約 83,011 件
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/304.html
352 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] :2008/05/16(金) 06 00 10 ID zqXtABnM ***** : : : 目を開ける。 すぐに閉じる。 寝起きの眼球に今目にした光景は刺激的すぎた。とても目を開けていられない。 別に、風呂上がりで艶めかしさを三割増やした葉月さんがバスタオルで隠した胸をさらけ出しそうとか、 妹が俺の胸元に入り込んでシャツを弱い力で掴みながら幸せそうな顔をしているとか、 そういった俺の下半身に都合のいい刺激ではない。 白かった。 視界の中が白に染まっているせいで、爛々と輝く蛍光灯を直視してしまったみたいに目が痛い。 眉を強くしかめてから、もう一度挑戦してみる。 今度は高速で目を閉じたりはしなかったが、心の中が疑問符で一杯になってしまった。 なんだコリャ、俺が寝起きで部屋が白で? 頬を摘んでみる。ふむ……痛いだけで部屋の様子は変わらない。 足下が確かであるからして、現実もしくは恒例のリアリティあふれる夢だと見当をつける。 では、主観的な状況把握に努めるとしよう。 場所は日本ではよく見かける洋風を意識したつくりの部屋。家具を含むインテリアも同じく。 特殊なのはそれらの配色が淡泊であるというところ。 雪が降っている訳でもないのに窓の外が真っ白。家の周りが画用紙で覆われているよう。 何かの上に上塗りした白ではない。どちらかというと、何もないから白くなっている、みたいな感じ。 家の壁、家具、天井、フローリング、いずれも染み一つ無いピュアホワイトだ。 白一色のフローリングはなんだか落ち着かない。踏み出すことさえ躊躇ってしまうから、せめて木目ぐらい欲しいところだ。 そして、視界に映るものの九割が白の面と黒の線で構成されているくせに、 テレビ画面や鏡や写真立てなどの顔を確認できる物だけは、つや消しの黒スプレーを吹いたみたいになっていた。 そのせいで部屋の光景が映り込まず、現実感のなさの演出に一役買っていた。 せめてクリアーを吹いてから研ぎ出ししてくれればよかったものを。 この手抜きっぷりは俺の夢らしくない。別に俺が望んで夢を創造したわけじゃないけどさ。 気付いたことがひとつ。ここは、我が家のリビングルームだ。 外の景色を臨める窓、廊下と部屋を繋ぐ入り口の扉、大きいとは言えないものの必要なものはほぼ揃っている台所。 大規模リフォームしない限りは変わらない部屋の構造はそのままのはず。 今朝俺が見た居間の光景と違う点は、配色が白黒になっているところ、もう一つが家具の配置と物の違い。 何気なく我が家の情報収集と娯楽提供に一役買っているテレビは、二回りほど小さくなっていた。 置かれている場所はソファーの近くではなく、テーブル近くの壁際。 カラーボックスの上に置けるほどの大きさのテレビは、テーブルの面と同じ高さにある。 窓際の中途半端なくつろぎ空間を作り出しているソファーは数を増やしており、二つ。 ガラステーブルを挟む配置は、まるで高校の応接室のようである。 住人の視点からすれば意図が理解できない。 来客用に設えているつもりなのだろうか。リビングに入り込んだ来客など数年間いないというのに。 それ以外に違うところはカーテン、観葉植物、カーペット、蛍光灯など多数。 以上を踏まえて、これはおそらく過去か未来の光景だと予想される。 扉が開いた。廊下とリビングが繋がった。 そのはずなのだが、どういうわけだか廊下は見えない。扉を境にした向こう側が芸の無い白だった。 そこから突然小柄な人間がリビングへと飛び込んできた。 お召し物がワンピースであるところからして、女の子だと思われる。 髪が黒、肌が白。女の子の地肌が白いわけではなさそうだ。 根拠? 背景と同一の白だからそう判断したのさ。 女の子の顔には見覚えがある。 母親をデフォルメした妹を、またデフォルメした容姿。女の子には妹の面影がある。 ここは俺の住む家、そこにいる妹そっくりの女の子。 この光景が過去のものであるなら、女の子は妹本人。 未来のものであるなら、妹の娘かな。 面倒だから、ここでは暫定的にちび妹と呼ぶことにする。 353 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] :2008/05/16(金) 06 01 26 ID zqXtABnM ちび妹は慌ただしかった。 リビングに入ってくるなりテーブルにぶつかりそうになり、左右を見回してから一度キッチンの方向へ走り、 数秒のうちにまたキッチンから飛び出して今度はソファーの後ろに隠れた。 この動きはかくれんぼでの追われ役に近い。 どこかに一度隠れてはみたがやはりここではダメだと思い直して別の所に隠れる。 でも、改めて隠れた場所もイマイチだったりして移動しようとしたところで鬼が現れたりする。 それから捕まるか隠れおおせるかは運次第だ。 ちび妹がかくれんぼをしているとなると鬼役がいるはずなのだが、未だ姿を見せない。 鬼は誰だろう。もしちび妹が妹本人なら弟か花火が候補に挙がる。 それとも俺か? これぐらい小さい頃だったら俺とも仲が良かったかもしれない。 そうだったらいいなあなんて、妹から他人行儀な態度でお兄さんと呼ばれている自分は思った。 スリッパの音が入り口方向から聞こえた。 ちび妹から視線をそちらへ向けると、妙齢の女性が一人立っていた。 はっきりした年齢はわからない。しかし母より若いのは間違いない。篤子女史と比較すると微妙。 ちなみに篤子女史も母も若作りである。年齢相応の容姿をしていない。 その二人と比べて若く見えるのだから、神秘の化粧術を使っていない限り、現れた女性は二十代であろう。 女性はリビング全体を見回すように首を右へ左へ。キッチンの方を見ると動きを止め、歩いてゆく。 その動きを見たちび妹はキッチンから見て死角になる位置へ移動する。 なるほど、ちび妹を追う鬼役はこの女性か。 近所に住む子供好きか、うちの家族の親戚のどちらかだろう。 しかし、どうも気になる。ちび妹の様子が必死すぎる。 目を強く瞑っているし、鼻と口まで両手でふさいでいる。 怯えているのが一目瞭然だった。 「――ちゃん、出ていらっしゃい」 妹の名前を、女性が呼んだ。 呼び声のもたらした効果は、ちび妹の体の萎縮。肩を一度大きく震わせ、体を丸くさせた。 それと、もう一つ。俺の足を痙攣させる効果まであった。 嫌な汗が額をびっしりと覆う。足裏が床に糊でくっつけられているみたいに動きづらい。 呼吸しづらい。女の声で空気が重くなっていた。 わかる。知っている。聞いたことがある。 ――俺はこの女を知っている。 この光景は過去のもので、ちび妹は妹本人で間違いない。 ただし、そこから先が不明だ。 何で俺と妹は女をここまで恐れているんだ。 今の俺自身が怯えている、すなわち過去の俺もこの女に怯えている。 なぜ怯えているのだ? 原因は? もしかして、今からそれが分かるのか。俺と、昔の妹がこうなっている理由が。 354 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] :2008/05/16(金) 06 02 40 ID zqXtABnM ちび妹、もとい妹が小柄な体を使って駆けだした。方向はリビングの入り口。 けど、床を這うような体勢で走っている最中に鍋をぶつけられ、妹は入り口前で転倒した。 鍋を投げたのはキッチンに立つ女。 怒りのあまり怒鳴りそうになったが、声は出なかった。 手を伸ばしてみると、俺の手が透明になって女の体をすり抜ける。 くそ。こんなんじゃ、妹と女をただ見ているだけしかできない。 女は妹の姿を見て嘲るように笑うと、歩き出す。右手にフライパンをぶら下げて。 妹は丸くなったまま立ち上がらない。妹の枕元に女がたどりついた。 女の足が上がる。下には妹の頭。 足が下り、妹の頭にぶつかる――その寸前、闖入者が現れた。 リビングに飛び込んできたのは子供だった。でたらめな叫び声をあげながら二人の間に割って入る。 そのおかげで、妹は守られた。女は妹をかばった子供の背中を踏んでいた。 突然のことに呆然とする女に向けて半袖短パンの子供が言う。 「――――――いで」 呟きが鼓膜にぽつりと当たった。 振動が波紋になって脳の隅々へ行き渡る。 今、この子供――たぶん男の子――は、なんて言った? この声と台詞、聞いた覚えがある。それも間近で。何回も何回も。 もしかして俺はこの現場を何度も目にしたことがあるのか? じゃあ、身を挺して妹をかばっている男の子は、弟か? 背中を盾にして伏せているから顔が見えない。弟だとは断定できない。 もしも弟だとしたら、過去の俺はどこにいる。隠れてないで出てこい。 ていうか何で隠れてるんだよ。それでも長男か。 女が弟と思しき男の子の脇腹をつま先で蹴った。むせかえる声も上げず男の子は耐え続ける。 妹は涙を流し、首をいやいやと横に振る。 震える口から出る言葉は聞き取ることさえできない。やめて、と言っているのだけはかろうじてわかる。 女が妹の髪を掴む。男の子が必死に、無慈悲で乱暴な手を解こうとする。 男の子の背中が踏みつけられる。下にいる妹ごと潰そうとしているよう。 それでも男の子は呻いたり、弱気な声を吐き出したりしない。 ただ、一言だけ呟く。 「妹を、――――で」 女は嘲るように鼻で笑う。もし俺が現場にいるなら問答無用ではり倒している。それぐらい憎らしい仕草だった。 無抵抗の男の子の足を、体格で勝る女の荒々しい両手が掴み上げる。 そして引っこ抜くようにして床から剥がし、よく見もせずに背後へ放り投げる。 男の子は椅子を巻き添えにし、棚にぶつかって止まった。 うつぶせになった男の子の後頭部に、上から落ちてきた花瓶がぶつかる。 花瓶は割れず、白い花と黒く描写された水をまき散らした。 顔を上げた男の子は、顔中が黒い水に濡れていて、頭部から血を流しているように見える。 男の子はそれだけの目にあっても、泣きじゃくる妹にフライパンが襲いかかる前に、女の腕に飛びかかる。 顔を拳で殴られ、足を踵で踏まれ、髪を引きちぎられ、聞くに堪えない言葉で罵られる。 ボロボロになりながらも男の子は泣かなかった。 妹の身代わりに自分を犠牲にし、自分の代わりに妹に涙を流させる。 ほどなくして、女の動きが止まる。荒い息を吐きながら肩を上下させる。 男の子はもはや女の腕にすがりつくことも困難になり、床に横たわり片腕だけで己の意志を伝えていた。 女の手首を掴む右腕は、頑として動かない。 呟く声が聞こえてくる。今度はより鮮明に耳に入り込んでくる。 「……もうやめてよ。妹をいじめないで」 自身ではなく、妹だけをかばうその言葉が、俺の意識をバラバラに攪拌し、すべてを暗転させた。 355 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] :2008/05/16(金) 06 04 10 ID zqXtABnM ***** 目を開くと同時に汗が入り込んで、痛いぐらいしみた。 あおむけに寝ころんだままで首を上げる。髪の毛の間を縫い、汗が頭皮を伝って落ちていく。 汗は全身を覆っていた。下着は言わずもがな、もしかしたら制服まで濡れているんじゃないか、と思えてくる。 確認しようと腕を伸ばそうとするも、動かせない。 変な体勢で寝ていたとかいう理由ではなく、後ろ手に縛り付けられていたから。 手首をひねると関節に食い込んでくる。細さと伸縮性のなさからみて、鉄線か釣り糸か。 左右それぞれの足首と膝にも同じものが巻かれている。血管を圧迫するほど強くはないが、かといって緩みそうもない。 手足が不自由になっている他は特に問題ない。 いや、あるか。 「……………………つめてえ」 背にしている床も冷たいが、もっとひどいのは空気だ。 二月中旬はまだまだ暖かくなるには早い。 凍てつくという表現がぴったり似合う夜の外気が、体を満遍なくコーティングしている汗と協力し、俺の体を芯から冷やす。 武者震いでなく、体ががたがた震え出す。止めようとしても止められない。というか止めたら駄目だと体が判断してる。 要するに、俺はとても危険な状況でピンチ。意味が被っているが、とにかくやばいということで。 こうして脳が活動していられるうちはいいが、このままではいずれ生命維持のために思考が止まってしまう。 その前に状況把握、あと解決策を模索しなくては。 今し方見た夢に関しては、この状況では考えないことにしよう。保留だ。 過去よりも今。立ち向かうべきものは現実だ。 「……まず、状況は黒であるぅらあああぁぁぁ……」 ちくしょうめ。口をちょっと開くだけで顎と喉が震えやがる。変な声が出た。 状況は黒だった。グリーンでもイエローでも、ましてやレッドでもない。ピンクが混じれば状況戦隊が完成だ。 「だが、そんなことはどうでもい、いぃぃぃあぁああぁぁぁ、ああぁぁぁ……」 余裕はがりがり削られつつあるのに、余計な思考だけは欠かさない俺の脳。 燃費が相当悪いに違いない。錆びたタンクから漏れているんじゃなかろうか。 現在俺がいる場所は不明である。 気絶しているうちに他人によって連れてこられたのだから、分かるはずがない。 連れてきた犯人は、共犯者がいない限りは澄子ちゃんであろう。 「しかし、あれにはびっくりした……」 しみじみそう思う。 夜の体育館で頭上を見上げたら愉悦の表情を浮かべる女の子がいた。これだけ聞くと学校の怪談みたいだ。 もし俺がこの状況から抜け出せたら仕返しに学校の怪談として噂を流してやろう。 なんてのは、冗談っていうより自分を励ますための方便だ。 だって、今の状況は黒なのだから。 場所がどこだかわからないうえ、淡い光さえどこにも発見できず、先の見通しが立たない状況、つまり黒。 状況黒とは、赤以上の緊急事態のことを指す。黒が赤を塗りつぶしているからである。 具体例として、奥深い山中に不法投棄された自動車のトランクに押し込められた状況が挙げられる…………考えなきゃ良かった。不安すぎる。 だが、こんな状況でも生きるのを諦める気にならない。 まだまだ俺にはやりたいことや、やり残したことが大量にある。 自分の部屋の押し入れにしまってある大量の積みプラを片付けたりとか、弟がいなくなったことで元気をなくした妹を回復させたいとか。 「葉月さんに告白の返事をする、とか」 なんで緊急時になるとやりたいことが浮かんでくるんだろ。 目標を意識させ、絶望を忘れさせるためか? ホント、人間の機能ってよくできてるもんだよ。 356 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] :2008/05/16(金) 06 06 22 ID zqXtABnM 上体を起こしてみる。額や頭に何かがぶつかったりはしなかった。 寝ころび、右に転がってみる。再度回る。もう一回回る。ワンモア。 床の固い感触は木製のものではない。ざらざらしたさわり心地はコンクリートのようだ。 俺の体が四回転しても障害物にぶつからない。縛られた両足で宙に蹴りを放っても空振りするだけ。 どうやら、それなりに広い場所にいるらしい。 乗り込んだ場所は体育館で、澄子ちゃんはそこに俺を閉じこめた。とすると、ここは体育館のどこかか。 人目に付きやすい場所に隠す愚を犯すなんて、少し抜けたところのある澄子ちゃんでもやりはすまい。 叫び声をあげられても生徒の耳に届かない場所を選定するはず。 床の裏か、舞台の下、それ以外の俺が知らない空間。 俺が好奇心旺盛な小学生なら体育館を隅から隅まで見て回ってたんだろうなあ。 こうやって俺も感動を憶えづらくなっていくのかね。 「一体どこなんだ、ここは」 悩みを吐き出してみる。すると、わずかな空気の乱れが生じた。 今、誰かが笑った? 「だ、だだだだ、誰、だ!」 不覚にもうわずってしまった声で、真上へ向かって怒鳴ってみる。 返事は息を吹き出す音だった。しかも、驚くほど近くから聞こえた。 「ふふ……っふふ。あはははは、先輩ったら面白いの!」 「へ? え?」 「ちょっとは嘆いたりわめいたり取り乱すかと思ってたら、全然普段と変わらないんですもん! それなのに、さっきからすっごい近くにいるのに気付かないし! 恐怖に鈍くて勘も鈍いだなんてお得な性格してますね!」 よし、とりあえず落ち着いてみろ、俺のブレイン。状況に置き去りにされてる場合じゃない。 声から察するに、近くにいるのは女の子。だけどただの女の子のわけがない。 俺と同じ真っ暗な空間にいるわけだから、つまり、えー…………っと。 「君、木之内さん?」 「先輩。手持ちは金メッキのボールペンと純銀じゃない銀色のボールペンだけしかないですけど、どっちがいいですか?」 「ごめん嘘。ただ敬語を使ってみたかっただけなんだ。……君、澄子ちゃんか?」 「はい、そうですよ。先輩の弟さん限定のアイドルです。 あ。でもどうしてもっていうんなら、片手間に先輩のアイドルになってもいいですよ。 全校集会しているときに放送室から「澄子ちゃん、弟をよろしく頼む!」って、大声で言ってくれたらですけど」 「いや、あの、……遠慮しておくよ」 「あれ、アタシへの告白の方がいいですか? でもごめんなさい。アタシにはもう心に決めた人がいるんです」 「そうだろうね。うん、知ってるよ、とっくに」 澄子ちゃんのテンションについていけない。まともに合いの手を入れられない。 澄子ちゃんがいつも通り過ぎる。不自然さを感じるほど、自然体だ。 弟をさらいついでに俺をどこかに連れて行くということを成したのに、それについて負い目を感じていない。 「確認したいんだけど、いいかな」 「いいですよ。どうぞ、アタシのスリーサイズを言い当ててみてください」 「いや、そういうんじゃなくてね」 こんな状況じゃなければ、目測で上から74、47、76って言うんだけど。 「君が俺をここに連れてきた。合ってる?」 「はい。ついでに白状しちゃいますと、弟さんをバレンタインデイにさらったのもアタシです。それが何か?」 「いいや、なんでもないよ。聞きたかっただけ」 わかってはいたが、やはりそうか。 この子、文化祭の時と何も変わってない。冗談めいた喋りも、何があっても弟を手に入れようとする決意も。 澄子ちゃんは俺が初めて会った時から、弟をさらってしまうぐらい思い詰めていたのだ。 でも、行動を起こさなかった。まだスイッチが入っていなかったから。 じゃあ、行動を起こすスイッチを入れたのは一体誰だ? 357 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] :2008/05/16(金) 06 07 26 ID zqXtABnM 「あのさ、澄子ちゃ」 「ばあ」 カチリと音がして澄子ちゃんの顔が暗闇に浮かび上がった。枕元に座っているから顔が逆さに見える。 何がしたいんだこの子。懐中電灯で下から自分の顔を照らして。 「むー……先輩、つまんないです。もっと驚いてくださいよ。 弟さんはもっと大袈裟に、抱きしめたくなるほど可愛らしくリアクションしてくれましたよ? つい抱きしめてウフフなことしちゃいました」 実行してるじゃないか。 それに可愛いって、どんな反応だ――ああ、澄子ちゃんの目で弟の反応を見たらそういうことになるのか。 「あ、どんな反応をされても先輩にはやりませんから。アタシ一途なんです。期待させてごめんなさい」 「つっこまないからね、俺は」 「どこに突っ込みたくなっちゃったんですか?」 「それにもつっこ…………いや、なんでもない」 つっこまないと言うツッコミもツッコミであると気づくほどには落ち着いてきた。 そろそろ話題を切りだそう。逆上させないよう慎重に。 「教えてくれないか。どうしてこんなことをしたのか」 「こんなことっていうのは、どれのことですか? 弟さんを家に帰れないようにしたこと? 先輩を捕まえて床に転がしていること?」 「……前者だけでいいよ」 後者の理由はだいたいわかる。俺が邪魔だから。 俺が弟の隠し場所である体育館に近づいたから、企みに気付かれたと思い、捕まえたってところだろう。 「一から説明しないとわからないですか? アタシがこうしている理由」 「動機はわかっているつもりだよ。俺が知りたいのは、澄子ちゃんが決行するきっかけになったものだ」 「そうですねえ……うん。せっかく男と女が暗闇の中にふたりっきりでいるわけですから、腹を割って話しましょうか」 そう言うと、澄子ちゃんは懐中電灯のスイッチを切った。再び視界が暗黒に染まる。 一人きりだと思っていた時より落ち着いているが、やはり澄子ちゃんといるのは安心しきれない。 まさかいきなりペンを突き立てたりはしないだろうが、油断はできない。 358 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] :2008/05/16(金) 06 08 30 ID zqXtABnM 澄子ちゃんは一度咳払いをすると、ゆっくりしたペースで話し始めた。 「先輩もご存じの通り、アタシは彼――先輩の弟さんが大好きです。恋してます、愛してます。 抱きついて額をぐりぐり彼の胸に押しつけて匂いを嗅いで悦に浸るっていうのを、休日を丸一日使ってやるのが夢です。 それぐらい好きなんですけど、アタシは一度も告白したことがありません。理由は知ってますか?」 不知である。知らない、と小声で言ってみた。 「葵紋花火の存在ですよ。前、言いましたよね。彼にはアタシ以外に好きな人が居るって。それがあの女です。 同じクラスに居れば、彼がどこをよく見ているのかわかります。 授業を受けている時はともかく、休み時間は教室から廊下を見てます。あの女が通りがかるか、気にしているんです。 それ以外にも、葵紋がいる教室に色々理由をつけて顔を出したりしています。 そんな様子を見せられたら告白する気だって削がれてしまいますよ。 アタシ、こう見えてもナイーブですから。玉砕覚悟で突っ込むなんてできません」 そうだろうね。無理もない。皆勇気と度胸があるわけじゃないんだ。 「でも、アタシは彼がどうしても欲しい。 寿命が半分、いいえ、あと一年しか生きられなくなっても、彼が手にはいるならアタシは悪魔と契約します。 アタシは彼を強引に手に入れることを決めました。それが去年の文化祭の頃。 あの時は運悪く先輩と葉月さんに見つかってしまったから失敗してしまいました。 けど、今回はそうはならなかった。先輩はたった一人で体育館にやってきた。そして抵抗する間もなくアタシに捕まった。 残る邪魔者は葉月さんと、忌々しい葵紋花火だけ。未来は開かれているも同然です」 うーむ、それはどうだろう。 葉月さんはああ見えて武道を学んでいるし、花火は弟のことになると冗談も挟めないくらい真剣になるし。 「俺がいなくなったぐらいじゃ、あの二人は止まらないよ。きっと」 「そうですかね? 彼を捜すことに関して、一番優れているのはきっと先輩ですよ。 先輩はお兄さんだから行動が読めるんでしょうけど、他の人にとってはそうもいかない。 まぐれでもなんでも、先輩の能力はとってもおいしいんです。アタシだって欲しいですもん」 俺だってくれてやりたいよ。弟を捜索する時ぐらいしか使い道がない能力だ。 個人が持てる特殊能力の欄が限られているなら、邪魔だから真っ先に削除しているところだ。 359 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] :2008/05/16(金) 06 09 18 ID zqXtABnM 本題に入ります、と前置きをしてから話が再開される。 「力ずくで彼を手に入れることを決めて臨んだ昨日のバレンタイン。 知恵熱が出るくらい悩んで書き上げた呼び出しの手紙を見た彼は、資料保管室に来てくれました。 室内で待っていたアタシは、彼の前に立ち、チョコレートを渡しました。 そして、まあ、バレンタインっぽく自分の想いを打ち明けたわけです。あなたのことが好きです、付き合ってくださいって。 対して、どんな返事をされたかは…………鈍感な先輩でもわかりますよね」 「なんとなく」 短く答える。そりゃあ当然だろ、とか下手に言ってしまったら刺されそうだ。 「そこまではよかったんです。アタシの気持ち的にはよくないですけど、 上手くいかないのは予定調和みたいなものです。