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Profile Statistics 現在の戦績 ドライバープロフィールのモットー(Motto)欄に「JPN」や「Japanese Player」など日本人だと分かるような内容を記しておくと、 同志から話しかけられたり、FRIEND登録されやすくなったりする。 Profile Comparison フレンドとの比較 __________________________________ 情報交換用コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
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「凄い…これで能力リミッター付きだなんて……」 現場で待機していたティアナは副隊長達の戦況を見守っていた。 モニターにはシグナムとヴィータがガジェットを次々と撃破している姿が映し出されており、 これほどの戦力であればガジェットの全滅は時間の問題だとティアナは思っていた。 リリカルプロファイル 第十四話 不死者 「ゴメン!遅うなった!」 はやては来客の誘導を終え、足早に着替えるとシャマルがあらかじめ用意してくれた転送魔法で六課へと転送し、 上着を羽織りながら飛び込むかのようにロングアーチへ入ってきた。 だがはやての服装はネクタイが曲がっていたり、シャツがはみ出ていたりと乱れていた。 はやては乱れた身なりを整えつつ現場の状況をグリフィスに伺う、状況は此方が優勢で、もうじき前線メンバーになのは・フェイトが合流すると伝えた。 その時である、オペレーターが新たなガジェットの反応を確認したと、場所は南西方向で相当の数であると伝える。 そこではやては、エリオと共に待機していたザフィーラとシャマルを南西へと赴かせ迎え撃つ事を指示した。 「行きましょうザフィーラ」 「承知した、此処は任せたぞ」 ザフィーラ、シャマルの両名は一言残し足早に現場へと向かう、すると鳩が豆鉄砲でも食らったような顔をしているエリオとキャロ。 そして思わず言葉を漏らした。 「……ザフィーラって」 「喋れたんだ……」 少し時間を遡り、レザード達は第二陣とも言えるガジェットの出陣を見つめていた。 そんな中、手筈通りにとレザードはルーテシアに促すとルーテシアは頷き詠唱を始める。 「吾は乞う…小さき者羽搏く者…言の葉に応え我の命を果たせ…召喚!」 すると小さな羽虫達を召喚するルーテシア。 名はインゼクト、ルーテシアが召喚する虫の中で最小の召喚虫である。 召喚したインゼクトはガジェットに取り付くと操作制御を奪取する。 次にルーテシアは召喚魔法を応用した転送魔法ブンターヴィヒトを準備すると、レザードもまたそれに合わせ第三陣の合図を出した。 一方ロングアーチのモニターにはヴィータと合流したなのは、そしてシグナムと合流したフェイト等が前線で奮闘する姿が映し出されていた。 ロングアーチの面々はその圧倒的な戦力に安堵の色が見え隠れしていたが、はやては冷静に戦況を分析していた。 そして恐らくこの襲撃はまだ終わっていないと考え現場に警戒を促していると、 新たな反応を確認したとオペレーターははやてに伝える、場所は北東と北西と南西の方向で、それぞれ前線に向かっていると伝えた。 相手は例のアンノウン、先程とは打って変わりロングアーチ内に緊張が走る中、更に新たな反応を確認したとオペレーターははやてに伝えた。 「今度は何処や!」 「ホテルアグスタ前!ガジェットの反応です!これは……おそらく転送魔法の一種と考えられます!」 敵の増援に転送魔法による強襲、この波状攻撃に対し、はやては予め待機させておいたスバル組・エリオ組にガジェットの殲滅を指示した。 指示を受けたスバル組とエリオ組は早速転送されたガジェットに対しコンビネーションによる攻撃を仕掛ける、だが今までのガジェットとは動きが違っていた。 それをモニターしていたなのはは、強襲したガジェットは恐らく何者かに操作されているとロングアーチに伝える。 それを聞いたヴィータは今のアイツらでは荷が重いと感じ援護に向かおうとするも、なのはに止められる。 「何でだよ!なのは!」 「あの子達はあの程度の戦力に負けるわけ無いから」 転送されたガジェットの数は二十数機、二手に分かれたとしても一組約十数機、その程度の戦力にやられる程甘い訓練は受けさせていないとなのはは語る。 そしてなのははスバル組・エリオ組に声をかける。 「みんな!いけるよね!」 『ハイッ!!!』 その力強い返事聞き、頭を掻ながら自分の過保護さに苦笑いをするヴィータであった。 一方レザードは顎に手を当てモニターを見つめていた。 本来の作戦は前線に攻撃を集中させ、がら空きとなったアグスタをルーテシアが操作するガジェットで襲撃・見事に回収する予定であった。 だが現状は全く違っていた、前線は隊長・副隊長・遊撃隊によって完璧に抑えられ、転送したガジェットもまた次々と落とされていた。 隊長・副隊長達の戦力を侮ったのも手痛いが、特に転送先の魔導師達の戦力を侮ったのが一番手痛かった。 彼等は一週間以上前のリニアレールの時とは強さが全く違っていた。 たった一週間程度でこれ程の戦力になるとは、良い指導者に恵まれいるのかもしれないとレザードは考えていた。 だがこのまま手を拱いては目的の品を手に入れることが出来ない…そう考えているとルーテシアがレザードに問いかけて来た。 「戦局は劣勢……どうするの博士?あの時のレリックみたいに諦める?」 「そうですね……仕方がありません、ならば私が赴きましょう」 「…博士が?!」 普段あまり感情を表に出さないルーテシアでも流石に驚く表情を現すが、レザードは気にせず新たな作戦の説明を始める。 レザードが考えた新たな作戦とはレザード自身が囮となり、その隙にルーテシアが召喚したガリューをアグスタへ潜入させ、目的の品を回収するといった内容であった。 「では頼みましたよルーテシア…」 そう言うとルーテシアは頷きガリューを召喚する、そしてレザードもまた移送方陣でアグスタへと向かった。 レザードの転移後、沈黙を守っていたゼストがルーテシアに問いかけて来た。 「…これで良いのかルーテシア」 「うん…博士と話すのは楽しいから」 目元に手を当て不敵な笑みを浮かべ、レザードの真似をするルーテシアであった。 「クロスファイア……シュゥゥゥゥト!!」 ティアナは最後のカートリッジを消費しクロスファイアを放つ。 クロスファイアはガジェットの中心を次々に貫き撃破していった。 「こっちは!なのはさんに血反吐が出るぐらいの訓練を受けているんだから!」 そうガラクタと化したガジェットに言い放ち、ティアナは持っていたクロスミラージュを強く握りしめる。 …自分の魔力弾はどんな相手でも命中する、どんな装甲でも撃ち貫く!… そう思いティアナは自分が確実に強くなってきていることを肌で感じ取っていた。 今回相手にしたガジェットは今までのような自動的な動きではなく操作された動きであった。 それは言い返せば誘導弾と変わらない、しかしなのはの訓練程の速度・無規則な軌道・魔力性質の違いなどはなく、 この程度では物足りないとすら感じていた。 そしてティアナが空になったカートリッジバレルを交換していた矢先に最後の一機をスバルが撃破、 ティアナはそれを確認するとロングアーチと連絡をとる。 その後暫くしてエリオ組もガジェットの殲滅に成功した事が伝えられ、ロングアーチは現状での待機を命じた。 するとティアナはモニターでなのは達の戦況を見守っていた。 北東ではなのはとヴィータが次々にアンノウンを消滅させていた。 その動きはスバルとティアナにとってまさに手本となる動きであった。 なのははディバインシューターで鳥のアンノウンを翻弄させると、その隙をついてヴィータが頭部を粉砕。 攻撃後ヴィータが動きを止めると、その隙をつこうとヴィータの後方で狙い定めたアンノウン達に対し、 今度はなのはがアクセルシューターでアンノウン達の頭部を次々と破壊する。 破壊後アクセルシューターは威力を維持したまま今度は他のアンノウンの出端を挫き動きを止めると、それに合わせてヴィータがアンノウンを次々に消滅させていた。 その鮮やかな動きに思わず見とれるティアナ達、いずれ自分達もあのような動きが出来るようになりたいとティアナ達は思っていた。 暫く経ち北東・北西方面の敵陣は全て撃破し、南西方面の敵陣も残り僅かだとロングアーチから連絡が入る。 スバル達は安堵していると何処からともなく声が響いてきた。 《やはり…あの程度の不死者では相手になりませんか……》 スバル達は声が響く方向へ目を向けるとアグスタの上空に青い五亡星の陣が浮かび上がり、上には眼鏡の青年が佇んでいた。 「誰!?」 「…少なくとも味方じゃねぇのは確かだな」 なのはとヴィータは新たに現れた人物に戸惑いを感じ、フェイトとシグナムは映像に見入っていた。 辺りが困惑している中、スバルが眼鏡の青年に問いかける。 「アナタ何者!それにグールって何!!」 「…質問は一つずつが礼儀ですが、まぁいいでしょう。 私の名はレザード…レザード・ヴァレス、以後お見知り置きを」 そう名乗り礼儀正しくお辞儀するレザード、シグナムはその名に覚えがあった。 レザード…あの男がアリューゼが追いかけている男…そしてあの機動隊を壊滅させた男…その事を思い返すシグナムであった。 「そしてもう一つの質問ですが…貴方達がアンノウンと呼んでいるモノですよ」 「えっ!?それじゃあ!!」 「えぇ…アレは私が造った“作品”です」 その言葉に怒りを覚えるフェイト、あの物言い…彼はスカリエッティと同じく命を弄ぶ存在と感じ、シグナムと共にレザードの元へと向かった。 一方なのは達もレザードの元へと向かっていた。 なのははあの男、レザードの余裕のある言葉使いに対し相当な実力者だと感じ、 更に不死者を“作品”と位置付ける事に対して危険な思考を持った存在だと感じていた。 レザードは投げかけられた質問を返すと手を下にかざす、すると桜色の五亡星が姿を現し輝き始める。 「では、次は此方が質問する番です、貴方達にコレを倒せますか?」 そう告げると五亡星は輝きを増し消滅した。 するとエリオ達に二つ、スバル達に一つ、なのはの周りに三つの五亡星陣が姿を現し、陣から別個の不死者が姿を現す。 エリオ達に現れたモノは赤く巨大な白骨化した二足歩行の竜の体に、手には巨大な刃を持つ不死者、ドラゴントゥースウォーリアが二体。 スバル達には人間サイズで赤い目の部分だけ開いた兜と甲冑で全身を包み込み、更に赤いマントを羽織い右手に剣を握った不死者、ナイトフィーンドが一体。 そしてなのはには顔と胸は女性、腕と下半身は鳥の姿の不死者、ハルピュイアが姿を現した。 「コレらは今まで対峙した不死者とはひと味違いますよ」 そう告げると眼鏡に手を当て不敵な笑みを浮かべるレザードであった。 一方なのはの周りに現れた不死者は、奇声を上げながらなのはを囲うように飛び交う。 そんな中、ヴィータはなのはの身を心配する。 「なのは!」 「私は大丈夫!ヴィータちゃんはスバル達の下に行って!此処は私が相手するから!」 そう言って不死者と対峙するなのは、なのはは新たに現れた不死者は今のスバル達には厳しいのではないかと考えヴィータに頼んだのであった。 ヴィータは後ろ髪を引かれつつも頷き、なのはに背を向けスバル達の元へと向かった。 場所は変わり南西方面ではザフィーラとシャマルが不死者を次々に撃破していた。 だが、のちに現れたレザードの存在や、エリオ組に現れた不死者に対し二人は危機感を募らせていた。 そこでシャマルはザフィーラにエリオ組の下へと向かうことを提案した。 「だがシャマル、お前一人だけで此処を押さえられるのか?」 「モノは使いようよ、まぁ任せて」 自信満々にそう答えると左人差し指に付けているクラールヴィントの宝石部分が外れ宝石が拡大される。 そして宝石は紐に繋がれており振り子のような形ペンダルフォルムと呼ばれる姿に変わる。 そして左人差し指のペンダルフォルムを地面に突き刺すと、地面を介して次々に不死者を捕縛していった。 魔力の発露を阻害する効果を持つ、戒めの鎖と呼ばれるバインドである。 次に右人差し指のクラールヴィントをペンダルフォルムに変え紐を伸ばし円を築くと右手を円に通す。 すると一体の不死者の胸に円が現れ、円からシャマルの手が現れると、手のひらには不死者のリンカーコアが握られており、シャマルはリンカーコアを引き寄せた。 旅の鏡と呼ばれる遠くの物を引き寄せる魔法である。 そして手のひらにあるリンカーコアを握りつぶすと、不死者は光の粒子となって消滅した。 「どうです?旅の鏡だってこういう使い方も出来るんですよ」 「…えげつないな……」 シャマルの戦い方に思わず言葉を漏らすザフィーラ。 シャマルはムッとした表情を見せるがザフィーラはそれを無視し、シャマルにこの場を任せエリオ達がいる場所へと向かった。 そしてザフィーラを見送ったシャマルは不死者に目を合わせ、人差し指で指すと静かにこう告げた。 「それじゃあ、あなた達のリンカーコアを見せて貰いましょう…」 一方エリオは不死者との戦闘を始めていた、上空にはフリードリヒに乗ったキャロが戦況を見守っていた。 相手は二体…一見すると劣勢に見えるが、戦況はエリオが優勢であった。 二体の不死者は力はあるもの動きは鈍い為、エリオはソニックムーブで木々の間を飛び交うように動き二体の不死者を翻弄させていた。 その動きに不死者はついて行けずエリオの姿を見失うとエリオはキャロに合図を送る。 合図を受けたキャロはアルケミックチェーンで二体の不死者を縛り付けると、 エリオは一体の不死者に矛先を向けカートリッジを消費しスピーアアングリフを発動させる。 エリオのスピーアアングリフは見事に頭部を貫き、頭部を失った不死者は光の粒子となって消滅……するハズであった。 光の粒子は一点に集まり光の玉に変化すると、もう一体の不死者に取り込まれる。 次の瞬間、不死者はアルケミックチェーンを力ずくで引きちぎり雄叫びをあげた。 不死者の目は真っ赤に輝き、肉体からは赤い魔力が溢れ出ていた。 その光景にエリオは戸惑っているとレザードの声が辺りに響く。 「残念でしたね赤髪の少年、その不死者は倒された時、仲間に憑依して憑依したモノを強化させるのですよ」 不敵な笑みを浮かべながら解説をするレザード、一方エリオは舌打ちをし強化した不死者と戦闘する事となった。 強化した不死者は勢い良く跳躍するとエリオの頭上まで飛び上がり、自由落下とともに右の刃を振り下ろす。 だがエリオはソニックムーブで後方の木まで跳び難を逃れると、スピーアアングリフの準備を始める。 ところが着地した不死者はエリオを見つけるや否や飛びかかるように襲いかかり左の刃を振り払う。 「さっきより速い!!」 エリオはとっさに身を屈めると不死者の刃はエリオの後ろにあった木を切り払った。 木が音を立てて倒れる中、エリオはスピーアアングリフの準備を終えていた。 「貫け!スピーアアングリフ!」 エリオのかけ声とともに不死者の腹部目掛けて突撃するが、エリオの一撃は不死者の肉体を貫くどころか揺るがす事すら出来なかった。 エリオは驚いた表情で一旦引くと不死者は持ってた左の刃で勢い良く斬り上げる、 エリオは持っていたストラーダで攻撃を防ぎ、吹き飛ばされながらも体勢を立て直し地面に着地する。 すると今度は左の刃を前に右の刃を後ろの位置で交差させると、まっすぐエリオ目掛けて振り下ろす、エリオはストラーダを水平に持ち盾代わりにして攻撃を防ぐ。 不死者の一撃は重くエリオごと周りの地面を大きく窪ませるが、エリオは歯を食いしばり必死に耐えていた。 だが不死者は左の刃でストラーダごとエリオを押さえ込むと、今度は右の刃で何度も左の刃を叩きつけた。 その衝撃は凄まじくエリオの手はしびれ、膝は笑い、筋肉は悲鳴を上げ、骨は軋んでいた。 そして不死者は両手を振り上げ、止めを刺すかのように振り下ろした。 だがエリオは振り上げた瞬間の隙を突いてソニックムーブで後方へ跳び、更にスピーアアングリフを利用してキャロのもとまで跳び上がった。 「エリオ君!今治療を!」 「それよりキャロ!ツインブーストをお願い!」 このままでは勝てない、あの不死者を倒すにはツインブーストを受けたスタールメッサーしかないとエリオは興奮した様子で話す。 だがキャロはエリオの話を冷静に聞くも今の肉体ではスタールメッサーの威力に耐えられないと嗜め、エリオは素直にフィジカルヒールを受ける事となった。 フィジカルヒールによってエリオの肉体の疲労をある程度回復させると、今度はエリオの希望通りツインブーストをかける。 ツインブーストを受けたエリオは立ち上がり矛先を不死者に向けるとカートリッジを消費する。 「ありがとうキャロ、行くぞ!スタール…メッサァァァ!!」 エリオのかけ声により魔力刃を展開させ飛び降りると、ストラーダから魔力が噴射し一気に加速、そして縦回転しながら頭部目掛けて振り下ろした。 だがエリオの一撃は不死者には届かなかった、不死者は持っていた刃を交差させスタールメッサーを防いだのだ。 「そっそんな!!」 エリオは愕然とする中、不死者は交差した刃に魔力を込めエリオごと振り抜いた。 エリオは叫び声を上げながら吹き飛ばされ木に激突、その衝撃で木は音を立ててへし折れ倒れていった。 木が倒れたことによって辺りは土煙が上がりその中で、ストラーダを杖代わりにし、笑う膝に活を入れながらも必死に立ち上がるエリオの姿があった。 一方スバル組は不死者に対しクロスシフトAで攻撃を仕掛けていた。 クロスシフトAとは、スバルの高い機動力と防御力を生かし敵陣の敵火網を誘引または敵を牽制しフリーとなったティアナが各個撃破する戦法である。 スバルはリボルバーショット呼ばれる拳と蹴りのコンビネーションで不死者を牽制するが、 不死者は斬撃でリボルバーショットを丁寧に防ぎつつ剣を水平に保ち勢い良く突き刺す。 不死者の一撃にスバルは右手でプロテクションを発動させ攻撃を防ぐとスライドするかのように後方へと移動する。 移動後、リボルバーナックルからカートリッジが排出され、マッハキャリバーをロックさせると腰を深く下ろしリボルバーシュートを撃ち出す。 だが不死者は撃ち出されたリボルバーシュートを魔力を帯びた剣で受け止めた。 「ティア!!」 「わかってる!!」 