転移ポート前。 目を開けると、隣にはなのはとユーノがいた。 どうやら同時に転移してきたみたいだ。 「お疲れ様、キラ君」「お疲れ様です」 「うん、二人ともお疲れ様」 互いの労いの言葉を掛け合う三人。 廊下を歩いてる最中、ふとなのはが言葉を漏らす。 「……フェイトちゃん、現れないね……」 「うん、こっちとは別にジュエルシードを集めていってるみたいだけど……」 「うん……」 「……だけど、いつかはぶつかることになる……それまでは、僕達も頑張ろう」 「うん」 返事をしたなのはの表情は、どこか曇り気味であった。 湖。 「……だめだ、空振りみたいだ」 「……そう」 アルフの残念そうな言葉にフェイトは表情一つ変えずに返事をする。 流れる風が彼女の長い髪をしならせ、靡く。 「やっぱ、向こうに見つからないように隠れて探すのはなかなか難しいよ……」 「うん……でも、もう少し頑張ろう」 そして空中より現れる紅い影。 「アスラン」 「どうだった?」 「すまない、俺が行った時にはすでに……」 気配を感じたアスランが単独で向かったのだが、すでに事は終了していたようだった。 「これで、向こうにまた一つ回収されてしまった……」 アスランの表情には悔しさがにじみ出ていた。 「アスランのせいじゃないよ……だからそんなに気負わないで」 「……すまない」 その言葉で少し気が軽くなったのか、表情が微笑むアスラン。 「これで……残りはあと6つ」 「次こそは、向こうよりも先に……!」 「うん」 シュルゥッ!!とフェイトの腕に巻かれた包帯が風に乗り、空へと舞い上がっていった。 翌日。 アースラ・食堂。 「はぁ……今日も空振りだったね」 皿の上のクッキーを手に取るなのは。 「うん。もしかしたら結構長くかかるかも……なのは、ごめんね」 「へ?」 突然のユーノの謝罪に手を止めるなのは。 「寂しくない?」 「別に、ちっとも寂しくないよ。ユーノ君やキラ君と一緒だし。一人ぼっちでも結構平気。 ちっちゃい頃はよく一人だったから」 「え? どうして……?」 キラはその言葉に疑問を覚えた。 あの優しい高町家の人達がなのはを一人にしておくことなどあるわけがないと思ったのだ。 そしてなのはの口から語られる過去。 なのはの幼少時に、仕事で大怪我をした士郎、翠屋の経営に追われる桃子と恭也、士郎の看病をする美由希。 だから、家には一人でいることがほとんどだったという。 「そう、だったんだ……ごめんね、なのはちゃん」 「ふぇ? キラ君が謝ることないよ~」 「でも……」 申し訳なさそうな表情のキラ。そこで話題を変えるべくなのはが口を開く。 「そういえば私、ユーノ君やキラ君の家族の事とかってほとんど知らないね」 「ああ、僕は元々一人だったから……」 「え? そうなの?」 「両親はいなかったんだけど、部族のみんなに育ててもらったから、だからスクライアの一族みんなが僕の家族なんだ」 「僕は……父さんと母さんの三人家族かな」 「え? キラ君って一人っ子だったんだ」 「うん。だから両親が仕事でいない時は僕も結構一人でいることが多かったかな」 「そっか……」 サクッとクッキーを食べるキラ。 「……色々片付いたら、もっとたくさん色んなお話したいね」 「うん、そうだね」 微笑みを交わす三人。その中、キラはある事を考えていた。 ――事件が終わって、C.E.の世界が見つかったら……僕は……僕達は―― ふとそんな考えが頭をよぎる。が、今は忘れることにしてクッキーを口へと運ぶキラ。 刹那。 鳴り響く警報。 「「「!!!」」」 柱のディスプレイには紅く『Emergency』と表示され点滅している。 『操作区域の海上にて大型の魔力反応を感知!!』 スピーカーから流れるそれを聞いた三人はすぐに駆け出していた。 海鳴市・海上。 海の上に浮かぶ巨大な魔方陣。 フェイトはその中心で詠唱を始める。 「……アルカス・クルタス・エイギアス……煌めきたる天神よ。