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234 :ヤンデレ素直クール:2010/03/03(水) 01 27 55 ID 29tgcKcv 第四話 3レス消費 翌朝、明が目を覚ますと、目の前には律の顔があった。 いつも学校で見ている、彼以外にはほとんど感情を示さない鉄面皮とは正反対の寝顔。 ありえないほど緩んだ表情と静かな寝息で、幼くさえ見えてしまう。 明は、幸せそうな寝顔に思わず顔をほころばせながら起こさないように身体を起こした。 携帯電話のチェックをしたかったのである。 案の定、メールが何件か来ている。が、なぜか個別のフォルダに入っていない。 メールを開いて見たがおかしい。友人のものまで未設定フォルダに入っている。 しかも、名前でなくアドレスが表示されている。 アドレス帳から削除した覚えは無いにも関らずだ。 慌てて明はアドレス張を確認する。 『おかしい・・・。無くなってる。』 確かに、あったはずのアドレスが一部なくなっていた。 先ほど入っていた友人の登録も無い。 『誰のがなくなったんだ・・・?ていうかなんで?』 頭がうまく働かない。昨日からずっとこの調子である。 それでも思いつく限りの知り合いの名前を片端から調べていく。 妙なことに、女性の登録だけが抜けているようだった。 学校にいた時まで異常なかったのだ。 とするとアドレスが消去されたのは下校以降。 『もしかして、律、なのか・・・?』 それ以外考えられない。 律を呼ぼうと明が振り向こうとした時、後ろから抱きつかれた。 「アドレス帳、見たんだな。」 律だ。どこか浮き浮きとした声に調子が狂う。それでも怒気をこめて返事した。 「ああ・・・。ていうか、これ・・・。」 それなのに律にはまるで届かない。 「ふふ、どうしたんだ?怖い声を出して。」 流された明は耐えられずに声を荒げた。 「どうしたもこうしたも、まず他人のアドレス帳をみるとかありえないだろ?」 「しかも、女のだけ削除するなんて、何の意味があって・・・」 235 :ヤンデレ素直クール:2010/03/03(水) 01 31 54 ID 29tgcKcv そういった瞬間、明の首に腕が巻きついた。 「なぜだ。」 律の冷厳な声。 「まず一つ目。なぜ他人なんだ?明と私は恋人だろう?」 「二つ目。なぜ恋人の携帯電話の中を見てはいけない?隠し事は駄目だろう?」 「それから三つ目。他の女のアドレスが何でいるんだ?いらないだろう?」 「4つ目、なぜ君が怒る?私は君との間に何も作りたくないだけなのに。」 「正直に答えてくれ。明を愛しているからしたことだ。怒られた理由を知りたい。」 声は冷厳なままに、重ねる詰問はだんだんと嗚咽交じりになっていく。 「なぜだ。教えてくれ。お願いだ。私が嫌いじゃないなら・・・。」 「ちょ、ちょっと落ち着けよ。律のこときら・・・」 明は興奮する律のとどめる。しかし逆効果だった。 「落ち着け?私は、落ち着いているっ!!」 「いや、でも・・・。」 凄まじい剣幕だった。律は明をがっちりと掴まえる。 逃れようともがくが、そのまま押し倒された。 ぎりぎりと音がしそうなくらい、手には力が入っている。 律に掴まれた肩からは、爪が食い込んで出血していた。 「私が周りから面倒な人間だと思われているのは知っていた。」 「それでも明なら、私の、この性格を理解してくれてると思っていた。」 「だが違った。明も同じだったんだな?私を面倒に思うんだろう?」 般若のような面で明に言葉をぶつけてきた。 明の顔には、律の涙と、噛み締める唇の血がポタポタと落ちてくる。 「それは・・・。」 否定できなかった。 「さっきもそう。君は私がどんな思いで両親のことを告白したか、分かるか?」 『・・・そうだ。喫茶店でもこんなやり取りが・・・。』 ぼんやりと思い出せるが、明の頭はクラクラしたままで働かない。 「なぜ受け止めてくれないんだ?恋人なのに。愛しているのに。セックスまでしたのに。」 「許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない」 何無表情だった律の顔が苦しみに歪む。 236 :ヤンデレ素直クール:2010/03/03(水) 01 34 39 ID 29tgcKcv 次の瞬間、明を抑える力が緩んだ。 明は、彼女をはねのけて玄関へと脱兎の如く走りこむ。 背後からは「どうして!」と悲痛な叫び声があがるが無視。 ほとんど体当たりするようにドアを開けた。 転がり込むようにして外に出る。 久しぶりにも思えるほど、朝の光はまぶしかった。 空気が信じられないほど新鮮に感じられる。 一瞬でも気を抜けば、あの手に引き戻されそうな気がして明は走った。 背後から迫る足音は無い。が、怖かった。 目に浮かぶのは、律があの虚ろな目のまま追ってくる姿。 肺が悲鳴を上げるのも構わず、ひたすら家を目指す。 自宅に着いた明は、ほとんど無言で自室にこもった。 妙な雰囲気を察して親が声をかけてくるが無視を決めこむ。 窓の外が気になり、カーテンをきっちりと閉めた。 血の滲む肩がヒリヒリする。 『痛ぅ・・・。一体何なんだよ・・・。』 一息ついた途端、今度は携帯電話が鳴り出した。 『いまはそんな気分じゃないんだよ・・・』 しかし、いつまでもたっても鳴り続ける。相手はたぶん、律だ。 『お願いだから、勘弁してくれ・・・』 明は電源を切って眠った。 律は客間に敷いた布団の上に座り込んだままだった。 明が彼女を押しのけて逃げ出した瞬間から、律は動いていない。 同じ態勢のまま、ただ独り言を呟いていた。 「どうして、どうして、どうして、どうして、どうして・・・」 布団と畳には、彼が倒していった中華粥の残りが染みている。 引っかき続けた畳はそこだけぼろぼろになっていた。 明がなぜあんなに怒ったのか、全く分からない。 『ただ恋人として分かち合いたくてやっただけなのに・・・』 セックスまでしてなぜ明は躊躇したのか。 なぜ自分のことをもっと知ろうとしてくれないのか。 「明はきっと、何か障害を抱えているんだ・・・。」 「私のことを心から好きになれないような。」 もしかしたら、それは女かもしれない。 だとしたら、全て説明がつく。 『明が私を愛しているのは確かだ。でも邪魔があるんだ。』 『きっと明にしつこくする女がいるんだ。そうに違いない。』 律の思考はどんどん飛躍していった。 前向きに、ただ彼との幸せを願いながら。 ※※※※ 投下終了
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ヤンデレ gif 2006年のネタだと ヤンデレって今日日はやんねーんだよ ↑今日日て。スバルきゅんか? かわいい(不人気) ジャンル 画像・動画 マイクラ系 総合評価 レベル3 コメント所 こえええええええええええええええええええwwwwwwwwww -- rottar (2012-01-24 20 58 03) 名前 コメント タグ ヤンデレ 可愛いじゃない
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514 :ヤンデレ喫茶の、ある一日 ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/04/14(土) 06 52 59 ID 2tUI6eH6 ----- 私は、少し変わった趣のある喫茶店で従業員をやっています。 なにせ、女性の従業員・アルバイト全員がメイド服を着ているのですから。 店員がメイドさんだと言えばわかるでしょう。つまり、メイド喫茶です。 そして、そここそが私の勤める、愛すべき喫茶店です。 私がこの喫茶店に勤めはじめたのは、喫茶店がオープンした初日からでした。 オープンしてから今まで、私は一日も欠かすことなく出勤しています。 つまり、皆勤賞に値する勤務姿勢を維持し続けているのです。 だというのに、いままで手書きの給与明細に『皆勤手当』の項目が記されたことは一度もありません。 労働組合があれば手当てを要求することも可ですが、この喫茶店にそんなものは存在せず、 本来要求すべき相手である店長は副店長の春香のいいなりであるため相手にならず、 それならばと春香に話を振っても首を縦には振りません。 従業員の意思を汲んでくれない雇い主です。 春香の父親であるオーナーに直訴してやろうとも思いましたが、 私が勤めてきてからこれまで、一度も顔を見たことがありません。 そのため、誰にも訴えることができない状態にあるわけです。 いっそのこと、私が経理担当になってしまおうかと思ったこともあります。 とはいえ、春香が譲ってくれない以上、経理の椅子には座れそうもありません。 私にとって、この喫茶店はとても愛着のある場所です。 不満点は、給与明細の中身を除いては一つもありません。 店長は椅子に座っているだけでうるさくはないですし、 春香は副店長であると同時に親しい友人でもあるし、アルバイトの女の子もいい子ばかりです。 メイド服のデザインも私は気に入っています。 ワンピースタイプではなく、ブラウスとスカートとエプロンが別々になっているので、 少々着るのが面倒なのが難点ではありますが。 この喫茶店の変わっているところは、お客様へのサービスにあります。 どのようなサービスか具体的に言いますと、10回お店に来られた男性に対して、 その男性を愛している女性をプレゼントする、という内容です。 そのため、女性達全員がアルバイトの子です。 全員が自分を男性にプレゼントすることを目的にして働いています。 つまり、この喫茶店は女の子たちの恋の橋渡し役を担ってもいるのです。 515 :ヤンデレ喫茶の、ある一日 ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/04/14(土) 06 55 16 ID 2tUI6eH6 喫茶店での一日は、店内の掃除から始まります。 厨房の掃除から始まり、カウンター、店内の床やテーブル、お店の窓拭き、 トイレの掃除まで私が全て一人で行っています。 働き始めて何年も経とうというこのお店の掃除にはすっかり慣れてしまいました。 そして、店長はともかく春香さえ手伝おうという素振りを見せないことにもすっかり慣れました。 その次は仕込みです。 店内で出す軽食メニューに使用する食材を、調理しやすいように加工しておきます。 食材は私がいないうちに春香が仕入れているようで、準備する必要はありません。 仕込みの作業は春香が手伝ってくれるので、楽なものです。 仕込みが終わったころ、アルバイトの女の子たちがやってきます。 年の頃は10代後半から20代前半。 子供っぽい子もいれば、私より大人に見える子もいます。 彼女達全員がお店にやってくる男性に、お店に勤める以前から好意を寄せています。 好きな男性に「ご主人様」と言えるということに、彼女達もまんざらではない様子です。 しかし、(これは私も疑問ですが)都合良く好きな男性がやってくるのはどういうことでしょう? それも、一度喫茶店に来た男性はその後も必ずお店にやってきます。 こんなに上手くことが運ぶことは、現実主義者の私には理解できない状況です。 以前春香に疑問をぶつけてみたところ、 「それはきっと、運命の赤い糸で結ばれているからですわ」 という答えが返ってきました。 それだけの理由で納得できるほど、私は夢を見ていません。 その後で、アルバイトの女の子にお店で働くことになったきっかけを聞いてみました。 すると。 「私が彼のことを考えながら歩いているとき、おじいさんがやってきたんです。 おじいさんは私の気持ちを全て見抜きました。 そして、彼が欲しいのなら奪ってしまえばいい、と言ってこの喫茶店の連絡先を教えてくれたんです。 続けて、彼を独占したいのならばそこのお店で働きなさい、と言うとおじいさんは立ち去りました。 最初はどういうことかわからなかったけど、せっかくだからとりあえずアルバイトすることに決めました。 お店に来て、店内に彼がいたときはびっくりしました。 彼は硬派な人で、メイド喫茶には来そうになかったから」 どうやら、そのおじいさんが女の子たちを勧誘しているようです。 同時に、(これは予測ですが)おじいさんが男の子を喫茶店に連れてきてもいるようです。 一体どうやればそんなことができるのか分かりませんが、状況は理解できました。 そのおじいさんが現れてくれれば全ての謎が解き明かされるのですが、 アルバイトの女の子はそのおじいさんに二度と会うことはなかったそうです。 春香にそのおじいさんの話をしてみたところ、 「きっと、そのおじいさんは恋のキューピッドさまですわ」 と言って、得意の癒しの微笑みを浮かべていました。 本当に恋のキューピッドであるならば、私の恋を実らせてほしいものです。 516 :ヤンデレ喫茶の、ある一日 ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/04/14(土) 06 56 39 ID 2tUI6eH6 私の失恋話をします。 と言っても、振られたわけではないですし、そもそも告白すらしていません。 彼の名前は南君と言って、21歳の大学生の男の子です。 短期間のアルバイトということで、一ヶ月間だけこの喫茶店のウェイターをやっていました。 アルバイトにやってきた回数は、9回。 あと1回で誰か他の女の子とくっついてしまうのか、と不安に思っていた私としては嬉しくもありましたが、 もう南君の顔を見られないと思うと、胸が張り裂けそうになりました。 私が南君を好きになったきっかけは、閉店時の掃除のときに起こりました。 いつも閉店時間がくると、春香がアルバイトの女の子達を帰してしまうので、 店内の掃除は私一人でやっています。もちろん春香は手伝いません。 一人黙々と掃除を続けていたとき、突然お店のドアが開きました。 ドアを開けて、そこに立っていたのは南君でした。 私がじっと見つめていると、彼は口を開きました。 「忘れ物を取りに来たんですけど……あの、いつも一人で掃除をしているんですか?」 私が無言で頷くと、彼はこう言いました。 「僕も手伝いますよ」 南君は、一人だけで喫茶店の掃除をしている私を見かねて、手伝ってくれると言ったのです。 そのときの私は、初めて掃除を手伝ってくれる人が現れた喜びと、 彼の優しい言葉に胸を打たれて、思わず泣いてしまいました。 涙を流す私に、南君はハンカチを差し出してくれました。 