わかっていたことでしたから。 問題はその後の、彼の言葉です。なんて言ったと思います? これ、当てられたらすごいですよ」 はて、なんだろう。 「だらだらと言い訳を続けたとか」 「違います。たった一言ですよ」 「これからも友達のままでいてね、とか」 「ハズレ。もっと、もっとアタシの心に突き刺さる言葉でした」 「……ごめん、俺にはわからない」 弟が澄子ちゃんの欠点を挙げてけなすわけがないし。 他に好きな人がいるから、ってのは言い訳みたいなものだし。 「本当は好きじゃないんでしょ、です」 「好きじゃ……何?」 「ちゃんと聞いてください。あと一回しか言いません」 息を吸う音が聞こえる。次に気怠そうなため息。明らかに口にするのも嫌そうな気配を感じる。 ここまで澄子ちゃんを落ち込ませるとは、一体どんな失言をしでかしたんだ、弟。 「澄子ちゃんは僕のこと、本当は好きじゃないんでしょ……ですって。どうです、これ。ひどいと思いません?」 360 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] :2008/05/16(金) 06 10 17 ID zqXtABnM 言葉を反芻する。 告白の返事の後に言った言葉が、好きじゃないんでしょ。それってつまり、告白が嘘だと思ったってことか? 「さすがにカチンときましたよ。アタシ、こう見えても平穏に暮らしてない時期があったから耐えるのは慣れてるんです。 それがいきなりレッドゾーンを振り切りましたよ。メーターの針がぐにゃりって曲がっちゃいました。 だって、真剣な告白をしたのに、気持ちを疑われたんですよ? 怒らない方がどうかしてますって」 あいつ、馬鹿か? 男だろうと女だろうと、告るのには勇気がいる。自分の気持ちを信じていなければできない。 その気持ちを踏みにじるような台詞を吐くなんてどうかしてるぞ。 いくら他に好きな女がいるにしても、断り方ってものがあるだろ。 弟が澄子ちゃんに言った言葉は、中でも最悪のものだ。 こりゃ、さらわれて当然だ。いや、澄子ちゃんが相手なら生きているだけでいい方だ。 「思わずフルスイングでビンタしちゃいました。でも気が済まなかったから、今度は反対側から張りました。 彼は怒りも反省もせず、まばたきをいっぱいしてました。何で頬を張られたかわかってないみたいに。 そこで気付いちゃったんです。彼、本当にアタシのことなんて眼中にないんだ、って」 「そんなこと……」 そんなことはないはずだ。弟は家族だけじゃなく、知り合いに対しても分け隔て無く思いやれる優しい奴だ。……そのはず、だ。 「先輩。慰めの気持ちは有り難く思いますけど、要りません。 事実は事実。彼にとって、アタシはただの友達。群れてきゃいきゃい言っている女たちと同列。 彼を遠くに感じました。アタシの意識は崖から真っ暗な谷底へ落っこちて、彼は崖の上でアタシとは別の方向を見てて。 もう、とっくの昔から葵紋花火だけしか女として見てなかったんです。 他の女なんて、シャーペンの芯みたいにどこでも手に入るお手軽な女としか見てないんです。 そのことを理解した時、入っちゃったんでしょうね。後先考えず、全てを敵に回す覚悟のスイッチが」 「そう、だったのか」 同情はしない。けど、澄子ちゃんが決行した理由はわかる。 自分だけを見てくれなくて悔しい。無理矢理にでも女として意識させたい。 だから、弟をさらって二人きりの場所に連れて行けばうまくいくはずだ、と。 単純明快すぎて自分が賢くなった錯覚までする。 「後はまあ、だいたいお察しの通り。力ずくで彼を気絶させて、隠せる身近な場所を見つけて、そこに連れ込みました。 それがここ、体育館の舞台の下。ここって普段は南京錠で閉じられてるから人が来ないんです。 文化祭とか体育大会ぐらいでしか使わない道具が収まってますから、先生も使いませんし。 しかもどういうわけか中からも錠をかけられるんです。卒業式を控えたこの時期なら、まず見つかりません。 あ、安心していいですよ。アタシと彼の理想郷に彼を連れて行ったら、扉は開けっ放しにしてあげます。 拘束は解きませんけど、運が良ければ一日ぐらいで誰かが見つけてくれるはずです。 無抵抗の先輩をどうにかしたところで、足が付く可能性が発生するだけでアタシの得にはなりませんから」 ということは、俺が邪魔する気満々だったらここでくびるのも厭わなかったわけか。 安心すべきか、自分の意志の弱さを嘆くべきか難しいところだ。 361 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] :2008/05/16(金) 06 12 53 ID zqXtABnM 「ところで、こんな真っ暗な場所にいて疲れませんか? さっきから不満そうじゃないし。もしかして、夜行性?」 「……まあ、一番やる気に満ちあふれているのは夜になるかな」 いつもならプラモデルを作りつつ母の妨害と戦うこの時間は、俺にとって癒しそのものだ。 嗚呼。今のこの時ほど我が家に帰りたいと思った日はない。ハロゲンヒーターの付け焼き刃な暖房効果が恋しい。 「じゃあ外、見てみます? 今日は月が出ていて良い夜ですよ」 澄子ちゃんは懐中電灯を付けると、暗闇の中を進んでいった。 錠を解く音がした後、重い音と共に扉が開く。 優しい月明かりが暗闇を照らす。目を凝らさなくても夜空に浮かぶ雲がはっきり見える。 自分の置かれた状況を忘れて夜の明るさに感動していると、澄子ちゃんが入り口の階段に腰を下ろした。 「先輩、今お暇ですか?」 「両手両足を縛られて、何かに励めると思う?」 「あはは。ちょっとだけ声に元気が戻りましたね。 それじゃ、耳かっぽじってぼんやりしつつ右から左へ聞き流すぐらいの心地で、でもやっぱり真剣に聞いてください」 「そうさせてもらうよ」 どうせすることもないし。いやまあ、開放するよう説得するとかあるんだけど、思いとどまらせる一言なんかないからさ。 会話の最中に理想郷とやらの場所をさりげなく聞き出すしかない。 俺がこの世から居なくなったりしたら、両手足の指でようやく数えられるくらいの人が悲しむ…………なら嬉しいな。 ともかく、俺が健在のまま弟を解放するという目的を結果的に果たすために、慎重にいこう。 不自由な体を動かして床に体育座りし、澄子ちゃんと向かい合う。 楽しそうな、澄子ちゃんの弾んだ笑い声。地下倉庫にそれは響かない。 ふと、自分がいる異世界から人間界へ向かうためには澄子ちゃんの話を聞かなければならない、みたいな試練を受けている気分になった。 まったくの外れでないところがファンタジーっぽい。 ボスが目の前にいなくて、手足が自由だったらきっと楽しいんだけどな。 「ちょっと長くなりますけど、聞いてください。 アタシの……そう、友達の話になるんですけどね」 月明かりを背にした澄子ちゃんの顔は薄暗くてよく見えない。 でも、それでいい気がした。 声から、悲愴なものがにじみ出ているのを感じたから。 話が終わる頃には何時になっているんだろう。 時計がどこかにないかと辺りを見回したけど、暗い地下倉庫にも、わずかに見える校庭にも、やっぱり見あたらなかった。
https://w.atwiki.jp/nctzone/pages/28.html
カード情報 SSR 準備中 SR カード情報 属性 カードスキル エージェント 意志属性 NEO Contact情熱属性ブロックで攻撃時、ダメージ量15%上昇 RARE カード情報 属性 Golden Age 情熱属性 Winter 光属性 NORMAL 準備中 カード情報 属性 自由属性 勇気属性
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/931.html
712 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] :2008/10/06(月) 00 27 40 ID uUm7CUZ7 *** 弟と妹が家を出て行って、三日が過ぎた。 それは、私の願った理想の家族のかたちが、現実で崩壊した証拠。 両親と私の追求と説得にも応じず、その日の夜に二人は姿を消した。 行き先は聞かされていない。 昨日も一昨日も電話の前で待っていたのに、二人からの連絡はない。 警察に捜索願を出したけど、まだ連絡はない。 ないない尽くし。 でも一番堪えるのは、二度と二人に会えないかも知れないという恐怖。 乱れた感情に任せて今まで口にしたことのない汚い言葉で罵った。 私だけ。家族の中で私だけが取り乱した。 だからもう、弟と妹は私には会ってくれないんじゃないか。声も聞かせてくれないんじゃないか。 それが怖くて、不安で、眠れない。 ごめんって謝って、冷静になってもう一度話をしたい。 でも私は、どうしたらいいの? 弟と妹がセックスしてしまった。二人は兄妹。私の弟と妹なのに。 二人の関係を認めるなんて、絶対にしたくない。 じゃあ、別れさせる? それができたら一番だけど、そんなの、どうやればいいっていうのよ? ふと、遠くで音が鳴った。 電話機の呼び出し音だ。 机の上に置いてずっと向かい合っていたのに、何メートルも離れたところで鳴っているようだった。 腕を持ち上げるのが面倒なぐらい疲れてる。 精一杯の元気な声で電話に出る。電話の相手はお父さんだった。 傘を持って迎えに来てくれ、と言ってた。 場所は近所の居酒屋。今日は一人で飲んでいたらしく、一緒に帰る人がいないらしい。 窓の向こう側は闇に包まれていた。空全体が暗幕で隠されているみたいに黒かった。 雨雲だ。分厚い雨雲が天を覆い隠し、無数の雨を地上に落としている。 また今日も夜になった。今日という日が終わる。明日がやって来る。 弟と妹から何の連絡もないまま、一日が過ぎてゆく。 無駄な一日。無いも同然の一日。 お願いだから帰ってきて、二人とも。 こんな、立ち上がるだけでふらふらしてるなんて、本当の私じゃない。 私は、あなたたちの頼れるお姉ちゃんだから、もっと強いんだから。 713 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] :2008/10/06(月) 00 28 30 ID uUm7CUZ7 夜の闇の中でも迷わずたどり着ける、お父さんの行き付けの居酒屋。 今日みたいにお母さんが仕事で遅れる日なんかは、私がよく迎えに行っている。 でも、今日はいつもと違ってた。 お父さんがお店の外で待っていない。 いつもなら、未成年の私に気を遣ってお店の外で待っている。 迎えに来いと言っておいて待ちきれずに先に帰ることはないだろう。 とすると、お父さんはまだお店の中にいる。 居酒屋の扉を少し開けて、店内を覗き見る。 カウンター席に座り、突っ伏しているお父さんが見えた。 他のお客さんの姿は見えない。 居酒屋特有の雑多な声が聞こえない。雨の音の方がうるさいぐらい。 店内に足を踏み入れると、お客さんはお父さん以外居なかった。 その理由は、とっくにお店が閉店時間を迎えていたから。 今の時刻は十時を過ぎている。 それだったら、お父さんもお店をでなきゃいけないのに。 そう思ってお父さんに近づくと、目眩のしそうなお酒の匂いがした。寝息も聞こえてきた。 お父さんは私に電話した後で眠ってしまったらしい。 お勘定は済ませてもらったから連れて帰ってくれ、と店員さんに言われた。 お父さんの肩を強く揺り動かすと、とりあえず顔を上げてくれた。 手を握って強引に店の外へ連れて行く。 傘は二本持ってきているけど、この状態のお父さんじゃ傘を持つのは無理。まっすぐ歩くけるかも疑わしい。 仕方ない。肩を貸してお父さんを引っ張っていこう。 右手で傘を差し、お父さんを支えながら歩きだそうとしたところで、呟く声が聞こえた。 714 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] :2008/10/06(月) 00 29 58 ID uUm7CUZ7 ――冴子はいい子だなあ。 ――頭もいいし、器量もいいし。子作りして本当に良かった。 ――でも、下の二人はダメだ。 ――俺の言うことを聞かないだけだったらまだしも、兄妹であんなことして。 そっか。お父さんがこんなになるまで飲んでたのは、二人のことで落ち込んでたからなんだ。 私と気持ちは同じね。現実逃避したくなるもの。 でも、二人のことを悪く言うのはやめてほしい。 体を重ねてるところを私が見るまで、二人とも何の問題もないいい子たちだったんだから。 ――作らなきゃよかった。 ……え? お父さん今、なんて? 変なこと言わないでよ。 もし二人が居なかったら、私はお姉ちゃんじゃなくなっちゃう。 ――子供は冴子だけでよかった。あの二人を作ったのは失敗だ。 やめて。聞きたくない。 それ以上言わないで。あの二人を見捨てないで。 お父さんとお母さん、私、弟と妹。五人揃って家族なのよ。 否定しないで。私の拠り所を壊さないで。 ――帰りたくないなら帰らなきゃいい。 ――二人とも、勝手にしろ。 「――――馬鹿っ!」 我慢の限界だった。 傘を二本とも放す。お父さんの手を放す。一際大きな水音が立った。 私は一人で雨の中を進む。お父さんを放ったまま。 どうして、お父さんがそんなこと言うの? お父さんは家族が大事じゃないの? もしも私が悪いことしたら、そうやって見捨てるの? お父さんは――――そんな人じゃない。 雨に降られて反省すればいいんだわ。 自分が悪いって気付くまで、家に帰ってこないでよね。 その時の私はそう思ってた。心の底から、混じりっけなしに。 お父さん、私はいい子なんかじゃないんです。 あなたが帰ってこなければいいと考えました。 全てはそれが原因です。 あなたが、その日を境に家に帰ってこなくなってしまったのは、私のせいなんです。 715 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] :2008/10/06(月) 00 31 49 ID uUm7CUZ7 *** 「あ……もしかして、ジミー?」 「……人違いです」 「嘘つくな! その腕は間違いなくジミーだよ!」 「人違い…………だったら、嬉しいのに」 現実は厳しい。あまり出会いたくない人間に限って、思いがけない出会いを果たしてしまう。 場所は自宅から最も近い、行きつけのおもちゃ屋のプラモデルコーナー。 小学生ぐらいの子たちの姿はほとんど見られないここで、珍しく小さい女の子がいるなと思って見ていたら、 俺の視線に反応したのかその子が振り向いた。 で、数秒の間を置いてから言われたのが先ほどの台詞だ。 地味な容姿をしているからジミーなどという短絡的な名前で俺を呼ぶのは一人しかいない。 俺の…………血縁にあたる少女、玲子ちゃん(九つ)だ。 ここのつってひらがなで書くとココナッツみたいだ――が、それはどうでもいい。 俺と玲子ちゃんは異母兄妹だ。 しかし父の妻になった人間は今のところ母一人だ。後にも先にも誰も居ない。 よって玲子ちゃんは父の不義の結果生まれた子供ということになる――のだが、 父と母は兄妹なのだから、俺だって不義の子にあたる。人のことは言えない。 またしてもとんでもない話であるが、玲子ちゃんを産んだ母親は父の姉だ。 身内で姉妹丼。しまいどんまん。 真相を知ってから何度も思ったが……なんてことをしでかしてんだあの男は。 「ほら、やっぱりジミーじゃん。ごまかそうたってそうはいかないよ。 そのあふれ出るしょーげききょーがく、しょーが……しょ、しょしょ、しょーがく的な地味地味オーラでバレバレだよ!」 「小学的か。だったらしょうがないな」 「そう。ジミーがいくらごまかそうったって無駄なんだよ」 噛み噛み玲子ちゃん。小学的ってなにさ。 話が展開しないからあえて受け流すけどさ。 「玲子ちゃんは何をやってるの、こんなところに一人で。 伯母……お母さんは一緒じゃないのか?」 「んー、最近お母さん調子がよくないから病院に来ちゃいけないって言うの。 ボクが来ても窓の外ばっかり見てて、あんまり話してくれないし。なんだかつまんない」 「ふうん。そういうことは前からあった?」 「んーん。最近の、ちょうどジミーに会った日からあんな感じ。 どうしちゃったんだろ、お母さん」 俺に会った日から、ね。 伯母の顔を確認した途端に俺は逃げるように立ち去ってしまったから、逆に印象づけてしまったのかもしれん。 伯母には過去のことを忘れたままでいてもらいたいのに。 思い出してもらいたくない。良いことなんか一つもない。 今更謝られても困るし、また昔みたいに絡まれたくもない。 十年ぐらい前――たぶん今の玲子ちゃんよりも幼い頃の俺と、今の俺。 一番の違いが見られるのはまず目つきだろう。 昔は目がでかかったがあの頃より少し細くなった。はっきり言えば目つきが悪くなった。 眼鏡をかけるほどじゃないが、視力が下がっているからな。 それ以外にも細々と変化しているから、おそらく俺だとは気付くまい。 本当は伯母と玲子ちゃんの親子とは二度と会うつもりはなかった。 そうすれば過去のことをなげっぱなしにしていられるから。 ここで玲子ちゃんに会ったのは、知り合いと偶然街で顔を合わせた程度のことだ。 これ以上一緒に居たらずるずると話し込んでしまう。 この子、反応がいちいち俺好みだったりするから困る。 716 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] :2008/10/06(月) 00 32 55 ID uUm7CUZ7 「じゃあ玲子ちゃん、俺はこのへんで」 「もしかして、ジミーがボクのお父さんになっちゃったりするのかな」 「……………………わけがわからない」 この気分は、えーと、あれだ。 かなり前の話になるが、弟と折半して買った、キャラが喋りまくるのが面白い新作アクションRPGを交互にやっていたら、 なんでか知らないが、いつのまにかヒロインが無口な女の子になっていたときの気分だ。 真相は、単に弟が俺のセーブデータを自分のものと勘違いしてプレイしていった結果だったりする。 それぐらい置いてきぼりにされた気分。 弟には仕返しとして間違った数学の知識を仕込んでやったが、このケースではどうするべきだろう。 ふうむ。とりあえず玲子ちゃんの口にガムテープでも貼って無口な少女にしてやるか。 「いや、場所を考えるならむしろマスキングテープか? あっちの方がいろいろ自由が効くし……」 「なにぶつぶつ言ってんの? ただのジョークなのに取り乱して。 そんなにうれしいの? ボクのお母さんと結婚するのが。 もしかしてジミー……年下より年上が好きだった?」 「ツッコミどころが三つある。 まず俺は年下が好きなわけじゃない。そして、年上が好きなわけでもない。 それに何より、俺が君のお母さんと結婚するわけがないだろ!」 「あれ、そうなの? ボクのクマさんパンツはじっくり見たくせに」 「ふん、白とグレーのストライプだっただろうが。嘘を吐くな、嘘を」 「あれ? ジミーと初めて会った日ってアレはいてた? よく覚えてるね。や、やっぱりジミーはボクぐらいの子が、す……好きなんだ」 「! …………ファッキン俺!」 小学生のパンツごときに不覚をとるとは! 違う、俺は小学生の下着が好きな訳じゃない。 たとえばほら、葉月さんのだって思い出せ…………あれ、思い出せない? いや、人命救助が目的とはいえマウストゥマウスされたこともある。 マッサージされたことも、押し倒されたこともある。 一度ぐらい葉月さんの下着を拝んだことがあるはず。 ――――ちくしょう、弟の洗濯物に混じった妹の下着しか思い出せん。 見たことねえよ、葉月さんのは。 「ジミーのロリコン」 「違う!」 「もしくは女の子のパンツを思い出すことに必死なヘンタイさん」 「変態じゃない!」 「……仮にヘンタイだとしても」 「変態という名の――――変態じゃない! 断固たる否定の意志!」 玲子ちゃんが舌打ちをした。隠そうともしていない。 危なかった。乗ってしまうところだった。 どうなってるんだ最近の小学生は。 テレビか、DVDか、それともネットか? インフラが整いすぎてる。世代の格差を感じるぞ。 717 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] :2008/10/06(月) 00 34 06 ID uUm7CUZ7 「じゃ、ジミーは年上好きかあ。 でもさ、十七才のジミーとボクのお母さんとじゃ差があり過ぎじゃない?」 「その通りだ。玲子ちゃんだってそう思うだろう。だから俺は違うんだって。 というか、いつのまに俺が君のお母さんを好きだっていう設定ができたんだ」 「年下が好きなわけじゃないっていうから年上好きなのかな、って」 「なんでその二者択一になる。俺は相手の年齢で好きになったり嫌いになったりしないよ」 「じゃあ、どんな人が好きなの?」 「……嫌いなタイプならいる。 相手のことを好きでもないのに好きと言う人。そういう人とは絶対にダメだ。受け付けない」 中学時代に俺を浮かれさせた後にどん底まで落ち込ませた女のことだ。 たぶん、あの経験があったから、中途半端な気持ちで葉月さんと付き合えないと思ったのだ。 「じゃあ、ジミーは相手が嘘つきじゃなければ付き合えるの?」 「まあ、そういうことかな……」 「じゃあ、ボクのお母さんでもいいんだ」 「いいや、それは無い」 さすがにまずいだろう。さすがっていうか……絶対。 だって、玲子ちゃんの母親は俺の母の姉だぜ? 相手が自分の母親より年上。俺から見たら伯母。小学三年生の子持ち。ちなみに子供は腹違いの妹。 どれをとってもありえない。 そんな相手と付き合う胆力は俺には無い。 ……それに、昔の件だってある。 俺にとって、伯母は最も会いたくない類の人間だ。 「そもそも、なんで俺が玲子ちゃんのお父さんになるのか説明してくれない?」 「だって、お母さんジミーと会った日から窓の外ばっかり見てるんだよ? 他にも、ときどき屋上に行ってため息ついたりしてる。病院のご飯も全部食べないし。 学校の先生に聞いたら教えてくれたもん。それはきっと恋をしているのよ、って」 「……いい先生だね。きっと先生は本気でそう思ってるよ」 相手が高校二年生と知れば違う答えを返すだろうけど。 真実はどうなんだろう。 伯母は何を考えている? もしかして昔のことを思い出したとか? もしくは、思い出しつつある? これが俺の杞憂だったらいいんだが。 719 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] :2008/10/06(月) 00 35 13 ID uUm7CUZ7 「ジミーはこのお店、よく来るの?」 「時々ね。趣味でプラモデル作るから。ここは家から一番近いしね」 「そうなんだ。へー……一日にいくつぐらい作れるの?」 「んー……中身確認して、中性洗剤で洗って乾かして、メッキパーツはメッキ落として、 仮組み、それからサフ吹いて……」 「カリグミ? サフってなあに?」 「あ」 そうか。玲子ちゃんぐらいの年だとそんなことしないのか。 接着剤不要のやつなら仮組みしない。 ランナーから切り取って組み立てるだけでサマになる。 つや消しスプレー吹くだけで終わらした方がいいキットとかあるもんな。 うーん、スケールモデルじゃまず味わえない楽ちんさだ。 俺みたいなやつは、あえて部品精度の悪いキットを買って、いかに自分流に作り上げるかにこだわったりする。 小学生っていったら組み上げたロボットを早く見たいから、ちゃっちゃと作る。 俺も昔はそうだった。 「ジミー?」 「あ、ごめん。えーとね、俺がよく作るのは……そう、とにかくでっかいんだ」 「でっかいの? どれぐらい?」 「バラバラなのに部屋がごちゃごちゃになるぐらい」 これは嘘じゃない。とにかくでっかいは嘘だが。 パーツの自作しつつ片手間に筆塗りしてエアブラシも使えば寝るスペースすら無くなる。 部屋が広くないのも原因の一つ。加えて色々物が多いんだ、俺の部屋は。 だがこう言えば、玲子ちゃんぐらいの子供なら。 「すっごーい! ジミーそんなおっきいの作るの?! もしかして高校生じゃなくて仕事人?」 「仕事人……? ああ、仕事じゃないよ。ただの趣味。 そんなわけだから、一つ作るのには……早くて一ヶ月ってところかな」 「……すごいや。どんな人にでもとりえはあるって先生が言ってたけど、本当だったんだ。 