約 490,975 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/191.html
次の日の朝、ジェラールは目を覚まして周りを見渡し、これからはこの生活に慣れなければ無いことを 実感し活動を始める。ちなみに未だルイズは夢の中のようだ。まあ今までも一人でやってきただろうから 大丈夫と判断してジェラールは彼女の洗濯物を抱えて外へ出かけていく。自分でできない(ことにしている) のだから、適当な人物を探すのが先である。まさかすべての使い魔が家事一般をこなせるとは思えないので、 使用人もちゃんといることだろう。そんなことを考えていると、向こうから昨日部屋にいた-キュルケといったか -少女というよりも、ご立派な女性がこちらに向かってくる。 (アレで年は大して変わらないのだから、残酷だな…) などとルイズにばれたらタダではすまないことを思っていると、キュルケもこちらに気付いたらしい。 「あら、おはよう。ジェラール…だっけ?」 「そうだよ、キュルケさん」 「キュルケでいいわよ、ジェラール。朝早いのね、あなたの主人とは大違い」 「やらなければならないことがあるからね。そうだ、コレを頼める人はどこにいるのか教えてくれないかい?」 「それならさっき向こうに一人メイドがいたから頼むと良いわ」 「ありがとう。そっちの…えーと名前は…」 「きゅうきゅう」 「ああフレイムだったね、君も元気そうで何より」 「あれ?私この子の名前説明したかしら?」 「今、彼?が教えてくれたじゃないか」 「ちょっと、何であなたがこの子の喋ってることが分かるの?」 「こういうことだよ。ゴホン、あーあー。グゴゴンゴン、グゴゴ、ゴングゴン」 「きゅう!?きゅきゅ、きゅう!」 「……あなた、なんなの?知り合いにサラマンダー評論家でもいるの?」 「実は…ひいじいさんがサラマンダーなんだよ。こっちと向こうでは微妙にアクセントが違うだけみたいだから会話に大した支障は無いみたい」 間をおいて、キュルケが笑い出す。 「あはははは!面白いこと言うわね!分かったわ、そういうことにしといてあげる。それにあなた、よく見ればかなり男前だしね。これからもよろしく、ジェラール」 「きゅう~♪」 そういうとキュルケとフレイムは去っていった。実際、ジェラールは嘘はついていないわけだが いきなり先祖が爬虫類ですといって、信じろというほうが無理だろう。まだルイズのように 機嫌を悪くしないだけ有難い。 「ふう、物分りのいい人で助かる。いっそあっちが主人になって…う!」 そういった途端に左腕から力が抜けていく。まるでサルの妖怪が頭にはめている輪か、犬の半妖が している首飾りのような効果が、このルーンにはあるようだ。 「主人がその場にいなくても効果が変わらない…遠隔操作型か?うぅ、とにかく本題に戻るから もう勘弁してくれ」 ジェラールがそう言ってキュルケが教えてくれた方向に歩き出すと、そこに一人のメイドがいた。 どうやら彼女も他の貴族から頼まれた洗濯物を持っているが、あまりの量の多さにどうやって運ぶか 思案中のようである。 「あの、ちょっといいかい?」 「はい?」 彼女=シエスタが振り向くと、そこには見覚えの無い若い男が一人。見た目は貴族のようだが、わざわざ 貴族が自分で洗濯物を持ってくるはずはないし、来ているものは自分たちとそう変わらない(無論メイド服ではない) そこでシエスタは昨日同僚から聞いた、あのゼロのルイズが召喚した使い魔の話を思い出した。 「あの、もしかしてミス・ヴァリエールさんが召喚した使い魔というのはあなたのことですか?」 「ああ、そのとおりさ。ちなみに名前はジェラール」 「あ、これは失礼しました。私の名前はシエスタといます。ところでご用件は何でしょうか?」 「コレを洗っておくように頼まれたんだけど、この手の生地はやったことがないんでね。できれば お願いしたいんだけれど…」 「はい、わかりました。でも…これだけあるので多少時間がかかりますが、それでもよろしいですか?」 「もちろん。そうだ、せめて荷物運びぐらいは手伝うよ」 「そんな!大丈夫ですよ!」 「いいんだよ、これぐらい。それに女性が困っていたら手伝うのは当然だしね」 「あ、ありがとうございます…」 シエスタは、自分の顔が赤くなっている事に気付き、それがジェラールにバレていると思うと 余計に赤くなっていった。 (聞いた話と全然違ってすごくいい人じゃない…それにすごくカッコいいし、優しいし…こんな人が あんな噂…デリカシーの無い人だなんて信じられないわ!どうせこの人の見た目に嫉妬した貴族の 誰かが嫌がらせで言っているのよね、きっと) 残念ながらシエスタ、噂通り自分の主人に対して暴言を吐き、フルボッコにされた阿呆は 君の目の前にいるその男で間違いないんだよ。 この後、ついついシエスタと談笑していたジェラールがルイズを起こすのを忘れてしまったり、 それと昨夜の事とが相まっていつもより寝坊したルイズがジェラールと揉めているのをキュルケに 笑われて豪快に廊下で喧嘩を始めたり、その間にジェラールとフレイムがお互いの世界の サラマンダー事情について知識を深め合ったりしていたが、それはまた、別の、お話。 「はいジェラールさん、よければこれもどうぞ」 「ありがとう、シエスタ。でも、こんなに貰っていいのかい?」 「いいんですよ、貴族の人たちはお喋りに夢中でせっかくの料理を残したり、手をつけないことも あるから料理長もむしろ喜んでくれていますよ」 「じゃあお言葉に甘えて。うん、このスープもうまい!後で料理長にも御礼を言っておかないと」 「そうですか、きっと喜びますよ、料理長。御礼を言われるなんてめったに無いことですから」 ここは食堂内、厨房の片隅。なぜこんな所にジェラールがいるのかというと、今朝の一件(自力で 起きれないルイズが悪いのだが)でルイズから朝食抜きといわれ途方にくれていたところ、シエスタに 「じゃあこっちへ」と言われ案内されたのが厨房だったというわけである。その頃ルイズは、 周りから昨日の召喚の儀式の件で冷やかされて口論の真っ只中であるが、そんな声が聞こえるほど 食事時の厨房は静かではない。仮に聞こえたとしても空腹のジェラールからしたら知ったことではない。 腹が減っては何にもできぬ、である。そこへ一人の体格のいい壮年の男がやってくる。 見たところ、この人が料理長のようだ。 「よお、兄ちゃん!どうだいここの料理は!なかなかうまいだろう?」 「ええ、とても美味しいです。特にこのスープ、コンソメはかなり手間のかかる物と聞いていますが、 この大人数に振舞うのは大変ではないですか?」 「おお、分かるかい兄ちゃん!確かにこれだけのコクと透明感を両立させるにはそれなりに手間がかかっちゃいるが、 貴族の連中はそんなことも知らずイチャモンばかりつけて、挙句の果てに一口も手をつけない奴までいやがる! ったく、すこしは兄ちゃんを見習えってもんよ」 「いや、このレベルの料理を毎日食べているからこそ気付かないのかもしれませんよ。人はその環境に慣れていくのですから」 「はっはっは!兄ちゃん口もうまいねぇ、乗せられておくとするか。おいシエスタ、お前もなかなかいい人を 連れてきたじゃねえか、お前に頼まれて許可したが、最初は見た目にやられたのかと思ったぜ」 「ちょっ…料理長!」 「なんだシエスタ、顔が赤いぞ。当たらずとも遠からず、って所か?」 「なっ……ほ、ほらそろそろデザートの準備をしないと!料理長早く戻って!」 「はいはい、おっさんは戻るとするか。じゃあな兄ちゃん、ゆっくりしてけよ!」 そう言って料理長=マルトーはまた持ち場へ戻っていった。彼の表情からは久しぶりに 味の分かる相手に料理を作れたと言う満足感がにじみ出ていて、ジェラールも安心する。 「もう本当に…すいませんジェラールさん」 「いやいい人じゃないか、気さくな感じで。それと、シエスタが頼んでくれたんだね。どうも ありがとう、何か御礼をしないとね」 「そんな…御礼だなんて…わたしはたいした事はしてませんから…あ、デザートを配る用意が できたみたいです。すいませんこれで失礼します、後片付けは私がやりますからそのままでいいですよ」 そう言ってシエスタは小走りで向こうへと去っていく。しかし少しフラフラしていたり、 時折ボーッとしているようにも見受けられるが、その元凶はシエスタの予想とは異なり まるで艶っぽくない事を考えていた。 (しかしああは言ったものの、今の私には物も金も無いしな…何か役に立ちそうな物は… そうだ、一つ護身術でも教えてあげようか、少なくとも全くの無意味にはならないだろう。 それに体を動かせば息抜きぐらいにはなるだろうし) このジェラールの行動と、数年後に悪徳貴族達 を襲撃する謎のメイド戦士との関連性については分からない。 その人物の決めゼリフが 「ジェラール様の名に誓い、すべての不義に鉄槌を…!」 というのも、偶然の一致である。…多分。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3400.html
