約 579,054 件
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/411.html
誘導尋問 「卑怯な真似すんなエイト!今のは言葉のあやだ! とにかく!最後にもっかい言っとくぞ、このオレが! ゼシカのこと特別に好きとか!基本ぜってぇあり得ねぇから! 大体だな、オレが好きなのは、もっと女の子らしくて素直で可愛くて守りがいのある…」 「あ、ゼシカがチャラチャラした連中にナンパされてる」 「なんだとッ!?!?!?てめぇら人のモンに手ぇ出してんじゃねぇぞゴルァアア!!…」 ククールは光の速さで走って行った。
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/248.html
394名前がない@ただの名無しのようだsage2008/06/24(火) 18 44 37 ID XRCE3Qj80ククールとゼシカの無自覚ラブラブぶりを考察するスレ21名無しさんの…バカ! 86日目(夜) 23 15 35 ID ???0何度尋ねても関係を否定するけど傍から見たらどう見ても両想いな言動、行動を無自覚に繰り返す例の二人について心行くまで語り合いましょう。4名無しさんの…バカ!sage 86日目(夜) 23 31 00 ID ???0 .,'^y'⌒⌒,r―一、 〃'⌒iミヽ. こ、これは 1乙じゃなくて .))!#八~゙リ }'゙¨7 / (〈((~)リ))|i 素直じゃないな、ハニー ツインテールなんだから (.(ヾ!*゚ -゚ノ .〈 '--'} I゚ヮ゚*川.、,r―一、 ま、ゼシカの 1乙の気持ちなら 変な勘違いしないでよね! '゙/ヽ、)ノ)  ̄ ̄ .'゙¨7 / ちゃんと伝わっているから安心しろな ..〈 '--'} . ̄ ̄ 6名無しさんの…バカ!sage 86日目(夜) 12 54 20 ID O何で私とククールのスレばかり乱立させるの?やめてよね、もう! 4何よそれ!勝手に変なAA作らないでよ!7名無しさんの…バカ!sage 86日目(夜) 13 02 47 ID ???0 6ちょwww本人?wwwww8名無しさんの…バカ!sage 86日目(日) 23 01 14 ID ???0なりきりじゃね?ゼシカ本人ならスレタイの時点で恥ずかしがって覗けないだろw 1乙
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/390.html
ククールとククールの抱き枕を元に 後日談的なもの クク「ゼシカ、これやる」 ゼシ「何?あ、神秘のビスチェ!かわいい…。どうしたの?これ」 クク「材料が揃ったから、トロデ王に錬金釜借りて作ったんだ」 ゼシ「ありがとう…。あの、さっそく着てみてもいい?」 クク「勿論。むしろ是非着てくれ」 ゼシ「うんっ。着替えてくるからちょっと待ってて」 ・ ・ ・ ・ ゼシ「ククール、どう…かな」 ゼシカははにかみ笑顔を浮かべた クク「───すごく似合ってる」 ククールはうっとりしている。 ゼシ「でも凄いわ、サイズぴったり…。 あぶないビスチェの時はサイズ合わなくて、ほとんど着れなかったのに」 クク「その辺はぬかりないぜ。錬金釜に入れる前にしっかり調整したからな」 ゼシ「調整?私のサイズにククールが合わせたの?どうやって…」 クク「サイズが分かれば簡単なんだよ」 ゼシ「そもそも、私のサイズなんて、なんでククールが知ってるのよ」 クク「ああそれは、この前ゼシカを抱いて寝た時の抱き心地で大体分かったんだ」 ゼシ「この前…抱……ッ…!………ねえククール。」 クク「ん?」 ゼシ「あの時、やっぱり起きてたのね!!!」 クク「…あ……」 ゼシ「このセクハラ痴漢ヘンタイ僧侶ーーーーーーー!」 クク「いーじゃねーかよ、あれくらい。結局手出さずに我慢したんだし!」 ゼシ「そういう問題じゃないわよ、バカーーーーーーーーーーッッッ!!」
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/398.html
ゼシ猫 クク猫
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/98.html
216さん ●小ネタ1 220さん ●夜の不思議な泉にて 小ネタ 265さん ●無題1 323さん ●小ネタ2 353さん ●小ネタ3 未完? 357さん ●小ネタ4 152さん ●小ネタ5 他場所より転載 398さん ●無題2 446さん ●小ネタ6 ◆DeYjggYHksさん ●無題3 ●無題5 ●小ネタ7 ●無題8 ●無題11 ●無題13 ●ホワイトデーSS2 ●2-無題4 ●2-無題8 522さん ●無題4 537さん ●無題6 na・na-siさん ●無題7 661さん ●小ネタ8 671さん ●無題9 アネモネ ◆KJ/KITTY/wさん ●無題10-前編- 無題10-後編- ●小ネタ9 ●無題12 ●家政婦は見た!part1 ●ピロートーク ●雪の夜 ●2-無題3 ●wish ●2-無題7 ●ゲーム ●恋の病3 ●恋の病4 ◆AQLOv83XcMさん ●un titled1 un titled2 un titled3 un titled4 2-868さん ●小ネタ10 ◆g1.bkqd.Tsさん ●ホワイトデーSS 見習 ◆pTeaOudvY6さん ●2-無題1 ●2-無題5 トト ◆.eBujHzjTYさん ●2-無題2 2-無題2 続編 ●2-無題6 ●不覚 ●はじまりの唄 ●独占欲 ◆aO0Gallp8sさん ●ハニー ●603 ●2-無題9 ●プティのたまご ●墓穴 ●innocence ●3-無題2 ●言霊 ●so sweet…前編 so sweet…後編 M ◆m.wfq0Dq3Eさん ●3-無題1 ●ぎゅ ぎゅ~続編 ●一万HIT記念 3-328さん ●煉獄痛 3-571さん ●3-小ネタ1 3-626さん ●3-無題3 ◆JbyYzEg8Isさん ●知らない人 ●星に願いを ●おとぎ話 ●お花摘み ●進歩 ●君を見てる ●約束 ●味方 ●理不尽 ●とまどい-前編 とまどい-後編 ●悪徳の町-前編 悪徳の町-後編 ●違う世界-前編 違う世界-後編 ●祈り-前編 祈り-後編 ●いつか-前編 いつか-後編 ●勘違い-前編 勘違い-後編 ●ひとりじゃない-前編 ひとりじゃない-後編 ●誓い-前編 誓い-後編 ●赤-前編 