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元スレURL 【SS】せつ菜「イヤホンが壊れました!」 概要 歩夢さんと一緒に買いに行きます! タグ ^優木せつ菜 ^上原歩夢 ^天王寺璃奈 ^園田海未 ^桜内梨子 ^近江彼方 ^短編 ^コメディ ^あゆせつ 名前 コメント
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前ページ次ページゼロと波動 学院の入り口ではロングビルとシエスタが馬車の御者台に座って待機していた。 街を歩けば誰もが振り向くであろう理知的でグラマラスなメガネの美女と、 隣の美女に負けない豊かな胸の健康的な少女が並んで座っているのだから、ちょっとした絵画に見えないこともない。 そして幌付きの荷台にはルイズ、キュルケ、タバサが乗っており、ルイズとキュルケがぎゃあぎゃあと何かを言い合っている。 その中でタバサは我関せずといった風に革張りの装丁が施された分厚い本を読んでいた。 こちらも御者台の二人に負けない美少女ぞろい。 大人の女から年頃の娘、あと何年かで年頃になりそうな娘。 巨乳、平原。 美女に美少女。 正によりどりみどり。 金持ちの貴族でもこれだけ集めるのは至難の業だろう。 間違いなく極上のハーレムだった。 ここにいるのがギーシュならブリミルに感謝しただろうし、マリコルヌなら死んでしまっていたかもしれない。 幸せ死にというやつだ。 だが、そんな普通の男なら歓喜する極上ハーレムもリュウにとっては自分が保護者にでもなったような気分でしかない。 「あ!リュウさん!こっちですよー!」 リュウに気づいたシエスタが大きく手を振る。 「ダーリン!」 キュルケも気づき、荷台から身を乗り出して負けじと手を振る。 「ちょっと!人の使い魔に向かって何がダーリンよ!?」 ルイズが噛み付く。 「使い魔ったって、リュウは人間なんだから別に恋愛感情抱いてもいいじゃない。なんならあなたもフレイムをダーリンって呼んでもいいわよ?」 「冗談じゃないわ!そもそもトカゲじゃない!」 「んまっ!?トカゲとは失礼ね!サラマンダーよ!?火竜山脈産のサラマンダーなのよ!?ブランドものよ!!?」 自分の使い魔をトカゲ呼ばわりされてヒートアップするキュルケ。 「・・・うるさい」 タバサが本から目を離さないまま、隣に立てかけていた自分の背丈より長い杖を手に取ると短く「サイレント」の呪文を詠唱する。 途端に荷台からは一切の音が消え、静寂が訪れた。 キュルケとルイズは相変わらず何か言い合っているが、口をパクパクさせるだけで声が出ていない。 声が出ないから、二人は取っ組み合いを始めた。 「・・・ちょっと狭いかもしれんが、俺もこっちに座らせてくれ」 リュウは荷台の惨状を見て大きく息をつくと、荷台に乗るのを諦めて御者台に座ることにした。 「わあ!リュウさんだー!リュウさんだー!!」 シエスタが隣に座ったリュウの腕にしがみつく。 自分の腕に頬と胸を擦り付けてくるシエスタに戸惑うリュウ。 リュウは女性の扱いがとても下手だった。 走り出した馬車は至って平穏に山道を進んでいた。 次々と木々が後ろに流れていくのを見ているとちょっとした遠出のようで、とても今から盗賊を退治しにいくようには思えない。 そんな平穏極まりない山の中を小一時間ほどシエスタの他愛無い話など聞きながら進んでいたが、話が一区切りついた辺りでリュウが口を開いた。 「ところで・・・フーケは捕まるとどの程度の罪になるんだ?」 この世界での罪に対する罰とはどの程度のものか知らないリュウが尋ねる。 「もしフーケが平民なら良くて打ち首、悪ければ拷問の末に晒し首でしょうね。貴族ならどういう裁定が下されるかは私には判りかねます」 ロングビルが素っ気無く答える。 「フーケは魔法が使えるんだろう?貴族なんじゃないのか?」 解せないといった感じで聞くリュウ。 「貴族は必ずメイジですが、メイジが必ずしも貴族とは限りませんよ。貴族の名を剥奪されたメイジもいますから」 ロングビルの整った顔に陰が落ちる。彼女は溜息をつくと最後に一言付け加えた。 「私みたいに・・・」 いつの間にかキュルケが荷台から顔を出してリュウとロングビルの会話を聞いていた。 毎晩遅くまで勉強と魔法の練習をしているルイズはキュルケとの肉弾戦に飽きると、馬車の揺れの心地よさに勝てず眠りこけてしまっていた。 一方、夜更かしは美容の大敵と睡眠時間バッチリのキュルケは遊び相手を失ってしまい、暇を持て余していたのだった。 「あら?ミス・ロングビルって貴族じゃなかったの?なんで名を剥奪されたのか聞いてもいいかしら?」 興味津々な顔でロングビルが口を開くのを待つ。 「ごめんなさいね、あまり話したい過去じゃないの」 ロングビルが怒るでもなく、寂しげに答える。 「そりゃそっか、ごめんなさい」 キュルケはばつの悪そうな顔で素直に謝ると、荷台の中に戻っていった。 が、すぐにもう一度現れるとシエスタを引っ張っる。 「っていうか、あなた何でダーリンにくっついてるのよ!こっち来なさい!」 もちろんキュルケの力程度では微動だにしないシエスタではあったが、 貴族の命令とあれば逆らうわけにもいかず「ふぇ~~」などと情けない声をあげながらキュルケと共に荷台に消えていった。 荷台はロングビルとリュウだけになった。 しばらく沈黙が続いたが、やがてリュウは荷台の連中が誰もこちらに来ないのを確認してから口を開いた。 「盗んだ物を返してもらえないだろうか」 前をしっかりと見据えたまま告げるリュウ。 ロングビルがぎょっとした顔でリュウの方を向く。 ――バレているのか?―― もし自分の正体がバレているのなら、この男が相手では万に一つも勝ち目は無い。 何しろ形容し難いほどの殺気をバラ撒き、30メイルのゴーレムを瞬く間に消し去った男だ。 トライアングル・クラスのメイジである自分にはどう転んでも勝てまい。 いや、それどころか、スクウェア・クラスでも勝てるとは思えない。 それでも必死で戦う術を模索する。 負けるワケにはいかないのだ。 ――勝てないまでも、せめて逃げることさえできれば―― が、やはりいくら頭の中でシミュレーションしてみても自分が勝つことはおろか、逃げきれる予測にさえ辿り着かない。 襲い来る絶望感に鼻の奥がジンジンと痛み、体中の毛穴が開く。 口の中はカラカラに渇ききってしまっているが、最大限に平静を装ってなんとか言葉を搾り出す。 「どういう意味でしょう?」 「そのままの意味だ。俺にはあんたが殺されなければならないほどの悪人には見えない」 真っ直ぐ前を見るリュウの顔には表情がなく、何を考えているかを窺い知ることが出来ない。 「ミスタ・リュウ。貴方は私を誰かと勘違いしていませんか?」 脈拍が上がり、背中にはいやな汗がじっとりと浮かぶが表面上にはいっさい出さず、あくまで白を切り通そうとするロングビル。 リュウはロングビルの方に顔を向けると、真剣な顔で告げた。 「俺は”土くれのフーケ”に死んで欲しくないんだ」 ロングビルの目つきが急に鋭くなり、口調も変わる。 「・・・いつ判ったんだい?」 理知的だった美女の顔は消えてなくなり、野生の荒々しさが宿った猫科の動物のような美しさを醸しだす。 誤魔化しきれないと悟り、ロングビルでいることをやめたのだ。 それと同時に自分の命運はこの男の掌の上にあることを覚悟する。 今、リュウの隣にいるのはまさに”土くれのフーケ”だった。 「一番最初にあんたに出会ったとき、少なくともあんたは秘書ではないと思っていた」 「そんな最初から?まったく参ったね・・・”土くれのフーケ”様がなんてざまだい・・・」 ロングビル、いや、フーケがため息をつきながら天を仰ぐ。 「で、あたしがフーケだと判ったのは?」 「学院長室にあんたが入って来たとき、あんたはルイズを見て驚いていた。そして、すぐに安堵したような顔をした」 「・・・で?」 「あんたは大木が直撃してルイズは死んだと思い込んでいたんだ。ところがそのルイズが学院長室にいた。 死んだと思っていた人間が目の前にいるんだ、驚くだろうさ。そして安堵した。少なくとも、殺してしまったと悔いていたんだろう」 フーケはしばらく黙ってリュウの顔を見つめたあと、諦めたように口を開いた。 「あんた、いったい何者なんだい?デタラメに強いだけじゃなくて周りも良く見えてるし頭も回る。なんであたしはこんなのを敵に回しちゃったんだろうねぇ」 言って、大きな溜息をつく。 「盗んだものを返してくれないか?」 リュウがもう一度言う。 「いいよ。元々返すつもりになってたしね」 あっさり了承するフーケ。 「あんたの言うとおり、あたしはあの貴族の娘が死んだと思ってたからね。物を盗るのに誰かを死なせてたんじゃあ、あたしの中じゃ仕事は失敗なのさ。 仕事が失敗してるのに獲物は手元にあるなんて納得いかないだろ? ただ、返そうにも学院が本気になって警備に力を入れたんじゃあ、流石のあたしでもメンドウだからね。 適当な廃屋にでも置いといて、そこに案内しようと思ってたんだよ。 そしたらどうだい、あの娘が生きてるじゃないか。 それで返すか返さないかで迷ってるうちにあんたに正体を見抜かれちまった。ホント、あたしも焼きが回ったねぇ」 「悪いことは出来ないもんさ」 リュウが笑った。 フーケも笑った。 それは裏の世界に生きている人間とは思えないほど、明るく輝くような笑顔だった。 