前ページ次ページゼロの斬鉄剣 ゼロの斬鉄剣 4話 ―泣き虫(クライベイビィ)・ルイズ(前編)― 決闘の日の夜 いつものように夕食を取ろうと厨房に入っていく五ェ門 「おお!きたぞ!」 「我らの剣!」 にわかに沸く厨房 「これは一体どうしたというのだ、マルトー殿」 「おう、ゴエモン!聞いたぜ!あの気障ったらしいガキをコテンパンにしたんだってな!」 「あのマセガキ、粗末なもの晒していい気味だったぜ!」 ああ、と昼間の珍事を思い返す 「ゴエモンさん!」 ふいに抱きつかれるゴエモン 「無事でよかったです・・。」 涙を浮かべるシエスタ 「(む・・やわらかいものが・・いかんいかん!)」 「心配ない、あのような軟弱者などは取るに足らん。」 すました顔をする五ェ門。 「いい事言うね!ささ、今日は奮発したんだ。食べてくれよ!」 五ェ門は目の前に並べられた夕食をみて驚愕する。 「マルトー殿、これは今まで出てきた食事とずいぶん風体が変わってるようだが?。」 おう!とにっこりわらうマルトー 「気がついたか!さすが見る目が違うね。その料理はシエスタの故郷の料理でね、是非ゴエモンに食べて もらいたいんだとよ!」 へっへっへとちょっと下品な笑いをするマルトー 照れるシエスタ 五ェ門は並べられた料理みて戸惑う、目の前にはー 「肉じゃが」 「焼き魚」 「ご飯」 「味噌汁」 あっけに取られる五ェ門 「このお皿は豆と肉を煮込んだネクジャゲ、こちらは川魚の塩焼き、メソスープ、それにパンの変わりに 麦を蒸した物です」 「(こ、この世界にこんなものがあるとは・・・・)」 かなり驚いた様子の五ェ門、シエスタが少し不安そうになる 「あの・・・もしお気に召さなければさげますが・・・」 言葉が尻すぼみになるシエスタ 「いや、いただく。」 それはもう、ガツガツと五ェ門は二度と食べられないと思っていた故郷の味を かみ締めていた。 味こそ本物とは誤差があるとはいえ概ね期待通りの味だったのだ。 そしてあっという間に平らげ 「本当に感謝する、じつはこの料理は拙者の故郷の料理とそっくりなのだ。」 えっ、と驚く顔のシエスタとマルトー 「ゴエモンさん?」 シエスタが問いかけるように言葉を発する 「シエスタ、聞きたいことがあるのだが・・この料理は本当にシエスタの故郷の料理なのか?」 「はい、厳密には私の曾祖父の考案した料理なのですが、いまでは郷土料理になっているんです。」 なんと、という顔をする五ェ門、もしやシエスタの先祖は・・と思考をめぐらせた時 「じつは曽祖父はずいぶん遠い国から、はるか東から来たということなのですが、ゴエモンさんの故郷もそれほど遠い場所なのですか?」 五ェ門は天井を仰ぎ、おもむろに 「そうだな・・・遠い遠い東の国だな・・・」 五ェ門はルイズ以外の人間にはまだ”異世界”から来たとは教えていないのでシエスタの “東の国”という表現を使った。 「とにかく、馳走になった。まさかこの地で故郷の味に出会うとは。」 はっはっはと豪快に笑うマルトー 「よかったじゃないかシエスタ、ゴエモン!また材料がそろったら作ってやるぜ!」 「かたじけない。」 深々とお辞儀をする五ェ門 「では、拙者はこれにて。」 おう、とうなずくマルトーとシエスタを背に部屋にもどる五ェ門 「(ゴエモンさん・・・)」 部屋に向かう五ェ門は考え事をしていた そう、夕食の日本料理(に近いもの)についてだ 「(もしやシエスタの曽祖父は何らかの理由でこちらに来た日本人・・・)」 そう考えていた矢先、袴のすそを引っ張られる感触に気がつく 「む、お主は・・・キュルケのフレイムか。」 ぺこりと首を縦に振るフレイム 「(へい、フレイムです旦那)」 ついてきてくれといわんばかりに引っ張るので仕方が無くフレイムの誘いに乗る たどり着いたのはキュルケの部屋 「薄暗い部屋だ・・・」 ふいに、後ろの扉が閉まる 「ロック。」 鍵を閉められたようだ。 「キュルケか?こんな時間にどうしたというのだ・・・」 薄暗いベットからキュルケが近づく 「な!」 月明かりに映るのはあられもないキュルケの姿 ほぼ全裸といってかまわないだろう 「うふ、きてくれてありがとう“ダーリン”」 五ェ門の脳内はたちまちパニック状態になる 「な、なななな何たるふしだらな!」 理性がキュルケを叱りつける 「うふ、はずかしがらないで・・・」 そういうなり首に手を回しキス迫るキュルケ 「あたし、こういう匂い好きよ?」 「や、やめんか!年頃の女子がなんということを!」 クスクスと笑うキュルケ 「わたしの二つ名は微熱、微熱のキュルケよ?あなたが・・・燃え上がらせたんじゃない」 自分がいつ油を注いだのだと心でツッコミをいれ、平静を取り戻そうとする五ェ門 「と・に・か・く・・・たのしみましょ?」 「よ、よせ・・・キュルケ!」 五ェ門はかろうじてキュルケを離す 「あら・・・あたしじゃダメなの?」 とても学生とは思えない言葉ではあったが 「・・・キュルケよ、拙者を見縊るな」 少し怒気をはらんだ声でいうが 「あら、でも顔は真っ赤よ?」 痛いところを突かれる。 しかし、この一言で五ェ門は誘惑から脱することが出来た 「拙者は確かに女子には弱いが、人の道を踏み外す様な真似はしない!」 なんとかキュルケの抱擁を振り切り五ェ門は扉の鍵をはずしキュルケの部屋を辞する 取り残されるキュルケ 「・・・いってくれるじゃないの・・・燃えてきたわ!」 かならずゴエモンをモノにしてやる、と心に誓うキュルケ 「ツェルプストーは狩人の血が流れてるのよ・・・?」 主人から発せられるオーラはフレイムの肝をひやしていくのであった。 「(旦那、あっしをおいていかないでくだせぇ・・・)」 そう聞こえた気がした。 キュルケの部屋から出て正面のルイズの部屋に戻る五ェ門 「あら、おそかったわねゴエ・・・」 ルイズは入ってきた使い魔をみて絶句する 一方五ェ門は突然押し黙ったルイズを不思議そうに見ている。 「ちょっとゴエモン、その・・・その頬についているものは何なのかしら?」 五ェ門はまさか!と考えて鏡を見る 五ェ門の唇にはキュルケの口紅がべったり。 「いや、ルイズこれは誤解なのだ・・・・」 「昼間はあんなに格好よかったのにね」 すさまじい殺気で五ェ門をみつめる 「(むう、なんて殺気だ・・・)」 「いったいご主人様にかくれて何をやっていたのかしらね・・?」 おもわず一歩引く五ェ門 「ま、まてこれはキュルケが強引に・・・はっ!」 「そ・・・そう、ツェルプストーが・・・」 ぼそっとひとこと 「出てけ」 まずいと思った五ェ門 「出てけこの破廉恥サムライ!」 ぼろぼろに泣き出し喚くルイズ 五ェ門はそそくさと退散する 「うかつであった・・・。」 己の至らなさを恥じる五ェ門 とびらの向こうから咽び泣くルイズの声が聞こえる。 いたたまれなくなる五ェ門 今日は外で野宿だな、と庭に出る五ェ門 「(うむ、洗濯場の広場にするか。)」 洗濯場の広場へ足を運んだとき、見慣れない影に気がつく。 「あれは確かキュルケといつも一緒にいる・・・」 その影とはキュルケの友人である“タバサ”とその使い魔と風竜の“シルフィード”だった 人の気配を感じたタバサが振り向くとそこには昼間異様な戦いをした平民がいるではないか 驚いた顔をするタバサ 「・・・あなたは?」 「失礼する、拙者は石川五ェ門と申す、そなたは?」 「・・・タバサ」 五ェ門はタバサの瞳をみるなり面食らった 「(なんという悲しい目をしているのだろう。)」 少々の沈黙 「・・・あなたは」 ふと、タバサから声をかける 「あなたは、どうしてここにいるの?」 ああ、と五ェ門が話す 「じつはルイズと喧嘩をしてな、追い出されたのだ」 ふっと自嘲気味に語る 「そう。」 おおくを聞かないタバサと語らない五ェ門 しばらくの沈黙が続く おもむろにタバサが五ェ門に袋をさしだす 「これ・・・夜食・・・ハシバミ草」 ほう、と五ェ門が一口食べる 「これは不思議な食感だが、美味だな。」 「ハシバミ草は・・・」 「体を暖かくする効果があり、栄養豊富。」 なるほど、差し出した理由を悟る五ェ門 「かたじけない、今夜は野宿なので助かる。」 タバサの好意におもわず頭をなでる五ェ門 ふいをつかれたタバサは目を見開き、うっすらと頬に朱がさす・・・ようにみえた。 「いい・・・気にしないで。」 きゅい、と横からシルフィード 「この子はシルフィード・・・あなたを気に入ったみたい」 五ェ門は一瞥し 「美しい羽の見事な竜だな。」 「(きゅい!ほめられたのね!)」 うれしそうに五ェ門に頬ずりをする 「そろそろ、部屋にもどる・・・」 「タバサ、このハシバミ草はありがたく頂戴する。」 「・・・いい。」 そういうとタバサはシルフィードの背中乗り、自分の部屋の窓まで飛んでいく 「(さて、明日はルイズをどう説得するかな。)」 ハシバミ草をつまみながら五ェ門は眠りにつくのであった。 前ページ次ページゼロの斬鉄剣
https://w.atwiki.jp/familiar/pages/4578.html
こちらに移動されました wikiwiki monokaki? 各リンクをつけようと思いましたが、細分化されてて無理でした。 見やすいですので、移動先にて選択下さい。 こちらも一応残しておきます。 4-563才人の帰還 4-694『短編・番外』 4-755『シエスタ&才人の小旅行』プロット A2-338『ゼロの使い魔』 第2期 序章 X01-01『海軍少尉・佐々木武雄』 X01-02『トリステイン戦隊ゼロファイブ!』