そのハンカチで涙を拭いて彼の顔を見ると、何故か目を離せなくなっていました。 彼のくせのある短い黒髪と、首から突き出している喉仏と、 嫌味のない瞳を見ているうちに顔が熱くなり、同時に胸の奥と下半身も熱くなりました。 私は、南君の優しさの虜になってしまったのです。 それからというもの、南君と二人きりで閉店時の掃除をするのが楽しみになってしまいました。 掃除の時間だけは二人だけの世界。 私がテーブルを拭いていると、南君が床を掃いてくれて。 南君が食器を洗っていたら、私がそれを拭いたあとで食器棚に収めて。 まるで二人だけのお芝居をしているような気分でした。 そんな楽しい日々は彼が突然アルバイトを辞めたことで終わりをつげました。 なんの挨拶も無いまま辞めてしまったことを不審に思い、店長を問い詰めると、 「怒るなよ? 絶対に怒って手を出したりするなよ? ……実は、………に命令されたから、俺がやめさせたんだ。勤務態度がわるかったからってことで……」 その言葉を聞いているうちに頭に血が上り、その怒りが頂点に達した瞬間意識が暗転し、 意識が戻ったときには顔を腫らした状態でテーブルに伏せている店長が目の前にいました。 そんなことがあって、楽しい日々と同時に私の恋は終わりをつげたのです。 もしキューピッドがいるのならば、あの恋も実らせてくれてもいいのではないでしょうか。 517 :ヤンデレ喫茶の、ある一日 ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/04/14(土) 06 58 31 ID 2tUI6eH6 しかし、実際はそうなるはずもなく、今日もお店は普段どおりに営業しています。 アルバイトの女の子達は嬉々とした様子で憧れの男性の接客をして、 突然床に倒れた男性に対しては満面の笑みを浮かべたまま店の奥へと連れ込みます。 私はその光景をカウンター越しに、時々厨房越しに観察します。 皆、うれしそうです。でも、私は……。 ステンレスでできた調理台の上に涙が落ちて、跳ねました。 落ちたときの勢いで、涙はつぶれて四方に飛び散りました。 下あごが震えて、歯が音を立てます。 頭の中から、どんどん、どんどん悲しみが沸いてきます。 両手で顔を覆いました。 けれども、涙は指の間を伝って溢れてきます。 手のひらを伝って顔を濡らし、腕を伝って袖を濡らします。 嗚咽が短い間隔で、しゃっくりのように繰り返し起こりました。 寂しい。寂しくて、耐えられない。 すぐ近くで恋を実らせている女の子がいて、男性と二人きりでいるというのに、私はひとりぼっち。 彼がいれば、南君がいれば私の目からあふれ出す涙を優しく拭ってくれるのに。 それなのに、南君はここにはいない。 そして、きっとここには戻ってこない。 もう二度と彼には会うことができない。 私なんか、もうこのまま消えてしまえばいいのに―――― 「……起きて………起きて…ださい」 その声に聞いて目を覚ますと、春香が目の前にいて、私の肩を揺すっていました。 私は厨房の床に倒れていました。 きっと泣いたまま眠ってしまったのでしょう。 「……もう閉店時間ですから今日はお帰りください。 今日の掃除は私がしておきますから」 私は首を振りました。 閉店時の掃除の時間は私にとって南君との思い出の時間です。 まだ、私は彼を忘れられないんです。 南君が後ろにいるかもしれない、と思いながら掃除することが私の心のよりどころなんです。 「……わかりました。では、いつも通りお願いいたしますわね」 その言葉に対して頷きを返して、立ち上がります。 そして、掃除棚から箒を取り出してから、掃除を始めることにしました。 518 :ヤンデレ喫茶の、ある一日 ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/04/14(土) 07 00 56 ID 2tUI6eH6 箒で床を掃く音だけが聞こえます。 木目の床と箒の繊維が擦れあい、しゃ、しゃ、しゃ、という音を立てます。 他の音は聞こえません。人の気配もしません。 私一人だけがこの喫茶店にいます。 それだけのことなのに、なぜこんなに心がからっぽなんでしょう。 それだけのことなのに、どうして涙が流れて止まらないんでしょう。 ほこりをちりとりに掃きこみ、ゴミ箱に入れます。 次にやることはなんでしたっけ――ああ、テーブルの拭き掃除でした。 布巾を持った手をテーブルに置きました。 ふと、南君のことが思い浮かびました。 以前はいつも私が箒を持って掃いている間に、テーブルを拭いてくれました。 けれども、今は南君がいないから全て一人でやっています。 不安が襲い掛かってきて、視界を大きく揺らしました。 こうやってずっと、私は一人ぼっちで過ごすのではないか。 南君の影を忘れられないまま、ずっと泣いたままでいるのではないか。 膝から力が抜けて、床にへたりこみました。 顔が下を向いているから、涙が頬を伝うことなく、スカートの上に落ちました。 スカートに黒いしみが浮かぶ様子をぼんやりと眺めます。 いくら待っても涙が止まることはありません。 ずっと涙が落ちつづけます。 このまま泣き続けてしまえばいい。 そうすればきっと、体中の水分が抜けて脱水症状になって、気絶する。 ここにいれば朝までは発見されないから、上手くいけば死ねるかもしれない。 南君がいないのなら、そのほうがいい―――― すると。 カランカラン、という鈴の音が聞こえて、その後に誰かが喫茶店に入ってきました。 ……このタイミングで来るということは、まだ死ぬな、と誰かが言っているのでしょう。 恋のキューピッドでしょうか。 もしそうなら、声をかけるのではなくて私の恋を実らせてくれればいいのに―― 519 :ヤンデレ喫茶の、ある一日 ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/04/14(土) 07 03 57 ID 2tUI6eH6 「あの……大丈夫ですか?」 その遠慮がちに発せられたような声は、男性の声でした。けれども、店長の声とは全く違います。 この声に私は聞き覚えがありました。 そして、その可能性を否定しました。 彼がこの喫茶店にくるはずがありません。彼は店長からクビを言い渡されたのですから。 「どこか怪我でもしたんですか?」 また、耳に覚えのある声で話しかけられました。 いたわるような、優しい声でした。まるで、あの人のようです。 そうだったらいいな、と思いながらやってきた人の顔を見ると。 そこに居たのは、何度も会いたいと夢に見る人でした。 その人と二人だけで力を合わせて掃除をしたいと、何度も願った相手でした。 そこには、いつでも私が一番会いたい人――南君がいました。 嬉しさのあまり素早く身を起こすと、ふらついてしまいました。 前のめりになる私の肩を掴んでくれたのは、南君の大きな手でした。 その手を握ります。とても柔らかくて、温かかったです。 「……どうして泣いているんです?」 私の顔を見て、南君は怪訝な表情で聞いてきました。 私は首を横に振って、心の底からの笑顔を作りました。 嬉しくて、悲しみなどなくなってしまいました。 涙はもう、あふれてきませんでした。 南君がハンカチを取り出して、目と頬に残っていた涙の後を拭いました。 その手つきは壊れ物を扱うような繊細さで、大事にしたいという思いがじんわりと伝わってきました。 今の私にその優しい刺激は強すぎました。 南君の背中に手を回して抱きついて、彼の胸に顔を当てます。 頬に、くすぐったい感触があらわれました。 柔らかい。そのくすぐったさも、彼の肉体も。 抱きついたまま、私は口を開いて自分の胸のうちを明かしました。 閉店後の掃除時間に手伝ってくれたときに感じた喜び。 二人きりで過ごした、短い時間だけれど心を占める大事な思い出。 南君が居なくなったときに感じた、息が詰まるほどの喪失感。 今までずっと心の中で暖め続けていた強い恋慕。 私は彼にはっきりと伝えました。――南君のことが好きです。と。 南君の胸板にある私の目線からは、彼の顔は見えません。 喜んでいるのか、顔をしかめているのかはわかりません。 すると、南君の腕が私の頭を包み込み、ぎゅっ、と抱きしめてきました。 「また会えて、本当に嬉しいです。それに、同じ気持ちでいたってことも。 ……はい。僕も好きです。僕はあなたのこと、誰よりも想っています」 そう言うと、南君は私の唇にキスをしました。 また涙がこぼれました。――幸せすぎます。こんなの。 520 :ヤンデレ喫茶の、ある一日 ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/04/14(土) 07 06 44 ID 2tUI6eH6 体全体を南君の体に当てて、密着します。 すると、突然南君が腰を引きました。 当然、私は物足りないので自分の腰を再度押し当てます。 「ちょ、ちょっと待ってください。少しだけ……」 待つわけがないでしょう。 今まで何日、何ヶ月おあずけを食らったと思っているんですか。 というわけで、逃がしません。うふふふふ。 南君の腰に手を回し、両足の間に体を滑り込ませます。 すると、おへそに何かが当たるのを感じました。 メイド服越しですので、何があるのかは分かりませんが。 お腹を離すと、そこには南君の穿いている綿パンがありました。 そして、ベルトのバックルの下だけが突き出していました。 なるほど。だから腰を離そうとしたんですね。 嬉しいです。私と抱き合っているだけで興奮してくれるなんて。 「ぇ……」 大丈夫ですよ。……私の体を使って、鎮めてあげます。 膝を床についた状態で、南君が身に着けているベルトを外し、 続いて突き出したモノの上に伸びているチャックを下ろします。 綿パンを下ろすと、薄布に阻まれた状態のイチモツがでてきました。 私の顔に、先端が真っ直ぐに向けられています。 ――うふふ。そんなに慌てなくても、きっちりと面倒を見てあげますよ。 南君の突き出したモノを避けるように下着をずらしていきます。 ほどなくして、南君の突き出したペニスがあらわれました。 ときどきビクン、と上に跳ねていて、我慢できない様子でした。 ――いただきます。南君。 鈴口の先端にキスをします。 南君がうめき声をあげて、ペニスが大きく揺れました。 陰茎を右手で握り、再度くちづけます。 今度は舌の先端で切れ目、出口を責めます。 そうしているうちに、ぬめりを持った液体が出てきました。 くちづけた状態から、そのまま首を前に動かして肉棒を口の中に含みます。 傘の裏に唇の裏を合わせて擦り、同時に舌も動かします。 「あ、はぁぁぁ……」 より深く肉棒を咥えて、全体に舌を這わせます。 とても熱くて、固くて、そのせいで無性に体が熱くなってきます。 続けていくうちに、陰茎が脈を打って膨らみ始めました。射精の兆候です。 その瞬間に合わせて、肉棒の先端を強く吸引します。 南君の声とともに、精液が口の中に大量に発射されました。 鼻から漏れる匂いは、とても濃くて臭くて――つい、一気に口の中のものを飲み下してしまいました。 521 :ヤンデレ喫茶の、ある一日 ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/04/14(土) 07 08 33 ID 2tUI6eH6 気持ちよかったですか?南君。 「……ええ。とっても」 うっふふふふ。嬉しい……じゃあ、もっといいことさせてあげます。 いい子の南君への、ご褒美です。 私はエプロンを外し、スカートも脱ぎ、ブラウスも外しました。 今はブラとショーツとソックスだけしか身に着けていません。 仰向けに寝転がります。膝を立てて、ふとももの裏側を南君に見せ付けます。 南君はハイソックスを脱がせると、私の体の上にきました。 私にキスをすると、唇を這わせながら顎、首筋、鎖骨まで下っていきます。 胸の谷間を通過しておへそまでたどりつくと、また往復してきました。 南君は手を動かして、ブラの肩紐をずらし、全体を下にずらしていきます。 隠すものが一切なくなって、私の胸がさらけだされました。 南君の唇が右の乳首に触れました。 彼の両手は私の左右の乳房を揉んでいます。 くちづけていない方の乳首は指でこねて、次は左右を入れ替えて同じことをします。 私の腕で、南君の頭を強く抱きしめます。こうすると、彼をより強く感じられました。 乳首を歯で甘噛みされました。噛みながら、舌の表面は肌を往復しています。 甘噛みをやめたと思ったら、唇の先端でついばまれました。 乳首を挟んで、軽く引っ張りながら離す。南君はそれを左右の乳首で繰り返しました。 南君が体を移動させて、私の両足の間でとまりました。 指でショーツの上から秘裂を撫でられました。 その途端、びくり、と自分の背中が跳ねます。 今度は二本の指が割れ目に当てられて、円を描くように動き出しました。 だんだんショーツが濡れていくのがわかります。 それなのに、南君の指はますます加速します。 くちくちくち、と肌と濡れた布が擦れたときの音がしました。 その音が繰り返されたあと、南君の手がショーツの横に当てられました。 段々とショーツをずらしていくので、私もそれに合わせて足をうごかします。 そして、南君の手が肌から離れたとき、濡れきったショーツは私の足から脱がされていました。 私の秘所は、南君の前に隠すものの無い状態でさらけだされています。 彼は私の足を広げると、両手で割れ目を広げて、舌を入れました。 一定の間隔で舌が往復します。入り口も、奥まった場所も舌の届く限り舐められました。 522 :ヤンデレ喫茶の、ある一日 ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/04/14(土) 07 19 27 ID 2tUI6eH6 南君は私の体から顔を離して、両足を掴んだ状態で私を見つめています。 その目は私の反応を見ているようでした。 こんなときでも、彼は私のことを想ってくれる。そう思うと、自然と笑みがこぼれました。 その笑顔を見た南君は私から目を反らし、下を向きました。 少し遅れて、秘所に固いものが当たりました。 南君の熱いペニスが、私の中に侵入していきます。 腰が密着した瞬間、私の顔が大きな喜びに満たされて、微笑を作りました。 腰が離れて、肉棒の感触が遠ざかります。口から小さな声をが漏れました。 しかし、すぐにまた貫かれました。腰が触れて、歓喜の声が漏れます。 肉棒を出し入れされるたびに、私の口は同じことを繰り返します。 南君も同じでした。