「あんた、いいヤツだね」 フーケは笑うのをやめると、真面目な顔になる。 「でもね、『破壊の珠』は返すけど、あたしは”土くれのフーケ”を辞めるワケにはいかない。何しろ金が要るからね。 平民がまともに稼いでも手に入る金なんてたかが知れてるしさ。それじゃ足りないんだ。 ・・・たとえ捕まって晒し首になるとしても、あたしには金が要るんだよ」 リュウを見つめ、寂しそうに呟く。 「あんたは悪人に見えないと言ってくれたけど、あたしは悪人なんだよ・・・」 フーケは自分がなぜこんな話をリュウにしているのか解らなかった。 『もう盗みはしない』と言ってその場をごまかし、後で隙を見て消え去るのが一番の手だと頭では理解しているはずなのに、自分はリュウに洗いざらい喋ってしまっている。 「なんでだろうね、あんたといると調子が狂うよ・・・で、どうする?あたしはフーケを辞めないと宣言しちまったよ?あたしを捕まえるかい?」 この男は正義感が強い。さっきはもしかしたら見逃してくれるかも知れないと思ったが、盗みを辞めないと断言した以上は自分を捕まえるだろう。 先ほどもシミュレーションした通り、この男から逃げ出せる可能性は殆どないと考えていい。 ”ごめんね、ティファ。もうお金を渡してやれそうにないよ・・・” フーケは覚悟を決めると、再び逃走するための作戦を幾重にも考え始めた。 「いや、好きにすればいいさ」 だが、リュウから返ってきた言葉は意外なものだった。だから、聞き返してしまった。 「え?」 「好きにすればいいさ。俺はフーケの正体が誰なのか知らない。どうやら少し居眠りしてしまったようだ」 「・・・なんで・・・見逃してくれるんだい?」 「言っただろう?俺にはあんたが悪人には見えない。それだけだ」 リュウは真っ直ぐに前を見つめ、力強く言った。 リュウは見た。 『金が要る』と言ったときのフーケの顔を。 それは自身の欲の為ではなく、必要に迫られた悲壮感漂うものだった。 おそらく誰かのために多額の金が必要なのだろう。 自分から大貴族であるルイズやキュルケに頼めばそれなりの額は工面してもらえるかもしれない。 だが、もしそうしてフーケの為に金を用意しても、きっとフーケはその金を受け取らない。 自分がフーケのためにしてやれることは、何も無かった。 目の前にいる人間すら助けることのできない自分。 多少は人より力が強いかも知れないが、それが一体なんだと言うのか。 己の無力さに歯噛みするリュウ。 それに街で聞いた話ではフーケは金持ちの貴族からしか盗まないらしいし、彼女の行動から人の命を奪うこともしないことを知った。 決して褒められたことではないが、誰かの為に何かを成そうとするフーケの行為を止めることなど、無力な自分にできるはずがなかった。 「そんな顔するんじゃないよ。あたしは盗賊なんだよ?」 リュウの思いつめた顔を見て、フーケはリュウが何を思っているのかを悟った。 「さっきも言ったけど、あんたってば本当にいいヤツだね。あんたに気にかけてもらえるなんて、あの貴族の娘が羨ましいよ」 フーケは更に言葉を続けようとしたが思い直して口を閉じ、しばらく無言でリュウの顔を見つめる。 「・・・このまま道なりに進みな。1時間もすれば小屋のある広場に出るからね。その小屋の中に、箱に入れて置いてあるよ」 フーケはメガネを外し、髪を束ねていた結紐を解く。長く美しい緑の髪が風に煽られ大きく広がる。 「ロングビルはこれで終わりだよ。『破壊の珠』が手に入らなかったから、もう学院にいる意味ないしね」 「そうか。何か伝えておきたいことはあるか?」 リュウが尋ねる。 「そうだね・・・オスマンのジジイに礼でも言っといてくれると嬉いね。 あんたの秘書をやってたことに文句はなかった、給料の額だって満足してるって。”土くれのフーケ”様が感謝してたってね。 実際、あのジジイは平民のあたしにも十分良くしてくれたよ。セクハラだけはどうにも我慢ならなかったけどね」 フーケが少しだけ寂しそうに、しかし笑顔で言う。 「物盗りが何言ってやがるって話だけどね」 そう付け加えてけらけらと笑うフーケ。 陽光に照らされるフーケの笑顔はとても眩しく、美しかった。 「元気でな」 リュウが短く言う。 「あんたもね」 フーケは馬車の手綱をリュウに手渡すと、ぐっと顔を近づけた。 「このフーケ様が敵わないって思った相手なんだ、よく顔を見せとくれ」 しばらくリュウの顔を見つめたあと、突然自分の唇をリュウの唇に合わせる。 「な!?何をする!!?」 滑稽なほど慌てふためくリュウ。とにかく、色恋沙汰とは縁遠い男だった。 「見逃してくれた礼だよ。悪くはないだろ?これでも自分の見てくれには自信があるんだ。 ホントは一晩ぐらい相手してやっても良かったんだけどね、それをしちまうと、あたしがあんたに惚れちまいそうだからさ。残念だけどやめとくよ」 フーケはじっとリュウを見つめると、とびきりの笑顔で片目をつぶる。 「じゃあね」 それだけ言うと御者台から飛び降り、フーケはそのまま森の中に消えていった。 ――惚れちまいそうだから・・・か。もう、どっぷり手遅れだよ。 ホント、”土くれのフーケ”がなんてざまだい・・・―― 馬車を見送りながらフーケが自嘲気味に呟いた。 「さて・・・なんて言い訳するかな・・・」 リュウは一人になってしまった御者台の上でルイズ達にどう説明しようかと悩むのだった。 前ページ次ページゼロと波動
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春の使い魔召還の儀式にて、ルイズが呼び出したのは漆黒の体躯を持つ竜だった。 頭から尻尾の先までは20メイルを軽く超え、全身を覆うのは正に鎧としか言いようの無い堅殻。 体を丸めて熟睡しているようだったが、その姿はまさに山が眠っているとしか言いようの無い威圧感だ。 元はどこ居たのか、全身から立ち上る熱気が更に凶悪さを増している。 「嘘だろ、ゼロのルイズが……」 「俺、夢見てるみたい」 「すっげえドラゴン……」 普段は軽口を叩く級友達も、あまりの事態に唖然として見守っている。 土埃を恐れてルイズの周囲には誰もいなかったのは幸いだった。もし近くにいれば挽肉のように潰れていただろう。 使い魔の中にはあまりのサイズに驚いたのか、恐慌状態を起こして主人を引きずりまわすものまでいた。 「やった、やったわよ! やった!」 ルイズといえば感激のあまり滝のように涙を流し、危ない薬を致死量寸前まで投与されたようにハイテンションだった。 地面にへたり込んて狂ったように腕を振り回す様など、水メイジが見れば即精神病院に叩き込まれかねない。 そんな状態でコントラクト・サーヴァントを思い出したため、死んでも逃がさないとばかりに竜の顔に突撃して鼻血を噴いた。 熱くなっていた竜に口付けを行ったために火傷し、顔は涙と鼻水と鼻血でグシャグシャになっていたが、この少女の不幸を思えば仕方が無い。 寝そべっているために分かりにくかったが、胸の辺りが光るのを確認したため、コルベールは安心してルイズに話しかけた。 「おめでとうございます、ミス・ヴァリエール。 でも抱きつくのはやめましょうね、死んじゃいますよ。 今日は使い魔と親睦を深める予定の日ですし、ずっと傍にいていいですから、ね」 目をハートマークにして使い魔に張り付こうとする彼女を、コルベールは必死で引き剥がした。 授業中に少女の燻製が出来るなどすれば、彼の教師人生は全力で終了する。それがヴァリエール家の三女なら尚更だ。 結局、他の生徒を返した後でルイズに付き合うことになり、巨大な竜の全身が冷えるまでひたすら風を送り続ける羽目になった。 「凄い! なんて堅いのかしら! それにこの大きさ! 間違いなく高位の竜よね! それに絶対強いわ!」 魔法の使いすぎて干からびているコルベールを尻目に、ライオンに乗ったネズミのごとく竜の体を這い回る。 普段の彼女の身体能力からすればかなり無茶な事だが、人間時には予想以上のパワーを発揮するものだ。 今のルイズならば、空でも海でも土の中でも所構わずこの竜についていくだろう。人間って凄い。 だが竜が目を覚ましてルイズと見詰め合った時など、精神のブレーカーが吹っ飛んだのか気絶してしまった。 竜のほうはいきなり倒れてしまったご主人様を見つめ、心配そうにぺろぺろと顔を舐めるその姿はまさに使い魔そのもの。 ガイコツ寸前だったコルベールは心からの祝福を送り、彼もぶっ倒れた。 すっかり仲良くなった竜の背に乗せられ、ゆったりと学園に戻った時は大騒ぎになった。 博識な教師でもこんなドラゴンは見たことが無かったし、何より馬鹿げているのはそのサイズだ。 眠っている時ですら山のように大きいのだから、立って歩いている姿など山脈に等しい。 一歩ごとに大地が揺れ、踏み固められているはずの街道にすら足跡が残る。どれほど体重があるのか計り知れない。 伸ばした頭から尻尾の先までは30メイルはありそうで、高さは明らかに10メイルを超えている。背中のルイズが小人に見えるほどだ。 そんな彼女らが人目につくのは当然の事で、学校へ向かう途中で足を止めたルイズの周りはあっという間に人垣が出来た。 普段は自分を馬鹿にしていた生徒たちにすら惜しみない賞賛を送られ、教師たちは口々にルイズの努力が実った結果だと褒め称えた。 「ありがとう。来てくれて、本当にありがとう……」 ゼロと呼ばれ続けた日々が長かったルイズにとって、これは強烈だったのだろう。