約 454,584 件
https://w.atwiki.jp/etorarowa/pages/35.html
「ハァ……ハァ……」 「フフフ……どうした少年?君の力はその程度か?」 薄暗い森の中。 民族衣装的な服を着た黄土色の髪の少年……ーノ・スクライアは、 黒いドクロを思わせる仮面にマントを装着した野太い声の人物……スカールと対峙していた。 ユーノの体には数えきれない程の傷が刻まれており、左手で押さえている右上腕からは赤い血が流れ出している。 一方、スカールは全くの無傷であり、満身創痍なユーノを嘲笑うかのように両腕を広げて大げさな笑い声を放っていた。 「……」 ユーノは自身の背後に視線を向ける。 「あ……あ……」 そこには左右の髪に×形の髪飾りを着けた制服姿の少女……ゆのが、涙目を浮かべながら地面にヘタリ込んでいたのだった。 ☆☆☆ キッカケは些細なことだった。 『殺し合い』の会場に送られてすぐに、ユーノとゆのは出会った。 最初はお互い警戒していたものの、相手が殺し合いに乗るつもりがない事を知ると、互いの名前が似ていた事も合わさってすぐに打ち解けあった。 そして、詳しい情報交換を行うとした所に……スカールが現れたのだ。 スカールは二人との対話を行う事無く、問答無用で攻撃を開始した。 最初こそ、ユーノの使う防御魔法や拘束魔法によってスカールの攻撃を防いだ二人だったが、スカールはユーノが魔法を使う事を知ると二人の目には止まらぬ程の超スピードでユーノを翻弄し、まるでサンドバッグを殴るようにユーノに攻撃を加えていったのだ。 そして話は冒頭に戻る。 ☆☆☆ 「ハァ……ハァ……」 ユーノは荒い息を漏らしながら、背後にいるゆのを守るようにスカールに向かい合っていた。 「………チェーン・バインド!」 ユーノの叫びと共に空中から緑色に光る魔力の鎖が出現し、スカールに向かっていく。 「……ふん」 しかし、鎖が届こうとした瞬間にスカールの姿は消え…… 「……遅いな」 「!?」 ……まるで瞬間移動でもしたかのようにユーノの眼前に姿を現し、ユーノの腹部に膝蹴りを叩き込んだのだ! 「ぐあっ!?」 ユーノの体はまるでサッカーボールのように吹き飛ばされ、地面に転がった。 「……ユーノ君!」 慌てゆのは、地面にうずくまっているユーノに駆け寄った。 「ハァ……ハァ……」 ユーノは膝蹴りを叩き込まれた腹部に左手を当て、荒い息を漏らしていた。 ユーノの目はもはや焦点も定まっておらず、右上腕の出血と合わさって誰が見ても限界だった。 「ゆ、ゆのさん……に、逃げ、て……」 自身がもう限界だというのに、ユーノは自分ではなく知り合ったばかりのゆのの安否を気にしていた。 しかし…… 「そんなの……そんなの出来ないよ!」 ゆのには己の身も省みずに自分を守ろうとしている少年を見捨てる事など出来ず……服が血で汚れる事も気にせずに、傷だらけのユーノを抱き締めた。 「ハハハ!美しい友情だな」 その様子を見ていたスカールは、ゆのとユーノを小馬鹿にするように呟くと、 自身のデイバッグに手を入れた。 デイバッグから出てきたスカールの手には、まるでSF映画に出てくる光線銃をライフルにしたような物が握られていた。 太く銀色の銃身が月の光に照らされて、怪しく輝いていた。 「さて……ではトドメといくか」 スカールはその手に握る光線銃の銃口をユーノとゆのに向ける。 「!」キッ ゆのはせめてもの抵抗とばかりにスカールを睨むが、スカールにとっては痛くも痒くもなかった。 引き金が引かれ、青白い光弾が放たれる。 ゆのはユーノを抱き締めながら目を瞑り、死を覚悟した。 (・・・?) しかし、どれだけ待ってもその瞬間は訪れない。 恐る恐る目を開けると…… 「……大丈夫かい?」 スカールとユーノを抱いたゆのの間に、黒づくめのコスチュームを纏った人物が立っていた。 その人物は、頭のてっぺんから爪先まで、全身を黒と紫のコスチュームで包み、顔を豹を思わせる仮面で隠していた。 突然現れた謎の人物にユーノもゆのも呆気に取られてしまった。 「ほう……今の一撃を受けて無傷か。面白い」 一方のスカールは、手にした光線銃の銃口を黒づくめの人物に向け、再び引き金を引こうとした。 しかし…… 「……御免!」 「!?」 スカールの背後からまた別の人物が現れた。 青い繋ぎのような服の上から薄水色の裾長の上着を羽織り、長い黒髪を後頭部で纏めた鋭い目付きの男性だ。 その男性は、抜き身の刀を手にしてスカールを背後から切りつけてきた。 スカールは左腕で男性の刀を受け止めるが…… 「ぐわぁ!?」 ……スカールの左腕の肘から先は、見事に切り落とされてしまった。 切断面からは機械類が覗いて火花が飛び、血なのかオイルなのか夜闇では判別しずらい液体が漏れだしていた。 「フフフ………二対一とは少し少し卑怯ではないか?」 スカールは切断された左腕を光線銃を持った右腕で抑えながらも、余裕のある振る舞いを見せる。 「黙れ!幼い子供を嬲りものにするような奴に、卑怯だなんだと言われる筋合いはねぇ!!」 「……同感だな」 しかし、コートの男性はそれに怯む事無くスカールに手にした刀の切っ先を向け、黒づくめの人物も指先から鋭い爪を出して今にも飛びかからんとしていた。 「フフフ……仕方ない。ここは一旦、引かせてもらおう」 言うが早いか、スカールの姿は一瞬にして消えた。 「何!?」 「消えた!?」 スカールの姿が消えると同時に、コートの男性と黒づくめの人物は周囲に警戒を向けるが……スカールが再び姿を現す事はなかった。 「ちっ……逃がしたか」 コートの男性は刀を鞘に納め、黒づくめの人物も指先の鋭い爪を収納した。 そして……二人は傷だらけのユーノとユーノの体を抱いているゆのに視線を向けた。 「!」 二人の人物に視線を向けられて、ゆのはユーノの体を強く抱き締めながら身構える。 「……心配しなくて良い。私たちは君達を傷つけるつもりはない」 「……本当、ですか?」 スカールの件もあり、ゆのは黒づくめの男性の言葉をすぐには信用できなかった。 「ああ、もちろんだ」 ゆのに語りかけながら、黒づくめの人物は顔を覆い隠す黒豹を思わせる仮面を外す。 「……約束しよう」 仮面の下から出てきたのは、口髭を生やしたアフリカ系男性の顔だった。 その風貌は日本人とはかけ離れた威圧感があったが、 その瞳には弱者を思いやる優しさが込もっているように ゆのには感じられた。 「……自己紹介が遅れたな。私はティ・チャラという」 黒人男性……ティ・チャラは微笑みを浮かべながら自己紹介した。 「俺は銀河烈風隊副長・シュテッケン・ラドクリフだ」 続いて、コートの男性……シュテッケンが名乗ったので、ゆのも名乗ることにした。 「は、はい。私の名前はゆのです。こっちはユーノ・スクライア君です」 「……うぅ」 その時、ゆのに抱かれていたユーノがうめき声を漏らした。 「!ユーノ君、大丈夫!?」 ゆのは苦悶の表情を浮かべるユーノに声をかける。 次の瞬間……ユーノの体は緑色の光に包まれた。 「……えっ?」 「こ、これは?」 突然の事態に、ゆののみならずティ・チャラやシュテッケンも困惑する。 光が晴れると……先程までユーノが抱かれていたゆのの手の中には、 傷だらけの黄土色のフェレットが横たわっていた。 「ゆ、ユーノ君が動物に!?」 「そんな!信じられねぇ!?」 突然人間が動物に変わるという異常事態に、ゆのは目を白黒させ、シュテッケンも呆気に取られた。 「……ちょっと良いかな?」 