約 454,578 件
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/223.html
愛、歪み博 作者:ad4cYLU8 今日は一月一日。 私はユーノくんと初詣に行くため待ち合わせ場所にいた あ、ユーノくんが来よった 「おーい、ユーノくーん、こっちやこっちー」 約束の時間より少し遅れてきたユーノくんに手を振る 私の姿を確認したユーノくんが駆け足で近寄ってくる 「あけましておめでとうな、ユーノくん」 「あけましておめでとう、はやて。遅れてごめんね」 頭を軽くかきながら本当に申し訳なさそうに謝るユーノくん そんなん気にせえへんのやけどなぁ… 「ええんよ、私もちょっと前に来たとこや」 ほんまは待ちきれんで2時間前からおったんやけどな 「そんなことよりこの振袖、似合っとるやろ?」 振袖の裾をつまんでエヘヘと笑う ちょっと恥ずかしゅうて顔が赤くなってしまうわ 「本当だ。可愛いね」 また臆面もなくそういうことを言う… そんなん言われたら照れてもうてユーノくんの顔、直視できんやん… 「あ、そうだ。はやて、コレあげるね」 ふぁさっ 「その格好だと首の辺り寒いでしょ?」 ユーノくんのマフラー・・・ユーノくんの匂い・・・ はっ!? あかんあかん、危うく変態さんになってしまうところやった そんなキャラはフェイトちゃんとシグナムだけでええっ! 「あ、ありがとなユーノくん」 「どういたしまして。じゃあ、行こうか」 ユーノくんのほうから手を繋ぐ な、なんやねん今日のユーノくん、積極的やないの… 私は顔が茹でダコみたいに真っ赤になっとるのを自覚する 「ちょっと待って、なんで手繋ぐねん?」 あまりに恥ずかしいので聞いてみる 「人ごみではぐれないようにね」 …ええ、そうだと思いましたよ この朴念仁 「…ときめいて損したわ」 ちょっと意気消沈して神社に向かう …あれ? 別に神社に着いてから手繋げばよかったんちゃうか、ユーノくん? ~神社~ 「うわぁ…久しぶりに来たけど凄い人ごみ」 「ユーノくん、いつも緊急の依頼とか来てこっちにこれんもんね…」 主にどこぞの黒んぼ提督のせいでな 「あはは…」 乾いた笑いをこぼすユーノくん 「きゃっ」 人ごみに押されて倒れそうになる 「おっと」 けどユーノくんに抱きとめられて事なきを得る 華奢に見えて意外に体つきがしっかりしとるんやな… 「大丈夫、はやて?」 はっ!? またちょっとトリップしかけてもうた… 「う、うん大丈夫や」 ちょっとどもった返事をしてユーノくんの体から離れる もうちょっとくっついとりたかったなぁ… 「危ないからもうちょっとくっ付こうか」 ぴとっ うわー!うわー! 肩がっ! 肩が密着しとる!? 今まで信じとらんかったけど今日から神様信じるわ! と、やっと賽銭箱の前に着いたわ 賽銭いれてー チャリン 鈴鳴らしてー ガランゴロン ニ拍手 パンッパンッ 一拝 (………) うん、自分のお願い事にちょっと空しくなったわ 「ユーノくんは何お願いしたん?」 ちょっと気になったので聞いてみる まあ、多分みんなが健康でいられますようにとかそういうんやと思うけど 「はやてとずっと一緒にいられますようにって」 へ? 「じゃあ、帰ろうか」 何事もなかったかのようにスタスタと歩いていくユーノくん 「ちょ、どういう意味やねん、待ちいやユーノくーん!」 私はそれを追いかけた 今年は彼に振り回される予感をビシバシと感じながら 18スレ SS ユノはや ユーノ・スクライア 八神はやて
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/220.html
作者:TE/f5uAS ちょっと電波受信したので投下させて頂きますよっと 「ユーノ先生ごめんなさい・・・」 スバルがユーノの前でシュンとしている。 顔を俯かせて目許には涙を溜めていて、端から見たら叱られている様にも見える。 「いや、気にしなくていいよスバル。ホラ顔上げて」 対してユーノは困り顔だ。さっきから目の前のスバルを何とか慰めようとしているがどうにも元気にならない。 「スバル、元気出してよ、僕は全然怒ってないから。」 「でも私、ユーノ先生の大事な眼鏡・・・」 「いいってば。丁度新調しようと思ってたんだ」 現在ユーノの顔には眼鏡は無い。 というのもユーノの”元眼鏡だったゴミ”はまるで地球にばら撒かれたジュエルシードのように 無限書庫のあちらこちらに散らばっており、 あげく粉々に粉砕されて回収できなくなってしまったからだ。 眼鏡がゴミにトランスフォームしたのは目の前で半泣きになっているスバルに原因がある。 無限書庫の無重力をいたく気に入っているスバルは いつものように全速力で「Icanfly!!」と叫びながら書庫に突入、 近くにいたユーノを発見して抱きつこうとして失敗、顔面にニードロップ、眼鏡破砕 というのが一連の流れだ。 そして砕け散った眼鏡の有り様を見て我に返ったスバルは冒頭の状態に移った。 「ユーノせんせの眼鏡・・・ユー・・・ノせ、のメガ・・・うっ・・・ぐすっ」 遂に堪え切れなくなって泣き出してしまうスバル。 少々乱暴なところはあるが根は真面目で優しい少女なので 好意を持っているユーノの私物を壊してしまったことで自己嫌悪モード真っ盛りだ。 「わわ、スバル泣かないでってば・・・」 メガネメガネ言いながら泣きじゃくるスバルに向かって『ガネメ!』と叫びたくなる気持ちを必死で 抑えながらユーノは考えを巡らつつ、頭を撫でてやる。 触れた瞬間に少々硬直したスバルだったがすぐに緊張を解いてなすがままになっている。 残念ながら泣き止んではくれなかった。というか余計ひどくなった。 「そうだスバル!じゃあ今度の休みに新しいメガネを買いに行くのに付き合ってよ」 「ぐす・・・ひぐっ・・・え?」 ユーノの言葉を聞いてスバルが泣き止んだ。 「メガネを壊した償いに僕のメガネを買うのに付き合ってもらう。それで許すよ」 ニコニコしながらユーノが提案する。許すも許さないも償いもクソもユーノは気にしていなかったのだが こうでも言わないとスバルは納得しないだろう、とユーノなりに結論を出した上での発言である。 「ユ、ユーノさんそれってもしかしてデートですか・・・?」 さっきまで泣いていたスバルは何処へ行ったのか、途端に顔を赤らめてモジモジしだすスバル。 「いや、メガネ買いに行くだけだから。人の話はちゃんと聞いてね」 そんなスバルの態度に反してユーノは涼しげだ。伊達に女性の幼馴染に遊ばれてはいない。 事あるごとにアリサとすずかにフェレット時に温泉へ入った事を持ち出され、 はやてには些細な事でからかわれ、フェイトは育ちのせいか無防備な誘惑をされ、 なのはの無邪気な性格に振り回されてきたユーノである。 女性の扱いにも慣れてきた事を自覚して、 もしかして僕腹黒くなったのかな?と内心凹んでいたりするのだがそれは今は関係ない。 そんなユーノの態度に気付いた素振りを見せずにスバルは嬉しそうに笑い、ユーノに腕に飛びついた。 「じゃあ今度のお休みはデートですね!!」 「お願いだから話を聞いてくれないかな。」 ようやく収まった、と遠巻きに見ていた司書たちも散り散りになっていく。 何人か割れた眼鏡の破片が鼻の穴に入ったりと大惨事になったが砲撃が飛び交う無限書庫ではスズメの囀りだ。 とりあえずここまでで。ひゃっほう!ユースバ最高! 21スレ SS スバル・ナカジマ ユノスバ ユースバ ユーノ・スクライア 電波
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/105.html