彼は荒く、断続的な呼吸を繰り返しながら腰を動かしています。 打ち付けられるたび、膣壁がこすれて、奥にペニスの先端が触れます。 ときどき浅くついたときは奥の手前で寸止めされた気分になり、身がよじれました。 もう、快感と南君の熱しか感じられません。 強い快楽に脳をかき回されて、前も後ろもわかりません。 ただ、南君から注がれる熱だけが変わらずにそこにありました。 喉の奥から、だんだん耐えようのない波が押し寄せてきました。 それがもっとも大きな快感であるとわかっていた私は、それを受け入れました。 同時に南君の動きが止まり、とびきり熱いものを注がれて、 私は喉から大きな声を絞り出して――そのまま、脱力してしまいました。 呼吸が落ち着いてから目を開けると、南君の顔が私の目の前にありました。 「…………」 彼は口を開きませんでした。 何も言わずに、そのまま顔を近づけて私にキスをしました。 強くもなく、弱くもなく、お互いの唇が重なり合いました。 唇を浅く当てて、離して、またくちづける。 しばらくそれを続けた後に顔を離した南君は、目を細め口の端を軽く上げて微笑みました。 ――ああ、満足してくれたんだ。 私も、同じ顔を作りました。 けど、上手く笑えたかどうか自信はありません。 ただ、南君に私の気持ちが伝わればいいな、とだけ思いました。 523 :ヤンデレ喫茶の、ある一日 ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/04/14(土) 07 26 44 ID 2tUI6eH6 翌日。 いつものように喫茶店へ行くと、私の部屋に泊まっていって、 まだ寝ているはずの南君がウェイターの姿をして待っていました。 「おはよう……じゃなくて、おはようございます」 唖然としている私に向かって、南君が礼をしました。 反射的に、私も「おはよう」と言ってから頭を下げました。 「おはようございます。……どうされましたか? 呆けた顔をされていますよ」 メイド服を身に着けた春香が店の奥からやってきました。 私は朝の挨拶もそこそこに、これはどういうことか、と春香に問いました。 「実はお父様から、彼をもう一度雇うように頼まれたのです。 彼はこの喫茶店に必要な人材だ、と言っておられましたわ。 ……それに、実際にそのようですし、ね」 春香は私と南君を見た後、誰に向けているのかわからない笑顔を浮かべました。 春香が立ち去った後、私と南君の二人で開店前の掃除をすることにしました。 毎日のルーチンに組み込まれているから、いつも短く感じていましたが、 今日はあっというまに終わってしまった感覚までしました。 不思議です。 南君がいるだけで心が浮かれて、時間が短く感じられます。 春香のお父さんに感謝です。 もしかしたら、春香のお父さんが恋のキューピッドなのかもしれません。 幸福のあまり、ふらふらとおぼつかない足取りで歩いていると、後ろから肩を支えられました。 まるでソファのように体を柔らかく包み込む腕でした。 こんなに優しい感触を持った人は、一人しかいません。 「大丈夫か? 気分が悪かったら言えよ。 お前に怪我してもらうのはなんか、その……嫌だからさ」 私にここまで優しくしてくれる人は、恋人の南君だけです。 ――ね、ずっと、ずぅっと、私と一緒にいてね? ――もう私の前から消えたりしないでね。 ――離れたりしたら、ひどいことしちゃうから…………。 終 -----
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152 :ヤンデレ素直クール:2010/02/20(土) 22 43 39 ID 56PLRE7Q 第三話 3レス消費 明が目を覚ましたのはそれから二時間後のことだった。 窓の外は既に真っ暗だ。 場所は全く知らないどこかの和室。律の家だろうか。 明は布団をごそごそと抜け出した。暖房が効いていて暖かい。 「すいません。」 声を上げてみる。襖の向こうに誰かいる気配は無い。 とは言え、他人の家だ。勝手はできない。 「律さん、いる?」 再び声をかけると、向こうから「すぐ行く」と返事が。 階上から、階段を下りる音が聞こえる。 襖を開けたのはやはり律だった。 「起きたか。喫茶店で突然倒れるなんて驚いたぞ。」 不安そうな顔で腰を下ろす律を見ると、明はなぜか頭痛を感じた。 『そうだ。俺は喫茶店で律と話してて・・・、なんだっけ、何かあった気が。』 「うっっ・・・。ごめん、律さん。俺なんだかよく分かんないけど・・・。」 事情を尋ねようと声を上げた途端になぜか律に遮られる。 「大丈夫だ。店で何かあったわけじゃない。ただ君の体は心配だな。」 すこし強引な律に違和感を感じるが、思考がまとまらない。 「本当に?俺、ちょっと思い出せな・・・。」 「大丈夫だ。言っただろう。それより突然倒れたりして本当に大丈夫なのか?」 「私は明の体調のほうがよっぽど心配なんだが・・・。」 どうやら店のことは話したくないようだ。 思い出せない以上仕方ない、と諦めると明は笑顔で答えた。 「いや、大丈夫だよ。なんだか気分が悪くなったみたいだけど、今は全然。」 そう言うと、律もやっと安心したようだった。 「良かった・・・。」と言いながら顔を綻ばせている。 「大げさだよ。ちょっと気を失ったくらいさ。」 「何を言ってるんだ。大病なのかと本当に心配したんだぞ。」 いつもの凛とした表情でオーバーに言うので、すこし笑ってしまう。 すると、律は困ったような顔で言うのだった。 「私は明の恋人だからな。君のことを心配するのは当たり前だ。」 「うん、ありがとう。心配かけてごめんな。」 まったくだ、という律をみて明は何となく彼女をすこし理解できた気になった。 幸せ、とはこういう気分だろうか。 ※※※※ 153 :ヤンデレ素直クール:2010/02/20(土) 22 46 17 ID 56PLRE7Q その内、何かを取りに律は部屋を出て行った。 身体が心配だから動くなと明に言いつけ襖をしっかりと閉めていく。 『汚れているのだろうか、気にしないのに・・・』 そして、律の先ほどの可愛らしさと告白の時の迫力を思い出していた。 確かに律の明への態度には異常なくらい変動があるのだ。 好きだから、とかいう理由で説明がつくのか、明には分からなかった。 眠りすぎたからだろうか、さっきから思考がうまくまとまらないのだ。 ぼんやりしていると、律が戻ってきた。持ってきたのは鍋と茶碗。 来たときと同じく、襖をしっかり閉めている。 さっきと同位置に座る律の頬は、なぜか少し赤みくなっていた。 『可愛いなあ』などと思っていると、差し出されるレンゲ。 「中華粥だ。元気が出るぞ。」 そう言って律は二人の前に置いた鍋から粥を茶碗に盛り付ける。 しょうがの、食欲をそそる良い香りがしてきた。 「じゃあ、いただきます。ほら、明も。」 あまりに自然な流れで、明もつられてしまう。 「あ、うん。いただきます。」 口に含むと、ごま油の風味が広がる。 続いて海老のプリッとした食感。海鮮粥だ。 しかし、それだけではない、何か独特のコクがある。 「あ、おいしい。」 「ふふ、そうだろう。私の特製だ。」 律も心底嬉しそうな顔をする。見ているほうも満たされるような笑顔だ。 料理の上手さに脱帽しながら、食べていると明は大事なことに気付いた。 「あ、そうだ家に連絡・・・。」 なぜだろうか、完全に忘れていた。明は慌てたが、律は落ち着いている。 「もう連絡しておいたぞ。寝ている間に携帯を見させてもらった。すまない。」 「いや、俺が助けてもらったんだしいいよ。ありがとう。」 「ふふ。ご家族も心配していたからな。後で電話するといい。」 「うん。」 ※※※※ 154 :ヤンデレ素直クール:2010/02/20(土) 22 55 00 ID 56PLRE7Q 食後、明は律とくつろいでいた。 本当は食後に帰る予定だったのだが、律に引き止められたのだ。 家に電話してみると、なんだか変な声で「泊まってらっしゃい」と言われる始末。 幸い、明日は日曜日。昼のこともあるし、明は泊まっていくことにした。 「話したいことがある」と律は言っていた。 それで二人でソファに座り、テレビを見ている。 律は学校で見た事が無いような、甘えた雰囲気だった。 しなだれかかり、何かせがむような目で時おり明を見つめる。 明の緊張が最高潮に達した頃、律が切り出した。 「なあ、明。君が聞いてたことだが。」 「なんで私が明を好きになったのか知りたがっていたな?」 下から見上げるような視線で尋ねる律の表情に明の顔は熱くなった。 「うん。なんで?」 落ち着いた風を装って答える。 「それはな。この前の始業式の時だ。」 律によると始業式の日の小さな騒動がきっかけだという。 教師がペットボトルジュースを式場で見つけて、明たちのクラスを疑った。 そのとき、誰も出てこないのに痺れを切らした明が名乗り出たのだ。 教師はあからさまに明の告白を疑問視したが、それでも仕方なく明を叱った。 何とそれは律のボトルだったのだという。 式の用意が忙しく、うっかり持ってきてしまったそうだ。 片づけを手伝っていた律はその場におらず、後で事情を聞いた。 普段から素直さや自らの正しさを全うする律は、明の行動に衝撃を受けた。 なぜやってもいない罪をやったと言えるのか。 しかもずっと待たされるのが面倒だという理由だけで。 律は石堂明という人間を不思議に思うと同時に心惹かれた。 「もしかしたら、君の打算の無さに惹かれたのかもしれない。」 「私を捨てた両親は打算しかない人間だったし。私は人間不信なんだ。」 「クラスメート達もそうだ。みんな浅い計算で動いてる。」 「でも、君だけは。君だけは違うと、そう思えたんだ。」 話し終えると律は明にキスをせがんだ。 「明・・・キス、してほしい。」 キスをする間も、律はうわごとのように呟き続けた。 「・・・はぁ、・・・君を、ンム、石堂明を愛したい。」 「生きていて、ンン、はじめて、チュッ・・・なんだ。」 どんどんキスは深くなっていく。 「・・・つっ・・・はぁ・・・抱いて、くれ。明・・・。」 そう言いながら律は明の首筋に甘噛みする。 ぐるぐると回る思考のなかで、明はそんな律を抱き寄せた。 気がつけば二人とも裸になってしまっている。 律が明の全身に噛み付くようなキスをしてくる。首筋から出血。 あまり豊かではない胸をギリギリと押し付けてくる。 全身をこすりつけ、噛みつき、爪をたて、体液をなすりあった。 やがて律が凄絶に身体を震わせて気絶するのを見た直後、明も意識を飛ばした。 ※※※※
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なんで俺が「黙ってろうるせー」って言ったか。 ヤンデレ「ダレもおらんの?」 クラン戦してるってわかるだろ。 クラン戦してるときはチャット打たないって暗黙の了解だろ。 ヤンデレが言った後、ゴリがしばらく止まってこう言った。 ゴリ「おるよ」 そのわずか数秒、ラッシュがきて配置につけなかったBは殲滅させられた。 まぁゴリもゴリだがな。 揚げ足とるようで悪いが、自分のその場の感情でクラン抜けたり、解散させたりしようとするやつはなんなの? ここまでキレるとさすがに大人げないね。ごめんね。 その試合は負けた。あの1ラウンドのせいかもしれない。 それ以前に個人スキルで負けてたがな。 俺はガチでやってる分、どのラウンドも勝ちに行きたいと思ってる。 だから一番些細なミスでとられたラウンドには本当に怒りがさした。 だからキレた。 それだけだ。
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841 名無しさん、君に決めた![sage]投稿日:2010/11/16 23 29 09 ID ???O 自分に懐いて好意を持っているタブンネが覗いている前でチラチーノと本気セックスしたい 普段は可愛がるけどタブンネがエッチなアピールしてきたりしたら本気で注意してその晩またチラチーノとヤリまくる チラチーノにはタブンネを虐めるように教育して虐められて傷ついてるタブンネを自分が慰めてあげる でもタブンネとは絶対エッチなことはしない これをタブンネがヤンデレ化するまで止めない ヤンデレ化してもうつ病になっても絶対に止めない テスト -- (テスト) 2011-05-08 05 53 01 名前 コメント すべてのコメントを見る
