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八神春風(やがみはるか) 一人称:私 性別:女性 魔導師ランク:C~B- 使用デバイス:リインフォースⅡ、シュベルトクロイツⅡ 使用魔法:ラグナロク、ミストルティン、ミョルニル、エンドオブ・ザ・ワールド、ゴルゴンショット、ファイナルラグナロク チェーンバインド、サンクチュアリ、キュアウィンド、Ark Ray 「鬱はやて」でははやてと暴漢、「魔法少女リリカル春風」でははやてとユーノの間に生まれた一人娘 両作品を繋ぐ「時を駆ける春風」では暴漢からはやてを救出、「自分が存在しない未来」を選び、はやての幸せの為に自らが消滅する事を選んだ 鬱はやて 誘拐され、性的暴行を受け続けたはやてが望まずして孕まされる事となった娘 精神的、肉体的に傷付いたはやては自殺寸前まで追い詰められるが、自分に宿ったもう一つの命を守る為に生きる事を選ぶ 「この子には、自分の分も幸せになって欲しい……」 それが、はやての決意だった その後、はやてはヴォルケンリッターと再会、再び「家族」となる事をを選ぶ 理不尽な暴力によって引き裂かれた幸せは、15年の歳月を経て蘇るのだった もう一人の「家族」と共に…… 「もう一度、暮らそうよ……」 魔法少女リリカル春風 何だかんだではやてとラブラブになったユーノとはやての間に生まれた子供。脅威の9歳児夫婦誕生であった 生まれた時からはやて、ユーノ、ヴォルケンリッターと言った超高ランク魔導師に囲まれて育つ 幼い頃に魔法の存在を知り、魔導師に対して憧れを持つ事となる 14歳の誕生日でデバイスを両親からプレゼントされ、見習い魔導師として修行を開始 両親譲りの大魔力と、奇跡的な魔力コントロールセンスの無さのせいでいつも魔法が暴発してしまうのが悩みのタネ 溜めれば溜めるほど暴発の威力も上昇し、その威力は成長したなのはすら巻き込んで引き分けに持ち込む程 使用デバイスは、融合(ユニゾン)の「リインフォース2」とアームドの「シュベルトクロイツⅡ」 はやてと違って、リインフォースを魔道書の形で具現する事はまだ出来ていない 幼児体型にコンプレックスを持っており、秘密でバストアップ法を調べていたりする 「私ね、お母さんみたいなかっこいい魔導師になりたいんだ」 「それでも……それでも、まだ諦めない!」 「やー!はるかもまほうつかいになるのー!」 リインフォース2 一人称:リイン2・私(目上の相手に対して、たまに使う) 性別:女性 魔導師ランク:??? 使用魔法:ラグナロク、ミストルティン、ミョルニル、エンドオブ・ザ・ワールド、ゴルゴンショット、ファイナルラグナロク 春風のデバイスである「リインフォース2」に最初からプログラミングされていた人格プログラム はやてのリインフォースⅡをコピーしたはずなのに、何故か性格はガサツで荒っぽくなってしまった オリジナルのリインⅡとの違いは髪の毛の色で、こちらのリイン2は銀髪 気に入らないことがあるとすぐに口に出し、ついでに手と足も出てしまう乱暴者(主に被害者はアーク) 主なケンカ相手はヴィータで、ケンカの原因はおやつの取り合いかチャンネル争い 魔法の開発と研究を趣味としており、漫画やゲームで知識を仕入れては魔法に応用出来ないかといつも考えている 問題は、デバイスの所有者である春風の実力を考えずに自分の好きな様に魔法を作ってしまう事 威力だけを突き詰めて作ったエンドオブ・ザ・ワールドはカートリッジ百数十本、詠唱時間数時間と言う誰も撃てない魔法になってしまった 実は泣き虫で甘えん坊なので、春風が構ってくれないと自分は捨てられてしまうと早とちりしてしまう事もある その度に泣き出してしまい、春風に撫でてもらうまではずっと泣き続けている 春風に撫でてもらうと安心し、そのまま泣き疲れて寝てしまう事も度々 魔法開発以外の趣味は、シューティングゲームやアニメ、映画鑑賞に漫画等 特に、シューティングゲームはかなりの腕前らしい リインフォース2の本体をパソコンに直に接続して、怪しげなサイトから色々と知識を蒐集する事もある 「マイスターにはリイン2がいるです!だから、絶対に一流の魔導師にして見せますです!」 「リインフォースを……闇の書を、呪われた魔道書だなんて呼ばせませんです!!」 「ふにゃー……すぴー……」 アークレイ 一人称:僕 性別:男性 魔導師ランク:???(守護者時代は、S以上と思われる) 使用魔法:チェーンバインド、サンクチュアリ、キュアウィンド、Ark Ray ユーノに連れられて遺跡見学に向かった春風が偶然遭遇した、元人間の人格プログラムであり、10歳の時に「守護者」として生まれ変わる儀式を受けた古代王国の王子 「守護者」とは強力な結界を国境に展開し、外敵の侵攻を食い止める人格プログラム 国を丸ごと囲うほどの魔力の代価として支払うのは自らの肉体であり、守護者とは国を守る為に人間である事を放棄する必要があった 人間時代のアークはその様な役目に自ら志願し、国に自らの存在を捧げる事を選んだ しかし、アークが守護者として生まれ変わる夜に周辺国家は一斉に侵攻を開始、一晩にしてアークレイ王国は滅亡 50年に一度だけ、守護者が不在となる儀式の夜を狙って周辺国家は同時に侵略を開始……わずか数時間で王宮は陥落する事となる 唯一、殺す事が出来ない存在と成り果てたアークは宮殿の地下に封印される 膨大な魔力を自らの存在の維持にしか使う事が出来ず、およそ2万年ほど地下に存在していた 自分の無力を嘆き、自らの消滅を望み、可能なら、今すぐに消え去ってしまいたいと願っていた 春風がアークにしてあげた事は二つ 一つ目は、新しい役目を与える事。自分のデバイスの中で、自分を「守護」する存在となって欲しいと言ってくれた 二つ目は、抱きしめてあげる事。自責の念に囚われていたアークを抱きしめ、「もう泣かなくて良い」と言ってくれた 自分を受け止めてくれる存在に出会えた事がアークに希望を与え、もう一度誰かを守りたいと思う様になる 彼が選んだのは、春風のデバイスのプログラムとして「守護」を担当する事 普段はリイン2の後ろに隠れているお姉ちゃんっ子で、暴走しがちな姉をなだめるのが日常 非常に高度な魔法開発能力を持っていて、リイン2と協力して人格プログラムの独立魔法を開発する事にも成功 その魔法は、春風の学校に忘れ物を届ける為に使われている 「あ、あぅ……姉さんがいじめる……」 「わわっ!?姉さん落ち着いて下さい!」 「僕の役目は……マスターを護る事です」 コア
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ロストロギアとして回収された可愛いコックさん人形入りの小瓶はすぐさま管理局内の ロストロギア封引用特殊倉庫に収められるわけだが、その特殊倉庫に侵入する者がいた。 「管理局の連中も結構ずさんなんだな~。清掃会社の格好するだけであっさり信用しやがったぜ。」 それは管理局内に収められるロストロギアを盗み出して金儲けしようと企む 名も無きコソドロ達であった。管理局潜入の為に清掃会社の人間に成りすました彼等は ロストロギア封引用特殊倉庫にまで潜入していたのである。 「よし! とりあえずコレにしようぜ。」 「え? こんなショボそうなのが良いのか!?」 「分かって無いな~。こういう一見ショボそうなのが実は凄かったりするもんなんだよ。」 名も無きコソドロが盗み出そうとしたロストロギアこそ、なのはとユーノが先程回収したばかりの 可愛いコックさん人形入りの小瓶だった。そして気付かれないようにこっそりと 特殊倉庫から脱出する名も無きコソドロ達であったが、そこでたまたま近くを通りかかった なのはに発見されてしまった。 「そこ! 何をやってるの!?」 「やべ! 見付かった!」 「しかもあれ白い悪魔じゃねーか!」 名も無きコソドロ達は大慌てで逃げ出そうとするが、その時の弾みで小瓶のフタが開いてしまった。 「!?」 それがいけなかった…。小瓶のフタが開いた瞬間…その小瓶の中に封印されていたデビルが 解き放たれてしまったのである。そしてデビルは何という事かなのはに憑依していた。 「わぁぁ! このロストロギアから飛び出した変なのが白い悪魔に乗り移った!」 『白い悪魔…か…この女は元々そう言われていたのか…。』 「!?」 名も無きコソドロ達は青ざめた。デビルに憑依された直後から、なのはの声が 本来の物では無い地の底から響いてきそうな低い物に変わっていたのである。 それだけではない。なのはの背中からは悪魔を思わせるの漆黒の翼が生え、 頭からは鬼の様な角が…口には野獣の様な鋭い牙が…両手には鋭い爪が伸びると言う おぞましき姿に変質したのである。 『フハハハ! 白い悪魔とは良い得て妙だな! 確かにこの女の体は素晴らしい! 力が…力が溢れる…フハハハハハ!!』 「うわぁぁぁぁ!! 白い悪魔が本物の悪魔になったぁぁ!!」 恐怖の余り腰が抜けてしまったコソロドであったが、デビルに憑かれたなのは… いや、デビルなのはは右手を軽く上げ、正面を指差した。 その直後である、デビルなのはの指先から極太の魔砲が放たれ、正面の分厚い壁を 容易く貫き、さらにその向こう側まで完全に吹き飛ばされていた。 『フハハハ! 素晴らしい! 素晴らしい力だ! これならば…奴に復讐する事が出来るぞ!』 「アワワワワワ…。」 恐怖が限界に達して完全に失禁していたコソドロを尻目にデビルなのはは壁に空いた 風穴を通って何処へ飛び去ってしまった。 一方、管理局内では大パニックになっていた。 「一体何が起こったんだ!?」 「ロストロギアを盗み出そうとした不法侵入者を高町隊員が取り押さえようと した所、そのロストロギアに封印されていたアストラル生命体が解放されてしまい、 高町隊員の身体を乗っ取ってしまった物だと思われます!」 「なんだって!?」 「本日高町隊員が回収して来たロストロギアに封印されていたアストラル生命体は 乗っ取った生命体を怪物へ変貌させ操る事が出来る様子です!」 「何とかして取り押さえろ!」 「既にやっていますが…押されています!」 「何!?」 「構うな! 撃てぇ!」 管理局の武装隊が一斉にデビルなのはに向けて魔砲を発射した。しかし…全く通用していない。 『フフフ…無駄だ…。次はこちらの番だな…。デビルレイジングハート!』 デビルなのはがデビルの力によってグロテスクに変質したレイジングハート 「デビルレイジングハート」を振り上げた。 『デビルディバインバスター!』 「うわぁぁぁぁぁぁ!!」 デビルレイジングハートから放たれる漆黒の魔砲はあっと言う間に 武装隊を飲み込み、全滅させた。本来のなのはの魔砲はピンク色だが、 今は違う。デビルの力によって魔砲の色もどす黒く変質していたのである。 そしてデビルなのはが向かう先にはアースラがあった。 『なるほど…この艦は次元を飛び越えて様々な世界を行き来する事が出来るのか… 面白いな…では…この艦も使わせてもらう事にしよう…。』 デビルなのはがアースラに手を当てた直後、アースラにもデビルの力が送り込まれ グロテスクに変質。デビルアースラとなってしまったのである。 『さあ行け! これで元の世界に戻るのだ! そして…この力で奴に…クロに復讐する!』 ユーノとフェイトが駆け付けた頃には既に管理局はデビルなのはによって破壊され、 アースラも奪われてしまった後だった。 「な…なんて事…。」 「ひ…酷い…。なのは…何故こんな事を…。」 「いや違う…なのは本人に非は無い。なのははロストロギア内に封印されていた アストラル生命体に身体を乗っ取られているだけなんだ。」 「え?」 管理局の惨状に呆然とするユーノとフェイトの前にクロノが現れ、そしてさり気なく あの騒ぎの中でも生き延びていたが、結局逮捕された名も無きコソドロが突き出される。 「悪いのはこいつ等だ。こいつ等がロストロギアを盗み出そうとした為に あのロストロギアに封印されていたアストラル生命体が解き放たれてしまった。」 「え!? アストラル生命体!?」 「ああ。しかもあのアストラル生命体の力は想像以上の物だった…。 生物無生物に関係無く、物質世界のあらゆる存在を乗っ取る事が出来る様だ。 現になのは本人だけじゃない、彼女のレイジングハートや挙句の果てにはアースラさえも 奴の力によって乗っ取られ、おぞましい姿に変質させられてしまった…。」 「レイジングハートやアースラまで!?」 「それで…なのはを乗っ取ったアストラル生命体は…。」 「アースラを乗っ取った後…あのロストロギアのあった元の世界へ行ってしまった。 今動ける他の次元航行艦を探しているが、一刻も早く奴をなんとかしないと大変な事になる。」 「なのは…。」 ユーノもフェイトもなのはの身を案じていた…。 前へ 目次へ 次へ
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激突するなのはとフェイトの二人を止めた少年、クロノ。 彼が名乗った「時空管理局」という言葉に反応するユーノとアルフ。 フェイトはジュエルシードに向かって飛翔するが、 クロノの射撃魔法で狙撃されてしまう。そして・・・ 編集長の一言 なのはにとってにとって 新事実が、発覚 そして、ジュエルシード の秘密が、明らかになる そして、なのはとゆーのは ある決意をする 映像は、こちら(消失の場合は、連絡の事 魔法少女リリカルなのはep 8 part 1 魔法少女リリカルなのはTVシリーズは、どれ位あるのへ戻る
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「どりゃああああ!!」 「ちょ、ちょっとタンマーッ!」 緑色に光る鎖――チェーン・バインドが体に巻き付いている。 渾身の力をこめ、体を動かそうともがくが全く身動きが取れない。 そんなヴァッシュに対し、雄叫びを上げ疾風の如くスピードでアルフが突っ込んで行く。 高速で空を飛ぶ魔導師にとっては十数mなんて距離は意味をなさない。 この数十分にわたる戦闘でヴァッシュはそれを嫌という程思い知っている。 が、体は動かない。 一瞬でアルフとヴァッシュとの距離はゼロとなり、不可避の拳が風を切りながらヴァッシュの顔面へと迫り―――― 人を死なせないため、殺さないため、毎日毎日百何十年と訓練をし戦って来た。 その経験で培ってきた物は伊達ではないと思っている。 だけど今回に限ってはその経験は全く通用しなかった。 全てが予想を遥かに超えていた。 銃を構え、狙い、引き金を引く。 銃ならこれだけですむ事が、魔法ではそうもいかない。 正直言って分からない事だらけだ。 リミットまで後三日。 これで本当に魔法を使えるようになるのか? 鈍い衝撃が顔面を貫く最中、ヴァッシュはそんな事を考え、闇の中へと意識を手放した。 ■□■□ あれから直ぐに、ヴァッシュは魔法を習得するため、奔走を始めた。 まず始めにヴァッシュは、フェイト、アルフ、なのは、ユーノの四人にこれまでの経緯を話し、コーチを頼み込む。 三者三様の驚きを見せたがみんな快く承諾してくれ、訓練室を借り早速練習を開始した。 と、ここまでは順調だったのだが、いざ特訓という段階に来て一つの大きな問題が五人の前に立ちはだかる。 それはヴァッシュが魔法について全くの無知だということ。 魔法とは理論である。 なのはの様に魔法を感覚的に捉え扱う事が出来る魔導師などそれこそ一握りしかいない。 当然、魔法について何も知らないヴァッシュが使える訳などなく、特訓は魔法についての教授から始まった。 取り敢えず今回の合格条件は「一撃をあたえる事」。 となれば、絶対必要になるのは攻撃系の魔法。 与えられた時間はたったの三日、四人は防御魔法を教えることは諦め、攻撃魔法についての教授を始めた。 長々と語るユーノやフェイトの言葉をヴァッシュが真剣に聞き続ける事一時間、基礎中の基礎レベルの事はヴァッシュの脳内へと刻み込まれた。 これで魔法を扱う為の最低条件は満たした。後はヴァッシュに魔法の才能があるかどうかに懸かる。 四人から発される期待の視線を一身に受け、早速ヴァッシュは魔法を発動しようと試みる。 なのは達に教えてもらったことを脳内に思い描き、ゆっくりと集中力を高めていく。 今まで感じた事の無い何かが体の中を巡っていく。 それをゆっくりと一点に集中させる。 ゆっくりと ゆっくりと ゆっくりと そして一気に開放するイメージでそれらを解き放ち――当然、魔法は発動しなかった。 魔力弾が形成されるどころか、魔法陣さえ発生しない。 頭で理解したからといって、使えるようになる程魔法は甘いものじゃない。 少々落胆したものの、いきなり使えるようにはなる訳が無いのは分かっていた。 ヴァッシュは再度試みる。 結果は再び失敗。 挑戦――失敗。 挑戦――失敗。 挑戦――失敗。 その後、なのは達から助言をもらい何回も挑戦をするも、失敗ばかりを重ねていった。 もはや失敗数が二桁を突破しようとした時、見かねたアルフがある提案をする。 その提案とは「いっその事、模擬戦でもしちゃえば?」といったもの。 要するに、ヴァッシュをギリギリまで追い詰め魔法の力を覚醒させちゃおう!というポジティブシンキングの塊の様なアイディアであった。 その案に真っ先に賛成したのはヴァッシュ。 アルフ以外のコーチ陣――なのは達は危険だ、死ぬ気か、と反対していたがヴァッシュは頑として折れず、最終的には三人が折れ、渋々承諾。 なのはは魔法を使えない、フェイトも怪我をしている上にデバイスも故障中、ユーノはサポート役、ということでヴァッシュの相手アルフに決定した。 「んじゃ、お手柔らかに頼むよ、アルフ」 「OK!一応手加減はするけど怪我しないでね、ヴァッシュ!」 そして、模擬戦が始まった。 とはいえヴァッシュはまだ魔法も使えないヒヨっ子同然。 本気で戦ったらそれこそ大怪我を負わせてしまう。 それにこれはあくまで魔法の力を開花させる為の模擬戦だ。 アルフはそう判断し、適度に力を抜き、戦闘を開始した。 だがここで思わぬ事態が発生する。 アルフの予想を遥かに超えてヴァッシュが実力を有していたのだ。 何発、何十発と拳を飛ばしても、虚しく空を切るのみ。 当たるどころか、かすりもしない。 これに驚いたのは、離れて見ていた三人。 謎の襲撃者と戦闘を行った事から相当な実力を持っているとは思っていたが、実際目にしてみると、自分達の予想を遥かに越えていた。 魔導師の機動力にも反応する反射速度、人間技とは思えない身のこなし。 化け物のような動きで攻撃を回避を続けるヴァッシュに三人は驚愕することしか出来なかった。 そしてそれから数分後、もはや本気で戦っていたアルフが遂に音を上げた。 模擬戦の結果―― アルフ怪我なし、疲労大。 ヴァッシュ怪我なし、疲労小、当然魔法使えるようにはならず。 要するにアルフの提案したギリギリ覚醒作戦は失敗。 互いに疲労を残すだけ、という不甲斐ない結果となった。 ひとまず休憩を取りながら、これからどうするか頭を悩ますコーチ陣。 そこで再びアルフがある提案をした。 