「例え『寂しさ』に抱かれても」 作者:ID 5hTEQ3ad クラナガンの片隅にユーノの自宅はある。 とは言っても、彼は大抵管理局の仮眠室で寝泊まりしているので、家にはあまり帰らない。 今日だって、5日ぶりの帰宅だ。 ドアを開け、無言で部屋の中に入る。 「ただいま」と言っても「おかえり」と返す者は誰もいないのだから無意味な事だ。 掃除も余りできず、少し埃っぽい部屋。 彼が趣味や研究で集めた本や物品で一杯の自宅。 疲れた体を引きずり、キッチンへ向かう。 調理器具のないキッチン。ここに来てから自炊する事も無いのだから当たり前だ。 唯一の例外は、弁当を温めるレンジが一つあるだけ。 いつものように途中の店で買ってきた弁当をレンジに放り込み、スイッチを入れて温めている間にシャワーを浴びる。 湯船には一度も湯を張った事がない、時間が惜しくていつもシャワーだけで済ませてしまう。 頭から温かい湯を被って、簡単に石鹸で垢と汗を流してそれでおしまい。 風呂からあがって、寝間着に着替えてとっくに時間が過ぎているレンジから弁当を取り出して夕食にする。 育ち盛りの少年にしては、ずい分と少ない量の食事。 けれども、一人の食事などそんなモノだ。一緒に買ってきたスポーツドリンクで、食事を流し込むともう家でする事はなくなってしまう。 明日は珍しく休日で、仕事も終わったから家に帰ってきたというだけの事。本局の仮眠室はユーノの為だけにあるのでは無いのだから、仕事が圧している訳でもないのに使う訳にもいかない。 自分の家だと言うのに、ここに帰ってくるまでの道のりはとても億劫だった。 ……もう寝よう、もうじき今日も終わる。折角の休日を寝過してしまうのは勿体ない。 ゴミを片づけ電気を消す。 部屋の中が真っ暗になるけれども、さすがに寝室ぐらいは解る そうして、ユーノは干していないせいで少し湿気っぽいベッドに潜り込んだ。 正直な話、仮眠室のベッドの方が清潔で寝心地も良いが贅沢は言えない。 今日は、月が二つとも隠れているせいでクラナガンの夜景だけが窓の外に煌々と輝いていた。 ふと、ベッドがギシ…と音を立てる。 それはなんという事は無い、ユーノが身じろぎした為にベッドが揺れただけだったのだが、その虚しい音はユーノにある事を自覚させてしまった。 自分を抱いてるモノがいる。 この部屋には、自分一人しかいない。それは解っている。 けれども、自分は確かにソイツの腕の中にいるのだ。 ソイツの腕は暖かく無い、けれども冷たくも無い。 実体が無いのだから当たり前だ。 ただ純粋に……心が締め付けられる。 ソイツが耳許で何かを囁いている。 辞めろ、聞きたくない。 これは自分で選んだ事なのだから、誰かを羨んだり後悔するのは御角違いだ。 ユーノは、ソレから身を隠すように布団を頭から被る。 眠ろう、眠ってしまおう。 朝になって、学会に顔をだして其処で一日過ごして、明後日になればまだ仕事だ。 部下達と目まぐるしく働いて、クロノが無茶な量を要求して。 そうすれば、コイツの事を忘れられる。 また出てくるだろうが、一時といえどコイツはいなくなる。 コイツとの付き合いは永いけれど、未だに馴れる事が出来ない。 昔は気付きもしなかった存在。 あの頃は、部族の皆がいて。 その後はなのはと一緒で、フェイトやアルフやはやて達と忙しく過ごしていた。 だから、コイツは出てこれなかった。 僕は何時になったらコイツを消せるのだろう? 何時になったら、コイツから逃れられるのだろう? ぴったりと、いつ何時であろうと僕の背後に付いて回るコイツ。 ……僕は、何時までコイツから逃げ続ける事ができるのだろうか? もし心の底までコイツに捕まってしまったら、僕はどうなってしまうのだろう? ユーノは震えながら眠りの来訪を只管に待ち続ける。 今は、眠る事だけが逃れる方法なのだ。 不甲斐無いと、思わない事もない。 けれども、ユーノにはこの存在に……「寂しさ」に対抗する術を見出せないでいる。 時計が無情に時を刻む。 彼は気付いていただろうか? いや、気付いていない事が幸福なのかもしれない。 彼の、15歳の誕生日がもうすぐ終わりを告げようとしている事を…… 今日の学会はユーノにとってとても有意義なものだったと言っていい。 今でも謎に包まれているマアナ文明について、様々な意見交換が出来た。やはり本を読み解くだけでは解らない事もあるのだ。 日が沈みかけ、すっかり茜色に染まった空の下でユーノは大きく背伸びをする。 今度の休みは、久々に何処かに出かけてみようか。 今日の成果のお陰で以前から目をつけていた遺跡・ラノラダの位置もある程度把握できたし、暇を見つけて無限書庫を漁ればマアナ文明の首都ペガーナについても何か解るかもしれない。 そんな事をのんびりと考えていたユーノの前に、見慣れた人影が映る。 「ユーノ君!」 「なのは?」 はて、何故彼女がこんな所にいるのだろうか? とユーノは首を傾げた。 だがすぐに、この大学が考古学研究の権威である事を思い出す。 考古学はロストロギア研究と密接な関係にあるので、なにか資料を探しに来たのかもしれない。 無限書庫もまだまだ整理区画が少ないし、こうした所で資料を得るケースはまだまだ多いのだ。 「御苦労さま」 最近、益々仕事熱心な彼女にユーノは労いの言葉を投げかける。 すると、なのはは一瞬不思議そうな顔をして、ユーノの言わんとした事を理解した。 「違うよ、今日はお仕事できたんじゃないの」 「え? じゃぁ、どうして?」 「ユーノくんを迎えに来たんだよ」 「僕を?」 何故、なのはが僕を? という疑問がユーノの頭の中で一杯になる。 何か約束をしていただろうか? 「……もしかして、忘れちゃってる?」 「えぇっと、ちょっと待って」 ユーノには休日が少ない。だから約束事があれば大抵は覚えている筈なのだが…… だがいくら脳内を検索しても、なのはとの約束を見つけ出す事は出来なかった。 「ごめん……今日何か約束してたっけ?」 怒られるor呆れられる、もしくはその両方を覚悟してユーノは素直になのはに聞く事にした。 だが、ユーノが予想していた反応は無く、あったのは彼女自身も困ったような表情。 「うーんと、約束をしていたわけじゃないんだけど……」 そのまま、少しの間逡巡していたなのはだったが、すぐに笑顔をつくるとユーノの手を取る。 「え、なのは?」 「行こう、もう皆待ってるの」 「皆?」 「うん!」 なのはは、そのままユーノの手を引いて歩き出す。 面喰っていたユーノだったが、この後は何も予定が無い事を思い出してとりあえず彼女について行く事にする。 「判ったから、そんなに引っ張らないでよ。なのは」 どことなく楽しそうな彼女の笑顔に、ユーノも自然と笑みを零していた。 そうして二人はクラナガンの街を歩いている。 なのはが行こうと言ったのは、第97管理外世界の極東地区にある店……要するに彼女の実家である翠屋である。 地球に行くには本局にある転送装置を使う事になる為、そこまでは歩いていく事にした。 タクシーを拾えばあっと言う間に着くだろうが、最近は無限書庫に篭りっぱなしだったので少しは運動の足しにするのも悪く無いだろうとユーノも了承する。 「それにしても、よく僕があの大学にいるって判ったね」 「だって、ユーノくんこの前学会があるって言ってたじゃない」 「……そうだったっけ?」 さて、そんな事を言っただろうか? 読んだ本の内容ははっきり覚えていても、そういう所はさっぱり覚えていない。 先程の事と言い、もしかして自分は若年健忘症にでもかかってしまったのだろうか? などと悲しい想像をしてしまった。 「ほら、この前。私が無限書庫に行ったとき」 「あぁ、あの時」 そう言えば、4日ほど前だったか。なのはが珍しく無限書庫を訪ねてきたのを思い出す。 確か、自分の休日について聞かれたような聞かれなかったような。 あの時は、本島に忙しくて半分受け流すような答え方をしてしまった。 「あー……あの時は本当にごめん」 「え、何が?」 「いや、折角なのはが来てくれたのに、あんな答え方しちゃって」 「そんなこと、別にいいってば。私だって忙しい時に邪魔しちゃったし」 「そう言ってもらえると助かるよ」 他愛の無い会話。 そんな事だけでも、ユーノには本当に久しぶりだった。 ここ最近は、口を開くのは仕事の時ぐらいだったので、何でもない話をする事が楽しく思える。 「ねぇ、ユーノくん。マアナ文明ってどんな文明なの?」 「え」 唐突に、なのはの口から今日の学会のテーマが出てきた事にユーノは戸惑う。 「えへへ……実はね、学会聞かせてもらったの」 「ええぇ!?」 夕暮れのクラナガンに響く少年の声。 人前で発表するのは職業柄慣れているが、知り合いに聞かれるのはまた別だ。なんというか妙な気恥ずかしさがある。 「いや、ちょっ…あーっえぇぇっと」 ……訂正しよう、気恥かしさなんてモノじゃなかった。そりゃぁもう盛大にテンパっている。 普段の落ち着いた雰囲気からは想像も出来ない程に慌てているユーノを見て、なのはは思わず吹き出してしまった。 