竜の背中の突起にすがり付き、ルイズは再び泣きじゃくった。 罵倒には慣れていても、こういうのには全く慣れていないのだ。ルイズの精神は再びブレーカーを落とす寸前である。 ルイズは見物者が居なくなるまでトコトン自分の使い魔を見せつけ、生まれて始めての圧倒的な優越感に心から浸った。 「そうよ、まずは名前よね!」 数時間後、本日初めて頭がパーン状態から復帰したルイズが行ったことは名づけだった。 入り口が(この竜には)狭すぎて学校の敷地中に入れなかったため、現在は塀の外の草原で使い魔と向き合っている。 目の前の強大な使い魔が死ぬシーンは想像も出来なかったし、つまりは絶対に一生を付き添うことになるのだから、気軽には決められない。 今まで読んだ書物やら聞いた話やらを総動員するも、変に捻った名前では外してしまうかもしれない。 かといって竜だからドラきちとか、黒いからクロちゃんとか、そういう安直な名前では笑われる。 そもそもオスかメスかすら分からないのだから、その辺も考慮せねばなるまい。それで居て立派な名前である事が必要だ。 「やっぱり見た目からつけるのがいいわよね、分かりやすいし……」 この難題に絶対的な解など存在していないのは分かっているが、ベストが無理でもベターな名前をつけたかった。 見た目は山のようで、背中にはトゲのような突起が複数あり、体は冷えた溶岩のように黒い。 いくつもの候補が頭の中を駆け巡り、煙を噴きそうになるほど熟考の末にルイズが出した結論はこうだ。 「グラビティ、略してグラ! ロマリアの古い言葉で重力って意味だけど、重厚そうな貴方にはぴったりよね!」 そう呼ばれた本人はしばらく首を捻っていたが、それが自分の名前だと理解すると嬉しそうに顔をこすり付けた。 顔だけでもルイズより大きく、力加減を誤れば軽く押しつぶしてしまうのは火を見るよりも明らかだが、グラはそれが分かっているかのように優しかった。 ルイズは再びラブラブモードに突入してしばらく使い物にならなくなったが、夕闇が迫る頃になると、食事の問題で正気を取り戻した。 「そういえば、グラって何を食べるんだろう……」 まず体長から見ても膨大な量が必要だと分かり切っていたし、貴重な物を食べるとしたら一大事だ。 人生で初めて成功した魔法で呼べた、人生最高のパートナーを餓死させるなど、到底許せることではない。 もし餌が人肉だと言われれば、躊躇いなく口の中に突撃するような覚悟である。 幸いなことにルイズが食堂から貰ってきた餌用の乾燥肉を喜んで食べたので、少女の血肉飛び散るスプラッタ映像にはならなかった。 馬車に積まれた山のような乾燥肉はあっという間にグラの胃袋へと収められ、学校の管理人が真っ青になるのだが、そんなことは幸せな少女には関係ない。 ルイズは眠る直前までグラの傍におり、脳みそお花畑状態をたっぷりと満喫した。 翌日、使い魔との親睦を深めるために2年生は休校だと通告されてルイズは喜んだ。 だがそれは建前で、本当の理由は教師を動員して図書館に篭り、ルイズの使い魔の正体を調べるためだと言われた日には、ルイズの頭は朝からお花畑である。 グラの食費は国に助成金を申告すればまず間違いなく通るし、駄目でも家に頼めば絶対に出してくれるだろうとアドバイスされたので、さして気にはしていなかった。 昨日、興奮でなかなか寝付けなかったルイズが実家に出した手紙の内容が、新婚ホヤホヤバカップルも真っ青な内容であった事は少女のために黙しておく。 「君のせいでモンモランシーが怒ってしまったじゃないか!」 朝食を取りに行った食堂でちょっとしたゴタゴタがあったが、30メイルのドラゴンに挑む勇気が少年のほうになかったため、何事も無く無事に終わった。 この日もルイズは一日中グラのそばにベッタリと張り付いて過ごし、王都まで遠乗りに出かけようとして教師に止められたりした。 グラの乗り心地は良いとは言い難いが、体のサイズの関係で馬などよりは早いのだ。この事実はますますルイズを喜ばせた。 変わりにと出向いた近くの森で、偶然発見したオーク鬼を一口で捕食した時は唖然としてしまったが、使い魔が強いのはいい事である。 ついでにこの事を教師に話したところ、そのオーク鬼の討伐に近々出向く予定だったと言われ、功績を認められて1週間は自由にしてよいとご褒美までもらった。 その条件としてグラの躾と森のパトロールという任務をいただいたが、ルイズからすれば使い魔のお散歩と食事を兼ねているのだから悪い気はしない。 「グラしゅきしゅき! だいしゅき!」 だからこんなことを延々と2時間も言い続けるルイズを許してあげて欲しい。 力の抜け切った顔を、出来れば見なかったことにしてあげて欲しい。 彼女はちょっとだけハイなだけで、頭の中は至って正常なのだから。多分。 ルイズがグラを呼び出してから半月もすると、もう誰一人ルイズをゼロとは呼ばなくなった。 なにしろメイジの実力を見るなら使い魔を見ろ、である。そんな恐ろしいことはもう誰にも出来ない。 現在のルイズの二つ名は、鎧竜のルイズや巨竜のルイズなどで、まだはっきりとは決まっていないかった。 この間に起きた目だった事件といえば、助成金の視察に来た男がグラを見て腰を抜かしたとか。 ロングビルがとうとうオスマンのセクハラに耐えかねてやめたとか。 周囲の森からオーク鬼が全部逃げ出してしまったとか。 グラの種族が未だに分からず、図書館に篭り切りのコルベールの頭が煙を噴いたとか。 すっかりグラと心を通わせたルイズがグラの特技をねだり、草原にビームで"なぎはらえ"とばかりの一文字を刻んだとか。 そのせいで固まりかけていたルイズの二つ名に、灼熱の、というのが加わって混乱したとか。 使い魔品評会でぶっちぎりの一位を取り、賞を総なめにして伝説になったとか、その程度だ。 ちなみに最後の行は本日のことであり、品評会で散々褒めちぎられた後だったりする。 実家とやり取りしている手紙には、最近縁談の話が急増したとか、貴方は絶対に出来る子だと思っていた等々。 ルイズの人生は長年暗い物で、評価はX軸に張り付かんばかりだったが、ここ最近で急上昇中である。 相変わらず魔法を使うことは出来なかったが、なにやら図書館のコルベールに虚無の可能性があるとか言われて狂喜乱舞した。 まさに人生の絶頂期真っ盛りな今日この頃だったから、発情期アンアン……もといアンリエッタ王女に勅命を受けた時など、二つ返事で了承してしまう。 何やらレコン・キスタという軍勢がアルビリオンを占拠し、間もなくこのトリスティンに攻め込んでくるというのだ。 姫の思い人であったウェールズ・テューダー皇太子様は満身創痍であったが亡命に成功し、現在王宮で治療を受けているという。 現在はまだ"レコン・キスタ側がどの程度本気か分からない"という楽観的な理由により徴兵などは行われていないが、戦況が悪化すればそれも辞さないと。 この姫の頼みはルイズの貴族としての心を、そりゃあもう打ちまくった。 「レコン・キスタ! そいつが原因なんですね! わかりました! 私が姫様の笑顔を守ります!」 「でもルイズ! 死ぬかもしれませんよ!」 「任せてください! グラは無敵です!」 ルイズは薄い胸をドンと張り、グラと共に最前線に立つことを了承した。 本来ならばヴァリエール家の三女であるルイズが前線に立つなど、政治的な理由によりかなりの根回しが必要になる。 しかしルイズが行くと言ってくれれば話は早いし、何より30メイルのドラゴンが先頭に立ってくれれば士気も大違いだ。 数日のうちに戦地となる場所へ立つ事になるが、ルイズの胸には一片の恐れも無かった。 準備期間の間はグラの餌の量、質と共に飛躍的に上昇し、本人は大喜びで餌を貪っていた。召還時より30セントほど成長したらしい。 「わかった? グラ?」 "これは戦争だから、特別。でも普段は絶対に人を襲っちゃ駄目"と言い聞かせるルイズに、グラは実に理解を示した。 つまり自分の縄張りを荒らすものが来たから、助けてくれと言う訳である。単純なだけに実に分かりやすい。 ルイズを背に乗せて咆哮を上げるその姿は、誰の目にも強そうに見えた。 「侵略軍接近! 総員戦闘配備!」 開けた草原に広がる部隊を鼓舞すべく、会戦を告げるラッパが高々と響き渡った。 先頭に立つのはルイズの使い魔であるグラビティで、遠くに見える敵の船を怒りの篭った瞳で睨みつけている。 ビームを放った後のグラは高熱を持ち、周囲には誰も近寄れないので、まさに一騎がけと言っていい。 その巨体を盾にすばよいとばかりの状況にルイズは憤慨したが、グラの任せろという自信に裏打ちされた瞳を見れば、文句など言えなかった。 グラを信じていないわけではない。だがグラが倒れれば士気はすさまじく低下し、トリスティンの敗北は間違いない物になる。 「頑張って、グラ……」 この日トリスティン側に集まった兵士は5000人と、レコン・キスタ側の上陸部隊と比べれば1000人ほど多かった。 しかしトリスティン側にはフネが無く、グリフォンなどの空中艦隊、ドラゴンを操る竜騎士隊でも劣っている。 つまり上空から一方的に攻撃を受ける事になり、たかが1000人の数の優位など、戦況一つで簡単に覆る。 数の優位を確保するために雇ったのは大半が傭兵という事もあり、トリスティンの置かれた状況は実に悪い。 「グラ、落ち着いて……。もっと引き寄せるの! 攻撃はそれからよ!」 