提案の内容は「一人で駄目なら二人でやればいい」。 要するに「二人で戦って追い詰め、今度こそ覚醒させちゃおう!」といったものだった。 アルフに加え、対戦相手として選ばれたのは、サポート役のユーノ。 「今度は負けないよ!ヴァッシュ!」 「ちょっと、趣旨忘れてないよね!?」 「えっと、僕はサポートだけで良いんだよね……」 「ねぇ、フェイトちゃん。アルフさんから軽い殺気を感じるんだけど……」 「だ、大丈夫だよ。アルフも分かってるはず…………たぶん」 ――そして、再び模擬戦が始まった。 だが、今回の模擬戦は先程と違い、一瞬で決着した。 まず、ユーノが不意打ち気味のチェーン・バインド。 バインドの存在を知らないヴァッシュは回避することが出来ず捕縛される。 その場に縛り付けられ身動きを封じられる。 束縛を解こうと体に力を込めるも、無意味。 鎖はびくともしなかった。 そこに矢のようなスピードで突っ込んだアルフの正拳が直撃。 ヴァッシュの意識はブラックアウト。 こうして貴重な三日の内の一日目はあまり意味のなさない模擬戦と、魔法の基礎講座にて終了となった。 ■□■□ 「あ、気がつきました?」 ヴァッシュが目を覚ましたのは模擬戦終了から四時間ほど経った、夜中のことだった。 「あれ……?ここは?」 「ごめん、ヴァッシュ!ここまでやるつもりはなかったんだよ!」 微弱な痛みを訴える頭を抑え体を起こしたヴァッシュに対し、アルフが物凄い勢いで謝り始める。 そんなアルフの後ろには、珍しく怒りを露わにしたフェイトが立っている。 ヴァッシュはそれを見て、自分が気絶してから起こった事を何となく察した。 「いやいや、大丈夫だって!」 涙目で謝り続けるアルフに向け、ヴァッシュは微笑みかける。 その微笑みにはどこか同情の色が入っているのは気のせいではないだろう。 「……本当?」 「ああ、大丈夫。それよりもありがとうな、良い経験になった。試験に向けて魔導師との戦闘経験を積んで置いた損はないしね」 その言葉にアルフはホッと息をつき、安堵する。 「……それよりも、今何時か分かるかい?」 「確か九時くらいだと思いましたけど」 先ほどに比べ若干怒りが収まった様子のフェイトが答える。 「九時か……もう遅いし今日はこれでお開きってことで、良いかな」 「そうだね。今日は色々とあったし……んじゃ、また明日ね~」 「本当にすみませんでした、ヴァッシュ。アルフにはしっかり言い聞かせたんで……」 「ああ、そんな気にしなくていいって。それより、また明日も頼むよ!」 最後に二人は、なのはとユーノにおやすみと告げ、フェイトとアルフは部屋を後にした。 「んじゃ、僕も部屋に戻ろうかな。ヴァッシュさんも完全に怪我が治った訳じゃないんですから無理しないで下さいね」 「無理言って悪かったね。あと治療してくれたのユーノだろ?ありがとうな」 「どういたしまして。それじゃおやすみ、なのは」 ユーノも部屋を出て行く。 部屋に残ったのはなのはとヴァッシュの二人のみ。 「なのはも部屋に戻った方が良いよ。まだ体の調子良くないんだろ――」 「何をやってるんですか!」 ヴァッシュの言葉を遮るように、なのはがヴァッシュに詰め寄った。 その顔には呆れとも、悲しみとも、怒りとも取れる表情が張り付いている。 「な、なにをって……」 いきなりの怒声にヴァッシュはタジタジになりながら、冷や汗を流す。 「いきなり魔法を覚えるなんて!無茶にもほどがありますよ、まったく!」 「い、いや、最初は魔法を覚える気はなかったんだけどさ……魔法覚えなくちゃ管理局には入れないってリンディが言ってたから……」 「そもそも、何で管理局に入るなんて言っちゃったんですか!?」 なのはは理解出来なかった。 昨日まで、魔法も管理局について何も知らなかった筈のヴァッシュが起こした突飛な行動を。 「いやぁ……そうすれば元の世界に戻らなくてもすむかなぁって」 ヴァッシュの答えを聞いた瞬間、なのはは自分の頭がカッと燃え上がるのを感じた。 脳内を燃やす炎の名前は『怒り』。どうしようもない怒りが心の底から湧き上がった。 「ッ……!なんでそうやって自分を犠牲にするんですか!?」 怒りに身を任せ声を荒げ、ヴァッシュを睨む。 「だってそれ以外になのは達の世界で暮らす方法がないだろ?」 事も無げに答えたヴァッシュの顔には笑顔。 それは、空っぽでは無い中身の詰まった心の底からの微笑み。 それを見てなのはは押し黙る。 ヴァッシュが心の底から望んでこの道を選んだ事に気付いたから。 「…………いいの?本当に危険な目にあうかもしれないだよ?」 「まぁ正直言えば怖いってのもあるけど……」 そこで言葉を切ると、ヴァッシュはなのはへと向き直り真っ直ぐに見詰める。 「それでも僕はなのはの世界で暮らしたい……重い罪も過去も全てを捨てて……この平和な世界で……ね」 なのはは、自分の心臓がドキリ、と跳ねたのを感じた。 ヴァッシュの優しい微笑みの中に、一瞬とても冷たい影が灯ったのが見えたから。 その影から、底も見えない凄惨な過去を垣間見たが気がしたから。 なのはの体が一瞬だけ僅かに震えた。 「まぁ、なのはには迷惑かけちゃうけどね。それと……ゴメンよ、さっきあんなに怒られたのにまたこんな事になっちゃって」 苦笑いをしながら両手を合わせ、深々と頭を下げるヴァッシュ。 その仕草にはさっき見えた冷たい影など欠片も存在せず、いつもの飄々としたヴァッシュだった。 その時、ポスン、とヴァッシュの頭に衝撃が走った。 頭を下げていて分からないが、何かが頭の上に乗っている。 それがなのはの手だということにヴァッシュが気付いたのは、きっかり十秒後だった。 「な、なのは?」 ヴァッシュが疑問の声を上げた直後に、なのはが口を開いた。 「…………分かりましたよ、もう!」 十割を呆れで占めているなのはの声。 この時なのはは、呆れ声とは裏腹に満面の笑みを見せていたのだが、頭を押さえられ顔を上げられないヴァッシュには見ることが出来なかった。 「な、なのは?」 「頑張りましょう、ヴァッシュさん!………………私ももっとヴァッシュさんと過ごしていたいですし」 そう言いなのはが手を離す。 「ありがとな……なのは」 顔を上げ、そう言うヴァッシュの顔にあるのは笑顔。 太陽のような微笑みを浮かべ、なのはの頭を撫でる。 「も、もう、やめて下さいよ!」 恥ずかしそうにヴァッシュの手を払い、なのははベッドから立ち上がる。 「それじゃ、また明日。……絶対合格しましょうね!」 元気にそう言い扉から出て行くなのはを、ヴァッシュは手を振って見送る。 「合格、か……頑張んなくちゃなぁ……」 誰もいない病室にてヴァッシュが呟く。 それから数秒後、ギシリというベッドの軋む音と共にヴァッシュが立ち上がる。 まだ休む訳にはいかない。三日後の試験に合格するために。 まだ生きていたい。この夢にまで見た平和な世界で。 ――台風は自らの願いを叶えるために戦いへ臨む。 ■□■□ ――三日後。 「さて用意はいいかしら、ヴァッシュさん?」 ここはミッドチルダの片隅に位置する廃ビル場。 そこに設置されたスピーカーから流れるリンディの声を聞き、ヴァッシュは小さく頷く。 やるべき事はやった。 後は自分の全てを出すだけだ。 ヴァッシュは正面に立つ対戦相手と思しき少年を見詰める。 見た目はなのはやフェイトより少し年上の少年といった感じだが、雰囲気は違う。 フェイト並の、いやフェイト以上に秘めた力を感じる。 「それじゃあルールの確認をします。 ヴァッシュさんの勝利条件は魔法でクロノに一撃当てること。クロノの勝利条件はヴァッシュさんを気絶させること。 後、クロノは飛行の使用は禁止。まぁハンデといったところかしらね」 クロノが首を縦に振り、それを了承する。 「よろしくな、クロノ」 「こちらこそ……手加減はしないよ」 僅か数mの距離で二人は相対する。 クロノの手にはデバイスS2U、ヴァッシュは相棒の拳銃すら持たず無手。 二人は、静かに始まりの合図を待つ。 「それでは、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの管理局入隊試験を開始します!」 凛としたリンディの声と共にならされる試験開始の合図。 まず動いたのはクロノだった。 デバイスを起動、瞬時にバリアジャケットが形成される。 そのまま流れるような動作でS2Uの杖先をヴァッシュへと向け、魔力を集中。 対するヴァッシュは杖先から逃れるように廃ビルを目指し移動する。 「ブレイズキャノン」 後数歩で廃ビルへと辿り着く、といったところで青色の奔流が放出された。 ヴァッシュはこれに動じる事なく、大地を蹴り大きく横っ飛び。 数m横を巨大な青い光が通過する。 「……おいおい……」 ブレイズキャノンによる破壊痕を見てヴァッシュが呟く。 先程の冷静な回避行動とは裏腹に、その顔には冷や汗を流れている。 魔導師というのは本当に見かけによらない。 そんな事を再認識しつつ体勢を立て直し、再度ビルへと駆ける。 「スティンガースナイプ」 次いで攻撃したのは、再びクロノ。 青色の魔力弾を形成。 冷や汗を流しているヴァッシュへと発射。 (誘導弾!) 襲撃者との戦いでも見た。術者の思い通りに動き、敵を狙い続ける魔弾だ。 ならばと、ヴァッシュは廃ビルへと飛び込み、物陰へと身を隠す。 誘導弾とは結局、術者の目を頼りに動く魔法。 術者から見えない場所に隠れれば攻撃が当たることは無いし、ここは室内、隠れる場所など幾らでもある。 ヴァッシュのその判断は間違ってはいないし、ビルへと逃げ込んだ事自体は良策といえた。 魔法の特性の一つ非殺傷設定。 非殺傷状態の魔法は物理的な破壊力を持たなくなる。 当然このような試験では非殺傷設定が用いられている。 という事は、だ。 どれほど威力を有する魔法でもビルを形成するコンクリートを破壊する事は不可能。 つまり、壁越しでの攻撃も不可能。 実力から見ると圧倒的不利な戦いだが、このビルに逃げ込めた事自体は大きなアドバンテージ。 火力、射程距離、機動力、全てに於いてクロノに劣るヴァッシュが唯一対等に戦闘を行える場所といっても過言では無い。 物陰から僅かに顔を出し誘導弾をやり過ごした事を確認すると、ヴァッシュは階段を見つけ駆け上がった。 ■□■□ スティンガースナイプによる攻撃は失敗と判断したクロノは小さく舌打ちをした。 初弾の砲撃は正直当たったと思ったし、誘導弾だって相手を倒すつもりで放った。 そのどちらもが回避されるとは思わなかった。 予想を遥かに超え相手の動きが良い。 別段、足が早いとかそういった訳では無いが、攻撃に対する反応と判断力がずば抜けている。 純粋に反応と判断力だけを見たらフェイトとなのはより上、いや自分よりも上に位置するだろう。 (少し甘く見てたかもな……) 魔導師としては初心者かもしれないが、戦士としては自分以上の経験を有している。 気を抜いたら逆に負ける可能性もある。 そう判断した方がいい。 (……それにしても厄介だな) そんな相手にビルへの侵入を許したことは正直、痛手だ。 遠距離からの砲撃と誘導弾の使用は制限され、こちらのアドバンテージを大きく潰されてしまった。 ビルの外側から非殺傷設定を解除した砲撃で攻撃する、といった事も出来るが万一、ヴァッシュに直撃でもしたら目も当てられない。 それこそ殺してしまう。 実戦ならまだしも試験でそんなことは出来ない。当然この作戦は却下。 飛行魔法も禁止されてる今、行える手は―― 「これしか無いか……」 ――結局は相手が陣取る廃ビル内での戦闘しかない。 ため息を一つつき、クロノはヴァッシュが入っていった廃ビルへと近付いていく。 この時クロノは、少しばかりの高揚感を感じていた。 久し振りに自分以上の戦闘経験を持つ強者と戦える事による血湧きか、それはクロノ自身でさえ分からない感情であった。 (でも悪い気分じゃない……) 僅かに笑みを浮かべクロノは歩を進める。 その姿にはいつも以上に力が漲っていた。 ■□■□ 初撃のブレイズキャノン、追撃のスティンガースナイプスをヴァッシュが回避した事を確認し、なのは達は安堵した。 ここは管理者のモニター室。 前面の大型モニターにはヴァッシュとクロノの様子が逐一映し出されている。 「……ヴァッシュ、大丈夫かな?」 なのははフェイトの呟きに答える事が出来ない。 正直にいってヴァッシュに魔法の才能があるとは言えなかった。 それでも三日間本当に努力をしていた。 毎日寝る間も惜しんで訓練をしていたし、模擬戦も沢山やった。 でも不安は拭えない。 ――ヴァッシュが合格する光景が全く頭に浮かばない。 「間に合ったぁ!」 と、その時モニター室の扉が開いた。 同時に聞こえたのは慌てた様子の少年の声。 「ユーノ君!」 「ようやく仕事も片付いてね。なんとか時間をもらったよ……それでヴァッシュさんは?」 手早くなのは達へと近付きモニターを見るユーノ。 その瞬間、ユーノの表情が驚愕に染まる。 「な……相手はクロノなのか!?」 クロノはAAA+クラスの魔導師。 並の魔導師ですら一撃をいれる事は不可能に近い。 事実、嘱託試験時にクロノと戦ったフェイトは一撃に攻撃に成功させることなく敗北した。 魔法初心者のヴァッシュを相手にクロノが出てくる事がユーノには信じられなかった。 「そ、それで、あれからヴァッシュさんはどんな魔法を使えるようになったの?」 あれからユーノはある仕事を頼まれヴァッシュの特訓に付き合う事が出来なかった。 何も知らないユーノは一縷の希望に縋るように、なのはへと問う。 「……射撃魔法」 「そっか……よし!」 射撃魔法とヴァッシュのずば抜けた身体能力があれば一撃位なら何とかなるかもしれない。 小さな希望がユーノの胸に湧く。 が、その希望は次のなのはの言葉により砕け散った。 「…………撃てないけど」 「……え?」 その信じられない一言にユーノは思わず聞き返す。 なのはは何て言ったんだ? 『撃てない』? 「ちょっ……ちょっと待った!撃てないって……魔力弾を撃ち出せないの!?」 「…………うん」 重苦しくなのはが頷く。 「しかも、魔力弾を作れるっていっても、十分位時間かけてやっと一発作れるくらいだしね……」 更に絶望的な事実をアルフが口にする。 十分かけて一発の魔力弾しか作れない、しかも撃ち出す事すら出来ない失敗作。 それは、魔法を使えないと同意義だ。 そんな状態でクロノに一撃を入れるなんて無茶だ、いや無茶を通り越して無謀だ。 「……そんな」 心が真っ黒な無情感に包まれていくのをユーノは感じた。 ■□■□ 僅かに息を切らしながらヴァッシュは階段のすぐ側の物陰へと身を寄せた。 ビルの最上階。 階段は屋上へと続いているが、ヴァッシュはこのフロアにてクロノを迎え撃つことに決めた。 ヴァッシュの狙いは不意打ち。 自分は魔力弾を作る事しか出来ない。しかもそれは撃ち出す事すら出来ない程に未熟。 ならばどうする? 答えは簡単だ。 撃ち出せないのなら叩きつける。 手のひらに浮かぶ小さい魔力弾を直接。思い切り。腕ごと。 ヴァッシュが考えついた作戦は策ともいえない無謀なモノだった。 (落ち着け……チャンスは一回。失敗したらもう後は無い……集中だ、集中するんだ) それでもヴァッシュは諦めずに魔力を煉る。 本当に少しずつではあるが右手に魔力が集中していくのが感じ取れる。 このビルはワンフロアが相当に広い。 自分――ヴァッシュ・ザ・スタンピードが何処にいるか分からないクロノはフロアを虱潰しに探索するしかない。 ワンフロアを調べ終わるのに最低でも数分は掛かるだろう。 つまり、クロノが最上階に辿り着く頃には十五分は経過している筈。 これだけ時間があれば魔力弾は充分作れる。 そしてこの位置、階段の直ぐ側。 飛行魔法が禁止されている以上、クロノが上階に辿り着くにはこの階段を使わざるを得ない。 それは確実。百%といえる。 そこを突く。 ヴァッシュは息を押し殺し魔力弾を形成するのに全神経を集中させる。 一分 二分 三分 魔導師の試験とは思えない程の静寂。 その中、ゆっくりと時は刻まれていく。 (あと七分……) ヴァッシュは焦る事無く、ゆっくりと着実に魔力を魔力弾へと送る。 滴り落ちそうな程に貯まった汗すら気にせずに集中し続ける。 五分 六分 七分 ――そこでヴァッシュにとって思いがけない事態が発生する。 足音が聞こえる。 小さな音だがしっかりと。 それは、ゆっくりとこちらに向かって近付いてくる。 (そんなバカな……早すぎる!) まだ七分しか時間は経っていない、何でこんなに早くここに辿り着く? そこまで考え、ヴァッシュの脳裏にある考えが閃く。 ――魔法。 もし、まだなのは達が教えていない魔法が存在するとすれば? 例えば、隠れた人物の居場所を特定するような便利な魔法。 それが使われたとしたら? 自分の居場所など容易くバレるだろう。 「っ……!」 悔しげに唇を噛みながら、ヴァッシュは階段の側から、フロアの奥へと移動する。 (あと三分もあれば魔力弾の形成には成功する……なら、今は時間を稼ぐ……!) すぐさまヴァッシュは身を翻し、階段から一番離れた部屋へと逃げ込む。 ほどなくして足音も階段を登りきり止まった。 少しだけ顔を出し様子を覗き見ると、クロノが階段を登りきった所で魔法陣を展開している。 (あれが探索魔法か……?) 魔法陣の中心でクロノは目を瞑ったまま動かない。 探索系の魔法といってもすぐに見つける事は出来ないのか、僅かにヴァッシュは安堵する。 あと二分。 総量の問題か、それとも他の何かの影響か、自分の魔力は魔力弾を一発形成するだけで枯渇してしまう。 そのせいか体がダルい。 ヴァッシュは大きく息を吸い込み酸素を体へと送り、己を叱咤する。 (あと、少しだ……集中しろ、ヴァッシュ・ザ・スタンピード!) ――その時、クロノの足元に展開されていた魔法陣が消失した。 次いで再び魔法陣が展開される。 同時に青色の魔力弾が二つ現れる。先ほどと同じ誘導弾。 (位置がバレた!) ヴァッシュがそう判断し部屋を飛び出したのと同時に魔力弾が動き出す。 一つは一直線にヴァッシュへ、もう一つは軌道を読まれないよう不規則な動作でヴァッシュを目指す。 (速すぎだって!) 心の中でぼやきながらも、一つ目の魔力弾は横にステップし回避。 時間差で襲うもう一つの魔力弾をヴァッシュは睨み、それに向かって床に落ちている瓦礫を蹴り上げる。 軌道は不規則、弾速は目にも止まらぬスピード。 だが、ヴァッシュが蹴り上げた瓦礫は魔力弾に吸い込まれるように命中。 非殺傷設定の魔力弾は瓦礫を貫く事なく消失する。 魔力弾を防いだことを確認すると、同時にヴァッシュは床に這い蹲り、後ろから迫る魔力弾を避ける。 瞬時に立ち上がり再び瓦礫を蹴り上げ、魔力弾を狙う。 命中。 消失。 「……信じられないな……本当に君は人間か?」 あまりに現実離れした魔力弾の回避法を目の当たりにし、クロノは呆然と声を上げる。 「いやいや、魔導師っていうのも人間とは思えないって……マジで」 苦々しい笑みを張り付かせヴァッシュはクロノを見詰める。 「……悪いけど、これで終わりにさせてもらう」 クロノの足元に魔法陣が浮かび、それと共に青色の光剣が出現する。 「ここは室内。