「ふふっ、大丈夫。ユーノくん格好良かったよ」 「え?」 「ユーノくん、お仕事の時とはまた違う真剣さで、すっごく堂々としてた」 「……その……いや、なんと言うか……ありがとう」 夕暮れの中でもはっきりと判るぐらい顔を赤くさせているユーノ。 そのせいで、目の前の少女も茜色の仮面の下で自分の顔を朱に染めている事を全く気付けていない。 勿論、なのはは自分の事なのだからそれに気付いる。 それを、気付いて欲しいような、恥ずかしいからやっぱり気付いてほしくないような。そんな曖昧な感情をユーノの手を強く握る事で顕す。 すると、なのはに応えるようにユーノの手にも自然と力が入り、昔よりずっと大きくなった手が逆になのはの手を覆ってしまった。 「……急ごっか」 「うん、そうだね」 日もかなり傾いてきた。翠屋で待ってる皆も待ちくたびれているかもしれない。 そう思い、二人は少しだけ足を速めるのだった。 翠屋に入ったとき、ユーノを迎えたのはクラッカーの派手な音と火薬の匂い。 驚いて、茫然としていたユーノを祝福する声。 『誕生日、おめでとう!』 誕生日? 誰の? 明晰なはずのユーノは、その事態を理解するのに少しの時間を必要としている。 「ほら、ユーノくん」 「え、あ、うん」 なのはに押されて、一歩前に出る。 「ごめんなーユーノ君、本当は昨日の内にやりたかっんやけど。皆の休暇合わせようとおもっとったら一日遅れになってしもうて」 はやてが、少しバツが悪そうに謝っている。 そこで、ようやくユーノは自分が15歳になっている事に気づいた。 「そっか、昨日、僕の誕生日だったんだ……」 「……おい、まさか忘れてたとか言うんじゃないだろうな?」 「うん、すっかり忘れてた」 ユーノのボケっとした言葉に、その場にいた全員が溜息を吐くか苦笑いをする。 「もう、ダメだよユーノ。自分の誕生日忘れちゃ」 苦笑していた内の一人、フェイトがやんわりとユーノを責める。 ビックリパーティーを企画しておいて、まさかこんな反撃をくらうとは思わなかった。そのささやかな仕返しだ。 「えぇっと……」 ユーノは、まだ戸惑いながら周りを見渡す。 フェイト・アルフ・はやて・リインフォースⅡ・シグナム・ヴィータ・シャマル・ザフィーラ。 クロノ・エイミィさん・リンディさん・レティさん。 すずか・アリサ・桃子さん・士朗さん。 皆、そこに居た。 ここに居て、ユーノを祝福しくれている。 「皆、ありがとう」 その一言で、一斉に笑顔の華が咲く。 なのはが、ユーノの隣に並ぶ。 最高の笑顔だった。 だから、ユーノも笑顔になれて、そして思う。 嗚呼、僕は莫迦だったんだな。 「寂しい」だなんて、そんな事思って。対抗する術がないだなんて。 本当に、どうしようもないバカだ。 皆、ここに居る。 こんな人々だから、僕もあの道を選べたのだ。 ユーノの手に、飲み物が注がれたグラスが渡され、それを受けとる。 「それじゃぁ、ユーノくんの誕生日を祝して……乾杯!」 『乾杯!』 朗らかな声で、翠屋が一杯になる。 もう、ユーノは背中にあの存在を感じない。 当たり前だ。こんなに温かい背中に、寂しさなど存在するはずがない。 だから、ユーノの15歳の夜は素晴らしく賑やかに更けてゆくのであった。 以上。 電波がユンユンとんできて、物すごい速さで書けた。 これもスレ住民達の妄想力援護の御蔭。礼を言う。 んじゃ、おやすみなさい。 tags plugin error ページが存在しているかを確認してください。
https://w.atwiki.jp/compe/pages/194.html
「ハァ・・・ハァ・・・」 「フフフ・・・どうした少年?君の力はその程度か?」 薄暗い森の中・・・民族衣装的な服を着た黄土色の髪の少年・・・ユーノ・スクライアは、 黒いドクロを思わせる仮面にマントを装着した野太い声の人物・・・スカールと対峙していた。 ユーノの体には数えきれない程の傷が刻まれており、左手で押さえている右上腕から赤い血が流れ出している。 一方、スカールは全くの無傷であり、満身創痍なユーノを嘲笑うかのように両腕を広げて大げさな笑い声を放っていた。 「・・・」 ユーノは自身の背後に視線を向ける。 「あ・・・あ・・・」 そこには左右の髪に×形の髪飾りを着けた制服姿の少女・・・ゆのが、涙目を浮かべながら地面にヘタリ込んでいたのだった。 ☆☆☆ キッカケは些細なことだった。 『殺し合い』の会場に送られてすぐに、ユーノとゆのは出会った。 最初はお互い警戒していたものの、相手が殺し合いに乗るつもりがない事を知ると、互いの名前が似ていた事も合わさってすぐに打ち解けあった。 そして、詳しい情報交換を行うとした所に・・・スカールが現れたのだ。 スカールは二人との対話を行う事無く、問答無用で攻撃を開始した。 最初こそ、ユーノの使う防御魔法や拘束魔法によってスカールの攻撃を防いだ二人だったが、スカールはユーノが魔法を使う事を知ると二人の目には止まらぬ程の超スピードでユーノを翻弄し、まるでサンドバッグを殴るようにユーノに攻撃を加えていったのだ。 そして話は冒頭に戻る。 ☆☆☆ 「ハァ・・・ハァ・・・」 ユーノは荒い息を漏らしながら、背後にいるゆのを守るようにスカールに向かい合っていた。 「・・・チェーン・バインド!」 ユーノの叫びと共に空中から緑色に光る魔力の鎖が出現し、スカールに向かっていく。 「・・・ふん」 しかし、鎖が届こうとした瞬間にスカールの姿は消え・・・ 「・・・遅いな」 「!?」 ・・・まるで瞬間移動したかのようにユーノの眼前に姿を現し、ユーノの腹部に膝蹴りを叩き込んだのだ! 「ぐあっ!?」 ユーノの体はまるでサッカーボールのように吹き飛ばされ、地面に転がった。 「・・・ユーノ君!」 慌てゆのは、地面にうずくまっているユーノに駆け寄った。 「ハァ・・・ハァ・・・」 ユーノは膝蹴りを叩き込まれた腹部に左手を当て、荒い息を漏らしていた。 ユーノの目はもはや焦点も定まっておらず、右上腕の出血と合わさって誰が見ても限界だった。 「ゆ、ゆのさん・・・逃げ、て・・・」 自身がもう限界だというのに、ユーノは自分ではなく知り合ったばかりのゆのの安否を気にしていた。 しかし・・・ 「そんなの・・・そんなの出来ないよ!」 ゆのには己の身も省みずに自分を守ろうとしている少年を見捨てる事など出来ず・・・服が血で汚れる事も気にせずに、傷だらけのユーノを抱き締めた。 「ハハハ!美しい友情だな」 その様子を見ていたスカールは、ゆのとユーノを小馬鹿にするように呟くと、 自身のデイバッグに手を入れた。 デイバッグから出てきたスカールの手には、まるでSF映画に出てくる光線銃をライフルにしたような物が握られていた。 太く銀色の銃身が月の光に照らされて、怪しく輝いていた。 「さて・・・ではトドメといくか」 スカールはその手に握る光線銃の銃口をユーノとゆのに向ける。 ゆのはせめてもの抵抗とばかりにスカールを睨むが、スカールにとっては痛くも痒くもなかった。 引き金が引かれ、青白い光弾が放たれる。 ゆのはユーノを抱き締めながら目を瞑り、死を覚悟した。 (・・・?) しかし、どれだけ待ってもその瞬間は訪れない。 恐る恐る目を開けると・・・ 「・・・大丈夫かい?」 スカールとユーノを抱いたゆのの間に、黒づくめのコスチュームを纏った人物が立っていた。 その人物は、頭のてっぺんから爪先まで、全身を黒と紫のコスチュームで包み、顔を豹を思わせる仮面で隠していた。 突然現れた謎の人物にユーノもゆのも呆気に取られてしまった。 「ほう・・・今の一撃を受けて無傷か。面白い」 一方のスカールは、手にした光線銃の銃口を黒づくめの人物に向け、再び引き金を引こうとした。 しかし・・・ 「・・・御免!」 「!?」 スカールの背後からまた別の人物が現れた。 青い繋ぎのような服の上から薄水色の裾長の上着を羽織り、 長い黒髪を後頭部で纏めた鋭い目付きの男性だ。 その男性は、抜き身の刀を手にしてスカールを背後から切りつけてきた。 スカールは左腕で男性の刀を受け止めるが・・・ 「ぐわぁ!?」 ・・・スカールの左腕の肘から先は、見事に切り落とされてしまった。 切断面からは機械類が覗き、火花が飛び、血なのかオイルなのか判別しずらい液体が漏れだしていた。 「フフフ・・・二対一とは少し少し卑怯ではないか?」 