スバルの合図でティアナはクロスファイアを二発撃ち出す、だが不死者はスバルの一撃を受け止めている剣を傾けリボルバーシュートを受け流すと その場で回転し、クロスファイアを切っ先で切り払い打ち落とした。 すると不死者は跳躍し木に足を着けると、勢い良く木を蹴りスバル目掛けて急降下した。 そして剣の柄を両手で握り突き出す、突き出された刀身には魔力によって生まれた衝撃波が纏っていた。 スバルはプロテクションを展開し迎え撃つが、プロテクションとの接触後、衝撃波が周りに広がり辺りを吹き飛ばす。 その衝撃波にスバルは巻き込まれ吹き飛ぶが、マッハキャリバーの機転によりウィングロードを発動させ難を逃れた。 スバルがマッハキャリバーに礼を言っている間にティアナは一人状況を整理していた。 スバルのリボルバーシュートは受け流されはしたが自分のクロスファイアのように容易く切り払われはしなかった。 この違いは単に一撃の威力の違いと考え、ティアナは次の作戦に切り替える。 クロスシフトB、ティアナが敵を攪乱・足止めをし、その隙をついてスバルが一撃を撃ち込む戦法である。 だがティアナの魔力弾ではあの不死者を止めることは出来ない。 何故ならば先程撃ったクロスファイアは相手の頭部を吹き飛ばすつもりで練った魔力弾、 それをいとも簡単に切り払われるという事は単に魔力弾の威力が負けているという事になる。 だからといって威力を高めれば魔力弾の数は減り足止めすら出来なくなる。 その時不意に先程のなのは達の戦闘を思い出す、なのはは数多くの魔力弾の制御していた。 なのは程ではなくとも数をこなす…今の自分には厳しいが、今この場で出来る最良の方法だと考えスバルに伝える。 「ティア、行けるの?」 「“行けるか”じゃない、“やるしかない”のよ!!」 ティアナの力強くそして覚悟を決めた言葉に対し、スバルもまた腹を決めるのであった。 一方なのはは依然として不死者に囲まれていた。 その状況の中でなのはは一体の不死者に対し見覚えがある印象を受けていた。 …いやそんなハズは無い、きっと気のせいだ…そう自分に言い聞かせなのはは不死者と対峙していた。 不死者達は奇声を上げなのはを威圧していると、なのはは先手を取りアクセルシューターを三発、不死者達に向け撃ち出す。 不死者達のもとへアクセルシューターが迫る中、不死者達は鏡のように反射する魔法障壁を展開、アクセルシューターをなのはに向け跳ね返した。 「えっ!?」 思わず呆気にとられるなのは、だがすぐに気を取り直しアクセルシューターで相殺する。 リフレクトソーサリー、かつてレザードがいた世界で使われている魔法で、魔法を術者に跳ね返す効果を持っている。 今度はディバインシューターで牽制してみるも、やはりアクセルシューターと同様跳ね返されてしまう。 誘導弾が跳ね返されてしまうのであれば、直射型のディバインバスターならどうかと準備体制に入るが、 不死者の一体がなのはの周囲ごと、稲妻に似た攻撃を仕掛けてきた。 サンダーストラックと呼ばれる稲妻に似せた魔法攻撃である。 不死者の攻撃に対しレイジングハートがプロテクションを自動展開、なのははレイジングハートに礼を言いつつ次の行動を考えていた。 ディバインバスターではチャージに時間がかかってしまう、何かいい方法は無いかと辺りを見渡していると大きな岩を発見する。 「岩?………ッ!あれだ!!」 とっさになのはは岩にアクセルシューターを撃ち込み破壊すると、アクセルフィンを使って破壊した岩の場所へと移動する。 場には砕かれた岩が拳大の石となって散らばっており、なのははカートリッジを二発消費するとなのはを中心に環状の魔法陣が展開、 そして散らばった石が浮かび上がり、なのはの周りを飛び交う。 「行け!スターダストフォール!!」 そう叫ぶと魔力で加速された拳大の石等が次々に不死者達へと向かっていった。 スターダストフォール、物質を魔力で加速させて攻撃する魔法である。 不死者達はサンダーストラックでスターダストフォールを迎撃するが、すべてを迎撃出来ず幾つかの小石が不死者の身を打つ。 小石は不死者達の肉体にめり込むが大したダメージを与えていなかった。 その様子を見たなのはは上空へ上がり仕切り直すと、不死者もまたなのはを囲い込み様子をうかがう。 不死者達の魔法障壁は未だ健在で、不死者は魔力弾を跳ね返す事に重点を置いている様子であった。 なのはは考えていた、あの魔法障壁を破るにはバリア貫通もしくは破壊による魔法が必要だと。 その時不意にヴィータが脳裏をよぎった、今回の相手はバリア破壊を持つヴィータこそ相応しかったなと、だが頭を振り弱気になった自分を戒める。 他に何か無いか考えているとスターダストフォールの他にもう一つ、直射型の別のバリエーションを思い出す。 なのはは早速試そうとレイジングハートをバスターモードに切り替えると、更に上空から金色の魔力弾が不死者となのはの間を分けた。 「フェイトちゃん?!」 「もう、またなのはは無茶をして」 呆れた様子でなのはの位置まで移動すると、背を合わせるフェイト。 なのははゴメンと謝りつつどうして此処に来たのか聞くと、ヴィータから話を聞いたと話す。 ヴィータはなのはと分かれた後スバル達のもとへ向かっていたのだが、やはり不安が拭いきれずにいた。 そこで比較的なのはと距離が近いフェイトに援護を求めたのだ。 なのはは正直有り難かった、フェイトはバリア破壊の魔法を持っている、それに“今”の自分が使用できる魔法でダメならアレを使うしかないと思っていたからだ。 なのははフェイトに今までの戦況を説明しレイジングハートを不死者に向け構える。 フェイトもまたなのはの説明を聞き、バルディッシュをハーケンモードに替え構えた。 二人がデバイスを構えている中、フェイトは不死者に対しなのはの周りに現れた頃からずっと疑問を感じていた。 それは実際に目撃した後でも消えることはなかった。 何となく不死者の顔に見覚えがある…もしかしたら最近関わった出来事と何か関係があるのではと思い返していると一つの事件を思い出す。 「…まさか!!」 「どっどうしたの?フェイトちゃん」 フェイトの急な大声に驚くなのはをよそにフェイトはロングアーチとの連絡を取った。 フェイトはロングアーチに先日から起きているミッドチルダ失踪事件の失踪者の顔と 今対峙している不死者の顔の照合を頼むと、ロングアーチは早急に照合を行い始めた。 不死者達の顔に次々と失踪者の顔が合わされていく中、それぞれの不死者の顔と一致する顔が浮かび上がった。 照合率は90%前後、ほぼ間違いなく本人であるとの結果を出した。 そしてモニターに映し出された映像の中には、かつてなのはが請け負った教え子の姿も存在していた。 ロングアーチに重い空気が走る中、その事実をはやて自身が二人に伝えた。 二人ははやての話を聞き唖然としていた、だが先にフェイトが気を取り直し、モニターにレザードを映し出すと睨み付けこう言い放った。 「やはり…あの事件は貴方が引き起こしたんですね!」 「事件?……もしかして“検体”集めの事ですか?事件になっていたとは驚きです。 …そう言えば、“検体”の中に管理局の人間もいたような……」 両手を開き肩をすくめバカにした表情を醸し出すレザード。 その行動にフェイトは怒りに満ちた表情で見つめるが、レザードは不敵な笑みを浮かべ火に油を注ぐかのような口調で不死者の説明をし始める。 なのはに送った不死者は他の不死者とは異なり、人と鳥を融合させたキメラ体にグールパウダーを用いて不死者化させたと自慢するように語る。 その説明に更に怒りに震えるフェイト、彼は先程人を“検体”つまり材料と言っていた。 そして自慢するように不死者の製造を話す、やはり彼は人の命を弄ぶ者だとフェイトが確信する瞬間であった。 一方なのはは一体の不死者を見つめていた、その不死者は先程違和感を感じていた不死者である。 …確かに面影はある、顔色は変色し目も赤く光を放っているが、顔の輪郭や作りはそのままであった。 …かつて自分が鍛え上げ、一人前として立派に成長し送り出した教え子が、 今は見るも無残な姿となって自分と対峙している、その現実に俯くなのは。 前髪はだらりと垂らし顔に影を作ると、端からはどの様な表情を醸し出しているのか判らないような姿と化していた。 フェイトはなのはの落ち込んでいる姿に対し、何も言えない自分に腹を立てていた、そしてその怒りの矛先をレザードに向けこう言い放った。 「この………悪魔!!」 「フッ……よく言われます」 フェイトの悪態に鼻で笑うレザードであった。 時間は遡り、ティアナはダブルモードでクロスミラージュを構えると、カートリッジを四連続消費、16発のクロスファイアを作り出す。 ティアナはコレだけ魔力弾があれば、あの不死者の動きを牽制出来る、あとは自分の技量のみだと考えていた。 ティアナは牽制の準備を終えるとスバルに連絡する。 連絡を受けたスバルもまた上空でウィングロードを展開させ準備を終えたと伝えると、それを皮切りにティアナは攻撃を開始する。 「スバル!クロスシフトB始めるわよ!!」 ティアナはまずクロスファイアを八発分、不死者に向け撃ち放つ。 八発のクロスファイアは木々を縫うように進み上・左・右の方向から不死者に襲い掛かる。 だが不死者は持っていた剣で右から来る魔力弾を一つ受け流し、 左から来た魔力弾を右回し蹴りで撃ち落とし不死者はその場で回転すると残りの魔力弾を弾いた。 弾かれた魔力弾は地面や障害物などに当たり幾つか落とされると、ティアナは残りの八発のクロスファイアを撃ち放つ。 八発のクロスファイアは二手に分かれ前後に挟み撃ちの形で不死者に迫る、だが不死者は右へ飛び込み回避した。 「逃がすかぁ!!」 ティアナは更に魔力弾を追加し撃ち出す、だが不死者は追加された魔力弾を剣で打ち落としていく。 ところが先程弾いた魔力弾と回避した魔力弾が弧を描き前後左右からの攻撃となって降り注ぐと、不死者はたまらず足を止める。 その隙を見てスバルが上空から急降下してくる。 スバルのリボルバーナックルからカートリッジが排出され加速しながらも拳には衝撃波が集う。 「リボルバァァァァァキャノンンン!!!」 スバルの拳が不死者の頭部を捉え手応えを感じた刹那、スバルは一瞬にして手応えを失う。 不死者がソニックムーブを使ったのが分かったのは、拳を振り抜いた後であった。 「くっ!外した!」 スバルは悔しそうに不死者を見つめる、だがスバルの一撃は不死者の左頭部の兜を砕いていた。 不死者は左手で砕かれた部分を覆っていたが亀裂は見る見ると広がっていき全体へと至ると兜は砕け散り顔が露わになる。 その素顔を見たスバルはその場に立ち止り唖然とした表情で佇んだ。 その様子を見たティアナはスバルに檄を飛ばす。 「何してんのスバル!動いて!」 「…ティア………あれ…………」 そう呟くように言うとスバルは震える右手をゆっくりと伸ばし不死者を指差した。 ティアナはその方向へ目を向けると、スバルと同様に驚愕した表情を醸し出す。 ……今まで二人が戦っていた不死者の正体は…… ―――カシェルであった――― 前へ 目次へ 次へ
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UP:2011年6月27日 くるくるカウンターだとか読者メールはそんなに来ていないのではないかなど、噂が流れているようだけど、 実際のアクセス数はどうなのだろう? 読者メールや中国探偵ファイルの立ちあげ時のアクセス数から推測できないか考えてみた。 まず、読者メールだが、ダーロンガムの記事が出たときは本当に凄いメールだった。 返信するだけでかなり疲れた。 2週間程で数百程だったと思う。 それ以外の記事については多くて5通くらいのメールだった。 次にアクセスについて 探偵ファイルのアクセスが多いと実感したのは、中国探偵ファイルの記事が出た初日。 なんと探偵ファイルからのユニークユーザー数が一日で2万人を超えていた。 つまり、最低2万人の人が探偵ファイルの一発逆転物語を見て、中国探偵ファイルを見にきていたのである。 探偵ファイルからの一日2万ユニークユーザーは数日続いた。 僕の知人のURLが探偵ファイルに載った際にも一日のアクセス数が2万を超えたって言ってた。 つまり昨年10月時点での一発逆転物語のユニークユーザー数は最低2万はあったということだ。 普通のブログサイトからすればものすごいアクセス数だ。 でも、探偵ファイルが言っている数字からすればかなり低い。 多分、一発逆転物語のアクセスが低いだけなのだろう。スパイ日記で数字を稼いでいたのだろう。 それにしてもiPhoneアプリの探偵ファイルは何であんなに過疎っているんだろう? 因みに何の裏金ももらってないし、りさちゃんメール以降、メールをもらってないです。 後、シャンプー使い始めて3ヶ月、ハゲ頭の剃り込み部分(全く毛が無かった部分)に毛が数本生えてきました。 2chは、平常の状態を好む方が沢山いるようなのでロムるだけにしています。
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…今から七年前、とある医療施設に一人の女性が査察に入った。 女性の名はクイント・ナカジマ、首都防衛隊の査察官である。 クイントは前々からこの医療施設に目を付けており、地上本部の許可を得て査察に踏み込んだのだ。 …施設内は何の変哲もない医療施設であったが、奥に隠してあった地下通路を通ると風景は一変する。 其処には幾つもの培養カプセルが並び、骨格に似たフレームも並び立っていた。 「……やっぱり、戦闘機人の研究施設だったのね」 戦闘機人、基礎フレームを軸に肉体を作成する質量兵器であるが、 この施設では肉体を構成する部品に、人間の遺伝子を利用しているようで、人道的にも違反した施設だった。 クイントは更に奥へ進むと扉に突き当たる。扉にはロックが掛かっており、クイントはリボルバーナックルで扉を突き破り、 部屋に入ると二つのカプセルが並んでおり、覗き込むと中には、五歳と三歳位の少女が眠っていた。 そしてカプセルにはこう記されていた。 「ホムン………クルス?」 リリカルプロファイル 第八話 尊敬 その後クイントは二体の戦闘機人を回収、管理局の分析班に引き渡した。 分析後、様々な事実が判明した。まず彼女らはメンテナスフリーの性能を持ち、 基礎フレームにおいては、肉体の成長に合わせて成長する、正に生きた金属とも呼べるフレームで構成されていた。 次に体内にはリンカーコアが搭載されており、人造魔導師とは異なり自身の努力で強化出来る代物であった。 極めつけは遺伝子、彼女らの肉体の遺伝子はクイントの遺伝子で造られており、正にクイントの子と呼べる様な仕様となっていたのだ。 「まるで質量兵器と言うより人間に近いですよ、これは貴重なサンプルです」 サンプル…分析班のその言葉に眉をひそめるクイント。 分析班は彼女らを兵器より“人”に近いと言いながらサンプルという“物”扱いをしている。 しかもこんな幼子に対して…そんな分析班の態度に対しクイントの怒りが込み上がり、 このまま彼らに引き渡したままでは、何をするか分かったものでは無いと、 同じ遺伝子を持つ身として――いやクイント自身が持つ女性としての一面に火を付けた。 「では、更なる分析の為に解剖を――――」 「いいえ、もう十分です、ここからは私達が彼女達の面倒を見ます!」 「なっ?!何を言っているんですか!アレは“兵器”なんですよ!」 「いいえ、彼女達は“人”です。そして…私達の子供です!!」 母性溢れるクイントの瞳は決意と覚悟の色を宿し、分析班は母の威圧感に圧倒され、渋々とクイントの申し出を受け入れる。 だがその変わりに、定期的な診断を受けさせる様にと最後に告げて、分析班は立ち去った。 ――その後、二人はギンガ・スバルと名付けられ二年後のクイントの死が訪れるまで大事に育てられた―― 時は変わって現在、ゆりかご内の訓練場では二人の戦闘機人が、チンク相手に模擬戦を行っていた。 一人は赤髪の少女ノーヴェ、もう一人は茶色のロングヘアーで一カ所だけ髪を縛った少女ディエチである。 「だあああぁぁぁっ!!」 ノーヴェは気合いと共に拳をチンクに向け振り下ろすが、 チンクはバックステップで難なく回避、更にノーヴェに向けナイフを三本投げ対抗。 だがノーヴェはエアライナーと呼ばれるISで上空への道を造り移動、チンクのナイフを全て回避する。 一方ディエチはイノーメスカノンと呼ばれる巨大な狙撃砲でチンクを隙を狙っていたのだが、 逆に先手を打たれチンクのナイフが四本襲い掛かり すぐさま迎撃するのだが一本撃ち漏らし、左の頬をかすめた。 一方チンクがディエチに向けてナイフを投げている頃、 ノーヴェはチンクに向けブレイクギアを使用した蹴りを打つ構えに入っていた。 ブレイクギアとは、彼女が身に付けているジェットエッジと呼ばれるローラーブレードの、足首部分に搭載されているスピナーの事で、 回転によって加速されたエネルギーを、かかとの部分にあるジェットノズルで噴射、蹴りの威力を高める効果を持つ。 「行くぞ!チンク姉ぇ!」 「甘いな、ノーヴェ」 「えっ?!」 振り向くと先程回避したナイフがノーヴェに迫っており、ノーヴェは慌ててその場を退避、 その様子を離れで見ていたディエチは嫌な予感がしてゆっくり振り向くと、 先程頬をかすめたナイフがUターンしている真っ最中で、ディエチもまた慌ててその場を退避。 「ぎゃあぁぁぁぁぁ?!」 「うっ! ……お……重い………」 必死な形相で逃げまくる二人、その姿を見たチンクは頭に手を当て ヤレヤレ…といった表情で二人にアドバイスを送る。 「ノーヴェ!右手に付けている物は飾りか!迎撃しろ迎撃!! ディエチも重いんだったら捨てるのも手だぞ!!」 チンクのアドバイスにハッとする二人、ノーヴェは振り向きバック走行をしながらナイフの迎撃体制に入り、 右手の小手に付いているクリスタルからマシンガンの様に光弾を発射、その光弾は物の見事に全弾外した。 「げっ?!全然当たらねぇ!!」 「落ち着いて狙えノーヴェ!」 「……どうしよ…棄てたはいいけど対抗手段が無い……」 「ディエチ………」 先程と同様、頭に手を当て頭を掻くチンク。人のアドバイスを素直に聞くその姿勢は良いが、 それから先を自分で考えないのが二人の特徴であり欠点、さて…この天然達をどう指導しようかと考えていると、 床から人差し指が現れ辺りを探っている様子、そしてチンクを見つけると引っ込み、セミロングの水色の髪の少女が床から飛び出す。 