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永久の力 01 ―その日、ついに存在し得なかったモノの存在が確認された。 その名は― 俺、坂上俊也は現在進行形で危機に直面していた。 人通りの少ない裏路地、近道だからとこんな所を通らなくてもよかったぜ… で、何が危機かというと、 「ガルァッ!!!」 …はい、思いっきり獣に襲われかけてます。2本足の狼、人狼って奴です。 「あんましこいつを使いたくはなかったけどな…」 俺がそう呟いてる間に、人狼の方は俺に向かってくる。そして俺の体を斬り裂こうというのか、鋭い爪の伸びた腕を振りかぶるが― 「ギャイン!!!」 人狼は俺とは反対方向に飛んでいく。 振りかぶった瞬間に、俺は懐から拳銃を取り出して狼野郎にぶっ放した。 ただし、これは普通の銃ではない。 "超電磁砲"(レールガン)。これが俺の契約した都市伝説だ。一応"~ガン"と付いているので、拳銃を媒体として使っている。 レールガンは、電磁誘導による反発を利用して物体を前に押し出す兵器の事だ。 分からない人の為に要約すると、リニアモーターカーとか、どっかのロボットアニメに出てくるリニアカタパルトとかそんな感じである。 細かい事は、"とある科学の超電磁砲"か"とある魔術の禁書目録"でも読んでくれ。 理論的には実現可能なのだが、現代の科学力では常温超伝導技術等がまだ未発達のため実現不可能なのだ。 もし実現したら、という一種のifが都市伝説"超電磁砲"を生みだしたのかもしれない。 おっと、長ったらしい説明の間に狼野郎が起きだした。 間髪いれずに俺は"超電磁砲"を連射する。 しかし、当たる前に避けられてしまう。当たった場所はクレーターやら風穴になっていた。外すとこうなるから俺は嫌だったのだ。 「…チッ!やっぱし素早いな、狼だけあって」 決定打を当てられぬままただ時間だけが過ぎていく。 ちなみにこの"超電磁砲"、電力消費が激しい。しかも、消費する電力は今の所は俺自身の摂取カロリーなので、不謹慎ながら腹減った… 体力が限界になりかけて、狼野郎が俺に襲いかかる!その時― 狼野郎に閃光が走る。ヤツの眼前で"超電磁砲"をぶっ放したのだ。黒焦げになり、そして消えゆく人狼。 一度は尽きかけた俺の体力だったが、もう一つの都市伝説の発動で事なきを得た。 ―都市伝説"永久機関"。俺の契約する2つ目の都市伝説だ。 能力としては大きく分けて2種類ある。 1つは"第一種永久機関"、即ち「仕事」や熱量の受け取り無しに無限にエネルギーを生成し続ける、というものである。 もう1つは"第二種永久機関"、即ち熱効率100%の熱機関の生成。 かなり噛み砕いて要約すれば、「仕事」によって得られたエネルギーをそっくりそのまま回収するというものだ。 しかし、この"永久機関"は、物理学の観念からいえば存在するはずのないものである。 エネルギーを全て仕事に変える、という事は即ち、低温状態の物質が外的要因なしに高温状態へと遷移する、と言うことである。 これはトムソンの法則やクラジウスの法則等において不可能とされている。 つまり、"第二種永久機関"は実在する事はない。また、"第一種永久機関"はエネルギーの保存則が成り立たないために存在しない。 そう、本来は"永久機関"など存在しないのだ。 これもまた、もしも存在したらというifがこの都市伝説を生みだしたのかもしれない。 先程は"第一種永久機関"を発動して得たエネルギーを電力に変換して"超電磁砲"をぶっ放した。 「…相手が悪かったな、狼さんよ。」 そう言って俺はその場から立ち去る。 前ページ次ページ連載 - 永久の力
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三面鏡の少女 33 冬休みも明けたある日の事 いつも通り騒がしい教室の隅の席で、静かに本を読んでる三面鏡の少女 中学から付き合いがある友人は学校内に何人かいるが、高校に入ってから積極的に友達を作ってはいない 都市伝説同士は引かれ合う 事実、それまで全く縁の無かった都市伝説事件が、自らが契約者となってからはそれなりの頻度で起こるようになったからだ 彼女自身が巻き込まれた場合は、黒服Hが裏で立ち回り知らぬ間に解決している事も多いのだが 深くもなくかといって疎遠という程でもない、友人という間柄が目も手も届かなく一番危険だと思うようになっていた だから彼女は、都市伝説に関わりの無い友人を作りたがらないのだ そんな事を知ってか知らずか、彼女の担当である黒服Hは彼女を都市伝説契約者に積極的に関わらせようとしなかった 元より何かに長けた能力があるわけではないので、無闇に関わらせても危険があるだけなので当然の判断ではあるのだが 「逢瀬、ちょっといいか?」 「ふぇ!? ご、ごごご獄門寺くん!?」 少女はその声に聞き覚えがあった あらかさまに動揺し、机に膝をぶつけ本を落としそれを拾おうとして椅子から転げ落ちそうになる 「いや、そういう反応をされても困るんだが」 「あ、あはは、そうだよね? うん、き、気を付ける」 「それより、ちょっといいか? 話したい事があるんだが」 「あ、うん。何かな」 「正月の時の件なんだが」 少女はごしゃんと音を立てて、椅子ごと転がった 「大丈夫か?」 「あ、あはは、うん、大丈夫大丈夫」 打ち付けた額を赤くしながら、転げた椅子を起こし立ち上がる少女 「教室で話すのも難な内容だし、ちょっと場所を変えていいか?」 「うん、できればあたしもそうして貰った方が助かるかも」 じんわりと頬を赤らめ、声を抑えて周囲の様子を窺いながらこくこくと頷き 二人は休み時間の喧騒の中、教室を出て行った 二人の気配が遠ざかっていったのを確認して、それまで無関心を装っていた5~6の男子連中がざざっと一箇所に集まってくる 「おい、獄門寺って委員長と仲良くなかったっけ?」 「妹も可愛いんだよなあいつ」 「小学生ぐらいの子とよく一緒にいるのを見掛けるぞ」 「中学生の子じゃなくてか?」 「それが妹だろ?」 「小鳥遊とも最近親しげだな」 「それでいて逢瀬にも手を出すつもりか」 「しかも何か満更でもなさそうなあのリアクションは何だ」 「あんな逢瀬、初めて見たぞ俺」 「……ちょっと待て。小鳥遊って確か男だろあいつ」 「バカだなお前、あんな可愛い子が女の子のはずないだろ」 「それもそうか」 「待て、お前ら色々と待て。ツッコんでいいところかそこは」 「ああ、かなりツッコミたいな」 「むしろツッコまれてもいいな」 「よしお前ら心の病院行ってこい。脳の病院でもいいぞ」 「そうだぞ、男はもっと筋肉質であるべきだ。そういえばこないだ公園で実に良い男と出会ってだな」 「お前も病院行ってこい」 ――― 「あの、お正月の時の話って……えーと、アレ自体は色々と誤解があると思うんだけど」 「いや、趣味は人それぞれだしそれは問題じゃないんだが」 「問題だよ!? 誤解されっ放しなの!? あの時も目一杯説明したよね!?」 「あの時は特殊なプレイ中だったわけじゃないって言い訳が中心で、事情は説明されてなかったからな」 「いや、その……えーと……」 「あの時は気のせいか、あの黒服のせいだと思ってたんだが」 ひょこりと獄門寺の陰から顔を出す、小さな女の子――花子さん 「みー、やっぱり蛇さんなのですよ。『トイレから出てくる下水蛇』に似てるのです」 「にゃ? その子って……たまに教室に入ってきてたりしたけど」 「花子さんに気が付いてるって事は、都市伝説絡みだと確定か」 困ったような、呆れたようなそんな口調 「花子さんって……獄門寺くん、もしかして都市伝説とか詳しい?」 「そう聞いてくるという事は、都市伝説について説明はいらないな。