逃げ場はない……降参するんだ」 「逃げ場……か。まぁ、逃げ場は無いね」 この絶望的な状況でもヴァッシュはその飄々とした態度を止めない。 「でも、こういう手はあるんだよ……ね!」 そう言うと同時にヴァッシュはクロノに向かって真っ直ぐに駆け出す。 遂に形成し終えた真っ白な光を放つ魔力弾を背中へ隠しながら。 「スティンガーブレイド・エクスキューションシフト!」 同時に幾多に及ぶ光剣が、ヴァッシュ目掛け射出される。 それでもヴァッシュは怯まず、光剣の壁へと突き進む。 標的はこの壁の向こう側に立つ人物。 光剣はヴァッシュに触れると同時に爆散し青色の爆炎がヴァッシュを包む。 だが、それでもヴァッシュは倒れない。 体で白色の魔力弾を庇いながら嵐が過ぎるのを待ち続ける。 そして、ついに嵐は止んだ。 魔力ダメージにより今にも倒れそうな体を必死に動かす。 「う、おぉぉぉお!」 獣の如く咆哮と共に、弾かれたようにヴァッシュが走り出す。 クロノは術を放った直後、次の術を放つにも大きなタイムラグが生じる。 その隙を付き、ヴァッシュが迫る。 五メートル 体が揺れる 四メートル 膝が笑う 三メートル それがどうした 二メートル 俺は、絶対に―― 一メートル ヴァッシュの足が止まった。 いや、足だけじゃない体も魔力弾を持っている腕も、ピクリとも動かない。 「――保険を掛けといて良かった」 そう呟くクロノの足元には、いつの間にか魔法陣が浮かんでいる。 そこから伸びる青色の鎖はヴァッシュに絡みつき、動きを止めている。 「……ッ!」 ヴァッシュの顔が悔しそうに歪む。 「……あの攻撃を耐えるとは思ってもみなかったけど……これで、終わりだ!」 クロノがゆっくりとS2Uを振り上げる。 その間にもヴァッシュは必死に体を動かそうともがく。 (動け!動け!動くんだ!こんな所で終わってたまるか――) 「ブレイク……インパルス!」 衝撃と共にヴァッシュの意識は闇の中に消えた。 ■□■□ 次にヴァッシュが目を覚ました場所は、管理局本部の病室であった。 覚醒と同時に試験の事を思い出す。 「……不合格……か」 ヴァッシュは悔しげに両手を握り締めうなだれる。 結果はボロ負け。 相手から逃げ回り、隠れ続けた上、攻撃を当てる事は出来ず。 誰がどう見ても不合格だ。 「……本当に暮らしたかったのになぁ……あの世界で……」 あの世界に居たかった。 今でも心の底から願っている。 「……クソっ!」 ヴァッシュは苛立ちをぶつけるかの様に左手で壁を殴りつける。 (――ん?) そこでヴァッシュはある事に気付いた。 (左手?あれ?何で義手がついてるの?) そう。この一カ月存在しなかった左腕がそこにはあった。 しかも、高性能。 前の義手同様、自分の思い通りに動く。 思わず口からそんな呟きが漏れたと同時に―― 「ヴァッシュさん!」 ――なのは達が飛び込んで来た。 「やったね!ヴァッシュ!」 「おめでとうございます、ヴァッシュさん!」 「凄いですよ、ヴァッシュ!」 「やったよ!ヴァッシュさん!」 みんな嬉しそうに微笑み何故か賛辞の言葉をヴァッシュへと投げかける。 まるで良い出来事が起こったかのようだ。 「あの……なんでみんな嬉しそうなの?」 当然の如く疑問が口から出る。 「なんでって……合格したんですよ、ヴァッシュ?」 「は?」 「そうだよ。最後に魔力弾を撃ち込んだじゃん」 「へ?」 「驚きましたよ、土壇場で魔力弾を打ち出せるようになるなんて!」 「え?」 「そういう事です!合格おめでとうございます!」 なのはが大きな声で告げる。 その言葉に答える事なく固まるヴァッシュ。 ヴァッシュの頭はみんなの言った言葉を理解する為にフル稼働を始めた。 ――そして数瞬後。 「えぇぇええ!?嘘ぉ!?合格ぅ!?」 ――ヴァッシュの大声が病室に響き渡った。 ■□■□ 管理局本部休憩所、多数の自動販売機が置かれているそこにリンディとクロノは座っていた。 クロノはリンゴジュースを片手に、リンディはいつも通りの緑茶を片手にしている。 「お疲れ様。ごめんなさいね、あなたしか頼める人がいなくて……」 「大丈夫ですよ。それに僕も全力でやった結果です」 申し訳なさそうに呟くリンディにクロノが首を振る。 「それで、ヴァッシュさんはどう?」 「強い……ですね。ハンデを付けていたとはいえ僕の魔法を何回も回避しましたし」 そこで言葉を切りクロノはリンゴジュースを喉に流し込む。 そう。 あの戦いには多数のハンデがあった。 一つは試験会場。 本来、あれはリンディが独自に執り行った入隊試験。 そんなもの管理局の訓練所で済ます事だって出来た。 が、それにも関わらず試験を行った場所は、陸戦魔導師達の試験場として使われる事もある廃ビル場。 隠れる場所が多数存在するヴァッシュにとって有利なフィールドであった。 更にはデバイスに組み込まれたリミッター。 それらがクロノの魔法の威力、効果を著しく削っていた。 「そう、それは嬉しい事ね」 ハンデを付けるよう采配した張本人――リンディは嬉しそうに微笑む。 「……でも、何でこんなにややこしい事をしたんです?」 「……強いて言うなら最低限の実力を有してるかの確認を取る為……かしらね。 本気のクロノが相手じゃ、ちょっと可哀想でしょ?他に借りられる魔導師もいなかったし」 「最低限の実力ですか……」 「まぁ、それだけじゃないけどね」 そう言いクロノに微笑みかけたリンディは勢い良く立ち上がる。 少しでもヴァッシュの助けになればという気持ちが有った事は否定しない。 でも、これ位のハンデじゃ到底この試験に合格する事は無理だと考えていた。 だから、ヴァッシュが魔力弾をクロノに飛ばし、命中させた時は心底驚いた。 魔法を習い始めて三日の男がAAAランクの魔導師に一撃を入れる。 そんな信じられない事をあの男はやってのけた。 「本当に不思議な人よね……」 そう言うリンディの顔はどこか嬉しげであった。 ■□■□ 次の日、まだ誰も目を覚ましていないだろう明朝、ヴァッシュは一人訓練所に立っていた。 理由は言わずもがな魔法の訓練。 これからは正式に管理局の魔導師としてあの襲来者達と戦うのだ、なのは達の足を引っ張る訳にはいかない。 ならば特訓あるのみ。 今までと一緒だ。 早速、ヴァッシュは訓練に取り掛かろうとし―― 「あー!いたいた!ヴァッシュさんですよね!」 ――突然の乱入者に、声を掛けられた。 「……君は?」 出鼻を挫かれ少々腹立たし気な顔をしてヴァッシュが振り返る。 そこにいたのは茶髪の女性。 活発そうなその顔をしているが、今は隈が浮かび上がり疲労の色を見せている。 「ああ、お話しするのは初めてですね!私はエイミィっていいます」 「エイミィか、よろしく……それで僕に何か用かい?」 「はい!艦長から頼まれまして、コレ!」 そう言いエイミィは手に持っていた箱をヴァッシュへと受け渡す。 「……これは」 それはヴァッシュにとっては馴染み深い箱。 驚いた様子でヴァッシュは箱の蓋を開ける。 箱に入っていたのは弾丸。しかも自分の銃と同じ口径。 それが所狭しと詰められている。 「苦労したんですよ! ヴァッシュさんの合格が決まったと同時に艦長が『管理外世界から弾丸を取り寄せて、ヴァッシュさんに渡して』なんて言い始めて、今の今までその作業で徹夜ですよ! もう!夜更かしはお肌の天敵なのに……」 長々とエイミィが愚痴り続けるがヴァッシュの耳には全く入って来ない。 「ちょっと待ってくれ!これは違法じゃないのか!?」 「違法ですよ」 動揺するヴァッシュとは真逆に、エイミィは寸分もうろたえる事なく口を開く。 「私も止めたんですけどね。『正式に管理局入りした兵士を無駄死にさせる訳にはいかない』って艦長に言われて……何とか取り寄せたんですよ」 「ですよって……!そんなことしたら君達が!」 エイミィがチッチッと指を振る。 「ふふん、ナメないで下さいよ。私が本部にはバレないよう八方に手を尽くしましたから、百%大丈夫です!」 「だからって!」 それに、とヴァッシュを遮りエイミィが言葉を続ける。 「あんな魔法じゃ実戦では役に立ちませんよ?試験みたいに隠れてる暇はありませんし。犬死にするつもりですか?」 「うっ……!そ、それは……」 痛いところを突かれヴァッシュは押し黙る。 「だから、コレ、使って下さいよ!艦長もヴァッシュさんに期待してましたよ!」 どうすれば良い。 迷いながら、ヴァッシュは視線を弾丸の入った箱へと移す。 「んじゃ、私は寝ますから!後はよろしくお願いしますね!」 エイミィはそう言うと、眠そうに目をこすりながら訓練所から出ていく。 その後ろ姿を見ながら、ヴァッシュは悩む。 ――数秒後、何かを決意したかの様に顔を上げ、箱から弾丸を取り出す。 その数は六発。 それらを懐から取り出した銃へと、一つ一つ丁寧に込めていく。 全てを込め終えるとヴァッシュは、ゆっくりと銃を構える。 ――俺は戦う。 ずっと前にそれは決意した。 だが、今回は他人の為じゃない自分の為に。 何もかも忘れて平和に暮らすため。 「レム……僕は……」 ――そう、何もかも忘れて。 あの星の事も、テスラの事も、ナイブズの事も――レムの事も。 それが豚以下の生き方だとしても……俺はそう生きたい。 此処からが俺の新たな人生。 ――そのために俺は絶対に誰も殺さない、殺させない。 今までと変わらない。 何十年とやって来た事だ。 その為にリンディ達の好意は喜んで受け取ろう。 重みの増した銃を片手にヴァッシュは誓う。 ――砂の惑星から時空を超えたここに最強のガンマンが復活した。 彼は新たな扉を開く事が出来るのか。 歯車は動き続ける。 前へ 目次へ 次へ
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ここは都庁にほど近い、東京都のどこか。 そこには超人血盟軍のリーダーにして最後の生き残りである、キン肉マンソルジャーことキン肉アタルと、妻に死に絶望し完全にヘタレと化したベジータ王子がいた。 時間は影薄組及び都庁同盟軍と決別してからさほど経っていない。 とにかく敵対してしまった都庁から少しでも遠くへ離れることと、ベジータを正気に戻すために安全地帯を探す必要があった。 「「SATUGAIセヨ! SATUGAIセヨ!」」 「くっ……DMC狂信者か!」 「ブルマ……ブルマ……」 しかし、アタルたちは都庁から離れたところでモブ狂信者たちと出くわし、囲まれてしまう。 都庁の支配区域の狂信者は全滅したが、その外側にはぐるっと包囲するように狂信者たちが配備されているのだ。 相手はモブなのでアタル兄さんの戦闘力と冷静で的確な判断力なら簡単に倒すことはできるものの、モブ狂信者はほぼ無限湧き、そして騒ぎを聞きつけた戦闘力の高いネームドエネミーこと指揮官級の狂信者に当たってしまえば結果はわからない。 今のベジータはまったく戦力にならず、仲間である以上は守らねばならない以上、守りながら戦う羽目になる。 そうなればアタルと言えどジリ貧であり、ベジータごとやられてしまう可能性が高い。 (引き返すか? いや、後ろには敵対してしまった都庁の者たちがいて退けない! どうすれば良い……?! 考えるんだ、冷静で的確に!) 「「SATUGAIセヨーーー!!」」 「くっ!!」 前門の狂信者、後門の都庁……どこへ進み、どう戦い、どう逃げるか考えるアタルだったが、彼の判断を待たずにモブ狂信者は一斉に攻撃を仕掛ける。 だが、モブ狂信者たちの攻撃がアタルとベジータに届くことはなかった。 「ジャイアントスイング!」 「地獄のシンフォニー!」 「螺旋懐体搾り!」 「アトランティス・ドライバー!」 「ミイラ・パッケージ!」 「タワーブリッジ・ネイキッド!」 「キン肉バスター!」 「!?」 モブ狂信者の背後をつくように、突如、複数の男たちが現れ、各々の肉体を使った技……いずれもアタルにとって見覚え聞き覚えのある技で狂信者を瞬く間に粉砕していった。 「まさか、君たちが来てくれるとは……」 嬉しい誤算、地獄に仏と言うべきか、頼れる味方が現れたことにアタルの表情は仮面の下で綻ぶ。 駆けつけた男たちは七人、皆超人であった。 先に亡くなったアシュラマンに並ぶ悪魔六騎士の一人で実力者、黄金色に輝く角ばった巨大なボディが特徴なヘビー級悪魔超人。 「サンシャイン!」 カセットデッキの体を持ち、理論上無限の超人技を使用できる機械の悪魔超人。 「ステカセキング!」 一見するとギャグ漫画のような見た目だが、高い弾力を持ち、関節技には無類の防御力を持つ、金属バネの悪魔超人。 「スプリングマン!」 半魚人の体を持つ、水辺では実力を何倍にも上昇させられる誇り高き海の悪魔超人戦士。 「アトランティス!」 相対する敵をミイラに変える残虐性を持つ者だが、味方にすればこれ以上頼もしいものはいないエジプトの悪魔超人。 「ミスター・カーメン!」 鎧を模した外見だけでなく優れた知性と戦闘力、紳士としての誇り高さはまさに騎士と呼ぶにふさわしい正義超人のリーダー格。 「ロビンマスク!」 そして! 男なら憧れる筋骨隆々なマッスルボディと気高き優しさにより豚のような不細工なマスクとニンニク臭さすら帳消しにする我らがヒーロー――キン肉マン。 「大丈夫か! アタル兄さん!」 「スグル……弟よ、来てくれて助かった」 弟は生きており、その弟が仲間を引き連れて命を救ってくれた感動の再開……こんな殺し合いの場でなければ熱い抱擁をしたいぐらいだったが、冷静なアタルは的確に情報を把握しようとする。 まずはこの中では悪魔超人側の代表格であるサンシャインに目を向ける。 「スグル、正義超人であるロビンマスクはともかく、悪魔超人であるサンシャインたちは?」 「兄さん、彼らに関しては心配しなくて良い。彼らも私たちと同じ対主催で、今は味方同士だ」 「あのお方からの命令によるものもあるがな。キン肉マンが言った通り対主催として動いている。 よりマーダーと主催を駆逐しやすくするために同じ対主催や本来は敵対関係にある正義超人とも手を組んで良いというおたっしだ」 「兄さんもアシュラマンやBHと手を組んでいたところからしてそれも知っていると思ったが」 「ああ、まあな」 アシュラマンたちが悪魔将軍からの命令を受けて対主催として動いていることは知っていた。 ともすれば悪魔超人は味方である。 殺し合いという非常時故に超人オリンピックを除くと本来はありえない悪魔超人と正義超人の同盟を組むことができるのだ、超人血盟軍のように。 「ところで、放送で流れていたザ・ニンジャとBHは仕方ないとして、アシュラマンとバッファローマンはどこに行った?」 サンシャインはまだ放送で流れていない二人の超人の姿がないことに疑問に思った。 その答えをアタルはなるべく冷静に、しかしどこかすまなそうに悪魔超人たちに話した。 「すまない……私の判断ミスのせいで、二人は都庁の手の者に殺されてしまった」 「なんだと!?」 アタルの言葉に超人たちはどよめく。 悪魔超人の中でも猛者である二人の仲間が都庁の者に殺された……悪魔超人たちが衝撃を受けないわけがなかった。 正義超人の二人もバッフォローマンは盟友であったがために、殺されたことには大きなショックを受けていた。 「おのれぇ~! 都庁め!」 「奴らめ! 仲間を殺した償いをさせてやる!」 「全員ミイラにしてやるぞ!」 「それに何が機械嫌いだ! 文明の進歩と進化を否定する畜生どもが!」 「おまえたち落ち着け!」 「流石にこの戦力で真正面からでは無理だ!」 「アシュラマンとバッフォローマンほどの強者を一撃で殺せる者がいた。無策に突っ込めば二の舞だぞ!」 「悔しいが、怒りも悲しみも今は堪えるない」 スプリングマン、アトランティス、カーメン、ステカセキングは怒りの矛先をアタルには向けず、殺した下手人である都庁に向ける。 その勢いは比較的冷静だったサンシャインとロビンマスク、キン肉兄弟がなだめなければ、すぐにでも都庁に突っ込みかねないほどであった。 「マーダー集団の都庁の屑共はいずれ皆殺しにする、だが今は耐えるんだ」 「……ま、待て、都庁の者たちは……」 「オイ、奴らが来るぞ!」 サンシャインは都庁同盟軍に明確な殺意を抱きつつも冷静に悪魔超人たちをまとめる。 アタルは都庁の者たちもこちらを勘違いしているだけで、本来は志を共にする対主催であることを仲間に伝えようとするが、それよりも早く遠くから声が聞こえてきた。 SATUGAIセヨ SATUGAIセヨ! ――DMC狂信者だ。 「チッ、またきやがったか」 「奴らは何人殺してもまた湧いて出てきやがる」 「しかし戦ってもキリがないぞ。どうする?」 超人が8人も揃っている彼らならモブ狂信者程度が束になってもやられることはまずない。 しかしモブと言えど狂信者は上層部のシゴキによって強化されており、足止めぐらいはできる。 足止めを食らうとモブよりも遥かに強い指揮官級の狂信者を呼び寄せたり、都庁同盟軍の追撃部隊が来る恐れがある。 そうなると彼らでも危険である。 「突破するしかないか!」 「待てスグル、みんな! 私にいい考えがある」 そこで冷静で的確な判断ができるアタルは妙案を思いついた。 すぐさま最寄りの文房具屋から白と黒の絵の具を手に入れ、まずベジータの顔にクラウザーを模したフェイスペイントを施した。 額にはもちろんチャームポイントである“殺”の字も描く。 そこまで来てようやく周囲もアタルの考えが見えてきた。 「まさかソルジャー、狂信者に偽装して突破しようというのか?」 「そのまさかだ。狂信者も同じ狂信者は襲わない。 ならば狂信者を装えば余計な戦闘をせずにこの場を脱出できるだろう」 「「「なんという冷静で的確な判断力なんだ!!」」」 アタルの名案に周囲はお決まりの賞賛を送った。 「みんなもベジータと同じように顔を塗るんだ。 ……これだけでは味付けがもの足りないな。 ステカセキングはDMCの曲を流してくれ! 少しでも偽装を完璧にする」 「あいわかった!」 ステカセキングは所持していたDMCのカセットを、己の体に入れて曲を流した。 曲はDMCを象徴する曲「SATUGAI」である。 ―― 殺せ殺せ親など殺せ 殺せ殺せすべてを殺せ ―― 「……うわぁ、相変わずひでえ曲だな」 「私は聞いただけで吐き気がしてきたぞ……」 「お、おい、大丈夫かキン肉マン」 「そういえばキン肉マンはDMCの曲が大嫌いだったな」 「すまないスグル……狂信者の包囲網を抜けるまでは我慢してくれ。顔色の悪さはフェイスペイントでごまかそう」 「ああ、気持ち悪い。これでは牛丼もしばらく胃に入らんぞ」 キン肉マンはクラウザーの曲を聞くだけで気分が悪くなるDMCアンチであり、ステカセキングから流れた曲を聞いただけで顔を青くしていた。 クラウザーさんは魔王や大天使すら惹きつけるほど信者を量産したが、逆に彼の歌を毛嫌いする者もいるのだ。 「おいおまえ、今クラウザーさんの歌が気持ち悪いと言ったか?」 「え?」 ―― 思い出を血に染めてやれ 未来など血に染めてやれ ―― ――それは突然だった。 閃光が瞬いたと思ったら、キン肉スグルの豚面が首ごと弾けて消し飛んでいた。 あの伝説の超人ヒーロー・キン肉マンがあっけなく死んだのだ。 