まさかボクがジミーに感心する日がくるなんて」 なんだか、玲子ちゃんが今初めて俺を年上として見てくれた気がする。 おかしい。これまでも年上の世界を見せてきたはずなのに。 なぜ俺の言葉には感心せず、脚色したプラモデル作りの話に感心するんだ。 やっぱり、子供は自分でも理解できるものに興味を引かれるのか。 720 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] :2008/10/06(月) 00 36 06 ID uUm7CUZ7 「玲子ちゃんはここに一人で来たの? 家が近所なのか?」 「ううん。友達のお姉ちゃんといっしょ。 ドライブに誘ってくれたから、ついていったの。 今はちょっときゅうけい中。ボクの住んでる家、ちょっと離れてるんだ。 ジミーも来る? ボクの家」 「それは丁重にお断りする」 「むう。なんでさ。ジミー付き合い悪い」 それはもちろん、玲子ちゃんとこれ以上絡みたくないからだ。 傷つくから言わないけど。 このままずるずると話していたら、玲子ちゃんの家に遊びに行くことになってしまう。 早めにこちらの意志を示しておくのが正解だ。 「ちぇ。お姉ちゃんとジミー話し合いそうなのに」 「そりゃまた、なんで?」 「だってこのお店、お姉ちゃんも使ってるって言ってたもん。 ちょうどペーパーとえめらるどのよーざい? が切れてるから寄っていくとかなんとか」 「……それは、耐水ペーパーとエナメルの溶剤じゃないのか」 「あー、そうだったかも。時々お姉ちゃんよくわかんないこと言うんだ。 ジミーぐらいの仕事人ならやっぱりわかるんだね」 「まあ、ね……」 なんだ、この高揚感は。 初めて趣味の合いそうな人間に会えるからか? ……なんか、すっごく語り合いたい気分になってきた。 「どうする? お姉ちゃん呼んでこよっか?」 「あ、うん。いや、やっぱり女の人だから……でもやっぱり会いたいかも……」 「わかった。じゃあすぐに連れてくるからここで待ってて!」 「え、ちょっと! まだ心の準備が!」 玲子ちゃんが俺の静止を聞くはずもない。 小走りで外へと向かっていった。 721 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] :2008/10/06(月) 00 37 10 ID uUm7CUZ7 いったい玲子ちゃんの友達のお姉ちゃんとはどんな人だろう。 どんな人というか、どれぐらいのレベルの人なんだろう。 耐水ペーパーを使うってことは、下地づくりや鏡面塗装をやってそう。 エナメルの溶剤は筆洗いや色を薄める時使う。エナメルで塗りをしてる証拠だ。 「何派だろう。カーモデルか、ミリタリーか、艦船か」 「私の好みはスーパーロボットだ」 「ちなみに俺はどれでもイケる」 「ただし、原作を知っているものに限る」 「ああ、知ってるのと知らないのとじゃ完成イメージが違うもんな……」 …………ん? いつのまにか、右側に知らない女の人が立っていた。一歩分距離をとっている。 プラモデルの箱の詰め込まれた棚の最上段にある、パッケージイラストが人型兵器の馬鹿でかい箱を仰ぎ見ている。 話しかけてきたのはこの人か。 俺にとってのオアシスであるここに現れる女性はこの人が初めてだ。 ……ふうむ。なるほど。 なら、試してみるか。 「あれって、子供にはまだ早いってことを暗に示してるんだと思う?」 「いや、特別なものだという認識を与えるためにあの位置に置いているんじゃないか。 私が玲子ぐらいの背丈しかなかった頃は棚の上にある箱に憧れた。 親に頼み続けて、クリスマスになってようやく買ってもらえたよ」 「俺も。張り切ってラッカー塗料買って部屋で塗りたくってたら母親がヒステリー起こした」 「私はでかくて高いからって、物の出来が良いわけじゃないということを思い知らされたよ。 光の翼は再現できないわ、上半身と下半身のバランスが微妙だわ。分離機構はまあまあだったけど」 「だけど、今ならパテられる。あの時とは違う」 「まだ私は盛りつけなんだ……それに、いつまで経っても怖くて」 「誰だってそうだよ。俺がスクラッチして傷つけて、ダメにした奴らはたくさんいる。 型取りしても上手くいかなくて、つい積んでしまう」 「そうか。じゃあ、私と君は似たもの同士だな。 君と一緒なら複製できそうだ。今度一緒に取らないか?」 「いいのか、そんなこと言って。 俺はファーストの太腿でもバリをつくっちまうんだぜ」 「それでもいい。まだ私には二つしか得意なものがない……ヒートプレスとバキュームだ」 「あれができるのか。俺なんかまだ絞れない」 「なら私がコツを教えよう。ただし、冬ならいいが、夏はダメだぞ。 熱く、なりすぎてしまうからな……ふふふ。それもまたよし、かな」 そう言って彼女は手を伸ばす。四箇所しか可動しない白い奴のキットに。 俺は彼女の求める、四百から千番の耐水ペーパーセットとエナメルの溶剤を手に取る。 そして俺たちは視線を交わす。 ただそれだけで、俺たちの思いは一つになった。 「……あなたはどちら様?」 「……君は誰だ?」 722 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] :2008/10/06(月) 00 39 00 ID uUm7CUZ7 まあ、お互いに相手の素性に見当が付いているのだが、確認はせねばなるまい。 「あなたが、玲子ちゃんのお姉さん?」 「そうだ。実の姉じゃないぞ。マンションの同じ階に住んでいるだけだ。 で、君は? 玲子の知り合いみたいだが」 「あー、俺は……あなたと似たようなもんです。 この間右腕をやってしまって入院した時にたまたま知り合ったんです」 「ということは、君が例のジミー君か」 「いえ、俺の本名はジミーじゃなくって」 「君と玲子が話しているところをこっそり聞いていた。 玲子が君のことをジミーと呼んでいるのなら、私もそう呼ばざるを得ない」 「……そうですか、じゃあそれでいいです」 どいつもこいつも俺を本名で呼んでくれない。 兄さんとかお兄さんとか兄貴とか先輩とかジミーとか、代名詞ばっかりだ。 名前だってちゃんとあるんだぞ。呼ばれないだけだ。 でも代名詞だけで会話が成り立ってる以上、現状は変わらないんだろうなあ。 「ところで、ジミー君はどうして敬語で話しかけている?」 「え、なんとなくですけど」 「君は十七だったな。私の方が年上になるが……敬語はやめてくれ。 せっかく趣味の合う人間に会えたんだ。敬語は抜きで頼む」 「ああ、わかった。そうする。 それで、俺はあんたのことをなんて呼べばいい?」 「…………まあ、ジミー君は害が無さそうだから教えてもいいか。 藍川京子だ。好きなように呼んでくれ。オススメは京子ちゃんだ」 「じゃ、藍川で」 「京子ちゃんは駄目か?」 「いや、なんか知っている人と混同しそうだからやめとく」 「なら仕方ないな。だが、いつでも呼び方を変えたかったら変えてくれて構わないぞ」 「そうするよ、藍川」 年上にちゃん付けはどうしても違和感がある。 なにより、澄子ちゃんと名前が似てる。 澄子ちゃんと目の前の藍川とじゃ、容姿は似ても似つかないが。 澄子ちゃんが赤ずきんを被った少女だとすれば、藍川は魔法使いに会う前のシンデレラ、もしくはマッチ売りの少女。 背丈は俺と同じぐらいなのに体が細い。そのせいで、幸薄そうに見える。 でも、澄子ちゃんは見た目が愛らしくても中身は狼だった。 というか、俺の周りの女はみんな何かしら変なところがある。 藍川も見た目通りの女とは限らないから注意が必要かもしれない。 723 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] :2008/10/06(月) 00 40 52 ID uUm7CUZ7 藍川が買い物を済ませた後で店を出る。 出た途端、入り口近くの壁にもたれながらジュースを飲む玲子ちゃんと会った。 「探す手間が省けた。二人ともここで待っててくれ。すぐに車を回す」 そう言って立ち去る藍川。 藍川が居なくなると、玲子ちゃんは俺の顔を見て笑った。 小学生は何か企んでいそうな笑顔を浮かべても似合うからいい。 これが中学二年、早ければ中学に上がった途端に変貌する。 余計な知恵をつけているから要らないことまで考えるようになるのだ。 小学生の考えることは楽に読める。素晴らしきかな純真な心。 「楽しかった? ジミー」 「楽しいか楽しくないかで言えば、楽しかったよ」 「うそばっかり。すっごい楽しそうだったよ。 言ってることは全然わからなかったけど」 「そう? あれぐらい普通……じゃないか」 普通の人は安物のプラモの関節を十個増やしたりなんかしないもんな。 「お姉ちゃん、今は恋人いないんだって。男の人と話すのが苦手って言ってた」 「そうなの? そんな風には見えなかったけど」 「うん、きっとあれだね。お姉ちゃんはジミーにほれちゃったんだよ。間違いない!」 「ふ、若いな。玲子ちゃん」 「む。その言い方何? たしかにボクはジミーより小さいけど、せいしんねんれいは同じぐらいなんだからね」 ああ、この子の頭の中は順調に成長しているなあ。 児童だけに許される無自覚の痛々しさがある。 自分より年上の人間と対等に渡り合えると本気で思っている。 父親が不在、母親が入院中という家庭環境に置かれながらよくぞここまで育ってくれた。 きっと、良識のある大人やいい友達に恵まれているんだろう。 「男と女の間にも友情は成立するんだよ。 それが趣味を通じてのものだったら、なおさら繋がりは強くなる」 「ふうん、そういうものなんだ」 「初めて出会えた、俺が専門用語をわかりやすく言い換えなくても会話できる相手に。 右腕が動かないのが惜しくてならないよ」 「そんなこと言って、お姉ちゃんのことを好きになっちゃっても知らないよ。 ラブストーリーは突然に始まるんだからね」 「……玲子ちゃんがどこから古い知識を仕入れているのか、時々俺は疑問に思う。 でも、その通りだろうね。 他人や何かを好きになるきっかけなんて、ちょっとした思いつきや何気ない言動によるものがほとんどだから」 「じゃあ、ジミーはきっかけさえあればお姉ちゃんやボクやお母さんのことを好きになるんだ」 「何気なくありえない選択肢を混ぜてくるところが憎いなこんちくしょう。 ……でも、否定はしないよ。これから先のことは俺にも読めないからね」 玲子ちゃんや伯母を恋愛の対象として見ることは絶対にないけど。 他の女性陣だったらどうか。 妹という選択肢は無い。今朝はどこに出かけるのか細かく聞かれたけど、それ以外はいつも通りだった。 あんな素っ気ない女は、仮に妹じゃなかったとしても好きにならない。 澄子ちゃんは、無い。あの子は弟に惚れてるから。 俺と弟と澄子ちゃんで三角関係? あまりにも俺が惨め過ぎる。 同じ理由で花火も無い。あいつ自身は嫌いじゃない。 だけどあいつには負い目があるから、そもそも好きになれないだろう。 篤子女史、却下。理由は高橋も絡んでくるから。 残るは一人。葉月さん。 でも彼女を振った俺が、今更好きと言うなんて。 だから、俺は彼女に―――― 724 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] :2008/10/06(月) 00 43 09 ID uUm7CUZ7 唐突に、思考を遮る携帯電話の着信音が鳴った。 「鳴ってるよ、ジミー」 「わかってるよ」 着信音の特撮ヒーローのオープニングテーマに反応してくれないことに一抹の寂しさを覚えつつ、 携帯電話のディスプレイを見る。 噂をすれば影が差す。噂ではなく黙考だが。 葉月さんが電話をかけてきた。 このタイミングでかけてきたことも驚きだが、葉月さんが電話してくることも驚きだ。 連絡は専らメールで取り合っていたからだ。 一応、何を言われても受け入れられるよう覚悟して、通話ボタンを押す。 「もしもし、葉月さん?」 「うん。私」 「何かあった? 電話してくるなんて」 「……どうして? 私が電話しちゃダメなの?」 「そういう意味じゃないよ。ただ珍しいなって思って」 「そう、かな? じゃあ……そう思わないように、今日からしょっちゅう電話かけようか?」 「ごめんなさい。勘弁してください」 着信履歴が葉月さんだらけ。軽く話しかけてくるぐらいの頻度でかかってきている。 さすがにそれはやめていただきたい。 とはいえ、現状で着信履歴とメールの送り主は葉月さんがほとんどだからちょっとしか変わってない。 俺の友人は顔を合わせた時しかコミュニケーションしてこないのだ。 「ねえ、あなたは今どこにいるの?」 「家から出てるよ。一人で買い物してる途中」 「……嘘、一つ。 じゃあ、今誰かと一緒にいる?」 「ああ、たまたま知り合いに会ったから」 「知り合い? 友達じゃなくって?」 「あー、友達って言っていいのかな、一応」 「……どう見たって友達以上じゃない。嘘、二つ」 さっきから葉月さんがぼそぼそ言ってるみたいだが、聞き取れない。 何か数えてるのか? 「あなた、私の名前知ってるよね? 忘れてないよね?」 「そりゃもちろん。忘れるはずがない」 携帯電話に『葉月さん』で登録しているのはなんとなくだ。 俺は相手をフルネームでなく呼び名で登録するタイプなのだ。 「じゃあ、好きなように私を呼んで? オススメは……葉月ちゃんだよ」 どっかで聞いた台詞だな。ちょうど数分ぐらい前に。 しかし『葉月ちゃん』は、どうだろう。 年下ならともかく、葉月さんにちゃん付けはできない。 葉月さんは同級生の女子と比べたら年上に見えるぐらいだ。 「……うん、やっぱり葉月さんのままがいいな。そっちの方がイメージに合ってる」 他意は無い。俺は本当にそう思ったのだ。 725 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] :2008/10/06(月) 00 44 37 ID uUm7CUZ7 「何よそれ! どういう意味なの!」 だから、鼓膜を突き破らんばかりの怒鳴り声が聞こえてきたときは、訳が分からなかった。 キンキンする。耳の穴から針を差し込まれたみたいだった。 電話機の声と肉声がステレオで聞こえてきた錯覚までする。 混乱と鼓膜の痛みで頭が回らない。 「いや、どういう意味って、そのまんまの意味なのに」 「嘘三つ! どうして嘘ばっかり! 仏の顔も三度までよ!」 「なんでそんなに怒ってるのか俺にはわからないよ。俺、何か悪いことした?」 「無自覚!? ど、どどど、どこまで鈍いのよあなたはあああっ!」 もはや葉月さんはヒステリック。 耳を塞ぎたいぐらいの声量で叫んでくる。 「そこはオススメとは別で呼ぶところでしょう? なんでいつも通りなのよ! 変えて欲しいって言ってるのがわからないの!?」 「……葉月さん、好きなように呼んでって言ったじゃないか」 「私のせいにするの?! ちょっとは気を利かせてくれてもいいでしょ! 忘れてるみたいだから教えてあげる! たった今から私をこう呼んで! いいえ、呼びなさい! 呼ばないと実力行使に出るわよ! 私の名前は、葉づ――――」 そこで唐突に音声が途切れた。 ディスプレイは表示されている。ツーツー、と音も出ている。 ということは、葉月さんが電話を切った? あのタイミングで? 弾みで電話を切ってしまうとは、葉月さんの興奮状態恐るべし。 「ジミー、今のだれ? 話全部聞こえてたよ」 「ああ、同じクラスの友達。今はね」 「女の人だよね。どうしてあんなに怒ってたの? ジミーが何か悪いことしたんじゃない? たとえばパンツ見たとか」 「そういうのだったら納得いくんだけどね」 そういうのじゃなく、名前で呼んでくれないのが嫌で怒っているらしい。 ううむ。なぜあそこまで冷静さを失うのかがわからない。 「女心はフクザツだからね。ジミーには気配りが足りてないよ。女の子にはやさしくしなきゃ」 「簡単に言ってくれるね、まったく」 だから優しさって何なんだ。もうちょっと直接的に、わかりやすく言い換えてほしい。 何かして欲しいとか、こう言う時はこうするようにって前もって言っておくとか。 以前、妹が中学に上がった頃に口論になったことがある。 俺が妹より先に風呂に入った件について。 そんなこと考えなくてもわかるでしょ、と妹は言った。 対する俺の言い分はこう。今までそんなこと言わなかったくせに、だ。 その時は妹のすね蹴りで決着が着いたが、妹との関係にはしこりが残ってしまった。 こんな感じで女は突然心変わりするものだという認識がある。 以来、女に対して一歩引いて接するようになった俺を誰が責められようか。 俺は葉月さん以外の同じクラスの女子としばらく口を利いていないのだ。 727 :ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] :2008/10/06(月) 00 49 26 ID uUm7CUZ7 「あ、お姉ちゃんの車。ジミーもお姉ちゃんに送ってもらうんでしょ。ほら、行くよ」 「ああ、はいはい」 対して、よく話す女性陣は一歩引いて接するとあっさり飲み込まれてしまうので油断ならない。 思いやりの心が介入する余地なし。そこまで頭が回らない。 しかし――いつか葉月さんは名前で呼んだ方がいいな。 またヒステリーを起こされても困る。実力行使に出る、って脅されたし。 やっぱり、ちゃん付けしないと怒られてしまうんだろうか。 それとも呼び捨てがいいのか? ……難易度高いなあ、もう。
https://w.atwiki.jp/kensakukinshi_kamina/pages/324.html
シテヤンヨ 股の間に顔が描かれている絵、上半身は無い。
https://w.atwiki.jp/gods/pages/25140.html
ヤンウーチャン(ヤン・ウー・チャン、陽無常) 中国民間伝承のウーチャングイ(ウー・チャン・グイ、無常鬼)の一。 男霊で50歳未満の人間を冥界に召喚する。
https://w.atwiki.jp/kizumon/pages/861.html
見た目 ステータス スキル 特性 進化 イルルヤンカシュ 属性 レア コスト 種族 性格 風 SL 85 (??) 蛇龍 気まぐれ ※コストの()は絆度MAX値 ステータス 初期値 未MAX 覚MAX HP 116 626 ?? AP 72 114 ?? 攻撃力 38 205 ?? 防御力 50 270 ?? 賢さ 45 243 ?? ガッツ 59 318 ?? すばやさ 18 97 ?? 移動力 普通 取得可能スキル 使用部位 牙 ○ 体当たり - 雄叫び ○ 爪 ○ 絞め技 ○ 仙術 - 角 ○ 息 ○ 魔術 ○ 蹴り - 眼力 ○ 機械 - しっぽ ○ 羽ばたき - その他 ○ スキル ひっかき ひっかき 属性 射程 種類 貫通 威力 対象 AP 無 近 物理 - 50×2 敵単 0(0) 詳細 なし 使用部位:爪 ※APの()内は同属性時の消費量 LvUP情報 クリティカル率+4% 肥料 生産肥料数 10 入手場所 所持するモンスター ちびサーベルタイガー ちびレオ ちびフリカムイ ちびサムパーティ ちびロック ちびシャックス ヤングサーベルタイガー ヤングレオ ヤングフリカムイ ヤングサムパーティ ヤングロック ヤングシャックス 石猿 ちびブルードラゴン ちびリントヴルム ちびヴィーヴル サーベルタイガー レオ 八獣王・テスカトリポカSR フリカムイ サムパーティ コカトリス ロック シャックス 八獣王・フレースヴェルグSR 大猿 八獣王・孫悟空SR 八獣王・アナンタSR ヤングブルードラゴン ヤングリントヴルム 八獣王・グレンデルSR マンティコア 鵺 ライガー レオキング 八獣王・テスカトリポカL ベンヌ ネヴァン ジャターユ 真・ジャターユ シームルグ グリンカムビ ヴクブカキシュ 孫悟空 テュポーン 八獣王・アナンタL ブルードラゴン リントヴルム 火車 パズズ フラウロス 真・フラウロス 白虎 テスカトリポカ 雷獣 バステト ランダ 八獣王・テスカトリポカSL フギン ムニン フレースヴェルグ ジズ スパルナ 真・スパルナ ズー ヌガニ・ヴァツ ヴィゾーヴニル スカンダ 斉天大聖 アナンタ イルルヤンカシュ 八獣王・アナンタSL メリュジーヌ アンフィスバエナ ゲオルギウス ファフニール グレンデル ドゥン キニチ・アハウ スリーピングライオン デネブ ガルーダ ニヌルタ ベルゼブブ ヨルムンガンド セルピヌス ジャバウォック 備考 Last Update 2018-01-22 16 43 06 (Mon) アームロック★ アームロック 属性 射程 種類 貫通 威力 対象 AP 無 近 物理 - 55 敵単 3(3) 詳細 攻撃力↓(中)化 期間 2付与 53% 使用部位:絞め技 ※APの()内は同属性時の消費量 LvUP情報 命中率+5.00% 攻撃↓付与+5.00% 肥料 生産肥料数 10 入手場所 所持するモンスター メデューサ イルルヤンカシュ アガジャラ 真・アガジャラ 備考 Last Update 2017-11-09 19 14 05 (Thu) 根性比べ 根性比べ 属性 射程 種類 貫通 威力 対象 AP 無 遠 特殊 - 200 敵単 12(12) 詳細 威力が互いのガッツ比に比例 使用部位:その他 ※APの()内は同属性時の消費量 LvUP情報 威力+5.00% 肥料 生産肥料数 20 入手場所 所持するモンスター クジャタ タロ イルルヤンカシュ 備考 Last Update 2017-11-06 18 12 34 (Mon) サンダーブレス・中 サンダーブレス・中 属性 射程 種類 貫通 威力 対象 AP 光 遠 精神 貫 95 敵全 14(10) 詳細 なし 使用部位:息 ※APの()内は同属性時の消費量 LvUP情報 威力+5.00% 肥料 生産肥料数 20 入手場所 所持するモンスター ヤングヴィーヴル フレキ プルキシ ホルス イルルヤンカシュ 備考 Last Update 2017-11-06 18 12 48 (Mon) 昼寝★ 昼寝 属性 射程 種類 貫通 威力 対象 AP 闇 - - - - 自身 18(12) 詳細 HP回復(大)睡眠化 期間 3 付与 100% 使用部位:? ※APの()内は同属性時の消費量 LvUP情報 HP回復量+5.00% 肥料 生産肥料数 ?? 入手場所 所持するモンスター ブリンクス ポチ ヴクブカキシュ フェルニゲシュ イルルヤンカシュ スリーピングライオン 備考 Last Update 2018-01-07 15 13 46 (Sun) ウォークライ ウォークライ 属性 射程 種類 貫通 威力 対象 AP 無 - - - - 味全 6(6) 詳細 ガッツ↑(小)化 期間 3 使用部位:雄叫び ※APの()内は同属性時の消費量 LvUP情報 ガッツ↑効果+5.00% 肥料 生産肥料数 15 入手場所 所持するモンスター ヤングレオ ウルフ レオ レオキング バリオス ズラトロク イルルヤンカシュ 備考 Last Update 2017-11-06 18 13 35 (Mon) ※★はロックされているスキル 特性 勝利の美酒★ 勝利の美酒 詳細 戦闘終了後、HP6%回復 LvUP情報 HP回復量0.60%↑ 肥料情報 生産肥料数 10 入手場所 所持するモンスター イルルヤンカシュ しばぁ 備考 Last Update 2017-12-05 19 49 41 (Tue) ※★はロックされている特性 モンスター進化 ヨルムンガンド ヨルムンガンド 進化素材 真・進化のレリック×124 ウルトラレジェンドのルーン×1 蛇龍神の像×140 水神のエレメンタル×134 王者の牙×29 必要ゴールド 1,000,000 G ヨルムンガンドの詳細 進化ツリー N R SR L SL UL 入手方法 リヴァイアサンを進化 Last Update 2018-01-22 14 59 43 (Mon) 見た目 ステータス スキル 特性 進化
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/19435.html