赤-後編 ●勝手-前編 勝手-後編 ●秘密1 秘密2 ●不安-前編 不安-後編 ●強さ-前編 強さ-後編 ●小さな手-前編 小さな手-後編 ●呼ぶ声-前編 呼ぶ声-後編 ●お仕置き ●ほしかったもの-前編 ほしかったもの-後編 ●そして-前編 そして-後編 ●暖かい世界-ゼシカ編 暖かい世界-ククール編 ●月を照らす光 ●祝福の瞳1 祝福の瞳2 ●ずっと二人で-前編 ずっと二人で-後編 ●わかってない-前編 わかってない-後編 3-905さん ●3-無題4 3-934さん ●お盆ネタ 小ネタ 3-940さん ●3-小ネタ4 3-943さん ●3-小ネタ5 3-948さん ●プレイボーイ・パーティージョーク 村上春樹作品パロ小ネタ 4-25さん ●4-小ネタ1 4-154さん ●呪われしゼシカ戦 杖と闇と仲間と呪われしゼシカ戦 4-271さん ●蒼紅の十字 ◆JSHQKXZ7pEさん ●手綱 5-276さん ●5-小ネタ1 5-281さん ●5-小ネタ2 6-109さん ●6-無題1 6-193さん ●6-無題2 6-213さん ●6-無題3 6-219さん ●6-無題4 6-無題5 6-322さん ●6-無題6 6-343さん ●6-無題7 6-401さん ●6-無題8 6-691 ◆gr8ejaRkawさん ●6-無題9 6-778さん ●ククゼシ移り変わり妄想ククール編(778さん) 6-825さん ●ククゼシ移り変わり妄想2ゼシカ編(825さん) 6-835さん ●6-無題10 6-905さん ●6-無題11 6-919さん ●しんぴのビスチェ 7-72さん ●ぱふぱふ小ネタ 7-329さん ●ククゼシに質問 7-172さん 7-無題1 7-278さん ●おべんとう 7-437さん ●かなり序盤かと これは中盤 7-524さん ●背中 7-589さん ●7-無題2 7-681さん ●某映画のパクリ 7-721さん ●甘えんぼシリーズ 7-816さん ●7-無題3 7-822さん ●閉じ込めてみた 7-857さん ●アーンの定義 アーンの定義-姉妹編 アーンの定義*兄弟編 アーンの定義 アーンの定義~朝食編~ 7-874さん ●テンション上げ小ネタ 7-895さん ●叫び 8-11さん ●困った二人 8-75さん ●8-無題1 8-104さん ●-暴走ククゼシカ視点 暴走クク2ククール視点 懊悩ククゼシ暴走ククその後 懊悩ククゼシ・続 懊悩ククゼシ・完結 8-323さん ●-婚約者の任務 8-465さん ●-8-無題2 8-486さん ●-仕返し 8-512さん ●-ククゼシくくり 8-563さん ●-やきもちホイミ 8-707さん ●-8-無題3 8-792さん ●-WDと兄と騎士 8-922さん&923さん ●-誘導尋問 誘導尋問つづき小ネタ 8-969さん ●-似たもの同士小ネタ 9-79さん ●-カリスマの苦悩 乙女の悩み 9-97&98さん ●-初々しい2人小ネタ 9-398さん ●-ククゼシな大冒険①~ドッキリ無人島編~ 続・無人島 9-432さん ●-アホな七夕話 9-486さん ●-なでなで小ネタ 9-558、560さん ●-日記小ネタ 9-650さん ●-潮時 翌朝 9-786さん ●-ぬくもりの正体1 ぬくもりの正体2 ぬくもりの正体3 猫化シリーズ関連作品 9-857さん ●-呪われし騎士 ぬくもりの正体シリーズにリンクさせた作品 10-122さん ●-もしも君が死んだら 前編 もしも君が死んだら 後編 メロメロン 10-561さん ●-甘い日 ◆.vsXKndqJKsuさん ●-明日への標 10-701さん ●-お花見でやらかした 10-739さん ●-最強乙女 夜に咲く桜 10-860さん ●-かわいくなんかない
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/308.html
ククミン~愛の唄~以降の流れ 976 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/19(日) 23 12 30 ID gwRBhP2I0 頭の上についているの引っこ抜きたいw ピクミンの元ネタ歌詞見ていたら とある部分がこんな風に脳内変換されてしまった 「そろそろキスしちゃおうかな~ そっと押し倒してみようかーな~んて♪」 もちろん配役はククゼシで 977 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/20(月) 00 17 28 ID dpf+kSvu0 「ねぇ…クク。その頭の…は、葉っぱ…?……………………なんなのソレ?」 「気にするなよ!」 「気になるわよ!!!!!!!」 978 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/20(月) 16 11 20 ID ir6JGuza0 頭の上についているのが薬草や世界樹の葉とかだったら ゼシカ負傷時にククMP切れなんて事態でもすぐに対応できて便利だな 979 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/20(月) 17 49 09 ID 0DRCFUGK0 ククから生えた世界樹の葉なんてなんか媚薬成分とか入ってそうだなwww 980 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/20(月) 19 48 17 ID 1hG727eG0 特製クク印の媚薬成分入りの世界樹によって生き返ったゼシカさん… 想像したら色々やばいんですがw 981 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/20(月) 23 14 19 ID 3aHWDF+F0 健気な顔してそれが狙いだったんですか、ククミンさん… 982 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/20(月) 23 57 07 ID dpf+kSvu0 この流れwwwwwwwww 983 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/10/21(火) 02 14 29 ID Wc/hixbNO 媚薬効いたおいろけスキル100のゼシカなんて危険すぎる…ッ!