スカールは切断された左腕を光線銃を持った右腕で抑えながらも、余裕のある振る舞いを見せる。 「黙れ!幼い子供を嬲りものにするような奴に、卑怯だなんだと言われる筋合いはねぇ!!」 「・・・同感だな」 しかし、コートの男性はそれに怯む事無くスカールに手にした刀の切っ先を向け、黒づくめの人物も指先から鋭い爪を出して今にも飛びかからんとしていた。 「フフフ・・・仕方ない。ここは引かせてもらおう」 言うが早いか、スカールの姿は一瞬にして消えた。 「何!?」 「消えた!?」 スカールの姿が消えると同時に、コートの男性と黒づくめの人物は周囲に警戒を向けるが・・・スカールが再び姿を現す事はなかった。 「ちっ・・・逃がしたか」 コートの男性は刀を鞘に納め、黒づくめの人物も指先の鋭い爪を収納した。 そして・・・二人は傷だらけのユーノとユーノの体を抱いているゆのに視線を向けた。 「!」 二人の人物に視線を向けられて、ゆのはユーノの体を強く抱き締めながら身構える。 「・・・心配しなくて良い。私たちは君達を傷つけるつもりはない」 「・・・本当、ですか?」 スカールの件もあり、ゆのは黒づくめの男性の言葉をすぐには信用できなかった。 「ああ、もちろんだ」 ゆのに語りかけながら、黒づくめの人物は顔を覆い隠す黒豹を思わせる仮面を外す。 「・・・約束しよう」 仮面の下から出てきたのは、口髭を生やしたアフリカ系男性の顔だった。 その風貌は日本人とはかけ離れた威圧感があったが、 その瞳には弱者を思いやる優しさが込もっているように ゆのには感じられた。 「・・・自己紹介が遅れたな。私はティ・チャラという」 黒人男性・・・ティ・チャラは微笑みを浮かべながら自己紹介した。 「俺は銀河烈風隊副長・シュテッケン・ラドクリフだ」 続いて、コートの男性・・・シュテッケンが名乗ったので、ゆのも名乗ることにした。 「は、はい。私の名前はゆのです。こっちはユーノ・スクライア君です」 「・・・うぅ」 その時、ゆのに抱かれていたユーノがうめき声を漏らした。 「!ユーノ君、大丈夫!?」 ゆのは苦悶の表情を浮かべるユーノに声をかける。 次の瞬間・・・ユーノの体は緑色の光に包まれた。 「・・・えっ?」 「こ、これは?」 突然の事態に、ゆののみならずティ・チャラやシュテッケンも困惑する。 光が晴れると・・・先程までユーノが抱かれていたゆのの手の中には、 傷だらけの黄土色のフェレットが横たわっていた。 「ゆ、ユーノ君が動物に!?」 「そんな!信じられねぇ!?」 突然人間が動物に変わるという異常事態に、ゆのは目を白黒させ、シュテッケンも呆気に取られた。 「・・・ちょっと良いかな?」 そんな中で、ティ・チャラは冷静にゆのに近づくと、ユーノが変化したらしいフェレットの小さな体の脈を測った。 「・・・よし、微弱だが心臓は動いている。早く手当てすれば、助かるかもしれない!」 「!お、お願いします!ユーノ君を助けて下さい!」 ゆのは涙を流しながら、自分を守るために傷ついた少年を救う事を願ったのだった。 【ユーノ・スクライア@魔法少女リリカルなのは】 [状態] フェレット形態、気絶、ダメージ高 [装備] 無し(フェレット形態)、バリアジャケット@魔法少女リリカルなのは(人間形態) [道具] 基本支給品、ランダム支給品1~3 [思考・状況] 基本 巻き込まれた人を助ける 1 ・・・(気絶中) 2 ゆのを守る 3 なのはやフェイトがいるなら、合流する [備考] 無印最終話からA s第一話までの間から参戦。 はやてやヴォルケンリッターとはまだ面識がありません。 バリアジャケットは支給品ではありません。 フェレットの姿になっても、首輪は外れません。 ゆのを『自分やなのはと同い年か一つ上くらいの年齢』だと思っています。 【ゆの@ひだまりスケッチ】 [状態] 緊張、精神的ダメージ(中) [装備] 無し [道具] 基本支給品、ランダム支給品1~3 [思考・状況] 基本 人殺しはしたくないけど、殺されたくもない 1 ティ・チャラ、シュテッケンについていく 2 ユーノ君が動物になった!? 3 今度は私がユーノ君を助けなくちゃ! 4 宮ちゃんや紗英さんもいるのかな? [備考] 2年生の中盤付近からの参戦。 ユーノを『自分と同い年くらいの少年』だと思っています 【ティ・チャラ(ブラックパンサー)@マーベル・シネマティック・ユニバース】 [状態] 健康、少し動揺 [装備] ブラックパンサースーツ(アップグレード版)@マーベル・シネマティック・ユニバース [道具] 基本支給品、ランダム支給品1~2 [思考・状況] 基本 人を助ける 1 シュテッケンと行動する 2 ユーノの手当てをする 3 人が動物になるとは・・・ 4 知り合いがいるなら合流する [備考] 『アベンジャーズ エンドゲーム』以後より参戦。 ゆのを『小学生』だと思っています。 【シュテッケン・ラドクリフ(諸刃のシュテッケン)@銀河烈風バクシンガー】 [状態] 健康、困惑 [装備] 斬鉄剣@ルパン三世 [装備] 基本支給品、ランダム支給品1~2 [思考・状況] 基本 殺しあいだと?ふざけるな! 1 ティ・チャラと行動する 2 ゆのとユーノを助ける 3 人が動物に!?どうなってんだ!? 4 銀河烈風の仲間がいるなら合流する [備考] 銀河烈風が正式にキョーラーク星警備隊となった辺りから参戦。 ゆのを『ジャッキーやファンファンと同い年くらいの少女』だと思っています。 さて、その頃スカールはというと・・・ 「むぅ~ん・・・」 手近な民家の中で、切り落とされた左腕の応急修理を行っていたのだった。 【スカール@サイボーグ009】 [状態] ダメージ小、左腕欠損、修理中 [装備] アーニミレーション99L 攻撃用武器@マーベル・シネマティック・ユニバース [道具] 基本支給品、ランダム支給品1~2 [思考・状況] 基本 総統の下に帰還する 1 帰還の為に自分以外全員殺す [備考] 『地下帝国ヨミ編』での009との決戦直前からの参戦。 【バリアジャケット@魔法少女リリカルなのは】 「魔力」によって構成される一種の防護服。 これも一種の魔法であり、大気や温度等の劣悪な環境だけでなく、 「魔法」や物理的な衝撃などからも着用者を保護する。 そのデザインは着用者のイメージによって決定されるが、着用者以外によるデザインの調整も可能。 (以上、ウィキペディアより抜粋) ユーノ・スクライアの物は民族衣裳的な外見をしているのが特徴。 【ブラックパンサースーツ(アップグレード版)@マーベル・シネマティック・ユニバース】 『ブラックパンサー』において、ティ・チャラの妹である『シュリ』が製造した新型スーツ。 旧来のスーツ同様ヴィブラニウム製だが、通常時はナノサイズに分解されて豹の爪を模したネックレスの内部に収納されており、使用者の意思によってスーツが形成・装着される。 衝撃を受けるとそのエネルギーを吸収・蓄積し、任意のタイミングで蓄積したエネルギーを周囲に放出する機能がある。 【斬鉄剣@ルパン三世】 言わずと知れたルパン一味の一人『石川五ェ門』の愛刀。 文字通り何でも切れる刀だが、コンニャクを初め切れない物も一部存在する。 【アーニミレーション99L 攻撃用武器@マーベル・シネマティック・ユニバース】 『キャプテン・アメリカ ファースト・アベンジャー』において、レッドスカル率いる秘密結社ヒドラの兵士が使用しているアサルトライフル。 四次元キューブ(スペース・ストーン)のエネルギーを利用したビームパルスガンで、一発で人間一人を跡形もなく消滅させる威力がある。 このSSが面白かったなら……\ポチッと/ 感想/ 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/232.html