今導きのもと、降りきたれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル」 ピシャアンッ!! 魔方陣から海へと目掛けて放たれる幾つもの雷。 天候もそれに応じ、雲から雨が降りそそぐ。 (ジュエルシードは多分海の中、だから海に電気の魔力を叩き込んで強制発動させて位置を特定する。 そのプランは間違ってないけど……フェイト……!!) 「撃つは雷、響くは轟雷。アルカス・クルタス・エイギアス……!」 フェイトの頭上に浮かび上がる複数の光の玉。 それらが共鳴し合い、反応するように電流が迸る。 「はああああああああっ!!!!」 バルディッシュを掲げ、海へと振り下ろし魔方陣が作動する。 頭上の玉から海へと打ち込まれる複数の電撃。先程とは違い、かなり高出力の魔力が叩き込まれる。 そして、 「!!」 その魔力で発動するジュエルシード。光の柱が海から天へと駆け上るように突き上がる。 その数は……4つ。 「はぁ、はぁ、はぁ……見つけた……」 (こんだけの魔力を打ち込んで、さらに全てを封印して……こんなのフェイトの魔力でも絶対に限界越えだ!) アルフがそう考えているとフェイトが振り返りこちらを見る。 「アルフ、空間結界のサポートをお願い」 「ああ、任せといて!」 (だから、誰が来ようが何が起ころうが、あたしが絶対に護ってやる!!) そして、発動したジュエルシードが光の柱に海水を巻き込み、竜巻のように暴れ始める。 「行くよ、バルディッシュ……頑張ろう」 自分の相棒を構え、4つの竜巻へと向かっていくフェイト。 アースラ・ブリッジ。 ディスプレイに映る海の様子はまるで台風が来た時のように荒れていた。 「なんともあきれた無茶をする子だわ!」 不安そうな表情で見つめるリンディ。 「無謀ですね。間違いなく自滅します。あれは、個人の成せる魔力の限界を超えている!」 同じ様にディスプレイを見つめるクロノ。だが、こちらは冷静に判断している。 「フェイトちゃん!!」 ブリッジへ飛び込んでくるなのはとキラ。 「あの、私急いで現場に!」 「その必要はないよ、放っておけばあの子は自滅する」 「「!!」」 クロノの言葉に動きが止まる二人。 「仮に自滅しなかったとしても、力を使い果たした所を叩けばいい」 「でも……」「そんな……」 「今の内に捕獲の準備を」 「了解」 「しかし、残るジュエルシードは6つ、あの子が発動させたのが4つ、残り2つはどこに……?」 「……あれ?」 なのはと同じようにディスプレイを見つめていたキラが疑問を感じた。 「どうしたの?キラ君」 「……アスランがいない」 「そういえば……」 おかしい。状況的に不利な今の彼女を見捨てるような彼じゃない。 だとしたら……なぜ…………まさか……! キラは階段を駆け下り、クロノへと駆け寄る。 「クロノ!ここ以外の魔力反応は!?」 「な、なんだ突然!?」 「いいから早く!!」 「わ、わかった!」 キラの突然の行動と言動に押されたクロノは局員にコンソールを打ち込ませる。 「……!! 反応あり!湖にて魔力感知!今画面に出します!!」 パッと複数あるディスプレイの内の一つが切り替わる。 その画面に映るのは、一面に広がる湖。そしてその中央に浮かぶ一つの影。 「……アスラン!」 紅いバリアジャケットに身を包んだアスラン・ザラがはっきりと映っていた。 そしてそのかざした右手には魔力が集まっており、次の瞬間。 魔力は湖へと放たれた。
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私だけかもしれませんが、8ページ目で原稿が途切れている?ように感じました。ページ設定上、フッターを付けるのは難しいかも知れませんが、付けた方が批評もしやすい(○○ページの~がetc.)ように思うので、私個人としてはページ数表記を入れて欲しいと思いました。 内容は魔法バトルモノということで、臨場感に溢れる描写が多く、是非そのセンスを分けてくだs……ゲフンゲフン 3章終わりの繰り返し部分はユーノの精神に欠陥が生まれたのを絶望感と共に表しているように感じられました。その後に崩壊した周辺の情景描写を入れるともっと引き立つのではないかと思います。 2Pの「仕事は無傷で済ませない」というのは「済ませなさい」の誤植……でしょうか? ともあれ、次回作も楽しみにしています。 コメント
