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「嫉妬少年のその後」 ウーウー… 消防車のサイレンが響き渡る。その様子を小さく震えながら眺める少年、妬見女疾風 「一体何があったんだい?」 そう聞かれる疾風。都市伝説の力で爆発した、なんて言っても信じてもらえる訳がない 疾風「車…を見てたら…突然…爆発…して…」 震えながら声を絞り出すように答える疾風。これでいくらか誤魔化せたはずだ 帰り道 疾風「…「あるお方」に協力、ね…どうするかなー」 『美味シイ思イガデキルッテンナラ、協力シテモイーンジャネェノ?』 疾風「でもなーリア充だって言ってたからなぁ…。妬ましいし…」 『ソウカ…マァ好キニスリャイーンジャネーノ?』 疾風「そう。それじゃあ協力すんのはやめとこうかな。全リア充は僕の敵だし」 『ジャア敵対スンノカ? オソラクアイツニ狙ワレルゼ』 疾風「うーん…あの人は同志だからね…まぁ僕はリア充を爆破していくよ」 どうやら協力する気はないようだ。リア充は今までどうり爆破するようだが そして、帰り道の途中…部員に出会った 蒼介「ゴホゴホ…あ、疾風君」 疾風「あ…蒼介君」 同じ部員で帰る方向も同じだったので、一緒に帰ることにした 不幸「へぇ…同じ都市伝説の契約者と出会ったんだ…」 疾風「うん。何か協力しないかって言われたんだ」 幽夜「へぇ…それで君はどうするんだい?」 疾風「誘いには応じないことにしたよ」 こんな会話をしていた。すると… <着メロ> 蒼介「ゴホ…メールだ。差出人不明?」 564219 蒼介「!!? みんな、やばい。都市伝説に狙われた…ゲホッ」 「「「!?」」」 すると蒼介の背後に包丁を持った男が現れ、…刺した 蒼介「ゲホッ…ゴホッ」 蒼介を襲ったのは『564219』。ポケベルに564219という数字が出て…という都市伝説である 不幸「ちょ…蒼介君大丈夫? 生きてる?」 蒼介「大丈夫…傷はやばいけど、死なないから…ゴホ」 蒼介は新しい都市伝説と契約していた。それは『病弱は生存フラグ』。彼が何らかの病気にかかっている間、彼は死なない 蒼介「おそらくコイツは『564219』。契約してる可能性があるから気をつけて…ゲホッ」 不幸「フフフフフフ…それじゃ…僕らで何とかしますか…」 疾風「どこからともなく現れて攻撃できる能力…妬ましい」 幽夜「夜じゃないと戦いづらいけど…がんばるかぁ…」 3人が臨戦体制に入る。 不幸「…『564219』の契約者は僕たちとの戦いが終わったら、結婚…するんだ」 不幸が今使ったのは『一級フラグ建設士』の能力。対象者に自由にフラグを立て、回収したり折ったり出来る。これで『564219』の契約者に死亡フラグが立った そして、幽夜がピューと口笛を吹く 幽夜「まだ夕方だからこれくらいしか出ないかぁ…」 そういって鬼火を呼び出す 疾風「ああ…妬ましい。爆発しろ」 『564219』を爆破する疾風 だが、契約者がなかなか見つからない すると… トゥルルルルルルルルルルルルル… 蒼介の携帯に電話がかかってきた 蒼介「知らない番号…? いや、どこかで見たような…ケホ」ピッ 「もしもし、私メリーさん。貴方達がずいぶん困ってるみたいだから、加勢してあげるわ。あ!勘違いしないで。あの時の借りを返すだけだから」 蒼介「ああ、うん。ありがと」 蒼介「皆、朗報だよ…ゲホ。『メリーさん』がべ○ータ的な理由で一時的に加勢してくれるらしい」 疾風「ベ○ータ? ああ、ツンデレか。…妬ましい」 疾風は少し嫉妬するが、何とか抑えた メリー「まぁ、私に任せなさい! 『564219』の契約者を探してるんでしょ?」 そういうと、メリーさんは電話をかける メリーさん「もしもし、私メリーさん。今、私“達”貴方の後ろに居るの」 メリーさんがそういうと、疾風たちは男の背後にワープしていた 不幸「フフフフ…見つけた。それじゃ、『フラグ回収』」 不幸がそういうと、車が走ってきて…『564219』の契約者が…轢かれた 疾風「え? 倒した? それじゃあ救急車を」 疾風が救急車を呼び、皆はもう帰ることにした こうして、初めての契約者もちの都市伝説との勝負は、幕を閉じるのであった… つづく
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三面鏡の少女 83 宮定怜吏(みやさだ・れいり)という男がいる やや鋭い目付きの神経質そうな顔付きで、背は高いがやや痩せており貧弱そうなイメージを漂わせている 宮定繰の父親であるこの男は、学校町の出身ではあるが都市伝説というものに遭遇した事が無い にも関わらず、だ 「奴には近寄るな、絶対にだ。だが監視は怠るな」 過去、彼の存在を知った『アメリカ政府の陰謀論』ジョン・スミスは、苛立たしげに煙草を灰皿に押し付けながらそう部下に通達していた 『第三帝国』の『総統』達同様の措置を取り、『MI6』でも歴代長官に伝達事項として引き継がれている だが小規模な組織の構成員や、大組織故に命令が行き届かない末端の構成員も存在する 様々な組織が危険視しながらも手を出さない存在 好奇心、腕試し、嫌がらせ、様々な理由から彼に接触を図ったり、攻撃を仕掛けたりした者は現在までに多数存在した だが、その結果を知るものはほとんど居ない ――― 「そんな強そうには見えないし、都市伝説と契約してるわけでもないんでしょ? なーんでそんなに恐がるかなぁ」 何処の組織に所属しているのか、黒いスーツとサングラスという典型的な『メン・イン・ブラック』の女 目標のいる建物すら視認できない距離で、女は小さなデリンジャーを懐から抜き出して 引き金を引くと同時に響いた小さな破裂音 雲一つ無い晴れ渡った空に向かって撃ち出された銃弾は、女の頭上でぴたりと静止する 「撃ち抜け、『魔弾』」 その言葉と同時に、命令を受けた猟犬のように弾丸が疾る 一切の物理法則を無視して空気を切り裂き飛翔する弾丸は、ビルを避け、樹木の枝葉の間をすり抜け、更に更に加速していく 音も衝撃も残さずに瞬殺無音で迫る弾丸が、ターゲットである怜吏の眉間に狙いを定め 距離にして22kmを駆け抜けた弾丸は加速を続け、銃声すらとうに置いてきぼりにしてターゲットに命中した 命中は、したのだ だがその弾丸は跡形も無く消え去っていた 怜吏の体に触れた瞬間、その質量も、衝撃も、一切合財が初めから存在しなかったかのように 「……へ?」 