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/172.html
外は嫌味なまでにいい天気。 「ゼシカ、出ていらっしゃい。今日の主役がそれでは皆困ってしまいますよ」 閉ざした扉の向こうからお母さんの声が聞こえる。でもそんなこと知らないわ。だってもう、 行かないって決めたんだもの。 「ゼシカお嬢様、どうかお部屋に入れてくださいまし。お仕度させてくださいまし」 メイドたちの声もするけど、知らんふり。行かないんだから仕度する必要なんてないんですも の。 がっちり閉ざした扉に私の決意の強さを分かってくれたのか、漸く静かになってくれた。けど 今度は外の方の物音が気になりだす。誰かこの村に着いたのかも。あの声はポルクとマルクか しら?え? 「ゼシカお姉ちゃんが出てこない」 ですって?嫌だわ、そんなこと大きな声で言わないでよ。 玄関が開く音がする。階段を昇ってくる足音は二つ。軽やかで華奢なものとちょっと重い、しっ かりしたもの。お母さんと何か話し合っているみたい。でも部屋からは一歩だって動かないわ。 「ゼシカ、あなたにお客様よ。出てこなくてもいいから、ご挨拶はなさい」 お母さんが静かに、でもきっぱりと言う。…仕方ないわ、お客様なら。自分の口から事情を話 して帰っていただかないと。 そう考えて閂を上げ─連れ出されそうになったらすぐ呪文を唱えて逃げる心積もりをして─扉 を開けた。 「ゼシカ、久しぶりだね」 「ゼシカさん、こんにちは。まあ、綺麗なドレス!」 エイトとミーティア姫様だった。二人ともにこにこしつつも有無を言わせず部屋に入ってくる。 「二人とも久しぶりね…ってどうしてここに?」 唖然としている私に二人は顔を見合わせ、エイトが口を開いた。 「あれ?だってそういう予定だったんじゃないの?」 「ええ。約束の物、持ってきたのよ」 隣でミーティア姫様がにっこりする。ああ、そう言えばそうだったっけ。 「トロデーンに伝わる装身具のセットよ。『何か借りた物』の」 「ああ、そうよね、そうだったわよね。どうもありがとう。…でももういいの」 持ってきてくれたことは嬉しかったんだけど、でももうそれは必要ない。私は二人の前を離れ、 部屋の奥の鏡台の前へ移動した。 「え?何で?」 エイトがとぼけた声を出す。ああもう、ニブいんだから!準備の済んでいないこの様子を見れ ば分かるでしょう! 「もう行かないって決めたの」 「え。だってみんな集まって集まっているよ。義父上は代父だっていうんでやけに張り切って いるし。ほら、ヤンガスなんてばっちり礼装しているんだよ」 「…」 ぷい、とそっぽを向く。何でそんな子供を宥めるようなこと言うのよ。それにヤンガスの礼装 なんてエイトの結婚式の時に見ているわ。 「ゼシカさん」 と、急に横で黙ってやり取りを聞いていた姫様が話し掛けてきた。 「行きたくないのならここでおしゃべりでもしませんか?」 予想外の言葉に私もだけどエイトも眼を剥いた。 「ミーティア」 「エイトは先に行っていて。女同士の会話なんですもの」 「…うん、分かった」 姫様のきっぱりとした態度にエイトは渋々頷いて部屋を出て行く。が、その後姫様が扉に鍵を かけたのに気付いた。 「え?」 「さっ、これでゆっくり話せるわ」 にこにこしながら言うんだけど、何だか怖いわ。 「ゆっくり?だってもうお客様も揃っていて、式が始まるんでしょ?」 「あら、主役の一人がいないのでは式は始められないわ」 あれ、連れ出しに来たんじゃないの? 「女の方のお仕度は時間が掛かるものなんですもの。皆様もそれは分かっていてよ。だって一 生に一度のことなんですもの」 「一生に一度、ね…」 その言葉に深く溜息を吐いた。 「そのつもりだったんだけどね…」 「あら、そうでしたの?てっきりまだ心を決めかねているのでは、と思っていましたのに」 何て言うか…似たもの夫婦よね、エイトとミーティア姫様って。きょとんとした顔がそっくり だわ「私も決心していたし、あいつもそうだったと思うのよ。少なくとも早くこの村に馴染むため、 ってことで式の大分前にここに来た当初は」 首を傾げるばかりで姫様は何も言わない。仕方がないから何となく場つなぎ程度にぽつぽつと 話し出す。 「でも…」 「でも?」 何だか話しているうちに怒りが戻ってきたわ。 「あいつったら村の女の人を片っ端から口説いているのよ。お年寄りから子供まで。昨日なん て宿屋のおばちゃんに『あなたの向日葵のような笑顔を見ると一日頑張ろうという気持ちにな れる』なんて言っていたの!」 あ、もう駄目。腹の底から怒りがふつふつと煮えたぎってきたわ。 「それにお母様だって!『お二人も子供をお産みになられたとは思えない程若々しくていらっ しゃる』とか口説いているし!それってどこのメロドラマよ、そんな泥沼真っ平だわ!」 私の剣幕に驚いて何も言えずにいたミーティア姫様だったけど、急に吹き出した。 「何よ、姫様。笑い事じゃないわ」 「ご、ごめんなさい。あ、あまりにゼシカさんがヤキモチ焼きだから…」 ぷるぷると身を震わせて笑いを堪えている。そんなに笑うことじゃないわ、それにヤキモチ焼 きって。 