「チンク姉!探したよ!」 「セインか……何のようだ」 「博士が用があるから部屋に来てくれってさ」 セインと呼ばれた少女の連絡を受けたチンクは一つ頷く。 すると、今まで二人を追い回していたナイフが止まって床に落ち、 カチャンと金属音と同時に二人は倒れるように床に座り込んだ。 「模擬戦は此処までだ。二人共今日の失敗をしっかりと反省しろ!」 『…はい………』 力の抜けた返事をする二人、やれやれと頭を左右に振りチンクはレザードの待つ部屋へと向かった。 「大変だねぇ、前線タイプは」 「……セインは…良いの……かよ」 「私はほらっ、偵察タイプだから」 肩で息をするノーヴェの問いに笑顔で呑気に答えるセイン、 ノーヴェの隣には最早喋る気力も無いディエチが横たわっていた。 その頃、レザードの部屋ではレザードがモニターを見つめており、 其処には先程までの戦闘機人達の模擬戦データが記されていた。 「ふむ……やはり特化型は応用が利きにくいですね」 偵察に特化したセインのISディープダイバーは、床や壁などに潜り込むことが可能で、潜入には打ってつけの能力なのであるが バリア・フィールド等の能力に弱く、ノーヴェは前線しかも格闘に特化した為か、射撃能力が低く、 ディエチに至っては砲撃戦に特化し過ぎて、イノーメスカノンが無いと何も出来ないと言う状態、 …ディエチにもノーヴェと同様に、何かしらの応急処置が必要なのかもしれない…と考えていると、部屋にノック音が響く。 「チンクですね?どうぞ」 「失礼します」 「妹達の調子はどうですか?」 「まだまだ甘い所はありますが、徐々に学習していると思われます」 「そうですか、それはよかった」 「あの…御用はそれだけでしょうか博士……」 「いいえ。チンク、その右目は本当に治さなくて良いのですか?」 「……これは自分への“戒め”とお捉え下さい」 今のチンクの右目は黒い眼帯で覆われていた。三年前の戦闘時、疲弊していたとはいえ、自分の油断によって撃墜された。 そして二度とあの様な事が無いようにと、自分への戒めとしてあえて治さずにいた。 「成る程、実に貴女らしい考えです。ですが…実はその右目はもう治してあるのですよ」 「えっ?!ですが右目は機能していませんが?」 「えぇ、“今の貴女”ではね。そこで貴女にコレを差し上げましょう」 そう言ってレザードは右手を差し出す。手の中には一つのイヤリングが入っており、チンクはそれを受け取る。 「これは………デバイス?…ですが私には―――」 「リンカーコアですか?それならちゃんと持っていますよ」 あの撃墜後、修復中に人造魔導師の技術と“新たに得た技術”を流用し、リンカーコアを搭載させる事に成功。 チンクの撃墜はレザードにとっても衝撃で、自分の油断のせいでチンクの撃墜を許してしまったと語る。 「つまりこれは“償い”と言うべきなのでしょう」 「博士……ありがとうございます」 「いえいえ、因みにそのデバイスの名は“ヴァルキリー”その名を告げればセットアップ出来ますよ」 「分かりました。早速試してみます」 チンクは早速受け取ったデバイスを左耳に付け叫ぶ。 「ヴァルキリー!セットアップ!!」 するとデバイスは輝き、チンクを宙に浮かせ光が体を覆う。 光の中ではスーツ・コートが粒子化し、上半身は蒼く金の装飾が付いた甲冑、 下半身は白いスカートに変化し、手足もまた蒼い小手・具足を纏っていた。 そして目の眼帯が粒子化すると、白い羽根飾りの付いた兜に変化、銀の髪は編み纏められ、 左腰には銅色の鞘に両刃の片手剣型のアームドデバイスを携え、 光の渦がほぐれ背中に光の粒子が集まり白い翼へと変化、 ひとはばたきすると翼はまた粒子に戻り、チンクは床に着地する。 「こっこれは!?」 「これが貴女の新たな力です」 ヴァルキリーをセットアップしたチンクには様々な能力が追加されていた。 先ずはマテリアライズ、魔力を消費して武具を具現化させる能力である。 そして具現化した武具にはエーテルコーティングと呼ばれる力場が発生している。 エーテルコーティングとは、武具を特殊な力場で包む事で破壊不可効果をもたらす。 …ただ時間制限があり三分しか具現化が持たない。 次に原子配列変換能力で、簡単に言えば錬金術の様なもの。 つまり折れた剣で強力な剣を創り出したり、鉄を金に変えることが可能になったのだ。 …ただ本人の能力によっては配列変換が無理であったり、更にエーテルコーティングの効果も付かないとも付け加えられた。 最後に右目…これは今までの右目とは違う能力だという。 名はユーミルアイ、見た相手の行動を予測し直接脳にフィードバックさせる効果を持つ。 そしてデバイスはカートリッジ式を採用、更にレザードの魔法の一部を登録してあるのだと一通り説明を終える。 「素晴らしいでしょう、更に自身の能力を鍛え上げればヴァルキリーとしての能力も成長しますしね」 「…確かに素晴らしいのですが……博士、私自身の肉体は成長しないのですか?」 「………残念ながら」 眼鏡に手を当て答えるレザード、心なしか落ち込んで見えるチンクであった。 一方レザードの部屋の扉の前には、爪を噛み険しい顔をしたクアットロが佇んでいた。 何故チンクばかり博士は構うのか、自分を見てくれる必要としてくれる様になるにはどうすればいいのか… チンクへの嫉妬で狂いそうな感情を抑えつつ、クアットロは扉を後にした。 クアットロは自室に戻るとゆりかご内のデータバンクを洗っていた。 レザードに認められる為に必要な資料、情報を得る為だ。 とその時、管理局に潜入中の姉、ドゥーエからの連絡が入る。 その内容とはミッドチルダにある、臨海第八空港にレリックが運ばれるというものだった。 「とりあえず、この情報をドクターに伝えておいてくれない?」 「…ねぇドゥーエ姉様、この任務私にやらせてくれません?」 「クアットロ?……今、自分が何を言っているのか分かってる?」 「分かってますわ」 クアットロの目は真剣そのもので、モニターのドゥーエ見つめている。 確かにクアットロには視覚・電子・レーダーすら幻惑させるシルバーカーテンというISを持っている。 つまりクアットロのISは臨海第八空港との相性が良い、それにクアットロの“性格”であれば、失敗する事はまずあり得ないだろう。 そう考えたドゥーエは、クアットロの申し出を仕方なく了承する。 「…分かったわ、ドクターには私から伝えておく」 「ありがとう!ドゥーエ姉様!」 クアットロは満面の笑みを浮かべ、直ぐ様現場へと向かう。 一方モニターにはクアットロの見たこともない満面な笑みに、硬直したままのドゥーエが映し出されていた。 此処は臨海第八空港、この空港は電子機器によって自動運営された初の無人空港で、荷物の運搬が主な業務。 空港内では入荷した様々な荷物を自動的に分別・出荷を行っていた。 その仕事っぷりを見学している二人の少女がいた、スバルとギンガである。 スバルは学校の課題である空港の仕事を知る為、父親の許可を得て見学を、 ギンガは陸士候補生の一環として、スバルの付き添いとして同行していた。 スバルは目をキラキラさせて仕事を見つめており、 一瞬でも目を離すと何処かへ行ってしまう雰囲気、すると滑走路に新たな飛行機が入港してくる。 「お姉ちゃん!また新しい飛行機が入って来たよ!」 「ちょっとスバル!待ちなさい!」 しかしギンガの制止を無視し飛行機の方へ向かうスバル、それを慌てて追いかけるギンガ。 その頃、臨海第八空港の上空では、クアットロがモニターを開き空港内の監視カメラをハッキング、 中の様子をうかがってるさなか、厳重な警戒態勢を取っている部屋を発見、 監視カメラをズームさせると扉にはロストロギア保管庫と明記されていた。 次に保管庫内の監視カメラにハッキングを試み内部に探りを入れると、一つのケースを発見する。 「見つけた!レリックケース!」 レリックケースを発見したクアットロは、ガジェットドローンⅠ型を向かわせ、 クアットロのISの効果もあって、順調に事は進み目的の保管庫に到達する。 だがガジェットはクアットロの開錠を待たず、攻撃を仕掛け扉を破壊。すると辺りにアラーム音が響き、 警護メカが姿を現しガジェットに攻撃を仕掛けてくる。 ガジェットには自律判断が可能なAIを搭載しているが知能はそれ程高くは無く、 また学習機能は搭載されていない為、この様な惨事を引き起こしてしまったのかもしれない。 話を戻し両者の攻防が続く中、ガジェットの攻撃がレリックケースに当たり、その衝撃で床に落した瞬間、 眩い光が辺りを包みガジェット、警護メカ共々巻き込み大爆発を起こした。 一方上空では、クアットロが唖然としていた。ガジェットが原因とはいえ空港は火の海、 だがこのままレリックも手に入れる事も出来ず帰る訳には行かない。 少なくともレリックだけは手に入れようと、クアットロは空港へ向かい、 空港内は炎と煙に覆われ始めており、辺りは警報が鳴り響き、スプリンクラーが起動している通路もあった。 クアットロはロストロギア保管庫の前に立つと、唖然とした。 部屋の中ではレリックが高密度のエネルギーを放出、その衝撃で辺りを吹き飛ばしていたからだ。 このエネルギーの嵐に飛び込めば再起不能は必死、だがそれでもレリックを手にせねば、この場に来た意味が無い。 クアットロは暴走するレリックを止めようと踏み込もうとした時、モニターにスカリエッティが写り制止を促す。 「止めたまえ、クアットロ」 「ドクター!?ですが―――」 「今、君を亡くす訳にはいかないのだよ」 幸いガジェットはレリックの暴走で消滅、証拠隠滅する手間が省けている。 後はクアットロがその場所を後にすれば、全て解決するとスカリエッティは告げ、 クアットロは小さな声で了承し頷くと、その場を後にした。 ――空港外上空、クアットロは落ち込んで飛行していると突如、轟音が鳴り響く――― 「なに………アレ!?」 振り向くと、桜色の砲撃が空を突き刺すように伸びていた。 時間は遡り、空港内の通路、其処にスバルが迷い込んでいた。 辺りは炎と黒煙に包まれ、身動きが取れない状況だった。 「ケホッケホッ……お…お姉ちゃん………何処…」 煙で喉をやられていながらも必死に姉を探すスバル。その時熱によって崩壊した柱がスバルめがけ倒れ、 スバルは叫び声を上げながら頭を押さえ体を丸くする。 もう駄目だと諦めたその時、桜色のバインドが柱を縛り上げ支え、その柱の奥には一人の女性が立っていた。 「大丈夫だった?安心して、助けに来たよ」 「ありがとう……お姉ちゃんは?」 「お姉ちゃん?」 スバルは女性に事情を話す。スバルの姉ギンガもまた此処の何処かにおり、 見学中に離れ離れになってしまったという。 「大丈夫!お姉ちゃんもちゃんと助け出すから!」 「ホント?」 「本当だよ!」 女性は大きく頷くと、スバルは安心した様な表情を見せ、 その顔を見た女性はスバルを下がらせると、左手に握る杖を天井に向ける。 「行くよレイジングハート!」 すると機械音と共にデバイスの先端が二股に変化、 更に杖の先の周りに環状の魔法陣が現れ、先端部分に桜色の魔力が集まっていき、 そして―――― 「ディバイン……バスター!!」 次の瞬間、桜色の魔力が砲撃となって天井を貫き、外までの道を作ると、スバルを抱え作った道を通って脱出した。 「こちらは高町なのは、聞こえてますか?生存者を一名確保、ですがまだ中には―――」 スバルは抱えられながらも自分を助けてくれた人の名を胸に刻んだ。 そして自分もまた、助ける側になりたい…救助隊に入りたいと強く願った。 場所は変わり此処はゆりかご内のレリックウェポン研究施設、 内部にはスカリエッティとウーノ、そしてクアットロがいた。 今回の事件で被った被害はレリック一つとガジェット数体。 尤もレリック自体は空港の保管庫に有ったものなので実際の被害はガジェット数体のみとなる。 …とは言え得た物は無く、損益のみ残したとウーノは説明を終える。 「ではドクター、クアットロの処分如何します?」 「そうだね……………」 顎に手を当て考え込むスカリエッティ、辺りは静寂に包まれクアットロは冷や汗を掻き始めていた。 暫くして考えが纏まったのか、スカリエッティは静かに口を開く。 「では処分を言い渡す」 「はい……………」 「これからはレザードの助手を勤めなさい」 「はい……………ハイッ?!」 予想せぬ処分の内容に思わず素っ頓狂な返事を返すクアットロ。 スカリエッティの言い分はこうだ。今レザードは不死者の研究や戦闘機人の開発などで忙しい、 そこで今回の失態をきっかけに本格的に助手として徹して貰うと言う事なのだ。 「これからは更に忙しくなるからね、名誉挽回したいのならこれほどの処分はないと思ったのだよ」 「ドクター…………ありがとうございます!!」 大きな声でお辞儀をするクアットロ、その姿を見たスカリエッティは大きく頷きクアットロを下がらせる。 そしてクアットロは足早にレザードの元へ向かった。 研究施設に残された二人、不意にウーノが質問を投げ掛けて来た。 「ドクター、何故あのような処分に?」 「それはだね…私を楽しませてくれたからだよ」 「どう言う…ことです?」 スカリエッティは説明する、クアットロは元々冷静沈着・冷酷非道な性格を植え付けており、 今回のような行動はまずしない・出来ないハズであった。 「だが、実際には嫉妬や焦りといった感情を生み出し、このような行動を起こした…これは興味があるよ。 レザードとという“存在”が感情を引き出したのか、それとも“魂”が感情を導き出したのか どちらにしろ戦闘機人たる“兵器”が“人”の要でもある感情を生み出した、そう考えると笑いが止まらないよ」 研究施設の中、スカリエッティの狂気が混じった高笑いだけが辺りに響いていた…… 前へ 目次へ 次へ
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※キャラ崩壊が多いため、苦手な方は閲覧しないことをおすすめします。 …此処は第97管理外世界に存在する海鳴町沿岸の海水浴場、海水浴客が犇めく其処に一台のワゴン車が辿り着く。 …そしてワゴン車の扉が開き、其処から一人の男が姿を現す、ジェイル・スカリエッティその人である。 リリカルプロファイル外伝 夏休み 「う~んいい天気だ!絶好の海日和だと思わないかね?」 そう言って振り向くと其処にはレザードが眼鏡に手を当て呆れた表情を隠すこと無く面に現していた。 何故彼らが此処に来たのかというと、先日スカリエッティが日ごろの感謝として二泊三日のバカンスを提案 その提案にレザード以外が賛同しウーノの指示の下、手早く準備が始まり現在に至ったのである。 「しかし…随分と変わった格好で……」 「そうかい?」 現在スカリエッティはハイビスカス柄のアロハシャツに短パン、ビーチサンダルを履き麦わら帽子にサングラスといった格好をしており 一方でレザードはいつもの青を基調とした服に黒いマントを羽織っており、海水浴場には似つかわしくない姿は一目瞭然であった。 「ドクター、私達は場所を確保してきます」 「あぁ、頼むよウーノ」 そういって振り返ると其処には紫のトライアングルビキニに腰にパレオを纏い、手にはノートパソコンを携えたウーノと 際どいハイレグカットされた紫のワンピースに、ビーチパラソルを担いだクアットロ、 そして紫に胸元にリボンをあしらったトライアングルビキニ姿のトーレ、更にトーレと同じ形のピンク色の水着姿のセッテが クーラーボックスを携えぞろぞろと砂浜へと向かっていく。 すると今度はライニングボードを持ち上げる形で携えた濃いピンク色の競泳水着のような姿のウェンディと これまた同じく水色の競泳水着のような姿のセインが飛び出してきた。 「行くッスよ、セイン姉!!」 「合点承知!!」 そしてレザードとスカリエッティに軽く挨拶すると矢のように海へと向かう二人、 その二人をあきれた様子でレザードは見つめていると、 腰にフリルが付いた白いワンピース姿のチンクとガジェットIII型を模したビーチボールを携えた 赤いワイヤー型のビキニ姿のノーヴェがチンクの手を引いて姿を現す。 「チンク姉!早くいこ!!」 「少し待て……博士、ドクター、行って参ります」 「あぁ、楽しんでくると良い…」 スカリエッティの応えに一つ礼をすると足早に砂浜へ向かう、どうやらチンク自身も楽しみにしていたようだ。 次に出てきたのは、上は青いタンクトップビキニにジーンズの生地で出来た短パンを履いたオットーと 同じく青いタンクトップビキニに腰にはパレオを巻いたディートが姿を表す。 「どこに行くんだい?」 「………砂浜」 スカリエッティの問い掛けに指を指してオットーは答えると、 気をつけるようにと注意を促しディートは頷いて答えると駆け出す二人。 今度はオレンジのワンピースにパレオを巻いた姿のディエチと 薄紫の水玉模様に胸元にはリボン、腰にはフリルが付いた水着を着るルーテシア、 そして付き添いとしてアギトが姿を表し、アギトの姿が初めて場の空気にあっていると感じるスカリエッティ。 「何処へ行くのかい?」 すると淡々に岩場を指すルーテシア、そしてスカリエッティは足場に気をつけるようにと注意を促すと、護衛がいるから大丈夫だと告げ、 ワゴン車から最後の人物が姿を現す、それは赤フンを纏ったゼストであった。 何故赤フン姿なのかというとゼスト自身が望んだ事なのである。 それは前日の事である、スカリエッティは皆に水着の要望を聞き最後にゼストに聞くと褌と答えた。 するとゼストの答えに悪乗りしたスカリエッティが赤フンを作り上げ渡すと、意気揚々に履き現在に至ったのである。 「…では行ってくる」 ゼストは一言告げるとルーテシアの後をついて行く、 その光景に含み笑いを浮かべるスカリエッティと、頭を押さえ横に振るレザードであった。 …ウーノが獲得した場所は海から程良く近く一望でき、更に人気も少なくまさに穴場といえる場所であった。 そんな場所で黒いTシャツと青い短パンに着替えたレザードがパラソルの下で本を読んでいた。 そして後ろではスカリエッティがウーノと一緒にトロピカルジュースを飲んでおり、 二人から見える位置では荷物を運び終えたトーレとセッテ、更にチンクとノーヴェがビーチバレーで対戦をしていた。 だが戦況はトーレ組が圧倒的であった…… ……反則的なまでに…… 何故ならば、チンクのアタックをライドインパルスで受け止め、セッテのトスに対し、飛行してスパイクを打ち込むのである。 