約 454,572 件
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/42.html
リフレッシュをしよう とある山里。 周囲を山に囲まれた盆地の中に有り、昔ながらの風景を残す。 季節は秋、夜は底冷えをし山の木々は赤く色づき、美しい紅葉になっていた。 紅葉シーズンも最盛期に突入しようとした秋の快晴のある日、ユーノはなのは、ヴィヴィオと共に遊びに来ていた。 「こんな風に自然の中を歩くのはひさしぶりだなぁ」 ユーノは思いっきり深呼吸をして清涼感溢れる空気を満喫する。 こんなにも自然の中の空気がウマイを感じたのは久しぶりである。 身体だけでなく精神まで新鮮な気持ちになるのを実感出来る。 「ふふっ、ユーノ君、来てよかったでしょ?」 「うん、そうだね。こんなにもリフレッシュ出来るとは思わなかったよ」 なのはの微笑みにユーノも優しい笑顔で答える。 ヴィヴィオは初めてみる景色に気分が高揚し、はしゃいでいた。 「ママ~、ユーノくん、はやくはやく」 「「はいはい」」 ヴィヴィオの促しに、小走りになるユーノとなのは。 ユーノは自分の立場上無限書庫に常駐するか、たまの休みでも考古学関係の論文作成で一日を費やしてしまう。 ユーノにとって外を出歩くのは、自分で食料の買い出しに出掛ける時、論文やロストロギアの発表の時などごく限られた時しか無いのだ。 そんな彼が同僚の司書達となぜ自然の中を満喫しているのか。 きっかけは一部のシステムエラー発生による無限書庫のメンテナンスだった。 昼夜を問わずフル稼働を続ける事の多かった無限書庫だが、どんな機械だって必ずメンテナンスは必要なものだ。 しかし、その必要性からどうしても24時間稼働することが多かったせいで禄にメンテナンスが出来ず、とうとうシステムにエラーが生じてしまったのだ。 結果として緊急のメンテナンスという事で無限書庫は一週間の臨時休業による閉鎖を余儀無くされたのだ。 当然の事ながら、無限書庫に頼り切っていた各部署はてんてこまい状態であるが、頼るだけ頼って司書の悪口を言う連中が多いのだからそういった連中は或る種の自業自得といったところだろう。 そして無限書庫自体にもメンテナンスは必要だが、それを動かすユーノ・スクライア司書長を筆頭とした司書達は生身の人間だ。 彼ら無くしては無限書庫自体が無用の長物に逆戻りしてしまう。 結果、無限書庫司書達の重要性を悟った本局連中はユーノ達を年休扱いで一週間休暇にしたのだ。 司書達は突然の休暇に若干戸惑ったが、これぞチャンスとばかりに各々が好きなことをやることにした。 ある者はフィールドワークに出掛け、ある者は温泉三昧、ある者はコンサートに行き、ある者は録り溜めした番組を見続ける。 司書達のストレス発散方法は十人十色だが、それぞれのやり方で気分を一新させて行った。 閑話休題 さて、そんな訳で急に暇になったユーノではあるが、彼自身はいつもの休日どおり、考古学論文の作成をしようと思っていた。 しかし、それに待ったをかけたのがなのはである。 ユーノの趣味にして専攻分野とはいえ論文作成では、ふだんの生活となんら変わりがない。 ここは彼の日常での事柄を全て切り離し、本当に気分を一新させよう、なのははそう考えた。 最初は遠慮していたユーノを様々な方法(夜的な話し合いを含む)で説得し、ユーノを外に連れ出す事に成功したのだ。 なのはが考えたプランは自然の中をピクニックしてユーノをリフレッシュさせる方法だった。 休日で混雑しているアミューズメント施設より、静かな里山歩きの方が充足感が有ると思ったからだ。 またヴィヴィオも遊園地よりも自然の中で遊ぶ事に興味を示す娘だったことも有り、一石二鳥を狙ったのだ。 なのはの狙いは大成功だった。 ヴィヴィオが気になった事柄をユーノに聞き、博識のユーノが一つ一つ丁寧に答える。 ユーノの非常に分かりやすい説明により、ヴィヴィオは得た知識をスポンジが水を吸収するかの如く覚えて行った。 ユーノもヴィヴィオに色々と教えたり、久しぶりの大自然の空気を吸うことで身体も精神もリフレッシュしたいった。 「ヴィヴィオ、もうすぐ山頂だよ」 「あい」 ユーノ達は今、片道1時間という手頃なハイキングコースを歩いていた。 道もよく整備されていて歩き易く、幼いヴィヴィオにも丁度良いコースだ。 山頂からは360度の展望が広がっているらしく、ヴィヴィオは山頂到着を今か今かと楽しみながら歩いていた。 「ユーノ君もヴィヴィオも本当に楽しそうね。連れて来てよかった」 ユーノとヴィヴィオの後につく形でなのはも歩いていた。 本当に楽しそうなユーノとヴィヴィオを見て満足するなのは。 「でも、ヴィヴィオったらずっとユーノ君と手繋いで、ちょっとうらやましいかも・・・」 そんな中でもユーノとずっと手を繋いでるヴィヴィオに少しやきもちをやくなのは。 でもそれはかわいらしい、小さな嫉妬。 そうこう歩いている内についに――― 「うわー、すごーい!」 ヴィヴィオが歓喜の声を上げる。 山頂に着いたのだ。 話どおりの360度の展望。 どこまでも澄み渡った青空、赤く染まる山々、小さく見える麓の集落。 今までヴィヴィオが見てきた光景の中でそれは初めて目にする素晴らしい展望だった。 幼いヴィヴィオの心は踊る。 「ママー、ユーノくんすごいよー」 「そうだね」 「よかったね、ヴィヴィオ」 ヴィヴィオの満足そうな表情に一緒になって喜ぶユーノ。 それを微笑ましく見るなのは。 「なのは」 「どうしたのユーノくん」 「ありがとう、なのはが無理矢理にでも誘ってくれなかったらこんなに楽しい一日にはならなかったよ」 「どういたしまして」 ユーノからのお礼の言葉を笑顔で受けるなのは。 三人にとって今日は本当に楽しい一日になった。 「本当に身も心もスッキリしたよ。これからも頑張れそうだよ」 「そう言ってもらえると私も満足だよ」 ユーノもなのはもヴィヴィオも心から満足している。 「ママー、ユーノくーん、こっちすごいよー」 ヴィヴィオが呼んでいる。 二人は微笑みながら、ヴィヴィオの所へ歩いて行った。 山の頂に吹くそよ風は三人に更なる清涼感を与えた。 今日の出来事はユーノだけでなく、なのはやヴィヴィオにも明日からの頑張る活力になることだろう。 61スレ SS なのは ヴィヴィオ
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/253.html
流れを読まないユーカリSS zFIarXJC とりあえず流れを読まずユーカリSS投下するぜ JS事件が終結し、レリックについての報告会が教会で行われることになり、 八神はやて部隊長以下分隊長、副隊長陣が集まっていた。 そして、それに加え管理局側からはロストロギアの専門家であるユーノ・スクライアが召喚された その後、報告会も無事に終わったわけであるが、事件はその時に起こったのである 「騎士カリム、お久しぶりです。」 「あら、スクライア司書長。私は貴方とは初対面のはずですが。」 ユーノがカリムに話しかけたのだが、それに対するカリムの返答はそっけないものであった。 「何やユーノ君、ふられてしもたなぁ。というかナンパとしちゃ古典的やで?」 「スクライア司書長!貴方という人は・・・・・・品行方正な殿方と聞いていたのに・・・・・・」 そして、その光景をみたはやてはユーノをからかい、シャッハは額に青筋を浮かべてしまった 「え?いや、ナンパとかじゃなくて、その騎士カリム、私です、ユーノ・スクライアです!」 「知りません。」 必死で訴えるユーノとにべにもないカリム。 「何やユーノ君。しつこい男は嫌われるで? カリムが好きなんやったらちゃんと手順をふんでやなぁ、 ってなのはちゃんお願いやからこっちにらまんといて。