ルイズとアンリエッタは後方の本陣で護衛に囲まれていたが、心を通わせる事が出来たルイズの目にはグラの見たものがしっかりと写る。 ジリジリと近づいてくる敵影を前に、不慣れな戦争という状況に立たされたルイズの心は悲鳴を上げていた。 それを必死で抑えているのは、見守るしか出来ない自分が不安になって、グラを怖がらせてはいけないという一心からだ。 だが心で繋がった使い魔は、その事実をはっきりと認識していた。同時に燃えるような怒りを覚えてもいた。 あの敵のために大切なご主人が心を痛めている。これだけでグラを激怒させるには十分過ぎた。 野生だった時は、満足に餌が取れない時もあった。ハンターたちが自分を狙い、激しく傷つく事もあった。 しかしそれでもグラは生き延びていたし、現在の体調は野生の時では考えられないほど良い。 ルイズは優しいし、この世界は平和で、餌の心配をする必要も無く、外敵に怯えることも無く眠れる。 それをぶち壊す奴等など、ただの一匹たりとも許すわけが無い。 「グラ、まだ早い! ……いけるの?」 ビームを放つために力を集め始めたグラに、ルイズはついに緊張に耐えられなくなったのかと焦った。 しかしグラは大きく頷き、安心しろとばかりに微笑んでいる。 体内にマグマすら蒸発させかねない熱を湛え、グラの胸に刻まれたルーンが眩いばかりの光を発していた。 かつてのグラでさえ、溶岩に足を突っ込んでも無事なハンターを吐き払うだけのパワーがあったのだ。 「分かったわ。目標はあのフネ! レキシントン号! 不沈だなんて言われるけど、グラなら大丈夫よ!」 ならばこの状況、守るべき物が出来たグラに、その程度のことが出来ないとは言わせない。 それにルーンとか言うこの胸のは、自分に力を与えてくれていた。野生の頃では考えられないほど力が満ちている。 今なら大空を飛び回ることすら不可能ではないだろう。それは確信だった。 「よーし、グラ……やっちゃえ!」 レキシントン号をその相貌で睨みつけ、グラはオーク鬼ですら一飲みにする口を大きく開けた。 ご主人様を泣かせるヤツは絶対に許さない。体内で荒れ狂う熱量を収束させ、光の束として放つ。 火山の噴火のように煌いた光は、ありとあらゆる防御をぶち抜いてレキシントン号に大穴を開けた。 膨大な熱量は大量に積載していた硫黄に着火し、不沈艦とよばれたそれが上空で爆散する。 「すごい! 凄いわよグラ! その調子!」 体にたまった高熱を一気に噴出し、グラは浮き足立っている敵の群れへ一直線に突っ込んだ。 彼の体からすれば爪楊枝のようなサイズの矢が無数に降りかかるが、マカライト鉱石で出来た武器すら弾く彼の黒い堅殻を傷つける事は無かった。 敵は怯えていたし、敵の武器は弱く、彼は怒っていた。負ける要素など一つも無いのだ。 一歩ごとに草原に穴を開け、大地を揺るがす地響きを伴って疾走するグラを止められるものなど誰一人居なかった。 大木すら一撃で真っ二つにする太い尻尾を振り回すと、その範囲内に居た敵は全て潰れて吹っ飛んだ。 無数の火の玉が四方からグラに襲い掛かってきたが、マグマの中を泳いで移動する彼にとって、この程度はそよ風に等しい。 上空のフネから発射された砲弾はダメージにはなったが、十分に接近したグラがビームを放つと、フネとやらは2,3個まとめて燃えた。 他にもたくさんの攻撃が彼に降り注いだが、どれもこれもグラに決定的なダメージを与えるものではない。 怒り狂った巨竜に立ち向かえるものは誰一人おらず、もとより司令官を失っていたレコン・キスタの敗走を止める者は誰も居なかった。 この戦をきっかけに、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは英雄の道をひた走る事になる。 かつてゼロと呼ばれ、落ちこぼれとして蔑まれた彼女の姿はどこにも無い。 戦女神、神竜の使い手、絶対なる力。これらは全てミス・ルイズを指し示すための言葉だ。 トリスティンが真の平和を持つことが出来たのは、ひとえに彼女のお陰といっていい。 彼女が逝去して今年で100年目になったが、今もその栄誉は留まることを知らず、数多くの作品で取り上げられている。 彼女の死後、使い魔であるグラビティの行方が知れていないのも、物語の人気を上げる一つの要因だ。 別世界から来たとされる彼が今どこに居るのか、無数の学説はあるがどれも確証には至らない。 ただ間違いなく言われているのは、もしトリスティンが襲われれば、どこからともなくやってきてくれるという事だけ。 なにしろ、この国は彼の縄張りらしいから。 戻る
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「・・・・」 失神しているルイズの前で、おとーさんは困っているように見えます。 すると、ドアが開いてある人物が顔をだしました。その人物はおとーさんにここに至った経緯を説明してくれました。 その人物は(こんなドアあったっけ?)と、家に新しく出来たドアに近づいてじろじろ見ていました。 すると、突然ドアが開いて、中を覗こうとした女の子と鉢合せをしてしまいました。その距離実に20センチ。女の子は固まっていましたが、その人物は吃驚することもなく気さくに話しかけました。 「やぁ、僕りすのターくん。カリフラワーじゃぁないんだよ」 その台詞をちゃんと聞いたかどうかは分かりませんが、女の子はターくんが話し終わると同時に失神して倒れてしまいました。 「旦那。と、言うわけなんですよ・・・」 おとーさんはその話を聞いた後、おもむろにベッドの方を見ました。 ター君はその様子をみてポンと手を叩き「なるほど」と呟きました。 二人はベッドへルイズを運びました。おとーさんはター君へこの部屋に入らないようにと告げるとそのまま自分の家にター君を帰しました。 「・・カリ・・フラワー・・・んんんん」 ルイズは少々うなされている様でした。 おとーさんはそんなルイズを見てしばらく待ってからルイズを起こしました。 ルイズは飛び起きると目の前にいるおとーさんを捕まえて 「あああ、あのドアの向こうは、どど、どうなってるのよ!!!」 おとーさんは不思議そうにルイズを見ています。ルイズはその様子を見て(あれは夢だったのかしら?)と考え 「な、なんでもないわよ」 と言い、おとーさんに着替えを手伝うようにいいました。おとーさんは服を取りに行く為にルイズに背を向けると「くすくす」 と笑っていました。 着替えが終わり支度を済ませたところで 「朝食にいくわよ。付いて来なさい」 ルイズはおとーさんにそういいました。 (なんかこの使い魔私をバカにしてるみたいなのよね。食事で上下関係をハッキリ認識させてやるんだから) ルイズはそんな事を考えながら部屋を出ました。 するとキュルケとばったり出会ってしまったのでした。 「あら、ルイズ。おはよう」 「・・・おはよう、キュルケ・・」 ルイズはあからさまに嫌そうな顔をしています 「この白いゴーレムがあなたの使い魔?よく召喚できたわね~」 「うるさいわねぇ。正真正銘、私が召喚したんだからケチつけないでよ!!」 「そんなに怒らなくてもいいじゃない。フフッ・・・これが私の使い魔、フレイム。サラマンダーよ。しかも火竜山脈の・・・。 好事家に見せたらきっとかなりの高値をつけてくれるでしょうね・・・。」 キュルケとルイズがサラマンダーを見ると、おとーさんとフレイムが見つめ合っていました。そのうちフレイムは滝のような 汗を流し始めついには地面に這い蹲りました。 「フレイムどうしたの?・・・まぁいいわ、行くわよ」 サラマンダーの行動に首を傾げるキュルケでしたがそのままどこかへ行ってしまいました。 「あんた、何やったの??」 ルイズがおとーさんに尋ねると、おとーさんは一言こういいました。 「おとーさん・・・にらめっこ強い」 それを聞いたルイズはその場で吹き出して笑い始めました。 おとーさんはそんなルイズをみてなんだか少し嬉しそうでした・・・
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「モノノ怪の形と真と理、お聞かせ願いたく候」 ただの薬売りを名乗った相手から放たれたその言葉に、無能と呼ばれた王は笑った。 モノノ怪 枕返し 一の幕 ――ペルスランはかくの如く語る。 全てのことの始まりはガリアに二人の王子が生まれたことでございます。 ジョゼフとシャルル。そう名付けられた兄弟は大層仲良く育ちました。 兄であるジョゼフが物心つくまでは…… 「そう、王族でありながら弟と違って兄は全く魔法の才能に恵まれなかった!」 ですが弟にはそんなこと関係なかったのです。周囲がなんと言おうと、シャルル様にとってジョゼフが最愛の兄であることになんら違いはなかったのですから、ですがジョゼフは別でした。 自分より優れた、己の理想とも言える弟に優しくされることに耐えられなかったのです。 ジョゼフは荒れていきました、日ごと部屋に籠もり酒と女と遊戯に溺れーーしかし一日中たりとも魔法の修練を欠かさなかったのは自らと弟君への凄まじい執念からでございましょう。 そんな折り、この国を揺るがす事件が起きたのです…… 「父は死の床で余を己が後継者に指名したのだ!世の民草、リュテュスの乞食どもにまで無能と知られた余がガリアの王だと!?」 それはこれまでなにも持たなかった彼にとって唯一弟に勝てる部分でありました。