俺は……詳しいというか、この花子さんと契約してる」 「けーやくしゃなのです」 にぱーと笑う花子さんに、思わず微笑み返しをする少女 「それはともかくとしてだ。正月に一体何があったんだ? もしかしてあの時の黒服のせいか」 「うーん、話せば長くなりそうなんだけど……」 ちらりと視線を腕時計に落とす少女に、つられて獄門寺も時計を見る 「休み時間終わりそう」 「それじゃ続きは放課後だな。用事とかはあるか?」 「ううん、別にこれといっては無いけど……獄門寺くんはいいの?」 「構わない。周りにある面倒事は、ややこしい事になる前に解決しておきたい性分なんだ」 「ん、わかった。でも経緯はめんどくさいけど、そんな大事じゃないからね?」 暗に心配しないでと言っているとすぐに理解し、とりあえず頷いて返しておく 「それじゃ、教室戻ろっか。花子さん、またねー」 笑顔で手を振る少女と、嬉しそうに手を振り返す花子さん 「……大人しい奴だと思ってたけど、結構テンション高い方なんだな、逢瀬」 「そ、そんなにテンション高いかな!? 騒がしかったらごめんね!?」 「普段が普段だから、まあ少し驚いたな」 「うう、誤解が解ければこんなノリにならなくて済むのにー」 前ページ次ページ連載 - 三面鏡の少女
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「……お前は、何を企んでいたんだ」 在処が、現在のK-No,0……影守蔵人を訓練中に爆破して自分を推薦するつもりであった、と それを聞いて、龍一は小さくため息を付きながら、そう在処に問うた 龍一のその問いに、在処はきょとん、と答える 「さっき言った通りですよ。龍一さんをK-No,0に推薦しようとですね」 「………「組」の仕事で手一杯だ。推薦されても俺は断る」 えー、と不満そうな声を在処はあげてきたが、実際、高校卒業後に実家の家業を継いでいる龍一としては、「組」の仕事で手一杯であり「組織」の一員となりその仕事をやれ、と言われても不可能だ 少なくとも、龍一自身はそのように考えている 人間社会の中での「組」の仕事と、自分が継いでからは都市伝説絡みの問題も扱うようになった故、「獄門寺組」としての仕事は増えており、自然とその組長たる龍一の仕事も増えている よその組織の仕事まで付き合う事は出来ないし、そもそも「組織」に手を貸す義理もない 「大門 大樹さん辺りに協力要請されたら、手伝ったりしているじゃないですか」 「……こちらとしても見逃せない件が多いからだ。こちらの仕事にも関わるし。あの人個人には、あまり悪い印象もない」 筆を動かしながら、返事を返す あの苦労人からの頼まれ事は、どうにも無碍にする気にはなれない ……こちらも絡んでいる件での頼まれ事である事例が多いのも、また事実なのだし 確かに、と在処も頷いているので、その辺りは理解しているのだろう。理解しているふりと言う可能性も否定はできないが 「………ところで、龍一さん」 「何だ」 「さっきから、ずーーーっと書き物してますけど。何書いているんです?それも筆で」 じっ、とこちらの手元を見てくる そういえば、何をしているのかは説明していなかった気がする 「……式の招待状を書いていたが」 「式?」 「………俺と、お前の。結婚式だ」 …しばしの沈黙 きょとんとした表情をしていた在処だったが、ようやく脳へと(恐らく)正しく情報が行き渡ったのか、あ、と声を上げた 「あ、あぁ、そうですよね。式やるんですもんね………って、龍一さん、自分で招待状書いてたんですか。しかもパソコンじゃなくて手書き」 「……普通の知り合いはともかく、家として古くから付き合いがある相手にも出すものだからな」 効率が悪いと言われるかもしれないが、昔ながらのやり方を好む老人もいるということだ 「あまり、派手な式にするつもりはないが。それでも人数を呼ぶことになる。早いうちから書いておいた方がいいからな」 「龍一さん、夏休みの宿題とか早めにぱぱっと終わらせるタイプですしね」 …それは、関係あるのだろうか 在処からすれば、関係あることなのかもしれない 「まぁ、お家の付き合いやら、都市伝説関連の付き合いやら………私は親戚らしい親戚もいないのでほぼ龍一さんの知り合いと言うか、この獄門寺家の知り合いでしょうけど、結構な人数ですよね」 「……念の為言うが。都市伝説絡みと都市伝説絡みではない者とで、式は分けるぞ」 ……… ………………? 在処が「よくわからない」と言う顔をしている 伝わりにくい言い方をしてしまっただろうか 「……都市伝説と知っている者と、知らぬ者と。分けるからな。式は」 「え?…えーっと、んんん?」 「そうなるから、必然的に式を二回やる事になる」 「あ、あぁー、なるほど。やっとわかっt待ってください龍一さん」 「どうした」 「………二回、やるんですか?」 そうだ、と頷いてやる 先程そう告げたのだから、その通り以外の何でもないのだが 「本来なら、都市伝説関係者以外を招待する式は、北区の神社で執り行いたかったが………問い合わせてみたところ、少人数の式でなければ不可能なようで、諦めた。結婚報告の儀は予定通り北区の神社で行うつもりだが」 「それって、かなりお客さん呼ぶって事ですよね!?どれだけ人来るんですか!?」 「……獄門寺家と付き合いがある家の者や企業の社長もしくは重役だが…………あぁ、だから。朝比奈さんは都市伝説関係者以外の方の式で呼ぶことになるな。必然的に」 「あ、あの大魔王も呼ぶんですね」 その呼び方は止めておけ、と一応注意しておく 今後も、付き合いがある相手なのだからなおさらだ 「……朝比奈さんは、首塚の隠れ小島で式を行う、となると参加を嫌がりそうでもあるしな」 「はい、ストップです。龍一さん」 …………? 何か、問題となる発言をしただろうか そのようなつもりは、いっさいないのだが 「式を、どこでやるって?」 「首塚の隠れ小島だ。都市伝説関係者ばかりを呼ぶのだし、問題ないだろう」 「ありますよっ!?ってか、式はどこでやるとか、おもいっきりたった今初耳なんですが!?」 「……あぁ、たった今、話した」 ……ぺふん、と。在処が文机の上に突っ伏した 何故だ 「……ブライダルって、女が主役、だったような……」 「………花嫁衣装は、和装の範疇でお前に選ばせるが」 「ドレスじゃないのは確定なんだ!?」 「……着たいなら、お色直しの方で考えておく」 「やったー!でも、首塚の隠れ小島での式は確定なんですねー!!」 「…………他に。都市伝説関係者を一同に集めて式を行って問題なさそうな場所が思い当たるか?」 こちらの問いかけに、在処は黙りこむ いや、恐らく考え込んでいるのだろう それも、だいぶ苦戦している 「……ま、マッドガッサー逹の」 「却下された」 「すでに話通ってた!?うぅ、連中、仲間内の式はあそこの教会でやった癖に……」 「……集まる人数が違う」 なんだか、将門公が来るのを嫌がっていたのが主な理由だった気がするが気のせいだろう、恐らく 将門公がその場に現れてのプレッシャーその他は、多少わからないでもないが 「そして、龍一さん。先程スルーしたのですが、「結婚報告の儀」ってなんですか。式以外にも何かやるんですか?」 「…式や披露宴が終わってから、だな。それは。その際に説明しておく」 在処には悪いが、一気に全て伝えても混乱してしまう気がする こちらがそう考えていることを知ってか知らずか、在処はわかりましたー、と返事した後……再び、ぽってり、文机の上に突っ伏す 「……古くからの名家的お家への嫁入りって、なんか色々大変なんですね…」 …今更気づいたのか とうに、気づいていたとばかり思っていたのだが 一度、筆を止めて、在処へと視線を移す 「…どうしても、しがらみ等あるからな………めなら、嫁入りはやめておくか?」 「嫌です。何がなんでもこのまま嫁入りします」 そうか、と答えて、再び作業を再開した この家に嫁入りするのだから、この程度で引いてもらっては困る あまり困らせるつもりはないが、多少は頑張ってもらわなければ 後で、在処用にウェディングドレスのカタログも取り寄せてやらなければいけないな 続かない 前ページ連載 - 次世代の子供達