トーレの余りにもの行動にチンクは抗議を唱え始める。 「トーレ姉さん!いくら何でも卑怯だと思います!!」 「甘いな…戦い情けなど必要ない!」 そう断言しチンクを指差すトーレ、だがトーレのそれは周りに人がいないから出来ることであって 他人から見たら瞬間移動や飛行している事自体が卑怯であり、 管理外世界でISを気軽に使うという事は、少なからずトーレも羽目を外している事を指し示していた。 そして少し離れた砂浜ではオットーとディートが砂遊びをしている姿がある。 だが二人が作っている砂の城はディテールに拘っており、細部は楊枝で削って造るほどの拘りようで辺りには人だかりが出来ていた。 そして沖合いではライニングボードを滑走しているウェンディと、水上スキーを楽しんでいるセインの姿があった。 「ヤッホー!次あの波に行くッスよ~!!」 「オッケ~!!」 ウェンディが指さした先にはジャンプするには丁度良い波がうねっており、その波目掛けて大ジャンプ 続けて後方のセインも大ジャンプをして、二人は楽しさの余り笑い合っていた。 ナンバーズの中で一番まともに楽しんでいるのは彼女達なのかもしれない…… 一方、岩場ではルーテシアとこっそり召喚したガリュー、更にディエチとアギトが塩だまりの中を探っていた。 するとルーテシアが何かを見つけたらしくアギトに見せる。 「…………カニ」 ルーテシアは一言口にするとカニをアギトに渡す、するとカニはアギトの二の腕を挟みその痛みに思わず絶叫、ルーテシアの周りを飛び回る。 その頃ディエチは小さなエビや小魚、そしてアメフラシなど見つけ一人楽しんでいた。 ……そしてゼストは腕を組み仁王立ちで岩場の波打ち際のてっぺんでルーテシア達を観察しており、ゼストの後ろでは何度も波飛沫が舞い… ……その佇む姿は様になっていた…… それから暫くして昼食の時間になり、ウーノは連絡を送り皆を集めると 其処にはてんこ盛りの焼きそばが焼きあがっていた、何でもスカリエッティの言い分では浜辺で焼きそばは絶対らしい…… それはさて置き、メンバーはそれぞれ食べる量の焼きそばを盛ると一斉に食べ始める。 その中でオットーの目線が一カ所の方向を指していた、それは海の家である。 その視線に気が付いたディードはウーノの頼み込み小銭をもらうと二人で海の家に向かう。 そして帰ってくるとその手にはかき氷が握られており、 オットーはメロン味、ディードは渋い宇治金時をチョイスしていた。 するとそれを見た他のメンバーがズルいと騒ぎ出し一斉にウーノの下に集まり抗議し その結果、スカリエッティを含めたメンバー全員がかき氷を頼む事となったのであった。 そして午後も日差しが強くパラソルが手放せない中でレザードは一人リラックスチェアーに座り本を読んでいると 本に影が映り目線を上げると其処には髪が濡れて日差しを煌びやかに反射させているチンクの姿があった。 「どうしたのです?チンク」 「博士は楽しまないのですか?」 「……これでも十分楽しんでいるのですがね」 そう言って眼鏡に手を当て不敵な笑みを浮かべるレザード、元々自分はインドアなのでこれで十分に楽しんでいると告げると いきなり右腕を捕まれ椅子から立ち上げさせられると、持っていた本を落とす、 レザードを引っ張り出した正体はスカリエッティで、ズイズイ引きずられ膝のあたりまで浸かると海に突き落とされる。 「やはり、海に来たら海に入らないと意味がないだろう!」 そう言って笑い声を上げるスカリエッティ、それに対しレザードはゆっくりと海から上がりその姿はずぶ濡れ状態で、 スカリエッティは「水も滴る良い男」と言ってレザードを茶化すと レザードは無造作に右手で水をはじきスカリエッティの頭に直撃、その水圧は高くスカリエッティはそのまま沈むと 髪を掻き揚げ眼鏡に手を当て不敵な笑みを浮かべるレザード。 「これであなたも“良い男”ですね」 すると勢い良く水中から姿を現すとお返しとばかりに水をかけ始める。 しかしスカリエッティの攻撃は一切レザードには当たらずレザードは鼻で笑うと それにカチンと来たのスカリエッティはトーレを呼び出し、レザードもまた呼応するようにチンクを呼び出す。 するとトーレはセッテを呼びチンクはノーヴェを、ノーヴェはディエチを呼ぶと セッテはオットーとディードを呼びディエチはルーテシアとアギトを呼びつけ水かけ合戦が開始される。 …いやそれはもう合戦とは呼べない代物となっていた、スカリエッティの攻撃を難なく躱すレザードに対しトーレのライドインパルスでレザードの後ろをとる、 しかし後ろにはチンクが既に存在し水しぶきをあげているとその隙をついてトーレをスープレックスで投げ飛ばすノーヴェ、 だがそのノーヴェもまたセッテに投げ飛ばされるとディエチの正確な水撃に沈むセッテ、 するとディエチの両腕を掴み沈めるオットーとディードに対し今度はルーテシアとアギトが足を掴み沈めるといった状況なのである。 それを沖合いで見つめるウェンディとセイン、何だかんだでみんなも楽しんでいるのかと感じ 岩場の上では未だに波飛沫をバックに仁王立ちで佇むゼストであった。 そして夕食、今日はバーベキューのようでそれぞれが堪能する中 ずぶ濡れになった服を脱ぎ新たなTシャツと短パンに着替えたレザードが椅子に座っていた。 するとレザードの下にスカリエッティが姿を現し、手には二本のグラスと 中に氷が敷き詰められ突き刺さるようにワインが冷やされたバケツが握られていた。 「一杯どうかね?」 「…まぁ、頂きましょう」 そう言うとスカリエッティはバケツを置きグラスと渡すと、バケツからワインを取り出しレザードのグラスに注ぐ レザードもまたワインを受け取りスカリエッティの持つグラスに注ぎ込み、 そして乾杯の音を鳴らすとゆっくりと確かめるようにワインを口にする二人。 「…良いワインですね」 「そうだろう?君といつか飲もうと取って置いたのだよ」 そう言って更にワインを口にするとスカリエッティは上機嫌に話し出す。 今回は皆の英気を養ってもらう為に開催した、そして自分とレザードにもそれは当てはまると饒舌に語る。 「これからのこともあるからね、色々と手伝って欲しい……」 「………まぁ、考えておきましょう」 そう言ってレザードはスカリエッティのグラスにワインを注ぎ足すと、 スカリエッティもまたレザードのグラスを注ぎ足し、二人の時間が続くのであった。 次の日 今日も朝から日差しが強く、朝食を食べ終わったナンバーズ達は準備運動を始め海に飛び込み始める。 一方でスカリエッティは二日酔いでダウン、ウーノが甲斐甲斐しく面倒を見ており、レザードは朝から椅子に座り本を読んでいた。 …レザードは前の世界でよくメルティーナに酒に付き添わされていた為、ワインの2~3本程度なら問題なかったのである。 それから正午を周りウーノと手伝いとしてオットーとディードがカレーを作っている頃 ノーヴェとディエチは海の家付近を通って皆の下へ向かっていた。 すると二人の前に金髪で目つきの悪い男が三人、行く手を塞ぐように現れると二人に声をかける。 「よぉ、姉ちゃん達暇?これから俺達と飯食わねぇ?」 どうやらナンパのようである、だが二人は無視する形でその場を去ろうとすると 一人の男がディエチの手を掴み睨みつけながら怒鳴り散らす。 「てめぇら!無視してんじゃねぇ!!」 男の横柄な態度にディエチは睨みつけると、掴まれた手をひねり返し折ると、続いてノーヴェがハイキックで男の脳を揺さぶる。 自分達の仲間が一瞬にしてやられた事に、怒り心頭といった心境で他の男達が襲いかかるが、 ノーヴェの素早い足払いで二人の男を同時に倒すと踵落としにて男の左足を折り、更にもう一人の顔面を踏み抜いたのである。 「…少し、やりすぎた?」 「大丈夫だって!手加減したしな」 ノーヴェとディエチはまるで何事もなかったかのように先に進みだし、 跡地では男達の阿鼻叫喚な光景の中で彼女達に対する復讐を企むのであった。 そして夜も更け昼間とは異なり辺りに静けさが戻る頃、静寂を切り裂くような轟音がスカリエッティ達が眠るテントの周りで鳴り響く。 その音に目を覚ました一同は次々にテントから出て来ると、 辺りには改造されたバイクが囲うように並び、ライトが眩しく辺りを照らし、人数は50人ほどいる状況であった。 「オラァ!仲間が世話になったようじゃねぇか!!」 どうやら昼間相手をした男達は隣町の暴走族のようで、報復の為に仲間を引き連れて来たようである。 確かに昼間相手をした男達が包帯に巻かれている姿で後部座席に座っている姿があり、辺りは騒然としていた。 「覚悟は出来てんだろうな!!」 バイクの轟音と共に長ともいえる男が息巻いている中、欠伸をしながら頭を掻きけだるそうな姿で出迎える一同。 そのなめきった態度に怒りを露わにすると一斉に鉄パイプやバタフライナイフなどの凶器を持ち出し始める。 するとスカリエッティは顎に手を当て考える、此処で彼らを抹殺するのは容易い… しかし此処は管理外世界、余り派手に動くのは快くない。 取り敢えず…この哀れな子羊達に自分の実力のなさを思い知らせる程度で充分であろう… そう判断するとスカリエッティはナンバーズに命じる。 「死なない程度に遊んであげたまえ」 「了解しました、ドクター」 そう言って一人そそくさとテントの中へ戻ると、外では暴走族達の悲痛な叫びが辺りに木霊し、 それはまさに阿鼻叫喚、地獄絵図ともいえる惨状が展開されていたのであった。 一夜開け、海水浴場付近の道路には破壊されたバイクと共に 誰が誰なのか分からない程までに腫れ上がった顔をした男達が 簀巻きにされ正座で並べられている姿が目撃される事となる。 そして英気を養ったスカリエッティ一同はワゴン車に乗り込み、意気揚々とアジトへの帰路を取るのであった… 目次へ
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―――我はこの世界の住人にして主…我が望むは強き者なり――― ―――汝は影の背なを見つめるだけの弱き者か?それとも影を越えようとする強き者か?――― ―――さぁ…汝の強さを我に見せてみよ!!――― リリカルプロファイル 第二十三話 一層 聖王教会の地下へと向かった一同は、其処に存在していた魔法陣を通り、 神の住まう場所セラフィックゲートに辿り着くと、周囲の光景にそれぞれは唖然とした表情を表していた。 何故なら一同が転送された場所は屋外で、空は夜空のように暗く星々がちらつき、一同が立つ円上の床には魔法陣が描かれ光を放ち 灯りの代わりとなっており、更に周囲を槍のような柵に覆っていたからである。 そんな神秘的な場所を目にした一同は、神は必ず此処に存在していると考え気を引き締めると、 奥に一カ所柵がないところを発見、赴いてみると奥には長く緩やかな下り階段が存在してた。 恐らく此処から神のいる場所へと行けるのだろうと判断すると、一同は意を決し階段を下りていく。 階段は一本道でゆっくりと慎重に降りていくと、奥に何かが掲げられいるのを発見 そして近くまで降りていくと、それは「Welcome!!」と書かれた旗が掲げられているアーチであった。 「なっ…なんやこれ?」 「さっ……さぁ?」 一同はその旗に神の趣味か?!と呆然とした表情を表すも、意を決しアーチをくぐり抜ける。 すると先には広場があり中央には黒髪のツインテールの女性が出迎えていた。 「ようこそ!セラフィックゲートへ!私、主の命により道案内を務めさせてもらいます ディルナ・ハミルトンと申します!気楽にディルナちゃんって呼んでください!」 そう言って笑顔で深々とお辞儀をするディルナ、しかし一同は口をあんぐりと開け唖然としたまま動けないでいた。 それもそのハズ、今まで描いていた神秘的なイメージを崩され、かなりノリが軽い女性が出迎えの挨拶されたからである。 本当に此処は神の住まう場所なのか?実は本当はただの遊園地かなにかなのではないだろうか? そう疑問に感じたなのははディルナに質問を投げ掛ける。 「あの~?ディルナちゃん?」 「ハイ!何でしょう?」 「ホントに此処、セラフィックゲートなの?」 「モチロンです!!」 なのはの問いに威勢良く答えるディルナ、そしてディルナはセラフィックゲートの説明を始める。 セラフィックゲートは全部で五層で構成され、それぞれの層には試練が用意がされてあり、試練を突破する事に次の層へと向かうことが出来、 そして最後の五層にはディトナの主である流浪の双神が住んでおり、其処までの道案内はディルナが担うと説明を終える。 ディルナの説明を聞き確かに本に書かれた内容と同じであると確認するが、未だ一同の目は疑いの色がにじみ出ていた。。 しかしそれを知って知らずかディトナは何処からともなく旗を取り出すと、 一同を先導し始め、広場の奥に存在する第一層へと続くゲートをくぐるのであった。 ゲートをくぐった先には一層への下り階段が一本並び、順調に下っていくと第一層に辿り着く。 其処は先程とは異なり、青い空間に星々が浮かび、巨大な塔のような建物が幾つも並んでおり、 その中にはゆっくりと時間を刻む時計塔の姿も見受けられ、 そして一同が立つ床の中心には魔法陣が描かれおり奥には閉まった扉が存在していた。 ディトナの話では此処で試練が始まるという、すると突然スバルとティアナが白い光が包まれ始める。 どうやら最初の試練の対象がこの二人のようである。 「スバル、ティアナ、頑張って!」 『ハイッ!!』 なのはの応援に気合いを込めて返事すると、二人はどこか別の場所に転送されるのであった。 スバルは水色の空間で円形の広場の中央に転送され、ポツンと立っていると周りを見渡すとティアナの姿が見受けられなかった。 どうやら自分はティアナとは別の場所に転送されたと考えといると、 奥へ続く道を発見、先に進むと奥には更に巨大な床が広がっていた。 その広場の中心には背中を向け佇んでいる人影がある。 その人影は女性で紫かかった髪にマッハキャリバーともブリッツキャリバーともとれるローラーブーツを履いており 両手には薄紫と紫色で構成されたリボルバーナックルが付けられていた。 そして女性はスバルの気配に気が付き振り向くと、スバルは唖然とした表情を表していた。 「か……母さん……?」 「久し振りね、こんなに大きくなって」 指を震わせながらクイントを指すスバル、それもそのハズ、クイントは既にこの世にいないハズである。 するとクイントは説明をし始める、此処セラフィックゲートはあらゆる次元、時間、事象を超越した世界、 死んだ人間の魂を呼び寄せるなど神にとっては稚気に等しいと語る。 「それじゃあ…最初の試練って」 「そう、私と戦って勝つ事よ」 そう言うと構え始めるクイント、だがスバルは折角会えた母と戦う事に動揺を隠せずにいると、クイントが「しっかりしなさい!」と一括する。 その声に目が覚めたスバルは気を取り直し同じく構え始め対峙するのであった。 一方でティアナはスバルとはまた別のオレンジ色の空間に転送され、スバルと同じく下り階段を下りていき広場へと赴く。 その広場の中央にはオレンジの髪の青年が佇んでおり、その見覚えのある青年の姿に動揺を隠せないティアナ。 「兄さん………?!」 「久し振りだな、ティアナ」 其処にいたのはティーダ・ランスター、ティアナの実の兄である、彼もまた神に呼び出され此処に赴いていたのだ。 そして呼び出された理由とは此処でティアナと対峙するためでもあると話す。 「ティアナがどれだけ強くなったか…見せてもらうぞ!」 「……分かりました、兄さん」 ティーダの言葉にティアナは頷くとクロスミラージュをダブルモードにして構え、ティーダもまたD・Eをダブルモードにして構えるのであった。 先ずはティアナが先手を取り、クロスミラージュが火を噴き複数の魔力弾がティーダに襲いかかる。 だがティーダは丁寧に魔力弾を相殺しつつ更に魔力弾を五発撃ち抜く。 するとティアナは左に移動しつつ魔力弾を回避すると、カートリッジを一発ずつ消費、 速度を高めた魔力弾が両銃から雨のように撃ち鳴らされる。 しかしティーダは上空へと飛びティアナの周りを旋回しながら魔力弾を回避しつつ、 左のデバイスから薬莢が一つ排出されると魔力弾を二発撃ち出す。 撃ち出された魔力弾はティアナの魔力弾と接触すると音を立てて大爆発、魔力の残滓が二人の間に舞い散り分け隔てた。 「反応弾?!」 反応弾、接触した対象の周囲を巻き込み爆発、複数の対象を殲滅させる特性を持つ反応炸裂弾を応用した魔力弾である。 尤もティーダの反応弾の爆発は残滓を増やし、煙幕としての役割が殆どなのであるが… 話は戻し、ティアナの前方には未だ残滓が未だ煙のように舞う中、 煙から突き破るようにクロスファイアが螺旋を描きティアナに迫ってきた。 するとティアナはカートリッジを消費させてクロスファイアを展開、更に回転させて撃ち放つ。 するとティアナのクロスファイアもまた螺旋を描き、迫って来ていたクロスファイアを見事相殺させ周囲の残滓を吹き飛ばすと、 其処にはデバイスをティアナに向け構えるティーダの姿を現した。 それを見たティアナはデバイスを向けようとしたが、ティーダの様子に違和感を感じる。 「もしかして…フェイクシルエット!?」 「…よく見抜けたな、ティアナ!」 その声に振り向くと、其処にはオプティックハイドを解除しティアナを見上げる形でしゃがみ込み見つめるティーダの姿があった。 ティーダはクロスファイアを打ち抜いた後フェイクシルエットを用いて自身の幻影を作り出し、 更に自分自身をオプティックハイドで包み込む事で気配を消し、ティアナの後ろを取ったのだ。 そしてティーダは右のデバイスをダガーモードに切り替えると、 デバイスの銃口に魔力刃が展開されティアナの頭部目掛け突き上げる。 するとクロスミラージュが右のデバイスをダガーモードに自動的に切り替え ティーダの一撃をデバイスのグリップエンドに伸びる魔力刃で受け止めた。 「ほう…面白いダガーモードだな」 「まぁね」 「だが、こっちはどうする?」 そう言うとティーダは間髪入れず左のデバイスを向け魔力弾を撃ち出す。 しかしティアナは撃ち出された魔力弾に対しとっさに首を左に傾け、こめかみを掠めつつギリギリで回避する。 それを見たティーダは驚いた表情を見せると、ティアナは勝機と言わんばかりにティーダに左のデバイスの銃口を向ける、 しかしティーダはすぐに冷静になるとティアナの攻撃から回避する為、後方へと飛ぶが ティアナはティーダを追いかけるように速度を高めた魔力弾を連射する。 