* 作者:にっぷし氏 年末の疲れが抜けきっていなくても、新年の仕事はやってくる。 あはは、疲れすぎると手がプルプル震えたりするんだなー、 なんて他人事のように思って軽く現実逃避しながら司書長が仕事に勤しんでいると、 そこに一人の女性がやってきた。 「……あの、アルフから、疲れが溜まってるって聞いたから……」 おずおずと話しかけてきたのは、金髪の執務官フェイト・T・ハラオウン。 心配だけれども手伝うことも出来ず、申し訳無さそうに口を開く女性に、ユーノは笑顔でお礼を返した。 「うん。ありがとう。大丈夫……とはいえないけど、なんとかするさ」 素直に現状を吐露して貰えたのは嬉しかったが、やややつれた表情は酷く不憫なもので。 フェイトはキュッと唇を引き締めたあと、決意するように唇を開いた。 「あ、あのね、私はユーノのお仕事を手伝えないけど……その、か、考えたんだ」 「? ――フェイト?」 首を傾げるユーノに、フェイトは後ろに隠していた手を持ってくる。 そこには金色のふさふさな耳がついたカチューシャ(?)が握られていた。 「あああの、アニマルセラピーってあるでしょ? 動物に触って心を癒すっていう…… だ、だだだ、だから、わた、私がその、今日だけユーノのペットにその、なって、ですね」 あわあわと赤面して軽く涙目になり、語尾が怪しくなりながらもなんとか最後まで言い切る。 「ユーノの疲れを、少しでも、癒してあげられたらなーって……」 両目を瞑り、ぷるぷると震えるフェイト。 ぽかんとしていたユーノは、やがて言葉を理解すると、 疲れの極みにあったこともあってか彼女の提案が悪くないもののように思えていた。 「……それ、キツネの耳なのかな」 ぼーっとしたような表情のまま言うユーノに、フェイトが閉ざしていた瞳を開く。 「う、うん。金色の毛並みの動物だから」 まだ潤いが残った真紅の双眸を持つ執務官に司書長が微笑する。 「そっか。着けてみてくれるかな」 ポジティブな表情と提案に、フェイトはいそいそとキツネ耳を装着してユーノの反応を窺った。 少し緊張しながらも、相手に気に入って貰おうとそわそわした態度が可愛らしい。 「ど、どうかな……」 「うん。すごく似合ってるよ」 対人折衝は意外と体力を使う。 ユーノはにこやかに感想を言うが、そうこうしてる間にも疲労はもうかなり限界に来ていた。 一秒でも早く癒されたいという心身の悲鳴に、ユーノはもう抗うことは出来なかった。 だから簡潔に言う。 「フェイト」 「う、うん」 「おいで」 傲慢にも取れるユーノの言葉に、だけどフェイトはぱぁっと花咲くような笑顔で肯いた。 それこそパタパタ振っている尻尾が見えるような勢いで、ユーノの膝元にかけつける。 しなやかな動作で翡翠色のフローターフィールドに腰を降ろしたフェイトは、ユーノの太腿に頬を乗せた。 すりすりと頬擦りをし、甘えるように見上げるフェイトの頭を、ユーノが撫でる。 太腿に乗る柔らかな熱、手に触れるしっとりとした金髪と、フサフサとしたキツネ耳が心地良い。 疲労に強張っていた体から、力が抜けていくのを感じる。 「はーーーーー……、これは、確かに、癒されるかも……」 満足げなユーノの膝元で、フェイトもまたうっとりと瞳を細めていた。 (ユーノの手……柔らかい。あったかい……優しいなー……) そして、ユーノに少し強めに促されたときの、胸の高鳴りを思い出す。 (ユーノの……ぺット……あぅぅ、なんかちょっといいかもとか思っちゃったよぅ……) 仕事を再開したユーノは、片手でパネルを操作しつつ、片手は常にフェイトに触れている。 意識が全てこちらに向いていないながらも、確かに繋がっているという距離感は心地良いものだった。 すりすり。 さわさわ。 なでなで。 ごろごろ。 新年早々忙しい無限書庫ですが、その一部では優しく時間が過ぎていったそうな。 ユーノを癒すために頑張ってみたフェイトさんだけど、自分も癒されちゃったという話でした。 19スレ SS フェイト フェイト・テスタロッサ フェイト・テスタロッサ・ハラオウン ユノフェ ユーノ・スクライア
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/254.html
ナカジマ家ルートってことで fqfnBHMc あの事件から、数年の月日が流れた。 なのはが大怪我になってから、僕は、なのはの横に立てる人物じゃなくなった。 僕の恋心もそのときに崩れ去った。 なのはの隣には、いつもフェイトがいる。僕から見ても恋人のように見えるぐらい、 仲のいい姿を見ていたとき、昔の僕は、嫉妬心があったのかもしれない。 その怪我が治った直後から、僕は、無限書庫で何かを忘れるように、働き始めた。 クロノ達の前では、その頃から自分自身に仮面をかける様になり始めた。 自分自身の心が壊れかけたのを気づかないままに、 彼の様子に誰も気づかないまま、一年が立ち始めた。 そんな彼は、近郊の公園を気分転換で歩いていた。 ユーノ・スクライアは、現在徹夜五日を超えており、いつ倒れてもおかしくない状態だった。 ベンチに座ろうとして、地面に倒れていたのだが、 そんな彼に目を止めず数人の人は、通り過ぎていく、そんな中、ゲンヤが、ユーノに近づいてきた。 「坊主、おい、大丈夫か」 ゲンヤは、ユーノが怪我をしているのかを確認し始めたのだが、 「zzzzzzzzzzzz」 「なんだよ、寝ているだけじゃねえか」 すると、ゲンヤはユーノを抱きかかえ、ポケットから携帯を出す。 「クイント、倒れてた坊主を保護したんだが、寝かせるとこがねえから、家に連れて帰っていいか」 「わかったわ、その少年の名前とかのわかるものない?」 「ちょっと待っとけよ」 ポケットから名刺らしきもの発見し、取り出す。 「無限書庫勤務のユーノ・スクライアって書いてあるぜ」 「本局に連絡して確認をとってみるわ」 「それじゃあ、ユーノって坊主を連れて帰るからよ、後のことは頼むぜ」 「わかったわ」 そうして、ゲンヤは急いでユーノを連れて帰る。 ユーノは見知らぬ、ベッドで目を覚ます。 「ここはいったい、僕は何をしてたんだろうか」 僕は、わけがわからないまま部屋を出て、明かりがついている部屋に向かっていった。 「坊主、目が覚めたのか」 「体の調子は、どう?」 会ったことのない男の人と女の人が僕に向けてやさしく問いかけていた。 「あなた達はいったい、僕は何で此処にいるんでしょうか?」 「坊主はな、倒れてたんだぜ、確認を取って見たが、徹夜五日目だってな。 まだ子供なのに管理局も無茶苦茶しやがる」 「いいんですよ、それが僕の仕事なんで、 それに僕は、これぐらいしかとりえがないんで、頑張るしかないんです」 ユーノは、いつものように仮面を付けたような笑顔で答える。 「平気そうな顔をしてやがるが、わかる奴にはわかるぞ、 辛そうな顔で何言いやがる、無理やりで悪いが、一週間程度の有給を取らせてもらった」 「・・・・・・・・・」 ユーノは、何も言えないまま呆然としていた。 「ここで、私からの提案なんだけど、一週間、この家ですごして見ない? 少しは気が晴れるかもしれないし」 「でも、迷惑になるかもしれませんし……」 「誰も迷惑だと思っちゃいねえよ」 「娘たちも、あなたが目を覚ますを待ってたけど、寝ちゃってね、 この家では、誰も迷惑だと思ってないしね」 「そうだぜ、此処にいる間、俺達を家族としてみてくれてもいいんだぜ」 そういい終わって、ゲンヤは、ユーノの頭を撫ではじめた。 ユーノは、何故か恥ずかしい気持ちになったのだが、どこか暖かい気持ちになった。 いままで、感じたことのない感覚にユーノは、誰にも見せたこと事がなかった、涙を数滴流した。 「本当にいいんですか」 ユーノは最後にもう一回、ナカジマ夫婦に聞く 二人は、微笑むようにユーノの返事に答えた。 23スレ SS クイント・ナカジマ ゲンヤ・ナカジマ ユーノ・スクライア
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/293.html