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【第4回放送までの本編SS】 【夜】 No. タイトル 作者 登場人物 164 破滅へのR/血染め の ヴィヴィオ破滅へのR/なまえをよんで ◆7pf62HiyTE ヴィヴィオ 165 Round ZERO ~KING SILENT ◆HlLdWe.oBM ヴィータ、アーカード、八神はやて(StS)、金居、アレックス、プレシア・テスタロッサ、リニス 166 燃える紅BRAVE PHOENIXわがまま ◆Vj6e1anjAc ヴィータ、アーカード、八神はやて(StS)、金居 167 Lを継ぐ者/SinkLを継ぐ者/あなたがいるから ◆7pf62HiyTE ユーノ・スクライア 168 Aの残光/強襲ソルジャーAの残光/夢と誇りをとりもどせ ◆gFOqjEuBs6 アンジール・ヒューレー、クアットロ、高町なのは(StS)、天道総司、ヒビノ・ミライ 169 突っ走る女 ◆HlLdWe.oBM 相川始、柊かがみ、ヴァッシュ・ザ・スタンピード、スバル・ナカジマ、泉こなた 【夜中】 No. タイトル 作者 登場人物 170 きみのたたかいのうた(前編)きみのたたかいのうた(後編) ◆Vj6e1anjAc ヴァッシュ・ザ・スタンピード、スバル・ナカジマ、相川始、柊かがみ、ヴィヴィオ 171 Round ZERO ~GOD FURIOUS ◆gFOqjEuBs6 八神はやて(StS)、金居、エネル 172 Iの奇妙な冒険/祝福の風Iの奇妙な冒険/すたーだすとくるせいだーす ◆7pf62HiyTE 泉こなた 173 絶望の暗雲 ◆HlLdWe.oBM アンジール・ヒューレー、クアットロ、高町なのは(StS)、天道総司、ヒビノ・ミライ、キング 174 H激戦区/人の想いとはH激戦区/ハートのライダー誕生、Hカイザー/NEXT BATTLE誕生、Hカイザー/神と聖王 ◆gFOqjEuBs6 ヴァッシュ・ザ・スタンピード、スバル・ナカジマ、相川始、柊かがみ、ヴィヴィオ、八神はやて(StS)、金居、エネル 【真夜中】 No. タイトル 作者 登場人物 175 Yな戦慄/烈火剣精は見た!Yな戦慄/八神家の娘 ◆7pf62HiyTE ヴァッシュ・ザ・スタンピード、柊かがみ、八神はやて(StS) 176 散る―――(前編)散る―――(中編)散る―――(後編) ◆Vj6e1anjAc スバル・ナカジマ、相川始、ヴィヴィオ、金居、エネル 177 A to J/運命のラウズカード ◆7pf62HiyTE スバル・ナカジマ、ヴィヴィオ 178 Mの姿/鏡Mの姿/マイナスからのリスタート ◆gFOqjEuBs6 アンジール・ヒューレー、キング、高町なのは(StS)、天道総司、柊かがみ 179 こなたとリインと男の娘 ◆LuuKRM2PEg ユーノ・スクライア、泉こなた 180 Ooze Garden(軟泥の庭) ◆WwbWwZAI1c 金居、プレシア・テスタロッサ 【第四回放送】 No. タイトル 作者 登場人物 181 第四回放送/あるいは終焉の幕開け(前編)第四回放送/あるいは終焉の幕開け(後編) ◆Vj6e1anjAc プレシア・テスタロッサ、リニス、リインフォース、アルフ、オットー、ドゥーエ