「そんなんじゃないわ。分かってはいたけど、そんな女ったらしとは一生を誓えないわよ。だ から」 「だから式に出ない、ってことなのね」 漸く笑いを収めて言った言葉に深く頷いた。 「お客様には申し訳ないんだけど、この式はなかったことに…」 「あら、それは駄目よ」 にこやかに、でもきっぱりと遮られる。 「自分の気持ちに嘘吐いては駄目」 「う、嘘じゃないわ」 「うふふ、ではどうしてドレスを着ているの?」 びしっと突っ込まれ、返す言葉に詰まる。 「これは、その」 しどろもどろの私にそれ以上の追求はなく、話題が変わった。 「ゼシカさん…リーザス村っていいところね」 「え?あ、そ、そうね」 突然のことに我ながら間抜けな相槌を打つ。何が言いたいのかしら。まあいい村だと言われる と嬉しいけど。自分の故郷なんだし。 「世界中を旅して、色んな街や村を見てきたけれど、ここは本当に穏やかないい村だと思うわ」 私は黙って頷いた。旅が終わってこの村に帰ってきた時、どんなに嬉しかったか、ほっとした か、今も覚えている。家に帰るって素敵なことだった。 なんてことを思っていたから、次の言葉は唐突に聞こえた。 「だからこそ、一生懸命なのではないかしら」 「え?」 「この静かな村に馴染もうとしていたのではないかしら、あの方なりに」 と、姫様が私の眼を覗き込んでくる。 「だ、だって、だからって何で片っ端から口説かなきゃならないの。別にそんなことしなくたっ てこの村の人たちはみんないい人よ。ちゃんと受け入れてくれるわ」 必死に反論を試みる。が、 「そうね…この村で生まれて育っていらしたゼシカさんはそう思うかもしれない…」 と軽く流されてしまった。その上、 「ね、ゼシカさん。エイトの子供の頃の話って聞いたことあるかしら?」 また話を変えられた。 「えっと…愛想のない、痩せこけた子供だった、って話?」 「そう。城に来た当初はそうだったの。愛想がないだけじゃなくて、感情も表に出せなかった の。だから中々馴染めなくて、疑われたり疎まれたこともあったって言っていたわ」 そんなこともあったのね。今のエイトからは全く想像できないけど。 「あの頃、もうちょっと愛嬌のある子供だったら、ってエイトは言うの。もう少し楽に城の生 活に溶け込めたんじゃないか、って」 「…それと同じことをしているってこと?」 何だか話の筋が見えてきたわ。 「ええ」 「だからって何で美辞麗句の大安売りになるの。それも女の人にばかり」 「あら、女の人の噂話の威力って強いのよ。それに一度嫌われてしまったら挽回するのは大変 だわ」 「そうなのかしら…」 正直、そういう噂話って好きじゃなかったからよく分からない。でもそういうものなのかしら。 「それに女の人に人気のある方だって分かっていらしたでしょ?」 「まあ、それはそうなんだけど…」 肩を竦める私に、内緒話でもするようにミーティア姫様が語りかけてくる。 「あのね、お城ではエイトはとっても人気があるの」 「そうなの?」 それはそうかもしれない。だってあの城を救った英雄だもんね。 「エイトは皆に優しいのよ。時々メイドさんたちから贈り物を貰ったりしているの」 「ええっ、そんなことされて姫様は平気なの?!」 あの物固そうなエイトもそうだなんて。ああもう誰も信じられないわ! 「うふふ、平気、って言ったら嘘になるのかしら」 平気じゃないのならどうしてそんなに穏やかに微笑んでいられるの。私だったらちやほやされ て鼻の下伸ばしているあいつを見たら即メラゾーマ、だと確信しているわ。 「平気ではないわ。心がちょっと波立つ感じ」 そう言って自分の胸に手を当てる。 「でも、優しくすることと愛することの間には大きな隔たりがあるわ。ゼシカさんは村の皆様 がお好きでしょう?」 優し気な問いかけに私は素直に頷いた。 「ええ。…そうね、皆大好きよ」 「ではその方々とあの方とは同じようにお好きなのかしら?」 一瞬息が詰まる。同じ?そうかしら?同じ言葉で括ってはいるけど。でも。 「…そうね」 自分の中に答えはあった。なぜあいつのことになるとむきになって怒ってしまうのか。 「そうだわ。違う、全然違うわ。他の人だったらこんなに腹が立ったりしない。だって…」 好きだから。それは言葉にできなかったけど、伝わったのだろう。私の眼を見返して深く頷い た。 「それにね」 ちょっと悪戯っぽい笑みを浮かべて姫様が言う。 「人気があるって悪いことじゃないわ。それだけ好かれているってことですもの。いいことだ と思いません?」 「うふふ、それもそうね」 「その分しっかり見張っておけばいいの。あのね、エイトは気を遣って贈り物を貰ったことは 話してくれないのよ。でもそのことはちゃんと知っているわ」 「ええっ、そうなの?!」 あのほんわかした雰囲気のミーティア姫様とは思えないような言葉。 「だってそうでしょう?変な方向に行ってしまったら困りますもの。人気者でいられるように、 でも決して手綱は離さない」 澄ました顔の姫様につい笑いが零れる。そっか、じゃ、今は姫様が手綱を握っているのね。 「エイトは多分このことを知らないわ。