風呂場に獣、動揺す 1話 z8Vn0K5F ユーノ・スクライアは自他共に認める後方支援担当である。 確かにかつては鉄槌の騎士ヴィータと互角に渡り合うという離れ業をやってのけたものだが、 それとて相手を倒すのではなく、倒されない事に特化した戦闘スタイルの持ち主である。 そしてこれまた自他共に認める所だが、時空管理局の巨大データベース『無限書庫』に司書として 勤めるようになってからは、戦闘技術も体力も、高町なのは達と共に戦っていた頃より落ちていた。 ――はずだったのだが。 「も、も、もお!」 「ほう!早口言葉か、ユノユノ。余裕の表れか?」 「もう今日は勘弁してください!!」 今日も今日とて、ユーノはシグナムに、誰から見ても無理矢理かつ強引に、 模擬戦の相手をさせられていた。 「しかしなんだなぁ」 太平楽が服を着て、剣を持てばこうあろう、という風情で佇みながらシグナムは、 今やどこに出しても疲労困憊の概念を、正しく伝えられるような姿のユーノに語りかけている。 「お前も大分持つようになったものだな、ユノユノ。いつぞやはサッさとくたばり掛けていたというのに」 そうユーノに語りかけるシグナムに戦場の鬼神、『烈火の将』の面影はない。 少年をからかう少しばかり意地の悪い女性であった。 「……どういたしまして。何処かのバトルマニアのおかげですよ、シグシグさん」 ユーノ自身はもの凄く意地悪く答えたつもりだが、シグナムは呵呵大笑していた。 「何が面白いんですか、まったくもう」 「すまん、そのな、シグシグというのが、ふふ、何とも面白くてな?」 それを聞いたユーノは――物凄く憮然とした顔をして、それをまた笑われた。 ユーノがユノユノ、シグナムがシグシグ。 この様に互いに呼び合うようになったのは、ある日の模擬戦の時、ふとしたきっかけからであった。 なんとも子供らしくない――それを言うならシグナムの主もだが――ユーノ。 そんな彼に子供らしく居て欲しい、という至極真っ当な理由から、 存分にユーノを子供扱いするためにシグナムはユーノの昔のあだ名を聞いたのだった。 「なぁ、ユノユノ」 「なんですかシグシグさん」 一方のシグシグという呼称の誕生秘話であるが、凄い単純である。 ユノユノという単語を聞いたシグナムが爆笑したので腹いせにシグシグと呼ぶことにした。 それだけである。 とはいえ、なんだかんだで今では二人とも、すっかり気に入っている。 「とりあえず風呂にでも入るか」 「へ?」 脈絡が無さすぎて、頭に一気に血が上るを感じるユーノであったが、少し考えれば当然のことである。 二人ともが模擬戦で中々に汗をかいたわけなのだから。 「……そうですね、ささっと行って汗を流しましょう」 行きましょう、行きましょう、と独り言のように答えながらユーノは、そそくさと先に歩を進めた。 果たしてユーノが少しばかり狼狽したことがシグナムにばれたかどうか――それは彼女だけが知る事である。 ――何故かニヤついていたのだが。 さて。 人生の岐路とは思わぬところに在るものである。 朝少し早く目覚めたとか、何の気なしに手に取った本の一文とか――模擬戦を終えたタイミングとか。 「あら」 「ふむ」 大浴場でユーノとシグナムの目に入ったのは数文字の結界であった。 『只今男性浴場清掃作業中』 ユーノは幾許かゲンナリとした。本局には他にも大浴場はあるが、多くの局員と、 広い局内をカバーするために、各浴場はそこそこに離れている。そこまで行くのは面倒である。 とは言え仕方ない。運が悪かったのだ。 ――そう。ユーノにとってのみ、運が悪かった。 「じゃあ、シグシグさん、僕は」 別のところに、と言おうとして、無造作にシグナムに捉まれた。 「え」 「行く必要なかろう?」 「な、なんでです」 否――シグナムの答えは既にユーノにとって予測済み。 そして、それは。 「女湯に入ればいいだろう。子供なんだから」 あたった。 なのはゴメンなのはゴメンなのはゴメンナサイ!! 無理です無駄です無謀です勝てるわけが無いんですっていうか拉致だよコレは!! ユーノの名誉のために言うが、彼は割と力ずくでシグナムに連れ込まれた。 「あう……」 「別に構う事ではないと思うのだが」 「か、構いましょうよ!僕は!」 「子供だろうが、ユノユノは」 結局、更衣室の扉前まで、何ともはやな問答は続いた。 もう、ここまで来てはユーノ一人で外に出る方があらぬ誤解を招く。 ――狙ったな、と思うユーノであった。 さて。 人生のおいて想定外の事はよくある。 桜が咲いている時に雪が降るとか、拾った宝くじがあたるとか。 今回のユーノの場合は更衣室の中にあった。 (中に誰かしら居るなぁ) はぁ、と心で溜息をつくユーノであったが、 実際のところ、相手がユーノでは、 きまずい――と感じるのはユーノのような多少大人びた、というかませた子供だけである。 さて、シグナムによって『強引』に一緒に入った先に居たのは。 「あら、ユーノ君にシグナムじゃない」 「あぁ、割と珍し……くも無いわね、最近じゃ」 下着姿のリンディ・ハラオウンとレティ・ロウランだった。 「きゃーーーーーーーーーー!!ごめんなさいゴメンナサイ!!」 慌てて、多分ソニックフォームのフェイト・T・ハラオウンの動きより素早く、 ユーノは目を覆って後ろを向いた。 「お前がきゃぁ言うな」 割と呆れ気味にシグナムが突っ込んだ。 「いや、だっだっだって!?」 「あら~、そういう反応って事は、私達もまだまんざらでもないって事かしらね?」 「ふぅん、それは嬉しいわね、ユーノ君?」 赤面し続ける少年をからかう大人気ない二人であった。 対してシグナムはというと。 「やれやれ、ませガキめ」 更に呆れていた。 風呂に入るのだから服は脱ぐ。脱がなくてはならぬ。 何は無くとも、男女ということを意識してしまう純情少年にとって、 絶世とか傾国とかが付く美女三人の裸体を見てしまったら、脳の血管が弾け飛ぶこと間違いない。 故にユーノは考え出した。 早く着替えて速く入る――これだ、これしかない。 人間、こういう危機的状況に遭遇した場合、頭は素晴らしく回転する。 ではそれが正しい解かというと――話は別だ。つまり、実行可能かどうかが度外視されているのだから。 (急げ急げ急げ僕!さっと入ってさっと出る!) 目論見は一言で瓦解した。 「ユ・ウ・ノくーん♪」 「わぁ!……きゃーーーーーーー!」 話しかけたのはリンディ、答えたのは当然ユーノ。 先に出た『わぁ』は突然の呼びかけへの驚き、 後の叫びは――もうタオル一枚だけのリンディの胸の谷間を直視したためであった。 赤面してパニくるユーノを見てリンディは楽しくて仕方ない様子である。 「あら~、いい反応よね。ね、レティとシグナムもどう?」 「からかわないのよ、リンディ」 「ふぅん。まぁ、その内にでも」 それなりに活動停止したユーノの脳が再起動したのは、 三人から先に入っていると告げられてからだった。 19スレ SS シグナム シャマル ユノシグ ユーノ×シグナム ユーノ・スクライア リンディ・ハラオウン レティ・ロウラン
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/257.html
とあるイフねた・3期8話編 00v0uqTw 「さびしいさよならもあったけど…私にとってはいろんな始まりのきっかけでもあったから」 「――うん」 フェイトの言葉にうなずくユーノ。 確かにあれは悲しい出来事だったかもしれないが、自分達の、今に繋がる始まりだったのだろう。 「ユーノく~ん、フェイトちゃ~ん」 二人の姿を目にしたからだろう、駆けていくなのは。 その声に気付いた二人はウィンドウを消し、振り返った先にいるなのはに微笑みかけようとして… 「ユーノせんせー!!」 ばきゃごっ!! 突然横から突撃してきた青い弾丸に、ユーノが吹っ飛ばされた。 「……え?」 停止するなのはとフェイト。 見てみれば、マッハキャリバーを装備したスバルが思いっきりユーノを押し倒していた(二人主観) 「…スバル?」 「はい! ユーノ先生!!」 上半身を起こし、問いかけるユーノに笑顔で答えるスバル。 埃を払いながら立ち上がる彼にスバルは再び抱きついた。 「せんせー久しぶりですよ! もー、六課設立前以来ですね!」 「あはは、ゲンヤさんやギンガには何度かあったんだけどね。スバルとはそうなっちゃうか」 「うー、父さんもギン姉もずるいー」 さっきのように体を抱きしめてこそいないものの、 腕に抱きついたまま腕にすりすりしながら笑顔を浮かべるスバルと、 そんな彼女にいやな顔ひとつせずにこにこしているユーノ。 その空気に入り込めないなのはとフェイトが問いかけあぐねていると、スバルの頭がごつんと叩かれた。 頭を抑えながらスバルが振り向くと、そこにいたのは―ティアナ。 「痛いよティア~」 「そっちこそ何やってるのよスバル! ユーノさんの姿見たらいきなり走ってって! しかも危うく怪我させるところだったでしょ今の!」 「まあまあ。ティアも押さえて」 「ユーノさんは優し過ぎるんです!」 「わー、ティアいつもどおりに戻ったー」 「? 何かあったの?」 