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「足売り婆さん」 やあ、久しぶり。娯楽遊だよ☆俺ってさ、部活系の話にしか出てないよね。一応契約者なのに。そうそう、最近この辺で都市伝説 を見たって情報が有るんだ。これって俺の出番だよね☆ 遊「この辺で出るって聞いたんだけどなぁ」 そんなことを言いながら歩いていると、お婆さんの声が聞こえた 「足は要らんかえー足は要らんかえー」 この声、この台詞。間違いなく『足売り婆さん』。足は要らんかと聞いてきて、要ると答えれば足を無理矢理付けられ、要らないと答えれば 足をとられる、と言うものである。 遊「足売り婆さんか。…いくよ、サーカス☆団!」 遊はそう言ってポケットからテントを取り出した。そしてそこから… 「団長~呼びました~?」玉乗りをしながらジャグリングするピエロが 「アンタ達、団長がお呼びよ!」「「ガウ!!」」熊やライオンを従える猛獣使いが 「団長」「あたし達に」「「お任せ下さい!!」」空中ブランコを華麗に操る男女が 「……がんばります」綱渡りをする男が、飛び出してきた。 遊「よし、今回のターゲットはそこにいる『足売り婆さん』だよ☆」 足婆「足は要らんのかえ?」 ピエ「そこにいるやつですね~」 猛獣「生憎、足なら間に合ってるわ」 足婆「要らんのなら…寄越せ!!!」 猛獣使いのその言葉に反応し、足売り婆さんが飛び掛ってくる。しかし、 ピエ「危ないですよ~婆さん」 その攻撃はピエロの大玉で阻まれてしまう 足婆「な……」 空中「僕たちの」「絆を」「「見せてあげる」」「よ!」「わ!」 空中ブランコの男女が足売り婆さんを高く飛ばす。 綱渡「……!」 綱渡りの男が棒で足売り婆を突き上げる 猛獣「レオ、あの火の輪を潜りなさい!」「ガルル!!」 猛獣使いに命令されたライオンが火の輪に飛び込む。…足売り婆を巻き込みながら 足婆「ぐ…熱い…焼けるぅ……!!」 当然、足売り婆の体は燃え上がる。 遊「よし。ここまですればもう動けないよね。さ、〈勧誘〉してやって☆」 ピエ「了解しました~」 遊がそう指示すると、ピエロたちは足売り婆を紐で結んだ。そしてピエロたちは目の前に不思議な穴 のようなものをつくり…そこに足売り婆を放り込んだ 遊「さ、これでお前も僕のサーカス団の仲間入りさ☆『サーカスは人拐い』…これが俺の契約した都市伝説だよ☆」 ピエロたちが放り込んだのは異空間にあるサーカスの楽屋。そこに入れられれば強制的にサーカス団の一員となるのだ。 遊「ふぁーあ。お前たち、もう戻っていいよ☆」 「「「「「では、お言葉に甘えて」」」」」「「ガウッ!」」 こうして娯楽遊の都市伝説退治が終わるのでした 続く
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[Mk,-,U,-,-,1/《フェイント》取得(Ct→8)] ☆☆☆☆ 《フェイント》の効果変更に伴い、割と使えるスキルになった。なったのだが、多用するにはコストが痛いというおなじみの問題がある。本当に必要な時まで温存することになるわけで、これは確かに切り札だ。 あとはまあ、一刻も早く《ストライクスロー》を使いたい人なんかに。 -- 灯 (2009-09-30 15 47 11) 名前 コメント
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光彦「よぅ正義、[明美(アケミ)]。元気にしていたか。」 駅から出ると、懐かしい声が聞こえる。そう、正義の父親、[黄昏光彦(ミツヒコ)]である。 正義「あ、お父さん!」 半年と軽く言うが、それも結構長い時間。正義は嬉しそうに父親に駆け寄った。 しかしいつかのように抱きつくでなく、ただ話しかけるだけ。そう、正義はもう中学生なのだ。もう子どもではない、という事らしい。 正義「お兄ちゃんとはどうだった?」 光彦「あぁ、飯は上手だったな。少なくとも、明美以上だな。」 明美「えぇ、ミツ、それは酷いんじゃない?」 大王「(いつまでこの会話は続くんだ?)」 少々長かった団欒も、ふいに正義の母の言葉で止まる。 明美「そろそろ家に行きましょうよ。足が疲れちゃった。」 光彦「まったく、親子の再会をじゃまするとは。」 明美「なによ。それなら私も裂邪と感動の再会をさせてよ。『ママぁー!』『裂邪ぁー!』って。」 正義「えー、お兄ちゃんはそんなんじゃないよ。」 約2名の笑いが起こったところで3人を、いや、【恐怖の大王】を含めて4人を乗せた車は走り出した。 大王「(思えば、俺が世界征服に乗り出せないのは、この両親の所為でもあるな。子ども思いで、明るくて。おかげで少年もこの始末か。)」 正義「そういえば、なんでお兄ちゃんは来なかったの?」 光彦「また散歩と言って出て行ったよ。よほど正義に会うのが恥ずかしいんだろうな。」 明美「いや、きっとこの綺麗な私に会うのが」 光彦「そういえば正義、学校はどうだったんだ?」 正義「楽しかったよ!あ、そういえば修学旅行のお土産まだだったね。あとで渡すよ。」 明美「もう、マサヨシまで無視?お母さん寂しいんですけどぉ。」 ―――なんだかんだで、これから正義が住む事になる家に着いた。 光彦「よし、じゃあ荷物を家に入れるか。」 正義「ねぇ、お兄ちゃん探しに行ってもいい?」 光彦「ん?別にいいが、なんでだ?」 正義「だってお土産、一緒に渡したいから。じゃあ行ってきまーす。」 明美「いってらっしゃーい。気をつけるのよ。」 光彦「(まぁ、大丈夫だろうな。)」 外へ出て少し経った頃に、大王が正義に話しかけてくる。 大王「少年。あんなやつに、プレゼントを渡すのか?」 正義「・・・別にいいじゃん。『罪を憎んで人を憎まず』って言うしさ。」 大王「煮込む煮込まないは分かったが、アメと鞭は大事だと思うぞ。俺なら良い事をしてから、だと思うが。」 正義「『悪い子だからあげない』って言っても逆に悪くなる方が多いよ。それより、『少年』って呼ぶのはもう止めてよ。」 大王「あぁ分かったよ、『少年』。」 正義「だから!もうボクは中学生だよ!子どもじゃないんだよ。」 大王「そう言っているうちは子どもだ。そうだな、俺が大人になったと認めた時に『少年』と呼ぶのを止めてやる。」 正義「うぅ、うん、分かった。でもどうやったら認めるんだよ?」 大王「無論、『幹部になったら』だ。」 正義「やっぱり大王には認めてもらわなくていい。まだ世界征服狙ってたのか。」 大王「(まったく、いつまで経っても少年は『少年』のままだな。)そういえば、何故『大王』なんだ?」 正義「え?大王は大王じゃん。」 大王「友やコインは『くん・ちゃん』付けだろ。なら俺は『大王様』、少なくとも『大王さん』じゃないのか?」 正義「えぇ、じゃあ大王が世界征服を諦めたら“バッサァァァ・・・”考えてあげても・・・。」 突如、目の前に謎の生物が現れた。都市伝説である事はすぐに分かる。 しかしゴミ袋かと思っていたら赤く光る目があり、蛾のような羽があり、さらに脚がある、というリアクションに困る姿をしているのだ。 いったい何の都市伝説なんだ?考えている暇もなく奴は急降下して攻撃をしようとしてくる。 ?都市伝説「・・・、喰、う。」 大王「・・・、戦うのみだな。」 正義「そうみたいだね。