というか何で私がにらまれるんや!?」 「奸賊、ユーノ・スクライア・・・・・・覚悟はいいのでしょうね?」 そして、はやしたてるはやてとブチ切れかけるシャッハさんと、その後ろで魔王になっているなのはさん 「私のユーノはそんな可愛らしくない物言いはしません。」 そこに、拗ねた様なカリムの言葉が入る 「えと、騎士カリム?」 だが、カリムはユーノのその言葉に対し拗ねたように顔を背け返答をしなかった 「あー、その、カリム。その、もしかして怒ってる?」 「当然です。昔あれだけ可愛がってあげたのに、連絡の一つもよこさず。」 あまりに唐突に変わった話の流れについていけない周りを置き去りに ユーノとカリムは二人の世界に入っていっていた 「貴方がジュエルシードの発掘のあと、 暫く行方不明になっていたと聞いたとき、私がどれだけ心配したかわかっているんですか!? 昔からユーノは何でもかんでも自己完結して、 少しは回りを頼りなさいとあれほど口をすっぱくしていっていたのを聞いていなかったんですか?」 「ごめん、カリム・・・・・・その・・・・・・・」 「言い訳なんて聞きたくありません!・・・・・・本当に、心配したんですよ?」 と、怒涛のようなカリムの説教に、ユーノ自身もまったく口を挟めないで居た 「でも・・・・・・再びこうしてまたカリムと話すことが出来て僕も嬉しいんです。」 「見え見えのお世辞なんて聞きたくないです。アレ以来一度も会いに来てくれなかったのに。」 「ごめん・・・・・・でも、僕はJS事件の後、すぐに管理局入りしちゃったから・・・・・・あまりカリムに会いにいくとさ まわりからあらぬ噂を立てられるかもしれなかったし・・・・・・ 君の地位目当てだって言われるのもいやだったから・・・・・・」 「まったく・・・・・・昔から変なところで回りに気を使うんですから、ユーノは。いいです、許してあげます。」 「ありがとう、カリム。」 どうやらようやくカリムの許しを得られたようだとユーノが胸をなでおろした そんなユーノの手を、カリムの手が掴んだ 「さ、久しぶりに一緒にいろいろ楽しみましょう。 シャッハ、何時までもデバイスを構えていないで早く車を。」 「え?あ、は、はい。」 「ちょ、カリム引っ張らないで!」 「ささ、ユーノ。早くいらっしゃい。」 そうして引っ張られていったユーノと、慌ててついていったシャッハ その光景にあっけにとられ、管理局組がなんとか反応できたのはそれから暫くして、 カリムたちが車で出てしまった後だった 同じような設定で書きたいという酔狂な人がいたら、自由にこの設定使ってくれてかまいません 23スレ SS カリム・グラシア ユーノ×カリム ユーノ・スクライア
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/203.html
新たに使い魔を リニス ID RTvPoxp9 619の電波を受けて俺も電波を受信した。 エロ方向に向いている今の流れをブッタ斬るかもしれないが。何、気にする事は無い。 偶然だったのだろうか? それとも運命だったのだろうか? 無限書庫の最深奥。 そこに存在する本、無限書庫の中枢。 この世の森羅万象を書き記したロストロギア「万物の運行表」 元々、無限書庫はこのロストロギアを封じる檻であり、 このロストロギアのバックアップを保管するシステムであり、 そしてこのロストロギアを心なきモノから隠す迷宮であった。 実体を持ち得るほどに膨大で莫大な情報の元に辿り着いたのは、一人の考古学者。 無限書庫の長、ユーノ・スクライアであった。 「こんなモノが、無限書庫にあったなんて」 この世の全ての英知を前にして、しかしてユーノはそれに触れようとはしなかった。 とてもではないが、人間が手を出して扱いきれる代物では無い。 本から放たれる波動……常軌を逸脱した記述量から漏れる情報の波だけで気分が悪くなってくる。 シールドを張ってこの様なのだから、 素のままで近づいたらそしてコレに触れたらどうなってしまうのか容易に想像がつく。 「これは、ここにこのままにしておいた方がいいな」 学者として、このロストロギアに興味が無いわけではないが一人の人間としての恐怖が勝った。 仮に持ち出したとしても、碌な事には成らない。未来永劫、この場所に眠らせておく方が良い。 そう考え、帰ろうとする。 だが、そこでユーノはふと振り返る。 「?」 気のせいだろうか? 今、誰かが誰かを呼んだ気がするのだが。 しかし、見渡してみても無限書庫の心臓部であるこの場所には、ユーノ以外誰もいない。 あるのは、危険なロストロギアが一つだけ。 「まさか……このロストロギアが?」 今の技術でもインテリジェントデバイスが創れるのだ、 より高度な技術で創造されたロストロギアに意志があってもおかしくは無い。 呼び声の正体を確かめようと、ユーノは耳を澄ます。 《……イト…フ…ェ……フェイ………フェイト……》 「フェイト? フェイトを呼んでる?」 思い浮かんだのは、幼馴染みである一人の女性。 輝くような金髪と、紅い瞳が特徴的な彼女の姿が自然と現れ。 そして、それがマズかった。 「!? う、わ……!!」 『万物の運行表』から、ユーノ目掛けて文字の帯が幾つも放たれる。 それは回避する暇を与えず、 展開していたシールドをあたかも存在していないかのように貫通してユーノを捕らえた。 「う……なに、を……!?」 呟いた瞬間、ユーノは全身を痙攣させる程の不快感に襲われる。 並の人間ならば、即座に気を失って居るであろうその中で、ユーノは意識を保っていた。 それは、ユーノが普段から慣れしたんだ魔法のソレと酷似していた為にある程度の耐性が出来ていた故の悲劇である。 「ぼ、ぼくのあたまのなかを、きおくをしらべてる!?」 そう、それは検索魔法と読書魔法のそれと同じだった。 『万物の運行表』は……いや、その中の一つの記述が、 ユーノの記憶から何かを探し出そうとしているのだ。 「冗談じゃ……無い!」 ユーノは、自分の頭の中からソレを追い出そうとする。 他人に好き勝手記憶を覗かれるのは気分の良い物ではないし、 どうにも術式が拙いせいで引っかき回されるこっちとしては気が狂いそうだ。 《フェイト》 「フェイトは、ここにはいない!」 《ソレ》は、フェイトを探し求めている。 ユーノの記憶を探っているのは、《ソレ》が物質と情報の違いを認識していないせいだ。 つまり、ユーノが記憶しているフェイトを、 ユーノの頭の中にあるフェイト・T・ハラオウンの情報を「フェイトが其処にいる」と誤認している。 「僕の頭の中から、出て行け!!」 裂帛の気合いと共に、ユーノは頭の中から術を弾き出そうとする。 無限書庫司書長として活用している処理能力の全てを、その為に向けた。 《!!》 「ぅあ!?」 ユーノと《ソレ》の意識がぶつかり合う。 目の前が真っ白に染まり、術がユーノから弾き出される刹那、ユーノはある光景を目にした。 幼い頃のフェイト、そしてアルフ。 それを限りない慈愛で見つめる自分。 フェイトが、自分の名前を呼ぶ。 ――リニス―― 気がついたとき、ユーノの前には一つの光が浮かんでいた。 まるで壊れたモニターに映った映像のようにノイズが奔り、その輝きは今にも消えそうである。 「君は……」 ユーノはそっとてを伸ばす。 間違いない、フェイトを捜していたのはコレだ。 『万物の運行表』の中の記述の一節。 それが何かしらの拍子に、こうして実体化してしまっている。 しかし、この状態は永くは保たないだろう。すぐに消えてしまう。 そして、消えてしまった方が恐らくは正しい存在だ。 「……でも」 ユーノは、《彼女》を優しく包んだ。 秩序を護る時空管理局の一員として、この行いは間違っている。 けれども、あれほどの切なる願いを知って見捨てられるほどにユーノは強くなかった。 「リニス」 名前を、呼ぶ。 ただのじょうほうの塊にしかすぎない《彼女》の名前。 そして、ユーノの魔力を受けて、それは一匹の山猫の姿を顕した。 「……よし」 ユーノは頷く。 今の彼女は、ヴォルケンリッターと似たような存在で、 ヴォルケンリッターのそれよりも遙かに不安定で儚い。 しかし、リインフォースⅡを作成した時のデータを応用すれば、もしかしたら救えるかもしれない。 「リニス、大丈夫。僕が、フェイトに逢わせてあげるよ」 ユーノの囁きに、山猫は弱々しくだが確かに歓びの声を上げていた。 16スレ SS ユーノ・スクライア リニス