登録日:2011/10/04(火) 13 39 35 更新日:2024/08/10 Sat 02 16 59 所要時間:約 4 分で読めます ▽タグ一覧 アニメ化多数 エロは少なめ スクウェア・エニックス スクエニ ヤングガンガン ヤングガンガンガン 漫画 漫画雑誌 青年誌 『ヤングガンガン』とは、スクウェア・エニックスから毎月第1・第3水曜日に発売されている漫画雑誌である。2004年12月創刊。 ○概要 「ヤング○○」と名の付く青年誌は、基本的に直接的な性描写(SEX)が描かれるケースが多い。 明らかに『みなみけ』が浮いているヤングマガジンや、長い間『ふたりエッチ』が主力のヤングアニマルがいい例だろう。 しかしこのヤングガンガンには、他の青年誌と比べてその類の描写が入る作品はほとんどない(間接的な性表現はあるが)。 さらに、少年誌でやれるクオリティや設定の漫画も多々ある。 この辺りは少年誌と銘打っておきながら少女層にも抵抗なく読める漫画のある本家少年ガンガンや 逆に男層でも比較的受け入れやすい漫画も見られている月刊Gファンタジーと同じと言えるかもしれない。 他の青年誌と違うところでは、実写化作品が殆ど無い代わりに、アニメ化作品とアニメのコミカライズ作品が多数あること。 比較的アニメに詳しい方ならヤングガンガン連載作品の1つや2つ見たことはあるだろう。 人気が出ると姉妹紙でスピンオフが始まるのも結構ある。 他社の青年誌同様グラビアアイドルが表紙だったりアイドルのファイルやDVDが付録に付いてはいるが、 AV女優の袋とじやTバック水着などの過激なグラビアはほとんどない。 近年では小説家になろうからのコミカライズ作品目立つようになっている。これは本誌に限った話でもないが。 姉妹誌として増刊ヤングガンガンビッグがリニューアルした月刊ビッグガンガンも存在する。 ○主な連載作品 荒川アンダー ザ ブリッジ 『聖☆おにいさん』でお馴染み、中村光が描くギャグ漫画。 創刊時から長らくヤングガンガンを支え、2010年『WORKING!!』と同じ時期に分割2クールでアニメ化され、こちらも結果を残した。 のだがまさかの実写化 こちらは主に否の意見が多い。 学園革命伝ミツルギ なかよし コミックラッシュからの移籍…なのだが、直ぐにビッグガンガンへ移籍した。 黒神 創刊組。 日本と韓国製作なのにアニメ版はアメリカも製作に入ってきた漫画。 アニメ版は大きな改編もあったため結果は残せず… キャタピラー -Caterpillar- ガンガンJOKERに連載されていた『アラクニド』のスピンオフ。 連載途中で作画担当者が急逝する不幸に見舞われるが後任が見つかったことで最後まで連載することが出来た。 咲-Saki- ざわ…ざわ…しない萌える麻雀漫画。 登場人物の人物の大半が履いてない。 2009年4月にアニメ化。 原作レイプで有名なGONZO製作から不安の声は多かったが、 こちらも『サンレッド』に続いてヒットを記録し、2012年春スピンオフ作品がアニメ化、 その後、ヤングガンガン系列特有の次々とスピンオフ漫画が姉妹雑誌で開始しているが果たして… キャラクターの巨乳化が止まらない事でも有名。 2024年現在も連載が続いており、現在の連載陣で最古参かつ連載期間が最も長い作品である。 すもももももも ~地上最強のヨメ~ 創刊組。 ヤングガンガン連載漫画で初めてアニメ化されたラブコメバトル漫画。作者は今や少年漫画を多く輩出している大高忍。 OPの『最強○×計画』は電波ソングとして有名。 セキレイ 創刊組。 ヤングガンガンを代表するバトル兼エロ漫画。 2008年にアニメ化され2年後2期が製作された。 DVD/BDでは無修正のため乳首が見放題。 作者は後に『咲』のスピンオフ作品を手掛ける事になる。 その着せ替え人形は恋をする 高校生たちによるコスプレ衣装作りを題材としたラブコメ漫画。 2022年にアニメ化され話題をかっさらった。 Dimension W 別の次元からエネルギーを抽出するコイルを巡るハードSF漫画。 連載後半からはビッグガンガンへ移籍している。 天体戦士サンレッド 創刊組。 溝の口を舞台とする善と悪の物語がテーマのギャグ漫画。 2008年まさかのアニメ化。 当初は髭男爵ら芸能人の起用から失敗臭がしたが、蓋を開けてみれば山田ルイ53世の好演もあり大ヒットを記録し、 本誌とニコニコアニメチャンネルの躍進に大きく貢献した。 実は前身であるコミックバウンドの連載作品である『気象戦隊ウェザースリー』の続編でもある。 ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章 〜紋章を次ぐ者達へ〜 かつて『魔法陣グルグル』、『PAPUWA』といった作品と共に、90年代中盤の少年ガンガン黄金期を支えた漫画の続編。 創刊時からあるうえに過去作の続編のため、当雑誌では本当の意味で古参。 10年以上にわたる長期連載の末に完結した。 本来は「FINAL FANTASY XI 〜THE OUT OF ORDERS〜」とのW看板作品としてスタートしたのだが、「THE OUT OF ORDERS」はわずか3話で連載中止となった為単独で看板作品を担う事になった。 この作品の完結を以て創刊組は全て連載終了。都合16年間看板作品として走り抜いた。 ニコイチ 『サンレッド』などと共に創刊時から連載している、女装した父親の漫画。 作者は『ハレグゥ』の金田一蓮十郎。 『ハレグゥ』同様ギャグも健在だが、青年誌のため大人のシーンもあるよ。 ハーメルンのバイオリン弾き〜シェルクルンチク〜 こちらも前述のロトの紋章などの作品と共にガンガン黄金期を支えた漫画の続編(アニメは黒歴史)。 2011年ついに長い歴史に幕を閉じた…が、後にこれとはまた別の続編が別誌にて連載開始している。 はなまる幼稚園 幼稚園を舞台にした保育士と子供達が繰り広げる青年誌らしからぬ癒し漫画。 2010年GAINAX製作でアニメ化された。 DVDの売上は良いとは言えないが毎回変わるEDやストーリーなどから人によってはかなりハマる漫画。 BAMBOO BLADE 創刊組。 ヤングガンガン連載漫画のアニメ化作品第2号。 萌える剣道漫画だが少年誌で掲載できるクオリティだったりする。 アニメも結果を残した結果00年代後半のヤングガンガン快進撃のきっかけを作った。 アニメEDの「STAR RIZE」は「あんこ入り☆パスタライス」の空耳が有名で、本作が注目されるきっかけにもなった他原作にも一コマのみだが逆輸入されて登場している。 後に本誌ガンガンでスピンオフ作品『BAMBOO BLADE B』が連載するなど例に漏れず、姉妹雑誌でスピンオフが立て続けに開始していた。 尚、作画担当の五十嵐あぐり氏は後に咲-Saki-阿知賀編やシノハユでも作画を担当する事になった。 +チック姉さん 模型部の女子高生3人娘による不条理ギャグ漫画。 地味にアニメ化されてもいる。 マンガ家さんとアシスタントさんと 可愛い女の子に囲まれた変態主人公の漫画(中には主人公のセクハラをあまり気にしない人物もいる)。 何故か最近巻末カラーが多いと思ったら「本誌アニメ化希望1位」とコミックの帯に書かれていたにもかかわらず連載終了… 作者が終了時「後日談的なものを書く予定」といったがまさかの、少年マガジンで『アホガール』を連載したためどうなるかと思われたが連載再開が決まった。 MURCIELAGO -ムルシエラゴ- グロくてエロくて百合百合しているアクション漫画。 刺さる人には徹底的に刺さる、劇薬的な面白さを誇る。100万部を超えた売り上げを誇っているので多くの読者はアニメ化を期待しており、作者もそれを待ち望んでいる。 WORKING!! 何故か変な人達しかいない北海道のファミレスを舞台にした漫画。 連載開始から5年後の2010年にやっとアニメ化され、強豪ひしめくクールで結果を残し2011年秋に放送した2期も大ヒットした。 姉妹紙にて連載しており、本作の数年後が舞台の『サーバント×サービス』もアニメ放送。 アニメのコミカライズ作品に関してはTBS系列の作品が多く、 緋弾のアリアAA DARKER THAN BLACK -漆黒の花- STAR DRIVER 輝きのタクト 夏色キセキ 俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる などが近年のコミカライズ作品である。 他のコミカライズ関連は輪廻のラグランジェ、ナイツ&マジックなど。 追記・修正頼んだじょ △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] +チック姉さん紹介無しか… -- 名無しさん (2018-03-23 14 09 22) ガンガン本誌の項目はないんだな -- 名無しさん (2021-07-19 03 12 45) みみかき先生の連載再開はまだかな? -- 名前は無い (2022-08-25 10 01 15) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/wakiyaku/pages/662.html
【作品名】世界戦艦大和列伝 【ジャンル】小説 【世界観】 1934年に日本から流出した新型戦艦の設計図を元に、世界各国で建造された46cm砲搭載戦艦が登場する。 やがて始まる第二次世界大戦では、これら「超ヤマト級戦艦」同士の死闘「ガンd…ヤマトファイト」が繰り広げられる事になる。 【名前】ヤンキーヤマト 【属性】アメリカ戦艦大和 【大きさ】全長298m 全幅33m、排水量79200トン 【攻撃力】49.7口径46cm砲:4連装2基+3連装2基 38口径12.7cm砲:連装12基 【防御力】戦艦並み 【素早さ】26ノットで航行可能、乗ってるのは軍人 【特殊能力】極端に細長い形をしており、パナマ運河を航行可能 4スレ目 231 :格無しさん:2009/08/02(日) 21 25 06 ヤンキーヤマト考察 火力では大差無いが命中精度で負けてるため結構なダメージを先にうける 大和>ヤンキーヤマト
https://w.atwiki.jp/gods/pages/47702.html
ソーシュヤンス サオシュヤントの別名。
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/1087.html
201 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 01 37 21 ID GXthqWkR 195が男とは限らない 202 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/05/06(火) 02 40 49 ID jaLaL4jP 195「ヤンデレの友達が出来ますように( ´∀` )」 一年後 女「他の女見たら殺すからね・・・。」 195「なんでこんなことに(´・ω・)」 中途半端な覚悟でヤンデレに触れるのはやめましょう。 203 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 03 40 47 ID aY4psw1F ヤンデレって彼氏を教祖みたいに崇拝してるから 195を殺すのではなく、195と接触した女を殺すイメージがある 体中に血を浴びて刃物を持ちウフフと笑顔で195の前に現れるヤンデレ 204 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 04 38 17 ID OZfefPEC 203 ヤンデレにもいろいろあってだな・・・ もう寝る 205 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 05 52 19 ID uxaRjfwO ヤンデレはよく凶器を使うイメージで語られることがあるが 実際には凶器など使わなかったり、デレを見せるシーンも多い 要はヤンデレは多種多様なんだよ病んでるとこばっかとか 凶器ばっかではなくもっとどうして病んだとか どのくらい相手のことを好きなのかというとこに焦点を当てて欲しい自分がいる 206 名前:つながり[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 09 00 45 ID a6pKX0TS 「もうやめよう・・・」 ・・・なんで? 「俺たちの関係は・・・ホントは平行線じゃないといけないものだから・・・」 ・・なんで? 「俺と夏輝は兄妹だから・・」 なんで?どうしてダメなの? こんなに好きなのに!ずっとずっと昔から好き合っていたのに。 私たちは誰よりも深く深く繋がった存在なのに・・・なんで? 「だからダメなんだ・・・ここで終わらせないとダメなんだ・・・」 ・・・ ・・ ・ 思い出して涙。世界が歪んで見える。 空を見上げる。やっぱり歪んで見える。 なんで・・・? 「おーい、何泣いちゃってんのなつっちゃん。私が席はなれて一人になったのがそんなに寂しかった?」 ・・・・・・ 涙を拭うと見慣れた顔があった。 さわやかに整った顔立ちのスポーツ少女。工藤近衛だ。 「あー、コラコラ。洋服のすそで涙を拭くな。ほらハンカチ」 「・・・」 「ハア、いったい何があったのか知らないけど最近なつっちゃん元気なさすぎ」 無言でいる私の顔をハンカチで拭きながら近衛がそう言った。 でも私は・・・ 「・・・」 「ハア・・」 また近衛にため息をつかせる。 「なんつーかさぁ、まるで失恋した乙女って感じだね。今のなつっちゃんは」 うつむいた顔を上げ、静かに近衛を見ると、彼女は手のひらを太陽に向かって掲げ、空をまぶしそうに見ていた。 「・・・・・・」 「もしかして正解・・だった?」 近衛を見つめていると彼女もまた静かに私を見つめた。 「ハア」 またため息。そして言葉を続ける。 「なんかショックだな・・・」 「・・・何が?」 間をおき尋ねる。 「ん~・・・なつっちゃんに好きな人なんてもんがいたことが」 「・・・」 「相談してくれてもよかったのになーっと思って」 「・・・・・・・」 わたしがまた俯くと近衛が左手で頭をポリポリと掻いた気がする。近衛は困ったとき必ずそうする癖があるから。 「ごめんね。今度は相談するね・・・できるだけ」 だから私はそういった 「そっか。次の恋は・・・・叶うといいね・・・」 「・・・」 叶うといいね・・か。 少し違うな・・・ なぜ?私と「彼」の恋、いや愛は叶っていたんだから。 ずっとずっと昔。子供の頃から。もしかしたら母さんのお腹の中にいた時から・・・ 207 名前:つながり2[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 09 18 38 ID a6pKX0TS 「ねえ、今日さ・・・近衛の家に泊まっていっていい・・・?」 「いいよ」 私の突然の提案に親友は間髪いれずに承諾した。 「できればゴ」 「GWの終わりまでいいよ」 今度は先手を取られた。 5月4日。 近衛の家に厄介になってから3日目だ。 「彼」からの連絡はない。 3日前に「近衛の家に泊まる」と言ってから何の音沙汰も無い。 「でさ、明日はどうする?私も明日部活が無いからどっか遊びに行こうよやつっちゃん」 「そうね・・・」 空返事。そして近衛の表情が曇る。 「・・・もしかして例の彼の連絡待ってるの・・?」 「・・・」 沈黙。 「ハア」 そしてため息。 「ん~・・・あのさ。「彼」って誰なの?私の知ってる人?」 「・・・」 見詰め合う瞳。近衛の眼は真剣そのものだ。 別に近衛には私たちのことなんて関係ないのに。 「・・・・ハア。まあいいや。とりあえず出かけよ」 またため息。そして立ち上がる近衛。 「どこに?」 質問する私。 「知らない。とりあえず出掛けるの!」 私は手を握られ、引かれるまま外へと出て行った・・・ 208 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 09 30 58 ID ciVI5/ov ひょっとして書きながら投稿してないか? 209 名前:つながり1-B[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 09 45 19 ID a6pKX0TS もうやめよう・・・ 「・・・なんで?」 俺たちの関係は・・・ホントは平行線じゃないといけないものだから・・・ 「・・なんで?」 俺と夏輝は兄妹だから・・ 「なんで?どうしてダメなの?こんなに好きなのに!ずっとずっと昔から好き合っていたのに。 私たちは誰よりも深く深く繋がった存在なのに・・・なんで?」 だからダメなんだ・・・ここで終わらせないとダメなんだ・・・ ・・・ ・・ ・ 「ハア」 思い出すとため息が出る。あの日・・・いや、あの日というには2週間はまだ短すぎるな。 「どうかしたの智行。ため息なんかしちゃって」 「いや、別に。大した事じゃないよ」 話しかけてきたのはロングヘアがよく似合う大和撫子(でいいのかな?)要幸江。 俺にはもったいないような彼女だ。 「ふーん・・・そう。大した事じゃないのにため息が出るんだ」 「いや・・まあ」 俺は右手で頭をポリポリと掻く。困ったときしてしまう俺の昔からの癖だ。 「困ってますね」 「はは・・・」 彼女はSッ気があるのかもしれない。 「でも・・まあ、なんでもないならいいか」 「そうそう。せっかくのデートなんだからいいだよ」 場所は街中にある2階建てのハンバーガーショップ。 俺たちは小腹がすいたため、窓際の席から外を見ながら残り少ないポテトをつつきながら談笑していた。 「でもさ、もし本当に困ったことがあったら迷わず私に相談してね」 幸江が言った。 「ああ」 そして俺はうなずいた。 やっぱり俺にはもったいないくらいの人だ幸江は。 でも、だからこそ今回の事・・・「彼女」のことは絶対に相談なんかできない。 「彼女」は・・・そう俺の妹だから。しかも双子の。 ずっとずっと子供の頃から愛し合ってきた。体も重ねた。そして、世界の基準が俺たちの基準と大きく違うと知って別れた。 そんなこと、絶対に知られてはいけないんだ・・・ 智行が「彼」が窓の向こうの世界から幸江に眼を戻したと同時。 決して見られたくなかったその光景を。 「彼女」は見ていた。決して見たくなかったその光景を 「・・・やだ」 そして「彼女」の見る世界は涙で歪んだ。 210 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 11 01 19 ID f133cosA 投下終了ならちゃんとそれを宣言したほうがいいと思うんだが 話自体は面白いので一番槍GJ 211 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 17 31 51 ID C5nkjMuS 投下・終了宣言なしの上書きながら投下……これが黄金週間か 212 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 17 59 26 ID tDbdzN6e いちいち書き込むな 213 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 21 45 24 ID mwEKgzc+ 歪ミ回廊ってゲームやってみたが… あれってヤンデレなのか? 214 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 22 49 02 ID tUTeZzSZ 今更だがパッパラ隊のランコってヤンデレですか? 215 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 23 57 55 ID ZyAKREZC 213 214 いちいち人に聞くもんじゃないぜ? 自分で判断できないなら違うんだろ。なんでもかんでもヤンデレ扱いはどうよ? 定義の話になったら荒れるからあんま言わないが、基本的には言葉様と楓が典型的なヤンデレだ 最初から病んでて凶器振り回してるのはヤンデレじゃなく基地外。わかってんだろ兄弟? 愛しすぎて徐々に病んでいくその過程がいい 好きな男の心が離れていく時の『病む』スイッチが入るとこれからが本番 思考が歪んで瞳から光が消える瞬間がたまらない 誰かとヤンデレについてアツく語りたい。俺もそう思いながら静かに投下を待ってるんだ… 216 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 00 18 41 ID gqpIzkCv 215 全俺がヤンだ 217 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 00 37 18 ID WBXihwDn 215 お前さんの熱い思い、文章にしてみないかい? 218 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 00 45 34 ID vSpxNIPX 投下します 219 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 00 46 27 ID vSpxNIPX 「……あなたは、逃げないの?」 違う。 逃げないんじゃない。 逃げられないんだ。腰が抜けちゃってるから。 「……あなたが初めて。 私をみて、逃げなかったの」 いや、だから違うって。本当は逃げ出したいよ。 「私ね、早希っていうの。 松崎早希」 誰も聞いてないのに、勝手に自己紹介を始めやがった。 「あなたの名前は?」 そいつは、ひどく嬉しそうな顔で僕に名前を聞いてきた。 「俺は……えっと、賢一。 大山賢一」 とっさに答えてしまった。 「そう。 よろしくね、賢一君」 これが、僕たちの出会いだった。 220 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 00 51 32 ID vSpxNIPX 最初は、そう、ほんとに気づかないくらい些細なことだった。この服たたんでたっけ? とか、この本この場所に置いてたっけ? とか。 事態が急変したのは1ヶ月ほど前だった。僕が大学から下宿先のアパートに帰ると、なにやら部屋からいい匂いがするではないか。 まさか妹が料理をつくりにきたのか!? と期待したが、よくよく考えてみると僕に妹はいないわけで。 なんだろ、とリビングに入った瞬間、目に入ったのは豪華な夕食だった。 僕がぽかんとしているといつの間にか彼女がでてきて。 後は前述の通りだ。 それ以来、彼女は夜になると、毎晩のように僕の前に姿を現すようになった。恐らく今晩も。 221 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 00 52 34 ID vSpxNIPX ――ああ、やっぱりきた。 神経が特殊な感覚を感知したと同時に、脳内に女性の声が響きわたった。 「あは。 こんばんは、賢一君」 僕がうっすらと目をあけると、もはや日常とかした彼女がいた。 日本人形を彷彿させる、腰のあたりまである長い艶やかな黒髪とぱっちりとした瞳。 そして雪のように白い肌に栄える着物。 その全てが美しかった。 だが彼女のもっとも大きな特徴は目を凝らすと、体が透けていることである。つまり、幽霊。 「賢一君。 今夜もずっと一緒だよ」 恨みや哀しみとはかけ離れた、まだ十代半ばくらいであろう可愛らしい声が脳内に反響する。 「今日も一緒に気持ちよくなろうね」 そう言うと、彼女はニコッと笑い僕に抱きつく。途端に、全身が優しく撫でられているような、むず痒い感覚に襲われる。 「服……脱がせてあげる」 早希は器用に僕のパジャマのボタンをはずしていく。手慣れたものだ。僕は瞬く間に裸に剥かれた。 「……んもう、賢一君のえっち」 僕がじっと早希を見つめていたからだろう。 しかし、早希は顔を真っ赤にしながらも手際よく着物を脱ぎ始める。 一糸纏わぬ姿になった彼女は、美しいとしかいいようがなかった。 「それじゃ、いれるね」 僕は彼女の体に触れられないので、前戯はない。僕が頷くと、早希がゆっくりと腰を沈めていく。同時に僕のあそこが、何 かに包まれているかのような感覚になる。早希いわく肉体には干渉できないので魂に干渉しているらしい。そこのとこの事情は分からないが。 