そんな中で、ティ・チャラは冷静にゆのに近づくと、ユーノが変化したらしいフェレットの小さな体の脈を測った。 「……よし、微弱だが心臓は動いている。早く手当てすれば、助かるかもしれない!」 「!お、お願いします!ユーノ君を助けて下さい!」 ゆのは涙を流しながら、自分を守るために傷ついた少年を救う事を願ったのだった。 【ユーノ・スクライア@魔法少女リリカルなのは】 [状態] フェレット形態、気絶、ダメージ高 [装備] 無し(フェレット形態)、バリアジャケット@魔法少女リリカルなのは(人間形態) [道具] 基本支給品、ランダム支給品1〜3 [思考・状況] 基本 巻き込まれた人を助ける 1 ……(気絶中) 2 ゆのを守る 3 なのはやフェイトがいるなら、合流する [備考] 無印最終話からA s第一話までの間から参戦。 はやてやヴォルケンリッターとはまだ面識がありません。 バリアジャケットは支給品ではありません。 フェレットの姿になっても、首輪は外れません。 ゆのを『自分やなのはと同い年か一つ上くらいの年齢』だと思っています。 【ゆの@ひだまりスケッチ】 [状態] 緊張、精神的ダメージ(中) [装備] 無し [道具] 基本支給品、ランダム支給品1〜3 [思考・状況] 基本 人殺しはしたくないけど、殺されたくもない 1 ティ・チャラ、シュテッケンについていく 2 ユーノ君が動物になった!? 3 今度は私がユーノ君を助けなくちゃ! 4 宮ちゃんや紗英さんもいるのかな? [備考] 2年生の中盤付近からの参戦。 ユーノを『自分と同い年くらい』だと思っています 【ティ・チャラ(ブラックパンサー)@マーベル・シネマティック・ユニバース】 [状態] 健康、少し動揺 [装備] ブラックパンサースーツ(アップグレード版)@マーベル・シネマティック・ユニバース [道具] 基本支給品、ランダム支給品1〜2 [思考・状況] 基本 人を助ける 1 シュテッケンと行動する 2 ユーノの手当てをする 3 人が動物になるとは…… 4 知り合いがいるなら合流する [備考] 『アベンジャーズ エンドゲーム』以後より参戦。 ゆのを『小学生』だと思っています。 【シュテッケン・ラドクリフ(諸刃のシュテッケン)@銀河烈風バクシンガー】 [状態] 健康、困惑 [装備] 斬鉄剣@ルパン三世 [装備] 基本支給品、ランダム支給品1〜2 [思考・状況] 基本 殺しあいだと?ふざけるな! 1 ティ・チャラと行動する 2 ゆのとユーノを助ける 3 人が動物に!?どうなってんだ!? 4 銀河烈風の仲間がいるなら合流する [備考] 銀河烈風が正式にキョーラーク星警備隊となった辺りから参戦。 ゆのを『ジャッキーやファンファンと同い年くらいの少女』だと思っています。 さて、その頃スカールはというと…… 「むぅ〜ん………」 手近な民家の中で、切り落とされた左腕の応急修理を行っていたのだった。 【スカール@サイボーグ009】 [状態] ダメージ小、左腕欠損、修理中 [装備] アーニミレーション99L 攻撃用武器@マーベル・シネマティック・ユニバース [道具] 基本支給品、ランダム支給品1〜2 [思考・状況] 基本 総統の下に帰還する 1 帰還の為に自分以外全員殺す [備考] 『地下帝国ヨミ編』での009との決戦直前からの参戦。 【バリアジャケット@魔法少女リリカルなのは】 「魔力」によって構成される一種の防護服。 これも一種の魔法であり、大気や温度等の劣悪な環境だけでなく、 「魔法」や物理的な衝撃などからも着用者を保護する。 そのデザインは着用者のイメージによって決定されるが、着用者以外によるデザインの調整も可能。 (以上、ウィキペディアより抜粋) ユーノ・スクライアの物は民族衣裳的な外見をしているのが特徴。 【ブラックパンサースーツ(アップグレード版)@マーベル・シネマティック・ユニバース】 『ブラックパンサー』において、ティ・チャラの妹である『シュリ』が製造した新型スーツ。 旧来のスーツ同様ヴィブラニウム製だが、通常時はナノサイズに分解されて豹の爪を模したネックレスの内部に収納されており、使用者の意思によってスーツが形成・装着される。 衝撃を受けるとそのエネルギーを吸収・蓄積し、任意のタイミングで蓄積したエネルギーを周囲に放出する機能がある。 【斬鉄剣@ルパン三世】 言わずと知れたルパン一味の一人『石川五ェ門』の愛刀。 文字通り何でも切れる刀だが、コンニャクを初め切れない物も一部存在する。 【アーニミレーション99L 攻撃用武器@マーベル・シネマティック・ユニバース】 『キャプテン・アメリカ ファースト・アベンジャー』において、レッドスカル率いる秘密結社ヒドラの兵士が使用しているアサルトライフル。 四次元キューブ(スペース・ストーン)のエネルギーを利用したビームパルスガンで、一発で人間一人を跡形もなく消滅させる威力がある。
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/32.html
941 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/03(金) 10 05 20 ID Ai9U3Q74 /} ___ __, -‐ "  ̄ ̄ ̄`丶、 / / 〃´ ̄ ̄ ̄> ヽ/ / ___ / // ∨-―― - 、 / \/ / Y""""ヾ/ /ヘ}<⌒\ \ .  ̄ ̄ ̄ ̄>/ / | l | ∨j ∧ \ ヽ l| /, イ / | | /| j l | ⌒ヽ Y/ 小 | | l| / / |/| | | l|/l⌒ | ハ ノリア斥ハヾ、K/│ \| | l| | l| jl│ l ハl|〃ア斥ハヘ∨ {! ⊂ }シl } | |ノリ | l| Ⅵ /|! l V{ {! ⊂ 弋rク ハノ│ V八 ∨小 \弋rク /{{ l | ヽ{\ │l\{、_> ー イ )) | │l | )) ゝ-―‐- 、_ ,.イ |_((_.八 │l レ{{-く(___ ヾ ̄`ヾブ~ヽ丶 ユーノ君と念話でお話したよ。 「ユーノ君はどんな女の子が好きなの?」って聞いたよ。 そしたら「なのは以外には有り得ないよ」って言ってたよ。 私もなのはママみたいな素敵な女の子になってユーノ君に好かれていっぱいチュチュしたいよ。 ユーノ君に「なのはママみたいな素敵な女の子になるから一杯一杯チューチューしていい?ユーノ君、いい?」 って聞いたんだよ。 そしたら「ハハハ…まあ頑張って…」って念話切られたよ。 ユーノ君は照れてるんだね。 きゃわみゅにゅいドキドキハートのピコピコ天使だよユーノ君は。 あああああああユーノ君ちゅきユーノ君ちゅきユーノ君ちゅきちゅきちゅきたん・・・ チューしてチューしまくりたいユーノ君ちゅきたん(*´ε`*)キッチュキッチュ・・・ミュミュミュ 60スレ ヴィヴィオ 小ネタ
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/58.html