その下手人は――仲間であるハズのベジータ。 「べ、ベジータ?!」 突然過ぎるスグルの死とベジータの裏切りに、周囲の超人たちは、アタルさえも脳内の処理が追いつかず、呆気に取られていた。 そしてDMCのペイントが施された顔でベジータがニヤリと笑いかけたかと思うと、超人たちに向けて掌から大出力のエネルギー波を放った。 「ぎゃああああああああ」 「うおおおおおおおおお」 「ニーブラァ!?」 いかな超人と言えど、惑星すら簡単に破壊できるほどの絶大な火力を誇るサイヤ人の攻撃を凌げるわけもなく、閃光は超人たちを容赦なく飲み込み、蒸発させた。 ただ一人、ベジータの異常に誰よりも早く気づいて躱したアタルを除いて。 「ベジータ~~~~っ! なんのつもりだ!?」 仲間と弟を一瞬で皆殺しにしたベジータの裏切りに、怒りと驚きを交えて怒鳴るアタル。 だがベジータはさっきまでのヘタレさは何処へ、極めて冷静かつ冷酷なスマイルを浮かべてアタルに言ったのだった。 「妻のブルマが死んだ以上……俺はもう、サイヤ人の王子だとか、生き残ることだとか、カオスロワだとかどうでもよくなったんだよ」 キン肉マンソルジャーことキン肉アタルの考案した偽装による狂信者突破は実に理に適っていた。 ……だが彼はクラウザーさんの歌の特性を知らなかった。 それは今までDMCの歌に興味がなくても、強い悲しみでぽっかり穴が開いた心をその滅茶苦茶な歌が埋めてしまうのである。 「俺の傷ついた心を癒してくれるクラウザーさんの歌を除いてなあ!!」 「ベジータッ!」 ベジータは妻を失った絶望を味わっている時にクラウザーの歌を聞くことで狂信者に身を堕としたのだ。 そしてスーパーサイヤ人と化し、かつての仲間であることも忘れてアタルに襲いかかった! 【キン肉スグル@キン肉マン 死亡】 【ロビンマスク@キン肉マン 死亡】 【サンシャイン@キン肉マン 死亡】 【スプリングマン@キン肉マン 死亡】 【ミスター・カーメン@キン肉マン 死亡】 【アトランティス@キン肉マン 死亡】 【ステカセキング@キン肉マン 死亡】 【ダンシングフィッソン族@お笑いネタ 死亡】 ※こいつはその辺に隠れていただけですが、ベジータの攻撃の巻き添えで死にました 今、虐殺で祝われる「謝肉祭」が始まる。 ―― SA TSU GAI! ―― ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 地下から都庁を目指していたなのは組だが、彼らの歩行速度は恐ろしく牛歩になっていた。 主になのはのせいで。 「やだやだやだ!! 私以外にユーノ君の体が弄られるのはヤなの!!」 「ちょっと、なのは! そんなこと言わないで!」 なのはが都庁へ向かうのを嫌がる理由……それは支給品の千年タクウでユーノがフォレスト・セルに陵辱(実際は治療)される未来を見たがために、彼をそんな目に合わせたくないがためにだだをこねているのだ。 今、彼女は桑原とレオリオによって、両腕を引っ張られて引きづられている。 「まったく、都庁はもうすぐだって言うのに全然前に進まねえぞ!」 なのはが暴れるせいでほとんど前に進まない現状にレオリオは愚痴をたれる。 「しかし、なのはの話も一理ある気がするな……」 「桑原お兄ちゃんどうして? ……ユーノさんのお尻がいじられるから?」 「バッ……そうじゃねえハス太。 どうにも都庁に近づくたびに嫌な予感がするんだぜ」 桑原は生まれつき霊感が強く勘も鋭い。 並の霊能力者が手こずる迷いの森すら最短ルートで抜けてしまうほどに。 そんな彼の勘が悪い予感がすると囁いているのだ。 「都庁の魔物や協力者たちはやはりネットで囁かれるような危険な連中で、エリカと神樹があいつらと一緒に戦っていたのも脅されたていたか洗脳されていたから……とも考えられるか」 「確証はねえが、その可能性は捨てきれねえな。ユーノはどう思う?」 都庁の者たちに疑問を持ち始めるレオリオと桑原の視線がユーノに向く。 彼は一行の行動を左右するリーダー格だ。 グループの最終判断の決定は知力に優れた彼の役目である。 「いや、このまま都庁に向かう。 都庁に存在する参加者が志を共にする対主催の仲間ならそれでよし。 違っても無理やり協力させられているエリカさんと神樹を助け出さなくちゃいけない。 今から引き返しても現状の僕らの戦力じゃ神樹を倒したオカマにやられるだけだ。 仮に僕がなんらかの事情で陵辱させられる羽目になったら、あらゆる手段を講じて脱出するだけさ」 「おう、そうだな」 「どちらにせよ都庁に向かうしかねえってことか」 ユーノは都庁が白でも黒でも突き進むことに決め、リーダーの判断になのは以外の全員が従った。 (まあ、もし都庁の奴らがなのはに危害を加えるんだったら、コノ手デ殲滅スルケドネ) ユーノのなのはを守りたいと想いと、都庁が敵だったらとの想像が合わさった爪が一瞬だけ獣のように伸びたが、それもまた一瞬で元通りになり、地下の暗さも手伝って誰も気づかなかった。 「嫌だよ、行きたくないよ。ユーノ君が他の誰かに取られるなんて!」 「大丈夫だよ、なのは。僕は死ぬ気はないし、君以外に抱かれる気もないから」 (うわあ~バカップル) (ラブラブだね) (羨ましいぜ。俺も雪菜さんとあれぐらいイチャイチャしてえな~) だだをこねるなのはとそれをなだめるユーノ、二人を生暖かく見つめる三人の男の一幕があった。 だがそれも唐突に終わりを告げる。 地上からなのはたちのいる地下へ、天井を何枚もぶち破ってそれは現れた。 ……血まみれの超人と、黄金の気を纏い金髪をしたM字ハゲの狂信者らしき男が。 「きゃあ!」 「いったいなんだ!?」 「ぐふッ……逃げるんだ……」 天井から降ってきた瓦礫を避けたなのは一行のなのはとユーノにボロボロの超人アタルは目があった時に危険を知らせ、逃げるように促す。 だが次の瞬間、アタルの右半身がエネルギー波によって消し飛び、絶命させた。 「ベジ……貴様――」 「前にアシュラマンが言っていた俺には『戦うという覚悟』が足りないという言葉をようやく理解したよ。頭ではなく心で。 こんな怖いものだらけの絶望的な世界でもクラウザーさんの歌を聞けるなら『戦うという覚悟』なんていくらでも湧いてくる!! その証拠に金髪なんてもう怖くもなんともない!!」 世界に絶望し、クラウザーさんの歌を聞いたために、金髪であるユーノやハス太を目の前にしてもベジータは恐れることはもうなくなっていた。 代償としてその心は狂気に染まってしまい、サイヤ人の誇りなど微塵も残っていないが。 もし人類が後に来る大災害を打破し、後世があるのなら歴史家はこう言う。 キン肉アタルの最大の失敗は、野球をしたことでもなく、ガチレズを仲間にしたことでも、都庁に無警戒で入ろうとしたことでもない。 野球の数合わせのためにベジータという男を仲間に招いてしまったことであると…… 【キン肉アタル@キン肉マン 死亡】 スーパーサイヤ人であるベジータから放たれるオーラ。 それはかつてユーノたちが戦ったOVERや戸愚呂兄、下手をすると天魔王すら凌ぐ、今まで戦った中で最強最悪の部類のマーダーであると全員に肌で感じさせた。 戦慄する一行に対して、ベジータは獲物を見つけた猛獣のような笑顔を見せる。 「おまえらも逃がさんぞ。全員まとめてSATUGAIし、クラウザーさんへの貢物にしてやる」 なのはたちに、ジャンプ漫画最強のクラスに位置するスーパーサイヤ人が容赦なく襲いかかる!! ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ それは影薄一行と神樹とアルルーナを率いるエリカたちは都庁の世界樹へ入ろうとした時であった。 「なに!? なのはたちが襲われている!」 「神樹、それは本当なんですか!?」 神樹とエリカの本来の仲間であるなのは組が、ここからそう遠くない地下で襲われている……超巨体故に感覚にも優れていた神樹がそれを感じ取ったのだ。 「エリカの仲間を? 襲ってるのはどこのどいつだい!?」 「DMC狂信者か! 天魔王軍か?」 これから仲間になるかもしれない者たちのピンチに焦る影薄組の小町と日之影が神樹に敵の正体を聞くと、以外な答えが返っていた。 「いや……この声は……超人血盟軍のベジータだ!」 「ベジータだって!?」 ベジータと言えば、つい先ほど別れたばかりの超人血盟軍の一員だ。 桃子の憧れの先輩さえも殺した最悪の集団・拳王連合軍と同盟を持つだけに信用してはならない集団の超人血盟軍の一員でもある。 しかし、先ほど会った時はヘタレた背の低い小男にしか見えなかっただけに、小町には襲撃にギャップを感じさせていた。 「でも、なんでだ? 仲間のハズのソルジャーとかいう奴を殺しただと……?」 「キン肉マンソルジャーが殺されてる? いったいどういうことだい?!」 「神樹、小町さん。今はそんなことよりなのはさんたちを助けにいかないと!」 神樹によると仲間であるハズのアタルはベジータに殺されたらしい。 いったい何があったのか疑問にどよめいた小町と影薄組だったが、エリカは疑問を後回しにさせてとにかくなのは組の救助とベジータ討伐を優先させる。 「しかし、俺の巨体じゃ地下には入れねえし、深さ的に攻撃も届かねえ。 どっかにベジータが開けただろう穴があるからそこから――みんな伏せろ!!」 体が大きすぎる神樹では地下に向かうことができない。 戦闘力があり、狭い地下でも戦えるサイズの者はエリカとアルルーナ、小町と日之影に向かってもらう……そう言いかけた時だった。 突如、地面に大穴が開くと同時に眩い閃光――ベジータの気が詰め込まれたエネルギー砲・ファイナルフラッシュが地下を焼き溶かして神樹に直撃したのだ! その威力はダオスがハザマ・大和戦で見せた小鳥とサクヤ、都庁の魔物たちの協力で放たれたハイパーダオス・レーザー……の約二倍!! その一撃だけで神樹の幹を真っ二つに折り、断面から鮮血のような大量の樹液を放出させる。 最大の幸運は神樹が障害物になったことで超濃密なエネルギーの塊は世界樹自身に当たることはなく、真横に逸れたことであろう。 「ぐああああぁああああぁあああ!!!」 「神樹!!」 神樹の頭の上に載っていたエリカが一撃で倒された神樹に声をかけるも、幹から折られた神樹が自由落下によって地上に落ちようとする。 その落ちる先にはアルルーナと影薄組がおり、小町は勢いよく自分たちに落ちてくる神樹の巨体に対し急いで能力で対処し、圧殺から自分と仲間を守ろうとする。 「ヤバイ……『距離を操る程度の能りょ…‥」 「こまっちゃん!! また来たぞ!」 「!!?」 しかし、小町が能力を神樹に向けて放つよりも早く、地下から二発目の光弾が地上にいる小町たちと世界樹に向けて放たれた。 小町はその時、咄嗟に能力を神樹にではなく光弾に向けて使用。 結果、光弾は小町たちや世界樹に当たることはなく明後日の方向へ飛んでいき、世界樹は窮地を免れた。 ……世界樹を救う引き換えに神樹は地上に落下した。 新宿全体を揺さぶる振動と高く舞う土煙。 小町たちの命運はいかに? ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「きゃああああああああああああ!!」 神樹の頭上にいたエリカだったが、神樹地上落下の衝撃で彼女は投げ出され、ベジータの攻撃で開いた穴によって地下へと入ってしまった。 「くッ! モジャンボ!!」 「モジャーッ!」 普通の人間ならば落下でぺちゃんこになって死亡していたが、幸い彼女は強い精神力の持ち主で、手持ちのポケモンにも恵まれていた。 全身に蔓を生やした植物ポケモンのモジャンボを呼び出し、エリカがその背中に捕まる。 そしてモジャンボの蔓を壁に引っ掛けて落下を防いだ。 「ありがとうモジャンボ、ゆっくり降下して!」 「モジャ」 エリカは地上にいる倒された神樹や影薄たちも気になったが、それよりも今は地下にいるなのは組の救助とベジータの討伐が先だと思い、降りて地下へ向かう。 何より神樹すら一撃で叩き折ったベジータの攻撃力は世界樹にとっても危険であり、早急に倒す必要があると思ったのだ。 エリカがモジャンボの力を借りて地下に降りると、そこには信じられない光景が広がっていた。 なのは組のリーダーにして防御面では多くの魔道士の中でも秀でているユーノ。 中身は9歳児だがエースオブエースの将来を約束された魔法少女なのは。 風を操り、潜在能力は邪神級の少年ハス太。 全てを切り裂く次元刀の使い手である桑原。 ハンターであるレオリオ。 並のマーダーならひとひねりにできる五人が、たった一人の逆だった金髪を持つ男にボロボロにされ、地面に膝をついていた。 「みなさん!?」 「エリカさん……きちゃダメだ……」 大怪我を負い、気絶したなのはを抱えるボロボロのユーノがエリカに逃げるように促すも、もう遅い。 「さっきの女か……SATUGAIしてやるぜぇ!」 「……ッ!」 ベジータの視線がギロリとエリカに向く。 一時間も立たない内に何があったというのか。 今のベジータは先程まではなかった覇気と狂気に塗れていた。 それはエリカすら思わず後ずさりしたくなるレベルである。 「キノガッサ! モジャンボ!」 「キノー!」 「モジャーッ!」 それでもエリカは逃げずに戦うことを選択する。 モジャンボの追加でモンスターボールから呼び出したポケモンはカイリキー並の格闘能力と多彩な補助技を持つボクサー型キノコポケモン・キノガッサ! 盾の役割を担う防御力特化型のモジャンボに対し、こちらは攻撃力に特化したエリカの矛である。 エリカもポケモンもベジータに臆することなく、群れバトルで挑んでいく。 「まずキノガッサはキノコの胞子を……」 エリカはまず、キノガッサに命中100%の睡眠技「キノコの胞子」をベジータに浴びせて眠らせ、必殺の「きあいパンチ」で一気にカタをつける鉄板戦法を取ろうとする。 だが…… 「フンッ、遅いな」 「キノ?!」 「モジャッ?!」 ベジータの機動力はキノガッサの機動力を遥かに上回っており、それこそ一定の動体視力を持たぬ者には瞬間移動をしているようにしか見えない。 キノガッサが胞子を放つ前にベジータは一瞬で詰め寄り、キノガッサの頭部を拳で大穴を開けて一瞬で絶命させた。 更に隣にいたモジャンボも気の力で一気に焼却し、一瞬で灰にして殺した。 「キノガッサ! モジャンボ! ……くッ、ですが私にはまだ!」 瞬く間に殺された手持ちのポケモンの死に衝撃と悲しみを覚えるも、エリカは戦いをやめるわけにはいかないと新たなポケモンを召喚しようとするが、しかし、残りのモンスターボールを握る右手ごと、そして中身のポケモンごとベジータが握り潰した。 「くああああああああッ!」 「フンッ」 これでエリカは右手と手持ちのポケモンを全て潰された。 戦闘力を大幅に失ったのである。 ベジータはそのままエリカにトドメを刺そうとし、拳を振り上げる。 「うおおおおおおッ! 往生せいやーッ!!」 「エリカを……やらせるかよ!」 「チェーンバインド!」 「エリカさん! こっち!」 「みなさん!」 今にも殺されそうだったエリカを、桑原、レオリオ、ユーノ、ハス太が救うべく、奮闘する。 まずユーノが魔法の鎖を召喚してベジータに絡ませ、ハス太が風の力を使ってエリカを自分たちの元へ手繰り寄せ、レオリオが放出系念能力による不可視の攻撃をベジータに浴びせ、桑原が何もかもを切断できる次元刀で斬りかかった。 だがユーノの鎖は2秒程度の時間稼ぎにしかならずパワーで引きちぎられ、レオリオの念攻撃は圧倒的防御力を誇るスーパーサイヤ人にはほとんど効いておらず。 桑原の次元刀はベジータの防御力さえも両断できるが、当たらなければどうということはないと言わんばかりにミリ単位で躱していく。 幸いなのはエリカはハス太の風で手繰り寄せられベジータのトドメを受けずに済んだことだろう。 「クソッ! 化物め! 避けるんじゃねえ!」 「ハッハッハッ。無駄だ。 俺はアシュラマンとソルジャーのおかげで高い戦闘力が更に強化されている! おまえたちなど逆立ちしても俺の足元にも及びはしない!」 元々戦闘力の高いサイヤ人であるが、その戦闘力は首輪の有無の差と、アシュラマンによる首コキャとアタルによるフェイスフラッシュによる回復のコンボ……すなわち死地に至って回復する度に強くなるサイヤ人の特性により、ベジータは今期でもトップクラスの戦闘力をお手軽に手にしていたのだ。 強化された戦闘力がマーダーや主催にではなく、対主催に振るわれるとは流石の冷静で的確な判断力を持つアタルでも予期していなかっただろう。 「戦力を失ったおかっぱは後回しだ。 リーゼント、おまえからまず仕留めてやる!」 「ぐはぁッ!!」 「桑原ーーーッ!」 「桑原さん!」 ベジータは標的を仲間を助けるために突出した桑原に変え、まず腹に膝蹴りをお見舞いする。 ハス太が風による結界で桑原を防御したが、結界は高すぎる攻撃力を持つベジータの前に破られて桑原の腹に蹴りが直撃して吐血させる。 結界は致命傷を避けさせるのが精一杯であった。 「さあ、汚い花火になりな!」 「やっべ……」 そしてベジータのエネルギー弾による非情な一撃が、ゼロ距離で桑原に炸裂しようとする! 腹に一撃をもらった桑原では避けることはかなわない。 ハス太とユーノによる結界は気休めにもならず、先ほどエリカにしたようなハス太の風による手繰り寄せも今からでは間に合わない。 桑原の死は決定的だと思われた。 「……そうは、させないよ!」 「ダニィ!?」 ベジータは聞き覚えのある女の声と同時にエネルギー弾が放つが、その直前に桑原の姿が目の前から消え、弾は床に穴を開けただけに留まる。 気を辿ると、そこには桑原と斬魄刀を構えた少女がいた。 「小野塚小町!」「小町さん!」 小野塚小町の突然の登場にベジータは獲物を殺し損ねた怒りを、エリカは仲間が来たことによる喜びから、彼女の名前を呼ぶ。 「ベジータ……アンタに何があったのか知らないけど、仲間を殺そうとするならあたいが許さないよ!」 「邪魔をするな小町! これでも喰らいやがれ!」 ベジータはエネルギー弾をぶつけて現れた小町を横にいる桑原ごと殺そうとする。 しかし、彼女が手をかざした瞬間、エネルギーは距離を操られることによって明後日の方向に飛んでいき、彼女や桑原たちに当たることはなかった。 「無駄だ! あたいには『距離を操る程度の能力』がある! タイマンではあたいを殺すことはできないよ」 「クソッ、厄介な奴がきやがったか!」 どんな攻撃でも当たらなければどうということはない。 そして小町には敵に攻撃を当てさせない能力の持ち主であり、地の戦闘力はベジータより遥かに下でも攻撃が命中しない以上は攻撃力が機能しなくなる厄介な敵であった。 「あの能力と赤毛で巨乳……間違いない! あの人はネットで噂されている対主催の人だ! 大阪から姿を消して行方知れずと言われていたけど、まさか関東に、都庁にいたなんて!」 「おや、坊や。あたいのことを知っているのかい?」 「ええ、ネットである程度の情報を見てましたから」 機械に詳しいハス太は、首相官邸にいた時にカオスロワちゃんねるのようなネットにも目を通していた。 