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男ヤンデレ 862 名前:水先案名無い人 :2008/02/05(火) 11 57 07 ID RFcK+hnq0 全男ヤンデレ入場!! 腐女子殺しは生きていた!! 更なる研鑚を積みトンデモ凶器が甦った!!! 武神!! クリード・ディスケンスだァ――――!!! 総合シスコンはすでに我々が完成している!! 中国マフィア雪代縁だァ――――!!! 巡り会いしだい結婚まくってやる!! 変形復活代表 シーモア・グアドだァッ!!! 射撃の訓練なら我々の才能がものを言う!! 素手の訓練生 ドーナツイーター 微笑みデブ!!! 真のフェティシズムを知らしめたい!! ラバーフェチ 長瀬渡だァ!!! 生徒会は3階級制覇だが洗脳なら全階級オレのものだ!! 毒電波 月島拓也だ!!! 敗北対策は完璧だ!! 十本刀 百識の方治!!!! 全スタンドのベスト・攻撃力は私の中にある!! 三部の神様が来たッ ヴァニラ・アイス!!! タイマンなら絶対に敗けん!! アームスレイヴのケンカ見せたる 傭兵隊長 ガウルンだ!!! 虚軸(なんでもあり)ならこいつが怖い!! ラノベのピュア・シスコン 津久見奏だ!!! 世界的名作から炎の科学者が上陸だ!! マッドサイエンティスト 天馬博士!!! ルールの無いストーキングがしたいからしたっぱ(パシリ)になったのだ!! プロのつきまといを見せてやる!!坪内地丹!!! めい土の土産に核攻撃とはよく言ったもの!! 電人の英知が今 実戦でバクハツする!! 脳科学者 春川英輔先生だ―――!!! 世界奇書級チャンプこそが地上最強の代名詞だ!! まさかこの男がきてくれるとはッッ 呉一郎!!! 愛したいからここまできたッ キャリア一切不明!!!! オペラ座のピット(仮面)ファイター ファントムだ!!! オレたちは立ち技最強ではない格闘技で最強なのだ!! 御存知殉星 シン!!! ヤンデレの本場は今やラノベにある!! オレを驚かせる奴はいないのか!! カロマイン・セロだ!!! ヤォォォォォイ説明不要!! 漆黒の薔薇!!! 光クラブ!!! ジャイボだ!!! 鎌は実戦で使えてナンボのモン!!! 超実戦チェーンソー!! 本家Gファンタジーからグレル・サトクリフの登場だ!!! マリアローズはオレのもの 邪魔するやつは思いきり殴り思いきり蹴るだけ!! 汚れし者どもの国の王子 アジアン 自分を試しに日本へきたッ!! ストリートチャンプ 坂本ジュリエッタ!!! スタンドに更なる磨きをかけ ”神父”エンリコ・プッチが帰ってきたァ!!! 今の自分に故郷はないッッ!! ヒトラーユーゲント アドルフ・カウフマン!!! スクウェア四千年の技が今ベールを脱ぐ!! 7から セフィロスだ!!! 映画ファンの前でならオレはいつでも全盛期だ!! 燃える逃避行 クライド・バロウ 本名で登場だ!!! 医者の仕事はどーしたッ 狂気の炎 未だ消えずッ!! 活かすも殺すも思いのまま!! ハンニバル・レクターだ!!! 特に理由はないッ 吸血鬼が強いのは当たりまえ!! インテグラにはないしょだ!!! 日の下開山! アーカードがきてくれた―――!!! 暗黒街で磨いた実戦棒術!! シリアルキラーズのデンジャラス・歯抜き 荊王だ!!! 誘拐だったらこの人を外せない!! まさかの黒幕 ガーランドだ!!! 超一流悪役の超一流のポジティブだ!! 生で拝んでオドロキやがれッ からくりの鋼鉄人!! フェイスレス!!! 不死身咒式はこの男が完成させた!! ベギンレイムの切り札!! バモーゾだ!!! 若き王者が帰ってきたッ どこへ行っていたンだッ チャンピオンッッ 俺達は君を待っていたッッッ碇ゲンドウの登場だ――――――――ッ 加えて負傷者発生に備え実世界のヤンデル男を4名御用意致しました! 毒殺男 グラハム・ヤング!! 解体者 エドガー・ゲイン!! 東洋の巨人 都井睦夫! ……ッッ どーやらもう一名は逮捕が遅れている様ですが、発見され次第ッ皆様にご紹介致しますッッ 関連レス 866 名前:水先案名無い人 :2008/02/05(火) 12 23 11 ID nWsbG5C+0 乙。男ヤンデレとは新機軸で感心した 個人的には長瀬渡がチャンピョンのような気になるけど…好き好き大好きが来るとは恐れ入った。 が、ゲンドウは若くねえだろ! 891 名前:水先案名無い人 :2008/02/06(水) 01 15 31 ID rdERworw0 865 デレじゃないのが多くね? コメント 名前
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528 名前:嫉妬束縛夫とヤンデレ妻康子[sage] 投稿日:2011/05/28(土) 00 50 29.31 ID 1UFH3xZe [1/7] 「ねぇ‥あなた」 「駄目と言ったら駄目だ!」 「でも‥生活の事を考えたら‥‥」 「金の事は俺が考える」 妻と結婚して五年が過ぎる。 職場結婚だが、当時はブサ駄目男が美人の有能社長秘書をゲットしたということで、世紀のミスマッチと言われたものだ。 そしてバブル期が過ぎ平成不況‥会社の業績が悪化し給料やボーナスが激減して家計を圧迫している。 本来なら俺の数倍は仕事が出来る妻が職場復帰した方が生活は楽になるだろう。 何せ業績が悪化した未だに社長から妻康子の復帰を促されているくらいだからだ。 ただ俺が頑なに妻の職場復帰を拒んでいる。それどころか、妻康子の外出さえ制限をしたり、世間一般でいうと俺は束縛我が儘夫と言われてもしょうがないだろう。 そんなことは自分が一番良く分かっているのだが‥‥ 妻康子を外に出す。考えても寒気がする。要するに自分に自信が無いのだ。 妻康子は俺に不釣り合いの容姿と頭脳の持ち主で、外に出すことによって、俺なんか捨てられてしまうという、脅迫観念に駆られてしまう。 本当は家に監禁したいぐらいだが‥‥ 「おい‥‥康子」 「あ、あなた‥だ、駄目ですよ‥‥ しゅ、出勤前なのに‥‥ 遅刻してしまうわ」 「うるさい! 康子、康子‥‥」 朝から妻康子を押し倒す。こんなことをしても嫌われてしまうだけかも知れないが、今日の康子の処女は俺の物という、劣等感に支配されている男の悲しい性なのだ。 「やん‥‥」 「はあはあ‥‥ちゅぱ、はむ、ぴちゅ‥‥」 「あッ!」 妻康子を抱き寄せ強引に唇を重ねる。そしてブラウスのボタンを引き千切るように外し豊かな乳房を揉みしだく 「あん‥‥」 「はあはあ‥‥康子‥良いか‥‥」 俺の強引で下手くそな愛撫で妻康子が感じているのか分からないが、彼女のスカートを捲り上げ、ピンク色の下着を一気にずり下ろすと、自分のズボンのチャックを急いで開き、膨張した肉棒を妻康子の秘部に いきなり突き挿れた。 「あ‥あぁ‥」 「う‥うう‥‥」 どぴゅ、どぷ‥‥ 情けない‥三擦り半か。 あっという間に妻康子の膣内に大量放精してしまった。 妻康子はそそくさと服をなおす。何となく視線が冷たい気がするのは、俺の気のせいではあるまい。俺は無言で家を出た‥‥ ※※※※ 会社を定時に退社して帰宅の為真っ直ぐ自宅に向かう。 529 名前:嫉妬束縛夫とヤンデレ妻康子[sage] 投稿日:2011/05/28(土) 00 52 48.88 ID 1UFH3xZe [2/7] 不況で残業代をカットされ小遣いが無いことも有るが、妻康子のことを考えると、同僚と呑気に飲みに行く気にならない。 駅までの道程を小走りで急ぐ。 普段は使わない裏通りへ‥‥薄暗いけど、かなり近道なのだ。 「‥‥‥‥‥」 ラブホテルの裏側。丁度普段使われてない従業員通用口の側に人影が‥‥ うずくまってピクリとも動かないようで、この時間から酔っ払ってるのかと、無視しょうと思ったが、万が一のことも有るので一応確認。 「おい‥大丈夫か?」 「‥‥‥う‥‥う‥」 呻き声をあげているのは、どうやら女性。とりあえず確認の為近寄ってみる。 「‥‥腹‥‥減っ‥‥た‥‥三日‥‥も‥‥食べて‥‥な‥‥‥い‥」 「おい!?」 人影は女性で、しかもかなり若い。 もしかして十代?家出少女か‥‥ ぐったりとしてあまり喋らないが、多分行き倒れ。置き去りには出来ないので、コンビニへ連れて行き、弁当を奢ることに‥‥‥ 「おいおい‥がっつくなよ」 「‥‥‥もう一つ‥‥」 「分かった。分かった。カップラーメンも食べるか?」 「‥‥‥うん」 弁当二つ、カップラーメン一つ、肉まん三つをあっという間に平らげる。 女は沙織年は十七歳。ショートカットの髪はよく手入れされており、髪留めも色合いはカラフル、悪く言えばケバめな印象を受けるもの。 顔立ちはよく見ればかなり整っている。 しかし口紅やアイメイクの濃さが目につき、肩にひもが引っ掛かっただけのぴらぴらしたワンピース(丈はもちろん膝小僧よりだいぶ上だ)に、薄っぺらいカーディガンを羽織っただけ。 肉感的な太ももも、スッと一本の線のように走る華奢な鎖骨も丸見えだ。 きっと少し体勢を変えるだけで、細い割にたぷんと柔らかそうな胸の谷間もはっきりしっかり見えるのだろう。 だがそのワンピースもカーディガンも薄汚れていて、足元に無造作に置かれたボロボロのボストンバッグは、普通の女の子の荷物にしてはちょっと大きすぎた。 その上、左腕には少し大きめのアザまでできていて、全身からいかにも訳ありといったオーラを醸し出していた。 「お前家出か?」 「‥‥‥うん」 「いや‥別に詮索するわけでは無いんだが」 「良いョ。別に‥‥」 530 名前:嫉妬束縛夫とヤンデレ妻康子[sage] 投稿日:2011/05/28(土) 00 55 07.47 ID 1UFH3xZe [3/7] 沙織の家は親父は飲んだくれのアル中。お袋は、そんな親父に愛想を尽かして、若い男ととんずらした絵に描いたような不幸な家庭だそうだ。彼女の“笑っちゃうでしょう”の言葉は何故か自虐的に聞こえる。 そして沙織は三年前から学校も行かず、家にもほとんど帰らない生活‥ 友達の家を渡り歩き、金が無くなったら年齢をごまかして風俗店でバイトをし、警察に素性がばれそうに成ったら路上ナンパで援交をして、お金と一晩の宿を得るという。 「実は三日前知り合った男がこれ系でさぁ」 「ヤクザ!?」 「そう。薬漬けにされて、売り飛ばされそうに成っちゃって‥‥」 「お前。それはやばいだろう」 「あははは‥だから逃げ回ってたんだ」 俺はなにも考えてないように笑う沙織に呆れながらも、何故かこの少女に惹きつけられるものを感じていた。 「でさぁ‥‥おじさん」 「おじさんって‥‥俺の名前は‥‥」 しなだれかかってくる沙織の小娘の癖に匂う妙な色香に戸惑いを感じながら、何故か胸の高鳴りを押さえられずにいる。 「おじさん。あたし、今日泊まるところ無いんだぁ‥‥」 「俺んとこは駄目だ。所帯持ちだしな」 「おじさん結婚してんの?」 「ああ‥‥」 「なら‥あたしと今日お泊まりしない? 嫁なんて、適当にごまかしてさぁ」 「いや‥‥‥‥‥」 沙織の誘いをきっぱりと断ることが出来無い自分に驚きながらも、俺の首に巻き付けられた沙織の手も、押しつけられた柔らかい胸も、熟れた唇から聞こえてくる吐息も、誘うような笑顔も俺を迷わせる。 「‥‥‥‥」 「おじさん。行こ」 沙織の催促に思わず携帯で自宅に電話をかけようとした瞬間‥‥ ぎぃ‥無機質な音が何となく耳に入り、何気なく上を見てみると‥‥ 「あ、危ない!」 「きゃ!」 ガラガラドシャーン!!! 上からホテルの看板が落ちてきて‥しゃれにならん。 俺は思わず沙織を抱きしめて緊急ダイビングを敢行する。地面を転がりながら、沙織を庇う。看板は俺達の居た位置に正確に落ちてきて、粉々に砕け散った。 「ふう‥‥」 「おじさん‥‥‥」 チッと舌打ちの音が聞こえたような‥気のせいか?俺が我に返ると自分が沙織を強く抱きしめていることに気づいたが、沙織は俺の下から潤んだ瞳でこちらを見つめていた。 531 名前:嫉妬束縛夫とヤンデレ妻康子[sage] 投稿日:2011/05/28(土) 01 00 17.63 ID 1UFH3xZe [4/7] 俺が思わずその目に吸い込まれそうに成ると‥‥‥ けたたましい携帯の着信音が流れる。俺は良いところを邪魔をされて舌打ちをして着信を確認すると自宅からだった。 「あなた。今日は帰りは遅いの?」 「いや‥‥もう帰る」 不味い康子か‥‥興をそがれた俺は嫌がる沙織を安ホテルに連れて行き、一泊分の宿泊代を払うと、明日の待ち合わせを確認後、自宅に向かった。 ※※※※ 帰宅後妻康子は妙に優しかった。 いや‥俺が後ろめたい気持ちが有るので、そう感じるのかもしれない‥‥ いつもは帰宅すると直ぐ妻康子を求めるのだが、今日は食事後、風呂も一人で入り(いつも妻康子と一緒だ)早々と就寝した。妻康子も表向きは別に俺のいつもと違う態度に不信感は無いようだった。 俺は妻康子に申し訳ないという気持ちを押さえるのに懸命に成っており、それ以上に沙織と明日会うことを楽しみにしている自分に内心驚いていた。 ※※※※ 翌日退社後、沙織と待ち合わせのコンビニの前に急いで行く。今日は妻康子には、どうしても外せない会社の飲み会が有るから遅くなると伝えてある。 俺もそれなりの覚悟があるわけだ。 「おじさーーんッ!!」 にこやかに手を振る沙織。妻康子に対する罪悪感も彼女の顔を見た瞬間吹き飛んだ。俺も笑顔で小走りに沙織に駆け寄ると‥‥ 一台の暴走車がこちらに突っ込んでくる。俺は沙織の前に来ると急いで彼女を突き飛ばし、暴走車に立ちはだかる。 空中にはね飛ばされる感覚を最後に視界が暗転した。 ※※※※ 気がつくと俺は病院のベットの上だった。妻康子によるとあれから二日ほど経っていて、脳震盪と打撲で二カ月の入院とのことだ。職場の方は妻康子の職場復帰を条件に俺の入院は有給休暇扱いになるらしい。 さすがの俺もこれは了承するしか無さそうだ。 それよりも俺は沙織のことを妻康子に聞こうか迷った。俺と沙織は肉体関係は無いし、結果的に俺は沙織を庇って入院をしたわけだ。 別に普通に“あの娘はどうした?”と聞けば良いことだが、言葉が口に出ない。 俺が戸惑っているとおもむろに妻康子が新聞を渡す。何となく目を通すと‥‥ 東京湾に少女の死体発見される。死因は痴情のもつれか!?問題視される十代の性の乱れ。少女は援交で売春をしていた! なんと‥‥顔写真入りで(目の部分には黒い線が入っていたが)沙織の顔写真が掲載されていた。 532 名前:嫉妬束縛夫とヤンデレ妻康子[sage] 投稿日:2011/05/28(土) 01 02 16.39 ID 1UFH3xZe [5/7] 新聞報道によれば沙織は援交をしていて少女売春の常習犯だったらしい。その関係の犯行との推測記事が出ていた。 沙織が何で!?ヤクザに見つかったのか?どうして‥‥まさか車で突っ込んできたのも‥‥ 俺がショックで目を見開いていると、背後から妻康子の低く冷たい囁きが‥‥ 「あら。あなた‥害虫のことが気になるの?」 「害虫?」 「だってそうでしょう。虫の分際で人間のあなたに情けを掛けてもらって、まだ手を引かないなんて‥‥」 「康子お前何を‥‥‥」 俺はその時妻康子の言葉に、背中に冷たい汗を感じていた。 ※※※※ それから俺は退屈な入院生活をそれなりに過ごしていた。沙織のことはショックだったが、職場復帰した妻康子が仕事が終わると甲斐甲斐しく病院に通ってくれて、徐々に沙織のことも整理出来ていたが‥‥ 夜就寝一時間前か。最近同部屋の連中が退院して、今や俺一人の状態だ。明日部屋を移る予定だが‥妻康子は残業で今日は遅い。 夜九時を回ったであろうか‥‥ 尿意をおぼえた俺はナースコールを押した。普段はそちらの方面は妻康子に任せてはいるが、居ないものは仕方が無い。 まだ身体中が痛くてトイレに一人で行けないのだ。 数分後若い看護婦が尿瓶を持って現れた。看護婦は学校を卒業したばかりだろうか‥‥茶髪で何となく沙織に雰囲気が似ている。俺は尿瓶に尿を出しながら、沙織のことを思い出していた。 いかん‥沙織のことを思い出したら肉棒が疼きだした。 俺の変化に気づいた看護婦は妖艶な笑みを浮かべる。 「まあ‥患者さん最近溜まってるの?」 「‥‥‥‥‥」 入院してるし、妻康子は最近仕事だし、当然と言えば当然か‥‥ 「患者さんの大きい‥‥」 看護婦は笑いながら俺の肉棒を擦る。いかん‥反応してしまう‥気持ち良過ぎる。抵抗出来ん。 玉袋を揉まれながら竿を激しく擦り、先端部を時折撫でてくるのが効く。こいつ慣れてるなぁ 看護婦も顔を紅潮させながら白衣のボタンを外し、形の良い胸を露出させている。 俺が我を忘れて恍惚状態に陥っていると、点滴用の棒がいきなり看護婦に向かって急スピードで降ってくる。 ガシャーン! ドシャーン! 「キャー!!」 俺は声も出せずにいた。 「ふふふふ‥あら。害虫を潰しそこねたわ」 「‥!?」 後ろから聞こえてくる聞き覚えのある声。それは妻康子だった。 533 名前:嫉妬束縛夫とヤンデレ妻康子[sage] 投稿日:2011/05/28(土) 01 05 00.29 ID 1UFH3xZe [6/7] 「あなた駄目ですよ。いい年をして昆虫採集も無いでしょう。それにこれは害虫ですよ」 「や、康子」 看護婦は青くなって固まっていた。 「すいません、すいません‥‥」 「良いんですよ。虫に人間の言葉が通じるはずは無いですし‥ まあ‥駆除させてもらいますけど」 妻康子は無表情で冷たい表情。看護婦は立てないのか、這いつくばりながら、慌てて病室から逃げ出した。 俺はその光景をただ口を開けて眺めているだけだ。 「あなた‥ごめんなさい‥虫相手に性欲処理をしなければ成らない程溜まっていたなんて‥‥」 薄笑いを浮かべながら俺を抱きしめる妻康子。俺はその時突然理解した。本当に束縛監禁されているのは妻康子ではなく 俺自身だったことを‥‥‥ 終了 以上です。