責任取りなさいよ! 作者:13‐33 ――――正直に言おう。私は人生始まって以来の猛烈な怒りに囚われている。 目の前にはそんな私の様子にビクつくなのはとすずか……先ほどフェレットから人の姿になるという魔法を見せた不埒者もといユーノ。 正月明けになのはが話があるというから、私の家に久々に二人だけ集めたらこの始末。 今まではフェレットだったと思ってた子が実は同い年の男の子でした?どういう冗談よ! そ、それじゃつまりはあれなわけ?お風呂やら海鳴温泉で私の乙女の柔肌やら恥ずかしい事をばっちり見られてたわけ!? ちなみに後から、なのはから聞いた話では、美由希さんや忍さん達は事前にお話しをして謝罪もしたのだが…… 『う~ん。確かにびっくりしたけど年頃の男の子だったらしょうがないよ。うん素直に謝るなら私は問題ないよ』 『むしろ男の子の病気だもん。変に隠そうとする方が不健全よ。時にユーノ君、私の裸は綺麗だったとか?』 とか笑って許すは逆になってからかう始末。 冗談じゃないわよ!乙女の柔肌を覗いた優男なんかに、レディたるものお淑やかに済ませられるか―――!! なのに、ユーノもユーノよ!黙ってれば気づかない事をわざわざ馬鹿正直に謝罪して…… 「―――許してもらおうとは思わないよ。僕に出来ることなら何でも謝罪はするよ」 「うん!だって悪いのはユーノ君の話聞かないでお風呂に入れてた私が悪いんだし……ユーノ君だけ」 「あ、あのね。二人とも落ち着いてよ。事情はちゃんと聞いてるから……」 二人一緒になってパニック状態で謝るのは、何だか微笑ましいんだけど……なのは、さり気無くユーノに引っ付いていない? すずかも何かたまに二人であってこそこそと会ってるみたいだし、何か変に胸の奥がちりちりするように痛む。 何の痛みなのか判らずに、気付けば頭を下げるユーノの姿にむかついて…… 「だ、だったらね!あんたも裸見せなさいよ!それで問題解決してあげるから!!」 ああもう!本当に何を口走ってるのよ、私は! 見なさいよ、ユーノどころか、なのはもすずかも馬鹿みたいに開けて惚けてるじゃないよ!まったくもう…… 「そうと決まれば事は急げよ!さっさと謝罪の意思を示しなさい、ユーノ!!」 「ちょ、ちょっと待ってよ!何も今更でなくても―――いたたた、痛いから耳を引っ張らないでよ、ねぇ!!」 ――――その後の事は覚えてはいない。 我が家の自慢の大浴場までユーノとすずかの手を引いて(何故か、なのはまで付いてきたんだけね)連れて行き。 水着を着用して入ったまでは憶えていて、何故かなのはがユーノの背中を流してる最中にまた胸が痛くなって、ユーノに突っかかってタオルが肌蹴て一騒動。 本当に何をやってるんだろう、私は。 今にして思えば、それが私ことアリサ・バニングスとユーノ・スクライアとの間に出来た最初の思い出。 現在の関係に至るまでの小さくも可愛らしい最初の一歩だったとは当時の私は気付いていなかった。 もどる 13スレ SS アリサ ユノアリ ユーノ
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/116.html
「フェレットモード発情期-フェイトの場合」 作者:ID KDq6qWU9 ――――――知った時は本当にびっくりして、同時にすごく悲しくなった。 彼が押し殺してきた気持ちと、隠してたずるい自分の弱さに自分が嫌になるくらいに 切欠は執務官の仕事帰りにユーノの顔が見たくなって無限書庫を訪れた時。 司書長になったばかりで忙しいのか、なのは達やクロノからのメールも録に返していないらしい事に対する心配からだった。 書庫の中は思ったよりは慌しくなく、無数の職員が書庫の中を探索しつつも目的の人物は 司書長室に横たわり苦しげに呻くユーノの姿。 しかも拘束具のように展開されたバリアジャケットと翠色のチェーンバインドで自分を戒めているユーノの姿。 そのマトモとは思えない光景に――――多分、プレシア母さんにお仕置きされてた自分が重なって――――慌てて駆け寄ろうとすると 「来るな!!」 普段のユーノから考えられない荒々しい罵声に足が止まる。だけど足を止める私を直視するとすぐに謝って、この荒んだ現状を説明してくれた。 先天的変身魔法による性質のフィードバック……つまりはフェレットの発情期が人間体でも起こっている事を。 だけど、その裏には何かユーノ自身が押し殺してきた何かしらの感情が見え隠れしている。 大切な人を悲しませたくないが故に押し殺してきた本当の自分の気持ち。圧迫してきたそれはストレスに変わり余計に症状を強めてしまったことを。 ならば話は早い。 発情期と言うのは制御すれば余計に酷さを増す代物、対処するなら内から出る欲求を素直に認めてぶつければいい。 ――――そこに隠してる自分の気持ちがあることなんて知らずに、気付けば鎖だらけのユーノを抱きとめていた。 「フェイト、何をしよ……」 呻くユーノの反対を唇で塞ぐ。……思ったより簡単に出来た行動に拍子抜けしそうになる。 「だいじょうぶ、怖い事は無いよ。ただユーノは自分をさらけ出してくれればそれでいいよ……」 より強く抱きしめて、今度はより深く舌を絡めてキスを。 次第にユーノの顔が満たされる欲求に顔が蕩けていく、より顔を近づけてユーノの翠の瞳に映る私自身も似たような顔をしてる。 体を弄る行為は更にエスカレートしていき、互いの邪魔な服装を脱ぎ捨てて―――底から先はもう互いに獣としか呼べないような交わりしかなかった。 ―――こうして私とユーノの奇妙な関係が始まった。 ユーノの発情期の周期が来たら普段とは違う付き合いの始まり。 多分、他者から見れば酷く歪に見え人によっては軽蔑するのかもしれない。 同時に私達の仲やなのはとの絆についての転機になる事を気付くには、当時の私はまだ幼すぎた。 12スレ SS フェイト ユノフェ ユーノ
https://w.atwiki.jp/nanoharow/pages/340.html
遠い声、遠い出会い ◆Qpd0JbP8YI ウサギの耳をぴょこぴょこ揺らせながらルーテシアはユーノの支給品を確認するべく夜の道を歩いていた。 むき出しとなった彼女の肩の上でユーノはバニースーツを身に纏った少女の顔を横から眺める。 殺し合いという異常な状況下のせいだろうか、依然と少女の顔や声に感情が現れることはない。 きっと不安なのだろう。 ユーノはそんな彼女を心配すると同時に、もう一つ気になることに考えを向けた。 それはルーテシアはたった一人でこの殺し合いに参加させられたのだろうかということ。 自分にはなのはやフェイトといった知り合いがあの場にいた。 では、このルーテシアはどうだろうか。 もし知り合いがいて、その人たちに会えたら、ここにいる不安も幾分か解消され 彼女にも笑顔という光が灯るのではないだろうか。 そんな気持ちと共にユーノはルーテシアに声をかけた。 「ねえ、ルーテシア」 「何?」 「ルーテシアの知り合いはここにいた?」 その質問にルーテシアは歩いてた足を止め、バッグの中から名簿を取り出すことで応えた。 そしてゆっくりと時間をかけ、名簿を一通り確認すると、ユーノに名前を告げる。 「ゼストにクアットロ、チンク、ディエチ」 「四人……か。その人たちとはどういった関係なの?」 「……よく分からない」 その返答に言葉を窮すユーノ。 こんな子供が誰かと敵対するような関係を築くとは思えないけど、 正体不明の人たちに会わせるというのはユーノには気がひけた。 これでは先程抱いた思惑も泡沫となって消えてしまう。 だけど続いてかけられた言葉によって、それは杞憂だと無事に証明された。 「でも……みんな嫌いじゃないよ」 「そっか」 その言葉を聞いて、ユーノは笑顔になる。 相手が嫌いというのでないのならば、それは友好的な関係を築けているということだ。 