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/248.html
新春ネタ 9W89ZA6K 新春の高町家、宴も酣の新年会。賑やかな声と笑い声が支配するそこに飛び込む悲鳴が一つ。 「ちょっとー!はやてにお酒飲ませたの誰ですかー!」 「えへへ、ユーノくぅん」 注目が集まる。ユーノはがたんと立上がろうとした。 が虚しくも、腕にはっしと抱きついてきたはやてにすぐずりずりと下ろされた。 「あらあらはやてちゃんったら」 「リンディさんさっきはやてちゃんに缶渡してませんでした?」 「あー確かにそんな気もするかも」 「ははは、まだ子供にお酒は早いですよ」 シャマル、桃子、リンディ、士郎ら大人陣は我関せずと笑いながら杯を交わし続ける。 唯一の光明かと思われた忠義心の厚いシグナムはすでにこのとき酒瓶を抱いて寝ていた。 ザフィーラはさっきから犬の振りをしている。平時には役に立たない騎士らである。 「ちょっと皆さん!というかリンディさん!はやてをどうにかしてくださいよ!」 ユーノが必死に叫ぶ。首にははやての魔の手が迫っていた。 「もうそんな大事でもないでしょうに、自分でなんとかなさい。 それに若いときの苦労は買ってでもしろってね」 「リンディさんの仰るとおり!据膳食わぬは男の恥ですよ。 さあさあ獣の様にはやてちゃんをガバッと!」 「そうだそうだ!なのははやらんが、はやてちゃんなら一人や二人」 「あのねえ、人様の娘さんを何だと……」 駄目だこの酔っ払いたち、なんとかしないと。自分で。 ようやく痛感したユーノだったが、それは少し遅かった。 「ちょっ、はやて近い近い近い近い近いってば!」 「ユーノくんお肌すべすべやなぁ」 ユーノの首に手を回したはやてはそのままずりずりと頬擦りをし、 ユーノはその柔らかいほっぺたもさることながら時折触れる唇にとぎまぎとし、 なのはら子供達はそんな二人をただそわそわ窺うだけで止めようとはしなかった。 「髪もさらさらやなぁ」 「匂い嗅がないで!口に含まないで!耳は弱いからやめてー!」 迫りくるはやてにユーノは身をのけ反らせ、 「うわっ!」 「きゃあ!」 そのまま後ろに倒れてしまった。 ユーノにとって問題だったのは、 倒れまいとして目の前のものを反射的に抱き締めてしまったこと。 それは、現在ユーノの胸に顔を埋めて凍るはやてだった。 「い、意外と大胆なんやね……」 急にしおらしく顔を赤らめるはやてに嫌な汗が背中から溢れるのをユーノは感じた。 「でも、でも、ユーノくんなら私……」 「誰かー!はやてをとめてー!」 はやてがタコのように唇を突き出すが早いか捕食されると直感したユーノは はやての肩を両の手でつっかえ辛うじて四つん這いの姿勢に押し止める。 「そんな、前はあんなに激しくしてくれたのに……」 しかし突然ぽつりと零れたはやての言葉は静寂のマズルフラッシュを周囲に発し、 皆の注目の視線でユーノを貫いた。 前とはつい先日の初夢の中での出来事なのだが、誰もそれを知るよしはない。 目に見えてにやにやする大人たち。目に見えていらいらする子供たち。 「ないよ!そんな事実ないですから!」 ユーノは必死に声を張り上げる。 あらぬ勘違いをされたらグラーフアイゼンの堅固な染みになりかねない。 幸いヴィータは遅くまで騒ぎ疲れたので今は涎をたらしながらお寝むなものの、 誤解を解かねば明日の朝日は拝めないかもしれない。 「ユーノくん、私のこと嫌い?」 「え、いや、嫌いじゃあないけど……」 悲しげに瞳を潤ませたはやてを前にしたユーノは毒気を抜かれて力を抜いてしまう。 しかしそれが間違いだった。 「えへへ、ユーノくーん!」 つまり、飛びかかってきたはやてに抗うすべをユーノは捨ててしまったのだ。 はやてはユーノの背中にがっちりと手を回して嬉しそうに再び頬擦り。 ああ、最近膨らんできた胸が! 曲がりなりにも美少女からの熱い抱擁に オトコノコのユーノ(あるいはユーノのオトコノコ)が反応してしまうのは仕方がないことかもしれない。 しかし一方女子の面々は男心なんて知るよしはない。 「ふん、なーにデレデレしてんのよ」 汚い物を見るかのようなアリサの一瞥。 「な、べ、別にデレデレなんか!」 「ユーノ、鼻の下伸びてた……」 「はやてちゃんが酔っぱらってるからって最低だよ……ユーノ君」 さらに、ジト目で眉を顰めるフェイトとすずかがユーノの心に斧をくわえる。 一瞬泣きそうになったのを堪えたユーノは縋りつくようになのはを見た。 「……ユーノくんのえっち」 なのはは後ろ手を組んでぷいっとそっぽを向いた。 残酷な言葉の刃は蜘蛛の糸を切断し、そのままユーノの心をも微塵切りにした。 くすん、はやてに絡まれるとろくなことがないなぁ……。 全身の穴という穴から潮水を垂れ流しながら投げやりな様子ではやてに身を任せるユーノと、 そして翌朝になってなのはたちに厳しい視線を送られて首を傾げる、 酔っていた時の記憶が全く残っていないはやてであった。 18スレ SS オールキャラ ギャグ ユノはや ユーノ・スクライア 八神はやて
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/304.html
幼女ギンガドリルシリーズ(?) の一応三作目 作者:にっぷし ぎんが「わーいっ! おっふろーー!」 すばる「……っ♪」 ユーノ「ほらほら、あんまりはしゃがないの」 青紫の長髪を揺らしてぴょんぴょん跳ねるギンガと、ちょっとわくわくした素振りをするスバル。 二人が脱ぎ散らかした服を洗濯カゴに入れたユーノは、義妹たちを軽く嗜めながら後に続いた。 ユーノ「ほら、こっち来て。ギンガからね」 ぎんが「はーいっ」 ユーノ「……どう? 熱くない?」 ぎんが「うん、ヘーキだよ」 お湯の温かさを確かめ、洗面器に掬ったお湯を軽くかけて確認を取ってから、かけ湯をする。 ギンガは手に持っていたタオルで持ち上げた髪をくるくる巻くと、じゃぼんと浴槽に入った。 ユーノ「はい、次はスバルね」 すばる「……うん」 ユーノが洗面器にお湯を汲み直しながら、スバルを呼ぶと、ててっと寄ってくる。 浴槽の縁に手を置いてくつろぐギンガは、妹が手にしているアイテムに目を付けた。 ぎんが「ねーねースバル、アヒルちゃんかしてー」 すばる「……やだ」 小さく黄色い流線型を、スバルはぎゅっと両手で包みこむ。 ゼンマイ仕掛けでぱちゃぱちゃ泳ぐそのオモチャは、スバルの大のお気に入りだった。 ぎんが「ちょっとだけー」 すばる「……だめ」 ユーノ「ギンガ、取っちゃダメだよ」 同じ手順でスバルにかけ湯をしながら、ユーノはアヒルちゃんを奪おうとするギンガを嗜める。 別に無理矢理取ろうとまでは思っていなかったギンガは、少しだけ頬を膨らませた。 スバルが、ばちゃんとお風呂に入り、ユーノもかけ湯をして静かにそれに続く。 三人でゆっくりとしていると、ユーノは唇を尖らせたギンガの視線に気がついた。 ぎんが「……わかってるもん」 ユーノ「うん。知ってるよ」 髪を結い上げた姿がほんの少しだけ大人っぽい上の義妹に、ユーノは笑顔で優しく答える。 