すると、ティーダはカートリッジを一発ずつ消費すると反応弾を三発撃ち抜き、 ティアナの魔力弾を相殺、辺りはまたもや魔力の残滓が土煙のように舞い散り再び二人を分け隔てると、 煙から飛び出すように三体のティアナが姿を現した。 三体のティアナは左右と正面に展開すると手にはダガーモードにしたクロスミラージュが握られており、 ティーダは一つ一つ見ると口の端がゆっくりとつり上がる。 「全部、フェイクシルエットだな!」 ティーダは幻影のティアナを無視すると、正面の煙が徐々に晴れていくと、 中から本物のティアナがファントムブレイザーを撃つ体勢をとっていた。 するとティーダもまたファントムブレイザーを撃つ体勢をとると、カートリッジを二発消費する。 『ファントム……ブレイザァァァァ!!』 両者は声をそろえファントムブレイザーを撃ち抜くと中央で激突、辺りには激しい衝撃が走り残っていた残滓を吹き飛ばし二人の体を揺らす。 そしてファントムブレイザーを撃ち抜いた二人は空になったカートリッジバレルを排出すると、次の作戦を考えるのであった。 一方でスバルはクイントの攻撃に苦戦を強いられていた。 クイントはシューティングアーツの創始者にしてリボルバーナックルの本当の所持者、 その攻撃はギンガとスバルを足したような攻撃を行っていた。 クイントはカートリッジを一つずつ消費すると真っ直ぐスバルの懐へ突っ込む、 そして左のナックルバンカーを打ち込むがスバルはプロテクションにて攻撃を防ぐ。 しかしクイントのナックルバンカーはスバルのプロテクションを打ち砕き、間髪入れず右のリボルバーシュートを撃ち出す。 スバルは衝撃波に巻き込まれ吹き飛ぶとクイントは追い打ちとばかりに追いかける。 一方でスバルは衝撃波を自力で抜け出すと追いかけてきたクイントの一撃に合わせるようにカウンターのナックルダスターを顔面に振り抜く。 しかしスバルのカウンターを読んでいたクイントはスバルの一撃を左に髪一つで交わし、 左拳を振り下ろし、間髪入れず右拳を振り上げるストームトゥースを打ち抜きスバルの顔を跳ね上げると、 今度はウィングロードを伸ばしつつ右足でスバルのコメカミ辺りを蹴り抜く。 スバルはクイントの蹴りをモロに撃け錐揉みしながら吹き飛ぶとクイントが伸ばしたウィングロードに激突する。 そしてゆっくり立ち上がると目の前にはウィングロードで加速したクイントがまるで乗り物で轢くかのように拳を腹部に打ち抜く。 ウィングロードは何も足場のみの効果ではない、その上を滑ることで効率良く攻撃を与えることも出来るのだ。 一方で、なす統べなくクイントの拳を受けたスバルは吹き飛ばされ床に激突しながら転がっていく。 しかしスバルはゆっくり起きあがりギアセカンドを起動させると、マッハキャリバーが火を噴き一気に加速、クイントに突撃する。 するとクイントはカートリッジを一発ずつ消費すると、衝撃波がリボルバーナックルを包み込む。 そしてボクサーの構えをとると左のジャブから小さく、しかし硬度の高いリボルバーシュートが幾つも撃ち出されスバルに襲い掛かる。 これがもう一つのリボルバーシュートの撃ち方である、この撃ち方は連続的に撃ち出す事が出来る為、相手を牽制するのに適しているのだ。 しかしスバルはカートリッジを消費すると全身を魔力で強化し、攻撃を受けながらもクイントに迫る、 そして飛び掛かるように右のリボルバーキャノンを打ち抜くと、クイントもまた右のリボルバーキャノンで応戦、 二人の一撃は顔に直撃し、歪ませると後から来る衝撃波にて吹き飛ばされる。 二人は互いの一撃により床を砕きながら転がるが、ゆっくり起きあがり顔を上げると 口の端から血が垂れており、二人は血を左腕で拭い去る。 「やるわねスバル…でもあなたの強さはこの程度なの?」 「母さん……」 「この程度じゃギンガを助け出す事は出来ないわよ!」 そんなクイントの言葉がスバルの胸に深く突き刺さる。 確かに戦況はクイントが有利、だからといって今の自分は戦闘機人の能力を自力で制御することが出来ない。 だからといって負けるわけにはいかない、ここで自分が負ければ試練をクリアすることが出来ない。 ならば今出来る最大の能力で答えよう…そしてスバルは真剣な面もちに変わるとギアエクセリオンを起動、 前傾姿勢をとるとクイントもまた同じ構えを始めカートリッジをそれぞれ二発ずつ消費する。 辺りは沈黙に包まれ二人は微動だにせず時間だけが過ぎていく。 すると双方の足下からウィングロードが伸び、大きく弧を描きつつ部屋の中央辺りで直線しぶつかると一斉に動き出す。 二人はそれぞれのウィングロードを通り加速していくと直線にてスバルはA.C.Sドライバーを用いて更に加速、 クイントもまた同じく直線にてカートリッジを二発消費すると魔力を足に集中させ同じく加速させる。 そして互いのウィングロードがぶつかり合う中心まで向かうと一撃を繰り出しつつシールドで互いの一撃を防いでいた。 互いの一撃とシールドが鍔迫り合い火花が散る中、先にシールドを砕いたのはクイントであった。 クイントの右の一撃はスバルの頭部を狙うが寸でのところで回避、右のコメカミを掠めトレードマークであるリボンを破るだけに至った。 ならばと左のナックルバンカーを打ち抜こうと拳を構えるが、 今度はスバルがクイントのシールドを砕き、スバルの拳は腹部に深くめり込む。 スバルの一撃にクイントは動きを止めるとスバルは勝機とばかりに左拳を腹部に突き出す。 左拳には環状の魔法陣が張り巡らせており、手には魔力球が光を放っていた。 「一撃必倒!!ディバィィィィンバスタァァァァ!!!」 次の瞬間、右拳を突き出すと水色の魔力砲がクイントを飲み込んでいった。 そしてスバルは左膝をつき肩で息を切らしながら先を見据えると、其処にはクイントが仰向けの状態で力なく倒れていた。 「かっ………勝ったの?」 スバルは自分の勝利に実感がわかずにいるも母の元へ向かおうと足を運んだ瞬間、 辺りは闇に包まれスバルもまた闇に飲み込まれるのであった。 一方ティアナ達はカートリッジバレルを排出したのち、ゆっくりとスペアを取り出し慎重な手付きで交換を行っていた。 それは次の作戦を練るための時間稼ぎのためである。 そして二人は作戦を練り上げるとカートリッジを一発消費する。 「そろそろ終わりにしよう…何か言い残すことはあるか?」 「そうね……この戦いで兄さんを必ず越えてみせる!」 ティアナの力強い返しに笑みを浮かべると直ぐに真剣な面持ちへと変わる。 そして互いに右の銃口を向けるとティーダは反応弾、ティアナは通常の魔力弾を撃ち抜き、 二人の体は魔力の残滓に覆われ姿が見えなくした。 ティーダは周囲に気を配りつつ移動していた、ティーダは元空戦魔導師である、 しかし今この煙から飛び出せば絶好の的になる事は間違いない、寧ろ煙に乗じてフェイクシルエットを展開させた方が得策である。 それにフェイクシルエットは、ある程度の動きならば対応出来るし、威力にもよるが魔力弾も数発程度なら耐えられる。 すると何処からともなく魔力弾の音が響き、その音を切っ掛けに次々に魔力弾が飛び交い始める。 その魔力弾の中には幻影も混ざっており、流石のティーダも煙の中にいるのは危険と感じ表に出る。 そして煙に向け銃を突きつけると煙の中からは十体を越すティアナが姿を表す。 ティーダは中に本物がいると考えデバイスを向けた瞬間、後ろからオプティックハイドを解除したティアナが姿を現す。 ティアナの手にはダガーモードが握られており、その刃がティーダの身を貫いた瞬間、陽炎のように姿を消す。 それがフェイクシルエットだとティアナが気が付いた瞬間、上空にオプティックハイドを解除しファントムブレイザーを撃つ体勢のティーダが存在していた。 ティーダは高度なフェイクシルエットを一体作り出しオプティックハイドを纏って上空に移動し操作、ティアナを呼び寄せる餌として使ったのだ。 「どうやら、この勝負俺の勝ちみたいだな」 そう言うとファントムブレイザーをティアナ目掛けて撃ち抜く。 一方ティアナはティーダのいる上空を見上げ驚いた表情を見せると迫ってくるファントムブレイザーに苦い顔を見せこう言い放った。 「くぅ、化かし合いは…………私の勝ちみたい」 「なに!?」 ティアナは含み笑いを浮かべながら言葉を口にすると驚きの表情を見せるティーダ、 するとティアナは幻影のように消え去った、今のもフェイクシルエットであったのだ。 そして本物のティアナはティーダの後方、見上げる形でブレイズモードを握られていた。 大量のフェイクシルエットも高度なフェイクも全てはこの一撃の為の布石であったのだ。 そしてブレイズモードから撃ち出された圧縮されたファントムブレイザーは吸い込まれるようにティーダに直撃し、力無く落ちていく。 その光景に兄を助けようと思わず我を忘れデバイスを置きティーダの落下位置まで移動すると手を伸ばす。 そしてティーダを捕まえる瞬間、辺りは闇に包まれティアナもまた闇に飲み込まれるのであった。 「此処は一体……」 「ティア!?」 闇に包まれたティアナは周囲を見渡し言葉を口にするとその声にスバルが反応する。 どうやらスバルもまた闇に包まれ此処に来たようである、 そして二人は身なりを見ると先程まで戦闘していたとは思えない程に綺麗で塵一つ残ってはいなかった。 更に先程まで存在していた疲労感もなくなっており、二人は腕を組み考え込む。 すると足下が光り出し二人の目の前にはクイントとティーダの姿があった。 「おめでとう、第一の試練クリアね」 クイントの祝福に二人はキョトンとしているとティーダが趣旨を説明する。 二人はそれぞれ心の内に潜む想いがある、スバルは母親への想い、ティアナは兄への想いである。 想いは強さとなる、だが彼女達の想いはいずれ乗り越えねばならない壁になる。 其処で神は自分達を呼び出し敢えて壁として二人の前に姿を現した。 「そしてよく乗り越えたな、ティアナ」 「スバルも、その想いがあればギンガを助け出す事が出来るハズよ」 二人の激励に思わず泣き出すスバルとティアナ、おそらく今までの緊張が一気に抜けたからであろう。 其処するとクイントとティーダは二人のそれぞれのデバイスを握り始める。 「母さん…何を?」 「これはね…試練を乗り越えた時に渡せって言われたのよ」 そう言うとスバルとティアナのデバイスが輝き出し二人も光に包まれていく。 そして光は吸収されるように消えるが一切変わった様子が見受けられなかった。 「兄さん、一体何をしたんですか?」 「まぁ慌てるな、取り敢えずモードエクストラと呼んでみるんだな」 ティーダの言葉に首を傾げるも二人はモードエクストラと口にすると デバイスから《extra.mode》と電子音が響きまたもや光に包まれる。 するとスバルのリボルバーナックルとマッハキャリバーは真っ黒く染まり、 バリアジャケットとリボンも黒に近い緑色に変わり、リボルバーナックルには赤い魔力が帯びていた。 そしてティアナは黒いリボンが白く十字の部分は緑に染まり バリアジャケットもまた同じく緑色に染まっており、クロスミラージュは白く輝き、周囲には光り輝く粒子を纏っていた。 「この姿は一体?!」 「これは神の試練を突破した者が得られる力だよ」 そして更に説明を続ける、ティアナのクロスミラージュが纏っている光はエーテルと言い魔力とよく似た特性を持つ、 そしてエーテルによる攻撃とその最大の攻撃、奥義エーテルストライクを繰り出すことが出来ると語る。 次にクイントがスバルの力を説明する、その赤い魔力は虐げられし者の力、 つまり不死者に似た力を持ち相手を攻撃する度に魔力を少しずつ吸い取るという。 そして同じく此方にも奥義ブラッディカリスがあるのだが、リボルバーナックルが一つな為、威力は半分位しか出せないだろうと語る。 「スバル、ギンガを助けてあげてね」 「うん!!」 「ティアナ…お前はお前の道を行って欲しい、俺はそれを望んでいる」 「兄さん…大丈夫です、今は自分の意志で執務官を目指してるって言えますから!!」 クイントとティーダの問い掛けに力強く答える二人を見て安心すると、スバルとティアナは光に包まれる。 そしてスバルとティアナは力強く敬礼すると、クイント達もまた力強く敬礼で答えスバル達は転送された。 「心配ですか?」 「そぅね、でもあの子達なら大丈夫だと信じているから」 そう言うと二人は光の粒子となって肉体は消滅し、元いた場所へと帰っていったのであった。 一方此処は一層付近、一同はスバルとティアナの帰りを待っていると部屋の中心が輝き出し其処からスバル達が姿を現した。 二人の無事を確認した一同は駆け寄ると二人はVサインで答える。 「二人共お帰り、無事に試練をクリアしたみたいだね」 『ハイッ!!』 なのはの問い掛けに力強く答える二人、すると今まで塞がれていた扉が開きだし次の層への階段が続いていた。 それを確認するとディルナの案内の下、更に奥に進む一同なのであった。 …しかし神のいる場所まではまだまだ遠い……… 前へ 目次へ 次へ オマケへ
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Windowsネットワーク? プライベート・ネットワーク? パブリック・ネットワーク? ドメイン・ネットワーク ファイル共有? リモート・デスクトップ
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…時はなのはとヴィヴィオが対峙している頃まで遡り… エインフェリアを一撃で撃破したレザードは、依然としてヴァルハラへ進路を取って飛行を続けおり、 暫くして前方にうっすらとヴァルハラの姿を発見し接近すると、ヴァルハラから大量の砲撃が襲い掛かってきた。 「フッ…手荒い歓迎ですね」 レザードは不敵な笑みを浮かべながら一言漏らすと、砲撃を交い潜り一つの砲口へ辿り着き、 右手に持っていたグングニルを振り抜いて衝撃波を作り出し砲口を破壊、 大きな風穴を作り上げるとレザードは悠々とヴァルハラへ侵入するのであった。 リリカルプロファイル 第三十五話 神 風穴から侵入したレザードは次々に立ちはだかる障壁を撃ち破り大通りらしき場所に出て辺りを見渡すと、 其処はまるで太古の宮殿を思わせるような造りをしており、 至る所に彫刻や壁画が飾ってあり、正に豪華絢爛といった様子であった。 すると目前から大量のアインヘリアルが姿を現し始める、どうやら侵入者を排除する為に動き出した様子である。 「やれやれ…御大層な持て成しですね」 レザードは肩を竦め小馬鹿にした表情を浮かべていると、アインヘリアルから多数の魔力弾が発射される。 するとレザードはバリア型のガードレインフォースを張りアインヘリアルの攻撃を防ぎ、 そして左手に青白い魔力を纏わせてアインヘリアル達に向けるとファイアランスを発射、 複数の炎の矢がアインヘリアル達に突き刺さり、一瞬にして溶解していった。 そして一通り攻撃を終えたレザードはモニターを開き、ドゥーエが文字通り命を懸けて届けてくれた内部構造図と今現在の場所を照らし合わせる。 どうやら此処はヴァルハラの外装地区、三賢人がいる場所は更に奥の内装地区である事が判明した。 「此処からでは些か遠いですが…仕方ありませんね」 そう言うなり歩き始め地図を頼りに内装地区を目指す、その間にアインヘリアルの増援・襲撃が続くが、 まるで無人の野を行くが如く何事もなかったのように進み、 レザードの歩いた後には溶解もしくは破壊されたアインヘリアルの残骸だけが転がっていた。 外装地区を突き進み内装地区に繋がる障壁を破壊して更に進み歩いていくと、 先程まで大量に襲いかかって来ていたアインヘリアルの姿が突如としてなくなり、 突然の撤退に首を傾げるも先に進み目的の場所へと辿り着く。 其処には身の丈以上の巨大な扉が存在しており、神の玉座と書かれたプレートが掲げられていた。 「…随分と御大層な部屋ですね」 レザードは一つ鼻で笑うと右手に持つグングニルを振り抜き衝撃波を作り出して扉を切り刻み、 音を立てて扉が砕け落ちる中、ゆっくりを部屋へと足を運ぶ。 部屋の中は広く大理石をモチーフとした石柱が幾つも並び建ち、目前には緩やかな十段ほどある階段があり、 更に奥には巨大な玉座が三つ並び建ち、玉座にはヴォルザを中心に右にガレン左にはダレスが堂々と座っていた。 レザードは三賢人の姿に内心驚きつつ含み笑いを浮かべる、何故なら三賢人の姿は、 かつて自分がいた世界に存在していたディパンの三賢人に容姿が酷似していたからである。 恐らくはメルティーナと同様“他人の空似”であるのだろうが、今思えば彼等が行ってきていた行動は、 ディパンの三賢人とさほど変わってはおらず、その事が尚彼等を滑稽に見せていたのだ。 だがレザードの内心を余所に神の三賢人はゆっくりと椅子から立ち上がり、 レザードを見下ろす形で対峙するとヴォルザが威厳あるように言葉を口にする。 「まさか…貴様自身がこのヴァルハラに乗り込んでこようとはな……」 だがむしろ手間が省けたと不敵な笑みを浮かべるヴォルザに対し、 眼鏡に手を当て此方も不敵な笑みを浮かべて見上げているとヴォルザは更に言葉を口にする。 「我ら神に逆らい者には罰を与えんとな…」 「ほう…ならばその罰とやらを見せて貰いましょうか」 そう言うとレザードは左手を向けてファイアランスを撃ち出す、 するとダレスが一歩前に出てバリアを張り、ファイアランスを防いだ。 「私のファイアランスをこうも簡単に防ぐとは…ならばコレはどうです?」 するとレザードは体を宙に浮かせ三賢人のいる高さまで上がると、グングニルを振り払い衝撃波を撃ち出すが、 それすらもダレスのバリアは防ぎきり驚く表情を浮かべる。 レザードの攻撃が一通り終えると今度はガレンが一歩前に出て、杖を向けて直射砲を撃ち抜くが、 レザードはバリア型のガードレインフォースを張り攻撃を防いだ。 「ほう…少し侮っていたか」 ガレンは一言漏らすと魔力を高め、直射砲は徐々に勢いと威力が増し、レザードを押しのけ始めるとバリアに亀裂が走る。 …このままではバリアが砕け散ると見たレザードは予め…と言うより常に用意している移送方陣を発動、 足下に五亡星の魔法陣が張り巡り、バリアが砕けるとほぼ同時に移送、難を逃れる。 そして先程より高い位置に移送すると三賢人を睨み付けた。 「よもや私のバリアを破壊するとは!」 