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2035.html
前のページを読み直す / 表紙へ戻る / さらにページをめくる 体勢を低くしたトラクスが、右手に血刃を構え、疾風の如く衛兵たちに突進する! 下から肩へ逆袈裟。横を向いて低く真横に、腹。 起き上がりながら旋回し、前後の敵の脇腹と胸。立ち上がって真っ直ぐ、喉を一突き。 一呼吸の間に、たちまち五人が斃される。楯も鎧も筋骨も、皮膚のようにたやすく切り裂かれる。 「あっぐ……」 包囲網がすぐに遠巻きになった。誰も死神の手にはかかりたくない。 背中にルイズを背負い、荷物を抱えて、この立ち回り。もとよりトラクスは達人だったが、今はそれ以上だ。 「いひゃひゃひゃひゃ、すげーぜ相棒! 流石は『使い手』だねぇ、いい殺しぶりだ! 久しぶりの血と脂の感触は、心地良いねえええ!」 デルフが嘲笑う。マジナイ(魔法)がかかった剣だけに、錆びているのに刃こぼれ一つない。 それどころか、血と脂とマジナイを吸うほどに錆が落ち、切れ味を増すのだ。恐るべき魔剣である。 トラクスはそのまま無造作に、また二人ほど切り倒す。 「くそ! 動くな!」 生き残りの弓兵がトラクスを狙うが、すばしこくて当てようがない。味方も邪魔だ。 しかし、半分以下に衛兵が減ったところで、新手が来た。 「応援が来たぞ!」 今度はさっきの倍はいる。武装も本格的だし、マジナイ師(メイジ)もいる。物見櫓からも矢が放たれ、トラクスを狙う。 たまらずトラクスは舌打ちし、踝を返すと、学院の中へ再び駆け戻っていく。 「追え!! 逃がすな!! 生け捕らんでいい、殺せ!! 人質も巻き込まれるが、この際仕方ない!」 マジナイは避けたり剣で吸ったりできるが、集中攻撃を食らうとやはりまずい。 殺すだけなら百人相手でも行けそうだが、目的は殺戮ではなく脱走だ。 どこか、手薄なところを探さなくては。しかしこの格好は、今更ながら目立ちすぎる。 「けっ、もうちっとだったのによ! 俺様の刃があの門に触れりゃあ、魔法が解けて外へ出られたっつうのに」 デルフが悪態をつく。なんとも、便利な剣だ。楯にも頭脳にも鍵にもなってくれる。 楯と言えば、この背中の『主人』ルイズだ。背後からの攻撃の時、一番よく体が動く。 『主人』を守らせるための、この烙印の効果か。なんとも、皮肉な事だ。 「向こうは《ヴェストリの広場》だ!」 「まずいぞ、急げ!!」 《ヴェストリの広場》には、生徒や使用人たちが雑然と集められていた。状況はまだよく伝わっていない。 せいぜい大きな動物が逃げ出した程度の認識だろう。タバサやキュルケもいた。 そこへ、トラクスが凄い速さで駆け込んでくる。 「まて!! まて蛮人(バルバロイ)!!」 「わっ」「何?」 槍を持った衛兵たちが、必死でトラクスの後を追う。 生徒たちは突然の闖入者に驚くが、危険は把握し切れなかった。 その中の太っちょの少年――マリコルヌ、とか言ったか――の襟首をトラクスが引き寄せ、ドンと追っ手の前に突き出した。 「お? わひっ」 「え?」 衛兵の突き出した槍の穂先が、誤ってマリコルヌの鳩尾を突いた。 「うごっ」 その背後でトラクスが、マリコルヌの肩を踏み台にして、4メイル近い宙空まで跳躍した。 空中で反転し、剣を振りかぶると、そのまま追っ手の背後へ飛び降りながら切りつける。 「ぎゃっ」 ついでに、隣にいたもう一人の衛兵の頚動脈を横薙ぎにする。これで犠牲者は二桁に達した。 「おのれァ!!」 弓兵が激昂し、人が大勢いるにも関わらずトラクスに矢を放つ。 するとトラクスは無造作に、その辺にいた使用人の娘のうなじを左手で鷲掴みにし、振り向きざまに楯にした。 (ドス ドス) 「わああ!!」 彼女の胸と顔に、各々矢が突き立つ。何が起きたかも分からぬまま、娘は目を見開いて気絶した。 トラクスは、矢の刺さった娘を持ち上げて楯にしたまま、ダダッと弓兵に駆け寄り距離を詰めた。 「あわっ」「ひっ」 ぽい、と弓兵たちの横へ娘を投げ捨てるや、動きの止まった彼らを三人、一息になで斬りにする。 蛮人らしい、非人道的な戦い方だった。 《『王宮日誌 シャルロット私書録』より》 この時―――広場にいた誰も、すぐには事態を呑み込めずにいたが、 やがてクモの子を散らすように、四方八方へ逃げまどった。 そのうちに広場中央が戦いの場となり、それを遠巻きに見守る人々……。 これを戦と呼んでいいものかどうか……周りを囲む衛兵たちに対し、敵は蛮人奴隷たった一人なのだ。 しかしそれでも、彼・トラクスは、多勢を相手に互角以上の戦いを展開していた。 そんな中で私はというと、立ち回りのわりと近くで、ほとんど動かずに立っていた。 いきなりの惨劇に足がすくんで、動けずにいた―――というなら、まだ十五歳の少女らしいのだが、実際はそうではない。 私はただその場につっ立ったまま……トラクスのあまりに鮮やかな剣さばきに、すっかり見とれてしまったのだ。 衛兵の数が、見る間に減ってゆく。 しなやかなその動きは、まるで別の生き物のようでもあり…… なのになぜか……どこかなつかしく、そう……舞でも舞ってるように軽やかで…… 考えてみれば、ひどい話だ。血しぶきを上げ、次々と斬り倒されているのは、この学院を守る兵士たちなのに。 「ええい! 見ちゃいられない、行け『ワルキューレ』!」 ギーシュという同級生の少年が、魔法で作った青銅の女戦士・ワルキューレを創造してトラクスを攻撃させた! だがトラクスは、面倒くさそうにそっちを見やると、あっさり唐竹割りにしてしまう。 続けてワルキューレを、合計七体まで繰り出すが、トラクスには全く通用しない。 野菜や果物を切るかのように、ザクザクと破壊していくのだった。刃こぼれさえしていない。 だがギーシュは、破壊された青銅を『錬金』で油に変え、トラクスの手を濡らして剣をすっぽ抜けさせる。 剣は飛んでいって、近くの衛兵の遺体の一つに突き刺さった。 「やった! 今だ!」 武器を落とした殺人鬼に、勇んだ衛兵が切りかかる。 しかしトラクスの右腰から、もう一本の武器である鉈のような蛮刀が鞘走る。 一人、二人、三人。瞬時に衛兵たちは、腹や喉笛を裂かれて絶命する。 「がはっ」 「ひいい!! わはっ、わははっ」 ギーシュは腰を抜かし、錯乱して、無様に地面を這いずって逃げ出した。 血と脂と、内臓の中身の臭いが広場に満ちた。人々は嘔吐し、泣き叫び、失禁する。 「なんてこと!! あの蛮人、ルイズを背負って戦ってる! しかもルイズったら頭から血を流して、顔から胸から血塗れよ!? どういうこと!?」 キュルケが、やっと状況を把握する。小さめの『ファイアボール』を放って牽制するが、 その魔法はトラクスが拾い上げた剣に吸い込まれてしまう。 「嘘ッ!? 何なのあれ? 魔剣!?」 「ぐひゃひゃひゃひゃッ! 娘っ子、てめーらの魔法は絶対に通用しねーよ! ぜえんぶ俺様が吸い取ってやるからなあァ!! あああ、いい気分だぜェボケメイジどもがァァ!」 インテリジェンス・ソード(知性のある剣)だ。これでは、まさしく『メイジ殺し』ではないか。 しかし、これだけメイジがいるのだ。直接ヤツを叩く事は難しくても、協力して作戦を練れば……。 そう考えて杖を握った時、ズドン!! とトラクスの前後に『土の壁』が降ってきた。 左右にも壁が落下し、たちまちトラクスは分厚く高い土壁の牢に閉じ込められる。 宙を見上げると、白髭の老人と若い女が、上空に浮かんでいた。 オールド・オスマンとミス・ロングビルだ。 「皆、耳をふさげ! 『眠りの鐘』じゃ!」 オールド・オスマンは、ああ見えて何百歳も生きている伝説的な大メイジ。 その魔力で振るわれた『眠りの鐘』の催眠音波は、あやまたずトラクスを襲った。 ガクリ、と膝が折れ、地面につく。あの年寄りのマジナイ師が、『眠りの鐘』とやらを使ったせいだ。 頭がクラクラして、立ち上がれない。デルフでも吸い込みきれない力の持ち主なのか。 アレスよ、ゼウスよ、ヘラクレスよ! 大いなるガイアよ! また、我が故郷の神々よ! 俺はまだ、『また』死にたくない。どうかここから救い出してくれ! と、足元の地面が『流砂』に変わり、トラクスとルイズを荷物ごと地下へ吸い込む。 まさか、冥土の神プルトンが招いているのか? 俺はやはり、タルタロス(地獄)逝きか? そのままトラクスは、マジナイの眠りにかかり意識を失った…。 惨劇の舞台となった《ヴェストリの広場》は、静寂を取り戻した。 衛兵たちは、ほぼ全滅だ。三十、いや、四十数人はいたはずだったが。 しかもきちんと武装した、一応手練の連中であった。 「やれやれ……まぁ、生徒・教師諸君に被害が少なかったのが、幾許かの救いじゃわい。 ミス・ヴァリエールは、すぐ治療させねば公爵家に申し訳が立たんのう」 トッ、と上空にいた二人は地面に降り立ち、土牢に近づく。 だが、土壁は突然崩壊し、ミス・ロングビルを呑み込んでしまう! 「きゃああああああ!!」 「なっ! ミス・ロングビル!?」 その上、土牢の中には、トラクスもルイズもいなかった。 「あ……悪魔だ……あいつは、悪魔だったんだ……!」 「か、彼女たちは、悪魔に連れ去られたに違いない! こ、こんなに人が殺された!!」 「そうだ! 