それならルーテシアを会わせるということも出来るし、 ある程度戦力があるようならルーテシアを預けるということも出来る。 そしてルーテシアの身の安全が確保されたならば、 思う存分なのはとジュエルシードを探すことに時間を捧げられる。 ユーノは幾分か肩の荷が下りたような気がした。 「あれがユーノのバッグ?」 「うん、そうだよ」 やがて見えてきたバッグにルーテシアが声をかけた。 そしてユーノはそれを確認し、頷く。 ユーノ自身がそれを置いた時と変わらぬ様子から どうやら誰の目にも留まらなかったようだ。 ユーノはその事実にホッと一息漏らし、早速二人でバッグの中身を検めることにした。 何が出てくるだろうか。 妙な期待と共にバッグの中をまさぐるルーテシアの手を見つめるユーノ。 そして取り出されたものを見てユーノは思わず驚嘆の声を上げてしまった。 「こ、これはー!?」 まず最初に出てきたのは灰色のコート。 どうやらルーテシアの知り合いである人が使っていたものらしく、危険はないようだ。 服のサイズや機能などからも使用を躊躇う理由はない。 そして何よりもユーノの視線が泳ぐことを阻止してくれる。 ユーノは取り敢えず、それをルーテシアに着るように言った。 次に出てきたのは青白く輝く鉱石のようなもの。 ルーテシアに説明書を見せてもらえば、バリアのマテリアというらしく 身に着けていれば、全ての魔法を反射するものらしい。 これは明らかにミッドチルダの現行技術を超えている代物、ロストロギアに分類されるものだ。 その正体が分からぬ以上、使用は避けたほうがいい。 そして最後に出てきたのは夜天の書。 あのヴォルケンリーッターを従える夜天の王、八神はやてのデバイスだ。 かつては闇の書といわれ、幾つもの世界を滅ぼしたロストロギア。 既にその改変されたプログラムを失っているとはいえ、未だ収集された魔力は健在だ。 本来の持ち主以外の使用はどうなるか分からない以上、極力手に持つことは控えた方が良いだろう。 それらを確認して心のなしかガッカリしたように見えるルーテシアに ユーノはバッグにしまうように指示した。 そしてユーノは先程ルーテシアと一緒に見た名簿の中に記されていた高町なのはを始めとした フェイト、八神はやての名前が二つずつ記されていたことについて考えを移した。 同姓同名の別人ということをここで期待するのは馬鹿げたことだろう。 クローンを作ることも、その過程を考えると、面倒の一言だし、 わざわざ作り出したものに殺し合いをさせるその意味合いも低いだろう。 だとしたら、その正体は何か。 幾つかの可能性がユーノには思い浮かんだが、答えを出すのは保留にした。 何にしても確証がない。加えて未知のもの、現象がこの空間には溢れている。 それなのに「答え」に囚われ、視野を狭めるのは避けたいところだ。 実際に会って、彼女たちが何者であるかを確かめ、プレシアに辿り着くための糸口とすべきだろう。 そしてLとも出会えれば、この殺し合いについても考察を進めることが出来る。 無論、彼は非戦闘員であるために早期に合流することに越したことはないが、彼は如才ない男だ。 危険を回避する術など幾つも心得ているだろうし、 殺し合いにのった相手を説得することもそれほど難としないだろう。 彼のことはひとまず後回しにして大丈夫だろう。 そこまで考えたところで、破壊を思わせる光と音がユーノとルーテシアを襲った。 思わず二人は動作をやめ、破壊の象徴が何を意味するのかを探る。 「これは……戦闘……? こんなにも早く?」 どうやらそう遠くない所で戦闘が起きたようだ。 ある程度戦闘が起きるとはユーノも予想していたが、 これだけ大規模を思わせるものはさすがに予想を超えるものだった。 後方支援がままならないこの状況で、そんなことを行えるのは 魔力の消費が気にならないほどの桁外れの魔力量を有しているか、 よほど状況が切迫していたということだろう。 いずれにしても今のユーノにとって関わりたくない種類のものだ。 「ねえ、ルーテシアの知り合いにあんなことが出来る人っている?」 一縷の希望を縋り、ユーノはルーテシアに訊ねる。 これがルーテシアの知り合いなら、あまり問題はないだろう。 だけど、首を振るルーテシアの姿にユーノは思わず溜息を吐いた。 つまりは戦闘を行っているであろう人たちは、自分たちの知り合いではない。 しかも、あの強烈な光と建物が崩落したであろう盛大な破壊音は 高町なのはの全力全壊に匹敵するようなものだ。 ここにいては戦闘に巻き込まれる恐れがある。 幾ら補助魔法が得意で、防御魔法にも自負があるとはいえ、 あんな攻撃を無傷で防げるとは思えない。 勿論、あの光に気がついて高町なのはがやってくるという可能性もあったが、 ルーテシアの身に危険を迫ると思うと、やっぱり逃げることが得策のように思えた。 「ルーテシア、君の知り合いが行きそうな場所ってあるかな?」 「うん、あるよ」 「どこ?」 「ドクターのアジト」 「アジト?」 少女には似つかわしくない単語にユーノは眉をひそめる。 ルーテシアから感じられる魔力には気がついていたし、 それにより彼女が魔導師であることは彼にも分かっていた。 でも正規な組織に所属しているなら、アジトなど間違っても使わない言葉だ。 どちらかと言えば、それは犯罪者が使うような言い回しだ。 ひょっとしてルーテシアは非合法な組織に関与しているのだろうか。 ユーノの胸の内に警戒と懸念が募る。 だけどそんなユーノの脳裏に浮かんだのは、高町なのはを始めとした女性たちの姿。 幼き頃の彼女たちも間違いを起こすことはあれ、他者を思う純真な心を持っていた。 そしてそんな彼女たちの姿が自然と今のルーテシアと重なる。 きっとルーテシアも彼女たちと同じに違いない。 ユーノはその思いと共にルーテシアを信じることにした。 「そっか。それじゃあ、取り敢えず、そこに向かおうか。ここいては、危険だから」 その言葉に頷くと、ルーテシアはバッグからマッハキャリバーを取り出し、起動。 瞬く間にローラーブーツが足に取り付けられ、その車輪が回転。 そしてなんの予備動作もなく、そのままの立ち姿勢でルーテシアは急加速。 そんないきなりの事に当然ユーノは踏ん張ることが出来ず、ルーテシアの肩から振り落とされてしまう。 「うわぁ!」 僅かな悲鳴と共に地面を転がるユーノ。 ルーテシアはそれに気がつくと、進行をやめ、バックしユーノに近寄る。 そして地面に這い蹲っているユーノをムギュッと片手で掴むと、 おもむろに胸の部分の服をひっぱり、そこにフェレット姿の彼を入れた。 「っっっ!?」 突然の行動に目を剥くユーノ。 自身に何が起こったのかに気がつくと、 急いでルーテシアの胸から這い出ようとした。 しかし、ユーノのそんな努力も無残にルーテシアの手によって止められてしまった。 「くすぐったい」 そんな言葉と共に少女自らの手によって、胸に押し付けられ、ユーノは抵抗の手段を失う。 そしてユーノが動かなくなったのを確認すると、再びルーテシアは加速。 彼女はスカリエッティのアジトを目指して疾駆していった。 ルーテシアの胸の温かみに包まれ、顔を赤らめるユーノ・スクライアを抱いて。 ちょうどその頃、戦闘があったF-7の地に高町なのはは降り立った。 戦闘による被害者を救うために奔走する彼女だが、 そこにはユーノが知る姿とは違い、表情に翳りがあった。 それは彼女には負傷者を見つけても、それを救う手立てもってないという無力感、 そして自身がクローンではないかという疑念が、彼女の心を苛んでいたから。 