レザードが作り出したバリアはそう簡単に砕けるものでは無く、 なのはのスターライトブレイカーすら防げると自負していたが、その自信は脆くも崩れ去った。 「ならば!コレならどうでしょう!!」 レザードは左手を向けて青白い魔力を纏わせると、イグニートジャベリンを撃ち抜く。 その数は10本に上り、光の槍は三賢人に襲いかかるが、ダレスのバリアに阻まれる、 しかしレザードの放った槍の一つによってダレスのバリアに小さな亀裂が走った。 「おや?思っていたより威力がありましたね」 レザードの攻撃が自分の想像より威力があった事に驚いていると、 ガレンもまた「驚きだな」と応え笑い合う中、レザードは先程と同様の数のイグニートジャベリンを撃ち放つ。 だが今度は完璧に防がれ、苦虫を噛む表情を浮かべていると、ヴォルザの左手から強烈な光を放つ雷を発生させる。 「ふっ…二人とも迂闊であるぞ」 そう言って二人を窘めると左手を向けてサンダーストームを撃ち放つヴォルザ、 一方レザードはバリアを張り巡らして攻撃に備えるが、バリアは一瞬にして砕かれ、 強烈な雷がレザードの身に降りかかり、何度も体を跳ね上げサンダーストームが終えると、 苦しい表情を浮かべながら漂うレザードであった。 「ぬぅ…これほどの魔力を有しているとは…」 「…フンッ魔力はまだまだこの程度ではないわ」 「何ですって!?」 レザードの驚く表情に三賢人は不敵な笑みを浮かべると更に魔力を高め、ガレンは魔力弾を50程作り出し、レザードに向けて撃ち出す。 するとレザードはバリアを張りつつ魔力弾を回避、更にアイシクルエッジにて迎撃し回避出来無い場合はバリアで防いでいた。 だがガレンは更に魔力弾を追加して遂にレザードのバリアを破壊、 その身に幾度も魔力弾が突き刺さる、だがその中でレザードはガレンの元へ向かっていく、 三賢人は基本的に魔導師系であると考え腕力ならば勝てると踏んだからである。 そしてグングニルを勢い良く振り下ろすが、ガレンは持っていた杖で容易く受け止め、 逆に押し返すと杖を振り上げレザード目掛け振り下ろし、 直撃したレザードはなす統べなく床に叩き付けられ、暫くしてゆっくりと立ち上がる。 「バカな!何という力だ!!」 「フンッ此が神の器を手に入れた我々の実力だ」 神の器は魔力だけではなく接近戦でも充分な実力を引き出せる代物であり、 見た目でも非力そうなレザードの腕力では相手に出来る訳が無いと力強く答え不敵な笑みを浮かべる。 だがレザードは再度衝撃波を放ち、更にアイシクルエッジを撃ち抜くが、 今度はガレンがバリアを張り防がれると、続け様にヴォルザがエクスプロージョンを放ち、 レザードの周囲は炎に包まれるが、何とか耐え抜いて上空へと移動、 するとダレスが誘導性のある魔力弾を撃ち放ち、レザードは石柱を縫いながら逃げ回り、 ファイアランスで魔力弾を相殺、更に左手を向けて青白い魔力で覆うと指を鳴らし、 バーンストームを発動、三賢人の足下は三度爆発を起こし、彼等がいた場所は炎に包まれる。 「コレならどうでしょう」 「…無駄な事を」 すると辺りの炎が消え去り中から無傷の三賢人が姿を現し、 驚く表情を浮かべていると、ヴォルザはアースクレイブを発動、 レザードの頭上から大量の岩の刃が降り注ぎ床まで追いやられ膝を付かされる。 「おのれ…こうなればエインフェリアを一撃で葬った我が魔法で叩き潰してくれる!」 そう言って立ち上がると左手を三賢人に向け、足元に巨大な多重の多角形型の魔法陣を広げ詠唱を始める。 「汝は知るだろう…幾何になりし封縛…いかなる訃音を告げるものか!」 すると三賢人を中心に巨大な氷の塊が三角形の位置に現れ徐々に迫り三賢人を閉じ込める、 そして―――― 「デルタストライク!!」 次の瞬間、氷の塊は砕け散り辺りには砕け散った氷が雪のように舞い散る中、 三賢人ごと砕け散ったであろうと確信し、不敵な笑みを浮かべながら見つめると、レザードの表情が一転する、 何故ならばレザードが放った広域攻撃魔法の中心にはダレスとガレンがバリアを張り巡らせ耐えきった姿を目撃したからである。 「バカな…あのエインフェリアを一撃で葬った魔法と同威力なハズなのだぞ…」 「我々がエインフェリアよりも弱いとでも思っていたのか?」 エインフェリアは三賢人の肉体である神の器の基の一つであり、神の器が基であるエインフェリアよりも弱いハズがない、 そうヴォルザが答えると、左手をレザードに向けて不敵な笑みを浮かべる。 「…広域攻撃魔法とは、こういう物を言うのだ!」 すると足下に巨大な広域攻撃魔法用の魔法陣を張り巡らし詠唱を始める。 「頌歌なき混沌…浄化なき漆黒…無の監獄に囚われし隻眼の巨神に我は問う!」 そして魔力の球体がレザードを中心に囲うようにして張り巡り、 球体内に赤い稲光が漂うと赤い球体と化してレザードを包み込む、 その光景は端から見ればまるで赤い眼を彷彿としていた。 「プリシードグラビディ!!」 次の瞬間、プリシードグラビディは光を放ち辺り轟音が鳴り響き消滅すると、 音の中央ではグングニルを杖にして辛うじて立っているかのような佇まいのレザードがいた。 「何故…これ程の魔力を……」 「……ならば冥土の土産に教えてやろう」 そう言うなりヴォルザは胸元を指す、三賢人は高性能な神の器だけでは飽きたらず、 内部にレリック更には補助としてジュエルシードが取り付けられており、 二種にはルーンが刻まれほぼ無尽蔵に魔力を得られる、まさに永久機関とも言える機能があるのだという。 つまりそれは三賢人の魔力には底が無いという事であり、 レザードは焦るような表情を浮かべながらグングニルを振るおうとしたが、 ダレスのバインドによって手足を縛られグングニルを落としてしまう。 するとレザードの体が大の字に引っ張られ更に浮かび上がり、 三賢人の目線まで上昇すると三賢人は足下に魔法陣を張り詠唱を始める。 『虚空を伝う言霊が呼び覚ませしは…海流の支配者の無慈悲なる顎門!!』 三賢人は声を揃え詠唱を始めると、それぞれの手から水が生まれ水流となり、 更に激しい激流へと変わり最後は竜に形取り、三賢人の手の平に漂う。 そして詠唱を終え広域攻撃魔法の準備も整った三賢人は、レザードに別れの挨拶を告げた。 「我ら神に逆らった罪…命を持って償うがいい!!」 「……フフッ…フハハハハハハハ!!」 「…ついに恐怖で心が折れたか……」 まるで哀れむようにしてレザードを見つめる三賢人に対し、 今までとは異なり不敵な笑みを浮かべ魔力を高め始める。 すると呼応するようにグングニルが反応し、レザードの前まで向かうと縛り付けていたバインドを切り裂いていく、 そして右手でグングニルを掴むとレザードは三賢人に左手を向けて、多角形型の巨大な魔法陣を足下に広げ詠唱を始める。 「汝…美の祝福賜らば、我その至宝…紫苑の鎖に繋ぎ止めん……」 「最後の足掻きか…無様な!!」 しかしレザードの広域攻撃魔法が発動する前に三賢人のダイダルウェイブが発動、 顎門がレザードの魔法陣ごと飲み込み三匹の竜は天高く上る。 「…ふっ安心せよ、すぐに無限の欲望も後を追わせよう」 そう言って勝利を確固たる勝利を確信した三賢人であったが… 三匹の竜は急に動きが止まり暫くすると徐々に頭部から凍り付き始め、 全身を凍り付かせるとレザードのこもった声が辺りに響き渡る。 「アブソリュート…ゼロ!!」 すると次の瞬間、ダイダルウェイブは粉々に砕け散り、 辺りはまるでダイヤモンドダストのように破片が煌びやかに舞い、 その中心には左手を眼鏡に当て不敵な笑みを浮かべ佇むレザードの姿があった。 「これは!一体?!」 「失礼…余りにも滑稽過ぎたのでつい……フフッ」 「なん…だと?」 今までの戦闘は全て三賢人の実力、そして神の器の性能を知る為の演技、 だが三賢人はそれを知らずに茶番劇に乗っかり、あまつさえ調子すら乗っていた。 正に神も畏れぬ恥知らずな行為、故に三賢人の底が見えた為にこの茶番劇を終えた… そう不敵な笑みを浮かべながら語ると、三賢人は大声で笑い始め流石のレザードも困惑する。 「愚かな…この程度の魔力で勝った気でいるとはな!」 そう言うや否や三賢人は更に魔力を高め不敵な笑みでレザードを見上げる。 一方でレザードは呆れた表情を浮かべ頭を押さえ始めた、 この期に及んで三賢人の愚考に愚行…最早呆れるを通り越して哀れみすら感じる。 正に傲慢を形取った存在、この様な存在が神を名乗っている自体、万死に値する…レザードはそう考えると、 レザードの考えに知ってか知らずか三賢人は更に挑発を重ねる。 「やはり神の力の前に言葉を無くしたか……」 「愚かな……神の力という物が一体どの様なモノを指すのか、見せて上げましょう……」 するとレザードの足元から青白く光る五亡陣が現れ、青白く光るレザードの魔力が白く輝く魔力に変わり、 レザードの全身は光の粒子に包み込まれ、次に右手に持っていたグングニルがネクロノミコンに戻りレザードの目の前で浮かび光を放つと、 一枚一枚ページが外れ白く輝く魔力に覆われレザードの周りを交差しながら飛び回り、 そしてレザードのマントは浮遊感があるようにふわふわと漂い、レザードの体も同様に漂うと足下の魔法陣が消え去る。 その変貌と魔力の異常な高まりに三賢人は泡を食っている中で、 レザードは三賢人に左人差し指を向けると、全身を纏う光の粒子が集まりグングニルを形成し勢い良くダレスに向かっていく。 するとダレスは先程と同じくバリアを張り攻撃に備えるが、一瞬にして打ち砕き更に身を貫く、 そして柄の部分まで貫き止まるとレザードは手の平を返し人差し指で呼ぶような動作を二回程行うと、 グングニルはその場で勢い良く縦回転、更に回転を維持したままレザードの手元に戻り、光の粒子に戻って消え去る。 「どうです?神の力をその身に受けて」 「ぐぎゃああああああ!!!」 「……いい返事です」 レザードは満面の笑みでそう答える中、痛みでのたうち回るダレス、 グングニルの攻撃は非殺傷設定を受けている為、真っ二つされた時に生じる痛みのみ与えるようになっていたのだ。 そんなダレスの姿を見たガレンが報復とばかりに魔力弾を形成、その数は100にも上り一斉に撃ち出しレザードに迫ってくる。 …だが魔力弾はレザードの体をすり抜け天井や柱、壁などに次々に激突していく、 そして肝心のレザードはまるで何事も無いかの様に佇んでいる、 しかし魔力がすり抜けた部分は光の粒子と化し、暫くして肉体に戻っていった。 アストラライズ、対象物の物体(マテリアル)を幽体(アストラル)に変換させる事で霊体化する技術で、 物質は勿論の事、魔法すら効果が無く攻撃するには同じくアストラライズするか、 霊体化を無効もしくは霊体自体に影響を及ぼす能力・技術が必要となるのだ。 しかし三賢人はそのような事を知らず次々に魔力弾を撃ち抜くが、 その全てが無効化…つまりはすり抜けていき、ガレンはレザードの頭部目掛けて直射砲を撃ち抜くが、 アストラライズされた肉体には一切傷を負わせる事が出来ず、すり抜けただけに終わる。 「愚かですね…そんなモノが通じる訳が無いでしょう」 するとレザードはガレンに向けてアイシクルエッジ、イグニートジャベリン、ダークセイヴァーと次々に撃ち抜き、 ガレンは串刺し状態になると最後にグングニルがガレンの腹部辺りを貫いた。 その時…痛みから何とか耐え抜いたダレスが起き上がり、 怒りの眼差しを向けながら迫り、持っていた杖を振り降ろすが、 杖はレザードの体をすり抜け、肩透かしに合うと 今度はレザードの周りを飛び交うページが次々にダレスの身を斬りつけて行く。 レザードの魔力が籠もったページの切れ味は名のある名刀に並ぶ程で、 しかも此方も非殺傷設定されてある為に肉体自体を一切傷付ける事無く痛みのみを与えたのであった。 だがダレスはレザードの攻撃に何とか耐え抜き、続けて魔力弾を撃ち込もうとしたところ突然光の粒子に変わり消えると、 ダレスの周囲が爆発しその光景に膝を付いていたガレンが驚きの表情を見せていると、 いつの間にかレザードは真後ろにテレポートしていたらしく、 右手でグングニルを引き抜き光の粒子に戻すと、続け様に左手でガレンの体を透すようにして心臓を握る。 すると心臓を中心に囲むようにして結界が張られると、握りつぶす動作を行った。 前者はリベリアス・リペンタンスと呼ばれる自らを光の粒子に変え爆発と同時にテレポートする技で、 後者は力ある名前と呼ばれる、対象を魔力で包み込み握りつぶすようにして攻撃、受けた者はほぼ即死と言う荒技である。 だが双方共に非殺傷設定されており、今回放った力ある名前においては、 心臓のみ魔力を張る事により、握り潰された時に生じるであろう苦痛だけを与える非人道的な技へと変わっていたのであった。 「どうです?神の力をその身に受けて…」 「ガハッ!!あああぁぁがあぁぁぁぁ!!!」 「其処まで喜んでくれるとは……光栄の極みです」 ガレンは心臓を押さえ悶え苦しむようにのたうち回り、 その光景をまるで祝福でもしてくれたかのように振る舞うレザード。 「おのれぇ!我らの宿願、このような形で終わってなるものか!!」 その光景にヴォルザは怒りに震えながらレザードに杖を向けてエクスプロージョンを撃ち抜くが、 レザードのプリズミックミサイルにかき消され、寧ろその身にレザードの攻撃を受ける。 すると体が言う事聞かず全身が痺れるように麻痺していると、レザードが目の前まで近付き、蔑んだ瞳で見下していた。 「…哀れですね、所詮は人の身…それで神を名乗るとは、それ自体が痴がましい……」 だからと言って許すつもりはない…そうハッキリとした口調で語り、 左手を向けてファイアランスを撃ち放ち、火達磨にすると、今度はアイシクルエッジにて凍結させる。 それを何度も繰り返し焦熱と極寒の地獄をヴォルザはその身で体験していると、 ヴォルザを助けようとダレスが魔法陣を張り始める中、 レザードは右指先でパチンッと鳴らしポイズンブロウを撃ち放ち、 ダレスの足下から紫色の濃霧が立ち上り消え去ると、 紫色に変色したダレスが、喉を掻き毟りながら悶え苦しんで倒れた。 その光景を見てレザードは声を上げて笑うと一つの案を思い付き、 早速ヴォルザに撃っていた魔法を中断、糸が切れたようにヴォルザが座り込むと、 レザードはヴォルザの目線に合わせ右人差し指をアストラル化させて額に触れ、 ゆっくりと突き進みヴォルザの脳に到達すると――― 「…ファイアランス」 次の瞬間、ヴォルザの脳は炎に包まれ、熱さと痛みと苦しみが文字通り脳内で響き渡り、 頭を押さえ悶え苦しんでいる中、更にレザードは心臓・二つの肺・肝臓・腎臓そして睾丸に火をつける。 …特に睾丸は炎の調整が難しかったと、自慢気に語る中、ヴォルザは顔の穴という穴から体液を垂らし、 体を何度も痙攣させながら苦しみ、その姿はまるで陽向に放置されたミミズのようであった。 だがレザードの攻撃は未だ終わらず、今度はアイシクルエッジを撃ち抜き全身を凍り付かせる。 「ふふふ…どうです?体内から焼かれる苦しみと体外から凍り付く苦しみは……」 非殺傷設定がなければ此程の事をするのは至難の業であり、 更に三賢人の魔力はリンカーコア・レリック・ジュエルシードそしてルーン文字によって、 永久機関化されてある為に気絶する事すら出来くなっていたのだった。 「だが殺しはしない…殺して楽になどさせるものか!」 生かさず…殺さず…気絶すらさせず、ただ苦しみ悶えさせる…それはさながら悪魔の所業と言っても過言では無い、 そして三賢人の攻撃は一切通用しない、まさにレザードは“全てを超越した存在”と言っても過言では無い実力を持っていた。 一方でダレスは未だに毒に苦しみ、ガレンは心臓を押さえつけていた。 するとレザードは左手をガレンに向け魔力を用いて体を浮かせる、 だがガレンの瞳は未だ敵対心のある眼差しを秘めていた。 「…気に入らんな」 そう一言発するとイグニートジャベリンを発動、周囲に五本の光の槍を作り出すと、両手足を貫き最後の一本で両目を貫いた。 ガレンは幾度目かの叫び声をあげると今度は左手を潜り込ませ心臓に手を当てるとライトニングボルトを放つ。 「どうです?私の心臓マッサージは?」 心臓に手を当て、とても苦しそうにしていたからマッサージで癒してやろう… そう言いながらも更に電圧を上げて撃ち抜きガレンの体は幾度も体を跳ね、 背中から余剰の電流が流れ出し口から泡を吹き出し始めても、 気絶する事が出来ず五回程電圧を上げて打ち込まれた後、最後はヴォルザの下へと投げ込み、 ガレンはぐったりとした表情で未だに痙攣を起こしていた。 そんなガレンの様子を見下ろすように確認すると、レザードは続いてはダレスに目を向ける、 ダレスは未だ全身に回っている毒で苦しんでおり、その様子にレザードは 笑みを浮かべながら近付き左手に魔力を纏わせてダレスの腹部に潜り込ませる。 そして左手を引き抜くと纏っていた魔力は消え、レザードは上空にテレポートすると左指先をパチンッと鳴らす。 するとダレスは爆発して吹き飛び地面に叩き付けられると、再び指先を鳴らし爆発、 先程と同様に吹き飛び顔から地面に着地すると更に指先を鳴らして爆発、 ヴォルザとガレンがいる場所まで吹き飛ばされ倒れるとレザードは拍手を送る。 「見事に仲間の下へ戻ったようですね」 レザードはダレスの体の中にバーンストームを埋め込み、指先を鳴らす度に体の中で爆発、 その勢いを使ってダレスを他の二人の下に運んだのであった。 「折角集まったのです、此処は私が一つプレゼントを差し上げましょう…」 すると足下に多角形の魔法陣を幾重にも張り巡らせて詠唱を始める。 「我は命ず…汝悠久の時、妖教の惨禍を混濁たる瞳で見続けよ……」 そして魔法陣から巨大な骸骨が姿を現しレザードはその肩に乗ると、三賢人に向かって指をさす。 「ペトロディスラプション!!」 すると骸骨の口から大量の灰色の濃煙を吐き出し三賢人を包み込み、 濃煙の中では三賢人の一人であるヴォルザの氷が一瞬にして砕け、 そして悶えながら痙攣を起こしており、煙が晴れると其処には瀕死状態の三賢人の姿があった。 最早三賢人は以前のような自信に満ちた姿など見る影もなく、心は折れ肉体と精神は疲れ果て、声も体液も枯れ果てていた。 そしてレザードは三賢人の相手に飽きが来たのか、ヴォルザの体内で燃えさかる炎を消し、 ダレスの毒を消し去ると左手を眼鏡に当てて不敵な笑みを浮かべて語り始める。 「さて…所詮はただの人であった訳だが…私を此処まで楽しませてくれたのです…何か褒美を上げませんと」 そう言って顎に手を当て考え込み、暫くして何かを思いついたのか、 満面な笑みを浮かべ右手を三賢人に向けて褒美を発表する。 