『ゼロのルイズ』のせいだ! 全部、あいつらのもたらした災いだったんだ!」 恐慌状態だった広場には、誰からともなく非論理的な噂が飛び交った。 いや……『悪魔』か。案外、そうだったかも知れない。これで災いは終わったのだろうか? 教師の誘導の下、生徒たちは教室に移動し、今日と明日の授業は残らず中止となった。転がっている遺体の片付けも始まる。 『遠見の鏡』が使われたが、トラクスもルイズもミス・ロングビルも見つからなかった。 あの魔剣に魔法が吸収されているためとも考えられるが、確証はない。 夕方。ふと、流れてくる血の臭いの中に、どこかへ『移動している』微かな臭いを感じた。 何かに導かれるように、私は部屋を抜け出し、屋外へ出る。 私は……血の臭いをたどって、どうするつもりだったのだろう。 救いを求めるケガ人がいるとでも思ったのか。あるいは怖いモノ見たさ、好奇心……。 その時の気持ちを、今となってはよく思い出せないが、しかし…… この時こんな行動をとっていなければ、その後の私の人生は、かなり違ったものになっていただろう。 ……平穏の日々は、消え去った。 「こっちだよ、蛮人(バルバロイ)さん。外に馬も用意してあるよ」 ミス・ロングビルが、学院の外壁に空いた抜け穴に、ルイズを背負ったトラクスを案内していた。 前のページを読み直す / 表紙へ戻る / さらにページをめくる
https://w.atwiki.jp/doujin-circle-list/pages/194.html
公式HP:「生死確認日記」 ttp //blog.livedoor.jp/zeronomono000/ サークル名:[[]] 単行本 No. タイトル 発行日 収録作品 1 お姉ちゃんまにあ 1997年9月 駆り立てるのは金と願望メス豚は聖母にはなれない クレオとウェンデル り狩女魔 鬼畜狂時代 血のつながりという名の壁 お姉ちゃんで遊ぶ プラグ -SYRUP- お姉ちゃんまにあ 2 ましゅまろおっぱい 1998年6月 White どっちが本命? Widow -かつらきゃらくた- いんでいんする 気持ちよければ全てよし? コタツのきょうだい 「指のない価値」 3 女の子の汁 1999年3月 ぼでぃーていすと エプロンのある情景 ふぃ――る 窓の中の世界 パーツでゴー! あついと ヘン 肉塊 月が欠ける 4 キモチいい穴 1999年9月 あせかきすぎ 六畳一間 とりとめのないハナシ 「く」う「まま」 艶かしいベランダ インストール Transaction 仮想H 5 とろける体 2000年1月 部屋肉林 「視ット」 鏡 テイリュウジョ 待チ合ワセ ソドムの階段 レジスター ぶらぼー亭の冒険者 6 恥液のニオイ 2000年11月 唇と舌とだ液 近所のお姉ちゃんで遊ぶ 日かげ 優等生 サバト 副作用 ケンカする程仲良し スカートのなか フラスコなキモチ 7 全身粘膜少女 2001年9月 鎖かけの体 兄妹発情日 羊の皮 ボイナー 遠距離至近距離 鬼畜ローテーション 母子劇場 週末 8 イクまで犯してみる? 2002年9月 エロ中 ペナルティィ 後日談-前- 後日談-後- 姦前ロンド 「とりあえずせっくすしよ」 サイフカラダ トーン貼り 9 犯りたい気分 2003年6月 シスシス 女子能力開発部 少し異常 月日の影-前- 月日の影-後- 追っかけサン 穴穴口 嘘とウソのオバケ 10 カラダニキイテ 2004年5月 息恋 輪っかとシッポ まわし嫁 妹恋愛値-前- 妹恋愛値-後- チェリーボム 陽日 部屋 11 性的な彼女 2005年5月 わすれな 微妙な関係 新母 ―ニイママ― プレゼント 一歩下がって二歩下がって 姉仕様 りとる 12 わすれな1 2006年5月 わすれな1 兄妹…(わすれな) わすれな2 はじめて…(旧わすれな) わすれな3 快楽…(わすれな・2) わすれな4 唇…(旧わすれな・2) わすれな5 嫉妬…(旧わすれな・3) わすれな6 願望…(旧わすれな・4) 13 わすれな1 ハイグレード版 2006年5月 わすれな1 兄妹…(わすれな) わすれな2 はじめて…(旧わすれな) わすれな3 快楽…(わすれな・2) わすれな4 唇…(旧わすれな・2) わすれな5 嫉妬…(旧わすれな・3) わすれな6 願望…(旧わすれな・4) 特典 鮮明な印刷 キャラクター設定集 全作品リスト イラスト・カラーページ増 14 わすれな2 ハイグレード版 2007年6月 わすれな7 優越感…(旧わすれな・5) わすれな8 真央…(旧わすれな・6) わすれな9 二人きり…前(旧わすれな・7) わすれな10 二人きり…後(旧わすれな・8) わすれな10.5 わすれられない… わすれな11 好き…(わすれな・3) わすれな12 わすれな…い(わすれな・4) 単行本未収録 タイトル 掲載誌 J・スポット BOY MEETS BOY 1997年1月号 キャラクターズ ROMEO vol.6 1997年3月号 ミイラとりはミイラ ROMEO vol.8 1997年7月号 とむとじぇりぃ BOY MEETS BOY Ⅲ 1997年10月号 カワイイやつ BOY MEETS BOY Ⅳ 1997年12月号 「BOOK」 BOY MEETS BOY Ⅵ 1998年4月号 B・・・ BE-NEW 1998年5月号 ラリるれろ 美人センセー膣内射精 2002年9月号 いじらしぃ 純愛果実 2004年 5月号 女子能力開発部+ ふたなりっ娘プリティ!Vol.01 散歩道 純愛果実 2005年7月号 子羊おおかみ 純愛果実 2005年9月号 とまと 純愛果実 2005年11月号 親子羊おおかみ ―前― 純愛果実 2006年1月号 親子羊おおかみ ―後― 純愛果実 2006年3月号 隣人注意報1 純愛果実 2006年5月号 隣人注意報2 純愛果実 2006年7月号 隣人注意報3 純愛果実 2006年9月号 隣人注意報4 純愛果実 2006年11月号 隣人注意報5 純愛果実 2007年1月号 りんくっ 純愛果実 2007年3月号 ねえさんP ―前― 純愛果実 2007年7月号 にゃっ! 美少女的快活力 Vol.16
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/35749.html
ぜろのくに【登録タグ GUMI せ 前略P 曲】 作詞:前略P 作曲:前略P 編曲:前略P 唄:GUMI 曲紹介 「世界の何処で君は待ってるの?」「世界の何処で貴方は待ってるの?」 前略P の29作目。 飛行機は高い高いビルをへし折り墜ちた。愛しい人を亡くしたとある人は、悲しい旅を続ける。愛しい人は旅行が好きだった、その地をあてもなく彷徨う虚無の旅。そこで気付く。なぜ僕はこんなに短い時間で世界を旅出来たのだろう。(Twitterより転載) Mastering:YoP・Movie ELS・Special thanks HarryP/koyori CD『Flight Records』収録曲。 歌詞 空が落ちたら 君を探す合図さ 誰も気づかず 落ちていく 落ちていく 君は赦しを経て 空へ昇ったのかな 沸き立つ新聞の記事 悲しいと思うなら 言葉は忘れないで 明日を待つ子供達を抱えて 明日 目覚めたら 全て夢ならいいな 二つの塔も崩れずにいて 明日 目覚めたら 全てよ嘘になれ それすら叶わず ニュースは 世界に鳴り響いた 飛行機が飛ぶ日に 私は祈った 元気でいてね 救いを 救いを 悲しむ人々 昨日の笑顔も忘れた 「あれは偽物だ!」 誰もが信じてた 明日 目覚めたら 全て夢ならいいな 君がいないから 僕は旅に出たのさ みんなみんな 崩れてしまったよ 僕は君を 愛し続けるよ 空が落ちたら 君を探すんだ 聖者の嘘を 燃やして 燃やして 飛行機に乗って 迎えに行くから 「世界の何処で 君は待ってるの?」 今日 目が覚めても 夢じゃなかった 君を探すため 僕は旅に出たのさ コメント メロディーが好きです!良い曲! -- Re yell (2016-12-20 20 25 37) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/magicbattle/pages/48.html
【デルフリンガー】 ランサー(ディルムッド)に支給された。 現在の所有者はランサー(ディルムッド)。 【遠見の鏡@ゼロの使い魔】 ザボエラに支給された。 現在の所有者はザボエラ。 オールド・オスマンの持つマジックアイテム。 遠くの光景を見ることが出来る。声も聞くことが出来る。 制限により、範囲は同エリア内。6時間に3度の使用しか出来ない。 【アンドバリの指輪@ゼロの使い魔】 ザボエラに支給された。 現在の所有者はザボエラ。 ラグドリアン湖の水の精霊が守る秘宝。 水の精霊と同じ、水の力を凝縮した力を持っており、人間の精神を操り、死体を操る。 ロワ制限により、生きた人間の洗脳は不可能だが、死体ならば操れる。 1.魔法にかかった死体は、意思がなく忠実(COMPの悪魔同様) 2.生前の能力は、基本的に使用可能。 3.同時に1体までしか使役できない。 4.操っていた死体は、一度術を解くと二度と操れなくなる。 5.術者から離れすぎるか、術者が死ぬと死体に戻る。 6.ディスペルの魔法で無効化される。似た魔法では不明。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3375.html