「あぁ……気持ちいいよぉ……」 幽霊であっても快感は感じられるのか、僕の上で早希がいやらしく腰をふっている。 「すごいよぉ……だめ……あんっ……」 普段の和風の美少女の外観からは想像もできない、いやらしい声で喘ぐ早希。そんな早希を見ると、徐々に僕の射精感も高まっていく。 「早希……俺……」 開始して三分経っただろうか、僕は早くも射精しようとしていた。 「早希……」 「うん……いいよ……いつもの通りに……あっ……」 早希の腰を振る速度が速くなる。 頭が快感で真っ白になった瞬間、射精したのだとわかった。 222 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 00 53 54 ID vSpxNIPX 「私が人間だったらなぁ」 ことを終え布団で抱き合っていると、不意に早希がそんな言葉を漏らした。 「早希が幽霊じゃなかったら、俺たち出会えてなかったかもしれないよ」これは僕の本心だった。実際、早希が生きていたら僕みたいな男を好きになることなんてなかっただろうし。 「そっか。 そうだよね」早希は自分を納得させるように頷くと、僕の顔を覗きこんできた。 「賢一君……明日もきていい?」 早希が少し不安を滲ませた表情で表情で語りかけてくる。 いいよ、と返事をして、彼女の髪を撫でる。実際は触れてはいないのだが、早希はとても嬉しそうに笑う。 それから、彼女が消える時間帯まで、僕らはずっと抱き合っていた。例え体温は感じられずとも、お互いを感じていた。 223 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 00 54 26 ID vSpxNIPX 投下終わります 長編になるかもです 224 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 01 16 48 ID vSpxNIPX 勢いで書いた 後悔はしていない 反省はしてる 225 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 01 27 34 ID dRmJhqi7 反省しなくてもいいから早く続きを書くんだトム 226 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 02 23 16 ID 2G5MUv6v GJ! 最高だ…! 227 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 09 53 24 ID GeCyd6dM 215 その言い分だと楓さまはヤンデレではなくなってしまうのだがな 発狂した後にデレたわけで、理由が途中から変わっただけ 228 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 10 06 53 ID dlMQKqcO 楓は 事故で病み→事実を知ってデレ→稟の心が離れて病んだからな ↑アニメ版はスタートがここだからまぁデレて病んだともいえる というか俺はヤンデレはデレとヤンの落差の激しさがいいとおもうんだよ デレるから病む、デレた分病む 特に当たり前だと思ってた日常が当たり前じゃなくなったときに病むとかいうのが好きだな 229 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 11 15 46 ID ESUeXczX やっぱヤンデレって定義しづらいんだよなあ 230 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 12 09 53 ID dlMQKqcO ヤンデレで一番世間に知られてるのが言葉様的凶行だからな だからこそレナがヤンデレだという説がでてきたりする スレ住民それぞれにある程度のヤンデレイメージはあるだろうが ヤンデレのヤンだけ説明したら別物になるからこそなかなか説明しづらい 231 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 12 23 01 ID psKkDtYe 定義厨の言ってる事を全部真に受けてたら ヤンデレだって言うキャラクター全部消えるからな 連中既存キャラの名前出さないし。 232 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 12 50 55 ID K6SNxMk+ 要するに楓は俺の嫁ってことか 233 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 12 57 02 ID 6Q0f/fHG 227 発狂→和解してデレのここまではあまりヤンデレと関係ない これはあくまで好きになったまでの出来事として捉える(反対意見許可) 稟が選んでくれず彼女できて心が離れていき病んでいった→空鍋&首締め これがヤンデレになる過程と結果 これで合ってるはずだと思うが間違ってたらスマソ ごめんね。母ちゃんアニメしか見てないから… ヤンデレは病むまでの過程、またそのシチュが重要だと思う 言葉様も楓様も徐々に病んでいったろ?あの病気が進行していく緊張感 がたまらんのですよ。みんなもそうだったろ? 凶行は結果的なもんでヤンデレだから凶行に及ぶとは限らないんではないか? ヤンデレが起こす結果は様々。だがツンデレがだんだんデレていくように、過程を楽しむのが ヤンデレの「味わいかた」だと私は思うんですよ どうやって病んでいくんだろう?病んでどんな結果を起こすんだろう? このワクワク感が良いんですよ 定義づけるのは難しい。いちいち細かく定義づける必要はないと思う。だがヤンデレとメンヘラの 区別くらいは最低限つくだろう。スレ住人は一応18歳以上の大人なんだしね あくまでこれは俺個人の考え方で押しつけるつもりはない だが「これがヤンデレだ」と押しつけたりメンヘラと区別がつかないのはどうかと思う 結論・ヤンデレ最高! 228 君と一晩中語り明かしたい。もっと語ってくれ 234 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 13 14 52 ID zZA/TpRM 231 でもひぐらしのヤンデレは無い、譲歩して詩音だけ 235 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 14 25 01 ID dlMQKqcO 233 あまり語るとスレの迷惑になるからここらでやめるわw まぁ明確な形をもってヤンデレというものを見たのが楓が初めてだったからつい語ってしまったな 236 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 18 25 53 ID eR07YxZT 今年の七夕は 「俺に監禁してもたまに外出許可してくれるヤンデレの彼女ができますように」 って書く。 237 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 19 20 11 ID vM4UaeLD その彼女はきっと朝青龍似だな 238 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 20 23 55 ID WBXihwDn 237 人を呪わば穴二つなんだよ 239 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 20 25 22 ID rrFRxI64 236 そんな半端な子は、決してヤンデレじゃない… ただのイタイ子だ… 240 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 22 01 41 ID cF6JKZ7/ そういえば質問 ヤンデレのエロゲもしくはSSがあるとして、誰視点の話が好き 1 もちろん主人公 2 もちろんヤンデレ3 あえて主人公の親友で、傍観者 4 視点がコロコロかわってくのがいい 241 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 22 34 15 ID Jtiq2hku 1か4、ただしヤンデレ視点も必須 242 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 23 10 43 ID WBXihwDn どの視点でも、それぞれのよさがある 筆者の筆力次第 243 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/08(木) 06 05 41 ID ynZ/haII 237 死ね、マジで死ね。 お前に監禁しても絶対外出許可しない上に足切断して逃げれなくする怖いヤンデレの彼女ができるように願っておいてやったぜ。 244 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/08(木) 06 48 12 ID ElWSKfJc 243 お前、優しいな 245 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/08(木) 07 04 04 ID qQXD6t4k 気が付いたらヤンデレに添い寝されていたい 246 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/05/08(木) 18 26 33 ID Ki/BrmQN 243 叩いてるつもりが実は相手にはこれ以上にない嬉しい言葉に聞こえている。 初めてそういうの見た。 記念に243に女と目があっただけで激怒して毎日1000通メール送って来て、学校や職場でキス迫ったりする上断ると包丁差し出して私死んじゃうよ?って言って。 最終的に監禁して四脚切断目玉くりぬきするヤンデレ女ができるようにお願いしてやったぜ。 お前のご希望通り外出許可を入れておいたから安心しな^^ 247 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/08(木) 20 33 07 ID 7H8f7PBf デレ&ヤンの続きがないかと思う今日この頃 248 名前:きゃの十三 ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2008/05/08(木) 21 33 34 ID 02Y5mFOI 投下します。 249 名前:お姉ちゃんは妹を愛してる ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2008/05/08(木) 21 35 02 ID 02Y5mFOI 最近、響子の様子がおかしい 普段なら私が起こさなきゃ寝坊する甘えん坊さんだったのに 近頃じゃ私より早く起きてお弁当をこしらえているのだ。しかも2つも。 私が誰の分だと聞くと頬を赤く染めてはぐらかす。 その時、わかった。私の響子は、どこぞの馬の骨に騙されてるんだってね きっと、響子が音波財閥の社長令嬢だという事に目を付けて純粋無垢で清楚な響子を狙ったんだわ あぁ、なんて忌々しい。身元がわかりしだい我が音波財閥の権力と財力と暴力で葬ってくれようぞ!! 「…さま、お姉さま」 馬野骨男(仮)の破滅の妄想に浸っていて、可愛い私の妹の声に気付かなかったようだ。 響子が私になんの用だろうか? はっ!まさか、姉妹の禁断の愛の告白!! きっとあの馬野骨男(仮)は、私を嫉妬させる為の捨て馬。それなら全ての辻褄が合う。 「なにかしら?響子」 私は、すました顔で妹に応対する。 「あ…あの、お姉さま」 もう恥ずかしがり屋さんなんだから、響子は。ほっぺたと両耳真っ赤にしちゃって。 林檎のようなほっぺたにキスをして、火照った両耳を舌で舐め舐めして愛を囁いてあげたい。 でも、響子が頑張って私に告白するのだから姉として我慢しなきゃね。我慢我慢。 さぁ、私に16年間、心に秘めていた私への愛を囁いておくれ。 そしたら私は、それを受け入れて、ご褒美に唇にキスをしてあげますわ。 「き・今日、お友達を我が家に招待してもよろしいですか?」 「私も………え?」 250 名前:お姉ちゃんは妹を愛してる ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2008/05/08(木) 21 35 36 ID 02Y5mFOI 一瞬、私の中で時間が止まった。 え?お友達ですって。 いままで人見知りだった響子は友達を家に連れてきた事はない(まぁ、私がそう仕向けたのだが) だから家に帰るといつも私と一緒に遊んでいた響子が今になって友達を家に連れてくるなんて…… ど・どこのレズ猫だか知らないが私の響子を同性愛なんていう社会的にも倫理的にも禁じられている世界に 連れ込むなんて許せないわ。我が音波財閥の権力と財力と暴力で葬ってくれようぞ!! 「駄目……ですか?やっぱり」 響子のいたいけな瞳が私に何かを訴えかけてきた。 「駄目なわけないでしょ。いいですよ、響子のお友達なら大歓迎よ」 「あ・ありがとう、お姉さま」 私は、その瞳に勝つ事ができなかった。 まぁ、いいでしょう。 いつまでもお姉ちゃんにベッタリくっついてる歳でもなし…ベッタリ……うぅ、お姉ちゃんサビシイよ その日の授業、私は、ずっとボケーっとしていた。 一体、響子は、どんな輩を呼んでくるのだろうか?という事で頭がいっぱいだったからだ。 そして、頭の中に「もしや男ではないか?」という最悪な状況が頭を過ぎった。 あぁ、だとしたら16年間、手塩にかけて育ててきたあの熟れた身体も インターハイ級の清楚な心もすでに馬野骨男(仮)に……くぅ、羨ま…めしい!! こんな事なら共学になんか行かせずに私と同じ女子学院に通わせればよかった。 今、思うと、あんなに共学に行きたがってたのもアイツの為なのでは……ぐ・や・じ・い!! こうなったら先回りして…… 「先生!今日、従姉妹の結婚式なので早退します」 251 名前:お姉ちゃんは妹を愛してる ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2008/05/08(木) 21 36 13 ID 02Y5mFOI 私が帰った6時間後、響子が見知らぬ男と一緒にやって来た。 「お・お邪魔します」 「ふふ、いらっしゃい」 えぇ~い、響子に引っ付くな!この蛆虫野郎めが!! あぁ~、いますぐにでもこの頭を千切りとって、サッカーボールにして蹴り飛ばしてやりたいが 響子が悲しむのでやらない。響子が泣くのは一番嫌だから。 だから命拾いしたな、馬野骨男(仮)。 そういえばコイツの本名を聞いてなかった。 興味ないけど一応、聞いておこう。身元がわかったら関わりのある周囲の人間殺させて発狂させてやるつもりだ。 それには、まずきっかけを作らなくてはならない。 用意周到な私は、アイツと響子のいる部屋に紅茶を届けに向かった。 「紅茶、持ってきたけどお口に合うかしら?え~っと……」 「友永…友永アキラです」 「そういい名前ね」 友永か…ふふふ、珍しい名前だからすぐに私のスーパーコンピューターが 貴様の身元を割り出し、身内はおろか恋人をも社会的、物質的に抹殺してくれるぞ。 「もうお姉ちゃん、あっち行ってよ」 え?今日この方を振り向くと頬を膨らまして睨んでいる、私に向けて。 な・なぜなのだ、すべてはお前の為なのに。 き・きっと、このアキラという男に洗脳されているに違いない。 …洗脳されているということはこの未成熟な胸も熟れたヒップも薄毛の生えたアソコも あの男の手垢が……おのれ、友永アキラめぇ~。 しかし、ここは引き下がってあろう。妹の嫌われるのはなによりも嫌だからな 252 名前:お姉ちゃんは妹を愛してる ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2008/05/08(木) 21 36 41 ID 02Y5mFOI それから2時間、響子の部屋からキャッキャウフフと楽しそうな声が… なんだか愛する妻を目の前で寝取られた夫の気分がわかった気がする。 響子も響子だ。私とキャッキャウフフすればいいのに何が不満なのかあんなのとキャッキャウフフしおってからに そんな事を考えていると響子と雄猫が私のいる居間にやってきた。どうやら帰るようだ。 「では、お邪魔しました」 「また来てね。響子、友永さんを送り迎えして差し上げなさい」 「はい、お姉さま」 響子が屋敷の外までにアイツを送り迎えしている間に、 響子の部屋に向かい、そこに取り付けてある 響子のプライべー…何か万が一の時にと取り付けておいた盗聴機器を取りに向かった。 しかし、取り付けておいた盗聴機器は見事にすべて壊されていた。きっと、アイツが壊したんだ。 ふと、奴の使ったコップが目には入った。 こんな汚らわしい物、我が家の運気が悪くなる前に捨ててしまおうっとコップに手を伸ばそうとしたその時… 「待ってくださいまし、それは私が片付けますわ」 響子は私からアイツの使ったコップを奪い取ると私を追い出して、部屋に鍵を閉めた。 私は、ドアに耳を澄ませた。すると、クチャクチャと卑猥な音を奏でながら 「ああん、アキラくんの口付けしたコップが私のここに当たって… アン、もっと、もっと、してぇーーーーー!!」といままで耳にした事がない 妹の卑猥な言葉に私は、愕然とした。 ――その夜、私は、妹の写真で自慰をした後、静かに泣いた。 253 名前:お姉ちゃんは妹を愛してる ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2008/05/08(木) 21 37 08 ID 02Y5mFOI ★ ★ ★ ★ ★ 誰もいないこの旧校舎がいつもの彼との待ち合わせ場所。 彼は、アキラくんは、私の言う事をちゃんと聞いてくれるいい子です。 「今日は、とっても熱いからショーツが蒸れますわ」と言えば、 このようにしゃがみこんで、私のショーツに向けてフゥ~、フゥ~っと息をかけてくれますの。 1ヶ月前までは、他のお友達と一緒にいて、私の事なんて見向きもしてくれませんでしたのに… まぁ、男の子ですもの。未来の妻になるとはいえ、私のようなか弱き女子よりも 同じ男の子と遊んでいた方が楽しいでしょう。 でも、やっぱりかまって貰えないのは寂しいものでしたわ。 そんなある日、アキラくんのお父様、つまり私のお義父様が私の父が経営している社員だと知った私は、 悪いとは思いましたが彼と関係が欲しくって、お義父様のクビをネタに結婚届を書かせて、 少し強引ですが婚約を結びましたの。 それからこうして夫婦の契りを深めているのですが最近、不安になる事があります。 それは、他の女の事楽しそうの話している時や 昨日のお姉さまをいやらしそうに見ている(ように見える)アキラさんを見てると…… アキラくんは浮気をする人じゃないとわかっているのですが…でも怖いのです。 私のどうやらとっても焼きもち屋のようです。だから…… 「アキラくん、今日からこれを付けて下さい」 私は、鋼鉄でできたパンツ――貞操帯を婚約者に付けさせました。 でも、それじゃお互いフェアじゃありませんね 「アキラくん、これを…」 私は、アキラくんに鍵を渡しました。私が穿いている貞操帯の鍵を――― 254 名前:きゃの十三 ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2008/05/08(木) 21 45 32 ID 02Y5mFOI 投下終了。 もうちょっとだけつづきます。 ところで前にガンダムのパロディネタがあったけど勇者ロボのヤンデレパロって投下OKですか? 255 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/08(木) 22 02 39 ID tnNZcpih 254 GJ!!投下については別にいいんじゃないかな。 それにしても、姉妹そろってヤンデレとは。しかも、ベクトルが 姉→妹→彼 だもんな。今までにこういうタイプの読んだことがないから、新鮮でおもしろかった。 続きを楽しみに待っているよ。 256 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/08(木) 22 32 33 ID RjO/9L7w 254 勇者ロボ大歓迎。 257 名前:コレの続きどこにあったっけ?[] 投稿日:2008/05/09(金) 01 27 40 ID zTIjudTZ 「ここはどこ?僕、どうして縛られてるの!?」 「ごめんなさい。でも○○さんが悪いんですよ、私以外の女に 私だけの精子を与えて・・・」 「そ・そんな、だって僕たち恋人じゃないのに、そんな事できないよ。」 「大丈夫。これから連日連夜の性愛で壊してあげますから。 お母様がお父様を壊して堕としたように。」 「ひいっ!まって、許して!!」 「うふふ・・・この日に備えて性技を磨いてきたんですよ。 どこまで持つか楽しみです、好きなだけ泣き叫んでくださいね・・・」 258 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/09(金) 01 58 48 ID jVFFzTAv ヤンデレ娘にカカオ99%のチョコレートを口移し食べさせるとどうなるの? 259 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/09(金) 02 45 51 ID dvSuSQV0 爆発する(性的な意味で 260 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/09(金) 04 20 37 ID zMzQ70Y+ あれは食べ物じゃないなww 普通の人だとむせるとおもうぞw ヤンデレならどうなるかはしらないがあれは苦すぎておいしくない 261 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/09(金) 07 25 31 ID iOJwAFhM ヤンデレに『いいもんあげるから目ェ閉じてな』 って言って放置して帰りたい 262 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/09(金) 07 43 05 ID 5OqvfEPS おまえの口のなかがうんこの塊でいっぱいなりますように 263 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/09(金) 08 50 38 ID t4qpZEAu むしろうんこになっちまいますように 264 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/09(金) 08 54 04 ID cZMr1Nsg 261 翌日気になって見に行ったらずっと目を閉じて待っていたなんてことがあったら可愛いと思うかも 265 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/09(金) 09 23 25 ID 3GD+FFyy 264 「いらない王様」という話を思い出した 思えばあの道化師は尽くすヤンデレなのかもしれない 266 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/09(金) 20 05 22 ID zMzQ70Y+ そういえばミクシーのヤンデレコミュでヤンデレってことになっててなえたことがある 267 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/09(金) 20 05 53 ID zMzQ70Y+ レナがヤンデレってことになっててだ・・ 268 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/09(金) 20 07 05 ID H5WbJjRs ああ、ミクシィね・・・ 269 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/09(金) 22 21 55 ID oCdVc6Js 招待された事もないこれからもその機会はないだろうしな…… 270 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/09(金) 23 50 28 ID iBGnR8Db 個人の自由で 271 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 01 03 01 ID UmellN+C 「後にも先にも、私の彼氏は君だけ」 「あなたの彼女は私でしょ?」 