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38 名前:ヤンデレの娘さん 休暇の巻(表) ◆3hOWRho8lI[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 20 54 22 ID yOkhoPgY [2/16] 数年前のことである。 俺は―――御神千里は今とは全く違ったキャラクターの持ち主だった。 親とはすれ違いを続け、自分の周囲にはメンタル的な壁を作っていた。 誰にも心を開かず、誰も立ち入ることを許さない。 周囲の人間を自然と傷つけ、自分の心さえも凍てつかせる、言わば氷の城壁。 ある日、その城壁を溶かしてくれる奴らが現れた。 1人の親友と、1人の少女。 親友―――葉山は、俺の心の中にズカズカと入ってきてくれた。 少女は、俺の孤独を共有してくれた。 結局のところ、当時の俺は怖かったのだろう。 人と関り合うことが。関り合って傷つくことが。 だから、人と関わることを避けていた。 その恐れに立ち向かう勇気をくれた2人には、正直すごく感謝している。 もっとも、そんなことは2人には伝えずじまいだけど。 少女に対するもう1つの想いも、彼女に伝えることなく終わったけど。 だから――― 39 名前:ヤンデレの娘さん 休暇の巻(表) ◆3hOWRho8lI[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 20 55 13 ID yOkhoPgY [3/16] 「はふー」 「…」 軽く冷房を効かせた居間で、俺と三日はソファで揃ってだらけていた。 先日ようやっと退院し、俺たちは暇を持て余していた。 夏休みの宿題も終え、バイトの予定も無いので、自宅でダラダラするくらいしかやることが無いのだ。 女の子がいるのに甲斐性の無い、とは言わないで欲しい。 と、いうのも夏の初めに、 「三日、夏休みにどっか行きたいとかあるー?」 「…私は、千里くんと一緒に居られればどこに居ても幸せですよ」 「あー、なるほど」 「っていうか、こんな暑いのに旅行や外出をしたら脱水と熱中症で死ねます(真顔)」 「……あー、なるほど」 と、いう会話があったのだ。 先ほど、居間のソファでと言ったが、厳密には俺はソファに深く座り、三日はその隣で、上半身だけを俺の太腿の上に横たわっていた。 見下ろせば三日の顔と美しい黒髪が見える、無防備な体勢だった。 ついでに言うと、軽く着崩れた浴衣姿なので、そうした意味でも無防備だ。 具体的には襟元から見えるまっ白な肌とか。 その上に投げ出された美しい黒髪とのコントラストとか。 緋月家では浴衣はごく一般的な部屋着らしい。 扇情的とは言えない体つきの三日なのに、不思議と色香を感じさせる姿だった。 それを感じている自分に、妙な罪悪感を覚える。 ちなみに、先ほどから2人はほとんど無言。 俺は自分から話しを振る方でも無いし、三日もどちらかと言えば無口な方だ。 その沈黙が苦になるという訳でも無く、むしろ穏やかに感じられる。 とはいえ、俺らは一応ビデオを観てはいるのだけれど。 俺らの親が制作に携わっている子供向け特撮ヒーロー番組『超人戦線ヤンデレンジャー』、その物語中盤のクライマックスシーンだった。 『魔女大帝!今こそ俺たち超人戦線ヤンデレンジャーの4人の力を!そして正義の力を見せてやる!』 目の前のテレビでは、4人のヒーローチームのリーダーが悪役に向かって勇ましい台詞をぶつけていた。 いかにも子供向け特撮ヒーローらしいシーンだ。 直前のシーンまで、このリーダー以外のメンバーが彼を巡って昼ドラばりに骨肉の争いを繰り広げていたとは思えない。 『かりゃかりゃかりゃ、愚かで哀れなヤンデレンジャー…。正義なんて下らないものが悪のパワーに勝てっこないのを教えて…あげる。いくよ、最強怪人エンパイアアタックドラゴン!』 『どーらー』 最強怪人と言う割に妙な愛嬌のある着ぐるみを従え、悪のボスが凄惨な笑みを浮かべた。 このゴスロリ風の衣装を着た少女(?)が、零咲えくり演じる悪役の魔女大帝だ。 こちらも、世界征服と同時にヒーローチームの指揮官である軍の最高権力者(既婚者)を恋愛的な意味で狙っているという無駄にドロドロとした設定が付いている。 ……改めて説明するとキワモノだよなぁ、コレ。 そんなことを考えているうちに、画面に『続く!』の文字がドンと登場。 続いて、どこか物悲しいメロディーのエンディング曲が流れ始める。 「…お母さん、テレビで観るとやっぱり別人のようですね」 子供向けヒーロー番組には不似合いな重苦しいテーマソングを聞きながら、三日が言った。 「そう?」 俺に言わせれば、テレビの中の魔女大帝はまんま零咲こと三日の母親、緋月零日さんそのものにしか見えなかった。 「…千里くんがどういうテンションのお母さんを言っているのかは分かりませんけど…、少なくとも家の中のお母さんは落ち着いた大人の女性ですよ?」 「へぇん……」 あれがぁ?大人の女性? 正直、少し想像できなかった。 「…怒ると、家族で一番怖いですけど」 「あー、納得。ある意味最強だからなぁ」 そこで会話は自然に途切れ、周囲はヤンデレンジャーのエンディング曲だけが流れている。 『鮮血』、『狂気』、『血だまり』と言った、およそ子供番組らしからぬ単語が混じる歌詞と番組の内容から、ネット上のファン(所謂『大きなお友達』)からは『死亡用BGM』というアレな仇名で呼ばれている。 「…千里くん」 「なぁに、三日?」 三日が唐突に俺の膝の上で体を起こし、上目遣いで聞いてくる。 「…キス、しませんか?」 40 名前:ヤンデレの娘さん 休暇の巻(表) ◆3hOWRho8lI[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 20 55 36 ID yOkhoPgY [4/16] 「……えーっと」 唐突に爆弾を落としてくる奴だ。 って言うか、さすがに『死亡用BGM』をバックに口付けをするのはムードが無くはありませんかい? 「ン!?」 けれども、俺が何かを言う前に、三日は俺の首に手をかけ、半ば強引に唇を触れ合わせ、俺の口の中に舌を侵入させてくる。 俺の口内を征服せんとばかりに、三日の舌がうねる感触がする。 それを受け止めるように、俺は自分の舌を三日のにたどたどしくからめる。 同時に、情熱的に動き回りすぎて腿の上から落ちそうになる三日の体に手を回す。 強引なのは、嫌いじゃないのだ。 強引どころか、ギラギラした視線を感じるが、それは、自分の存在が求められているということでもある。 それを自覚するたびに、背筋にゾクゾクと走るものがある。 服越しに、三日の体温と柔らかな肌の感触を感じる。 情熱的に舌を動かすたびに、長髪がうねるように動く。 その柔らかさを指先で感じながら、彼女の舌を受け止める。 彼女の体を受け止める。 受け止め、つつみこむ内に、ぼんやりとしてくる。 あいまいになる。 俺と三日の境界線が。 境界線が無くなり――― 一線を超えそうになる。 あー、ヤバ。 俺はポンポン、と三日の肩を叩き、口付けの終了を促す。 反応なし。 なので、 「ぷはぁ!」 と、半ば強引に唇を離す。 「…何で、止めちゃうんですか?」 三日から恨みがましい目で見られた。 息も荒く、上目づかいなのでかなり怖い。 ついでに、かなり艶っぽい。 「いや、もう10分近く続けてるじゃん。いい加減一息ついて良い頃合いじゃない?」 「…まだいけます」 そう三日は言うが、汗だくで息も荒く、かなりグッタリしているように見える。 着ている浴衣もかなり乱れている。 ……ビジュアルだけみるとキス以上のことをしたかのようだがそんなことはない。いやマジで。 「そろそろお昼ご飯の準備もあるし、三日も汗だくじゃない。シャワー浴びたら?」 「…」 不承不承といった風に、俺の体から降りる三日。 「んじゃ、入ってきてよ。その間お昼準備してっからー」 「…分かり、ました」 乱れた浴衣を整え、居間から出て行く三日。 居間のドアが閉まったことを確認し、俺は体を起して深呼吸。 火照った体を鎮める。 具体的には下半身周りを。 ……下品とか言ってくれるなよ。 服越しとはいえ、女子の体の感触を感じながら平静を保っていられるほど、俺は枯れちゃいないのだ。 よく誤解されるのだが。 三日の胸だって、大きさ面で慎ましいだけで、決して無いわけではないのだし。 これまた、よく誤解されるのだが。 それにしても、俺が病院に入院する契機となった先日の一件以来、三日からのスキンシップがいささか過剰になったような感がある。 アレか、難しいステージをクリアするとイベントのレベルが上がるとかそんな感じか? いくらスキンシップのレベルが上がったからと言って、それに甘えて、その先を求めて良いようなことは無いだろう。 その結果万一のことがあった場合、俺は年齢的社会的に責任は取れないし。(外道) 大体、アイツが無防備な姿を晒したからと言って、それが男にとってどんな意味を持つのかアイツがきちんと理解しているかかなり怪しい気がするし。 んー、違うな。 俺は単純に自分の『男』の部分、汚い部分を三日に見せたく無いのだろう。 そんなことをしたらどうなるのか、分からないから。 三日がどう感じるのか分からないから、 もっとも、分からないというのは考えても仕方がないということだ。 「さぁ、って」 大体落ち着いてきたら、俺は立ちあがってキッチンに向かう。 ここ最近、半ば習慣化した行為だ。 「アイツのためにご飯を作ってやっかね」 そう呟く俺の口元には心なしか微笑が浮かんでいるような気がした。 三日は夏休みの間、ほとんど毎日四六時夢中俺と一緒に行動している。 だから、食事もいつも一緒だ。 「って、なんか、新婚さんの主夫さんみたいなカンジになってないか、俺?」 ふと、そう呟くと、顔が火照るような気がしてきた。 「・・・・・・」 周りに誰もいないで本当に良かった。 こんな顔、誰にも見せられたものじゃないから。 41 名前:ヤンデレの娘さん 休暇の巻(表) ◆3hOWRho8lI[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 20 55 58 ID yOkhoPgY [5/16] ホウレンソウやコーンをくるんだ薄焼き卵が皿の上に乗ったのとほぼ同時に、三日がリビングに戻ってきた。 三日は、汗をかいた浴衣から、外出着の白いワンピースに着替えていた。 シャワーを浴びた髪は艶やかで、トコトコとこちらに寄ってくる様は小動物や子犬のような愛嬌がある。 「…お待たせしました」 「いや、ちょうどできたところー」 卵焼きを切り分けながら、俺は応対する。 昼食をダイニングに並べ、2人揃って手を合わせていただきます。 今日のご飯は冷麦にこの卵焼き。 冷麦は茹でただけだが、卵焼きの方は我ながら上手く出来たと思う。 しかし、 三日の方は何となく不満そうな顔をしていた。 うーみゅ、やっぱ暑いからって冷麦で済ませちゃったのが悪かったか。 「…いえ、ご飯が不満ということは無いです」 「心を読まれた!?」 まるでエスパーだった。 「…と、言うより千里くんの作るものが美味しくなかった試しはありませんし、千里くんの作るものが美味しくないはずもありません」 「そう言ってくれると、悪い気はしないよ」 割と本気で。 と、言うのも緋月家の家事は、主に三日の姉の二日さん、サブで父の月日さんが担当しているのだが、両者とも非常に料理が上手いのだ。 なぜか、零咲(母親の零日さん)だけはキッチンに立ち入れさえさせてもらえないらしいが。(「レイちゃんに作らせたらキッチンが…バクハツ…するから」とか言われていた気がしたが、さすがにそんなことは無い……と思う) 「…それです」 「?」 いや、どれだよワケわかんねーよ、とは言わなかったが。 「…『悪い気はしない』、『悪くは無い』とは言っても、『良い』ということ、滅多に無いですよね?」 「……どうしたのよ、藪から棒に」 「…キスの時もそう。初めての時はともかく、自分からは絶対に誘ってきてくれない」 「その時のことは忘れてくださいお願いします」 俺にとって、三日との初キス、たぎる獣の力のままに公衆の面前でベロチューかましてしまったことは黒歴史なのだ。 けれども、俺の言葉が聞こえていないかのように、三日は食卓越しに顔を近づけてくる。 「…優しい優しい千里くん。…穏やかな千里くん。…素晴らしい千里くん。…私の千里くん」 スゥ、と俺の頬を撫で、三日が言う。 「でも」 と、三日は続ける。 「…千里くんって、人に対してどこかで一線を引いてませんか?」 「……」 それに対しては押し黙るしかない。 事実、だからだ。 「…他人に対してなら、良いんです。…他人は所詮他人ですから。…でも私たちは……」 「あー。そう言えば今日、午後から葉山と遊ぶ約束があったんだ」 我ながら、話のそらし方としてはあざとすぎると思う。 三日の顔も、微妙に険しくなった気もするし。 「ンな顔しないでくれよ。いい加減外出て買い物もしないと、冷蔵庫の中身が無くなるってのもあるし」 ここ数日、三日と家に籠り切りだったからなぁ。 親はきちんと帰宅するので、完全に2人きりとはいかないけれど。 それはともかく、俺は三日を少しでも安心させようと、クシャと軽く頭を撫でる。 「俺がどうであれ、お前に不安不自由にはさせないさ。