頬を染めたギンガは内心少し上機嫌にそっぽを向いたが、ちょっとしたイタズラを思いついた。 泳ぐアヒルちゃんを眺めるスバルと、ユーノに背中を向けてごそごそと作業して準備を整える。 ぎんが「おにーちゃん、おにーちゃん! ほらほらっ」 ユーノ「ん? なに、ギンガ」 ぎんが「じゃばーーーっ」 伸ばしたドリルアームの隙間から、事前に入れていたお湯を出すと、ユーノが声を上げて驚く。 それはまさしく思惑通りで、楽しく笑うギンガだった――――が。 ぎんが「やだやだ検査やだぁーーーーーーーーっ!!」 マリエル「もー……ホントにダメですよユーノくん。精密機械な部分もあるんですから」 ユーノ「本当にすみませんでした。よろしくお願いします」 ぎんが「ふえーんっ! おにーちゃーんっ!!」 ユーノ「お風呂でドリルしちゃダメって言ってあったでしょ? 大人しく検査を受けるんだよ?」 ぎんが「あうう……ぐすっ……ううう……ごめんなさいぃ……」 ユーノ「なるべく時間作ってお見舞いに来るから。お姉さんの言うこと聞いて、頑張るんだよ?」 叱られて一日検査入院(メンテナンス)コースになってしまうギンガさんでしたとさ。おしまい。 33スレ SS にっぷし ギンガ・ナカジマ スバル・ナカジマ ユーノ・スクライア 複数キャラ 電波
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/319.html
掟破りのユーノ×リンディ early氏 自分に抱かれて安らかな寝息を立てるユーノを、リンディは優しい顔で見つめていた。 (ふふ……こうして見ると、まだまだ子供ね……。) ユーノの滑らかなハニーブロンドの髪を梳きながらリンディは思った。 闇の書事件を解決後、ユーノは無限書庫の本格稼動に向けて働いていた。だが、あまりにも無理をしすぎるユーノを心配したリンディが、あれこれと世話を焼いていたのである。 そして今、ユーノはリンディと一緒に寝ていた。これは当然ユーノが希望した訳ではなく、リンディが強引に行なった事である。 仕事のし過ぎで最近不眠症気味だと語ったユーノを心配したリンディが、良く眠れる方法があるからとユーノを家に誘った事が発端である。 そうして彼女が提案したのが添い寝であった。当然ユーノは仰天し、それを拒否したが、リンディ相手に敵う訳もなく、最終的には添い寝を受け入れる事となったのである。 だが、リンディに抱かれたユーノは早々に眠りに落ちた。今まで不眠症気味であったのが嘘のように。 「やっぱり疲れていたのね……可哀想に……。」 そう呟いたリンディは、ユーノを軽く抱きしめた。と、それに反応したかのように、ユーノが寝言を呟いた。 「……かあさん……。」 その寝言に、リンディは改めてユーノを見つめた。 (無理もないわよね……まだ九歳だもの……。) しかも彼には両親がいない。スクライア一族内では不自由無く育てられたようであるが、それでも両親がいない寂しさは埋めようがないであろう。 暫く考え込んでいたリンディであったが、いたずらっぽい笑みを浮かべると、Yシャツのボタンを外し始めた。 やがて、年不相応に美しい胸を露わにすると、その桜色の先端をユーノの口元へと持っていった。 「うん……。」 ユーノは無意識に吸い付くと、そのまま吸い始めた。 「う、んっ……。」 久しぶりに胸を吸われたリンディは思わず声を漏らす。だが、無意識に自分の胸を必死に吸うユーノを見つめる眼差しは優しげであった。 「ふふ……一生懸命吸っちゃって……。いつものユーノ君とは別人ね……。」 そう言いながらユーノの頭を優しく撫でるリンディ。いつも誰かのために頑張っている彼。そんな彼が子供らしく自分の乳房に吸い付く様は、見ていて微笑ましくなるものであった。 ……だが、ここでリンディにとって想定外の事が起こる。それは…… (ふっ……そ、そんな……ただ吸われてるだけなのに、何でこんな……ッ!!) ユーノに胸を吸わせていたリンディであったが、その予想外の刺激に手を口に当てて声を必死に押し殺しながら身を捩じらせていた。 ユーノは寝ているため、ただ吸っているだけである。だが吸い方がリンディにとっては色々と刺激される吸い方であるらしい。 甘い官能がリンディの体を駆け抜けていく。クライドが殉職してからずっとそういう事とは無縁であったのも関係しているかもしれない。 (やっ、駄目……! このままじゃ私、達しちゃう……!!) そう思うのとは裏腹に、リンディはユーノの頭をかき抱き、より強く自分の胸に押し付ける。やがて…… 「──────────────ッッッ!!」 自らの手を噛み締め、声を押し殺しつつも全身を震わせてリンディは達した。荒い息を整えながら彼女はぼうとした頭で考えた。 (こ、こんなまさか……ユーノ君にイかされるだなんて……しかも胸を吸われただけで……。) と、そこまで考えてユーノが起きてはいないだろうかと彼の様子を伺ったが、幸い起きてはいないようであった。 その事にほっとする反面、まだユーノが起きていないのならもっと出来るのではないか……という考えが浮かんでしまった自分にリンディは驚いた。 だが、思ってしまったことは止められない。ユーノの頭を胸から離し、もう片方の乳房を彼にあてがう。ユーノはまた同じように吸い始めた。 そして、リンディは再び間をおかずに達してしまっていた……。 次の日の朝、ユーノはここ最近で一番すっきりした目覚めを迎えた。 「うう……ん。良く寝たなぁ……。こんなに良く眠れたのは久しぶりだなぁ……。」 ううん、と伸びをしたユーノは、添い寝をしてくれたリンディがいないのに気がついた。 「流石にリンディさんは起きてるか。添い寝をしてもらったのは恥ずかしいけれど、でも良く眠れたのはそのお陰かもなぁ……。」 そう呟きながら、ユーノは起きだしてリビングへと向かった。 「あらおはようユーノ君、昨日は良く眠れたみたいね?」 「おはようございますリンディさん。お陰さまで良く眠れました。」 「おはようユーノ。たまにはユーノもこうやって家に泊まりにくれば良いのに。」 「おはようフェイト。こうしてクロノがいない時ならそれもいいかもねぇ。」 テーブルに着きながらユーノとリンディ、フェイトはそんな挨拶を交わす。ユーノの前に朝食を並べながらリンディは言った。 「ふふ、でもまた泊まりにきてねユーノ君。その時はまた添い寝してあげるから、ね?」 ウインクをしながらそういうリンディに、ユーノは顔を赤らめる。 その様子を見ていたフェイトはしかし、違和感を覚えていた。 (何か母さん、いつもよりかなり本気な物言いだなぁ……。あんなに強く押すだなんて珍しい……。) これより暫く後、フェイトが事の真相をリンディ自身から教えられ、彼女もユーノに添い寝(+色々)をしたり、更にはリンディ・ フェイト・アルフで添い寝(+色々色々)をしたりするのだが、それはまた別のお話。 48スレ R-15 SS フェイト・テスタロッサ・ハラオウン ユーノ×リンディ ユーノ・スクライア リンディ・ハラオウン
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/49.html