それにこういうことは男の方には知らせない方がいい ように思うの」 「だから女同士、って言ったのね」 漸く納得した。そういうことだったのね。 「ええ。それにこれって結構楽しいのよ。人気のある男の方程楽しいのではないかしら。私は エイト一人でもう充分ですけど」 これって惚気?どこか得意気に言われて何だかちょっと悔しい。 「素敵な方なのでしょう?」 「…ええ」 頷いた時、ふと対抗心に火が着いた。 「姫様のエイトより、ちょっと上かしら」 「まあ、うふふ」 「うふふ」 二人で顔を見合わせ、どちらともなく笑い出す。 「…さあ、お仕度しなくては」 ※ ※ ※ 外に出ると眩い光が目を射す。 「本当にいい天気」 教会まで姫様が一緒に行ってくれるという。お母様は一足先に出ているらしい。二人で並んで 歩いて行くと、だんだん晴れがましい気持ちになってきた。 「おーい」 向こうでエイトが手を振っている。その隣にはトロデ王様。 「行ってらっしゃい、ゼシカさん。一人で行く道より二人で行く方が数倍楽しいわ」 ちょっと足を竦ませた私に囁いてくれる。 「そうそう、この日の為にあの方も相応しい礼装を整えてきたのよ、錬金釜を使って。見てあ げてね」 「えっ」 何だか嫌な予感。 「まさかダンシングメイルにファントムマスクじゃないでしょうね。そんな格好していたりし たら逃げるわよ」 「うふふ、さあ、それは後のお楽しみよ」 …今更気付いたんだけど、姫様って人が悪いわ。 「先に入らせていただきますわね。楽しんでいらして、ゼシカさん。一生にたった一度きりの ことなんですもの」 もう教会の扉の前まで来ていた。待っていたエイトとミーティア姫様は私に手を振ると先に中 へ入って行く。 「覚悟はよいかの?」 冗談めかして問いかけるトロデ王様に私は晴れやかに笑ってみせる。 「ええ、もちろんよ」 そう、扉の向こうには新しい世界が開けている。私とあの人、二人で行く世界が。 行きましょう、二人で。喜びも、悲しみも分け合うために。しっかりと手綱を握って、ね。 (終) 代父:婚礼、洗礼の時に父親代わりになる人。日本なら烏帽子親みたいなもの。
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/296.html
631 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/09(土) 18 01 14 ID 7VVuUlfF0 身長差からして狙ったようにぴったりお似合いな2人がたまらん いたストも世界編もククゼシ関連限定で自分の中じゃ公式w 632 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/09(土) 18 23 55 ID ayDbq8620 631 ククゼシフィルターかかりすぎwwwwww 確かにピッタリだけどw 633 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/09(土) 21 11 11 ID hV99wAS/0 一度できちゃったククゼシフィルターを取り払っての生活は無理だなw ラグサットの存在ですらククゼシの関係を より盛り上げるためのスパイスにしか見えない 634 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/09(土) 22 34 20 ID bJhqi9G80 ククゼシの身長差は男女の理想的な身長差だと思うんだ、うん 635 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/10(日) 00 03 55 ID JI/SPrux0 で す よ ねーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ククの目線からゼシカを見下ろしたら、凄まじい破壊力をもつ魅惑の谷間が丸見えだよねー 後ろにいれば剥き出しの背中、横に並べば丸見えの谷間、欲情すんなって方が無茶だろヴォケ って常に半ギレ状態のクク。オレが自制心と抑制力ある男で感謝しやがれブツブツ かといって前に立てば姿が見えなくて寂しいので、内心文句たれつつゼシカの周囲にはいつもいる
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/161.html