それはおそらくユーノと出会っていれば、どちらも拭えたであろう感情だ。 だけど不幸にも、その地で高町なのはとユーノが出会うことはなかった。 【1日目 黎明】 【現在地 G-7】 【ユーノ・スクライア@L change the world after story】 【状態】健康、幸せ?、フェレットに変身中 【装備】なし 【道具】なし 【思考】 基本 なのはの支えになる、ジュエルシードの回収 1.F-7を迂回してスカリエッティのアジトに向かう 2.ルーテシアの保護 3.Lや仲間との合流 4.首輪の解除 【備考】 ※JS事件に関連したことは何も知りません ※プレシアの存在に少し疑問を持っています 【ルーテシア・アルピーノ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 【状態】健康 【装備】バニースーツ@魔法少女リリカルなのはStrikers-砂塵の鎖― 、マッハキャリバー@魔法少女リリカルなのはStrikerS シェルコート@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【道具】支給品一式×2、ジュエルシード@魔法少女リリカルなのは、バリアのマテリア@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、夜天の書@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【思考】 基本 ナンバーⅩⅠのレリックの捜索 1.F-7を迂回してスカリエッティのアジトに向かう 2.仲間との合流 3.ジュエルシードの回収を手伝う 【備考】 ※参戦時期はゆりかご決戦前です ※ユーノが人間であることを知りません ※殺し合いに全く興味がありません Back 虚 時系列順で読む Next GUNMAN×CHAPEL×BLADE Back 残酷な神々のテーゼ(後編) 投下順で読む Next GUNMAN×CHAPEL×BLADE Back 不思議な出会いⅡ ユーノ・スクライア Next ユーノ・スクライア司書長の女難 Back 不思議な出会いⅡ ルーテシア・アルピーノ Next ユーノ・スクライア司書長の女難
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/80.html
タイトル「ナースエンジェルバーニングアリサ(展開中止)」 作者::◆pxoVQARIYU 氏 本文 それじゃ投下。 明日、新年を迎える海鳴市はここバニングス邸。 一人娘のアリサは、例年ならこの日から明日にかけて家族三人水入らずで過ごすはずだった。 だが今年は両親が中国大手企業とのビジネスでどうしても休めないらしく、彼女一人だ。 世界的に見てここ1~2日は多くの国は新年を迎えており、よほどの事がない限り祝日である。 確かに旧正月のある中国では元日も平日だが、相手の国の習慣を無視する程野暮ではない。 しかし、アリサの父はプロジェクトのスケジュールが遅れている事を気にかけており、 時間的損失を補うためにやむなく大晦日である今日の朝方から出張に出たのである。 こういう事は彼女の家ではよくある話で、それがたまたま新年にかぶってしまったのだ。 ひと昔前の彼女ならこういう時は年明けの午前中まで家に引き込もって過ごした後で 午後からは友人達と過ごして憂さを晴らすのだが、今年の彼女にその必要なかった。 なぜならば。 「いらっしゃい、ユーノ」 「今日は呼んでくれてありがとう、アリサ」 「ううん、こっちこそありがとう。ごめんね、無理言っちゃって」 「アリサがメールで寂しい打ってきたんだ。 次元世界の果てに居たって飛んでいくよ」 「・・・・・ばか」 「うん」 ぽすっ。 粉雪が舞い始めた海鳴。 バニングス邸の玄関先で赤くなっている彼女を抱き寄せた状態で立っていたのは 彼女の幼馴染みであり相思相愛の想い人、無限書庫司書長ユーノ・スクライアだった。 我々の知るアリサであれば、大抵こういうシチュになると、 「このあたしが呼んだんだから来るのは当たり前でしょ!? そ、それにあたしがユーノを呼んだのはウチに誰もいないから 暇つぶしの相手になって貰おうと思っただけで、 別に寂しいから来て欲しいなんて考えてないんだからね!」 という具合にツンデレっていただろう。 しかし、彼女はある日の出来事を変わったのである。 ユーノと出会ってから数年、彼に会う度に心の中へ蓄積していた何かが、やがて想いであることに気づいた彼女は 度々なんだかんだ言ってユーノを家に招待したり買い物の手伝いと称して実質デートに行ったりしていた。 だが、ユーノは普段からアリサ含む女の子からのアプローチをせいぜい友人からの ちょっとした厚意くらいにしか受け取っていないようなフシがある朴念仁。 アリサはアリサであまり素直でない上に加えて、ユーノに対して温泉での一件を 未だに引きずっていたりして、先のようなやりとりになる展開が容易に想像できる性格だ。 そしてある日。 いつものように海鳴へ出かけ、アリサとの待ち合わせ場所へ向かって走っていたユーノ。 やがてアリサの元へたどり着いた途端、ユーノに異変が起きた。 すとん。 「どうしたのよ?ちょっと走ってきただけなのにへたりこんで。 全くだらしないわねぇ・・・って、ユーノ何か顔色悪くない?」 腰砕けになったように地面に膝から落ちたユーノ。 彼の顔は誰が見てもわかるほど血の気が引いていた。 「おかしいな・・・どうしちゃったのかな? なんか身体が言うこときかないんだ・・・」 どさっ! 部分的にどこかで聞いた事があるような台詞と共にユーノの意識は途切れ、やがて倒れる。 「ちょっとユーノ、しっかりして!しっかりしなさい!ねぇユーノっば!」 それからしばらくしてユーノは救急車で近場の海鳴大学病院に運ばれた。 アリサもユーノの同伴者として一緒に救急車に乗ったので病院に居た。 ユーノを担当したのははやての関係で数年前からの知り合いである石田医師ではなく、 受け持ちの患者の診察が終わってたまたま手が空いていたフィリス・矢沢という医師だった。 その医師が実は二人の友人の兄の元主治医であることが判明するのは後の話である。 閑話休題。 「多分これは度重なる過労が原因の疲労症ですね~」とのことだった。 フィリスは続けて、ひとまず数日間入院しないとダメだがどうするかをアリサに訊ねた。 ミッドチルダの住人であるユーノは当然日本で通用する保険証は持ってない。 彼女の家なら数日間の入院費くらい保険証無しでも簡単に出せるが、身分証明はどうしようか。 そのことを考えていたアリサだったが、その様子を見たフィリスは訳ありと察したのか 返事は明日でも良いと言い残して次の患者の診療に向かった。 ここ海鳴大学病院は色々な方面で訳ありな患者を抱えているので、そのあたりの融通が 効くことで有名なのだが、そういう話は一般にはあまり知られていない。 閑話休題再び。 さて、普通に考えればいつもユーノを診ているシャマル先生の方が適任と思われるが ミッドチルダに連れて行こうにも、アリサ自身にはミッドへ行く手段がない。 少し思巡した結果、他の幼馴染み達に相談してみたが結果は散々だった。 当たり前の話だが、三人共仕事柄休みは多くない重要な職務があるし、 それに加えて管理外世界への渡航は手続きが煩雑で時間がかかるらしい。 ならばと色々大きな権限を持っているクロノ提督に相談しようとハラオウン家を訪ねてみたが、 クロノはすでに妻のエイミィにボロ雑巾にされていたらしく、話は出来そうもなかった。 どうやらユーノが倒れた話はなのは達を仲介してすでにエイミィに伝わってたらしい。 とりあえずクロノが復活するまでの間にアリサはエイミィに事情を話していた。 やがてアリサは後でクロノがエイミィに命じられてしぶしぶクラナガンへユーノを連れて いくだろうと考えていたが、エイミィの口から出てきた言葉は彼女の予想とは逆だった。 「どうせユーノ君のことだから、ミッドチルダへ連れ帰っても治らないうちに仕事始めちゃうよ? ウチのバカ亭主には納期を遅らせるように言っておくから、この際海鳴で療養させたら? あ、もちろんユーノ君の看病をするのはアリサちゃんの役目だよ」 エイミィのこの一言で、ユーノとアリサが過ごす数日間の幕が開ける事になるのだった。 ナースエンジェルバーニングアリサ、タイトルおかしいけど始まるわよ。 ・・・多分。 アリサ ユノアリ ユーノ