ネットには三大巨悪と言われる拳王連合軍やDMC狂信者、都庁の軍勢の他にもイチローチームやホワイトベース組などの対主催の噂も少なからず書かれており、小町の情報もある程度は書き込まれていた。 「大阪では騎士姿の男と共に超巨大ロボのジプシー・デンジャーを倒した女傑と噂されているんですよ。 他にも拳王連合軍の砲撃を防いだり、有名なプリキュアと交友を持っていたり、見えない敵と戦えたり、一人なのに五人分の戦闘力を持っているなど噂されています」 「小町さんてそんな凄い人だったんですか?」 「ジプシー・デンジャーを倒したのは確かにあたいだが、なんかほとんど噂がひとり歩きしているような……?」 見えない敵と戦えるようになったのは嘘ではないし、ジプシー・デンジャーを倒したのは確かに小町の力だが、混沌の騎士や影薄組の助力(彼らは影が薄すぎたので他の参加者に認識されなかった)もあり、拳王連合軍の砲撃を防いだのは小町ではなくハクメンである。 ラブたちプリキュアとは最初から交友を持っていたわけではなく、一人で五人分の戦力というのも影薄たちが認識されていないためのことだろう。 風評被害の逆というか誇張と誤報が混じっていることには小町は眉を潜めるが、いつの間にかなんやかんやで他の参加者から頼られているのはわかった。 拳王連合軍に襲われる大阪で自分に対する救援要請が来ていたのも頷ける。 なのは組側としては小町が都庁についているということは、都庁の軍勢もネットで噂されているような悪党たちではないのだろうと思わせた。 「大阪の多くの参加者を窮地から救った英雄…… その名も『三途の川からやってきた 正 義 の 乳 神』!!」 迫真の表情でハス太は言ったが、その瞬間、小町と桑原とレオリオはズッコケた。 「なんだい乳神って!? あたいは乳神じゃなくて死神だよ!」 「だってネットではそう書かれていて……小町さん! 前! 前!」 「よそ見してる場合かああああ!!」 「ええい、こなくそ!!」 どこぞのグラビアアイドルみたいなふざけた自分の二つ名にズッコケてた小町だが、ベジータが襲いかかってきたので気持ちを切り替えて、攻撃を躱していく。 なお、小町は死神なのだが彼女を目撃した多くののモブ参加者が彼女の巨乳っぷりに目が行き、いつの間にか死神→乳神になってしまったらしい。 「神樹とアルルーナは、影薄組の皆さんは……?」 エリカは小町以外の他の仲間の安否が気になり、心配しつつ彼女に仲間の無事を聞く。 そしてベジータと戦いながら、小町はエリカに応えた。 「大丈夫だ。皆生きてる……」 「!! 良かった……」 (無事とは言い切れないけどね……) 地上にいるポケモンや仲間の無事に安堵するエリカに対して、小町の表情は訝しげだった。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 地上。 小町と黒子、モモ、あかりの四人が倒れてくる神樹に潰されかける寸前に、日之影とアルルーナが彼女ら四人を庇ったために、日之影とアルルーナが潰される羽目になった。 幸い、人間としては鬼耐久力の日之影と魔物でも強い部類に入るアルルーナは死なずに済んだが、両者は決して小さくはないダメージを負い、巨木である神樹と地面に体を挟まれて身動きが取れなくなってしまった。 「日之影さん、アルルーナさん……」 「ごめん、私たちを助けたばかりに……」 「なに、良いってことよ」 「私としては自分の身よりもお姉さまと助けに向かわせた小町さんが心配で仕方ありませんわ」 黒子とあかりは傷を負ってまで自分たちを助けてくれた二人に感謝と罪悪感を覚えるも、二人共、自分が傷を負ったことには特に気にした様子はなく、むしろ仲間に死人が出なかったことに喜び、エリカや小町の心配をしていた。 ついでにモモはというと…… 「……」 「モモちゃん……」 「ごめんなさい東横さん……冷静さを失った今のあなたを戦わせるわけにはいかないんです」 モモは神樹が折られた直後、先輩である加治木を殺された怒りと相まって、ベジータの攻撃に怒りを覚えて彼を殺しに行こうと斬鉄剣片手に突撃しようとしていた。 しかしそれは怨恨に狂った故の判断であり、そもそも雀力込みでも超理不尽級のスーパーサイヤ人に彼女一人で勝てる道理はない。 明らかに普段の冷静さを失い、このままではベジータに殺されて犬死にするだけだったので小町がエリカの下に向かう前に当身をして気絶させたのだった。 「おい、アルルーナ。神樹の奴がまったく喋らねえんだが、こいつはまだ生きてるのか?」 「……ええ、気を失っているようだけど幹の中に鼓動を感じる。 それも弱くなっているけど、ギリギリで持ちこたえているわ」 「生きちゃいるが楽観視はできねえってことか」 天魔王に引き続き、幹をゴッソリ折られた神樹であるが、彼はまだ生きていた。 ここまでやられた以上、回復には再びレストクラスの術師が必要だろうが…… 「黒子、あかり! 何にせよ身動き取れないこのままじゃ俺たちもこまっちゃんもまずい。 ここは良いからモモを担いで早く都庁に戻って動けそうな仲間を呼んでくれ!」 「はい」 「うん、わかった!」 黒子やあかりの力では巨大な神樹の幹を動かすのは到底不可能である。 日之影とアルルーナを助け出すにはFOEのような力ある仲間を呼び、動かしてもらうしかない。 また神樹がやられたので狂信者が再び攻めてくる危険性もあり、すぐにでも応援を呼んで神樹の穴を埋める必要があった。 ベジータと戦っているであろうエリカと小町に仲間を送る必要もあり、応援は必要不可欠である。 日之影の指示通り、黒子とあかりは気絶したモモを都庁へ向かった。 (こまっちゃん、あのベジータとかいう奴はマジでやべーぞ。ぶっちゃけめだかよりも段違いに強ぇ。 仲間がくるまで生き延びてくれよ……) 日之影はただ、自分の身より送り込んだ仲間である小町のことが心配だった…… ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
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第8話 もう一人の魔法少女 バラージの一戦を終えた後、ビートルを失った為に帰る手段を失い意気消沈していた時、突如何処からもなく現れた一隻の浮遊船。 時空管理局の保有する次元航行船アースラである。 その全長は現代である巨大タンカーと同じかそれよりも二回り位大きい。 そして、その次元航行船アースラの中にある部屋に連れて来られた。 其処にあったのは畳に盆栽にと和風をイメージしているのだろうがハッキリ言うと誤解しているようにも見て取れる。 その証拠にその部屋を見た途端ムラマツキャップが微妙そうな顔をしていた。 そして、その部屋の奥には一人の女性が座っていた。 翠色の髪を後ろに束ねたポニーテールと呼ぶべきだろう髪型に綺麗なルビー色の瞳をし紺色の制服を纏った綺麗な女性だ。 「困っていた所を助けて頂き有難う御座います。私は科学特捜隊のムラマツです。それでこちらに居るのが隊員のハヤタ、イデ、アラシ、そして特別隊員の兜君に高町君です」 「宜しくお願いします。高町なのはで」 「マママ、マイネームイズ、コウジ・カブト。ディスイズアペン。ハウアァユー」 なのはは普通に挨拶を交わしたが甲児は何故か片言の様な英語を話し出した。 しかも半分以上が解読不明の様な。 「どうしたんだい甲児君」 「だだだ、だぁってよぉハヤタさん。あの人外人だろう? 俺英語苦手なんだよぉ~」 どうやら目の前の女性が明らかに外人に見えた為に日本語は通じないだろうと判断しての事だろうか甲児がハヤタに泣きが入った。 それを見ていた女性がクスリと口元を隠しながら笑う。 「心配しなくても大丈夫ですよ。ちゃんと日本語も話せますから」 「本当ですか? そりゃ良かった」 ホッと胸を撫で下ろす甲児。 そんな甲児を見て皆がドッと笑い出したのはご愛嬌である。 そんなお茶目な一面もさておき、一同は用意された座布団の上に座るとその女性の話を聞いた。 「自己紹介が遅れましたね。私は時空管理局所属のアースラ艦長であるリンディ・ハラオウンと申します。貴方達の戦いですが、失礼ですが見させて貰いました」 (ギクリッ!) リンディのその言葉を聴いた途端ハヤタは思わず肩が震えた。 もしかしたら自分の変身する瞬間を見られたのでは? そう思っていたのだ。 そんなハヤタに向かいリンディは微笑んだ。 (心配しなくても貴方の正体は誰にも伝えませんよ) 「!!!」 すると、ハヤタの脳裏にリンディの声が伝わってきた。 驚きである。まぁ何はともあれ皆にばらされないのであれば一安心である。 そんな訳で会話は続いた。 「私が貴方達を救助したのには実は理由があるんです」 「理由、それは一体何なのですか?」 「はい、その理由はそちらにいらっしゃるなのはさんです」 「え、私ですか?」 突然自分を指されたので思わず自分を指差した。 何せ指名されるなど思ってもいなかったのだから。 「なのはが? 一体何で?」 「それは、貴方が使ってるインテリジェントデバイスの事と、貴方が集めているロストロギアについてです」 「ロストロギア? それってもしかしてジュエルシードの事ですか?」 イデが鋭く尋ねる。 それにリンディは頷いた。 だが、隣でアラシは首を傾げていた。 「ロスト何チャラだのジュエルシードだの、俺はどうもそう言った難しい単語は苦手だ」 どうやらアラシには理解するのは難しいようだ。 そんなアラシは放っておき会話は続いた。 「それで、貴方はそのジュエルシードの捜索をしているみたいだけど、それは一体何故?」 「えっと、頼まれたんです」 「すみません、僕から説明します」 答えに渋るなのはに代わりユーノが説明を行った。 彼がジュエルシードを見つけた経緯。 輸送中に謎の事故により殆どのジュエルシードが地球に散らばってしまった事。 それを集めようと向かったは良かったが力が足りずなのはに協力を申し出た事。 その後の事も全て話した。 「成る程ね、自分で起こしてしまった事件を自分の手で解決しようとしたのね。偉いわ」 「い、いえ…それ程では」 「でも、同時に無謀でもあるわ。何故、事前に私達に通報しなかったの? 貴方一人ではどうしようもない事位分かってたんじゃないの?」 「す、すみません」 今度はユーノが更に小さくなってしまった。 体がフェレットなだけに更に小さく見える。 そんなユーノを見てリンディは軽く溜息を吐く。 「それより、そろそろ元の姿に戻ったらどう? 何時までもその姿じゃ窮屈でしょ?」 「へっ? 元の姿」 「何言ってるんだよリンディさん。ユーノは元々フェレットだったんじゃねぇの?」 なのはが甲児が不思議そうに尋ねる中、ユーノの体を閃光が包み込む。 そして、彼の姿が瞬く間に人間の少年に変わったのだ。 金髪に奇妙な柄の入った服を着てマントを羽織った少年であった。 「ふぅ、なのはにこの姿を見せるのは久しぶりだね」 「ゆゆゆ、ユーノ君がぁぁぁ!」 「おおお、お前人間だったのかああぁぁぁ!」 振り向いたユーノの先では仰天して腰を抜かした甲児となのはが居た。 幾ら何でも驚き過ぎでは? 「あ、あれ? 僕前にこの姿見せてなかったっけ?」 「見せてないよ! 最初からフェレットだったよぉ!」 「お、お前! どうやって変身したんだよ!」 どうやらお互い意志の疎通が出来てなかったようだ。 「ふむ、まぁ君達の事は後で思う存分話してもらうとして、それでリンディ艦長。私達を此処に連れてきた目的とは?」 驚く三人をとりあえず置いておいて、ムラマツキャップは話を進めた。 其処は流石と言うべきである。 「本来なら私達時空管理局が以降のジュエルシード捜索を一手に引き受けたいと言いたいのですが、この地球には私達の常識を遥かに超えた存在が多数居る事が分かったのです」 「怪獣に宇宙人、それに機械獣の事だな」 「うむ、私達も怪獣には手を焼いています。ウルトラマンが居なければ我々は満足に怪獣を撃退する事が出来ない。何とも歯痒い話だ」 「そうですね」 苦虫を噛み潰したような顔をするムラマツにリンディは同情の言葉を述べた。 そして、一呼吸を置こうと置かれたお茶に手を伸ばす。 そして、何故か横に置かれていた砂糖の入った瓶を取ると主室にお茶の中にそれを入れたのだ。 その光景には一同が眼を疑った。 「あ、あのぉ…リンディさん? それ砂糖なんじゃぁ…」 「えぇ、皆さんもお使いになります?」 「い、いえ! 僕は結構です」 流石のイデもそれは願い下げだったようだ。 「しかし何故お茶に砂糖を? 折角茶菓子があるのに口が返って甘味で濁ってしまうのでは?」 「私この飲み方が好きなんですよ。勿論お茶菓子も食べますよ」 ムラマツの問いにリンディが何の迷いもなく答える。 流石のアラシやハヤタも若干引き気味に見ていた。 しかしムラマツは流石と言うべきか全く動じていない。 「確かに味覚は人それぞれと言うでしょう。しかし甘いお茶とは今まで飲んだ事ないなぁ」 そう言って懐からパイプを取り出して口に咥える。 タバコの草を入れて火をつけようとした際にハヤタが止めに入った。 「キャップ、此処でタバコは控えた方が宜しいですよ」 「む、そうか。いやぁ申し訳ない。つい癖なもので」 赤面しながらパイプを仕舞うムラマツキャップ。 普段ならお咎めなしなのだが今回はなのはやユーノなど子供が居る。 子供の成長に悪影響を及ぼすので科学特捜隊としてはそんな事はNGなのでハヤタが止めたのだ。 かなり話が逸れてしまったので此処でリンディが強引に話を戻した。 「簡潔に言います。ジュエルシードの捜索ですが、我々時空管理局もご協力致します」 「それは有り難い。イデの開発したジュエルシード探索装置も此処でなら有効に利用出来るでしょう」 「いやぁ、時空管理局の皆様から比べたら僕の発明なんて子供騙しみたいなもんですよぉ」 謙遜しながら自作の探索装置を目の前に出すイデ。 何気に嬉しそうだ。 リンディがそれを手元に引き寄せてマジマジとそれを見る。 するとリンディの眼の色が変わった。 「とんでもない! イデさん。これは素晴らしいですよ。私達の技術でも此処まで正確な探索技術は作れません。是非私達のところで使って宜しいですか?」 「え? 本当ですか! そりゃもう喜んでお願い申し上げる所存で御座います」 イデがとても嬉しそうに頭を下げる。 その光景を見て隣のアラシが笑っていたが今は別に気にしない。 「と、なるとこれからはジュエルシードの捜索の際にはこのアースラを基点として行う事になるみたいですが、移動手段はどの様にすれば宜しいですかな?」 「それならば必要ありません。要望があれば我々がこちらに転送致します」 何とも至れり尽くせりな事であった。 これなら移動でビートルの燃料を使う必要もない。 「それから、甲児さん」 「は、はい!」 「貴方のマジンガーZですが、こちらで格納しておきますね。そうすれば何処でも瞬時に転送出来ますから今回の様に探し回る必要が無くなりますよ」 「本当ですか? そいつは助かります」 甲児としてもそれは嬉しい事でもあった。 今回の捜索は本当に疲れた。 何せ広大な砂漠の中マジンガーZを探し回ったのだから。 もうあんな思いは御免であった。 「それからなのはさん。貴方も私達が自宅にお送りしますね。もう何日も帰ってないのでしょう?」 「はい、有難う御座います。お父さん達きっと心配しているでしょうし」 「なのは、折角だから暫くはジュエルシードの事は忘れてゆっくりすると良いよ」 「ユーノ君?」 いきなりユーノが持ち出したのは以外な言葉であった。 それに驚くなのはにユーノは続ける。 「此処数日連戦続きだからきっとなのはも疲れてるだろうし、なのはも学校があるし、良い機会だよ」 「でも、ジュエルシードの捜索はどうするの?」 「その辺は大丈夫だよ。僕と科学特捜隊、それに時空管理局の皆で捜索はする。だから思い切り羽を伸ばしてきなよ」 「その通りだよなのはちゃん。子供ってのは思い切り遊んで勉強するのが仕事なんだよ。ジュエルシードの捜索は我々に任せなさい」 「ムラマツキャップ…はい、分かりました」 皆の言葉もあってかなのはは頷いた。 「あれ? もしかして俺も学校に行かなきゃなんねぇの?」 「当然だろう。君も学生なんだから」 「げぇっ、折角学校サボれると思ったのになぁ~」 ガッカリした顔で愚痴る甲児に部屋に居た全員が声を出して笑ったのであった。 「そう言えばなのはちゃん、貴方年は幾つ?」 「今年で9歳になりますけど、どうかしましたか?」 「いえね、貴方を見てると家の子供を思い出しちゃってね。丁度なのはちゃんより4つ位上の感じなのよ」 リンディがそう懐かしむように言う。 「それで、そのお子さんは何処に居るんですか?」 「今丁度別任務中で此処には居ないのよ。丁度地球の調査に行ったとこなんだけど、変な事に通信が出来ない状態になってるのよねぇ。大丈夫かしら」 途端に心配そうな顔をする。 が、今此処でどうこう出来る問題でもなさそうな事でもあったのは事実だった。 *** 「ただいまぁ!」 リンディの計らいで家の前に転送して貰ったなのはは早速家の扉を開いて大きな声で帰宅時に言う言葉を発した。 すると真っ直ぐに家族全員が飛んできたのだ。 どうやら皆心配していたようだ。 すぐさま抱き寄せられて押し潰されんばかりに抱きしめられたり頬ずりされたりとかなり大変な目に会うのではあったが、なのははそれが苦とは感じられず、寧ろ嬉しくも感じられた。 それから、直ちに夕食の支度が行われ、久しぶりのなのはの帰宅と言うのもあってか目の前には豪勢な料理がズラリと並んだ。 「なのはが無事に帰ってきてくれて嬉しいから、お母さん腕によりを掛けて美味しいご飯作ったからねぇ」 「お、そりゃ嬉しいなぁ。さ、頂こうか」 両手を合わせて皆が揃っていただきますした後、各々が料理を取り食べ始める。 その間話題になった事と言えば数日間に起こった出来事である。 「ふぅん、甲児君とキャンプした際に怪獣と出くわしたのか。そりゃ災難だったなぁ。竜ヶ森だっけ? あれニュースにもなったしなぁ」 「父さん、それを言ったら砂漠の怪獣も出たじゃないか」 恭也が父士郎に向かい言う。 どうやら怪獣の出現は直ちにニュースになったようだ。 あれだけでかいのだから余計に目立つのは当たり前だろう。 「ま、何はともあれなのはが無事に帰って来てくれた父さん達は凄く嬉しいよ。後で甲児君にはお礼を言っておくとしよう」 「うん!」 その後も夕食は楽しい話題で持ち切りになった。 その後、夕食を食べた後自宅の風呂に入り数日間の戦いの汚れを洗い流し自室で眠る事にした。 久しぶりの自分のベットの感触が妙に心地よく感じられた。 そうして、物の数分で忽ちなのはは深い眠りに落ちてしまった。 翌日は久しぶりに友人のアリサとすずかに会った。 二人共数日間帰らなかったなのはを凄く心配していたのだ。 そんな二人になのはは謝罪した。 もしかしたら今後同じ様に友達を心配させてしまうかも知れない。 そんな思いがなのはの中にあったのだがその胸中の思いに気づきはしなかった。 「それで、学校は進んでる? 私授業出てなかったから心配なんだけど」 「学校なら休校状態よ。