「いえ、その…ちょっと誤射をしちゃって」 「気にしないでって言ったのに、気にしすぎなんだよティアってばー」 「う~ん、ここは確かにスバルの言うとおりかな。 ティア、反省しないのは困り者だけど、だからって引きずり過ぎるのも良くないよ。 間違いは誰だってするんだから、繰り返さなきゃいい。ね?」 「…はい」 「あー、なんかティアってばなのはさんの時よりも素直ー!」 「う、うっさい!!」 三人の間で生じる、和気藹々とした空気。それに耐えられなくなったか、なのはが声をかけた。 「え、ええと…二人とも、ユーノくんの知り合い?」 「え? ああ、はい…私はスバルからの紹介で」 「私は父さんがせんせーを家に連れてきたのが繋がりで…ええと、あれっていつでしたっけ?」 「ええと、書庫に勤務してある程度経ったくらいだから…もう9年近くになると思うよ。 ほら、あの時はクイントさんが」 「ああ、そうでしたよねー!」 そして再び始まる彼女達だけの空気。自分達の知らなかった衝撃の事実に停止状態である。 というか「ティア」といい、「ユーノせんせー」といいどういうことだ。 愛称で呼ぶほど仲いいのかこいつらは。 フェイトはちらりと横を向く。隣のなのはは何だか顔を俯かせて、じっとその場に立っていた。 「―――」 拙い。非常に拙い。ああ、拙い。ここは何とかせねば。 「ス、スバル! ティアナ! 二人とも、仕事に戻ろう!? ね!」 「あう~」 「後で連絡するから、ね?」 いじけていたスバルだったが、ユーノに頭を撫でられ、機嫌を取り戻す。 その時の彼女にわんこの耳と尻尾が見えたのは間違いではあるまい。 「それじゃあせんせー、またー! あいしてまーす♪」 「馬鹿いってないで行くわよ。…それじゃあユーノさん、お話はまた」 「うん、二人とも仕事がんばって」 去っていく二人に手を振るユーノ。ああ、やめてほしい。隣の幼馴染の殺気が増幅していって怖いのだ。 取り敢えずはあれだ。ご機嫌を取り戻すために、ここは二人きりにさせてやれねばなるまい。 フェイト・T・ハラオウン執務官はそう決意し、なのはへと声をかけるのであった。 「ね、ねえなのは、ユーノ先生の護衛、引き継いで欲しいんだけど――」 24スレ SS スバル・ナカジマ ティアナ・ランスター フェイト・テスタロッサ・ハラオウン ユノスバティア ユノティア ユースバ ユーノ・スクライア 複数CP 高町なのは
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/238.html
The Another Striker 懐かしき幼馴染 作者:オレオレ☆詐欺 ◆ ――――フェイト編―――― ◆ 執務室の扉を開くと、キッチンの奥に引っ込む干草色の後ろ髪が見えた。 部屋中の食欲をそそる香りを鑑みれば、ユーノが食器を下げに行ったのだろうとフェイトは想像する。 「ありゃユーノ君、そんなんゆーてくれたらええのに」 「ごめんねはやて、キッチンの匂いに釣られてつい」 「あはは、待っててねユーノ君。丁度小腹が空く頃の計算だから」 「ありがとうなのは」 「もー、こっちよこしーな、洗たるから」 想像の正しさは証明された。 「ふむ」 どうしたものか。浴室と寝室の掃除は終わり、 一段落といったところだが、キッチンに行って談話に加わるべきか。 いや、それでは只でさえささやかなキッチンのスペースが芋洗いさながらの窮屈さになってしまう。 では執務室の掃除をしようか。 しかし、元よりここは整っているし、ユーノが戻ってくれば仕事の邪魔にもなるだろう。 何より、仕事場である以上見てはならない、触れてはならない物もあるだろう。 そうそう簡単に触れる様になっているとも思えないが、 だからとて無遠慮にそこかしこを弄って良いということもあるまい……。 ぽすん、と尻の下に響いた音に、フェイトは埒もない思考を打ち切った。 「……あ」 目の前の胸の高さにユーノのデスクがある。 佐官規格で発注された椅子のクッションが、まだ残っている体温の残滓をフェイトの背中に伝えた。 考えごとをしながら無意識にうろうろしているうちに、 ユーノの椅子に座ってしまったのだと自覚して、フェイトは顔を紅潮させる。 「あれ、えと、え?いつ?」 慌てている場合ではない、さっさと椅子から退かなくては。 そんな冷静な思考が動揺しきった頭脳からもたらされるはずもなく、 フェイトはただ腰だけを落ち着けておたおたとしているだけだった。 ふと、椅子に残った体温に意識が向く。 「――……」 目を閉じる。 ユーノの体温。ユーノの名残。ユーノの証。 「…………ゆーの」 「何?」 デスクの向かいに、ユーノがいる。 「………………ほわあああああああああっ!!!!」 「何っ!?」 驚愕の声を上げるフェイトに釣られて、ユーノの問いも声量が上がる。 動揺のままにフェイトの重心は後方に傾き、椅子のそれも忠実に慣性に従った。 後方には本棚。ぶつかる。 「ほ……!」 「あぶっ……!」 がたんと激しく響いた音に、キッチンの奥からなのはとはやてが顔を出す。 「ユーノく!……ん……?」 「…………何やっとるん」 ユーノの顔が近い。ユーノの吐息が前髪をくすぐる。 デスクの向かいから椅子を抑えようとすれば、必然、フェイトに飛びついて抱かれているような格好になる。 「あーフェイト、ごめんねその」 「ち!ちちち、ち、違うんだよ二人とも!? そんな、抜け駆けとか、そんなんじゃなくって、えと、これはそのね、 やむにまれぬ話せば長い事情があってね、つまり私が全部悪くて、あの、その」 「フェイトちゃんフェイトちゃん、ストップストップ」 「あーうんうん、大体状況見ればわかるからええよ」 十年来の付き合いがなのはとはやてに状況を洞察させ、ユーノも体制を戻す。 大事には至らなかったものの、だからとてフェイトの心理状態が平常に戻るわけではなかった。 「なのはとはやても、騒いじゃってごめん。僕がなんだかびっくりさせちゃったみたいで」 「大丈夫そうならいいよ。じゃあ私、戻るねユーノ君」 「フェイトちゃーん、はよ落ち着きなー」 キッチンに引っ込む二人をよそに、 フェイトの心は自己嫌悪のハムスターホイールをがらがらと回り続けていた。 ああ、私はバカだ。アホだ。ボケボケの、ダメダメ執務官だ。 そういえば執務官試験も2回落ちたっけ、よく受かったな私。 ひとつのことを考えすぎるとこれだ。 仕事をやる時は意識しているのに、なんでプライベートではできないんだろう。 ユーノの役に立とうとして、結局ユーノの手を煩わせてしまって。 勝手にユーノの椅子に座っちゃって、 うっかり本棚にぶつかっていようものなら、下手すれば本が落ちてしまってた。 逆に掃除の手間を増やしちゃうし、本も痛めちゃうし、 ああこんなことぐるぐる考えてる場合じゃないよ早く謝らないと……! 「ええと、フェイト」 「ごごごごめっ、ごめごめんなさい!」 「あ~、うん、落ち着いて?」 慣れた応対がフェイトの心に刺さる。そういえばこの類のことは何度もあったものだ。 所詮ダメダメな私が、ユーノの役に立つなどとおこがましいのだろうか。 「ありがとうね」 「……んぅ?」 お礼を言われた。何故だ。こちらが謝らなければならないのに。 「寝室の掃除、してくれたんでしょ?」 「うん」 それはそうだ。だからこちらに来たのだし。 「いつもベッドに倒れるだけでさ、フェイトが片付けてくれるのに頼りっぱなしで」 「……私に?」 ユーノの寝室の掃除。それはちょくちょくやっているけど。 ユーノは生活人としては無頓着な方だし、周りにいる人間がしっかり見ておかないと。 「いつもありがとうね、フェイト」 「……ん」 役に、立てているのだろうか。そんな些細なことで。私は自分のことでいっぱいいっぱいで、 大人になったというのにちっとも進歩していると感じない。 エリオとキャロと、ヴィヴィオがいるのに、この小さな身体がむしろ似つかわしいと思える。 ぽふと、頭に乗る感触がある。 たびたびフェイトの心を落ち着けてくれる、ユーノの手の暖かさがフェイトの頭を撫でた。 「…………」 役に立てているだろうか。進歩をしているだろうか。 私はなのは達と、母さん達と、ユーノと出会った日から、大人になれているだろうか。 お兄さんというよりもずっと落ち着いた瞳で、私たちを見守ってくれるユーノに対して、 胸を張れるだろうか。私たちの―― 「じゃあ、フェイトも一緒になのはのお菓子待ってようか」 「……むー」 いけない。やはりこれはいけない。完全に慰められている。 せめて対等の、大人の女として扱ってもらわなくては。 「ユーノ!」 「はい」 頭に乗っている手を捕まえる。この手に甘えてはダメだ。 「これからユーノの肩を揉みます」 「……はい」 「ユーノは仕事をしていてください」 「はい」 椅子の後ろに回り込んで、肩を揉む。少しずつ、できることからやっていこう。 今の姿に似つかわしい――お父さんと娘のような関係ではいけないのだ。 そのフェイトの決意も空しく、二人の傍目はどう見ても、仲睦まじい親娘にしか見えなかった。 145スレ SS フェイト・テスタロッサ・ハラオウン ユノフェ ユーノ・スクライア 八神はやて 高町なのは