ヤンデレスレ的にこの違いはどう思う? 272 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 01 12 56 ID zpKSwXd3 上は前提条件であって殊更に主張するようなことではないな。 273 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 01 55 36 ID 74ax6CvX 主人公、元彼に酷い扱いを受けていた女の子に親切心から優しくする ↓ 段々と立ち直り、主人公にも惹かれる様になる女の子 しかし主人公は女の子に恋愛感情を持っていない為に気持ちにすれ違いが発生する ↓ 嫉妬心やら空回りする好意のせいで女の子ヤンデレ化 みたいなパターンでも全然いけます 274 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 03 47 56 ID kYZ5sEke 273 元彼は嫌だから両親の死にしてくれ 275 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 06 33 21 ID +3OKEvlR 処女なんて飾りです 男を知らない女のほうが浮気しやすいんです 276 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 07 57 11 ID 1eBtP8Am そもそも浮気するような女はヤンデレにはいないから大丈夫さ 277 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 11 38 25 ID yP7SLz3K 浮気ではなく彼氏が死亡する度に次のターゲットに変わるんですね、わかります 278 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 13 06 59 ID 3L4JmFpY 276 俺がヤンデレ好きな理由のうちの一つだ。 279 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 16 27 22 ID aH+v3moT 277 お前は何も分かっちゃいない 280 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 19 12 23 ID lEW7KQJu 277はにわかヤンデレ好き 281 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 19 36 39 ID 2LuBwpOX ・彼氏が死亡する度に、次の転生先まで輪廻して追いかける ・彼氏が死ぬくらいなら、いっそ自分が死ぬ ・でも彼氏を盗られるくらいなら、一緒に死ぬ ・心中を拒まれたら、自分のことを一生忘れられないトラウマを彼氏に残して、一人で死ぬ ・幽霊になっても貴方だけ 282 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 20 14 40 ID TeglBgOl 281 1か5で 283 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 20 31 21 ID M3TYtOpW 281 4以外ならどれでも 284 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 20 45 48 ID SqJx/WSw 4て言葉様じゃんw 285 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 20 51 57 ID M3TYtOpW 別に言葉様は心中申し込んだりはしてないじゃないか 286 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 21 09 54 ID TqfIKkX3 281 ヤンデレルーキーの俺は2,3,4,5以外ならどれでも 287 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 21 51 34 ID AlpDd9x2 そういやヤンデレの浮気を疑って問いただしたらどういう反応を示すのかね 可能性的に 1 笑って絶対にありえないと軽く否定する 2 自分の気持ちを疑われたと思ってぶち切れる 3 勘違いされたと思って必死に弁解→勘違いされた男を愛の証明の為にぶち殺しに行く 4 自分が他の男と話していることに嫉妬してくれている→自分はそこまで愛されていると感動 →もうお互い以外何も要らないと言わんばかりに監禁生活に(ry こんな感じか? 288 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 22 07 20 ID aH+v3moT 1か3だな、俺見解だと。 289 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 22 10 43 ID Yk9s42RY まず1から始まり4の前半から3の後半へと移行し そしてよくよく考えて2になり監禁生活へ 290 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 22 11 55 ID TUDCMSwX まず1からスタートして、それでも誤解がとけなかったら 「どうして分かってもらえないんだろう……」とかどんどん病んでいってしましそうだな。 291 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 22 55 33 ID sGvQN3sL すんません投下します 292 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 22 57 21 ID sGvQN3sL 「あー眠い……」 ついそんな言葉が漏れる。当然といえば当然である。毎晩のように早希と交わっているので、あまり寝ていないからだ。 しかし、単純に寝不足だけなのだろうか、この疲労は。 気づいたら幽霊に精気を吸い取られてました、なんてホラー映画や昔話でよくある話だ。 まあ、早希に限ってそんなことはないだろうが。 293 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 22 57 50 ID sGvQN3sL 「……弁当でも食べよ」 軽い自己嫌悪に陥りながら、バッグから早希が用意してくれた弁当を取り出す。肉体には触れないが物には触れられる、とは早希の談である。なんと都合のいい幽霊だろうか。 ふたを開けると、見事な和風弁当だった。鮭の塩焼きにだし巻き、きんぴらゴボウ。食欲をそそるには十分だ。 「いただきまーす」 未だに友達がいない僕は、独りで昼食を食べた。 294 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 23 01 06 ID sGvQN3sL 彼は、今日も一人で昼食をとっている。単に友達作りが苦手なだけなのか、それとも彼が孤独を好むからであろうか。 私としては後者の方がいい。男友達ならまだしも女友達を作られたら間違いが起こる可能性もある。 しかし、つくづく自分の臆病さを呪いたくなる。大学に入学して彼に一目惚れして、早くも一年が過ぎた。 彼の専攻している講義を全て調べ上げ、一緒の講義をとった。だから、四六時中彼と接触するチャンスはある。 なのに。ただ一言、お昼一緒に食べない?というだけでいいのに。私は、どうやら男の目からはなかなか美人な部類に入るらしい。 中学高校と何度も告白された。だから、本気で好きになったわけではないとしても、付き合った経験はある。 だから、ここまで行動できない自分が歯痒い。そんな経験じゃ、今の胸のときめきにはとるに足らないものなのだということなのだろう。 295 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 23 02 01 ID sGvQN3sL ……まぁいい。これも大事に思っているからこそ。チャンスはまだまだある。 ……そういえば、お昼というと最近気になることがある。1ヶ月ほど前から、彼の昼食がお弁当に変わったのだ。 しかも手作りの、豪華な和のお弁当だ。昔はコンビニ弁当や、パンだったのに。彼女でもできたのか? と心配したが、家の者を使って調べた結果白だった。うーむ…… 思案していると、いつの間にか隣に彼がいなくなっていた。 携帯で時間を確認すると、次の講義まであと五分という時間だった。ちらりとふりむくと、学食をでていく彼の背中が見えた。なんたる不覚! お弁当箱をバッグにしまい、学食をでる。彼に小走りで彼に追いつき、二メートル後方をぴたりと歩く。 まるでストーカーみたいだなと、我ながらちょっと異常に思えてくるが、愛の前ではなんのそのだ。そして教室につき、今日も彼の後ろの席をキープ……したのはよかったが、安堵しかけた後、私は思わずこう呟いていた。 「なん……だと」 296 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 23 04 27 ID sGvQN3sL あたしの名前は、神江優花。家は代々続く由緒正しき陰陽師の家系だ。 現代風にいうとシャーマンだとか霊能者とでも言うべきか。家がそんなだから、あたしは生まれながらに強い対霊能力を持っていた。 そんなあたしに祖父や父は期待したのか、あたしは幼少から修行の毎日だった。 皮肉にも才能があったらしく、あたしはめきめきと実力を伸ばしていった。 と同時に、同年代の子供には異端者として映ったらしく、だんだんと独りぼっちになっていった。 寂しくなかったといえば嘘になる。 だが、ここで父達に反抗してもお金がない自分はどうにもならないことを知っていた。 だから必死に耐え、修行の傍ら勉学に励んだ。 297 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 23 05 50 ID sGvQN3sL すべてはこの実家からぬけだし、一人暮らしをするためだ。努力の結果私は国立大学に合格し、母の手助けもあり、現在の一人暮らしの生活を勝ち取った。 が、つくづくあたしは運がないらしい。あたしのレーダーが、ここ最近一人の男から霊威を感じるようになった。正確には彼に接触している霊からだ。男の名前は大山賢一というらしい。偶然にも専攻している講義も一緒だった。 邪悪な意志は今のところ感じないが、危険因子は取り除いておくべきだ。 早いうちに彼に接触せねばと思ったあたしは、今日の昼食後の講義で彼に接触を試みた。偶然を装い、彼の隣に座る。そしてテキストを忘れた振りをし、一緒に見せてもらったのだ。 単純な計画だが、お礼をするからという理由でアドレスも聞き出せたし、我ながらgoodな計画だった。 ……それにしても先ほどの講義中、後ろから凄まじいプレッシャーを感じたが、あれはなんだったのだ? 298 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 23 07 16 ID sGvQN3sL 投下終わりです そもそも第一話が勢いだったからあとが続かねえ……後悔も反省もしないがな! 299 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 23 27 16 ID TqfIKkX3 お疲れさんです。 300 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 23 36 59 ID sGvQN3sL 299 すんません反省はしてます だ、だから怒らないで! 301 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 23 43 48 ID Yk9s42RY 300 急にどうしたんだw とりあえずGJ! 302 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 23 50 03 ID vLFElmOF うわ、すっげえ期待!! ヤンデレにもやっぱりバリエーションはあるわけで……。 ねえねえ、ここだけの話、教えてよ! 3人ともそれぞれ別の形でヤンデレ化して主人公の精神を、肉体を、魂を無茶苦茶にしていくんでしょ? 違ってもいいけど、それぞれキャラ立ってるし、面白そうだ~!! 作者には素直にエール送ります!! 頑張って下さい!! 303 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/11(日) 13 03 41 ID r5GUu/mr 298 GJであります。ところで、陰陽師さんもヤンでしまうのか? 304 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/11(日) 13 31 11 ID YwY5tuIB 先の展開を聞いたら面白さ半減だろw 298 GJ! 305 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/11(日) 20 48 41 ID c0Ho2I/w 281の1について。 修羅場系総合SSまとめサイトにある 「一万年と二千年前から愛してる」がそんな感じ 306 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/11(日) 20 54 16 ID ha1iGGZz 305 しむらー、「ことのはぐるま」忘れるなー!! それに…いやなんで(ry 307 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/11(日) 20 57 37 ID c0Ho2I/w なにがあったw 308 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/11(日) 21 02 10 ID F1W3cuDg でも確かに「ことのはぐるま」読みたいな。あれ今1番きになっているし。ちなみに2番はほt(ry 309 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/11(日) 21 43 06 ID +t1nJR6W 恋人が死んだ場合の対応 男の家に上がりこみ、両親に頼み込んで直前に着ていた服を貰う。 家に持ち帰り、服に顔を埋めて匂いを堪能しつつ、呟く「ずっと一緒だよ、男さん」 これくらいでよくないか 310 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/11(日) 22 31 10 ID 86diqvsw 308 俺は一番が時鳥だけどな 311 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/11(日) 22 37 08 ID Lk8/2p4v 俺は上書き 312 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/11(日) 22 39 38 ID Gf7XtO1B よづりさんの続きが読みたいです… 313 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/11(日) 23 19 24 ID /fUKj3bl 待つしかないんだけどね! 314 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 00 16 49 ID KGEvi2f1 そういやかちかち山の人はどうしたんだろうな きっと新年度だから忙しかったりするから投下が遅れているだけなんだろう もしくはヤンデレっ娘に…… 315 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 00 37 01 ID dqRLZ5Y6 ここの作者様方は常に危険と隣り合わせだからあんな良い文章が書けるんですね 羨ましいような恐ろしいような・・・ 316 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 05 13 12 ID 6miEhdKP ヤンデレ喫茶みたいに投下量が一定になると監禁されんじゃね? 317 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 16 31 27 ID IciKp7al マジでか!? よし、俺も書くぞ、書くぞ! 318 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 19 17 29 ID O1RDJEQx 317 お、さっそくお前に一人ほど釣られたらしいな。 今日電柱の後ろに隠れて恥ずかしそうにお前の名前を呼んでた。 319 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 20 52 06 ID 1ThXNyEM ttp //gigazine.net/index.php?/news/comments/20080512_bomb_for_lover/ これはヤンデレと言うべきか それともただのDQNと言うべきか 320 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 20 56 00 ID 8mF5VZGn 他スレにもカキコしてるだろ そろそろうざい 321 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 20 57 08 ID o+hQEiz/ 320 嫉妬スレに落としたがそれ以外はしらねぇぞw 322 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 20 59 12 ID v3gFjTLF あぁ、確かに嫉妬スレにもあったな。ギャング集団だったならただのDQNだな。 323 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 21 19 58 ID ZjJEx20H 嫉妬スレここ半年くらい見てないんだが まだ荒れてるの? 324 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 21 21 19 ID 8Dh2XAyG 聞く前に自分で見てくれば良かろうに 325 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 21 40 24 ID 8mF5VZGn 嫉妬スレエロゲ版にもあるぞ 326 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/13(火) 00 28 29 ID 2u7dMEjz だが爆弾魔のヤンデレというのは新しい 327 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/13(火) 01 28 38 ID at3sZuBy ヤンデレいぢめたい… 328 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/13(火) 16 32 44 ID LwBPr/S/ 323 俺もlそのくらい見てない。 てかそろそろ忘れかけてたw 329 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/13(火) 18 16 47 ID BN9/sXAo 他スレの話はよそでやれ 330 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/13(火) 18 17 33 ID 8TzclnZj 323と 328の帰りを待ってます。ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと待ってます 帰ってこないと刺し 331 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/13(火) 18 35 48 ID ntar9x7B わかったから嫉妬スレに(・∀・)カエレ! いいかげんスレ違いだ 332 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/13(火) 21 49 28 ID mYSeNhKb ストップ、だ 333 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/13(火) 23 00 10 ID pkvhp/xH お茶会の人、期待してます。ゆっくり良い作品を作ってください。 私とあなた、2人のための…… 334 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/14(水) 00 13 01 ID bGlTJQJq 333 何人に刺されると思ってんだ 335 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/14(水) 19 38 46 ID HWuisihh 刺された人数 原さんならきっと知ってる 336 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/15(木) 01 46 18 ID peTyRXqD ドMなヤンデレってのも良いな 337 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/15(木) 02 45 55 ID VGW+GGZ4 336 かなり同意 338 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/15(木) 15 01 45 ID +w/gOZ5r 機械音痴のヤンデレが男にきた出会い系迷惑メールを見てしまうという電波がきた 339 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/15(木) 16 12 04 ID oihrs9AG 338 さあ早くその電波を文章に変換しなさい 340 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/15(木) 18 54 36 ID 5WEEn1Fq 昨晩、軍事+ヤンデレ上官+一兵士な夢をみた。 内容はこんな感じだ。 上官の女性に(性的な意味で)しごかれる新任兵士。 女性事務官と会話しただけで、「業務を怠った罰」として懲戒房に放り込まれる男。 そこに同じ軍学校出の女性兵が現れ、男を口説く。 切れた女上官は、演習中に女を崖から突き落とそうとするが、女が拳銃で反撃。 結局相打ちになる。 