そこは安心して良いところだぜー」 普段の笑顔を作り、俺は三日に言った。 「…なら、1つ聞いても良いですか?」 「なーにー?」 なるべく軽い調子を装って、俺は促した。 「・・・私たち、付き合ってるん、ですよね?」 真正面から聞いてくる、その台詞にドキリとする。 「・・・・・・聞かないでよ、そんな当たり前のこと」 何とかそう答えてから、俺は気がついた。 俺は今まで三日にあの言葉を言ったことがないことに。 『愛してる』という言葉を。 42 名前:ヤンデレの娘さん 休暇の巻(表) ◆3hOWRho8lI[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 20 56 34 ID yOkhoPgY [6/16] それから少しした後。 益体も無い話で三日を誤魔化した俺は葉山との待ち合わせ先、学校からも程近い近所の公園にいた。 厳密にはその一角、駐車場の近くにある、ストリートバスケのできる小さなスペースの中で。 さて。 今まで突っ込んで言及してこなかったが、葉山はバスケ部である。 幼少期に『スラムダンク』(漫画の方ね)にハマったから、というふざけた理由で始めたそうだが、その割に長続きしたらしく、今では夜照学園高等部男子バスケットボール部の立派なレギュラー様である。 とはいえ、俺と葉山のどちらが背が高いかというと圧倒的に俺である。(葉山は高校二年生男子としては標準的な身長だ。) 素人考えだと、バスケでは背が高いほうが圧倒的に有利に思える。 背が高いがバスケの経験は並程度の俺と、背は俺より低いがバスケ歴が圧倒的に長い葉山が一対一でストリートバスケをしたらどうなるのかというと。 翻弄されるのである。 俺が。 ものの見事に。 一寸法師から手玉に取られた鬼のような有様だった。 葉山は軽快な動きで俺を玩弄し、戸惑った隙を突いてあっさりボールをゲット。 ほとんど一足飛びでゴール近くまで接近する。 「待っ―――」 脚の長さは俺のほうがある。 何とか葉山に追いつき、ディフェンスをかけようとするも―――俺の視界から葉山の姿が消えた。 ゴールの方を振り向いた時に俺が見たのは、四肢をしなやかに伸ばし、ゴールにボールを放り込んでいる葉山の姿だった。 「知ってるいかァ?」 得意げな笑みを浮かべ、葉山は言った。 「サッカーでゴールは、ドイツ語でトーアっつーんだってよ」 俺は、それに対して苦笑を浮かべ、負け惜しみのように言い返す。 「じゃあ、バスケのゴールは何なのさ」 「知らねー」 知らないのかよ。 ともあれ、これで三連続で葉山に点を取られた。 俺たちはしばしばこうしてお遊び程度にストバスに興じているが、俺は葉山からマトモに点を取った試しが無かった。 ともあれ、俺たちはそこで一段落入れることにした。 俺は汗をふくと、隅においていた上着とストールを着なおし、葉山と自販機で飲み物を買うことにした。 「何飲むー?」 「コーラ」 「濃いのいくねー。体動かして汗かいた後だってのに」 「今日はコーラのキブンなんだよ」 そんなやり取りをしながら、俺たちはコーラとスポーツ飲料を買う。 「で、どーよ。久々に思いっきり体動かして」 ペットボトルの蓋を空けながら、葉山が聞いてきた。 どうやら、今回のストバスは葉山なりの快気祝いだったらしい。 先日まで入院中で、運動なんてしたくてもできなかった俺をこいつなりに気遣ってくれたようだ。 「アリガト。やっぱ良いねー、こうやって体動かすの。夏休みだと体育の授業も無いし」 「そいつは重畳」 俺らはいつものように笑いあった。 「ところで、みかみん」 「何さ、はやまん」 「最近どーよ?」 「最近って?」 「いや、緋月のヤツのことだよ」 そこで、葉山はマジな表情でグイと顔を近づけてきた。 いや、唇がくっつきそうで怖いんですケド。 43 名前:ヤンデレの娘さん 休暇の巻(表) ◆3hOWRho8lI[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 20 56 53 ID yOkhoPgY [7/16] 「緋月にヘンなことされてねーか?セクハラとか、DVとか」 「DVって、ソレ家庭内暴力の略だろ。俺ら家庭なんて築いないし、高校生だし」 笑って答えたが、どうだろう。 俺と三日はほとんどずっと一緒にいるし、家族と言っても良いような気がする。 「じゃあ、のっとDV」 「のっと、って何さ」 家庭内で無い暴力、という意味なのだろうが、死ぬほど頭が悪かった。 先ほどトリビアをかました口とは思えなかった。 「とにかく、そうしたトラブルは無いよ。順調快調絶好調ってカンジ」 「そうかぁ?ホントに大丈夫かぁ?」 「大丈夫だって」 いつもの3割増しで気軽そうな顔で、俺は答えた。 「しっかし、お前も何であんなストーカー女と付き合う気になったンだ?」 「今更聞く、ソレ?」 って言うか、『付き合う』とかストレートに言わないで欲しい。 「前々から聞こうとは思ってたンだよ。あんな陰険根暗嫉妬の塊のどこが良いんだ?お前ならもっと良い女がいっぱい居るだろうよ」 「俺はモテないよ」 「女の扱いは上手いだろ」 「誤解を招く言い方をするなって。それを言うなら女じゃ無くて女『友達』」 中等部時代から一原先輩達とつるむ機会が多かったお陰で、俺は女子と話すのに抵抗は無く、所謂女友達は多い。 そのせいか、迷惑なことに、ごく稀に「御神はモテる」という勘違いをされることもある。 三日の嫉妬心が強いというのなら、全く故の無いことでも無いのかもしれない。 「ホレ、そうでなくても河合とか」 「河合さんは友達としては良いんだけどねー」 でも、三日の前に河合さんに告白されていたら、河合さんと付き合っていたのだろうか。 そのルートはちょっと想像できないな。 「大体、何ではやまんは三日のことをそんな心配?っていうか毛嫌い?するワケよ。実害のあるようなタイプのヤツじゃないだろ、アイツ」 俺は冗談めかしてそう聞いた。 「なんつーかさぁ……」 すると、葉山は妙に思案気に言った。 「みかみんはアイツとくっつくモンだとばっかり思ってたからなぁ、ムカシ」 「アイツー?」 神妙な顔のはやまんに、スポーツ飲料を飲みつつ聞いてみた。 44 名前:ヤンデレの娘さん 休暇の巻(表) ◆3hOWRho8lI[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 20 57 49 ID yOkhoPgY [8/16] 「九重かなえ」 「ゴフア!?」 スポーツ飲料吹いた。 「オ、オイ。ダイジョブか、みかみん」 「ゲホ、ゴホ……。って言うか何!?誰!?」 スポーツ飲料にむせながら、俺は何とか発声した。 「九重だよ。九重かなえ。中等部の頃一緒につるんでた奴。忘れたわけじゃないだろ?」 「いや、覚えてるけどさ……」 九重かなえ 中等部時代、人間関係に不慣れな俺と、葉山共々友人関係を築いてくれた女の子。 忘れたくても忘れられない、忘れようも無いし忘れたことも無い名前だった。 けれども、今頃になって、と言うより今更になってもう学園にいないアイツの名前が人の口から出てくるとは思わなかった。 「何で、九重の名前が出てくるわけ!?」 俺の言葉に、葉山は少し困ったような、気まずそうな顔をした。 「いやぁ、あの頃俺、みかみんは九重にホれてるもんだとばっかり思ってたしなぁ」 「……」 そんな風に思ってたのか。 何でその恋愛脳を自分の関係に活かせないのだろう。 明石が聞いたら泣くぜ? 「それを、ポッと出の新キャラみたいな奴がかっさらったら、そりゃ毛嫌いもするっつーか何つーか。まぁ、緋月がストーカー女だからってのもあるけどよ」 「ポッと出の新キャラって言ったら、元を正せばみんなそうだろ?お前も、九重も、それにお前にとっての俺も」 「まぁ、誰だって初対面だった頃はあったがよ」 ようやく落ち着いてきた俺は、葉山に軽口を言ってまぜっかえした。 「それに、九重と俺が付き合うなんてこと『無い』から」 「無しかい」 「そう、『無い』」 少し強い口調で念を押す。 俺と九重が友情以上になることなんて、どう逆立ちしたってあり得ないことだ。 PC版からコンシューマー版になっても攻略不可なキャラクターよりも、実現不可だ。 俺の人生に九重ルートは実装されないのである。 「それに、アイツの生活を考えると、どうしたって俺やらお前とかと恋愛とかムリじゃん。超遠距離恋愛になるし」 「あー、今はどこの国に居ンだろなってカンジだもんな、アイツ」 九重の家は、『父親の趣味は海外転勤で家族を振り回すこと』と彼女から(珍しく)揶揄されるほど、国内外問わず頻繁に転校を繰り返していた。 中等部時代、俺たちは1年生から3年生の途中まで一緒につるんでいたが、それほど長期間一度に1つの国にいられたのは奇跡みたいなもの、だったらしい。 「しょーじき、九重のオヤジさんも単身赴任とかにしてくれりゃ良ーンだけどな」 「それは思う」 どんな形であれ、今でも九重が俺たちと一緒にいてくれたら、学園生活が今以上に楽しくなっていただろう。 今の俺を見て、アイツが何て言うかもちょっぴり面白そうだし。(大半は怖いけど) 九重のお父さんも色々事情があるだろうし、他人の家庭をどうこうできる立場でも無いから、あまり無責任なことは言えないけれど。 ぼやくくらいなら良いだろう。 望みを言うぐらい良いだろう。 あー、九重の奴と合わせてまた一緒に遊びたい。 3人で。 叶えだけに、鼎(かなえ)だけに。 「それはあんま上手くねーんじゃね?」 45 名前:ヤンデレの娘さん 休暇の巻(表) ◆3hOWRho8lI[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 20 58 16 ID yOkhoPgY [9/16] 「人の心を読むなよ……。そう言えば、はやまんは今も九重と連絡とか取ってる?」 「いーや、全然。って言うか、アイツが今どこの国にいるのかさえ分かんねーし」 「中学ラストで転校してったのは、名前も知らないような国だったしねー」 「それから、またどっか行きやがったんかねェし」 「最後に聞いたのはイギリスだったはずー」 これでも、根気よくエアメール等で連絡を取っていた頃があったのだ。 「イギリスのどこー?」 「分かんない。『今度はイギリスに転校』ってだけで、引越しの頃でバタバタしてたらしくて、住所とかまでは」 俺は首を振った。 手紙もネットも、今でも連絡が着かない。 友達なんてそんなモンかもしれないけど、少し寂しいものだ。 少し寂しくて、少し悲しくて、とても嫌なものだった。 「でもよォ……」 葉山が、ポツリと口を開いた。 「お前と九重、お似合いだったと思うぜ。もし付き合ってたたら、だけどよ」 「止せよ、そう言うの」 再度、スポーツ飲料に口をつけて俺は言った。 けれどもスポーツ飲料の甘味料は、俺の中の苦みを癒してはくれない。 「何度も言うようだけど、俺と九重がそう言う風になるとか『無い』から。なりたくても、ね」 なりたくても、なれない関係と言うのはあるのだ。 「そうかい……」 そこでその話題は終わった。 九重かなえのことは。 かつて、俺の思いを共有した少女のことは。 かつて、俺に多くの想いを教えてくれた少女のことは。 かつて――――俺に恋を教えてくれた少女のことは。 46 名前:ヤンデレの娘さん 休暇の巻(表) ◆3hOWRho8lI[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 20 58 58 ID yOkhoPgY [10/16] その後、俺と葉山は最近の漫画やアニメのこととか、益体も無いことを話してから別れた。 そして、公園を出ようとすると、ヅガン、という金属がぶつかるような音がした。 「何だぁ!?」 思わず言って、そちらの方を見ると、公園の自販機が見えた。 そして、それに蹴りを入れている奴の姿も。 「畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生……」 自販機を蹴っているのは、俺も良く知る少女だった。 明石朱里。 俺と同じクラスで、水泳部。 クラス一の情報通で、ムードメーカー的存在でもある。 明るく可愛いので、男女問わず人気があるという話も聞く。 そんな彼女が、水泳で鍛えられた美脚を自販機に叩きつけていた。 いやまぁ、俺は明石の『ああ言う』姿を以前一度だけ見たことがあるので、ある程度は耐性があるのだけれど。 「御神のヤロウ御神のヤロウ御神のヤロウ御神のヤロウ御神のヤロウ御神のヤロウ御神のヤロウ御神のヤロウ御神のヤロウ御神のヤロウ御神のヤロウ御神のヤロウ御神のヤロウ御神のヤロウ御神のヤロウ御神のヤロウ御神のヤロウ御神のヤロウ……!」 明石は、そんな恨み辛みを自販機にぶつけているようだった。 どうやら、恨みを買っているのは御神とかいう人物のようですね。 ……間違い無く俺のことだった。 「あんなヤツより、私の方がずっとずっとずっとずっとずっと正樹のことが好きなのに好きなのに好きなのに好きなのに好きなのに好きなのに好きなのに好きなのに好きなのに好きなのに好きなのに好きなのに好きなのに好きなのに好きなのに……!」 女の子が畜生とかヤロウとかヤツいうのはどうなのだろう。 いや、それよりもここは早いところ離れた方が良さそうだ。 今彼女に見つかったら怒られるどころでは済まない。 って言うか殺される。 明石としてもよりによって俺に見られたい現場では無いだろうし。 「好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好きすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすき……」 自販機が故障しそうな勢いで蹴り続ける明石の姿を見なかったことにして、俺は即座にその場を立ち去ることにした。 触らぬ神に祟りなし。 俺が先日入院する原因となった一件で学んだことだ。 47 名前:ヤンデレの娘さん 休暇の巻(表) ◆3hOWRho8lI[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 21 00 25 ID yOkhoPgY [11/16] 祟りがいた。 公園からの帰り、近所のスーパーマーケットに向かう道すがら、何の気なしに横目をやると、その道の奥に祟りがいた。 祟りは、紙袋を片手に、黒白のゴスロリ風の衣装に身を包んでいた。 ゴスロリ『風』と書いたのは、袖が短くカットされ、夏場の撮影のために涼しげなアレンジがほどこされていたからだ。 