だからこそ零れものの玉座であると知りつつも言ってしまったのです。 「どうだシャルルよ、余こそがガリアの王だ!」 (おめでとう、兄さん) その一言を聞いた瞬間ジョゼフの心は砕け散ったのでしょう。最愛の弟を手に掛けしまった哀れな王はもはやもはやひきかえせない道へと足を踏み出してしまったのです。 「そうだ、余は弟殺しの狂王である。して薬売りよ、これを聞いても尚モノノ怪などと言う世迷い言をのたまうか?」 「まだモノノ怪の真をお聞かせ頂いておりませぬ故」 「真、だと?」 まさか、本当にお忘れになられたので御座いますか!? ならば仕方ありますまい、この老骨が墓の下まで持っていくつもりでございましたが全てお話したしましょう。シャルル様が残した真を…… あの日はやけに朝焼けが目に痛い朝でございました、いつも通りシャルル様を起こそうとシャルル様の部屋に向かった私めはそこで信じられないものを見たのでございます。 「さて、一体何をご覧になったので?」 涙ながらに抱き合うシャルル様とジョセフ殿下のお姿でございます。 「な、何を申すか!」 「これは異な事を。所詮戯言と笑ったのは貴方の筈、それよりもお気を強くお持ちください、さもないと……」 ーー返されますよ? モノノ怪 枕返し 二の幕 (ニハッ、ニハ、ニハハニニニニハハハッハ) 「な、なんだ今の笑い声は!?」 「どうなされました?話の途中に、急に立ち上がるとは」 「お前たち何を企んでいる!?」 「これは異なことを私たちは何も企んでなどおりませんし、それにーー企むのはあなたの十八番じゃありませんか」 失礼、どうやらほんとうに殿下はおぼえておられない様子、ならば続きを話させいただきましょう。あの日、あの時私めが見た光景のことを。 (悲しまないで兄さん、ガリアの為にはこれが一番いいんだから) ――ペルスランの語りと共にジョゼフの脳裏に記憶にない光景がいくつも閃いた。 「なんだ、なんだこれは」 そう、私めが見たのでは互いにに抱き合い、涙を流すシャルル様とジョゼフ殿下の姿なのです。 (これ以上オルレアン公派を押し留めることはできないんだ、僕が頭にならなければ間違いなく計画もなにもなく自分たちだけで蜂起する。そうならばこのガリアを真っ二つに割る内戦が起きる) そしてお二人が語る内容は、シャルル様暗殺の筋書きでございました。 「うっ、嘘を、嘘を申すな!」 誓って嘘では御座いません。 (頼んだよ兄さん、僕には政の才能はなかった。だからこの命兄さんに捧げよう、だからお願いだ僕が愛するこの美しいガリアが二つに分かれて争うハメにだけはならないようにして欲しい) シャルル様は自ら進んで死にに行ったのです。 刺客の正体が分からなかったのも当たり前の話で御座います、凶弾に倒れたシャルル様ご自身が魔弾の射手であろうとは誰も想像だにしますまい。 (ニハッ、ニハハ、ニハハ!) 「五月蝿い、やめろ!もうその笑い声をやめろ、やめろっ!」 (ニハッ、ニハン、ニイハ――ニイハン) 「やめろ、やめ、やめめめめ」 ――くるりとジョゼフの頭の裏返る、そこに張り付いていたのは人の顔の胴体を持つ小鬼であった。 (ニイサン、にいさん、兄さん、兄さん!兄さん!) ――最愛の弟の顔をした小鬼が、くるりと首をねじ回す。 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 しかしそれは所詮幻覚。 自身が生み出した夢、幻。 だが今ので分かってしまった、そうだ――余は……いや俺は…… 「そしてあなたは弟君の願いに従い、王としてこの国を導いた」 そうだ、無能と言われても気にならなかった。どんな汚いことも進んでやった。すべては、全ては…… 「けれどやがて耐えられなくなった」 「なん、だと……」 「呷ったのでしょう?エルフの毒薬を」 そうだ、俺は耐えきれなくなって呷ったのだ。心を狂わせるエルフの猛毒を、だが…… 「だがそれでもあなたは狂えなかった」 カチン モノノ怪 枕返し 大詰め 「それでも、あなたは狂えなかった」 そうだ、それでも俺は狂えなかった。 シャルルへ向けた親愛の情をどうしても捨て去ることが出来なかったのだ。 「その結果貴方は」 最愛の弟を一方的に謀殺したと言う偽りの記憶をでっち上げ。 「心に満ちる愛情を、憎しみだと誤魔化して」 大切なものを失った傷を見ないようにして 「狂ったふりで」 非道なふりで 「孤独なまま、王として君臨し続けてきたのですね」 そうだ、それこそが俺の"虚無" 「それこそが枕返し」 心に蟠る、石の如く固まった妄念の結晶 「貴方はそれを裏返された」 愛おしい愛おしいシャルル、お前を殺したままおめおめと生き続けることなど出来ようか。 「だから貴方は」 だから俺は 「「毒の力を借りて、己が心を捻じ曲げた」」 カチン ――その言葉を呟いた瞬間、ジョゼフの首が真横に折れた。 ――べきべきと音を立てながら曲がる曲がる 「こ、これは一体な、何が!?」 ――ぐるんぐるんと首が回る、ジョゼフの頭が裏返る。 「毒の沼の底に沈めた弟への愛、腐り果て、虚無の石で封じて尚沸きあがろうとするその思い」 気づいてしまえば立ち行かぬその思いを裏返す欺瞞こそこのモノノ怪の正体。 ――やがてジョゼフの首の回転は止まった、そこの後頭部に四本の腕と四本の足でへばりついているのはシャルルの顔。 ――聖人の如く笑みを浮かべたシャルルの生首が、ジョゼフの頭と溶け合っていた。 「二人で決めていた弟の死に耐え切れず貴方はエルフより授かった毒を煽った」 ――それが真 「毒によって凍り付いた心をごまかす為に、あなたは弟への愛情を憎悪と偽った。その欺瞞に挟まれた貴方の心に妖が取り付いた」 ――それが理 シャルル! シャルル!シャルルゥゥ! ニハ、ニハニハニニニハハハ、ニィィハァァァーン! 「そして、その最愛の弟を裏切り毒へと逃げたことこそが」 シャルルよ、シャルルよ、愛しい我が弟よ。 ――モノノ怪の形 愚かな兄を、許せ カチン 「(うぉぉぉおおおおおおおおおおおおおお!)」 「枕とはすなわち貴方の想い、それを返すとは己のすべてを裏返すことに他ならない」 「これは一体!? ジョゼフ殿下が捲れて……」 「肉体も、魂も、心さえも」 「ひぃぃぃぃぃぃ」 「すべてが裏返り、愛憎さえ一つになるその間隙に、枕返しは枕を返す」 (ニハァァァアアアアアアアアアアアアアアア!) 「もう一度返されますか?」 「否」 「本当に?」 「否否否否否、断じて否!」 「ほう……」 「この思い気づいてしまえば立ち行かぬ! 俺は間違っていた、間違っていたのだ。シャルルは――聖人でもなければ君子でもなかった。ただの俺の愛しい弟だった」 「俺の心だけならばいい、だがシャルルの本当の姿まで穢すのならばこんな毒などいらぬ! この俺の手で枕返しなど八つ裂きにしてくれるわ!」 「ならば解き――」 (――兄さん) 「……放つ!」 『解き放ぁぁぁぁぁぁぁつ』 モノノ怪 枕返し 終幕 すべてが終わった後、そこには膝の上に眠る姪を乗せたまま玉座に腰掛けるガリアの王の姿があった。 眠るとも死んでいるともつかないその顔は、これまでペルスランが見たことないほど穏やかで優しげだった。 「やれやれ、面倒臭い」 そう言うと薬売りが商売道具の入った行李を担ぎ上げた。 「さて帰りますか……」 その時行李の引き出しから天秤が地面に音を立てて落ち、そしてジョゼフの時とは比較にならないほど大きく傾いた。 その様子に薬売りは若干驚いたような表情を見せると、ゆっくりと口元を緩めた。 「成程、毒を垂らした杯は二つ。どうやらこのもう一匹、厄介なモノノ怪がいるようですね」 ――次回、女郎蜘蛛 続――かない! 「モノノ怪」より薬売り
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哩「……転んで縄が絡まってしまった。やけんいじめて」 京太郎「文脈がつながってないですよ」 哩「動けないのをいいことに後輩に乱暴されて……よかね」 京太郎「勝手に盛り上がらないでください。後、部室で転んで亀甲縛りはどうやっても無理ありますよ」 哩「……一人で縛るんちょっと大変やったとよ?」 京太郎「むしろどうやったんですか!?」 哩「さあ!ここに動けない女の子がおるんよ!?いじめるしかなかやろ!?」 京太郎「もうやだこのドM部長」 ガラッ 仁美「まーたやりよる」 美子「部長も好きやねー」 京太郎「先輩方!」 哩「ちっ、邪魔が入ったか」 仁美「なんもかんも部長のせいやから」 美子「あんまりやりすぎっといかんよ?」 京太郎「そうです、もっと言ってやってください」 美子「今日はうちらがやるんやけんね?」 京太郎「……はい?」 仁美「よし、部長は端っこの方に縛ったまま置いといて……」 哩「こ、こら!なんばしよっか!!」 美子「いつも部長や姫子ちゃんばっかり……うちらも、してほしかとよ?」 京太郎「えっと……それはどういう…」 仁美「早い話3人でってことやね」 京太郎「なんですかそれ!お二人は真面目な人だと思ってたのに!!」 仁美「かわいい後輩は欲しいし?」 美子「うちも……少しならいじめられてよかよ?」 哩「こらー!離せー!!放置プレイはよかけど寝取られは好かん!!」 仁美「普段独占してるし……ゆっくり、ね?」 美子「ね?胸はあんまなかけど……好きにしてよかよ?」 京太郎「ちょ……待っ……」 哩「離せー!!」 その後4人に増えました カンッ!!