聖地ゴルドが崩壊した。結局オレたちは暗黒神の復活を止めることが出来なかったってわけだ。 まあ、起こってしまったことは仕方ない。まだ世界が滅びてしまったわけじゃない。出来ることがある限り、それに全力を注ぐだけだ。 空を飛ぶ手段は持ってるから、ラプソーンの城に攻め込むこと自体には苦労は無かった。これは不幸中の幸いと言ってしまって、いいんだろうか。 変なところでばかり事がスムーズに運んでる気がして、気に入らない気持ちの方が強いんだがな。 「こんな所に住んでるやつと戦うことになるとは、オレの人生もろくなもんじゃないな」 おもわずボヤいちまった。 「・・・弱気? めずらしいね」 ゼシカが不安げにオレの顔を覗き込んでくる。しまった、またやっちまった。オレの精神が不安定だと、ゼシカまで巻き込んで不安にさせるってのはわかってたのに。 それにしても、本当に随分オレに対する評価は上がったもんだ。弱気が珍しいとは、結構頼りがいがある男に思われてるらしい。 「ここまで来たら、つべこべ言っても仕方ないでがす」 でもヤンガスに諭されるのは、何かイヤだ。やっぱりグチなんてこぼすもんじゃないな。 「暗黒神を復活させたのは、それほどの失敗じゃなかったと思うでげすよ。復活した暗黒神を倒さなければ、いつまで経っても暗黒神の脅威から世界を救えないと思うんでげす」 続けてヤンガスが口にした言葉は、近ごろ感じていた苛立ちの答えを唐突にオレに突き付けてくれた。 ・・・そういうことかよ。 このところ、ずっと感じてた。誰かの掌で良いように操られている自分ってやつを。どうやらそれは気のせいじゃないらしい。 おかしいとは思ってたんだ。血筋を絶やしちゃいけないはずの賢者の家系が、今の代になってほとんど子孫を残してないってことはな。 サーベルトやチェルスは若かったから仕方ないとしても、血の繋がった子供を残してるのはメディばあさんだけ。オディロ院長や法皇様に至っては聖職者なんて道を選んで、子孫なんて残せるはずもない。 初めから封印は続かないようになってたんだ。 暗黒神が復活してしまうことは、止められないように仕組まれてたとしか思えない。 こう見えても、人生の半分は修道院で暮らしてきたんだ。神様だって、それなりには信じてた。信心深かった人ほど俺に良くしてくれたからっていうのが、理由としてはデカかった。そういう人たちが信じてるものなら、オレも信じてみようって気持ちにはなった。 だけど、あの夜から神様なんてものは信じられなくなった。 『神の御心ならばいつでも死のう。だが神の御心に反することならば私は死なぬ。神の御加護が守るであろう』 そう言い切った人の命を神様は守ってなんてくれなかった。神に全てを捧げているという、あの人の言葉には嘘なんかなかったのに。 本当に神様なんてものがいるのなら、オディロ院長のことを助けてくれても良かったんじゃないかとしか思えなかった。それなのに院長はあんな殺され方をした。あの光景を見せられて、神なんて信じる気にはとてもなれなかった。 でも今は強烈に感じる。神っていうものの存在を。あの夜のオディロ院長の言葉の通りだった。あの人が殺されたのは、神の御心ってヤツだったってことだ。 この旅に出る前から、全ては始まってたんだ。 オレは元々、霊感の強い方じゃない。多少は魔物の気配を感じることは出来ても、それは訓練された僧侶としては平均的なものだ。 それなのに、エイトたちと出会ったあの一時期だけ、オレの邪悪な気配に対する感覚は異様に鋭くなってた。 修行したわけでも何でもない。突然に降って沸いたような感じだった。 だけど、そんな力は便利なようで不便なもんだ。 それまでは気にならなかった、あの辺りの魔物たちがどうしようもなく凶悪な存在に感じて、ちょっと道を歩くのにもピリピリしてた。 そのことで苛立ってたから、確かにそれまで以上に素行が悪くなってた。オレのことは無視したがっていたマルチェロでさえ、呼び付けて謹慎を言い渡さなきゃならない程にな。 そしてオレだけが気づくことが出来た。ドルマゲスの、いや、今にして思えば杖の放つ、とてつもなく邪悪な気配に。 なのに、オレのその感覚は全く役には立たなかった。日頃の行いが悪すぎて、誰もオレの訴えに耳を貸してはくれなかったからだ。おまけに謹慎なんか言い渡されてたもんだから、修道院の周りに見張りまで立てられて、外に出ることさえ出来なかった。 それでもあの夜、何とか院長の館にたどり着くことは出来たのに、ドルマゲスの野郎に指一本触れることが出来ずにぶっとばされて、オディロ院長を守れなかった。 与えられていたチャンスを活かせなかったんだと思って、自分が情けなくなった。 それならせめて敵討ちのために、ドルマゲスを見つける役に立てばと気持ちを入れ替えたのに、邪悪な気配を感じる力は日を追うごとに弱くなり、船を手に入れる頃には完全に元の自分に戻ってしまっていた。 せめてゼシカが杖を手にしてしまって呪われた時まで保っていられたら、気づいてやることが出来てたかもしれない。そうしたら、あんなひどい目に合わせずに済んでたのかもしれないのに・・・。 だけど、今なら確信できる。そうなったらマズかったんだ。 全ては仕組まれていた。オレたちは暗黒神の復活を止めるためじゃなく、復活した暗黒神を倒すために選ばれて、集められて、こうしてここにいる。 オレが出会って間もないエイトたちに、頼み事をしなきゃならなかったことも、こいつらがマルチェロに濡れ衣着せられてるのを、オレが助けなきゃならなかったことも、全部そのために必要なことだった。 そうでなければ、お互いに、こんなふうに一緒に戦うような気持ちにはならなかっただろうからな。自己紹介代わりに利用されたんだ。 道理でドルマゲスのことも最後まで憎みきれなかったわけだ。それどころか気の毒とまで思っちまったからな。