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リリカルブレイブサーガ 恋する乙女は一億ギガトン編 魔法少女シャラララ シャランラ レジェンドラへとたどり着き、新たな冒険を始めたタクヤ達。といってもそれまでと違い明確な 目的地もなく、とりあえず地球に帰還。秘境の遺跡を回ったなりしながら、 未だに騙されたことに気づかず、ウルトラスーパーデラックスレジェンドラなんてものがあると思って 追っかけてくるワルザック共和帝国皇帝トレジャー・ワルザック一味との追いかけっこを興じていたのだが…… 「はあ……」 勇者にして現在はサメ型の宇宙戦艦形態のキャプテンシャーク。 その上で外の空気を吸いながらため息をついている青年がいた。 彼の名はワルター・ワルザック。ワルザック共和帝国第一王子にしてキャプテンシャークの主である。 「父上もいい加減、お子達の嘘に気づかんものか……」 騙されて追っかけてきている皇帝は彼の父親だ。流石にこれだけ経っても気づかないとなると情けなくなってくる。 ましてや自分は周囲からはこの親ありてこの子ありとも思われている。 彼がバカやりすぎると自分の品位まで損なわれてしまうのだ。何より…… 「襲撃するのもいい加減にして欲しいものだ……」 襲撃数はもはや数えるのもめんどくさい数に達していた。 しかも、国王だけあって権力に物を言わせて一回の物量は途方もなく襲撃の周期も 自分達がタクヤ達と敵対してきたと比べて段違いに短い。 いい年して大人気ないというかなんというか…… 「はあ……もううんざりだ~~~!!!」 たまったものを吐き出すようにワルターは叫んだ。だが、 「わ、ワルター様……」 ギギギ……と声のした方を振り向いた。声の下方向には涙目になった少女がいた。 「しゃ、シャランラ!?」 シャランラ・シースルー。ワルザック共和帝国有力貴族の令嬢にしてワルターの婚約者。 最近はまんざらでもないのだが、 あるパーティ会場でズボンがずり落ちるたびに元の位置に直すもすぐ下がってしまいまた上げるという行為を 繰り返しているおっさんを見てしまい大笑いしているところを見られて惚れられて以来付きまとわれ 未だに苦手意識の抜けない少女である。 「ワルター様……私のこと、もううんざりですのね……」 後ろに下がるシャランラ。だが、ここは空の上。足を踏み外したらまずい。 なんか前にもこんなことなかったかとデジャブを感じつつも急いで誤解を解こうとする。 「い、いやな、シャランラ……そうじゃなくてだな」 「あなたと私は……トホホのホ……」 だが、ワルターが誤解を解く前に彼女は身を投げるようにキャプテンシャークの上から足を踏み外した。 急いで下を覗き込む。だが、覗き込んですぐパラシュートが開くのが目に入った。 一安心したワルターはその場にへたり込んだ。 そして、 「やれやれ……若もシャランラ様も喧嘩とは仲がよろしいようで……」 「だね」 「いや、あれは悪太の甲斐性のなさを問題にすべきじゃねぇか?」 「ふむ……」 「一理ありますね」 「妻子持ちとしてドランはどうよ?その辺」 『コメントは控えさせていただきます。主達』 タクヤ達は思いっきりその様子をモニターから覗き見していた。 一方、シャランラだが 「やっぱり、ここは、仕方ありませんわね…… こうなったら今度こそ魔法少女になってワルター様をメロメロに……」 良からぬことを企んでいた。その後、しばらくタクヤ達はシャランラの姿を見ることはなかった。 そして、そんなことがあってからしばらく…… 日本の海鳴市では高町なのはという少女が魔法少女となりロストロギア ジュエルシードを回収すべく 奮戦していたのだが…… 暴走の止まったジュエルシードを封印しようとするなのは。 だが、それは突如飛んできた光弾により阻まれる。 「え!?」 「攻撃!?僕達以外に魔導師が!?」 周囲を見回すなのはとユーノ。そして、2人が目にしたのは 「残念ですがそれはあなた達には渡せませんわ」 「あ、あなたは?」 「何者!?」 