竜ヶ森で出た怪獣のせいで授業どころじゃないってさ」 アリサがそう言った。 どうやらさきの竜ヶ森でのベムラーとの戦いの件で学校は授業どころではなく休校状態になったと言うそうだ。 まぁなのはからして見れば一人だけ授業が遅れる心配がなくなったので嬉しい事ではあるが。 「そうだったんだ。何だか私が居ない間に大変な事があったんだねぇ」 「って、現場に居たあんたが何言ってるのよ! 聞いたわよ。あんた怪獣が来た際に竜ヶ森でキャンプしてたそうじゃない! 危うく踏み潰される所だったんじゃないの!」 流石アリサ。鋭い洞察力である。 まぁ其処はなのは自身上手く誤魔化したと言う事にしたので幸いなのはがその事件に関与していた事は二人には知られる事はなかった。 *** 付近の雑木林。 其処に数匹の子猫が戯れていた。 そんな時、一匹の子猫が青く輝く石の様な物を見つける。 その石に興味を引かれた子猫がその石に手を触れる。 すると、その石、ジュエルシードが眩い光を発し、子猫を包み込んでいく。 閃光が止んだ時、其処に居たのは先ほどの子猫の姿ではなく、おぞましい姿をした化け物の姿が其処に居たのであった。 アリサとすずかとの会話を終えて帰り道を歩いていたなのは。 時刻は既に夕刻に差し掛かっており空は茜色に染まり日は西に傾きだしている。 そんな中、なのはは一人帰り道を歩いていた。 ジュエルシードの捜索は一先ずユーノや甲児達、そして時空管理局が行ってくれている。 なのはは一先ず束の間の休息を楽しむ事にしていた。 そんな時、首筋に嫌な感じを感じ取った。 人間の心理の様な者で、敵意のある物、危険性のある物が近くにあるとてき面この現象が起こる。 「レイジングハート…もしかして?」 【はいマスター。近くにジュエルシードを感じます。この反応からすると既に発動した模様と思われます】 「大変! 早く封印しないと!」 付近に誰も居ない事を確認したなのははレイジングハートを起動させてバリアジャケットを纏いデバイスを手に持つ。 「レイジングハート。私一生懸命頑張るから一緒に戦おうね」 【勿論です、マスター】 なのはの言葉にレイジングハートは頷く。 そして、雑木林の中を突っ切っていく。 其処には数匹の子猫が怯えているのが見える。 そして、その子猫達の前には一匹のおぞましい姿をした怪物が其処に居たのだ。 「な、何あれ?」 【どうやら動物と融合したみたいです。気をつけて下さいマスター】 なのはにとって動物と融合したジュエルシードとの遭遇は初めてな事であった。 怪獣の時はウルトラマンや甲児の助力のお陰でどうにかなったが今回は一人しか居ない。 応援を呼ぶと言う手もあるが時間が足りない。 一人でやるしかない。 覚悟を決めてデバイスを構える。 すると化け物がなのはに気づいたのか彼女の方を向く。 その姿はまるで豹の様な姿をしていた。 しなやかな体つきをしており機敏に動きそうである。 化け物の口から牙が姿を現し不気味な唸り声をあげる。 その唸り声が人間の中に眠る恐怖心を煽りたてる。 幾ら魔導師として戦う覚悟が出来たとしても彼女はまだ9歳の少女なのだ。 普通に怖い物は怖いのだ。 だが、怖がってなどいられない。 自分が戦わなければ更に大勢の人達が怖い目に会う事となってしまうのだ。 「怖いけど…私が頑張らないと!」 自身にそう言い聞かせて恐怖心を振り払い、デバイスから数発の魔弾を放った。 桜色の閃光の魔弾が化け物目掛けて飛んでいく。 だが、その全てをしなやかな動きで華麗に化け物はかわした。 そしてかわしざまになのはに向かって飛び掛ってきた。 「きゃぁっ!」 咄嗟に倒れたから外れた物の、あの牙に噛まれたら一溜まりもない。 一撃貰えば終わりなのだ。 「レイジングハート! ディバインバスターは撃てないの?」 【危険です! 此処の様な狭い空間でディバインバスターを撃てば被害は甚大です。それにあの様に動きの素早い相手には不向きな武器です】 レイジングハートの言う通りだった。 ディバインバスターの威力はなのは自身が一番良く知っている。 マジンガーZやウルトラマンの武器が通じなかったあのアントラーを一撃で葬った武器なのだ。 あれをこんな雑木林の生い茂った場所で使おう物なら付近に甚大な被害が出てしまう。 また、魔力のチャージに時間のロスが発生してしまいその間無防備な状態となってしまうからだ。 即ち大技で仕留める事は出来ないのだ。 「それじゃ、アクセルシューターとかバインドで仕留めるしかないって事?」 【そうなります】 とは言うものの、あの様に機敏に動く化け物を相手にまだ戦闘面で不慣れななのはがアクセルシューターやバインドで仕留めるのは難しい。 だが、やるしかないのは事実なのだ。 「シュート!」 なのはが叫びデバイスから魔力弾を放つ。 しかしそのどれも華麗にかわされてしまう。 かわした隙にバインドを掛けようとしたがやはり駄目であった。 動きの素早い化け物を相手にバインドで固めるのは相当の錬度が必要なのだ。 その点ではなのはにまだそれが欠けていた面があったのだ。 その上、敵の動きが素早く狙いが付け辛い。 それが更に敵の厄介さであった。 「くっ…あ、当たらない…早くて狙いが定まらない」 【落ち着いて下さいマスター。焦っていては当たる物も当たりませんよ】 レイジングハートが注意するも敵から放たれる威圧感とジュエルシードを早く封印しなければと言う使命感の為かなのはの中で焦りは募っていくばかりだった。 それが災いとなり一気に化け物が間合いに入るのを許してしまった。 化け物の鋭い爪が唸りを上げて襲い掛かってきた。 咄嗟になのははレイジングハートのデバイスでそれを受け止める。 が、力の差が有りすぎた為になのはの手からデバイスが弾かれてしまいその拍子になのは自身も地面に叩きつけられてしまった。 其処へ化け物が上に圧し掛かってきた。 両手を押さえつけて動けない状態のなのはを見下ろすように化け物が唸りを上げる。 ダラリ… 化け物の口から垂れた唾液がなのはの頬に掛かる。 嫌な匂いが鼻についた。そして、その匂いが同時に彼女の中にあった恐怖心を更に煽り立てた。 必死に逃げ出そうともがくが子供の力では振り解く事などできず無駄にじたばた動くだけで終わった。 そんななのはに向かい化け物が雄叫びを挙げる。 勝利の雄叫びだ。 もうなのはに抵抗する力などない。 今やもう食べられるだけの餌と成り果てた。 そう言う意味の篭った雄叫びだったのだ。 そして雄叫びを挙げ終わった後、なのはに向かい巨大な牙を突き出してきた。 「い、いやぁ!」 咄嗟に首を右に思い切り捻った。 それが幸いしたのか化け物の牙は地面に突き刺さった。 なのはに外傷はない。 しかし、それも唯のまぐれだ。 次はない。 次こそは確実に自分の体に鋭い牙が突き刺さる。 そう感じ取ったのだ。 (嫌だ、嫌だ! こんな所で死にたくない! 助けて、ハヤタさん、甲児さん、ユーノ君! 誰か、誰かぁ!) 声にならない叫びを上げる。 しかしそんな叫びを上げた所で誰も助けに来る筈がない。 無情にも化け物の牙が迫ってきた。 が、その時、化け物を横から何かで弾き飛ばしたかの様に横っ飛びに吹き飛んでいく。 吹き飛ばされた化け物は付近の巨木に体を激突させて地面に倒れこむ。 「え? 誰!」 誰かが助けてくれた。 そう思えたのだろう。 なのはは化け物とは反対の方向を向く。 其処には一人の少女が居た。 年頃はなのはと同じ年であろう。 金色の長い髪を両端に束ねた髪型に黒を基調としたバリアジャケット。 そして鎌か斧のどちらかを思わせる形をしたデバイスを手に持っている。 「間に合って良かった」 「えっと、貴方は?」 「下がってて、アイツの相手は私がするから」 それだけ告げると少女はなのはを通り越して化け物の前に立つ。 そして持っていたデバイスを構える。 化け物が今度は少女に狙いを定めて唸りを上げる。 「ジュエルシード…回収させて貰うよ」 静かに、澄んだ様な声でそう呟く少女。 その直後、一瞬の内に少女の体は化け物の目の前に来ていた。 それには化け物は勿論なのはも驚かされた。 「は、早い!」 それが思わずなのはの口から出た言葉であった。 あの少女はとても素早く動けるのだ。 その目の前で少女がデバイスから発せられた光の刃を思い切り化け物に叩き付けた。 化け物の腕に傷が付き化け物が痛みの叫びを上げる。 カウンターに腕を振るったが、そんな物に少女が当たる筈もなくかわされカウンターに今度は顔面に刃が叩きつけられた。 「凄い、あの子…凄く強い」 圧倒的であった。 なのはでは全く歯が立たなかった相手を圧倒しているのだ。 それ程までに少女はなのはよりも実戦慣れしていると言う事が伺える。 すると、化け物が少女に背を向けて逃げ出した。 恐らく少女には勝てないと判断したのだろう。 だが、それに対し少女がデバイスを振りかぶる。 「逃がさない。切り裂け! ハーケンセイバー!」 叫び、デバイスを思い切り振るった。 すると振るわれたデバイスから光の刃がブーメランの様に化け物目掛けて飛んでいく。 その刃が化け物を縦一文字に両断する。 断末魔の悲鳴と共に化け物の体が閃光に包まれ、やがて閃光が収まると其処には幼い子猫が横たわり、その横にジュエルシードが落ちていたのだ。 「良かった。怪我もなく済んで」 子猫に大した怪我がない事を知り安堵した少女がデバイスをジュエルシードに近づける。 そして、それを封印し、この場の脅威は去った。 「あ、あの…」 「ん?」 後ろからなのはが声を掛けた。 それを聞き少女は振り返る。 「あ、有難う。助けてくれて」 「君も魔導師なの?」 「えっと、うん!」 「そ、だったら…今すぐ止めた方が良い。君の腕前じゃその内ロストロギアに殺されるから」 そう言い残すと少女は飛び去っていく。 「あ、名前…行っちゃった…まだ自己紹介してなかったのに…」 なのはの前では大空へと飛び去っていく少女の後姿だけが見えた。 今から大声を発した所で聞こえる筈がない。 なのはからしてみれば命の恩人であり自分と同じ魔法少女との出会いだったのだ。 出来れば名前を聞きたかったし、どうせなら友達にもなりたかった。 だが、あの少女はジュエルシードの回収を終えるとその場から立ち去ってしまったのだ。 「あの子もジュエルシードを集めてるんだよね。だったら、きっとまた会えるかな? その時は、ちゃんとお礼を言って、名前を聞かせて貰わなきゃ。その為にも…もっと強くなる! もう皆のお荷物にならない様にもっと強くならなくちゃ!」 なのはの中である決意が芽生える。 少女に認められる為に。 そして、仲間達と肩を並べて戦う為に。 少女は更に強くなる事を決意した。 そんな少女を黙って夕日が見つめて、やがて沈んでいった。 つづく 次回予告 少女は強い決意の元己を磨きだした。 そんな少女はある出会いを果たす。 それは、他人に運命を弄ばれた一人の不幸は青年との出会いであった。 次回「仮面の戦士」 お楽しみに
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【高町ヴィヴィオ】 [名前]高町ヴィヴィオ [出典]魔法少女リリカルなのは [異名] [声優]水橋かおり(ユーノ・スクライア、巴マミと同じ) [性別/年齢]女性/10歳 [一人称]わたし [二人称]あなた [三人称] 「わたしの全力、わたしの格闘戦技(ストライクアーツ)!」 St.ヒルデ魔法学院初等科4年生。かつてのベルカの王・オリヴィエ聖王女電化の血を引く少女。 4年生への進級祝いにデバイス・セイクリッド・ハートをプレゼントされ、大人の姿になって戦う事ができる。 ミッドチルダの格闘戦技・ストライクアーツを習っており、毎日高みを目指して精進しているが、アインハルトとのスパーリングで徹底敗北。後に練習試合で再戦し、アインハルトに認められ、それ以降、友人であり格闘のライバルとなる。 10代の魔導師が全員参加できるインターミドル・チャンピオンシップ(IMCS)に出場するが、この時は1回戦、2回戦と勝ち進むが、3回戦でミウラに敗北した。 主人公なのに思った以上に書く事がない(実質アインハルトが主人公なんじゃ…)。 『Force』では中等科の制服を着ており、特務六課を訪れ、トーマとシグナムの模擬戦を観戦する。また、既に格闘選手として全国クラスになっている事が判明。『Force』の主人公のトーマとはスバルを通じて知り合っているようで、『GOD』でも通信機越しに面識があるとされている。 『GOD』ではアインハルトとともに13年前の地球に飛ばされる。 [Vivid以前] 4年前(StS)のJS事件では、休暇中のエリオとキャロが偶然発見し、機動六課で保護する様になる。無垢な心は自分を守ってくれる「ママ」を求め、なのはに懐くようになった。 その正体は、「最後のゆりかごの聖王オリヴィエ」のクロ-ン体「聖王の器」であり、人造生命体。スカリエッティによって拉致され、レリックを体内に埋め込まれる事で、古代の戦船「聖王のゆりかご」の制御ユニットとして組み込まれてしまう。その後、救出に来たなのはの前でクアットロの策略により聖王としての戦闘モードへ移行。「自身の命を守り、侵入者を抹殺する」というプログラムにより、なのはに涙ながらに攻撃をしかけたが、正気を取り戻した。 この事件解決後は母代りとなった高町なのはと暮らしながら、St.ヒルデ魔法学院に通う事になった。 サウンドステージX時点では、初等科3年生。本好きが高じて、無限書庫司書の資格を取得している。 [外見] 身長は同年代の平均程度だと思われる。 金髪で右目が緑、左目が赤のオッドアイ。 後ろ髪は背中まであり、脇の髪は肩まで、前髪は目の上まである。両サイドで小さなツインテールを作っており、根本には青いリボンをこしらえている。 [性格] 明るく、誰とでも仲良くなる社交的な性格。年齢のわりに子供っぽく、無邪気で誰にでも優しいが、いざ戦闘となると誰よりも真摯に取り組むため、気を抜かない。 二人の母親の事が好きで、やや甘えん坊だが、大きな我が儘は言わず、親の言う事はしっかりと聞く。「ゆりかごの聖王」であった時に救ってくれた多くの人から受けた想いを返すために、元気な自分を見せたいと思っており、大好きな格闘技・ストライクアーツを続ける事でそれを見せている。 「いたずらで変身しない」、「もう泣かない」など、母親と約束した内容は果たす事にしているが、大会で敗北した時は仲間とともに悔し涙を見せた。 好きな物はキャラメルミルク(なのはの手作り)。StSまではピーマンが嫌いだったが、サウンドステージXで克服。 本好きで、無限書庫の司書資格を取った。 [他キャラとの関係] アインハルト・ストラトスはライバルであり友人。アインハルトの方が先輩ではあるが、ヴィヴィオは彼女に姉のように接している。 高町なのは、フェイト・テスタロッサ(フェイト・T・ハラオウン)は養母。仲は円満で、喧嘩をする事も滅多にない様子。 無限書庫の司書資格を持っているため、司書長であるユーノ・スクライアとも仲が良い模様。 スバル・ナカジマやティアナ・ランスターとも、ゆりかごの一件以来の仲間として深く信頼しており、連絡を取り合っている。ともに模擬戦などを行う事も。 [能力] セイクリッド・ハートを使って、20歳程度の大人の姿になる事ができる。ただし、格闘以外では使わない事にしている。 高い格闘能力を有し、同年代でも高いレベルの格闘選手になっている。無論、基礎体力なども高い。水泳も得意。 筆記試験でも成績はトップクラスで、花丸評価の優等生。 司書資格を持っているため、本にも詳しい。 以下、変身ロワにおけるネタバレを含む +開示する 高町ヴィヴィオの本ロワにおける動向 基本情報 初登場 010 戦慄のN/究極の闇をもたらす魔人 最終登場 194 HOLDING OUT FOR A HERO!! - You need a hero - 参戦時期 アインハルトと仲良くなって以降のどこか(少なくてもMemory;17以降) スタンス 対主催 変身回数 魔導師(8)、ヒート・ドーパント(1) 所持品 セイクリッド・ハート 支給品 T2ヒートメモリ、山千拳の秘伝書、リヴァートラの刻 参加者関係表 キャラ名 状態 関係 呼び方 本名 初遭遇話 生死認識 高町なのは 友好 元の世界の母 なのはママ 認識済 未遭遇 死亡 フェイト・テスタロッサ フェイトママ ユーノ・スクライア 元の世界の仲間 ユーノ司書長 スバル・ナカジマ スバルさん ティアナ・ランスター ティアナさん 園咲霧彦 行動を共にする→別行動 霧彦さん 010 戦慄のN/究極の闇をもたらす魔人 ン・ダグバ・ゼバ 敵対 交戦する 山吹祈里 友好 行動を共にする→別行動 祈里さん 049 波紋呼ぶ赤の森 早乙女乱馬 乱馬さん 054 街(Pine Version) 孤門一輝 別行動中 孤門さん 100 警察署の空に(前編) 生存 蒼乃美希 美希さん 天道あかね 会話をする あかねさん 梅盛源太 行動を共にするが離別 源太さん 死亡 アインハルト・ストラトス 元の世界の仲間。再会するも死別 アインハルトさん 沖一也 別行動中 沖さん 生存 明堂院いつき 行動を共にする→別行動 いつきさん 死亡 ダークプリキュア 敵対→中立 戦いの後死別 132 人形遣いと少女 左翔太郎 友好 別行動中 翔太郎さん 151 フィリップ少年の事件簿 謎の幽霊警察署殺人事件 生存 佐倉杏子 杏子さん 冴島鋼牙 共に行動する→離別 164 変わり者の物語 死亡 花咲つぼみ 別行動中 182 The Gears of Destiny - 託される思い、激昂の闘姫 - 生存 響良牙 涼邑零 191 黎明の襲撃者(雨 2 10~2 20) 桃園ラブ 涼村暁 共に行動中 石堀光彦 ゴ・ガドル・バ 敵対 襲撃を受ける 191 黎明の襲撃者(雷雨 2 20~2 30) 死亡 名前のみの情報 キャラ名 状態 情報 情報伝達者 説明 第一回放送まで 今回はvividからの参戦。 支給品のヒートメモリを使おうとしたところを園咲霧彦に止められ、情報交換するも、そこへ現れたン・ダグバ・ザバと戦闘になる。ダグバの力は圧倒的で、自分もナスカドーパントに変身した霧彦も苦戦する中、状況を打開するべくヒートメモリを使用し、ヒートドーパントに変身するも、返り討ちにあってしまう。 気絶している間にダグバは撤退、霧彦に中学校へと運ばれ、目を覚ました時いたのは女に変身した早乙女乱馬だった。彼と会話をしながら霧彦達が戻ってくるのを待ち、やがて山吹祈里と彼女に運ばれて戻ってきた霧彦と合流する。乱馬が霧彦の身体を拭く際にうっかり霧彦の尻を見てしまうハプニングに見舞われつつも、放送を待つ。 第二回放送まで 放送でなのはやフェイト、ユーノの死を聞いて動揺するも、乱馬の言葉によりひとまず平静を取り戻す。その後、目を覚ました霧彦の提案により霧彦と祈里と別れ、乱馬と共に中学校から離れ、警察署に向かう道中、暁美ほむらの死体を発見し、警察署の慰安室に安置する。 その後、警察署にはどんどん人が集まり孤門一輝、蒼乃美希、天道あかね、梅盛源太、沖一也、明道院いつき、そして元の世界での仲間であるアインハルトと再会するが、アインハルトはショックを受けており反応は微妙だった。9人の対主催が集まった中、沖、いつき、美希の三人は中学校にいる祈里と霧彦と合流するため別れ、残った6人で情報交換することになる。しかし、源太の変身したシンケンゴールドの姿に動揺したアインハルトが屋上へと逃げ出してしまった為乱馬と共に追いかける。そして、屋上から飛び降りたアインハルトとそれを助けようと飛び降りた乱馬の二人が死んでしまったと思ってショックを受けかけるが、追いかけてきた孤門から二人の無事を聞き安堵した。 しかし、自分と孤門以外の人物が警察署から離れてしまった為、孤門と共に彼らが戻ってくるのを待ちながら警察署の中を探索し、ガイアメモリのポスターや時空魔法陣、ソルテッカマンを見つけたりした。 第三回放送まで