「そうだ!石像を贈りましょう…しかし石像の材料は―――貴様達です」 三賢人を材料に三賢人の石像を建ててやる、それはさぞかし自慢の一品になるだろう… そう告げると恐怖からか逃げ出そうとする三賢人であったが、 レザードはすぐさま指先を鳴らしストーントウチを発動、三賢人を灰色の煙で包み込み暫くして煙が晴れる。 すると其処には恐怖に呑まれ顔を引き付かせながら逃げ出そうとした三賢人の石像があった。 その石像をレザードはじっくりと見つめ顎に手を当て暫く考えた後、結果を口にする。 「…失敗作ですね、やはり、こういった物を後世に残す訳にはいきませんし……」 そう言うと光の粒子がグングニルに変わり、レザードが右人差し指で左から右へ振り払うと、 グングニルもまた同じ動作を行い衝撃波を作り出し、三賢人の石像を完膚なきまでに破壊し尽くした。 その残骸を目にしてレザードは高笑いを掲げながらこの場を後にするのであった。 神の玉座を後にしたレザードはモニターに映し出している地図を頼りに、 アインヘリアルの操作・制御装置を破壊、更に先に進み動力室へと足を運ぶ。 「大きいですね……」 レザードは動力炉を見上げ一言漏らす、全長数キロにも及ぶヴァルハラの動力炉は、 ゆりかごの動力炉に匹敵する大きさで、並の魔法では破壊は難しいと考えたレザードは、 足下に広域攻撃魔法の魔法陣を張り巡られて詠唱を始める。 「我…久遠の絆断たんと欲すれば…言の葉は降魔の剣と化し汝を討つだろう……」 するとレザードの頭上に巨大な槍が出現、槍は回転し始め、 柄の両先から魔力は放出すると、レザードは動力炉に向けて右人差し指を向けた。 「ファイナルチェリオ!!」 そう叫ぶとファイナルチェリオは動力炉に突き刺さり大爆発を起こし消滅した。 …だがレザードは顎に手を当て考え込む、スカリエッティの願いは「ヴァルハラを一切の破片も残さず破壊する事」である。 これほど巨大な船を破壊するには並の魔法では不可能と考えたレザードは、 広域攻撃魔法の中でも威力が高い魔法の一つを選び出し、 レザードは足下に広域攻撃魔法の魔法陣を張り右手を向けて詠唱を始めた。 「汝…其の諷意なる封印の中で安息を得るだろう…永遠に儚く……」 するとレザードを中心に金色に輝く羽と共に光を放ち始め、障壁を撃ち貫く度に輝く羽が舞い散り… そして――― 「セレスティアルスター!!」 レザードの掛け声を合図に強烈な光が放たれ周囲を包み込むのであった。 場所は変わり此処ヴァルハラの外にはレザードを追いかけていたはやての姿があった。 はやてはヴァルハラからの砲撃を後方で確認していると、 レザードがヴァルハラに侵入、それにより接近し始めるとアインヘリアルが陣を張り、 暫く戦闘を行っていたのだが、急にアインヘリアルが動かなくなり次々に落下していき、 不審に思ったはやてはヴァルハラに接近、ある程度距離を開けて観察をしていた。 「…静かやな」 今までとは打って変わって静寂が包み込み、その静けさがかえって不気味さを演出している頃、 静寂を切り裂くように突然爆発音が鳴り響き、はやては慌てふためいていると、 ヴァルハラの至る所から金色に輝く光が姿を現し、光の中から輝く羽が舞い散り、神々しい演出が見受けられる中、 光はヴァルハラを完全に包み込み、はやてはその眩しさから右手で遮るようにして目を凝らしていた。 「うおっ!眩しっ!!一体なにが起きたんや!?」 はやては事態の把握に専念する中で光は落ち着きを見せて完全に消え去ると、 今まで存在していたヴァルハラが塵も残さず消滅しており、 ヴァルハラの跡地にはレザードが不敵な笑みを浮かべてはやてを見上げていた。 「おや?貴女は確か…八神はやて…でしたか?」 「せや!此処で会ったが百年目って奴や!覚悟しい!!」 そして此処で…今何をしたのか洗いざらい話して貰うと、はやてはレザードを問い詰めるが、 レザードは小馬鹿にした表情で肩を竦めると、左人差し指をリズミカルに三度振りこう答えた。 「ちょっとした魔法ですよ…それに此処で決着をつけるのは少々心許ない…」 故に決着はゆりかごで行おう…そう告げると移送方陣を広げ、紳士的なお辞儀をして移送する、 その姿に苛立ちを見せる表情を浮かべるはやての下にアースラからの連絡が届く。 今し方クラウディアから一報が届き、クロノ達の連絡を受けて本局はアルカンシェル隊を派遣、 そして一斉放射によってドラゴンオーブは消滅したとの事である。 一方でクラウディアはミッドチルダ周辺宙域で待機、 クロノ達は転送装置によりアースラへと移動しているという。 次に各地に展開されていたアインヘリアルが次々に機能停止していると告げると、 その要因はレザードの手によるヴァルハラ撃破の為であると直接伝え、 後方にいるのであろうか、クロノの驚愕した声が微かに聞こえていた。 そしてはやてはレザードはゆりかごにて決着を付けると直接挑戦状を受けたと告げ、 各員ゆりかごに集合するようにと通告すると足早にゆりかごの下へと向かった。 そして…ゆりかごがうっすらを確認出来る上空ではなのは・フェイト・はやてを中心にヴォルケンリッターが囲み、 後方にはティアナを背負いウィングロードに立つスバルにフリードリヒに乗るエリオとキャロ、 続いてクロノ率いる夢瑠を除いたクラウディアチームに、地上にはジェイクリーナスや、 シャッハにヴェロッサそしてメルティーナにルーテシアの姿も見受けられていた。 ルーテシアはこの戦いが終えた後、自分の罪を償うとクロノ達と約束を交わし、 そして監視役としてメルティーナが付きそう事で許可が下りたのである。 そしてはやては簡潔に説明を始める、まずゆりかご突入は機動六課のメンバーで行う、 何故ならば彼等の実力はかなりのモノになり、更になのはとフェイトは神から戴いた杖を持っている為であるからだ。 そこでまず、はやて・ヴォルケンリッターがゆりかごの動力炉を破壊、 スバル・ティアナ・エリオ・キャロの四人はチンクの確保、 フェイトはまずスカリエッティを確保し、その後なのはと共にレザードの確保、 残りのメンバーはゆりかご周辺のガジェット及び不死者の撃破と突入組の護衛を命じ一斉に動き始める。 そしてクロノ達の援護・護衛により足早にゆりかごに辿り着いた機動六課メンバー、 するとはやてが突入口を作る為にフレーズヴェルグの用意を始めると、 突然ゆりかごの外壁から巨大な火柱が立ち上り大きな風穴をあけ、 其処からはアギトとユニゾンしたアリューゼとナンバーズの戦闘スーツを着込んだメガーヌが姿を現す。 アリューゼはメガーヌを助け出したはいいが、目も向けられない格好であった為にラボにあった戦闘スーツを着させ、 そして復活したばかりのメガーヌを連れたままレザードとの戦闘は無理と考え、 一時的に撤退、その後障壁が立ちふさがりアギトとユニゾンしたアリューゼの一撃によって障壁を破壊し外に出たのだ。 「なんだ?こりゃ―――」 「アリューゼ!手を貸して!!」 ヴェロッサが簡潔に状況を説明するとアリューゼは頷きメガーヌを連れてヴェロッサの下に向かい、 入れ替わるように突入組がアリューゼが開けた風穴から次々に突入していく。 そしてアリューゼはメガーヌをヴェロッサに任せ再びゆりかごに向かうと、アースラからクロノに一報が届く。 内容はミッドチルダ全域に展開されていたガジェット及び不死者が、ゆりかごに集うかのように向かって来ているというものであった。 するとクロノ達の目前の上空に黒い影が姿を現れ大量のガジェット及び不死者を確認した一同は、 次々に構え始めるとアリューゼが皆より一歩前へと躍り出る。 「何をする気だアリューゼ!」 「まぁ見てな…行くぜアギト!!」 「応っ!!」 アリューゼの掛け声にアギトは威勢良く答えると、バハムートティアを肩に構え、 同じく肩幅ぐらいに足を広げるとアギトが烈火刃を発動、バハムートティアの刀身が業火に包まれる。 「テメェ等の顔も――」 「――見飽きたぜぇぇ!!」 アリューゼとアギトが台詞を繋ぎ合わせるように言葉を口にすると、 業火は更に巨大化、アリューゼは業火に包まれたバハムートティアを振り抜いた。 『盛れ炎熱!ファイナリティブラスト!!』 次の瞬間、刀身に纏っていた業火が一直線に伸び横に薙払うと、黒い影は次々に消え去っていき、 一同はアリューゼの桁違いの威力に唖然とした表情を浮かべている中、 アースラから続々とガジェット及び不死者が押し寄せてきていると報告が届き、 報告を聞いたクロノの目前にはまたもや黒い影が押し寄せてきており、 皆に気を引き締めるように促すと、突入組の勝利を信じて対峙する一同。 事態はいよいよ、最終局面を迎えたのであった…… 前へ 目次へ 次へ
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―――我等の試練に討ち勝ちし者達よ、見事である――― ―――さあ…我等の下へ来るが良い、そして汝の強さを示せ――― ―――さすれば我等は汝の力と成らん事を約束しよう――― リリカルプロファイル 第二十七話 五層 第四層の試練も、なのは達の活躍により無事突破した一同は、 帰ってきたなのは達に激励をすると、今回の目的でもある神が住まう地、第五層へと足を運ぶ。 目的の地まで今までとは異なる程に長い階段を下る一同は、今までの試練を思い返していた。 最初はスバルとティアナが憧れ、そして目標である母と兄の壁を乗り越えた。 次にエリオとキャロが自らの内に潜む暗い闇に打ち勝ち、 はやてとヴオルケンリッターは自分達の罪を乗り越え、 そしてなのはとフェイトは守る意志を試され、父と母に打ち勝った。 …全ての試練を乗り越えた今ならば……そう考え気合いを込めていると、神が住まう地へと辿り着く。 それは今までとは異なり、とても広く三倍近くの面積があり、柵の外には見上げる程の巨大な柱時計がゆっくりと時間を刻んでいた。 そして神との対峙に鼓動が高鳴っていくと、床に描かれている二つの魔法陣が赤と青の色に分けて輝き出し、 なのは、ヴィータ、スバル、ティアナ、シャマルの身が赤い魔力に包まれ始め フェイト、シグナム、エリオ、キャロ、ザフィーラの身が青い魔力に包まれていく。 その中ではやて一人だけがぽつんと無色で佇んでおり、自分の身を何度も確認するが、 周りのような変化が起こらず、思わず怒鳴り散らすはやて。 「なんや!何で私だけなにも変化せぇへんのや!!」 「あ~たぶん定員オーバーなんですよ」 今回は神がバランスよく二班に分けた結果、一人余ったはやてが留守番する事になったとディルナが語ると、 全く納得いかない表情を表しながらシャマルに指を指し怒鳴り散らしながら抗議する。 「んじゃ何か!私よりシャマルの方が役に立つっちゅうんか!!」 「……それはどういう意味かな?はやてちゃん…」 シャマルはとても綺麗な笑みを浮かべながらこめかみに血管を浮き出させて質問する。 その表情に思わず慄くが、直ぐにつふてくされるはやて。 「私はもう真の夜天の王になったっちゅうねん、なのに何でハブかれなきゃいかんのや……」 ブツブツ言いながら体育座りで呟くはやてをリインが慰めているところで、なのは組、フェイト組は転送されていき、 その場にははやてとリイン、それにディルナが取り残されていた。 そしてディルナは落ち込むはやての肩に手を当てると顔を見上げると優しい笑みを浮かべ出迎える。 「心配なのはわかりますけど、大丈夫ですよ!試練を突破した皆さんなら!!」 そう言って励ますディルナ、確かに此処に来てから自分を含め成長したかに見える、 自分が此処で出来る事…それは皆の無事を祈る事であるだろう… そう考えたはやてはディルナの励ましに感謝して立ち上がるとディルナはある方向を指さす。 其処にはカフェなどに置いてありそうなお洒落な白いテーブルとチェアーが置いてあり テーブルクロスの上には白いティーポットとカップ、それにクッキーが入ったバケットが置いてあった。 ディルナ曰わく神が用意してくれたようで、此処で暫く休息を堪能して欲しい為の処置のようである。 そして説明を終えたディルナとリインはいち早くテーブルに向かい、はやては困惑しながら、テーブルへと赴くのであった。 場所は変わりなのは達は一面白い大地に覆われた場所に転送され、フェイト達もまた似たような別の場所に転送されていた。 一同は離れないように纏まって警戒をしていると両者の目の前に魔法陣が現れ中心から等身大の神が姿を現す。 その姿は金髪に三日月を彷彿させる杖を持ち、黒いローブを着ていて背中には六枚の翼、頭には金色の輪が浮かんでおり、 両者に現れた姿はほぼ同じなのであるが、なのは達の下に現れた神は赤い翼と魔力に覆われ、フェイト達の下には青い翼と魔力に覆われていた。 一同は神の出現に唖然としていると、神が静かに言葉を口にする。 『よくぞ辿り着いた…』 「我は男神ガブリエ・セレスタ」 「私の名は女神イセリア・クイーン」 『我等はこの世界の住人にして主である』 別の場所で言葉を合わせるように話す流浪の双神、様々な修羅場を潜って来た一同だが その圧倒的な存在感に息を飲まれていると、その中でなのはだけが先陣を切るように神に問いかける。 「流浪の双神よ!私達は―――」 「皆まで言わずとも分かる、我等の力を貸して欲しいのだろ?」 此処に来る者は、大抵腕試しか力を借りに来たかの二択位で なのは達は入って来た当初から力を借りに来たというのは分かっていたと語ると、 流石、神を名乗るだけの事はあると考えつつも話が早いと考える一同。 すると双神は杖で一同を指すと力強くこう述べる。 『我等の力を欲するのであれば、我等に強さを示せ!!』 神の言葉を合図に一同はデバイスを次々と起動させ神と対峙するのであった。 …フェイトは仲間と念話で作戦を伝える、先ずは自分とエリオが先手を打ち 次にザフィーラが時間差で攻撃、そしてキャロの援護と共にシグナムが攻撃を仕掛けるものであった。 フェイトの作戦に一同は頷くとフェイトはザンバーフォーム、エリオはデューゼンフォルムに変え構える。 「行きます!!」 気合いがこもったフェイトの声を合図に二人は飛び出し縦横無尽に動き回りフェイントをかけながらフェイトは 上空から振り下ろしエリオは地上から突き上げる。 しかし神、ガブリエはフェイトの攻撃を左上の翼で、エリオの攻撃を右中央の翼で難なく防ぐ。 だが時間差でガブリエの右後方上をとったザフィーラが拳を合わせガブリエの後頭部を狙うが それすらも右上の翼によって防がれる。 ザフィーラは一つ舌打ちをするとそれを合図に三人は怒涛の連撃を繰り出すが それぞれの翼にて難なく防がれてしまい、流石の三人も困惑の色を見せていた。 「そろそろ…此方も攻撃を仕掛けるか……」 ガブリエは小さく呟くように言葉を口にすると右手に持つ杖の先端が鈍く光る。 杖の先端の三日月部分は刃物のように鋭利で首を跳ねやすくする為に出来ている。 そしてフェイトとエリオの攻防で一直線に首が並んだところを狙い杖を右に振り抜くガブリエ。 しかしいち早くフェイトが気が付きエリオに念話で下がるように指示を送り二人は ソニックムーブにて回避、二人の前髪を何本か切り散らしただけですんだ。 だがガブリエの杖は更に進み後方を捉えていたザフィーラの頭部に迫るが、障壁を展開させ一撃を止める。 ところがガブリエの一撃は徐々にザフィーラごと障壁を押し上げ、 こう着状態から直ぐに障壁が砕けると、その勢いによりザフィーラは吹き飛ばされる。 一方ガブリエが背中を向いている位置にはキャロがおり、勝機と考えたキャロはフリードリヒにブラストレイを命じ フリードリヒはブラストレイを撃ち込むと、既にキャロの動きを察していたガブリエが左手をかざしファイアランスを唱え相殺する。 動きを読まれていた事に気が付いたキャロは驚きの表情を見せていると、 既にガブリエは目の前で見下ろしており、振り上げた右手には杖が握られていた。 「…まずは一人目」 そう小さく呟くと容赦なく杖は振り下ろされる、しかしガブリエの一撃はキャロの頭上を直撃する事はなかった。 何故ならガブリエとキャロの間をシグナムが割って入りレヴァンティンにて防いだからである。 そしてシグナムはキャロに下がるように指示をすると、キャロはフリードリヒに乗って後方上空へと避難 横目でそれを確認したシグナムはカートリッジを消費し刀身は炎に包まれ押し返すように紫電一閃を振り抜く、 シグナムの一撃はガブリエの予想を大きく上回り後方へと押し返されるが、 その勢いに乗りながら左手をかざしクールダンセルを唱え氷の刃を持った氷人形がシグナムに襲いかかる。 シグナムは一つ舌打ちをすると氷の刃を受け止め鍔競り合っていると刀身が凍り始め、 カートリッジを使用して溶かそうと考えた瞬間、金色の閃光がクールダンセルをバラバラに切り裂く。 そしてその場にはライオットブレードに切り替えたフェイトの姿があり、 愚直なまでに真っ直ぐ上空に移動したガブリエの下へ向かう。 フェイトはガブリエの目の前でソニックムーブを行い一気に後ろをとるが、動きを既に予測していたガブリエは右上の翼にて防ぐ。 ガブリエの翼とフェイトの攻撃により火花が散る中で、フェイトはエリオに念話で合図を送る。 (エリオ!!) (了解です!フェイトさん!!) エリオもまたフェイトに念話を送り応えると、カートリッジを二発消費、 ストラーダの矛先をガブリエに向け構え、スピーアアングリフを打ち出す。 そして見る見ると距離を縮めていきガブリエに迫るが、中央の二枚の翼にて受け止められエリオを吹き飛すように跳ね返し、 ガブリエは更に翼でフェイトを後方へ吹き飛ばした後エリオに迫ると、止めとばかりに杖を振り下ろす。 だがエリオの左手は電撃に覆われており、それに気が付いた瞬間の隙を狙いガブリエの顔を目掛けて紫電一閃を打ち抜く。 エリオの紫電一閃が迫る中でガブリエは振り下ろした杖の先端を向け攻撃を防ぐが、 エリオはそのまま拳を振り下ろしガブリエを吹き飛ばす。 しかしガブリエは体勢を立て直し床に静かに着地するのであった。 一方、空中から落ちて行くエリオをフリードリヒが口でキャッチ、 エリオは一言礼を言うとフリードリヒの背中ではキャロが微笑みを浮かべていた。 そしてガブリエはそれぞれに目を向けると口の端が徐々につり上がる。 「…成る程……がしかしまだまだこの程度では無かろう、さぁ…もっと強さを見せて見ろ!!」 