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/173.html
一緒に入ろう:15歳 作者:KAN ざざ、と擦れ合うような音がする。それは風が木の葉を揺らす音だ。そちらを見ると湯気の向こうに紅く染まった木の葉があった。確か、第97管理外世界ではモミジと呼ばれるものだったか。 視線を上にずらすと白く輝く円と満天の星々。天からの月光と星明かり、地にある僅かな照明によって紅葉は色鮮やかに浮かび上がっていた。 空と自然が見える場所は、心が落ち着く。こんな時、やはり自分は放浪の部族の出身なのだなとあらためて感じる。 ざざざざ、と再び葉が揺れた。今度は先程よりも強い風。刺すような冷たさが頬を撫でていった。 しかしそれでも寒くはない。肩から下は温かい湯の中だ。火照り始めた顔を冷ましてくれたと思えば、どうということはない。いや、むしろもっと吹いて欲しかった。いっそのことこのまま凍りつかせてくれてもいい。 そう考えるに至った原因は温泉ではない。自分の背にある柔らかな感触。あり得ないことだが湯の熱を凌駕するように感じ取れる、人肌の熱だ。 自分と背中を合わせて同じ温泉に浸かっているのは幼馴染みの少女、高町なのは。 彼女がここへ入ってきた瞬間に回頭180度して、脳裏に焼き付いた艶姿を消去しようと試みていたのだが、ざぶざぶと湯を掻き分ける音が近付いてきたかと思うと背後で止まり。そのまま幼馴染みはこうして背中にもたれるように身体を湯に沈めたまま、何を言うでもなく、何をするでもなく、ただそこに在る。 ああ、何でこんな事になったのだろうか―― 発端は、友人の1人である八神はやてだった。 彼女らの世界の季節は秋。連休を利用しての旅行が企画された。参加者は海鳴の幼馴染み組5人。そこにユーノを加えての計画だった。 春頃の旅行ははやての都合上ミッドチルダで行われたためアリサとすずかは参加不可能。ユーノは仕事ということで結局は管理局組女性陣だけでの旅行となった。 しかし空港火災事件のせいで結局は休暇をゆっくりと楽しむことができなかったという。 今度こそ休暇を満喫するんや、とはやてがリターンマッチに燃え、事件に巻き込まれることもないようにと舞台を第97管理外世界へと移し、計画は進んでいった。 地元から離れてみようということで行き先は海鳴を離れた温泉地。 そこまではよかったのだ。特に問題は起きなかった。海鳴の2人はともかくとして、管理局組はユーノを含めて全員が休暇を獲得することに成功。 温泉についても文句なし。今回は誤解も何もないので無事にユーノは男湯で温泉を堪能することができた。出された料理も旬の食材を活かした上等な物で、異世界の味を十分に楽しめた。 女性陣の部屋でゲームをしたり会話を楽しんだりと有意義に過ごすことができ、就寝時の部屋についてもフェレット形態で同室、ということもなく、個室があてがわれた。 そう、ここまでも順風だった。 ただ、問題があったとするならば。 寝る前にもう一風呂浴びようと温泉に向かったことだろうか。いや、それ自体はいいのだ。先程入った岩風呂に行っていれば、心穏やかに過ごせたはずだ。そう、露天風呂へ行ってみようなどと考えさえしなければ――いや、そこが混浴だと知ってさえいれば、こんなことには――いやいや、混浴だろうと何だろうと、なのはが後から入ってこなければ―― 現実逃避を兼ねた回想を終了し、再び空を見上げた。変わらず月はそこにある。 そして、背中の冷めない熱も、変わらずそこにあった。 (うう……どうしようか……) 正直、これは拷問だ。心臓はバクバクと普段以上の活動をしているし、頭に血が上っているのは自覚している。もう一方の頭の方も、血が集まって大変なことになっているが。 離れてしまえばいいのだが、何というか、離れられない。なのはの意図が分からないこともそうだが、こうして触れ合えていることを変な意味ではなく望んでいる自分がいるのも確かだからだ。 このままでは色々とヤバイ。 「あ、あああの、な、なのは……?」 とりあえず話をしないと始まらない。煩悩と戦いつつ、背後に声を掛ける。 「ちょ、ちょっと、離れてくれないかな……」 「……駄目?」 返ってきたのは、寂しげな、悲しげな声だった。どくん、と心臓が一際大きく跳ねる。 「い、いや、駄目じゃないけど駄目というか色々と大変と言いますかっ! そ、それにみんなと寝てたんじゃなかったの!?」 「ううん。あのね、私、あの後でユーノ君の部屋に行ったの」 「ぼ、僕の部屋に?」 「うん。みんなには、温泉に入ってくるって言って。そしたらユーノ君、温泉に行くみたいだったから……待ってようかと思ったんだけど、露天の混浴の方へ入っていったから……」 だから、追いかけたの、と最後の言葉が小さく聞こえた。 「ど、どうして、そんなこと……?」 「ユーノ君とね、一緒にいたかったから……」 「一緒に、って……今日はずっと一緒だったじゃないか」 「みんなと、じゃなくて。2人だけで、一緒にいたかったの」 がつんと頭が揺れた。つまりなのはは、こうしてまで2人きりになりたかった、と。 どうしてここまでするの、という問いは必要なかった。 今までの付き合いで、何となくだが、なのはの気持ちというのは分かっていた。ただ、確証はなくてそれを確かめる勇気もなくて。自分の想いを打ち明ける度胸もなく。そのまま友人としての関係を継続してきたのだ。 「……迷惑、だった?」 不安に揺れる声が、耳を打つ。背中を丸めたのか、なのはと触れ合っていた部分が少なくなる。さっきまでどう理由を付けて離れたものかと考えていたのに、それが無性に嫌だった。 身体を少しだけ前に動かす。背中は完全に離れてしまった。あ、と切なげな声が聞こえたが、そのまま身体を反転させる。目に飛び込んでくるのは茶色の長髪とほんのり桜色に染まった肌。 その身体を、ユーノは胸元へ引き寄せた。密着した肌からなのはの温もりが伝わってくる。 「ゆ、ユーノ君……?」 「駄目?」 先とは逆のやり取り。問うと、強ばっていたなのはの身体から力が抜けた。そして、こちらが回した腕に、なのはの腕が絡みつく。 「ううん……嫌じゃない……嬉しいよ」 「そう……」 なのはを抱いたまま、空を見上げる。月はやはりそこにある。先と違うのは薄く雲を纏っていることだろうか。 「なのは、月を見てごらん」 「え?……わぁ、綺麗……」 月光に照らされた雲が、輝くヴェールのように見える。腕の中の少女がそれを見上げ、溜息を漏らした。 しばらくの間、そうやって月見を楽しむ。 「でも、おかしなものだね」 「え?」 「だって……直接想いを伝えたわけでもないのに。いきなりこんなことになってる。何だか順番をすっ飛ばしてない?」 「あ、そ、それはそうだけど……っ」 あれ程大胆だったのに、素に戻ったのかなのはが狼狽えた。その反応がおかしくて、こちらには若干の余裕が生まれる。 「まあ、手順は後でちゃんと踏むから」 このままなし崩しにではなく、ちゃんと想いを伝えよう。態度ではなく、言葉で。 「だから、そろそろ上がろうか。正直、このままだとのぼせちゃうし」 「そ、そうだね……うん、湯あたりなんかしたら大変だし……」 少し名残惜しいが、なのはから手を離す。でもいいのだ。まだ、始まったばかりなのだから。 「それじゃあ、また後で」 「うん、また後で」 顔を見合わせ、笑い合って、それぞれの脱衣場へと向かう。 そんな2人を、自然だけが静かに見守っていた。 62スレ ss なのは ユーノ ユーノxなのは 一緒に入ろう KAN