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「ロストロギア」の一種で、碧眼の瞳を思わせる色と形状をした宝石。 全部で21個存在し、それぞれシリアルナンバーとしてローマ数字がふられている。 一つ一つが強大な「魔力」の結晶体で、 周囲の生物が抱いた願望(自覚の有る無しに関わらず)を叶える特性を持っている。 ユーノ・スクライアが発掘、その後の事故で海鳴市周辺に漂流する。 「PT事件」の中核であると同時に、高町なのはが「魔導師」となり、 フェイト・テスタロッサや「時空管理局」と出会うきっかけとなった「ロストロギア」である。 なお、後年の事件である「JS事件」でも登場する。 魔法少女リリカルなのは (ファーストシリーズへ戻る
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静岡県代表 前年度の全国優勝校 魔法少女リリカルなのはに登場するキャラを中心としたチーム パスも強いが何より全体的にドリブルの切り込みが強力 守備は前半は強力なタックルでボールを奪い後半は大人数でシュートを止めに来る EXとは初期に練習試合をしており県外では最も因縁のある学校である 選手一覧 -----------------------------------------------------------------------------------------------------【FW】 【背番号】 .【GP】 【 シュ / パ ./. ド / .タ ./. カ ./ .ブ / .競 / セ 】 【合計】 【型】 【属】-----------------------------------------------------------------------------------------------------┣なのは 11 800 33 26 14 13 13 16 20 05 140 力 .光┣レッド 09 800 28 27 28 22 22 17 21 15 180 技 火┣フェイト 08 700 27 22 30 22 10 10 17 05 143 速 雷┃┣レヴィ 10 720 15 26 30 24 05 05 20 05 130 速 雷┣ギャル夫 .07 800 10 28 20 10 26 26 15 05 140 技 無┣杏子 06 700 12 30 18 13 30 15 17 05 140 技 無┃┣苗木誠 05 .900 10 23 10 23 23 23 21 05 133 技 光┣坂田銀時 04 .800 27 18 27 27 27 10 18 05 160 力 無┣不動遊星 03 820 14 26 20 27 22 27 22 05 148 速 風┣はやて 02 900 13 20 15 20 20 25 20 05 123 技 無┃┗ユーノ 01 900 13 35 13 14 15 15 14 25 154 技 無----------------------------------------------------------------------------------------------------- レッド 出典:ポケットモンスター(ゲーム) 星光学園のキャプテンであり“頂点に立つ者”の称号を持つ 最上級生故練習試合の時は姿を見せなかったが合宿にてやらない夫と激しい戦いを繰り広げる シュート、ドリブル共に非常に高く防御陣のGPを削るシュートやさらには合体技まで繰り出してくる 【スキル】 ◆『原点にして頂点』・・・全てはここから始まった ┣???[自] ┗ドリブル時、相手に-2の補正[任:2] ◆『最強の称号』・・・その称号は絶対的な勝者の証 ┣[任意:1/EX] ┗シュート以外の全ての判定を【絶対成功】 【必殺技】 ◆『フレアドライブ』・・・炎を纏って突進する。 ┣[GP:50/技/火(強:氷、弱:水)] ┗ドリブルに+3。タイプ相性:力+2。 ◆『ブラストバーン』・・・灼熱の焔が相手を焼き尽くす ┣[GP:100/技/火(強:氷 弱:水)] ┗シュートに+5。判定勝利時、相手のGP-20消費 ◆『ジ・エンド』・・・相手に終わりを告げる終焉の炎! ┣[GP:60/技/炎 (強:氷、弱:水)] ┗シュート技の判定時、差が-2内の時+2する ※相手が水属性の必殺技の場合この技は発動できない 【合体技】 レッド&レヴィ・・・化身:雷狼竜ジンオウガ ◆「雷刃封殺爆滅剣」・・・雷が剣となり、敵を刺し貫く ┣[レッドGP100/レヴィGP100/速/雷] ┗このターン二人でドリブル判定。ドリブルに+5。判定勝利後、ボールプレイヤーを選択し、以下の効果を付加する レッドの場合:次に打つシュートに+2※ボールプレイヤーが変更されるまで効果持続 レヴィの場合:2ターンの間、消費GPを-20 レッド&レヴィ・・・化身:蒼炎の黒竜リザードンX ◆『ブラストバーン・逆鱗』・・・怒りの炎で焼き尽くせ! ┣[レッドGP100/レヴィGP100/技/火] ┗シュートに+7。??? なのは 出典:魔法少女リリカルなのはシリーズ 強豪校である星光で4年生の時点でレギュラーの座を獲得していた実力者 高い固定値と強力なスキルから繰り出されるシュートは非常識な威力となる またユーノとの合体シュートも習得したらしい 【スキル】 ◆『星々の光』・・・星々が集まり、大きな光になる ┗必殺技(支援系除外)が発動する度に消費GPをSRPに加算[自] 最大値500 ※前半から後半に切り替わる時、十の位までを全て切り捨てる ※以上は練習試合時のデータ ◆『星の煌き』・・・星々が集まり、大きな光になる ┣[自動/EX] ┗必殺技(オーダー系除外)が発動する度に消費GPをSLPに加算 ◆『不屈の心』・・・その心は決して折れはしない ┗発動ターン、自分の必殺技の対する外的効果を全て無効[任(1)] 【必殺技】 ◆『ディバインバスター+』…その光の渦は全てを吹き飛ばす ┣[GP150/力/光] ┗シュートに+5。減退・無効可不可 ◆『スターライトブレイカー』・・・星々の煌きは今開放される ┣[GP:??/力/光] ┗シュートにSRP合計÷50(切捨て)分を加算しSRPを0にする ※以上は練習試合時のデータ 【合体技】 【なのは ユーノ・・・化身:不死鳥の騎士フェニーチェ】 ◆『フェニーチェバスター』・・・不屈の心と共に立ち上がり続けろ不死鳥! ┣[なのは:GP100、ユーノ:GP100/力/光] ┗なのはのシュートに+7。更にSLPを200×α消費し、αの回数分振り直しを行える(最大2回) フェイト 出典:魔法少女リリカルなのはシリーズ タックルで奪いドリブルで抜き去る、自力で攻め込む事が出来るFW 練習試合ではダイス的にあまりいいところが無かった 【スキル】 ◆『雷光一閃』・・・閃光の如く敵に切り込む ┗タックル時、相手にドリブルor競り合いを強要する[任(2)] ※以上は練習試合時のデータ 【必殺技】 ◆『サンダーレイジ』・・・そのシュートは雷の如く ┣[GP:??/速/雷] ┗シュートに+4 ◆『ブリッツアクション』・・・眼にも留まらぬ高速機動 ┣[GP:50/速/?] ┗ドリブルに+3 ◆『ハーケンセイバー』・・・処刑鎌の如く敵のボールを刈り取る ┣[GP:??/速/?] ┗タックルに+2。タイプ相性:速+2 ※以上は練習試合時のデータ レヴィ 出典:魔法少女リリカルなのはシリーズ なのはと同じく4年生にしてレギュラーの座を勝ち取った フェイトの従妹で同じくタックル、ドリブル、シュートに長けた攻撃的なMF パスも出来るらしい? 【スキル】 【必殺技】 ◆『光翼斬』・・・ギュ―ンと言って、バーンと斬る! ┣[GP:50/速/雷] ┗タックルに+3。「速」に+2 ◆『スプライトムーブ』・・・ギュ―ン、ギューンッ! ┣[GP:50/速/雷] ┗ドリブルに+3。「技」が相手の時、更に+2 【合体技】 レッド&レヴィ・・・化身:雷狼竜ジンオウガ ◆「雷刃封殺爆滅剣」・・・雷が剣となり、敵を刺し貫く ┣[レッドGP100/レヴィGP100/速/雷] ┗このターン二人でドリブル判定。ドリブルに+5。判定勝利後、ボールプレイヤーを選択し、以下の効果を付加する レッドの場合:次に打つシュートに+2※ボールプレイヤーが変更されるまで効果持続 レヴィの場合:2ターンの間、消費GPを-20 レッド&レヴィ・・・化身:蒼炎の黒竜リザードンX ◆『ブラストバーン・逆鱗』・・・怒りの炎で焼き尽くせ! ┣[レッドGP100/レヴィGP100/技/火] ┗シュートに+7。??? 佐倉杏子 出典:魔法少女まどか☆マギカ 練習試合の時のモブ7の覚醒した姿 モブ時代にはブロントさんのパスをカットしさやかとクマーのマークを抜いてエースのなのはにパスを届けて見せた カットやパスの高い強力な攻撃の起点となっていそうな気がする さやかとは試合だけでなく原作も合わせて二重に因縁がありそうな予感 【スキル】 【必殺技】 ギャル夫 出典:2ch/フィルターoff:土御門元春(とある魔術の禁書目録) レヴィの兄でフェイトの従兄の守備的なMF 後方でカットやブロックでボールを奪いパスやドリブルで切り返してくる はやてと合体ブロックを繰り出せるもげろ 【スキル】 ◆『トリックスター』・・・立ち向かう者を惑わせるフィールドの魔術師 ┗ドリブル時、ダブルチーム補正を無効にする[自] ※以上はヒーローズ結成時のデータ 【必殺技】 ◆『チェインダンス』・・・まるで踊るかの様に不規則な軌道を描くパス ┣[GP:50/技/無] ┗タックルに+3。タイプ相性:速+2 ◆『ワンダーステップ』・・・踊るような軽快な足使いで抜き去る ┣[GP:50/技/無] ┗ドリブル+3。タイプ相性:力+2 ◆『ブレイクカット』・・・高速回転しながら相手のパスをカット ┣[GP:50/技/無] ┗カット+3。タイプ相性:技+2 ※以上はヒーローズ時のデータ 【合体技】 ◆『絶対守護領域』・・・オーラのバリアを発生させ攻撃を防ぐ ┣[ギャル夫:GP100、はやて:GP100/技/無] ┗範囲内の仲間のブロックに+4。更にドリブル判定時のブロック補正の無効 ※以上は練習試合時のデータ 苗木誠 出典:ダンガンロンパシリーズ 星光学園の6年生DFではやての司令塔としての師匠 指揮官役で、オーダー、マス・オーダー、コマンドを持つ可能性もあり 【スキル】 ◆『ダンガンロンパVer苗木』・・・絶望をロンパする! ┣??? ┗相手の攻撃行動に-2。無効化不可[任:?/EX] ◆『最後の希望』・・・希望は、絶望なんかに負けはしないんだ ┣[任意:1/EX] ┗判定結果時、自身の出目を1に変更し仲間の出目を自分のものと入れ替える ※この効果は自身の出目が18~20でしか使用できない 【必殺技】 ◆『オーダー』・・・指示を出し仲間を支援 ┣[GP:50(40)/支援/無] ┗仲間の行動に+2 ◆『キャッスルコマンド』・・・城塞の如き守りの陣形 ┣[GP:100/指令/無] ┗3ターンの間。自陣内の守備行動に+3 ゴールキーパー前まで抜かれた場合、そのターン。ゴールキーパーのセーブ-3 はやて 出典:魔法少女リリカルなのはシリーズ 星光の司令塔兼ブロッカーのDF 合体技の性質上傍に居やすいギャル夫に任せる事が多く攻撃能力は低めでその分役割に力を入れてくる 【スキル】 ◆『慈愛の聖母』・・・聖母の如き優しさは、人々を癒す ┗ハーフタイム中、対象のGPを???回復[任(1)] ※以上は練習試合時のデータ 【必殺技】 ◆『オーダー』・・・指示を出し仲間を支援 ┣[GP:50/支援/無] ┗仲間の行動に+2 【合体技】 ◆『絶対守護領域』・・・オーラのバリアを発生させ攻撃を防ぐ ┣[ギャル夫:GP100、はやて:GP100/技/無] ┗範囲内の仲間のブロックに+4。更にドリブル判定時のブロック補正の無効 ※以上は練習試合時のデータ 不動遊星 出典:遊戯王5D s 【タックル、カット、ブロック】その全てが高いと言う万能なDF 追い詰められるほどにさらに強くなる。 【スキル】 【必殺技】 ◆『パワー・オブ・フェローズ』・・・集いし絆が、新たな力を呼び起こす ┣[GP50/技/闇] ┗ブロックに+3。更に判定に参加している自分を除く仲間1人に付き+1の補正 坂田銀時 出典:銀魂 【タックル、カット、シュート、ドリブル】の値が高いリベロ。 攻撃用と守備用のスキルも持つ 【スキル】 【必殺技】 ◆『星砕』・・・妖刀“星砕” ┣[GP:80/力/無] ┗タックル・カットに+4。??? ユーノ 出典:魔法少女リリカルなのはシリーズ タイプ相性が色々強かったGK ポジション的に遥か遠くのなのはと合体シュートを手に入れているようで 実は本来のポジションはMFでした!とかは無いといいな 【スキル】 ◆『知恵の護り手』・・・その護り手は蓄えた知識を武器に守り抜く ┗相手がパワー、テクニックだった場合、セーブ+1[自] ※以上は練習試合時のデータ 【必殺技】 ◆『アレスターチェーン』・・・無数の鎖でボールを縛る ┣[GP:50/技/無] ┗セーブ+3。タイプ相性:力+2 ◆『トランスポーター』・・・ゼットンの技を自己流で再現したパス ┣[GP:??/?/無] ┗ロングパス補正を無効 ※以上は練習試合時のデータ ◆『ディメンションポーター』・・・トランスポーターの応用で高速射出するパス ┣[GP120/技/無] ┗パスに+3。前線までパス可能 距離減退無効 【合体技】 【なのは ユーノ・・・化身:不死鳥の騎士フェニーチェ】 ◆『フェニーチェバスター』・・・不屈の心と共に立ち上がり続けろ不死鳥! ┣[なのは:GP100、ユーノ:GP100/力/光] ┗なのはのシュートに+7。更にSLPを200×α消費し、αの回数分振り直しを行える(最大2回)
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仮面ライダーカブト×リリカルなのはStS クロス小ネタ集 その1 天道総司とティアナ・ランスター トントントン、と。包丁が小気味よく、まな板の上で音を鳴らす。 切った野菜を沸かしたお湯の中に入れて、料理人は次の動作へ。冷蔵庫からメインディッシュとなる鯖を取り出し、手早く包装を開けて調理に入る。 手馴れているのだろう。厨房を行き来する彼の動きにはまったく躊躇が見られず、鮮やかとさえ言っていい。事実として、この料理人が作った品々は周囲の者の間では絶品と評されていた。 「おばあちゃんが言っていた」 出来上がった料理をテーブルの上に運び、彼は、天を指差し口を開く。 「病は飯から。食べるという字は、人が良くなると書く――ってな」 「はぁ……」 不敵、とでも言うのだろうか。この微笑は。 日常の何気ない行動一つにさえ、この料理人は自身の名の通り"天の道を往き、総てを司る"ことをモットーとしているようだった。 気の抜けた返事をして、料理の出来上がりを待っていたティアナ・ランスターは視線を下げた。青みがかかった翡翠色の瞳が捉えたのは、持参した鯖が調理されたと思しきもの。鯖の味噌煮、と言 う九七管理外世界のごく限られた地域で食べられる料理だ。 「それで、相談と聞いたが」 男は席について、食べろとティアナに促しながら、彼女が自分の元を訪ねてきた理由を問う。いきなり深刻そうな悩みを抱えた表情でやってきたので、彼――天道総司にとっても、気になるところ ではあった。 頂きます、と箸を手に取った少女は、差し出された食事をまずは一口、口に入れる前にその訳を話す。曰く、自分に自信が持てないと言うことだった。 「今いる部隊――機動六課って言うんですけど。各部署でも相当レベルの高い人ばかりで編成された、独立部隊なんです」 みんな凄い人ばっかりで、と付け加えて、一旦言葉を中断。ミッドチルダで箸と言う文化はあまり根付いていないようだが、もともと手先は器用なのだろう。大して苦労もせず、ティアナは二本の 細い棒を駆使して味噌でコーディネイトされた鯖の一部を綺麗に切り取り、口に運ぶ――瞬間、少女の顔が驚きと言う文字で染まった。信じられないものを見るような目で、自分が口にした料理に 視線を注ぐ。 美味しい。今まで食べたどんな魚よりも、天道の作った鯖の味噌煮は味と言う観点において大きくリードしていた。噛み締める度に味噌の独特の甘さ、鯖の持つ旨みが絡み合って美しいハーモニー を口の中で奏でる。頭の中で、知らないおじさんがこれまで食べた魚たちに「豚の餌ぁぁぁぁ!」とかなんとか言っていたが、ここは無視した。 「おおむね察しはついた。周囲に凄い人間が集まりすぎて、自分の存在価値が見えなくなっている。そうだな?」 「――まぁ、そんなとこです」 明らかに鯖の味噌煮を食べていい意味で驚いているのに、天道はニコリともせずに彼女の悩みを要約する。まるで、俺が作ったのだから美味いと感じるのは当然であるとでも言うように。 フムン、とわずかに間を置く。わずかに考えるような姿勢を見せた男は、しかし次の瞬間にはもう答えを用意していた。 「ティアナ。その鯖の味噌煮は美味いか?」 「え? えぇ、はい……今まで食べた魚料理よりずっと」 「その鯖はな、お前が持ってきたブランド物の鯖じゃない。俺が近所のスーパーで買ってきたものだ」 ティアナの表情が、再び驚きの表情に染まった。彼の手にかかれば、食材の質など大した問題ではないと言うことなのだろうか。 いつものように――本当にいつものことなのである。周囲で彼のこのポーズを知らぬ者はいない――右手を上げて、天道は人差し指を天に向けて、口を開く。 「おばあちゃんが言っていた。料理の味を決めるのは、下準備と手際のよさ――食材はいいに越したことはない。だが、真の料理人は食材を選ばない」 あとは分かるな、と。この天の道を往く男は、視線をもって相談を持ちかけてきた少女に問いかけた。 食材とは、すなわち自分自身の持つ素質のことだ。それをいかに料理するか、いかに鍛えるか、いかに努力するかで"味"が決まる。