その結果は、攻撃を行使した黒服の女にも伝わってくる そして 「え、な、何っ!?」 弾丸が通った軌跡を正確になぞるように 『弾丸が通ったという事実が消滅していく』 「ひっ、ぃっ!?」 弾丸が疾り抜けた速さで迫り来るその事実に、黒服の女は悲鳴を上げた 銃を捨て、足を縺れさせながら転がるようにその場から逃げ出すが、それは無意味だった 弾丸が通ったという事実が消滅し 弾丸が発射されたという事実が消滅し 銃そのものが消滅し 銃を投げ捨てたという事実が消滅し 銃を投げ捨てた者も消滅した 跡形も何も残らない そこには初めから何も存在しなかった ――― 「都市伝説?」 「ええ、先生は学校町の出身でしょう? 何かそういう話とか聞いた事とか無いんですか?」 狙撃をされた直後、何事も無かったかのように いや、何事も無くなって 隣を歩いていた教え子の女子大生の問いに応える怜吏 「馬鹿か君は。そんなものは存在しない」 「でも学校町って行方不明者とか原因不明の死傷者が多いって話も聞きますよ」 「妙な噂が多いから、精神的に不安定になった折にそういった妄想に囚われやすくなるだけだ。一度そんな関連付けが発生すれば、連鎖的に感染拡大する。あんなものはただの精神疾患、集団ヒステリーだ」 「でも実際に起きてる事件とかはどうなるんですか? 未解決事件の数、凄く多いそうじゃないですか」 「日本中、世界中で未解決事件など山のようにある。あとは、あの町の警察組織が殊更無能なだけだろう」 「先生って夢が無いんですね」 「そんなものは現実には必要無い」 「ええー、それじゃあ……」 楽しそうに纏わりついてくる女子大生を淡々とあしらいながら 強固かつ絶対の精神力と意思力、そして知識と理論により都市伝説の一切合財を否定する男は、次の講義のために教室へと向かう 彼に近付く都市伝説はいない 彼に近付ける都市伝説はいない それ故に彼の意思は、理論は、より強固にされていくのだった 前ページ次ページ連載 - 三面鏡の少女
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学校町東区中学校連続飛び降り事件 犠牲者は全部で10名…………そう言う事になっている が、最後に飛び降りた「土川 咲李」に関しては、犠牲者と呼ぶべきかどうか、判断に迷うところである この事件は、犯人である土川 羽鶴が契約していた都市伝説の力によって、次々と生徒が飛び降り自殺をしていった事件である しかし、咲李は、都市伝説の能力を受けて飛び降りたのではない 自らの意思で屋上へとあがり、飛び降りたのだ それでも、土川 咲李の名前がこの事件の資料において「犠牲者」の欄に名前が書き連ねられているのは、彼女もまた、この事件の犠牲者である事は間違いなく、事実であるからだろう 咲李は、この事件に幕を下ろすために、中学校の屋上から飛び降りた。戦い、全てを終わらせるために飛び降りたのだ ………しかし、結果は、失敗 彼女は、今までの犠牲者達と同様、都市伝説に取り込まれ、その一部になったに過ぎなかった 失敗、と断じていいかどうかすら、この後の経緯を思うと微妙なところでもある 彼女が土川 羽鶴の契約都市伝説に取り込まれたからこそ、獄門寺 龍哉を始めとしたあの子供達の一部が怒りを爆発させ、羽鶴を完全敗北させるに至ったのだから……………最も、約2名が暴走したせいで、そちらの方が大変だった、と言う事実はさておき 「………「笑う自殺者」に「富士の樹海の自殺者の幽霊が、人間を引き込んで自殺させる」を組み合わせた、か。本当、物騒な使い方しやがる」 資料に目を通しながら、慶次はぼそりと、そう呟いた 土川 羽鶴は二つの都市伝説を組み合わせ、次々と生徒を自殺させていった そして、自殺した生徒達は都市伝説に取り込まれ、彼の意のままに操る事ができていたらしい 正直、かなり胸糞悪い事件であった 羽鶴は、己の娘が飛び降りてもなお、己の行為を悔やむことすらせずに、犠牲者を増やそうとしていたのだから 彼は娘が何を思って飛び降りたのかすら、気づけなかったのだ 咲李は二通、遺書を残していた そのうちの一通は間違いなく土川 羽鶴へとあてられた物 羽鶴は見つけたその遺書を読むことすらせず、ゴミ箱へと捨てていた あんな親が、この世の中には存在するのだ ……思い出すだけで、ムカムカとする あの男が犯人だとわかっていれば、自分が殺しに行ったと言うのに (………元々、自分の娘なんてどうでも良かったのか。それとも、「狐」の誘惑に乗って、頭がおかしくなっていたせいなのか………) …どちらにせよ、胸糞悪い事実に、代わりはない ぱたん、と、資料を棚に戻した、その時 「何をしているんだい?」 と、郁に声をかけられた 小さく舌打ちして、慶次はそちらに視線を向けた 「昔の事件の資料を見てたんだよ。悪いか?ここの資料は、「組織」関係者は閲覧自由だろう」 「そうだがね………資料室に入るなら、ここを管理しているCNoにきちんと許可をとってからにしてくれ。特に、君はANo所属なんだしね」 「警戒しなくとも、資料ちょろまかしたり、変に手を加えたりはしねぇよ」 …どうにも、このゴスロリ好きの黒服は苦手だ 関わり始めたのは三年前の連続飛び降り事件の際からだが、その時抱いた苦手意識という第一印象は、今も変わらずそのまま慶次の中にあった 話していると、背筋がざわざわしてくる 「じゃ、用済んだし、俺はこれで」 「そうかい………このところ、「狐」や「バビロンの大淫婦」の事で周囲はピリピリしている。怪しまれるような行動は、謹んだほうがいいよ」 「うっせ、わーってるよ」 郁から逃げるように資料室を後にした 本当は、もう少し調べたい事があったのだが………仕方ない、またの機会にしよう (三年前の事件の黒幕は「狐」。そして、それが今、学校町にいるなら…………見つけて、始末してやる) 自分が手柄を上げれば、風当たりの強い強硬派も、少しは見直されるかもしれない ……「三年前」に強硬派が、愛百合が犯したミスの埋め合わせができるかもしれない 考え込みながら歩き去っていく慶次は、誰かの視線が己に注がれていることに、気づくことはなかった to be … ? 前ページ次ページ連載 - 次世代の子供達