それでも、フリルがふんだんに使われているので暑そうではあるけれど。 俺は、その衣装をつい先ほど見たことがあった。 テレビ番組『超人戦線ヤンデレンジャー』の中で悪の権化、魔女大帝こと零咲えくりが着ていたものだ。 つまり、その祟りの名は零咲―――緋月零日サンであった。 気のせいだと思うが、道の奥に居る零咲と目が合った気がした。 気がしただけなら、気のせいだろうと思いたい。 先日、零咲によって刻まれた痛みの数々を思い出し、ストール越しに首を押さえる。 ……見ないふりをしてさっさとスーパー行こう。 そう思って改めて前を向くと…… 「こんにちは…なんだよ、おにーさん」 「うぎゃあ!?」 祟りが目の前に居た。 「いや、いきなり『うぎゃあ!?』とか言われても困る…んだよ?」 苦笑を浮かべる零咲。 「や、すいません。……って言うか一瞬前まで遠くに居ましたよね!?どうやってココまで来たんです!?」 「んー、何て言うか…『かそくそーち』?あ、今の子は『しゅんぽ』って言わないと分かんない…かな?」 「いや、分かりますけど、両方ともアニメになってますし」 どうやら、マトモに答える気は無いらしい。 いや、そんなことよりもこの状況をどう切り抜けるかを考えよう。 「かりゃかりゃかりゃ…。殺気立っちゃっておにーさん可愛い…んだよ。殺害宣言は取り下げたから…取って食ったりはしないのに」 「いやいやいやいやいや。殺気立ってなんていやしませんよ。俺と貴女とは超絶仲良しじゃぁございませんか」 「そだねー、仲良しだねー。仲良しだから、無理して敬語なんて使わなくてもいい…なんだよ」 「いやぁ、零咲、もとい零日さんはおれよりも年上ですし」 「って言うか…」 そこで、零咲は記憶の糸を手繰り寄せるように、顎に手を当てる。(見た目だけは本当に可愛い) 「『てめぇ』」 「うが!?」 「『知ったか女』」 「うぐ!?」 「『教育ママか』」 「ごはぁ!!」 零咲の発した言葉を聞くだけで、俺に精神的ダメージが来た。 いずれも、以前零咲相手に俺が言った暴言だった。 今思うと年上相手に失礼千万で、恥ずかしい限りだった。 「あそこまで言われておいて、今更敬語の関係になられても逆にリアクションに困る…みたいな?」 大人の余裕を感じさせる笑みを浮かべる零咲は言うほど気にしてはいないようだけれど。 「じゃあ、零日さん……」 「零咲で良い…よー」 「じゃぁ零咲、今日は撮影か何かで?」 「そうそう、今は休憩時間…なんだよ」 なるほど、それで番組の衣装なのか。 「それで最近どう…なのかな?君と、私の続きな三日ちゃんとは」 「お前とアイツは別キャラだろ。そう言う話、この間しなかったか?」 「私の遺伝子を受け継いで、私のお腹から産まれてきたのなら、『私の続き』って言ってもそんなに間違いは無い…でしょ?」 「かもな……」 少々無茶な理屈ではあったが。 って言うか、コイツの胎から三日が産まれてきたというのが未だに信じられないのだが。 とても子供を産めるような体躯には見えない。 48 名前:ヤンデレの娘さん 休暇の巻(表) ◆3hOWRho8lI[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 21 00 57 ID yOkhoPgY [12/16] 「それで、どうなの…かな、三日ちゃんとは」 「どうって、まぁ今日は……」 一応、零咲なりに娘を気にしている様子ではあったので色々話してみても良いかもしれない。 俺よりもずっと長い間三日と一緒に居る零咲と話すことは意義のあることだろう。 三日から少し引っかかることを言われてしまったし。 そんなわけで、俺は今日の出来事を説明した。 「『一線を引いてる』…ねぇ」 「まぁ、アイツももう大して気にしてないかもしれませんけど」 「って言うか、おにーさんが気にしてるん…だよ?」 「ウグ……」 鋭い指摘に俺はうめくしかなかった。 「事実…だし」 「……」 本当に事実なので反論ができなかった。 「大体、私に対してあんな暴言を吐けるおにーさんなのに、三日ちゃんには随分と優しいん…だよ?」 「あの件は申し訳ありません忘れてください」 「いや、そう言うことじゃなくて…ね」 そこで、零咲は上目遣いにこちらを見つめた。 俺の心の奥を射抜くように、見透かすように。 「あの時のおにーさんと三日ちゃんの前の『優しい』おにーさん、どっちが本当の千里さんなの…かな?」 「どっちが……って」 零咲の視線の圧力に耐えながらも俺は言った。 「別に、どっちが本当とか嘘とかじゃないだろ。どっちも本気本物だよ。だから、悪口雑言が出たからって『地金が出た』って思われると困るってか、正直無かったことにして欲しいって言うか」 「ふぅ…ん」 零咲はもう一度、俺の奥底を射抜くように見ると、言った。 「ありがと…なんだよ、おにーさん。今日は面白い話を聞けた…かも」 俺の内面を抉るような話でも、零咲にとっては『面白い話』でしか無いらしい。 「そいつは重畳」 「……こんな時にそんな言葉が言えちゃうのもどうかとは思うけど、まぁいっか…なんだよ」 そう言って、零咲はふと思い出したように持っていた紙袋を俺の前に突き出した。 「はい…コレ」 「はい?」 意味不明の動作だった。 「いや、プレゼント…なんだよ」 「プレゼント!?」 あり得ないレベルの超展開だった。 どうして俺たちの関係性で零咲からのプレゼントが生まれるのか。 「ほら、この前おにーさんのケータイを壊しちゃったから、お詫びに新しい携帯電話を選んであげた…なんだよ」 「ああ、一応覚えててくれたんですね」 そう言えば、入退院のバタバタで、零咲に壊された携帯電話はそのままになっていた。 買い直そうかどうしようかとは思っていたのだが、思わぬところから解決策が出た。 「開けたら爆発するとか無いよな?」 「いや、流石にソレは無いけど…おにーさんが私に対してどういう印象を持ってるのかよくわかるん…だよ?」 それ相応のことを貴女はしたと思います。 「ただ、強いて言えばおにーさんの分と一緒に三日ちゃんの分の携帯電話も入ってるから、後でおにーさんから渡して欲しいん…だよ?」 「そう言えばアイツ今までケータイ持ってなかったからなー」 紙袋の中を覗き込むと、零咲の言葉通り携帯電話らしき箱が二つ入っていた。 確かに、今どきの高校生らしく携帯電話を持っても良い頃だろう。 「きっと、私よりおにーさんから渡してもらった方が三日ちゃんも嬉しいと思う…なんだよ」 「フツーに母親から渡されても嬉しいと思いますけど。あ、でもどっちが三日用なの?」 携帯電話の2つの箱は、全く同じ外見なので区別がつかない。 「どっちでも…だよ?同色で同タイプの携帯電話を選んだから」 「おそろいか!?」 何と言うベタな。 フツーに恥ずかしいな。 「何なら、おにーさんからのプレゼントってことにしても良いん…だよ?」 「いや、そこで嘘吐いちゃだめだろ。って言うか嘘吐いても仕方ないだろ」 「それもそう…なんだよ」 一しきり納得すると、零咲は「それじゃあ、渡してあげて…なんだよ」と言って去って行った。 前の時と同じく、こちらにしこたまダメージを叩きこんで、1人で納得して。 アイツらしいと言えばアイツらしいのだろう、多分。 49 名前:ヤンデレの娘さん 休暇の巻(表) ◆3hOWRho8lI[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 21 01 43 ID yOkhoPgY [13/16] 「「あ」」 精神的な意味でフラフラになりながらも、何とかたどり着いた近所のスーパー。 そこで、俺は見知った顔と会った。 「こんなところで会うなんて奇遇だね、河合さん」 料理部の後輩の、河合直子さんだった。 「いやー。どーもです、御神先輩。マジ奇遇ですね」 河合さんは溌剌とした笑顔で応対してくれた。 「河合さんも買い出し?」 「はい。いやー、母さんから『アンタも休みだからってダラダラしてんじゃないよ』って言われちゃいましてねー。今晩の夕食を作ることになっちまったんですよー」 「そっか」 河合さんはよく喋る子だ。 俺も最近は話せる方だが、さすがに河合さんのようにはいかない。 「しっかしココのスーパーも広いですよねー。って言うか、同じニンジンジャガイモとかでも色々あって何が何だか」 「河合さん、料理部だよね……?」 「スイマセン、買い出しとかはほとんどやったこと無いっス……」 苦笑を浮かべる俺に小さくなる河合さん。 少し、悪いことを言ってしまったかもしれない。 「折角だから、君の買い物も手伝おうか?」 「マジっすか!?よろしくお願いします!!」 ほとんど即答だった。 「今日は、何作るのー?」 「とりあえず無難なところでカレーでも、って思ってるんですけど。あ、コレ私の作った買い出しリストです」 「なるほど……。じゃあまず野菜から探そうか。選ぶものはお財布と相談しつつ……」 そんなやり取りをしながら、俺と河合さんは自分たちの買い物を進めて行った。 スムーズに進行し、レジでお会計完了。 「いやー助かりました先輩。感謝感激雨あられですよー」 ビニールに食材を詰めながら、河合さんは言った。 「それほどでも無いよー」 「久々に先輩と二人きりでしたしー、何かデートみたいな?」 「無い無い」 「ですよねー。それでも、今日付き合ってくれただけで恩の字ですけど」 そう言って笑顔を浮かべる河合さん。 「先輩ってホントに良い人ですよねー」 それは、河合さんとしては何の気なしに言った言葉なのだろう。 良い人、か。 『どちらが本当の千里なの?』 と、言う零咲の言葉が、なぜか思い出された。 「ありがと、河合さん。でも―――」 俺はきっと、良い人なんかじゃない。 人並に怒りのすれば妬みもする、性欲だってある、当り前の汚さも持ち合わせた人間だ。 それでも、『良い人』と呼ばれる資格があるとすれば。 「俺が良い人でいられんのは俺だけの力でも無かったり」 「え?」 俺の言葉に意外そうな顔をする河合さん。 「俺が良い人でいられんのは、河合さんや料理部のみんな、クラスの奴ら、家族、それに俺の大切な人たちが俺に良くしてくれるから、だから俺は良い人でいられる」 そう、俺が今の俺でいられるのは、みんなのお陰。 みんなや大切な人―――九重や三日のお陰。 みんながいてくれるから、俺は今の自分でいられる。 「だから、河合さんにも感謝してる。結構手酷くフッたのに、良くしてくれてさ。ありがと、助かってる」 俺の、ただ思ったままを乗せた言葉に、河合さんは照れたように頭をかいた。 「いやぁ、やっぱ先輩には敵いませんねー」 そして、食材を詰め終わったビニール袋を持ち上げて、帰りの挨拶を交わす。 「ああ、そうそう先輩」 スーパーを出て、別れる所で河合さんは言った。 「何?」 「私、先輩のコト、まだ好きです」 「ウン、ありがと。でも、ゴメンね」 「いえいえ」 そう言って、去って行く河合さん。 50 名前:ヤンデレの娘さん 休暇の巻(表) ◆3hOWRho8lI[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 21 02 03 ID yOkhoPgY [14/16] その姿は、どこかスッキリとしているように見えた。 俺はその背を見送った。 彼女の内心を俺には推し量ることはできないけれど。 少なくとも俺は彼女の先輩でいられたことは良かったと思った。 「…楽しかったですか、河合さんとのデートは」 そう思っていると、後ろから声をかけられた。 「デートじゃないって。お待たせ、三日」 俺はいつもの糸目で、いつもの笑顔で三日の方に振り向いた。 「…待ってはいません。今日はずっと千里くんと一緒にいましたから。…千里くんの後ろに」 お得意の尾行スキルか。 「うっわー、それじゃあ色々カッコ悪いところも見てたり?」 「…今日の千里くんは一から十まで見させていただきました」 「恥ずかしー」 まぁ、言うほど恥ずかしがってる訳でもないけどね。 それくらいなら、コイツに全部見せてやっても良いだろう、くれてやってもいいだろう。 流石に―――汚いところまでは、無理かもしれないけれど。 「…ねぇ、千里くん」 「なにー?」 「…九重かなえって、誰ですか?」 静かな声で、三日は言った。 今までになく怖い顔に見えたのは、俺の気のせいか。 「……友達、だよ。中等部時代の、俺の大切な友達」 「…今の間は何ですか」 「ちょっと驚いたから、かな。お前の口からその名前が出るとは思わなかったから」 「…そうですか」 そう言って、軽く俯く三日。 角度的に、その表情は見えない。 「…そのお友達と、私と、どちらが大切ですか?」 まだ、そのネタを引っ張るらしい。 「友達とお前とで順位を付けろって言われてもなぁ」 「…どっちが大切ですか?」 いい加減な答えはできそうにない状況だった。 「2人とも、だよ」 「…!」 三日が息をのむ声が聞こえた気がした。 「けれども、三日への『大切』は特別だから。ちゃんと、特別だから」 まだ、俺には『大好き』とか『愛してる』とか言う勇気は無いけれど。 それは、確かに本当だったから。 本心だったから。 「…千里くん」 三日が愛しげに腕を絡めてきた。 それを俺は拒絶しない。 「三日」 俺は、彼女を安心させるようにポンと頭に手をやった。 「帰ろっか」 「…はい」 そう言って、俺たちは2人並んで歩きだした。 そうしながら、俺の心には小さな罪悪感を覚えた。 三日のことは確かに大切で、特別で。 その一方で、九重への想いもまた、三日とは違った意味の特別として、俺の中で巣食っているのだろうから。 51 名前:ヤンデレの娘さん 休暇の巻(表) ◆3hOWRho8lI[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 21 02 22 ID yOkhoPgY [15/16] おまけ 「そう言えば三日、前に『夏場に外出なんてしたら死ねる』みたいなこと言ってたけど、大丈夫?」 「…そう言えば、さっきから意識が朦朧と…喉も乾いて…」 「うわ、良く見たら汗だくな上顔色悪!?」 「…あれ、死んだお爺ちゃんの姿が小川の向こうに……」 「それ三途の川ー!!」