大王、いくよ!」 その言葉に反応し、大王が上空に黒雲を広げる。 大王「さて、何で行く?」 正義「んと、『槍の日』で行こう。あれなら避けられないはず。」 大王「なるほど、では行くか!」 黒雲にスパークが走り、大量の槍が降ってくる。まさに『槍の日』。しかしあの都市伝説は槍をするすると避けていく。 大王「これを避けるとは、なかなかだな。」 正義「でも、これならどう!?」 正義はおもむろに降ってくる槍の1つを手に取り、敵へと投げつける。 正義「(上に気を取られている隙に横から来る、下手に避ければ上の攻撃に当たる。これを避けられるか?)」 正義の作戦さえも、あの都市伝説は軽く避けてしまう。遂に雲の外に出てしまった。 大王「くっ!想像より速いようだな。もっと量が多ければ避けられんだろうが、修行不足か。」 不意に向こう側、おそらく槍を投げた方向から、悲鳴のような叫びが聞こえる。 大王「ん?さっきの槍が通行人にでも当たったか?」 裂邪「正義ィ!お前か!?こんな所で槍投げんな!」 その声は、どう聞いても正義の兄、裂邪の声だった。その声に正義が反応するが、 ?都市伝説「あ゛、さっきの・・・。」 正義「あ、お兄ちゃんいたのッ、って増えてるゥ?!」 声の方を向くと、裂邪の後に都市伝説と思わしきものがシェイドの他に3体ほどいた。 正確には火の玉、謎の小動物、あと正義が反応している事から、おそらくあの小学校高学年ほどの少女も都市伝説だろうか。 裂邪「無視すんな!まぁいい、そこの【モスマン】もろとも―――」 ?小動物「なぁ主、あのおっさんは誰バク?」 大王「(まさか更に契約したというのか?それともあの少女も契約者なのか?って)『おっさん』?!」 シェイド「アイツカ?【恐怖の大王】ダ。」 ?都市伝説×3「えッ!?【恐怖の大王】ッ?!」 大王の正体を知ると突然、あの3体が慌てふためきだした。何故かは黄昏兄弟とシェイド、大王も分からなかった。 大王「ん?俺はそんなに有名なのか?」 正義「コインちゃんも知ってたからね。最近生まれた都市伝説は知っている、とかかな。」 シェイド「落チ着ケ。契約者ニ恵マレズ、今デハタダノ『おっさん』ダ。」 大王「だから何故『おっさん』なんだ!?」 相手にされないのでつまらなくなったのか、急にあの【モスマン】という都市伝説が裂邪に向けて目からビームを放つ。 裂邪「あっつぅ!」 正義「お兄ちゃん!」 大王「目からビーム、か。少々厄介だな。」 モスマン「・・・、腹、減った・・・。」 裂邪「チックショウ、モスラかよ!シェイド![バク]![ウィル]!」 その命令に反応し、シェイドは長い爪のような姿に変形して裂邪の右手に付き、[バク]と呼ばれる小動物は熊ぐらい大きさのキメラのような姿に変身し、 [ウィル]と呼ばれる火の玉は急に増え、1列に連なり鞭のようになって左手に付いた。 正義「かっこいい・・・。」 大王「言うと思った。いいから戦うぞ!」 正義「分かった。大王、変身だ!」 大王「無茶を言うな!行くぞ。」 そう言うと、黒雲から剣が2本降ってくる。大王は普通に手に取り、正義は手にとってから、すぐに【モスマン】に向かって行った。 正義「てりゃあぁぁ!」 【モスマン】はゆっくりと、上へ飛翔していった。「あ。」という声は既に遅く、“ゴンッ”という鈍い音が鳴る。 向こう側からやってきた裂邪に正義がぶつかって、尻餅をついた。正義は涙目になりながら打ったところを撫でていた。 裂邪「ッつったぁ~!正義!どこ見てやがる!?」 正義「もう!策もなしに突っ込んできて!」 裂邪「バカか!俺はお前と違って大人なんだ!何の考えもなしに敵に突っ込むかバーカ!どうせお前はこの1年間なんの成長もしていないんだろ!? 俺がいなくなった後も都市伝説に説教かまして、彼女とイチャイチャしてたんだろ?!」 正義「成長したよ!もうボクは中学生だよ!?それに説教は大事な事だし、ボクには彼女なんていないし!」 大王「・・・、やっぱり、子どもだよな。特に兄の方が。」ボソッ 空腹で苛立っているのか、【モスマン】は空中からビームを乱射する。 正義と大王は修行のおかげもあって、難なく回避する。裂邪は、ふとみるとバリアで守られているようである。 大王「“チッ”便利な都市伝説だな。誰の能力だ?」 正義「あの女の子だよ。シャボン玉みたいにバリアを張ってた。」 大王「あいつも契約者か。シェイドと火の玉のを武器、そして盾付きとは豪勢だな。」 正義「ほんとだよ、いざって時に手に負えなくなりそう。でもあの子は都市伝説みたいだよ。」 大王「そうか、では4体と契約か?飲み込まれてても知らんぞ。」 裂邪はウィルを鞭のように扱うが、攻撃は一向に【モスマン】には命中しない。 こちらも策を練るが、あいにく大王は飛び道具を降らす事はできず、雷は外れた時のこちらへの被害が不安、なかなか良い手が出ない。 裂邪「―――そうだ、おいおっさん!雨降らせ!」 大王「またおっさんだと!?それが人に物を頼む態度か!」 正義「(お兄ちゃんの事だから、やはり何か手が?ここはおとなしく聞いておこうか。)大王、ここは。」 大王「・・・、仕方がないか。」 大王は上空に、太陽も隠れるほど黒雲を広げ、大量の雨を降らせる。 大王「これでお望みの量か?!」 裂邪「ウヒヒヒヒ、よくやった!ウィル!『百物語』!」 裂邪の命令に反応し、ウィルが何十体にも増え、周りに散らばり、まるで蝋燭の灯火の様になる。 ふと、少女が歌を歌いだす。おそらく『さっちゃん』であろう、おそらくそのはずだ。 ウィル「「うおぉぉぉーん!バナナ半分なんて可哀想で~い!」」 周りから鳴り響く叫びと共にウィルの炎の色が青くなる。 大王「まさか、『さっちゃん』を聞いて泣いているのではないだろうな?」 正義「あれ、寒くなってきた?あ、霧!?」 気がつくと、周りにだんだんと霧が立ち込めてきた。おそらくこれが裂邪の作戦なのであろう。 正義「この霧で視界を悪くして、隙を突く、かな?」 大王「なるほど、完敗だ。あの火の玉のに周りを冷やす能力があったのか。能力をよく理解している。」 しかし正義は霧の中を注意深く見回し、【モスマン】を探す。 正義「でも・・・、あそこか。緑色の光も見える。たぶん火の玉のやつだね。」 大王「おい、まさか横取りする気か?それは良くないんじゃないのか?」 正義「悪いけど、『同じ事』を、そう何度も繰り返させない。」 ゆっくりと放った、その言葉の重みは、誰よりも大王が知っていた。あえて黙認し、正義を【モスマン】のところへ向かわせた。 正義は駆け足で【モスマン】のところへ向かう。その姿がだいぶ見えた時、その影に跳びかかる。 正義「てぇえりゃあぁぁー!」ブン! ベシィッ! その剣を、正義は力強く、【モスマン】の頭に叩きつけた。峰打ちとでも言おうか。そのまま【モスマン】を霧の外へと弾き飛ばした。 【モスマン】は軽く気を失っているようだったが、ゆっくり起こし、そのまま説教が始まるのであった。 正義「―――だから人を食べるなんて絶対にダメ!だからといっていくら空腹でも他人の物を奪うのもダメだよ。 困っている人を助けたりしてそのお礼として食べ物を貰うんだよ。分かった?―――。」 大王「(このご時世にお礼に食事を与えてくれる、心優しい人間などいるのだろうか?)」 なにか悔しそうにしている裂邪を余所に説教は終わり、【モスマン】はフラフラと空へと戻っていった。 正義「これからは人のためにがんばるんだぞぉー!」 モスマン「分かっ、た・・・。」 正義は手を振り終えると、すぐに兄の方を向く。無論『あの悲劇』を繰り返さないためである。 あの時目を離したから、犠牲者が出た。だから次は絶対に目を離さない。それが正義の『誓い』である。 大王は、正義の気持ちや考え、今かすかに目に溜まった涙の訳は、長く共にいるためだいたい分かる。 