はやてちゃんのアニマルセラピー 2008/10/10(金) 作者:にっぷし 「うーん……突然『リフレッシュ休暇を取れ』なんて言われてもなぁ……」 時空管理局は本局内にある、少しばかり立派な部類の居住施設。 一人暮らしをしている青年ユーノ・スクライアは、突然の休暇を完全に持て余していた。 寝て、起きて、朝食を食べて、軽く片付けや家事をして、昼食を食べて。 そして昼下がりの現在、特にすることもないのでボーっとしながら本をパラパラめくっている。 わざわざクラナガンに行く気にもなれないし、もう一度寝るには中途半端に眼が冴えている。 論文に打ちこんだらリフレッシュ休暇の意味がなくなるしで、微妙に八方塞だった。 友人はみんな忙しいし、偶然休みが重なったはやてから誘われた外出については断っている。。 仕事が明けたばかりで疲れていた時に誘われたため、『家で休む』とほぼ反射的に断ったのだ。 悪いことをしたと思うし、もしかしたら勿体無いことをしたのかもしれないなともちらりと思う。 こうして部屋でボーっとしているよりは、少し疲れてでも楽しい時間を過ごすべきだったかもしれない―― そんなことを思っていると、不意に玄関の鍵が開く音がした。 おや、と半分働いてない頭でユーノが思う。合鍵を持っているのは、なのは、フェイト、はやての三人。 なのはとフェイトは仕事なのでここに来ることは出来ないので、そうなると来たのは多分―― ぼーっと考えていると、ずかずかと廊下を歩く音がして、バーン! と勢い良く扉が開かれる。 姿を現したのは案の定八神はやて。しかし彼女は、顔だけ出して全身をすっぽり覆うたぬきスーツを着ていた。 丸い耳と楕円の尻尾がついた、着ぐるみというよりは子供用のパジャマのような茶色い衣装を着て声を張り上げる。 「やっほー! ユーノくん! はやてちゃんが遊びに来たったよー!!」 バーン! と1カメ。左からの引いた全体像で、高らかに登場を告げるタヌキはやての姿。 「遊びっていうか、一緒にごろごろ昼寝しよー! そのためのタヌキスーツです!」 バーン! と3カメ。右からの引いた全体像で、胸にどんと手を当てて自信満々に言うはやての姿。 「はやてちゃん式アニマルセラピーで、二人仲良くリフレッシュしよー!!」 バーン! と2カメ。正面からのアップで、これでもかという笑顔のはやての姿が写される。 効果音付きで三方向からのカメラワークを使って登場したチビな狸な姿の親友に、ユーノがぽかんとする。 ソファーで気だるそうに本をめくっていた親友をロックオンすると、はやてはいそいそとその手を取った。 そのままベッドルームに連れていき、広いベッドにユーノをポイッと投げ入れる。 ずんぐりとしたタヌキスーツの特別捜査官は、そのまま夜天の魔導書を起動させてむにゃむにゃ魔法を唱えた。 球形のフィールドが展開され、治癒、疲労回復、精神安定、魔力回復、安眠支援等の効果が発動する。 誰かからパクッた魔法を気楽に唱えたはやては、そのままベッドに飛びこんだ。チビタヌキが宙を舞う。 「へへー、それじゃ一緒に寝よかユーノくん。一人で寝ててもつまんないから抱っこやー」 「ちょっ、急すぎるよはやて……」 ぼよんとベッドに弾んだタヌキさんは、そのままユーノの身体にぎゅーっと抱きついた。 それまでぼーっとしていてされるがままだったユーノも、流石に少し頭を回して制止の声をあげる。 確かにフィールド魔法は心地良かったし、女性と触れあえることも喜ばしいが、なにもかもが急すぎた。 このままなし崩しに一緒に寝ることになると予感しつつも、声をあげてしまうのも無理はない。 魔法効果でふわふわとリラックスしながら抵抗するユーノだったが、しかしそれは驚愕によって中断させられた。 「なん……だって……!?」 お腹にぎゅーっと抱きついているはやての背中に手を触れた瞬間、衝撃がユーノの背筋を駆け抜けた。 ふっかぁぁーっと触れる極上の手触りにゾクゾクと快楽が走り、驚愕の言葉が口をついて出てしまう。 はやてが着ているタヌキスーツは、怖ろしいまでに心地良い手触りをしていた。 身近にアルフ、ザフィーラ、リーゼロッテにリーゼアリアという優れたもふもふに囲まれて育ち、かつ、 フェレットモードという自前で自慢のもふもふさえ持っている、もふもふブリーダー、ユーノ・スクライア。 そのユーノをしてさえ驚愕せざるを得ないほど、はやての着ているタヌキスーツは圧倒的にもふもふだった。 ユーノの驚愕に気付き、ユーノの胸板にぐりぐりと顔を埋めて甘えていたはやてが顔を上げる。 「ふふふ……気付いたようやねぇ、ユーノくん……」 マーキングする動物のようにぐりぐりして、思う存分ユーノに自分の匂いをすりつけていたはやて。 しかし顔を上げた時の彼女の貌は、まるで異性を誘惑する術に長けた艶やかな淑女のようだった。 細めた瞳、うっすらと笑みを刻む唇。微かに染まった頬がオンナの魅力を放っている。 「このスーツ……バリアジャケット……! それも、変身魔法の要素を取り入れた……っ!」 「そや……! ユーノくんを悩殺するためだけに作った、もふもふタヌキスーツジャケット……!! ユーノくんがもふもふ好きっちゅーのは有名やったからなぁ……どやぁ? 気持ちええやろぉ」 ずんぐりとしたタヌキスーツのはやてが、うりうりと毛皮をすりつける。 一度意識してしまうとシャツ越しにさえ、はやてが身に纏うジャケットは極上にもふもふだった。 背中に回していた手を、すり……と少し撫でると、柔らかく沈みこんだ手を無数のもふ毛が撫でていく。 たとえ無数の美女から一斉にマッサージをされたとしても、これだけの快楽を味わうことは不可能だろう。 一瞬でそう悟ってしまうほどに、柔らかく、しなやかで、奥行きに満ちたそれは、まさにもふもふだった。 これに比べれば、最高級のベルベットなどデッキブラシと大差ないと思えてしまうほどのもふもふ力。 ジャスコの二階で1980円くらいで売ってそうな外見だというのに、ひとたび触れれば昇天必至の破壊力。 ユーノほどのもふもふブリーダーが、いや、違いがわかるユーノだからこそ、陥落するのは一瞬だった。 「はぁ……っ、あぅぅん……っ」 「ほぉーら、だんだん気持ちよくなってきた……ユーノくんはホンマに可愛いなぁ……」 頬を染めてとろんとした瞳をするユーノに、はやてが鈴を転がすような笑い声を立てる。 胸板に顔を埋めるように抱きしめていたはやては、じりじりと抱きつく位置を上にずらしていった。 服越しに撫でられながら昇っていくはやての手がユーノの肩に触れ、首筋に一瞬毛皮がこすれる。 「はぁぅぅっ……!!」 肌に直接触れる極上のもふもふの感触に、ユーノは一瞬目の前が白くなるほどの恍惚を覚えた。 ぞくぞくっと身体を震わせるユーノを、はやてが頬を寄せるようにぎゅーっと抱きしめる。 首に回された腕が、フード状のスーツに包まれた頬が、ユーノの肌を天上のもふ毛で刺激する。 「う……くぅ……っ、はや、て……ぇっ」 身体を丸めて全身で包むようにぎゅーっと抱きしめてくるユーノに、はやては微笑んで頬をすり寄せた。 柔らかな頬をもふ毛がなぞり、そのあまりの心地良さにユーノの脳裏に火花が散ってしまう。 反応の良さを確かめると、はやてはさらにじりじりと抱きしめる位置を上へとずらしていった。 そっと眼鏡を外して魔法を使ってベッドサイドにふわりと置き、ユーノの顔を胸に抱きしめる。 最高級のもふ毛と、その奥で見た目の印象より育っている乳房。Wの感触がユーノの顔を包みこむ。 その極上の抱擁はフィールド魔法のリラックス効果と合わさり、ユーノの精神をたちどころに丸裸にした。 「すごいよ……もふもふだ……もふもふだよう、はやてぇ……」 はやての背中に手を回し、ぎゅーっと抱きつきながら顔をぐりぐりと押し付けて幼子のように甘えるユーノ。 その長い金色の髪に包まれた頭をよしよしと撫でて、はやてが子供をあやすような優しい声を出す。 「ユーノくんはええ子やねー。たくさん甘えて、そのままおねむでリフレッシュやー」 「あうう……すごく……気持ち……いいよ……はや……て……らめぇぇ……」 からかう要素の一切ない声に、ユーノが誘われるようにゆっくりとうとうとしていく。 はやては抱きしめた金色の頭に愛しげにキスを繰り返しながら、ユーノと一緒にまどろんでいった。 ゆっくりと二人で昼寝を楽しんだ後は、まったりごろごろもふもふして、はやて手製の晩ご飯を食べる。 自宅にまで押し掛けてきたはやてと過ごすユーノのリフレッシュ休暇は、とても有意義なモノになっていた。 もつべきものは愛すべき親友だな、と思いながら、楽しく安らぎに満ちた時間をユーノははやてと過ごす。 後日『あの夜のユーノくん、可愛かったで♪』と言われて赤面する司書長の姿がひと騒動起こすのだが別の話だった。 たまにははやてちゃんが一人勝ちする夜もあるのでした、というお話でした。おしまい。 アクセス数: - 61スレ SS にっぷし はやて ユーノxはやて