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571 名前:ほのぼのヤンデレ[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 18 09 13 ID 21xiy4T5 [2/6] とある日の放課後。私は人気のない第三校舎の裏に向かっていた。 何故かと問われると、今朝、ベタというかなんというか、下駄箱に手紙が入っていたからである。 字が非常に綺麗で、無心で何度も読み返してしまうぐらい綺麗だった。差出人は無く、文字的に女子からの呼び出しかと思ったが、私は別の可能性も即座に考えた。 最近、なんとなく正義のヒーローごっこで不良共を片っ端から叩き伏せていたから、それについての呼び出しかもしれないと。勿論、不良さん達からである。 まぁ、別に叩き伏せればいいんだし、過剰防衛にならないぐらい。 とりあえず、と、近くに都合良く落ちていた鉄パイプを拾い、私は黙々と足を進める。 鉄パイプを拾ったのは、流石に漫画や小説みたいに一人で何人もぼっこぼっこにはできないから、自衛の為に持っていくだけであって、あくまで自衛。 過剰に防衛するかもしれないけど正当防衛だから問題ない。 で、目的の場所に着いたわけだが、不良さん達はいなく、私の通う高校の制服を着た女の子が一人いるだけだった。 女子からの呼び出しだったか。 ぽいっと鉄パイプを投げ捨てる。女の子が若干怯えていたからだ。 ――それにしても。 目の前の女の子は非常に可愛かった。 艶があり、手触りがとてもよさそうな、今まで見てきた中で最上級の高価さを誇る綺麗な黒髪を、背中の中ほどまで伸ばしたロングヘア。 黒々とした、綺麗で可愛らしい大きな瞳は今は少し不安に揺れている。 それらに加えてさらに、紅くて小さくて愛らしい唇。そして全ての元となる雪のように白いキメの細かい肌。 ――なんというか、二次元幼女がそのまま三次元に迷い込んだような容姿をしている。 つまり可愛い。だが、忘れてはいけない。彼女は私の通う高校の制服を着ているが、ロリなのである。幼女である。身長、150センチぎりぎりいってるかいってないかぐらいだ。 私と20センチ近くはなれている。私服で手を繋いで歩いたら私がロリコンと勘違いされかねない容姿だ。 というか、この短時間で手を繋いで一緒に歩くことを妄想させるとは、なんとも罪な可愛らしさである。 いけないいけない。そろそろ本題に入らなければ。 「それで、何の用だ? 私をここに呼んだのはお前だろう?」 「え、と。はい、そうです」 緊張した表情で返す彼女に、思わず手が伸びそうになる。 何だこの、動く麻薬。可愛すぎる。よく戒めないとついうっかり摂取してしまいそうだ。 「それで、用件は?」 そう訊くと、途端に彼女は頬を真っ赤にして俯き、もじもじしはじめる。何故か少し息も荒い。 それを見て私は―― 「げほっ、がはっ!!」 口から血を吐き出しながら倒れた。受身を取れずに諸に背中を打ちつけてしまう。 現世にこんな少女がいるなんて。彼女は、言葉遣いがアレで、影では愚痴ばっか言ってそうな感じの今時の女子高生とは遠くかけ離れた存在だ。 そして美少女、じゃなくて美幼女。これは、まさに絶滅危惧種。 まさか、悪勢力(主に不良)の間で【断罪者】などという痛い通り名を付けられた私が、たかが可愛い幼女に吐血して地に伏せられるなんて・・・・・・。 さっさと、終わらせなければ、死ぬ。死因、萌死になんてのは許されることじゃない。 「よう、けん、は?」 「そんな死にそうな感じで喋らないでください!」 いやいや、さっさと用件を言ってくれないと血が止まらない。 というか、貴方、姿はロリなのに口調は後輩キャラなんだね。もうちょっと、こう、わがままをよく言う子に育って欲しかったりもしたけど、これはこれで、あり、かも。 「よ、ようけんをいってくれ」 「あ、うぅー」 もう一度繰り返すと、やっぱり頬が真っ赤に染まる彼女。 もしかして、私への告白だろうか? それとも、私の幼馴染である神崎 翔への告白を手伝って欲しいとかだろうか。 多分、後者な気がする。アイツは絶賛ハーレム拡大中だからな。顔もいいし、運動もできるし、勉強もできるし、性格もいいし、チャラくないし。 「散れ!!」 「ふみゅ?!」 しまった、妬みのあまり突然叫びだしてしまった。彼女は相当驚いている。普通驚くだろうから彼女の反応は普通なんだけれども。 572 名前:ほのぼのヤンデレ[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 18 15 43 ID 21xiy4T5 [3/6] 「それで、用件は何? どうせアイツなんでしょ? アイツへの告白を手伝ってもらいたいんだよね? あっはっはっはっ。一時でも私への告白かと思った私が馬鹿だった。滑稽だな。 というか前にも数回こんなことがあったな。今回は相手が可愛すぎるから忘れていたが。 あーもう、アイツなんて皆にロリコンロリコン言われて死ねばいいのに。 というかもう刺されなさいよ、あんなに嫉妬されてるんだからそろそろ刺されてくれてもいいじゃないか。 ヒロイン何人だっけ? 担任、生徒会長、私の義妹、アイツの義妹、クラス委員長、お嬢様、風紀委員長、後輩、メガネっ娘、アイドル、クラスメイト。 挙句の果てに、幼女まで?! アイツの攻略キャラの数が多すぎる。 いや、もう何人か病んでいいよ。刺されていいよアイツ。 昼ごはん五月蝿いよ。私もすぐ近くにいるんだから。昼ぐらい静かに喰え。 いや、死ねよもう。主人公体質の癖して鈍感じゃないし、うまく皆を丸め込んでるし、いつも悪い人たちに襲われたときには私を頼るし、その割には見返りないし。 バレンタインなんてアイツのハーレムメンバーの何人から義理チョコを送られるだけなのに対して、アイツはハーレムメンバー以外にも先輩、同級生、後輩からたくさん貰ってるし。 しかも何故か媚薬入っていてアイツ暴走して大変だったし、そうだよね、いつも無表情で無口みたいなキャラ設定が認識されている上に、顔が女の子にしか見えない、というかもはや女の子である私が告白されるはずないもんね。 というか女性としてみればアイドルにも勝てるぐらいのレベルとはどういうこと? 私はニューハーフじゃないもん、男だもん。レズでもないもん、うぅぅぅぅ。」 「あ、あの。鬱宮先輩?」 「ぐすっ、そもそもだな、前提として――え? あっ!」 美少女に話をかけられ、ようやく自我を取り戻す。だいぶ、恥ずかしいところを見せてしまったようだ。というかあんなに長々と喋ってしまうなんて、馬鹿だ、迂闊だ。終わったことだから気にしても仕方ないけれど。 「あ、あのですね、先輩は勘違いをしています」 「勘違い?」 彼女の、さっきから紅みがかっていた頬が更に真っ赤に染まり、首筋までそれは至った。 「わ、私が好きなのは、鬱宮先輩です」 573 名前:ほのぼのヤンデレ[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 18 16 53 ID 21xiy4T5 [4/6] 「・・・・・・」 今、彼女なんて言った? 私が好き? フフフフフフフフ、馬鹿にしてはいけない。この私が普通の告白で初対面の女性と付き合うなんてことありえないというのに。 「駄目だな。笑っちゃうぐらいお前は甘い」 「そう、ですか・・・・・・」 彼女があからさまに落ち込むが、勿論私はそんなことは気にしない。 「お前、私のことが好きなのか?」 「好きです!! この気持ちは本物です!」 ロリが自分の平らに近い(つまり平らではない)胸に手を当て、必死に私へと語りかける。 「だったら、監禁でもして私を閉じ込めて、私を脅して、私と付き合えばいいだろう!」 「か、監禁なんて犯罪じゃないですか!」 「その正常な反応が既に私に好意を寄せる者として失格だ。私を愛しているんだったら、私を手に入れられる可能性を100パーセントにするぐらいじゃないと全然駄目だ。例えば、脅したり、気絶させたりしてな」 「じゃ、じゃあ監禁するので付き合ってください!!」 私は手加減して彼女の頭を叩く。 「そこは私の首を絞めたり、ナイフで脅したり、スタンガンで気絶させる場面でしょうが!」 「は、はぃ!」 「というか、面と向かって監禁すると言われても・・・・・・やっぱり強制的な監禁じゃないと萌えないな」 私が馬鹿なことを呟いている間、彼女は慌てて近くに置いてあった自分のバックを探っていた。筆箱を取り出し、そして何かを取り出す。 ハサミだった。まぁ、合格。 彼女がそれを私の方に突き出しながら、また告白をし始める。 「わ、私と付き合ってください。付き合ってくれないと、こ、殺します」 がくがくぶるぶるでまったく怖くなかったけど、想像して欲しい、可愛い幼女が、ハサミを持って、付き合わないと殺すと言う、震えながら。 とても萌える。生きた麻薬とはこのことだな。一日一回拝まないと吐血しそうだ。 「そうだな、私と付き合うんだったら毎日、電話100回、メール100回が課題だな」 「が、がんばります」 「それと、登下校は、んー、帰るときは一緒でもいいけど、登校中は私の後を隠れながら移動しろ」 「先輩の家は近いから問題ないですけど、どうしてですか?」 「可愛い後輩が先輩をストーカーするなんてとても萌えるじゃないか」 「ぅ。そ、そうですか」 「あれ? そういえば何で私の家を知っているんだ?」 そう訊いた瞬間、いきなり彼女は慌て始めた。 「い、いや。あの、先輩の妹さんから訊いたんです。決して後をつけてたとかじゃありません!」 「ふぅん。まぁ、いいや。それじゃ、さっそく一緒に帰るとしよう。その間に、私と付き合うときの心構えを叩き込んでやる」 「はい!!」 幼女が、私に向けて満開の笑みを浮かべた。それを見た私は大量の血を口から吐き出し、ぶっ倒れたことは言うまでもない。 574 名前:ほのぼのヤンデレ[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 18 18 51 ID 21xiy4T5 [5/6] そして現在、帰宅途中に至る。 「まずだな、私に近づく女は全員殺せ。勿論、冗談じゃないぞ」 「うぅぅ。そんなこと出来るわけないじゃないですか」 「今のところは私に近づく女性なんて深言ぐらいだから別に殺さなくてもいいが」 ちなみに深言とは彼女のことである。言寄深言(ことよりみこと)これが彼女のフルネームだ。ちなみに私は鬱宮病(うつみややまい)だ。非常に微妙な名前である。 「とにかく、私を愛するんだったら、私は狂愛を求める。たとえ体が他の男に支配されても、心だけは私へとあり続けるような、そういう女性が一番だ」 「大丈夫です! ちゃんと病のことは愛しています!」 ちっこい少女に名前を呼び捨てにされ、愛を叫ばれる。これ以上萌える場面が他にあるのだろうか? ちなみに、名前の呼び捨てはお互い合意のもとで、私も彼女の名前を呼び捨てで呼んでいる。私としてはただ単に少女に名前を呼び捨てにしてもらいたかっただけなのだが。 「そして、三日以内に私の部屋に盗聴器を仕掛けること。勿論、家族や私に見つからないように。本当は今日中にしてもいいぐらいだが、深言は素人だからな、三日以内で許してやる」 「あ、ありがとうございます?」 色々と話している間に、どうやら深言の家に着いたらしい。確かに私の家から近い。 「私の家はここです。送ってくださってありがとうございました」 そのまま彼女は家に帰ろうとするものだから、思わず肩を掴んで止める。 「どうしたんですか?」 「そこは普通キスをするところでしょうが! 家に誘い込んで眠らせたり、今ここでスタンガンも可!!」 「えぇ?!」 「どうした? まさかとは思うが、私を愛する者として別れ際に私にキスをするぐらいは常識だよな?」 キスをしやすくするために少し屈んであげる。 「うみゅぅぅ。は、恥ずかしいです」 「順調に行けばどうせそのうちそういう関係になるのだから、大人しくキスぐらいはしなさい」 「わかりました! えぃ!」 私の後頭部に手を添え、一気にキスをしてくる深言。彼女はちゃんと当たる瞬間に減速し、歯がぶつかるということはなかった。 問題はこの後だった。 唇と唇が触れ合った瞬間、言葉では言い表せないような甘さが頭を直撃し、一瞬にして理性が崩壊した。 二秒で崩壊した理性を理性と呼べるのかどうか定かではないが、私は彼女の家の前で、堂々と彼女の口腔内に舌を進入させてしまったのである。 だが、理性が崩壊したのだから仕方がない。彼女が驚いているのを確認しつつも、彼女の暖かい口の中で私の舌は暴れまくっている。 必死に舌を奥に突き入れ、深言の反応がアレなところを重点的に責める。そしてたまに焦らす。彼女の後頭部を押さえつけているため、顔が離れるなどということは一切起きない。 そんなことが続いて五分ぐらい経っただろうか。舌が疲れるなどということがまったくなく、もうずっとディープキスだった。途中からは彼女も積極的に舌を絡め、もはや二人の顔面は唾液塗れである。 それでもディープキスを続けるものだからもし人が見ていたら呆れるしかないだろう。 「んっ、んっ、んっ。ん、んんんんん!!」 彼女がビクビクと体を震わせ、若干私に体重を預けてくる。どうやらイってしまったらしい。 深言がイってなおディープキスは続いた。達した後だからか、少しの間、彼女の舌は動かなかったが、すぐにまた絡まり始める。 どうしよう。これ、本当に麻薬だ。頭が甘く痺れて、蕩けて、何を考えているかわからなくて。もうぐちゃぐちゃで。 十分後、ようやく私は深言を解放した。それまでに彼女は三度もイき、私は嬉しく思った。彼女を感じさせることができたのだ。 まさかキスだけで行くなんて事が現実で起こりえるとは思いもよらなかったが、多分、愛故だろうと勝手に納得しておいた。 頬を染め、荒い息をついている、蕩けきった表情の幼女の頬に軽くキスをしてあげる。というか、深言も我に返らないと危ない人だ。 薬をやっているようにしか見えない。スカートからはぽたぽたと何かが太ももを伝って垂れてきている。名称は言えないけれど。 「それじゃ、明日私をストーカーするように」 「や、病」 「何?」 「ぁ、愛してます」 「フフフフ、私も愛してるよ」 もう片方の頬に軽くキスしてあげる。 「ばいばい」 未だに呆けている彼女を尻目に、私はようやく家へと向かった。 「気持ちよかったな・・・・・・」 口の中に残っている深言の唾液をこくこく飲み干しながら、上機嫌に家の中へ入る。 「ただいま」 明日が楽しみだった。 それと、深言はちゃんと電話100回、メール100回をこなしたのである。ご褒美に何をしてあげようと考えつつ、上機嫌のままベットに横になる。 そういえば、何で私のことが好きになったのか訊いていなかったな。明日にでも訊くか。 ここでようやく私の意識は闇の底に落っこちた。 続くんだろうか?