前ページ次ページゼロの斬鉄剣 ゼロの斬鉄剣 第3話 ―決闘・ヴェストリの広場― ルイズが教室を吹き飛ばした日の昼食時間 何とか全力で掃除を終えることに成功したのだ。 「マルトー殿、昼食を頂に来た。」 「オウ、来たかゴエモン!またあの貴族がやらかしたみたいだな!」 「・・・・いかにも、しかし生意気だけだと思ったが、あの姿をみるとほおって置けなくてな。」 「ゴエモンも律儀な奴だ、あんな態度の貴族に義理立てすることは無いのにな。」 「これも修行の内、今は使い魔としてルイズを支えてやれなくては。」 「まあまあ、出来たぜ!」 五ェ門の前に出されたのはまた賄い食とは思えないほど立派な物だった 「(欲を言えば焼き魚に白い飯に味噌汁が・・・まあここでは無理というものか。)」 そう思いつつもマルトーの料理に舌鼓をうっていた。 「これほどの食事を毎日頂くのに何もしないのは申し訳がない、何か拙者に出来る事は無いだろうか?」 マルトーはますますこの五ェ門という男を気に入った 「立派な心がけだな、別に構わんのだがそれでは気がすまないという目をしているな。」 笑いながら五ェ門を一瞥するマルトー。 「そうだな、じゃあデザートを運ぶシエスタを手伝ってくれよ。」 「承知。」 そういってシエスタの元へ向かう五ェ門 それをニヤニヤしながら見送るマルトー 「(シエスタにもようやく春、か)」 クックと噛み殺した笑いをする厨房の料理人達 「シエスタ、助太刀に来たぞ。」 たすきがけの姿となりシエスタに声をかける五ェ門 「あ、ゴエモンさん!」 マルトーから承った仕事をするとシエスタ伝える 五ェ門は言われたとおりデザートを皿に盛り、貴族たちに配っていく 「(な、なんであいつがケーキなんて配ってるのよ!・・・それに何メイドなんかとなかよくっ!)」 ルイズのほうから只ならぬ殺気を感じたのか五ェ門は振り返り、ふっとにやける 「(ルイズも可愛い所もあるものだ、よほどデザートが待ち遠しいようだ。)」 そう勘違いしルイズのデザートは五ェ門が特に大きいイチゴが乗せてあるものを差し出した 「な、なにやってるのよう・・・」 ルイズはケーキを差し出された時声をかけた 「うむ、拙者は食事を頂く代わりこうして雑用などを請け負うようになったのだ。」 「(あ、なーんだ。ちょっと安心・・・ってなんで安心してるのわたしは!)」 ふいに五ェ門がルイズに耳打ちして 「お主のケーキはイチゴが一番大きいのをえらんだぞ。」 こうされてしまっては怒りも萎えてしまう 「ふ、ふん!なかなか気が利くようね!」 精一杯の虚勢に五ェ門は顔を緩ませる 「では拙者はまだ仕事があるのでな。」 そういうときびすを返しケーキを配り始めるのであった 配っていくうちにやたらきらびやかな貴族を見かけた。 「ギーシュ!お前だれとつきあってるんだよ?」 「誰が恋人なんだ、ん?」 きらびやかだが品のない香水をつけている男だと、五ェ門は思った。 五ェ門は香水の匂いはそれほど好きではない、その上少々きついのでなるべく早く仕事を済まそうとおもうのだった。 「つきあう?僕にそのような特定の女性はいないのだ。薔薇は多くの人を楽しませるためにあるのだよ?」 なんとも歯の浮く台詞である、五ェ門はこのような類の男は嫌いである 「(貴様には薔薇より木瓜がにあっておるよ。)」 こころにそう思いつつもケーキを配りだす。 そのとき、ギーシュのポケットからポロリと小壜が落ちた 「(ほう、小僧が持つにしてはなんとも立派な細工だな)」 どうやら液体が入っているようだ、ヒョイと拾い上げてギーシュに差し出す五ェ門 「お主、これを落としたぞ。」 うっという顔をするギーシュ 「こ、これは僕の物じゃないよ。」 その小壜に目をやる取り巻きの少年たちが騒ぎ出す 「お、その壜の香水はモンモランシーの物じゃないのか?」 「そうだ、その壜と鮮やかな色の香水、モンモランシーが自分のためだけに調合している奴と同じだ!」 「お前、やっぱりモンモランシーと付き合ってるんじゃないか!」 わいわい騒ぎ出す ガタリ、と後ろの席で音をたてる 「ギーシュ様・・・やはり・・・」 涙を流しながら栗色の髪の少女は呟く 「ケ、ケティ、彼らは誤解をしているんだ、僕の心には君しかすんでいないのだ・・・」 言いかけたところでパァン!といい音が響く 「さよなら、ギーシュ様!」 泣きながら食堂を飛び出すケティ たたかれた頬をさするギーシュ 離れた席から少女が近づいてくる 「も、モンモランシー、誤解なんだ!」 いっそう険しくなるモンモランシーの表情 「やっぱりあの一年生に手を出していたのね。」 ギーシュは言い訳の弁を述べる間もなく バチーン! こんどは逆の頬を一発 「最ッ低!」 モンモランシーも食堂を出て行く 沈黙が食堂を包む しばらくのち、ギーシュはハンカチで顔を拭い一言 「あのレディたちは、薔薇の存在を理解していないようだ。」 やれやれと、その場を立ち去る五ェ門、そのとき 「待ちたまえ!」 振り返る五ェ門 ギーシュは椅子を回転させ足を組む、なんとも無駄な動きだと思う五ェ門 「君は軽率に香水の壜を拾い上げたおかげで二人のレディの名誉をきずつけた、どうしてくれるんだね?」 五ェ門は一言 「不義を重ねたお主が悪い。」 ギーシュの取り巻きがどっと笑いに包まれる 「ギーシュ、お前がわるいな!」 「くっ、君はたしか・・・ゼロのルイズの使い魔だったね?平民に機転を期待した僕がわるかったね。」 ふん、と五ェ門 「お主にはあのような純情な少女達は似合わん。」 ギーシュの目に炎が宿った 「君!今の言葉は聞き捨てならないな!貴族に向かってなんだねその言葉は。」 ふぅと、ため息をつく五ェ門 「生憎だが、拙者は貴族だろうと何だろうと媚を売ることはしないのでな。」 ギーシュはついに立ち上がった 「よかろう平民!ゼロのルイズは躾も出来ないようだから僕が君に貴族の礼を教えてやる!」 ほう、と五ェ門。そういえばこの世界に来てまだ修行もしていない、ちょうどいい運動だと思った。 何より男子としてこの小僧の振る舞いは捨てて置けないと考える 「よかろう、ここでやるのか?」 五ェ門から今まで感じ取ることの出来なかった殺気が辺りを包む 一瞬ギーシュは怯んだが 「ふん、貴族の食卓を血で穢すわけにもいかないからな、ヴェストリの広場に来い!」 ギーシュはそう言い放ち食堂を去る とたんに食堂が沸く 「決闘だ!」 「平民と貴族の決闘だ!」 なるほど、こいつらは決闘の恐ろしさも知らないのかと、つくづく思う五ェ門 そこにシエスタが寄り添う。 「ゴエモンさん、決闘なんてやめてください!」 既に涙を浮かべている。 「心配ない、あのような軟弱物に遅れは取らない。」 「でも、貴族を本気で怒らせたら・・・」 やれやれという顔でシエスタを見つめる五ェ門 周りは何故そんなに落ち着いてられるのかとかえって訝しげな目で五ェ門を見る。 そこへ一部始終を見ていたルイズが五ェ門に近寄る。 「あ、あんたなんてことを!平民が貴族と決闘するなんて!」 「うム、ルイズ。お主もう食べ終わったのか?」 のんきな台詞である 「ちょ、あんたねぇ・・・」 「お主も拙者が負けると思っているのか?」 「っ・・当たり前でしょ、平民が貴族にかてるとでも・・・」 そう言い切る前に五ェ門が一言 「ヴェストリの広場とやらに案内してくれ」 あきれた顔でルイズは 「もう!あんたなんか怪我してもしらないんだから!」 といいつつ内心五ェ門殺されるのではないかと心配になるルイズ そうやって案内されいざ、決闘の地ヴェストリの広場へ ―― 若干時を先にオスマンの部屋 ―― 「たっ、大変ですオールド・オスマン!」 バタン!と扉をあけるコルベール 「何じゃ騒々しい・・。」 ロングビルの尻の感触を楽しもうとしてたのにと、残念そうな顔をする 「ヴェストリの広場で決闘をしている生徒たちがいるようです!大変な騒ぎで近づくことも出来ません!」 やれやれという顔のオスマン 「捨て置け、暇をもてあました貴族の遊びほどタチの悪いものは無いのう。して誰だね?」 コルベールは一呼吸置いて 「一人はギーシュ・ド・グラモン」 「ほう、あのグラモンの馬鹿息子か。親子そろって色ボケしておるのう、大方女の子の取り合いといったところかのう。」 おまえも色ボケの一人だよ、という顔をするロングビル 「して、もう一方は?」 「は、それが・・・ミス・ヴァリエールの使い魔・・・平民です。」 ほっほっほと笑い出すオスマン 「笑い事ではございません、早速眠りの鐘の使用許可を!」 ふーむと、ヒゲを触りだすオスマン 「捨て置けといったはずじゃ、たかだか子供の喧嘩、秘宝を使うまでも無いわい。」 ふうと、ため息 「ミス・ロングビル、せっかくだから君もヴェストリ広場に行って様子を見てきなさい。」 かしこまりました、とそそくさと退場するロングビル 「オールド・オスマン・・・。」 「分かっておる。」 ひょいと杖をふると大きな鏡が現れる 映し出されたのは今まさに始まらんとしている決闘の現場だ。 ―― 時は戻りヴェストリの広場 ―― ヴェストリの広場は風と火の塔の真ん中にある広場である ここで五ェ門も召還されたのだ。 噂を聞きつけた生徒たちが大勢集まりだしている。 「諸君!決闘だ!」 ギーシュが開口一番で大声をあげる 「ギーシュが決闘をするぞ、相手はルイズの使い魔の平民だ!」 ワー!と沸き立つ観衆 「よく、逃げないで来たね?褒めてあげるよ。」 五ェ門はあくまで落ち着いている 「決闘を挑まれたのだ、武士として背を見せるわけにはいかんのでな。」 ほう、とギーシュ 「ふん、平民の癖に貴族みたいなことを!」 辺り一帯に殺気が立ち込める 「では、はじめようか」 「勝敗の条件は?」 ふん、とギーシュが 「どちらかが降参したとき、または杖をおとすか再起不能にするか」 「いいだろう」 おもむろにギーシュが持っている薔薇の花びらを振る 花びらが一枚落ちた瞬間、五ェ門の前に鎧を纏った女騎士の人形が現れた 「(ほう、少しは手ごたえがありそうだな)」 身の丈は人と同じ、が硬い金属のようなもので出来ているようだ、これくらいならばと五ェ門。 「卑怯だとは思わないことだね?僕はメイジだ、魔法でカタをつけさせてもらおう。」 「能書きはいい、さっさとかかってくることだな。」 五ェ門の態度にますます頭に血が上るギーシュ 「ふん、では僕の二つ名は青銅、従い青銅のゴーレムで相手をしてやろう、行け”ワルキューレ”!」 とたんにゴーレムが五ェ門に突進するが ヒョイと五ェ門がゴーレムの攻撃を翻す 身軽な五ェ門が見せた跳躍は観衆を沸かせた 「すごい平民じゃないか、ギーシュ!本気でやれ!」 野次がとぶ 「ふん、逃げるばかりじゃないか、早くかかってきなよ!」 五ェ門は逃げていたわけではなかった ゴーレムの間合いを見ていたのだ、初めて戦う相手なのだから間合いを見極めるのは当然の事 先に手を出したギーシュが一撃を外した、この時点で五ェ門は見切っていたのだ 「ならばこちらから!」 ギーシュがワルキューレに命じ突進させる 刹那― キィン! 金属がぶつかる音が広場に響いた 何が起こったのか分からない観衆、そしてギーシュ 五ェ門の手元にはいつの間にか刀が握られており、再び鞘に収めたのだ、 カチャリ、と収めた瞬間 ガラガラガラ、と美しいゴーレムは無残にもバラバラになっていく その光景に湧き上がる観衆! 「いいぞ平民!なにをしたんだ!」 「ギーシュ、平民に負けるんじゃねーぞ!?」 やいのやいのはやし立てる観衆 「う、うそ・・・」 ギーシュより驚いているのはルイズであった 「ゴエモン、やるじゃない!」 キュルケが声援をだす 傍にいた青髪の少女が顔をだす 「あら、タバサ・・あなた図書室にいたんじゃないの?」 「・・・・」 無言で五ェ門を見つめるタバサ 「・・・・ギーシュの負け」 えっ?とキュルケは聞き返したがタバサは視線を五ェ門にむけていた。 ギーシュは混乱していた、目の前で自慢のゴーレムをバラバラにされ、それも理由が分からないとあれば尤もな話である。 「どうした小僧、手品はこれで終わりか?」 と、五ェ門はギーシュに一言 「ち、調子に乗るな平民が!行けヴァルキューレ!」 ギーシュは持っている薔薇を振りかざしゴーレムを召還する 「(ほう、数もだせるのか)」 「ゆけ、殺せ!」 総勢6体のゴーレムがならび、一斉に五ェ門に突進してくる なんと芸の無い、と五ェ門は呟き刀を抜く 「セイヤ!」 そして一気にゴーレムとゴーレムの間を駆け抜ける ・・・ 沈黙があたりを包む、そして ガラガラガラガラガラ・・・ 召還されたばかりのゴーレムは一体残らずバラバラにされていく、このとき五ェ門は左手に異常 があることに気がついた 「(妙な・・・ルーンとやらが光っている、それに妙な力がわいてくる。)」 普段よりずっと太刀筋がよくなっていたが今は決闘中なのでひとまずおいておく その姿を見たギーシュはなかば恐慌状態におちいっていた 五ェ門が一歩一歩ゆっくりギーシュに近寄る それにあわせギーシュが腰を抜かすもはいずりながら引き下がる、だがそれも限界がきた 壁際に追い詰められるギーシュ だが容赦ないといった態度で五ェ門が寄ってくる 「ひいいいいいいいいいいいいいいい!」 薔薇を必死に振るも既に花びらは散っていた それすらも分からないほどギーシュは混乱しているのだ そして五ェ門がギーシュの前で刀に手を添える 「ひぃいい!ま、まひ!まひ!」 もはや言葉にならないので参ったといえないギーシュ、そして キィン!キィン!キィン! 目にも留まらぬ速さで刀をさばく五ェ門 そして鞘に収め一言 「また、つまらぬ物を切ってしまった。」 瞬間ギーシュの服は散り、寄りかかっていた壁が崩れる ギーシュは失禁しながら気絶した もはや誰も声を上げることができない 五ェ門はルイズの傍までくると 「さて、そろそろ部屋にもどらぬか?」 「あんた・・・一体・・・」 「拙者はただの侍、それ以上のそれ以下でもござらん。」 そう言うとルイズを促し一緒に部屋に戻っていく。 その場にいた観衆はただ呆然と後姿をみまもり、姿が見えなくなると自然と散っていった 「・・・・素敵・・・」 キュルケはトロンとした目で 「・・・・」 タバサは五ェ門の太刀筋の異様さに関心をもち、ギーシュにを一瞥し一言 「無様・・・」 後に残されたのは魔法がとけバラバラに刻まれた薔薇の花と パンツすら残さず散らされ、だらしなく失禁をしたギーシュのみであった。 ―― 再びオスマンの部屋 ―― 「平民が・・・勝ちましたね」 「うむ・・・圧倒的というか・・壁が・・・」 そっちか、とコルベールは思ったがよくよく考えれば剣で石壁に穴をあける様に背筋が 凍る思いをする。 「やはり、あの男は・・ガンダールヴなのでしょうか・・・?」 「コルベール君、まだ決め付けるのは早いのう。」 えっという顔をするコルベール 「しかし、現実にメイジに平民が勝ったのですぞ!」 「落ち着きたまえコルベール君・・・ふぅむ、彼は本当にただの平民だったのか?」 と質問を投げかけるオスマン 「はい、ディテクト・マジックで魔力の有無を確かめましたが、正真正銘ただの平民です。」 ふうむ、とヒゲをいじるオスマン 「して、ヴァリエールは有能なメイジじゃったかのう?」 「いいえ、どちらかといえば無能です」 目を瞑るオスマン 「これが問題じゃな、平民が何故ガンダールヴのルーンをもっているのか、そして何故その主が 無能とまで言われているメイジなのか。」 考え込むオスマン 「ガンダールヴとはあらゆる武器を使いこなし、偉大なる始祖ブリミルの盾となったということじゃが・・」 ふう、とため息をつく 「とにかく、情報がたりん、事を荒立ててはいかんのう、当分は我々だけの秘密じゃな。」 オスマンのいわんとするところを察したコルベールは 「は、分かりました」 一言告げ、部屋を辞するコルベール 誰もいなくなった部屋でぽつりと 「やれやれ、とんでもないことになったものじゃな・・。」 そんな主人を見かねたのか老人の使い間たるネズミは頬ずりをして慰めるのであった。 前ページ次ページゼロの斬鉄剣
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3611.html
トリステイン魔法学院―――――ハルケギニアと呼ばれる大陸の西に座すトリステイン王国。その王都近くに存在する魔法使い達の学校。 そこでは春の行事である『召喚の儀式』が行われていた。 まだまだ未熟なメイジ(魔法を行使する人間をこの世界ではそう呼ぶ)である少年少女の生徒達が、次々と様々な『使い魔』を召喚していく。 これから自らの半身といっても過言ではない存在となる使い魔を召喚し、契約する神聖なこの儀式に失敗は決して許されない。 そして今、桃色がかったブロンドの勝気そうな少女が、召喚魔法『サモン・サーヴァント』の呪文を詠唱した。 それがこのハルケギニアに恐るべき“侵略者”を呼び寄せ、また自らが住む世界の終りを告げる鐘の音であるとも知らず。 「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ! 神聖で美しく、そして強力な使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ……我が導きに答えなさいッ!!」 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 真!! ゼロの侵略者 ~ハルケギニア最後の日~ 第1話「恐怖!! 復活のインベーダー!」 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― ………………その呪文の通り、“それ”は宇宙の果てから召喚された。 暗い闇の宇宙からせまり来る恐怖の声をあげて、召喚者の世界にやって来たのである。 “それ”は決して神聖で美しくはなかったが、狂暴にして凶悪といっていいほど力強く、そして『生』に対して異常なまでに貪欲な存在でもあった。 だが……召喚されるその直前、“それ”は憤怒の叫びと断末魔の悲鳴をあげていた。 不倶戴天の敵によって星ごと一刀両断に斬り裂かれ、細胞の一片まで残すことなくその身を焼きつくされる“それ”。 叫び、吼え、呪い、のたうちながら消滅していく“それ”の思いは最期まで同じだった。 