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最終回 「私キレイ?」 女は男に問うた 「さあね、そのでかいマスクのせいでなんとも言えないな つか、顔のこと聞きたいんなら外すのが道理ってもんじゃねえのか?」 飄々とした態度で男は答える ――――まるでこの後起こることが全て分かっているかのように 眉間に青筋を立て、女はマスクを毟り取る 「これでも・・・キレイかー!!」 その女の口は耳まで裂けていた しかし、男は少しだけ困った顔をしながらこういった 「ワオ、こりゃビックリの不細工面だな 下手に顔弄ろうとするからそんな事になるんだぜ?」 「・・・貴様ァッ!!」 鎌が振り下ろされる 口を裂くのではなく、殺意に満ちた一閃 口裂け女が勝利を確信した――――刹那 ガキィンッ!! 予想したものとは違う手ごたえ 鎌は堅牢な何か受け止められていた 男の手には――――否、手があった場所からは巨大な赤いものが生えている 巨大な、蟹の鋏 愕然とした女の肩にムチのように飛来した何かが食らいついた 「ぐうっ!?」 海のギャング、ウツボである ウツボは体を捻り、女の腕を引きちぎる 「わ…私の腕がああああああああ!!!??」 見ればウツボは男の肩からその痩身を伸ばしている 「お前は・・・お前は一体・・・!?」 「うるせエぞ、ドブス」 続けて男の腹から巨大な顎が伸びる――――鮫だ 「お前は魚の餌だ」 放たれた海の王者は貪欲に女を噛み砕き、飲み込んだ 「けっ・・・日本を代表する都市伝説だが、こんなもんかい」 「国民的アニメには、叶わなかったみたいだな」 「さ~て、来週の都市伝説は?」 都市伝説名【サザエさん最終回】 <能力>体を自由に海産物に変化させることが出来る 「単発もの」に戻る ページ最上部へ
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「………」 …二人の少年が、立ち去った直後 そこに、一人の黒服が現れた 少年たちが立ち去った方角を、じっと見つめる その黒服の足元で、顔面をすべてフジツボに覆われた口裂け女は…静かに、光となって消えていこうとしていた 命を落とした都市伝説は、例外を除いて……こうやって、消滅する 「…二人とも未成年、ですか」 小さく、黒服はため息をつく …この町は、都市伝説が現れやすく、契約者も現れやすい そして、全体的な傾向として…どうも、未成年者が契約者に選ばれる事が多い 特に、あれくらいの年頃の子供たちが 思春期故に、都市伝説と感応しやすいのだろうか? そう言った傾向に付いて、もっと組織では議論すべきだと思う 「困りましたね…」 はたして、彼らを組織に誘って、よいものかどうか 「組織」に誘ったとして…彼らに、汚い仕事などやらせたくない 未成年者の手を汚させるなど……御免だ しかし、「組織」に所属する事になったら、そんな甘いことは言っていられないのだろう 特に、今現在、組織はかなりの数の黒服と契約者を失い、弱体化しているのだ そんな状態で、新たに「組織」に所属するとなると…容赦なく、仕事が舞い込むに違いない 彼らという、将来に希望がある子供たちを、そんな組織に所属させていいものか ……しかし たとえ、自分が誘わなくとも 「組織」の別の誰かが、彼らを組織に引き込もうとするかもしれない そうなったとして、彼らはどう答えるか? …「組織」の抹殺対象にならなければいい そうとだけ、彼…否、まだ例の毒が消えていない為、今は彼女だが…は、そう祈るのだった 前ページ次ページ連載 - とある組織の構成員の憂鬱
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【陛下と僕と獣の数字 第12話】 「――――さん!」 声が聴こえる。 「――――――ジさん!」 誰かの、声。 「―――――セー―――――ん!」 そう、僕は切られて……切られた筈で……!? 「セージさん!」 飛び起きる。 胸を触る。 無い、傷がない。 「大丈夫ですか!?」 「え、あ、貴方は!?」 なんで彼女が此処に居る。 「大変なことになりましたよセージさん!」 「へ?」 「あのクラウディアって人の都市伝説が暴走したんです!」 確か星野美空さん……だったか 「あ、貴方はなんでそれを?」 「えっと、私実は……国の方から監視に派遣されてた者で 特に貴方を守るように言われていたのですが……貴方は私の都市伝説でなんとか助けたものの…… あ、治療系の都市伝説契約者なんですよ私」 「そうだったんですか……」 だから都合よく現れていたのか。 「今クラウディアさんは暴走しています、危険ですから急いでここを離れましょう?」 「……そういう訳にはいきません」 「え?」 「俺、あいつを助けてやらなくちゃいけない」 「ま、まって下さい!今彼女は理性を失って暴れるだけの存在になっているんです! 貴方が行っても止められるかなんてわかりません!」 「分からないなら……行くしか無いでしょう!」 