自身の素質を卑下することなく、まずは努力してみせよと。 つまり、とティアナは天道の言葉を自分なりにまとめ、確認するように結論を口にする。 「自信とは、自分を信じると書く――ですか?」 「ほう……いい答えだな。ならもう、悩みは解決だ」 感心の頷きを彼が見せたところで、少女は胸のうちに抱えていたモヤモヤした感覚が、綺麗さっぱり消えていくのを実感した。 自分を卑下しないこと。自分を信じること。料理の味を決めるのは、下準備と手際のよさであること。 よし、と胸のうちでティアナは静かなガッツポーズ。もう、悩むことはない。周囲がどれだけ凄かろうが、あたしはあたしを信じて努力するだけだ、と。 ちょうど、その時を待っていたかのように。視界の片隅に、ブンッと羽を揺らしながら迫る赤い影を彼女は見出す。一際目立つ大きな角、カブトゼクターだった。 カブトゼクターは、主人の目の前に現れると急かすように角を振ってみせた。ただ事ではない、何かが起きた。必死に彼はその事実を天道に知らせようとしていたのだ。 ティアナ、聞こえる!? 第一警戒態勢が発令、現場はそっちのすぐ近く! あたしも、加賀美さんとすぐに! 「スバル? ――ああ、了解」 飛び込んできた念話による通信が、さらに追い討ちをかける。ワームか、ガジェットか、とにかく世間を揺るがす事件が起きたには違いないのだろう。 「天道さん、ごめんなさい。あたし、行かなきゃ」 「俺も動く必要があるようだ。ワームから出前の注文らしい」 パシッと、天道は相棒を掴む。ティアナもカード状態で待機モードに入っているインテリジェントデバイス、クロスミラージュを持ち出し、二人は揃って部屋を出た。 「まずい飯屋と、悪が栄えた試しはない」 「それも、おばあちゃんの言葉ですか?」 ああ、そうだ。不敵な笑みを見せた男と視線を交わし、少女はクスッと笑う。同じく、自信に満ちた不敵な微笑み。 これから何度となく、進む道には障害が立ちはだかるだろう。だけども、天道もティアナも、決して諦めるつもりはなかった。 なんと言っても、彼らの進む道は―― 天の道を往き、総てを司る! その2 神代剣とシグナム 「はぁっ!」 気合と共に、愛剣を振り抜く。敵は銃弾ですら貫くことは叶わない硬い表皮を持つが、魔力付与によって切れ味の高まった刃先はそれすら切り裂いた。 身体を斜めに斬られたワーム、サナギ体と呼ばれる種類は、一匹ごとの耐久力は決して高くない。女剣士に鋭い斬撃を一太刀浴び、苦しそうに最後に一鳴き、虫のような声を上げて爆散。緑色の炎 が上がり、この世から完全に消滅する。 ワームの撃破に成功した女剣士ことベルカの騎士、シグナムの表情はしかし、決して勝利の美酒に酔いしれた様子はない。浮かれることなく、鋭い視線で次の戦いに備え、愛剣レヴァンティンを構 えて戦闘態勢を維持。周囲には依然としてワームが攻撃のチャンスを伺い、じっとこちらを睨んでいるのを見れば当然であろう。 「多いな」 別段、弱音を吐いたつもりはない。ただ、目の前に立ち塞がる虫の化け物どもを見据えて素直な感想を漏らしただけ。闘志の炎は、衰えてなどいなかった。 しかし、と。痺れを切らしたのか、ついに自ら攻撃に乗り出したワームを軽く刃先で払い除けながら、思考は回る。ざっと見ただけでも、サナギ体の数は一〇を超えていた。脱皮する様子はないか ら倒すなら今のうちだが――全部をいちいち斬り伏せるのだとすれば、少々手間がかかる。あいにく非番で外出中での遭遇戦のため、カートリッジはあまり持っていないのだ。 いっそのこと、炎で一気に燃やし尽くすか。ちらりと脳裏を横切った思考に、彼女はいいや駄目だと否定の判断を下す。ここは市街地、下手な攻撃は周辺に被害を及ぼす可能性もあった。 仕方なく、通常の斬撃に少々の魔力付与を施した攻撃で対処する。ガムシャラに攻撃を仕掛けてくるワーム、一瞬の隙を突いてレヴァンティンを、槍のように突き出す。 ドンッと打撃にも似た振動が柄を握る手に伝わった。硬い表皮を刃先が強引に突き飛ばし、サナギ体は無様に大地を転がる。あとは、トドメの一撃を繰り出すのみ。 そのはずは、背後に降り注がれる奇妙な視線に気付くことで潰えた。新手か。しかし敵意は感じない。ならばいったい。 「高貴な振る舞いには、高貴な振る舞いで返せ」 ――あの馬鹿者、逃げろと言ったはずだ! 思わず、シグナムは露骨に舌打ちしてしまった。ひょんなことで出会い、それから自分が騎士であることが知れるとやたらと付き纏うようになった、妙な男。 名前を確か、神代剣と言った。本人曰く、神に代わって剣を振るう男。その神代剣が、剣を片手に立っていた。 まさか戦うつもりか。しかし、どう見ても彼の姿は生身だった。高級そうなスーツ一枚で、ワームの攻撃を防ぐことなど出来る訳がない。 「我が友シ・グナーム! 今加勢するぞ――変身!」 何、だと。 女剣士の顔が、大きく歪む。彼女の視線の先には、サソリのような形をした機械、それを捉えて剣へと装着する青年の姿があった。 "変身"と、彼は言った。シグナムは、この言葉に聞き覚えがあった。確か、マスクドライダーシステムと呼ばれるワームに対抗し得る力を持った者たちが、その身を人から人ならざる者へと変化さ せる呪文のような言葉。神代剣が、その呪文を唱えたのだ。 Henshin! 電子音によって合成された音声が響き、光が青年の身体を包んでいく。光を追うようにして現れた装甲がやがて身体を覆いつくし、彼は人ならざる者へと姿を変えた――仮面ライダーサソード、マ スクドフォーム。 ワームたちは、新たに出現したライダーを敵と認識したようだ。シグナムの周囲を取り囲んでいたサナギ体の群れは目標を変更し、一斉に剣の元へと駆け出していく。袋叩きにするつもりか。 サソードは、動かない。ただ、得物であるサソードヤイバーに手を添えて、可動する部分をわずかに押し込んだ。直後、纏っていた装甲の各部が浮かび上がり、分離の様子を見せる。 「キャストオフ!」 cast off! ウッとたまらず、シグナムは顔を左手で庇ってしまった。浮き上がった紫色の装甲は、分離は分離でも単に剥がれ落ちたのではない。身体から、一斉に弾き出されたのだ。近寄りつつあったワーム は吹っ飛んできたサソードの一部だったものに殴り飛ばされ、何体かは直撃をもらってあえなくその場で爆散の憂き目にあう。 Change Scorpion! ――仮面ライダーサソード、ライダーフォーム。事実上の基本形態であり、脱皮によってより高い能力、よりおぞましい姿を得るワームと同じ構造を持ったマスクドライダーシステムの、真骨頂。 雑魚を弾き飛ばした剣は、刃を手にシグナムの元に駆け寄った。 「シ・グナーム、安心しろ。俺が加勢に来たからには、大船に乗ったつもりでな」 「泥船じゃないのかその船……と言うか、なんだその呼び方は」 「俺は名前を呼ぶことでも頂点に立つ男だ!」 訳が分からん。微妙に頭痛を覚えながら、それでもシグナムは戦闘態勢を維持。 何であれ、味方が増えたのはありがたいことだ。それに、同じ剣士と来ている。 「無様な真似をするなよ」 「案ずるな。俺は、剣の腕でも頂点に立つ男だ!」 二人の剣士の前に、虫の化け物がいかほどの力を発揮できようか。 おそらくは、なすすべなく殲滅されるに違いない。 天の道を往き、総てを司る! その3 風間大介とユーノ・スクライア 街中で、待ち合わせの時間より早く着いてしまったユーノ。久しぶりの休日、それも幼馴染と一緒に出かけると言うことで気合が入りすぎたのかもしれない。 仕方なく、待ち合わせ場所であった公園のベンチに腰掛けて適当にのんびりしていると、不意に声をかけられた。誰だろうと思って振り返ると、見覚えのない青年が、やたらニコニコと笑みを浮か べていた。傍らには、そんな彼の様子を見てまた始まった、と呆れた様子の女の子が一人。 「あの……何か?」 「いやぁ――失礼。あなたが美しいので、つい声をかけてしまいました」 あぁ、こういうのか。たまに来るんだよなぁ。 ユーノが苦笑いを浮かべるのは、もちろん理由があった。自分の容姿のせいだ。伸ばした色素の薄いサラサラの髪、女性と見紛うごときの整った顔立ち。服装は男のそれなのだが、それでもこうし て女性と間違われて、たまに「お茶でもどう?」と男に声をかけられる。 いや、すいません。僕男なんで。もはや慣れてしまったため、いつものように彼は誤解を解こうとした。 だけども、誤算が一つあった訳で。 「あなたのように美しい女性がこの世に存在すること、そして僕があなたと出会ってしまったこと。これはまさしく、二度と起こらないような……えっと、その」 「奇跡」 「そうそう、それそれ」 相手がまったく話を聞かないことであった。言葉に詰まった青年は女の子にフォローを入れられ、ユーノの言葉に耳を貸さずしきりに頷いている。 いや、だから僕、男なんですってば。あくまでも誤解を解こうとしたが、やっぱり相手は聞く耳持つつもりはないらしい。 青年は、手にしていたギターケースを置き、開く。中にびっしり詰まっていたのはギター、ではなく様々な化粧水や、その道具の数々。 「見たところ、まったく化粧をされていないようですね。それほどの美貌を持っていれば、むしろ下手な化粧は泥を塗るも同然かもしれない――」 「あの、すいません。だから僕は」 「ですが、私の手にかかればそうはならない。より美しく、より素晴らしくして差し上げましょう! 風間流奥義――」 ア ル テ ィ メ ッ ト メ イ ク ア ッ プ ! 何だこれ、と声を上げる暇もなかった。ただ、ユーノの眼には青年の甘いマスクが微笑を浮かべ、それがいくつもの分身となって化粧道具片手に自分に迫ってくる光景のみが映った。なんか、バラ 色の風景付きで。 恐怖は感じなかった。むしろ暖かくて、安らぎのようなものを感じた。頭の中で巨大隕石を押し返そうと緑色の光を放つ伝説の白きモビルスーツが浮かんだが、この際どうでもいいとしよう。 次の瞬間、ユーノは安らぎに満ちた微笑を浮かべながら意識を失った。 「ごめーん、ユーノくん待ったー?」 ハッと、幼馴染の声で彼は我に返る。どれほどの間、意識を失っていたのだろう? すでに、あの青年も女の子も視界内にはいなかった。 ともかくも声のした方向に振り返り、やぁなのは、と挨拶を交わす。久しぶりに再会した幼馴染は、今日も華やかな笑みを――あれ? なんでそんなに驚いてるの? 「――ご、ごめんなさい。人違いでしたっ」 「待った待った待ったぁ! なのは、僕だよ!?」 栗毛色の髪を揺らし、頭を下げて謝罪した彼女は踵を返し、逃げていく。その肩を引っつかんで、ユーノは人違いじゃないことを必死にアピールした。 「違うもん違うもん違うもん! ユーノくんはそりゃあ確かにパッと見女の子みたいだけど、そんな綺麗なお化粧なんかしないもん!」 しかし、当の彼女はぶんぶん首を振って自己の主張は間違ってないと言う。と言うか、お化粧? どういうことだ、と首を捻り、公園の噴水に近付く。水面に映る自分の顔。いつものユーノ・スクライアに違いない――いや違う、誰だお前!? 「あ、あいつ。なんてことを――!」 自分自身もびっくりした。そのくらいユーノの顔は、なんというか、超絶美人になっていた。きめ細かい白い肌は輝いていて、唇を彩る赤い口紅が大人の色気を醸し出している。 あの男だ。あのアルティメットクウガ、じゃなくてアルティメットメイクアップだが、そんな奥義を喰らったからに違いない。 驚愕するユーノであったが、水面に浮かぶ美人を見て、ポツリと一言。 「……あ、でも、ちょっとありかも」 この後、なのはに色々誤解されてその誤解を解くのに大変な苦労をするのだが、それはまた別の話。 天の道を往き、総てを司る! その4 加賀美新とスバル・ナカジマ 咄嗟にプットオンして、防御力に優れたマスクドフォームに戻ってみたが、無駄だった。 もろに喰らった衝撃は身体を何メートルも宙に浮かび上がらせ、今度は重力に引っ張られた。ドシンッと強く大きな衝撃が着地と同時にその身に襲い掛かり、蒼い装甲越しに彼を痛めつける。 「ガハッ――!?」 「加賀美さん!」 たまらず、悲鳴が仮面の奥にある口から漏れた。痛い。ヒヒイロノカネを加工して開発されたマスクドライダーシステムと言えど、ダメージの全てを軽減出来る訳ではない。そのことを、加賀美新 は身を持って思い知らされていた。それでも立ち上がろうとする彼の傍に、小柄な少女が大地を滑るようにして駆け寄ってきた。パートナーの、スバル・ナカジマの手を借りて、どうにか加賀美= 仮面ライダーガタックは、戦意を取り戻す。 ワームたちの大攻勢は、勢いを増していた。各地に出現した怪人たちを相手するのにはとても手が足らず、と言って戦わない訳にもいかず、加賀美とスバルは、たった二人で視界を埋め尽くす化け 物たちを相手する羽目に陥っていた。 今はひたすら、耐えること。他の区域で当面の敵を撃破した天道とティアナが、増援に向かってくれている。 とは言え、いつまで持つか――目の前に立ち塞がるワーム、サナギ体のような雑魚ではなく、どこかカブトガニのような風貌を持つ異形は、強敵と呼ぶほかない。戦いの神と評されるガタックが、 簡単に殴り飛ばされてしまったことが何よりの証明だろう。 「どうした、もう終わりかね!?」 異形、カッシスワームは人語を解し、彼らに挑発的な言動を取る。そして、あたかも攻撃して来いと言わんばかりに配下のサナギ体群に前進を中止し、防御の構えすら取っていない。 こいつ、と歯を噛み鳴らしたのはスバルだった。ぶんっと空気が唸りを上げるほどに拳、黒々としたリボルバーナックルを構え、攻撃態勢へ。舐められている。その怒りが、彼女の闘志に火を点け たのだ。加賀美が「よせ!」と制止したにも関わらず、マッハキャリバーに加速を命じて突撃を敢行する。 「うぉおおおおお!」 少女らしからぬ咆哮。白い鉢巻をはためかせ、地を駆けるスバルは渾身の魔力をリボルバーナックルに込めた。相手が急接近してきたにも関わらず、がら空きのままのカッシスワームの胴体目掛け て、己が拳を叩き込む。 ガキリッと、金属同士の衝突にも似た轟音が響く。舞い散る火花を見出して、彼女は自身の拳が寸前で止められていることに気付く――だったら! 攻撃の手は、決して緩めない。 「ディバイン――」 詠唱、術式展開。拳による鍔迫り合いの最中、少女の足元に浮かび上がるは三角形の近代ベルカ式魔法陣。同時に、火花飛び散る拳の先端に光が収束していく。 「バスタァァァ!」 収束した魔力を、一気に開放。難しく考える必要はなかった。溜め込んだ魔力を、ほとんど零距離でこの虫の化け物に叩きつけてやるのだ。 蒼い閃光が、カッシスワームに叩きつけられる。これまで何匹ものワームを、何機ものガジェットを葬ってきた一撃。耐え切れるはずが――否、あった。 「その程度、かぁぁぁ!!」 「!?」 あり得るのか、こんなことが。一瞬、スバルは目の前の出来事が知覚出来ずにいた。 叩き込んだはずの魔力が、乾坤一擲の一撃が、弾かれた。武器である刃と一体化した腕によって、蒼い閃光は大きくその方向を天へと逸らされてしまった。 唖然とする彼女の耳に、背後から声が届く。スバル、下がれ! 気付いた時には、もう手遅れだった。異形の振りかざした腕が、バリアジャケットに覆われた身体に向かって振り抜かれる。防御の構えは、間に合わない。石ころでも投げ捨てるように、小柄な少 女の身体は殴り飛ばされ、無様に地面を転がった。 「スバル! 畜生、こいつ――」 無駄かどうかは、この時の加賀美にとって問題ではなかった。仲間が、パートナーが吹き飛ばされた。怒り任せに肩部に搭載された砲身、ガタックバルカンを敵に向ける。 射撃開始。機関砲の如く絶え間ない光の弾丸の連射。降り注ぐ打撃は、しかしカッシスワームには何のダメージも与えられない。 鬱陶しいものを払うように、あるいは強者の余裕を見せ付けるように。放たれた弾丸のことごとくを、異形の腕は刃を振りかざして弾く、弾く、弾く。 くそ、と仮面の中で加賀美は吐き捨てた。攻撃力が、不足している。二人だけではどうにもならない。どうあっても、こいつを倒すには仲間たちの到着を待つしかない。 「安心したまえ、君たちの仲間など来ない」 「何だとっ」 「皆怖気づいて逃げ出したよ。人間の繋がりなど所詮、その程度だ」 何を馬鹿なことを。 言いかけて、言葉に詰まった。果たして、天道たちが増援に向かうと言う連絡があって、どれほどの時が経っただろうか。クロックアップを使わずとも、ここが戦場であると言う特殊な環境を除い ても、もう到着していていい時間のはずなのだ。それなのに、彼らは――違う、あり得ない。 首を振って思考を殴り捨てた。駆け出し、スバルを助け起こす。 「ほら、スバル。しっかりしろ、まだ戦えるか」 「ゲホッ――はい、何とか!」 そうは言うが、咳き込んだ彼女の口からは赤いものが見えた。バリアジャケットの防御力など、ワームの攻撃力の前ではないよりはマシ程度だ。ダメージがあって然るべきだろう。加賀美も事情は 似たようなもので、身を守る蒼き鎧はもはやボロボロだった。失った体力は、精神力でカバーしているに過ぎない。 しかし、二人は怯まない。決して退こうとしない。傷を負った身体を奮い立たせて、構えを取る。 「――何故だ? 何故そこまで戦える?」 ワームの疑問は、もっともなところだろうか。はっきり言って、加賀美もスバルもこれ以上の戦闘続行は死に直結する。何故、自ら死にに行くような真似をするのか。きっと、外宇宙からやって来 た彼らには理解しがたいのだろう。 「お前が言った"その程度"の人間の繋がりは、もっと深いってことだ」 なぁ、と確認するように。仮面越しに、スバルを見た。泥と血で汚れ、しかしなお瞳から光を消さない少女は、にっこり笑って頷いた。 「教えてあげるよ。あたしたちは、絆で繋がってるんだ」 バシッと、リボルバーナックルに覆われた右手で左手の手のひらを叩くスバル。気合を入れ直して、まっすぐ、敵を見据える。 「理解出来んな……」 異形の発した言葉に、加賀美とスバル、両者が答えた。理解してもらうつもりもない、と。 「お前に」 「あたしたちの絆など」 『分かってたまるものかぁ!』 バチンッと機械音。加賀美の、装甲に覆われた指が腰部のガタックゼクターに伸びていた。閉じられていた二本の角がわずかに開かれ、ガタックを形成していた装甲が、浮かび上がる。 改めて、彼はパートナーを見た。視線に気付いた少女は、何も言わない。ただ、全てを理解したように頷き、一言だけ口を開く。行こう、加賀美さん。まっすぐに。 「キャストオフ!」 Cast off! 装甲が、弾き飛ばされる。防御を犠牲としても、マスクドフォームのはるか上を行く攻撃力と機動力を得るにはこれしかない。開かれていた大きな角が、頭部へと昇って固定される。 Change Stag Beetle! 仮面ライダーガタック、ライダーフォーム。 勝機はあるか、と聞かれれば。はっきり言って、少ないだろう。だが、皆無ではない。 「行くぞ、スバル!」 「はい、加賀美さん!」 いつだって、まっすぐに走る彼らに勝利の女神が微笑まない理由。 そんなもの、あるはずがなかった。 天の道を往き、総てを司る!