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/288.html
ノンデレはやて再び psNrYeZE 「なぁユーノ君、私、どうすりゃええねん」 ほんのりとベリーニに染まった頬をして、はやてはユーノに憂いを投げる。 「また唐突だね。どうしたの?って聞いてほしいの?」 「そこは素直に聞いてや……いやな、機動六課でな」 「六課?何か問題でも起きたの?」 沈む声。切迫した調子。六課に関わる事。知らずとユーノは真剣な顔を向ける。 はやてはおどおどと躊躇いながら、その口を開いた。 「最近、みんな私をいやらしい目つきで見てる気がするんよ……」 言葉を反芻する。天を仰いだ。嘆息しながら、目を据えて放った。 「つまらない」 「え゛」 「正直貴方の頭は手の施しようがないほど重症ですが、 テタノスパスミンを処方しときますのでもう大丈夫ですよ。 もうこれでそんな妄想に苛まれる事はありません。 それでは八神さんお大事に。次の患者さんどうぞー」 「ちょ、ちょっと酷いでその対応は、ユーノ君の大好きな冗談やん!なんか最近冷たいんやないの!?」 極限まで感情の篭らない声で、はやてのボケのことごとくを潰すユーノを、はやては必死に糾弾する。 「そんなしょうもないネタ振られてもね……親愛の情の裏返しだと思って諦めてよ」 「う、そ、そうか……ま、まぁ、別に私はええんやけどね」 「ああ、正に憎さ百倍ってやつだね」 「ちょ、やっぱりユーノ君絶対に冷たいで!」 怒号再び。はやての指摘を踏襲して、ユーノは冷たい目で見返してやった。 「いや、随分と前にボケ役がほしいとかアホなこと言って押し掛けて来たのは君じゃないか」 「あ、そういえばそんな気も……」 唸るはやてに、ユーノは眉を潜めた。 「まさか、忘れたとは言わせないよ。 あれは酷かった。洗脳と言っても過言じゃない」 思い出すのも忌々しい。ユーノはそれだけを吐き捨てるように言う。 「ゆうほど何かやったっけ?」 ユーノの引き攣った顔を見ると同時に、地雷を踏んだとはやては直感した。 「あっはっは、流石関西人は面白い冗談を言う。 椅子に縛りつけられた僕の目の前でお笑いのビデオを延々と垂れ流しにしたのは、 はやて、君の他に誰がいる。 わざわざ地球から映像媒体を密輸してまでして。 執務官のフェイトにはやてが禁輸したってチクったらどうなることやら。 机の上に置いた心血注いで編纂した資料をお笑い教本に挿げ替えられた時は、 温厚で通ってる僕でも殺意が沸いたからね」 「そ、それは……すんませんでした」 「わかってくれればいいんだよ」 諦めの思いも交えたような声。 「で、でも、それだけやって前は全然ボケてもくれなかったやん!」 平身低頭の謝罪を強いられて胸の晴れないはやてが反撃したが、負け惜しみなのは聞いて見て取れた。 「僕は君ほど豪胆じゃないんでね。人前で漫才をかますなんて気が引けるし。 だから、はやてと二人きりの時だけは特別だよ」 「え、と、特別って……も、もう。ユーノ君たらそんなこと言って、恥かしいやん」 頬に手を付き恥らうはやてをユーノは遠く冷ややかな目で見る。 「それだけ使いどころも必要もないということなんだけど」 「ひ、酷っ!」 極めて素っ気無く返されて、はやては涙を滲ませた。 「でもまあ、最近はこうして二人で飲む機会も増えたからね」 「ほうほう。知人がいないのをいいことに、 酔いに任せてこのはやてちゃんの身体でストレスを発散しとる、というわけか」 身を抱き捩るはやてを前に、ついに呆れ果てたユーノは顔の強張りを崩した。 「君もなかなか懲りるということを知らないね……確かに言ってることは間違ってないけどさ。 はやてと飲むのは楽しいし」 「……もう私は騙されへんで、ユーノ君」 「は?」 「う、いや、なんでもない」 不審な返事に、何言ってるんだこいつ、 というユーノの純粋な疑念がうかがえたはやては、慌てたように言葉を濁した。 ユーノは怪訝な顔ではやてを見ていたが、興味を無くして話を総括した。 「まあ、つまり、最近君が待遇の悪さを感じているのは自業自得、因果応報。とりあえず、そういうこと」 「うー、なんか納得いかへんけど」 「我慢しなさい」 ユーノはただ短く返答した。はやては渋々としながら杯を進めた。 「って違う違う、そんな話やない、相談!」 「え?なに?もうすっかり終わったものだと」 「まだ始まってもないで!」 「はいはい、ちゃんと聞くから。つまらない冗談と絡み酒はやめてくれよ。それで相談というのは?」 もう叫号は聞き飽きた。手をひらひらと振って、ユーノは続きを促した。 「うん……最近な、よう分からんねんけど、 なのはちゃんとフェイトちゃんが冷たいというか余所余所しいねん」 「なのはとフェイトが?それは珍しいというか、はやてが何かしたんじゃないの?」 僕という前科があるんだし。ユーノの皮肉は、はやてを少し不安にさせた。 「特に何かした覚えはないねんけど。 今日もチラチラ顔を窺ってきて、なんか話でもあるんかな、と思って話しかけてみたら逃げてもうたんよ」 「うーん、情報が少なすぎてなんとも言えないよ。けどやっぱり、はやてが何かしたんじゃないか?」 「やっぱりそうなんかなぁ……」 はやては俯き、縋るようにグラスの足を握った。 「どちらにせよ、本人に聞く他ないと思うけどね。 まぁ、そんなに落ち込まないで。なんだったら僕が一緒に謝るくらいはしてあげるから」 顔を少し綻ばせて宥めるユーノに、いよいよ感涙したはやては抱きついた。 「うう、ほんまにええ男やなぁ…… よーし、そんなユーノ君にはこのはやてちゃんの唇を進呈しちゃおう!さあ!」 不覚にも、突き出される柔らかそうな唇にえもいわれぬ情欲を掻き立てられてしまった。 唯の冗談に、一瞬でも惹かれてしまった自身が情けない。酔いすぎだ、とユーノは自責した。 「さあ!じゃないよ。いらないし」 ユーノは些か自分に幻滅しながら、未だ接近を続ける唇を、頬を両手で挟んで押し留めた。 「いたいけな女の子に恥を掻かすつもり?」 「いたいけな女の子はそんなこと言いません」 逡巡を打ち消すように、敢えて厳しく言い放つ。 「ちぇー。お堅いんやから」 不満と垂らすはやてを前に、老人の様な疲れた、しかし孫を包み込むような温かい笑みを零した。 「まったく、君もふざけないで素直に感謝すればいいのに」 「……感謝はしとるよ。