だからこそ、その次の行動に驚かざるを得なかった。正義が、裂邪に抱きついたのである。 正義「お兄ちゃん、久しぶりぃ!」ガスッ 裂邪「“ゴキッ”おごぉ!あ・・・ばら・・・ぼね?つ・・・っか・・・足・・・痛・・・」 正義「お兄ちゃん、寂しかった?また一緒に暮らせるからね!」 シェイド「平和ダナ。」 大王「・・・?あぁ。」 大王は何故こんな事をしたか分からなかった。攻撃をするために飛びかかったのだとさえ思った。『兄だから』という理由もすぐに出たが、 なにかそれでは片付かない違和感がある。大王の疑問の回答は帰ってくる事はなく、正義は質問を投げかける。 正義「ところで、やっぱりその女の子達と契約したの?」 裂邪「・・・まぁな、『夢幻泡影四天王』、俺の世界征服のための俺の仲間だ。」 正義「まだそんな事言ってたの!?お父さんと一緒だったのに世界征服を諦めてないなんて!」 裂邪「悪いか!すぐに諦められる夢なんて見ねぇよ!俺は一生諦めない!人の夢は終わらねぇ!」 正義「最後の言葉どっかで聞いたよ?!」 やはり口喧嘩が始まった。しかし『いつも通り』ではなく、若干正義の歯切れが悪い。なにか・・・。 大王「もういいだろ、兄を見つけたんだから。親も心配するぞ?」 正義「あ、そうか。お兄ちゃん、もう帰るよ。」 裂邪「シェイド、『シャドーダイブ』で[ミナワ]達を先に俺の部屋に。」 裂邪の命令により、シェイドの能力で自分の契約している都市伝説は影の中へと溶けるように入っていった。 大王「どういう事だ?お前は帰らないのか?」 裂邪「お前らが迎えに来たんだから、俺が部屋に帰ったら不自然だろ?それに親父達にミナワ達を見られる訳にはいかんし。」 大王「ん?契約者以外でも見えるタイプなのか?」 裂邪は数分硬直し、驚いたように言葉を放つ。 裂邪「見えないやつもいるのか!?」 正義「え?う、うん。例えば幽霊系は、基本的に契約者か都市伝説の被害者にしか見えないらしいよ。」 大王「俺も見えない、はずだ。」 裂邪は何故か黙りこくっていた。考え事でもしているのだろうか。 正義「ほら、もう帰るよぉ?」 こうして、3人はゆっくりと家へ帰るのであった。 光彦「おぅ、帰ってきたか。」 正義「ただいまぁー!」ガラガラ 明美「おかえりぃ、裂邪、マサヨシ。」 裂邪「あ、母さん久しぶり。」 少々雑談があった後、正義が父親と裂邪にいつかのお土産を渡す。 正義「そしてこれが、修学旅行のお土産。水族館で買ったんだ。はい。」 そう言って、ガラスの中に白い線で作った水中生物が入っている置物を出した。父親にはイルカが、兄にはクラゲが入っているものを渡す。 光彦「ん、面白いな。何なんだこれは?」 裂邪「あら綺麗!・・・ありがとう。」 正義「ふふん。」ニコッ 光彦「ところで食い物はどこだ?クッキーとか無いのか?」 明美「もう、今いいところなのに。腐ると危ないからって買ってません。」 光彦「うっ、すまんすまん。ちょっと分からんかった。」 明美「裂邪が『ありがとう』って言ったのよ。信じられる?」ボソボソ 光彦「本当か?まいった、聞き逃したなぁ。」ボソボソ 家族が団らんしている部屋の外では、大王が考え事をしていた。何故少年とその兄の会話が変だと思えるのか?何かが違う。 本当に些細な違いだが、まるで少年らしくなく感じる。 ふと、もう1つある事に気付く。こんな事を考えているようでは世界征服なんてしていられないと。 どうやら少年の甘さがうつったようだ。ゆっくり甘さを忘れていかなければならないな。 ―――世界征服への道は遠い。 第2話「初仕事」―完― 次回予告4コマ――― ☆資料をまとめ☆ ???「『若者の骨粗しょう症に迫る』『キスをすると骨がもろくなる?』『牛乳のススメ』・・・。」 ???「おそらくこの事件によって沸いてきた記事だろうが・・・。本当にこの事件はその程度のものなのか?」 ???「何人もの人間が同じ事にあっているんだぞ。いったいどういう事なんだ?」 ―――教えてくれ 都市伝説よ――― ●謎の人物現る?!真相は、webで!(コラ では第3話に続きます。 前ページ次ページ連載 - 舞い降りた大王
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急 日もとっぷり暮れた学校町を、二人は歩いていた。 二人は学校から、そんなに遠くない場所に家があったが。ぐるぐると歩き、巡りながら話を続けていた。 歩いていた方が、考えが纏まると言った冴と。知り合いに見つかるんじゃないかと、ビクビクしていた武の心境は全くのマ逆だ。 その上、さっきからムサシが、こちらに聞こえるように文句を言い続けている。 コイツは、悪口の百科事典かよ。 「ということは、つまり。武が主人格、もとい契約者で、都市伝説はムサシの方で。ムサシは、むちゃくちゃな性格と性能を持った都市伝説なのね」 冴の問いかけに、半ば投げやりに答える。 正直、ムサシの悪口で、頭がパンクしそうだ。 「でも、何で他の都市伝説に喧嘩売りにいくのよ?」 「知らない、ムサシに聞いて」 「記憶も、共有しないの?」 「知らない、ムサシに聞いて」 「…、アンタら、私を殺そうとしたのよ?」 「"お前は、違う"って言われたんでしょ。なら、違うんじゃない?」 冴が、突然、目の前にケータイを出してくる。 差し出されたケータイの画面を見ると、テレビに繋がっていた。 「私の契約している都市伝説は、“深夜のテレビ番組”。本人達は、“怪奇チャンネル”っていっている」 「…なんで、そんなこと教えてくるの?」 「フェアじゃないでしょ。私が、教えてないのは」 冴は、ケータイをスカートのポケットにしまうと、少し躊躇いがちに続けた。 「それと、私の家系は、元は霊媒師の家系でね。陰陽師とか、そんなのよ。つい最近までは、研究もしていたわ。父の代で潰れちゃいそうだけど…」 大きな目の、はっきりした睫が下を向く。 女の人のこういう表情は、苦手だ。 自分が、この人のために何か出来ることはないかと、模索してしまう。 偽善。 そう決めつけるのは、簡単だし。単なる偽善であるなら、どんなに楽だろうか。 武は、心のもっと深い、古い記憶の中で、同じような顔をして泣いていた母親を思いだした。 「…。僕に出来ること、何か」 そう、言いかけた時だった。 ぐらり。 二人の視界が歪み、ひね曲がる。 違う。空間が歪み、何処かと繋がっていく。 「掴まって!」 冴が伸ばした手を必死に掴み、武は狼狽した。 意識の浅いところで、ムサシが叫ぶ「代われ!武!」 武は、言われるままに意識を深く沈めた。 「ここ、どこ…?」 冴は、ひどい耳鳴りで瞑った目を、ゆっくりと開ける。 まず、感覚を刺激したのはむせ返りそうな薬品の臭いと、緑色の裸電球だった。 「女、手を離すなよ」 ぶっきらぼうな台詞に横を見れば、武だったハズの人物は先程とは比べようがない、人知を越えた存在に変わっていた。 金色の髪は逆立ち、燃えるような赤い瞳が一点を見つめていた。 冴は、その目線の先を追う。 「っ…!!」 気味の悪い光景に、思わず手を強く握る。 緑色のライトに照らされた床が、水面だと言うことに気がついてからは、地獄だった。 水面に浮く、物体。物体は、四肢が生え、頭が生えていた。 思わず、首まで胃の中のものが、せり上がってくるのを感じる。 水面に漂う白い固まりは、人体だった。 「フェイクだ。幻想だ。能力者だ。怖いなら、目を塞げ。もう、少し近くで見たい」 言葉では励ましてくれてはいるが、お構いなしに手を引くムサシに、冴は嫌みたっぷりに言葉をこぼす。 「アンタ、人の死んだの見て平気なの?」 ムサシは、一瞬冴の目を見ると、水面に目線を戻した。 「アレ、死んでいるのか?」 「…。死んでいるんじゃないの?」 