あいつもオレたちと同じ、暗黒神を完全に滅ぼすために選ばれて利用された駒だったわけだ。 まあ、トロデーン城で杖を強奪しようとした時点で、同情の余地は無いんだろうけどな。 ・・・もしそうなら、やり方があんまりなんじゃないか? オレは賢者の末裔全員に会ったことがあるわけじゃない。でも、あんな風に杖で刺し殺されるなんて死に方しなきゃならなかったヤツなんて、一人もいないと思うぜ? オレみたいな凡人には、大いなる神の御意志なんてものは理解できなくて当然なのかもしれないけど、少なくとも二度と神に祈る気持ちになんかはなれねえな。 「ねえ、ククール?」 ゼシカの呼ぶ声で現実に引き戻された。こんな敵の親玉の居城で考え事なんて、我ながら胆が座ってるもんだ。 「もしかして、怒ってる?」 「・・・どうして、そう思う?」 「怖い顔してたわよ」 ・・・マズいな。ポーカーフェイスが自慢のはずだったのに、最近ゼシカには悉く見破られてる。 「ごめんなさい・・・」 続くゼシカの言葉の意味するものが、オレにはさっぱりわからなかった。 「どうしてゼシカが謝るんだ?」 「だって・・・。マルチェロのことで、もうよけいなこと言わないって約束したのに、つい口出ししちゃったから」 ・・・そう言えば大分前になるけど、その話で結構手ひどく突き放しちまったことがあったっけな。 「そのことで怒ってるわけないだろ。気持ちはありがたいと思ってるよ、ほんとに」 ダメだな。自分の口から出てる言葉なのに、とても心がこもってるようには聞こえない。 「マルチェロのやつもバカだよなぁ。オレだったら、こんなナイスバディの美人が心配してくれてるってわかったら、悪いことなんてする気なくなるのにな」 「何、言ってんのよ、バカ・・・もういいわ。今度こそ、よけいなこと言わないわね」 結局またこうなる。どうしてなんだろう。オレとしては、ちゃんと本心だけ言ってるつもりなのにな。 マルチェロの話なんか出たせいだろうか。やたらとガキの頃のことが頭に浮かんでくる。 自分が小さかったせいか、やたら威圧感を感じた修道院の建物や聖像。初めて手にした時の剣の重さ。新しい呪文を覚えられて嬉しかった時のこと。そしてマルチェロに手ひどく突っぱねられたオレの頭を撫でてくれた、初めて会った時のオディロ院長の温かい手・・・。 また考えこんじまってたオレは、今度はエイトの呼ぶ声で我に返った。本当にどうかしてるな。ここまでくると、余裕通り越して現実逃避に近い。 「暗黒神の邪気にあてられたのか知らないが、やたらとガキの頃のことを思いだすんだ。今さら・・・本当に今さらだ。思いだしたって意味ねーのに」 「アッシ、そういう話を聞いたことがあるでがすよ」 オレの言葉に対して、ヤンガスが意外なことを言い出すもんだから、全員がヤンガスに注目した。 「人間には、それまでの人生を走馬灯のように振り返る時があると聞いたことがあるでがす。それにしても走馬灯って何でがすか?」 意味わかってねえんだろうけど、ものすごくイヤなことをサラッと言ってくれやがったな、このヤロウ。 一発殴ってやろうかと思ったが、それより早くゼシカのマジカルメイスがヤンガスの脳天に振り下ろされた。 「縁起でもないこと言ってんじゃないわよ、このバカ!」 今のは見事な一撃だったな。兜の上からでもかなりのダメージがあったらしい。ヤンガスは頭をおさえて、うずくまった。 エイトが心配そうにヤンガスの頭を覗き込むが、本当に気になってるのは、どうやら錬釜釜で作った猛牛ヘルムらしい。さりげなくひどいヤツ。うしのふんなんかを材料にした兜を弟分にかぶらせる辺りも相当なもんだ。 思わず笑っちまう。本当にこいつらといると、辛気臭い気分を保たせてはもらえないみたいだな。 「お前がさっき言った人生を振り返る時ってのは、死ぬ時だ。勝手にオレのこと殺そうとしてんじゃねぇよ、バーカ」 「えっ・・・。そいつはすまねえ。知らなかったでがすよ」 「だからって、言っていいことと悪いことがあるのよ! ククール、ヤンガスの言うことなんて気にしちゃダメよ。全部完全に無視するのよ。いいわね」 何もそこまで言わなくても・・・。気の毒にヤンガスは落ち込んじまった。 「ゼシカのねえちゃん、あんまりでがす・・・」 「あのな、ゼシカ。お前にそうやって気にされると、オレまで何か本当に死にそうな気がしてイヤなんだけど」 「やめてよ、そんな死にそうとか言うの! ほんとになったらどうするのよ」 ほんとに、ずいぶん今日はムキになるな。 「そん時は、ゼシカがキスの一つもしてくれれば問題解決さ。おとぎ話とかでよくあるだろ? 美貌の騎士は、美しいレディのキスで永い眠りから覚めましたってな」 「そんな話、聞いたことないわよ。普通、永い眠りについてるのはお姫様・・・って、どさくさに紛れて何言ってるのよ! 心配して損したわ。こんなアホ、殺したって死なないわよ。だからキスなんて絶対にしないんだからね!」 ゼシカは本当に期待を裏切らない。完璧、予測通りの答えだ。・・・つまんねえの。 「さあ帰るぞ! こんな所さっさとおさらばだ!」 何なんだ? この胸騒ぎは。 ラプソーンは倒したっていうのに、イヤな予感がまるで消えてくれない。 