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/52.html
すずかとアリサの本気 2008/10/13(月) 10月は半ば、秋も深まり日本は紅葉の季節を迎えていた。 時空管理局で働くなのは達3人は、親友であるアリサやすずかと紅葉を楽しむために、機動六課の子供達を連れて日本へと戻っていた。 その傍らには、無限書庫内で季節はおろか、曜日や日時すら関係なしで働いていたところを拉致されたユーノの姿もあった。 もっともユーノ自身、最近働き過ぎだったし溜まった有給を使う意味でちょうどいいか、と素直に連行された。 当日は素晴らしいまでの秋晴れで、やって来た公園の木々は色鮮やかに染まっていた。 秋といえば読書の秋、こんな景色の中で風を感じながら読書に耽ると気持ちいいだろうな。 いや、せっかくこんな綺麗な風景があるんだ、絵を描いてみるのも。 でも、みんなと一緒にいるんだから体を動かして遊ぼうかな。 その前に、まずはみんなが用意したお弁当を頂こう。 読書、芸術、スポーツ、食欲。秋の楽しみ方を色々模索していたユーノなのだが・・・ 「ユーノパパ~、このご本読んで~」 「ユーノお父さん、あの、絵でも描きませんか?」 「ユーノ父さん、あっちでキャッチボールしましょう」 「ファータ、一緒にお弁当食べるですー」 それぞれがユーノと一緒に遊ぼうとヴィヴィオ、キャロ、エリオ、リイン?がユーノを誘っていた。 その光景はとても微笑ましくて、とても修羅場とは程遠い光景だった。 しかし、そのすぐ近くでは修羅場が展開されていた。 「やっぱりヴィヴィオのパパはユーノ君なの。ということは、ママは私になるの!」 「違うよなのは。ユーノはキャロとエリオのお父さんでもあるんだから、私がユーノの妻になるんだよ」 「なに言うとるんや二人とも。リインこそ私とユーノの間にできた本当の子供やで」 互いにいがみ合うなのは、フェイト、はやての3人。 その拳にはデバイスが握られており、今にも起動させて全力全開な“話し合い”が始まりそうだった。 そうなれば桜色や金色、闇色に加え、紅葉よりも色鮮やかな真っ赤な光景が繰り広げられたであろう。 「まったくあんた達、こんなところまで来て何言い合いしてんのよ」 「そうだよ、せっかく久しぶりにみんなでいるんだから」 そんな暴走しそうな3人を宥めるすずかとアリサ。 毎日無限書庫に来ては、今日のように「パパ」「ご主人様」「認知」などなどの言葉が飛び交い戦闘を繰り返すなのは達比べ、 年に何回かしか会えないが会う度に綺麗になっていくすずかとアリサに、ユーノはドキドキさせられながらも安らぎと癒しを感じていた。 そういった感情を込めて二人を見ていたユーノだが、 ――カッチーン なのは達はその視線が気に入らないのか、矛先をすずかとアリサへと向けた。 「まぁ、ユーノ君との子供のおらん二人には関係の話やしな~」 「愛する子供と夫に囲まれる幸せは、なってみないとわからないよね」 「昼間は良妻賢母、夜はご主人様のペット、うへへ」 「ちょ、ちょっとあんた達いい加減に!」 突然の3人の言葉にアリサは激昂した。若干一人変なのが混じっているが・・・ 確かになのは達に比べユーノと会える回数は少ないが、自分もすずかもユーノを“好き”という気持ちは負けてはいない。 言い返そうとしたアリサの肩をぐっとすずかの手が掴んだ。 なぜ止めるのか!と振り向いてすずかの顔を見た時、アリサは硬直した。 ―あの時のすずかは、いつもの笑顔だけど、いつもの声だけど、いつもの仕草だけど、間違いなく――悪魔だった。 ―なのは達は絶対に召喚してはいけない悪魔を、呼び出してしまったのよ。 ―そして、私はその悪魔に魂を売ったの。 後にその時の心境を、腕の中に眠る赤ん坊をあやしながら“アリサ・スクライア”はこう語った。 ―ただ、すずかには、“すずか・スクライア”にはとても感謝してるわ。 その夜、ちびっ子達と遊び疲れて部屋で寝ていたユーノだが。 「ね、ねえ本当にやるの、すずか?」 「もちろんだよ。アリサちゃんだって欲しいでしょ」 この声はアリサとすずか?でもなんでこんな夜中に。 沈んでいた意識を呼び起こしユーノがうっすらと目を開くと、ベッドの上に乗ってユーノに覆いかぶさるようにすずかが、 その脇から顔を真っ赤にさせてもじもじと俯くアリサが見えた。 しかも、すずかは黒のアリサは赤のネグリジェに身を包み、月明かりに照らし出された二人は扇情的であると同時に、 天から舞い降りた天女のように美しかった。 その下には何も着けていないのか、薄く透けている生地の奥には、、、 これ以上は全年齢板的にも、作者の筆力的にも限界である。 「あ、起きたんだユーノ君」 「ユ、ユユユ、ユーノ!?違うの!こ、これは、あの、その」 ユーノが起きたことに慌てふためくアリサだが、そんなに手振り身振りされると揺れたり透けたりで目のやり場が。 顔を背けようとしたユーノを、すずかが両手で押さえ込んだ。 互いの息が掛かりそうなくらい体を密着させてきたすずかは、甘く艶やかな声で言葉を紡いだ。 「なのはちゃん達にだけ子供がいるのはずるいよね。 だから、私達にもちょうだい、ユーノ君との本当の子供」 61スレ SS すずか なのは はやて アリサ フェイト ユーノxすずか ユーノxアリサ 複数CP
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/267.html
Non-derelictその2 * 無限書庫の勤務実態とか、教えを請うスバルの様子とか、互いの日常とか、はやてとギンガの出会いとか、 ユーノとはやての友情秘話だとかを一通り話し終えてひと段落ついたところで、漸く三人は本題に移った。 「それで、頼みごととは?」 身を乗り出したギンガは真剣な様子で訊ねた。 「無限書庫に配属されたチンクちゃんがユーノ君と顔を合わしてくれないらしいで」 はやてが意地の悪い笑みをユーノに振りまいた。しかしユーノは動じなかった。 「え、チンクが?それはまた……珍しいわね。またどうしてそんなことに」 「ユーノ君がチンクちゃんにセクハラしたんや」 「え、セクハラ……ですか?」 途端にギンガは冷たい目をしてユーノを睨んだ。声は極寒の硬さを持っていた。 「違うよ。はやては酔うとすぐ嘘を吐く悪癖があるんだ。僕も困っていてね」 それはあんたや! 隣に座りながらも暢気に笑ってかぶりを振るユーノの二枚舌に、 はやてが言葉を失うのも至極もっともなことだった。 はやての引き攣った左の口角はユーノにも見えているはずだが、ユーノがそれを気にする様子は全くなかった。 鱈目の嘘八百、事実無根の捏ち上げに噛み付いて、真実を暴露して恥を掻くかせてやろうと思ったが、 その不穏な空気を感じ取ったユーノに、 『暫く黙っていろ』ときつく念話で制され、はやては渋々ながらもそれに従った。 「あ、そうでしたか。あはは、そうですよね。そんなまさか、ユーノさんがセクハラだなんて、悪い冗談です」 ギンガは直ぐ人懐っこい顔に戻ってユーノに笑いかけた。 親友よりも会って間もない人を信じるんか……。 はやてはとても悲しくなった。もうどうにでもなれといった様子だった。 