いつもくだらない相談にも乗ってくれて」 むくれた様子とは裏腹に、声は優しい色を帯びていた。 「いや、他愛もない事を相談してくれるのは僕も嬉しいよ。はやては内に抱え込んじゃうタイプだからね」 「ユーノ君にそれ言われたらおしまいやな……でも、ユーノ君にはいつも助けられてる。本当やで」 心底からの賞嘆を込めて、はやてはきっぱりと断言した。 「はやての役に立てて幸いだよ。……僕には、それくらいしかできないからね」 声のトーンが少し落ちた。かすかな苦笑いが顔に浮かんでいた。 「なぁ、ユーノ君」 寂しげな横顔に、はやての口が勝手に開いた。 「うん?」 言う事を聞かない舌に、 かつてない驚きと戸惑いを感じながらも、焦ったはやてがなんとかそこに見つけたのは真情だった。 「あ、あの……これからも、私の相談に乗ってな」 「なんだよ、いきなり改まって……まあ、及ばずながら力になるよ」 ユーノの返答に安心するも、しかし、はやての顔は、頬は、唇は、そのまま躊躇いなく言葉を為した。 「……そのかわり、嫌な事とかあったら、遠慮せず私に愚痴ってもええからな」 それでおあいこや、とようやくはやてが自分の意思で言えた言葉は、驚くほど自然と二人の心に染み込んだ。 その声が素直だったからこそ、ユーノは素直に受け入れることができたのかもしれない。 ――ここでばかり僕は、ほんとうにいつまでもがんばれるのかもしれない。 しかし、はやてを前にそれを認めるのがどこか悔しく感じてしまい、 ユーノは返事代わりにスカイダイビングをぐびりと呷り、その全てを内奥に収めた。 19スレ SS ユノはや ユーノ×はやて ユーノ・スクライア 八神はやて
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/229.html
* 作者:V62ho9Dq 海鳴・ハラオウン家の居間には緑と赤と茶が一つずつと、金が一組あった。 「うーん、お汁粉もなかなか美味しいわねー」 「流石にそれには砂糖かけないんですね」 「出来た後はなかなか溶けないから、小豆を煮込むお湯にたーっぷり入れておいたのよ」 「さいですか……」 こたつの対面に座るリンディに、顎を乗せてげんなりとした顔をするのはユーノ・スクライア(10歳)だった。 「ねえ、リンディさんって体大丈夫なの? 味覚が鈍ってるのって結構危険な病気の前兆だったりするんだけど」 ユーノは眉を顰めながら右隣りに座るフェイトに囁く。 「シャマルの健康診断では内臓系の異常は何もなかったんだけど…… いいかげん私も最近心配なんだよね」 「そうなると、異常は頭か……」 「二人ともー?聞こえてるわよー」 引きつった笑みを張り付かせながらリンディが介入する。 「まーユーノくんの言うことも一理あるかなー」 「あたしも最初見たときはびっくりしたからねぇ」 茶化すように笑うのがリンディの左隣り、ユーノの右前に座るエイミィで、 次いで追撃するのはユーノの左脇に寒さで丸まる犬形態のアルフだった。 「もう、みんな酷いんだから」 皆は顔を見あい、一転してしゅんとうなだれるリンディを笑った。 しかし、突然がちゃりと乱暴に開かれたドアが笑い声を遮って注目を集める。 「……おい、フェレットもどき。どうしてお前がうちにいるんだ」 気怠げに顔を手で押さえながら寝間着姿のまま現れたのはクロノ・ハラオウン(15歳)だった。 「やあやあクロノ・ハラオウン提督様は随分遅いお目覚めなんですね。 ふん、寝間着も真っ黒なんだな。ファッションのつもりなのかい?」 全く知りたくない事実をありがとうよ、 と珍しく隠そうともせずに毒を吐くユーノにクロノはムッとした顔で喰いかかった。 「僕は昨晩まで現場出動だったんでね。大目に見て欲しいところだ」 「それは奇遇だね。 僕もつい昨晩、海鳴から呼び出されて無限書庫に缶詰でどこかの提督に事後報告書を書かされていてね」 ぐっと唸るクロノにユーノは続ける。 「ついでに今日も仕事で、 書庫の運営と司書の体制について話があるとリンディさんに呼ばれた所だったんだよ」 「ふん、そいつはご苦労様だな」 ぞんざいに返すクロノにユーノの額に青筋が浮かぶ。 二人の険悪な雰囲気にエイミィはどうしたものかと苦笑した。 「もう、クロノ君ったら。新年早々ユーノ君に会えて嬉しいのは分かったから早く座んなよ」 「な、何を言っているんだエイミィ!誰がこいつなんかと!」 ぽんぽんと自分の左隣りを叩くエイミィにクロノは焦ったように捲し立てる。 「ユーノ君も今日は仕事とか言っちゃって、フェイトちゃんと会えて嬉しがってたくせにー」 「え……」 「なんだと!?おいユーノ、一体どういうことだ!」 「いや、それは忘年会に出れなかったからで……」 横で顔を赤くして俯くフェイトとずかずか迫りくるクロノの様子にユーノは慌てて返した。 してやったりとエイミィはにししと笑う。 しかし、やり込められた気がしてならずにぐぐぐと唸るユーノの頭に、一条の光明が落ちる。 それは、情報通の司書から聞いた話。 思い出すにつれて、意地の悪い顔になっていくのを自分でも感じながら反撃する。 「ときに、エイミィさん。お二人はいつ入籍なさるんです?」 ピシリと石のように硬直するのは、エイミィと、その脇に座ろうとするクロノ。 これは黒だなとユーノはほくそ笑む。 フェイトとリンディはがばっと身を乗り出して固まる二人に顔を近付ける。 「いえ、先日クラレガンの中央公園で熱い抱擁を交わすお二人を見かけたもので、ついね。 おや、この様子だとリンディさんたちにはまだ言ってなかったんですか。これは重ねて申し訳ありません」 「そうね、それは初耳ね」 「エイミィ『姉さん』、ちょっと詳しく聞かせてもらえるかな?」 エイミィとクロノはにやにやと生暖かい笑みを浮かべたリンディとフェイトにじりよられて一歩押され、 しかし身を寄り合わせて仲睦まじくユーノを睨んだ。ほーほけきょと長閑なメジロの声が空しく響く。 応えた様子もなくからからと笑うユーノを加え、元日のハラオウン家は概ね平和だった。 18スレ SS エイミィ・リミエッタ クロノ・ハラオウン フェイト・テスタロッサ ユーノ・スクライア リンディ・ハラオウン
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/82.html
タイトル「ペロッとアリサ」 作者:◆pxoVQARIYU 氏 本文 久しぶりの休日、特にすることもなかったユーノが海鳴の街をアテもなく ぶらついていたところ、本屋から出てくるアリサとハチ合わせした。 「あら、ユーノじゃない。今日はお休みなわけ?」 「うん。アテもなくぶらぶらするのもたまにはいいかなって」 「なのは達は?」 「多分仕事じゃないかな?まぁなのは達と 休みが噛み合わないのはいつものことだし」 「ふーん・・・じゃあ、ユーノは今暇人なわけだ」 「そういうアリサは?」 「あたし?あたしはここの本屋に参考書の注文しに来たのよ」 「そうなんだ」 一瞬、二人の間に静寂が訪れる。 「って、そこで話を終わらせない!会話が止まっちゃうでしょうが!?」 「ええっ!?そんな事言われても・・・」 「こういう時は、あたしにも暇かどうか聞くのが礼儀ってもんでしょ!」 「礼儀って・・ぅぅ・・・えと、アリサは今日は暇なのかな?」 「暇じゃないわよ」 しれっと答えるアリサに軽くズッコケるユーノ。 「あはは・・・えーっとじゃあ、何かこれから用事があるんだ」 「ええ、あるわよ。