ヤバいのは、この城だ。早く脱出しないと、良くないことが起こるっていうのがわかる。 それなのに、何なんだよ、この城は。 建物が崩れてきて、一刻も早く外に出たいっていうのに次から次へと敵に襲われて、中々先に進めない。 それにさっきから、例の言葉が頭の中でひっきりなしに鳴り響きやがる。 完全死者蘇生呪文『ザオリク』 そんなものを使わなきゃならない状況が、この後に待ってるっていうのか? 冗談じゃない、そんな使えるかどうかもわからない呪文なんて、誰があてにするもんか。 そんなことになる前に回避する。それが本当に守るってことだ。何かあってから動いたって遅いんだよ。 ようやく空が見えるところに出られたってのに、えらく不細工な鋼鉄で出来た魔人が現れやがった。 元々壊れかけてるような外見なんだから、サッサと完全に壊れちまえ! ・・・なんて思ったのが悪かったのかもしれない。 機能を停止した鋼鉄の魔人は、その巨大な身体を崩れさせ、オレたちの頭上に降り注いできた。鉄格子に塞がれて、城の中には逃げ込めない。 バラバラになったからって、元が巨大だから破片もデカい。このままじゃあ、全員押し潰されて死んじまう。バギクロスで巻き上げようにも、数が多すぎる。 「みんな、ふせて!」 ゼシカが叫んで、素早く魔力を集中させていく。 「イオナズン!」 襲いかかる鋼鉄の破片に、爆発の呪文が叩きつけられた。 目も眩むような閃光と、耳をつんざくような爆音。そして鋼鉄は小石ほどの大きさまで砕け散り、パラパラと落ちてきた。 ・・・すげえな。 人類最強の称号を、謹んで捧げとくとするか。オレが守る必要なんて、どこにもないかもしれない。思わず苦笑いしちまう。 でも、それはつかの間のことだった。 『どこまでも忌まわしき、クランバートルの末裔よ』 とてつもなく邪悪な声が、頭に直接鳴り響いた。 呼ぶ声-後編
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/25.html
「ククール!」 「お、ゼシカ…」 「なにやってるんだよ」 「見たら分かるだろ。着替えてんの。見んなよ」 「見てないっての。…めかしこんじゃって。どっか出かけるの?」 「ああ、まぁな」 「私、今日暇なんだけど」 「ああ、知ってるよ」 「……」 「よし!どうだ?この服。イケてるか?」 「女だ。女と出かけるんだ」 「そうだよ。わりいかよ…」 「デート…なの?」 「うーん。まぁ。俺としてはそのつもりなんだけど…な」 「……」 「そんなことより、どうかな?このカッコ」 「いいんじゃないの」 「ちょんと見てくれよ」 「…その上着。中のシャツの色と合ってないよ」 「そうかな…」 「そうだよ。あの、前に着てたビロードのマントみたいなやつの方がいいと思う…」 「あれ薄いから、ちょっと寒いんだよな」 「それくらい我慢しなさいよ」 「そうだな、そうするよ。せっかくだから」 「…楽しそうだね」 「そうか?」 「好きなの…?」 「はぁ?」 「今日のデートの相手のことだよ。あんたその子のこと…好きなの?」 「なに言ってんだ?いきなり…」 「どうなのよ」 「まぁ、な」 「…そうなんだ。付き合ってんの?」 「ちゃんと付き合っては…いない」 「そうなんだ」 「うん。…よし。これでいいか。このビロードのマントで」 「うーん…ビロードのマントより、騎士団の服のほうがよくない?」 「そうか?」 「うん、絶対そう。あんた持ってたよね、騎士団の服」 「ああ、持ってるけど…。着替えるからこっち見んなよ」 「見るわけないでしょ。でも、あのさ…相手の子はどうなのよ。その子はあんたのこと、どう思ってるの?」 「…どうかな。そんなこと分からない」 「分からないのにデートすんの?」 「分からないからデートするんだよ」 「ふーん。そんなもんなのかな…」 「そんなもんだよ」 「でも…なんかおかしくない?」 「なにがだよ?」 「相手の子だよ。好きでもないのにデートするなんてさ」 「そっか?」 「大丈夫?騙されてるんじゃない?」 「……」 「だってさ、おかしくない?どんな子なのよ。なんか、カルい女みたい」 「ゼシカ…そんなこと言うなよ」 「……ゴメン」 「もしかしたら…もしかしたら、相手の子も俺のこと好きかもしれないじゃないか」 「……」 「それに…」 「それに…?」 「…ホントはデートの約束なんてしていないんだ」 「えっ!?」 「ホントはこれから誘うんだよ。来てくれるか分からないけど…」 「…そうなんだ」 「うん…」 「ホントに…本当に好きなんだ。その子のこと」 「…あぁ。好きだよ」 「……」 「ずっと前から好きだった」 「そう…」 「久しぶりだなこの騎士団の服。…これでどうだ。完璧か?」 「うん。いいと思うよ」 「へぇ、ゼシカはこういうのが好みなんだ。…これなら、来てくれると思うか?彼女」 「大丈夫。絶対来てくれるよ。あんたなら…大丈夫」 「へへっ。サンキュ」 「…うまくいくといいね」 「ホントか?本当にそう思ってる?」 「思ってる…。思ってるよ」 「じゃあさ。着替えて来いよ」 「えっ?…なに?」 「……」 「なんでよ…」 「ゼシカ、俺と…デートしてくれよ」