「駄目です、私は命令されたとおりに貴方を危険から遠ざける責務があります」 潤んだ瞳で美空さんは僕を見つめる。 でも、それでもいかなくちゃいけない。 この人よりも……大事な人を迎えに。 「それでも…………」 僕は行かなくてはいけない。 「大事な人が待っているんです!」 美空さんは大きくため息を吐いて首を振った。 「これから私は貴方に抵抗されて気絶します その間に行って下さい」 「え?」 「さっさと行って下さい、もう知りませんよ そんな目をされたら止めるものも止められませんよ! あーあ、なんでそう綺麗な目で一人の女の子を守ろうと出来るかなあ契約者でもないのに!」 「ありがとうございます!」 「あーあー、なにもきこえなーい うっかり都市伝説の力で作った傷薬を落としてしまったけど気づかなーい 誰かにネコババされちゃっても知らなーい」 美空さんが落とした薬瓶を拾って走りだす。 ありがとう美空さん、最初おっぱい連呼してごめんなさい。 「本当にありがとうございます!」 【陛下と僕と獣の数字 第12話 続】 前ページ次ページ連載 - 陛下と僕と獣の数字
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企画目録 はじめに 念のため、15歳以上推奨 恋愛表現の隔離については特に無しです。地雷が多い方にはおすすめしません。 最強設定キャラなどいわゆる「チート」の投稿は可能ですが、他の参加者はそれらの設定を無視する事ができます。 概要 現代になってもたくましく生きる都市伝説をモチーフにしたキャラ、 それを取り巻く環境や一般人を描いたり、書いたりするゆるい身内企画です。 身内企画と言ってもお友達のお友達のお友達…でもOK。 この目録を見つけて興味が出た方は暇つぶしにでも参加どうぞ。 都市伝説のモチーフ被りはOK。(全国各地に出没しているので) 基本的にはTwipic・その他画像アップロードサービスにイラストや漫画を投稿したり、 Twitterで企画に呟いたりその他諸々するだけの企画です。 交流等は必須ではなく、キャラ地蔵したり自キャラマンセーしたり交流したりお好きなように 一応pixivにも目録を置いてますので、 文章で投稿されたい方はpixiv小説のほうにタグを付けて投稿するのも可能。 イラスト、漫画についても同じく。 舞台 現代。 外国でも日本でも、基本的に現代であればOK。 過去や未来の話として別の時代について創作していただいても結構です。 都市伝説キャラにはキャラクターシート、文章のみで参加の方もキャラ設定には出没場所を書いてください。 都市伝説が海外旅行して何が悪い キャラクターについて こちらのページに。 性的表現・残酷表現等 twipicが18禁投稿が禁止のため、15禁まで。 それ以上を描きたい場合はpixivで「R-18」「R-18G」タグを付けて投稿、もしくはR-18投稿可なサービスを使用して下さい。 恋愛交流について 異性・同性恋愛は禁止していません。IFも可能。 過激な表現を投稿する場合は上記に従います。 タグ pixivでは、投稿の際に 必須タグ:【本当にあった都市伝説】 作品タグ:【本当にあった都市伝説】記録 キャラクター設定、キャラシタグ 【本当にあった都市伝説】都市伝説 【本当にあった都市伝説】一般人 念のためR-18・R-18Gを投稿、自主的に恋愛交流を隔離したい人用のタグ ※上記タグと併用は禁止 【ほんとーにあったとしでんせつ】エロ 【ほんとーにあったとしでんせつ】グロ 【ほんとーにあったとしでんせつ】BL 【ほんとーにあったとしでんせつ】GL 【ほんとーにあったとしでんせつ】男女 Twitter #企画X本当にあった都市伝説 twipicに投稿した場合、pixivに投稿した場合、企画について喋る場合等には 極力上記のハッシュタグを付けて呟く事を推奨。 どこまでのネタで付けて良いかどうかは各々の良心におまかせします 投稿する場合はコチラもお読みください。
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バールの少女・番外編 その1 「うおおおおおおおおおおおッッ、こっち来んなあああああああああああああッッ!!」 おっと、初っ端から絶叫で始めてすまねえ。 俺の名は、「行方 不明」と書き、「なめかた あけず」と呼ぶ。 こんな名を付けた俺の親はさぞッッかし根性腐ってるんだろうが、 名付け主の父親の名は、「跡絶」と書いて、読みはまんまの「とだえる」だ。 これはもう、俺への当て付けとしか思えねえ。そんなに己の名が嫌なら改名手続きすりゃ良いだろうがよ、ッたく……。 ……ああ、悪い悪い。なんで俺が絶叫を上げてるかってーと、だ。 「こっちに来ンじゃねえええええええええええええええええええええッッ!!」 早い話が、スパニッシュフライの大群に追われてるワケよ、俺。 どうして、こんな事になったのか? そこの所もひっくるめて俺の身の上話を始めたいんだが、いいか? ちっとばっか長くなるがな。 OK! じゃ、サクッと進めちまおうか。 俺の名は、行方不明。って、さっきも言ったっけ? 大学卒業して2年目に突入する、ってったら大体の歳が分かるか。 俺は所謂、「フリー」の「能力者」だ。 契約した都市伝説ってのは、業界用語で言うところの『現象型 遠隔発動/形態変化系 都市伝説』ってヤツ。 「ケムトレイル」って言った方が伝わるかな? 契約を結んだのは大学入りたての頃だ。当時は何が何だかよく分からなかったが、 「人に化ける猫」のおっちゃんと出会った事が幸いして、 都市伝説についてや契約、能力の扱い方、エトセトラ、プラスアルファを一通りレクチャーしてもらった。 そこからは、俺独自の能力研究に勤しんだんだが、まあ、時間はたっぷりあったから己のチカラを熟知するには十分だった。 その時、俺は思ったね。