そう言ってけしかけるガブリエを後目にフェイト達は冷静に今の状況を整理し対峙するのであった。 一方なのは達も念話によって作戦を練りそれぞれの役割の為に移動し始める。 そして定位置に付くとまずはなのはとティアナがアクセルシューターとクロスファイア合わせて12発で牽制する。 更に魔力弾に合わせるようにスバルは地上を滑走、ヴィータが上空を飛行してイセリア下へ迫りデバイスを堅く握る。 二人が放った魔力弾がイセリアの下へ辿り着き次々に着弾する中でスバルとヴィータは合わせるように一撃を放つ。 「ラテーケン!」 「リボルバー!」 「ハンマァァァ!!」「キャノォォォン」 二人の叫びが合わさると共に振り抜きヴィータの一撃は頭部に、スバルの一撃は腹部にそれぞれ直撃する。 だがイセリアは平然とした表情で右手に持つ杖を振り抜き二人を吹き飛ばす。 その間になのはとティアナは次の行動に入っておりアクセルシューターとクロスファイアが二人の前で激しく回転していた。 「アクセルシューター…」 「クロスファイア…」 『スパイラルシュート!!』 此方も声を合わせて放つと魔力弾が螺旋を描きながらイセリアへと迫る。 しかしイセリアは持っていた杖を振り抜き衝撃波を発生させると魔力弾をかき消し更に二人に襲いかかり、 衝撃波に飲まれた二人は吹き飛ばされていると、シャマルが二人の後方にヴァルヒ・スツーツを張り難を逃れる。 その頃スバルは反撃とばかりにイセリアへ向かうと拳と蹴りのコンビネーションであるキャリバーショットを繰り出すが イセリアは平然と攻撃を体で受け止め、その状況に困惑するスバル。 「…どうしたの?もう終わり?」 イセリアの優しく問いかける言葉にスバルの体に戦慄が走り、思わず離れると今度はヴィータがギガントフォルムに切り替え頭上から振り下ろす。 しかしイセリアは全く動じることもなくヴィータの一撃を頭で受け止め更に左手をかざしイグニートジャベリンを唱える。 そしてヴィータの頭上から光の槍が降り注ぎ、危険を察知したヴィータはパンツァーシルトにて攻撃を防ぎつつ後退すると、 一同はなのはを中心に集いイセリアを睨みつけながらも頬に冷たい物を垂らす。 …神とはこれ程の実力を持ち尚且つここまで差があるとは思っていなかった。 だからといってこの差を何とかして縮めなければ神の協力を得られない… なのははそう考えているとイセリアの口がゆっくりと動き始める。 「さて……そろそろ体も解れてきたようですし、始めますか」 今までの一連の動きは全て只の準備運動に過ぎず、今から本番であるとイセリアは話すと 赤い魔力が全身から噴き出し、魔力が衝撃波となって身を貫き、恐怖心をかき立てる。 なのはは震える左手をまるで恐怖心を押さえ込むように握り締めると、 自身の最大の能力であるブラスターシステムを起動、それを皮切りに次々に能力を解放させる。 それを見たイセリアは不敵な笑みを浮かべ杖をなのは達に向けると第二幕を開始する。 先ずはシャマルがスバルとヴィータにブーストアップのアクセラレイションとストライクパワーのツインブーストを掛けると スバルはA.C.Sドライバーを起動させて突進、ヴィータもまたギガントハンマーに フェアーテを加えて加速、イセリアの後方へと回ると一気に振り下ろす。 一方イセリアはスバルの一撃を左手一本で受け止め、ヴィータの一撃は杖にて受け止める。 するとヴィータはすぐさまその場から上空へ逃げ込むと、スバルの左手に環状魔法陣により発生した魔力球が握られており、 そのままイセリアの胸元に打ち付けると右手を突き出しディバインバスターを撃ち抜く。 イセリアはディバインバスターに飲み込まれ吹き飛ばされるが、魔力を放出し攻撃を吹き飛ばすと 上空から追い討ちとばかりにギガントハンマーを打ち出すが簡単によけられ、むしろ杖で弾き飛ばされ返り討ちに合うヴィータ。 するとイセリアの下へクロスファイアが弧を描いて襲いかかり、イセリアは杖で次々に払いのけるとティアナの下へ向かい一気に杖を振り抜く。 だがティアナは陽炎のように消え、辺りには無数の五人の幻影が姿を現す。 ブーステッドイリュージョン、ティアナの幻術をシャマルのブーストにより増幅・強化させたものである。 流石のイセリアも驚きの表情を隠せずにいると後方から桜色の直射砲が襲い掛かり それに気が付いたイセリアはギリギリのところで回避すると左右からクロスファイアが二発襲い掛かる。 「ちっ!」 イセリアは一つ舌打ちをするとその場で回転を行おうとしたところ、幻影の一つがシャマルに変わり戒めの鎖にてイセリアを縛り付けるとそのまま退避、 イセリアはなす統べなくクロスファイアを受けるが対したダメージは負っていなかった。 すると左右からショートバスターが襲い掛かり後方へ退避すると後ろの幻影がヴィータに変わりラテーケンハンマーを背中に受け、 そしてヴィータはそのまま退避し幻影の中に溶け込む。 イセリアはこのままでは埒があかないと考えた結果一つの案を導き出し 幻影の森よりも更に上空へと逃げ込み地上を見下ろす。 一方地上からはリボルバーシュートやアクセルシューター、クロスファイアに シュワルベフリーゲンなどがイセリア目掛けて襲いかかって来ていた。 「ちっ!仕方がないわね」 そう言うと足下に巨大な多角形の魔法陣を展開すると詠唱を始めるイセリア。 「…我、久遠の絆断たんと欲すれば……」 イセリアの詠唱により更に上空には巨大な槍が姿を現し縦回転を始め、 その状況を唖然とした表情で見上げる形のなのは達。 「まさか!アレは広域攻撃魔法!!」 「…言の葉は降魔の剣と化し汝を討つだろう」 すると巨大な槍の矛先がなのは達に向けられ、動揺の隠せないなのは達に対し 不敵な笑みを浮かべ見下ろしながらイセリアは杖を振り上げこう述べた。 「分からないから全てを吹き飛ばすだけよ!ファイナルチェリオ!!」 そして杖を振り下ろすと巨大な槍の鍔部分から魔力が放出し真っ直ぐ勢い良く落下、 床に激突すると辺りに衝撃が走り幻影ごとなのは達を吹き飛ばし、その勢いは床全体を超えるほどの広がりを見せ その光景を上空にて見下ろしているイセリアなのであった。 一方フェイト達もガブリエとの戦いにおいて切り札を切り始める。 先ずはフェイトがライオットザンバー・スティンガーに切り替え、二刀流による牽制を促す、 だがガブリエはいとも簡単にフェイトの猛攻を防いでいると、左後方へと先回りしていたエリオが突き刺す、 しかしガブリエは左手一本でストラーダをつかみ取り受け止めると、 エリオはウンヴェッターフォルムに切り替えノイズから金の針が飛び出す 「サンダァァ!レイジ!!」 エリオの叫びを合図にフェイトが退避しガブリエの周囲は稲妻に覆われ始めその身を打つ。 しかしガブリエは動じることなくエリオごとストラーダを振り投げ杖を向けるとキャロによるアルケミックチェーンに縛られる。 「フリード!ブラストレイ!!」 更に追い討ちとばかりにブラストレイを撃ち抜きガブリエの身は炎に包まれ、 加熱された鎖が身を締め付ける中でガブリエは魔力を一気に解放、炎と鎖両方を弾き飛ばした。 しかし弾き飛ばした瞬間の隙をザフィーラが突き鋼の軛にてガブリエの身を呪縛する。 そしてガブリエの前方にはフェイトとシグナムがおり、フェイトはスティンガーをカラミティに換え空いた左手をかざし、 シグナムは居合いの構えをとっており、両者はカートリッジを使用する。 「飛竜一閃!!」 「トライデントスマッシャー!!」 次の瞬間、金色と炎の直射砲がガブリエに迫り直撃、それを目撃した一同はフェイトの下へ集う。 二発の強力な魔法が直撃した場所は白煙に包まれており、白煙から上空へ突き抜けるようにガブリエが姿を現し、左手をかざし詠唱を始める。 「冥府の底で燃え盛る聖玉の採光…贖罪無き罪は罰と化し裁きの時を呼び寄せる」 するとガブリエから炎が放たれフェイト達の周りを青く染め包み込むと球体となって上昇、徐々に赤く染め上がり一気に爆発した。 ペイルフレアー、ガブリエ・セレスタが放つ闇属性の広域攻撃魔法である。 そして跡地をガブリエはじっと見つめていると、中からブーステッドプロテクションを展開しているキャロと エクストラモード起動させ更に多重障壁を展開させているザフィーラが姿を現し、 二人の障壁に守られる形で姿を現す一同、その状況を上空で見下ろしていたガブリエは、ゆっくりと下降し床に足を着ける。 「よくぞ耐え抜いた!だが貴様達の強さは此処までなのか?」 ガブリエは誉めながらも挑発を促し、一同はガブリエの挑発に乗る形で次々に力を解放させる。 そしてまずはエリオが動き出す、その動きはまさに地を走る雷鳴の如き動きで、 一回り小さくなったストラーダを右手に携え振り上げ、払い、通り抜けるように振り下ろすと、 全身に光る雷光が更に輝き出し加速、ストラーダから繰り出される突きは最早、人の目では認識出来ない程の速度にまで至っていた。 「奥義!エターナル!レイド!!」 加速された無数の突きはガブリエの身を突き、最後の一撃はすり抜けるように貫き通すと 次に真の姿のレヴァンティンを握り締めたシグナムが薙払うように振り抜く。 「火龍一閃!!」 撃ち出された火龍一閃は瞬く間にガブリエを飲み込み辺りが炎に包まれる中、 ガブリエが炎の中から飛び出すと、その周囲は長方形の刃に囲まれ飛び回りながらガブリエの身を切り裂いていく。 そして右腕に次々と刃が連結し巨大な刃に変わると一気に振り下ろすザフィーラ。 「奥義!グリムマリス!!」 振り下ろされた一撃をガブリエは杖で受け止めるが、ザフィーラは力を込めガブリエに直撃させると、 真・ソニックフォームの姿をしたフェイトが閃光の如くガブリエの下へ向かい、残像を発生させながら次々とその身を切り裂いていく。 「無限の剣閃、アナタに見えますか!」 そう言いながら徐々に加速しつつ斬りつけ最後はカラミティに切り替えて一気に振り抜き吹き飛ばす。 だがガブリエは最後の一撃に耐え抜き見上げると上空ではキャロが召喚したヴォルテールが見下ろしており、キャロはヴォルテールの肩の上で エクストラモード起動させを起動させるとヴォルテールの胸元に竜紅玉が姿を現し魔力が集い始める。 「奥義!ドラゴンドレッド!!」 キャロの命に呼応するように胸元から強力な光線が発射され、ガブリエに直撃すると爆発 辺りは爆風と衝撃が響きフェイト達の身を揺らす。 その中でフェイトは確かな手応えを感じ、拳を握り締めるのであった。 一方、ファナルチェリオを受けたなのは達は辺りに横たわっており、それを見かけたイセリアはゆっくりと床に着地する。 するとゆっくりとではあるが、確実に起き上がる一同にイセリアは不敵な笑みを浮かべながら話し出す。 「成る程…耐え抜いたか……しかしその分では抵抗すらままならそうだ……」 見下すような目線で見渡しているが、なのは達の目は未だ諦めの色が見えず、 その死んでいない瞳に密かに期待を寄せているイセリア。 そして全員が立ち上がるとなのはが振り絞るように声を発する。 「まだ……まだ私達は負けていない!」 そう力強く言葉を口にするとそれぞれの全力を解放させる。 先ずはスバルがエクストラモードを起動させてカートリッジを消費すると、体に纏っている赤い魔力が増大し威勢良くイセリアの元へ向かう。 そして右拳を突き出し、振り下ろし、更にその場で左回転して勢い良く振り上げ、 更に左回転から体ごと持ち上げるようにアッパーを繰り出しイセリアの体を持ち上げながら的確に顎を狙い撃つと 床に着地、そして床を打ち砕くように拳を振り下ろした。 「奥義!ブラッディカリス!!」 次の瞬間、床から大量の赤い魔力がイセリアに襲い掛かり、その身を何度も打ち抜いていく。 そしてスバルの攻撃が終わると間髪入れずティアナの攻撃が始まる。 ティアナはエクストラモードを起動させると、エーテルを散弾のように撃ち出すクリティカルフレアと呼ばれる攻撃で牽制する。 牽制が功をそうしたのか続いてクロスミラージュを平行に構えると白い直射砲サンダーソードを撃ち出し、 そして間髪入れずにカートリッジを消費すると魔力によってエーテルが増大、ティアナの前で巨大な球体となって姿を表す。 「奥義!エーテルストライク!!」 次の瞬間、エーテルストライクはイセリアを飲み込み辺りは閃光に包まれていき 閃光が落ち着き始めると今度はヴィータの番とばかりに力を現す。 ヴィータの全身には稲妻が走り右手は重厚な鉄の手袋、そしてその手にはツェアシュテールングスフォルムのグラーフアイゼンを握り締め 稲妻がグラーフアイゼンに伝わると目を瞑りたくなる程までに金色に輝き出していた。 そしてグラーフアイゼンの先端が外れ柄の部分を稲妻で繋ぐとヴィータは頭上で回転させ始める。 そして金色の環を描き最大加速に至ったところでイセリアの頭上目掛け一気に振り下ろした。 「食らえぇ!ミョルニルハンマァァァ!!」 振り下ろされたツェアシュテールングスフォルムの先端はドリル状で稲妻を発生ながら回転しており 流石のイセリアも息を飲み杖にてヴィータの一撃を受け止める。 しかしヴィータの一撃はイセリアを中心として広範囲に渡って稲妻が走りまたもや辺りを閃光で包む、 そして閃光が消え始めると跡地からイセリアがヴィータを睨み付けながら上空へ飛び出すと その瞬間的な隙をついてシャマルが鋼の軛を打ち出し、イセリアの身を貫き動きを止める。 するとシャマルの動きに呼応するようになのはが6基のブラスタービットを六角形の形で置き イセリアより更に上空でなのはは構え、なのはとブラスタービットの前には桜色の魔力が収束されていた。 「全力全開!スターライト…ブレイカァァァ!!」 七発のスターライトブレイカーはイセリアを飲み込み着弾地点では桜色の魔力光が球体の形となって輝いていた。 そして――――― 「ブレイクゥシュゥゥゥトォォ!!!」 なのはの言葉と共に七発の収束砲が消えると中央で形成されていた魔力球が膨張、 一気に爆発し天を貫くと言わんばかりの桜色の魔力柱が姿を現しそれは徐々に細くなって消滅、 スターライトブレイカーが直撃した地点の床は大きくクレーター状に窪み、其処にはイセリアの姿を見受けられなかった。 その頃上空では肩で息をし左手を抑えながらなのはがゆっくりと降下し床に着くと力が抜けたかのように膝を付き、 その姿に一同は集まり、跡地を見つめ確かな手応えと安堵が見え隠れしていた。 両者の世界は静寂に包まれ試練の終わりを感じる頃、それは起こった。 なのは達そしてフェイト達の下へ竜巻の如き勢いで姿を現した流浪の双神が仲間達を次々に巻き込んでいく。 それはまさに疾風怒濤、一騎当千に相応しい動きで相手を叩きつけるように次々と杖を振り下ろし 次に吹き飛ばすが如く突き刺すと、今度は回転しながら移動、なのは達フェイト達はなす統べなく跳ね上げられ、 更に流浪の双神の回転が増すとガブリエは青いイセリアは赤い魔力の嵐を生み出し、一同はまるで木の葉の如く舞い上がる。 そして流浪の双神は持っていた杖を力一杯振り下ろした。 「力とはこういうものだ!!」 「これぞ真の裁き!!」 別空間にいる両者の声が重なる瞬間に合わせ、空間が断裂するほどの激しい衝撃がなのは達フェイト達の身を貫き、力無く次々に床に落ちていく。 …女王乱舞、流浪の双神の切り札ともいえる怒涛の連撃で、これを受けた者は立ち上がる事が出来ないとさえ言われる程である。 故に床に落ちたなのは達フェイト達は一切動きを見せてはおらず、流石に流浪の双神も此処までだと考えその場から転送しようとしていた。 だがなのは達フェイト達はゆっくりと身に染み込む痛みに耐えながら徐々に体を動かし始め、 それぞれはまるで生まれたての動物のように弱々しく…しかし確実に力強く起き上がり あれだけの攻撃を受けてもなお彼等の瞳は死んではいなかった。 そんな彼等の行動に自分達が知る人の強さを垣間見た流浪の双神は、歓喜に震え笑みを浮かべる。 流浪の双神の見たかった人の強さ、それは不屈、根性、“ガッツ”とも言えるもので かつてこの地を訪れた人の中で何度も倒れても立ち上がり、結果自分達は倒す人物が現れた。 その敗北から人の強さ不屈の精神を知り、同じ精神を持つ人物には力を貸すという考えに至っていたのである。 そして流浪の双神は杖で床を叩くと一面が変わり、其処でなのは達フェイト達は合流を果たす。 互いはボロボロの姿に笑い合い心配し合いしていると、流浪の双神が一同を回復させて更にゆっくりと話し始める。 「お前達の強さ、確かに見せてもらったぞ!」 「その強さならこの力に溺れる事もないだろう…受け取るが良い!」 そう言うと流浪の双神の前に杖が姿を現す、魔杖アポカリプスと聖杖ミリオンテラーである。 この二本は持ち主の能力を高める事出来るほか、アポカリプスはペイルフレアーが ミリオンテラーはファントムデストラクションが撃てるようになり、 更に杖を媒介に此処の魔法陣を展開させれば流浪の双神を一回だけ召喚が出来ると語る。 しかし流浪の双神を召喚し終えると媒介となる杖は消失すると付け加えられた。 「では…お前達の武運を祈る」 「ありがとう…流浪の双神」 そう言ってなのは達を転送させると、先程までの戦いを思い返し自分の身を確かめる。 彼女達の攻撃はとても優しく、今まで此処に来た者に無い攻撃であった。 故に彼女等なら自分達の力を正しく扱ってくれるだろう、そう確信にも似た気持ちで考える両者であった。 一方で神との契約を終えた一同ははやての下へ転送されると其処ではへばったはやてとディルナの姿があり 一同ははやて達の下へ駆けつけると、はやての手にはひまわりの種が握られていた。 「何があったの?!はやてちゃん!」 「いや…ちょっとネズミがな……それよりどうやったんや?」 はやての言葉になのはとフェイトは首を傾げるものの、証拠の品でもある杖を見せる。 証拠を見たはやては頷き褒め称えると、頭を掻き照れ臭いようで赤く染め、 そして先程までへばっていたディルナが復活し、一同を連れて出入り口へと転送されるのであった。 …此処はセラフィックゲートの出入り口、それぞれが一列に並ぶと対面にはディルナが佇んでいた。 「またのご利用をお待ちしておりま~す!!」 そう言って手を振るとなのは達も別れの挨拶を交わす。 …だがその中ではやてだけが苦い顔をしながら見つめていた。 結局あの場でなにが起きていたのかは教えてくれなかったが、 きっと酷い目に会ったのだろうと言うのが一同の展開である。 そして…ディルナに背を向け一同は魔法陣に足を踏み入れ、聖王教会へと意気揚々に戻るのであった……… 前へ 目次へ 次へ オマケへ