341 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/15(木) 18 55 48 ID 2FrliDVC 340 さぁ、今日はもう寝て早くその夢の続きを見る作業に戻るんだ 342 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/05/15(木) 19 35 01 ID z9BKN5ti ネタ出しにお使いください。 http //jbbs.livedoor.jp/music/22563 343 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/05/16(金) 00 18 46 ID VzA4GWBG さてと今日もヤンデレっ娘の夢を見るために寝よう 344 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 00 44 51 ID 6aFaEB4a 実は俺も昨晩ヤンデレの夢を見た。 しかし夢といったら悪夢しか見れない俺の夢は、 ヤンデレが神隠しにあったように忽然と消え去る夢だった。 必死に探し回るがどこにも見つからない。 精神がどんどん絶望に染まっていく。 それでも必死に探す。 昨日まであんなに俺に惚れていたじゃないか! 一体、どこにいる! どこにどこにどこにどこにどこにどこにどこにどこにどこにどこにどこにどこに──── 自分がレイプ目になってしまった。 ヤンデレ好きとしては、これはつらい。 345 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 00 48 12 ID 1DTCQDol 男のヤンデレは醜いからな・・・ 346 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 01 32 38 ID ZlfACvEF 男のヤンデレと言ったらビスケット・オリバとか 347 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 01 57 17 ID NN/ADZZd 男と男友、下校中 友「おや、最近おまえにべったりの女いないじゃん。ブチ切れて殺っちゃった?」 男「温厚さに定評のある俺がそんなことするわけがない」 友「そうか殺さない程度にry」 男「ちがうわ!後ろあそこ見てみろよ、隠れてるつもりらしいけどちらちら見えるだろ?」 友「あ、マジだ。おまえのことあきらめたわけじゃないみたいだな」 男「なに企んでんだか・・・さっさと消えてほしいぜ。気持ち悪い」 友「なぁ、あれなんじゃないか?押してダメなら引いてみるってヤツ」 男「今まであいつのおかげでスッゲー迷惑したからな。近寄らなくなるなら助かるぜ」 友「はは、まったくだな。この前は俺まで死にかけたからな」 男「このままほっといてくれたらどんなにいいことか・・・」 ・ ・ ・ ・ 女「こんなに男君のこと愛してるのにちっとも振り向いてくれないなんて・・・ 泥棒猫どもは全員痛めつけてやったし、悪友からも守ってあげようっていうのに! あ!あの糞野郎!男君にあんなに近づいて!!私があそこに居なきゃいけないのに! なんで!なんで!・・・・・ッ!! ハァハァ・・・こらえるのよ女。今は男君に私の愛の重みを気づかせなくっちゃ・・・ ここは(悔しいけど)我慢して私が日々どんなに重大なウェイトを男君の生活で占めてるか 身をもって知らせなくちゃ!」 女、男を監視して1時間後・・・ 女「ハァハァハァ・・・すっごい興奮しちゃう・・・ 見てるだけでこんなに想いが膨らんでくるなんて・・・もう耐えられないよ 立ち姿だけでこんなに女の子を苦しめるなんて男君は残酷だよ・・・ あ、ああ!あ・・・缶ジュース飲む姿かわいい! 写真撮らなきゃ! いいえ、もっともっと完全に男君を保存しなきゃ!」 348 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 01 59 14 ID NN/ADZZd それから2ヶ月後・・・ 男の自宅にて 男「女のやつ、ほんとさっぱり消えたな~ 学校にも来なくなったし、俺にもやっとまともな高校生活が・・・」 ブチン! 男「ん?またブレーカー落ちたのか・・・ かぁさーん!またエアコンかけながら電子レンジつかったでしょ! ・ ・ ・ え?使ってない? おかしいな・・・でも最近なんでもないときにしょっちゅうブレーカー落ちるような・・・ ・ ・ ・ そういえば俺の部屋の天井に変なふくらみができたのって・・・ まさかな・・・原因考えたくないや。 糞して寝るか!」 その夜 ・ ・ ・ 女「見てるよ!男君!こんなに近くで! あ!男君がじいしてる! ああ!あああぁ~どんどん男君が入ってくる~ カメラに!マイクに!機材に男君が満ちていく! フフ、あんなに出しちゃってる☆ 男君が寝たらすぐ回収してあげるからね! 男君と私の愛の結晶、絶対作ってあげるからね! クスクスクスクス・・・・」 ノリで書いた反省は一切しない 349 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 02 33 31 ID oQ8vqjYc 348 ぬぅ!曲者ッ!!何奴じゃッ!!!(槍でドスンと) 350 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 03 06 00 ID ox47lMc3 VIPに帰れ 351 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/16(金) 05 58 13 ID zqXtABnM 前略。 13話を投下します。 352 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/16(金) 06 00 10 ID zqXtABnM ***** : : : 目を開ける。 すぐに閉じる。 寝起きの眼球に今目にした光景は刺激的すぎた。とても目を開けていられない。 別に、風呂上がりで艶めかしさを三割増やした葉月さんがバスタオルで隠した胸をさらけ出しそうとか、 妹が俺の胸元に入り込んでシャツを弱い力で掴みながら幸せそうな顔をしているとか、 そういった俺の下半身に都合のいい刺激ではない。 白かった。 視界の中が白に染まっているせいで、爛々と輝く蛍光灯を直視してしまったみたいに目が痛い。 眉を強くしかめてから、もう一度挑戦してみる。 今度は高速で目を閉じたりはしなかったが、心の中が疑問符で一杯になってしまった。 なんだコリャ、俺が寝起きで部屋が白で? 頬を摘んでみる。ふむ……痛いだけで部屋の様子は変わらない。 足下が確かであるからして、現実もしくは恒例のリアリティあふれる夢だと見当をつける。 では、主観的な状況把握に努めるとしよう。 場所は日本ではよく見かける洋風を意識したつくりの部屋。家具を含むインテリアも同じく。 特殊なのはそれらの配色が淡泊であるというところ。 雪が降っている訳でもないのに窓の外が真っ白。家の周りが画用紙で覆われているよう。 何かの上に上塗りした白ではない。どちらかというと、何もないから白くなっている、みたいな感じ。 家の壁、家具、天井、フローリング、いずれも染み一つ無いピュアホワイトだ。 白一色のフローリングはなんだか落ち着かない。踏み出すことさえ躊躇ってしまうから、せめて木目ぐらい欲しいところだ。 そして、視界に映るものの九割が白の面と黒の線で構成されているくせに、 テレビ画面や鏡や写真立てなどの顔を確認できる物だけは、つや消しの黒スプレーを吹いたみたいになっていた。 そのせいで部屋の光景が映り込まず、現実感のなさの演出に一役買っていた。 せめてクリアーを吹いてから研ぎ出ししてくれればよかったものを。 この手抜きっぷりは俺の夢らしくない。別に俺が望んで夢を創造したわけじゃないけどさ。 気付いたことがひとつ。ここは、我が家のリビングルームだ。 外の景色を臨める窓、廊下と部屋を繋ぐ入り口の扉、大きいとは言えないものの必要なものはほぼ揃っている台所。 大規模リフォームしない限りは変わらない部屋の構造はそのままのはず。 今朝俺が見た居間の光景と違う点は、配色が白黒になっているところ、もう一つが家具の配置と物の違い。 何気なく我が家の情報収集と娯楽提供に一役買っているテレビは、二回りほど小さくなっていた。 置かれている場所はソファーの近くではなく、テーブル近くの壁際。 カラーボックスの上に置けるほどの大きさのテレビは、テーブルの面と同じ高さにある。 窓際の中途半端なくつろぎ空間を作り出しているソファーは数を増やしており、二つ。 ガラステーブルを挟む配置は、まるで高校の応接室のようである。 住人の視点からすれば意図が理解できない。 来客用に設えているつもりなのだろうか。リビングに入り込んだ来客など数年間いないというのに。 それ以外に違うところはカーテン、観葉植物、カーペット、蛍光灯など多数。 以上を踏まえて、これはおそらく過去か未来の光景だと予想される。 扉が開いた。廊下とリビングが繋がった。 そのはずなのだが、どういうわけだか廊下は見えない。扉を境にした向こう側が芸の無い白だった。 そこから突然小柄な人間がリビングへと飛び込んできた。 お召し物がワンピースであるところからして、女の子だと思われる。 髪が黒、肌が白。女の子の地肌が白いわけではなさそうだ。 根拠? 背景と同一の白だからそう判断したのさ。 女の子の顔には見覚えがある。 母親をデフォルメした妹を、またデフォルメした容姿。女の子には妹の面影がある。 ここは俺の住む家、そこにいる妹そっくりの女の子。 この光景が過去のものであるなら、女の子は妹本人。 未来のものであるなら、妹の娘かな。 面倒だから、ここでは暫定的にちび妹と呼ぶことにする。 353 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/16(金) 06 01 26 ID zqXtABnM ちび妹は慌ただしかった。 リビングに入ってくるなりテーブルにぶつかりそうになり、左右を見回してから一度キッチンの方向へ走り、 数秒のうちにまたキッチンから飛び出して今度はソファーの後ろに隠れた。 この動きはかくれんぼでの追われ役に近い。 どこかに一度隠れてはみたがやはりここではダメだと思い直して別の所に隠れる。 でも、改めて隠れた場所もイマイチだったりして移動しようとしたところで鬼が現れたりする。 それから捕まるか隠れおおせるかは運次第だ。 ちび妹がかくれんぼをしているとなると鬼役がいるはずなのだが、未だ姿を見せない。 鬼は誰だろう。もしちび妹が妹本人なら弟か花火が候補に挙がる。 それとも俺か? これぐらい小さい頃だったら俺とも仲が良かったかもしれない。 そうだったらいいなあなんて、妹から他人行儀な態度でお兄さんと呼ばれている自分は思った。 スリッパの音が入り口方向から聞こえた。 ちび妹から視線をそちらへ向けると、妙齢の女性が一人立っていた。 はっきりした年齢はわからない。しかし母より若いのは間違いない。篤子女史と比較すると微妙。 ちなみに篤子女史も母も若作りである。年齢相応の容姿をしていない。 その二人と比べて若く見えるのだから、神秘の化粧術を使っていない限り、現れた女性は二十代であろう。 女性はリビング全体を見回すように首を右へ左へ。キッチンの方を見ると動きを止め、歩いてゆく。 その動きを見たちび妹はキッチンから見て死角になる位置へ移動する。 なるほど、ちび妹を追う鬼役はこの女性か。 近所に住む子供好きか、うちの家族の親戚のどちらかだろう。 しかし、どうも気になる。ちび妹の様子が必死すぎる。 目を強く瞑っているし、鼻と口まで両手でふさいでいる。 怯えているのが一目瞭然だった。 「――ちゃん、出ていらっしゃい」 妹の名前を、女性が呼んだ。 呼び声のもたらした効果は、ちび妹の体の萎縮。肩を一度大きく震わせ、体を丸くさせた。 それと、もう一つ。俺の足を痙攣させる効果まであった。 嫌な汗が額をびっしりと覆う。足裏が床に糊でくっつけられているみたいに動きづらい。 呼吸しづらい。女の声で空気が重くなっていた。 わかる。知っている。聞いたことがある。 ――俺はこの女を知っている。 この光景は過去のもので、ちび妹は妹本人で間違いない。 ただし、そこから先が不明だ。 何で俺と妹は女をここまで恐れているんだ。 今の俺自身が怯えている、すなわち過去の俺もこの女に怯えている。 なぜ怯えているのだ? 原因は? もしかして、今からそれが分かるのか。俺と、昔の妹がこうなっている理由が。 354 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/16(金) 06 02 40 ID zqXtABnM ちび妹、もとい妹が小柄な体を使って駆けだした。方向はリビングの入り口。 けど、床を這うような体勢で走っている最中に鍋をぶつけられ、妹は入り口前で転倒した。 鍋を投げたのはキッチンに立つ女。 怒りのあまり怒鳴りそうになったが、声は出なかった。 手を伸ばしてみると、俺の手が透明になって女の体をすり抜ける。 くそ。こんなんじゃ、妹と女をただ見ているだけしかできない。 女は妹の姿を見て嘲るように笑うと、歩き出す。右手にフライパンをぶら下げて。 妹は丸くなったまま立ち上がらない。妹の枕元に女がたどりついた。 女の足が上がる。下には妹の頭。 足が下り、妹の頭にぶつかる――その寸前、闖入者が現れた。 リビングに飛び込んできたのは子供だった。でたらめな叫び声をあげながら二人の間に割って入る。 そのおかげで、妹は守られた。女は妹をかばった子供の背中を踏んでいた。 突然のことに呆然とする女に向けて半袖短パンの子供が言う。 「――――――いで」 呟きが鼓膜にぽつりと当たった。 振動が波紋になって脳の隅々へ行き渡る。 今、この子供――たぶん男の子――は、なんて言った? この声と台詞、聞いた覚えがある。それも間近で。何回も何回も。 もしかして俺はこの現場を何度も目にしたことがあるのか? じゃあ、身を挺して妹をかばっている男の子は、弟か? 背中を盾にして伏せているから顔が見えない。弟だとは断定できない。 もしも弟だとしたら、過去の俺はどこにいる。隠れてないで出てこい。 ていうか何で隠れてるんだよ。それでも長男か。 女が弟と思しき男の子の脇腹をつま先で蹴った。むせかえる声も上げず男の子は耐え続ける。 妹は涙を流し、首をいやいやと横に振る。 震える口から出る言葉は聞き取ることさえできない。やめて、と言っているのだけはかろうじてわかる。 女が妹の髪を掴む。男の子が必死に、無慈悲で乱暴な手を解こうとする。 男の子の背中が踏みつけられる。下にいる妹ごと潰そうとしているよう。 それでも男の子は呻いたり、弱気な声を吐き出したりしない。 ただ、一言だけ呟く。 「妹を、――――で」 女は嘲るように鼻で笑う。もし俺が現場にいるなら問答無用ではり倒している。それぐらい憎らしい仕草だった。 無抵抗の男の子の足を、体格で勝る女の荒々しい両手が掴み上げる。 そして引っこ抜くようにして床から剥がし、よく見もせずに背後へ放り投げる。 男の子は椅子を巻き添えにし、棚にぶつかって止まった。 うつぶせになった男の子の後頭部に、上から落ちてきた花瓶がぶつかる。 花瓶は割れず、白い花と黒く描写された水をまき散らした。 顔を上げた男の子は、顔中が黒い水に濡れていて、頭部から血を流しているように見える。 男の子はそれだけの目にあっても、泣きじゃくる妹にフライパンが襲いかかる前に、女の腕に飛びかかる。 顔を拳で殴られ、足を踵で踏まれ、髪を引きちぎられ、聞くに堪えない言葉で罵られる。 ボロボロになりながらも男の子は泣かなかった。 妹の身代わりに自分を犠牲にし、自分の代わりに妹に涙を流させる。 ほどなくして、女の動きが止まる。荒い息を吐きながら肩を上下させる。 男の子はもはや女の腕にすがりつくことも困難になり、床に横たわり片腕だけで己の意志を伝えていた。 女の手首を掴む右腕は、頑として動かない。 呟く声が聞こえてくる。今度はより鮮明に耳に入り込んでくる。 「……もうやめてよ。妹をいじめないで」 自身ではなく、妹だけをかばうその言葉が、俺の意識をバラバラに攪拌し、すべてを暗転させた。 355 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/16(金) 06 04 10 ID zqXtABnM ***** 目を開くと同時に汗が入り込んで、痛いぐらいしみた。 あおむけに寝ころんだままで首を上げる。髪の毛の間を縫い、汗が頭皮を伝って落ちていく。 汗は全身を覆っていた。下着は言わずもがな、もしかしたら制服まで濡れているんじゃないか、と思えてくる。 確認しようと腕を伸ばそうとするも、動かせない。 変な体勢で寝ていたとかいう理由ではなく、後ろ手に縛り付けられていたから。 手首をひねると関節に食い込んでくる。細さと伸縮性のなさからみて、鉄線か釣り糸か。 左右それぞれの足首と膝にも同じものが巻かれている。血管を圧迫するほど強くはないが、かといって緩みそうもない。 手足が不自由になっている他は特に問題ない。 いや、あるか。 「……………………つめてえ」 背にしている床も冷たいが、もっとひどいのは空気だ。 二月中旬はまだまだ暖かくなるには早い。 凍てつくという表現がぴったり似合う夜の外気が、体を満遍なくコーティングしている汗と協力し、俺の体を芯から冷やす。 武者震いでなく、体ががたがた震え出す。止めようとしても止められない。というか止めたら駄目だと体が判断してる。 要するに、俺はとても危険な状況でピンチ。意味が被っているが、とにかくやばいということで。 こうして脳が活動していられるうちはいいが、このままではいずれ生命維持のために思考が止まってしまう。 その前に状況把握、あと解決策を模索しなくては。 今し方見た夢に関しては、この状況では考えないことにしよう。保留だ。 過去よりも今。立ち向かうべきものは現実だ。 「……まず、状況は黒であるぅらあああぁぁぁ……」 ちくしょうめ。口をちょっと開くだけで顎と喉が震えやがる。変な声が出た。 状況は黒だった。グリーンでもイエローでも、ましてやレッドでもない。ピンクが混じれば状況戦隊が完成だ。 「だが、そんなことはどうでもい、いぃぃぃあぁああぁぁぁ、ああぁぁぁ……」 余裕はがりがり削られつつあるのに、余計な思考だけは欠かさない俺の脳。 燃費が相当悪いに違いない。錆びたタンクから漏れているんじゃなかろうか。 現在俺がいる場所は不明である。 気絶しているうちに他人によって連れてこられたのだから、分かるはずがない。 連れてきた犯人は、共犯者がいない限りは澄子ちゃんであろう。 「しかし、あれにはびっくりした……」 しみじみそう思う。 夜の体育館で頭上を見上げたら愉悦の表情を浮かべる女の子がいた。これだけ聞くと学校の怪談みたいだ。 もし俺がこの状況から抜け出せたら仕返しに学校の怪談として噂を流してやろう。 なんてのは、冗談っていうより自分を励ますための方便だ。 だって、今の状況は黒なのだから。 場所がどこだかわからないうえ、淡い光さえどこにも発見できず、先の見通しが立たない状況、つまり黒。 状況黒とは、赤以上の緊急事態のことを指す。黒が赤を塗りつぶしているからである。 具体例として、奥深い山中に不法投棄された自動車のトランクに押し込められた状況が挙げられる…………考えなきゃ良かった。不安すぎる。 だが、こんな状況でも生きるのを諦める気にならない。 まだまだ俺にはやりたいことや、やり残したことが大量にある。 自分の部屋の押し入れにしまってある大量の積みプラを片付けたりとか、弟がいなくなったことで元気をなくした妹を回復させたいとか。 「葉月さんに告白の返事をする、とか」 なんで緊急時になるとやりたいことが浮かんでくるんだろ。 目標を意識させ、絶望を忘れさせるためか? ホント、人間の機能ってよくできてるもんだよ。 356 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/16(金) 06 06 22 ID zqXtABnM 上体を起こしてみる。額や頭に何かがぶつかったりはしなかった。 寝ころび、右に転がってみる。再度回る。もう一回回る。ワンモア。 床の固い感触は木製のものではない。ざらざらしたさわり心地はコンクリートのようだ。 俺の体が四回転しても障害物にぶつからない。縛られた両足で宙に蹴りを放っても空振りするだけ。 どうやら、それなりに広い場所にいるらしい。 乗り込んだ場所は体育館で、澄子ちゃんはそこに俺を閉じこめた。とすると、ここは体育館のどこかか。 人目に付きやすい場所に隠す愚を犯すなんて、少し抜けたところのある澄子ちゃんでもやりはすまい。 叫び声をあげられても生徒の耳に届かない場所を選定するはず。 床の裏か、舞台の下、それ以外の俺が知らない空間。 俺が好奇心旺盛な小学生なら体育館を隅から隅まで見て回ってたんだろうなあ。 こうやって俺も感動を憶えづらくなっていくのかね。 「一体どこなんだ、ここは」 悩みを吐き出してみる。すると、わずかな空気の乱れが生じた。 今、誰かが笑った? 「だ、だだだだ、誰、だ!」 不覚にもうわずってしまった声で、真上へ向かって怒鳴ってみる。 返事は息を吹き出す音だった。しかも、驚くほど近くから聞こえた。 「ふふ……っふふ。あはははは、先輩ったら面白いの!」 「へ? え?」 「ちょっとは嘆いたりわめいたり取り乱すかと思ってたら、全然普段と変わらないんですもん! それなのに、さっきからすっごい近くにいるのに気付かないし! 恐怖に鈍くて勘も鈍いだなんてお得な性格してますね!」 よし、とりあえず落ち着いてみろ、俺のブレイン。状況に置き去りにされてる場合じゃない。 声から察するに、近くにいるのは女の子。だけどただの女の子のわけがない。 俺と同じ真っ暗な空間にいるわけだから、つまり、えー…………っと。 「君、木之内さん?」 「先輩。手持ちは金メッキのボールペンと純銀じゃない銀色のボールペンだけしかないですけど、どっちがいいですか?」 「ごめん嘘。ただ敬語を使ってみたかっただけなんだ。……君、澄子ちゃんか?」 「はい、そうですよ。先輩の弟さん限定のアイドルです。 あ。でもどうしてもっていうんなら、片手間に先輩のアイドルになってもいいですよ。 全校集会しているときに放送室から「澄子ちゃん、弟をよろしく頼む!」って、大声で言ってくれたらですけど」 「いや、あの、……遠慮しておくよ」 「あれ、アタシへの告白の方がいいですか? でもごめんなさい。アタシにはもう心に決めた人がいるんです」 「そうだろうね。うん、知ってるよ、とっくに」 澄子ちゃんのテンションについていけない。まともに合いの手を入れられない。 澄子ちゃんがいつも通り過ぎる。不自然さを感じるほど、自然体だ。 弟をさらいついでに俺をどこかに連れて行くということを成したのに、それについて負い目を感じていない。 「確認したいんだけど、いいかな」 「いいですよ。どうぞ、アタシのスリーサイズを言い当ててみてください」 「いや、そういうんじゃなくてね」 こんな状況じゃなければ、目測で上から74、47、76って言うんだけど。 「君が俺をここに連れてきた。合ってる?」 「はい。ついでに白状しちゃいますと、弟さんをバレンタインデイにさらったのもアタシです。それが何か?」 「いいや、なんでもないよ。聞きたかっただけ」 わかってはいたが、やはりそうか。 この子、文化祭の時と何も変わってない。冗談めいた喋りも、何があっても弟を手に入れようとする決意も。 澄子ちゃんは俺が初めて会った時から、弟をさらってしまうぐらい思い詰めていたのだ。 でも、行動を起こさなかった。まだスイッチが入っていなかったから。 じゃあ、行動を起こすスイッチを入れたのは一体誰だ? 357 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/16(金) 06 07 26 ID zqXtABnM 「あのさ、澄子ちゃ」 「ばあ」 カチリと音がして澄子ちゃんの顔が暗闇に浮かび上がった。枕元に座っているから顔が逆さに見える。 何がしたいんだこの子。