もう、超能力者かと。正義のヒーローかと。 ぶっちゃけこの能力使えば、可愛い女の子とチョメチョメしたり極悪漢を一撃でブッ倒したり夜な夜な悪の組織と死闘を演じたり出来るワケだろ? 俺はもう、燃えに燃えたね。その時は。 大学に居た間は、実家のある辺湖市で活動していた。 「猫」のおっちゃんや地元の都市伝説や俺みたいな「契約者」のたむろしてるグループに飛び込んでみたり、 自発的に夜間パトロールとかやってみたり。 ところがさ、事件らしい事件が起きないワケよ。全くと言っていいほど。 しかも、俺の入ったグループの連中ってのが、争いは御免とばかりの超穏健集団でドンパチは他所でやれと言いやがる。 もうね、馬鹿かと。阿呆かと。 都市伝説と契約した以上、能力をフルに使わねえと意味が無いだろがって話よ。 んで「猫」のおっちゃん曰く「隣町には血の気の多い都市伝説どもが跋扈してるから其処へ行ったらどうだ」との事なので 大学卒業を機に実家を飛び出し、隣町、つまり「学校町」に移り住んだ。今から一年半程前の話だ。 「学校町」に来てからはバイト掛け持ちしつつ、一年くらいは情報収集に徹したね。 この間は暴れまわったりはしていない。いや、情報収集はマジで重要。 色々分かって来た事だが、まず「学校町」は都市伝説の個体数が辺湖の比じゃない。 さらには、色々な勢力がひしめき合って、かなり混沌とした状態になっている。無秩序ってヤツだろうか。 しかも、半端無く強い「契約者」どもが幅を利かせてるようで、こんな状況の中にノコノコ踊り出たなら即刻消されちまう。 だが、俺は思ったね。影でコソコソしてんのも中々悪くない、と。 これだけ強い連中がワンサカ居る中で、気付かれない様に過ごすスリル。 都市伝説が蔓延る夜の闇に紛れて、探究心をくすぐるソウル。 まさにゾクゾク来るじゃねえかと。 俺が具体的に動き出したのは、今年の五月辺りからだ。その頃から《夢の国》とかいう都市伝説が俺の耳にも入り始めていた。 そして、話は飛んで秋祭りの前。 近々、《夢の国》が派手に暴れるという情報を掴み、強大な都市伝説相手に闘うか逃げるか考えあぐねていた時だ。 念願の、「スパニッシュフライ」が、しかも、大群で出現した。 「スパニッシュフライ」は前々から狙っていた都市伝説だ。 コイツは使い道によっちゃ、女の子とチョメチョメどころか大金にも化けるシロモノだ。 みすみす見逃す手は無い。 粘り強い探索の末、遂に、西区の廃工場地帯で、スパニッシュフライの大群と相見えた俺は、 早速生け捕りにするべく、ケムトレイルを吹き飛ばしたワケだ。スパニッシュフライの大群に向かって。 ところが、だ。 スパニッシュフライは、当初俺が予想していたように、昏睡状態に陥って地面に落ちる【のではなく】、 何というか、【興奮した】というべきか、【凶暴化した】というべきか……。 兎に角、【活性化して襲いかかって来た】ってワケだ。そして、話は先の絶叫に繋がるってこった。 「クソッ、何だか色々マズい気がするぜ!」 全力疾走する俺の後ろからは、沢山の不気味な羽音が迫って来る。 やろうと思えば全身を「雲化」した状態になれば、追いつかれても無問題なのだが、 ケムトレイルの影響で更に活性化しそうだし、何よりあの大群に突っ込まれるのはたとえ「雲化」した状態でも御免だ。 追いつかれたら、ヤバい。俺の本能が、そう警告を発している。 廃工場が立ち並ぶ中を右に折れ、建物の中に入り、階を上がっては、外へ飛び下り、左に折れて。 ――何て奴らだ! まだ追ってきやがる!! 次の曲がり角を折れた所で、絶句した。マズい、行き止まりだ! 「どうする、どうする俺!!」 羽音はこちらの状況にお構いなく迫って来る。逃げ道は、何処かに逃げ道は――あ。 俺の今まさに踏んでいるのは、下水渠への格子蓋じゃないか。 こ れ だ。 顔を上げれば、曲がり角から姿を現したスパニッシュフライの大群がこっちに突っ込んで来る。 俺は、「全身を雲化」して、一気に【沈み込んだ】!! 「……間に、会ったか!?」 どうやら、セーフらしい。下水渠の下部へ侵入した俺は、数メートル上にある格子蓋を挟んで唸りを上げている羽虫の大群を睨みつけた。 いや待て。奴ら、格子蓋の間から入り込んで来やがった!? 「うおッ、マズッ!!」 俺は「雲化」した状態のまま、下水の流れる方向へと疾走を再開した。 * 「グブッ、ゴホッゴホ」 スパニッシュフライから逃れるために疾走していたが、何時の間にか下水の激流に身体毎持っていかれていた。 下水に流され、どの位の時間が経過しただろうか。唐突に、暗闇から光溢れる世界へと投げ出される。 大きな音と共に、着水。 「ゴホッ、んだよ、此処は。川か何かか?」 両側がコンクリートの壁で、その間を俺は流されてゆく。見上げれば、眩しいまでの青が拡がっている。 出し抜けに視界が暗くなった。橋が架かっている所まで流され、その影に入ったのだ。 「ハア、災難だったな」 壁へと捕まって、排水用だか知らんが小さな塩ビ製のパイプの覗いている穴に器用に手足を突っ込み、壁を登る。 ッたく、スパニッシュフライを生け捕る筈が、その大群に追いかけられるは、ズブ濡れになるは、何やら妙な臭いはするはで、今日は厄日か? 辺りを見回せば、どうやら「学校町」の端、南区と隣町の境目まで流されたようだ。 「うええ、西区から南区まで流されて来たのかよ……」 一旦アパートに戻って、風呂に入ろう。いや、スーパー銭湯に行こう。このまま戻りたくない。 「ちっきしょお、覚えてろ淫乱黒焦げスパニッシュめ……」 えっぎし、とクシャミを一つ。このままじゃ風邪ひいちまうな、と俺はその場を立ち去ろうとして――。 車のハザードをすぐ背後で聞いた。 え、と振り返ってみれば、眼前に青いトラックが迫っている。 何、ひょっとして俺、マズくない? 直後、物凄い衝撃が俺を襲う。そして、俺の意識は闇の中へ、や、闇の、な、か……へ……。 * 「うあっちゃあ、アレ大丈夫かなあ?」 駄菓子屋の前に突っ立っている黒服Iは、車道の向こうにある橋を眺めている。 救急車とパトカーが数台、橋の上に止まっている。 見ている内に車中へ担架が収納され、間もなくサイレンを響かせながら走りだした。 後に残ったのは、青いトラックとその運転手らしき男性、その男性に事情聴取をおこなっている警察官数名だ。 バイクや自転車が転がっていないのを見るに、歩行者を轢いてしまったらしい。 「うーん、無事でありますよーに」 走り去る救急車に向かって、咄嗟に合掌のポーズを取る。 南区の"巡廻"を終えた黒服Iは、遅い昼食兼お八つを買うべく、行きつけの駄菓子屋へと向かっていたのだが 交通事故の現場に遭遇したために、心持ち複雑な気分だ。 駄菓子屋に入ると、早速店主のお婆さんが話しかけてくる。何処か興奮しているようだ。 「アンタ、今しがた其処で交通事故があったんだよ」 「ええ、救急車が走り去るトコ見ましたよ。無事だといいですね」 「ああ、あれはアタシが呼んだのさ。ヒヒ」 この駄菓子屋は狭い。六畳程度の店内に駄菓子やら雑貨やらが所狭しと並んでいる。 黒服は棚からクリームパンを一つ取り、出入り口側の壁に備え付けられた冷蔵庫から冷えた瓶入りコーヒー牛乳を取りだす。 クリームパンとコーヒー牛乳は、この駄菓子屋で彼がよく買う組み合わせだ。 「死んだんならニュースでやるだろ、ニュースで」 「……縁起でも無い事、言わないで下さいよ」 興奮した店主にげんなりしながらも、代金を渡し駄菓子屋を後にする。 「死んだら化けて出るだろおおおおなああ、『姉っ子橋の幽霊』ってなあああ」 追ってくる婆さんの声は凄く楽しそうだ。 ますますげんなりしながらも、出入り口脇のゴミ箱に剥いだ瓶の蓋を捨てる。 あの橋――正式名称『祈りの橋』、通称『姉っ子橋』の向こう側は、辺湖市「新町」である。 言わばこの橋は、「学校町」と「新町」を結ぶ点の一つだ。 黒服のルーチンは、午前は「学校町」南区の"巡廻"を、 そしてそれが終われば辺湖市「新町」の"巡廻"及び辺湖市在住の『担当者』に会う、という事になっている。 今日も今日とて、彼はあの橋を通って「新町」へと行くのである。しかし。 「……ご飯食べてからでもいいですよね」 橋の上は警察による事情聴取のために通行止めとなっている。取り調べはそう簡単には終わらないだろう。 もしかすると、遠回りをして辺湖市に行かなければならないかもしれない。 普段は歩きながら食べる黒服だが、今日は橋の方を眺めながら食事を取る事にした。 駄菓子屋の前で、コーヒー牛乳をちびちび飲みながらクリームパンにパクついていると、携帯の着信音が鳴った。 黒服の持つこの携帯。普段は電話が掛って来る事など殆ど無い。むしろ、黒服から方々に掛ける事が多い。 尤も、重要な時に限って通話中や電波の不調等で相手に繋がらない事が多いのだが。 スーツから引っ張り出し、通話相手を確認する。――上司からだ。 「あい、もしもし。"I"です」 「インソ君、今何処に居る?」 「がっこーちょーみなみくの駄菓子屋前で、ご飯食べてます」 「てコトは、今から「新町」の"巡廻"か?」 「ええ、これから廻るんですけど。……何かありました?」 何処か含みのある上司の声色に、彼はこちらから直接問うた。 「察しがいいな。つい先程"X"から連絡があってね。 どうやら《夢の国》絡みで《イルミナティ》が上層部に挑発を仕掛けてきたらしいんだ。 今は、上層部の重役が向こう側の相手をしているらしいんだが……」 「……何でまた」 《イルミナティ》とは、辺湖に「特務分室」を置いているという『結社』の一つ、らしい。 彼らと《組織》の上層部とは何らかの不和があるらしく、 《組織》の黒服が辺湖内で全くと言っていい程に活動していないのは、こういった事情に由来する、らしい。 ――こうも歯切れ悪いのは、実の所、黒服Iとその上司、 「辺境」のスタッフがこういった事実を知らされたのがつい先日の事だったからだ。 「んな事あたしが知るかい。兎に角、インソ君はこの件のほとぼりが冷めるまで辺湖には入らない方がいいって話だ。 こっちに戻っといで」 「事情がよく分かりませんが、分かりました」 「《夢の国》戦の前に、こんな厄介事ふっ掛けてくる辺り、奴さんらも《組織》に圧力かけて楽しんでるんだろうさ。 さて、その《夢の国》の件で結構な数の書類仕事が舞い込んできてるよ。早いトコ片づけちまお」 「りょーかいです」 んじゃそゆことで、と通話が切られた。 「……《夢の国》かあ」 携帯をしまいながら独りごちる。 過去に一度、『担当者』やその仲間達と一緒に《夢の国》を目撃した事がある。 当時は幸いにして、《夢の国》はただ歩いているだけで犠牲者を出していた訳では無かったために 直接対峙するという事態に至らずに済んだ。 しかし、今回は違う。 近い内《夢の国》と全面的に激突する事になる。 前回のようには、いかないのだ。 「……何としてでも次郎さん達とコンタクト取らなきゃなりませんね」 《夢の国》が暴れ出した時、「学校町」のみならず辺湖も無傷で済むはずが無い。 しかし、最悪の事態を招くような事は、絶対にあってはならないのだ。 「でも今はしっかり腹ごしらえ、と」 黒服は決意新たに、気合いを入れてクリームパンにがぶりついた。 おわる 前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ