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元スレURL 海未「すみません、遅れました」ストン ブゥー 概要 関連作 タグ ^高坂穂乃果 ^園田海未 ^南ことり ^西木野真姫 ^星空凛 ^小泉花陽 ^矢澤にこ ^東條希 ^絢瀬絵里 名前 コメント
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キュルケは、ゲルマニアの人である。 彼女はゲルマニア貴族の中でも評判の美女だが、身持ちがかたく、どちらかというと無口で陰気な人柄であった。 しかし、彼女も十代の頃は炎のように燃え上がりやすく、恋多き奔放な乙女だったそうだ。 それがどうしてこのようになってしまったのか、人に尋ねられても彼女は決して語ろうとはしなかった。 ある春のこと。トリステインのモット二世という若い貴族が、たまたま彼女と話す機会を得た。 「良い季節になりましたね」 挨拶がてら時候を話題にすると、キュルケは不機嫌な顔になった。 「私は春が嫌いよ」 「それは、またどうして」 冬や夏が嫌いというのはよく聞くけれど、春が嫌いだと言う人は珍しい。 キュルケは遠くを見るような目をしていたが、ぽつりぽつりと、学生時代のことを語り始めた。 その当時、彼女はトリステイン魔法学院へ留学生としており、多くの男子生徒を恋路に明け暮れていた。 二年生への進級試験として、毎年この時期には使い魔を召喚する儀式が行われる。 この時キュルケは立派なサラマンダーを召喚して、風竜を召喚した親友と共に大いに注目を浴びた。 でも、もっとも注目を浴びたのは、ルイズという女子生徒が召喚した使い魔だった。 彼女が召喚したのは、見たこともないおかしな服装をした平民の女だったのである。 その女は遥か遠い国からやってきたものらしく、初めは戸惑っていたようだが、すぐに、はいはいとルイズに従った。 「夫に先立たれて子供もなく、親類の家に厄介になろうと思っておりましたところ、あなたに召喚にされました。これも何かのご縁でございましょう。どうぞ、使い魔にしてくださいませ」 女はこんなようなことを語っていたそうだ。 人間の使い魔なんて……と、ルイズは不満そうだったが、担任の教師に促されたことと、相手の従順さも手伝って、結局この女を使い魔にした。 その夜。キュルケは何となくルイズとその使い魔の様子が気になり、隣部屋であったことを幸いに、そっと聞き耳をたててみたが、別に変わった様子はない。 なんだつまらないと思って、その夜は約束していた相手もいなかったので、早々にベッドに入ってしまった。 ところが、その夜はどうにも寝つきが悪く、寝ているのか起きているのか、よくわからない状態が長く続いた。 そんな中、ふと耳をすませてみると隣の部屋から、何か声が聞こえる。 「痛い……痛い……」 ルイズの声で、そんなことを言っているようだった。 キュルケは朦朧とした気分であったので、最初は変な夢を見るわねえ――ぐらいにしか思わなかった。 だが次第に意識がはっきりしてくるに従い、得体の知れない胸騒ぎがしてきたので、使い魔を従えて、そっとルイズの部屋までいってみることにした。 ドアの前まで近づいたところ、サラマンダーが異常に興奮し始めた。 これに嫌なものを感じたキュルケは、いつでも炎を飛ばせるように杖を振るって呪文を唱え、蹴破るようにして部屋へ踏み入った。 部屋には、ぎょろりとした丸い目玉の、藍色の怪物がいた。 キュルケが攻撃魔法を放つ前に、怪物は乱杭歯をむき出して一声叫ぶと、窓を突き破り外へ逃げ出していった。 学院中は大変な騒ぎとなり、生徒も教師もほとんど総員のような形で怪物の行方を追ったが、結局怪物はそのまま姿を消してしまった。 使い魔の女は、どこにも姿が見えなかった。 しかし、ルイズの部屋には、女が着ていた衣服と、その女の皮が残されていたという。 「それで、そのルイズという女子生徒はどうなったのですか?」 モットが聞いたが、キュルケは詳細を語ることはなかった。 ただ、 「あの子は、髪の毛と頭の一部しか残ってなかった」 このように、いつも以上に陰鬱な表情で語ったという。 ※トリステイン王立図書館蔵、『古今怪異録集』より――
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前ページ次ページゼロのミーディアム コルベールが王室に通報してフーケを追ってもらうように提案したがオスマン氏が即座に却下する。 「馬鹿者!んな事しとる間にフーケは逃げてしまうわい! それに、身にかかる火の粉を己で払えぬようで何が貴族か!この問題は我ら学院の手で解決する!」 オスマン氏大激怒。 日頃のエロボケジジイ(失敬)ぶりから想像もつかぬ迫力だ。 そして教師達を見回し声高らかに有志を募った。 「これよりフーケ追撃及び破壊の杖奪還隊を編成する。我をと思う者、杖を掲げよ!」 しかし誰も杖を上げようとしない。困った顔で皆オスマン氏から目をそらす。 相手は国中を騒がす悪名高き盗賊、しかも巨大なゴーレムを作り出す強力な土のメイジと来たものだ。 いかに学院の教師でも躊躇うのは致し方ないか……。 「なんじゃ?おらぬのか!フーケを捕まえ名をあげようとは思わぬのか! 誇り高き魔法学院の教師達がなんたる様か!情けない!」 (同感…ホント、なっさけなぁい) その様子を水銀燈が後ろから黙って見ていた。再び宝箱の上に座り込み冷ややかに教師達を見回す。 (自称誇り高き貴族とか名乗っといて腰抜けばっかりじゃないのよ。 …つまんなぁい。いっそのこと、ここでメイメイの報告バラして……) ふと水銀燈の視界の隅で誰かが杖を掲げた。 (あら?ちゃんといるのね。貴族の中にも勇気と使命感に満ちたメイジが) そうして視線を移した先にいたのは……彼女もよく知る桃色の髪の少女。 「ルイズ…!」 「ほう、ミス・ヴァリエール」 水銀燈が小さくつぶやき、オスマン氏が興味深く言った。 「ルイズ、貴女本気なの?」 「もちろんよ、貴族に二言はないわ」 水銀燈がルイズの隣に並び固い表情を浮かべ聞いた。 教師達すら躊躇するこの任務、それをメイジとしては未熟極まりない彼女が名乗り出るとは……。 ルイズの気性を理解していたつもりだったがまだ認識が甘かったらしい。 水銀燈が眉間を押さえ顔をしかめる、まさかここまで向こう見ずなな性格だとは思いもしなかったのだ。 「ミス・ヴァリエール!やめるんだ!君は生徒じゃないか!」 コルベールの反対にルイズはきっと唇を強く結び言い放つ。 「誰も杖を掲げないじゃないですか!ならばこの私がフーケを捕まえてご覧にいれます!」 その凛々しく真剣な表情を見ていたキュルケ、 (この子もよくやるわ)と深く溜め息をついた。 「流石はヴァリエール…その根拠の無い自信はどこからくるんだか……」 (あんたらしいって言えばらしいけどね) フッと微笑みキュルケもまた杖を掲げた。 「ミス・ツェルプストー!君まで!」 「ヴァリエールに負けてはいられませんもの!」 コルベールがさらに驚いたが、キュルケは瞳を閉じ口元に笑みを残したまま得意げに答えた。 キュルケが杖を上げた直後にもう一本杖が上がる。キュルケの隣にいたタバサがその長い杖を掲げていた。 「タバサ、これは私のルイズに対する気まぐれよ。あなたがつき合うことないわ」 キュルケがそう言うもタバサが短く答える。 「乗りかかった船」 そして少しだけを彼女も小さく笑った。 「……それに心配」 キュルケが感動した面もちでタバサを見つめルイズも感極まりお礼を言う。 (あと、もふもふ) 水銀燈だけ突然その背中にゾクリと悪寒が走る。彼女はキョロキョロと周りを警戒するが悪寒の理由はわからずじまいだ。 「水銀燈、あんたも来るのよ」 「……」 すぐに答えず彼女は顔をしかめ少し考え事を始めたが、何かを決めたように頷いてルイズに言った。 「……いいでしょう。大元の原因も私みたいな物だし。それを清算する願ってもないチャンスだもの」 黒衣の天使は先程のキュルケやタバサとは正反対の触れれば切れるような凍りついた薄笑いを浮かべて言葉を続ける。 「……それにあのメイジ、散々私をコケにしてくれたしねぇ?」 そして何故か一瞬だけミス・ロングビルに赤みがかった紫紺の瞳を向けた。 「よかろう、君達の決意しかと受け取った。」 「オールド・オスマン!?」 「彼女達は敵を見ている。それにミス・タバサは若くしてシュバリエの称号を得た騎士と聞いているが?」 その『シュバリエ』と言う言葉にルイズ・キュルケはもちろん教師達も驚いて皆タバサに注目したが、 当のタバサは返事もせず水銀燈の翼をじーっと見つめつっ立っている。オスマン氏の話を聞いていたのかも怪しい。 「本当なの?タバサ?」 「……?」 キュルケの質問に対しタバサは無表情で首をかしげるばかり。 「ちゃんと学院長の話ぐらい聞きなさいよ……」 「と言うか私の翼から目を離して!落ち着かないから!」 ……どうやら本当に話を聞いてなかったらしい。 オスマン氏はゴホンと一つ咳払いをしキュルケを見つめる。 「さらにミス・ツェルプストーはゲルマニアの優秀な軍人を数多く輩出した名家の出身。彼女自身の炎の魔法もなかなかの物と聞く」 キュルケはオスマン氏の言葉に髪をかきあげた。 ルイズは次は自分の番だとばかりに胸をはるが、彼女を前にオスマン氏は「あー」だの「うー」だの唸って困っている様子。 つまり……ルイズの誉めるところをなかなか見つけられなかった。 「ルイズ……」 水銀燈以下キュルケ、タバサまで生暖かい眼差しをルイズに向けた。 「そんな目で私を見ないでぇぇぇぇ!」 これはまずいとオスマン氏は目を逸らしながらもルイズを無理矢理誉め始める。 「その…ミス・ヴァリエールは数々の優秀なメイジを排出した公爵家の息女で……。 それにあの、えーと、あー、将来有望なメイジと聞くような聞かないような……。」 そしてだらだらと汗をかき始め視線を右往左往させていると銀髪黒翼の人形が目に入り熱っぽい目で見つめた。 「おお!そうじゃ!その使い魔はあのグラモン元帥の(ドラ)息子であるギーシュ・ド・グラモンと決闘して勝ったという話ではないか!」 ルイズが大きくずっこけた。そして下から自分の代わりに誉められた使い魔を膨れっ面で非難がましく見上げている。 「何よ、別に私が悪い訳じゃないのに……」 「……おまけに宝物庫にかかったスクエアメイジの固定化をぶち抜き、分厚い壁を錬金も使わずに消滅させたのも彼女らしいしの」 「うっ!」 少々の嫌みを込めたオスマン氏の言葉に水銀燈が自分の胸を押さえた。 オスマン氏は思う。