「まったくだよ。いや、でも……」 ユーノは片手で顔を覆って俯いた。まるで涙を抑えているようだった。 それは虚仮威しだとはやてだけが直感していた。 「ユーノさん?」 ギンガが心配そうに顔を顰めた。次いではやては怪訝そうに顔を顰めた。 「きっと僕は、チンクにとってみたら、それくらい酷い事をしてしまったんだ」 演技が始まったー! 「え、え?ど、どうなさったんですか?」 その豹変にわたわたと慌てたギンガが促し、ユーノはあたかも苦々しさを噛み殺したように続けた。 「……チンクが、老成した精神とは釣り合わない幼い身体にコンプレックスを抱いているのは知っていたよ。 いや、それだけじゃない。その実、断じて彼女は冷たい機械なんかじゃなくて、 温かい心を持った、一人のか弱い少女なんだ」 それ私が言ったことのまんまやないか! ユーノの声は重く、しっかりと真剣味を帯びていた。 やり場のない怒りに、妄想の中ではやてはユーノに飛び掛かってアナコンダチョークをかけた。 「……はい、その通りです」 戦闘機人を人間として是認するユーノに、ギンガは複雑な表情で、しかし少し嬉しそうに頷いた。 ギンガはユーノの言葉を受けて、当のチンクか、あるいは同じく戦闘機人である己か、 それとも両方を考えたのだろうか。 一体どれかを思ったのか。それは、ギンガの横顔を傍から見るはやてには全く見当もつかないことだったが、 とりあえず、既に頭の中のユーノは絞め落とされて泡を吹きながら痙攣していた。 「……昔ね、僕にはアスティナっていう、一つ下の妹分がいたんだ」 胡散臭い昔語りも始まったー! 「もちろん他の部族の人もそうだったけど、 みなしごの僕にとって、その子は唯一の家族、本当の妹みたいなものだった」 顔を上げて明朗にユーノが語り出す。目尻に涙が浮かんでいた。 はやてもその名演技と滑らかな舌先には少し感心してしまった。 ギンガは疑念も無くユーノの話を受け入れているようだった。 しかし、はやてはどうしても二人に付いて行けずに断念した。 「素直な子でね。僕によく懐いてて、お兄ちゃん、お兄ちゃん、って言っていつも後ろに付いて来てたんだ。 確かに少しは鬱陶しいと思うこともあったけど、 彼女と一緒にいた時間、それは平和な、笑顔が溢れた日々だった。 僕はそれが何時までも続くと信じていた。いや、当たり前の日常だと思って享受していた。 ……でも、別離は唐突だった」 一気に声を低くして、一旦そこで区切った。ユーノの深刻そうな顔に、ギンガは喉を鳴らした。 「スクライア一族は遺跡の発掘調査を生業にしている流浪の民。 古代の遺跡には非常に危険な罠やロストロギアがある。 そして、彼女は僕がリーダーを勤めた遺跡発掘で……。その時、彼女はまだ小さかったのに……」 消えるように途切れた言葉にギンガは息を飲んだ。はやては溜息を吐いた。 「もう彼女の面影も思い出せないのに、最近どうも、チンクと彼女が重なって見えてしまってね。 懐かしくて、愛しくて、悲しくて。 それを誤魔化そうとして、つい、からかうような事を言ってしまって……」 ギンガが悲愴な顔をしたのをはやては見逃さなかった。 「……私も、大切な妹、スバルがいます。そうなったらって考えると、その気持ちはすごい分かります」 まさか、こいつ、スバルまで出汁に使うなんて! ギンガは悲哀に崩れたユーノの表情に胸が慄いた。一方はやてはユーノの腹の汚さに胸が戦いていた。 「いや、いくら理由があったって、チンクを傷つけてしまった事は事実なんだ。 そう、チンクは女の子だ。自分の身体的特徴を気にするのは当たり前なんだ。 それなのに、分かっていた筈なのに、からうような事を言ってしまって。僕はチンクに謝りたい。でも……」 再び俯くユーノを前に、ギンガは顔を引き締めた。はやてはげんなりと顔を崩した。 「……顔を合わせてくれない。そこで、チンクと親しい私の出番、というわけですか」 「恥ずかしながら、その通りです。それに、無限書庫では体調管理の不備が命取りになる。 身体を省みずに過酷な業務を続けたら、容易く過労死にも至ってしまう。皆の管理も僕の仕事だ。 チンクは、無限書庫の司書のみんなにとっては、もちろん僕にとっても、もう家族も同然なんだ。 このままじゃあチンクが無理をしていても気付けない。……僕はもう、大切な人を失いたくない」 搾り出すようなユーノの声に、ギンガは一瞬目を瞑ってから言葉を噛み締め、ゆっくりと優しい表情を作った。 「……わかりました。そういうことなら、ギンガ・ナカジマ、及ばずながら力になります」 すっかり感動したという風情だった。 隣で大きく口を空けたまま呆れて固まるはやての様子も、ギンガの目には入っていない気配だった。 「ありがとう、ギンガさん。本当にありがとう」 顔を上げて、潤んだ瞳でユーノは身を乗り出した。 初めて見た、間近に迫る大人の男性の泣き顔に、どきりとギンガの心臓が跳ね上がった。 「あ、や。その、きょ、恐縮です……」 両手で熱い握手をしてくるユーノに、慌てたギンガは恥ずかしそうに顔を赤らめて俯いた。 そんな二人に挟まれたはやては、 手持ち無沙汰になって二人の間に割って入るように円卓のグラスに手を伸ばし、 げんなりとした顔で温くなったブルームーンを口に含んだ。 氷が融けきっていたので水っぽくて、はやては更に顔を顰めた。 ユーノのモーターモービルでギンガをナカジマ家本宅に送り届けた後、 ユーノとはやてはそのまま地上本局の宿舎に向かっていた。 すっかりと夜の帳に包まれた道路に走る車は数少なく、車内は辛うじてタイヤの駆動音が響く程度だった。 「外道やな」 助手席に座ったはやては眉間に皺を寄せて、隣でハンドルを握るユーノを睨み上げた。 「や、僕もあそこまで素直に信じてくれるなんてとんと予想外でね。罪悪感がすごいこみ上げてくるよ」 ギンガの忠犬のような甲斐甲斐しい様子を思い出したユーノは、前方を見たまま困ったように笑ってみせた。 「私を貶めるばかりか、しょうもない作り話までして取り繕ったくせに。 しかも素面で。情状酌量の余地もないで」 はやては尚も厳しく糾弾した。ユーノは困った笑みを更に深めた。 「作り話じゃないよ。アスティナっていう子はいたし、僕にもよく懐いてた」 「え、そ、そうなん?う、それはごめん」 戸惑ったように慌てて謝罪するはやての優しさに、 ユーノは不覚にも胸が温かくなってしまい、続けようとした言葉に少しだけ詰まった。 「いいや。彼女は……僕がリーダーを勤めていた遺跡発掘でジュエルシードが発見されて、ってわけさ」 してやったりと、しかし悪気の色を帯びながらユーノは苦笑した。 はやては一瞬でも同情してしまった自分の浅はかさを残念に思った。 「やっぱり外道やな……。で、そのアスティナちゃんとはどうなったん?」 「前に部族に顔出したら、結婚してたよ。一児の母だった。」 硬い声に、一瞬沈黙の幕が下りた。 「……なんとゆーか」 「時間の潮流は容赦なく人を飲み込むという好例だね。 ……僕も、まさか子供までいるとまでは思いもしなかったさ。 いや、飲み込まれたのは僕で、その波を見事に乗りきったのが彼女か。 津波が来ると分かっているのに浜辺に残ったのが僕で、小高い丘に避難したのが彼女。 過去に執着して変わろうとしないのが僕で、未来を信じて変わっていったのが彼女。それだけのことさ」 ユーノの顔にはいつのまにか笑顔は消えて、能面の様な厚い無表情が宿っていた。 「それは……」 胸が締めつけられた。はやては返す言葉を見つけられない自分を悔しく思った。 「結婚、か……」 濁った呟きは寂寞な車内に染み渡り、はやての心を浸していった。 ユーノはただ車体の腹に吸い込まてゆく目前の白線を、確認するように見続けていた。 思い定めたようにアクセルを踏み込み、モーターモービルは前へ前へと危うげな加速をする。 後ろに流れゆく街灯のか細い微光に照らされるユーノの横顔が僅かに険しくなったのを、 はやての目は確かに捉えていた。 20スレ SS ギンガ・ナカジマ ユーノ・スクライア 八神はやて