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占い愛好会の日常 06 「…………ふむ」 既に使われていない空家の一つ。 その目の前の電柱に、一人の老人が腰かけていた。 工事の際に足場となる杭に尻を乗せ、眼下の空家を眺めている。 老人を追っていただろう黒服が中へと踏み込んでから十分。 建物の中からは何の音もしない。 「……つまらんの」 隙を見て女の黒服の乳でも揉んでやろうかと策を練っていた老人は、退屈そうに足をプラプラとさせる。 家屋の中で何が起こっているのか、外からでは分からない。 しかし何かが起こっているだろうことは、老人にも推察できた。 黒服が入る前には微弱ながらも空家から漏れていた気配が、今はほとんど消えている。 つまり、今まで張っていた結界を、侵入者が出た事により強化したのだろう。 そしてそれは、黒服が中でどうなったのかを容易に想像させた。 もし勝利したのなら、結界が強化されるはずもない。 恐らく黒服は捕縛されたか、殺されでもしたのだろう。 「今悪事を働こうとしておる者は悪魔の囁きだけじゃと思っていたが……」 面倒くさそうに、老人が呟く。 愛好会のメンバーに被害が出るような状況は出来るだけ避けたい。 不穏な因子は、取り除くに限るのだが、 「敵戦力は未知数じゃからの」 老人は、強い。 それは一つの事実だ。 しかし、彼より強い都市伝説など、それこそ星の数ほどいるだろう。 例えば、遥か昔から神話として語られるような存在。 例えば、実体そのものがない存在。 中国における最古の都市伝説であっても、それらに太刀打ちする事は難しい。 「…………さて」 まずはあの家屋に潜む都市伝説について調べなければならない。 逃げだしておいて今更帰り辛いが、愛好会のメンバーを動員すればある程度の情報は集まるだろう。 老人は静かに、その場を離れようとして 「…………む」 ふと、一人の女性が眼下の道、その100メートル程先を歩いているのを発見した。 タイトなスーツに身を包んだその女性は、老人好みのナイスバディである。 「…………ふむ」 老人の頭の中で、女と眼下の家屋内にいる都市伝説の存在が天秤にかけられる。 それは一瞬の拮抗もなく、女に大きく傾いた。 「……ほっほっほ」 黒服の一人が殺されているのだ。 その原因である眼下の家屋についても、組織が勝手に調査でもするだろう。 老人はそう己に納得させて、電柱から飛んだ。 彼にとっての生きがいは、エロス。 一度それを目の前にしてしまえば、老人の目からそれ以外の要因は簡単に消え去る。 「ほっほっほ」 暗い夜道に、老人の笑い声が響き渡った。 【終】 前ページ 表紙に戻る 次ページ
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「コーク・ロアに支配された人間が、なぁ」 適当に獲物を物色した帰り、マッドガッサーは似非関西弁の女性と合流し、並んで歩いていた 時刻は、そろそろ深夜を回る こんな時刻に、ガスマスクの男が若い女性と並んで歩いていても通報されなこの街は、本当にありがたい 「爆やんも、二回くらい襲われとるやん?相当数が増えとるんちゃう?」 「…支配型で、支配している対象を増やしてるんだよな?だとしたら、あいつが狙われたのは完全に能力目当てだろ。コーク・ロアの能力で支配された状態でも、契約している都市伝説の能力は使えるからな」 …やはり、この街は危険か? いや、だが、同時にここまで動きやすい街はない ここを逃さない手はないのだ ……それに、魔女の一撃の契約者は、この街に住んでいるとある対象に、異様に執着している そっちの目的が叶うまでは、この街にいたいところだが… 「………だとしても、やばいかね?」 「…ヤバイんちゃう?」 …気配が 二人に、ゆっくりと近づいてきていた ざわざわと、何かが近づいてくる感覚 「…走るぞっ!」 「りょーかいっ!」 言うが早いか、二人は駆け出す しゅるしゅると、背後から迫ってきていた気配が、途端に隠す事をやめた 漆黒の闇の中、黒いそれが迫ってくる 「げ、この髪は…………うぉわっ!?」 「んみゃっ!?」 しゅるり 髪は、何時の間にか、二人の真正面からも迫ってきていて あっと言う間に、二人の体を絡めとった 「-------っ!!」 ごがっ!! 「マッドはん!?」 マッドガッサーの体が、塀に叩きつけられる その衝撃で、からんっ、と……被っていたガスマスクが、落ちた 「おや、こりゃまた……随分と、可愛らしい顔してたんだな」 すたん、と 塀の上に降りる影…髪をわさわさと不気味に伸ばす、黒服 「ってめ……」 「よぉ、また会ったな」 ニヤリ、その黒服はマッドガッサーを見下ろして笑った 髪は、完全にマッドガッサーと似非関西弁の女性を束縛し、その動きを封じている 「あー、そんなに睨むなや。殺すんじゃなくて、お持ち帰りするよう言われてんだから……生け捕りとか、そう言う方針で行くならいくで、もっと早く決めとけってのな」 「生け捕りて……マッドはんに何する気や!?」 「さぁ?俺は聞かされてないし、っつか、具体的には聞きたくねぇや」 似非関西弁の女性の言葉に、その黒服は肩をすくめてみせた …生け捕りにしたマッドガッサーを、「組織」はどうするつもりなのか? 正直、考えたくもない 突然変異の個体、その特殊な研究対象を、「組織」がどうするか…考えなくとも、大体想像はつく 「…そう言や、マッドガッサーは生け捕りにしろって言われてっけど、その仲間に付いては指定受けてないな…どうすっかねぇ」 「!」 黒服が何気なく呟いたその言葉に、ぴくり、マッドガッサーが反応したように見えた …そうだ、マッドガッサーの仲間については、何も指示が出されていない つまりは、処分しろと言う事なのだろうな、と黒服は考えた 特に、「13階段」に対しては、そうなのだろう 「組織」の裏切り者で、しかも、あんまりよろしくない…今ではもうなかった事にされている計画の、生き証人のようなものだ 見つけ次第始末しろ、といわれてもおかしくない …個人的に、ちょっと可愛がった事もある対象だから、自分が「13階段」を追う事にはなりたくないものだ、黒服はそう考えていた ついでに……今、捕まえている似非関西弁の女性 そっちも、始末は勿体無いよなぁ さて、どうにかならないものか 考えていて……マッドガッサーが自分を睨みつけている事に、黒服は気づいた 「---っは、いいね、その目。