『まだ生きたい、死にたくない』 しかしその願いは叶えられず“それ”はこの宇宙から死に絶え、すべての生命の根源たる『 』へと還っていくはずだった。が――――― 緑の光に飲み込まれていく“それ”の最後の欠片、その前に突如として銀色に光る『鏡のようなもの』が現れる。 その物体、いや現象はこの宇宙でつい先ほど起こったワームホールと呼ばれるものと同種の効果を持っていた。 尚も崩壊していく“それ”の欠片を『鏡のようなもの』が飲みこむと、“それ”はその世界から完全に消え去った。 「こ、これが私の使い魔?」 ルイズは自分が召喚したものを見て困惑した。 彼女だけではなく、周りの同級生や教師のコルベールも不思議そうな表情をしている―――――なんだアレは? 目の前のそれは黒いヘドロのようなもので、絶えず蠢き蠕動し、表面には無数の黄色い目玉が生えている。はっきり言ってかなり不気味で醜怪だ。 とても美しいとは思えないし、お世辞にも力強いようには見えない。「神聖で美しい、強力な使い魔」とはかけ離れた存在である。 ルイズは己の期待とまったく違うものを召喚してしまったことに少なからず落胆したが、同時に生涯初めての魔法の成功に対する喜びと、困惑があった。 説明するまでもないが、彼女は『ゼロ』という不名誉なアダ名をつけられ嘲られているように、幼い頃から魔法の才能が無いと「思われて」きた。 貴族に生まれておきながら、ことトリステインという国家において貴族という特権階級を支え、かつ司るファクターの第一である魔法が使えないのだ。 まして彼女は王家の血筋に近い公爵家の令嬢で、貴族としての位が高ければ高いほど必ず魔法の才能に秀でてなければならないのがこの国の常識である。 それ故どんな初歩的な魔法の呪文を唱えても、何故か必ず爆発を起こして失敗してしまうルイズが他の貴族から低く見られるのはしかたがないことかもしれない。 だが、それでも彼女は気貴くあろうとした。決して卑屈にならず、前を見て歩こうとした。それが他の生徒の敵愾心をあおり、己への侮蔑が増す原因になろうとも。 このようにルイズは実技において同級生たちに劣るが、代わりに座学では他より優れていようとした。誇りを保つため、魔法の知識だけでも一番であろうしたのだ。 彼女は決して愚鈍ではなかった。その頭脳は記憶に関して優秀であり、また弛まぬ努力もあって彼女の知識はクラスメートよりはるかに富んだものとなった。 覚えた呪文(ルーン)は数知れず、『コモン・マジック』は勿論のこと四系統の大抵の呪文は空で唱えられるし、同世代のメイジが知らない魔法も知り、その呪文を覚えた。 魔法の呪文だけではない、秘薬や幻獣、精霊の知識においても上級生たちに引けは取らないほどだった。 話が反れたが、ドラゴンとまではいかなくても、グリフォンやユニコーンなどの強力で美しい幻獣、でなければ有名ではないが学識あるものならその価値が分かる 希少な存在を召喚して同級生たちを見返してやろうと思い、万が一に自分が知らない種類の幻獣を召喚した場合へそなえて、それに関する情報を改めて得ようと 再び書物をひも解くまでしたルイズの膨大な幻獣の知識に、“こんなもの”は無かった――――というのが彼女の困惑の理由なのである。 ルイズは幻獣に関する書物のみでなく、過去の召喚の記録も読んだ。『稀有な召喚』というタイトルの書籍には珍しい動植物や幻獣の他に、他人が造り出した ゴーレムやガーゴイル(西洋の鬼瓦的な存在の、翼が生えた醜悪な怪物を模した石像ではなく、ハルケギニアでは意志を持つゴーレムを指す)を召喚した者、 中には単なるマジックアイテムを召喚した者や、さらに精霊を召喚した高名なメイジなどが記されていたが、やはり“こんなもの”を召喚したという記録はなかった。 (コレみたいなのに関する記録はどこにも無かったわ…………ひょっとして私、凄く珍しい幻獣を召喚したのかも! ああっ、でも実際役に立つかどうかは………) 無論のことルイズも全知ではない。彼女の知らない存在も多々あるだろう。故にその思考はネガとポジ両方に向いていた。 「………ミス・ヴァリエール、『コントラクト・サーヴァント』を。使い魔を召喚したのならばそれと契約しなければ」 思索の沼に沈みつつあったルイズを現実世界に引き戻すべく声をかけたのは、同じく思索の沼に溺れかけたものの自力で這い上がった教師のコルベールである。 若くして頭髪の後退が激しくなった男性であるが教育者としては優秀で、奇妙な実験に没頭しているということを除けば生徒の面倒見も良い名教師だ。 彼もまた自身の知識と経験にはない召喚物に困惑していたが、教師連のなかで博識とはいえど自分は幻獣の専門家ではない、ということで己を納得させた。 ―――――――アレが何なのかであるかは後回しだ。それよりこの神聖な儀式を遂行せねばならない。 召喚から契約まではスムーズに行われなければならないものだ。 生徒の手に負えないものが召喚された場合の対処も自分は任されているが、 正体不明の不気味な存在であるものの、アレは極端に弱っているようだ。危険はあるまい――――――― コルベールはそう思った………すぐに後悔するとも知らず。 「はい……わかりました、ミスタ・コルベール」 ルイズは承諾した。 すでに何十回という失敗を繰り返し、もはや次の授業に差障りがでると言うコルベールに必死に頼み込んでの召喚。 本来の『サモン・サーヴァント』の呪文とは異なる、自分のありったけの思いを込めた祈りのごとき詠唱。 コレはそうしてやっと自分の目の前に現れたものだ、何の不満があるのだろう。 こうなってはこの正体不明の生き物(なのか?)を己の使い魔として受け入れ、共に歩んでいくしかあるまい。 そのように決心したルイズを遠巻きにだが、真摯に見つめる生徒がいた。 蠱惑的ボディーラインを誇る褐色肌の美少女で、名はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。 隣国・帝政ゲルマニアよりの留学生であり、優れた「火」のメイジだ。先ほどその実力に見合った、虎のように巨大なサラマンダーを召喚している。 彼女は自慢の赤毛と豊満な胸を揺らしながら、自分と対照的な体型の眼鏡をかけた青髪の少女に話しかけた。 「ルイズったら変な使い魔を召喚したわねえ………アレが何なのか分かる、タバサ?」 「解らない…………でも、何か“よくないもの”だと思う」 タバサと呼ばれた少女はその身の丈を越すほどの杖を強く握りしめ、身体に薄っすらと汗を滲ませている。 彼女はとある理由から命を危険にさらす仕事を何度もやり遂げており、その外見からは想像できない百戦錬磨の戦士だった。 その戦士としての勘が、彼女にあの存在が不穏なものであると知らせている。 何かは分らないが、禍々しくおぞましいもの。ヒトを蛙とするなら蛇に喩えられるような……… 自身の勘だけではない、彼女が召喚した風韻竜の幼生もまた主の心に警告を発していた。アレは恐ろしい悪意に満ちた存在であると。 他の使い魔もその危険性に気付いているようだ。あるものは怯えて縮こまり、あるものは毛や鱗を逆立たせながらアレに向かって低い唸り声を上げ威嚇している。 同級生たちは自分の使い魔をなだめるのに必死だった。 タバサの返答にキュルケはルイズのことが心配になったが、すでに彼女は『コントラクト・サーヴァント』を行おうとしていた。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 そう唱えて使い魔に、いやこれから使い魔となるものに優しく口づけたその瞬間――――――ルイズは弾かれるようにして倒れこんだ。 地面に投げ出された彼女の身体は小刻みに痙攣し、口からは血泡を吹いて眼はあらぬ方向を向いている。 キュルケがルイズの名を叫びながら駆け寄ろうとするが、タバサに押し止められた。 その理由はすぐに分かった。 タバサも、コルベールも、周りの生徒達も、その場にいた全員が“それ”を凝視している。 精々数十サント程度でしかなかったそれは、今や2メイルもの大きさになっていた。 沸き立つ湯のようにボコボコと音をたて、大小の目玉が浮かんでは消えていく。 そしてさらに膨れあがったそれは、ついに形を成した。 『『 ぶ は ぁ あ あ あ あ あ あ あ あ あ !! 』』 それは産声だった。 それは復活に歓喜する生命の叫びであり、同時に破滅の産声だった。 黒い繭を突き破るか、あるいは古い殻を脱ぎさるようにして現れた“もの”。 そいつらは天を見上げて、ささやくように呟く。 「………僕の推測が正しければここは地球じゃないね、スティンガー君」 雲を突くような凄まじい巨躯の大男が言う。真黒い肌にその人種にしては珍しい金髪で、頬から顎にかけて覆う髭が人外の獣の雰囲気をかもしていた。 「う、うん、そうだね。ここは地球じゃないよね、コーウェン君」 応えた男は大男に輪をかけて異様な面相だった。辛うじて人類の範疇に含まれているが……妙に引きつり青ざめた、非人間的印象を与える顔だった。 「大気と土中に含まれる成分」 「僅かな重力の差、自転速度までもが違う」 「それに見たまえスティンガー君、衛星が二つもある」 「うん、そうだね。それに何よりも」 「ああ、何よりも」 二人は次の言葉を実に……実に感慨深く、様々な感情を込めて言った。 「「 ゲ ッ タ ー 線 の 照 射 量 が 違 う 」」 二人はそこで初めて周りの存在に気づいたかのように顔を下げて辺りを見回し、 そして幼子が見たら引きつけを起こしそうな笑みを生徒達に向けて、「挨拶」した。 「やあ、はじめまして!」 にこやかに、しかし邪悪極まりなく微笑む二人。その胸には見たこともないルーンが服の上からでもわかるほど光り輝いていた。 この日この時この場所こそ。 人類とは決して相容れない、この世界に存在してはならぬ『侵略者』が伝説の『虚無』によってハルケギニアに降臨し、 また、この星に滅びをもたらす『世界最後の日』の始まりであるとは、まだ誰も気づかなかったのである。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6078.html