「私は人呼んで……魔法少女シャランラ~~!!」 手にはピコピコハンマー、腰にはバスケットを下げ、いかにも魔法少女という格好をしたシャランラだった。 どういった経緯かは不明だがシャランラはマジモンの魔法少女になってしまったらしい。 「ワルター様との恋を成就するため、それは私がいただきますわ!」 そういうとシャランラはバスケットにかけてあった布を取り払う。 バスケットの中から現れたのは砲門のついたニンジンのような物体。 なのは達は知らないがそれはシャランラが操縦していたロボット、ウサリンMK-Ⅱに装備されていた キャロビットをそのまま小さくしたものだった。それが射出され射出されたキャロビットから砲撃が浴びせられる。 バリアをはり防御するなのはだが砲撃は思いのほか威力が高くバリア越しでもかなりのダメージを食らってしまう。 「埒があきませんわね。なら、これならどうかしら?」 シャランラが手を挙げる。と、なのはの耳にベチャっという音が聞こえた。 何事かと見ようとするがそこで四肢の自由がきかないのに気づく。 と、ユーノが声をあげる。 「バインド!?」 首だけ動かし下半身を見てみると何かべっとりとついているのが目に入った。 「……チェリーパイ?」 体にチェリーパイがついていた。チェリーパイがべったりとついたところから体の自由がきかない。 異様な光景に唖然とするなのは。だが、すぐに正気に戻るとユーノがこれをバインドといったことから 魔法によるものであると思い強引に外そうと試みる。が、全然取れない。 と、シャランラが接近しなのはをピコハンでめった殴りする。 痛みこそこそピコハンゆえないが叩かれるたびに魔力が抜けていく。と、 「そんなほとんど魔力を感じないのに!?こんなことって!?」 ユーノが声をあげる。彼の口にしたことが事実ならそれは異常な事態だ。 と、シャランラが口を開く。 「教えてあげるわ!それは、愛の力よ!」 そう叫びながら今度はユーノにもピコハンを振りかぶる。今度は物理ダメージがあった。 ぶっ飛んで星になるユーノ。なのはも魔力不足で気絶するまで叩かれ ジュエルシードはシャランラに回収されてしまった。 この後、ジュエルシード争奪戦は管理局をバックにつけたなのは、シャランラ、 それに謎の少女フェイト・テスタロッサによる三つ巴の様相を呈することになる。 正史と違って最後の6つが何故かタクヤ達を巻き込んで勇者ロボや それを追っかけていたトレジャーの戦艦マーチャンダイジングに取り付くという事態になったが ウサリンMK-Ⅱに乗ったシャランラがこれを撃破し回収。 正気に戻ったワルターの説得によりシャランラの回収したジュエルシードは管理局の手に収まることになる。 フェイトの側もいろいろあったが管理局預かりの身となり事件は収束したのだった。 A s編 リインフォースと分離した闇の書の防衛プログラム。 それの張るバリアを破ろうとヴィータがグラーフアイゼンを振りかぶる。 「轟天爆砕!ギガントシュラー……」 そしてそれを振り下ろそうとして 「シャラ!」 「グフゥ!?」 「ヴィータ!?」 シャランラに当身されて中断させられた。 「シャ、シャランラさん、何を!?」 驚愕しながらもシャランラに何が目的かを尋ねるなのは。 だが、それに答えずシャランラはヴィータの手からグラーフアイゼンを奪い 「借りますわ~~~~~~!!!」 グラーフアイゼンへと力を注いだ。 ただでさえ巨大化していたグラーフアイゼンがさらに巨大化する。 さらにグラーフアイゼンとシャランラの姿が金色に染まっていく。 そしてシャランラはそれを振り下ろす。 「一昨日きやがれですわ~~!!光になれ~~ですわ~~!!!」 次の瞬間、防衛プログラムはその言葉の通り光になった。 唖然とした様子でエイミィが状況を告げる。 「ぼ、防衛プログラム……反応消失。……再生反応……あ、ありません」 「私とワルター様の愛の力の前に倒せぬ敵などありませんわ♪シャラララ~」 『んなアホな~~~~~!?』 