人を殺した事がある奴の、殺意交じりの眼差し、ってか?」 はっきりとした、敵意、殺意 自分の大切なものを護ろうと言う、獣の目 今のマッドガッサーの眼差しは、そう言う目だった 「仲間が大切か?…………都市伝説の癖に、契約者でもない人間と仲良く、とは珍しいもんだ」 「お前だって、都市伝説だろうが」 「あぁ、そうだよ?」 そうだ、自分も、都市伝説だ くっく、と黒服は笑う 「元人間の…都市伝説に飲み込まれて、都市伝説と言う化け物になっちまった存在だよ?」 すたん、と塀から降りて、マッドガッサーに近づく 髪によって動きを束縛され、しかし、マッドガッサーは鋭く黒服を睨み続けていた …かつて、殺戮を行った経験がある者の、殺意の眼差し それを、黒服は真正面から受け止める 「どうせ、都市伝説なんざ、人間から見りゃあ化け物だ。そんな化け物と契約してくれる人間だって希少だってのに……その化け物と、契約もしてないのに、一緒に行動するような人間がいるなんてな。どんな手を使ったんだか」 「…ッマッドはんの事、悪く言わんといてや!」 あぁ、随分と慕われているじゃないか 都市伝説の癖に、化け物の癖に 俺はうまくいかなかったってのに、こいつはうまくいきそうだってかい? ……気に食わないねぇ? 「まぁ、そう言いなさんなや?……今、俺はあんたらの命を握ってる状態なんだぜ?」 「……彼女だけでも、放せ」 黒服を睨みつけたまま、マッドガッサーが低い声で告げてくる 完全に動きを束縛された何もできない状態だと言うのに、それでも護ろうとでも言うのか? 「嫌だ、って言ったら、お前さんはどうする?」 「…そう、だな」 …ぎりっ、と 束縛された腕を、マッドガッサーは無理矢理動かそうとする 無駄なことを 黒服は、マッドガッサーを束縛する力を強めていく 「無理に動かすと、腕が引きちぎれるぜ?」 「…マッドはん!」 ぎり、ぎり……と マッドガッサーが動かそうとするその腕を、束縛し続ける ……しかし 「-------っ、う、ぁ」 「っ!」 ぶちり 束縛していた黒服の髪を、半ば引きちぎるように…その腕に髪を食い込ませ、肉を、骨を切らせ出血しながら…マッドガッサーは、無理矢理に右腕をうごかした その指を、口元まで運んで ぴぃいいいいいいいい…………----------------- 高い、口笛の音が、周囲に響き渡った ひゅうっ、と 風の音が、辺りに響いて 直後、激風が黒服に襲い掛かった 「っく……!?」 立つ事すらままならない、激風 まるで、竜巻が自分の場所にピンポイントで直撃してきたかのようなその風に、黒服は体勢を崩した その拍子に、マッドガッサーと似非関西弁の女性を束縛していた髪の力が、緩む 叫び声のような、何かの鳴き声が、風の音に混じって響く 再び襲い掛かってきた激風に、黒服は体を飛ばされ、塀に体を叩きつけられた 直後、目の前を…何か、巨大な、巨大な 鳥のような生き物が、通り過ぎていったのを、確認する 「ぐ……くそ、何だってんだ…?」 …風が、やんで マッドガッサーの姿も、似非関西弁の女性の姿も、消えていた 残っているのは、引きちぎられた髪の毛と……マッドガッサーが流した血痕だけだ 「…まさか、さっきのが…例の、巨大都市伝説か…?くそ、マジでマッドガッサーの仲間かよ」 舌打ちする 事実を確認できたのはいいが…これは、やっかいだ 今回は逃走に使用したようだが、あれに暴れられては洒落にならない 流石に、報告するしかないだろう 黒服はため息をついて、懐から携帯を取り出した 「怪我はないか?」 「うちは平気や…それより、マッドはん、腕」 「都市伝説だから平気だよ。後でジャッカロープの乳でも分けてもらうさ」 ぶらり、半ば使い物にならなくなった腕をぶら下げつつ、マッドガッサーは似非関西弁の女性にそう答える 彼女に怪我がなかった事実に、酷くほっとしている自身に、マッドガッサーは気づいていた 「なぁ、アレが、ひょっとして前に話とった秘密兵器?」 「あぁ。あいつがいりゃあ、いざとなりゃどこにでも逃げれるぞ」 「って、逃げる専用かいっ!?」 「約束なんだよ、荒事には手を出させないっつぅ」 ばさり 二人を逃がしたその巨大な存在は、翼をはばたかせ、高く、高く飛び上がっていっている それは、軽く見積もっても軽飛行機くらいの、巨大な存在 これがヘタに暴れれば、何がおきるかわかったものではないし…それこそ、本格的にあちこちの組織に目をつけられる 「マッドはん?…考え込むのもええけど、まずは早よ教会に入って治療しよや?」 「ん……あぁ」 …自分は、「組織」には生け捕りにされようとしている だが、仲間は…どうなるか、わからない それこそ、始末でもされかねない それを、改めて自覚する …だからと言って、今更計画を諦めるつもりもなく ……いや、半ば、その計画など、どうでもよくなってきているはずなのだが しかし、それを手放す気にもなれず 「…しばらく、潜むぞ」 「うん?……おおっぴらに動かん、って事?」 「あぁ、多少は動くが……ちまちまやっても、目をつけられていくだけだ…………一気に、やってやる」 それだけの知識を、自分は思い出している …この学校町を全体を、一気にガスで包み込んでやる その準備が、必要だ 「…後で、他の連中にも言うつもりだが………身を引きたくなったら、いつでも引けよ?俺がこれからやろうとしている事は成功するかどうかわからないし、何より…他の都市伝説契約者たちにかぎつけられたら、本格的に戦いになるだろうしな」 「……今更、何言うとるん」 苦笑してくる、似非関西弁の女性 …あぁ、本当に今更だな、と 感覚がなくなってきた右腕の事など忘れながら…マッドガッサーもまた苦笑したのだった to be … ? 前ページ次ページ連載 - マッドガッサーと愉快な仲間たち