彼女が本当に伝説の『ガンダールヴ』なら、……そして自分も知らぬ彼女の得体の知れぬ力をもってすれば、 いかに相手が土くれのフーケと言えど遅れは取らないだろうと。 「そうですぞ!なにせ、彼女は伝説のガンダムッ!?」 コルベールの言葉をオスマン氏は慌て口を押さえて塞ぎ小さく彼に耳打ちした。 (ミスタ!ワシ意外に他言は無用と言ったはずじゃぞ!) (ははあ!申し訳ございません!) オスマン氏はさも何事もなかったように振る舞い四人の少女に向き直った。 「魔法学院は、諸君らの努力と貴族の義務に期待する!!」 オスマン氏の威厳ある声にルイズとタバサとキュルケは真顔になり直立する。 「杖にかけて!!」 そして三人同時に唱和してスカートの裾をつまんで恭しく礼をした。 (ほら!あんたも!) (はいはい……) 水銀燈もルイズにせかされて仕方無しに自分のドレスの裾をつまみ頭を下げた。 「オールド・オスマン。私がフーケの場所まで案内しましょう。同行することをお許し下さい」 ミス・ロングビルが前にででオスマン氏に言った。 「うむ!彼女達の力となってくれ!魔法温存の為に馬車を用意する。それで向かうのじゃ!」 「かしこまりましたわ」 「やっぱり来るのね…」 「それはそうよ。ミス・ロングビルがフーケの場所知ってるんだもの」 「……ああ、そうよね」 呆れたように答えた水銀燈に腹立たしさを感じるルイズだったが、 彼女が自分に背をむけ宝物庫を出ようとするのを見てその後ろ姿に声をかけた。 「どこに行くのよ?」 「デルフを取ってくるわ。またあんなゴーレムが出たら私の剣じゃ心細いもの」 「ゴーレムが出たら剣なんかじゃ無理よ」 「それでも無いよりましよ。それにせっかく買ったんだから使わなきゃ損でしょ?」 「ぶえっきし!」 ルイズの部屋の片隅でボロボロの剣がくしゃみをした。 「あー、ちくしょうめ~誰かが噂でもしてんのかね?それともただの風邪か?」 デルフリンガーがガチャガチャと鍔を鳴らして 何やらブツブツ言っている。 ……剣がくしゃみ?剣が風邪? ルイズの部屋に向かう途中の廊下で水銀燈は見知った顔に会った。 「水銀燈?こんなに朝早くから何かあったんですか?」 「それがね?ちょっと聞きなさいよシエスタ」 ばったり出会ったメイドに彼女は事件の経緯とこれからの任務についてベラベラと話しだした。 …いいのかコレ?学院長の特命なのに。 「まあ!あの土くれのフーケを捕まえに!」 「そうなのよ。まったくルイズと来たら…。まあ事件の原因は私でもあるんだけど……」 「ですけどこれから出発するんじゃ朝ご飯は食べれませんね」 「あ……」 水銀燈は口をポカンと開け固まった。空きっ腹での盗賊討伐など御免被る。 「ねえ…シエスタ、悪いのだけれど……」 「はいはい、すぐにご用意しますからちょっと待ってて下さいね!」 そう言ってニッコリと笑いシエスタは駆け出す。 「厨房で待ってますから~!!」 「頼んだわよ~」 遠くの曲がり角でもう一度こちらを向いて手を振るメイドに黒翼の人形も手を振り返してお願いした。人の夢と書いて『儚い』、月の夜と書いて『腋』。 そして女が三人で『姦しい』とはよく言ったもの、ではそれが五人となったらどうだろう? 答えは馬車を見ての通り。 姦しいのはルイズ・水銀燈・キュルケの三人。 タバサは無言で本を読んでるし、とミス・ロングビルは物静かに馬の手綱を握っている。 つまり…やっぱり普通に姦しかった。 「だ~か~ら~!この子から離れなさいよツェルプストー!」 「何よー!減るもんじゃないし良いじゃない!ね?水銀燈!」 「うざいわ。離れて」 「ああん!ツンツンしてて素敵!ねぇデレてデレて~」 年甲斐も無く痛々しい言動でキュルケは体をくねくねさせて水銀燈に迫る。 彼女はトントンと後ろから肩を叩かれそちらの方を振り向いた。 「ん?なに?タバサ?」 「イタい(主に言動が)」 無表情…いや、鉄面皮の顔のまま言い放たれた親友の痛烈な一言に、キュルケは馬車の隅にうなだれるように体育座りをしてがっくりと落ち込んでしまった。 タバサは口数こそ少ないが、その言葉に込められた意味は実に重いのだ。……爆弾発言とも言うが。 「まったく…やっと静かになったわね。……ん?」 手綱を握っているミス・ロングビルを見やるルイズ。そして少し疑問に感じた事を投げかけた。 「そう言えばミス・ロングビル、何故あなたが御者を?手綱なんて付き人にやらせればいいのに」 ミス・ロングビルはにっこりと笑った。 「いいのです。わたくしは貴族の名を無くした者ですから」 だが、どこか諦めの入った表情に見えるのは気のせいだろうか? 「だけど貴女は、オスマン氏の秘書なのでしょう?」 「ええ、でもオスマン氏は身分の差などあまりこだわらないお方ですから」 「ふぅん、ちゃんと貴族にもそんな人がいるのね」 貴族の中にも身分等にとらわれない者がいると言うことに水銀燈も感嘆する。 「ま、学院長やってるぐらいの人柄だもの」 「ちょっとセクハラが激しいですけどね」 「差し支えなかったら身分を追われた事情をお聞かせ願いたいわ!!」 こう言った話が大好きなのか馬車の隅っこにいたキュルケが復活し御者台に座ったミス・ロングビルににじり寄る。 何という変わり身、何という回復力。 だがミス・ロングビルは微笑みを浮かべたまま口を閉ざしている。あまり口に出したく無いのだろう。 「いいじゃないの。教えてくださいな~」 キュルケのあまりのデリカシーの無さにルイズが眉をひそませそれを注意しようとした矢先、 「やめなさい、キュルケ…!」 水銀燈がいつになく厳しい顔で、冷たくキュルケに言った。 「人には触れてはならない傷みと言うものがあるのよ。例え時間がその傷を癒やそうとも忘れる事は、消える事は決して無いの……!」 彼女はギリッと歯を食いしばり憎しみすら込めた眼差しでキュルケを睨みつける。 「そして古傷を抉ってまでそれを聞き出そうとする等恥ずべき事だわ。 ましてやそれが人生の転機となった話となるなら以ての外よ!!」 反論一つ許さぬ、強い意志を秘めた言葉だった。 弱々しい自分と、それに憐れみを寄せた紅い薔薇の少女との過去、水銀燈はそれを思だしていた。 人生の転機、思えばあの少女との別離が自分の戦いの宿命の始まりだった。 「す、水銀燈どうしたのよ突然?」 「そ…そうよ、ちょっと暇だからお喋りしようとしただけなのに……」 忌々しい過去を思い出し憎しみの炎を燃え上がらせた水銀燈だったが、 驚きに青ざめたルイズとキュルケを見てハッと我に返り落ち着きを取り戻す。 「い、言い過ぎたわね……ともかく他人の過去を詮索するのはあまり好ましい事ではないでしょ?」 二人から顔を背けてごまかすように早口で言い直した。 「確かに、無粋」 手元の本をパタンと閉じてタバサもまた水銀燈の言葉に同意した。 その表情が若干険しい。もしかすると彼女もまた、何かつらい過去があるのかもしれない。 (自分の事を棚に上げてよく言ったものね……) 水銀燈は嘆くようにそう小さく言い捨て自嘲気味に首を振った。馬車が重っくるしい雰囲気に包まれてしまった。 これからフーケを捕まえようと言うのに気が滅入るような陰鬱さが彼女達に渦巻いている。 「……とりあえず腹拵えといかない?」 この状況を打破すべく。水銀燈が膝の上にのせていた箱に手をかけた。 「あ、それ!」 ルイズはそれに見覚えがあった。以前朝食を食べ損ねて空腹に呻いた時、休み時間に水銀燈が持ってきてくれた箱だ。 「シエスタ特製サンドイッチぃ~」 箱の中身には一口サイズの色とりどりのサンドイッチが所狭しとならんでいる。 「まったく……ピクニックに来てるんじゃないのに」 「よだれ出てる」 キュルケが真面目ぶって言うも、タバサのツッコミどおり美味しそうなサンドイッチを前によだれを垂らしているのではいささか説得力に欠けた。 それだけシエスタのサンドイッチが魅力的なのかもしれないが。 「甘いわね、キュルケ。かつて古き戦場においてコウメイと言う名軍師がこんな言葉を残しているの……」 水銀燈のその言葉にルイズ、キュルケ、タバサが首を傾ける。 「……腹が減っては、戦はできぬ!!」 「「おお!!」」 「正論…!」 三人が驚くように声を上げた。 いや、かの諸葛亮孔明も流石にそんな事は言ってないから。 「うーん、やっぱりおいしいわ」 「ま、こう言うのもわるくないわよね」 「……(もぐもぐ)」 朝食を抜いて来たため三人とも一心不乱に食事をとりはじめた。 水銀燈も一つサンドイッチを手にとりミス・ロングビルに差し出す。 「ミス・ロングビルもお一ついかがぁ?」 そして切れ長の瞳をさらに細め、いやに挑戦的な韻を含ませて言った。 「ではお言葉に甘えてわたくしも……」 彼女は渡されたそれを手にとり片手で手綱を持ちながらそれを口に運ぶ。 彼女は水銀燈の攻撃的な物言いを受け流すように終始微笑んだままだった。 「シエスタだったわよね?二度もご馳走になったんだし、一度はお礼にいかなきゃね」 「この任務が終わったら行ってあげるのね、あの子も喜ぶわぁ」深い森の中、一行が開けた場所に出た。学院の中庭程の広さの空き地の真ん中に廃屋が一つ。 元は木こり小屋なのか朽ちた炭焼き窯と壁板が外れた物置が隣に並んでいる。 5人は小屋から見えないように茂みに隠れ小屋を監視していた。 「わたくしの情報ではあの中にいると言う話です」 ミス・ロングビルが小屋を指差す。 「作戦会議」 タバサがそう呟きがちょこんと正座して、地面に絵を書き始めた。 作戦の内容はこうだ。 まず偵察兼囮が小屋の中の様子を確認。 ↓ そしてフーケが入ればどうにかして外に出す。無論小屋の中には土がないためゴーレムの生成は不可能。 ↓ フーケが外に出たところをゴーレムを作り出す前に魔法の集中砲火で沈める。 単純な作戦ではあるが理にはかなっている。 「偵察兼囮はこの子にやってもらいましょう。……メイメイ」 水銀燈の言葉に呼ばれ彼女の翼から蛍を思わせる紫光が現れる。ルイズが不思議そうにそれを見つめ聞いた。 「これはなんなの?」 「私の人工精霊のメイメイよ。言ってみれば……私の使い魔ね」 「使い魔が使い魔を持つなんて……」 「色々言いたいことあると思うけど今はそれどころじゃないでしょ?」 水銀燈が自分の手のひらにのったメイメイに語りかけた。 「お休み中に悪いわね、もう一仕事頼むわ」 主人の言葉に微塵に不満を感じる事無くメイメイは瞬くと、地面スレスレを飛んで小屋に近づいていった。良くできた従者だ。 「本当に大丈夫なの?」 「あの子は優秀な私の従者よ?戦いのサポートだってこなしてくれるわ。追跡・偵察・囮、何でもござれ…なんてね?」 