懐中電灯で下から自分の顔を照らして。 「むー……先輩、つまんないです。もっと驚いてくださいよ。 弟さんはもっと大袈裟に、抱きしめたくなるほど可愛らしくリアクションしてくれましたよ? つい抱きしめてウフフなことしちゃいました」 実行してるじゃないか。 それに可愛いって、どんな反応だ――ああ、澄子ちゃんの目で弟の反応を見たらそういうことになるのか。 「あ、どんな反応をされても先輩にはやりませんから。アタシ一途なんです。期待させてごめんなさい」 「つっこまないからね、俺は」 「どこに突っ込みたくなっちゃったんですか?」 「それにもつっこ…………いや、なんでもない」 つっこまないと言うツッコミもツッコミであると気づくほどには落ち着いてきた。 そろそろ話題を切りだそう。逆上させないよう慎重に。 「教えてくれないか。どうしてこんなことをしたのか」 「こんなことっていうのは、どれのことですか? 弟さんを家に帰れないようにしたこと? 先輩を捕まえて床に転がしていること?」 「……前者だけでいいよ」 後者の理由はだいたいわかる。俺が邪魔だから。 俺が弟の隠し場所である体育館に近づいたから、企みに気付かれたと思い、捕まえたってところだろう。 「一から説明しないとわからないですか? アタシがこうしている理由」 「動機はわかっているつもりだよ。俺が知りたいのは、澄子ちゃんが決行するきっかけになったものだ」 「そうですねえ……うん。せっかく男と女が暗闇の中にふたりっきりでいるわけですから、腹を割って話しましょうか」 そう言うと、澄子ちゃんは懐中電灯のスイッチを切った。再び視界が暗黒に染まる。 一人きりだと思っていた時より落ち着いているが、やはり澄子ちゃんといるのは安心しきれない。 まさかいきなりペンを突き立てたりはしないだろうが、油断はできない。 358 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/16(金) 06 08 30 ID zqXtABnM 澄子ちゃんは一度咳払いをすると、ゆっくりしたペースで話し始めた。 「先輩もご存じの通り、アタシは彼――先輩の弟さんが大好きです。恋してます、愛してます。 抱きついて額をぐりぐり彼の胸に押しつけて匂いを嗅いで悦に浸るっていうのを、休日を丸一日使ってやるのが夢です。 それぐらい好きなんですけど、アタシは一度も告白したことがありません。理由は知ってますか?」 不知である。知らない、と小声で言ってみた。 「葵紋花火の存在ですよ。前、言いましたよね。彼にはアタシ以外に好きな人が居るって。それがあの女です。 同じクラスに居れば、彼がどこをよく見ているのかわかります。 授業を受けている時はともかく、休み時間は教室から廊下を見てます。あの女が通りがかるか、気にしているんです。 それ以外にも、葵紋がいる教室に色々理由をつけて顔を出したりしています。 そんな様子を見せられたら告白する気だって削がれてしまいますよ。 アタシ、こう見えてもナイーブですから。玉砕覚悟で突っ込むなんてできません」 そうだろうね。無理もない。皆勇気と度胸があるわけじゃないんだ。 「でも、アタシは彼がどうしても欲しい。 寿命が半分、いいえ、あと一年しか生きられなくなっても、彼が手にはいるならアタシは悪魔と契約します。 アタシは彼を強引に手に入れることを決めました。それが去年の文化祭の頃。 あの時は運悪く先輩と葉月さんに見つかってしまったから失敗してしまいました。 けど、今回はそうはならなかった。先輩はたった一人で体育館にやってきた。そして抵抗する間もなくアタシに捕まった。 残る邪魔者は葉月さんと、忌々しい葵紋花火だけ。未来は開かれているも同然です」 うーむ、それはどうだろう。 葉月さんはああ見えて武道を学んでいるし、花火は弟のことになると冗談も挟めないくらい真剣になるし。 「俺がいなくなったぐらいじゃ、あの二人は止まらないよ。きっと」 「そうですかね? 彼を捜すことに関して、一番優れているのはきっと先輩ですよ。 先輩はお兄さんだから行動が読めるんでしょうけど、他の人にとってはそうもいかない。 まぐれでもなんでも、先輩の能力はとってもおいしいんです。アタシだって欲しいですもん」 俺だってくれてやりたいよ。弟を捜索する時ぐらいしか使い道がない能力だ。 個人が持てる特殊能力の欄が限られているなら、邪魔だから真っ先に削除しているところだ。 359 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/16(金) 06 09 18 ID zqXtABnM 本題に入ります、と前置きをしてから話が再開される。 「力ずくで彼を手に入れることを決めて臨んだ昨日のバレンタイン。 知恵熱が出るくらい悩んで書き上げた呼び出しの手紙を見た彼は、資料保管室に来てくれました。 室内で待っていたアタシは、彼の前に立ち、チョコレートを渡しました。 そして、まあ、バレンタインっぽく自分の想いを打ち明けたわけです。あなたのことが好きです、付き合ってくださいって。 対して、どんな返事をされたかは…………鈍感な先輩でもわかりますよね」 「なんとなく」 短く答える。そりゃあ当然だろ、とか下手に言ってしまったら刺されそうだ。 「そこまではよかったんです。アタシの気持ち的にはよくないですけど、 上手くいかないのは予定調和みたいなものです。わかっていたことでしたから。 問題はその後の、彼の言葉です。なんて言ったと思います? これ、当てられたらすごいですよ」 はて、なんだろう。 「だらだらと言い訳を続けたとか」 「違います。たった一言ですよ」 「これからも友達のままでいてね、とか」 「ハズレ。もっと、もっとアタシの心に突き刺さる言葉でした」 「……ごめん、俺にはわからない」 弟が澄子ちゃんの欠点を挙げてけなすわけがないし。 他に好きな人がいるから、ってのは言い訳みたいなものだし。 「本当は好きじゃないんでしょ、です」 「好きじゃ……何?」 「ちゃんと聞いてください。あと一回しか言いません」 息を吸う音が聞こえる。次に気怠そうなため息。明らかに口にするのも嫌そうな気配を感じる。 ここまで澄子ちゃんを落ち込ませるとは、一体どんな失言をしでかしたんだ、弟。 「澄子ちゃんは僕のこと、本当は好きじゃないんでしょ……ですって。どうです、これ。ひどいと思いません?」 360 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/16(金) 06 10 17 ID zqXtABnM 言葉を反芻する。 告白の返事の後に言った言葉が、好きじゃないんでしょ。それってつまり、告白が嘘だと思ったってことか? 「さすがにカチンときましたよ。アタシ、こう見えても平穏に暮らしてない時期があったから耐えるのは慣れてるんです。 それがいきなりレッドゾーンを振り切りましたよ。メーターの針がぐにゃりって曲がっちゃいました。 だって、真剣な告白をしたのに、気持ちを疑われたんですよ? 怒らない方がどうかしてますって」 あいつ、馬鹿か? 男だろうと女だろうと、告るのには勇気がいる。自分の気持ちを信じていなければできない。 その気持ちを踏みにじるような台詞を吐くなんてどうかしてるぞ。 いくら他に好きな女がいるにしても、断り方ってものがあるだろ。 弟が澄子ちゃんに言った言葉は、中でも最悪のものだ。 こりゃ、さらわれて当然だ。いや、澄子ちゃんが相手なら生きているだけでいい方だ。 「思わずフルスイングでビンタしちゃいました。でも気が済まなかったから、今度は反対側から張りました。 彼は怒りも反省もせず、まばたきをいっぱいしてました。何で頬を張られたかわかってないみたいに。 そこで気付いちゃったんです。彼、本当にアタシのことなんて眼中にないんだ、って」 「そんなこと……」 そんなことはないはずだ。弟は家族だけじゃなく、知り合いに対しても分け隔て無く思いやれる優しい奴だ。……そのはず、だ。 「先輩。慰めの気持ちは有り難く思いますけど、要りません。 事実は事実。彼にとって、アタシはただの友達。群れてきゃいきゃい言っている女たちと同列。 彼を遠くに感じました。アタシの意識は崖から真っ暗な谷底へ落っこちて、彼は崖の上でアタシとは別の方向を見てて。 もう、とっくの昔から葵紋花火だけしか女として見てなかったんです。 他の女なんて、シャーペンの芯みたいにどこでも手に入るお手軽な女としか見てないんです。 そのことを理解した時、入っちゃったんでしょうね。後先考えず、全てを敵に回す覚悟のスイッチが」 「そう、だったのか」 同情はしない。けど、澄子ちゃんが決行した理由はわかる。 自分だけを見てくれなくて悔しい。無理矢理にでも女として意識させたい。 だから、弟をさらって二人きりの場所に連れて行けばうまくいくはずだ、と。 単純明快すぎて自分が賢くなった錯覚までする。 「後はまあ、だいたいお察しの通り。力ずくで彼を気絶させて、隠せる身近な場所を見つけて、そこに連れ込みました。 それがここ、体育館の舞台の下。ここって普段は南京錠で閉じられてるから人が来ないんです。 文化祭とか体育大会ぐらいでしか使わない道具が収まってますから、先生も使いませんし。 しかもどういうわけか中からも錠をかけられるんです。卒業式を控えたこの時期なら、まず見つかりません。 あ、安心していいですよ。アタシと彼の理想郷に彼を連れて行ったら、扉は開けっ放しにしてあげます。 拘束は解きませんけど、運が良ければ一日ぐらいで誰かが見つけてくれるはずです。 無抵抗の先輩をどうにかしたところで、足が付く可能性が発生するだけでアタシの得にはなりませんから」 ということは、俺が邪魔する気満々だったらここでくびるのも厭わなかったわけか。 安心すべきか、自分の意志の弱さを嘆くべきか難しいところだ。 361 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/16(金) 06 12 53 ID zqXtABnM 「ところで、こんな真っ暗な場所にいて疲れませんか? さっきから不満そうじゃないし。もしかして、夜行性?」 「……まあ、一番やる気に満ちあふれているのは夜になるかな」 いつもならプラモデルを作りつつ母の妨害と戦うこの時間は、俺にとって癒しそのものだ。 嗚呼。今のこの時ほど我が家に帰りたいと思った日はない。ハロゲンヒーターの付け焼き刃な暖房効果が恋しい。 「じゃあ外、見てみます? 今日は月が出ていて良い夜ですよ」 澄子ちゃんは懐中電灯を付けると、暗闇の中を進んでいった。 錠を解く音がした後、重い音と共に扉が開く。 優しい月明かりが暗闇を照らす。目を凝らさなくても夜空に浮かぶ雲がはっきり見える。 自分の置かれた状況を忘れて夜の明るさに感動していると、澄子ちゃんが入り口の階段に腰を下ろした。 「先輩、今お暇ですか?」 「両手両足を縛られて、何かに励めると思う?」 「あはは。ちょっとだけ声に元気が戻りましたね。 それじゃ、耳かっぽじってぼんやりしつつ右から左へ聞き流すぐらいの心地で、でもやっぱり真剣に聞いてください」 「そうさせてもらうよ」 どうせすることもないし。いやまあ、開放するよう説得するとかあるんだけど、思いとどまらせる一言なんかないからさ。 会話の最中に理想郷とやらの場所をさりげなく聞き出すしかない。 俺がこの世から居なくなったりしたら、両手足の指でようやく数えられるくらいの人が悲しむ…………なら嬉しいな。 ともかく、俺が健在のまま弟を解放するという目的を結果的に果たすために、慎重にいこう。 不自由な体を動かして床に体育座りし、澄子ちゃんと向かい合う。 楽しそうな、澄子ちゃんの弾んだ笑い声。地下倉庫にそれは響かない。 ふと、自分がいる異世界から人間界へ向かうためには澄子ちゃんの話を聞かなければならない、みたいな試練を受けている気分になった。 まったくの外れでないところがファンタジーっぽい。 ボスが目の前にいなくて、手足が自由だったらきっと楽しいんだけどな。 「ちょっと長くなりますけど、聞いてください。 アタシの……そう、友達の話になるんですけどね」 月明かりを背にした澄子ちゃんの顔は薄暗くてよく見えない。 でも、それでいい気がした。 声から、悲愴なものがにじみ出ているのを感じたから。 話が終わる頃には何時になっているんだろう。 時計がどこかにないかと辺りを見回したけど、暗い地下倉庫にも、わずかに見える校庭にも、やっぱり見あたらなかった。 今回はここまでです。 また次回、お会いしましょう。 362 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/05/16(金) 06 21 00 ID fLPe49VD 朝一でGJ! 363 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 07 21 45 ID AyeCJ2e+ なんか色々始まったな。みんなが納得できる展開になってくれると嬉しい。 GJでした。 364 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 09 46 21 ID 9EJGHFrl GJ! 見てる方向はともかく意外といいコンビだな兄貴と澄子w 皆が予想できない展開だからこそ面白いんだよ。 365 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 10 01 17 ID W7qes4ne いいねいいね。前回のお話に浮かんだ疑問に全て応える万全の構えだ。 366 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 13 10 00 ID sq6ZUy4V GJ! すごく面白い・・・・が、あんまり話を広げすぎないでくれた方が・・・・ 367 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 15 41 48 ID a8pcRKJZ 死んだり辛い目に遭ったりするのは、兄貴だけにして欲しい! 368 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 16 37 44 ID hjKH767o 367 お兄さんがかわいそうです 369 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 17 05 34 ID igJ9dCeb GJ!! 澄子の言っていた、理想郷がどういう所なのか気になる。 370 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 18 39 03 ID 8/eJ2pRE ヤンデレもエロパロも抜きに続きが気になって仕方ないぜ。 弟も弟であんな態度取った理由は何なのやら。 無理せず続けて欲しい。最後にGJ! 371 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 19 59 21 ID AyeCJ2e+ 367 俺は嫌だな。澄子ちゃんも含めて死んだり辛い目には遭って欲しくない。 全員が幸せになるのは、まあ無理だとしても。 特に兄貴には幸せになって欲しい。葉月さんと一緒に。 372 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 20 19 07 ID vZISdoMc 友人が朝倉やらレナやらをヤンデレだと断言しやがった 思わずヤンデレのなんたるかを1から叩きこんでしまったよ 373 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 21 08 58 ID HCkvw41Q 372 よくやった 原作では単に武器持って攻撃するだけの女だしね ただ二次創作だと本当にヤンデレになった作品も無くは無いが 374 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 21 21 33 ID m+JwzIG9 372よ。お前にえ○い。二次製作だとしょうがないが、↑の通り朝倉はただ単に武器で襲ってくるだけだし、レナに至っては圭一の妄想だからな。 375 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 21 56 15 ID 3LUCLK0S これが本当のヤンデレだ!って友人に教えるなら誰がお薦め? 376 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 21 58 48 ID uM2IY3Lz 言葉様とか楓で基本をおさえてもらえ 377 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 22 02 45 ID rydkLuIX 未来日記のアレ 378 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 22 06 11 ID igJ9dCeb 斧、包丁、ハンマー、を武器とするあいつか。 379 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 22 13 19 ID KAKyC0eE 銃も使ったような・・・ あとは必殺、携帯電話 380 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/05/16(金) 22 21 03 ID S8L557Iv あと・・・…愛 381 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 22 36 34 ID igJ9dCeb あとは勘的な物 超感覚 …6th戦で斧を使わせる。 瞑想? …5th戦で… この上の描写SSに取り込もうかな。 382 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 22 43 35 ID KAKyC0eE プチトマトの重さをグラム単位で気づくんだからたいしたやつだよ 383 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 23 26 39 ID FBTPgdiN 我妻由乃スレはここですか? 384 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 00 12 01 ID R5oLjIje ゆのっちのすごいところは、普通(か、やや丈夫)の女の子程度の身体能力であれだけ暴れているところだと思う まあ、メンタル弱いと言われてはいるけど。 5thで思い出したが病み女性科学者もいいね。マッドサイエンティストに分類されるのかもしれないが。 「『星殺し』の感染は実に上手くいったみたい。 最初に先進国の微生物研を同時に陥とせたのが良かったんだと思う。あのウィルスはそこらの機関じゃ対処できるレベルの代物じゃないから。 このペースならあと数日で地球全域に広がるはず。まあ、残った人類も1年あれば死に絶えているでしょう。 そしたら媒介も無くなって、ウィルスともさようなら。 ねぇ。そうなったらどうする? 正真正銘、世界に私たち二人だけ……。 そうなったらあなたの答えも変わるんじゃないかな。 なんだっけ。 『君を女性として愛するとしたら、君が人類最後の女性となった時だ』 か…… くふふ……だから私、がんばったんだよ。 ね、お兄ちゃん……」 385 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 00 17 34 ID rXfWbTTk 自分の作った人工知能にヤンデレなのをしってる・・・終盤はカオスだった 386 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 04 22 04 ID a3TG/TkA 「ちょろいっ!」と斧で頭を一撃と申したか 387 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 04 35 22 ID JyKK5tSN 384 ラスト一行www とりあえずキモ姉妹スレに逝け 388 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 13 44 59 ID zc/nb+ni 最近最終巻が出たラノベ読み返してたら なかなか素敵なヤンデレがいたwww 当時はヤンデレとか考えもしなかったけど 389 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 14 38 18 ID npnMC/yb 今はヤンデレ以外考えられないということですね? 390 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 17 42 17 ID dqo9+uE/ 388 文学少女?? 391 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 19 54 44 ID F2wn+3dy 今月出た文学少女の本はまだ最終巻ではない。 しかし、 388の言っているラノベがどれなのか気になる。 392 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 20 03 16 ID 5HrKPnS3 ななせか 心葉の触れた500円玉と10円玉とっていたり 1巻からずっと心葉をストーカーしてたし 遠子先輩に貸してたマフラーを 「井上の、マフラーが、欲しいの」 と言ったり ヤンデレの卵だな 393 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/05/17(土) 21 41 22 ID ycs8zyFU ヤンデレが出る作品って結構あるんだな 394 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 21 42 45 ID tQnH7upY ヤンデレは、日本人の心のふるさとですから 395 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 21 44 09 ID IaH8N36u ヤンデレって究極の愛の形だと思うんだ 396 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 21 45 42 ID rXfWbTTk 末期患者の集うスレはここですか? 397 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 21 56 04 ID cQ/EZr6h 未来日記(TVドラマ版)があったら絶対見るぞ俺。 由乃と雪輝が誰になるか楽しみだ。 後、みねね。椿さんは…どうでも良いや。 398 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 22 17 38 ID eo9N2TBS 394 日本人がみんな大好きな夏目漱石曰く 「三角関係は社会の縮図だよ」 らしいからな。三角関係が好きだったらしい。 だから彼の作品は嫉妬でドロドロしたり恋敵が自殺したり…そんなのばっか。 つまり、俺たちの今いる場所は百年以上前に夏目漱石が通ってるのさw 399 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 22 28 07 ID UhtTEKEF 未来日記の刷れがあるのにちっともあっちはうごいてないな 俺は文章書きじゃないから…言うだけなんだけど(´・ω・`) 400 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 22 51 39 ID zc/nb+ni ダブルブリッド5巻の佐々木さんだよ ヤンデレってか狂っちゃっただけな気もしてきた