前ページ/ゼロの使い/次ページ 「閣下。ただいま、兵の準備が整いました。」 「いつもながら仕事が速いな。どこかの花火とは大違いだ。」 「全てはレコン・キスタの悲願成就のため、ひいては閣下のため。」 「どうだかな。君は所詮、あの方の命で余の部下になっているに過ぎない。 役に立たぬと判断したら、忠義者の仮面を脱ぎ、反逆者へとはや代わりするのであろう?」 「・・・」 「まあよい・・・少なくとも君如きでは余に指一本触れることは出来ぬのだから・・・」 「仰るとおりで。」 「では始めるか・・・我らが目的・聖地奪還の第一歩となる・・・聖戦を・・・」 閣下と呼ばれた男の右薬指にはめられた指輪が、禍々しく輝いた・・・ トリスタニア宮殿に凶報がもたらされたのはそれから間も無くの事であった。 「アルビオン王国が神聖アルビオン共和国と名を変え、我が国に出撃! 恐ろしい数と速度で、まっすぐこのトリスタニアを目指しているとの情報です!!」 「な・・・何だと・・・」 「すぐに姫とミスタ・メディルに連絡だ!それと軍の高官を緊急招集!!」 「皇太子殿は、申し訳ありませんが、地下牢へお隠れを。」 「我ら二人がお供します。」 「かたじけない。」 三人に、情報が伝わったのはその十分後だった。 「そんな・・・幾らなんでも早すぎるわ・・・」 「恐らくグレートライドンが一枚噛んでいるのだろう。」 「そうか・・・あの技で兵をかき集めて・・・」 「とにかく、王室へ戻りましょう。」 王室へ戻ると、そこには気位ばかり高そうな高官達が雁首揃えて待っていた。 「状況は?」 「敵軍到着まで、残り2時間程かと。」 「奴ら・・・布告も無しに仕掛けるとは・・・貴族の魂を捨てた外道め・・・」 「戦にルールなど無い。あるのは殺すか殺されるかと言う真実だけだ。」 「貴様、何を・・・」 「布告があって挑まれるのなら満足か?ルールの下殺されるならそれでいいのか? 戦などと言うものに、正当性を求める方がどうかしている。」 「黙れ!!一貴族の使い魔の分際で!!」 「口を慎め!!ミスタ・メディルはこの戦局を左右し得る、最重要人物の一人なのだぞ!!」 マザリーニが一喝し、先程の高官を黙らせる。 「しかし、不思議だ。幾らなんでも敵の到着が早すぎる。」 彼らは知るはずもないが、敵軍は異世界の加速魔法を使い、速度を限界まで上げていたのであった。 「誰か、ミスタ・コルベールの元へ行ってくれませんか?彼の研究がこの国を救うことになるかもしれないのです。 本意ではありませんが、いざとなったら強行手段に出ることを許可します。」 「分かりました。すぐに部隊を編成します。」 と言って、高官の一人が退室する。 「ミスタ・メディル、勝算はありますか?」とマザリーニ。 「あの魔法を試す格好の的だ。」 その場の全員がメディルの物言いに戦慄を覚えた。 彼の言葉がハッタリではなく本心だと言うことは子供にでも分かるほどだ。 夥しい数の軍勢を試し撃ちの的呼ばわりとは・・・ 「陛下、お願いがあるのですが。」 「何でしょう?」 「念の為、魔力・・・否、こちらでは精神力か。それを回復する薬を用意していただきたいのです。」 「あんたが精神力の残量を心配するような魔法ってどんだけよ・・・」 ルイズは未だかつて、メディルが精神力切れを起こした所を見たことが無かった。 90分後・・・ レコン・キスタ進軍に備え、学生を除く(ルイズは例外)、国中のほぼ全てのライン以上のメイジと兵士が配備されたが、その数は数千とあまりにも頼りなかった。 一応メディルが召喚した魔物もいるが、その数は100匹ほどだった。彼とて僅かな時間で大群を用意する事は無理なようだ。 「全てはメディル殿の双肩にかかっていると言うわけか・・・」 「コルベールの協力次第では、頭数くらいは埋められるはずだがな。」 その頃、魔法学院のコルベールの研究所の表では派遣された部隊とコルベールがもめていた。 「貴殿も分からぬ人だ!!今は非常時なのだぞ!!」 大声で怒鳴るのは、この部隊の女隊長アニエス。剣と銃の扱いにおいて、彼女の右に出るものはそういないと評される人物だ。 「いかに国民を守るためとはいえ、あれを戦に使用すれば、将来その何倍もの人が血を流すことになる!! こんな簡単な事が何故分からないんだ!!」 「拒むのならば仕方が無い。貴殿を国家反逆罪で逮捕・処刑するがそれでも良いか!?」 「やれるものならやってみなさい。この『炎蛇』、一度は戦場を退いたとはいえ、そう簡単には・・・」 言いかけてコルベールは後方へ跳んだ。 派遣された部隊が一瞬で炎に包まれ、消し炭と化した。 「流石に勘がいいな。炎蛇。会えて嬉しいぞ」 燃え盛る炎の奥に見えたのはオークやオーガ等を50程侍らせた筋骨隆々とした白髪の男だった。 それはコルベールの見知った人物だったが、その人物ではあり得ない特徴を持っていた。 「メンヌヴィル・・・貴様・・・どうして・・・」 彼の名はメンヌヴィル。『白炎』の二つ名を持つ元下級貴族の火の傭兵メイジで、かつてコルベールの隊で副官を務めていた者だ。 「どうして?決まってるだろ隊長殿。お前の肉が焼ける臭いを嗅ぎたいからだ。」 「そうではない・・・貴様の両の眼は確かにこの私が奪ったはず。それが顔の火傷諸共消えているのはどういうわけだと聞いている!!」 コルベールの問いに、メンヌヴィルは笑いながら答えた。 「知りたいか?簡単な事だ。俺はレコン・キスタの守護神に魂を売ったのさ。 お陰で顔の傷も両目も元通り。低賃金のトリステインを裏切った甲斐があったというものだ。」 「貴様・・・」 怒りに燃えるコルベールを見ても、依然態度を変えぬまま、配下に指示を出した。 「お前達、手出しはするな。代わりに学院の生徒共を好きなだけ可愛がってやれ。 ここはお前達のために用意されたバイキングだ!」 「させるか!!」 「それはこっちの台詞だ!!」 白炎が炎蛇に向けて炎を放つが、容易く防がれる。 「邪魔をするな!!」 「もう手遅れだ。」 「何!!?」 「既に亜人達の小隊が学院の中にいくつか侵入している。オールド・オスマンも終わりだ。」 「そう簡単に彼を討ち取れるとでも?」 「取れるさ。奴の担当は間抜けな亜人共ではない。 レコン・キスタで最も恐るべき、最凶最悪の部隊・・・その名も・・・」 オールド・オスマンはまだ気づいていない。学院の中に亜人が入り込んだことに。 学院長室の窓から射す日差しの下でのんびりと昼寝している。 彼は気付かない。部屋の扉が音も無く開いたことに。 誰も気付くはずがない。誰もいないようで、実は音も無く部屋に入った者がいることになど。 オスマンはまだ眠っている。音も無く見えない刃が振り下ろされようと言うのに。 しかし、斬られたのは彼が座っていた椅子だけだった。 そして見えない敵の真横から強烈なファイアボールがヒットし、そいつは音も無く倒れた。 「どんなに姿や音、殺気を隠しても、このわしを暗殺するなど到底無理な話じゃ。年じゃからちと反応は遅れたがの。」 「ほう・・・流石だな・・・遅ればせながら自己紹介と行こう。我らはレコン・キスタに仇なすものを影から消し去る、 沈黙と闇の軍勢・・・その名も・・・」 「レコン・キスタ暗殺剣士隊だ!!」 解説 レコン・キスタ暗殺剣士隊 光を屈折させる魔法のかかった鎧・ステルスメイルをまとい、レコン・キスタの邪魔者を暗殺するだけでなく、 時として裏切り者や失敗者の処刑を行う本作オリジナルの軍団。 剣等の武器も同じ魔法がかかっている。 武器・鎧にはサイレントの魔法がかけてあり、移動や暗殺の際に音が出ない仕組み。 また風の魔法が内部にかけてあり、隙間の無い鎧の着用者には絶えず酸素が供給されている。 隙間が無いのは、敵に気付かれないようにするため。 兜にも隙間が無い構造だが、マジックミラーの様に内部からは外の光景が見えるし、鎧を着けた者同士も見えるようになっている。 隊員達は一筋の光も射さない闇の中でも獲物を殺せるよう、殺気を最大限に隠せるよう訓練を受けている。 メイジは魔力を察知されると言う理由で入隊は不可能である。 彼らに狙われた者は犬のように臭いで追うか、蛇のように体温で追うか等して、彼らの存在を知り、 返り討ちにしない限り次の朝日を拝むことは出来ない。 なお、サイレントのかかった鎧を着用しているのに、どうして声が出せるのかは突っ込んではいけない。 フィクションにご都合主義は付き物である。 前ページ/ゼロの使い/次ページ