そして小屋の周りをぐるぐる飛んだメイメイが主人の元に戻り耳元でチカチカと瞬く。 「誰もいないそうよ?」 それを聞き恐る恐るもルイズ達が小屋に近づこうとしたその時、 「ちょっと待って」 水銀燈がそれに待ったをかけた。「何も5人全員で小屋に入ることはないわ。見張りや周りの警戒だって必要よ?」 水銀燈が他4人を見回して続けた。 「捜索に3人、周囲の警戒に1人、見張に1人で分けましょう」 彼女の提案に皆賛同し大きく頷く。 「ではわたくしが周囲の警戒を……」 「警戒はタバサ、貴女にやってもらうわ」 ミス・ロングビルが言うのを制して水銀燈が素早く言った。 「貴女は使い魔の風竜で空から警戒して」 「わかった…」 タバサはそう言って口笛を吹いてシルフィードを呼び出す。 「見張りはキュルケ、貴女に任せたいのだけれど……」 「えー、なんで私がそんな地味な役……」 水銀燈が嫌がるキュルケに目配せしてそれを諭す。 「お願いよキュルケ」 そして片目を閉じてウインクした。その様子に水銀燈が何かを察した彼女は、 「しょうがないわねー。愛しの水銀燈の頼みじゃ断れないわ~」 と言って森の茂みに戻り周囲に注意を向けた。 水銀燈はタバサとキュルケ二人の後ろ姿に警戒と見張りを託し、残りの2人に向き直る。 「さ、行きましょ。ルイズ、ミス・ロングビル」 「よーし!フーケの手がかり、探すわよ~!」 「え、ええ……」 やる気を出して張り切るルイズの横でミス・ロングビルが曇った笑顔で水銀燈に返事をした。小屋の中に入った水銀燈達がフーケの残した手がかりが無いかを探し始めた。 水銀燈が目を付けたのは狭い小屋の片隅にある露骨に怪しいチェスト、木でできた大きな箱の事だ。 「まさかこーんなところに盗まれた破壊の杖があったりしてぇ……」 クスクス笑いながらチェストの蓋を開ける。 「……何よこれ」 チェストの中を見て彼女は我が目を疑った。 それは明らかにこのハルケギニアに、魔法の世界に有るはずもなく、相応しくも無い代物だった。 この世界にも似たものがあるのかとそれを手にとった瞬間、左手の甲のルーンが輝き出しそれが何であるかを水銀燈に告げる。 「やっぱりこれは私の世界の……でも何故?」 「それが破壊の杖です!」 水銀燈の手に持っている物を見てミス・ロングビルが驚きの声を上げる。 「これが破壊の杖!?」 水銀燈もまたそれに驚いた。 「え?もう見つかっちゃったの?なんかあっけないわね…。あ、でもあとフーケを探さなきゃ」 水銀燈はとりあえずこの杖がここにある理由については置いておく事にしたらしい。 ルイズのフーケを探さなきゃと言う言葉に反応し彼女は言った。 「ねえ、どうしてフーケは破壊の杖を置いて姿を消しちゃったのかしらぁ?」 「うーん。……何でだろ?」 ルイズが腕組みをしつつ首を傾げる。 「ルイズ、私は貴女に聞いたのではないの。私はミス・ロングビルに言ったのよ?」 ミス・ロングビルの顔が凍りつきピタリと固まった。 「そんなに私の事邪険にしなくてもいいじゃないの」 「気を悪くしたなら謝るわ。でも別に貴女を除け者にした訳ではないの。……ただ、ね?」 ルイズの拗ねるような抗議をなだめるように水銀燈は彼女に笑いかけた。 不意に小屋の中にバサッと言う何かをはためかせる音が鳴り響く。 水銀燈の日頃は小さい漆黒の翼が大きく広がった。 さらに言葉を続ける。 「他人の推測より本人に直接聞いた方が早いでしょ?違うかしら?ミス・ロングビル。いいえ……」 そして、ミス・ロングビルを紫紺の瞳を細めて見やり、微笑みを狂気の笑みに変えて言い放った。 「『土くれ』の、フーケ……!」 オマケ・NGシーン 「そうですぞ!なにせ、彼女は伝説のガンダムッ!?」 「だぁれがガンダムですって!?くるァァァァァァァァ!!」 「水銀燈!突然何!?」 「ルイズ!可憐な乙女が屈強なガンダム扱いされたのよ!?黙ってられるもんですか! そこに直りなさい!ジャンクにしてあげるわぁ!!」 「ガンダムって何よ!?!」 「まあまあ、ミス・水銀燈。明鏡止水の心ですぞ?怒りでは真のスーパーモードは引き出せませんから。ねえ?オールド・オスマン」 「認めたくないのう。若さ故の過ちと言うものは……」 「貴方達知っててやってるでしょ!!」 「とにかく落ち着いてよ!!」 「放して下さいルイズ!わたくしは……彼の者達を、自由と正義の名の下に討たねばならないのです!!」 「水銀燈の髪がルイズと同じ色に……。タバサ、なんなのあれ?」 「電波受信……?」 前ページ次ページゼロのミーディアム
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誰にもわからない。わかるはずが無いんだよ、地球の馬鹿供め!!フハハハハハハ・・・・・ -- ヤプール人 (2010-02-21 17 22 35) 最近じゃ巨大ヤプールばっか有名で、こっちは忘れられてる様な・・・ -- 名無しさん (2010-02-21 21 31 52) よく考えればこの姿が元祖なんだよな -- 名無しさん (2010-02-21 22 29 08) 番組見てて思ったがこの映像はどうやって撮影しているのだろうか -- 名無しさん (2010-02-22 20 32 30) そんなに知りたくば教えてやろう。我々、異次元人ヤプールの映像は複数の着ぐるみを着たスーツアクターがTAC共の作戦会議室で動き回りフイルムの特性を生かしたソラリゼーション効果で撮影したものなのだぁぁぁ!! -- ヤプール人 (2010-02-22 21 52 25) なるほどなあ しかし雰囲気のよく出てる絵だ -- 名無しさん (2010-02-22 22 11 13) ヤプール人乙!雰囲気が出ていていい絵だなぁ。因みに俺はメビウス以降の玄田さんヤプールが好きだったり。玄田さんボイスでのアッハッハッハッハ!!って笑い方が個人的に大好き。 -- 名無しさん (2010-02-23 08 47 06) なんの作品の絵? -- 名無しさん (2010-02-23 11 57 27) 「ウルトラ5番目の使い魔」の異次元の悪魔を知らぬとはな、全く・・・愚かな人間共よ!! -- ヤプール人 (2010-02-23 14 11 47) ↑五個上の解説どうも、しかし全然わかりませんでした。 -- 名無しさん (2010-02-23 18 58 43) つまり撮影のセット自体は同じということでしょう。MAT~MACまで、基地のセットは部分的に改修して使いまわしてたらしいし。オイルショックでセットの維持費がままならくなったのが、MAC全滅の裏事情。 -- 名無しさん (2010-02-23 19 57 30) 不景気とは怪獣よりも恐ろしいものか…>MAC全滅 -- 名無しさん (2010-02-24 22 32 18) 特撮はいつの世も予算との戦いだ。着ぐるみを改造して新しい怪獣を作り、シーンやセットを流用し、他作品からも機材やミニチュアを借りてこないと到底間に合わない。そんな厳しい環境の中で数々の傑作を生み出し、今の基礎を築いた人こそ特撮の神様、円谷英二監督だ。 -- 名無しさん (2010-02-26 17 34 04) ↑よくぞ言ってくれた!最近の玩具会社の犬になり下がった腐れ東○どもにのしつけて言ってやりたい。金なんかなくても情熱と愛さえあれば素晴らしい作品は作れるんだと。 -- 名無しさん (2010-03-10 13 54 34) かつてスーパーマンを演じたクリオストファー・リーヴが本当のスーパーマンであったように、おそらく円谷英二監督はウルトラマンだったのだろう。 -- 名無しさん (2010-03-19 23 23 48) ヤプールの着ぐるみは後にレボール星人に改造されました。 -- 名無しさん (2010-04-25 18 57 52) そして巨大ヤプールの着ぐるみはそのままでウルトラマンタロウに再登場したのは有名な話 -- 名無しさん (2010-04-27 15 24 34) 劣化しまくりで別物にしか見えなかったがな。。 -- 名無しさん (2010-04-29 17 45 10) 劣化のし過ぎで別の怪獣にされてしまったテレスドンよりはましなほう。 -- 名無しさん (2010-04-30 22 39 54) 劣化した着ぐるみでもウルトラファイトのような人気作を生み出すことはできる。予算よりも大事なのは、表現と構想力だ。 -- 名無しさん (2010-07-05 13 32 35) ウルトラ史上最凶の悪魔。 -- 名無しさん (2010-10-23 12 25 29) マイナスエネルギーの集合体だから絶対悪、しかも完全に滅ぼすことはできないから無限に蘇ることができるという、まさに悪魔そのものと呼んでいい存在 -- 名無しさん (2010-12-01 18 26 46) 超8兄弟の黒い影法師の正体はヤプールだったのではなかろうかと思ってる -- 名無しさん (2010-12-02 00 41 09) ゆけぇーっベロクロン! -- 名無しさん (2011-02-12 03 01 07) 名前の元ネタは家畜人ヤプーだそうで。 -- 名無しさん (2011-04-09 17 02 44) 最近はすっかり空気ですけど。まぁいつか最悪のシナリオひっさげて現れるんでしょうけど -- 名無しさん (2011-04-11 00 48 08) ↑案の定期待を裏切らない最悪の形で復活してくれました! -- 名無しさん (2011-06-21 16 34 25) 何てこった。最近大人しくしていたと思ってたら、よりによって、聖地をエルフから奪い取って復活を遂げるとは… -- 名無しさん (2011-06-21 22 03 55) しかし、エンペラ星人、レイブラッド星人、ジュダには、うだつが上がらない。 -- 名無しさん (2011-08-04 14 26 52) ↑デスレム、グローザム、メフィラスといった同列の奴らには軽く見られてたしね -- 名無しさん (2011-08-04 14 39 47) ヤプールの声優してた人は今ではわからないらしい。あの憎憎しげな声はエースというドラマに不可欠なものだった -- 名無しさん (2011-11-30 17 37 33) 誰の心の中にでもいる悪魔、だからヤプールとの戦いは終わることはない -- 名無しさん (2012-08-18 03 32 57) しつっこさでは最近ベリアルが並んできたな -- 名無しさん (2013-02-15 00 24 19) 悪魔は地に伏してもいつか必ず蘇る -- 名無しさん (2013-11-11 23 56 36) 名前 コメント