特にアテもなく煌迷うユーノが淋しそうだから 仕方なくこのあたしが一緒にぶらついてあげるという用事がね」 「・・・なぁんだ、結局アリサも僕に付き合ってくれるくらい暇なんだ」 「ううう、うるさいうるさい!変な事言ってると本当に帰るわよ!」 「あああごめんごめんアリサ。いや本当に」 いつものようにユーノがアリサの逆鱗に触れ、そしていつものように必死に宥める。 この辺はユーノとアリサが会話している時の恒例のパターンになりつつあった。 「ったくもう・・・まぁいいわ。何かおごってくれたら今回は特別に許してあげるわよ」 「それくらいならお安い御用だよ」 「それじゃあ決まりね。行くわよ、ユーノ」 「わ、わかったから腕引っ張らないでっ!」 二人で特に目的もなくぶらつこうとは言ったものの、ブロンドでアングロサクソンっぽい 美形の男女が共に歩いている光景は海鳴でなくとも目立って仕方がない。 注目の的になるのを避けるため、ちょっと足を延ばして海鳴臨海公園に来た。 「あー・・・なんか疲れたわ」 「何もここまで来なくても・・・」 「人が多いところじゃ結局元の木阿弥じゃない」 「・・・確かに」 少しげんなりとしたような表情をするアリサ。 季節は間もなく夏を迎えようという頃合い。 そして額にはうっすらと汗が滲んでいる。 「なんかちょっと暑くなったわね。何か冷たい物でも飲みましょ」 「うん、そうだね。それじゃあどこか自販機探して・・・あ」 「どうかしたの?」 ユーノの視線を追うと、アリサの視界にアイスの屋台が入った。 暑くなってきたとはいえ、少々早い出店ではなかろうか。 「ちょうどいいや。シーズンにはちょっと早いけど、アイスにしようか?」 「ユーノが奢ってくれるならあたしは構わないわよ」 「さっきの約束もあるし、元からそのつもりだよ。ちょっと座って待っててね」 「あ、ちょっと待ってユーノ。もしあるんだったらあたしは」 「メロン味、でしょ?大丈夫、わかってるっば」 「ちょっと、人のセリフを先読みしないでよもう!」 苦笑いを浮かべ、半ば逃げるように屋台へ走っていくユーノ。 その様子を両方の手を腰にあてた状態で見送るアリサ。 別に座って待っててもよかったのだが、なんとなくユーノの姿が 気になったアリサは立ったままの姿勢でユーノの動きを眺めていた。 (メガネを直して・・メニューを眺めて・・あ、決まったのかしら。メロン味はあったのかな?) ふと、店の人間がアリサのほうを一瞬だけ見やる。 やがて店の人間とユーノが二言三言会話を交わしたところで、突然ユーノが首を左右に勢いよく振った。 さらに一言交わしてから店の人にお金を渡し、ユーノはアイスを受け取って踵を返した。 やがて両手にアイスを持ったユーノがアリサに近づいていく。 「お待たせ、アリサ」 「それはそうと、さっき店の人と何話してたのよ?」 「え?何ってアイスを注文してたんだけど?」 「そうじゃなくて。ユーノ、さっき思いっきり首振ってたじゃない」 「あ、そっち・・・」 苦笑いで答えつつ、ユーノは鮮やかな緑に彩られたメロンアイスをアリサに渡す。 ユーノ自身はバニラアイスを注文したようだ。 「店のアルバイトのお姉さんがアリサのほうを見ていきなり 『おにーさん、あそこに立ってるおねーさんとデートですか?』 って聞いてきたんだよ」 ちなみに店員は『七瀬さんもバイトがなければ今頃は真一郎と・・・』 と続けているのだが、アリサには関係ないのでユーノはスルーしている。 閑話休題。 ユーノの言葉に反応して、アリサは顔を真っ赤にしたまま アイスを持っていないほうの手をブンブン振りだした。 「ちがうチガウ違うデートなわけないでしょ勘違いしないでよね!?」 「ちょ、アリサ落ち着いて!・・っと」 ぴとっ。 『あ』 二人の声が唱和した。 ユーノは自分のアイスにアリサの手がぶつかりそうになったので 回避しようとしてアイスを持った手を動かしたのだが、 慌てていたためうっかり自分の鼻にアイスを突っ込んでしまったのだ。 当然、ユーノの鼻はバニラまみれ。 メガネが無事なのは幸か不幸か。 「あーやっちゃった・・・」 「ドジよねぇ全く」 「ほっといて。えーっと拭くもの拭くもの・・・」 ユーノは空いている手でポケットをまさぐっているものの、反対側は微妙に手が届かない。 アイスを持ち換えれば済む話なのだが、慌てているのかそこまで思考が回っていない。 その様子を眺めていたアリサは、意を決したようにそっとユーノに近づいていく。 「ユーノ。ちょっとこっち向いて」 「え?なに・・」 ペロッ。 「・・・っ!!」 一瞬、何が起きたのかわからないといった具合に硬直するユーノ。 要約すると、ユーノが振り向いた瞬間アリサがユーノの鼻に付いたアイスを舐め取ったのだ。 ちろちろ……。 アリサはユーノの反応もお構い無しに、まだ鼻に残っているアイスを最後まで舐め取っていく。 「んっ・・ふぅ・・・ちゅっ・・・っと。 だいたいこんなもんかしら?」 満足気な笑みを浮かべるアリサとは対照的に、ユーノは未だに硬直が解けていない。 「ユーノ・・・食べないとアイス溶けるわよ?そのバニラも結構イケるわね」 アリサの言葉でようやく硬直が解けたユーノは、ほのかに紅潮した顔で恐る恐る訊ねた。 「ア、アリサ・・・?さっきのは一体」 「だって、拭いたらなんかもったいないじゃない。それに・・・」「・・・そ、それに?」 「他の人から見てデートに見えるんだったら、あたし達もデートらしくしないとね?」 数年後、アリサ・バニングスはアリサ・B・スクライアと名を改めたそうな。 色々な意味で微妙になってしまった・・・ おまけにさっきまで死者との結婚を題材にした映画を見てたらこんな流れになってしまった。 だが例えSLBをくらっても反省なんかしないと思う。 アリサ ユノアリ ユーノ
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/60.html
ユーノとすずかの歩き方 作者:13‐353 空気を読まず一歩下がって歩くすずか 「じゃあそろそろ帰ろっか、ユーノ君」 「今日も遅くなっちゃったね」 鳴海市立図書館を後にしたユーノとすずかは、月に見守られながら月村家への道程と歩いていた。 道沿いに導くように立つ街灯が二人に光を落とす。 「最近すっかり日が短くなったね」 「うん、でもわたしはこういう静かな夜は好きだな。雰囲気があって」 この時期は空が澄んでて星がきれいだからと空を仰ぎながら感慨深そうに紡ぐすずかに ユーノは白い息を吐きながらそうだねと相槌を打つ。 「僕は今日みたいに寒いのはちょっと苦手だな」 「わたしはもうちょっと、ゆっくり歩きたいな」 困ったように眉を顰めながら早く帰ろうよとユーノが言外に急かすも 立ち止まってやんわりとそう言い放つすずかに、ユーノは首を傾げながら問いかける。 「あ、ごめん。歩くの速かったかな?でも、すずかは寒くないの?」 「ううん、違うの。わたしは大丈夫だよ」 「そうは言っても女の子が――」 体冷やしちゃ大変だし、と続けようとするユーノを制して、 「わたしは、」 そのまま見据える。 「――ユーノ君ともうちょっとお話したいから」 ユーノとすずかは一瞬だけ見つめあい、揃ってふふふと笑う。 「……寒いね」 「うん……そうだね」 ゆっくりと夜の帳に包まれてゆく寄り添う影を見送り、フェードアウト。 一歩下がって歩くのは、もっと一緒にいたいから。 13スレ SS すずか ユノすず ユーノ