「そういう尺度で、ものを見ていない。これは、この空間自体が、現実じゃない。今はな」 ムサシに引きずられるように、冴は水面に近づく。 「…最悪」 溶液で満たされたプールに、人の形をした何かが無数浮いたり、沈んだりしていた。 アレが、人の死んだ後だと考えたら、本当に戻してしまいそうだった。 隣に立つムサシが、一角を指さす。 「…、アレ。俺とお前だ」 「…え」 視線の先に、ぷかぷか漂う自分達の死体があった。 一気に背筋が凍り、頭の中が真っ白になった。 「一人余計なのがいるね」 背後から声がして、振り返る。 白衣に、ゴム手袋と、長い棒を持った男が立っていた。 さっきまで、誰も居なかったのに! 「良いか。献体は一つでも多い方がいいし。バイト代もあがるかもねー!!」 白衣の男は、ゲラゲラと笑い出す。 ムサシは、笑い声にかき消されないよう声を荒げる。 「これが仕事かよ!?都市伝説から、バイト代貰えてんのか!?」 白衣の笑い声がピタリと止む。 「…そんなこと。君に関係があるのかい?」 心の底で、武が制止してくる。わかってる。今のは、地雷だった。 これが、都市伝説だと。同じ都市伝説同士、びりびりと肌で感じている。 空間を歪める力。自分の陣地を形成している力。他人を引き込む力。そして、一つの未来を現出させる力。 このタイプの能力は、出入り口を確保しないと安定して倒すことが出来ないと、経験上わかっていた。 挑発して、相手を怒らせればこの空間に閉じこめられる可能性もある。 自分だけならまだしも、足手まといがいる。 ムサシは、口を噤んだ。 運良く、白衣はさっきより大きな笑い声で笑って済ませてくれた。 「いいよいいよー!!自分の死に顔見てビビらない人は、なかなかいないからねー!!君の顔がどんな形で、死後硬直するか楽しみだー!!」 「…。ということは、まだ俺たちは死んでないんだな?」 「でも、死んじゃうから意味ないよー!!ボクのバイトは、十九時からだからねー!!」 ムサシは、白衣の後ろに浮かんだ時計を見た。十九時まで、あと三十分。 不意に握られた手の力が緩むのを感じた。冴の生体反応が薄い。手は冷たく、唇は紫に変色していた。 冴は、糸の切れた人形のように、膝を折る。 「チッ。飲まれたか、女!まだ、お前は生きているぞ!!」 ムサシは、冴の肩を抱き揺すった。 「…、そういうの見せつけられるとやだなあ。えいっ」 白衣の男が、棒を鳴らすと、歪んだ世界を抜け、元の道路に戻っていた。 「佐竹山さん!佐竹山さん!起きて!」 肩を揺する黒髪の男子に、目の前がようやくクリアになっていく。 「よかった、目が覚めて」 「…。さっきの」 「さっきのは、もう平気です。正確には、平気じゃないけど。入り口の検討はついています」 「違うの、ムサシよ…」 冴は、軽く唇を噛んだ。 「何も、言わずに勝手に出ていって…」 ふらふらと立ち上がる少女の背を見て、武にある感情が芽生えた。 それは、武の意識下でちらりと見えた小さなものだった。 武がそれを認識する時間もなく、ムサシが呼びかけてくる。 「佐竹山さん…、僕いかなきゃ」 「え…」 「一人で帰れる?家の人呼んで、向かいに来てもらいなよ」 「待って、どこいくの!?」 「フラグ回避してくる、僕らに任せてよ」 武は、ガッツポーズをしながら、冴に背を向けた。 何故だろう、振り向くことは出来なかった。 武が、学校に着いたのが18 45分。 当直の先生に忘れ物をしましたと鍵を借りたのが18 50。 「ヤバいヤバい」 武とムサシの声が重なる。 図書室まで一気にかけあがり、扉を開ける。 「限界だ、代われ武!オレなら奴のテリトリーでも戦える!」 「佐竹山さんが、いただろう!」 「居る方が悪い!!」 「もっと安全で、効果的な、解決策があるんだって!!」 「消極的で、後退的な、解決策の間違いだろ!!」 言い合いをしてる間に、本棚から一冊の文庫を抜き出す。 大江健三郎の短編集。 「さっきの、これの"死者の奢り"に似ているんだ。さっきのが、都市伝説の"死体洗いのバイト"ならネタ元。エネルギーは、コレだ!」 「説明は後にしろ!あと三分しかない!」 「ムサシ、出て!!」 武の呼びかけに、ムサシは応じる。 ムサシの目を通してみるその本は、異様な空気を漂わせていた。 その空気が、一筋の道を大気中に作って、どこかへ繋げている。 この本が噂の大本なら、この道を断てば一時的に都市伝説にエネルギーが向かわなくなる。 「間違えてねぇだろうな!?ここでバットエンドは、ごめんこうむるぞ!!」 ムサシは、ポケットからカッターナイフを取り出し、刃を向けると、筋に一文字を切った。 音もなく四散する霊道を見て、時計を確認する。 図書室に入り浸っている武曰く、ここのの時計は、五分遅れていて、正確な時間はわからないという。 仕方なくケータイを確認すると、和風な待ち受けのすみでデジタル表記が19 01を指していた。 「はぁ…」 二人のため息が重なる。 一息ついた後、武は揚々と、ムサシに呼びかける。 「ネタもととの繋がりを切ったから、コレでもうフラグ回避出来たよね」 「一時的な解決じゃ、今回は無理だな」 図書室のガラスに反射するムサシの顔は、不満げに答える。 「あの都市伝説は、意外とレベル高かった。確実に、オレとアイツが死体となって、あのプールに浮かぶという呪詛を確立している。呪術者、もとい契約者を何とかしないと、解決とは言いがたい」 武の心情がこちらにも伝わってくる。 不安と絶望。そんなところだ。 ムサシは、出しっぱなしのカッターの刃を仕舞うと、武に呼びかけた。 「安心しろ。入り口は掴んでるんだ。次に、本と都市伝説が繋がったら、こっちから乗り込んでやっから。な」 ムサシは、笑いながら一つの記憶を心に留めた。 それは、白衣の「一人余計なのがいるね」という言葉。 オレと女と、どちらが"余計"だったのか。 二回線 終
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秋 ○月 ×日 エベレスト山頂で初めて『エベレストの全裸筋肉男』が確認される ○月 △日 海上で『イカダを引く海坊主』が確認される ○月●日 北極で『ヒトガタ』が確認される ○月○日 北極を去った『ヒトガタ』をエベレスト山頂で発見 そのままUFOに拉致される ■月○日 南極で『ヒトガタ』が確認される 海が割れ、オーストラリアが割れた 上記の『エベレストの全裸筋肉男』『イカダを引く海坊主』『ヒトガタ』が同一の存在であった事が立証される ■月△日 割れた海が日本にたどり着く前に途切れる ■月■日 通称『学校町』内で『ヒトガタ』が発見されたとの報告あり 現地の警官が捕獲を試みるも撃退される 以後行方不明 「あいつ、今どうしてんのかなぁ」 「気になるなら行って見ます?『学校町』」 「ネットでも少し話題になってるな『都市伝説』の数が異常に多いとか」 『都市伝説』が異常に多い街・・・・・・だから『ヒトガタ』は日本を目指したのか? そもそも、どうやってUFOから帰ってきたんだ? 確かあの日隕石が確認されたのに、落下地点に何も無かったんだったか・・・まさかな 「調べる価値はあるな・・・」 こうして、我々が『学校町』へ移る事となるが・・・・・・その『学校町』で待ち受ける数々の悪夢を我々はこの時知る由も無かった 前ページ次ページ連載 - はないちもんめ