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/929.html
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ まだ視線だけで部屋を物色するキュルケにルイズはため息をつく。 「で、キュルケ。あなた、人の部屋を探り回しに来たの?」 「そんなわけないじゃない」 キュルケはようやく元の目的を思い出す。 「召喚してすぐ使い魔が怪我してたって聞いて、これでも心配して来てあげたのよ」 言い終わったキュルケは、自分とルイズを交互に見ているフェレットのユーノに視線を合わせた。 「それがあなたの使い魔なわけね」 それに気付いたユーノもキュルケに視線を合わせる。 それは互いに見つめ合うというよりも、キュルケの視線にユーノが怯えて凍り付いているようだった。 「名前はもう付けたの?」 「ユーノ・スクライア」 「ユーノはわかるけど、スクライアってどこから出てきたのよ」 「いーでしょ」 「良いけど……ふーん、ユーノね……」 キュルケはさらにユーノに目を近づける。 ユーノは背中を反らせてキュルケとの距離と保とうとした。 「普通ね。ゼロのルイズの使い魔だからもっとこー、面白いのを期待したんだけど」 「どういう意味よ」 ルイズがどことなくリスを思わせる仕草で頬をふくらませた。 「じゃあ、今度は私の使い魔を見せてあげる。来なさい、フレイム」 半分開いたままだったドアからルイズの部屋に入ってきたのは── 「これって、サラマンダー?」 ──真っ赤なトカゲだった。 「そう、火トカゲよ。きれいな鱗に、太くて鮮やかな尻尾。間違いなく火竜山脈のサランマンダーよ。素敵でしょ」 それを聞いたルイズはサラマンダーを見るために下げていた頭を上げてキュルケを睨みつけた。 「なによ!私のユーノだってね……」 「ストップ」 キュルケが片手を出して、ルイズを止めた。 「あなた、汗臭いわよ」 顔をトマトのように真っ赤にしたルイズがキュルケを部屋からたたき出したのはその直後だった。 考えてみれば汗のニオイがするのもあたりまえだった。 昨日は怪我をしたユーノを召喚してから看病でずっと部屋にいて、その後は疲れて机に突っ伏して寝てしまった。 さらに夜中に目を冷ました後はユーノを追って学院の外に出て、森の中を走り回った。 その後はジュエルシードの獣と戦って学院に戻ってきた。 その間に服を木の枝にさんざん引っかけたり、土にこすりつけてしまったらしい。 上質な上着やスカートはかぎ裂きや傷がついていたし、マントも埃まみれ。 とてもじゃないが貴族にふさわしい服装ではなく、みっともないこと甚だしい。 朝食の時間は近づいていたのでルイズは急いでタンスの中から新しい下着や服にマントを取り出し、今着ているボロボロの服を脱ぐ。 「わわわっ」 ユーノがあわてて、ドアに向かって走り出す。 「る、ルイズ。僕、外で待っておくよ」 「なに言ってるの」 ルイズに止められた。 「フェレットに見られてもどうって事ないでしょ」 「あのね、ルイズ、僕はね……」 「いいから、机の上で待ってなさい」 「うん……」 ユーノは重要なことを言おうとしたが聞いてもらえない。 仕方なく机の上でルイズに背を向けて待つことにする。 「ユーノ」 「なに?」 「こっち向いて」 恥ずかしくてそんなことできない。 できないけど……今のルイズに逆らうのもできないので振り向く。 ルイズの下着姿が見えた。 目のやり場にも困るが、どうしたらいいかもわからない。 「ユーノ、右向いて」 「うん」 ルイズから目を離せるのですぐさま右を向く。 「左を見て」 「う、うん」 なるべく正面のルイズを見ないようにして今度は左を見る。 「こっち見て」 「え、えええ!?」 「はやく」 今度はルイズを見る。 ルイズがユーノを睨みつけていた。 ユーノは、もう何が何だか考えられなくなっていた。 「おかしいわね」 「な、なにが?」 「ユーノが見てるものが私見えないのよ。コントラクト・サーヴァントはすませたのに」 「そうなの?」 ルイズは眼を細めたり、開いたり、閉じたりする。 どうやってても、ユーノが見ているものが見えない。 (これはどう?) ユーノの声が聞こえた来た。 耳からではなく、頭の中に響くように聞こえる。 「な、な、なにこれ?」 (レイジングハートを身につけて心で僕に話してみて) 「う……うん」 ルイズは畳んだ服の上に置いていたレイジングハートを手に取る。 (こう……かな?) (そう、簡単でしょ?) 「わ……すごい。すごいわ。ユーノ」 ルイズは自分の顔が自然に笑っていくのを押さえられなかった。 「念話って言うんだ。僕の世界の魔導師なら誰でもできるものなんだ。遠くにいても話すことができるよ。ルイズの言っている目や耳になるっていうのはよくわからないけど、これじゃかわりにならないかな?」 (うん、十分よ。ねえ、聞こえてる?) (聞こえてるよ) ルイズは急いで服を着ていく。 また1つ魔法が使えるようになった。 これでキュルケに少しは自慢できる。 少しでも早くキュルケに自慢してやりたいと、マントも急いで着けたところでルイズは「僕の世界の魔導師なら誰でもできるものなんだ」というユーノの言葉を思い出した。 「ねえ、ユーノ。これって私の使い魔になる前から使えてたの?」 「そうだよ。僕も魔導師だからね」 ルイズは少し考え込む。そして決めた。 「ねえ、ユーノ。みんなにはユーノは普通のフェレットの使い魔って事にしておいて欲しいの」 「どうして?この学院の人はみんな魔法が使えるんでしょ?それに使い魔もいろんなのがいるし」 「うん。中にはユーノみたいに言葉を話せる使い魔もいると思う。黒猫が使い魔になったら話せるようになった、て言うのはよくあるし。でも使い魔になる前から言葉を話せて、魔法が使えて、人間に変身するフェレットていうのは聞いたことがないの。たぶん誰も知らないと思う」 ルイズはユーノを抱き上げる。 「そんなのがアカデミーに知られたらユーノが連れて行かれるかも知れないの」 「アカデミーに連れて行かれたらどうなるの?」 「たぶん……いろいろ実験されたり、体をバラバラにされたりすると思う」 「ば、バラバラはいやだよ」 「でしょ?だから、しばらくは普通のフェレットの使い魔のふりしてて。お願い」 「わかったよ。ルイズ」 扉を叩く音がした。 「ねー、ルイズまだなの?」 キュルケが呼んでいた キュルケはわざわざルイズを待つほどには親しくはない。 少なくともルイズはそう思っている。 それなのに部屋の前にはまだキュルケがいた。 「先に行ってればよかったのに」 「そうだけど、さっきの続きを聞くのに待ってたのよ」 朝食の時間も迫っているので二人は食堂までの道を話しながら歩き始めた。 他の部屋の生徒はすでに部屋を出たらしく、周りは静かになっている。 「私のユーノだって、て言ってたじゃない。私のユーノはどうなの?」 「あ……」 考えてなかった。 ユーノの自慢できるところは思いつく。 でもそれはさっき隠しておくとユーノと相談したところだ。 「そ、そ、そ、それはね……えーと」 考える。 なにか、当たり障りのない事を考える。 「えーと」 思いついた。 「そう、そうよ。ユーノの方がずっとかわいいわ」 その後のキュルケの大爆笑は、大爆笑のしすぎで階段から転げ落ちるまでずっと、ずっと、ずーーーっと続いた。 前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