その場にいた人間達の理不尽への叫びが寒空に響いた。 なお、 「なんでぇ~、あっさり終わっちまったよ」 「せっかくスタンバってたのにね」 「張り合いねぇな」 「同感です」 「まったくだ」 「ですな」 (恥ずかしい……) ちょっと離れたところで隙あらば乱入しようとしていたタクヤ達(トレジャー含む)は一名を除いて暇そうだった。 「せっかく、ミラクルギャラクティカバスター、スタンバってたのに~」(バリバリ(スナック菓子食ってる)) 「せっかく、シュバンシュタイン(プラネットバスター装備)とデスマルク大量に持ってきたのに~」(ホジホジ(鼻穿ってる)) 「「なぁ」」 『なぁ……じゃないです。主達……』 そしてその後の後始末についてだが未だバグの残るリインフォースは彼女の主、八神はやてに負担を掛けないため 消滅しようとしたが…… 「ちょっと、内部構造を私にわかるように見せてもらえませんか」 と、シリアスが言ってきたため見せたところ…… 「なるほど……ここをこうすれば治りますね」 と"ご都合主義に"持ち前の天才的な頭脳であっさりバグを除去してしまった。 しかし、防衛プログラムのような危険性はないらしいが別のバグが生じたらしく数日、 普通に生活しながら様子を見つつ無理のない除去法を模索していた所、 ある朝、朝一番にはやてと顔を合わせて一番 「主……できちゃったみたいです」 「はいぃぃぃぃ!!?」 というやり取りが起こり、とりあえず、詳しく調べてみたところ生じたバグは 惑星ロボラルドのロボットの種族保存装置に近いプログラムであり ユニゾンしたはやてとリイン双方のデータを基にできちゃったとのこと。 バグ自体の除去はバグの詳細がわかったため、簡単だったが既に"できちゃったもの"は流石に 取り除くのがためらわれ……数日後には八神家の家族が1人増えリインフォースⅡと名づけられたという。 ちなみにこのときは流石にはやてもリインもげっそりしていたという。ドランも同情の視線を送っていた。 さらにワルターであるが…… 「うおぉぉぉぉ!!」 「ワルター様~~~~!待ってくださいですの~~~~!」 逃げるワルター。それを時々キャロビットで威嚇射撃をしながら追っかけるシャランラ。何事かというと 「捕まってたまるか~~~~!」 「私達も子作りしましょう~~~~!二人の愛の結晶を~~~~!」 「や、やめてくれ~~~~!まだ、私はそういうことをする気はない~~~~!」 「ああん~~~~!ワルター様のいけずぅ~~~~!」 その一件に感化されたシャランラに子作りを迫られ逃げ回っていた。 「お子達、シリアス、キャプテン、カーネル!この際、父上でもいい!誰か助けてくれ~~~~!」 それに対する返答は…… ワルターと親しい者達の返答 「無理」 「バカ言うな」 「流石にそれは……」 「兄上、この際いいのではないですか」 『船長、そろそろ年貢の納め時じゃないですかい?』 「うう……このカーネル……生きているうちに若とシャランラ様の子が見られるとは幸せものです……」 「息子よ強く生きろ」 『悪太、気休めかも知れんが頑張れ』 魔導師の皆様の返答 「にゃはは……がんばってくださいとしか」 「正直、冗談きついです」 「えっと……そのうちいいことありますよ」 「あんなのの相手だなんてあたしゃ、二度とごめんだよ!」 「この際やし、ワルターさんもうちらの側に来たらどうや」 「死なばもろとも……」 「二度と来るんじゃねぇぞ!」 「骨は拾ってやる」 「私にもいい人いないかしら?」 「…………」 「艦長!この件は時空管理局としては」 「もちろん管轄外よ。あ、そろそろいったん本局に戻る時期だったわ。ねぇ、エイミィ」 「は、はい」 温かい言葉だった。 「おのれ~~~~~!人事だと思って~~~~!」 「ワルター様~~~~!」 「ひい~~~~!」 ワルターとシャランラに幸あれ。 単発総合目次へ その他系目次へ TOPページへ