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【上田明也の探偵倶楽部】 キィ…… キィ……… ずいぶん古い安楽椅子が軋んで揺れて音を立てる。 黒いコートを着た男が暖炉の前でパイプをふかしている。 「どうも皆さんこんにちわ。 私立探偵の笛吹丁、元人間です。 人間であった頃の名前は上田明也。 今はもうその名前で呼ぶ人間など居ません。 てか中の人の事情で綺想曲シリーズのラストでやろうと思っていた私のトラウマ関係無しになりました。 まあずばっと言うと『都合悪いので無しでお願いします、先生』ってことです。 やはり悪人じゃない俺なんて需要ないんですよね。 そこら辺を作者は解ってないというかなんというか……。 あ、今俺探偵やっているんですよ。 安楽椅子探偵。 調査は都市伝説に全部任せています。 ほら、こういう仕事していれば殺人鬼の活動もしやすくなるでしょう? 失せ物探し、素行調査や浮気調査、家出人調査、ストーカー対策、所在調査なんかでも良いし…… とりあえず何でもできます。 さて、今日の依頼人が来る時間だ。それでは皆様ノチホド。」 【上田明也の探偵倶楽部1~笛吹探偵事務所、創設~】 上田明也は椅子から立ち上がりビルの一室、探偵事務所の窓の外の風景を眺める。 彼の眼下には学校町の繁華街が広がっていた。 正月が終わってからしばらく後のこと、上田明也は探偵事務所を開いていたのだ。 少し待っているとノックの音が響いた。 どうやらハーメルンの笛吹きが彼への依頼人を連れてきたらしい。 「マス……、所長。 お客様です。」 メルの声がドア越しに響く。 「通してくれ。」 ガチャリ 上田明也の座っている所長室に一人の男が入ってくる。 気弱そうな雰囲気で少々頭髪がうすら寂しくなっている。 「こんにちわ、桂様ですね? 笛吹探偵事務所所長の笛吹丁です。 法律相談から浮気調査まで何でもしていますけど、今回のご依頼を念のためもう一度お聞かせ下さい。」 立て板に水を流すように喋る。 しかし単に喋るだけでなく相手に喋る機会を与えながら話す。 人間という物は警戒心が強い。 見ず知らずの相手に積極的に話そうとは思わない物だ。 そこで上田明也、この探偵はまず自分から話す。 能弁に雄弁に語る。 自分から話して、その後相手に話をさせる。 相手が話さざるを得ない状況 相手が話すべき状況 相手が話したい状況 これらをゆっくりと作り上げるのだ。 ちなみに笛吹丁とは上田明也が探偵をやるときの偽名である。 これ名義の運転免許証とか銀行口座とかも彼は用意していた。 ちなみに名前の由来は笛吹ヒノト→笛吹きの人、という洒落である。 「あ、はい……。 今回は妻の浮気の証拠を見つけて欲しいんです。 私は妻の家に婿として入ったんですがその、まあ……。」 「解ります、色々とやりづらいことがおありになるんでしょうねえ?」 「そうなんですよ……。 私に自由なんて有りません、妻は若い男を連れ込んで知らない振りだし……。 女房の父がやっている会社に勤めている物ですから強くも言えなくて……。 だから証拠を集めてなんとか離婚できればと……。」 「苦労なさってますね、解りました。お引き受けしましょう! 任せて下さい、当探偵事務所は困っている方々の味方です!」 「ありがとうございます。それで料金の方なのですが……。」 「お電話の通り20万円でお願いします。 調査費用に前金として5万円頂きます。」 「はい、5万円ですね。解りました……。」 桂は鞄から財布を取り出す。 そこで上田明也はすかさず声をかけた。 「この事務所の経理が渋い奴でしてねえ、調査費は前金で出して貰っておけって五月蠅いのですよ。 自分で持ち出すと怒るんですよ、赤字になるって。 あいつは困った奴ですよね、ははは。 俺の私生活にまで口出して来ちゃったり。」 「ああ、解ります解ります! 私も大変なんですよ……。」 会話は人間関係の基本だ。 上田は人間関係において雑談をすることを大事にするタイプらしく、この手の話を引き出したがる。 「やはり月のお小遣いとかも……?」 「そうなんですよ!昼飯代しかくれませんよ! しかも幾ら使ったかも細かくチェックされて……。 これが今の所持金の全てですよ。 さっさとあいつとは離婚して、出来たお金で自分の商売をやりたいです……。」 「解りました、桂さんの為にも一肌脱がせて頂きます。」 上田は商売用の人の良い笑顔を作り上げる。 上田と桂は立ち上がるとお互いに固く握手した。 さて、それから数日後。 上田明也、探偵“笛吹丁”は対象の女性『桂冴子』の調査に勤しんでいた。 カメラ搭載の鼠や沢山の本体を持ったメルを使った尾行のおかげで上田明也本人はまったく顔を出さずに彼女の情報を集めることが出来ていた。 調査の概要はこうだ。 朝、旦那と子供を送り出すと家事をこなし、日によっては午後から愛人に会っている。 中学生の子供が帰って来るまでには家に戻っているようだ。 旦那には昼飯代をケチっているのに自分はホテルのレストランで友人と昼食を取ることが多いらしい。 「ハーメルンの笛吹きの能力の価値は戦闘以外に有るよなあ……。 あとはこれを渡すだけだぜ?」 完璧にまとめられた調査書を見ながら上田明也は驚いていた。 まさかここまで上手く行くとは彼自身思っていなかったようだ。 この結果が出るまで探偵らしいことを彼“自身”は何一つしていないのだ。 「なんていうか、私も殆ど働きませんでしたよ?」 「お前は尾行をしていただろうが。」 「尾行っていうか私の本体を大量に出していただけですから……。 尾行っていうか待ち伏せ×100みたいな……。」 「ひどいな、仕事しろよ俺。」 「探偵をしない探偵ですね。」 「まったくだよ。そういや今何時だったっけ? 仕事の成功祝いにどこか食べに行こうか?」 そう言って上田明也が時計を眺めると丁度十二時だった。 メルの目が輝く。 「私中華料理食べたいです!」 「よぉし、じゃあ行こうか。」 上田明也が車の鍵をポケットから取り出した時だった。 ピリリリリリ ピリリリリリリリリ 急に事務所の電話が鳴りだした。 すかさず上田がそれに応対する。 「はい、笛吹探偵事務所です。 はい、桂さんじゃないですかどうしたんです? ええ、解りました。 もう調査結果なら出てきていますよ。 ええ、証拠になります。写真に盗聴もしてましたから。 解りました。 場所は……、西区の廃工場群ですね? お金用意してきて下さいよ? それでは……。」 「どうしたんですかマスター?」 「え、桂さんが調査結果を届けてくれないかだって。 飯はその後にしようぜ。」 「えー、解りました……。」 不満そうなメルを車に乗せると上田は西区に車で向かったのであった。 西区の廃工場群に辿り着くとそこには桂が待っていた。 上田はとりあえず廃工場の中に入って写真の入った紙袋などを彼に渡した。 「女房が私のことを疑い始めた物ですから早く連絡したんですが……。 これでなんとかなりそうです。 本当にありがとうございます!」 ぺこぺことお辞儀をする桂。 「いえいえ、それで報酬の方は……。」 「はい、こちらです。」 桂は上田に封筒を差し出す。 彼が数えると前金を除いた報酬がきっちり入っていた。 「今後ともごひいきにして頂けるとありがたいです。」 上田は頭を下げる。 「こちらこそよろしくお願いします!」 それを見た桂も深く頭を下げる、腰の低い人物だ。 仕事の成功に満足して上田が帰ろうとしたその時だった。 ドスンドスンドスン! 上田の頭上に三連続で鉄骨が降り注いできた。 ハーメルンの笛吹きと契約していた為、感知能力に優れていた彼は間一髪の所でそれを回避する。 「なんだいきなり!?」 「畜生!外しちまったか!てめえが探偵だな?」 工場の上から声がする。 「な、なんだ!?妻の手の者か!?」 桂は脅えて腰を抜かしてしまった。 「所長、都市伝説です!」 メルが上田に警告をする。 「人を襲う廃工場の都市伝説ってか?やられたな……。 桂さん、俺から離れないで下さいよ?」 またも飛んでくる鉄骨。 ガキィン! それを蜻蛉切りで叩き切るとメルに指令を出す。 「さっさとさっきの男を叩きに行ってこい!」 「了解しました!」 メルが工場の外へ走り出す。 「え?え?」 桂は都市伝説というものを見たことがないらしくてかなり戸惑っている。 ガキィン! 「今日ここに来ることを誰かに言いましたか?」 鉄骨やブルドーザーを食い止めながらわざとよそ見して桂への攻撃を通してみる。 「うわぁあ!!」 彼がかすり傷を負ったところから考えるとどうやら彼が契約者ではないらしい。 「いや、言っては居ないが……。もしかしたらつけられていた? ていうか笛吹さん、あれはなんなんですか?」 腕のかすり傷をおさえながら桂は上田に問いかける。 「ざっくばらんに言うと超能力者ですね。」 「はぁ?超能力者なんて居るわけ無いじゃないですか! そのうえさっきの女の子、助手の方ですか?危ないんじゃないですか?」 ガキィン! ガキィン! 鉄骨の性質上、移動する際にはどうしても大きな音が出る。 また、巨大な物である為かあまり複雑には動かせないらしい。 ハーメルンの笛吹きの能力を得て聴力があがっている上田にはその軌道を簡単に見切ることができる。 桂の目の前で鉄骨を破壊しながら上田は解説を続ける。 「超能力があり得ないなんて言いますけどね、それを言ったら貴方の目の前で鉄骨をただの小刀で切り裂いている男だってあり得ないでしょうが。 都市伝説ってあるじゃないですか? まああれが現実に有るような物だと考えて下さい。 それとあの女の子も立派な超能力者、みたいな物ですから安心して下さい。」 「は、はぁ……。」 すこし強い調子で上田が言うと桂は大人しくなってしまった。 しばらく上田が待っているとドスン、という大きな音が鳴って鉄骨の襲撃もやんだ。 どうやらメルが廃工場の契約者を捕まえたらしい。 勢い余って殺していないことを上田は願っていた。 彼は彼で廃工場の契約者に聞きたいことがあるらしい。 「静かになったみたいですね、行きますよ桂さん。」 「は、はい……。」 上田は気絶した廃工場の契約者をしばりつけて車のトランクに放り込むと桂を家まで届けた。 探偵事務所に辿り着くとまだ気絶している廃工場の契約者をたたき起こす。 「う、うう………。ここはどこ!?」 キョロキョロと辺りを見回す廃工場の契約者。 「よう、起きたか。洗いざらい喋って貰うぞ。」 「げげ、探偵!私はお金であの男の妻に雇われただけなんだ!」 「ほうほう、そうか……。ところでさっき身体を調べさせて貰ったんだが……。 お前、女だろう?」 上田は廃工場の契約者の胸をつついてみる。 「ひぃっ!!や、やめろお!!」 「安心したまえ、俺の都市伝説はもう買い出しに行っている。 俺とお前の二人きりだ。」 「それが駄目なんだろうが!この前の電子レンジの契約者と言い今回と言い…… ちょっと暴れていただけなのにぃ~……。」 「安心しろ、俺はロリコンだ。 残念ながらお前は幼女とはちょっと違うからな。」 「うわぁ、寄るな変態!」 「ところでさっき電子レンジとか言っていたな? その話ゆっくり聞かせて貰おうか。 先に名乗っておくけど俺はハーメルンの笛吹き、巷を騒がす殺人鬼でもある。 さっさと話せば簡単に楽にしてやれるから安心しろよ☆ 昼は探偵、夜は殺人鬼、してまたその正体はロリコン野郎。 お前みたいな人を襲う都市伝説は容赦しないぜ?」 はっきりと名乗った、まあつまりはそういうことなのだろう。 「え、……誰か助けて~!!」 “そういうこと”に気付いて悲鳴をあげる廃工場の契約者。 「お前は廃工場が無いと只の人間だからなあ!ゆっくりお話ししようぜ!! ハァーッハッハッハッハッハ!」 いかにも悪そうな高笑いが事務所に響く。 とりあえず、上田明也の始めての探偵業務は思わぬ形でおまけを生み出しながら成功したのであった。 【上田明也の探偵倶楽部1~笛吹探偵事務所、創設~ fin】 場面は最初の暖炉の有る部屋に戻る。 「どうも、上田明也です。今回のお話は楽しんで頂けましたか? 廃工場の契約者の彼女ですが聞きたいだけ情報聞いた後さっさと始末させてもらいました。 もしかしたら生きているかもしれないので作者の方々は瀕死のところを保護するなりなんなり好きにして下さい。 あの電子レンジの二人組の消息も聞き出せましたしなかなか楽しい思いが出来ました。 それよりも楽しいッスね探偵業務。世の為人の為になるのはとても心地がよい。 もし学校町でお困りの際は親切丁寧秘密厳守がモットーの笛吹探偵事務所にご一報下さい。 相談次第では料金もリーズナブルにできると思いますよ? 働くのは鼠ですから、ははは。」 笑いながら立ち上がると上田はウイスキーの瓶をどこからともなく持って来る。 「それでは初仕事が終わったので一人で祝杯でも挙げたいと思います。 さようなら、さようなら。」 上田明也はそう言うと事務所の奥に消えていった。 【上田明也の探偵倶楽部 fin】
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噂をすれば 都市伝説設定 設定はその9の時点のものです。 写真部 学校町西区の工業高校でひっそりと活動している。 活動内容は基本自由。コンクールに出たりもしない。 ホームページもあるらしい。 副部長 名前:服部琴葉(はっとりことは) 学校町西区の工業学校の美術科に通う高校2年生。 性格はいたって普通、人当たりはややきつい。 写真部の副部長をしている。 運動は出来るほう。 勉強は苦手。 髪は薄く茶色がかった黒、ストレートで肩の下まである。 『噂をすれば影』と契約している。 部長 長谷部映(はせべえい) 西区の工業高校の美術科に通う高校3年生。 ミステリアスな魅力のある美人。 副部長に対してはかなり傍若無人だが、他の下級生や赤の他人には意外と優しい。 写真部の部長 体力はまるでないが、なぜかスポーツは負け知らず。 髪はウェーブのかかった黒、肩口まである。 『カメラに撮られると魂が抜ける』と契約している。 ヒラ 平井容平(ひらいようへい) 建築科2年生 基本的にめんどくさがり。 割とお人よし。 勉強も運動もそこそこ。ただし要領がいい。 貧乏くじを引きがち。 都市伝説契約者 スケベ 足助透(あすけとおる) 機械科2年生。 アホの子。 スケベだが、発想が中学生レベルなのでそんなに変態ではない。 勉強ダメ。 運動はかなり出来る。 その4で『エロ本にバターを塗ると黒塗りが透ける』と契約する。 コナ 小長谷務義(こながやまさよし) 情報科1年 気弱なショタ系男子。 頭は悪くないが、発想が若干アホ。 運動も出来る。 小学校まで大阪に住んでいた。 しゃべる言葉は標準語。中学校のうちに直した。 『大阪人の体の半分は小麦粉で出来ている』と契約している。 けーちゃん 結城計子(ゆうきけいこ) 情報科1年 写真部会計 真面目ないい子 眼鏡をしたショートカット 図書委員 背が小さい 都市伝説については知っているが、今のところ契約はしていない そよ 蘇賀芳江(そがよしえ) 美術科2年 線の細い感じで和風美人のお嬢様 家は超お金持ちの名家 部の出席率は低い 成績は学年トップ 運動神経は絶望的・病弱 たまに常識が欠けている 『ペンローズの三角形』と契約している。 使い捨てキャラの方々 『ベッドの下の斧男』 都市伝説。契約者はいない。 びっくりするほど弱い。 その3でヒラに撃退されて以来、ヒラの部屋に居候している。 臼緒雄介 機械科2年 陸上部 性格悪い 一応部長のことが好きだったらしい。 足助魑 スケベの父 足助工業社長 人外クラスの怪力を持つ 豪快で、細かいことは気にしない性格。 足助衛 スケベの兄 大学1年生 弟同様運動神経がいいが、人の範囲内。 単純で熱くなりやすい。 足助福江 スケベの母 魑ほどではないが怪力の持ち主 技術を持っているので実質魑と対等 優しく、寛容な性格 ページ最上部へ